(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】腱または靭帯を硬組織に取り付けるための第1のセットおよび第2のセットのピラーを備えるインプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/08 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
A61F2/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516399
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2020050442
(87)【国際公開番号】W WO2021050903
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522099076
【氏名又は名称】ゲイリー エー. ツウィック, トラスティ オブ ジ エヴェレスト トラスト ユーティーエー エイプリル トゥウェンティース, トゥウェンティセブンティーン
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピチャ, ジョージ ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】プライス, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】カウジー, グレゴリー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA21
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC06
4C097CC13
4C097DD03
4C097DD06
4C097DD10
4C097EE03
4C097MM04
(57)【要約】
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントが提供される。インプラントが、シャフトと、凸形である第1の表面と、平坦または凹形である第2の表面と、硬組織に接触するための第1のピラーと、硬組織によって占有されることになる第1のスロットと、腱または靭帯に接触するための第2のピラーと、腱または靭帯によって占有されることになる第2のスロットと、を有する。インプラントが、0.40:1から0.90:1である、第1のピラーの体積および第1のスロットの体積の合計に対しての第1のスロットの体積の合計の第1の表面比と、0.60:1から0.98:1である、第2のピラーの体積および第2のスロットの体積の合計に対しての第2のスロットの体積の合計の第2の表面比と、を有する。第2の表面比が第1の表面比より大きい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントであって:
(a)頂端部および底端部を有するシャフトであって、前記シャフトが前記頂端部と前記底端部との間を延在する、シャフトと;
(b)前記シャフトに対して横方向である凸形の断面を有する、前記頂端部から前記底端部まで延在する前記シャフトの第1の表面と;
(c)前記シャフトに対して横方向である平坦または凹形である断面を有する、前記頂端部から前記底端部まで延在する前記シャフトの第2の表面と;
(d)硬組織に接触するための第1のピラーであって、前記第1のピラーが少なくとも50mm
2の面積にわたって前記第1の表面上に分布し、そこから遠位側に延在し、各第1のピラーが前記シャフトと一体であり、(100×100)μm
2から(2,000×2,000)μm
2の横方向面積および100μmから2,000μmの高さを有する遠位端を有する、第1のピラーと;
(e)前記硬組織によって占有されるための第1のスロットであって、前記第1のスロットが前記第1のピラーによって画定され、各第1のスロットが、隣接する第1のピラーの間の最短距離に沿って測定して100μmから2,000μmの幅を有する、第1のスロットと;
(f)腱または靭帯に接触するための第2のピラーであって、前記第2のピラーが少なくとも50mm
2の面積にわたって前記第2の表面上に分布し、そこから遠位側に延在し、各第2のピラーが前記シャフトと一体であり、(200×200)μm
2から(4,000×4,000)μm
2の横方向面積および100μmから10,000μmの高さを有する遠位端を有する、第2のピラーと;
(g)前記腱または前記靭帯によって占有されるための第2のスロットであって、前記第2のスロットが前記第2のピラーによって画定され、各第2のスロットが、隣接する第2のピラーの間の最短距離に沿って測定して400μmから4,000μmの幅を有する、第2のスロットと
を備え、
前記インプラントが、(1)少なくとも3GPaのヤング弾性係数と、(2)0.40:1から0.90:1である、(ii)前記第1のピラーの体積および前記第1のスロットの体積の合計に対しての(i)前記第1のスロットの体積の合計の比(「第1の表面比」)と、(3)0.60:1から0.98:1である、(ii)前記第2のピラーの体積および前記第2のスロットの体積の合計に対しての(i)前記第2のスロットの体積の合計の比(「第2の表面比」)と、を有し、
前記第2の表面比が前記第1の表面比より大きい
インプラント。
【請求項2】
前記インプラントが、実質的に充填物のない移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、移植可能グレードのポリエーテルケトンケトン、チタン、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金、Ti-6Al-4Vチタン合金、Ti-6Al-7Nbチタン合金、セラミック材料、窒化ケイ素(Si
3N
4)、移植可能グレードの複合材料、フィラーを有する移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、フィラーを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維を有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、またはヒドロキシアパタイトを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、から選択される1つまたは複数の材料で作られる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記インプラントが、ヒトの硬組織、動物の硬組織、自家移植硬組織、同種移植硬組織、異種硬組織、ヒトの軟骨、動物の軟骨、ヒトの骨、動物の骨、死体の骨、または皮質同種移植片、から選択される1つまたは複数の硬組織で作られる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記インプラントが、ラピッドプロトタイピングのための樹脂、SOMOS(登録商標)NanoToolの非結晶複合材料、SOMOS(登録商標)9120の液体フォトポリマー、SOMOS(登録商標)WaterShed XC11122の樹脂、ACCURA(登録商標)XTREME(商標)White200のプラスチック、またはACCURA(登録商標)60のプラスチック、から選択される1つまたは複数の材料で作られる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記シャフトが直線である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記シャフトが前記底端部に向かってテーパ状である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記シャフトが、前記シャフトの前記頂端部に位置する頂端部アパーチャを有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
前記シャフトの前記第2の表面が、平坦である、前記シャフトに対して横方向である断面を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項9】
前記シャフトの前記第2の表面が、凹形である、前記シャフトに対して横方向である断面を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
前記第1のピラーが一様な方向に延在する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記第1のピラーが、前記シャフトの前記第1の表面に対して垂直である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項12】
前記第1のピラーが、前記頂端部に向かって角度をつけられる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項13】
前記第2のピラーが一様な方向に延在する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記第2のピラーが、前記シャフトと交差する平面を基準として等しい角度で遠位側に延在する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項15】
前記第2のピラーが前記底端部に向かって角度をつけられる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項16】
各第1のピラーの前記横方向面積が(250×250)μm
2から(1,000×1,000)μm
2である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項17】
各第1のピラーの前記高さが200μmから900μmである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項18】
前記第1のピラーのうちの1つまたは複数の前記第1のピラーが、他の第1のピラーの寸法とは異なる寸法を有し、その結果、前記1つまたは複数の第1のピラーの前記横方向面積および/または前記高さならびにひいては体積が、前記他の第1のピラーの前記横方向面積および/または前記高さならびにひいては体積とは異なる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項19】
各第1のスロットの幅が200μmから1,000μmである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項20】
各第2のピラーの前記横方向面積が(400×400)μm
2から(2,000×2,000)μm
2である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項21】
各第2のピラーの前記高さが100μmから8,000μmである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項22】
前記第2のピラーのうちの1つまたは複数の前記第2のピラーが、他の第2のピラーの寸法とは異なる寸法を有し、その結果、前記1つまたは複数の第2のピラーの前記横方向面積および/または前記高さならびにひいては体積が、前記他の第2のピラーの前記横方向面積および/または前記高さならびにひいては体積とは異なる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項23】
各第2のスロットの幅が500μmから3,000μmである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項24】
前記シャフトが前記シャフトの最も幅広の部分のところのシャフト径と、前記頂端部から前記底端部までのシャフト長さとを有し、前記インプラントが、2.0から10である、前記シャフト径に対しての前記シャフト長さの比を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項25】
前記シャフトが前記シャフトの最も幅広の部分のところに4mmから20mmのシャフト径を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項26】
前記シャフトが、8mmから40mmである、前記頂端部から前記底端部までのシャフト長さを有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項27】
前記シャフト、前記第1のピラー、または前記第2のピラーのうちの1つまたは複数が非多孔性である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項28】
前記シャフト、前記第1のピラー、または前記第2のピラーのうちの1つまたは複数が多孔性である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項29】
前記インプラントがツール係合部分をさらに備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項30】
前記インプラントが前記シャフト内に1つまたは複数の孔を有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項31】
前記第2のピラーが前記頂端部の近くから前記底端部の近くまで前記シャフトに沿って中央側に分布し、複数の前記孔が前記頂端部の近くから前記底端部の近くまで前記シャフトに沿って周囲側に分布する、請求項30に記載のインプラント。
【請求項32】
前記1つまたは複数の孔が前記シャフトの前記底端部にまたは前記底端部の近くに位置する、請求項30に記載のインプラント。
【請求項33】
前記インプラントが、前記シャフト内で軸方向に延在する中央スロットと、前記シャフトに沿って軸方向に延在するヒンジとをさらに備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項34】
前記インプラントが、前記シャフトの前記底端部で前記シャフトに取り付けられるキャップをさらに備える、請求項1に記載のインプラント。
【請求項35】
前記キャップがヒンジによりシャフトに取り付けられる、請求項34に記載のインプラント。
【請求項36】
その必要時に個人の中で腱または靭帯を硬組織に取り付けるための請求項1のインプラントの使用方法であって、前記方法が:
(1)前記個人の骨の中に骨トンネルを用意するステップと;
(2)腱または靭帯を前記インプラントに取り付けるステップであって、その結果、前記腱または前記靭帯が前記インプラントの前記第2のピラーに接触する、腱または靭帯を前記インプラントに取り付けるステップと;
(3)前記インプラントを前記骨トンネルの中に挿入するステップと
を含み、
それにより、前記腱または前記靭帯が前記個人の前記骨に取り付けられることになる
使用方法。
【請求項37】
前記骨トンネルを用意することが、前記骨に孔を穿孔することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記インプラントが、前記シャフトの最も幅広の部分においてピラーの遠位端の間にインプラント径を有し、前記骨トンネルを用意することが、前記インプラント径より小さい孔径を有する孔を前記骨の中に用意することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記腱または前記靭帯を前記インプラントに取り付けることが、前記腱または前記靭帯に前記第2のピラーを刺し通すことを含み、それにより、前記腱または前記靭帯が前記インプラントの前記第2のピラーに接触する、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記インプラントを前記骨トンネルの中に挿入することが、前記インプラントを回転させることにより前記インプラントを前記骨トンネルの中へ移動させることを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記インプラントを前記骨トンネルの中に挿入することが、前記インプラントを前記骨トンネルの中に押し入れることを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記インプラントが、前記シャフト内を軸方向に延在する中央スロットと、前記シャフトに沿って軸方向に延在するヒンジとをさらに備え、前記方法が、ステップ(1)からステップ(3)の後、(4)ウェッジを前記中央スロットの中に押し込むステップをさらに含み、それにより、前記ヒンジが開いて前記インプラントを拡大する、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、前記腱または前記靭帯を前記インプラントに固着するために縫合糸または接着剤の使用を含まない、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
請求項1の第1および第2のインプラントと、キャップとを備える、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント組立体であって、前記キャップが、シャフトの底端部において前記第1のインプラントのシャフトに取り付けられ、前記第2のインプラントが、前記第1のインプラントの前記シャフトに沿って前記第1のインプラントに取り付けられ、前記第1のインプラントの前記シャフトの第2の表面の方を向く、インプラント組立体。
【請求項45】
請求項1のインプラントと、キャップと、メッシュ部分とを備える、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント組立体であって、前記キャップがシャフトの底端部において前記インプラントのシャフトに取り付けられ、前記メッシュ部分が前記インプラントの前記シャフトに沿って前記インプラントに取り付けられ、前記インプラントの前記シャフトの第2の表面の方を向く、インプラント組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントに関し、より詳細には、シャフトと、シャフトの第1の表面と、シャフトの第2の表面と、硬組織に接触するための第1のピラーと、硬組織によって占有されることになる第1のスロットと、腱または靭帯に接触するための第2のピラーと、腱または靭帯によって占有されるための第2のスロットと、を備える、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
腱は筋肉を骨に取り付ける密な線維結合組織の束である。靭帯は、運動を促進するための、関節を一体に結合して関節骨および軟骨を接続する線維組織の束である。
【0003】
毎年、約300,000回の腱・靭帯修復手術が米国で実施されると推定される(Yangら、(2013)、Birth Defects Res C Embryo Today、99:203~222)。一般的な修復手術には、回旋腱板修復、膝蓋骨腱修復、および前十字靭帯再建が含まれる。不幸なことに、腱および靭帯が変形しやすい(compliant)ものであり骨が高い強度を有するものであっても腱および靭帯から骨にならびにその逆で応力を効果的に伝達するための、構造、構成(composition)、および力学的挙動の漸進的な変化により腱および靭帯を骨に接続する特別な移行組織に相当する腱・靭帯付着部(enthesis)の再生が失敗することにより、腱・靭帯再付着(reattachment)手術はしばしば失敗する(Liuら、(2010)、Journal of Orthopaedic Surgery and Research、5:59)。
【0004】
腱・靭帯付着部は2つの種類が存在する。線維軟骨性の腱・靭帯付着部(fibrocartilaginous enthesis)とも称される直接的な挿入部である第1の種類は4つのゾーン(腱または靭帯、非石灰化線維軟骨、石灰化線維軟骨、および骨)から構成される。腱線維および靭帯線維は、骨に対して直角にまたは接線方向に取り付けられる深部線維を含めた、骨の小さい表面積にある骨皮質の中を直接に通過させられる。これの例には、前十字靭帯、アキレス腱、膝蓋骨腱、回旋腱板、および内側側副靭帯の大腿骨付着部が含まれる。線維性の腱・靭帯付着部(fibrous enthesis)とも称される間接的な挿入部である第2の種類は線維軟骨性インターフェースを有さない。間接的な挿入部の場合、腱または靭帯が骨表面に沿って斜めに通過して骨膜(bone periosteum)の中に挿入されており、直接的な挿入部の場合と比較して骨のより大きい表面積にわたって接続される。これの例には、内側側副靭帯の脛骨挿入部、および、上腕骨の中への三角筋腱の挿入部が含まれる。
【0005】
骨に対しての腱および靭帯の外科的再付着のための従来のアプローチは、腱または靭帯の移植を実施することを伴う。いくつかのアプローチでは、通常は患者の別の部分から採取される腱または靭帯がインプラントまたは骨プラグに取り付けられ、骨トンネルの中に挿入され、縫合によりグラフトが骨に固着される。いくつかのアプローチでは、腱が骨の中の孔を通過させられ、次いで干渉ねじが挿入され、骨に対して腱を押し付け、腱を定位置で固定する。いくつかのアプローチでは、靭帯が骨の中の孔を通してループ状にされ、ここでは、インプラント、骨プラグ、または干渉ねじが使用されない。
【0006】
腱・靭帯再付着手術の後、腱・靭帯付着部の再構築ではなく血管結合組織の瘢痕組織の形成を通して、腱/靭帯および骨の治癒が起こる(Apostolakosら、(2014)、Muscles Ligaments and Tendons Journal、4:333~342)。このことは明らかに手術の失敗に寄与する。
【0007】
従来の硬組織インプラントには、組織/インプラント・インターフェースを形成することに基づいて硬組織の内方成長を促進するように設計されるインプラントが含まれ、ここでは、インプラントが凹形のおよび/または多孔性の表面を有し、硬組織がこの表面の中に成長することができ、この表面が、例えば焼結により追加される修正形態である、追加の表面修正形態を有するように設計される、ことに基づいて、インプラントが連続フェーズを形成し、組織が不連続フェーズを形成する。
【0008】
例えば、Van Kampenらの米国特許第4,608,052号が、生きている組織の内方成長を可能にするように適合される一体の付着表面を有する、人体で使用されるためのインプラントを開示している。インプラント表面が、内側付着表面部分を画定する概して位置合わせされる交差するリムを有する多数の隣接する概略凹形の表面パートと、内側付着表面から突出する多数の離間されるポストとによって画定される。Van Kampenは、米国特許第3,605,123号、米国特許第3,808,606号、および米国特許第3,855,638号で説明されているように、インプラントが多孔性表面を装備することも開示している。
【0009】
さらに、例えば、J.D.Bobynら、150Clinical Orthopaedics & Related Research263(1980)が、約50μmから400μmの孔サイズ範囲が、粉末で作られる多孔性表面を有するコバルトベース合金のインプラントに関連して、最短期間(8週間)で最適固定強度または最大固定強度(17MPa)を提供する、ことを開示している。具体的には、インプラントが、4つの粒径範囲のコバルトベース合金粉末を有する鋳造コバルトベース合金の円筒形の被覆棒に基づいて製作されたものである。粒径範囲が以下の通りであった:25μmから45μm;45μmから150μm;150μmから300μm;および300μmから840μm。粒子の対応する粒径範囲がそれぞれ以下の通りであった:20μmから50μm;50μmから200μm;200μmから400μm;および400μmから800μm。次いで、焼結に基づいて粒子が棒に接着される。すべてのインプラントが、4.5mmの最大直径および9.0mmの長さを有するように製作されたものであった。インプラントが犬の大腿骨の孔の中に外科的に挿入され、骨内方成長を進行させることが可能となる。多様な期間(4週間、8週間、または12週間)後、インプラントを外すのに必要となる最大の力が決定される。50μm未満の孔サイズを有するインプラントはすべてのポイントにおいて比較的低い固定強度で降伏したが、400μmを超える孔サイズを有するインプラントは固定強度に関して比較的大きいばらつきを呈したことから、約50μmから400μmの範囲の孔サイズが最適な固定強度または最大固定強度を提供したことが示された。
【0010】
さらに、従来の硬組織インプラントには、インプラントと隣接する骨との間での締まり嵌めを促進すること、硬組織からインプラントを引き抜くのを困難にすること、あるいは効果的な機械的定着を早期に実現することまたは隣接する硬組織の中への押し付け(affix)を実現することを目的とした、例えば、隆起部分および窪み部分、棘部分、および/またはピラーなどの、表面構造を有するインプラントが含まれる。
【0011】
例えば、TukeらのU.K.Pat.Appl.No.GB2181354Aが、骨に接触するのに使用されるように適合される、インプラントの隣接する部分と一体である少なくとも1つの表面エリアを有する整形外科インプラントを開示している。表面エリアが、窪み部分によって互いから分離される複数の隆起部分から構成される細かいパターン形態を有する。窪み部分が、このパターンエリアの領域において、インプラントと隣接する骨との間に締まり嵌めを促進するために使用されるときに骨を中に貫通させるのを可能にするための幅および深さを有する。
【0012】
さらに、例えば、Amrichらの米国特許第7,018,418号が微小な凹部を有するテクスチャ構造の表面を有するインプラントを開示しており、その結果、外側表面が微小な凹部の上に覆いかぶさる。一実施形態で、骨または組織の中に挿入され得る一方向の棘部分が表面内に作られる。棘部分の方向が、骨または組織から引き抜かれるのを困難にすることを意図される。
【0013】
さらに、例えば、Pichaの米国特許第7,556,648号が、脊椎インプラント、つまり、側方外部表面と、先端部と、終端部とを有する概略管状の中空シェルを有する、隣接する脊椎骨を結合して安定化させるのに使用されるためのインプラントを開示している。外部表面が、非螺旋のアレイで配置される複数のピラーを有する。各ピラーが、100μmから4,500μmの高さと、100μmから4,500μmの最も幅広のポイントでの横方向寸法とを有する。外部表面が、そこを通しての骨内方成長を可能にするための、貫通する複数の孔をさらに有する。
【0014】
残念なことに、硬組織を不連続フェーズに置くような硬組織および硬組織インプラントのインターフェースは応力遮蔽を受けやすくなる可能性があり、それにより、例えば影響を受けた硬組織が経時的に吸収されることになる(例えば、骨吸収)。さらに、焼結によりインプラントにテクスチャ構造の表面を追加することにより、対応する硬組織/インプラントのインターフェースの大きい体積を占有するようなテクスチャ構造の表面を得られ得るようになり、硬組織のための空間が不十分にしか残らない。加えて、脊椎インプラントは、長骨、上顎骨、下顎骨、および膜性骨などの、他の硬組織に関連する条件ではなく、つまり、硬組織に応じておよび時間に応じて変化する圧縮および引張、ならびに断続的な回転剪断および垂直剪断を含めた、耐荷重条件ではなく、脊椎に関連する条件下で、つまり、圧縮、回転剪断、および垂直剪断の条件下で(圧縮が実質的に一定であり、回転剪断が断続的であり、垂直剪断が低頻度である)、機能するように設計される。
【0015】
Pichaらの米国特許第8,771,354号が、大きいインプラントと、フェースと、ピラーと、スロットとを有する硬組織インプラントを開示している。硬組織インプラントが、少なくとも10GPaのヤング弾性係数(Young’s modulus of elasticity)を有し、さらに、0.40:1から0.90:1である、(ii)ピラーの体積およびスロットの体積の合計に対しての(i)スロットの体積の合計の比を有し、さらに、中空の部分を一切有さず、さらに、任意のピラーの遠位端までまたはそこを越えて延在する非ピラー部分を一切有さない。硬組織インプラントが移植時に迅速な荷重伝達を実現することができ、経時的な応力遮蔽を防止することができ、したがって、移植部位における硬組織のリモデリングおよび成長を促進する。インターフェースが、硬組織に対応する連続フェーズと、硬組織インプラントに対応する不連続フェーズとを有することができる。
【0016】
腱および靭帯が変形しやすいものであり骨が高い強度を有するものであっても腱および靭帯から骨にならびにその逆で応力を効果的に伝達することを目的とする、血管結合組織の瘢痕組織の形成を通して起こる腱/靭帯および骨の治癒に寄与する(account for)、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0017】
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントが提供される。インプラントが:
(a)頂端部および底端部を有するシャフトであって、シャフトが頂端部と底端部との間を延在する、シャフトと;
(b)シャフトに対して横方向である凸形の断面を有する、頂端部から底端部まで延在するシャフトの第1の表面と;
(c)シャフトに対して横方向である平坦または凹形である断面を有する、頂端部から底端部まで延在するシャフトの第2の表面と;
(d)硬組織に接触するための第1のピラーであって、第1のピラーが少なくとも50mm2の面積にわたって第1の表面上に分布し、そこから遠位側に延在し、各第1のピラーがシャフトと一体であり、(100×100)μm2から(2,000×2,000)μm2の横方向面積および100μmから2,000μmの高さを有する遠位端を有する、第1のピラーと;
(e)硬組織によって占有されるための第1のスロットであって、第1のスロットが第1のピラーによって画定され、各第1のスロットが、隣接する第1のピラーの間の最短距離に沿って測定して100μmから2,000μmの幅を有する、第1のスロットと;
(f)腱または靭帯に接触するための第2のピラーであって、第2のピラーが少なくとも50mm2の面積にわたって第2の表面上に分布し、そこから遠位側に延在し、各第2のピラーがシャフトと一体であり、(200×200)μm2から(4,000×4,000)μm2の横方向面積および100μmから10,000μmの高さを有する遠位端を有する、第2のピラーと;
(g)腱または靭帯によって占有されるための第2のスロットであって、第2のスロットが第2のピラーによって画定され、各第2のスロットが、隣接する第2のピラーの間の最短距離に沿って測定して400μmから4,000μmの幅を有する、第2のスロットと
を備える。
【0018】
インプラントが、(1)少なくとも3GPaのヤング弾性係数と、(2)0.40:1から0.90:1である、(ii)第1のピラーの体積および第1のスロットの体積の合計に対しての(i)第1のスロットの体積の合計の比(「第1の表面比」)と、(3)0.60:1から0.98:1である、(ii)第2のピラーの体積および第2のスロットの体積の合計に対しての(i)第2のスロットの体積の合計の比(「第2の表面比」)と、を有する。
【0019】
第2の表面比が第1の表面比より大きい。
【0020】
いくつかの実施形態で、インプラントが、実質的に充填物のない移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、移植可能グレードのポリエーテルケトンケトン、チタン、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金、Ti-6Al-4Vチタン合金、Ti-6Al-7Nbチタン合金、セラミック材料、窒化ケイ素(Si3N4)、移植可能グレードの複合材料、フィラーを有する移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、フィラーを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維を有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、またはヒドロキシアパタイトを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、から選択される1つまたは複数の材料で作られる。さらに、いくつかの実施形態で、インプラントが、ヒトの硬組織、動物の硬組織、自家移植硬組織、同種移植硬組織、異種硬組織、ヒトの軟骨、動物の軟骨、ヒトの骨、動物の骨、死体の骨、または皮質同種移植片、から選択される1つまたは複数の硬組織で作られる。さらに、いくつかの実施形態で、インプラントが、ラピッドプロトタイピングのための樹脂、SOMOS(登録商標)NanoToolの非結晶複合材料、SOMOS(登録商標)9120の液体フォトポリマー、SOMOS(登録商標)WaterShed XC11122の樹脂、ACCURA(登録商標)XTREME(商標)White200のプラスチック、またはACCURA(登録商標)60のプラスチック、から選択される1つまたは複数の材料で作られる。
【0021】
いくつかの実施形態で、シャフトが直線である。
【0022】
いくつかの実施形態で、シャフトが底端部に向かってテーパ状である。
【0023】
いくつかの実施形態で、シャフトが、シャフトの頂端部に位置する頂端部アパーチャを有する。
【0024】
いくつかの実施形態で、シャフトの第2の表面が、平坦である、シャフトに対して横方向である断面を有する。さらに、いくつかの実施形態で、シャフトの第2の表面が、凹形である、シャフトに対して横方向である断面を有する。
【0025】
いくつかの実施形態で、第1のピラーが一様な方向に延在する。さらに、いくつかの実施形態で、第1のピラーが、シャフトの第1の表面に対して垂直である。さらに、いくつかの実施形態で、第1のピラーが、頂端部に向かって角度をつけられる。
【0026】
いくつかの実施形態で、第2のピラーが一様な方向に延在する。さらに、いくつかの実施形態で、第2のピラーが、シャフトと交差する平面を基準として等しい角度で遠位側に延在する。さらに、いくつかの実施形態で、第2のピラーが底端部に向かって角度をつけられる。
【0027】
いくつかの実施形態で、各第1のピラーの横方向面積が(250×250)μm2から(1,000×1,000)μm2である。
【0028】
いくつかの実施形態で、各第1のピラーの高さが200μmから900μmである。
【0029】
いくつかの実施形態で、第1のピラーのうちの1つまたは複数の第1のピラーが、他の第1のピラーの寸法とは異なる寸法を有し、その結果、1つまたは複数の第1のピラーの横方向面積および/または高さならびにひいては体積が、他の第1のピラーの横方向面積および/または高さならびにひいては体積とは異なる。
【0030】
いくつかの実施形態で、各第1のスロットの幅が200μmから1,000μmである。
【0031】
いくつかの実施形態で、各第2のピラーの横方向面積が(400×400)μm2から(2,000×2,000)μm2である。
【0032】
いくつかの実施形態で、各第2のピラーの高さが100μmから8,000μmである。
【0033】
いくつかの実施形態で、第2のピラーのうちの1つまたは複数の第2のピラーが、他の第2のピラーの寸法とは異なる寸法を有し、その結果、1つまたは複数の第2のピラーの横方向面積および/または高さならびにひいては体積が、他の第2のピラーの横方向面積および/または高さならびにひいては体積とは異なる。
【0034】
いくつかの実施形態で、各第2のスロットの幅が500μmから3,000μmである。
【0035】
いくつかの実施形態で、シャフトがシャフトの最も幅広の部分のところのシャフト径と、頂端部から底端部までのシャフト長さとを有し、インプラントが、2.0から10である、シャフト径に対してのシャフト長さの比を有する。
【0036】
いくつかの実施形態で、シャフトがシャフトの最も幅広の部分のところに4mmから20mmのシャフト径を有する。
【0037】
いくつかの実施形態で、シャフトが、8mmから40mmである、頂端部から底端部までのシャフト長さを有する。
【0038】
いくつかの実施形態で、シャフト、第1のピラー、または第2のピラーのうちの1つまたは複数が非多孔性である。さらに、いくつかの実施形態で、シャフト、第1のピラー、または第2のピラーのうちの1つまたは複数が多孔性である。
【0039】
いくつかの実施形態で、インプラントがツール係合部分をさらに備える。
【0040】
いくつかの実施形態で、インプラントがシャフト内に1つまたは複数の孔を有する。これらの実施形態のうちのいくつかの実施形態で、第2のピラーが頂端部の近くから底端部の近くまでシャフトに沿って中央側に分布し、複数の孔が頂端部の近くから底端部の近くまでシャフトに沿って周囲側に分布する。さらに、これらの実施形態のうちのいくつかの実施形態で、1つまたは複数の孔がシャフトの底端部にまたは底端部の近くに位置する。
【0041】
いくつかの実施形態で、インプラントが、シャフト内で軸方向に延在する中央スロットと、シャフトに沿って軸方向に延在するヒンジとをさらに備える。
【0042】
いくつかの実施形態で、インプラントが、シャフトの底端部でシャフトに取り付けられるキャップをさらに備える。これらの実施形態のうちのいくつかの実施形態で、キャップがヒンジによりシャフトに取り付けられる。
【0043】
さらに、その必要時に個人の中で腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの使用方法が提供される。本方法が:
(1)個人の骨の中に骨トンネルを用意するステップと;
(2)腱または靭帯をインプラントに取り付けるステップであって、その結果、腱または靭帯がインプラントの第2のピラーに接触する、取り付けるステップと;
(3)インプラントを骨トンネルの中に挿入するステップと
を含む。
【0044】
本方法により、腱または靭帯が個人の骨に取り付けられることになる。
【0045】
いくつかの実施形態で、骨トンネルを用意することが、骨に孔を穿孔することを含む。
【0046】
いくつかの実施形態で、インプラントが、シャフトの最も幅広の部分においてピラーの遠位端の間にインプラント径を有し、骨トンネルを用意することが、インプラント径より小さい孔径を有する孔を骨の中に用意することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態で、腱または靭帯をインプラントに取り付けることが、腱または靭帯に第2のピラーを刺し通すことを含み、それにより、腱または靭帯がインプラントの第2のピラーに接触する。
【0048】
いくつかの実施形態で、インプラントを骨トンネルの中に挿入することが、インプラントを回転させることによりインプラントを骨トンネルの中へ移動させることを含む。さらに、いくつかの実施形態で、インプラントを骨トンネルの中に挿入することが、インプラントを骨トンネルの中に押し入れることを含む。
【0049】
いくつかの実施形態で、インプラントが、シャフト内を軸方向に延在する中央スロットと、シャフトに沿って軸方向に延在するヒンジとをさらに備え、本方法が、ステップ(1)からステップ(3)の後、(4)ウェッジをスロットの中に押し込むステップをさらに含み、それにより、ヒンジが開いてインプラントを拡大する。
【0050】
いくつかの実施形態で、本方法が、腱または靭帯をインプラントに固着するために縫合糸または接着剤の使用を含まない。
【0051】
さらに、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント組立体が提供される。インプラント組立体が、上述した第1および第2のインプラントと、やはり上述したキャップとを備える。キャップが、シャフトの底端部において第1のインプラントのシャフトに取り付けられる。第2のインプラントが、第1のインプラントのシャフトに沿って第1のインプラントに取り付けられ、第1のインプラントのシャフトの第2の表面の方を向く。
【0052】
さらに、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント組立体が提供される。インプラント組立体が、上述したインプラントと、やはり上述したキャップと、メッシュ部分とを備える。キャップがシャフトの底端部においてインプラントのシャフトに取り付けられる。メッシュ部分がインプラントのシャフトに沿ってインプラントに取り付けられ、インプラントのシャフトの第2の表面の方を向く。
【0053】
添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより、本開示のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点がより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本明細書で開示されるように腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの第1の実施形態を示す第1の斜視図である。
【
図2】
図1のインプラントを示す第2の斜視図である。
【
図3】
図1のインプラントを示す第1の側面図である。
【
図4】
図1のインプラントを示す第2の側面図である。
【
図8】本明細書で開示されるように腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの第2の実施形態を示す第1の斜視図である。
【
図9】
図8のインプラントを示す第2の斜視図である。
【
図10】
図8のインプラントを示す第1の側面図である。
【
図11】
図8のインプラントを示す第2の側面図である。
【
図12】
図8のインプラントを示す第3の側面図である。
【
図16】本明細書で開示されるように腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの第3の実施形態を示す第1の斜視図である。
【
図22】本明細書で開示されるように腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの第4の実施形態を示す第1の斜視図である。
【
図29】
図22のインプラントのためのキャップを示す斜視図である。
【
図30】
図22のインプラントのためのキャップを示す側面図である。
【
図31】キャップが閉構成にあるときの、インプラントに取り付けられた
図29のキャップを備える
図22のインプラント示す第1の斜視図である。
【
図32】キャップが閉構成にあるときの、
図13のインプラントおよびキャップを示す第2の斜視図である。
【
図33】キャップが閉構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す第1の側面図である。
【
図34】キャップが閉構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す第2の側面図である。
【
図35】キャップが閉構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す第3の側面図である。
【
図36】キャップが閉構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す上面図である。
【
図37】キャップが閉構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す底面図である。
【
図38】キャップが開構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す第1の斜視図である。
【
図39】キャップが開構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す第2の斜視図である。
【
図40】キャップが開構成にあるときの、
図31のインプラントおよびキャップを示す側面図である。
【
図41】本明細書に開示されるように腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの第5の実施形態を示す第1の斜視図である。
【
図48】
図41のインプラントのためのキャップを示す斜視図である。
【
図49】
図41のインプラントのためのキャップを示す側面図である。
【
図50】キャップが閉構成にあるときの、インプラントに取り付けられた
図48のキャップを備える、
図41のインプラントを示す第1の斜視図である。
【
図51】キャップが閉構成にあるときの、インプラント、およびインプラントに取り付けられた
図50のキャップを示す第2の斜視図である。
【
図52】キャップが閉構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す第1の側面図である。
【
図53】キャップが閉構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す第2の側面図である。
【
図54】キャップが閉構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す第3の側面図である。
【
図55】キャップが開構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す上面図である。
【
図56】キャップが閉構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す底面図である。
【
図57】キャップが開構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す第1の斜視図である。
【
図58】キャップが開構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す第2の斜視図である。
【
図59】キャップが開構成にあるときの、
図50のインプラントおよびキャップを示す側面図である。
【
図60】腱がインプラントの第2のピラーの上に押圧された状態の、
図16のインプラントを示す側面図である。
【
図61】キャップが閉構成にあり、
図22の別のインプラントが追加された状態の、
図31のインプラントおよびキャップを有するインプラント組立体を示す第1の斜視図である。
【
図62】
図61のインプラント組立体を示す第2の斜視図である。
【
図63】キャップが閉構成にあり、メッシュ部分が追加された状態の、
図31のインプラントおよびキャップを有する別のインプラント組立体の第2の実施形態を示す第1の斜視図である。
【
図64】
図63のインプラント組立体を示す第2の斜視図である。
【
図65】
図63のインプラント組立体のメッシュ部分を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図に記載されるように、腱または靭帯を硬組織に取り付けるための例示のインプラントが提供される。インプラントが、例えば、インプラントが腱または靭帯を取り付けるための表面を提供することができること、インプラントを硬組織内に配置するときに腱または靭帯を保護することができること、移植部位において硬組織のリモデリングおよび硬組織の成長を促進することができること、腱または靭帯から骨にならびにその逆で応力を効果的に伝達し得る血管結合組織の瘢痕組織の形成を可能にするために移植後に腱または靭帯を安定した状態で保持することができる、ことを含めた利点を提供する。理論に拘束されることは意図しないが、インプラントと、腱または靭帯と、硬組織との得られるインターフェースが、故障するまでに有意な降伏/伸びおよび荷重に耐えることができる、と考えられる。
【0056】
これは、インプラントが、硬組織に対応する連続フェーズおよびインプラントに対応する不連続フェーズを有することができる硬組織とのインターフェースをシャフトの第1の表面のところに提供することによる。さらに、硬組織がインターフェースの体積の少なくとも40%を占めことができ、硬組織のヤング弾性係数と組織の体積との積、およびインプラントのヤング弾性係数とインプラントの第1のピラーの体積との積が、良好に適合する。したがって、インターフェースが、インターフェースに隣接する大きい硬組織の機械的特性に類似の機械的特性を呈することができる。さらに、第1のピラーが硬組織の中に押し入れられ得、それにより、経時的なインプラントの微小なモーションおよび遊動(migration)を潜在的に排除すること、トルクを受け入れること、ならびに/あるいはインプラントを定位置で保持するためのセメントまたはグラウトなどの接着剤の必要性を排除すること、が可能となる。加えて、インプラントがインターフェースの硬組織の豊富な血管新生を促進することができ、それにより、傷の治癒を向上させること、栄養支援を実現すること、治癒を加速すること、リモデリングを実現すること、硬組織を一体化すること、および硬組織の感染の可能性を制限すること、が可能となる。インプラントの第1のピラーの間の空間への硬組織の高速のまたは迅速な一体化によりさらに、線維組織の形成、漿液腫、または血栓症などの、インターフェースでの有害な細胞反応を防止することができる。
【0057】
これはさらに、例えば、限定されるサイズの離散的なエリアにおいて腱または靭帯に第2のピラーを刺し通すことに基づいて、インプラントが、腱または靭帯をインプラントに取り付けるのを可能にする、シャフトの第2の表面での腱または靭帯とのインターフェースを提供することによる。さらに、腱または靭帯がインターフェースの体積の少なくとも60%を占めることができ、それにより、第2のピラーにより硬組織内でおインプラントの移植時に腱または靭帯をダメージから保護して移植後に腱または靭帯を安定した状態で保持しながら、第2のピラーの間の腱または靭帯の細胞構造に対してのダメージを最小にする。加えて、隣接する硬組織の豊富な血管新生と腱または靭帯の安定性との組み合わせにより、腱または靭帯から骨におよびその逆で応力を効果的に伝達し得る血管結合組織の瘢痕組織の形成が可能となり得る。
【0058】
本明細書で使用される「腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント」という用語は、硬組織内での移植に基づいて腱または靭帯を硬組織に取り付けるのに適するインプラントを意味する。インプラントの移植に適する例示の硬組織には、とりわけ、例えば回旋腱板修復のための、上腕骨、例えば膝蓋骨腱修復のための、膝蓋骨または脛骨結節、例えば前十字靭帯再建のための、大腿骨および脛骨が含まれる。
【0059】
本明細書で使用される「ピラー」という用語は、表面以外のインプラントの任意の他のピラーまたは他の部分に直接に物理的に接触せず、硬組織あるいは腱または靭帯に接触するためのものである、インプラントの表面から遠位側に延在する突出部を意味する。ピラーが表面ではなくインプラントの任意の他のピラーまたは他の部分に直接に物理的に接触しないことを理由として、移植時、ピラーが、硬組織、腱または靭帯、およびインプラントの得られるインターフェース内に連続フェーズを形成しない。
【0060】
ピラーが、例えば、(i)(100μm×100μm)から(2,000μm×2,000μm)つまり1.0×104μm2から4.0×106μm2、(ii)(200μm×200μm)から(1,000μm×1,000μm)つまり4.0×104μm2から1.0×106μm2、(iii)(250μm×250μm)から(1,000μm×1,000μm)つまり6.3×104μm2から1.0×106μm2、(iv)(300μm×300μm)から(500μm×500μm)つまり9×104μm2から2.5×105μm2、(v)(350μm×350μm)から(450μm×450μm)つまり1.2×105μm2から2.0×105μm2、または(vi)(395μm×395μm)から(405μm×405μm)つまり1.6×105μm2である、横方向面積、つまりインプラントの表面からピラーがこの軸に沿って遠位側に延在するところである垂直方向軸を基準として得られる断面積を有することができる。さらに、ピラーが、例えば、(i)(200μm×200μm)から(4,000μm×4,000μm)つまり4.0×104μm2から1.6×107μm2、(ii)(400μm×400μm)から(2,000μm×2,000μm)つまり1.6×105μm2から4.0×106μm2、(iii)(1,000μm×1,000μm)から(2,000μm×2,000μm)つまり1.0×106μm2から4.0×106μm2、である、横方向面積を有することができる。注目すべきこととして、ここでのおよび本出願を通しての、例えば(100μm×100μm)といったように長さ寸法の平方としてのピラーの横方向面積という表現は単に便宜さを目的としており、このように記載される任意のピラーを、正方形形状、正方形の横方向面積、または正方形断面のみに限定することを意図されない。
【0061】
ピラーが、例えば、100μmから2,000μm、200μmから900μm、300μmから800μm、または400μmから600μmである、ピラー高さ、つまり、インプラントの表面からピラーの遠位端までのピラーの高さを有することができる。さらに、ピラーが、例えば、100μmから10,000μm、100μmから8,000μm、100μmから7,000μm、100μmから6,000μm、または100μmから5,000μmである、高さを有することができる。
【0062】
ピラーが、とりわけ、例えば、(100μm×100μm×100μm)から(2,000μm×2,000μm×2,000μm)つまり1.0×106μm3から8×109μm3である、体積、つまりピラーの横方向面積とピラー高さとの積を有することができる。さらに、ピラーが、とりわけ、例えば、(200μm×200μm×100μm)から(4,000μm×4,000μm×10,000μm)つまり4.0×106μm3から1.6×1011μm3である、体積を有することができる。
【0063】
ピラーが、それぞれ、上面図で見て、正方形形状、長方形形状、ヘリンボン形状、円形状、または楕円形状を有することができるか、あるいは別法として、他の多角形形状、曲線形状、または多様な形状を有することができる。
【0064】
本明細書で使用される「スロット」という用語は、ピラーの間の空間を意味する。したがって、ピラーがスロットを画定する。スロットが、とりわけ、例えば、100μmから2,000μm、200μmから900μm、300μmから800μm、400μmから600μm、100μmから10,000μm、100μmから8,000μm、100μmから7,000μm、100μmから6,000μm、または100μmから5,000μmである、ピラーによって画定されるスロット高さを有することができる。スロットが、とりわけ、例えば、100μmから2,000μm、150μmから1,000μm、200μmから700μm、300μmから500μm、400μmから4,000μm、500μmから3,000μm、600μmから2,000μm、または800μmから1,500μmである、隣接するピラーの間の最短距離に沿って測定されるスロット幅を有することができる。スロットが、ピラーの間の空間の体積に対応する体積を有することができる。
【0065】
本明細書で使用される「孔」という用語は、例えばインプラントの表面である、表面の上にまたはその表面の下方に、1,000μm未満のサイズの空隙を意味し、つまり、1,000μm未満の直径を有する空隙を意味する。孔が、例えば、材料の自然な多孔性に基づいて、材料内で自然に得られ得るか、あるいは、例えば化学処理または物理処理により、導入され得る。孔が表面の下で互いに相互接続されることに基づいて互いに連続してよいか、または孔が表面の下で互いに相互接続されないことに基づいて不連続であってもよい。孔は、骨芽細胞および間葉細胞の遊動および増殖を可能にするのに十分である程度で大きくてよい。したがって、例えば、多孔性表面は1,000μm未満のサイズの空隙を表面内に有する表面であり、対して非多孔性表面はこのような空隙を有さない表面である。
【0066】
本明細書で使用される「インターフェース」という用語は移植の成果物(product)を含み、ここでは、インプラントの第1のピラーが硬組織に接触しており、インプラントの第1のスロットが部分的にまたは完全に硬組織によって占有される。さらに、「インターフェース」という用語が移植の成果物を含み、ここでは、インプラントの第2のピラーが腱または靭帯に接触し、インプラントの第2のスロットが部分的にまたは完全に腱または靭帯によって占有される。
【0067】
いくつかの実施例では、例えば、第1のピラーを硬組織の中に少なくともある程度貫通させることによりインプラントを移植した直後に、ならびに/あるいは、インプラントと硬組織との間の空間を部分的に埋めるための硬組織の少なくともある程度のリモデリングまたは成長の後で、第1のピラーが硬組織に接触し(例えば、第1のピラーの遠位端において)、第1のスロットが部分的に硬組織によって占有される。他の実施例では、例えば、第1のピラーを硬組織の中に大きく貫通させることによりインプラントを移植した直後に、ならびに/あるいは、インプラントと硬組織との間のすべての空間を埋めるための硬組織のかなりの程度のリモデリングまたは成長の後で、第1のピラーが硬組織に接触し(例えば、第1のピラーの遠位端および側表面において)、第1のスロットが硬組織によって完全に占有される。他の実施例で、例えば治癒中、第1のピラーの中でのおよび第1のピラーの周りでの硬組織のリモデリングおよび成長に基づいて、第1のピラーが経時的に硬組織に接触する。
【0068】
本明細書で使用される「連続」という用語は、例えばインターフェースの硬組織を言及するときに使用される場合、硬組織が、インターフェースの全体にわたっておよびインターフェースを横断してインターフェースの各境界部分まで延在する、単一の連続フェーズを形成する、ことを意味する。本明細書で使用される「不連続」という用語は、例えばインターフェースのインプラントに言及するときに使用される場合、インプラントがこのような単一の連続フェーズを形成しないことを意味する。
【0069】
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントの特徴をより詳細に考察すると、
図1~7が、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100の第1の実施形態1001を示す。
【0070】
インプラント100が、21℃で測定して、少なくとも3GPaのヤング弾性係数すなわち引張弾性係数を有する材料から作られ得る。インプラント100が、例えば、実質的に充填物のない移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン(移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、または移植可能グレードのポリエーテルケトンケトンなど)、チタン、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金(Ti-6Al-4Vチタン合金、またはTi-6Al-7Nbチタン合金など)、セラミック材料(窒化ケイ素(Si3N4)など)、移植可能グレードの複合材料(フィラーを有する移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、フィラーを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維を有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、またはヒドロキシアパタイトを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトンなど)などの、1つまたは複数の材料から作られ得る。具体的な例には、すべて21℃で測定して、(i)約4GPaのヤング係数を有する実質的に充填物のない移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、(ii)少なくとも18GPaのヤング弾性係数を有する、例えば炭素繊維強化の移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、(iii)約110GPaのヤング弾性係数を有するチタン、(iv)約200GPaのヤング弾性係数を有するステンレス鋼、(v)200GPaを越えるヤング弾性係数を有するコバルト-クロム合金、または(vi)約105~120GPaのヤング弾性係数を有するチタン合金、が含まれる。さらに、インプラント100が、例えば、ヒトまたは動物(自家移植硬組織、同種移植硬組織、または異種硬組織)、ヒトの軟骨、動物の軟骨、ヒトの骨、動物の骨、死体の骨、または皮質同種移植片、から採取される硬組織などの、1つまたは複数の硬組織から作られ得る。ヒトまたは動物から採取されるこのような硬組織は、例えば4GPaから18GPaの、ヤング弾性係数を有することができる。ヒトまたは動物から採取されるこのような硬組織が、個人の中への移植時に個人の免疫反応を引き出すことを目的として硬組織のキャパシティ(capacity)を低減するかまたは排除するように移植の前に処理され得る。さらに、インプラント100が、例えば、ラピッドプロトタイピングのための樹脂、SOMOS(登録商標)NanoToolの非結晶複合材料、SOMOS(登録商標)9120の液体フォトポリマー、SOMOS(登録商標)WaterShed XC11122の樹脂、ACCURA(登録商標)XTREME(商標)White200のプラスチック、またはACCURA(登録商標)60のプラスチックなどの、1つまたは複数の材料から作られ得る。さらに、インプラント100が、例えば、とりわけ、ポリ乳酸またはポリカプロラクトンなどの再吸収可能な1つまたは複数の材料から作られ得、この事例では、移植部位における骨および腱の周りの圧迫腫がインプラント100のポリマーを漸進的に取り除き、患者自身の組織に置き換えることにより、自然な状態により類似したものとなる。さらに、インプラント100が、上に挙げた材料および/または硬組織の別の組み合わせから作られ得る。したがって、インプラント100が、例えば、18GPaから230GPa、18GPaから25GPa、100GPaから110GPa、190GPaから210GPa、200GPaから230GPa、105GPaから120GPa、または4GPaから18GPaである、少なくとも3GPaのヤング弾性係数を有する。
【0071】
図1~7に示されるように、インプラント100が、頂端部104および底端部106を有するシャフト102を備える。シャフト102が頂端部104と底部106との間を延在する。
【0072】
シャフト102がインプラント100のコアを形成し、概略円筒形状を有することができる。しかし、別の実施例で、例えば円錐形状または円錐台形状などの、他の形状も使用され得る。いくつかの実施例で、シャフト102が、シャフトの最も幅広の部分におけるシャフト径108と、頂端部104から底端部106までのシャフト長さ110とを有し、インプラント100が、2.0から10である、シャフト径108に対してのシャフト長さ110の比を有する。いくつかの実施例で、シャフト102が、シャフト102の最も幅広の部分における、4mmから20mmであるシャフト径108を有する。いくつかの実施例で、シャフト102が、8mmから40mmである、頂端部104から底端部106までのシャフト長さ110を有する。
【0073】
シャフト102がインプラント100に関して上述した材料または硬組織のうちの1つまたは複数から作られ得、これらが例えば、実質的に充填物のない移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン(移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、または移植可能グレードのポリエーテルケトンケトンなど)、チタン、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金(Ti-6Al-4Vチタン合金、またはTi-6Al-7Nbチタン合金など)、セラミック材料(窒化ケイ素(Si3N4)など)、移植可能グレードの複合材料(フィラーを有する移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、フィラーを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維を有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、またはヒドロキシアパタイトを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトンなど)などの、1つまたは複数の材料であるか、ヒトまたは動物(自家移植硬組織、同種移植硬組織、または異種硬組織)、ヒトの軟骨、動物の軟骨、ヒトの骨、動物の骨、死体の骨、または皮質同種移植片、から採取される硬組織などの、1つまたは複数の硬組織であるか、例えば、ラピッドプロトタイピングのための樹脂、SOMOS(登録商標)NanoToolの非結晶複合材料、SOMOS(登録商標)9120の液体フォトポリマー、SOMOS(登録商標)WaterShed XC11122の樹脂、ACCURA(登録商標)XTREME(商標)White200のプラスチック、またはACCURA(登録商標)60のプラスチックなどの、1つまたは複数の材料であるか、あるいは、例えば、ポリ乳酸またはポリカプロラクトンなどの再吸収可能である1つまたは複数の材料である。
【0074】
シャフト102が多孔性であってよいかまたは非多孔性であってよい。例えば、シャフト102が多孔性の1つまたは複数の表面を有することができ、ならびに/あるいは多孔性の1つまたは複数の材料から作られ得る。このような多孔性の表面が、例えば、1μmから900μm、100μmから800μm、または200μmから600μmの直径を有する孔を有することができる。さらに、例えば、シャフト102が、非多孔性の表面のみを有することができ、ならびに/あるいは、非多孔性である1つまたは複数の材料からのみ作られ得る。
【0075】
図1~7に示されるように、いくつかの実施例で、シャフト102が直線である。これにより、例えば骨の骨トンネルの中への、インプラント100の移植中に、インプラント100と硬組織との間の相補的嵌合の達成を単純化することができる。さらに、いくつかの実施例で、シャフト102が底端部106に向かってテーパ状である。これにより、やはり例えば骨の骨トンネルの中への、移植中に、インプラント100と硬組織との間の抵抗を最小にすることができる。これらの実施例のうちのいくつかの実施例で、インプラント100が、後で考察するように、例えば、ウェッジをインプラント100の中に挿入することにより、移植後に拡大され得る。さらに、いくつかの実施例で、シャフト102が頂端部104に向かってテーパ状である。移植後、このようにテーパ状であるインプラント100が引き抜きに抵抗することができる。
【0076】
図1および
図5~7に示されるように、いくつかの実施例で、シャフト102が、シャフト102の頂端部104に位置する頂端部アパーチャ112を有する。これらの実施例のうちのいくつかの実施例で、シャフト102が、シャフト102を基準として頂端部アパーチャ112から軸方向に延在する内部通路114を有する。いくつかの実施例で、内部通路114が頂端部アパーチャ112からシャフト102を通って延在してシャフト102内で終端する。したがって、いくつかの実施例で、インプラント100が止まり穴を有する。さらに、いくつかの実施例で、内部通路114が、頂端部アパーチャ112から、シャフト102の底端部106に位置する底端部アパーチャ116まで、シャフト102を通って延在する。したがって、いくつかの実施例で、インプラント100にカニューレが挿入される。カニューレが、例えば1mmから3mmの直径である、1つの直径を有することができる。これらの特徴により、例えば、インプラント100と移植部位との間で相補的嵌合を実現してそれによりインプラント100の容易な挿入を可能にしてさらには挿入中のインプラント100を誘導するためのツールおよび/またはガイドワイヤの使用を可能にすることにより、例えば骨の骨トンネルの中などの、硬組織の中の移植部位の中へインプラント100を移植することを容易にすることができる。
【0077】
図1~7に示されるように、インプラント100が、シャフトに対して横方向である凸形である断面を有する、頂端部104から底端部106まで延在するシャフト102の第1の表面118をさらに備える。第1の表面118がシャフト102の外部表面である。
【0078】
第1の表面118が縁部120によって画定され得る。例えば、縁部120が、第1の表面118を画定する単一の連続する縁部であってよい。さらに、縁部120が、例えば、第1の表面118を一体に画定する互いに不連続である2つの縁部であってよい。縁部120は鋭利であってもよいが、丸みを有するか、角度をつけられるか、滑らかであるか、および/または不規則である他の縁部も別の実施例で使用され得る。
【0079】
第1の表面118が、例えば、1μmから900μm、100μmから800μm、または200μmから600μmである、直径を有する孔を有する、多孔性であってよいか、または第1の表面118が非多孔性であってよい。
【0080】
図1~7に示されるように、インプラント100が、シャフト102に対して横方向である平坦または凹形である断面を有する、頂端部104から底端部106まで延在するシャフト102の第2の表面122をさらに備える。いくつかの実施例で、シャフト102の第2の表面122が、シャフト102に対して横方向である平坦である断面を有する。いくつかの実施例で、シャフト102の第2の表面122が、シャフト102に対して横方向である凹形である断面を有する。第1の表面118と同様に、第2の表面122が、例えば単一の連続する縁部であるかまたは互いに不連続である2つの縁部である縁部124によって画定され得る。さらに、縁部124が鋭利であってもよいが、丸みを有するか、角度をつけられるか、滑らかであるか、および/または不規則である他の縁部も別の実施例で使用され得る。
【0081】
図1~7に示されるように、インプラント100が、硬組織に接触するための第1のピラー126をさらに備える。硬組織が、例えば、硬組織の中でもとりわけ、上腕骨、膝蓋骨、脛骨、または大腿骨などの骨から選択され得る。いくつかの実施例で、第1のピラー126が、例えば、シャフト102の第1の表面118から遠位側に延在することに基づいて、移植の直後に硬組織に接触することができる。いくつかの実施例で、第1のピラー126が、例えば、移植後の、第1のピラー126に経時的に接触することになる硬組織のリモデリングまたは成長に基づいて、移植後に経時的に硬組織に接触することができる。
【0082】
第1のピラー126が少なくとも50mm2の面積にわたって第1の表面118上に分布する。例えば、第1のピラー126が、第1の表面118の面積にわたって、第1の表面118上で規則的なパターンで分布することができる。これに関して、第1のピラー126が第1の表面118に沿って均等な列として分布することができ、この列の第1のピラー126の中心の間の距離を基準として所与の列に沿って一様に分布することができる。さらに、例えば、第1のピラー126が他の規則的なパターンで分布してもよく、例えば、第1のピラー126が均等な列として分布することができるが、第1のピラー126が複数の列内で一様に分布せず、1つの列の第1のピラー126が隣接する列の第1のピラー126からオフセットされてよく、第1のピラー126が螺旋パターンなどで配置されてもよい。さらに、例えば、第1のピラー126が規則的なパターンでまたは無作為に第1の表面118上に分布することができる。例えば、第1のピラー126が第1の表面118上に分布することができ、その結果、第1のピラー126が第1の表面118の1つのエリア内により高密度で集まり、第1の表面118の別のエリアではより低密度で集まる。さらに、第1の表面118以外にも第1のピラー126を分布させているところを有するシャフト102の場合、第1のピラー126が、例えば、異なる規則的なパターンで、異なる不規則なパターンで、および/または異なる密度で集まるかたちで、多様な第1の表面118上に異なるかたちで分布することができる。
【0083】
第1のピラー126が、第1のピラー126を縁部120に位置させないように、シャフト102の第1の表面118上に分布することができ、つまり、第1の表面118が、第1のピラー126によって一切占有されない周縁部を有することができ、それにより、第1のピラー126を分布させているところの第1の表面118の面積を第1の表面118の全面積より小さくすることができる。他の実施例では、第1のピラー126が、第1のピラー126のうちの少なくともいくつかの第1のピラー126を縁部120に位置させるように、第1の表面118上に分布することができ、それにより例えば、第1のピラーを分布させているところの第1の表面118の面積を第1の表面118の全面積に等しくすることができる。
【0084】
第1のピラー126が第1の表面118から遠位側に延在する。いくつかの実施例で、すべての第1のピラー126が一様な方向に延在する。いくつかの実施例で、すべての第1のピラー126が、第1の表面118を基準として等しい角度で遠位側に延在する。さらに、例えば、いくつかの第1のピラー126が、他の第1のピラー126を基準として異なる角度でおよび/または異なる方向に遠位側に延在することができる。いくつかの実施例で、第1のピラー126が第1の表面118から垂直に延在する。これにより、インプラント100の製造を単純化することができる。いくつかの実施例で、第1のピラー126がシャフト102の頂端部104の方に角度をつけられる。これにより、硬組織内での移植後にインプラント100の安定性を向上させることができ、例えば、このように角度をつけられる第1のピラー126を有するインプラント100が引き抜きに抵抗することができる。いくつかの実施例で、第1のピラー126が他の角度でおよび/または多様な角度で第1の表面118から延在する。
【0085】
各第1のピラー126がシャフト102と一体であり、つまり、第1のピラー126およびシャフト102が等しい出発物質から作られ、例えば、第1のピラー126がシャフト102に対しての追加物ではない。シャフト102と同様に、第1のピラー126が例えば、例えば1μmから900μm、100μmから800μm、または200μmから600μmである、直径を有する孔を有する、多孔性であってよいか、あるいは第1のピラー126が非多孔性であってもよい。
【0086】
各第1のピラー126が、シャフト102の第1の表面118を基準として第1のピラー126の最も遠位側の部分に相当する遠位端128を有する。各第1のピラー126が、各第1のピラー126の遠位端128を画定する縁部に相当する遠位側縁部を有することができる。各第1のピラー126が、各第1のピラー126の側方側の縁部に相当する側方縁部をさらに有することができる。遠位側縁部および/または側方縁部が鋭利であってよいが、丸みを有するか、角度をつけられるか、滑らかであるか、および/または不規則である他の縁部も別の実施例で使用され得る。遠位端128は、様々な外形の中でもとりわけ、平坦であってよいか、傾斜していてよいか、湾曲していてよいか、または尖頭形であってもよい。
【0087】
第1のピラー126の寸法に関して、各第1のピラー126が、(100×100)から(2,000×2,000)μm2である、横方向面積を有し、つまり、第1の表面118から第1のピラー126をその軸に沿わせて遠位側に延在させるところである垂直方向軸を基準として得られる断面積を有する。各第1のピラー126が、例えば、(200μm×200μm)から(1,000μm×1,000μm)、(250μm×250μm)から(1,000μm×1,000μm)、(300μm×300μm)から(500μm×500μm)、(350μm×350μm)から(450μm×450μm)、または(395μm×395μm)から(405μm×405μm)である、横方向面積を有することができる。各第1のピラーが、100μmから2,000μmである、ピラー高さ、つまり、シャフト102の第1の表面118から第1のピラー126の遠位端128までの第1のピラー126の高さを有することができる。各第1のピラー126が、例えば、200μmから900μm、300μmから800μm、または400μmから600μmである、ピラー高さを有することができる。各第1のピラー126が、とりわけ、例えば、(100μm×100μm×100μm)から(2,000μm×2,000μm×2,000μm)つまり1.0×106μm3から8×109μm3である、体積、つまりピラーの横方向面積とピラー高さとの積を有することができる。第1の表面118から延在する第1のピラー126が、例えば、すべて、等しい寸法を有することができ、例えば、等しいピラー横方向面積、等しいピラー高さ、およびひいては等しい個別の体積を有することができる。別法として、1つまたは複数の第1のピラー126が他の第1のピラー126の寸法とは異なる寸法を有することができ、その結果、1つまたは複数の第1のピラー126のピラーの横方向面積および/またはピラー高さならびにひいては体積が、他の第1のピラー126のピラーの横方向面積および/またはピラー高さならびにひいては体積とは異なる。
【0088】
第1のピラー126が、上面図で見て、正方形形状、長方形形状、ヘリンボン形状、円形状、または楕円形状を有することができるか、あるいは別法として、他の多角形形状、曲線形状、または多様な形状を有することができる。いくつかの実施例で、すべての第1のピラー126が等しい形状を有することができ、例えば、上面図で見て、正方形形状、長方形形状、ヘリンボン形状、円形状、または楕円形状を有することができる。いくつかの実施例で、すべての第1のピラー126が上面図で見て等しい形状を有するわけではない。
【0089】
図1~7に示されるように、インプラント100が、硬組織によって占有されることになる第1のスロット130をさらに備える。例えば、硬組織の中へのインプラント100の移植時、硬組織が第1のスロット130に対応する空間のすべてまたは一部を迅速に占有することができる。これが、例えば、インプラント100を硬組織の中に押し入れることにより、達成され得る。さらに、移植時に硬組織が第1のスロット130に対応する空間のすべてを迅速に占有しない範囲において、最終的に硬組織が、例えば治癒中の、硬組織の経時的なリモデリングまたは成長に基づいて、第1のスロット130に相当する空間のすべてまたは一部を経時的に占有することができる。
【0090】
第1のスロット130が第1のピラー126によって画定され、つまり、第1のスロット130が第1のピラー126の間の空間である。したがって、第1のスロット130が、例えば、100μmから2,000μm、200μmから900μm、300μmから800μm、または400μmから600μmである、第1のピラー126によって画定されるスロット高さを有する。各第1のスロット130が、隣接する第1のピラー126の間の最短距離に沿って測定される、100μmから2,000μmの幅を有する。第1のスロット幅が、例えば、150μmから1,000μm、200μmから700μm、または300μmから500μmであってよい。第1のスロット130が、第1のピラー126の間の空間の体積に対応する体積を有する。
【0091】
図1~7に示されるように、インプラント100が、腱または靭帯に接触するための第2のピラー132をさらに備える。腱または靭帯が、腱グラフトまたは靭帯グラフトとして使用されるのに適する任意の腱または靭帯の中から選択され得る。いくつかの実施例で、第2のピラー132が、インプラント100の移植前に腱または靭帯に第2のピラー132を刺し通すことに基づいて、腱または靭帯に接触することができ、その結果、腱または靭帯が第2のピラー132に取り付けられてインプラント100を基準として定位置で固定される。いくつかの実施例で、第2のピラー132が、第2のピラー132に対して腱または靭帯を押圧することに基づいて、腱または靭帯に接触することができ、例えばインプラント100を基準として腱または靭帯を定位置で固定するために縫合糸を使用することにより、腱または靭帯が第2のピラー132に間接的に取り付けられ得る。
【0092】
第2のピラー132が、少なくとも50mm2の面積にわたって第2の表面122上に分布する。第2のピラー132が、第1の表面118上での第1のピラー126の分布に関して上述したように、第2の表面122上に分布することができ、例えば、規則的なパターンで、均等な列で、他の規則的なパターンで、あるいは他の不規則なパターンでまたは無作為に、分布することができる。例えば、第2のピラー132が、例えばシャフト102の底端部106の近くといったような第2の表面122の1つのエリアにおいて第2のピラー132をより高密度に集めるように、および例えばシャフト102の頂端部104の近くといったように第2の表面122の別のエリアにおいて第2のピラー132をより低密度で集めるように、第2の表面122上に分布することができる。これは、腱または靭帯に第2のピラー132を刺し通すのを最小にしてひいては刺し通すことに付随する腱または靭帯の潜在的な外傷を最小にしながら、腱または靭帯をインプラント100に融点に固着するのに有利である可能性がある。したがって、いくつかの実施例では、第2のピラー132が、例えば、シャフト102の底端部106に最も近くところにおいて、第2の表面122の面積の50%、40%、30%、または20%といったように、シャフト102の底端部106の近くである第2の表面122のエリア全体に分布する。やはり第1のピラー126の場合と同様に、第2のピラー132のうちのいくつかの第2のピラー132が縁部124に位置してもよいが、位置しなくてもよい。
【0093】
第2のピラー132が第2の表面122から遠位側に延在する。いくつかの実施例で、すべての第2のピラー132が一様な方向に延在する。いくつかの実施例で、すべての第2のピラー132が、シャフト102と交差する平面を基準として等しい角度で遠位側に延在する。さらに、例えば、いくつかの第2のピラー132が、他の第2のピラー132を基準として、異なる角度でおよび/または異なる方向に、遠位側に延在することができる。いくつかの実施例で、第2のピラー132が、シャフト102と交差する平面から垂直に延在する。これにより、インプラント100の製造を単純化することができる。いくつかの実施例で、第2のピラー132がシャフト102の底端部106の方に角度をつけられる。これにより、例えばインプラント100からの腱または靭帯の分離のリスクを低減することにより、硬組織内での移植後にインプラント100に取り付けられる腱または靭帯の安定性を向上させることができる。いくつかの実施例で、第2のピラー132が他の角度でおよび/または多様な角度で第2の表面122から延在する。
【0094】
各第1のピラー126と同様に、各第2のピラーがシャフト102と一体であり、つまり、第2のピラー132およびシャフト102が等しい出発物質から作られ、例えば、第2のピラー132がシャフト102に対しての追加物ではない。シャフト102と同様に、第2のピラー132が例えば、1μmから900μm、100μmから800μm、または200μmから600μmである、直径を有する孔を有する、多孔性であってよいか、あるいは第1のピラー126が非多孔性であってもよい。
【0095】
やはり各第1のピラー126と同様に、各第2のピラーが、シャフト102の第2の表面122を基準として第2のピラー132の最も遠位側の部分に相当する遠位端134を有する。各第2のピラー132が、各第2のピラー132の遠位端134を画定する縁部に相当する遠位側縁部を有することができる。各第2のピラー132が、各第2のピラー132の側方側の縁部に相当する側方縁部をさらに有することができる。遠位側縁部および/または側方縁部が鋭利であってよいが、丸みを有するか、角度をつけられるか、滑らかであるか、および/または不規則である他の縁部も別の実施例で使用され得る。遠位端134は、様々な外形の中でもとりわけ、平坦であってよいか、傾斜していてよいか、湾曲していてよいか、または尖頭形であってもよい。
【0096】
第2のピラー132の寸法に関して、各第2のピラー132が、(200×200)から(4,000×4,000)である、横方向面積を有し、つまり、第2の表面122から第2のピラー132をその軸に沿わせて遠位側に延在させるところである垂直方向軸を基準として得られる断面積を有する。各第2のピラー132が、例えば、(400μm×400μm)から(2,000μm×2,000μm)、(1,000μm×1,000μm)から(2,000μm×2,000μm)である、横方向面積を有することができる。各第2のピラー132が、100μmから10,000μmである、ピラー高さ、つまり、シャフト102の第2の表面122から第2のピラー132の遠位端134までの第2のピラー132の高さを有することができる。各第2のピラー132が、例えば、100μmから8,000μm、100μmから7,000μm、100μmから6,000μm、または100μmから5,000μmである、ピラー高さを有することができる。各第2のピラー132が、とりわけ、例えば、(200μm×200μm×100μm)から(4,000μm×4,000μm×10,000μm)つまり4.0×106μm3から1.6×1011μm3である、体積、つまりピラーの横方向面積とピラー高さとの積を有することができる。第2の表面122から延在する第2のピラー132が、例えば、すべて、等しい寸法を有することができ、例えば、等しいピラー横方向面積、等しいピラー高さ、およびひいては等しい個別の体積を有することができる。別法として、1つまたは複数の第2のピラー132が他の第2のピラー132の寸法とは異なる寸法を有することができ、その結果、1つまたは複数の第2のピラー132のピラーの横方向面積および/またはピラー高さならびにひいては体積が、他の第2のピラー132のピラーの横方向面積および/またはピラー高さならびにひいては体積とは異なる。
【0097】
第1のピラー126と同様に、第2のピラー132が、上面図で見て、正方形形状、長方形形状、ヘリンボン形状、円形状、または楕円形状を有することができるか、あるいは別法として、他の多角形形状、曲線形状、または多様な形状を有することができる。
【0098】
図1~7に示されるように、インプラント100が、腱または靭帯によって占有されることになる第2のスロット136をさらに備える。例えば、第2のピラー132が腱または靭帯に接触すると、腱または靭帯が第2のスロット136に対応する空間のすべてまたは一部を迅速に占有することができる。これが、例えば、腱またはインプラントの幅をシャフト102の第2の表面122の幅に適合させることにより、達成され得、その結果、腱または靭帯が第2のピラー132の上に良好にフィットするかまたは第2のピラー132を横断するかたちで良好にフィットし、さらには第2のスロット136の中に良好にフィットするようになる。
【0099】
第1のスロット130が第1のピラー126によって画定されるのと同様に、第2のスロット136が第2のピラー132によって画定される。したがって、第2のスロット136が、例えば、100μmから10,000μm、100μmから8,000μm、100μmから7,000μm、100μmから6,000μm、または100μmから5,000μmである、第2のピラー132によって画定されるスロット高さを有する。各第2のスロット136が、隣接する第2のピラー132の間の最短距離に沿って測定される、400μmから4,000μmの幅を有する。第2のスロット幅が、例えば、500μmから3,000μm、600μmから2,000μm、または800μmから1,500μmであってよい。第2のスロット136が、第2のピラー132の間の空間の体積に対応する体積を有する。
【0100】
インプラント100が、0.40:1から0.90:1である、(ii)第1のピラー126の体積および第1のスロット130の体積の合計に対しての(i)第1のスロット130の体積の合計の比(「第1の表面比」)を有する。第1の表面比が、例えば、0.51:1から0.90:1、0.51:1から0.60:1、または0.70:1から0.76:1であってよい。
【0101】
インプラント100が、0.60:1から0.98:1である、(ii)第2のピラー132の体積および第2のスロット136の体積の合計に対しての(i)第2のスロット136の体積の合計の比(「第2の表面比」)と、を有する。第2の表面比が、例えば、0.71:1から0.98:1、0.75:1から0.97:1、0.80:1から0.96:1、0.80:1から0.90:1、0.85:1から0.95:1、約0.80:1、約0.85:1、約0.90:1、または約0.95:1であってよい。
【0102】
第2の表面比が第1の表面比より大きい。
【0103】
理論に拘束されることは意図しないが、第1の表面比が、インプラント100の移植後に第1の表面インターフェースを占有することになる硬組織およびインプラント100の概略のパーセンテージを決定すると考えられ、例えば、インプラント100を硬組織の中に挿入するとき、あるいは移植後の硬組織のリモデリングまたは成長時に、硬組織がインプラント100の第1のスロット130に相当する空間のすべてまたは実質的にすべてを占有することになると考えられる。第1の表面インターフェースが、(i)第1のピラー126、(ii)移植時にまたは移植後に硬組織によって占有される第1のスロット130、(iii)第1の表面118と、第1のピラー126の遠位端128によって画定される湾曲表面との間の任意の追加の空間(例えば、第1のピラー126によって占有されない第1の表面118の周縁部と湾曲表面との間の空間)(これも硬組織によって占有される)、ならびに(iv)そのサイズに応じてやはり硬組織によって占有される可能性がある第1の表面118または第1のピラー126上にある任意の孔、を有する。したがって、例えば、0.40:1である第1の表面比により、インプラント100の移植後ならびにその後の硬組織のリモデリングおよび成長後(ここでは、インプラント100が第1の表面118の周りにある縁部120を有し、第1のピラー126が縁部120のところに位置する)、体積で40%である硬組織および60%であるインプラント100(より具体的には、60%であるインプラント100の第1のピラー126)を有するインターフェースが得られる。同様に、0.40:1である第1の表面比により、インプラント100の移植後ならびにその後の硬組織のリモデリングおよび成長後(ここでは、インプラント100が第1の表面118の周りにある縁部120を有し、第1のピラー126が縁部120のところに位置しない)、体積で40%超である硬組織および60%未満であるインプラント100を有するインターフェースが得られ、ここでは、最も周囲側の第1のピラー126および第1のスロット130と第1の表面118の周りにある縁部120との間の距離が増大すると、硬組織のパーセンテージが増大し、インプラント100のパーセンテージが減少する。別の例として、インプラント100が第1の表面118の周りにある縁部120を有して、第1のピラー126が縁部120に位置するような、インプラント100の場合、0.51:1、0.60:1、0.70:1、0.76:1、および0.90:1である第1の表面比により、体積で51%である硬組織および49%であるインプラント100、60%である硬組織および40%であるインプラント100、70%である硬組織および30%であるインプラント100、76%である硬組織および24%であるインプラント100、ならびに90%である硬組織および10%であるインプラントをそれぞれ有する第1の表面インターフェースが得られる。さらに、最も周囲側の第1のピラー126および第1のスロット130と第1の表面118の縁部120との間の距離が増大すると、硬組織のパーセンテージが増大し、インプラント100のパーセンテージが減少する。少なくとも40%の硬組織であるが支持を実現するのにおよびインプラント100を遊動させないように維持するのに十分であるインプラント100を有する第1の表面インターフェースを達成することにより、第1の表面インターフェースがインターフェースに隣接する大きい硬組織の特性と同様の特性を呈することになり、例えば、荷重に対しての高い弾性を呈することになる。
【0104】
理論に拘束されることは意図しないが、同様に、第2の表面比が、インプラント100の移植後に第2の表面インターフェースを占有することになる腱または靭帯およびインプラント100の概略のパーセンテージを決定すると考えられ、例えば、腱または靭帯をインプラント100に取り付けるとき、腱または靭帯が第2のピラー132に接触することになり、インプラント100を硬組織の中に挿入するとき、腱または靭帯がインプラント100の第2のスロット136に相当する空間のすべてまたは実質的にすべてを占有することになる、と考えられる。第2の表面比が、(i)第2のピラー132、(ii)腱または靭帯の取り付け時に腱または靭帯によって占有される第2のスロット136、(iii)第2の表面122と、第2のピラー132の遠位端134によって画定される湾曲表面との間の任意の追加の空間(例えば、第2のピラー132によって占有されない第2の表面122の周縁部と湾曲表面との間の空間)(これも腱または靭帯によって占有される)、ならびに(iv)そのサイズに応じてやはり腱または靭帯によって占有される可能性がある第2の表面122または第2のピラー132上にある任意の孔、を有する。第2の表面比を第1の表面比より大きくするインプラント100を使用することにより、例えば限定されるサイズの離散的なエリアにおいて腱または靭帯を第2のピラー132を刺し通すことに基づいて、第2のピラー132を有する第2の表面122に対応する、腱または靭帯を取り付けるための十分な表面が提供されることになり、他方で、移植中に腱または靭帯に対してのさらなる外傷を最小にすることにより、硬組織内にインプラント100を配置するときに腱または靭帯が保護され、ここでは、例えば、腱または靭帯が、腱または靭帯の大分部またはすべてを第2の表面122と第2のピラー132の遠位端134との間に良好にフィットさせるように、インプラント100に取り付けられ、その結果、硬組織の中へのインプラント100の挿入中に腱または靭帯が硬組織にほとんど接触しなくなるかまたは一切接触しなくなり、次いで、挿入後にねじまたは他の固定デバイスが腱または靭帯を通るように移動させられない。これにより、移植部位における硬組織のリモデリングおよび硬組織の成長が促進されることになり、衣装後に腱または靭帯が安定した状態で保持されることになり、それにより、腱または靭帯から骨におよびその逆で応力を効果的に伝達し得る、硬組織と腱または靭帯との間での血管結合組織の瘢痕組織の形成が可能となる。
【0105】
図1および
図7に示されるように、いくつかの実施例で、インプラント100がツール係合部分138をさらに備える。いくつかの実施例で、ツール係合部分138が、例えば回転により硬組織の中にインプラント100を移動させるためのツールである、ツールに係合されるための、シャフト102の内部通路114内に位置するねじ山140を備える。例えば、上述したように、いくつかの実施例で、シャフト102が、シャフト102の頂端部104に位置する頂端部アパーチャ112と、頂端部アパーチャ112からシャフト102を基準として軸方向に延在する内部通路114とを有する。さらに、いくつかの実施例で、内部通路114が頂端部アパーチャ112からシャフト102を通って延在し、シャフト102内で終端する。これらの実施例のうちのいくつかの実施例で、ツール係合部分138が内部通路114内に位置するねじ山140を備える。別法としてまたは加えて、いくつかの実施例で、ツール係合部分138が、例えばインプラント100を硬組織の中に押し入れるためのツールである、ツールに係合されるための、シャフト102の頂端部104に位置する凹部144を有する頭部142を備える。別法としてまたは加えて、いくつかの実施例で、ツール係合部分138が、ツールに係合されるための、シャフトの頂端部に位置するノッチ146を有する頭部142を備える。硬組織の中へインプラント100を移動させるか押し入れるかまたは挿入するのに適する他のツール係合部分138が使用されてもよい。
【0106】
いくつかの実施例で、インプラント100がシャフト102内に1つまたは複数の孔162を有する。孔162が第1の表面118から第2の表面122までシャフト102を通過する。孔162が、例えば、とりわけ、200μmから4mm、300μmから1mm、400μmから600μmである、直径を有することができる。これらの実施例のうちのいくつかの実施例で、第2のピラー132が頂端部104の近くから底端部106の近くまでシャフト102に沿って中央側に分布し、複数の孔162が頂端部104の近くから底端部106の近くまでシャフト102に沿って周囲側に分布する。複数の孔162が、インプラント100の移植後にそこを通した骨の成長を可能にすることができる。さらに、これらの実施例のうちのいくつかの実施例で、1つまたは複数の孔162がシャフト102の底端部106のところにまたはその近くに位置する。1つまたは複数の孔162が縫合糸を通過させるのに使用され得る。次いで、縫合糸が、例えば骨の骨トンネルの中などの、硬組織の中へインプラント100を引き入れるのに使用され得る。
【0107】
追加の特徴を考察すると、
図8~15が、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100の第2の実施形態1002を示す。この実施形態によると、インプラント100が、シャフト102内の軸方向に延在する中央スロット148と、シャフト102に沿って軸方向に延在するシャフトヒンジ150とをさらに備える。インプラント100が、中央スロット148によって分離されるシャフト102の2つの第1の表面118を備える。インプラント100が、シャフトヒンジ150によって分離されるシャフト102の2つの第2の表面122をさらに備える。インプラント100のシャフト102の頂端部104が凹部分152を有する。中央スロット148が、凹部分152からシャフト102の底端部106まで軸方向に延在する。シャフトヒンジ150が閉じたり開かれたりされ得る。シャフトヒンジ150が閉じられると、インプラント100がコンパクトなプロフィールを有する。シャフトヒンジ150が開かれると、インプラント100が拡大プロフィールを有する。この実施形態は、シャフトヒンジ150を閉じた状態においておよびひいてはインプラント100にコンパクトなプロフィールを有させて、したがって、押圧中に、第1のピラー126と、第2のピラー132と、腱または靭帯および硬組織との間でのほとんどまたは一切接触を発生させないようにしながら、インプラント100を硬組織内の孔の中に押し入れるのを可能にすることにより、1つの利点を提供する。挿入後、シャフトヒンジ150が開かれ得、その結果、インプラント100が拡大プロフィールを有する。これが例えば、ウェッジを、シャフト102の頂端部104の凹部分152の中へ、およびひいては中央スロット148の中へ、挿入することにより、行われ得、それにより、シャフトヒンジ150が開かれ、インプラント100がコンパクトなプロフィールから拡大プロフィールへと移行し、第1のピラー126と、第2のピラー132と、腱または靭帯および硬組織との間の接触が増大する。
【0108】
図16~21が、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100の第3の実施形態1003を示す。この実施形態によると、インプラント100が、シャフト102の2つの第2の表面122によって分離される、シャフト102の2つの第1の表面118を備える。シャフト102の2つの第2の表面122が、シャフト102に対して横方向である凹形の断面を有する。インプラント100の第2のピラー132が、傾斜している遠位端134を有するいくつかの第2のピラー132と、先頭形である遠位端134を有する他の第2のピラー132とを備える。この実施形態が、例えば、2つの腱または靭帯を取り付けるのに使用され得る。1つの腱または靭帯が1つの第2の表面122のところでインプラント100に取り付けられ得、他の腱または靭帯がもう一方の第2の表面122のところでインプラント100に取り付けられ得る。この実施形態は、例えば、腱または靭帯の端部のところに分かれている腱または靭帯を取り付けるのに使用され得る。分かれている腱または靭帯の一方の部分が1つの第2の表面122のところでインプラント100に取り付けられ得、分かれている腱または靭帯の他の部分が他の第2の表面122のところでインプラント100に取り付けられ得る。
【0109】
この実施形態1003は、例えば、インプラント100にシャフト102の1つの第2の表面122を有させるように、変形され得る。この変形形態によると、シャフト102のこの1つの第2の表面122が、やはり、シャフト102に対して横方向である凹形の断面を有することができる。この変形形態は、例えば、単一の腱または靭帯を取り付けるのに有用となり得る。
【0110】
図22~28が、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100の第4の実施形態1004を示す。この実施形態によると、インプラント100が、中心軸164と、中心軸164の下方でシャフト102の頂端部104からシャフト102の底端部106まで延在するトラフ166とを有するシャフト102を備える。シャフト102が、上面図で見て、180°の半円形の弧をなどの、弓形状を有することができる。シャフト102の第1の表面118が、例えば、弓形状のシャフトの外側表面などの、上述したシャフト102の外部表面である。第2の表面122が、例えば、弓形状のシャフトの内側表面などの、トラフ166の表面である。第1のピラー126が上述したように第1の表面118上に分布する。第2のピラー132が上述したように第2の表面122上に分布する。この実施形態1004は、骨トンネルの中へのインプラント100の挿入中に骨トンネルの表面への接触から腱または靭帯の側表面の少なくとも一部を遮蔽することにより、利点を提供する。
【0111】
さらに、この実施形態によると、インプラント100がシャフト102に複数の孔162を有する。第2のピラー132が、頂端部104の近くから底端部106の近くまでシャフト102に沿って中央側に分布し、複数の孔162が頂端部104の近くから底端部106の近くまでシャフト102に沿って周囲側に分布する。複数の孔162が、インプラント100の移植後にそこを通しての骨内方成長を可能にすることができる。さらに、シャフト102の底端部106のところにまたはその近くに位置する孔162のうちの1つまたは複数の孔162が、縫合糸を通過させるのに使用され得る。次いで、縫合糸が、例えば骨の骨トンネルの中などの、硬組織の中へインプラント100を引き入れるのに使用され得る。
【0112】
図29および
図30が、本明細書で開示されるように、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100のためのキャップ154を示す。いくつかの実施例で、インプラント100が、シャフト102の底端部106においてインプラント100のシャフト102に取り付けられるキャップ154をさらに備える。キャップ154が、硬組織の中へのインプラント100の挿入中に腱または靭帯を保護することに関連する利点を提供することができる。
【0113】
図29および
図30に示されるように、キャップ154が、シャフト102の底端部106においてキャップ154をインプラント100に取り付けるためのヒンジ156を有することができる。したがって、いくつかの実施例で、キャップ154が、キャップ154と腱または靭帯の端部との間の干渉なしで、シャフト102の第2の表面122に沿って腱または靭帯を取り付けるのを可能にするためにシャフト102の底端部106から離れるように枢動させられ得、さらには、移植中に腱または靭帯を保護するためにシャフト102の底端部106の方に枢動させられ得る、カバーである。ヒンジ156が、例えば、リビングヒンジであってよい。他の実施例で、キャップ154が固定的にシャフトに取り付けられる。例えば、キャップ154がプレートであってよく、例えば、シャフト102を基準としてキャップ154を枢動させたりまたは他のかたちで動かしたりするのを可能にしないように、シャフト102の底端部106のところに取り付けられる、シャフト102の底端部106の直径にほぼ等しい直径を有する円形プレートである。
【0114】
図29および
図30に示されるように、キャップ154が1つまたは複数の孔158をさらに有することができる。キャップ154の孔158が縫合糸を通過させるのに使用され得る。次いで、縫合糸が、例えば骨の骨トンネルの中へといったように、硬組織の中にインプラント100を引き入れるのに使用され得る。
【0115】
図31~40が、インプラント100にキャップ154が取り付けられた状態の、インプラント100の第4の実施形態1004を示す。
図31~37が、インプラント100に関する、閉構成にあるキャップ154を示す。
図38~40が、インプラント100に関する、開構成にあるキャップ154を示す。示されるように、キャップ154が、例えばリビングヒンジである、ヒンジ156を有する。したがって、この実施形態によると、キャップ154が、キャップ154と腱または靭帯の端部との間の干渉なしで、シャフト102の第2の表面122に沿って腱または靭帯を第2のピラー132のところに取り付けるのを可能にするためにシャフト102の底端部106から離れるように枢動させられ得、さらには、移植中に腱または靭帯を保護するためにシャフト102の底端部106の方に枢動させられ得る、カバーである。やはり示されるように、キャップ154が孔158を有する。したがって、この実施形態によると、キャップ154の孔158が、骨の骨トンネルの中へインプラント100を引き入れるのに使用され得る縫合糸を通過させるために使用され得る。
【0116】
図41~47が、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100の第5の実施形態1005を示す。この実施形態によると、インプラント100がやはり、中心軸164と、中心軸164の下方でシャフト102の頂端部104からシャフト102の底端部106まで延在するトラフ166とを有するシャフト102を備える。シャフト102が上面図で見てU形を有することができる。シャフト102の第1の表面118が上述したようにシャフト102の外部表面であり、例えばU形シャフトの外側表面である。第2の表面122がトラフ166の表面であり、例えばU形シャフトの内側表面である。第1のピラー126が上述したように第1の表面118上に分布する。第2のピラー132が上述したように第2の表面122上に分布する。この実施形態1005が、骨トンネルの中へのインプラント100の挿入中に骨トンネルの表面に接触させないように腱または靭帯の側表面の大部分またはすべてを遮蔽することにより、利点を提供する。
【0117】
さらに、この実施形態によると、インプラント100がシャフト102に複数の孔162を有する。第2のピラー132が、頂端部104の近くから底端部106の近くまでシャフト102に沿って中央側に分布し、複数の孔162が頂端部104の近くから底端部106の近くまでシャフト102に沿って周囲側に分布する。複数の孔162が、インプラント100の移植後にそこを通しての骨内方成長を可能にすることができる。さらに、シャフト102の底端部106のところにまたはその近くに位置する孔162のうちの1つまたは複数の孔162が、縫合糸を通過させるのに使用され得る。次いで、縫合糸が、例えば骨の骨トンネルの中などの、硬組織の中へインプラント100を引き入れるのに使用され得る。
【0118】
図48および
図49が、本明細書で開示されるように、腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100のための別のキャップ154を示す。キャップ154が、シャフト102の底端部106においてキャップ154をインプラント100に取り付けるための、例えばリビングヒンジである、ヒンジ156を有する。
【0119】
図50~59が、インプラント100にキャップ154が取り付けられた状態の、インプラント100の第5の実施形態1005を示す。
図50~56が、インプラント100に関する、閉構成にあるキャップ154を示す。
図57~59が、インプラント100に関する、開構成にあるキャップ154を示す。示されるように、キャップ154が、例えばリビングヒンジである、ヒンジ156を有する。やはり、キャップ154が、キャップ154と腱または靭帯の端部との間の干渉なしで、シャフト102の第2の表面122に沿って腱または靭帯を第2のピラー132のところに取り付けるのを可能にするためにシャフト102の底端部106から離れるように枢動させられ得、さらには、移植中に腱または靭帯を保護するためにシャフト102の底端部106の方に枢動させられ得る、カバーである。
【0120】
図60がインプラント100の第3の実施形態1003の側面図を示しており、ここでは、腱202がインプラント100の第2の表面122の第2のピラー132の上に押圧されている。別の腱がインプラント100のこの第3の実施形態1003の他の第2の表面122のところに取り付けられ得る。同様に、靭帯がインプラント100のこの第3の実施形態1003に取り付けられ得る。さらに、同様に、腱または靭帯が、上述したように、他の実施形態および実施例のインプラント100に取り付けられ得る。
【0121】
インプラント100が、とりわけ、レーザー切断、射出成形、または3Dプリンティングなどの、製作方法によって作られ得る。
【0122】
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント組立体
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント組立体の特徴を参照すると、
図61および
図62が、上述した第1および第2のインプラント100と、やはり上述したキャップ154とを備えるインプラント組立体1006を示す。キャップ154が、シャフト102の底端部106において第1のインプラント100のシャフト102に取り付けられる。第2のインプラント100が第1のインプラント102のシャフト102に沿って第1のインプラント100に取り付けられ、第1のインプラント100のシャフト102の第2の表面122の方を向く。
図61および
図62に示されるように、キャップ154が閉構成にある。
【0123】
インプラント組立体1006が、さらに、骨トンネルの中へのインプラント組立体1006の挿入中に骨トンネルの表面に接触させないように腱または靭帯の側表面を遮蔽することにより、利点を提供する。
【0124】
インプラント組立体1006が使用中に以下のように組み立てられ得る。例えばキャップ154を取り付けた状態である実施形態1004に対応する第1のインプラント100が提供される。上で考察したように、キャップ154が、例えばリビングヒンジである、ヒンジ156を有する。キャップ154がシャフト102の底端部106から離れるように枢動させられる。次いで、腱または靭帯が、キャップ154と腱または靭帯の端部との間の干渉なしで、第1のインプラント100のシャフト102の第2の表面122に沿って第2のピラー132のところに取り付けられる。次いで、キャップ154が、移植中に腱または靭帯を保護するために、シャフト102の底端部106に方に枢動させられる。さらに、例えば実施形態1004に対応する第2のインプラント100が、第1のインプラント100のシャフト102に沿って第1のインプラント100に取り付けられ、第1のインプラント100の第2の表面122の方を向く。この取り付けは、例えば、第1のインプラント100と第2のインプラント100との間の相補的嵌合に基づいてよい。これによりさらに、骨トンネルの中へのインプラント組立体1006の挿入中に骨トンネルの表面に接触させないように腱または靭帯の側表面が遮蔽される。
【0125】
図63および64が、上述した第1および第2のインプラント100と、やはり上述したキャップ154と、メッシュ部分168とを備えるインプラント組立体1007を示す。キャップ154が、シャフト102の底端部106においてインプラント100のシャフト102に取り付けられる。メッシュ部分168がインプラント100のシャフト102に沿ってインプラント100に取り付けられ、インプラント100のシャフト102の第2の表面122の方を向く。
図63および
図64に示されるように、キャップ154が閉構成にある。
【0126】
メッシュ部分168が、21℃で測定して少なくとも3GPaのヤング弾性係数つまり引張弾性係数を有する、メッシュジオメトリで生産され得る材料から作られ得る。メッシュ部分168が、例えば、実質的に充填物のない移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン(移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、または移植可能グレードのポリエーテルケトンケトンなど)、チタン、ステンレス鋼、コバルト-クロム合金、チタン合金(Ti-6Al-4Vチタン合金、またはTi-6Al-7Nbチタン合金など)、セラミック材料(窒化ケイ素(Si3N4)など)、あるいは移植可能グレードの複合材料(フィラーを有する移植可能グレードのポリアリールエーテルケトン、フィラーを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維を有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトン、またはヒドロキシアパタイトを有する移植可能グレードのポリエーテルエーテルケトンなど)から作られ得る。さらに、メッシュ部分168が、例えば、ラピッドプロトタイピングのための樹脂、SOMOS(登録商標)NanoToolの非結晶複合材料、SOMOS(登録商標)9120の液体フォトポリマー、SOMOS(登録商標)WaterShed XC11122の樹脂、ACCURA(登録商標)XTREME(商標)White200のプラスチック、またはACCURA(登録商標)60のプラスチックなどの、などの1つまたは複数の材料から作られ得る。さらに、メッシュ部分168が、例えば、とりわけ、ポリ乳酸またはポリカプロラクトンなどの再吸収可能な1つまたは複数の材料から作られ得、この事例では、移植部位における骨および腱の周りの圧迫腫がインプラント100のポリマーを漸進的に取り除き、患者自身の組織に置き換えることにより、自然な状態により類似したものとなる。さらに、メッシュ部分168が、上に挙げた材料および/または硬組織の別の組み合わせから作られ得る。
【0127】
メッシュ部分168が、上面図で見て、180°の半円形の弧などの、インプラント100の実施形態1004の弓形状と同様の弓形状を有することができる。メッシュ部分168が、取り付けるための対応する硬組織および腱または靭帯の生体力学および生物学によって決定される機械的性能要求に十分であるメッシュ孔サイズおよび空隙容積を有することができる。メッシュ孔サイズが、とりわけ、例えば、100ミクロンから1,000ミクロン、200ミクロンから800ミクロン、400ミクロンから600ミクロンの範囲であってよい。空隙容積が、とりわけ、例えば、20%から90%、30%から85%、または40%から80%の範囲であってよい。メッシュサイズおよび空隙容積が、例えば、硬組織の方を向くメッシュ部分168の側部から、腱または靭帯の方を向くメッシュ部分168の側部まで、メッシュ部分168に跨って多様であってよい。
【0128】
インプラント組立体1007が、さらに、移植後に骨および腱または靭帯のより良好な一体化も可能にしながら、骨トンネルの中へのインプラント組立体1007の挿入中に骨トンネルの表面に接触させないように腱または靭帯の側表面を遮蔽することにより、利点を提供する。
【0129】
インプラント組立体1007が以下のように使用中に組み立てられ得る。例えばキャップ154を取り付けた状態である実施形態1004に対応するインプラント100が提供される。上で考察したように、キャップ154が、例えばリビングヒンジである、ヒンジ156を有する。キャップ154がシャフト102の底端部106から離れるように枢動させられる。次いで、腱または靭帯が、キャップ154と腱または靭帯の端部との間の干渉なしで、第1のインプラント100のシャフト102の第2の表面122に沿って第2のピラー132のところに取り付けられる。次いで、キャップ154が、移植中に腱または靭帯を保護するために、シャフト102の底端部106の方に枢動させられる。次いで、メッシュ部分168がインプラント100のシャフト102に沿ってインプラント100に取り付けられ、第1のインプラント100の第2の表面122の方を向く。この取り付けは、例えば、第1のインプラント100とメッシュ部分168との間の相補的嵌合に基づいてよい。これによりさらに、移植後に骨および腱または靭帯のより良好な一体化を可能にしながら、骨トンネルの中へのインプラント組立体1007の挿入中に骨トンネルの表面に接触させないように腱または靭帯の側表面が遮蔽される。
【0130】
腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラントを使用する方法
次に、その必要時に個人の中で腱または靭帯を硬組織に取り付けるためのインプラント100の使用のための方法を説明する。インプラント100が上述したものである。
【0131】
本方法が、(1)個人の骨の中に骨トンネルを用意するステップを含む。骨トンネルを用意することが、例えば、骨の中に孔を穿孔することを含むことができる。骨トンネルを用意することが、さらに、例えば、ねじ山を提供するために孔に対してねじ切りを施すことを含むことができる。いくつかの実施例で、インプラント100が、シャフト102の最も幅広の部分のところに第1のピラー126の遠位端128の間のインプラント径160を有し、骨トンネルを用意することが、インプラント径160より小さい孔径を有する孔を骨の中に用意すること、および/または、インプラント径160より小さい内径を有するねじ山を有するように孔にねじ切りを施すことを含む。
【0132】
本方法が、(2)腱または靭帯をインプラントの第2のピラー132に接触させるように腱または靭帯をインプラント100に取り付けるステップをさらに含む。必要に応じて、腱または靭帯をインプラント100に取り付ける前に、残留筋肉(residual muscle)が腱または靭帯から取り除かれ得る。いくつかの実施例で、取り付けることが、腱または靭帯に第2のピラー132を刺し通すことを含み、それにより、腱または靭帯をインプラント100の第2のピラー132に接触させる。いくつかの実施例で、取り付けることが、腱または靭帯をインプラント100に取り付けるために縫合糸または接着剤を使用することを含む。いくつかの実施例で、本方法が、腱または靭帯をインプラント100に取り付けるための、縫合糸または接着剤の使用を含まない。例えば、刺し通すことが、腱または靭帯をインプラント100に取り付けるのに十分となり得、それにより、取り付けを単純化する。
【0133】
本方法が、(3)インプラント100を骨トンネルの中に挿入するステップをさらに含む。いくつかの実施例で、インプラント100を骨トンネルの中に挿入することが、インプラント100を回転させることによりインプラント100を骨トンネルの中へ移動させることを含む。いくつかの実施例で、インプラント100を骨トンネルの中に挿入することが、インプラント100を骨トンネルの中に押し入れることを含む。いくつかの実施例で、インプラント100を骨トンネルの中に挿入することが、インプラント100を骨トンネルの中に引き入れることを含む。
【0134】
上述したように、第1のピラー126が硬組織の中に押し入れられ得、それにより、経時的なインプラント100の微小なモーションおよび遊動を潜在的に排除すること、トルクを受け入れること、ならびに/あるいはインプラント100を定位置で保持するためのセメントまたはグラウトなどの接着剤の必要性を排除すること、が可能となる。したがって、いくつかの実施例で、インプラント100を挿入することが、ねじまたは平面培養(plating)機構を使用することなく行われ得る。これにより、経時的な硬組織インプラント100の微小なモーションおよび遊動をやはり排除しながら、個人の中で本方法で使用されるインプラントの数およびプロフィールを最小にすることができる。さらに、いくつかの実施例で、インプラント100を挿入することが、例えばセメントまたはグラウトなどの、接着剤を使用することなく、行われ得る。これにより、経時的な硬組織インプラント100の微小なモーションおよび遊動をやはり排除しながら、本方法を単純化することができる。
【0135】
いくつかの実施例で、インプラント100を挿入することが、硬組織に対して第1のピラー126を部分的にまたは完全に貫通させることを含む。これが、例えば、シャフト102の最も幅広の部分のところのシャフト径108より大きいかまたはシャフト径108に等しいが、シャフト102の最も幅広の部分における第1のピラー126の遠位端128の間のインプラント径160より小さい直径を有するように骨トンネルを用意することにより、達成され得る。例えば、100μmから2,000μm、200μmから900μm、300μmから800μm、または400μmから600μmである深さまで、骨トンネルの骨に対して第1のピラー126を貫通させるように、インプラント100が、骨トンネルの中まで動かされ得るか、骨トンネルの中に押し入れられ得るか、または骨トンネルの中に引き入れられ得る。さらに、例えば、インプラント100が、例えば、第1のピラー126の高さの25%、50%、75%、および100%である、第1のピラー126の高さを基準とした深さまで、骨トンネルの骨に対して第1のピラー126を貫通させるように、骨トンネルの中まで動かされ得るか、骨トンネルの中に押し入れられ得るか、または骨トンネルの中に引き入れられ得る。これらの実施例のうちのいくつかの実施例で、インプラント100を挿入することが、インプラント100を骨トンネルの中に押し入れるかまたはインプラント100を骨トンネルの中まで引き入れることを含み、次いでインプラント100をわずかに回転させる。これにより、第1のピラー126の間において第1のピラー126を骨の中で咬合させ、それにより、インプラント100が骨の中で定位置でロックされる。
【0136】
本方法により、腱または靭帯が個人の骨に取り付けられることになる。
【0137】
いくつかの実施例で、移植前に、追加の硬組織がインプラント100の第1の表面118および/または第1のピラー126に加えられ得る。例えば、患者の硬組織のソーイングまたは穿孔を含めた用意のための作業中に発生する患者の硬組織の屑(shaving)が加えられ得る。これにより、移植後にインプラント100の第1のスロット130の中への硬組織の成長を促進することができる。
【0138】
さらに、いくつかの実施例で、移植前に、追加の組成物がインプラント100の第1の表面118および/または第1のピラー126に加えられ得る。このような組成物には、例えば、血液、1つまたは複数の抗生物質、1つまたは複数の骨形成化合物、骨髄穿刺液、ならびに/あるいは、早期の骨内方成長を誘発するためのsurface chemistryが含まれる。例えば、第1の表面118および/または第1のピラー126が1つまたは複数のこのような組成物で被覆され、ここでは移植中に第1のピラー126が組成物を保持する。さらに、これにより、移植後のインプラント100の第1のスロットの中への組織の成長を促進することができる。
【0139】
例えばインプラント100を骨内の骨トンネルの中に押し入れることなどの、インプラント100を移植するための標準的なアプローチが当技術分野で知られており、本明細書で開示される方法で使用され得る。
【0140】
硬組織が、例えば、上で考察したように、硬組織の中でもとりわけ、上腕骨、膝蓋骨、脛骨、または大腿骨などの骨から選択され得る。上で考察したように、いくつかの実施例で、第1のピラー126が、移植後に迅速に硬組織に接触することができる。いくつかの実施例で、第1のピラー126が移植後に経時的に硬組織に接触することができる。
【0141】
本方法が、上で考察したように、インプラント100の実施形態および実施例に適用され得る。第1の表面比および第2の表面比が上で考察したように決定され得る。
【0142】
したがって、例えば、いくつかの実施例で、インプラント100が、シャフト102内で軸方向に延在する中央スロット148と、シャフト102に沿って軸方向に延在するシャフトヒンジ150とをさらに備える。これらの実施例のうちのいくつかの実施例で、本方法が、ステップ(1)からステップ(3)の後、(4)ウェッジを中央スロット148の中に押し込むステップをさらに含み、それにより、シャフトヒンジ150が開いてインプラント100を拡大する。
【0143】
特許請求される発明の精神および範囲から逸脱することなく多様な修正形態および変形形態が作られ得ることが当業者には明らかとなろう。
【国際調査報告】