(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】食事及び修正インシュリンボーラス量による血糖変化率調整
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20221114BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516108
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020050332
(87)【国際公開番号】W WO2021050827
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519167449
【氏名又は名称】インスレット コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン カーディナリ
(72)【発明者】
【氏名】チュン ポク イー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン オコナー
(72)【発明者】
【氏名】イーピン チョン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
センサ入力に基づいてインシュリン又は同種のもののような薬品の自動送出を提供する、制御アルゴリズムに基づいた薬品送出システムによるボーラス投与量の計算を提供するシステム、方法、及びコンピュータ可読媒体が開示される。血糖測定値はセンサから規則的な時間間隔で受信してもよい。血糖測定値を使用して、制御アルゴリズムは、適切なボーラス投与量を提供するために様々な計算及び決定を行ってもよい。適切なボーラス投与量は血糖測定値の軌道の傾向に応答するために使用されてもよい。加えて、ボーラス投与量は、ユーザが食事を消費したという指示に応じて、開示された装置、システム、方法及び/又はコンピュータ可読媒体製品により決定されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサにより実行可能なプログラムコードを具現化した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記プロセッサは前記プログラムコードの実行時に機能を実行するよう動作可能であり、前記機能は、
幾つかの血糖測定値をある期間に渡り受信することと、
前記幾つかの血糖測定値中の最新の血糖測定値に基づいて修正ボーラス投与量を計算することと、
前記期間中の前記幾つかの血糖測定値から血糖値の変化率を求めることと、
求めた前記変化率及び前記最新の血糖測定値を使用して改定ボーラス投与量を計算することと、
前記修正ボーラス投与量及び前記改定ボーラス投与量に対して関数を適用することと、
前記関数の出力に基づいて最終インシュリン値を決定すること、
決定された前記最終インシュリン値を使用してインシュリンボーラス投与量を設定することと、
設定された前記インシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出を実行することと、
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記プロセッサにより実行可能なプログラムコードを更に具現化し、前記プロセッサは前記プログラムコードの実行時に、
前記最新の血糖測定値と目標血糖値との差を求めることと、
パーソナライズされたインシュリン値を提供するために求めた前記差に対してインシュリン感度因子を適用することと、
前記パーソナライズされたインシュリン値に対してインシュリン調整因子を適用することと、
を含む機能を実行することにより前記修正ボーラス投与量を計算するよう動作可能である、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記プロセッサにより実行可能なプログラムコードを更に具現化し、前記プロセッサは前記プログラムコードの実行時に、
時間パラメータの表にアクセスすることと、
前記最新の血糖測定値をユーザ応答時間の予測に使用して、インシュリン投与に対する前記ユーザ応答時間の前記予測に基づいて時間パラメータを選択することと、
前記時間パラメータを求めた前記変化率に適用することと、
を含む機能を実行することにより前記改定ボーラス投与量を計算するよう動作可能である、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記プロセッサにより実行可能なプログラムコードを更に具現化し、前記プロセッサは前記プログラムコードの実行時に
前記最新の血糖測定値を取得することと、
変化率に時間パラメータを乗算することにより変化率修正因子を求めることと、
求めた前記変化率修正因子を使用して前記最新の血糖測定値を修正することと、
修正された前記最新の血糖測定値と目標血糖値との差を求めることと、
前記改定ボーラス投与量を提供するために求めた前記差に対してインシュリン感度因子を適用することと、
を含む機能を実行することにより前記改定ボーラス投与量を計算するよう動作可能である、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記プロセッサは前記プログラムコードの実行時に、
食事ボーラスの指示が出力されるか、又は修正ボーラスの指示が出力されるかを決定する機能を含む更なる機能を実行するよう動作可能である、請求項1に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記プロセッサにより実行可能なプログラムコードを更に具現化し、前記プロセッサは前記プログラムコードの実行時に
食事ボーラスの前記指示が送出されることに応じて、炭水化物の量を取得することと、
炭水化物のグラム数に対するインシュリンの単位数を示すインシュリン/カーボ比値を取得することと、
取得された前記炭水化物の量及び前記インシュリン/カーボ比値を使用して食事パラメータを生成することと、
前記食事パラメータを前記修正ボーラス投与量に加算することにより食事修正ボーラス投与量を生成することと、
前記食事パラメータを前記改定ボーラス投与量に加算することにより食事改定ボーラス投与量を生成することと、
前記関数中の食事ボーラス投与量を前記修正ボーラス投与量で置き換え、前記食事改定ボーラス投与量を前記改定ボーラス投与量に置き換えることと、
前記食事修正ボーラス投与量及び前記食事改定ボーラス投与量を使用した前記関数の前記出力に基づいて、前記インシュリンボーラス投与量として前記食事ボーラス投与量を設定することと、
を行う機能を含む機能を実行するよう動作可能である、請求項5に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記プロセッサにより実行可能なプログラムコードを更に具現化し、前記プロセッサは前記プログラムコードの実行時に
修正ボーラスが送出される前記指示を決定することに応じて、前記インシュリンボーラス投与量に基づいてボーラスの送出を実行することと、
を行う機能を含む機能を実行するよう動作可能である、請求項5に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
プロセッサと、
プログラムコードと、人工膵臓アプリケーションを記憶し、前記人工膵臓アプリケーションに関連したデータを記憶するように動作可能であり、前記プログラムコード及び前記人工膵臓アプリケーションは前記プロセッサにより実行可能であるメモリと、
前記人工膵臓アプリケーションにより使用可能な、又は前記人工膵臓アプリケーションにより生成される情報を含んだ信号を受信し送信するように動作可能である送受信器と、
を備え、
前記プロセッサは前記人工膵臓アプリケーションの実行時にインシュリンの送出を制御するよう動作可能であり、また、
幾つかの血糖測定値を取得することと、
前記幾つかの血糖測定値中の最新の血糖測定値に基づいて修正ボーラス投与量を計算することと、
ある期間中の前記幾つかの血糖測定値から血糖値の変化率を求めること、
求めた前記変化率及び前記最新の血糖測定値を使用して改定ボーラス投与量を計算することと、
前記修正ボーラス投与量及び前記改定ボーラス投与量に対して関数を適用することと、
前記関数の出力に基づいて最終インシュリン値を求めることと、
求めた前記最終インシュリン値を使用してインシュリンボーラス投与量を設定することと、
設定された前記インシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出を実行することと、
を行う機能を含む機能を実行するよう動作可能である、装置。
【請求項9】
ユーザへ取り外し可能なように装着可能なポンプ機構と、
インシュリンを収容するよう動作可能であり、前記ポンプ機構に流動的に接続されたリザーバと、
を更に備え、
前記ポンプ機構は前記プロセッサに通信可能に接続され、
前記プロセッサからの実行信号に応答して前記設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンを前記リザーバから排出するよう動作可能である、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは前記幾つかの血糖測定値を取得する際に、
前記送受信器から前記幾つかの血糖測定値中のそれぞれの血糖測定値を含む信号を受信することと、
前記各血糖測定値を前記メモリに記憶することと、
を行うよう動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、設定された前記インシュリンボーラス投与量に従ったインシュリン送出の実行時に、
医療機器による受信のために前記送受信器を介して制御信号を送信し、前記制御信号は医療機器により排出されるべきインシュリンの量を示すよう動作可能である、
請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサへ通信可能に接続され、予め定義した時間間隔にて血糖値を測定するように動作可能である血糖センサを更に備え、前記血糖センサは前記幾つかの血糖測定値を提供する、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは前記修正ボーラス投与量の計算時に、
前記最新の血糖測定値と目標血糖値との差を求めることと、
パーソナライズされたインシュリン値を提供するために求めた前記差に対してインシュリン感度因子を適用することと、
前記パーソナライズされたインシュリン値に対してインシュリン調整因子を適用することと、
を行うよう動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記改定ボーラス投与量の計算時に、
時間パラメータの表にアクセスすることと、
前記最新の血糖測定値に対する予測されたユーザ応答時間に基づいて時間パラメータを選択することと、
前記時間パラメータを求めた前記変化率に適用することと、
を行うよう動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記改定ボーラス投与量の計算時に、
前記最新の血糖測定値を取得することと、
求めた変化率因子を使用して前記最新の血糖測定値を修正し、求めた前記変化率因子は求めた前記変化率及び時間パラメータから生成されることと、
修正された前記最新の血糖測定値と目標血糖値との差を求めることと、
前記改定ボーラス投与量を提供するために求めた前記差に対してインシュリン感度因子を適用することと、
を行うよう動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記人工膵臓アプリケーションの実行時に、
食事ボーラスの指示が出力されるか、又は修正ボーラスの指示が出力されるかを決定することと、
食事ボーラスが送出されることに応じて、炭水化物の量を取得することと、
炭水化物のグラム数に対するインシュリンの単位数を示すインシュリン/カーボ比値を取得することと、
取得された前記炭水化物の量及び前記インシュリン/カーボ比値を使用して食事パラメータを生成することと、
前記食事パラメータを前記修正ボーラス投与量に加算することにより食事修正ボーラス投与量を生成することと、
前記食事パラメータを前記改定ボーラス投与量に加算することにより食事改定ボーラス投与量を生成することと、
前記関数を適用する前に、食事ボーラス投与量を前記修正ボーラス投与量で置き換え、前記食事改定ボーラス投与量を前記改定ボーラス投与量に置き換えることと、
前記関数の前記出力に基づいて前記インシュリンボーラス投与量として前記食事ボーラス投与量を設定することと、
を行うよう動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項17】
幾つかの血糖測定値をある期間に渡り受信することと、
プロセッサによりユーザに要求されたインシュリンの修正ボーラス投与量を前記幾つかの血糖測定値の評価に基づいて決定することと、
関数の出力に基づいて修正ボーラス投与量の最終インシュリン値を取得し、前記関数は、前記関数の前記出力を生成するために、前記幾つかの血糖測定値のうち選択された血糖測定値、前記ユーザの目標血糖値、及びインシュリン調整因子を利用することと、
取得された前記最終インシュリン値に基づいてインシュリンボーラス投与量を設定することと、
設定された前記インシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出を実行することと、
を含む、方法。
【請求項18】
選択された前記血糖測定値と前記ユーザの前記目標血糖値との差を計算することと、
計算された前記差、又は最大修正血糖値のどちらがより低い血糖値であるかを求めることと、
前記より低い血糖値に対してインシュリン調整因子を適用することと、
前記より低い血糖値に対する前記インシュリン調整因子の前記適用結果を出力し、前記結果は前記最終インシュリン値であることと、
を更に含む関数を適用することと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記関数の前記出力の生成は、
選択された前記血糖測定値と前記ユーザの前記目標血糖値との差を計算することと、
計算された前記差、又は最大修正血糖値のどちらがより低い血糖値であるかを求めることと、
前記より低い血糖値に対してインシュリン調整因子を適用することにより調整因子適用後のボーラス投与量を決定することと、
前記幾つかの血糖測定値から血糖測定値を選択することと、
前記期間中に受信された前記幾つかの血糖測定値から前記血糖測定値の変化率を求めることと、
前記変化率に時間パラメータを乗算することにより変化率修正因子を求めることと、
選択された前記血糖測定値に前記変化率修正因子を加算することにより修正血糖測定値を生成することと、
前記修正血糖測定値と目標血糖値との差を求めることと、
前記修正血糖測定値と目標血糖値との求めた前記差と前記調整因子適用後のボーラス投与量とのどちらが各最小値であるかを求めることと、
前記各最小値を、ボーラス投与指示として、薬品送出装置へ、第一のインシュリン修正値として出力することと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記関数の前記出力は、
血糖値における測定値と目標値の差を求めるために選択された前記血糖測定値と前記ユーザの前記目標血糖値との差を計算することと、
選択された前記血糖測定値が計測された時間に相当する特定の時間における血糖値を予測することと、
血糖値における予測値と目標値の差を求めるために予測された前記血糖値と前記ユーザの前記目標血糖値との差を計算することと、
血糖値における前記測定値と目標値の差及び血糖値における前記予測値と目標値の差のどちらがより低い血糖値であるかを求めることと、
最終血糖値を提供するために前記より低い血糖値に対してインシュリン調整因子を適用することと、
ボーラス投与量を送出するための前記最終血糖値の指示を薬品送出装置へ出力することと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される例は、血糖測定値の変化率を考慮する薬品送出システムの機能を提供する。
【0002】
関連出願
本出願は、2019年9月13日に出願され「食事及び修正インシュリンボーラス量による血糖変化率の調整」と題された米国特許出願第16/570125号明細書の優先権を主張する。上記出願の内容は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
薬品又は治療薬の送出システムは典型的に薬品又は治療薬をユーザの健康状態に基づいてユーザへ送出する。しかし、人体のインシュリンへの反応の複雑で動的な性質により、患者に食事又は修正ボーラスを提供した後、患者が低血糖又は高血糖状態になることが珍しくない。低血糖は直ちに重篤な医療事象を生じさせ(脳卒中、昏睡、死亡)、一方高血糖はケトアシドーシスのリスクはもちろん、長期に渡る健康への影響を生じさせるといったたくさんの理由により、この結果は望ましくない。ボーラス後に患者が低血糖、高血糖、又は範囲内になるかどうかは、血糖がどれくらい速く、そしてどの方向に変化しているかを含む多くの事柄に因る。患者が血糖を評価するために典型的な指先穿刺テストを行う場合、患者は典型的にはテストの低頻度な性質に起因する血糖変化率の情報を有さない。もしも患者が持続血糖測定器(CGM)を装着しているならば患者は典型的には正確な血糖変化率値を得るために充分なデータを有する。それでもなお、1)血糖の変化に対する間質液の反応、2)血糖値を提供するCGM、3)インシュリン治療量を決定するためにデータを利用する患者の間の時間差により、患者がインシュリン治療を計算するために使用するCGM血糖値と患者の実際の血糖値の間には著しい差が存在し得る。この差により、血糖変化率の大きさと方向次第では、患者がインシュリン治療の後に低血糖又は高血糖になる可能性がある。2つのシナリオの中で、低血糖はより望ましくなく、2つの中でより危険である。
【0004】
変化率に基づいて最終インシュリン量に対して増加/減少のパーセンテージを適用するシステムが利用可能である。これらのシステムは、患者の血糖変化率に基づいて、インシュリンをプラス又はマイナス30パーセントのように、ボーナス(又は削減)のパーセンテージを割り当てる。このことが効果的であると証明されているが、包括的な調整は未だに最適ではなく、修正ボーラス、特に食事の消費の補償のために摂取する修正ボーラスにはそれほど効果的ではない。従って、患者が低血糖状態になり得る時間を減らす結果をもたらし得るより効果的な修正ボーラス投与量を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
プロセッサにより実行可能なプログラムコードを具現化した非一時的なコンピュータ可読媒体の一例が開示される。プロセッサはプログラムコードを実行時に幾つかの血糖測定値をある期間に渡り受信することを含む機能を実行可能である。幾つかの血糖測定値中の最新の血糖測定値に基づいた修正ボーラス投与量が計算され得る。期間中の幾つかの血糖測定値から血糖値の変化率が求められ得る。求めた変化率及び最新の血糖測定値を使用して改定ボーラス投与量が計算され得る。修正ボーラス投与量及び改定ボーラス投与量に対して関数が適用され得、関数からの出力に基づいて最終インシュリン値が決定され得る。インシュリンボーラス投与量は決定された最終インシュリン値を使用して設定されてもよく、設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出が実行されてもよい。
【0006】
プロセッサ、メモリ、及び送受信器を備える装置が開示される。プロセッサは人工膵臓アプリケーションの実行時にインシュリンの送出を制御するよう、また機能を実行するように動作可能である。機能は幾つかの血糖測定値を取得することを含む。プロセッサは幾つかの血糖測定値中の最新の血糖測定値に基づいて修正ボーラス投与量を計算する。ある期間中の幾つかの血糖測定値より血糖値の変化率を求めてもよい。求めた変化率及び最新の血糖測定値を使用して改定ボーラス投与量が計算されてもよい。修正ボーラス投与量及び改定ボーラス投与量に対して関数が適用されてもよい。関数の出力に基づいて最終インシュリン値を決定してもよい。
【0007】
幾つかの血糖測定値をある期間に渡り受信することを含む方法が開示される。プロセッサはインシュリンの修正ボーラス投与量がユーザに要求されていることを幾つかの血糖測定値の評価に基づいて決定してもよい。修正ボーラス投与量の最終インシュリン値は関数の出力に基づいて取得されてもよい。関数は、関数の出力を生成するために、幾つかの血糖測定値のうち選択された血糖測定値、ユーザの目標血糖値、及びインシュリン調整因子を利用する。インシュリンボーラス投与量は取得された最終インシュリン値を使用して設定されてもよく、設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出が実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は血糖レベルを修正するためにボーラス注射の投与量を決定する処理の例のフローチャートを示す。
【
図2】
図2は本明細書中で説明する処理例及び技術の実施に適した薬品送出システムの機能ブロック図を示す。
【
図3】
図3は食事の消費に応じて実施するボーラス投与量を決定する処理例のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は血糖値を修正するためにボーラス注射の投与量を決定する処理の別の例のフローチャートを示す。
【
図5】
図5は
図4の最終インシュリン値のような最終インシュリン値を取得するためのサブプロセスの例のフローチャートを示す。
【
図6A】
図6Aは最終インシュリン値を取得するための別のサブプロセスの例のフローチャートを示す。
【
図6B】
図6Bは最終インシュリン値を取得するための別のサブプロセスの例のフローチャートを示す。
【
図7】
図7は最終インシュリン値を取得するための更なるサブプロセスの例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
グルコース変化率を考慮することにより低血糖のリスクを低下させるための方法、システム、装置及びコンピュータ可読媒体が様々な例により提供される。例えば、CGMにより出力される血糖測定値に対する個人の実際の血糖状態と、患者がCGMにより出力された血糖測定値に基づいてボーラス注射を行うときとの間には数分、又は数十分の遅れの可能性が有り得る。開示された例では、治療を最適化するために、個人の実際の血糖状態と患者ボーラス間の遅れが考慮され得る。例えば、CGMから受信した現在の血糖値は数分間における一定の変化率を仮定して前方に反映されてもよい。この反映された血糖値はボーラス決定(時間と量の両方)の計算に使用されてもよい。
【0010】
一例により、血糖レベルとインシュリン療法を管理するための任意の追加のアルゴリズム又はコンピュータアプリケーションと共に使用され得る処理が提供される。そのようなアルゴリズムは「人工膵臓」アルゴリズムに基づいたシステム、又はより一般的にはCGM又は同種のもののような血糖センサ入力に基づいたインシュリンの自動送出を提供する人工膵臓(AP)アプリケーションと称され得る。一例では、人工膵臓(AP)アプリケーションがプロセッサに実行された時、システムがユーザのグルコース値をモニタすることを可能にし、モニタされたグルコース値(例えば血糖濃度又は血糖測定値)及び炭水化物摂取、運動時間、食事時間又は同種のもののようなユーザにより提供された情報のようなその他の情報に基づいてユーザの適切なインシュリンレベルを決定してもよく、ユーザの血糖値を適切な範囲に維持するために行動してもよい。適切な血糖値の範囲は特定のユーザの目標血糖値と考えてもよい。例えば、目標血糖値は糖尿病治療の臨床基準である80mg/dLから120mg/dLの範囲に収まるならば容認可能であり得る。しかし、本明細書中に説明するAPアプリケーションは、目標血糖値をより正確に確立可能であってもよく、例えば110mg/dL又は同種の値のような目標血糖値を設定可能でもよい。
図1~
図7の例を参照してより詳細に説明されるように、APアプリケーションはモニタされた血糖値及びその他の情報を利用して、例えばインシュリン投与ボーラスのユーザへの送出を制御し、将来の投与の量又はタイミングを変更し、命令を生成しその他の機能を制御するポンプを含む医療機器へ送信してもよい。
【0011】
図1は血糖レベルを修正するためにボーラス注射の投与量を決定する処理のフローチャートを示す。処理100はプロセッサにより実行されるプログラムコードにより実装されてもよい。例えば、プロセッサがプログラムコードを実行するとき様々な機能を実行するよう動作可能である。様々な機能はその幾つかの血糖測定値を取得することを含んでもよい(110)。例えば、幾つかの血糖測定値がある期間に渡りCGM又はその他の装置から無線信号を介して受信されてもよい(本例には示されず、ハードウエア要素及びシステム要素は
図2を参照してより詳しく説明される)。期間はおおよそ5分毎、1分毎、又はその他の時間刻みであってもよい。加えて、幾つかの血糖測定値のうちの個々の血糖測定値は測定後非常に早く、例えばほとんど即座に受信されてもよく、又は2つ以上のバッチに分けて送出されてもよく、その他の方法で送出されてもよい。プロセッサは幾つかの血糖測定値のそれぞれを処理してもよい。幾つかの血糖測定値中の血糖測定値に基づいて、修正ボーラス投与量が計算されてもよい(120)。例えば、修正ボーラス投与量の計算に使用される幾つかの血糖測定値中の血糖測定値は、最新の血糖測定値であってもよい。本例において、最新の血糖測定値は、プロセッサにより最後に受信された血糖測定値である。代わりに、幾つかの血糖測定値のうちの任意のものは修正ボーラス投与量の計算に使用するために選択されてもよい。
【0012】
【0013】
数式1に示されるような修正ボーラス投与量は最新の(又は選択された)血糖測定値と目標血糖値の差を求めることにより計算されてもよい。目標血糖値は特定の患者の看護の基準、多数の糖尿病患者の看護の基準、又は特定の患者の所望の好ましいグルコース濃度と考えてもよい。幾つかの例では、特定のユーザのインシュリン処理能力を考慮するべくパーソナライズされたインシュリン値を提供するために、求めた差に対してインシュリン感度因子(ISF)を(例えば乗算、減算、徐算及び/又はその他の数学演算を通して)適用してもよい。数式1では、ISFは最新の血糖測定値と目標血糖値の差の除数であり、インシュリン1単位毎にユーザの測定血糖値がどのくらい下落するのかを示すパラメータと考えてもよい。一例では、ISFは各ユーザに対してパーソナライズされていてもよく、ユーザの糖尿病(又はその他の病気)の治療計画に基づいて各ユーザの臨床値から計算される。
【0014】
パーソナライズされたインシュリン値(すなわち(CGM-目標)/ISF)は修正ボーラス投与量を生成するためにパーソナライズされたインシュリン値にインシュリン調整因子(IAF)を適用することにより更に修正されてもよい。一例では、IAFの値の範囲はおおよそ0.30から0.70の範囲であってもよい。当然、0.25から0.65又は同種のものといった、その他の範囲のIAFを使用してもよい。幾つかの例では、修正ボーラス投与量は幾つかの血糖測定値の軌道に比例してIAFにより修正された推奨ボーラス投与量を上限として拘束され、その他の拘束はもしも血糖軌道がおおむね25分の間(すなわちCGMによる5回の血糖測定の間)実質的に一定であれば推奨ボーラスが目標血糖を得るために必要な量を超えないことであってもよい。
【0015】
血糖値の変化率(RoC)はある期間の幾つかの血糖測定値から求めてもよい(130)。例えば、血糖測定値の変化率は傾きから求めてもよい。その他の例では、長い間に渡る各血糖測定値のプロットに合致する関数を求め、変化率の決定に使用してもよい。代わりに、血糖値の変化率はCGMにより直接測定されてもよい。
【0016】
140にて、プロセッサは、改定ボーラス投与量を計算するために、求めた変化率及び最新の血糖測定値を使用してもよい。変化率に対して、修正最新血糖測定値を求めるために使用する時間パラメータを乗算してもよい。例えば、プロセッサはメモリに記憶された時間パラメータの表にアクセスしてもよい。時間パラメータはインシュリン1単位、インシュリン2単位、又は同種のものといったインシュリン投与に対するユーザの応答時間の予測に基づいて表から選択されてもよい。時間パラメータは、予測血糖測定値(すなわち(RoC)×T=予測血糖測定値)を生成するために、求めた変化率へ(例えば乗数として)適用されてもよい。最新の血糖測定値は最新の血糖測定値と予測血糖測定値を使用してプロセッサにより取得されてもよい。例えば、プロセッサは最新の血糖測定値をプロセッサに接続されたメモリ、CGMから、又はスマートアクセサリ装置のようなその他の外部機器を介して取得してもよい。修正最新血糖測定値を取得するために、この予測血糖測定値は最新血糖測定(CGM)値(例えばCGM+(RoC)×T)へ加算されてもよい。時間パラメータTは5分、15分、16分、25分、又は同種のものといった、分単位であってもよい。プロセッサはプロセッサに接続されたメモリからユーザの目標血糖値(すなわちターゲット)を読み出してもよい。目標血糖値と修正された最新の血糖測定値の差を求めてもよい。以下の数式(数式2)に示すような改定ボーラス投与量を提供するために、求めた差に対してインシュリン感度因子(ISF)を適用してもよく、これをプログラムコードに実装してもよい。
【0017】
【0018】
修正ボーラス投与量及び改定ボーラス投与量に対して関数が適用されてもよい(150)。関数は例えば、数式3で表される、関数に対する入力の中から最低値を見つけ出すよう動作可能であるといったような最小を求める関数であってもよい。
【0019】
数式3 出力=min(修正ボーラス投与量,改定ボーラス投与量)
【0020】
この例では、最小を求める関数に対する入力は修正ボーラス投与量及び改定ボーラス投与量であってもよく、160にて、数式3で表されるような関数からの出力が最終インシュリン値を求めるために使用されてもよい。最終インシュリン値はインシュリンの体積であってもよく、インシュリンの量(インシュリンの単位にて)又は同種のものでもよい。
【0021】
プロセッサは最終インシュリン値を求め、更なる処理を行ってもよい。例えば、インシュリンボーラス投与量を設定するために求めた最終インシュリン値を使用してもよい(170)。インシュリンボーラス投与量を設定することに応じて、プロセッサは設定したインシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出を実行してもよい(180)。更なる例に関して説明されるように、プロセッサは、例えば、設定したインシュリンボーラス投与量を示す、ポンプ機構によって受信される信号を出力することにより、設定したインシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出を実行してもよい。ポンプ機構は、受信した信号に応じて、設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってボーラス投与量を送出してもよい。
【0022】
図1の処理例を実施し得る薬品送出システムの例を議論することが役立ち得る。
図2は薬品送出システム200の例を示す。
【0023】
薬品送出システム200は、ボーラス投与量を決定し、決定したボーラス投与量の指示に基づいてインシュリンボーラスの送出を実行するために決定したボーラス投与量の指示を出力する機能を含むAPアプリケーションを実施するよう動作可能である。薬品送出システム200は、医療機器(ポンプ)202、センサ204、及び管理装置(PDM)206を含み得る自動薬品送出システムであってもよい。システム200は、一例において、有線又は無線通信リンクを介してシステム200のその他の構成要素と通信し得るスマートアクセサリ装置207も含んでもよい。
【0024】
一例において、医療機器202は患者又は糖尿病患者のようなユーザの体に取り付けられ、任意の薬品又は内服薬を含む、インシュリン又は同種のもののような任意の治療薬をユーザに送出してもよい。医療機器202は例えばユーザが装着するウエアラブルデバイスであってもよい。例えば、医療機器202はユーザに直接接続されてもよい(例えばユーザの体の一部及び/又は皮膚へ絆創膏又は同種のものを介して直接取り付ける)。一例では、医療機器202の表面はユーザへの取り付けを容易にする絆創膏を含んでもよい。
【0025】
医療機器202はユーザへの自動的な薬品(治療薬とも称される)の送出を促進する幾つかの構成要素を含んでもよい。医療機器202は薬品を保管しユーザへ薬品を提供するよう動作可能であってもよい。医療機器202はリザーバ225からユーザへの送出のために薬品を排出する動作に関連してポンプ又はインシュリンポンプとも称されることが多い。例はインシュリンを保管するリザーバ225に関するが、リザーバ225は自動送出に適したモルヒネ又は同種のもののようなその他の薬品又は治療薬を保管するよう動作可能である。
【0026】
様々な例において、医療機器202は自動化されたウエアラブルなインシュリン送出装置であってもよい。例えば、医療機器202は(インシュリンのような)薬品を保管するリザーバ225、薬品をユーザの体へ(皮下に、腹腔内に、又は静脈内に)送出するための針又はカニューレ(図示せず)、及びポンプ機構224、又は薬品をリザーバ225から針又はカニューレ(図示せず)を通してユーザ内へ移送するためのその他の駆動機構を含んでいてもよい。ポンプ機構224はリザーバ225へ流体結合されていてもよく、そしてプロセッサ221へ通信可能に接続されていてもよい。医療機器202はまた、医療機器202のポンプ機構224及び/又はその他の構成要素(プロセッサ221、メモリ223、及び通信装置226のような)へ電力を供給するためのバッテリー、圧電素子又は同種のもののような電源228を含んでもよい。図示されないが、電力を供給するための電力源はセンサ204、スマートアクセサリ装置207及び管理装置(PDM)206のそれぞれに同様に含まれていてもよい。
【0027】
血糖センサ204はプロセッサ261又は221に通信可能に接続された装置であってもよく、5分毎又は同種の間隔のような予め定義された時間間隔にて血糖値を測定するよう動作可能であってもよい。血糖センサ204はそれぞれの装置で動作しているAPアプリケーションへ幾つかの血糖測定値を提供してもよい。
【0028】
医療機器202はセンサ204及び/又は管理装置(PDM)206により提供された情報(例えば血糖測定値)に基づいてリザーバ225に保管されたインシュリンをユーザに提供してもよい。例えば、医療機器202は、薬品又は治療薬の送出を制御するためのプロセッサ221(又はコントローラ)として実装され得るアナログ及び/又はデジタル回路を含んでもよい。プロセッサ221を実装するために使用される回路は、メモリ223に格納されたソフトウエア命令、ファームウエア、プログラム命令又はプログラムコード(例えば
図1~
図3の処理例に加えて人工膵臓アプリケーション(APアプリ)229を可能にするような)、又はそれらの任意の組み合わせを実行するための、個別の、特定用途のロジック及び/又は構成要素、アプリケ-ション特有の集積回路、マイクロコントローラ又はプロセッサを含んでいてもよい。例えば、プロセッサ221は、プロセッサ221により、ポンプが薬品又は治療薬をユーザへ、予め定義された時間間隔にて、又は血糖測定値を目標血糖値へともたらすために必要な時に送出させるよう動作可能にし得る人工膵臓アプリケーション229及びその他のプログラムコードのような制御アルゴリズムを実行してもよい。投与のサイズ及び/又はタイミングは、例えばユーザ又はサードパーティー(医療提供者、医療機器製造者又は同種のもの)により人工膵臓アプリケーション229内にて医療機器202と管理装置206又は医療提供者の施設内にある計算装置のようなその他の機器の間に220のような有線又は無線リンクを使用してプログラムされていてもよい。一例では、ポンプ又は医療機器202は、スマートアクセサリ装置207からの291又はセンサ204からの208のように、管理装置のプロセッサ261に無線リンク220を介して通信可能に接続されている。医療機器のポンプ機構224はプロセッサ261から作動信号を受信し、作動信号の受信に応じて、設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってリザーバ225からインシュリンを排出するよう動作可能であってもよい。
【0029】
管理装置206、スマートアクセサリ装置207及びセンサ204のようなシステム200内のその他の装置はまた医療機器202を制御することを含む様々な機能を実行するよう動作可能であってもよい。例えば、管理装置206は通信装置264、プロセッサ261、及び管理装置メモリ263を含んでもよい。管理装置メモリ263はプロセッサ261により実行されたときに
図1及び
図3を参照して説明された処理例を提供するようなプログラムコードを含むAPアプリケーション269のインスタンスを記憶していてもよい。管理装置メモリ263もまた
図1及び
図3~
図7を参照して説明された処理例を提供するプログラムコードを記憶していてもよい。
【0030】
スマートアクセサリ装置207は、例えば、アップルウォッチ(登録商標)、その他の製造者から提供されるスマートグラスを含むその他のウエアラブルスマート装置、全地球測位システム対応のウエアラブル装置、ウエアラブルフィットネス装置、スマート医療、又は同種のものであってもよい。管理装置206と同様に、スマートアクセサリ装置207もまた医療機器202を制御することを含む様々な機能を実行するよう動作可能であってもよい。例えば、スマートアクセサリ装置207は通信装置274、プロセッサ271、及びメモリ273を含んでもよい。メモリ273は
図1及び
図3~
図7の例を参照して説明された処理例を提供するプログラムコードを含むAPアプリケーション279のインスタンスを記憶していてもよい。メモリ273はまたプログラムコードを記憶していてAPアプリケーション279に関連するデータを記憶するよう動作可能であってもよい。システム200のセンサ204は、プロセッサ241、メモリ243、センサ又は測定装置244、及び通信装置246を含み得る前述の持続血糖測定器(CGM)であってもよい。メモリ243はまたその他のプログラムコードに加えてAPアプリケーション249のインスタンスを記憶していてもよく、APアプリケーション249に関連するデータを記憶するよう動作可能であってもよい。APアプリケーション249はまた
図1及び
図3~
図7を参照して説明された処理例を提供するプログラムコードを含んでいてもよい。
【0031】
ユーザへの薬品又は治療薬(例えばボーラス投与量として)の送出を決定する命令(例えば薬品又は治療薬の投与の量及び/又はタイミング)は医療機器202によりローカルに発出されてもよく、又は遠隔で発出されて医療機器202に提供されてもよい。薬品又は治療薬の送出のローカルな決定の例では、医療機器202に接続されたメモリ223に記憶された人工膵臓アプリケーション229のインスタンスのようなプログラミング命令が、医療機器202による決定を行う際に使用されてもよい。加えて、医療機器202は通信装置226及び通信リンク288を介してクラウドベースのサービス211と通信するよう動作可能であってもよい。
【0032】
代わりに、遠隔の命令は、人工膵臓アプリケーション269のインスタンスを実行するプロセッサ261を有する管理装置(PDM)206により、又は医療機器202、スマートアクセサリ装置207、及び/又はセンサ204のような様々な装置を制御するためのその他のプログラムコードに加えて人工膵臓アプリケーション269のインスタンスを実行するプロセッサ271を有するスマートアクセサリ装置207により、医療機器202に有線又は無線リンクを通じて提供されてもよい。医療機器202は薬品又は治療薬をユーザに送出する任意の(内部又は管理装置206から発出された)受信した命令を実行してもよい。このようにして、ユーザへの薬品又は治療薬の送出が自動化され得る。
【0033】
様々な例にて、医療機器202は管理装置206と無線リンク220を介して通信してもよい。管理装置206は例えばスマートフォン、タブレット、専用の糖尿病治療管理装置、及び同種のものといった電子機器であってもよい。管理装置206はウエアラブル無線アクセサリ装置であってもよい。無線リンク208、220、222、291、292及び293は任意の既知の無線規格により提供される任意の型の無線リンクであってもよい。例えば、無線リンク208、220、222、291、292及び293により、医療機器202、管理装置206及びセンサ204の間での、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、近距離無線通信規格、セルラー規格、又はその他の無線光又は無線周波数プロトコルに基づいた通信が可能になってもよい。
【0034】
センサ204は血糖を測定し血糖値又は血糖値を表すデータを出力するよう動作可能なグルコースセンサであってもよい。例えば、センサ204はグルコースモニタ又は持続血糖測定器(CGM)であってもよい。センサ204はプロセッサ241、メモリ243、センシング/測定装置244、及び通信装置246を含んでいてもよい。センサ204の通信装置246は1つ以上のセンサ要素、電子送信機、受信機、及び/又は無線リンク222を通じて管理装置206と、又はリンク208を通じて医療機器202と通信するための送受信器を含んでもよい。センシング/測定装置244はグルコース測定、心拍数モニタ、又は同種のもののための1つ以上のセンシング要素を含んでもよい。プロセッサ241は(メモリ243のような)メモリに記憶されたソフトウエア命令、ファームウエア、プログラム命令、又はそれらの任意の組み合わせを実行するための、個別の、特殊用途のロジック及び/又は構成要素、アプリケーション特有の集積回路、マイクロコントローラ又はプロセッサ、を含んでいてもよい。例えば、メモリ243はプロセッサ241によって実行可能なAPアプリケーション249のインスタンスを記憶していてもよい。
【0035】
センサ204は医療機器202とは別個のものとして描写されているが、様々な例では、センサ204及び医療機器202は同じユニットへ組み入れられていてもよい。すなわち、様々な例では、センサ204は医療機器202の一部であってもよく、医療機器202と同じ筐体内に含まれていてもよい(例えばセンサ204は医療機器202内に位置してもよく、又は医療機器202内に組み込まれてもよい)。センサ204により求められたグルコースモニタリングデータ(例えば測定された血糖値)は医療機器202、スマートアクセサリ装置207及び/又は管理装置206に提供され、医療機器202によりインシュリンを自動送出するためのインシュリンボーラス投与量を求めるために使用されてもよい。
【0036】
センサ204もまた例えば絆創膏又は同種のものによりザーに接続されユーザの1つ以上の健康状態及び/又は物理的属性に関する情報又はデータを提供してもよい。センサ204により提供された情報又はデータは医療機器202による薬品送出動作を調整するために使用されてもよい。
【0037】
ある例では、管理装置206は個人用の糖尿病管理装置であってもよい。管理装置206は医療機器202及び/又はセンサ204をプログラムすること又は動作を調整することに使用されてもよい。管理装置206は、例えばプロセッサ261、スマートフォン、又はタブレットのような専用のコントローラのような、任意の携帯用の電子機器であってもよい。一例では、管理装置(PDM)206はプロセッサ261、管理装置メモリ263、及び通信装置264を含んでいてもよい。管理装置206は、ユーザの血糖値を管理し、ユーザへの薬品又は治療薬の送出を制御する処理を実行するためのプロセッサ261(又はコントローラ)として実装されるアナログ及び/又はデジタル回路を含んでもよい。プロセッサ261は管理装置メモリ263に記憶されたプログラムコードを実行するよう動作可能であってもよい。例えば、管理装置メモリ263は、プロセッサ261により実行され得る人工膵臓アプリケーション269を記憶するよう動作可能であってもよい。プロセッサ261は、人工膵臓アプリケーション269の実行時、
図1及び
図3の例に関して説明された様々な機能を実行するよう動作可能であってもよい。通信装置264は、1つ以上の無線周波数プロトコルに従って動作する受信機、送信機、又は送受信器であってもよい。例えば、通信装置264は、管理装置206によるセルラー送受信器を介した、データネットワークと、並びにセンサ204及び医療機器202との通信を可能にするための、セルラー送受信器及びBluetooth(登録商標)送受信器を含んでいてもよい。通信装置264の各送受信器はAPアプリケーション又は同種のものにより使用可能な、又は生成される情報を含む信号を送信するよう動作可能であってもよい。各医療機器202、センサ204及びスマートアクセサリ装置207の通信装置226、246及び276はまた、APアプリケーション又は同種のものにより使用可能な、又は生成される情報を含む信号を送信するよう動作可能であってもよい。
【0038】
医療機器202は無線リンク208を通じてセンサ204と通信してもよく、無線リンク220を通じて管理装置206と通信してもよい。センサ204及び管理装置206は無線リンク222を通じて通信してもよい。スマートアクセサリ装置207が存在する場合、医療機器202、センサ204、及び管理装置206と、それぞれ無線リンク291、292及び293を通じて通信してもよい。無線リンク208、220、222、291、292及び293は既知の無線規格又は独自の規格を使用して動作する任意の型の無線リンクであってもよい。例えば、無線リンク208、220、222、291、292及び293は、各通信装置226、246及び264を介してBluetooth(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信規格、セルラー規格、又はその他の任意の無線プロトコルに基づいた通信リンクを提供してもよい。幾つかの例では、医療機器202及び/又は管理装置206はそれぞれ、ユーザが情報を入力し管理装置がユーザへの情報提示のために情報を出力できるようにするよう動作可能な、キーパッド、タッチスクリーンディスプレイ、レバー、ボタン、マイク、スピーカー、ディスプレイ及び同種のもののようなユーザインターフェース227及び268を含んでもよい。
【0039】
様々な例にて、薬品送出システム200はインシュリンの薬品送出システムであってもよい。様々な例では、医療機器202はその内容が参照により本明細書に援用される米国特許第7303549号、米国特許第7137964号又は米国特許第6740059号明細書に説明されるOmniPod(登録商標)インシュリン送出装置(インシュレット・コーポレーション、マサチューセッツ州Billerica)であってもよい。
【0040】
様々な例では、薬品送出システム200はユーザへのインシュリン自動送出(例えば血中グルコースの正常なレベルである正常血糖を維持するために)を管理又は制御するための人工膵臓(AP)アルゴリズムを実装(及び/又はAP機能を提供)してもよい。APアプリケーションは医療機器202及び/又はセンサ204により実装されていてもよい。APアプリケーションはインシュリンの送出回数や投与量を決定するために使用されてもよい。様々な例では、APアプリケーションはユーザの性別、年齢、体重、又は身長のようなユーザについて既知の情報に基づいて、及び/又はユーザについての物理的属性又は状態に関する(例えばセンサ204により)収集した情報に基づいて送出の回数や投与量を決定してもよい。例えば、APアプリケーションはセンサ204を通したユーザのグルコースレベルのモニリングに基づいて適切なインシュリン送出を決定してもよい。APアプリケーションによりユーザによるインシュリン送出の調整がまた可能になってもよい。例えば、APアプリケーションではユーザが医療機器202に対して、例えばインシュリンボーラスを送出する命令のような命令を発行可能(例えば入力を介して)であってもよい。幾つかの例では、管理装置206、医療機器(ポンプ)202又はセンサ204のうち2つ以上の間で、APアプリケーションの異なる機能が分配されてもよい。他の例では、管理装置206、医療機器(ポンプ)202又はセンサ204のような1つの装置にて、APアプリケーションの異なる機能が実行されてもよい。様々な例では、薬品送出システム200は、その内容が参照により本明細書に援用される、2016年11月22日に出願された米国特許出願第15/359187号明細書に説明される薬品送出システムの機能に従って動作してもよく、若しくはその特徴又は機能を含んでもよい。
【0041】
本明細書中に説明するように、医療機器のような、薬品送出システム200又はその任意の構成要素は、APの機能を提供又はAPアプリケーションを実施することと考えられる。従って、APアプリケーション(例えばその機能、動作、又は能力)への参照は利便性のために行われ、薬品送出システム200又はその任意の構成要素(例えば医療機器202及び/又は管理装置206)の動作及び/又は機能を参照及び/又は含み得る。例えばAPアプリケーションを実施するインシュリン送出システムとしての薬品送出システム200は、センサ入力(例えばセンサ204により収集されたデータ)を使用した薬品送出システム又はAPアプリケーションに基づいた送出システムであると考えられる。
【0042】
ある例では、装置202、204、206又は207のうち1つ以上は、無線通信リンク288を介してクラウドベースのサービス211と通信するよう動作可能であってもよい。クラウドベースのサービス211はサーバー及びデータ記憶装置(図示せず)を利用してもよい。通信リンク288は、システム200の各装置202、204、206又は207の間で確立されるセルラーリンク、Wi-Fiリンク、Bluetooth(登録商標)リンク、又はそれらの組み合わせであってもよい。クラウドベースのサービス211により提供されるデータ記憶装置は、ユーザの体重、血糖測定値、年齢、食事の炭水化物情報、又は同種のもののような匿名化されたデータを記憶してもよい。加えて、クラウドベースのサービス211はAPアプリケーションにより使用される様々なパラメータに関連した一般化された情報を提供するために、複数のユーザからの匿名化されたデータを処理してもよい。例えば、ユーザが初めて200のようなシステムを使用開始する際に有用となり得る、年齢に基づいた一般的な目標血糖値が匿名データから引き出されてもよい。クラウドベースのサービス211はまたシステム200へ、
図2の処理100又は追加の処理を実行して、又は
図3を参照して以下に説明する追加の処理を実行することのような、処理サービスを提供してもよい。
【0043】
ある例では、装置202は、上に説明されたように各装置がクラウドベースのサービス211と通信できるようにするためのBluetooth(登録商標)、Wi-Fi、近距離無線通信規格、セルラー規格、といった1つ以上の無線周波数プロトコルに従って動作する受信機、送信機、又は送受信器であってもよい通信装置264を含む。例えば、センサ204又は医療機器(ポンプ)202からの出力は通信装置264の送受信器を介した記憶又は処理のためにクラウドベースのサービス211へ送信されてもよい。同様に、医療機器202、管理装置206及びセンサ204は通信リンク288を介してクラウドベースのサービス211と通信するよう動作可能であってもよい。
【0044】
ある例では、各装置202、206又は207の各受信機又は送受信器はセンサ204により送信され得る幾つかの血糖測定値のうちの各血糖測定値を含む信号を受信するよう動作可能であってもよい。各装置202、206又は207の各プロセッサは223、263又は273のような各メモリに血糖測定値のそれぞれを記憶するよう動作可能であってもよい。各血糖測定値は229、249、269又は279のような人工膵臓アルゴリズムに関連したデータとして記憶されてもよい。更なる例では、管理装置206、スマートアクセサリ装置207、又はセンサ204のうち任意のものの上で動作するAPアプリケーションは、各通信装置264、274、246により実施される送受信器を介して、医療機器により受信される制御信号を送信するよう動作可能であってもよい。例では、制御信号は医療機器202により排出されるインシュリンの量を示してもよい。
【0045】
システム200により実行される様々な動作シナリオや処理例が本明細書において説明される。例えば、システム200は
図1の処理例を実施するよう動作可能であってもよい。加えて、システム200は食事修正ボーラスを考慮した処理を実施するよう動作可能であってもよい。
図3は食事修正ボーラスの投与量を決定する処理の例を示す。処理300は食事が消費された時に利用し食事修正ボーラスをユーザに対して投与するための、
図1の処理100の特定の実装と考えられてもよい。処理例300では、
図2の221又は261のようなプロセッサは、食事ボーラスの指示が出力されるかどうか又は修正ボーラスの指示が出力されるかどうかの決定といった異なる機能を実行するプログラムコードを実行するよう動作可能であってもよい。処理300は処理100に類似しているが、ユーザにより消費された炭水化物の量及びユーザのインシュリン/カーボ比値を考慮したパラメータが追加されている。処理300は、310にて、221又は261のようなプロセッサが食事ボーラスの送出を決定してもよい。ユーザにより炭水化物が消費されると、ユーザの血中のグルコースレベルが上昇するような働きが起こる。食事ボーラスは炭水化物の摂取を中和するように送出されてもよい。例えば、ユーザは食事をまさに摂取しようとするところであるか終了したところであり、268、227又は278のようなユーザインターフェースを介して、PDM206、医療機器202又は
図2のスマートアクセサリ装置278へ、食事を摂ろうとしている、又は終了したことを示す入力を提供してもよい。食事を摂ろうとしていること又は終了したことの指示は食事ボーラスが送出されるかどうかの決定に利用されてもよい。例えば、プロセッサは、ユーザによる食事ボーラスのリクエスト、予定された食事時間、カレンダーメッセージ、GPS/Wi-Fi位置決定、又は同種のもののような、食事ボーラスが必要でありえることを示す情報を受信してもよい。典型的には、食事が消費されれば、追加の炭水化物による影響を中和するべく食事ボーラスが投与される。
【0046】
320にて、食事ボーラスが送出されることの決定に応じて、炭水化物の量が取得されてもよい。炭水化物の量は、期待される炭水化物の消費量(食べる前に提供される値)、実際に消費された炭水化物の量(パッケージに記載された栄養表示ラベル又は同種のものから)、炭水化物の推定消費量(食べた後に提供される値)、又は同種のものであってもよく、ユーザまたはユーザが消費している食事に精通している他の誰か(例えば栄養士、医療提供者)によりシステム200へ入力される。炭水化物の量はまた、ユーザにより入力される食べ物のリスト及び一人前の分量、クラウドベースのサービス211に参加するレストランにより提供されるメニュー名、又は同種のものに応じてクラウドベースのサービス211から受信してもよい。
【0047】
330にて、プロセッサは炭水化物のグラム数に対するインシュリンの単位数(例えばインシュリン1単位に対するグラム数)を示すインシュリン/カーボ比(ICR)値を取得してもよい。ICR値は
図2の各装置202、204、206、及び207の、223、243、263又は273のようなメモリに記憶されてもよい。ICRはAPアプリケーションの設定に従って更新されてもよい。例えば、ICRは、医療機器202、管理装置206、又はスマートアクセサリ装置207の任意のものの中にあるAPアプリケーションを実行する各プロセッサにより、センサ204によってAPアプリケーションに報告される血糖のそれぞれが測定される度に更新されてもよく、又は幾つかの血糖測定値を使用して毎日更新されてもよい。APアプリケーションは、取得された炭水化物の量及びインシュリン/カーボ比値を食事パラメータの生成に使用してもよい(340)。例えば、APアプリケーションは、例えばグラム単位の炭水化物の量(CHO)をICRで除算した数式を使用してインシュリンの単位数を有する食事パラメータを値として求めるように、食事パラメータを計算するよう動作可能であってもよい。
【0048】
350にてプロセッサにより実行されるAPアプリケーションは、以下の数式4に示されるように、CGMからの血糖測定値と目標血糖値の差をISFで割ったものを求め、食事パラメータと差を合計し、食事パラメータと差の合計にユーザのIAFを乗算することにより、
図2の医療機器202のようなインシュリンポンプ装置により出力するための食事修正ボーラス投与量を生成してもよい。
【0049】
【0050】
プロセッサにより実行されるAPアプリケーションは食事パラメータを改定ボーラス投与量に加算することにより食事改定ボーラス投与量を生成してもよい(360)。例えば、プロセッサにより実行されるAPアプリケーションは、以下の数式5に示されるように、
図2の医療機器202のようなインシュリンポンプ装置から出力するための食事改定ボーラス投与量を、食事パラメータを(
図1を参照して上述された)修正ボーラス投与量に加算することにより生成してもよい。
【0051】
【0052】
処理100中のステップ150の関数は食事ボーラス投与量を求めるために適用される。ただし、以下の数式6により、最低値を求めるために、食事修正ボーラス投与量は修正ボーラス投与量で置き換えられ、食事改定ボーラス投与量は改定ボーラス投与量で置き換えられる(370)。
【0053】
数式6 出力=min(食事修正ボーラス投与量,食事改定ボーラス投与量)
【0054】
数式6の関数の食事ボーラス投与量の出力に基づいて、インシュリンボーラス投与量は食事ボーラス投与量と等しい量として設定される(380)。設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってAPアプリケーションにより生成された制御信号に応答して、インシュリンボーラスは医療機器202によりユーザに対して投与されてもよい。
【0055】
上述の例では、修正ボーラス又は食事ボーラスにおけるボーラス投与量の計算はAPアプリケーションのプログラムコードに含まれているものとして説明された。しかし、上述の例は、本明細書で説明したAPアプリケーションと類似した機能を配布する異なるサービスプロバイダから提供されるアプリケーションのアドオンプログラムとして実装されてもよい。
【0056】
インシュリンボーラスを計算する追加の方法もまた開示される。例えば、一般化された処理に対する特定の変更を含む処理が開示される。一般化された処理の例は
図4に示される。
図4の処理400は、415にてある期間に渡り幾つかの血糖測定値を受信することを含む。上記の通り、幾つかの血糖測定値はある期間に渡ってCGMにより作成される。例えば、204のようなセンサはユーザの血糖を数日間に渡り(例えばセンサの電源が枯渇するまで)5分毎に測定してもよく、医療機器又は管理装置上で実行されるAPアプリケーションへ結果を提供してもよい。
【0057】
医療機器又は管理装置のプロセッサはインシュリンの修正ボーラス投与量はユーザに要求されていることを幾つかの血糖測定値の評価に基づいて決定してもよい(415)。本例では、医療機器のプロセッサはインシュリンの修正ボーラス投与量がユーザに要求されていることを、幾つかの血糖測定値の評価に基づいて決定してもよい(425)。例えば、プロセッサは、例えばプロセッサに接続されたメモリ、センサ、医療機器、スマートアクセサリ装置、管理装置、クラウドベースのサービス、又は同種のもののようなシステムのその他の装置であってもよいデータ記憶装置からの情報にアクセスするよう動作可能であってもよい。代わりに、又は加えて、プロセッサは修正ボーラス投与量の決定に使用可能な情報を計算又は引き出すように動作可能であってもよい。本例では、プロセッサは、幾つかの血糖測定値中の選択された血糖測定値、ユーザの目標血糖値、及びインシュリン調整因子へ関数を適用してもよい。435にて、プロセッサは、関数の出力に基づいた修正ボーラス投与量の最終インシュリン値を取得してもよい。最終インシュリン値は、インシュリンボーラス投与量を決定するために使用されるインシュリンの体積、インシュリンの量(インシュリンの単位にて)、又は同種のものでもよい。例えば、取得された最終インシュリン値に基づいてインシュリンボーラス投与量を設定してもよい(445)。455にて、設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってインシュリンの送出を実行してもよい。例えば、設定されたインシュリンボーラス投与量に従ってインシュリン量を排出するためにポンプ機構224へ適用するプロセッサ221は制御信号を生成してもよい。
【0058】
435にて最終インシュリン値を取得するためのステップは異なる処理例を用いて実行されてもよい。
図5は処理を適用するプロセッサにより完了され得る、最終インシュリン値を取得するためのサブプロセスの例のフローチャートである。処理500は例えばプロセッサにより選択された血糖測定値とユーザの目標血糖値の差の計算を行うことを可能にするAPアプリケーションの一部としてプログラムコードにより実装されてもよい(510)。プロセッサは、計算された差、又は最大修正血糖値のどちらがより低い血糖値であるかを決定してもよい(520)。530にて、より低い血糖値が求められたら、より低い血糖値へインシュリン調整因子が適用されてもよい。より低い血糖値に対するインシュリン調整因子の適用結果を出力してもよい(540)。
【0059】
代わりに、
図6A及び
図6Bに示される別の例では、435にて最終インシュリン値を取得するステップは、処理600の機能を実行するようプロセッサを動作可能にするプログラムコードを実行するプロセッサにより実行されてもよい。例えば、610にて、プロセッサは選択された血糖測定値とユーザの目標血糖値との差を計算してもよい。計算された差、又は最大修正血糖値のどちらがより低い血糖値であるかの決定が行われてもよい(620)。最大修正血糖値は100mg/dLなどの臨床医学上の固定値であってもよく、ユーザの好みに基づいて0から300mg/dLまで修正可能であってもよく、以下の数式7に見られるようにユーザの最大ボーラス設定及びインシュリン感度因子の臨床パラメータに基づいて示唆されるもの、又は同種のものであってもよい。
【0060】
【0061】
その他の例では、最大修正血糖値は特定のユーザに特有であってもよい。例えば、最大修正血糖値はユーザへの投与の履歴及び各投与に対するユーザの反応の解析に基づいて決定されてもよい。620における決定は差と最大修正血糖値の各値の直接比較を使用することにより、又は差、最大修正血糖値、又は双方にバイアス重みづけ(例えば80/20、60/40のようなパーセンテージ、0.2又は同種のもののような直接バイアス重みづけ)を適用することにより行われてもよい。
【0062】
630にて、調整因子を適用したボーラス投与量は、620で求めたより低い血糖値に(上記の数式1又は数式4を利用する例にて示されたIAFのような)インシュリン調整因子を適用することにより求められてもよい。
【0063】
幾つかの血糖測定値から血糖測定値を選択してもよい(640)。プロセッサが幾つかの因子に基づいて血糖測定値を選択してもよい。例えば、選択された血糖測定値は、CGMから一番最近受信したもの(すなわち、最新の血糖測定値)、又は例えばユーザにより医療機器に入力されたもの、15分以内、25分以内、又はその他の期間にて受信された血糖測定値のうちの1つ、又は同種のものである血糖測定値であってもよい。
【0064】
650にて、期間中に受信された幾つかの血糖測定値から血糖測定値の変化率を求めてもよい。変化率は幾つかの既知の方法で求めてもよい。
図6Bに移り、変化率修正因子は650にて求めた変化率に時間パラメータを掛けることで求めてもよい(660)。血糖測定値の変化率の単位は単位時間当たりミリグラム/デシリットルであってもよい。数式2のTのような時間パラメータは、分のような時間の単位で表される時間値(例えば5、10、15又は25分)、又は同種のものであってもよい。当然、時間の単位を秒又は時間の分数に変換して使用してもよい。例では、プログラムコードを実行するプロセッサは選択された血糖測定値に変化率修正因子を加えることにより修正血糖測定値を生成してもよい(670)。プログラムコードを実行するプロセッサは680にて修正血糖測定値と目標血糖値の間の差を求めてもよい。690にて、プログラムコードを実行するプロセッサは求めた修正血糖測定値と目標血糖値の差と調整因子適用後のボーラス投与量とのどちらが各最小値であるかを求めてもよい。プロセッサは各最小値を、ボーラス投与指示として、薬品送出装置へ、第一のインシュリン修正値として出力してもよい(699)。
【0065】
別の代替として、
図7は最終インシュリン値を取得するための更なるサブプロセスの例のフローチャートを示す。
図7の例に示されるように、435にて最終インシュリン値を取得するステップは、処理700の機能を実行するようプロセッサを動作可能にするプログラムコードを実行するプロセッサにより実行されてもよい。例えば、710にて、プロセッサは血糖値における測定値と目標値の差を求めるために選択された血糖測定値とユーザの目標血糖値との差を計算してもよい。720にて、プロセッサにより、選択された血糖測定値が計測された時間に相当する特定の時間における血糖値の予測が行われてもよい。予測は以前のユーザの血糖測定値、インシュリン投与履歴、又は同種のものに基づいてもよい。血糖値における予測値と目標値の差を求めるために予測された血糖値とユーザの目標血糖値との差を計算してもよい(730)。プログラムコードを実行するプロセッサは、血糖値における測定値と目標値の差及び血糖値における予測値と目標値の差のどちらがより低い血糖値であるかを求めるよう動作可能であってもよい(740)。これは直接比較又はその他の処理など様々な方法を用いて求めてもよい。各値のうちどちらがより低い血糖値なのかを740にて求めることに応じて、より低い血糖値にインシュリン調整因子を適用して最終血糖値を提供してもよい(750)。例えば、より低い血糖値はインシュリン調整因子により乗算又は除算されてもよく、又はその他の操作又は関数によりより低い血糖値にインシュリン調整因子が適用されてもよい。
【0066】
最終血糖値を求めることに応じて、プロセッサは760にて薬品送出装置へボーラス投与量を送出するための最終血糖値の指示を出力してもよい。出力された指示は、薬品送出装置へボーラス投与量を送出するために、
図2の224のようなポンプ機構に適用する信号を生成するために使用されてもよい。
【0067】
本明細書で説明される薬品送出システム(例えばシステム200又は任意の構成要素)への安全拘束を提供するための技術はハードウエア、ソフトウエア、又はそれらの任意の組み合わせにより実施されてもよい。例えば、システム200又は任意の構成要素はハードウエア、ソフトウエア、又はそれらの任意の組み合わせにより実施されてもよい。本明細書で説明される技術のソフトウエアに関連する実装は、ファームウエア、アプリケーション特有ソフトウエア、又は1つ以上のプロセッサにより実行されるその他の任意の型のコンピュータ可読命令を限定せず含んでもよい。本明細書で説明される技術のハードウエアに関連する実装は、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、field programmable array(FPGA)、及び/又はプログラマブルロジックデバイス(PLD)を限定せず含んでもよい。幾つかの例では、本明細書で説明される技術、及び/又は任意のシステム又は本明細書で説明する構成要素は1つ以上のメモリ要素に記憶されたコンピュータ可読命令を実行するプロセッサにより実装されてもよい。
【0068】
開示された装置の幾つかの実施形態は、例えば、機械による実行時に機械(すなわちプロセッサ又はマイクロコントローラ)により本明細書の例に従った方法及び/又は動作が実行され得るような命令又は命令のセットを記憶し得る記憶媒体、コンピュータ可読媒体、又は製造物を使用して実装されてもよい。そのような機械は例えば任意の処理プラットフォーム、計算プラットフォーム、計算装置、処理装置、計算システム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ、又は同種のものを含んでもよく、ハードウエア及び/又はソフトウエアの任意の組み合わせを使用して実装されてもよい。コンピュータ可読媒体又は製品は、例えばメモリ(非一時的メモリを含む)、取り外し可能又は取り外し不可能な媒体、消去可能又は消去不可能な媒体、書き込み可能又は再書き込み可能媒体、デジタル又はアナログ媒体、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクト・ディスク・レコーダブル(CD-R)、コンパクト・ディスク・リライタブル(CD-RW)、光ディスク、磁気媒体、光磁気媒体、リムーバブルメモリカード又はディスク、様々な型のデジタル多用途ディスク(DVD)、テープ、カセット、又は同種のもののような、任意の適切なメモリユニット、メモリ、メモリ製品、メモリ媒体、記憶装置、記憶製品、記憶媒体及び/又は記憶ユニットを含んでもよい。命令は、任意の適切なハイレベル、ローレベル、オブジェクト指向の、視覚的な、コンパイルされた及び/又は解釈済みのプログラム言語を使用して実装された、ソースコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、暗号化されたコード、プログラムコード、及び同種のもののような任意の適切な型のコードを含んでもよい。プログラムコードを具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体は、プログラムコードを実行した時に、プロセッサに本明細書で説明したような機能を実行させてもよい。
【0069】
本開示の特定の例が上に説明された。しかしながら、本開示はこれらの例に限定されず、むしろ本明細書で明白に説明されたものに対する追加及び修正もまた開示された例の範囲に含まれることが意図されることを明白に言及する。更に、本明細書中で説明する様々な例の特徴は排他的ではなく、様々な組み合わせ及び順序により存在し得、そのような組み合わせ又は並べ替えが本明細書で表現されずとも、開示された例の精神及び範囲から逸脱しないものとして理解されるべきである。実際、当業者には、本明細書で説明するものの変形、修正及びその他の実装は、開示された例の精神及び範囲から逸脱しないものとして想起されるであろう。従って開示された例は、前述の例示的な説明のみにより定義されるものではない。
【0070】
ある型の機械可読媒体に搭載又は具現化された、典型的には実行可能コード及び/又は関連データの形態である本技術のプログラムの態様は、「製品」又は「製造品」と考えられてもよい。記憶装置型の媒体は、ソフトウエアプログラムへいつでも非一時的な記憶装置を提供し得る様々な半導体メモリ、テープドライバ、ディスクドライバ及び同種のもののような、コンピュータの有形媒体、プロセッサ又は同種のもの若しくは関連したモジュールのうち任意のもの又は全てを含んでもよい。本開示の要約は技術的開示の性質を読者が素早く確認できるように提供されることを強調する。これは請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するよう使用されないことが理解された上で提出されるものである。加えて、前述の詳細な説明では、開示を合理化するために様々な機能が単一の例にグループ化されている。開示の方法は、請求された例が各請求項で明白に唱えるよりも多くの特徴を要求する意図を反映すると解釈されるものではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、発明主題は単独の開示された例の全ての特徴よりも少ない特徴の中に存在する。従って、以下の請求項は、各請求項が独立した例としてそれ自体で成り立っている状態で詳細な説明に組み込まれる。添付した請求項では、「含む(including)」及び「ここで(in which)」は「備える(comprising)」及び「ここで(wherein)」のそれぞれの平易な英語による代替として使用される。更に、「第一の」「第二の」「第三の」等はラベルとしてのみ使用され、その対象に数値的な要件を課すことを意図していない。
【0071】
前述の実施形態の説明は例示及び説明を目的として提示された。網羅的であること、又は開示された正確な形態により本開示が限定されることは意図されない。本明細書を考慮した数多くの修正及び変形が可能である。本開示の範囲がこの詳細な説明により限定されず、むしろ添付する請求項により限定されることを意図する。本願の優先権を主張する将来の出願は、開示した主題を異なる方法で請求することがあり、一般的に本明細書に様々な形で開示されるか、又は表明される1つ以上の制限の任意のセットを含むことがある。
【国際調査報告】