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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】プロセス制御ループブリッジ
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
G05B19/042
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516178
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020047579
(87)【国際公開番号】W WO2021050251
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】62/900,025
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/587,595
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー、ウォルター チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ペルーソ、マルコス エーブイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴュー、チョン チョア
(72)【発明者】
【氏名】パシュケ、ランディー ケネス
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220CC02
5H220CX05
5H220JJ07
5H220JJ17
5H220KK03
(57)【要約】
第1のプロセス制御ループ(112)と第2のプロセス制御ループ(120)との間に接続されたブリッジ(140)であって、ブリッジ(140)が、交流デジタル信号が第1のプロセス制御ループ(110)と第2のプロセス制御ループ(120)との間を通過することを可能にする一方で、直流アナログ信号が第1のプロセス制御ループ(110)と第2のプロセス制御ループ(120)との間を通過することを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のプロセス制御ループと第2のプロセス制御ループとの間に接続されたブリッジであって、前記第1のプロセス制御ループと前記第2のプロセス制御ループとの間を交流デジタル信号が通過することを可能にする一方、前記第1のプロセス制御ループと前記第2のプロセス制御ループとの間を直流アナログ信号が通過することを防止する、ブリッジ。
【請求項2】
前記第1のプロセス制御ループの1つのレグと前記第2のプロセス制御ループの1つのレグとの間に接続されている、請求項1に記載のブリッジ。
【請求項3】
前記第1のプロセス制御ループの前記1つのレグと、前記第2のプロセス制御ループの前記1つのレグとに接続されたキャパシタを含む、請求項2に記載のブリッジ。
【請求項4】
前記第1のプロセス制御ループの前記1つのレグと、前記第2のプロセス制御ループの前記1つのレグとに接続された変圧器を含む、請求項2に記載のブリッジ。
【請求項5】
端子台内に配置されている、請求項1に記載のブリッジ。
【請求項6】
第1のプロセス制御送信機が前記第1のプロセス制御ループに接続され、第2のプロセス制御送信機が前記第2のプロセス制御ループに接続され、前記第1のプロセス制御送信機が、当該ブリッジを通して前記第2のプロセス制御送信機と直接通信する、請求項1に記載のブリッジ。
【請求項7】
前記第1のプロセス制御ループ及び前記第2のプロセス制御ループが、ホストに接続されている、請求項6に記載のブリッジ。
【請求項8】
前記ホストが第1のマスタとして動作し、前記第1のプロセス制御送信機が第2のマスタとして動作する、請求項7に記載のブリッジ。
【請求項9】
前記ホストが第1のマスタとして動作し、前記第1のプロセス制御送信機及び前記第2のプロセス制御送信機がスレーブとして動作する、請求項7に記載のブリッジ。
【請求項10】
少なくとも1つの能動素子を含む、請求項1に記載のブリッジ。
【請求項11】
プロセス制御システム内の流体の属性を検知するように構成されたセンサと、
直流アナログ信号を使用してプロセス制御ループ上のホストと通信し、かつ交流デジタル信号を受信するように構成された通信インタフェースと、
マイクロプロセッサと、を備え、
前記マイクロプロセッサが、前記通信インタフェースによって設定された直流アナログ信号を制御して、プロセス変数を前記ホストに提供するように構成され、
前記マイクロプロセッサが、第2のプロセス制御ループ上の第2のプロセス制御送信機によって送信され、かつ前記プロセス制御ループと前記第2のプロセス制御ループとの間のデジタル信号用のブリッジを介して前記プロセス制御ループに伝達されるデジタル値を、前記通信インタフェースを介して受信するように構成されている、
プロセス制御送信機。
【請求項12】
前記マイクロプロセッサが、前記第2のプロセス制御送信機によって前記第2のプロセス制御ループ上の前記ホストに送信されたデジタル信号を復号することによって、前記デジタル値を受信するように構成されている、請求項11に記載のプロセス制御送信機。
【請求項13】
前記マイクロプロセッサが、前記通信インタフェースを介してデジタルパケットを前記ブリッジを通して前記第2のプロセス制御送信機に送信するようにさらに構成されている、請求項11に記載のプロセス制御送信機。
【請求項14】
前記マイクロプロセッサが、前記デジタルパケットにおいて、前記プロセス制御送信機を第2のマスタとして指定するようにさらに構成されている、請求項13に記載のプロセス制御送信機。
【請求項15】
前記デジタルパケットの少なくとも1つが、前記第2のプロセス制御送信機にバーストモードに入るように指示する、請求項14に記載のプロセス制御送信機。
【請求項16】
前記マイクロプロセッサが、第3のプロセス制御ループ上の第3のプロセス制御送信機によって送信され、かつ前記プロセス制御ループと前記第3のプロセス制御ループとの間のデジタル信号用の第2のブリッジを通して前記プロセス制御ループに伝達されるデジタル値を、前記通信インタフェースを通して受信するようにさらに構成されている、請求項11に記載のプロセス制御送信機。
【請求項17】
第1のプロセス制御送信機に接続される第1のプロセス制御ループの送信機部分を受け取るための第1の端子と、
第2のプロセス制御送信機に接続される第2のプロセス制御ループの送信機部分を受け取るための第2の端子と、
前記第1のプロセス制御ループの前記送信機部分を、前記第2のプロセス制御ループの前記送信機部分に接続するブリッジ回路であって、直流アナログ信号が前記ブリッジ回路を通過することを防止する一方で、交流デジタル信号が前記ブリッジ回路を通過するようにするブリッジ回路と、
を備える端子台。
【請求項18】
前記ブリッジ回路が、キャパシタを備える、請求項17に記載の端子台。
【請求項19】
ホストに接続された前記第1のプロセス制御ループのホスト部分を受け取るための第3の端子と、前記ホストに接続された前記第2のプロセス制御ループのホスト部分を受け取るための第4の端子と、をさらに備える、請求項18に記載の端子台。
【請求項20】
前記キャパシタが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に配置され、前記ブリッジ回路が、前記第1の端子と前記第3の端子との間に配置された抵抗器をさらに備える、請求項19に記載の端子台。
【請求項21】
前記ブリッジ回路が、変圧器を備える、請求項17に記載の端子台。
【請求項22】
ホストに接続された前記第1のプロセス制御ループのホスト部分を受け取るための第3の端子と、前記ホストに接続された前記第2のプロセス制御ループのホスト部分を受け取るための第4の端子と、をさらに備える、請求項21に記載の端子台。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロセス制御ループブリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス制御システムでは、送信機がプロセス変数を測定し、プロセス変数の値をホストに送信する。多くのシステムでは、送信機は2線式ループによってホストに接続されている。ループ上の直流電流をプロセス変数の値を表す値に設定することによって、プロセス変数の値を送信機からアナログ信号として送信することができる。ループに印加することができる直流電流は、一般に規格によって、例えば、0~20mA又は4~20mAのような特定の範囲に制限されている。
【0003】
また、直流電流に重畳された交流信号を使用して、ループ上に追加情報を送信することができる。この追加情報は、HARTプロトコルなどのプロトコルによってサポートされる信号フォーマットを使用して送信される。そのような信号フォーマットの一例として、デジタル信号がそれぞれビット1及びビット0を表す2つの周波数(1200Hz及び2200Hz)から構成される周波数偏移変調(Frequency Shift Keying)がある。したがって、交流信号の周波数を変えることによって、ベースの4~20mAのアナログ信号の上にデジタル値を載せて送信することができる。別の例では、位相偏移変調(Phase Shift Keying)が使用され、交流信号の位相は、各々がそれぞれの3ビットデジタル値を表す8つの値のうちの1つに変更される。
【0004】
一般に、送信機をホストに接続するための2つの構成、すなわち、ポイント・ツー・ポイントとマルチドロップとがある。ポイント・ツー・ポイントでは、各ループに送信機が1つだけ存在する。このような構成では、各送信機は4-20mAのアナログ信号と交流デジタル信号の両方を使用してホストに値を送信することができるが、送信機は他の送信機から直接通信を受信することができない。マルチドロップでは、複数の送信機がループ上に並列に配置される。これにより、送信機同士は、互いに直接デジタル通信を受信することができるようになる。しかしながら、このような構成では、ループ上のどの送信機も、直流電流信号を使用してデータを送信することができない。なぜなら、各送信機は、その直流電流を4mAに保つ必要があり、ホストはループ上の直流電流を測定していないからである。その結果、マルチドロップモードでは、送信機は、交流デジタル信号のみを使用して情報を伝達することができる。
【発明の概要】
【0005】
ブリッジは、第1のプロセス制御ループと第2のプロセス制御ループとの間に接続されており、ブリッジは、交流のデジタル信号が第1のプロセス制御ループと第2のプロセス制御ループとの間を通過することを可能にする一方で、直流のアナログ信号が第1のプロセス制御ループと第2のプロセス制御ループとの間を通過することを防止する。
【0006】
さらなる実施形態によれば、プロセス制御送信機は、プロセス制御システム内の流体の属性を検知するためのセンサと、直流アナログ信号を使用してプロセス制御ループ上のホストと通信し、交流デジタル信号を送受信するように構成された通信インタフェースと、マイクロプロセッサとを含む。マイクロプロセッサは、通信インタフェースによって設定された直流アナログ信号を制御して、ホストにプロセス変数を提供するように構成されると共に、マイクロプロセッサは、通信インタフェースを介してデジタル値を送受信するように構成されており、そのデジタル値は、第2のプロセス制御ループ上の第2のプロセス制御送信機によってそれぞれ受信及び送信され、プロセス制御ループと第2のプロセス制御ループとの間のデジタル信号用のブリッジを介して伝達される。
【0007】
さらに別の実施形態では、端子台は、第1のプロセス制御送信機に接続される第1のプロセス制御ループの送信機部分を受信するための第1の端子と、第2のプロセス制御送信機に接続される第2のプロセス制御ループの送信機部分を受信するための第2の端子とを含む。端末内のブリッジ回路は、第1のプロセス制御ループの送信機部分を第2のプロセス制御ループの送信機部分に接続して、直流アナログ信号がブリッジ回路を通過しないようにし、一方で交流デジタル信号がブリッジ回路を通過するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係るプロセス制御システムのブロック図である。
図2図2は、図1のプロセス制御システムの一部のより詳細なブロック図である。
図3図3は、第2の実施形態のブロック図である。
図4図4は、一実施形態による端子台の斜視図である。
図5図5は、一実施形態に係る端子台の内部の回路図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る端子台の内部の回路図である。
図7図7は、第2の実施形態に係るプロセス制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
現在の規格では、2つの送信機間での直接通信を可能にしながら、両方の送信機が、アナログ直流(DC) 信号とデジタル交流(AC) 信号の両方を介してホストシステムと通信できるようにする方法は、存在しない。
【0010】
実施形態は、分離されたアナログ電流ループ回路上の装置間で有線デジタル通信信号を結合するブリッジを提供し、装置が、アナログ直流(DC)信号及びデジタル交流(AC)信号を介してホストシステムと個別に通信し、また相互にデジタル通信することを可能にする。ポイント・ツー・ポイントのアナログ直流電流ループは、個別であり、互いに分離されている。ポイント・ツー・ポイントのデジタル交流信号は、個別であるが、ブリッジによってデジタルメッセージを1つのループから別のループに渡すことができる。
【0011】
図1は、ホスト102及び3つのプロセス制御送信機104、106、及び108を有するプロセス制御システム100のブロック図を提供する。プロセス制御送信機104は、レグ(leg)112及びレグ114を有する2線式プロセス制御ループ110によってホスト102に接続されている。検出抵抗器116は、ホスト102内部又は外部のレグ112と直列であり、ホスト102は、検出抵抗器116の端部とレグ114との間に電圧118を印加する。電圧118がレグ114をレグ112よりも高い電圧にする実施形態では、レグ114は正のレグと呼ばれ、レグ112は負のレグと呼ばれる。プロセス制御送信機106は、レグ122及びレグ124を有する2線式プロセス制御ループ120によってホスト102に接続される。検出抵抗器126は、ホスト102内部又は外部のレグ122と直列であり、ホスト102は、検出抵抗器126の端部とレグ124との間に電圧128を印加する。電圧128がレグ124をレグ122よりも高い電圧にする実施形態では、レグ124は正のレグと呼ばれ、レグ122は負のレグと呼ばれる。プロセス制御送信機108は、レグ132及びレグ134を有する2線式プロセス制御ループ130によってホスト102に接続される。検出抵抗器136は、ホスト102内部又は外部のレグ132と直列であり、ホスト102は、検出抵抗器136の端部とレグ134との間に電圧138を印加する。電圧138がレグ134をレグ132よりも高い電圧にする実施形態では、レグ134は正のレグと呼ばれ、レグ132は負のレグと呼ばれる。
【0012】
レグ112及びレグ122は、ブリッジ140によって接続され、一方、レグ122及びレグ132はブリッジ142によって接続される。ブリッジ140は、交流デジタル信号がレグ112とレグ122との間を通過することを可能にするが、直流アナログ信号がプロセス制御ループ110からプロセス制御ループ120へ、またその逆へ通過することを防止する。ブリッジ142は、交流デジタル信号がレグ122とレグ132との間を通過することを可能にするが、直流アナログ信号がプロセス制御ループ120からプロセス制御ループ130へ、またその逆へ通過することを防止する。ブリッジ140及びブリッジ142の組み合わせは、交流デジタル信号がレグ112及びレグ132の間を通過することを可能にするが、直流アナログ信号がプロセス制御ループ110、120及び130の間を通過することを防止する。
【0013】
図2は、プロセス制御送信機104及び106並びにホスト102のより詳細なブロック図を提供する。プロセス制御送信機104は、センサ200と、アナログ/デジタル変換器204と、マイクロプロセッサ208と、DCアナログ通信インタフェース216及びACデジタル通信インタフェース220を有する通信インタフェース212と、を含む。プロセス制御送信機106は、センサ202と、アナログ/デジタル変換器206と、マイクロプロセッサ210と、DCアナログ通信インタフェース218及びACデジタル通信インタフェース222を有する通信インタフェース214と、を含む。
【0014】
センサ200及び202は、プロセス流体導管又はタンク内のプロセス流体のそれぞれの属性を検知する。いくつかの実施形態ではセンサ200及び202は同じ属性を検知するが、他の実施形態ではセンサ200及び202は異なる属性を検知する。いくつかの実施形態では、センサ200及び202は、同じプロセス流体の属性を検知する一方、他の実施形態では、センサ200及び202は、異なるプロセス流体の属性を検知する。
【0015】
センサ200及び202によって生成されたアナログ信号は、それぞれのアナログ/デジタル変換器204及び206に供給され、この変換器は、アナログ信号をそれぞれのマイクロプロセッサ208及び210に供給される一連のデジタル値に変換する。いくつかの実施形態では、追加のフィルタリングが、アナログ信号及び一連のデジタル値のうちの1つ又は複数に適用される。
【0016】
マイクロプロセッサ208及び210は、それぞれの一連のデジタル値を使用して、それぞれのプロセス変数に対する1つ又は複数の値を決定する。いくつかの実施形態によれば、一連のデジタル値は、プロセス変数の一連の値として直接使用され、他の実施形態では、一連のデジタル値は、プロセス変数の値を計算するために使用される。
【0017】
マイクロプロセッサ208は、DCアナログ通信インタフェース216を使用して、マイクロプロセッサ208によって決定されたプロセス変数の値を送信する。DCアナログ通信インタフェース216は、プロセス制御ループ110上でプロセス変数の値を直流アナログ信号として送信する。一実施形態によれば、プロセス変数の値は、電流がプロセス変数の電流値を表す4~20mA(又は0~20mA)の間の値を有するようにレグ112及び114上の直流電流を制御することによって伝達される。
【0018】
マイクロプロセッサ210は、DCアナログ通信インタフェース218を使用して、マイクロプロセッサ210によって決定されたプロセス変数の値を送信する。DCアナログ通信インタフェース218は、プロセス制御ループ120上でプロセス変数の値を直流アナログ信号として送信する。一実施形態によれば、プロセス変数の値は、電流がプロセス変数の電流値を表す4~20mAの間の値を有するようにレグ122及び124上の直流電流を制御することによって伝達される。
【0019】
マイクロプロセッサ208は、ACデジタル通信インタフェース220を使用して、マイクロプロセッサ208によって決定されたプロセス変数の値及び/又は追加のデジタル情報を送信し、プロセス制御ループ110上でデジタル信号を受信する。ACデジタル通信インタフェース220は、プロセス制御ループ110上で、交流デジタル信号として値及び/又は情報を送受信する。いくつかの実施形態によれば、ACデジタル通信インタフェース220は、周波数偏移変調を使用して交流デジタル信号を送受信する。ここでデジタル信号は、2つの周波数(それぞれ、ビット1及びビット0を表す1200Hz及び2200Hz)から構成されている。したがって、制御ループ110上の交流信号の周波数を変化させることによって、ACデジタル通信インタフェース220は、DCアナログ通信インタフェース216によって生成されるベースの4~20mAアナログ信号の上にデジタル値を載せて送信することができる。他の実施形態では、ACデジタル通信インタフェース220は、位相偏移変調を使用して交流デジタル信号を送受信する。位相偏移変調では、交流信号の位相が、各々がそれぞれ3ビットデジタル値を表す8つの値のうちの1つに変更される。したがって、制御ループ110上の交流信号の位相を変化させることによって、ACデジタル通信インタフェース220は、DCアナログ通信インタフェース216によって生成されるベースの4~20mAアナログ信号の上にデジタル値を載せて送信することができる。
【0020】
マイクロプロセッサ210は、ACデジタル通信インタフェース222を使用して、マイクロプロセッサ210によって決定されたプロセス変数値及び/又は追加のデジタル情報を送信し、プロセス制御ループ120上で交流デジタル信号を受信する。ACデジタル通信インタフェース222は、プロセス制御ループ120上で交流デジタル信号として値及び/又は情報を送受信する。いくつかの実施形態によれば、ACデジタル通信インタフェース222は、周波数偏移変調を使用して交流デジタル信号を送受信する。ここでデジタル信号は、2つの周波数(それぞれ、ビット1及びビット0を表す1200Hz及び2200Hz)から構成される。したがって、制御ループ120上の交流信号の周波数を変化させることによって、ACデジタル通信インタフェース222は、DCアナログ通信インタフェース218によって生成されるベースの4~20mAアナログ信号の上にデジタル値を載せて送信することができる。他の実施形態では、ACデジタル通信インタフェース220は、位相偏移変調を使用して交流デジタル信号を送受信しする。位相偏移変調では、交流信号の位相が、各々がそれぞれ3ビットデジタル値を表す8つの値のうちの1つに変更される。したがって、制御ループ120上の交流信号の位相を変化させることによって、ACデジタル通信インタフェース222は、DCアナログ通信インタフェース218によって生成されるベースの4~20mAアナログ信号の上にデジタル値を載せて送信することができる。
【0021】
ホスト102は、ホスト102に接続された各制御ループのそれぞれのDCアナログ通信インタフェース及びそれぞれのACデジタル通信インタフェースと通信する1つ又は複数のマイクロプロセッサ250を含む。例えば、制御ループ110の場合、ホスト102はDCアナログ通信インタフェース252及びACデジタル通信インタフェース254を有し、制御ループ120の場合、ホスト102はDCアナログ通信インタフェース256及びACデジタル通信インタフェース258を有する。
【0022】
DCアナログ通信インタフェース252は、検出抵抗器116の両端に接続され、プロセス制御ループ110上の電流の測定値として、したがってプロセス変数の値として、検出抵抗器116の両端の直流電圧を使用する。DCアナログ通信インタフェース256は、検出抵抗器126の両端に接続され、プロセス制御ループ120上の電流の測定値、したがってプロセス変数の値として、検出抵抗器126の両端の直流電圧を使用する。DCアナログ通信インタフェース252は、プロセス制御ループ110上の電流の測定値をデジタル値に変換し、そのデジタル値をマイクロプロセッサ250に送信し、DCアナログ通信インタフェース256は、プロセス制御ループ120上の電流の測定値をデジタル値に変換し、そのデジタル値をマイクロプロセッサ250に送信する。DCアナログ通信インタフェース252及び256は、同じマイクロプロセッサ250と通信するように示されているが、他の実施形態では、DCアナログ通信インタフェース252及び256は、別々のマイクロプロセッサと通信する。
【0023】
また、ACデジタル通信インタフェース254も、検出抵抗器116の両端に接続され、検出抵抗器116の両端の交流電圧を使用して、制御ループ110上で送信されるデジタル値を決定することが示されている。例えば、いくつかの実施形態では、ACデジタル通信インタフェース254は、交流電圧の周波数を使用して、周波数キーシフトに基づいて0及び1を復号する一方、他の実施形態では、ACデジタル通信インタフェース254は、交流電圧の位相を使用して、位相キーシフトに基づいて0及び1を復号する。ACデジタル通信インタフェース258は、検出抵抗器126の両端に接続され、検出抵抗器126の両端の交流電圧を使用して、制御ループ120上で送信されるデジタル値を決定することが示されている。例えば、いくつかの実施形態では、ACデジタル通信インタフェース258が交流電圧の周波数を使用して、周波数キーシフトに基づいて0及び1を復号する一方、他の実施形態では、ACデジタル通信インタフェース258は、交流電圧の位相を使用して、位相キーシフトに基づいて0及び1を復号する。
【0024】
また、ACデジタル通信インタフェース254は、例えば、周波数キーシフト又は位相キーシフトを使用することによって、プロセス制御ループ110上のマイクロプロセッサ250から交流デジタル信号を送信することもできる。同様に、ACデジタル通信インタフェース258は、例えば、周波数キーシフト又は位相キーシフトを使用することによって、プロセス制御ループ120上のマイクロプロセッサ250から交流デジタル信号を送信することができる。
【0025】
ブリッジ140は、制御ループ110及び120のレグ112及び122の間に接続されている。ブリッジ140は、DCアナログインタフェース216及び218によって生成された直流アナログ信号が、プロセス制御ループ110及び120の間を横断することを防止する一方、プロセス制御ループ110及び120上の交流デジタル信号が、プロセス制御ループ110及び120の間を横断することを可能にする。したがって、ループ110上のACデジタル通信インタフェース220又は254のいずれかによって生成される交流デジタル信号は、交流デジタル信号がプロセス制御ループ120上のACデジタル通信インタフェース222及びACデジタル通信インタフェース258の両方によって受信され得るように、ブリッジ140を通過する。同様に、制御ループ120上のACデジタル通信インタフェース222又は258のいずれかによって生成される交流デジタル信号は、交流デジタル信号がプロセス制御ループ110上のACデジタル通信インタフェース220及びACデジタル通信インタフェース254の両方によって受信され得るように、ブリッジ140を通過する。
【0026】
一実施形態によれば、ACデジタル通信インタフェース220、222、254、及び258は、交流デジタル信号を送信又は受信する際に、HART通信プロトコルを使用する。HARTプロトコルの下では、あるデバイスが他のデバイスに要求を行い、他のデバイスが応答する、要求及び応答の構造に基づいて通信が行われる。要求を行う装置はマスタと呼ばれ、応答を提供する装置はスレーブと呼ばれる。プロセス制御ループ上には、第1のマスタ(primary master)と第2のマスタ(secondary master)の最大2つのマスタが存在し得る。要求は、デジタル値のパケットであり、要求が第1のマスタ又は第2のマスタのどちらからのものであるかを示す表示、要求でアドレス指定されているスレーブ装置のアドレス、及びどのような要求が行われているかを示す表示を含む。応答は、デジタル値のパケットであり、応答を提供するスレーブ装置のアドレス、応答が第1のマスタ又は第2のマスタのどちらに対するものであるかを示す表示、及び要求された情報若しくはエラーコードを含む。(要求及び応答の両方に、追加情報が存在し得ることに留意されたい)。第1のマスタ及び第2のマスタは、スレーブであるプロセス制御送信機が自装置をバーストモードにすることを要求することができ、バーストモードでは、スレーブは、プロセス制御送信機によって検知されたプロセス変数の値を含む応答パケットを周期的に生成する。一度バーストモードにされると、プロセス制御送信機は、バーストモード要求を送信したマスタによって停止するように指示されるまで、最新のプロセス変数の値を送信し続ける。
【0027】
図2の実施形態の1つの実装によれば、ホスト102が第1のマスタであり、プロセス制御送信機104が第2のマスタであり、プロセス制御送信機106がスレーブである。プロセス制御送信機104のACデジタルインタフェース220は、プロセス制御送信機106に宛てられた要求を発行するために使用される。要求パケットは交流デジタル信号であるので、ブリッジ140は、要求パケットをプロセス制御ループ110からプロセス制御ループ120に伝達し、その結果、要求パケットは、ACデジタル通信インタフェース222によって受信され、プロセス制御送信機106のマイクロプロセッサ210に提供され得る。要求において、プロセス制御送信機104は、自装置を第2のマスタとして指定し、プロセス制御送信機106に、プロセス変数の値(複数可)を含む単一の応答パケットを送信するように指示するか、又はバーストモードに入り、プロセス変数(複数可)の最新の値を含む各応答パケットで応答パケットを連続的に送信するように指示する。要求が単一の応答パケットに対するものである場合、マイクロプロセッサ210は、ACデジタル通信インタフェース222に、要求されたプロセス変数の値(複数可)を含む単一の応答パケットを生成するように指示する。要求が送信機106がバーストモードに入ることである場合、マイクロプロセッサ210は、ACデジタル通信インタフェース222に、要求された応答パケットを生成するように指示する。応答パケットは、ACデジタル通信インタフェース258がそれらを受信するように、ループ120上でブロードキャストされる。応答パケットは交流信号であるため、応答パケットはブリッジ140を通してプロセス制御ループ110に伝達され、そこで応答パケットはACデジタル通信インタフェース220によって受信され、マイクロプロセッサ208に提供されて、応答パケットはACデジタル通信インタフェース254によって受信される。このようにして、プロセス制御送信機104は、プロセス制御送信機106によって生成されたプロセス変数の値を、ホスト102を通さずにブリッジ140を通して直接受信することができる。
【0028】
他の実施形態では、プロセス制御送信機104及び106がスレーブ装置であり、ホスト102が第1のマスタである。そのような実施形態では、プロセス制御送信機104及び106は、異なるアドレスを有する。ホスト102は、プロセス制御送信機106をバーストモードにするための要求を送信する。これに応答して、マイクロプロセッサ210は、センサ202によって検知された最新のプロセス変数の値を含む交流デジタル応答パケットを送信するように、プロセス制御送信機106のACデジタル通信インタフェース222に指示する。これらの応答パケットは、プロセス制御ループ120上で送信され、ホスト102にアドレス指定される。しかしながら、これらの応答パケットはまた、ブリッジ140を通ってプロセス制御ループ110に進み、そこでプロセス制御送信機104のACデジタル通信インタフェース220によって受信される。たとえ応答パケットがホスト102にアドレス指定されたとしても、ACデジタル通信インタフェース220は交流信号を復号し、応答パケット内のデジタル化されたプロセス変数の値をマイクロプロセッサ208に提供する。
【0029】
一実施形態によれば、マイクロプロセッサ208は、プロセス制御送信機106から受信したプロセス変数の値と、センサ200からのプロセス変数の値とを使用して、さらなるプロセス変数の値を計算する。例えば、マイクロプロセッサ208は、プロセス制御送信機106からの圧力値と、センサ200からの差圧値(又は任意の他の体積流量値)を使用して、質量流量を計算することができる。次いで、マイクロプロセッサ208は、質量流量を、直流アナログ信号として、又は交流デジタル信号としてホスト102に送信する。
【0030】
図3は、ブリッジ140がパネル304の端子台300内に配置されている実施形態の概略図を提供する。いくつかの実施態様では、パネル304はフィールドジャンクションパネル(field junction panel)であり、他の実施態様において、パネル304はマーシャリングパネル(marshalling panel)である。図3の実施形態では、各プロセス制御ループの各正のレグ及び各負のレグは、ホスト部分と送信機部分とに分割される。例えば、図1の負のレグ112は、ホスト部分322と送信機部分332とに分割され、図1の正のレグ114は、ホスト部分324と送信機部分334とに分割され、図1の負のレグ122は、ホスト部分342と送信機部分352とに分割され、図1の正のレグ124は、ホスト部分344と送信機部分354とに分割される。
【0031】
パネル304内では、端子台302がホスト部分と送信機部分とを接続して、正のレグ114及び124を形成する。したがって、端子台302は、ホスト部分324を送信機部分334に接続して正のレグ114を形成し、ホスト部分344を送信機部分354に接続して正のレグ124を形成する。端子台300は、ホスト部分と送信機部分とを接続して負のレグ112及び122を形成する一方、負のレグ112と負のレグ122との間にブリッジ140を提供する。したがって、端子台300は、ホスト部分322を送信機部分332に接続して負のレグ112を形成し、ホスト部分342を送信機部分352に接続して負のレグ122を形成する。さらに、端子台300は、交流デジタル信号が負のレグ112と負のレグ122との間を通過することを可能にする一方で、直流アナログ信号が負のレグ112と負のレグ122との間を通過することを防止する回路要素を含む。
【0032】
図4は、一実施形態による端子台300の斜視図を提供する。端子台300は、ハウジング400と、送信機部分332、送信機部分352、ホスト部分322及びホスト部分342をそれぞれ受け取るための端子402、404、406及び408とを含む。ブリッジ140は、ハウジング400内に配置されている。
【0033】
図5は、一実施形態による端子台300の内部配線の回路図を提供する。図5において、導線500は、端子402から端子406に延在して、端子部分332をホスト部分322に接続する。導線502、抵抗器504、及び導線506は、端子404から端子408まで直列に延在して、送信機部分352をホスト部分342に接続する。キャパシタ508は、導線500と導線502との間に延在する。キャパシタ508及び抵抗器504はブリッジ140を形成し、これにより、交流信号が負のレグ112及び122の間を通過することを可能にする一方、直流信号が負のレグ112及び122の間を通過することを防止する。
【0034】
図6は、第2の実施形態による端子台300の内部配線の回路図を提供する。図6において、導線600、変圧器612の巻線602、及び導線604は、端子402から端子406まで直列に延在して、送信機部分332をホスト部分322に接続する。導線606、変圧器612の第2の巻線608、及び導線610は、端子404から端子408まで直列に延在し、送信機部分352をホスト部分342に接続する。変圧器612はブリッジ140を形成し、交流デジタル信号が負のレグ112及び122の間を通過することを可能にする一方で、直流アナログ信号が負のレグ112及び122の間を通過するのを防止する。さらに、変圧器612は、制御ループ110及び120の通信に影響を与えることなく、負のレグ112及び122が異なる接地平面にあることを可能にする。
【0035】
他の実施形態では、ブリッジ140に能動回路素子が使用されて、交流デジタル信号がループ間を通過することを可能にする一方で、直流アナログ信号がループ間を通過することを防止する。単純な場合、それぞれのHARTループ間の信号レベルのバランスをとるのを助けるために、追加の構成要素が追加されてもよい。
【0036】
図7は、プロセス制御送信機106とホスト102との間にプロセス制御ループが存在しないプロセス制御システムの、さらなる実施形態のブロック図を提供する。代わりに、電圧128と同様のプロセス制御送信機106用の電圧を生成し、短絡時の電流保護を含む、ホスト102とは別の電源700が提供される。加えて、検出抵抗器126と同じ抵抗値を有する負荷抵抗器702が、電源700の負のリードとプロセス制御送信機106の負のリードとの間に、負のレグ722によって直列に接続されている。正のレグ724は、電源700の正のリードをプロセス制御送信機106の正のリードに接続する。負のレグ722は、ブリッジ140に接続されており、これにより交流デジタル信号が、負のレグ722と負のプロセス制御ループ110のレグ112との間を通過することを可能にする。このように、プロセス制御送信機106は、ブリッジ140を介してプロセス制御送信機104とホスト102との間で、交流デジタル信号を送受信することができる。一実施形態によれば、負荷抵抗器702は、ブリッジ140を含む端子台内に配置される。
【0037】
様々な実施形態では、任意のタイプのプロセス制御送信機を使用することができる。
【0038】
個々の実施形態を上記で別々に論じたが、当業者はそのような実施形態を一緒に使用できることを認識するであろう。本発明は、好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく形状及び細部に様々な変更がなされてもよいことを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】