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特表2022-548710駆動システムのエネルギー蓄積器を放電させるための回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】駆動システムのエネルギー蓄積器を放電させるための回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/12 20060101AFI20221114BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20221114BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20221114BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
H02H7/12 G
H02M3/155 C
B60L3/00 J
B60L9/18 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517486
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 DE2020100802
(87)【国際公開番号】W WO2021052534
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019125098.6
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ホアン フー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ティッパー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント レオンハルト
【テーマコード(参考)】
5G053
5H125
5H730
【Fターム(参考)】
5G053AA09
5G053CA08
5G053EB02
5G053EC03
5G053EC06
5G053FA05
5H125AA01
5H125AC12
5H125BB05
5H125FF03
5H730AA20
5H730BB11
5H730XX41
(57)【要約】
本発明は、車載電気システムにおいてパワーエレクトロニクスユニットを有する電気自動車駆動装置の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための回路であって、アクチュエータの形態の単相DC/DCコンバータ(1)が、駆動システムの上流に接続され、DC/DCコンバータ(1)が、第1の電流回路(5)に対して、第1のコンデンサ(2)、第1のコンデンサ(2)の下流に接続されたコイル(3)、および第1のスイッチ(4)を提供し、第2の電流回路(8)に対して、第1のコンデンサ(2)、第1のコンデンサ(2)の下流に接続されたコイル(3)、コイル(3)の下流に接続された第2のスイッチ(6)、および第2のスイッチ(6)の下流に接続された第2のコンデンサ(7)を提供する、回路に関する。第1のスイッチ(4)および第2のスイッチ(6)は、放電プロセス中に車載電気システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器をアクティブに放電させるために、第1の電流回路(5)または第2の電流回路(8)のいずれかを閉じるように、交互にかつ互いに異なるように切り替えられるように構成されている。本発明はさらに、電気自動車駆動装置、および電気自動車の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載電気システムにおいてパワーエレクトロニクスユニットを有する、特にハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または純粋な電気自動車における、電気自動車駆動装置の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための回路であって、アクチュエータの形態の単相DC/DCコンバータ(1)が、前記駆動システムの上流に接続され、前記DC/DCコンバータ(1)が、第1の電流回路(5)に対して、第1のコンデンサ(2)、前記第1のコンデンサ(2)の下流に接続されたコイル(3)、および第1のスイッチ(4)を提供し、第2の電流回路(8)に対して、前記第1のコンデンサ(2)、前記第1のコンデンサ(2)の下流に接続された前記コイル(3)、前記コイル(3)の下流に接続された第2のスイッチ(6)、および前記第2のスイッチ(6)の下流に接続された第2のコンデンサ(7)を提供する、回路であって、前記第1のスイッチ(4)および前記第2のスイッチ(6)が、放電プロセス中に前記車載電気システムの前記少なくとも1つのエネルギー蓄積器をアクティブに放電させるために、前記第1の電流回路(5)または前記第2の電流回路(8)のいずれかを閉じるように、交互にかつ互いに異なるように切り替えられるように構成されていることを特徴とする、回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチ(4)および前記第2のスイッチ(6)が、所定の時間間隔(9)に基づいて前記第1の電流回路(5)と前記第2の電流回路(8)との間を強制的に切り替えるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記放電プロセスが、前記第1のスイッチ(4)が閉じ、かつ前記第2のスイッチ(6)が開くか、または前記第2のスイッチ(6)が閉じ、かつ前記第1のスイッチ(4)が開くように提供されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の回路。
【請求項4】
前記第1の電流回路(5)が、前記第1のスイッチ(4)が閉じて前記第2のスイッチ(6)が開いているときに、前記第1のコンデンサ(2)が前記コイル(3)を介して放電される前記放電プロセスの第1の状態(10)を定義することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記第2の電流回路(8)が、前記第2のスイッチ(6)が閉じて前記第1のスイッチ(4)が開いているときに、前記第2のコンデンサ(7)が前記コイル(3)を介して放電され、かつ前記第1のコンデンサ(2)が放電される前記放電プロセスの第2の状態(11)を定義することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項6】
前記第1の電流回路(5)および前記第2の電流回路(8)の両方における、前記第1のコンデンサ(2)、前記第2のコンデンサ(7)、前記コイル(3)、前記第1のスイッチ(4)、および前記第2のスイッチ(6)のオーム抵抗が、それぞれの前記電流回路(5、8)に蓄積されたエネルギーを熱に変換し、それを熱として放出するように特別に調整されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の回路。
【請求項7】
前記DC/DCコンバータ(1)にソフトウェアルーチンが統合されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の回路。
【請求項8】
前記DC/DCコンバータ(1)が、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積器を50V未満に放電させるように構成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の回路。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の回路が含まれることを特徴とする電気自動車駆動装置。
【請求項10】
車載電気システムにおいてパワーエレクトロニクスユニットを有する電気自動車の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための方法であって、アクチュエータの形態の単相DC/DCコンバータ(1)が、前記駆動システムの上流に接続され、前記DC/DCコンバータ(1)が、第1の電流回路(5)に対して、第1のコンデンサ(2)、前記第1のコンデンサ(2)の下流に接続されたコイル(3)、および第1のスイッチ(4)を提供し、第2の電流回路(8)に対して、前記第1のコンデンサ(2)、前記第1のコンデンサ(2)の下流に接続された前記コイル(3)、前記コイル(3)の下流に接続された第2のスイッチ(6)、および前記第2のスイッチ(6)の下流に接続された第2のコンデンサ(7)を提供し、前記第1のスイッチ(4)および前記第2のスイッチ(6)が、放電プロセス中に前記車載電気システムの前記少なくとも1つのエネルギー蓄積器をアクティブに放電させるために、前記第1の電流回路(5)または前記第2の電流回路(8)のいずれかを閉じるように、交互にかつ互いに異なるように切り替えられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電気システムにおいてパワーエレクトロニクスユニットを有する、特にハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または純粋な電気自動車における、電気自動車駆動装置の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための回路であって、アクチュエータの形態の単相DC/DCコンバータが、駆動システムの上流に接続され、DC/DCコンバータが、第1の電流回路に対して、第1のコンデンサ、第1のコンデンサの下流に接続されたコイル、および第1のスイッチを提供し、第2の電流回路に対して、第1のコンデンサ、第1のコンデンサの下流に接続されたコイル、コイルの下流に接続された第2のスイッチ、および第2のスイッチの下流に接続された第2のコンデンサを提供する、回路に関する。本発明は、この回路を有する電気自動車駆動装置、および電気自動車の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な回路は、先行技術においてすでに十分に知られている。例えば、DE102012203778A1には、クランクシャフトを備えた内燃機関と、クランクシャフトに動作可能に接続された回転子を備えたモータかつ発電機として作動することができる電気機械と、クランクシャフト関連ねじり振動ダンパに動作可能に接続された回転子と、電気機械と電気エネルギーを交換するためのアキュムレータ装置と、対応するアキュムレータ装置と、を備えた自動車におけるハイブリッド駆動トレインを制御する方法が開示されている。
【0003】
したがって、パワーエレクトロニクス機器に埋め込まれたアクティブ放電回路を介して放電を行う放電回路はすでに知られているが、これは、追加のコンポーネント、したがって設置スペースを必要とし、より大きなコストをもたらす。これには、蓄積されたエネルギーを熱に変換するために、少なくとも1つの追加の電力半導体スイッチと追加の電力抵抗器が必要になるという欠点がある。さらに、そのような放電回路にはロジック制御が必要となる。
【0004】
関連する安全基準によれば、高電圧車載電気システムのDC電圧中間回路の電気エネルギーは、2秒という短い時間内に人体に無害なレベル/電圧レベルまで放電しなければならない。このようなDC電圧中間回路は、60V DC(直流電圧)を超える電圧で動作し、安全基準に従って、60V DC(直流電圧)未満に放電する必要がある。
【0005】
現在の状態に応じて、電圧またはバッテリ電圧の電圧範囲によっては、これには500V~800V DC(直流電圧)の放電電圧が含まれる。従来技術によれば、このような放電は、パワーエレクトロニクス機器に埋め込まれたアクティブな充電回路を介して行われるが、これは、追加のコンポーネント、したがって設置スペースを必要とし、より大きなコストをもたらす。上記のように、蓄積されたエネルギーを熱に変換するために、少なくとも1つの追加の電力半導体スイッチおよび追加の電力抵抗器、ならびにこの回路のためのロジックコントローラが必要である。
【0006】
この安全要件は、全般的には、エネルギー蓄積器が機能的にかつ/または寄生的に存在する、常に存在する容量性エネルギー蓄積器を備えたすべての電気自動車駆動システムに関係する。また、バッテリ式の電気自動車駆動システムでは、効率を上げるために、DC/DCコンバータが駆動コンバータの上流に接続されている。これらの変圧器は一般に、駆動システムの動作点に応じて、駆動インバータの中間DC回路電圧を追跡する役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、従来技術から知られている欠点を排除すること、特に、費用効果が高く、かつ必要とする設置スペースがより少ない回路を提供することである。特に、本発明の目的は、最小限の労力で単相DC/DCコンバータを備えた駆動システムにおける放電を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、第1のスイッチおよび第2のスイッチを、放電プロセス中に車載電気システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器をアクティブに放電させるために第1の電流回路または第2の電流回路のいずれかを閉じるような交互の方法でかつ互いに異なるように、切り替えるように構成することで達成される。
【0009】
言い換えれば、車載電気システムにおけるエネルギー蓄積器全体のアクティブな放電を、既存のエネルギー蓄積器を巧みに再充電することによって達成する。エネルギー蓄積器のこの電荷反転は、第1のスイッチと第2のスイッチの交互の開閉によって実現される。言い換えれば、車載電気システムにおける、パワーエレクトロニクス機器のDC電圧中間回路、または容量は、バックブーストトポロジまたはブーストトポロジにおける上流の単相DC/DCコンバータを備えた駆動システムにおいてアクティブに放電される。なお、第1のコンデンサおよび第2のコンデンサはそれぞれ、放電されるエネルギー蓄積器を表す。
【0010】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項とともに特許請求され、以下により詳細に説明される。
【0011】
また、所定の時間間隔に基づいて第1の電流回路と第2の電流回路との間で強制的に切り替えるように第1のスイッチおよび第2のスイッチが構成されれば好ましい。第1のスイッチを閉じることによって第1の電流回路が閉じられる所定の時間間隔が、第2のスイッチを閉じることによって第2の電流回路が閉じられる所定の時間間隔に少なくともほぼ対応すれば特に好ましい。これには、回路が第1の電流回路と第2の電流回路との間で定期的に切り替わるという利点がある。言い換えれば、これは、第1のスイッチが第2のスイッチに定期的にオフセットされて切り替えられることを意味する。
【0012】
ここでは、切り替えが、独立して/自動的に、連続的にまたは60V未満の目的の電圧に達するかもしくは放電が不要になるまで実行されるように、回路を構成すればまた有利である。
【0013】
第1のスイッチを閉じて第2のスイッチが開くように、または第2のスイッチを閉じて第1のスイッチを開くように、放電プロセスを提供すれば好ましい。言い換えれば、これは、放電プロセスが開始されたらすぐに、2つのスイッチの一方が常に開位置にあり、2つのスイッチの他方が閉じていることを意味する。
【0014】
第1の電流回路が、第1のスイッチが閉じて第2のスイッチが開いているときに第1のコンデンサがコイルを介して放電される放電プロセスの第1の状態を定義すればまた有利である。第2の電流回路が、第2のスイッチが閉じて第1のスイッチが開いているときに第2のコンデンサがコイルを介して放電され、かつ第1のコンデンサが放電される放電プロセスの第2の状態を定義すれば特に有利である。これは、使用される2つのスイッチの位置が、第1の状態と第2の状態との間の切り替えのみを提供することを意味する。したがって、第1のエネルギー蓄積器としての第1のコンデンサは、第2のエネルギー蓄積器としての第2のコンデンサと常に交互に放電される。
【0015】
この文脈において、第1の電流回路と第2の電流回路との両方における第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、コイル、第1のスイッチ、および第2のスイッチのオーム抵抗が、それぞれの電流回路に蓄積されたエネルギーを熱に変換し、それを熱として放出するように特別に調整されればまた都合が良い。ここでの利点は、放電プロセスまたは放電機能にとって、追加のコンポーネントが不要である/追加のコンポーネントを使用する必要がないことである。その結果、追加のコストと設置スペースを節約することができる。この節約は、主に高価な電力抵抗器と追加の半導体スイッチに関連する。
【0016】
また、DC/DCコンバータのすべての電力コンポーネントが水冷式であれば有利である。したがって、コンデンサまたはエネルギー蓄積器のアクティブな放電中の熱的挙動が常に危機的状況とならない。これは、電力抵抗器を使用する場合には当てはまらない。言い換えれば、既存の水冷により、熱に変換されたエネルギーに起因してDC/DCコンバータのすべての電力コンポーネントが過熱するリスクがなくなる。したがって、電気エネルギーは、第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、コイル、ならびに第1および第2のスイッチのオーム抵抗によって熱として放散される。
【0017】
好ましくは、回路にソフトウェアルーチンが統合される。この統合されたソフトウェアルーチンによって、第1の電流回路と第2の電流回路との間で切り替えることが可能である。これには、2つのスイッチ位置の間を切り替えるための所定の時間間隔を簡単に調整できるという利点がある。さらに、DC/DCコンバータの電力コンポーネントと、ゲートドライバ、マイクロプロセッサ、および電流センサなどの制御コンポーネントを使用できるため、追加のコンポーネントは必要ない。また、例えば、それぞれの第1のスイッチまたは第2のスイッチを自動的に開閉するためのソフトウェアルーチンを構成すれば有利であることがわかっている。
【0018】
少なくとも1つのエネルギー蓄積器を好ましくは500ミリ秒後に50V未満に、但し、少なくとも2秒未満で60V未満に、放電させるように回路を構成および設定すれば好ましい。これには、少なくとも1つのエネルギー蓄積器を2秒で60V未満に放電するという安全基準を簡単に満たすという利点がある。
【0019】
また、本発明は、前述の態様のいずれかによる回路が含まれる、特に、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または純粋な電気自動車のための電気自動車駆動装置に関する。
【0020】
また、本発明は、車載電気システムにおいてパワーエレクトロニクスユニットを有する、特にハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または純粋な電気自動車における、電気自動車駆動装置の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための方法であって、アクチュエータの形態の単相DC/DCコンバータが、駆動システムの上流に接続され、DC/DCコンバータが、第1の電流回路に対して、第1のコンデンサ、第1のコンデンサの下流に接続されたコイル、および第1のスイッチを提供し、第2の電流回路に対して、第1のコンデンサ、第1のコンデンサの下流に接続されたコイル、コイルの下流に接続された第2のスイッチ、および第2のスイッチの下流に接続された第2のコンデンサを提供する、方法であって、第1のスイッチおよび第2のスイッチが、放電プロセス中に車載電気システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器をアクティブに放電させるために、第1の電流回路または第2の電流回路のいずれかを閉じるように、交互にかつ互いに異なるように切り替えられるように構成されている、方法に関する。
【0021】
以下において、本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】単相DC/DCコンバータの回路図である。
図2】アクティブな放電プロセスの第1の状態による単相DC/DCコンバータの回路図である。
図3】アクティブな放電プロセスの第2の状態による単相DC/DCコンバータの回路図である。
図4】アクティブな放電プロセス全体にわたる経時的な電圧と電流の曲線を表すグラフである。
図5図4のセクションAを拡大して表現するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの図は本質的に単なる概略図であり、本発明を理解するためにのみ役立つ。同じ要素には同じ参照記号が付与されている。
【0024】
図1は、車載電気システムにおいてパワーエレクトロニクス機器を備えた電気自動車駆動装置の駆動システムの少なくとも1つのエネルギー蓄積器を放電させるための単相DC/DCコンバータ1の回路図を示している。単相DC/DCコンバータ1は、駆動システムの上流にアクチュエータとして接続されている。図1は、DC/DCコンバータ1が、第1の電流回路5(図2に示す)に対して、第1のコンデンサ2、第1のコンデンサ2の下流に接続されたコイル3、および第1のスイッチ4を有することを示している。また、DC/DCコンバータ1は、第2の電流回路8(図3に示す)に対して、第1のコンデンサ2、第1のコンデンサ2の下流のコイル3、コイル3の下流の第2のスイッチ6、および第2のスイッチ6の下流の第2のコンデンサ7を有する。図1では、第1のスイッチ4および第2のスイッチ6が開位置で示されている。
【0025】
図2は、アクティブな放電プロセスの第1の状態10(図5に示す)による、図1の単相DC/DCコンバータ1の回路図を示している。第1の状態10では、第1のスイッチ4は閉じており、第2のスイッチ6は開位置にある。第1のスイッチ4によって閉じられた第1の電流回路5は、下流に接続されたコイル3を介して第1のコンデンサ2が放電されることを可能にする。したがって、第2のコンデンサ7はここでは無視される。
【0026】
図3は、アクティブな放電プロセスの第2の状態11(図5に示す)による、図1の単相DC/DCコンバータ1の回路図を示している。第2の状態11では、第2のスイッチ6は閉じており、第1のスイッチ4は開位置にある。第2のスイッチ6によって閉じられた第2の電流回路8は、コイル3および第1のコンデンサ2を介して第2のコンデンサ7が放電されることを可能にする。
【0027】
図4は、アクティブな放電プロセス全体にわたる経時的な電圧と電流の曲線を表すグラフを示している。図4は、上側の電圧関連のグラフと下側の電流関連のグラフを含んでいる。ミリ秒単位の時間は、0秒~600ミリ秒の範囲でx軸にプロットされている。上側のグラフでは、-46V~+489Vの範囲のボルト単位の電圧がy軸にプロットされており、下側の図では、-200A~+200Aの範囲のアンペア単位の電流がy軸にプロットされている。
【0028】
図4の上側のグラフは、第1のコンデンサ2の電圧曲線UC1と第2のコンデンサ7の電圧曲線UC2を示している。ここで、第1のコンデンサ2からの電圧UC1および第2のコンデンサ7からの電圧UC2は、500ミリ秒後にすでに50Vを下回っていることがわかる。これについてのより詳細な説明は、図5に関連して続ける。
【0029】
図4の下側のグラフは、コイル3の電流曲線Iを示している。電流Iは、第1の状態10と第2の状態11との間の交互切り替えによる放電プロセス中のコイル3での電流の挙動を表している。言い換えれば、Iは、第1の電流回路5と第2の電流回路8との間の切り替えに基づく電流の曲線を表している。
【0030】
図5は、図4のセクションAを拡大して表現するためのグラフを示している。図4に応じて、図5にも2つのグラフを示しており、上側のグラフは電圧に関するもので、下側のグラフは電流に関するものである。上側のグラフには、2つの特性曲線が確認できる。第1の特性曲線は、電圧曲線UC1を表しており、第2の特性曲線は、電圧曲線UC2を表している。
【0031】
上側のグラフのUC1による第1の特性曲線は、単相DC/DCコンバータ1の第1のコンデンサ2による電圧の曲線を表している。スイッチ4およびスイッチ6の交互の開閉を確認することができる。第1のスイッチ4が閉じ、第1の状態10に従って第1のコンデンサ2が放電されると、特性曲線UC1の曲線は下降する。第1のスイッチ4が開いて第2のスイッチ6が閉じるとすぐに、第2のコンデンサ7は、第2の状態11に従って放電される。この第2の状態11では、特性曲線UC1は上昇する。
【0032】
2つの状態10と状態11との間の交互の切り替えの大要は、波状/正弦曲線になる。ピーク・ツー・バレー値12は、約500ミリ秒で図4による0V~50Vの電圧範囲内のみに曲線が移動するまで、時間の経過とともにますます小さくなる。
【0033】
上側の図のUC2による第2の特性曲線は、単相DC/DCコンバータ1の第2のコンデンサ7による電圧の曲線を表している。ここでも、スイッチ4およびスイッチ6の交互の開閉を確認することができる。第2のスイッチ6が閉じ、第2の状態11に従って第2のコンデンサ7が放電されると、特性曲線UC2の曲線は下降する。第2のスイッチ6が開いて第1のスイッチ4が閉じるとすぐに、第1のコンデンサ2は、第1の状態10に従って放電される。この第1の状態10では、特性曲線UC2は上昇する。
【0034】
2つの状態10と状態11との交互の切り替えの大要は、再び、波形/正弦曲線になる。ピーク・ツー・バレー値12は、時間の経過とともにますます小さくなり、電圧レベル全体が低下するため、電圧範囲は、約500ミリ秒で0~50Vとなる。
【0035】
2つの特性曲線UC1とUC2を比較すると、特性曲線UC1のピーク・ツー・バレー値12が特性曲線UC2のピーク・ツー・バレー値12よりもかなり大きいことがわかる。また、図5の上側のグラフから、曲線UC2が上昇すると曲線UC1は下降し、かつその逆も同様であることがわかる。これは、2つの状態10と状態11との間の切り替え、または第1のコンデンサ2と第2のコンデンサ7の交互の放電を反映している。UC1のピーク・ツー・バレー値12は、特性曲線UC2のピーク・ツー・バレー値12よりもかなり大きい。この背景は、第2のコンデンサ7が第1のコンデンサ2およびコイル3を介して放電され、第1のコンデンサ2がコイル3を介してのみ放電されることである。したがって、特性曲線UC1の電圧レベルは、かなり大きく上昇する。特性曲線UC2は、非常に平坦な曲線を示しているが、一貫して高い電圧レベルである。両方の特性曲線UC1およびUC2の継続期間14は、第1の状態10および第2の状態11を一緒にした共通の継続期間によって定義される。
【0036】
下側のグラフには、特性曲線IL1が示されている。電流曲線IL1において、第1の状態10から第2の状態11に切り替えるとき、または第2の状態11から第1の状態10に切り替えるとき、それぞれの場合にゼロ点15を通過することがわかる。したがって、電流曲線IL1の最上点16は、時間に関して第1の状態10の中心にあり、電流曲線IL1の最下点17は、時間に関して第2の状態11の中心にある。振幅13は、ゼロ線から電流曲線IL1の最上点16または最下点17までで定義され、また、放電プロセスが進行するにつれて電流曲線がゼロ線に近づくように、時間の経過とともに減少する。
【符号の説明】
【0037】
1 DC/DCコンバータ
2 第1のコンデンサ
3 コイル
4 第1のスイッチ
5 第1の電流回路
6 第2のスイッチ
7 第2のコンデンサ
8 第2の電流回路
9 時間間隔
10 第1の状態
11 第2の状態
12 ピーク・ツー・バレー値
13 振幅
14 継続期間
15 ゼロ点
16 最上点
17 最下点
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】