(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(54)【発明の名称】人工羽毛充填材料
(51)【国際特許分類】
A47C 27/12 20060101AFI20221111BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20221111BHJP
A47G 9/02 20060101ALI20221111BHJP
A47G 9/10 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A47C27/12 E
D04H3/16
A47C27/12 C
A47G9/02 B
A47G9/10 B
A47C27/12 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517321
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 SE2020050873
(87)【国際公開番号】W WO2021054888
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513093003
【氏名又は名称】イケア サプライ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ベルグナー アンダース
(72)【発明者】
【氏名】ハッガード ジェフリー スコット
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ ホツ アンヘル アントニオ
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
4L047
【Fターム(参考)】
3B096AA01
3B096AD05
3B096AD06
3B102AB07
3B102BA02
3B102BA11
4L047AB03
4L047AB07
4L047AB08
4L047AB09
4L047BA08
4L047BB09
4L047CA03
4L047CA05
4L047CC07
(57)【要約】
本発明は、人工羽毛充填材料である。該材料は、人工羽毛(1)を含み、各羽毛(1)は、第1不織布材料の第1シート(20)を含み、フィラメント(10)がシートの1つの延長部に沿って配置され、繊維が第1シートに結合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第1不織布材料の第1シート(20)を含む人工羽毛(1)を含む人工羽毛充填材料であって、フィラメント(10)は、前記シートの1つの延長部に沿って配置され、前記第1シート(20)に結合される、人工羽毛充填材料。
【請求項2】
前記第1シート(20)はストリップであり、モノフィラメントなどのフィラメント(10)は、前記ストリップの縦方向の延長部に沿って配置され、好ましくは前記ストリップの縦方向の延長部に沿って中央に配置され、及び/又は、フィラメント(10)は、第1不織布材料の第1シート(20)に溶融結合される、請求項1に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項3】
前記人工羽毛(1)は、ストリップなどの第2不織布材料の第2シート(30)を更に含み、前記フィラメント(10)は、不織布材料の第1シート(20)と第2シート(30)との間に配置され、ここで、前記フィラメント(10)は、第2シート(30)に結合され、例えば溶融結合され、好ましくは、前記第1シート(20)は、前記第2シート(30)に結合され、より好ましくは、前記第1シート(20)は、前記第2シート(30)に溶融結合される、請求項1又は2に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項4】
前記第1シート(20)は、前記第2シート(30)に結合され、結合は多数の結合線(22)の形を採り、好ましくは、前記結合線(22)は、天然羽毛の羽枝に似るように設定されることにより、前記フィラメント(10)と共に、羽毛のような魚の骨のパターンを形成する、請求項3に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項5】
前記第1不織布材料、及び前記第2不織布材料(存在する場合)は、
1~50g/m
2、例えば5~30g/m
2の表面重量を有し、及び/又は、
スパンボンド及び/又はメルトブロー不織布であり、及び/又は
0.5~10デシテックス、例えば1~5デシテックスの線密度を有する繊維を含み、及び/又は0.1~30μmの平均直径を有する繊維を含み、例えば、スパンボンド不織布の場合は5~30μm、メルトブロー不織布の場合は0.1~15μmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項6】
前記フィラメント(10)は、芯鞘二成分繊維などの二成分繊維であり、及び/又は、中空であり、及び/又は、0.05~1mm、好ましくは0.4~0.6mmの最大断面寸法を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項7】
前記フィラメント(10)は、芯鞘二成分繊維であり、鞘は、芯内のポリマーの融点より少なくとも20℃低い融点を有するポリマーを含み、好ましくは、前記芯は、少なくとも220℃の融点を有するポリエステルを含み、前記鞘は、200℃未満、例えば、110~190℃の融点を有する、請求項6に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項8】
前記フィラメント(10)は、円弧などの弧形を有し、好ましくは、半径が25~400mm、例えば50~200mmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項9】
前記フィラメント(10)の各側で、前記フィラメント(10)の延長部に垂直な前記第1シート(20)の断面は、湾曲し、湾曲部(21)が、好ましくは円弧形を有し、好ましくは、前記フィラメント(10)の延長部に垂直であると見られるような人工羽毛(1)の断面は、ヘッドから見てられるように、飛んでいるカモメの形を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項10】
前記人工羽毛充填材料が、ダウン、好ましくは、人工ダウンであるダウンを更に含み、好ましくは、5~95重量%の前記人工羽毛及び5~95重量%の前記ダウン、例えば、5~50重量%の人工羽毛及び50~95重量%のダウンを含み、及び/又は、重量比率が人工羽毛よりも高いダウンを含み、及び/又は、10~30重量%の前記人工羽毛及び残りの比率でダウンを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項11】
前記人工羽毛充填材料が、人工ダウンクラスターを更に含み、前記ダウンクラスターのそれぞれは、束に並んで配置された複数のフィラメントで構成されており、
前記フィラメントは、1つの結合位置で一緒に溶融結合され、好ましくは、捲縮される、請求項10に記載の人工羽毛充填材料。
【請求項12】
枕、掛布団、寝袋及びクッション部材からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料を充填した物品。
【請求項13】
少なくとも1つのフィラメント(10)及び繊維状材料の第1ウェブ(25)を、少なくとも1つのローラ(42)及び前記第1ウェブを加熱する加熱装置(44)を備えたカレンダー(41)に供給するステップと、
前記カレンダー(41)の下流又は上流に、前記第1ウェブ(25)から少なくとも1つのリボン(26)を形成し、前記フィラメント(10)を前記リボン(26)に沿って配置するステップと、
前記カレンダー(41)によって前記繊維状材料に前記フィラメント(10)を結合し、例えば、溶融結合するステップと、
前記リボン(26)と前記フィラメント(10)を横切って、人工羽毛(1)を形成するステップとを含む、人工羽毛充填材料を製造する方法。
【請求項14】
前記フィラメント(10)は、前記リボン(26)の中央に配置され、及び/又は、前記カレンダー(41)に供給される前記フィラメント(10)は、繊維状材料の前記第1ウェブ(25)と第2ウェブ(35)との間に配置される、請求項13に記載の人工羽毛充填材料を製造する方法。
【請求項15】
前記カレンダー(41)は、少なくとも1つが加熱される少なくとも2つの回転ローラ(42、45)を含み、前記少なくとも2つの回転ローラ(42、45)は、前記少なくとも2つの回転ローラ(42、45)の間の前記第1ウェブ(25)及び前記フィラメント(10)をカレンダー加工し、前記カレンダー(41)は、加熱されている少なくとも1つのローラ(42、45)の下流に配置された冷却ローラ(46)を更に含み、前記カレンダー(41)は、第1ウェブ(25)及び選択的に前記フィラメント(10)が、カレンダー加工される際に冷却ローラ(46)の円周の少なくとも5%、10%、25%又は50%にわたって冷却ローラ(46)と接触するように配置されることにより、前記フィラメント(10)を弧形に設定し、好ましくは、前記冷却ローラ(46)の半径は、25~400mm、例えば、50~200mmである、請求項13又は14に記載の人工羽毛充填材料を製造する方法。
【請求項16】
前記カレンダー(41)は、少なくとも1つが加熱される少なくとも2つの回転ローラ(42、45)を含み、前記少なくとも2つの回転ローラ(42、45)は、前記少なくとも2つの回転ローラ(42、45)の間の前記第1ウェブ(25)及び前記フィラメント(10)をカレンダー加工し、前記カレンダー(41)は、加熱されている少なくとも1つのローラ(42、45)の下流に配置された冷却ローラ(46)を更に含み、前記冷却ローラ(46)の直径は、その縦方向の延長部に沿って変化することにより、前記フィラメント(10)の延長部に垂直な方向に見られるように、前記フィラメント(10)の各側でのリボン(26)の断面は、湾曲し、好ましくは、湾曲部(21)が円弧形を有する、請求項13~15のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料を製造する方法。
【請求項17】
前記カレンダー(41)は、少なくとも1つが加熱される少なくとも2つの回転ローラ(42、45)を含み、前記少なくとも2つの回転ローラ(42、45)は、前記少なくとも2つの回転ローラ(42、45)の間の前記第1ウェブ(25)及び前記フィラメント(10)をカレンダー加工し、ローラ(42、45)の少なくとも1つは、エンボス加工されることにより、前記第1ウェブ(25)は、羽毛のような魚の骨のパターンなどのパターンを有し、好ましくは、前記第1ウェブ(25)は、前記カレンダー(41)に供給される前記フィラメント(10)が繊維状材料の第1ウェブ(25)と第2ウェブ(35)との間に配置された場合、繊維状材料の第2ウェブ(35)に溶融結合される、請求項13~16のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料を製造する方法。
【請求項18】
請求項13~17のいずれか1項に記載の人工羽毛充填材料を製造する前記方法であって、少なくとも2つのフィラメント(10)が、加熱されたカレンダー(41)に供給される前記第1ウェブ(25)に別々に並列に配置され、前記方法は、前記フィラメント(10)が前記第1ウェブ(25)に結合される前又は後に、好ましくは前記フィラメント(10)が前記第1ウェブ(25)に結合された後に、前記フィラメント(10)の間の前記第1ウェブ(25)を切断することにより、それぞれが1つのフィラメント(10)を含む少なくとも2つのリボン(26)を提供するステップを更に含み、前記フィラメント(10)の間の第1ウェブ(25)の切断後に、前記少なくとも2つのリボン(26)は、人工羽毛(1)に切断される、方法。
【請求項19】
少なくとも2つの回転可能なローラ(42、45)であって、前記少なくとも2つの回転可能なローラ(42、45)の間の繊維状材料の前記第1ウェブ(25)及びフィラメント(10)をカレンダー加工する少なくとも2つの回転可能なローラ(42、45)と、繊維材料の前記第1ウェブ(25)を加熱することにより前記フィラメント(10)を前記第1ウェブ(25)に溶融結合する、好ましくは、ローラ(42、45)の少なくとも1つに設けられるヒータ(44)である加熱装置(44)と、を含み、前記第1ウェブ(25)を、それぞれに沿って1つのフィラメント(10)が配置されたリボン(26)に切断する、前記回転可能なローラ(42、45)の上流又は下流に配置される第1切断装置(50)と、前記リボン(26)を人工羽毛(1)に横切断する、前記第1切断装置(50)及び前記回転可能なローラ(42、45)の下流に配置される第2切断装置(60)と、を更に含む、人工羽毛充填材料を製造する装置(40)。
【請求項20】
前記加熱装置(44)の下流に配置される冷却ローラ(46)を更に含み、前記繊維状材料の第1ウェブ(25)及び前記フィラメント(10)がカレンダー加工される際に、前記冷却ローラ(46)がその円周の少なくとも5%、10%、25%又は50%以上にわたって前記繊維状材料の第1ウェブ(25)及び任意の前記フィラメント(10)と接触するように動作するように構成される、請求項19に記載の装置(40)。
【請求項21】
前記カレンダーのローラ(42、45)の少なくとも1つがエンボス加工される、請求項19又は20に記載の装置(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、枕及び掛布団において、天然羽毛を置き換えるか、又は少なくとも補足するために使用される人工羽毛充填材料に関する。更に、本発明は、そのような人工羽毛充填材料を製造する方法に関する。更に、本発明は、そのような人工羽毛充填材料を製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鳥からの羽毛及びダウンは、枕及び掛布団の充填材料として長い間使われてきた。更に、羽毛及びダウンは、ジャケットなどの衣服の断熱材として使用されてきた。特に枕の場合、羽毛の弾性特性は断熱性よりも重要である。衣類には逆のことが当てはまる。更に、ダウンは記憶効果を提供するため、枕の弾性特性にも貢献する。
【0003】
それらの起源を考えると、鳥からの羽毛及びダウンの代替品を見つけるために、その分野で様々な試みがなされてきた。これらの代替品のいくつかは、羽毛又はダウンのような素材に着目しているため、構造の類似性に焦点を合わせているが、他の代替品は、そもそも機能に焦点を合わせている。衣類の断熱のためのダウンの代替品として、実際に多くの材料が提供されてきた。しかしながら、そのような材料は、良好な断熱特性を有する一方で、枕及び掛布団、特に枕の充填材料としての使用が少ないことが見出されている。更に、充填材料の羽毛によって提供される機能特性は、ダウンによって提供される特性とはまったく異なる。既に述べたように、枕の羽毛によって提供される弾性がありながらも柔らかい感触は、望ましい特性である。
【0004】
したがって、そのような用途において天然羽毛を置き換えるか、又は少なくとも補足するために、例えば枕及び掛布団に使用される人工羽毛充填材料を提供することが望ましいであろう。
【0005】
当技術分野では、人工羽毛及びダウンのいくつかの例が知られている。EP0620185A1には、約5~150mg/mの線密度を有し、直径が約1.0~25.0マイクロメートルの離散細繊維の一般に分散されたアレイが取り付けられている細長い支持部材を含む断熱ユニットが開示されている。断熱ユニットのアセンブリは、天然ダウンと同様の熱的及び機械的特性を備えた非常に低密度の充填材料を提供すると言われている。既に述べたように、ダウンの機械的特性は羽毛の機械的特性とは異なる。更に、米国特許第4,259,400号は、キルティングされた物品の天然ダウンをシミュレートする繊維状の詰め物材料を開示している。材料は、定義された長さを有する、幅に比べて厚みが薄い要素の形をしている。この要素は、繊維が結合された中央の糸状芯(filiform core)を含み、該繊維は、この芯に対して実質的に横方向に配向されて、芯から延びる羽枝を形成する。EP0620185A1と同様に、米国特許第4,259,400号も人工ダウンに着目している。米国特許第4,259,400号には、人工ダウンがダウンに取って代わり、同等のバルクと断熱を提供する可能性があることが記載されている。
【0006】
したがって、当技術分野では、例えば枕及び掛布団の充填材料として使用される人工羽毛が必要である。
【発明の概要】
【0007】
第1態様によれば、人工羽毛充填材料が提供される。人工羽毛充填材料は、人工羽毛を含む。
【0008】
一実施形態において、人工羽毛充填材料は、枕、掛布団、寝袋又はクッション部材を充填するために使用される。別の態様は、本発明の人工羽毛充填材料で充填された枕、掛布団、寝袋又はクッション部材などの物品に関する。
【0009】
人工羽毛充填材料の人工羽毛は、第1不織布材料の第1シートを含む。フィラメントは、前記シートの1つの延長部に沿って配置される。通常、シートはストリップである。ストリップは、本質的に長方形のストリップであってもよい。長方形のストリップは、正方形であってもよいが、典型的に、長さが幅よりも長い。ストリップについて、フィラメントは、ストリップの延長部、例えば、縦方向の延長部に沿って中央に配置されてもよい。フィラメントは、モノフィラメントであってもよく、天然羽毛の対応する部分と非常に似た感覚及び機能を提供する。更に、フィラメントは、第1シートに結合される。剛性が高い中央フィラメントと不織布材料のシートとの組み合わせにより、天然羽毛と同様の弾性特性を備えた人工羽毛が提供される。フィラメントの弾性特性を、ある程度の弾性特性も有する不織布材料、例えば、結合材料で補うことにより、弾性特性が改善される。不織布材料の表面重量は、典型的に、100g/m2未満である。また、不織布材料は薄い。その厚さは1mm以下であってもよい。
【0010】
人工羽毛のサイズは異なってもよい。羽毛は、10~100mm、例えば、20~80mm、例えば、少なくとも40mm、例えば80mm未満、又は、更に70mm未満、又は40~60mmの長さであってもよい。短すぎる羽毛は、小さい弾力を有する。逆に、長すぎる羽毛は、大きい弾力を有し、かつ硬いと感じられ得る。更に、人工羽毛の幅は、5~50mm、例えば10~40mm、又は15~25mmであってもよい。幅が広すぎる羽毛は、その大きい重量から悪影響を受ける。更に、幅が広すぎる羽毛は、他の羽毛及び/又はダウンと適切に相互作用せず、ひいては、求められている相乗効果が失われる可能性がある。既に説明したように、人工羽毛は、長方形であってもよい。長方形の人工羽毛の弾性特性は、正方形の人工羽毛よりも快適であり、ダウンとの組み合わせが優れている。長方形の形状を有する人工羽毛は、フィラメントに垂直な方向における延伸部よりも長いフィラメントに沿った方向における延伸部を有してもよい。しかし、羽毛によく似るために、人工羽毛の一方又は両方の端は三角形であってもよい。長方形のストリップの端をトリミングすることにより、三角形の端を提供することができる。
【0011】
一実施形態において、中央に配置されてもよいフィラメントは、弧形を有し、例えば、フィラメントは湾曲している。湾曲しているフィラメントを提供することにより、人工羽毛の弾性特性が更に向上する。弧は、円弧であってもよい。そのような円弧の半径は、25~400mm、例えば、50~200mmであってもよい。人工羽毛充填材料の製造に関しては、材料の弧が円弧である場合が好ましい。人工羽毛充填材料を製造する方法の概要を以下に示す。この方法は、典型的に、フィラメントを湾曲させるように動作することができるカレンダーを含む。
【0012】
更に、人工羽毛はまた、中央に配置され得るフィラメントに対して平行ではなく、例えば垂直な延長部で湾曲され得る。人工羽毛を更なる延長部で湾曲させることにより、弾性特性は更に改善される可能性がある。更に、1つ又は複数の延長部で湾曲している人工羽毛は、密度が低く、充填がコンパクトではないため、より高い充填力が得られる。
【0013】
一実施形態において、中央に配置され得るフィラメントの延長部に垂直なシートの断面は、フィラメントの少なくとも片側で、しかし典型的には両側で湾曲している。シートの湾曲した断面の湾曲部は、円弧形を有してもよい。そのような円弧の半径は、25~250mm、例えば40~150mmであってもよい。
【0014】
人工羽毛が、不織布材料の、ストリップなどの一[1]枚のシートのみを含む場合、サンドイッチ構造として人工羽毛を提供することが好ましく、該サンドイッチ構造において、フィラメントは、不織布材料の第1シートと不織布材料の第2シートとの間に配置される。このようなサンドイッチ構造は、弾性特性を更に向上させる。更に、フィラメントの触感(feeling)は、2つの不織布材料の間に埋め込まれたときにあまり目立たなくなる。更に、不織布材料の第1シートからフィラメントを分離するリスクが減少する。
【0015】
一実施形態において、人工羽毛は、第2不織布材料の、ストリップなどの第2シートを含む。フィラメントは、不織布材料の第1シートと第2シートとの間に配置されてもよい。フィラメントはまた、第2シートに結合、例えば溶融結合される。
【0016】
更に、第1シートは、第2シートに結合、例えば溶融結合されてもよい。不織布材料の第1及び第2シートを互いに結合することにより、弾性特性が更に改善される。更に、人工羽毛の構造的完全性も向上する。更に、モノフィラメントと不織布との間の結合の機械的強度が向上する。不織布材料の第1シートの第2シートへの結合は、別個の位置で、シートの全面積の一部で、又はシートの全面積にわたって行うことができる。一実施形態において、第1シートは、第2シートに結合される。結合は、多数の結合線の形を採ってもよい。結合線は、直線であってもよい。更に、多数の結合線は、典型的に、フィラメントの延長部と平行ではない。更に、結合線は、典型的に、フィラメントの延長部と垂直でもない。一実施形態において、結合線は、天然羽毛の羽枝に似るように配置されることにより、好ましくは中央に配置されたフィラメントと一緒に羽のような魚の骨のパターンを形成する。
【0017】
既に説明したように、人工羽毛の不織布材料のシートは、人工羽毛に弾性特性を提供する。不織布材料は、当業者に知られている。それらは、一緒に結合された繊維を含む布のような材料である。当業者によって認識されるように、不織布は、任意の手段によって網状に形成され、織り又は編みを除いて任意の手段によって一緒に結合された、任意の天然又は天然由来の(nature or origin)繊維、連続フィラメント又は細断糸のシートである。不織布に関する更なる情報は、ISO規格9092:2019に記載されてもよい。本発明の人工羽毛では、典型的に、薄い不織布材料が使用されている。該不織布材料は、ISO規格9092:2019の定義に従った不織布材料であってもよい。一実施形態において、第1不織布材料及び/又は第2不織布材料は、1~50g/m2、例えば5~30g/m2の表面重量を有する。人工羽毛がサンドイッチ構造として提供される場合、第1不織布材料及び第2不織布材料は、同じ種類の材料であってもよい。しかし、第2シートはまた、第1シートとは別の不織布材料であってもよい。これにより、人工羽毛に他の弾性特性がもたらされる可能性がある。
【0018】
一実施形態において、第1不織布材料及び/又は第2不織布材料は、スパンボンド不織布、すなわち、スパンレイド(spunlaid)の熱結合不織布である。不織布材料はまた、水流交絡(water entanglement)によって結合することができる。やや厚いため、あまり好ましくないが、不織布材料は、ニードリング(needling)によって結合することもできる。更に、不織布材料はまた、化学結合剤、すなわち、熱活性化のための粉末として添加される「樹脂」、或いは噴霧によって又はフラールに塗布される溶解樹脂によって結合されてもよい。更に、結合方法の組み合わせ、例えば、水流交絡と熱結合又は樹脂結合も使用することができる。
【0019】
使用される不織布材料が、典型的に、薄い(繊維の太さが不織布材料の最小厚さを定義する)ため、第1不織布材料及び/又は第2不織布材料の繊維は、典型的に、細い繊維である。繊維は、典型的なポリマー繊維である。不織布材料用の繊維には、様々なポリマーを使用することができる。ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド又はオレフィンであってもよい。ポリマーの具体例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PEF(ポリエチレンフラノエート)、PLA(ポリラクチ酸)、PA6、PA11、PA12、PA4,6、PA4,10、PA5,10、PA6,6、PA6,10、PA6,12、PA12,12、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びそのコポリマーを含む。
【0020】
一実施形態において、第1不織布材料及び/又は第2不織布材料は、0.5~10デシテックス、例えば、1~5デシテックスの線密度を有する繊維を含む。一実施形態において、スパンボンド又はメルトブロー不織布材料などの第1不織布材料及び/又は第2不織布材料は、0.1μm~30μmの平均直径を有する繊維を含む。スパンボンド不織布材料は、平均直径が少なくとも5μm、例えば5μm~30μm、又は20μm未満、例えば10~20μmの繊維を含んでもよい。メルトブロー不織布材料は、平均直径が少なくとも0.1μm、例えば少なくとも0.25μm、又は0.1μm~15μm、例えば0.2~10μm又は1~5μmの繊維を含んでもよい。フィラメントと第1不織布材料及び/又は第2不織布材料との間の結合強度を改善するために、不織布材料は、結合繊維、例えば、他の成分よりも低い融点を有する1つの結合ポリマーを含む二成分繊維を含んでもよい。二成分繊維は、芯鞘二成分繊維であってもよい。芯鞘二成分繊維の形態の結合繊維において、鞘は、芯内のポリマーの融点よりも少なくとも20℃低い融点を有するポリマーを含んでもよい。芯は、ポリエステルを含み、少なくとも220℃の融点を有してもよい。更に、鞘は、200℃未満、例えば、110℃~190℃の融点を有してもよい。第1不織布材料及び/又は第2不織布材料の表面重量は、1~50g/m2、例えば5~30g/m2、又は5~20g/m2、ひいては8~15g/m2であってもよい。表面重量が低すぎる不織布材料は、望ましい快適さを提供するのに十分な弾力を提供しない可能性がある。しかし、表面重量が高すぎる不織布材料を含む人工羽毛充填材料は、重くて緻密であると体験される可能性がある。
【0021】
フィラメントは、典型的に、望ましい弾性特性を提供するためにやや厚太く(thick)なる。その最大断面寸法は、0.05~1mm、例えば、0.1~0.6mmであってもよい。典型的に、フィラメントの断面は円形である。円形断面を有するフィラメントについて、直径は、0.05~1mm、例えば、0.1~0.8mm又は0.4~0.6mmであってもよい。薄細すぎる(too thin)フィラメントは、望ましい快適さを提供するのに十分な弾力を提供しない場合がある。フィラメントは、中空二成分繊維などの中空フィラメントであってもよい。中空フィラメントは、対応する直径の中実モノフィラメントよりも軽く、例えば、25~50%軽い。それでも中空フィラメントは、望ましい弾性特性を提供してもよい。しかし、中空フィラメントの屈曲特性は、中実フィラメントの屈曲特性とは多少異なる。実際に、少なくともいくつかの実施形態において、ストリップの1つの延長部に沿って配置された、例えば、ストリップの縦方向の延長部に沿って中央に配置された、中空フィラメントを備えた人工羽毛の触感は、中実フィラメントを備えた人工羽毛の触感よりも天然羽毛の触感によく一致する可能性があることが見出される。
【0022】
フィラメントの不織布材料のシートへの結合を容易にするために、フィラメントは、芯鞘二成分繊維などの二成分繊維であってもよい。フィラメントが芯鞘二成分繊維である一実施形態において、芯は、ポリエステルを含み、少なくとも220℃の融点を有してもよい。更に、鞘は、200℃未満、例えば、110℃~190℃の融点を有してもよい。
【0023】
当技術分野では、典型的に、天然ダウンと羽毛とを組み合わせて、望ましい弾力と快適さを提供する。同様に、本明細書に開示される人工羽毛充填材料は、したがって、人工羽毛に加えて、ダウンも含んでもよい。ダウンは、天然鳥のダウンであってもよいが、好ましくは人工ダウンである。様々な種類の人工ダウンが当技術分野で知られている(例えば、US3,892,909、EP0067498、及びUS5,851,665)。人工羽毛充填材料は、5~95重量%の人工羽毛及び5~95重量%のダウンを含んでもよい。典型的には、人工羽毛充填材料は、天然充填材料と同様に、人工羽毛よりも多くのダウンを含み、例えば、人工羽毛よりもダウンの重量比率が高い。したがって、人工羽毛充填材料は、5~50重量%の人工羽毛及び50~95重量%のダウンを含んでもよい。一実施形態において、人工羽毛充填材料は、10~30重量%の人工羽毛及び残りのダウンを含む。人工羽毛は、典型的に、人工羽毛充填材料にわずかな割合で含まれているが、それらは、特に枕に使用する場合、例えば弾力などの望ましい特性を提供するために依然として重要である。
【0024】
一実施形態において、人工羽毛充填材料は、人工ダウンクラスターを更に含む。ダウンクラスターのそれぞれは、束に並んで配置された複数のフィラメントで構成されている。束内のフィラメントは、1つの結合位置で一緒に結合、例えば、溶融結合される。束のかさを増やすために、フィラメントを捲縮させることができる。更に、結合位置は、ダウンクラスター間で異なってもよい。人工ダウンのフィラメントの線密度は、1~10デニール、例えば、2~5デニール(すなわち、1.1~11デシテックス(dtex)、例えば、2.2~5.6デシテックス)であってもよい。或いは、フィラメントの線密度は、1~10デシテックス、例えば、2~5デシテックスであってもよい。フィラメントは、20~100mmの長さ、例えば、40~80mmの長さであってもよい。
【0025】
第2態様によれば、人工羽毛充填材料を製造する方法が提供される。人工羽毛充填材料は、典型的に、本明細書で上記に説明された種類の人工羽毛充填材料である。したがって、人工羽毛充填材料に関して既に説明した人工羽毛充填材料の特徴は、人工羽毛充填材料を製造する方法に関しても同様に適用可能である。
【0026】
人工羽毛充填材料を製造する方法は、
少なくとも1つのフィラメント及び繊維状材料の第1ウェブを、少なくとも1つのローラ及び第1ウェブを加熱する加熱装置を備えたカレンダーに供給するステップと、
カレンダーの下流又は上流に、第1ウェブから少なくとも1つのリボンを形成し、フィラメントをリボンに沿って配置するステップと、
カレンダーによって繊維状材料にフィラメントを結合し、例えば、溶融結合するステップと、
繊維状材料の第1ウェブ及びフィラメントを含むリボンを横切って、人工羽毛を形成するステップと、を含む。
【0027】
典型的に、人工羽毛充填材料を製造する方法は、連続プロセスである。第1ウェブ及びフィラメントは、それぞれ、リールからカレンダーに供給され得る。繊維状材料の第1ウェブは、典型的に、不織布材料のシートである。第1ウェブは、カレンダーにおいて結合されるカード繊維を含む非結合ウェブであってもよいが、好ましくは、第1ウェブは、不織布材料のシートである。更に、リボンに沿って配置されたフィラメントは、好ましくは、リボンの中央に配置されている。したがって、形成された羽毛は、その延長部の1つ、例えば、縦方向の延長部に沿って中央に配置されたフィラメントを有してもよい。
【0028】
この方法において1つのリボンのみを形成してもよいが、この方法は、典型的に、プロセスの効率を高めるために複数のリボンを形成するステップを含む。
【0029】
一実施形態において、少なくとも2つのフィラメント、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のフィラメントが、加熱されたカレンダーに供給される第1ウェブ上に別々に並列に配置される。複数のフィラメントが第1ウェブに配置されている場合、この方法は、フィラメントが繊維状材料に結合される前又は繊維状材料に結合された後、好ましくはフィラメントが繊維状材料に結合された後に、フィラメント間の第1ウェブを切断するステップを更に含む。フィラメント間の第1ウェブを機械方向(縦方向)に切断することにより、各々が1つのフィラメントを含む少なくとも2つのリボンが提供される。続いて、各リボンは、人工羽毛に横切られる。
【0030】
上で概説したように、人工羽毛は、第1及び第2不織布材料を含むサンドイッチ構造として提供されてもよく、フィラメントは、典型的に、第1不織布材料と第2不織布材料との間に配置される。一実施形態において、カレンダーに供給されるフィラメントは、繊維状材料の第1ウェブと第2ウェブとの間に配置される。第2ウェブはまた、典型的に、不織布材料のシートである。第2ウェブは、カレンダーにおいて結合されるカード繊維を含む非結合ウェブであってもよいが、好ましくは、不織布材料のシートである。
【0031】
本明細書で上記に説明されたように、一実施形態において、第1ウェブ及び/又は第2ウェブは、不織布材料、例えば、スパンボンド不織布、すなわちスパンレイドの熱接着不織布である。不織布材料はまた、水流交絡によって結合することができる。やや厚いため、あまり好ましくないが、不織布材料は、ニードリングによって結合することもできる。
【0032】
本発明の方法において、典型的に、薄いウェブが使用される。一実施形態において、第1ウェブ及び/又は第2ウェブは、1~50g/m2、例えば5~30g/m2の表面重量を有する。
【0033】
第1ウェブは不織布材料のシートであり、及び/又は第2ウェブは不織布材料のシートである一実施形態において、使用される不織布材料が、典型的に、薄い(繊維の太さが不織布材料の最小厚さを定義する)ため、不織布材料の繊維は、典型的に、細い繊維である。繊維は、典型的なポリマー繊維である。不織布材料用の繊維には、様々なポリマーを使用することができる。ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、又はオレフィンであってもよい。ポリマーの具体例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PEF(ポリエチレンフラノエート)、PLA(ポリラクチ酸)、PA6、PA11、PA12、PA4,6、PA4,10、PA5,10、PA6,6、PA6,10、PA6,12、PA12,12、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)及びそのコポリマーを含む。
【0034】
一実施形態において、第1ウェブ及び/又は第2ウェブは、0.5~10デシテックス、例えば、1~5デシテックスの線密度を有する繊維を含む。フィラメントと第1ウェブ及び/又は第2ウェブとの間の結合強度を改善するために、不織布材料は、結合繊維、例えば、他の成分よりも低い融点を有する1つの結合ポリマーを含む二成分繊維(bi-component fiber)を含んでもよい。二成分繊維は、芯鞘二成分繊維(sheath-core bi -component fiber)であってもよい。芯鞘二成分繊維の形態の結合繊維において、鞘(sheath)は、芯内のポリマーの融点よりも少なくとも20℃低い融点を有するポリマーを含んでもよい。芯は、ポリエステルを含み、少なくとも220℃の融点を有してもよい。更に、鞘は、200℃未満、例えば、110℃~190℃の融点を有してもよい。
【0035】
一実施形態において、カレンダーは、少なくとも2つの回転ローラ、すなわち、第1及び第2ローラを含み、該少なくとも2つのローラは、少なくとも2つのローラの間の第1ウェブ及びフィラメントをカレンダー加工するために用いられる。一実施形態において、ローラの少なくとも1つは加熱される。これは、ローラの少なくとも1つにヒータを設けることによって実現されてもよい。加熱されたローラは、フィラメントを第1ウェブの繊維状材料に溶融結合するために提供される。第1ウェブを加熱する加熱装置はまた、ローラから分離されてもよい。それは、例えば、第1ウェブ及び少なくとも1つのフィラメントを加熱するためのIRヒータ又は熱ファンであってもよい。
【0036】
人工羽毛の弾性特性を向上させるために、フィラメントを弧形に設定することができる。これは、第1ウェブとフィラメントのカレンダー加工において、冷却ローラの円周の少なくとも5%、10%、25%又は50%にわたって、加熱装置、例えば、加熱ローラの下流に配置された冷却ローラと接触するように第1ウェブ及び選択的にフィラメントを配置することによって実現される。冷却ローラの半径は、25~400mm、例えば、50~200mmであってもよいため、対応する半径を有する弧を提供する。冷却ローラは、加熱装置によって加熱された第1ウェブ及びフィラメントを冷却することにより、最終的な構成を提供する。
【0037】
一実施形態において、カレンダーは、少なくとも2つの回転ローラ、すなわち、第1及び第2ローラを含み、該少なくとも2つのローラは、少なくとも2つのローラの間の第1ウェブ及びフィラメントをカレンダー加工するために用いられる。ローラの少なくとも1つを加熱することができる。これは、ローラの少なくとも1つにヒータを設けることによって実現されてもよい。加熱されたローラは、フィラメントを第1ウェブの繊維状材料に溶融結合するために提供される。カレンダーは、加熱装置、例えば、ヒータが設けられるローラの下流に配置された冷却ローラを更に含んでもよい。冷却ローラは、加熱装置によって加熱された第1ウェブ及びフィラメントを冷却することにより、最終的な構成を提供する。人工羽毛の弾性特性に影響を与えるために、冷却ローラの直径は、その縦方向の延長部に沿って変化してもよい。一例として、冷却ローラは、その縦方向の延長部に沿って波打っている場合がある。縦方向の延長部に沿って直径が変化する冷却ローラを使用することにより、フィラメントの延長部に垂直な方向から見られるように、第1ウェブのリボンの断面は、フィラメントの各側で湾曲している。湾曲部は、円弧形を採ってもよい。
【0038】
一実施形態において、カレンダーは、少なくとも2つの回転ローラ、すなわち、第1及び第2ローラを含み、該少なくとも2つのローラは、少なくとも2つのローラの間の第1ウェブ及びフィラメントをカレンダー加工するために用いられる。ローラの少なくとも1つを加熱することができる。更に、ローラの少なくとも1つはエンボス加工されてもよい。エンボス加工は、第1ウェブにパターンを付けることを意味する。パターンは、多数の線であってもよい。既に説明したように、パターンは、羽毛のような魚の骨のパターンであってもよい。更に、カレンダーに供給されるフィラメントが繊維状材料の第1ウェブと第2ウェブとの間に配置される実施形態において、第1ウェブが第2ウェブに溶融結合されている場合、パターンは、結合パターンであってもよい。
【0039】
第3態様によれば、人工羽毛充填材料を製造する装置が提供される。この装置は、少なくとも2つの回転可能なローラであって、少なくとも2つの回転可能なローラの間の繊維状材料の第1ウェブ及びフィラメントをカレンダー加工する少なくとも2つの回転可能なローラと、カレンダー加工される繊維状材料の第1ウェブを加熱することによりフィラメントを第1ウェブに溶融結合する加熱装置とを含む。好ましくは、ローラの少なくとも1つにヒータが設けられている。しかし、第1ウェブを加熱する加熱装置はまた、ローラから分離されてもよい。それは、例えば、第1ウェブ及び少なくとも1つのフィラメントを加熱するためのIRヒータ又は熱ファンであってもよい。更に、該装置は、少なくとも1つのフィラメントが各リボンに沿って配置されている上で、第1ウェブをリボンに切断する第1切断装置を含む。好ましくは、フィラメントは、各リボンに沿って中央に配置される。第1切断装置に、第1ウェブを切断する第1刃先が設けられてもよい。第1ウェブが第1切断装置を通過するとき、第1刃先は、静止してもよい。切断効率を改善するために、刃先は、第1不織布ウェブ材料の延長部に垂直な方向に移動可能であってもよいため、鋸のように作用してもよい。切断されるウェブは、典型的に、不織布材料などの結合された繊維状材料であるため、単純なアイレットを使用することは、材料が引き裂かれることを引き起こす可能性がある。第1切断装置は、回転可能なローラの上流又は下流、例えば、下流に配置される。第1切断装置はまた、レーザ切断装置であってもよい。レーザを使用して第1ウェブをリボンに切断することは、レーザが摩耗しないため、メンテナンスが少ない。更に、レーザは、リボンのエッジを溶接する役割を果たしてもよいことにより、不要なフリンジが形成される可能性があるリスクを低減する。
【0040】
更に、該装置は、第2切断装置を含む。第2切断装置は、第1切断装置及び回転可能なローラの下流に配置される。第2切断装置は、リボンを人工羽毛に横切るために提供される。第2切断装置に、リボンを人工羽毛に横切る第2刃先が設けられてもよい。リボンがリボンの縦方向の延長部と平行ではない方向、すなわち機械方向に切断されるため、第2刃先は、移動可能である。一実施形態において、第2刃先は、第1不織布ウェブ材料の延長部と同じ方向に移動可能である。典型的に、第2刃先は、リボンの縦方向の延長部に垂直な方向、すなわち機械方向に垂直な方向に移動可能である。代替の実施形態において、第2刃先は、第1不織布ウェブ材料の延長部に垂直な方向に移動可能である。第2切断装置は、レーザ切断装置であってもよい。レーザを使用してリボンを人工羽毛に切断することは、レーザが摩耗しないため、メンテナンスが少ない。更に、レーザは、リボンのエッジを溶接する役割を果たしてもよい。
【0041】
一実施形態において、装置は、加熱装置、例えば、ヒータが設けられているローラの下流に配置された回転可能な冷却ローラを更に含む。冷却ローラは、加熱装置によって加熱された第1ウェブ及びフィラメントを冷却することにより、最終的な構成を提供する。装置は、繊維状材料の第1ウェブ及びフィラメントをカレンダー加工する際に、冷却ローラがその円周の少なくとも5%、10%、25%又は50%以上にわたって繊維状材料の第1ウェブ及び選択的にフィラメントと接触するように動作するように構成される。
【0042】
本明細書で上記に説明されたように、これは、人工羽毛充填材料の弾性特性を改善することが提供される。
【0043】
更に、冷却ローラの直径は、その縦方向の延長部に沿って変化してもよい。一例として、冷却ローラは、その縦方向の延長部に沿って波打っている場合がある。本明細書で上記に説明されたように、人工羽毛充填材料の弾性特性を影響することが提供される。
【0044】
更に、カレンダーのローラの少なくとも1つがエンボス加工されることが好ましい。
【0045】
本発明は、特定の実施形態を参照して上記に説明されてきたが、本明細書に記載の特定の形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、上記特定の実施形態以外の他の実施形態は、これらの添付の特許請求の範囲内で等しく可能である。
【0046】
請求項において、「含む」という用語は、他の要素又はステップの存在を排除するものではない。更に、個々の特徴は、異なる特許請求の範囲に含まれてもよいが、これらはおそらく有利に組み合わされてもよく、異なる特許請求の範囲に含まれることは、特徴の組み合わせが実現可能及び/又は有利ではないことを意味しない。
【0047】
また、単数の参照は複数を除外しない。「1」、「1つ」、「第1」、「第2」などの用語は、複数を排除するものではない。
【0048】
本発明において可能であるこれら及び他の態様、特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態の以下の説明から明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図3】一実施形態による、人工羽毛充填材料を製造する装置の概略断面図である。
【
図7a】縦方向の延長部に沿って波打っているローラの斜視図である。
【
図7b】縦方向の延長部に沿って波打っているローラの断面図である。
【
図7c】縦方向の延長部に沿って波打っているローラの断面図である。
【
図7d】縦方向の延長部に沿って波打っているローラの断面図である。
【
図8】一実施形態による人工羽毛の写真である。人工羽毛の隣の定規は、その寸法をセンチメートルで示している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の説明は、人工羽毛充填材料に適用可能な本発明の実施形態に焦点を合わせている。しかし、本発明は、記載された特定の例示的な実施形態に限定されないことが理解されよう。
【0051】
人工羽毛充填材料は、複数の人工羽毛1を含む。
図1に見られるように、一実施形態による個々の人工羽毛1は、第1不織布材料の第1ストリップ20を含む。図示の実施形態おいてモノフィラメントであるフィラメント10は、ストリップ20の1つの延長部、例えば、縦方向の延長部に沿って中央に配置される。フィラメント10は、第1ストリップ20に結合されている。
【0052】
図2aは、
図1の人工羽毛1の上面図である。
図2bは、
図2aの線IIb-IIbに沿った断面図であり、
図2cは、
図2aの線IIc-IIcに沿った断面図である。
図2bに見られるように、一実施形態において、人工羽毛1は、第2不織布材料の第2ストリップ30を含む。フィラメント10は、第1ストリップ20と第2ストリップ30との間に配置される。更に、中央に配置されたフィラメント1の延長部に垂直なストリップ20、30の断面は、中央に配置されたフィラメント1の各側で、湾曲している。ストリップ20、30の湾曲した断面の湾曲部21は、円弧形を有してもよい。
【0053】
したがって、
図2bの観点から、人工羽毛1は、ヘッドから見たときに飛んでいるカモメの形状に似た形状を有する。更に、
図2cに見られるように、一実施形態において、フィラメント10は、弧形を有する。弧形フィラメント10の湾曲部11は、円弧形であってもよい。更に、
図2aに見られるように、第1ストリップ20は、天然羽毛の羽枝に似るように配置された多数の結合線22によって第2ストリップ30に結合されることにより、中央に配置されたフィラメントと一緒に、羽毛のような魚の骨のパターンを形成してもよい。
【0054】
図3及び4には、一実施形態による、人工羽毛充填材料を製造する装置40が示されている。この装置は、少なくとも2つの回転可能なローラ42、45と、少なくとも2つの回転可能なローラ42、45の下流に配置された回転可能な冷却ローラ46とを備えたカレンダー41を含む。加熱装置44が提供され、図示の実施形態において、これは、ローラ42、45のうちの少なくとも1つにヒータ44を設けることによって達成される。装置40は、繊維状材料の第1ウェブ25、フィラメント10及び繊維状材料の第2ウェブ35をリール49からカレンダー41に供給するように構成されている。フィラメント10は、芯鞘二成分繊維であってもよい。芯鞘二成分繊維の芯は、ポリエステル(例えば、PET)を含み、約265℃の融点を有してもよい。更に、芯鞘二成分繊維中の鞘は、コポリエステル(co-polyester)(例えば、CO-PET)を含み、約180℃の融点を有してもよい。繊維状材料の第1ウェブ25及び繊維性材料の第2ウェブ35は、約10gsmのPETスパンボンドであってもよい。
【0055】
第1ウェブ25、フィラメント10及び第2ウェブ35をカレンダー41に供給する際に、フィラメント10は、第1ウェブ25と第2ウェブ35との間に供給される。更に、カレンダー41は、2つの回転可能なローラ42、45の間に第1ウェブ25、フィラメント10及び第2ウェブ35をカレンダー加工するように配置されている。第1ウェブ25、フィラメント10及び第2ウェブ35をカレンダー加工する際に、フィラメント10は、それぞれ第1ウェブ25及び第2ウェブ35に溶融結合される。装置40は、第1ウェブ25材料、及び、第2ウェブ35材料(存在する場合)を、リボン26のそれぞれの中央に配置された1つのフィラメント10を備えたリボン26に切断する第1切断装置50を更に含む。第1切断装置50は、回転可能なローラ42、45の下流に配置されるが、代替の実施形態において、回転可能なローラ42、45の上流に配置されてもよく、回転可能なローラ42、45と一体化されてもよい。典型的には、冷却ローラ46は、第1切断装置50の上流に配置される。加熱装置44を通過してフィラメント10を第1ウェブ25に溶融結合させた後、第1ウェブ25及びフィラメント10を冷却ローラ46と接触させて冷却することにより、弧形構造を提供する。
図3では、第1ウェブ25及びフィラメント10は、冷却ローラ46の円周の約10%にわたって冷却ローラ46と接触している。しかし、接触は、好ましくは、冷却ローラ46の円周の10%を超えてもよい。
【0056】
更に、装置40は、リボン26を人工羽毛1に横切る第2切断装置60を含む。第2切断装置60は、第1切断装置50及び回転可能なローラ42、45の下流に配置される。第2切断装置60の下流に収集ステーション70が配置され、収集ステーション70は、生成された人工羽毛1を人工羽毛充填材料に収集する。
【0057】
一実施形態によるローラ42は、
図5aに示されている。ローラ42は、フィラメント10を受け入れるために、その周囲に沿って、第1及び第2ウェブ25、35よりも厚い凹部47が設けられている。各凹部47の断面(
図5bを参照)は、フィラメント10に一致するように半円形であってもよい。フィラメント10を受け入れるために、その周囲に沿って凹部を有する回転可能なローラ42、45の少なくとも1つを設けることにより、フィラメント10が回転可能なローラ42、45を分離しなければ、第1及び第2ウェブ25、35のカレンダー加工はより効果的になる。更に、凹部47は、フィラメント10、第1ウェブ25及び第2ウェブ35がカレンダー加工時に一緒にカレンダー加工されることを可能にするのに十分に浅くされなければならない。
【0058】
別の実施形態によるローラ42は、
図6に示されている。
図5に示される凹部47とは別に、ローラ42は、エンボス加工されている。エンボス加工は、人工羽毛1に羽毛のような魚の骨のパターン48を提供する役割を果たす。
【0059】
別の実施形態による冷却ローラ46は、
図7a~7dに示されている。冷却ローラ46の半径(n、n)は、その縦方向の延長部に沿って変化し(冷却ローラ46の2つの放射状断面を示す
図7b及び7cを参照)、冷却ローラ46は、その長手方向の延長部に沿って波打っている(冷却ローラ46の縦断面を示す
図7dを参照)。
【0060】
図8には、
図2のものに関する実施形態による人工羽毛の写真が提供されている。写真には、第1不織布材料の第1ストリップ20とフィラメント10が示されている。更に、結合線22の1つも示されている。この羽毛は、長さが約60mm、幅が約36mmである。この不織布は10m/m
2のスパンボンドである。
【0061】
枕用の人工羽毛充填材料を提供するために、
図8の人工羽毛は、例えば、米国特許第5,851,665号の実施例2(その中の
図1Bを参照)による人工ダウンと組み合わせることができる。人工羽毛と人工ダウンとを組み合わせて、例えば枕用の人工充填材料を提供する場合、典型的に、人工羽毛よりも高い重量比率のダウンが使用される。したがって、例えば枕用の人工充填材料は、約20重量%の人工羽毛及び80重量%の人工ダウンを含んでもよい。いくつかの実施形態において、人工ダウンの割合は、更に高く、例えば、最大95重量%であってもよい。
【国際調査報告】