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特表2022-548675磁気浮上装置およびその直線運動機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】磁気浮上装置およびその直線運動機構
(51)【国際特許分類】
   H02N 15/00 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
H02N15/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517314
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2020115204
(87)【国際公開番号】W WO2021057535
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910908782.1
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521209649
【氏名又は名称】ヂャオチン ホン イー インダストリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リ、リャンチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオビン
(57)【要約】
磁気浮上装置およびその直線運動機構である。磁気浮上装置は、ベースと浮上体とを有する。ベースは、第1の磁気アセンブリを含み、浮上体は、第2の磁気アセンブリを含み、第1の磁気アセンブリおよび第2の磁気アセンブリは、浮上体がベースに対して安定して浮上するために必要な磁気平衡力を提供することができるように設けられている。ベースに設けられた当該直線運動機構は、ベースに対して変位不能に取り付けられたねじスタッドであって、その長さ方向に沿った少なくとも一部にねじを有するねじスタッドと、ベースの第1の磁気アセンブリを支持するための変位ブラケットであって、ねじスタッドのねじに適合して設けられたねじ部がねじスタッドに対して相対的に回転する際にねじスタッドの長さ方向に対応して変位する変位ブラケットとを含む。本発明の磁気浮上装置によれば、ベースとして構造が簡単で空間配置が合理的な直線運動機構が用いられているため、ベース全体がよりコンパクトでかつ性能が信頼できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上装置のための直線運動機構であって、
磁気浮上装置は、ベースと浮上体とを有し、ベースは、第1の磁気アセンブリを含み、浮上体は、第2の磁気アセンブリを含み、第1の磁気アセンブリおよび第2の磁気アセンブリは、浮上体がベースに対して安定して浮上するために必要な磁気平衡力を提供することができるように設けられ、
ベースに設けられた当該直線運動機構は、
ベースに対して変位不能に取り付けられたねじスタッドであって、その長さ方向に沿った少なくとも一部にねじを有するねじスタッドと、
ベースの第1の磁気アセンブリを支持するための変位ブラケットであって、ねじスタッドのねじに適合して設けられたねじ部がねじスタッドに対して相対的に回転する際にねじスタッドの長さ方向に対応して変位する変位ブラケットとを含む、
直線運動機構。
【請求項2】
第1の磁気アセンブリは、変位ブラケットに固定された環状磁石を含み、ねじスタッドは、環状磁石の中空部分を貫通する請求項1に記載の直線運動機構。
【請求項3】
ベースに対して固定的に取り付けられて、ねじスタッドと互いに平行に設けられた少なくとも1つのガイドロッドをさらに含む請求項2に記載の直線運動機構。
【請求項4】
変位ブラケットのねじ部に対するねじスタッドの相対回転に必要な駆動力を提供するための駆動部をさらに含む請求項1に記載の直線運動機構。
【請求項5】
ねじスタッドは、その縦方向回転軸線を中心に回転可能にベースに取り付けられ、変位ブラケットのねじ部は、変位ブラケットと一体に形成されているか、変位ブラケットに回転不能に固定された別個のねじ部材によって提供され、駆動部は、ベースに対して固定的に取り付けられ、ベースに対するねじスタッドの回転を駆動する請求項4に記載の直線運動機構。
【請求項6】
ねじスタッドは、第1の磁気アセンブリの環状磁石の中空部分の中央を貫通する単一のねじスタッドである請求項5に記載の直線運動機構。
【請求項7】
ねじスタッドは、第1の磁気アセンブリの環状磁石の中空部分を貫通する少なくとも2つの互いに平行なねじスタッドである請求項5に記載の直線運動機構。
【請求項8】
変位ブラケットのねじ部は、別個のねじ部材によって提供され、ねじ部材は、変位ブラケットに回転可能且つ変位不能に取り付けられ、ねじスタッドは、ベースに対して回転不能に取り付けられ、駆動部は、変位ブラケットに固定的に取り付けられてねじスタッドに対するねじ部材の回転を駆動する請求項4に記載の直線運動機構。
【請求項9】
ベースに対して固定的に取り付けられて、ねじスタッドと互いに平行に設けられた少なくとも1つのガイドロッドをさらに含む請求項8に記載の直線運動機構。
【請求項10】
ねじスタッドは、第1の磁気アセンブリの環状磁石の中空部分を貫通する少なくとも2つの互いに平行なねじスタッドであり、変位ブラケットにも、少なくとも2つの対応するねじ部が設けられている請求項8に記載の直線運動機構。
【請求項11】
変位ブラケットのねじ部は、変位ブラケットと一体に形成されているか、変位ブラケットに回転不能に固定された別個のねじ部材によって提供され、ねじスタッドは、ベースに対して回転不能に取り付けられた単一のねじスタッドであり、駆動部は、変位ブラケットに固定的に取り付けられて、ねじスタッドに対する変位ブラケットのねじ部の回転を駆動する請求項4に記載の直線運動機構。
【請求項12】
ガイドロッドも環状磁石の中空部分を貫通している請求項3または9に記載の直線運動機構。
【請求項13】
磁気浮上装置のためのベースであって、
前記請求項1から12の何れか一項に記載の直線運動機構と、直線運動機構の変位ブラケットに位置する磁気アセンブリとを含む、
ベース。
【請求項14】
直線運動機構を制御可能に駆動するための駆動部をさらに含む請求項13に記載のベース。
【請求項15】
請求項13に記載のベースと、磁気アセンブリを有する浮上体とを含む磁気浮上装置であって、
ベースの外面に、浮上体を初期に位置決めするための位置決め機構が設けられている、
磁気浮上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に磁気浮上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば磁気浮上スタンド、サウンドボックスまたは地球儀などの従来の磁気浮上装置は、一般に、磁気浮上ベースおよび浮上体を含む。ベースと浮上体の両方に磁性体が含まれており、ベース内の磁性体が磁気作用(例えば磁気斥力)によってその上方の所定距離に浮上体を浮上させることができ、浮遊という幻想的な視覚効果を発生させることで親しまれている。
【0003】
しかしながら、従来の磁気浮上装置の浮上の実現においては、浮上体の安定した浮遊を達成するために、浮上体をベースに対して手動で適切な浮上位置に配置する必要がある。初期の(経験の浅い)使用者にとって、適切な浮上位置を手動で探すプロセスは、困難で時間がかかり、そのため忍耐力や興味を失う可能性がある。
【0004】
出願人による特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等に開示された磁気浮上装置は、ベースと浮上体を含み、ベースには磁気浮上機構および昇降機を含み、環状磁石を有する磁気浮上機構が昇降機に設けられてそれに伴って昇降して、ベースに対する浮上体の自動浮上または落下を可能にする。
【0005】
特許文献5および特許文献6にも類似な磁気浮上装置に用いられる昇降機構が開示されているが、磁気浮上機構と昇降機構とを簡単に上下に積み重ねることにより、ベース全体の高さが著しく高くなり、装置全体の小型化には不利である。
【0006】
特許文献7または特許文献8には、類似な磁気浮上装置に用いられる別の昇降機構がさらに開示されているが、昇降柱およびパレットラックを有する昇降機構がベースの上面から直接突出して浮上体を上昇させる。このような構造は、ベースの一体性を悪化させ、浮上体の自動浮上によって現れる奇妙な視認性を損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2016/202187号
【特許文献2】中国特許出願公開第104901587号明細書
【特許文献3】中国実用新案第204687868号明細書
【特許文献4】中国実用新案第205666775号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第102315805号明細書
【特許文献6】中国実用新案第207202600号明細書
【特許文献7】中国特許出願公開第102570927号明細書
【特許文献8】中国実用新案第202503460号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、浮上体の自動浮上が可能であるだけでなく、装置全体の構造が簡単でコンパクトな磁気浮上装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において、「環状磁石」という用語は、単一の環状磁石と、環状に配列された複数の磁石の組み合わせとを含み、「ねじスタッド」(または直スクリューとも呼ばれる)は、雌ねじを有するスタッドを指してもよいし、雄ねじを有するスタッドを指してもよい。「ベースに対して変位不能に取り付けられたねじスタッド」とは、ねじスタッドがベースに対して移動不能であるが、ねじスタッドのその縦方向回転軸線を中心とした回転を排除しないことを意味し、「変位」とは、垂直昇降運動を含むが、これに限定されない。なお、「磁性体」という用語は、「磁石」と同義であり、いずれもN極とS極が形成された磁性部材を意味し、「磁気アセンブリ」を単独または組み合わせて形成することができる。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、磁気浮上装置のための直線運動機構または昇降機構を提供する。磁気浮上装置は、ベースと浮上体とを有し、ベースは、第1の磁気アセンブリを含み、浮上体は、第2の磁気アセンブリを含み、第1の磁気アセンブリおよび第2の磁気アセンブリは、浮上体がベースに対して安定して浮上するために必要な磁気平衡力を提供することができるように設けられている。ベースに設けられた当該直線運動機構は、ベースに対して変位不能に取り付けられたねじスタッドであって、その長さ方向に沿った少なくとも一部にねじを有するねじスタッドと、ベースの第1の磁気アセンブリを支持するための変位ブラケットまたは昇降ブラケットであって、ねじスタッドのねじに適合して設けられたねじ部がねじスタッドに対して相対的に回転する際にねじスタッドの長さ方向に対応して変位する変位ブラケットとを含む。
【0011】
本発明において、変位ブラケットは、第1の磁気アセンブリと一体的に形成されているか、一体的に連結されている。
【0012】
本発明の具体的な実施例によれば、第1の磁気アセンブリは、変位ブラケットに固定された環状磁石を含み、ねじスタッドは、環状磁石の中空部分を貫通する。この場合、本発明の直線運動機構は、ベースに対して固定的に取り付けられて、ねじスタッドと互いに平行に離間して設けられた少なくとも1つのガイドロッドをさらに含んでもよい。ガイドロッドも環状磁石の中空部分を貫通することが好ましい。
【0013】
本発明の直線運動機構によれば、さらに、変位ブラケットのねじ部に対するねじスタッドの相対回転に必要な駆動力を提供するための駆動部を含むことが好ましい。
【0014】
本発明の直線運動機構によれば、ねじスタッドは、ベースに回転可能に取り付けられ、変位ブラケットのねじ部は、変位ブラケットと一体に形成されているか、変位ブラケットに回転不能に固定された別個のねじ部材(例えばナット)によって提供され、駆動部は、ベースに対して固定的に取り付けられ、ベースに対するねじスタッドの回転を駆動する。
【0015】
上記駆動方式において、ベースに対して固定的に取り付けられたウォームホイールを含み、ねじスタッドは、単一のねじスタッドであり、下端がウォームホイールに接続され、駆動部は、出力回転軸を有するモータであり、モータの回転軸は、ねじスタッドに垂直に取り付けられ(ベースの高さをさらに下げたり、ベースをよりコンパクトにしたりする)、ウォームホイールと協働するウォームが固定的に取り付けられている。これにより、モータの回転軸によってウォームが回転し、ウォームによってウォームホイールが回転し、ウォームホイールによってねじスタッドが回転する。単一のねじスタッドを使用するこの場合、ねじスタッドは、環状磁石の中空部分の中央を貫通することが好ましい。
【0016】
上記駆動方式において、ベースに対して固定的に取り付けられたウォームホイールと伝達ギア列とをさらに含み、伝達ギア列は、上流ギアと少なくとも2つの下流ギアを含み、ねじスタッドは、互いに平行に離間して設けられた少なくとも2つのねじスタッドを含み、駆動部は、出力回転軸を有するモータであり、モータの回転軸は、ねじスタッドに対して垂直に取り付けられ、ウォームホイールと協働するウォームが固定的に取り付けられ、各ねじスタッドは、対応する下流ギアに連結され、ウォームホイールは、上流ギアと協働または係合する。これにより、モータの回転軸によってウォームが回転し、ウォームによってウォームホイールが回転し、ウォームホイールによって伝達ギア列の上流ギアが回転し、最後に下流ギアによって対応するねじスタッドが回転する。この場合、2つのねじスタッドは、環状磁石の中空部分を、環状磁石の中心に対して軸対称に貫通する。
【0017】
伝達ギア列は、上流ギアを介して下流ギアへ伝達できる限り、中間ギアを含んでも含まなくてもよい。
【0018】
本発明の他の実施例によれば、駆動部は、出力回転軸を有するモータであり、モータの回転軸は、ねじスタッドと平行に取り付けられ、しかも、伝達ギアが固定的に取り付けられ、ねじスタッドには、同心ギアが固定的に取り付けられ、伝達ギアは、同心ギアと協働する。これにより、モータの回転軸によって伝動ギアが回転し、伝達ギアによって同心ギアが回転し、最後に同心ギアによって対応するねじスタッドが回転する。
【0019】
本発明の他の実施例によれば、変位ブラケットのねじ部は、ねじ部材(例えばナット)によって提供され、ねじ部材は、変位ブラケットに(滑り軸受または転がり軸受を介して)回転可能且つ変位不能に取り付けられ、ねじスタッドは、ベースに対して回転不能に取り付けられ、駆動部は、変位ブラケットに固定的に取り付けられてねじスタッドに対するねじ部材の回転を駆動する。この場合、変位ブラケットの回転を避け、いわゆる絡まりの問題を避けることができる。
【0020】
本発明の他の実施例によれば、変位ブラケットのねじ部は、変位ブラケットと一体に形成されているか、変位ブラケットに回転不能に固定された別個のねじ部材によって提供され、ねじスタッドは、ベースに対して回転不能に取り付けられた単一のねじスタッドであり、駆動部は、変位ブラケットに固定的に取り付けられて、ねじスタッドに対する変位ブラケットのねじ部の回転を駆動する。この場合、変位ブラケットの相対回転により、浮上体は、ベースから離れた瞬間に自動的に回転状態となり、浮上体を手動で動かすことなく、観賞等に便利な回転状態とすることができる。
【0021】
本発明の直線運動機構によれば、変位ブラケットに対してそれぞれ固定的に取り付けられた上限位置スイッチと下限位置スイッチとをさらに含んでもよい。
【0022】
本発明の別の態様によれば、前記直線運動機構と、直線運動機構の変位ブラケットに位置する磁気アセンブリとを含む磁気浮上装置のためのベースが提供される。さらに、ベースは、直線運動機構を制御可能に駆動するための駆動部をさらに含んでもよい。さらに、ベースは、浮上体がベースに対して平衡浮上位置に位置するようにリアルタイムで制御するために、コントローラおよび他の関連する電磁素子などを含んでもよい。また、ベースは、上限位置スイッチと下限位置スイッチとをさらに含んでもよい。前記コントローラは、上限位置スイッチと下限位置スイッチとにより、直線運動機構の上限位置と下限位置とをそれぞれ制御するようにしてもよい。
【0023】
本発明に係るコントローラは、ベースに対して固定的に取り付けられるか、変位ブラケットに固定的に取り付けられる。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、前記ベースと、磁気アセンブリを有する浮上体とを含む磁気浮上装置が提供され、ベースの外面(例えば、上面)には、浮上体を初期に位置決めするための位置決め機構が設けられている。
【0025】
当業者には理解されるように、本発明の異なる実施例の間では、明らかに当てはまらない場合を除き、互いの特徴または特徴の組み合わせを導入することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の磁気浮上装置によれば、ベースとして構造が簡単で空間配置が合理的な直線運動機構が用いられるため、ベース全体がよりコンパクトでかつ性能が信頼できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る浮上体とベースとを含む磁気浮上装置の全体概略図である。
図2図1に示すベースの部分断面図である。
図3図2に示したベースの実施例の異なる変形を示す。
図4図2に示したベースの実施例の異なる変形を示す。
図5図2に示したベースの実施例の異なる変形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例および図面を参照して本発明をさらに説明するが、当業者には理解されるように、実施例および図面は、単に本発明をより分かりやすくするためのものであり、いかなる限定に用いられるものではない。
【0029】
図1を参照すると、本発明による磁気浮上装置は、大体的に浮上体6とベース1とを含む。浮上体6は、最初にベース1の上面、例えば、その位置決め溝内に位置し、その上に浮上されるか浮遊される。浮上体6は、柱状の永久磁石61と、固定板63を介してその両側に対称的に設けられたバイアス磁石62とを含む磁石アセンブリ60を有する。バイアス磁石62は、浮上体6の磁石アセンブリ60を、安定した浮上時にベース1の磁石アセンブリに対して回転が制限されるか自由に回転できないように構成するためのものであり、浮上体6の自由な回転を制限する必要がある特定の場合に適用することができる。代替的な実施例として、バイアス磁石62は、後述するベース1の磁石アセンブリ40、例えばその環状磁石の上面に対称的に設けられてもよい。
【0030】
図2は、図1に示すベース1の部分断面図である。図示するように、ベース1は、底板10と、底板10に固定された垂直ねじスタッド20と、ねじスタッド20に螺合接続されたパレットまたは変位ブラケット30と、変位ブラケット30に固定された磁石アセンブリ40とを含み、磁石アセンブリ40は、環状磁石または環状に配列された磁石を含む。変位ブラケット30には、電磁コイル41やホールセンサ等の電磁(制御)素子が固定されており、リング磁石の中空部分に互いに隙間を空けて設けられている。
【0031】
図2に示すねじスタッド20は、その長さ方向または縦方向にねじを有する単一のものであり、下端がベース1の底板10(静止部材)に取り付けられ、上端が環状磁石の中空(隙間)部分の中央を貫通し、中間部分が変位ブラケット30のねじ部またはねじセクション31を螺合するように貫通する。図2に示す変位ブラケット30のねじセクション31は、変位ブラケット30に回転不能に固定された別個の中空ねじ部材またはナットによって提供されているが、変位ブラケット30と一体的に形成されていてもよい。ねじスタット20の下端部には、固定座16が取り付けられ、両者は、締結具17によって底板10に対して回転可能に固定されている。水平出力軸13を有するモータ12は、底板10に固定的に取り付けられ、モータ12の出力軸13にはウォーム14が取り付けられ、ウォーム14は、ウォームホイール15と協働し、ウォームホイール15は、固定座16に固定的に取り付けられる。このように、モータ12の回転軸13によってウォーム14が回転し、ウォーム14によってウォームホイール15が回転し、ウォームホイール15によってねじスタッド20が回転し、最後に、ねじスタッド20と変位ブラケット30のねじセクション31との螺合協働作用により、変位ブラケット30のねじスタッド20に沿った上下の移動が達成される。
【0032】
図2には、さらに、変位ブラケット30をねじスタッド20に沿って上下移動するように案内するのを補助するために、ねじスタッド20の周りに平行に延びかつ均一に分布された4つのガイドロッド11を示している。各ガイドロッド11の下端は、同様にベース1の底板10にそれぞれ取り付けられ、上端は、それぞれ環状磁石の中空隙間部分を貫通し、中間部分は、それぞれ変位ブラケット30を貫通して摺動する。ガイドロッド11は、案内および変位ブラケット30の「連続回転」防止の二重機能を兼ね備えている。
【0033】
図3に示す実施例は、図2に示す実施例の変形であって、ねじスタッド20が底板10に静止して取り付けられ、変位ブラケット30に軸受(図示せず)を介して取り付けられたナット形態のねじセクション31の外周は、ブルギア19に固定されており、ブルギア19は、ウォームホイール15に上下に固定されたピニオンギア18に噛み合っている。モータ12、ウォーム14、ウォームホイール15等の係合関係は、変わらないが、いずれも変位ブラケット30に取り付けられている。この実施例では、ねじスタッド20は、回転せず、ブルギア19またはねじセクション31のねじスタッド20に対する上下回転により変位ブラケット30および磁石アセンブリ40等の上昇または下降が実現される。
【0034】
図3に示す実施例の1つの改良として、ガイドロッド11を解除し、同時に、軸受を解除して、ねじセクション31を変位ブラケット30に回転不能に固定する。このように、ねじスタッド20が回転しないため、ブルギア19やねじセクション31のねじスタッド20に対する回転によって変位ブラケット30および磁石アセンブリ40等が回転して上昇または下降する。これにより、浮上体6は、ベース1から離脱した瞬間に自動的に回転状態となる(浮上体6を手動で動かすことなく、観賞等に便利な回転状態とすることができる)。この場合、また、変位ブラケット30とねじスタッド20との間にブラシ機構を介在させることで、「絡まり」の問題(変位ブラケット30上のモータ12や電磁素子等に給電する電線と外部固定電源との相対回転によるもの)を避けることができる。
【0035】
図4に示す実施例は、図2に示す実施例の別の変形であり、図2に示された中央に配置された単一のねじスタッド20が、図4に示された対称的に分布された2つのねじスタッド201に置き換えられ、図2に示す対応するガイドロッド11が置き換えられている。また、本実施例では、ウォームホイール15とピニオンギア191とが上下に固定して取り付けられ、ピニオンギア191と中間ギア190とが噛み合っている。減速ギア193は、中間ギア190と上下に固定して取り付けられ、両側のブルギア192にそれぞれ噛合している。本実施例では、環状磁石の中空部分を貫通して中央に設けられたねじスタッドが存在しないため、環状磁石の中央位置に一体的に配置された従来のホールセンサ等と干渉することがない。また、2本のねじスタッド201を用いることで、変位ブラケット30の昇降をよりスムーズにすることもできる。
【0036】
図5に示す実施例は、図4に示す実施例の変形であり、図3に示す実施例のように駆動機構を底板10から変位ブラケット30に移動させる点で異なり、同様に昇降がスムーズになるという利点がある。
【0037】
もちろん、図示されていないが、直線運動機構の上限位置および下限位置を制御するために、コントローラおよび上下限スイッチをベース1に含めることもできる。
【0038】
当業者には理解されるように、上記の「上」、「下」などを含む各方向の用語は、図面に示す実施例を参照して本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。実際、このような磁気浮上装置の構造については、例えば、出願人の中国特許第1819436号明細書を参照すると、浮上体は、ベースの上方に垂直に安定して浮上するだけでなく、比較的傾斜した状態で、例えば浮上体の柱状磁石とベースの環状磁石の重心線と水平面となす角度が0~90度の範囲内にある場合でも、安定した浮上が達成される。これは、浮上体の重力の影響が、磁気浮上装置によって形成されるリアルタイムの平衡磁場によって完全に相殺されるためである。
【0039】
(付記)
(付記1)
磁気浮上装置のための直線運動機構であって、
磁気浮上装置は、ベースと浮上体とを有し、ベースは、第1の磁気アセンブリを含み、浮上体は、第2の磁気アセンブリを含み、第1の磁気アセンブリおよび第2の磁気アセンブリは、浮上体がベースに対して安定して浮上するために必要な磁気平衡力を提供することができるように設けられ、
ベースに設けられた当該直線運動機構は、
ベースに対して変位不能に取り付けられたねじスタッドであって、その長さ方向に沿った少なくとも一部にねじを有するねじスタッドと、
ベースの第1の磁気アセンブリを支持するための変位ブラケットであって、ねじスタッドのねじに適合して設けられたねじ部がねじスタッドに対して相対的に回転する際にねじスタッドの長さ方向に対応して変位する変位ブラケットとを含む、
直線運動機構。
【0040】
(付記2)
第1の磁気アセンブリは、変位ブラケットに固定された環状磁石を含み、ねじスタッドは、環状磁石の中空部分を貫通する付記1に記載の直線運動機構。
【0041】
(付記3)
ベースに対して固定的に取り付けられて、ねじスタッドと互いに平行に設けられた少なくとも1つのガイドロッドをさらに含む付記2に記載の直線運動機構。
【0042】
(付記4)
変位ブラケットのねじ部に対するねじスタッドの相対回転に必要な駆動力を提供するための駆動部をさらに含む付記1に記載の直線運動機構。
【0043】
(付記5)
ねじスタッドは、その縦方向回転軸線を中心に回転可能にベースに取り付けられ、変位ブラケットのねじ部は、変位ブラケットと一体に形成されているか、変位ブラケットに回転不能に固定された別個のねじ部材によって提供され、駆動部は、ベースに対して固定的に取り付けられ、ベースに対するねじスタッドの回転を駆動する付記4に記載の直線運動機構。
【0044】
(付記6)
ねじスタッドは、第1の磁気アセンブリの環状磁石の中空部分の中央を貫通する単一のねじスタッドである付記5に記載の直線運動機構。
【0045】
(付記7)
ねじスタッドは、第1の磁気アセンブリの環状磁石の中空部分を貫通する少なくとも2つの互いに平行なねじスタッドである付記5に記載の直線運動機構。
【0046】
(付記8)
変位ブラケットのねじ部は、別個のねじ部材によって提供され、ねじ部材は、変位ブラケットに回転可能且つ変位不能に取り付けられ、ねじスタッドは、ベースに対して回転不能に取り付けられ、駆動部は、変位ブラケットに固定的に取り付けられてねじスタッドに対するねじ部材の回転を駆動する付記4に記載の直線運動機構。
【0047】
(付記9)
ベースに対して固定的に取り付けられて、ねじスタッドと互いに平行に設けられた少なくとも1つのガイドロッドをさらに含む付記8に記載の直線運動機構。
【0048】
(付記10)
ねじスタッドは、第1の磁気アセンブリの環状磁石の中空部分を貫通する少なくとも2つの互いに平行なねじスタッドであり、変位ブラケットにも、少なくとも2つの対応するねじ部が設けられている付記8に記載の直線運動機構。
【0049】
(付記11)
変位ブラケットのねじ部は、変位ブラケットと一体に形成されているか、変位ブラケットに回転不能に固定された別個のねじ部材によって提供され、ねじスタッドは、ベースに対して回転不能に取り付けられた単一のねじスタッドであり、駆動部は、変位ブラケットに固定的に取り付けられて、ねじスタッドに対する変位ブラケットのねじ部の回転を駆動する付記4に記載の直線運動機構。
【0050】
(付記12)
ガイドロッドも環状磁石の中空部分を貫通している付記3または9に記載の直線運動機構。
【0051】
(付記13)
磁気浮上装置のためのベースであって、
前記付記1から12の何れか一つに記載の直線運動機構と、直線運動機構の変位ブラケットに位置する磁気アセンブリとを含む、
ベース。
【0052】
(付記14)
直線運動機構を制御可能に駆動するための駆動部をさらに含む付記13に記載のベース。
【0053】
(付記15)
付記13に記載のベースと、磁気アセンブリを有する浮上体とを含む磁気浮上装置であって、
ベースの外面に、浮上体を初期に位置決めするための位置決め機構が設けられている、
磁気浮上装置。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】