(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】マルチストリーム中心窩ディスプレイトランスポート
(51)【国際特許分類】
H04N 21/2662 20110101AFI20221114BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221114BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20221114BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221114BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20221114BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20221114BHJP
H04N 21/4728 20110101ALI20221114BHJP
G06T 5/50 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H04N21/2662
G09G5/00 555D
G09G5/36 520L
G09G5/00 550C
G09G5/00 520V
G09G5/36 520E
H04N21/235
H04N21/435
H04N21/4728
G06T5/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515065
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 IB2020058783
(87)【国際公開番号】W WO2021053644
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508301087
【氏名又は名称】エーティーアイ・テクノロジーズ・ユーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ATI TECHNOLOGIES ULC
【住所又は居所原語表記】One Commerce Valley Drive East, Markham, Ontario, L3T 7X6 Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】グエンナディ リグール
(72)【発明者】
【氏名】サイド アザー フセイン
【テーマコード(参考)】
5B057
5C164
5C182
【Fターム(参考)】
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5C164FA06
5C164MB13S
5C164PA31
5C164SB02S
5C164SB08P
5C164SB41S
5C164SC03P
5C164UB10P
5C164UB41S
5C164UB82S
5C164UB88S
5C164UD44P
5C164YA12
5C182AB08
5C182AB33
5C182AC03
5C182BA56
5C182BC03
5C182BC11
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182BC29
5C182BC41
5C182CB12
5C182CB42
5C182CB54
5C182DA05
5C182DA06
5C182DA14
5C182DA32
(57)【要約】
マルチストリーム中心窩ディスプレイトランスポート層を使用するためのシステム、装置及び方法が開示される。仮想現実(VR)システムは、ディスプレイに結合された受信機に、ディスプレイトランスポート層を介して複数のストリームを送信する送信機を含む。各ストリームは、受信機によってブレンディングされる異なる画像に対応する。画像は、少なくとも眼の視線方向に対応する中心窩領域画像と、中心窩領域画像よりも広い視野を有する低解像度画像である背景画像と、を含む。トランスポート層を介して送信される中心窩領域ストリームの位相タイミングは、画像全体内の中心窩領域の位置に対応するように、背景ストリームに対して調整される。これは、画像をブレンディングしてディスプレイに送られる最終画像を生成するために受信機で必要なバッファリングの量を減らすのに役立つ。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの複数の領域をレンダリングするように構成されたレンダリングユニットであって、前記複数の領域の各領域は、他の領域とは異なる解像度でレンダリングされる、レンダリングユニットと、
送信機と、を備え、
前記送信機は、
各領域を個別のストリーム内の個別の画像として、合成画像をディスプレイに送る前に画像を組み合わせる受信機に送信することと、
第1のストリームの位相を第2のストリームに対しシフトすることによって前記第1のストリームを送信することであって、前記位相は、前記フレーム内の中心窩領域の位置に対応する量だけシフトされ、前記第1のストリームは前記中心窩領域を含み、前記第2のストリームは背景画像を含む、ことと、
を行うように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記中心窩領域は、第1のリフレッシュレートで更新され、
前記背景画像は、第2のリフレッシュレートで更新され、
前記第2のリフレッシュレートは、前記第1のリフレッシュレートとは異なる、
請求項1のシステム。
【請求項3】
前記レンダリングユニットは、眼球サッケードが検出されたという指標を受信したことに応じて、異なる解像度でレンダリングされる領域の数を増やすように構成されている、
請求項1のシステム。
【請求項4】
前記レンダリングユニットは、
前記指標を受信する前に、第1のフレームに対して2つの個別の領域をレンダリングし、
前記指標を受信した後に、第2のフレームに対して3つ以上の個別の領域をレンダリングするように構成されている、
請求項3のシステム。
【請求項5】
前記レンダリングユニットは、前記指標を受信したことに応じて、前記中心窩領域のリフレッシュレートを調整するように構成されている、
請求項3のシステム。
【請求項6】
前記送信機は、前記複数の領域を組み合わせて前記合成画像を生成する方法を指定するために、ブレンドマスクを前記受信機に伝達するように構成されている、
請求項1のシステム。
【請求項7】
前記送信機は、前記背景画像をスケーリングする方法を指定するために、背景画像スケーリング属性を前記受信機に伝達するように構成されている、
請求項1のシステム。
【請求項8】
レンダリングユニットが、フレームの複数の領域をレンダリングすることであって、前記複数の領域の各領域は、他の領域とは異なる解像度でレンダリングされる、ことと、
送信機が、各領域を個別のストリーム内の個別の画像として、合成画像をディスプレイに送る前に画像を組み合わせる受信機に送信することと、
第1のストリームの位相を第2のストリームに対してシフトすることによって前記第1のストリームを送信することであって、前記位相は、前記フレーム内の中心窩領域の位置に対応する量だけシフトされ、前期第1のストリームは前記中心窩領域を含み、前記第2のストリームは背景画像を含む、ことと、を含む、
方法。
【請求項9】
前記中心窩領域は、第1のリフレッシュレートで更新され、
前記背景画像は、第2のリフレッシュレートで更新され、
前記第2のリフレッシュレートは、前記第1のリフレッシュレートとは異なる、
請求項8の方法。
【請求項10】
眼球サッケードが検出されたという指標を受信したことに応じて、異なる解像度でレンダリングされる領域の数を増やすことをさらに含む、
請求項8の方法。
【請求項11】
前記指標を受信する前に、第1のフレームに対して2つの個別の領域をレンダリングすることと、
前記指標を受信した後に、第2のフレームに対して3つ以上の個別の領域をレンダリングすることと、をさらに含む、
請求項10の方法。
【請求項12】
前記指標を受信したことに応じて、前記中心窩領域のリフレッシュレートを調整することをさらに含む、
請求項10の方法。
【請求項13】
前記複数の領域を組み合わせて前記合成画像を生成する方法を指定するために、ブレンドマスクを前記受信機に伝達することをさらに含む、
請求項8の方法。
【請求項14】
前記背景画像をスケーリングする方法を指定するために、背景画像スケーリング属性を前記受信機に伝達することをさらに含む、
請求項8の方法。
【請求項15】
送信機と、
受信機と、を備え、
前記送信機は、
フレームの複数の領域をレンダリングすることであって、前記複数の領域の各領域は、他の領域とは異なる解像度でレンダリングされる、ことと、
各領域を個別のストリーム内の個別の画像として前記受信機に送信することと、
第1のストリームの位相を第2のストリームに対してシフトすることによって前記第1のストリームを送信することであって、前記位相は、前記フレーム内の中心窩領域の位置に対応する量だけシフトされ、前期第1のストリームは前記中心窩領域を含み、前記第2のストリームは背景画像を含む、ことと、
を行うように構成されており、
前記受信機は、
複数のストリームからの前記複数の領域を組み合わせて、合成画像を生成することと、
前記合成画像をディスプレイに送ることと、
を行うように構成されている、
システム。
【請求項16】
前記中心窩領域は、第1のリフレッシュレートで更新され、
前記背景画像は、第2のリフレッシュレートで更新され、
前記第2のリフレッシュレートは、前記第1のリフレッシュレートとは異なる、
請求項15のシステム。
【請求項17】
前記送信機は、眼球サッケードが検出されたという指標を受信したことに応じて、異なる解像度でレンダリングされる領域の数を増やすように構成されている、
請求項15のシステム。
【請求項18】
前記送信機は、
前記指標を受信する前に、第1のフレームに対して2つの個別の領域をレンダリングし、
前記指標を受信した後に、第2のフレームに対して3つ以上の個別の領域をレンダリングするように構成されている、
請求項17のシステム。
【請求項19】
前記送信機は、前記指標を受信したことに応じて、前記中心窩領域のリフレッシュレートを調整するように構成されている、
請求項17のシステム。
【請求項20】
前記送信機は、前記複数の領域を組み合わせて前記合成画像を生成する方法を指定するために、ブレンドマスクを前記受信機に伝達するように構成されている、
請求項15のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連技術の説明)
ディスプレイの解像度とリフレッシュレートが上がるにつれて、表示される画像に必要な伝送帯域幅が主要な制限要因になってくる。仮想現実(VR)及び拡張現実(AR)ヘッドセット又はヘッドマウントディスプレイ(HMD)の場合、これは、ケーブルの物理的な太さがユーザの移動を妨げるためにさらに大きな問題になり、より高解像度の画像を伝送するためにより多くのワイヤを追加するのが受け入れられない解決策である。ユーザに対する没入型環境を作り出すために、VR及びARビデオストリーミングアプリケーションは、典型的には、高解像度、及び、高データレートと同等である高フレームレートを有する。VR及びARディスプレイの場合、今日一般的に行われているように、完全に均一な解像度の画像を送信するのは無駄である。
【0002】
本明細書に記載される方法及びメカニズムの利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによってより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図3】一実施形態による、フレームをレンダリングしてVR又はARディスプレイに送るためのフレームタイミングのタイミング図である。
【
図5】中心窩領域ストリームの位相タイミングを調整する方法の一実施形態を示す一般化されたフロー図である。
【
図6】眼球サッケード(eye saccade)が検出されたことに応じて、レンダリングされる中間解像度画像の数を増加させる方法の一実施形態を示す一般化されたフロー図である。
【
図7】一実施形態による、トランスポートされた画像及び最終画像の図である。
【
図8】一実施形態による、通常のマルチストリームディスプレイトランスポートのタイミング図である。
【
図9】一実施形態による、位相シフトされたマルチストリームディスプレイトランスポートのタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明では、本明細書において提示される方法及びメカニズムの十分な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者は、これらの具体的な詳細無しに様々な実施形態が実施され得ることを認識するであろう。いくつかの場合、周知の構造、コンポーネント、信号、コンピュータプログラム命令及び技術は、本明細書に記載されるアプローチを不明瞭にすることを避けるために、詳細に示されていない。説明を簡潔及び明瞭にするために、図面に示す要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。例えば、いくつかの要素の寸法は、他の要素に対して誇張される場合がある。
【0005】
マルチストリーム中心窩ディスプレイトランスポート層を使用するための様々なシステム、装置、方法及びコンピュータ可読媒体が本明細書に開示されている。一実施形態では、仮想現実(VR)システムは、ディスプレイに結合された受信機に、ディスプレイトランスポート層を介して複数のストリームを送信する送信機を含む。各ストリームは、ディスプレイに送るための合成画像を生成するために受信機によって一緒にブレンディングされる異なる画像に対応する。画像は、少なくとも眼の視線方向に対応する中心窩領域画像と、中心窩領域画像よりも広い視野を有する低解像度画像である背景画像と、を含む。別の実施形態では、解像度が徐々に低下する複数の中心窩領域画像が存在し得る。トランスポート層を介して送信される中心窩領域ストリーム(複数可)の位相タイミングは、画像全体における中心窩領域の位置に対応するように、背景ストリームに対して調整される。これは、画像をブレンディングしてディスプレイに送られる合成画像を生成するために受信機で必要なバッファリングの量を減らすのに役立つ。
【0006】
図1を参照すると、システム100の一実施形態のブロック図が示されている。一実施形態では、システム100は、送信機105と、チャネル110と、受信機115と、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)120と、を含む。他の実施形態では、システム100は、
図1に示す以外の構成要素を含むことができることに留意されたい。一実施形態では、チャネル110は、送信機105と受信機115との間の直接有線接続である。別の実施形態では、チャネル110は、送信機105と受信機115との間のネットワーク接続を表す。送信機105と受信機115との間の接続を提供するために、実施形態に応じて、任意のタイプ及び数のネットワークを使用することができる。例えば、送信機105は、特定の実施形態においてはクラウドサービスプロバイダの一部である。さらなる実施形態では、チャネル110は、送信機105と受信機115との間の無線接続を表す。
【0007】
一実施形態では、送信機105は、エンコードされて受信機115に送信されるビデオシーケンスを受信する。別の実施形態では、送信機105は、エンコードされて受信機115に送信されるビデオシーケンスをレンダリングするレンダリングユニットを含む。転送されるデータの量を減らすために、中心窩画像のマルチストリームトランスポートが送信機105と受信機115との間で使用される。マルチストリームシーケンスの各ストリームは、異なる解像度で生成された異なる画像に対応する。一実施形態では、利用可能なリンク帯域幅の一部が各ストリームに静的に割り当てられてもよい。別の実施形態では、ストリームの帯域幅を動的に構成可能である。受信機115でのピクセルデータのバッファリングの量を減らすために、それらの適切なストリームにおける中心窩画像のトランスポートは、背景画像を運ぶデータストリームに対して位相シフトされる。受信機115が複数のストリームを受信すると、受信機115は、ストリームから個々の画像を抽出し、画像を一緒にブレンディングして単一のフレームを生成し、HMD120に送る。一実施形態では、受信機115は、HMD120から分離されており、受信機115は、有線又は無線接続を使用してHMD120と通信する。別の実施形態では、受信機115は、HMD120内に統合されている。
【0008】
送信機105及び受信機115は、任意のタイプの通信デバイス及び/又はコンピューティングデバイスを表す。例えば、様々な実施形態では、送信機105及び/又は受信機115は、携帯電話、タブレット、コンピュータ、サーバ、HMD、別のタイプのディスプレイ、ルータ、又は、他のタイプのコンピューティングデバイス若しくは通信デバイスであってもよい。一実施形態では、システム100は、レンダリングされた仮想環境のフレームを送信機105から受信機115に無線で送信するための仮想現実(VR)アプリケーションを実行する。他の実施形態では、本明細書で説明する方法及びメカニズムを利用したシステム100によって、他のタイプのアプリケーション(例えば、拡張現実(AR)アプリケーション)が実装され得る。
【0009】
一実施形態では、HMD120上に表示された各画像において、HMD120の右側125R上に表示されているシーンは、中心窩領域130Rを含み、HMD120の左側125Lに表示されているシーンは、中心窩領域130Lを含む。これらの中心窩領域130R,130Lは、HMD120の拡張された右側125R及び左側125Lの各々において円によって示される。本明細書で使用される「中心窩領域」という用語は、各眼の視線が向けられる、眼毎に表示される半フレームの部分として定義される。いくつかの場合では、「中心窩領域」は、眼が指し示している半フレーム内の位置を検出するアイトラッキングセンサに少なくとも部分的に基づいて判定される。さらに、「中心窩領域」という用語は、「焦点領域」と呼ばれることもある。
【0010】
一実施形態では、各右半分又は左半分のフレームにおける中心窩領域130R,130Lの位置が、HMD120内の1つ以上のアイトラッキングセンサ140に基づいて判定される。この実施形態では、アイトラッキングデータが、フィードバックとして送信機105及びオプションでVRビデオのレンダリングソースに提供される。いくつかの場合では、アイトラッキングデータフィードバックは、VRビデオフレームレートよりも高い周波数で生成され、送信機105は、フィードバックにアクセスし、フレーム毎にエンコードされたビデオストリームを更新することが可能である。いくつかの場合では、アイトラッキングは、HMD120上では実行されず、むしろ、眼の位置及び移動を判定するさらなる処理のために、ビデオ及び他のセンサデータが送信機105に送り返される。別の実施形態では、中心窩領域130R,130Lの位置は、ユーザが見ていると予想される場所に基づいて、VRアプリケーションによって特定される。別の実施形態では、中心窩領域130R,130Lの位置は、光学システムの特性のみに基づいて又はアイトラッキングと組み合わせて判定される。中心窩領域130R,130Lのサイズは、実施形態に応じて変化してもよいことに留意されたい。また、中心窩領域130R,130Lの形状は、実施形態に応じて変化してもよく、別の実施形態では、中心窩領域130R,130Lは、楕円として定義される。他の実施形態では、他のタイプの形状が中心窩領域130R,130Lに対して利用されてもよい。
【0011】
一実施形態では、チャネル110は、マルチストリームトランスポート層をサポートし、各領域に個別のストリーム及び背景画像に個別のストリームを使用して、高解像度の中心窩領域及び低解像度の背景画像を転送する。いくつかの場合では、中心窩及び背景の画像が異なるリフレッシュレートで送信される。例えば、VR又はARアプリケーションの現在のシーンが変更されていない場合にユーザが眼を高速に動かした場合、新たな復号サッケード到達点を考慮して、中心窩領域が背景画像よりも高いリフレッシュレートで送信される。一実施形態では、送信機105は、フレームの最終的な合成画像を生成するために複数の領域をどのように組み合わせるべきかを指定するマスクメタデータを、受信機115に送信する。受信機115は、受信したマスクメタデータに基づいて、中心窩領域を背景画像とブレンディングする。一実施形態では、マスクメタデータは、アルファカラーチャネルとして提供される。別の実施形態では、マスクメタデータは、分析的に決定される。一実施形態では、送信機105は、背景画像スケーリング属性を指定するメタデータを、受信機115に送信する。背景画像スケーリング属性は、中心窩領域(複数可)とブレンディングする前に、受信機115によって背景画像がどれだけスケーリングされるべきかを示す。受信機115は、この受信したスケーリング属性に基づいて、背景画像をスケーリングする。
【0012】
一実施形態では、背景画像と組み合わせる前に中心窩画像データを記憶するために受信機115が必要とする画像バッファリングの量を最小化するために、中心窩画像ストリームの開始は、背景画像ストリームに対して位相シフトされ、フレーム内の中心窩領域の位置に対応する。一実施形態では、中心窩画像を備えたストリームは、背景画像に対する中心窩領域の位置、中心窩層の構成順序、及び、位相シフトに関するメタデータを含む。一実施形態では、対応するストリーム内の中心窩領域の位相シフトの調整は、サッケード運動に結び付けられ、サッケード抑制中に実行される。一実施形態では、ストリーム内の画像シフトのための眼球サッケードに関する情報は、側波帯通信インタフェース145を使用して、アイトラッキングセンサ(複数可)140から送信機105に送信される。
【0013】
受信機115が複数のストリームを受信すると、受信機115は、各ストリームから画像を抽出する。次に、受信機115は、中心窩画像(複数可)を背景画像に重ね合わせて、ディスプレイ120に送られる最終画像を生成する。背景画像ストリームに対して中心窩画像ストリーム(複数可)の送信を位相シフトすることにより、中心窩画像(複数可)を背景画像と組み合わせて最終画像を生成するために受信機115で必要とされるバッファリングの量が減少する。
【0014】
図2を参照すると、送信機200の一実施形態のブロック図が示されている。一実施形態では、送信機200は、少なくとも中心窩レンダリングユニット210と、眼球サッケード予測ユニット215と、エンコーダ225と、を含む。或いは、別の実施形態では、中心窩レンダリングユニット210は、送信機200内に統合されるのではなく、送信機200に結合されている。送信機200が、図を曖昧にすることを避けるために示されていない他の構成要素も含むことができることに留意されたい。中心窩レンダリングユニット210、眼球サッケード予測ユニット215及びエンコーダ225は、
図2において個別のユニットとして示されているが、他の実施形態では、これらのユニットのうち任意の2つを一緒に組み合わせて単一のユニットにしてもよいし、3つのユニット全てを一緒に組み合わせて単一のユニットにしてもよいことに留意されたい。レンダリングユニット210、眼球サッケード予測ユニット215及びエンコーダ225の各々は、ハードウェア(例えば、制御ロジック、処理ユニット)及び/又はソフトウェア(例えば、処理ユニットによって実行可能なプログラム命令)の任意の適切な組み合わせを使用して実装される。
【0015】
一実施形態では、中心窩レンダリングユニット210は、グラフィックス情報(例えば、生の画像データ)から、レンダリングされた画像220を生成する。一実施形態では、レンダリングされた画像220は、ビデオシーケンスの単一のビデオフレームに対応する2つ以上の画像を含む。「画像」、「フレーム」及び「ビデオフレーム」という用語は、本明細書では交換可能に使用できることに留意されたい。一実施形態では、中心窩レンダリングユニット210は、フレーム内の中心窩領域(複数可)(例えば、
図1の中心窩領域130R,130L)を指定する中心窩領域情報を受信する。一実施形態では、中心窩領域情報は、HMD(例えば、HMD120)内の1つ以上のアイトラッキングセンサ(例えば、センサ140)から送信機200に提供される。中心窩レンダリングユニット210は、中心窩領域情報を使用して、レンダリングされた画像220の他の画像よりも比較的高いピクセル密度で中心窩領域画像を生成する。
【0016】
一実施形態では、レンダリングされた画像220の各画像は、HMDの各アイビューに対して1つの画像を有する一対の画像を表すことに留意されたい。例えば、この実施形態では、レンダリングされた画像220の各画像は、右眼用の第1のレンダリング画像と左眼用の第2のレンダリング画像とを含む一対の画像を表す。或いは、レンダリングされた画像220の各画像は、単一の画像に組み合わされる左眼及び右眼の部分を含む。
【0017】
一実施形態では、エンコーダ225は、レンダリングされた画像220から、フレーム毎に複数のエンコードされたストリーム235を生成する。次に、エンコーダ225は、複数のエンコードされたストリーム235を、再構成のために受信機に送信し、各ストリームは、フレームの一部又は全体の個別にエンコードされた画像表現を含む。一実施形態では、各ストリームは、他のストリームの他の画像の解像度とは異なる解像度の画像を含む。また、各ストリームの更新レートは、他のストリームから独立している。したがって、一実施形態では、中心窩領域ストリームは、背景画像ストリームよりも高い更新レートを有する。
【0018】
一実施形態では、眼球サッケード予測ユニット215は、眼球サッケードを検出し、眼球がサッケードの終わりに到達する位置を予測する。一実施形態では、検出及び予測は、アイトラッキングデータに基づく。本明細書で使用される「サッケード」という用語は、注視点間の眼球の急速な動きとして定義される。例えば、眼球サッケード予測ユニット215は、眼球運動が閾値量よりも大きいことを示す眼球位置センサの読み取り値に基づいて、眼球サッケードを検出する。眼球サッケードが検出されると、サッケード予測ユニット215は、眼球が最終的にディスプレイの何れの位置に到達するかを予測する。一実施形態では、サッケード予測ユニット215は、眼が最終位置に到達するタイミングを予測する。位置及びタイミングの予測は、ユーザに表示される次のフレームの中心窩領域(複数可)をいつレンダリングするかを決定するために使用される。通常、サッケードの省略は、急速な眼球運動の前の短期間の、眼球運動中の、及び、眼球運動後の短期間の、一部の視覚入力の処理を妨げる。しかしながら、眼が動かなくなると、脳は、少し遅れて新たな復号視覚データの処理を再開する。したがって、ユーザがネガティブな視覚体験をすることを防ぐために、中心窩レンダリングユニット210は、眼球サッケードの予測された到達位置の直後に中心窩領域が現れるようにレンダリングする。また、中心窩レンダリングユニット200は、眼球サッケードが終了すると予測された瞬間の直後に次のフレームがユーザに表示されるように、次のフレームをレンダリングする。
【0019】
一実施形態では、レンダリングユニット210は、眼の視力低下(acuity falloff)を近似するために、中心窩領域(複数可)のデータを用いて異なる解像度の複数の画像を生成する。サッケードのタイプ及びサッケード予測の確率測定に応じて、レンダリングユニット210は、フレーム毎にレンダリングされる画像の数を増やし、眼球サッケードが終了すると予測されると、到達点予測誤差の可能性を修正するためにしばらくの間画像を拡大して、それらの形状を調整する(例えば、サッケードの方向に画像を引き延ばし、サッケード到達点でより大きな画像部分をカバーする)。例えば、一実施形態では、眼球運動が無視できる期間中に、レンダリングユニット210は、受信機によって一緒にブレンディングされる、フレーム毎の2つの画像を生成する。しかしながら、眼球サッケードが検出され、到達点の不確実性が特定の閾値を超えると推定された後に、レンダリングユニット210は、フレーム毎に2つを超える画像を生成する。これは、視覚的なアーティファクトが少ない、より良い画像をユーザに提供するのに役立つ。これは、眼の到達位置の予測に僅かな誤差がある場合に、より良い画像を提供するのにも役立つ。一実施形態では、眼球サッケードが検出されることに応じて、レンダリングユニット210は、第1の解像度で中心窩領域画像、第2の解像度で第1の中間中心窩領域画像、第3の解像度で第2の中間中心窩領域画像、及び、第4の解像度で背景画像を生成する。これらの4つの画像は個別のストリームとして送信され、受信機で一緒にブレンディングされて、ディスプレイに送られる画像を生成する。この例では、解像度は、第1の解像度から第4の解像度へと、最高から最低になっている。言い換えれば、第1の解像度は第2の解像度よりも高く、第2の解像度は第3の解像度よりも高く、第3の解像度は第4の解像度よりも高い。したがって、サッケード到達点の予測が僅かにずれている場合に、ユーザの眼が、背景画像よりも解像度が高い第1中間中心窩領域の画像に到達するので、ユーザに十分な詳細を提供することができ、顕著な視覚的アーティファクトを防ぐことができる。
【0020】
図3を参照すると、一実施形態による、VR又はARディスプレイにフレームをレンダリングして送るためのフレームタイミングのタイミング
図300が示されている。一実施形態では、各フレーム周期の境界は、垂直同期(VSync)信号によって決定される。言い換えると、フレーム周期の開始がVSync信号と一致し、フレーム周期の終了が次のVSync信号と一致する。例えば、タイミング
図300に示されている第1のフレーム周期は、VSync305とVsync310によって区切られている。第1のフレーム周期中に、元の中心窩画像ストリームが、背景画像ストリームに対して位相シフトされた状態でディスプレイトランスポートを介して受信機に送信される。中心窩画像が背景画像とブレンディングされる時点で中心窩画像ストリームが受信機に到着するように、位相シフトが実行される。受信機は、中心窩領域を背景画像とブレンディングし、VR合成器は、ブレンディングされた画像をディスプレイに送る。
【0021】
本明細書で使用される「フレーム周期」という用語は、フレームレートの逆数として定義される。様々な実施形態では、フレームは、固定又は可変のフレームレートでVRディスプレイに送られ、フレームレートは、所定のVRアプリケーションに優れたユーザエクスペリエンスを提供するのに十分な高さである。本開示全体を通して、技術がVRアプリケーション又はVRディスプレイに適用可能であると言及される場合、その技術は、AR又は他のタイプの没入型アプリケーションにも適用可能であると理解すべきことに留意されたい。VRアプリケーションのフレームレートが特定の期間固定されている場合、次に表示されるフレームのVsyncのタイミングを決定することができる。
【0022】
この説明のために、VRシステムは、VRアプリケーションの実行中に眼球サッケードを検出及び/又は予測する眼球サッケード検出ユニット又は眼球サッケード予測ユニット(例えば、
図2の眼球サッケード予測ユニット215)を含むことが想定される。タイミング
図300に示すように、眼球サッケード325が検出され、眼球サッケード325のタイミングの予測が、Vsync信号、背景画像ストリームのトランスポート、及び、元の中心窩画像ストリームのトランスポートに関連して示されている。眼球サッケード325の結果として、中心窩領域の位置が移動し、これは、ディスプレイトランスポート上で中心窩画像ストリームを送信するための最適なタイミングを変更する。一実施形態では、眼球サッケード325は、元の中心窩画像ストリーム320の全体が送信される前に検出されるので、送信機は、中心窩領域の位置が変更されたことにより、元の中心窩画像ストリーム320の送信を中止する。眼球サッケード325が終了し、眼球が動きを停止すると、ユーザは、高解像度の中心窩領域が、視線が向けられる場所にあることを期待することになる。
【0023】
したがって、一実施形態では、眼球サッケード325が検出されると、眼球サッケード325が終了するときの中心窩領域の予測位置に対応するように、新たな中心窩画像がレンダリングされる。新たな中心窩画像ストリーム330は、新たな中心窩画像が背景画像といつブレンディングされるかに対応するために、背景画像ストリーム335に関して新たな位相関係で送信される。次のVsync315の前に新たな中心窩画像ストリーム330をレンダリング及び送信するのに十分な時間があれば、新たな中心窩画像ストリーム330のフェーズでのこの調整が実行される。Vsync315の前に十分な時間がない場合には、現在のフレームに対する低解像度の背景画像をユーザに表示することができ、次に、新たな中心窩画像ストリームと背景画像ストリームとの間の適切な位相関係が後続のフレームに適用される。
【0024】
図4を参照すると、受信機400の一実施形態のブロック図が示されている。一実施形態では、受信機400は、HMD(例えば、
図1のHMD120)内に統合されている。別の実施形態では、受信機400は、HMDとは別の構成要素であり、受信機400は、有線又は無線インタフェースを介してHMDと通信する。一実施形態では、受信機400は、少なくともストリームデマルチプレクサ410と、バッファ415A~415Nと、デコードユニット420と、ディスプレイ合成器430と、ディスプレイコントローラ440と、を含む。受信機400が、図を曖昧にすることを避けるために示されていない他の構成要素も含むことができることに留意されたい。他の実施形態では、受信機400は、他の適切な構成で構造化することができる。また、
図4に示すユニットのうち2つ以上は、他の実施形態では、単一のユニットに組み合わせることができる点に留意されたい。
【0025】
一実施形態では、受信機400は、VR又はARアプリケーションのフレームのために複数のエンコードされたストリームを受信する。複数のエンコードされたストリームを受信した後に、ストリームデマルチプレクサ410は、エンコードされたストリームを個々のコンポーネントストリームに分離する。一実施形態では、エンコードされたストリームに2つのストリームがあり、2つのストリームは、比較的高解像度の中心窩画像及び比較的低解像度の背景画像を含む。他の実施形態では、受信機400は、3つ以上のエンコードされたストリームを受信する。個々のコンポーネントストリームが分離され、バッファ415A~415Nに格納され、バッファ415A~415Nは、異なるコンポーネントストリームのピクセルデータを格納するための任意の数のバッファを表す。
【0026】
デコードユニット420は、バッファ415A~415Nから個別の構成要素でエンコードされた画像を取得し、エンコードされた画像をデコードする。次に、デコードユニット420は、デコードされた画像425をディスプレイ合成器430に伝達する。ディスプレイ合成器430は、デコードされた画像425を一緒にブレンディングして、ディスプレイコントローラ440に提供されるブレンディングされた画像435を生成する。一実施形態では、デコードユニット420は、エンコードされたストリームからブレンドマスク422を抽出し、ブレンドマスク422をディスプレイ合成器430に伝達する。この実施形態では、ディスプレイ合成器430は、ブレンドマスク422を使用して、複数の構成要素の画像を組み合わせてブレンディングされた画像435を生成する方法を決定する。ディスプレイコントローラ440は、ブレンディングされた画像435に対して最終調整を実行して、ディスプレイに送られる最終画像445を生成する。最終画像445は、ターゲットディスプレイに送られる前に、フレームバッファ又は他の場所に格納され得ることに留意されたい。
【0027】
図5を参照すると、中心窩領域ストリームの位相タイミングを調整する方法500の一実施形態が示されている。説明のために、この実施形態でのステップ、及び、
図6~
図7のステップを順番に示す。しかしながら、説明する方法の様々な実施形態では、説明する要素のうちの1つ以上は、同時に実行されてもよいし、図示された順序とは異なる順序で実行されてもよいし、完全に省略されてもよいことに留意されたい。他の追加の要素も必要に応じて実行される。本明細書に記載された様々なシステム又は装置の何れも、方法500を実施するように構成されている。
【0028】
送信機は、フレーム内の中心窩領域の位置の指標を受信する(ブロック505)。一実施形態では、中心窩領域情報は、1つ以上のアイトラッキングセンサから側波帯チャネルを介して送信機に送信される。送信機は、フレーム内の中心窩領域の位置に対応するように、背景画像ストリームに対する中心窩領域画像ストリームの位相タイミングを調整する(ブロック510)。例えば、ディスプレイのラスター順序が上から下になり、中心窩領域がフレームの上部にある場合、中心窩領域画像がトランスポート層を介して送信される場合の位相タイミングは、中心窩領域の画像を背景画像とブレンディングする必要がある時点で、中心窩領域の画像全体を受信機が受信できるようにするポイントまで、前方に移動する。或いは、中心窩領域が画面の下部にある場合、中心窩領域画像がトランスポート層を介して送信される場合の位相タイミングは、中心窩領域画像がブレンディングに間に合うように受信機によって完全に受信されるように調整される。次に、送信機は、背景画像ストリームに対して調整された位相タイミングを使用して、中心窩領域画像ストリームを受信機に送信する(ブロック515)。ブロック515の後に、方法500は終了する。送信機が方法500を実行する結果として、受信機は、中心窩領域画像を背景画像とブレンディングする場合に使用されるバッファリングの量を減らすことができる。
【0029】
図6を参照すると、眼球サッケードが検出されたことに応じて、レンダリングされる中間解像度画像の数を増やす方法600の一実施形態が示されている。レンダリングユニットは、中心窩領域に対して比較的高解像度の画像をレンダリングし、VRアプリケーションの各フレームの背景に対して比較的低解像度の画像をレンダリングする(ブロック605)。レンダリングユニットが、レンダリングされている現在のフレームに対して眼球サッケードが検出されたという指標を受信した場合(条件付きブロック610:「はい」)、レンダリングユニットは、既存の中心窩領域のレンダリングを終了し、新たな位相タイミングに基づいて利用可能な十分な時間があれば、新たな場所で新たな中心窩領域のレンダリングを開始する(ブロック615)。受信機は、中心窩ストリームが中止され、新たな中心窩ストリームがフレームの別の場所で別のフェーズで再開された場合の状況を処理する。一実施形態では、受信機は、そのような再開のために、フレーム内の複数の中心窩領域を処理することができる。
【0030】
また、眼球サッケードが検出されたことに応じて、レンダリングユニットは、現在のフレームに対してレンダリングされる中解像度画像の数を増やす(ブロック620)。例えば、一実施形態では、レンダリングユニットは、高解像度の中心窩領域、中心窩領域を囲む中高解像度領域、中高解像度領域を囲む中解像度領域、及び、低解像度の背景画像をレンダリングする。他の実施形態では、レンダリングユニットは、様々な量の解像度で(2より大きい)他の数の領域をレンダリングする。別の実施形態では、不均一な解像度のレンダリング技術を使用するシステムの場合、より高い解像度の画像から複数の中心窩層を生成することができる。現在のフレームで眼球サッケードが検出されなかった場合(条件付きブロック610:「いいえ」)、現在のフレームについて、レンダリングユニットは、中心窩領域に対する第1の画像と、背景に対する第2の画像と、をレンダリングする(ブロック625)。受信機では、画像がブレンディングされた後に、ブレンディングされた画像が現在のフレームについてディスプレイに送られ(ブロック630)、方法600は、条件付きブロック610に戻る。
【0031】
図7を参照すると、一実施形態による、トランスポートされた画像及び最終画像の図が示されている。低解像度の背景画像705の一例が
図7の左上に示されており、高解像度の中心窩画像710の一例が
図7の左下に示されている。一実施形態では、これらの2つの画像705,710は、送信機から受信機に送信され、対応する画像ストリームの位相タイミングは、画像全体内の中心窩領域の位置に基づいて調整される。次に、受信機は、画像705,710をブレンディングして、最終画像715を生成する。他の実施形態では、他の数の画像を受信機に送信して、ブレンディングし、最終画像を生成できることを理解されたい。これらの他の実施形態では、トランスポート層で送信される各高解像度画像ストリームの位相タイミングは、画像全体内の対応する領域の位置に基づいて、背景画像ストリームに対して調整される。
【0032】
図8を参照すると、一実施形態による、通常のマルチストリームディスプレイトランスポートのタイミング図が示されている。トランスポート層を介して送信される画像のタイミングは、
図8の上部に示されている。この例では、2つの個別の画像ストリームが送信されていると想定されているが、これは、一実施形態を示しているに過ぎないことを理解されたい。他の実施形態では、他の数の画像をレンダリングして、対応する画像ストリームを送信機から受信機に送信することができる。図示するように、背景画像805A及び中心窩画像805Bは、トランスポート層を介して同相で送信され、背景画像805A及び中心窩画像805Bは、レンダリングされ、受信機で表示されるための単一のフレームに対応する。一実施形態では、背景画像805A及び中心窩画像805Bは、トランスポート層を介して送られる際にインターリーブされる。
【0033】
受信機での画像処理のタイミングは、トランスポートタイミングブロックの下に示されている。背景画像805A及び中心窩画像805Bがトランスポート層を介して同相で受信機に送信された後に、受信機は、画像をバッファ810A,810Bの各々に格納する。次に、背景画像805A及び中心窩画像805Bの両方が完全にバッファリングされた後に、背景画像805Aは、ブロック815Aによって示すようにスケーリングされる。画像内の中心窩画像805Bの位置に基づいて、中心窩画像805Bのブレンディングは、背景画像805Aのスケーリングに関して適切な時間に開始する。ブレンディングは、ブロック815Bによって表される。最終画像817は、スケーリング815A及びブレンディング815Bのステップの結果として生成される。
図8に示すように、中心窩画像805Bは、(
図7の)背景画像705に関して中心窩画像710について示されているように、背景画像805A内に位置していると想定される。画像全体内の中心窩画像の他の位置については、ブレンディングのブロック815Bのタイミングをその位置に一致するようにシフトすることができる。例えば、中心窩画像が背景画像の左上隅にある場合に、ブレンディングのブロック815Bが左にシフトされ、背景画像のスケーリング815A内でより早く実行されることになる。
【0034】
スケーリング815Aが実行されている間、新たな背景画像820A及び新たな中心窩画像820Bが受信機に送信され、それぞれバッファ825A,825Bに格納されている。背景画像820A及び中心窩画像820Bが受信されているのと同時に背景画像805Aが中心窩画像805Bとブレンディングされているので、バッファ810A~810B及び825A~825Bの2つのペアが必要である。このタイミングパターンは、送信機から送信され、受信機によって処理される後続の画像に対して継続できる。
【0035】
図9を参照すると、位相シフトされたマルチストリームディスプレイトランスポートのタイミング図の一実施形態が示されている。
図9のタイミング図は、背景画像ストリーム及び中心窩画像ストリームを送信するためのより効率的なトランスポート層を示している。中心窩画像ストリームの送信は、受信機で必要とされるバッファリングの量を減らすために、背景画像ストリームに対して位相シフトされる。この位相シフトは、中心窩画像905Bが背景画像905Aよりも時間的に早く送信されることで示されている。背景画像は、ブロック915Aに示すように、受信されたときにスケーリングされ、背景画像のためのバッファの必要性が生じないようにする。中心窩画像ストリームは、受信時に受信機によってバッファ910にバッファリングされ、次いで、バッファリングされた中心窩画像は、画像全体内の中心窩領域の位置に基づいて適切な時間に背景画像とブレンディングされる。バッファリングされた中心窩画像905Bと背景画像905Aとのブレンディングは、ブロック915Bとして示されている。最終画像917は、スケーリング915A及びブレンディング915Bのステップの結果として生成される。このタイミングパターンは、中心窩領域の位置が同じままである間、後続のフレームで継続される。
【0036】
眼球サッケードの間、中心窩領域の位置が急速に変化している。眼球サッケードが検出された場合にトランスポート層を介した中心窩画像ストリームの送信が既に開始されている場合、送信機は、中心窩画像ストリームの送信を中止し、背景画像ストリームに対して正しい位相位置で新たな中心窩画像ストリームを再開できる。
【0037】
様々な実施形態では、ソフトウェアアプリケーションのプログラム命令を使用して、本明細書で説明する方法及び/又はメカニズムを実施する。例えば、汎用プロセッサ又は専用プロセッサによって実行可能なプログラム命令が考えられる。様々な実施形態では、そのようなプログラム命令は、高水準プログラミング言語によって表される。他の実施形態では、プログラム命令は、高水準プログラミング言語からバイナリ形式、中間形式又は他の形式にコンパイルされる。或いは、プログラム命令は、ハードウェアの動作又は設計を記述するように書き込まれる。そのようなプログラム命令は、C言語等の高水準プログラミング言語によって表される。或いは、Verilog等のハードウェア設計言語(HDL)が使用される。様々な実施形態では、プログラム命令は、様々な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の何れかに記憶される。記憶媒体は、プログラム実行のためにプログラム命令をコンピューティングシステムに提供するために、使用中にコンピューティングシステムによってアクセス可能である。一般的に、そのようなコンピューティングシステムは、少なくとも1つ以上のメモリと、プログラム命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を含む。
【0038】
上述した実施形態は、実施形態の非限定的な例示に過ぎないことを強調しておきたい。上記の開示が十分に理解されれば、多くの変形及び修正が当業者に明らかになる。以下の特許請求の範囲は、このような変形及び修正の全てを包含すると解釈されることが意図されている。
【国際調査報告】