(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】材料供給装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/14 20140101AFI20221114BHJP
【FI】
B23K26/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022516455
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2020075065
(87)【国際公開番号】W WO2021052814
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019124856.6
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケルバッサ,ヤナ
(72)【発明者】
【氏名】ガッサー,アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】エベルト,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コステルニク,バスティアン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA37
4E168BA54
4E168CA11
4E168CA13
4E168CA15
4E168FB03
(57)【要約】
本発明は、材料供給装置に関する。材料加工装置に使用する、本発明に係る材料供給装置は、材料供給装置の作動中に加工部位に対向する出力端を含む材料供給チャネルを有し、材料供給装置は、少なくとも1つのマイクロチャネルを有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料加工装置に使用する材料供給装置であって、前記材料供給装置は少なくとも1つの材料供給チャネルを有し、前記材料供給チャネルは前記材料供給装置の作動中に加工部位に対向する出力端を有しており、
前記材料供給装置は、少なくとも1つのマイクロチャネルを有することを特徴とする、材料供給装置。
【請求項2】
前記材料供給装置は、中央材料供給チャネルを有することを特徴とする、請求項1に記載の材料供給装置。
【請求項3】
前記材料供給装置は、ビームガイドの軸に対して0度より大きく、かつ90度より小さい角度で、横方向に配置された材料供給チャネルを有することを特徴とする、請求項1に記載の材料供給装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのマイクロチャネルは、少なくとも一箇所において、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の壁厚を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の材料供給装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのマイクロチャネルは、冷却剤供給部に接続されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の材料供給装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのマイクロチャネルは、一体型支持体を有することを特徴とする、請求項5に記載の材料供給装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマイクロ冷却チャネルによって、温度制御媒体の順流および温度制御媒体の返流が確保されることを特徴とする、請求項5または6に記載の材料供給装置。
【請求項8】
前記材料供給装置は、ノズル先端部を受けて所定の位置に固定するためのねじ山を含む領域を有し、マイクロチャネルは、少なくとも前記ねじ山領域を除いて、前記材料供給装置を貫通することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の材料供給装置。
【請求項9】
測定センサは、少なくとも1つのマイクロチャネルに設けられることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の材料供給装置。
【請求項10】
材料影響装置は、少なくとも1つのマイクロチャネル内に設けられることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の材料供給装置。
【請求項11】
材料供給装置の製造方法であって、
前記製造方法は、付加製造方法の方法類から選択されることを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
前記製造方法は、レーザ粉末床溶融結合技術を用いることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料供給装置に関する。特に、本発明は、材料加工方法向けの材料を供給する、例えば充填剤を供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料加工方法は、例えば、レーザ材料加工方法であってもよい。多くのレーザ材料加工方法(例えば、切断、溶接、肉盛溶接、はんだ付け)では、実際の材料または充填剤は、充填剤を提供するため、またはガスを用いて加工に影響を及ぼすために、加工部位に供給されなければならない。これらの方法には、最も重要な方法を挙げると、レーザはんだ付け(ハードおよびソフトはんだ付け)、プラスチックの溶接、金属材料の溶接、金属製、セラミック製、またはプラスチック製の層の塗布、金属製、プラスチック製、またはセラミック製の構造体の生成、レーザビーム切断、レーザビーム硬化、レーザビーム合金化、レーザビーム分散などが含まれる。しかしながら、レーザビームの使用は、材料加工方法において不可欠ではなく、材料加工方法の別の例として、アーク溶接も可能である。
【0003】
上記のような材料は、例えば生成的な製造で供給されなければならない。ここでは、および以下の段落では、「材料」および「充填剤」という用語は同義的に使用され、いずれの場合も、加工部位に供給される、または供給されなければならない材料を指す。材料は、固体、液体、または気体の形態で供給され得る。固体形態では、主にワイヤまたは粉末である。
【0004】
材料加工方法を実行する材料加工装置は周知である。上記装置は、例えば、冷却媒体と保護ガスとを接続するレーザなどの少なくとも1つのエネルギー生産装置と、これらの媒体の伝導装置と、さらには加工部位に供給される材料の供給装置とを有してもよい。上記装置は通常、加工部位に対向する側面にノズル型形状の加工ヘッドを有する。不活性ガスは通常、加工ヘッドのノズル型形状を介して加工部位に供給可能であるため、加工ヘッドの上記部分は、不活性ガスノズルとも呼ばれる。材料を側面から供給する材料加工装置も知られている。しかしながら、サイズが原因で、上記配置は、加工部位の付近ではいくぶん妨げとなる。また、この配置は非対称であるため、ワークの輪郭に沿って供給方向を変更する場合、材料供給装置と、ビーム誘導用およびビーム成形用の光学系と、場合によっては冷却装置と、場合によっては不活性ガス供給装置とを有する加工ヘッドの回転が必要になる。さもなければ、加工は方向に依存する。
【0005】
材料が中央に、すなわち加工ヘッドの長手方向軸に対して軸方向に供給されるとき、レーザビームを使用する場合、中心軸を材料供給のために自在にする、または自在のままにするように、レーザビームを分割しなければならない。材料は、加工部位、すなわちレーザビームが基板上に作用する部位に供給されなければならない。通常、各加工ヘッドはノズル形状を有し、供給材料およびレーザビームと、供給される保護ガスおよび冷却媒体は、加工ヘッドを通って伝導される。構成要素は具現化されるものとし、レーザビームは、ビーム誘導が損なわれないように、特にビームが遮蔽されないように、伝導されなければならない。独国特許第10 2007 018 400号から、材料を加工部位に対して軸方向に誘導可能である一方、レーザビームを環状形態に分割し、加工部位に対して同軸に誘導可能である、光学系および各加工ヘッドが知られている。
【0006】
このレーザ材料加工中に、材料供給装置は、光学系からの散乱放射、加工による熱放射、および反射レーザ放射によって加熱される。さらにワークのアクセスが困難な部位でレーザ材料加工を実行する場合、ノズルはそれに応じて小型化しなければならない。加工ヘッド内の利用可能空間が制限される場合、通常、直接冷却せずに、軸方向の材料供給を行うことはできる。材料供給装置の加熱は、システムの故障による加工中断につながる。この方法では、例えば塗布速度を高めるのに必要となる、加工時間の延長または使用するレーザ出力の増加は不可能である。例えば、材料供給装置の過熱は、レーザ出力が1000W未満かつ加工時間が15分より長いときに発生する。
【0007】
レーザ肉盛溶接の加工は現在、材料供給装置の損傷および/または材料供給装置の過熱ならびに材料供給における関連問題を回避するために、一定間隔で中断され、冷却時間が保たれる。代替方法として、材料出力開口部と加工平面との間の作動距離を増加してもよいが、これにより、充填剤を溶接プールに誘導する際の精度が低下し、その結果、加工が不安定になる。例えば、直径が約0.8mm未満のワイヤ形状の材料では、溶接プールに対する材料の正確な誘導かつ位置決めがもはや保証されないため、作動距離の増加は望ましくない。
【0008】
アーク溶接加工用の溶接トーチに水冷を行うことは知られている。しかしながら、水冷用の寸法としては約25mm以上の外径が必要であるため、軸方向の材料供給のために小型化された加工ヘッドにおける統合は不可能である。すなわち、加工ヘッドを大幅に拡大する必要があり、アクセス性が著しく低下するため、好ましくない。従来の製造方法では、外径が8mm以下の材料供給ノズルには水冷を統合できない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題は、上記最新技術の欠点を最小限に抑えたレーザ材料加工方法を実行する材料供給装置を開示することである。もう1つの課題は、上記材料供給装置の製造方法を開示することである。
【0010】
1つ目の課題は、独立請求項1に係る材料供給装置を用いて達成される。材料供給装置の有利なさらなる発展形態は、請求項2から請求項10まで続く。本発明の2つ目の課題は、独立請求項11に係る製造方法によって達成される。製造方法の有利なさらなる発展形態は、請求項12から続く。
【0011】
材料加工装置に使用する、本発明に係る材料供給装置は、材料供給装置の作動中に加工部位に対向する出力端を含む材料供給チャネルを有し、材料供給装置は、少なくとも1つのマイクロチャネルを有することを特徴とする。
【0012】
一部の用語を以下に説明する。
【0013】
本明細書において、材料加工装置に使用する材料供給装置は、基板上の加工部位に材料を供給可能な装置であると解釈される。特に、上記材料供給装置は、レーザ材料加工方法を使用する材料加工装置に採用され得る。
【0014】
材料加工方法を実行する材料加工装置は周知である。上記装置は、例えば、レーザなどの少なくとも1つのエネルギー生産装置と、冷却媒体と保護ガスとを接続する接続口と、これらの媒体およびビームの伝導装置と、さらには加工部位に供給される材料の供給装置とを有してもよい。上記装置は通常、加工部位に対向する側面に不活性ガスノズルを含む加工ヘッドを有する。材料を側面から供給する材料加工装置も知られている。上記のような横方向供給において、供給軸は、ビームガイドの軸に対して0度より大きく、かつ90度より小さい角度を有する。しかしながら、サイズが原因で、上記配置は、加工部位の付近ではいくぶん妨げとなる。また、この配置は非対称であるため、ワークの輪郭に沿って供給方向を変更する場合、材料供給装置と、ビーム誘導用およびビーム成形用の光学系と、場合によっては冷却装置と、場合によっては不活性ガス供給装置とを有する加工ヘッドの回転が必要になる。さもなければ、加工は方向に依存する。
【0015】
材料が中央に、すなわち加工ヘッドの長手方向軸に対して軸方向に供給されるとき、レーザビームを使用する場合、中心軸を材料供給のために自在にするように、レーザビームを分割しなければならない。材料は、加工部位、すなわちレーザビームが基板上に作用する部位に供給されなければならない。通常、各加工ヘッドはノズル形状、すなわち不活性ガスノズルを有し、供給材料およびレーザビームと、供給される保護ガスおよび冷却媒体は、加工ヘッド、具体的には不活性ガスノズルを通って伝導される。構成要素は具現化されるものとし、レーザビームは、ビーム伝導が損なわれないように、特にビームが遮蔽されないように伝導されなければならない。
【0016】
レーザ材料加工方法という用語は広義に解釈されるべきであり、レーザビームが採用される、切断、溶接、肉盛溶接、はんだ付けなどのあらゆる材料加工方法を含む。レーザビームは、高輝度で、多くの場合は周波数範囲が非常に小さく、ビームの集束が強固で、コヒーレンス長が長い電磁波である。材料は、固体または液体の形態、またはガスとして供給され得る。固体形態では、材料は一般的にワイヤまたは粉末である。
【0017】
本明細書では、材料供給チャネルという用語は、材料を加工部位に供給可能なチャネルを指す。材料供給チャネルは、任意の断面、例えば環状断面を有してもよい。
【0018】
本明細書の光チャネルという用語は、特にレーザビームを加工部位に伝導可能なチャネルを指す。光チャネルは、任意の断面、例えば環状断面を有してもよい。
【0019】
加工部位とは、基板上の加工が行われる部位である。加工部位は点状であっても、領域であってもよい。
【0020】
本明細書では、マイクロチャネルは、非常に小さい断面、例えば10-2mm2の断面を有する管状チャネルであると解釈される。マイクロチャネルは、一部または全体が環状、楕円形、多角形、螺旋状、または直線状であってもよい。本開示ではさらに、種々の相互接続されていないマイクロチャネルを含む複数のマイクロチャネルと、種々の相互接続されたマイクロチャネルまたは螺旋マイクロチャネルの複数の巻線とを使用する。マイクロチャネルは、二重壁チャネルとして、例えばチャネル内のチャネルの形態で、および/または螺旋チャネルとして具現化してもよい。
【0021】
一般原則として、本明細書の枠組み内では、不定数詞「1つ」、「2つ」などは、通常、「きっかり1つ」、「きっかり2つ」などを意味すると解釈されるべきではなく、不定冠詞であることが指摘される。したがって、「1つの・・・」、「2つの・・・」などの表現を使用する記述は、それぞれの文脈から「きっかり1つ」、「きっかり2つ」などのみが意図され得ることが明白である場合を除き、「少なくとも1つの・・・」、「少なくとも2つの・・・」などを意味すると解釈すべきである。独立請求項が「少なくとも1つ」と言及する場合、これは、従属請求項における「1つの・・・」、「2つの・・・」などの言及が必ずしもきっかり1つ、きっかり2つなどを示すことを意味するものではない。
【0022】
本特許出願の枠組み内では、「特に」という表現は、任意の好ましい特徴を導入することであると常に解釈すべきである。この表現は、「すなわち」の意味で解釈すべきではない。
【0023】
好ましい実施形態に置いて、少なくとも1つのマイクロチャネルは、少なくとも一箇所において、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の壁厚を有する。マイクロチャネルは壁によって制限される。壁は、材料供給装置の外側に対する、または別のチャネルに対する境界を形成し得る。この別のチャネルは、追加のマイクロチャネル、材料供給チャネル、または光チャネルであってもよい。また、螺旋マイクロチャネルの追加の巻線であってもよい。
【0024】
マイクロチャネルの壁厚を薄くすることで、材料供給装置の構造サイズを極めて小さくでき、それにもかかわらず例えば温度調整が可能になる。
【0025】
別の好ましい実施形態では、上記少なくとも1つのマイクロチャネルは、冷却剤供給部に接続される。上記供給部は、例えば、効率的な温度制御のために、水または伝熱油などの温度制御媒体を規定の温度かつ規定の体積流量および/または圧力で上記少なくとも1つのマイクロチャネルを通って搬送できるように、温度制御器を備えたポンプであってもよい。
【0026】
特に好ましい実施形態では、上記少なくとも1つのマイクロチャネルは、一体型支持体を有する。上記支持体によって、上記マイクロチャネルを通って流れる温度制御媒体の乱流または乱流の増加が引き起こされ得るため、最適化された熱伝達が確保される。さらに、上記支持体は、上記マイクロチャネルおよび上記材料供給装置の機械的安定性の提供にも寄与し得る。
【0027】
上記少なくとも1つの冷却用マイクロチャネルによって、温度制御媒体の順流および温度制御媒体の返流が確保される場合、特に効果的であることが証明されている。これにより、材料供給装置の温度制御の有効性が確保される。
【0028】
別の有利な実施形態において、上記材料供給装置は、ノズル先端部を受けて所定の位置に固定するためのねじ山を含む領域を有し、上記マイクロチャネルは、少なくとも上記ねじ山領域を除いて、上記材料供給装置を貫通する。マイクロチャネルが通過する材料供給装置の面積を増大することにより、材料供給装置の温度制御が最適化される。ねじ山を設けることにより、摩耗しやすいノズル先端部を容易に交換できる。
【0029】
別の有利な実施形態では、測定センサが上記少なくとも1つのマイクロチャネルに設けられる。マイクロチャネルは、温度制御媒体を通過させるだけでなく、測定センサの導入にも使用できる。上記測定センサとしては、例えば、材料供給の温度を監視する温度センサ、溶接プール温度の記録および/または加工制御用の光ファイバ、距離測定用のセンサ、例えば光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography:OCT、マイクロメートル分解能で散乱材料から二次元および三次元画像を受け取るための結像方法)用の光ファイバ、または材料供給搬送を監視する測定センサであってもよい。上記測定センサの導入により、材料供給装置のサイズを実質的に変化させることなく、材料供給装置内部の関心部位および/または加工部位に非常に密接して、プロセスパラメータを監視できる。
【0030】
これに代えて、またはこれに加えて、上記少なくとも1つのマイクロチャネル内に充填剤影響装置を設けてもよい。上記影響装置は、例えば充填剤を予熱する装置、例えば誘導予熱部であってもよい。供給される材料を予熱することによって、例えば充填剤などの材料の塗布速度を速めることができる。マイクロチャネル内に材料影響装置を導入することにより、充填剤影響装置は、例えば、材料供給チャネルに非常に密接して、特に加工部位に非常に密接して近づけることができ、その結果、充填剤は、目標とした方法で高精度に影響を受けることができる。
【0031】
上記材料供給装置の製造方法は、付加製造の方法類から選択されると有利であることが証明されている。「付加製造」とは、デジタル3D構造データに基づいて、部品が材料の堆積によって層ごとに構築される加工を指す。今日では、「3D印刷」という用語が付加製造の同義語として使用されることも多い。しかしながら、「付加製造」は、この方法が従来の研磨製造方法と明らかに異なることを好適に表現している。例えば、ワークを固体ブロックから摩砕する代わりに、付加製造では、例えば微粉末またはワイヤの形態で入手可能な材料から部品を層ごとに構築する。材料は、さまざまな種類の金属、プラスチック、および複合材料であってもよい。材料供給装置に構造を層ごとに構築させることで、従来の製造方法では全く製造することができない、または多大な労力を費やしてのみ製造することができる、特にマイクロチャネルにおける形状の製造が可能になる。
【0032】
上記製造方法に特に有利な技術は、レーザ粉末床溶融結合(Laser Powder Bed Fusion:LPBF)技術であることが証明されている。この技術では、加工対象材料は、ベースプレート上に粉末として薄層で塗布される。レーザ照射により、粉末材料は局所的に完全に溶融し、固化後に剛体材料層を形成する。続いて、ベースプレートを一層の層厚分下げて、粉末を再度塗布する。このサイクルは、すべての層が再度溶融するまで繰り返される。完成した部品は、余分な粉末が取り除かれて、要望に応じて加工されるか、または直接使用される。部品を構築するための典型的な層厚は、あらゆる材料に対して15~500μmの範囲である。レーザビームを誘導するためのデータは、ソフトウェアによって3D CAD本体から生成される。第1の算出工程では、部品は個別の層に分離される。第2の算出工程では、レーザビームがたどる経路を層ごとに作成する。酸素によって材料が汚染されるのを回避するために、加工は通常、アルゴンまたは窒素を含む不活性ガス雰囲気下で行われる。LPBFで製造された部品は、99%を超える高い比重を特徴とする。このやり方では、生成的に製造された部品の機械的特性の大部分が、基本材料の機械的特性に対応することが保証される。
【0033】
示されたあらゆる数値は厳密値として解釈されるべきではなく、実際の値は、本発明の記載された態様を逸脱することなく、工学的規模で上下し得ることが明確に指摘される。
【0034】
本発明の他の利点、特殊性、有用なさらなる発展形態は、図面によって、従属請求項および下記に提示する実施形態の好ましい実施例から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】本発明に係る材料供給装置の三次元図である。
【
図3】本発明に係る材料供給装置の一実施形態の縦断面図である。
【
図4】本発明に係る材料供給装置の別の実施形態の縦断面図である。
【
図5】本発明に係る材料供給装置を
図4から拡大した断面図である。
【0036】
図1は、材料加工装置の加工ヘッド200を示す図である。加工ヘッド200は、材料チャネル110を備えた、本発明に係る材料供給装置100を有する。本発明に係る材料供給装置は、材料加工装置に使用されるものであり、材料供給装置100の作動中に加工部位に対向する出力端111を備えた材料供給チャネル100を有する。材料供給装置100を使用することで、基板上の加工部位に材料を供給することが可能になる。材料加工装置は、材料加工方法、例えばレーザ溶接方法を実行するために使用される。加工ヘッド200は、レーザビームの誘導装置を有する。この誘導装置は、例えばミラーおよび/またはプリズムなどのレーザビーム用の偏向部215と、合焦レンズ210と、さらに不活性ガスチャネル235を有する不活性ガスノズル230とを有する。不活性ガスチャネル235を通じて、不活性ガスが加工部位に供給される。不活性ガスは、加工部位を酸素との接触に対して一時的に遮蔽することで、加工時に高温になる基板または供給された材料のスケーリングをそれぞれ防止する。図示の実施形態では、材料が中央に、すなわち加工ヘッド200の長手方向軸に対して軸方向に供給され、加工部位に供給される。この目的のために、レーザビームを採用する場合、中心軸を材料供給のために自在にする、または自在のままにするように、レーザビームを分割しなければならない。これを達成するために、加工ヘッド内のあらゆる構成要素、特に材料供給装置100は具現化されるものとし、レーザビームは、ビーム誘導が損なわれないように、特にビームが遮蔽されないように、光チャネル220(本実施形態ではレーザビームリング220で示される)内で伝導されなければならない。材料供給チャネル110は、加工部位と向かい合う端部に、交換可能な材料ノズル(図示せず)を有する。この材料ノズルは、例えば、材料供給チャネル110に螺合できる。作動中、材料供給チャネル110の端部が加工ヘッド200の作動中に受ける熱負荷に起因して、特に加工部位と向かい合う材料供給チャネル110の端部に摩耗が生じる。交換可能な材料ノズルは、摩耗が臨界極限を超えたときに容易に交換できる。材料は、固体、液体、または気体の形態で供給され得る。固体形態では、一般的にワイヤまたは粉末である。例えば、供給された材料がワイヤの形態を有する場合、摩耗によって、出力端111において材料供給チャネル110の直径が拡大し、ワイヤ誘導の精度が損なわれる可能性がある。
【0037】
図2は、本発明に係る材料供給装置100の三次元図である。材料供給装置100は、材料を加工部位に供給する連続する材料供給チャネル110を有する。さらに、材料供給装置100は、媒体接続口130を有する。これらの媒体接続口130を介して、例えば水などの冷却媒体を、材料供給装置100の内外に伝導できる。媒体接続口130は、加工ヘッド200の作動中に、加工部位と向かい合う材料供給装置100の端部に配置される。材料供給装置100は、加工ヘッド200の作動中に、加工部位に対向する材料供給装置100の端部に螺合するように配置された材料ノズル(図示せず)用接続口120も有する。さらに、製造上の理由から二部構成を有する材料供給装置100が取り付けられる接続片150を、図で確認することができる。材料供給装置100は、付加製造方法によって製造される。付加製造工場で製造されるパーツのサイズが制限される場合、材料供給装置100は、2つ以上のパーツで製造され、かつ1つ以上の接続片150で作動するように組み立てられてもよい。しかしながら、材料供給装置100は、付加製造工場が利用可能であれば、一体に製造してもよい。
【0038】
図3は、本発明に係る材料供給装置100の一実施形態の縦断面図である。
図2と同様に、媒体接続口130および材料ノズル用接続口120を確認でき、明確に提示するため、この図ではねじ山の提示が欠けている。材料供給装置100は、連続する材料供給チャネル110を有する。さらに、材料供給装置100は、媒体接続口130に作動可能に接続されたいくつかの媒体チャネル131を有する。例えば、水などの冷却媒体は、媒体口130を介して媒体チャネル131に伝導されてもよい。媒体チャネル131はマイクロチャネル131、すなわち、非常に小さい、例えば10
-2mm
2の断面を有する筒状のチャネルとして具現化される。マイクロチャネル131は、一部または全体が環状、楕円形、多角形、螺旋状であってもよく、または直線状ですらあってもよい。いくつかのマイクロチャネル131は、種々の相互接続されていないマイクロチャネル131と、種々の相互接続されたマイクロチャネル131または螺旋マイクロチャネル131の複数の巻線との両方を含んでもよい。マイクロチャネル131はさらに、二重壁チャネルとして、例えばチャネル内のチャネルとして、および/または螺旋チャネルとして具現化してもよい。マイクロチャネル131は壁によって制限される。壁は、材料供給装置100の外側に対する、または別のチャネルに対する境界を形成し得る。この別のチャネルは、追加のマイクロチャネル131、材料供給チャネル110、または光チャネル220であってもよい。追加のマイクロチャネル131はまた、螺旋マイクロチャネル131の追加の巻線であってもよい。各マイクロチャネル131は、少なくとも一箇所において、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の壁厚を有してもよい。マイクロチャネル131の壁厚を薄くすることで、材料供給装置100の構造サイズを極めて小さくでき、それにもかかわらず例えば温度調整が可能になる。マイクロチャネル131は、少なくとも材料ノズル(図示せず)を所定の位置に螺合するためのねじ山領域を除いて、材料供給装置100を貫通する。マイクロチャネル131が通過する材料供給装置100の面積を大きくすることにより、材料供給装置100の温度制御が最適化される。材料供給チャネル110に近接して材料供給装置100の1つまたは複数のマイクロチャネル131に測定センサを導入することも可能である。上記測定センサとしては、例えば、材料供給の温度を監視する温度センサ、溶接プール温度の記録および/または加工制御用の光ファイバ、距離測定用のセンサ、例えば光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography:OCT、マイクロメートル分解能で散乱材料から二次元および三次元画像を受け取るための結像方法)用の光ファイバ、または材料供給搬送を監視する測定センサであってもよい。上記測定センサの導入により、材料供給装置100のサイズを実質的に変化させることなく、材料供給装置100内部の関心部位および/または加工部位に非常に密接して、プロセスパラメータを監視できる。
【0039】
これに代えて、またはこれに加えて、少なくとも1つのマイクロチャネル131内に充填剤影響装置を設けてもよい。上記影響装置は、例えば、充填剤を予熱する装置、例えば誘導予熱部であってもよい。供給される材料を予熱することによって、例えば充填剤などの材料の塗布速度を速めることができる。マイクロチャネル131内に材料影響装置を導入することにより、充填剤影響装置は、例えば、材料供給チャネル110に非常に密接して、特に加工部位に非常に密接して近づけることができ、その結果、充填剤は、目標とした方法で高精度に影響を受けることができる。
【0040】
材料供給装置100は、付加製造方法によって製造される。材料供給装置100を層状に構成することにより、従来の製造方法では全く製造することができない、または多大な労力を費やしてのみ製造することができる、上記マイクロチャネル100などの形状を製造できる。
【0041】
図4は、本発明に係る材料供給装置100の別の実施形態の縦断面図である。マイクロチャネル131は、一体型支持体132または複数の上記支持体132を有する。支持体132によって、マイクロチャネル131を通って流れる温度制御媒体の乱流または乱流の増加が確保されるため、最適化された熱伝達が確保される。さらに、支持体132は、マイクロチャネル131および材料供給装置100の機械的安定性にも寄与し得る。
【0042】
図5は、本発明に係る材料供給装置100を
図4から拡大した断面図である。この拡大断面では、支持体132がより見易い。支持体132は、内側、すなわち材料供給チャネル110に対向するマイクロチャネル131側に装着される。しかしながら、支持体132は、マイクロチャネル131内の他の任意の場所に配置することもできる。
【0043】
本明細書に示される実施形態は例示にすぎず、したがって限定を意図するものではない。当業者によって考慮される代替の実施形態は、本発明の保護の範囲に等しく含まれる。
【符号の説明】
【0044】
100 材料供給装置
110 材料供給チャネル
111 出力端
120 材料ノズル用接続口
130 媒体接続口
131 媒体チャネル、マイクロチャネル
132 支持体
150 接続片
200 加工ヘッド
210 合焦レンズ
215 偏向部
220 光チャネル、レーザビームリング
230 不活性ガスノズル
235 不活性ガスチャネル
【手続補正書】
【提出日】2021-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料加工装置に使用する材料供給装置(100)であって、前記材料供給装置(100)は少なくとも1つの材料供給チャネル(110)を有し、前記材料供給チャネル(110)は前記材料供給装置(100)の作動中に加工部位に対向する出力端(111)を有しており、
前記材料供給装置(100)は、少なくとも1つのマイクロチャネル(110)を有し、前記少なくとも1つのマイクロチャネル(110)は、少なくとも一箇所において、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の壁厚を有し、前記少なくとも1つのマイクロチャネルは、冷却剤供給部に接続されていることを特徴とする、材料供給装置(100)。
【請求項2】
前記材料供給装置(100)は、中央材料供給チャネル(110)を有することを特徴とする、請求項1に記載の材料供給装置(100)。
【請求項3】
前記材料供給装置(100)は、ビームガイドの軸に対して0度より大きく、かつ90度より小さい角度で、横方向に配置された材料供給チャネル(110)を有することを特徴とする、請求項1に記載の材料供給装置(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのマイクロチャネル(110)は、一体型支持体(132)を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の材料供給装置(100)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのマイクロ冷却チャネル(110)によって、温度制御媒体の順流および温度制御媒体の返流が確保されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の材料供給装置(100)。
【請求項6】
前記材料供給装置(100)は、ノズル先端部を受けて所定の位置に固定するためのねじ山を含む領域を有し、マイクロチャネル(110)は、少なくとも前記ねじ山領域を除いて、前記材料供給装置(100)を貫通することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の材料供給装置(100)。
【請求項7】
測定センサは、少なくとも1つのマイクロチャネル(110)に設けられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の材料供給装置(100)。
【請求項8】
材料影響装置は、少なくとも1つのマイクロチャネル(110)内に設けられることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の材料供給装置(100)。
【請求項9】
材料供給装置(100)の製造方法であって、
前記製造方法は、付加製造方法の方法類から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記製造方法は、レーザ粉末床溶融結合技術を用いることを特徴とする、請求項9に記載の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料供給装置に関する。特に、本発明は、材料加工方法向けの材料を供給する、例えば充填剤を供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料加工方法は、例えば、レーザ材料加工方法であってもよい。多くのレーザ材料加工方法(例えば、切断、溶接、肉盛溶接、はんだ付け)では、実際の材料または充填剤は、充填剤を提供するため、またはガスを用いて加工に影響を及ぼすために、加工部位に供給されなければならない。これらの方法には、最も重要な方法を挙げると、レーザはんだ付け(ハードおよびソフトはんだ付け)、プラスチックの溶接、金属材料の溶接、金属製、セラミック製、またはプラスチック製の層の塗布、金属製、プラスチック製、またはセラミック製の構造体の生成、レーザビーム切断、レーザビーム硬化、レーザビーム合金化、レーザビーム分散などが含まれる。しかしながら、レーザビームの使用は、材料加工方法において不可欠ではなく、材料加工方法の別の例として、アーク溶接も可能である。
【0003】
上記のような材料は、例えば生成的な製造で供給されなければならない。ここでは、および以下の段落では、「材料」および「充填剤」という用語は同義的に使用され、いずれの場合も、加工部位に供給される、または供給されなければならない材料を指す。材料は、固体、液体、または気体の形態で供給され得る。固体形態では、主にワイヤまたは粉末である。
【0004】
材料加工方法を実行する材料加工装置は周知である。上記装置は、例えば、冷却媒体と保護ガスとを接続するレーザなどの少なくとも1つのエネルギー生産装置と、これらの媒体の伝導装置と、さらには加工部位に供給される材料の供給装置とを有してもよい。上記装置は通常、加工部位に対向する側面にノズル型形状の加工ヘッドを有する。不活性ガスは通常、加工ヘッドのノズル型形状を介して加工部位に供給可能であるため、加工ヘッドの上記部分は、不活性ガスノズルとも呼ばれる。材料を側面から供給する材料加工装置も知られている。しかしながら、サイズが原因で、上記配置は、加工部位の付近ではいくぶん妨げとなる。また、この配置は非対称であるため、ワークの輪郭に沿って供給方向を変更する場合、材料供給装置と、ビーム誘導用およびビーム成形用の光学系と、場合によっては冷却装置と、場合によっては不活性ガス供給装置とを有する加工ヘッドの回転が必要になる。さもなければ、加工は方向に依存する。
【0005】
材料が中央に、すなわち加工ヘッドの長手方向軸に対して軸方向に供給されるとき、レーザビームを使用する場合、中心軸を材料供給のために自在にする、または自在のままにするように、レーザビームを分割しなければならない。材料は、加工部位、すなわちレーザビームが基板上に作用する部位に供給されなければならない。通常、各加工ヘッドはノズル形状を有し、供給材料およびレーザビームと、供給される保護ガスおよび冷却媒体は、加工ヘッドを通って伝導される。構成要素は具現化されるものとし、レーザビームは、ビーム誘導が損なわれないように、特にビームが遮蔽されないように、伝導されなければならない。独国特許第10 2007 018 400号から、材料を加工部位に対して軸方向に誘導可能である一方、レーザビームを環状形態に分割し、加工部位に対して同軸に誘導可能である、光学系および各加工ヘッドが知られている。
【0006】
このレーザ材料加工中に、材料供給装置は、光学系からの散乱放射、加工による熱放射、および反射レーザ放射によって加熱される。さらにワークのアクセスが困難な部位でレーザ材料加工を実行する場合、ノズルはそれに応じて小型化しなければならない。加工ヘッド内の利用可能空間が制限される場合、通常、直接冷却せずに、軸方向の材料供給を行うことはできる。材料供給装置の加熱は、システムの故障による加工中断につながる。この方法では、例えば塗布速度を高めるのに必要となる、加工時間の延長または使用するレーザ出力の増加は不可能である。例えば、材料供給装置の過熱は、レーザ出力が1000W未満かつ加工時間が15分より長いときに発生する。
【0007】
レーザ肉盛溶接の加工は現在、材料供給装置の損傷および/または材料供給装置の過熱ならびに材料供給における関連問題を回避するために、一定間隔で中断され、冷却時間が保たれる。代替方法として、材料出力開口部と加工平面との間の作動距離を増加してもよいが、これにより、充填剤を溶接プールに誘導する際の精度が低下し、その結果、加工が不安定になる。例えば、直径が約0.8mm未満のワイヤ形状の材料では、溶接プールに対する材料の正確な誘導かつ位置決めがもはや保証されないため、作動距離の増加は望ましくない。
【0008】
アーク溶接加工用の溶接トーチに水冷を行うことは知られている。しかしながら、水冷用の寸法としては約25mm以上の外径が必要であるため、軸方向の材料供給のために小型化された加工ヘッドにおける統合は不可能である。すなわち、加工ヘッドを大幅に拡大する必要があり、アクセス性が著しく低下するため、好ましくない。従来の製造方法では、外径が8mm以下の材料供給ノズルには水冷を統合できない。
【0009】
独国特許出願公開第10 2016 006 247号から、フィラメントを溶融するレーザヒータの配置が知られており、レーザヒータは、圧力ヘッドと、フィラメントを通過するための軸方向孔と、少なくとも1つの孔と、外ねじと、くぼみ、経路折り畳みリングミラー、ノズルおよび内ねじを有する光学的に透明なノズル本体と、等しいまたは異なる電磁波長の少なくとも1つのレーザとを有し、電力が制御される可能性があるとき、経路折り畳みリングミラーを介してフィラメント上の孔を通って誘導され、フィラメントの溶融によって引き起こされる赤外線放射が、経路折り畳みリングミラーおよび孔を介して少なくとも1つの赤外線センサ上に誘導される。
【0010】
独国特許出願公開第10 2017 215 841号から、ワークを加工する機械、および/またはレーザビームによってコヒーレント領域を形成するために特定の場所で材料粉末を選択的に凝固させて成形品を製造する機械用の粉末ノズルが知られている。粉末ノズルは、レーザビーム用の軸方向貫通開口を有する実質的に回転対称の基体と、粉末ノズルを機械のレーザ加工ヘッドに対して着脱可能に締結する締結手段とを備える。粉末ノズルは、粉末ノズルを冷却する手段を有する。
【0011】
米国特許第6 396 025号から、排出された粉末噴射を集束するためのいくつかの排出口を含むノズル先端部を有する、レーザ溶接用途向けの粉末塗布ノズルが知られている。いくつかの排出口を有するノズル先端部によって複数の排出噴射が分配されて、ノズル先端部は、粉末排出口と、粉末排出口から半径方向に離間することで粉末噴射とガス噴射とを分配する、少なくとも1つの集束ガス排出口とを備える。粉末は、粉末噴射を排出するために粉末供給源から粉末チャネルを通って流れる。集束ガスは、粉末チャネルに対して傾斜した集束ガスチャネルを通って流れ、集束ガス噴射を排出する。
【発明の概要】
【0012】
本発明の課題は、上記最新技術の欠点を最小限に抑えたレーザ材料加工方法を実行する材料供給装置を開示することである。もう1つの課題は、上記材料供給装置の製造方法を開示することである。
【0013】
1つ目の課題は、独立請求項1に係る材料供給装置を用いて達成される。材料供給装置の有利なさらなる発展形態は、請求項2から請求項8まで続く。本発明の2つ目の課題は、独立請求項9に係る製造方法によって達成される。製造方法の有利なさらなる発展形態は、請求項10から続く。
【0014】
材料加工装置に使用する、本発明に係る材料供給装置は、材料供給装置の作動中に加工部位に対向する出力端を含む材料供給チャネルを有し、材料供給装置は、少なくとも1つのマイクロチャネルを有し、前記少なくとも1つのマイクロチャネルは、少なくとも一箇所において、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の壁厚を有し、冷却剤供給部に接続される、ことを特徴とする。
【0015】
一部の用語を以下に説明する。
【0016】
本明細書において、材料加工装置に使用する材料供給装置は、基板上の加工部位に材料を供給可能な装置であると解釈される。特に、上記材料供給装置は、レーザ材料加工方法を使用する材料加工装置に採用され得る。
【0017】
材料加工方法を実行する材料加工装置は周知である。上記装置は、例えば、レーザなどの少なくとも1つのエネルギー生産装置と、冷却媒体と保護ガスとを接続する接続口と、これらの媒体およびビームの伝導装置と、さらには加工部位に供給される材料の供給装置とを有してもよい。上記装置は通常、加工部位に対向する側面に不活性ガスノズルを含む加工ヘッドを有する。材料を側面から供給する材料加工装置も知られている。上記のような横方向供給において、供給軸は、ビームガイドの軸に対して0度より大きく、かつ90度より小さい角度を有する。しかしながら、サイズが原因で、上記配置は、加工部位の付近ではいくぶん妨げとなる。また、この配置は非対称であるため、ワークの輪郭に沿って供給方向を変更する場合、材料供給装置と、ビーム誘導用およびビーム成形用の光学系と、場合によっては冷却装置と、場合によっては不活性ガス供給装置とを有する加工ヘッドの回転が必要になる。さもなければ、加工は方向に依存する。
【0018】
材料が中央に、すなわち加工ヘッドの長手方向軸に対して軸方向に供給されるとき、レーザビームを使用する場合、中心軸を材料供給のために自在にするように、レーザビームを分割しなければならない。材料は、加工部位、すなわちレーザビームが基板上に作用する部位に供給されなければならない。通常、各加工ヘッドはノズル形状、すなわち不活性ガスノズルを有し、供給材料およびレーザビームと、供給される保護ガスおよび冷却媒体は、加工ヘッド、具体的には不活性ガスノズルを通って伝導される。構成要素は具現化されるものとし、レーザビームは、ビーム伝導が損なわれないように、特にビームが遮蔽されないように伝導されなければならない。
【0019】
レーザ材料加工方法という用語は広義に解釈されるべきであり、レーザビームが採用される、切断、溶接、肉盛溶接、はんだ付けなどのあらゆる材料加工方法を含む。レーザビームは、高輝度で、多くの場合は周波数範囲が非常に小さく、ビームの集束が強固で、コヒーレンス長が長い電磁波である。材料は、固体または液体の形態、またはガスとして供給され得る。固体形態では、材料は一般的にワイヤまたは粉末である。
【0020】
本明細書では、材料供給チャネルという用語は、材料を加工部位に供給可能なチャネルを指す。材料供給チャネルは、任意の断面、例えば環状断面を有してもよい。
【0021】
本明細書の光チャネルという用語は、特にレーザビームを加工部位に伝導可能なチャネルを指す。光チャネルは、任意の断面、例えば環状断面を有してもよい。
【0022】
加工部位とは、基板上の加工が行われる部位である。加工部位は点状であっても、領域であってもよい。
【0023】
本明細書では、マイクロチャネルは、非常に小さい断面、例えば10-2mm2の断面を有する管状チャネルであると解釈される。マイクロチャネルは、一部または全体が環状、楕円形、多角形、螺旋状、または直線状であってもよい。本開示ではさらに、種々の相互接続されていないマイクロチャネルを含む複数のマイクロチャネルと、種々の相互接続されたマイクロチャネルまたは螺旋マイクロチャネルの複数の巻線とを使用する。マイクロチャネルは、二重壁チャネルとして、例えばチャネル内のチャネルの形態で、および/または螺旋チャネルとして具現化してもよい。
【0024】
一般原則として、本明細書の枠組み内では、不定数詞「1つ」、「2つ」などは、通常、「きっかり1つ」、「きっかり2つ」などを意味すると解釈されるべきではなく、不定冠詞であることが指摘される。したがって、「1つの・・・」、「2つの・・・」などの表現を使用する記述は、それぞれの文脈から「きっかり1つ」、「きっかり2つ」などのみが意図され得ることが明白である場合を除き、「少なくとも1つの・・・」、「少なくとも2つの・・・」などを意味すると解釈すべきである。独立請求項が「少なくとも1つ」と言及する場合、これは、従属請求項における「1つの・・・」、「2つの・・・」などの言及が必ずしもきっかり1つ、きっかり2つなどを示すことを意味するものではない。
【0025】
本特許出願の枠組み内では、「特に」という表現は、任意の好ましい特徴を導入することであると常に解釈すべきである。この表現は、「すなわち」の意味で解釈すべきではない。
【0026】
少なくとも1つのマイクロチャネルは、少なくとも一箇所において、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の壁厚を有する。マイクロチャネルは壁によって制限される。壁は、材料供給装置の外側に対する、または別のチャネルに対する境界を形成し得る。この別のチャネルは、追加のマイクロチャネル、材料供給チャネル、または光チャネルであってもよい。また、螺旋マイクロチャネルの追加の巻線であってもよい。
【0027】
マイクロチャネルの壁厚を薄くすることで、材料供給装置の構造サイズを極めて小さくでき、それにもかかわらず例えば温度調整が可能になる。
【0028】
上記少なくとも1つのマイクロチャネルは、さらに冷却剤供給部に接続される。上記供給部は、例えば、効率的な温度制御のために、水または伝熱油などの温度制御媒体を規定の温度かつ規定の体積流量および/または圧力で上記少なくとも1つのマイクロチャネルを通って搬送できるように、温度制御器を備えたポンプであってもよい。
【0029】
特に好ましい実施形態では、上記少なくとも1つのマイクロチャネルは、一体型支持体を有する。上記支持体によって、上記マイクロチャネルを通って流れる温度制御媒体の乱流または乱流の増加が引き起こされ得るため、最適化された熱伝達が確保される。さらに、上記支持体は、上記マイクロチャネルおよび上記材料供給装置の機械的安定性の提供にも寄与し得る。
【0030】
上記少なくとも1つの冷却用マイクロチャネルによって、温度制御媒体の順流および温度制御媒体の返流が確保される場合、特に効果的であることが証明されている。これにより、材料供給装置の温度制御の有効性が確保される。
【0031】
別の有利な実施形態において、上記材料供給装置は、ノズル先端部を受けて所定の位置に固定するためのねじ山を含む領域を有し、上記マイクロチャネルは、少なくとも上記ねじ山領域を除いて、上記材料供給装置を貫通する。マイクロチャネルが通過する材料供給装置の面積を増大することにより、材料供給装置の温度制御が最適化される。ねじ山を設けることにより、摩耗しやすいノズル先端部を容易に交換できる。
【0032】
別の有利な実施形態では、測定センサが上記少なくとも1つのマイクロチャネルに設けられる。マイクロチャネルは、温度制御媒体を通過させるだけでなく、測定センサの導入にも使用できる。上記測定センサとしては、例えば、材料供給の温度を監視する温度センサ、溶接プール温度の記録および/または加工制御用の光ファイバ、距離測定用のセンサ、例えば光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography:OCT、マイクロメートル分解能で散乱材料から二次元および三次元画像を受け取るための結像方法)用の光ファイバ、または材料供給搬送を監視する測定センサであってもよい。上記測定センサの導入により、材料供給装置のサイズを実質的に変化させることなく、材料供給装置内部の関心部位および/または加工部位に非常に密接して、プロセスパラメータを監視できる。
【0033】
これに代えて、またはこれに加えて、上記少なくとも1つのマイクロチャネル内に充填剤影響装置を設けてもよい。上記影響装置は、例えば充填剤を予熱する装置、例えば誘導予熱部であってもよい。供給される材料を予熱することによって、例えば充填剤などの材料の塗布速度を速めることができる。マイクロチャネル内に材料影響装置を導入することにより、充填剤影響装置は、例えば、材料供給チャネルに非常に密接して、特に加工部位に非常に密接して近づけることができ、その結果、充填剤は、目標とした方法で高精度に影響を受けることができる。
【0034】
上記材料供給装置の製造方法は、付加製造の方法類から選択されると有利であることが証明されている。「付加製造」とは、デジタル3D構造データに基づいて、部品が材料の堆積によって層ごとに構築される加工を指す。今日では、「3D印刷」という用語が付加製造の同義語として使用されることも多い。しかしながら、「付加製造」は、この方法が従来の研磨製造方法と明らかに異なることを好適に表現している。例えば、ワークを固体ブロックから摩砕する代わりに、付加製造では、例えば微粉末またはワイヤの形態で入手可能な材料から部品を層ごとに構築する。材料は、さまざまな種類の金属、プラスチック、および複合材料であってもよい。材料供給装置に構造を層ごとに構築させることで、従来の製造方法では全く製造することができない、または多大な労力を費やしてのみ製造することができる、特にマイクロチャネルにおける形状の製造が可能になる。
【0035】
上記製造方法に特に有利な技術は、レーザ粉末床溶融結合(Laser Powder Bed Fusion:LPBF)技術であることが証明されている。この技術では、加工対象材料は、ベースプレート上に粉末として薄層で塗布される。レーザ照射により、粉末材料は局所的に完全に溶融し、固化後に剛体材料層を形成する。続いて、ベースプレートを一層の層厚分下げて、粉末を再度塗布する。このサイクルは、すべての層が再度溶融するまで繰り返される。完成した部品は、余分な粉末が取り除かれて、要望に応じて加工されるか、または直接使用される。部品を構築するための典型的な層厚は、あらゆる材料に対して15~500μmの範囲である。レーザビームを誘導するためのデータは、ソフトウェアによって3D CAD本体から生成される。第1の算出工程では、部品は個別の層に分離される。第2の算出工程では、レーザビームがたどる経路を層ごとに作成する。酸素によって材料が汚染されるのを回避するために、加工は通常、アルゴンまたは窒素を含む不活性ガス雰囲気下で行われる。LPBFで製造された部品は、99%を超える高い比重を特徴とする。このやり方では、生成的に製造された部品の機械的特性の大部分が、基本材料の機械的特性に対応することが保証される。
【0036】
示されたあらゆる数値は厳密値として解釈されるべきではなく、実際の値は、本発明の記載された態様を逸脱することなく、工学的規模で上下し得ることが明確に指摘される。
【0037】
本発明の他の利点、特殊性、有用なさらなる発展形態は、図面によって、従属請求項および下記に提示する実施形態の好ましい実施例から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】本発明に係る材料供給装置の三次元図である。
【
図3】本発明に係る材料供給装置の一実施形態の縦断面図である。
【
図4】本発明に係る材料供給装置の別の実施形態の縦断面図である。
【
図5】本発明に係る材料供給装置を
図4から拡大した断面図である。
【0039】
図1は、材料加工装置の加工ヘッド200を示す図である。加工ヘッド200は、材料チャネル110を備えた、本発明に係る材料供給装置100を有する。本発明に係る材料供給装置は、材料加工装置に使用されるものであり、材料供給装置100の作動中に加工部位に対向する出力端111を備えた材料供給チャネル100を有する。材料供給装置100を使用することで、基板上の加工部位に材料を供給することが可能になる。材料加工装置は、材料加工方法、例えばレーザ溶接方法を実行するために使用される。加工ヘッド200は、レーザビームの誘導装置を有する。この誘導装置は、例えばミラーおよび/またはプリズムなどのレーザビーム用の偏向部215と、合焦レンズ210と、さらに不活性ガスチャネル235を有する不活性ガスノズル230とを有する。不活性ガスチャネル235を通じて、不活性ガスが加工部位に供給される。不活性ガスは、加工部位を酸素との接触に対して一時的に遮蔽することで、加工時に高温になる基板または供給された材料のスケーリングをそれぞれ防止する。図示の実施形態では、材料が中央に、すなわち加工ヘッド200の長手方向軸に対して軸方向に供給され、加工部位に供給される。この目的のために、レーザビームを採用する場合、中心軸を材料供給のために自在にする、または自在のままにするように、レーザビームを分割しなければならない。これを達成するために、加工ヘッド内のあらゆる構成要素、特に材料供給装置100は具現化されるものとし、レーザビームは、ビーム誘導が損なわれないように、特にビームが遮蔽されないように、光チャネル220(本実施形態ではレーザビームリング220で示される)内で伝導されなければならない。材料供給チャネル110は、加工部位と向かい合う端部に、交換可能な材料ノズル(図示せず)を有する。この材料ノズルは、例えば、材料供給チャネル110に螺合できる。作動中、材料供給チャネル110の端部が加工ヘッド200の作動中に受ける熱負荷に起因して、特に加工部位と向かい合う材料供給チャネル110の端部に摩耗が生じる。交換可能な材料ノズルは、摩耗が臨界極限を超えたときに容易に交換できる。材料は、固体、液体、または気体の形態で供給され得る。固体形態では、一般的にワイヤまたは粉末である。例えば、供給された材料がワイヤの形態を有する場合、摩耗によって、出力端111において材料供給チャネル110の直径が拡大し、ワイヤ誘導の精度が損なわれる可能性がある。
【0040】
図2は、本発明に係る材料供給装置100の三次元図である。材料供給装置100は、材料を加工部位に供給する連続する材料供給チャネル110を有する。さらに、材料供給装置100は、媒体接続口130を有する。これらの媒体接続口130を介して、例えば水などの冷却媒体を、材料供給装置100の内外に伝導できる。媒体接続口130は、加工ヘッド200の作動中に、加工部位と向かい合う材料供給装置100の端部に配置される。材料供給装置100は、加工ヘッド200の作動中に、加工部位に対向する材料供給装置100の端部に螺合するように配置された材料ノズル(図示せず)用接続口120も有する。さらに、製造上の理由から二部構成を有する材料供給装置100が取り付けられる接続片150を、図で確認することができる。材料供給装置100は、付加製造方法によって製造される。付加製造工場で製造されるパーツのサイズが制限される場合、材料供給装置100は、2つ以上のパーツで製造され、かつ1つ以上の接続片150で作動するように組み立てられてもよい。しかしながら、材料供給装置100は、付加製造工場が利用可能であれば、一体に製造してもよい。
【0041】
図3は、本発明に係る材料供給装置100の一実施形態の縦断面図である。
図2と同様に、媒体接続口130および材料ノズル用接続口120を確認でき、明確に提示するため、この図ではねじ山の提示が欠けている。材料供給装置100は、連続する材料供給チャネル110を有する。さらに、材料供給装置100は、媒体接続口130に作動可能に接続されたいくつかの媒体チャネル131を有する。例えば、水などの冷却媒体は、媒体口130を介して媒体チャネル131に伝導されてもよい。媒体チャネル131はマイクロチャネル131、すなわち、非常に小さい、例えば10
-2mm
2の断面を有する筒状のチャネルとして具現化される。マイクロチャネル131は、一部または全体が環状、楕円形、多角形、螺旋状であってもよく、または直線状ですらあってもよい。いくつかのマイクロチャネル131は、種々の相互接続されていないマイクロチャネル131と、種々の相互接続されたマイクロチャネル131または螺旋マイクロチャネル131の複数の巻線との両方を含んでもよい。マイクロチャネル131はさらに、二重壁チャネルとして、例えばチャネル内のチャネルとして、および/または螺旋チャネルとして具現化してもよい。マイクロチャネル131は壁によって制限される。壁は、材料供給装置100の外側に対する、または別のチャネルに対する境界を形成し得る。この別のチャネルは、追加のマイクロチャネル131、材料供給チャネル110、または光チャネル220であってもよい。追加のマイクロチャネル131はまた、螺旋マイクロチャネル131の追加の巻線であってもよい。各マイクロチャネル131は、少なくとも一箇所において、0.5mm未満、好ましくは0.3mm未満、特に好ましくは0.2mm未満の壁厚を有してもよい。マイクロチャネル131の壁厚を薄くすることで、材料供給装置100の構造サイズを極めて小さくでき、それにもかかわらず例えば温度調整が可能になる。マイクロチャネル131は、少なくとも材料ノズル(図示せず)を所定の位置に螺合するためのねじ山領域を除いて、材料供給装置100を貫通する。マイクロチャネル131が通過する材料供給装置100の面積を大きくすることにより、材料供給装置100の温度制御が最適化される。材料供給チャネル110に近接して材料供給装置100の1つまたは複数のマイクロチャネル131に測定センサを導入することも可能である。上記測定センサとしては、例えば、材料供給の温度を監視する温度センサ、溶接プール温度の記録および/または加工制御用の光ファイバ、距離測定用のセンサ、例えば光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography:OCT、マイクロメートル分解能で散乱材料から二次元および三次元画像を受け取るための結像方法)用の光ファイバ、または材料供給搬送を監視する測定センサであってもよい。上記測定センサの導入により、材料供給装置100のサイズを実質的に変化させることなく、材料供給装置100内部の関心部位および/または加工部位に非常に密接して、プロセスパラメータを監視できる。
【0042】
これに代えて、またはこれに加えて、少なくとも1つのマイクロチャネル131内に充填剤影響装置を設けてもよい。上記影響装置は、例えば、充填剤を予熱する装置、例えば誘導予熱部であってもよい。供給される材料を予熱することによって、例えば充填剤などの材料の塗布速度を速めることができる。マイクロチャネル131内に材料影響装置を導入することにより、充填剤影響装置は、例えば、材料供給チャネル110に非常に密接して、特に加工部位に非常に密接して近づけることができ、その結果、充填剤は、目標とした方法で高精度に影響を受けることができる。
【0043】
材料供給装置100は、付加製造方法によって製造される。材料供給装置100を層状に構成することにより、従来の製造方法では全く製造することができない、または多大な労力を費やしてのみ製造することができる、上記マイクロチャネル100などの形状を製造できる。
【0044】
図4は、本発明に係る材料供給装置100の別の実施形態の縦断面図である。マイクロチャネル131は、一体型支持体132または複数の上記支持体132を有する。支持体132によって、マイクロチャネル131を通って流れる温度制御媒体の乱流または乱流の増加が確保されるため、最適化された熱伝達が確保される。さらに、支持体132は、マイクロチャネル131および材料供給装置100の機械的安定性にも寄与し得る。
【0045】
図5は、本発明に係る材料供給装置100を
図4から拡大した断面図である。この拡大断面では、支持体132がより見易い。支持体132は、内側、すなわち材料供給チャネル110に対向するマイクロチャネル131側に装着される。しかしながら、支持体132は、マイクロチャネル131内の他の任意の場所に配置することもできる。
【0046】
本明細書に示される実施形態は例示にすぎず、したがって限定を意図するものではない。当業者によって考慮される代替の実施形態は、本発明の保護の範囲に等しく含まれる。
【符号の説明】
【0047】
100 材料供給装置
110 材料供給チャネル
111 出力端
120 材料ノズル用接続口
130 媒体接続口
131 媒体チャネル、マイクロチャネル
132 支持体
150 接続片
200 加工ヘッド
210 合焦レンズ
215 偏向部
220 光チャネル、レーザビームリング
230 不活性ガスノズル
235 不活性ガスチャネル
【国際調査報告】