(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】妊娠を遷延させるためおよび月経または妊娠の合併症の処置の方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/565 20060101AFI20221110BHJP
A61K 31/57 20060101ALI20221110BHJP
A61K 31/568 20060101ALI20221110BHJP
A61K 31/5685 20060101ALI20221110BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20221110BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221110BHJP
A61K 31/569 20060101ALI20221110BHJP
A61K 31/566 20060101ALI20221110BHJP
A61K 31/567 20060101ALI20221110BHJP
A61P 15/06 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A61K31/565
A61K31/57
A61K31/568
A61K31/5685
A61P15/00
A61P43/00 121
A61K31/569
A61K31/566
A61K31/567
A61P15/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518247
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020052311
(87)【国際公開番号】W WO2021061847
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リャン, リャン
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー, マイケル ピー.
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA19
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZC75
(57)【要約】
月経合併症、妊娠合併症の、および妊娠を遷延させるための処置の方法が記述される。処置は、妊娠の進行または子宮収縮の調節に関係する化合物の投与を含む。種々の実施形態は、月経合併症および妊娠合併症を評価するおよび処置するための方法に向けられる。種々の実施形態では、月経合併症を有する個体には、月経合併症を緩和するおよび/または軽減するために提供され得る代謝化合物または誘導体が投与される。種々の実施形態では、懐妊している個体には、妊娠を遷延させるために提供され得る代謝化合物または誘導体が投与される。種々の実施形態では、妊娠合併症を有する懐妊している個体には、妊娠合併症を緩和するおよび/または軽減するために提供され得る代謝化合物または誘導体が投与される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
懐妊している個体の、再発早産、再発早期正期産または不育症を処置する方法であって、
懐妊している個体が、再発早産、再発早期正期産または不育症と診断されたことを決定するまたは決定したステップと、
前記個体を前記個体の妊娠中、モニタリングするステップと、
前記個体に、早期正期産、早産または妊娠喪失を緩和するための少なくとも1つの化合物を投与するステップとを含み、ここで、前記少なくとも1つの化合物が、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはプレグネノロンサルフェートである、方法。
【請求項2】
下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはプレグネノロンサルフェートのうちの少なくとも2つが、前記個体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エストリオール-16-グルクロニドの前記代替ステロイド化合物が、エストラジオール17β-D-グルクロニドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)の前記代替ステロイド化合物が、5α-ジヒドロデオキシコルチコステロン(DHDOC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記代替ステロイド化合物が、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、ノルエタンドロロン、キンボロン、メタンジエノン、メテノロン、プラステロンまたはスタノロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、17α-エチニル-3α-アンドロスタンジオール(アポプトン)、17α-エチニル-3β-アンドロスタンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール3β-シクロヘキサンプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルテストステロンまたは17α-エチニルジヒドロテストステロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、構造式:
【化13】
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその誘導体が、構造式:
【化14】
を有し、式中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の前記代謝産物が、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)またはアンドロステロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記代替ステロイド化合物デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)が、7α-ヒドロキシ-DHEA、16α-ヒドロキシ-DHEA、17α-ヒドロキシプレグネノロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、キンボロン、オキシメトロン、メテノロン、メタンジエノン、スタノゾロールおよびスタノロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、3β-デヒドロキシ-16α-フルオロ-DHEA(フルアステロン)である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、構造式:
【化15】
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその誘導体が、構造式:
【化16】
を有し、式中、Xは、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の合成経路内の前記代謝産物が、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンを、前記個体に投与するステップをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記個体から生体試料を抽出するまたは抽出したステップと、
前記個体が、少なくとも1つの下記の代謝産物:エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニンまたはプレグネノロンサルフェートの欠損を有することを決定するまたは決定したステップと
をさらに含み、ここで、前記個体に投与される前記化合物が、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の代替ステロイド化合物、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の誘導体、または欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の合成経路内の代謝産物である、
請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
懐妊している個体の、早期正期産、自然早産または自然流産を処置する方法であって、
懐妊している個体が、早期正期産、自然早産または自然流産を経験していることを決定するまたは決定したステップと、
前記個体に、子宮収縮を緩和するための少なくとも1つの子宮収縮抑制化合物を投与するステップとを含み、ここで、前記少なくとも1つの化合物が、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物である、方法。
【請求項18】
下記の子宮収縮抑制化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つが、前記個体に投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エストリオール-16-グルクロニドの前記代替ステロイド化合物が、エストラジオール17β-D-グルクロニドである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)の前記代替ステロイド化合物が、5α-ジヒドロデオキシコルチコステロン(DHDOC)である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記代替ステロイド化合物が、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、ノルエタンドロロン、キンボロン、メタンジエノン、メテノロン、プラステロンまたはスタノロンである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、17α-エチニル-3α-アンドロスタンジオール(アポプトン)、17α-エチニル-3β-アンドロスタンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール3β-シクロヘキサンプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルテストステロンまたは17α-エチニルジヒドロテストステロンである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、構造式:
【化17】
を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその誘導体が、構造式:
【化18】
を有し、式中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項17に記載の方法。
【請求項25】
アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の前記代謝産物が、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)またはアンドロステロンである、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記代替ステロイド化合物デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)が、7α-ヒドロキシ-DHEA、16α-ヒドロキシ-DHEA、17α-ヒドロキシプレグネノロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、キンボロン、オキシメトロン、メテノロン、メタンジエノン、スタノゾロールおよびスタノロンである、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、3β-デヒドロキシ-16α-フルオロ-DHEA(フルアステロン)である、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、構造式:
【化19】
を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその誘導体が、構造式:
【化20】
を有し、式中、Xは、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項17に記載の方法。
【請求項30】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の合成経路内の前記代謝産物が、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオールである、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンを、前記個体に投与するステップをさらに含む、請求項17から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記個体から生体試料を抽出するまたは抽出したステップと、
前記個体が、少なくとも1つの下記の代謝産物:エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の欠損を有することを決定するまたは決定したステップと
をさらに含み、ここで、前記個体に投与される前記化合物が、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の代替ステロイド化合物、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の誘導体、または欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の合成経路内の代謝産物である、請求項17から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
個体の、月経過多または月経困難症を処置する方法であって、
個体が、月経過多または月経困難症と診断されることを決定するまたは決定したステップと、
前記個体に、月経過多または月経困難症を緩和するための少なくとも1つの化合物を投与するステップとを含み、ここで、前記少なくとも1つの化合物が、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物である、方法。
【請求項34】
下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つが、前記個体に投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
エストリオール-16-グルクロニドの前記代替ステロイド化合物が、エストラジオール17β-D-グルクロニドである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)の前記代替ステロイド化合物が、5α-ジヒドロデオキシコルチコステロン(DHDOC)である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記代替ステロイド化合物が、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、ノルエタンドロロン、キンボロン、メタンジエノン、メテノロン、プラステロンまたはスタノロンである、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、17α-エチニル-3α-アンドロスタンジオール(アポプトン)、17α-エチニル-3β-アンドロスタンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール3β-シクロヘキサンプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルテストステロンまたは17α-エチニルジヒドロテストステロンである、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、構造式:
【化21】
を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその誘導体が、構造式:
【化22】
を有し、式中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項33に記載の方法。
【請求項41】
アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の前記代謝産物が、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)またはアンドロステロンである、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記代替ステロイド化合物デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)が、7α-ヒドロキシ-DHEA、16α-ヒドロキシ-DHEA、17α-ヒドロキシプレグネノロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、キンボロン、オキシメトロン、メテノロン、メタンジエノン、スタノゾロールおよびスタノロンである、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、3β-デヒドロキシ-16α-フルオロ-DHEA(フルアステロン)である、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、構造式:
【化23】
を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその誘導体が、構造式:
【化24】
を有し、式中、Xは、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項33に記載の方法。
【請求項46】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の合成経路内の前記代謝産物が、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオールである、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンを、前記個体に投与するステップをさらに含む、請求項33から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記個体から生体試料を抽出するまたは抽出したステップと、
前記個体が、少なくとも1つの下記の代謝産物:エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の欠損を有することを決定するまたは決定したステップと
をさらに含み、ここで、前記個体に投与される前記化合物が、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の代替ステロイド化合物、欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の誘導体、または欠損した前記少なくとも1つの代謝産物の合成経路内の代謝産物である、請求項33から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
妊娠を遷延させるために懐妊している個体を処置する方法であって、
個体が懐妊していることを決定するまたは決定したステップと、
前記個体が、新生児分娩に関連する子宮収縮を有する前に、前記個体に、妊娠を遷延させるための少なくとも1つの化合物を投与するステップとを含み、ここで、前記少なくとも1つの化合物が、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物である、方法。
【請求項50】
下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つが、前記個体に投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
エストリオール-16-グルクロニドの前記代替ステロイド化合物が、エストラジオール17β-D-グルクロニドである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)の前記代替ステロイド化合物が、5α-ジヒドロデオキシコルチコステロン(DHDOC)である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記代替ステロイド化合物が、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、ノルエタンドロロン、キンボロン、メタンジエノン、メテノロン、プラステロンまたはスタノロンである、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、17α-エチニル-3α-アンドロスタンジオール(アポプトン)、17α-エチニル-3β-アンドロスタンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール3β-シクロヘキサンプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルテストステロンまたは17α-エチニルジヒドロテストステロンである、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、構造式:
【化25】
を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
前記アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその誘導体が、構造式:
【化26】
を有し、式中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項49に記載の方法。
【請求項57】
アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の前記代謝産物が、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)またはアンドロステロンである、請求項49に記載の方法。
【請求項58】
前記代替ステロイド化合物デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)が、7α-ヒドロキシ-DHEA、16α-ヒドロキシ-DHEA、17α-ヒドロキシプレグネノロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、キンボロン、オキシメトロン、メテノロン、メタンジエノン、スタノゾロールおよびスタノロンである、請求項49に記載の方法。
【請求項59】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、3β-デヒドロキシ-16α-フルオロ-DHEA(フルアステロン)である、請求項49に記載の方法。
【請求項60】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、構造式:
【化27】
を有する、請求項49に記載の方法。
【請求項61】
前記デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその誘導体が、構造式:
【化28】
を有し、式中、Xは、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項49に記載の方法。
【請求項62】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の合成経路内の前記代謝産物が、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオールである、請求項49に記載の方法。
【請求項63】
プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンを、前記個体に投与するステップをさらに含む、請求項49から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記個体が、概して健康であるか、または妊娠に関係する公知の医学的問題を有さない、請求項49から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
個体の子宮収縮の緩和における使用のための医薬であって、
エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物を含む、医薬。
【請求項66】
下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つを含む、請求項65に記載の医薬。
【請求項67】
エストリオール-16-グルクロニドの前記代替ステロイド化合物が、エストラジオール17β-D-グルクロニドである、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)の前記代替ステロイド化合物が、5α-ジヒドロデオキシコルチコステロン(DHDOC)である、請求項65に記載の医薬。
【請求項69】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記代替ステロイド化合物が、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、ノルエタンドロロン、キンボロン、メタンジエノン、メテノロン、プラステロンまたはスタノロンである、請求項65に記載の医薬。
【請求項70】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、17α-エチニル-3α-アンドロスタンジオール(アポプトン)、17α-エチニル-3β-アンドロスタンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール3β-シクロヘキサンプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルテストステロンまたは17α-エチニルジヒドロテストステロンである、請求項65に記載の医薬。
【請求項71】
アンドロスタン-3,17-ジオールの前記誘導体が、構造式:
【化29】
を有する、請求項65に記載の医薬。
【請求項72】
前記アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその誘導体が、構造式:
【化30】
を有し、式中、XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項65に記載の医薬。
【請求項73】
アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の前記代謝産物が、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)またはアンドロステロンである、請求項65に記載の医薬。
【請求項74】
前記代替ステロイド化合物デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)が、7α-ヒドロキシ-DHEA、16α-ヒドロキシ-DHEA、17α-ヒドロキシプレグネノロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、キンボロン、オキシメトロン、メテノロン、メタンジエノン、スタノゾロールおよびスタノロンである、請求項65に記載の医薬。
【請求項75】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、3β-デヒドロキシ-16α-フルオロ-DHEA(フルアステロン)である、請求項65に記載の医薬。
【請求項76】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の前記誘導体が、構造式:
【化31】
を有する、請求項65に記載の医薬。
【請求項77】
前記デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその誘導体が、構造式:
【化32】
を有し、式中、Xは、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-であり、
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールであり、
nは、2、3または4である、
請求項65に記載の医薬。
【請求項78】
デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の合成経路内の前記代謝産物が、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオールである、請求項65に記載の医薬。
【請求項79】
前記個体への、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンをさらに含む、請求項65から78のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項80】
再発早産、再発早期正期産または不育症を処置するためのものである、請求項65から78のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項81】
懐妊している個体において、早期正期産、自然早産または自然流産を処置するための子宮収縮抑制薬である、請求項65から78のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項82】
月経過多または月経困難症を処置するためのものである、請求項65から78のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項83】
懐妊している個体の妊娠を遷延させるためのものである、請求項65から78のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項84】
前記懐妊している個体が、概して健康であるか、または妊娠に関係する公知の医学的問題を有さない、請求項83に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年9月23日に出願され、「Methods of Treatments for Gestational Complications」と題された米国仮出願第62/904,615号の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、概して、月経過多および月経困難症を含む月経合併症、ならびに自然早期陣痛(spontaneous preterm labor)、自然流産(spontaneous abortion)、早期正期産(early term birth)、再発早産、再発早期正期産および不育症(recurrent pregnancy loss)を含む妊娠合併症のための、評価および処置の方法に向けられる。
【背景技術】
【0003】
背景
種々の月経合併症は、月経過多および月経困難症を含む。これらの障害のそれぞれは、子宮壁の内層(すなわち、子宮内膜)および子宮収縮に関係する。月経過多は、月経に関係する重篤かつ/または長期間の出血であり、ホルモンの不均衡、子宮筋腫、避妊具および薬剤、卵巣機能不全、ポリープ、ならびに生活変容(例えば、誘発ストレス)に関係する他の状態を含む種々の原因から生じ得る。月経困難症は、月経に関係する拍動性のまたは筋けいれんの疼痛であり、ホルモン不均衡、子宮筋腫または子宮内膜症により生じ得る。
【0004】
種々の妊娠合併症は、自然早期陣痛、自然流産、早期正期産、再発早産、再発早期正期産および不育症を含む。これらの障害のそれぞれは、懐妊中の時期尚早な子宮収縮に関係する。自然早期陣痛は、妊娠20週後かつ37週前の頸部の開口であり、健康を著しく妨げ得る早産をもたらし得、新生児および/または母親の死亡をもたらす場合がある。自然流産(流産(miscarriage)とも称される)は、妊娠20週前の自然流産である。早期正期産は、妊娠37週後かつ39週前の頸部の開口であり、妊娠39週よりも長い満期出産よりもあまり望ましくない出産をもたらし得る。再発早産は、女性が妊娠37週の前に陣痛が始まる2回またはそれよりも多い懐妊を経験する状態である。再発早期正期産は、女性が妊娠39週の前に陣痛が始まる2回またはそれよりも多い懐妊を経験する状態である。不育症は、女性が2回またはそれよりも多い自然流産を経験する状態である。
【0005】
プロゲステロンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロン、ならびにそれらの誘導体は、月経過多、月経困難症、自然早期陣痛、自然流産、再発早産、早期正期産および不育症に治療薬として利用される。残念なことに、プロゲステロンおよび誘導体は、これらの障害の多くにおいて中等度に有効であるのみである。プロゲステロンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロン誘導体には、プロゲスチンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートが含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
種々の実施形態は、月経合併症および妊娠合併症を評価するおよび処置するための方法に向けられる。種々の実施形態では、月経合併症を有する個体には、月経合併症を緩和するおよび/または軽減するために提供され得る代謝化合物または誘導体が投与される。種々の実施形態では、懐妊している個体には、妊娠を遷延させるために提供され得る代謝化合物または誘導体が投与される。種々の実施形態では、妊娠合併症を有する懐妊している個体には、妊娠合併症を緩和するおよび/または軽減するために提供され得る代謝化合物または誘導体が投与される。
【0007】
ある実施形態では、懐妊している個体は、再発早産、再発早期正期産または不育症について処置される。懐妊している個体は、再発早産、再発早期正期産または不育症と診断されたことが決定される。個体は、個体の妊娠中、モニタリングされる。個体には、早期正期産、早産または妊娠喪失(pregnancy loss)を緩和するための少なくとも1つの化合物が投与される。少なくとも1つの化合物は、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン(androstatne)-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはプレグネノロンサルフェートである。
【0008】
別の実施形態では、下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンまたはプレグネノロンサルフェートのうちの少なくとも2つが、個体に投与される。
【0009】
さらに別の実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンがさらに投与される。
【0010】
さらなる実施形態では、生体試料は、個体から抽出される。個体が、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニンまたはプレグネノロンサルフェートのうちの少なくとも1つの欠損を有することが決定される。個体に投与される化合物は、欠損した少なくとも1つの代謝産物、欠損した少なくとも1つの代謝産物の代替ステロイド化合物、欠損した少なくとも1つの代謝産物の誘導体、または欠損した少なくとも1つの代謝産物の合成経路内の代謝産物である。
【0011】
またさらに別の実施形態では、懐妊している個体は、早期正期産、自然早産または自然流産について処置される。懐妊している個体が、早期正期産、自然早産または自然流産を経験していることが決定される。個体には、子宮収縮を緩和するための少なくとも1つの子宮収縮抑制化合物が投与される。少なくとも1つの化合物は、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物である。
【0012】
またさらなる実施形態では、下記の子宮収縮抑制化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つが、個体に投与される。
【0013】
一層さらなる実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンが、個体にさらに投与される。
【0014】
また一層さらなる実施形態では、生体試料は、個体から抽出される。個体が、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)のうちの少なくとも1つの欠損を有することが決定される。個体に投与される化合物は、欠損した少なくとも1つの代謝産物、欠損した少なくとも1つの代謝産物の代替ステロイド化合物、欠損した少なくとも1つの代謝産物の誘導体、または欠損した少なくとも1つの代謝産物の合成経路内の代謝産物である。
【0015】
またさらに一層さらなる実施形態では、個体は、月経過多または月経困難症について処置される。個体が、月経過多または月経困難症と診断されることが決定される。個体には、月経過多または月経困難症を緩和するための少なくとも1つの化合物が投与される。少なくとも1つの化合物は、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物である。
【0016】
またさらに一層さらなる実施形態では、下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つが、個体に投与される。
【0017】
またさらに一層さらなる実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンが、個体にさらに投与される。
【0018】
またさらに一層さらなる実施形態では、生体試料は、個体から抽出される。個体が、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)のうちの少なくとも1つの欠損を有することが決定される。個体に投与される化合物は、欠損した少なくとも1つの代謝産物、欠損した少なくとも1つの代謝産物の代替ステロイド化合物、欠損した少なくとも1つの代謝産物の誘導体、または欠損した少なくとも1つの代謝産物の合成経路内の代謝産物である。
【0019】
またさらに一層さらなる実施形態では、懐妊している個体は、妊娠を遷延させるために処置される。個体は、懐妊していることが決定される。個体が、新生児分娩に関連する子宮収縮を有する前に、個体には、妊娠を遷延させるための少なくとも1つの化合物が投与される。少なくとも1つの化合物は、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物である。
【0020】
またさらに一層さらなる実施形態では、下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つが、個体に投与される。
【0021】
またさらに一層さらなる実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンが、個体にさらに投与される。
【0022】
またさらに一層さらなる実施形態では、個体は、概して健康であるか、または妊娠に関係する公知の医学的問題を有さない。
【0023】
またさらに一層さらなる実施形態では、医薬は、個体の子宮収縮の緩和における使用のためのものである。医薬は、エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物を含む。
【0024】
またさらに一層さらなる実施形態では、医薬は、下記の化合物:エストリオール-16-グルクロニドまたはその代替ステロイド化合物、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその代替ステロイド化合物、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物、あるいはデヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその代替ステロイド化合物またはその誘導体またはその合成経路内の代謝産物のうちの少なくとも2つを含む。
【0025】
またさらに一層さらなる実施形態では、エストリオール-16-グルクロニドの代替ステロイド化合物は、エストラジオール17β-D-グルクロニドである。
【0026】
またさらに一層さらなる実施形態では、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)の代替ステロイド化合物は、5α-ジヒドロデオキシコルチコステロン(DHDOC)である。
【0027】
またさらに一層さらなる実施形態では、アンドロスタン-3,17-ジオールの代替ステロイド化合物は、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、ノルエタンドロロン、キンボロン、メタンジエノン、メテノロン、プラステロンまたはスタノロンである。
【0028】
またさらに一層さらなる実施形態では、アンドロスタン-3,17-ジオールの誘導体は、17α-エチニル-3α-アンドロスタンジオール(アポプトン)、17α-エチニル-3β-アンドロスタンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール3β-シクロヘキサンプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルテストステロンまたは17α-エチニルジヒドロテストステロンである。
またさらに一層さらなる実施形態では、アンドロスタン-3,17-ジオールの誘導体は、構造式:
【化1-1】
【化1-2】
を有する。
またさらに一層さらなる実施形態では、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその誘導体は、構造式:
【化2】
[XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-である。
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールである。
nは、2、3または4である]
を有する。
【0029】
またさらに一層さらなる実施形態では、アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の代謝産物は、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)またはアンドロステロンである。
【0030】
またさらに一層さらなる実施形態では、代替ステロイド化合物デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)は、7α-ヒドロキシ-DHEA、16α-ヒドロキシ-DHEA、17α-ヒドロキシプレグネノロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、キンボロン、オキシメトロン、メテノロン、メタンジエノン、スタノゾロールおよびスタノロンである。
【0031】
またさらに一層さらなる実施形態では、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の誘導体は、3β-デヒドロキシ-16α-フルオロ-DHEA(フルアステロン)である。
またさらに一層さらなる実施形態では、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の誘導体は、構造式:
【化3】
を有する。
またさらに一層さらなる実施形態では、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその誘導体は、構造式:
【化4】
[Xは、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-である。
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールである。
nは、2、3または4である]
を有する。
【0032】
またさらに一層さらなる実施形態では、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)の合成経路内の代謝産物は、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオールである。
【0033】
またさらに一層さらなる実施形態では、医薬は、個体への、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートまたはプロゲスチンをさらに含む。
【0034】
またさらに一層さらなる実施形態では、医薬は、再発早産、再発早期正期産または不育症を処置するためのものである。
【0035】
またさらに一層さらなる実施形態では、医薬は、懐妊している個体において、早期正期産、自然早産または自然流産を処置するための子宮収縮抑制薬である。
【0036】
またさらに一層さらなる実施形態では、医薬は、月経過多または月経困難症を処置するためのものである。
【0037】
またさらに一層さらなる実施形態では、医薬は、懐妊している個体の妊娠を遷延させるためのものである。
【0038】
本明細書および特許請求の範囲は、本発明の例示的な実施形態として提示され、本発明の範囲の完全な列記として解釈されるべきではない、下記の図およびデータグラフを参照して、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、種々の実施形態に従って利用される、ヒト妊娠中の血液中における代謝産物のプロゲステロンとの相互相関ネットワークを提供する。
【0040】
【
図2】
図2は、種々の実施形態に従って利用される、ヒト妊娠を経て進行するステロイドホルモンおよびリン脂質およびDHEA-Sの相対濃度をプロットする図表を提供する。
【0041】
【
図3】
図3は、種々の実施形態に従って利用される、妊娠期間と相関している代謝産物の近さランキングの図表を提供する。
【0042】
【
図4A】
図4Aは、種々の実施形態に従って利用される、種々の化合物で処置されたヒト子宮平滑筋細胞を用いるコラーゲン収縮アッセイの画像を提供する。
【0043】
【
図4B】
図4Bは、種々の実施形態に従って利用される、種々の化合物で処置されたヒト子宮平滑筋細胞を用いるコラーゲン収縮アッセイのグラフでの結果を提供する。
【0044】
【
図5-1】
図5Aは、種々の実施形態に従って利用される、種々の化合物で処置されたマウス子宮筋組織を用いる筋運動描記アッセイのグラフでの結果を提供する。
【0045】
【
図5-2】
図5Bおよび5Cは、種々の実施形態に従って利用される、オキシトシンで刺激されアンドロスタン-3,17-ジオールで処置されたマウス子宮筋組織を用いる筋運動描記アッセイのグラフでの結果を提供する。
【0046】
【
図5-3】
図5Dは、種々の実施形態に従って利用される、オキシトシンで刺激されアンドロスタン-3,17-ジオールで処置されたマウス子宮筋組織収縮の代表的な筋運動描記法の読み取りを提供する。
【0047】
【
図5-4】
図5Eは、種々の実施形態に従って利用される、種々の化合物で処置されたマウス子宮筋組織収縮の代表的な筋運動描記法の読み取りを提供する。
【0048】
【
図5-5】
図5F~5Hは、種々の実施形態に従って利用される、オキシトシンで刺激されプロゲステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、プロゲステロン+アンドロスタン-3-17-ジオールで処置されたマウス子宮筋組織を用いる筋運動描記アッセイのグラフでの結果を提供する。
【
図5-6】
図5F~5Hは、種々の実施形態に従って利用される、オキシトシンで刺激されプロゲステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、プロゲステロン+アンドロスタン-3-17-ジオールで処置されたマウス子宮筋組織を用いる筋運動描記アッセイのグラフでの結果を提供する。
【0049】
【
図6A】
図6Aは、種々の実施形態に従って利用される、種々の化合物で中等度の早期分娩のマウスモデルを処置する実験設計の概略図を提供する。
【0050】
【
図6B】
図6Bは、種々の実施形態に従って利用される、種々の化合物で中等度の早期分娩のマウスモデルを処置するグラフでの結果を提供する。
【0051】
【
図7】
図7は、種々の実施形態に従って利用される、アンドロスタン-3,17-ジオールで重度の早期分娩のマウスモデルを処置する実験設計の概略図を提供する。
【0052】
【
図8A】
図8Aは、種々の実施形態に従って利用される、子宮収縮抑制薬アンドロスタン-3,17-ジオールで重度の早期分娩のマウスモデルを処置する実験設計の概略図を提供する。
【0053】
【
図8B】
図8Bは、種々の実施形態に従って利用される、子宮収縮抑制薬アンドロスタン-3,17-ジオールで健康なマウスまたは重度の早期分娩のマウスモデルを処置するグラフでの結果を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
ここで図面およびデータを見ると、種々の実施形態に従って、月経合併症、妊娠合併症を有する個体を処置するためまたは妊娠を遷延させるための方法が記述されている。一部の実施形態では、個体には、子宮収縮を調節する化合物が投与される。一部の実施形態では、(例えば)筋けいれん、月経困難症および月経過多等の月経合併症を有する個体には、月経合併症を処置するための、本明細書で記述される化合物が投与される。一部の実施形態では、(例えば)自然早期陣痛、自然流産、再発早産、早期正期産または不育症等の妊娠合併症を有する個体には、妊娠合併症を処置するための、本明細書で記述される化合物が投与される。一部の実施形態では、妊娠ホルモンレベルが測定され、不均衡な場合、化合物の処置が施される。
【0055】
プロゲステロンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロンならびにそれらの誘導体は、筋けいれん、月経困難症、自然早期陣痛、自然流産、再発早産、早期正期産および不育症を含む(がこれらに限定されない)月経および妊娠合併症のための種々の処置において利用されてきた。本明細書で記述される種々の代謝産物およびホルモンは、プロゲステロンと同様にまたはそれよりも良好に妊娠の進行を調節することに関与することが今では理解されている。さらに、種々の化合物が、子宮収縮、分娩までの時間および/または妊娠の進行を、多くの場合、現在の標準であるプロゲステロン処置よりも良好に調節するために利用され得ることを示すデータが生成されてきた。したがって、種々の化合物が、月経および/または妊娠合併症を処置するために、プロゲステロンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロンならびにそれらの誘導体の代わりにまたはそれらに加えて利用され得る。
【0056】
化合物
いくつかの実施形態は、月経合併症、妊娠合併症を有する個体を処置するためまたは妊娠を遷延させるための化合物および治療薬としてのそれらの使用に向けられる。子宮細胞の収縮を低減させ、したがって時期尚早なおよび/または異常な子宮収縮から生じる合併症を緩和するために利用され得る、いくつかの化合物が同定されてきた。一部の実施形態では、化合物は、代謝産物である。一部の実施形態では、化合物は、ステロイドホルモンである。一部の実施形態では、化合物は、代謝産物またはステロイドホルモンの誘導体である。
【0057】
いくつかの実施形態では、投与される化合物は、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、プレグネノロンサルフェート、それらの誘導体、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロンまたはそれらの誘導体も投与される。プロゲステロンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロン誘導体は、プロゲスチンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエートを含む(がこれらに限定されない)。
【0058】
一部の実施形態では、投与される化合物は、アンドロスタン-3,17-ジオールまたはその誘導体である。アンドロスタン-3,17-ジオール構造式は、次の通りである:
【化5】
【0059】
種々の実施形態は、アンドロスタン-3α,17α-ジオール、アンドロスタン-3α,17β-ジオール、アンドロスタン-3β,17α-ジオール、アンドロスタン-3β,17β-ジオールおよびそれらの組合せを含む(がこれらに限定されない)、アンドロスタン-3,17-ジオールの種々の立体異性体を利用する。
【0060】
アンドロスタン-3,17-ジオールの誘導体は、17α-エチニル-3α-アンドロスタンジオール(アポプトン)、17α-エチニル-3β-アンドロスタンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール、17α-エチニル-5-アンドロステンジオール3β-シクロヘキサンプロピオネート、17α-エチニルエストラジオール、17α-エチニルテストステロンおよび17α-エチニルジヒドロテストステロンを含む(がこれらに限定されない)。アンドロスタン-3,17-ジオールの誘導体は、下記の構造式:
【化6】
をさらに含む(がこれらに限定されない)。
【0061】
一部の実施形態では、利用されるアンドロスタン-3,17-ジオールおよび/または誘導体は、下記の構造式:
【化7】
[XおよびYは、それぞれ独立して、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-である。
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールである。
nは、2、3または4である]
を含む。
【0062】
一部の実施形態では、利用される化合物は、アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の代謝産物である。アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の代謝産物は、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)およびアンドロステロンを含む(がこれらに限定されない)。一部の実施形態では、アンドロスタン-3,17-ジオールの合成経路内の代謝産物は、プロドラッグとして利用される。
【0063】
一部の実施形態では、投与される化合物は、アンドロスタン-3,17-ジオールの代替ステロイド化合物である。アンドロスタン-3,17-ジオールについての代替ステロイド化合物は、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタノゾロール、ノルエタンドロロン、キンボロン、メタンジエノン、メテノロン、プラステロン、スタノロンを含む(がこれらに限定されない)。
【0064】
一部の実施形態では、送達される化合物は、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)またはその誘導体である。DHEA-S構造式は、次の通りである:
【化8】
【0065】
種々の実施形態は、(3α,21α)、(3α,21β)、(3β,21α)、(3β,21β)およびそれらの組合せを含む(がこれらに限定されない)DHEA-Sの種々の立体異性体を利用する。
【0066】
DHEA-Sの誘導体は、3β-デヒドロキシ-16α-フルオロ-DHEA(フルアステロン)を含む(がこれらに限定されない)。DHEA-Sの誘導体は、下記の構造式:
【化9】
をさらに含む(がこれらに限定されない)。
【0067】
一部の実施形態では、利用されるDHEA-Sおよび/または誘導体は、下記の構造式:
【化10】
[Xは、O、NR、NOR、NNR
1R
2、OR
4α/R
3α、OR
4β/R
3β、-O(CH
2)
nO-または-O(CHR)
nO-である。
R、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはヘテロアリールである。
nは、2、3または4である]
を含む。
【0068】
一部の実施形態では、利用される化合物は、DHEA-Sの合成経路内の代謝産物である。DHEA-Sの合成経路内の代謝産物は、4-アンドロステン-3-17-ジオン(アンドロステンジオン;4A)、テストステロン、5α-ジヒドロテストステロン(5α-DHT)、5β-ジヒドロテストステロン(5β-DHT)、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、アンドロステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオールを含む(がこれらに限定されない)。一部の実施形態では、DHEA-Sの合成経路内の代謝産物は、プロドラッグとして利用される。
【0069】
一部の実施形態では、投与される化合物は、DHEA-Sの代替ステロイド化合物である。DHEA-Sについての代替ステロイド化合物は、7α-ヒドロキシ-DHEA、16α-ヒドロキシ-DHEA、17α-ヒドロキシプレグネノロン、ノルエタンドロロン、オキサンドロロン、キンボロン、オキシメトロン、メテノロン、メタンジエノン、スタノゾロールおよびスタノロンを含む(がこれらに限定されない)。
【0070】
一部の実施形態では、投与される化合物は、エストリオール-16-グルクロニドまたはその誘導体である。一部の実施形態では、投与される化合物は、エストリオール-16-グルクロニドの代替ステロイド化合物である。エストリオール-16-グルクロニド(glucoronide)構造式は、次の通りである:
【化11】
【0071】
種々の実施形態は、エストリオール-16α-(β-D-グルクロニド)およびエストリオール-16-β-(α-D-グルクロニド)ならびにそれらの組合せを含む(がこれらに限定されない)エストリオール-16-グルクロニドの種々の立体異性体を利用する。エストリオール-16-グルクロニドについての代替ステロイド化合物は、エストリオールおよびエストラジオール17β-D-グルクロニドを含む(がこれらに限定されない)。
【0072】
一部の実施形態では、投与される化合物は、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)またはその誘導体である。THDOC構造式は、次の通りである:
【化12】
【0073】
種々の実施形態は、(3α,21α)、(3α,21β)、(3β,21α)、(3β,21β)およびそれらの組合せを含む(がこれらに限定されない)THDOCの種々の立体異性体を利用する。一部の実施形態では、投与される化合物は、THDOCの代替ステロイド化合物である。THDOCについての代替ステロイド化合物は、5α-ジヒドロデオキシコルチコステロン(DHDOC)を含む(がこれらに限定されない)。
【0074】
薬学的製剤
1つまたは複数の薬学的に許容されるその担体および必要に応じて1つまたは複数の他の活性成分と一緒に、月経合併症、妊娠合併症の処置においておよび/または妊娠を遷延させるのに使用するための、医薬品の種々の実施形態が、本明細書で提供される。適正な製剤は、選ばれる投与ルートに依存する。周知の技術、担体および賦形剤のいずれかが、好適なものとしてかつ当該技術分野で理解されている通りに使用され得る。医薬組成物は、遅延、延長、長期、持続、パルス、制御、加速および高速、標的化、プログラム放出、ならびに胃滞留剤形を含む、修飾放出剤形として処方され得る。これらの剤形は、本明細書で記述される通りの種々の方法の実施形態を利用して調製され得る。
【0075】
用語「活性成分」は、単独でまたは1つもしくは複数の薬学的に許容される賦形剤もしくは担体と組み合わせて、障害の1つまたは複数の症状を処置する、予防するまたは改善させるために、被験体に投与される化合物を指す。種々の実施形態では、活性成分は、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、プレグネノロンサルフェート、プロゲステロンおよび17-α-ヒドロキシプロゲステロン、ならびにそれらの誘導体を含む。
【0076】
本明細書で開示される化合物は、治療的に許容される塩として存在することができる。用語「治療的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、本明細書で定義される通りに治療的に許容される本明細書で開示される化合物の塩または両性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終単離および精製中に、または別個に適切な化合物を好適な酸もしくは塩基と反応させることによって、調製され得る。治療的に許容される塩は、酸および塩基性付加塩を含む。塩の調製および選択のより完全な議論については、"Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, and Use," Stah and Wermuth, Ed., (Wiley-VCH and VHCA, Zurich, 2002) and Berge et al, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照されたい。
【0077】
多数のコーティング剤が本発明の種々の実施形態に従って使用され得る。一部の実施形態では、コーティング剤は、腸溶コーティングのためのポリマーを含む従来の遅延放出経口製剤におけるコーティング剤として作用するものである。例は、フタル酸ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;HPMCP);ヒドロキシプロピルセルロース(HPC;KLUCEL(登録商標)等);エチルセルロース(ETHOCEL(登録商標)等);ならびにメタクリル酸およびメタクリル酸メチル(MAA/MMA;EUDRAGIT(登録商標)等)を含む。
【0078】
製剤の種々の実施形態は、少なくとも1つの崩壊剤も含む。一部の実施形態では、崩壊剤は、超崩壊剤(super disintegrant agent)である。多くの実施形態では、崩壊薬は、樹脂と組み合わされる。追加の崩壊剤は、寒天、炭酸カルシウム、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない。好適な超崩壊剤は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、アンバーライト(Rohm and Haas、Philadelphia、Pa.)およびデンプングリコール酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない。
【0079】
製剤のいくつかの実施形態は、他の成分および賦形剤をさらに利用する。例えば、剤形をより口当たりのよいものにするための、甘味剤、香味料、緩衝化剤および香味増強剤。甘味剤は、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムKおよびネオテームを含むがこれらに限定されない。本発明の製剤に含まれ得る一般的な矯味矯味剤および香味増強剤は、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトールおよび酒石酸を含むがこれらに限定されない。
【0080】
製剤の複数の実施形態は、界面活性剤も含む。ある特定の実施形態では、界面活性剤は、ツイーン80、ラウリル硫酸ナトリウムおよびドクサートナトリウムからなる群より選択される。
【0081】
製剤の種々の実施形態は、滑沢剤も含む。ある特定の実施形態では、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、水素化植物油、鉱油、魚油、ヒマシ油、ゴマ油、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール4000~6000、タルクおよびベヘン酸グリセリルからなるがこれらに限定されない群より選択される。
【0082】
複数の実施形態に従う投与モードは、経口、静脈内、皮下、筋肉内、子宮内、腹腔内または経粘膜(例えば、舌下、鼻、膣または直腸)を含むがこれらに限定されない。必要とされる薬物の実際の量は、罹患個体のサイズ、年齢および疾患の重症度等の要因によって決まることになる。必要とされる薬物の実際の量は、種々の活性成分の有効濃度範囲によっても決まることになる。種々の実施形態に従う投与のビヒクルは、適宜、軟膏剤、液剤、ゲル剤、クリーム剤、坐剤、インプラント、錠剤またはカプセル剤を含む。
【0083】
一部の実施形態では、活性成分は、処置過程の一部として治療有効量で投与される。この文脈で使用される場合、「処置する」ことは、処置される障害の少なくとも1つの症状を改善させることまたは有益な生理学的効果を提供することを意味する。例えば、症状の1つのそのような改善は、自然早期陣痛、自然流産、再発早産、早期正期産または不育症のリスクの低減であり得る。
【0084】
治療有効量は、そのような処置の影響を受けやすい妊娠合併症の症状を、予防する、低減させる、改善させるまたは排除するために十分な量であることができる。
【0085】
化合物の投薬量、毒性および治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、例えば、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって、決定され得る。毒性および治療効果の間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50として表現され得る。高い治療指数を呈する化合物が好ましい。毒性副作用を呈する化合物が使用され得るが、他の組織および臓器への潜在的な損傷を最小化し、それにより、副作用を低減させるために、そのような化合物を患部組織の部位へ標的化する送達システムを設計するように配慮がなされるべきである。
【0086】
細胞培養アッセイまたは動物研究から取得されたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量の範囲を処方するのに使用され得る。医薬品が全身に提供される場合、そのような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全く持たないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる剤形および利用される投与ルートに応じて、この範囲内で変動し得る。本発明の方法において使用される任意の化合物について、治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定され得る。用量は、動物モデルにおいて、循環血漿濃度を実現するように、または細胞培養物もしくは動物モデルで決定される通りのED50を含む範囲内で処置される局所環境内で処方され得る。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中レベルは、例えば、質量分析によって測定され得る。
【0087】
「有効量」は、有益なまたは所望の結果を達成するために十分な量である。例えば、治療量は、所望の治療効果を実現するものである。この量は、疾患または疾患症状の開始を予防するために必要な量である、予防的に有効な量と同じであっても異なっていてもよい。有効量は、1つまたは複数の投与、適用または投薬量で投与され得る。組成物の治療有効量は、選択される組成物に依存する。組成物は、有益であると決定された通り、1日おきに1回を含む1日当たり1または複数回から1週間当たり1または複数回までで投与され得る。当業者ならば、ある特定の要因が、疾患もしくは障害の重症度、過去の処置、被験体の全身の健康状態および/または年齢ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されない、被験体を有効に処置するために要される投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得ることが分かるであろう。その上、治療有効量の本明細書で記述される組成物による被験体の処置は、単一の処置または一連の処置を含むことができる。例えば、所望の治療結果を実現するために、数回の分割用量が、毎日、1用量で、または化合物の周期的投与で投与され得る。
【0088】
保存剤、ならびに抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスのような他の添加物も存在することができる。1つの一般的な保存剤は、ベンジルアルコールである。(概して、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, PA, 2005.を参照されたい。)
【0089】
処置の方法
いくつかの実施形態は、月経合併症、妊娠合併症のため、または懐妊を遷延させるための、代謝化合物またはその誘導体による個体の処置に向けられる。一部の実施形態では、代謝化合物またはその誘導体は、月経過多または月経困難症を有する個体に投与される。一部の実施形態では、代謝化合物またはその誘導体は、自然早期陣痛、早期正期陣痛(early term labor)または自然流産を経験している個体に投与される。一部の実施形態では、代謝化合物またはその誘導体は、再発早産または不育症の病歴を有する個体に投与される。一部の実施形態では、代謝化合物またはその誘導体は、妊娠の進行に関係する代謝化合物の欠損を有する個体に投与される。一部の実施形態では、代謝化合物またはその誘導体は、個体の妊娠を遷延させるために、個体に投与される。
【0090】
月経過多は、月経に関係する重篤(having)かつ/または長期間の出血である。月経困難症は、月経に関係する拍動性または筋けいれんの疼痛である。これらの状態のそれぞれは、月経周期の間の子宮壁の収縮に関係する。さらに、新たに獲得したデータは、種々の代謝化合物が子宮壁の収縮を予防することに関与し、故に、月経過多および/または月経困難症を緩和するための処置の一部として利用され得ることを実証している。したがって、一部の実施形態では、個体が月経過多および/または月経困難症を有すると決定されると、個体には、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、プレグネノロンサルフェート、それらの誘導体、またはそれらの組合せが投与される。一部の実施形態では、個体には、エストリオール-16-グルクロニド、THDOC、アンドロスタン-3,17-ジオール、DHEA-S、それらの誘導体、またはそれらの組合せの代替ステロイド化合物が投与される。一部の実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、またはそれらの誘導体が追加で投与される。
【0091】
本明細書で記述される化合物の投与は、合併症の標準治療と組み合わされ得る。個体が月経過多を有する場合、一部の実施形態では、個体には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、経口避妊薬、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、プロゲスチン(経口ピル、経皮パッチまたはホルモン放出子宮内デバイスを介して)、またはそれらの組合せと組み合わせた化合物が追加で投与される。個体が月経困難症を有する場合、一部の実施形態では、個体には、手術、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、経口避妊薬、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、プロゲスチン(経口ピル、経皮パッチまたはホルモン放出子宮内デバイスを介して)またはそれらの組合せと組み合わせた化合物が追加で投与される。
【0092】
自然早期陣痛は、妊娠20週後かつ37週前の頸部の開口である。早期正期産は、37週0日目から38週6日目の間の頸部の開口である。自然流産は、妊娠20週前の自然流産である。これらの状態のそれぞれは、満期に到達する前の妊娠の進行の間に時期尚早に起こる子宮壁の収縮に関係する。さらに、新たに獲得したデータは、種々の代謝化合物が適正な妊娠時間経過を維持することおよび子宮壁の収縮を予防することに関与し、故に、自然早期および早期正期陣痛ならびに/または自然流産を緩和するための処置の一部として利用され得ることを実証している。したがって、一部の実施形態では、個体が自然早期陣痛または早期正期陣痛または自然流産を経験していると決定されると、個体には、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、プレグネノロンサルフェート、それらの誘導体、またはそれらの組合せが投与される。一部の実施形態では、個体には、エストリオール-16-グルクロニド、THDOC、アンドロスタン-3,17-ジオール、DHEA-S、それらの誘導体、またはそれらの組合せの代替ステロイド化合物が投与される。一部の実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、またはそれらの誘導体が追加で投与される。
【0093】
本明細書で記述される化合物の投与は、合併症の標準治療と組み合わされ得る。個体が自然早期陣痛を経験している場合、一部の実施形態では、個体には、ベタメタゾン、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、抗生物質、硫酸マグネシウム、またはそれらの組合せが追加で投与される。個体が自然早期陣痛を経験している場合、一部の実施形態では、個体には、少なくとも1つの他の子宮収縮抑制薬が追加で投与される。子宮収縮抑制薬は、インドメタシン、オルシプレナリン、リトドリン、テルブタリン、サルブタモール、ニフェジピン、フェノテロール、ナイリドリンまたはイソクスプリンを含む(がこれらに限定されない)。
【0094】
再発早産は、女性が妊娠37週の前に陣痛が始まる2回またはそれよりも多い懐妊を経験する状態である。不育症は、女性が2回またはそれよりも多い自然流産を経験する状態である。これらの状態のそれぞれは、妊娠の進行の間に時期尚早に起こる子宮壁の収縮を繰り返し経験することに関係する。さらに、新たに獲得したデータは、種々の代謝化合物が適正な妊娠時間経過を維持することおよび子宮壁の収縮を予防することに関与し、故に、自然早期陣痛および/または自然流産を緩和するための処置の一部として利用され得ることを実証している。したがって、一部の実施形態では、個体が再発早産または不育症と診断されると、個体には、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、プレグネノロンサルフェート、それらの誘導体、またはそれらの組合せが投与される。一部の実施形態では、個体には、エストリオール-16-グルクロニド、THDOC、アンドロスタン-3,17-ジオール、DHEA-S、それらの誘導体、またはそれらの組合せの代替ステロイド化合物が投与される。一部の実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、またはそれらの誘導体が追加で投与される。一部の実施形態では、早期陣痛または早期流産の可能性に備えるために、受胎前または受胎後早期に処置計画が作成される。
【0095】
本明細書で記述される化合物の投与は、合併症の標準治療と組み合わされ得る。個体が再発早産と診断されると、一部の実施形態では、個体には、ベタメタゾン、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、抗生物質、硫酸マグネシウム、またはそれらの組合せが追加で投与される。個体が不育症と診断されると、一部の実施形態では、個体には、少なくとも1つの他の子宮収縮抑制薬が追加で投与される。子宮収縮抑制薬は、インドメタシン、オルシプレナリン、リトドリン、テルブタリン、サルブタモール、ニフェジピン、フェノテロール、ナイリドリンまたはイソクスプリンを含む(がこれらに限定されない)。個体が不育症を経験している場合、一部の実施形態では、個体には、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、ヒト閉経期ゴナドトロピン、それらの誘導体、またはそれらの組合せと組み合わせた化合物が追加で投与される。
【0096】
いくつかの実施形態は、妊娠中の代謝産物監視に向けられる。提供される実施例に示される通り、いくつかの代謝産物(とりわけステロイドホルモン)は、妊娠の進行と相関する。例えば、ステロイドホルモンであるエストリオール-16-グルクロニド、THDOC、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、プロゲステロン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェートおよびアンドロスタン-3,17-ジオールは、分娩に向けて妊娠が進行するにつれてそれぞれ着実に増大し、次いで、急落して、子宮収縮および陣痛を促進する(
図2を参照)。したがって、種々の代謝産物は、適切な妊娠のタイムラインを維持し、時期尚早な子宮収縮を予防するのを助ける。一部の実施形態では、代謝産物の濃度および/または均衡は、それらが必要な濃度および/または均衡であることを確実にするためにモニタリングされる。一部の実施形態では、個体の代謝産物が必要な濃度および/または均衡未満に低下した場合、個体には、不均衡を補正するための代謝産物が投与される。
【0097】
代謝産物をモニタリングするための例示的な方法が提供される:
・ 妊娠中に定期的に個体から代謝産物試料を集める
・ 代謝産物濃度を測定する
・ 代謝産物濃度が必要な量未満であるかまたは不均衡である場合、個体に代謝産物を投与する
【0098】
一部の実施形態では、生体試料(例えば、血液、血漿、膣スワブ、尿、唾液または他の適切な試料)は、下記の代謝産物:エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、プレグネノロンサルフェート、プロゲステロンまたは17-α-ヒドロキシプロゲステロンの1つまたは複数の濃度を決定するために、個体から抽出される。一部の実施形態では、モニタリング方法の一部として、特定の代謝産物の欠損がある個体には、その代謝産物が投与され得る。一部の実施形態では、欠損しており投与される代謝産物は、エストリオール-16-グルクロニド、テトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)、アンドロステロンサルフェート、PE(P-16:0e/0:0)(LysoPE(P-16:0/0:0)、1-(1Z-ヘキサデセニル)-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、エストロン3-サルフェート、N-アセチル-D-グルコサミン、3-アセトキシピリジン、5-プレグナン-3,7-ジオール-20-オン-3-サルフェート、アンドロステロン、アンドロスタン-3,17-ジオール、デヒドロイソアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)、PC(22:1/22:1)(レシチン)、LPC(20:5)、7-メチルグアニン、プレグネノロンサルフェート、プロゲステロン、17-α-ヒドロキシプロゲステロン、それらの誘導体、またはそれらの組合せである。
【0099】
モニタリングおよび再構成方法は、任意の懐妊している個体に対して実施され得る。一部の実施形態では、モニタリングされる個体は、自然早期陣痛および/または自然流産のリスクがある。一部の実施形態では、個体は、再発早産および/または不育症と診断された。一部の実施形態では、個体は、再発早産および/または不育症の家族歴を有する。一部の実施形態では、個体は、概して健康であるか、または妊娠に関係する公知の医学的問題を有さない。
【0100】
種々の実施形態では、個体には、化合物(例えば、エストリオール-16-グルクロニド、THDOC、アンドロスタン-3,17-ジオール、DHEA-S、それらの誘導体、またはそれらの組合せ)が、2から4週間の期間にわたって、4から6週間の期間にわたって、6から8週間の期間にわたって、8から10週間の期間にわたって、10から12週間の期間にわたって、12から14週間の期間にわたって、14から19週間の期間にわたって、20週間の期間にわたって、21週間の期間にわたって、22週間の期間にわたって、23週間の期間にわたって、25週間の期間にわたって、26週間の期間にわたって、27週間の期間にわたって、28週間の期間にわたって、29週間の期間にわたって、30週間の期間にわたって、35週間の期間にわたって、37週間の期間にわたって、38週間の期間にわたって、39週間の期間にわたって、40週間の期間にわたって、または50週間を超える期間にわたって投与される。
【0101】
種々の実施形態では、化合物(例えば、エストリオール-16-グルクロニド、THDOC、アンドロスタン-3,17-ジオール、DHEA-S、それらの誘導体、またはそれらの組合せ)の有効量は、0.5~1mg/日、1~5mg/日、5~10mg/日、10~15mg/日、15~20mg/日、20~25mg/日、25~30mg/日、30~35mg/日、35~40mg/日、40~45mg/日、45~50mg/日、50~55mg/日、55~60mg/日、60~65mg/日、65~70mg/日、70~75mg/日、75~80mg/日、80~85mg/日、85~90mg/日、90~95mg/日または95~100mg/日、100~200mg/日、200~300mg/日、300~400mg/日、400~500mg/日、500~600mg/日、600~700mg/日、700~800mg/日、800~900mg/日、900~1000mg/日、1000~1100mg/日、1100~1200mg/日、1200~1300mg/日、1300~1400mg/日、1400~1500mg/日、1500~1600mg/日、1600~1700mg/日、1700~1800mg/日、1800~1900mg/日、1900~2000mg/日、2000~2100mg/日、2100~2200mg/日、2200~2300mg/日、2300~2400mg/日、2400~2500mg/日、2500~2600mg/日、2600~2700mg/日、2700~2800mg/日、2800~2900mg/日、2900~3000mg/日、3000~3100mg/日、3100~3200mg/日、3200~3300mg/日、3300~3400mg/日、3400~3500mg/日、3500~3600mg/日、3600~3700mg/日、3700~3800mg/日、3800~3900mg/日、3900~4000mg/日、4000~4200mg/日、4200~4400mg/日、4400~4600mg/日、4600~4800mg/日または4800~5000mg/日である。
【0102】
例示的な実施形態
生物学的データは、月経および妊娠合併症を処置する方法を裏付ける。この後に続く項では、子宮収縮および妊娠の進行(すなわち、妊娠期間および/または分娩までの時間)に関係して実施される例示的な方法および例示的な実験が提供され、種々の化合物が月経または妊娠合併症を有する個体を処置するために利用され得ることを指し示している。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
種々の代謝産物のヒト懐妊との相関
1つの実験では、懐妊している女性のコホートは、分析および測定された毎週の血液抽出物からの代謝産物を有していた。測定された動力学に基づき、正則化された偏相関ネットワークが構築された(
図1)。正則化された偏相関ネットワークは、表面的な/名目上の相関だけでなく、同定された化合物間の重大な機構的関係を決定する。したがって、同定されたネットワークは、機能的意味を提供する。
【0104】
偏相関ネットワークの中央にある化合物は、妊娠の進行の強い予測も提供する(WO2020/061590を参照;L. Liang, et al., Cell. 2020;181(7):1680-1692.e15も参照;これらの開示は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、これらの中央の化合物は、妊娠のホルモン調節メカニズムのコア内であり、妊娠進行を制御している(プロゲステロンについて当てはまることが既に理解されている通り)。子宮収縮および月経はホルモン調節と関係があるため、これらの化合物の使用は、子宮収縮および/または月経の調節に関与することが予想され得る。
【0105】
加えて、これらの化合物は、血液中のプロゲステロンレベルとの強い相互相関を実証し、脂質等の幅広い生理学的機能を持つ他の代謝産物とも広く結び付いている(
図1および
図2)。加えて、これらの代謝産物の一部(ステロイド)は、プロゲステロンと構造的に関係している(が異なってもいる)。検出されたステロイドの多くはプロゲステロンまたはエストラジオールの前駆体または誘導体であり、故に、同様に定義される代謝経路内に存在することも認められた。これらの結果は、これらの化合物が妊娠進行の調節因子であることのさらなる証拠を提供する。
【0106】
これらの同定された化合物は、正則化された偏相関ネットワークにおいて高い近さランキングを有し、妊娠期間および低い変動との高い相関も示す(
図2および
図3)。これらの化合物の多くは、近さスコアにおけるそれらのより高いランクによって指し示される通り、プロゲステロンよりも重要な妊娠の進行の調節因子である可能性が高い(
図3)。加えて、これらの化合物の多くは、妊娠期間を予測することにおいてプロゲステロンよりも高い寄与を提供する(WO2020/061590を参照;上記で引用したL. Liang, et al., Cell. 2020も参照)。
【0107】
(実施例2)
ヒト子宮平滑筋細胞の収縮
種々のホルモンステロイドの、ヒト子宮平滑筋細胞収縮を阻害する能力を、コラーゲンゲル収縮アッセイを利用して評価した。48ウェルプレートのウェル当たりコラーゲン(150μl)をアリコートにした。1時間の重合後、80,000個のヒト子宮平滑筋細胞(SMC)を、ビヒクル(DMSO)または化合物(2.5μMのDHEA-S、10μMのTHDOC、10μMのエストリオール-16-グルクロニド、10μMのアンドロスタン-3,17-ジオール、または2mMのプロゲステロン)を含む300μlのSmBM平滑筋基本培地(Lonza)中、各ウェルに添加した。コラーゲンゲルを、子宮SMC収縮を刺激するためにオキシトシン(100nM)に、または対照としてPBSに曝露した。37℃および5%CO2で1時間にわたってインキュベートした後、コラーゲンゲルの側面を滅菌200μlピペットチップでウェルから剥離させた。18時間後、コラーゲンコーティングウェル中の細胞を4%パラホルムアルデヒド溶液で30分間にわたって固定し、次いですすぎ、PBS中で貯蔵した。実験は、各条件について2連で、複数回行った(n=7)。各ゲルサークルの表面積を、イメージJを使用して測定した。次いで、面積を、細胞なし(コラーゲン単独)対照(100%に設定)の面積と比べたパーセンテージとして表現した。
【0108】
代表的な画像結果を
図4Aに提供する。グラフでの結果を
図4Bに提供する。評価した化合物のそれぞれは、コラーゲン後退を緩和するある程度の能力を提供した。アンドロスタン-3,17-ジオール(10μMで)が最良の結果を提供し、200倍の濃度(2mMで;アンドロスタン-3,17-ジオールと同じ濃度ではプロゲステロンの効果なし)でのプロゲステロンよりもわずかに良好であった。これらの結果は、これらの化合物が、ヒト子宮細胞が収縮することを予防することを示唆する。
【0109】
(実施例3)
マウス子宮筋組織の収縮
子宮筋ストリップを懐妊しているマウスから抽出し、筋運動描記法を介して収縮性について評価した。妊娠したタイミングの野生型C57/B6マウスを安楽死させた後、垂直正中線部切開を行い、2つの子宮角のそれぞれを取り出した。子宮角をその後、3mm×7mmのセグメントに切断し、修飾クレブス緩衝液(118mMのNaCl、4.8MのKCl、1.2mMのMgSO4、1.2mMのKH2PO4、2.5mMのCaCl2、25mMのNaHCO3および11mMのグルコース、pH7.4)に入れた。修飾クレブス緩衝液を充填した器官浴(organ bath)内側の特注のステンレス鋼フック上に筋セグメントを垂直に吊るし、37℃で維持し、95%O2および5%CO2を含有するガスで曝気した。ストリップを、1.5gの張力で45分間にわたって平衡化させた。すべての子宮ストリップが、自然収縮パターンを実証した。
【0110】
オキシトシン用量応答実験のために、次いで、ストリップを1から1000nMまでの範囲の濃度のオキシトシンで刺激し、各用量に応答する収縮のパターンを9分間にわたって記録した。筋ストリップをクレブス溶液で2回洗浄し、次の刺激の前に3分間にわたって平衡化させた。別個の実験において、ストリップを化合物で処置した後、オキシトシンに対する用量応答を評価した。PowerLabおよびLabChart(ADInstruments)を使用して、収縮追跡を記録した。
【0111】
図5Aに提供するのは、自然収縮を測定する筋運動描記実験の結果である。D18の懐妊しているWTマウス由来の子宮筋ストリップの筋運動描記法を実施しながら、ストリップを、オキシトシン(OXY)、ビヒクル、0.25μMのDHEA-S、1μMのTHDOC、1μMのエストリオール-16-グルクロニド、または1μMのアンドロスタン-3,17-ジオールとともにインキュベートした。曲線下面積を、各9分間の収縮追跡の最後の180秒にわたりGraphPad Prism(マッキントッシュバージョン5.0用のGraphPad Prism;GraphPad Software)を使用して算出した。次いで、各応答についての曲線下面積を、ベースラインの曲線下面積に対して正規化した。化合物は、対照と比較して子宮収縮性の抑制を示し、アンドロスタン-3,17-ジオールが最も有意な阻害効果を示した。
【0112】
図5Bおよび
図5Cに提供するのは、オキシトシンによって誘発された自然収縮を測定する筋運動描記実験の結果である。D18の懐妊しているWTマウス由来の子宮筋ストリップの筋運動描記法を実施しながら、ストリップを、1μMのアンドロスタン-3,17-ジオール(黒色四角)またはビヒクル(黒色円)の存在下、漸増用量のオキシトシンとともにインキュベートした(n=4~7)。結果は、ビヒクルおよびアンドロスタン-3,17-ジオールを用いたベースライン自然収縮からの曲線下面積AUC(
図5B)および振幅(
図5C)における倍数増加として提供される。オキシトシンは、子宮収縮性における用量依存性増大を誘発し(AUCは増大したが振幅がわずかに減少した)、これはアンドロスタン-3,17-ジオールによって低減した。
図5Dは、ベースライン(左下;左上)、1μMのアンドロスタン-3,17-ジオール単独(下中央)、1000nMのオキシトシン刺激を加えた1μMのアンドロスタン-3,17-ジオール(右下)、ビヒクル単独(上中央)、または1000nMのオキシトシン刺激を加えたビヒクル(右上)への応答の代表的な筋運動描記追跡を提供する。
【0113】
図5Eに提供するのは、種々の化合物適用:10μMのプロゲステロン、1μMのアンドロスタン-3,17-ジオール、0.5μMのアンドロスタン-3,17-ジオール+5μMのプロゲステロン、および0.33μMのアンドロスタン-3,17-ジオール+0.33μMのTHDOC+3.3μMのプロゲステロンを用いて記録した筋運動描記追跡である。矢印の左はベースライン収縮であり、矢印の右に、化合物が適用された場合を指し示す。10μMのプロゲステロンで処置すると、筋収縮性は、最初は増強され、次いで、ピーク高さが次第に抑制されるように思われた(1μMのプロゲステロンで処置した場合には効果が見られなかった)。対照的に、1μMのアンドロスタン-3,17-ジオールは、筋収縮の迅速な阻害を提供した。興味深いことに、0.5μMのアンドロスタン-3,17-ジオールを5μMのプロゲステロンと組み合わせることは、筋収縮性に対するより強い阻害を有し、一方、0.33μMのアンドロスタン-3,17-ジオールを3.3μMのプロゲステロンおよび0.33μMのTHDOCと組み合わせることは、限界阻害効果を生んだだけである。筋肉を1μMのプロゲステロンで処置した場合には明白な効果がなかった(データは示されていない)ことに留意されたい。
【0114】
図5Fから
図5Hに提供するのは、オキシトシンによって誘発された自然収縮を測定する筋運動描記実験の結果である。D18の懐妊しているWTマウス由来の子宮筋ストリップの筋運動描記法を実施しながら、ストリップをビヒクルの存在下、漸増用量のオキシトシンとともにインキュベートし、10μMのプロゲステロン(
図5F)、1μMのアンドロスタン-3,17-ジオール(
図5G)、および0.5μMのアンドロスタン-3,17-ジオールの5μMのプロゲステロンとの組合せ(
図5H)と比較した(n=3)。プロゲステロンのないアンドロスタン-3,17-ジオールは、オキシトシン刺激による子宮筋収縮を阻害する。オキシトシンは、子宮収縮性における用量依存性増大を誘発した。アンドロスタン-3,17-ジオールおよびプロゲステロンの組合せは、オキシトシン刺激(C)を加えても収縮を強く遮断し、相乗効果を提供した。
【0115】
(実施例4)
早産のマウスモデルにおける化合物処置
図6Aおよび
図6Bに提供するのは、中等度の早産のマウスモデルにおける化合物処置の実験概略図および結果である。懐妊しているC57BL/6マウスに、2mg/kgのLPS(Escherichia coli 0127:B8、クロマトグラフ的に純粋、Sigma-Aldrich)またはPBS(対照として)をD15に腹腔内に投与した。次いで、マウスを、ビヒクル(100μl、薬学的ゴマ油中30%DMSO)、DHEA-S(最初の2回の用量0.8mg/マウス、その後の用量0.4mg/マウス、100μl)、THDOC(最初の2回の用量0.8mg/マウス、その後の用量0.4mg/マウス、100μl)、エストリオール-16-グルクロニド(最初の2回の用量0.8mg/マウス、その後の用量0.4mg/マウス、100μl)、アンドロスタン-3,17-ジオール(1.5mg/マウス、100μl)、アンドロスタン-3,17-ジオール+プロゲステロン(各0.75mg/マウス、100μl)、またはDHEA-S+アンドロスタン-3,17-ジオール+プロゲステロン(アンドロスタン-3,17-ジオールおよびプロゲステロン各0.75mg/マウス、DHEA-Sを最初の2回の用量については0.27mg/マウス、次いでその後の用量については0.13mg/マウス、100μl)のいずれかの腹腔内注射で処置した。化合物群には、LPS投与の8時間後に開始し最大4回用量、次いで、12時間後、分娩前に、腹腔内注射を介して8時間ごとに化合物を受けさせた。結果は、DHEA-S、THDOC、アンドロスタン-3,17-ジオール、組み合わせたアンドロスタン-3,17-ジオール+プロゲステロン、または組み合わせたDHEA-S+アンドロスタン-3,17-ジオール+プロゲステロンが、妊娠をin vivoで遷延させたことを示唆する。組み合わせたアンドロスタン-3,17-ジオール+プロゲステロンおよびアンドロスタン-3,17-ジオール単独が、最も有意な結果を提供した。満期の生きた仔は、DHEA-S、アンドロスタン-3,17-ジオール、または組み合わせたアンドロスタン-3,17-ジオール+プロゲステロンで処置した早期モデル雌から出産された。
【0116】
図7に提供するのは、重度の早産のマウスモデルにおける化合物処置の実験概略図である。別個の実験において、懐妊しているC57BL/6マウスに、3mg/kgのLPS(Escherichia coli 0127:B8、クロマトグラフ的に純粋、Sigma-Aldrich)またはPBS(対照として)をD15に腹腔内に投与した。次いで、処置マウスを、ビヒクル(200μl、薬学的ゴマ油中15%DMSO)またはアンドロスタン-3,17-ジオール(1.5mg/マウス、200μl)のいずれかの腹腔内注射で、12時間ごとに最大5回用量、分娩前に処置した。ビヒクルを受けたすべてのLPS処置雌マウス(n=2)がLPS処置後32時間以内に分娩し(すなわち、早期)、一方、アンドロスタン-3,17-ジオール処置を受けた1/3のマウスは、LPS後に満期に到達し、母および仔のいずれも健康そうに見えた。
【0117】
図8Aおよび
図8Bに提供するのは、重度の早産のマウスモデルにおける子宮収縮抑制化合物処置の実験概略図および結果である。別個の実験において、懐妊しているC57BL/6マウスに、3mg/kgのLPS(Escherichia coli 0127:B8、クロマトグラフ的に純粋、Sigma-Aldrich)またはPBS(対照として)をD15に腹腔内に投与した。次いで、処置マウスを、ビヒクルまたはアンドロスタン-3,17-ジオール(1.5mg/マウス)のいずれかの腹腔内注射で処置した。アンドロスタン-3,17-ジオール群には、C4を、腹腔内注射を介して、24時間ごとに最大3日間、分娩前に受けさせた。アンドロスタン-3,17-ジオールで処置したLPS誘発早期マウスの3分の1(33%)は、満期に到達した。興味深いことに、健康な対照マウス(すなわち、LPS投与なし)に対するアンドロスタン-3,17-ジオール処置は、妊娠期間を典型的な分娩日を超えて増大させた。これらの結果は、アンドロスタン-3,17-ジオールが、早期分娩を緩和し、妊娠期間を延長することを提供する。
【0118】
均等論
上記の記述は本発明の多くの具体的な実施形態を含有するが、これらは、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろその一実施形態の一例として、解釈されるべきである。したがって、本発明の範囲は、例証される実施形態によってではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって決定されるべきである。
【国際調査報告】