(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(54)【発明の名称】フラット・パネル・ディスプレイのリサイクル
(51)【国際特許分類】
B09B 3/35 20220101AFI20221110BHJP
B09B 101/15 20220101ALN20221110BHJP
【FI】
B09B3/35 ZAB
B09B101:15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542794
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2020075879
(87)【国際公開番号】W WO2021053022
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522105322
【氏名又は名称】ペレグリン テクノロジーズ (ホールディングス) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミドルトン、アーサー
(72)【発明者】
【氏名】シーハン、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】エムシー ロックリン、シアン
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA22
4D004CA02
4D004CB46
4D004DA16
(57)【要約】
本発明は、フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)を含むデバイス、例えば、フラット・パネル・ディスプレイの組み込まれたテレビ、公衆情報スクリーン及び標識、広告パネル、コンピュータ・モニタ、並びにラップトップ、タブレット、及びコンピュータの、安全な廃棄又はリサイクルの分野に関する。本発明は、フラット・パネル・ディスプレイ・ユニット(FPD)の前面上に設けられている表示スクリーンとこのスクリーン及び関連付けられた電子回路を収容しているハウジングとを各々備えるFPDの、解体のための装置であって、(i)使用済みFPDを受け入れるための切断ステーションであり、FPDにFPDからの表示スクリーン全体又は表示スクリーンの切り出されたサブユニットの取り外しを可能にする切断経路に沿った切断を行うように構成及び配置されている、切断ステーションと、(ii)切断ステーションの前に又は切断ステーションに設けられているFPD特徴付けステーションであり、切断ステップの前にFPDの1つ又は複数の特徴付けパラメータ又は識別子を測定及び/又はロギングするように適合されている、FPD特徴付けステーションと、(iii)FPD特徴付けステーションとデータ通信するデータ処理システムであり、パラメータ又は識別子のうちの1つ又は複数を受信し、そこからFPD表示スクリーンを切断するのに適したプロトコルを導出し、切断を制御するために切断ステーションに送り返されるプロトコルに基づく指示を提供するように適合されている、データ処理システムと、を備える、装置、を提供する。データ処理システムにFPDデータベースを関連付けることができ、FPDデータベースには様々な既知のFPDに関する切断経路指示が事前にロードされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラット・パネル・ディスプレイ・ユニット(FPD)の解体のための装置であって、各FPDは、前記FPDの前面上に設けられている表示スクリーンと、前記スクリーン及び関連付けられた電子回路を収容しているハウジングとを備え、
(i)使用済みFPDを受け入れるための切断ステーションであって、前記FPDからの前記表示スクリーン全体又は前記表示スクリーンの切り出されたサブユニットの取り外しを可能にする切断経路に沿って、前記FPDに切断を行うように構成及び配置されている切断ステーションと、
(ii)前記切断ステーションの前に又は前記切断ステーションに設けられているFPD特徴付けステーションであって、切断ステップの前に前記FPDの1つ又は複数の特徴付けパラメータ又は識別子を測定及び/又はロギングするように適合されているFPD特徴付けステーションと、
(iii)前記FPD特徴付けステーションとデータ通信するデータ処理システムであって、前記パラメータ又は識別子のうちの1つ又は複数を受信し、それから前記FPD表示スクリーンを切断するのに適したプロトコルを導出し、前記切断を制御するために前記切断ステーションに送り返される前記プロトコルに従う指示を提供するように適合されているデータ処理システムと
を備える装置。
【請求項2】
前記データ処理システムに、FPDデータベースが関連付けられており、前記FPDデータベースには、様々な既知のFPDに関する切断経路指示が事前にロードされている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記FPDデータベースは、前記既知のFPDの各々の1つ又は複数の保存された特徴付けパラメータ又は識別子を更に含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記データ処理システムは、合致する保存されているFPDを又は保存されているFPDと最もよく合致するものを又はこれらがない場合にゼロの結果を識別するべく、前記特徴付けステーションから得られた特徴付けられたFPDに関する1つ又は複数の特徴付けパラメータ又は識別子を、前記データベースに保存されている1つ又は複数の対合する特徴付けパラメータ又は識別子と比較するように適合されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
合致する場合は、前記データ処理によって、前記FPD表示スクリーンの切断に適した前記プロトコルが読み出され、前記切断ステーションに前記プロトコルに基づく指示が送られる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記特徴付けステーションは、前記FPDに関する測定された重量値を取得するべく前記FPDを計量するように適合されている計量ステーションを備え、前記値が1つの特徴付けパラメータの役割を果たす、請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記重量値は、前記データ処理システムに送られ、前記測定されたFPD重量値は、同一の重量又は最も近い重量に基づいて1つ又は複数の合致するFPDの候補を取得するべく、既知のFPD重量を含む関連付けられたデータベースと比較され、このことにより前記スクリーン切断に適した前記切断プロトコルが判定される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記FPD特徴付けステーションは、光学スキャナ、好ましくは3-Dスキャナを備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記光学スキャナが、前記FPDの1つ又は複数の寸法変数を測定するように適合されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記寸法変数は、FPDハウジングの幅及び又は長さ及び/又は対角線方向の範囲、可視表示スクリーンの幅及び/又は長さ及び/又は対角線方向の範囲のうちの、1つ又は複数を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ又は複数の寸法変数は、同一の又は最も近い寸法変数に基づく突き合わせを可能にすべく、前記データベースに提供されている対応する既知のFPD寸法変数と比較され、その結果、前記適切な切断プロトコルの経路が読み出される、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記光学スキャナの測定された寸法変数は、適切な切断経路が前記FPD自体から直接判定されるように、前記FPDの前面内での前記スクリーンのエリアの配設に関連したものとなっている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ゼロ合致か又は所定の許容可能な公差から外れた合致である場合に、前記取得された特徴付けパラメータ又は識別子が、前記FPDに関する新しいデータベース・エントリを追加するために使用される、請求項1から12までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記データ処理システムは、前記特徴付けステーションに前記ゼロ合致又は公差に収まらない合致に至る場合に取得されるもの以外の更なるパラメータ及び/又は識別子を取得させ、これらが、前記FPDに関する前記新しいデータベース・エントリに保存される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ゼロ合致又は許容できない合致によってFPDが未知であると判定されると、前記データ処理システムは、前記FPDに関する新しい切断プロトコルの生成を行う、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記新しいプロトコルは、前記光学スキャナから取得されたスキャンされた寸法及び構成情報を使用して生成される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記新しい切断プロトコルは、少なくとも部分的に操作者の手作業の測定及びデータ入力によって提供される、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記FPDは、前記FPDの外面上に一意の可視識別子を備え、前記特徴付けステーションは、カメラ又はスキャナを備える可視識別子リーダを備える、請求項1から17までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記可視識別子は、製品製造番号又はバーコードを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記可視識別子リーダは、前記製造番号を読み取るための光学文字認識(OCR)視覚ツールを備える、請求項18又は19に記載の装置。
【請求項21】
前記可視識別子リーダは、前記バーコードを読み取るためのバーコード/QRコード・リーダ視覚ツールを備える、請求項18又は19に記載の装置。
【請求項22】
前記可視識別子リーダは、前記FPDから前記一意の識別子を取得し、これを前記識別子の事前設定されたデータベースの各エントリと比較する、請求項18から21までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記可視識別子は、製品のブランドとモデル番号とによって定められた識別情報と突き合わされる、請求項18から22までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記データ処理システムは、前記装置によって時間の経過に伴い処理されたFPDのブランド及び/又はモデルの精査を行うために、処理済みの各使用済みFPDの前記識別情報をロギングするように適合されている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記プロトコルに従って前記切断プロセス中に前記使用済みFPDを適切な切断配向になるように操作するための第1のロボット・アームを備える、請求項1から24までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
FPDを前記切断ステーションに連続的に搬送するための送り込みコンベヤを備える、請求項1から25までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
面が下になる向きで移送されるように各FPDを受け入れるように構成されている、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記切断ステーションは、前記スクリーンを切断するための少なくとも1つのソー・ツール又はミリング・ツールを備える、請求項1から27までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記切断ステーションは、前記スクリーンを切断するための第1のツール及び少なくとも1つの更なるツールを備える、請求項1から28までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記それぞれのツールは、ある間隔距離によって分離された概ね平行な切断経路を有するように適合されている、請求項28又は29に記載の装置。
【請求項31】
前記第1のツールは固定されており、前記更なるツールは、前記第1の切断ツールに対して移動するように構成されており、以って切断されるべき前記FPDスクリーンの1つ又は複数の寸法に応じた所定の距離への前記切断間隔の変更が可能になっている、請求項29又は30に記載の装置。
【請求項32】
前記切断ステーションは、第1の方向の経路に沿った前記表示スクリーンの切断後に前記FPDを、垂直回転軸を中心にして回転させるための手段を備えており、このことにより、前記表示スクリーンの前記概ね矩形のサブユニットが得られるような、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向の経路に沿った前記スクリーンの切断が可能になる、請求項1から31までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記回転させるための手段は、前記第1のロボット・アームを備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記FPDは、前記FPDの前面を占めるLCD表示スクリーンと前記LCD表示スクリーンを収容しているハウジングとを各々備えるバックライト式LCDディスプレイFPDであり、バックライティングの役割を果たすべく、1つ又は複数のCCFL管又はLEDアレイが、前記LCD表示スクリーンの背面と隣り合うように配設されている、請求項1から33までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記ハウジングは、前記LCD表示スクリーンの周囲のフレームの役割を果たす正面境界領域を含み、前記切断ステーションは、前記スクリーンの縁部内で前記表示スクリーンの概ね矩形のサブユニットが得られるように、前記正面境界領域から内側にずらされている切断経路に沿って前記LCD表示スクリーンを直接切断するように適合されている、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記スクリーン・サブユニットを前記サブユニットの保管、廃棄、又は更なる処理のための、前記切断ステーションから離間された場所まで搬送するための、スクリーン・サブユニット・コンベヤを備える、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
バックライト処置ステーションを更に備え、前記ステーションは、前記スクリーン・サブユニットの除去後の各FPDシャーシを受け入れるためのものであり、前記処置ステーションは、前記スクリーン・サブユニット除去後にアクセス可能になったバックライトを除去するように適合されている機械的手段を備えている、請求項35又は36に記載の装置。
【請求項38】
前記機械的手段は、ルータ又は粉砕機又はフレール又はブラシのような、CCFL管を離脱させる及び/又は分解するための機械的ツールを備える、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記機械的手段は、ルータ又は粉砕機又はフレールのような、LEDバックライティングのアレイを離脱させる及び除去するための機械的ツールを備える、請求項37又は38に記載の装置。
【請求項40】
前記機械的手段又はツールは、更なるロボット・アームに取り付けられこれによって導かれる、請求項37から39までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記データベースは、前記FPDの前記バックライティングを除去するときに前記機械的手段又はツールが従うべき、事前にロードされた機械的処理プロトコルを含み、前記データ処理システムは、前記処置ステーションとデータ通信を行い、前記プロトコルは、前記機械的手段又はツールの動作の指針となる、請求項37から40までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記機械的手段はルータを備え、前記LCDスクリーン・サブユニットの除去によって画定された開口内で一方から他方へと前記ルータを前後に漸進的に走査することによって、ルータ処理が行われる、請求項37から41までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記バックライト処置ステーションの下に、離脱させたバックライト要素又はデブリを回収するためのホッパ又はシュートの形態の回収器が設けられている、請求項37から42までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
前記第1のロボット・アームは、前記FPDシャーシを前記ホッパ又はシュートの上で面が下を向くように角度を付けて保持し、この結果、除去された管又はLED材料は、全て直接前記ホッパ又はシュートの中に落下するようになっている、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記FPDは、垂直から10~80度傾斜した向きに角度を付けられている、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記回収器は、回収された材料を細断機/破砕機/圧縮機内に送り込むように配置及び構成されている、請求項43から45までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
破砕又は細断された管材料を用いて、保管容器が充填され、前記保管容器は、密閉封止されて廃棄又は更に処理される、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
バックライト除去後に、前記ロボット・アームは、その後の保管、下流の処理、リサイクル、又は廃棄のために、前記FPD枠体を出口コンベヤ上に載置するように指示される、請求項44から47までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項49】
前記プロセスにおいて生じた塵埃及びデブリを調整する及び/又は内部空気体積から除去する隔離セル内に置かれている、請求項1から48までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項50】
前記隔離セルは、空気に取り込まれた有害な粒子又はガスの除去のための手段を備えたクリーン・ルーム環境を形成する、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記処理装置は、前記切断ステーション及び若しくはバックライト処置ステーションによって又はそこから排出される空気に取り込まれたデブリが廃棄又はリサイクルのために抽出及び蓄積されるように、前記切断ステーション及び/又は前記バックライト処置ステーション及び/又は前記デブリ回収器の領域に抽気口が設けられている抽気システムを含む、請求項1から50までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項52】
前記切断ステーション及び/又はバックライト処置ステーションと隣り合わせて、前記スクリーンの切断又はバックライトの離脱によって生じる粒子及び塵埃を吹き飛ばすための空気ブロワが設けられている、請求項1から51までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項53】
前記FPDは、面が下になる向きで前記切断ステーションに送達され、前記切断ブレードは、前記表示スクリーンの切断が有効になるように上向きに延びている、請求項1から52までのいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項54】
FPDの解体のためのプロセスであって、各FPDが、前記FPDの前面上に設けられている表示スクリーンと、前記スクリーン及び関連付けられた電子回路を収容しているハウジングとを備え、
請求項1から52までのいずれか一項に記載の装置を準備するステップと、
前記FPDを特徴付け、前記データ処理システムから適切な切断プロトコルを読み出すステップと、
前記FPDシャーシからの前記表示スクリーン全体又は前記表示スクリーンの切り出されたサブユニットの取り外しを可能にする切断経路に沿って、前記FPDに切断を行うことによって、前記プロトコルに従い前記FPDを切断するステップと、
任意選択的に、機械的処置ステーションにおいて、前記表示スクリーン又はスクリーン・サブユニットの背後にあるどのようなバックライトも除去又は離脱されるように、前記FPDシャーシを処置するステップと
を含むプロセス。
【請求項55】
FPDの解体のためのプロセスであって、各FPDは、前記FPDの前面上に設けられている表示スクリーンと、前記スクリーン及び関連付けられた電子回路を収容しているハウジングとを備え、
請求項1から52までのいずれか一項に記載の装置を準備するステップと、
前記FPDを特徴付け、前記FPDに適した切断プロトコルを構築するステップと、
前記FPDシャーシからの前記表示スクリーン全体又は前記表示スクリーンの切り出されたサブユニットの取り外しを可能にする切断経路に沿って、前記FPDに切断を行うことによって、前記プロトコルに従い前記FPDを切断するステップと、
任意選択的に、機械的処置ステーションにおいて、前記表示スクリーン又はスクリーン・サブユニットの背後にあるどのようなバックライトも除去又は離脱されるように、前記FPDシャーシを処置するステップと
を含むプロセス。
【請求項56】
前記構築された切断プロトコルは、FPDのモデルに関するデータベース・エントリとして保存され、後に処理されたFPDに関する特徴付けステップにおいてFPDの同じモデルが識別された場合に、前記切断プロトコルを後に読み出して利用することができる、請求項55に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物リサイクル、特に電気及び電子製品のリサイクルの分野に関する。本発明は特に、フラット・パネル・ディスプレイ(FPD:flat panel display)を含むデバイス、例えば、フラット・パネル・ディスプレイの組み込まれたテレビ、公衆情報スクリーン及び標識、広告パネル、コンピュータ・モニタ、並びにラップトップ、タブレット、及びコンピュータの処理に関する。
【背景技術】
【0002】
陰極線管(CRT:cathode ray tube)ディスプレイの代わりにそのようなFPDが用いられるようになって、今やFPDは家庭及び商業廃棄物の中で廃棄物の大きな流れを形成している。いくつかの種類のFPDが知られている。特に挙げれば、例えば、単純な液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、(LEDバックライティングを有する)バックライト式LCD、プラズマ・スクリーン、有機発光ダイオード(OLED:organic light-emitting diode)スクリーンが存在する。技術の改善に伴い、演色性及びスクリーン解像度が改善される並びに画像化コーデックが変わるにつれて、スクリーンは急速に陳腐化する。こうして、技術が改善されるにつれ廃棄物の流れに加わるFPDが増加する。
【0003】
世界的なFPD市場のそのような変化に伴い、従来の廃棄(単純な細断)の方法は環境的及び経済的な問題を生んでいる。CRT市場の衰退及びFPD市場の成長(年4億)に伴い、リサイクルに対する別の手法が必要とされている。FPDに含有されるものなどの有害物質への個人の曝露に関するWHO法制が存在する。これらのレベルは健康及び安全及び福祉法制に基づいて国ごとの基準で指定される。このことを理解した上で、FPDを処理する高スループットの方法が必要とされている。市場には、Blue box、Erdwich、ALR、及びMRTといった、FPDの細断及び又は切断のための様々なソリューションを提供する様々な企業が存在する。
【0004】
欧州委員会のWEEE指令(2012/19/EU)などの規制イニシアチブは、電子製品(TVセットを含む)の埋め立て投棄が厳しく制限され、リサイクル及び修理が推奨されることを指示している。製造者は、FPDを組み込んだ電気製品を含む使用済み電気製品の回収、処理、及び修復のコストのうちのある割合を、関連する製品群の市場シェアに基づいて出資するように義務付けられる。100cm2を超える面積を有するスクリーン及びモニタについては、有害物質の処理及び廃棄のベスト・プラクティスの使用と、処理された製品の重量の報告とを含む、特別な規定が存在する。オーストラリア、アジア、及び米国を含む世界中の多くの他の地域又は国において、電気廃棄物の循環及び処理を要求する規定が存在するか、又は準備中である。
【0005】
特許文献1は、特に鉛含有構成要素を除去することによってガラスの再利用が可能になる、フラット・パネル・ディスプレイをリサイクルする方法を開示している。ディスプレイ・パネルは2枚のガラス・プレートを含み、これらはこれらを接合しているフリット・ガラスを切断、分解、又は溶融することによって分離される。この方法がプラズマ・スクリーンに関連していることは明らかであるが、その理由は、前提となる鉛を含有しているのがプラズマ・スクリーンだけだからである。
【0006】
特許文献2は、冷陰極蛍光管(CCFT:cold cathode fluorescent tube)をバックライトとするLCDディスプレイから有害物質を除去する、特にそのような管が含有する水銀を分離するためのプロセスを開示している。この方法は、視野スクリーンの周囲の境界を提供しているハウジングの前面の切開を含む。このことによって、LCDパネル全体の取り外し及び背後の管へのアクセスが可能になると述べられている。これらのガラス管を破砕して水銀含有蛍光ガスを解放し、このガスを回収デバイス内に吸引する。LCDスクリーンの切断は、ハウジングの境界を画定しているフレームを通ってからLCDスクリーン・パネルの縁部領域内へと、間接的に行われる。このプロセスは、ハウジング切断に関する及び管の破砕ステップに関する限り、本質的に手作業によるものである。このプロセスはまた、CCFL管をバックライトとするLCD TVへの使用に限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0159068号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/073966号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
LCD、LED、OLED、又はプラズマ・スクリーンのFPDに使用することができ、有害な又は貴重な要素が除去される、FPDユニットを解体するためのプロセス及び装置が必要とされている。プロセスを操作者の入力を必要とせずにFPDの特定の種類及び/又はモデルに合わせて調整するべく適合するように自動化され得るプロセスが必要とされている。
【0009】
本発明は、先行技術のプロセスの上述した課題のうちの1つ又は複数に対処すること、及び、使用済みフラット・パネル・ディスプレイ・ユニットのより効率的な処理を実現することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、フラット・パネル・ディスプレイ・ユニット(FPD)の前面上に設けられている表示スクリーンとこのスクリーン及び関連付けられた電子回路を収容しているハウジングとを各々備えるFPDの、解体のための装置であって、(i)使用済みFPDを受け入れるための切断ステーションであり、FPDにFPDからの表示スクリーン全体又は表示スクリーンの切り出されたサブユニットの取り外しを可能にする切断経路に沿った切断を行うように構成及び配置されている、切断ステーションと、(ii)切断ステーションの前に又は切断ステーションに設けられているFPD特徴付けステーションであり、切断ステップの前にFPDの1つ又は複数の特徴付けパラメータ又は識別子を測定及び/又はロギングするように適合されている、FPD特徴付けステーションと、(iii)FPD特徴付けステーションとデータ通信するデータ処理システムであり、パラメータ又は識別子のうちの1つ又は複数を受信し、そこからFPD表示スクリーンを切断するのに適したプロトコルを導出し、切断を制御するために切断ステーションに送り返されるプロトコルに基づく指示を提供するように適合されている、データ処理システムと、を備える、装置、が提供される。
【0011】
FPDデータベースをデータ処理システムに関連付けることができ、FPDデータベースには様々な既知のFPDに関する切断経路指示が事前にロードされている。FPDデータベースは好ましくは、既知のFPDの各々の1つ又は複数の保存された特徴付けパラメータ又は識別子を更に含む。
【0012】
データ処理システムは、特徴付けステーションから取得した特徴付けられたFPDに関する1つ又は複数の特徴付けパラメータ又は識別子を、データベースに保存されている1つ又は複数の対合する特徴付けパラメータ又は識別子と比較するように適合され得る。このことにより、合致する保存されているFPDの、又は保存されているFPDと最もよく合致するものの、又はこれらがない場合にはゼロの結果の、識別が可能になり得る。
【0013】
合致する場合は、データ処理によって、そのFPD表示スクリーンの切断に適したプロトコルを読み出すこと、及び切断ステーションにプロトコルに基づく指示を送ることができる。
【0014】
特徴付けステーションは、FPDに関する測定された重量値を取得するべくFPDを計量するように適合されている計量ステーションを備えてもよく、この値は1つの特徴付けパラメータの役割を果たす。重量値はデータ処理システムに送られてもよく、測定されたFPD重量値は、同一の重量又は最も近い重量に基づいて1つ又は複数の合致するFPDの候補を取得するべく、既知のFPD重量を含む関連付けられたデータベースと比較され、このことによりスクリーン切断に適した切断プロトコルが判定される。このステップを使用して、CCFLバックライト式LCDディスプレイの群を、CCFL管を含むものに対して相対重量の大きいLEDをバックライトとするLCDユニットから区別することができる。
【0015】
FPD特徴付けステーションは光学スキャナ、好ましくは3-Dスキャナを備え得る。光学スキャナは、FPDの1つ又は複数の寸法変数を測定するように適合され得る。寸法変数は典型的には、以下のうちの1つ又は複数を備える:FPDハウジングの幅及び/又は長さ及び/又は対角線方向の範囲、可視表示スクリーンの幅及び/又は長さ及び/又は対角線方向の範囲。
【0016】
1つ又は複数の寸法変数は、同一の又は最も近い寸法変数に基づく突き合わせを可能にすべく、データベースに提供されている対応する既知のFPD寸法変数と比較されてもよく、その結果、適切な切断プロトコルの経路が読み出される。
【0017】
適切な切断経路をFPD自体から直接判定するために、光学スキャナの測定された寸法変数は好ましくは、FPDの前面内でのスクリーンのエリアの配備に関連したものであってもよい。
【0018】
ゼロ合致又は所定の許容可能な公差から外れる合致である場合は、特に当該FPDユニットに関する切断プロトコルを構築するべく、取得された特徴付けパラメータ又は識別子を、当該FPDに関する新しいデータベース・エントリを追加するために使用してもよい。
【0019】
好ましくは、データ処理システムは、特徴付けステーションに、ゼロ合致又は公差に収まらない合致に至る場合に取得されるもの以外の更なるパラメータ及び/又は識別子を取得させる。その後それらを当該FPDに関する上記新しいデータベース・エントリに保存してもよい。
【0020】
したがって、ゼロ合致又は許容できない合致によってFPDが未知であると判定されると、データ処理システムは当該FPDに関する新しい切断プロトコルの生成を行う。新しいプロトコルは、光学スキャナから取得されたスキャンされた寸法及び構成情報を使用して生成されてもよい。
【0021】
新しい切断プロトコルは、少なくとも部分的に操作者の手作業の測定及びデータ入力によって提供され得る。このことは、通常とは形状若しくは寸法の異なるFPD又はスキャナが有効ではないFPDに有用である。
【0022】
FPDは通常、FPDの外面上に一意の可視識別子を備えており、特徴付けステーションは、カメラ又はスキャナを備える可視識別子リーダを備えている。例えば可視識別子は、製造時に(通常は)FPDユニットの表面に、又は輸入品に対する製品ラベル表示要件若しくは法令に従って付与される、製品製造番号又はバーコードを含み得る。
【0023】
可視識別子リーダは、製造番号を読み取るための光学文字認識(OCR:optical character recognition)視覚ツールを備え得る。可視識別子リーダは、スキャナにおけるソフトウェア視覚ツール又はバーコードを読み取るためのデータ処理システムを有する、バーコード/QRコード・リーダを備え得る。識別子の画像を取得するために、専用のOCRソフトウェア・ツールではなく簡単なカメラを設けてもよく、その場合画像には、製造番号又はバーコードを読み取るための画像処理及び分析が行われる。
【0024】
可視識別子リーダはFPDから一意の識別子を取得し、これを上記識別子の事前設定されたデータベースの各エントリと比較する。次いで可視識別子を、データ処理システムによって、製品のブランドとモデル番号とによって定められた識別情報(identity)と突き合わせることができる。
【0025】
本発明の特に有用な態様では、データ処理システムは、装置によって時間の経過に伴い処理されたFPDのブランド及び/又はモデルの精査(audit)を行うために、処理済みの各使用済みFPDの識別情報をロギングするように適合されている。このことにより、FPD製造者は、危険な又はリサイクル可能な構成要素の除去のためのリサイクル法令及び規則の遵守を示すことが可能になる。
【0026】
本発明の別の更なる態様では、切断プロトコルに従って切断プロセス中に使用済みFPDを適切な切断配向になるように操作するための、第1のロボット・アームが提供される。
【0027】
装置は、FPDを切断ステーションに連続的に搬送するための送り込みコンベヤを備え得る。これは、面が下になる向きで移送されるように各FPDを受け入れるように構成され得る。
【0028】
切断ステーションは典型的には、スクリーンを切断するための少なくとも1つのソー・ツール又はミリング・ツールを備える。好適なミリング・ツールの1つの実例はルータである。切断ステーションは好ましくは、スクリーンを切断するための第1のツール及び少なくとも1つの更なるツールを備え得る。それぞれのツールは、ある間隔距離によって分離された、概ね平行な切断経路を提供するように適合される。好ましい構成では、第1のツールは固定されており、更なるツールは第1の切断ツールに対して移動するように構成されており、以って切断されるべきFPDスクリーンの1つ又は複数の寸法に応じた所定の距離への切断間隔の変更が可能になっている。代替の構成では単一のミリング・ツール、例えばルータを設けてもよく、これはFPDスクリーンを切断するときに概ね矩形の経路に従うように制御され得る。これを行うためにロボット・アームが使用され得る。このことにより、切断と切断の間にスクリーンを回転させる、又は互いに対して90度で動作する2つのソーイング・ツールを設ける必要がなくなる。
【0029】
切断ステーションは、第1の方向の経路に沿った表示スクリーンの切断後にFPDを垂直回転軸を中心にして回転させるための手段を備えてもよい。このことにより、表示スクリーンの上記概ね矩形のサブユニットが得られるような、第1の方向に対して垂直であり得る第2の方向の経路に沿ったスクリーンの切断が可能になる。回転させるための手段は第1のロボット・アームを備え得る。
【0030】
好ましい実施例では、FPDは、FPDの前面を占めるLCD表示スクリーンとLCD表示スクリーンを収容しているハウジングとを各々備えるバックライト式LCDディスプレイFPDであり、バックライティングの役割を果たすべく、1つ又は複数のCCFL管又はLEDアレイがLCD表示スクリーンの背面と隣り合うように配設されている。ハウジングは、LCD表示スクリーンの周囲のフレームの役割を果たす正面境界領域を含んでもよく、切断ステーションは、スクリーンの縁部内で表示スクリーンの概ね矩形のサブユニットが得られるように、正面境界領域から内側にずらされている切断経路に沿ってLCD表示スクリーンに直接切断を行うように適合されている。
【0031】
スクリーン・サブユニットを、サブユニットの保管、廃棄、又は更なる処理のための、切断ステーションから離間された場所まで搬送するための、スクリーン・サブユニット・コンベヤを設けてもよい。
【0032】
装置はバックライト処置ステーションを更に備えてもよく、このステーションはスクリーン・サブユニットの除去後の各FPDシャーシを受け入れるためのものであり、この処置ステーションは、スクリーン・サブユニット除去後にアクセス可能になったバックライトを除去するように適合されている機械的手段を備えている。機械的手段は、ルータ又は粉砕機又はフレール(flail)又はブラシなどの、CCFL管を離脱させる及び/又は分解するための機械的ツールを備え得る。同様に、機械的手段は、ルータ又は粉砕機又はフレールなどの、LEDバックライティングのアレイを離脱させ除去するための機械的ツールを備え得る。機械的手段又はツールは、更なるロボット・アームに取り付けられこれによって導かれてもよい。
【0033】
データベースは、一連のバックライト式FPDの各々について、当該FPDのバックライティングを除去するときに機械的手段又はツールが従うべき、事前にロードされた機械的処理プロトコルを含み得る。データ処理システムは処置ステーションとデータ通信を行ってもよく、プロトコルは機械的手段又はツールの動作の指針となる。
【0034】
機械的手段は好ましくはルータを備え、LCDスクリーン・サブユニットの除去によって画定された開口内で一方から他方へとルータを前後に漸進的に走査することによって、ルータ処理が行われる。
【0035】
バックライト処置ステーションの下に、離脱させたバックライト要素又はデブリを回収するためのホッパ又はシュートの形態の、破砕屑回収器を設けてもよい。使用時、第1のロボット・アームはFPDシャーシを、ホッパ又はシュートの上で面が下を向くように角度を付けて保持し、この結果、除去された管又はLED材料は全て、直接ホッパ又はシュートの中に落下するようになっている。FPDは、垂直から10~80度傾斜した向きに角度を付けられてもよい。FPDシャーシ又は枠体とは、スクリーンの切断後に残るFPDの残余を意味する。
【0036】
回収器は、回収された材料を細断機/破砕機/圧縮機内に送り込むように配置及び構成され得る。破砕又は細断された管材料を用いて保管容器が充填され、この保管容器は密閉封止されて廃棄又は更に処理される。
【0037】
バックライト除去後に、ロボット・アームは、その後の保管、下流の処理、リサイクル、又は廃棄のために、FPD枠体を出口コンベヤ上に載置するように指示される。
【0038】
装置は、このプロセスにおいて生じた塵埃及びデブリを調整する及び/又は内部空気体積から除去する隔離セル内に置かれてもよい。このことは、切断及びルータ処理等からの塵埃障害の発生の防止を助ける。CCFLの場合、破砕によって放出されるガスに、蛍光面中の有毒な水銀が含まれる場合がある。放出される塵埃又は粒子中には、重金属及び爆発性の細塵を含め、他の有害な成分が存在し得る。セルから通常は隔離カーテンを介して、送り込みコンベヤ及び送り出しコンベヤが出ている。
【0039】
隔離セルは、空気に取り込まれた有害な粒子又はガスの除去のための手段を備えた、クリーン・ルーム環境を形成することができる。処理装置は、切断ステーション及び若しくはバックライト処置ステーションによって又はそこから排出される空気に取り込まれたデブリが廃棄又はリサイクルのために抽出及び蓄積されるように、切断ステーション及び/又はバックライト処置ステーション及び/又はデブリ回収器の領域に抽気口が設けられている抽気システムを含み得る。
【0040】
切断ステーション及び/又はバックライト処置ステーションと隣り合わせて、スクリーンの切断及び/又はバックライトの離脱によって生じる粒子及び塵埃を吹き飛ばすための、1つ又は複数の空気ブロワを設けてもよい。
【0041】
関連付けられたプロセス・ステップとしての装置は上に記載されている。本発明は当然ながら、この装置の使用を含むプロセスを含む。本発明はしたがってまた、FPDの前面上に設けられている表示スクリーンとスクリーン及び関連付けられた電子回路を収容しているハウジングとを各々備えるFPDの、解体のためのプロセスであって、本明細書で上記したような装置を準備することと、FPDを特徴付け、データ処理システムから適切な切断プロトコルを読み出すことと、FPDにFPDシャーシからの表示スクリーン全体又は表示スクリーンの切り出されたサブユニットの取り外しを可能にする切断経路に沿った切断を行うことによって、プロトコルに従いFPDを切断することと、任意選択的に、機械的処置ステーションにおいて、表示スクリーン又はスクリーン・サブユニットの背後にあるどのようなバックライトも除去又は離脱されるようにFPDシャーシを処置することと、を含む、プロセス、も提供する。
【0042】
本発明はまた、FPDの前面上に設けられている表示スクリーンとスクリーン及び関連付けられた電子回路を収容しているハウジングとを各々備えるFPDの、解体のためのプロセスであって、本明細書で上記したような装置を準備することと、FPDを特徴付け、当該FPDに適した切断プロトコルを構築することと、FPDにFPDシャーシからの表示スクリーン全体又は表示スクリーンの切り出されたサブユニットの取り外しを可能にする切断経路に沿った切断を行うことによって、プロトコルに従いFPDを切断することと、任意選択的に、機械的処置ステーションにおいて、表示スクリーン又はスクリーン・サブユニットの背後にあるどのようなバックライトも除去又は離脱されるようにFPDシャーシを処置することと、を含む、プロセス、も提供する。構築された切断プロトコルは、FPDの当該モデルに関するデータベース・エントリとして保存されてもよく、後から処理されたFPDに関する特徴付けステップにおいてFPDの同じモデルが識別された場合に、切断プロトコルを後から読み出して利用することができる。
【0043】
特徴付けステーションは、FPDに関する測定された重量値を取得するべくFPDを計量するように適合されている計量ステーションを備えてもよい。好適な計量用スケールはよく知られている。例えば、Henk Maas Weegschalen B.V.は、インライン・コンベヤ・システムに組み込まれ搬送される物品に関する計量データを登録及び保存する計量用スケールを生産している。重量値はデータ処理システムに送られ、測定されたFPD重量値は、同一の重量又は最も近い重量に基づいて1つ又は複数の合致するFPDの候補を取得するべく、既知のFPD重量を含む関連付けられたデータベースと比較される。合致した場合、続くLCDスクリーン切断においてその適切な切断経路情報が使用される。
【0044】
切断プロセスにおいて、本発明のいずれの装置も、FPDの処理の大きな改善をもたらし、ロボット及び/又は自動化された処置ステーションの使用によって、プロセスの自動化を促進する。
【0045】
好ましい構成では、第1のソー・ツールは所定位置に固定されており、更なるソー・ツールは第1の切断ツールに対して移動するように構成されている。このことにより、切断されるべきFPDスクリーンの1つ又は複数の寸法に応じた所定の距離への、切断間隔の変更が可能になる。より大きいスクリーンに対しては間隔は広くなるように設定されることになり、より小さいスクリーンに対しては間隔はより狭くなることになる。このプロセスにおいて、FPDは好ましくは面が下になる向きで切断ステーションに送達され、切断ブレードはスクリーン・パネルの切断が有効になるように上向きに延びる。切り出されたスクリーン・サブユニットはその後、重力の作用で、又は傾斜を下って、回収ベイ又はビン内に落下し得る。
【0046】
切断ステーションは、FPDを垂直回転軸を中心にして回転させるための、又はFPDに対して切断ツールの向きを回転させるための手段を備えてもよい。その場合、第1の方向の経路に沿ったLCDスクリーンの切断後に、第1の方向に対して垂直な第2の方向の経路に沿った(同じ1つのツール又は複数のツールを使用した)スクリーンの切断が可能になるように、スクリーンを回転させることができる。平行な切断のこれら2つの対によって、LCD表示スクリーン上記概ね矩形のサブユニットが得られる。回転させるための手段は好ましくはロボット・アームを備えるが、ターンテーブルを備えてもよい。別法として、FPDを回転させることなく垂直方向に切断するための、切断ツールの第2の対を設けてもよい。FPDを動かないように保持することができ、その間に、切断ツールを備えたロボット・アームが上記2対の平行な切断を提供する。
【0047】
各FPDのより正確な又はより高速の特徴付けを提供するために、寸法変数を重量測定値と組み合わせてもよい。複数の特徴付け識別子の使用によって、FPDモデルの正確な識別を行うことが可能になる。寸法変数又は変数を、データベースで提供されている対応する既知のFPD寸法変数と比較してもよい。このことにより同一の又は最も近い寸法変数に基づく突き合わせが可能になり、その結果、識別されたFPDに関するデータベース・エントリから適切な切断経路が読み出される。
【0048】
本発明の特定の態様では、適切な切断経路をFPD自体から直接判定するために、光学スキャナは、FPDの前面内でのLCDスクリーンのエリアの配備に関連する寸法変数を測定する。このことによって、FPD切断経路のデータベースを保存する必要がなくなるか、又は別法として、(利用可能な場合に)データベースに保存された値の照合若しくは確認が可能になる。切断経路のこの「オン・ザ・フライ」判定は、FPDのデータベースと比較したときに、ゼロ合致又は許容可能な公差値内で最もよく合致するものが得られない場合に利用され、このときFPDは未知であると判定される。FPDが未知であると判定された場合、データ処理システムは、特徴付け変数及び/又は適切な切断経路を取り込んだ新しいデータベース・エントリを確立してもよい。
【0049】
CCFL管の離脱及び又は取り外しは、管処置ステーションにおいてルータ・ツールによって行ってもよい。機械式ブラシ、粉砕機、破砕機、フレール、てこ、又はプローブ(probe)などの他のツールを使用してもよい。CCFL管は典型的には、(電気接点を含む)口金で両端を保持される。長い管を所定位置に保持するために、更なる締結具又はクランプを使用してもよい。口金及びクランプは典型的には、特にTVセットにおいて、FPDハウジング内でLCDスクリーンの背後の背面板の前面上に配設される。モニタ及びラップトップのスクリーンにおいて、スクリーンの両縁部に沿って、離間されて平行に配設されたCCFL管の単一の対が存在し得る。
【0050】
本発明の別の特定の態様では、第1のロボット・アームが提供され得る。これは切断ステーションと処置ステーションの間に設けられてもよい。アームは、FPDを保持し光学スキャナまで若しくはこれを通過するように平行移動させるのに、又はFPDシャーシを切断ステーションから持ち上げるのに、適している。
【0051】
このアームは次いで、処置ステーションで行われるルータ処理に適した向き及び場所でFPDシャーシを保持することができる。この場所は一般に、管及び管デブリがFPDシャーシからホッパ又はシュート内に落下するように管処置ステーションに位置付けられた、ホッパ又はシュートの上である。回収された管又は管デブリは、細断機又は破砕機-圧縮機内へと搬送され得る。これは便宜上、重力送給を活用するために、ホッパ又はシュートの下に位置していてもよい。
【0052】
破砕された管材料を用いて保管容器を充填してもよく、この保管容器は密閉封止されて廃棄又は更に処理される。管は通常は有毒の水銀で汚染されており、したがって障害を回避するために安全に隔離しなければならない。
【0053】
プロセス全体を、空気に取り込まれた有害な粒子又はガスを除去する制御された部屋(HVAC)環境内に置かれた装置を使用して実行してもよい。処理装置は、スクリーン切断ステーション及び/又はコンベヤの領域に抽気口が設けられている抽気システムを含む。スクリーン切断及び又はコンベヤ若しくは破砕機/細断機によって又はそこから排出される、空気に取り込まれたデブリは、切断場所又はルータ処理場所から抽出され、廃棄又はリサイクルのために蓄積される。ルータ処理ステーションに、表面粒子及び有害な塵埃を気流に取り込む空気をFPD背面パネルに吹き付けるためのブロワを設けてもよく、この気流によって汚染された空気がルータ処理プロセスから運び去られる。
【0054】
以下は本発明を実施するためのモードの単なる例としての説明であり、添付の図面の以下の各図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】本発明に従ってリサイクルされることになる典型的なバックライト式LCD TVセットの前面図である。
【
図2】
図1のLCD TVを通る概略的な横方向断面図である(実際の縮尺ではない)。
【
図3】2つのCCFLと導光板とを使用するバックライト方式のLCDモニタを通る、別の概略的な横方向断面図である。
【
図4】LEDバックライトのアレイを有するバックライト式LCD TVの、更に別の概略的な横方向断面図である。
【
図5】切断線の位置をスクリーンの前面上に投影した、
図1のバックライト式LCD TVの図である。
【
図6】本発明の方法によるスクリーン・サブユニットの切断及び除去後を示す、
図1及び
図2のTVの概略的な横方向断面図である。
【
図7】本発明の方法の実行に際して使用される装置の上面図である。
【
図9】隔離セル又は隔離室内に置かれた装置の斜視図である。
【
図10】バックライト式LCD TVディスプレイの処理に含まれる処理ステップのフロー・チャートである。
【
図11】切断方向が示されている、
図3に示すようにバックライティングが2つのCCFLと導光板とによって提供されるモニタLCDを通る、概略的な横方向断面図である。
【
図12】
図11に示す種類のLCDモニタの処理に含まれる処理ステップのフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明は、FPDを汚染除去するための完全ロボット式(自動化)システムの使用を促進する。これは、計量、寸法の測定、視覚的識別子の読み取りによって、FPDの自動的な特徴付けを可能にする。このデータは、特定のFPDの事前にロードされたデータと一致するものを見付けるために使用できるか、又は、続く自動識別を可能にするためのそのようなデータのデータベースを構築するために使用できる。このデータは、個々の各種のFPDにとって適切な処理技法を選択するために使用され得る。
【0057】
本発明のプロセス及び装置は、CCFL管又はLEDをバックライトとするものなどのバックライト付きLCDスクリーンの処理を参照して、以下に記載されている。しかしながら本発明は、事実上どのようなFPDの処理に対しても幅広く適用される。「処理」とは典型的には、リサイクルされ得るか、又は危険廃棄物として若しくは有用な材料を抽出するために更なる処置を必要とし得る、スクリーン又はバックライト又はPCB又は電源などの構成要素を除去するか、或いはこれらにアクセスできるようにするための、部分的な解体である。
【0058】
プロセスは典型的には、可視スクリーンをそのフレームから切り出すことによって可視スクリーンを除去することを含む。このことによって、スクリーンの背後の任意のバックライトへのアクセスが可能になる。それらはルータ処理ステーションにおいて、FPD用の照明及び保持具を除去するためのロボットを用いて除去することができる。ルータ処理からの廃棄物ガラス/バックライトは、保管ビンに入る前に、細断によって圧縮され得る。プロセス機器は通常、制御された大気環境内で炭素濾過などの濾過を援用して自立している。
【0059】
FPDスクリーンは典型的には、下に面する姿勢で除去される(切り出される)。TVの場合、光学スキャナによってスクリーン・ベゼルを見つけ出し、次いでベゼルのスクリーン側に0~20mmの深さまで0~12mm切り込む。
【0060】
LCDコンピュータ・モニタの処理の場合、切断は、典型的にはモニタ深さ全体にわたる40~100mmの深さまで切断することによる、境界領域全体を除去するための「完全解放切断(full liberation cut)」である。切断はFPDの頂部から内側へと0~100mm行われる。スクリーンの切断は、切断及び/又は粉砕用に設計されたインサートを有する容易に入手可能なブレードを、プロセスに応じて使用して行われる。
【0061】
本発明に従う効率的な処理には、蓄積された使用済みFPD、典型的にはバックライト付きLCD TVセットにアクセス可能であることが含まれるが、これについては後からより詳細に記載する。それらは、廃棄物処理プラントから入手される個別のバッチとして、又は、装置が電気廃棄物処理プラントに組み込まれている場合の全体に連続した流れとして、提供され得る。
【0062】
予備ステップとして、各FPDユニットを、その重量を測定することによって及び/又は寸法などの他の特徴を識別することによって、特徴付けることができる。
【0063】
FPDのスクリーンの切断は、FPDに、画枠のように、残されるLCDスクリーンの境界を残して行われるのが好ましい。これは、LCDスクリーンの周囲を切断してLCDは無傷にしておくのが典型的である先行する方法とは異なっている。スクリーンの外周内での切断によってスクリーンの除去が容易になるが、その理由は、スクリーンが通常、縁部領域においてFPDスクリーンに取り付けられているからである。したがってこの方法では、スクリーンは典型的には切断後にFPDシャーシから脱落する。
【0064】
本方法の一実施例では、FPDのブランド及びモデルを重量によって識別した後で、FPDは次いで計量ステーション上の基準コーナー位置からロボット・アームを使用して拾い上げられる。
【0065】
続く処理の切断又は機械加工に知らせるべき寸法、形状、及びスクリーン位置をロギングするために、3Dスキャナを使用してもよい。
【0066】
切断は、FPDに画枠のような様式でLCD(ガラス)スクリーンの厚さ3~20mmの境界が残るように行ってもよい。このことによって、(先行技術のプロセスのように)FPDの周囲の支持フレーム又はハウジングに切断を行う必要がなくなる。
【0067】
スクリーンが切断され内側部分が除去されると、ルータなどのツールによってCCFLバックライティング管を除去することができる。好ましくはこのことは、位置決めとTVの背面羽目板及びCCFL照明管への近接度とを制御するための感知技術を有するロボットを使用して行われる。FPDはアームによって、地面に対して、ホッパにデブリを回収することが可能になる角度で保持され得る。このことは静的なツーリング・ステーションによっても達成され得る。
【0068】
CCFL管及び管保持具の解放は、この目的のために設計されたミルに似た切断ツール、例えばルータを使用して達成される。
【0069】
装置は典型的には、1つが計量用ステーションとCCFLが除去されるルータ処理ステーションとの間にFPDの持ち上げ及び移動(平行移動)のための把捉ツールを備えている、2つのロボットを使用することになる。FPD送給の流れ及びロボット・アームの数を増やすことによって、装置のスケーリングが可能である。
【0070】
CCFL管又はその断片をなお保持している切断片を、これらの切断片を解放されたCCFL管と一緒に細断することによって、更に処理してもよい。
【0071】
切断ロボットは、切断プロセスの実行中にFPDに吹き付けて管の内容物を散乱させる空気ノズルを備えてもよい(又はそれらと関連付けられてもよい)。ノズルは、切断によって生じる有害なガス又は空気に取り込まれた粒子を除去するための吸引ダクトと隣り合っていてもよい。
【0072】
使用済み廃棄物製品としてのFPDの回収はFPDの多くが損傷していることを意味しており、3Dスキャンによって、損傷したFPDを識別しその損傷を考慮に入れること、又は、損傷が酷すぎるので自動化されたプロセスを継続できない場合に手作業での処理を利用することができる。
【0073】
処理の前にFPDの種類を手作業で識別及び選択する必要のある場合がある。バックライティングのないモニタでは、バックライト式TVとは異なる処理が必要になる場合があり、異なる切断ツール及びグリッパ・ツールが必要になる場合があるので、このことは重要である。
【0074】
送り込みコンベヤは、スクリーンが下に面した状態でFPDを機械に送り込む。コンベヤの端部でFPDは識別及び計量用ステーションに達し、ここでFPDを持ち上げて重量を評価し、FPDの製造元及びモデルを読み取る。FPDはロボット・アームの把持端部によってスクリーンを下にした向きで把持される。
【0075】
FPDは、アームがFPDをスクリーン切断ステーションに移動させる前に3Dスキャンされ得る。アームはスクリーン切断ステーション上にFPDを、面を下にして位置付ける。3-Dスキャナは、大きな差、ハウジングのサイズ、及び形状を読み取り、損傷した要素をデータ処理システムに保存されているテンプレートの例と比較することによって、損傷を可能にする。
【0076】
拾い上げると、FPDが歪んでいないことを確認するために、ロボット・アームのエフェクタ(把持部)が把持指の位置をモニタする。予期しない歪みが生じた場合には、より良好に把持できるように、把持力が調整され得る、又は除去され再び適用され得る。スクリーンはFPDの視野面(LCDスクリーン)上の最も下のエリアであるので、これが上向きに突出した切断ブレード(ホイール)によって最初に切断される。長手方向(X)及び横方向(Y)の2つの切断によって、FPDにスクリーンの約0~15mmの画枠が残される。切断は個別のFPDに応じて約5~100mmの深さまで延びる。
【0077】
スクリーンは処理中に面を下に(スクリーンを下に)しているので、デブリを切断場所から重力の作用で落下させて捕捉することが可能になる。デブリは切断ステーションの下で回収され得る。
【0078】
切断ステーションにおいて、一方のブレードは固定位置にあってもよく、他方は切断間隔が変更されるように幅方向に移動可能であってもよい。平行な細長い切断を行うべく切断ホイール内にFPDを送り込むために、コンベヤが使用され得る。FPDはロボットによって短辺を先頭にしてテーブル・ソーの様式でスクリーン切断ステーションの中に送られ、この切断が完了すると、ロボットが立ち上がり、長辺を切断するためにFPDを90度回転させる。ブレードの高さは、ブレードがZ方向に移動しないように固定されていてもよい。
【0079】
解放されたスクリーンはスクリーン切断ステーションの下のシュートの中に落下し、その後スライドしてスクリーン送り出しコンベヤ上に載せられる。スクリーン切断によって生じた破壊された管はいずれも、この段階でシュートとコンベヤのあいだの間隙の中に落ち、ランプ細断機へと方向転換される。
【0080】
管の細断は、管用ビンの上に設置された従来の細断機において行われる。圧縮及びより容易な輸送の目的でランプを破壊するために、ロボット・ルータが使用される。これらはロボットによって、ロボット・アーム上のルータ処理ツールを使用してFPDから除去される。
【0081】
円形のソー・ブレードは、サイズが直径約150mm~480mm、RPMが2500~10000の値をとる。ブレードは切断又は粉砕に適合され得る。
【0082】
このプロセスにおいて、スクリーン切断ステーションにあるFPDから、スクリーンが、ロボットの端部エフェクタによって保持された状態で解放される。このことによって、必要に応じて(残余のCCFL管を除去するための)更なる処理のために、ロボット・アームがバックライトにアクセスすることが可能になる。スクリーンは垂直から約10~80度の間の角度で保持される。ルータ処理ロボットは切断ツールを使用してルータ処理を行い、FPDからバックライト及び保持具を取り除く。暖気及び/又は寒気システムを備えている場合、これらは好適な回収器へとデブリを分散させるのを助ける。したがって、CCFL管又はその破片はホッパの中に落ち、細断機に送給され、破壊されて粒子になる。細断機は密閉封止される保管ビン/容器への送給を行うが、これらはこの封止によって、廃棄又はリサイクルのために安全に輸送することが可能になる。これによって、水銀を含有する有害廃棄物が、処理装置内で切断/ルータ処理によって生じるその他の機械加工による塵埃及び廃棄物から分離されることが保証される。
【0083】
FPD処理からのデータはロギングされ、データ処理に保存され得るか、又は遠隔アクセスし易いようにクラウドに保持され得る。データは各リサイクル事象をロギングし、また可能な限りは、処理される各FPDの製造元及びモデルをロギングする。このことによって、FPDスクリーンの製造者にはリサイクル・コストに寄与する責任がありこのためリサイクル者は自らの再処理に対して払い戻しを受けることになるとする規制制度が要求する、電気製品の再処理の会計処理が容易になる。したがって保存されるデータはFPD/TVごとに会計処理され、また更に総数全体的レベルでの総数が記録される。
【0084】
プロセス全体を、特別設計の炭素濾過システムを介してダクトが環境に排出物を排出するHVACシステムを使用する、クリーン・ルーム環境内で実行してもよい。
【0085】
ロボットの使用によって、プロセスの自動化及び機械内での人間の介入の最小化が可能になる。プロセスの速度はFPDサイズと共に、FPDあたり約15~約80秒まで変化する。LEDディスプレイはより速く処理され、バックライト用CCFL及びモニタはTVのものよりも速い。FPDサイズはまた、処理速度のタイミングにも影響する。これは2ステップの完全ロボット式プロセスである。これはリサイクルプロセスではなく、構成要素が二次原料として最終的にリサイクルされる前の次のステップである材料分離を可能にするための、汚染除去プロセスである。汚染除去後、FPDは更なる処理に使用できる状態になる。
【0086】
具体的な実施例
図1では第1のTVセットが全体に100として示されている。TVセットは、視野スクリーンの役割を果たすLCDパネル103の周囲に外周フレーム102を形成する、矩形のハウジング101を備える。ハウジングの下側端部領域には、使用時にTVセットを支持する水平基部板105を含む、台104が設けられている。
【0087】
図2には、側壁106及び107並びにハウジング背面108が示されている。LCDパネル103はフレーム102の背後に据えられ、フレームの下側領域に重なっている。LCDパネルの下にはパースペックス保護層/拡散器109が存在する。この層の下には、セットの一方側から他方側まで平行に配置され長手方向に延びている、概ね円筒形のCCFL管110のアレイが存在する。管は、金属反射体トレイ、又はプラスチック製固定具(図示せず)によってそこに取り付けられた背面板111の中に収容される。トレイの下には、ハウジング背面108の内面に取り付けられたPCB層112がある。
【0088】
バックライト式FPDモニタ/ラップトップ200の構成が
図3に示されており、図中で同様の要素には対応する番号が与えられているが、頭に1ではなく2が付されている。(比較して幾分大きい)CCFL管210が、反射体トレイ211の両側に離間されて平行に2つだけ存在することに留意されたい。管はプラスチック製固定具(図示せず)によって位置決めされ保持される。離間された2つのCCFL管210の間にパースペックス板216が延びており、これは管から放射される電磁放射用の導光体/管として機能する。この板には、拡散器及びスクリーン203に向かって上向きに放射されるように光を導く上面処理が施されている。これによって、導光体を介したCCFLからのLCDパネルの間接的なバックライティングを提供するべく、均一な照明が提供される。
【0089】
図4には、LEDを使用するバックライト方式のLCDのFPDが全体に300で示されている。これまで通り、同様の特徴には同様の番号が付与されているが、300番台となっている。CCFL管の代わりに、このFPDは、バックライティングの光源としてLEDを使用する。
【0090】
図5には
図1及び
図2のFPDが示されており、切断経路の場所が破線の平行な対V1、V2及びH1、H2によって示されている。切断経路はそれらの中にLCDスクリーン103のサブユニット113を画定しており、このサブユニットはスクリーン・ハウジングの境界又はベゼル102内にある。
【0091】
プロセス及び装置
本発明の特定の実施例では、フラット・パネル・ディスプレイ・ユニット用のリサイクル装置が、
図7で全体に10として示されている。最初のステップとして、使用済みのバックライト式LCD TVセット又はモニタから、外部ケーブル及び固定されていない台などの全ての付属品が取り外される。次いで残りのFPDユニット(例えば
図1~
図4を参照して上記したもの)を、スクリーン・パネルを下にして手作業で装填し、可動コンベヤ・ベルト12を備える細長い入口の送り込みコンベヤ11と真っ直ぐに位置合わせし、FPDをこのコンベヤ・ベルト12によって、長手方向の送り込み移動方向(矢印A)に輸送する。
【0092】
コンベヤは、一連の横に並んだ計量部材14を有する計量ステーション13への送り込みを行う。FPDは計量位置に対応するコーナー停止部に当たる。次いで上向きに突出してFPDを持ち上げるように計量部材をシフトさせるが、このときに重量を計量部材に担わせ、その結果関連付けられた圧力センサ/セル(図示せず)から重量を導出できるようになっている。ロギングされた重量は、データ処理システムとこのシステム用のデータ・ストレージとを備える制御システム30に連絡され得る。重量は既知の特徴付けられたFPDユニットに関する重量と比較される。重量(+/-許容可能な公差)から、単一の合致するFPD、又は、合致する可能性のある、あり得るTV/モニタ/ユニットのセットを得ることができる。
【0093】
光学スキャナ19は、FPDを更に特徴付けるために使用される3-Dスキャナである。スキャナを使用して1つ又は複数の寸法を測定することによって、あり得るFPDのセットを狭めることができる。合致した場合、続く処理を促進するために、当該セットに関する事前にロードした処理データ及びパラメータを利用することができる。
【0094】
例えば、特定のTVセットを識別する際に、保存されたTVセット/モニタの重量によるルックアップ・テーブルを含むデータ処理システムのサーバ(
図8の制御システム30を参照)に、重量情報が連絡される。いくつかの候補が識別される場合、データ処理システムは寸法測定ステップを利用するが、その場合これは、計量用ステーション上で、TVの高さ及び/又は幅にまたがってこれらを測定する自動化されたカリパス又はクランプを使用して実行される。別法として、スキャナを使用して寸法情報を導出してもよい。このことによって今度は、TVセットの候補を識別するために、TV寸法の更なるルックアップ・テーブルを使用することが可能になる。事前にロードした処理データ及びパラメータは続く切断動作及びルータ処理動作の指針として使用され、この場合それらの動作は、各TVセットに関して予測された寸法及び構成データに従って自動化され得る。
【0095】
セットが識別されない場合は手動プロセスを利用してもよく、その場合TVのブランド及びモデルが操作者によって手作業でロギングされる。手動制御下のロボット・アームによって実行されたとき、適切な切断及びルータ処理の位置及び範囲がロギングされる。このツール動作データは、将来「新しい」TVセットの処理の自動化を可能にするべく使用されるように保存され、ルックアップ・テーブルは新しく追加されたTVセット/モニタを反映するように適切に更新される。FPDに関する重量値及び連続的な識別子コードは、制御システム30中のデータ処理サーバに送られ保存される。
【0096】
別法として自動的なFPD特徴付けステップを利用してもよく、その場合、表示スクリーン及びその可視エリアと、ハウジングの縁部又はコーナーに対するその配備とが、スキャナを使用して識別される。ここから新しい切断プロトコルが導出され得る。これをロボット・アーム、ターンテーブル、及び切断ツールに対する一連の指示へと翻訳することができる。
【0097】
FPD取り回しロボット・アーム15は、
図8に示すように、計量ステーション端部と隣り合う位置にあるフレーム16に取り付けられて提供される。ロボット・アーム15は、ターンテーブル基部17及び様々な関節化ジョイント18、並びにFPDの自由なコーナー領域を拾い上げるためのグリッパ・クロー31を備えている。ロボットは、自由なコーナーに接近し、FPDの自由なコーナーを把持するが破砕はしないよう制御された圧力を加えるように、事前にプログラムされる。アームは次いでFPDに沿って光学スキャナ19を通過するように移動する。スキャナは、スクリーン・パネルの高さ及び幅、並びにFPDハウジングの任意の外周フレーム又はベゼルに対する場所を測定する。データ処理システムは、グリッパ位置に対するスクリーン・パネルの場所及び範囲を特定できるようにするために必要な寸法データを保存する。スキャンしたデータが事前にロードされたデータと相関しない場合はFPDが損傷していると想定され、したがって装置によるFPDの更なる処理は却下され、FPDは手作業での処理に送られる。グリッパは圧力センサを含み得る。FPDの機械的な弱化又は破砕に対応して圧力の急低下を感知した場合には、FPDの更なる処理は却下され、FPDはロボット・アームによって送り出しコンベヤ20上に載置される。操作者の介入を促すためにデータ処理システムによって警告信号が生成され、操作者は(手作業での解体などの)代替の手法によってどのようにFPDを処置するのが最善であるかを決定する。
【0098】
スクリーンのサイズ、重量、及びFPD前面上での場所が確認されると、ロボット・アームはFPDを切断ステーション21に輸送する。切断ステーションは、離間された第1の回転切断ソー22及び第2の回転切断ソー23を有する。第1及び第2のソーは同軸に位置合わせされ、これらの間に切断間隔及び平行な切断線を定める。第2のソー23はトラベラ24に装着され、第1のソー・ブレード22に向かって又はそこから離れて移動することによって、ソーの離間を変更できるようになっている。データ処理システムは、スクリーン・パネルの所望の切断幅若しくは高さの寸法、又はそれ未満の短い距離に対応する、切断の離間を選択する。
【0099】
FDPユニットは、フレームに水平からゼロよりも大きく45よりも小さい角度(約30度)で装着されている切断テーブル25上に、面を下にして載置される。切断は、ロボット・アームがスクリーンを、切断ソーの上でFPDユニットのある縁部領域から反対側まで切断方向に平行移動させることによって行われる。切断深さは通常、スクリーン・パネル厚さ及びプラスチック製拡散器シート/フィルムを完全に切断するように設定されるが、スクリーン・パネルの背後のCCFL管(存在する場合)を損壊するほどではない深さである。第1の切断が行われるとFPDはロボット・アームによって90度回転され、第1の切断に対して垂直な方向に切断の第2の対が行われる。このようにして、スクリーン・パネル103の一体である矩形の切り出されたサブユニット113(
図5)が得られる。切断が行われると、ロボット・アームはテーブル25からFPDユニットを持ち上げ、テーブル上に、切り出された矩形のガラス・スクリーン・パネル、並びにプラスチック製拡散板及び又は(スクリーンの下にある)保護シート材/フィルムを残していく。傾斜によって、切り出されたパネル(及び何らかの取り付けられた拡散板又はフィルム)は、
図7に示す送り出しコンベヤ26へと下に滑っていく。次いでガラス・パネルに、更なる処理(図示せず)及びそれ以外のリサイクルを適用する。
【0100】
CCFL管が存在する場合には、第1のロボット・アームはFDPシャーシ・ユニットを、
図8に示すように切断テーブル及び送り出しコンベヤの一方側に位置しているホッパ27の、上の位置へと移動させるように命令される。ホッパは細断ロータ(見えていない)への送り込みを行い、そして細断ロータは(アルキメデス・ポンプによって)廃棄物破砕機/圧縮機/細断機29への送り込みを行う。圧縮機は、安全な廃棄又は更なる処理のために取り外し可能な、回収ビン40を含む。
【0101】
ホッパの反対側には第2のロボット・アーム31が設けられる。アームは、ターンテーブル基部32と関節化ジョイント33とを有する。アームの遠位端はルータ・ツール34を備える。この場合ルータ・ツールは、制御システムによって、CCFL管を損壊し、関連付けられたどのような固定用マウント及び管端部も排除するべく、除去されたスクリーン・パネルが残した、切り出された開口の内部に移動するように導かれる。FPDユニットは、第2のロボット・アームのルータに切り出された開口を提示するように、また更に、CCFLのルータ処理された断片及びリテーナ等が重力の作用でホッパの中に落下することが保証されるように、角度を付けられている。CCFL断片は通常、水銀及びリン酸塩で汚染されることになるため、更に破砕及び圧縮され、その後ビン40(UN認証汚染物容器)の中に回収されるが、このビン40は密閉封止され、輸送、汚染浄化、又は更に処理され得る。
【0102】
残りのFPDユニット枠体-ハウジング、PCB/電気コンポーネント、及び内部シャーシ・フレームを備える-は(ルータ処理の完了後に)、一方の端部が第1のロボット・アームの基部と隣り合い反対側の端部が送り込みコンベヤと隣り合うが離間されるように位置付けられている、枠体送り出しコンベヤ35上に、平伏して載置される。この場合、コンベヤ同士が近いことに起因して、手作業でのFPDユニットの送り込み及び送り出されたFPDシャーシの回収を、一人の人間によって取り扱うことができる。
【0103】
データ処理システムは、シャーシが送り出しコンベヤ上に載置されると、何らかの更なる処理又は解体に適した場所へとFPDが移されるように、工員にFPDの種類及び状態を通知するように構成される。
【0104】
図9に示すように、装置は典型的には、「クリーン・ルーム」又は他の格納エンクロージャ内に配設され、これらはより広い作業空間内にある。送り込みコンベヤ11、回収ビン40、及び送り出しコンベヤ26、35は、エンクロージャの外側からカーテン付きの開口を介してアクセス可能となるように配設される。
【0105】
通常の使用であれば人間がエンクロージャ内部の処理エリアに入る理由はないと考えられ、したがって水銀汚染及び切断又はルータ処理による塵埃からの障害のリスクは下がる。追加の手法として、水銀がエンクロージャ外部の大気に漏れ出すのを防止するために、濾過システム(図示せず)を介したエンクロージャからの空気の強制排出が行われる。
【0106】
上記の方法は、CCFLバックライト式FPDのTVセットに特に適している。この方法は、LEDをバックライトとするLCDのFPDのTVセットを処理するためにも使用できる。このプロセスは
図10のフロー・チャートにまとめられている。
【0107】
図3に示すように、バックライト式LCDスクリーン203を有するコンピュータ・モニタに関して、内部構成は多くの場合、導光板216を使用する間接的な照明を利用している。この場合、(上記したように)LCDスクリーン・パネルの一部を切り出すのではなく、
図11の平行な1対の切断C1、C2を使用して、CCFL管を含む端部領域を完全に切り離すことができる。切断の位置が適切である場合、切り離された縁部領域内のCFFL管は無傷である。次いでこれらの端部領域を、エンクロージャの外に搬送して、更に処理することができる。別法として、これらを細断用ホッパの中に設置することができ、中央スクリーン部分が残っているFPD枠体/シャーシを、送り出しコンベヤ35上に載置することができる。
【0108】
上記のモニタ処理方法は、
図12のフロー・チャートにまとめられている。
【国際調査報告】