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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】車ランプ光学素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 17/08 20060101AFI20221114BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20221114BHJP
   F21S 41/24 20180101ALI20221114BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20221114BHJP
【FI】
G02B17/08 Z
F21S41/148
F21S41/24
F21W102:13
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517909
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2020122164
(87)【国際公開番号】W WO2021078115
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】201921809883.5
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520372939
【氏名又は名称】▲華▼域▲視▼▲覺▼科技(上▲海▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】祝 ▲賀▼
(72)【発明者】
【氏名】仇 智平
(72)【発明者】
【氏名】桑 文慧
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA29
2H087LA24
2H087RA45
2H087TA03
(57)【要約】
車ランプ光学素子であって、2つの光学部を備え、前記光学部は折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネル(13)と導光チャネル(14)を備え、両者の接続箇所に反射面(15)が設けられ、集光チャネル(13)の一端に複数の集光構造(11)が設けられ、導光チャネル(14)の先端に光出射面が設けられ、2つの光学部は上下に設けられ、且つ2つの導光チャネルは頂部が底部に繋がる。車ランプ光学素子の有益な点は以下のとおりである。1、車ランプ光学素子の前後方向での寸法を短縮し、取り付けに必要な空間を減少させ、2、従来技術の一次光学素子と二次光学素子を一体部品とし、3、仕切り溝を開設することにより、二次配光を実現し、配光の柔軟性を高め、尖った溝を開設することで、ロービームカットオフラインを実現するとともに、車ランプモジュールの構造を簡素化し、4、凹溝を開設することにより、一体型車ランプ光学素子において同時にハイビームとロービーム機能を実現し、車ランプ光学素子の機能を多様化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車ランプ光学素子であって、2つの光学部を備え、前記光学部は、折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネル(13)と導光チャネル(14)を備え、両者の接続箇所に反射面(15)が設けられ、前記集光チャネル(13)の一端に複数の集光構造(11)が設けられ、前記導光チャネル(14)の先端に光出射面が設けられ、前記2つの光学部は上下に設けられ、且つ2つの前記導光チャネル(14)は頂部が底部に繋がり、前記光出射面は外側に突出する円弧面であり、2つの前記光出射面が接続されて滑らかで連続的な第2の光出射面(16)を形成し、前記第2の光出射面(16)は凸レンズ面または左右方向に沿って延在する円弧面であることを特徴とする車ランプ光学素子。
【請求項2】
前記車ランプ光学素子(1)に仕切り溝(4)が開設され、前記仕切り溝(4)は2つの前記導光チャネル(14)を貫通し、対向して設けられた出光面(41)と入光面(42)を備えることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項3】
前記出光面(41)と入光面(42)との延在方向は前記光出射面の延在方向と同じであることを特徴とする請求項2に記載の車ランプ光学素子。
【請求項4】
前記車ランプ光学素子(1)のうちの1つの前記導光チャネル(14)に縦断面がV型の尖った溝(5)が開設され、前記尖った溝(5)は、前記第2の光出射面(16)から離れる尖った溝反射面(51)と前記第2の光出射面(16)に近い尖った溝側面(52)を備えることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項5】
前記尖った溝反射面(51)と尖った溝側面(52)との延在方向はいずれも前記光出射面の延在方向と同じであることを特徴とする請求項4に記載の車ランプ光学素子。
【請求項6】
前記車ランプ光学素子(1)のうちの1つの前記導光チャネル(14)には、接続面(63)により接続されて対向して設けられた前側面(62)と後側面(61)を備える凹溝(6)が開設されることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項7】
前記前側面(62)と後側面(61)との延在方向は前記光出射面の延在方向と同じであることを特徴とする請求項6に記載の車ランプ光学素子。
【請求項8】
前記凹溝(6)は下方に位置する前記導光チャネル(14)の底面に開設されることを特徴とする請求項6に記載の車ランプ光学素子。
【請求項9】
前記集光構造(11)は、凹キャビティを有する集光カップ構造、曲面状構造の中実体又は外側に突出する突起であることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2019年10月25日に提出された中国特許出願201921809883.5の権利を主張し、この出願の内容は引用により本願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、車両照明の技術分野に関し、特に、車ランプ光学素子に関する。
【背景技術】
【0003】
車ランプの技術分野において、車ランプモジュールとは一般的に、プラスチック又はガラス材質のレンズ又はそれらに相当する構造を備えた部品を最終的な出光素子として、自動車の前照灯の照明に用いられる装置を指す。車ランプ光学素子は車ランプモジュールの重要な構成部分であり、光源から出射された光線は車ランプ光学素子を介して出射された後、所望の車ランプパータンを形成することができる。
【0004】
従来技術の車ランプモジュールは、一次光学素子と二次光学素子を有し、所望のパータンを得るように、一次光学素子と二次光学素子に対して二次配光調整を行う必要があり、二次配光調整は、1つの光学素子のみを設けた一次配光調整よりも柔軟であり、これは、2つの光学素子の配光パラメータを調整することで、パータンを調整することができるからであり、調整可能な配光パラメータが多く、例えば、一次光学素子の入光面、出光面、二次光学素子の入光面または出光面を調整することができる。
【0005】
従来技術には以下の欠点が存在する。
1、一般には、複数の集光構造を有する集光器を一次光学素子として採用し、
集光器はほぼ前後方向に沿って延在し、その上、集光器の先端に設けられたレンズを二次光学素子とし、このようにして、ランプモジュール全体の寸法が大きくなり、占有空間が多くなることをもたらす。また、2つの光学素子の間の相対位置の正確性を保証する必要があり、組み立ての精度に対する要求が高い。
2、集光器をロービーム光学素子として使用する場合、ロービームカットオフラインを形成するように、集光器の前方に遮光板を設ける必要があり、これは車ランプモジュールの構造が複雑になり、寸法が大きくなることをもたらす。
3、機能は単一で、ロービーム、ハイビーム、補助ロービームと補助ハイビームのうちの1つの機能しか実現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の欠点に対して、本発明の目的は、取り付けに必要な空間を効果的に減少させ、動作の要件を満たすことができる新たな車ランプ光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、2つの光学部を備えた車ランプ光学素子を提供し、前記光学部は、折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネルと導光チャネルを備え、両者の接続箇所に反射面が設けられ、前記集光チャネルの一端に複数の集光構造が設けられ、前記導光チャネルの先端に光出射面が設けられ、前記2つの光学部は上下に設けられ、且つ2つの導光チャネルは頂部が底部に繋がる。
【0008】
好ましくは、前記光出射面は内側に凹んだ円弧面であり、2つの前記光出射面が接続されてレンズと協力する第1の光出射面を形成する。
【0009】
好ましくは、前記第1の光出射面は平滑面である。
【0010】
好ましくは、前記光出射面は外側に突出する円弧面であり、2つの前記光出射面が接続されて滑らかで連続的な第2の光出射面を形成する。
【0011】
好ましくは、前記第2の光出射面は凸レンズ面または左右方向に沿って延在する円弧面である。
【0012】
好ましくは、前記車ランプ光学素子に仕切り溝が開設され、前記仕切り溝は、2つの導光チャネルを貫通し、対向して設けられた出光面と入光面を備える。
【0013】
好ましくは、前記出光面と入光面との延在方向は前記光出射面の延在方向と同じである。
【0014】
好ましくは、前記車ランプ光学素子のうちの1つの導光チャネルに縦断面がV型の尖った溝が開設され、前記尖った溝は、前記第2の光出射面から離れる尖った溝反射面と前記第2の光出射面に近い尖った溝側面を備える。
【0015】
好ましくは、前記尖った溝反射面と尖った溝側面との延在方向はいずれも前記光出射面の延在方向と同じである。
【0016】
好ましくは、前記車ランプ光学素子のうちの1つの導光チャネルには、接続面により接続されて対向して設けられた前側面と後側面を備える凹溝が開設される。
【0017】
好ましくは、前記前側面と後側面との延在方向は前記光出射面の延在方向と同じである。
【0018】
好ましくは、前記凹溝は下方に位置する導光チャネルの底面に開設される。
【0019】
好ましくは、前記集光構造は、凹キャビティを有する集光カップ構造、曲面状構造の中実体又は外側に突出する突起である。
【0020】
本発明の有益な点は以下のとおりである。
1、 2つの折り曲げ型を呈す光学部を備え、車ランプ光学素子の前後方向での寸法を短縮し、取り付けに必要な空間を減少させる。
2、 従来技術の一次光学素子と二次光学素子を一体部品とすることで、部品の数を効果的に減少させることができ、取り付け時に両者の相対位置精度を保証する必要がなくなり、車ランプパータンの安定性をよりよく確保できるとともに、車ランプモジュールの寸法を減少させることができる。
3、 仕切り溝を開設することにより、一体型車ランプ光学素子において二次配光を実現し、配光の柔軟性を高めることができる。従来の遮光板の代わりに尖った溝を開設することで、ロービームカットオフラインを実現するとともに、車ランプモジュールの構造を簡素化し、全体の寸法を低減させる。
4、 凹溝を開設することにより、一体型車ランプ光学素子において同時にハイビームとロービーム機能を実現し、車ランプ光学素子の機能を多様化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1の斜視図1である。
図2】実施例1の斜視図2である。
図3】実施例1のレンズと協力する模式図である
図4】実施例1の光路図である。
図5】実施例2の斜視図である。
図6】実施例2の光路図である。
図7】実施例3の斜視図である。
図8】実施例3の光路図である。
図9】実施例4の光路図である。
図10】実施例5の光路図である。
図11】実施例6のロービーム光路図である。
図12】実施例6のハイビーム光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながらさらに本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。これらの実施形態は単に本発明を説明するためのものであり、本発明を限定しない。
【0023】
なお、本発明の説明では、用語「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示す方位または位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜及び記載の簡素化のために過ぎず、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構造・操作したりすることを指示又は示唆するものではなく、したがって、本発明を制限するものとして理解できない。また、用語「第1の」、「第2の」は単に説明の目的のために過ぎず、相対的な重要性を指示又は示唆するものではないと理解すべきである。
【0024】
なお、本発明の説明では、別途明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」のような用語は広義に理解すべきであり、たとえば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0025】
なお、本発明の説明では、「複数」とは、別途の記載がない限り、2以上を意味する。
【0026】
以下の説明では、図4の図面を方向の参考基準として、図面の紙面に沿って上向きの側を後方向とし、図面の紙面に沿って下向きの側を下方向とし、図面の紙面に沿って右向きの側、即ち第1の光出射面12が位置する側を前方向とし、図面の紙面に沿って左向きの側を後方向とし、図面の紙面に垂直に内向きの側を左方向とし、図面の紙面に垂直に外向きの側を右方向とする。図中の一点鎖線はすべて光軸を示す。
【0027】
図1に示すように、本発明は、2つの光学部を備えた車ランプ光学素子を提供し、各光学部は、折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネル13と導光チャネル14を備え、両者の接続箇所に反射面15が設けられる。集光チャネル13はほぼ上下方向に沿って延在し、一端に複数の集光構造11が設けられ、導光チャネル14はほぼ前後方向に沿って延在し、先端に光出射面が設けられる。2つの光学部は上下に設けられ、且つ2つの導光チャネル14は頂部が底部に繋がり、即ち上方導光チャネル14の底面は下方導光チャネル14の頂面に繋がり、それにより車ランプ光学素子1はほぼ┣型を呈するように見える。このように設けられた車ランプ光学素子1の前後方向での寸法が短縮され、必要な取付空間も対応して減少する。
【0028】
以下は本発明のいくつかの応用実施例である。
【0029】
[実施例1]
図1~4に示すように、各光学部の光出射面は車ランプ光学素子1の内側に凹んだ円弧面であり、2つの光出射面が接続されてレンズ2の物体焦点面と協力する第1の光出射面12を形成する。好ましくは、2つの光出射面は平滑光出射面121としてもよく、両者の間の境界線を除去し、それにより出射パータンの2つの光学部の接続箇所での連続性及び均一性を向上させる。動作時、車ランプ光学素子1は一次光学素子とし、レンズ2は二次光学素子とし、配線板3での光源31から入射光線を出し、集光構造11は入射光線を受光して集光することができ、集光された後の入射光線は、集光チャネル13に入り、反射面15を介して反射された後に導光チャネル14に入り、第1の光出射面12から出射され、次に光線は順にレンズ光入射面22及びレンズ光出射面21を通過して出射され、二次配光を完了した後に車両の前方に投射される。車ランプ光学素子1とレンズ2との組み合わせは、ロービーム、ハイビーム、補助ロービーム、補助ハイビーム又はハイビームとロービームの組み合わせのうちの1種の機能を実現するために用いることができる。
【0030】
[実施例2]
該実施例の車ランプ光学素子は、実施例1を基にさらに改良されたものであり、図5及び図6に示すように、2つの光学部の光出射面はいずれも外側に突出する円弧面であり、2つの光出射面が接続されて滑らかで連続的な第2の光出射面16を形成し、該第2の光出射面16は、車ランプ光学素子1の左右方向に沿って延在する円弧面、又は凸レンズ面であってもよく、ここで、凸レンズ面は、具体的には、凸レンズの出光面カットオフラインを回転させて得られる回転面を指す。動作時、集光構造11は入射光線を受光して集光し、集光された後の入射光線は、集光チャネル13に入り、反射面15を介して反射された後に導光チャネル14に入り、第2の光出射面16から出射され、車両の前方に投射される。実施例2は従来の技術における一次光学素子と二次光学素子を一体に構成するのは、取り付ける時に両者の相対位置精度を保証する必要がなく、パータンの安定性をよりよく確保することができる。
【0031】
[実施例3]
一体的に設けられた車ランプ光学素子を基に出射パータンをよりよく調整するために、該実施例の車ランプ光学素子は実施例2を基にさらに改良され、図7及び図8に示すように、車ランプ光学素子1に仕切り溝4が開設され、仕切り溝4は、2つの導光チャネル14を貫通し、且つ対向して設けられた出光面41と入光面42を備え、好ましくは、出光面41と入光面42との延在方向は第2の光出射面16の延在方向と同じである。仕切り溝4により、一体的な車ランプ光学素子1を、前後2つの部分、即ち従来の二次光学素子に対応する前側に位置する部分と従来の一次光学素子に対応する後側に位置する部分に分け、それにより車ランプ光学素子1は一体部品の利点を有するとともに二次配光を実現することができる。動作時、入射光線は集光構造11から集光チャネル13に入り、反射面15を介して反射された後に導光チャネル14に入り、その後、順に出光面41、入光面42と第2の光出射面16を介して出射されて車両の前方に投射される。ここでは、仕切り溝4は上下に貫通して及び/又は左右に貫通してもよく、仕切り溝4の出光面41と入光面42は、例えば平面、凹面又は凸面等、様々な形態を有してもよい。
【0032】
[実施例4]
遮光板が取り除かれるとともに、ロービームカットオフラインを形成することができるために、該実施例の車ランプ光学素子は実施例2を基にさらに改良され、図9に示すように、下方に位置する導光チャネル14の底面に縦断面がV型の尖った溝5が開設され、尖った溝5は上向きに凹んで、第2の光出射面16から離れる尖った溝反射面51と第2の光出射面16に近い尖った溝側面52を備え、好ましくは、尖った溝反射面51と尖った溝側面52との延在方向はいずれも第2の光出射面16の延在方向と同じである。尖った溝反射面51と尖った溝側面52との接続箇所53(即ち尖った溝5の頂部)の形状はロービームカットオフラインの形状に適合し、ロービームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はロービームカットオフラインの形状によって異なる。上方光源(図示せず)から出射された光線は、上方集光構造11から入った後に反射面15を介して反射され、接続箇所53によりカットオフされ、さらに第2の光出射面16から出射され、ロービームカットオフラインを形成する一方、下方光源(図示せず)から出射された光線は、下方集光構造11から入り、大部分の入射光線は反射面15を介して反射された後に尖った溝反射面51に入射し、全反射する。したがって、動作時、下方光源の光線の利用率が低く、少ない部分の光線のみが反射面15を介して反射された後に第2の光出射面16から直接出射され得る。
【0033】
[実施例5]
図10に示すように、実施例4における下方光源(図示せず)の光線の利用率を向上させるために、実施例5は実施例4を基にさらに改良され、尖った溝5の高さを低下させ、即ち尖った溝反射面51の高さを低下させ、それにより下方集光構造11から入った入射光線は、反射面15を介して反射された後に、尖った溝反射面51の全反射を回避し、第2の光出射面16から直接出射され得る。好ましくは、下方に位置する導光チャネル14の底面に尖った溝5を加工することを容易にするために、接続箇所53を尖った角以外の形状に設定し、例えば、前後方向に短い距離を伸ばす平面又は半径が小さい円弧面を採用してよい。
【0034】
[実施例6]
ハイビームとロービームの組み合わせモードを実現するために、該実施例の車ランプ光学素子は実施例2を基にさらに改良され、図11及び図12に示すように、下方に位置する導光チャネル14の底面に上向きに凹んだ凹溝6が開設され、凹溝6は、対向して設けられた前側面62と後側面61を備え、両者は接続面63により接続され、前側面62と後側面61との延在方向は第2の光出射面16の延在方向と同じであり、且つ前側面62は後側面61よりも第2の光出射面16に近い。接続面63と前側面62との接続箇所は前辺縁64であり、前辺縁64の形状はロービームカットオフラインの形状に適合し、ロービームカットオフラインを形成するために用いられ、その形状はロービームカットオフラインの形状によって異なる。
【0035】
図11に示すように、上方に位置する光学部は第1の反射面151を有し、該第1の反射面151は上方光源から出た大部分の入射光線を凹溝6の前辺縁64に反射する。具体的には、上方光源から出た入射光線はいずれも上方に位置する集光構造11から入り、経路は3つの部分に分けられ、第1部分の入射光線Aは、第1の反射面151により前辺縁64に反射されるが、前辺縁64でいかなる反射を行わず、第2の光出射面16から直接屈折される。第2部分の入射光線Bは、第1の反射面151により第2の光出射面16の頂部に直接反射され、光学軸線に近い下傾方向へ第2の光出射面16から離れるように保持する。第3部分の入射光線Cは、第1の反射面151により接続面63に反射され、その後接続面63により第2の光出射面16の頂部に反射され、光学軸線に近い下傾方向へ第2の光出射面16から離れるように保持する。ここでは、接続面63に入射した光線の大部分はいずれも全反射する。上記の3つの部分の光線A、B、Cはロービームパータンを形成するために用いることができる。
【0036】
図12に示すように、下方に位置する光学部は第2の反射面152を有し、該第2の反射面152は下方光源から出た大部分の入射光線を凹溝6の後側面61に反射し、光線は凹溝6を通過し、前側面62を介して第2の光出射面16に屈折される。具体的には、下方光源から出た入射光線は、いずれも下方に位置する集光構造11から入り、経路は2つの部分に分けられ、入射光線の一部Dは、第2の反射面152により後側面61に反射され、さらに前辺縁64に屈折され、その後、第2の光出射面16の頂部から直接出射され、入射光線のもう一部Eは第2の反射面152により後側面61に反射され、光線は前側面62に屈折され、さらに第2の光出射面16に屈折されて射出される。前記2つの部分の光線D及びEは、ハイビームパータンを形成し、上記のロービームパータンに接続するために用いることができる。
【0037】
また、上記集光構造11は種々の表現形態を有し、第一に、図8に示すような凹キャビティを有する集光カップ構造であってもよく、その外部輪郭は光源が位置する箇所から反射面15が位置する箇所に向かって徐々に大きくなる曲面状構造であり、その凹キャビティ開口は集光チャネル13から離れる側に向かって開設され、凹キャビティの底部に集光チャネル13から離れる側に突出する突起が設けられ、第二に、集光構造11は、内部に凹キャビティが開設されず、外部輪郭のみが光源が位置する箇所から反射面15が位置する箇所に向かって徐々に大きくなる曲面状構造の中実体であり、その入光面の形状は平面であってもよいし、曲面であってもよく、第三に、集光構造11はさらに、集光チャネル13の端部に設けられて集光チャネル13から離れる側(即ち外側)に突出する突起であってもよい。該集光構造11は、1列又は複数列に設けられてもよく、光源から出た光線をよく収集し、コリメートし、光線の利用率を向上させることに有利である。
【0038】
以上をまとめると、本発明の有益な点は以下のとおりである。
1、 2つの折り曲げ型を呈す光学部を備え、車ランプ光学素子の前後方向での寸法を短縮し、取り付けに必要な空間を減少させる。
2、 従来技術の一次光学素子と二次光学素子を一体部品とすることで、部品の数を効果的に減少させることができ、取り付け時に両者の相対位置精度を保証する必要がなくなり、車ランプパータンの安定性をよりよく確保できるとともに、車ランプモジュールの寸法を減少させることができる。
3、 仕切り溝を開設することにより、一体型車ランプ光学素子において二次配光を実現し、配光の柔軟性を高めることができる。従来の遮光板の代わりに尖った溝を開設することで、ロービームカットオフラインを実現するとともに、車ランプモジュールの構造を簡素化し、全体の寸法を低減させる。
4、 凹溝を開設することにより、一体型車ランプ光学素子において同時にハイビームとロービーム機能を実現し、車ランプ光学素子の機能を多様化させることができる。
【0039】
以上に説明されたのは本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者であれば本発明の技術的原理から逸脱せずにいくつかの改良および置換を行うこともでき、例えば、実施例1の車ランプ光学素子をもとに仕切り溝、尖った溝又は凹溝が開設されるとともに、レンズが二次光学素子として配置されることにより、対応する機能を実現する。当業者は必要に応じて柔軟に調整することができ、これらの改良および置換を本発明の保護範囲としても見なすと指摘すべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 車ランプ光学素子
11 集光構造
12 第1の光出射面
121 平滑光出射面
13 集光チャネル
14 導光チャネル
15 反射面
151 第1の反射面
152 第2の反射面
16 第2の光出射面
2 レンズ
21 レンズ光出射面
22 レンズ光入射面
3 配線板
31 光源
4 仕切り溝
41 出光面
42 入光面
5 尖った溝
51 尖った溝反射面
52 尖った溝側面
53 接続箇所
6 凹溝
61 後側面
62 前側面
63 接続面
64 前辺縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車ランプ光学素子であって、2つの光学部を備え、前記光学部は、折り曲げ型を呈し、互いに接続される集光チャネル(13)と導光チャネル(14)を備え、両者の接続箇所に反射面(15)が設けられ、前記集光チャネル(13)の一端に複数の集光構造(11)が設けられ、前記導光チャネル(14)の先端に光出射面が設けられ、前記2つの光学部は上下に設けられ、且つ2つの前記導光チャネル(14)は頂部が底部に繋がり、前記光出射面は外側に突出する円弧面であり、2つの前記光出射面が接続されて滑らかで連続的な第2の光出射面(16)を形成し、前記第2の光出射面(16)は凸レンズ面または左右方向に沿って延在する円弧面であることを特徴とする車ランプ光学素子。
【請求項2】
前記車ランプ光学素子(1)に仕切り溝(4)が開設され、前記仕切り溝(4)は2つの前記導光チャネル(14)を貫通し、対向して設けられた出光面(41)と入光面(42)を備えることを特徴とする請求項1に記載の車ランプ光学素子。
【請求項3】
前記出光面(41)と入光面(42)との延在方向は前記光出射面の延在方向と同じであることを特徴とする請求項2に記載の車ランプ光学素子。
【請求項4】
前記車ランプ光学素子(1)のうちの1つの前記導光チャネル(14)に縦断面がV型の尖った溝(5)が開設され、前記尖った溝(5)は、前記第2の光出射面(16)から離れる尖った溝反射面(51)と前記第2の光出射面(16)に近い尖った溝側面(52)を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の車ランプ光学素子。
【請求項5】
前記尖った溝反射面(51)と尖った溝側面(52)との延在方向はいずれも前記光出射面の延在方向と同じであることを特徴とする請求項4に記載の車ランプ光学素子。
【請求項6】
前記車ランプ光学素子(1)のうちの1つの前記導光チャネル(14)には、接続面(63)により接続されて対向して設けられた前側面(62)と後側面(61)を備える凹溝(6)が開設されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の車ランプ光学素子。
【請求項7】
前記前側面(62)と後側面(61)との延在方向は前記光出射面の延在方向と同じであることを特徴とする請求項6に記載の車ランプ光学素子。
【請求項8】
前記凹溝(6)は下方に位置する前記導光チャネル(14)の底面に開設されることを特徴とする請求項6または7に記載の車ランプ光学素子。
【請求項9】
前記集光構造(11)は、凹キャビティを有する集光カップ構造、曲面状構造の中実体又は外側に突出する突起であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の車ランプ光学素子。
【国際調査報告】