(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】Te高含有量のCuCr接点の製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 1/03 20060101AFI20221114BHJP
C22C 9/00 20060101ALI20221114BHJP
C22C 1/02 20060101ALI20221114BHJP
H01H 33/664 20060101ALI20221114BHJP
H01H 1/025 20060101ALI20221114BHJP
B22D 21/00 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
C22C1/03
C22C9/00
C22C1/02 503B
H01H33/664 B
H01H1/025
B22D21/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517470
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2020118462
(87)【国際公開番号】W WO2021139245
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】202010025989.7
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522106743
【氏名又は名称】シャンシー シルイ アドバンスド マテリアルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シーソン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シアオチュン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、カイ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ポン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ピン
(72)【発明者】
【氏名】シー、シアオユン
(72)【発明者】
【氏名】ホー、トーヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、チュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ウェンピン
(72)【発明者】
【氏名】リー、カン
【テーマコード(参考)】
5G026
5G050
【Fターム(参考)】
5G026BB02
5G026BB14
5G026BB27
5G026BC04
5G050AA12
5G050AA13
5G050AA47
5G050DA03
5G050EA01
(57)【要約】
Te高含有量のCuCr接点の製造方法であって、CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック及びCuTe(10~50)合金ブロックを選択して用意するステップS1と、一致する比率であるCuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックを坩堝に入れ、CuTe(10~50)合金ブロックを二次供給装置に入れると、真空システムを起動させるステップS2と、勾配加熱しCuブロックが溶け始めると、真空システムを閉じ、アルゴンガスを充填させるステップS3と、CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックが溶融し切れることを観察すると、均一に攪拌してから、CuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に入れるステップS4と、溶融合金液を坩堝口に流させ、坩堝口の温度を上げるステップS5と、溶融合金液が水冷銅鋳型に流れ込むように鋳込みを行うステップS6と、仕様の要求に従って機械加工を実行するステップS7と、を主に含む。当該工程は、中間合金ブロック添加方法を採用して、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証できると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック及びCuTe(10~50)合金ブロックを選択して用意する原材料用意ステップS1と、
セラミック坩堝を使用して、用意したCuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックを坩堝に入れ、CuTe(10~50)合金ブロックを二次供給装置に入れると、真空システムを起動させる炉詰めステップS2と、
10
-1レベルになるまで真空吸引されると、勾配加熱し、Cuブロックが溶け始まると、真空システムを閉じ、アルゴンガスを充填し、電力を45~55KWに上げる誘導加熱ステップS3と、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックが溶融し切れることを観察すると、均一に攪拌した後、2回目に原材料を添加する方法でCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に入れ、2~5分だけ保温させるCuCr合金を添加するステップS4と、
ゆっくりと溶融合金液を坩堝口に流させ、坩堝口の温度を上げ、0.5分だけ維持させる坩堝口を予め加熱するステップS5と、
溶融合金液が水冷銅鋳型に流れ込むようにする鋳込みステップS6と、
仕様の要求に従って機械加工を実行する機械加工ステップS7と、を主に含むことを特徴とするTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック及びCuTe(10~50)合金ブロックを、Cr含有量の比例が25~40%になり、Te添加量の比例が0.3~1%になるように用意することを特徴とする、請求項1に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項3】
前記ステップS3では、-0.03~-0.08Mpaのアルゴンガスを充填させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項4】
前記ステップS3では、勾配加熱は、具体的に、10
-1レベルになるまで真空吸引されると、10KW、20KW、30KW、40KWという方法に従って勾配で加熱し、先の各段階は3~5分だけ維持させ、最後は40KWに維持させるものである、ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項5】
前記ステップS4では、Teの添加比率は0.3~1%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項6】
前記ステップS6では、鋳込み方法は具体的に、最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項7】
前記鋳込みは、最初に遅い、次に速い、最後に遅いという方法で溶融合金液を水冷銅鋳型に流させることを特徴とする、請求項6項に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項8】
前記坩堝を予め加熱する方法は、溶融合金液を坩堝口に流せる前に、坩堝口にテルル化ナトリウム溶液を噴霧し、赤外線パルス照射により坩堝口の表面を78~90℃に予め加熱してから、溶融合金液を5±0.5kg/minの速度で坩堝口に流させ、坩堝口の温度を溶融合金液の温度より高くなるように上げ、0.5分だけ保持させ、ここで、前記赤外線パルスを照射する照射距離は8~10cmであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【請求項9】
前記テルル化ナトリウム溶液の質量濃度は1.5~1.8%であることを特徴とする、請求項8項に記載のTe高含有量のCuCr接点の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日が2020年1月10日である中国特許出願202010025989.7の優先権を主張する。本出願は、前記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、合金製錬の技術分野に関し、具体的に、Te高含有量のCuCr接点の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
周知通りに、真空遮断器は、電力系統において通常の回路状態で電流を閉じ、流し、遮断すると共に、異常な回路状態で所定の時間内に電流を閉じ、流し及び遮断できるという役割を果たすものである。インタラプタにおけるコアコンポーネントとしては、接点がその中で重要な役割を果たす。真空遮断器については、接点材料に対する要求が非常に厳しく、特に、将来、中・高電圧の真空スイッチチューブに対する中国国家電網の要求は、小型化、メンテナンスフリー、長寿命、及び全寿命でなければならないことから、接点材料の性能に対する要求が高くなる。
【0004】
現在のプロセス(真空溶融鋳込み、浸透、アーク製錬、粉末冶金)により製造されたCuCr接点は、実際の使用に、カットオフ値が高すぎるため切断できず、又は、溶接によって接点を切断できない状況が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在では、真空誘導製錬に基づいて、金属Teを添加することで脆性相が形成され、接点の耐溶接性が向上してカットオフ値が低下する。しかしながら、Teは、その沸点が低いため、製錬のプロセスに、非常に揮発し易く、収率が極めて低い。また、現在のステップには、添加するTeが0.3%以下であるため、金属Teの役割を十分に果たすことができず、ひいては、Teの添加により坩堝の脱落を加速させ、接点の金属組織学的封入を引き起こし、坩堝の寿命を短縮し、製造コストを増やさせることになってしまう。従って、上記の問題を解決するために、Te高含有量のCuCr接点の新たな製造方法が必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的な問題を解決するためには、本発明がTe高含有量のCuCr接点の製造方法を提供する。
本発明に係る技術的手段は、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック及びCuTe(10~50)合金ブロックを選択して用意する原材料用意ステップS1と、
セラミック坩堝を使用して、用意したCuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックを坩堝に入れ、CuTe(10~50)合金ブロックを二次供給装置に入れると、真空システムを起動させる炉詰めステップS2と、
10-1レベルになるまで真空吸引されると、勾配加熱し、坩堝におけるCuブロックが溶け始まると、真空システムを閉じ、アルゴンガスを充填してから、電力を45~55KWに上げる誘導加熱ステップS3と、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックが溶融し切れることを観察すると、均一に攪拌してから、2回目に原材料を添加する方法でCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に入れ、2~5分だけ保温させるCuCr合金を添加するステップS4と、
ゆっくりと溶融合金液を坩堝口に流させ、坩堝口の温度を上げ、0.5分だけ維持させる坩堝口を予め加熱するステップS5と、
溶融合金液が水冷銅鋳型に流れ込むようにする鋳込みステップS6と、
仕様の要求に従って機械加工を実行する機械加工ステップS7と、を主に含むTe高含有量のCuCr接点の製造方法を提供する。
【0007】
本発明の工程では、CrとTeを中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬の温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率が保証されると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなる。又、材料を2回添加する方法を採用してCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に添加し、2~5分だけ保温させることで、Teが溶湯に滞留する時間が短くなり、Teの揮発が低減される。それと同時に、本発明の工程で製造されたCuCr接点は、Teの含有量が0.3~1%である合金接点を製造でき、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できる。
【0008】
更に、前記ステップS1では、CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック及びCuTe(10~50)合金ブロックを、25~40%のCr含有量、0.3~1%のTe添加量に比例させる。中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率が保証される。それと同時に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなる。また、Teの添加量を0.3~1%に制御することで、接点の引張強度等を効果的に低下させることができる。
【0009】
更に、前記ステップS3では、-0.03~-0.08Mpaのアルゴンガスを充填する。誘導加熱で-0.03~-0.08Mpaのアルゴンガスを充填することで、装置の真空度を下げることができ、Teの揮発を減らし、Teの収率を向上させることができる。
【0010】
更に、前記ステップS3では、勾配加熱は、具体的に、10-1レベルになるまで真空吸引されると、10KW、20KW、30KW、40KWという方法に従って勾配で加熱し、先の各段階を3~5分だけ維持させ、最後のものを40KWに維持させるものである。勾配加熱という方法を採用することにより、真空誘導製錬ステップの装置への損傷を軽減に改善できると共に、原材料からのガスを放出することに役立ち、材料の純度を向上させることができる。
【0011】
更に、前記ステップS4では、Teの添加比率は0.3~1%である。材料を2回添加する方法を採用してTeの溶錬過程における揮発を低減させることができ、その高収率を保証し、更に、接点合金のTeの含有量を保証することができる。Teの添加量を0.3~1%に制御することは、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できる。
【0012】
更に、前記ステップS6では、鋳込み方法は具体的に、最初に遅い、次に速い、最後に遅い鋳込み方法である。最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法を採用して鋳込みをすると鋳込み速度が遅すぎて注湯が不十分であったり、注湯が速すぎて冷え止りが発生したりすることはない。
更に、前記鋳込みの具体的なステップは、以下の通りである。
1)最初に、溶湯の総量の5%を鋳込み、鋳込む速度を8±0.5kg/minに制御すること。
2)次に、溶湯の総量の70%を鋳込み、鋳込む速度を上げて18±0.5kg/minに制御すること。ここで、鋳込みでは、鋳込み溶湯総量の0.2~0.4%のCuTe(10~50)合金粉末を噴霧する。
3)最後に、溶湯の総量の25%を鋳込み、鋳込む速度を8±0.5kg/minに制御すること。
【0013】
前記鋳込み方法を採用して鋳込むと、鋳込み溶湯に対して、異なる総量の場合に異なる速度で鋳込みを制御するため、鋳込み速度が遅すぎて注入が不十分であったり、鋳込みが速すぎて冷え止りが発生することにより金型の破壊が発生したりすることはなく、又、ステップ2)で鋳込み溶湯総量の0.2~0.4%のCuTe(10~50)合金粉末を添加することで、Teの収率をさらに改善でき、鋳込みの冷え止りが発生して接点の性能が低下してしまうのを防ぐことができ、接点合金の作業性能を効果的に改善することができる。
【0014】
更に、前記坩堝の予め加熱する方法であって、溶融合金液を坩堝口に流せる前に、坩堝口にテルル化ナトリウム溶液を噴霧し、赤外線パルス照射により坩堝口の表面を78~90℃に予め加熱してから、溶融合金液を5±0.5kg/minの速度で坩堝口に流させ、坩堝口の温度を溶融合金液の温度より高くなるように上げ、0.5分だけ保持させ、ここで、前記赤外線パルスを照射する照射距離は8~10cmである。赤外線パルス照射装置によって照射して予め加熱することで、テルル化ナトリウム溶液におけるテルル化ナトリウムを坩堝口の表面に効果的かつ迅速に付着させることができ、テルル元素の揮発を引き起こさなく、流速を5±0.5kg/minに制御して坩堝口に流させることにより、坩堝口を予め加熱して溶湯のドロドロによるその後の鋳込みの不順調を防ぐことができる。
【0015】
更に、前記テルル化ナトリウム溶液の質量濃度は1.5~1.8%である。質量濃度が1.5~1.8%であるテルル化ナトリウム溶液を採用し、その質量濃度は、前記勾配加熱における各段階の加熱時間に支配されるものであり、加熱時間が長く維持されるほど、使用されるテルル化ナトリウムの質量濃度が高くなり、加熱時間が短く維持されるほど、使用されるテルル化ナトリウムの質量濃度が低くなり、赤外線パルスの照射によってそれを坩堝口の表面に付着させ、溶湯をゆっくりと流されることによるTe元素の補償によりTe含有量を保証することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る有益な効果は、以下の通りである。
(1)本発明の工程では、CrとTeを中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証すると共に、坩堝への洗浄を少なくして、金属組織の混ぜが少なくなる。
【0017】
(2)本発明の工程では、材料を2回添加する方法を採用してCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に添加し、2~5分だけ保温させることで、Teが溶湯に滞留する時間を短縮し、Teの揮発を低減させる。
【0018】
(3)本発明の工程で製造されたCuCr接点は、Teの含有量が0.3~1%である合金接点を製造でき、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できる。
【0019】
(4)本発明の工程では、鋳込み溶湯に対して、異なる総量の場合に異なる速度で鋳込みを制御するため、鋳込み速度が遅すぎて注入が不十分であったり、鋳込みが速すぎて冷え止りが発生したりすることを引きこすことなく、接点合金作業性能等を効果的に改善することができる。
【0020】
(5)本発明の工程では、赤外線パルス照射装置によって照射して予め加熱することで、テルル化ナトリウム溶液におけるテルル化ナトリウムを坩堝口の表面に効果的かつ迅速に付着させることができ、流速を制御して坩堝口に流させることにより、坩堝口を予め加熱して溶湯のドロドロによるその後の鋳込みの不順調を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施例1
Te高含有量のCuCr接点の製造方法は、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック、CuTe(10~50)合金ブロックを、Cr含有量の比例が25%になり、Te添加量の比例が0.3%になるように用意するステップS1であって、中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証できると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなり、また、Teの添加量を0.3~1%に制御することで、接点の引張強度等を効果的に低下させることができるステップS1と、
適切なセラミック坩堝を使用して、用意したCuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックを坩堝に入れ、CuTe(10~50)合金ブロックを二次供給装置に入れると、真空システムを起動させる炉詰めステップS2と、
10-1レベルになるまで真空吸引されると、勾配加熱し、坩堝におけるCuブロックが溶け始まると、真空システムを閉じ、-0.06Mpaのアルゴンガスを充填してから、電力を45KWに上げる誘導加熱ステップS3であって、前記勾配加熱は、具体的に、10-1レベルになるまで真空吸引されると、10KW、20KW、30KW、40KWという方法に従って勾配で加熱し、先の各段階は4分だけ維持させ、最後のものを40KWに維持させるものであり、勾配加熱という方法を採用することにより、真空誘導製錬ステップの装置への損傷を軽減に改善できると共に、原材料からのガスを放出することに役立ち、材料の純度が向上し、誘導加熱で-0.06Mpaのアルゴンガスを充填させることで、装置の真空度を下げることができ、Teの揮発を減らし、Teの収率を向上させるステップS3と、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックが溶融し切れることを観察すると、均一に攪拌してから、2回目に原材料を添加する方法でCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に入れ、4分だけ保温させるCuCr合金を添加するステップS4であって、材料を2回添加する方法を採用してTeの溶錬過程における揮発を低減させることができ、その高収率を保証し、更に、接点合金のTeの含有量を保証することができ、Teの添加量を制御することは、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できるステップS4と、
ゆっくりと溶融合金液を坩堝口に流させ、坩堝口の温度を上げ、0.5分だけ維持させる坩堝口を予め加熱するステップS5と、
最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法で溶融合金液が水冷銅鋳型に流れ込むようにする鋳込みステップS6であって、最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法を採用して鋳込みをすると、鋳込み速度が遅すぎて注湯が不十分であったり、注湯が速すぎて冷え止りが発生したりすることはないステップS6と、
仕様の要求に従って機械加工を実行する機械加工ステップS7と、を主に含む。
【0022】
本発明の工程ではCrとTeを中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証できると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが低くなり、また、材料を2回添加する方法を採用してCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に添加し、4分だけ保温させることで、Teが溶湯に滞留する時間を短縮し、Teの揮発を低減させると共に、本発明の工程で製造されたCuCr接点は、Teの含有量が0.3%である合金接点を製造でき、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できる。
【0023】
実施例2
Te高含有量のCuCr接点の製造方法は、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック、CuTe(10~50)合金ブロックを、Cr含有量の比例が25%になり、Te添加量の比例が0.6%になるように用意するステップS1であって、中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証できると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなり、また、Teの添加量を0.3~1%に制御することで、接点の引張強度等を効果的に低下させることができるステップS1と、
適切なセラミック坩堝を使用して、用意したCuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックを坩堝に入れ、CuTe(10~50)合金ブロックを二次供給装置に入れると、真空システムを起動させる炉詰めステップS2と、
10-1レベルになるまで真空吸引されると、勾配加熱し、坩堝におけるCuブロックが溶け始まると、真空システムを閉じ、-0.06Mpaのアルゴンガスを充填してから、電力を50KWに上げる誘導加熱ステップS3であって、前記勾配加熱は、具体的に、10-1レベルになるまで真空吸引されると、10KW、20KW、30KW、40KWという方法に従って勾配で加熱し、先の各段階は4分だけ維持させ、最後のものを40KWに維持させるものであり、勾配加熱の方法を採用することにより、真空誘導製錬ステップの装置への損傷を軽減に改善できると共に、原材料からのガスを放出することに役立ち、材料の純度を向上させ、誘導加熱で-0.06Mpaのアルゴンガスを充填させることで、装置の真空度を下げることができ、Teの揮発を減らし、Teの収率を向上させるステップS3と、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックが溶融し切れることを観察すると、均一に攪拌してから、2回目に原材料を添加する方法でCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に入れ、4分だけ保温させるCuCr合金を添加するステップS4であって、材料を2回添加する方法を採用してTeの溶錬過程における揮発を低減させることができ、その高収率を保証し、更に、接点合金のTeの含有量を保証し、Teの添加量を制御することは、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できるステップS4と、
ゆっくりと溶融合金液を坩堝口に流させ、坩堝口の温度を上げ、0.5分だけ維持させる坩堝口を予め加熱するステップS5と、
最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法で溶融合金液が水冷銅鋳型に流れ込むようにする鋳込みステップS6であって、最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法を採用して鋳込みをすると、鋳込み速度が遅すぎて注湯が不十分であったり、注湯が速すぎて冷え止りが発生したりすることはないステップS6と、
仕様の要求に従って機械加工を実行する機械加工ステップS7と、を主に含む。
【0024】
本発明の工程ではCrとTeを中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証できると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなり、また、材料を2回添加する方法を採用してCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に添加し、4分だけ保温させることで、Teが溶湯に滞留する時間を短縮し、Teの揮発を低減させ、同時に、本発明の工程で製造されたCuCr接点は、Teの含有量が0.6%である合金接点を製造でき、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できた。
【0025】
実施例3
Te高含有量のCuCr接点の製造方法は、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック、CuTe(10~50)合金ブロックを、Cr含有量の比例が25%になり、Te添加量の比例が0.9%になるように用意するステップS1であって、中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証できると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなり、また、Teの添加量を0.3~1%に制御することで、接点の引張強度等を効果的に低下させることができるステップS1と、
適切なセラミック坩堝を使用して、用意したCuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックを坩堝に入れ、CuTe(10~50)合金ブロックを二次供給装置に入れると、真空システムを起動させる炉詰めステップS2と、
10-1レベルになるまで真空吸引されると、勾配加熱し、坩堝におけるCuブロックが溶け始まると、真空システムを閉じ、-0.06Mpaのアルゴンガスを充填してから、電力を55KWに上げる誘導加熱ステップS3であって、前記勾配加熱は、具体的に、10-1レベルになるまで真空吸引されると、10KW、20KW、30KW、40KWという方法に従って勾配で加熱し、先の各段階は4分だけ維持させ、最後のものを40KWに維持させるものであり、勾配加熱の方法を採用することにより、真空誘導製錬ステップの装置への損傷を軽減に改善できると共に、原材料からのガスを放出することに役立ち、材料の純度を向上させ、誘導加熱で-0.08Mpaのアルゴンガスを充填させることで、装置の真空度を下げることができ、Teの揮発を減らし、Teの収率を向上させるステップS3と、
CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロックが溶融し切れることを観察すると、均一に攪拌してから、2回目に原材料を添加する方法でCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に入れ、4分だけ保温させるCuCr合金を添加するステップS4であって、材料を2回添加する方法を採用してTeの溶錬過程における揮発を低減させることができ、その高収率を保証し、更に、接点合金のTeの含有量を保証し、Teの添加量を制御することは、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できるステップS4と、
ゆっくりと溶融合金液を坩堝口に流させ、坩堝口の温度を上げ、0.5分だけ維持させる坩堝口を予め加熱するステップS5と、
最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法で溶融合金液が水冷銅鋳型に流れ込むようにする鋳込みステップS6であって、最初に遅い、次に速い、最後に遅いという鋳込み方法を採用して鋳込みをすると鋳込み速度が遅すぎて注湯が不十分であったり、注湯が速すぎて冷え止りが発生したりすることはないステップS6と、
仕様の要求に従って機械加工を実行する機械加工ステップS7と、を主に含む。
【0026】
本発明の工程ではCrとTeを中間合金であるCuCr(25~50)合金ブロックとCuTe(10~50)ブロックの方法を採用して添加することで、溶錬温度が低くなり、Teを添加する均一性及び収率を保証できると共に、坩堝への洗浄が少なくなり、金属組織の混ぜが少なくなり、また、材料を2回添加する方法を採用してCuTe(10~50)合金ブロックを溶融合金液に添加し、4分だけ保温させることで、Teが溶湯に滞留する時間を短縮し、Teの揮発を低減させ、同時に、本発明の工程で製造されたCuCr接点は、Teの含有量が0.9%である合金接点を製造でき、接点の引張強度とカットオフ値を効果的に低減できた。
【0027】
実施例4
実施例4と実施例2は基本的に同じであるが、相違は、Crの含有量にある。原材料用意ステップS1では、CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック及びCuTe(10~50)合金ブロックを、Cr含有量を30%、Te添加量を0.6%にするように用意する。
【0028】
実施例5
実施例5と実施例2は基本的に同じであるが、相違は、Crの含有量にある。原材料用意ステップS1では、CuCr(25~50)合金ブロック、Cuブロック及びCuTe(10~50)合金ブロックを、Cr含有量を40%、Te添加量を0.6%にするように用意する。
【0029】
実施例6
本実施例と実施例2は基本的に同じであるが、相違は、鋳込み方法が違うということにある。前記鋳込み方法の具体的なステップは、以下の通りである。
1)先に、溶湯の総量の5%を鋳込み、鋳込む速度を8±0.5kg/minに制御すること。
2)次に、溶湯の総量の70%を鋳込み、鋳込む速度を上げて18±0.5kg/minに制御すること。ここで、鋳込みでは鋳込み溶湯総量の0.3%のCuTe(10~50)合金粉末を噴霧する。
3)最後に、溶湯の総量の25%を鋳込み、鋳込む速度を8±0.5kg/minに制御すること。
【0030】
前記鋳込み方法を採用して鋳込みすると、異なる総量の場合に異なる速度で鋳込みを制御するため、鋳込み速度が遅すぎて注入が不十分であったり、鋳込みが速すぎて冷え止りが発生することにより金型の破壊が発生したりすることなく、又、ステップ2)で鋳込み溶湯総量の0.3%のCuTe(10~50)合金粉末を添加することで、Teの収率をさらに改善でき、鋳込み冷え止りが発生して接点の性能を低下させるのを防ぐことができ、接点合金の作業性能を効果的に改善することができる。
【0031】
実施例7
本実施例と実施例2は基本的に同じであるが、相違は、坩堝口を予め加熱する方法が違うということにある。前記坩堝口を予め加熱する方法は、溶融合金液を坩堝口に流せる前に、坩堝口にテルル化ナトリウム溶液を噴霧し、赤外線パルス照射により坩堝口の表面を86℃に予め加熱してから、溶融合金液を5±0.5kg/minの速度で坩堝口に流させ、坩堝口の温度を溶融合金液の温度より高くなるように上げ、0.5分だけ保持させ、ここで、前記赤外線パルスを照射する照射距離は9cmである。赤外線パルス照射装置によって照射予め加熱することで、テルル化ナトリウム溶液におけるテルル化ナトリウムを坩堝口の表面に効果的かつ迅速に付着させることができ、テルル元素の揮発を引き起こさなく、流速を5±0.5kg/minに制御して坩堝口に流させることにより、坩堝口を予め加熱して溶湯のドロドロによるその後の鋳込みの不順調を防ぐことができた。
【0032】
ここで、前記テルル化ナトリウム溶液の質量濃度は1.5~1.8%である。質量濃度が1.7%であるテルル化ナトリウム溶液を採用し、その質量濃度は前記勾配加熱各段階の加熱時間に支配されるものであり、加熱時間が長く維持されるほど、使用されるテルル化ナトリウムの質量濃度が高くなり、加熱時間が短く維持されるほど、使用されるテルル化ナトリウムの質量濃度が低くなり、赤外線パルス照射によってそれを坩堝口の表面に付着させ、溶湯をゆっくりと流されることによるTe元素の補償でTe含有量を保証する。
【0033】
試験例
実施例1~7で製造されたCuCr接点に対して関連する性能試験を実施し、その引張強度、導電率、密度、及び硬さについてそれぞれ以下の試験を実施した。
【0034】
1)引張強度の試験
各実施例で製造されたCuCr接点をサンプルとして選択し、GB228-2002「金属材料室温引張試験方法」を参照して、WDW-1電子万能試験機で引張強度試験を実施し、試験の結果は以下の表1に示された通りである。
【0035】
表1、CuCr接点に引張強度の試験を行った試験結果
【表1】
【0036】
2)導電率の試験
各実施例で製造されたCuCr接点をサンプルとして選択し、FDシリーズの金属材料導電率計を使用して、各サンプルに対して導電率試験を実施し、結果は以下の表2に示された通りである。
【0037】
表2、CuCr接点に導電率の試験を行った試験結果
【表2】
【0038】
3)密度の試験
各実施例で製造されたCuCr接点をサンプルとして選択し、測定範囲が広い金属材料密度計ET-1KGを使用して、各サンプルの金属密度試験を実施し、結果は以下の表3に示された通りである。
【0039】
表3、CuCr接点に密度試験を行った試験結果
【表3】
【0040】
4)硬さの試験
各実施例で製造されたCuCr接点をサンプルとして選択し、「GB/T231.1-2018金属材料ブリネル硬さ試験」を参照して、各サンプルに対して引張強度試験を実施し、試験結果は以下の表4に示された通りである。
【0041】
表4、CuCr接点に硬さ試験を行った試験結果
【表4】
【0042】
試験の結論
(1)実施例1~実施例3を対比する。同じステップ方法であれば、CuCr接点の各特性に対する異なるTe含有量の影響を比較すると、前記の表から分かるように、それらの間にある程度の相違があるが、全体的な性能から見れば、影響による相違は小さく、Te含有量が多いほど引張強度が低く、導電率、密度に対する影響が少なく、硬さは少々低下し、硬さの低下により、使用中の接点のバウンス現象の低減に役立つ。
【0043】
(2)実施例2、実施例4及び実施例5を対比する。同じステップ方法であれば、CuCr接点の各特性に対する異なるCr含有量の相違がある程度ある。前記表から分かるように、それらの間にはある程度の相違があり、Te含有量が高いほど、引張強度が高くなり、硬さが高くなり、導電率が低くなる。
【0044】
(3)実施例6と実施例2を対比する。それらは、採用した鋳込み方法が異なり、実施例2には実施例6に係る鋳込み方法がなく、実施例2は実施例6のほうと比較するとそのTeの収率が少々低いため、実施例6の製造ステップが事前に設定したTe含有量値に近く、硬さは実施例2よりも少々低く、硬さの低下により、使用中の接点のバウンス現象の低減に役立つ。また、Te含有量の相対的な増加により、実施例2の引張強度が実施例6の引張強度よりも高くなり、実際使用では、CuCr接点のカットオフ値が高すぎることにより、遮断の失敗や接点溶接による失敗が発生してしまうため、Teを添加して脆性相を形成させ、接点の溶接抵抗を改善し、カットオフ値と引張強度を下げる必要があるため、総合性能については、実施例6で製造されたCuCr接点の方が優れた性能となる。
【0045】
(4)実施例7と実施例2を対比する。それらは、坩堝口を予め加熱する処理の方法が異なり、実施例2には実施例7に係る坩堝口の処理方法がないため、実施例2が実施例7のほうと比較すると、Teの収率が少々低く、実施例7の製造ステップが要求を満たすTeの含有量に近いため、硬さが実施例2よりも少々低く、硬さの低下により、使用中の接点のバウンス現象の低減に役立つ。また、Te含有量の相対的な増加は実施例2の引張強度が実施例7の引張強度よりも高く、(3)に記載の原理と同じ、製造した接点は、実際の使用性を向上させるために、溶接抵抗を改善し、カットオフ値と引張強度を下げる必要があるため、総合性能については、実施例7により製造したCuCr接点の性能が一層に優れる。
【0046】
(5)実施例6と実施例7を対比する。それらは、それぞれ鋳込み方法及び坩堝口熱処理方法を採用して強化処理をしたものであるが、実施例7の各性能が実施例6のほうよりも少々優れることから、実施例7は、実施例6の処理ステップよりもTeの収率がより優れており、実施例7の製造ステップが要求を満たすTeの含有量に一層に近いということが分かる。
【0047】
以上では、本発明に係る具体的な実施例を説明したが、当業者であれば、これらは例示による説明に過ぎず、本発明の原理及び趣旨を逸脱しない限り、これらの実施形態に対して様々な変更又は修正を行うことができるのを理解すべきである。従って、保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって限定される。
【国際調査報告】