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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】電力調整装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/04 20060101AFI20221114BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221114BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H02J3/04
H02M7/48 R
H02M7/48 M
H02M7/48 Z
H02J1/00 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515536
(86)(22)【出願日】2020-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 AU2020050951
(87)【国際公開番号】W WO2021046597
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】2019903322
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521355865
【氏名又は名称】イレクシス アイピー ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEXSYS IP PTY LTD
【住所又は居所原語表記】160 Samford Road, Enoggera, Queensland 4051, AUSTRALIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルコム,ビーヴァン
【テーマコード(参考)】
5G066
5G165
5H770
【Fターム(参考)】
5G066CA07
5G066CA08
5G066EA03
5G066HB06
5G066HB09
5G165CA01
5G165DA06
5G165DA07
5G165EA02
5G165EA03
5G165EA06
5G165EA10
5G165MA03
5G165MA10
5G165NA01
5G165NA05
5H770AA05
5H770BA13
5H770CA04
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA01
5H770DA04
5H770DA10
5H770DA41
5H770FA13
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770JA10X
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770KA01Y
5H770KA05W
5H770LB07
5H770QA01
5H770QA22
(57)【要約】
本開示は、送電網における電力を調整するための装置に関し、当該装置は、DC接触器と、送電網の中性点又は接地点に接続された活線端子及び中性端子を含む送電網連結器と、DC接触器に接続された複数のスイッチと、複数のスイッチに連結され、複数のスイッチを制御して、活線結線及び中性結線の各々の電力を別個に調整する電子制御装置とを含み、電子制御装置は、活線結線の電圧読取値を受信し、活線結線の電圧読取値の平均を算出し、平均が上限値を超える場合に、複数のスイッチを制御して、活線結線の電圧を低減させ、平均が下限値未満である場合に、複数のスイッチを制御して、活線結線に供給される電圧を増大させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電網において電力を調整するように構成された電力調整装置であって、
(a)DC装置に接続されるように構成された複数のDC端子を有するDC接触器と、
(b)前記送電網に接続されるように構成され、
(i)前記送電網に接続されるように構成された1以上の活線端子と、
(ii)前記送電網の中性点又は接地点のうちの1以上に接続されるように構成された中性端子と
を含む送電網連結器と、
(c)前記DC接触器に接続された複数のスイッチと、
(d)前記複数のスイッチと対応する前記活線端子とに接続された1以上の活線結線と、
(e)前記複数のスイッチと前記中性端子とに接続された中性結線と、
(f)1以上の当該結線上の雑音を抑制するように構成された1以上のフィルタと、
(g)前記複数のスイッチに連結され、前記複数のスイッチを制御して、前記複数のDC端子と、1以上の前記活線結線及び前記中性結線とを選択的に接続することにより、1以上の前記活線結線及び前記中性結線の各々の電力を別個に調整するように構成された1以上の電子制御装置と
を備える
電力調整装置。
【請求項2】
前記1以上の電子制御装置は、前記複数のスイッチを制御して、電流モード又は電圧モードにおいて動作するように構成される
請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項3】
前記1以上の電子制御装置は、前記複数のスイッチを制御して、電流モードと電圧モードとの間において動作を変更するように構成される
請求項1に記載の電力調整装置。
【請求項4】
前記電流モードの場合において、前記1以上の電子制御装置は、前記複数のスイッチを制御して、前記活線端子又は前記複数のDC端子のうちの1以上の各々の電流波形を所定の波形にするように構成される
請求項2又は3に記載の電力調整装置。
【請求項5】
前記電圧モードの場合において、前記1以上の電子制御装置は、前記複数のスイッチを制御して、前記活線端子又は前記複数のDC端子のうちの1以上の各々の電圧波形を所定の波形にするように構成される
請求項2又は3に記載の電力調整装置。
【請求項6】
雑音を抑制すべく、前記1以上のフィルタと前記DC接触器との間に接続されたスナバ回路を更に備える
請求項1~5のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項7】
前記中性結線は、接地点から分断されている
請求項1~6のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項8】
前記複数のスイッチは、複数の炭化ケイ素MOSFETスイッチを含む
請求項1~7のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項9】
前記複数のスイッチは、1以上の前記活線結線と前記中性結線とに接続する複数の対称性のあるハーフブリッジ形態のアームを含む
請求項1~8のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項10】
前記1以上のフィルタは、
(a)電磁妨害(EMI)チョーク、
(b)雑音をフィルタリングすべく、1以上の前記活線結線と前記中性結線とに接続された差動モードチョーク、及び
(c)妨害を抑制すべく、前記スイッチに接続されたコモンモードチョーク
のうちの1以上を含む
請求項1~9のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項11】
前記複数のスイッチは、
(a)DC電力における変動の平滑化、及び
(b)全位相のオフセット範囲で各々のスイッチング周期を完了するのに十分なエネルギーの蓄積
のうちの1以上を行うように構成された複数のコンデンサを有する
請求項1~10のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項12】
前記複数のコンデンサは、故障の場合において前記コンデンサを放電すべく、フェイルセーフ機構に接続される
請求項1~11のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項13】
前記コンデンサは、多層式のプリント回路基板(PCB)のインターリーブ構造を介して接続される
請求項11又は12に記載の電力調整装置。
【請求項14】
前記インターリーブ構造は、前記コンデンサのうちの1つの正極の接点を前記PCBの1以上の正極の層に接続し、前記コンデンサのうちの1つの負極の接点を前記PCBの1以上の負極の層に接続する1以上の貫通穴を含む
請求項13に記載の電力調整装置。
【請求項15】
前記多層式のPCBは、磁界の発生を相殺すべく、極性が交互の層を規定する
請求項13又は14に記載の電力調整装置。
【請求項16】
前記多層式のPCBは、8つの導電層を含む
請求項13~15のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項17】
前記多層式のPCBは、2以上の負極の導電層を外側に有する
請求項13~16のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項18】
前記フェイルセーフ機構は、
(a)故障の場合において、前記DC接触器又は前記送電網連結器を切断するように構成されたハードウェア型のフェイルセーフ機構、並びに
(b)故障の場合において、
(i)前記コンデンサの接地点との迅速な接続及び切断、並びに
(ii)前記DC接触器又は前記送電網連結器の切断
のうちの1以上を行うように構成されたソフトウェア型のフェイルセーフ機構
のうちの1以上を含む
請求項12~17のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項19】
前記1以上の電子制御装置は、マスタコントローラとスレーブコントローラとを含む
請求項1~18のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項20】
前記DC装置は、
(a)電池、
(b)太陽光発電機、
(c)水力発電機、及び
(d)風力発電機
のうちの1以上を含む
請求項1~19のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項21】
前記送電網連結器は、
(a)AC接触器、
(b)AC継電器、及び
(c)1以上の活線端子の各々に用いるAC回路遮断器
のうちの1以上を含む
請求項1~20のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項22】
負荷に接続されるように構成され、
(i)前記負荷に接続されるように構成された1以上の負荷端子と、
(ii)前記負荷の中性点又は接地点のうちの1以上に接続されるように構成された負荷用中性端子と
を含む負荷連結器を更に備える
請求項1~21のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項23】
前記負荷連結器は、前記1以上の負荷端子の各々に用いるDC回路遮断器を含む
請求項1~22のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【請求項24】
前記1以上の電子制御装置に接続され、外部装置と通信する通信インタフェースを更に備える
請求項1~23のいずれか一項に記載の電力調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電力調整装置に関し、一具体例においては、送電網又は配電網における電力を調整するための電力調整装置に関する。
従来技術の説明
【背景技術】
【0002】
送電システム又は配電システムでは、電力調整装置が広範囲の負荷条件にわたって電力供給を調整するように実装される。現在、無効電力補償装置(STATCOM:static synchronous compensator)は、は交流(AC)送電網における調整装置として一般的に用いられている。配電網用のSTATCOMは多くの場合、dSTATCOMと称され、蓄電バンクの電子スイッチングを用いて、回路網の供給電圧を安定化させる。
【0003】
更に最近では、dSTATCOMの装置は、三相配電網において電力を調整するのに用いられている。しかしながら、現在の三相式のdSTATCOMの装置は、平衡位相のモードでのみ動作可能であり、三相全てが同時に調整される。当該制限は、dSTATCOMの有効性、性能、及び機能性を制限する。
【0004】
本明細書における、任意の先行刊行物(若しくは当該刊行物から得られた情報)の参照、又は任意の既知の事項の参照は、当該先行刊行物(若しくは当該刊行物から得られた情報)又は当該既知の事項が、本明細書が関係する試行の分野における、一般常識の一部を形成することを自認若しくは承認をし、又は任意の形態で示唆をするものとして解釈されないし、かつ、当該解釈をすべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
広範な一形態においては、本開示の態様は、送電網において電力を調整するように構成された電力調整装置を提供しようと努めるものであり、当該装置は、DC装置に接続されるように構成された複数のDC端子を有するDC接触器と、送電網に接続されるように構成された送電網連結器であって、送電網に接続されるように構成された1以上の活線端子と、送電網の中性点又は接地点のうちの1以上に接続されるように構成された中性端子とを含む送電網連結器と、DC接触器に接続された複数のスイッチと、複数のスイッチと対応する活線端子とに接続された1以上の活線結線と、複数のスイッチと中性端子とに接続された中性結線と、1以上の当該結線上の雑音を抑制するように構成された1以上のフィルタと、複数のスイッチに連結され、複数のスイッチを制御して、複数のDC端子と、1以上の活線結線及び中性結線とを選択的に接続することにより、1以上の活線結線と中性結線の各々の電力を別個に調整するように構成された1以上の電子制御装置とを備える。
【0006】
一実施形態においては、1以上の電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、電流モード又は電圧モードで動作するように構成される。
【0007】
一実施形態においては、1以上の電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、電流モードと電圧モードとの間において動作を変更するように構成される。
【0008】
一実施形態においては、電流モードである場合において、1以上の電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、活線端子又は複数のDC端子のうちの1以上の各々の電流波形を所定の波形にするように構成される。
【0009】
一実施形態においては、電圧モードにある場合において、1以上の電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、活線端子又は複数のDC端子のうちの1以上の各々の電圧波形を所定の波形にするように構成される。
【0010】
一実施形態においては、当該装置は、雑音を抑制すべく、1以上のフィルタとDC接触器との間に接続されたスナバ回路を更に備える。
【0011】
一実施形態においては、中性結線は、接地点から分断されている。
【0012】
一実施形態においては、複数のスイッチは、複数の炭化ケイ素MOSFETスイッチを含む。
【0013】
一実施形態においては、複数のスイッチは、1以上の活線結線と中性結線とに接続する複数の対称性のあるハーフブリッジ形態のアームを含む。
【0014】
一実施形態においては、1以上のフィルタが電磁妨害(EMI:electromagnetic interference)チョーク、雑音をフィルタリングすべく、1以上の活線結線と中性結線とに接続された差動モード、及び妨害を抑制すべく、複数のスイッチに接続されたコモンモードチョークのうちの1以上を含む。
【0015】
一実施形態においては、複数のスイッチは、DC電力の変動の平滑化、及び全位相のオフセット範囲で各々のスイッチング周期を完了するのに十分なエネルギーの蓄積のうちの1以上を行うように構成された複数のコンデンサを有する。
【0016】
一実施形態においては、複数のコンデンサは、故障の場合においてコンデンサを放電すべく、フェイルセーフ機構に接続される。
【0017】
一実施形態においては、コンデンサは、多層式のプリント回路基板(PCB:printed circuit board)のインターリーブ構造を介して接続される。
【0018】
一実施形態においては、インターリーブ構造は、コンデンサのうちの1つの正極の接点をPCBの1以上の正極の層に接続し、コンデンサのうちの1つの負極の接点をPCBの1以上の負極の層に接続する1以上の貫通穴を含む。
【0019】
一実施形態においては、多層式のPCBは、磁場の発生を相殺すべく、極性が交互の層を規定する。
【0020】
一実施形態においては、多層式のPCBは、8つの導電層を含む。
【0021】
一実施形態においては、多層式のPCBは、負極の層である2以上の導電層を外側に有する。
【0022】
一実施形態においては、フェイルセーフ機構は、故障の場合において、DC接触器又は送電網連結器を切断するように構成されたハードウェア型のフェイルセーフ機構、並びに、故障の場合において、コンデンサの接地点との迅速な接続及び切断、並びにDC接触器又は送電網連結器の切断のうちの1以上を行うように構成されたソフトウェア型のフェイルセーフ機構のうちの1以上を含む。
【0023】
一実施形態においては、1以上の電子制御装置は、マスタコントローラとスレーブコントローラとを含む。
【0024】
一実施形態においては、DC装置は、電池、太陽光発電機、水力発電機、及び風力発電機のうちの1以上を含む。
【0025】
一実施形態においては、送電網連結器は、AC接触器、AC継電器、及び1以上の活線端子の各々に用いるAC回路遮断器のうちの1以上を含む。
【0026】
一実施形態においては、当該装置は、負荷に接続されるように構成された負荷連結器であって、負荷に接続されるように構成された1以上の負荷端子と、負荷の中性点又は接地点のうちの1以上に接続されるように構成された負荷用中性端子とを含む負荷連結器を更に備える。
【0027】
一実施形態においては、負荷連結器は、1以上の負荷端子の各々に用いるDC回路遮断器を含む。
【0028】
一実施形態においては、当該装置は、1以上の電子制御装置に接続され、外部装置と通信する通信インタフェースを更に備える。
【0029】
本開示の広範な形態及び本開示の各々の特徴は、組合せて用いること、かつ/あるいは、別個に用いることができること、及び、別個の広範な形式の参照は、限定を意図しないことは理解されよう。更に、本方法の特徴は、システム若しくは装置を用いて行うことができること、又はシステム若しくは装置の特徴は、本方法を用いて行うことができることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本開示の様々な実施例及び実施形態は、添付の図面を参照して説明する。
【0031】
図1図1は、電力調整装置の一例の概略図である。
図2図2は、電力調整装置の動作の一例のフローチャートである。
図3図3は、処理システムの一例の概略図である。
図4図4は、電力調整装置の一例の概略図である。
図5A図5Aは、電力調整装置のプリント回路基板上のコンデンサの概略図である。
図5B図5Bは、電力調整装置のプリント回路基板上のコンデンサの概略図である。
図6図6は、電力調整装置の複数のスイッチの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
電力調整装置の一例を図1を参照して説明する。
【0033】
電力調整装置100は、送電網における電力を調整するように構成される。電力調整装置100は、DC接触器110と、送電網連結器120と、複数のスイッチ130と、1以上のフィルタ140と、1以上の電子制御装置150と、1以上の活線結線160A、160B、及び160Cと、中性結線160Nとを備える。
【0034】
DC接触器110は、DC端子110A及び110Bを有し、DC装置(図示せず)に接続するように構成される。DC装置は、電池、太陽光発電機、水力発電機、又は風力発電機などのうちの1以上といったDC電源にできる。
【0035】
送電網連結器120は、当該例においては、送電母線170を介して送電網に接続されるように構成される。送電網連結器120は、1以上の活線端子120A、120B、及び120Cを含み、活線端子120A、120B、及び120Cは、送電網に接続されるように構成される。送電網連結器120は、送電網の中性点又は接地点のうちの1以上に接続されるように構成された中性端子120Nを更に含む。
【0036】
1以上の結線160A、160B、及び160C上の雑音を抑制するように構成された1以上のフィルタ140が設けられている。当該例においては、送電網連結器120は、1以上の活線結線160A、160B、及び160Cと中性結線160Nとによって1以上のフィルタ140に連結される。活線結線160A、160B、及び160Cは、各々の活線端子120A、120B、及び120Cに接続され、中性結線160Nは、中性端子120Nに接続される。しかしながら、他の好適な構成を用いることができることは理解されよう。
【0037】
複数のスイッチ130は、DC接触器に接続され、当該例においては、1以上のフィルタ140に、具体的には1以上の活線結線160A、160B、及び160Cと中性結線160Nとに接続されることにより、送電網連結器の下流に接続される。
【0038】
複数のスイッチ140は更に、1以上の電子制御装置150に連結される。1以上の電子制御装置150は、複数のスイッチ140を制御して、DC端子110A及び110Bと、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nを選択的に接続することにより、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nの各々の電力を別個に調整するように構成される。
【0039】
したがって、1以上の制御装置150は、複数のスイッチ130を制御することが可能な任意の好適な制御装置から形成でき、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、論理回路のコンフィギュレーション、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)などの論理の実行に選択的に関連するファームウェア、又は任意の他の電子装置、電子システム、若しくは電子配置を含むことができる。更に、簡易な図示のために、以降の説明では、1つの電子制御装置について述べるが、必要に応じて制御が装置間で分散された、複数の制御装置を用いることができること、及び単数の配置についての関連事項は複数の配置を包含し、その逆も同様であることは、理解されよう。
【0040】
電力調整装置100の動作の一例を、図2を参照して説明する。
【0041】
当該例においては、電力調整装置100が、電力送電網に接続される。工程200においては、電力調整装置100の1以上の活線端子120A、120B、及び120Cは、送電網から電力を受電し、中性端子120Nは、送電網の中性点又は接地点に接続される。一例においては、1以上の活線端子120A、120B、及び120Cの各々は、送電網から各々の位相の電力を受電する。
【0042】
活線結線160A、160B、及び160Cは、各々の活線端子120A、120B、120Cに接続されて、各々の位相のAC電力を送電する。工程210において、活線結線160A、160B、及び160並びに中性結線160Nで送電されたAC電力は、AC電力の雑音及び/又は妨害をフィルタリングすべく、1以上のフィルタ140に通電される。
【0043】
フィルタリングされたAC電力は、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nを有する複数のスイッチ130に通電される。工程220において、電子制御装置150は、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nの複数のスイッチ130を制御する。複数のスイッチ130は、DC端子110A及び110Bと、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nとを選択的に接続するように制御され、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nの各々の電力が別個に調整される。上述により、工程230においてDC電力をDC端子110A及び110Bに出力して、例えば、電池を充電できる。
【0044】
代替的には、上述により、DC装置から複数のDC端子に供給されるDC電力を用いて、工程240で活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nの電力を変調できる。例えば、電力調整装置100は、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nの各々の電力特性を、例えば、結線上の電圧又は電流の位相角、振幅、又は状態を調整することによって、別個に調整でき、更には、活線結線の各々の不平衡な電圧又は電流の入力を調節するのに用いることができ、活線結線の各々の電圧及び/又は電流の調節を可能にすることにより、電力の決定及び/又は調整ができる。電力調整装置100は、1以上の活線結線160A、160B、及び160C並びに中性結線160Nの各々の電力を別個に調整できるため、電力調整装置100は、不平衡な負荷で、又は不平衡な電源として動作させることができる。上述により、電力調整装置100を、三相、二相及び単相システムのいずれか1つにおける実装を更に可能にし、システムの電圧及び/又は電流を調整すべく動作させる。
【0045】
本明細書に記載された、AC-DC電力システム用に調整された電力調整装置100は、例示の目的のみであることを理解すべきである。電力調整装置100は、DC-AC電力システム、AC-AC電力システム、又はDC-DC電力システムを調整できる。
【0046】
多数の更なる特徴を説明する。
【0047】
電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、電流モード又は電圧モードにおいて動作するように構成される。更には、電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、電流モードと電圧モードとの間において動作を変更するように構成される。上述により、電力調整装置は、好適な電圧又は電流を提供して出力の要求に合致させることができ、当該要求が変更された場合には、当該モード間で遷移される。
【0048】
したがって、電流モードの場合において、電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、活線端子又は複数のDC端子のうちの1以上の各々の電流波形を所定の波形にするように構成される。同様に、電圧モードの場合において、電子制御装置は、複数のスイッチを制御して、活線端子又は複数のDC端子のうちの1以上の各々の電圧波形を所定の波形にするように構成される。上述により、電力調整装置は、DC装置又は送電網の要件を満たす電圧波形又は電流波形を提供できる。
【0049】
電力調整装置は、雑音を抑制すべく、1以上のフィルタとDC接触器との間に接続されたスナバ回路を更に備えることができる。
【0050】
一例においては、中性結線は、電気送電網の接地点のような接地点から分断されており、当該分断は、例えば、1以上のコンデンサを用いて実現可能である。上述により、中性結線を調整又は変調することができ、システムが提供できる全体的な制御についての自由度が更に大きくなる。
【0051】
複数のスイッチは、1以上の活線結線及び中性結線に接続する複数の対称性のあるハーフブリッジ形態のアームにでき、当該アームにより、活線結線及び中性結線の選択可能なスイッチングが可能となる。更に、複数のスイッチは炭化ケイ素MOSFETスイッチにでき、複数のスイッチが物理的に小型化でき、有利である。
【0052】
一例においては、1以上のフィルタは、電磁妨害(EMI)チョーク、雑音をフィルタリングすべく、1以上の活線結線と中性結線とに接続された差動モードチョーク、及び妨害を抑制すべく、複数のスイッチに接続されたコモンモードチョークのうちの1以上にできる。1以上のフィルタは、電気送電網又は複数のスイッチからの雑音又は妨害を除去するのに好都合である。
【0053】
複数のスイッチは、全位相のオフセット範囲で各々のスイッチング周期を完了するのに十分なエネルギーを蓄積すべく、DC電力の変動を平滑化するように構成された複数のコンデンサを有することができ、最小の変動のDC電力を提供することにより、DC装置の保護を促進する。コンデンサは、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ、及び電解コンデンサのうちのいずれか1つにできる。他の形式のコンデンサが更に好適となり得ることは理解すべきである。
【0054】
複数のコンデンサは、多層式のPCBのインターリーブ構造を介して接続され、PCBのトラックにより発生する雑音を更に最小化できる。一例においては、インターリーブ構造は、コンデンサのうちの1つの正極の接点をPCBの1以上の正極の層に接続し、コンデンサのうちの1つの負極の接点をPCBの1以上の負極の層に接続する1以上の貫通穴を含む。更に、多層式のPCBは,PCBの各々の層で発生する磁界を相殺すべく、極性が交互の層を規定できる。一例においては、多層式のPCBは、負極の導電層を有する8つの導電層を含み、負極の層のうちの2つは外層であり、層の間においては極性が交互である。
【0055】
一例においては、複数のコンデンサは、故障の場合においてコンデンサを放電すべく、フェイルセーフ機構に更に接続できる。故障は、過電流、電圧のオーバーシュート、電源喪失、制御装置の故障、及び/又は通信障害であり得る。
【0056】
フェイルセーフ機構は、ハードウェア型のフェイルセーフ機構及び/又はソフトウェア型のフェイルセーフ機構にできる。当該例においては、ハードウェア型のフェイルセーフ機構は、故障の場合において、DC接触器又は送電網連結器を切断するように構成され、ソフトウェア型のフェイルセーフ機構は、コンデンサを接地点に迅速に接続及び切断するように構成され、かつ/あるいは、DC接触器又は送電網連結器を切断するように構成される。フェイルセーフ機構は、MOSFETスイッチ又はマイクロコントローラといった当該装置の電子機器が、過電流又は電圧のオーバーシュートによって損傷されないように保護する。
【0057】
電子制御装置は、マスタコントローラとスレーブコントローラとを含むことができる。
【0058】
送電網連結器は、AC接触器、AC継電器、及び1以上の活線端子の各々に用いるAC回路遮断器のうちの1以上を含むことができる。
【0059】
更に、電力調整装置は、負荷に接続するための負荷連結器を備えることができる。負荷連結器は、負荷に接続された1以上の負荷端子と、負荷の中性点又は接地点のうちの1以上に接続された負荷用中性端子とを含むことができる。同様に、負荷連結器は、1以上の負荷端子の各々に用いるDC回路遮断器を含むことができる。
【0060】
電力調整装置は、外部装置と通信するために電子制御装置に接続された通信インタフェースを更に備えることができる。通信インタフェースは、電力調整装置を外部コンピュータによって制御又は構成できるようにすべく、WAN、Bluetooth、WLAN、及び/又は好適なシリアルポートにできる。
【0061】
図3を参照して、電子制御装置の一例を説明する。
【0062】
当該例においては、電子制御装置160は、1以上のマイクロプロセッサ300と、メモリ301と、キーボード及び/又はディスプレイなどの選択的な入出力装置302と、インタフェース303とを含み、図示のようにバス304を介して相互接続されている。当該例においては、インタフェース303は、電子制御装置160を通信ネットワークなどの周辺装置に接続するために用いることができる。
【0063】
用いる際には、マイクロプロセッサ300は、メモリ301に記憶されたアプリケーションソフトウェアの形で命令を実行して、電子制御装置160の制御を含む、必要なプロセスの実行を可能にする。アプリケーションソフトウェアは、1以上のソフトウェアモジュールを含むことができ、オペレーティングシステムの環境などといった好適な実行環境において実行できる。
【0064】
したがって、電子制御装置160は任意の好適な制御システムから形成でき、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、論理回路のコンフィギュレーション、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などの論理の実行に選択的に関連するファームウェア、又は任意の他の電子装置、電子システム、若しくは電子配置といった任意の電子処理装置を含むことができることは理解されよう。
【0065】
しかしながら、以下の実施例の目的のために想定される上述の構成は必須ではなく、多くの他の構成が用いられ得ることは理解されよう。また、異なる処理システムの間の機能の分配は、具体的な実装形態に応じて変化し得ることは更に理解されよう。
【0066】
電力調整装置の一例を、図4を参照して更に詳細に説明する。
【0067】
電力調整装置400は、送電網における電力を調整するように構成される。電力調整装置400は、1以上のDC接触器410と、複数のコンデンサ431と、複数のスイッチ430と、コモンモード(CM:common-mode)チョーク441と、1以上の差動モード(DM:differential-mode)チョーク442と、EMIチョーク443と、送電網連結器(grid connector)と、負荷連結器とを備える。送電網連結器は、AC連結器421と、AC継電器422と、AC回路遮断器423と、3つのAC端子420A、420B、420Cと、AC中性端子420Nとを含む。負荷連結器は、負荷回路遮断器471と、3つの負荷端子470A、470B、及び470Cと、負荷中性端子470Nとを含む。電力調整装置400は更に、3つの結線460A、460B、及び460Cと、中性結線460Nとを備える。3つの結線460A、460B、及び460Cは、AC端子420A、420B、及び420Cを有する各々の活線結線に接続される。中性結線は、各々の送電網/通電側の中性結線に接続される。電力調整装置の下流に作られた結線は、地域の規則、規制、及び基準に従って接続される。
【0068】
DC接触器410は、DC端子410A及び410Bを有する。DC端子410A及び410Bは、電池及び低圧(LV:low voltage)の太陽光発電機に接続するように構成される。この例では、DC接触器410が両端子410A、410Bを切り替えるための1以上の機械スイッチを含む。機械スイッチは、堅牢であり、かつ、信頼性があり、電圧及び電流における遮断能力を高くして、電気的な安全性を向上させるように構成できる。
【0069】
一実施形態においては、セーフティインターロック機構が実装される。セーフティインターロック機構は、複数のAC接触器のインターロック、及び/又はAC接触器及びDC接触器の両方のインターロックを含むことができる。セーフティインターロック機構は、制御装置451及び452のうちの1つといった基板上に実装されたプロセッサと、電源をオンに切り換えるための外部の補助プロセッサとを用いることができる。基板上に搭載されたプロセッサは、電力調整装置400の状態をモニタリングする一方で、外部のプロセッサは、電池の電圧及び/又は電池の極性といった安全性の考察でモニタリングする。双方のプロセッサは、接触器を動作させる前に相互点検する。
【0070】
DC母線センサ410Cは、DC端子410A及び410Bにおける電流をモニタリングすべく実装される。DC母線センサ410Cは、制御装置451に連結され、漏洩電流又は残留電流を検知可能にする。一例においては、シグマデルタ構成がDC母線センサ410Cに用いられ、高い電圧分離及び感知精度を提供する。
【0071】
[DCコンデンサ]
DC接触器410は、コンデンサ431を介して複数のスイッチ430に接続される。当該例においては、コンデンサ431は、ポリプロピレン製のコンデンサである。ポリプロピレン製のコンデンサは、比較的高いリップル電流で動作可能であり、ユーザは、コンデンサの寿命を減少させることなく、高次高調波を制御できる。ポリプロピレン製のコンデンサは更に、自己修復能があり、必要な容量を提供し、過渡電圧を収容するためのコンデンサの寸法を低減できる。
【0072】
当該例においては、電力調整装置400においては、12のコンデンサがある。コンデンサは、3×4のアレイ配置において、多層式のプリント回路基板(PCB)上に搭載される。コンデンサを接続するトラックは、寄生インダクタンスを最小化すべく、インターリーブ構造の多層式のPCB上にある。インターリーブ構造は、図5A及び図5Bを参照して、更に詳細に説明する。図5Aに示されるように、12のコンデンサは、極性が交互となる様式で基板520上に配置される。したがって、コンデンサ511の正極の接点は、コンデンサ512の負極の接点に隣接して配置される。更に、基板520は8つの層を有し、各々の層は、層を導電性にする銅でめっき処理することによって、「トレース(trace)」のインダクタンス効果を最小化する。層は、コンデンサの接点の正極又は負極のいずれかに接続され、極性が交互になる層のパターンを形成する。
【0073】
図5Bを参照すると、コンデンサ510は、正極の接点510aと負極の接点510bとを有する。正極の接点510bは、基板520の貫通穴(「ビア(via)」と更に称される)構造520aによって、第2層522、第5層525、及び第7層527に接触する。負極の接点510bは、貫通穴構造520bを有する他の層523、524、526、及び528と接触しながら、第1層521にはんだ付けされる。同様に、コンデンサ511及び512は、図5Bに示されるように、貫通穴構造520c、520d、520e、及び520fを有する基板520に接続される。一例においては、インターリーブ構造は、層ごとに約2オンスの銅層を有する8つの層を用い、層は厚さが約0.4mmのFR4 PCB材料で分離される。異なるシステム要件に応じて、他の好適な材料及び/又は厚さを用いることができることは理解すべきである。
【0074】
インターリーブ構造により、電流が複数の層に分散されるに従い、寄生インダクタンスを低減できる。更に、インダクタンスを誘導する層上の「トラック(track)」はない。極性が交互になる並列の層は、コンデンサを補完する寄生容量を増加させ得る。説明したように、正極と負極との間に交互の基板パターンがあることによって、寄生インダクタンスを最小化し、全容量を増加させる。上述により、渦電流の循環(磁界からの誘導電流が、トレース/導線と相互作用する現象)が少なくなるため、等価直列抵抗(ESR)及び温度が改善される。温度が更に安定すると、動作中の温度による容量の変化が低減される。
【0075】
当該例においては、最上層521及び最下層528は負極であり、基板520の電磁妨害(EMI)は最小となるがゆえに、電磁両立性(EMC:electromagnetic compatibility)が改善される。インターリーブ構造は更に、基板520の内部に誘導されるEMI電流を低減することによって、基板520の内部の雑音の振幅全体を低減する。
【0076】
電力調整装置400は更に、コンデンサ432を接地点に連結し、故障の場合においてコンデンサの放電を制御するフェイルセーフシステム433を含む。フェイルセーフシステム433は、ソフトウェア型のフェイルセーフ機構と、ハードウェア型のフェイルセーフ機構とを含む。電圧異常が検知されると、ソフトウェア型のフェイルセーフ機構は、コンデンサの接続/切断を迅速に切り替えて、コンデンサを安全に放電する。更に、電力が失われた場合、ハードウェア型のフェイルセーフ機構は、DC接触器及びAC接触器を開放する。ハードウェア型のフェイルセーフ機構は、外部のDC電池のヒューズと、外部のAC送電網のヒューズとを更に含む。
【0077】
[スイッチ]
コンデンサ431は、複数のスイッチ430に接続され、3つの結線460A、460B、及び460C、並びに中性結線460Nの各々を変調する。図6は、3つの結線460A、460B、及び460C及び中性結線460Nの各々に接続される4つの対称性のあるハーフブリッジ形態のアーム430A、430B、430C、及び430Nを含む複数のスイッチ430の一例を示している。各々の対称性のあるハーフブリッジ形態のアームは、2つのMOSFETスイッチを含む。当該例においては、MOSFETスイッチは、炭化ケイ素スイッチ、特にROHM規格に準拠した1200V 55A SCT3040 MOSFETである。
【0078】
複数のスイッチ430の立ち上がり時間、立ち下がり時間、及びデッドタイムといったスイッチング特性は、ハードウェア設計並びに/又は制御装置451及び452によって構成して、性能を最適化できる。複数のスイッチ430は、特定の絶縁装置が用いられた場合、二次側に対する一次側の静電容量が低減することにより、更に高いスイッチング周波数(約100kHz)で動作させることができる。上述により、高電圧の絶縁障壁が雑音耐性を高め、一次側と二次側との間に高電圧保護を提供することが更に可能となる。複数のスイッチ430は、時間の経過に伴う電圧変化(dv/dt)を低減して、EMI/EMCの要件を満たすべく、スナバ回路433を更に含むことができる。
【0079】
[CMチョーク]
CMチョーク441は、複数のスイッチ430に連結されて、高周波のコモンモード電流を抑制及び/又は除去する。活線結線460A、460B、及び460C並びに中性結線460Nは、CMチョーク441に接続され、コアを通過する。CMチョーク441のコアは、粉末コアにでき、低損失、高周波で動作するように構成できる。CMチョーク441は更に、低いエネルギー損失を維持した状態で、更に広範な温度範囲条件で動作するように構成される。更に、一例においては、CMチョーク441は、電力調整装置400の外側シャーシから絶縁でき、周囲の装置への高周波の磁気結合を最小化できる。CMチョーク441の巻線は、非インターリーブ構造にすることによって、隣接する導体に伝搬する結合雑音を低減できる。更に、巻線は、銅フラットバーの巻線にして、低周波数及び高周波数における銅損を最小化できる。フラットバーの巻線は更に、丸い巻線と比較した場合、表皮効果を低減できる。フラットバーの巻線の表面積の増加は、CMチョーク441の放熱に有用となり得る。
【0080】
[DMチョーク]
CMチョーク441は、DMチョーク442に連結され、帯域フィルタのように作用し、複数のスイッチ430によって発生するPWMからの高周波を平滑化する。DMチョーク442は、EEコアから構築される個々の差動モードのインダクタを含むことができる。EEコアは、トロイダルコアと比較すると小型で、かつ、製造が容易である。EEコアは更に、高周波雑音及び浮遊磁場から遮蔽できる。更に、DMチョーク442のコアは、高飽和点の粉末コア材料から形成でき、DMチョーク442は、低損失、高周波で動作するように構成できる。上述により、DMチョークは一貫したフィルタ性能を有することができ、インダクタは、定格を超えた容量を短期間持つことができる。DMチョーク441は、低いエネルギー損失を維持した状態で、更に広範な温度範囲条件で動作するように構成できる。更に、DMチョーク442は、電力調整装置400の外側シャーシから絶縁でき、周囲の装置への高周波の磁気結合を最小化できる。
【0081】
DMチョーク442の巻線は、銅フィルム巻線を含み、薄くて平坦な銅フィルムにして、低周波数及び高周波数における銅損を最小化できる。銅フィルム巻線は更に、丸い巻線と比較した場合、表皮効果を低減できる。フィルム巻線の表面積の増加は、DMチョーク442の放熱に有用となり得る。フィルム巻線を用いることにより、寸法及び/又は表皮効果の損失に譲歩することなく、巻数の増加を更に可能にする。
【0082】
[EMIフィルタ]
DMチョーク442は、EMIフィルタ443に連結され、高周波の電磁妨害をフィルタリングする。上述により、任意の浮遊型のコモンモード電流が送電網に送電されるのを防ぎ、任意の送電網からのコモンモード電流が制御回路に影響を与えることを防ぐのに有用となり得る。EMIフィルタ443は、ナノ結晶材料を有するリングコアを含む。中実のエナメル銅線をコア材料の周囲に用いて、特に50Hzでの銅損を最小限にできる。EMIフィルタ443は、漏れインダクタンスを最小化すべく、対称性のある巻線を含む。EMIフィルタ443は更に、当該PCBの設計において、Yコンデンサ(Y2定格)を含めることができる。
【0083】
電流及び/又は電圧の測定は、電力調整装置400における任意の点で実施できることは理解すべきである。一例においては、AC電流及びAC電圧の測定は、DMチョーク442とEMIチョーク443との間で実行される。AC電流は、LEM社の(100-p)100Aの高精度なホール効果センサで測定できる。
【0084】
電力調整装置400は、DMチョーク442とEMIチョーク443との間にクラスXのコンデンサ(X2定格)を含む。Xコンデンサは、高電圧用途で、高電圧の過渡現象を最小化するのに有用である。上述により、PCB上の電源トレースから、信号トレースを遮蔽することも可能になり、一次側から二次側への保護を更に提供する。図4に示すように、デカップリングコンデンサを介した中性結線460N用の接地点連結線は、当該位置に設けられている。
【0085】
[負荷接触器]
当該例においては、電力調整装置400は、負荷連結器を含み、電力調整装置400は送電網に接続されている間、UPS機能を提供できる。負荷連結器は、各々の活線結線460A、460B、及び460Cのための63Aの回路遮断器471を有する。連結器は、アンフェノール(Amphenol)社の連結器にできる。電力調整装置400は、高調波成分を補償して、負荷成分に合致させることができるので、上述により、高調波成分を管理し、送電網に通電しないようにできる。これにより、負荷に「クリーンである」AC ソースも供給される。電力調整装置400は、中性結線460Nを変調できるため、不平衡な負荷条件で動作させることができる。
【0086】
上述により、電力調整装置400は、負荷が三相負荷、二相負荷、又は単相負荷であるかにかかわらず、負荷への電源とすることが可能になる。上述は、農機具、コンベアベルト、又は冷蔵庫といった大きい誘導機のオフグリッド負荷に特に有用である。
【0087】
[AC接触器]
AC接触器421は、送電網に接続すべくEMIフィルタ443に連結される。AC接触器421は、消費電力が4W未満のように低く、遮断容量が38kWのSemmensの三相(AC-3定格)接触器にできる。AC接触器421は更に、堅牢であり、かつ、信頼性があり、短いスイッチオン及びオフの応答時間を提供する間に、高い故障電流を遮断できる。AC接触器421は、制御装置451及び452のうちの1以上と通信する内部センサを含むことができ、AC接触器の動作状態のモニタリング及び制御がなされる。
ACリレー
【0088】
[AC継電器]
AC継電器422、422a、及び422bは、AC接触器421と送電網との間に連結されて、更なる絶縁を提供する。図4に示されるように、中性結線460Nは、2つのAC継電器422a及び422bに別個に連結される。AC継電器422、422a、及び422bは、制御装置451及び452のうちの1以上と通信する。更に、AC接触器421及びAC継電器422は、別個の制御装置451及び452によって制御される。上述により、AC接触器421及びAC継電器422は、更なる安全を提供するインターロックを実行できる。同様に、2つのAC継電器422a及び422bは更に、別個の制御装置451及び452によって制御されて、中性結線460Nに更なる安全を提供する。
【0089】
[回路遮断器]
負荷接続の回路遮断器471と同様に、回路遮断器423は、活線結線の各々に連結されて、AC端子420A、420B、及び420CとAC接触器421との間に絶縁障壁を形成する。上述により、電力調整装置400に更なる過電流保護が提供される。回路遮断器423は、定格63Aであり、様々な温度における動作を可能にし、温度による早期破損がない。
【0090】
[MCU]
制御装置451及び452は、基板に搭載された2つのマイクロプロセッサにできる。第1マイクロプロセッサ451は、装置400の動作を制御するための実行可能プログラムを含み、第2マイクロプロセッサ452は、セーフティインターロックの制御装置として機能する。アナログ測定器451a及び温度測定器452aは、それぞれ、マイクロプロセッサ451及び452に連結できる。更に、通信インタフェース453は、マイクロプロセッサ451及び452に接続される。通信インタフェース453は、Modbus(TCP/IP)通信、USB通信、RS232/485通信、イーサネット通信、デマンドレスポンス(DRM:demand response mode)通信のための1以上のインタフェースを含み得る。上述により、外部プロセッサは、装置400と通信して、装置400をモニタリング、制御、及び/又は構成できる。
【0091】
電力調整装置は、少なくとも
・迅速な応答、多くの場合20ミリ秒未満
・電圧の連続制御
・フリッカの問題の対処
・電圧不平衡問題の対処
・電力損失の低減
・415Vの三相出力を生成し、三相システムを1つの電池に接続できる。装置につき、1つの電池及び電池管理システムのみが必要という点でコスト上の利点を提供する。MOSFETを用いることで可能になる高い変調周波数である小型のユニットが得られる。小型化は筐体の小型化を意味し、省スペース及び省材料の両方に作用する
・四象限装置であることにより、有効電力及び無効電力の双方の管理が自由にできることにより、電池エネルギー蓄積システム、太陽光発電(PV)設備、及び配電システム電圧の管理が有利になる
・電解コンデンサを用いないため、コンデンサ及びその他の部品はすべて高品質な部品であり、信頼性がある
・動作は、保守及びサービスの必要性がほとんどなく、プログラムに基づいて自動的にできる
との利点を提供する。
【0092】
文脈上別段の要求がない限り、本明細書及び以降の特許請求の範囲を通して、「備える(comprise)」との文言、及び当該文言の変化形(“comprises”又は“comprising”など)は、記載された完全体若しくは工程、又は完全体又は工程の群を含むことを意味するものと理解されようが、他の完全体又は完全体の群を除外するものではない。本明細書において用いられるように、かつ、特に明記されない限り、「約(approximately)」との文言は、±20%を意味する。
【0093】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられるように、単数形である“a”、“an”、及び“the”は、文脈が別段に明確に指示しない限り、複数の参照対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「支持体(support)」の参照は、複数の支持体を含む。本明細書及び以下の特許請求の範囲においては、反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を有すると定義される多くの用語を参照されたい。
【0094】
上述は本開示の例示的な例として与えられているが、当業者には明らかなように、本開示の全ての同様の改良物及び変形物、並びに他の改良物及び変形物は、本明細書に説明されているような本開示の広範な範囲及び境界内にあると、当然に理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】