(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】電子銃カソード技術
(51)【国際特許分類】
H01J 37/075 20060101AFI20221114BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20221114BHJP
H01J 37/06 20060101ALI20221114BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20221114BHJP
B22F 10/36 20210101ALI20221114BHJP
B22F 12/10 20210101ALI20221114BHJP
【FI】
H01J37/075
H01J37/305 Z
H01J37/06 B
B22F10/28
B22F10/36
B22F12/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576773
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020076485
(87)【国際公開番号】W WO2021058513
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520420584
【氏名又は名称】フリーメルト エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユングブラード、ウルリック
(72)【発明者】
【氏名】ステファンセン、ロビン
【テーマコード(参考)】
4K018
5C101
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
5C101AA35
5C101BB05
5C101BB09
5C101DD08
5C101DD16
5C101DD18
(57)【要約】
金属3Dプリンタ100、カソード保持システム112、電子放出部312のためのキャリア300、および機械的インタフェースにおいて断熱部を有する電子源部分114が提供される。金属3Dプリンタ100は、カソード構成体106の背部が加熱された電子放出部312によって生成された電子ビーム102を金属材料にアノード構成体110を介して方向付けるように適合された電子銃を有する。背部が加熱された電子放出部312は、背面316上で加熱されると、放出面314から熱電子放出を介して電子を放出することが可能であり、放出面314と背面316との間に、放出面314に対して実質的に垂直である側面315を備える。金属3Dプリンタ100は、キャリア300が、放出面314に隣接する電子放出部312の側面315を覆うようにキャリア300に取り付られた電子放出部312を有する電子源部分114と、電子源部分114をアノード構成体110に対する位置関係を保つ位置に保持するように適合された1または複数のカソード保持システム部材120、126、130を有するカソード保持システム112と、カソード保持システム112の放出部保持部120を電子源部分114と接合するように適合された、第1の機械的インタフェース310における第1の断熱部とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード構成体の電子ビームを金属材料上にアノード構成体を介して方向付けるように適合された電子銃を備える金属3Dプリンタであって、前記電子ビームが、背面上で加熱されると、放出面から熱電子放出を介して電子を放出することが可能であり、前記放出面と前記背面との間に、前記放出面に対して実質的に垂直である、側面を有する、背部が加熱された電子放出部によって生成され、前記金属3Dプリンタが、
キャリアが、前記放出面に隣接する前記電子放出部の前記側面を覆うように、前記キャリアに取り付けられた前記電子放出部を有する電子源部分と、
前記電子源部分をアノード構成体に対する位置関係を保つ位置に保持するように適合された1または複数のカソード保持システム部材を有するカソード保持システムと、
前記カソード保持システムの放出部保持部を前記電子源部分と接合するように適合された、第1の機械的インタフェースにおける第1の断熱部と
を備える、金属3Dプリンタ。
【請求項2】
前記電子放出部が、前記電子放出部の前記放出面が前記放出面に隣接する前記キャリアの部品を実質的に越えて延在しないように、前記キャリアに取り付けられた、請求項1に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項3】
前記カソード保持システム部材のうち2つの間に、少なくとも1つの更なる断熱部を更に備える請求項1または2に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項4】
前記放出部保持部を前記カソード保持システムの中間保持部と接合するように適合された第2の機械的インタフェースにおいて第2の断熱部を更に備える請求項1~3のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項5】
前記中間保持部を、前記中間保持部の中心軸が外側保持部の中心軸と実質的に一致するような位置に前記中間保持部を形状嵌合でロックするように適合された前記カソード保持システムの外側保持部と接合するように適合された第3の機械的インタフェースを更に備える請求項4に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項6】
前記外側保持部が前記外側保持部の前記中心軸と角度をつけた方向において、無段式で調整できるように、前記外側保持部を前記カソード保持システムのカソード組立体保持部と接合するように適合された第4の機械的インタフェースを更に備える金属3Dプリンタであって、前記カソード組立体保持部が、カソード保持システム部材の組立体を保持するように適合される、請求項5に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項7】
前記カソード保持システムの1または複数のカソード保持システム部材のセレクションが、各カソード保持システム部材が、組み立てられると、他のカソード保持システム部材に対する位置関係を保つ予め定められた位置を獲得するようなひと続きで形状嵌合するように適合される、請求項1~6のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項8】
前記カソード保持システムの1または複数のカソード保持システム部材のセレクションが、電子源部分の電子放出部の前記背部に方向付けられたエネルギー線の方向と実質的に平行、および/または前記電子放出部から前記アノード構成体へ向けて放出される電子ビームと実質的に平行である軸に沿った位置において形状嵌合するように適合される、請求項1~7のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項9】
前記電子放出部の前記背部を加熱するためのエネルギー線を生成するように適合されたレーザであって、前記レーザが例えばCO2レーザである、レーザを更に備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
【請求項10】
前記電子放出部の前記背面が、電子放出を防止する材料で覆われる、請求項1~9のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、金属3Dプリンタと、金属3Dプリンタ、および電子銃を使用する他の装置に適切な構成要素とに関する。より具体的には、本開示は、背部が加熱されたカソード放出部に基づく、電子銃における、金属3Dプリンタおよびカソード技術に関する。
【背景技術】
【0002】
金属3D印刷による付加製造は、特に、しばしば高品質が要求される、形状的に複雑な機械部品が少量生産で製造される産業分野で、ますます重要性が増している。研究および製造業界における金属3D印刷技術の開発によって、現在、精度、反復性、利用可能な材料の範囲は、金属3D印刷が、より幅広い適用可能性を求めるための産業製造技術となることを可能にする段階にある。
【0003】
金属3D印刷された製品の品質は、電子銃によって供給される電子のビームの品質に大きく依存する。電子ビームの品質は、ひいては、金属3Dプリンタの電子銃において、電子源が、どのように組み付けられ、熱絶縁され、位置に置かれるかに依存する。この文脈において、電子源は、電子放出部としても知られ、または簡潔に言えば、放出部としても知られる。金属3Dプリンタにおける高品質電子ビームのメンテナンスは、電子銃の消耗部品の製造、組立、置換、調整の観点から主な原価作用因である。電子銃の他の応用形態でも、高品質電子ビームを求める同様のニーズを共有または有する。
(関連技術)
【0004】
欧州特許第1587129号明細書では、荷電粒子放出部構成体が説明され、放出部と放出部キャリアとの間の接触の領域を最小化することによって熱損失を低減することが提案されている。
【0005】
特開2009-158365号公報では、ロックワイヤの形態の放出部キャリアを備えるイオン源が説明されている。そのようなロックワイヤを使用することによって、放出部とロックワイヤとの間の接触の領域、ならびにロックワイヤとカソード保持部との間の接触の領域を最小化するワイヤ形状に起因して、放出部からカソード保持部への熱伝達損失は最小化される。
(従来技術の課題)
【0006】
欧州特許第1587129号明細書および特開2009-158365号公報の両方において、放出部と放出部キャリアとの間の接触の領域は最小化される。このことは、放出部の側面には覆いがないことを意味するので、電子がこの側面から「漏れる」可能性もあって、狭い「スポット」の中にビームの焦点を合わせることがより難しくなることを意味する。このことは、電子ビームの品質を下げる。
(実施形態の目的)
【0007】
本開示において説明する実施形態の概括的な目的は、金属3Dプリンタおよび他の応用形態のための高品質電子ビームを生成することが可能な、電子銃のためのコスト効率の良いカソード技術を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本開示において説明する実施形態は、カソード構成体の電子ビームを金属材料にアノード構成体を介して方向付けるように適合された電子銃を有する金属3Dプリンタを備える。電子ビームは、好ましくは、背面上で加熱されると、放出面から熱電子放出を介して電子を放出することが可能な、背部が加熱された電子放出部であって、放出面と背面との間に、放出面に対して実質的に垂直である側面を備える、背部が加熱された電子放出部によって生成される。金属3Dプリンタは、好ましくは、キャリアが、放出面に隣接する電子放出部の側面を覆うようにキャリアに取り付けられた電子放出部を有する電子源部分と、電子源部分をアノード構成体に対する位置関係を保つ位置に保持するように適合された1または複数のカソード保持システム部材を有するカソード保持システムと、カソード保持システムの放出部保持部を電子源部分と接合するように適合された、第1の機械的インタフェースにおける第1の断熱部とを備える。電子放出部の背面は、実施形態では、電子放出を防止する材料で覆われてもよい。
【0009】
放出部キャリアは、好ましくは、電子が電子放出部の側面からまったく漏れる可能性がないように成形される。電子放出部は、好ましくは、放出面が、放出部キャリアを実質的に越えて延在しないように、放出部キャリアに配置される。放出面がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、キャリアを越えて延在する放出面の中心に部品があってもよいが、電子放出部の側面は、好ましくは、常にキャリアによって覆われているべきである。
【0010】
カソード保持システムは、カソード保持システム部材がそれぞれ、組み立てられたときに、他のカソード保持システム部材に対する位置関係を保つ位置に予め定められた位置を獲得するようなひと続きで、カソード組立体の中に形状的に形状嵌合する1または複数のカソード保持システム部材のセットを備えてもよい。
【0011】
電子放出部は消耗品であり、時々新たな電子放出部と交換する必要がある。本明細書の実施形態のカソード保持システムによって、電子源部分が、明確に定められた位置に容易に達することが可能になる。金属3Dプリンタのカソード保持システムの実施形態は、カソード保持システムの異なる部品同士の間、またはカソード保持システムと電子源部分との間の1または複数の機械的インタフェースにおいて、1または複数の断熱部を備える。1または複数の断熱部の目的および効果は、放出部から周辺カソード保持システムへの熱エネルギーの伝達を低減させることである。1または複数の機械的インタフェースは、カソード保持システムの部品同士の間で、形状嵌合ならびに、電気的接触とも呼ばれる、ガルバニック接触を提供するために適合される。
【0012】
本明細書で開示する実施形態によって、電子銃のコスト効率的の良い、製造、組付、置換、およびメンテナンスが可能になり、ならびに高品質電子ビームが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書で開示する実施形態を、添付の図面を参照して、以下で更に説明する。
【0014】
【
図1】本開示の実施形態による、カソード保持システムを有する金属3Dプリンタを概略的に示す図である。
【
図2】
図1のカソード保持システムを分解図で概略的に示す図である。
【0015】
【
図3A】本開示の実施形態による、電子源部分、放出部キャリア、およびそれらの部品の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、電子源部分、放出部キャリア、およびそれらの部品の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3C】本開示の実施形態による、電子源部分、放出部キャリア、およびそれらの部品の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3D】本開示の実施形態による、電子源部分、放出部キャリア、およびそれらの部品の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3E】本開示の実施形態による、電子源部分、放出部キャリア、およびそれらの部品の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3F】本開示の実施形態による、電子源部分、放出部キャリア、およびそれらの部品の実施形態を概略的に示す図である
【0016】
【
図4】本開示の実施形態による、電子源部分の一実施形態を概略的に示す図である。
【0017】
【
図5A】本開示の実施形態による、カソード保持部の一実施形態を概略的に示す図である。
【
図5B】本開示の実施形態による、カソード保持部の一実施形態を概略的に示す図である。
【0018】
【
図6】本開示の実施形態による、キャリア構成体の一実施形態を概略的に示す図である。
【0019】
本開示の実施形態およびその利点は、以下の詳細な説明を参照することによって、もっとも良く理解されるであろう。参照符号は、1または複数の図において示される同様の要素を識別するために使用されることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示において説明する実施形態は、カソード構成体の電子ビームを金属材料にアノード構成体を介して方向付けるように適合された電子銃を有する金属3Dプリンタを備える。電子ビームは、好ましくは、背面上で加熱されると、放出面から熱電子放出を介して電子を放出することが可能な、背部が加熱された電子放出部であって、放出面と背面との間に、放出面に対して実質的に垂直である側面を備える、背部が加熱された電子放出部によって生成される。金属3Dプリンタは、好ましくは、キャリアが、放出面に隣接する電子放出部の側面を覆うようにキャリアに取り付けられた電子放出部を有する電子源部分と、電子源部分をアノード構成体に対する位置関係を保つ位置に保持するように適合された1または複数のカソード保持システム部材を有するカソード保持システムと、カソード保持システムの放出部保持部を電子源部分と接合するように適合された、第1の機械的インタフェースにおける第1の断熱部と、を備える。電子放出部は、好ましくは、放出面が、放出部キャリアを実質的に越えて延在しないように、放出部キャリアに配置され、少なくとも放出部キャリアの部品が、放出面に隣接する。放出面がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、キャリアを越えて延在する放出面の中心に部品があってもよいが、電子放出部の側面は、好ましくは、常にキャリアによって覆われているべきである。放出部の背面は、放出面と必ずしも平行ではない。放出部の背面は、実施形態では、電子放出を防止する材料で覆われてもよい。カソード保持システムおよび本開示の実施形態は、例えば、付加製造装置、電子ビーム溶接機、および電子顕微鏡において適用可能である。
【0021】
電子放出部は消耗品であり、時々新たな電子放出部と交換する必要がある。本明細書の実施形態のカソード保持システムによって、カソード保持システムに取り付けられた電子源部分が、明確に定められた位置に達することが可能になる。金属3Dプリンタのカソード保持システムの実施形態は、カソード保持システムの異なる部品同士の間、またはカソード保持システムと電子源部分との間の1または複数の機械的インタフェースにおいて、1または複数の断熱部を備える。1または複数の断熱部の目的および効果は、放出部から周辺カソード保持システムへの熱エネルギーの伝達を低減させることである。1または複数の機械的インタフェースは、カソード保持システムの部品同士の間で、形状嵌合ならびに、電気的接触とも呼ばれる、ガルバニック接触を提供するために適合される。
【0022】
電子放出部の背部加熱のためのエネルギー線生成部は、本明細書で示す実施形態の変更形態では、レーザビームでレーザ光エネルギーを伝えるエネルギー線を生成するCO2レーザなどのレーザ、赤外線光ビームで赤外光の熱エネルギーを伝えるエネルギー線を生成する赤外光源、および/または運動エネルギーを伝える電子ビームの形態でエネルギー線を生成するように案出され適合された電子銃であってもよい。
【0023】
図1は、真空チャンバ154内のカソード保持システム112内の放出部キャリア300を介して組み付けられた電子放出部312の背側面を加熱するために、エネルギー線152を生成するように適合されたエネルギー線生成部150を備える金属3Dプリンタ100の実施形態を概略的に示す。電子放出部の背側面は、実施形態では、電子放出を防止する材料で覆われてもよい。エネルギー線152で放射されると、放出部312は、電子ビーム102をアノード構成体110の電子チャンネル111の中に放出する。電子ビーム加熱は真空環境でのみ機能するので、真空チャンバ154が高品質真空を維持することが重要である。実施形態では、金属3Dプリンタは、電子ビームが金属材料に放射される種類のものである。次に、金属3Dプリンタはまた、アノード構成体110と金属材料との間に、ビーム焦点合わせ機器およびビーム位置合わせ機器(不図示)を備える。
図1で示す例示的な実施形態では、金属材料は、粉末床108堆積された金属粉末である。この種類の金属3Dプリンタは、レーザが使用されるとき、粉末床システム、指向性エネルギー堆積(DED)、またはレーザメタルデポジション(LMD)を使用してもよい。他の実施形態では、金属3Dプリンタは、金属線、例えば、チタン線を溶解して融解するために電子ビームが使用される電子ビーム付加製造(EBAM)と呼ばれる、堆積技術を使用する種類のものである。実施形態では、レーザは例えばCO2レーザである。動作中、例えば60キロボルトの範囲の高電圧が、本来的に周知の方法で、カソードおよびアノードにわたって加えられる。
【0024】
分解図において、
図1および
図2は、カソード保持システム112の実施形態を更に示し、カソード保持システム112は、異なる実施形態では、
電子放出部312のための放出部キャリア300、および放出部キャリア300に取り付けられた電子放出部312を有する、電子源部分114を保持するように適合された放出部保持部120と、
放出部保持部120を保持するように適合された中間保持部126と、
放出部保持部126を保持するように適合された外側保持部130であって、外側保持部130が、外側保持部130を保持し、それによりカソード保持システム112全体を保持するように適合されたカソード組立体保持部134によって保持される、外側保持部130と
の1または複数のうちのセレクションにおけるカソード保持システム部材を備える。
【0025】
それぞれの保持部の材料は、例示的な実施形態では、鋼もしくは真鍮、または異なる保持部における異なる材料の組み合わせである。
【0026】
本明細書の実施形態の電子銃は、好ましくは、カソードおよびアノードの形態で3つ以上の電極を有さない、グリッドレス電子銃と呼ばれる種類のものである。この種類の電子銃では、電子ストリームが放出部の温度、好ましくは放出部の背面側の温度によって制御される。このことによる、本明細書で開示する実施形態での利点は、電子ビームが全ての電子ストリームと実質的に同様または類似に見えることである。
(金属3Dプリンタおよびカソード保持システム)
【0027】
したがって、
図1は、カソード構成体106の背部が加熱された電子放出部312によって生成された電子ビーム102を、粉末床108などの溶解させるための材料にアノード構成体110を介して方向付けるように適合された金属3Dプリンタ100の一実施形態を概略的に示す。
図1を示すような金属3Dプリンタ100は、アノード構成体110に対する位置関係を保つ位置に放出部312を有する電子源部分114の形態のカソードを保持するように適合されたカソード保持システム部材のセットを有するカソード保持システム112を備える。第1の機械的インタフェース310における第1の断熱部は、カソード保持システム112の放出部保持部120を電子源部分114と接合するように適合される。
【0028】
実施形態の有利な変更形態では、金属3Dプリンタは、電子放出部の背部を加熱するためのエネルギー線を生成するように適合されたレーザであって、前記レーザが例えばCO2レーザである、レーザを更に備える。電子放出部の背部は、実施形態では、電子放出を防止する材料で覆われてもよい。
(放出部保持部および第1の機械的インタフェースにおける第1の断熱部)
【0029】
放出部保持部120は、好ましくは、管の形状、好ましくは、円筒状管を有し、第1の機械的インタフェース310の放出部保持部120の部品を、好ましくは、円筒状管の1つの端部の近くに有する。
図1において破線で描かれた楕円内に概略的に示す、第1の機械的インタフェース310は、好ましくは、第1の機械的インタフェース310が電子源部分114の形状ロックを提供するように適合される。第1の機械的インタフェース310は、好ましくは、電子源部分114および放出部保持部120それぞれにおいて、接合部品を備える。
【0030】
実施形態では、第1の機械的インタフェース310の放出部保持部品は、円筒形状放出部保持部120の内側包絡部での円形溝である。そのような実施形態では、電子源部分114の1または複数の接触点で尖った形状または縁部がある形状が、第1の機械的インタフェース310において備えられ、上記放出部保持部120の溝と接合するために適合される。したがって、電子源部分114と放出部保持部120との間には最小限の接触面があり、第1の断熱部は、電気的接触を可能にしながら、最小の熱エネルギーが電子源部分114から放出部保持部120へ伝導によって移ることができるように形成される。第1の機械的インタフェース310は、好ましくは、電子源部分114を取り付けるときに電子源部分114が放出部保持部120にパチンと位置に嵌められ得、電子源部分114を取り外すときに放出部保持部120からパチンと外され得るように適合される。
【0031】
放出部保持部120の形状は、上記実施形態で説明したように、円筒状管の形態であってもよく、他の実施形態では、正方形、長方形、三角形、六角形、八角形、または任意の他の断面などの他の何らかの適切な断面を有する管の形態であってもよい。放出部保持部120は、好ましくは、チャンネル121における放出部キャリア300に組み付けられた放出部312と電子源部分114とを収容することを可能にし、ならびにエネルギー線152の自由通路が放出部312の背側面へ方向付けられることを可能にする、断面積または直径を有する内側チャンネル121を備える。放出部312の背側面は、その方向からエネルギー線が放射される方向に面する。
【0032】
管状放出部保持部120の内側に取り付けられた放出部312を有することによって、放出部312は、一方では、放出部保持部120と放出部キャリア300との間の第1の機械的インタフェース310の断熱部によって熱伝導から熱絶縁され、他方では、放出部312から熱放射によって伝達される熱を吸収する管状放出部保持部120によって熱伝導から熱絶縁される。動作中、真空チャンバ154には真空があり、熱対流による熱伝達はまったくなく、または無視できるほどに少ない。管状放出部保持部120の壁厚は、好ましくは、電子源部分114の接合部品との安定した機械的接続および電気的接続を可能にする第1の機械的インタフェース310の放出部保持部品、例えば上で例示した溝の提供を可能にするように選択される。管状放出部保持部120の長さは、好ましくは、一方で一定の量の熱エネルギーの吸収、他方で中間保持部126への安定取付を可能にするように選択される。
【0033】
放出部保持部120およびその放出部保持チャンネル121は、好ましくは、放出部保持部120の細長い拡張部と平行である共通の中心軸の周囲で対称である。簡易で精密な製造、ならびに簡易で精密な嵌合の目的のために好ましい実施形態では、放出部保持部120および放出部保持チャンネル121の断面は、回転対称である。
(中間保持部および第2の機械的インタフェースにおける第2の断熱部)
【0034】
図1および
図2に示すように、カソード保持システム112の実施形態は、放出部保持部120をカソード保持システム112の中間保持部126と接合するように適合された第2の機械的インタフェース124において第2の断熱部122を更に備える。
【0035】
中間保持部126は、より小さな断面積を有する第2の端面と比べてより大きな断面積を有する第1の端面から滑らかにテーパする円錐台の形状のテーパ状の周面144を有する本体を備える。実施形態では、円錐台は、好ましくは、円形断面を有してもよく、他の実施形態では、円錐台は、多角形断面を有する角錐台の形態であってもよい。実施形態では、円錐台は、その端部が、円筒形状断面または多角形断面を有する真っ直ぐな周囲面148であってもよい。
【0036】
中間保持部126は、好ましくは、テーパ状の周面144の中心軸、および真っ直ぐな周囲面148と共通である、中心軸に沿って中間保持チャンネル127を更に備える。簡易で精密な製造、ならびに簡易で精密な嵌合の目的のために好ましい実施形態では、放出部保持部120および放出部保持チャンネル121の断面は、回転対称である。実施形態では、
図1に示すように、中間保持部126は、中間保持チャンネル127を延長するカラー125を更に備える。
【0037】
第2の機械的インタフェース124の一実施形態を、
図1において破線で描かれた楕円内に概略的に示す。実施形態では、第2の機械的インタフェース124の中間保持部品は、中間保持チャンネル127の内側包絡面上に連続的または断続的に分布する、1または複数の、縁部がある隆起を備える。他の実施形態では、中間保持チャンネル127の内側包絡部上に分布する1または複数の尖った先端部がある。また、中間保持チャンネル127の内側包絡面上に、縁部にある隆起と尖った先端部との組み合わせ、または同様の構成体があってもよい。
【0038】
そのような実施形態では、放出部保持部120は、縁部または先端部がある中間保持部品と放出部保持部120の外側包絡面119との間で、形状嵌合によって中間保持チャンネル127において中間保持部126と接合される。したがって、第2の機械的インタフェースにおいて備えられた、放出部保持部120の1または複数の接触点での尖った形状または縁部がある形状は、上記放出部保持部120の外側包絡面と接合するために適合される。したがって、放出部保持部120と中間保持部126との間には最小限の接触面があり、第2の断熱部122は、電気的接触を可能にしながら、最小の熱エネルギーが放出部保持部120から中間保持部126へ伝導によって移ることができるように形成される。
【0039】
第2の機械的インタフェース124の形状嵌合は、好ましくは、接合放出部保持部120と中間保持部126との間でしっかりとした嵌合を有するように適合され、放出部保持部120が中間保持部126に取り付けて、中間保持部126から取り外しすることができるように、スライドクリアランスを有するように適合されている。好ましくは、第2の機械的インタフェース124は、放出部保持チャンネル121の中心軸が、放出部保持部120が中間保持部126と接合されると、中間保持チャンネル127の中心軸と実質的に一致するように適合される。また、スライドクリアランスは、中間保持チャンネル127に沿った、選択される位置への放出部保持部120の調節を可能にする。
図1に示す実施形態などの実施形態は、中間保持チャンネル127における選択される位置において放出部保持部120をロックすることを可能にするように適合された1または複数のロックねじ140のために、ここでは中間保持カラー125において1または複数のねじ付き穴138を更に備えてもよい。そのようなロックねじは、放出部保持部を、また断熱部を形成する小さな接触面と係合するために尖った先端部を有するだろう。そのような穴138およびロックねじ140は、第2の機械的インタフェース124の部品であってもよい。
(外側保持部および第3の機械的インタフェース)
【0040】
図1および
図2に示すように、カソード保持システム112の実施形態は、中間保持部126を、中間保持部126の中心軸が外側保持部130の中心軸と実質的に一致するような位置に中間保持部126を形状嵌合でロックするように適合されたカソード保持システム112の外側保持部130と接合するように適合された第3の機械的インタフェース128を更に備える。
【0041】
外側保持部130は、より小さな断面積を有する第2の端面と比べてより大きな断面積を有する第1の端面から滑らかにテーパする円錐台の形状の内面142を含む環形142を有する実質的な環状体を備える。外側保持部130の環形は、中間保持部126と接合するために適合され、外側保持部130の環形は、中間保持部126の周面144に類似する断面または中間保持部126の周面144に嵌合する断面を有するように適合される。中間保持部とのように、実施形態では、円錐台は、好ましくは、円形断面を有してもよく、他の実施形態では、円錐台は、多角形断面を有する角錐台の形態であってもよい。実施形態では、外側保持部130の円錐台は、その端部が、円筒形状断面または多角形断面を有する真っ直ぐな環状面146であって、中間保持部126の、対応して成形された真っ直ぐな周囲面148と接合するように適合された真っ直ぐな環状面146であってもよい。
【0042】
環形142は、好ましくは外側保持部130の周辺の中心軸と共通である、中心軸を有する。簡易で精密な製造、ならびに簡易で精密な嵌合の目的のために好ましい実施形態では、環形142の断面、および外側保持部の周辺部もしくは周辺面の断面は、回転対称である。
【0043】
第3の機械的インタフェース128の一実施形態を、
図1において破線で描かれた円内に概略的に示す。実施形態では、第3の機械的インタフェース128は、機械的安定性、位置の正確性、および電気接触を可能にする端部位置における表面と表面との接触で、接合して形状嵌合でロックするように適合された、中間保持部126のテーパ状の周面144、および外側保持部130の同様にテーパ状の環状面142を備える。第3の機械的インタフェースの実施形態は、外側保持部130上に、テーパする溝と、中間保持部上に、対応して成形された隆起とを備えてもよく、または不図示である逆の場合も同様に備えてもよい。
【0044】
図1では、中間保持部126および外側保持部130は、単なる例示目的で、第3の機械的インタフェース128において、中間保持部126および外側保持部130の間のクリアランスとともに描かれている。これらの部品が接合位置に組み付けられると、上述のように、表面と表面との接触がある。
【0045】
外側保持部のリング形状および環形は、本明細書では、円形、多角形状、またはギザギザの内側もしくは外側の輪郭もしくは断面を有すると理解される。
【0046】
外側保持部130は、実質的に平らな当接面156を、好ましくは、外側保持部130の中心軸に実質的に垂直な面において有する1または複数の周辺フランジ145を更に備える。実施形態では、周辺フランジ145は、テーパ状の周辺面158を更に備える。
(カソード組立体保持部および第4の機械的インタフェース)
【0047】
図1および
図2に示すように、カソード保持システム112の実施形態は、外側保持部130が上記外側保持部130の上記中心軸と角度をつけた方向、好ましくは垂直方向において、無段式で調整できるように、外側保持部130をカソード保持システム112のカソード組立体保持部134と接合するように適合された第4の機械的インタフェース132を更に備える。カソード組立体保持部134は、1または複数のカソード保持システム部材120、126、130の組立体を保持するように適合される。
【0048】
カソード組立体保持部134は、
図1に概略的に示すように、真空チャンバ154のシャシー153に固定されるように適合され、または真空チャンバシャシー153に組み付けられる別の機械部品に固定されるように適合される。したがって、例えば、カソード組立体保持部は、不図示である、カソードとアノードとの間の高電圧を提供するために、例えば、ベランダのように、真空チャンバに配置された高電圧貫通部上に組み付けられてもよい。
【0049】
カソード組立体保持部134は、好ましくは、外側保持部130を受け入れて収容するように適合された凹部と、外側保持部130の周辺フランジ145の当接面156を受け入れるように適合された1または複数の組立体保持フランジ135とを有する。外側保持部130がカソード組立体保持部134に配置されると、外側保持部130の当接面156は、1または複数の組立体保持フランジ135上に静止する。
図1では、接合面は、例示目的でクリアランスとともに示されている。
【0050】
例えば、カソード組立体保持部134の凹部は、外側保持部130の周辺の断面に類似する断面を有する環形を有する環状であってもよい。上述のように、円形断面が好ましいが、多角形状またはギザギザの断面が、実施形態において考えられる。
【0051】
第4の機械的インタフェース132の一実施形態を、
図1において破線で描かれた円内に概略的に示す。実施形態では、第4の機械的インタフェース132は、カソード組立体保持部134の1または複数の組立体保持フランジ135と、外側保持部130の1または複数の周辺フランジ145の当接面156とを備える。更なる実施形態は、
図1に概略的に示すように、外側保持部130の周辺フランジ145上にテーパ状の周辺面158と、カソード組立体保持部134上に1または複数のねじ付き穴136とを更に備える。ねじ付き穴136は、1または複数の調整ねじおよびロックねじの先端部がテーパ状の周辺面158と係合するように、1または複数の調整ねじおよびロックねじ(不図示)を収容するように適合される。これにより、カソード組立体保持部134の組立体保持フランジ135に対して、外側保持部130の当接面156を圧迫しながら、カソード組立体保持部134内の外側保持部130の横方向の位置が無段式で設定されることが可能になる。したがって、機械的安定性、位置の正確性、および電気接触を可能にする表面と表面との接触が、外側保持部130とカソード組立体保持部134との間で獲得される。
(電子源部分)
【0052】
金属3Dプリンタの一実施形態では、
図1および
図2に概略的に示すように、カソード保持システム112は、キャリア300に取り付られた放出部312であって、放出部312が、背面上で加熱されると、放出面から熱電子放出を介して電子を放出することが可能である、放出部312を有する電子源部分114を備える。放出部312の背面は、実施形態では、電子放出を防止する材料で覆われてもよい。
図1および
図2に概略的に示すキャリア300は、キャリア300が、電子がこの側面からまったく漏れる可能性がないように同時に放出部312の側面を覆いながら、放出部保持部120と機械的に接合するために案出された第1の機械的インタフェース310において第1の断熱部を生成するように成形される。第1の断熱部および第1の機械的インタフェース310は、上で説明した。
【0053】
キャリア300、または電子源部分114のキャリア部品に備えられた1または複数の部品の材料は、好ましくは、1または複数の部品の材料が、電子放出に対して安定し、選択された放出部312から電子放出を受ける温度範囲で電子などの電子を放出しないように選択される。したがって、放出部キャリア300および放出部キャリア部品の材料は、好ましくは、選択された放出部材料が選択された応用形態のために適切である電子放出特性を有する温度または温度範囲での電子放出特性がないか、または最小である材料の群から選択される。そのような材料および材料組合せの例を、以下で更に説明する。
【0054】
電子源部分114の放出部312は、消耗した後、時々置き換える必要がある消耗品である。放出部312は、いくつかの実施形態におけるように、ロックねじ140を解放した後、中間保持チャンネル127から放出部保持部120をスライドして外し、消耗した放出部312を有する電子源部分114を放出部保持部120から取り外し、新たな放出部312を有する別の電子源部分114を放出部保持部120に第1の機械的インタフェース310で取り付けることによって、置き換えられる。その後、新たな放出部312を有する放出部保持部120は、中間保持チャンネル127の中にスライドして戻され、第2の機械的インタフェース124と係合される。
(金属3Dプリンタにおけるカソード保持システムの組み立てられたカソード保持システム部材)
【0055】
金属3Dプリンタのカソード保持システム112の実施形態は、
図1および
図2に示すように、各カソード保持システム部材が、組み立てられると、他のカソード保持システム部材に対する位置関係を保つ予め定められた位置を獲得するようなひと続きで形状嵌合するように適合される、カソード保持システム112の1または複数のカソード保持システム部材120、126、130のセレクションを更に備える。
【0056】
更なる実施形態では、金属3Dプリンタは、カソード保持システム112の1または複数のカソード保持システム部材120、126、130のセレクションが、電子源部分114の電子放出部312の背部に方向付けられたエネルギー線の方向と実質的に平行、および/または放出部312からアノード構成体110へ向けて放出される電子ビーム102と実質的に平行である軸に沿った位置において形状嵌合するように適合されるような金属3Dプリンタである。
【0057】
これにより、
図1に示す実施形態に概略に示すように、組み立てられたカソード保持システム112の位置が、その中心軸がエネルギー線152の方向、および/または電子ビーム102の方向に対する位置関係を保つ所望の位置にあるように調節され固定されることが可能となる。
(放出部キャリア部分および電子放出部のためのキャリア)
【0058】
図3A~
図3Fは、電子源部分114、および電子放出部312のためのキャリア300の実施形態を概略的に示す。
図3A~
図3Dは、断面側面図を示し、
図3Eは、実施形態の断面上面図を示す。
図3Fは、電子源部分114の例示的な部品を斜視図で示す。電子源部分114は、キャリア300に取り付けられた電子放出部312によって形成される。
【0059】
図3Aおよび
図3Cは、電子放出部312のためのキャリア300の実施形態を概略的に示し、キャリア300は、背面316上で加熱されると、電子放出面314から熱電子放出を介して放出することが可能な放出部312を受け入れるために適合された中心凹部302と、放出面314と背面316との間の、放出面314に対して実質的に垂直である側面315と、キャリア300を保持するように適合された放出部保持部120と機械的に接合するように適合された機械的インタフェース310における断熱部とを備える。背面316は、実施形態では、電子放出を防止する材料で覆われてもよい。
図3Bおよび
図3Dは、キャリア300の凹部302において接合された電子放出部312を有するキャリア300の実施形態を示す。
【0060】
図3A~
図3Fに概略的に示すキャリア300は、キャリア300が、電子がこの側面315からまったく漏れる可能性がないように同時に電子放出部312の側面315を覆いながら、キャリア300を保持するように適合された放出部保持部120と機械的に接合するために案出された第1の機械的インタフェース310において第1の断熱部を生成するように成形される。換言すれば、キャリア300は、好ましくは、キャリア300が電子放出部312の側面315を覆い、電子がこの側面315からまったく漏れる可能性がないように少なくとも側面315が放出面314に隣接するように配置される。電子放出部312は、好ましくは、放出面314が、キャリア300を実質的に越えて延在しないように、キャリア300に配置される。放出面314がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、キャリア300を越えて延在する放出面314の中心に部品があってもよいが、電子放出部312の側面315は、好ましくは、常にキャリア300によって覆われているべきである。
(機械的インタフェース-キャリア部品)
【0061】
図3A~
図3Fに破線で描かれた円で示された、機械的インタフェース310のキャリア部品は、キャリアを安定位置に保つための十分な機械的支持を提供しながら、放出部保持部120に対する最小限の接触面を有するように適合された幾何学形状を有する。機械的インタフェース310のキャリア部品は、好ましくは、放出部保持部120の対応する機械的インタフェースとの形状嵌合のために適合される。
【0062】
実施形態では、機械的インタフェース310のキャリア部品は、放出部保持部120との接合のために適合された1または複数の接触点で、尖った形状または縁部がある形状を有する。
図3A~
図3Fに示すように、キャリア300の実施形態は、キャリアの機械的インタフェース310を形成するテーパ状の周囲フランジを有するリングの形状のキャリア部品306を備える。
(中間キャリア部品および外側キャリア部品)
【0063】
図3C~
図3Fに示すような実施形態では、キャリア300は、中心凹部302を有する中間キャリア部品304と、中間キャリア部品304に隣接し、その周辺縁部上に、キャリア300の機械的インタフェース310を有する外側キャリア部品306とを備える。電子放出部312は、キャリア部品304が、放出面314に隣接する電子放出部312の側面315を覆うように、中間キャリア部品304に配置される。換言すれば、中間キャリア部品304は、好ましくは、キャリア300が電子放出部312の側面315を覆い、電子がこの側面315からまったく漏れる可能性がないように少なくとも側面315が放出面314に隣接するように配置される。電子放出部312は、好ましくは、放出面314が、中間キャリア部品304を実質的に越えて延在しないように、中間キャリア部品304に配置される。放出面314がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、キャリア300を越えて延在する放出面314の中心に部品があってもよいが、電子放出部312の側面315は、好ましくは、常にキャリア300によって覆われているべきである。
【0064】
そのような実施形態では、中間キャリア部品304が、好ましくは、中心凹部302において受け入れられるように意図する電子放出部312の材料よりも低い硬度を有する、中心凹部302に面する材料を備える。これにより、放出部312がキャリア300において組み付けられるときに、電子放出部312と中間キャリア部品304との間で容易な、プレス嵌めまたは変形嵌合が可能になる。同様に、中間キャリア部品304が、好ましくは、外側キャリア部品306の材料よりも低い硬度を有する、中間キャリア部品304の周辺に面する材料を備える。中間キャリア部品304の実施形態は、タンタルまたはタンタルの派生物、例えばタンタルの比率が高い合金を備える。
【0065】
また、外側キャリア部品306が、カソード保持部120の中に位置/圧迫されるとき、より硬い材料の中にあることは利点である。この場合、外側キャリア部品306は組立の間に変形がより少なくなり、形状/形がそのまま残るので、断熱部は、完全な状態のまま残る。
【0066】
実施形態では、放出部312の材料は、タンタルより硬い、六ホウ化ランタンLaB6である。放出部の他の材料は、例えばCE LaB6またはタングステンである。
【0067】
外側キャリア部品306が、好ましくは、中間キャリア部品304よりも高い硬度を有する、キャリアの機械的インタフェース310での材料を備える。また、これにより、ここで中間部品304と外側キャリア部品306との間で容易な、プレス嵌めまたは変形嵌合が可能になる。外側キャリア部品306が、好ましくは、キャリア300を保持するように意図する保持部120よりも高い硬度を有する、キャリアの機械的インタフェース310での材料を更に備える。これにより、形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合のうちの1つによって、電子源部分114を保持部120に取り付けるとき、機械的インタフェースでの滑らかな嵌合が可能になる。外側キャリア部品306の実施形態は、モリブデンまたはモリブデンの派生物、例えばモリブデンの比率が高い合金を備える。モリブデンは、タンタルより硬く、また放出部実施形態の六ホウ化ランタンより硬い。また、他の材料、例えば鋼、および材料の他の組み合わせは、更なる実施形態において考えられる。
【0068】
中間キャリア部品304が、より硬い近接部品、すなわち外側キャリア部品306および電子放出部312よりも軟らかい材料の中で選ばれると、電子源部分114の効率的な取付/組立を実現することが可能である。その理由は、中間キャリア部品304が位置にあるときに変形され得、この変形により、外側キャリア部品306および電子放出部312を位置に保持することに起因する。上述のように、これにより、キャリア部品と電子放出部312との間で容易な、プレス嵌めまたは変形嵌合が可能になる。また、これにより、製造公差についての要件をより低くすることが可能となり、キャリア部品および放出部の設計をより複雑でなくすことが可能になる。
【0069】
電子源部分114の実施形態は、より軟らかい隣接中間キャリア部品304と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合された電子放出部312を備え、中間キャリア部品304が、より硬い外側キャリア部品306と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合され、外側キャリア部品306が、その周辺縁部上に、キャリアの上記機械的インタフェース310を有する。
【0070】
キャリア300の実施形態は、円筒形状電子放出部を受け入れ、円筒形状電子放出部と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合するように適合された中心凹部302を有するリング形状である中間キャリア部品304と、中間キャリア部品304を受け入れ、中間キャリア部品304と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合するように適合された中心凹部302を有するリング形状であり、その周辺縁部上に、キャリアの機械的インタフェース310を有する外側キャリア部品306とを備え、部品が、中間キャリア部品304および外側キャリア部品306がそれぞれ、キャリア300と嵌合したとき、放出部312の放出面と同一平面上の面を有するように適合されている部品である。放出面314がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、キャリア300を越えて延在する放出面の中心に部品があってもよいが、中間キャリア部品304に隣接する放出面の部品は、好ましくは、少なくとも中間キャリア部品304と同一平面上にあるべきである。
【0071】
電子放出部のためのキャリア300の別の実施形態は、背面316上で加熱されると、電子を放出面314から熱電子放出を介して放出することが可能な放出部312を受け入れるように適合された中心凹部302と、中心凹部302を画定し、中心凹部302の中に放出部312を取り付けるように適合された、より軟らかい金属の中間キャリア部品304と、中間キャリア部品304に隣接し、保持部120と機械的に接合するように適合された外側キャリア部品の機械的インタフェース310において断熱部を有する、より硬い金属の外側キャリア部品306とを備える。
【0072】
キャリア300は、好ましくは、キャリア300が電子放出部312の側面315を覆うキャリア部品304、306であって、電子がこの側面315からまったく漏れる可能性がないように少なくとも側面315が放出面314に隣接するように配置される、キャリア部品304、306を常に備える。電子放出部312は、好ましくは、放出面314が、キャリア300を実質的に越えて延在しないように、キャリア300に配置され、少なくともキャリア300の部品が、放出面314に隣接する。放出面314がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、キャリア300を越えて延在する放出面314の中心に部品があってもよいが、電子放出部312の側面315は、好ましくは、常にキャリア300によって覆われているべきである。背面316は、実施形態では、電子放出を防止する材料で覆われてもよい。キャリア300がまた、別個の外側キャリア部品306を備える場合、この外側キャリア部品306は、同時に電子源部分114が放出部保持部120内で明確に定められた位置を有することを確実にしながら、キャリア300と放出部保持部120との間に、第1の機械的インタフェース310において断熱部を生成する任意の形状を有してもよい。
【0073】
図4は、キャリア300と電子放出部312とを備える電子源部分114の別の実施形態を概略的に示す。
図4に概略的に示す実施形態では、第1の機械的インタフェース310における断熱部は、キャリア300が、特定のポイントで、放出部保持部120と機械的にのみ接合するように成形された外側キャリア部品306によって生成される。電子放出部312は、好ましくは、放出面314が、中間キャリア部品304を実質的に越えて延在しないように、中間キャリア部品304に配置される。放出面314がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、中間キャリア部品304を越えて延在する放出面314の中心に部品があってもよいが、電子放出部312の側面315は、好ましくは、常に中間キャリア部品304によって覆われているべきである。異なる部品の材料は、例えば、
図3A~
図3Fの実施形態について上で示したようであってもよい。
【0074】
上で説明したように、キャリア300は、好ましくは、キャリア300が電子放出部312の側面315を覆うキャリア部品であって、電子がこの側面315からまったく漏れる可能性がないように少なくとも側面315が放出面314に隣接するように配置される、キャリア部品を常に備える。しかしながら、第1の機械的インタフェース310における断熱部が別の手段で生成され得る場合、キャリア300がいかなる更なる部品を備えることは必要ではない。
【0075】
図5Aおよび
図5Bは、第1の断熱部を生成するように成形されたカソード保持部120の一実施形態を概略的に示す。この実施形態では、カソード保持部120は、「かぎ爪」500が端部から延在するように配置され、第1の機械的インタフェース310は、キャリア300と接合するかぎ爪500の端部によって生成される。
【0076】
図6は、異なる手段で断熱部を生成するキャリア構成体の一実施形態を概略的に示す。この実施形態では、第1の機械的インタフェース310は、コイル600、例えばタングステンで作製され、カソード保持部120と電子源部分114との間に配置されたコイル600によって生成され、キャリア300と接合する。
【0077】
キャリア300は、
図5A、
図5B、および
図6の実施形態では、放出部312のための凹部を有する1つの円筒形状キャリア部品のみを備えてもよく、その理由は、電子放出部312の側面315、少なくとも、放出面314に隣接する側面315が覆われ、その結果、電子がこの側面315からまったく漏れる可能性がないことを確実にするためにこれで十分であるからである。電子放出部312は、好ましくは、放出面314が、キャリア300を実質的に越えて延在しないように、キャリア300に配置される。放出面314がよりレンズ形状であるように曲がっている、またはドーム型であると、キャリア300を越えて延在する放出面314の中心に部品があってもよいが、電子放出部312の側面315は、好ましくは、常にキャリア300によって覆われているべきである。異なる部品の材料は、例えば、
図3A~
図3Fの実施形態について上で示したようであってもよい。
【0078】
実施形態は、例示のために本明細書で開示してきており、更なる変更形態が、説明した実施形態の範囲内で考えられる。図示する電子放出部は全て円筒形であるが、電子放出部は技術的に道理にあう任意の形状を有してもよい。また、これは、放出部の背面が、放出面と必ずしも平行ではないことを意味する。
(項目1)
カソード構成体(106)の電子ビーム(102)を金属材料上にアノード構成体(110)を介して方向付けるように適合された電子銃を備える金属3Dプリンタ(100)であって、上記電子ビーム(102)が、背面(316)上で加熱されると、放出面(314)から熱電子放出を介して電子を放出することが可能であり、上記放出面(314)と上記背面(316)との間に、上記放出面(314)に対して実質的に垂直である、側面(315)を有する、背部が加熱された電子放出部(312)によって生成され、上記金属3Dプリンタ(100)が、
キャリア(300)が、上記放出面(314)に隣接する上記電子放出部(312)の上記側面(315)を覆うように、上記キャリア(300)に取り付けられた上記電子放出部(312)を有する電子源部分(114)と、
上記電子源部分(114)をアノード構成体(110)に対する位置関係を保つ位置に保持するように適合された1または複数のカソード保持システム部材(120、126、130)を有するカソード保持システム(112)と、
上記カソード保持システム(112)の放出部保持部(120)を上記電子源部分(114)と接合するように適合された、第1の機械的インタフェース(310)における第1の断熱部と
を備える、金属3Dプリンタ(100)。
(項目2)
上記電子放出部(312)が、上記電子放出部(312)の上記放出面(314)が上記放出面(314)に隣接する上記キャリア(300)の部品を実質的に越えて延在しないように、上記キャリア(300)に取り付けられた、項目1に記載の金属3Dプリンタ。
(項目3)
上記カソード保持システム部材(120、126、130)のうち2つの間に、少なくとも1つの更なる断熱部(122)を更に備える項目1または2に記載の金属3Dプリンタ。
(項目4)
上記放出部保持部(120)を上記カソード保持システム(112)の中間保持部(126)と接合するように適合された第2の機械的インタフェース(124)において第2の断熱部(122)を更に備える項目1~3のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
(項目5)
上記中間保持部(126)を、上記中間保持部(126)の中心軸が外側保持部(130)の中心軸と実質的に一致するような位置に上記中間保持部(126)を形状嵌合でロックするように適合された上記カソード保持システム(112)の外側保持部(130)と接合するように適合された第3の機械的インタフェース(128)を更に備える項目4に記載の金属3Dプリンタ。
(項目6)
上記外側保持部が上記外側保持部の上記中心軸と角度をつけた方向において、無段式で調整できるように、上記外側保持部(130)を上記カソード保持システム(112)のカソード組立体保持部(134)と接合するように適合された第4の機械的インタフェース(132)を更に備える金属3Dプリンタであって、上記カソード組立体保持部(134)が、カソード保持システム部材(120、126、130)の組立体を保持するように適合される、項目5に記載の金属3Dプリンタ。
(項目7)
上記カソード保持システム(112)の1または複数のカソード保持システム部材(120、126、130)のセレクションが、各カソード保持システム部材(120、126、130)が、組み立てられると、他のカソード保持システム部材(120、126、130)に対する位置関係を保つ予め定められた位置を獲得するようなひと続きで形状嵌合するように適合される、項目1~6のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
(項目8)
上記カソード保持システム(112)の1または複数のカソード保持システム部材(120、126、130)のセレクションが、電子源部分(114)の電子放出部(312)の上記背部に方向付けられたエネルギー線の方向と実質的に平行、および/または上記電子放出部(312)から上記アノード構成体(110)へ向けて放出される電子ビーム(102)と実質的に平行である軸に沿った位置において形状嵌合するように適合される、項目1~7のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
(項目9)
上記電子放出部(312)の上記背部を加熱するためのエネルギー線を生成するように適合されたレーザであって、上記レーザが例えばCO2レーザである、レーザを更に備える、項目1~8のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
(項目10)
上記電子放出部(312)の上記背面(316)が、電子放出を防止する材料で覆われる、項目1~9のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタ。
(項目11)
カソード構成体(106)の電子ビーム(102)をアノード構成体(110)を介して方向付けるように適合された電子銃のためのカソード保持システム(112)であって、上記電子ビーム(102)が、背面(316)上で加熱されると、放出面(314)から熱電子放出を介して電子を放出することが可能であり、上記放出面(314)と上記背面(316)との間に、上記放出面(314)に対して実質的に垂直である、側面(315)を有する、背部が加熱された電子放出部(312)によって生成され、カソード保持システム(112)であって、
キャリア(300)が、上記放出面(314)に隣接する上記電子放出部(312)の上記側面(315)を覆うように、上記キャリア(300)に取り付けられた上記電子放出部(312)を有する電子源部分(114)を、アノード構成体(110)に対する位置関係を保つ位置に保持するように適合された1または複数のカソード保持システム部材(120、126、130)のセットと、
上記カソード保持システム(112)の放出部保持部(120)を上記電子源部分(114)と接合するように適合された、第1の機械的インタフェース(310)における第1の断熱部と
を備えるカソード保持システム(112)。
(項目12)
上記電子放出部(312)が、上記電子放出部(312)の上記放出面(314)が、上記放出面(314)に隣接する上記キャリア(300)の部品を実質的に越えて延在しないように、上記キャリア(300)に取り付けられた、項目11に記載のカソード保持システム(112)。
(項目13)
上記カソード保持システム部材(120、126、130)のうち2つの間に、少なくとも1つの更なる断熱部を更に備える項目11または12に記載のカソード保持システム(112)。
(項目14)
上記放出部保持部(120)を上記カソード保持システム(112)の中間保持部(126)と接合するように適合された第2の機械的インタフェース(124)において第2の断熱部(122)を更に備える項目11~13のいずれか1項に記載のカソード保持システム(112)。
(項目15)
上記中間保持部(126)を、上記中間保持部(126)の中心軸が外側保持部(130)の中心軸と実質的に一致するような位置に上記中間保持部(126)を形状嵌合でロックするように適合された上記カソード保持システム(112)の外側保持部(130)と接合するように適合された第3の機械的インタフェース(128)を更に備える項目14に記載のカソード保持システム(112)。
(項目16)
上記外側保持部が上記外側保持部の上記中心軸と角度をつけた方向において、無段式で調整できるように、上記外側保持部(130)を上記カソード保持システム(112)のカソード組立体保持部(134)と接合するように適合された第4の機械的インタフェース(132)を更に備えるカソード保持システム(112)であって、上記カソード組立体保持部(134)が、カソード保持システム部材(120、126、130)の組立体を保持するように適合される、項目15に記載のカソード保持システム(112)。
(項目17)
上記カソード保持システム(112)の1または複数のカソード保持システム部材(120、126、130)のセレクションが、各カソード保持システム部材(120、126、130)が、組み立てられると、他のカソード保持システム部材(120、126、130)に対する位置関係を保つ予め定められた位置を獲得するようなひと続きで形状嵌合するように適合される、項目11~16のいずれか1項に記載のカソード保持システム(112)。
(項目18)
上記電子放出部(312)の上記背面(316)が、電子放出を防止する材料で覆われる、項目11~17のいずれか1項に記載のカソード保持システム(112)。
(項目19)
キャリア(300)に取り付けられた電子放出部(312)を備える電子源部分(114)であって、上記電子放出部(312)が、背面(316)上で加熱されると、放出面(314)から熱電子放出を介して電子を放出することが可能であり、上記放出面(314)と上記背面(316)との間に、上記放出面(314)に対して実質的に垂直である、側面(315)を有し、上記キャリア(300)が、放出部保持部(120)と機械的に接合するために適合された機械的インタフェース(310)において断熱部を有し、上記電子放出部(312)が、上記キャリア(300)が、上記放出面(314)に隣接する上記電子放出部(312)の上記側面(315)を覆うように上記キャリア(300)に取り付けられる、電子源部分(114)。
(項目20)
上記電子放出部(312)が、上記電子放出部(312)の上記放出面(314)が、上記放出面(314)に隣接する上記キャリア(300)の部品を実質的に越えて延在しないように、上記キャリア(300)に取り付けられた、項目19に記載の電子源部分(114)。
(項目21)
上記キャリア(300)の上記機械的インタフェース(310)が、1または複数の接合点で、上記キャリア(300)と上記放出部保持部(120)との間の接触の表面積を最小化する形状を有する、項目19または20に記載の電子源部分(114)。
(項目22)
より軟らかい隣接する中間キャリア部品(304)と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合された電子放出部(312)を備え、
上記中間キャリア部品(304)が、より硬い外側キャリア部品(306)と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合され、
上記外側キャリア部品(306)が、その周辺縁部上に、上記キャリア(300)の上記機械的インタフェース(310)を有する、
項目19~21のいずれか1項に記載の電子源部分(114)。
(項目23)
上記電子放出部(312)の材料が、六ホウ化ランタンである、項目19~22のいずれか1項に記載の電子源部分(114)。
(項目24)
上記中間キャリア部品(304)が、タンタルまたはタンタルの派生物を備える、項目22に記載の電子源部分(114)。
(項目25)
上記外側キャリア部品(306)が、モリブデンまたはモリブデンの派生物を備える、項目22に記載の電子源部分(114)。
(項目26)
円筒形状電子放出部(312)と、
上記円筒形状電子放出部(312)と形状嵌合された中心凹部(302)を有するリング形状である中間キャリア部品(304)と、
上記中間キャリア部品(304)と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合するように適合された中心凹部(302)を有するリング形状であり、その周辺縁部上に、上記キャリアの上記機械的インタフェース(310)を有する外側キャリア部品(306)と
を備える電子源部分(114)であって、
上記中間キャリア部品(304)および上記外側キャリア部品(306)がそれぞれ、ともに嵌合されたとき、上記電子放出部(312)の上記放出面と同一平面上の面を有する、
項目19~25のいずれか1項に記載の電子源部分(114)。
(項目27)
上記電子放出部(312)の上記背面(316)が、電子放出を防止する材料で覆われる、項目19~26のいずれか1項に記載の電子源部分(114)。
(項目28)
背面(316)上で加熱されると、放出面(314)から熱電子放出を介して電子を放出することが可能であり、上記放出面(314)と上記背面(316)との間に、上記放出面(314)に対して実質的に垂直である、側面(315)を備える、電子放出部(312)のためのキャリア(300)であって、上記キャリア(300)が、
上記キャリア(300)が、上記放出面(314)に隣接する上記電子放出部(312)の上記側面(315)を覆うように、上記電子放出部(312)を受け入れるように適合された中心凹部(302)と、
上記キャリア(300)を保持するように適合された保持部(120)と機械的に接合するように適合された機械的インタフェース(310)において断熱部と
を備える、キャリア(300)。
(項目29)
上記中心凹部(302)が、上記電子放出部(312)の上記放出面(314)が、上記放出面(314)に隣接する上記キャリア(300)の部品を実質的に越えて延在しないように、上記電子放出部(312)を受け入れるように適合された、項目28に記載のキャリア(300)。
(項目30)
上記機械的インタフェース(310)が、上記キャリア(300)を安定位置に保つための十分な機械的支持を提供しながら、上記保持部(120)に対する最小限の接触面を有するように適合された幾何学形状を有する、項目28または29に記載のキャリア(300)。
(項目31)
上記機械的インタフェース(310)が、上記保持部(120)の対応する機械的インタフェースと形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合するために適合される、項目28~30のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目32)
上記機械的インタフェース(310)は、上記保持部(120)との接合のために適合された1または複数の接触点で、尖った形状または縁部がある形状を有する、項目28~31のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目33)
上記キャリア(300)の上記機械的インタフェース(310)を形成するテーパ状の周囲フランジを有するリングを備える項目28~32のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目34)
上記中心凹部(302)を有する中間キャリア部品(304)と、
上記中間キャリア部品(304)に隣接し、その周辺縁部上に、上記キャリア(300)の上記機械的インタフェース(310)を有する外側キャリア部品(306)と
を備える項目28~33のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目35)
上記中間キャリア部品(304)が、上記中心凹部(302)における受け入れを意図する上記電子放出部(312)の材料よりも低い硬度を有する、上記中心凹部(302)に面する材料を備える、項目34に記載のキャリア(300)。
(項目36)
上記中間キャリア部品(304)が、上記外側キャリア部品(306)の材料よりも低い硬度を有する、上記中間キャリア部品(304)の周辺に面する材料を備える、項目34または35に記載のキャリア(300)。
(項目37)
上記中間キャリア部品(304)が、タンタルまたはタンタルの派生物を備える、項目34~36のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目38)
上記外側キャリア部品(306)が、上記中間キャリア部品(304)よりも高い硬度を有する、上記キャリア(300)の上記機械的インタフェース(310)での材料を備える、項目34~37のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目39)
上記外側キャリア部品(306)が、上記キャリア(300)を保持するように意図する上記保持部(120)よりも高い硬度を有する、上記キャリアの上記機械的インタフェース(310)での材料を備える、項目34~38のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目40)
上記外側キャリア部品(306)が、モリブデンまたはモリブデンの派生物を備える、項目34~39のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目41)
円筒形状電子放出部(312)を受け入れ、上記円筒形状電子放出部(312)と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合するように適合された中心凹部(302)を有するリング形状である中間キャリア部品(304)と、
上記中間キャリア部品(304)を受け入れ、上記中間キャリア部品(304)と形状嵌合、プレス嵌め、または変形嵌合するように適合された中心凹部(302)を有するリング形状であり、その周辺縁部上に、上記キャリアの上記機械的インタフェース(310)を有する上記外側キャリア部品(306)と
を備えるキャリア(300)であって、
上記部品が、上記中間キャリア部品(304)および上記外側キャリア部品(306)がそれぞれ、上記キャリア(300)と嵌合したとき、上記電子放出部(312)の上記放出面(314)と同一平面上の面を有するように適合されている部品である、
項目29に従属する項目34~40のいずれか1項に記載のキャリア(300)。
(項目42)
背面(316)上で加熱されると、放出面(314)から熱電子放出を介して電子を放出することが可能であり、上記放出面(314)に対して実質的に垂直である、側面(315)を備える、電子放出部(312)のためのキャリア(300)であって、上記キャリアが、
上記キャリア(300)が、上記放出面(314)に隣接する上記電子放出部(312)の上記側面(315)を覆うように、上記電子放出部(312)を受け入れるように適合された中心凹部(302)と、
上記中心凹部(302)を画定し、上記中心凹部(302)の中に上記電子放出部(312)を取り付けるように適合された、より軟らかい金属の中間キャリア部品(304)と、
上記中間キャリア部品(304)に隣接し、保持部(120)と機械的に接合するように適合された外側キャリア部品の機械的インタフェース(310)において断熱部を有する、より硬い金属の外側キャリア部品(306)と
を備えるキャリア(300)。
(項目43)
上記中心凹部(302)が、上記電子放出部(312)の上記放出面(314)が、上記放出面(314)に隣接する上記キャリア(300)の部品を実質的に越えて延在しないように、上記電子放出部(312)を受け入れるように適合された、項目42に記載のキャリア(300)。
【符号の説明】
【0079】
100 金属3Dプリンタ
102 電子ビーム
106 カソード構成体
108 粉末床
110 アノード構成体
111 アノードの電子チャンネル
112 カソード保持システム部材のカソード保持システム
114 電子源部分
119 放出部保持包絡面
120 放出部保持部
121 放出部保持チャンネル
122 第2の断熱部
124 第2の機械的インタフェース
125 中間保持カラー
126 中間保持部
127 中間保持チャンネル
128 第3の機械的インタフェース
130 外側保持部
132 第4の機械的インタフェース
134 カソード組立体保持部
135 カソード組立体保持部の組立体保持フランジ
136 カソード組立体保持部のフランジ上のロックねじのための穴
138 中間保持部のフランジ上のロックねじのための穴
140 中間保持部の第2の機械的インタフェースのロックねじ
142 外側保持部の環形
144 中間保持部のテーパ状の周面
145 周辺フランジ
146 外側保持部の真っ直ぐな環状面
148 中間保持部の真っ直ぐな周囲面
150 エネルギー線生成部
152 エネルギー線
153 真空チャンバのシャシー
154 真空チャンバ
156 周辺フランジの当接面
158 周辺フランジのテーパ状の周辺面
300 電子放出部のためのキャリア、放出部キャリア
302 キャリアの中心凹部
304 キャリアの中間部品、好ましくは軟質金属
306 キャリアの外側部分、好ましくは硬質金属
310 第1の機械的インタフェース、キャリアの外側部分の機械的インタフェース
312 電子放出部
314 放出部の放出面
315 放出部の側面
316 放出部の背面
【国際調査報告】