(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】RBM20凝集体及び/またはRbm20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物を特定するための組成物、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/02 20060101AFI20221114BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20221114BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20221114BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20221114BHJP
A61P 9/10 20060101ALN20221114BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20221114BHJP
A61K 31/575 20060101ALN20221114BHJP
A61K 31/473 20060101ALN20221114BHJP
A61K 31/585 20060101ALN20221114BHJP
A61K 31/404 20060101ALN20221114BHJP
A61K 31/4155 20060101ALN20221114BHJP
A61K 31/40 20060101ALN20221114BHJP
A61K 31/506 20060101ALN20221114BHJP
【FI】
C12Q1/02 ZNA
G01N33/50 Z
C07K14/47
C12N15/12
A61P9/10
A61K45/00
A61K31/575
A61K31/473
A61K31/585
A61K31/404
A61K31/4155
A61K31/40
A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517408
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 US2020051329
(87)【国際公開番号】W WO2021055642
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521336185
【氏名又は名称】デューポイント セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】パテル, アヴィナシュ
(72)【発明者】
【氏名】ムルコ, マーク アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル, スティーブン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ビューテル, ブルース アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ケシッチ, ボジェナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィジャヤ, ジュウィナ
(72)【発明者】
【氏名】マンテイガ, ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ダンドライカー, ピーター ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】クォン, アン ディー.
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
2G045BB24
2G045CB01
2G045GC15
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ13
4B063QQ79
4B063QR66
4B063QS05
4B063QS36
4B063QS38
4B063QS39
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZB212
4C084ZC412
4C086AA02
4C086BC07
4C086BC27
4C086BC36
4C086BC50
4C086DA11
4C086DA13
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZB21
4C086ZC41
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、いくつかの態様において、RBM20ポリペプチドを含む凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物をスクリーニング及び特定するための方法に関する。他の態様では、本開示は、本明細書に記載される方法に有用な細胞モデルなどのシステム及びその組成物成分に関する。いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/または細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、
(a)前記化合物と前記細胞を含む組成物とを混合することであって、
(i)前記細胞が前記1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)前記化合物が前記組成物と接触した後、前記1つ以上のRBM20凝集体が前記細胞内で形成される、前記混合することと、
(b)前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を決定することであって、
参照と比較した場合の前記特性の調節が、前記化合物が前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、以下、すなわち、
(i)前記1つ以上のRBM20凝集体の位置、
(ii)前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドの分布、
(iii)前記1つ以上のRBM20凝集体の数、
(iv)前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、
(v)前記1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比、
(vi)前記1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性、
(vii)前記1つ以上のRBM20凝集体の組成、
(viii)前記1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、
(ix)前記1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数、
(x)前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、
(xi)前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、
(xii)前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積、
(xiii)前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、
(xiv)前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、
(xv)前記1つ以上のRBM20凝集体の固化、
(xvi)前記RBM20ポリペプチドの位置、
(xvii)前記RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、
(xviii)前記1つ以上のRBM20凝集体中への前記RBM20ポリペプチドの凝集体分配、
(xix)前記RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性、
(xx)前記RBM20ポリペプチドの凝集、
(xxi)前記RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態、及び
(xxii)前記RBM20ポリペプチド分解産物の量のうちのいずれか1つ以上に基づいたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特性の調節が、前記細胞の前記細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体の数の減少に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特性の調節が、前記細胞の前記細胞質中の前記RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量の減少に基づく、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記特性の調節が、前記細胞の前記細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小に基づく、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記特性の調節が、前記細胞の前記細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性の減少に基づく、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の位置、前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドの分布、前記1つ以上のRBM20凝集体の数、前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、及び前記1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の組成、及び前記1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性をさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記RBM20ポリペプチドの位置、及び前記RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積、前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記RBM20ポリペプチドが、野生型RBM20ポリペプチドである、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記RBM20ポリペプチドが、変異体RBM20ポリペプチドである、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記変異体RBM20ポリペプチドが、天然変性領域(IDR)に変異を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記変異体RBM20ポリペプチドが、RSリッチ領域に変異を含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記変異体RBM20ポリペプチドが、以下の位置、すなわち、アルギニン634、セリン635、アルギニン636、セリン637、及びプロリン638のうちの1つ以上に変異を含む、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記変異体RBM20ポリペプチドが、以下の変異、すなわち、R636S、R636C、R636H、R634Q、S637G、P638L、S635A、S635E、及びS637Eのうちの1つ以上を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記変異体RBM20ポリペプチドが、以下の変異、すなわち、E913K、R716Q、及びV535Lのうちの1つ以上を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上のRBM20凝集体が、前記細胞内で異種発現される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上のRBM20凝集体が、前記細胞内で同種発現される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞が、心臓細胞タイプのモデルである、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞が、心筋細胞である、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞が、ラットH9C2細胞である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞が、ヒトAC-16細胞、患者由来の心筋細胞、心筋細胞に分化させられたヒト人工多能性幹細胞、または心筋細胞に分化させられた幹細胞である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞が、HeLa細胞、U2OS細胞、ヒト胎児腎細胞、ヒト人工多能性幹細胞、及び幹細胞からなる群から選択される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞が、前記RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてホモ接合型である、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞が、前記RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてヘテロ接合型である、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記参照が、コントロール剤と混合された前記細胞を含む前記組成物のアリコートを含む、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物または前記細胞の少なくとも一部を画像化することをさらに含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記細胞の1つ以上の細胞特性を決定することをさらに含む、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物または前記細胞の少なくとも一部を固定液と接触させることをさらに含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物または前記細胞の少なくとも一部を染色と接触させることをさらに含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
第2の細胞ベースのアッセイを用いて前記特定されたカセット配列を評価することをさらに含む、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
インビトロアッセイを用いて前記特定されたカセット配列を評価することをさらに含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む凝集体(「RBM20凝集体」)のサイズ及び/または数を減少させる化合物を特定する方法であって、
(a) 前記化合物に曝露された前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記RBM20凝集体のサイズ及び/または数を決定することと、
(b) 前記RBM20凝集体の前記サイズ及び/または数を参照と比較することと、を含み、それにより、前記細胞の前記細胞質中の前記RBM20凝集体のサイズ及び/または数を減少させる化合物を特定する、前記方法。
【請求項42】
前記化合物が、前記RBM20凝集体の数を減少させる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記化合物が、前記RBM20凝集体のサイズを減少させる、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)の形成または増殖を防止する化合物を特定する方法であって、
(a)前記化合物と前記細胞を含む組成物とを加え合わせることであって、
(i)前記細胞が前記1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)前記化合物が前記組成物と接触した後に前記1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、
(b)前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第1の測定値を取得することと、
(c)前記第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、前記細胞の前記細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体の形成または増殖を防止する化合物を特定する、前記方法。
【請求項45】
前記参照が、コントロール剤と混合された前記細胞を含む前記組成物のアリコートを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記参照が、前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第2の測定値であり、前記第2の測定値は前記第1の測定値とは異なる時点で測定される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞を、前記1つ以上のRBM20凝集体の形成を促進する条件に曝露することをさらに含む、請求項44~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する方法であって、
(a)前記化合物と前記細胞を含む組成物とを加え合わせることと、
(b)前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記RBM20ポリペプチドの量の第1の測定値を取得することと、
(c)前記第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、前記細胞の前記細胞質中の前記RBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する、前記方法。
【請求項49】
前記参照が、コントロール剤と混合された前記細胞を含む前記組成物のアリコートを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記参照が、前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記RBM20ポリペプチドの量の第2の測定値であり、前記第2の測定値は前記第1の測定値とは異なる時点で測定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、
(a)前記化合物と、前記1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液と、追加の凝集体溶液と、を混合することと、
(b)前記1つ以上のRBM20凝集体ペプチドに関連する前記特性を決定することであって、
参照と比較した場合の前記特性の調節が、前記化合物が前記1つ以上のRBM20凝集体に関連する前記特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法。
【請求項52】
RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、
(a)特定の物質と、前記RBM20ポリペプチドを含む溶液とを前記化合物の存在下で加え合わせることであって、
前記物質が前記1つ以上のRBM20凝集体の形成を引き起こすことができ、前記物質が前記溶液と接触した後に前記1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、
(b)前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を決定することであって、
参照と比較した場合の前記特性の調節が、前記化合物が前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法。
【請求項53】
前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、以下、すなわち、
(i)前記1つ以上のRBM20凝集体の数、
(ii)前記1つ以上のRBM20凝集体の組成、
(iii)前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、
(iv)前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、
(v)前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、
(vi)前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積、
(vii)前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、
(viii)前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、
(ix)前記1つ以上のRBM20凝集体の固化、
(x)前記1つ以上のRBM20凝集体中にない前記RBM20ポリペプチドの量、
(xi)前記1つ以上のRBM20凝集体中への前記RBM20ポリペプチドの分配、及び
(xii)前記RBM20ポリペプチドの凝集のうちのいずれか1つに基づく、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
RBM20ポリペプチドを含む凝集体(「RBM20凝集体」)における生体分子の分配を調節する化合物を特定する方法であって、
(a)前記化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、
(i)前記細胞が前記RBM20凝集体を含み、及び/または(ii)前記化合物が前記組成物と接触した後、前記RBM20凝集体が前記細胞内で形成される、前記混合することと、
(b) 前記RBM20凝集体における前記生体分子の前記分配を決定することと、を含む、前記方法。
【請求項55】
前記生体分子が、非RBM20ポリペプチドである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記生体分子が、野生型RBM20ポリペプチドである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記RBM20ポリペプチドを含む前記RBM20凝集体が、変異体RBM20ポリペプチドを含む、請求項54~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
RBM20関連疾患を治療するうえで有用な化合物を特定する方法であって、請求項1~57に記載の方法のいずれか1つに従って化合物を特定することを含む、前記方法。
【請求項59】
前記RBM20関連疾患が、心筋症である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記心筋症が、拡張型心筋症である、請求項59に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月18日に出願された米国特許仮出願第62/902,309号及び2020年9月4日に出願された米国特許仮出願第63/074,985号の優先権の利益を主張するものであり、これらの出願の内容をその全容にわたって本明細書に参照によって援用する。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの次の提出物の内容をその全容にわたり参照によって本明細書に援用する。すなわち、配列表のコンピューター可読形態(CRF)(ファイル名:185992000240SEQLIST.TXT、記録日:2020年9月16日、サイズ:11KB)。
【0003】
本開示は、いくつかの態様において、RBM20ポリペプチドを含む凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物をスクリーニング及び特定するための方法に関する。他の態様では、本開示は、本明細書に記載される方法に有用な細胞モデルなどのシステム及びその組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
特に細胞プロセスにおける標的生体分子または細胞成分の役割が十分に理解されていない場合、細胞プロセスを調節するうえで有用な化合物のスクリーニング及び特定に関連する多くの課題がある。例えば、RBM20は、横紋筋の伸長時の構造的支持を与え、張力を維持するサルコメアタンパク質であるタイタンのスプライシングに関与していることが知られているタンパク質である。変異体RBM20ポリペプチドの発現は、拡張型心筋症(DCM)を引き起こす病理学的タイタンアイソフォームの発現と関連している(Guo et al.,Nat Med,18,2012)。しかしながら、RBM20がどのように疾患の発症と進行に結びつくかは不明である。そのため、RBM20関連の細胞プロセスを調節するのに有用な化合物をスクリーニング及び特定するための方法の開発は妨げられていた。
【0005】
特許出願及び公開公報を含む、本明細書に引用されるすべての参考文献を、それらの全容にわたって参照により援用するものである。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、方法が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、以下、すなわち、(i)1つ以上のRBM20凝集体の位置、(ii)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布、(iii)1つ以上のRBM20凝集体の数、(iv)1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、(v)1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比、(vi)1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性、(vii)1つ以上のRBM20凝集体の組成、(viii)1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在、(ix)1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数、(x)1つ以上のRBM20凝集体の安定性、(xi)1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、(xii)1つ以上のRBM20凝集体の表面積、(xiii)1つ以上のRBM20凝集体の球形度、(xiv)1つ以上のRBM20凝集体の流動性、(xv)1つ以上のRBM20凝集体の固化、(xvi)RBM20ポリペプチドの位置、(xvii)RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、(xviii)1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの凝集体分配、(xix)RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性、(xx)RBM20ポリペプチドの凝集、(xxi)RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態、及び(xxii)RBM20ポリペプチド分解産物の量のうちのいずれか1つ以上に基づいたものである。
【0008】
いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体の数の減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量の減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質内の1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する機能的活性の減少に基づく。
【0009】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の位置、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布、1つ以上のRBM20凝集体の数、1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、及び1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の組成、及び1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の安定性、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、及び1つ以上のRBM20凝集体の表面積を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の球形度、1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、RBM20ポリペプチドの位置、及びRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態をさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、及び1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の安定性、及び1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の表面積、1つ以上のRBM20凝集体の球形度、1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、変異体RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、天然変性領域(IDR)に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、RSリッチ領域に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、以下の位置、すなわち、アルギニン634、セリン635、アルギニン636、セリン637、及びプロリン638のうちの1つ以上に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、以下の変異、すなわち、R636S、R636C、R636H、R634Q、S637G、P638L、S635A、S635E、及びS637Eのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、以下の変異、すなわち、E913K、R716Q、及びV535Lのうちの1つ以上を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、細胞内で異種発現される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、細胞内で同種発現される。
【0018】
いくつかの実施形態では、細胞は、心臓細胞タイプのモデルである。いくつかの実施形態では、細胞は、心筋細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ラットH9C2細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒトAC-16細胞、患者由来の心筋細胞、心筋細胞に分化させられたヒト人工多能性幹細胞、または心筋細胞に分化させられた幹細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、HeLa細胞、U2OS細胞、ヒト胎児腎細胞、ヒト人工多能性幹細胞、及び幹細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、細胞は、RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてホモ接合型である。いくつかの実施形態では、細胞は、RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてヘテロ接合型である。
【0019】
いくつかの実施形態では、参照は、コントロール剤と混合された細胞を含む組成物のアリコートを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、組成物または細胞の少なくとも一部を画像化することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、細胞の1つ以上の細胞特性を決定することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、組成物または細胞の少なくとも一部を固定液と接触させることをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、組成物または細胞の少なくとも一部を染色と接触させることをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、第2の細胞ベースのアッセイを使用して特定された化合物を評価することをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、インビトロアッセイを使用して特定された化合物を評価することをさらに含む。
【0026】
別の態様において、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む凝集体(「RBM20凝集体」)のサイズ及び/または数を減少させる化合物を特定する方法であって、(a)化合物に曝露された細胞の細胞質の少なくとも一部におけるRBM20凝集体のサイズ及び/または数を決定することと、(b)RBM20凝集体のサイズ及び/または数を参照と比較することと、を含み、それにより、細胞の細胞質中のRBM20凝集体のサイズ及び/または数を減少させる化合物を特定する、方法が提供される。
【0027】
いくつかの実施形態では、化合物はRBM20凝集体の数を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物はRBM20凝集体のサイズを減少させる。
【0028】
別の態様において、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)の形成または増殖を防止する化合物を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを加え合わせることであって、i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、加え合わせることと、(b)細胞の細胞質の少なくとも一部における1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第1の測定値を取得することと、(c)第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体の形成または増殖を防止する化合物を特定する、方法が提供される。
【0029】
いくつかの実施形態では、参照は、コントロール剤と混合された細胞を含む組成物のアリコートを含む。いくつかの実施形態では、参照は、細胞の細胞質の少なくとも一部における1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第2の測定値であり、第2の測定値は第1の測定値とは異なる時点で測定される。
【0030】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、細胞を、1つ以上のRBM20凝集体の形成を促進する条件に曝露することをさらに含む。
【0031】
別の態様において、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを加え合わせることと、(b)細胞の細胞質の少なくとも一部におけるRBM20ポリペプチドの量の第1の測定値を取得することと、(c)第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する、方法が提供される。
【0032】
いくつかの実施形態では、参照は、コントロール剤と混合された細胞を含む組成物のアリコートを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、参照は、細胞の細胞質の少なくとも一部におけるRBM20ポリペプチドの量の第2の測定値であり、第2の測定値は第1の測定値とは異なる時点で測定される。
【0034】
別の態様において、本明細書では、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)化合物と、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液と、追加の凝集体溶液と、を混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を決定することと、を含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節することを示す、方法が提供される。
【0035】
別の態様において、本明細書では、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)特定の物質と、RBM20ポリペプチドを含む溶液とを化合物の存在下で加え合わせることであって、物質が1つ以上のRBM20凝集体の形成を引き起こすことができ、物質が溶液と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、(b)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、方法が提供される。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、以下、すなわち、(i)1つ以上のRBM20凝集体の数、(ii)1つ以上のRBM20凝集体の組成、(iii)1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、(iv)1つ以上のRBM20凝集体の安定性、(v)1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、(vi)1つ以上のRBM20凝集体の表面積、(vii)1つ以上のRBM20凝集体の球形度、(viii)1つ以上のRBM20凝集体の流動性、(ix)1つ以上のRBM20凝集体の固化、(x)1つ以上のRBM20凝集体中にないRBM20ポリペプチドの量、(xi)1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの分配、及び(xii)RBM20ポリペプチドの凝集のうちのいずれか1つに基づいたものである。
【0037】
別の態様では、本明細書において、RBM20関連疾患を治療するうえで有用な化合物を特定する方法であって、本明細書に記載される方法のいずれか1つに従って化合物を特定することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、RBM20関連疾患は、心筋症である。いくつかの実施形態では、心筋症は、拡張型心筋症である。
【0038】
別の態様において、本明細書では、RBM20ポリペプチドを含む凝集体(「RBM20凝集体」)における生体分子の分配を調節する化合物を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)細胞がRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後、RBM20凝集体が細胞内で形成される、前記混合することと、(b)RBM20凝集体における生体分子の分配を決定することと、を含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、生体分子は、非RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、生体分子は、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドを含むRBM20凝集体は、変異体RBM20ポリペプチドを含む。
【0039】
本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施の形態及び詳細の変更を行うことが可能である点も当業者には理解されよう。さらに、様々な利点、態様、及び目的が様々な実施に関連して記載されているが、本開示の範囲はかかる利点、態様、及び目的を参照することにより限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】A及びBは、野生型RBM20ポリペプチド(A)またはR636S変異体RBM20ポリペプチド(B)を一過性にトランスフェクトしたHeLa細胞の蛍光画像を示す。
【
図2】A及びBは、野生型RBM20ポリペプチド(A)またはR636S変異体RBM20ポリペプチド(B)を一過性にトランスフェクトしたU2OS細胞の蛍光画像を示す。
【
図3】A~Dは、野生型RBM20ポリペプチド(A)、R636S変異体RBM20ポリペプチド(B)、R636C変異体RBM20ポリペプチド(C)、またはR636H変異体RBM20ポリペプチド(D)で一過性にトランスフェクトしたU2OS細胞の蛍光画像を示す。
【
図4A】野生型RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図4B】R636S変異体RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図4C】R636C変異体RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図4D】R636H変異体RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図4E】R634Q変異体RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図4F】S635A変異体RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図4G】S637G変異体RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図4H】P638L変異体RBM20ポリペプチドを一過性トランスフェクトしたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図5】A及びBは、野生型RBM20ポリペプチドを一過性にトランスフェクトしたU2OS細胞の蛍光画像を示す。
【
図6】野生型RBM20ポリペプチドを一過性にトランスフェクトし、コントロール(DMSO)(A)、リポアミド(30μM)(B)、ミトキサントロン(20μM)(C))、またはJQ1(10μM)(D)で処理したH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図7】Aは、RBM20ポリペプチドの選択領域を示す概略図である。Bは、秩序領域及び無秩序領域のRBM20ポリペプチド配列の分析の結果を示す。
【
図8】A及びBは、野生型RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図9】C末端にNLS融合を有する(上のパネル)またはC末端にNLS融合を有さない(下のパネル)R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図10】Dendra2標識に結合されたリン酸化模倣変異体RBM20ポリペプチド(R636S、S635E、S637E)、またはDendra2標識に結合された変異体R636S RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図11】異なるRBM20ポリペプチド短縮形態を発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図12A】(i)変異体R636S RBM20ポリペプチド及び野生型RBM20ポリペプチドの両方を発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像及び分析を示す。
【
図12B】(ii)変異体R636S RBM20ポリペプチド及びNECポリペプチドの両方を発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像及び分析を示す。
【
図12C】(iii)変異体R636S RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像及び分析を示す。
【
図12D】(iv)野生型RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像及び分析を示す。
【
図13】それぞれ、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチド(A)、E913K変異体RBM20ポリペプチド(B)、R716Q変異体RBM20ポリペプチド(C)、及びV535L変異体RBM20ポリペプチド(D)を発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図14】野生型RBM20ポリペプチド(上のパネル)または変異体RBM20ポリペプチド(下のパネル)を発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。細胞は、DAPI(核を示すため)及びDDX3Xタンパク質(IF法を使用)について共染色されている。
【
図15】野生型RBM20ポリペプチド(上のパネル)または変異体RBM20ポリペプチド(下のパネル)を発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。細胞は、DAPI(核を示すため)及びPSPC1タンパク質(IF法を使用)について共染色されている。
【
図16】Dendraで標識された標識野生型RBM20ポリペプチドまたはDendraで標識されたR636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。細胞は、異なる核タンパク質PTBP1、SRRM1、U2AF65、及びSC35について染色されている。
【
図17】mCherryで標識された標識野生型RBM20ポリペプチドまたはmCherryで標識されたR636S変異体RBM20ポリペプチドを、GFPで標識されたDDX3Xと組み合わせて発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。細胞は、DAPI及びストレス顆粒マーカーG3BP1タンパク質について共染色されている。
【
図18】Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチド、またはDendra2標識に結合された変異体R636S変異体のいずれかを発現するように誘導したH9C2細胞の蛍光及びDIC画像を示す。
【
図19A】Incucyte(登録商標)NucLightRapid Red試薬で染色した、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するように誘導されたH9C2細胞の細胞増殖曲線を示す。ドキシサイクリンを添加しないものをコントロールとして用いた。
【
図19B】Incucyte(登録商標)NucLightRapid Red試薬で染色した、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するように誘導されたH9C2細胞の細胞増殖曲線を示す。ドキシサイクリンを添加しないものをコントロールとして用いた。
【
図19C】Incucyte(登録商標)NucLightRapid Red試薬で染色した、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するように誘導されたH9C2細胞の細胞増殖曲線を示す。ドキシサイクリンを添加しないものをコントロールとして用いた。
【
図19D】Incucyte(登録商標)NucLightRapid Red試薬で染色した、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するように誘導されたH9C2細胞の細胞増殖曲線を示す。ドキシサイクリンを添加しないものをコントロールとして用いた。
【
図20A】スタウロスポリン(STS)ストレスを与えた、または与えない、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するH29C細胞のアポトーシス分析を示す。アポトーシスの程度は、発光(RLU)シグナルによって示されている。
【
図20B】スタウロスポリン(STS)ストレスを与えた、または与えない、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するH29C細胞のアポトーシス分析を示す。アポトーシスの程度は、発光(RLU)シグナルによって示されている。
【
図20C】スタウロスポリン(STS)ストレスを与えた、または与えない、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するH29C細胞のアポトーシス分析を示す。アポトーシスの程度は、発光(RLU)シグナルによって示されている。
【
図20D】スタウロスポリン(STS)ストレスを与えた、または与えない、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するH29C細胞のアポトーシス分析を示す。アポトーシスの程度は、発光(RLU)シグナルによって示されている。
【
図20E】スタウロスポリン(STS)ストレスを与えた、または与えない、野生型RBM20ポリペプチドまたはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するH29C細胞のアポトーシス分析を示す。アポトーシスの程度は、発光(RLU)シグナルによって示されている。
【
図21】野生型またはR636S変異体RBM20ポリペプチドのいずれかを発現するように誘導されたH29C細胞(STSストレスで処理していない)の蛍光及びDIC画像を示す。
【
図22】細胞質凝集体を形成し、DAPI及びストレス顆粒タンパク質elF3eで共染色された、Dendra2で標識されたR636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように誘導されたH9C2細胞の蛍光画像を示す。
【
図23】R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。DMSO、リトコール酸、及びキナクリン2HClを細胞に加え、細胞質のR636S変異体RBM20凝集体の挙動を監視した。トランスフェクトされていないH9C2細胞をコントロールとして用いた。
【
図24A】R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。化合物トリプトリド(PG490)を加えて細胞質のR636S変異体RBM20凝集体の挙動をモニターした。
【
図24B】R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。BIOを加えて細胞質のR636S変異体RBM20凝集体の挙動をモニターした。
【
図24C】R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。ウプロセルチブ(GSK2141795)を加えて細胞質のR636S変異体RBM20凝集体の挙動をモニターした。
【
図24D】R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。アニソマイシンを加えて細胞質のR636S変異体RBM20凝集体の挙動をモニターした。
【
図24E】R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように一過性にトランスフェクトされたH9C2細胞の蛍光画像を示す。WS6を加えて細胞質のR636S変異体RBM20凝集体の挙動をモニターした。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物を特定するための組成物、システム、及び方法を提供するものである。本明細書に記載される開示は、少なくとも一部において、機能不全及び/または置換されたRBM20ポリペプチド及び異常なRBM20凝集体に関連する疾患メカニズム、ならびにRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する細胞経路を調節するうえで有用な化合物をスクリーニング及び特定するための組成物、システム、及び方法に関する予期せざる発見及び発明者の独自の洞察に基づいたものである。通常の生理学的条件下では、野生型RBM20は細胞質で産生された後、核に輸送され、そこでタイタンをはじめとするタンパク質をコードするRNAのスプライシングに関与するなどの生物学的機能を果たす。本明細書に記載されるように、特定の変異体RBM20ポリペプチドの発現及び/またはRBM20ポリペプチド(野生型RBM20ポリペプチドを含む)の過剰発現は、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチド及びRBM20凝集体の存在及び維持をもたらす。理論に束縛されずに言えば、本発明者らは、細胞質中のRBM20ポリペプチド及び/またはRBM20凝集体の存在は、異常な分子プロセスならびに拡張型心筋症(DCM)などの疾患の発症及び症状を引き起こす。例えば、変異体RBM20ポリペプチドを含むものなどの細胞質RBM20凝集体は、野生型RBM20ポリペプチドなどのタンパク質及び核酸を含む特定の生体分子のシンクとして機能しうる。これは、細胞生存率、細胞毒性、及び細胞増殖に影響する毒性機能の獲得につながる可能性がある。本明細書に記載されるアプローチは、RMB20関連疾患のメカニズムに関連する特徴を特定及び理解するうえで有用であり、かかるツール及び知見は、RBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの1つ以上の特性に望ましい影響を与える化合物をスクリーニングするうえで有用な組成物、システム、及び方法をさらに実現するものである。かかる組成物、システム、及び方法は、候補の特定及びリードの最適化を向上させるために創薬プラットフォームに組み込むこともできる。細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物の特定は、細胞質中のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの存在に関連する異常な分子プロセス、疾患、及び/または症状の治療または予防に有用な化合物の特定につながる可能性がある。
【0042】
本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施の形態及び詳細の変更を行うことが可能である点も当業者には理解されよう。さらに、様々な利点、態様、及び目的が様々な実施に関連して記載されているが、本開示の範囲はかかる利点、態様、及び目的を参照することにより限定されるべきではない。
【0043】
I.定義
本明細書を解釈する目的で以下の定義を適用し、それが適当な場合、単数形で使用される用語には複数形も含まれ、またその逆も成り立つ。以下に記載されるいずれかの定義が、参照により本明細書に援用されるいずれかの文献と矛盾する場合には、以下に記載される定義が優先する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「凝集体」とは、1つ以上のタンパク質及び/または他の巨大分子の相分離(相分離のすべての段階を含む)によって形成された、膜に封入されていない区画を意味する。
【0045】
本明細書で使用される「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基を含むポリマーを指して互換的に用いることができ、最小の長さに限定されない。かかるポリマーは、天然または非天然のアミノ酸残基、またはそれらの組み合わせを含むことができ、これらに限定されるものではないが、ペプチド、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体、及び多量体を含むことができる。完全長のポリペプチドまたはタンパク質、及びそれらの断片は、この定義に含まれる。これらの用語にはまた、これらの修飾された種、例えば、メチル化、リン酸化、グリコシル化、シアル化、またはアセチル化などの1つ以上の残基の翻訳後修飾も含まれる。
【0046】
「~を備える」、「~を有する」、「~を含有する」、「~を含む」、ならびに本明細書で使用される他の同様の形態、及びそれらの文法上の同等物はそれらの意味において同等であり、これらの語のいずれかに続く一乃至複数の項目がかかる一乃至複数の項目の包括的リストであることを意味するものではなく、列記された一乃至複数の項目のみに限定されることを意味するものでもないという点でオープンエンドであることを意図している。例えば、要素A、B、及びCを「含む」物品は、要素A、B、及びCで構成されてもよく(すなわち、これらのみを含む)、または、要素A、B、及びCのみでなく、1つ以上の他の要素を含むこともできる。したがって、「~を含む」及びその同様の形態、ならびにそれらの文法上の同等物は、「~から本質的になる」または「~からなる」の実施形態の開示を含むことを意図し、またそのように理解される。
【0047】
ある値の範囲が与えられる場合、文脈上、そうでない旨が明らかに示されないかぎり、下限値の単位の1/10までのその範囲の上限値と下限値との間のそれぞれの間の値、及びその記載された範囲内の他のすべての記載された値または間の値は、記載された範囲内の任意の具体的に除外される限界値を除き、本開示に包含される点を理解されたい。記載される範囲が一方または両方の限界値を含む場合、これらの含まれる限界値の一方または両方を除外した範囲もまた、本開示に含まれる。
【0048】
本明細書においてある値またはパラメータについて「約」と言う場合、その値またはパラメータ自体に対する変化量を含む(かつ記述する)。例えば、「約X」と言う場合の記述は、「X」の記述を含む。
【0049】
付属の特許請求の範囲を含む本明細書において使用される単数形「a」、「or」、及び「the」には、文脈によってそうでない旨が明確に示されないかぎり、複数の指示対象が含まれる。
【0050】
II.化合物を特定する方法
本開示は、いくつかの態様において、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、1つ以上の特性は、RBM20に関連する細胞メカニズムに関連しており、1つ以上の特性の調節は、細胞メカニズムの所望の調節をもたらす。本明細書に記載される特定の方法は、細胞質中のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を特定/評価/調節することに焦点を当てたものであり、かかる方法はまた、細胞質、核、または他の細胞小器官などの細胞系のあらゆる部分、または生化学的系におけるRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を特定/評価/調節するために用いることもできる。いくつかの実施形態では、RBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチド(例えば、野生型RBM20ポリペプチド)は細胞核に存在する。いくつかの実施形態では、RBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチド(例えば、変異体RBM20ポリペプチド)は細胞質に存在する。本明細書に記載される特定の方法は、非RBM20凝集体及び/または非RBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を特定/評価/調節するため、例えば、RBM20ではない生体分子を細胞質RBM20凝集体からその正常な位置(例えば、生体分子が細胞質RBM20凝集体中に隔離される前に存在していた、非RBM20凝集体などの位置)に放出することによってRBM20ではない生体分子を調節するために用いることもできる。したがって、本明細書に記載される特定の化合物(またはその部分)は、本明細書に記載されるRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する非RBM20凝集体及び/または非RBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を用いて、RBM20凝集体中の分子(タンパク質または核酸を含む生体分子など)の分配を調節する化合物を特定、評価、スクリーニング、及び/または設計することができる。例えば、いくつかの実施形態では、RBM20凝集体は、分子(野生型RBM20または非RBM20ポリペプチドを含む生体分子など)を隔離し、本明細書に記載される方法を用いて、RBM20凝集体から分子を排出する化合物を特定、評価、スクリーニング、及び/または設計することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を用いて、RBM20凝集体から野生型RRBM20ポリペプチドを排出する化合物を特定、評価、スクリーニング、及び/または設計することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を用いて、RBM20凝集体から非RBM20ポリペプチドを排出する化合物を特定、評価、スクリーニング、及び/または設計することができる。いくつかの実施形態では、分子(野生型RBM20または非RBM20ポリペプチドを含む生体分子など)は、いったんRBM20凝集体の外に出ると正常に機能する(例えば、正常な生物学的機能及び/または活性を有する)。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を用いて、RBM20凝集体内に非RBM20ポリペプチドを組み入れる化合物を特定、評価、スクリーニング、及び/または設計することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を用いて、RBM20凝集体内に非RBM20ポリペプチドを組み入れる化合物を特定、評価、スクリーニング、及び/または設計することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法を記載する。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(b)RBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物がRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法を記載する。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法を記載する。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、細胞と化合物またはその誘導体とを含む組成物中の1つ以上のRBM20凝集体に関連した特性を決定することを含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節することを示し、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記方法を記載する。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質(または核)のRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、細胞と化合物またはその誘導体とを含む組成物中のRBM20凝集体に関連した特性を決定することを含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物がRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記方法を記載する。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、細胞と化合物またはその誘導体とを含む組成物中の1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連した1つ以上の特性を決定することを含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及びまたはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節することを示し、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記方法を記載する。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞系内のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法を記載する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞系内のRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することと、(b)RBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することと、を含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物がRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記方法を記載する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞系内のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法を記載する。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞系内のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、細胞と化合物またはその誘導体とを含む組成物中の1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を決定することを含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節することを示し、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記方法を記載する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞系内のRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、細胞と化合物またはその誘導体とを含む組成物中のRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することを含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物がRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記方法を記載する。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞系内のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、細胞と化合物またはその誘導体とを含む組成物中の1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を決定することを含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節することを示し、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記方法を記載する。いくつかの実施形態では、本明細書では、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)化合物と、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液と、追加の凝集体溶液と、を混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を決定することと、を含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節することを示す、前記方法を記載する。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書では、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法であって、(a)特定の物質と、RBM20ポリペプチドを含む溶液とを化合物の存在下で加え合わせることであって、物質が1つ以上のRBM20凝集体の形成を引き起こすことができ、物質が溶液と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、(b)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法を記載する。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、以下、すなわち、(i)1つ以上のRBM20凝集体の位置、(ii)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布、(iii)1つ以上のRBM20凝集体の数、(iv)1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、(v)1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比、(vi)1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性、(vii)1つ以上のRBM20凝集体の組成、(viii)1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、(ix)1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数、(x)1つ以上のRBM20凝集体の安定性、(xi)1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、(xii)1つ以上のRBM20凝集体の表面積、(xiii)1つ以上のRBM20凝集体の球形度、(xiv)1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び(xv)1つ以上のRBM20凝集体の固化のうちのいずれか1つ以上に基づいたものである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドに関連する特性は、以下、すなわち、(i)RBM20ポリペプチドの位置、(ii)RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、(iii)1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの凝集体分配、(iv)RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性、(v)RBM20ポリペプチドの凝集、(vi)RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態、及び(vii)RBM20ポリペプチド分解産物の量のうちのいずれか1つ以上に基づいたものである。
【0067】
本明細書に記載される方法は、低スループットまたは高スループットの多くの形態(例えば、細胞ベースの方法または生化学的方法、例えばインビトロ法など)を有することができ、これらの方法で使用される成分(例えば、細胞またはRBM20ポリペプチド)は、本明細書に記載されるもの以外の方法を含むさまざまな形で使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、例えば、RBM20ポリペプチドの核移行、細胞質RBM20ポリペプチド(位置または機能の調節など)、または細胞質RBM20凝集体(位置または機能の調節など)のいずれか1つ以上を調節する化合物を特定するために用いることができる。本明細書で提供される方法の特定の実施形態及びその構成要素の説明は、本開示の範囲を限定することを目的とするものではなく、当業者であれば、本明細書に記載される実現形態の形態及び細部に本開示の範囲から逸脱することなく変更を行うことができる点は直ちに理解されよう。
【0068】
A.細胞ベースの方法
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、細胞ベースの方法である。当業者であれば、凝集体及びその成分の状態を含む細胞プロセスは動的なものである点は容易に認識されよう。したがって、本明細書に記載される方法は、RBM20ポリペプチド及び/またはRBM20凝集体のライフサイクルの任意の時点で細胞を化合物と接触させることを含む。例えば、本方法は、RBM20ポリペプチドが細胞の任意の位置に、任意の量で存在する場合、またはリン酸化残基の有無、またはそのレベルなどの任意の翻訳後修飾状態を有する場合に細胞を化合物と接触させることを含む。いくつかの態様において、本方法は、例えば、RBM20凝集体が細胞の任意の位置にあり、任意の量で存在し(存在しない場合を含む)、サイズまたは流動性の変化などの形態学的変化を生じているか、または組成が変化している場合に細胞を化合物と接触させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物と細胞を含む組成物とを混合することを含み、(i)細胞は、1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物に接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物と細胞を含む組成物とを混合することを含み、細胞は1つ以上のRBM20凝集体を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物と細胞を含む組成物とを混合することを含み、化合物が組成物に接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物と細胞を含む組成物とを混合または接触させる前に1つ以上のRBM20凝集体を形成することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物と細胞を含む組成物とを混合または接触させた後で1つ以上のRBM20凝集体を形成することを含む。いくつかの実施形態では、化合物と細胞を含む組成物とを混合することにより、1つ以上のRBM20凝集体が形成される。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、RBM20凝集体の形成は、例えば、RBM20ポリペプチドまたは凝集体の足場タンパク質などのポリペプチドの発現を誘導することによって、またはクラウディング剤を添加することによって誘発することができる。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、2つ以上、例えば2、3、4、または5種のいずれかの化合物を、細胞を含む組成物と混合する。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、細胞を含む組成物は、化合物と複数回接触させられ、例えば、化合物の複数のアリコートが、複数の時点で細胞を含む組成物と混合される。
【0069】
i.細胞ベースの方法における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性
いくつかの態様において、本明細書では、細胞の細胞質(または別の成分)中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性(1、2、3、4、または5つの特性などの1つ以上の特性を含む)を調節する化合物(またはその部分)を特定する方法を記載する。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節する化合物を特定する。いくつかの実施形態では、本方法は、RBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、以下、すなわち、(i)1つ以上のRBM20凝集体の位置、(ii)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布、(iii)1つ以上のRBM20凝集体の数、(iv)1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、(v)1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の数の比、(vi)1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性、(vii)1つ以上のRBM20凝集体の組成、(viii)1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、(ix)1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数、(x)1つ以上のRBM20凝集体の安定性、(xi)1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、(xii)1つ以上のRBM20凝集体の表面積、(xiii)1つ以上のRBM20凝集体の球形度、(xiv)1つ以上のRBM20凝集体の流動性、(xv)1つ以上のRBM20凝集体の固化、(xvi)RBM20ポリペプチドの位置、(xvii)RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、(xviii)1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの凝集体分配、(xix)RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性、(xx)RBM20ポリペプチドの凝集、(xxi)RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態、及び(xxii)RBM20ポリペプチド分解産物の量のうちのいずれか1つ以上に基づいたものである。
【0070】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、細胞の細胞質のいずれかの態様にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、細胞小器官、非膜結合細胞区画(例えば、ストレス顆粒内またはストレス顆粒と共局在する)、または細胞質の粒子内、またはそれらとの会合に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、1つ以上のRBM20凝集体と核または中心体などの別の細胞要素との会合を記述する。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、核または中心体などの別の細胞要素に対するものである。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、核または中心体などの別の細胞要素との距離に基づいたものである。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、細胞の核のいずれかの態様にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、パラスペックル内にあるかまたはパラスペックルと共局在する。
【0071】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布は、細胞質の細胞要素または視野などの細胞質の一部における1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の分布は、細胞質中の核、細胞小器官、または粒子などの細胞要素に対する1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布は、細胞質中の位置に対する、視野などの細胞質の一部における1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布は、参照点に対する各RBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の距離に基づいたものである。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布は、核の一部における1つ以上のRBM20凝集体(及び/またはRBM20ポリペプチド)の分布である。分布は、均一である場合(例えば、細胞質及び/または核全体で均一なRBM20ポリペプチド)も均一でない場合もある。
【0072】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、細胞のある態様または領域内のRBM20凝集体の総数である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、細胞質中のRBM20凝集体の総数である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、細胞質の合計よりも少ない測定値に基づく、細胞質中のRBM20凝集体の総数の推定値である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、視野内または細胞要素との会合など、細胞質の一部におけるRBM20凝集体の数である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、核内のRBM20凝集体の総数である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、核の合計よりも少ない測定値に基づく、核内のRBM20凝集体の総数の推定値である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、視野内または細胞要素との会合など、核の一部におけるRBM20凝集体の数である。
【0073】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、例えば直径などの凝集体にわたる最大寸法の測定値に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの外周に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面積、または平面図などのその画像化された表現に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの体積に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の平均サイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の粒度分布(d5、d10、d90、またはd95など)に基づく。
【0074】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の量に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、細胞の一部における1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、細胞質の一部における1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、核の一部における1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズに基づく。
【0075】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の数の比は、1つ以上のRBM20凝集体とRBM20ポリペプチドを含まない別の凝集体の数の比である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の数の比は、細胞質の一部における1つ以上のRBM20凝集体と細胞質の別の部分における1つ以上のRBM20凝集体の数の比である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の数の比は、1つ以上のRBM20凝集体と核内に位置するRBM20ポリペプチドを含む凝集体の数の比である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体と、RBM20ポリペプチドを含まない別の凝集体または核内のRBM20凝集体などの参照凝集体の量の比に基づく。
【0076】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性は、RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性は、RBM20ポリペプチド以外の別のポリペプチドまたは核酸に関連する機能的活性に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性は、RBM20凝集体内の、またはRBM20凝集体と会合したRBM20ポリペプチド以外の別のポリペプチドまたは核酸に関連する機能的活性に基づく。
【0077】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、1つ以上のRBM20凝集体の生体分子などの少なくとも1つの他の成分に対するRBM20ポリペプチドの量である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、ポリペプチド、核酸、または化合物などの、RBM20ポリペプチド以外の少なくとも1つの成分の存在、レベル、または不在である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、凝集体内の変異体RBM20ポリペプチドに対する野生型RBM20ポリペプチドの量である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、凝集体内の第2の変異体RBM20ポリペプチドに対する第1の変異体RBM20ポリペプチドの量である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、第2のRBM20ポリペプチドに対する第1のRBM20ポリペプチドの量であり、第1と第2のRBM20ポリペプチドは、翻訳後修飾の違いなどの組成の違いを有する。
【0078】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化は、1つ以上のRBM20凝集体と別のポリペプチド及び/または核酸との共局在化である。いくつかの実施形態では、生体分子はポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、生体分子は、DNAまたはRNAなどの核酸を含む。いくつかの実施形態では、生体分子は、化合物を混合する前に、及び/または1つ以上のRBM20凝集体(例えば、変異体RBM20ポリペプチドを含む細胞質RBM20凝集体)の形成前に、RBM20ポリペプチド成分を含まない別の凝集体と会合している。
【0079】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数は、1つ以上のRBM20凝集体から拡散する、野生型または変異体RBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドの拡散係数である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数は、1つ以上のRBM20凝集体から拡散する、RBM20ポリペプチドではない成分(例えば、他のタンパク質、核酸、または化合物)の拡散係数である。
【0080】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、細胞活性の存在下、または化合物の存在下における、1つ以上のRBM20凝集体の経時的な安定性である。いくつかの実施形態では、安定性は、例えば、1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、数、形状、または量の維持に基づく。
【0081】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、例えば直径などの凝集体にわたる最大寸法の測定値に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの外周に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体の平均サイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体の粒度分布(d5、d10、d90、またはd95など)に基づく。
【0082】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の表面積は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、外周などの寸法特性に基づいた推定表面積である。
【0083】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれが完全な球体にどれだけ似ているかに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面図または上面図に基づく推定球形度である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の形状に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、形状タイプを有するかまたは形状パラメータを満たす1つ以上のRBM20凝集体の部分である。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、1つ以上のRBM20凝集体同士が互いにどのように融合するか、及び/または1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造、サイズ、形状、球形度、体積、数、及び/または表面積の経時的な変化に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、繊維形成に基づく。
【0085】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの位置は、細胞の細胞質のいずれかの態様にある。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの位置は、細胞小器官または細胞質の粒子内にあるか、またはこれらとの会合に基づく。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの位置は、RBM20ポリペプチドと、核などの別の細胞要素との会合を記述する。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの位置は、核または1つ以上のRBM20凝集体などの別の細胞要素に対するものである。
【0086】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量は、RBM20ポリペプチドの前駆体またはmRNAなどのRNAの量である。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量は、細胞質または核などの細胞の部分におけるRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量に基づく。
【0087】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの凝集は、RBM20ポリペプチドの非相分離凝集である。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドに関連する特徴は、RBM20ポリペプチドの凝集の量または相対量などのレベルである。
【0088】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性は、核内に位置する場合の野生型RBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドの正常な活性に基づく(例えば、RNAスプライシング)。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性は、筋細胞または心臓機能(例えば、カルシウムハンドリング、駆出率、左室内径短縮率、QTまたはQTc間隔)、またはサルコメアの長さ/完全性などの細胞表現型などの細胞プロセスの機能または特徴に基づく。
【0089】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態は、少なくとも1つのリン酸化またはメチル化の存在、レベル、または不在に基づく。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態は、S635のリン酸化の有無に基づく。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態は、R636Sのリン酸化の有無に基づく。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態は、S637のリン酸化の有無に基づく。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態は、S635及びS637のリン酸化の有無に基づく。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態は、S635、R636S、及びS637のリン酸化の有無に基づく。
【0090】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチド分解産物の量は、RBM20ポリペプチドのタンパク質分解産物などの産物の量である。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチド分解産物の量は、細胞質または核などの細胞の部分におけるRBM20ポリペプチド分解産物の量に基づく。
【0091】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドに関連する特徴(例えば、機能的活性)は、タイタンスプライシングの有無、またはそのレベルに基づく。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体及び/または細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドに関連する複数の特性を評価する。例えば、いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体の位置、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布、1つ以上のRBM20凝集体の数、1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、及び1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比を含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性をさらに含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体の組成、及び1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化を含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性をさらに含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体の安定性、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、及び1つ以上のRBM20凝集体の表面積を含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体の球形度、1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、及び1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数を含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体の安定性、及び1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小を含む。いくつかの実施形態では、特性は、1つ以上のRBM20凝集体の表面積、1つ以上のRBM20凝集体の球形度、1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、特性は、RBM20ポリペプチドの位置、及びRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量を含む。いくつかの実施形態では、特性は、RBM20ポリペプチドの位置、RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、及びRBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態を含む。いくつかの実施形態では、特性は、RBM20ポリペプチドの位置、RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、及びRBM20ポリペプチドに関連する機能的活性を含む。いくつかの実施形態では、特性は、RBM20ポリペプチドの位置、RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態、及びRBM20ポリペプチドに関連する機能的活性を含む。
【0094】
ii.細胞ベースの方法における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性の決定
細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、いくつかの実施形態では、例えば、細胞質またはその部分における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの評価、例えば、核などの細胞の内部、外部、または細胞に関連する他の任意の位置またはその部分における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの評価、または別のRBM20凝集体成分などの別の生体分子の評価のいずれか1つ以上に基づいて決定することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、少なくとも1つの細胞またはその少なくとも1つの部分の評価に基づく。いくつかの実施形態では、評価は複数の細胞について行われる。いくつかの実施形態では、細胞の部分は、顕微鏡の視野などの視野、またはその部分である。いくつかの実施形態では、細胞の部分は、細胞の画像の定義された領域、またはその部分である。いくつかの実施形態では、定義された領域は、1つ以上の細胞要素(例えば、蛍光融合タンパク質の発現、核色素、またはIF染色による)、例えば、核または細胞膜の境界に基づく。いくつかの実施形態では、定義された領域は、手作業またはソフトウェアなどによって任意に定義される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、反復評価に基づく。いくつかの実施形態では、反復評価は、画像の複数の部分または複数の画像に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、画像の2つ以上の部分、2つ以上の画像、または少なくとも2つ以上の画像から得られた2つ以上の部分から得られる平均または分布に基づく。
【0096】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、イメージング法に基づく。いくつかの実施形態では、イメージング法は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を評価するためのデータを提供する。いくつかの実施形態では、イメージング法は、細胞またはその部分を含む組成物の1つ以上の画像を取得することを含む。いくつかの実施形態では、画像は、2次元画像である。いくつかの実施形態では、画像は、3次元画像またはそのレンダリングである。いくつかの実施形態では、イメージング法は、蛍光活性化セルソーター(FACS)法、または蛍光活性化粒子ソーティング(FAPS)法など、本明細書に記載される方法において有用な別の方法の特徴と組み合わされる。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、イメージング法によって、細胞を含む組成物などの試料またはその一部を画像化することを含む。いくつかの実施形態では、イメージング法は、蛍光イメージング法である。いくつかの実施形態では、イメージング法は、蛍光イメージング法を含む。いくつかの実施形態では、イメージング法は、比色分析及び蛍光イメージング法を含む。いくつかの実施形態では、検出される光は、化合物またはRBM20ポリペプチドへの標識の取り込みまたは結合など、標的の直接標識によるものである。いくつかの実施形態では、直接標識は、Dendra2、GFP、またはmCherryを含む。いくつかの実施形態では、検出される光は、RBM20ポリペプチドに特異的に結合する標識プローブ、例えば、標識された抗RBM20抗体またはそのフラグメント、核色素、またはアポトーシスにおいて細胞膜の外葉に露出するホスファチジルセリン(PS)に結合するアネキシンVルシフェラーゼなどの標的の間接標識によるものである。いくつかの実施形態では、特性を決定することは、免疫蛍光技術を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、直接標識技術及び間接標識技術の使用を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本方法は、RBM20凝集体及び/または存在する場合にはRBM20ポリペプチド、または存在する場合には生体分子以外など、細胞の1つ以上の細胞特性を決定することをさらに含む。当業者であれば、細胞特性は多くの方法で決定することが可能である点は容易に認識されよう。いくつかの実施形態では、本方法は、組成物または細胞の少なくとも一部を染色と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、染色は蛍光染色である。いくつかの実施形態では、染色は組織化学的染色である。いくつかの実施形態では、染色は、免疫組織化学または免疫細胞化学技術で使用されるような免疫ベースの染色である。いくつかの実施形態では、染色は、存在する場合、原形質膜または細胞膜、細胞質、細胞骨格、核、小胞体(粗面及び/または滑面)、リボソーム、ゴルジ体、リソソーム、ミトコンドリア、液胞、または中心体のいずれか1つ以上の少なくとも一部などの細胞要素の視覚化を可能とする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、組成物または細胞の少なくとも一部を固定液と接触させることをさらに含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上の画像を分析して、細胞の細胞質(または核)中の1つ以上のRBM20凝集体及び/または細胞の細胞質(または核)中のRBM20ポリペプチドに関連する特性を評価することを含む。いくつかの実施形態では、分析することは、細胞境界、または細胞小器官などの細胞の一部の境界をマッピングすることを含む。いくつかの実施形態では、分析することは、RBM20凝集体などの凝集体の境界をマッピングすることを含む。いくつかの実施形態では、画像を分析することは、分析ソフトウェアによって完了及び/または促進される。いくつかの実施形態では、1つ以上の画像は、経時的試験などで比較される。いくつかの実施形態では、分析することは、1つ以上のRBM20凝集体、RBM20ポリペプチド、生体分子(例えば、RBM20ポリペプチドではない共局在化ポリペプチド)、RBM20ポリペプチドを含まない凝集体、及び/または化合物(例えば、凝集体との共局在化化合物)のシグナル(例えば、蛍光融合タンパク質、IF染色、または発光のシグナル)強度を測定することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、分析することは、mCherryによってマークされたRBM20凝集体の境界内で、mCherry標識に結合された変異体R636S RBM20ポリペプチドのmCherryシグナル、及びDendra2標識に結合されたNestinポリペプチドのDendra2シグナルを測定することを含む。いくつかの実施形態では、分析することは、凝集体の境界内の測定信号などの測定信号の濃縮を計算することをさらに含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、その特性を有するRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドを有する細胞の数と、その特性を有するRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドを有さない細胞の数との比に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、その特性を有するRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドを有する細胞の数に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、例えば、RBM20ポリペプチドではない生体分子を含むRBM20凝集体の数の比など、細胞内(または視野内)のその特性を有するRBM20凝集体の数の比に基づいて決定される。
【0101】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、ある期間にわたって、例えば、2つ以上の時点で決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、ある期間にわたった特性の変化を評価することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、細胞増殖、アポトーシス、または壊死を、例えば、細胞形態、アポトーシスマーカー(例えば、露出されたPS)などの細胞マーカーの染色、またはヨウ化プロピジウム(PI)染色を監視することなどによって、ある期間にわたって監視する。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドのサイズ、量、位置(例えば、細胞質または核)、及び/または分布(例えば、細胞質または核全体で均一)が、RBM20ポリペプチドが細胞内で発現された(例えば、一過性トランスフェクションによって、またはTetOnシステムによる発現のドキシサイクリン誘導によって)後のある期間にわたって決定される。
【0102】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上の測定値及び/または技術を使用して決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する複数の特性が、1つ以上の測定値及び/または技術を使用して決定される。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、例えば、凝集体、ポリペプチド、及び/またはそれらの前駆体の可視化、分析、及び/または定量化のための技術を含む。かかる技術は、当業者には周知のものである。例えば、本明細書には、細胞系と適合性のあるものを含む、蛍光標識されたポリペプチドなどのポリペプチドを可視化するための顕微鏡法が含まれる。翻訳後修飾、ポリペプチドの定量化、及びRBM20凝集体の組成の試験(例えば、架橋MS技術、すなわち「XL-MS」による)を含む、ポリペプチドの組成を分析するための質量分析(MS)技術も本明細書に含まれる。細胞プロセス、細胞生存率、細胞毒性、及び細胞増殖を評価するための機能アッセイも本明細書に含まれる。本明細書には、濃縮及び/または単離技術、例えば、細胞分画を単離するための遠心分離技術、またはポリペプチドもしくは核酸を単離するための親和性に基づく技術も含まれる。いくつかの実施形態では、技術は、1つ以上の細胞または1つ以上の細胞の定義された領域(複数可)内の特性を評価する。いくつかの実施形態では、技術は、1つ以上の細胞または1つ以上の細胞の定義された領域(複数可)内の強度、面積、及び凝集体の数のうちの1つ以上を評価する。いくつかの実施形態では、技術は、その特性を有するかまたは有さない細胞の数を評価する。いくつかの実施形態では、技術は、その特性を有するかまたは有さない細胞内の凝集体の数を評価する。いくつかの実施形態では、本方法は、zスコアを使用してアッセイ及びそれからの結果を評価することを含む。Zスコア、及びその使用は、当該技術分野では周知のものである。例えば、Zhang et al.,J Biomol Screen,1999を参照されたい。
【0104】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置は、細胞要素、例えば、細胞質または核、または細胞の一部に関連したものなど、細胞の少なくとも一部における1つ以上のRBM20凝集体の有無、またはそれらのレベルを評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の位置を決定することは、細胞要素を決定することを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布は、細胞要素に対する、または視野などの細胞の部分内の1つ以上のRBM20凝集体の有無、またはそのレベルを評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布を決定することは、細胞の任意に決定された点またはその画像に対する1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布を決定することを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、細胞質または核などの細胞内のRBM20凝集体の総数を評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、例えば、細胞質または核などの細胞の、視野などの部分内のRBM20凝集体の数を評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、細胞の合計よりも少ない測定値に基づき、細胞質または核などの細胞またはその部分内のRBM20凝集体の総数を推定することにより決定される。
【0107】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、例えば直径などの凝集体にわたる最大寸法の測定値を評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの外周を評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面積、または平面図などのその画像化された表現を評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、動的光散乱技術などの粒子サイズ測定技術によって決定される。
【0108】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の数の比は、細胞の細胞質中のRBM20凝集体の数と参照凝集体の数とを評価することにより決定され、ただし、参照凝集体はRBM20ポリペプチドを含まない。いくつかの実施形態では、参照凝集体は細胞の細胞質中にある。いくつかの実施形態では、参照凝集体は細胞の核内にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の数の比は、細胞の細胞質中のRBM20凝集体の数とRBM20ポリペプチドを含む核凝集体などの核内の参照凝集体の数とを評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数と参照凝集体の数の比は、第1のRBM20ポリペプチドを含むRBM20凝集体の数と参照凝集体の数とを評価することによって決定され、ただし、参照凝集体は、第2のRMB20ポリペプチドを含む凝集体である。
【0109】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズ評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、細胞質または核などの細胞の一部、または細胞の画像の一部において決定される。
【0110】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性は、1つ以上のRBM20凝集体に関連する細胞プロセスの前駆体、中間体、または産物を評価することにより決定される。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性は、酵素活性またはその産物の有無、またはそのレベルを評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性は、タイタンのアイソフォームまたはその前駆体の有無、またはそのレベルを評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性は、ポリペプチドまたはDNAまたはRNAなどの核酸のうちの1つ以上の有無、またはそのレベルを評価することにより決定される。
【0111】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、1つ以上のRBM20凝集体の、またはこれに関連する少なくとも1つの他の成分の有無、またはそのレベルを評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成を決定することは、RBM20ポリペプチドに対する、1つ以上のRBM20凝集体の、またはこれに関連する少なくとも1つの他の成分を決定することを含む。いくつかの実施形態では、他の成分は、直接的または間接的に測定することなどにより評価される。いくつかの実施形態では、他の成分は、APEXまたはXL-MSなどの質量分析技術を用いて評価される。いくつかの実施形態では、他の成分(例えば、その有無)は、FAPS技術を用いて評価される。いくつかの実施形態では、他の成分は、標識を他の成分に直接結合するかまたは免疫標識を使用するなどの標識技術を使用して評価される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体は他の細胞成分から単離及び/または濃縮される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体は、例えばインサイチューで評価されるなど、他の細胞成分から単離及び/または濃縮されない。1つ以上のRBM20凝集体の組成は、決定される前に固定されても固定されなくともよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体と、例えば、RNAまたはアクチンなどのタンパク質などの生体分子、または化合物との共局在化は、1つ以上のRBM20凝集体中の、またはこれに関連する生体分子(または化合物)の有無、またはそのレベルを評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、生体分子(または化合物)は、直接的または間接的に測定することなどにより評価される。いくつかの実施形態では、生体分子は、APEXまたはXL-MSなどの質量分析技術を用いて評価される。いくつかの実施形態では、生体分子(例えば、その有無)は、FAPS技術を用いて評価される。いくつかの実施形態では、生体分子は、標識を他の成分に直接結合するかまたはIF技術で用いられるような免疫標識を使用するなどの標識技術を使用して評価される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体は、他の細胞成分から単離及び/または濃縮された後、1つ以上のRBM20凝集体中の、またはこれに関連する生体分子の有無、またはそのレベルが評価される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体は、例えばインサイチューで評価されるなど、他の細胞成分から単離及び/または濃縮されない。1つ以上のRBM20凝集体、または1つ以上のRBM20凝集体を含む細胞は、決定を行う前に固定されても固定されなくともよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のRBM20ポリペプチドなどの成分の拡散係数は、蛍光相関分光法に基づいて決定される。
【0114】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、融合または分裂法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、細胞活性の存在下、または化合物の存在下で、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造の安定性の経時的な変化に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれのサイズ、形状、球形度、体積、または表面積のいずれか1つ以上を評価することに基づいて決定される。
【0115】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、細胞活性の存在下、または化合物の存在下における、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造の経時的な変化に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれのサイズ、形状、球形度、体積、数(その不在を含む)、または表面積のいずれか1つ以上を評価することに基づいて決定される。
【0116】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の表面積は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの測定されたパラメータ(例えば、外周、凝集体にわたる最大寸法の測定値)を用いて表面積を推定することに基づいて決定される。
【0117】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、3D格子光シート法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、2Dイメージング法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面図または上面図に基づいて決定される。
【0118】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、融合または分裂法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造の経時的変化に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれのサイズ、形状、球形度、体積、数、または表面積のいずれか1つ以上の変化を評価することに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、繊維形成及びその程度に基づいて決定される。
【0119】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの位置は、蛍光イメージング法などのイメージング法によって決定される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの位置は、直接的(例えば、標識されたRBM20ポリペプチドを使用して)または間接的(例えば、標識されたプローブ、例えば、標識された抗RBM20抗体またはそのフラグメントを使用して)に決定される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、細胞質または核などの細胞の画分から単離され、その後、細胞のその画分をRBM20ポリペプチドの有無、またはそのレベルについて評価する。
【0120】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドまたはRNAなどのその前駆体の量は、蛍光イメージング法などのイメージング法によって決定される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの量は、直接的(例えば、標識されたRBM20ポリペプチドを使用して)または間接的(例えば、標識されたプローブ、例えば、標識された抗RBM20ポリペプチドを使用して)に決定される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドまたはその前駆体は、細胞質または核などの細胞の画分から単離され、その後、細胞のその画分をRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量について評価する。ウエスタンブロット、免疫沈降法(IP)、インサイチューの免疫蛍光(IF)染色、FISH、ノーザンブロット、またはqPCRなどの当該技術分野では周知の任意の方法を使用してRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量を定量化することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの凝集体分配は、1つ以上のRBM20凝集体中の、または1つ以上のRBM20ポリペプチドに関連するRBM20ポリペプチドの量と比較した、1つ以上のRBM20凝集体から拡散されるRBM20ポリペプチドの量に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体中への凝集体分配は、RBM20ポリペプチドではない1つ以上の他の生体分子(例えば、他のポリペプチド、または核酸)または化合物について決定される。いくつかの実施形態では、凝集体分配は、例えば、生体分子(例えば、RBM20ポリペプチド)または化合物を直接標識するか、または標識プローブを使用すること(例えば、抗体染色)などにより間接的に標識することにより、蛍光イメージング法などのイメージング法によって決定することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性は、タイタンのスプライシングの状態など、核内に位置する場合のRBM20ポリペプチドの正常な活性に基づく。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性は、タイタンスプライシングアッセイによって決定される。
【0123】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの凝集は、非相分離RBM20ポリペプチド凝集の有無、またはそのレベルに基づいて決定される。
【0124】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態は、1つ以上のリン酸化またはメチル化などのRBM20ポリペプチドPTMの有無、またはそのレベルに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドのPTM状態を決定することは、改変されたRBM20ポリペプチドの1つ以上の種を濃縮することを含む。いくつかの実施形態では、翻訳後修飾の有無、またはそのレベルは、抗ホスホ抗体を使用するなど、IF染色によって決定することができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチド分解産物の量は、本明細書に記載されるタンパク質測定法のようなタンパク質測定法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチド分解産物の量は、質量分析法またはウエスタンブロット法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、タンパク質測定法は定量的である。
【0126】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及びRBM20ポリペプチドに関連する特性(例えば、組成)は、免疫蛍光法、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)、質量分析(MS)、RNA-seq、またはNMR分光法などに基づいて決定される。
【0127】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性(例えば、流動性及び/または固化)は、光褪色後蛍光回復(FRAP)法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、FRAP法は、完全な凝集体を評価するため、例えば、1つ以上のRBM20凝集体の成分の、細胞質または核との交換を測定するために実施される。いくつかの実施形態では、FRAP法は、半分の凝集体を評価するため、例えば、1つ以上のRBM20凝集体内の内部動力学を測定するために実施される。
【0128】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、Dendra2などのフルオロフォアの光変換に基づいて決定される。
【0129】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、蛍光相関分光(FCS)法に基づいて決定される。
【0130】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの温度応答性に基づいて決定される。
【0131】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、細胞内における融合及び/または分裂などの凝集体の融合及び/または分裂の追跡に基づいて決定される。
【0132】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、3D格子光シート法に基づいて決定される。
【0133】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、誘導放出抑制(STED)顕微鏡法、確率的光学再構築微鏡法(STORM)、光活性化局在性顕微鏡法(PALM)、またはそれらのハイブリッドなどの超解像度イメージング法に基づいて決定される。
【0134】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、紫外可視(UV-Vis)分光法、X線小角散乱法、または静的及び動的光散乱(SLS/DLS)法に基づいて決定される。例えば、動的光散乱法(DLS)、静的光散乱法(STS)、小角光散乱法(SLS)などの光散乱法を使用して、凝縮体のサイズ及び形状を決定することができる。Basturea,G.N.(“Biological Condensates,”MATER METHODS 2019;9:2794)に記載されるさまざまなインビトロ及び細胞内凝集体分析法も参照されたい。
【0135】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、細胞ストレスの存在下で決定される。例えば、いくつかの実施形態では、細胞ストレスは、低酸素症、酸化ストレス、アポトーシスストレス(例えば、スタウロスポリン)、エネルギーストレス(OXPHOSまたは解糖)、ATP枯渇、熱などの温度、または例えば心臓の拍動の不規則または過剰な頻度において発生するものなどの機械的ストレスのうちの1つ以上である。
【0136】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、心筋細胞などの細胞における拍動/収縮の存在下で決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、心筋細胞のカルシウムハンドリング、駆出率、左室内径短縮率、QTまたはQTc間隔に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、サルコメアの長さ/完全性に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、原子間力顕微鏡法を使用して適用されるものなど、外的機械力の存在下で決定される。
【0137】
いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの有無、またはそのレベルの変化に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中の1つ以上のRBM20凝集体の数の減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中の1つ以上のRBM20凝集体の数の増加に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質または核内における1つ以上のRBM20凝集体の形成などの、1つ以上のRBM20凝集体の形成に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中の1つ以上のRBM20凝集体のサイズの減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中の1つ以上のRBM20凝集体のサイズの増加に基づく。
【0138】
いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中のRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量の減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中のRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量の増加に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、RBM20ポリペプチドに対する1つ以上の翻訳後修飾の存在の増加に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、RBM20ポリペプチドに対する1つ以上の翻訳後修飾の存在の減少に基づく。
【0139】
いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の核内の1つ以上のRBM20凝集体の量の増加に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の核内のRBM20ポリペプチドの量の増加に基づく。
【0140】
いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)などの細胞の一部における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する機能的活性の減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)などの細胞の一部における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する機能的活性の増加に基づく。
【0141】
いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20凝集体内のRBM20ポリペプチドではない生体分子(例えば、他のポリペプチド、または核酸)の有無、またはそのレベルの変化に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中の1つ以上のRBM20凝集体内の生体分子の量の減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、細胞の細胞質(または核)中の1つ以上のRBM20凝集体内の生体分子の量の増加に基づく。
【0142】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、心臓のサイズまたはその特徴などの心臓または心臓組織、及び筋収縮(例えば、駆出率、左室内径短縮率、QTまたはQTc間隔)に関連する特性に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、タイタンのスプライシングに基づいて決定される。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節するための化合物の特異性を決定することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、第1のRBM20凝集体及び第2のRBM20凝集体に関連する特性の調節を決定することを含み、化合物は、第1のRBM20凝集体の特性を調節するが第2のRBM20凝集体の特性は調節しない。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は野生型RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は変異体RBM20ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は変異体RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は野生型RBM20ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は核内にあり、第2のRBM20凝集体は細胞質中にある。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は細胞質中にあり、第2のRBM20凝集体は核内にある。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は第1の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は第2の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第1と第2の変異体RBM20ポリペプチドとは異なる。
【0144】
いくつかの実施形態では、本方法は、RBM20凝集体及び非RBM20凝集体(RBM20ポリペプチドを含まない凝集体)に関連する特性の調節を決定することを含み、化合物はRBM20凝集体の特性を調節するが非RBM20凝集体の特性は調節しない。いくつかの実施形態では、本方法は、RBM20凝集体及び非RBM20凝集体(RBM20ポリペプチドを含まない凝集体)に関連する特性の調節を決定することを含み、化合物はRBM20凝集体の特性を調節するが非RBM20凝集体の特性は調節しない。例えば、いくつかの実施形態では、化合物は、疾患またはストレス状態下でRBM20凝集体に隔離されているRBM20ポリペプチドではない生体分子を、健康なまたは非ストレス状態下で生体分子が存在していなければならない非RBM20凝集体または細胞位置(例えば、細胞質または核)に再配置する。いくつかの実施形態では、化合物は、RBM20ポリペプチドを、(例えば、疾患またはストレス状態下の)細胞質中のRBM20凝集体から、健康なまたは非ストレス状態下で生体分子が存在していなければならない核内の凝集体に再配置する。
【0145】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のRBM20凝集体及び第2のRBM20凝集体に関連する特性の調節を決定することを含み、化合物は、第1のRBM20凝集体及び第2の凝集体の特性を調節する。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は野生型RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は変異体RBM20ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は第1の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は第2の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第1と第2の変異体RBM20ポリペプチドとは異なる。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は細胞質中にあり、第2のRBM20凝集体は核内にある。いくつかの実施形態では、両方のRBM20凝集体が核内にある。いくつかの実施形態では、両方のRBM20凝集体が細胞質中にある。
【0146】
いくつかの実施形態では、本方法は、細胞生存率、細胞毒性、及び細胞増殖のうちの1つ以上を決定することを含む。いくつかの実施形態では、細胞生存率は、生細胞の数及び/または細胞機能と相関するマーカーによって評価される。いくつかの実施形態では、細胞生存率は、Titer glo法を使用するなど、ATPのレベルによって評価される。いくつかの実施形態では、細胞生存率は、RealTime-Glo(登録商標)MT法を使用するなど、細胞代謝によって評価される。いくつかの実施形態では、細胞毒性(例えば、アポトーシスまたは壊死)は、RealTime-Glo(登録商標)アネキシンVアポトーシス及び壊死アッセイを使用するなど、PS露出または膜の完全性の喪失により評価される。いくつかの実施形態では、細胞生存率は、ピューロマイシン取り込みを用いるなど、翻訳により評価される。いくつかの実施形態では、細胞毒性は、死細胞及び/または死にかけている細胞の数と相関するマーカーにより評価される。いくつかの実施形態では、細胞毒性は、細胞透過性色素を使用するなど、膜の完全性により評価される。いくつかの実施形態では、細胞毒性は、アネキシンVまたはTUNELを使用するなどのアポトーシスまたは壊死マーカーにより、またはヨウ化プロピジウム(PI)染色によって評価される。DNAラダー形成、TUNELによるDNA断片化の分析、ヒストン/DNAフラグメントに対する酵素結合免疫吸着アッセイ、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ切断アッセイ、及び末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ介在dUTPニック末端標識アッセイなどの当該技術分野では周知のいずれのアポトーシスアッセイも本明細書で使用することができる。いくつかのアポトーシスマーカーを評価することができる。例えば、抗アポトーシスBcl-2ファミリータンパク質の切断は、タンパク質切断のウエスタンブロットによって評価することができる。カスパーゼの活性化は、マイクロタイタープレートでの比色分析/蛍光基質ベースのアッセイ、フローサイトメトリー/顕微鏡法における蛍光基質の切断の検出、またはマイクロタイタープレート分析により、プロカスパーゼ及び活性カスパーゼのウエスタンブロット分析、カスパーゼの活性型を特異的に認識する抗体を用いたフローサイトメトリー/顕微鏡分析、またはカスパーゼの活性型を特異的に認識する抗体を用いたマイクロプレート分光光度分析により評価することができる。カスパーゼ基質(PARP)の切断は、切断されたPARPに特異的な抗体を用いたマイクロプレート分光光度分析により、または切断されたPARPのウエスタンブロット分析により評価することができる。非カスパーゼプロテアーゼ(カテプシン及びカルパイン)の活性化は、マイクロタイタープレートでの比色分析/蛍光基質ベースのアッセイにより評価することができる。ミトコンドリア膜電位(Δψm)の減少は、Δψm高感度プローブを用いたフローサイトメトリー/顕微鏡法/マイクロプレート分光光度分析、または酸素消費量試験により評価することができる。シトクロムCの放出は、細胞質ゾル中のシトクロムCの存在のウエスタンブロットまたは抗体ベースの顕微鏡分析によって評価することができる。サブG1集団の増加は、サブG1ピークのフローサイトメトリー分析によって評価することができる。核凝縮は、クロマチン凝縮のフローサイトメトリーまたは顕微鏡分析によって評価することができる。膜ブレビングは、切断された基質(ゲルゾリン、ROCK1)の光学顕微鏡、またはウエスタンブロット分析によって評価することができる。いくつかの実施形態では、細胞増殖は、細胞のコンフルエンシーにより評価される。いくつかの実施形態では、細胞増殖は、Ki67、eFluor色素及び/または核色素を測定するためのマーカーなどの増殖マーカーにより評価される。
【0147】
iii.細胞及び細胞を含む組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞を含む組成物は、複数の細胞を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞を含む組成物は、複数の細胞を含み、複数の細胞は、RBM20ポリペプチドの同様の発現レベルを有することに基づいて選択されるなど、RBM20ポリペプチドの発現レベルに基づいて選択される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞を含む組成物は、複数の細胞を含み、複数の細胞は、単一の細胞に由来するクローンである。
【0148】
いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上のRBM20凝集体を含み、例えば、本明細書の方法に記載されるように、化合物と接触させる前に1つ以上のRBM20凝集体を含む。いくつかの実施形態では、化合物が組成物と接触した後、1つ以上のRBM20凝集体が細胞内に形成される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体は、化合物の非存在下で細胞質RBM20凝集体を形成するRBM20ポリペプチドの発現が開始された後で細胞が化合物と接触される場合など、化合物の非存在下で細胞内で形成させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体は、ストレス下で細胞内に形成される。
【0149】
いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20ポリペプチドのおおよその発現のレベルで、標識されたRBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、参照細胞におけるRBM20ポリペプチドのおおよその発現のレベルで、標識されたRBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20ポリペプチドの発現よりも高いレベルで、標識されたRBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20ポリペプチドのおおよその発現のレベルで、標識されたRBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドを発現し、ただし、細胞は、RBM20ポリペプチドの分解のレベルを低下させるように改変されている。いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20ポリペプチドの発現よりも低いレベルで、標識されたRBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される細胞は、RBM20ポリペプチドの発現レベルに基づいて分取される。いくつかの実施形態では、細胞は、第1のRBM20ポリペプチド及び第2のRBM20ポリペプチドを発現し、ただし、第1と第2のRBM20ポリペプチドとは異なり、例えば、第1のRBM20ポリペプチドが野生型RBM20ポリペプチドであり、第2のRBM20ポリペプチドが変異体RBM20ポリペプチドであるか、または第1のRBM20ポリペプチドが第1の変異体RBM20ポリペプチドであり、第2のRMB20ポリペプチドが第2の変異体RBM20ポリペプチドであり、第1と第2の変異体RBM20ポリペプチドとは異なる。いくつかの実施形態では、細胞は、野生型RBM20ポリペプチド及び変異体RBM20ポリペプチドを発現する。
【0150】
いくつかの実施形態では、細胞は、RBM20ポリペプチドの核酸配列を含むコンストラクトを含む。いくつかの実施形態では、ベクターは、プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。いくつかの実施形態では、プロモーターは、テトラサイクリンまたはドキシサイクリンの存在によって制御されるプロモーターなどの誘導性プロモーターである。いくつかの実施形態では、細胞は、野生型RBM20ポリペプチド及び変異体RBM20ポリペプチドをコードする1つ以上のコンストラクトを含む。いくつかの実施形態では、第1のRBM20ポリペプチド及び第2のRBM20ポリペプチドをコードする核酸は、同じベクター上にあり、同じプロモーターの制御下にあるか、または異なるプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、第1のRBM20ポリペプチド及び第2のRBM20ポリペプチドをコードする核酸は、異なるベクター上にある。第1のRBM20ポリペプチドと第2のRBM20ポリペプチドとは、同じ量または異なる量で発現させることができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20ポリペプチドがCRISPRなどによってノックダウンまたはノックアウトされており、細胞は、標識されたRBM20ポリペプチド及び/または変異体RBM20ポリペプチドなどの異種RBM20ポリペプチドを発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、RBM20ポリペプチドの改変された内因性遺伝子座を含む。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの内因性遺伝子座は、発現されるRBM20ポリペプチドを調整するように、例えば、変異体RBM20ポリペプチドを作出するように改変される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの内因性遺伝子座は、標識を挿入するように改変される。
【0152】
いくつかの実施形態では、細胞は、即時的な標的特異的タンパク質分解のためにdTAGシステムを使用して内因性RBM20ポリペプチドがノックダウンまたはノックアウトされている(Nabet et al.,Nature Chemical Biology,2018)。簡単に説明すると、このシステムはFKBPの分解因子を、RBM20とインフレームでFKBPの発現と組み合わせることで、dTAGの存在によってE3ユビキチンリガーゼをRBM20に動員し、プロテアソーム分解を受けるようにRBM20にマーキングすることができる。かかる細胞株は、CRISPRによる遺伝子座特異的ノックインによって構築することができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、霊長類細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、霊長類細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ラット細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、マウス細胞である。
【0154】
いくつかの実施形態では、細胞は、心臓細胞タイプの特徴または特性のモデルなどの、心臓細胞タイプのモデルである。いくつかの実施形態では、細胞は、心筋細胞である。いくつかの実施形態では、心筋細胞は、H9C2細胞である。いくつかの実施形態では、心筋細胞は、患者由来の心筋細胞である。いくつかの実施形態では、心筋細胞は、心筋細胞に分化させられた、ヒトiPS、例えば、KOLF細胞またはWTC-11細胞などの人工多能性幹(iPS)細胞である。いくつかの実施形態では、心筋細胞は、心筋細胞に分化させられたヒト幹細胞などの幹細胞である。いくつかの実施形態では、心筋細胞は、AC-16細胞などの患者由来の心筋細胞である。
【0155】
いくつかの実施形態では、細胞は、HeLa細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、U2OS(ヒト骨肉腫上皮)細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、KOLF細胞またはWTC-11細胞などのヒトiPS細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、ヒト幹細胞などの幹細胞である。
【0156】
いくつかの実施形態では、細胞は、RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてホモ接合型である。いくつかの実施形態では、細胞は、RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてヘテロ接合型である。
【0157】
iv.細胞ベースの参照
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、参照と比較した1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性の調節を決定する。
【0158】
いくつかの実施形態では、参照はある特性について確立された値である。いくつかの実施形態では、参照は、溶媒コントロールと混合された細胞を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、参照は、ネガティブコントロールまたはポジティブコントロール参照化合物などの参照化合物と混合された細胞を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、参照は、化合物と混合された細胞を含む組成物を含み、参照について1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性が異なる時点で決定される。いくつかの実施形態では、参照は、野生型または変異体RBM20ポリペプチドなどの異なるRBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、異なるレベルのRBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、異なる翻訳後修飾状態を有するRBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、RBM20ポリペプチドを発現するように誘導されていないか、またはRBM20ポリペプチドを発現しない細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、ストレス下または疾患状態にある細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、非ストレス下または健康状態にある細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、核局在化シグナルなどの細胞位置タグでタグ付けされたRBM20ポリペプチドを含む細胞である。
【0159】
いくつかの実施形態では、調節は、増加、減少、または変化なしなど、本明細書に記載される特性の程度の変化によって評価される。いくつかの実施形態では、特性の調節を決定するために、複数の指示値または複製実験を分析する。いくつかの実施形態では、調節の測定値は、参照の測定値に正規化される。いくつかの実施形態では、統計的方法を用いてp値などの調節の有意性を評価する。
【0160】
v.例示的な細胞ベースの方法
いくつかの実施形態において、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20凝集体のサイズ及び/または数を減少させる化合物を特定する方法であって、(a)化合物に曝露された細胞の細胞質の少なくとも一部におけるRBM20凝集体のサイズ及び/または数を決定することと、(b)RBM20凝集体のサイズ及び/または数を参照と比較することと、を含み、それにより、細胞の細胞質中のRBM20凝集体のサイズ及び/または数を減少させる化合物を特定する、方法を記載する。いくつかの実施形態では、化合物はRBM20凝集体の数を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物はRBM20凝集体のサイズを減少させる。いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20遺伝子をノックアウトするようにCRISPRを使用して改変され、蛍光標識を含む異種RBM20ポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、R636S RBM20ポリペプチドなどの変異体RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、参照は、溶媒コントロールと接触させられた変異体RBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、化合物と接触させられた野生型RBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、RBM20凝集体のサイズ及び/または数は、蛍光イメージング法などのイメージング法を使用して決定される。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)の形成または増殖を防止する化合物を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを加え合わせることであって、(i)細胞が1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)化合物が組成物と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、(b)細胞の細胞質の少なくとも一部における1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第1の測定値を取得することと、(c)第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体の形成または増殖を防止する化合物を特定する、方法を記載する。いくつかの実施形態では、参照は、コントロール剤と混合された細胞を含む組成物のアリコートを含む。いくつかの実施形態では、参照は、細胞の細胞質の少なくとも一部における1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第2の測定値であり、第2の測定値は第1の測定値とは異なる時点で測定される。いくつかの実施形態では、本方法は、細胞を、1つ以上のRBM20凝集体の形成を促進する条件に曝露することをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の形成を促進する条件は、RBM20ポリペプチドの発現レベルまたは量の増加、RBM20凝集体の足場分子の発現レベルまたは量の増加、またはPTMのレベルの増加のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20遺伝子をノックアウトするようにCRISPRを使用して改変され、蛍光標識を含む異種RBM20ポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、R636S RBM20ポリペプチドなどの変異体RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、参照は、溶媒コントロールと接触させられた変異体RBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、化合物と接触させられた野生型RBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、RBM20凝集体のサイズ及び/または数は、蛍光イメージング法などのイメージング法を使用して決定される。
【0162】
いくつかの実施形態において、本明細書では、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する方法であって、(a)化合物と細胞を含む組成物とを加え合わせることと、(b)細胞の細胞質の少なくとも一部におけるRBM20ポリペプチドの量の第1の測定値を取得することと、(c)第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する、方法を記載する。いくつかの実施形態では、参照は、コントロール剤と混合された細胞を含む組成物のアリコートを含む。いくつかの実施形態では、参照は、細胞の細胞質の少なくとも一部におけるRBM20ポリペプチドの量の第2の測定値であり、第2の測定値は第1の測定値とは異なる時点で測定される。いくつかの実施形態では、細胞は、内因性RBM20遺伝子をノックアウトするようにCRISPRを使用して改変され、蛍光標識を含む異種RBM20ポリペプチドを発現するように改変される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、R636S RBM20ポリペプチドなどの変異体RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、参照は、溶媒コントロールと接触させられた変異体RBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、参照は、化合物と接触させられた野生型RBM20ポリペプチドを含む細胞である。いくつかの実施形態では、RBM20凝集体のサイズ及び/または数は、蛍光イメージング法などのイメージング法を使用して決定される。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞ベースの方法は、細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体及び/または細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節する化合物またはその部分を特定するように設計され、1つ以上の特性は、疾患の発症及び/または進行に関連するものとして特定される。例えば、いくつかの実施形態では、細胞の細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体を消散させることが望ましく、したがって、本明細書に記載される方法を用いて評価される1つ以上の特性には、1つ以上のRBM20凝集体の位置、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの分布、1つ以上のRBM20凝集体の数、1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性、1つ以上のRBM20凝集体の組成、1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数、1つ以上のRBM20凝集体の安定性、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、1つ以上のRBM20凝集体の表面積、1つ以上のRBM20凝集体の球形度、1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び1つ以上のRBM20凝集体の固化のうちの1つ以上が含まれる。いくつかの実施形態では、野生型RBM20凝集体を核に戻す、または非RBM20ポリペプチドをその正常な位置(例えば、細胞質RBM20凝集体の内部に隔離される前の位置)に戻すなど、細胞の細胞質中のRBM20凝集体の成分の局在化を回復することが望ましく、したがって、本明細書に記載される方法を用いて評価される1つ以上の特性には、1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性、1つ以上のRBM20凝集体の組成、1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数、1つ以上のRBM20凝集体の安定性、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、RBM20ポリペプチドの位置、RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの凝集体分配、RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性、RBM20ポリペプチドの凝集、RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態、及びRBM20ポリペプチド分解産物の量が含まれる。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞ベースの方法は、RBM20ポリペプチド(野生型または変異体)を発現する細胞株(一過性、構成的、または誘導性発現を伴う安定な細胞株)を確立することを含む。例えば、RBM20ポリペプチド(野生型または変異体)をコードするプラスミドを、細胞(例えば、H9C2)に一過性に(例えば、エレクトロポレーションによって)トランスフェクトすることができ、これにより、例えば、トランスフェクションの約16~18時間後にわたってRBM20ポリペプチドを所望の量で、及び/または所望の表現型(例えば、90%超の細胞が細胞質中で変異体RBM20凝縮体を形成しない)で発現させることができる。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチド(野生型または突然変異体)をコードするTetOn制御下のコンストラクトを有する安定な細胞株をドキシサイクリンで誘導することができ、これにより、例えば、誘導の約24時間後にわたってRBM20ポリペプチドを所望の量で、及び/または所望の表現型(例えば、90%超の細胞が細胞質中で変異体RBM20凝縮体を形成しない)で発現させることができる。次いで、細胞をプレート(例えば、96ウェルまたは384ウェル)中に置いて、例えば、トランスフェクションまたは誘導の24時間後に生細胞イメージングを行うことができる。いくつかの実施形態では、細胞生存率を示すために細胞を核色素で染色する。試験化合物を同時に細胞と混合することができ、その後、所望のマーカー(例えば、RBM20ポリペプチド、他の生体分子、または化合物の蛍光標識、細胞の形態、細胞増殖または細胞毒性)を一定期間(例えば、化合物を適用してから1~3日後)にわたって監視するかまたはアッセイの最後に分析することができる。いくつかの実施形態では、かかる方法は、細胞を固定し、所望のマーカー(例えば、IF染色またはDAPI)で染色し、及び/または顕微鏡法により分析することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を、試験化合物で処理された細胞試料と処理されていない細胞試料との間で比較することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を、野生型RBM20ポリペプチドを発現する細胞株と変異体RBM20ポリペプチドを発現する細胞株との間で比較することを含む。いくつかの実施形態では、非形質導入または非誘導細胞をコントロールとして使用する。
【0165】
B.生化学的方法
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、生化学的方法である。当業者であれば、RBM20ポリペプチドなどのポリペプチド、及びRBM20凝集体などの凝集体は動的なものである点は容易に認識されよう。したがって、本明細書に記載される方法は、RBM20ポリペプチド及び/またはRBM20凝集体のライフサイクルの任意の時点でシステムを化合物と接触させることを含む。例えば、本方法は、RBM20ポリペプチドが任意の量で存在する場合、またはリン酸化残基の有無、またはそのレベルなどの任意の翻訳後修飾状態を有する場合に細胞をシステムと接触させることを含む。いくつかの態様において、本方法は、例えば、RBM20凝集体が任意の量で存在し(存在しない場合を含む)、サイズまたは流動性の変化などの形態学的変化を生じているか、または組成が変化している場合に細胞をシステムと接触させることを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体が形成される前に、化合物をシステムと接触させる。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体が形成された後で、化合物をシステムと接触させる。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の有無、またはその量は、システムが化合物と接触させられた後に調節され、例えば、1つ以上のRBM20凝集体は化合物を混合する前にシステム中に存在し、化合物がシステムと混合された後で1つ以上のRBM20凝集体の量が増加または減少する。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、システムは化合物と複数回接触させられ、例えば、化合物の複数のアリコートが、複数の時点でシステムと混合される。
【0166】
いくつかの実施形態では、本明細書では、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)化合物と、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液と、追加の凝集体溶液と、を混合することと、(b)1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を決定することと、を含み、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節することを示す、前記方法を記載する。いくつかの実施形態では、追加の凝集体溶液は、RBM20ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、RBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、変異体RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、蛍光標識などの検出可能な標識を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、本明細書では、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)特定の物質と、RBM20ポリペプチドを含む溶液とを化合物の存在下で加え合わせることであって、物質が1つ以上のRBM20凝集体の形成を引き起こすことができ、物質が溶液と接触した後に1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、(b)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することであって、参照と比較した場合の特性の調節が、化合物が1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法を記載する。いくつかの実施形態では、物質と化合物とは、物質とRBM20ポリペプチドを含む溶液とを加え合わせる前に混合される。いくつかの実施形態では、物質は溶媒または緩衝液であり、物質は、RBM20ポリペプチドを含む溶液のイオン強度を増加または減少させるなどして調節する。いくつかの実施形態では、物質は、RNAなどの核酸である。いくつかの実施形態では、物質は、PEG、デキストラン、フィコール、またはそれらの組み合わせなどの分子クラウディング剤である。いくつかの実施形態では、物質とRBM20ポリペプチドを含む溶液とを加え合わせる前に、溶液は、1つ以上のRBM20凝集体をさらに含む。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、変異体RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、蛍光標識などの検出可能な標識を含む。
【0168】
凝集体を形成する方法は周知のものであり、例えば、凝集体の組成に基づいて異なりうる。例えば、いくつかの実施形態では、凝集体は、システムの温度、システムの塩含有量、足場ポリペプチド、核酸、またはRBM20ポリペプチドなどの凝集体の成分の濃度、システムのバッファー、システムのイオン強度、pH、またはPEGもしくはデキストランなどのクラウディング剤のうちの1つ以上を変更、追加、または除去することによって形成される。凝集体を形成するいくつかの例示的な方法は、本明細書に参照によりその全体を援用するところのAlberti et al.,J Mol Biol,430,2018にも開示されている。
【0169】
i.生化学的方法における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性
いくつかの態様において、本明細書では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドを含む溶液などの、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドを含むアッセイシステムにおいて、RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性(1、2、3、4、または5つの特性などの1つ以上の特性を含む)を調節する化合物を特定する方法を記載する。いくつかの実施形態では、本方法は、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を調節する化合物を特定する。いくつかの実施形態では、本方法は、RBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する。
【0170】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、以下、すなわち、(i)1つ以上のRBM20凝集体の数、(ii)1つ以上のRBM20凝集体の組成、(iii)1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、(iv)1つ以上のRBM20凝集体の安定性、(v)1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、(vi)1つ以上のRBM20凝集体の表面積、(vii)1つ以上のRBM20凝集体の球形度、(viii)1つ以上のRBM20凝集体の流動性、(ix)1つ以上のRBM20凝集体の固化、(x)1つ以上のRBM20凝集体中にないRBM20ポリペプチドの量、(xi)1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの分配、及び(xii)RBM20ポリペプチドの凝集のうちのいずれか1つに基づいたものである。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、細胞ベースの方法のセクションなどの本明細書の任意のセクションに記載されている通りである。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、RNAスプライシング、またはRBM20ポリペプチドの生体分子(例えば、非RBM20ポリペプチド、または核酸)または化合物(またはその部分)との結合能力(例えば、結合親和性)などの1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する機能的活性にさらに基づいたものである。
【0171】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、RBM20凝集体の総数である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、システム内のRBM20凝集体の総数の推定値である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液、例えば、視野など、システムの一部におけるRBM20凝集体の数である。
【0172】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、1つ以上のRBM20凝集体の少なくとも1つの他の成分に対するRBM20ポリペプチドの量である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、ポリペプチド、核酸、または化合物などの、RBM20ポリペプチド以外の少なくとも1つの成分の存在、レベル、または不在である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、変異体RBM20ポリペプチドに対する野生型RBM20ポリペプチドの量である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、第2の変異体RBM20ポリペプチドに対する第1の変異体RBM20ポリペプチドの量である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、第2のRBM20ポリペプチドに対する第1のRBM20ポリペプチドの量であり、第1と第2のRBM20ポリペプチドは、翻訳後修飾の違いなどの組成の違いを有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、例えば直径などの凝集体にわたる最大寸法の測定値に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの外周に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面積、または平面図などのその画像化された表現に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの体積に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の平均サイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の粒度分布(d5、d10、d90、またはd95など)に基づく。
【0174】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の量に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の量は、細胞質の一部における1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数及びサイズは、本明細書に記載されている通りである。
【0175】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、1つ以上のRBM20凝集体のサイズを減少させる化合物などのストレス因子の存在下での、または特定の化合物の存在下での1つ以上のRBM20凝集体の経時的な安定性である。いくつかの実施形態では、安定性は、1つ以上のRBM20凝集体のサイズまたは数の維持である。
【0176】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、例えば直径などの凝集体にわたる最大寸法の測定値に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの外周に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体の平均サイズに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体の粒度分布(d5、d10、d90、またはd95など)に基づく。
【0177】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の表面積は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、外周に基づいた推定表面積である。
【0178】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれが完全な球体にどれだけ似ているかに基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面図または上面図に基づく推定球形度である。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体の形状に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性は、形状タイプを有するかまたは形状パラメータを満たす1つ以上のRBM20凝集体の部分である。
【0179】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、1つ以上のRBM20凝集体同士が互いにどのように融合するか、及び/または1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造、サイズ、形状、球形度、体積、数、及び/または表面積の経時的な変化に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、繊維形成に基づく。
【0180】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの凝集は、RBM20ポリペプチドの非相分離凝集である。
【0181】
ii.生化学的方法における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性の決定
1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのアッセイシステムにおける1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、いくつかの実施形態において、例えば、システムまたはその一部における1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの評価、または別のRBM20凝集体成分などの別の生体分子の評価のいずれか1つ以上に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、細胞ベースの方法のセクションなどの本明細書の任意のセクションに記載されているようにして決定される。
【0182】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、アッセイシステムの少なくとも一部の評価に基づく。いくつかの実施形態では、その部分は、顕微鏡の視野などの視野、またはその部分である。いくつかの実施形態では、その部分は、画像の定義された領域である。いくつかの実施形態では、定義された領域は任意に定義される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、反復評価に基づく。いくつかの実施形態では、反復評価は、画像の複数の部分または複数の画像に基づく。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、画像の2つ以上の部分、2つ以上の画像、または少なくとも2つ以上の画像から得られた2つ以上の部分から得られる平均または分布に基づく。
【0183】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、イメージング法に基づく。いくつかの実施形態では、イメージング法は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を評価するためのデータを提供する。いくつかの実施形態では、イメージング法は、システムまたはその部分の画像を取得することを含む。いくつかの実施形態では、画像は、2次元画像である。いくつかの実施形態では、画像は、3次元画像またはそのレンダリングである。いくつかの実施形態では、イメージング法は、蛍光活性化セルソーター(FACS)法またはFAPS法など、本明細書に記載される方法において有用な別の方法の特徴と組み合わされる。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、イメージング法によって、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などの試料またはその一部を画像化することを含む。いくつかの実施形態では、イメージング法は、蛍光イメージング法である。いくつかの実施形態では、イメージング法は、蛍光イメージング法を含む。いくつかの実施形態では、イメージング法は、比色分析及び蛍光イメージング法を含む。いくつかの実施形態では、検出される光は、化合物またはRBM20ポリペプチドへの標識の取り込みまたは結合など、標的の直接標識によるものである。いくつかの実施形態では、検出される光は、RBM20ポリペプチドに特異的に結合する標識プローブ、例えば、標識された抗RBM20抗体またはそのフラグメントなどの標的の間接標識によるものである。
【0185】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、ある期間にわたって、例えば、2つ以上の時点で決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を決定することは、ある期間にわたった特性の変化を評価することを含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上の測定値及び/または技術を使用して決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する複数の特性が、1つ以上の測定値及び/または技術を使用して決定される。
【0187】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、例えば、ポリペプチド及び/またはそれらの前駆体の可視化、分析、及び/または定量化のための技術を含む。こうした技術は当業者には周知のものである。例えば、本明細書には、蛍光標識されたポリペプチドなどのポリペプチドを可視化するための顕微鏡法が含まれる。翻訳後修飾、ポリペプチドの定量化、及びRBM20凝集体の組成の試験を含む、ポリペプチドの組成を分析するための質量分析技術も本明細書に含まれる。細胞プロセスを評価するための機能アッセイも本明細書に含まれる。本明細書には、濃縮及び/または単離技術、例えば、ポリペプチド及び/またはRBM20凝集体を単離するための遠心分離技術、またはポリペプチドもしくは核酸を単離するための親和性に基づく技術も含まれる。
【0188】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのシステム内のRBM20凝集体の総数を評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、例えば、システムの視野などの部分内のRBM20凝集体の数を評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の数は、システムの合計より少ない測定値に基づいて、システム内のRBM20凝集体の総数を推定することによって決定される。
【0189】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、1つ以上のRBM20凝集体中のRBM20ポリペプチドの量を評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成は、1つ以上のRBM20凝集体の、またはこれに関連する少なくとも1つの他の成分の有無、またはそのレベルを評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の組成を決定することは、RBM20ポリペプチドに対する、1つ以上のRBM20凝集体の、またはこれに関連する少なくとも1つの他の成分を決定することを含む。いくつかの実施形態では、他の成分は、直接的または間接的に測定することなどにより評価される。いくつかの実施形態では、他の成分は、APEXまたはXL-MSなどの質量分析技術を用いて評価される。いくつかの実施形態では、他の成分は、標識を他の成分に直接結合するかまたは免疫標識を使用するなどの標識技術を使用して評価される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体は単離及び/または濃縮される。
【0190】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの、例えば直径などの凝集体にわたる最大寸法の測定値を評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの外周を評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面積、または平面図などのその画像化された表現を評価することにより決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズは、動的光散乱技術などの粒子サイズ測定技術によって決定される。
【0191】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、融合または分裂法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、細胞活性の存在下、または化合物の存在下で、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造の安定性の経時的な変化に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の安定性は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれのサイズ、形状、球形度、体積、または表面積のいずれか1つ以上を評価することに基づいて決定される。
【0192】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、細胞活性の存在下、または化合物の存在下における、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造の経時的な変化に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれのサイズ、形状、球形度、体積、数(その不在を含む)、または表面積のいずれか1つ以上を評価することに基づいて決定される。
【0193】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の表面積は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの測定されたパラメータ(例えば、外周、凝集体にわたる最大寸法の測定値)を用いて表面積を推定することに基づいて決定される。
【0194】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、3D格子光シート法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、2Dイメージング法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の球形度は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの断面図または上面図に基づいて決定される。
【0195】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、融合または分裂法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれの構造の経時的変化に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体の流動性及び/または固化は、1つ以上のRBM20凝集体のそれぞれのサイズ、形状、球形度、体積、数、または表面積のいずれか1つ以上の変化を評価することに基づいて決定される。
【0196】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体中にないRBM20ポリペプチドの量は、1つ以上のRBM20凝集体中のRBM20ポリペプチドの量を評価することに基づいて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体中にないRBM20ポリペプチドの量は、追加の凝集体溶液中のRBM20ポリペプチドの量を評価することに基づいて決定される。
【0197】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体中へのRBM20ポリペプチドの凝集体分配は、1つ以上のRBM20凝集体中の、または1つ以上のRBM20ポリペプチドに関連するRBM20ポリペプチドの量と比較した、1つ以上のRBM20凝集体から拡散されるRBM20ポリペプチドの量に基づいて決定される。
【0198】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの凝集は、非相分離RBM20ポリペプチド凝集の有無、またはそのレベルに基づいて決定される。
【0199】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、光褪色後蛍光回復(FRAP)法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、FRAP法は、完全な凝集体を評価するため、例えば、1つ以上のRBM20凝集体の成分の、細胞質との交換を測定するために実施される。いくつかの実施形態では、FRAP法は、半分の凝集体を評価するため、例えば、1つ以上のRBM20凝集体内の内部動力学を測定するために実施される。
【0200】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、Dendra2などのフルオロフォアの光変換に基づいて決定される。
【0201】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、蛍光相関分光法に基づいて決定される。
【0202】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの温度応答性に基づいて決定される。
【0203】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、細胞内における融合及び/または分裂などの凝集体の融合及び/または分裂の追跡に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、凝集体の融合及び/または分裂は、光ピンセット法に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、光ピンセット技術を使用してRBM20凝集体の表面張力が測定される。
【0204】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、3D格子光シート法に基づいて決定される。
【0205】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、誘導放出抑制(STED)顕微鏡法、確率的光学再構築微鏡法(STORM)、光活性化局在性顕微鏡法(PALM)、またはそれらのハイブリッドなどの超解像度イメージング法に基づいて決定される。
【0206】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、紫外可視(UV-Vis)分光法、X線小角散乱法、または静的及び動的光散乱(SLS/DLS)法に基づいて決定される。例えば、動的光散乱法(DLS)、静的光散乱法(STS)、小角光散乱法(SLS)などの光散乱法を使用して、凝縮体のサイズ及び形状を決定することができる。Basturea,G.N.(“Biological Condensates,”MATER METHODS 2019;9:2794)に記載されるさまざまなインビトロ凝集体分析法も参照されたい。
【0207】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、ストレス因子の存在下で決定される。例えば、いくつかの実施形態では、ストレス因子は、酸化ストレス、ATPの枯渇または存在、凝集体溶解化合物、熱などの温度、または例えば心臓の拍動の不規則または過剰な頻度におけるような機械的ストレスのうちの1つ以上である。
【0208】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、原子間力顕微鏡法を使用して適用されるものなど、外的機械力の存在下で決定される。
【0209】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、バキュロウイルス系から発現及び精製された1つ以上のRBM20ポリペプチドを使用して決定される。
【0210】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、PEGまたはデキストランなどの分子クラウディング剤の存在下で1つ以上のRBM20凝集体の再構成を用いて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、PEGまたはデキストランなどの分子クラウディング剤の非存在下で1つ以上のRBM20凝集体の再構成を用いて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、RNA、DNAまたはアクチンなどの生体高分子の存在下で1つ以上のRBM20凝集体の再構成を用いて決定される。いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、塩またはバッファーの存在下で1つ以上のRBM20凝集体の再構成を用いて決定される。
【0211】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、例えば、塩濃度、タンパク質濃度、RNA濃度、DNA濃度、生体分子濃度、pH、及び温度から選択されるものなどの2つの変数を変化させることによって得られる、相図のデータを取得することによって決定される。
【0212】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性は、異なるバッファー条件、例えば、異なる塩及びその濃度を有するバッファー、pH、ハイドロトロープ及びその濃度、ATP濃度、ヌクレオチド及びその濃度、代謝産物及びその濃度などに応じた1つ以上のRBM20凝集体の溶解を評価することによって決定される。
【0213】
いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの有無、またはそのレベルの変化に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20凝集体の数の減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20凝集体の数の増加に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20の形成などの、1つ以上のRBM20凝集体の形成に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20凝集体のサイズの減少に基づく。いくつかの実施形態では、特性の調節は、1つ以上のRBM20凝集体のサイズの増加に基づく。
【0214】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節するための化合物の特異性を決定することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、第1のRBM20凝集体及び第2のRBM20凝集体に関連する特性の調節を決定することを含み、化合物は、第1のRBM20凝集体の特性を調節するが第2のRBM20凝集体の特性は調節しない。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は野生型RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は変異体RBM20ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は第1の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は第2の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第1と第2の変異体RBM20ポリペプチドとは異なる。
【0215】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1のRBM20凝集体及び第2のRBM20凝集体に関連する特性の調節を決定することを含み、化合物は、第1のRBM20凝集体及び第2の凝集体の特性を調節する。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は野生型RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は変異体RBM20ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1のRBM20凝集体は第1の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第2のRBM20凝集体は第2の変異体RBM20ポリペプチドを含み、第1と第2の変異体RBM20ポリペプチドとは異なる。
【0216】
iii.生化学的参照
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、参照と比較した1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性の調節を決定する。
【0217】
いくつかの実施形態では、参照はある特性について確立された値である。いくつかの実施形態では、参照は、ビヒクル制御と接触させられた、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのシステムである。いくつかの実施形態では、参照は、ネガティブコントロールまたはポジティブコントロール参照化合物などの参照化合物と接触させられた、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのシステムである。いくつかの実施形態では、参照は、化合物と接触させられた、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのシステムであり、参照について1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性が異なる時点で決定される。いくつかの実施形態では、参照は、野生型または変異体RBM20ポリペプチドなどの異なるRBM20ポリペプチドを含む、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのシステムである。いくつかの実施形態では、参照は、異なるレベルのRBM20ポリペプチドを含む、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのシステムである。いくつかの実施形態では、参照は、異なる翻訳後修飾状態を有するRBM20ポリペプチドを含む、1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液などのシステムである。
【0218】
C.RBM20ポリペプチド
本開示のいくつかの態様において、本明細書では、(RNA結合タンパク質20)RBM20ポリペプチドを記載する。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、完全長のRBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、完全長RBM20ポリペプチドの一部などの改変RBM20ポリペプチドである。
【0219】
RBM20ポリペプチド、すなわちヒトRBM20(UniprotエントリーQ5T481)の例示されるアミノ酸配列は、下記に配列番号1で与えられる。配列番号1に示されるように、残基の上のアスタリスク(*)は残基R636を示し、斜体で示される残基はI613~R673にわたるRS領域を示し、二重下線は例示的な無秩序領域(領域は、V2~N64、P174~G220、Y628~Q937、及びE975~K1150にわたる残基を含む)を示し、太字かつ斜体で示される残基はR634~P638にわたるRSRSP領域を示す。
図7Aは、RBM20ポリペプチドの選択された領域を示す概略図である。
図7Bは、秩序領域及び無秩序領域についてのRBM20ポリペプチド配列の分析の結果を示す。
【表1】
【0220】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、哺乳動物のRBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、霊長類のRBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、ヒトのRBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、ラットのRBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、マウスのRBM20ポリペプチドである。
【0221】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、変異体RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸残基の置換、付加、または欠失のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、ロイシンリッチドメイン、グルタミン酸リッチドメイン、ジンクフィンガー(複数可)、RPMドメイン、及びSRリッチドメインのうちの1つ以上の欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、疾患または障害(例えば、DCM、または突然の心停止)に関連する家族性変異を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、天然変性領域(IDR)に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、RSリッチ領域に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、以下の位置、すなわち、アルギニン634、セリン635、アルギニン636、セリン637、及びプロリン638のうちの1つ以上に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、634位のアルギニンに変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、635位のセリンに変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、636位のアルギニンに変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、637位のセリンに変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、638位のプロリンに変異を有する。
【0223】
いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、以下の変異、すなわち、R636S、R636C、R636H、R634Q、S637G、P638L、S635A、S635E、及びS637Eのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、R636S変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、R636C変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、R636H変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、R634Q変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、S637G変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、P638L変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、S635A変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、S635E変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、S637E変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、S635E、R636S、及びS637E変異を有する。
【0224】
いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、RSリッチ領域の外側に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、RSリッチ領域とEリッチ領域との間に変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、716位のアルギニンに変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、RPMドメインに変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、535位のバリンに変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、Eリッチドメインに変異を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、913位のグルタミン酸に変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、以下の変異、すなわち、E913K、R716Q、及びV535Lのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、E913K変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、R716Q変異を有する。いくつかの実施形態では、変異体RBM20ポリペプチドは、V535L変異を有する。
【0225】
いくつかの実施形態では、野生型RBM20ポリペプチドまたは変異体ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドは、標識されたRBM20ポリペプチド、完全長RBM20ポリペプチドの一部、またはRBM20ポリペプチドの誘導体などの改変RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、誘導体または類似体である。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、標識される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、例えば、共有結合によって標識に結合される。いくつかの実施形態では、標識は検出可能な標識である。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、蛍光標識を含む。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、八放サンゴ、例えば、Dendra2などのDendronethya spに由来する蛍光タンパク質を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、細胞内で異種発現される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、細胞内で同種発現される。
【0227】
野生型RBM20ポリペプチド及び変異体RBM20ポリペプチドを発現する細胞、または2つの異なる変異体RBM20ポリペプチドを発現する細胞など、2つ以上の異なるRBM20ポリペプチドが使用されるいくつかの実施形態では、2つ以上の異なるRBM20ポリペプチドを、同時に区別できる薬剤で標識することができる。
【0228】
D.化合物
本開示のいくつかの態様において、本明細書では、本明細書に開示される方法を使用して試験及び特定される化合物を記載する。本開示の記載に含まれる化合物としては、これらに限定されるものではないが、治療または予防の目的で個体に投与するのに適した化合物、またはその前駆体が挙げられる。いくつかの実施形態では、化合物は、米国食品医薬品局によって医療処置用に承認された化合物などの規制承認化合物である。いくつかの実施形態では、化合物は、新規化合物である。いくつかの実施形態では、化合物は、500Da以下など、1000Da未満の分子量を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、リピンスキーのルール・オブ・ファイブを満たす。いくつかの実施形態では、化合物は、小分子(1,000Da以下であるか、及び/またはリピンスキーのルール・オブ・ファイブを満たす治療用小分子など)である。
【0229】
いくつかの実施形態では、化合物は、小分子、ポリペプチド、脂質、または核酸、またはそれらの成分のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、化合物は小分子であり、化合物は、約900ダルトン未満または約900ダルトン以下の分子量を有する。いくつかの実施形態では、化合物またはその一部は帯電している。いくつかの実施形態では、化合物またはその一部は疎水性である。いくつかの実施形態では、化合物またはその一部は親水性である。いくつかの実施形態では、化合物は抗体を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、核酸またはその成分を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、siRNA、miRNA、mRNA、またはlnRNAなどのRNAを含む。いくつかの実施形態では、化合物は、siRNA、miRNA、またはmRNAを含む。いくつかの実施形態では、化合物は、天然に存在しない化合物である。
【0230】
いくつかの実施形態では、化合物は、前駆体またはプロドラッグである。いくつかの実施形態では、化合物は、細胞を含む組成物中で代謝される。いくつかの実施形態では、化合物の代謝産物は、1つ以上の「RBM20凝集体」及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する活性物質である。
【0231】
いくつかの実施形態では、化合物は標識を含む。いくつかの実施形態では、標識は、放射性標識、比色標識、発光標識、または蛍光標識である。いくつかの実施形態では、化合物は、標識を含む小分子である。いくつかの実施形態では、化合物は、フルオロフォアを含む小分子である。いくつかの実施形態では、化合物は、標識を含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、化合物は、フルオロフォアを含むポリペプチドである。いくつかの実施形態では、化合物は、標識を含む核酸である。いくつかの実施形態では、化合物は、フルオロフォアを含む核酸である。いくつかの実施形態では、化合物は、化合物に共有結合または非共有結合により結合されている。
【0232】
標識されたRBM20ポリペプチドが使用されるいくつかの実施形態では、化合物は、標識されたRBM20ポリペプチドの標識から同時に区別することができる標識を含む。
【0233】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、化合物は溶媒中に存在する。いくつかの実施形態では、溶媒は、例えばRNAなどの核酸、または例えば、REG、デキストラン、もしくはフィコールなどの分子クラウディング剤など、凝集体の形成を引き起こすことができる別の物質を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、本明細書に記載される1つ以上のRBM20凝集体を含む細胞または溶液と追加の凝集体溶液とを含む組成物と混合されると、1つ以上のRBM20凝集体の形成を生じるようなものである。
【0234】
いくつかの実施形態では、化合物は、RBM20ポリペプチドと直接的に相互作用するかまたは会合する。いくつかの実施形態では、化合物は、RBM20ポリペプチドと間接的に相互作用するかまたは会合する。いくつかの実施形態では、化合物は、RBM20凝集体と相互作用するかまたは会合する。いくつかの実施形態では、化合物は、RBM20ポリペプチド以外のRBM20凝集体の成分と相互作用するかまたは会合する。いくつかの実施形態では、化合物は、生体分子と相互作用するかまたは会合し、生体分子は、RBM20凝集体の成分と相互作用するかまたは会合する。
【0235】
E.本明細書に記載される方法の追加の使用及びさらなる方法の工程
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、様々なフォーマットで、様々な目的のために、追加の方法工程とともに使用することができる。
【0236】
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、化合物のライブラリーをアッセイするためのスクリーニングで使用される。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、化合物のライブラリーをアッセイするためのスクリーニングにおいて使用され、スクリーニングは、細胞ベースの方法を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、化合物のライブラリーをアッセイするためのスクリーニングにおいて使用され、スクリーニングは、単一のRBM20発現プロファイルを有する細胞、例えば、変異体RBM20ポリペプチドをすべてが発現する細胞及び/または実質的に同様のレベルのRBM20ポリペプチドを発現する細胞を使用する。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、化合物のライブラリーをアッセイするためのスクリーニングにおいて使用され、スクリーニングは生化学的方法を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、細胞のライブラリーをアッセイするためのスクリーニングで使用される。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法は、細胞のライブラリーをアッセイするためのスクリーニングで使用され、細胞のライブラリーは、異なるRBM20発現プロファイル、例えば、異なるRBM20変異、RBM20変異の異なる組み合わせ、及びRBM20変異と野生型RBM20との組み合わせを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、細胞を含む組成物など、単一の系内の2つ以上の化合物を評価することを含む。
【0237】
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、高スループット、中スループット、または低スループットなどの任意のレベルのスループット用にフォーマットされる。
【0238】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、第2の細胞ベースのアッセイを使用して特定された化合物を評価することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、インビトロアッセイを使用して特定された化合物を評価することをさらに含む。例えば、この方法は、特定された化合物と、非凝集状態(例えば軽質相)のRBM20凝集体の1つ以上の成分とのインビトロの結合親和性を評価することをさらに含む。非凝集状態の凝集体の成分に対する化合物またはその部分の結合親和性は、例えば、マイクロスケール熱泳動(MST)、等温滴定カロリメトリー(ITC)、表面プラズモン共鳴(SPR)、核磁気共鳴(NMR)、蛍光分極(FP)、または蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)法などの当該技術分野では周知の任意の適当な方法によって測定することができる。例示的な方法については、Vuignier et al.“Drug-protein binding:a critical review of analytical tools”(Anal Bioanal Chem, 2010)及びBasturea,G.N.(“Biological Condensates,”MATER METHODS 2019;9:2794)も参照されたい。
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、細胞内の化合物またはその部分、またはRBM20凝集体の量を決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物の量を決定することは、化合物を定量的に検出することを含む。いくつかの実施形態では、化合物の量を決定することは、化合物の標識を定量的に検出することを含む。いくつかの実施形態では、化合物の量を決定することは、化合物の活性を検出すること、及び検出された活性の量を引き起こすのに必要な化合物の量を計算することを含む。いくつかの実施形態では、化合物の量は、質量分析、液体クロマトグラフィー、及び/または紫外可視分光光度法により決定される。いくつかの実施形態では、化合物の量は、蛍光顕微鏡法により決定される。標準曲線を使用して化合物の量の決定の助けとすることができる。
【0240】
いくつかの実施形態では、本明細書において、RBM20関連疾患を治療するうえで有用な化合物を特定する方法であって、本明細書に記載される方法のいずれか1つに従って化合物を特定することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、RBM20関連疾患は心筋症である。いくつかの実施形態では、心筋症は、拡張型心筋症(DCM)である。
【0241】
本明細書に記載される方法は、所望の化合物活性、及び/または1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する所望の特性に基づいた化合物のインテリジェントスクリーニング及び/または設計に使用することができる。いくつかの実施形態では、化合物またはその部分の所望の挙動は、疾患の1つ以上の原因または症状を軽減するために疾患に関連するRBM20凝集体を調節するうえでの考慮事項に基づく。
【0242】
いくつかの態様において、本明細書では、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して、各化合物及びRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドの1つ以上の特性の調節を特定することに基づいて、複数の試験化合物の中から候補化合物またはその部分をスクリーニングする方法が提供される。いくつかの実施形態では、候補化合物またはその部分は、スクリーニングされた化合物のセットまたはその部分と比較するなど、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する少なくとも1つの特性の所望の調節を有することに基づいて選択される。
【0243】
いくつかの実施形態では、所望の化合物活性は、(i)核内のRBM20凝集体と比較した、細胞質中の試験化合物(またはその部分)とRBM20凝集体との優先的会合、(ii)RBM20ポリペプチドを含まない凝集体と比較した、RBM20凝集体(例えば、細胞質中)中への試験化合物(またはその部分)の優先的分配、(iii)非RBM20ポリペプチドと比較した、試験化合物(またはその部分)とRBM20ポリペプチドとの優先的結合、(iv)試験化合物(またはその部分)と、RBM20ポリペプチドではない生体分子などのRBM20凝集体の成分との優先的結合、及び(v)野生型RBM20ポリペプチドと比較した、試験化合物(またはその部分)と変異体RBM20ポリペプチドとの優先的結合のうちの1つ以上から選択される。
【0244】
いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性の所望の調節は、(i)1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドを細胞質から核に移動させること、(ii)細胞質中のRBM20凝集体の量を減少させること、(iii)核内のRBM20凝集体の量を増加させること、(iv)細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体のサイズを縮小すること、(v)RBM20ポリペプチドを含む細胞質凝集体と比較して、RBM20ポリペプチドを含む核凝集体の比率を増加させること、(vi)核内のRNAスプライシングなどの1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する機能的活動を回復及び/または増加させること、(vii)1つ以上のRBM20凝集体から、例えば、健康な状態または非ストレス条件下で細胞質RBM20凝集体との関連が通常はみられない生体分子などの生体分子を除外すること、(viii)生体分子を、1つ以上のRBM20凝集体から、健康なまたは非ストレス条件下で生体分子が存在するはずの場所に移動させること、(ix)1つ以上の細胞質RBM20凝集体の安定性を低下させること、(x)1つ以上の核RBM20凝集体の安定性を高めること、(xi)細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体を溶解すること、(xii)細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体の表面積を減少させること、(xiii)核内の1つ以上のRBM20凝集体の球形度を回復すること、(xiv)核及び/または細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体の流動性を高めること、(xv)核及び/または細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体の固化を低下させること、(xvi)RBM20ポリペプチドを細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体から核に移動させること、(xvii)RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量を減少させること(例えば、RBM20が過剰発現しているかまたは過剰活性を有する場合)、(xviii)核内のRBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量を増加させること、(xix)核内の1つ以上のRBM20凝集体へのRBM20ポリペプチドの分配を促進すること(例えば、細胞質中のものと比較して)、(xx)細胞質中のRBM20ポリペプチドの凝集を減少させること、(xxi)細胞質中のRBM20ポリペプチドの翻訳後修飾を促進または停止すること(例えば、ユビキチン化またはリン酸化)、及び(xxii)細胞質中のRBM20ポリペプチド分解産物の量を増加させること、のうちの1つ以上から選択される。
【0245】
いくつかの態様において、本明細書では、本明細書に記載される1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性の所望の調節を有する候補化合物を設計する方法が提供される。いくつかの実施形態では、設計する方法は、候補化合物への1つ以上の部分の組み込みを含み、各部分は、1つ以上の特性の所望の調節を全体的または部分的に行う。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のRBM20凝集体のサイズを縮小することを行う第1の部分と、RBM20ポリペプチドを細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体から核に移動することを行う第2の部分とを有する候補化合物を設計することができる。いくつかの実施形態では、細胞質中にRBM20凝集体を分配することを行う第1の部分と、別の生体分子の機能を活性化もしくは阻害すること、またはRBM20凝集体への別の生体分子の分配を選択的に遮断することなどの別の機能を行う第2の部分とを有する候補化合物を設計することができる。いくつかの実施形態では、細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体の安定性を低下させることと、細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体を溶解することとを行う第1の部分と、細胞質中の1つ以上のRBM20凝集体から生体分子を排除することを行う第2の部分とを有する候補化合物を設計することができ、生体分子は、健康な、または非ストレス条件下の細胞質RBM20凝集体と関連しない。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドの有無、翻訳後修飾を促進するなどの調節を行う部分を有する候補化合物を設計することができる。いくつかの実施形態では、設計する方法は、所望の化合物活性の1つ以上に関連する部分を置換、除去、または付加すること、及び/または、本明細書に記載される1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する1つ以上の特性を調節することを含む。いくつかの実施形態では、設計する方法は、所望の必要性/特色が実現されるまで、設計する工程及び試験する工程を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、設計する方法は、候補化合物を合成することを含む。
【0246】
いくつかの態様において、本明細書では、候補化合物を設計する方法であって、2つ以上の部分を組み合わせることを含み、各部分が、本明細書に記載される1つ以上の特徴の所望の調節に関連している、方法が提供される。いくつかの実施形態では、設計する方法は、本明細書に記載される方法によって特定された所望の特性を有する部分を、任意の数の位置及び/または立体化学的配向で結合することを含む。いくつかの実施形態では、得られる候補化合物は、所望の化合物活性及び/または本明細書に記載される1つ以上の特性の所望の調節の組み合わせを有する。いくつかの実施形態では、設計する方法は、所望の必要性/特色が実現されるまで、設計する工程及び試験する工程を繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、設計する方法は、候補化合物を合成することを含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法を使用して、実現された本明細書に記載される1つ以上の特性の所望の調節に基づいて1つ以上の規則のセットを開発することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の規則のセットを、モデリング、コンピューター及び/または計算ベースの方法、例えば、本明細書に記載される1つ以上の特性の所望の調節を有する化合物のバイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、及び/または人工知能(AI)ベースの識別を含むアプローチを用いて、1つ以上の化合物の識別及び/または設計の基礎として使用することができる。1つ以上の規則のセットを決定及び/または適用するためのコンピュータソフトウェアも提供される。
【0248】
いくつかの態様において、本明細書では、RBM20凝集体活性に関連する疾患または障害を治療するための候補化合物を特定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、RBM20凝集体活性に関連する疾患または障害とは、以下のうちのいずれか1つ以上が生じる疾患または障害を指す。すなわち、1)1つ以上のRBM20凝集体が細胞質に形成される、2)1つ以上のRBM20凝集体が核内で消失する(例えば溶解する)、3)1つ以上のRBM20凝集体またはその成分が、健康な状態においてRBM20凝集体またはその成分が通常は位置しない場所に分布する(例えば、疾患状態では細胞質に移動する)、4)RBM20凝集体の数が増加または減少する(例:核内及び/または細胞質中で)、5)ある成分(例えば、RBM20ポリペプチド、またはRBM20凝集体の成分となる1つ以上の他の生体分子)を含む、及び/または含まないRBM20凝集体の数の増加または減少、6)1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、形状、表面積及び/または球形度の変化、7)1つ以上のRBM20凝集体の凝集体組成が変化する、8)1つ以上のRBM20凝集体の流動性(または動的)が変化する、9)1つ以上のRBM20凝集体の固化が変化する、10)RBM20繊維形成の存在及び/またはその量の変化、11)RBM20凝集体中へのRBM20凝集体成分の分配の変化、及び12)RBM20ポリペプチドの凝集。疾患状態での1つ以上の特性に基づいて(及び健康な状態での1つ以上の特性と比較して)、本明細書に記載される方法のいずれかを用いて、1つ以上の所望の化合物活性及び/または本明細書に記載される1つ以上の特性の所望の調節を有する候補化合物を特定/スクリーニング/改変/設計することが可能である。
【0249】
当業者には、本出願の開示の範囲及び趣旨の範囲内でいくつかの実施形態が可能であることが認識されよう。本開示を以下の実施例によってさらに説明するが、以下の実施例は、本開示の範囲または趣旨を本明細書に記載される特定の手法に限定するものとして解釈すべきではない。
【0250】
III.本開示の組成物
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に開示される方法の様々な側面で記載されるような、キットなどの組成物を提供する。
【0251】
いくつかの実施形態において、本明細書では、本出願の全体を通じて記載されるような、RBM20ポリペプチドを含む細胞が提供される。例えば、いくつかの実施形態では、あるレベルの野生型RBM20ポリペプチドを発現する細胞が提供される。いくつかの実施形態では、あるレベルの変異体RBM20ポリペプチドを発現する細胞が提供される。いくつかの実施形態では、ノックアウト細胞などの内因性RBM20ポリペプチドを発現しない細胞が提供される。いくつかの実施形態では、異種のRBM20ポリペプチドを有する細胞が提供される。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、標識されたRBM20ポリペプチドである。
【0252】
いくつかの実施形態において、本明細書では、本出願の全体を通じて記載されるような、濃縮または単離されたRBM20ポリペプチドなどのRBM20ポリペプチドを含む組成物が提供される。例えば、いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、野生型RBM20ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、変異体ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、RBM20ポリペプチドは、標識されたRBM20ポリペプチドである。
【0253】
IV.例示的な実施形態
実施形態1.細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/または細胞の細胞質中の前記RBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)前記化合物と前記細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)前記細胞が前記1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)前記化合物が前記組成物と接触した後に前記細胞内に前記1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記混合することと、(b)前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を決定することであって、参照と比較した場合の前記特性の調節が、前記化合物が前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法。
【0254】
実施形態2.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、以下、すなわち、(i)前記1つ以上のRBM20凝集体の位置、(ii)前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドの分布、(iii)前記1つ以上のRBM20凝集体の数、(iv)前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、(v)前記1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比、(vi)前記1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性、(vii)前記1つ以上のRBM20凝集体の組成、(viii)前記1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、(ix)前記1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数、(x)前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、(xi)前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、(xii)前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積、(xiii)前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、(xiv)前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び(xv)前記1つ以上のRBM20凝集体の固化、(xvi)前記RBM20ポリペプチドの位置、(xvii)前記RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量、(xviii)前記1つ以上のRBM20凝集体中への前記RBM20ポリペプチドの凝集体分配、(xix)前記RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性、(xx)前記RBM20ポリペプチドの凝集、(xxi)前記RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態、及び(xxii)前記RBM20ポリペプチド分解産物の量のうちのいずれか1つ以上に基づいたものである、実施形態1に記載の方法。
【0255】
実施形態3.前記特性の調節が、前記細胞の前記細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体の数の減少に基づく、実施形態2に記載の方法。
【0256】
実施形態4.前記特性の調節が、前記細胞の前記細胞質中の前記RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量の減少に基づく、実施形態2または3に記載の方法。
【0257】
実施形態5.前記特性の調節が、前記細胞の前記細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小に基づく、実施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
【0258】
実施形態6.前記特性の調節が、前記細胞の細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性の減少に基づく、実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
実施形態7.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の位置、前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドの分布、前記1つ以上のRBM20凝集体の数、前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、及び前記1つ以上のRBM20凝集体と参照凝集体の量の比を含む、実施形態1に記載の方法。
【0260】
実施形態8.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の組成、及び前記1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化を含む、実施形態1に記載の方法。
【0261】
実施形態9.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体に関連する機能的活性をさらに含む、実施形態7または8に記載の方法。
【0262】
実施形態10.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積を含む、実施形態1に記載の方法。
【0263】
実施形態11.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む、実施形態1に記載の方法。
【0264】
実施形態12.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記RBM20ポリペプチドの位置、及び前記RBM20ポリペプチドまたはその前駆体の量を含む、実施形態1に記載の方法。
【0265】
実施形態13.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記RBM20ポリペプチドの翻訳後修飾状態をさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0266】
実施形態14.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記RBM20ポリペプチドに関連する機能的活性をさらに含む、実施形態12または13に記載の方法。
【0267】
実施形態15.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体と生体分子との共局在化、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の成分の拡散係数を含む、実施形態1に記載の方法。
【0268】
実施形態16.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小を含む、実施形態1に記載の方法。
【0269】
実施形態17.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積、前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、及び前記1つ以上のRBM20凝集体の固化を含む、実施形態1に記載の方法。
【0270】
実施形態18.前記RBM20ポリペプチドが、野生型RBM20ポリペプチドである、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0271】
実施形態19.前記RBM20ポリペプチドが、変異体RBM20ポリペプチドである、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0272】
実施形態20.前記変異体RBM20ポリペプチドが、天然変性領域(IDR)に変異を含む、実施形態19に記載の方法。
【0273】
実施形態21.前記変異体RBM20ポリペプチドが、RSリッチ領域に変異を含む、実施形態19または20に記載の方法。
【0274】
実施形態22.前記変異体RBM20ポリペプチドが、以下の位置、すなわち、アルギニン634、セリン635、アルギニン636、セリン637、及びプロリン638のうちの1つ以上に変異を含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
実施形態23.前記変異体RBM20ポリペプチドが、以下の変異、すなわち、R636S、R636C、R636H、R634Q、S637G、P638L、S635A、S635E、及びS637Eのうちの1つ以上を含む、実施形態22に記載の方法。
【0276】
実施形態24.前記変異体RBM20ポリペプチドが、以下の変異、すなわち、E913K、R716Q、及びV535Lのうちの1つ以上を含む、実施形態19に記載の方法。
【0277】
実施形態25.前記1つ以上のRBM20凝集体が、前記細胞内で異種発現される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0278】
実施形態26.前記1つ以上のRBM20凝集体が、前記細胞内で同種発現される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
実施形態27.前記細胞が、心臓細胞タイプのモデルである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0280】
実施形態28.前記細胞が、心筋細胞である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0281】
実施形態29.前記細胞が、ラットH9C2細胞である、実施形態27または28に記載の方法。
【0282】
実施形態30.前記細胞が、ヒトAC-16細胞、患者由来の心筋細胞、心筋細胞に分化させられたヒト人工多能性幹細胞、または心筋細胞に分化させられた幹細胞である、実施形態27または28に記載の方法。
【0283】
実施形態31.前記細胞が、HeLa細胞、U2OS細胞、ヒト胎児腎細胞、ヒト人工多能性幹細胞、及び幹細胞からなる群から選択される、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0284】
実施形態32.前記細胞が、前記RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてホモ接合型である、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0285】
実施形態33.前記細胞が、前記RBM20ポリペプチドをコードする対立遺伝子についてヘテロ接合型である、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
実施形態34.前記参照が、コントロール剤と混合された前記細胞を含む前記組成物のアリコートを含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0287】
実施形態35.前記組成物または前記細胞の少なくとも一部を画像化することをさらに含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
実施形態36.前記細胞の1つ以上の細胞特性を決定することをさらに含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
実施形態37.前記組成物または前記細胞の少なくとも一部を固定液と接触させることをさらに含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0290】
実施形態38.前記組成物または前記細胞の少なくとも一部を染色と接触させることをさらに含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
実施形態39.第2の細胞ベースのアッセイを用いて前記特定されたカセット配列を評価することをさらに含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の方法。
【0292】
実施形態40.インビトロアッセイを用いて前記特定されたカセット配列を評価することをさらに含む、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
【0293】
実施形態41.細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む凝集体(「RBM20凝集体」)のサイズ及び/または数を減少させる化合物を特定する方法であって、(a)前記化合物に曝露された前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記RBM20凝集体のサイズ及び/または数を決定することと、(b)前記RBM20凝集体の前記サイズ及び/または数を参照と比較することと、を含み、それにより、前記細胞の前記細胞質中の前記RBM20凝集体のサイズ及び/または数を減少させる前記化合物を特定する、前記方法。
【0294】
実施形態42.前記化合物が、前記RBM20凝集体の数を減少させる、実施形態41に記載の方法。
【0295】
実施形態43.前記化合物が、前記RBM20凝集体のサイズを減少させる、実施形態41または42に記載の方法。
【0296】
実施形態44.細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)の形成または増殖を防止する化合物を特定する方法であって、(a)前記化合物と前記細胞を含む組成物とを加え合わせることであって、i)前記細胞が前記1つ以上のRBM20凝集体を含み、及び/または(ii)前記化合物が前記組成物と接触した後に前記1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、(b)前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第1の測定値を取得することと、(c)前記第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、前記細胞の前記細胞質中の前記1つ以上のRBM20凝集体の形成または増殖を防止する化合物を特定する、前記方法。
【0297】
実施形態45.前記参照が、コントロール剤と混合された前記細胞を含む前記組成物のアリコートを含む、実施形態44に記載の方法。
【0298】
実施形態46.前記参照が、前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ及び/または数の第2の測定値であり、前記第2の測定値は前記第1の測定値とは異なる時点で測定される、実施形態44に記載の方法。
【0299】
実施形態47.前記細胞を、前記1つ以上のRBM20凝集体の形成を促進する条件に曝露することをさらに含む、実施形態44~46のいずれか1項に記載の方法。
【0300】
実施形態48.細胞の細胞質中のRBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する方法であって、(a)前記化合物と前記細胞を含む組成物とを加え合わせること、(b)前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記RBM20ポリペプチドの量の第1の測定値を取得することと、(c)前記第1の測定値と参照とを比較することと、を含み、それにより、前記細胞の前記細胞質中の前記RBM20ポリペプチドの量を減少させる化合物を特定する、前記方法。
【0301】
実施形態49.前記参照が、コントロール剤と混合された前記細胞を含む前記組成物のアリコートを含む、実施形態48に記載の方法。
【0302】
実施形態50.前記参照が、前記細胞の前記細胞質の少なくとも一部における前記RBM20ポリペプチドの量の第2の測定値であり、前記第2の測定値は前記第1の測定値とは異なる時点で測定される、実施形態49に記載の方法。
【0303】
実施形態51.RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)に関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)前記化合物と、前記1つ以上のRBM20凝集体を含む溶液と、追加の凝集体溶液と、を混合することと、(b)前記1つ以上のRBM20凝集体に関連する特性を決定することと、を含み、参照と比較した場合の前記特性の調節が、前記化合物が前記1つ以上のRBM20凝集体に関連する前記特性を調節することを示す、前記方法。
【0304】
実施形態52.RBM20ポリペプチドを含む1つ以上の凝集体(「RBM20凝集体」)及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定する方法であって、(a)特定の物質と、前記RBM20ポリペプチドを含む溶液とを前記化合物の存在下で加え合わせることであって、前記物質が前記1つ以上のRBM20凝集体の形成を引き起こすことができ、前記物質が前記溶液と接触した後に前記1つ以上のRBM20凝集体が形成される、前記加え合わせることと、(b)前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を決定することであって、参照と比較した場合の前記特性の調節が、前記化合物が前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性を調節することを示す、前記決定することと、を含む、前記方法。
【0305】
実施形態53.前記1つ以上のRBM20凝集体及び/または前記RBM20ポリペプチドに関連する前記特性が、以下、すなわち、(i)前記1つ以上のRBM20凝集体の数、(ii)前記1つ以上のRBM20凝集体の組成、(iii)前記1つ以上のRBM20凝集体のサイズ、(iv)前記1つ以上のRBM20凝集体の安定性、(v)前記1つ以上のRBM20凝集体の溶解またはサイズの縮小、(vi)前記1つ以上のRBM20凝集体の表面積、(vii)前記1つ以上のRBM20凝集体の球形度、(viii)前記1つ以上のRBM20凝集体の流動性、(ix)前記1つ以上のRBM20凝集体の固化、(x)前記1つ以上のRBM20凝集体中にない前記RBM20ポリペプチドの量、(xi)前記1つ以上のRBM20凝集体中への前記RBM20ポリペプチドの分配、及び(xii)前記RBM20ポリペプチドの凝集のうちのいずれか1つに基づく、実施形態51または52に記載の方法。
【0306】
実施形態54.RBM20ポリペプチドを含む凝集体(「RBM20凝集体」)における生体分子の分配を調節する化合物を特定する方法であって、(a)前記化合物と細胞を含む組成物とを混合することであって、(i)前記細胞が前記RBM20凝集体を含み、及び/または(ii)前記化合物が前記組成物と接触した後、前記RBM20凝集体が前記細胞内で形成される、前記混合することと、(b)前記RBM20凝集体における前記生体分子の前記分配を決定することと、を含む、前記方法。
【0307】
実施形態55.前記生体分子が、非RBM20ポリペプチドである、請求項54に記載の方法。
【0308】
実施形態56.前記生体分子が、野生型RBM20ポリペプチドである、請求項54に記載の方法。
【0309】
実施形態57.前記RBM20ポリペプチドを含む前記RBM20凝集体が、変異体RBM20ポリペプチドを含む、請求項54~56のいずれか1項に記載の方法。
【0310】
実施形態58.RBM20関連疾患を治療するうえで有用な化合物を特定する方法であって、実施形態1~57に記載の方法のいずれか1つに従って化合物を特定することを含む、前記方法。
【0311】
実施形態59.前記RBM20関連疾患が、心筋症である、実施形態58に記載の方法。
【0312】
実施形態60.前記心筋症が、拡張型心筋症である、実施形態59に記載の方法。
【実施例】
【0313】
実施例1
本実施例では、蛍光標識された野生型RBM20、または単一の点突然変異を有する蛍光標識されたRBM20変異体を発現するように操作された細胞の蛍光イメージング分析を示す。HeLa及びU2OS(ヒト骨肉腫上皮細胞)細胞を、Dendra2標識に結合された野生型ヒトRBM20ポリペプチドまたはDendra2標識に結合された変異体RBM20を発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、60倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0314】
野生型RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたHeLa細胞では、RBM20凝集体が核内で観察された(
図1A)。R636S RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたHeLa細胞では、RBM20凝集体は細胞質でのみ観察された(
図1B)。
図1A及び
図1Bの画像の破線のボックス内の画像は、凝縮体を示す拡大図に相当する。
【0315】
野生型RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたU2OS細胞では、RBM20凝集体が核内で観察された(
図2A)。R636S RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたU2OS細胞では、RBM20凝集体は細胞質でのみ観察された(
図2B)。
図2A及び
図2Bの画像の破線のボックス内の画像は、凝縮体を示す拡大図に相当する。
【0316】
さらなるRBM20ポリペプチド変異体、すなわちR636C及びR636Hを、上記で述べたようにU2OS細胞で発現させ、評価を行った。
図3A~3Bに示されるように、野生型RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたU2OS細胞では、RBM20凝集体は主に核内で観察され(
図3A)、RBM20変異体ポリペプチドをトランスフェクトしたU2OS細胞では、RBM20凝集体は細胞質でのみ観察された(
図3B:R636S RBM20、
図3C:R636C RBM20、
図3D:R636H RBM20)。
図3A~
図3Cの画像の破線のボックス内の画像は、凝縮体を示す拡大図に相当する。
【0317】
実施例2
本実施例では、蛍光標識された野生型RBM20ポリペプチド、またはRSリッチドメインに単一の点突然変異を有する異なる蛍光標識されたRBM20変異体ポリペプチドを発現するように操作された心筋細胞、すなわちH9C2(胎児心臓からのラット筋芽細胞)の蛍光イメージング分析を示す。H9C2細胞を、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチド、またはDendra2標識に結合された変異体RBM20ポリペプチド(R636S、R636C、R636H、R634Q、S635A、S637G、P638L)を発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、60倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0318】
図4A~4Hに示されるように、野生型RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたH9C2細胞では、RBM20凝集体は主に核内で観察され(
図4A)、RBM20変異体ポリペプチドをトランスフェクトしたH9C2細胞では、RBM20凝集体は細胞質でのみ観察された(
図4B:R636S RBM20、
図4C:R636C RBM20、
図4D:R636H RBM20、
図4E:R634Q RBM20、
図4F:S635A RBM20、
図4G:S637G RBM20、
図4H:P638L RBM20)。
【0319】
実施例3
本実施例では、蛍光標識された野生型RBM20を発現するように操作された異なるU2OS細胞の蛍光イメージング分析を示す。U2OS細胞を、Dendra2標識に結合された野生型ヒトRBM20ポリペプチドを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、60倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0320】
U2OS細胞では、野生型RBM20ポリペプチドの継続的な発現によって、核及び細胞質の両方でRBM20凝縮体が形成されうることが観察された。
図5A及び
図5Bに示されるように、いくつかのU2OS細胞は、主に核内に位置するRBM20凝集体を有し(
図5A)、一部のU2OS細胞は、核及び細胞質の両方に位置するRBM20凝集体を有する(
図5B)。
図5Aの画像の破線のボックス内の画像は、凝縮体を示す拡大図に相当する。
【0321】
実施例4
本実施例では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物を特定するためのアッセイを示す。H9C2細胞を、Dendra2標識に結合された変異体R636S RBM20ポリペプチドを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。H9C2細胞を、コントロール(DMSO)、リポアミド(30μM)、ミトキサントロン(20μM)、またはJQ1(10μM)から選択した化合物と混合し、2時間インキュベートした後に蛍光画像を撮影した。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、60倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0322】
化合物及び参照物質で処理したH9C2細胞の画像を
図6A~
図6Dに示す。これらの画像を使用して、参照物質と比較した1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性の調節を決定することができる。
【0323】
実施例5
本実施例では、蛍光標識された野生型RBM20を発現するように操作されたH9C2細胞の蛍光イメージング分析を示す。H9C2細胞を、Dendra2標識に結合された野生型ヒトRBM20ポリペプチドを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させ、蛍光画像を経時的に撮影した。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、40倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0324】
H9C2細胞では、早期の時点において野生型RBM20ポリペプチドの発現によって、核内でRBM20凝縮体が形成されることが観察された(
図8A)。より後期の時点で、核内のRBM20凝集体の量が増加し、RBM20ポリペプチドの継続的な発現が細胞質中のRBM20凝集体の形成をもたらすことが観察された(
図8B)。この経時的研究は、野生型RBM20ポリペプチドの発現増加が核内での飽和をもたらし、これにより、細胞質中での野生型RBM20凝集体の形成をもたらしている可能性を示すものである。
【0325】
実施例6
本実施例では、RBM20ポリペプチドの局在化、凝集体の形成、及び凝集体の特性の評価を含む、RBM20細胞系をさらに評価するうえで有用な異なる細胞モデルシステムを実証する。
【0326】
H9C2細胞を、Dendra2標識及びC末端において核局在化シグナル(NLS)に結合された突然変異体R636S RBM20ポリペプチド、またはNLSなしでDendra2標識に結合された突然変異体R636S RBM20ポリペプチドを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。次に、細胞を固定し、DAPIで染色して核を可視化した。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、60倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0327】
図9に示されるように、NLSを有さない変異体R636 RBM20ポリペプチドは細胞質にのみ存在することから(下のパネル)、NLSを変異体R636S RBM20ポリペプチドに付加することにより(上のパネル)、変異体R636S RBM20ポリペプチドの核局在化が回復した。
【0328】
H9C2細胞を、Dendra2標識に結合されたリン酸化模倣変異体RBM20ポリペプチド(R636S、S635E、S637E)を発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。実施例4と同様、H9C2細胞を、Dendra2標識に結合された変異体R636S RBM20ポリペプチドを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、40倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0329】
図10に示されるように、リン酸化模倣変異体(R636S、S635E、S637E)は、変異体R636S RBM20ポリペプチドの核局在化を回復しなかった。
【0330】
H9C2細胞を、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチドの短縮/切断型を発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。具体的には、試験したRBM20ポリペプチドの形態は、ロイシンリッチドメイン欠失(ドメインはアミノ酸56~151にわたる)、グルタミン酸リッチドメイン欠失(ドメインはアミノ酸839~945にわたる)、ジンクフィンガー1及びジンクフィンガー2欠失(ジンクフィンガー1はアミノ酸394~440にわたり、ジンクフィンガー2はアミノ酸1133~1200にわたる)、RNA認識モチーフ欠失(RRM、ドメインはアミノ酸517~598にわたる)、及びセリン-アルギニンリッチドメイン欠失(SR、ドメインはアミノ酸613~673にわたる)とした。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、60倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0331】
図11に示されるように、ジンクフィンガーの欠失は核内のポリペプチドの拡散の増加をもたらし、RRMの欠失は顕著に大きくかつより球状の核内のRBM20凝集体を生じ、SRドメインの欠失は細胞質のみでのRBM20凝集体の形成をもたらした。SRリッチドメインの欠失による知見は、RMB20の核内輸送におけるSRリッチドメインの役割を示唆している。ジンクフィンガー1及びジンクフィンガー2の欠失による所見は、RMB20の核内凝集体の調節におけるジンクフィンガーの役割を示唆している。RRM欠失による所見は、核内の凝集の阻害におけるRNA結合の役割を示唆している。RRM欠失モデルをさらに調べるため、RRM欠失RBM20凝集体の融合を測定したところ、凝集体の融合が50ミリ秒未満で生じることが観察され、凝集体の液体のような性質を示した(データは示さず)。
【0332】
実施例7
本実施例では、ヘテロ接合型の野生型/変異型RBM20ポリペプチド細胞株ならびにRBM20凝集体の形成及び組成に対する影響を実証する。
【0333】
第1のH9C2細胞系は、mCherry標識に結合された変異体R636S RBM20ポリペプチドのコピーと、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチドのコピーを発現する一過性トランスフェクション(二重トランスフェクション)を用いて操作した。第2のH9C2細胞系は、mCherry標識に結合された変異R636S RBM20ポリペプチドのコピーとHIV-1の核外輸送シグナル配列(NES、核酸配列ctgccccccctggagcgcctgaccctg(配列番号NO:2)、アミノ酸配列LPPLERLTL(配列番号 NO:3))のコピーを発現する一過性トランスフェクション(二重トランスフェクション)を用いて操作した。Dendra2標識に結合されたポリペプチドをコントロールとして用いた。第3のH9C2細胞系は、mCherry標識に結合された変異体R636S RBM20ポリペプチドのコピーを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。第4のH9C2細胞を、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチドのコピーを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。単一トランスフェクション細胞系を、変異体及び野生型RBM20ポリペプチド局在化のコントロール、ならびにチャネルブリーチングのコントロールとして用いた。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、40倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0334】
図12A~12Dに示されるように、ヘテロ接合型のRBM20ポリペプチドH9C2細胞は、変異体及び野生型RBM20ポリペプチドの両方を含む細胞質RMB20凝縮体を形成することが示され、したがって、変異型RBM20ポリペプチドの存在が野生型RBM20ポリペプチドの局在化不全につながる可能性があることを示している。コントロールとしての変異体R636S RBM20ポリペプチドは、NESを細胞質RMB20凝集体に隔離しなかった(
図12A、下のパネル)。
図12Aの画像について挿入図を
図12Bに示し、
図12Cの画像について挿入図を
図12Dに示す。
【0335】
実施例8
本実施例では、蛍光標識された野生型RBM20ポリペプチド、またはRSリッチドメインの外側のドメインに単一の点突然変異を有する異なる蛍光標識されたRBM20変異体ポリペプチドを発現するように操作された心筋細胞、すなわちH9C2(胎児心臓からのラット筋芽細胞)の蛍光イメージング分析を示す。具体的には、H9C2細胞を、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチド、またはDendra2標識に結合された変異体RBM20ポリペプチド(E913K、R716Q、またはV535L)を発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、60倍のオイル対物レンズを備えたDeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0336】
E913K(Eリッチドメインに存在)とR716Q(RSリッチドメインとEリッチドメインの間に存在)はいずれも家族性RBM20ポリペプチド変異を示す。V535L変異はRPMドメインに存在し、散発的RBM20ポリペプチド変異を示す。
図13A~13Dに示されるように、野生型RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたH9C2細胞では、RBM20凝集体は主に核内で観察され(
図13A)、上記のRBM20変異体ポリペプチドをトランスフェクトしたH9C2細胞では、核内及び細胞質凝集体の混ざり合った表現型が認められた(
図13B:E913K RBM20、
図13C:R716Q RBM20、
図13D:V535L RBM20)。
【0337】
実施例9
本実施例では、RBM20凝集体に共局在する分子成分を評価するための蛍光イメージング分析を実証する。細胞を、蛍光標識された野生型RBM20ポリペプチドまたは蛍光標識されたRBM20 R636S変異型ポリペプチドのいずれかを発現するように操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。特定の細胞をDAPI染色して核を視覚化した。次いで細胞に、DDX3X(ストレス顆粒に関与するタンパク質)などの標的に対する免疫蛍光(IF)法を行った。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、DeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。野生型及び変異型RBM20の両方について、RBM20標識に対するチャネルで、IF分析の場合は、標識抗体に対するチャネルで細胞を含む画像を撮影した。
【0338】
図14に示されるように、DDX3Xは、野生型細胞系ではRBM20凝集体と共局在化していなかったが、DDX3Xは、変異体RBM20細胞系では細胞質RBM20凝集体と共局在化していた。同様の実験をDDX5及びTDP43のIF染色について行ったところ、いずれも変異体RBM20細胞系では細胞質RBM20凝縮体と共局在している同様の結果を示したが、野生型細胞系では共局在は認められなかった。しかしながら、変異体RBM20凝集体中へのそれらの分配は、DDX3Xと比較して大幅に低かった(データは示さず)。
【0339】
パラスペックルタンパク質PSPC1、SFPQ、及びNONOのIF染色についても同様の実験を行った。
図15から分かるように、野生型RBM20ポリペプチドのみが、PSPC1でマークされたパラスペックル中に分配され、変異型RBM20ポリペプチドはパラスペックル中に分配されなかった。野生型RBM20ポリペプチドは、SFPQ及びNONOによってマークされたパラスペックル中にも同様に分配されたが、変異型RBM20ポリペプチドは分配されなかった(データは示さず)。
【0340】
核タンパク質PTBP1、SRRM1、U2AF65、及びSC35のIF染色についても同様の実験を行った。
図16から分かるように、試験した各核タンパク質は、野生型細胞系のみでRBM20凝集体と共局在化しており、R636S変異体RBM20細胞系では細胞質RBM20凝集体と共局在化していなかった。
【0341】
同様のアッセイシステムを、RBM20以外の標識タンパク質成分を使用して開発した。具体的には、第1の細胞系は、mCherryで標識された野生型RBM20ポリペプチド、及びGFPで標識されたDDX3Xを発現するように操作した。第2の細胞系は、mCherryで標識されたR636S変異体RBM20ポリペプチド、及びGFPで標識されたDDX3Xを発現するように操作した。トランスフェクション後、細胞をインキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。特定の細胞をDAPI染色した。次いで細胞に、G3BP1(ストレス顆粒に関与するタンパク質)などのさらなる標的に対する免疫蛍光(IF)法を行った。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、DeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。野生型及び変異型RBM20の両方について、RBM20標識に対するチャネル、DDX3X標識に対するチャネル、及びG3BP1に特異的な標識抗体に対するチャネルで細胞を含む画像を撮影した。
【0342】
図17に示されるように、DDX3Xは、変異体RBM20細胞系で細胞質RBM20凝集体と共局在していた。さらに、ストレス顆粒マーカーG3BP1は、変異型RBM20細胞系で細胞質RBM20凝集体と共局在していた。
【0343】
実施例10
本実施例では、誘導性野生型及びR636S変異体RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしたH9C2細胞(胎児心臓からのラット筋芽細胞)の細胞毒性分析を実証する。
【0344】
H9C2細胞を、TetONの制御下で、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチド、またはDendra2標識に結合されたR636S変異RBM20ポリペプチドのいずれかを誘導的に発現するように操作した。細胞及び/または細胞の一部の蛍光及びDIC画像を、DeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
図18から分かるように、誘導の約24時間後、野生型RBM20ポリペプチドを発現するように誘導された約90%のH9C2細胞は核凝集体を示し、R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように誘導された細胞は細胞質凝集体を示した。RBM20の発現は、H9C2細胞ライセートを使用したウエスタンブロットによっても確認された(データは示さず)。
【0345】
細胞毒性分析を行うため、非誘導細胞を、96ウェルプレートにウェル当たり約1500個の細胞量で播種した。Incucyte(登録商標)NucLight Rapid Red試薬(細胞透過性DNA染色)を各ウェルに添加して、生細胞の核標識を行った(T0)。核色素を添加した翌日、ドキシサイクリンを最終濃度6μg/mLで添加してタンパク質発現を誘導し、添加しないものをコントロールとした。Incucyte(登録商標)Live-Cell分析システムを使用して生細胞のリアルタイム定量をT0から開始し、その後、3日目の終わり(T3)まで2時間ごとに実施しました。経時的な核色素シグナルを、T0のシグナルに正規化した。
【0346】
図19Aから分かるように、野生型またはR636S変異体RBM20プラスミドを有する非誘導H9C2細胞は、経時的な細胞増殖に大きな違いは認められなかった。H9C2細胞における野生型RBM20ポリペプチドの発現も,非誘導細胞と比較して細胞増殖に影響を与えなかった(
図19B)。R636変異体RBM20ポリペプチドの発現は細胞増殖に影響を及ぼし(
図19C)、これらのH9C2細胞は野生型RBM20ポリペプチドを発現するH9C2細胞と比較して遅い増殖を示した(
図19D)。
【0347】
細胞毒性を、RealTime-Glo(商標)アネキシンVアポトーシス及び壊死アッセイ(Promega)を用いたリアルタイムアポトーシスモニタリングによっても試験した。アポトーシスでは、ホスファチジルセリン(PS)が細胞膜の外葉に露出するが、これにアネキシンVルシフェラーゼ融合タンパク質を結合させて発光(RLU)シグナルを生じさせることができる。
【0348】
前述の非誘導H29C細胞を96ウェルプレートに播種した。タンパク質発現を誘導させるためにドキシサイクリンを直ちに添加するか、またはコントロールとして添加しなかった。ドキシサイクリン誘導(または誘導なし)の24時間後、アポトーシスアッセイ試薬を、アポトーシス誘導物質であるスタウロスポリン(STS)を加えるかまたは加えずに各ウェルに添加した(T0)。その後、発光を40時間にわたって監視した。
図20A~20Eから分かるように、R636S変異体RBM20ポリペプチドの発現は、H9C2細胞の基底アポトーシスを増加させた(低いSTSストレスを与えた、またはSTSストレスを与えない
図20A~20Cを参照)のに対して、高いSTSストレス下(
図20D及び20Eを参照)では、R636S変異体RBM20発現のさらなる誘導によって、野生型RBM20を発現する細胞と比較して高いアポトーシスは示されなかった。
【0349】
細胞アポトーシスを、DeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影されたH29C細胞(STSストレスで処理されていない)の蛍光及びDIC画像でさらに確認した。
図21から分かるように、野生型またはR636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように誘導されたH29C細胞は両方とも、経時的に誘導されるアポトーシスを示した。しかしながら、R636S変異体RBM20ポリペプチドを発現するように誘導されたH29C細胞では、野生型RBM20ポリペプチドを発現するものと比較してより多くの浮遊細胞(すなわち、アポトーシス細胞)が認められた。
【0350】
実施例11
本実施例では、H29C細胞中の変異体RBM20凝集体の成分をマッピングするためのアッセイを実証する。
【0351】
H9C2細胞を、TetONの制御下で、Dendra2標識に結合された野生型RBM20ポリペプチド(コントロールとして使用)、またはDendra2標識に結合されたR636S変異RBM20ポリペプチドのいずれかを誘導的に発現するように操作した。細胞は、最終濃度4μg/mLでドキシサイクリンで誘導した。誘導の1日後、細胞を固定し、IF染色を行うために試験タンパク質(約100種の試験タンパク質)に対する抗体(約200種の抗体)を加えた。細胞をDAPIでも染色した。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、DeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0352】
図22は、ストレス顆粒タンパク質elF3eが細胞質R636S変異体RBM20凝集体と共局在していることを示しており、elF3eが細胞質内でR636S変異体RBM20凝集体に分配されていることを示唆している。評価したすべてのタンパク質のうち、30種がR636S変異RBM20凝集体への分配を示し、その多くはストレス顆粒タンパク質であった。
【0353】
実施例12
本実施例では、1つ以上のRBM20凝集体及び/またはRBM20ポリペプチドに関連する特性を調節する化合物をスクリーニングするためのアッセイを示す。H9C2細胞を、Dendra2標識に結合された変異体R636S RBM20ポリペプチドを発現するように一過性トランスフェクションを用いて操作した。トランスフェクション後、細胞を約16時間インキュベートしてRBM20ポリペプチドを発現させた。H9C2細胞を384ウェルプレートに播種し、コントロール(DMSO)または20μMの試験化合物と混合し、次いで24時間インキュベートした後、固定、染色し(例えば、DAPIで)、蛍光画像を撮影した。変異型R636S RBM20ポリペプチドをトランスフェクトしていないH9C2細胞をコントロールとして使用した。各化合物について3重の複製実験を行った。細胞及び/または細胞の一部の蛍光画像を、DeltaVision広視野デコンボリューションシステムを使用して撮影した。
【0354】
リトコール酸、キナクリン2HCl、及び参照化合物(DMSO)で処理したH9C2細胞の画像を
図23に示す。トランスフェクトされていないH9C2細胞をコントロールとして用いた。
図23は、リトコール酸が細胞質の変異体R636S RBM20凝集体を減少させることができたのに対して、キナクリン2HClは細胞質の変異体R636S RBM20凝集体を増加させたことを示している。
図24A~24Eは、トリプトライド(PG490)(
図24A)、BIO(
図24B)、ウプロセルチブ(GSK2141795)(
図24C)、アニソマイシン(
図24D)、及びWS6(
図24E)は、いずれも細胞質の変異体R636SRBM20凝集体を減らすことができたことを示している。それらの減少のレベルを、各パネルの下にZスコアとして示す。
【配列表】
【国際調査報告】