(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】ステアリングコラムポジティブロック駆動機構
(51)【国際特許分類】
B62D 1/184 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
B62D1/184
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571331
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2020000418
(87)【国際公開番号】W WO2020240275
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】カール アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ガゼロ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン デイヴィッド レイ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ヴィクター コロナ
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DC16
3D030DC17
3D030DD02
3D030DD23
3D030DD65
3D030DD78
3D030DE06
3D030DG01
(57)【要約】
各々が長穴(36)を有する1対の下方に配置された板、回転するように適合された細長い部材であって、各々が下方に配置された板の長穴(36)を貫通し、その間に延びる細長い部材と、各長穴(36)内に位置し、開口部を有し、開口部を通して細長い部材が受け入れられる回転部材(50)、第1の端部(62)及び第2の端部(68)を有するバイアス部材(60)であって、少なくとも1つの端部が回転部材(50)と係合するバイアス部材を含むステアリングコラムアセンブリ(10)のための傾斜アセンブリ(30)。バイアス部材(60)は、回転部材(58)の回転を駆動するように適合される。傾斜アセンブリ(30)がロック解除位置にあるとき、回転部材(50)は長穴(36)に対して移動するように適合され、傾斜アセンブリ(30)がロック位置にあるとき、回転部材(50)は、回転し、長穴(36)に対して固定された壁を回転させ、壁と係合するように適合される。細長い部材、回転部材(50)、及びバイアス部材(60)は、遊びを排除するように構成され得る。傾斜アセンブリ(30)を組み込むステアリングコラムアセンブリ(10)も企図される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコラムアセンブリのための傾斜アセンブリであって、
a.各々が長穴を有する1対の下方に配置された板と、
b.回転するように適合された細長い部材であって、各下方に配置された板の前記長穴を貫通し、その間に延びる前記細長い部材と、
c.各長穴内に位置し、開口部を有し、前記開口部を通して前記細長い部材が受け入れられる回転部材と、
d.第1の端部及び第2の端部を有するバイアス部材であって、少なくとも一方の端部が前記回転部材と係合し、前記バイアス部材が前記回転部材の回転を駆動する、前記バイアス部材と
を備え、
前記傾斜アセンブリがロック解除位置にあるとき、前記回転部材が前記長穴に対して移動するように適合され、
傾斜アセンブリがロック位置にあるとき、前記回転部材が、回転し、前記長穴に対して固定された壁と係合するように適合される、
前記傾斜アセンブリ。
【請求項2】
前記遊びが、前記細長い部材と前記バイアス部材との間で減らされる、または排除される、請求項1に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項3】
遊びが、前記バイアス部材と前記回転部材との間で(例えば、前記回転部材を前記バイアス部材を用いて前記細長い部材に前もって負荷を加えることによって)減らされるまたは排除される、請求項1または2に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項4】
前記バイアス部材の前記第1の端部が前記細長い部材に接触し、前記第2の端部が前記回転部材に係合する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項5】
前記バイアス部材の前記第1の端部がコラムハウジングに係合し、前記第2の端部が前記回転部材と係合する、請求項1~3のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項6】
前記バイアス部材の前記第1の端部が傾斜ブラケットに係合し、前記第2の端部が前記回転部材と係合する、請求項1~3のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項7】
前記板の前記長穴を画定する1つ以上の壁が、前記傾斜アセンブリの別の要素と係合するために歯付き面を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項8】
前記回転部材の前記開口部が、1つ以上の湾曲部分によって画定される、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項9】
前記回転部材の前記開口部が非円形である、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項10】
前記回転部材の前記開口部が概して砂時計形状である、または概して数字の8のような形状である、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項11】
前記回転部材の前記開口部が、前記細長い部材と前記回転部材との間の遊びを減らすために前記開口部に内向きに突出する1つ以上の隆起を含む、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項12】
前記回転部材の前記開口部が、前記細長い部材の対向する側面に接触するために互いに向かって突出する対向する隆起を含む、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項13】
前記回転部材の少なくとも一部分が、前記長穴を画定する前記壁と係合するための歯付き面を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項14】
前記回転部材が、前記長穴を画定する前記壁に接触するための壁接触特徴を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項15】
前記壁接触特徴が、前記傾斜アセンブリが前記ロック位置にあるときに前記壁に接触する、請求項14に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項16】
前記壁接触特徴が、歯付き面から前記回転部材の対向する端部に位置する、請求項14または15に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項17】
前記回転部材が概して涙滴形状または電球形状である、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項18】
前記細長い部材が、ユーザー操作装置によって回転されるように適合される、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項19】
前記ユーザー操作装置がレバーである、請求項18に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項20】
前記細長い部材が傾斜ボルトである、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項21】
前記細長い部材が非円形の断面を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項22】
前記細長い部材が、前記細長い部材の長さに沿って延びる1つ以上の概して平坦な表面を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項23】
前記細長い部材が、前記細長い部材の長さに沿って延びる2つの概して平坦な表面を有し、前記概して平坦な表面が前記細長い部材の対向する側面上にある、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項24】
前記細長い部材がオブラウンドまたはスタジアム形状の断面を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項25】
前記バイアス部材が、前記細長い部材の1つ以上の概して平坦な表面に接触するように適合された1つ以上の概して平坦なセグメントを有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項26】
前記バイアス部材が、前記細長い部材の対向する概して平坦な表面に配置された対向するボルト接触セグメントを有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項27】
前記バイアス部材が、前記細長い部材に巻き付けられたストリップである、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項28】
前記バイアス部材が、前記バイアス部材に1回以上巻き付けられた本体部分を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項29】
前記バイアス部材が、前記回転部材と係合するために前記バイアス部材の本体部分から通常直角に延びる固定部分を有する、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項30】
前記固定部分が、前記バイアス部材の前記第2の端部に位置する、請求項29に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項31】
前記固定部分が、前記回転部材の係合開口部内で受け入れられる、請求項29または30に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項32】
前記傾斜アセンブリが、前記傾斜アセンブリを車両内に取り付けるためのブラケットをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の傾斜アセンブリ。
【請求項33】
先行請求項のいずれかに記載の前記傾斜アセンブリを含むステアリングコラムアセンブリ。
【請求項34】
請求項33に記載の前記ステアリングコラムアセンブリであって、
a.コラムチューブと、
b.少なくとも部分的に前記コラムチューブによって回転のために支持されているステアリングシャフトと、
c.前記コラムチューブを少なくとも部分的に運ぶためのコラムハウジングと、
d.ステアリングホイール調整サブアセンブリを手動で作動させるためのレバーを含む、手動操作式の前記ステアリングホイール調整サブアセンブリと
をさらに備える、前記ステアリングコラムアセンブリ。
【請求項35】
前記コラムチューブは、前記コラムハウジング内での伸縮挿入のために構成される、請求項33または34に記載のステアリングコラムアセンブリ。
【請求項36】
前記ステアリングホイール調整サブアセンブリが、
a.前記ステアリングシャフト、前記コラムチューブ、または両方を、通常前記長手方向軸に沿って前後方向に選択的に調整する
b.前記ステアリングシャフト、前記コラムチューブ、またはその両方を選択的に上げるもしくは下げる、または
c.aとb両方の
ために適合された、請求項33~35のいずれかに記載のステアリングコラムアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、2019年5月31日に出願された米国仮特許出願第62/855,232号の優先権の利益を主張する。
【0002】
一般的に、本教示は、改良された調整可能なステアリングコラムアセンブリ及び同に関連する方法に関する。より詳細には、本教示は、傾斜調整可能ステアリングコラムシステムを対象とする。
【背景技術】
【0003】
多くの用途のために、ステアリングコラムアセンブリは、傾斜機能または伸縮機能の一方または両方を組み込んでいる。これらの用途の場合、車両ユーザーがそのような機能を手作業で実行するためにレバーを用いることは一般的である。一例として、「マニュアルレーキアンドリーチ(manual rake and reach)」ステアリングコラムアセンブリとして知られているものでは、アセンブリは傾斜(「レーキ」)機能と伸縮(「リーチ」)機能の両方を有し、レバーは、車両ユーザーが、選択された位置へのレーキ及びリーチの調整を提供するために手動でリリースし、次にステアリングコラムを選択した位置に固定するために再係合するために提供される。
【0004】
現在の調整可能傾斜アセンブリでは、二次衝撃中にコラムを傾斜位置に保持するために傾斜上方向にコラムを確実にロックする手段を提供することが望ましくなっている。この確実なロック機構は多くのパーツを必要とする場合があり、これにより、アセンブリが複雑になるだけではなく、パーツが故障するまたはパーツが互いに互換性を欠く可能性も高まる。既存のアセンブリでは、アセンブリのパーツ間に隙間がある場合がある。例えば、バネとボルトまたはロックとの間に隙間がある場合がある。この隙間により、ボルトとロックとの間に自由な動きが生じ、その結果、作動機構がコラムをロック解除するためにセットされるときに、ロックを解除できない場合がある。
【0005】
調整可能なステアリングコラムアセンブリを改良する努力にも関わらず、代替アセンブリ、特により少ない要素を有するアセンブリ、パーツ間の遊びまたは隙間を減らす、または排除するアセンブリなどに対する必要性が残っている。
【0006】
以下の米国特許文書、つまり、すべてがすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2009/0241721号及び第2006/0090586号、ならびに米国特許第8,888,131号、第9,162,701号、第6,139,057号、第8,827,311号、ならびに国際公開第WO2018/064161号が本教示に関連する場合がある。
【発明の概要】
【0007】
本教示は、(例えば、レーキ及び/またはリーチのための)調整可能なステアリングコラムアセンブリを達成するために比較的に少ない構成要素を用いることができる、簡略であるが、的確な構築手法を利用する。例えば、本明細書のステアリングコラムアセンブリは、(本教示内で企図される)外部に折り畳むアセンブリに対する適用性を有しているが、内部に折り畳み可能なアセンブリであってもよい。
【0008】
また、本教示は、傾斜アセンブリも企図する。傾斜アセンブリは、各々が長穴を有する下方に配置された1対の板を含み得る。板の長穴を画定する1つ以上の壁は、傾斜アセンブリの別の要素と係合するために歯付き面を有し得る。板は、ブラケット構造と関連付けられてよい。
【0009】
傾斜アセンブリは、回転するように適合された細長い部材を含み得る。細長い部材は、下方に配置された各板の長穴を貫通し、その間に延び得る。細長い部材は、ユーザー操作装置によって回転するように適合され得る。ユーザー操作装置は、レバーであってよい。細長い部材は、傾斜ボルトであってよい。細長い部材は(例えば、ボルトの頭と対照的に、その本体に)非円形の断面を有する場合がある。細長い部材は、細長い部材の長さに沿って延びる1つまたは複数の一般的に平表面を有し得る。細長い部材は、細長い部材の長さに沿って延びる2つの概して平坦な表面を有し得る。2つの概して平坦な表面は、細長い部材の対向する側面上にある場合がある。細長い部材は、オブラウンドまたはスタジアム形状の断面を有し得る。
【0010】
傾斜アセンブリは、長穴の1つ以上の内(例えば、各長穴の内)に位置する回転部材を含み得る。回転部材は開口部を含み得、開口部を通って細長い部材が受け入れられる。回転部材の開口部は、1つ以上の湾曲部分によって画定される場合がある。回転部材の開口部は非円形である場合がある。開口部は、概して砂時計形状または数字の8のような形状である場合がある。回転部材の開口部は、開口部の中に内向きに突出する1つ以上の隆起を含み得る。開口部は、細長い部材の対向する側面に接触するために互いに向かって突出する対向する隆起を含み得る。回転部材は、バイアス部材の一部分(例えば、バイアス部材の固定部分)と係合するまたはそれを受け入れるための開口部など、1つ以上の追加の開口部を含み得る。回転部材の少なくとも一部分は、長穴を画定する壁と係合するために歯付き面を有し得る。回転部材は、長穴を画定する壁(例えば、対向する壁)に接触するための壁接触特徴を有し得る。壁接触特徴は、傾斜アセンブリがロック位置にあるときに壁に接触し得る。壁接触特徴は、歯付き面から回転部材の対向する端部に位置してよい。回転部材は、概して、涙滴形状または電球形状であってよい。
【0011】
傾斜アセンブリは、バネなどのバイアス部材を含み得る。バイアス部材は、第1の端部及び第2の端部を有し得る。少なくとも1つの端部は、回転部材と係合し得る。バイアス部材は、ロック方向、ロック解除方向、または両方に回転部材の回転を駆動し得る。例えば、バイアス部材は、ロック方向とロック解除方向の両方に、またはロック方向だけに回転部材の回転を駆動し得る。バイアス部材の第1の端部は、細長い部材に接触し得る。バイアス部材の第1の端部は、コラムハウジング、傾斜ブラケット、またはアセンブリの他の部分に係合し得る。第2の端部は、回転部材と係合し得る。バイアス部材は、細長い部材の1つ以上の概して平坦な表面に接触するように適合された1つ以上の概して平坦なセグメントを有し得る。バイアス部材は、細長い部材の対向する概して平坦な表面に配置された対向するボルト接触セグメントを有し得る。バイアス部材は、細長い部材に巻き付けられたストリップであってよい。バイアス部材は、1回以上、バイアス部材に巻き付けられた本体部分を有し得る。バイアス部材は、回転部材と係合するために、バイアス部材の本体部分から通常直角に延びる固定部分を有し得る。固定部分は、バイアス部材の第2の端部に位置する場合がある。固定部分は、回転部材の係合開口部内で受け入れられてよい。
【0012】
傾斜アセンブリがロック解除位置にあるとき、回転部材は、長穴内で移動するように適合され得る。傾斜アセンブリがロック位置にあるとき、回転部材は、回転し、長穴を画定する壁と係合するように適合され得る。遊びは、細長い部材とバイアス部材との間で減らされ得る、または排除され得る。遊びは、バイアス部材と回転部材との間で減らされ得る、または排除され得る。これは、バイアス部材を用いて細長い部材に対して回転部材に前もって負荷を加えることによって達成することができる。
【0013】
傾斜アセンブリは、傾斜アセンブリを車両内に取り付けるためのブラケットをさらに含み得る。
【0014】
また、本教示は、本明細書に説明する傾斜アセンブリを有するステアリングコラムアセンブリも企図する。アセンブリは、コラムチューブ、少なくとも部分的にコラムチューブによって回転のために支持されたステアリングシャフト、及びコラムチューブを少なくとも部分的に運ぶためのコラムハウジングをさらに含み得る。アセンブリは、ステアリングホイール調整サブアセンブリを手動で作動させるためのレバーを含む、手動操作式ステアリングホイール調整サブアセンブリを含み得る。コラムチューブは、コラムハウジング内での伸縮挿入のために構成され得る。ステアリングホイール調整サブアセンブリは、通常長手方向軸に沿って前後方向に、ステアリングシャフト、コラムチューブ、または両方を選択的に調整するために、ステアリングシャフト、コラムチューブ、または両方を選択的に上げるもしくは下げるために、またはその組み合わせのために適合されてよい。
【0015】
本教示は、特に傾斜調整に関して、ロックとロック解除の間の円滑な移行を可能にする、少ないパーツを有する簡略化されたアセンブリを提供することによって業界のニーズを満たす。また、本教示は、アセンブリの要素間の(例えば、細長い部材、回転部材、バイアス部材の任意の組み合わせの間の)遊びを減らす、または排除するアセンブリも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本教示に係る例示的なアセンブリの斜視図である。
【
図2】本教示に係る例示的な傾斜アセンブリの構成要素の斜視図である。
【
図4】回転部材に前もって負荷を加え、遊びを減らすことの図である。
【
図5】ロック位置にある例示的な傾斜アセンブリである。
【
図8A】本教示に係る傾斜ボルト、回転部材、及びバイアス部材の図である。
【
図8B】本教示に係る傾斜ボルト、回転部材、及びバイアス部材の図である。
【
図8C】本教示に係る傾斜ボルト、回転部材、及びバイアス部材の図である。
【
図9】A~Bは、本教示に係る回転部材及びバイアス部材の図である。
【
図10】本教示に係る傾斜ボルト、回転部材、及びバイアス部材の図である。
【
図11】本教示に係る例示的なバイアス部材である。
【
図12】コラムハウジングと係合するバイアス部材を含む例示的なアセンブリの一部分である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
必要に応じて、本教示の詳細な実施形態が本明細書に開示される。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形及び代替の形で具体化され得る教示の単なる例示であることが理解されるべきである。図は必ずしも縮尺どおりではない。いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化される場合がある。したがって、本明細書に開示する具体的な構造上及び機能上の詳細は、限定的と解釈されるべきではなく、単に本教示を様々に用いるために当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0018】
一般的に、及び以下の説明から理解されるように、本教示は、ステアリングコラムアセンブリに関する。ステアリングコラムアセンブリは、折り畳みステアリングコラムアセンブリであってよい。ステアリングコラムアセンブリは、ステアリングコラムアセンブリを車両内で、固定した操作位置に固定するための取り付け部分を含み得る。アセンブリは折り畳み部分を有し得、折り畳み部分の少なくとも一部分は、取り付け部分に対して前方に移動するように適合され、一方、取り付け部分は通常その固定された操作位置に留まる(例えば、取り付け部分のいかなる移動も制御され、約50mm以下、約20mm以下、または約10mm以下の量に制限される)。本教示は、その基本的な概念の中で、特定の閾値量の負荷(例えば、約0.5kN以上または約2kN以上の負荷、約10kN以下または約5kN以下の負荷)を生じさせる二次衝撃などの衝撃がある場合に、折り畳み部分の少なくとも一部分が車両内で前方に移動するように適合され得るステアリングコラムアセンブリを対象としている。前方移動は、伸縮自在式であってよい。例えば、(コラムチューブなどの)ステアリングホイールに動作可能なように接続された少なくとも1つの第1の構造は、少なくとも1つの第1の構造を少なくとも部分的に取り囲む場合がある少なくとも1つの第2の構造(例えば、コラムハウジング)に対して車両内で前方に進み得る。前方への進行は、車両の長手方向軸と平行である(約10°の範囲内で平行である)軸に沿ってよい。コラム取り付けは、車両の長手方向軸に対して約5°以上、または約10°以上の角度であってよい。コラム取り付けは、車両の長手方向軸に対して約35°以下、または約30°以下の角度であってよい。
【0019】
本教示は、ユーザーがステアリングホイールの傾斜の角度を選択することを可能にするように適合された傾斜またはレーキ調整、ユーザーがステアリングホイールの適切な前後位置を選択することを可能にするように適合されたリーチ調整、または両方を、ステアリングコラムアセンブリが含み得ることを想定している。一般的に、いかなるそのような調整も、適切なユーザー操作装置(例えば、レバー、電気機械アクチュエータ、モータ、または別の方法)によって制御され得る。手動操作式システムの場合、レバーまたは他のユーザー操作装置は、折り畳み部分をユーザーが選択した位置に維持するために印加される力を制御するように適合され得る。例えば、レバーまたは他のユーザー操作装置は、折り畳み部分の2つ以上の構成要素を互いに解放自在に(及びおそらく調整可能にも)固定するために1つ、2つ、またはそれ以上の機構と動作可能に係合し得る。固定は、ボルト(例えば、傾斜ボルト)、ロッド、ストラップ、バー、バンド、楔、カム、もしくは他の適切な部材、またはそれらの組み合わせなど、適切な固定部材(例えば、細長い力印加部材)によって実現され得る。例えば、固定部材は、ユーザー操作装置の作動時に、カムまたは回転部材を回転させ、傾斜板の壁と係合させて、ステアリングホイールをその所望の角度に固定するように適合され得る。ユーザー操作装置の作動時、ピンは、開口部、またはコラムチューブに位置するもしくはコラムチューブに取り付けられたストリップの歯付き部分との係合から引き出されるまたは係合に押し込まれ、伸縮調整を可能にし得る。
【0020】
示されている例では、教示は、自動車車両用のステアリングコラムアセンブリに有用な態様を説明する。一般的に、本明細書の本教示のアセンブリは、ステアリングシャフト(例えば、ステアリングホイールまたは他のステアリング装置と結合することができるステアリングシャフト)、及び/または(例えば、1つ以上の軸受けを介して)ステアリングシャフトを支持するコラムチューブを含み得る。コラムハウジングを用い得る。コラムハウジングは、コラムチューブと伸縮自在に結合するように適合され得る(例えば、各々が、通常互いに平行または互いと同軸でさえある長手方向軸を有し得る)。1つ以上のブラケットは、コラムチューブまたはコラムハウジングのどちらかまたは両方を車両に(例えば、車両横断構造に)少なくとも部分的に固定するために用い得る。ブラケットまたは1つ以上の傾斜板は、案内構造を傾斜機能に提供するように適合された適切な部分(例えば、通常垂直に配向された長穴などの長穴)を含み得る。レバーなどのユーザー操作装置は、ユーザーがアセンブリを手動で操作することを可能にするために用いられ得る。操作スイッチからの信号に応えて力を印加または解放する電子機械装置を用い得る。ステアリングコラムアセンブリは、閾値負荷が二次衝撃などの衝撃の間に実現される場合に、アセンブリの少なくとも一部分(例えば、コラムチューブ、ステアリングシャフト、ステアリングホイール、またはそれらの組み合わせ)が、その典型的な操作位置から前方に並進できるように構成され得る。したがって、コラムチューブは、このようにしてコラムハウジングに対して前方に並進し、コラムチューブとともに、取り付けられたステアリングホイールを運ぶことができるようにされ得る。結果として、ステアリングホイールは、例えばユーザーから離れて、前方に並進できるようにされることが可能であることが分かる。
【0021】
本明細書に説明するアセンブリは、一般に、例えばステアリングシャフトを介してなど、ステアリングホイール(図示せず)と動作可能なように接続されたチューブを含む。本明細書ではコラムチューブと呼ばれる、1つのそのようなチューブは、通常、チューブの長さ(の全体ではない場合)の少なくとも一部分に沿って中空の空洞を有し、回転可能なシャフト、つまりステアリングシャフト、及びおそらく1つ以上の軸受けを受け入れ、指示するサイズに作られ、構成され得る。シャフトとチューブの両方とも長手方向軸を有する。車両内に設置されると、シャフト及びチューブ(ならびに一般的にステアリングコラムアセンブリ)の各々の長手方向軸は、通常同軸に沿って位置合わせされる場合がある、車両の長手方向軸に通常平行に位置合わせされる場合がある、またはそれぞれの場合がある。シャフト及びコラムチューブは、鉄(例えば、鋼)、マグネシウム、亜鉛、またはアルミニウムの1つ以上など、適切な金属から作られる場合もあれば、それ以外の場合、適切な金属を含む場合がある。
【0022】
コラムチューブは、概して円筒形で、中空であってよい。コラムチューブは、前端部分及び後端部分、ならびに長手方向軸を有し得る。前端部分または後端部分のどちらかまたは両方とも、回転のためにステアリングシャフトを支持する適切な軸受けを含み得る。
【0023】
ステアリングシャフトは、ステアリングホイール(図示せず)を受け入れるように適合された後端部分を有し得る。ステアリングシャフトは、軸受け、キーロックカラー、または両方を貫通し、それらによって支持され得る前端部分を有し得る。上記のように、ステアリングシャフトは、少なくとも部分的にコラムチューブによって回転のために支持され、コラムチューブの長手方向軸と通常同軸上で位置合わせし得る長手方向軸を有し得る。
【0024】
コラムハウジングは、自動車車両内の枢着場所(例えば、恒久的に固定された取り付け)に枢着される。枢着場所は、コラムハウジングの前端部分から約20mm、約30mm、約40mm、または約50mmに、またはその範囲内にあってよい。枢着場所は、コラムハウジングの下面、コラムハウジングの上面、またはコラムハウジングの上面と下面との間のなんらかの場所にあってよい。コラムハウジングは、少なくとも部分的にコラムチューブを取り囲む。コラムハウジングは、コラムハウジングを傾斜ブラケットと接続するバイアス装置(例えば、バネ)を受け入れるために1つ以上の突起または他の構造を有し得る。コラムハウジングは、(例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及び/または鉄(例えば、鋼)などの金属を含む)鋳造構造であってよい。二次衝撃中、コラムハウジングは、枢着場所に対して一般に固定された位置に留まる場合がある。コラムハウジングは、それが比較的に少量(例えば、約50mm以下、約20mm以下、または約10mm以下)、前方に並進するように固定され得る。
【0025】
本明細書のアセンブリは、傾斜調整アセンブリを含む。傾斜アセンブリは、1つ以上の傾斜板、細長い部材、回転部材、バイアス部材、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0026】
本教示は、伸縮調整アセンブリを企図する。また、伸縮調整アセンブリの特徴は、二次衝撃など、衝撃中にエネルギーを吸収するために役立ち得る。
【0027】
本教示は、1つ以上のブラケット構造を企図する。ステアリングコラムアセンブリは、取り付けブラケットを含み得る。ステアリングコラムアセンブリは、傾斜ブラケットを含み得る。ステアリングコラムアセンブリは、1つ以上の傾斜板を含み得る。
【0028】
1つ以上の適切なブラケットを用い得る。任意のそのようなブラケットは、ステアリングコラムアセンブリを車両内に取り付けるための部分を含み得る(例えば、それは、車両クロスビーム、計器パネル、またはそれ以外などの車両構造に固定できる)。ブラケットは、ステアリングシャフト支持構造(例えば、コラムチューブ、コラムハウジング、または両方)に少なくとも部分的に隣接する部分を有し得る。
【0029】
ブラケットは、傾斜部分及び取り付け部分が単一の構造(例えば、鋳造、打ち抜き、またはその組み合わせ)となるように組み込み構造であってよい。ブラケットは、取り付け部分及び傾斜部分を単一の構造内に画定するためにともに組み立てられた別々の構造から作られてよい。取り付け部分は省略されてもよい、及び/またはステアリングコラムアセンブリ内の他のどこかに位置してもよい。傾斜部分は省略してもよい。取り付けブラケットは、傾斜部分を画定する構造とは別に用い得る。本明細書に説明する例に加えて、用い得るブラケットの例は、米国公開番号第20100300238号(その全体がすべての目的のために参照により組み込まれる。例えば、ブラケット20の説明を参照すること)、その全体がすべての目的のために参照により組み込まれる米国特許第6,467,807号(例えば、ブラケット6及び7、ならびに関連構造の説明を参照すること)のブラケットを含む。
【0030】
1つ以上のブラケット(例えば、傾斜ブラケット)は、ステアリングシャフト支持構造の少なくとも一部分(例えば、コラムチューブ、コラムハウジング、または両方の少なくとも一部分)を受け入れるために、及び/または自動車車両内にステアリングコラムアセンブリを取り付けるために用いられ、適合され得る。
【0031】
傾斜ブラケットは、車両クロスビーム、計器パネル、またはそれ以外など、車両構造に固定されるように適合された上部を含み得る。ブラケットは、ステアリングシャフト支持構造(例えば、コラムチューブ)の少なくとも一部分を少なくとも部分的に側面に置く構造を有し得る。
【0032】
ブラケット(例えば、傾斜ブラケット)は、1対の対向する側壁、及び車両に(例えば、車両クロスビーム、計器パネル、または他の適切な構造に)付着するように構成された上部壁を含み得る。側壁は、上部壁に対して外向きに突出する場合がある(例えば、側壁は、上部壁に対して通常直角にまたは斜めに配置される場合がある)。ブラケット(例えば、傾斜ブラケット)は、単一の下方に突出するまたは配向される壁を有する場合がある。ブラケット(例えば、傾斜ブラケット)は、コラムハウジングの対向部分に対して側面方向に上方に及び外向きに配置される場合がある。
【0033】
アセンブリは、1つ以上の、または1対の、通常対向する下方に配向されたまたは突出する壁(例えば、傾斜板)を有し得る。傾斜板は、傾斜ブラケット上部に一体であってよい、または接続されてよい。傾斜板は、傾斜ブラケットとは別個であってよい。
【0034】
下方に配向されたまたは突出する壁(例えば、傾斜板)の1つ以上は、傾斜機能に案内を提供する細長い長穴を含み得る。傾斜板の長穴は、ステアリングコラムアセンブリの上方及び下方の移動を制限することによってなど、調整のための案内経路を提供し得る。細長い長穴は、概して線形の長穴であってよい。細長い長穴は、通常垂直に(例えば、中にアセンブリを設置する車両の長手方向軸に通常直角に)配向され得る。細長い長穴は、通常傾斜している場合がある。細長い長穴は、概して湾曲した形状を有し得る。
【0035】
長穴を画定する壁の少なくとも一部分は、アセンブリの別の要素と係合するために適合された表面を有し得る。長穴を画定する壁は、通常、歯付きである、起伏がある、テクスチャが付けられたなどの表面を有し得る。壁は、滑らかである1つ以上の表面を有し得る。壁は、壁が係合するアセンブリの別の要素の表面に対して相補的な形状またはテクスチャを有する1つ以上の表面を有し得る。
【0036】
アセンブリ内の他の要素は、長穴内に受け入れられるように適合され得る。例えば、細長い部材(例えば、傾斜ボルト)は、長穴内に位置し得る。細長い部材は、対向する傾斜板の対向する長穴の間に延びてよい。アセンブリの高さ調整は、レバーなどのユーザー操作装置がロック解除位置にあるときに、傾斜ボルトが長穴内で上方にまたは下方に移動することによって可能であってよい。レバーなどのユーザー操作装置がロック位置に動かされると、アセンブリは所望の角度または高さに保持され得る。
【0037】
回転部材は、長穴内に受け入れられ得る。回転部材は、長穴を画定する壁と係合し得る。回転部材が長穴を画定する壁と係合されるとき、アセンブリはロック構成にあってよい。回転部材が壁との係合から外れて回転するとき、アセンブリはロック解除構成にあってよい。結果として、回転部材は、長穴の範囲内で移動できる場合がある。
【0038】
ステアリングホイール調整サブアセンブリ及び/または傾斜アセンブリは、サブアセンブリを傾斜、伸縮、または両方によって作動させる(例えば、手動で作動させる)ために適合されたレバー(上述された、またはなんらかの他のユーザー操作装置)を含み得る。レバーによる手動作動の代わりに、またはそれに加えて、1つ以上のモータを使用し得る。例えば、1つ以上のモータまたは他の電気機械アクチュエータは、傾斜、伸縮、または両方を生じさせ得る。傾斜機能または伸縮機能を生じさせるためにレバーを使用し得、一方、傾斜機能または伸縮機能の他方を生じさせるために、モータまたは他の電気機械アクチュエータを使用し得ることがさらに企図される。少なくとも1つの係合部材(例えば、ピン)は、(例えば、レバーを介して)ユーザーによって所望される位置(例えば、伸縮位置)にステアリングシャフトを選択的にロックするために、コラムチューブまたはコラムチューブに固定された構造と係合され得る、及び係合から外れ得る。1つ以上の回転部材は、(例えば、レバーを介した)ユーザーによって所望される傾斜位置の調整のために、長穴を画定する傾斜板の壁と(例えば、干渉によって)係合され得る、及び係合から外され得る。取り付け構造は、ブラケット(例えば、傾斜ブラケット)に対してステアリングホイール調整サブアセンブリを着脱可能に取り付け得る。二次衝撃などの衝撃の間、コラムハウジングは、前方枢着場所に対して通常固定された位置に留まる(例えば、いかなる前方並進も、比較的に少量(例えば、約20mm以下または約10mm以下)に制限される)。
【0039】
アセンブリは、アセンブリ内で回転するように適合された1つ以上の細長い部材をさらに含み得る。細長い部材は、例えば、傾斜ボルトであってよい。細長い部材は、長手方向軸を有し得る。細長い部材は、その長手方向軸の周りで回転させ得る。細長い部材は、ヘッド部分を有し得る。細長い部材は、本体部分を有し得る。ヘッド部分の直径は、(例えば、長手方向軸に直交する断面で取られるとき)本体部分の直径よりも大きくてもよい。細長い部材の本体部分は、1つ以上の曲線的なセグメントを有する断面を有し得る。本体部分は、概して円形である断面を有し得る。本体部分は、1つ以上の概して平坦なセグメントを有する断面を有し得る。本体部分は、非円形である断面を有し得る。本体部分は、概して卵形である断面を有し得る。本体部分は、概して多角形形状を有する断面を有し得る。本体部分は、概してスタジアム形状または概してオブラウンドである断面を有し得る。細長い部材は、細長い部材の長さの少なくとも一部分に沿って延びる1つ以上の概して平坦な表面を有し得る。細長い部材は、長さの少なくとも一部分に沿って延びる2つ以上の概して平坦な表面を有し得る。細長い部材は、細長い部材の対向する側面上に2つ以上の、通常対向する平面を有し得る。
【0040】
細長い部材は、その長手方向軸の周りの回転のために、ユーザー操作装置などのアセンブリの別の要素によって駆動され得る。ユーザー操作装置は、レバーであってよい。
【0041】
細長い部材がその長手方向軸の周りで回転されるにつれ、本体部分の断面の形状によってアセンブリの別の要素との接触が可能になり得、これによってアセンブリ内の1つ以上の要素のさらなる回転が案内または停止され得る。一例として、細長い部材は、回転部材の一部分、バイアス部材、または両方と係合し得る。
【0042】
傾斜アセンブリは、1つ以上の回転部材を含む。回転部材は、アセンブリの別の要素によって駆動され、回転させられる場合がある。回転部材は、傾斜調整用のロックの機能を果たし得る。回転部材は、アセンブリの他の要素と係合するための1つ以上の特徴を有し得る。回転部材は、それがロック解除位置にある間に位置する領域の範囲内で、回転部材が移動することを可能にする形状を有する場合がある。回転部材は、ロック位置にあるときにさらなる移動を可能にしない形状を有する場合もある。回転部材は、回転部材の高さがその幅よりも大きい形状を有する場合がある。一例として、回転部材が、回転部材の幅よりも大きく、回転部材の高さ未満である距離をその間に有する2つの壁の間に配置される場合、回転部材がロック解除位置にあるとき、回転部材は壁の間を移動できる。回転部材がロック位置にあるとき、回転部材は、壁の間の距離のために壁の間に閉じ込められるので、回転部材は壁の間を自由に移動することはできない。回転部材は、概して長方形、スタジアム、またはオブラウンドの形状を有し得る。回転部材は、概して涙滴形状または電球形状を有し得る。回転部材は、大文字のDまたは数字の8のような形状を有し得る。
【0043】
回転部材は、アセンブリをロックするために及びロック解除するためになど、アセンブリの別の表面に接触するために適合された表面を含み得る。表面は、アセンブリ内の別の表面と係合し得る。回転部材の表面は、歯付き面、起伏のある表面、テクスチャが付けられた表面、テクスチャ表面、またはそれが係合する表面に対して相補的な表面である場合がある。例えば、回転部材の歯付き面は、傾斜板の長穴の少なくとも一部分を画定する歯付き面と係合し得る。
【0044】
回転部材は、ボルト開口部を含み得る。開口部は、回転部材のどこに位置してもよい。開口部は、回転部材の厚さ全体を通って延び得る。開口部は、1つ以上の湾曲部分によって画定される場合がある。開口部は、例えば、概して、円形、曲線的、楕円形、長方形、またはオブラウンドである場合がある。開口部は、概して砂時計形状または概して数字8のような形状である場合がある。開口部は、開口部の中に内向きに突出する1つ以上の隆起を含む場合がある。開口部は、互いに向かって突出する2つ以上の対向する隆起を含む場合がある。
【0045】
ボルト開口部は、細長い部材の一部分を受け入れるように適合され得る。1つ以上の隆起など、開口部を画定する特徴は、細長い部材の表面と係合し得る。細長い部材は、開口部の形状のために、開口部内でのいくらかの回転を許される場合がある。いくらかの回転または特定の点を越えたまたは特定の方向での回転は抑制される場合がある。例えば、互いに向かって突出する2つの対向する隆起を有する開口部は、隆起と、細長い部材の一部分(例えば、一般的に平面)との間の接触時に回転止めの機能を果たす場合がある。対向する隆起と細長い部材との間の接触は、回転部材をロック解除位置に移動するための手段の機能を果たす場合もある。
【0046】
回転部材は、1つ以上の追加の開口部を有し得る。回転部材は、アセンブリの別の要素と接合するための係合開口部を含み得る。例えば、係合開口部は、バイアス部材の一部と係合し得る。係合開口部は、回転部材の厚さ全体を通って延び得る。係合開口部は、回転部材の厚さの一部分だけを通って延び得る。係合開口部は、バイアス部材の一部分(例えば、固定部分の少なくとも一部分)を受け入れるほど十分なサイズであり得る。係合開口部は、バイアス部材の一部分(例えば、固定部分の少なくとも一部分)が動作中に滑り落ちるまたは切り離されることがないほど広くない幅を有し得る。
【0047】
回転部材は、回転部材を適所に(例えば、長穴の中に)さらに固定するための1つ以上の特徴を含み得る。特徴は、回転部材が、意図せずに揺れる、回転する、またはロック解除されるのを防ぐために役立ち得る。回転部材は、壁接触特徴を含み得る。壁接触特徴は、特に傾斜アセンブリがロック位置にあるときに、壁(例えば、長穴を画定する壁)に接触するまたは壁と係合するように適合された膨らみ、突起、または他の特徴であってよい。壁接触特徴は、歯付き部分またはそれ以外の場合テクスチャが付けられた部分またはロック部分から、回転部材の対向する端部または側面に位置してよい。壁接触特徴は、長穴を画定する対向する壁と接触する場合がある。
【0048】
傾斜アセンブリは、さらに1つ以上のバイアス部材を含む。バイアス部材は、コイル状または巻き付けられたストリップ、ワイヤ、または他の部材であってよい。バイアス部材またはその一部分は、概して(例えば、側面から見るときに)螺旋形状またはコイル形状である場合がある。バイアス部材は、概ね同じサイズ及び/または形状である2つ以上のコイルを有し得る。バイアス部材は、徐々に幅広くなるまたは狭くなる曲線を有する場合がある。バイアス部材はバネであってよい。バイアス部材は、弾力材であってよい。バイアス部材は、1つ以上の概して平坦なセグメントを有し得る。バイアス部材は、1つ以上の概して湾曲したセグメントを有し得る。バイアス部材は、1つ以上の延長部(例えば、コイル状の部分から延びるセグメント)を有し得る。バイアス部材は、第1の自由端及び第2の自由端を有し得る。第1の自由端は、螺旋またはコイルの最も内側の部分に位置する場合がある。第1の自由端は、螺旋またはコイルから離れて延びる場合がある。バイアス部材は、第2の自由端が、バイアス部材の最も外側の部分になるようにそれ自体に巻き付く場合がある。バイアス部材は、細長い部材に巻き付く場合があり、コイルは、並んで配列される、概ね同じサイズ及び/または形状である、または両方である。第2の自由端は、バイアス部材のコイル状の部分から延びる場合がある。
【0049】
バイアス部材のセグメントは、螺旋またはコイル状部分と第1の自由端との間に延びる場合がある。このセグメントは、ステアリングコラムアセンブリの一部分と接触する、突き当たる、係合する、中に受け入れられる、またはそれらの組み合わせのために役立つ場合があるアセンブリ接触部分(例えば、コラムハウジング接触部分、傾斜ブラケット接触部分)であってよい。例えば、セグメントは、バイアス部材のコイル状の部分から離れて延び、コラムハウジングと係合するコラムハウジング接触部分であってよい。セグメントは、傾斜ブラケットの一部分と係合する傾斜ブラケット接触部分であってよい。セグメントは、ステアリングコラムアセンブリの別の機能と係合し得る。セグメントは、ある角度でもしくはある方向に延びる、またはコラムハウジングなどのステアリングコラムアセンブリの一部分との接触、その中への挿入、及び/またはそれとの係合を可能にする形状を有し得る。コラムハウジング、傾斜ブラケット、またはアセンブリの他の部分は、バイアス部材の延長部分が接触する及び/または受け入れられるように適合される、壁、隆起、切欠き、開口部、または他の特徴を含み得る。バイアス部材は、コラムハウジングまたは傾斜ブラケットなど、ステアリングコラムアセンブリの一部分に固定され得る。
【0050】
固定部分は、第2の端部に位置する場合がある。固定部分は、タブ、突起、鍵、ピン、(例えば、バイアス部材の別の部分に対して斜めであるための)曲げ部分、または他の係合特徴であってよい。固定部分は、バイアス部材の本体から離れて延び得る(例えば、通常直角に、バイアス部材の別の部分から一般に斜めに)。例えば、バイアス部材が非コイル状であるならば、バイアス部材は、通常、本体がその長さに沿って長手方向に延び、固定部分は、通常横向きの部分または直角部分である(例えば、直角の約10°以内)L形であってよい。固定部分は、1つ以上の屈曲、起伏、湾曲、角度、またはそれらの組み合わせを含み得る。これらの特徴は、回転部材内の固定部分との係合またはそのさらなる固定を可能にし得る。
【0051】
固定部分は、回転部材の係合開口部内に少なくとも部分的に受け入れられるように適合され得る。固定部分は、バイアス部材が回転部材の回転を駆動できるほど十分に係合開口部を貫通し得る。
【0052】
バイアス部材は、細長い部材に巻き付くように適合され得る。バイアス部材は、細長い部材と接触するように適合された1つ以上の表面を有し得る。バイアス部材は、バイアス部材が巻き付けられた細長い部材の領域の外径または断面の形状に通常一致するコイル状の形状を有し得る。バイアス部材は、細長い部材に1回以上、1.5回以上、2回以上、2.5回以上、またはそれ以上巻き付いてもよい。
【0053】
バイアス部材は、ボルト接触セグメントを含み得る。バイアス部材は、細長い部材に締められる、接合される、固定される、またはその周りに巻き付けられるなどであってよい。これは、ボルト接触セグメントで行われ得る。ボルト接触セグメントの表面は、通常、細長い部材の表面に補完的であってよい。例えば、バイアス部材のボルト接触セグメントが、細長い部材の概して平坦な部分に接触する場合、ボルト接触セグメントも概して平坦である場合がある。バイアス部材は、2つ以上のボルト接触セグメントを含み得る。バイアス部材は、細長い部材の対向する表面に配置された対向するボルト接触セグメントを有し得る。例えば、セグメントに接触する対向するボルトは、概して平坦であってよく、細長い部材の対向する概して平坦な表面に接触し得る。バイアス部材は、バイアス部材がロック方向で細長い部材に対して回転部材に前もって負荷を加えるように構成され得る。これは、それによってバイアス部材と回転部材との間の回転遊びを低減または排除し得る。
【0054】
したがって、傾斜アセンブリは、細長い部材、バイアス部材、及び回転部材を含み得る。傾斜アセンブリには、他の回転構成要素または他の駆動体がなくてよい。ユーザーがレバーまたは他のユーザー作動装置を作動させると、細長い部材はその長手方向軸の周りを回転する。細長い部材の回転によって、バイアス部材も回転する。同様にして、バイアス部材の回転によって、回転部材も細長い部材の長手方向軸の周りを回転する。細長い部材を回転させると、バイアス部材は、リンケージの機能を果たし、回転部材を回転させ得る。したがって、バイアス部材は、回転部材の回転を駆動するように働く。
【0055】
駆動体に対して所望の高さまたは角度でアセンブリをロックするために、レバーなどのユーザー操作装置は、傾斜アセンブリなどのロックシステムを操作し得る。回転部材は、傾斜調整アセンブリ内の対向する傾斜板の垂直長穴のどちらかまたは両方内に位置し得る。回転部材は、その形状のため(例えば、その幅より大きい高さを有する)、レバーまたは他のユーザー操作がロック位置にあるとき、(例えば、歯を介して)傾斜板の長穴を画定する壁と係合し得る。バイアス部材は、細長い部材に固定され得る、またはステアリングコラムアセンブリの一部分(例えば、コラムハウジングまたは傾斜ブラケット)と係合し得、(例えば、バイアス部材の固定部分と回転部材の係合開口部との間の係合によって)回転部材に取り付けられ得、その結果、レバーがロック位置にあるとき、バネは回転部材を押すまたは回転させるため、歯は(例えば、長穴を画定する壁で)傾斜板に接触する。回転部材の形状により、レバーがロック解除位置にあるとき、回転部材は、傾斜板の長穴を画定する壁から外れる場合があり(歯は、表面から離れる場合があり)、回転部材及び傾斜ボルトは、駆動体またはユーザーのためにステアリングホイールの高さ及び角度を調整するために、長穴内で自由に(例えば、上方にまたは下方に)移動することを許され得る。
【0056】
細長い部材及び回転部材はともに回転し得る。回転部材は、隆起で細長い部材と強制的に係合させられる場合があり、その結果、細長い部材(例えば、傾斜ボルト)及び回転部材はともに回転する。細長い部材は、回転部材の開口部内で部分的に回転することを許される場合がある。しかしながら、開口部の隆起と接触すると、回転は停止または減少する場合がある。隆起は、特にロック解除方向で、バイアス部材を変形することを防ぐために確実な係合機構の機能を果たし得る。
【0057】
本アセンブリの利点は、回転部材の係合面に作用する力がないとき、要素がともに回転するように、細長い部材上の特徴に対して回転部材を偏向することである。機構は、回転部材の係合面及びその対向する係合面に作用する力があるとき、バネのバイアス力を回転部材の対向する面に伝達する。
【0058】
回転部材が長穴の歯付きの壁に接触すると、回転部材は回転するのを停止し得る。しかしながら、細長い部材は、細長い部材上の平らな部分と回転部材上の隆起との間の隙間のために回転し続け得ることが企図される。これにより、バイアス部材のさらなる巻き上げが生じ、長穴の歯付きの壁への回転部材のなおさらに大きい前負荷が生じる場合がある。
【0059】
本明細書に説明するアセンブリは、細長い部材とバイアス部材との間、バイアス部材と回転部材との間、または両方の遊び及び/または自由な動きを減らすまたは排除するように働き得る。バイアス部材は、回転部材に前もって負荷を加えることができる。この前もった負荷またはバイアス力によって、隆起が(例えば、細長い部材の平坦な部分で)細長い部材と係合するように、回転部材は押され得る。次に、回転部材の回転が停止され得る。システムにかかる力及びモーメントの合計はゼロであってよい。これによって、回転部材の隆起が、遊びなしで細長い部材とともに移動する状況が生じ得る。隆起と細長い部材との間の接触及び/または係合を生じさせるためのバイアス力は、約1N以上、約1.5N以上、または約2N以上であってよい。バイアス力は、約50N以下、約45N以下、または約40N以下であってよい。回転部材の対向する表面にかかるバイアス力は、約2N以上、約3N以上、または約4N以上であってよい。回転部材の対向する表面にかかるバイアス力は、約75N以下、約60N以下、または約50N以下であってよい。
【0060】
(二次衝撃などの)衝撃の間、本教示の構造は、コラムチューブ、ステアリングシャフト、または両方がコラムハウジングに対して長手方向に前方に並進できるように配列された要素の適切な組み合わせを含むように構成され得る。
【0061】
教示は、一般的に、1つ以上のエネルギー吸収装置の使用の可能性を想定している。エネルギー吸収装置は、弾性的に及び/または弾性的に及び塑性的に変形するように適合された適切な装置であってよい。変形する過程で、エネルギー吸収装置は、このようにして変形によってエネルギーを吸収するように適合される。エネルギー吸収装置は、2つ以上の構成要素間でまたはそれらの中で動作可能なように接続され得る、または位置し得る。エネルギー吸収装置は、それが、2つ以上の構成要素間またはそれらの中でのように相対的な移動を制限するように構成され得る。エネルギー吸収装置は、ワイヤ、板、ストリップなどであってよい。エネルギー吸収装置は、その長さに沿って一定のプロファイルまたは変化するプロファイルを有する場合がある。エネルギー吸収装置は、1つ以上の固定して抑制された部分(例えば、端部)を有するために用いられる場合がある。エネルギー吸収装置は、1つ以上の自由端を有する場合がある。
【0062】
本明細書のアセンブリは、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、公開された米国出願第2013/0233117号に記載されているタイプのエネルギー吸収構造をさらに用い得る。例えば、本明細書のアセンブリは、少なくとも1つの塑性的に変形可能なエネルギー吸収装置(例えば、ベンド板、ワイヤ、またはコラムハウジングによって少なくとも部分的に運ばれるように適合されたなんらかの他の構造)を含み得、エネルギー吸収装置は、用いられるとき、ステアリングシャフト支持構造(例えば、コラムチューブ及びステアリングシャフト)がコラムハウジングに沿って並進を開始した後の二次衝撃の間に塑性的変形によってエネルギーを吸収する。任意の塑性的に変形可能なエネルギー吸収装置は、このようにしてコラムチューブ、ステアリングシャフト、または両方の長手方向の移動の範囲を制限し得る。
【0063】
伸縮調整アセンブリは、1つ以上のエネルギー吸収板を含み得る。エネルギー吸収板は、コラムチューブ、ステアリングシャフト、ステアリングホイール、またはそれらの組み合わせの位置を所望の前後方向に固定するために機能し得る。エネルギー吸収板は、特にステアリングホイールに行使される負荷が閾値負荷を超えるときにコラムチューブの前方伸縮中に(例えば、二次衝撃中に)エネルギーを吸収するのに役立ち得る。エネルギー吸収板は、互いに通常平行であり、弧状の部分(例えば、通常前方を指す弧状の部分)で接合された2つ以上の概して平坦な平面的なセクションを含み得る。概して平面的なセクションの1つは、(例えば、ねじ、リベット、またはピンなどの1つ以上の固締具を介して、1つ以上の接着剤を介して、はんだ付けもしくは溶接などの1つ以上の方法によって、またはそれらの組み合わせ)コラムチューブに固定して取り付けられ得る。
【0064】
ここで図を参照すると、
図1は、前方端部12及び後方端部14を有するステアリングコラムアセンブリ10を示している。コラムハウジング20は、前方端部12に位置する取り付けブラケット13を介して車両に枢着されているが、取り付けのための他の構成及びブラケットも企図される。ステアリングコラムアセンブリ10は、後方端部14に、ステアリングホイール(図示せず)を支持するために適合されたステアリングシャフト16を含む。ステアリングシャフト16はコラムチューブ18によって支持され、その両方ともコラムハウジング20によって支持される。コラムチューブ18は、特に伸縮調整のために前後方向でコラムハウジング20に対して移動可能である。また、ステアリングシャフト16及びコラムチューブ18は、傾斜ボルト40として本明細書に説明する、回転部材を支持し、係合する2つの平行して下方に垂れ下がる傾斜板34を含む傾斜ブラケット32を含む傾斜アセンブリ30を介して駆動体に対して上方にまたは下方に調整されるように適合される。ステアリングシャフト16及びコラムチューブ18を傾斜及び/または伸縮方式で調整することは、レバー22を操作することによって開始され得、レバー22は、調整機構を切り離すまたは機構をロック解除し、駆動体がステアリングホイールを所望の位置に置くことを可能にする。
【0065】
図2は、傾斜アセンブリ30の構成要素を示している。明確にするために、レバー22(
図1を参照)は省略されている。アセンブリは、通常対向する傾斜板34を含むまたは接合する傾斜ブラケット32を含む。各傾斜板34は長穴36を含み、歯付き係合面38が長穴の少なくとも一部分を画定する。歯付き係合面38は、ロック位置にあるとき、回転部材50と係合するように適合された。回転部材50は、バイアス部材60、及び傾斜ボルト40の作動を介して(例えば、
図1に示すレバーなどのレバー22を介して)回転させられる。
【0066】
図3は、
図2の点線のボックス内の部分の拡大図である。傾斜ボルト40によって支持される回転部材50は、長穴36内で移動することができ、ロックされた位置にあるとき、回転部材50の歯付き面52は、長穴36を画定する歯付き係合面38と係合し、それによってステアリングコラムまたはそのパーツを所望の傾斜位置に固定する。
【0067】
図4は、部品が長穴36を画定する表面と係合していないとき(
図5を参照)アセンブリの部材間で作用する力を示す。バイアス部材60は、力矢印F
1を通して回転部材50に前もって負荷を加えるように示される。この力F
1は、回転部材50を押して、隆起56と細長い部材または傾斜ボルト40との間の接触を引き起こす。回転部材50の回転は、反力F
2によって停止する。細長い部材または傾斜ボルト40に固定されているバイアス部材60は、反作用のトルクM
1を生成する。細長い部材または傾斜ボルト40の平坦な部分と相互作用する隆起56は、反作用のトルクM
2を生成する。システムにかかる力及びモーメントの合計はゼロである。これによって、隆起56が、遊びなしで細長い部材の平らな部分または傾斜ボルト40とともに移動する状況が生じ得る。
【0068】
図5は、ロック位置にあるアセンブリの側面図である。回転部材50の歯付き面52は、長穴36を画定する歯付き係合面38と係合する。回転部材50が歯付き係合面38に接触すると、回転部材は回転するのを停止する。回転部材がロック解除位置になるように回転すると、傾斜ボルトと隆起との間の接触により、バイアス部材の結合が減らされ、または排除され、それによってバイアス部材を変形するのを防ぐための確実な係合機構の機能を果たすように、傾斜ボルト40の表面は、回転部材50の隆起56に寄りかかる。しかしながら、傾斜ボルト40は、傾斜ボルト40の平らな部分と隆起56との間の隙間57のために依然として回転するのを許されてよい。この結果、バイアス部材60のさらなる巻き上げが生じ、長穴36を画定する歯付き係合面38への回転部材50のなおさらに大きい前負荷が生じる。回転部材50の対向する端部には、(例えば、ロック位置にある間)長穴36を画定する対向する壁に接触する壁接触特徴53がある。壁接触特徴53は、回転部材50を長穴内の適所に保つのに役立つ。
【0069】
図6は、
図3及び
図5に示すものなど、歯付き係合面38と係合するための歯付き面52を含む例示的な回転部材50である。回転部材50を通るボルト開口部54は、それを通して傾斜ボルト40(
図3及び
図5を参照)を受け入れることを可能にする。ボルト開口部54を画定する壁は、バイアス部材を変形することを防ぐための、及び/または止め具の機能を果たすための確実な係合機構の機能を果たす、1つ以上の隆起56を含む。また、回転部材50は、バイアス部材60の一部分を受け入れるバネ係合開口部58も含み(
図9A及び
図9Bを参照)、それによって回転部材がロック位置及びロック解除位置に回転するのを可能にする。
【0070】
図7は、例示的なバイアス部材60である。バイアス部材は、バイアス部材を巻き付けた第1の端部62を含む。第1の端部にまたは第1の端部近くに、ボルト接触セグメント64があり、ボルト接触セグメント64は、それが接触する傾斜ボルトの表面と概ね同じ形状または表面を有する。例えば、ボルト接触セグメント64は、傾斜ボルト40の概して平坦な部分42と接触するために概して平坦である(
図8Cを参照)。対向するボルト接触セグメント66は、傾斜ボルトとバイアス部材との間のいかなる隙間または遊びも減らすまたは取り除くために、バイアス部材60を傾斜ボルト40にさらに固定するボルト接触セグメント64と反対側に位置する。対向するボルト接触セグメント66は、それが接触する傾斜ボルトの表面に補完的な形状を有し得る。例えば、示されるように、対向するボルト接触セグメント66は、概して平坦である。バイアス部材は、ボルト接触セグメントの1つ以上で傾斜ボルトに固定し得る。バイアス部材60は、第2の端部68を含む。第2の端部68に位置する固定部分70も示す。固定部分70は、
図6の回転部材50のバネ係合開口部58と係合するように適合される。固定部分70は、回転部材に接触し、回転部材と係合するように、バイアス部材60の本体から通常直角に延び得る。
【0071】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、傾斜ボルト40に組み付けられた回転部材50及びバイアス部材60の異なる図である。示されている傾斜ボルト40は、2つの概して平坦な部分42を有するが、他の形状または表面も企図される。概して平坦な部分は、バイアス部材60のボルト接触セグメント64及び対向するボルト接触セグメント66と接触する。バイアス部材60は、バネ係合開口部58内に受け入れられる固定部分70を介して回転部材50と係合する。アセンブリは、傾斜ボルト40とバイアス部材60との間、及びバイアス部材60と回転部材50との間の隙間または遊びを減らすまたは取り除く。
【0072】
図9A及び
図9Bは、回転部材50とバイアス部材60との間の係合を示している。ボルト開口部54は、傾斜ボルトが受け入れられるバイアス部材60のコイルの内側と通常位置合わせされる。バイアス部材60の固定部分70は、回転部材50のバネ係合開口部58内に受け入れられ、それによって回転部材50の回転を生じさせるもしくは可能にする、または歯付き面52を強制的にステアリングコラムアセンブリの一部(例えば、傾斜板の長穴を画定する歯付き係合面)と係合させてアセンブリをロック位置に入れる。回転部材50の隆起56、及びバイアス部材60のボルト接触セグメント64または対向するボルト接触セグメント66は、回転部材50が傾斜ボルトの端縁に対して前もって負荷を加えられ、それによって組み付け時に遊びを排除するように位置する。
【0073】
図10は、細長い部材または傾斜ボルト40に配置された対向する回転部材50を有する例示的なアセンブリを示す。アセンブリは、細長い部材または傾斜ボルト40に巻かれたバイアス部材60を含む。バイアス部材60の固定部分70は、一端で回転部材50のバネ係合開口部58内に受け入れられる。バイアス部材60の対向する端部(第1の端部62)は、バイアス部材60のコイル状の部分74から離れて延びる。
【0074】
図11は、
図10に示すものなど、例示的なバイアス部材60を示している。バイアス部材60は、バイアス部材60のコイル状の部分74から離れて延びる第1の端部62を含む。アセンブリ接触部分72は、コイル状の部分74と第1の端部62との間に位置する。アセンブリ接触部分72は、アセンブリの別の部分に接触するように適合される(
図12を参照)。バイアス部材は、コイル状の部分74から延びる第2の端部68を含む。固定部分70は、回転部材と係合するために第2の端部68にまたはその近くに位置する(例えば、バネ係合開口部58内に受け入れられる。
図10を参照)。
【0075】
図12は、コラムハウジング20の部分間に延びる細長い部材または傾斜ボルト40を含む例示的なアセンブリを示す。バイアス部材60は、傾斜ボルト40に巻き付けられる。明確にするために、回転部材は省略されている。バイアス部材60は、コラムハウジングの一部分と接触する、コラムハウジングの一部分と係合する、またはコラムハウジングの一部の中に受け入れられるアセンブリ接触部分72を含む。
【0076】
例示的な実施形態が上述されるが、これらの実施形態が本発明のすべての考えられる形式を説明することは意図されていない。むしろ、本明細書で使用する単語は、限定ではなく説明の単語であり、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な変更を加え得ることが理解される。さらに、様々な実装する実施形態の特徴は、本発明のさらなる実施形態を形成するために組み合わせ得る。
【0077】
理解できるように、上記教示における変形形態を用い得る。例えば、歯付き面以外の他の表面は、要素を定位置にロックするために係合し得ることが考えられる。回転部材と長穴を画定する壁との間の他の摩擦表面または補完的な形状が企図される。長穴は、コラムハウジングなど、ステアリングコラムの別の部分に組み込まれ得る。回転部材またはロックのための駆動機構は、なんらかの他のタイプのアクスルピボットなど、ボルトまたは細長い部材以外のなにかであってよい。バイアス部材はバネ以外のなにかであってよい。バイアス部材は、例えばコラムハウジング、コラムチューブ、または傾斜ブラケットなど、ボルト以外のステアリングコラムの別の構造に対して反応し得る。バイアス部材は、アクスルピボット部材自体の上にはないなんらかの他の位置合わせ特徴に回転部材を偏向させ得る。アクスルピボットとバイアス部材との間の追加のバイアス特徴またはコンプライアンス特徴は、要素間の隙間を取り除き得る。追加のバイアス特徴またはコンプライアンス特徴は、第1のバネなど、アセンブリの他の部分に統合され得る。
【0078】
本明細書に記載されているいずれの数値も、任意のより低い値と任意のより高い値との間に少なくとも2単位の隔たりがあるならば、下限値から上限値までのすべての値を1単位刻みで含む。一例として、構成要素の量または例えば温度、圧力、時間などのプロセス変数の値は、例えば、1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると記載される場合、15~85、22~68、43~51、30~32などの値が本明細書に明示的に列挙されることが意図される。1未満である値の場合、1つの単位は、必要に応じて、0.0001、0.001、0.01、または0.1であると見なされる。これらは具体的に意図されたものの単なる例であり、列挙された最低値と最高値の間の数値のすべての考えられる組み合わせは、同様の方法で本願に明示的に記載されていると見なされるべきである。
【0079】
特に明記されていない限り、すべての範囲には、エンドポイントと、エンドポイント間のすべての数字との両方が含まれる。範囲に関連する「約(about)」または「約(approximately)」の使用は、範囲の両端に適用する。したがって、「約20~30」は、少なくとも指定されたエンドポイントを包含する「約20~約30]を対象とすることが意図される。
【0080】
特許出願及び刊行物を含むすべての論文及び参考文献の開示は、すべての目的のために参照により組み込まれる。組み合わせを説明するための用語「本質的になる」は、識別された要素、成分、構成要素、またはステップ、及び組み合わせの基本的な特徴及び新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないそのような他の要素、成分、構成要素、またはステップを含むものとする。また、本明細書の要素、成分、構成要素、またはステップの組み合わせを説明するための用語「含む(comprise)」または「含む(include)」の使用は、基本的に要素、成分、構成要素、またはステップから成る実施形態またはたとえそれらから成る実施形態も企図する。
【0081】
複数の要素、成分、構成要素、またはステップは、単一の統合された要素、成分、構成要素、またはステップによって提供できる。代わりに、単一の統合された要素、成分、構成要素、またはステップは、別個の複数の要素、成分、構成要素、またはステップに分割される可能性もある。要素、成分、構成要素、またはステップを説明するための「1つ(a)」または「1つ(one)」の開示は、追加の要素、成分、構成要素、またはステップを除外することを意図していない。
【0082】
図面に示されている要素の相対的な位置関係は、たとえ口頭で説明されていなくても、本明細書の教示の一部である。さらに、(限定的となることが意図されていなくても)図面に示されている形状は、口頭で説明されていなくても、本教示の範囲内にある。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングコラムアセンブリのための傾斜アセンブリであって、
a.各々が長穴を有する1対の下方に配置された板と、
b.回転するように適合された細長い部材であって、各下方に配置された板の前記長穴を貫通し、その間に延びる前記細長い部材と、
c.各長穴内に位置し、開口部を有し、前記開口部を通して前記細長い部材が受け入れられる回転部材と、
d.第1の端部及び第2の端部を有するバイアス部材であって、前記バイアス部材の前記第1の端部が、前記傾斜アセンブリのコラムハウジング、傾斜ブラケット、または前記細長い部材に係合するように適合され、前記第2の端部が、前記回転部材の係合開口部内で受け入れられて前記回転部材と係合し、前記バイアス部材が、固定された壁と係合する方向に前記回転部材の回転を駆動し、前記回転部材は、前記バイアス部材によって、前記回転部材と前記細長い部材との間の遊びを減らす、または排除するように、前記回転部材の回転を妨げるように構成される、前記バイアス部材と
を備え、
前記傾斜アセンブリがロック解除位置に動かされたとき、前記回転部材が前記細長い部材によって駆動されて前記固定された壁から外れ、前記回転部材は、前記長穴に対して移動するように適合され、
前記傾斜アセンブリがロック位置にあるとき、前記回転部材が、回転し、前記長穴に対して固定された壁と係合するように適合される、
傾斜アセンブリ。
【請求項2】
遊びが、前記バイアス部材と前記回転部材との間で、前記回転部材を前記バイアス部材を用いて前記細長い部材に前もって負荷を加えることによって、減らされるまたは排除される、請求項1に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項3】
前記板の前記長穴を画定する1つ以上の壁が、前記傾斜アセンブリの別の要素と係合するために歯付き面を有する、請求項1または2に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項4】
前記回転部材の前記開口部が、1つ以上の湾曲部分によって画定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項5】
前記回転部材の前記開口部が、前記細長い部材と前記回転部材との間の遊びを減らすために前記開口部に内向きに突出する1つ以上の隆起を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項6】
前記回転部材の前記開口部が、前記細長い部材の対向する側面に接触するために互いに向かって突出する対向する隆起を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項7】
前記回転部材の少なくとも一部分が、前記長穴を画定する前記壁と係合するための歯付き面を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項8】
前記回転部材が、前記長穴を画定する前記壁に接触するための壁接触特徴を有し、前記壁接触特徴は、歯付き面から前記回転部材の対向する端部に位置する、請求項1から7のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項9】
前記壁接触特徴が、前記傾斜アセンブリが前記ロック位置にあるときに前記壁に接触する、請求項8に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項10】
前記細長い部材が、レバーによって回転されるように適合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項11】
前記細長い部材が非円形の断面を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項12】
前記バイアス部材が、前記コラムハウジングと相互作用して前記回転部材を前記細長い部材に前もって負荷を加えるように適合された特徴を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項13】
前記バイアス部材が、前記バイアス部材に1回以上巻き付けられた本体部分を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項14】
前記バイアス部材が、前記バイアス部材の本体部分から通常直角に延びる固定部分を前記第2の端部に有し、前記係合開口部内で受け入れられて前記回転部材と係合する、請求項1から13のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリ。
【請求項15】
ステアリングコラムアセンブリであって、
a.コラムチューブと、
b.少なくとも部分的に前記コラムチューブによって回転のために支持されているステアリングシャフトと、
c.前記コラムチューブを少なくとも部分的に運ぶためのコラムハウジングと、
d.ステアリングホイール調整サブアセンブリを手動で作動させるためのレバーを含む、手動操作式の前記ステアリングホイール調整サブアセンブリと、
e.請求項1から14のいずれか一項に記載の傾斜アセンブリと、
を備える、ステアリングコラムアセンブリ。
【国際調査報告】