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特表2022-548566蒸発器カートリッジ、並びに、そのような蒸発器カートリッジを有する吸入器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】蒸発器カートリッジ、並びに、そのような蒸発器カートリッジを有する吸入器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20221114BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20221114BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20221114BHJP
   A61M 13/00 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61M15/00 A
A24F40/10
A24F40/42
A61M13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515877
(86)(22)【出願日】2020-09-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020074906
(87)【国際公開番号】W WO2021048039
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】102019124411.0
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ケルバー・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クライネ-ヴェヒター・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】コック・レンナルト
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA05
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AC06
4B162AC17
4B162AC41
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、吸入器11の構成要素としての蒸発器カートリッジ10に関し、この蒸発器カートリッジが、液体18の収容および貯蔵のための少なくとも1つの貯蔵タンク17と、貫通した空気流動通路20を有する少なくとも1つの中空体19とを備えており、その際、前記貯蔵タンク17が、前記空気流動通路20への少なくとも1つのアクセス開口部21を有しており、且つ、それぞれの前記アクセス開口部21の領域内において、前記アクセス開口部21全体にわたって延在する蒸発器ユニット22が配置されており、この蒸発器ユニットが、前記貯蔵タンク17の方に向けられたウィック要素23と、前記空気流動通路20の方に向けられた加熱要素24とを有しており、その際、前記蒸発器ユニット22が、前記液体18が少なくとも初期に毛細管現象により前記貯蔵タンク17からこの蒸発器ユニット22を通って前記空気流動通路20の方向に搬送可能であるように、液体浸透性に形成されている。本発明は、前記貯蔵タンク17が、内部で、構造的に主容積部25と少なくとも1つの副容積部26とに分割されており、その際、前記主容積部25と前記副容積部26とが、互いに液体連結されており、且つ、前記液体18が前記主容積部25から専ら且つ強制的に前記副容積部26を介して前記ウィック要素23との接触状態にされ得るように、前記副容積部26だけが、前記蒸発器ユニット22に対する直接的な接触状態にある、ことによって特徴付けられている。本発明は、更に、そのような蒸発器カートリッジ10を有する吸入器11に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器(11)の構成要素としての蒸発器カートリッジ(10)であって、この蒸発器カートリッジが、
液体(18)の収容および貯蔵のための少なくとも1つの貯蔵タンク(17)と、貫通した空気流動通路(20)を有する少なくとも1つの中空体(19)とを備えており、
前記貯蔵タンク(17)が、前記空気流動通路(20)への少なくとも1つのアクセス開口部(21)を有しており、且つ、それぞれの前記アクセス開口部(21)の領域内において、前記アクセス開口部(21)全体にわたって延在する蒸発器ユニット(22)が配置されており、この蒸発器ユニットが、前記貯蔵タンク(17)の方に向けられたウィック要素(23)と、前記空気流動通路(20)の方に向けられた加熱要素(24)とを有しており、
前記蒸発器ユニット(22)が、前記液体(18)が少なくとも初期に毛細管現象により前記貯蔵タンク(17)からこの蒸発器ユニット(22)を通って前記空気流動通路(20)の方向に搬送可能であるように、液体浸透性に形成されている、
上記蒸発器カートリッジ(10)において、
前記貯蔵タンク(17)が、内部で、構造的に主容積部(25)と少なくとも1つの副容積部(26)とに分割されており、
前記主容積部(25)と前記副容積部(26)とが、互いに液体連結されており、且つ、
前記液体(18)が前記主容積部(25)から専ら且つ強制的に前記副容積部(26)を介して前記ウィック要素(23)との接触状態にされ得るように、前記副容積部(26)だけが、前記蒸発器ユニット(22)に対する直接的な接触状態にある、
ことを特徴とする蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項2】
前記貯蔵タンク(17)は、内部で、分離壁(27)またはその種の他のものによって、前記主容積部(25)と少なくとも1つの前記副容積部(26)とに分割されており、
前記副容積部(26)が、前記主容積部(25)からの前記液体(18)の収容のために、前記主容積部との液体結合の状態にある、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項3】
前記副容積部(26)は、中間貯蔵部を形成し、且つ、前記主容積部(25)と、前記蒸発器ユニット(22)の前記ウィック要素(23)との間の液体結合を形成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項4】
前記中間貯蔵部は、前記ウィック要素(23)を、前記副容積部(26)と前記主容積部(25)との間の前記液体結合の形成のための少なくとも1つのアクセス開口部(28)を除いて、前記主容積部(25)に対して遮蔽している、
ことを特徴とする請求項3に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項5】
前記蒸発器カートリッジは、
前記貯蔵タンク(17)の前記主容積部(25)の形成のためのタンクカバー(29)と、
前記主容積部(25)の内部で、中間貯蔵部としての、前記貯蔵タンク(17)の前記副容積部(26)の形成のための、収容室(30)を形成するアダプター(31)と、
前記空気流動通路(20)またはこの空気流動通路の一部を形成する、中空体(19)としての通路要素(32)と、
を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項6】
前記蒸発器カートリッジは、担持要素(34)を備えており、
この担持要素が、一方では、前記空気流動通路(20)またはこの空気流動通路の一部の形成のための通過流路(35)を、および、他方では、前記蒸発器ユニット(22)の収容のための切欠き部(36)を有しており、
前記担持要素(34)と前記蒸発器ユニット(22)とが、1つの構造ユニットを形成し、この構造ユニットが、前記アダプター(31)の前記収容室(30)の内部で、周囲環境に対して密閉的に配置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項7】
前記中間貯蔵部を形成する前記副容積部(26)は、前記貯蔵タンク(17)の前記主容積部(25)と反対の方に向けられた、前記アダプター(31)の前記収容室(30)の内側面(I)と、前記蒸発器ユニット(22)と前記担持要素(34)とから形成された前記構造ユニットの外側面(A)とによって区画されており、
前記アダプター(31)の前記収容室(30)の前記内側面(I)が、前記副容積部(26)の形成のために、少なくとも部分的に前記構造ユニットの前記外側面(A)に対して離間されて配置および構成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項8】
前記担持要素(34)と前記通路要素(32)とは、前記空気流動通路(20)と共に、前記蒸発器カートリッジ(10)全体を貫いて貫通する煙道(37)を形成し、
前記担持要素(34)と前記通路要素(32)とが、互いに密閉的に結合されていることを特徴とする請求項5から7のいずれか一つに記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項9】
前記副容積部(26)を出発点として、少なくとも1つの上昇導管(44)が形成および配置されており、この上昇導管が、前記液体結合の形成のために前記主容積部(25)内へと突出していることを特徴とする請求項5から8のいずれか一つに記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項10】
少なくとも1つの流動通路(46)を有する前記上昇導管(44)の自由な端部(45)は、前記主容積部(25)からの前記液体(18)の収容のために、前記主容積部(25)を区画する、前記貯蔵タンク(17)の前記タンクカバー(29)に対して離間されて形成されていることを特徴とする請求項9に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項11】
前記上昇導管(44)の前記流動通路(46)の内部に、弁要素(47)が配置されており、この弁要素が、一方では、前記主容積部(25)から前記副容積部(26)内への前記液体(18)の流入を可能にし、且つ、他方では、前記副容積部(26)から前記主容積部(25)内への前記液体(18)の流出を、少なくとも妨げる、
ことを特徴とする請求項10に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項12】
それぞれの前記上昇導管(44)は、前記空気流動通路(20)に対してほぼ平行に整向されていることを特徴とする請求項9から11のいずれか一つに記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項13】
管体形状の前記タンクカバー(29)は、吸い口片側の端面(M)と底部側の端面(B)とを有しており、
両方のこれら端面(M、B)が、蓋要素(33)によって、密閉的に閉鎖されており、
少なくとも1つの蓋要素(33)が、前記貯蔵タンク(17)の充填のために、解離可能に前記タンクカバー(29)に固定されている、
ことを特徴とする請求項5から12のいずれか一つに記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項14】
底部側に配置された前記蓋要素(33)は、解離可能に、前記タンクカバー(29)と結合されていることを特徴とする請求項13に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項15】
吸い口片側の前記蓋要素(33)は、前記タンクカバー(29)と共に1つの部材から成るように形成されており、吸い口片側の前記蓋要素(33)が、吸い口片(16)として成形されていることを特徴とする請求項13または14に記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項16】
前記アダプター(31)は、微細穿孔部及び/または微細開口部(43)を有しており、及び/または、前記タンクカバー(29)及び/または前記蓋要素(33)と共に形成しており、
前記微細穿孔部及び/または微細開口部を通って、前記液体(18)が、前記主容積部(25)から前記副容積部(26)内へと搬送可能である、
ことを特徴とする請求項5から15のいずれか一つに記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項17】
前記副容積部(26)は、少なくとも部分的に、液体(18)を貯蔵する材料、有利には粒状物質状の粒、によって充填されていることを特徴とする請求項1から16のいずれか一つに記載の蒸発器カートリッジ(10)。
【請求項18】
吸入器(11)であって、この吸入器が、作用物質を添加された蒸気の吸引のために形成および構成されており、
この吸入器が、少なくとも1つの電子式の制御ユニット(12)とエネルギー供給源(13)とを備えているカートリッジ担持体(14)、並びに、蒸発器カートリッジ(10)を備えている、前記吸入器において、
請求項1から17のいずれか一つによる前記蒸発器カートリッジ(10)が形成および構成されていることを特徴とする吸入器(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入器の構成要素としての蒸発器カートリッジに関し、この蒸発器カートリッジが、
液体の収容および貯蔵のための少なくとも1つの貯蔵タンクと、貫通した空気流動通路を有する少なくとも1つの中空体とを備えており、
その際、前記貯蔵タンクが、前記空気流動通路への少なくとも1つのアクセス開口部を有しており、且つ、それぞれの前記アクセス開口部の領域内において、前記アクセス開口部全体にわたって延在する蒸発器ユニットが配置されており、この蒸発器ユニットが、前記貯蔵タンクの方に向けられたウィック要素と、前記空気流動通路の方に向けられた加熱要素とを有しており、
その際、前記蒸発器ユニット、前記液体が少なくとも初期に毛細管現象により前記貯蔵タンクからこの蒸発器ユニットを通って前記空気流動通路の方向に搬送可能であるように、液体浸透性に形成されている。
【0002】
本発明は、更に、吸入器に関し、この吸入器が、作用物質を添加された蒸気の吸引のために形成および構成されており、
この吸入器が、少なくとも1つの電子式の制御ユニットとエネルギー供給源とを備えているカートリッジ担持体、並びに、蒸発器カートリッジを備えている。
【背景技術】
【0003】
そのような蒸発器カートリッジおよび吸入器は、嗜好品産業、ここで特に電子式のシガレット、いわゆるE-シガレット、との関連において、並びに、医療の領域内において、流動性の嗜好品及び/または流動性の医療用の製品を蒸気の形態で及び/またはエアロゾルとして吸引可能とするために使用される。
消費の際に、通常、人は、吸入器の吸い口片を吸い、このことによって、空気流動通路内において吸入圧が生じ、この吸入圧が、この空気流動通路を通る空気流を生成する。空気流は、しかしながら、同様に機械的に、例えばポンプによっても生成され得る。
消費する人に、エアロゾル、または、エアロゾル-蒸気混合物を与えるために、空気流動通路内において、空気流に、蒸発器ユニットによって準備された、蒸発させられた液体が付加される。液体は、蒸発器カートリッジにおいて、または、内において貯蔵されている。液体として、同じまたは異なる蒸気密度の、異なる成分を有する種々の混合物が使用される。
電子式のシガレットにおける使用のための典型的な混合物は、例えば、グリセリンおよびプロピレングリコールの成分を有しており、場合によっては、ニコチン及び/またはほぼ適宜の味覚物質だけが添加される。医療用または治療用の領域内における使用のため、例えば喘息薬剤の吸引のために、この混合物が、相応して医療用の成分および作用物質を有することは可能である。
【0004】
蒸発器カートリッジの個々の構成要素、即ち貯蔵タンク、中空体、および、蒸発器ユニットが、共通の1つの構造部材内において統合されていることは可能であり、
その際、この構造部材は、
その場合に、消費する人による吸入パフの最終的な数のために構成されている使い捨て品物であり、且つ、
少なくとも1つの電子式の制御ユニットとエネルギー供給源とを備える、再利用可能な複数回使用品物としてのカートリッジ担持体と共に、1つの吸入器を形成する。
蒸発器カートリッジが、しかしながら同様に、最初に複数の構造部材の組み合わせによって形成されていることも可能であり、その際、個々の構造部材、即ち特に中空体と蒸発器ユニットが、複数回使用品物としてのカートリッジ担持体内において配置されており、且つ、別個の構造部材としての貯蔵タンクが、使い捨て品物を形成する。最終的に、吸入器は、通常、液体を備えている使い捨て品物の交換によって、可変に使用可能である。
【0005】
相応して、使い捨て品物と複数回使用品物とは、互いに解離可能に結合されている。複数回使用品物としてのカートリッジ担持体は、通常、少なくとも1つの電子式の制御ユニットとエネルギー供給源とを備えている。エネルギー供給源は、例えば、電気化学的な使い捨てバッテリー、または、再充電可能で電気化学的な蓄電池、例えばリチウムイオン電池であり、この蓄電池を用いて、加熱要素が、蒸発器ユニットの電気的な接点を介して、エネルギーを供給される。
電子式及び/または電気式の制御ユニットは、蒸発器カートリッジの内部での、蒸発器ユニットの制御のために利用される。カートリッジ担持体が、しかしながら、同様に蒸発器カートリッジの構成要素を備えていることも可能である。
使い捨て品物は、差し込み部材として複数回使用品物に差し込み可能に、または、装入部材として複数回使用品物内に装入可能に形成されていることは可能である。差し込み結合の代わりに、同様に、ねじり結合、スナップ止め結合、または、他のクイック結合も使用可能である。使い捨て品物と複数回使用品物との結合によって、機能準備の整った吸入器の形成のための、機械的且つ電気的な連結は形成される。
【0006】
中心的且つ最終的な(例えば電子式のシガレットまたは医療用の吸入器としての)利用を規定するコンポーネントは、蒸発器カートリッジの構成要素としての貯蔵タンクである。この蒸発器カートリッジは、通常、人によって選択され、所望され、及び/または、必要とされる液体もしくは液体混合物(以下で同様に一般的に流体とも称される)を有する貯蔵タンクと、並びに、流動通路を形成する中空体と、および、蒸発器ユニットとを備えている。
流体(液体)は、蒸発器カートリッジの貯蔵タンク内において貯蔵されている。液体浸透性の蒸発器ユニットを用いて、流体は、貯蔵タンクから、少なくとも初期に毛細管現象による搬送に基づいて、ウィック要素と加熱要素とを通って導かれる。
エネルギー供給源によって生成された、加熱要素において印加される電圧は、この加熱要素内において電流を誘起し、この加熱要素が、有利には、平面状の且つ平らな、例えば基本的にシリコンから成る、または、シリコンまたはpドープまたはnドープされたシリコンを有する、MEMS構造部材(Micro-Electro-Mechanical-System-Bauteil(微小電気機械システム))である。加熱抵抗、有利には加熱要素のオーム抵抗に基づいて、この電流が、この加熱要素の加熱を誘起し、且つ、最終的に、蒸発器ユニット内において存在する流体の蒸発を誘起する。
このようにして生成された蒸気及び/またはエアロゾルは、蒸発器ユニットから、空気流動通路への方向に逃散し、且つ、空気流動の蒸気添加物として混ぜ合わせられる。流体は、従って、予め与えられた流動方向を有する予め与えられた経路を有しており、即ち、流体として、ウィック要素を通って加熱要素への、およびこの加熱要素通って、および、蒸気形態で、この加熱要素から空気流動通路内への経路を有している。
例えば消費する人が空気流動通路を吸うかまたはポンプが空気流動通路を通る空気流を搬送するというやり方で、空気流動通路が加圧/負圧によって作用された場合に、空気流動通路内において、蒸発させられた流体は空気流によって随伴され、その際、蒸気/霧、及び/または、エアロゾルが形成される。
【0007】
流体が、貯蔵タンクから、直接的にではなく、空気流動通路内へと流動するために、蒸発器ユニットは、この貯蔵タンクから空気流動通路へのアクセス部を完全に覆っている。「完全に覆っている」は、この関連において、液体(流体)が、強制的に蒸発器ユニットを通って導かれており、従って、流体が貯蔵タンクから空気流動通路内へと、直接的に到達可能ではなく、むしろ、ウィック要素と加熱要素とを介しての「迂回路」を取る必要があることを意味する。
ウィック要素は、一方では、特にほぼ空の貯蔵タンクの際に、未だに十分な流体を吸入器における少しのパフのために提供するための、流体の中間貯蔵部として利用される。このウィック要素は、他方では、特に、貯蔵タンクから加熱要素への方向の流体の輸送に利用され、且つ、同時に、貯蔵タンクへの方向における流体、及び/または、気体もしくは蒸気の逆流を阻止するため、並びに、より高い温度の際の流体の個々の成分の濃縮を防止するための、一種の逆戻り防止として作用される。
【0008】
公知の蒸発器カートリッジは、中間貯される液体容量が、ウィック要素の-極めて限定された-容量によって制限されていることの欠点を有している。このことは、液体がウィック要素内において存在している限り、ただ液体が加熱要素を介して蒸発され得るだけであることを誘起する。
ウィック要素内において中間貯蔵される液体が完全に蒸発されている場合、液体によって湿潤されていること無しにこのウィック要素に隣接する加熱要素は加熱されており、このことは、いわゆる「ドライパフ(Dry puff)」を誘起する。「ドライパフ」は、空気流動通路の空気流動内における増大された有害物質値を誘起し、且つ、加熱要素の機能性並びに耐用期間を著しく低減する。更に、「ドライパフ」は、「燃焼させられた」液体の理由で、同様に所望されない味覚変化を発生させる。
【0009】
相応して、貯蔵タンクからの液体でもってのウィック要素の連続的な供給もしくは永続的な湿潤は必要である。
公知の蒸発器カートリッジにおいて、貯蔵タンクからの液体でもってのウィック要素の連続的な供給は、しかしながら、強度にこの蒸発器カートリッジ、および、特に貯蔵タンクの空間的な整向状態に依存する。このウィック要素は、空間的に、即ち、このウィック要素がただ完全に充填された貯蔵タンクの場合にだけ液体に対する直接的な接触の状態にあるように、貯蔵タンクに対して形成および整向されている。
逆の推論において、このことは、ウィック要素が、少なくとも部分的に空にされた貯蔵タンクにおいて、蒸発器カートリッジ、および、特に貯蔵タンクの全ての空間的な整向状態において、例えばウィック要素が、貯蔵タンク内における液体レベルの上方に位置する場合、液体との接触状態にないことを意味する。
この位置関係によって、ウィック要素の連続的な供給は、少なくとも一時的に中断されており、特に、前記された「ドライパフ」の不利な効果によって、加熱要素が、-ウィック要素の少ない中間貯蔵部容積に基づいて-同様にただ極めて制限されて、ウィック要素から、液体を供給される。
【0010】
要約すれば、貯蔵タンクからの液体でもってのウィック要素への供給は、姿勢に依存し、且つ、不連続的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の根底をなす課題は、容易且つ安いコストで製造され得る蒸発器カートリッジを提案することであり、この蒸発器カートリッジが、いわゆる「ドライパフ」-現象の防止のために、液体でもっての連続的且つ信頼性の高いウィック要素の供給を、しかもこの蒸発器カートリッジの空間的な整向状態に依存せずに保証する。
この課題は、更に、相応する吸入器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、冒頭に記載された様式の蒸発器カートリッジによって、
前記貯蔵タンクが、内部で、構造的に主容積部と少なくとも1つの副容積部とに分割されており、
その際、前記主容積部と前記副容積部とが、互いに液体連結されており、且つ、
前記液体が前記主容積部から専ら且つ強制的に前記副容積部を介して前記ウィック要素との接触状態にされ得るように、前記副容積部だけが、前記蒸発器ユニットに対する直接的な接触状態にある、
ことによって解決される。
主容積部は、空間的に全面的に区画された収容室である。副容積部-液体連結を除いて-は、空間的に全面的に区画された収容室であり、この収容室が、有利には、主容積部よりも小さい。
本発明の趣旨における「液体連結」は、主容積部と副容積部との間の液体のやり取りが行われ得ることを意味する。本発明の趣旨における「直接的な接触」は、蒸発器ユニットの構成要素としてウィック要素が、副容積部によって、主容積部に対して、いわば遮蔽され、従って、液体が、主容積部から、ただ副容積部だけを通って、ウィック要素へと到達可能であることを意味する。相応して、この目的のために、主容積部は、ウィック要素に対してただ間接的な接触の状態にあるだけである。
最終的に、ウィック要素は、副容積部内において位置し、従って、このウィック要素が、貯蔵タンク、特に主容積部の姿勢/位置/整向(=空間的な整向状態)に依存せずに、均等且つ連続的に液体を供給される。仮に、その整向状態においてウィック要素が主容積部の液体レベルの上方に位置する、蒸発器カートリッジの空間的な該整向状態においてさえも、このウィック要素は、副容積部から液体を供給され、従って、加熱要素の乾燥状態は防止される。
専ら副容積部だけがウィック要素に対する直接的な接触状態にあることによって、ウィック要素への供給は、貯蔵タンクの主容積部の空間的な整向状態に依存せずに保証されており、このことによって、「ドライパフ」-現象は、効果的に防止される。通常、副容積部は、ウィック要素の-ただ極めて制限された-貯蔵容積を拡大し、従って、仮に、空の主容積部の際でさえも、液体でもっての、改善された且つより長いウィック要素への供給が、付加的な吸入パフのために保証されている。
【発明の効果】
【0013】
有利には、前記貯蔵タンクは、内部で、分離壁またはその種の他のものによって、前記主容積部と少なくとも1つの前記副容積部とに分割されており、
その際、前記副容積部が、前記主容積部からの前記液体の収容のために、前記主容積部との液体結合の状態にある。
本発明の趣旨における「分離壁」は、それぞれの構造的なコンポーネントであり、これらコンポーネントが、貯蔵タンクの内側容積を別個の2つのチャンバーに分割することに適合されている。これらチャンバーは、少なくとも1つの開口部によって互いに結合されており、従って、液体が、主容積部から、ウィック要素の方に向けられた副容積部へと流動し、且つ、ウィック要素に連続的に液体を供給するために、この副容積部内において中間貯蔵され得る。
このことによって、同様に加熱要素も、比較的に高い信頼性で、且つ、主容積部およびこの主容積部の空間的な整向状態に比較的に依存せずに、液体を供給され得る。特に吸入器の構成要素としての蒸発器カートリッジの充填の際、並びに、この蒸発器カートリッジの通常の操作の際に、例えば傾倒、旋回、または、回転によって、液体は、主容積部から、このまたはそれぞれの開口部を通って、その副容積部からウィック要素が供給される該副容積部内へと到達する。
【0014】
蒸発器カートリッジの有利な更なる構成は、
前記副容積部が、中間貯蔵部を形成し、且つ、前記主容積部と、前記蒸発器ユニットの前記ウィック要素との間の液体結合を形成することによって特徴付けられている。
中間貯蔵部は、液体の1つの貯蔵量を、ウィック要素の直ぐ近くにおいて貯蔵し、従って、このウィック要素への液体の供給もしくはこのウィック要素の湿潤が、主容積部の充填状態に依存せずに保証されている。副容積部は、液体のための一種の通過チャンバーを形成し、従って、ウィック要素が、この副容積部を介して、主容積部からの液体と液体結合の状態にある。
【0015】
合目的に、前記中間貯蔵部は、前記ウィック要素を、前記副容積部と前記主容積部との間の前記液体結合の形成のための少なくとも1つのアクセス開口部を除いて、前記主容積部に対して遮蔽している。
本発明の趣旨における「遮蔽」は、主容積部からの液体が、ウィック要素への如何なる直接的なアクセス部も有してなく、むしろ、強制的に、副容積部を通っての経路を取る必要があることを意味する。
【0016】
蒸発器カートリッジの有利な実施形態は、
前記蒸発器カートリッジが、
前記貯蔵タンクの前記主容積部の形成のためのタンクカバーと、
前記主容積部の内部で、中間貯蔵部としての、前記貯蔵タンクの前記副容積部の形成のための、収容室を形成するアダプターと、
前記空気流動通路またはこの空気流動通路の一部を形成する、中空体としての通路要素と、
を備えていることによって特徴付けられている。
タンクカバーとアダプターと通路要素とは、1つの部材から成るように、例えば射出成形方法またはその種の他の方法において、製造および形成され得る。1つの部材から成る構成は、特に容易な且つ安いコストの製造を可能にする。
上述のこれらコンポーネントが、しかしながら、同様に、別個に形成されていることも可能であり、その際、これらコンポーネントが、その場合に、例えば、押圧嵌合部を用いて互いに結合されている。
【0017】
有利には、
前記蒸発器カートリッジは、担持要素を備えており、
この担持要素が、一方では、前記空気流動通路またはこの空気流動通路の一部の形成のための通過流路を、および、他方では、前記蒸発器ユニットの収容のための切欠き部を有しており、
その際、前記担持要素と前記蒸発器ユニットとが、1つの構造ユニットを形成し、この構造ユニットが、前記アダプターの前記収容室の内部で、周囲環境に対して密閉的に配置されている。
この有利に前もって製造された構造ユニットは、一種のプラグイン要素(Plug-in-Element)として、容易に組み付けされ得、その際、アダプターを有するこの構造ユニットが、特に液体によっての貯蔵タンクの充填の以前に、タンクカバー内へと装入可能である。このことによって、貯蔵タンクは、既に充填の以前に少なくとも部分的に閉鎖されており、従って、貯蔵タンク内における汚染に対する保護が存在する。
【0018】
有利には、前記中間貯蔵部を形成する前記副容積部は、前記貯蔵タンクの前記主容積部と反対の方に向けられた、前記アダプターの前記収容室の内側面と、前記蒸発器ユニットと前記担持要素とから形成された前記構造ユニットの外側面とによって区画されており、
その際、前記アダプターの前記収容室の前記内側面が、前記副容積部の形成のために、少なくとも部分的に前記構造ユニットの前記外側面に対して離間されて配置および構成されている。
このことによって、中間室が形成されており、この中間室内において、液体が貯蔵され得る。アダプターが、例えばつぼ状の形態を有していることは可能であり、その際、構造ユニットが、このアダプターの内部において位置し、従って、ウィック要素が、永続的および直接的に、中間貯蔵部内において存在する液体との接触状態にある。
【0019】
有利な実施形態において、前記担持要素と前記通路要素とは、前記空気流動通路と共に、前記蒸発器カートリッジ全体を貫いて貫通する煙道を形成し、
その際、前記担持要素と前記通路要素とが、互いに密閉的に結合されている。
この密閉的な結合は、例えば1つの部材から成るような形成によって製造され得る。有利には、担持要素と通路要素とは、しかしながら、互いの中へ差し込まれまたは互いに接し合って差し込まれている、別個のコンポーネントである。
担持要素の通路形状の部分は、通路要素内へと差し込まれており、その際、この担持要素の通路形状の部分とこの通路要素との間に密閉要素が配置されている。選択的に、担持要素の通路形状の部分は、同様に通路要素の上に差し込まれており、または、他の方法で密閉的にこの通路要素と結合されていることは可能である。
【0020】
特に有利には、前記副容積部を出発点として、少なくとも1つの上昇導管が形成および配置されており、この上昇導管が、前記液体結合の形成のために前記主容積部内へと突出している。
上昇導管を用いて、主容積部と副容積部との間の液体結合が形成されていることは可能である。上昇導管が、唯一の液体結合を具現することは可能である。
上昇導管は、しかしながら、同様に、他の開口部、穿孔部、間隙部、等に対して補足的に、液体結合を最適化することは可能であり、従って、中間貯蔵部が、高い信頼性で、主容積部から液体を供給される。
【0021】
合目的に、少なくとも1つの流動通路を有する前記上昇導管の自由な端部は、前記主容積部からの前記液体の収容のために、前記主容積部を区画する、前記貯蔵タンクの前記タンクカバーに対して離間されて形成されている。
タンクカバーに対する、もしくは、貯蔵タンクの他の区画部に対する上昇導管の自由な端部の間隔によって、上昇導管の充填のための間隙もしくはアクセス部は提供される。同様に複数の上昇導管が設けられていることも可能であり、これら上昇導管が、異なる領域内において、中間貯蔵部内へと開口している。
主容積部から副容積部内への液体の供給量を一定に高く保持するために、それぞれの上昇導管が、同様に1つよりも多くの流動通路を有していることは可能である。
【0022】
特に有利には、前記上昇導管の前記流動通路の内部に、弁要素が配置されており、この弁要素が、一方では、前記主容積部から前記副容積部内への前記液体の流入を可能にし、且つ、他方では、前記副容積部から前記主容積部内への前記液体の流出を、少なくとも妨げる、または、防止する。
例えば、流動通路内において、ボールバルブが配置されていることは可能であり、このボールバルブが、副容積部から主容積部内への液体の還流を防止するために、例えば、専ら、重力によってだけ、または、ばね要素を用いてだけで、ボールを閉鎖位置において保持し、その際、このボールが、重力及び/または主容積部から流動する液体によって、この閉鎖位置から押圧され、従って、液体が、主容積部から副容積部内へと、もしくは、中間貯蔵部内へと流動可能である。
【0023】
有利には、それぞれの前記上昇導管は、前記空気流動通路に対してほぼ平行に整向されている。
この整向によって、中間貯蔵部内への特に効果的な液体の供給は保証されている。
【0024】
蒸発器カートリッジの有利な更なる構成は、
管体形状の前記タンクカバーが、吸い口片側の端面と底部側の端面とを有しており、
その際、両方のこれら端面が、蓋要素によって、密閉的に閉鎖されており、
その際、少なくとも1つの蓋要素が、前記貯蔵タンクの充填のために、解離可能に前記タンクカバーに固定されている、
ことによって特徴付けられている。
このことによって、一方では、蒸発器カートリッジの予組み付けが、他方では、液体でもっての貯蔵タンクの容易な充填が保証されている。密閉要素とタンクカバーとの密閉的な結合は、1つの部材から成るような形成/製造によって、または、例えば簡単なOリングまたはその種の他のもののような密閉要素によって、達成され得る。
【0025】
特に有利には、底部側に配置された前記蓋要素は、解離可能に、前記タンクカバーと結合されている。
この構成によって、液体でもっての貯蔵タンクの底部側の充填は、特に容易に実現可能である。蓋要素として、別個の蓋が使用され得る。他の実施形態において、蓋要素は、同様に担持要素及び/またはアダプターのフランジ状の部分によっても形成され得る。最終的に、しかしながら、同様に、吸い口片側の蓋要素が、または、底部側の蓋要素と吸い口片側の蓋要素とが、解離可能にタンクカバーに固定されていることも可能である。
【0026】
有利には、吸い口片側の前記蓋要素は、前記タンクカバーと共に1つの部材から成るように形成されており、その際、吸い口片側の前記蓋要素が、吸い口片として成形されている。
このことによって、間隙、結合継ぎ目、粘着位置、またはその種の他のものが省略され得、このことは、特に、吸い口片が蒸発器カートリッジを利用する人によって吸引のために口内へと運び入れられることの背景から、改善された利用特性を可能にする。しかしながら、それら部材において、コンポーネントが例えば粘着またはレーザ加工された、同様に複数の該部材から成るような構成も、基本的に可能である。
【0027】
特に有利には、アダプターは、微細穿孔部及び/または微細開口部を有しており、及び/または、これら微細穿孔部及び/または微細開口部を、タンクカバー及び/または通路要素及び/または蓋要素と共に形成しており、
これら微細穿孔部及び/または微細開口部を通って、液体が主容積部から副容積部内へと搬送可能である。
これに伴って、副容積部内への液体の最適な供給が保証される。特に微細穿孔部及び/または微細開口部、等は、個々のコンポーネントの製造/形成の際に、付加的な手間暇無しに生成する。
逆に、しかもその上、安いコストで製造され得る。何故ならば、これらコンポーネントが、より大きな許容差を有して-および、これに伴ってより安いコストで-製造され得、これらコンポーネントが、その場合に、それら間隙寸法によって液体が副容積部内へと流動/ゆっくり動くことが可能である、該間隙寸法を誘起するからである。
【0028】
有利には、前記副容積部は、少なくとも部分的に、液体を貯蔵する材料、有利には粒状物質状の粒、によって充填されている。
このことによって、ウィック要素に対して直ぐ近くにおける貯蔵容積は最適化される。
最終的に、不織布材料、及び/または、発泡材料、及び/または、繊維材料、粒状物質状の粒、及び/または、液体を貯蔵する他の材料または材料混合物によって、部分的または完全に充填された副容積部は、ウィック要素の一種の拡張部/拡大部を形成し、このことによって、主容積部によるウィック要素への供給の際のより大きな非依存性が、しかもタンク容積の充填可能性を制限または妨害すること無しに、達成される。
【0029】
この課題は、冒頭に記載された様式の吸入器によって、
請求項1から17のいずれか一つによる前記蒸発器カートリッジが形成および構成されていることによって解決される。
【0030】
そこから与えられる利点は、既に、蒸発器カートリッジとの関連において記載されており、その理由で、ここで繰返しを回避するために、前記の説明を参照されたい。
【0031】
蒸発器カートリッジおよび吸入器に関する、更に別の合目的及び/または有利な特徴、および、更なる構成は、従属請求項、および、明細書から与えられる。蒸発器カートリッジと吸入器との特に有利な実施形態を、添付された図に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】カートリッジ担持体と蒸発器カートリッジとを有する、本発明に従う吸入器の有利な実施形態の概略の図である。
図2】本発明に従う蒸発器カートリッジの第1の実施形態の断面図である。
図3】本発明に従う蒸発器カートリッジの更に別の実施形態の図である。
図4】本発明に従う蒸発器カートリッジの更に別の実施形態の図である。
図5】本発明に従う蒸発器カートリッジの更に別の実施形態の図である。
図6】本発明に従う蒸発器カートリッジのためのアダプターの更に別の実施形態の図である。
図7】本発明に従う蒸発器カートリッジのためのアダプターの更に別の実施形態の図である。
図8】本発明に従う蒸発器カートリッジのためのアダプターの更に別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図内において図示された蒸発器カートリッジは、作用物質、例えばニコチンを添加された蒸気及び/または液体から成るエアロゾルの、吸引のための吸入器の構成要素として利用され、および、相応して、電子式のシガレットとの関連において説明されている。
蒸発器カートリッジと吸入器とは、同じ方法において、医薬品の及び/または栄養補充的な製品から成る、医療用の作用物質を添加された蒸気の吸入のために使用可能である。
【0034】
図示された蒸発器カートリッジ10は、吸入器11の1つの構成要素を形成する。この目的のために、蒸発器カートリッジ10は、少なくとも1つの電子式の制御ユニット12とエネルギー供給源13とを備えるカートリッジ担持体14との、機械的および電気的な結合のために形成、および、構成されており、その際、電気的な接点15が、蒸発器カートリッジ10から、エネルギー供給源13との電気的な接触のために、カートリッジ担持体14へと通じている(特に図1参照)。
吸入器11は、人が吸い口片16を吸うというやり方で、例えば電子式のシガレットとして、例えば吸引する人により作動状態にされ得、または、例えば、人が自身でもはやまたは十分に吸引可能ではない場合のための医療用の器具として、例えばポンプによって作動状態にされ得る。
【0035】
吸入器11の構成要素としての、図2から5まで内において図示されている蒸発器カートリッジ10は、液体18の収容および貯蔵のための少なくとも1つの貯蔵タンク17と、貫通した空気流動通路20を有する少なくとも1つの中空体19とを備えており、
その際、この貯蔵タンク17が、空気流動通路20への少なくとも1つのアクセス開口部21を有しており、且つ、それぞれのアクセス開口部21の領域内において、アクセス開口部21全体にわたって延在する蒸発器ユニット22が配置されており、この蒸発器ユニットが、貯蔵タンク17の方に向けられたウィック要素23と、空気流動通路20の方に向けられた加熱要素24とを有しており、
その際、蒸発器ユニット22が、液体18が少なくとも初期に毛細管現象により貯蔵タンク17からこの蒸発器ユニット22を通って空気流動通路20の方向に搬送可能であるように、液体浸透性に形成されている。
【0036】
その中空体の少なくとも1つの空気流動通路20を有する、2つまたは複数の空気流動通路20を有することも同様に可能である該中空体19は、吸引通路/煙道を形成する。中空体19の形状が、空気流動通路20の経過と同様に、ほぼ適宜であることは可能である。
それぞれの空気流動通路20の流入側Esが、例えば空気を吸入可能とするために、周囲環境に対して開放性であること、および、負圧を、特に消費する人の吸引によって、生成するために、流出側Asが開放性であることは重要である。「開放」は、この関連において、流入側Esと流出側Asとが、通気的であることを意味する。
貯蔵タンク17と空気流動通路20との間のアクセス開口部21の領域内において、蒸発器ユニット22は、一種の液体遮断部を形成し、この液体遮断部が、液体18が貯蔵タンク17から直接的に且つ液体18として空気流動通路20内へと流動すること、を防止する。
同様に2つまたは複数の貯蔵タンク17が設けられていることも可能である、貯蔵タンク17、および、中空体19の形状および形成、並びに、この中空体19に対するこの貯蔵タンク17の配置/位置決めに依存せずに、蒸発器ユニット22は、液体18が強制的に貯蔵タンク17から空気流動通路20の方向に案内され、且つ、遅くとも、蒸発器ユニット22からの流出の際に気体もしくは蒸気として空気流動通路20内へと引き渡されることを保障する。
【0037】
この蒸発器カートリッジ10は、本発明に従い、貯蔵タンク17が、内部で、構造的に主容積部25と少なくとも1つの副容積部26とに分割されており、
その際、主容積部25と副容積部26とが、互いに液体連結されており、且つ、
液体18が主容積部25から専ら且つ強制的に副容積部26を介してウィック要素23との接触状態にされ得るように、副容積部26だけが、蒸発器ユニット22に対する直接的な接触状態にある、
ことによって特徴付けられている。
【0038】
ウィック要素23と加熱要素24とを備える蒸発器ユニット22を通っての貫流の際に、蒸発器カートリッジ10の領域内において、貯蔵タンク17の液体18から、空気流動通路20に向かって、蒸気及び/またはエアロゾルが形成され、
その際、そのウィック要素23が、例えば複数の互いに製織された/捻られた糸/繊維、例えば木綿またはグラスファイバーから形成されたファイバーウィックとして、1つの部材から成るおよびセラミックの材料から成るウィックブロックとして、または、粒状物質状の粒から形成されたウィック要素として形成されていることが可能である、
多孔性の、且つ、微細通路及び/または微細開口部を有する、該ウィック要素23の構造が、
一方では液体18のための蓄積媒体を形成し、且つ、他方では流動抵抗部を具現する。
液体18の流動方向は、貯蔵タンク17から蒸発器ユニット22を通って空気流動通路20の方向に行われる。
【0039】
本発明に従う蒸発器カートリッジ10が、使い捨て品物として、1つの構造ユニットであることは可能であり、この構造ユニットが、貯蔵タンク17、中空体19、および、蒸発器ユニット22のコンポーネントを備えている。
蒸発器カートリッジ10は、しかしながら、同様に、複数の部材から成るように形成されていることも可能であり、
その際、この蒸発器カートリッジ10のコンポーネントが、
例えば貯蔵タンク17が使い捨て品物であり、この貯蔵タンクが、
複数回使用品物であることが可能であり且つ電子式の制御ユニット12およびエネルギー供給源13と並んで同様に例えば中空体19および蒸発器ユニット22のような蒸発器カートリッジ10の構成要素も備えていることが可能である、カートリッジ担持体14との合体の際に初めて、蒸発器カートリッジ10の構造ユニットを誘起するように、
使い捨て品物と複数回使用品物とに分配される。
蒸発器カートリッジ10は、相応して、この蒸発器カートリッジのコンポーネント、即ち、貯蔵タンク17、空気流動通路20を有する中空体19、および、蒸発器ユニット22に関して規定され、且つ、
複数回使用品物もしくは使い捨て品物のためのコンポーネントの構成的な/構造的な対応関係に関しては規定されない。
【0040】
以下で記載される特徴および更なる構成は、自体で見て、または、本願発明の有利な実施形態の互いの組み合わせにおいて具現する。請求の範囲及び/または明細書及び/または図内においてまとめられている、または、共通の実施形態において説明されている、これら特徴が、同様に機能的に独自にも、更に別の前記された蒸発器カートリッジ10を更に構成することが可能であることは、明確に指摘される。
【0041】
図2から5までに従う、蒸発器カートリッジ10の全ての有利な実施形態において図示されているように、貯蔵タンク17は、内部で、分離壁27またはその種の他のものによって、主容積部25と少なくとも1つの副容積部26とに分割されており、その際、この副容積部26が、この主容積部25からの液体18の収容のために、この主容積部との液体結合の状態にある。
分離壁27として、有利にはつぼ形の要素が利用され、このつぼ形の要素は、一方の側で中空体19と結合されており、且つ、他方の側で蒸発器ユニット22を少なくとも半径方向に完全に囲繞している。分離壁27として、しかしながら同様に構造的に異なって形成されている要素またはコンポーネントも使用され得、この分離壁が、一方では、蒸発器ユニット22および具体的にはウィック要素23への、主容積部25からの液体18の直接的な供給を防止し、且つ、他方では、液体18の収容のための収容室を形成する。
副容積部26は、液体18のための中間貯蔵部を形成し、且つ、主容積部25と、蒸発器ユニット22のウィック要素23との間の液体結合を形成する。この中間貯蔵部は、ウィック要素23を、副容積部26と主容積部25との間の液体結合の形成のための少なくとも1つのアクセス開口部28を除いて、主容積部25に対して遮蔽している(例えば、図2参照)。
個々の実施形態において、単独のアクセス開口部28が形成されていることは可能である。有利には、しかしながら、複数のアクセス開口部28が設けられている。この目的のために、更に以下で、更に詳細に、更に別の実施例を説明する。
【0042】
選択的および有利には、蒸発器カートリッジ10は、
貯蔵タンク17の主容積部25の形成のためのタンクカバー29と、
主容積部25の内部で、中間貯蔵部としての、貯蔵タンク17の副容積部26の形成のための、収容室30を形成するアダプター31と、
空気流動通路20またはこの空気流動通路の一部を形成する、中空体19としての通路要素32とを備えている。
タンクカバー29は、特に有利には、円筒形で管体形状の本体を形成し、その際、この本体の外側および内側の形状が、この本体の横断面形状と同様に偏倚して形成されてことは可能である。タンクカバー29によって形成される本体は、2つの端面、即ち底部側の端面Bおよび吸い口片側の端面Mを有しており、これらが、蓋要素33、またはその種の他のものによって閉鎖されており、従って、液体18が確実に貯蔵タンク17の内部に貯蔵されている。
中間貯蔵部の構造的な形成のための、分離壁27としてのアダプター31が、別個のコンポーネントとして形成されていることは可能である。この場合、アダプター31は、通路要素32の上にまたは内へと差し込まれている(例えば、図2、4および5参照)。アダプター31が、しかしながら、同様に通路要素32と共に1つの部材から成るように形成されていることも可能である(例えば、図3参照)。
アダプター31は、通路要素32を底部側の端壁Bの方向に延長し、このことは、特に、底部側の端壁Bからの貯蔵タンク17の充填の際に、貯蔵タンク17の内部で、より高いが充填レベルが達成され得ることを誘起する。貯蔵タンク17全体を通じて延在可能である通路要素32は、自体、有利な実施例において、吸い口片側の端面Mを出発点として、ただ貯蔵タンク17の一部だけを通じて延在する。その通路要素の経過および断面が変化可能である該通路要素32は、例えば、簡単な管体である。
【0043】
蒸発器カートリッジ10は、有利には、更に、担持要素34を備えており、
この担持要素が、一方では、空気流動通路20またはこの空気流動通路の一部の形成のための通過流路35を、および、他方では、蒸発器ユニット22の収容のための切欠き部36を有しており、
その際、担持要素34と蒸発器ユニット22とが、1つの構造ユニットを形成し、この構造ユニットが、アダプター31の収容室30の内部で、周囲環境に対して密閉的に配置されている。
同様に内側蒸発器ユニットとも称されるこのユニットは、一方では、少なくとも部分的に、如何なる場合においても、しかしながら蒸発器ユニット22全体と共に、アダプター31の収容室30の内部で配置されており、且つ、他方では、通路要素32と結合されている。担持要素34と通路要素32とは、空気流動通路20と共に、蒸発器カートリッジ10全体を貫いて貫通する煙道37を形成し、その際、この担持要素34と通路要素32とが、互いに密閉的に結合されている。
この密閉的な結合は、例えば、1つの部材から成るような配置によって形成され得る。選択的に、この担持要素34と通路要素32とは、しかしながら、別個のコンポーネントであり、これらコンポーネントが、互いの中へ差し込まれまたは互いに接し合って差し込まれている。担持要素34の通路形状の部分38は、通路要素32内へと差し込まれており、その際、この担持要素34の通路形状の部分38と、通路要素32との間に、例えばOリングの形態の密閉要素39が配置されている。選択的に、担持要素34の通路形状の部分38が、同様に通路要素32の上に差し込まれていること、または、他の方法でこの通路要素と結合されていることも可能である。
【0044】
図示された実施形態において、中間貯蔵部を形成する副容積部26は、貯蔵タンク17の主容積部25と反対の方に向けられた、アダプター31の収容室30の内側面Iと、蒸発器ユニット22と担持要素34とから形成された構造ユニットの外側面Aとによって区画されており、その際、アダプター31の収容室30の内側面Iが、副容積部26の形成のために、少なくとも部分的に構造ユニットの外側面Aに対して離間されて配置および構成されている。
この、または、それぞれのアクセス開口部28を通って、液体18は、主容積部25から副容積部26内へと到達し、且つ、この副容積部内において中間貯蔵される。図2に従う実施形態において、アクセス開口部28は、アダプター31の壁部内において配置されている。
このことに対して付加的に、液体18は、同様に更に、例えばアダプター31の自由な縁部領域40と担持要素34との間の接触領域内における及び/またはアダプター31と通路要素32との間の差し込み領域内における組み付け嵌合部/押圧嵌合部を通って、副容積部26内へと到達可能である(この目的のために、例えば図2参照)。他の実施形態(この目的のために、例えば図5参照)において、端面側の蓋要素33に対して離間されて配置されていることが可能である自由な縁部領域40内において、少なくとも1つの流入部42が配置されていることは可能である。
選択的または重畳的に、例えば、アダプター31の周囲壁部内において同様に微細開口部43またはその種の他のものが形成されていることも可能であり、これら微細開口部が、副容積部26内への液体18の供給を補助する。
【0045】
同様に、選択的または重畳的に、蒸発器カートリッジ10の有利な実施形態において、副容積部26を出発点として、少なくとも1つの上昇導管44が形成および配置されており、この上昇導管が、液体結合の形成のために主容積部25内へと突出している(例えば図3参照)。少なくとも1つの流動通路46を有する上昇導管44の自由な端部45は、主容積部25からの液体18の収容のために、主容積部25を区画する、貯蔵タンク17のタンクカバー29または蓋要素33に対して離間されて形成されている。
上昇導管44の内部で、同様に2つまたは複数の流動通路46が形成されていることも可能である。同様に2つまたは複数の上昇導管44が配置されていることも可能であり、これら上昇導管は、主容積部25と副容積部26との間の液体結合を形成する。
選択的に、上昇導管44の流動通路46の内部に、弁要素47、またはその種の他のものが配置されており、この弁要素が、一方では、主容積部25から副容積部26内への液体18の流入を可能にし、且つ、他方では、副容積部26から主容積部25内への液体18の流出を、少なくとも妨げる。
上昇導管44、もしくは、この上昇導管内において形成された流動通路46の経過及び/または整向か変化可能である。有利には、それぞれの上昇導管44もしくは流動通路46は、空気流動通路20に対してほぼ平行に整向されている。
【0046】
図2に従う実施形態において、タンクカバー29と吸い口片側の蓋要素33とは、1つの部材から成るように形成されている。アダプター31と、通路要素32と、担持要素34とは、別個のコンポーネントである。
アダプター31は、組み付け嵌合部/押圧嵌合部の形成のもとで、自由な、底部側の端面Bの方向に指向する、通路要素32の端部の上に差し込まれ且つ固定されている。蒸発器ユニット22を有する担持要素34は、部分的に、即ち蒸発器ユニット22を有する部分によって、アダプター31の収容室30内において、ウィック要素23がアクセス開口部28の領域内において位置するように位置決めされている。
担持要素34の通路形状の部分38は、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に、通路要素32と結合されており、且つ、この通路要素に固定されている。担持要素34は、更に、フランジ状のカラー部48を備えており、従って、この担持要素が、解離可能な蓋要素33を、底部側の端面Bで形成する。
担持要素34のフランジ状のカラー部48は、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に、タンクカバー29と結合されている。加熱要素24に、電気的な接点15が、エネルギー供給源13に対する結合のために所属して設けられている。
【0047】
図3に従う実施形態は、1つの蒸発器カートリッジ10を示しており、この蒸発器カートリッジにおいて、タンクカバー29と、アダプター31と、通路要素32と、上昇導管44とが1つの部材から成るように、例えば射出成形方法において、形成および製造されている。
蒸発器ユニット22を有する担持要素34は、完全に底部側の端壁Bへと開放的に形成されている、アダプター31の収容室30の内部で、ウィック要素23がアクセス開口部28の領域内において位置決めされているように配置されている。担持要素34の通路形状の部分38は、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に、通路要素32と結合されており、且つ、この通路要素に固定されている。担持要素34は、更に、例えば簡単なOリングを用いて、周囲環境に対して、収容室30の内側面Iに対して密閉的に形成されており、且つ、これに伴って、いわば、底部側の端面Bにおける蓋要素33を形成する。
吸い口片側の端面Mにおいて、貯蔵タンク17は、解離可能な蓋要素33によって閉鎖されており、その際、この蓋要素33が、タンクカバー29に対してと同様に、通路要素32に対しても、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に形成されている。
【0048】
図4に従う蒸発器カートリッジ10において、タンクカバー29と吸い口片側の蓋要素33とが1つの部材から成るように形成されている。アダプター31と、通路要素32と、担持要素34とは、別個のコンポーネントである。
アダプター31は、組み付け嵌合部/押圧嵌合部の形成のもとで、自由な、底部側の端面Bの方向に指向する、通路要素32の端部の上に差し込まれ且つ固定されている。蒸発器ユニット22を有する担持要素34は、部分的に、即ち蒸発器ユニット22を有する部分によって、アダプター31の収容室30内において、ウィック要素23がアクセス開口部28の領域内において位置するように位置決めされている。
担持要素34の通路形状の部分38は、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に、通路要素32と結合されており、且つ、この通路要素に固定されている。
貯蔵タンク17は、底部側の端面Bで、解離可能に固定された蓋要素33によって閉鎖されており、その際、この蓋要素33が、一方では、例えば簡単なOリングを用いて、担持要素34に対して密閉的に形成されており、且つ、他方では、例えば簡単なOリングを用いて、タンクカバー29に対して密閉的に形成されている。
図4に従う構成において、吸い口片側の蓋要素33は、タンクカバー29と共に1つの部材から成るように形成されているだけでなく、この吸い口片側の蓋要素33が、同様に人による吸引のための吸い口片16としても成形されている。
【0049】
図5に従う蒸発器カートリッジ10において、タンクカバー29と吸い口片側の蓋要素33とが、同様に、1つの部材から成るように形成されており、その際、付加的に、通路要素32が、このタンクカバー29およびこの蓋要素33と共に1つの部材から成るように形成されている。
アダプター31と担持要素34とは、別個のコンポーネントである。アダプター31は、通路要素32の外側面における段落部50に対して載置されており、その際、この段落部50が、このアダプター31のための位置を規定する。蒸発器ユニット22を有する担持要素34は、部分的に、即ち蒸発器ユニット22を有する部分によって、アダプター31の収容室30内において、位置決めされている。
ウィック要素23は、半径方向に、担持要素34を中心として周囲にわたって形成されており、従って、このウィック要素23が、蒸発器カートリッジ10のそれぞれの整向状態において、少なくとも、一部分によって、副容積部26の最も低い位置において位置する。
1つの加熱要素24が設けられていることは可能である。選択的に、同様に2つの加熱要素24が設けられていることも可能である。加熱要素24が、同様に周囲に延在して形成および配置されていることも可能である。アクセス開口部28として、溢流口42が形成されている。
付加的に、アダプター31の外周面内において、1つまたは複数の微細開口部43が形成されている。担持要素34の通路形状の部分38は、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に、通路要素32と結合されており、且つ、この通路要素に固定されている。貯蔵タンク17は、底部側の端面Bで、解離可能に固定された蓋要素33によって閉鎖されており、その際、この蓋要素33が、担持要素34のフランジ状のカラー部48によって形成されている。
担持要素34のフランジ状のカラー部48は、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に、タンクカバー29と結合されている。アダプター31の自由な縁部領域40は、一方では、蓋要素33に対して離間されて配置されている。他方では、副容積部26内への液体18のためのアクセス部を提供するために、少なくとも1つの間隙58が、半径方向に整向された、アダプター31の外側面と、蓋要素33との間で形成されている。
【0050】
副容積部26が、少なくとも部分的に、液体を貯蔵する材料、有利には粒状物質状の粒、によって充填されていることは可能である。有利には、副容積部26全体は、例えば、不織布材料、または、発泡材料、または、繊維材料、または、ウィック要素23を拡張する、粒状物質状の粒によって充填されている。
密閉要素としての、一貫して説明されたOリングの代わりに、同様に他の通常の密閉材も使用され得る。如何なる上昇導管44も有していない図示された実施形態は、もちろん、そのような上昇導管によって補足され得る。
【0051】
図6から8内において、アダプター31の更に別の実施形態が図示されており、これら実施形態は、全ての前記の蒸発器カートリッジ10に統合可能である。
図6に従うアダプター31は、上昇導管44と共に1つの部材から成るように形成されている。このアダプター31は、吸い口片側の側面Sの上で、貫通開口部51を有しており、この貫通開口部内へと、通路要素32が装入可能である。この端側面は、自体、通路要素32における組み付け位置のための当接部52を形成する。底部側の側面Sに、材料低減部53が形成されており、この材料低減部は、上昇導管44から収容室30内への、液体18のための流入部/溢流口を形成する。
図7に従うアダプター31は、類似して形成されている。但し、このアダプター31の自由な縁部領域40において、流入部42が形成されている。上昇導管44内において、収容室への移行領域内において、弁要素47が配置されている。
図8に従うアダプター31は、フランジ状の部分54を、この部分54が、底部側の蓋要素33を形成するように有しており、この底部側の蓋要素が、解離可能に、且つ、例えば簡単なOリングを用いて、密閉的に、タンクカバー29と結合可能である。フランジ状の部分54内において、閉鎖可能な充填開口部55と閉鎖可能な排気開口部56とが形成されている。付加的に、アダプター31は、吸い口片側の側面Sで、通路要素32の収容のための貫通開口部51と並んで、上昇導管44の収容のための貫通開口部57を有している。
図8に従うアダプター31の利点は、蒸発器カートリッジ10全体が予組み立てされ得、且つ、液体18が充填開口部55を通って充填される場合、ほぼ完全に閉鎖された貯蔵タンク17を有しており、従って、貯蔵タンク17内における液体18の汚染の危険が明確に低減されていることにある。
【0052】
蒸発器カートリッジ10の組み付けを、図5に基づいて例示的に説明し、この組み付けの際に、液体18が底部側面Bから貯蔵タンク17内へと充填される。
先ず第一に、通路要素32を有するタンクカバー29が、1つの部材から成るように製造され、且つ、準備される。引き続いて、アダプター31が、貯蔵タンク17の底部側の、開放的な端部内へと挿入され、且つ、段落部50に対して当接する当接部52を用いて位置決めされ且つ次いで固定される。この位置決めによって、アダプター31の自由な縁部領域40内における間隙形成は保障される。
次いで、液体18が貯蔵タンク内へと、しかも、最大に自由な縁部領域40の上側エッジ部に至るまで充填される。アダプター31によって、液体18の充填高さは著しく増大され得る。何故ならば、このアダプター31が通路要素32を、いわば底部側の端面Bにおいて延長するからである。
引き続いて、ユニットとしての蒸発器ユニット22を有する担持要素34が組み付けられ、その際、担持要素34のフランジ状のカラー部48が、底部側の蓋要素33として利用され、且つ、貯蔵タンク17を閉鎖する。蒸発器カートリッジ10が、図8に従うアダプター31を有する場合、先ず第一に、液体18が供給される以前に、蒸発器カートリッジ10全体が組み付けられる。
【0053】
蒸発器カートリッジ10の組み付けを、図3に基づいて例示的に説明し、この組み付けの際に、液体18が吸い口片側面Mから充填される。
先ず第一に、タンクカバー29と、アダプター31と、通路要素32と、上昇導管44とを備える構造部材が、1つの部材から成るように製造され、且つ、準備される。引き続いて、担持要素34と蒸発器ユニット22から形成されたユニットが、アダプター31内において組み付けられる。その後、貯蔵タンク17が、吸い口片側の端面Mを介して、液体18によって充填される。この充填の後、吸い口片側の端面Mは、蓋要素33を用いて、密閉的に閉鎖される。
【0054】
本発明に従う吸入器11の機能原理を、例示的に、吸入器11としての電子式のシガレットに基づいて、特に図1との関連において説明する。
消費する人は、例えば、カートリッジ担持体14と蒸発器カートリッジ10とから形成されている吸入器11の吸い口片16を吸い、その際、蒸発器カートリッジ10の貯蔵タンク17内において、液体18が存在し、この液体が、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、および、場合によっては、更に別の作用物質及び/または味覚物質を含有している。この吸引によって、空気流動通路20内において負圧が生成され、この負圧が、それ自身、例えば、図示されていないセンサーを介して、制御ユニット12を作動状態にする。制御ユニット12は、加熱要素24を制御し、この加熱要素が、エネルギー供給源13から、エネルギーを供給される。
貯蔵タンク17からの液体18は、ウィック要素23を用いて、少なくとも初期に毛細管現象により、微細通路を通って、貯蔵タンク17、即ち主容積部25から、副容積部26を通って、ウィック要素23から加熱要素24の方向に輸送される。加熱された加熱要素24において、もしくは、内において、液体18は、気体、もしくは、蒸気へと変換され、その際、この加熱要素24が、液体18もしくはこの液体から形成された気体、もしくは、この液体から形成された蒸気を、液体浸透性、気体浸透性もしくは蒸気浸透性の構造に基づいて、空気流動通路20への方向に輸送し、且つ、この空気流動通路に引き渡す。
加熱要素24から流出する気体は、空気流動通路20内において、空気流と混合し、その際、固有の再凝縮工程/蒸気形成工程の状態となり、且つ、消費する人によって吸引され且つ吸入される。
【0055】
副容積部26によって、自体、空になったもしくは空疎にされた主容積部25の際に、未だに液体18の残余分が中間貯蔵されており、且つ、
しかも直ぐ近くにおいて、および、ウィック要素23との接触状態において中間貯蔵されており、従って、液体18でもってのウィック要素23の更なる連続的な供給が、少なくとも、幾つかの吸入パフもしくは蒸発工程のために保障されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
蒸発器カートリッジ10の組み付けを、図5に基づいて例示的に説明し、この組み付けの際に、液体18が底部側の端面Bから貯蔵タンク17内へと充填される。
先ず第一に、通路要素32を有するタンクカバー29が、1つの部材から成るように製造され、且つ、準備される。引き続いて、アダプター31が、貯蔵タンク17の底部側の、開放的な端部内へと挿入され、且つ、段落部50に対して当接する当接部52を用いて位置決めされ且つ次いで固定される。この位置決めによって、アダプター31の自由な縁部領域40内における間隙形成は保障される。
次いで、液体18が貯蔵タンク内へと、しかも、最大に自由な縁部領域40の上側エッジ部に至るまで充填される。アダプター31によって、液体18の充填高さは著しく増大され得る。何故ならば、このアダプター31が通路要素32を、いわば底部側の端面Bにおいて延長するからである。
引き続いて、ユニットとしての蒸発器ユニット22を有する担持要素34が組み付けられ、その際、担持要素34のフランジ状のカラー部48が、底部側の蓋要素33として利用され、且つ、貯蔵タンク17を閉鎖する。蒸発器カートリッジ10が、図8に従うアダプター31を有する場合、先ず第一に、液体18が供給される以前に、蒸発器カートリッジ10全体が組み付けられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
蒸発器カートリッジ10の組み付けを、図3に基づいて例示的に説明し、この組み付けの際に、液体18が吸い口片側の端面Mから充填される。
先ず第一に、タンクカバー29と、アダプター31と、通路要素32と、上昇導管44とを備える構造部材が、1つの部材から成るように製造され、且つ、準備される。引き続いて、担持要素34と蒸発器ユニット22から形成されたユニットが、アダプター31内において組み付けられる。その後、貯蔵タンク17が、吸い口片側の端面Mを介して、液体18によって充填される。この充填の後、吸い口片側の端面Mは、蓋要素33を用いて、密閉的に閉鎖される。
【国際調査報告】