(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】セリウム(IV)複合体及びそれらの有機電子工学における使用
(51)【国際特許分類】
H01L 51/50 20060101AFI20221114BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20221114BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20221114BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20221114BHJP
C07F 5/00 20060101ALI20221114BHJP
H01L 51/46 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H05B33/22 D
H01L29/78 618B
H01L29/28 250F
H01L29/28 100A
C07F5/00 D
H05B33/14 A
H01L31/04 154D
H01L31/04 154E
H01L31/04 162
H01L31/04 168
H01L31/04 166
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022515623
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2020074918
(87)【国際公開番号】W WO2021048044
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019213844.6
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522091014
【氏名又は名称】クレドクシス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドロク、サシャ
(72)【発明者】
【氏名】パプマイヤー、マーカス
(72)【発明者】
【氏名】エイマン、レオナール
【テーマコード(参考)】
3K107
4H048
5F110
5F151
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC01
3K107CC11
3K107CC45
3K107DD73
3K107DD78
3K107DD80
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB78
4H048VA70
4H048VB10
5F110GG05
5F151AA11
(57)【要約】
発明は、セリウムIV複合体と、セリウムIV複合体および少なくとも1種の電子供与体を含むドープされた半導電性マトリックス材料と、有機半導体マトリックス材料中のドーパントとしてのセリウムIV複合体、特に有機半導電体と、電荷注入層中の電荷注入器と、および新規なセリウムIV複合体とを含む電子成分に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の一般式(I.1)
Ce
4+(L
1L
2L
3L
4)
4- (I.1)
の化合物またはその化合物の混合物を含む電子成分であって、式中、
L
1、L
2、L
3、及びL
4は、互いに独立して、一般式(I.2)
を有する二座配位子から選択され、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、R
8は、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている、電子成分。
【請求項2】
少なくとも1種の一般式(I)
の化合物またはその混合物を含む、請求項1に記載の電子成分であって、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14アリールを表し、R
8は、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている、電子成分。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子成分であって、式(I)及び式(I.2)の配位子におけるR
1及びR
2は、独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、及びA1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、及びA19からなるA群から選択され、
式中、
#は、残りの式(I)及び式(I.2)の分子への結合を示し、
R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、独立して、水素、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、及びフェニルから選択され、R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
R
4a及びR
4bは、独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換されている、電子成分。
【請求項4】
A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、及びA15、並びに遊離基R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、互いに独立して、水素、CN、フッ素、塩素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-フルオロアルキル、C
1-C
4-クロロアルキル、及びフェニルから選択され、非置換であるか、またはC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている、請求項3に記載の電子成分。
【請求項5】
前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分であって、式(I)及び式(I.2)の配位子において、Yは、遊離基CR
3を表し、該R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、CF
3、及びB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、及びB15からなるB群から選択され、
式中、#は、残りの式(I.2)及び式(I)の分子への結合を示し、
R
F、R
G、R
H、R
I、及びR
Jは、独立して、水素、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択され;かつ、
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
1-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換されている、電子成分。
【請求項6】
前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分であって、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R
1及びR
2は、独立して、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、A1、A5、A16、及びA17から選択され、
式中、#は、残りの式(I.2)及び式(I)の分子への結合を示し、かつ、R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、独立して、水素、CN、フッ素、塩素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-フルオロアルキル、C
1-C
4-クロロアルキル、及びフェニルから選択され、非置換であるか、またはC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている、電子成分。
【請求項7】
前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分であって、式(I)及び式(I.2)の配位子において、Yは、遊離基CR
3を表し、該R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、CF
3、及びB1から選択され、式中、
#は、残りの式(I.2)及び式(I)の分子への結合を示し、かつ、R
F、R
G、R
H、R
I、及びR
Jは、独立して、水素、CN、フッ素、及び塩素から選択されている、電子成分。
【請求項8】
請求項1または2に記載の電子成分であって、式(I.1)または式(I)の化合物は、式(I.a’)の化合物から選択され、
Ce
4+[(R
1-C(-O)=C(R
3)-C(=O)-R
2)(R
1’-C(-O)=C(R
3’)-C(=O)-R
2’)(R
1’’-C(-O)=C(R
3’’)-C(=O)-R
2’’)(R
1’’’-C(-O)=C(R
3’’’)-C(=O)-R
2’’’)]
4- (I.a’)
式中、該(R
1、R
2、R
3)、(R
1’、R
2’、R
3’)、(R
1’’、R
2’’、R
3’’)、及び(R
1’’’、R
2’’’、R
3’’’)は、それぞれ次の表の1行に示されている定義から選択されている、電子成分。
【請求項9】
請求項1、2または8に記載の電子成分であって、式(I.1)または(I)の化合物は、式(I.a)の化合物から選択され、
式中、R
1、R
2、及びR
3は、次の表から選択されている、電子成分。
【請求項10】
前記L
1、L
2、L
3、及びL
4が、同じ意味を有する、前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分。
【請求項11】
有機発光ダイオード、有機太陽電池、光起電力セル、有機ダイオードまたは有機トランジスタ、好ましくは薄膜トランジスタ、ペロブスカイト太陽電池の形態である、前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分。
【請求項12】
2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の層を含む層構造を有する、前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分。
【請求項13】
少なくとも1種の式(I.1)または(I)の化合物を含む、空孔輸送層及び/または空孔注入層を含む、前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分。
【請求項14】
少なくとも1種の式(I.1)または(I)の化合物を含む電子輸送層を含む、前記いずれか1つの請求項に記載の電子成分。
【請求項15】
少なくとも1種の電子供与体及び少なくとも1種の請求項1~10のいずれか1項に定義された式(I.1)または(I)の化合物を含む、ドープされた半導体マトリックス材料であって、該電子供与体は、好ましくは4,4',4”-トリス(N-(2-ナフチル)-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン(2-TNATA)、4,4',4”-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、N,N,N',N'-テトラキス(4-メトキシ-フェニル)ベンジジン(MeO-TPD)、(2,2',7,7'-テトラキス-(N,N-ジフェニルアミノ)-9,9'-スピロビフルオレン(spiro-TTB)、N,N'-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジジン、N,N'-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-9,9-スピロ-ビフルオレン、9,9-ビス[4-(N,N-ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)フェニル]-9H-フルオレン、2,2'-ビス[N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)アミノ]-9,9-スピロ-ビフルオレン、N,N'-((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン)(BPAPF)、N,N'-ビス(フェナントレン-9-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジジン、1,3,5-トリス{4-[ビス(9,9-ジメチル-フルオレン-2-イル)アミノ]フェニル}ベンゼン、トリ(テルフェニル-4-イル)アミン、N-(4-(6-((9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-N-(4-(6-([1,1'-ビフェニル]-4-イル(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N,N-ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-3-(4-(ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)アミノ)フェニル)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、N-(4-(6-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-(4-(6-(9,9'-スピロビ[フルオレン]-2-イル(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2-アミン、N-(4-(6-(ジベンゾ[b,d]フラン-2-イル(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾ[b,d]フラン-2-アミン、9-(4-(6-(9H-カルバゾール-9-イル)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-9H-カルバゾール、N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-3-(4-([1,1'-ビフェニル]-4-イル(4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)-N-(4-メトキシフェニル)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、3-(4-(ビス(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)フェニル)-N,N-ビス(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、N1-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-N1-(4-(6-([1,1'-ビフェニル]-4-イル(4-(ジフェニルアミノ)フェニル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N4,N4-ジフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、N,N-ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-4'-(6-(4-(ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)アミノ)フェニル)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン、N-(4-(5-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-(4-(6-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N,N'-ビス(9,9-ジメチル-フルオレン-2-イル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(BF-DPB)、N,N'-((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン)(BPAPF)、N4,N4,N4',N4'-テトラキス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン(TDMFB)、N-([1,1'-ビフェニル]-2-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2-アミン、(2,7-ビス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9-スピロビ[9H-フルオレン](spiro-MeO-TPD)、N-(4-(5-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン及びN-(4-(6-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミンの混合物、N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン、及びそれらの混合物から選択されている、ドープされた半導体マトリックス材料。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか1項に定義された、化合物(I.1)またはその混合物、または化合物(I)またはその混合物の、
- 有機半導体として、
- 有機半導体マトリックス材料におけるドーピング剤として、特に空孔輸送層におけるp-ドーパントとして、
- 電子伝達材料として、
- 電荷注入層における電荷注入剤として、
- 有機電池における陽極材料として、
- エレクトロクロミック材料として
の使用。
【請求項17】
電子供与体と共に、請求項1~10のいずれか1項に定義された化合物(I.1)または(I)の還元によって得られたCe(III)複合体陰イオンまたは請求項1~10のいずれか1項に定義された化合物(I.1)または(I)の電荷移動複合体の、有機伝導体またはエレクトロクロミック材料としての使用。
【請求項18】
一般式(I.1)
Ce
4+(L
1L
2L
3L
4)
4- (I.1)
の化合物及びその混合物であって、式中、L
1、L
2、L
3、及びL
4は、互いに独立して、一般式(I.2)を有する二座配位子であり、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、R
8は、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
ただし、次の化合物は除外される、一般式(I.1)の化合物及びその混合物。
【請求項19】
請求項18に記載の、一般式(I)
の化合物及びそれらの電荷移動複合体、それらの還元生成物、及びそれらの混合物であって、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、R
8は、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
ただし、次の化合物は除外される、一般式(I)の化合物及びそれらの電荷移動複合体、それらの還元生成物、及びそれらの混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的にドープされた半導体材料及びセリウム(IV)複合体を含む電子成分に関する。本発明のさらなる目的は、電子受容体として、特に有機電子成分におけるp-ドーパント及び電子伝達材料としてのセリウム(IV)複合体の使用である。本発明の別の目的は、新規のセリウム(IV)複合体である。
【背景技術】
【0002】
有機電子工学は、電子成分の製造に必要な特定の電子状態を備えた小さな有機分子とポリマーの両方に基づいた、新規材料の開発、特性評価、及び応用に焦点を当てている。これらには、例えば、有機薄膜トランジスタ(OTFT)等の有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)等の有機エレクトロルミネッセンスデバイス、励起子太陽電池、色素増感太陽電池(DSSC)またはパーオブスカイト太陽電池等の有機太陽電池(OSC)、有機光伝導体(OPC)における光伝導性材料、有機光学検出器、有機光受容体、発光電気化学セル(LEC)、及び有機レーザーダイオード等のエレクトロフォトグラフィーが含まれる。
【0003】
周知のように、有機半導体マトリックスは、ドーピングによってその電気伝導率が大きく影響されることがある。このような有機半導体マトリックス材料は、良好な電子供与体の特性を有する化合物(p-導体)または良好な電子受容体特性を有する化合物(n-導体)のいずれかから形成することができる。無機半導体とは対照的に、有機半導体は、固有の電荷キャリアの濃度が非常に低い。従って、良好な半導体特性を達成するために、通常、有機半導体マトリックス材料がドープされる。n-ドーピングの場合、強力な電子供与体(n-ドーパント)が使用され、半導体マトリックスのLUMOに電子を転送し(n-ドーピング)、マトリックス上に自由電子(SOMO)が生成される。p-ドーピングの場合、強力な電子受容体(p-ドーパント)が使用され、半導体マトリックスのHOMOから電子を除去し(p-ドーピング)、空孔が生成される。言い換えると、p-ドーピングの場合、ドーパントのLUMOは、マトリックスのHOMOエネルギーより低くなければならない。ドーパントは、受容体として機能し、マトリックスに可動な空孔(SOMO)を残す。
【0004】
電子供与体材料として知られているp-ドーパントは、テトラシアノキノンメタン(TCNQ)、2,3,5,6-テトラフルオロテトラシアノ-1,4-ベンゾキノンメタン(F4TCNQ)、トリナフチレン類(HATNA)、MoO3やWO3等の金属酸化物、またはEP2180029に記載されているようなラジアレン化合物等の電子受容体である。該受容体分子は、電子移動プロセスによって半導体マトリックス材料(空孔輸送材料)にいわゆる空孔を生成し、該半導体マトリックス材料(空孔輸送材料)の導電率は、これらの空孔の数と移動度に応じて多少変化する。
【0005】
しかし、前述の化合物または化合物類には、ドープされた半導体または対応するそのようなドープされた層を備えた電子成分の製造における技術的な使用では、欠点がある。例えば、揮発性が高すぎ、吸収係数が高すぎ、蒸発速度が不安定であり、及び/または熱安定性が低い。また、これらの化合物の一部は、製造コストが非常に高い。
【0006】
従って、容易に入手または生産可能な、電子供与体材料のドーピングに適し、かつ上記欠点のない化合物に対する需要が依然としてある。
【0007】
ジケトネート類のセリウム(IV)複合体は、ごくわずかしか知られていない。いくつかのセリウム(IV)のβ-ジケトネート複合体は文献に記載されている。以下のセリウム(IV)複合体は、M. Ciampoliniら、J.C.S. Dalton, 1977, 1325;T. J. Pinnaviaiaら、Contribution from the department of Chemistry, Cornell University, Ithaca, New York, 1965, 233;I. Baxterら、J. Chem. Cryst, Vol. 28, No 4, 1998, 267;N. A. Piroら、Coord. Chem. Review, 260, 2014, 21, M. Delarosaら、J. Coord. Chem., 55(7), 2002, 781;Jahrら、Zeitschrift fur Chemie, Bd. 15, 1975, S 280-281;Snezhkoら、Material Science and Engi-neering, Vol. 18, 1993, S. 230-231;Brillら、Liebigs Annalen der Chemie, 1979, S. 803-810;及びWO02/018394に記載されている。
【0008】
WO02/018394は、前駆体源の試薬である金属-有機の組成物に関する。これには、チオを含有する溶媒系のセリウム添加(Ca、Sr)Ga2S2膜の形成及び硫化水素ガスの存在下での沈着が記載されている。
【0009】
Kunkelyら、Journal of Photochemistry and Photobiology A、Vol 146、No 1-2、p.63-66には、セリウム(IV)2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタン-ジオネート陰イオンが記載されている。さらい、該複合体は発光特性を有し、発光活性であることが記載されている。これらの特性は、p-ドーパントまたは輸送層の酸化還元ドーピングペアとは関連しない。
【0010】
US 2010/0038632には、セリウム(IV)複合体を含む様々な複合体が記載されている。一方では、本発明によるセリウム(IV)複合体は明確に言及されていない。もう一方では、該文献で言及されているセリウム複合体の大きなバンドギャップは、p-ドーパントとは関連しない。
【0011】
これまで、有機半導体の材料にセリウム(IV)複合体を使用することは知られていなかった。特に、セリウム(IV)複合体をp-ドーパントとして、電子伝達材料として、または電子受容体として使用することはまだ記載されていない。
【0012】
驚くべきことに、今、セリウム(IV)複合体がp-ドーパントとして有利に使用できることが分かった。さらに、セリウム(IV)複合体は、有機発光ダイオード(OLED)、光起電力セル、有機太陽電池(OPV)、有機ダイオード、または有機トランジスタ等の有機電子成分における電子伝達材料(ETM)として使用できることが分った。
【0013】
さらに、多くのセリウム(IV)ジケトネートは、真空下で非常によく蒸発でき、時には高い熱安定性を示す。従って、それらは、基本的に有機電子成分の処理の両方の変種、真空コーティング(蒸着)、及び溶媒ベースの処理(溶液処理)には適している。
【本発明の概要】
【0014】
本発明の最初の目的は、一般式(I.1)
Ce
4+(L
1L
2L
3L
4)
4- (I.1)
の化合物または少なくとも2種の異なる一般式(I.1)の化合物の混合物を含む電子成分であり、式中、
L
1、L
2、L
3、及びL
4は、互いに独立して、一般式(I.2)
を有する二座配位子から選択され、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている。
【0015】
本発明のさらなる目的は、一般式(I)
の化合物またはその混合物を含む電子成分であり、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14アリールを表し、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている。
【0016】
本発明のさらなる目的は、一般式(I)
の化合物またはその混合物を含む電子成分であり、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換されている。
【0017】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の電子供与体及び少なくとも1種の式(I.1)または(I)の化合物を含むドープされた半導体マトリックス材料であり、式中、遊離基X、W、Y、R1、及びR2は、上記及び以下に定義された意味を有する。
【0018】
本発明の別の目的は、化合物(I.1)またはその混合物、または化合物(I)またはその混合物の
- 有機半導体として、
- 有機半導体マトリックス材料におけるドーピング剤として、特に空孔輸送層におけるp-ドーパントとして、
- 電荷注入層における電荷注入剤として、
- 有機電池における陽極材料として、
- エレクトロクロミック材料として
の使用であり、式中、遊離基X、W、Y、R1、及びR2は、上記及び以下に定義された意味を有する。
【0019】
本発明のさらなる目的は、上記及び以下で定義されたように、電子供与体で化合物(I.1)または(I)またはその電荷移動複合体を還元することによって得られたCe(III)複合体陰イオンの、有機導体として、エレクトロクロミック材料として、またはフェリ磁石としての使用である。
【0020】
本発明のさらなる目的は、一般式(I.1)
Ce
4+(L
1L
2L
3L
4)
4- (I.1)
の化合物及びその混合物であり、式中、
L
1、L
2、L
3、及びL
4は、互いに独立して、一般式(I.2)
を有する二座配位子であり、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
ただし、次の化合物は除外される:
【0021】
本発明のさらなる目的は、一般式(I)
の化合物、その電荷移動複合体、その還元生成物、及びその混合物であり、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
ただし、次の化合物は除外される:
【0022】
本発明のさらなる目的は、一般式(I)
の化合物、その電荷移動複合体、その還元生成物、及びその混合物であり、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
ただし、次の化合物は除外される:
【発明の説明】
【0023】
本発明には以下の利点がある。
- 本発明によるセリウム(IV)複合体の製造コストが低い。
- 本発明によるセリウム(IV)複合体は、有機-電子成分におけるp-ドーパント及び電子伝達材料として使用するための電子受容体として有利に適している。
- 本発明によるセリウム(IV)複合体の導電性が、既知の電子受容体より良好である。
- 本発明によるセリウム(IV)複合体は、最先端技術と比べて、添加層の熱安定性が改善された。
- 本発明によるセリウム(IV)複合体の特徴として、ドーピング効率がより高い。
- 本発明によるセリウム(IV)複合体は、添加層の吸収が低い。従って、寄生的な吸収及び放出を減少し、または防止することもできる。
- 本発明によるセリウム(IV)複合体は、溶媒処理及び真空再処理の両方の手段による有機及びハイブリッド光電子成分の製造に適している。
【0024】
本発明の文脈において、二座配位子(二座とも呼ばれる)は、金属原子(セリウム原子)に2つの原子で結合する配位子である。
【0025】
本発明の文脈において、ホモレプティックセリウム(IV)化合物は、全ての配位子が同一である複合体である。
【0026】
本発明の文脈において、ヘテロレプティックセリウム(IV)化合物は、少なくとも1種の配位子が残りの配位子と異なる複合体である。
【0027】
本発明の文脈において、接頭辞Cn-Cmは、それによって指定された分子または残基が含み得る炭素原子の数を示す。
【0028】
本発明の文脈において、「C1-C6-アルキル」という表現は、1~6個の炭素原子を有する非分岐または分岐の飽和炭化水素基を指す。C1-C6-アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、または1-エチル-2-メチルプロピルである。C1-C4-アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、または1,1-ジメチルエチルを指す。
【0029】
本発明の文脈において、「C1-C6-アルコキシ」という表現は、1個の酸素原子を介して結合される、上記で定義された非分岐または分岐の飽和C1-C6-アルキル基を指し、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルコキシ遊離基であり、特に好ましくは1個または2個の炭素原子を有するものである。C1-C2-アルコキシは、メトキシまたはエトキシである。C1-C4-アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、ブトキシ、1-メチルプロポキシ(sec-ブトキシ)、2-メチルプロポキシ(イソブトキシ)、または1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ)である。C1-C6-アルコキシは、C1-C4-アルコキシに与えられた意味を含み、さらに、例えば、ペントキシ、1-メチルブトキシ、2-メチルブトキシ、3-メチルブトキシ、1,1-ジメチルプロポキシ、1,2-ジメチルプロポキシ、2,2-ジメチルプロポキシ、1-エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、1-メチルペントキシ、2-メチルペントキシ、3-メチルペントキシ、4-メチルペントキシ、1,1-ジメチルブトキシ、1,2-ジメチルブトキシ、1,3-ジメチルブトキシ、2,2-ジメチルブトキシ、2,3-ジメチルブトキシ、及び3,3-ジメチルブトキシである。
【0030】
本発明の文脈において、「C1-C6-アルキルスルファニル」という表現は、1個の硫黄原子を介して結合される、上記で定義された非分岐または分岐の飽和C1-C6-アルキル基を指し、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキルスルファニル遊離基であり、特に好ましくは1~2個の炭素原子を有するものである。C1-C2-アルキルスルファニルは、メチルスルファニルまたはエチルスルファニルである。C1-C4-アルキルスルファニルは、例えば、メチルスルファニル、エチルスルファニル、n-プロピルスルファニル、1-メチルエチルスルファニル(イソプロピルスルファニル)、ブチルスルファニル、1-メチルプロピルスルファニル(sec-ブチルスルファニル)、2-メチルプロピルスルファニル(イソブチルスルファニル)、または1,1-ジメチルエチルスルファニル(tert-ブチルスルファニル)である。C1-C6-アルキルチオは、C1-C4-アルキルスルファニルに与えられた意味を含み、さらに、例えば、ペンチルスルファニル、1-メチルブチルスルファニル、2-メチルブチルスルファニル、3-メチルブチルスルファニル、1,1-ジメチルプロピルスルファニル、1,2-ジメチルプロピルスルファニル、2,2-ジメチルプロピルスルファニル、1-エチルプロピルスルファニル、ヘキシルスルファニル、1-メチルペンチルスルファニル、2-メチルペンチルスルファニル、3-メチルペンチルスルファニル、4-メチルペンチルスルファニル、1,1-ジメチルブチルスルファニル、1,2-ジメチルブチルスルファニル、1,3-ジメチルブチルスルファニル、2,2-ジメチルブチルスルファニル、2,3-ジメチルブチルスルファニル、3,3-ジメチルブチルスルファニル、1-エチルブチルスルファニル、2-エチルブチルスルファニル、1,1,2-トリメチルプロピルスルファニル、1,2,2-トリメチルプロピルスルファニル、1-エチル-1-メチルプロピルスルファニル、または1-エチル-2-メチルプロピルスルファニルである。
【0031】
本発明の文脈において、「ハロアルキル」、「ハロアルコキシ」、及び「ハロアルキルスルファニル」という表現は、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル、アルコキシ、またはアルキルスルファニルを指す。換言すれば、1個以上の水素原子、例えば、アルキル、アルコキシ、またはアルキルスルファニルの1個以上の炭素原子に結合した1、2、3、4、または5個の水素原子は、1個のハロゲン原子、特にフッ素または塩素の原子によって置き換えられる。
【0032】
「ハロゲン」という表現は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素のいずれの場合を示す。
【0033】
「CN」という表現は、シアノ基(-C≡N)を示す。
【0034】
本発明の文脈において、「アリール」という表現は、通常6~14、特に好ましくは6~10個の炭素原子を有する単核または多核芳香族の炭化水素遊離基を含む。アリールの例は、特にフェニル、ナフチル、インデニル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル等、特にフェニルまたはナフチルである。
【0035】
本発明の文脈において、「ヘタリル」という表現は、4~13個の炭素原子を有する単核または多核芳香族の炭化水素遊離基を含み、ここで、環メンバーとして、1、2、または3個の炭素原子は、1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置き換えられており、該ヘテロ原子及びヘテロ原子含有基がN、NR7、O、S、SO、及びSO2から選択される。ヘタリル基は、環メンバーの炭素または環メンバー窒素を介して分子の残りの部分に結合することができる。5員または6員の芳香族複素環式環(ヘテロ芳香族環またはヘタリルとも呼ばれる)の例は、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、1,3,4-トリアゾール-2-イル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、及び2-ピラジニルである。8、9または10員の芳香族複素二環式環の例は、前述の5員または6員のヘテロ芳香族環の1つ及びもう1つの芳香族炭素環またはそれに縮合した5または6員の複素環を有するヘタリルであり、例えば、縮合したベンゼン、チオフェン、フラン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、またはピリミジン環である。これらの二環式ヘタリレンは、例えば、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、インドリル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾフリル、特に2-ベンゾフリル、ベンゾチエニル、特に2-ベンゾチエニル、ベンゾ[b]チアゾリル、特に、2-ベンゾ[b]チアゾリル、ベンゾオキサゾリル、特に、2-ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、特に2-ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、特に2-ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、チエノ[3,2-b]ピリジン-5-イル、イミダゾ-[2,1-b]-チアゾール-6-イル、及び1,2,4-トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イルを含む。
【0036】
本発明の化合物の好ましい部分構造を示す式に#が現れる場合、これが該分子の残りの部分への結合を示す。
【0037】
式(I.1)及び(I)のセリウム化合物
式(I.1) :
Ce4+(L1L2L3L4)4- (I.1)
の化合物(式中、L1、L2、L3、及びL4は、上記及び以下に定義されたとおりである)は、
- 4つの配位子L1、L2、L3、及びL4が、全て同じ意味を有する化合物、
- 4つの配位子のうち3つが、同じ意味を有する化合物、
- 4つの配位子のうち2つが、同じ意味を有する化合物、及び
- 4つの配位子L1、L2、L3、及びL4が、全て異なる意味を有する化合物、
を含む。
【0038】
好ましくは、L1、L2、L3、及びL4が同じ意味を有する式(I.1)の化合物である。
【0039】
式(I.1)のセリウム化合物において、L1、L2、L3、及びL4は、互いに独立して、一般式(I.2)を有する二座配位子から選択される。以下の好ましい実施形態では、化合物(I.1)は、それらの二座配位子(I.2)の好ましい実施形態によって直接に定義される。
【0040】
式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子が好ましい。式中、R
1及びR
2は、独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、及びA1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、及びA19からなるA群から選択され、
式中、
#は、残りの式(I)の分子及び式(I.2)の配位子への結合を示し、
R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、独立して、水素、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、及びフェニルから選択され、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
R
4a及びR
4bは、独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換されている。
【0041】
別の好ましい実施形態は、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子であり、式中、
R1及びR2は、独立して、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、及びA1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、及びA15からなるA群から選択され、式中、
RA、RB、RC、RD、及びREは、独立して、水素、CN、ハロゲン、C1-C4-アルキル、及びC1-C4-ハロアルキルから選択され;
R4a及びR4bは、独立して、水素、C1-C6-アルキル、またはC6-C14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの同一または異なる遊離基R5で置換され;
R5は、CN、ハロゲン、C1-C4-アルキル、またはC1-C4-ハロアルキルを表す;また、
R7は、水素、C1-C6アルキル、C1-C6-ハロアルキル、またはC6-C14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R5で置換されている。
遊離基RA、RB、RC、RD、及びREは、それらの発生に関係なく、好ましくは、水素、CN、フッ素、塩素、C1-C4-アルキル、C1-C4-フルオロアルキル、C1-C4-クロロアルキル、及びフェニルから選択され、これは、非置換であるか、またはC1-C4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている。
特に好ましくは、遊離基RA、RB、RC、RD、及びREは、互いに独立して、水素、CN、フッ素、及び塩素から選択される。
【0042】
別の特定の実施形態では、遊離基R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、互いに独立して、水素、CN、フッ素、塩素、及びフェニルから選択され、これは、C
1-C
2-ハロアルキルから選択される1つまたは2つの同一または異なる遊離基で置換されている。
特に好ましくは、遊離基R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、全てフッ素を表す。
また、特に好ましくは、遊離基R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、水素であり、かつ、R
Cは、3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルである。
好ましくは、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R
1及びR
2は、独立して、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、A1、及びA5から選択され、式中、
#は、残りの式(I)の分子及び式(I.2)の配位子への結合を示し、式中、
R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、独立して、水素、CN、フッ素、塩素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-フルオロアルキル、C
1-C
4-クロロアルキル、及びフェニルから選択され、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている。
【0043】
別の好ましい実施形態では、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R
1及びR
2は、独立して、A16及びA17から選択され、式中、
#は、残りの式(I)の分子及び式(I.2)の配位子への結合を示し、式中、
R
A、R
B、及びR
Cは、独立して、水素、CN、フッ素、塩素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-フルオロアルキル、及びC
1-C
4-クロロアルキルから選択される。好ましくは、R
A、R
B、及びR
Cは、全て水素である。
【0044】
好ましい実施形態では、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R
1及びR
2は、独立して、A1及びA5から選択され、式中、
#は、残りの式(I)の分子及び式(I.2)の配位子への結合を示し、式中、
R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、独立して、水素、CN、フッ素、塩素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-フルオロアルキル、C
1-C
4-クロロアルキル、及びフェニルから選択され、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換されている。
【0045】
特に好ましい実施形態では、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R1及びR2は、独立して、A1及びA5から選択され、式中、RA、RB、RC、RD、及びREは、独立して、CN、フッ素、及び塩素から選択される。
【0046】
別の特に好ましい実施形態では、式(I)において、R1及びR2は、独立して、A1及びA5から選択され、式中、RA、RB、RC、RD、及びREは、独立して、CN、フッ素、及び塩素から選択される。
【0047】
別の好ましい実施形態では、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R1及びR2は、独立して、C1-C4-アルキル、C1-C4-フルオロアルキル、C1-C4-クロロアルキル、及びA1から選択され、式中、RA、RB、RC、RD、及びREは、独立して、CN、フッ素、及び塩素から選択される。
【0048】
別の好ましい実施形態では、式(I)において、R1及びR2は、独立して、C1-C4-アルキル、C1-C4-フルオロアルキル、C1-C4-クロロアルキル、及びA1から選択され、式中、RA、RB、RC、RD、及びREは、独立して、CN、フッ素、及び塩素から選択される。
【0049】
特定の実施形態では、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R1及びR2は、独立して、A1及びA5から選択され、式中、RA、RB、RC、RD、及びREは、フッ素である。
【0050】
特定の実施形態では、式(I)において、R1及びR2は、独立して、A1及びA5から選択され、式中、RA、RB、RC、RD、及びREは、フッ素である。
【0051】
別の好ましい実施形態では、式(I)及び式(I.2)の配位子において、R1及びR2は、A1であり、式中、RA、RB、RD、及びREは、水素であり、かつ、RCは、3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0052】
別の好ましい実施形態では、式(I)において、R1及びR2は、A1であり、式中、RA、RB、RD、及びREは、水素であり、かつ、RCは、3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニルである。
【0053】
好ましくは、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子において、Yは、遊離基CR
3を表し、かつ、R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、CF
3、及びB1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、及びB15からなるB群から選択され、
式中、#は、残りの式(I)の分子及び式(I.2)の配位子への結合を示し、
R
F、R
G、R
H、R
I、及びR
Jは、独立して、水素、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択され;かつ、
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
1-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換されている。
好ましくは、遊離基R
F、R
G、R
H、R
I、及びR
Jは、それらの発生に関係なく、水素、CN、フッ素、塩素、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-フルオロアルキル、及びC
1-C
4-クロロアルキルから選択される。
【0054】
好ましい実施形態では、遊離基R
A、R
B、R
C、R
D、及びR
Eは、独立して、CN、フッ素、または塩素を表す。
式(I)及び式(I.2)の配位子において、Yは、好ましくは、遊離基CR
3を表し、式中、該R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲンCF
3、及びB1から選択され、
式中、#は、残りの式(I)の分子及び式(I.2)の配位子への結合を示し、式中、
R
F、R
G、R
H、R
I、及びR
Jは、独立して、水素、CN、フッ素、及び塩素から選択される。
式(I)及び式(I.2)の配位子において、Yは、好ましくは遊離基CR
3を表し、式中、該R
3は、B1を表し、
式中、#は、残りの式(I)の分子及び式(I.2)の配位子への結合を示し、式中、
R
F、R
G、R
H、R
I、及びR
Jは、独立して、CN、フッ素、及び塩素から選択される。
【0055】
別の好ましい実施形態では、Yは、遊離基CR3を表し、式中、該R3は、水素、CN、ニトロ、フッ素、塩素、及びCF3から選択される。
遊離基R4a及びR4bは、それらの発生に関係なく、好ましくは水素及びC1-C4-アルキルから選択される。
遊離基R5は、その発生に関係なく、好ましくはCN、フッ素、塩素、C1-C4-アルキル、及びC1-C4-ハロアルキルから選択される。
遊離基R6は、その発生に関係なく、好ましくは水素及びC1-C4-アルキルから選択される。
遊離基R7は、その発生に関係なく、好ましくは水素、C1-C4-アルキル、及びC1-C4-ハロアルキルから選択される。
【0056】
第1の好ましい実施形態Aでは、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特にフッ素、CN、及びニトロから選択され;R1及びR2が、互いに独立して、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、特にC1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子は好ましい。
【0057】
特に、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特にフッ素、CN、及びニトロから選択され;R1及びR2が、互いに独立して、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4bを表し、特にC1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物は好ましい。
【0058】
第2の好ましい実施形態Bでは、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、またはB15、特にB1を表し;R1及びR2が、互いに独立して、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、特にC1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子は好ましい。
【0059】
特に、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、またはB15、特にB1を表し;R1及びR2が、互いに独立して、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、特にC1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物は好ましい。
【0060】
第3の好ましい実施形態Cでは、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、またはB15、特にB1を表し;R1及びR2が、互いに独立して、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、またはA15、特にA1またはA5を表す、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子は好ましい。
【0061】
特に、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、またはB15、特にB1を表し;R1及びR2が、互いに独立して、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、またはA15、特にA1またはA5を表す、式(I)の化合物は好ましい。
【0062】
第4の好ましい実施形態Dでは、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特にフッ素、CN、及びニトロから選択され;R1及びR2が、互いに独立して、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、またはA15、特にA1またはA5を表す、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子は好ましい。
【0063】
特に、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特にフッ素、CN、及びニトロから選択され;R1及びR2が、互いに独立して、A1、A2、A3、A4、A5、A6、A7、A8、A9、A10、A11、A12、A13、A14、またはA15、特にA1またはA5を表す、式(I)の化合物は好ましい。
【0064】
第5の好ましい実施形態Eでは、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特にフッ素、CN、及びニトロから選択され;R1が、A1を表し;R2が、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、特に、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子は好ましい。
【0065】
特に、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特にフッ素、CN、及びニトロから選択され;R1は、A1を表し;R2が、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、特にC1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物は好ましい。
【0066】
第6の好ましい実施形態Fでは、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特に水素から選択され;R1及びR2が、互いに独立して、A16またはA17を表す、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子は好ましい。
【0067】
特に、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特に水素から選択され;R1及びR2が、互いに独立して、A16またはA17を表す、式(I)の化合物は好ましい。
【0068】
第7の好ましい実施形態Gでは、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特に水素から選択され;R1が、A16またはA17を表し;R2が、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、特にC1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物及び式(I.2)の配位子は好ましい。
【0069】
特に、X及びWが、SまたはO、特にOを表し;Yが、CR3を表し、式中、該R3が、水素、CN、ニトロ、及びハロゲン、特に水素から選択され;R1が、A16またはA17を表し;R2が、CN、C1-C6-アルキル、C1-C6-ハロアルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-ハロアルコキシ、C1-C6-アルキルスルファニル、C1-C6-ハロアルキルスルファニル、NR4aR4b、特にC1-C4-アルキルまたはC1-C4-ハロアルキルを表す、式(I)の化合物は好ましい。
【0070】
特に、式(I.a’)
Ce
4+[(R
1-C(-O)=C(R
3)-C(=O)-R
2)(R
1’-C(-O)=C(R
3’)-C(=O)-R
2’)(R
1’’-C(-O)=C(R
3’’)-C(=O)-R
2’’)(R
1’’’-C(-O)=C(R
3’’’)-C(=O)-R
2’’’)]
4- (I.a’)
の化合物は好ましく、式中、該(R
1、R
2、R
3)、(R
1’、R
2’、R
3’)、(R
1’’、R
2’’、R
3’’)、及び(R
1’’’、R
2’’’、R
3’’’)は、それぞれ次の表1の1行に示されている定義から選択される。
表1:
【0071】
特に、式(I. a)の化合物は好ましく、式中、R
1、R
2、及びR
3は、表2で定義されているとおりである。
表2:
【0072】
特に、式(I.a)の化合物は好ましく、式中、R
1、R
2、及びR
3は、表3で定義されているとおりである。
表3:
【0073】
式(I.a)では、セリウム原子に結合した4つの配位子L1、L2、L3、及びL4は、同じ意味を有する。
【0074】
式(I.1)及び(I)のホモレプティック化合物は、β-ジケトン配位子をセリウム塩と反応させることによって製造される。通常、該セリウム塩は、反応媒体に可溶である。適切な塩は、硝酸セリウムアンモニウム及び硫酸セリウムアンモニウムである。該β-ジケトン配位子は、市販されているか、または当業者に知られている合成によって調製することができる。
【0075】
式(I.1)のヘテロレプティック化合物は、
- 適切な溶媒において、2つの異なるホモレプティックセリウム化合物を混合すること、
- ホモレプティックセリウム化合物を、化合物の配位子とは異なる配位子またはそのアルカリ/土類アルカリ塩と混合すること、
- 2つの異なるホモレプティックセリウム化合物の蒸着、
- 化合物の配位子とは異なる配位子を持つホモレプティックセリウム化合物の蒸着(蒸気共凝縮)
によって製造される。
【0076】
成分
本発明の文脈において、電子成分は、一般式(I.1)または(I)の化合物または一般式(I.1)または(I)の化合物を含む半導体マトリックス材料の特性を利用する個別のまたは統合された電気成分であると理解されている。特別な実施形態では、電子成分は、特に2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の層を含む層構造を有し、ここで、層の少なくとも1つは、少なくとも1種の一般式(I.1)または(I)の化合物を含む。特に、電子成分は、特に2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の層を含む層構造を有し、ここで、層の少なくとも1つは、少なくとも1種の一般式(I)の化合物を含む。各層はまた、無機の材料を含んでもよく、または該成分は、完全に無機の材料から構成された層を含んでもよい。
【0077】
好ましくは、該電子成分は、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機エレクトロルミネセントデバイス、有機太陽電池(OSC)、エレクトロフォトグラフィー用のデバイス、有機光学検出器、有機光受容体、発光電気化学セル(LEC)、及び有機レーザーダイオードから選択される。該有機電界効果トランジスタ(OFET)は、好ましくは有機薄膜トランジスタ(OTFT)である。該有機エレクトロルミネセントデバイスは、好ましくは有機発光ダイオード(OLED)である。該有機太陽電池は、好ましくは励起子太陽電池、色素増感太陽電池(DSSC)、またはペロブスカイト太陽電池である。該エレクトロフォトグラフィー用のデバイスは、好ましくは有機光伝導体(OPC)中の光伝導性材料である。
【0078】
好ましくは、本発明による電子成分は、有機発光ダイオード、有機太陽電池、光起電力セル、有機ダイオードまたは有機トランジスタ、好ましくは電界効果トランジスタ、または薄膜トランジスタ、またはペロブスカイト太陽電池の形態である。
【0079】
該電子成分は、好ましくは、特に有機発光ダイオード(OLED)の形態の有機電気発光デバイスであってもよい。有機エレクトロルミネセントデバイスは、陰極、陽極、及び少なくとも1つの発光層を含む。また、それは、これらの層の他に、他の層、例えば、1つ以上の空孔注入層、空孔輸送層、空孔遮断層、電子輸送層、電子注入層、励起子遮断層、電子遮断層、及び/または電荷生成層を含んでもよい。励起子遮断機能等を備えた中間層は、2つの発光層の間に挿入することもできる。これらの層の全てが必ずしも存在する必要はない。
【0080】
好ましい実施形態は、式(I.1)または(I)の化合物を含む層が空孔輸送層または空孔注入層である、特にOLEDの形態の電子成分であり、特に、式(I)の化合物を含む層が空孔輸送層、空孔注入層、または電子遮断層である、特にOLEDの形態の電子成分である。一般に、空孔注入層は、陽極から有機半導体マトリックス材料への電子注入を容易にする層である。該空孔注入層は、陽極に隣接して直接に配置することができる。該空孔輸送層は、空孔を陽極から発光層に輸送し、空孔注入層と発光層との間に配置される。
【0081】
好ましい実施形態は、有機太陽電池の形態の電子成分である。一般に、有機太陽電池は、層状であり、通常、少なくとも次の層を含む:陽極、少なくとも1つの光活動層、及び陰極。これらの層は、一般に、該目的で一般的に使用される基板に適用される。太陽電池の光活動性領域は、2つの層を含み得、それらのそれぞれは、均質な組成物を有し、平坦な供与体-受容体ヘテロ接合を形成する。光活動性領域は、混合層も含み、供与体-受容体バルクヘテロ接合の形態で供与体-受容体ヘテロ接合を形成できる。有機太陽電池は、これらの層の他に、例えば、以下から選択される他の層を含むこともできる:
- 電子輸送層の特性を備えた層(電子輸送層、ETL)、
- 空孔伝導材料を含む層(空孔輸送層、HTL、これらは、放射線を吸収する必要はない)、
- 励起子層及び空孔遮断層(例えば、EBL、これらは吸収してはならず)、
- 倍増層。
【0082】
別の好ましい実施形態は、式(I.1)または(I)の化合物を含む層が電子伝導特性(電子輸送層、ETL)を有する有機太陽電池の形態の電子成分である。特に、該電子成分は、式(I)の化合物を含む層が電子伝導特性(電子輸送層、ETL)を有する有機太陽電池の形態である。
【0083】
特別な実施形態は、特に有機太陽電池の形態の電子成分であり、ここで、式(I.1)または(I)の化合物の少なくとも1種を含む層は、直列型デバイスまたは多重積重型デバイス内において光吸収ユニットを他の光吸収ユニットに接続するpn-接合の一部、及び/または陰極または陽極を光吸収ユニットに接続するpn-接合である。特に、該電子成分は、有機太陽電池の形態であり、ここで、式(I)の化合物の少なくとも1種を含む層は、直列型デバイスまたは多重積重型デバイス内において光吸収ユニットを他の光吸収ユニットに接続するpn-接合の一部、及び/または陰極または陽極を光吸収ユニットに接続するpn-接合である。
【0084】
半導体マトリックス材料
本発明による式(I.1)または(I)の化合物及びそれらの電荷移動複合体や還元生成物は、有機半導体マトリックス材料のドーピング剤として、特に空孔輸送層におけるp-ドーパントとして使用できる。ドープされた半導体マトリックス材料は、上記で定義されたように、好ましくは少なくとも1種の電子供与体及び少なくとも1種の式(I.1)または(I)の化合物を含む。該電子供与体は、好ましくは、4,4',4”-トリス(N-(2-ナフチル)-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン(2-TNATA)、4,4',4”-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、N,N,N',N'-テトラキス(4-メトキシ-フェニル)ベンジジン(MeO-TPD)、(2,2',7,7'-テトラキス-(N,N-ジフェニルアミノ)-9,9'-スピロビフルオレン(spiro-TTB)、N,N'-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジジン、N,N'-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-9,9-スピロ-ビフルオレン、9,9-ビス[4-(N,N-ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)フェニル]-9H-フルオレン、2,2'-ビス[N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)アミノ]-9,9-スピロ-ビフルオレン、N,N'-((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン)(BPAPF)、N,N'-ビス(フェナントレン-9-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジジン、1,3,5-トリス{4-[ビス(9,9-ジメチル-フルオレン-2-イル )アミノ]フェニル}ベンゼン、トリ(テルフェニル-4-イル)アミン、ジアミノテルフェニレン、ジアミノトリメチルフェニルインダン、N,N'-ビス(9,9-ジメチル-フルオレン-2-イル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(BF-DPB)、N,N'-((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン)(BPAPF)、N4,N4,N4',N4'-テトラキス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン(TDMFB)、N-([1,1'-ビフェニル]-2-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2-アミン、(2,7-ビス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9-スピロビ[9H-フルオレン]( spiro-MeO-TPD)、N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン、及びそれらの混合物から選択される。
【0085】
適切なジアミノターフェニル類は、DE 102012007795に記載され、ジアミノトリメチルフェニルインダン類は、WO 2018/206769に記載されている。
【0086】
特に、該電子供与体は、4,4',4”-トリス(N-(2-ナフチル)-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン(2-TNATA)、4,4',4”-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、N,N,N',N'-テトラキス(4-メトキシ-フェニル)ベンジジン(MeO-TPD)、(2,2',7,7'-テトラキス-(N,N-ジフェニルアミノ)-9,9'-スピロビフルオレン(spiro-TTB)、N,N'-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジジン、N,N'-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-9,9-スピロ-ビフルオレン、9,9-ビス[4-(N,N-ビス-ビフェニル-4-イル-アミノ)フェニル]-9H-フルオレン、2,2'-ビス[N,N-ビス(ビフェニル-4-イル)アミノ]-9,9-スピロ-ビフルオレン、N,N'-((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン)(BPAPF)、N,N'-ビス(フェナントレン-9-イル)-N,N'-ビス(フェニル)-ベンジジン、1,3,5-トリス{4-[ビス(9,9-ジメチル-フルオレン-2-イル)アミノ]フェニル}ベンゼン、トリ(テルフェニル-4-イル)アミン、N-(4-(6-((9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-N-(4-(6-([1,1'-ビフェニル]-4-イル(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N,N-ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-3-(4-(ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)アミノ)フェニル)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、N-(4-(6-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-(4-(6-(9,9'-スピロビ[フルオレン]-2-イル(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2-アミン、N-(4-(6-(ジベンゾ[b,d]フラン-2-イル(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)ジベンゾ[b,d]フラン-2-アミン、9-(4-(6-(9H-カルバゾール-9-イル)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-9H-カルバゾール、N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-3-(4-([1,1'-ビフェニル]-4-イル(4-メトキシフェニル)アミノ)フェニル)-N-(4-メトキシフェニル)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、3-(4-(ビス(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)アミノ)フェニル)-N,N-ビス(6-メトキシ-[1,1'-ビフェニル]-3-イル)-1,1,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-アミン、N1-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-N1-(4-(6-([1,1'-ビフェニル]-4-イル(4-(ジフェニルアミノ)フェニル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N4,N4-ジフェニルベンゼン-1,4-ジアミン、N,N-ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-4'-(6-(4-(ジ([1,1'-ビフェニル]-4-イル)アミノ)フェニル)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン、N-(4-(5-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N-(4-(6-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン、N,N'-ビス(9,9-ジメチル-フルオレン-2-イル)-N,N'-ジフェニル-ベンジジン(BF-DPB)、N,N'-((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4-アミン)(BPAPF)、N4,N4,N4',N4'-テトラキス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-[1,1'-ビフェニル]-4,4'-ジアミン(TDMFB)、N-([1,1'-ビフェニル]-2-イル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2-アミン、(2,7-ビス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9-スピロビ[9H-フルオレン](spiro-MeO-TPD)、N-(4-(5-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン及びN-(4-(6-(ビス(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)アミノ)-1,3,3-トリメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)フェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミンの混合物、N-([1,1'-ビフェニル]-4-イル)-9,9-ジメチル-N-(4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル)-9H-フルオレン-2-アミン、及びそれらの混合物から選択される。
【0087】
勿論、他の適切な有機半導体マトリックス材料、特に半導体の特性を有する空孔伝導性の材料も使用することができる。
【0088】
ドーピング
ドーピングは、特に式(I.1)または(I)の化合物に対するマトリックス分子のモル比が10000:1~1:1、好ましくは1000:1~2:1、特に5:1~100:1であるような方法で行うことができる。特に、ドーピングは、特に式(I)の化合物に対するマトリックス分子のモル比が10000:1~1:1、好ましくは1000:1~2:1、特に5:1~100:1であるような方法で行うことができる。
【0089】
ドープされた半導体マトリックス材料の調製
本発明による一般式(I.1)または(I)の化合物を用いた特定のマトリックス材料(以下では、空孔伝導性マトリックスHTとしても示される)のドーピングは、次のプロセス中の1つまたはそれらの組み合わせによって行うことができる:
a)真空中において、HTの供給源及び少なくとも1種の一般式(I.1)及び(I)の化合物、特に少なくとも1種の一般式(I)の化合物の供給源を混合蒸発するプロセス。
b)HT及び少なくとも1種の一般式(I.1)または(I)の化合物、特に少なくとも1種の一般式(I)の化合物を連続に沈着した後、熱処理によってドーピング剤を内向きに拡散させるプロセス。
c)少なくとも1種の一般式(I.1)または(I)の化合物、特に少なくとも1種の一般式(I)の化合物の溶液をHT層に添加した後、熱処理によって溶媒を蒸発させるプロセス。
d)該HT層の片面または両面に、少なくとも1種の般式(I.1)または(I)の化合物、特に少なくとも1種の一般式(I)の化合物の層を塗布するプロセス(HT層の表面をドーピングするプロセス)。
e)ホスト及び少なくとも1種の一般式(I.1)または(I)の化合物、特に少なくとも1種の一般式(I)の化合物の溶液を調製し、また、例えば、コーティング、キャスティングまたは印刷技術、または当業者に知られている他のフィルム調製技術によって、該溶液からフィルムを形成するプロセス。
【0090】
本発明の別の目的は、化合物(I.1)またはその混合物、または化合物(I)またはその混合物、特に上記で定義された化合物(I)またはその混合物の
- 有機半導体として、
- 有機半導体マトリックス材料におけるドーピング剤として、特に空孔輸送層におけるp-ドーパントとして、
- 電子伝達材料として、
- 電荷注入層における電荷注入剤として、
- 有機電池における陽極材料として、
- エレクトロクロミック材料として
の使用である。
【0091】
本発明のさらなる目的は、上記で定義された化合物(I.1)または(I)の還元によって得られたCe(III)複合体陰イオンまたは電子供与体を用いた上記で定義された化合物(I.1)または(I)の電荷移動複合体の、有機伝導体またはエレクトロクロミック材料としての使用である。
【0092】
本発明のさらなる目的は、一般式(I.1)
Ce
4+(L
1L
2L
3L
4)
4- (I.1)
の化合物及びその混合物であり、式中、L
1、L
2、L
3、及びL
4は、互いに独立して、一般式(I.2)を有する二座配位子であり、
式中、X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
ただし、次の化合物は除外される:
【0093】
本発明のさらなる目的は、一般式(I)
の化合物及びそれらの電荷移動複合体、それらの還元生成物、及びそれらの混合物であり、式中、
X及びWは、互いに独立して、O、S、またはNR
6を表し;
Yは、NまたはCR
3を表し;
R
1及びR
2は、互いに独立して、CN、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
8で置換され;
R
3は、水素、CN、ニトロ、ハロゲン、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、C
1-C
6-アルコキシ、C
1-C
6-ハロアルコキシ、C
1-C
6-アルキルスルファニル、C
1-C
6-ハロアルキルスルファニル、NR
4aR
4b、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
4a及びR
4bは、互いに独立して、水素、C
1-C
6-アルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
5は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、またはC
1-C
4-ハロアルキルを表し;
R
6は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、4~13個の炭素原子を有するC
6-C
14-アリールまたはヘタリルを表し、式中、該ヘタリルは、N、NR
7、O、S、SO、及びSO
2から選択される1、2、または3個の同一または異なるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基を環メンバーとして有し、式中、該アリール及びヘタリルは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
7は、水素、C
1-C
6-アルキル、C
1-C
6-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、式中、該アリールは、非置換であるか、または1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの同一または異なる遊離基R
5で置換され;
R
8は、CN、ハロゲン、C
1-C
4-アルキル、C
1-C
4-ハロアルキル、またはC
6-C
14-アリールを表し、これは、非置換であるか、またはC
1-C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルから選択される1つ、2つ、または3つの同一または異なる遊離基で置換され;
ただし、次の化合物は除外される:
【0094】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、本発明をいかなる方法で制限するものではない。
実施例
【0095】
1の合成:
文献(R. Fillerら、J. Org. Chem. 35(4), 1970, 930)に従って1,3-ビス(パーフルオロフェニル)プロパン-1,3-ジオンを調製した。
1,3-ビス(パーフルオロフェニル)プロパン-1,3-ジオン(1.61 g、4.00 mmol)をエタノール(50 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(4 ml、4 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(0.55 g、1 mmol)を加えた。該暗赤色の溶液を2時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残留物をヘキサン(40 ml)に懸濁させた。10分間還流した後、懸濁液を熱いうちに濾過し、濾液を室温まで冷却させた。暗赤色の結晶を真空濾過により単離し、真空下で乾燥させた。該固体をヘキサンから再結晶させ、濾過して乾燥させた(収量:0.77 g、0.43 mmol、収率:44%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.09.
19F NMR (282 MHz, CDCl
3) δ -139.25, -139.31, -149.63, -149.70, -149.78, -160.69, -160.70, -160.73, -160.78, -160.80, -160.85, -160.88, -160.89.
融点:183℃
ジクロロメタンにおけるサイクロボルタメトリーは、以下を示した:
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+) = +0.13 V
アセトニトリルにおけるサイクロボルタメトリーは、以下を示した。
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+) = +0.1 V
サンプルの準備:
超音波浴の中で、基板(実験用ガラス1x1 cm)をアセトン、エタノール、及びイソプロパノールで洗浄した。
溶媒処理には、次の溶液/濃縮物を使用した:
1.スピロ-MeO-TAD(N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-オクタキス(4-メトキシフェニル)-9,9’-スピロビ[9H-フルオレン]-2,2',7,7'-テトラミン)のクロロベンゼン溶液/濃縮物:30 mg/ml
2.ドーパント1及びスピロ-MeO-TADのクロルベンゼン溶液/濃縮物:3 mg/mlドーパント1及び30 mg/ml スピロ-MeO-TAD
層の塗布には、Sawatec AG(スイス)の回転コーティング装置を使用した。このために基板の表面を溶液で湿らせた(基板の中央に1滴を置いた)。回転コーティングは、蓋を閉じ、換気スリットを開いた状態で、1000 rpmで60秒間行った。続いて、真空(10
-7 mbar)(30 nm、1 オングストローム/s)での蒸発により金の金属接点を沈着した。
ドーパント1を使用しない場合、導電率スピロ-MeO-TADは、1・10
-9 S/cm未満であった。
ドーパント1として10 wt%を使用した場合、導電率スピロ-MeO-TADは、8.4・10
-5 S/cmであった。
該化合物は、空孔輸送材料CAS [1364603-07-5]と一緒に溶液処理されている。4 mol%のドーピング濃度において、2.6・10
-6 S/cmの導電率が達成された。
【0096】
2の合成:
化合物2は市販されており、分解せずに昇華した。昇華温度T
sublは、130~140℃(圧力; 2・10
-6 mbar)であった。
【0097】
3の合成:
文献(Lava R. Kadel, John R. Kromer, Curtis E. Moore, David M. Eichhorn Polyhedron 125, 2017, 206-218.)に従って2-ベンゾイル-3-オキソ-3-フェニルプロパンニトリルを調製した。
2-ベンゾイル-3-オキソ-3-フェニルプロパンニトリル(0.50 g、2 mmol)をエタノール(15 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(2 ml、2 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、エタノール(5 ml)に溶解した硝酸セリウム(IV)アンモニウム(0.27 g、0.5 mmol)を加えた。該暗赤色の溶液を15分間撹拌し、その後濾過した。暗色の固体を水(100 ml)及びエタノール(10 ml)で洗浄し、乾燥させた。460 mgの暗赤色の固体を得た。
ジクロロメタンにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した。
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+) = +0.03 V
【0098】
4の合成:
文献(C.M. Silvernailら、Polyhedron 20, 2001, 3113.)に従って4,4-ジメチル-3-オキソ-2-ピバロイルペンタンニトリルを調製した。
4,4-ジメチル-3-オキソ-2-ピバロイルペンタンニトリル(0.84 g、4 mmol)をエタノール(30 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(4 ml、4 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、エタノール(10 ml)に溶解した硝酸セリウム(IV)アンモニウム(0.55 g、1 mmol)を加えた。該暗赤色の溶液を15分間撹拌した。溶媒を真空中で除去した。残留物をジエチルエーテル(50 ml)で抽出し、濾過した。濾液の溶媒を真空下で除去した。暗赤色の固体(収量:500 mg、収率:51%)を得た。
化合物4は昇華した。暗赤色の固体を得た。昇華温度T
sublは、160℃(圧力; 2・10
-6 mbar)であった。
ジクロロメタンにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した。
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+) = -0.08 V
【0099】
5の合成:
ジイソプロピルアミン(3 g、30 mmol)を25 mlの乾燥トルエンに溶解した。
該溶液を0℃に冷却し、n-BuLi(n-ブチルリチウムのヘキサン溶液、1.6 M、19 ml、30 mmol)を加えた。10分後、3',5'-ビス(トリフルオロメチル)アセトフェノン(7.68 g、30 mmol)を加えた。1分後、3',5'-ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(5.5 g、20 mmol)を加え、冷却浴を撤去した。2分後、濃酢酸(10 ml)を加え、続いて20 mlの水と10 mlのトルエンを加えた。2つの相を分離し、有機相をMgSO
4で乾燥させ、減圧下で回転させた。粗ジケトンをヘキサンから再結晶させ、1,3-ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-1,3-ジオン(収量:3.2 g、6.45 mmol、収率:33%)を得た。
1,3-ビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)プロパン-1,3-ジオン(2.57 g、5.18 mmol)をエタノール(100 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(5.2 ml、5.2 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウムアンモニウム(0.71 g、1.3 mmol)のエタノール溶液(40 ml)を加えた。該暗赤色の溶液を15分間撹拌し、濾過した。揮発性物質を真空中で除去し、残留物をジクロロメタン(DCM、300 ml)に再溶解し、水(100 ml)で洗浄した。次に、有機相をMgSO
4で乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン(400 ml)を加えて、紫色の結晶を得た。これを濾過し、真空下で乾燥させた(収量:2.5 g、1.17 mmol、収率:90%)。
融点:237℃(開始時、10 K/分で、DSCで測定)
アセトニトリルにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した:
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+ (MeCN): = -0.04 V
化合物5を、空孔輸送材料スピロ-MeO-TPD(2,7-ビス[N,N-ビス(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9-スピロビ[9H-フルオレン]と共蒸発させた。3 mol%のドーピング濃度において、8.2・10
-5 S/cmの導電率が達成された。
該化合物を、空孔輸送材料MeO-TPD(N,N,N',N'-テトラキス(4-メトキシ-フェニル)ベンジジン)と共蒸発させた。3 mol%のドーピング濃度において、5.2・10
-5 S/cmの導電率が達成された。
【0100】
6の合成:
文献(Liuら、Molecules 2016, 21, 828.)に従って1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4,4,4-トリフルオロブタン-1,3-ジオンを調製した。
1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4,4,4-トリフルオロブタン-1,3-ジオン(2 g、5.68 mmol)をエタノール(50 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(5.6 ml、5.6 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(0.78 g、1.42 mmol)のエタノール溶液(20 ml)を加えた。該暗赤色の溶液を15分間撹拌し、濾過した。揮発性物質を真空中で除去し、残留物をジクロロメタン(300 ml)に再溶解し、水(100 ml)で洗浄した。次に、有機相をMgSO
4で乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン(50 ml)を該混合物に加え、-20℃で一晩保存した。次に、単離された固体を熱いヘキサン(収量:1 g、0.64 mmol、収率:45%)から再結晶させた。
融点:155℃(ピーク、10 K/分で、DSCで測定)
アセトニトリルにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した。
E
1/2 (vs. Fc/Fc+ (MeCN): = +0.35 V
化合物6を、空孔輸送材料BF-DPB(N,N'-ビス(9,9-ジメチル-フルオレン-2-イル)-N、N'-ジフェニル-ベンジジン)と共蒸発させた。6 mol%のドーピング濃度において、7.2・10
-6 S/cmの導電率が達成された。
該化合物を、空孔輸送材料MeO-TPDと共蒸発させた。9 mol%のドーピング濃度において、1.6・10
-4 S/cmの導電率が達成された。
該化合物を、空孔輸送材料BPAPFと共蒸発した。13 mol%のドーピング濃度において、3・10
-5 S/cmの導電率が達成された。
【0101】
7の合成:
4,4,4-トリフルオロ-1-(チオフェン-2-イル)ブタン-1,3-ジオンは市販されている。
4,4,4-トリフルオロ-1-(チオフェン-2-イル)ブタン-1,3-ジオン(1.8 g、8.1 mmol)をエタノール(40 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(8.1 ml、8.1 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(1.11 g、2 mmol)のエタノール溶液(20 ml)を加えた。該暗赤色の沈殿物を15分間撹拌し、濾過した。該固体を水(100 ml)ですすぎ、ジクロロメタン(400 ml)に再溶解し、水(2 x 200 ml)で洗浄した。次に、有機相をMgSO
4で乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン(300 ml)を加えて、紫色の結晶を得た。これを濾過し、ヘキサン(50 ml)及びペンタン(50 ml)ですすぎ、真空下で乾燥させた(収量:1.5 g、1.46 mmol、収率:73%)。
融点:209℃(ピーク、10 K/分で、DSCで測定)
アセトニトリルにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した。
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+ (MeCN): = +0.20 V
【0102】
8の合成:
4,4,4-トリフルオロ-1-(フラン-2-イル)ブタン-1,3-ジオンは市販されている。
4,4,4-トリフルオロ-1-(フラン-2-イル)ブタン-1,3-ジオン(1.57 g、7.6 mmol)をエタノール(40 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(7.6 ml、7.6 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(1.04 g、1.9 mmol)のエタノール溶液(20 ml)を加えた。該暗赤色の沈殿物を15分間撹拌し、濾過した。該固体を水(100 ml)ですすぎ、ジクロロメタン(300 ml)に再溶解し、水(100 ml)で洗浄した。次に、有機相をMgSO
4で乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン(200 ml)を加えて、紫色の結晶を得た。これを濾過し、ペンタン(100 ml)ですすぎ、真空下で乾燥させた(収量:1.2 g、1.32 mmol、収率:66%)。
融点:166℃(ピーク、10 K/分で、DSCで測定)
アセトニトリルにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した:
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+ (MeCN): = +0.24 V
【0103】
9の合成:
3',5'ビス(トリフルオロメチル)アセトフェノン(4.32 g、16.9 mmol)及び2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパン酸エチル(4.86 g、25.3 mmol)を乾燥メタノール(100 ml)に溶解した。MeONa(1.82、33.8 mmol)のメタノール溶液(10 ml)を加え、該混合物を2時間還流した。得られた溶液を減圧下で蒸発させた。粗生成物をEtOAc(100 ml)に再溶解し、HCl(6M、50 ml)を加えた。有機相を分離し、MgSO
4で乾燥し、回転させた。赤色の油性ジケトンを真空蒸留により精製し、1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタン-1,3-ジオンの淡黄色の油を得た(収量:4.8 g、12 mmol、収率:71%)。
1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタン-1,3-ジオン(2.22 g、5.52 mmol)をエタノール(50 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(5.5 ml、5.5 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウムアンモニウム(0.76 g、1.38 mmol)のエタノール溶液(15 ml)を加えた。該暗赤色の溶液を15分間撹拌し、濾過した。該溶液を減圧下で蒸発させた。赤色の油をヘキサン(10 ml)で抽出し、室温で一晩放置し、結晶させた。単離された固体を熱いヘキサンから再結晶させ、-20℃で保存した(収量:2.02 g、1.16 mmol、収率:84%)。
融点:129℃(ピーク、10 K/分で、DSCで測定)
アセトニトリルにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した:
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+ (MeCN): = +0.46 V
【0104】
10の合成:
1-(3',5'-ビス(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-4-イル)エタン-1-オン(4 g、12 mmol)をTHF(50 ml)に溶解した。該混合物を0℃に冷却し、NaH(1.44 g、60 mmol)を加えた。該反応混合物を20分間撹拌し、次に、エチル2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノエート(6.9 g、36 mmol)を加えた。冷浴を撤去し、該混合物を一晩撹拌した。該溶液を減圧下で濃縮し、水(20 ml)を加え、続いてHCl(6M、15 ml)を加えた。該混合物を酢酸エチル(300 ml)で抽出した。有機相を水(50 ml)及び食塩水(50 ml)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、回転させた。粗物質をシリカで濾過することにより精製(溶離液:DCM)し、1-(3',5'-ビス(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-4-イル)-4,4,4-トリフルオロブタン-1,3-ジオンの淡赤色の固体を得た(収量:3.2 g、収率:62%)。
1-(3',5'-ビス(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-4-イル)-4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンタン-1,3-ジオン(1.52 g、3.17 mmol)をエタノール(50 ml)に溶解し、1M NaOH(3.2 ml、3.2 mmol)のエタノール溶液を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(0.43 g、0.79 mmol)のエタノール溶液(20 ml)を加えた。該暗赤色の溶液を15分間撹拌し、濾過した。揮発性物質を真空中で除去し、残留物をDCM(250 ml)に再溶解し、水(100 ml)で洗浄した。有機相をMgSO
4で乾燥し、減圧下で回転させた。該混合物をDCM(50 ml)に再溶解し、ヘキサン(200 ml)を加えた。該溶液を減圧下で濃縮し、-20℃で保存して、暗赤色の結晶を得た。これを濾過し、真空下で乾燥させた(収量:0.6 g、0.3 mmol、収率:37%)。
融点:214℃(ピーク、10 K/分で、DSCで測定)
アセトニトリルにおけるサイクロボルタメトリーは、次の電位を示した:
E
1/2 (vs. Fc/Fc
+: = +0.43 V
【0105】
11の合成:
4-シアノ-3-(トリフルオロメチル)安息香酸メチル(2.09 g、9.12 mmol)をTHF(50 ml)に溶解した。該混合物を0℃に冷却し、NaH(706 mg、29.4 mmol)を加えた。該反応混合物を20分間撹拌し、次に、1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エタン-1-オン(1.95 g、7.6 mmol)を加えた。冷浴を撤去し、該混合物を一晩撹拌した。該溶液を減圧下で濃縮し、水(10 ml)を加え、続いてHCl(6M、10 ml)を加えた。該混合物を酢酸エチル(40 ml)で抽出した。有機相を水(50 ml)及び食塩水(50 ml)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、回転させた。粗物質を熱いエタノールから再結晶させることにより精製し、無色の微結晶性固体(収量:1.32 g、収率:39%)を得た。
複合体:
4-(3-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-3-オキソプロパノイル)-2-(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(1.32 g、2.91 mmol)をエタノール(50 ml)に溶解し、1M NaOHのエタノール溶液(2.9 ml、2.9 mmol)を加えた。該溶液を5分間撹拌し、次に、硝酸セリウムアンモニウム(0.4 g、0.73 mmol)のエタノール溶液(20 ml)を加えた。該暗赤色の溶液を15分間撹拌し、減圧下で濃縮した。暗赤色の沈殿物を濾過し、水(50 ml)、エタノール(5 ml)、及びヘキサン(15 ml)ですすいだ。単離した固体を真空下で乾燥させた(収量:1.06 g、1.16 mmol、収率:75%)。
アセトニトリルにおいて測定した電位:+0.10V vs. Fc/Fc
+
【0106】
12(ホモレプティック及びヘテロレプティックcer-複合体の混合物)の合成
配位子L
1(1.00 g)及びL
2(1.02 g)のモル比1:1の混合物を10 mlのエタノールに溶解した。1M NaOHのエタノール溶液(9.2 ml)を攪拌しながら一度に加えた。10 mlのエタノールに溶解した1.26 gの硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を滴加した。赤色の沈殿を濾過し、水で2回洗浄した。乾燥後、赤色粉末を質量分析計(大気圧化学イオン化APCI-、Advion ASAP)で分析した。その質量スペクトルに示されたように、2つのホモレプティック複合体:Ce(L
1)
4及びCe(L
2)
4、ならびに上記の全ての可能なヘテロレプティック複合体が形成された。
【0107】
13(ヘテロレプティックcer-複合体)の合成
52 mgの配位子塩NaL
3を10 mlのエタノールに溶解し、216 mgの複合体Ce(L
2)
4を加えた。得られた懸濁液に5 mlのTHFを加え、均一な赤色の溶液が形成した。該溶液の質量分析(大気圧化学イオン化APCI-、Advion ASAP質量分析計)に示されたように、新規の複合体のCe(L
2)
3L
3が部分的に形成された。
【国際調査報告】