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特表2022-548503複数マシン協働農業の方法およびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】複数マシン協働農業の方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
G06F9/50 150A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512858
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 US2020050464
(87)【国際公開番号】W WO2021055248
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/902,452
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/015,109
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505315742
【氏名又は名称】トプコン ポジショニング システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】ディミトレ マルコフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ボアール
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン タルゲット
(72)【発明者】
【氏名】リンドン ホエイト
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ステファノフ
(57)【要約】
タスクを実行するマシンの連携方法は、地理的エリアに配置された複数の農業マシン間で複数の通信チャネルを確立することを含む。複数のマシン各々の能力、および場合によっては位置に関するデータを受信し、複数のマシンを用いてタスクを完了させる協働計画を決定する。前記協働計画の少なくとも一部は、前記複数のマシンの各々に送信される。協働計画は、複数のマシン各々の位置および能力に基づいてもよい。前記協働計画は、前記複数のマシンの各々について複数の作業を決定することを含んでいてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地理的エリアに配置された複数のマシン間で複数の通信チャネルを確立することと、
前記複数のマシン各々の能力に関するデータを受信することと、
受信した前記データに基づいて前記複数のマシンを用いてタスクを完了させるための協働計画を決定することと、
前記協働計画の少なくとも一部を、前記複数の通信チャネルを介して前記複数のマシンの各々に送信することとを含む、
方法。
【請求項2】
受信した前記データは、前記複数のマシン各々の位置に関するデータを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記協働計画を決定することは、前記複数のマシン各々の位置および前記複数のマシン各々の能力に基づく、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記協働計画を決定することは、さらに
前記複数のマシンの各々について複数の作業を決定することを含む、
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の作業を決定することは、
前記複数のマシンの各々について経路を決定することと、
前記複数のマシンが各々の前記経路を横断する速度を決定することと、
前記複数のマシン各々の器具の作業を決定することとを含む、
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のマシンの各々について経路を決定することは、前記複数のマシンが各々の作業を開始するための開始時間および開始位置を決定することを含む、
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のマシンの各々について経路を決定することは、前記複数のマシンが各々の前記経路を完了するのにかかる期間を決定することを含む、
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の通信チャネルを確立することは、
互いに通信を行えない二つのデバイスを判定することと、
前記二つのデバイス各々の範囲内にある第三のデバイスを用いて、前記二つのデバイス間で通信チャネルを確立することとを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
受信した前記データはさらに、
前記複数のマシン各々の機能的能力および物理的態様に関するデータと、
前記複数のマシンの各々が利用可能な物理的有形資材の量、質、および/または種類に関するデータとを含む、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
プロセッサと、
コンピュータプログラム指示を記憶するメモリとを備え、
前記コンピュータプログラム指示は、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
地理的エリアに配置された複数のマシン間で複数の通信チャネルを確立することと、
前記複数のマシン各々の能力に関するデータを受信することと、
受信した前記データに基づいて前記複数のマシンを用いてタスクを完了させるための協働計画を決定することと、
前記協働計画の少なくとも一部を、前記複数の通信チャネルを介して前記複数のマシンの各々に送信することとを含む動作を行わせる、
ことを特徴とする、装置。
【請求項11】
受信した前記データは、複数のマシン各々の位置に関するデータを含む、
ことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記協働計画を決定することは、前記複数のマシン各々の位置および前記複数のマシン各々の能力に基づく、
ことを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記協働計画を決定することはさらに、前記複数のマシンの各々について複数の作業を決定することを含む、
ことを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の作業を決定することはさらに
前記複数のマシンの各々について経路を決定することと、
前記複数のマシンが各々の前記経路を横断する速度を決定することと、
前記複数のマシン各々の器具の作業を決定することとを含む、
ことを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複数のマシンの各々について経路を決定することは、前記複数のマシンが各々の作業を開始するための開始時間および開始位置を決定することを含む、
ことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記複数のマシンの各々について経路を決定することは、前記複数のマシンが各々の前記経路を完了するのにかかる期間を決定することを含む、
ことを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
コンピュータプログラム指示を記憶するコンピュータ読み取り可能媒体であって、
前記コンピュータプログラム指示は、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
地理的エリアに配置された複数のマシン間で複数の通信チャネルを確立することと、
前記複数のマシン各々の能力に関するデータを受信することと、
受信した前記データに基づいて前記複数のマシンを用いてタスクを完了させるための協働計画を決定することと、
前記協働計画の少なくとも一部を、前記複数の通信チャネルを介して前記複数のマシンの各々に送信することとを含む動作を行わせる、
ことを特徴とする、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項18】
受信された前記データは、複数のマシン各々の位置に関するデータを含む、
ことを特徴とする、請求項17に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項19】
前記協働計画を決定することは、前記複数のマシン各々の位置および前記複数のマシン各々の能力に基づく、
ことを特徴とする、請求項18に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項20】
前記協働計画を決定することはさらに、前記複数のマシンの各々について複数の作業を決定することを含む、
ことを特徴とする、請求項19に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年9月19日に出願された米国仮出願第62/902452号および2020年9月9日に出願された米国特許出願第17/015109号に基づく利益を主張するものであり、両開示の内容全体をここに参照により援用する。
【0002】
本開示は、一般的に同一のタスクに従事する複数のマシンに関し、より具体的には複数マシン協働農業に関する。
【背景技術】
【0003】
農場、建築現場、およびその他の場所では一般的に一つ以上のタスクを実行する必要がある。このようなタスクには、例えば、穀物の収穫、あるエリアに対する個体または液体での処理、表面の円滑化がある。これらのタスクを完了するためには、各々特定の時間を要する。
【0004】
これらのタスクはマシンを用いて完了することが多い。単一のマシンを用いれば、手作業の方法と比較して迅速にタスクを完了することができる。複数のマシンを用いれば、単一のマシンがタスクを実行できるよりも速くタスクを完了することができる。
【0005】
複数のマシンを用いてタスクを完了することは一方で、時間および/またはリソースの無駄につながる。複数のマシンを用いると、一台以上のマシンが特定のエリアに対して処理を行うため処理が過剰に行われることがある。また複数のマシンを用いる場合、マシンの作業が重複することによって、タスクに予想よりも長い時間を要することがある。
【発明の概要】
【0006】
タスクを実行するマシンの連携方法は、地理的エリアに配置された複数のマシン間で複数の通信チャネルを確立することと、前記複数のマシン各々の能力、および場合によっては前記複数のマシン各々の位置に関するデータを受信し、前記複数のマシンを用いて前記タスクを完了させる協働計画を決定することとを含んでいる。前記協働計画の少なくとも一部は、前記複数のマシンの各々に送信される。前記協働計画は、前記複数のマシン各々の前記位置および前記能力に基づいてもよい。前記協働計画は、前記複数のマシンの各々について複数の作業を決定することを含んでいてもよい。前記作業には、経路、速度、およびマシンの器具の作業を含んでいてもよい。前記協働計画は、マシンによる作業の開始時間および終了時間、および/または、マシンが作業を行う期間を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、タスクを実行する単一のマシンを示す図である。
図2図2は、特定のタスクを完了させるために連携して作業する複数のマシンを示す図である。
図3図3は、圃場において作業する複数のマシンがどのように作業の重複を引き起こすかを示す図である。
図4図4は、一実施形態による農業の方法のフローチャートである。
図5図5は、信号範囲において他のデバイスと通信を行うデバイスを示す図である。
図6図6は、複数マシン協働農業(「MMCF」)ネットワークを形成するデバイス間での接続セットを示す図である。
図7図7は、マルチ・ホップ・ネットワークを介して他のデバイスに情報を送信するデバイスを示す図である。
図8図8は、デバイスが利用不可となったことに対して修復されたネットワークを示す図である。
図9図9は、分離するネットワークであって、互いに近接するか、クラウド・ベースのブリッジ・ノードを用いて接続可能なネットワークを示す図である。
図10図10は、抽象化によって通信を行うMMCFソフトウェアを示す図である。
図11図11は、MMCFデバイスに記憶される情報の種類を示す図である。
図12図12は、本明細書に記載される各種マシンおよびデバイスを実施するためのコンピュータを示す上位構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、圃場100においてタスクを実行する農業マシン102を示す図である。本例において、タスクとは液体肥料の散布である。マシン102は、経路104を通って圃場100の一端から矢印106によって示される第一の方向に反対側の端へ走行し、その後転回して矢印108によって示される反対方向に走行する。マシン102は、矢印110、112に示されるように経路104を通って横断を継続する。図1に示すマシンは、経路104の一部を走行済みであり、走行済みの経路は実線で示されており、経路の未走行部分は点線で示されている。
【0009】
タスクは、液体または個体物質の散布(例えば、肥料や農薬)、収穫、植え付け等のアクティビティの一つ以上を含むことができる。図1に示すように、単一のマシン102のみがタスクを実行しているため、タスクの完了には一定の時間を要する。単一のマシンがタスクを完了するために要する時間は、例えば、作業対象の圃場の大きさ、マシンの速度、マシンの転回に要する時間、実行するタスクの具体的な内容等に基づく。
【0010】
複数マシン協働農業(「MMCF」)は、複数のマシンが連携して作業することにより、特定のタスクを単一のマシンで完了させるよりも速く完了させる方法である。本明細書に記載する実施形態の多くが農業に関するが、記載する方法や手法は建築および/または表面改質に関するタスクにも応用できる。図2は、圃場100において、連携してタスクを実行するマシン200、202、204および206を示している。図2において実行されるタスクは、例えば、肥料の散布であってもよい。図2において、図示される各マシン200、202、204および206は、矢印201、203、205および207で示されるように同一方向に走行している。図2に示されるように複数のマシンを用いることによって、単一のマシンで圃場100に肥料を散布するのに要する時間よりも遥かに短い時間で、圃場100への肥料の散布ができる。複数のマシンが連携して圃場を走行することによって、一回の通過で大部分に対してタスクを完了することができる。しかし、複数のマシンを用いるには、マシン間での連携が必要となる。例えば、図2に示すように、マシン200、202、204および206は、前後左右に間隔を開けて同一方向に連携して走行する。マシン200、202、204および206各々の速度および方向を制御して、間隔を維持する。作業の重複および/または種子や製品の過剰な散布等の望ましくない作業を防止し、タスクを効率的に完了するには連携が必要となる。
【0011】
図3は、圃場100で作業を行う液体散布マシン300および302を示している。マシン300は、矢印301によって示される方向に移動しており、エリア304に液体肥料を散布している様子が示されている。マシン302は、矢印303によって示される方向に移動しており、エリア306に液体肥料を散布している様子が示されている。マシン300および302の経路はエリア308において重複している。エリア308にはマシン300および302の両方が液体肥料を散布するので、マシン300および302の作業を連携させなければ、エリア308には二倍の量の液体肥料が散布されることになる。このような望ましくない結果を防止するために、一実施形態では、複数マシン協働農業の方法を用いて、タスクを実行する複数のマシンの作業を連携させる。
【0012】
マシン間の連携には、当該マシン間での通信が必要となる。マシンの移動性を考慮して、マシン間の通信は無線である。一実施形態において、各マシンが各々のデバイスを介して、当該デバイスの無線トランシーバの範囲内の他のマシンのデバイスと通信を行うことで、マシン間の通信が容易となる。複数のマシンがタスク(例えば、農業、建築、表面改質等)を完了するための協働計画は、複数のマシンのうちの一台に配置されたデバイスによって決定することができる。協働計画はまた、複数のマシンに関連するデバイスのうちの一台または二台のデバイスで決定することもできる(例えば、分散コンピューティング)。あるいは、協働計画を、複数のマシンの各々から離れた場所のコンピューティングデバイスによって決定することもできる。例えば、複数のマシンの一台以上と無線通信可能なコンピュータによって協働計画を決定することができる。図4は、MMCFの方法400のフローチャートを示している。ステップ402では、地理的エリアに配置された複数のマシン間で複数の通信チャネルが確立される。農業マシンや建築マシン等のマシンは一般的に、かなり離れて通信を行うことが困難であり、また障害物を通して送信することができない。
【0013】
図5は、農業マシンに関連付けられ、トランシーバを含むデバイス502を示している。デバイス502は、デバイス502が他のデバイスのうちの一つと、デバイス502と当該他のデバイスとの間の複数の通信チャネルの一つを介して、通信可能な最長距離である信号範囲520を有している。一実施形態において、デバイス502の信号範囲は固定である(例えば、デバイス502は約3キロメートルの範囲で通信可能)。図5において、デバイス502は、デバイス502の信号範囲520内の各デバイス504、506、508、510および512と通信チャネルを確立させている。デバイス514、516および518は、信号範囲520の外に位置しており、デバイス502がこれら各デバイスと通信チャネルを確立できない。一実施形態において、デバイス502は、クラウド500とも通信可能であり、クラウド500は、一実施形態においてデバイス502から離れた場所の一台以上のコンピュータからなる。一実施形態では、互いに通信可能なデバイスすべてが配置されているエリアのことを地理的エリアと称する。一実施形態において、特定のデバイスの範囲は、当該特定のデバイスから離れて位置する複数の別のデバイスを用いることにより拡張することができる。
【0014】
図6は、グラフとも称されるMMCFネットワークを示している。グラフには、デバイス間の接続すべてのセットが含まれている。図6は、信号範囲520を有するデバイス502と信号範囲530を有するデバイス516とを示している。デバイス506、508および510は、デバイス502および516双方の信号範囲内に位置しており、デバイス502および516が各々の信号範囲外であるにも関わらず通信可能としている。デバイス502および516は互いの範囲(例えば、3キロメートル)内にはなく、したがって直接互いに通信を行うことはできない。しかしながら、デバイス502および516は、デバイス502および516両方の範囲内に位置するデバイス506、508および510の一つ以上を介して互いに情報を送信することによって通信を行うことができる。複数のデバイス間の通信チャネルによって、二つのデバイスが距離または物理的な障害によって直接通信ができないと判定された場合、当該二つのデバイスは第三のデバイスを介して通信を行うことができる。
【0015】
図4に戻り、ステップ404では、通信チャネルの確立後、エリア内の複数のマシンの各々に関するデータがMMCFネットワーク内の各デバイスによって受信される。つまり、各デバイスからデータが送信され、MMCFネットワーク内の各デバイスによって受信される。データには、マシンが実行できる作業(例えば、収穫、液体散布、個体散布、種子分配/植え付け等)等、マシンの機能的能力が含まれている。データにはまた、各マシンの物理的側面に関する情報、および/または、器具の幅、マシンの幅、マシンの速度、マシンの制限(例えば、地面の傾斜等)、マシンの位置、散布範囲、タスク・パラメータ等の詳細を含むことができる。データはまた、複数のマシンの各々が利用可能な物理的有形資材の量、質、および/または種類に関する情報を含むことができる。例えば、データはマシンに関連する燃料、穀物、農薬等に関するものであってもよい。データは各デバイスから送信され、MMCFネットワーク内の各デバイスによって受信される。
【0016】
図7は、デバイスがどのようにソース・デバイスに接続されるかを示している。ソース・デバイスは、現在、他のデバイスに送信を行っているデバイスである。したがって、MMCFネットワーク内の各デバイスがソース・デバイスとなり得る。一実施形態において、最も少ない数の他のデバイスを介してソース・デバイスに接続されている。ソース・デバイスへの接続に使用されるデバイスの数は、ホップ数として知られている。図7に示すように、ソース・デバイス502からデバイス504、506、508、510および512の各々に対するホップ数は1である。ソース・デバイス502からデバイス514および516へのホップ数は2である。これは、ソース・デバイス502からのデータをデバイス514で受信するには、データがデバイス506または508の一つを通らなければならず、ソース・デバイス502からのデータをデバイス516で受信するには、データがデバイス508または510の一つを通らなければならないからである。ソース・デバイス502からデバイス518へのホップ数は3である。これは、データをデバイス518で受信するには、データがデバイス506、508、510の一つを通り、さらにデバイス514または516の一つを通らなければならないからである。なお、MMCFネットワーク内の各デバイスがソース・デバイスとなり、他のデバイスへデータを送信可能である。MMCFネットワークは、ネットワーク維持のために、通信が停止したり、利用不可となるデバイスについて考慮する必要がある。
【0017】
図8は、デバイスが通信を停止したことに対してMMCFネットワークがどのように自身の修復を行うかを示している。デバイス508は、デバイス502、504、506、510、512、514、516および518等、他のデバイスと通信状態にあったが、図8においてXで示されるデバイス508は、他のデバイスとの通信を停止したことを表している。デバイス502、504および512は、デバイス508と、または、デバイス508を介して他のデバイスと通信ができなくなっている。デバイス502、504および512は、デバイス508の代わりにデバイス506および510を介して、デバイス514、516および518と通信が行える。デバイスが通信を開始または、再び動作可能となれば、当該デバイスが既存のMMCFネットワークに追加される。同様に、分離したネットワークを接続するデバイスが無い場合、複数の分離したMMCFネットワークが形成される。
【0018】
図9は、現状互いに接続できない二つの分離したMMCFネットワークを示している。デバイス502、504および512は、第一のネットワークを形成しており、当該第一のネットワークは、現状第二のネットワークを形成するデバイス514、516および518とは通信を行っていない。デバイス514、516または518のいずれかが他のデバイスとの通信を開始または再開すると、第一および第二の分離したネットワークが接続される。同様に、第一および第二の分離したネットワークのデバイスが、デバイス514、516または518のいずれからも離れすぎていて通信が行えない場合、これらデバイスのうちの少なくとも二つが互いの範囲内に入ることでネットワークが接続される。デバイスが通信を行える範囲は部分的に、デバイスが通信に利用するネットワークの種類に基づく。
【0019】
デバイス間のデータ伝送の帯域幅には制限がある。一実施形態において、帯域幅の要求を低減させるために、デバイス間通信に、サブスクリプション型とリクエスト受信型の両方が利用される。これは、予想される限られた帯域幅の値を最大化するために重要である。例えば、デバイスA、BおよびCについて検討する。デバイスAは、リソースX、YおよびZに対してデータ・ストリームを生成する。デバイスA、BおよびC間の通信チャネルは、データ・レートRで飽和する。リソースX、YおよびZに対するストリームのデータ・レートは、各々Rx、RyおよびRzで表され、Rx+Ry+Rz>Rである。この場合、デバイスAがすべてのリソースに対してデータ通信を行えない。サブスクリプション型では、デバイスBおよびCは、必要なリソースをデバイスAに登録することができる。BおよびCが、Xのみをサブスクライブする場合、Aは自動的にRx<Rを送信するだけでよい。このデータは最小限の遅延でBおよびCに到達する。BまたはCが、Yの現在の状態を必要とする一方、Yの状態に関して継続的に更新を必要としない場合、BまたはCはリクエスト受信型を用いて単発でリクエストを行うことができる。BまたはCは、Yについての新しい情報を、変更が発生した時点で受信していないため内在的な遅延があるものの、優先度または重要度が低いリソースの場合には適切であり、優先度がより高いリソースX用に帯域幅を利用可能に維持できる。
【0020】
上述のケースを、Rx+Ry<Rと想定して検討する。さらに、CがAの通信範囲になく、AおよびCの通信範囲内にあるデバイスBを介して通信を行わなければならないと想定する。CがリソースYを要求する場合、Aの通信範囲にないためAからサブスクリプションを要求することはできない。その代わりに、Bに対してサブスクリプションを要求する。この場合、BがAに対してYのサブスクリプションを要求しなければならない。
【0021】
図10は、複数マシン協働農業ネットワーク内のデバイスが、どのようにして異なるネットワークを介して通信を行うかを示している。一実施形態において、MMCFソフトウェア1002は、農業マシンに関連するデバイスによって実行される。MMCFソフトウェア1002は、ネットワーク・インタフェースに依存せず、カーネル・ネットワーク抽象化部1004によって、ネットワーク1012内に位置するイーサネット1006、WiFi1008、または4G/LTE1010のうちの一つ以上を介して通信を行う。カーネル・ネットワーク抽象化部1004は、別の種類のネットワーク・プロトコルを用いて通信を行うこともできる。例えば、一実施形態において、通常の通信チャネルを介してデバイス間の接続が確立できない場合、クラウド・ベースのブリッジ・ノードを用いて通信を行うことができる。ブリッジ・ノードは、デバイスのように作用するソフトウェアであって、このブリッジ・ノードを介して、互いの距離が原因で接続できないデバイスを接続可能にする。
【0022】
図4に戻り、ステップ406では、実行されるタスクが識別される。一実施形態において、ユーザは、実行するタスクをMMCFネットワーク内のデバイスのうちの一つにおいて識別する。例えば、ユーザはデバイスのうちの所望する一つのデバイスを用いて、収穫を行う特定の圃場を識別する。一実施形態において、完了可能なタスク候補が判定されて、ユーザが選択できるようにデバイスのうちの一つに提示される。一実施形態において、完了可能なタスク候補は、各タスクの実行に現在利用可能なマシンに基づいて判定される。
【0023】
ステップ408では、ステップ404で受信した複数のマシンの各々に関するデータと、識別されたタスクに関する情報に基づいて、識別されたタスクを完了するための協働計画を決定する。例えば、収穫タスクが選択されている場合、収穫を実行するために利用可能なコンバイン・ハーベスタの数が決定され、利用可能なコンバイン・ハーベスタの数に基づいて圃場で収穫を行うための協働計画が決定される。
【0024】
一実施形態において、協働計画は複数のマシン各々の位置、および複数のマシン各々の能力に基づいて決定される。例えば、協働計画には、収穫を行う必要のある圃場近傍に位置するコンバイン・ハーベスタを含めることができる一方で、圃場から遠く離れたコンバイン・ハーベスタを除外してもよい。一実施形態において、協働計画は複数のマシンの各々について複数の作業を決定する。複数の作業は、各マシンの速度、および各マシンの器具の作業の決定を含むことができる。一実施形態において、複数のマシン各々の経路の決定には、各マシンの開始時間および開始位置、各マシンが経路を横断する期間の決定が含まれていてもよい。
【0025】
一実施形態において、タスクを完了するための協働計画の決定には、マシンの間隔の決定が含まれていてもよい。マシンの前後間隔は、マシンの速度、マシンの停止能力、マシンのキャビンからの視認性等に基づくことができる。マシンの左右間隔は、器具の形状および実行されるタスクに基づくことができる。例えば、収穫マシンの場合、マシンが収穫を行う圃場の部分が重なってもよいが、農薬または肥料を散布するマシンの場合は、一般的には過剰な散布を防止するために、作業部分が重ならないようにするべきである。
【0026】
一実施形態において、複数の貯蔵可能マシン(例えば、穀物容器や収穫物容器)に関する協働計画は、複数のハーベスタの協働計画に基づくことができる。例えば、或るコンバイン・ハーベスタが、圃場で収穫を行う複数のコンバイン・ハーベスタの協働計画を決定することができる。その後、コンバイン・ハーベスタの協働計画を用いて、コンバイン・ハーベスタによって収穫された収穫物を受け取る複数の貯蔵可能マシン用に協働計画を決定してもよい。生成された貯蔵可能マシンの協働計画には、物理的な位置や全マシンの間隔に関する情報、コンバイン・ハーベスタおよび貯蔵可能マシンの現在の能力データが使われていてもよく、収穫物がある程度最適な方法で荷降ろしできるように、貯蔵可能マシンに対してコンバイン・ハーベスタに(自動操舵のような形で)追従するように指示をする。本実施形態は、コンバイン・ハーベスタの停止時間を最小限にするために利用することができる。
【0027】
ステップ410では、協働計画を決定した一以上のデバイスから、当該協働計画を複数の通信チャネルの各々を介して、複数のマシンの各々のデバイスに送信する。一実施形態において、複数のマシンは識別されたタスクを実行するマシンである。協働計画は、タスクを実行しないマシンでも受信してもよく、これによってこれらマシンのオペレータが近くで実行されているタスクを把握することができる。MMCFネットワーク内の各デバイスは各種情報を記憶することができる。
【0028】
一実施形態において、複数のマシンの各デバイスに送信される協働計画は、各マシンのオペレータが、協働計画に応じてマシンを操縦できるように各オペレータに提示される。別の実施形態において、協働計画は当該協働計画に関わる各マシンによって自動的に実行される。一実施形態において、協働計画はマシンの自動制御およびオペレータによる入力の両方の組み合わせによって達成される。例えば、マシンが自動制御されて協働計画を遂行し、予想外の危険な地形や回避するべき物体など、予期せぬ事態が発生した場合にオペレータがマシンの自動作業をオーバライドしてもよい。
【0029】
MMCFネットワークに加わることができるデバイスをMMCFデバイスと称する。図11は、リソース一覧1101およびMMCFデバイス一覧1103を記憶するMMCFデバイス1102を示している。リソース一覧1101内の各リソースは、一つの情報である。例えば、リソースは車両位置データ、散布可能エリアデータ、(例えば、肥料または農薬の)製品データであってもよい。一実施形態において、MMCFデバイス一覧1103はMMCFソフトウェアを実行する物理デバイスの識別情報を含んでいる。MMCFデバイス1102に記憶された情報は、例えば、クラウド・サーバー1104、パーソナル・コンピュータ1106、および/またはトラクタ1108等、様々な場所から受信されてもよく、これらの場所に送信してもよく、これらの場所からリクエストされてもよい。
【0030】
一実施形態において、上述した各要素はコンピュータを用いて実施することができる。図12は、このようなコンピュータの上位構成ブロック図である。コンピュータ1202は、このような動作を規定するコンピュータプログラム指示を実行することによって、コンピュータ1202の全体動作を制御するプロセッサ1204を含む。コンピュータプログラム指示は、記憶装置1212または他のコンピュータ読み取り可能媒体(例えば、磁気ディスク、CD-ROM、USBドライブ、SDカードなど)に記憶され、コンピュータプログラム指示を実行したいときにメモリ1210に取り込まれてもよい。したがって、上述した方法は、メモリ1210および/または記憶装置1212に記憶されたコンピュータプログラム指示によって規定でき、コンピュータプログラム指示を実行するプロセッサ1204により制御できる。例えば、コンピュータプログラム指示は、上述の方法および機能に規定されるアルゴリズムを実行するように当業者によってプログラムされたコンピュータ実行可能コードとして実現できる。したがって、コンピュータプログラム指示を実行することにより、プロセッサ1204は、上述の方法および機能に規定されるアルゴリズムを実行する。コンピュータ1202はまた、ネットワークを介して他のデバイスと通信するための1つ以上のネットワーク・インタフェース1206を含んでいる。コンピュータ1202はまた、ユーザがコンピュータ1202との交信を可能にする入出力デバイス1208(例えば、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカ、ボタン等)を含んでいる。当業者とって当然のことながら、実際のコンピュータの実装形態は、他の構成要素も同様に含んでもよく、図12は例示を目的としてそのようなコンピュータの構成要素のうち、いくつかの構成要素を上位表示したものである。
【0031】
以上の「発明を実施するための形態」は、あらゆる点において例示的であって限定的ではないものとして理解されるべきであり、本明細書に開示される本発明概念の範囲は、「発明を実施するための形態」から判断されるのではなく、各特許法において認められる全容に渡って解釈される特許請求の範囲から判断されるべきものである。当然のことながら、本明細書に図示、説明された実施形態は、本発明概念の原理を例示したにすぎず、本発明概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によって様々な修正が行われてもよい。当業者は、本発明の概念の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の様々な特徴の組合せを実現できるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5-7】
図8-10】
図11
図12
【国際調査報告】