(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】HDAC阻害剤と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体とを含む薬学組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/165 20060101AFI20221114BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221114BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61K31/165
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513102
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 KR2020010059
(87)【国際公開番号】W WO2021045392
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0109256
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515178085
【氏名又は名称】クリスタルジェノミクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CRYSTALGENOMICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン‐デ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ジョン・ミュン
【テーマコード(参考)】
4C085
4C206
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB11
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA16
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
(57)【要約】
本発明は、HDAC阻害剤と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との組み合わせを利用した癌細胞の死滅方法に関するものである。本発明によれば、癌、腫瘍、腫瘍関連障害及び新生物性疾患を有する動物の生存期間延長、新生物と関連した増殖性細胞成長抑制または新生物退縮に効果的に影響を与えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、を含む、癌の治療または予防用薬学組成物。
【請求項2】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との重量比が、1:0.1~1:15である、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の含量が、1~200mg/kgである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項4】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩の含量が、10~500mg/kgである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項5】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、及びトリパリマブからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項6】
前記抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項7】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドまたはその誘導体が、下記化合物で構成された群から選択される1つ以上である、請求項1に記載の薬学組成物。
1)(E)-N1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
2)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-ヒドロキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
3)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)-2,2-ジメチルプロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
4)(E)-N1-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
5)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-メトキシプロパン-2-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
6)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシベンジル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
7)(E)-N1-(4-フルオロフェネチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
8)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-2-オクテンジアミド、
9)(E)-N1-(2-シクロヘキセニルエチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
10)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(3-(2-オキソピロリジン-1-イル)プロピル)-2-オクテンジアミド、
11)(E)-N1-(フラン-2-イルメチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
12)(E)-N1-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
13)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-メトキシエチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
14)(E)-N1-シクロヘキシル-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
15)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-オクテンジアミド、
16)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
17)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(4-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)-2-オクテンジアミド、
18)(E)-N1-(1-(シクロヘキシルメチル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
19)(E)-N1-(1-シクロペンチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
20)(E)-N1-(1-ベンジルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
21)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピロリジン-3-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
22)(E)-N1-(1-(シクロヘキサンカルボニル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
23)(E)-3-(8-(ヒドロキシアミノ)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-8-オキソ-2-オクテンアミド)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル、
24)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(ピロリジン-3-イル)2-オクテンジアミド、
25)(E)-N1-(1-シクロヘキシルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-2-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
26)(E)-N1-(1-シクロプロピルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
27)(E)-N1-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
28)(E)-N1-(1-エチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
29)(E)-N1-(1-エチルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
30)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
31)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、及び
32)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド
【請求項8】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドの塩が、(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミドリン酸塩である、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項9】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、1つの製剤として同時に投与されるか、または別個の製剤として同時に、または順次または逆順に投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項10】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、単一製剤として存在する、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項11】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、それぞれ独立した組成物として存在する、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項12】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、治療用量以下の投与量でそれぞれ投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項13】
1)前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩が、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の投与以前に投与されるか、または
2)前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体が、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩の投与以前に投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項14】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩が、動物の静脈または経口投与され、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体が、動物の静脈内注入で投与されるように独立した薬剤として製剤化された、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項15】
前記組成物が、癌細胞の成長阻害、死滅に相乗効果的である、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項16】
前記癌細胞が、PD-L1の発現を特徴とする、請求項15に記載の薬学組成物。
【請求項17】
前記癌細胞が、A型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、B型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、C型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、非ウイルス関連肝癌細胞、転移性肝癌細胞、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、血液癌細胞、黒色腫細胞または肺癌細胞である、請求項15に記載の薬学組成物。
【請求項18】
前記癌細胞が、腫瘍組織中のPD-L1の発現を測定する工程を含む方法で選別された、請求項15に記載の薬学組成物。
【請求項19】
前記癌細胞のPD-L1発現に対する腫瘍比率スコア(TPS)が、1%以上である、請求項15に記載の薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDAC阻害剤と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との組み合わせを用いて癌細胞の成長を低下させ、癌細胞を死滅させる方法に関する。
【0002】
本願は、2019年5月8日付で登録決定された登録特許第1978364号「アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドまたはその誘導体の薬学的に許容可能な塩及びその製造方法」に関するものであって、エピゲノム標的阻害剤であるアルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩の特異的免疫活性が、抗PD-1抗体の抗癌効果上昇誘導を証明したので、癌腫でアルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と抗PD-1抗体との併用療法使用に係わる優先権を主張する。
【0003】
また、本願は、2019年9月4日付の大韓民国特許出願第2019-0109256号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0004】
ヒストンは、真核細胞の核内DNAと結合している塩基性タンパク質であって、ヒストンの各分子のうち、特定位置のリジン残基のアミノ基に可逆的なアセチル化が起こる。このようなヒストンのアセチル化反応は、染色質(chromatin)の高次構造を形成し、遺伝子情報の発現を調節し、ヒストンアセチル転移酵素(histone acetyltransferases、HATs)及びヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase、HDACs)によって安定して調節される。前記酵素は、ヒストンのアミノ末端に存在するリジン残基(H4の場合、4個)の正電荷をアセチル化で中和させて転写活性を誘導するか、脱アセチル化させて、再び電荷を付与して転写を抑制することにより、ヒストンのアセチル化レベルの平衡を誘導して、転写レベルで遺伝子発現を調節すると知られている。
【0005】
HDACは、低酸素症、低ブドウ糖、細胞癌化など劣悪な環境条件で高発現されて癌抑制因子の発現を阻害することにより、癌細胞増殖を促進させる役割を行うということが最近明らかになり、細胞の癌化及び分化を調節するに当たって、重要な標的因子として認識されている。すなわち、染色質の高いアセチル化状態が癌細胞の増殖を抑制し、死滅を促進するならば、HDACは、ヒストンの脱アセチル化を通じて癌細胞増殖を誘導するのに決定的な役割を果たす。このような事実は、HDAC抑制因子(inhibitor)を処置すれば、癌細胞の増殖や新生血管生成(angiogenesis)が抑制される結果として裏付けられている。
【0006】
一方、PD-1は、免疫調節及び末梢寛容の保持で重要な役割を行うと知られている。PD-1は、ナイーブT細胞(naive T cell)、B細胞(B-cell)及びNKT細胞(NKT cell)上で中間程度に発現され、リンパ球、単核球及び骨髄細胞上でT/B細胞受容体シグナリングによって発現が調節される。
【0007】
PD-1に対する2種の公知のリガンドであるPD-L1(B7-H1)及びPD-L2(B7-DC)は、多様な組織で発生する癌で発現される。具体例として、卵巣癌、腎臓癌、直腸癌、結腸癌、膵臓癌、肝癌、黒色腫などの多数の癌細胞で、PD-L1発現は、後続治療に関係なく不良な予後と相関関係があり、全体生存率を減少させる。
【0008】
したがって、PD-L1発現腫瘍細胞は、PD-1発現T細胞と相互作用してT細胞活性化及び免疫監視機能を減衰させ、それにより、腫瘍に対する損傷した免疫反応の原因になると理解されている。
【0009】
このような抗体の効能は、放射線療法、手術療法、化学療法、標的化療法、シグナリング経路抑制剤、免疫増強剤などと共に投与することにより、さらに増進することができると予測される。
【0010】
したがって、癌細胞の成長低下及び壊死に効果的に適用するために、前記のように適した抑制剤及び抗体を組み合わせて処置する方法についての研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、HDAC阻害剤と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との組み合わせを用いて癌細胞を死滅させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩、及び抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、を含む薬学組成物を提供する。
【0013】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との重量比は、1:0.1~1:15である。
【0014】
一具現例によれば、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、1~200mg/kgの用量で処置される。
【0015】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩は、10~500mg/kgの用量で処置される。
【0016】
一具現例によれば、前記抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、及びトリパリマブからなる群から選択される1つ以上を含みうる。
【0017】
一具現例によれば、前記抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(atezolizumab)、アベルマブ(avelumab)、及びデュルバルマブ(durvalumab)からなる群から選択される1つ以上を含みうる。
【0018】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドまたはその誘導体は、下記化合物で構成された群から選択される1つ以上である。
【0019】
1)(E)-N1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
2)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-ヒドロキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
3)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)-2,2-ジメチルプロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
4)(E)-N1-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
5)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-メトキシプロパン-2-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
6)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシベンジル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
7)(E)-N1-(4-フルオロフェネチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
8)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-2-オクテンジアミド、
9)(E)-N1-(2-シクロヘキセニルエチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
10)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(3-(2-オキソピロリジン-1-イル)プロピル)-2-オクテンジアミド、
11)(E)-N1-(フラン-2-イルメチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
12)(E)-N1-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
13)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-メトキシエチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
14)(E)-N1-シクロヘキシル-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
15)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-オクテンジアミド、
16)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
17)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(4-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)-2-オクテンジアミド、
18)(E)-N1-(1-(シクロヘキシルメチル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
19)(E)-N1-(1-シクロペンチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
20)(E)-N1-(1-ベンジルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
21)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピロリジン-3-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
22)(E)-N1-(1-(シクロヘキサンカルボニル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
23)(E)-3-(8-(ヒドロキシアミノ)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-8-オキソ-2-オクテンアミド)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル、
24)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(ピロリジン-3-イル)2-オクテンジアミド、
25)(E)-N1-(1-シクロヘキシルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-2-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
26)(E)-N1-(1-シクロプロピルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
27)(E)-N1-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
28)(E)-N1-(1-エチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
29)(E)-N1-(1-エチルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
30)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
31)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、及び
32)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド。
【0020】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドの塩は、(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミドリン酸塩である。
【0021】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩、及び抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、は、1つの製剤として同時に投与されるか、または別個の製剤として同時に、または順次または逆順に投与される。
【0022】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩、及び前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、は、単一製剤として存在する。
【0023】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩、及び前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、は、それぞれ独立した組成物として存在する。
【0024】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩、及び前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体、は、治療用量以下の投与量でそれぞれ投与される。
【0025】
一具現例によれば、1)前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩は、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の投与以前に投与されるか、または2)前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩の投与以前に投与される。
【0026】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩は、動物の静脈または経口投与され、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、動物の静脈内注入で投与されるように独立した薬剤として製剤化される。
【0027】
一具現例によれば、前記組成物は、癌細胞の成長阻害または死滅に相乗効果的である。
【0028】
一具現例によれば、前記癌細胞は、PD-L1の発現を特徴とし、前記癌細胞は、A型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、B型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、C型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、非ウイルス関連肝癌細胞、転移性肝癌細胞、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、血液癌細胞、黒色腫細胞または肺癌細胞である。
【0029】
一具現例によれば、前記癌細胞は、腫瘍組織中のPD-L1の発現を測定する工程を含む方法で選別されたものである。
【0030】
一具現例によれば、前記癌細胞のPD-L1発現に対する腫瘍比率スコア(TPS)は、1%以上である。
【0031】
その他の本発明の具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0032】
本発明のHDAC阻害剤と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との組み合わせを利用した癌細胞の死滅方法は、癌細胞を効果的に死滅させることができる。
【0033】
癌、腫瘍、腫瘍関連障害及び新生物性疾患は、ほとんど生命を脅かす病態であって、速い細胞増殖と成長とを特徴とする。本発明による方法によれば、前記疾患または障害を有する動物の生存期間延長、新生物と関連した増殖性細胞成長抑制または新生物退縮に効果的に影響を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】マウスモデルの腫瘍成長抑制率を示すグラフである。
【
図2】マウスモデルの腫瘍成長抑制率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、多様な改変及び変形を加え、さまざまな実施例を有することができるので、特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる、あらゆる改変物、均等物または代替物を含むものと理解しなければならない。本発明を説明するに当って、関連した公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0036】
以下、本発明の具現例によるHDAC阻害剤と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との組み合わせを利用した癌細胞の死滅方法についてより詳細に説明する。
【0037】
本明細書に使われる用語「非正常な細胞成長」とは、正常な細胞の非正常な成長及び非正常な細胞の成長を含めた、正常な調節メカニズムとは独立した細胞成長、例えば、接触性抑制損失を意味する。すなわち、細胞が成長しながら、周辺の細胞または組織と当接する場合、成長と分裂とが抑制されるメカニズムが損失されることを意味する。
【0038】
本明細書に使われる用語「新生物形成」とは、自律成長及び体細胞突然変異によって正常細胞と区別される細胞の非正常であり、非調節、非組織化された増殖である。新生物性細胞が成長し、分裂することによって、その遺伝子突然変異及び増殖性特徴を子孫細胞に伝達する。新生物、または腫瘍は、新生物性細胞の蓄積物である。一部の実施形態において、新生物は、良性または悪性である。
【0039】
本明細書に使われる用語「転移」とは、リンパ管または血管を通じて腫瘍細胞が播種されることを意味する。転移とは、また、漿膜腔、またはクモ膜下または他の空間を通じて直接拡張されることにより、腫瘍細胞が移動することを意味する。転移過程を通じた身体の他の部位への腫瘍細胞移動は、初期出現部位とは離れている部位に新生物を確立させる。
【0040】
本明細書に使われる用語「被験体」は、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、またはマウスを含むが、これに制限されない動物を意味する。「被験体」及び「患者」という用語は、例えば、哺乳動物被験体、例えば、ヒト被験体と関連して本願で相互交換的に使われる。
【0041】
本明細書に使われる用語「治療する」及び「治療」は、障害、疾患、または病態、または障害、疾患、または病態と関連した症状のうち、1つ以上のものを緩和させるか、阻止させるか、または障害、疾患、または病態それ自体の原因(ら)を緩和させるか、根絶させるものを含むということを意味する。
【0042】
本明細書に使われる用語「治療学上有効量」は、投与時に、治療しようとする障害、疾患、または病態の発病を予防するか、またはその症状のうち、1つ以上のものをある程度緩和させるのに十分な、化合物の量を意味する。「治療学上有効量」という用語は、また研究員、獣医師、医師または臨床医が追求しようとする細胞、組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を誘導するのに十分な、化合物の量を意味する。
【0043】
本明細書に使われる用語「薬剤学的組成物」は、「薬学組成物」及び「薬学的に許容可能な組成物」と交換可能に記載し、投与対象に比較的非毒性であり、無害な有効作用ができる組成物であって、前記組成物から起因する副作用が薬物の効能を低下させず、化合物が投与される対象に深刻な刺激を誘発せず、化合物の生物学的活性と物性とを損なわせない任意の有機または無機化合物の剤型を意味する。
【0044】
本明細書に使われる用語「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」、「生理学的に許容される担体」または「生理学的に許容される賦形剤」は、薬学的に許容される物質、組成物またはビヒクル(vehicle)、例えば、液体または固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質を意味する。各成分は、薬学製剤の他の成分との適合性という点で「薬学的に許容される」ものではなければならない。これは、また過度な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性または他の問題または合併症なしに、適当な利益/リスク比に相応して、ヒト及び動物の組織または器官と接触させて使用するのに適しなければならない([Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2005];[Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Edition];[Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005];及び[Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition;Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company:2007];[Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2004])。
【0045】
本発明で使われる用語「薬学組成物」は、本願に開示された化合物と、他の化学成分、例えば、薬学的に許容される希釈剤、担体などの混合物を意味する。前記薬学組成物を通じて化合物を生物体に容易に投与することができる。
【0046】
本発明において、薬学組成物の各構成薬物は、別個の製剤でも、単一製剤でもあり、構成薬物は、同時に、順次または逆順に投与される。また、本発明において、薬学的組成物の各構成薬物の薬学的有効量、投与時間、投与間隔、投与経路、治療期間などは互いに同一または異なっていてもよい。
【0047】
本発明で使われる用語「投与対象」とは、「投与個体」及び「投与生物体」と交換可能に記載し、細菌または耐性菌株の感染が誘発されたか、誘発されるヒトを含んだあらゆる動物を意味する。
【0048】
本発明で使われる用語「死滅」は、「細胞壊死(necrosis)」及び「細胞死(apoptisis)」の意味をいずれも含む。
【0049】
本明細書に議論されたところ、「血管新生」は、腫瘍形成及び転移で重要である。血管新生因子は、数個の固形腫瘍、例えば、横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫(ewing sarcoma)、神経芽細胞腫及び骨肉種と関連があると明かになった。腫瘍は、栄養分を提供し、細胞老廃物を提供する血液供給なしには拡張されない。血管新生が重要な腫瘍としては、固形腫瘍、例えば、腎細胞癌腫、肝細胞癌腫及び良性腫瘍、例えば、聴神経腫及び神経線維腫症を含む。血管新生は、血液媒介腫瘍、例えば、白血病と関連がある。血管新生は、白血病を誘発する骨髄異常で重要な役割を行うと見なされる。血管新生を防げば、癌性腫瘍の成長及びその結果として発生する腫瘍存在に起因した被験体の損傷を中断させることができる。
【0050】
本発明は、HDAC阻害剤と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との組み合わせを用いて癌細胞の成長阻害または死滅させるための薬学組成物及びその方法を提供する。
【0051】
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は、3つのクラス(クラスI、II及びIII)に分類される少なくとも18個の酵素を含めたファミリーである。クラスI HDACとしては、HDAC 1、2、3、及び8を含むが、これに制限されるものではない。クラスI HDACは、核で見出され、これは、転写制御リプレッサーと関連していると見なされる。クラスII HDACは、HDAC 4、5、6、7、及び9を含むが、これに制限されず、細胞質だけではなく、核でも見出される。クラスIII HDACは、NAD依存性タンパク質であると見なされ、サーチュイン(sirtuin)タンパク質ファミリーのメンバーを含むが、これに制限されるものではない。サーチュインタンパク質の非制限的な例としてSIRT1-7を含む。本願で使われるように、「選択性HDAC」という用語は、前記3種のHDACクラスいずれもと相互作用をしないHDAC抑制剤を意味する。
【0052】
HDAC抑制剤は、クロマチンリモデリング及び遺伝子発現調節を通じて血液癌及び固形悪性腫瘍での分化及び細胞死(apoptosis)を促進させるクラスの治療剤である。ベンズアミド(benzamide)(エンチノスタット(entinostat))、短鎖脂肪酸(すなわち、フェニル酪酸ナトリウム(sodium phenylbutyrate))、ヒドロキサム酸(すなわち、ボリノスタット(vorinostat)及びトリコスタチンA(trichostatin A))、2-アミノ-8-オキソ-9,10-エポキシ-デカン酸(2-amino-8-oxo-9,10-epoxy-decanoic acid)を含有する環状テトラペプチド(cyclic tetrapeptide)(すなわち、トラポキシンA(trapoxin A))及び2-アミノ-8-オキソ-9,10-エポキシ-デカン酸部分を含まない環状ペプチド(すなわち、FK228)を含めた、数個のHDAC抑制剤が確認された。
【0053】
HDAC抑制剤は、汎用HDAC抑制剤及び選択性HDAC抑制剤に広範囲に分類される。たとえ公知のHDAC抑制剤には、多様な構造上多様性が存在するが、これらは、共通した特徴を共有する。酵素活性部位と相互作用する部分、及び前記活性部位を誘導する、チャネル内部に安置されている側鎖である。これは、ヒドロキサメート(hydroxamate)基が活性部位と相互作用するとみなされるヒドロキサメート、例えば、SAHA(スベロイルアニリドヒドロキサム酸:suberoylanilide hydroxamic acid)で見られる。デプシペプチド(depsipeptide)の場合、ジスルフィド結合の細胞内還元を通じて4-炭素アルケニル鎖に結合された遊離チオール基(これは、活性部位と相互作用する)が形成されると見なされる。
【0054】
HDAC抑制剤の間の差は、活性部位に対するチャネルの反対端にある、HDACチャネルの周縁部とHDAC抑制剤とが相互作用する方式にある。HDAC抑制剤とチャネルの周縁部との間の前記のような相互作用は、少なくとも部分的に、SAHAのような汎用HDAC抑制剤と、デプシペプチドのような選択的HDAC抑制剤との間で一部観察されるHDAC選択性の相違を引き起こすと見なされる。
【0055】
アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドは、複数の固形腫瘍及び血液癌タイプで現在臨床研究中にあるHDAC抑制剤である。アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドは、迅速に吸収され、その半減期は、静脈投与時に約7~8時間である。重要なことに、ヒストンアセチル化変化は、投与後、数日間持続する。
【0056】
一方、プログラム細胞死-1(programmed cell death-1)、すなわち、PD-1は、受容体の免疫グロブリンスーパーファミリー内のT細胞調節因子のCD28ファミリーのメンバーである細胞表面受容体である。ヒトPD-1遺伝子は、染色体2q37に位置し、全長のPD-1 cDNAは、マウスPD-1と60%の相同性を有する288個のアミノ酸残基を含むタンパク質をコードする。これは、胸腺発生の間にCD4-CD8-(二重陰性)胸腺細胞上に存在し、長期間の抗原露出後に成熟した造血細胞、例えば、T及びB細胞、NKT細胞及び単核球での活性化時に発現される。PD-L1は、多数のマウス及びヒト腫瘍上で発現されることが明らかになり(ほとんどは、PD-L1陰性腫瘍細胞株上のIFNガンマによって誘導可能であり)、免疫回避を媒介すると仮定されている(文献[Iwai Y.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99:12293-12297(2002)];[Strome S.E.et al.,Cancer Res.,63:6501-6505(2003)])。ヒトにおいて、PD-1及び/またはPD-L1の発現は、肝癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸部癌、皮膚癌、結腸癌、神經芽膠腫癌、膀胱癌、乳癌、腎臓癌、食道癌、胃癌、経口扁平細胞癌、尿路上皮細胞癌、及び膵臓癌だけではなく、頭頸部腫瘍からの多数の原発性腫瘍生検から発見された(文献[Brown J.A.et al.,J.Immunol.170:1257-1266(2003)];[Dong H.et al.,Nat.Med.8:793-800(2002)];[Wintterle et al.,Cancer Res.63:7462-7467(2003)];[Strome S.E.et al.,Cancer Res.,63:6501-6505(2003)];[Thompson R.H.et al.,Cancer Res.66:3381-5(2006)];[Thompson et al.,Clin.Cancer Res.13:1757-61(2007)];[Nomi T.et al.,Clin.Cancer Res.13:2151-7.(2007)])。腫瘍細胞上でのPD-L1リガンド発現は、複数の腫瘍タイプ間の癌患者の不良の予後と相関関係がある(文献[Okazaki and Honjo,Int.Immunol.19:813-824(2007)]レビュー)。
【0057】
また、腫瘍細胞上のPD-L1の高い発現が、各種の他の固形腫瘍タイプでの不良な予後及び生存と相関関係があると知られている。PD-1/PD-L1経路が、腫瘍免疫回避で重要な役割を行うと考えられており、これは、数個の固形臓器タイプでの治療学的介入のために関心の対象となる標的になると理解及び見なされる。数個のPD-1及びPD-L1抗体が臨床開発中にあり、全般的にほとんどは、そのI相試験で用量制限毒性には到達せずとも、優れた耐性を有すると報告された。PD-1とそのリガンド(PD-L1及びPD-L2)の相互作用が、インビトロ及びインビボでのリンパ球増殖を抑制させると多様な研究を通じて明かになった。したがって、リガンドPD-L1のPD-1での結合が、エフェクター抗腫瘍T細胞活性をダウンレギュレーションし、免疫回避を促進させると考えられる。
【0058】
また、PD-1/PD-L1相互作用を破壊させることが、T細胞増殖及びサイトカイン生産を増加させ、細胞周期進行を遮断させると明かになった。PD-1特異的抗体によるPD-1遮断に関するインビトロ研究結果、IFN-γ分泌抗原特異的細胞の頻度増加を含めた、肝癌特異的抗原に対する細胞毒性T細胞反応が増強されたと明かになった。したがって、PD-1を標的化することが、癌に効果的な治療学的ストラテジーとして作用することができると考えられる。
【0059】
PD-1を標的化する主要方法は、PD-1とPD-L1との結合妨害を通じて機能を抑制させる、遺伝的に操作された単一クローン抗体開発を通じてなされる。抗PD-1抗体及び抗原結合部位は、高度の特異性及び親和性でPD-1に結合し、PD-L1及び/またはPD-L2の結合を遮断し、PD-1シグナリング経路の免疫抑制性の効果を抑制させる。一部の実施形態において、組み合わせ療法は、アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、抗PD-1抗体またはその抗原結合部位を投与する工程を含み、ここで、抗体またはその抗原結合部位は、キメラ、ヒト化またはヒト単一クローン抗体またはその一部である。特定の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部位は、ヒト化抗体である。一部の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部位は、ヒト抗体である。一部の実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合部位は、モノクローナル抗体またはその抗原結合部位である。
【0060】
一具現例によれば、前記HDAC阻害剤としてアルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩を含みうる。アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドは、構造式1のようである。
【0061】
【化1】
R
1は、置換基で置換または非置換のC
1-3アルキル、C
3-8シクロアルキル、C
3-8シクロアルキルC
1-3アルキル、ベンジル、C
1-3アルキルまたはC
3-8シクロアルキルカボニルで置換または非置換のピロリジン、C
1-3アルキルまたはC
3-8シクロアルキルで置換されたピペリジン、フラン、またはC
3-8シクロアルキルであり、
但し、非置換のC
1-2アルキル及びC
1-2アルキルピロリジニルで置換されたC
1-2アルキルは除くが、
前記塩は、リン酸(phosphoric acid)塩、酒石酸(tartaric acid)塩、ステアリン酸(stearic acid)塩、グルコン酸(gluconic acid)塩、フマル酸(fumaric acid)塩、ナフトエ酸(naphthoic acid)塩、1-ヒドロキシ-2(1-hydroxy-2)塩、及びこれらの混合物から選択することができ、例えば、リン酸塩を選択することができる。
【0062】
一具現例によれば、前記塩は、室温保管時に、安定性及び水溶解度が相対的に高いリン酸塩、酒石酸塩、及びこれらの混合物から選択され、例えば、リン酸塩を含みうる。
【0063】
前記構造式1のアルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドまたはその誘導体として望ましい化合物としては、下記化合物で構成された群から選択されうる。
【0064】
1)(E)-N1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
2)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-ヒドロキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
3)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)-2,2-ジメチルプロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
4)(E)-N1-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
5)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-メトキシプロパン-2-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
6)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシベンジル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
7)(E)-N1-(4-フルオロフェネチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
8)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-2-オクテンジアミド、
9)(E)-N1-(2-シクロヘキセニルエチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
10)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(3-(2-オキソピロリジン-1-イル)プロピル)-2-オクテンジアミド、
11)(E)-N1-(フラン-2-イルメチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
12)(E)-N1-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
13)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-メトキシエチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
14)(E)-N1-シクロヘキシル-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
15)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-オクテンジアミド、
16)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
17)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(4-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)-2-オクテンジアミド、
18)(E)-N1-(1-(シクロヘキシルメチル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
19)(E)-N1-(1-シクロペンチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
20)(E)-N1-(1-ベンジルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
21)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピロリジン-3-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
22)(E)-N1-(1-(シクロヘキサンカルボニル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
23)(E)-3-(8-(ヒドロキシアミノ)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-8-オキソ-2-オクテンアミド)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル、
24)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(ピロリジン-3-イル)2-オクテンジアミド、
25)(E)-N1-(1-シクロヘキシルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-2-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
26)(E)-N1-(1-シクロプロピルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
27)(E)-N1-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
28)(E)-N1-(1-エチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
29)(E)-N1-(1-エチルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
30)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
31)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、及び
32)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド。
【0065】
一具現例によれば、本発明に含まれるHDAC阻害剤は、(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド((E)-N1-(3-(dimethylamino)propyl)-N8-hydroxy-2-((naphthalen-1-yloxy)methyl)oct-2-enediamide)のリン酸塩を含み、その構造式は、構造式2のようである。
【0066】
【0067】
一具現例によれば、本発明の抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)、ニボルマブ(nivolumab)、カムレリズマブ(camrelizumab)、セミプリマブ(cemiplimab)、シンチリマブ(sintilimab)、及びトリパリマブ(toripalimab)からなる群から選択される1つ以上を含みうる。
【0068】
一具現例によれば、本発明の抗PD-1抗体は、抗PD-L1抗体に代替することができ、例えば、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブなどからなる群から選択される1つ以上を含みうる。
【0069】
他の具現例によれば、前記抗PD-1抗体は、抗CTLA4抗体、抗VEGFR抗体または抗VEGF抗体に代替しうる。
【0070】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との重量比は、1:0.1~1:15、例えば、1:1~1:5である。
【0071】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩は、10~500mg/kg、例えば、40~250mg/kg、例えば、5~50mg/kgの含量で使われる。
【0072】
また、一具現例によれば、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、1~200mg/kg、例えば、1~10mg/kgの含量で使われる。また、他の具現例において、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、適用対象の重量に関係なく200mgの固定された用量で使われる。
【0073】
一具現例によれば、本発明の適用対象である癌細胞は、PD-L1の発現を特徴とし、腫瘍組織中のPD-L1の発現を測定することにより、癌細胞を選別することができる。例えば、癌細胞は、PD-L1の過多発現または低い発現を特徴とする。また、例えば、前記癌細胞のPD-L1発現に対する腫瘍比率スコア(TPS)は、1%以上、例えば、20%以上、50%以上であることを選別して適用対象として選択することができる。
【0074】
前記癌細胞は、具体的に、例えば、A型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、B型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、C型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、非ウイルス関連肝癌細胞、転移性肝癌細胞、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、血液癌細胞、黒色腫細胞または肺癌細胞を含みうる。例えば、前記黒色腫は、切除不能または転移性黒色腫であり、例えば、前記肺癌は、非小細胞肺癌であり、非小細胞肺癌は、腺癌腫、扁平細胞癌腫、非扁平細胞癌腫及び大細胞癌腫から選択されうる。
【0075】
また、前記癌細胞は、ソラフェニブ、レンバチニブ、レゴラフェニブ、ニボルマブまたはペムブロリズマブを含む既存の薬物処置時に、成長低下または死滅に反応を示すか、示さないものであり、前記のような物質を利用した先行療法で処置したものである。
【0076】
一具現例によれば、本発明の適用対象となる癌細胞は、前記の種類の以外に抗CTLA4抗体またはBRAF抑制剤を利用した先行療法によって進捗を示すか、示さないものである。
【0077】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドまたはその塩と前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との処置順序は、特に制限されず、任意の順序で、同時に、または順次に処置されても良い。すなわち、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩及び抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、同時に、順次または逆順に投与され、具体的に、1つの製剤として同時に投与されるか、または別個の製剤として同時に、または順次または逆順に投与される。
【0078】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩及び前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、単一製剤として存在することにより、同時に投与される。
【0079】
また、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩及び前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、それぞれ独立した組成物として存在する。
【0080】
一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩及び前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、治療用量以下の投与量でそれぞれ投与される。例えば、他種の抗癌治療剤と併用して投与される時に補助的に用量を調節して使用することができる。
【0081】
一具現例によれば、他種の治療剤と併用しての使用時に、投与順序は、1)前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩が、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の投与以前に投与されるか、または2)前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体が、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩の投与以前に投与される。
【0082】
一具現例によれば、前記2つの物質を動物に1~40日、例えば、3~21日間処置することにより、癌細胞死滅を誘導することができる。具体的に、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩は、例えば、5日連続、2日休薬を1周期にして3週間繰り返し処置される。また、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、処置周期の1日目に処置され、隔週で処置される。
【0083】
投与方法としては、当業界に存在する多数の化合物投与技術を選択することができ、例えば、経口、注射、エアロゾル、非経口及び局所投与を含むが、これに制限されるものではない。薬学組成物は、また無機酸または有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などと化合物を反応させることで得ることができる。
【0084】
処置方法としては、特に制限されないが、一具現例によれば、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはそのリン酸塩は、動物の静脈または経口投与され、抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体は、動物の静脈内注入で投与される。
【0085】
本発明の薬剤学的組成物は、錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル、乾燥シロップ剤または注射剤の形態で提供されうる。具体的に、水または他の適当な液体媒体と共に再構成に適したタブレット、ペレット、顆粒、カプセル、懸濁液、エマルジョンまたは粉末の形態のような如何なる便利な形態にも提供されうる。また、経口投与剤または注射剤の形態で適用可能である。
【0086】
経口投与用薬剤学的組成物としては、微結晶セルロース、マンニトール、乳糖及びラクトースからなる群から選択される1種以上の希釈剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム及びベヘン酸グリセリルからなる群から選択される1種以上の滑沢剤、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される1種以上の結合剤を含みうる。また、例えば、錠剤またはカプセル剤100重量部に対して、コーティング層を1~10重量%の含量で含みうる。具体的に、例えば、コーティング層は、水溶性コーティング基剤を含み、通常使われるコーティング基剤を使用することができる。さらに具体的に、例えば、ポリビニルアルコール誘導体、メタクリル酸誘導体及びポリアクリル酸誘導体を含むコーティング基剤を含み、例えば、オパドライ(Opadry)(登録商標)、コリコート(Kollicoat)(登録商標)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)からなる群から選択される1種または2種以上を利用することができ、例えば、水分及び光の遮断効果が比較的優れたポリビニルアルコール含有オパドライ(登録商標)を利用できる。
【0087】
経口投与用組成物顆粒剤を製造する場合、水分安定性が不安定であるという特性を勘案して結合溶媒として精製水は使用しないことが望ましく、製造工程のうち、除去が容易なエタノールを使用することができる。通常の経口投与用組成物に使われる滑沢剤であるステアリン酸マグネシウムは、本発明によるアルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドと配合適合性が不良であるので、代替物を使用することができる。
【0088】
一具現例によれば、前記添加物の以外に化合物と配合適合性に優れた医薬品賦形剤を添加することができる。
【0089】
注射剤組成物としては、アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド成分は、水によく溶ける水溶性物質であるために、液相の形態で提供され、一般的に、難溶性物質に使われる可溶化剤及びその他の添加剤の使用が必須的ではなく、添加剤との配合適合性が不安定するので、最小の添加剤を使用することが望ましく、さらに具体的には、窒素パージされた注射用水に溶解後、凍結乾燥させて製造することができる。
【0090】
一具現例によれば、滅菌処置する工程をさらに含みうる。滅菌処置方法としては、乾熱滅菌、加圧または減圧滅菌、濾過滅菌、ガス滅菌、放射線滅菌などを含みうる。濾過滅菌法には、例えば、ニトロセルロース膜フィルターを使用し、例えば、0.45μm、0.2μmなどのフィルターを使用することができる。本発明では、例えば、高温減圧滅菌法または無菌濾過法で滅菌処置する工程をさらに含みうる。
【0091】
本発明の他の具現例によれば、アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体とを含む抗癌剤用薬剤学的組成物を提供することができる。
【0092】
以下、当業者が容易に実施できるように、本発明の実施例について詳しく説明する。しかし、本発明は、さまざまな異なる形態として具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0093】
実験例1:マウスモデルでの腫瘍成長抑制率
肝癌細胞Hepa1-6をマウス(C57BL/6)に移植した肝癌マウスモデル9匹に表1のようにアルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド(HDAC阻害剤)または抗PD-1抗体処置時に、腫瘍成長抑制能が向上することを確認し、前記2つの物質を組み合わせて投与時に、腫瘍が消失する効果を確認した。
【0094】
【0095】
アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド化合物としては、(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミドリン酸塩(CG-745、CAS No.2173017-02-0)を使用し、抗PD-1抗体としては、BP0146(BioXcell、West Lebanon、NH、USA)を使用した。
【0096】
6週齢C57BL6マウスに1×106細胞数の肝癌細胞Hepa1-6を左側側面に挿入した。5日後、ビヒクル、CG-745単独、抗PD-1抗体単独、またはCG-745と抗PD-1抗体複合投与のために、4個のグループに分離した。腫瘍の体積は、長軸×短軸2×0.5で計算された。腫瘍体積測定時に、1mmよりも小さなマウスは、腫瘍が消えたと見なし、少なくとも50日間観察した。ビヒクル、CG-745、抗PD-1抗体は、腹腔投与(I.P)方法で進められた。CG-745は、20mg/kgの用量で5日連続投与後、2日の休薬期を与える方式で3回繰り返した。抗PD-1抗体は、CG-745最初の周期5日目、5mg/kgの用量でCG-745と共に1回投与された。
【0097】
9匹マウスに対する平均腫瘍成長抑制率は、
図1に示し、9匹マウスのそれぞれの個体に対する結果は、
図2に示した。
【0098】
図1のグラフに示されたように、32日目にそれぞれ比較例1は、73.8%、比較例2は、84.59%の腫瘍成長抑制率を示すことを確認した。また、比較例1処置時に、4匹マウスで腫瘍が消失することを確認した。特に、実施例1で32日目に111.18%の腫瘍成長抑制率を確認し、9匹マウスいずれも腫瘍が消えたことを確認した。したがって、アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドによる直接・間接的抗癌作用が抗PD-1抗体によって上昇することを確認した。
【0099】
前記のように、本発明は、HDAC阻害剤としてアルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド及び抗PD-1抗体の組み合わせが癌細胞の死滅に効果的な影響を及ぼすことを確認した。
【0100】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、当業者ならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な改変及び変形が可能である。また、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって、本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈されねばならず、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されねばならない。
【手続補正書】
【提出日】2022-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、を含む、癌の治療または予防用薬学組成物。
【請求項2】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体との重量比が、1:0.1~1:15である、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の含量が、1~200mg/kgである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項4】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩の含量が、10~500mg/kgである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項5】
前記抗PD-1抗体が、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、カムレリズマブ、セミプリマブ、シンチリマブ、及びトリパリマブからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項6】
前記抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、アベルマブ、及びデュルバルマブからなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項7】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドまたはその誘導体が、下記化合物で構成された群から選択される1つ以上である、請求項1に記載の薬学組成物。
1)(E)-N1-(3-(1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
2)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-ヒドロキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
3)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)-2,2-ジメチルプロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
4)(E)-N1-(2-(ジイソプロピルアミノ)エチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)オクテンジアミド、
5)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-メトキシプロパン-2-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
6)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシベンジル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
7)(E)-N1-(4-フルオロフェネチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
8)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(テトラヒドロフラン-2-イル)メチル)-2-オクテンジアミド、
9)(E)-N1-(2-シクロヘキセニルエチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
10)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(3-(2-オキソピロリジン-1-イル)プロピル)-2-オクテンジアミド、
11)(E)-N1-(フラン-2-イルメチル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
12)(E)-N1-(4-(ジメチルアミノ)ベンジル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
13)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-メトキシエチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
14)(E)-N1-シクロヘキシル-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
15)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(チオフェン-2-イルメチル)-2-オクテンジアミド、
16)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(4-メトキシフェネチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
17)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(4-(トリフルオロメトキシ)ベンジル)-2-オクテンジアミド、
18)(E)-N1-(1-(シクロヘキシルメチル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
19)(E)-N1-(1-シクロペンチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
20)(E)-N1-(1-ベンジルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
21)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピロリジン-3-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
22)(E)-N1-(1-(シクロヘキサンカルボニル)ピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
23)(E)-3-(8-(ヒドロキシアミノ)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-8-オキソ-2-オクテンアミド)ピロリジン-1-カルボン酸t-ブチルエステル、
24)(E)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-N1-(ピロリジン-3-イル)2-オクテンジアミド、
25)(E)-N1-(1-シクロヘキシルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-2-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
26)(E)-N1-(1-シクロプロピルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
27)(E)-N1-(1-シクロプロピルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
28)(E)-N1-(1-エチルピペリジン-4-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
29)(E)-N1-(1-エチルピロリジン-3-イル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
30)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(2-(1-メチルピロリジン-2-イル)エチル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、
31)(E)-N8-ヒドロキシ-N1-(1-イソプロピルピペリジン-4-イル)-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド、及び
32)(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミド
【請求項8】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミドの塩が、(E)-N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N8-ヒドロキシ-2-((ナフタレン-1-イルオキシ)メチル)-2-オクテンジアミドリン酸塩である、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項9】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、1つの製剤として同時に投与されるか、または別個の製剤として同時に、または順次または逆順に投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項10】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、単一製剤として存在する、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項11】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、それぞれ独立した組成物として存在する、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項12】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩と、
前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体と、が、治療用量以下の投与量でそれぞれ投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項13】
1)前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩が、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の投与以前に投与されるか、または
2)前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体が、前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩の投与以前に投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項14】
前記アルキルカルバモイルナフタレンイルオキシオクテノイルヒドロキシアミド、その誘導体またはその塩が、動物の静脈または経口投与され、前記抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体が、動物の静脈内注入で投与されるように独立した薬剤として製剤化された、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項15】
前記組成物が、癌細胞の成長阻害、死滅に相乗効果的である、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項16】
前記癌細胞が、PD-L1の発現を特徴とする、請求項15に記載の薬学組成物。
【請求項17】
前記癌細胞が、A型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、B型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、C型肝癌ウイルスによる肝癌細胞、非ウイルス関連肝癌細胞、転移性肝癌細胞、大腸癌細胞、膵臓癌細胞、血液癌細胞、黒色腫細胞または肺癌細胞である、請求項15に記載の薬学組成物。
【請求項18】
前記癌細胞が、腫瘍組織中のPD-L1の発現を測定する工程を含む方法で選別された、請求項15に記載の薬学組成物。
【請求項19】
前記癌細胞のPD-L1発現に対する腫瘍比率スコア(TPS)が、1%以上である、請求項15に記載の薬学組成物。
【請求項20】
前記薬学組成物のそれぞれの構成薬物は、別個の製剤として同時に、順次または逆順に投与される、請求項1に記載の癌の治療または予防用薬学組成物。
【国際調査報告】