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特表2022-548395電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブ、及び、その実施方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-18
(54)【発明の名称】電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブ、及び、その実施方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20221111BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
F16K31/06 305K
H01F7/16 N
H01F7/16 D
F16K31/06 305E
F16K31/06 305J
F16K31/06 385E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518330
(86)(22)【出願日】2020-09-01
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2020112858
(87)【国際公開番号】W WO2021057409
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910898273.5
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522110061
【氏名又は名称】ジアンメン ティアンディ エレクトリカル アプライアンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホンビアオ
(72)【発明者】
【氏名】アオ リン
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H106DA22
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD02
3H106EE04
3H106EE22
3H106EE23
3H106EE34
3H106EE35
3H106GA05
3H106GA11
3H106GA13
3H106GA15
3H106GB01
3H106GC23
3H106JJ02
3H106JJ05
3H106KK05
5E048AA08
5E048AD02
5E048AD03
5E048CB05
(57)【要約】
本発明は、電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブ、及び、その実施方法を開示する。本方法は、固定子アセンブリに樹脂を射出することによって樹脂封止された固定子アセンブリを得るステップと、樹脂封止された固定子アセンブリと、可動鉄心を含むバルブボディアセンブリとを一緒に組み付けて、水用ソレノイドバルブを形成するステップと、を含む。初期位置にある可動鉄心の上端面は、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するように、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁から上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されている。樹脂封止された固定子アセンブリは、コイルアセンブリと、コイルアセンブリの孔に取り付けられた上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、コイルアセンブリの外側に配置され、上部磁気伝導性内部スリーブと下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、コイルアセンブリ及びヨークを覆う樹脂封止層と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブの実施方法であって、
固定子アセンブリに樹脂を射出することによって樹脂封止された固定子アセンブリを得るステップであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリは、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含むステップと、
前記樹脂封止された固定子アセンブリと、可動鉄心を含むバルブボディアセンブリとを一緒に組み付けて、水用ソレノイドバルブを形成するステップと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている、方法。
【請求項2】
前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている、請求項1に記載の方法。これによって、鉄心材料の節約が可能である。
【請求項3】
前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂を射出して、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブを形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを製造し、その後、前記水隔離スリーブアセンブリを前記コイルアセンブリの孔の中に取り付けて、射出樹脂成形を行う、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブであって、前記水用ソレノイドバルブは、
樹脂封止された固定子アセンブリであって、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含む樹脂封止された固定子アセンブリと、
可動鉄心を含むバルブボディアセンブリであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリと一緒に組み付けて水用ソレノイドバルブを形成するバルブボディアセンブリと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている、水用ソレノイドバルブ。
【請求項10】
前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている、請求項7に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項11】
前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である、請求項9又は10に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項12】
前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂の射出が行われ、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブが形成されている、請求項9又は10に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項13】
インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリが製造され、その後、前記水隔離スリーブアセンブリは、前記コイルアセンブリの孔の中に取り付けられる、請求項9又は10に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項14】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている、請求項12又は13に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項15】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている、請求項14に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項16】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する、請求項15に記載の水用ソレノイドバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水用ソレノイドバルブの製造の技術分野に関し、特に、電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブ、及び、その実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水用ソレノイドバルブ(又は給水バルブ)は、水資源の供給又は遮断を制御するように機能する。水は一定の圧力を有しているので、このバルブは、動作中、パックレスのパイロット作動型水用ソレノイドバルブとして構成されていることが可能である。図1は、より一般的に使用されている現行の水用ソレノイドバルブの構造を示している。この水用ソレノイドバルブは、コイル巻線を樹脂封止するための樹脂封止層116と、樹脂封止層の外側に取り付けられた磁気ヨーク111と、プラグ107と、吸水口215と、排水口216と、を含む。
【0003】
図1は、実質的に2つの部分、すなわちパイロットバルブ及び一次バルブ、から成る水用ソレノイドバルブを示している。巻線109に電圧が印加されていない時は、可動鉄心201が自重及び伸縮バネの反力により落下し、一次バルブプラグ203の流通孔210を閉鎖する。そのため、バランス孔213からバルブプラグの上部空洞に入った水が、漏出することができなくなると共に、バルブダイヤフラムの上と下の有効支持面積の違いにより圧力差が生じて、バルブプラグダイヤフラムが一次弁座部に対して押圧され、バルブが閉じる。巻線109に電圧が印加されると、磁力が可動鉄心201を上に引っ張り、バルブプラグダイヤフラムの上部空洞211内の水が、流通孔210を通ってバルブの出口に放出される。流通孔の流量はバランス孔213の流量よりもかなり多くなるように構成されているため、水の流れによって、バランス孔213に十分な圧力損失が生じ、バルブプラグの上部空洞211内の圧力が急激に低減し、その一方で、バルブプラグの下部空洞212内の圧力は、入口の圧力と同じ圧力で維持され、そのため、バルブプラグダイヤフラムの上部側と下部側との間の圧力差により、バルブプラグダイヤフラムが上方に膨らみ、バルブが開く。
【0004】
図1に示される水用ソレノイドバルブの主な課題は、水隔離スリーブ117を、別個に製造しなければならない点である。製造された水隔離スリーブは、磁気伝導性内部スリーブの中に組み付けることによって挿入される。したがって、コイルラック104の真ん中の孔に搭載された水隔離スリーブ117は、バルブが閉鎖する際の圧力インパクトに抵抗するため、及び、機械的に組み付けを行う間に起こり得る構造的損傷に抵抗するために、一定の厚みを有している必要がある。結果として、既存の水用ソレノイドバルブの非作用空隙は、1.5mmよりも大きくなり、したがって、可動鉄心を作用させるためにより大きな電磁力が必要になる。加えて、水隔離スリーブを別個に製造することは、製造コストを上昇させる。また、ヨーク111が樹脂封止されたコイル巻線の樹脂封止層116の外側に取り付けられているので、ヨークをコイルラックに磁気伝導性内部スリーブを介して固定するには、ヨーク111を磁気伝導性内部スリーブと共に溶接する必要があり、これにより溶接工程及び製造コストが上昇する。
【0005】
市販の水用ソレノイドバルブのエナメル巻線は、どれも、総量26.5~28gの銅線を使用している。銅線の量を低減することが、コストを低減する最も単純な方法である。しかしながら、銅線の量を低減すれば、水用ソレノイドバルブの性能への影響が不可避である。磁気回路構造を改善することによって、給水バルブの性能レベルを維持又はさらに向上させることを前提に、銅線の使用量を低減可能、及び、性能とコスト間のバランスを実現可能である。これが、本発明が解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一課題は、電磁力を上昇させることが可能な水用ソレノイドバルブを提供すると共に、可動鉄心に作用する電磁力を強化し、水用ソレノイドバルブの製造工程を簡略化し、製造コストを低減するための水用ソレノイドバルブの方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブの実施方法は、
固定子アセンブリに樹脂を射出することによって樹脂封止された固定子アセンブリを得るステップであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリは、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含むステップと、
前記樹脂封止された固定子アセンブリと、可動鉄心を含むバルブボディアセンブリとを一緒に組み付けて、水用ソレノイドバルブを形成するステップと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている。
【0008】
好ましくは、前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている。これによって、鉄心材料の節約が可能である。
【0009】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である。
【0010】
好ましくは、前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂射出を行い、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブを形成する。
【0011】
好ましくは、インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを製造し、その後、前記水隔離スリーブアセンブリを前記コイルアセンブリの孔の中に取り付ける。
【0012】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている。
【0013】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている。
【0014】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブは、
樹脂封止された固定子アセンブリであって、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含む樹脂封止された固定子アセンブリと、
可動鉄心を含むバルブボディアセンブリであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリと一緒に組み付けて水用ソレノイドバルブを形成するバルブボディアセンブリと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている。
【0016】
好ましくは、前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている。
【0017】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である。
【0018】
好ましくは、前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂の射出が行われ、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブが形成されている。
【0019】
好ましくは、インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリが製造され、その後、前記水隔離スリーブアセンブリは、前記コイルアセンブリの孔の中に取り付けられる。
【0020】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている。
【0021】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている。
【0022】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の、従来技術に対する有利な技術効果は、磁気回路構造の改善により、主要な磁束によって生成される端面吸引力が強化され、バルブが始動される際に全電磁吸引力が大きくなり、低圧力始動性能が向上する点である。
【0024】
また、樹脂の射出により、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に水隔離スリーブを形成することによって、水隔離スリーブの厚みを著しく低減可能であり、これによって、可動鉄心に作用する電磁力が強化される。
【0025】
他方で、樹脂の射出によりヨークとコイルアセンブリとを固定し合うことにより、水用ソレノイドバルブを製造する製造工程を簡略化でき、製造コストの低減、及び、製造品質の改善が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来技術の水用ソレノイドバルブの構造を示す概略図である。
図2】可動鉄心のストロークに対する、可動鉄心の負荷反力を示す図である。
図3】本発明の水用ソレノイドバルブの断面図である。
図4】本発明の水用ソレノイドバルブの樹脂封止された固定子アセンブリの断面図である。
図5】本発明の水用ソレノイドバルブの固定子アセンブリの展開図である。
図6】本発明の水用ソレノイドバルブの固定子アセンブリの斜視図である。
図7】本発明の水用ソレノイドバルブの固定子アセンブリに樹脂を一次射出することによって形成された、一次樹脂封止された固定子アセンブリの断面図である。
図8】本発明の水用ソレノイドバルブの一次樹脂封止された固定子アセンブリの断面図である。
図9a】本発明の水用ソレノイドバルブの上部磁気伝導性内部スリーブの第1の実施形態を示す正面図である。
図9b】本発明の図9aのA-Aに沿った断面図である。
図9c】本発明の図9aのB-Bに沿った断面図である。
図9d】本発明の水用ソレノイドバルブの上部磁気伝導性内部スリーブの第1の実施形態を示す斜視図である。
図10】水用ソレノイドバルブの一次樹脂封止された固定子アセンブリに本発明の二次樹脂充填を施すことによって形成された、水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを示す斜視図である。
図11】本発明の水用ソレノイドバルブの水隔離スリーブを備える固定子アセンブリの断面図である。
図12】水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す概略図であり、図12は、インサートとしての、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、ストッパの位置関係を示している。
図13】水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す概略図であり、図13は、インサートとしての、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、ストッパに樹脂を射出することによって形成される水隔離スリーブアセンブリを示す斜視図である。
図14】水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す概略図であり、図14は、水隔離スリーブアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の内容、特徴、及び、技術的効果のさらなる理解の一助とするために、本発明を添付の図面及び実施形態を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
本発明を、まず、コイルラック、磁気伝導性内部スリーブ、水隔離スリーブ、可動鉄心、及び、磁気伝導性ベースの構造から説明する。本発明は、磁気回路構造を改善することによって、最小始動電圧要件を満たすことを前提に、給水バルブが始動した際の電磁吸引力を強化し、水の消費を低減し、費用を低減するものである。
【0029】
本発明の水用ソレノイドバルブの磁気回路は、ヨーク、磁気伝導性座部、上部磁気伝導性内部スリーブ、可動鉄心、及び、下部磁気伝導性内部スリーブから成る。
【0030】
図2は、可動鉄心の負荷反力と、可動鉄心のストロークとの間の関係を示しており、動作中の可動鉄心に作用する負荷反力特性が、図2の曲線1として示されている。F-S座標系において、Fは、可動鉄心に作用する負荷反力であり、Sは、可動鉄心の吸入ストロークである。負荷反力は、主に、可動鉄心に作用する水の力F1と、可動鉄心の自重Gと、バネの弾力F2とから成り、F1およびF2が、重要かつ変動する値である。可動鉄心が流通孔を閉じると、F1は、水源圧と流通孔の断面積との積に等しくなり、図中の点Aが、閉鎖されたバルブの状態、すなわち、電源オンされた後に上昇する可動鉄心の初期段階に相当し、バルブプラグダイヤフラムも上昇するので、流通孔は、遮断解除できず、バルブプラグの上部空洞の圧力は、依然として下向きに可動鉄心に作用する力を有しているが、低減し続ける。その後、バネが圧縮され、バネ力は増大する。F1が減少する方が、F2が上昇するよりも早いので、曲線1の最初の半分はゆっくりと減少する。点Bにおいて、バルブプラグダイヤフラムは、完全に上昇し、流通孔は遮断解除され、F1は完全に消滅し、負荷反力は、急速に最小点まで低下する。その後、可動鉄心はF2に反して上昇し、点B以後の傾斜線分の傾きは、バネの弾性係数となる。
【0031】
負荷反力特性に適応するために、可動鉄心に作用する電磁吸引力特性は、図2に示される通りである。上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、可動鉄心の相対位置は、電磁吸引力の特異的効果において重要な役割を果たしている。可動鉄心と上部磁気伝導性内部スリーブとの間に、作用空隙が存在し、可動鉄心と下部磁気伝導性内部スリーブとの間に、主要な非作用空隙が存在している。可動鉄心が上部磁気伝導性内部スリーブの中に吸い込まれない前に、磁位が、主に作用空隙内に落下し、電磁吸引力は、可動鉄心の側面の漏れ磁束によって形成される電磁力と、主要な磁束によって形成される端面吸引力とを含む。すなわち、可動鉄心の上部端面が、上部磁気伝導性内部スリーブの下縁部に近づくと、端面吸引力の効果は大きくなる。つまり、上部端面が上部磁気内部スリーブの下縁部に近づけば近づくほど、全電磁吸引力は大きくなり、可動鉄心が上部磁気伝導性内部スリーブに入ろうとする時に最大値に到達する。可動鉄心が上部磁気伝導性内部スリーブの中に吸い込まれた後は、作用空隙の長さは変化せず、当該空隙の面積は、可動鉄心の深さに応じて増大し、作用空隙磁気伝導率は、非作用空隙の磁気伝導率に相当し得る程度まで急激に増大する。こうして、作用空隙磁気圧力降下は比例的に増大し、これによって電磁吸引力は低減する。電磁吸引力特性曲線の下降部分と、負荷反力特性の上昇部分とは、点Cにおいて公差し、可動鉄心は完全に吸い込まれて、水用ソレノイドバルブも機能する。
【0032】
可動鉄心が一定の吸入ストロークを有していなければならないという観点から、上部磁気内部スリーブと下部磁気内部スリーブとの間の隙間には、磁気漏れが存在し、磁気座部は、上部磁気内部スリーブ内に搭載される。本発明は、磁気回路の構造を以下の通りに改善するものである。
1.可動鉄心の上部端面は、初期位置(可動鉄心が電源オンされる前に配置されている位置に相当する)において、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁と上部磁気伝導性内部スリーブの下縁部との間の距離の1/4よりも低く、そのため、初期位置における可動鉄心の上部端面は、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも、わずかに高くなっており、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁と上部磁気伝導性内部スリーブの下縁との間の隙間の磁気漏れは、初期位置における可動鉄心に完全に作用し、可動鉄心が信頼性のある吸入ストロークを有することを確保する。これによって、吸引の信頼性が向上する。
2.初期位置における可動鉄心と下部磁気伝導性内部スリーブとの間のソケット長さ(下部磁気伝導性内部スリーブにおける初期位置の可動鉄心の長さに相当する)は、上部磁気伝導性内部スリーブの高さと下部磁気伝導性内部スリーブの高さとの合計の1/4以上であり、つまり、可動鉄心の長さは、下部磁気伝導性内部スリーブの長さ未満であり得るが、下部磁気伝導性内部スリーブの長さの1/2以上であるので、非作用空隙の磁気伝導率が小さくなりすぎないことを確保し、鉄心の飽和を回避し、水用ソレノイドバルブの衝撃電流インパクトへの耐性が向上する。
【0033】
具体的な数値を次のように設定する。上部磁気伝導性内部スリーブと下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2~5mmである。磁気伝導性座部の重量は、可動鉄心の60%以上であるべきである。可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減される。水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、壁厚は0.5mmであり、外径は6.5±0.1mmである。磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmである。コイルラックの孔の開口は、約8.7mmである。コイルラックの壁厚は、1mmから0.4mmに低減される。
【0034】
可動鉄心の直径が低減された結果、コイル巻線に電圧が印加された時に、帯磁した磁気伝導性座部と動いている鉄心とが引き付け合って衝突することによって生じるノイズも、低減される。水隔離スリーブ、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、コイルラックの開口が低減されて、可動鉄心の直径の低減に順応する。コイルラックの開口が低減されると、銅線の消費量が低減され、巻線抵抗が低減し、巻線の巻き数及び線直径を変化させない限り電流が増大する。これによって、電磁引力及び低電圧始動性能が向上する。
【0035】
本発明は、電磁吸引力を向上させることが可能な、水用ソレノイドバルブの実施方法を提供する。この方法は、固定子アセンブリに樹脂を射出することによって、樹脂封止された固定子アセンブリを得るステップと、樹脂封止された固定子アセンブリと可動鉄心201を含むバルブボディアセンブリとを一緒に組み付けて、水用ソレノイドバルブを形成するステップと、を含む。図3に示されるように、本発明の樹脂封止された固定子アセンブリは、コイルラック104と、コイルラック104に巻き付けられたコイル巻線109と、インサート107と、コイルラック104に実装された電子部品108(図5を参照)とを備えるコイルアセンブリ103と、コイルアセンブリの孔に取り付けられた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114と、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内部に配置された水隔離スリーブ117と、コイルアセンブリの外側に配置され、上部磁気伝導性内部スリーブ113と下部磁気伝導性内部スリーブ114とを接続するヨーク111と、上部水隔離スリーブ117の内部に取り付けられた磁気伝導性座部121と、コイルアセンブリ及びヨーク111を覆う樹脂封止層116と、を含む。
【0036】
本発明によれば、初期位置にある可動鉄心201の上端面は、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁から上部磁気伝導性内部スリーブ113の下縁までの距離の1/4よりも低く設定されているので、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力が上昇する。
【0037】
図3を参照すると、本発明の水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリは、水隔離スリーブに収納される伸縮バネ200及び可動鉄心201や、流通孔バルブプラグゴム202、バルブプラグ203、バルブプラグゴム204、バルブボディ205、取付ラック206、圧力除去リング207、ゴムガスケット208、フィルタスクリーンアセンブリ209、等を含む。水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリのこれらの部品は、全て、既存の水用ソレノイドバルブの部品であり、これらの接続関係も、従来技術の接続関係とほぼ同一であり、従来技術の範囲に当てはまる。簡潔にするために、従来技術と見なされるものについての詳細な説明は、省略する。
【0038】
本発明によれば、初期位置における下部磁気伝導性内部スリーブ内の可動鉄心の長さを、上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上となるように設定することによって、非作用空隙の磁気伝導率が小さくなりすぎないことを確保して、鉄心の磁気飽和を回避し、水用ソレノイドバルブの大きな衝撃電流インパクトに対する耐性を向上させる。
【0039】
上記した本発明の磁気回路構造の改善法を実現するための特定のパラメータは、次のものを含む。すなわち、上部磁気伝導性内部スリーブと下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmであり、水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、外径は6.5±0.1mmであり、磁気伝導性座部の重量は、可動鉄心の重量の60%以上である。これによって、好適にも、磁気伝導性座部が増大し、電磁吸引力が上昇し、バルブ吸入の信頼性が強化される。
【0040】
図4を参照すると、本発明は、コイルアセンブリ内に取り付けられた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内側に樹脂を射出することによって、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内側に水隔離スリーブを形成可能である。
【0041】
図5図11は、本発明に従って、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内部に水隔離スリーブを形成する特定のプロセスを示している。
【0042】
図5に示されるように、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114は、コイルアセンブリの空洞に取り付けられ、コイルラック104内の孔の磁気伝導性内部スリーブ位置決めリング106(図4を参照)が、上部磁気伝導性内部スリーブ113と下部磁気伝導性内部スリーブ114とを、磁気ヨーク111に接触可能な位置に規定する。その後、ヨーク111のヨーク位置決め溝112が、コイルラック104の上端面及び下端面のヨーク位置決めボス105に係合し、これによって、ヨーク111が、コイルラック104に位置決めされると共に、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114と密接に接触及び結合される。こうして、図6に示される固定子アセンブリ102が形成される。
【0043】
従来技術と比べて、本発明は、ヨーク111を上部及び下部磁気伝導性内部スリーブに溶接する溶接工程を省略し、1つのヨークを省略可能である。しかしながら、従来技術では、上部磁気伝導性内部スリーブを1つのヨークに溶接し、下部磁気伝導性内部スリーブを別のヨークに溶接し、その後、これら2つのヨークを突き合わせ接合する必要がある(ここで、突き合わせ接合部が実現できないという品質課題があり得る)。したがって、本発明によれば、これらのステップが省略され、コストが低減されることが可能であり、製品品質の改善が可能である。
【0044】
本発明では、固定子アセンブリ102が、ベース又はインサートとして使用され、樹脂が、水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100に射出される。この水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100は、図6に示される固定子アセンブリ102を金型の中に配置し、樹脂を一次射出することによって、コイル巻線109、ヨーク111、及び、電子部品108が樹脂で包囲されるが、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114を備えるコイルラック125の孔とインサート107とが露出されたものである。これによって、図7及び図8に示される一次樹脂封止アセンブリ101が形成される。一次樹脂封止アセンブリ101を別の金型の中に配置し、樹脂を二次射出することによって、水隔離スリーブ117が、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114を備えるコイルラック125内の孔に形成され、図10及び図11に示されるような一体化された水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100が製造される。
【0045】
図11は、一体化された水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100の構造を示している。ヨーク111が、樹脂封止層116によってコイルアセンブリ103に堅固に固定されており、水隔離スリーブ117が上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内壁に射出成形されることにより、約0.5mmの厚みを有する水隔離スリーブ117が、コイルラックの孔の中に形成される。すなわち本発明は、樹脂射出工程によって水隔離スリーブ117の厚みを低減する。本発明は、可動鉄心201と磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間を大きく低減させ、従来技術の1.7mmの厚みを有する水隔離スリーブと比べて、可動鉄心201に作用する電磁力を増大させる。
【0046】
また、二次樹脂射出において、雄ねじを備える水隔離スリーブのベース118も射出成形され、これによって、水用ソレノイドバルブを組み付ける際に、一体化された水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100を、雌ねじを備えるバルブボディ205にねじ止めすることが可能である(図11を参照)。
【0047】
その後、磁気伝導性座部121を、上部磁気伝導性内部スリーブ113内に取り付けて、図4に示される樹脂封止された固定子アセンブリを形成する。
【0048】
図9a~図9dは、本発明の上部及び下部磁気伝導性内部スリーブの構造を示している。本発明の上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114は、円筒形を有しており、その壁部には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔115が設けられており、円筒壁の内表面には、(樹脂射出中の熱溶解樹脂の流れを促進するための)磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122が設けられており、磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122は、径方向の貫通孔115と連通している。樹脂を、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブを有するコイルラックの孔に射出することによって、水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122に沿って、磁気伝導性内部スリーブ貫通孔115の中に流れ込み、水隔離スリーブ117を配置するための基部を形成し、これによって、水隔離スリーブ117は、磁気伝導性内部スリーブ位置決めリング106によって位置決めされた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114に、しっかりと固定される。
【0049】
また、本発明は、水隔離スリーブを樹脂封止する際に径方向の溝を用いて水隔離スリーブをさらに固定するための複数の円周溝(図示されていない)を、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内表面にさらに提供し得る。
【0050】
図12図14は、水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す。まず、上部磁気内部スリーブ113、ストッパ106、及び、下部磁気内部スリーブ114を一緒に(図12に示されるように)配置する。次に、一緒に配置された上部磁気内部スリーブ113、ストッパ106、及び、下部磁気内部スリーブ114を、樹脂を射出するためのインサートとして使用して、上部磁気内部スリーブと下部磁気内部スリーブの内部に形成された水隔離スリーブを含む水隔離スリーブアセンブリを製造する(図13及び図14を参照)。その後、水隔離スリーブアセンブリを、コイルアセンブリの孔に取り付けて、樹脂を射出することによって、図4に示されるような樹脂封止された固定子アセンブリを形成する。
【0051】
「ウォータージャケット及びボビンと共に、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブをインサートとして射出成形する」技術と比較して、本発明により実現した吸水ソレノイドバルブの実現方法は、作用空隙を著しく縮小することが可能である。これは、本発明の水隔離スリーブが、コイルラックの孔に樹脂を射出することによって形成され、極めて薄い水隔離スリーブを形成可能であるからである。「ウォータージャケット及びボビンと共に、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブをインサートとして射出成形する」技術は、「磁気内部スリーブ、ウォータージャケット、及び、コイルラックを一体化された部品の中に射出成形すること」であり、そのため、ウォータージャケット、コイルラック、及び磁気内部スリーブを別個に製造する必要がある。製造工程や強度といった要因を考慮すると、ウォータージャケットは、本発明の、コイルラックの孔に樹脂が射出された水隔離スリーブの厚みよりも大きな、一定の厚みを有していなければならない。また、「ウォータージャケット及びボビンと共に、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブをインサートとして射出成形する」技術は、一体化された固定子アセンブリを形成する、ヨーク、コイル巻線、インサート、コイルラック、磁気内部スリーブ、及び、水隔離スリーブを含むことは不可能である。
【0052】
本発明はまた、上述の方法に従って製造される、電磁吸引力を増大させる水用ソレノイドバルブを提供する。当該水用ソレノイドバルブは、樹脂封止された固定子アセンブリと、可動鉄心を含むバルブボディアセンブリであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリと一緒に組み付けて水用ソレノイドバルブを形成するバルブボディアセンブリと、を含む。図3に示されるように、本発明の樹脂封止された固定子アセンブリは、コイルラック104と、コイルラック104に巻き付けられたコイル巻線109と、インサート107と、コイルラック104に実装された電子部品108(図5を参照)と、を備えるコイルアセンブリと、コイルアセンブリの孔に取り付けられた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114と、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内部に配置された水隔離スリーブ117と、コイルアセンブリの外側に配置され、上部磁気伝導性内部スリーブ113と下部磁気伝導性内部スリーブ114とを接続するヨーク111と、上部水隔離スリーブ117の内部に取り付けられた磁気伝導性座部121と、コイルアセンブリ及びヨーク111を覆う樹脂封止層116と、を含む。
【0053】
本発明によれば、初期位置にある可動鉄心201の上端面は、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁から上部磁気伝導性内部スリーブ113の下縁までの距離の1/4よりも低いので、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力が上昇する。
【0054】
図3を参照すると、本発明の水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリは、水隔離スリーブに収納される伸縮バネ200及び可動鉄心201、流通孔バルブプラグゴム202、バルブプラグ203、バルブプラグゴム204、バルブボディ205、取付ラック206、圧力除去リング207、ゴムガスケット208、フィルタスクリーンアセンブリ209、等を含む。
【0055】
本発明によれば、初期位置にある可動鉄心の上端面は、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁から上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低いので、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力が強化される。
【0056】
本発明によれば、初期位置における可動鉄心の下部磁気伝導性内部スリーブ内の長さを、上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上となるように設定することによって、非作用空隙の磁気伝導率が小さくなりすぎないことを確保して、鉄心の磁気飽和を回避し、水用ソレノイドバルブの大きな衝撃電流インパクトに対する耐性を向上させる。
【0057】
上記した本発明の磁気回路構造の改善を実現するための特定のパラメータは、次のものを含む。すなわち、上部磁気伝導性内部スリーブと下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmであり、水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、外径は6.5±0.1mmであり、磁気伝導性座部の重量は、可動鉄心の重量の60%以上である。これによって、好適にも、磁気伝導性座部が増大し、電磁吸引力が上昇し、バルブ吸入の信頼性が強化される。
【0058】
さらに、本発明によれば、樹脂を上部及び下部磁気内部スリーブの内表面に射出することによって、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブの内部に、水隔離スリーブが形成される。
【0059】
あるいは、本発明は、上部磁気内部スリーブ、ストッパ、及び、下部磁気内部スリーブを共にインサートとして配置して、これらに射出成形を行って水隔離スリーブアセンブリを形成することが可能である。水隔離スリーブアセンブリは、コイルアセンブリの孔の中に取り付けられ、上部磁気内部スリーブ及び下部磁気内部スリーブの内表面に射出成形を行うことによって形成された水隔離スリーブを含む。
【0060】
他方で、本発明の上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114は、円筒形を有しており、その壁部には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔115が設けられている。この壁の内表面には、磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122が設けられており、磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122は、径方向の貫通孔115と連通している。樹脂を、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブを有するコイルラックの孔に射出することによって、水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122に沿って、磁気伝導性内部スリーブ貫通孔115の中に流れ込み、射出成形された水隔離スリーブ117を配置するための基部を形成する。
【0061】
本発明の実験的研究によれば、水用ソレノイドバルブの磁気回路構造は、バルブの低圧力始動性能に悪影響を与えることなく、消費材を低減可能、かつ、コストを低減可能であるように構成されている。可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減される。水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、壁厚は0.5mmであり、外径は6.5±0.1mmである。上部及び下部磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmである。コイルラックの孔の開口は、約8.7mmである。
【0062】
水隔離スリーブは、バルブの動作中に可動鉄心の作用により振動するので、コイルラックは、損傷を回避するために一定の剛性要件を満たす必要がある。GB14536.1-2008「家庭用及び類似の目的用の自動電気制御装置(Electrical automatic controllers for household and similar purposes)」、及び、GB4706.1-2005「家庭用及び類似の目的用の電化製品の安全性(Safety of electrical appliances for household and similar purposes)」の規定によれば、給水バルブの磁気ヨークは露出されており、人間の手が接近し易い。絶縁要件を満たすために、骨格の壁厚は、0.7mm以上でなければならない。本発明の給水バルブの磁気ヨークは、樹脂封止されており、人間の手が触れることはあり得ず、骨格は厚さ要件を有しておらず、巻き付け時に変形しないように強度を確保するだけでよいので、骨格の厚みを最小化することが可能である。
【0063】
本発明は、水隔離スリーブ射出成形の製造工程を採用しているので、水隔離スリーブは、固定子アセンブリに樹脂を射出することによって形成され、コイルラックと一体化され、コイルラックの壁厚は、国家規格により制限されることはなく、コイルラックの孔の壁厚は、1mmから0.4mmに低減されるので、コイル直径はさらに低減され、巻線の巻き数及び線直径を変化させない限り銅線の量がさらに低減される。
【0064】
また、可動鉄心が小型かつ軽量化するので、コイル巻線109に電圧が印加されると、磁化された磁気座部121と可動鉄心201との間の引力により生じるノイズも減少する。
【0065】
本実施形態の水用ソレノイドバルブにおいて使用される水隔離スリーブの射出成形工程は、単に、水用ソレノイドバルブの製造工程の一例であり、磁気回路構造を限定するものではないことに、留意されたい。本発明の磁気回路構造の改善方法は、全ての水用ソレノイドバルブにとって、始動時の電磁引力を強化する点において効果的であり、ワイヤ消費量を低減すると共に、最小始動電圧要件を満たすことを前提として、移動する鉄心吸引によって生じるノイズを低減する。
【0066】
本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、これに限定されず、当業者が、本発明の原理に基づき様々な変形を行ってもよい。したがって、本発明の原理に基づいて成された変形例は、本発明の範囲に当てはまるものと理解されよう。
【符号の説明】
【0067】
水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100;一次樹脂封止された固定子アセンブリ101;固定子アセンブリ102;コイルアセンブリ-103;コイルラック-104;ヨーク位置決めボス-105;磁気伝導性内部スリーブ位置決めリング-106;インサート-107;電子部品-108;コイル巻線-109;ヨーク-111;ヨーク位置決め溝-112;上部磁気伝導性内部スリーブ-113;下部磁気伝導性内部スリーブ-114;磁気伝導性内部スリーブ接着剤通過孔-115;樹脂封止層-116;水隔離スリーブ117;水隔離スリーブベース-118;水隔離スリーブの内部空洞119;磁気伝導性座部-121;磁気伝導性内部スリーブ軸方向内溝-122;磁気伝導性内部スリーブ接合継目-123;伸縮バネ-200;可動鉄心-201;貫通孔プラグゴム-202;バルブプラグ203;バルブプラグゴム-204;バルブボディ205;搭載ラック-206;圧力除去リング-207;ゴムガスケット-208;フィルタスクリーンアセンブリ-209;流通孔-210;バルブプラグ上部空洞-211;バルブプラグ下部空洞-212;バランス孔-213;吸水口-215;排水口-216
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブの実施方法であって、
固定子アセンブリに樹脂を射出することによって樹脂封止された固定子アセンブリを得るステップであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリは、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含むステップと、
前記樹脂封止された固定子アセンブリと、可動鉄心を含むバルブボディアセンブリとを一緒に組み付けて、水用ソレノイドバルブを形成するステップと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている、方法。
【請求項2】
前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂を射出して、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブを形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを製造し、その後、前記水隔離スリーブアセンブリを前記コイルアセンブリの孔の中に取り付けて、射出樹脂成形を行う、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブであって、前記水用ソレノイドバルブは、
樹脂封止された固定子アセンブリであって、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含む樹脂封止された固定子アセンブリと、
可動鉄心を含むバルブボディアセンブリであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリと一緒に組み付けて水用ソレノイドバルブを形成するバルブボディアセンブリと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている、水用ソレノイドバルブ。
【請求項10】
前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている、請求項7に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項11】
前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である、請求項9又は10に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項12】
前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂の射出が行われ、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブが形成されている、請求項9又は10に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項13】
インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリが製造され、その後、前記水隔離スリーブアセンブリは、前記コイルアセンブリの孔の中に取り付けられる、請求項9又は10に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項14】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている、請求項12又は13に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項15】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている、請求項14に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項16】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する、請求項15に記載の水用ソレノイドバルブ。
【請求項17】
水用ソレノイドバルブに適用される水隔離スリーブを備える固定子アセンブリの実施方法であって、
インサートを含む素子をコイル巻線が巻き付けられたコイルラックに取り付けることによって、空洞を有するコイルアセンブリを形成するステップと、
上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブを、両側において、前記コイルアセンブリの前記コイルラックの孔に取り付けると共に、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークを、前記コイルアセンブリの外側に固定することによって、固定子アセンブリを形成するステップと、
前記固定子アセンブリに樹脂を射出して、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを形成するステップと、を含む方法。
【請求項18】
前記固定子アセンブリに樹脂を射出して、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを形成する前記ステップは、
前記固定子アセンブリに樹脂を射出し、前記コイル巻線及び前記ヨークを樹脂で覆い、前記インサート及び前記コイルラックの孔を露出させることによって、一次樹脂封止された固定子アセンブリを製造するステップと、
前記一次樹脂封止された固定子アセンブリの中に樹脂を射出し、前記水隔離スリーブを、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備える前記コイルラックの孔に形成することによって、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを製造するステップと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コイルラックの孔は、前記コイルラックの孔において、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを所定の距離で維持するように、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを位置決めするための磁気伝導性内部スリーブ位置決めリングを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記一次樹脂封止された固定子アセンブリの中に樹脂を射出することと同時に、前記水隔離スリーブの下端部に配置された水隔離スリーブベースを形成し、前記水隔離スリーブベースは、前記水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリを接続及び固定するために使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
水用ソレノイドバルブに適用される水隔離スリーブを備える固定子アセンブリの実施方法であって、
上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、下部磁気伝導性内部スリーブの中に樹脂を射出することによって水隔離スリーブを形成して、磁気伝導性スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを形成するステップと、
インサートを含む素子をコイル巻線が巻き付けられたコイルラックに取り付け、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークを前記コイルアセンブリの外側に固定することによって、コイルアセンブリを形成するステップと、
前記磁気伝導性スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを前記コイルアセンブリの前記コイルラックの孔の中に挿入して、固定子アセンブリを形成するステップと、
固定子アセンブリに樹脂を射出して、前記固定子アセンブリの上の前記コイル巻線及び前記ヨークを覆うことによって、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを製造するステップと、を含む方法。
【請求項22】
前記水隔離スリーブアセンブリは、
樹脂射出によって共に固定された上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ、前記ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に樹脂射出によって形成された水隔離スリーブと、
前記水隔離スリーブの下端部に配置され、前記水隔離スリーブと一体に形成された水隔離スリーブベースと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、それぞれ、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤が流れる貫通孔が設けられている、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、径方向の前記貫通孔と連通した軸方向溝が設けられている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記軸方向溝と連通した円周溝が設けられている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に、前記水隔離スリーブ及び前記水隔離スリーブベースを形成し、樹脂の射出中は、熱溶融性樹脂が、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記軸方向溝に沿って、磁気伝導性内部スリーブの前記径方向の貫通孔の中に流入し、射出ウォータージャケットを固定するための基部を形成する、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
水用ソレノイドバルブに適用される水隔離スリーブを備える固定子アセンブリであって、
前記コイルアセンブリは、
コイルラック、コイルラックに巻き付けられたコイル巻線、及び、前記コイルラックに配置されたインサートであって、前記コイルラックの真ん中にはコイルラックの孔が形成されている、コイルラック、コイル巻線、及び、インサートと、
前記コイルラックの孔に配置された上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、水隔離スリーブであって、前記水隔離スリーブは前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に樹脂を射出することによって形成されている、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に位置するヨークであって、前記ヨークの上端及び下端は、それぞれ、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブに密着して接続されている、ヨークと、
樹脂射出によって形成された、前記コイルアセンブリを覆う樹脂封止層であって、外部電源に電気的に接続された、前記インサートの部分を覆っていない、樹脂封止層と、を含むコイルアセンブリ。
【請求項28】
前記水隔離スリーブの下端には、樹脂射出によって一体化して形成された水隔離スリーブベースが設けられており、前記水隔離スリーブベースは、水用ソレノイドバルブのバルブボディに接続かつ固定されるように、前記樹脂封止層によって覆われていない、請求項27に記載の固定子アセンブリ。
【請求項29】
前記ヨークのヨーク位置決め溝は、前記コイルラックの上端面及び下端面に設けられたヨーク位置決めボスを締め付けることによって、一方で前記コイルラック上に前記ヨークを位置決めすると共に、他方で前記上部磁気伝導性内部スリーブに接続される、請求項27に記載の固定子アセンブリ。
【請求項30】
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒形であり、いずれも、前記水隔離スリーブを前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に取り付けるための水隔離スリーブ固定構造を有している、請求項27に記載の固定子アセンブリ。
【請求項31】
前記水隔離スリーブ固定構造は、接着剤が通過する径方向の貫通孔を含む、請求項30に記載の固定子アセンブリ。
【請求項32】
前記水隔離スリーブ固定構造は、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に設けられた溝をさらに含む、請求項30に記載の固定子アセンブリ。
【請求項33】
前記溝は、前記径方向の貫通孔と連通した軸方向溝を含む、請求項32に記載の固定子アセンブリ。
【請求項34】
前記溝は、前記軸方向溝と連通した円周溝を含む、請求項33に記載の固定子アセンブリ。
【請求項35】
バルブボディアセンブリと、請求項27~34のいずれか1項に記載の水隔離スリーブを備える固定子アセンブリと、を含む水用ソレノイドバルブであって、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリは、前記バルブボディアセンブリと共に組み付けられて、前記水用ソレノイドバルブを形成する、水用ソレノイドバルブ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水用ソレノイドバルブの製造の技術分野に関し、特に、電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブ、及び、その実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水用ソレノイドバルブ(又は給水バルブ)は、水資源の供給又は遮断を制御するように機能する。水は一定の圧力を有しているので、このバルブは、動作中、パックレスのパイロット作動型水用ソレノイドバルブとして構成されていることが可能である。図1は、より一般的に使用されている現行の水用ソレノイドバルブの構造を示している。この水用ソレノイドバルブは、コイル巻線を樹脂封止するための樹脂封止層116と、樹脂封止層の外側に取り付けられた磁気ヨーク111と、プラグ107と、吸水口215と、排水口216と、を含む。
【0003】
図1は、実質的に2つの部分、すなわちパイロットバルブ及び一次バルブ、から成る水用ソレノイドバルブを示している。巻線109に電圧が印加されていない時は、可動鉄心201が自重及び伸縮バネの反力により落下し、一次バルブプラグ203の流通孔210を閉鎖する。そのため、バランス孔213からバルブプラグの上部空洞に入った水が、漏出することができなくなると共に、バルブダイヤフラムの上と下の有効支持面積の違いにより圧力差が生じて、バルブプラグダイヤフラムが一次弁座部に対して押圧され、バルブが閉じる。巻線109に電圧が印加されると、磁力が可動鉄心201を上に引っ張り、バルブプラグダイヤフラムの上部空洞211内の水が、流通孔210を通ってバルブの出口に放出される。流通孔の流量はバランス孔213の流量よりもかなり多くなるように構成されているため、水の流れによって、バランス孔213に十分な圧力損失が生じ、バルブプラグの上部空洞211内の圧力が急激に低減し、その一方で、バルブプラグの下部空洞212内の圧力は、入口の圧力と同じ圧力で維持され、そのため、バルブプラグダイヤフラムの上部側と下部側との間の圧力差により、バルブプラグダイヤフラムが上方に膨らみ、バルブが開く。
【0004】
図1に示される水用ソレノイドバルブの主な課題は、水隔離スリーブ117を、別個に製造しなければならない点である。製造された水隔離スリーブは、磁気伝導性内部スリーブの中に組み付けることによって挿入される。したがって、コイルラック104の真ん中の孔に搭載された水隔離スリーブ117は、バルブが閉鎖する際の圧力インパクトに抵抗するため、及び、機械的に組み付けを行う間に起こり得る構造的損傷に抵抗するために、一定の厚みを有している必要がある。結果として、既存の水用ソレノイドバルブの非作用空隙は、1.5mmよりも大きくなり、したがって、可動鉄心を作用させるためにより大きな電磁力が必要になる。加えて、水隔離スリーブを別個に製造することは、製造コストを上昇させる。また、ヨーク111が樹脂封止されたコイル巻線の樹脂封止層116の外側に取り付けられているので、ヨークをコイルラックに磁気伝導性内部スリーブを介して固定するには、ヨーク111を磁気伝導性内部スリーブと共に溶接する必要があり、これにより溶接工程及び製造コストが上昇する。
【0005】
市販の水用ソレノイドバルブのエナメル巻線は、どれも、総量26.5~28gの銅線を使用している。銅線の量を低減することが、コストを低減する最も単純な方法である。しかしながら、銅線の量を低減すれば、水用ソレノイドバルブの性能への影響が不可避である。磁気回路構造を改善することによって、給水バルブの性能レベルを維持又はさらに向上させることを前提に、銅線の使用量を低減可能、及び、性能とコスト間のバランスを実現可能である。これが、本発明が解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一課題は、電磁力を上昇させることが可能な水用ソレノイドバルブを提供すると共に、可動鉄心に作用する電磁力を強化し、水用ソレノイドバルブの製造工程を簡略化し、製造コストを低減するための水用ソレノイドバルブの方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブの実施方法は、
固定子アセンブリに樹脂を射出することによって樹脂封止された固定子アセンブリを得るステップであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリは、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含むステップと、
前記樹脂封止された固定子アセンブリと、可動鉄心を含むバルブボディアセンブリとを一緒に組み付けて、水用ソレノイドバルブを形成するステップと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている。
【0008】
好ましくは、前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている。これによって、鉄心材料の節約が可能である。
【0009】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である。
【0010】
好ましくは、前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂射出を行い、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブを形成する。
【0011】
好ましくは、インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを製造し、その後、前記水隔離スリーブアセンブリを前記コイルアセンブリの孔の中に取り付ける。
【0012】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている。
【0013】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている。
【0014】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、電磁吸引力を増大可能な水用ソレノイドバルブは、
樹脂封止された固定子アセンブリであって、
コイルアセンブリと、
前記コイルアセンブリの孔に取り付けられた、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内部に配置された水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に配置され、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークと、
前記水隔離スリーブの内側に取り付けられた磁気伝導性座部と、
前記コイルアセンブリ及び前記ヨークを覆う樹脂封止層と、を含む樹脂封止された固定子アセンブリと、
可動鉄心を含むバルブボディアセンブリであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリと一緒に組み付けて水用ソレノイドバルブを形成するバルブボディアセンブリと、を含み、
初期位置にある前記可動鉄心の上端面は、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記上縁から前記上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低く設定されており、前記水用ソレノイドバルブの電磁吸引力を強化するようになっている。
【0016】
好ましくは、前記下部磁気伝導性内部スリーブ内における、前記初期位置にある前記可動鉄心の長さは、前記上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上に設定されている。
【0017】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、前記可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内径は6.5±0.1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの壁厚は1mmであり、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの外径は8.5±0.1mmであり、前記水隔離スリーブは、5.5±0.1mmの内径、及び、6.5±0.1mmの外径を有し、前記磁気伝導性座部の重量は、前記可動鉄心の重量の60%以上である。
【0018】
好ましくは、前記コイルアセンブリ内に取り付けられた前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に樹脂の射出が行われ、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に、前記水隔離スリーブが形成されている。
【0019】
好ましくは、インサートとして共に配置された前記上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの上に樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内側に形成された水隔離スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリが製造され、その後、前記水隔離スリーブアセンブリは、前記コイルアセンブリの孔の中に取り付けられる。
【0020】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔が設けられている。
【0021】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記径方向の貫通孔と連通した磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝が設けられている。
【0022】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備えるコイルラックの孔の中に樹脂を射出することによって、前記水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、前記磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝に沿って、前記径方向の貫通孔の中に流れ込み、前記水隔離スリーブを固定するための基部を形成する。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、水用ソレノイドバルブに適用される水隔離スリーブを備える固定子アセンブリの実施方法は、
インサートを含む素子をコイル巻線が巻き付けられたコイルラックに取り付けることによって、空洞を有するコイルアセンブリを形成するステップと、
上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブを、両側において、前記コイルアセンブリの前記コイルラックの孔に取り付けると共に、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークを、前記コイルアセンブリの外側に固定することによって、固定子アセンブリを形成するステップと、
前記固定子アセンブリに樹脂を射出して、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを形成するステップと、を含む。
【0024】
好ましくは、固定子アセンブリに樹脂を射出して、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを形成する前記ステップは、
前記固定子アセンブリに樹脂を射出し、前記コイル巻線及び前記ヨークを樹脂で覆い、前記インサート及び前記コイルラックの孔を露出させることによって、一次樹脂封止された固定子アセンブリを製造するステップと、
前記一次樹脂封止された固定子アセンブリの中に樹脂を射出し、前記水隔離スリーブを、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを備える前記コイルラックの孔に形成することによって、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを製造するステップと、を含む。
【0025】
好ましくは、前記コイルラックの孔は、前記コイルラックの孔において、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを所定の距離で維持するように、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブを位置決めするための磁気伝導性内部スリーブ位置決めリングを有する。
【0026】
好ましくは、前記一次樹脂封止された固定子アセンブリの中に樹脂を射出することと同時に、前記水隔離スリーブの下端部に配置された水隔離スリーブベースを形成し、前記水隔離スリーブベースは、前記水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリを接続及び固定するために使用される。
【0027】
本発明の第4の態様によれば、水用ソレノイドバルブに適用される水隔離スリーブを備える固定子アセンブリの実施方法であって、
上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、下部磁気伝導性内部スリーブの中に樹脂を射出することによって水隔離スリーブを形成して、磁気伝導性スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを形成するステップと、
インサートを含む素子をコイル巻線が巻き付けられたコイルラックに取り付け、前記上部磁気伝導性内部スリーブと前記下部磁気伝導性内部スリーブとを接続するヨークを前記コイルアセンブリの外側に固定することによって、コイルアセンブリを形成するステップと、
前記磁気伝導性スリーブを備える水隔離スリーブアセンブリを前記コイルアセンブリの前記コイルラックの孔の中に挿入して、固定子アセンブリを形成するステップと、
固定子アセンブリに樹脂を射出して、前記固定子アセンブリの上の前記コイル巻線及び前記ヨークを覆うことによって、前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを製造するステップと、を含む。
【0028】
好ましくは、前記水隔離スリーブアセンブリは、
樹脂射出によって共に固定された上部磁気伝導性内部スリーブ、ストッパ、及び、下部磁気伝導性内部スリーブと、
前記上部磁気伝導性内部スリーブ、前記ストッパ、及び、前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に樹脂射出によって形成された水隔離スリーブと、
前記水隔離スリーブの下端部に配置され、前記水隔離スリーブと一体に形成された水隔離スリーブベースと、を含む。
【0029】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、それぞれ、円筒の形状を有しており、前記円筒の壁には、接着剤が流れる貫通孔が設けられている。
【0030】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、径方向の前記貫通孔と連通した軸方向溝が設けられている。
【0031】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面には、前記軸方向溝と連通した円周溝が設けられている。
【0032】
好ましくは、樹脂を射出することによって、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に、前記水隔離スリーブ及び前記水隔離スリーブベースを形成し、樹脂の射出中は、熱溶融性樹脂が、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの前記軸方向溝に沿って、磁気伝導性内部スリーブの前記径方向の貫通孔の中に流入し、射出ウォータージャケットを固定するための基部を形成する。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、水用ソレノイドバルブに適用される水隔離スリーブを備える固定子アセンブリであって、
前記コイルアセンブリは、
コイルラック、コイルラックに巻き付けられたコイル巻線、及び、前記コイルラックに配置されたインサートであって、前記コイルラックの真ん中にはコイルラックの孔が形成されている、コイルラック、コイル巻線、及び、インサートと、
前記コイルラックの孔に配置された上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、水隔離スリーブであって、前記水隔離スリーブは前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に樹脂を射出することによって形成されている、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、水隔離スリーブと、
前記コイルアセンブリの外側に位置するヨークであって、前記ヨークの上端及び下端は、それぞれ、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブに密着して接続されている、ヨークと、
樹脂射出によって形成された、前記コイルアセンブリを覆う樹脂封止層であって、前記樹脂封止層は、外部電源に電気的に接続された前記インサートの部分を覆っていない樹脂封止層と、を含む。
【0034】
好ましくは、前記水隔離スリーブの下端には、樹脂射出によって一体化して形成された水隔離スリーブベースが設けられており、前記水隔離スリーブベースは、水用ソレノイドバルブのバルブボディに接続かつ固定されるように、前記樹脂封止層によって覆われていない。
【0035】
好ましくは、前記ヨークのヨーク位置決め溝は、前記コイルラックの上端面及び下端面に設けられたヨーク位置決めボスを締め付けることによって、一方で前記コイルラック上に前記ヨークを位置決めすると共に、他方で前記上部磁気伝導性内部スリーブに接続される。
【0036】
好ましくは、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブは、円筒形であり、いずれも、前記水隔離スリーブを前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に取り付けるための水隔離スリーブ固定構造を有している。
【0037】
好ましくは、前記水隔離スリーブ固定構造は、接着剤が通過する径方向の貫通孔を含む。
【0038】
好ましくは、前記水隔離スリーブ固定構造は、前記上部磁気伝導性内部スリーブ及び前記下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に設けられた溝をさらに含む。
【0039】
好ましくは、前記溝は、前記径方向の貫通孔と連通した軸方向溝を含む。
【0040】
好ましくは、前記溝は、前記軸方向溝と連通した円周溝を含む。
【0041】
本発明の第6の態様によれば、バルブボディアセンブリと、上述の水隔離スリーブを備える固定子アセンブリと、を含む水用ソレノイドバルブが提供される。前記水隔離スリーブを備える固定子アセンブリは、前記バルブボディアセンブリと共に組み付けられて、前記水用ソレノイドバルブを形成する。
【発明の効果】
【0042】
本発明の、従来技術に対する有利な技術効果は、磁気回路構造の改善により、主要な磁束によって生成される端面吸引力が強化され、バルブが始動される際に全電磁吸引力が大きくなり、低圧力始動性能が向上する点である。
【0043】
また、樹脂の射出により、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブの内表面に水隔離スリーブを形成することによって、水隔離スリーブの厚みを著しく低減可能であり、これによって、可動鉄心に作用する電磁力が強化される。
【0044】
他方で、樹脂の射出によりヨークとコイルアセンブリとを固定し合うことにより、水用ソレノイドバルブを製造する製造工程を簡略化でき、製造コストの低減、及び、製造品質の改善が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】従来技術の水用ソレノイドバルブの構造を示す概略図である。
図2】可動鉄心のストロークに対する、可動鉄心の負荷反力を示す図である。
図3】本発明の水用ソレノイドバルブの断面図である。
図4】本発明の水用ソレノイドバルブの樹脂封止された固定子アセンブリの断面図である。
図5】本発明の水用ソレノイドバルブの固定子アセンブリの展開図である。
図6】本発明の水用ソレノイドバルブの固定子アセンブリの斜視図である。
図7】本発明の水用ソレノイドバルブの固定子アセンブリに樹脂を一次射出することによって形成された、一次樹脂封止された固定子アセンブリの断面図である。
図8】本発明の水用ソレノイドバルブの一次樹脂封止された固定子アセンブリの断面図である。
図9a】本発明の水用ソレノイドバルブの上部磁気伝導性内部スリーブの第1の実施形態を示す正面図である。
図9b】本発明の図9aのA-Aに沿った断面図である。
図9c】本発明の図9aのB-Bに沿った断面図である。
図9d】本発明の水用ソレノイドバルブの上部磁気伝導性内部スリーブの第1の実施形態を示す斜視図である。
図10】水用ソレノイドバルブの一次樹脂封止された固定子アセンブリに本発明の二次樹脂充填を施すことによって形成された、水隔離スリーブを備える固定子アセンブリを示す斜視図である。
図11】本発明の水用ソレノイドバルブの水隔離スリーブを備える固定子アセンブリの断面図である。
図12】水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す概略図であり、図12は、インサートとしての、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、ストッパの位置関係を示している。
図13】水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す概略図であり、図13は、インサートとしての、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、ストッパに樹脂を射出することによって形成される水隔離スリーブアセンブリを示す斜視図である。
図14】水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す概略図であり、図14は、水隔離スリーブアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に、本発明の内容、特徴、及び、技術的効果のさらなる理解の一助とするために、本発明を添付の図面及び実施形態を参照しながら詳細に説明する。
【0047】
本発明を、まず、コイルラック、磁気伝導性内部スリーブ、水隔離スリーブ、可動鉄心、及び、磁気伝導性ベースの構造から説明する。本発明は、磁気回路構造を改善することによって、最小始動電圧要件を満たすことを前提に、給水バルブが始動した際の電磁吸引力を強化し、水の消費を低減し、費用を低減するものである。
【0048】
本発明の水用ソレノイドバルブの磁気回路は、ヨーク、磁気伝導性座部、上部磁気伝導性内部スリーブ、可動鉄心、及び、下部磁気伝導性内部スリーブから成る。
【0049】
図2は、可動鉄心の負荷反力と、可動鉄心のストロークとの間の関係を示しており、動作中の可動鉄心に作用する負荷反力特性が、図2の曲線1として示されている。F-S座標系において、Fは、可動鉄心に作用する負荷反力であり、Sは、可動鉄心の吸入ストロークである。負荷反力は、主に、可動鉄心に作用する水の力F1と、可動鉄心の自重Gと、バネの弾力F2とから成り、F1およびF2が、重要かつ変動する値である。可動鉄心が流通孔を閉じると、F1は、水源圧と流通孔の断面積との積に等しくなり、図中の点Aが、閉鎖されたバルブの状態、すなわち、電源オンされた後に上昇する可動鉄心の初期段階に相当し、バルブプラグダイヤフラムも上昇するので、流通孔は、遮断解除できず、バルブプラグの上部空洞の圧力は、依然として下向きに可動鉄心に作用する力を有しているが、低減し続ける。その後、バネが圧縮され、バネ力は増大する。F1が減少する方が、F2が上昇するよりも早いので、曲線1の最初の半分はゆっくりと減少する。点Bにおいて、バルブプラグダイヤフラムは、完全に上昇し、流通孔は遮断解除され、F1は完全に消滅し、負荷反力は、急速に最小点まで低下する。その後、可動鉄心はF2に反して上昇し、点B以後の傾斜線分の傾きは、バネの弾性係数となる。
【0050】
負荷反力特性に適応するために、可動鉄心に作用する電磁吸引力特性は、図2に示される通りである。上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、可動鉄心の相対位置は、電磁吸引力の特異的効果において重要な役割を果たしている。可動鉄心と上部磁気伝導性内部スリーブとの間に、作用空隙が存在し、可動鉄心と下部磁気伝導性内部スリーブとの間に、主要な非作用空隙が存在している。可動鉄心が上部磁気伝導性内部スリーブの中に吸い込まれ前に、磁位が、主に作用空隙内に落下し、電磁吸引力は、可動鉄心の側面の漏れ磁束によって形成される電磁力と、主要な磁束によって形成される端面吸引力とを含む。すなわち、可動鉄心の上部端面が、上部磁気伝導性内部スリーブの下縁部に近づくと、端面吸引力の効果は大きくなる。つまり、上部端面が上部磁気内部スリーブの下縁部に近づけば近づくほど、全電磁吸引力は大きくなり、可動鉄心が上部磁気伝導性内部スリーブに入ろうとする時に最大値に到達する。可動鉄心が上部磁気伝導性内部スリーブの中に吸い込まれた後は、作用空隙の長さは変化せず、当該空隙の面積は、可動鉄心の深さに応じて増大し、作用空隙磁気伝導率は、非作用空隙の磁気伝導率に相当し得る程度まで急激に増大する。こうして、作用空隙磁気圧力降下は比例的に増大し、これによって電磁吸引力は低減する。電磁吸引力特性曲線の下降部分と、負荷反力特性の上昇部分とは、点Cにおいて公差し、可動鉄心は完全に吸い込まれて、水用ソレノイドバルブも機能する。
【0051】
可動鉄心が一定の吸入ストロークを有していなければならないという観点から、上部磁気内部スリーブと下部磁気内部スリーブとの間の隙間には、磁気漏れが存在し、磁気座部は、上部磁気内部スリーブ内に搭載される。本発明は、磁気回路の構造を以下の通りに改善するものである。
1.可動鉄心の上部端面は、初期位置(可動鉄心が電源オンされる前に配置されている位置に相当する)において、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁と上部磁気伝導性内部スリーブの下縁部との間の距離の1/4よりも低く、そのため、初期位置における可動鉄心の上部端面は、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも、わずかに高くなっており、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁と上部磁気伝導性内部スリーブの下縁との間の隙間の磁気漏れは、初期位置における可動鉄心に完全に作用し、可動鉄心が信頼性のある吸入ストロークを有することを確保する。これによって、吸引の信頼性が向上する。
2.初期位置における可動鉄心と下部磁気伝導性内部スリーブとの間のソケット長さ(下部磁気伝導性内部スリーブにおける初期位置の可動鉄心の長さに相当する)は、上部磁気伝導性内部スリーブの高さと下部磁気伝導性内部スリーブの高さとの合計の1/4以上であり、つまり、可動鉄心の長さは、下部磁気伝導性内部スリーブの長さ未満であり得るが、下部磁気伝導性内部スリーブの長さの1/2以上であるので、非作用空隙の磁気伝導率が小さくなりすぎないことを確保し、鉄心の飽和を回避し、水用ソレノイドバルブの衝撃電流インパクトへの耐性が向上する。
【0052】
具体的な数値を次のように設定する。上部磁気伝導性内部スリーブと下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2~5mmである。磁気伝導性座部の重量は、可動鉄心の60%以上であるべきである。可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減される。水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、壁厚は0.5mmであり、外径は6.5±0.1mmである。磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmである。コイルラックの孔の開口は、約8.7mmである。コイルラックの壁厚は、1mmから0.4mmに低減される。
【0053】
可動鉄心の直径が低減された結果、コイル巻線に電圧が印加された時に、帯磁した磁気伝導性座部と動いている鉄心とが引き付け合って衝突することによって生じるノイズも、低減される。水隔離スリーブ、上部磁気伝導性内部スリーブ、下部磁気伝導性内部スリーブ、及び、コイルラックの開口が低減されて、可動鉄心の直径の低減に順応する。コイルラックの開口が低減されると、銅線の消費量が低減され、巻線抵抗が低減し、巻線の巻き数及び線直径を変化させない限り電流が増大する。これによって、電磁引力及び低電圧始動性能が向上する。
【0054】
本発明は、電磁吸引力を向上させることが可能な、水用ソレノイドバルブの実施方法を提供する。この方法は、固定子アセンブリに樹脂を射出することによって、樹脂封止された固定子アセンブリを得るステップと、樹脂封止された固定子アセンブリと可動鉄心201を含むバルブボディアセンブリとを一緒に組み付けて、水用ソレノイドバルブを形成するステップと、を含む。図3に示されるように、本発明の樹脂封止された固定子アセンブリは、コイルラック104と、コイルラック104に巻き付けられたコイル巻線109と、インサート107と、コイルラック104に実装された電子部品108(図5を参照)とを備えるコイルアセンブリ103と、コイルアセンブリの孔に取り付けられた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114と、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内部に配置された水隔離スリーブ117と、コイルアセンブリの外側に配置され、上部磁気伝導性内部スリーブ113と下部磁気伝導性内部スリーブ114とを接続するヨーク111と、上部水隔離スリーブ117の内部に取り付けられた磁気伝導性座部121と、コイルアセンブリ及びヨーク111を覆う樹脂封止層116と、を含む。
【0055】
本発明によれば、初期位置にある可動鉄心201の上端面は、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁から上部磁気伝導性内部スリーブ113の下縁までの距離の1/4よりも低く設定されているので、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力が上昇する。
【0056】
図3を参照すると、本発明の水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリは、水隔離スリーブに収納される伸縮バネ200及び可動鉄心201や、流通孔バルブプラグゴム202、バルブプラグ203、バルブプラグゴム204、バルブボディ205、取付ラック206、圧力除去リング207、ゴムガスケット208、フィルタスクリーンアセンブリ209、等を含む。水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリのこれらの部品は、全て、既存の水用ソレノイドバルブの部品であり、これらの接続関係も、従来技術の接続関係とほぼ同一であり、従来技術の範囲に当てはまる。簡潔にするために、従来技術と見なされるものについての詳細な説明は、省略する。
【0057】
本発明によれば、初期位置における下部磁気伝導性内部スリーブ内の可動鉄心の長さを、上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上となるように設定することによって、非作用空隙の磁気伝導率が小さくなりすぎないことを確保して、鉄心の磁気飽和を回避し、水用ソレノイドバルブの大きな衝撃電流インパクトに対する耐性を向上させる。
【0058】
上記した本発明の磁気回路構造の改善法を実現するための特定のパラメータは、次のものを含む。すなわち、上部磁気伝導性内部スリーブと下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmであり、水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、外径は6.5±0.1mmであり、磁気伝導性座部の重量は、可動鉄心の重量の60%以上である。これによって、好適にも、磁気伝導性が増大し、電磁吸引力が上昇し、バルブ吸入の信頼性が強化される。
【0059】
図4を参照すると、本発明は、コイルアセンブリ内に取り付けられた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内側に樹脂を射出することによって、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内側に水隔離スリーブを形成可能である。
【0060】
図5図11は、本発明に従って、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内部に水隔離スリーブを形成する特定のプロセスを示している。
【0061】
図5に示されるように、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114は、コイルアセンブリの空洞に取り付けられ、コイルラック104内の孔の磁気伝導性内部スリーブ位置決めリング106(図4を参照)が、上部磁気伝導性内部スリーブ113と下部磁気伝導性内部スリーブ114とを、磁気ヨーク111に接触可能な位置に規定する。その後、ヨーク111のヨーク位置決め溝112が、コイルラック104の上端面及び下端面のヨーク位置決めボス105に係合し、これによって、ヨーク111が、コイルラック104に位置決めされると共に、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114と密接に接触及び結合される。こうして、図6に示される固定子アセンブリ102が形成される。
【0062】
従来技術と比べて、本発明は、ヨーク111を上部及び下部磁気伝導性内部スリーブに溶接する溶接工程を省略し、1つのヨークを省略可能である。しかしながら、従来技術では、上部磁気伝導性内部スリーブを1つのヨークに溶接し、下部磁気伝導性内部スリーブを別のヨークに溶接し、その後、これら2つのヨークを突き合わせ接合する必要がある(ここで、突き合わせ接合部が実現できないという品質課題があり得る)。したがって、本発明によれば、これらのステップが省略され、コストが低減されることが可能であり、製品品質の改善が可能である。
【0063】
本発明では、固定子アセンブリ102が、ベース又はインサートとして使用され、樹脂が、水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100に射出される。この水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100は、図6に示される固定子アセンブリ102を金型の中に配置し、樹脂を一次射出することによって、コイル巻線109、ヨーク111、及び、電子部品108が樹脂で包囲されるが、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114を備えるコイルラック125の孔とインサート107とが露出されたものである。これによって、図7及び図8に示される一次樹脂封止アセンブリ101が形成される。一次樹脂封止アセンブリ101を別の金型の中に配置し、樹脂を二次射出することによって、水隔離スリーブ117が、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114を備えるコイルラック125内の孔に形成され、図10及び図11に示されるような一体化された水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100が製造される。
【0064】
図11は、一体化された水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100の構造を示している。ヨーク111が、樹脂封止層116によってコイルアセンブリ103に堅固に固定されており、水隔離スリーブ117が上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内壁に射出成形されることにより、約0.5mmの厚みを有する水隔離スリーブ117が、コイルラックの孔の中に形成される。すなわち本発明は、樹脂射出工程によって水隔離スリーブ117の厚みを低減する。本発明は、可動鉄心201と磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間を大きく低減させ、従来技術の1.7mmの厚みを有する水隔離スリーブと比べて、可動鉄心201に作用する電磁力を増大させる。
【0065】
また、二次樹脂射出において、雄ねじを備える水隔離スリーブのベース118も射出成形され、これによって、水用ソレノイドバルブを組み付ける際に、一体化された水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100を、雌ねじを備えるバルブボディ205にねじ止めすることが可能である(図11を参照)。
【0066】
その後、磁気伝導性座部121を、上部磁気伝導性内部スリーブ113内に取り付けて、図4に示される樹脂封止された固定子アセンブリを形成する。
【0067】
図9a~図9dは、本発明の上部及び下部磁気伝導性内部スリーブの構造を示している。本発明の上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114は、円筒形を有しており、その壁部には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔115が設けられており、円筒壁の内表面には、(樹脂射出中の熱溶解樹脂の流れを促進するための)磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122が設けられており、磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122は、径方向の貫通孔115と連通している。樹脂を、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブを有するコイルラックの孔に射出することによって、水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122に沿って、磁気伝導性内部スリーブ貫通孔115の中に流れ込み、水隔離スリーブ117を配置するための基部を形成し、これによって、水隔離スリーブ117は、磁気伝導性内部スリーブ位置決めリング106によって位置決めされた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114に、しっかりと固定される。
【0068】
また、本発明は、水隔離スリーブを樹脂封止する際に径方向の溝を用いて水隔離スリーブをさらに固定するための複数の円周溝(図示されていない)を、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内表面にさらに提供し得る。
【0069】
図12図14は、水隔離スリーブを形成するための、本発明の他の実施形態を示す。まず、上部磁気内部スリーブ113、ストッパ106、及び、下部磁気内部スリーブ114を一緒に(図12に示されるように)配置する。次に、一緒に配置された上部磁気内部スリーブ113、ストッパ106、及び、下部磁気内部スリーブ114を、樹脂を射出するためのインサートとして使用して、上部磁気内部スリーブと下部磁気内部スリーブの内部に形成された水隔離スリーブを含む水隔離スリーブアセンブリを製造する(図13及び図14を参照)。その後、水隔離スリーブアセンブリを、コイルアセンブリの孔に取り付けて、樹脂を射出することによって、図4に示されるような樹脂封止された固定子アセンブリを形成する。
【0070】
「ウォータージャケット及びボビンと共に、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブをインサートとして射出成形する」技術と比較して、本発明により実現した吸水ソレノイドバルブの実現方法は、作用空隙を著しく縮小することが可能である。これは、本発明の水隔離スリーブが、コイルラックの孔に樹脂を射出することによって形成され、極めて薄い水隔離スリーブを形成可能であるからである。「ウォータージャケット及びボビンと共に、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブをインサートとして射出成形する」技術は、「磁気内部スリーブ、ウォータージャケット、及び、コイルラックを一体化された部品の中に射出成形すること」であり、そのため、ウォータージャケット、コイルラック、及び磁気内部スリーブを別個に製造する必要がある。製造工程や強度といった要因を考慮すると、ウォータージャケットは、本発明の、コイルラックの孔に樹脂が射出された水隔離スリーブの厚みよりも大きな、一定の厚みを有していなければならない。また、「ウォータージャケット及びボビンと共に、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブをインサートとして射出成形する」技術は、一体化された固定子アセンブリを形成する、ヨーク、コイル巻線、インサート、コイルラック、磁気内部スリーブ、及び、水隔離スリーブを含むことは不可能である。
【0071】
本発明はまた、上述の方法に従って製造される、電磁吸引力を増大させる水用ソレノイドバルブを提供する。当該水用ソレノイドバルブは、樹脂封止された固定子アセンブリと、可動鉄心を含むバルブボディアセンブリであって、前記樹脂封止された固定子アセンブリと一緒に組み付けて水用ソレノイドバルブを形成するバルブボディアセンブリと、を含む。図3に示されるように、本発明の樹脂封止された固定子アセンブリは、コイルラック104と、コイルラック104に巻き付けられたコイル巻線109と、インサート107と、コイルラック104に実装された電子部品108(図5を参照)と、を備えるコイルアセンブリと、コイルアセンブリの孔に取り付けられた上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114と、上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114の内部に配置された水隔離スリーブ117と、コイルアセンブリの外側に配置され、上部磁気伝導性内部スリーブ113と下部磁気伝導性内部スリーブ114とを接続するヨーク111と、上部水隔離スリーブ117の内部に取り付けられた磁気伝導性座部121と、コイルアセンブリ及びヨーク111を覆う樹脂封止層116と、を含む。
【0072】
本発明によれば、初期位置にある可動鉄心201の上端面は、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブ114の上縁から上部磁気伝導性内部スリーブ113の下縁までの距離の1/4よりも低いので、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力が上昇する。
【0073】
図3を参照すると、本発明の水用ソレノイドバルブのバルブボディアセンブリは、水隔離スリーブに収納される伸縮バネ200及び可動鉄心201、流通孔バルブプラグゴム202、バルブプラグ203、バルブプラグゴム204、バルブボディ205、取付ラック206、圧力除去リング207、ゴムガスケット208、フィルタスクリーンアセンブリ209、等を含む。
【0074】
本発明によれば、初期位置にある可動鉄心の上端面は、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁よりも高く、かつ、下部磁気伝導性内部スリーブの上縁から上部磁気伝導性内部スリーブの下縁までの距離の1/4よりも低いので、水用ソレノイドバルブの電磁吸引力が強化される。
【0075】
本発明によれば、初期位置における可動鉄心の下部磁気伝導性内部スリーブ内の長さを、上部磁気伝導性内部スリーブの高さ及び下部磁気伝導性内部スリーブの高さの合計の1/4以上となるように設定することによって、非作用空隙の磁気伝導率が小さくなりすぎないことを確保して、鉄心の磁気飽和を回避し、水用ソレノイドバルブの大きな衝撃電流インパクトに対する耐性を向上させる。
【0076】
上記した本発明の磁気回路構造の改善を実現するための特定のパラメータは、次のものを含む。すなわち、上部磁気伝導性内部スリーブと下部磁気伝導性内部スリーブとの間の隙間は、2mm~5mmであり、可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減され、上部磁気伝導性内部スリーブ及び下部磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmであり、水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、外径は6.5±0.1mmであり、磁気伝導性座部の重量は、可動鉄心の重量の60%以上である。これによって、好適にも、磁気伝導性が増大し、電磁吸引力が上昇し、バルブ吸入の信頼性が強化される。
【0077】
さらに、本発明によれば、樹脂を上部及び下部磁気内部スリーブの内表面に射出することによって、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブの内部に、水隔離スリーブが形成される。
【0078】
あるいは、本発明は、上部磁気内部スリーブ、ストッパ、及び、下部磁気内部スリーブを共にインサートとして配置して、これらに射出成形を行って水隔離スリーブアセンブリを形成することが可能である。水隔離スリーブアセンブリは、コイルアセンブリの孔の中に取り付けられ、上部磁気内部スリーブ及び下部磁気内部スリーブの内表面に射出成形を行うことによって形成された水隔離スリーブを含む。
【0079】
他方で、本発明の上部磁気伝導性内部スリーブ113及び下部磁気伝導性内部スリーブ114は、円筒形を有しており、その壁部には、接着剤を通過させるための径方向の貫通孔115が設けられている。この壁の内表面には、磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122が設けられており、磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122は、径方向の貫通孔115と連通している。樹脂を、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブを有するコイルラックの孔に射出することによって、水隔離スリーブを形成するために使用される射出された樹脂が、上部及び下部磁気伝導性内部スリーブ軸方向溝122に沿って、磁気伝導性内部スリーブ貫通孔115の中に流れ込み、射出成形された水隔離スリーブ117を配置するための基部を形成する。
【0080】
本発明の実験的研究によれば、水用ソレノイドバルブの磁気回路構造は、バルブの低圧力始動性能に悪影響を与えることなく、消費材を低減可能、かつ、コストを低減可能であるように構成されている。可動鉄心の直径は、6mmから5±0.1mmに低減される。水隔離スリーブの内径は、5.5±0.1mmであり、壁厚は0.5mmであり、外径は6.5±0.1mmである。上部及び下部磁気伝導性内部スリーブの内径は、6.5±0.1mmであり、壁厚は1mmであり、外径は8.5±0.1mmである。コイルラックの孔の開口は、約8.7mmである。
【0081】
水隔離スリーブは、バルブの動作中に可動鉄心の作用により振動するので、コイルラックは、損傷を回避するために一定の剛性要件を満たす必要がある。GB14536.1-2008「家庭用及び類似の目的用の自動電気制御装置(Electrical automatic controllers for household and similar purposes)」、及び、GB4706.1-2005「家庭用及び類似の目的用の電化製品の安全性(Safety of electrical appliances for household and similar purposes)」の規定によれば、給水バルブの磁気ヨークは露出されており、人間の手が接近し易い。絶縁要件を満たすために、骨格の壁厚は、0.7mm以上でなければならない。本発明の給水バルブの磁気ヨークは、樹脂封止されており、人間の手が触れることはあり得ず、骨格は厚さ要件を有しておらず、巻き付け時に変形しないように強度を確保するだけでよいので、骨格の厚みを最小化することが可能である。
【0082】
本発明は、水隔離スリーブ射出成形の製造工程を採用しているので、水隔離スリーブは、固定子アセンブリに樹脂を射出することによって形成され、コイルラックと一体化され、コイルラックの壁厚は、国家規格により制限されることはなく、コイルラックの孔の壁厚は、1mmから0.4mmに低減されるので、コイル直径はさらに低減され、巻線の巻き数及び線直径を変化させない限り銅線の量がさらに低減される。
【0083】
また、可動鉄心が小型かつ軽量化するので、コイル巻線109に電圧が印加されると、磁化された磁気座部121と可動鉄心201との間の引力により生じるノイズも減少する。
【0084】
本実施形態の水用ソレノイドバルブにおいて使用される水隔離スリーブの射出成形工程は、単に、水用ソレノイドバルブの製造工程の一例であり、磁気回路構造を限定するものではないことに、留意されたい。本発明の磁気回路構造の改善方法は、全ての水用ソレノイドバルブにとって、始動時の電磁引力を強化する点において効果的であり、ワイヤ消費量を低減すると共に、最小始動電圧要件を満たすことを前提として、移動する鉄心吸引によって生じるノイズを低減する。
【0085】
本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、これに限定されず、当業者が、本発明の原理に基づき様々な変形を行ってもよい。したがって、本発明の原理に基づいて成された変形例は、本発明の範囲に当てはまるものと理解されよう。
【符号の説明】
【0086】
水隔離スリーブを備える固定子アセンブリ100;一次樹脂封止された固定子アセンブリ101;固定子アセンブリ102;コイルアセンブリ-103;コイルラック-104;ヨーク位置決めボス-105;磁気伝導性内部スリーブ位置決めリング-106;インサート-107;電子部品-108;コイル巻線-109;ヨーク-111;ヨーク位置決め溝-112;上部磁気伝導性内部スリーブ-113;下部磁気伝導性内部スリーブ-114;磁気伝導性内部スリーブ接着剤通過孔-115;樹脂封止層-116;水隔離スリーブ117;水隔離スリーブベース-118;水隔離スリーブの内部空洞119;磁気伝導性座部-121;磁気伝導性内部スリーブ軸方向内溝-122;磁気伝導性内部スリーブ接合継目-123;伸縮バネ-200;可動鉄心-201;貫通孔プラグゴム-202;バルブプラグ203;バルブプラグゴム-204;バルブボディ205;搭載ラック-206;圧力除去リング-207;ゴムガスケット-208;フィルタスクリーンアセンブリ-209;流通孔-210;バルブプラグ上部空洞-211;バルブプラグ下部空洞-212;バランス孔-213;吸水口-215;排水口-216
【国際調査報告】