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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】TYK2阻害薬の徐放性剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/501 20060101AFI20221114BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221114BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20221114BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
A61K31/501
A61P1/04
A61P37/06
A61K9/14
A61K47/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517369
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020051341
(87)【国際公開番号】W WO2021055651
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/902,218
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】バダウィ,シェリフ イブラヒム ファラグ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジョナサン アール
(72)【発明者】
【氏名】チェ,キャンディス ワイ
(72)【発明者】
【氏名】ゲーゼンバーグ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,ビビアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ジョン ウィン
(72)【発明者】
【氏名】ケスター,ウメシュ
(72)【発明者】
【氏名】ビグ,バルビンダー エス
(72)【発明者】
【氏名】イン,シャオティアン エス
(72)【発明者】
【氏名】ゾルダン,クリストファー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーム,コリー
(72)【発明者】
【氏名】イェーツ,イアン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC07
4C076CC16
4C076DD41
4C076EE12
4C076EE16
4C076EE30M
4C076EE32A
4C076EE32M
4C076EE33
4C076EE36M
4C076EE37M
4C076EE42M
4C076GG09
4C076GG12
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC41
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA68
4C086ZB08
(57)【要約】
自己免疫および自己炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(IBD)および乾癬の処置のための、固体ポリマーマトリックス中の固体非晶質6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(式(I);BMS-986165)の分散体(例えば噴霧乾燥分散体)を含む、安定で生物学的に利用可能な徐放性の製剤および剤形を提供する。
式(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の持続放出のための剤形であって、(i)ポリマーマトリックス中のBMS-986165の噴霧乾燥分散体を含む内相;および(ii)放出制御ポリマーを含む外相を含む、剤形。
【請求項2】
放出制御ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ゼラチン、トラガカント、キサンタン、およびそれらの混合物より選択される、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の持続放出のための剤形であって、(i)ポリマーマトリックス中の非晶質BMS-986165の分散体を含む内相;(ii)放出制御ポリマーを含む外相;および(iii)外相中に存在する結晶化阻害剤を含む、剤形。
【請求項4】
放出制御ポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ゼラチン、トラガカント、キサンタン、およびそれらの混合物より選択される、請求項3に記載の剤形。
【請求項5】
結晶化阻害剤が、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリメタクリネレートベースの共重合体、ポリビニルカプロラクタムベースの共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、およびそれらの混合物より選択される、請求項3に記載の剤形。
【請求項6】
ポリマーマトリックスが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)であり、放出制御ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である、請求項3に記載の剤形。
【請求項7】
結晶化阻害剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である、請求項3に記載の剤形。
【請求項8】
経口剤形である、請求項3に記載の剤形。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の剤形を対象体に投与することを含む、対象体において自己免疫疾患または自己炎症性疾患を処置する方法。
【請求項10】
請求項8に記載の経口剤形を対象体に投与することを含む、対象体において自己免疫疾患または自己炎症性疾患を処置する方法。
【請求項11】
対象体がヒト対象体である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
対象体がヒト対象体である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか一項に記載の剤形を対象体に1日1回投与することを含む、対象体において炎症性腸疾患を処置する方法。
【請求項14】
剤形が、12~36mgのBMS-986165を含む錠剤である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
剤形が、15mgのBMS-986165を含む錠剤である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
炎症性腸疾患が潰瘍性大腸炎である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
炎症性腸疾患がクローン病である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Tyk2の極めて選択的な阻害薬である6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドの剤形および製剤に関する。当該製剤および剤形は、許容可能な物理的および化学的安定性を示しながら、6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドのバイオアベイラビリティを提供し、自己免疫および自己炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(IBD)および乾癬の処置に用い得る。
【背景技術】
【0002】
チロシンキナーゼ2(Tyk2)は、非受容体型チロシンキナーゼのヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリーのメンバーであり、マウス(Ishizaki, M. et al., "Involvement of tyrosine kinase-2 in both the IL-12/Th1 and IL-23/Th17 axes in vivo," J. Immunol., 187:181-189 (2011); Prchal-Murphy, M. et al., "TYK2 kinase activity is required for functional type I interferon responses in vivo," PLoS One, 7:e39141 (2012))およびヒト(Minegishi, Y. et al., "Human tyrosine kinase 2 deficiency reveals its requisite roles in multiple cytokine signals involved in innate and acquired immunity," Immunity, 25:745-755 (2006))の両方におけるIL-12、IL-23およびI型インターフェロンの受容体の下流のシグナル伝達カスケードの調節に重要であることが示されている。Tyk2は、転写因子のSTATファミリーのメンバーの受容体誘導性リン酸化を媒介し、ここでこれは、STATタンパク質の二量体化およびSTAT依存性炎症誘発遺伝子の転写をもたらす必須のシグナルである。Tyk2欠損マウスは、大腸炎、乾癬および多発性硬化症の実験モデルに耐性があり、自己免疫および関連障害におけるTyk2を介したシグナル伝達の重要性を示している(Ishizaki, M. et al., "Involvement of tyrosine kinase-2 in both the IL-12/Th1 and IL-23/Th17 axes in vivo," J. Immunol., 187:181-189 (2011); Oyamada, A. et al., "Tyrosine kinase 2 plays critical roles in the pathogenic CD4 T cell responses for the development of experimental autoimmune encephalomyelitis," J. Immunol., 183:7539-7546 (2009))。
【0003】
ヒトでは、Tyk2の不活性変異体を発現している個体は、多発性硬化症およびおそらく他の自己免疫性障害から保護される(Couturier, N. et al., "Tyrosine kinase 2 variant influences T lymphocyte polarization and multiple sclerosis susceptibility," Brain, 134:693-703 (2011))。ゲノムワイド関連解析は、自己免疫性障害、例えばクローン病、乾癬、全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎に関連するTyk2の他の変異体を示しており、自己免疫におけるTyk2の重要性をさらに示している(Ellinghaus, D. et al., "Combined Analysis of Genome-wide Association Studies for Crohn Disease and Psoriasis Identifies Seven Shared Susceptibility Loci," Am. J. Hum. Genet., 90:636-647 (2012); Graham, D. et al., "Association of polymorphisms across the tyrosine kinase gene, TYK2 in UK SLE families," Rheumatology (Oxford), 46:927-930 (2007); Eyre, S. et al., "High-density genetic mapping identifies new susceptibility loci for rheumatoid arthritis," Nat. Genet., 44:1336-1340 (2012))。
【0004】
BMS-986165は、次の式(I)で示される化合物を指し、
【化1】
式(I)
6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドである。BMS-986165は、自己免疫および自己炎症性疾患、例えば乾癬、乾癬性関節炎、狼瘡、狼瘡腎炎、シェーグレン症候群、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)および強直性脊椎炎の処置のために研究中であり、Tyk2を介したシグナル伝達の極めて選択的な阻害薬である。Tyk2シュードキナーゼ(JH2)ドメインに選択的に結合し、制御JH2ドメインを安定化することによって受容体を介したTyk2の活性化をブロックする。
【0005】
IL-12、IL-23および/またはIFNα応答のモジュレーターとして有用なBMS-986165および他のアミド置換複素環式化合物、これを製造する方法、およびこれを使用する方法は、米国特許第9,505,748B2号(その内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。BMS-986165を合成する他の方法は、米国仮特許出願第62/478,789号およびPCT/US2018/025100(WO2018/183649として公開)(それぞれの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。
【0006】
BMS-986165は、結晶形、例えば、米国仮出願第62/478,789号およびPCT/US2018/025114(WO2018/183656として公開)(それぞれの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている結晶形A、米国仮出願第62/678451号およびPCT/US2019/034534(WO2019/232138として公開)(それぞれの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている結晶形B、ならびに米国仮出願第62/860439号およびPCT/US2020/036727(それぞれの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている結晶形Cおよび結晶形Dで合成される。
【0007】
経口投与後の化合物のバイオアベイラビリティを提供し、保存時にも十分に安定である製剤を設計する努力が成功していないため、BMS-986165に適した製剤および剤形を設計することはいくつかの課題を提示した。
【0008】
したがって、当技術分野において、保存時にも6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の十分な安定性を提供しながら、BMS-986165の十分なバイオアベイラビリティを提供する、BMS-986165の製剤および剤形が必要とされている。特に、6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)が胃のpHを上昇させる薬剤(例えば、例えば制酸薬、H2受容体アンタゴニストおよび/またはプロトンポンプ阻害薬などの薬剤)と共に投与されるとき、BMS-986165のバイオアベイラビリティを提供する製剤および剤形が必要とされている。また、特に、経口投与後の6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の持続放出が望ましいとき、薬物の溶解性を高めるための水の利用可能性が低いおよび/または胆汁酸塩が存在しない、消化管(GI管)の領域、例えば結腸においてBMS-986165のバイオアベイラビリティを提供する製剤および剤形が必要とされている。同時に、このような製剤および剤形は、保存時の6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドの十分な安定性を提供しなければならない。本発明の製剤および剤形は、これらおよび他の必要性に取り組む。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、物理的および化学的に安定であり、BMS-986165のバイオアベイラビリティを提供する経口剤形を作るのに使用できる固体非晶質BMS-986165の製剤を提供する。当該製剤は、非晶質BMS-986165遊離塩基および1つ以上のポリマーを含む。当該製剤は、胃のpHを上昇させる薬剤を服用した患者に投与された場合を含め、BMS-986165のバイオアベイラビリティを提供する。このような胃のpH上昇条件下で、本明細書に記載の製剤を含む剤形は、結晶性BMS-986165 HCl塩のカプセル剤または経口液剤中のBMS-986165遊離塩基によって提供されるバイオアベイラビリティに匹敵するバイオアベイラビリティを示す。当該製剤はさらに優れた安定性を示す;例えば、BMS-986165 HCl塩のカプセル剤は、保存時に塩が遊離塩基形態に変換されるのを防ぐために冷蔵が必要であるが、固体非晶質BMS-986165の製剤および剤形は、室温条件下での保存時に物理的安定性を示す。本明細書に記載の製剤はまた、即時放出および調節放出の剤形を作るのに適する。
【0010】
したがって、本発明の特定の実施態様は、非晶質6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の固体分散体を含む、製剤および剤形を提供する。当該製剤および剤形は、即時放出の製剤および剤形としての使用に適しているように、消化管のインビボ条件を模倣する媒体中で、十分な程度に、そして十分に速い速度でBMS-986165の放出および溶出を提供する。そして、このような即放性製剤を改変して、BMS-986165の制御放出経口剤形を提供し得る。
【0011】
本発明の実施態様はまた、患者に1日1回投与でき、1日2回投与される即放性錠剤によって提供されるBMS-986165の薬物動態プロファイルに匹敵するかまたはそれよりも優れたBMS-986165の薬物動態プロファイルを提供する、徐放性製剤を提供する。本明細書に記載の徐放性製剤は、薬物の溶解性を高めるための水の利用可能性が低いおよび/または胆汁酸塩が存在しない、GI管の領域、例えば結腸においてBMS-986165のバイオアベイラビリティを提供する。このような製剤は、例えば、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の処置に特に役立つ。本明細書に記載の徐放性BMS-986165錠剤の製剤によって、患者に1日1錠しか投与されないため、患者のコンプライアンスを改善し得て、患者および/または介護者の利便性も改善し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aおよび図1Bは、実施例Cに記載する10%、15%および20%のBMS-986165:HPMCAS-HのSDDのPXRD回折図を示す:図1A - 開始時;図1B - 40℃/75%RH、開放にて6か月保存後。
図2図2A~Cは、10%BMS-986165:HPMCAS-HSDDについての1500倍率でのSEM画像である:図2A - 開始時;図2B - 40℃/75%RH、閉鎖にて6か月保存後;図2C - 40℃/75%RH、開放にて6か月保存後。
図3図3A~Cは、15%BMS-986165:HPMCAS-HSDDについての1500倍率でのSEM画像である:図3A - 開始時;図3B - 40℃/75%RH、閉鎖にて6か月保存後;図3C - 40℃/75%RH、開放にて6か月保存後。
図4図4A~Cは、20%BMS-986165:HPMCAS-HSDDについての1500倍率でのSEM画像である:図4A - 開始時;図4B - 40℃/75%RH、閉鎖にて6か月保存後;図4C - 40℃/75%RH、開放にて6か月保存後。
図5図5は、実施例Eに記載するとおり試験した剤形についての溶出プロファイルを示す。
図6図6は、BMS-986165結晶性遊離塩基の徐放性製剤についての溶出プロファイルを示す。
図7図7は、BMS-986165の徐放性噴霧乾燥分散体製剤についての溶出プロファイルを示す。
図8図8は、SDDの外にHPMCASを添加したBMS-986165の徐放性噴霧乾燥分散体製剤についての溶出プロファイルを示す。
図9図9は、ポリマー粘度、表面積対体積比またはその両方を変化させたBMS-986165の徐放性噴霧乾燥分散体製剤についての溶出プロファイルを示す。
図10図10は、更なる臨床試験のために開発したBMS-986165の徐放性噴霧乾燥分散体製剤についての溶出プロファイルを示す。
図11図11Aは、ファモチジンで処置した絶食イヌにおける、BMS-986165のSDD錠剤とBMS-986165の結晶性遊離塩基錠剤を比較したクロスオーバー試験の平均血漿濃度対時間曲線を示す。図11Bおよび11Cは、各処置群(n=4)についての個々の血漿濃度対時間曲線を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことにより、当業者によってより容易に理解され得る。別個の実施態様の文脈で上記および下記に説明される本発明の特定の特徴を組み合わせて、1つの実施態様を形成することもできることを理解されたい。逆に、簡潔さの理由のために1つの実施態様の文脈で説明される本発明の様々な特徴を組み合わせて、それらのサブコンビネーションを形成することもできる。
【0014】
(製剤および剤形)
本発明は、非晶質6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の分散体から作られるBMS-986165の経口剤形を提供する。分散体は、通常、非晶質BMS-986165および1つ以上のポリマーを含む。分散体は、BMS-986165の即時放出を提供する剤形およびBMS-986165の持続放出を提供する剤形を含む、経口投与のための様々な剤形を作るために用いられる。
【0015】
本明細書で用いる「非晶質」は、結晶性ではない分子および/またはイオンの固体形態を指す。非晶質固体は、鋭い最大値を有する明確なX線回折パターンを示さず;これは、長周期性を示さない熱力学的に非平衡な物質である。結晶形態のBMS-986165と比較して、非晶質BMS-986165はより高いエネルギーの状態で存在し;非晶質BMS-986165は、結晶性BMS-986165より高いエントロピー、エンタルピーおよびギブズ自由エネルギーを有する。
【0016】
固体非晶質分散体または非晶質分散体は、薬物およびポリマーを含む分散体を指し、薬物は非結晶である。薬物の非晶質分散体は、様々な製造プセス、例えば噴霧乾燥、共沈またはホットメルトエクストルージョンにより調製し得る。噴霧乾燥分散体(SDD)は、ポリマーマトリックス中の薬物の単相非晶質分子分散体であり;これは、薬物が固体マトリックスに分子的に「溶解」している非晶質固体である。噴霧乾燥分散体は、薬物およびポリマーを有機溶媒中に溶解させて溶液を生成し、続いて溶液を噴霧乾燥することによって調製し得る。ポリマー中の非晶質薬物の固体分散体を調製するための技術は、例えば、米国特許第9,095,585号および米国特許第9,468,604号(それぞれの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。固体分散体はまた、例えば、米国特許第8,263,128号に記載されている。
【0017】
非晶質分散体中に結晶性薬物が存在しないことは、変調示差走査熱量測定(mDSC)、粉末X線回折(PXRD)、近赤外分光法(NIR)または他の標準的な分析技術により特性評価し得る。例えば、mDSCは、SDDの熱特性を評価し;非晶質SDDについて、mDSCによる分析で単一のガラス転移温度が得られる。mDSCはまた、結晶相が固有の熱信号を示すため、結晶相分離を検出し得る。PXRDは、X線を用いて固体粉末の結晶形を同定し、SDDの分析に使用でき、例えば、SDDが単一の非晶質相であり、測定可能な結晶性物質がないことを確認できる。
【0018】
BMS-986165結晶性遊離塩基は、pHに依存する溶解性を示し、4を超えるpHでは溶解性が低くなる。したがって、BMS-986165結晶性遊離塩基は、GI管においてpH依存性の吸収を示す。即放性製剤について、このようなpH依存性の特性は、制酸薬、例えばファモチジンまたはオメプラゾールを投与したとき、バイオアベイラビリティの低下をもたらし得る。即放性製剤にHCl塩形態のBMS-986165を用いることでpHの影響が緩和されるが、安定性試験中に、HCl塩形態のBMS-986165で作った製剤が遊離塩基形態のBMS-986165に変換することが観察された。高エネルギーの非晶質遊離塩基形態のBMS-986165を用いることは上記の課題への対処に役立つが、非晶質BMS-986165の製剤化は、保存中の非晶質形態の物理的安定性の確保、GI管における溶出中の化合物の過飽和の維持を含む、他の課題を提示する。
【0019】
本発明は、許容可能な物理的および化学的安定性を有する、BMS-986165の結晶性遊離塩基形態と比較して溶解性およびバイオアベイラビリティが改善された非晶質BMS-986165の分散体製剤を提供する。例えば、ポリマーマトリックス中の非晶質BMS-986165の噴霧乾燥分散体は、結晶形態のBMS-986165と比較してより高い動力学的溶解性(kinetic solubility)を有する。噴霧乾燥分散体中の非晶質BMS-986165のより高い溶解性は、制酸薬を投与したときのバイオアベイラビリティの維持、ならびに薬物の溶解性を高めるための水の利用可能性が低いおよび/または胆汁酸塩が存在しない、GI管の領域、例えば結腸への送達に有利である。また、分散体中のポリマーは、薬物が溶解するとBMS-986165の沈殿を制限し、これにより、非晶質形態のBMS-986165が溶解すると過飽和溶液を維持するのに役立つ。噴霧乾燥分散体中の非晶質BMS-986165も物理的安定性を示し、例えば、化合物は非晶質形態のままであり、保存時に結晶化をほとんどまたはまったく示さない。
【0020】
薬物をポリマー中に分散させることで、インビボでの薬物濃度またはバイオアベイラビリティが向上し得るが、使用できるポリマーの量は、経口剤形の総質量要件によって制限される。言い換えれば、薬物対ポリマー比を小さくする(製剤中で薬物の重量%がポリマーの重量%より低くなるように)ことのバイオアベイラビリティの利点は、経口剤形中でより多くのポリマーを用いることに関連する欠点によって相殺され得る。例えば、単一の錠剤またはカプセル剤での特定の用量の送達が望まれるとき、低い薬物対ポリマー比を用いると、飲み込むには大きすぎる総質量が大きい錠剤またはカプセル剤につながり得る。薬物負荷率は、所望の投与強度のために、許容可能なサイズの経口剤形を作ることができるように十分に高くなければならない。しかし同時に、比較的高い薬物負荷率を有する剤形は、薬物の結晶化をより起こしやすい可能性がある。
【0021】
本発明は、非晶質BMS-986165の分散体を含む製剤および剤形であって、経口剤形の物理的要件も満たしながら、バイオアベイラビリティおよび安定性の所望の特性を達成する、製剤および剤形を提供する。例えば、噴霧乾燥分散体中での非晶質BMS-986165の溶解度がより高いと、胃のpHを上げる薬剤を投与した場合を含め、薬剤のバイオアベイラビリティが向上し;非晶質BMS-986165の噴霧乾燥分散体は、保存時に化学的および物理的に安定しており、嚥下可能な剤形で所望の投与量で製剤化し得る。
【0022】
本発明の特定の実施態様は、ポリマーに対するBMS-986165(非晶質)のw/w%が、約3%~約80%のBMS-986165のおよび約97%~約20%のポリマーの範囲にある分散体を提供する。更なる実施態様は、ポリマーに対するBMS-986165のw/w%が、約4%~約50%のBMS-986165および約96%~約50%のポリマーの範囲にある分散体を提供する。また更なる実施態様において、BMS-986165のw/w%は、約5%~約25%のBMS-986165および約95%~約75%のポリマーの範囲にある。したがって、いくつかの実施態様は、ポリマーに対するBMS-986165のw/w%が、約25%のBMS-986165および約75%のポリマーである分散体を提供する。他の実施態様において、ポリマーに対するBMS-986165のw/w%は、約15%のBMS-986165および約85%のポリマー、または約10%のBMS-986165および約90%のポリマーである。
【0023】
本明細書に記載の分散体(例えば噴霧乾燥分散体)のポリマーマトリックスを形成するのに適したポリマー出発材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;ヒプロメロースとも呼ばれる)、例えばHPMC E3;ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);メチルセルロース(MC);ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMC-P);酢酸フタル酸セルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS;ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルとも呼ばれる)、例えばHPMCASのL、MおよびHグレード;オイドラギット(登録商標)L100-55;ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体(コポビドン);ポリビニルピロリドン(PVP);ポリメタクリネレートベースの共重合体;およびポリビニルカプロラクタムベースの共重合体を含む。好ましくは、ポリマーマトリックスを形成するために選択されるポリマーはHPMCASであり、HPMCAS Hグレードがこのポリマーの好ましいグレードである。
【0024】
特定の実施態様において、噴霧乾燥を用いて、ポリマーマトリックスに分散した非晶質BMS-986165を生成し、6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドの製剤を製造する。その後、製剤を即放性の製剤および剤形に用い得て、または調節または制御放出の製剤および剤形を製造するのに用い得る。
【0025】
したがって、本発明による分散体は、1つ以上の他の添加剤と組み合わせ得る。造粒処理を用いるとき、添加剤を、造粒の前に加えてもよく(これにより粒内である)、および/または造粒後に加えてもよい(これにより粒外である)。
【0026】
例えば、本発明の分散体製剤は、結晶化阻害剤を含み得る。本明細書に記載の製剤に適した結晶化阻害剤は、セルロース系ポリマー類、例えばHPMC、HPMCASおよびヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびビニルポリマー類、例えばPVPを含む。本明細書に記載の徐放性製剤に特に適した結晶化阻害剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;ヒプロメロースとも呼ばれる)、例えばHPMC E3;ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMC-P);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS;ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルとも呼ばれる)、例えばHPMCASのL、MおよびHグレード;オイドラギット(登録商標)L100-55;ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体(コポビドン);およびポリビニルピロリドン(PVP)を含む。好ましい実施態様において、結晶化阻害剤は、HPMCASである。結晶化阻害剤を、分散体中に含んでもよく、または分散体の外に添加してもよい。
【0027】
本明細書に記載の分散体製剤に含まれ得る他の添加剤は、放出制御材料を含む。例えば、放出制御ポリマーを、BMS-986165の非晶質分散体と混合するかまたはコーティングして、徐放性製剤を生成し得る。徐放性剤形の1つのタイプは、放出制御ポリマー(および他の添加剤)と混合された分散体を含む経口剤形(錠剤など)である。
【0028】
したがって、本発明はまた、6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の持続放出のための製剤であって、ポリマーマトリックス中の非晶質BMS-986165の分散体(例えば噴霧乾燥分散体)を含む内相;および放出制御ポリマーを含む外相を含む、製剤を提供する。製剤は、丸剤、カプセル剤、錠剤、フィルム剤、シロップ剤および散剤を含む、患者への経口投与に適した形態であり得る。好ましくは、製剤は、錠剤の形態である。
【0029】
上記のような結晶性薬物に対する非晶質薬物の利点にもかかわらず、放出制御ポリマー(および他の添加剤)と混合して非晶質BMS-986165のSDDを含む徐放性製剤の設計に関与する少なくとも2つの実質的な課題がある。第一に、製剤中の放出制御ポリマーにより、徐放性製剤からの薬物の放出が不完全な場合があり;このような不完全な放出は、例えば、患者への不十分な量の薬物の送達につながり得る。第二に、噴霧乾燥分散体自体の内部(内相);徐放性製剤内であるが、SDD自体の外部(外相)で;および/または徐放性製剤から放出された後に、薬物の結晶化が生じる場合がある。本発明は、適切なポリマー材料が放出制御ポリマーとして選択され、ポリマー材料の粘度が薬物の所望の放出速度を提供するように選択される徐放性製剤を提供することにより、第1の課題に取り組む。第2の課題に関して、非晶質形態の利点を維持するために、本発明は、薬物の結晶化を低減または防止するために、結晶化阻害剤が徐放性製剤中にあるが、噴霧乾燥分散体自体の外にあることを規定する。本発明により、放出速度が調整可能であり、非晶質形態の利点を維持する、非晶質BMS-986165を含む製剤を臨床に提供できる。
【0030】
本明細書に記載の徐放性製剤で用い得る放出制御ポリマーは、本開示に照らして当業者に容易に明らかであるように、天然ポリマー、合成生分解性ポリマーおよび合成非生分解性ポリマーを含む。放出制御ポリマーの例は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ゼラチン、トラガカント、キサンタン、およびこれらの混合物を含む。HPMCは、本明細書に記載の徐放性製剤に好ましい放出制御ポリマーである。HPMCを放出制御ポリマーとして選択するとき、それは好ましくは80cP~120000cPの範囲の粘度を有する。ポリマーの粘度は、当技術分野で知られている多数の様々な粘度計を用いて測定し得る。
【0031】
特定の実施態様において、徐放性分散体製剤は、1つ以上の結晶化阻害剤を含む。内相および外相を有する徐放性製剤では、結晶化阻害剤は、製剤における内相および/または外相に提供され得る。適切な結晶化抑制剤は、上記に説明されている。
【0032】
本明細書に記載の6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドの即放性および徐放性製剤のいずれも、丸剤、カプセル剤、錠剤、フィルム剤、シロップ剤および散剤などを作るように、医薬的に許容される添加剤を含み得る。例えば、従来のマトリックス材料、賦形剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、および/または防腐剤が、製剤中に含まれ得る。マトリックス材料、賦形剤または希釈剤の例は、乳糖、マンニトール、キシリトール、結晶セルロース、二リン酸カルシウム、リン酸二カルシウムおよびデンプンを含む。結合剤の例は、メチルセルロース、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、ガム類、例えばグアーガム天然および合成ガム、例えばアカシア、天然の糖類、例えばブドウ糖またはβ乳糖、コーンシロップ、およびトラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールなどを含む。滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウムなどを含む。防腐剤の例は、亜硫酸塩(抗酸化剤)、ベンザルコニウム塩化物、メチルラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、および安息香酸ナトリウムを含む。着色剤もまた用い得る。
【0033】
特定の実施態様において、本発明の分散体は、10~50重量%、例えば10%w/w、15%w/w、20%w/wまたは25%w/wの重量パーセント範囲で分散体を含む錠剤にされる。いくつかの実施態様において、錠剤の少なくとも15重量%は、分散体である。特定の実施態様において、錠剤の20重量%は、分散体である。
【0034】
更なる実施態様において、錠剤は、1つ以上の賦形剤、例えば乳糖および/または結晶セルロースを、製剤の50~80%の総重量パーセント範囲で含む。いくつかの実施態様において、賦形剤の総量は、少なくとも60%w/wであり、更なる実施態様において、製剤の少なくとも70%w/wである。特定の実施態様において、分散体製剤は、合わせて製剤の少なくとも70%w/wである乳糖および結晶セルロースを含む。更なる実施態様において、結晶セルロース:乳糖の賦形剤の比は、50:50である。他の実施態様において、結晶セルロース:乳糖の賦形剤の比は、70:30である。
【0035】
特定の実施態様において、本発明の錠剤剤形は、3~10重量%、例えば5%の重量パーセント範囲で崩壊剤(例えば、クロスポビドン、クロスカルメロースなど)を含む。一実施態様において、崩壊剤はクロスカルメロースである。造粒プロセスを用いるとき、崩壊剤は、粒内、粒外、またはその両方になるように配置され得る。例えば、錠剤は、クロスカルメロース5%w/w(50:50の粒内:粒外)を含み得る。
【0036】
更なる実施態様において、剤形は、0.25~2.0%、例えば0.25%、0.5%または0.75%の重量パーセント範囲で滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含み得る。
【0037】
本明細書で用いる語句「医薬的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または合理的な利益/リスク比に見合った他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して用いるのに適した化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
である。
【0038】
本発明による製剤および剤形は、約1mg~約100mgのBMS-986165、または約1mg~約40mgのBMS-986165、例えば、3mg、6mg、12mg、15mgまたは36mgのBMS-986165を含み得る。一実施態様において、製剤および剤形は、12mg~36mgのBMS-986165を含む。一実施態様において、100mgの錠剤は、約3mgのBMS-986165を含み、200mgの錠剤は、約6mgのBMS-986165を含み、そして400mgの錠剤は、約12mgのBMS-986165を含む。一実施態様において、300mg徐放性錠剤は、15mgのBMS-986165を含み、このような錠剤は、患者に1日1回投与され得る。
【0039】
(合成および製造)
IL-12、IL-23および/またはIFNα応答のモジュレーターとして有用なBMS-986165および他のアミド置換複素環式化合物、これを製造する方法、およびこれを使用する方法は、米国特許第9,505,748B2号(その内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。BMS-986165を合成する他の方法は、米国仮特許出願第62/478,789号およびPCT/US2018/025100(WO2018/183649として公開)(それぞれの内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている。
【0040】
本発明の非晶質分散体は、ホットメルトエクストルージョン、凍結乾燥または噴霧乾燥によって調製し得る。特定の実施態様において、噴霧乾燥法が用いられる。
【0041】
一般に、固体ポリマーマトリックス中に分子的に溶解した固体非晶質BMS-986165の噴霧乾燥分散体(SDD)は、BMS-986165およびポリマー(例えばHPMCAS)を有機溶媒(または溶媒の混合物、例えばアセトンと水の混合物)中に溶解させて、溶液または懸濁液を生成し、その後溶液または懸濁液を噴霧乾燥することにより製造し得る。本発明による適切なSDD合成ステップの更なる説明は、本明細書の実施例のセクションに記載されている。米国特許第9,468,604号に開示されているものなどの他の製造技術は、ポリマーマトリックス中のBMS-986165の噴霧乾燥分散体を製造するために用いることができ、本開示に照らして当業者には容易に明らかである。
【0042】
したがって、いくつかの実施態様において、固体分散体を作るためのプロセスは、(1)少なくとも薬物およびポリマーを加えて、溶液または懸濁液を形成すること、(2)溶液または懸濁液を噴霧乾燥装置に導き、溶液または懸濁液を液滴へ噴霧乾燥装置内で噴霧すること、(3)液滴を乾燥ガスと接触させて、粒子を固化させること、(4)粒子を収集することを含む。
【0043】
本明細書に記載の分散体は、当技術分野で利用可能な装置および手順を用いて錠剤化し得る。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒またはスラッギングし、賦形剤、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤に圧縮することによって製造し得る。特定の実施態様において、本発明の錠剤は、乾式造粒プロセスによって製造される。本明細書に記載されるように、直接打錠プロセスを用いて錠剤を形成することもできる。
【0044】
いくつかの製造パラメーターは、錠剤剤形の特性に影響を与え得る。このようなパラメーターは、打錠圧、固形分および標的引張強度を含む。打錠圧は、加えられた圧縮力を、力が加えられた面積で除したものである。錠剤の固形分は、錠剤のどれだけが固体であり空隙でないかを示す。固形分(固形分=1-空隙率として表し得る)は、錠剤の見かけ密度またはかさ密度を材料の真の密度で割ることによって計算できる。一般に、より大きな打錠圧を加えると、より高い固形分が得られ、より高い固形分は、一般に、より高い錠剤強度に対応する。錠剤破断強度は、錠剤を破壊または破断するのに必要な力を指す。錠剤の引張強度は、錠剤の破断強度と錠剤の寸法から計算される。本発明による錠剤剤形は、所望の溶出特性を提供しながら、適切な破断強度および引張強度を示す。
【0045】
ポリマーマトリックス中の非晶質BMS-986165の噴霧乾燥分散体を含む徐放性錠剤製剤を含む、錠剤製剤の製造の説明は、本明細書の実施例のセクションに記載されている。米国特許米国特許第9,713,594号に開示されているものなどの他の合成技術は、ポリマーマトリックス中のBMS-986165の噴霧乾燥分散体を含む徐放性錠剤製剤を製造するために用いることができ、本開示に照らして当業者には容易に明らかである。
【0046】
いくつかの実施態様において、所与のw/w%の薬物を含む分散体を用いて、様々な投与強度の錠剤を製造する。例えば、ポリマーマトリックス中15%w/wの非晶質BMS-986165である分散体を用いて、1mg、3mg、6mgおよび/または12mgのBMS-986165を含む錠剤を製造し得る。1mg、3mg、6mgおよび12mgのBMS-986165のこれらの投与強度の各々に対応する例示的な錠剤重量は、それぞれ、50mg、100mg、200mgおよび400mgである。
【0047】
(溶出)
分散体製剤およびそれから作られた剤形を用いて、消化管におけるBMS-986165の即時放出および/または調節放出を提供し得る。このような放出は、インビトロ溶出アッセイを用いて試験し得る。このようなアッセイは、胃から腸へ緩衝液移行の微小遠心試験を含み、これを用いて、結晶形態の薬物の飽和溶解度と比較して、非晶質BMS-986165を含む分散体により提供される薬物濃度の上昇を測定し得る。微小遠心試験において、絶食した胃のpHを反映するpHの媒体を含むマイクロ遠心管に薬物を投与する。胃の媒体に30分間曝露した後、試料を、腸のpHを反映するより高いpHの媒体に移す。その後、薬物濃度を、所望の1つの時点または複数の時点(例えば、胃の媒体に薬物を最初に投与した90分後)で測定する。測定される薬物は、遊離薬物、ミセル中の薬物、および/または薬物/ポリマーコロイドとして溶液中に懸濁した薬物から構成され得る。超遠心分離試験はまた、微小遠心分離試験中のいくつかの時点で実施して、存在する溶出薬物の種を決定し得て;超遠心分離試験は、存在し得るあらゆるコロイド種を除去し、遊離薬物とミセル内の薬物のみを残すための、300,000×gにおける遠心分離工程を含む。別の溶出試験は、胃から腸へ緩衝液移行のPion中間子溶出試験である。文献に記載されているUSP法試験および生体関連溶出試験などの他の溶出試験もまた用い得る。
【0048】
特定の実施態様において、即時放出は、絶食した胃を模倣する条件において、約60分以内に表示用量の少なくとも約80%の放出を指す。いくつかの実施態様において、表示用量の少なくとも約80%が、絶食した胃を模倣する条件において、約30分までに放出され;更なる実施態様において、表示用量の少なくとも約80%が、絶食した胃を模倣する条件において、約15分までに(例えば、約5分までに、約10分までに)放出される。更なる実施態様において、このような放出は、胃のpH上昇状態を模倣する条件において達成される。
【0049】
いくつかの実施態様において、BMS-986165の調節放出を提供することが望ましい場合がある。したがって、本発明の特定の実施態様は、経口投与後にBMS-986165の制御放出を示す剤形を提供する。例えば、剤形は、経口投与後約2~8時間に及ぶ期間中に薬物を放出し得る。いくつかの実施態様において、剤形は、経口投与後最大約24時間薬物を放出し得る。このような剤形により提供される放出速度は、時間とともに比較的均一または一定となってもよく、または時間とともに変化してもよい。更なる実施態様において、剤形は、薬物の遅延放出(例えば腸溶放出)を提供する。薬物が放出される条件、およびそのような調節放出の剤形から薬物が放出される速度は、溶出試験、例えば上記および実施例に記載の試験で評価し得る。
【0050】
(安定性)
本発明の製剤および剤形は、製造中および保存時の非晶質BMS-986165の物理的および化学的安定性を提供する。例えば、特定の実施態様において、本発明の分散体製剤および剤形は、製剤および剤形を開放(または閉鎖)容器中で40℃/75%RH(相対湿度)にて少なくとも約1か月(例えば、3か月または6か月)保存した後、全BMS-986165の約10%以下の結晶化を示す。特定の実施態様において、本発明の分散体製剤および剤形は、開放(または閉鎖)容器中で40℃/75%RH(相対湿度)にて少なくとも約1か月保存した後、BMS-986165の約10%未満の結晶化、例えば約5%未満の結晶化、約2%未満の結晶化または約1%未満の結晶化を示す。更なる実施態様において、分散体製剤および剤形は、開放(または閉鎖)容器中で40℃/75%RH(相対湿度)にて少なくとも約3か月、いくつかの実施態様においては少なくとも約6か月保存した後、BMS-986165の約10%未満の結晶化、例えば約5%未満の結晶化、約2%未満の結晶化または約1%未満の結晶化を示す。本発明はまた、非晶質形態が、製剤および剤形を開放(または閉鎖)容器中で50℃/75%RHにて少なくとも約1か月、少なくとも約3か月または少なくとも約6か月保存した後、約10%未満の結晶化、例えば約5%未満の結晶化、約2%未満の結晶化または約1%未満の結晶化を示す、非晶質BMS-986165を含む製剤および剤形を提供する。特定の実施態様において、本発明の分散体製剤および剤形は、開放(または閉鎖)容器中で25℃/60%RH(相対湿度)にて少なくとも約1か月、少なくとも約3か月または少なくとも約6か月保存した後、BMS-986165の約10%未満の結晶化、例えば約5%未満の結晶化、約2%未満の結晶化または約1%未満の結晶化を示す。結晶化の割合は、当技術分野で知られており、そして本明細書に記載されている技術(例えば、とりわけPXRD)により評価し得る。
【0051】
例えば、本発明の特定の実施態様は、15%の非晶質BMS-986165:85%のHPMCAS-Hを含む分散体であって、非晶質BMS-986165が、PXRDおよび/またはSEMで決定される、40℃および75%相対湿度(開放容器または閉鎖容器中)における6か月の保存の間にわたって、非結晶のままである、分散体を提供する。
【0052】
さらに、特定の実施態様において、本明細書で提供される分散体中のBMS-986165は、または分散体を含有する剤形を、上記のいずれかの条件下で、少なくとも約1か月から少なくとも約6か月の期間保存するとき、約5%未満の分解、約3%未満の分解、約2%未満の分解または約1%未満の分解を示す。
【0053】
(バイオアベイラビリティ)
経口投与される薬物製剤について、薬物吸収は、一般に、薬物製剤からの薬物物質の放出、消化管の生理学的条件下での薬物物質の溶出または可溶化ならびに消化管膜を通過する薬物の浸透の速度および程度に依存する。溶解度の低い薬物を含む従来のまたは標準的な製剤は、血流および標的組織において薬物の治療レベルに達するように、十分な薬物が血流に吸収されるのに十分な薬物の可溶化を達成しない可能性が高い。BMS-986165は低い溶解性を示すが、本発明の製剤および剤形は、所望のレベルの可溶化、およびそれによる薬物の吸収を達成し、同時に他の所望の特性(例えば、保存時の安定性、剤形の飲み込みやすさなど)も提供する。
【0054】
いくつかの実施態様において、BMS-986165の固体非晶質分散体を含む剤形を投与すると、薬物の結晶性製剤を含む剤形で同じ用量のBMS-986165を投与するときと比較して、BMS-986165のバイオアベイラビリティが改善される。薬物の相対的バイオアベイラビリティは、このような決定を行うための従来の方法を用いて、動物またはヒトにおけるインビボで試験し得る。
【0055】
例えば、クロスオーバー試験などのインビボ試験を用いて、剤形が、対照と比較して相対的バイオアベイラビリティの向上を提供するかを決定し得る。インビボのクロスオーバー試験において、「試験組成物」が試験対象体(動物またはヒト)の半分のグループに投与され、適切なウォッシュアウト期間(例えば1週間)の後、同じ対象体に、「試験組成物」に含まれるのと同等の量の薬物を含む「対照組成物」が投与される。グループの残りの半分には、最初に対照組成物が投与され、次に試験組成物が投与される。相対的バイオアベイラビリティは、試験組成物について決定された血液(血清または血漿)中の濃度対時間曲線下面積(AUC)を、対照組成物により提供される血中AUCで除したものとして決定する。好ましくは、この試験/対照比は、各対象体について決定され、その後、比を、試験におけるすべての対象体にわたって平均化する。AUCの決定は、横軸(x軸)に沿った時間に対して縦軸(y軸)に沿って薬物の血清または血漿濃度をプロットすることにより行い得る。AUCの決定は、周知の手法であり、例えば、Welling, "Pharmacokinetics Processes and Mathematics," ACS Monograph 185 (1986)に記載されている。
【0056】
いくつかの実施態様において、試験組成物(例えば、本明細書に記載のBMS-986165の非晶質分散体を含む剤形)の相対的バイオアベイラビリティは、上記の対照組成物に対して少なくとも1.25である(試験組成物により提供されるAUCは、対照組成物により提供されるAUCの少なくとも1.25倍である)。更なる実施態様において、試験組成物の相対的バイオアベイラビリティは、薬物の結晶形態を含む対照組成物と比較して少なくとも2.0である。
【0057】
2つの製剤または剤形のバイオアベイラビリティはまた、インビボでのバイオアベイラビリティの代用としてインビトロ溶出試験を用いて比較し得る。例えば、胃から腸へ媒体移行溶出試験は、GI管のインビボ条件を模倣するために使用でき、また、所与の製剤または剤形により提供される遊離薬物の量を推定するために使用できる。実施例Eに記載する試験などの他の溶出試験を用いても良い。
【0058】
特定の実施態様において、本明細書に記載の剤形により提供されるBMS-986165のバイオアベイラビリティは、胃のpHを上昇させる薬剤、例えば制酸薬、H2受容体アンタゴニストおよびプロトンポンプ阻害薬によって有意に影響されない。例えば、プロトンポンプ阻害薬(または他の胃のpH上昇薬)の投与は、胃のpHに影響を与え得るが、本明細書に記載の分散体中の非晶質BMS-986165の溶解度は、遊離塩基結晶性BMS-986165の溶解度と比較して、pHの影響を受けにくい。したがって、非晶質BMS-986165の分散体を含む剤形の投与は、プロトンポンプ阻害薬(または他のpH上昇薬)も投与されている患者に対してBMS-986165のバイオアベイラビリティを提供し得る。したがって、本発明の特定の実施態様は、ポリマーマトリックスに分散した非晶質BMS-986165を含む経口剤形であって、経口剤形からのBMS-986165のバイオアベイラビリティが、胃のpH上昇薬(例えばプロトンポンプ阻害薬)を当該剤形と同時に投与したとき、25%以下、20%以下、15%以下または10%以下で変化する、経口剤形を提供する。本明細書における同時投与は、胃のpH上昇薬(例えばプロトンポンプ阻害薬)と分散非晶質BMS-986165の剤形の両方を投与されている対象体を指す。薬剤(例えばプロトンポンプ阻害薬)およびBMS-986165剤形は、同じ日に、または、例えば互いに3日以内に投与され得る。例えば、薬剤(例え、プロトンポンプ阻害薬)は、BMS-986165剤形の投与から3日以内、2日以内もしくは1日以内または同じ日に投与され得る。同時投与は、胃のpH上昇薬(例えばプロトンポンプ阻害薬)およびBMS-986165固体分散体剤形の投与のためのこのようなすべてのタイミングを含む。
【0059】
バイオアベイラビリティに対する胃のpH上昇薬または制酸薬(例えばプロトンポンプ阻害薬)の効果は、BMS-986165剤形を、pH上昇薬が投与されていない第1グループの試験対象体(動物またはヒト)に投与し、一方、同じBMS-986165剤形を、同時にpH上昇薬を投与されている第2のグループの試験対象体に投与し;その後、適切なウォッシュアウト期間の後に、第1のグループに、pH上昇薬と共にBMS-986165剤形を投与し、第2のグループに、pH上昇薬を同時に投与せずにBMS-986165剤形が投与する試験により評価し得る。したがって、各対象体は、2つのAUC値(pH上昇薬または制酸薬を服用したときに得られるAUCと、当該薬物を服用していないときに得られるAUC)を有し、これらのAUC値を各対象体について比較し得る。例えば、各対象体のAUCの比を取得し、試験におけるすべての対象体の比を平均化し得る。特定の実施態様において、このような方法により得られる平均比は、0.75~1.25の範囲内である。
【0060】
本発明はまた、単回投与が、徐放性製剤または剤形におけるものと同じ総量の薬物を送達するために1日に複数回投与される即放性製剤または剤形により提供されるバイオアベイラビリティと同様のバイオアベイラビリティを提供し得る徐放性製剤および剤形を提供する。例えば、特定の用量のBMS-986165を含む徐放性錠剤を1日1回患者に投与して、1日2回投与される即放性錠剤により提供される薬物の薬物動態プロファイルに匹敵する薬物の薬物動態プロファイルを提供し得る。
【0061】
(処置方法)
本明細書に記載の剤形または製剤を用いて処置できる自己免疫または自己炎症性疾患は、乾癬(例えば尋常性乾癬)、乾癬性関節炎、狼瘡、狼瘡腎炎、シェーグレン症候群、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)、および強直性脊椎炎を含む。
【0062】
剤形は経口投与し得る。好ましくは、剤形は錠剤である。錠剤は、約1mg~約100mgの薬物(BMS-986165)、または約1mg~約40mgの薬物、例えば6mg、12mg、15mgまたは36mgを含み得る。例えば、特定の実施態様において、300mgの錠剤は、15mgの薬物を含む徐放性剤形であり、乾癬の処置のために1日1回投与される。
【0063】
本発明はさらに、自己免疫または自己炎症性疾患、例えば炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)および乾癬を処置するための医薬の製造における、ポリマーマトリックス中の非晶質BMS-986165の噴霧乾燥分散体の使用を提供する。
【0064】
特定の実施態様において、患者において自己免疫または自己炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)および乾癬)を処置する方法は、(i)ポリマーマトリックス中の非晶質6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の噴霧乾燥分散体を含む内相、および(ii)放出制御ポリマーを含む外相を含む、BMS-986165の持続放出のための製剤を患者に投与することを含む。
【0065】
本発明はまた、(i)ポリマーマトリックス中の非晶質6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の噴霧乾燥分散体を含む内相、および(ii)放出制御ポリマーを含む外相を含む、BMS-986165の持続放出のための製剤を患者に1日1回投与することを含む、患者において炎症性腸疾患または乾癬を処置する方法を提供する。炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病であり得る。乾癬は、尋常性乾癬であり得る。製剤は、好ましくは錠剤の形態である。
【0066】
本発明はさらに、(i)ポリマーマトリックス中の非晶質6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド(BMS-986165)の噴霧乾燥分散体を含む内相、および(ii)放出制御ポリマーを含む外相を含む、BMS-986165の持続放出のための製剤を患者に1日1回経口投与することを含む、患者において炎症性腸疾患または乾癬を処置する方法を提供する。炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎またはクローン病であり得る。乾癬は、尋常性乾癬であり得る。製剤は、好ましくは錠剤の形態である。
【0067】
以下の実施例は、本発明およびその実施を説明するためにのみ役立つ。実施例は、本発明の範囲または精神に対する制限として解釈されるべきではない。
【実施例
【0068】
(実施例A)
6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミド原薬およびHPMCASを、適切なタンク内でアセトンと水の混合物に加え、混合して溶液を生成する。溶液を、窒素雰囲気下で噴霧乾燥する(窒素は製造中に不活性雰囲気を提供する)。得られた噴霧乾燥混合物をさらに乾燥させて、噴霧乾燥分散体(SDD)を得て、これを充填および包装し得る。
【0069】
徐放性プロファイルを有する分散体製剤および剤形を作るために、SDD、乳糖無水物、結晶セルロースおよびHPMCASを一緒に混合し、混合した配合物を篩過する。篩過した配合物とステアリン酸マグネシウムを混合し、得られたものを乾式造粒(スラッギング/ローラーコンパクションプロセス)に供した後、粉砕する。この更なる得られたものを、更なるステアリン酸マグネシウムと混合し、打錠して、6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドの持続放出のための錠剤を生成する。
【0070】
(実施例B)
固体非晶質BMS-986165を固体HPMCAS-Hマトリックス中に分子的に分散させた噴霧乾燥分散体(15%w/w:85%w/w)を製造するための噴霧乾燥溶液の組成を、下記表B-1に示す。
【表1】
【0071】
下記表B-2は、150kg/時の乾燥ガス容量を備えた実験室スケールの噴霧乾燥機を用いて非晶質BMS-986165:HPMCAS-H(15%w/w:85%w/w)の噴霧乾燥分散体を製造するためのプロセス概要を示す。
【表2】
【0072】
表B-2は、活性物質(BMS-986165)を添加する前に溶液調製ベッセルにポリマーを添加することを示しているが、ポリマーを添加する前に、活性物質(BMS-986165)を溶液調製ベッセルに添加してもよい。
【0073】
下記表B-3は、15%BMS-986165:85%HPMCAS-HSDDの溶液調製条件を示す。150kg/時の乾燥ガス流量を備えた実験室スケールの噴霧乾燥機においてBMS-986165:HPMCAS-HのSDDを製造するのに用いた噴霧乾燥条件は、次の4つのセットに分けられた:(A)予熱、(B)ウォームアップ、(C)溶液供給処理、および(D)停止。下記表B-4は、4つのセットの条件についてそれぞれの標的および標的範囲の要約を示す。
【表3】

【表4】
【0074】
SDD中の残留アセトンの目標レベルは、0.5wt%未満であった。アセトンのLOQ(定量限界)レベル未満は、40℃/15%RHで20.5時間乾燥した後の15%BMS-986165:85%HPMCAS-HSDDの開発バッチにおいて達成された。また、残留アセトン対乾燥の試験を、2つの別々の開発バッチで実施した。下記表B-5に、二次乾燥条件を示す。
【表5】
【0075】
噴霧溶液およびSDDについての好ましい保存条件を下記表B-6に示す。
【表6】
【0076】
(実施例C)
BMS-986165のSDD製剤の安定性
【0077】
HPMCAS-Hを用いた25%w/w BMS-986165 SDDのロットを、物理的および化学的安定性について評価した。HPMCAS SDDは、すべての条件下で化学的に安定であったが、粉末X線回折(PXRD)および変調示差走査熱量測定(mDSC)データは、50℃/75%RH、開放にて1か月保存した後、および40℃/75%RH、開放にて3か月保存した後に結晶化を示した。マイクロ遠心試験での溶出性は変化しなかった。分散体製剤を、40℃/75%RH、閉鎖にてまたは25℃/60%RH、開放にて6か月まで保存したとき、物理的不安定性の証拠はなかった。
【0078】
所望の溶出プロファイルを提供しながら、化学的および物理的安定性を提供するHPMCAS-H中のAPI負荷レベルを決定するために更なる試験を行った。Pion UVプローブ(pH2またはpH6~pH6.5)を用いたpH移行溶出試験は、APIの負荷が減少するにつれて、胃相での放出/持続および腸相での持続が一般に改善されることを示した。
【0079】
HPMCAS-H中に10%、15%または20%w/wのBMS-986165を含むSDDの6か月の安定性試験は、すべてのSDDが化学的に安定であることを示した(表C)。各SDDの不純物レベルは、入っているAPI不純物レベルと一致し、これは、噴霧乾燥プロセスが劣化を引き起こさなかったことを示し;さらに、不純物レベルは保存時に増加しなかった。40℃/75%RH、開放にて6か月まで保存した後、いずれのSDDにおいてもPXRDによる結晶化の証拠はなかった(図1Aおよび図1B)。DSCデータは、50℃/75%RHまたは40℃/75%RHへの曝露後に25%w/w BMS-986165 SDDで観察されたものと同様のわずかな変化を示したが、API負荷に傾向はなく、結晶形成よりむしろ「エージング」または「アニーリング」効果を反映すると考えられた。走査型電子顕微鏡(SEM)画像により、単相の均一分散の存在が確認された(図2A~C、図3A~C、図4A~C)。
【0080】
10%、15%、20%および25%のBMS-986165負荷のSDDを用いたTAM(微少熱量計)実験(TAM後の試料におけるPXRDを含む)により、20%w/wのBMS-986165またはそれ以下を含むHPMCAS-HのSDDについて物理的安定性のリスクが低いことが確認された。マイクロ遠心試験での溶出性は変化しなかった。
【0081】
SDD中のAPIの負荷を減らすと、安定性を向上させ、噴霧乾燥プロセスのスループットを低下させるが;ただし、このスループットの低下は、噴霧溶液の固形濃度をアセトン/水中8%w/w HPMCASの限度まで上げることで相殺し得る(この限度は、プロセスの頑健性を確保するのに役立つ)。固形濃度はまた、BMS-986165のアセトン/水への溶解度により制限される。1%APIの標的噴霧溶液濃度で許容可能なスループットを得て、錠剤にSDDを負荷しても、嚥下に適したサイズの錠剤が可能であるように、SDDに十分なAPIを負荷することを確保するために、15%w/wのAPI負荷を選択した。
【表7】
【0082】
(実施例D)
BMS-986165のSDD錠剤
【0083】
下記処方を用いて、BMS-986165のSDDを含む錠剤を製造した。
【表8】
【0084】
錠剤を、AlexanderwerkWP120ローラーコンパクションを用いて製造した。打錠を、Korsch XLプレス機を用いて行い、フィルムコーティングをThomas Compulab Coaterを用いて行った。
【0085】
錠剤は、所望の溶出/崩壊プロファイル、適切な硬度および強度、保存時の安定性、ならびに嚥下可能な許容されるサイズを示した。
【0086】
6mgの用量の錠剤もまた、200mgのプレス重量を用いて製造した。6mgの用量について、14 SCUの錠剤硬度の目標は、適切な破断性(500回の落下試験)および4分未満の許容される崩壊時間を提供した。
【0087】
(実施例E)
BMS-986165のSDD錠剤およびBMS-986165 HCl塩カプセル剤(12mg強度)のバイオリレバント溶出
【0088】
15:85 BMS-986165:HPMCAS-HのSDDを含み、直接打錠プロセスにより製造した錠剤の溶出を、BMS-986165 HCl塩形態を含むカプセル剤の溶出と比較した(両方の剤形で12mgの強度)。溶出を、バイオリレバントの絶食時人工腸液(FaSSIF)において調べた。Galia et al., Evaluation of Various Dissolution Media for Predicting in vivo Performance of Class I and II Drugs, Pharm Res. 15:698-705 (1998)。このような媒体のレシピは、pH6.5;浸透圧270±10mオスモル;タウロコール酸ナトリウム3mM;レシチン0.75mM;KH2PO4 3.9g;KCl 7.7g;NaOH pH6.5に適量;脱イオン水1Lに適量であった。溶出試験を、37℃の温度およびa75rpmの回転速度にてパドルを用いて250mLの媒体中で行った。各剤形について6単位を試験した。図5は結果を示す(平均(n=6))。
【0089】
図5に示すように、SDD錠剤の溶出速度は、上記のとおり剤形を試験したとき、HCl塩カプセル剤の溶出速度より速かった。固体分散体中に非晶質BMS-986165を含むSDD錠剤について、5分までに95%の溶出が観察され、10分までに97%の溶出が観察された。BMS-986165 HCl塩形態を含むカプセル剤について、5分までに5%の溶出が観察された;
10分までに25%の溶出が観察され;15分までに39%の溶出が観察され;そして、20分までに45%の溶出が観察された。
【0090】
15:85 BMS-986165:HPMCAS-HのSDDを含み、造粒プロセスにより製造した錠剤の溶出を、上記の媒体および条件(n=6)を用いて、BMS-986165 HCl塩形態を含むカプセル剤の溶出と比較した(両方の剤形で12mgの強度)。下記表Eに提供する結果は、固体分散体中に非晶質BMS-986165を含む顆粒化錠剤の溶出速度が、BMS-986165 HCl塩形態を含むカプセル剤の溶出速度より速いことを示す。
【表9】
【0091】
(実施例F)
結晶性遊離塩基の徐放性試験(15mg強度)
【0092】
下記表Fに示す持続放出の処方を有する実施例1、実施例2および実施例3の錠剤を試験した。溶出試験パラメーターは次の通りであった:リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、20メッシュバスケット、1000mL中100rpmにてBMS-986165の結晶性遊離塩基製剤(実施例1、2または3)。
【表10】
【0093】
図6に示すとおり、実施例3の製剤は、HPMCポリマーの比較的高い粘度の結果として、24時間後に最大の放出である67%および遅い放出を有した。
【0094】
(実施例G)
BMS-986165の徐放性SDD製剤
【0095】
結晶性遊離塩基の徐放性試験に続いて、下記表Gに示す徐放性製剤を開発した。
【表11】
【0096】
本実施例および本開示を通して用いる「BMS-986165-01」は、特に遊離塩基形態の6-(シクロプロパンアミド)-4-((2-メトキシ-3-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)フェニル)アミノ)-N-(メチル-d3)ピリダジン-3-カルボキサミドを指す。本実施例および本開示を通して用いる「BMS-986165-01 SDD」は、固体HPMCASマトリックス中に分子的に分散した固体非晶質BMS-986165-01を指し;BMS-986165-01は、SDDの重量当たり15%の量でSDDに存在し、HPMCASは、SDDの重量あたり85%の量でSDDに存在する。
【0097】
(実施例H)
徐放性SDD製剤(15mg強度)の処方および溶出プロファイル
【0098】
下記表Hに示す処方を有する実施例4、実施例5および実施例6の錠剤を試験した。溶出試験パラメーターは次の通りであった:リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、20メッシュバスケット、1000mL中100rpmにてBMS-986165のSDD製剤(実施例4、5または6)。
【表12】
【0099】
非晶質BMS-986165 APIを含むSDD製剤を用いることにより、結晶性API(実施例1では67%)と比較して、24時間での全体的な薬物放出が改善された(実施例4では72%、図7を参照)。しかしながら、24時間後には不完全な薬物放出があった。この試験は、SDD製剤内またはSDD製剤からの薬物の部分的または完全な結晶化が、例えばバイオアベイラビリティの利点を減らすことにより、SDD製剤を用いる利点を打ち消し得ることを示した。
【0100】
(実施例I)
SDDの外にHPMCASを添加したBMS-986165の徐放性SDD製剤
【0101】
上記のSDD製剤試験に続いて、下記表Iに示す徐放性製剤を開発した。
【表13】
【0102】
(実施例J)
製剤、およびSDDの外にHPMCASを添加した徐放性SDD錠剤の製剤についての溶出プロファイル
【0103】
下記表Jに示す処方を有する実施例7の錠剤を試験した。溶出試験パラメーターは次の通りであった:リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、20メッシュバスケット、1000mL、100rpmにてBMS-986165のSDD製剤(実施例7)。
【表14】
【0104】
製剤へHPMCASを添加するが、SDD部分の外(外相中)であるとき、HPMCASの添加が製剤の一部でないとき(実施例4)と比較して、24時間での全体の薬物放出が79%(実施例7、図8参照)にさらに増加した。この試験は、HPMCASの添加が製品/システムの結晶化を減少させ、BMS-986165の放出を増加させることを示した。
【0105】
(実施例K)
BMS-986165の調整可能な徐放性製剤の設計に関連する因子を研究するために、下記表Kに示す持続放出の処方を有する実施例8、実施例9、実施例10、実施例11および実施例12の錠剤を開発した。放出制御ポリマー(この場合はHPMC)の粘度に関して:単一のポリマーを用いるか、異なる粘度のポリマーを混合することにより、様々な粘度を調べた。表面積/体積比および用量を、錠剤の重量(用量)を変更することにより調べ、これにより、表面積対体積比も変化させた。同じ表面積対体積比を達成するために、様々な変更を行い得る。
【表15】
【0106】
図9は、粘度、表面積対体積比またはその両方を変化させた溶出プロファイルを示す。溶出試験パラメーターは次の通りであった:ケージシンカーを備えた1%brij USPIIを含むpH6.8リン酸緩衝液1000mL中75rpmにおける製剤の溶出。図9に示すように、調整可能な放出(粘度と表面積/体積)は、一連の放出プロファイルにより示され、特定の製剤で完全な薬物放出が達成された。
【0107】
(実施例L)
下記表L-1およびL-2に示す持続放出の処方を有する実施例8-1、実施例9-1、実施例10-1および実施例11-1の錠剤を、更なる臨床試験のために開発した。図10は、これらの製剤の溶出プロファイルを示す。溶出試験パラメーターは次の通りであった:リン酸カリウム緩衝液(pH6.8)、1%brij、ケージシンカー、1000mL、75rpmにおけるBMS-986165のSDD製剤(実施例8-1、9-1、10-1、11-1)。これらの4つの処方に示す粘度と用量の任意の組合せを更なる臨床試験に用い得る。適切な薬物用量範囲は、12mg(200mgの錠剤重量)から36mg(600mgの錠剤重量)の範囲を含む。
【表16】

【表17】
【0108】
(実施例M)
BMS-986165の持続放出のための下記処方を有する実施例13および実施例14の錠剤を製造した。
【0109】
(実施例13)
40.00%(w/w)の量で存在する非晶質BMS-986165-01:HPMCAS-H(15%w/w:85%w/w)の噴霧乾燥分散体;
10.00%(w/w)の量で存在するHPMCAS;
0.50%(w/w)の量で存在するヒプロメロースK100LVプレミアムCR;
24.50%(w/w)の量で存在するヒプロメロースK15MプレミアムCR;
12.00%(w/w)の量で存在する乳糖無水物;
12.00%(w/w)の量で存在する結晶セルロース;および
1.00%(w/w)の量で存在するステアリン酸マグネシウム。
【0110】
(実施例14)
40.00%(w/w)の量で存在する非晶質BMS-986165-01:HPMCAS-H(15%w/w:85%w/w)の噴霧乾燥分散体;
10.00%(w/w)の量で存在するHPMCAS;
24.50%(w/w)の量で存在するヒプロメロースK100LVプレミアムCR;
0.50%(w/w)の量で存在するヒプロメロースK15MプレミアムCR;
12.00%(w/w)の量で存在する乳糖無水物;
12.00%(w/w)の量で存在する結晶セルロース;および
1.00%(w/w)の量で存在するステアリン酸マグネシウム。
【0111】
ヒプロメロースK100LVとヒプロメロースK15Mの量の他の組合せを使用でき、CRグレードではないこれらのヒプロメロース成分の他のプレミアムバージョンを使用できる。
【0112】
(実施例N)
ファモチジン処置イヌにおけるBMS-986165SDDを含む錠剤およびBMS-986165遊離塩基(結晶性)を含む錠剤のバイオアベイラビリティ
【0113】
この試験は、ファモチジンで処置したイヌにおいて、BMS-986165-01 SDD(15%BMS-986165-01:85%HPMCAS)を含む錠剤の薬物動態プロファイルを、BMS-986165結晶性遊離塩基を含む錠剤の薬物動態プロファイルと比較した。当該試験は、2つの処置群(各群に4匹の雄性イヌ)を用いたクロスオーバー試験であった。両群について、イヌを絶食し、胃のpHを上昇させるファモチジンで前処理した。両方の錠剤剤形を、4mgの強度(12mgのヒト等価用量(HED))で試験した。表N-1および図11A~Cは結果を示す。
【表18】
【0114】
表N-1に示すように、胃のpH上昇条件下で、結晶性遊離塩基形態でBMS-986165を含む錠剤は、固体分散体中に非晶質遊離塩基BMS-986165を含む錠剤と比較して、低いCmaxおよび同じ中央値のTmaxを示した。0~24時間で計算された曲線下面積(AUC)はまた、SDD錠剤と比較して結晶性遊離塩基錠剤の方が低く;AUCのこの差は統計的に有意であった(p<0.05)。両方の剤形の変動は、イヌの薬物動態試験で通常観察される変動の範囲内であった。
【0115】
これらの結果は、結晶性遊離塩基BMS-986165錠剤が、胃のpH上昇状態で4mgの用量(12mg HED)にて、BMS-986165-01 SDDと比較して約50%のバイオアベイラビリティを示すことを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】