(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】遺伝子編集された免疫細胞及び治療方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20221110BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221110BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20221110BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20221110BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20221110BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20221110BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221110BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221110BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20221110BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20221110BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221110BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221110BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20221110BHJP
【FI】
C12N15/12
C12N5/10 ZNA
C12N15/86 Z
C12N15/13
C12N15/09 110
C07K14/47
C07K19/00
C07K16/28
C07K16/18
A61K35/12
A61P35/02
A61P35/00
C12N9/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518248
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020052295
(87)【国際公開番号】W WO2021061832
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】305023366
【氏名又は名称】リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミネソタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー, ビュー
(72)【発明者】
【氏名】モリアリティ, ブランデン
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B050DD02
4B050DD11
4B050LL01
4B050LL10
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA03
4B065CA23
4B065CA25
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB64
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、遺伝子編集された免疫細胞、遺伝子編集された免疫細胞を生成する方法、及び治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームが、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、接触させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、
(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームのそれぞれが、前記複数の哺乳動物細胞における哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、前記接触させることと;
(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;
(c)前記挿入配列を前記標的部位に挿入し、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、
(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームのそれぞれが、前記複数の哺乳動物細胞における哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列に相同な配列を含む、前記接触させることと;
(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;
(c)前記挿入配列を前記標的部位に挿入することであって、前記挿入は、(b)を含まない方法よりも少なくとも10%効率的である、前記挿入することと、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、前記方法。
【請求項3】
操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、
(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する少なくとも1000塩基対を含む挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームのそれぞれが、前記複数の哺乳動物細胞における哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、前記接触させることと;
(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;
(c)前記挿入配列を前記標的部位に挿入することであって、前記挿入は、前記複数の哺乳動物細胞を、前記標的部位に隣接する前記配列の少なくとも500個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む相同性アームに隣接する挿入配列を含む別のポリ核酸コンストラクトと接触させることを含む方法よりも、少なくとも10%効率的である、前記挿入することと、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、前記方法。
【請求項4】
操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、
(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームのそれぞれが、前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、前記接触させることと;
(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;
(c)前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノム中の前記標的部位に第1の二本鎖切断を生成し、前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノム中の第2の部位に第2の二本鎖切断を生成することと;
(d)前記挿入配列を前記標的部位に挿入し、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、前記方法。
【請求項5】
操作された哺乳動物細胞の前記集団を増殖させることをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の哺乳動物細胞をDNアーゼと接触させることをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における前記細胞の少なくとも55%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、または90%は、前記挿入配列によってコードされる前記導入遺伝子を発現する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記DNアーゼが、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される、請求項6~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記DNアーゼがDNアーゼIである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記DNアーゼが、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する、請求項6~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の哺乳動物細胞を外因性免疫刺激剤と接触させることをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項15~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における前記細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する、請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記外因性免疫刺激剤が、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、または短縮型CD19、である、請求項15~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記外因性免疫刺激剤が、前記複数の哺乳動物細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される、請求項15~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記免疫刺激剤の濃度が、約50IU/ml~約1000IU/mlである、請求項15~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
(a)の前記接触が、前記外因性免疫刺激剤との前記接触の30時間~36時間後に起こる、請求項15~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
(a)の前記接触が、前記外因性免疫刺激剤との前記接触の36時間後に起こる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の哺乳動物細胞を、DNA二本鎖切断修復を調節する外因性薬剤と接触させることをさらに含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項23または26に記載の方法。
【請求項28】
前記複数の細胞の前記前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における前記細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する、請求項23~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤が、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む、請求項23~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質が、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、ならびにScr7、からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記複数の哺乳動物細胞が、培養培地中でインビトロまたはエクスビボで培養され、前記培養培地が実質的に抗生物質を含まない、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記挿入配列が、プラスミド、ミニサークルベクター、線状化二本鎖DNAコンストラクト、またはウイルスベクターを使用して、前記複数の哺乳動物細胞に導入される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記導入遺伝子が、外因性受容体をコードする配列を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記外因性受容体が、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、B細胞受容体(BCR)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)受容体、サイトカイン受容体、またはケモカイン受容体である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記外因性受容体が、疾患関連抗原に対して特異性を有する免疫受容体である、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記外因性受容体が、がん抗原に特異的に結合する免疫受容体である、請求項34、35、または36に記載の方法。
【請求項38】
前記外因性受容体が、自己免疫抗原に特異的に結合する免疫受容体である、請求項34または35に記載の方法。
【請求項39】
前記外因性受容体がTCRである、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記外因性受容体がCARであり、前記CARが、配列番号91のポリペプチドと少なくとも60%の同一性を含む配列によってコードされる、請求項35~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリ核酸コンストラクトが、配列番号90の少なくとも一部と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記ポリ核酸コンストラクトが配列番号90を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記挿入配列が、プロモーター配列、エンハンサー配列、またはプロモーター配列とエンハンサー配列の両方を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノム中の前記標的部位を切断することをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記標的部位の前記切断が、エンドヌクレアーゼによる切断を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ポリ核酸コンストラクトの前記切断が、エンドヌクレアーゼによる切断を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記エンドヌクレアーゼがCRISPR関連エンドヌクレアーゼである、請求項44または46に記載の方法。
【請求項48】
前記エンドヌクレアーゼがCas9である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(a)が、前記複数の哺乳動物細胞に、第1のガイドRNA(gRNA)または前記第1のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む、請求項45~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
(a)が、前記複数の哺乳動物細胞に、第2のガイドRNA(gRNA)または前記第2のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のガイドRNAが前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムに少なくとも1つの二本鎖切断を生成する、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のガイドRNAが、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記ポリ核酸コンストラクトにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する、請求項49~51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のガイドRNAが、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムに少なくとも1つの二本鎖切断及び前記ポリ核酸コンストラクトに少なくとも1つの二本鎖切断を生成する、請求項49~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、セーフハーバー遺伝子座に導入される、請求項51~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、免疫調節遺伝子座に導入される、請求項51~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、免疫チェックポイント遺伝子座に導入される、請求項51~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、受容体をコードする遺伝子に導入される、請求項51~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、T細胞受容体成分をコードする遺伝子に導入される、請求項51~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、T細胞受容体アルファ定常部(TRAC)またはT細胞受容体ベータ遺伝子座(TCRB)遺伝子座に導入される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記TRACまたは前記TCRB遺伝子座によってコードされる前記内因性タンパク質の発現が破壊される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、前記TRAC遺伝子座に導入される、請求項59~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、前記TRAC遺伝子座のエクソン1に導入される、請求項59~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムにおける前記二本鎖切断が、前記エクソン1に導入され、配列番号80の少なくとも一部を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記哺乳動物細胞が初代細胞である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記哺乳動物細胞が免疫細胞である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記複数の哺乳動物細胞が、ヒトT細胞、NK細胞、NKT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記複数の哺乳動物細胞がヒトT細胞を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
(c)が、前記ポリ核酸コンストラクトにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
(b)が、前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムに2つの二本鎖切断を生成することを含み、前記挿入配列が、前記複数の哺乳動物細胞の前記ゲノムに挿入され、前記複数の哺乳類細胞の前記ゲノムにおける前記2つの二本鎖切断を架橋する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを前記哺乳動物細胞ゲノムから欠失させる、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記相同性アームのそれぞれが、3または4の倍数である複数のヌクレオチドを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記相同性アームのそれぞれが、5~100塩基対を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記相同性アームが、挿入のための配列に隣接する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記相同性アームの少なくとも1つが、ガイドRNAによって標的化される配列に隣接している、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
前記相同性アームが同一の配列を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記相同性アームが異なる配列を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
前記相同性アームが挿入のための配列に隣接する、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記相同性アームが、TRACまたはTCRB遺伝子座の配列に相同な配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記相同性アームが、長さ30~70、35~65、40~60、45~55、45~50、60~80、60~100、50~200、100~400、200~600、または500~1000塩基に相同な配列を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記相同性アームが、長さ48塩基に相同な配列を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記哺乳動物細胞ゲノム中の1つ以上の追加の遺伝子を破壊することをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
(a)において挿入するための配列を含む1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトを導入すること、(b)において前記哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に二本鎖切断を生成すること、(c)において前記1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトに二本鎖切断を生成すること、及び前記哺乳動物細胞ゲノムの前記追加の部位に挿入するための1つ以上の追加の配列を挿入することをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記第1のgRNA及び前記第2のガイドRNAが、配列番号79または配列番号82の少なくとも一部と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む配列を含む、請求項50~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
操作されたT細胞を作製する方法であって、
(a)ヒト対象からの初代T細胞を提供することと;
(b)エクスビボで、前記初代T細胞に、
(i)ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードするポリ核酸、であって、前記ヌクレアーゼはCRISPR関連ヌクレアーゼである、前記ヌクレアーゼまたは前記ヌクレアーゼをコードする前記ポリ核酸と;
(ii)第1のガイドRNAまたは前記第1のガイドRNAをコードするポリ核酸、であって、前記第1のガイドRNAは、前記初代T細胞のTRACまたはTCRB遺伝子座の配列を標的とする、前記第1のガイドRNAまたは前記第1のガイドRNAをコードする前記ポリ核酸と;
(iii)第2のガイドRNAまたは前記第2のガイドRNAをコードするポリ核酸と;
(iv)挿入のための配列を含むポリ核酸コンストラクトであって、挿入のための前記配列は、外因性T細胞受容体またはキメラ抗原受容体をコードする配列を含み、前記ポリ核酸コンストラクトは、挿入のための前記配列に隣接する第1の短い相同性アーム及び第2の短い相同性アームを含み、前記第1の短い相同性アーム及び前記第2の短い相同性アームは、前記初代T細胞の前記TRACまたは前記TCRB遺伝子座の配列に相同な配列を含み、前記第1の短い相同性アームは50塩基対未満であり、前記第2の短い相同性アームは50塩基対未満であり、前記第1の短い相同性アーム及び前記第2の短い相同性アームは、前記第2のガイドRNAによって標的とされる配列に隣接している、前記ポリ核酸コンストラクトと、を導入することと;
(c)前記初代T細胞の前記ゲノムの前記TRACまたは前記TCRB遺伝子座に二本鎖切断を生成することであって、前記TRACまたは前記TCRB遺伝子座の二本鎖切断が、前記CRISPR関連ヌクレアーゼ及び前記第1のガイドRNAによって生成され、前記二本鎖切断は、前記第1の短い相同性アームに相同な第1の配列と、前記第2の短い相同性アームに相同な第2の配列との間にある、前記二本鎖切断を前記生成することと、
(d)前記ポリ核酸コンストラクトに2つの二本鎖切断を生成し、それによって切断されたポリ核酸コンストラクトを生成することであって、前記切断されたポリ核酸コンストラクトは、第1の末端に前記第1の短い相同性アームを含み、第2の末端に前記第2の短い相同性アームを含み、前記2つの二本鎖切断は前記CRISPR関連ヌクレアーゼ及び前記第2のガイドRNAによって生成される、前記2つの二本鎖切断を前記生成し、それによって切断された前記ポリ核酸コンストラクトを前記生成することと;
(e)前記外因性T細胞受容体をコードする前記配列を、相同性媒介末端結合により、前記初代T細胞ゲノムの前記TRACまたは前記TCRB遺伝子座の前記二本鎖切断部位に挿入することと、を含む、前記方法。
【請求項87】
(b)の前記導入が、外因性免疫刺激剤との接触から30時間~36時間後に起こる、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
(b)の前記導入が、前記外因性免疫刺激剤との前記接触から36時間後に起こる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記外因性免疫刺激剤が、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、または短縮型CD19、である、請求項87~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
がんの治療を必要とする対象におけるがんを治療する方法であって、請求項1~89のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項91】
前記がんが、膀胱癌、上皮癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、食道癌、胃腸癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、骨髄腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、甲状腺癌、急性リンパ球性癌、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、肛門管、直腸癌、眼癌、頸部癌、胆嚢癌、胸膜癌、口腔癌、外陰癌、結腸癌、子宮頸癌、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、腹膜癌、腎癌、皮膚癌、小腸癌、軟組織癌、固形腫瘍、胃癌、精巣癌、または甲状腺癌、である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記がんが、胃腸癌、乳癌、リンパ腫、または前立腺癌である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
請求項1~88のいずれか1項に記載の操作された哺乳動物細胞の前記集団が、前記対象に対して同種異系または自家である、請求項90~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
哺乳動物細胞であって、
(a)相同性アームに隣接する外因性配列を含むポリ核酸コンストラクトであって、前記相同性アームのそれぞれが、前記哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含み、前記ポリ核酸は切断されており、切除された末端を含む、前記ポリ核酸コンストラクトと;
(b)前記哺乳動物細胞の前記ゲノム中の二本鎖切断であって、前記二本鎖切断によって露出された少なくとも一方の末端が切除される、前記二本鎖切断と、を含む、前記哺乳動物細胞。
【請求項95】
哺乳動物細胞であって、
(a)相同性アームに隣接する少なくとも1000塩基対の挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトであって、前記相同性アームは、前記哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、前記ポリ核酸コンストラクトと;
(b)前記哺乳動物細胞の前記ゲノム中の二本鎖切断であって、前記二本鎖切断によって露出された少なくとも一方の末端が切除される、前記二本鎖切断と、を含む、前記哺乳動物細胞。
【請求項96】
前記相同性アームが、長さ30~70、35~65、40~60、45~55、または45~50塩基に相同な配列を含む、請求項94または95に記載の哺乳動物細胞。
【請求項97】
前記相同性アームが、長さ48塩基に相同な配列を含む、請求項96に記載の哺乳動物細胞。
【請求項98】
前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項94~97のいずれか1項に記載の哺乳動物細胞。
【請求項99】
前記哺乳動物細胞が初代細胞である、請求項94~98のいずれか1項に記載の哺乳動物細胞。
【請求項100】
前記哺乳動物細胞が免疫細胞である、請求項94~99のいずれか1項に記載の哺乳動物細胞。
【請求項101】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である、請求項100に記載の哺乳動物細胞。
【請求項102】
前記免疫細胞がT細胞である、請求項101に記載の細胞。
【請求項103】
請求項1~89のいずれかに1項に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞。
【請求項104】
請求項1~89のいずれかに1項に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞の集団。
【請求項105】
請求項1~89のいずれか1項に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞を含む医薬組成物。
【請求項106】
請求項1~89のいずれかに1項に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞の集団を含む医薬組成物。
【請求項107】
BLASTによって決定される配列番号81または配列番号84の少なくとも一部と、少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む配列を含む操作されたポリヌクレオチド。
【請求項108】
BLASTによって決定される配列番号79または配列番号82の少なくとも一部と、少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む操作されたポリヌクレオチド。
【請求項109】
請求項107~108のいずれか1項に記載の操作されたポリヌクレオチドを含むリボ核タンパク質(RNP)。
【請求項110】
エンドヌクレアーゼをさらに含み、前記エンドヌクレアーゼがCRISPRエンドヌクレアーゼを含む、請求項109に記載のRNP。
【請求項111】
請求項107~108のいずれか1項に記載の操作されたポリヌクレオチドまたは請求項109~110に記載のRNPを含む細胞。
【請求項112】
請求項111に記載の細胞を含む細胞の集団。
【請求項113】
請求項107~108のいずれか1項に記載の操作されたポリヌクレオチド、及び/または請求項109~110のいずれか1項に記載のリボヌクレオタンパク質を容器に含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年9月23日出願の米国特許仮出願第62/904,299号及び2019年10月15日出願の62/915,436に対する優先権の利益を主張し、これらのそれぞれは、あらゆる目的のために参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2020年9月23日に作成の前記ASCIIコピーは、47533748601_SL.txtと称され、サイズは5,341,564バイトである。
【背景技術】
【0003】
遺伝子編集された免疫細胞は、がん、自己免疫障害、炎症性障害、及び感染症など、さまざまな疾患の潜在的な治療法として大きな期待が寄せられている。この可能性を実現するには、細胞の生存能力を維持しながら、免疫細胞ゲノムに所望の改変を効率的に導入するための技術が必要である。
参照による組み込み
【0004】
本出願で引用された各特許、刊行物、及び非特許文献は、それぞれが参照により個別に組み込まれたかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームのそれぞれが、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、接触させることと;(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;(c)前記挿入配列を前記標的部位に挿入し、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、方法である。
【0006】
いくつかの実施形態では、この方法は、遺伝子操作された哺乳動物細胞の前記集団を増殖させることをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞をDNアーゼと接触させることをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼはDNアーゼIである。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0013】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を外因性免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる前記導入遺伝子を発現する。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、または短縮型CD19、である。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、前記複数の哺乳動物細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤の濃度は、約50IU/ml~約1000IU/mlである。
【0020】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を、DNA二本鎖切断修復を調節する外因性薬剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記薬剤は、NACまたは抗IFNAR2抗体を含む。いくつかの実施形態では、前記薬剤は、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、ならびにScr7、からなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、培養培地においてインビトロまたはエクスビボで培養され、ここで、前記培養培地は、実質的に抗生物質を含まない。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プラスミド、ミニサークルベクター、線状化二本鎖DNAコンストラクト、またはウイルスベクターを使用して、前記複数の哺乳動物細胞に導入される。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、外因性受容体をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、B細胞受容体(BCR)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)受容体、サイトカイン受容体、またはケモカイン受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、疾患関連抗原に対して特異性を有する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、がん抗原に特異的に結合する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、自己免疫抗原に特異的に結合する免疫受容体である。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プロモーター配列、エンハンサー配列、またはプロモーター配列とエンハンサー配列の両方を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の前記標的部位を切断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記標的部位の前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトの前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、Cas9である。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第1のガイドRNA(gRNA)または前記第1のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第2のガイドRNA(gRNA)または前記第2のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、ポリ核酸コンストラクトにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。
【0027】
いくつかの態様では、第1のgRNA及び第2のガイドRNAは、配列番号79または配列番号82の少なくとも一部と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む配列を含む。場合によっては、第1のgRNAは内因性遺伝子(表1から選択したもの、免疫チェックポイント、及び/またはセーフハーバー遺伝子など)に結合することができ、第2のgRNAは異種配列または合成配列に結合することができる(本明細書で提供されるユニバーサルgRNAの標的指向性配列など)。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに少なくとも1つの二本鎖切断及び前記ポリ核酸コンストラクトに少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、セーフハーバー遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫調節遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫チェックポイント遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、受容体をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、T細胞受容体成分をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、TRACまたはTCRB遺伝子座に導入される。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記TRACまたはTCRB遺伝子座によってコードされる前記内因性タンパク質の発現は破壊される。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、免疫細胞である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞、NK細胞、NKT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球を含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、(c)は、前記ポリ核酸コンストラクトにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、(b)は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに2つの二本鎖切断を生成することを含み、前記挿入配列は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに挿入され、前記複数の哺乳類細胞のゲノムにおける前記2つの二本鎖切断を架橋する。
【0033】
いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを、哺乳動物細胞ゲノムから欠失させる。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、3または4の倍数である複数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大5~100塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大50塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、ガイドRNAによって標的化される配列に隣接している。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは異なっているかまたは同一である。場合によっては、相同性アームは異なっている。場合によっては、相同性アームは同一である。場合によっては、前記相同性アームの少なくとも1つは、ガイドRNAによって標的化される配列に隣接している。場合によっては、両方の相同性アームが、ガイドRNAによって標的化される配列に隣接している。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、相同性アームは、TRACまたはTCRB遺伝子座の配列に相同な配列を含む。
【0035】
場合によっては、相同性アームは、長さ30~70、35~65、40~60、45~55、45~50、60~80、60~100、50~200、100~400、200~600、または500~1000塩基に相同な配列を含むことができる。場合によっては、相同性アームは、長さ48塩基に相同な配列を含む。場合によっては、配列は、例えば表1の内因性遺伝子配列、免疫チェックポイント配列、及び/またはセーフハーバー配列である。
【0036】
いくつかの実施形態では、この方法は、哺乳動物細胞ゲノム中の1つ以上の追加の遺伝子を破壊することをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、この方法は、(a)に挿入するための配列を含む1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトを導入すること、(b)の哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に二本鎖切断を生成すること、(c)の1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトに二本鎖切断を生成すること、及び哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に挿入するための1つ以上の追加の配列を挿入することをさらに含む。
【0038】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームが、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列に相同な配列を含む、接触させることと;(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;(c)前記挿入配列を前記標的部位に挿入することであって、前記挿入は、(b)を含まない方法よりも少なくとも10%効率的である、挿入することと、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、方法である。
【0039】
いくつかの実施形態では、この方法は、遺伝子操作された哺乳動物細胞の前記集団を増殖させることをさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞をDNアーゼと接触させることをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、または90%は、前記挿入配列によってコードされる前記導入遺伝子を発現する。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼはDNアーゼIである。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0047】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を外因性免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、または短縮型CD19、である。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、前記複数の哺乳動物細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤の濃度は、約50IU/ml~約1000IU/mlである。
【0054】
いくつかの実施形態では、相同性アームに隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトとの複数の哺乳動物細胞の接触は、前記外因性免疫刺激剤との前記接触後30時間~36時間で起こる。いくつかの実施形態では、相同性アームに隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトとの複数の哺乳動物細胞の接触は、前記外因性免疫刺激剤との前記接触後36時間で起こる。
【0055】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を、DNA二本鎖切断修復を調節する外因性薬剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0056】
いくつかの実施形態では、前記薬剤は、NACまたは抗IFNAR2抗体を含む。いくつかの実施形態では、前記薬剤は、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、ならびにScr7、からなる群から選択される。
【0057】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、培養培地においてインビトロまたはエクスビボで培養され、ここで、前記培養培地は、実質的に抗生物質を含まない。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プラスミド、ミニサークルベクター、線状化二本鎖DNAコンストラクト、またはウイルスベクターを使用して、前記複数の哺乳動物細胞に導入される。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列または導入遺伝子は、外因性受容体をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、B細胞受容体(BCR)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)受容体、サイトカイン受容体、またはケモカイン受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、疾患関連抗原に対して特異性を有する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、がん抗原に特異的に結合する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、自己免疫抗原に特異的に結合する免疫受容体である。
【0060】
場合によっては、外因性受容体はTCRであり得る。他の場合では、外因性受容体はCARであり得る。CARは、配列番号91のポリペプチドと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%、または100%の同一性を含むポリペプチド配列によってコードされ得る。場合によっては、ポリ核酸コンストラクトは、配列番号90の少なくとも一部と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む。場合によっては、ポリ核酸コンストラクトは、配列番号90、またはその改変バージョンを含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プロモーター配列、エンハンサー配列、またはプロモーター配列とエンハンサー配列の両方を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の前記標的部位を切断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記標的部位の前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトの前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、Cas9である。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第1のガイドRNA(gRNA)または前記第1のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第2のガイドRNA(gRNA)または前記第2のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、ポリ核酸コンストラクトにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。
【0063】
いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて少なくとも1つの二本鎖切断及び前記ポリ核酸コンストラクトにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、セーフハーバー遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫調節遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫チェックポイント遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、受容体をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、T細胞受容体成分をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、TRACまたはTCRB遺伝子座に導入される。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記TRACまたはTCRB遺伝子座によってコードされる前記内因性タンパク質の発現は破壊される。場合によっては、複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける二本鎖切断は、TRAC遺伝子座に導入される。場合によっては、複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける二本鎖切断は、TRAC遺伝子座のエクソン1に導入される。場合によっては、複数の哺乳類細胞のゲノムにおける二本鎖切断は、TRACのエクソン1に導入され、配列番号80の少なくとも一部、または配列番号80の5’または3’のいずれかの側に少なくとも約1000塩基の配列を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、免疫細胞である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞、NK細胞、NKT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球を含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、(c)は、前記ポリ核酸コンストラクトにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、(b)は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含み、前記挿入配列は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに挿入され、前記複数の哺乳類細胞のゲノムにおける前記2つの二本鎖切断を架橋する。
【0068】
いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを、哺乳動物細胞ゲノムから欠失させる。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、3または4の倍数である複数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大5~100塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大50塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大75塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、ガイドRNAによって標的化される配列に隣接している。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトは、同一または異なる相同性アームを含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、相同性アームは、TRACまたはTCRB遺伝子座の配列に相同な配列を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、この方法は、哺乳動物細胞ゲノム中の1つ以上の追加の遺伝子を破壊することをさらに含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、この方法は、(a)において挿入するための配列を含む1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトを導入すること、(b)において哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に二本鎖切断を生成すること、(c)において1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトに二本鎖切断を生成すること、及び哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に挿入するための1つ以上の追加の配列を挿入することをさらに含む。
【0072】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する少なくとも1000塩基対の挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームが、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、接触させることと;(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;(c)前記挿入配列を前記標的部位に挿入することであって、前記挿入は、相同性アームが、前記標的部位に隣接する前記配列の少なくとも500個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む方法よりも少なくとも10%効率的である、挿入することと、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、方法である。
【0073】
いくつかの実施形態では、この方法は、遺伝子操作された哺乳動物細胞の前記集団を増殖させることをさらに含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞をDNアーゼと接触させることをさらに含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0076】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0077】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0078】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0079】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼはDNアーゼIである。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0080】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を外因性免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0083】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0084】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0085】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、または短縮型CD19、である。
【0086】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、前記複数の哺乳動物細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤の濃度は、約50IU/ml~約1000IU/mlである。
【0087】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を、DNA二本鎖切断修復を調節する外因性薬剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記薬剤は、NACまたは抗IFNAR2抗体を含む。いくつかの実施形態では、前記薬剤は、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、ならびにScr7、からなる群から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、培養培地においてインビトロまたはエクスビボで培養され、ここで、前記培養培地は、実質的に抗生物質を含まない。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プラスミド、ミニサークルベクター、線状化二本鎖DNAコンストラクト、またはウイルスベクターを使用して、前記複数の哺乳動物細胞に導入される。
【0091】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、外因性受容体をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、B細胞受容体(BCR)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)受容体、サイトカイン受容体、またはケモカイン受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、疾患関連抗原に対して特異性を有する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、がん抗原に特異的に結合する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、自己免疫抗原に特異的に結合する免疫受容体である。
【0092】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プロモーター配列、エンハンサー配列、またはプロモーター配列とエンハンサー配列の両方を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の前記標的部位を切断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記標的部位の前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトの前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、Cas9である。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第1のガイドRNA(gRNA)または前記第1のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第2のガイドRNA(gRNA)または前記第2のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、ポリ核酸コンストラクトにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。
【0094】
いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに少なくとも1つの二本鎖切断及び前記ポリ核酸コンストラクトに少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、セーフハーバー遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫調節遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫チェックポイント遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、受容体をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、T細胞受容体成分をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、TRACまたはTCRB遺伝子座に導入される。
【0095】
いくつかの実施形態では、前記TRACまたはTCRB遺伝子座によってコードされる前記内因性タンパク質の発現は破壊される。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞、NK細胞、NKT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球を含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、(c)は、前記ポリ核酸コンストラクトにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、(b)は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含み、前記挿入配列は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに挿入され、前記複数の哺乳類細胞のゲノムにおける前記2つの二本鎖切断を架橋する。
【0099】
いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを、哺乳動物細胞ゲノムから欠失させる。
【0100】
いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、3または4の倍数である複数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大5~100塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大50塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大75塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、ガイドRNAによって標的化される配列に隣接している。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトは、同一または異なる相同性アームを含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、相同性アームは、TRACまたはTCRB遺伝子座の配列に相同な配列を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、この方法は、哺乳動物細胞ゲノム中の1つ以上の追加の遺伝子を破壊することをさらに含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、この方法は、(a)において挿入するための配列を含む1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトを導入すること、(b)において哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に二本鎖切断を生成すること、(c)において1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトに二本鎖切断を生成すること、及び哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に挿入するための1つ以上の追加の配列を挿入することをさらに含む。
【0103】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された哺乳動物細胞の集団を生成する方法であって、(a)複数の哺乳動物細胞を、相同性アームと隣接する挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトと接触させることであって、前記相同性アームが、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、接触させることと;(b)前記ポリ核酸コンストラクトを切断することと;(c)前記複数の哺乳動物細胞のゲノムの前記標的部位に第1の二本鎖切断を生成し、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムの第2の部位に第2の二本鎖切断を生成することと、(d)前記挿入配列を前記標的部位に挿入し、それにより、操作された哺乳動物細胞の集団を生成することと、を含む、方法である。
【0104】
いくつかの実施形態では、この方法は、遺伝子操作された哺乳動物細胞の前記集団を増殖させることをさらに含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞をDNアーゼと接触させることをさらに含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0107】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0108】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記DNアーゼとの前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0109】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0110】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼはDNアーゼIである。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0111】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を外因性免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0113】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0114】
いくつかの実施形態では、前記複数の細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。
【0115】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0116】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、または短縮型CD19、である。
【0117】
いくつかの実施形態では、前記外因性免疫刺激剤は、前記複数の哺乳動物細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤の濃度は、約50IU/ml~約1000IU/mlである。
【0118】
いくつかの実施形態では、この方法は、前記複数の哺乳動物細胞を、DNA二本鎖切断修復を調節する外因性薬剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞の前記外因性免疫刺激剤との前記接触によって、前記接触が実行されない操作された哺乳動物細胞の同等の集団と比較して、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する操作された哺乳動物細胞の前記集団における生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞が前記ポリ核酸コンストラクトと接触してから7日後のフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、操作された哺乳動物細胞の前記集団における細胞の少なくとも60%は、前記挿入配列によってコードされる導入遺伝子を発現する。
【0119】
いくつかの実施形態では、前記薬剤は、NACまたは抗IFNAR2抗体を含む。いくつかの実施形態では、前記薬剤は、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、ならびにScr7、からなる群から選択される。
【0120】
いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、培養培地においてインビトロまたはエクスビボで培養され、ここで、前記培養培地は、実質的に抗生物質を含まない。
【0121】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プラスミド、ミニサークルベクター、線状化二本鎖DNAコンストラクト、またはウイルスベクターを使用して、前記複数の哺乳動物細胞に導入される。
【0122】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、外因性受容体をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、B細胞受容体(BCR)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)受容体、サイトカイン受容体、またはケモカイン受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、疾患関連抗原に対して特異性を有する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、がん抗原に特異的に結合する免疫受容体である。いくつかの実施形態では、前記外因性受容体は、自己免疫抗原に特異的に結合する免疫受容体である。
【0123】
いくつかの実施形態では、前記挿入配列は、プロモーター配列、エンハンサー配列、またはプロモーター配列とエンハンサー配列の両方を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の前記標的部位を切断することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記標的部位の前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトの前記切断は、エンドヌクレアーゼによる切断を含む。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、Cas9である。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第1のガイドRNA(gRNA)または前記第1のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、(a)は、前記複数の哺乳動物細胞に、第2のガイドRNA(gRNA)または前記第2のgRNAをコードするポリ核酸を導入することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、ポリ核酸コンストラクトにおいて少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。
【0125】
いくつかの実施形態では、前記第1のガイドRNAは、前記エンドヌクレアーゼを標的にして、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに少なくとも1つの二本鎖切断及び前記ポリ核酸コンストラクトに少なくとも1つの二本鎖切断を生成する。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、セーフハーバー遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫調節遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、免疫チェックポイント遺伝子座に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、受容体をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、T細胞受容体成分をコードする遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおける前記二本鎖切断は、TRACまたはTCRB遺伝子座に導入される。
【0126】
いくつかの実施形態では、前記TRACまたはTCRB遺伝子座によってコードされる前記内因性タンパク質の発現は破壊される。
【0127】
いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞、NK細胞、NKT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、または好中球を含む。いくつかの実施形態では、前記複数の哺乳動物細胞は、ヒトT細胞を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、(c)は、前記ポリ核酸コンストラクトにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、(b)は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムにおいて2つの二本鎖切断を生成することを含み、前記挿入配列は、前記複数の哺乳動物細胞のゲノムに挿入され、前記複数の哺乳類細胞のゲノムにおける前記2つの二本鎖切断を架橋する。
【0130】
いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドを、哺乳動物細胞ゲノムから欠失させる。
【0131】
いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、3または4の倍数である複数のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大5~100塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大50塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、最大75塩基対を含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、ガイドRNAによって標的化される配列に隣接している。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトは、同一または異なる相同性アームを含む。いくつかの実施形態では、前記相同性アームは、挿入のための配列に隣接する。いくつかの実施形態では、相同性アームは、TRACまたはTCRB遺伝子座の配列に相同な配列を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、この方法は、哺乳動物細胞ゲノム中の1つ以上の追加の遺伝子を破壊することをさらに含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、この方法は、(a)において挿入するための配列を含む1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトを導入すること、(b)において哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に二本鎖切断を生成すること、(c)において1つ以上の追加のポリ核酸コンストラクトに二本鎖切断を生成すること、及び哺乳動物細胞ゲノムの追加の部位に挿入するための1つ以上の追加の配列を挿入することをさらに含む。
【0134】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作されたT細胞を作製する方法であって、(a)ヒト対象からの初代T細胞を提供することと;(b)エクスビボで初代T細胞に、(i)ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードするポリ核酸、であって、ここで、ヌクレアーゼはCRISPR関連ヌクレアーゼである、ヌクレアーゼまたはヌクレアーゼをコードするポリ核酸と;(ii)第1のガイドRNAまたは第1のガイドRNAをコードするポリ核酸、であって、第1のガイドRNAは、初代T細胞のTRACまたはTCRB遺伝子座の配列を標的とする、第1のガイドRNAまたは第1のガイドRNAをコードするポリ核酸と;(iii)第2のガイドRNAまたは第2のガイドRNAをコードするポリ核酸と;(iv)挿入のための配列を含むポリ核酸コンストラクトであって、挿入のための配列は、外因性T細胞受容体またはキメラ抗原受容体をコードする配列を含み、ポリ核酸コンストラクトは、挿入のための配列に隣接する第1の短い相同性アーム及び第2の短い相同性アームを含み、第1の短い相同性アーム及び第2の短い相同性アームは、初代T細胞のTRACまたはTCRB遺伝子座の配列に相同な配列を含み、第1の短い相同性アームは50塩基対未満であり、第2の短い相同性アームは50塩基対未満であり、第1の短い相同性アーム及び第2の短い相同性アームは、第2のガイドRNAによって標的とされる配列に隣接している、ポリ核酸コンストラクトと、を導入することと;(c)初代T細胞のゲノムのTRACまたはTCRB遺伝子座に二本鎖切断を生成することであって、TRACまたはTCRB遺伝子座の二本鎖切断がCRISPR関連ヌクレアーゼ及び第1のガイドRNAによって生成され、二本鎖切断は、第1の短い相同性アームに相同な第1の配列と、第2の短い相同性アームに相同な第2の配列との間にある、二本鎖切断を生成することと、(d)ポリ核酸コンストラクトに2つの二本鎖切断を生成し、それによって切断されたポリ核酸コンストラクトを生成することであって、切断されたポリ核酸コンストラクトは、第1の末端に第1の短い相同性アームを含み、第2の末端に第2の短い相同性アームを含み、2つの二本鎖切断はCRISPR関連ヌクレアーゼ及び第2のガイドRNAによって生成される、2つの二本鎖切断を生成し、それによって切断されたポリ核酸コンストラクトを生成することと;(e)外因性T細胞受容体をコードする配列を、ホモロジー媒介末端結合により、初代T細胞ゲノムのTRACまたはTCRB遺伝子座の二本鎖切断部位に挿入することと、を含む方法、である。
【0135】
場合によっては、(b)の導入は、外因性免疫刺激剤との接触から30時間~36時間後に起こる。その他の場合、(b)の導入は、外因性免疫刺激剤との接触から36時間後に起こる。場合によっては、外因性免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、または短縮型CD19、である。
【0136】
一態様では、本明細書で提供されるのは、がんの治療を必要とする対象のがんを治療する方法であって、本明細書に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、前記がんは、膀胱癌、上皮癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、食道癌、胃腸癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、骨髄腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、甲状腺癌、急性リンパ球性癌、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、肛門管、直腸癌、眼癌、頸部癌、胆嚢癌、胸膜癌、口腔癌、外陰癌、結腸癌、子宮頸癌、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、腹膜癌、腎癌、皮膚癌、小腸癌、軟組織癌、固形腫瘍、胃癌、精巣癌、または甲状腺癌、である。いくつかの実施形態では、前記癌は、胃腸癌、乳癌、リンパ腫、または前立腺癌である。いくつかの実施形態では、操作された哺乳動物細胞の前記集団は、前記対象に対して同種異系または自家である。
【0137】
一態様では、本明細書で提供されるのは、(a)相同性アームに隣接する外因性配列を含むポリ核酸コンストラクトであって、相同性アームのそれぞれが、哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含み、ポリ核酸は切断されており、切除された末端を含む、ポリ核酸コンストラクトと;(b)哺乳動物細胞のゲノム中の二本鎖切断であって、二本鎖切断によって露出された少なくとも一方の末端が切除される、二本鎖切断と、含む哺乳動物細胞である。
【0138】
いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は免疫細胞である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞である。
【0139】
一態様では、本明細書で提供されるのは、(a)相同性アームに隣接する少なくとも1000塩基対の挿入配列を含むポリ核酸コンストラクトであって、相同性アームのそれぞれが、前記複数の哺乳動物細胞のゲノム中の標的部位に隣接する配列の最大400個の連続するヌクレオチドに相同な配列を含む、ポリ核酸コンストラクトと;(b)哺乳動物細胞のゲノム中の二本鎖切断であって、二本鎖切断によって露出された少なくとも一方の末端が切除される、二本鎖切断と、を含む哺乳動物細胞である。場合によっては、相同性アームは、長さ30~70、35~65、40~60、45~55、または45~50塩基に相同な配列を含む。場合によっては、相同性アームは、長さ48塩基に相同な配列を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記哺乳動物細胞は免疫細胞である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、マクロファージ、樹状細胞、または好中球である。いくつかの実施形態では、前記免疫細胞は、T細胞である。
【0141】
一態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞である。
【0142】
一態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞の集団である。
【0143】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞を含む医薬組成物である。
【0144】
一態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載の方法によって作製された哺乳動物細胞の集団を含む医薬組成物である。
【0145】
一態様では、本明細書で提供されるのは、導入遺伝子をコードするポリ核酸と接触した細胞集団と;約5μg/ml~約15μg/mlの濃度のDNアーゼと、を含む組成物であって、前記DNアーゼの存在下で、前記細胞集団が前記ポリ核酸と接触してから7日後にフローサイトメトリーによる前記導入遺伝子の検出によって測定されるように、前記細胞集団の少なくとも60%が前記導入遺伝子を発現する、組成物である。
【0146】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0147】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0148】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0151】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0156】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0159】
一態様では、本明細書で提供されるのは、遺伝子改変細胞集団を含む組成物であって、前記細胞集団は、その核が、導入遺伝子をコードするポリ核酸;及び少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターを含む細胞を含む、組成物である。
【0160】
いくつかの実施形態では、組成物は、DNアーゼをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0161】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0163】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0166】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0171】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0174】
一態様では、本明細書で提供されるのは、遺伝子改変細胞;DNアーゼ;及び実質的に抗生物質を含まない培地を含む組成物である。
【0175】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0176】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0177】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0180】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0185】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0188】
一態様では、ここで提供されるのは、遺伝子改変初代免疫細胞;DNアーゼ;及び少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤を含む組成物である。
【0189】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0190】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0191】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0194】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0199】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0202】
一態様では、本明細書で提供されるのは、遺伝子改変初代免疫細胞;DNアーゼ;及び約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度の少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤を含む組成物である。
【0203】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0204】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代免疫細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記組成物は、少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0205】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0208】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0213】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0216】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された細胞の導入遺伝子発現を増加させる方法であって、初代免疫細胞の集団に導入遺伝子をコードする外因性ポリ核酸を導入し、それによって改変初代免疫細胞の集団を生成することと;改変初代免疫細胞の前記集団をDNアーゼ及び免疫刺激剤と接触させることであって;前記接触によって、前記DNアーゼまたは前記免疫刺激剤のうちの1つだけが接触する改変初代免疫細胞の同等の集団と比較して、前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子を発現する細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0217】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0218】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0219】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0222】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0227】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、T細胞受容体遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、TRAC、TCRB、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、T細胞受容体遺伝子及び免疫チェックポイント遺伝子を含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0230】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された細胞の生存率を増加させる方法であって、初代免疫細胞の集団に導入遺伝子をコードする外因性ポリ核酸を導入し、それによって改変初代免疫細胞の集団を生成することと;改変初代免疫細胞の前記集団をDNアーゼ及び免疫刺激剤と接触させることであって;前記接触によって、前記DNアーゼまたは前記免疫刺激剤のうちの1つだけが接触する改変初代免疫細胞の同等の集団と比較して、前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子を発現する生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0231】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼ及び前記免疫刺激剤との接触は、同時に起こる。
【0232】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0233】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0234】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0237】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0242】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、TRAC、TCRB、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0245】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された細胞の細胞生存率を増加させる方法であって、初代免疫細胞の集団に導入遺伝子をコードする外因性ポリ核酸を導入し、それによって改変初代免疫細胞の集団を生成することと;改変初代免疫細胞の前記集団をDNアーゼと接触させることであって;前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代免疫細胞の同等の集団と比較して、前記集団において前記外因性ポリ核酸によってコードされるような前記導入遺伝子を発現する生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0246】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0247】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0248】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0251】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0253】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0256】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、TRAC、TCRB、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0259】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された細胞の導入遺伝子発現を増加させる方法であって、初代免疫細胞の集団に導入遺伝子をコードする外因性ポリ核酸を導入し、それによって改変初代免疫細胞の集団を生成することと;初代免疫細胞の前記集団をDNアーゼと接触させることであって;前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代免疫細胞の同等の集団と比較して、前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子を発現する細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0260】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0261】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0262】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0264】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0265】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0267】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0270】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、TRAC、TCRB、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0273】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された細胞の細胞生存率を増加させる方法であって、細胞の集団に、導入遺伝子をコードするミニサークルベクターまたは線形化二本鎖DNAコンストラクトを導入し、それによって改変細胞の集団を生成することと;改変細胞の前記集団をDNアーゼと接触させることであって;前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変細胞の同等の集団と比較して、改変細胞の前記集団において生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0274】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0275】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0276】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0279】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0284】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、TRAC、TCRB、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0287】
一態様では、本明細書で提供されるのは、操作された細胞の組み込み効率を向上させる方法であって、細胞の集団に、導入遺伝子をコードするミニサークルベクターまたは線形化二本鎖DNAコンストラクトを導入し、それによって改変細胞の集団を生成することと;改変細胞の前記集団をDNアーゼと接触させることであって;前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変細胞の同等の集団と比較して、前記ミニサークルベクターまたは前記線形化二本鎖DNAコンストラクトによってコードされる前記導入遺伝子を発現する細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0288】
いくつかの実施形態では、前記導入は、前記外因性ポリ核酸または前記ミニサークルベクターまたは前記線形化二本鎖DNAコンストラクトにより細胞の前記集団をエレクトロポレーションすることを含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0290】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0291】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0293】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0294】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0296】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0297】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0299】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、TRAC、TCRB、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0302】
一態様では、本明細書で提供されるのは、初代細胞の集団をゲノム編集する方法であって、初代細胞の前記集団に、導入遺伝子をコードする外因性ポリ核酸を導入して二本鎖切断を生成し、それによって改変初代細胞の集団を生成することと;改変初代細胞の前記集団に、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを導入することと;を含み、ここで、前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント、のうちの少なくとも1つが増加する、方法である。いくつかの実施形態では、前記細胞集団は、初代免疫細胞を含む。
【0303】
いくつかの実施形態では、前記細胞集団の少なくとも一部の核は、DNA二本鎖切断修復の少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターを含む。いくつかの実施形態では、組成物は実質的に抗生物質を含まない培地である。
【0304】
いくつかの実施形態では、前記細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。
【0305】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で添加される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記少なくとも1つの外因的に添加されたモジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加されたDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記少なくとも1つの外因的に添加されたタンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0307】
いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つの外因的に添加された免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。
【0308】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。
【0309】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。
【0310】
いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、組成物は、抗原提示細胞(APC)をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。
【0313】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上のゲノム部位の破壊を含む。いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞は、1つ以上の内因性遺伝子の改変または欠失を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、CISH、PD-1、TRAC、TCRB、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0314】
いくつかの実施形態では、前記遺伝子改変細胞の核は、導入遺伝子を含む。
【0315】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される細胞受容体をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0316】
一態様では、本明細書で提供されるのは、初代免疫細胞の集団をゲノム編集する方法であって、初代免疫細胞の前記集団をエレクトロポレーションして、ガイドポリ核酸;ガイド型ヌクレアーゼ;及び導入遺伝子をコードするミニサークルベクターまたは線形化二本鎖DNAコンストラクト、を導入して、それによって改変初代免疫細胞の集団を生成することと;改変初代免疫細胞の前記集団をDNアーゼ及び免疫刺激剤と接触させることであって;前記接触によって、前記エレクトロポレーションが行われるが、前記接触は行われない、改変初代免疫細胞の同等の集団と比較して、改変初代免疫細胞の前記集団において前記導入遺伝子を発現する生存細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0317】
いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を、前記ガイド型ヌクレアーゼをコードするポリ核酸と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、DNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、mRNAを含む。いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を前記ガイド型ヌクレアーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼ、それらの相同体、またはそれらの改変バージョン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質を含む。
【0319】
Casタンパク質は、任意の好適な生物に由来し得る。非限定的な例としては、Streptococcus pyogenes、Streptococcus thermophilus、Streptococcus種、Staphylococcus aureus、Nocardiopsis dassonvillei、Streptomyces pristinae spiralis、Streptomyces viridochromo genes、Streptomyces viridochromogenes、Streptosporangium roseum、Streptosporangium roseum、AlicyclobacHlus acidocaldarius、Bacillus pseudomycoides、Bacillus selenitireducens、Exiguobacterium sibiricum、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus salivarius、Microscilla marina、Burkholderiales bacterium、Polaromonas naphthalenivorans、Polaromonas種、Crocosphaera watsonii、Cyanothece種、Microcystis aeruginosa、Pseudomonas aeruginosa、Synechococcus種、Acetohalobium arabaticum、Ammonifex degensii、Caldicelulosiruptor becscii、Candidatus Desulforudis、Clostridium botulinum、Clostridium difficile、Finegoldia magna、Natranaerobius thermophilus、Pelotomaculum thermopropionicum、Acidithiobacillus caldus、Acidithiobacillus ferrooxidans、Allochromatium vinosum、Marinobacter種、Nitrosococcus halophilus、Nitrosococcus watsoni、Pseudoalteromonas haloplanktis、Ktedonobacter racemifer、Methanohalobium evestigatum、Anabaena variabilis、Nodularia spumigena、Nostoc種、Arthrospira maxima、Arthrospira platensis、Arthrospira種、Lyngbya種、Microcoleus chthonoplastes、Oscillatoria種、Petrotoga mobilis、Thermosipho africanus、Acaryochloris marina、Leptotrichia shahii、及びFrancisella novicidaが挙げられる。いくつかの態様では、生物は、Streptococcus pyogenes(S.pyogenes)である。いくつかの態様では、生物は、Staphylococcus aureus(S.aureus)である。いくつかの態様では、生物は、Streptococcus thermophilus(S.thermophilus)である。
【0320】
Casタンパク質は、Veillonella atypical、Fusobacterium nucleatum、Filifactor alocis、Solobacterium moorei、Coprococcus catus、Treponema denticola、Peptoniphilus duerdenii、Catenibacterium mitsuokai、Streptococcus mutans、Listeria innocua、Staphylococcus pseudintermedius、Acidaminococcus intestine、Olsenella uli、Oenococcus kitaharae、Bifidobacterium bifidum、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus gasseri、Finegoldia magna、Mycoplasma mobile、Mycoplasma gallisepticum、Mycoplasma ovipneumoniae、Mycoplasma canis、Mycoplasma synoviae、Eubacterium rectale、Streptococcus thermophilus、Eubacterium dolichum、Lactobacillus coryniformis亜種Torquens、Ilyobacter polytropus、Ruminococcus albus、Akkermansia muciniphila、Acidothermus cellulolyticus、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium dentium、Corynebacterium diphtheria、Elusimicrobium minutum、Nitratifractor salsuginis、Sphaerochaeta globus、Fibrobacter succinogenes亜種Succinogenes、Bacteroides fragilis、Capnocytophaga ochracea、Rhodopseudomonas palustris、Prevotella micans、Prevotella ruminicola、Flavobacterium columnare、Aminomonas paucivorans、Rhodospirillum rubrum、Candidatus Puniceispirillum marinum、Verminephrobacter eiseniae、Ralstonia syzygii、Dinoroseobacter shibae、Azospirillum、Nitrobacter hamburgensis、Bradyrhizobium、Wolinella succinogenes、Campylobacter jejuni亜種Jejuni、Helicobacter mustelae、Bacillus cereus、Acidovorax ebreus、Clostridium perfringens、Parvibaculum lavamentivorans、Roseburia intestinalis、Neisseria meningitidis、Pasteurella multocida亜種Multocida、Sutterella wadsworthensis、proteobacterium、Legionella pneumophila、Parasutterella excrementihominis、Wolinella succinogenes、及びFrancisella novicida、を含むがこれらに限定されない様々な細菌種に由来し得る。
【0321】
本明細書で使用されるCasタンパク質は、Casタンパク質の野生型または改変型であり得る。Casタンパク質は、野生型もしくは改変Casタンパク質の活性バリアント、不活性バリアント、または断片であり得る。Casタンパク質は、Casタンパク質の野生型バージョンと比較して、欠失、挿入、置換、バリアント、変異、融合、キメラ、またはそれらの任意の組み合わせなどのアミノ酸変化を含むことができる。Casタンパク質は、野生型の例示的なCasタンパク質との少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または配列類似性を有するポリペプチドであり得る。Casタンパク質は、野生型の例示的なCasタンパク質との最大約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の配列同一性及び/または配列類似性を有するポリペプチドであり得る。バリアントまたは断片は、野生型もしくは改変Casタンパク質またはその一部との少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または配列類似性を含み得る。バリアントまたは断片は、核酸切断活性を欠いているが、ガイド核酸と複合体を形成して核酸遺伝子座を標的にすることができる。
【0322】
いくつかの実施形態では、前記Casタンパク質は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、Cas9HiFi、それらの相同体、またはそれらの改変バージョンを含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAをコードするDNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAを含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記集団初代ヒト細胞を、前記ガイドポリ核酸及び前記ガイド型ヌクレアーゼを含むガイド型リボ核タンパク質複合体と接触させることを含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、前記ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0327】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0328】
いくつかの実施形態では、前記接触は、改変初代細胞の前記集団を免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤との前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記接触は、改変細胞の前記集団に、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを導入することをさらに含む。
【0329】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターの前記導入によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターは、DNA二本鎖修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNAに関与する前記タンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、前記接触は、実質的に抗生物質を含まない培地において、改変初代細胞の前記集団と接触することを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、前記接触は、共培養されたAPCの存在下で前記TILと接触することを含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上のゲノム部位を破壊することを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。
【0332】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0333】
いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上の内因性遺伝子を改変するまたは欠失させることを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、PD-1を含む。
【0334】
一態様では、本明細書で提供されるのは、初代免疫細胞の集団をゲノム編集する方法であって、a)初代ヒト細胞の前記集団をエレクトロポレーションして、ガイドポリ核酸;ガイド型ヌクレアーゼ;及び導入遺伝子をコードするミニサークルベクターまたは線形化二本鎖DNAコンストラクト:を導入して、それによって改変初代免疫細胞の集団を生成することと;改変初代免疫細胞の前記集団をDNアーゼ及び免疫刺激剤と接触させることであって;前記接触によって、前記エレクトロポレーションが行われるが、前記接触は行われない、改変初代免疫細胞の同等の集団と比較して、前記ミニサークルベクターまたは前記線形化二本鎖DNAコンストラクトによってコードされる前記導入遺伝子を発現する細胞のパーセンテージの増加がもたらされる、接触させることと、を含む、方法である。
【0335】
いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を、前記ガイド型ヌクレアーゼをコードするポリ核酸と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、DNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、mRNAを含む。いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を前記ガイド型ヌクレアーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼ、それらの相同体、またはそれらの改変バージョン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0336】
いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、前記Casタンパク質は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、Cas9HiFi、それらの相同体、またはそれらの改変バージョンを含む。
【0337】
いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAをコードするDNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAを含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記集団初代ヒト細胞を、前記ガイドポリ核酸及び前記ガイド型ヌクレアーゼを含むガイド型リボ核タンパク質複合体と接触させることを含む。
【0339】
いくつかの実施形態では、前記ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0341】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0342】
いくつかの実施形態では、前記接触は、改変初代細胞の前記集団を免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤との前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記接触は、改変細胞の前記集団に、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを導入することをさらに含む。
【0343】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターの前記導入によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNAに関与する前記タンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0344】
いくつかの実施形態では、前記接触は、実質的に抗生物質を含まない培地において、改変初代細胞の前記集団を接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0345】
いくつかの実施形態では、前記接触は、共培養されたAPCの存在下で前記TILを接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上のゲノム部位を破壊することを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。
【0346】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0347】
いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上の内因性遺伝子を改変するまたは欠失させることを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、PD-1を含む。
【0348】
一態様では、本明細書で提供されるのは、細胞をエレクトロポレーションする方法であって、ガイド型ヌクレアーゼを前記細胞に導入するための第1のエレクトロポレーションステップと;遺伝子の少なくとも一部に相補的な領域を含むガイドポリ核酸;及び細胞受容体配列を含む外因性ポリ核酸を導入し、それによって改変細胞を生成することを含む、第2のエレクトロポレーションステップと、を含み、前記改変細胞は、a)及びb)からなる単一のエレクトロポレーションを含む同等の細胞と比較して、細胞受容体配列を含む前記外因性ポリ核酸の組み込みのパーセンテージの増加;または生存率のパーセンテージの増加、のうちの少なくとも1つを有する、方法である。
【0349】
いくつかの実施形態では、前記第1のエレクトロポレーションステップは、前記細胞を、前記ガイド型ヌクレアーゼをコードするポリ核酸と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、DNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、mRNAを含む。いくつかの実施形態では、前記第1のエレクトロポレーションステップは、前記細胞を前記ガイド型ヌクレアーゼと接触させることを含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を、前記ガイド型ヌクレアーゼをコードするポリ核酸と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、DNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、mRNAを含む。いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を前記ガイド型ヌクレアーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼ、それらの相同体、またはそれらの改変バージョン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0351】
いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、前記Casタンパク質は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、Cas9HiFi、それらの相同体、またはそれらの改変バージョンを含む。
【0352】
いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAをコードするDNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAを含む。
【0353】
いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記集団初代ヒト細胞を、前記ガイドポリ核酸及び前記ガイド型ヌクレアーゼを含むガイド型リボ核タンパク質複合体と接触させることを含む。
【0354】
いくつかの実施形態では、前記ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含む。
【0355】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0356】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0357】
いくつかの実施形態では、前記接触は、改変初代細胞の前記集団を免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤との前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記接触は、改変細胞の前記集団に、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを導入することをさらに含む。
【0358】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターの前記導入によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNAに関与する前記タンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0359】
いくつかの実施形態では、前記接触は、実質的に抗生物質を含まない培地において、改変初代細胞の前記集団を接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0360】
いくつかの実施形態では、前記接触は、共培養されたAPCの存在下で前記TILを接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上のゲノム部位を破壊することを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。
【0361】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0362】
いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上の内因性遺伝子を改変するまたは欠失させることを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、PD-1を含む。
【0363】
一態様では、本明細書で提供されるのは、細胞をエレクトロポレーションする方法であって、ガイド型リボ核タンパク質複合体を前記細胞に導入するための第1のエレクトロポレーションステップと;外因性ポリ核酸を導入し、それによって改変細胞を生成することを含む第2のエレクトロポレーションステップと;を含み、前記改変された細胞は、a)及びb)からなる単一のエレクトロポレーションを含む同等の細胞と比較して、細胞受容体配列を含む前記外因性ポリ核酸の組み込みのパーセンテージの増加;または生存率のパーセンテージの増加:のうちの少なくとも1つを有する、方法である。
【0364】
いくつかの実施形態では、前記外因性ポリ核酸は、線状化二本鎖DNAを含む。いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を、前記ガイド型ヌクレアーゼをコードするポリ核酸と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、DNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸は、mRNAを含む。いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記細胞を前記ガイド型ヌクレアーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、メガヌクレアーゼ、それらの相同体、またはそれらの改変バージョン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0365】
いくつかの実施形態では、前記ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、前記Casタンパク質は、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、Cas9HiFi、それらの相同体、またはそれらの改変バージョンを含む。
【0366】
いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAをコードするDNAを含む。いくつかの実施形態では、前記ガイドポリ核酸は、ガイドRNAを含む。
【0367】
いくつかの実施形態では、前記エレクトロポレーションは、前記集団初代ヒト細胞を、前記ガイドポリ核酸及び前記ガイド型ヌクレアーゼを含むガイド型リボ核タンパク質複合体と接触させることを含む。
【0368】
いくつかの実施形態では、前記ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含む。
【0369】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、約5μg/ml~約15μg/mlの濃度で存在する。
【0370】
いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、制限酵素、及びそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、前記DNアーゼは、DNアーゼIを含む。
【0371】
いくつかの実施形態では、前記接触は、改変初代細胞の前記集団を免疫刺激剤と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤との前記接触によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、IL-15、IL-17、IL-21、IL-2、IL-7、短縮型CD19、それらの誘導体、または任意の組み合わせ、を含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、IL-2、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、約50IU/ml~約1000IU/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、前記免疫刺激剤は、前記細胞集団または前記細胞の少なくとも一部の増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記接触は、改変細胞の前記集団に、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを導入することをさらに含む。
【0372】
いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターの前記導入によって、前記導入が行われるが、前記接触は行われない、改変初代細胞の同等の集団と比較して、改変初代細胞の前記集団において、生存率のパーセント;または前記外因性ポリ核酸によってコードされる前記導入遺伝子の発現のパーセント:のうちの少なくとも1つが増加する。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復の前記モジュレーターは、NAC、抗IFNAR2抗体、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNA二本鎖切断修復に関与する前記タンパク質は、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択されるタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、DNAに関与する前記タンパク質は、RS-1、RAD51、またはその両方を含む。
【0373】
いくつかの実施形態では、前記接触は、実質的に抗生物質を含まない培地において、改変初代細胞の前記集団を接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、B細胞、好塩基球、樹状細胞、好酸球、ガンマデルタT細胞、顆粒球、ヘルパーT細胞、ランゲルハンス細胞、リンパ球細胞、自然リンパ球(ILC)、マクロファージ、マスト細胞、巨核球、メモリーT細胞、単球、骨髄細胞、ナチュラルキラーT細胞、好中球、前駆体細胞、形質細胞、前駆細胞、制御性T細胞、T細胞、胸腺細胞、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの細胞の任意の混合物もしくは組み合わせ、からなる群から選択される細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、初代T細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、対象の血液試料から単離される。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、全血試料または分画血液試料である。いくつかの実施形態では、前記血液試料は、単離された末梢血単核細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代T細胞は、ガンマデルタT細胞、ヘルパーT細胞、メモリーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、エフェクターT細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、CD3+細胞を含む。いくつかの実施形態では、前記初代免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を含む。いくつかの実施形態では、TILは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、それらの分化もしくは脱分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0374】
いくつかの実施形態では、前記接触は、共培養されたAPCの存在下で前記TILを接触させることを含む。いくつかの実施形態では、前記APCは、前記TILの増殖を刺激するように構成される。いくつかの実施形態では、前記APCは、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせを発現する。いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上のゲノム部位を破壊することを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。
【0375】
いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、細胞受容体、免疫学的チェックポイントタンパク質、サイトカイン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、前記導入遺伝子は、T細胞受容体をコードする。
【0376】
いくつかの実施形態では、前記導入は、初代細胞の前記集団の少なくとも一部の1つ以上の内因性遺伝子を改変するまたは欠失させることを含み、これにより改変初代細胞の前記集団がもたらされる。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、免疫チェックポイント遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、前記内因性遺伝子は、PD-1を含む。
【0377】
一態様では、本明細書で提供されるのは、がんを治療する方法であって、本明細書に記載の組成物または本明細書に記載の方法によって生成された改変細胞の集団を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。いくつかの実施形態では、前記対象は、前記治療を必要としている。いくつかの実施形態では、前記対象は、がんまたは腫瘍と診断されている。いくつかの実施形態では、前記対象はヒトである。いくつかの実施形態では、前記投与は、前記組成物または改変細胞の前記集団を前記対象の血管に注入することを含む。
【0378】
本明細書で提供されるのは、BLASTによって決定される配列番号81または配列番号84の少なくとも一部と、少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む配列を含む操作されたポリヌクレオチドである。
【0379】
本明細書で提供されるのはまた、BLASTによって決定される配列番号79または配列番号82の少なくとも一部と、少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%の配列同一性を含む操作されたポリヌクレオチドである。
【0380】
本明細書で提供されるのは、操作されたポリヌクレオチドを含むリボ核タンパク質(RNP)である。RNPは、エンドヌクレアーゼをさらに含むことができる。いくつかの態様において、エンドヌクレアーゼは、CRISPRエンドヌクレアーゼを含む。
【0381】
本明細書で提供されるのは、操作されたポリヌクレオチド及び/またはRNPを含む細胞である。
【0382】
本明細書で提供されるのは、操作された細胞を含む細胞の集団である。
【0383】
本明細書で提供されるのはまた、容器内に操作されたポリヌクレオチド及び/またはリボヌクレオタンパク質を含むキットである。
【図面の簡単な説明】
【0384】
【
図1】A~Cは、免疫細胞ゲノムに挿入配列を導入するための概略図を提供する。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1及びC2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。C1及びC2は、同じ配列であっても異なる配列であってもよい。H1及びH2は相同性アーム配列を表す。「挿入」は、ゲノムに挿入される配列を表す。コンストラクトは、
図1Bに示されるゲノムの標的部位に挿入されるように設計されている。C3は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これは、C1及び/またはC2と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BにおけるH1及びH2は、ポリヌクレオチドコンストラクトにおけるH1及びH2に相同なゲノムの配列を表す。Cは、本開示の方法による挿入配列の導入後のゲノムを示している。
【0385】
【
図2】ヌクレアーゼまたはガイドRNAを用いない実験条件において、挿入TCR配列がゲノムに組み込まれていないこと、または細胞によって発現されていないことを示す実験結果を提供する。各列は条件を表す。各行は、異なるドナーから得られた試料を表す。y軸はCD3染色からの蛍光を表し、X軸は挿入TCRの染色からの蛍光を表す。数値は、象限内にある生細胞のパーセンテージを表す。条件1は、モック処理細胞である。条件2は、1000bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクターを受ける細胞である。条件3は、48bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクターを受ける細胞である。
【0386】
【
図3】1000塩基対の相同性アーム(条件4及び5)を使用した実験条件と比較して、48塩基対の相同性アーム及びミニサークル標的指向性ガイドRNA(条件6及び7)を使用した実験条件では、より高い割合及び数の細胞が挿入TCRを発現することを示す。各列は条件を表す。各行は、異なるドナー由来の試料を表す。y軸はCD3染色からの蛍光を表し、X軸は挿入TCRの染色からの蛍光を表す。数値は、象限内にある生細胞のパーセンテージを表す。
【0387】
【
図4】種々の実験条件から挿入TCRを発現する生細胞のパーセンテージを示す。2つのドナーから処理された試料についてのデータが提示され、ドナーごとに2つの技術的複製がある。結果は、1000塩基対の相同性アーム(条件4及び5)を使用した実験条件と比較して、48塩基対の相同性アーム及びミニサークル標的指向性ガイドRNA(条件6及び7)を使用した実験条件では、より高い割合及び数の細胞が挿入TCRを発現することを示す。条件1は、モック処理細胞である。条件2は、1000bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクターを受けているが、ガイドRNAもヌクレアーゼも受けていない細胞である。条件3は、48bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクターを受けているが、ガイドRNAもヌクレアーゼも受けていない細胞である。
【0388】
【
図5】種々の実験条件からGFPレポーターを発現する生細胞のパーセンテージを示す。2つのドナーから処理された試料についてのデータが提示され、ドナーごとに3つの技術的複製がある。条件1は、モック処理細胞である。条件2は、1000bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクターを受けているが、ガイドRNAもヌクレアーゼも受けていない細胞である。条件3は、48bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクターを受けているが、ガイドRNAもヌクレアーゼも受けていない細胞である。条件4及び5は、1000bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクター、ミニサークル標的指向性ガイドRNA、及びヌクレアーゼを受けた細胞である。条件6及び7は、48bpの相同性アームを有するDNAミニサークルベクター、ミニサークル標的指向性ガイドRNA、及びヌクレアーゼを受けた細胞である。結果は、一本鎖アニーリングを含む方法を使用した効率的な免疫細胞ゲノム編集を示す。
【0389】
【
図6】A~Eは、2つの相同性アーム及び2つの切断部位を有するポリヌクレオチドコンストラクトを含む本開示の方法で免疫細胞ゲノムを編集するための概略図を提供する。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1及びC2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。C1及びC2は、同じ配列であっても異なる配列であってもよい。H1及びH2は相同性アーム配列を表す。「(挿入)」は、2つの相同性アームの間の介在配列を表し、これは存在していても不存在であってもよい。コンストラクトは、Bに示されるゲノムの標的部位に挿入するように設計されている。Bは、免疫細胞ゲノムにおける標的部位を示している。C3は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これは、C1及び/またはC2と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BのH1及びH2は、ポリヌクレオチドコンストラクト中のH1及びH2に相同なゲノム内の配列を表す。Cは、C1及びC2で切断され、二本鎖切断の部位から5’切除を受け、H1及びH2相同性アームの一本鎖配列を露出させたAのポリヌクレオチドコンストラクトを表す。Dは、C3で切断されたAからの免疫細胞ゲノム中の部位を表す。二本鎖切断によって露出された各末端は、5’切除を受け、H1及びH2相同性アームの配列に相同な一本鎖配列を露出させている。Eは、ポリ核酸コンストラクトまたはその一部を修復鋳型として使用してゲノムを修復した(例えば、一本鎖アニーリング、相同性媒介末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合、代替末端結合、相同性組換え修復(homology-directed repair)、相同組換え、またはそれらの組み合わせを含む経路を介した修復)後のゲノムを表す。
【0390】
【
図7】A~Eは、1つの相同性アーム及び1つの切断部位を有するポリヌクレオチドコンストラクトを含む本開示の方法で免疫細胞ゲノムを編集するための概略図を提供する。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。H1は相同性アーム配列を表す。「(挿入)」は、2つの相同性アームの間に介在配列を表し、これは存在していても不存在であってもよい。コンストラクトは、Bに示されるゲノムの標的部位に挿入するように設計されている。Bは、免疫細胞ゲノムにおける標的部位を示している。C2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これは、C1と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BのH1は、ポリヌクレオチドコンストラクト中のH1に相同なゲノム内の配列を表す。Cは、C1で切断され、二本鎖切断の部位から5’切除を受け、H1相同性アームの一本鎖配列を露出させたAのポリヌクレオチドコンストラクトを表す。Dは、C2で切断された
図7Aからの免疫細胞ゲノム中の部位を表す。二本鎖切断によって露出された末端は、5’切除を受け、H1相同性アームの配列に相同な一本鎖配列を露出させている。Eは、ポリ核酸コンストラクトまたはその一部を修復鋳型として使用してゲノムを修復した(例えば、一本鎖アニーリング、相同性媒介末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合、代替末端結合、相同組換え修復、相同組換え、またはそれらの組み合わせを含む経路を介した修復)後のゲノムを表す。
【0391】
【
図8】A~Eは、2つの相同性アーム及び2つの切断部位を有するポリヌクレオチドコンストラクトを含み、免疫細胞ゲノムに2つの二本鎖切断を導入する(例えば、大きな欠失を促進するための)本開示の方法で免疫細胞ゲノムを編集するための概略図を提供する。
図8Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1及びC2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。C1及びC2は、同じ配列であっても異なる配列であってもよい。H1及びH2は相同性アーム配列を表す。「(i)」は、2つの相同性アームの間に介在配列を表し、これは存在していても不存在であってもよい。コンストラクトは、挿入されたときに免疫細胞の2つの標的部位を架橋し、それによって、挿入がある場合またはない場合において、免疫細胞ゲノムに欠失を生成するためのものである。
図8Bは、免疫細胞ゲノムにおける2つの標的部位を示している。C3及びC3は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これらのそれぞれは、C1及び/またはC2と同じ配列であっても異なる配列(複数可)であってもよい。BのH1及びH2は、ポリヌクレオチドコンストラクト中のH1及びH2に相同なゲノム内の配列を表す。Cは、C1及びC2で切断され、二本鎖切断の部位から5’切除を受け、H1及びH2相同性アームの一本鎖配列を露出させたAのポリヌクレオチドコンストラクトを表す。Dは、C3及びC4で切断された
図8Aからの免疫細胞ゲノム中の部位を表す。二本鎖切断によって露出された各末端は、5’切除を受け、H1及びH2相同性アームの配列に相同な一本鎖配列を露出している。
図8Eは、ポリ核酸コンストラクトまたはその一部を修復鋳型として使用してゲノムを修復した(例えば、一本鎖アニーリング、相同性媒介末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合、代替末端結合、相同組換え修復、相同組換え、またはそれらの組み合わせを含む経路を介した修復)後のゲノムを表す。
【0392】
【
図9】A~Cは、1つの相同性アーム及び1つの切断部位を含むポリヌクレオチドコンストラクトを使用して、免疫細胞ゲノムに挿入配列を導入するための概略図を提供する。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。H1は相同性アーム配列を表す。「挿入」は、ゲノムに挿入される配列を表す。コンストラクトは、Bに示されるゲノムの標的部位に挿入するように設計されている。C2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これは、C1と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BにおけるH1は、ポリヌクレオチドコンストラクトにおけるH1に相同なゲノムの配列を表す。Cは、本開示の方法による挿入配列の導入後のゲノムを示している。
【0393】
【
図10】A~Cは、本開示の免疫細胞ゲノムを編集するための概略図を提供する(例えば、小さなインデルを導入する)。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1及びC2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。C1及びC2は、同じ配列であっても異なる配列であってもよい。H1及びH2は相同性アーム配列を表す。コンストラクトは、Bに表されるゲノム内の標的部位の修復鋳型として機能するように設計されている。C3は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これは、C1及び/またはC2と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BにおけるH1及びH2は、ポリヌクレオチドコンストラクトにおけるH1及びH2に相同なゲノムの配列を表す。は、本開示の方法による挿入配列の導入後のゲノムを示している。
【0394】
【
図11】A~Cは、1つの相同性アーム及び1つの切断部位を含むポリヌクレオチドコンストラクトを使用して、本開示の免疫細胞ゲノムを編集するための概略図を提供する(例えば、小さなインデルを導入する)。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。H1は相同性アーム配列を表す。コンストラクトは、Bに表される免疫細胞ゲノム内の標的部位の修復鋳型として機能するように設計されている。C2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これは、C1と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BにおけるH1は、ポリヌクレオチドコンストラクトにおけるH1に相同なゲノムの配列を表す。Cは、本開示の方法による挿入配列の導入後のゲノムを示している。
【0395】
【
図12】A~Cは、2つの相同性アーム及び2つの切断部位を有するポリヌクレオチドコンストラクトを含み、免疫細胞ゲノムに2つの二本鎖切断を導入する(例えば、欠失を促進するための)、本開示の方法で免疫細胞ゲノムに挿入配列を導入するための概略図を提供する。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1及びC2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。C1及びC2は、同じ配列であっても異なる配列であってもよい。H1及びH2は相同性アーム配列を表す。「挿入」は、ゲノムに挿入される配列を表す。コンストラクトは、Bに示されるゲノムの標的部位に挿入するように設計されている。C3及びC4は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これらのそれぞれは、C1及び/またはC2と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BにおけるH1及びH2は、ポリヌクレオチドコンストラクトにおけるH1及びH2に相同なゲノムの配列を表す。Cは、本開示の方法による挿入配列の導入後のゲノムを示している。
【0396】
【
図13】A~Cは、2つの相同性アーム及び2つの切断部位を有するポリヌクレオチドコンストラクトを含み、免疫細胞ゲノムに2つの二本鎖切断を導入する(例えば、欠失を促進するための)本開示の方法で免疫細胞ゲノムに欠失を生成するための概略図を提供する。Aは、ポリヌクレオチドコンストラクトを示す。C1及びC2は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列、例えば、CRISPR関連ヌクレアーゼによる切断のためのガイドRNAによって標的とされる配列を表す。C1及びC2は、同じ配列であっても異なる配列であってもよい。H1及びH2は相同性アーム配列を表す。コンストラクトは、Bに表される免疫細胞内の標的部位の修復鋳型として機能するように設計されている。C3及びC4は、ヌクレアーゼによる切断の標的となる配列を表し、これらのそれぞれは、C1及び/またはC2と同じ配列であっても異なる配列であってもよい。BのH1及びH2は、ポリヌクレオチドコンストラクト中のH1及びH2に相同なゲノム内の配列を表す。Cは、本開示の方法によって免疫細胞ゲノム中のH1及びH2にまたがる配列の欠失を生成するための修復鋳型としてのポリヌクレオチドコンストラクトの使用後のゲノムを示している。
【0397】
【
図14】培養培地中のDNアーゼの存在下または非存在下での、6ウェルディッシュ中のプラスミドドナーベクターを用いた活性化T細胞培養物のエレクトロポレーションの24時間後に撮影された画像を示す。この図は、DNアーゼの非存在下で細胞の凝集を明確に示しているが、DNアーゼを含む培養物では細胞の凝集は見られなかった。
【0398】
【
図15A】培養培地中のDNアーゼの存在下または非存在下でのプラスミドのエレクトロポレーションの24時間後のトランスフェクトされた細胞の回復パーセントを示す。
図2Bは、各条件における回復パーセントを定量化するグラフである。両方の図は、DNアーゼを含まない培養と比較して、DNアーゼを含む培養においてトランスフェクションが増加した後のリンパ球の生存率を示す。
【
図15B】DNアーゼ処理を用いる場合または用いない場合における、0日目または1日目のプラスミドドナーのエレクトロポレーション後14日目のGFP+細胞の発現パーセントを示す。DNアーゼを含まない培養と比較して、DNアーゼを含む培養において導入遺伝子の組み込みが増加したことを示す。
【
図15C】DNアーゼ処理を用いる場合または用いない場合における、0日目または1日目のプラスミドドナーのエレクトロポレーション後14日目のGFP+細胞の発現パーセントを示す。
【
図15D】DNアーゼ処理を用いる場合または用いない場合における、0日目または1日目のプラスミドドナーのエレクトロポレーション後14日目のmTCR+細胞の発現率を示す。DNアーゼを含まない培養と比較して、DNアーゼを含む培養において導入遺伝子の組み込みが増加したことを示す。
【0399】
【
図16】Aは、RS1、DNアーゼ、またはRS1及びDNアーゼの存在下または非存在下での、0日目または1日目のプラスミドドナー、Cas9、gRNAのエレクトロポレーション後14日目のGFP+細胞の発現パーセントを示す。Bは、RS1、DNアーゼ、またはRS1及びDNアーゼの存在下または非存在下での、0日目または1日目のプラスミドドナー、Cas9、gRNAのエレクトロポレーション後14日目のmTCR+細胞の発現パーセントを示す。結果は、RS1、及び/またはDnアーゼ処理による導入遺伝子発現の増加を示す。
【0400】
【
図17】Aは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1による刺激後0日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のGFP発現パーセントを示す。Bは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1(トランスフェクション後のみ)による刺激後0日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のmTCR発現パーセントを示す。Cは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1(トランスフェクション後またはトランスフェクション前とトランスフェクション後の両方)による刺激後1日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のGFP発現を示す。Dは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1(トランスフェクション後またはトランスフェクション前とトランスフェクション後の両方)による刺激後1日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のmTCR発現を示す。結果は、RS1、及び/またはDNアーゼ処理による導入遺伝子発現の増加を示す。
【0401】
【
図18】Aは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFPまたはmTCR)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1(トランスフェクション後のみ)による刺激後0日目にエレクトロポレーションされたT細胞の14日目のGFPまたはmTCR発現パーセントを示す。Bは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFPまたはmTCR)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1(トランスフェクション後またはトランスフェクション前とトランスフェクション後の両方)による刺激後1日目にエレクトロポレーションされたT細胞の14日目のGFPまたはmTCR発現パーセントを示す。結果は、RS1及び/またはDNアーゼ処理によるトランスフェクションの14日後に安定な導入遺伝子発現の増加を示す。
【0402】
【
図19】刺激の36時間後または刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの6時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー055330のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。結果は、両方の時点でRS1及び/またはDNアーゼ処理による導入遺伝子発現の増加を示しており、処理の持続的な効果を示唆している。
【0403】
【
図20】刺激の36時間後または刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの6時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー119866のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。結果は、両方の時点でRS1及び/またはDNアーゼ処理による導入遺伝子発現の増加を示しており、処理の持続的な効果を示唆している。
【0404】
【
図21】Aは、刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの24時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー055330及び119866のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。Bは、刺激の36時間後または刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの6時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー120534のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。結果は、両方の時点でRS1及び/またはDNアーゼ処理による導入遺伝子発現の増加を示しており、処理の持続的な効果を示唆している。
【0405】
【
図22】Aは、N-アセチルシステイン(NAC)、Akt VIII阻害剤(Akt Inh)、または抗IFNAR2抗体(IFN Ab)を用いる場合または用いない場合の、エレクトロポレーション後2日目の生存細胞計数(生存細胞の数)のグラフを示す。Bは、N-アセチルシステイン(NAC)、Akt VIII阻害剤(Akt Inh)、または抗IFNAR2抗体(IFN Ab)を用いる場合または用いない場合の、エレクトロポレーション後5日目の生存細胞計数(生存細胞の数)のグラフを示す。Cは、N-アセチルシステイン(NAC)、Akt VIII阻害剤(Akt Inh)、または抗IFNAR2抗体(IFN Ab)を用いる場合または用いない場合の、エレクトロポレーション後7日目の生存細胞計数(生存細胞の数)のグラフを示す。
【0406】
【
図23】Aは、N-アセチルシステイン(NAC)、Akt VIII阻害剤(Akt Inh)、または抗IFNAR2抗体(IFN Ab)を用いる場合または用いない場合の、エレクトロポレーション後2日目の生存細胞計数(生存細胞のパーセンテージ)のグラフを示す。Bは、N-アセチルシステイン(NAC)、Akt VIII阻害剤(Akt Inh)、または抗IFNAR2抗体(IFN Ab)を用いる場合または用いない場合の、エレクトロポレーション後5日目の生存細胞計数(生存細胞のパーセンテージ)のグラフを示す。Cは、N-アセチルシステイン(NAC)、Akt VIII阻害剤(Akt Inh)、または抗IFNAR2抗体(IFN Ab)を用いる場合または用いない場合の、エレクトロポレーション後7日目の生存細胞計数(生存細胞のパーセンテージ)のグラフを示す。
【0407】
【
図24】N-アセチルシステイン(NAC)、Akt VIII阻害剤(Akt Inh)、または抗IFNAR2抗体(IFN Ab)を用いる場合または用いない場合の、エレクトロポレーション後7日目のmTCR陽性細胞のパーセンテージのグラフを示す。図は、30または50μgの外因性ドナーDNAを使用した場合、対照培養と比較して、IFNAbを含有する培養で導入遺伝子の発現が増加したことを示している。
【0408】
【
図25】Aは、AAVS1を標的とする相同性アーム(HR)または一本鎖アニーリング(SSA)を含むAAVS1-GFPドナーを利用するエレクトロポレーション後に第2の刺激を受けた全生細胞のcytoflex結果を示す。Bは、エレクトロポレーション及びAAVS1-GFPドナーを用いてエレクトロポレーションした同じ細胞の二次刺激後のGFPのパーセントを示す。GFPを、エレクトロポレーション後7日目に測定した。エレクトロポレーションの約30分後に第2の刺激を加えた。
【0409】
【
図26A-1】RAD52、Exo1、RAD54B、Lig3、BRD、またはPolQのノックアウトを含むHCT1116細胞のフローサイトメトリープロットを示す。ノックアウトHCT1116細胞を、SSAまたはHRを介するAAVS1 SA-GFPドナーを用いてエレクトロポレーションし、エレクトロポレーション後10日目に結果が取得され、対象に対して正規化した。
【
図26B】野生型(WT)に正規化されたHRドナー鋳型のGFP発現の変化パーセントを示す。
【
図26C】野生型(WT)に正規化されたSSAドナー鋳型のGFP発現の変化パーセントを示す。
【0410】
【
図27】CARまたはTCRなどの細胞受容体を含む導入遺伝子などの導入遺伝子を、表1に提供される、免疫チェックポイント及び/またはTCRなどの例示的な遺伝子にノックインするための例示的な戦略の概略図である。
【0411】
【
図28】Aは、対照(パルスのみ)またはHR導入遺伝子ドナーのいずれかによるエレクトロポレーションの24時間、36時間、48時間、または72時間後の細胞周期のS期におけるT細胞のパーセントを示す。Bは、対照(パルスのみ)、HR SA-GFPドナー、またはSSA SA GFPミニサークル(MC)を用いたエレクトロポレーション後7日目のGFPパーセントを示す。Cは、対照(パルスのみ)またはSSA抗メソテリンCARミニサークル(MC)を用いたエレクトロポレーション後7日目のCAR(CD34+)パーセントを示す。GFP及びCARパーセントを、24時間、36時間、48時間、または72時間において、エレクトロポレーションした細胞と比較した。
【0412】
【
図29A】DNAセンサーのベースラインを超える倍率変化、それらのタイミング、及び36時間後の発現を示す。これは、X軸にマッピングされた細胞周期と合致する。約36時間のトランスフェクションゾーンは、影付きのボックスとして示される。
【
図29B】刺激後24、36、48、及び72時間での2つのT細胞ドナーのS期におけるT細胞のパーセントを示す。
【
図29C】抗CD3及び抗CD28を含む抗CD3及び抗CD28コーティングビーズを使用して刺激され、SA-GFPプラスミド単独(プラスミド対照)によりまたはCas9及びAAVS1 gRNA(HR)と組み合わせたSAドナーによりエレクトロポレーションされたT細胞の、刺激後24時間、36時間、48時間、または72時間でのGFPパーセントを示す。
【0413】
【
図30】Aは、抗CD3及び抗CD28コーティングビーズで36時間刺激し、ドナープラスミド単独によりまたはCRISPR Cas9試薬と組み合わせてエレクトロポレーションされたT細胞における完全なGFP発現を示す。HRカーゴとHMEJカーゴはどちらも、AAVS1に組み込まれたSA-GFPコンストラクトである。プラスミドは、単独で、またはCas9 mRNA及びAAVS1 gRNA(HR)と組み合わせて、またはHMEJの場合、Cas9 mRNA及びAAVS1 gRNA及びユニバーサルgRNAと組み合わせて、提供された。コンストラクトには1kbの挿入カーゴが含まれている。
図30Bは、プラスミド対象と比較した、HR-mTCRまたはSSA-mTCR(HMEJ)を介してトランスフェクトされたマウスTCR(KRAS G12D TCR)挿入の発現パーセントを示す。簡単に説明すると、T細胞を、抗CD3及び抗CD28コーティングビーズで36時間刺激し、ドナープラスミド単独によりまたはCRISPR Cas9試薬と組み合わせてエレクトロポレーションした。HRとHMEJカーゴはどちらも、1kbの相同性(HRの場合)と48bpの相同性(HMEJ)を有するMND-抗KRAS TCRである。プラスミドは、単独で、またはCas9 mRNA及びAAVS1 gRNA(HR)と組み合わせて、またはHMEJの場合、Cas9 mRNA、AAVS1 gRNA及びユニバーサルgRNAと組み合わせて、提供された。
【0414】
【
図31A】非ウイルス性細胞製造の例示的なワークフローを示す。(1)T細胞を単離及び精製する(2)ビーズ及び/または好適な刺激抗体の添加によりT細胞を活性化させる(3)活性化ビーズを除去する(4)活性化T細胞をエレクトロポレーションする(5)改変細胞を増殖させる。
【
図31B】
図31Aの例示的なワークフローを使用して製造され、プラスミド対照、HR、またはHMEJコンストラクトでエレクトロポレーションされた細胞の増殖倍率を示す。
【
図31C】エレクトロポレーション後の第2のビーズ添加によって示されるような、追加の刺激を含む例示的な任意のワークフローを示す。
【0415】
【
図32A】プラスミド対象と比較した、HR-mTCRまたはSSA-mTCR(HMEJ)導入遺伝子を介して送達されたマウスTCR(KRAS G12D TCR)挿入でエレクトロポレーションされたT細胞の増殖倍率を示す。再刺激されたSSA-mTCR(HMEJ)細胞も示されている。
【
図32B】SSA-mTCR(HMEJ)導入遺伝子またはSSA-mTCR(HMEJ)導入遺伝子でトランスフェクトされ、対象(パルスのみ)と比較して再刺激された細胞の抗メソテリンCAR発現(CD34発現)のパーセントを示す。
【0416】
【
図33】プラスミドのみ、プラスミド、Cas9 mRNA、及びAAVS1 gRNA(HR)、またはHMEJの場合プラスミド、cas9 mRNA、AAVS1 gRNA、及びユニバーサルgRNAでエレクトロポレーションされたCD4及びCD8細胞のGFP発現を示す。
【0417】
【
図34】Aは、ドナーのみ(対照)、長さ48から、100、250、500、750、または1000塩基対の相同性アームを含むSA-eGFP-pA(HR)、またはSA-eGFP-pA(HMEJ)コンストラクトでエレクトロポレーションされたT細胞のノックインパーセントを示す。Bは、Aに記載されるように、相同性アーム長を増加させて、SA-eGFP-pA(HR)またはSA-eGFP-pA(HMEJ)コンストラクトを使用する標的化組み込み率を示す棒グラフを示す。
【0418】
【
図35A】追加の刺激がある場合及びない場合で、相同性アームの長さを増加させて、ドナーのみ(対照)、SA-eGFP-pA(HR)、またはSA-eGFP-pA(HMEJ)コンストラクトを使用した標的化組み込み後の細胞増殖を示す。
【0419】
【
図36】例示的な臨床ワークフローを示している。提供されるワークフローは、本明細書に記載されるように、T細胞の追加の刺激を含むように修正することができる。
【発明を実施するための形態】
【0420】
序文
遺伝子編集された免疫細胞は、がん、自己免疫障害、炎症性障害、及び感染症など、さまざまな疾患の潜在的な治療法として大きな期待が寄せられている。この可能性を実現するには、細胞の生存能力を維持しながら、免疫細胞ゲノムに所望の改変を効率的に導入するための技術が必要である。本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態では、遺伝子編集された免疫細胞、免疫細胞を遺伝子編集する改良された方法、及び治療の方法である。免疫細胞ゲノムに導入することができる改変には、例えば、挿入、欠失、配列置換(例えば、置換)、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0421】
免疫細胞を遺伝子編集する多くの既存の方法は、相同組換え経路に依存している。例えば、二本鎖切断をゲノムに導入することができ、相同組換えを介して二本鎖切断を直接修復するために修復鋳型が提供される。相同組換えを介して直接修復するために、修復鋳型は長い相同性アーム(例えば、約500~1500塩基対の相同性アーム)を必要とし得る。相同組換えによる修復に依存する方法は、例えば、必要な相同性アームのサイズ、修復の効率、またはそれらの組み合わせのために、制限を有する可能性がある。本明細書に開示される方法において、二本鎖切断は、修復鋳型ならびにゲノムの標的部位に導入することができる。これにより、代替または追加の修復経路、例えば、末端切除を含む経路、修復鋳型に短い相同性アームのみを必要とする経路、またはそれらの組み合わせを介して修復鋳型を組み込むことができる。利用することができる代替または追加の修復経路の非限定的な例としては、一本鎖アニーリング、相同性媒介末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合、代替末端結合、及びそれらの組み合わせを含む経路が含まれる。
【0422】
本明細書に開示される方法には、免疫細胞を編集する既存の方法に勝る利点、例えば、より高い編集効率、編集細胞のより高い生存率、編集細胞のより大きな集団を生成する能力、増強された増殖能力を有する編集細胞を生成する能力、及び/またはエフェクター機能、より小さな修復鋳型コンストラクトを使用する能力(例えば、より短い相同性アームを含む)、より大きな配列を免疫細胞ゲノムに導入する能力(例えば、より高い効率で)、免疫細胞ゲノムに複数の改変(例えば、挿入、欠失、置換、及び/または他の改変)を導入する能力、及びそれらの組み合わせ、があり得る。
【0423】
遺伝子改変細胞
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態では、遺伝子編集された細胞、及び細胞を編集する方法である。いくつかの実施形態では、細胞は、腎臓細胞、肝細胞、膵臓細胞、血液細胞、免疫細胞、リンパ球、心臓細胞、肺細胞、幹細胞、卵巣細胞、前立腺細胞、筋肉細胞、腱細胞、靭帯細胞、心臓細胞、骨細胞、骨髄細胞、角膜細胞、網膜細胞、軟骨細胞、内皮細胞、子宮頸部細胞、乳房細胞、神経系細胞、脊髄細胞、脳細胞、ニューロン、皮膚細胞、上皮細胞、胃腸細胞、ホルモン分泌細胞、膵臓β細胞、甲状腺細胞、胸腺細胞、外分泌細胞、及び副甲状腺細胞を含む。
【0424】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態では、遺伝子編集された免疫細胞、及び免疫細胞を編集する方法である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、リンパ球、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、アルファ-ベータT細胞、ガンマ-デルタT細胞、T制御性細胞(Treg)、細胞傷害性Tリンパ球、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞、Th9細胞、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、エフェクターT細胞、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、レジデントメモリーT細胞(TRM)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラー細胞(NK)、自然リンパ球(ILC)、B細胞、B1細胞、B1a細胞、B1b細胞、B2細胞、形質細胞、制御性B細胞、抗原提示細胞(APC)、単球、マクロファージ、M1マクロファージ、M2マクロファージ、樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、好中球、肥満細胞、またはそれらの組み合わせ、を含む。
【0425】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞株である。例えば、細胞株は、変異を受け、培養で広範囲に増殖する能力を獲得した細胞の集団であり得る。
【0426】
本開示の免疫細胞は、ヒト哺乳動物細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、ヒト免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、マウス免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、ラット免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、ウサギ免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、ヤギ免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、非ヒト霊長類免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、ブタ免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、ラマ免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、ヤギ免疫細胞であり得る。本開示の免疫細胞は、遺伝子改変動物からの免疫細胞であり得る。
【0427】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、初代細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞の遺伝子編集は、エクスビボまたはインビトロで実施することができる。例えば、初代細胞は、ドナー生物から採取され、遺伝子編集され、レシピエント生物に注入されるか、またはドナー生物に戻され得る。いくつかの実施形態では、初代細胞の遺伝子編集は、生物内で(例えば、インビボで)実施することができる。
【0428】
ポリ核酸コンストラクト
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態では、免疫細胞を遺伝子編集する方法、例えば、免疫細胞に挿入、欠失、配列置換、及びそれらの組み合わせを導入する方法である。ポリ核酸コンストラクトは、本開示の方法において使用され得る、例えば、免疫細胞ゲノムにおける二本鎖切断の修復を誘導するための修復鋳型を提供するために使用され得る。修復鋳型は、修復プロセスのある特定のアウトカム、例えば、挿入、欠失、置換配列、またはそれらの任意の組み合わせを含む修復されたゲノムに有利になり得る。
【0429】
ポリ核酸コンストラクトは、例えば、ヌクレアーゼによる切断の標的となり得る(例えば、ガイドRNA及びCas9によって標的とされ得る)1つ以上の相同性アーム及び1つ以上の切断部位を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、挿入配列を含む。
【0430】
本明細書に開示される方法において、二本鎖切断は、修復鋳型ならびにゲノムの標的部位に導入することができる。これにより、代替または追加の修復経路、例えば、末端切除を含む経路、修復鋳型に短い相同性アームのみを必要とする経路、またはそれらの組み合わせを介して修復鋳型を組み込むことができる。利用することができる代替または追加の修復経路の非限定的な例としては、一本鎖アニーリング、相同性媒介末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合、代替末端結合、及びそれらの組み合わせを含む経路が含まれる。
【0431】
ポリ核酸コンストラクトは、DNA、RNA、化学改変されたヌクレオチド、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、DNAを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸はRNAである。いくつかの実施形態では、ポリ核酸はRNAを含み、相補的DNAに逆転写することができる。いくつかの実施形態では、ポリ核酸は、DNAミニサークルを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、プラスミドを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸は、線状DNA、例えば、PCR産物、DNAミニサークルまたはプラスミドから遊離した線状DNA、または合成的に生成されたDNAを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、環状RNAを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、化学的改変を含む(例えば、本明細書に開示されるような)。
【0432】
いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、ウイルスベクターに含まれる。例示的なウイルスベクターには、レンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)、アデノウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、アルファウイルスベクター、フラビウイルスベクター、ラブドウイルスベクター、はしかウイルスベクター、ニューカッスル病ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、及びピコルナウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、AAVウイルスベクターに含まれる。
【0433】
本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態では、免疫細胞ゲノムに複数の改変(例えば、挿入及び欠失、複数の挿入、複数の欠失、挿入及び複数の欠失、複数の挿入及び欠失、または複数の挿入及び複数の欠失)を導入する方法である。
【0434】
挿入配列
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、免疫細胞のゲノムへの挿入配列の挿入を可能にするか、または免疫細胞のゲノムへの挿入配列の挿入を含む。いくつかの実施形態では、挿入配列は、ポリ核酸、例えば、DNA配列である。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、挿入配列を含む。
【0435】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、少なくとも10bp、20bp、30bp、40bp、50bp、60bp、70bp、80bp、90bp、100bp、150bp、200bp、250bp、300bp、400bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、20kb、50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、600kb、700kb、800kb、900kb、1000kb、またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、挿入配列は、0.5kb、1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb、20kb、50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、600kb、700kb、800kb、900kb、または1000kbよりも大きい。
【0436】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、約500bp~500kb、500bp~400kb、500bp~300kb、500bp~200kb、500bp~100kb、500bp~50kb、500bp~40kb、500bp~30kb、500bp~20kb、500bp~10kb、500bp~9kb、500bp~8kb、500bp~7kb、500bp~6kb、500bp~5kb、500bp~4kb、500bp~3kb、500bp~2kb、または500bp~1kbである。いくつかの実施形態では、挿入配列は、約1kb~500kb、1kb~400kb、1kb~300kb、1kb~200kb、1kb~200kb、1kb~100kb、1kb~90kb、1kb~80kb、1kb~70kb、1kb~60kb、1kb~50kb、1kb~40kb、1kb~30kb、1kb~20kb、1kb~10kb、1kb~9kb、1kb~8kb、1kb~7kb、1kb~6kb、1kb~5kb、1kb~4kb、1kb~3kb、また1kb~2kbである。いくつかの実施形態では、挿入配列は、約2kb~500kb、2kb~400kb、2kb~300kb、2kb~200kb、2kb~200kb、2kb~100kb、2kb~90kb、2kb~80kb、2kb~70kb、2kb~60kb、2kb~50kb、2kb~40kb、2kb~30kb、2kb~20kb、1kb~10kb、2kb~9kb、2kb~8kb、2kb~7kb、2kb~6kb、2kb~5kb、2kb~4kb、または2kb~3kbである。いくつかの実施形態では、挿入配列は、約3kb~500kb、3kb~400kb、3kb~300kb、3kb~200kb、3kb~200kb、3kb~100kb、3kb~90kb、3kb~80kb、3kb~70kb、3kb~60kb、3kb~50kb、3kb~40kb、3kb~30kb、3kb~20kb、1kb~10kb、3kb~9kb、3kb~8kb、3kb~7kb、3kb~6kb、3kb~5kb、または3kb~4kbである。いくつかの実施形態では、挿入配列は、約4kb~500kb、4kb~400kb、4kb~300kb、4kb~200kb、4kb~200kb、4kb~100kb、4kb~90kb、4kb~80kb、4kb~70kb、4kb~60kb、4kb~50kb、4kb~40kb、4kb~30kb、4kb~20kb、1kb~10kb、4kb~9kb、4kb~8kb、4kb~7kb、4kb~6kb、または4kb~5kbである。いくつかの実施形態では、挿入配列は、約5kb~500kb、5kb~400kb、5kb~300kb、5kb~200kb、5kb~200kb、5kb~100kb、5kb~90kb、5kb~80kb、5kb~70kb、5kb~60kb、5kb~50kb、5kb~40kb、5kb~30kb、5kb~20kb、1kb~10kb、5kb~9kb、5kb~8kb、5kb~7kb、または5kb~6kbである。いくつかの実施形態では、挿入配列は、約10kb~500kb、10kb~400kb、10kb~300kb、10kb~200kb、10kb~200kb、10kb~100kb、10kb~90kb、10kb~80kb、10kb~70kb、10kb~60kb、10kb~50kb、10kb~40kb、10kb~30kb、または10kb~20kbである。いくつかの実施形態では、挿入配列は、約30kb~500kb、30kb~400kb、30kb~300kb、30kb~200kb、30kb~200kb、30kb~100kb、30kb~90kb、30kb~80kb、30kb~70kb、30kb~60kb、30kb~50kb、または30kb~40kbである。
【0437】
いくつかの実施形態では、挿入配列はタンパク質をコードしない。いくつかの実施形態では、挿入配列は、500bp、400bp、300bp、200bp、100bp、50bp、40bp、30bp、20bp、10bp 5bp、4bp、3bp、または2bp未満である。
【0438】
挿入配列は、例えば、非コード配列、RNAをコードする配列、タンパク質をコードする配列、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、挿入配列は機能性タンパク質をコードしない。いくつかの実施形態では、挿入配列はタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は機能性タンパク質をコードする。
【0439】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、少なくとも1つのタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、膜タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、膜貫通タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、膜貫通型受容体タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、細胞内タンパク質(例えば、細胞質または核タンパク質)をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、分泌タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、キメラタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、融合タンパク質をコードする。
【0440】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、免疫細胞の表面上に発現する受容体(例えば、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、アルファ-ベータT細胞、ガンマ-デルタT細胞、T制御性細胞(Treg)、細胞傷害性Tリンパ球、メモリーT細胞、エフェクターT細胞、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、レジデントメモリーT細胞(TRM)、ナイーブT細胞、B細胞、形質細胞、NK細胞、NK T細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、抗原提示細胞、好中球、または腫瘍浸潤リンパ球、の表面に発現する受容体)をコードする。
【0441】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、T細胞受容体(TCR)またはその機能的部分をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、キメラ抗原受容体(CAR)またはその機能的部分をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、B細胞受容体またはその機能的部分をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、ケモカイン受容体をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、サイトカイン受容体をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、1つ以上の抗原認識ドメイン(例えば、TCR、BCR、抗体またはその抗原結合断片、DARPinなどの抗原認識ドメイン)、1つ以上の膜貫通ドメイン、及び1つ以上のシグナル伝達ドメイン(例えば、TCR、BCR、免疫共受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、免疫受容体チロシンベースの阻害ドメイン(ITIM)、免疫受容体チロシンベースの活性化ドメイン(ITAM)、免疫チェックポイント遺伝子、またはそれらの組み合わせからのシグナル伝達ドメイン)、を含む融合タンパク質をコードする。
【0442】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、がん細胞によって発現する抗原またはネオ抗原に特異的に結合する受容体をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、がん細胞によって発現する抗原またはネオ抗原に特異的に結合する受容体をコードする。いくつかの実施形態では、抗原またはネオ抗原は、がん遺伝子または腫瘍抑制遺伝子(例えば、変異腫瘍抑制遺伝子)に由来する。いくつかの実施形態では、抗原は、T細胞エピトープを含む。いくつかの実施形態では、がんは、固形腫瘍、血液癌、または軟組織癌である。いくつかの実施形態では、がん細胞は、膀胱癌、上皮癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、結腸直腸癌、食道癌、胃腸癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、骨髄腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、甲状腺癌、急性リンパ球性癌、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、肛門管、直腸癌、眼癌、頸部癌、胆嚢癌、胸膜癌、口腔癌、外陰癌、結腸癌、子宮頸癌、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、腹膜癌、腎癌、皮膚癌、小腸癌、胃癌、精巣癌、及び甲状腺癌、からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がん細胞は、胃腸癌、乳癌、リンパ腫、及び前立腺癌からなる群から選択される。
【0443】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、病原体によって発現する抗原に特異的に結合するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、病原体によって発現する抗原に特異的に結合する受容体(例えば、免疫受容体)をコードする。いくつかの実施形態では、抗原は、T細胞エピトープを含む。いくつかの実施形態では、病原体は、細菌、ウイルス、真菌、酵母、寄生虫(例えば、単細胞もしくは多細胞の真核生物の寄生虫)、または他の微生物である。
【0444】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、疾患(例えば、炎症性または自己免疫疾患)に関連する抗原に特異的に結合するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、疾患に関連する抗原に特異的に結合する受容体(例えば、免疫受容体)をコードする。いくつかの実施形態では、抗原は、T細胞エピトープを含む。いくつかの実施形態では、疾患は、急性散在性脳脊髄炎、急性運動性軸索ニューロパチー、アジソン病、ドロローサ脂肪症、成人発症スティル病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗糸球体基底膜腎炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎、抗n-メチル-d-アスパラギン酸受容体脳炎、抗リン脂質抗体症候群、抗合成酵素症候群、再生不良性貧血、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性脳炎、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性卵胞炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性ポリエンドクリン症候群、自己免疫性ポリエンドクリン症候群2型、自己免疫性ポリエンドクリン症候群3型、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロ同心性硬化症、ベーチェット病、ビッカースタフ脳炎、水疱性類天疱瘡、セリアック病、慢性疲労症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ・シュトラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、複合性局所疼痛症候群、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、真性糖尿病1型、円板状エリテマトーデス、子宮内膜症、腱付着部炎、腱付着部炎関連関節炎、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、必須混合クリオグロブリン血症、エヴァンス症候群、フェルティ症候群、線維筋痛症、胃炎、妊娠性類天疱瘡、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、バセドウ病、グレーブス眼症、ギランバレー症候群、橋本脳症、橋本甲状腺炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病、化膿性汗腺炎、特発性増殖型心筋症、特発性炎症性脱髄性疾患、IgA腎症、IgG4関連全身性疾患、封入体筋炎、炎症性腸疾患、中間部ぶどう膜炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、ランバート・イートン筋無力症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA病、ループス腎炎、ループス血管炎、ライム病(慢性)、メニエール病、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、限局性強皮症、ミュシャ・ハーバーマン病、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、筋炎、視神経脊髄炎、神経性筋硬直症、オプソクローヌスミオクローヌス症候群、視神経炎、オード甲状腺炎、パリンドロームリウマチ、傍腫瘍性小脳変性症、パリーロンバーグ病症候群、パーソネイジ・ターナー症候群、連鎖球菌に関連する小児自己免疫性神経精神障害、尋常性天疱瘡、悪性貧血、急性苔癬状痘瘡状粃糠疹、poems症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性免疫不全症、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性ニューロパチー、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、再発性多発性軟骨炎、むずむず脚症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、リウマチ性血管炎、サルコイドーシス、シュニッツラー症候群、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スザック症候群、シデナム舞踏病、交感神経性眼炎、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、血小板減少症、トロサハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、蕁麻疹、蕁麻疹性血管炎、血管炎、または白斑、である。
【0445】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、サイトカイン受容体またはその機能的部分(例えば、サイトカイン認識ドメインまたはシグナル伝達ドメイン)をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、4-1BBL、APRIL、CD153、CD154、CD178、CD70、G-CSF、GITRL、GM-CSF、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-1RA、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-20、IL-23、LIF、LIGHT、LT-β、M-CSF、MSP、OSM、OX40L、SCF、TALL-1、TGF-β、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TNF-α、TNF-β、TRAIL、TRANCE、TWEAKの受容体、それらの機能的部分、またはそれらの組み合わせをコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、共通ガンマ鎖受容体、共通ベータ鎖受容体、インターフェロン受容体、TNFファミリー受容体、TGF-B受容体、それらの機能的部分、またはそれらの組み合わせをコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、Apo3、BCMA、CD114、CD115、CD116、CD117、CD118、CD120、CD120a、CD120b、CD121、CD121a、CD121b、CD122、CD123、CD124、CD126、CD127、CD130、CD131、CD132、CD212、CD213、CD213a1、CD213a13、CD213a2、CD25、CD27、CD30、CD4、CD40、CD95(Fas)、CDw119、CDw121b、CDw125、CDw131、CDw136、CDw137(41BB)、CDw210、CDw217、GITR、HVEM、IL-11R、IL-11Ra、IL-14R、IL-15R、IL-15Ra、IL-18R、IL-18Rα、IL-18Rβ、IL-20R、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-9R、LIFR、LTβR、OPG、OSMR、OX40、RANK、TACI、TGF-βR1、TGF-βR2、TGF-βR3、TRAILR1、TRAILR2、TRAILR3、TRAILR4、それらの機能的部分、またはそれらの組み合わせ、をコードする。
【0446】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、ケモカインまたはその機能的部分(例えば、ケモカイン受容体に結合する部分)をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、ACT-2、AMAC-a、ATAC、ATAC、BLC、BCA-1、BRAK-、CCL1、CCL11、CCL13、CCL14、CCL15、CCL16、CCL17、CCL18、CCL19、CCL2、CCL20、CCL21、CCL22、CCL23、CCL24、CCL25、CCL26、CCL27、CCL3、CCL4、CCL5、CCL7、CCL8、CKb-6、CKb-8、CTACK、CX3CL1、CXCL1、CXCL10、CXCL11、CXCL12、CXCL13、CXCL14、CXCL2、CXCL3、CXCL4、CXCL5、CXCL6、CXCL7、CXCL8、CXCL9、DC-CK1、ELC、ENA-78+、エオタキシン、エオタキシン-2、エオタキシン-3、エスキン、エクソダス-1、エクソダス-2、エクソダス-3、フラクタルカイン、GCP-2+、GROa、GROb、GROg、HCC-1、HCC-2、HCC-4、I-309、IL-8、ILC、IP-10-、I-TAC-、LAG-1、LARC、LCC-1、LD78α、LEC、Lkn-1、LMC、リンフォアクチン、リンフォアクチンb、MCAF、MCP-1、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MDC、MDNCF+、MGSA-a、MGSA-b、MGSA-g、Mig-、MIP-1d、MIP-1α、MIP-1β、MIP-2a+、MIP-2b+、MIP-3、MIP-3α、MIP-3β、MIP-4、MIP-4a、MIP-5、MPIF-1、MPIF-2、NAF、NAP-1、NAP-2、オンコスタチンA-、PARC、PF4、PPBP+、RANTES、SCM-1a、SCM-1b、SDF-1α/β-、SLC、STCP-1、TARC、TECK、XCL1、XCL2、それらの機能的部分、またはそれらの組み合わせ、をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CX3CR1、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、XCR1、XCR1、それらの機能的部分、またはそれらの組み合わせ、をコードする。
【0447】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、転写因子(例えば、免疫遺伝子の発現、免疫細胞機能、免疫細胞分化、またはそれらの組み合わせに影響を与える転写因子)をコードする。本開示の挿入配列によってコードされ得る転写因子の例には、AP-1、Bcl6、E2A、EBF、Eomes、FoxP3、GATA3、Id2、Ikaros、IRF、IRF1、IRF2、IRF3、IRF3、IRF7、NFAT、NFkB、Pax5、PLZF、PU.1、ROR-ガンマ-T、STAT、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5、STAT5A、STAT5B、STAT6、T-bet、TCF7、及びThPOKが含まれるが、これらに限定されない。
【0448】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、転写因子をコードし、薬物応答性ドメインを含む融合タンパク質(例えば、薬物によって活性化または不活性化され得るタンパク質)をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は酵素をコードする。
【0449】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、抗体、抗原結合タンパク質、またはそれらの機能的部分をコードする。例えば、挿入配列は、抗体重鎖、軽鎖、またはそれらの組み合わせ(例えば、IgM、IgG、IgD、IgE、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1またはIgA2からの重鎖または軽鎖)をコードすることができる。挿入配列は、好適な抗体特性、例えば、本明細書に開示されるような疾患または状態を治療するための好適な特性を提供するために選択または改変される定常領域またはFc領域を有する抗体をコードし得る。いくつかの実施形態では、IgG1は、例えば、免疫活性化エフェクター機能(例えば、がんの治療のためのADCC、ADCP、CDC、ITAMシグナル伝達、サイトカイン誘導、またはそれらの組み合わせ)を促進するために使用することができる。いくつかの実施形態では、IgG4は、例えば、免疫エフェクター機能の非存在下で抗体の拮抗的特性が望ましい場合に使用することができる。
【0450】
挿入配列は、標的抗原、例えば、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)またはアプタマーに結合することができる非抗体産物をコードすることができる。
【0451】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、抗体または抗体由来タンパク質の機能的部分をコードすることができる。例えば、挿入配列は、1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含むタンパク質をコードすることができる。挿入配列は、抗体に由来する1つ以上の可変領域を含むタンパク質をコードすることができる。抗体及び抗体由来タンパク質の機能的部分の非限定的な例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabコンジュゲートの二量体及び三量体、Fv、scFv、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ、線状抗体が含まれる。Fab及びFab’は、ジスルフィド結合を介して軽鎖のVL及びCLドメインに連結された重鎖のVH及びCH1ドメインを含むことができる抗原結合断片である。AF(ab’)2は、ジスルフィド結合によって結合された2つのFabまたはFab’を含むことができる。Fvは、非共有相互作用によって結合されたVHドメイン及びVLドメインを含むことができる。scFv(単鎖可変断片)は、ペプチドリンカーによって接続されたVHドメイン及びVLドメインを含むことができる融合タンパク質である。VH及びVLドメインの配向及びリンカー長さの操作を使用して、単量体、二量体(ダイアボディ)、三量体(トリアボディ)、または四量体(テトラボディ)であり得るさまざまな形態の分子を作成することができる。
【0452】
挿入配列は、1つ以上の抗原結合領域を含む融合タンパク質をコードすることができる。挿入配列は、2つ以上の抗原結合領域を含む融合タンパク質をコードすることができる。例えば、挿入配列は、多重特異性抗原結合タンパク質をコードすることができる。いくつかの実施形態では、多重特異性抗原結合タンパク質は、がん抗原及び免疫細胞抗原に結合することができ、それにより、免疫細胞をがん細胞に誘導することができる。免疫細胞抗原は、例えば、T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、アルファ-ベータT細胞、ガンマ-デルタT細胞、制御性T細胞(Treg)、細胞傷害性Tリンパ球、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞、Th9細胞、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、エフェクターT細胞、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、セントラルメモリーT細胞(TCM)、レジデントメモリーT細胞(TRM)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラー細胞(NK)、自然リンパ球(ILC)、B細胞、B1細胞、B1a細胞、B1b細胞、B2細胞、形質細胞、制御性B細胞、抗原提示細胞(APC)、単球、マクロファージ、M1マクロファージ、M2マクロファージ、樹状細胞、形質細胞様樹状細胞、好中球、肥満細胞、またはそれらの組み合わせ、に存在することができる。多重特異性抗原結合タンパク質は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個以上の抗原結合部位を含む。多重特異性抗原結合タンパク質は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の異なる標的抗原に対する結合特異性を含むことができる。
【0453】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、T細胞受容体、B細胞受容体、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、NK細胞受容体、NK T細胞受容体、樹状細胞受容体、マクロファージ受容体、または単球受容体をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、TCRまたはCARをコードする。
【0454】
場合によっては、挿入配列はCARをコードする。一態様では、CARは、CD3ゼータ鎖(第1世代CARと呼ばれることもある)を含む。別の態様では、CARは、CD-3ゼータ鎖及び単一の共刺激ドメイン(例えば、CD28または4-1BB)(第2世代CARと呼ばれることもある)を含む。別の態様では、CARは、CD-3ゼータ鎖及び2つの共刺激ドメイン(CD28/OX40またはCD28/4-1BB)(第3世代CARと呼ばれることもある)を含む。CD8などの補助受容体とともに、これらの種々のシグナル伝達鎖は、遺伝子転写及び機能的細胞応答を支持するするキナーゼ経路の下流の活性化を生み出すことができる。
【0455】
CARは、細胞外標的指向性ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含み得る。CARは、少なくとも第1の結合部分を含むことができる。結合部分の非限定的な例としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはそれらの機能的誘導体、バリアントまたは断片が挙げられるが、これらに限定されず、例えば、限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv(scFv)、ミニボディ、ダイアボディ、及び単一ドメイン抗体、例として重鎖可変ドメインなどの(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。CARは一般に、単鎖抗体に由来する標的指向性ドメイン、ヒンジドメイン(H)またはスペーサー、原形質膜への足場を提供する膜貫通ドメイン(TM)、及びT細胞活性化に関与するシグナル伝達ドメインを含む。
【0456】
一態様では、CARなどの本明細書で提供される受容体は、ヒンジをさらに含む。ヒンジは、CARの任意の領域に位置することができる。一態様では、ヒンジは、結合部分と膜貫通領域との間に位置する。別の態様では、対象のCARは、ヒンジまたはスペーサーを含む。ヒンジまたはスペーサーは、結合部分と膜貫通ドメインとの間のセグメントを指すことができる。いくつかの実施形態では、ヒンジを使用して、標的指向性部分、例えば、scFvに柔軟性を提供することができる。いくつかの実施形態では、例えば、scFvを検出するための抗体が機能的でないかまたは利用可能でない場合、ヒンジを使用して、細胞の表面上のCARの発現を検出することができる。場合によっては、ヒンジは免疫グロブリン分子に由来し、標的上の最初のエピトープまたは2番目のエピトープの位置に応じて最適化が必要になることがある。場合によっては、ヒンジは免疫グロブリン分子ではなく、CD8アルファ分子のネイティブヒンジなどの別の分子に属していることがある。CD8アルファヒンジは、CD8補助受容体とMHC分子の相互作用において多くの役割を果たすシステイン及びプロリン残基を含有し得る。いくつかの実施形態では、システイン及びプロリン残基は、CARの性能に影響を与える可能性があり、したがって、CARの性能に影響を与えるように操作され得る。I、
【0457】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるヒンジは、任意の好適な長さであり得る。いくつかの実施形態では、例えばCARで使用されるヒンジは、サイズ調整可能であり得、CAR発現細胞と標的細胞との間の直交シナプス距離を正規化する際にある程度補償することができる。CAR発現細胞と標的細胞の間の免疫シナプスのこのトポグラフィーは、ヒンジCARが短く、シナプス距離をシグナル伝達の近似値にすることができない、細胞表面標的分子上の膜遠位エピトープのために、CARによって機能的に架橋できない距離を定義することもできる。同様に、シグナル伝達出力が長いヒンジCARの状況でのみ観察される膜近位CAR標的抗原エピトープが記述されている。本明細書に開示されるヒンジは、使用することができる一本鎖可変断片領域に従って調整することができる。いくつかの実施形態では、ヒンジは、CD28、IgG1、及び/またはCD8αからのものである。
【0458】
場合によっては、CARの結合部分は、膜貫通ドメインを介して細胞内シグナル伝達ドメインに連結することができる。膜貫通ドメインは、膜貫通セグメントであり得る。CARの膜貫通ドメインは、CARを細胞、例えば免疫細胞の原形質膜に固定することができる。いくつかの実施形態では、膜貫通セグメントは、ポリペプチドを含む。CARの標的指向性部分と細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ポリペプチドは、任意の好適なポリペプチド配列を有することができる。場合によっては、膜貫通ポリペプチドは、内因性または野生型の膜貫通タンパク質の膜貫通部分のポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ポリペプチドは、内因性または野生型の膜貫通タンパク質の膜貫通部分と比較して、少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のアミノ酸置換、欠失、及び挿入を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ポリペプチドは、ポリペプチドリンカーの配列などの非天然ポリペプチド配列を含む。ポリペプチドリンカーは、柔軟であっても剛性であってもよい。ポリペプチドリンカーは、構造化されていても構造化されていなくてもよい。いくつかの実施形態では、膜貫通ポリペプチドは、細胞外標的指向性部分から細胞内領域にシグナルを伝達する。一態様では、対象CARは、標的指向性部分を細胞内領域に接続する膜貫通領域を含むことができる。膜貫通領域は、外因性細胞膜貫通領域からのものであるか、またはそれに由来する可能性がある。種々の膜貫通領域が当技術分野で知られており、免疫細胞受容体からのものであり得る。一態様では、膜貫通ドメインは、T細胞受容体(TCR)のアルファ鎖、TCRのベータ鎖、CD3イプシロン、CD8、CD4、CD5、CD9、CD16、CD22、CD28、CD33、CD37、CD45、CD64、CD86、CD134、CD137、PD-1、及び/またはCD152からのものである。場合によっては、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジを含む様々なヒトヒンジを使用することもできる。CD28のネイティブ膜貫通部分を、CARで使用することができる。他の場合には、CD8アルファのネイティブ膜貫通部分も対象のCARで使用することができる。一態様では、膜貫通ドメインは、TCRのアルファ鎖からのものである。一態様では、膜貫通ドメインはCD8からのものであり、CD8αである。一実施形態では、膜貫通ドメインは合成であり得、その場合、それは、ロイシン及びバリンなどの主に疎水性の残基を含む。好ましくは、フェニルアラニン、トリプトファン、及びバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見出される。
【0459】
対象の融合タンパク質のCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞シグナル伝達に関与するシグナル伝達ドメイン、またはその任意の誘導体、バリアント、または断片を含むことができる。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CARを構成する免疫細胞の活性を誘導することができる。細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能シグナルを伝達し、特殊な機能を実行するように細胞を誘導することができる。シグナル伝達ドメインは、他の分子のシグナル伝達ドメインを含むことができる。通常、別の分子のシグナル伝達ドメインをCARで使用することができるが、多くの場合、全鎖を使用する必要はない。場合によっては、シグナル伝達ドメインの短縮部分が、対象の融合タンパク質のCARで使用される。
【0460】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞シグナル伝達に関与する複数のシグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の誘導体、バリアント、または断片を含む。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも2つの免疫細胞シグナル伝達ドメイン、例えば、少なくとも2、3、4、5、7、8、9、または10の免疫細胞シグナル伝達ドメインを含み得る。免疫細胞シグナル伝達ドメインは、刺激的な方法または阻害的な方法のいずれかで、TCR複合体の一次活性化の調節に関与することができる。細胞内シグナル伝達ドメインは、TCR複合体のシグナル伝達ドメインであり得る。対象融合タンパク質における対象CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、Fcγ受容体(FcγR)、Fcε受容体(FcεR)、Fcα受容体(FcαR)、新生児Fc受容体(FcRn)、CD3、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD4、CD5、CD8、CD21、CD22、CD28、CD32、CD40L(CD154)、CD45、CD66d、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD278(ICOSとも呼ばれる)、CD247ζ、CD247η、DAP10、DAP12、FYN、LAT、Lck、MAPK、MHC複合体、NFAT、NF-κB、PLC-γ、iC3b、C3dg、C3d、及びZap70、のシグナル伝達ドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMを含む。ITAMを含むシグナル伝達ドメインは、6~8個のアミノ酸によって分離されたアミノ酸配列YxxL/Iの2つのリピートを含むことができ、各xは独立して任意のアミノ酸であり、保存モチーフYxxL/Ix(6~8)YxxL/Iを生成する。ITAMを含むシグナル伝達ドメインは、例えば、標的指向性部分がエピトープに結合している場合、リン酸化によって改変することができる。リン酸化ITAMは、他のタンパク質、例えば種々のシグナル伝達経路に関与するタンパク質のドッキング部位として機能することができる。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、改変ITAMドメイン、例えば、変異、短縮、及び/または最適化ITAMドメインを含み、これは、ネイティブITAMドメインと比較して変化した(例えば、増加または減少した)活性を有する。
【0461】
いくつかの実施形態では、対象融合タンパク質におけるCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、FcγRシグナル伝達ドメイン(例えば、TAM)を含む。FcγRシグナル伝達ドメインは、FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、FcγRIIB(CD32)、FcγRIIIA(CD16a)、及びFcγRIIIB(CD16b)から選択することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、FcεRシグナル伝達ドメイン(例えば、ITAM)を含む。FcεRシグナル伝達ドメインは、FcεRI及びFcεRII(CD23)から選択することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、FcαRシグナル伝達ドメイン(例えば、ITAM)を含む。FcαRシグナル伝達ドメインは、FcαRI(CD89)及びFcα/μRから選択することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達ドメインは、CD3ζのITAMを含む。
【0462】
いくつかの実施形態では、対象CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフまたはITIMを含む。ITIMを含むシグナル伝達ドメインは、免疫系のいくつかの阻害性受容体の細胞質尾部に見られるアミノ酸の保存配列(S/I/V/LxYxxI/V/L)を含むことができる。ITIMを含む一次シグナル伝達ドメインは、Srcキナーゼファミリーメンバー(例えば、Lck)などの酵素によって改変、例えばリン酸化することができる。リン酸化に続いて、酵素を含む他のタンパク質をITIMに補充することができる。これらの他のタンパク質には、ホスホチロシンホスファターゼSHP-1及びSHP-2などの酵素、SHIPと呼ばれるイノシトールホスファターゼ、及び1つ以上のSH2ドメインを有するタンパク質(例えば、ZAP70)が含まれるが、これらに限定されない。細胞内シグナル伝達ドメインは、BTLA、CD5、CD31、CD66a、CD72、CMRF35H、DCIR、EPO-R、FcγRIIB(CD32)、Fc受容体様タンパク質2(FCRL2)、Fc受容体様タンパク質3(FCRL3)、Fc受容体様タンパク質4(FCRL4)、Fc受容体様タンパク質5(FCRL5)、Fc受容体様タンパク質6(FCRL6)、タンパク質G6b(G6B)、インターロイキン4受容体(IL4R)、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連1(IRTA1)、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2(IRTA2)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL1(KIR2DL1)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL2(KIR2DL2)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL3(KIR2DL3)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4(KIR2DL4)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL5(KIR2DL5)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体3DL1(KIR3DL1)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体3DL2(KIR3DL2)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーBメンバー1(LIR1)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーBメンバー2(LIR2)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーBメンバー3(LIR3)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーBメンバー5(LIR5)、白血球免疫グロブリン様受容体サブファミリーBメンバー8(LIR8)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR-1)、マスト細胞機能関連抗原(MAFA)、NKG2A、天然細胞傷害誘発受容体2(NKp44)、NTB-A、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、PILR、SIGLECL1、シアル酸結合Ig様レクチン2(SIGLEC2またはCD22)、シアル酸結合Ig様レクチン3(SIGLEC3またはCD33)、シアル酸結合Ig様レクチン5(SIGLEC5またはCD170)、シアル酸結合Ig様レクチン6(SIGLEC6)、シアル酸結合Ig様レクチン7(SIGLEC7)、シアル酸結合Ig様レクチン10(SIGLEC10)、シアル酸結合Ig様レクチン11(SIGLEC11)、シアル酸結合Ig様レクチン4(SIGLEC4)シアル酸結合Ig様レクチン8(SIGLEC8)、シアル酸結合Ig様レクチン9(SIGLEC9)、血小板及び内皮細胞接着分子1(PECAM-1)、シグナル調節タンパク質(SIRP2)、及びシグナル伝達閾値調節膜貫通アダプター1(signaling threshold regulating transmembrane adaptor 1)(SIT)、のシグナル伝達ドメイン(例えば、ITIM)を含むことができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは改変ITIMドメイン、例えば、変異、短縮、及び/または最適化されたITIMドメインを含み、これは、ネイティブITIMドメインと比較して変化した(例えば、増加または減少した)活性を有する。
【0463】
いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも2つのITAMドメイン(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10個のITAMドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも2つのITIMドメイン(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10のITIMドメイン)(例えば、少なくとも2つの一次シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMドメインとITIMドメインの両方を含む。一態様では、対象CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、Fcγ受容体(FcγR)、Fcε受容体(FcεR)、Fcα受容体(FcαR)、新生児Fc受容体(FcRn)、CD3、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD4、CD5、CD8、CD21、CD22、CD28、CD32、CD40L(CD154)、CD45、CD66d、CD79a、CD79b、CD80、CD86、CD278(ICOSとも呼ばれる)、CD247ζ、CD247η、DAP10、DAP12、FYN、LAT、Lck、MAPK、MHC複合体、NFAT、NF-κB、PLC-γ、iC3b、C3dg、C3d、及びZap70、のシグナル伝達ドメインからのものである。別の態様では、対象CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3、CD3ζ、CD3γ、CD3δ、及び/またはCD3εからのものである。
【0464】
場合によっては、本明細書で提供される融合タンパク質は、共刺激ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、共刺激ドメインは、本明細書で提供される融合タンパク質の対象CARの一部であり得る。いくつかの実施形態では、例えば細胞共刺激分子からの共刺激ドメインは、例えば、免疫細胞活性の活性化及び/または不活性化のための、免疫細胞シグナル伝達、例としてITAM及び/またはITIMドメインからのシグナル伝達のための共刺激シグナルを提供する。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、免疫細胞における増殖及び/または生存シグナルを調節するように作動可能である。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、MHCクラスIタンパク質、MHCクラスIIタンパク質、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、またはTollリガンド受容体を含む。いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、2B4/CD244/SLAMF4、4-1BB/TNFSF9/CD137、B7-1/CD80、B7-2/CD86、B7-H1/PD-L1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、B7-H7、BAFFR/TNFRSF13C、BAFF/BLyS/TNFSF13B、BLAME/SLAMF8、BTLA/CD272、CD100(SEMA4D)、CD103、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CD150、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD2、CD200、CD229/SLAMF3、CD27リガンド/TNFSF7、CD27/TNFRSF7、CD28、CD29、CD2F-10/SLAMF9、CD30リガンド/TNFSF8、CD30/TNFRSF8、CD300a/LMIR1、CD4、CD40リガンド/TNFSF5、CD40/TNFRSF5、CD48/SLAMF2、CD49a、CD49D、CD49f、CD5、CD53、CD58/LFA-3、CD69、CD7、CD8α、CD8β、CD82/Kai-1、CD84/SLAMF5、CD90/Thy1、CD96、CDS、CEACAM1、CRACC/SLAMF7、CRTAM、CTLA-4、DAP12、デクチン-1/CLEC7A、DNAM1(CD226)、DPPIV/CD26、DR3/TNFRSF25、EphB6、GADS、Gi24/VISTA/B7-H5、GITRリガンド/TNFSF18、GITR/TNFRSF18、HLAクラスI、HLA-DR、HVEM/TNFRSF14、IA4、ICAM-1、ICOS/CD278、Ikaros、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、インテグリンα4/CD49d、インテグリンα4β1、インテグリンα4β7/LPAM-1、IPO-3、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB1、ITGB2、ITGB7、KIRDS2、LAG-3、LAT、LIGHT/TNFSF14、LTBR、Ly108、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、リンホトキシン-α/TNF-β、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、NTB-A/SLAMF6、OX40リガンド/TNFSF4、OX40/TNFRSF4、PAG/Cbp、PD-1、PDCD6、PD-L2/B7-DC、PSGL1、RELT/TNFRSF19L、SELPLG(CD162)、SLAM(SLAMF1)、SLAM/CD150、SLAMF4(CD244)、SLAMF6(NTB-A)、SLAMF7、SLP-76、TACI/TNFRSF13B、TCL1A、TCL1B、TIM-1/KIM-1/HAVCR、TIM-4、TL1A/TNFSF15、TNF RII/TNFRSF1B、TNF-α、TRANCE/RANKL、TSLP、TSLP R、VLA1、及びVLA-6からなる群から選択される分子のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、複数の共刺激ドメイン、例えば、少なくとも2つ、例えば、少なくとも3、4、または5つの共刺激ドメインを含む。一態様では、CARなどの本明細書で提供される受容体は、少なくとも2つまたは3つの共刺激ドメインを含む。一態様では、受容体は、少なくとも2つの共刺激ドメインを含み、少なくとも2つの共刺激ドメインは、CD28及びCD137である。一態様では、受容体は、少なくとも3つの共刺激ドメインを含み、少なくとも3つの共刺激ドメインは、CD28、CD137、及びOX40Lである。共刺激シグナル伝達領域は、一次エフェクター活性化シグナルと相乗的なシグナルを提供する場合があり、T細胞の活性化の要件を満たすことができる。いくつかの実施形態では、CARへの共刺激ドメインの付加により、本明細書で提供される免疫細胞の有効性及び持続性を増強することができる。
【0465】
場合によっては、挿入配列はTCRまたはその機能的断片をコードする。TCRとは、抗原の認識に関与するT細胞またはTリンパ球の表面にある分子を指す。TCRは、2つの異なるタンパク質鎖で構成することができるヘテロダイマーである。いくつかの実施形態では、本開示のTCRは、アルファ(α)鎖及びベータ(β)鎖からなり、αβTCRと呼ばれる。αβTCRは、細胞表面で主要組織適合遺伝子複合体分子(MHC)に結合したタンパク質から分解された抗原ペプチドを認識する。いくつかの実施形態では、本開示のTCRは、ガンマ(γ)及びデルタ(δ)鎖からなり、γδTCRと呼ばれる。γδTCRは、MHCに依存しない方法でペプチド及び非ペプチド抗原を認識する。γδT細胞は脂質抗原の認識に重要な役割を果たすことが示されている。特に、TCRのγ鎖には、Vγ2、Vγ3、Vγ4、Vγ5、Vγ8、Vγ9、Vγ10、それらの機能的バリアント、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない;TCRのδ鎖には、δ1、δ2、δ3、それらの機能的バリアント、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、γδTCRは、Vγ2/Vδ1TCR、Vγ2/Vδ2 TCR、Vγ2/Vδ3 TCR、Vγ3/Vδ1 TCR、Vγ3/Vδ2 TCR、Vγ3/Vδ3 TCR、Vγ4/Vδ1 TCR、Vγ4/Vδ2 TCR、Vγ4/Vδ3 TCR、Vγ5/Vδ1 TCR、Vγ5/Vδ2 TCR、Vγ5/Vδ3 TCR、Vγ8/Vδ1 TCR、Vγ8/Vδ2 TCR、Vγ8/Vδ3 TCR、Vγ9/Vδ1 TCR、Vγ9/Vδ2 TCR、Vγ9/Vδ3 TCR、Vγ10/Vδ1 TCR、Vγ10/Vδ2 TCR、及び/またはVγ10/Vδ3TCRであり得る。いくつかの例において、γδTCRは、Vγ9/Vδ2 TCR、Vγ10/Vδ2 TCR、及び/またはVγ2/Vδ2 TCRであり得る。
【0466】
場合によっては、挿入配列は、以前に同定されたTCRを含むTCRをコードする。場合によっては、TCRは、全エクソームシーケンシングを使用して同定することができる。例えば、TCRは、標的細胞の全エクソームシーケンシングによって同定されたネオ抗原またはネオエピトープを標的にすることができる。あるいは、TCRは、自家、同種異系、または異種のレパートリーから同定することができる。自家及び同種異系の同定は、多段階プロセスを伴う場合がある。自家及び同種異系の同定の両方で、樹状細胞(DC)は、CD14選択単球から生成され、成熟後、特定のペプチドでパルスまたはトランスフェクトされる。ペプチドパルスDCを使用して、T細胞などの自家免疫細胞または同種異系免疫細胞を刺激することができる。単一細胞ペプチド特異的T細胞クローンは、限界希釈によってこれらのペプチドパルスT細胞株から単離することができる。目的の対象TCRを同定し、単離することができる。目的のTCRのアルファ、ベータ、ガンマ、及びデルタ鎖を、クローン化し、コドン最適化し、ベクター、例えばレンチウイルスベクターにコードする。いくつかの実施形態では、TCRの一部を置き換えることができる。例えば、ヒトTCRの定常領域を、対応するマウス領域に置き換えることができる。TCRの安定性を向上させるために、ヒトの定常領域を対応するマウス領域に置き換えることができる。TCRは、エクスビボで高いまたは超生理学的アビディティにより同定することもできる。場合によっては、TCRを同定する方法は、ヒト腫瘍タンパク質でヒト白血球抗原(HLA)システムを発現するトランスジェニックマウスを免疫して、ヒト抗原に対するTCRを発現するT細胞を生成することを含み得る(例えば、Stanislawski et al., Circumventing tolerance to a human MDM2-derived tumor antigen by TCR gene transfer, Nature Immunology 2, 962 -970 (2001))。代替的アプローチは、同種異系TCR遺伝子移入であり得、腫瘍寛解を経験している対象から腫瘍特異的T細胞を単離し、疾患を共有しているが非応答性であり得る別の対象からのT細胞に応答性TCR配列を移入することができる(de Witte, M. A., et al., Targeting self-antigens through allogeneic TCR gene transfer, Blood 108, 870-877 (2006))。場合によっては、インビトロ技術を使用して、TCRの配列を変更し、応答性の弱い腫瘍特異的TCRと標的抗原との相互作用(アビディティ)の強さを向上させることにより、腫瘍殺傷活性を増強することができる (Schmid, D. A., et al., Evidence for a TCR affinity threshold delimiting maximal CD8 T cell function. J. Immunol. 184, 4936-4946 (2010) )。
【0467】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、がん細胞上で発現する抗原に特異的に結合する免疫細胞上で発現するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、がん細胞上で発現するネオ抗原に特異的に結合する免疫細胞上で発現するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、がん関連抗原に特異的に結合する免疫細胞上で発現するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、がん細胞上で発現する抗原に特異的に結合する免疫細胞上で発現するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、自己免疫疾患に関連する抗原に特異的に結合する免疫細胞上で発現するタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、挿入配列は、病原体(例えば、微生物、例えば、ウイルス、細菌、寄生虫、真菌、または酵母)上で発現する抗原に特異的に結合する免疫細胞上で発現するタンパク質をコードする。
【0468】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、免疫細胞上で発現するタンパク質をコードし、癌胎児性抗原、アルファフェトタンパク質、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原、メラノーマ関連抗原、変異p53、変異ras、HER2/Neu、ERBB2、葉酸結合タンパク質、HIV-1外被糖タンパク質gp120、HIV-1外被糖タンパク質gp41、GD2、c-Met、メソセリン、GD3、HERV-K、IL-11Ralpha、カッパ鎖、ラムダ鎖、CSPG4、ERBB2、EGFRvIII、VEGFR2、炭酸アンヒドラーゼIX、α-フェトプロテイン(AFP)、α-アクチニン-4、ART-4、A1847、Ba 733、BAGE、BCMA、BrE3-抗原、CA125、CAMEL、CAP-1、CASP-8/m、CCL19、CCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD11A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30、CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD44、CD45、CD46、CD52、CD54、CD55、CD56、CD59、CD64、CD66a-e、CD67、CD70、CD7OL、CD74、CD79a、CD80、CD83、CD95、CD126、CD123、CD132、CD133、CD138、CD147、CD154、CDC27、CDK-4/m、CDKN2A、CTLA-4、CXCR4、CXCR7、CXCL12、HIF-1α、結腸特異的抗原-p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、c-Met、DAM、EGFR、EGFRvIII、EGP-1(TROP-2)、EGP-2、ELF2-M、Ep-CAM、線維芽細胞成長因子(FGF)、Flt-1、Flt-3、葉酸受容体、G250抗原、GAGE、gp100、GRO-β、HLA-DR、HM1.24、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、HER2/neu、HMGB-1、低酸素誘導因子(HIF-1)、HSP70-2M、HST-2、Ia、IGF-1R、IFN-γ、IFN-α、IFN-β、IFN-λ、IL-4R、IL-6R、IL-13R、IL-15R、IL-17R、IL-18R、IL-2、IL-6、IL-8、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、IL-25、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、KS1-4、Le-Y、LDR/FUT、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、MAGE、MAGE-3、MART-1、MART-2、NY-ESO-1、TRAG-3、CRP、MDA-MB-231、MCP-1、MIP-1A、MIP-1B、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5ac、MUC13、MUC16、MUM-1/2、MUM-3、メソテリン、NCA66、NCA95、NCA90、膵臓癌ムチン、PD1、PD-1受容体、胎盤成長因子、p53、PLAGL2、前立腺酸性ホスファターゼ、PSA、PRAME、PSMA、P1GF、ILGF、ILGF-1R、IL-6、IL-25、RS5、RANTES、T101、SAGE、5100、サバイビン、サバイビン-2B、TAC、TAG-72、テネイシン、TRAIL受容体、TNF-α、Tn抗原、トムソン-フリーデンライヒ(Thomson-Friedenreich)抗原、腫瘍壊死抗原、VEGFR、ED-Bフィブロネクチン、WT-1、17-1A-抗原、補体因子C3、補体因子C3a、補体因子C3b、補体因子C5a、補体因子C5、707-AP、ビオチン化分子、a-アクチニン-4、abl-bcr alb-b3(b2a2)、abl-bcr alb-b4(b3a2)、アディポフィリン、AFP、AIM-2、アネキシンII、ART-4、BAGE、b-カテニン、bcr-abl、bcr-abl p190(e1a2)、bcr-abl p210 (b2a2)、bcr-abl p210 (b3a2)、BING-4、CAG-3、CAIX、CAMEL、カスパーゼ-8、CD171、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44v7/8、CDC27、CDK-4、CEA、CLCA2、Cyp-B、DAM-10、DAM-6、DEK-CAN、EGFRvIII、EGP-2、EGP-40、ELF2、Ep-CAM、EphA2、EphA3、erb-B2、erb-B3、erb-B4、ES-ESO-1a、ETV6/AML、FBP、胎児アセチルコリン受容体、FGF-5、FN、G250、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7B、GAGE-8、GD2、GD3、GnT-V、Gp100、gp75、Her-2、HLA-A*0201-R170I、HMW-MAA、HSP70-2 M、HST-2(FGF6)、HST-2/neu、hTERT、iCE、IL-11Rα、IL-13Rα2、KDR、KIAA0205、K-RAS、L1細胞接着分子、LAGE-1、LDLR/FUT、ルイスY、MAGE-1、MAGE-10、MAGE-12、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、MAGE-6、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-B1、MAGE-B2、リンゴ酸酵素、マンマグロビン-A、MART-1/Melan-A、MART-2、MC1R、M-CSF、mesothelin、MUC1、MUC16、MUC2、MUM-1、MUM-2、MUM-3、Myosin、NA88-A、Neo-PAP、NKG2D、NPM/ALK、N-RAS、NY-ESO-1、OA1、OGT、腫瘍胎児性抗原(h5T4)、OS-9、Pポリペプチド、P15、P53、PRAME、PSA、PSCA、PSMA、PTPRK、RAGE、ROR1、RU1、RU2、SART-1、SART-2、SART-3、SOX10、SSX-2、サバイビン、サバイビン-2B、SYT/SSX、TAG-72、TEL/AML1、TGFaRII、TGFbRII、TP1、TRAG-3、TRG、TRP-1、TRP-2、TRP-2/INT2、TRP-2-6b、チロシナーゼ、VEGF-R2、WT1、α-葉酸受容体、及びκ軽鎖、に特異的に結合する。
【0469】
場合によっては、挿入物に提供される細胞受容体は、ネオ抗原及び/またはネオエピトープに結合することができる可能性がある。ネオ抗原及びネオエピトープは、一般に、場合によっては抗腫瘍T細胞応答を誘発する腫瘍特異的変異を指す。例えば、これらの内因性変異は、全エクソームシーケンシングアプローチを使用して同定することができる。Tran E, et al., “Cancer immunotherapy based on mutation-specific CD4+ T cells in a patient with epithelial cancer, ” Science 344: 641-644 (2014) 。抗原結合ドメイン、例えば、対象CARまたは改変TCR複合体の抗原結合ドメインは、腫瘍特異的ネオ抗原への特異的結合を示すことができる。改変TCR複合体の抗原結合ドメインによって結合されるネオ抗原は、標的細胞上で発現することができ、例えば、任意の内因性遺伝子の変異によってコードされるネオ抗原及びネオペプチドである。場合によっては、2つ以上の抗原結合ドメインが、変異遺伝子によってコードされるネオ抗原またはネオエピトープに結合する。遺伝子は、ABL1、ACOl 1997、ACVR2A、AFP、AKT1、ALK、ALPPL2、ANAPC1、APC、ARID1A、AR、AR-v7、ASCL2、β2Μ、BRAF、BTK、C15ORF40、CDH1、CLDN6、CNOT1、CT45A5、CTAG1B、DCT、DKK4、EEF1B2、EEF1DP3、EGFR、EIF2B3、env、EPHB2、ERBB3、ESR1、ESRP1、FAM11 IB、FGFR3、FRG1B、GAGE1、GAGE10、GATA3、GBP3、HER2、IDH1、JAK1、KIT、KRAS、LMAN1、MABEB16、MAGEA1、MAGEA10、MAGEA4、MAGEA8、MAGEB17、MAGEB4、MAGEC1、MEK、MLANA、MLL2、MMP13、MSH3、MSH6、MYC、NDUFC2、NRAS、NY-ESO、PAGE2、PAGE5、PDGFRa、PIK3CA、PMEL、polタンパク質、POLE、PTEN、RAC1、RBM27、RNF43、RPL22、RUNX1、SEC31A、SEC63、SF3B 1、SLC35F5、SLC45A2、SMAP1、SMAP1、SPOP、TFAM、TGFBR2、THAP5、TP53、TTK、TYR、UBR5、VHL、及びXPOTからなる群から選択することができる。
【0470】
いくつかの実施形態では、挿入物において提供される細胞受容体は、間質上に存在し得る抗原またはエピトープに結合することができる。間質は一般に、とりわけ、生物学的細胞、組織、または器官の結合的及び機能的支持を提供する組織を指す。間質は、腫瘍微小環境のものであり得る。エピトープは、間質抗原に存在し得る。このような抗原は、腫瘍微小環境の間質に存在し得る。例えば、ネオ抗原及びネオエピトープは、腫瘍内皮細胞、腫瘍血管系、腫瘍線維芽細胞、腫瘍周皮細胞、腫瘍間質、及び/または腫瘍間葉細胞に存在し得る。抗原の例には、CD34、MCSP、FAP、CD31、PCNA、CD117、CD40、MMP4、及びテネイシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0471】
相同性アーム
ポリ核酸コンストラクトは、1つまたは複数の相同性アームを含むことができる。相同性アームは、編集される免疫細胞のゲノム内の配列とある程度の相同性を有する配列を含むことができ、それにより例えば、ポリ核酸コンストラクトまたはその一部を修復鋳型として使用して、免疫細胞ゲノムの二本鎖切断の修復(例えば、一本鎖アニーリング、相同性媒介末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合、代替末端結合、相同組換え修復、相同組換え、またはそれらの組み合わせを含む経路を介した修復)を誘導することができる。相同性アームは、ポリ核酸コンストラクトまたはその一部を、免疫細胞ゲノムの所望の部位、例えば、二本鎖切断に隣接する部位に標的化することができる。ポリ核酸コンストラクトは、1つの相同性アームを含むことができる。本開示のポリ核酸コンストラクトは、2つの相同性アームを含むことができる。ポリ核酸コンストラクトの2つの相同性アームは、免疫細胞ゲノムに挿入される配列(例えば、導入遺伝子)に隣接し得る。多核酸コンストラクト中の2つの相同性アームは、互いに直接隣接することができる(例えば、免疫細胞ゲノムに欠失を生成するために)。本開示のポリ核酸コンストラクトは、3つ以上の相同性アームを含むことができる。
【0472】
本開示の相同性アームは、一本鎖DNA(ssDNA)であり得る。他の態様において、相同性アームは二本鎖(dsDNA)である。いくつかの態様において、1つまたは複数の相同性アームは100ntであり、ドナー挿入配列の各側に隣接することができる。いくつかの態様において、相同性アームまたは相同性アームは、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、または200ntのssDNAであり、ドナー挿入配列の各側に隣接することができる。いくつかの態様において、1つ以上の相同性アームは約100ntであり、ドナー挿入配列の各側に隣接することができる。
【0473】
相同性アームは、編集される免疫細胞のゲノム中の配列と約または少なくとも約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.1%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.99%、または100%の配列同一性を有する配列を含むことができる。相同性アームは、ポリ核酸コンストラクトまたはその一部を免疫細胞ゲノムにおける二本鎖切断のための修復鋳型として使用することが可能となるのに十分な程度の相同性を有する配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、相同性アームは、免疫細胞ゲノムにおける相同配列と一致しない1つ以上のヌクレオチドを含有することができる(例えば、1つ以上の一塩基多型(SNP)の修正のため、または1つ以上のSNPの導入のため)。いくつかの実施形態では、多核酸コンストラクト中の2つ以上の相同性アームは、免疫細胞ゲノム中の対応する部位に対して同程度の相同性を含む。いくつかの実施形態では、多核酸コンストラクト中の2つ以上の相同性アームは、免疫細胞ゲノム中の対応する部位に対して異なる程度の相同性を含む。相同性アームは、遺伝子のヌクレオチド、オープンリーディングフレームのヌクレオチド、非コード領域のヌクレオチド、またはそれらの組み合わせに相同である核酸配列を含むことができる。
【0474】
いくつかの実施形態では、相同性アームは、長さ約24ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、相同性アームは、長さ約48ヌクレオチドである。相同性アームは、例えば、長さ約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、または2000ヌクレオチドであり得る。
【0475】
いくつかの実施形態では、本開示の相同性アームは、長さが最長3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、または2000ヌクレオチドであり得る。
【0476】
いくつかの実施形態では、本開示の相同性アームは、長さが少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、1950、または2000ヌクレオチドであり得る。
【0477】
相同性アームは、短い相同性アームであり得る。短い相同性アームは、例えば、長さが最長3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、または400ヌクレオチドであり得る。
【0478】
短い相同性アームは、例えば、長さが約3~400、5~300、5~200、5~100、5~90、5~80、5~70、5~60、5~50、5~49、5~48、5~47、5~46、5~45、5~44、5~43、5~42、5~41、5~40、5~39、5~38、5~37、5~36、5~35、5~34、5~33、5~32、5~31、5~30、5~29、5~28、5~27、5~26、5~25、5~24、5~23、5~22、5~21、5~20、5~19、5~18、5~7、5~16、5~15、5~14、5~13、5~12、5~11、5~10、10~50、10~49、10~48、10~47、10~46、10~45、10~44、10~43、10~42、10~41、10~40、10~39、10~38、10~37、10~36、10~35、10~34、10~33、10~32、10~31、10~30、10~29、10~28、10~27、10~26、10~25、10~24、10~23、10~22、10~21、10~20、10~19、10~18、10~17、10~16、10~15、15~50、15~49、15~48、15~47、15~46、15~45、15~44、15~43、15~42、15~41、15~40、15~39、15~38、15~37、15~36、15~35、15~34、15~33、15~32、15~31、15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、20~50、20~49、20~48、20~47、20~46、20~45、20~44、20~43、20~42、20~41、20~40、20~39、20~38、20~37、20~36、20~35、20~34、20~33、20~32、20~31、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、24~50、24~49、24~48、24~47、24~46、24~45、24~44、24~43、24~42、24~41、24~40、24~39、24~38、24~37、24~36、24~35、24~34、24~33、24~32、24~31、24~30、24~29、または24~28ヌクレオチドであり得る。
【0479】
相同性アームは、長い相同性アームであり得る。長い相同性アームは、例えば、長さが少なくとも400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、720、740、760、780、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、または1500ヌクレオチドであり得る。
【0480】
いくつかの実施形態では、相同性アームは、3の倍数である複数のヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは、3の倍数ではない複数のヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは、4の倍数である複数のヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、相同性アームは、4の倍数ではない複数のヌクレオチドを含有する。
【0481】
本開示のポリ核酸コンストラクトは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上の相同性アームを含むことができる。いくつかの実施形態では、多核酸コンストラクト中の2つ以上の相同性アームは、同じ長さである。いくつかの実施形態では、多核酸コンストラクト中の2つ以上の相同性アームは、異なる長さである。
【0482】
いくつかの実施形態では、相同性アームは、標的部位に隣接するゲノム遺伝子座に少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、相同性アームは、標的部位に隣接するゲノム遺伝子座に約70%~100%、80%~100%、90%~100、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、99%~100%相補的であるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、相同性アームは、標的部位に隣接するゲノム遺伝子座に約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的であるヌクレオチド配列を含む。
【0483】
いくつかの実施形態では、相同性アームは、表1からの遺伝子、免疫チェックポイント遺伝子、セーフハーバー遺伝子、またはそれらの任意の組み合わせに約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的である配列を含み得る。
【0484】
切断部位
いくつかの実施形態では、挿入配列に隣接する多核酸コンストラクト中の1つ以上(例えば、2つ)の相同性アームは、切断部位に隣接している。例えば、いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、2つの相同性アームを含み、挿入配列(例えば、導入遺伝子)の各末端に1つあり、各相同性アームは、切断部位に隣接している。例えば、5’から3’までのポリ核酸は、第1の切断部位、第1の相同性アーム、挿入配列(例えば、導入遺伝子)、第2の相同性アーム、及び第2の切断部位を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、1つの相同性アームを含有する。例えば、ポリ核酸は、5’から3’までの切断部位、相同性アーム、挿入配列(例えば、導入遺伝子);または、挿入配列、相同性アーム、及び切断部位;または、切断部位、挿入配列、相同性アーム、及び切断部位;または、切断部位、相同性アーム、挿入配列、及び切断部位、を含み得る。
【0485】
いくつかの実施形態では、前記切断部位は、ガイドRNA(gRNA)によって認識される標的化配列に隣接している。いくつかの実施形態では、標的化配列は、エンドヌクレアーゼを切断部位に誘導するgRNA(例えば、sgRNA)によって認識される。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、CRISPRシステムエンドヌクレアーゼ(例えば、Casエンドヌクレアーゼ)、TALENエンドヌクレアーゼ、またはジンクフィンガーエンドヌクレアーゼである。いくつかの実施形態では、前記エンドヌクレアーゼは、本明細書に記載されたエンドヌクレアーゼである。
【0486】
いくつかの実施形態では、切断部位は、CRISPRシステム切断部位である。いくつかの実施形態では、CRISPRシステム切断部位は、PAMモチーフ及びgRNAに少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的な配列を含む。いくつかの実施形態では、前記gRNAは、前記配列に結合する。
【0487】
いくつかの実施形態では、CRISPRシステム切断部位は、PAMモチーフを含む。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、PAMモチーフと相同性アームとの間にスペーサーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10bpである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、約1~10bp、1~9bp、1~8bp、1~7bp、1~6bp、1~5bp、1~4bp、1~3bp、または1~2bpである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10bpである。いくつかの実施形態では、スペーサーは約3bpである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、約1~10ヌクレオチド、1~9ヌクレオチド、1~8ヌクレオチド、1~7ヌクレオチド、1~6ヌクレオチド、1~5ヌクレオチド、1~4ヌクレオチド、1~3ヌクレオチド、または1~2ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スペーサーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スペーサーは約3ヌクレオチドである。
【0488】
プロモーター及びエンハンサー
いくつかの実施形態では、前記ポリ核酸コンストラクトは、プロモーターを含む。好適なプロモーターは、当業者によって選択され得る。導入遺伝子の発現は、少なくとも1つのプロモーターによって制御することができる。例示的なプロモーターには、CMV、U6、MND、PKG、MND、またはEF1aが含まれるが、これらに限定されない。
【0489】
プロモーターは、遍在性、構成的(関連する遺伝子の継続的な転写を可能にする非制御プロモーター)、組織特異的プロモーター、または誘導性プロモーターであり得る。例示的な遍在性プロモーターには、CAGGSプロモーター、hCMVプロモーター、PGKプロモーター、SV40プロモーター、またはROSA26プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0490】
プロモーターは内因性または外因性であり得る。例えば、1つ以上の導入遺伝子は、内因性または外因性ROSA26プロモーターに隣接してまたはその近くに挿入することができる。さらに、プロモーターはT細胞に特異的であり得る。例えば、1つ以上の導入遺伝子は、ブタのROSA26プロモーターに隣接してまたはその近くに挿入することができる。
【0491】
組織特異的プロモーターまたは細胞特異的プロモーターを使用して、発現の位置を制御することができる。例えば、1つ以上の導入遺伝子は、組織特異的プロモーターに隣接して、またはその近くに挿入することができる。組織特異的プロモーターは、FABPプロモーター、Lckプロモーター、CamKIIプロモーター、CD19プロモーター、ケラチンプロモーター、アルブミンプロモーター、aP2プロモーター、インスリンプロモーター、MCKプロモーター、MyHCプロモーター、WAPプロモーター、またはCol2Aプロモーターであり得る。
【0492】
誘導性プロモーターも使用することができる。これらの誘導性プロモーターは、誘導剤を添加または除去することにより、必要に応じてオン及びオフにすることができる。誘導性プロモーターは、Lac、tac、trc、trp、araBAD、phoA、recA、proU、cst-1、tetA、cadA、nar、PL、cspA、T7、VHB、Mx、及び/またはTrexであり得るが、これらに限定されないことが企図される。
【0493】
いくつかの実施形態では、挿入配列は、エンハンサーを含む。いくつかの実施形態では、エンハンサーは組織特異的である。いくつかの実施形態では、挿入配列は、複数のエンハンサー(例えば、少なくとも2つ)を含む。
【0494】
細胞を遺伝子改変する方法
本明細書で提供されるのは、ゲノム改変細胞、例えば、免疫細胞、例えば、本明細書に記載の免疫細胞を作製する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、標的化遺伝子配列にゲノム破壊を導入するエンドヌクレアーゼシステム(例えば、gRNA及びCasヌクレアーゼを含むCRISPRシステム)を細胞(例えば、免疫細胞)に導入する(例えば、エクスビボ)こと、及び少なくとも1つ(例えば、2つ)の切断配列、少なくとも1つ(例えば、2つの相同性アーム)及び挿入配列(例えば、導入遺伝子)を含むポリ核酸コンストラクト(例えば、本明細書に記載の)を細胞に導入することであって、導入遺伝子はゲノム破壊に挿入される、導入することを含む。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、少なくとも1つの切断部位に二本鎖切断を導入する。いくつかの実施形態では、単一のエンドヌクレアーゼが導入される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのエンドヌクレアーゼが使用される。いくつかの実施形態では、挿入配列は、マイクロホモロジー媒介末端結合を介してゲノムに組み込まれる。いくつかの実施形態では、挿入配列は、一本鎖アニーリングを介してゲノムに組み込まれる。挿入配列は、相同性媒介末端結合を介してゲノムに組み込まれる。
【0495】
ポリ核酸コンストラクトの切断
いくつかの実施形態では、挿入配列に隣接する多核酸コンストラクト中の1つ以上(例えば、2つ)の相同性アームは、切断部位に隣接している。例えば、いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、2つの相同性アームを含み、挿入配列(例えば、導入遺伝子)の各末端に1つあり、各相同性アームは、切断部位に隣接している。例えば、5’から3’までのポリ核酸は、第1の切断部位、第1の相同性アーム、挿入配列(例えば、導入遺伝子)、第2の相同性アーム、及び第2の切断部位を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトは、1つの相同性アームを含有する。例えば、ポリ核酸は、5’から3’までの切断部位、相同性アーム、挿入配列(例えば、導入遺伝子);または、挿入配列、相同性アーム、及び切断部位;または、切断部位、挿入配列、相同性アーム、及び切断部位;または、切断部位、相同性アーム、挿入配列、及び切断部位、を含み得る。
【0496】
いくつかの実施形態では、切断部位は、エンドヌクレアーゼによって認識される。いくつかの実施形態では、切断部位は、本明細書に記載されるように、CRISPR、ジンクフィンガー、またはTALENシステム切断部位を含む。いくつかの実施形態では、切断部位は、CRISPRシステム切断部位を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRシステム切断部位は、PAM配列(例えば、本明細書に記載されるような)及びgRNAによって認識される標的指向性核酸配列(例えば、本明細書に記載されるような)を含む。
【0497】
いくつかの実施形態では、切断部位での切断は、エンドヌクレアーゼを細胞に導入することによって媒介される。いくつかの実施形態では、切断部位での切断は、CRISPRシステム(例えば、本明細書に記載されるような)を細胞に導入することによって媒介される。いくつかの実施形態では、CRISPRシステムは、エンドヌクレアーゼ(例えば、本明細書に記載されるような)及びgRNA(例えば、本明細書に記載されるような)を含む。
【0498】
ゲノム標的部位
いくつかの実施形態では、挿入配列は、細胞のゲノム中の内因性遺伝子に挿入される。いくつかの実施形態では、遺伝子は、セーフハーバー遺伝子座、例えば、AAVS(例えば、AAVS1、AAVS2)、CCR5、hROSA26、アルブミン。またはHPRTである。
【0499】
いくつかの実施形態では、遺伝子は、細胞表面受容体(例えば、TCR、BCR)をコードする。
【0500】
いくつかの実施形態では、遺伝子は、阻害性免疫チェックポイントタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、阻害性免疫チェックポイントタンパク質は、A2AR、B7-H3、B7-H4、BTLA、CTLA-4、IDO、KIR、LAG3、PD-1、TIM-3、VISTAまたはCISHである。いくつかの実施形態では、遺伝子は、表1の遺伝子をコードする。
【0501】
場合によっては、本明細書で提供されるコンストラクトは、表1からの例示的な内因性遺伝子のいずれか1つ及び/または他の同等の遺伝子を標的とする相同性アームを含むことができる。例えば、コンストラクトは、表1の遺伝子の領域に特異的な相同性アームを含むことができる。いくつかの態様において、例示的な内因性遺伝子は、本明細書で提供される導入遺伝子挿入配列で破壊され得る。破壊は、内因性遺伝子によってコードされるRNAまたはタンパク質の発現を減少及び/または排除するのに十分であり得る。
【0502】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【0503】
いくつかの実施形態では、遺伝子は、ITIMを含む細胞表面受容体をコードする。いくつかの実施形態では、内因性遺伝子はTRAC、TCRB、アデノシンA2a受容体(ADORA)、CD276、Vセットドメイン含有T細胞活性化阻害剤1(VTCN1)、B及びTリンパ球関連(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのドメイン、長い細胞質側末端、1(KIR3DL1)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、プログラム細胞死1(PD-1)、A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2)、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリンサプレッサー(VISTA)、ナチュラルキラー細胞受容体2B4(CD244)、サイトカイン誘導性SH2含有タンパク質(CISH)、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT)、アデノ随伴ウイルス組み込み部位(AAVS(例:AAVS1、AAVS2))、またはケモカイン(C-Cモチーフ)受容体5(遺伝子/偽遺伝子)(CCR5)、CD160分子(CD160)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、CD96分子(CD96)、細胞傷害性及び制御性T細胞分子(CRTAM)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、シアル酸結合Ig様レクチン7(SIGLEC7)、シアル酸結合Ig様レクチン9(SIGLEC9)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10B)、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10a(TNFRSF10A)、カスパーゼ8(CASP8)、カスパーゼ10(CASP10)、カスパーゼ3(CASP3)、カスパーゼ6(CASP6)、カスパーゼ7(CASP7)、Fas関連デスドメイン(FADD)、Fas細胞表面死受容体(FAS)、トランスフォーミング成長因子ベータ受容体II(TGFBRII)、トランスフォーミング成長因子ベータ受容体I(TGFBR1)、SMADファミリーメンバー2(SMAD2)、SMADファミリーメンバー3(SMAD3)、SMADファミリーメンバー4(SMAD4)、SKIプロトオンコジーン(SKI)、SKI様プロトオンコジーン(SKIL)、TGFB誘導因子ホメオボックス1(TGIF1)、インターロイキン10受容体サブユニットアルファ(IL10RA)、インターロイキン10受容体サブユニットベータ(IL10RB)、ヘムオキシゲナーゼ2(HMOX2)、インターロイキン6受容体(IL6R)、インターロイキン6シグナルトランスデューサー(IL6ST)、c-srcチロシンキナーゼ(CSK)、スフィンゴ糖脂質マイクロドメイン1(PAG1)を有するリンタンパク質膜アンカー、シグナル伝達閾値調節膜貫通アダプター1(SIT1)、フォークヘッドボックスP3(FOXP3)、PRドメイン1(PRDM1)、塩基性ロイシンジッパー転写因子、ATF様(BATF)、グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、アルファ2(GUCY1A2)、グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、アルファ3(GUCY1A3)、グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、ベータ2(GUCY1B2)、グアニル酸シクラーゼ1、可溶性、ベータ3(GUCY1B3)、プロリルヒドロキシラーゼドメイン(PHD1、PHD2、PHD3)タンパク質ファミリー、A2AR、B7-H3、B7-H4、IDO、KIR、LAG3、TIM-3、VISTA、CD27、CD40、CD122、OX40、GITR、CD137、CD28、ICOS、A2AR、B7-H3、B7-H4、またはPPP1R12Cである。
【0504】
いくつかの実施形態では、複数の(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、またはそれ以上の)標的遺伝子が、宿主ゲノムにおいて破壊される。いくつかの実施形態では、ゲノム破壊は二本鎖DNAである。いくつかの実施形態では、1つの二本鎖切断が、宿主ゲノムの標的部位に導入される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの二本鎖切断が、宿主ゲノムの2つの異なる標的部位に導入される。いくつかの実施形態では、DNAの大部分の欠失を媒介するために、2つの二本鎖切断が宿主ゲノム中の2つの異なる標的部位に導入される。いくつかの実施形態では、DNAの大部分の欠失を媒介するために、2つの二本鎖切断が宿主ゲノム中の単一の遺伝子に導入される。いくつかの実施形態では、ゲノム破壊は、ゲノム破壊を含む遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を抑制する。いくつかの実施形態では、ゲノム破壊は、ゲノム破壊を含む遺伝子によってコードされる機能性タンパク質の発現を抑制する。
【0505】
DNA修復経路
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるのは、少なくとも1つの二本鎖切断が導入された修復鋳型を使用して、細胞(call)のゲノムに導入された二本鎖切断を解決する方法である。修復鋳型に少なくとも1つの二本鎖(double stand)切断を導入すると、ゲノムへ挿入配列を挿入するために、代替または追加の修復経路、例えば、末端切除を含む経路、修復鋳型に短い相同性アームのみを必要とする経路、またはそれらの組み合わせの使用が可能になる。利用することができる代替または追加の修復経路の非限定的な例としては、一本鎖アニーリング、相同性媒介末端結合、マイクロホモロジー媒介末端結合、代替末端結合、及びそれらの組み合わせを含む経路が含まれる。
【0506】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法では、少なくとも1つの二本鎖切断を有さない修復鋳型を使用する同等の方法と比較して、組み込み効率の向上が示される。
【0507】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法により、少なくとも1つの二本鎖切断を有さない修復鋳型を使用する同等の集団と比較して、挿入配列を組み込む細胞のパーセンテージが増加する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも10%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも20%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも30%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも40%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも50%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも60%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも70%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも80%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも90%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも10%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも20%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも30%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも40%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも50%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも60%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも70%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも80%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも90%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子の組み込みは、前記導入遺伝子の導入後、1~30、1~21、1~14、1~7、1~5、1~4、1~3、1~2日目に測定される。いくつかの実施形態では、細胞生存率は、前記導入遺伝子の導入後、1~30、1~21、1~14、1~7、1~5、1~4、1~3、1~2日目に測定される。
【0508】
いくつかの実施形態では、挿入配列組み込みの効率は、挿入配列を含む多核酸コンストラクトにおける少なくとも1つの二本鎖切断の導入効率の関数である。いくつかの実施形態では、挿入配列組み込みの効率は、挿入配列を含む多核酸コンストラクトからの導入遺伝子の切除効率の関数である。
【0509】
いくつかの実施形態では、組み込まれた導入遺伝子を含む細胞は増殖される。いくつかの実施形態では、組み込まれた導入遺伝子を含む細胞は、選択的に増殖される。いくつかの実施形態では、組み込まれた導入遺伝子を含む細胞は、インビトロで増殖される。
【0510】
細胞の生存率及び組み込み効率
本明細書で提供されるのは、ゲノム移植を増強する方法である。場合によっては、本明細書で提供される方法により、細胞生存率が向上する。場合によっては、本明細書で提供される方法により、導入遺伝子の組み込み効率(「トランスフェクション効率」とも呼ばれる)が向上する。場合によっては、本明細書で提供される方法により、細胞生存率及び導入遺伝子の組み込み効率の両方が向上する。
【0511】
場合によっては、細胞生存率は、種々のアプローチによる細胞計数によって測定される。場合によっては、生細胞を染色することにより細胞計数を支援することができる。場合によっては、細胞計数は、例えば、フローサイトメトリーまたはオブジェクト認識アルゴリズムによって自動化することができる。場合によっては、細胞計数を手動で実行することができる。場合によっては、細胞の生存率を直接観察することができ、例えば、培養皿内の細胞は、死滅するときに凝集する傾向がある。場合によっては、細胞生存率は、例えば、限定されるものではないが、細胞溶解、膜漏出、ミトコンドリア活性またはカスパーゼ発現、ある特定の細胞機能、ある特定の遺伝子の発現、ゲノムの完全性を測定することができる生存率アッセイによって測定することができる。場合によっては、細胞生存率は生存率色素染色によって測定することができる。場合によっては、生存率色素染色の後にフローサイトメトリーを行うことができる。生存率色素は、生細胞または死細胞または死滅しつつある細胞を区別することができる。細胞の示差染色は、例えば、フローサイトメトリーまたは顕微鏡検査によって検出することができる。
【0512】
組み込み効率は、細胞内への導入遺伝子のゲノム挿入を検出することによって測定することができる。場合によっては、導入遺伝子産物を検出することによって組み込み効率を測定することができる。例えば、外因性ポリ核酸は、レポーター遺伝子、例えば、蛍光タンパク質、例えば、GFP、YFP、またはmCherryを含むことができる。場合によっては、組み込み効率は、レポーター遺伝子の発現を調べることによって、例えば、蛍光タンパク質を発現している細胞を計数することができるフローサイトメトリーによって測定することができる。場合によっては、エレクトロポレーションされた細胞のゲノム配列を直接評価することによって、例えば、シーケンシングを介して導入遺伝子の挿入を調査することによって、組み込み効率を測定することができる。
【0513】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法では、少なくとも1つの二本鎖切断を有さない修復鋳型を使用する同等の方法と比較して、組み込み効率の向上が示される。
【0514】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法により、少なくとも1つの二本鎖切断を有さない修復鋳型を使用する同等の集団と比較して、挿入配列を組み込む細胞のパーセンテージが増加する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも10%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも20%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも30%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも40%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも50%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも60%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも70%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも80%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも90%が挿入配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも10%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも20%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも30%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも40%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも50%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも60%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも70%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも80%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞集団中の細胞の少なくとも90%が挿入配列を含み、生存可能である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子の組み込みは、前記導入遺伝子の導入後、1~30、1~21、1~14、1~7、1~5、1~4、1~3、1~2日目に測定される。いくつかの実施形態では、細胞生存率は、前記導入遺伝子の導入後、1~30、1~21、1~14、1~7、1~5、1~4、1~3、1~2日目に測定される。
【0515】
いくつかの実施形態では、挿入配列組み込みの効率は、挿入配列を含む多核酸コンストラクトにおける少なくとも1つの二本鎖切断の導入効率の関数である。いくつかの実施形態では、挿入配列組み込みの効率は、挿入配列を含む多核酸コンストラクトからの導入遺伝子の切除効率の関数である。
【0516】
いくつかの実施形態では、組み込まれた導入遺伝子を含む細胞は増殖される。いくつかの実施形態では、組み込まれた導入遺伝子を含む細胞は、選択的に増殖される。いくつかの実施形態では、組み込まれた導入遺伝子を含む細胞は、インビトロで増殖される。
【0517】
ヌクレアーゼ処理
本明細書で提供されるのは、細胞操作からの全体的な収量を改善する方法であって、例えば、細胞操作後の細胞生存率を改善すること、及び/またはトランスフェクション効率を改善することを含み、遺伝子改変細胞を十分な量の少なくとも1つのヌクレアーゼと接触させることを含む、方法、である。場合によっては、十分な量の少なくとも1つのヌクレアーゼと十分な時間接触させると、細胞の生存率を向上させることができる。場合によっては、十分な量の少なくとも1つのヌクレアーゼと一定期間接触させると、トランスフェクション効率を向上させることができる。場合によっては、十分な量の少なくとも1つのヌクレアーゼと十分な時間接触させると、細胞の生存率とトランスフェクション効率の両方を向上させることができる。
【0518】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、当技術分野の技術の1つにおいて理解されるように、トランスフェクション中に、細胞膜の少なくとも1つの点が破壊されて、外因性核酸及び/または他の薬剤が細胞に入り、細胞の完全性への侵襲的な損傷がもたらされ、及び開いた膜の可逆的な性質にもかかわらず、潜在的に持続的な効果を伴う。さらに、外因性薬剤が細胞内環境に導入されるため、細胞は必ずしもそれらの細胞内存在に対して耐性があるとは限らない。別の潜在的な悪影響は、細胞膜が一時的に開いた後に再封鎖されるときに、細胞膜の脂質二重層の間に閉じ込められる可能性のある外因性物質に起因し得る。
【0519】
場合によっては、細胞生存率を促進する方法は、細胞をヌクレアーゼと接触させることを含み得、これは、定義により、選択性を有するポリ核酸におけるホスホジエステル連結の加水分解切断(加水分解または消化)を触媒することができる。ヌクレアーゼは、デオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、またはその両方を含むことができる。DNアーゼはDNAを特異的に消化することができるが、RNアーゼはRNAを特異的に消化することができる。ヌクレアーゼは、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼとして分類することもできる。エキソヌクレアーゼは、5’、3’、両端からポリ核酸分子の加水分解を触媒する一群の酵素のいずれかを指し得る。エンドヌクレアーゼは、ポリ核酸分子の内部における核酸間のポリ核酸分子の加水分解を触媒する一群の酵素のいずれかを指し得る。一部の酵素は、エキソヌクレアーゼとエンドヌクレアーゼの両方の特性を有することができる。さらに、一部の酵素はDNA配列とRNA配列の両方を消化することができる。
【0520】
ヌクレアーゼとの接触により、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約250%、約300%、またはそれ以上の生存パーセンテージの増加がもたらされる可能性がある。場合によっては、生存パーセンテージの増加は、約50%から約200%になる可能性がある。ヌクレアーゼとの接触により、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約250%、約300%、またはそれ以上であり得る組み込み効率の向上がもたらされる可能性がある。場合によっては、組み込み効率の向上は約50%~約200%であり得る。
【0521】
本明細書に記載の主題に関連するDNアーゼの非限定的な例には、DNアーゼI、ベンゾナーゼ、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、ヌクレアーゼBAL31、RNアーゼI、S1ヌクレアーゼ、ラムダエキソヌクレアーゼ、RecJ、T7エキソヌクレアーゼ、及びそれぞれの認識配列におけるホスホジエステル(phosphodieaster)連結の切断に特化した種々の制限酵素が含まれる。本明細書に開示される主題に関連するRNアーゼの非限定的な例には、RNアーゼA、RNアーゼH、RNアーゼIII、RNアーゼL、RNアーゼP、RNアーゼPhyM、RNアーゼT1、RNアーゼT1、RNアーゼU2、RNアーゼV、ポリヌクレオチドホスホリラーゼ、RNアーゼPH、RNアーゼR、RNアーゼD、RNアーゼI、RNアーゼII、RNアーゼT、オリゴリボヌクレアーゼ、エキソリボヌクレアーゼI、及びエキソリボヌクレアーゼIIが含まれる。細胞に導入されるポリ核酸の特性及びトランスフェクトされる細胞のタイプに応じて、適切なヌクレアーゼを選択することができる。
【0522】
場合によっては、細胞トランスフェクション後にヌクレアーゼを適用することができる。場合によっては、細胞のトランスフェクションが完了した直後にヌクレアーゼを導入することができる。場合によっては、ヌクレアーゼは、細胞トランスフェクションが実施されている間に導入することができ、例えば、エレクトロポレーションが行われている間に適用することができ、または細胞がまだトランスフェクション試薬に曝露されている間に適用することができる。場合によっては、トランスフェクション後数分から数時間まででヌクレアーゼを導入することができる。細胞トランスフェクションの完了とヌクレアーゼの適用との間の時間遅延は、約30秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約1.5時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約7.5時間、約8時間、約10時間、約12時間、約20時間、約30時間、約40時間、約50時間、約60時間、約70時間、約80時間、約90時間、または約1週間であり得る。場合によっては、時間遅延がさらに長くなる可能性がある。
【0523】
場合によっては、細胞トランスフェクション前にヌクレアーゼを適用することができる。ヌクレアーゼは、トランスフェクション前の一定期間にわたって、細胞培養に存在し得る。場合によっては、ヌクレアーゼの「前処理」により、標的細胞の全体的な健康状態を促進することができる。例えば、多くの場合、前処理により、生物の生体器官から単離された後の細胞の生存を促進することができる。ヌクレアーゼは、細胞トランスフェクションの前と後の両方に存在し得る。
【0524】
ヌクレアーゼは、約1μg/ml、10μg/ml、50μg/ml、100μg/ml、200μg/ml、300μg/ml、400μg/ml、500μg/ml、600μg/ml、700μg/ml、800μg/ml、900μg/ml、950μg/ml、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、30mg/ml、40mg/ml、50mg/ml、100mg/ml、200mg/ml、500mg/ml、またはこれらの値のいずれか2つの間のおよその値の濃度で培養培地に供給することができる。ヌクレアーゼは、約1mg/mLの濃度で培養培地に供給することができる。ヌクレアーゼは培養培地に供給することができ、ヌクレアーゼを含有する培養培地は、約3時間、6時間、12時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、36時間、40時間、44時間、48時間、50時間、60時間ごとに1回交換することができる。培地を頻繁に交換することで、ヌクレアーゼの濃度をある一定のレベルに維持することができる。
【0525】
当業者が理解するように、ヌクレアーゼの選択、ヌクレアーゼの濃度、及びヌクレアーゼのインキュベーションのタイミング及び期間は、本明細書に記載の主題の特定の用途の多くのパラメーターに応じて変化し得る。種々のパラメーターには、細胞のタイプ、移入されるポリ核酸の特性、細胞の全体的な健康状態、達成することが予測される生存率、及びトランスフェクトされた細胞の使用目的が含まれるが、これらに限定されない。
【0526】
場合によっては、細胞を、一定期間ヌクレアーゼで処理/インキュベートすることができる。インキュベーション時間は、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、または少なくとも約60分であり得る。インキュベーション時間は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約7.5時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約20時間、少なくとも約30時間、少なくとも約40時間、少なくとも約50時間、少なくとも約60時間、少なくとも約70時間、少なくとも約80時間、少なくとも約90時間、または少なくとも約1週間であり得る。場合によっては、インキュベーションは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、またはそれ以上になる可能性がある。
【0527】
場合によっては、細胞を混合物中で18~25℃にて1~30分間ヌクレアーゼに曝露することができる。いくつかの例では、混合物は、PBS、FBS、マグネシウム、及びDNアーゼを含むことができる。
【0528】
免疫刺激剤
本明細書で提供されるのは、細胞操作からの全体的な収量を改善する方法であって、例えば、細胞操作後の細胞生存率を改善すること、及び/またはトランスフェクション効率を改善することを含み、遺伝子改変細胞を十分な量の少なくとも1つの免疫刺激剤と接触させることを含む、方法、である。場合によっては、十分な量の少なくとも1つの免疫刺激剤と十分な時間接触させると、細胞の生存率を向上させることができる。場合によっては、十分な量の少なくとも1つの免疫刺激剤と一定期間接触させると、トランスフェクション効率を向上させることができる。場合によっては、十分な量の少なくとも1つの免疫刺激剤と十分な時間接触させると、細胞の生存率とトランスフェクション効率の両方を向上させることができる。
【0529】
免疫刺激剤には、免疫細胞を刺激することができる任意のタイプの試薬を含めることができる。例えば、免疫刺激剤はサイトカインを含むことができる。場合によっては、免疫刺激剤は、免疫細胞受容体に対する抗体または免疫細胞受容体のリガンドを含むことができる。
【0530】
サイトカインは、細胞の挙動に影響を与える可能性がある、細胞から放出されるタンパク質(ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子など)を指す。サイトカインは、マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、及び肥満細胞などの免疫細胞、ならびに内皮細胞、線維芽細胞、及び種々の間質細胞を含む、広範囲の細胞によって産生される。特定のサイトカインは、複数のタイプの細胞によって産生され得る。サイトカインは、全身的または局所的な免疫調節効果の生成に関与し得る。例示的なサイトカインには、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-21、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0531】
場合によっては、aAPCは同種特異性を誘発しないことがある。場合によっては、aAPCはHLAを発現しないことがある。aAPCは、活性化及び/または刺激に使用することができる遺伝子を安定して発現するように遺伝子改変され得る。場合によっては、K562細胞を活性化に使用することができる。K562細胞を増殖に使用することもできる。K562細胞は、ヒト赤白血病細胞株であり得る。K562細胞を、目的の遺伝子を発現するように操作することができる。K562細胞は、HLAクラスI、II、またはCD1d分子を内因的に発現しない場合があるが、ICAM-1(CD54)及びLFA-3(CD58)を発現する場合がある。K562を、T細胞にシグナル1を送達するように設計することができる。たとえば、K562細胞を、HLAクラスIを発現するように操作することができる。場合によっては、K562細胞は、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗CD2、膜結合IL-15、膜結合IL-17、膜結合IL-21、膜結合IL-2、短縮型CD19、または任意の組み合わせ、などの追加の分子を発現するように操作することができる。場合によっては、操作されたK562細胞は、CD80及びCD83に加えて、膜型の抗CD3mAb、クローンOKT3を発現し得る。場合によっては、操作されたK562細胞は、CD80及びCD83に加えて、膜型の抗CD3mAb、クローンOKT3、膜型の抗CD28mAbを発現し得る。場合によっては、本開示の改変標的細胞は、免疫細胞、例えば、T細胞またはB細胞を含むことができる。免疫細胞は、免疫刺激剤によって刺激されて増殖させることができる。一般に、T細胞は、CD3 TCR複合体関連シグナルを刺激することができる薬剤及びT細胞の表面上の共刺激分子を刺激することができるリガンドに結合した表面との接触によって増殖させることができる。特に、T細胞集団は、例えば、抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片、または表面上に固定化された抗CD2抗体との接触によって、または場合によりカルシウムイオノフォアと併せたタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触によって刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激のために、アクセサリー分子に結合するリガンドを使用することができる。例えば、T細胞集団は、T細胞の増殖を刺激することができる条件下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触することができる。場合によっては、4-1BBを使用して細胞を刺激することができる。たとえば、細胞を、4-1BB及びIL-21または別のサイトカインで刺激することができる。
【0532】
CD4T細胞またはCD8T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を使用することができる。例えば、シグナルを提供する薬剤は、溶液中に存在し得るか、または表面にカップリングし得る。場合によっては、T細胞などの細胞を薬剤コーティングビーズと組み合わせることができる。各ビーズを、抗CD3抗体もしくは抗CD28抗体のいずれか、または場合によっては2つの組み合わせでコーティングすることができる。ビーズ対細胞の任意の比率を利用することができる。場合によっては、ビーズ:細胞の比率は5:1;2.5:1;1:1;1:2;1:5;1:2.5;または2:1である。改変されたT細胞の増殖及び生存率に適切な免疫刺激剤には、インターロイキン-2(IL-2)、IFN-g、IL-4、IL-7、GM-CSF、IL-10、IL-21、IL-15、TGFベータ、及びTNFアルファまたはそれらの任意の誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0533】
場合によっては、改変細胞の調製の際に追加の刺激プロトコルを利用することができる。追加の刺激は、本明細書で提供される免疫刺激剤を利用する初期刺激を含むことができる。刺激は、エレクトロポレーションの前、エレクトロポレーションと同時、及び/またはエレクトロポレーションの後に細胞が刺激されるようにタイミングを合わせることができる。場合によっては、細胞は1つ以上の刺激を受けることができる。場合によっては、細胞は、抗体、その抗体断片、及び/または刺激性抗体もしくはその断片を表示する任意のビーズのいずれかを利用して、1、2、3、4、5、または最大約6回の刺激を受けることができる。場合によっては、追加の刺激は継続的な刺激を含む。例えば、エレクトロポレーション後、細胞を、その後、本明細書で提供される組成物及び方法のいずれか、例えば、抗CD3及び/または抗CD28を使用して、継続的に刺激することができる。追加の刺激により、追加の刺激を欠く同等の方法と比較して、細胞の増殖が増加し得る。場合によっては、2回目の刺激などの追加の刺激を、細胞のエレクトロポレーションの後に実行する。場合によっては、エレクトロポレーションの直後に2回目の刺激を実行する。他の場合では、2回目の刺激を、エレクトロポレーション後約5分から、10分、20分、30分、40分、50分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、または最長約20時間実行する。追加の刺激は、任意の長さの時間実行することができる。例えば、追加の刺激は、約2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、36時間、38時間、40時間、42時間、44時間、46時間、48時間、または最長約50時間実行することができる。場合によっては、追加の刺激は、約24~48時間、または約30~40時間である。場合によっては、刺激は、エレクトロポレーション前の最初の刺激と、それに続くエレクトロポレーション後の2回目の刺激とを含む。エレクトロポレーションされた細胞は、前述の比率、例えば2:1または1:2.5のビーズ(細胞あたりのビーズ)で刺激することができる。
【0534】
場合によっては、標的細胞または改変標的細胞は、組織または細胞と共培養することによって活性化または増殖させることができる。細胞は、抗原提示細胞または人工抗原提示細胞であり得る。抗原提示細胞(APC)には、樹状細胞、マクロファージ、B細胞、及びその他の非プロフェッショナルAPCが含まれるが、これらに限定されない。APCは、限定されるものではないが、B7、CD80、CD83、CD86、CD32、CD64、4-1BBL、抗CD3、抗CD3mAb、S-2-ヒドロキシグルタレート、抗CD28、抗CD28mAb、CD1d、抗-CD2、膜結合型IL-15、膜結合型IL-17、膜結合型IL-21、膜結合型IL-2、短縮型CD19、それらの誘導体、またはそれらの任意の組み合わせなど、その表面上に複数の免疫刺激分子を発現させることができる。
【0535】
人工抗原提示細胞(aAPC)は、T細胞受容体及び共刺激分子のリガンドを発現し、T細胞を活性化及び増殖して移入させることができ、場合によってはその効力及び機能を改善する。aAPCは、T細胞活性化のための任意の遺伝子を発現するように設計することができる。aAPCは、T細胞増殖のための任意の遺伝子を発現するように設計することができる。aAPCは、ビーズ、細胞、タンパク質、抗体、サイトカイン、または任意の組み合わせであり得る。aAPCは、ゲノム移植を受ける可能性のある細胞集団にシグナルを送達することができる。たとえば、aAPCは、シグナル1、シグナル2、シグナル3、または任意の組み合わせを送達することができる。シグナル1は、抗原認識シグナルであり得る。たとえば、シグナル1は、ペプチド-MHC複合体によるTCRのライゲーション、またはCD3シグナル伝達複合体の活性化につながる可能性のあるCD3に誘導されたアゴニスト抗体の結合であり得る。シグナル2は共刺激シグナルであり得る。たとえば、共刺激シグナルは、抗CD28、誘導性共刺激(ICOS)、CD27、及び4-1BB(CD137)であり得、それぞれICOS-L、CD70、及び4-1BBLに結合する。シグナル3はサイトカインシグナルであり得る。
【0536】
aAPCはビーズであり得る。球状のポリスチレンビーズは、CD3及びCD28に対する抗体でコーティングすることができ、T細胞の活性化に使用することができる。ビーズは任意のサイズであり得る。場合によっては、ビーズは3及び6マイクロメートルであり得るかまたは約3及び6マイクロメートルであり得る。ビーズは、サイズが4.5マイクロメートルであるかまたは約4.5マイクロメートルであり得る。ビーズは、任意の細胞対ビーズ比で利用することができる。たとえば、1ミリリットルあたり100万細胞で、3対1のビーズ対細胞比を使用することができる。aAPCはまた、剛性の球状粒子、ポリスチレンラテックスマイクロビーズ、磁性ナノ粒子またはマイクロ粒子、ナノサイズの量子ドット、4、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)ミクロスフェア、非球状粒子、5、カーボンナノチューブバンドル、6、楕円形PLGA微粒子、7、ナノワーム(nanoworm)、流体脂質二重層含有システム、8、2D支持脂質二重層(2D-SLB)、9、リポソーム、10、RAFTsomes/マイクロドメインリポソーム、11、SLB粒子、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0537】
場合によっては、aAPCはCD4 T細胞を増殖させることができる。たとえば、aAPCは、HLAクラスII拘束性CD4 T細胞の抗原処理及び提示経路を模倣するように設計することができる。K562は、HLA-D、DPα、DPβ鎖、Ii、DMα、DMβ、CD80、CD83、またはそれらの任意の組み合わせを発現するように設計することができる。たとえば、HLA拘束性抗原特異的CD4 T細胞を増殖させるために、操作されたK562細胞にHLA拘束性ペプチドをパルスすることができる。場合によっては、aAPCの使用は、T細胞の活性化、増殖、または任意の組み合わせのために外因的に導入されたサイトカインと組み合わせることができる。細胞はまた、例えば、改変された細胞を対象に投与した後、対象の血液中でインビボにて増殖させることができる。
【0538】
場合によっては、本明細書で提供される方法及び組成物は、実質的に抗生物質を含まない細胞培養培地を含み得る。抗生物質、例えば、ペニシリン及びストレプトマイシンは、実験培養物にのみ含めることができ、対象に注入される細胞の培養物には含まれない可能性がある。「実質的に抗生物質を含まない培地」という用語は、抗生物質を全くまたはほとんど含まない培地、例えば、0g/mlの抗生物質を含む培地、または最大1μg/ml、最大0.5μg/ml、最大0.2μg/ml、最大100ng/ml、最大50ng/ml、最大20ng/ml、最大10ng/ml、最大5ng/ml、最大2ng/ml、最大1ng/ml、最大500pg/ml、最大200pg/ml、最大100pg/ml、最大50pg/ml、最大20pg/ml、最大10pg/ml、最大5pg/ml、最大2pg/ml、最大1pg/ml、最大500fg/ml、最大200fg/ml、最大100fg/ml、最大50fg/ml、最大20fg/ml、最大10fg/ml、または最大1fg/mlの抗生物質を含む培地を指すことができる。
【0539】
場合によっては、免疫刺激剤は細胞トランスフェクション後に適用することができる。場合によっては、細胞トランスフェクションが完了した直後に免疫刺激剤を導入することができる。場合によっては、免疫刺激剤は、細胞トランスフェクションが実施されている間に導入され得、例えば、エレクトロポレーションが行われている間に適用され、または細胞がまだトランスフェクション試薬に曝露されている間に適用され得る。場合によっては、トランスフェクション後数分から数時間までで免疫刺激剤を導入することができる。細胞トランスフェクションの完了と免疫刺激剤の適用との間の時間遅延は、約30秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約1.5時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約7.5時間、約8時間、約10時間、約12時間、約20時間、約30時間、約40時間、約50時間、約60時間、約70時間、約80時間、約90時間、または約1週間であり得る。場合によっては、時間遅延がさらに長くなる可能性がある。
【0540】
場合によっては、免疫刺激剤は細胞トランスフェクション前に適用することができる。場合によっては、免疫刺激剤は、トランスフェクション前の一定期間にわたって、細胞培養に存在し得る。免疫刺激剤は、細胞トランスフェクションの前と後の両方に存在し得る。
【0541】
免疫刺激剤は、約20pg/ml、50pg/ml、100pg/ml、200pg/ml、300pg/ml、400pg/ml、500pg/ml、600pg/ml、700pg/ml、800pg/ml、900pg/ml、1ng/ml、2ng/ml、3ng/ml、4ng/ml、5ng/ml、6ng/ml、7ng/ml、8ng/ml、9ng/ml、10ng/ml、12ng/ml、15ng/ml、20ng/ml、25ng/ml、30ng/ml、35ng/ml、40ng/ml、45ng/ml、50ng/ml、75ng/ml、100ng/ml、200ng/ml、500ng/ml、750ng/ml、1μg/ml、5μg/ml、10μg/ml、50μg/ml、またはこれらの値のいずれか2つの間のおよそ値の濃度で培養培地に供給することができる。免疫刺激剤は、約5ng/mLの濃度で培養培地に供給することができる。免疫刺激剤は培養培地に供給することができ、免疫刺激剤を含有する培養培地は、約、6時間、12時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、36時間、40時間、44時間、48時間、50時間、60時間ごとに1回交換することができる。培養培地を頻繁に交換することで、免疫刺激剤の濃度をある一定のレベルに維持することができる。
【0542】
当業者が理解するように、免疫刺激剤の選択、免疫刺激剤の濃度、及び免疫刺激剤のインキュベーションのタイミング及び期間は、上記のように多くのパラメーターに応じて変化し得る。
【0543】
場合によっては、細胞を、一定期間免疫刺激剤で処理/インキュベートすることができる。インキュベーション時間は、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、または少なくとも約60分であり得る。インキュベーション時間は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約7.5時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約20時間、少なくとも約30時間、少なくとも約40時間、少なくとも約50時間、少なくとも約60時間、少なくとも約70時間、少なくとも約80時間、少なくとも約90時間、または少なくとも約1週間であり得る。場合によっては、インキュベーションは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、またはそれ以上であり得る。
【0544】
二本鎖切断修復のモジュレーター
本明細書で提供されるのは、細胞操作からの全体的な収量を改善する方法であって、例えば、細胞操作後の細胞生存率を改善すること、及び/またはトランスフェクション効率を改善することを含み、遺伝子改変細胞を十分な量の少なくとも1つのDNA二本鎖切断修復のモジュレーターと接触させることを含む、方法、である。いくつかの例では、十分な量のDNA二本鎖切断修復の少なくとも1つのモジュレーターと十分な期間接触させると、細胞の生存率を向上させることができる。場合によっては、十分な量のDNA二本鎖切断修復の少なくとも1つのモジュレーターと一定期間接触させると、トランスフェクション効率を向上させることができる。いくつかの例では、十分な量のDNA二本鎖切断修復の少なくとも1つのモジュレーターと十分な期間接触させると、細胞の生存率とトランスフェクション効率の両方を向上させることができる。
【0545】
場合によっては、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、DNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質を含み得る。場合によっては、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは化合物を含むことができる。二本鎖切断修復のモジュレーターは、ヒト、非ヒト、及び/または合成であり得る。場合によっては、二本鎖切断修復のモジュレーターはヒトである。場合によっては、二本鎖切断修復のモジュレーターは非ヒトである。好適な非ヒト供給源には、以下の非限定的な種:ラット、マウス、ロバ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、フェレット、サル、ヤギ、ヒツジ、魚、またはそれらの任意の組み合わせ、のいずれかのものが含まれる。
【0546】
いくつかの実施形態では、ゲノム編集を改善するために使用することができるDNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質の非限定的な例としては、Ku70、Ku80、BRCA1、BRCA2、RAD51、RS-1、PALB2、Nap1、p400 ATPアーゼ、EVL、NAC、MRE11、RAD50、RAD52、RAD55、RAD57、RAD54、RAD54B、Srs2、NBS1、H2AX、PARP-1、RAD18、DNA-PKcs、XRCC4、XLF、Artemis、TdT、polμ及びpolλ、ATM、AKT1、AKT2、AKT3、ニブリン、CtIP、EXO1、BLM、E4orf6、E1b55K、それらの相同体及び誘導体、Scr7、ならびにそれらの任意の組み合わせ、を挙げることができる。場合によっては、ゲノム編集の改善に使用することができるDNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質としては、RAD51を挙げることができる。場合によっては、ゲノム編集の改善に使用することができるDNA二本鎖切断修復に関与するタンパク質としては、RS-1を挙げることができる。RS-1またはRAD51のタンパク質を使用することができる。RS-1またはRAD-51をコードするポリヌクレオチドを使用することもできる。RS-1またはRAD-51のmRNAを使用することもできる。
【0547】
場合によっては、本明細書に記載のゲノム編集は、導入遺伝子の挿入を含み得る。導入遺伝子は通常、それが配置されているゲノム配列と同一ではない。導入遺伝子の挿入は、通常、標的ゲノム配列の切除を伴い、それによりDNA二本鎖切断を伴う。場合によっては、Ku70及びKu80などのタンパク質が関与する非相同末端結合(NHEJ経路)、ならびにBRCA、BRCA2、及びRad51などのタンパク質が関与する相同組換え経路(HR経路)は、細胞内の二本鎖切断イベント中に活性化される。場合によっては、本明細書に記載のDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、HRエンハンサーを含むことができる。HRエンハンサーは、相同組換え媒介DNA二本鎖切断修復を促進することができる。場合によっては、HRエンハンサーはNHEJ媒介DNA二本鎖切断修復を阻害し得る。場合によっては、本明細書に記載のDNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、NHEJエンハンサーを含むことができる。NHEJエンハンサーは、NHEJ媒介DNA二本鎖切断修復を促進することができる。場合によっては、NHEJエンハンサーは、HR媒介DNA二本鎖切断修復を阻害し得る。
【0548】
本明細書に記載の導入遺伝子は、相同組換えによってゲノムに導入することができる。場合によっては、導入遺伝子は相同性アームに隣接し得る。場合によっては、相同性アームは、導入遺伝子を所望の組み込み部位に標的化する相補的領域を含むことができる。場合によっては、ドナー導入遺伝子は、目的の位置で効率的なHDRが可能となるように、相同性の2つの領域に隣接する非相同配列を含有することができる。さらに、導入遺伝子配列は、細胞クロマチンの目的領域に相同ではない配列を含有するベクター分子を含むことができる。導入遺伝子は、細胞クロマチンと相同性のあるいくつかの不連続な領域を含むことができる。例えば、通常は目的の領域に存在しない配列の標的化挿入の場合、配列はドナー核酸分子に存在し、目的の領域の配列と相同性のある領域に隣接することができる。
【0549】
導入遺伝子は、アームとその相補的配列との間の相同性の程度が2つの間の相同組換えを可能にするのに十分である場合、相同性アームに隣接することができる。例えば、アームとその相補的配列との間の相同性の程度は、50%以上であり得る。2つの相同非同一配列は、任意の長さであり得、それらの非相同性の程度は、(例えば、標的化相同組換えによるゲノム点変異の修正のために)単一のヌクレオチドと同程度に小さくてもよく、または(例えば、染色体における所定の異所部位での遺伝子の挿入のために)10キロベース以上と同程度に大きくてもよい。相同非同一配列を含む2つのポリヌクレオチドは、同一の長さである必要はない。他の任意の遺伝子、例えば、本明細書に記載の遺伝子を使用して、組換えアームを生成することができる。
【0550】
導入遺伝子はまた、ゲノム内の標的化二本鎖切断領域に相補的な操作された部位に隣接することができる。場合によっては、操作された部位は、相同性アームではない。操作された部位は、二本鎖切断領域と相同性を有する可能性がある。操作された部位は、遺伝子と相同性を有する可能性がある。操作された部位は、コーディングゲノム領域と相同性を有することができる。操作された部位は、非コーディングゲノム領域と相同性を有することができる。場合によっては、導入遺伝子をポリ核酸から切り出すことができるので、これを相同組換えなしに二本鎖切断領域に挿入することができる。導入遺伝子は、相同組換えなしに二本鎖切断に組み込むことができる。
【0551】
場合によっては、相同組換えHRエンハンサーを使用して、非相同末端結合(NHEJ)を抑制することができる。非相同末端結合は、二本鎖切断の末端でヌクレオチドの喪失をもたらす可能性があり;非相同末端結合もフレームシフトをもたらす可能性がある。場合によっては、相同組換え修復は、遺伝子をノックインするときに使用するより魅力的な機序であり得る。非相同末端結合を抑制するために、HRエンハンサーを送達することができる。場合によっては、複数のHRエンハンサーを送達することができる。HRエンハンサーは、非相同末端結合に関与するタンパク質、たとえばKU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVを阻害することができる。場合によっては、Scr7などのリガーゼIV阻害剤を送達することができる。場合によっては、HRエンハンサーはL755507であり得る。場合によっては、別のリガーゼIV阻害剤を使用することができる。場合によっては、HRエンハンサーはアデノウイルス4タンパク質、例えばE1B55K及び/またはE4orf6であり得る。場合によっては、化学的阻害剤を使用することができる。
【0552】
KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVなどの非相同末端結合分子は、さまざまな方法を使用して抑制することができる。たとえば、KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVなどの非相同末端結合分子は、遺伝子サイレンシングによって抑制することができる。たとえば、非相同末端結合分子KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVは、因子の転写または翻訳中に、遺伝子サイレンシングによって抑制することができる。非相同末端結合分子KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVはまた、因子の分解によって抑制することができる。非相同末端結合分子KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVはまた、阻害することができる。KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVの阻害剤は、E1B55K及び/またはE4orf6を含むことができる。非相同末端結合分子KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVはまた、隔離によって阻害することができる。遺伝子発現は、ノックアウト、遺伝子のプロモーターの変更、及び/または因子に向けられた干渉RNAの投与によって抑制することができる。
【0553】
場合によっては、挿入は相同組換え修復を含むことができる。場合によっては、RS-1などのHRのエンハンサーを使用することができる。RS-1を、細胞培養の培地に加えることができる。RS-1は、外因性ポリ核酸をヌクレアーゼ媒介によりゲノムに組み込む効率を向上させることができる。たとえば、RS-1は、相同組換えによってTCR配列を細胞のゲノムに組み込む効率を改善することができる。RS-1はまた、細胞操作後の細胞の生存率を向上させることもできる。RS-1タンパク質またはその一部を、約3μMから約12μMの濃度で細胞集団に導入することができる。RS-1タンパク質またはその一部を、約7μMから約8μMの濃度で細胞集団に導入することができる。場合によっては、RS-1タンパク質またはその一部を、約3μMから、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μMまたは最大約12μMの濃度で細胞集団に導入することができる。場合によっては、RS-1経路における下流因子を利用することができる。RS-1(3-((ベンジルアミノ)スルホニル)-4-ブロモ-N-(4-ブロモフェニル)ベンズアミド)は、HR複合体のプレーヤーであるRAD51を刺激することができる。場合によっては、PALB2(BRCA2のパートナー及びローカライザー)、Nap1(ヌクレオソーム集合タンパク質1)、p400 ATPase、EVL(Ena/Vasp様)などのRAD51相互作用因子を調節すると、ヌクレアーゼ媒介遺伝子ターゲティングにおいて組み込み頻度が向上することもある。例えば、RAD51を細胞培養に導入して、外因性配列の細胞ゲノムへの組み込みを改善することができる。
【0554】
Rad51は、さまざまな方法でHRを支援することができる。たとえば、HRは、細胞周期のS期に合成された鋳型の可用性に依存し得る。乳癌感受性遺伝子(BRCA2)及び細菌のRecAリコンビナーゼの構造的及び機能的相同体であるRad51は、HRによるDSBのエラーのない修復に使用することができる。DSBの検出に続いて、BRCA2は、Rad51をDSBのジャンクションに動員する。Rad51タンパク質またはその一部は、場合によっては約100ngから約20μgの濃度で細胞集団に導入することができる。たとえば、Rad51を、約100ngから、200ng、300ng、400ng、500ng、600ng、700ng、800ng、900ng、1μg、2μg、3μg、4μg、5μg、6μg、7μg、8μg、9μg、10μg、11μg、12μg、13μg、14μg、15μg、16μg、17μg、18μg、19μg、または最大約20μgの細胞集団に導入することができる。
【0555】
場合によっては、相同組換えのエンハンサーは、n-アセチルシステイン(NAC)であり得る。NACは、反応性求電子試薬及びフリーラジカルと非酵素的に相互作用してこれらを解毒するチオール含有化合物であり得る。NACは、場合によっては細胞培養に導入することができる。例えば、NACは、エレクトロポレーション前、エレクトロポレーション中、またはエレクトロポレーション後に導入され得る。他の場合には、NACは増殖段階の間に細胞と共に培養され得る。場合によっては、NACをコードするベクターを、細胞に導入することができる。NACを、培養培地に約1μM、5μM、10μM、20μM、50μM、75μM、100μM、200μM、300μM、400μM、500μM、600μM、700μM、800μM、900μM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、12mM、14mM、15mM、16mM、18mM、20mM、22mM、24mM、25mM、26mM、28mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、75mM、100mM、200mM、500mM、750mM、1M、10M、100M、またはこれらの値のいずれか2つの間のおよその値の濃度で供給することができる。NACは約10mMの濃度で培養培地に供給することができる。
【0556】
エンハンサーは、二本鎖切断修復に関与するタンパク質であり得る。二本鎖切断修復に関与するタンパク質は、MRE11、RAD50、NBS1(XRS2)複合体、BRCA1、ヒストンH2AX、PARP-1、RAD18、DNA依存性プロテインキナーゼ触媒サブユニット(DNA-PKcs)、及びATMであり得る。場合によっては、エンハンサーはAKTであり得るか、またはAKT経路に関与している可能性がある。AKTは、NHEJ媒介二本鎖切断修復に関与し得る。場合によっては、AKT1はBrca1とRad51の細胞質移行を誘導することによってHRを阻害することができる。プロテインキナーゼB(PKB)としても知られるAKTは、cAMP依存性、cGMP依存性、プロテインキナーゼCキナーゼファミリーに属している。AKTファミリーは、3つの進化的に保存されたアイソフォーム:AKT1(PKBα)(3つのスプライスバリアントを含む)、AKT2(PKBβ)、及びAKT3(PKBγ)(2つのスプライスバリアントを含む)、を有し得る。成長因子及びサイトカイン、例としてIL-2は、膜貫通受容体に結合し、ホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)をリン酸化して原形質膜でPIP3を生成する脂質酵素ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)ファミリーメンバーの活性を刺激することができる。PIP3は、AKT及びPDK1などのプレクストリン相同(PH)ドメインを含有するタンパク質の結合部位を構成し、それらを膜に動員することができる。場合によっては、PI3Kファミリーのメンバーを細胞に導入して、外因性配列の組み込みを強化することができる。
【0557】
場合によっては、AKTを阻害することができる。選択的化学阻害剤またはAKT siRNAによるAKTの阻害により、RPA、CtIP、Rad51、及びChk1活性化のDNA損傷誘導型動員を回復させることができる。場合によっては、成長因子、サイトカイン、またはその両方の遮断によりAKT経路を阻害することができる。場合によっては、成長因子、サイトカイン、またはその両方、例えば抗IFNAR2抗体(ヒトインターフェロン(アルファ、ベータ、及びオメガ)受容体2に対する抗体)の遮断により、HR媒介DNA二本鎖切断修復を促進することができる。IFNAR2抗体は、約100pg/ml、500pg/ml、1ng/ml、5ng/ml、10ng/ml、20ng/ml、50ng/ml、75ng/ml、100ng/ml、200ng/ml、500ng/ml、750ng/ml、1μg/ml、2μg/ml、3μg/ml、4μg/ml、5μg/ml、6μg/ml、7μg/ml、8μg/ml、9μg/ml、10μg/ml、12μg/ml、14μg/ml、15μg/ml、16μg/ml、18μg/ml、20μg/ml、22μg/ml、25μg/ml、30μg/ml、40μg/ml、50μg/ml、60μg/ml、70μg/ml、80μg/ml、90μg/ml、1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、50mg/ml、100mg/ml、200mg/ml、500mg/ml、1g/ml、またはこれらの値のいずれか2つの間のおよその値の濃度で培養培地に供給することができる。IFNAR2抗体は、約10μg/mlの濃度で培養培地に供給することができる。
【0558】
非相同末端結合を抑制するHRエンハンサーを、プラスミドDNAとともに送達することができる。場合により、プラスミドは二本鎖DNA分子であり得る。プラスミド分子は一本鎖DNAであってもよい。プラスミドはまた、少なくとも1つの遺伝子を有することができる。プラスミドはまた、複数の遺伝子を有することができる。少なくとも1つのプラスミドを使用することもできる。複数のプラスミドを使用することもできる。非相同末端結合を抑制するHRエンハンサーを、CRISPR-Cas、プライマー、及び/または改変化合物と組み合わせたプラスミドDNAとともに送達することができる。改変化合物は、プラスミドDNAの細胞毒性を低減し、細胞の生存率を改善することができる。HRエンハンサー及び改変化合物は、ゲノム操作の前に細胞に導入することができる。HRエンハンサーは、小分子であり得る。場合によっては、HRエンハンサーをT細胞懸濁液に送達することができる。HRエンハンサーは、二本鎖DNAでトランスフェクトされた細胞の生存率を改善することができる。
【0559】
非相同末端結合を抑制するHRエンハンサーを、組み込まれるHR基質とともに送達することができる。基質はポリ核酸であり得る。ポリ核酸は、TCR導入遺伝子を含むことができる。ポリ核酸は、mRNAとして送達することができる。ポリ核酸は、TCR導入遺伝子を組み込むためにゲノムの内因性領域へ相同性アームを含むことができる。ポリ核酸はベクターであり得る。ベクターは、センスまたはアンチセンスのいずれかの方向で別のベクター(例えば、ウイルスベクター)に挿入することができる。ウイルスゲノムの5’LTR領域の上流に、T7、T3、または他の転写開始配列を配置して、ウイルスカセットのインビトロ転写を行うことができる。次に、このベクターカセットを、mRNAのインビトロ転写の鋳型として使用することができる。たとえば、このmRNAが同族の逆転写酵素とともに任意の細胞に送達され、またmRNAまたはタンパク質として送達される場合、一本鎖mRNAカセットを鋳型として使用して、ゲノム内の目的の標的部位に導入遺伝子カセットを組み込むための所望の相同組換えイベントのHR基質として使用することができる二本鎖DNA(dsDNA)の形態で、数百~数千のコピーを生成することができる。この方法により、CRISPR媒介相同組換えのための毒性プラスミドDNAの送達の必要性を回避することができる。さらに、各mRNA鋳型を、dsDNAの数百または数千のコピーに作製することができるため、細胞内で利用可能な相同組換え鋳型の量は非常に多くなり得る。大量の相同組換え鋳型は、所望の相同組換えイベントを促進することができる。さらに、mRNAは、一本鎖DNAを生成することもできる。一本鎖DNAは、例えば組換えAAV(rAAV)遺伝子ターゲティングを用いた相同組換えの鋳型としても使用することができる。mRNAは、インサイチュでDNA相同組換えHRエンハンサーに逆転写することができる。この戦略により、プラスミドDNAの毒性送達を回避することができる。さらに、mRNAは、相同組換え基質をプラスミドDNAよりも高いレベルに増幅することができ、及び/または相同組換えの効率を改善することができる。一本鎖DNAのロバストな逆転写のみが細胞内で発生する場合、ウイルスベクターのセンス鎖とアンチセンス鎖の両方をコードするmRNAを導入することができる。この場合、両方のmRNA鎖を細胞内で逆転写する、及び/または自然にアニーリングしてdsDNAを生成することができる。
【0560】
非相同末端結合を抑制するHRエンハンサーは、化学的阻害剤として送達することができる。たとえば、HRエンハンサーはリガーゼIV-DNA結合を妨害することによって作用することができる。HRエンハンサーは、内因性アポトーシス経路を活性化することもできる。HRエンハンサーは、リガーゼIV阻害剤のペプチド模倣体でもあり得る。HRエンハンサーは、Cas9システムと共発現させることもできる。HRエンハンサーは、E1B55K及び/またはE4orf6などのウイルスタンパク質と共発現させることもできる。HRエンハンサーは、SCR7、L755507、またはそれらの任意の誘導体でもあり得る。HRエンハンサーは、外因性DNA挿入物の毒性を低減する化合物とともに送達することができる。
【0561】
場合によっては、相同組換えHRエンハンサーを使用して、非相同末端結合を抑制することができる。場合によっては、相同組換えHRエンハンサーを使用して、相同組換え修復(homologous directed repair)を促進することができる。場合によっては、相同組換えHRエンハンサーを使用して、CRISPR-Cas二本鎖切断後の相同組換え修復を促進することができる。場合によっては、相同組換えHRエンハンサーを使用して、CRISPR-Cas二本鎖切断及び1つ以上の遺伝子(one of more genes)のノックイン及びノックアウト後の相同組換え修復を促進することができる。
【0562】
HRエンハンサーによるHR効率の向上は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり得るかまたは約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり得る。HRエンハンサーによるNHEJの減少は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり得るかまたは約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%であり得る。
【0563】
DNA二本鎖切断修復のモジュレーターとの接触により、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約250%、約300%、またはさらにそれ以上の細胞生存率の向上がもたらされる可能性がある。場合によっては、細胞生存率の向上は、約50%~約200%であり得る。ヌクレアーゼとの接触により、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約250%、約300%、またはさらにそれ以上の組み込み効率の向上がもたらされる可能性がある。場合によっては、組み込み効率の向上は約50%~約200%であり得る。
【0564】
場合によっては、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを、細胞トランスフェクション後に適用することができる。場合によっては、細胞トランスフェクションが完了した直後に、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを導入することができる。場合によっては、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを、細胞トランスフェクションが実施されている間に導入することができ、例えば、エレクトロポレーションが行われている間に適用することができ、または細胞がまだトランスフェクション試薬に曝露されている間に適用することができる。場合によっては、トランスフェクション後数分から数時間まででDNA二本鎖切断修復のモジュレーターを導入することができる。細胞トランスフェクションの完了とDNA二本鎖切断修復のモジュレーターの適用との間の時間遅延は、約30秒、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約1.5時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約7.5時間、約8時間、約10時間、約12時間、約20時間、約30時間、約40時間、約50時間、約60時間、約70時間、約80時間、約90時間、または約1週間であり得る。場合によっては、時間遅延がさらに長くなる可能性がある。
【0565】
場合によっては、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを、細胞トランスフェクション前に適用することができる。ある特定の場合には、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、トランスフェクション前の一定期間にわたって、細胞培養に存在し得る。DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは、細胞トランスフェクション前及び後の両方に存在し得る。
【0566】
DNA二本鎖切断修復のモジュレーターは培養培地に供給することができ、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターを含有する培養培地は、約6時間、12時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、36時間、40時間、44時間、48時間、50時間、60時間ごとに1回交換することができる。培養培地を頻繁に交換することで、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターの濃度をある一定のレベルに維持することができる。
【0567】
当業者が理解するように、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターの選択、DNA二本鎖切断修復のモジュレーターの濃度、及びDNA二本鎖切断修復のモジュレーターのインキュベーションのタイミング及び期間は、上記のように多くのパラメーターに応じて変化し得る。
【0568】
場合によっては、細胞を、一定期間DNA二本鎖切断修復のモジュレーターで処理/インキュベートすることができる。インキュベーション時間は、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、または少なくとも約60分であり得る。インキュベーション時間は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約7.5時間、少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約20時間、少なくとも約30時間、少なくとも約40時間、少なくとも約50時間、少なくとも約60時間、少なくとも約70時間、少なくとも約80時間、少なくとも約90時間、または少なくとも約1週間であり得る。場合によっては、インキュベーション時間は少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、またはそれ以上になる可能性がある。
【0569】
ミニサークル及び線形化二本鎖DNAコンストラクト
本明細書で提供されるのは、細胞操作からの全体的な収量を改善する方法であって、例えば、細胞操作後の細胞生存率を改善すること、及び/またはトランスフェクション効率を改善することを含み、導入遺伝子をコードするミニサークルベクターを細胞集団に接触させ、それによって改変細胞の集団を生成することを含む、方法である。
【0570】
また、本明細書で提供されるのは、細胞操作からの全体的な収量を改善する方法であって、例えば、細胞操作後の細胞生存率を改善することを含み、導入遺伝子をコードする線形化二本鎖DNAコンストラクトを細胞集団に接触させ、それによって改変細胞の集団を生成することを含む、方法である。
【0571】
本開示の一態様は、導入遺伝子をコードするミニサークルベクターを細胞の集団に導入し、それによって改変細胞の集団を生成することを含む、ゲノム編集の方法を提供する。本開示の一態様は、導入遺伝子をコードする線形化二本鎖DNAコンストラクトを細胞の集団に導入し、それによって改変細胞の集団を生成することを含む、ゲノム編集の方法を提供する。
【0572】
場合によっては、外因性ポリ核酸、例えば導入遺伝子を、ミニサークルベクターにおいて細胞に導入することができる。本明細書で使用される「ミニサークル」という用語は、すべてではないにしてもほとんどの原核生物ベクター部分(例えば、原核生物起源の制御配列及び他の非機能的配列)を含まない小さな環状プラスミド誘導体を指すことができる。ある特定の理論に拘束されることを望むと(With wishing to be bound by a certain theory)、外因性核酸のサイズを最小化することによって、細胞毒性を低減し、組み込み効率を場合により促進することができる。場合によっては、導入遺伝子をコードするミニサークルベクターを細胞に導入することを含む本明細書で提供される方法は、細胞生存率を増加させることができる。場合によっては、導入遺伝子をコードするミニサークルベクターを細胞に導入することを含む本明細書で提供される方法は、組み込み効率を向上させることができる。
【0573】
ミニサークルベクターは、約1.5kb、約2kb、約2.2kb、約2.4kb、約2.6kb、約2.8kb、約3kb、約3.2kb、約3.4kb、約3.6kb、約3.8kb、約4kb、約4.2kb、約4.4kb、約4.6kb、約4.8kb、約5kb、約5.2kb、約5.4kb、約5.6kb、約5.8kb、約6kb、約6.5kb、約7kb、約8kb、約9kb、約10kb、約12kb、約25kb、約50kb、またはこれらの数のいずれか2つの間の値のサイズを有することができる。場合によっては、本明細書で提供されるミニサークルは、最大2.1kb、最大3.1kb、最大4.1kb、最大4.5kb、最大5.1kb、最大5.5kb、最大6.5kb、最大7.5kb、最大8.5kb、最大9.5kb、最大11kb、最大13kb、最大15kb、最大30kb、または最大60kbのサイズを有することができる。
【0574】
ミニサークルベクター濃度は、約0.5ナノグラム(ng)~約50μgであり得る。ミニサークルベクター濃度は、約0.5ng~約50μg、約1ng~約25μg、約5ng~約10μg、約10ng~約5μg、約20ng~約1μg、約50ng~500ng、または約100ng~250ng、であり得る。
【0575】
場合によっては、外因性ポリ核酸、例えば導入遺伝子を、線形化二本鎖DNA(dsDNA)コンストラクトにおいて細胞に導入することができる。場合によっては、導入遺伝子をコードする線形化dsDNAコンストラクトを細胞に導入することを含む本明細書で提供される方法は、細胞生存率を増加させることができる。場合によっては、導入遺伝子をコードする線形化dsDNAコンストラクトを細胞に導入することを含む本明細書で提供される方法は、組み込み効率を向上させることができる。
【0576】
線形化dsDNAコンストラクトは、少なくとも500bp、少なくとも750bp、少なくとも1kb、少なくとも1.1kb、少なくとも1.2kb、少なくとも1.3kb、少なくとも1.4kb、少なくとも1.5kb、少なくとも1.6kb、少なくとも1.7kb、少なくとも1.8kb、少なくとも1.9kb、少なくとも2kbのサイズ、またはさらにそれ以上のサイズを有することができる。線形化dsDNAコンストラクトは、約500bp、約750bp、約1kb、約1.1kb、約1.2kb、約1.3kb、約1.4kb、約1.5kb、約1.6kb、約1.7kb、約1.8kb、約1.9kb、または約2kbのサイズを有することができる。
【0577】
線形化dsDNAコンストラクト濃度は、約0.5ナノグラム(ng)~約50μgであり得る。線形化dsDNAコンストラクト濃度は、約0.5ng~約50μg、約1ng~約25μg、約5ng~約10μg、約10ng~約5μg、約20ng~約1μg、約50ng~500ng、または約100ng~250ng、であり得る。
【0578】
ミニサークルベクターまたは二本鎖線形化コンストラクトは、上記のように導入遺伝子を含有することができる。ミニサークルまたは二本鎖線形化コンストラクトは、任意のヌクレオチド配列、例えば、任意の目的の遺伝子を含むことができる。ミニサークルまたは二本鎖線形化コンストラクトは、細胞受容体をコードする導入遺伝子を含むことができる。細胞受容体としては、TCR、BCR、CAR、及びそれらの任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。ミニサークルまたは二本鎖線形化コンストラクトは、上記のようにTCRをコードする導入遺伝子を含むことができる。
【0579】
ヌクレアーゼシステム
遺伝子編集は、CRISPR関連タンパク質(Casタンパク質、例えばCas9)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼを含むヌクレアーゼを使用して実行することができる。ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)は、天然に存在するヌクレアーゼであり得、遺伝子改変され、及び/または組換えであり得る。遺伝子編集はまた、トランスポゾンベースのシステム(PiggyBac、Sleeping beautyなど)を使用して実行することもできる。たとえば、遺伝子編集はトランスポザーゼを使用して実行することができる。
【0580】
CRISPRシステム
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法では、CRISPRシステムを使用する。RNA及びCasタンパク質をすべて組み込んだCRISPRシステムには少なくとも5つのタイプがある。タイプI、III、及びIVは、crRNAに相補的な核酸を切断することができるマルチCasタンパク質複合体を集合化する。タイプI及びIIIはどちらも、処理済みcrRNAをマルチCasタンパク質複合体に集合体化する前にcrRNA前処理を必要とする。タイプII及びVのCRISPRシステムは、少なくとも1つのガイドRNAと複合体を形成した単一のCasタンパク質を含む。好適なヌクレアーゼには、CRISPR関連(Cas)タンパク質またはCasヌクレアーゼ、例えばI型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、II型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、III型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、IV型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、V型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド、及びVI型CRISPR関連(Cas)ポリペプチド;ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN);転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);メガヌクレアーゼ;RNA結合タンパク質(RBP);CRISPR関連RNA結合タンパク質;リコンビナーゼ;フリッパーゼ;トランスポザーゼ;アルゴノートタンパク質;それらの任意の誘導体;それらの任意のバリアント;及びそれらの任意の断片、が含まれるが、これらに限定されない。
【0581】
CRISPRシステムの一般的な機序及び最近の進歩については、Cong, L. et al., “Multiplex genome engineering using CRISPR systems,” Science, 339(6121): 819-823 (2013);Fu, Y. et al., “High-frequency off-target mutagenesis induced by CRISPR-Cas nucleases in human cells,” Nature Biotechnology, 31, 822-826 (2013);Chu, VT et al. “Increasing the efficiency of homology-directed repair for CRISPR-Cas9-induced precise gene editing in mammalian cells,” Nature Biotechnology 33, 543-548 (2015);Shmakov, S. et al., “Discovery and functional characterization of diverse Class 2 CRISPR-Cas systems,” Molecular Cell, 60, 1-13 (2015);Makarova, KS et al., “An updated evolutionary classification of CRISPR-Cas systems,”, Nature Reviews Microbiology, 13, 1-15 (2015)、において考察されている。標的DNAの部位特異的切断は、1)ガイドRNAと標的DNA(プロトスペーサーとも呼ばれる)との間の塩基対相補性及びii)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる標的DNA内の短いモチーフの両方によって決定される位置で起こり得る。例えば、操作された細胞は、CRISPRシステム、例えば、タイプII CRISPRシステムを使用して生成することができる。本明細書に開示される方法において使用されるCas酵素は、DNA切断を触媒するCas9であり得る。Streptococcus pyogenesに由来するCas9または密接に関連する任意のCas9による酵素作用によって、ガイド配列の20ヌクレオチドにハイブリダイズし、標的配列の20ヌクレオチドに続くプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を有する標的部位配列で二本鎖切断を生成することができる。
【0582】
Casタンパク質
ベクターは、Casタンパク質(CRISPR関連タンパク質としての)などのCRISPR酵素をコードする酵素コード配列に作動可能に連結することができる。Casタンパク質の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1またはCsx12としても知られる)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、Cas9HiFi、それらの相同体、またはそれらの改変バージョンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Cas酵素は改変されていない。いくつかの実施形態では、CRISPR酵素は、標的配列で、例として標的配列内及び/または標的配列の補体内で一方または両方の鎖の切断を誘導する。たとえば、CRISPR酵素は、標的配列の最初または最後のヌクレオチドからの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、100、200、500またはそれ以上の塩基対内または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、100、200、500またはそれ以上の塩基対内の一方または両方の鎖の切断を誘導することができる。いくつかの実施形態では、CRISPR酵素は、対応する野生型酵素に関して変異し、その結果、変異CRISPR酵素は、標的配列を含有する標的ポリヌクレオチドの一方または両方の鎖を切断する能力を欠く。いくつかの実施形態では、Casタンパク質は、Cas9HiFiなどの忠実度の高いcasタンパク質である。
【0583】
Cas9は、Cas9タンパク質の野生型または改変型を指し、欠失、挿入、置換、バリアント、変異、融合、キメラ、またはそれらの任意の組み合わせなどのアミノ酸変化を含むことができる。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド(例えば、Cas9などのCasタンパク質)は、真核細胞などの特定の細胞における発現のためにコドン最適化されている。このタイプの最適化は、同じタンパク質をコードしながら、目的の宿主生物または細胞のコドン選好を模倣するために、外来性(例えば、組換え)DNAの変異を伴う可能性がある。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼは、野生型の例示的な部位特異的ポリペプチド(例えば、S. pyogenes由来のCas9)のヌクレアーゼドメインに対する少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、もしくは100%または少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、もしくは100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0584】
任意の機能的濃度のCasタンパク質を細胞に導入することができる。たとえば、15マイクログラムのCas mRNAを細胞に導入することができる。他の場合には、Cas mRNAは0.5マイクログラムから100マイクログラムまで導入することができる。Cas mRNAは、0.5から、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100マイクログラム導入することができる。
【0585】
いくつかの実施形態では、CRISPR酵素をコードするベクターは、1つ以上の核局在化配列(NLS)を含み、例として1、2、3、4、5、6、7、8、9、10を超えるまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10を超えるNLSを使用することができる。例えば、CRISPR酵素は、アミノ末端またはその近くに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10を超えるまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10を超えるNLS、カルボキシル末端またはその近くに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10を超えるまたは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10を超えるNLS、またはこれらの任意の組み合わせ(例えば、アミノ末端に1つ以上のNLS、及びカルボキシル末端に1つ以上のNLS)を含むことができる。複数のNLSが存在する場合、それぞれを他とは独立して選択することができ、その結果、単一のNLSが複数のコピーに存在し得、及び/または1つ以上のコピーに存在する1つ以上の他のNLSと組み合わせて存在し得る。いくつかの実施形態では、方法で使用されるCRISPR酵素は、NLSを含む。NLSは、ポリペプチド鎖内のどこにでも、例えば、N末端またはC末端の近くに位置することができる。例えば、NLSは、N末端またはC末端からポリペプチド鎖に沿って1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50アミノ酸内または約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50アミノ酸内に存在し得る。NLSは、N末端またはC末端から50アミノ酸以上内、例えば、100、200、300、400、500、600、700、800、900、もしくは1000アミノ酸以内または約50アミノ酸以上内、例えば、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、もしくは1000アミノ酸以内に存在し得る。
【0586】
NLSの非限定的な例には、以下に由来するNLS配列が含まれる:アミノ酸配列PKKKRKV(配列番号2)を有するSV40ウイルスラージT抗原のNLS;ヌクレオプラスミンからのNLS(例えば、配列KRPAATKKAGQAKKKK(配列番号63)を有するヌクレオプラスミン双節型NLS);アミノ酸配列PAAKRVKLD(配列番号64)またはRQRRNELKRSP(配列番号65)を有するc-myc NLS;配列NQSSNFGPMKGGNFGGRSSGPYGGGGQYFAKPRNQGGY(配列番号66)を有するhRNPA1 M9 NLS;インポーチンアルファからのIBBドメインの配列RMRIZFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELRKAKKDEQILKRRNV(配列番号67);筋腫Tタンパク質の配列VSRKRPRP(配列番号68)及びPPKKARED(配列番号69);ヒトp53の配列PQPKKKPL(配列番号70);マウスc-ablIVの配列SALIKKKKKMAP(配列番号71);インフルエンザウイルスNS1の配列DRLRR(配列番号72)及びPKQKKRK(配列番号73);肝炎ウイルスデルタ抗原の配列RKLKKKIKKL(配列番号74);マウスMx1タンパク質の配列REKKKFLKRR(配列番号75);ヒトポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの配列KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK(配列番号76);及びステロイドホルモン受容体(ヒト)糖質コルチコイドの配列RKCLQAGMNLEARKTKK(配列番号77)。
ガイドRNA
【0587】
本明細書で使用される場合、「ガイドRNA(gRNA)」という用語、及びその文法上の同等物は、標的DNAに特異的であり得、Casタンパク質と複合体を形成し得るRNAを指す。ガイドRNAは、標的部位を特定し、切断のためにRNA/Cas複合体を特定の標的DNAに案内するガイド配列またはスペーサー配列を含むことができる。標的DNAの部位特異的切断は、1)ガイドRNAと標的DNA(プロトスペーサーとも呼ばれる)との間の塩基対相補性及びii)プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる標的DNA内の短いモチーフの両方によって決定される位置で起こる。
【0588】
本明細書に開示される方法は、細胞または胚に、少なくとも1つのガイドRNAまたは核酸、例えば、少なくとも1つのガイドRNAをコードするDNAを導入することを含み得る。ガイドRNAは、RNAガイド型エンドヌクレアーゼと相互作用してエンドヌクレアーゼを特定の標的部位に誘導することができ、その部位でガイドRNAの5’末端が染色体配列の特定のプロトスペーサー配列と対になる。
【0589】
いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化型crRNA(tracrRNA)を含む。いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、crRNAの一部(例えば、機能的部分)とtracrRNAとの融合によって形成される単一ガイドRNA(sgRNA)を含む。ガイドRNAはまた、crRNA及びtracrRNAを含むデュアルRNAであり得る。ガイドRNAはcrRNAを含み、tracrRNAを欠いていてもよい。さらに、crRNAは標的DNAまたはプロトスペーサー配列とハイブリダイズすることができる。
【0590】
上記のように、ガイドRNAは発現産物であり得る。例えば、ガイドRNAをコードするDNAは、ガイドRNAをコードする配列を含むベクターであり得る。ガイドRNAを、単離されたガイドRNAまたはガイドRNA及びプロモーターをコードする配列を含むプラスミドDNAで細胞または生物をトランスフェクトすることによって、細胞または生物に移入することができる。ガイドRNAを、ウイルス媒介遺伝子送達など、他の方法で細胞または生物に移入することもできる。
【0591】
ガイドRNAを単離することができる。例えば、ガイドRNAを、単離されたRNAの形態で細胞または生物にトランスフェクトすることができる。ガイドRNAは、任意のインビトロ転写システムを使用したインビトロ転写によって調製することができる。ガイドRNAを、ガイドRNAのコード配列を含むプラスミドの形態ではなく、単離されたRNAの形態で細胞に移入することができる。
【0592】
いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、DNA標的指向性セグメント及びタンパク質結合セグメントを含む。DNA標的指向性セグメント(またはDNA標的指向性配列、またはスペーサー配列)は、標的DNA(例えば、プロトスペーサー)内の特定の配列に相補的であり得るヌクレオチド配列を含む。タンパク質結合セグメント(またはタンパク質結合配列)は、部位特異的改変ポリペプチド、例えば、Casタンパク質などのRNAガイド型エンドヌクレアーゼと相互作用することができる。「セグメント」とは、分子のセグメント/セクション/領域、例えば、RNA内のヌクレオチドの連続したストレッチを意味する。セグメントはまた、セグメントが2つ以上の分子の領域を含み得るような複合体の領域/セクションを意味し得る。例えば、場合によっては、DNA標的指向性RNAのタンパク質結合セグメントは1つのRNA分子であり、したがってタンパク質結合セグメントはそのRNA分子の領域を含む。他の場合では、DNA標的指向性RNAのタンパク質結合セグメントは、相補性の領域に沿ってハイブリダイズする2つの別々の分子を含む。
【0593】
いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、2つの別々のRNA分子または単一のRNA分子を含む。例示的な単一分子ガイドRNAは、DNA標的指向性セグメント及びタンパク質結合セグメントの両方を含む。
【0594】
例示的な2分子DNA標的指向性RNAは、crRNA様(「CRISPR RNA」または「ターゲッターRNA」または「crRNA」または「crRNAリピート」)分子及び対応するtracrRNA様(「トランス作用性CRISPR RNA」または「アクチベーターRNA」または「tracrRNA」)分子)を含み得る。第1のRNA分子は、crRNA様分子(ターゲッターRNA)であり得、DNA標的指向性セグメント(例えばスペーサー)及びガイドRNAのタンパク質結合セグメントを含む二本鎖RNA(dsRNA)デュプレックスの半分を形成し得るヌクレオチドのストレッチを含み得る。第2のRNA分子は、対応するtracrRNA様分子(アクチベーターRNA)であり得、ガイドRNAのタンパク質結合セグメントのdsRNAデュプレックスの残り半分を形成し得るヌクレオチドのストレッチを含み得る。言い換えれば、crRNA様分子のヌクレオチドのストレッチは、tracrRNA様分子のヌクレオチドのストレッチと相補的であり得、ハイブリダイズして、ガイドRNAのタンパク質結合ドメインのdsRNAデュプレックスを形成することができる。このように、各crRNA様分子は対応するtracrRNA様分子を有すると言うことができる。さらに、crRNA様分子は、一本鎖DNA標的指向性セグメントまたはスペーサー配列を提供することができる。したがって、crRNA様分子及びtracrRNA様分子(対応する対として)はハイブリダイズしてガイドRNAを形成することができる。対象の2分子ガイドRNAは、任意の対応するcrRNA及びtracrRNAの対を含み得る。
【0595】
いくつかの実施形態では、ガイドRNAのDNA標的指向性セグメントまたはスペーサー配列は、染色体配列(例えば、プロトスペーサー配列)における標的部位の配列に相補的であり、したがってガイドRNAのDNA標的指向性セグメントは、標的部位またはプロトスペーサーと塩基対を形成することができる。場合によっては、ガイドRNAのDNA標的指向性セグメントは、10ヌクレオチド~25ヌクレオチド以上または約10ヌクレオチド~約25ヌクレオチド以上を含む。例えば、ガイドRNAの第1の領域と染色体配列中の標的部位との間の塩基対形成の領域は、長さ10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25ヌクレオチド、もしくは25ヌクレオチド以上または約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25ヌクレオチド、もしくは25ヌクレオチド以上であり得る。いくつかの実施形態では、ガイドRNAの第1の領域は、長さ約19、20、または21ヌクレオチドである。
【0596】
いくつかの実施形態では、ガイドRNAは、20ヌクレオチドまたは約20ヌクレオチドの核酸配列を標的とする。標的核酸は、20ヌクレオチド未満または約20ヌクレオチド未満であり得る。標的核酸は、少なくとも5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドまたは少なくとも約5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドであり得る。標的核酸は、最長5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドまたは最長約5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドであり得る。標的核酸配列は、PAMにおける第1のヌクレオチドの5’のすぐ近くの約20塩基であり得る。ガイドRNAは、核酸配列を標的にすることができる。
【0597】
ガイド核酸、例えば、ガイドRNAは、別の核酸、例えば、細胞のゲノム中の標的核酸またはプロトスペーサーにハイブリダイズすることができる核酸を指すことができる。ガイド核酸はRNAであり得る。ガイド核酸はDNAであり得る。ガイド核酸は、部位特異的に核酸の配列に結合するようにプログラムまたは設計することができる。ガイド核酸は、ポリヌクレオチド鎖を含むことができ、単一ガイド核酸と呼ぶことができる。ガイド核酸は、2つのポリヌクレオチド鎖を含むことができ、ダブルガイド核酸と呼ぶことができる。
【0598】
ガイド核酸は、表1に示されている内因性遺伝子などのゲノム部位にハイブリダイズすることができる。他の場合において、ガイド核酸は、例えば、
図1A~
図1Cに例示されるように、挿入導入遺伝子を含むコンストラクトにハイブリダイズすることができる。いくつかの態様において、ガイド核酸は、非ヒトである配列にハイブリダイズする。例えば、ガイド核酸が挿入を含むコンストラクトにハイブリダイズする場合、それは、異種配列または合成配列などの非ヒト配列に特異的であり得る。場合によっては、非ヒト配列は異種(zenogeneic)である。異種配列は、魚、ウシ、ネコ、ヤギ、サル、ブタ、イヌ、ウマ、ヒツジ、鳥、フェレット、ハムスター、ウサギ、ヘビ、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の非ヒト供給源から得ることができる。場合によっては、異種配列は魚からのものであり、魚はゼブラフィッシュである。
【0599】
他の場合では、標的指向性コンストラクトの設計を簡素化するため、及び/または一貫性を持たせるために、CRISPRヌクレアーゼ、例えばCas9、ユニバーサルガイドRNA配列、UgRNAによるインビボでのドナー導入遺伝子カーゴの再現可能な遊離を利用することができ、Wierson et al., 2019に記載されている。場合によっては、ユニバーサルガイドは、たとえばMoreno-Mateos et al., 2015で提供されているように、CRISPRScanを使用して最適な塩基組成を含むことができる。例示的なユニバーサルUgRNAは、ゼブラフィッシュ、ブタ、またはヒトゲノムなどの異種ゲノム中に予測される標的を含まない場合がある。ユニバーサルガイドを利用すると、例えばガイドポリ核酸の標的部位で、及び/またはゼブラフィッシュnoto遺伝子に組み込まれた蛍光レポーターで効率的な二本鎖切断誘導及び相同性媒介修復を示すことができる(Wierson et al., 2019a)。
【0600】
ガイド核酸は、核酸に新しいまたは強化された特徴を提供するための1つ以上の改変を含むことができる。ガイド核酸は、核酸アフィニティータグを含むことができる。ガイド核酸は、合成ヌクレオチド、合成ヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド誘導体、及び/または改変ヌクレオチドを含むことができる。
【0601】
ガイド核酸は、例えば、5’末端もしくは3’末端のまたはその近くの、ヌクレオチド配列(例えば、スペーサー)を含むことができ、これにより標的核酸の配列(例えば、プロトスペーサー)にハイブリダイズすることができる。ガイド核酸のスペーサーは、ハイブリダイゼーションによる配列特異的な方法(すなわち、塩基対形成)で、標的核酸と相互作用することができる。スペーサー配列は、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の5’または3’に位置する標的核酸にハイブリダイズすることができる。スペーサー配列の長さは、少なくとも5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドまたは少なくとも約5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドであり得る。スペーサー配列の長さは、最長5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドまたは最長約5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30もしくはそれ以上のヌクレオチドであり得る。
【0602】
ガイドRNAは、二次構造を形成するdsRNAデュプレックス領域を含むこともできる。例えば、ガイドRNAによって形成される二次構造は、ステム(またはヘアピン)及びループを含むことができる。ループ及びステムの長さは可変であり得る。例えば、ループは長さ約3~約10ヌクレオチドの範囲であり得、ステムは長さ約6~約20塩基対の範囲であり得る。ステムは、1~約10ヌクレオチドの1つ以上のバルジ(bulge)を含むことができる。第2の領域の全長は、長さ約16~約60ヌクレオチドの範囲であり得る。例えば、ループは長さ4ヌクレオチドであり得るかまたは約4ヌクレオチドであり得、ステムは12塩基対であり得るかまたは約12塩基対であり得る。dsRNAデュプレックス領域は、RNAガイド型エンドヌクレアーゼ、例えばCasタンパク質などのRNA結合タンパク質と複合体を形成することができるタンパク質結合セグメントを含むことができる。
【0603】
ガイドRNAはまた、本質的に一本鎖であり得る5’または3’末端にテール領域を含むこともできる。たとえば、テール領域は、目的の細胞内の染色体配列に対して相補性ではない場合があり、ガイドRNAの残りの部分に対して相補性ではない場合がある。さらに、テール領域の長さは可変であり得る。テール領域は、長さが4ヌクレオチドより長いかまたは約4ヌクレオチドより長い場合がある。例えば、テール領域の長さは、長さ5~60ヌクレオチドまたは約5~約60ヌクレオチドの範囲であり得る。
【0604】
ガイドRNAは、RNA分子として細胞または胚に導入することができる。例えば、RNA分子は、インビトロで転写することができ、及び/または化学合成することができる。次に、ガイドRNAは、RNA分子として細胞または胚に導入することができる。ガイドRNAはまた、非RNA核酸分子、例えば、DNA分子の形態で細胞または胚に導入することができる。例えば、ガイドRNAをコードするDNAは、目的の細胞または胚におけるガイドRNAの発現のためにプロモーター制御配列に作動可能に連結することができる。RNAコード配列は、RNAポリメラーゼIII(Pol III)によって認識されるプロモーター配列に作動可能に連結することができる。
【0605】
ガイドRNAをコードするDNA分子はまた、線形であり得る。ガイドRNAをコードするDNA分子はまた、環状であり得る。ガイドRNAをコードするDNA配列はまた、ベクターの一部であり得る。ベクターのいくつかの例としては、プラスミドベクター、ファージミド、コスミド、人工/ミニ染色体、トランスポゾン、及びウイルスベクターを挙げることができる。たとえば、RNAガイド型エンドヌクレアーゼをコードするDNAはプラスミドベクターに存在する。好適なプラスミドベクターの他の非限定的な例としては、pUC、pBR322、pET、pBluescript、及びそれらのバリアントが挙げられる。さらに、ベクターは、追加の発現制御配列(例えば、エンハンサー配列、コザック配列、ポリアデニル化配列、転写終結配列など)、選択可能なマーカー配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、複製起点などを含むことができる。
【0606】
RNAガイド型エンドヌクレアーゼとガイドRNAの両方がDNA分子として細胞に導入される場合、それぞれが別々の分子の一部であり得る(たとえば、融合タンパク質コード配列を含有する1つのベクター及びガイドRNAコード配列を含有する第2のベクター)か、または両方同じ分子の一部であり得る(たとえば、融合タンパク質とガイドRNAの両方のコード(及び制御)配列を含有する1つのベクター)。
【0607】
Casタンパク質、例としてCas9タンパク質またはその任意の誘導体は、ガイドRNAと事前複合体化されて、リボヌクレオタンパク質(RNP)複合体を形成することができる。RNP複合体を、初代免疫細胞に導入することができる。RNP複合体の導入はタイミングを合わせることができる。細胞は、細胞周期のG1、S、及び/またはM期で他の細胞と同期させることができる。RNP複合体は、HDRが強化されるような細胞周期の期で送達することができる。RNP複合体は、相同組換え修復を促進することができる。
【0608】
ガイドRNAはまた、改変することができる。改変は、化学的変化、合成改変、ヌクレオチド付加、及び/またはヌクレオチド減算を含み得る。改変はまた、CRISPRゲノム操作を強化することができる。改変により、gRNAのキラリティーが変化することがある。場合によっては、キラリティーは、改変後に均一または立体化学的に純粋になり得る。ガイドRNAを合成することができる。合成されたガイドRNAは、CRISPRゲノム操作を強化することができる。ガイドRNAはまた、短縮化することができる。短縮化を使用して、望ましくないオフターゲット変異誘発を低減することができる。短縮化は、任意の数のヌクレオチド欠失を含むことができる。例えば、短縮化は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、40、50またはそれ以上のヌクレオチドを含むことができる。ガイドRNAは、任意の長さの標的相補性の領域を含むことができる。例えば、標的相補性の領域は、長さ20ヌクレオチド未満であり得る。標的相補性の領域は、長さ20ヌクレオチド超であり得る。
【0609】
場合によっては、改変は、5’末端、3’末端、5’末端から3’末端まで、単一塩基改変、2’-リボース改変、またはそれらの任意の組み合わせである。改変は、塩基置換、挿入、欠失、化学的改変、物理的改変、安定化、精製、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。
【0610】
場合によっては、改変は化学的改変である。改変は、5’アデニル酸、5’グアノシン三リン酸キャップ、5’N7-メチルグアノシン三リン酸キャップ、5’三リン酸キャップ、3’ホスフェート、3’チオホスフェート、5’ホスフェート、5’チオホスフェート、Cis-Synチミジン二量体、三量体、C12スペーサー、C3スペーサー、C6スペーサー、dSpacer、PCスペーサー、rSpacer、スペーサー18、スペーサー9、3’-3’改変、5’-5’改変、脱塩基、アクリジン、アゾベンゼン、ビオチン、ビオチンBB、ビオチンTEG、コレステリルTEG、デスチオビオチンTEG、DNP TEG、DNP-X、DOTA、dT-ビオチン、デュアルビオチン、PCビオチン、ソラレンC2、ソラレンC6、TINA、3’DABCYL、Black Hole Quencher1、Black Hole Quencher2、DABCYL SE、dT-DABCYL、IRDye QC-1、QSY-21、QSY-35、QSY-7、QSY-9、カルボキシルリンカー、チオールリンカー、2’デオキシリボヌクレオシドアナログプリン、2’デオキシリボヌクレオシドアナログピリミジン、リボヌクレオシドアナログ、2’-0-メチルリボヌクレオシドアナログ、糖修飾アナログ、ゆらぎ/ユニバーサル塩基、蛍光色素標識、2’フルオロRNA、2’O-メチルRNA、メチルホスホネート、ホスホジエステルDNA、ホスホジエステルRNA、ホスホチオエート(phosphothioate)DNA、ホスホロチオエートRNA、UNA、シュードウリジン-5’-三リン酸、5-メチルシチジン-5’-三リン酸、2-O-メチル3ホスホロチオエートまたはこれらの任意の組み合わせから選択され得る。
【0611】
場合によっては、改変は、2-O-メチル3ホスホロチオエート付加である。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、1塩基から150塩基まで行うことができる。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、1塩基から4塩基まで行うことができる。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、2塩基で行うことができる。2-O-メチル3ホスホロチオエート付加は、4塩基で行うことができる。改変は、短縮化であり得る。短縮化は、5塩基短縮化であり得る。
【0612】
場合によっては、デュアルニッカーゼアプローチを使用して、二本鎖切断を導入してもよい。Casタンパク質は、いずれかのヌクレアーゼドメイン内の既知のアミノ酸で変異させることができ、これにより1つのヌクレアーゼドメインの活性が削除され、一本鎖切断を生成することができるニッカーゼCasタンパク質が生成される。反対側の鎖を標的とする2つの異なるガイドRNAとともにニッカーゼを利用して、標的部位内にDSBを生成することができる(多くの場合、「ダブルニック」または「デュアルニッカーゼ」CRISPRシステムと呼ばれる)。このアプローチにより、DSBを引き起こすのに十分な近接距離内に2つのオフターゲットニックが生成される可能性が低いため、標的特異性が劇的に向上する場合がある。
【0613】
gRNAは、任意の機能的濃度で導入することができる。たとえば、gRNAを、10マイクログラムで細胞に導入することができる。他の場合には、gRNAは0.5マイクログラムから100マイクログラムまで導入することができる。gRNAは、0.5から、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100マイクログラムで導入することができる。
【0614】
場合によっては、GUIDE-Seq分析を実行して、操作されたガイドRNAの特異性を決定することができる。CRISPRシステムヌクレアーゼによるオフターゲット切断のGUIDE-Seqプロファイリングの一般的な機序及びプロトコルについては、Tsai, S. et al., “GUIDE-Seq enables genome-wide profiling of off-target cleavage by CRISPR system nucleases,” Nature, 33: 187-197 (2015)において考察されている。
【0615】
場合によっては、1つ以上のガイドを、細胞に導入する。その他の場合、2つ以上のガイドを、細胞に導入する。2つ以上のガイド核酸は、同じ発現ベクター上に同時に存在することができ、またはネイキッドガイドとして導入することもできる。2つ以上のガイド核酸は、同じ転写制御下にあり得る。いくつかの実施形態では、2つ以上(例えば、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、または50以上)のガイド核酸は、(同じまたは異なるベクターからの)標的細胞において同時に発現する。場合によっては、ガイド核酸は、死滅したCasタンパク質によって異なって認識される可能性がある(たとえば、S.pyogenes、S.aureus、S.thermophilus、L.innocua、及びN.meningitidesなどのさまざまな細菌由来のdCas9タンパク質)。
【0616】
非相同組換えの阻害
KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVなどの非相同末端結合分子は、さまざまな方法を使用して抑制することができる。たとえば、非相同末端結合分子、例としてKU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVは、(例えば、因子の転写または翻訳中に)遺伝子サイレンシングによって抑制することができる。非相同末端結合分子KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVはまた、タンパク質の分解によって抑制することができる。非相同末端結合分子KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVはまた、阻害することができる。KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVの阻害剤は、E1B55K及び/またはE4orf6を含むことができる。非相同末端結合分子KU70、KU80、及び/またはDNAリガーゼIVはまた、隔離によって阻害することができる。非相同末端結合を抑制する薬剤は、小分子であり得る。
【0617】
送達システム
従来のウイルス及び非ウイルスベースの遺伝子移入法を使用して、エンドヌクレアーゼをコードする核酸(例えば、CRISPR、TALEN、トランスポゾンベース、ZEN、メガヌクレアーゼ、またはMega-TAL分子)、ポリ核酸コンストラクト(例えば、挿入配列)、及びgRNAを、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで細胞に導入することができる。
【0618】
例示的なウイルスベクター送達システムは、細胞への送達後にエピソームゲノムまたは組み込まれたゲノムのいずれかを有するDNA及びRNAウイルスを含む。当業者に知られている形質導入法を使用して、ウイルスベクターを細胞に導入することができる。例示的な非ウイルスベクター送達システムとしては、DNAプラスミド、ミニサークルDNA、ネイキッド核酸、mRNA、及びリポソームまたはポロキサマーなどの送達ビヒクルと複合体を形成した核酸が挙げられる。
【0619】
核酸の非ウイルス送達の方法には、エレクトロポレーション、リポフェクション、ヌクレオフェクション、金ナノ粒子送達、マイクロインジェクション、バイオリスティクス(biolistics)、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム、ポリカチオンまたは脂質:核酸コンジュゲート、ネイキッドDNA、mRNA、人工ビリオン、及び薬剤で強化されたDNAの取り込みが含まれる。追加の例示的な核酸送達システムとしては、AMAXA(登録商標)Biosystems(Cologne, Germany)、Life Technologies (Frederick, Md.)、MAXCYTE, Inc. (Rockville, Md.)、BTX Molecular Delivery Systems (Holliston, Mass.)及びCopernicus Therapeutics Inc. (例えば、米国特許第6,008,336号を参照)によって提供されるものが挙げられる。リポフェクション試薬は市販されており(例えば、TRANSFECTAM(登録商標)及びLIPOFECTIN(登録商標))、ソノポレーションは、例えば、Sonitron2000システム(Rich-Mar)を使用している。
【0620】
いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼを、前記エンドヌクレアーゼをコードするmRNA分子を使用して細胞に導入する。いくつかの実施形態では、エンドヌクレアーゼを、ウイルスベクターを使用して細胞に導入する。いくつかの実施形態では、gRNAを、合成RNA分子を使用して細胞に導入する。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトを、DNAプラスミドを使用して細胞に導入する。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトを、ミニサークルDNAプラスミドを使用して細胞に導入する。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトを、ウイルスベクターを使用して細胞に導入する。いくつかの実施形態では、ポリ核酸コンストラクトを、AAVベクターを使用して細胞に導入する。
【0621】
場合によっては、本明細書に記載のポリ核酸コンストラクトを、RNA、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)を介して細胞に導入する。いくつかの実施形態では、mRNAポリ核酸を、逆転写酵素(RT)(タンパク質形態またはRTをコードするポリ核酸のいずれか)を用いて細胞に導入することができる。例示的なRTとしては、トリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素(AMV RT)、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV RT)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)逆転写酵素(RT)、それらの誘導体またはそれらの組み合わせに由来するものが含まれるが、これらに限定されない。トランスフェクトされると、逆転写酵素は、操作されたmRNAポリ核酸を、二本鎖DNA(dsNDA)に転写し得る。逆転写酵素(RT)は、RNA鋳型から相補的DNA(cDNA)を生成するために使用される酵素であり得る。場合によっては、RT酵素は、RNA(cDNA合成)または一本鎖DNAを鋳型として使用して、プライマーから開始する相補的DNA鎖を合成することができる。
【0622】
エレクトロポレーションスキーム
本明細書で提供されるのは、細胞操作からの全体的な収量を改善する方法であって、例えば、細胞操作後の細胞生存率を改善すること、及び/またはトランスフェクション効率を改善することを含む、方法である。本開示の一態様は、ゲノム編集の方法であって、第1のエレクトロポレーションステップ及び第2のエレクトロポレーションステップを含む、方法を提供する。場合によっては、本明細書で提供される連続エレクトロポレーションスキームは、細胞生存率を向上させることができる。場合によっては、本明細書で提供される連続エレクトロポレーションスキームは、トランスフェクション効率を向上させることができる。場合によっては、本明細書で提供される連続エレクトロポレーションスキームは、細胞生存率及びトランスフェクション効率の両方を向上させることができる。
【0623】
場合によっては、第1のエレクトロポレーションステップは、ガイド型ヌクレアーゼを細胞に導入することを含み得る。第2のエレクトロポレーションステップは、遺伝子の少なくとも一部に相補的な領域を含むガイドポリ核酸を細胞に導入することを含むことができる。第2のエレクトロポレーションステップは、細胞に外因性ポリ核酸を導入することをさらに含むことができる。方法では、改変セルを生成することができる。第1のエレクトロポレーションはいつでも実行することができる。場合によっては、抗CD3及び/または抗CD28などの刺激後にエレクトロポレーションを実行する。任意の数のサイトカインまたはインターロイキンを、刺激のために抗CD3または抗CD28と組み合わせて使用することもできる。エレクトロポレーションは、エレクトロポレーション後、約0時間から、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、26時間、28時間、30時間、32時間、34時間、36時間、38時間、40時間、42時間、44時間、46時間、48時間、50時間、52時間、54時間、56時間、58時間、60時間、62時間、64時間、66時間、68時間、70時間、72時間、74時間、76時間、78時間、80時間、82時間、84時間、86時間、88時間、90時間、92時間、94時間、96時間、98時間、または最長約100時間実行することができる。場合によっては、エレクトロポレーションを、刺激後約30時間~40時間実行する。場合によっては、エレクトロポレーションを、刺激後36時間で実行する。場合によっては、トランスフェクションは、細胞集団のS期に基づいてタイミングを合わせる、例えば、刺激後の時間の関数としての種々のDNAセンサーの発現レベルを示す
図29A及び
図29Bを参照されたい。
【0624】
場合によっては、第1のエレクトロポレーションステップは、ガイド型リボ核タンパク質複合体を細胞に導入することを含み得る。第2のエレクトロポレーションステップは、細胞に外因性ポリ核酸を導入することをさらに含むことができる。方法では、改変セルを生成することができる。
【0625】
本明細書で提供される方法は、改変される細胞の連続的エレクトロポレーションを含み得る。場合によっては、方法は、第1のエレクトロポレーションステップ及び第2のエレクトロポレーションステップを含むことができる。場合によっては、第1及び第2のエレクトロポレーションステップを、間隔を置いて実施する。第1及び第2のエレクトロポレーションステップ間の間隔は、約10分~約48時間、約30分~約44時間、約1時間~約40時間、約2時間~約36時間、3時間 ~約32時間、約4時間~約30時間、約5時間~約28時間、約5.5時間~約26時間、約6時間~約24時間、約6.5時間~約22時間、約7時間~約20時間、約8時間~約16時間、約9時間~約12時間、または約10~約11時間であり得る。場合によっては、第1のエレクトロポレーションステップと第2のエレクトロポレーションステップとの間の間隔は、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、または約24時間であり得る。
【0626】
第1のエレクトロポレーションステップと第2のエレクトロポレーションステップとの間の間隔は、細胞の生存率に有益であり得る。本明細書で提供される第1及び第2のエレクトロポレーションステップを含む方法は、第1及び第2のエレクトロポレーションステップの両方からなる単一のエレクトロポレーションを含む同等の細胞と比較して、生存率のパーセンテージの増加を促進することができる。生存パーセンテージの増加は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約250%、約300%、またはそれ以上であり得る。場合によっては、生存率の増加は約50%~約200%であり得る。
【0627】
第1のエレクトロポレーションステップと第2のエレクトロポレーションステップとの間の間隔は、導入遺伝子の組み込み効率に有益であり得る。本明細書で提供される第1及び第2のエレクトロポレーションステップを含む方法は、第1及び第2のエレクトロポレーションステップの両方からなる単一のエレクトロポレーションを含む同等の細胞と比較して、組み込み効率のパーセンテージの増加を促進することができる。組み込み効率の向上は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約250%、約300%、またはそれ以上であり得る。場合によっては、組み込み効率の向上は約50%~約200%であり得る。
【0628】
第1のエレクトロポレーションステップは、ガイド型ヌクレアーゼを細胞に導入することを含み得る。本明細書で提供されるように、ガイド型ヌクレアーゼは、CRISPR関連タンパク質(Casタンパク質、例えば、Cas9)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、トランスポサーゼ、及びメガヌクレアーゼを含むことができる。ヌクレアーゼ(例えば、エンドヌクレアーゼ)は、天然に存在するヌクレアーゼであり得、遺伝子改変され、及び/または組換えであり得る。ガイド型ヌクレアーゼは、細胞内にガイド型ヌクレアーゼの機能的存在をもたらすことができる任意の形態で標的細胞に導入することができる。場合によっては、ガイド型ヌクレアーゼをDNAの形態で細胞にトランスフェクトすることができる。場合によっては、ガイド型ヌクレアーゼをmRNAの形態で細胞にトランスフェクトすることができる。場合によっては、ガイド型ヌクレアーゼは、タンパク質またはタンパク質複合体の形態で細胞に送達することができる。場合によっては、ガイド型ヌクレアーゼは、Casタンパク質を含み得る。本明細書で提供される方法に使用することができるCasタンパク質の非限定的な例としては、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csn1またはCsx12としても知られる)、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx1S、Csf1、Csf2、CsO、Csf4、Cpf1、c2c1、c2c3、Cas9HiFi、それらの相同体、またはそれらの改変バージョンが挙げられる。
【0629】
第2のエレクトロポレーションステップは、遺伝子の少なくとも一部に相補的領域を含むガイドポリ核酸を細胞に導入することを含むことができる。第2のエレクトロポレーションステップは、細胞に外因性ポリ核酸を導入することをさらに含むことができる。第2のエレクトロポレーションステップは、遺伝子の少なくとも一部に相補的な領域を含むガイドポリ核酸及び外因性ポリ核酸を細胞に導入することを含むことができる。場合によっては、遺伝子の少なくとも一部に相補的な領域を含むガイドポリ核酸は、CRISPRシステムで使用されるガイドRNAを含むことができる。ガイドRNAはcrRNA及びtracrRNAを含み得る。場合によっては、遺伝子の少なくとも一部に相補的な領域を含むガイドポリ核酸及び外因性ポリ核酸は、単一のポリヌクレオチド分子、例えば、単一のDNAプラスミド上に存在し得る。
【0630】
本明細書で提供される方法に使用することができる外因性ポリ核酸は、任意のヌクレオチド配列を含むことができる。場合によっては、外因性ポリ核酸は、導入遺伝子を含み得る。導入遺伝子は、任意の遺伝子またはその誘導体であり得る。場合によっては、導入遺伝子は、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、またはそれらの組み合わせなどの細胞受容体を含み得る。
【0631】
治療への適用
本開示の遺伝子編集された免疫細胞は、治療方法、例えば、がん、炎症性障害、自己免疫障害、または感染症の治療に使用することができる。免疫細胞ゲノムに導入することができる改変には、例えば、挿入、欠失、配列置換(例えば、置換)、及びそれらの組み合わせが含まれる。1つ以上の配列をゲノムに挿入して、例えば、外因性遺伝子産物(例えば、既知の抗原特異性のT細胞受容体もしくはキメラ抗原受容体、既知の特異性の免疫グロブリン、サイトカインもしくはサイトカイン受容体、ケモカインもしくはケモカイン受容体、または薬物応答性ドメインを含むタンパク質)の発現が可能となり得る。プロモーター配列をゲノムに挿入して、例えば、内因性遺伝子産物または外因性(挿入)遺伝子産物の調節されたまたは構成的な発現が可能となり得る。1つ以上の遺伝子を破壊して、例えば、疾患の病因に寄与する産物(例えば、抗がんもしくは抗病原体免疫応答を低下させる免疫チェックポイント遺伝子、または炎症性疾患または自己免疫疾患に寄与する炎症誘発性遺伝子)の発現を破壊することができる。定義された配列を、例えば、遺伝子産物の機能を変更するために、ゲノムから欠失させることができる(例えば、エクソンの欠失またはタンパク質の1つ以上のドメインの欠失)。たとえば、疾患に関連する配列(SNPや突然変異など)を正常な配列に置き換えるために、または遺伝子産物の機能(例えば、抗原、リガンド、アゴニスト、アンタゴニストなどに対する結合親和性)を変更するために、ゲノム内の配列を別の配列に置き換えることができる。
【0632】
例示的ながんとしては、急性リンパ球性癌、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋腫、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、肛門癌、肛門管癌、直腸癌、眼癌、肝内胆管癌、関節癌、頸部癌、胆嚢癌、胸膜癌、鼻癌、鼻腔癌、中耳癌、口腔癌、外陰癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、線維肉腫、胃腸癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病、液体腫瘍、肝癌、肺癌、リンパ腫、悪性中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、腹膜癌、子宮内膜癌、腸間膜癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌、皮膚癌、小腸癌、軟組織癌、固形癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、尿管癌、及び膀胱癌、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0633】
いくつかの実施形態では、がんは、膀胱癌、上皮癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、食道癌、胃腸癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ腫、骨髄腫、卵巣癌、前立腺癌、肉腫、胃癌、甲状腺癌、急性リンパ球性癌、急性骨髄性白血病、胞巣状横紋筋肉腫、肛門管、直腸癌、眼癌、頸部癌、胆嚢癌、胸膜癌、口腔癌、外陰癌、結腸癌、子宮頸癌、線維肉腫、消化管カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、腎臓癌、中皮腫、肥満細胞腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、腹膜癌、腎癌、皮膚癌、小腸癌、軟組織癌、固形腫瘍、胃癌、精巣癌、または甲状腺癌、である。いくつかの実施形態では、前記がんは、胃腸癌、乳癌、リンパ腫、または前立腺癌である。
【0634】
例示的な自己免疫疾患としては、アカラシア、アジソン病、成人スティル病、無ガンマグロブリン血症、アレタ脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性血管浮腫、自己免疫性自律神経不全、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、軸索及び神経ニューロパチー、バロ病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、慢性再発性多発性骨髄炎、チャーグ・シュトラウス症候群、好酸球性肉芽腫症、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性房室ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状エリテマトーデス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、必須混合クリオグロブリン血症、エヴァンス症候群、線維筋痛症 線維化肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、バセドウ病、ギランバレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホシェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹または妊娠性類天疱瘡、化膿性汗腺炎、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫性血小板減少性紫斑病、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性関節炎、若年性糖尿病、若年性筋炎、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬 硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA疾患、ループス、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、混合性結合組織病、モーレン潰瘍、ミュシャ・ハーバーマン病、多発性運動神経障害 多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、新生児エリテマトーデス、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼類天疱瘡、視神経炎、パリンドロームリウマチ、PANDAS、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、パリーロンバーグ病症候群、扁平部炎、パーソネイジ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢神経障害、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多動脈炎、多腺症候群I、II、III型、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、むずむず脚症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強膜炎、強皮症、シェーグレン症候群、精子及び精巣の自己免疫、スティッフパーソン症候群、亜急性細菌性心内膜炎、スザック症候群、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病、トロサハント症候群、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、ブドウ膜炎、血管炎、硝子体炎、及びフォークト・小柳・原田病、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0635】
本明細書に記載の細胞は、それを必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、それらが投与される対象に対して同種異系または自家である。いくつかの実施形態では、細胞は、単回投与として投与される。いくつかの実施形態では、細胞は、複数回用量で投与される。いくつかの実施形態では、細胞は、静脈内注入によって投与される。
【0636】
いくつかの実施形態では、がん細胞などの標的細胞は、腫瘍を形成し得る。本明細書で提供される組成物及び方法により治療された腫瘍は、安定化した腫瘍増殖をもたらすことができる(例えば、1つ以上の腫瘍は、サイズが1%、5%、10%、15%、または20%を超えて増加しない、及び/または転移しない)。いくつかの実施形態では、腫瘍は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上の週の間安定化される。いくつかの実施形態では、腫瘍は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上の月の間安定化される。いくつかの実施形態では、腫瘍は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の年の間安定化される。いくつかの実施形態では、腫瘍のサイズまたは腫瘍細胞の数は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上減少する。いくつかの実施形態では、腫瘍は完全に排除されるか、または検出レベル未満に減少する。いくつかの実施形態では、対象は、治療後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上の週の間、腫瘍がない(例えば、寛解状態にある)ままである。いくつかの実施形態では、対象は、治療後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上の月の間、腫瘍がないままである。いくつかの実施形態では、対象は、治療後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の年の間、腫瘍がないままである。
【0637】
がん細胞などの標的細胞の死は、治療前後の細胞の計数、または生細胞または死細胞(例えば、生標的細胞または死標的細胞)に関連するマーカーのレベルの測定を含むがこれらに限定されない任意の好適な方法によって決定することができる。)。細胞死の程度は、任意の好適な方法によって決定することができる。いくつかの実施形態では、細胞死の程度は、開始条件に関して決定される。例えば、個体は、既知のサイズの開始細胞塊または既知の濃度で循環する標的細胞などの、既知の開始量の標的細胞を有し得る。このような場合、細胞死の程度は、開始細胞集団に対する治療後の生存細胞の比率として表すことができる。いくつかの実施形態では、細胞死の程度は、好適な細胞死アッセイによって決定され得る。さまざまな細胞死アッセイが利用可能であり、さまざまな検出手法を利用することができる。検出手法の例としては、細胞染色、顕微鏡検査、フローサイトメトリー、細胞ソーティング、及びこれらの組み合わせの使用が挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍が治療期間の完了後に外科的切除を受ける場合、腫瘍サイズを縮小する治療の有効性は、壊死している(すなわち、死滅している)切除された組織のパーセンテージを測定することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、切除された組織の壊死パーセンテージが約20%(例えば、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%)を超える場合、治療は治療上有効である。いくつかの実施形態では、切除された組織の壊死パーセンテージは100%である、すなわち、生腫瘍組織が存在しないか、または検出可能ではない。
【0638】
本明細書に開示される免疫細胞または免疫細胞の集団へのがん細胞の曝露は、インビトロまたはインビボのいずれかで実施することができる。標的細胞の免疫細胞または免疫細胞の集団への曝露は、一般に、標的細胞を免疫細胞と接触させて、及び/または十分に近接させて、標的細胞の抗原(例えば、膜結合または非膜結合)が、免疫細胞で発現するキメラ膜貫通受容体ポリペプチドの抗原相互作用ドメインに結合できるようにすることを指す。標的細胞の免疫細胞または免疫細胞の集団へのインビトロでの曝露は、標的細胞と免疫細胞を共培養することによって達成することができる。標的細胞と免疫細胞は、例えば、付着細胞として、あるいは懸濁状態で共培養することができる。標的細胞及び免疫細胞は、例えばサプリメント、成長因子、イオンなどを含む種々の好適なタイプの細胞培養培地で共培養することができる。標的細胞を、免疫細胞または免疫細胞の集団にインビボで曝露することを、場合によっては、免疫細胞を対象、例えばヒト対象に投与し、免疫細胞が循環系を介して標的細胞に局在化することが可能になることによって、達成することができる。場合によっては、免疫細胞を、例えば直接注射によって、標的細胞が局在化するすぐ近くの領域に送達することができる。曝露は、任意の好適な時間、例えば、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月以上実行することができる。
【0639】
キット
本明細書に記載の組成物のいずれも、キットに含めてもよい。非限定的な例では、導入遺伝子、ベクター、ポリヌクレオチド、ペプチド、本明細書で提供される組成物を生成するための試薬、及びそれらの任意の組み合わせを、キットに含めてもよい。場合によっては、キットの構成成分を、好適な容器手段で提供する。
【0640】
キットは、好適に等分された組成物を含み得る。キットの構成成分を、水性媒体または凍結乾燥形態のいずれかで包装することができる。キットの容器手段は、一般に、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、注射器、または他の容器手段を含み、その中に構成成分を入れ、好ましくは好適に等分することができる。キットに複数の構成成分が存在している場合、キットには一般に、追加の構成成分を別々に配置することができる第2の、第の3、またはその他の追加の容器も含まれる。しかし、構成成分の種々の組み合わせをバイアルに含めることができる。キットには、通常、商業販売のために構成成分を緊密に閉じ込めて収容するための手段も含まれる。そのような容器は、所望のバイアルが保持される注射薬容器またはブロー成形プラスチック容器を含み得る。
【0641】
ただし、キットの成分を、乾燥粉末として提供してもよい。試薬及び/または成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末は好適な溶媒の添加によって再構成することができる。溶媒はまた、別の容器手段で提供し得ることが想定される。
【0642】
いくつかの実施形態では、キットは、操作されたガイドRNA、操作されたガイドRNA前駆体、操作されたガイドRNAもしくは操作されたガイドRNA前駆体を含むベクター、または操作されたガイドRNAもしくは操作されたガイドRNA前駆体の核酸、操作された細胞受容体、操作された細胞受容体をコードするポリヌクレオチド、または上記のいずれかを含む医薬組成物及び容器を含むことができる。場合によっては、容器は、プラスチック、ガラス、金属、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0643】
場合によっては、本明細書に記載の組成物を含む包装された製品は、適切に標識化することができる。場合によっては、本明細書に記載の医薬組成物は、適正製造基準(cGMP)及び表示規則に従って製造することができる。場合によっては、本明細書に開示される医薬組成物は無菌であり得る。
【0644】
好ましい実施形態が本明細書において示され、説明されてきたが、そのような実施形態が単に例として提供されることは当業者には明らかであろう。多数の変化、変更、及び代用が、ここで当業者に思い当たるであろう。本明細書に記載の実施形態の種々な代替手段が、用いられてもよいことを理解されたい。以下の特許請求の範囲が範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の方法及び構造ならびにそれらの均等物が本明細書において包含されることが意図されている。
【実施例】
【0645】
実施例1:T細胞の単離
末梢血単核細胞(PBMC)を、塩化アンモニウムベースのRBC溶解及び/または密度勾配遠心分離(例えば、Ficoll-Paque)を使用して、全血またはアフェレーシスユニットから単離する。PBMCを計数し、EasySep緩衝液または2%FBS及び1mM EDTA(カルシウム及びマグネシウム非含有)を含むPBSで細胞密度を5×10^7細胞/mLに調整し、8mLまで丸底チューブに移す。EasySep Human T-cell Isolationキット(カタログ番号19051)からの単離カクテルを50uL/mLで細胞に加える。細胞を、ピペット操作により混合し、室温で5分間インキュベートする。RapidSpheresを、30秒間ボルテックスして混合し、40uL/mLで試料に加える。試料を5mLまたは10mLまで補充し、ピペット操作により穏やかに混合する。チューブをEasySepマグネットに入れ、室温で3分間インキュベートする。非T細胞は磁石に捕捉されるが、T細胞は結合されないままである。単離されたT細胞を、上澄みを1回の連続動作で注意深くピペット操作または注ぐことにより、新しいコニカルチューブに移す。T細胞を計数し、フローサイトメトリーによって純度を検証する(たとえば、>90%のCD3+細胞について検証する)。細胞は、培養、刺激、または分注して、将来の使用のために凍結することができる(たとえば、Cryostor CS10を用いる)。
【0646】
実施例2:T細胞の増殖
単離されたT細胞を、24ウェルプレート中の、2.6%OpTmizer(商標)T細胞増殖サプリメント、2.5%CTS(商標)免疫細胞血清置換、1%L-グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、10mM N-アセチル-L-システイン、300 IU/mL組換えヒトIL-2、5ng/mL組換えヒトIL-7、及び5ng/mL組換えヒトIL-15を含むOpTmizer(商標)T細胞増殖基礎培地に、1×10^6細胞/mLの密度でプレーティングする。(凍結細胞)凍結単離T細胞(frozen cells frozen isolated T cells)を使用する場合、細胞は刺激前に、解凍した後、少なくとも4~5時間静置させる。
【0647】
Human T-Activator CD3/CD28 Dynabeadsを、培養培地で洗浄し、磁石を使用して収集し、細胞あたり2ビーズ、または2.5細胞あたり1ビーズの比率で単離されたT細胞に加える。細胞を、37℃、5%CO2でインキュベートする。12~24時間後、試料を穏やかにピペットで移し、ビーズを再分配する。合計36時間のインキュベーション後、磁石を使用してビーズを除去する。
【0648】
実施例3:T細胞のヌクレオフェクション
単離されたT細胞を、実施例2に概説されているように刺激し、Lonza 4D Nucleofector(商標)Xユニット及びAmaxa 4D-Nucleofector Xキットを使用してエレクトロポレーションする。キットの説明書に従って、細胞をペレット化し、キット提供の緩衝液で1回洗浄し、キット提供の緩衝液に再懸濁し、キュベットに移す。
【0649】
100uLのキュベットの場合、キュベットごとに5~15ugのCas9 mRNA、及び5~25ugのgRNA-RNAを加える。プラスミドDNAを100uLキュベットに加える場合、5~10ugのプラスミドDNAを加える。
【0650】
20uLのキュベットの場合、キュベットごとに1~3ugのCas9 mRNA、及び1~5ugのgRNA-RNAを加える。プラスミドDNAを20uLキュベットに加える場合、1~2ugのプラスミドDNAを加える。
【0651】
ヌクレオフェクションを、キットの説明書に従って実行する。細胞をキュベット内に15分間静置した後、抗生物質を含まない培養培地を含有する回復プレートに移す。細胞を、最小限のピペット操作で穏やかに取り扱う。100uLキュベットの場合、内容物を、6ウェルプレートのウェルあたり1mLに移す。20uLキュベットの場合、内容物を、24ウェルプレートのウェルあたり300uLに移す。プラスミドDNAを加えた場合、1ug DNアーゼが回復ウェルに含まれる。細胞を37℃、5%CO2で30分間インキュベートした後、追加の培養培地を加えて細胞濃度を1×10^6細胞/mLにし、培養物を37℃、5%CO2に維持する。成長及び生存率を、たとえば、自動セルカウンターを用いたトリパンブルー排除によって定期的に監視する。
【0652】
実施例4:一本鎖アニーリングを含むT細胞のゲノム編集
DNAミニサークルコンストラクトを、
図1Aに表される要素を含むように設計及び合成する。「挿入」ボックスは、プロモーター(MNDプロモーター)、及びT細胞受容体(特異的モノクローナル抗体によって認識可能なマウスTCRb配列を含む外因性G12D KRAS特異的TCR)をコードするオープンリーディングフレームを含み、ポリAテールを含む、DNA配列を表す。T1は、ガイドRNA(たとえば、ゲノムを標的としないガイドRNA(たとえば、ゼブラフィッシュガイドRNAまたはアルゴリズム設計ガイドRNA)、またはゲノム内の破壊標的部位を標的とするガイドRNA)による切断の標的となる配列を表す。H1及びH2は、ゲノム内の選択された部位に相同な配列を有する短い相同性アームを表す(TRACエクソン1内の48塩基対配列)。対照として、48塩基対の相同性アームの代わりに1000塩基対の相同性アームとともに挿入を含むDNAミニサークルコンストラクトを設計する。
【0653】
コンストラクトは、
図1Bに示されるゲノム内のTRAC標的部位に挿入されるように設計されている。H1及びH2は、DNAミニサークルコンストラクトのH1及びH2に相同なゲノムの配列を表す。C2は、ガイドRNA(例えば、C1を標的とする同じガイドRNAまたは異なるガイドRNA)による切断の標的となる配列を表す。
【0654】
ヒトT細胞を実施例1のように単離し、実施例2のように増殖させ、Lonza 4D Nucleofector(商標)X ユニット及びAmaxa 4D-Nucleofector Xキットを使用してエレクトロポレーションする。キットの説明書に従って、細胞をペレット化し、キット提供の緩衝液で1回洗浄し、キット提供の緩衝液に再懸濁し、20uLキュベットに移す。
【0655】
DNA及び/またはRNAは、表2に示す量でキュベットに加える。
【表2】
【0656】
ヌクレオフェクションを、キットの説明書に従って実行する。細胞をキュベットで15分間静置した後、ウェルあたり300uLの抗生物質を含まない培養培地を含有し、1ug DNアーゼを含む24ウェルプレートに移す。細胞を、最小限のピペット操作で穏やかに取り扱う。細胞を37℃、5%CO2で30分間インキュベートした後、追加の培養培地を加えて細胞濃度を1×10^6細胞/mLにする。培養物を、37℃、5%CO2で7日間維持し、必要に応じて培養培地を交換し、培養物を分割する。
【0657】
ヌクレオフェクション後7日目に、細胞をフローサイトメトリーで分析し、DNAミニサークルコンストラクトによってコードされるTCRを発現する細胞の頻度及び数を決定する。実験条件ごとに5×10^5の細胞を採取し、ペレット化し、CD3及び挿入TCRに特異的な蛍光色素コンジュゲートモノクローナル抗体で染色する。細胞はまた、生存率色素で染色する。染色後、細胞をフローサイトメトリーにかけ、生細胞についてCD3及び挿入TCRの発現を分析する。
【0658】
図2は、実験条件1~3の結果を表し、ヌクレアーゼまたはガイドRNAがない条件では、挿入TCRが発現しないことを示している。各列は条件を表す。各行は、異なるドナー由来の試料を表す。y軸はCD3染色からの蛍光を表し、X軸は挿入TCRの染色からの蛍光を表す。数値は、象限内にある生細胞のパーセンテージを表す。
【0659】
図3は、実験条件4~7からの結果を表し、1000塩基対の相同性アーム(条件4及び5)を使用した実験条件と比較して、48塩基対の相同性アーム及びミニサークル標的指向性ガイドRNA(条件6及び7)を使用した実験条件では、より高い割合及び数の細胞が挿入TCRを発現することを示す。各列は条件を表す。各行は、異なるドナー由来の試料を表す。y軸はCD3染色からの蛍光を表し、X軸は挿入TCRの染色からの蛍光を表す。数値は、象限内にある生細胞のパーセンテージを表す。これらの結果は、相同組換えと比較して一本鎖アニーリングを含む方法を使用した免疫細胞ゲノム編集の効率の改善を示す。
【0660】
図4は、実験条件1~7からの挿入TCRを発現する生細胞のパーセンテージを示す。2つのドナーから処理された試料についてのデータが提示され、ドナーごとに2つの技術的複製がある。結果は、1000塩基対の相同性アーム(条件4及び5)を使用した実験条件と比較して、48塩基対の相同性アーム及びミニサークル標的指向性ガイドRNA(条件6及び7)を使用した実験条件では、より高い割合及び数の細胞が挿入TCRを発現することを示す。これらの結果は、相同組換えと比較して一本鎖アニーリングを含む方法を使用した免疫細胞ゲノム編集の効率の改善を示す。
【表3】
【0661】
実施例5:一本鎖アニーリングを含むT細胞のゲノム編集
DNAミニサークルコンストラクトを、
図1Aに表される要素を含むように設計及び合成する。「挿入」ボックスは、プロモーター及び緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするオープンリーディングフレームを含むDNA配列を表す。T1は、ガイドRNA(たとえば、ゲノムを標的としないガイドRNA(たとえば、ゼブラフィッシュガイドRNAまたはアルゴリズム設計ガイドRNA)、またはゲノム内の破壊標的部位を標的とするガイドRNA)による切断の標的となる配列を表す。H1及びH2は、ゲノム内の選択された部位に相同な配列を有する短い相同性アームを表す(AAVS1セーフハーバー遺伝子座内の48塩基対配列)。対照として、48塩基対の相同性アームの代わりに1000塩基対の相同性アームとともに挿入物を含むDNAミニサークルコンストラクトを設計する。
ユニバーサル配列などの異種配列を標的とする例示的なgRNAは、GGGAGGCGUUCGGGCCACAGGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(配列番号82)と約50%から、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含み得る。例示的な前述のgRNAはまた、mG*mG*mG* rArGrG rCrGrU rUrCrG rGrGrC rCrArC rArGrG rUrUrU rUrArG rArGrC rUrArG rArArA rUrArG rCrArA rGrUrU rArArA rArUrA rArGrG rCrUrA rGrUrC rCrGrU rUrArU rCrArA rCrUrU rGrArA rArArA rGrUrG rGrCrA rCrCrG rArGrU rCrGrG rUrGrC mU*mU*mU* rU(配列番号83)に記述されるような改変を含むことができる。例示的なユニバーサルガイド(ゼブラフィッシュ)gRNAのスペーサー配列は、gggaggcguucgggccacag(配列番号84)と約50%から、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の同一性を含み得る。前述のユニバーサルgRNA(例示的なユニバーサル配列)によって結合され得る標的配列、T1は、CTGTGGCCCGAACGCCTCCC(配列番号85)を含む。
【0662】
AAVS1 gRNAによって結合されるゲノム標的配列は、CTAGGGACAGGATTGGTGAC(配列番号86)を含む。AAVS1 gRNAは、配列番号79または82のいずれか1つの骨格、またはスペーサー配列を欠く領域を共有することができる。例えば、AAVS1 gRNAは、残基21~100に対応する配列番号79の骨格を含むことができる。
【0663】
コンストラクトは、
図1Bに示されるゲノムのAAVS1標的部位に挿入されるように設計されている。H1及びH2は、DNAミニサークルコンストラクトのH1及びH2に相同なゲノムの配列を表す。T2は、ガイドRNA(例えば、C1を標的とする同じガイドRNAまたは異なるガイドRNA)による切断の標的となる配列を表す。
【0664】
ヒトT細胞を実施例1のように単離し、実施例2のように増殖させ、Lonza 4D Nucleofector(商標)Xユニット及びAmaxa 4D-Nucleofector Xキットを使用してエレクトロポレーションする。キットの説明書に従って、細胞をペレット化し、キット提供の緩衝液で1回洗浄し、キット提供の緩衝液に再懸濁し、20uLキュベットに移す。
【0665】
DNA及び/またはRNAは、表4に示す量でキュベットに加える。
【表4】
【0666】
ヌクレオフェクションを、キットの説明書に従って実行する。細胞をキュベットで15分間静置した後、ウェルあたり300uLの抗生物質を含まない培養培地を含有し、1ug DNアーゼを含む24ウェルプレートに移す。細胞を、最小限のピペット操作で穏やかに取り扱う。細胞を37℃、5%CO2で30分間インキュベートした後、追加の培養培地を加えて細胞濃度を1×10^6細胞/mLにする。培養物を、37℃、5%CO2で7日間維持し、必要に応じて培養培地を交換し、培養物を分割する。
【0667】
ヌクレオフェクション後7日目に、細胞をフローサイトメトリーで分析し、DNAミニサークルコンストラクトからGFPレポーターを発現する細胞の頻度を決定する。実験条件ごとに5×10^5の細胞を採取し、ペレット化し、生存率色素で染色する。染色後、細胞をフローサイトメトリーにかけ、生細胞についてGFPの発現を分析する。
【0668】
図5は、実験条件1~7からのGFPレポーターを発現する生細胞のパーセンテージを示す。2つのドナーから処理された試料についてのデータが提示され、ドナーごとに3つの技術的複製がある。結果は、一本鎖アニーリングを含む方法を使用した効率的な免疫細胞ゲノム編集を示す。
【0669】
実施例6:T細胞改変のための材料及び方法
この実施例は、初代T細胞の単離、培養、トランスフェクション、及びエレクトロポレーション後のある特定のステップを伴う、実施例7~11で使用される材料及び方法を提供する。
【0670】
例示的なプロトコル1
材料
【0671】
培養培地:
・X-VIVO 15ゲンタマイシン含有、L-グルタミン含有、トランスフェリン含有、フェノールレッド含有
・X-VIVO 15ゲンタマイシン非含有、フェノールレッド非含有、L-グルタミン含有、トランスフェリン含有(*回復培地)
・10%ABヒト血清
・NアーゼI溶液(1mg/ml)
・300IU/ml IL-2
・5ng/ml IL-7
・5ng/ml IL-15
【0672】
凍結培地:
・Cryostor CS10
【0673】
細胞分離試薬:
・ヒトT細胞単離キット
・塩化アンモニウムRBC溶解液
【0674】
その他の試薬:
・Dynamag-2
・Neonキット
【0675】
抗体リスト:
・抗ヒトCTLA4
・抗ヒトPD-1
・抗ヒトCD3
方法
【0676】
塩化アンモニウムベースのRBC溶解物を使用したアフェレーシスユニット(Leukopak)からの末梢血単核細胞(PBMC)の分離
(a)Leukopakの血液量を測定する
(b)Leukopakを滅菌500mlボトルに分注し、等量の塩化アンモニウム溶液を加える
(c)数回反転させて混合する
(d)氷上で15分間インキュベートする
(e)試料を50mlのコニカルに均等に分配し、500×gで10分間遠心分離する。
(f)注意深く上澄みを除去し、廃棄する。
(g)チューブに1×PBS+2%ヒトAB血清を補充し、ブレーキをオフにして150×gで10分間遠心分離する。
(h)この洗浄ステップを少なくとも1回繰り返して、血小板を除去する。
(i)EasySep Human T-cell Isolationキットを使用して、T細胞精製用の適切な培地に再懸濁する。
塩化アンモニウムベースのRBC溶解を使用したTrimaコーンからの末梢血単核細胞(PBMC)の単離
(a)コーン内の血液量を測定する(通常は約10ml)
(b)体積を2つの50mlコニカルに分割する
(c)15mlの1×ACK溶解液を加える
(d)氷上で20分間インキュベートし、20mlの1×PBS+2%ヒトAB血清でクエンチする。
(e)500×gで10分間遠心分離する。
(f)注意深く上澄みを除去し、廃棄する。
(g)チューブに1×PBS+2%ヒトAB血清を補充し、ブレーキをオフにして150×gで10分間遠心分離する。
(h)この洗浄ステップを少なくとも1回繰り返して、血小板を除去する。
(i)EasySep Human T-cell Isolationキットを使用して、T細胞精製用の適切な培地に再懸濁する。
EasySep Human T-cell Isolationキット(カタログ番号19051)を使用したCD3+T細胞の単離
(a)フィコール分離PBMC(*または洗浄アフェレーシスユニット/Leukopac)を計数し、細胞密度を5×10^7細胞/mLに調整する。
(b)最大45mLを50mlコニカルチューブに移す(Easy“50”マグネットで使用するため)。
(c)50uL/mLの単離カクテルを細胞に加える。
(d)ピペット操作により混合し、室温で10分間インキュベートする。
(e)RapidSpheresを30秒間ボルテックスし、試料に50uL/mLを加える。上下にピペット操作して混合し、RTで10分間インキュベートする。
(f)10mLを超える試料の場合は、50mLまで補充する。
(g)コニカルチューブをEasy“50”マグネットに入れ、室温で10分間インキュベートする。
(h)マグネット内のコニカルから懸濁液を注意深くピペットで取り出し、新しい50mLコニカルに分注する。
(i)2回目の単離のためにコニカルをマグネットに戻し、5分間インキュベートする。
(j)50mlピペットを使用して1ラウンドのピペット操作で上澄みを注意深く除去して、非結合T細胞を除去し、新しい50mlコニカルに移す。
(k)T細胞を計数し、%CD3+(>90%)についてフローサイトメトリーによって純度を検証する
(l) 将来の使用のために未使用の細胞を分注して凍結させる(Crystorまたは90%FBS:10%DMSO)
CryoStorCS10で元々凍結されていた試料の解凍
(a)予熱した培養培地(37℃)で細胞を解凍する。それらが培養されるのと同じタイプの培地を使用する。
(b)滅菌15mLコニカルチューブに1mLの培養培地を加える。
(c)氷結晶が1つ残るまで、37℃のウォーターバスで凍結バイアルを解凍する。すぐにバイアルを安全キャビネットに運び、70%エタノールをスプレーして拭き取る。
(d)バイアルを注意深く開ける。細胞懸濁液を、1つのバイアルから15mlコニカルチューブに穏やかにピペットで滴下する。
(e)さらに1mlの培養培地を滴下し、穏やかに回転させる。
(f)もう1mlの培養培地を滴下し、穏やかに回転させる。
(g)さらに4mlの培養培地を加え、穏やかに混合する。
(h)175gで10分間遠心分離する。より高い遠心力により細胞死がもたらされる。
(i)上澄みを吸引し、細胞ペレットを培養培地に懸濁する。
(j)細胞を計数し、試験するか、または培養する準備ができている。細胞を培養培地及びインキュベーターに遅れないで入れること。
dynabeadsによるCD3+T細胞の刺激
(a)24ウェルプレート中のX-vivo培地+10%ヒトAB血清+300IU/ml IL、5ng/ml IL-7、及び5ng/mlのIL-15に、1×10^6細胞/mLの密度で単離されたT細胞をプレーティングする。
(b)2:1の比率(ビーズ:細胞)を得るために必要なDynabeads Human T-Activator CD3/CD28ビーズ(Gibco、Life Technologies)の数を計算し、0.2%BSAを含む1×PBSで洗浄し、dynamagnet-2を使用してビーズを収集する。
(c)洗浄したビーズを2:1の比率または1:2.5(ビーズ:細胞)で細胞に加える。
(d)細胞を37C及び5%CO2で24~36時間インキュベートする。
(e)dynamagnet-2を使用してビーズを除去する。
(f)エレクトロポレーションの前に、ビーズなしで細胞を少なくとも30分間培養する。
CD3+T細胞のNeonトランスフェクション
(a)刺激されたT細胞を、Neonトランスフェクションシステム(100uLまたは10ulキット、Invitrogen、Life Technologies)を使用してエレクトロポレーションする。
(b)細胞をペレット化し、PBSまたはT緩衝液で1回洗浄する。
(c)10ulチップの場合は10uLのT緩衝液に3×10^5細胞の密度で細胞を再懸濁し、100ulチップの場合は100ul T緩衝液に3×10^6細胞を再懸濁する。
(d)指定された質量のmRNA/DNAを加え、1400V、10ミリ秒、3パルスでエレクトロポレーションする。
a.すべてのmRNAを使用したノックアウトの場合:
i.100ulチップ:15ug Cas9 mRNA、10ug gRNA-RNA
ii.10ulチップ:1.5ug Cas9 mRNA、1ug gRNA-RNA
b.ノックイン用のプラスミドドナーを含める場合:
i.100ulチップ:5~20ugプラスミド
ii.10ulチップ:0.5~2ugプラスミド
c.順次エレクトロポレーションの場合:
-0時間の時点で、「a」で指定された量のCas9を送達する
ii.0時間及び6~24時間の時点で、「a」及び「b」で指定された量のgRNAとプラスミドを一緒に送達する。
(e)トランスフェクション後、10ug/ml DNアーゼIを含有する抗生物質を含まない培地に、3000細胞/ulで細胞をプレーティングし、5%CO2で37℃にて約20分間インキュベートする。
(f)回復期間後、2倍量の抗生物質含有培地をウェルに加え、5%CO2で37℃にて培養する。
CD3+T細胞のrAAV形質導入
(a)氷上でrAAVを解凍し、細胞に加える前によく混合する。
(b)エレクトロポレーション後の次の時点で指定されたMOIを加える
a.Cas9 mRNA編集細胞の場合:
i.4~6時間後にウイルスを加える
b.Cas9タンパク質(RNP)の場合:
i.15分後にウイルスを加える
初代T細胞のエレクトロポレーション後培養
1.培地添加の指標として、エレクトロポレーション後の培地の色を観察する。タイミングは、特定の実験/ドナー用の細胞の健康状態によって異なる。培地がオレンジ色に変わり始めたら(場合によっては48時間という早い時期に)、2倍の濃度のサイトカインを含有する培養培地で培養培地の量を2倍にする(2×培地)。培養期間にわたって、必要に応じてこのプロセスを続ける。
2.場合によっては、細胞が非常に急速に成長し(特に7~9日目頃)、培地が急速に消費されると、細胞をスピンダウンして1×培地の2~3倍の量で再構成することができる。
3.細胞の成長が不十分で、培地を2倍にする必要がなく、3~4日が経過した場合は、フラスコの底に沈殿した細胞を乱さないように注意しながら、上部からピペット操作により培地の約50%を注意深く除去し、等量の2×培地と交換する。
例示的なプロトコル2(追加の刺激):例示的なプロトコル1に対する改変
【0677】
試薬及び材料
(A)培養培地:2.6%OpTmizer(商標)T細胞増殖サプリメント(Gibcoカタログ番号A10484-02)を含む1L OpTmizer(商標)T細胞増殖基礎培地(Gibcoカタログ番号A10221-01)、2.5%CTS(商標)免疫細胞血清置換(Gibcoカタログ番号A25961-01)、1%L-グルタミン(Gibcoカタログ番号25030-081)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Milliporeカタログ番号TMS-AB2-C)、10mM N-アセチル-L-システイン(Sigmaカタログ番号A9165-256)、300IU/ml 組換えヒトIL-6(Peprotechカタログ番号200-02)、5ng/ml 組換えヒトIL-7(Peprotechカタログ番号200-07)、5ng/ml 組換えヒトIL-15(Peprotechカタログ番号200-15)。
(B)回復培地:ペニシリン/ストレプトマイシンを含まない培養培地。
(C)凍結培地:Cryostor CS10(Stemcell カタログ番号07930)。
(D)分離緩衝液:0.2%ヒトAB血清熱不活化(Valley Biomedicalカタログ番号HP1022HI)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Milliporeカタログ番号TMS-AB2-C)及び0.1M EDTA pH 8.0(Invitrogenカタログ番号AM9261)を含む1Lリン酸緩衝生理食塩水1×(Hyclone カタログ番号SH302-56-01)
(E)FACS緩衝液:0.5%ペニシリン/ストレプトマイシン(Milliporeカタログ番号TMS-AB2-C)、0.1%ヒトAB血清熱不活化(Valley Biomedicalカタログ番号HP1022HI)、及び0.1M EDTA pH 8.0(Invitrogenカタログ番号AM9261)を含む500mlリン酸緩衝生理食塩水1×(Hycloneカタログ番号SH302-56-01)
(F)細胞分離試薬:ヒトT細胞単離キット(Stem Cell Technologiesカタログ番号17951)及びACK溶解緩衝液(Quality Biologicalカタログ番号118-156-101)。
(G)追加試薬:Dynabeads Human T-Activator CD3/CD28(Gibcoカタログ番号11132D)、Amaxa 4D-Nucleofector Xキット(Lonzaカタログ番号V4XP-3032、V4XP-3024)、Stemcell EasySep Human T-cell Isolationキット(カタログ番号19051)。
(H)抗体:APCマウス抗ヒトCD3(BD Pharmingenカタログ番号555335)、抗マウスTCRb PE CY 7クローンH57-597(eBioscienceカタログ番号25-5961-80)、抗マウスTCRb PE CY 7クローンSK7(BD Biosciencesカタログ番号340440)、及びFixable Viability Dye eFluor 780(eBioscienceカタログ番号65-0865-14)。
(I)材料:DynaMag(商標)-2マグネット(ThermoFisher Scientificカタログ番号12321D)、Big EasyEasySep(商標)マグネット(Stemcellカタログ番号18001)、及びInvitrogen(商標)Countess(商標)II FL自動セルカウンター(ThermoFisher Scientificカタログ番号AMQAF1000)。
【0678】
塩化アンモニウムベースのRBC溶解物を使用したTrimaコーンからの末梢血単核細胞(PBMC)の単離を、前述のように実行する。
【0679】
EasySep Human T-cell Isolationキット(カタログ番号19051)を使用したCD3+T細胞の単離
(A)フィコール分離PBMC(*または洗浄アフェレーシスユニット/Leukopac)を計数し、細胞密度を5×10^7細胞/mlに調整する。
(B)8mL~14mlの丸底チューブに移す(「The Big Easy」EasySepマグネットで使用するため)。
(C)50uL/mLの単離カクテルを細胞に加える。
(D)ピペット操作により混合し、室温で5分間インキュベートする。
(E)RapidSpheresを30秒間ボルテックスし、試料に40uL/mLを加える。上下にピペット操作して混合し、RTで3分間インキュベートする。
(F)4mL未満の試料の場合は5mLまで補充し、4mlを超える試料の場合は10mlまで補充する。
(G)滅菌ピペットを使用して1ラウンドのピペット操作で上澄みを注意深く除去し、新しいコニカルチューブに移して、非結合T細胞を除去する。
(H)T細胞を計数し、%CD3+(>90%)についてフローサイトメトリーによって純度を検証する
(I)Cryostor CS10(Stemcellカタログ番号07930)を用いて、将来使用するための未使用の細胞を分注して凍結する。
【0680】
CD3+T細胞のAmaxaヌクレオフェクション
刺激されたT細胞を、P3緩衝液(V4XP-3032、V4XP-3024)を使用し、Lonza 4D Nucleofector(商標)Xユニット及びAmaxa4D -NucleofectorXキットを使用してエレクトロポレーションする。
1)P3キットの場合、緩衝溶液マスターミックスを事前に調製し、RTにする必要がある。一度混合すると、4℃で90日間良好に保存できるので、特定の実験に必要な量よりわずかだけに多く作製する。
・18uL サプリメント1+82uL P3 Primary Cell Nucleofector Solution
-100ulキュベット:90uLP3緩衝液ミックス/反応
-20ulキュベット:18uL P3緩衝液ミックス/反応
2)ピペットを使用して細胞をよく混合及び撹拌し、Dynabeadsへの結合を破壊する。
3)dynamagnet-2を使用してビーズを除去する。
4)細胞をPBSにより400×gで5分間1回洗浄する。
5)細胞を再懸濁して計数する。
・100ulキュベットの場合、2~20×10^6細胞/条件を使用することができる。
・20ulキュベットの場合、0.5~1×10^6細胞/条件を使用することができる。
6)より適切な数の細胞+追加の1反応分を新しい50mLコニカルに移す(つまり、10反応の場合、11×10^6細胞で開始する)。
7)コニカルをPBSで50mLまで充填し、200×gで10分間スピンさせる。
8)アスピレーターが液体を収集している間、コニカルをゆっくりとデカントすることにより、PBSを可能な限り注意深く吸引する。ペレットが緩むので、チューブの底にある角度の付いたリップより下にアスピレーターを動かさないこと。このやり方で15~20秒間単に保持するのが最適であることがわかった。
9)調製したP3マスターミックスに細胞を再懸濁する。
-100ul キュベット:90uL P3緩衝液ミックス/反応
-20ul キュベット:18uL P3緩衝液ミックス/反応
10)滅菌環境において氷上で100uLのPCRチューブに所望の量のmRNA/DNAを加える
・すべてのmRNAを使用したノックアウトの場合:
-100ul キュベット:5~15ug Cas9 mRNA、5~25ug gRNA
-20ul キュベット:1~3ug Cas9 mRNA、1~5ug gRNA
・プラスミドドナー/DNAを含める場合:
-100ul キュベット:5~10ugプラスミド
-20ul キュベット:1~2ugプラスミド
・核酸の量は、このシステムの細胞数ではなく反応量に基づいて調整するため、大きなキュベットには、200万または2000万の細胞を使用するかどうかにかかわらず、小さなキュベットの5倍の最適化された量のmRNA/gRNA/DNAが含まれている必要がある。
・緩衝液試薬を希釈しないように、このプロトコルには必ず濃縮核酸(1ug/uL以上)を使用すること。
11)ステップ10で調製した各チューブに細胞を含有するマスターミックスを加える。
100ul キュベット:細胞を含む90uL P3緩衝液ミックス/反応
20ul キュベット:細胞を含む18uL P3緩衝液ミックス/反応
12)各チューブを、ピペットを用いて1回混合してすべての試薬を組み込み、反応混合物全体を適切なキュベットに移す。
・キュベットの最大充填量-PCRチューブに余剰分を残す
-100ul キュベット:120uL
-20ul キュベット:24uL
13)キャップをつける、たたく、ZAPに組み込む
・キュベットにキャップを付ける
・平らな面を数回軽くたたいて、気泡が除去されていることを確認する
・Amaxa Xモジュールにかけて、試料をエレクトロポレーションする
-すべてのmRNA/gRNA zapには、プログラムEO-115を使用する
-DNAを含むすべてのZAPには、プログラムFI-115を使用する
14)ヌクレオフェクション後、細胞をフード内のキュベット中で10~15分間静置する。
15)このインキュベーションの際に、20ulキュベットを使用する場合は24ウェルプレートのウェルあたり300ul、100ul キュベットを使用する場合は6ウェルプレートのウェルあたり1mlを含有する回復プレートを準備する。このために必ず回復培地(抗生物質を含まない培地)を使用すること
*プラスミドDNAを使用する場合は、回復ウェルに1ugDNアーゼを含める*
16)15分後、セットアップしたプレートから80uLの回復培地を取り出し、キュベットに加えて、回復プレートに移す。
17)37C及び5%CO2で30~60分間インキュベートする。
18)30分間のインキュベーション後、抗生物質を含む追加の通常の培地を加え、細胞を1×10^6細胞/mlにし、5%CO2で37Cにて培養する。
・24ウェルプレート中1×10^6細胞の場合は700uL
・6ウェルプレート中2~20×10^6細胞の場合は3mL
19)細胞を培養し、ウェルの上部から古い培地を注意深く集め、細胞を新しい培地に戻すかまたは必要な場合はより大きなウェル/プレートに移すことによって補充する。
【0681】
T細胞の追加の「継続的な」刺激
(A)1:2の比率(ビーズ:細胞)を得るために必要なDynabeads Human T-Activator CD3/CD28ビーズの数を計算し、Culturing Mediaで洗浄し、dynamagnet-2を使用してビーズを収集する。最初のT細胞活性化に使用された量の1/4を利用する。
(B)Amaxaヌクレオフェクションプロトコルのステップ18で培地を加える際、細胞に加える前に通常の培養培地にビーズを加える。
(C)ビーズ/培地混合物を細胞に加え、1回穏やかに混合する。
(D)通常通り細胞を培養する、ビーズ/細胞の塊を破壊するためにウェルをピペット操作しないこと。
【0682】
フローサイトメトリー
(A)セル計数を使用して、試料ごとに0.5~1×10^6細胞を集め、FACSを実行する。
(B)細胞を、1×PBSを加えて洗浄し、1000×gで3分間スピンし、上澄みをデカントしてから、各抗体に製造元の推奨に従って染色を加えて調製する。
(C)混合し、暗所で20~30分間インキュベートする。
(D)30分間のインキュベーション後、1mLのFACS緩衝液を加えてクエンチし、再度スピンし、上澄みをデカントする。
(E)FACS緩衝液を用いてさらに1回洗浄を繰り返す。
(F)ペレットを300ul FACS緩衝液に再懸濁して、FACSを実行する。
【0683】
実施例7:フローサイトメトリーによるトランスフェクション効率の検査
エレクトロポレーションされたT細胞を、トランスフェクションの約24~48時間後にフローサイトメトリーによって分析し、GFPまたは他の蛍光色素(導入遺伝子発現のマーカー)の発現について試験する。ノックアウト実験では、トランスフェクション後7~9日の間に標的タンパク質の喪失について分析を実施する。ノックイン実験では、7日目及び14日目にマーカーの発現を測定する。細胞を、0.5%FBSを含む冷却した1×PBSで洗浄し、各抗体に製造元の推奨に従って染色を加えて細胞を調製する。
【0684】
実施例8:DNアーゼ処理によるエレクトロポレーション後のT細胞生存率の向上
この実施例では、エレクトロポレーション後のT細胞の生存に対するDNアーゼの影響を調査した。
図14の代表的な写真に示すように、プラスミドドナーベクターを用いたエレクトロポレーションの14、24時間後、DNアーゼで処理されなかった活性化T細胞培養物は細胞凝集及び培地上に浮遊する死細胞を示したが、DNアーゼで処理されたT細胞培養物は、細胞凝集または浮遊する細胞の死骸を示さなかった。
【0685】
実施例9:DNアーゼ処理によるT細胞の生存率及びトランスフェクション効率の向上
この実施例では、エレクトロポレーション後のT細胞の生存ならびにトランスフェクション効率に対するDNアーゼの影響を調査した。初代ヒトT細胞を培養し、IL-2、IL-7、及びIL-15で刺激した。その後、T細胞を、刺激から36時間または48時間後にパルス(対照)または1.5μgのpMND-GFPプラスミド(約7.5kb)でトランスフェクトした。比較のために、DNアーゼを、トランスフェクトした1群の細胞の回復培地に10μg/mlで加えた。エレクトロポレーション後、細胞をこの回復培地で30分間インキュベートした。そして、回復後、洗浄ステップなしで2倍量の完全培地を加えた(したがって、希釈されたDNアーゼが培地に残っていた)。
【0686】
図15Aに示されるように、細胞を、エレクトロポレーションの24時間後にフローサイトメトリーによって分析して、回復した生細胞のパーセンテージを決定した。
図15Bは、各群におけるトランスフェクトされた細胞の回復率を示すグラフである。DNアーゼは、刺激後36時間で細胞にpMND-GFPプラスミドをトランスフェクトした「36時間pMND-GFP」群と、刺激後48時間で細胞にpMND-GFPをトランスフェクトした「48時間pMND-GFP」群の両方で回復率が増加した。
【0687】
トランスフェクション効率はまた、プラスミドによって導入された導入遺伝子の安定な発現を調査することによっても評価した。
図15Cは、細胞の各群におけるGFP発現細胞のパーセンテージを示すグラフであり、
図15Dは、細胞の各群におけるmTCR発現細胞のパーセンテージを示すグラフである。これらの実験では、0日目または1日目にGFPまたはmTCRを発現するプラスミドドナーを用いたエレクトロポレーションにより初代T細胞をトランスフェクトし、エレクトロポレーション後14日目に導入遺伝子の発現を調べるためにFACを実行した。
図15C及び
図15Dに示されるように、DNアーゼ処理により、試験したしたすべての条件下でGFPとmTCRの両方の組み込み効率が向上した。
【0688】
実施例10.DNアーゼ及びRS-1処理によるT細胞のトランスフェクション効率の向上
この実施例では、エレクトロポレーションしたT細胞をDNアーゼ、RS-1、またはDNアーゼとRS-1の両方で処理した場合のトランスフェクション効率への影響を調査した。初代T細胞を、0日目または1日目にGFPまたはmTCRを発現するプラスミドドナーを用いたエレクトロポレーションによりトランスフェクトし、エレクトロポレーション後14日目に導入遺伝子の発現を調査するためにFACを実行した。
【0689】
図16A及び
図16Bは、それぞれ、GFP+及びmTCR+細胞のパーセンテージを示す。図に示すように、1日目にT細胞をトランスフェクトした場合、DNアーゼとRS-1とを組み合わせて処理すると、GFP発現とmTCR発現の両方が促進された。
【0690】
図17A~17Dは、エレクトロポレーション後7日目のT細胞のFAC密度プロットである。
図17Aは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1による刺激後0日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のGFP発現パーセントを示す。
図17Bは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1による刺激後0日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のmTCR発現パーセントを示す。
図17Cは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1による刺激後1日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のGFP発現を示す。
図17Dは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFP)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1による刺激後1日目にエレクトロポレーションされたT細胞の7日目のmTCR発現を示す。各プロットの数値は、GFPまたはmTCRシグナルが陽性の細胞のパーセンテージを示す。
【0691】
図18A~18Bは、エレクトロポレーション後14日目のT細胞のFAC密度プロットである。
図18Aは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFPまたはmTCR)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1による刺激後0日目にエレクトロポレーションされたT細胞の14日目のGFP及びmTCR発現を示す。
図5Bは、パルス(対照)、Cas9及びgRNA、ドナー(GFPまたはmTCR)、ドナー及びDNアーゼ、またはドナー、DNアーゼ、及びRS-1による刺激後1日目にエレクトロポレーションされたT細胞の14日目のGFP及びmTCR発現を示す。
【0692】
図19は、刺激の36時間後または刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの6時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー055330のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。
【0693】
図20は、刺激の36時間後または刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの6時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー119866からのT細胞のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。
【0694】
図21は、刺激の36時間後または刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの6時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー120534からのT細胞のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。
【0695】
図22Aは、刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの24時間後の、mTCRについて、RS-1、またはDNアーゼを用いてまたは用いないで055330及び119666からのT細胞のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。
図22Bは、刺激の36時間後及び最初のエレクトロポレーションの24時間後の、RS-1、またはDNアーゼ及びmTCRを用いてまたは用いないでエレクトロポレーションされたドナー120534のエレクトロポレーション効率のFAC分析を示す。
【0696】
実施例11.T細胞の生存率及びトランスフェクション効率に対するNAC、Akt阻害剤、及び抗IFNAR2の効果
この実施例では、NAC、Akt VIII阻害剤、または抗IFNAR2による処理が、エレクトロポレーション後のT細胞の生存ならびにトランスフェクション効率に及ぼす影響を調査した。これらの実験では、刺激後36時間で、100μl中の2×10
6細胞を非連続的にエレクトロポレーションした。エレクトロポレーション後、細胞を15分間回復させ、表5に列挙するように、5つの異なるサプリメント条件間で均等に分割した。NACを10mMで持続的に培地に加え、AktVIII阻害剤を8μMで持続的に加え、抗IFNAR2抗体を10μg/mlで1回培地に加えた。表2及び
図22A~22Dの「Nuc」は、は、外因性DNAが20μg(”+20μg)、35μg(”+35μg)、または50μg(”+50μg”)で細胞ゲノムに挿入されるように加えられた条件を示す。
【表5】
【0697】
図23A~
図23Cは、エレクトロポレーション後2、5、及び7日目の各条件での生存細胞計数のグラフをそれぞれ示している。
図23D~
図23Fは、エレクトロポレーション後2、5、及び7日目の各条件での生存細胞のパーセンテージのグラフをそれぞれ示している。
図23B及び
図23Cに示すように、実験条件下で、NAC処理及びIFNAR2抗体処理により、エレクトロポレーション後7日目の細胞生存率が向上した。
図24は、エレクトロポレーション後7日目のmTCR陽性細胞のパーセンテージのグラフを示す。外因性DNAを30μg及び50μgで加えた場合、IFNAR2抗体で処理すると、mTCR発現細胞のパーセンテージが増加し、このことは、組み込み効率の向上を示唆している。
【0698】
実施例12.ドナー導入遺伝子発現におけるDNA修復タンパク質の評価
例示的なDNA修復タンパク質、例えば、SSAまたはHRなどの修復機序に関係するものを、HCT116細胞株においてノックアウトした。改変細胞をインビトロアッセイで利用して、トランスフェクションを受けた細胞において、修復タンパク質が細胞受容体などのドナーの発現に影響を与えるかどうかを決定した。RAD52、Exo1、PolQ、BRD3、Lig3、RAD54B、またはなし(WT)でノックアウトした細胞に、AAVS1スプライシングアクセプター(SA)-GFPドナーをエレクトロポレーションした。エレクトロポレーション後10日目に測定されたフローサイトメトリーの結果を、
図26Aに示し、
図26B及び
図26Cにチャート化している。
実施例13. 導入遺伝子ドナーの送達のタイミング及びノックイン効率
エレクトロポレーションのタイミング
【0699】
導入遺伝子ドナーの細胞への送達タイミングが導入遺伝子発現に何らかの役割を果たすかどうかを決定するために、細胞に、AAVS1に特異的な相同性アーム(ヒトPPP1R12C遺伝子のイントロン1内のアデノ随伴ウイルス統合部位(AAVS1)からの左相同性アーム)を含む1ugの例示的なスプライスアクセプターGFPドナー(HRまたはSSAドナー)またはミニサークルベクター(抗メソテリンCAR SSAドナー)導入遺伝子を介して送達された1ugの例示的なキメラ抗原受容体を、刺激から24時間、36時間、48時間、及び72時間後の時点でトランスフェクトした。エレクトロポレーションの7日後にGFPまたはCARの発現について細胞を評価した。
図28Aは、対照細胞対HRドナーを送達された細胞のS期における完全なT細胞を示している。
図28Bは、エレクトロポレーション後7日目のGFPパーセントを示し、
図28Cは、エレクトロポレーション後7日目のCD34(CAR)パーセントを示す。
【0700】
報告の目的で、強化されたGFPを利用した。哺乳動物のコドン最適化配列は、MVSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNSHNVYIMADKQKNGIKVNFKIRHNIEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQSALSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITLGMDELYK(配列番号87)を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【0701】
DNAセンサー発現及びエレクトロポレーションタイミングの交差
DNAセンサー(RIG-1、STING、IFI16、及びAIM2)の発現のタイミングを評価するために、T細胞を、1:2.5(ビーズ:細胞)の比率で抗CD3及び抗CD28ビーズで刺激した。刺激された細胞に、SA-GFPプラスミドのみ(プラスミド対照)を、またはSA-ドナーをCas9及びAAVS1 gRNA(HR)の組み合わせで、刺激後12時間、24時間、30時間、36時間、48時間、及び72時間目にエレクトロポレーションした。DNAセンサーの発現を、エレクトロポレーション後に評価した、
図29A。細胞周期の期の決定もまた、同じ時点で決定し、チャート化した、
図29B。GFP発現パーセントを、エレクトロポレーション後に定量化した。
図29C。
【0702】
実施例14.組み込み機序は挿入カーゴの発現に影響を与える
T細胞を、抗CD3及び抗CD28でコーティングされたビーズを使用して36時間刺激し、抗KRAS TCRのみを有する1μgのドナープラスミド(対照)、または1.5ugのCas9mRNA及び1ugのAAVS1 gRNA(HR)と組み合わせた抗KRAS TCRを有するドナープラスミド、または HMEJの場合、抗KRAS TCR、Cas9 mRNA、抗AAVS1 gRNA、及びユニバーサルgRNAを含有するプラスミドでエレクトロポレーションした。HRカーゴとHMEJカーゴはどちらも、AAVS1に組み込まれたSA-GFPコンストラクトである。HRとHMEJの両方のカーゴは、1kbの相同性(HRの場合)と48bpの相同性(HMEJ)を有するMND-KRAS TCRである。エレクトロポレーションの7日後、GFPのパーセントを分析した、
図30A(1Kb)及び
図30B (2.6kb)。結果は、少なくともより大きなカーゴの場合、HMEJコンストラクトが好ましい送達機序であることを示している。
【0703】
実施例15.HR及びHMEJによる組み込みに対する相同性アーム長さの影響
「ユニバーサル」gRNA切断部位に隣接するさまざまな相同性アーム長(48、100、250、500、750、及び1000塩基)のドナー導入遺伝子が生成され、刺激後にCas9及びAAVS1 gRNAとともにこれらを使用して、細胞をトランスフェクトした。
図33は、ノックイン後のCD4とCD8細胞の両方におけるGFPの発現を示している。プラスミドのみ(CRISPR試薬を含まないドナー導入遺伝子-エピソーム発現対照)。データは、相同性アームの長さが増加するにつれて、ドナー挿入物の発現が増加したことを示している。
【0704】
第2の実験では、T細胞を刺激し、その後、1ugドナーのみ(対照)、SA-eGFP-pA(HR)、またはSA-eGFP-pA(HMEJ)コンストラクトでエレクトロポレーションし、それぞれが独立して、長さ48、100、250、500、750、及び100塩基対の相同性アームを含んでいた。細胞は2回目の刺激を受け、7日目にフローサイトメトリーを介してノックインのパーセントについて評価された、
図34A。同じデータが
図34Bで表にされている。結果は、HMEJコンストラクトが同等のHRドナーと比較して、特に48及び100塩基対のより短い相同性アーム長でより高いノックイン効率を有することを示している。
【0705】
実施例16.追加の刺激
プロトコル2に記載されているような追加の刺激を実行することの利点を評価するために、T細胞を活性化し、刺激し、AAVS1を標的とする相同性アーム(HR)またはHMEJドナー(SSAと表記)を含むSA-eGFP-pA(HR)またはSA-eGFP-pA(HMEJ)ドナーを含むコンストラクトで、本明細書で以前に記載されたエレクトロポレーション法によりエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションの約30分後、細胞を追加の刺激に曝露した。GFPを、エレクトロポレーション後7日目に測定した。追加の刺激は、エレクトロポレーション後の細胞における細胞増殖の欠陥を克服するのを助ける、例えば、
図25A及び
図25Bを参照されたい。さらに、結果は、追加の刺激により、SA-EGFP-pA(HMEJ)改変T細胞の倍数増殖が増加することを示している、
図35A及び
図35Bを参照されたい。
【0706】
図36に概説されるように、追加の刺激を臨床ワークフローに導入することができる。例えば、追加の刺激は、ステップ(2)の後及び/またはステップ(3)の後に実行することができる。
【0707】
実施例17.TCR改変T細胞を使用したがん患者の治療
CRISPR-Cas9システムは、TCR遺伝子をがん患者の自家初代T細胞に導入するように設計することができる。TCR遺伝子は、患者において同定されたがん細胞によって発現される標的抗原に対して高い親和性を有するように設計することができる。TCR遺伝子は、強力なプロモーターによって駆動され、初代T細胞によって発現される内因性TCR、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)U3、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、β-アクチン、ユビキチン、及びシミアンウイルス40(SV40)/CD43複合プロモーターと競合する可能性がある。患者にはTCR改変T細胞が投与される。
【0708】
自家CD3+T細胞は、実施例6に記載されているプロトコルに従って、患者の末梢血から得られる。単離されたT細胞は、GMPガイダンスに従って標準的な条件下で培養される。
【0709】
エレクトロポレーションの少なくとも30分前に、CD3+T細胞を抗CD3及び抗CD28コーティングビーズを使用して刺激する。ビーズは、細胞あたり2ビーズ、または2.5細胞あたり1ビーズの比率でプレーティングすることができる。エレクトロポレーションを、2つのステップで実行する:最初に、CD3+T細胞をCas9 mRNAの存在下でエレクトロポレーションする;6~24時間後、細胞を、TCR遺伝子含有ミニサークルコンストラクト及びgRNAを用いたエレクトロポレーションにかける。gRNAは、AAVS1部位のようなヒトゲノムのセーフハーバー部位を標的にするように設計される。TCR遺伝子の安定な発現を、トランスフェクションの2週間後に次世代シーケンシングによって検証する。エレクトロポレーションしたT細胞の細胞生存率、トランスフェクション効率、及び導入遺伝子量を評価する。安全上の懸念を最小限に抑えるために、ある特定の措置も講じる。
【0710】
検証後、TCR改変T細胞をがん患者に注入する。注入されたTCR改変T細胞は、患者の末梢血流中のTCR改変T細胞の数、移植されたTCR遺伝子の発現レベルなど、臨床的に所望のレベルまでインビトロにて増殖すると予想される。注入レジメンはまた、臨床評価、例えば、がんの病期、患者の治療歴、CBC(全血球計数)、及び治療日の患者のバイタルサインに基づいて決定する。注入量は、疾患の進行、患者の反発反応、及び他の多くの医学的要因に応じて、段階的に増加または減少する場合がある。
【配列表】
【国際調査報告】