(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】バッテリー管理システム、バッテリー管理方法、バッテリーパック及び電気車両
(51)【国際特許分類】
G01R 31/392 20190101AFI20221114BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20221114BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20221114BHJP
G01R 31/3828 20190101ALI20221114BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221114BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/3828
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513889
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2020018204
(87)【国際公開番号】W WO2021118311
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0164891
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ボム-ジン
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA02
2G216BA03
2G216BA21
2G216BA42
2G216BA47
2G216CA11
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503DA07
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本発明によるバッテリー管理システムは、バッテリーを介して流れる電流を示すバッテリー電流を測定する電流センサーと、バッテリーの両端にかかった電圧であるバッテリー電圧を測定する電圧センサーと、制御回路と、を含む。制御回路は、バッテリーに対する第1休止期間中にキーON信号を受信すると、固定休止時間、固定OCV及び固定SOCを決定し、バッテリーに対するサイクル期間中、バッテリー電流の電流積算値を決定する。制御回路は、サイクル期間中にキーOFF信号を受信すると、バッテリーに対する第2休止期間を開始する。制御回路は、第2休止期間中、バッテリー電圧である関心OCVに対応する関心SOCを決定する。制御回路は、固定SOC、電流積算値及び関心SOCに基づき、バッテリーのSOHを決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを介して流れる電流を示すバッテリー電流を測定するように構成される電流センサーと、
前記バッテリーの両端にかかった電圧を示すバッテリー電圧を測定するように構成される電圧センサーと、
前記電圧センサー及び前記電流センサーに結合する制御回路と、を含み、
前記制御回路は、
前記バッテリーに対する第1休止期間中の第1時点でキーON信号を受信すると、前記第1時点における前記バッテリー電圧である固定OCV及び前記第1時点における前記バッテリーのSOCである固定SOCを決定し、前記バッテリーに対するサイクル期間を開始し、
前記サイクル期間中、前記バッテリー電流の電流積算値を決定し、
前記サイクル期間中の第2時点でキーOFF信号を受信すると、前記バッテリーに対する第2休止期間を開始し、
前記第2休止期間中、前記バッテリー電圧である関心OCVに対応する前記バッテリーのSOCである関心SOCを決定し、
前記固定SOC、前記電流積算値及び前記関心SOCに基づき、前記バッテリーのSOHを決定するように構成される、バッテリー管理システム。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第1休止期間の開始時点から前記第1時点までの時間である固定休止時間と、前記サイクル期間の開始時点から前記第2時点までの時間であるサイクル時間と、前記第2休止期間の開始時点から経過した時間である関心休止時間と、をさらに決定するように構成される、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記サイクル時間、前記電流積算値及び電流オフセットエラーに基づいて第1エラーファクターを決定し、前記電流オフセットエラーは、前記電流センサーのオフセットエラーを示し、
前記固定OCV、前記固定SOC、前記関心OCV、前記関心SOC及び電圧オフセットエラーに基づいて第2エラーファクター及び第3エラーファクターを決定し、ここで、前記電圧オフセットエラーは、前記電圧センサーのオフセットエラーを示し、
前記固定休止時間に基づいて第4エラーファクターを決定し、
前記関心休止時間に基づいて第5エラーファクターを決定し、
前記第1から第5エラーファクターに基づいて代表エラーファクターを決定し、
前記代表エラーファクターに基づいて前記SOHの信頼度を示す加重値を決定するように構成される、請求項2に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記サイクル時間と前記電流オフセットエラーとの積を前記電流積算値で割った値と同一に前記第1エラーファクターを決定するように構成される、請求項3に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記固定SOCと前記関心SOCとの差を示すSOC変化分を決定し、
前記固定OCVに前記電圧オフセットエラーを加算または減算して、第1補正されたOCVを決定し、
所定のOCVカーブから、前記第1補正されたOCVに対応する第1補正されたSOCを決定し、前記OCVカーブは、前記バッテリーのヒステリシスが0である場合のOCVとSOCとの対応関係を規定し、
前記固定SOCと前記第1補正されたSOCとの差を前記SOC変化分で割った値と同一に前記第2エラーファクターを決定するように構成される、請求項3に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記関心OCVに前記電圧オフセットエラーを加算または減算して、第2補正されたOCVを決定し、
前記OCVカーブから、前記第2補正されたOCVに対応する第2補正されたSOCを決定し、
前記関心SOCと前記第2補正されたSOCとの差を前記SOC変化分で割った値と同一に前記第3エラーファクターを決定するように構成される、請求項5に記載のバッテリー管理システム。
【請求項7】
前記制御回路は、
第1エラーカーブから、前記固定休止時間に対応する第1エラー値と同一に前記第4エラーファクターを決定するように構成され、
前記第1エラーカーブは、前記第1休止期間の開始時点における前記バッテリーのSOCである第1基準SOCに対する休止時間とエラー値との対応関係を規定するデータである、請求項3に記載のバッテリー管理システム。
【請求項8】
前記制御回路は、
第2エラーカーブから、前記関心休止時間に対応する第2エラー値と同一に前記第5エラーファクターを決定するように構成され、
前記第2エラーカーブは、前記第2休止期間の開始時点における前記バッテリーのSOCである第2基準SOCに対する休止時間とエラー値との対応関係を規定するデータである、請求項7に記載のバッテリー管理システム。
【請求項9】
前記制御回路は、
下記の数式を用いて前記加重値を決定するように構成される、請求項3に記載のバッテリー管理システム。
【数7】
(W
SOHは、前記加重値であり、Mは、1よりも大きい所定の第1変換定数であり、Kは、0よりも大きい所定の第2変換定数であり、F
SOHは、前記代表エラーファクターである。)
【請求項10】
前記制御回路は、
前記第2休止期間中、最近に決定された順で所定個数の前記SOHと前記所定個数の前記加重値に基づいて、前記所定個数の前記SOHの加重平均である有効SOHを決定するように構成される、請求項3に記載のバッテリー管理システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記バッテリー管理システムを含む、バッテリーパック。
【請求項12】
請求項11に記載の前記バッテリーパックを含む、電気車両。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリー管理システムによって実行可能なバッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの休止中にバッテリーの健康状態(SOH:State Of Heath)を決定する技術に関する。
【0002】
本出願は、2019年12月11日出願の韓国特許出願第10-2019-0164891号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
バッテリーは、サイクル状態にあるサイクル期間と休止状態にある休止期間とを反復的に経る。サイクル状態とは、バッテリーの充放電が行われる状態を指す。休止状態とは、バッテリーの充放電が遮断(中断)された状態、即ち、バッテリー電流が流れない状態を指す。
【0006】
バッテリーのSOH(State Of Heath)を決定するには、バッテリーの充電状態(State Of Chage、以下「SOC」と称し得る。)が必須に求められる。サイクル状態でバッテリーのSOCを決定するためには、電流積算法(「アンペアカウント法」とも称する。)やカルマンフィルターなどのようにバッテリー電流に基づく方式が有用である。
【0007】
一方、休止状態ではバッテリー電流が流れないため、電流積算法やカルマンフィルターよりは、バッテリーの開路電圧(Open Circuit Voltage、以下、「OCV」と称し得る。)とSOCとの対応関係を規定するデータであるOCV-SOCカーブに基づいてバッテリーのSOCを決定することが望ましい。
【0008】
バッテリーがサイクル状態から休止状態に切り換えられたときから充分に長い時間が経過する前には、サイクル状態におけるサイクル履歴によって発生したヒステリシスによって、バッテリーのSOCは一定である一方、バッテリーの両端にかかった電圧は一定に維持されない。
【0009】
ところが、OCV-SOCカーブは、バッテリーのヒステリシスが完全に解消された場合に関わるため、従来には、サイクル状態から休止状態への切換時からバッテリーの安定化に要求される一定時間(例えば、2時間)が経過した後にOCV-SOCカーブを活用してバッテリーのSOCを決定していた。したがって、サイクル状態から休止状態への切換時から一定時間が経過する前には、OCV-SOCカーブからタバッテリーのSOCを決定できないか、または正確度が低下する。
【0010】
また、バッテリーのSOCを決定するのに必要な情報であるバッテリー電圧とバッテリー電流は、各々電圧センサーと電流センサーによって測定される。しかし、電圧センサーと電流センサーは各々、オフセットエラー(実際値と測定値との差に対応)によってSOCの正確度が低下する恐れがある。特に、電流センサーのオフセットエラーは、経時的に累積するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、バッテリーの休止中に、所定の時間ごとに、バッテリーが休止状態に維持された時間に基づいて前回のサイクル期間の終了時点からのSOC変化分を決定することで、休止中におけるバッテリーのSOHを正確に決定することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、バッテリーの休止中、前回のサイクル期間におけるサイクル履歴(例えば、サイクル時間、電流積算値)、前回の休止期間と今回の休止期間の各々の休止時間、電圧センサーのオフセットエラー及び電流センサーのオフセットエラーに基づき、休止中の所定の時間ごとに決定されるSOHのエラー成分を除去するための加重値を決定することを他の目的とする。
【0013】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一面によるバッテリー管理システムは、バッテリーを介して流れる電流を示すバッテリー電流を測定するように構成される電流センサーと、バッテリーの両端にかかった電圧を示すバッテリー電圧を測定するように構成される電圧センサーと、電圧センサー及び電流センサーに結合する制御回路と、を含む。制御回路は、バッテリーに対する第1休止期間中の第1時点でキーON信号を受信すると、第1時点におけるバッテリー電圧である固定OCV(Open Circuit Voltage)及び第1時点におけるバッテリーのSOC(State Of Charge)である固定SOCを決定し、バッテリーに対するサイクル期間を開始するように構成される。また、制御回路は、サイクル期間中、バッテリー電流の電流積算値を決定するように構成される。制御回路は、サイクル期間中の第2時点でキーOFF信号を受信すると、バッテリーに対する第2休止期間を開始するように構成される。制御回路は、第2休止期間中、バッテリー電圧である関心OCVに対応するバッテリーのSOCである関心SOCを決定するように構成される。制御回路は、固定SOC、電流積算値及び関心SOCに基づき、バッテリーのSOHを決定するように構成される。
【0015】
制御回路は、第1休止期間の開始時点から第1時点までの時間である固定休止時間と、サイクル期間の開始時点から第2時点までの時間であるサイクル時間と、第2休止期間の開始時点から経過した時間である関心休止時間と、をさらに決定するように構成され得る。
【0016】
制御回路は、サイクル時間、電流積算値及び電流オフセットエラーに基づいて第1エラーファクターを決定するように構成され得る。電流オフセットエラーは、電流センサーのオフセットエラーを示す。制御回路は、固定OCV、固定SOC、関心OCV、関心SOC及び電圧オフセットエラーに基づいて第2エラーファクター及び第3エラーファクターを決定するように構成され得る。電圧オフセットエラーは、電圧センサーのオフセットエラーを示す。制御回路は、固定休止時間に基づいて第4エラーファクターを決定するように構成され得る。制御回路は、関心休止時間に基づいて第5エラーファクターを決定するように構成され得る。第1から第5エラーファクターに基づいて代表エラーファクターを決定するように構成され得る。制御回路は、代表エラーファクターに基づいてSOHの信頼度を示す加重値を決定するように構成され得る。
【0017】
制御回路は、サイクル時間と電流オフセットエラーとの積を電流積算値で割った値と同一に第1エラーファクターを決定するように構成され得る。
【0018】
制御回路は、固定SOCと関心SOCとの差を示すSOC変化分を決定するように構成され得る。制御回路は、固定OCVに電圧オフセットエラーを加算または減算して、第1補正されたOCVを決定するように構成され得る。制御回路は、所定のOCVカーブから、第1補正されたOCVに対応する第1補正されたSOCを決定するように構成され得る。OCVカーブは、バッテリーのヒステリシスが0である場合のOCVとSOCとの対応関係を規定し得る。制御回路は、固定SOCと第1補正されたSOCとの差をSOC変化分で割った値と同一に第2エラーファクターを決定するように構成され得る。
【0019】
制御回路は、関心OCVに電圧オフセットエラーを加算または減算して、第2補正されたOCVを決定するように構成され得る。制御回路は、OCVカーブから、第2補正されたOCVに対応する第2補正されたSOCを決定するように構成され得る。制御回路は、関心SOCと第2補正されたSOCとの差をSOC変化分で割った値と同一に第3エラーファクターを決定するように構成され得る。
【0020】
制御回路は、第1エラーカーブから、固定休止時間に対応する第1エラー値と同一に第4エラーファクターを決定するように構成され得る。第1エラーカーブは、第1休止期間の開始時点におけるバッテリーのSOCである第1基準SOCに対する休止時間とエラー値との対応関係を規定するデータである。
【0021】
制御回路は、第2エラーカーブから、関心休止時間に対応する第2エラー値と同一に第5エラーファクターを決定するように構成され得る。第2エラーカーブは、第2休止期間の開始時点におけるバッテリーのSOCである第2基準SOCに対する休止時間とエラー値との対応関係を規定するデータである。
【0022】
制御回路は、下記の数式を用いて加重値を決定するように構成されるバッテリー管理システム。
【数7】
(W
SOHは、加重値であり、Mは、1よりも大きい所定の第1変換定数であり、Kは、0よりも大きい所定の第2変換定数であり、F
SOHは、代表エラーファクターである。)
【0023】
制御回路は、第2休止期間中、最近に決定された順で所定個数のSOHと所定個数の加重値に基づいて、所定個数のSOHの加重平均である有効SOHを決定するように構成され得る。
【0024】
本発明の他面によるバッテリーパックは、バッテリー管理システムを含む。
【0025】
本発明のさらに他面による電気車両は、バッテリーパックを含む。
【0026】
本発明のさらに他面によるバッテリー管理方法は、バッテリー管理システムによって実行可能である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施例の少なくとも一つによると、バッテリーの休止中、所定時間ごとに、バッテリーが休止状態に維持された時間に基づき、前回のサイクル期間の終了時点からのSOC変化分を決定することで、休止中のバッテリーの SOHを正確に決定することができる。
【0028】
また、本発明の実施例の少なくとも一つによると、バッテリーの休止中、前回のサイクル期間におけるサイクル履歴(例えば、サイクル時間、電流積算値)、前回の休止期間と今回の休止期間の各々の休止時間、電圧センサーのオフセットエラー及び電流センサーのオフセットエラーに基づき、休止中の所定時間ごとに決定されるSOHのエラー成分を除去するための加重値を決定することができる。
【0029】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0030】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による電気車両の構成を例示した図である。
【
図3】
図1のバッテリーがサイクル期間と休止期間を経る間のバッテリーの SOCの変化を例示した図である。
【
図4】
図1のバッテリーのサイクル期間中、電流センサーのオフセットエラーによる電流積算値の変化を例示した図である。
【
図5】
図1のバッテリーが充電中に休止状態に切り換えられた場合のバッテリー電圧の変化を例示した図である。
【
図6】
図1のバッテリーが放電中に休止状態に切り換えられた場合のバッテリー電圧の変化を例示した図である。
【
図7】休止時間とエラー値との対応関係を例示した図である。
【
図8】
図1のバッテリー管理システムを用いたバッテリー管理方法のフローチャートである
【
図9】
図1のバッテリー管理システムを用いたバッテリー管理方法のフローチャートである
【
図10】
図1のバッテリー管理システムを用いたバッテリー管理方法のフローチャートである
【
図11】
図1のバッテリー管理システムを用いたバッテリー管理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0033】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0034】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0035】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0036】
図1は、本発明による電気車両の構成を例示的に示した図である。
【0037】
図1を参照すると、電気車両1は、車両コントローラ2、バッテリーパック20、スイッチ30、インバータ40及び電気モータ50を含む。
【0038】
車両コントローラ2は、電気車両1に設けられた始動ボタン(図示せず)が使用者によってON位置に切り換えられたことに応じて、キーON信号を生成するように構成される。車両コントローラ2は、始動ボタンが使用者によってOFF位置に切り換えられたことに応じて、キーOFF信号を生成するように構成される。
【0039】
スイッチ30は、バッテリーパック20の充放電のための電力ライン3に設けられる。即ち、スイッチ30は、電力ライン3によってバッテリーBに直列接続する。スイッチ30がオンされている間、バッテリーパック20とインバータ40のいずれか一つから他の一つへの電力伝達が可能である。スイッチ30は、リレー、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)などのような公知のスイッチング器機の一つまたは二つ以上の組合せによって具現され得る。
【0040】
インバータ40は、バッテリーBから供給される直流電力を交流電力へ変換して電気モータ50に供給する。電気モータ50は、インバータ40からの交流電力を電気車両1のための運動エネルギーに変換する。
【0041】
バッテリーパック20は、バッテリーB及びバッテリー管理システム100を含む。
【0042】
バッテリーBは、少なくとも一つのバッテリーセルを含む。バッテリーセルは、例えば、リチウムイオンセルのように、反復的なサイクルが可能なものであれば、その種類は特に限定されない。
【0043】
バッテリー管理システム100は、電圧センサー110、電流センサー120、メモリ140及び制御回路150を含む。バッテリー管理システム100は、温度センサー130及び通信回路160のうち少なくとも一つをさらに含み得る。
【0044】
電圧センサー110は、バッテリーBの正極端子及び負極端子に電気的に接続可能に提供される。電圧センサー110は、所定の時間ごとに、バッテリーBの両端にかかった電圧(以下、「バッテリー電圧」と称することがある。)を測定し、測定されたバッテリー電圧を示す信号を制御回路150に出力するように構成される。
【0045】
電流センサー120は、電力ライン3に設けられ、電力ライン3によってバッテリーBに直列接続する。例えば、シャント抵抗やホール効果素子などが電流センサー120として用いられ得る。電流センサー120は、所定の時間ごとに、電力ライン3を通して流れる電流(以下、「バッテリー電流」と称することがある。)を測定し、測定されたバッテリー電流を示す信号を制御回路150に出力するように構成される。バッテリーBが放電中に測定されるバッテリー電流を「放電電流」と称し、バッテリーBが充電中に測定されるバッテリー電流を「充電電流」と称し得る。
【0046】
温度センサー130は、バッテリーBから所定の距離内の領域に配置される。例えば、熱電対などが温度センサー130として用いられ得る。温度センサー130は、所定の時間ごとに、バッテリーBの温度(以下、「バッテリー温度」と称することがある。)を測定し、測定されたバッテリー温度を示す信号を制御回路150に出力するように構成される。
【0047】
メモリ140は、後述する実施例によるバッテリー管理方法の実行に必要なプログラム及び各種データを保存するように構成される。メモリ140は、例えば、フラッシュメモリタイプ(flash(登録商標) memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリ)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリ)、ROM(read‐only memory,リードオンリメモリ)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルリードオンリメモリ)、PROM(programmable read-only memory,プログラマブルリードオンリメモリ)の少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。
【0048】
制御回路150は、車両コントローラ2、スイッチ30、電圧センサー110、温度センサー130、電流センサー120、メモリ140及び通信回路160に動作可能に結合する。二つの構成が動作可能に結合するということは、二つの構成間に単方向または双方向に信号を送受信可能に接続していることを意味する。制御回路150は、ハードウェア的に、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、マイクロプロセッサー(microprocessors)、その他の機能の遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。
【0049】
通信回路160は、車両コントローラ2と通信可能に結合し得る。通信回路160は、車両コントローラ2からのメッセージを制御回路150に伝送し、制御回路150からのメッセージを車両コントローラ2に伝送し得る。通信回路160と車両コントローラ2との間の通信には、例えば、LAN(local area network,ローカルエリア・ネットワーク)、CAN(controller area network,コントローラー・エリア・ネットワーク)、デージチェーンのような有線ネットワーク及び/またはブルートゥース(登録商標)、ジグビー、Wi-Fi(登録商標)などの無線ネットワークを提供し得る。
【0050】
制御回路150は、バッテリー電圧、バッテリー電流及び/またはバッテリー温度に基づき、バッテリーBのSOCを決定し得る。バッテリーBのサイクル中のSOCの決定は、電流積算法、カルマンフィルターなどのような公知の方式が用いられ得る。バッテリーBが休止状態にあるときのSOCの決定については、以下に具体的に説明する。
【0051】
図2は、OCV-SOCカーブを例示した図であり、
図3は、
図1のバッテリーBがサイクル期間と休止期間を経る間のバッテリーBのSOCの変化を例示した図であり、
図4は、
図1のバッテリーBのサイクル期間中に、電流センサーのオフセットエラーによる電流積値の変化を例示した図であり、
図5は、
図1のバッテリーBが充電中に休止状態に切り換えられた場合のバッテリー電圧の変化を例示した図であり、
図6は、
図1のバッテリーBが放電中に休止状態に切り換えられた場合のバッテリー電圧の変化を例示した図であり、
図7は、休止時間とエラー値との対応関係を例示した図である。
【0052】
図2を参照すると、OCV-SOCカーブ200は、バッテリーBのヒステリシスが完全に解消されたときのOCVとSOCとの対応関係を規定するデータセットである。例えば、OCV-SOCカーブ200は、所定の基準温度(例えば、25℃)に維持される環境で、バッテリーBと同じ仕様の他のバッテリーが完全充電されたときから完全放電するまで、第1テスト時間にわたる定電流放電と、第2テスト時間(例えば、5日間)にわたる休止と、を反復する放電テストの結果から予め得られたデータであり得る。勿論、OCV-SOCカーブを決定する方式は、特に制限されない。メモリ140には、複数の温度区間に一対一に対応する複数のOCV-SOCカーブが予め保存され得る。
【0053】
図3は、バッテリーBが時点t
A0で充電から休止状態に切り換えられた後、時点t
A1で休止状態から放電に切り換えられ、時点t
B0で放電から休止状態に切り換えられ、時点t
B1まで休止状態に維持される間のバッテリーBのSOCの時系列的変化を例示する。
【0054】
時点t
A0から時点t
A1までを「第1休止期間」にし、時点t
A1から時点t
B0までを「サイクル期間(
図3では、放電期間)」にし、時点t
B0から時点t
B1までを「第2休止期間」にする。第1休止期間t
A0~t
A1の持続時間である第1休止時間Δt
R1はt
A1-t
A0であり、サイクル期間t
A1~t
B0の持続時間であるサイクル時間Δt
CDはt
B0-t
A1であり、第2休止期間t
B0~t
B1の持続時間である第2休止時間Δt
R2はt
B1-t
B0である。時点t
B1を基準にして、第1休止期間t
A0~t
A1は既に終了したので、第1休止時間Δt
R1は固定された値である。一方、時点t
B1を基準にして、第2休止期間t
B0~t
B1は進行中であるため、第2休止時間Δt
R2は増加中である。このことから、第1休止時間Δt
R1を「固定休止時間」と称し、第2休止時間Δt
R2を「関心休止時間」と称する。
【0055】
制御回路150は、バッテリーBの充放電中にキーOFF信号を受信すると、キーOFF信号の受信時のバッテリーBのSOCである基準SOCを決定し、バッテリーBの休止期間を開始し得る。休止期間の開始は、サイクル状態から休止状態への切換えを意味する。例えば、
図2、
図3、
図5及び
図6において、SOC
A0は、第1休止期間t
A0~t
A1の開始時点t
A0における基準SOCを示し、SOC
B0は、第2休止期間t
B0~t
B1の開始時点t
B0における基準SOCを示す。制御回路150は、OCV-SOCカーブ200から、基準SOC(SOC
A0)に対応する基準OCV(VA
0)及び基準SOC(SOC
B0)に対応する基準OCV(V
B0)を決定し得る。
【0056】
制御回路150は、バッテリーBの休止中にキーON信号を受信すると、キーON信号の受信時のバッテリー電圧及びSOCを各々示す固定OCV及び固定SOCを決定し、バッテリーBのサイクル期間を開始し得る。サイクル期間の開始は、休止状態からサイクル状態への切換えを意味する。例えば、
図2において、V
A1とSOC
A1は各々第1休止期間t
A0~t
A1の終了時点t
A1における固定OCV及び固定SOCを示す。
【0057】
制御回路150は、バッテリーBの休止中に、所定の時間(例えば、1分)ごとに、バッテリー電圧である関心OCVを決定し得る。例えば、
図2及び
図6において、V
B1は、時点t
B1における関心OCVを示す。制御回路150は、OCV-SOCカーブ200から、関心OCV(V
B1)に対応する関心SOC(SOC
B1)を決定し得る。
【0058】
制御回路150は、バッテリーBの充放電中に、所定の時間ごとに、バッテリー電流の電流積算値を決定し得る。
図4を参照すると、カーブ401は、サイクル期間t
A1~t
B0にわたる実際のバッテリー電流の変化を示す。
図2では、サイクル期間t
A1~t
B0にわたってバッテリーBが放電されるので、実際のバッテリー電流を負の値として
図4に示した。カーブ402は、カーブ401に対して電流センサー120の電流オフセットエラーΔI
OEを反映した結果を例示する。例えば、実際のバッテリー電流が-10Aであり、ΔI
OEが0.06Aである場合、電流センサー120によって測定されたバッテリー電流は(-10-0.06)Aと(-10+0.06)Aとの間である。
【0059】
カーブ411は、カーブ401による電流積算値の変化を例示する。カーブ412は、カーブ402による電流積算値の変化を例示する。図示したように、サイクル期間tA1~tB0にかけてカーブ401とカーブ402との間に電流オフセットエラーΔIOE分の差が維持される場合、時点tB0では、カーブ411とカーブ412とはΔQOE=ΔIOE×ΔtCD分の差が発生するようになる。
【0060】
図2及び
図5を参照すると、固定OCV(V
A1)は、時点t
A1における実際のバッテリー電圧V
A2に対して電圧センサー110の電圧オフセットエラーΔV
OEがマイナス方向に発生した値であり得る。これによって、固定SOC(SOC
A1)とSOC
A2との間にはΔSOC
OE1分の差が発生し得る。
【0061】
図2及び
図6を参照すると、関心OCV(V
B1)は、時点t
B1における実際のバッテリー電圧V
B2に対して電圧オフセットエラーΔV
OEがプラス方向へ発生した値であり得る。これによって、関心SOC(SOC
B1)とSOC
B2との間にはΔSOC
OE2分の差が発生し得る。
【0062】
図7において、カーブ701は、メモリ140に予め記録された、基準SOC(SOC
A0)に関わる休止時間とエラー値との対応関係を示す。カーブ701は、所定の基準温度(例えば、25℃)に維持される環境で、バッテリーBと同じ仕様である他のバッテリーを、SOCが100%であるときから基準SOC(SOC
A0)になるまで定電流放電を行った後、休止状態に切り換え、休止時間とバッテリー電圧をモニターする休止テストの結果から予め得られたデータであり得る。カーブ701は、多様な値の基準SOCに対して個別的にメモリ140に記録され得る。
【0063】
図2、
図5及び
図7を参照すると、Δt
R1が長いほどV
A1がV
A0に近くなるため、SOC
A0とSOC
A1との差であるΔSOC
RT1の絶対値が減少する。制御回路150は、カーブ701から、Δt
R1に対応するエラー値E
R1を決定し得る。エラー値E
R1は、下記の数式1で表される。
【0064】
【0065】
数式1において、Vtest_int1は、休止テストによって休止状態が開始された後に最初に測定されたバッテリー電圧であり、Vtest_R1は、休止テストによって休止状態がΔtR1にかけて維持されたときに測定されたバッテリー電圧である。
【0066】
カーブ702は、メモリ140に記録された、基準SOC(SOCB0)に関わる休止時間とエラー値との対応関係を示す。カーブ702は、所定の基準温度(例えば、25℃)に維持される環境で、バッテリーBと同じ仕様である他のバッテリーを、SOCが100%であるときから基準SOC(SOCB0)になるまで定電流放電を行った後、休止状態に切り換えて、休止時間とバッテリー電圧をモニターする休止テストの結果から予め得られたデータであり得る。
【0067】
図2、
図5及び
図7を参照すると、Δt
R2が長いほどV
B1がV
B0に近くなるため、SOC
B0とSOC
B1との差であるΔSOC
RT2の絶対値が減少する。制御回路150は、カーブ702から、Δt
R2に対応するエラー値E
R2を決定し得る。エラー値E
R2は、下記の数式2で表される。
【0068】
【0069】
数式2において、Vtest_int2は、休止テストによって休止状態が開始された後に最初に測定されたバッテリー電圧であり、Vtest_R2は、休止テストによって休止状態がΔtR2にかけて維持されたときに測定されたバッテリー電圧である。
【0070】
代案的に、メモリ部140は、カーブ701の代わりに数式1を記録し、カーブ702の代わりに数式2を記録し得る。この場合、制御回路150は、数式1のVtest_R1にVA1を代入してエラー値ER1を決定し得、数式2のVtest_R2にVB1を代入してエラー値ER2を決定し得る。
【0071】
図8~
図11は、
図1のバッテリー管理システムを用いたバッテリー管理方法の各々フローチャートである。制御回路150は、バッテリーBの休止中における車両コントローラーからのキーON信号の受信に応じて、
図8の方法を実行し得る。説明の便宜のために、
図3に示した時点t
A0から時点t
B0までの期間を基準にして説明する。
【0072】
図1、
図2~
図6及び
図8を参照すると、段階S810で、制御回路150は、固定休止時間Δt
R1、固定OCV(V
A1)及び固定SOC(SOC
A1)を決定する。
【0073】
段階S820において、制御回路150は、バッテリーBを休止状態からサイクル状態に切り換える。即ち、サイクル期間tA1~tB0が開始される。
【0074】
段階S830において、制御回路150は、バッテリー電流の電流積算値を決定する。電流積算値は、電流センサー120によって測定されるバッテリー電流をサイクル期間tA1~tB0の開始時点から所定の時間(例えば、0.1秒)ごとに合算した値であって、単位は、アンペア時(Ah,ampere-hour)である。
【0075】
段階S840において、制御回路150は、車両コントローラ2からキーOFF信号が受信されたか否かを判定する。段階S830は、キーOFF信号が受信されるまで、所定の時間(例えば、0.1秒)ごとに反復され得る。
【0076】
図8の方法の実行中にキーOFF信号が受信された場合、
図8の方法は終了し、
図9の方法が開始され得る。説明の便宜のために、時点t
B0からの期間を基準にして説明する。
【0077】
図1、
図2~
図6及び
図9を参照すると、段階S910において、制御回路150は、サイクル時間Δt
CD及び基準SOC(SOC
B0)を決定する。
【0078】
段階S920において、制御回路150は、バッテリーBをサイクル状態から休止状態に切り換える。即ち、第2休止期間tB0~tB1が開始される。
【0079】
段階S930において、制御回路150は、関心休止時間ΔtR2、関心OCV(VB1)及び関心SOC(SOCB1)を決定する。
【0080】
段階S940において、制御回路150は、バッテリーBのSOHを決定する。SOHは、所定の基準容量に対する現在の最大容量の割合を0~1または0~100%の範囲で示すバッテリーB情報である。基準容量は、バッテリーBが退化していない状態(即ち、新品)においてバッテリーBに最大に貯蔵可能な電荷量を示す。制御回路150は、下記の数式3を用いて、SOHを決定し得る。
【0081】
【0082】
数式3において、SOH
R2は第2休止期間t
B0~t
B1の開始時から関心休止時間Δt
R2が経過したときのSOHを示し、Q
intは基準容量を示し、ΔQ
CDは、
図8の終了前に最後に決定された電流積算値を示し、ΔSOC
CDは固定SOC(SOC
A1)と関心SOC(SOC
B1)との差を示すSOC変化分を示す。段階S940で決定されるSOHを「臨時SOH」と称することもある。
【0083】
段階S950において、制御回路150は、代表エラーファクターを決定する。代表エラーファクターは、段階S940で決定されたSOHの不精密性を示す。代表エラーファクターは、実際のSOHと段階S940で決定されたSOHとの差に対応する。代表エラーファクターの決定については、
図10を参照して以下に別に説明する。
【0084】
段階S960において、制御回路150は、代表エラーファクターに基づいて加重値を決定する。加重値は、段階S940で決定されたSOHの信頼度を示す。代表エラーファクターが大きいほど段階S940で決定されたSOHの信頼度は低くなる。したがって、代表エラーファクターと加重値は、二つのうち一つの減少が他の一つの増加として示される関係を有する。例えば、制御回路150は、下記の数式4を用いて加重値を決定し得る。
【0085】
【0086】
数式4において、WSOHは加重値を示し、Mは1よりも大きい所定の第1変換定数(例えば、オイラー数e)を示し、Kは0よりも大きい所定の第2変換定数(例えば、0.8)を示し、FSOHは代表エラーファクターを示す。
【0087】
段階S930~S960によって決定される値は、先入先出法によって、メモリ部140内の所定の個数のバッファーに順次記録され得る。バッファーとは、情報の保存領域である。
【0088】
段階S970において、制御回路150は、カウントインデックスを1だけ増加させる。カウントインデックスは、第2休止期間tB0~tB1の間、段階S930~S960が繰り返して実行された回数を示す。
【0089】
段階S980において、制御回路150は、車両コントローラーからキーON信号が受信されたか否かを判定する。
図9の方法の実行中にキーON信号が受信された場合、
図9の方法は終了し、
図8の方法が開始され得る。
図9の方法が終了すると、カウントインデックスは0にリセットされ得る。
【0090】
段階S930~S970は、キーON信号が受信されるまで、所定の時間(例えば、1分)毎に繰り返され得る。
【0091】
図10は、段階S950のサブ段階を例示したフローチャートである。
【0092】
図10を参照すると、段階S1010において、制御回路150は、サイクル時間Δt
CD、電流積算値ΔQ
CD及び電流オフセットエラーΔI
OEに基づいて、第1エラーファクターを決定する。第1エラーファクターは、サイクル時間Δt
CDと電流オフセットエラーΔI
OEとの積を電流積算値ΔQ
CDで割った値と同一であり得る。第1エラーファクターは、サイクル期間t
A1~t
B0にかけて累積した電流オフセットエラーΔI
OEによって発生した、段階S940で決定されたSOH内のエラー成分に対応する。
【0093】
段階S1020において、制御回路150は、固定OCV、固定SOC、関心OCV、関心SOC及び電圧オフセットエラーに基づいて第2エラーファクター及び第3エラーファクターを決定する。
【0094】
第2エラーファクターの決定について説明する。制御回路150は、固定OCV(VA1)に電圧オフセットエラーΔVOEを加算または減算して、第1補正されたOCVを決定する。この場合、第1補正されたOCVは、VA1+ΔVOEまたはVA1-ΔVOEと同一である。次に、制御回路150は、OCV-SOCカーブ200から、第1補正されたOCVに対応する第1補正されたSOCを決定する。続いて、制御回路150は、固定SOC(SOCA1)と第1補正されたSOCとの差をSOC変化分(ΔSOCCD)で割った値と同一に第2エラーファクターを決定し得る。第2エラーファクターは、サイクル期間tA1~tB0の開始時点tA1における電圧オフセットエラーΔVOEによって発生した、段階S940で決定されたSOH内のエラー成分に対応する。
【0095】
第3エラーファクターの決定について説明する。制御回路150は、関心OCV(VB1)に電圧オフセットエラー(ΔVOE)を加算または減算して第2補正されたOCVを決定する。この場合、第2補正されたOCVは、VB1+ΔVOEまたはVB1-ΔVOEと同一である。次に、制御回路150は、OCV-SOCカーブ200から、第2補正されたOCVに対応する第2補正されたSOCを決定する。続いて、制御回路150は、関心SOC(SOCB1)と第2補正されたSOCとの差をSOC変化分(ΔSOCCD)で割った値と同一に第3エラーファクターを決定し得る。第3エラーファクターは、第2休止期間tB0~tB1の時点tB1における電圧オフセットエラーΔVOEによって発生した、段階S940で決定されたSOH内のエラー成分に対応する。
【0096】
段階S1030において、制御回路150は、固定休止時間Δt
R1に基づいて、第4エラーファクターを決定し得る。
図7を参照すると、第4エラーファクターは、数式1によるエラー値E
R1と同一であり得る。第4エラーファクターは、固定休止時間Δt
R1が充分に長くないことから発生した、段階S940で決定されたSOH内のエラー成分に対応する。
【0097】
段階S1040において、制御回路150は、関心休止時間Δt
R2に基づいて、第5エラーファクターを決定し得る。
図7を参照すると、第5エラーファクターは、数式2によるエラー値E
R2と同一であり得る。第5エラーファクターは、関心休止時間Δt
R2が充分に長くないことから発生した、段階S940で決定されたSOH内のエラー成分に対応する。
【0098】
図10には、段階S1010から段階S1040が順次に実行されるように図示したが、これは例示であるだけであり、これらの順序は変更されてもよい。
【0099】
制御回路150は、下記の数式5を用いて代表エラーファクターを決定できる。
【0100】
【0101】
数式5において、FSOHは代表エラーファクター、Fiは第iエラーファクター、wiは0よりも大きい第i所定の加重値を示す。例えば、w1、w2、w3、w4及びw5は各々1であり得る。
【0102】
図11の方法は、段階S970が実行される度に開始され得る。
【0103】
段階S1110において、制御回路150は、カウントインデックスが所定の値N(例えば、10)以上であるか否かを判定する。即ち、制御回路150は、少なくともN個のSOHと少なくともN個の加重値がメモリ部140内のバッファーに順次に保存されたか否かを判定する。段階S1110の値が「はい」であれば、段階S930~段階S970が第2休止期間tB0~tB1に少なくともN回実行されたことを意味する。
【0104】
段階S1120において、制御回路150は、メモリ部140から、最近決定された順でN個のSOHを得る。即ち、制御回路150は、メモリ部140に最後に記録されたSOHから遡ってN個のSOHの値を示すデータセットを獲得する。
【0105】
段階S1130において、制御回路150は、メモリ部140から、最近に決定された順でN個の加重値を獲得する。即ち、制御回路150は、メモリ部140に最後に記録された加重値から遡ってN個の加重値を示すデータセットを獲得する。
【0106】
段階S1140において、制御回路150は、N個のSOH及びN個の加重値に基づいて有効SOHを決定する。有効SOHは、N個の加重値によるN個のSOHの加重平均であり得る。例えば、N個のSOHとしてSOHR2[1]~SOHR2[N]が獲得され、N個の加重値としてWSOH[1]~WSOH[N]が獲得されたとしよう。そうすると、制御回路150は、下記の数式6を用いて、有効SOHを決定できる。
【0107】
【0108】
数式6において、SOHeffは有効SOHを示す。
【0109】
制御回路150は、有効SOHが臨界値(例えば、75%)以下である場合、所定の保護動作を行い得る。保護動作としては、例えば、アラームメッセージの出力、スイッチ30のオフなどが挙げられる。アラームメッセージは、通信部160から車両コントローラ2に伝送され得る。
【0110】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0111】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0112】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【国際調査報告】