(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】単結晶材料から時計バネを作る方法、および、この方法によって得られた時計バネ
(51)【国際特許分類】
F16F 1/36 20060101AFI20221114BHJP
G04B 19/247 20060101ALI20221114BHJP
G04B 21/06 20060101ALI20221114BHJP
G04B 3/04 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
F16F1/36 B
G04B19/247 D
G04B21/06
G04B3/04 Z
F16F1/36 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572566
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 IB2020058319
(87)【国際公開番号】W WO2021053454
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501099611
【氏名又は名称】パテック フィリップ ソシエテ アノニム ジュネーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ビュカイユ ジャン-リュック
【テーマコード(参考)】
3J059
【Fターム(参考)】
3J059AB20
3J059AD05
3J059BC05
3J059BC20
3J059EA01
3J059EA07
3J059EA08
3J059EA20
3J059GA50
(57)【要約】
本発明は、単結晶材料から時計バネ(1、2)を作る方法であって、該方法は、前記バネ(1、2)を描くステップと、前記バネ(1、2)の1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)であって、該1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)で、または、該1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)の少なくとも1つで、前記バネ(1、2)が、過大な変形の場合に破断することとなるバネの1つまたはそれ以上の脆弱帯域を特定するステップと、所定の平面(P)において延びる単結晶材料(5、8、11)から、前記バネ(1、2)が変形されるときに前記1つのまたは各脆弱帯域(4)における微視応力の方向が前記所定の平面(P)を横切る前記材料の劈開平面と実質的に平行であるようにバネを配向しながら、バネ(1、2)を製造するステップと、を含む、方法を提供する。本発明はまた、かかる方法から得られる時計バネ(1、2)を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶材料から時計バネを作る方法であって、該方法は、
a) 前記バネ(1、2)を描くステップと、
b) 前記バネ(1、2)の1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)であって、該1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)で、または、該1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)の少なくとも1つで、前記バネ(1、2)が、過大な変形の場合に破断することとなる前記バネの1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)を特定するステップと、
c) 所定の平面(P)において延びる単結晶材料(5、8、11)から、前記バネ(1、2)が変形されるときに前記1つのまたは各脆弱帯域(4)における微視応力の方向(D)が前記所定の平面(P)を横切る前記材料の劈開平面と実質的に平行であるようにバネを配向しながら、バネ(1、2)を製造するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ステップb)は、前記バネが変形されるときに前記バネが遭遇する微視応力を計算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)とステップc)の間に、
i) 前記バネ(1、2)が変形されるときに前記1つのまたは各脆弱帯域(4)における微視応力の配向(D)が前記所定の平面(P)を横切る材料の劈開平面と実質的に平行であるように単結晶材料の前記材料において前記バネのための配向を選択するステップと、
ii) 前記単結晶材料の異方性を考慮した前記単結晶材料の弾性特性に基づくバネ、および、前記ウェハにおける前記バネ、および、前記ウェハにおける前記バネの配向の選択を変更するステップと、を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)は、前記バネ(1、2)が変形されるときに引張応力を受ける前記バネ(1、2)の部分に位置する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記バネ(1、2)は、1つだけの前記脆弱帯域(4)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記単結晶材料は、シリコン、ダイアモンド、酸化アルミニウム、または、シリコンカーバイトである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記時計バネは、ロッカーバネ、ハンマーバネ、レバーバネ、ジャンパー、可撓性案内装置、または、時計構成要素を支持部材上に取り付けるために使用されるこの時計構成要素の弾性部品である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記バネの機械的強度を増大させるための追加の処理ステップ、例えば、前記バネ上に強化層を形成するためのステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
所定の平面において弾性的に変形可能である単結晶材料で作られている時計バネ(1、2)であって、前記単結晶材料は、1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)を含み、前記バネ(1、2)は、過大な変形の場合に、前記1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)の少なくとも1つにおいて破断する、時計バネ(1、2)において、時計バネ(1、2)が変形されるときの前記脆弱帯域(4)またはそれらの各々における微視応力の方向(D)は、前記所定の平面を横切る前記材料の劈開平面と実質的に平行である、ことを特徴とする時計バネ。
【請求項10】
前記1つまたはそれ以上の脆弱帯域(4)は、前記バネ(1、2)が変形されるときに引張応力を受ける前記バネ(1、2)の部分に位置する、請求項9に記載の時計バネ。
【請求項11】
前記バネ(1、2)は、ただ1つの前記脆弱帯域(4)を含む、請求項9または10に記載の時計バネ。
【請求項12】
前記単結晶材料は、シリコン、ダイアモンド、酸化アルミニウム、または、シリコンカーバイトである、請求項9~11のいずれか1項に記載の時計バネ。
【請求項13】
前記時計バネは、ロッカーバネ、ハンマーバネ、レバーバネ、ジャンパー、可撓性案内装置、または、時計構成要素を支持部材上に取り付けるために使用されるこの時計構成要素の弾性部品である、請求項9~12のいずれか1項に記載の時計バネ。
【請求項14】
強化層で被覆されている、請求項9~13のいずれか1項に記載の時計バネ。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか1項に記載の時計バネ(1、2)を含む時計ムーブメント。
【請求項16】
請求項9~14のいずれか1項に記載の時計バネ(1、2)、または、請求項15に記載の時計ムーブメントを含む、時計、特に腕時計または懐中時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶材料、特に単結晶シリコンで作られる時計バネに関する。本発明はまた、かかる時計バネを製造するための方法に関する。用語「バネ」とは、エネルギーを受け取り、および/または、力または動きを発生させるための任意の弾性的に変形可能な要素を意味する。
【背景技術】
【0002】
単結晶シリコンは、機械式腕時計において、その有利な性質、特に、その低い密度、その高い耐腐食性、その非磁性的性質、および、微小製造技術によるその加工能力のために大変一般的な材料であり、単結晶シリコンは、ひげぜんまい、バランスホイール、可撓的に案内されるオシレータ、エスケープメントアンクル、および、エスケープメントホイールを製造するために使用される。
【0003】
しかしながら、この材料は、低い機械的強度という不利益を有する。この材料は、外的応力の下で事前塑性変形なく容易に破断し得る。
【0004】
この不利益を緩和するために、特許出願WO2007/00271で提案されているように、シリコンを酸化シリコンで補強することが慣習的である。
【0005】
バネの場合、ムーブメントにおける組立て中にまたは時計が磨耗されるときに受け得る衝撃または加速に加えて、バネは、バネの機能を果たすために破断することなく変形することができ、また、疲労に抵抗することができなければならないため、機械的強度は、なるべく高いことが重要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、シリコンを酸化シリコンで被覆することにあるアプローチ、若しくは、機械的強度を改善することを目的とする任意の他の処理方法と組み合わされ、または、組み合わされないことがあり得る、単結晶シリコンで作られる時計の強度を増加させる新しいアプローチを提案することである。
【0007】
さらに一般的には、本発明の目的は、単結晶材料で作られる時計バネの強度を増大させる新しいアプローチを提供することである。
【0008】
この目的のために、単結晶材料から時計バネを作る方法であって、該方法は、
a) 前記バネを描くステップと、
b) 前記バネの1つまたはそれ以上の脆弱帯域であって、該1つまたはそれ以上の脆弱帯域で、または、該1つまたはそれ以上の脆弱帯域の少なくとも1つで、前記バネが、過大な変形の場合に破断することとなるバネの1つまたはそれ以上の脆弱帯域を特定するステップと、
c) 所定の平面において延びる単結晶材料から、前記バネが変形されるときに前記1つのまたは各脆弱帯域における微視応力の方向が前記所定の平面を横切る前記材料の劈開平面と実質的に平行であるようにバネを配向しながら、前記バネを製造するステップと、を含む、方法が、提供される。
【0009】
本発明はまた、所定の平面において弾性的に変形可能である単結晶材料で作られている時計バネであって、前記単結晶材料は、1つまたはそれ以上の脆弱帯域を含み、前記バネは、過大な変形の場合に、前記1つまたはそれ以上の脆弱帯域の少なくとも1つにおいて破断する、時計バネにおいて、前記時計バネが変形されるときの前記脆弱帯域またはそれらの各々における微視応力の方向は、前記所定の平面を横切る前記材料の劈開平面と実質的に平行である、ことを特徴とする時計バネを提供する。
【0010】
本発明は、かかるバネを含む時計ムーブメント、および、時計をさらに提供する。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による方法によって作られることができる時計バネの例の頂面図であり、バネは、変形された状態、さらに正確には、通常の作動で最大変形状態で示されており、バネが受ける引張応力がグレーの影で示されている。
【
図2】引張応力がグレーの影で示されている、
図1に示されている時計バネの一部の斜視図である。
【
図3】本発明による方法の異なるステップを示すダイヤグラムである。
【
図4】ウェハフラット[110]を備えた単結晶シリコンウェハ(100)を、頂面図(
図4(a))で、および、輪郭図(
図4(b))で概略的に示している。
【
図5】ウェハフラット[100]を備えた単結晶シリコンウェハ(110)を、頂面図(
図5(a))で、および、輪郭図(
図5(b))で概略的に示している。
【
図6】ウェハフラット[112]を備えた単結晶シリコンウェハ(111)を、頂面図(
図6(a))で、および、輪郭図(
図6(b))で概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1および
図2は、時計バネ、この場合では、剛性ベース1および弾性アーム2を含むロッカーバネを示している。剛性バネ1は、時計ムーブメントの固定または可動フレームに、典型的にはムーブメントのプレートに取り付けられるようになっている。弾性アーム2は、剛性ベース1から延びており、ばね機能を果たす。使用に際して、弾性アーム2は、曲げ状態で働き、ロッカーを所定の角度位置に戻すためにその自由端によってロッカーに作用する。かかるバネを単結晶シリコンで製造するために、本発明は、特定の実施形態により、
図3に示されており、ステップE1-E3を備えて、以下で説明されている方法を提案する。
【0014】
バネは、最初に、果たすことを意図する機能およびムーブメントにおいて占めることを意図する場所を考慮しながら、コンピュータ支援設計(ステップE1)によって描かれる。
【0015】
バネの通常の使用条件の下でバネが曲げ負荷されるときにバネが遭遇する微視応力の大きさおよび方向が、次いで、有限要素法(ステップE2)によって計算される。この計算は、バネの寸法形状および材料の弾性特性(弾性率およびポアソン比)を考慮に入れる。異方性単結晶シリコンの場合、平均弾性率および平均ポアソン比が、この段階で使用されることができる。シリコンは、圧縮においてよりも引張においてはるかに抵抗が小さいので、曲げ中に引張が働く弾性アーム2の側、すなわち、
図1において右側に制限されることができる。引張応力が最も大きいバネの領域4は、バネの自由端に加えられる或る力からのようなバネが破断するようになる脆弱帯域である。このステップE2における計算は、ムーブメントにおけるバネの通常の作動中のバネの最大変形状態のために実行されることができる。しかしながら、経験は、脆弱帯域4の位置およびこの帯域における微視応力の方向が、変形の程度でほとんど変わらないことを示している。
【0016】
バネは、次いで、エッチング、例えば、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)、または、レーザエッチングによって製造される。エッチングは、バネが、ウェハにおいて特定の配向、すなわち、脆弱帯域4における応力の方向Dが、ウェハが延び、また、バネが使用中に変形されることとなる平均平面Pを横切る単結晶シリコンの劈開平面と平行であるような配向を有するように行われる。
【0017】
単結晶シリコンは、(i)立方体の8つの頂点の各々に1つの原子、(ii)立方体の面の各々の中心に1つの原子、(iii)立方体の8つの四面体サイトの4つに1つの原子、すなわち、立方体の1つの角部によって形成される四面体の中心に1つの原子、その角部の3つの隣接する面の中心に3つの原子を備えるダイアモンド様立方体水晶構造を有する。最も原子的に密な結晶平面は、劈開平面、すなわち、過大な応力を受けたときに材料が沿って割れる漸弱平面である。単結晶シリコンの場合、劈開平面は、{111}族の平面である。
【0018】
図4は、[110]方向に配向されたウェハフラット6を備えた(100)平面においてカットされた単結晶ウェハ5を示している。点線7は、(100)平面と{111}族の平面の交線を表している。
図5は、(110)方向に配向されたウェハフラット9を備えた(111)平面においてカットされた単結晶ウェハ8を示している。点線7は、(100)平面と{111}族の平面の交線を表している。点線10は、(110)平面と{111}族の平面の交線を表している。最後に、
図6は、[112]方向に配向されたウェハフラット12を備えた(111)平面においてカットされた単結晶ウェハ11を示している。点線13は、(111)平面と{111}族の他の平面の交線を表している。ウェハがカットされる平面と{111}族の平面の前記交線7、10、および、13は、劈開方向を構成している。
【0019】
かくして、例えば、本発明による方法のステップE3において、バネは、脆弱帯域4における応力の方向Dが、バネが[110]ウェハフラットを備えたシリコン(100)で作られている場合には劈開方向7の1つと平行であり、バネが[100]ウェハフラットを備えたシリコン(110)で作られている場合には劈開方向10の1つと平行であり、バネが[112]ウェハフラットを備えたシリコン(111)で作られている場合には劈開方向13の1つと平行であるように、ウェハにおいて配向される。
【0020】
図1および
図2に示されているバネは、単一の脆弱帯域を有する。他のバネ形状では、引張応力が最大であり、応力の方向が互いに異なるいくつかの漸弱帯域を有することができる。かかる構成がステップE2において見出される場合には、バネは、漸弱帯域の各々における応力の方向が劈開平面の1つと平行であるように、シリコンウェハにおいて配向される。これがウェハの結晶学的方向の故にできない場合には、バネは、再び描かれ(ステップE1)、応力は、単一の漸弱帯域、または、それぞれの応力の方向が各々劈開平面の1つと平行であることができる脆弱帯域を含むバネの形状が見出されるまで再計算される(ステップE2)。脆弱帯域の位置、かくして、応力の方向を変えるために、弾性ブレード2の厚さは、変えられることができる。バネの形状を変えるのではなく、または、バネの形状を変えることに加えて、別の結晶学的平面においてカットされる単結晶ウェハが選択されることができる。
【0021】
ステップE2とE3の間に、本発明による方法は、所望の堅さおよび所望の破断応力を得るために、それぞれ、材料の異方性およびウェハにおける選択される配向を考慮に入れた正確な弾性特性に基づいてバネにおける応力を再計算すること、および、バネの寸法および/または形状を変更することにある中間ステップを含むことができる。バネの変更が、ウェハにおけるバネの最大応力の方向、それ故、バネの配向の選択を変えるようなものである場合には、これらの中間ステップは、バネ特性を精緻化するために、繰り返し行われることができる。
【0022】
本発明によって作られる時計バネの機械的強度は、バネの最大応力の方向がいずれの劈開平面とも平行でないバネに比べて、著しく増大される。特に、各々が酸化シリコンで被覆された(100)シリコンで作られ、曲げ応力を受けたほぼ30個の試料の2つのバッチについて行われた試験は、破断応力の中央値が、脆弱帯域における応力が劈開平面に対して45°であるときに約3.4GPaであるのに対して、脆弱帯域における応力が劈開平面に沿って配向されているときに約4.7GPaであることを示した。この違いは、試料の2つの配向の弾性率の違いによって達成されることができる改善よりもはるかに大きい。そのような結果は、驚くべきことである。なぜならば、本発明によって意図されるように劈開平面に応力を加えることによって、機械的応力が減少することが予想され得ていたからである。1つの可能な説明は、割れは、先端が脆弱帯域の微視応力と同じ方向を有しない微視応力を受ける微視クラックから始まることである。
【0023】
上述したように、本発明により作られる単結晶シリコンバネは、酸化シリコンの強化層で被覆されることができる。かかる層の厚さは、典型的には、少なくとも0.5μmであり、例えば、0.5μm~5μmである。機械的強度をさらに増大させるための他の型式の強化層、および/または、他の処理、例えば、バネの表面のスムージング処理が考えられることができる。
【0024】
本発明によって得られる機械的強度の改善は、通常状態で加えられる所与の力に対するバネの寸法形状を減少させ、かくして、バネが時計ムーブメントで占めるスペースを減少させるのに役立つことができる。
【0025】
本発明は、種々の型式の時計バネ、特に、ロッカーバネ、ハンマーバネ、レバーバネ、ジャンパー、可撓性案内装置(例えば、並進案内する平行ブレード、若しくは、特にオシレータフレキシブルピボットのようなフレキシブルピボット)、または、時計構成要素(例えば、ギアホイール若しくはコレット)を支持部材上に取り付けるために使用されるこの時計構成要素の弾性部品に適用されることができる。本発明は、特許出願EP2175328の
図10Bに示されているひげぜんまいコレットの弾性アームに適用されることができる。
【0026】
本発明により作られるバネの単結晶材料は、必ずしもシリコンではない。本発明の代替実施形態では、単結晶材料は、ダイアモンド、酸化アルミウム(例えば、サファイヤ若しくはルビー)、または、シリコンカーバイトであることができる。
【0027】
本発明により作られるバネは、例えば、腕時計、懐中時計、または、ミニアチュアクロックのムーブメントで使用されることができる。
【国際調査報告】