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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】スロットル代替装置
(51)【国際特許分類】
   F02B 33/06 20060101AFI20221114BHJP
   F02B 33/44 20060101ALI20221114BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
F02B33/06
F02B33/44 J
F02M35/10 301F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507684
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020053160
(87)【国際公開番号】W WO2021067201
(87)【国際公開日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】16/589,772
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516268323
【氏名又は名称】クリスタニ フィリップ
【氏名又は名称原語表記】KRISTANI, Filip
【住所又は居所原語表記】525 Spring Valley Road, Unit #C Maywood, NJ 07607 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】クリスタニ フィリップ
【テーマコード(参考)】
3G005
【Fターム(参考)】
3G005EA01
3G005GA02
3G005GB15
3G005GB17
3G005GB19
3G005GD11
3G005JA02
3G005JA05
3G005JA41
3G005JA53
(57)【要約】
【課題】スロットル機能を代替して内燃機関のエネルギーロスを減らすことができる装置を提案する。
【解決手段】
内燃機関に取り付けることができる圧縮機型装置は、所定の時間におけるエンジンの要求される負荷に基づいて、そのシリンダを通って内燃機関に到達する空気量を制御する装置であり、このようにしてスロットル装置の機能を置き換える装置である。このようにして、スロットル装置なしの内燃機関を創造する。この圧縮機型装置はさまざまな方法で構築でき、クランクシャフト、ギアボックス、又はその他の手段を介してエンジンに直接取り付けられた1つ又は複数のユニットとして機能できる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの要求される負荷に基づいて内燃機関に吸入される空気量を制御し、それにより前記内燃機関におけるスロットル装置に取って代わる圧縮機型装置であって、
前記圧縮機型装置は、1つ以上の圧縮機シリンダ(2)であって、前記圧縮機シリンダのそれぞれはシリンダ容積(17)、トップカバー(18)及び上死点(TDC)、底孔(19)及び下死点(BDC)を有し、
前記圧縮機シリンダはいずれもピン(20)により連結棒(4)を介してクランクシャフト(5)に機械的に連結された軸方向に往復するピストン(3)を備えており、それぞれの前記圧縮機シリンダが前記内燃機関に直接又はギヤボックス(15)を介してエンジンクランクシャフト(16)に接続されるよう構成され、
そこでそれぞれの前記圧縮機シリンダは、前記ピストンが前記圧縮機シリンダの前記クランクシャフトの回転角度位置の前記上死点(TDC)から前記下死点(BDC)に向かって軸方向に移動する間に吸気プロセスを実行し、
前記内燃機関がそれに比例して最大出力を生成するのに必要な量の吸入空気を引き込み、
そこで前記吸気プロセスの後にパージプロセスが続き、そのパージプロセスの間に、前記ピストンが前記下死点(BDC)から前記上死点(TDC)に向かって上方に移動し、前記ピストンが前記上死点(TDC)に向かって軸方向に移動するときに吸入された空気の余剰分を前記圧縮機シリンダーからパージ又は排出し、
そして前記パージプロセスの後に前記ピストンが前記上死点(TDC)に近づくにつれて排気プロセスが続き、前記排気プロセスの間に、前記圧縮機シリンダー内の前記吸入された空気のその時点でのエンジンの要求される負荷に基づいた残りが前記内燃機関に送られる
圧縮機型装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機型装置であって、さらに1つ以上の吸気バルブ、1つ以上のパージバルブ、及び1つ以上の排気バルブを備え、前記吸気バルブ(8)が前記吸気プロセスを制御し、前記パージバルブ(10)が前記パージプロセスを制御し、そして前記排気バルブ(9)が前記排気プロセスを制御するように構成されている圧縮機型装置。
【請求項3】
請求項1に記載の圧縮機型装置であって、さらに1つ以上の前記吸気バルブ(8)と1つ以上の前記排気バルブ(9)とを備え、前記吸気バルブ(8)が前記吸気プロセスを制御し、前記排気バルブ(9)が前記排気プロセスを制御するように構成されている圧縮機型装置。
【請求項4】
請求項1に記載の圧縮機型装置であって、前記内燃機関のスロットル機能に取って代わる目的で、前記吸気プロセスにおいて、前記圧縮機シリンダ(2)内の空気量を制御する圧縮機型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は同出願人の国際出願PCT/US2020/053160からの国内処理への移行である。
【0002】
この出願は、優先日である2019年10月1日に出願された米国特許出願第16589772号の出願日の利益を主張している。
【0003】
本発明は、内燃機関の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
内燃機関の効率は、運転中の熱エネルギー損失のために大部分が制限される。その効率は、スロットル装置のような特定の装置を使用してエンジンを部分負荷の条件で運転するとき、さらに低下する。
【0005】
スロットルは、知られているように、要求される負荷に基づいて内燃機関の空気量(吸気量)を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スロットル装置は、その使用によって生じるポンピング及び熱損失のために内燃機関の効率をさらに低下させることがあり、その使用によって約0%~14%以上の損失が生じることがある。ほとんどの場合、エンジンはこのような部分負荷の条件で動作するため、スロットルでのエネルギーロスはほとんど常に8%から14%存在する。負荷が低いほど、ポンピングロスが大きくなる。
【0007】
本発明は、内燃機関におけるスロットル機能を代替し、それによりエネルギーのロスを減らすことができる装置を提案する。提案する装置は、内燃機関に追加できる特定の独自の圧縮機型装置(以下単に圧縮機と呼ぶ)である(図1を参照)。
【課題を解決するための手段】
【0008】
圧縮機は、さまざまな方法で動作するように構築でき、単一の圧縮機又は複数の圧縮機として構築できる。圧縮機は、その動作がシリンダを通って内燃機関に流れる空気の流量を制御するように機能し、この方法でスロットル装置の機能に取って代わる。
【0009】
圧縮機が空気量を制御する方法の1つを図1に示す。図1は、吸入された空気の一部を再び排気することで空気量を制御する圧縮機ユニットを示し、このプロセスは、吸気バルブ、排気バルブ、及び余剰空気のパージバルブを特定の方法で操作することで達成される。
【0010】
もう一つの方法は、図6に示す圧縮機で、この圧縮機は、吸気バルブと排気バルブを異なる方法で操作することで、吸気プロセス中に圧縮機内の空気流量を制限するものである。
【0011】
ここで述べた目的のために、圧縮機が空気の流量を制御する他の方法も考えられる。
【0012】
圧縮機のバルブは、電子的、機械的、空気圧的、圧力差、又はその他の手段で操作できる。
【0013】
図1図2図3図4図5図6には、説明のために単体圧縮機のみを示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a図1aと図1bを含む図1は、内燃機関のスロットル装置に代わる圧縮機ユニットを示す図である。それは3つのバルブを含む圧縮機の主要要素を示している。圧縮機は、エンジンのクランクシャフトに直接取り付けられたクランクシャフト又はギアボックスを介して内燃機関に接続できる。図1aはまた、圧縮機の3つのバルブすべての動作におけるクランクシャフトの回転角の部分を示している。
図1b図1aと図1bを含む図1は、内燃機関のスロットル装置に代わる圧縮機ユニットを示す図である。それは3つのバルブを含む圧縮機の主要要素を示している。圧縮機は、エンジンのクランクシャフトに直接取り付けられたクランクシャフト又はギアボックスを介して内燃機関に接続できる。図1aはまた、圧縮機の3つのバルブすべての動作におけるクランクシャフトの回転角の部分を示している。
図2a図2aと図2bを含む図2は、吸気バルブ8のみの動作を示している。吸気バルブ8は、圧縮機の設計、気体温度、慣性に応じて、約0°で開き、180°を過ぎて約190°又はそれ以上で閉じて作動する。
図2b図2aと図2bを含む図2は、吸気バルブ8のみの動作を示している。吸気バルブ8は、圧縮機の設計、気体温度、慣性に応じて、約0°で開き、180°を過ぎて約190°又はそれ以上で閉じて作動する。
図3a図3(図3a、図3b)は、約180°で開き、エンジン負荷に応じて180°~320°で閉じる余剰空気のパージバルブ10のみの動作を示している。
図3b図3(図3a、図3b)は、約180°で開き、エンジン負荷に応じて180°~320°で閉じる余剰空気のパージバルブ10のみの動作を示している。
図4a図4図4aと図4b)は、180°よりかなり早く開き、エンジン負荷に応じて180°から320°の間で閉じる余剰空気のパージバルブ10の代替ケースを示している。
図4b図4図4aと図4b)は、180°よりかなり早く開き、エンジン負荷に応じて180°から320°の間で閉じる余剰空気のパージバルブ10の代替ケースを示している。
図5a図5図5a、図5b)は、エンジン負荷に応じて180°~320°で開き、約360°で閉じる空気の排気バルブ9のみの動作を示している。
図5b図5図5a、図5b)は、エンジン負荷に応じて180°~320°で開き、約360°で閉じる空気の排気バルブ9のみの動作を示している。
図6a図6図6a、図6b)は、クランクシャフトの回転角度で0°で開き、40°~320°で閉じるよう吸気バルブ8の動作を操作して、空気量を制御する圧縮機を示している。
図6b図6図6a、図6b)は、クランクシャフトの回転角度で0°で開き、40°~320°で閉じるよう吸気バルブ8の動作を操作して、空気量を制御する圧縮機を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1(図1aと図1b)に示すように、スロットルに代わる圧縮機は内燃機関13に取り付けられ、次のもので構成されている。シリンダ2、ピン20付きピストン3、連結棒4、エンジンクランクシャフトに直接又はギアボックス(図示せず)を介して接続可能なクランクシャフト5、トップカバー、吸気パイプ又はマニホールド7、余剰空気のパージパイプ又はマニホールド11、排気パイプ又はマニホールド6、及び3つの特定のバルブ。圧縮機を作動させるバルブは次のとおりである、「吸気バルブ8」、「パージバルブ10」(余剰空気の除去バルブ)、及び「排気バルブ9」。各タイプのバルブは、単数でも複数でもかまわない。
【0016】
圧縮機のこれら3種類のバルブは、以下に説明する方法で機能する。
【0017】
吸気バルブ8は、ピストン3がクランクシャフトの角回転位置の約A°又はTDC(上死点)にあるときに開き、図2図2a及び図2b)を参照、ピストンが下死点(BDC、180°)に向かって下向きに移動し、ほぼBDC又は必要に応じて最大吸引を可能にするBDC付近、約190°(B°)又はその前後で閉じるが、この角度は、圧縮機の設計で、圧縮機のクランクシャフト5の回転角度、及びエンジンが吸気又は吸引プロセスでフルパワーを生成するときに使用できる可能な全空気量によって異なる。
【0018】
この時点で、吸気バルブ8は圧縮機内で通常の圧縮機と同様に閉じられ、エンジンの負荷運転によって、その時点でエンジンが必要とする圧縮機シリンダ内に閉じ込めらる空気量が決定され、残りの2つのバルブ(余剰空気のパージバルブ10と排気バルブ9)の動作が決まる。
【0019】
エンジンが部分負荷で運転する必要があり、エンジンの運転に必要な空気の一部だけが必要な場合は、図3図3a及び図3b)のパージバルブ10が開くプロセスは、圧縮機のクランクシャフト5の回転角のおよそ180°(C°)又はほぼBDC付近で発生し、吸気バルブ8は上記のようにB°又はその近傍で閉じるところである、図2(図2a)を参照。
【0020】
ちょうどBDCを過ぎた時に排気バルブ9は閉じたままである、図5図5a)を参照。その時点で排気バルブ9が閉じており、吸気バルブ8がその直後に閉じるところであり、又は閉じようとするので、空気は余剰空気のパージバルブ10から排出される、図3b、図3a参照。、
【0021】
ピストンがBDCからTDCに上方に移動する間には余剰空気のパージバルブ10が開いたままである。余剰空気のパージバルブ10から排出された空気は、大気中に排気したり、エンジンエアフィルタハウジング(図示せず)に戻して引き続く圧縮機の吸気(吸引)プロセスを行うことができる。
【0022】
図3のバルブ角動作図14に示すように(図3a、図3b)、余剰空気のパージバルブ10は圧縮機クランクシャフト5の回転角C°又はBDC近傍の間で操作(開放)される。上記のようにバルブが開き、ピストンが上に移動するときにD°で閉じるが、その圧縮機クランクシャフト5の回転角の位置は、約BDC、又は約180°にあるC°/ DMin°、とDMax°(これは約270°以上、TDC/360°未満になる)の間の位置にある。
【0023】
余剰空気のパージバルブ10がD°=C°/DMin°で開いた直後に閉じると、空気が全くパージされないことを意味し、エンジンは最大出力で動作する。余剰空気のパージバルブ10がD°=DMax°(約270°以上360°未満)で閉じると、吸気プロセス中に吸入された大部分の空気は余剰空気のパージマニホールド11によって再び排出され、圧縮機シリンダーに残ったいくらかの空気だけがエンジンで消費されるためにエンジンは最小出力で動作する。
【0024】
別の設計では、余剰空気のパージバルブ10はC°で動作する(開く)が、C°が180°よりはるかに小さく、TDC又は0°と180°の間にあり、図4図4a)を参照、そして上記に述べたように閉じる。
【0025】
最後のバルブである排気バルブ9、図5図5a及び図5b)の動作は、余剰空気のパージバルブ10の動作の後に続く、図3図3a、図3b)と図5図5a、図5b)を参照。排気バルブ9は、余剰空気のパージバルブ10を閉じるとすぐに開き、360°/0°(F°又はTDC)付近で閉じ、圧縮機シリンダー内の残りの排気マニホールド6を通過させ、内燃機関13に吸気管又はマニホールド12を介して燃焼プロセスのために供給する。
【0026】
つまり、排気バルブ9は、余剰空気のパージバルブ10が閉じるのに続き、すなわちほぼD°と同じ(D°~E°)点E°で作動して開く、その範囲は約BDCの近く又は約180°(EMax°)と(EMin°)の間にある。そしてピストンがTDCにあるとき、すなわちクランクシャフトの回転角度が360°/0°(F°又はTDC)で閉じられる、図5(図5a)を参照。
【0027】
上で説明したように、E°=EMax°(約180°)又はBDC付近で、余剰空気のパージバルブ10が閉じられたほぼ同じ時及び位置で排気バルブ9が開くと、これは最大エンジン出力に相当する。この場合、余剰空気のパージバルブ10を介して空気が大気中に排気されたり、エアフィルタハウジングに戻されたりすることはなく、吸入された空気全体が排気バルブ9と排気エアマニホールド6を通過しエンジンの吸気パイプ又はマニホールド12を通ってエンジン13に至る。
【0028】
E°=EMin°(約270°~360°)又はその周辺で排気バルブ9が開くことは、余剰空気のパージバルブ10がほぼ同じ時間と位置で閉じたことに続き、これは最小エンジン出力(又はエンジンのアイドリング)に対応し、それは大部分の空気が大気中に排気されるか、余剰空気のパージバルブ10を介してエアフィルタハウジングに戻されるためである。
【0029】
余剰空気のパージバルブ10を閉じ、排気バルブ9を開くことを、圧縮機のクランクシャフトの回転角度でBDC/180°以上でそしてF°とほぼ等しいか未満とする圧縮機運転の他のケースは、部分負荷エンジン運転に対応する。
【0030】
バルブ操作のEMin°、EMax°、DMin°、DMax°の回転角の値は、エンジンの設計特性、エンジンのアイドル動力要件、及びその他の要因によって異なることに注意されたい。
【0031】
図6図6a、図6b)は、スロットル装置と代替可能な別タイプの圧縮機を示している。バルブ動作図14は、圧縮機の吸気バルブ8が約A°(0°)又はTDCで開き、B°で閉じるが、その位置は約BMin°(約BDC、0°以上BDCまで)とBMax°(約270°より大きいが360°又はTDC以下)、の間にあり、圧縮機内の空気量をこのように制限することを示している。
【0032】
排気バルブ9の動作、特に圧縮機のクランクシャフトの回転角度に関してそれが開く部位は、圧縮機の吸気空気圧(大気圧かも知れずそうでないかもしれない)、圧縮機シリンダー内の空気圧、排気マニホールド6内の空気圧(エンジンが部分負荷運転時のその圧力は大気圧よりも低いかもしれない)、及びバルブの制御方法の関数であり、しかしそれは約360°又はTDCで閉じる。
【0033】
圧縮機バルブの開閉角度は概算であり、エンジンの設計と要件によって変わることがある。
【0034】
本発明の好ましい実施形態は、例示の目的で開示されているが、当業者は、付随する特許請求の範囲で定義される本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの追加、修正及び置換が可能であることを理解するであろう。
【0035】
上死点(TDC)という用語は、ピストンのシリンダーヘッドに最も近い位置を意味し、下死点(BDC)という用語は、ピストンのシリンダーヘッドから最も遠い位置を意味する。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
【図
【図
【図
【図
【図
【図
【国際調査報告】