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特表2022-548521参照ダウンサンプリングありの動き補償補間のためのフィルタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】参照ダウンサンプリングありの動き補償補間のためのフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/117 20140101AFI20221114BHJP
   H04N 19/132 20140101ALI20221114BHJP
   H04N 19/136 20140101ALI20221114BHJP
   H04N 19/80 20140101ALI20221114BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/132
H04N19/136
H04N19/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514464
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 US2020047249
(87)【国際公開番号】W WO2021061312
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】62/904,608
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/906,930
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】511050697
【氏名又は名称】アリババ グループ ホウルディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ジャンコン
(72)【発明者】
【氏名】イエ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】サーヴァー,モハメッド,ゴラム
【テーマコード(参考)】
5C159
【Fターム(参考)】
5C159NN14
5C159TA06
5C159TA68
5C159TB08
5C159TC25
5C159UA13
(57)【要約】
本開示は、動き補償補間を使用して映像コンテンツを処理するためのシステム及び方法を提供する。方法は、標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを符号化又は復号することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動き補償補間を行うためのコンピュータ実装方法であって、
標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、前記参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び
前記参照ブロックを使用して前記標的ピクチャのブロックを処理すること
を含むコンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記バンドパスフィルタは、理想ローパスフィルタ及び窓関数に基づいて生成されるコサイン窓sincフィルタである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コサイン窓sincフィルタは、カーネル関数
【数1】

(ここで、
【数2】

であり、fcは、前記コサイン窓sincフィルタのカットオフ周波数であり、Lは、カーネル長であり、及びrは、前記参照ダウンサンプリングのダウンサンプリング比である)
に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記バンドパスフィルタの実フィルタ係数を得ること、
前記実フィルタ係数のための複数の丸め方向をそれぞれ決定すること、
前記複数の丸め方向に従って前記実フィルタ係数を丸めることにより、丸められたフィルタ係数の複数の組み合わせを生成すること、及び
前記複数の組み合わせのうち、コスト関数を最小又は最大にする丸められたフィルタ係数の組み合わせを選択すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コスト関数は、前記丸められたフィルタ係数及び参照に関連する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記参照は、前記丸めることの前の前記バンドパスフィルタの前記実フィルタ係数、理想フィルタの周波数応答、又は前記バンドパスフィルタよりも長い長さを有するフィルタの周波数応答である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コサイン窓sincフィルタは、8タップフィルタ、6タップフィルタ、又は4タップフィルタである、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記参照ピクチャに前記バンドパスフィルタを適用することは、分数サンプル位置においてルマサンプル又はクロマサンプルを得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記参照ピクチャの前記解像度と前記標的ピクチャの前記解像度との間の比率に基づき、前記バンドパスフィルタを8タップフィルタ、6タップフィルタ、及び4タップフィルタのうちの1つに決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記バンドパスフィルタの丸められたフィルタ係数の前記選択された組み合わせをシーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、及びスライスヘッダのうちの少なくとも1つにおいてシグナリングすることを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
動き補償補間を行うためのシステムであって、
命令の組を記憶するメモリと、
少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記少なくとも1つのプロセッサは、
標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、前記参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び
前記参照ブロックを使用して前記標的ピクチャのブロックを処理すること
を前記システムに行わせるように、命令の組を実行するように構成される、
システム。
【請求項12】
前記バンドパスフィルタは、理想ローパスフィルタ及び窓関数に基づいて生成されるコサイン窓sincフィルタである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コサイン窓sincフィルタは、カーネル関数
【数3】

(ここで、
【数4】

であり、fcは、前記コサイン窓sincフィルタのカットオフ周波数であり、Lは、カーネル長であり、及びrは、前記参照ダウンサンプリングのダウンサンプリング比である)
に基づく、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
少なくとも1つのプロセッサは、
前記バンドパスフィルタの実フィルタ係数を得ること、
前記実フィルタ係数のための複数の丸め方向をそれぞれ決定すること、
前記複数の丸め方向に従って前記実フィルタ係数を丸めることにより、丸められたフィルタ係数の複数の組み合わせを生成すること、及び
前記複数の組み合わせのうち、コスト関数を最小又は最大にする丸められたフィルタ係数の組み合わせを選択すること
を前記システムに更に行わせるように、命令の組を実行するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記コスト関数は、前記丸められたフィルタ係数及び参照に関連する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記参照は、前記丸めることの前の前記バンドパスフィルタの前記実フィルタ係数、理想フィルタの周波数応答、又は前記バンドパスフィルタよりも長い長さを有するフィルタの周波数応答である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コサイン窓sincフィルタは、8タップフィルタ、6タップフィルタ、又は4タップフィルタである、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記参照ピクチャに前記バンドパスフィルタを適用することは、分数サンプル位置においてルマサンプル又はクロマサンプルを得ることを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも1つのプロセッサは、前記参照ピクチャの前記解像度と前記標的ピクチャの前記解像度との間の比率に基づき、前記バンドパスフィルタを8タップフィルタ、6タップフィルタ、及び4タップフィルタのうちの1つに決定することを前記システムに更に行わせるように、命令の組を実行するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
命令の組を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令の組は、映像コンテンツを処理するための方法をコンピュータシステムに実行させるように、前記コンピュータシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能であり、前記方法は、
標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、前記参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び
前記参照ブロックを使用して前記標的ピクチャのブロックを処理すること
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001] 本開示は、両方とも参照によりその全体が本明細書に援用される、2019年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/904,608号及び2019年9月27日に出願された米国仮特許出願第62/906,930号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
[002] 本開示は、概して、映像処理に関し、より詳細には、参照再サンプリングありの動き補償補間のためのフィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[003] 映像は、視覚情報を捕捉する静的ピクチャ(又は「フレーム」)の組である。記憶メモリ及び伝送帯域幅を減らすために、映像は、記憶又は伝送前に圧縮し、表示前に解凍することができる。圧縮プロセスは、通常、符号化と呼ばれ、解凍プロセスは、通常、復号と呼ばれる。最も一般的には、予測、変換、量子化、エントロピーコード化及びインループフィルタリングに基づく規格化された映像コード化技術を使用する様々な映像コード化形式がある。特定の映像コード化形式を指定するHigh Efficiency Video Coding(HEVC/H.265)規格、Versatile Video Coding(VVC/H.266)規格、AVS規格等の映像コード化規格が規格化組織によって策定されている。一層進化した映像コード化技術が映像規格に採用されるにつれて、新たな映像コード化規格のコード化効率が一層高くなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の概要
[004] 本開示の実施形態は、参照再サンプリングありの動き補償補間を行うためのコンピュータ実施方法を提供する。この方法は、標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを処理することを含み得る。
【0005】
[005] 本開示の実施形態は、動き補償補間を行うためのシステムを更に提供する。このシステムは、命令の組を記憶するメモリと、少なくとも1つのプロセッサとを含み得、少なくとも1つのプロセッサは、標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを処理することを装置に行わせるように、命令の組を実行するように構成される。
【0006】
[006] 本開示の実施形態は、命令の組を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体も更に提供し、命令の組は、映像コンテンツを処理するための方法をコンピュータシステムに実行させるように、コンピュータシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能である。方法は、標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを処理することを含み得る。
【0007】
図面の簡単な説明
[007] 本開示の実施形態及び様々な態様を以下の詳細な説明及び添付図面に示す。図中に示す様々な特徴は、縮尺通りに描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[008]本開示の実施形態と合致する、例示的な映像シーケンスの構造を示す。
図2A】[009]本開示の実施形態と合致する、ハイブリッド映像コード化システムの例示的な符号化プロセスの概略図を示す。
図2B】[010]本開示の実施形態と合致する、ハイブリッド映像コード化システムの別の例示的な符号化プロセスの概略図を示す。
図3A】[011]本開示の実施形態と合致する、ハイブリッド映像コード化システムの例示的な復号プロセスの概略図を示す。
図3B】[012]本開示の実施形態と合致する、ハイブリッド映像コード化システムの別の例示的な復号プロセスの概略図を示す。
図4】[013]本開示の実施形態と合致する、映像を符号化又は復号するための例示的な機器のブロック図である。
図5】[014]本開示の実施形態と合致する、参照ピクチャ及び現ピクチャの概略図を示す。
図6】[015]本開示の実施形態と合致する、4×4ルマブロックのための例示的な6タップDCTベース補間フィルタ係数の表を示す。
図7】[016]本開示の実施形態と合致する、ルマ成分のための例示的な8タップ補間フィルタ係数の表を示す。
図8】[017]本開示の実施形態と合致する、クロマ成分のための例示的な4タップ32フェーズ補間フィルタ係数の表を示す。
図9】[018]本開示の実施形態と合致する、例示的な理想ローパスフィルタの周波数応答を示す。
図10】[019]本開示の実施形態と合致する、2:1のダウンサンプリングのための例示的な12タップコサイン窓sinc補間フィルタ係数の表を示す。
図11】[020]本開示の実施形態と合致する、1.5:1のダウンサンプリングのための例示的な12タップコサイン窓sinc補間フィルタ係数の表を示す。
図12】[021]本開示の実施形態と合致する、参照ダウンサンプリングのための例示的なルマサンプル補間フィルタリングプロセスを示す。
図13】[022]本開示の実施形態と合致する、参照ダウンサンプリングのための例示的なクロマサンプル補間フィルタリングプロセスを示す。
図14】[001]本開示の実施形態と合致する、参照ダウンサンプリングのための例示的なルマサンプル補間フィルタリングプロセスを示す。
図15】[002]本開示の実施形態と合致する、参照ダウンサンプリングのための例示的なクロマサンプル補間フィルタリングプロセスを示す。
図16】[003]本開示の実施形態と合致する、参照ダウンサンプリングのための例示的なルマサンプル補間フィルタリングプロセスを示す。
図17】[004]本開示の実施形態と合致する、参照ダウンサンプリングのための例示的なクロマサンプル補間フィルタリングプロセスを示す。
図18】[005]本開示の実施形態と合致する、参照ダウンサンプリングのための例示的なクロマサンプル補間フィルタリングプロセスを示す。
図19】[006]本開示の実施形態と合致する、2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタを示す。
図20】[007]本開示の実施形態と合致する、1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタを示す。
図21】[008]本開示の実施形態と合致する、32フェーズ有する2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタを示す。
図22】[009]本開示の実施形態と合致する、32フェーズ有する1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタを示す。
図23】[010]本開示の実施形態と合致する、16フェーズ有する参照ダウンサンプリング比2:1の4×4ルマブロックMC補間のための例示的な6タップフィルタ係数の表を示す。
図24】[011]本開示の実施形態と合致する、16フェーズ有する参照ダウンサンプリング比1.5:1のルマ4×4ブロックMC補間のための例示的な6タップフィルタ係数の表を示す。
図25】[012]本開示の実施形態と合致する、2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタの表を示す。
図26】[013]本開示の実施形態と合致する、1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタを示す。
図27】[014]本開示の実施形態と合致する、16フェーズ有する2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な6タップフィルタを示す。
図28】[015]本開示の実施形態と合致する、16フェーズ有する1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な6タップフィルタを示す。
図29】[016]本開示の実施形態と合致する、32フェーズ有する2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な4タップフィルタを示す。
図30】[017]本開示の実施形態と合致する、32フェーズ有する1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な4タップフィルタを示す。
図31】[018]本開示の実施形態と合致する、2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタを示す。
図32】[019]本開示の実施形態と合致する、1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な8タップフィルタを示す。
図33】[020]本開示の実施形態と合致する、16フェーズ有する2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な6タップフィルタを示す。
図34】[021]本開示の実施形態と合致する、16フェーズ有する1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な6タップフィルタを示す。
図35】[022]本開示の実施形態と合致する、32フェーズ有する2:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な4タップフィルタを示す。
図36】[023]本開示の実施形態と合致する、32フェーズ有する1.5:1の比率における参照ダウンサンプリングありのMC補間のための例示的な4タップフィルタを示す。
図37】[024]本開示の実施形態と合致する、フィルタ係数のシグナリングの一例を示す。
図38】[025]本開示の実施形態と合致する、再サンプリング比及び対応するフィルタセットをシグナリングするための例示的な構文構造を示す。
図39】[026]本開示の実施形態と合致する、映像コンテンツを処理するための例示的方法のフローチャートである。
図40】[027]本開示の実施形態と合致する、コサイン窓sincフィルタのフィルタ係数を丸めるための例示的方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
[028] ここで、例が添付図面に示される例示的実施形態を詳細に参照する。以下の説明は、添付図面を参照し、添付図面では、他に指示がない限り、異なる図中の同じ数字が同じ又は同様の要素を表す。例示的実施形態についての以下の説明に記載される実装形態は、本発明と合致する全ての実装形態を表すわけではない。むしろ、それらは、添付の特許請求の範囲で列挙する本発明に関係する態様と合致する機器及び方法の例に過ぎない。本開示の特定の態様を以下でより詳細に説明する。参照により援用される用語及び/又は定義と矛盾する場合、本明細書で与えられる用語及び定義が優先する。
【0010】
[029] 映像コード化システムは、デジタル映像信号を圧縮するために、例えば消費される記憶空間を減らすか、又はかかる信号に関連する伝送帯域幅の消費量を減らすために多くの場合に使用される。オンライン映像ストリーミング、テレビ会議又は映像監視等の映像圧縮の様々な応用において、(例えば、1920×1080ピクセルの解像度を有する)高精細度(HD)映像の人気が高まるにつれて、映像データの圧縮効率を高めることができる映像コード化ツールを開発することが継続的に求められている。
【0011】
[030] 例えば、映像監視の応用は、多くの応用シナリオ(例えば、セキュリティ、交通、環境のモニタリング等)において一層且つ広範に使用されており、監視装置の数及び解像度が急激に増加している。多くの映像監視の応用シナリオは、より多くの情報を捕捉するためにHD映像をユーザに提供することを選択し、HD映像は、かかる情報を捕捉するために、1フレーム当たりでより多くのピクセルを有する。しかし、HD映像ビットストリームは、伝送のための高帯域幅及び記憶のための大きい空間を要求する高ビットレートを有し得る。例えば、平均的な1920×1080の解像度を有する監視映像ストリームは、リアルタイム伝送のために4Mbpsもの帯域幅を必要とし得る。更に、映像監視は、一般に、常時監視を行い、それは、映像データを記憶する場合に記憶システムにとって大きい課題となり得る。従って、HD映像の高帯域幅及び大きい記憶域に対する需要は、映像監視におけるHD映像の大規模な展開に対する主な制限になっている。
【0012】
[031] 映像とは、視覚的情報を記憶するために時系列順に配置される静止ピクチャ(又は「フレーム」)の組である。それらのピクチャを時系列順に捕捉し、記憶するために、映像捕捉装置(例えば、カメラ)を使用することができ、かかるピクチャを時系列順に表示するために、映像再生装置(例えば、テレビ、コンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ビデオプレーヤ又は表示機能を有する任意のエンドユーザ端末)を使用することができる。更に、一部の応用では、監視、会議又は生放送等のために、映像捕捉装置が捕捉映像を映像再生装置(例えば、モニタを有するコンピュータ)にリアルタイムで伝送することができる。
【0013】
[032] かかる応用が必要とする記憶空間及び伝送帯域幅を減らすために、映像を記憶及び伝送前に圧縮し、表示前に解凍することができる。この圧縮及び解凍は、プロセッサ(例えば、汎用コンピュータのプロセッサ)又は専用ハードウェアによって実行されるソフトウェアによって実装され得る。圧縮のためのモジュールを一般に「符号器」と呼び、解凍のためのモジュールを一般に「復号器」と呼ぶ。符号器及び復号器は、まとめて「コーデック」と呼ぶことができる。符号器及び復号器は、様々な適切なハードウェア、ソフトウェア又はその組み合わせとして実装することができる。例えば、符号器及び復号器のハードウェア実装は、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、書換可能ゲートアレイ(FPGA)、ディスクリートロジック又はその任意の組み合わせ等の回路を含み得る。符号器及び復号器のソフトウェア実装は、プログラムコード、コンピュータ実行可能命令、ファームウェア又はコンピュータ可読媒体内に固定される任意の適切なコンピュータによって実装されるアルゴリズム若しくはプロセスを含み得る。映像の圧縮及び解凍は、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、H.26xシリーズ等の様々なアルゴリズム又は規格によって実装され得る。一部の応用では、コーデックが第1のコード化規格から映像を解凍し、第2のコード化規格を使用して、解凍された映像を再圧縮することができ、その場合、コーデックを「トランスコーダ」と呼ぶことができる。
【0014】
[033] 映像符号化プロセスは、ピクチャを再構築するために使用可能な有用な情報を識別し、保つことができ、再構築に重要でない情報を無視することができる。無視された重要でない情報を完全に再構築できない場合、かかる符号化プロセスは、「非可逆」と呼ぶことができる。さもなければ、かかる符号化プロセスは、「可逆」と呼ぶことができる。殆どの符号化プロセスは、非可逆であり、これは、必要な記憶空間及び伝送帯域幅を減らすためのトレードオフである。
【0015】
[034] 符号化されているピクチャ(「現ピクチャ」と呼ぶ)の有用な情報は、参照ピクチャ(例えば、過去に符号化され、再構築されたピクチャ)に対する変化を含む。かかる変化は、ピクセルの位置変化、光度変化又は色変化を含むことができ、そのうちの位置変化が最も重要である。オブジェクトを表すピクセル群の位置変化は、参照ピクチャと現ピクチャとの間のオブジェクトの動きを反映し得る。
【0016】
[035] 別のピクチャを参照することなくコード化されるピクチャ(即ちそのようなピクチャは自らの参照ピクチャである)を「Iピクチャ」と呼ぶ。参照ピクチャとして過去のピクチャを使用してコード化されるピクチャを「Pピクチャ」と呼ぶ。参照ピクチャとして過去のピクチャ及び将来のピクチャの両方を使用してコード化される(即ち参照が「双方向」である)ピクチャを「Bピクチャ」と呼ぶ。
【0017】
[036] 先に述べたように、HD映像を使用する映像監視は、高帯域幅及び大きい記憶域の需要の課題に直面する。この課題に対処するために、符号化映像のビットレートを下げることができる。Iピクチャ、Pピクチャ及びBピクチャのうち、Iピクチャが最も高いビットレートを有する。殆どの監視映像の背景は、ほぼ静的であるため、符号化映像の全体的なビットレートを下げる1つの方法は、映像の符号化のためにより少ないIピクチャを使用することであり得る。
【0018】
[037] しかし、符号化映像内において、Iピクチャは、一般に主要なものではないため、Iピクチャをより少なく使用する改善策は、些細なものであり得る。例えば、典型的な映像ビットストリームでは、Iピクチャ、Bピクチャ及びPピクチャの比率が1:20:9である場合があり、Iピクチャが総ビットレートの10%未満を占めることがある。換言すれば、かかる例では、全てのIピクチャを除去しても、低減されるビットレートは、10%に過ぎない可能性がある。
【0019】
[038] 図1は、本開示の実施形態に合致する、映像シーケンス100の一例の構造を示す。映像シーケンス100は、生中継映像又は捕捉され、アーカイブされている映像であり得る。映像100は、現実の映像、コンピュータによって生成される映像(例えば、コンピュータゲーム映像)又はその組み合わせ(例えば、拡張現実効果を有する現実の映像)であり得る。映像シーケンス100は、映像捕捉装置(例えば、カメラ)、過去に捕捉された映像を含む映像アーカイブ(例えば、記憶装置内に記憶される映像ファイル)又は映像コンテンツプロバイダから映像を受信するための映像フィードインタフェース(例えば、映像ブロードキャストトランシーバ)から入力され得る。
【0020】
[039] 図1に示すように、映像シーケンス100は、ピクチャ102、104、106及び108を含むタイムラインに沿って時間的に配置される一連のピクチャを含み得る。ピクチャ102~106は、連続的であり、ピクチャ106とピクチャ108との間に更に多くのピクチャがある。図1では、ピクチャ102は、Iピクチャであり、その参照ピクチャは、ピクチャ102自体である。ピクチャ104は、Pピクチャであり、矢印によって示すように、その参照ピクチャは、ピクチャ102である。ピクチャ106は、Bピクチャであり、矢印によって示すように、その参照ピクチャは、ピクチャ104及び108である。一部の実施形態では、ピクチャ(例えば、ピクチャ104)の参照ピクチャは、そのピクチャの直前又は直後になくてもよい。例えば、ピクチャ104の参照ピクチャは、ピクチャ102に先行するピクチャであり得る。ピクチャ102~106の参照ピクチャは、例に過ぎず、本開示は、参照ピクチャの実施形態を、図1に示す例として限定しないことに留意すべきである。
【0021】
[040] 典型的には、映像コーデックは、全ピクチャを一度に符号化又は復号せず、それは、かかるタスクが計算的に複雑であるためである。むしろ、映像コーデックは、ピクチャを基本セグメントに分割し、ピクチャをセグメントごとに符号化又は復号することができる。本開示では、そのような基本セグメントを基本処理単位(「BPU」)と呼ぶ。例えば、図1の構造110は、映像シーケンス100のピクチャ(例えば、ピクチャ102~108の何れか)の構造の一例を示す。構造110では、ピクチャが4×4の基本処理単位に分けられており、その境界が破線で示されている。一部の実施形態では、基本処理単位は、一部の映像コード化規格(例えば、MPEGファミリ、H.261、H.263又はH.264/AVC)内の「マクロブロック」と呼ぶことができ、他の一部の映像コード化規格(例えば、H.265/HEVC又はH.266/VVC)内の「コード化ツリー単位」(「CTU」)と呼ぶことができる。128×128、64×64、32×32、16×16、4×8、16×32、又はピクセルのあらゆる任意の形状及びサイズ等、基本処理単位は、ピクチャ内で可変サイズを有することができる。基本処理単位のサイズ及び形状は、コード化の効率と基本処理単位内で保とうとする詳細度とのバランスに基づいてピクチャについて選択することができる。
【0022】
[041] 基本処理単位は、コンピュータメモリ内(例えば、映像フレームバッファ内)に記憶される様々な種類の映像データ群を含み得る論理単位であり得る。例えば、カラーピクチャの基本処理単位は、無彩色の輝度情報を表すルマ成分(Y)、色情報を表す1つ又は複数のクロマ成分(例えば、Cb及びCr)、関連構文要素を含むことができ、ルマ成分及びクロマ成分は同じサイズの基本処理単位を有し得る。一部の映像コード化規格(例えば、H.265/HEVC又はH.266/VVC)では、ルマ成分及びクロマ成分が「コード化ツリーブロック」(「CTB」)と呼ばれ得る。基本処理単位に対して行われるいかなる操作も、そのルマ成分及びクロマ成分のそれぞれに対して繰り返し行うことができる。
【0023】
[042] 映像のコード化は、複数の操作段階を有し、その例を図2A図2B及び図3A図3Bで詳述する。それぞれの段階について、基本処理単位のサイズは、依然として処理するのに大き過ぎる場合があり、従って本開示で「基本処理副単位」と呼ぶセグメントに更に分けることができる。一部の実施形態では、基本処理副単位は、一部の映像コード化規格(例えば、MPEGファミリ、H.261、H.263又はH.264/AVC)内の「ブロック」と呼ぶことができ、又は他の一部の映像コード化規格(例えば、H.265/HEVC又はH.266/VVC)内の「コード化単位」(「CU」)と呼ぶことができる。基本処理副単位は、基本処理単位と同じ又はそれよりも小さいサイズを有し得る。基本処理単位と同様に、基本処理副単位もコンピュータメモリ内(例えば、映像フレームバッファ内)に記憶される様々な種類の映像データ群(例えば、Y、Cb、Cr及び関連構文要素)を含み得る論理単位である。基本処理副単位に対して行われるいかなる操作も、そのルマ成分及びクロマ成分のそれぞれに対して繰り返し行うことができる。処理の必要性に応じて、かかる分割は、更なるレベルに対して行われ得ることに留意すべきである。様々な段階が様々な方式を使用して基本処理単位を分割できることにも留意すべきである。
【0024】
[043] 例えば、(その一例を図2Bで詳述する)モード決定段階において、基本処理単位に対して何れの予測モード(例えば、イントラピクチャ予測又はインターピクチャ予測)を使用するかを符号器が決定することができ、基本処理単位は、かかる決定を下すには大き過ぎる場合がある。符号器は、基本処理単位を複数の基本処理副単位(例えば、H.265/HEVC又はH.266/VVCにあるCU)に分け、個々の基本処理副単位ごとに予測の種類を決定することができる。
【0025】
[044] 別の例では、(その一例を図2Aに詳述する)予測段階において、符号器は、基本処理副単位(例えば、CU)のレベルにおいて予測操作を行うことができる。しかし、一部の事例では、処理するのに基本処理副単位が依然として大き過ぎる場合がある。符号器は、基本処理副単位をより小さいセグメント(例えば、H.265/HEVC又はH.266/VVC内で「予測ブロック」又は「PB」と呼ばれる)に更に分けることができ、そのレベルにおいて予測操作を行うことができる。
【0026】
[045] 別の例では、(その一例を図2Aに詳述する)変換段階において、符号器は、残差基本処理副単位(例えば、CU)に対する変換操作を行うことができる。しかし、一部の事例では、処理するのに基本処理副単位が依然として大き過ぎる場合がある。符号器は、基本処理副単位をより小さいセグメント(例えば、H.265/HEVC又はH.266/VVC内で「変換ブロック」又は「TB」と呼ばれる)に更に分けることができ、そのレベルにおいて変換操作を行うことができる。同じ基本処理副単位についての分割方式は、予測段階と変換段階とで異なり得ることに留意すべきである。例えば、H.265/HEVC又はH.266/VVCでは、同じCUの予測ブロック及び変換ブロックは、異なるサイズ及び数を有し得る。
【0027】
[046] 図1の構造110では、基本処理単位112が3×3の基本処理副単位に更に分けられており、その境界が点線で示されている。同じピクチャの異なる基本処理単位を異なる方式で基本処理副単位に分けることができる。
【0028】
[047] 一部の実装形態では、映像の符号化及び復号に並列処理及び誤り耐性の機能を与えるために、ピクチャを処理のための領域に分けることができ、それにより、ピクチャの領域について、符号化又は復号プロセスがピクチャの他の任意の領域の情報に依存しないようにすることができる。換言すれば、ピクチャの各領域を独立に処理することができる。そうすることで、コーデックは、ピクチャの異なる領域を並列に処理し、従ってコード化の効率を高めることができる。更に、領域のデータが処理内で破損するか又はネットワーク伝送内で失われる場合、コーデックは、破損するか又は失われたデータに依存することなく、同じピクチャの他の領域を正しく符号化又は復号することができ、従って誤り耐性の機能を提供する。一部の映像コード化規格では、ピクチャを異なる種類の領域に分割することができる。例えば、H.265/HEVC及びH.266/VVCは、「スライス」及び「タイル」という2種類の領域を提供する。映像シーケンス100の様々なピクチャは、ピクチャを領域に分けるための様々な分割方式を有し得ることにも留意すべきである。
【0029】
[048] 例えば、図1では、構造110が3つの領域114、116及び118に分けられており、その境界が構造110内の実線として示されている。領域114は、4個の基本処理単位を含む。領域116及び118のそれぞれは、6個の基本処理単位を含む。図1の構造110の基本処理単位、基本処理副単位、及び領域は、例に過ぎず、本開示は、その実施形態を限定しないことに留意すべきである。
【0030】
[049] 図2Aは、本開示の実施形態と合致する、符号化プロセス200Aの一例の概略図を示す。例えば、符号化プロセス200Aは、符号器によって実行され得る。図2Aに示すように、符号器は、プロセス200Aに従って映像シーケンス202を映像ビットストリーム228に符号化することができる。図1の映像シーケンス100と同様に、映像シーケンス202は、時系列順に配置されるピクチャ(「元のピクチャ」と呼ぶ)の組を含み得る。図1の構造110と同様に、映像シーケンス202のそれぞれの元のピクチャは、符号器によって基本処理単位、基本処理副単位、又は処理のための領域に分けられ得る。一部の実施形態では、符号器は、映像シーケンス202のそれぞれの元のピクチャに関する基本処理単位のレベルにおいてプロセス200Aを実行することができる。例えば、符号器は、プロセス200Aを反復的な方法で実行することができ、符号器は、プロセス200Aの1回の反復において基本処理単位を符号化することができる。一部の実施形態では、符号器は、映像シーケンス202のそれぞれの元のピクチャの領域(例えば、領域114~118)についてプロセス200Aを並列に実行することができる。
【0031】
[050] 図2Aでは、符号器は、映像シーケンス202の元のピクチャの基本処理単位(「元のBPU」と呼ぶ)を予測段階204にフィードして、予測データ206及び予測されたBPU208を生成することができる。符号器は、元のBPUから、予測されたBPU208を減算して、残差BPU210を生成することができる。符号器は、残差BPU210を変換段階212及び量子化段階214にフィードして、量子化された変換係数216を生成することができる。符号器は、予測データ206及び量子化された変換係数216をバイナリコード化段階226にフィードして、映像ビットストリーム228を生成することができる。構成要素202、204、206、208、210、212、214、216、226及び228は、「順方向経路」と呼ぶことができる。プロセス200A中、符号器は、量子化段階214後、量子化された変換係数216を逆量子化段階218及び逆変換段階220にフィードして、再構築された残差BPU222を生成することができる。符号器は、再構築された残差BPU222を、予測されたBPU208に加えて、プロセス200Aの次の反復の予測段階204に使用される予測基準224を生成することができる。プロセス200Aの構成要素218、220、222及び224は、「再構築経路」と呼ぶことができる。再構築経路は、符号器及び復号器の両方が予測に同じ参照データを使用することを確実にするために使用され得る。
【0032】
[051] 符号器は、プロセス200Aを反復的に実行して、(順方向経路内で)元のピクチャのそれぞれの元のBPUを符号化し、(再構築経路内で)元のピクチャの次の元のBPUを符号化するための予測された基準224を生成することができる。元のピクチャの全ての元のBPUを符号化した後、符号器は、映像シーケンス202内の次のピクチャの符号化に進むことができる。
【0033】
[052] プロセス200Aを参照すると、符号器は、映像捕捉装置(例えば、カメラ)によって生成される映像シーケンス202を受信することができる。本明細書で使用する「受信(する)」という用語は、データを入力するために受信すること、入力すること、取得すること、取り出すこと、得ること、読み出すこと、アクセスすること又は任意の方法の任意のアクションを指すことができる。
【0034】
[053] 予測段階204では、現在の反復において、符号器が元のBPU及び予測基準224を受信し、予測操作を行って予測データ206及び予測されたBPU208を生成することができる。予測基準224は、プロセス200A前の反復の再構築経路から生成され得る。予測段階204の目的は、予測データ206を抽出することにより、情報の冗長性を減らすことであり、予測データ206は、予測データ206及び予測基準224から予測されたBPU208として元のBPUを再構築するために使用され得る。
【0035】
[054] 理想的には、予測されたBPU208は、元のBPUと同一であり得る。しかし、理想的でない予測及び再構築操作により、予測されたBPU208は、概して、元のBPUと僅かに異なる。そのような差を記録するために、符号器は、予測されたBPU208を生成した後、それを元のBPUから減算して残差BPU210を生成することができる。例えば、符号器は、予測されたBPU208のピクセルの値(例えば、グレースケール値又はRGB値)を元のBPUの対応するピクセルの値から減算することができる。元のBPUの対応するピクセルと、予測されたBPU208との間のかかる減算の結果、残差BPU210の各ピクセルは、残差値を有し得る。元のBPUと比較して、予測データ206及び残差BPU210は、より少ないビットを有し得るが、品質を著しく損なうことなく元のBPUを再構築するためにそれらを使用することができる。
【0036】
[055] 残差BPU210を更に圧縮するために、変換段階212において、符号器は、残差BPU210を2次元「基底パターン」の組に分解することにより、残差BPU210の空間的冗長性を低減することができ、各基底パターンは、「変換係数」に関連する。基底パターンは、同じサイズ(例えば、残差BPU210のサイズ)を有することができる。それぞれの基底パターンは、残差BPU210の変動周波数(例えば、輝度変動周波数)成分を表すことができる。基底パターンの何れも、他の任意の基底パターンの任意の組み合わせ(例えば、線形結合)から再現することができない。換言すれば、分解は、残差BPU210の変動を周波数領域内に分解することができる。かかる分解は、関数の離散フーリエ変換に類似し、基底パターンは、離散フーリエ変換の基底関数(例えば、三角関数)に類似し、変換係数は、基底関数に関連する係数に類似する。
【0037】
[056] 様々な変換アルゴリズムが様々な基底パターンを使用することができる。例えば、離散コサイン変換、離散サイン変換等、変換段階212では、様々な変換アルゴリズムを使用することができる。変換段階212における変換は、可逆的である。即ち、符号器は、変換の逆操作(「逆変換」と呼ぶ)によって残差BPU210を復元することができる。例えば、残差BPU210のピクセルを復元するために、逆変換は、基底パターンの対応するピクセルの値を、関連するそれぞれの係数で乗算し、積を加算して加重和をもたらすことであり得る。映像コード化規格では、符号器及び復号器の両方が同じ変換アルゴリズム(従って同じ基底パターン)を使用することができる。従って、符号器は、復号器が符号器から基底パターンを受信することなく、それから残差BPU210を再構築することができる変換係数のみを記録することができる。残差BPU210と比較して、変換係数の方が少ないビットを有し得るが、それらの変換係数は、品質を著しく損なうことなく残差BPU210を再構築するために使用され得る。従って、残差BPU210が更に圧縮される。
【0038】
[057] 符号器は、量子化段階214において変換係数を更に圧縮することができる。変換プロセスでは、様々な基底パターンが様々な変動周波数(例えば、輝度変動周波数)を表すことができる。人間の目は、概して、低周波変動を認識することが得意であるため、符号器は、復号の際の著しい品質劣化を引き起こすことなく高周波変動の情報を無視することができる。例えば、量子化段階214において、符号器は、各変換係数を整数値(「量子化パラメータ」と呼ぶ)で除算し、商をその最近隣数に丸めることにより、量子化された変換係数216を生成することができる。かかる操作後、高周波基底パターンの一部の変換係数をゼロに変換することができ、低周波基底パターンの変換係数をより小さい整数に変換することができる。符号器は、ゼロ値の量子化された変換係数216を無視することができ、それにより変換係数が更に圧縮される。量子化プロセスも可逆的であり、量子化された変換係数216は、量子化の逆操作(「逆量子化」と呼ぶ)内で変換係数に再構築することができる。
【0039】
[058] 符号器は、丸め操作内でかかる除算の剰余を無視するため、量子化段階214は、非可逆であり得る。典型的には、量子化段階214は、プロセス200A内で最大の情報損失に寄与し得る。情報損失が大きいほど、量子化された変換係数216が必要とし得るビットが少なくなる。情報損失の様々なレベルを得るために、符号器は、量子化パラメータの様々な値又は量子化プロセスの他の任意のパラメータを使用することができる。
【0040】
[059] バイナリコード化段階226において、符号器は、例えば、エントロピーコード化、可変長コード化、算術コード化、ハフマンコード化、コンテキスト適応バイナリ算術コード化、又は他の任意の可逆若しくは非可逆圧縮アルゴリズム等のバイナリコード化技法を使用し、予測データ206及び量子化された変換係数216を符号化することができる。一部の実施形態では、予測データ206及び量子化された変換係数216に加えて、符号器は、例えば、予測段階204で使用される予測モード、予測操作のパラメータ、変換段階212の変換の種類、量子化プロセスのパラメータ(例えば、量子化パラメータ)、符号器制御パラメータ(例えば、ビットレート制御パラメータ)等の他の情報をバイナリコード化段階226において符号化することができる。符号器は、バイナリコード化段階226の出力データを使用して映像ビットストリーム228を生成することができる。一部の実施形態では、映像ビットストリーム228をネットワーク伝送のために更にパケット化することができる。
【0041】
[060] プロセス200Aの再構築経路を参照すると、逆量子化段階218では、符号器は、量子化された変換係数216に対して逆量子化を行って、再構築された変換係数を生成することができる。逆変換段階220では、符号器は、再構築された変換係数に基づいて、再構築された残差BPU222を生成することができる。符号器は、再構築された残差BPU222を、予測されたBPU208に加えて、プロセス200Aの次の反復内で使用される予測基準224を生成することができる。
【0042】
[061] 映像シーケンス202を符号化するためにプロセス200Aの他のバリエーションを使用できることに留意すべきである。一部の実施形態では、符号器がプロセス200Aの段階を異なる順序で実行することができる。一部の実施形態では、プロセス200Aの1つ又は複数の段階を単一の段階に組み合わせることができる。一部の実施形態では、プロセス200Aの単一の段階を複数の段階に分けることができる。例えば、変換段階212と量子化段階214とを単一の段階に組み合わせることができる。一部の実施形態では、プロセス200Aは、追加の段階を含み得る。一部の実施形態では、プロセス200Aは、図2A内の1つ又は複数の段階を省くことができる。
【0043】
[062] 図2Bは、本開示の実施形態に合致する、符号化プロセスの別の例200Bの概略図を示す。プロセス200Bは、プロセス200Aから修正され得る。例えば、プロセス200Bは、ハイブリッド映像コード化規格(例えば、H.26xシリーズ)に準拠する符号器によって使用され得る。プロセス200Aと比較して、プロセス200Bの順方向経路は、モード決定段階230を更に含み、予測段階204を空間的予測段階2042及び時間的予測段階2044に分ける。プロセス200Bの再構築経路は、ループフィルタ段階232及びバッファ234を追加で含む。
【0044】
[063] 概して、予測技法は、空間的予測及び時間的予測の2つの種類に分類することができる。空間的予測(例えば、イントラピクチャ予測又は「イントラ予測」)は、現BPUを予測するために、同じピクチャ内の既にコード化された1つ又は複数の隣接BPUのピクセルを使用することができる。即ち、空間的予測における予測基準224は、隣接BPUを含み得る。空間的予測は、ピクチャの固有の空間的冗長性を減らすことができる。時間的予測(例えば、インターピクチャ予測又は「インター予測」)は、現BPUを予測するために、既にコード化された1つ又は複数のピクチャの領域を使用することができる。即ち、時間的予測における予測基準224は、コード化されたピクチャを含み得る。時間的予測は、ピクチャの固有の時間的冗長性を減らすことができる。
【0045】
[064] プロセス200Bを参照すると、順方向経路において、符号器は、空間的予測段階2042及び時間的予測段階2044で予測操作を行う。例えば、空間的予測段階2042では、符号器は、イントラ予測を行うことができる。符号化されているピクチャの元のBPUに関して、予測基準224は、同じピクチャ内の(順方向経路内で)符号化され、(再構築経路内で)再構築されている1つ又は複数の隣接BPUを含み得る。符号器は、隣接BPUを外挿することにより、予測されたBPU208を生成することができる。外挿技法は、例えば、線形外挿又は線形補間、多項式外挿又は多項式補間等を含み得る。一部の実施形態では、予測されたBPU208のピクセルごとに、対応するピクセルの値を外挿することによって等、符号器がピクセルレベルで外挿を行うことができる。外挿に使用される隣接BPUは、垂直方向(例えば、元のBPUの上)、水平方向(例えば、元のBPUの左)、対角線方向(例えば、元のBPUの左下、右下、左上又は右上)又は使用される映像コード化規格内で規定される任意の方向等、様々な方向から元のBPUに対して位置し得る。イントラ予測では、予測データ206は、例えば、使用される隣接BPUの位置(例えば、座標)、使用される隣接BPUのサイズ、外挿のパラメータ、元のBPUに対する使用される隣接BPUの方向等を含み得る。
【0046】
[065] 別の例では、時間的予測段階2044では、符号器は、インター予測を行うことができる。現ピクチャの元のBPUに関して、予測基準224は、(順方向経路内で)符号化され、(再構築経路内で)再構築されている1つ又は複数のピクチャ(「参照ピクチャ」と呼ぶ)を含み得る。一部の実施形態では、参照ピクチャがBPUごとに符号化され再構築され得る。例えば、符号器は、再構築された残差BPU222を、予測されたBPU208に加えて、再構築されたBPUを生成することができる。同じピクチャの全ての再構築されたBPUが生成されると、符号器は、参照ピクチャとして再構築されたピクチャを生成することができる。符号器は、参照ピクチャの範囲(「探索窓」と呼ぶ)内の一致領域を探すために「動き推定」の操作を行うことができる。参照ピクチャ内の探索窓の位置は、現ピクチャ内の元のBPUの位置に基づいて決定することができる。例えば、探索窓は、参照ピクチャ内で、現ピクチャ内の元のBPUと同じ座標を有する位置に中心を置くことができ、所定の距離にわたって広げることができる。符号器が探索窓内で元のBPUと同様の領域を(例えば、pel再帰アルゴリズム、ブロックマッチングアルゴリズム等を使用することによって)識別すると、符号器は、その領域を一致領域として決定することができる。一致領域は、元のBPUと異なる(例えば、それよりも小さい、等しい、大きい又は異なる形状の)寸法を有し得る。参照ピクチャ及び現ピクチャは、(例えば、図1に示すように)タイムライン内で時間的に隔てられているため、時間が経つにつれて一致領域が元のBPUの位置に「移動する」と見なすことができる。符号器は、かかる動きの方向及び距離を「動きベクトル」として記録することができる。(例えば、図1のピクチャ106のような)複数の参照ピクチャが使用される場合、符号器は、参照ピクチャごとに一致領域を探し、その関連する動きベクトルを求めることができる。一部の実施形態では、符号器は、個々の一致する参照ピクチャの一致領域のピクセル値に重みを割り当てることができる。
【0047】
[066] 動き推定は、例えば、平行移動、回転、拡大縮小等の様々な種類の動きを識別するために使用することができる。インター予測では、予測データ206は、例えば、一致領域の位置(例えば、座標)、一致領域に関連する動きベクトル、参照ピクチャの数、参照ピクチャに関連する重み等を含み得る。
【0048】
[067] 予測されたBPU208を生成するために、符号器は、「動き補償」の操作を行うことができる。動き補償は、予測データ206(例えば、動きベクトル)及び予測基準224に基づいて、予測されたBPU208を再構築するために使用することができる。例えば、符号器は、動きベクトルに従って参照ピクチャの一致領域を動かすことができ、その中では、符号器は、現ピクチャの元のBPUを予測することができる。(例えば、図1のピクチャ106のような)複数の参照ピクチャが使用される場合、符号器は、個々の動きベクトルに従って参照ピクチャの一致領域を動かし、一致領域のピクセル値を平均することができる。一部の実施形態では、符号器が、個々の一致する参照ピクチャの一致領域のピクセル値に重みを割り当てた場合、符号器は、動かした一致領域のピクセル値の加重和を加えることができる。
【0049】
[068] 一部の実施形態では、インター予測は、単方向又は双方向であり得る。単方向のインター予測は、現ピクチャに対して同じ時間的方向にある1つ又は複数の参照ピクチャを使用することができる。例えば、図1のピクチャ104は、参照ピクチャ(即ちピクチャ102)がピクチャ104に先行する単方向のインター予測ピクチャである。双方向のインター予測は、現ピクチャに対して両方の時間的方向にある1つ又は複数の参照ピクチャを使用することができる。例えば、図1のピクチャ106は、参照ピクチャ(即ちピクチャ104及び108)がピクチャ104に対して両方の時間的方向にある双方向のインター予測ピクチャである。
【0050】
[069] プロセス200Bの順方向経路を引き続き参照すると、空間的予測段階2042及び時間的予測段階2044の後、モード決定段階230において、符号器は、プロセス200Bの現在の反復のための予測モード(例えば、イントラ予測又はインター予測の1つ)を選択することができる。例えば、符号器は、レート歪み最適化技法を実行することができ、かかる技法では、符号器は、候補予測モードのビットレート及び候補予測モード下の再構築された参照ピクチャの歪みに応じて、コスト関数の値を最小化するための予測モードを選択することができる。選択される予測モードに応じて、符号器は、対応する予測されたBPU208及び予測されたデータ206を生成することができる。
【0051】
[070] プロセス200Bの再構築経路において、順方向経路内でイントラ予測モードが選択されている場合、予測基準224(例えば、現ピクチャ内で符号化され再構築されている現BPU)を生成した後、符号器は、後に使用するために(例えば、現ピクチャの次のBPUを外挿するために)空間的予測段階2042に予測基準224を直接フィードすることができる。順方向経路内でインター予測モードが選択されている場合、予測基準224(例えば、全てのBPUが符号化され再構築されている現ピクチャ)を生成した後、符号器は、ループフィルタ段階232に予測基準224をフィードすることができ、ループフィルタ段階232では、符号器は、予測基準224にループフィルタを適用して、インター予測によって引き起こされる歪み(例えば、ブロッキングアーティファクト)を減らすか又はなくすことができる。例えば、デブロッキング、サンプル適応オフセット、適応ループフィルタ等、符号器は、ループフィルタ段階232で様々なループフィルタ技法を適用することができる。ループフィルタされた参照ピクチャは、後に使用するために(例えば、映像シーケンス202の将来のピクチャのためのインター予測参照ピクチャとして使用するために)バッファ234(又は「復号されたピクチャバッファ」)内に記憶することができる。符号器は、時間的予測段階2044で使用するために1つ又は複数の参照ピクチャをバッファ234内に記憶することができる。一部の実施形態では、符号器は、量子化された変換係数216、予測データ206、及び他の情報と共に、ループフィルタのパラメータ(例えば、ループフィルタの強度)をバイナリコード化段階226で符号化することができる。
【0052】
[071] 図3Aは、本開示の実施形態に合致する、復号プロセス300Aの一例の概略図を示す。プロセス300Aは、図2Aの圧縮プロセス200Aに対応する解凍プロセスであり得る。一部の実施形態では、プロセス300Aは、プロセス200Aの再構築経路と同様であり得る。復号器は、プロセス300Aに従って映像ビットストリーム228を映像ストリーム304に復号することができる。映像ストリーム304は、映像シーケンス202と非常に類似し得る。しかし、圧縮及び解凍プロセス(例えば、図2A図2Bの量子化段階214)における情報損失により、概して、映像ストリーム304は、映像シーケンス202と同一ではない。図2A図2Bのプロセス200A及び200Bと同様に、復号器は、映像ビットストリーム228内に符号化される各ピクチャについて、基本処理単位(BPU)のレベルにおいてプロセス300Aを実行することができる。例えば、復号器は、プロセス300Aを反復的な方法で実行することができ、復号器は、プロセス300Aの1回の反復において基本処理単位を復号することができる。一部の実施形態では、復号器は、映像ビットストリーム228内に符号化される各ピクチャの領域(例えば、領域114~118)についてプロセス300Aを並列に実行することができる。
【0053】
[072] 図3Aでは、復号器は、符号化されたピクチャの基本処理単位(「符号化されたBPU」と呼ぶ)に関連する映像ビットストリーム228の一部をバイナリ復号段階302にフィードすることができる。バイナリ復号段階302では、復号器は、その一部を予測データ206及び量子化された変換係数216に復号することができる。復号器は、量子化された変換係数216を逆量子化段階218及び逆変換段階220にフィードして、再構築された残差BPU222を生成することができる。復号器は、予測データ206を予測段階204にフィードして、予測されたBPU208を生成することができる。復号器は、再構築された残差BPU222を、予測されたBPU208に加えて、予測された基準224を生成することができる。一部の実施形態では、予測された基準224がバッファ(例えば、コンピュータメモリ内の復号されたピクチャバッファ)内に記憶され得る。復号器は、プロセス300Aの次の反復内で予測操作を行うための予測された基準224を予測段階204にフィードすることができる。
【0054】
[073] 復号器は、プロセス300Aを反復的に実行して、符号化されたピクチャの各符号化されたBPUを復号し、符号化されたピクチャの次の符号化されたBPUを符号化するための予測された基準224を生成することができる。符号化されたピクチャの全ての符号化されたBPUを復号した後、復号器は、表示するためにピクチャを映像ストリーム304に出力し、映像ビットストリーム228内の次の符号化されたピクチャの復号に進むことができる。
【0055】
[074] バイナリ復号段階302では、復号器は、符号器が使用したバイナリコード化技法(例えば、エントロピーコード化、可変長コード化、算術コード化、ハフマンコード化、コンテキスト適応バイナリ算術コード化又は他の任意の可逆圧縮アルゴリズム)の逆操作を行うことができる。一部の実施形態では、予測データ206及び量子化された変換係数216に加えて、復号器は、例えば、予測モード、予測操作のパラメータ、変換の種類、量子化プロセスのパラメータ(例えば、量子化パラメータ)、符号器制御パラメータ(例えば、ビットレート制御パラメータ)等の他の情報をバイナリ復号段階302において復号することができる。一部の実施形態では、映像ビットストリーム228がネットワーク上においてパケット単位で伝送される場合、復号器は、映像ビットストリーム228をパケット化解除してからそれをバイナリ復号段階302にフィードすることができる。
【0056】
[075] 図3Bは、本開示の実施形態に合致する、復号プロセスの別の例300Bの概略図を示す。プロセス300Bは、プロセス300Aから修正され得る。例えば、プロセス300Bは、ハイブリッド映像コード化規格(例えば、H.26xシリーズ)に準拠する復号器によって使用され得る。プロセス300Aと比較して、プロセス300Bは、予測段階204を空間的予測段階2042及び時間的予測段階2044に更に分け、ループフィルタ段階232及びバッファ234を追加で含む。
【0057】
[076] プロセス300Bでは、復号されている符号化されたピクチャ(「現ピクチャ」と呼ぶ)の符号化された基本処理単位(「現BPU」と呼ぶ)に関して、復号器によってバイナリ復号段階302で復号される予測データ206は、現BPUを符号化するために何れの予測モードが符号器によって使用されたかに応じて様々な種類のデータを含み得る。例えば、現BPUを符号化するためにイントラ予測が符号器によって使用された場合、予測データ206は、イントラ予測、イントラ予測操作のパラメータ等を示す予測モードインジケータ(例えば、フラグ値)を含み得る。イントラ予測操作のパラメータは、例えば、基準として使用される1つ又は複数の隣接BPUの位置(例えば、座標)、隣接BPUのサイズ、外挿のパラメータ、元のBPUに対する隣接BPUの方向等を含み得る。別の例では、現BPUを符号化するためにインター予測が符号器によって使用された場合、予測データ206は、インター予測、インター予測操作のパラメータ等を示す予測モードインジケータ(例えば、フラグ値)を含み得る。インター予測操作のパラメータは、例えば、現BPUに関連する参照ピクチャの数、参照ピクチャにそれぞれ関連する重み、それぞれの参照ピクチャ内の1つ又は複数の一致領域の位置(例えば、座標)、一致領域にそれぞれ関連する1つ又は複数の動きベクトル等を含み得る。
【0058】
[077] 予測モードインジケータに基づき、復号器は、空間的予測段階2042で空間的予測(例えば、イントラ予測)を行うか、又は時間的予測段階2044で時間的予測(例えば、インター予測)を行うかを決めることができる。かかる空間的予測又は時間的予測の実行の詳細は、図2Bに示されており、以下で繰り返さない。かかる空間的予測又は時間的予測を行った後、復号器は、予測されたBPU208を生成することができる。図3Aに記載したように、復号器は、予測されたBPU208と、再構築された残差BPU222とを加えて、予測基準224を生成することができる。
【0059】
[078] プロセス300Bでは、復号器は、プロセス300Bの次の反復内で予測操作を行うための予測された基準224を空間的予測段階2042又は時間的予測段階2044にフィードすることができる。例えば、現BPUが空間的予測段階2042においてイントラ予測を使用して復号される場合、予測基準224(例えば、復号された現BPU)を生成した後、復号器は、後に使用するために(例えば、現ピクチャの次のBPUを外挿するために)空間的予測段階2042に予測基準224を直接フィードすることができる。現BPUが時間的予測段階2044においてインター予測を使用して復号される場合、予測基準224(例えば、全てのBPUが復号されている参照ピクチャ)を生成した後、符号器は、ループフィルタ段階232に予測基準224をフィードして歪み(例えば、ブロッキングアーティファクト)を減らすか又はなくすことができる。復号器は、図2Bに記載した方法で予測基準224にループフィルタを適用することができる。ループフィルタされた参照ピクチャは、後に使用するために(例えば、映像ビットストリーム228の将来の符号化ピクチャのためのインター予測参照ピクチャとして使用するために)バッファ234(例えば、コンピュータメモリ内の復号されたピクチャバッファ)内に記憶することができる。復号器は、時間的予測段階2044で使用するために1つ又は複数の参照ピクチャをバッファ234内に記憶することができる。一部の実施形態では、現BPUを符号化するためにインター予測が使用されたことを予測データ206の予測モードインジケータが示す場合、予測データは、ループフィルタのパラメータ(例えば、ループフィルタの強度)を更に含むことができる。
【0060】
[079] 図4は、本開示の実施形態に合致する、映像を符号化又は復号するための機器400の一例のブロック図である。図4に示すように、機器400は、プロセッサ402を含み得る。プロセッサ402が本明細書に記載の命令を実行するとき、機器400は、映像を符号化又は復号するための専用マシンになり得る。プロセッサ402は、情報を操作又は処理することができる任意の種類の回路であり得る。例えば、プロセッサ402は、任意の数の中央処理装置(「CPU」)、グラフィックス処理装置(「GPU」)、ニューラル処理ユニット(「NPU」)、マイクロコントローラユニット(「MCU」)、光プロセッサ、プログラム可能論理コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、知的財産(IP)コア、プログラム可能論理アレイ(PLA)、プログラム可能アレイ論理(PAL)、汎用アレイ論理(GAL)、複合プログラム可能論理装置(CPLD)、書換可能ゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、特定用途向け集積回路(ASIC)等の任意の組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、プロセッサ402は、単一の論理構成要素としてグループ化されるプロセッサの組であり得る。例えば、図4に示すように、プロセッサ402は、プロセッサ402a、プロセッサ402b及びプロセッサ402nを含む複数のプロセッサを含み得る。
【0061】
[080] 機器400は、データ(例えば、命令、コンピュータコード、中間データ等の組)を記憶するように構成されるメモリ404も含み得る。例えば、図4に示すように、記憶データは、プログラム命令(例えば、プロセス200A、200B、300A又は300B内の段階を実装するためのプログラム命令)及び処理用データ(例えば、映像シーケンス202、映像ビットストリーム228又は映像ストリーム304)を含み得る。プロセッサ402は、プログラム命令及び処理用データに(例えば、バス410を介して)アクセスし、プログラム命令を実行して処理用データに対する操作又は処理を行うことができる。メモリ404は、高速ランダムアクセス記憶装置又は不揮発性記憶装置を含み得る。一部の実施形態では、メモリ404は、任意の数のランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、光学ディスク、磁気ディスク、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、セキュリティデジタル(SD)カード、メモリスティック、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カード等の任意の組み合わせを含み得る。メモリ404は、単一の論理構成要素としてグループ化される(図4には不図示の)メモリ群でもあり得る。
【0062】
[081] 内蔵バス(例えば、CPUメモリバス)、外部バス(例えば、ユニバーサルシリアルバスポート、周辺機器コンポーネント相互接続エクスプレスポート)等のバス410は、機器400内の構成要素間でデータを転送する通信装置であり得る。
【0063】
[082] 曖昧さを招くことなく説明を簡単にするために、本開示では、プロセッサ402及び他のデータ処理回路をまとめて「データ処理回路」と呼ぶ。データ処理回路は、完全にハードウェアとして、又はソフトウェア、ハードウェア若しくはファームウェアの組み合わせとして実装することができる。加えて、データ処理回路は、単一の独立したモジュールであり得るか、又は機器400の他の任意の構成要素内に完全に若しくは部分的に組み合わされ得る。
【0064】
[083] 機器400は、ネットワーク(例えば、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク等)との有線通信又は無線通信を提供するためのネットワークインタフェース406を更に含み得る。一部の実施形態では、ネットワークインタフェース406は、任意の数のネットワークインタフェースコントローラ(NIC)、無線周波数(RF)モジュール、トランスポンダ、トランシーバ、モデム、ルータ、ゲートウェイ、有線ネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、Bluetoothアダプタ、赤外線アダプタ、近距離無線通信(「NFC」)アダプタ、セルラネットワークチップ等の任意の組み合わせを含み得る。
【0065】
[084] 一部の実施形態では、1つ又は複数の周辺装置への接続を提供するための周辺装置インタフェース408を任意選択的に機器400が更に含み得る。図4に示すように、周辺装置は、これのみに限定されないが、カーソル制御装置(例えば、マウス、タッチパッド又はタッチスクリーン)、キーボード、ディスプレイ(例えば、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイ)、映像入力装置(例えば、映像アーカイブに結合されるカメラ又は入力インタフェース)等を含み得る。
【0066】
[085] 映像コーデック(例えば、プロセス200A、200B、300A、又は300Bを実行するコーデック)は、機器400内の任意のソフトウェア又はハードウェアモジュールの任意の組み合わせとして実装できることに留意すべきである。例えば、プロセス200A、200B、300A、又は300Bの一部の又は全ての段階は、メモリ404内にロード可能なプログラム命令等の機器400の1つ又は複数のソフトウェアモジュールとして実装され得る。別の例では、プロセス200A、200B、300A、又は300Bの一部の又は全ての段階は、専用データ処理回路(例えば、FPGA、ASIC、NPU等)等の機器400の1つ又は複数のハードウェアモジュールとして実装され得る。
【0067】
[086] VVC規格の重要要件の1つは、ネットワーク及び装置の多様性を許容する能力をテレビ会議の応用に与え、ネットワーク条件が悪化したときに符号化ビットレートを迅速に下げ、ネットワーク条件が改善したときに映像品質を迅速に上げることを含む、変化するネットワーク環境に迅速に適応できるようにすることである。予期される映像品質は、非常に低い~非常に高いで変化し得る。それぞれが異なる特性(例えば、空間解像度又はサンプルビット深度)を有する同一のコンテンツの複数の表現を提供する適応ストリーミングサービスの場合、規格は、高速表現切り替えもサポートすべきである。ある表現から別の表現に切り替える間(ある解像度から別の解像度への切り替え等)、規格は、高速且つシームレスな切り替え機能を損なうことなく、効率的な予測構造を使用できるようにすべきである。
【0068】
[087] 適応解像度変更(ARC)の目的は、新たなIDRフレームを必要として又は必要とすることなく、及びスケーラブル映像コーデックにあるような多層を必要として又は必要とすることなく、ストリームが同じ映像シーケンス内のコード化ピクチャ間で空間解像度を変更できるようにすることである。代わりに、切り替え点において、ピクチャは、解像度を変更し、(存在する場合に)同じ解像度を有する参照ピクチャ及び異なる解像度の参照ピクチャから予測され得る。参照ピクチャが異なる解像度のものである場合、参照ピクチャは、図5に示すように、再サンプリングされる。例えば、図5に示すように、参照ピクチャ506の解像度は、現ピクチャ502と同じであるが、参照ピクチャ504及び508の解像度は、現ピクチャ502の解像度と異なる。参照ピクチャ504及び508を現ピクチャ502の解像度に合わせて再サンプリングした後、それらの参照から動き補償予測を行うことができる。従って、適応解像度変更(ARC)は、参照ピクチャ再サンプリング(RPR)と呼ばれることもあり、本開示では、これらの2つの用語を区別なく使用する。
【0069】
[088] 参照フレームの解像度が現フレームの解像度と異なる場合、動き補償済み予測信号を生成する1つの方法は、ピクチャベースの再サンプリングであり、ピクチャベースの再サンプリングでは、最初に参照ピクチャを現ピクチャと同じ解像度に再サンプリングし、動きベクトルを伴う既存の動き補償プロセスを適用することができる。動きベクトルは、(再サンプリングの適用前の単位で送信される場合は)スケーリングされてもよく、又は(再サンプリングの適用後の単位で送信される場合は)スケーリングされなくてもよい。ピクチャベースの再サンプリングでは、とりわけ参照ピクチャのダウンサンプリング(即ち参照ピクチャの解像度が現ピクチャの解像度よりも大きい)に関して、動き補償補間前の参照再サンプリングステップ内で情報が失われる場合があり、なぜなら、ダウンサンプリングは、ローパスフィルタリング、その後に続くデシメーションによって通常実現されるからである)。
【0070】
[089] 別の方法は、ブロックベースの再サンプリングであり、ブロックベースの再サンプリングでは、再サンプリングをブロックレベルで行う。これは、現ブロックによって使用される参照ピクチャを調べることによって行われ、それらの1つ又は両方が現ピクチャと異なる解像度を有する場合、1ピクセル単位よりも精密な動き補償補間プロセスと組み合わせて再サンプリングが実行される。
【0071】
[090] ブロックベースの再サンプリングでは、再サンプリング及び動き補償補間を1つのフィルタリング操作に組み合わせることは、上述の情報損失を減らし得る。以下の事例を例に取る。現ブロックの動きベクトルが1つの寸法(例えば、横寸法)において2分の1ピクセル単位の精度を有し、参照ピクチャの幅が現ピクチャの幅の2倍である。現ピクチャの幅と一致するように参照ピクチャの幅を半分減らし、2分の1ピクセル単位の動き補間を行うピクチャレベル再サンプリングと比較して、この事例では、ブロックベースの再サンプリング方法は、2分の1ピクセル単位の精度で参照ブロックとして参照ピクチャ内の奇数位置を直接取得することができる。第15回JVET会議において、ARCのためのブロックベースの再サンプリング方法がVVCに採用され、この方法では、動き補償(MC)補間及び参照再サンプリングが組み合わされ、1ステップフィルタ内で実行される。VVCドラフト6では、参照再サンプリングなしのMC補間のための既存のフィルタは、参照再サンプリングありのMC補間に再利用される。参照アップサンプリング及び参照ダウンサンプリングの両方に同じフィルタが使用される。フィルタの選択についての詳細は、以下で説明する。
【0072】
[091] ルマ成分では、2分の1ピクセル単位のAMVRモードが選択され、補間位置が2分の1ピクセル単位である場合、6タップフィルタ[3,9,20,20,9,3]が使用される。動き補償済みブロックのサイズが4×4である場合、図6の表6に示すような以下の6タップフィルタが使用される。さもなければ、図7の表7に示す8タップフィルタが使用される。
【0073】
[092] クロマ成分では、図8の表8に示す以下の4タップフィルタが使用される。
【0074】
[093] VVCでは、参照再サンプリングなしのMC補間及び参照再サンプリングありのMC補間に同じフィルタが使用される。VVCの動き補償補間フィルタ(MCIF)は、DCTアップサンプリングに基づいて設計されているが、参照ダウンサンプリング及びMC補間を組み合わせる1ステップフィルタとしてMCIFを使用することは、不適切であり得る。例えば、フェーズ0フィルタリング(例えば、スケールされる動きベクトルが整数である)では、VVC8タップMCIF係数が[0,0,0,64,0,0,0,0]であり、これは、予測サンプルが参照サンプルから直接複製されることを意味する。参照ダウンサンプリングなし又は参照アップサンプリングありのMC補間では問題にならない可能性があるが、参照ダウンサンプリングの事例では、デシメーション前にローパスフィルタがないことが原因でエイリアシングアーティファクトを引き起こす場合がある。
【0075】
[094] 本開示は、参照ダウンサンプリングありのMC補間にコサイン窓sincフィルタを使用する方法を提供する。
【0076】
[095] 窓sincフィルタは、ある周波数帯を他の周波数帯と分けるバンドパスフィルタである。窓sincフィルタは、図9に示すように、カットオフ周波数未満の全ての周波数を振幅1で通過させ、カットオフ周波数を上回る全ての周波数をゼロ振幅で止めることを可能にする周波数応答を有するローパスフィルタである。
【0077】
[096] 理想ローパスフィルタの周波数応答の逆フーリエ変換を取ることにより、フィルタのインパルス応答としても知られるフィルタカーネルが得られる。ローパスフィルタのインパルス応答は、以下の式(1)に基づくsinc関数の一般形式におけるものである。
【数1】

ここで、fcは、[0,1]における値を有するカットオフ周波数であり、rは、ダウンサンプリング比であり、即ち1.5:1のダウンサンプリングでは1.5であり、2:1のダウンサンプリングでは2である。sinc関数は、以下の式(2)に基づいて定められる。
【数2】
【0078】
[097] sinc関数は、無限である。フィルタカーネルを有限長内で作成するために、窓関数を適用してフィルタカーネルをLの点に切り捨てる。平滑なテーパ曲線を得るために、以下の式(3)に基づくコサイン窓関数を使用する。
【数3】
【0079】
[098] コサイン窓sincフィルタのカーネルは、以下の式(4)に基づく理想応答関数h(n)とコサイン窓関数w(n)との積である。
【数4】
【0080】
[099] 窓sincカーネルに関して選択される、カットオフ周波数fc及びカーネル長Lの2つのパラメータがある。L及びfcの値を調節することにより、所望のフィルタ応答を実現することができる。例えば、スケーラブルHEVCテストモデル(SHM)に使用されるダウンサンプリングフィルタでは、fc=0.9及びL=13である。
【0081】
[0100] 式(4)で得られるフィルタ係数は、実数である。フィルタを適用することは、重みがフィルタ係数である状態で参照サンプルの加重平均を計算することに等しい。デジタルコンピュータ又はハードウェアにおける効率的な計算のために、係数の和が2^N(ここで、Nは、整数である)と等しいように係数が正規化され、スカラ倍され、整数に丸められる。フィルタ済みサンプルが2^Nで除算される(Nビットの右シフトに相当する)。例えば、VVCドラフト6では、補間フィルタ係数の和が64である。
【0082】
[0101] 一部の実施形態では、ルマ成分及びクロマ成分の両方に関して、参照ダウンサンプリングありのVVC動き補償補間のためのSHM内でダウンサンプリングフィルタを使用することができ、参照アップサンプリングありの動き補償補間のための既存のMCIFを使用することができる。カーネル長L=13でありながら、第1の係数は、小さくゼロに丸められ、フィルタの性能に影響を及ぼすことなく、フィルタ長を12に低減することができる。
【0083】
[0102] 一例として、2:1のダウンサンプリング及び1.5:1のダウンサンプリングのためのフィルタ係数を図10の表10及び図11の表11にそれぞれ示す。
【0084】
[0103] 係数の値に加えて、SHMフィルタと既存のMCIFの設計と間に他の幾つかの違いがある。
【0085】
[0104] 第1の違いとして、SHMフィルタは、整数サンプル位置及び分数サンプル位置におけるフィルタリングを必要とするのに対して、MCIFは、分数サンプル位置におけるフィルタリングのみを必要とする。参照ダウンサンプリングの事例に関する、VVCドラフト6のルマサンプル補間フィルタリングプロセスへの修正の一例を添付の図12の表12に記載する。
【0086】
[0105] 参照ダウンサンプリングの事例に関する、VVCドラフト6のクロマサンプル補間フィルタリングプロセスへの修正の一例を添付の図13の表13に記載する。
【0087】
[0106] 第2の違いとして、SHMフィルタではフィルタ係数の和が128であるのに対して、既存のMCIFではフィルタ係数の和が64である。VVCドラフト6では、丸め誤差によって生じる損失を減らすために、中間予測信号が出力信号よりも高精度に保たれる(より高いビット深度によって表される)。中間信号の精度を内部精度と呼ぶ。一部の実施形態では、内部精度をVVCドラフト6にあるのと同じに保つために、既存のMCIFを使用することと比較して、SHMフィルタの出力が1つの追加ビット右シフトする必要がある。参照ダウンサンプリングの事例に関する、VVCドラフト6のルマサンプル補間フィルタリングプロセスへの修正の一例を添付の図14の表14に示す。
【0088】
[0107] 参照ダウンサンプリングの事例に関する、VVCドラフト6のクロマサンプル補間フィルタリングプロセスへの修正の一例を添付の図15の表15に示す。
【0089】
[0108] 一部の実施形態によれば、内部精度を1ビット増やすことができ、追加1ビット右シフトを使用して内部精度を出力精度に変換することができる。参照ダウンサンプリングの事例に関する、VVCドラフト6のルマサンプル補間フィルタリングプロセスへの修正の一例を図16の表16に示す。
【0090】
[0109] 参照ダウンサンプリングの事例に関する、VVCドラフト6のクロマサンプル補間フィルタリングプロセスへの修正の一例を添付の図17の表17に示す。
【0091】
[0110] 第3の違いとして、SHMフィルタは、12のタップを有する。従って、補間サンプルを生成するには、11個の隣接サンプル(左側の5個及び右側の6個、又は上の5個、若しくは下の6個)が必要である。MCIFと比較して、追加の隣接サンプルが取得される。VVCドラフト6では、クロマmv精度は、1/32である。しかし、SHMフィルタは、16フェーズのみを有する。従って、参照ダウンサンプリングのためにクロマmvを1/16に丸めることができる。この丸めることは、クロマmvの最後の5ビットを1ビット右シフトすることによって行うことができる。参照ダウンサンプリングの事例に関する、VVCドラフト6のクロマ分数サンプル位置計算への修正の一例を図18の表18に示す。
【0092】
[0111] 一部の実施形態によれば、VVCドラフトにおいて既存のMCIF設計と整合させるために、8タップコサイン窓sincフィルタを使用することが提案される。フィルタ係数は、式(4)におけるコサイン窓sinc関数内でL=9に設定することによって導出することができる。既存のMCIFフィルタと更に整合させるために、フィルタ係数の和を64に設定することができる。開示する実施形態では、相補的なフェーズのためのフィルタは、対照的(例えば、相補的なフェーズのフィルタ係数が反転される)又は非対称であり得る。2:1及び1.5:1の比率のフィルタ係数の例を図19の表19及び図20の表20にそれぞれ示す。
【0093】
[0112] 一部の実施形態によれば、クロマ成分の1/32のサンプル精度に適合するために、参照ダウンサンプリングありのクロマ動き補償補間に32フェーズコサイン窓sincフィルタセットを使用することができる。2:1及び1.5:1の比率のフィルタ係数の例を添付の図21の表21及び図22の表22にそれぞれ示す。
【0094】
[0113] 一部の実施形態によれば、4×4ルマブロックでは、参照ダウンサンプリングありのMC補間に6タップコサイン窓sincフィルタを使用することができる。2:1及び1.5:1の比率のフィルタ係数の例を添付の図23の表23及び図24の表24にそれぞれ示す。
【0095】
[0114] VVCでは、様々な動き補償の事例において様々な補間フィルタが使用される。例えば、通常の動き補償では、8タップDCTベース補間フィルタが使用される。4×4サブブロックのための動き補償では、6タップDCTベース補間フィルタが使用される。MVD精度が1/2であり、MVDフェーズが1/2である動き補償では、異なる6タップフィルタが使用される。クロマ動き補償では、4タップDCTベース補間フィルタが使用される。
【0096】
[0115] 一部の実施形態では、参照ピクチャが、現在コード化されているピクチャよりも高い解像度を有する場合、DCTベース補間フィルタを同じフィルタ長のコサイン窓sincフィルタで置換することができる。これらの実施形態では、通常の動き補償に関して、8タップDCTベース補間フィルタを8タップコサイン窓sincフィルタで置換することができ、4×4サブブロックの動き補償に関して、6タップDCTベース補間フィルタを6タップコサイン窓sincフィルタで置換することができる。クロマ動き補償に関して、4タップDCTベース補間フィルタを4タップコサイン窓sincフィルタで置換することができる。更に、MVD精度が1/2であり、フェーズが1/2である場合、6タップDCTベース補間フィルタを動き補償に使用することができる。フィルタの選択は、参照ピクチャの解像度と現ピクチャの解像度との間の比率に依存し得る。2:1及び1.5:1のダウンサンプリング比のための例示的な8タップ、6タップ、及び4タップコサイン窓sincフィルタを図19図24の表19~表24に示す。図25図30の表25~表30に示すフィルタは、相補的なフェーズ上で対照的である。
【0097】
[0116] 式(4)で得られるフィルタ係数は、実数である。正規化、スケーリング後、フィルタ係数を整数に丸めることができる。フィルタ利得としても知られるフィルタ係数の和は、フィルタの精度を表す。デジタル処理では、フィルタ利得が通常2^Nに設定される。丸め演算により、フィルタ係数の和は、フィルタ利得(2^N)に等しくない場合がある。フィルタ係数の和が利得(2^N)に等しいように、フィルタ係数に対する更なる調節を行う。一部の実施形態では、調節は、適切な丸め方向を決定することを含む。丸め方向は、切り上げ又は切り捨てを含み得る。従って、調節済みのフィルタ係数をフィルタ利得に合計してコスト関数を最小化/最大化することができる。一部の実施形態では、コスト関数は、丸められたフィルタ係数と、丸めることの前の実フィルタ係数との間の差分絶対値和(SAD)又は二乗和誤差(SSE)であり得る。一部の実施形態では、コスト関数は、丸められたフィルタ係数の周波数応答と参照の周波数応答との間のSAD又はSSEであり得る。参照は、丸めることの前の実フィルタ係数、又は理想フィルタの周波数応答、又は設計されているフィルタよりも長い長さを有するフィルタの周波数応答であり得る。例えば、8タップフィルタを設計する際、参照は、12タップフィルタであり得る。上記の丸め方法に基づき、8タップ、6タップ及び4タップの長さを有するコサイン窓sincフィルタの別の組が図31図36の表31~表36に例示されている。
【0098】
[0117] 適応解像度変更の応用では、ソースピクチャのダウンサンプリングプロセス及び再構築済みピクチャのアップサンプリングプロセスが規格で標準的に定められていない場合があるため、それは、ユーザが任意の再サンプリングフィルタを使用できることを意味する。ユーザによって選択されるフィルタは、参照再サンプリングフィルタと一致しない場合があるが、フィルタの不一致が原因で性能が低下する可能性がある。開示する一部の実施形態では、参照再サンプリングフィルタの係数がビットストリーム内でシグナリングされる。符号器/復号器は、ユーザが定めたフィルタを参照再サンプリングに使用することができる。フィルタ係数のシグナリングを図37図38の表37及び表38に例示する。
【0099】
[0118] 表37及び表38に例示する構文構造は、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、スライスヘッダ等の高レベル構文によって示すことができる。
【0100】
[0119] ユーザが定めたRPRフィルタの使用及び上記の例示的な構文構造の存在は、SPS、PPS、APS、スライスヘッダ等を含む高レベル構文内のフラグによって制御され得る。
【0101】
[0120] 開示する実施形態と合致して、シグナリングされるフィルタの1つ又は複数が固定フィルタ長及びフィルタノルムを使用する場合、ハードウェア実装がより効率的になり得る。従って、一部の実施形態では、フィルタノルム及び/又はフィルタタップがシグナリングされなくてもよく、代わりに暗示され得る(例えば、規格内で定められる既定値であると暗示される)。フィルタノルム、フィルタタップ、フィルタ精度又は最大ビット深度は、符号器適合性要件の一部であり得る。
【0102】
[0121] 一部の実施形態では、ピクチャが復号された後、何れの非ノルムアップサンプリングフィルタが受信装置において使用されるべきかを提案するために、符号器は、付加拡張情報(SEI)メッセージを送信することができる。このSEIメッセージは、任意選択的である。しかし、SEIメッセージにより、提案されたアップサンプリングフィルタを使用する復号器は、より優れた映像品質を得ることができる。かかるSEIメッセージ内で提案されるアップサンプリングフィルタを指定するために、表31(図31)のfilter coefficients ()構文構造を使用することができる。
【0103】
[0122] 図39は、本開示の実施形態と合致する、映像コンテンツを処理するための例示的方法3900のフローチャートである。一部の実施形態では、方法3900は、コーデック(例えば、図2A図2Bの符号化プロセス200A若しくは200Bを使用する符号器、又は図3A図3Bの復号プロセス300A若しくは300Bを使用する復号器)によって実行され得る。例えば、コーデックは、映像シーケンスを符号化するか又は別のコードに変換するための機器(例えば、機器400)の1つ又は複数のソフトウェア又はハードウェア構成要素として実装することができる。一部の実施形態では、映像シーケンスは、非圧縮映像シーケンス(例えば、映像シーケンス202)又は復号される圧縮映像シーケンス(例えば、映像ストリーム304)であり得る。一部の実施形態では、映像シーケンスは、機器のプロセッサ(例えば、プロセッサ402)に関連する監視装置(例えば、図4の映像入力装置)によって捕捉され得る監視映像シーケンスであり得る。映像シーケンスは、複数のピクチャを含み得る。機器は、ピクチャのレベルで方法3900を実行することができる。例えば、機器は、方法3900内でピクチャを1つずつ処理することができる。別の例では、機器は、方法3900内で1度に複数のピクチャを処理することができる。方法3900は、以下のステップを含み得る。
【0104】
[0123] ステップ3902では、標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用することができる。
【0105】
[0124] バンドパスフィルタは、理想ローパスフィルタ及び窓関数に基づいて生成されるコサイン窓sincフィルタであり得る。例えば、コサイン窓sincフィルタのカーネル関数f(n)は、式(4)に基づき得る理想ローパスフィルタh(n)と窓関数w(n)との積であり得る。
【0106】
[0125] 従って、
【数5】

であり、ここで、fcは、コサイン窓sincフィルタf(n)のカットオフ周波数であり、Lは、カーネル長であり、及びrは、参照ダウンサンプリングのダウンサンプリング比である。
【0107】
[0126] コサイン窓sincフィルタのフィルタ係数は、適用前に丸めることができる。図40は、本開示の実施形態と合致する、コサイン窓sincフィルタのフィルタ係数を丸めるための例示的方法4000のフローチャートである。方法4000は、方法3900と独立に又は方法3900の一部として実装され得ることが理解されるであろう。方法4000は、以下のステップを含むことができる。
【0108】
[0127] ステップ4002では、バンドパスフィルタの実フィルタ係数を得ることができる。
【0109】
[0128] ステップ4004では、実フィルタ係数のための複数の丸め方向をそれぞれ決定することができる。
【0110】
[0129] ステップ4006では、複数の丸め方向に従って実フィルタ係数をそれぞれ丸めることにより、丸められたフィルタ係数の複数の組み合わせを生成することができる。
【0111】
[0130] ステップ4008では、複数の組み合わせのうち、コスト関数を最小又は最大にする丸められたフィルタ係数の組み合わせを選択することができる。一部の実施形態では、コスト関数は、丸められたフィルタ係数及び参照に関連し得る。参照は、丸めることの前のバンドパスフィルタの実フィルタ係数、理想フィルタの周波数応答、又はバンドパスフィルタよりも長い長さを有するフィルタの周波数応答であり得る。例えば、参照が、丸めることの前のバンドパスフィルタの実フィルタ係数であり得る場合、コスト関数は、丸められたフィルタ係数と、丸めることの前の実フィルタ係数との間の差分絶対値和(SAD)又は二乗和誤差(SSE)であり得る。別の例として、参照が理想フィルタの周波数応答である場合、コスト関数は、丸められたフィルタ係数の周波数応答と理想フィルタの周波数応答との間のSAD又はSSEであり得る。上記で論じたように、参照は、バンドパスフィルタよりも長い長さを有するフィルタの周波数応答でもあり得る。例えば、バンドパスフィルタが8タップフィルタである場合、参照は、8タップバンドパスフィルタよりも長い長さを有する12タップフィルタであり得る。
【0112】
[0131] バンドパスフィルタの丸められたフィルタ係数の選択された組み合わせは、フィルタ係数に関連する構文構造と共にシーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、及びスライスヘッダの少なくとも1つでシグナリングすることができる。
【0113】
[0132] 表19~表36(図19図36)に示すように、コサイン窓sincフィルタは、8タップフィルタ、6タップフィルタ、又は4タップフィルタであることが理解されるであろう。一部の実施形態では、参照ピクチャの解像度と標的ピクチャの解像度との間の比率に基づき、バンドパスフィルタを8タップフィルタ、6タップフィルタ、及び4タップフィルタの1つであると決定することができる。
【0114】
[0133] 参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用する際、分数サンプル位置においてルマサンプル又はクロマサンプルを得ることができる。分数サンプル位置を使用し、得られたルマサンプル又はクロマサンプルのフィルタ係数を参照表(例えば、表19~表36)に照らして求めることができる。
【0115】
[0134] 再び図39を参照すると、ステップ3904では、参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを処理することができる。例えば、標的ピクチャのブロックは、参照ブロックを使用してコード化又は復号することができる。
【0116】
[0135] 一部の実施形態では、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体も提供され、命令は、上記の方法を実行するための装置(開示する符号器及び復号器等)によって実行され得る。一般的な非一時的媒体は、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ若しくは他の任意の磁気データ記憶媒体、CD-ROM、他の任意の光学データ記憶媒体、孔のパターンを有する任意の物理媒体、RAM、PROM及びEPROM、フラッシュEPROM若しくは他の任意のフラッシュメモリ、NVRAM、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ及びそれらのもののネットワーク化されたバージョンを含む。装置は、1つ又は複数のプロセッサ(CPU)、入力/出力インタフェース、ネットワークインタフェース及び/又はメモリを含み得る。
【0117】
[0136] 実施形態は、以下の条項を使用して更に記載することができる:
1.動き補償補間を行うためのコンピュータ実装方法であって、
標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び
参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを処理すること
を含むコンピュータ実装方法。
2.バンドパスフィルタは、理想ローパスフィルタ及び窓関数に基づいて生成されるコサイン窓sincフィルタである、条項1に記載の方法。
3.コサイン窓sincフィルタは、カーネル関数
【数6】

(ここで、
【数7】

であり、fcは、コサイン窓sincフィルタのカットオフ周波数であり、Lは、カーネル長であり、及びrは、参照ダウンサンプリングのダウンサンプリング比である)
に基づく、条項2に記載の方法。
4.バンドパスフィルタの実フィルタ係数を得ること、
実フィルタ係数のための複数の丸め方向をそれぞれ決定すること、
複数の丸め方向に従って実フィルタ係数を丸めることにより、丸められたフィルタ係数の複数の組み合わせを生成すること、及び
複数の組み合わせのうち、コスト関数を最小又は最大にする丸められたフィルタ係数の組み合わせを選択すること
を更に含む、条項1に記載の方法。
5.コスト関数は、丸められたフィルタ係数及び参照に関連する、条項4に記載の方法。
6.参照は、丸めることの前のバンドパスフィルタの実フィルタ係数、理想フィルタの周波数応答、又はバンドパスフィルタよりも長い長さを有するフィルタの周波数応答である、条項5に記載の方法。
7.コサイン窓sincフィルタは、8タップフィルタ、6タップフィルタ、又は4タップフィルタである、条項2に記載の方法。
8.参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用することは、分数サンプル位置においてルマサンプル又はクロマサンプルを得ることを含む、条項1に記載の方法。
9.参照ピクチャの解像度と標的ピクチャの解像度との間の比率に基づき、バンドパスフィルタを8タップフィルタ、6タップフィルタ、及び4タップフィルタの1つであると決定することを更に含む、条項1に記載の方法。
10.バンドパスフィルタの丸められたフィルタ係数の選択された組み合わせをシーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、及びスライスヘッダの少なくとも1つでシグナリングすることを更に含む、条項4に記載の方法。
11.動き補償補間を行うためのシステムであって、
命令の組を記憶するメモリと、
少なくとも1つのプロセッサとを含み、少なくとも1つのプロセッサは、
標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び
参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを処理すること
をシステムに行わせるように、命令の組を実行するように構成される、
システム。
12.バンドパスフィルタは、理想ローパスフィルタ及び窓関数に基づいて生成されるコサイン窓sincフィルタである、条項11に記載のシステム。
13.コサイン窓sincフィルタは、カーネル関数
【数8】

(ここで、
【数9】

であり、fcは、コサイン窓sincフィルタのカットオフ周波数であり、Lは、カーネル長であり、及びrは、参照ダウンサンプリングのダウンサンプリング比である)
に基づく、条項12に記載のシステム。
14.少なくとも1つのプロセッサは、
バンドパスフィルタの実フィルタ係数を得ること、
実フィルタ係数のための複数の丸め方向をそれぞれ決定すること、
複数の丸め方向に従って実フィルタ係数を丸めることにより、丸められたフィルタ係数の複数の組み合わせを生成すること、及び
複数の組み合わせのうち、コスト関数を最小又は最大にする丸められたフィルタ係数の組み合わせを選択すること
をシステムに更に行わせるように、命令の組を実行するように構成される、条項11に記載のシステム。
15.コスト関数は、丸められたフィルタ係数及び参照に関連する、条項14に記載のシステム。
16.参照は、丸めることの前のバンドパスフィルタの実フィルタ係数、理想フィルタの周波数応答、又はバンドパスフィルタよりも長い長さを有するフィルタの周波数応答である、条項15に記載のシステム。
17.コサイン窓sincフィルタは、8タップフィルタ、6タップフィルタ、又は4タップフィルタである、条項12に記載のシステム。
18.参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用することは、分数サンプル位置においてルマサンプル又はクロマサンプルを得ることを含む、条項11に記載のシステム。
19.少なくとも1つのプロセッサは、参照ピクチャの解像度と標的ピクチャの解像度との間の比率に基づき、バンドパスフィルタを8タップフィルタ、6タップフィルタ、及び4タップフィルタの1つであると決定することをシステムに更に行わせるための命令の組を実行するように構成される、条項11に記載のシステム。
20.命令の組を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令の組は、映像コンテンツを処理するための方法をコンピュータシステムに実行させるためにコンピュータシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能であり、方法は、
標的ピクチャ及び参照ピクチャが異なる解像度を有することに応じて、参照ダウンサンプリングありの動き補償補間を行って参照ブロックを生成するために、参照ピクチャにバンドパスフィルタを適用すること、及び
参照ブロックを使用して標的ピクチャのブロックを処理すること
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0118】
[0137] 本明細書の「第1の」及び「第2の」等の関係語は、あるエンティティ又は操作を別のエンティティ又は操作と区別するために使用されるに過ぎず、それらのエンティティ又は操作間のいかなる実際の関係又は順序も必要としないか又は含意しないことに留意すべきである。更に、「含む」、「有する」、「含有する」及び「包含する」並びに他の同様の形式の用語は、意味の点で均等であることを意図し、これらの用語の何れか1つの後に続くアイテムがかかるアイテムの網羅的列挙であることを意図していないか、又は列挙するアイテムのみに限定されることを意図していない点で非限定的であることを意図する。
【0119】
[0138] 本明細書で使用するとき、別段の定めがない限り、「又は」という語は、実行不可能な場合を除いて、あり得る全ての組み合わせを包含する。例えば、あるデータベースがA又はBを含み得ると述べた場合、別段の定めがない限り又は実行不可能でない限り、そのデータベースは、A若しくはB又はA及びBを含むことができる。第2の例として、あるデータベースがA、B又はCを含み得ると述べた場合、別段の定めがない限り又は実行不可能でない限り、そのデータベースは、A、若しくはB、若しくはC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、及びB、及びCを含むことができる。
【0120】
[0139] 上記で説明した実施形態は、ハードウェア若しくはソフトウェア(プログラムコード)又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実装できることが理解されるであろう。ソフトウェアによって実装される場合、ソフトウェアは、上記のコンピュータ可読媒体に記憶することができる。ソフトウェアは、プロセッサによって実行されるとき、開示する方法を実行することができる。本開示で説明した計算ユニット及び他の機能ユニットは、ハードウェア若しくはソフトウェア又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実装することができる。上記のモジュール/ユニットの複数を1つのモジュール/ユニットとして組み合わせることができ、上記のモジュール/ユニットのそれぞれを複数のサブモジュール/サブユニットに更に分割できることも当業者であれば理解するであろう。
【0121】
[0140] 上記の本明細書では、実装形態ごとに変わり得る多数の具体的な詳細に関して実施形態を説明してきた。記載した実施形態に対する一定の適応形態及び修正形態がなされ得る。本明細書を検討し、本明細書で開示する本発明を実践することで他の実施形態が当業者に明らかになり得る。本明細書及び例は、専ら例示として検討され、本開示の真の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって示されることを意図する。図中に示すステップの順序は、例示目的に過ぎず、特定のステップの順序に限定されることを意図しない。そのため、それらのステップは、同じ方法を実装しながら異なる順序で実行できることを当業者であれば理解することができる。
【0122】
[0141] 図面及び本明細書で例示的実施形態を開示してきた。しかし、それらの実施形態に対する多くの改変形態及び修正形態がなされ得る。従って、特定の用語を使用したが、それらの用語は、限定目的ではなく、全般的及び説明的な意味で使用されたものに過ぎない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
【国際調査報告】