(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】樽用のRFID機能付き圧力チャンバ
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20221114BHJP
【FI】
B65D25/20 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517987
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020076493
(87)【国際公開番号】W WO2021058520
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520297702
【氏名又は名称】カールスバーグ ブルワリーズ アグシャセルスガーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バック,ピーター
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA08
3E062AB02
3E062AC03
3E062BA20
3E062BB02
3E062BB10
(57)【要約】
本開示は、飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバに関し、前記圧力チャンバは、蓋部;ベース部を備え、前記蓋部及び前記ベース部は、前記飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、前記ベース部又は蓋部は、対応する飲料容器出口に係合するように適合され、ベース部又は蓋部の内側に配置された内側コネクタ部;及び、ベース部又は蓋部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、外側の実質的に環状のガスケット部は、クロージャの外側リムに配置された無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部を備える。本開示はさらに、圧潰可能な飲料容器と圧力チャンバとを備える飲料用の圧力システムに関し、圧力システムはRFID性能を含む。
【選択図】
図1A、1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバであって、
- 蓋部、
- ベース部を備え、前記蓋部及び前記ベース部は、前記飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、前記ベース部又は蓋部は、
o 対応する飲料容器出口に係合するように適合され、前記ベース部又は蓋部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
o 前記ベース部又は蓋部の内側に配置され、前記内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、前記外側の実質的に環状のガスケット部は前記飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、前記外側の実質的に環状のガスケット部は、前記クロージャの外側リムに配置された無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項2】
前記外側の実質的に環状のガスケット部が、前記飲料容器の前記クロージャの対応する中空環状空間内に、密封された構成で導入されるように成形される、請求項1に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項3】
前記外側の実質的に環状のガスケット部が、環状内側セクションと環状外側セクションとを有する上面を備え、前記環状外側セクションが、前記密封された構成において、前記環状内側セクションよりも前記クロージャの上壁に近い位置に配置され、前記上面の前記環状内側セクション及び前記クロージャの前記上壁が、前記密封された構成において、前記実質的に平面状の環状アンテナのためのアンテナ空間を画定する、請求項2に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項4】
前記外側の実質的に環状のガスケット部が、樽ガスケットロッキングフランジを備え、前記樽ガスケットロッキングフランジが、前記外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションを構成し、前記実質的に平面状の環状アンテナが前記上部セクションに一体化される、請求項1又は2に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項5】
前記外側の実質的に環状のガスケット部が、前記樽ガスケットロッキングフランジの下に配置された樽ガスケットをさらに備え、好ましくは樽ガスケットは、弾力性のある材料、又は前記樽ガスケットロッキングフランジの材料よりも弾力性のある材料で作られる、先行する請求項4つのいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項6】
前記実質的に平面状の環状アンテナが、前記樽ガスケットロッキングフランジと前記樽ガスケットとの間に配置される、請求項5に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項7】
前記実質的に平面状の環状アンテナが、実質的に平面状の環状プリント回路基板に一体化される、請求項1~6のいずれか一項に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項8】
前記実質的に平面状の環状アンテナが、実質的に円形の内縁及び実質的に円形の外縁を有し、前記実質的に平面状の環状アンテナが、2回巻きスパイラルアンテナなどのスパイラルアンテナ、単巻きアンテナ又は2回巻きアンテナであり、前記実質的に平面状の環状アンテナが、外径d
out及び内径d
inを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項9】
前記2回巻きアンテナが、0.3mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース幅wと、0.2mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース間隔gとを有し、前記2回の巻きは、前記実質的に平面状の環状アンテナの外径d
out及び内径d
inに沿ってループを形成する、請求項8に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項10】
実質的に平面状の環状アンテナが、無線周波数識別タグに対して高さに第1のオフセットを有し、前記実質的に平面状の環状アンテナの外縁から前記無線周波数識別タグまで周方向距離に第2のオフセットを有して配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項11】
前記第1のオフセットが、5.5mmと15.5mmの間、好ましくは7.5mmと13.5mmの間、例えば10.5mmである、請求項10に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項12】
前記第2のオフセットが、10.7mmと22.7mmの間、好ましくは13.7mmと19.7mmの間、例えば16.7mmである、請求項10又は11に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項13】
前記実質的に平面状の環状アンテナ及び前記無線周波数識別タグが実質的に直交する方向に延び、前記実質的に平面状の環状アンテナが、前記無線周波数識別タグに直交する磁場成分を生成するように配置され、前記磁場成分が無線周波数識別タグにおいて局所的な最大値を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項14】
前記無線周波数識別が近距離無線通信であり、前記無線周波数識別タグが近距離無線通信タグである、請求項1~13のいずれか一項に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【請求項15】
飲料用の圧力システムであって、
- 飲料出口を有するクロージャを備える圧潰可能な飲料容器であって、前記クロージャは、外側リムと、前記リム上に配置された無線周波数識別タグとを有する、圧潰可能な飲料容器、
- 圧力チャンバであって、
o 蓋部、
o ベース部を備える圧力チャンバを備え、前記蓋部及び前記ベース部は、前記圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、前記ベース部又は蓋部は、
・ 前記飲料出口に係合するように適合され、前記ベース部又は蓋部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
・ 前記ベース部又は蓋部の内側に配置され、前記内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、前記外側の実質的に環状のガスケット部は前記圧潰可能な飲料容器の前記クロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、前記外側の実質的に環状のガスケット部は、前記無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料用の圧力システム。
【請求項16】
前記圧力チャンバが請求項1~14のいずれか一項に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバである、請求項15に記載の圧力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料容器、特に使い捨ての圧潰可能な飲料容器のための無線周波数識別(RFID)機能付き圧力チャンバに関する。本開示は、さらに、無線周波数識別機能付き圧力チャンバと、無線周波数識別タグを含む圧潰可能な飲料容器とを備える圧力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料分配システムは、通常、飲料分配施設において、大量の飲料を効率的に分配するために使用される。一般的に、飲料分配システムは、生ビール及びりんご酒などの炭酸アルコール飲料を分配するために使用される。しかしながら、ノンアルコールビールなどの非アルコール飲料、ソフトドリンク、ならびにワイン及びフルーツジュースなどの非炭酸飲料も、飲料分配システムを使用して分配することができる。
【0003】
業務用飲料分配システムは、通常、大型の飲料樽の中に提供された飲料を分配する。このような飲料樽は、例えば、飲料樽を交換する必要がある前に典型的には50~100回の飲料分配操作を可能にするために、業務用飲料分配システムの場合20~50Lの飲料を保持し得る。一般に、飲料樽は、鋼などの頑丈な材料で作られ、何度も再充填される。各充填の間に、飲料樽は念入りに洗浄される。より最近では、少なくとも部分的に衛生上の懸念から、圧潰可能な使い捨ての樽を有するシステムが開発されている。圧潰可能な飲料樽を使用するこのような飲料分配システムは、飲料樽を圧力チャンバに設置又は配置することができる。したがって、従来の鋼製の樽を、例えば、分配中に樽に接続されたCO2-カートリッジによってCO2で加圧する必要があるが、本出願人のDraughtMaster(商標)などの使い捨て飲料システム、又はHeineken Blade(登録商標)もしくはBeerTender(登録商標)もしくはAnheusher-Bush InBev PureDraught(登録商標)などの容器システムのバッグは、圧力源、例えばエアコンプレッサからの空気を使用して、ビールを押し出し、容器の内側の樽又はバッグ(以後、単に樽という)を圧潰し、これは、ビールが醸造所を出てから、飲料受容体、例えばビールグラスに入るまで、ビールに何も触れないことを意味する。したがって、このような圧潰可能な飲料容器に貯蔵された飲料は、エールやスタウトなどの英国タイプのビールを分配する際、予め炭化されるか、あるいは窒素と予め混合される可能性がある。飲料を分配する際、圧力流体、例えば圧縮空気が圧力チャンバに入ることが可能となり、飲料を分配する間飲料樽を圧潰させる。飲料樽の容積は、分配された飲料の量に対応して減少される。圧潰可能な飲料樽は、好ましくは、プラスチックなどの柔軟で使い捨て可能な材料で作られる。
【0004】
交換可能な飲料容器を管理及び追跡するために、容器は、近距離無線通信(NFC)タグなどのRFIDタグを備えてもよい。システムは、一意の識別を有する他に、例えば、タグから直接又はデータベースを処理することによって、飲料の種類、容器の容量、製造日及び/又は製造元、該当する場合にはアルコール度数、などの飲料に関する情報を抽出することができる。RFIDタグの使用は、鋼製樽に関して知られており、最近では、使い捨ての圧潰可能な樽を備える飲料システムに関しても知られている。しかしながら、圧潰可能な飲料樽は多くの物理的な制約の下で圧力チャンバ内に設置されるという事実は、RFID質問器とRFIDタグの間の通信に関して技術的な課題や不都合をもたらす。これらの課題及び不都合の1つ又は複数を克服することが、本開示の目的である。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、第1の実施形態において、飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバであって、
- 蓋部、
- ベース部を備え、前記蓋部及び前記ベース部は、前記飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、前記ベース部又は蓋部は、
o 対応する飲料容器出口に係合するように適合され、ベース部又は蓋部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
o ベース部又は蓋部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、前記外側の実質的に環状のガスケット部は飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、外側の実質的に環状のガスケット部は、クロージャの外側リムに配置された無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバに関する。
【0006】
外側の実質的に環状のガスケット部は、三次元体、すなわち、特定の高さを有する環状の形状を有するとみなされるものとする。外側の実質的に環状のガスケット部は、それによって、トロイド又はトロイドの上半分であり得る。トロイドの形状は、必ずしも完全に規則的なものではなく、長方形、正方形及び/又は円又はその組み合わせに基づいて回転させてもよい。外側の実質的に環状のガスケット部の機能は、クロージャの対応する中空部に導入され、タッピングラインと容器の間の接続を密封することである。
【0007】
ベース部と蓋部は、圧潰可能な樽を封入するための密封された圧力チャンバを構成する。飲料容器出口を有する樽は、通常、好ましくはベース部を介して、飲料分配システムのカプラーと協働するためのクロージャも有する。クロージャは、例えば
図1及び
図5に示されるように、NFCタグなどのRFIDタグを配置することができる外側リムを有し得る。圧力チャンバは通常、固定式に据え付けられるのに対し、圧潰可能な樽は通常、使い捨てであり、空になったときに交換される。本発明の一実施形態によれば、ベース部は、ベース部の内側、例えば圧力チャンバのベース部の底部に配置された外側の実質的に環状のガスケット部を備える。“環状”とは、これに関連して、貫通孔を有し、圧潰可能な飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間に導入するのに適した最小高さを有する形状として広義に解釈されるものとする。環状形状は、不規則性を有することもあるドーナツ形状とみなすことができる。樽を圧力チャンバに入れると、実質的に環状のガスケット部は、クロージャの対応する中空環状空間に、密封された構成で導入される。実質的に平面状の環状アンテナが実質的に環状のガスケット部上に配置されている場合、アンテナもクロージャの中空環状空間内に導入することができる。アンテナは、中空環状空間内の位置から、クロージャの外側リムに配置されたRFIDタグに電波を伝播するように配置し、適合させることができ、それによって特定の樽に関して局所的にRFIDタグに質問することができる。好ましくは、実質的に平面状の環状アンテナは、全方向性アンテナである。
【0008】
本発明の物理的制約、実質的に平面状の環状アンテナ(質問アンテナ)の一体化、質問アンテナとRFIDタグの位置、アンテナ設計及び他の態様に関するさらなる詳細は、以下の発明の詳細な記載に記載されている。
【0009】
本開示はさらに、飲料用の圧力システムであって、
- 飲料出口を有するクロージャを備える圧潰可能な飲料容器であって、クロージャは、外側リムと、前記リム上に配置された無線周波数識別タグとを有する、圧潰可能な飲料容器;
- 圧力チャンバであって、
o 蓋部、
o ベース部を備える圧力チャンバを備え、前記蓋部及び前記ベース部は、圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、前記ベース部又は蓋部は、
・ 飲料出口に係合するように適合され、ベース部又は蓋部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
・ ベース部又は蓋部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、前記外側の実質的に環状のガスケット部は圧潰可能な飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、外側の実質的に環状のガスケット部は、無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料用の圧力システムに関する。
【0010】
それにより、「圧力システム」は、圧潰可能な飲料容器と、圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための圧力チャンバとを備えるアセンブリとみなすことができる。このアセンブリにおいて、飲料チャンバ及び圧潰可能な樽は、所与の周波数を用いた双方向無線送受信接続を備え得る。圧力システムは、共通のタッピングラインを共有する複数の圧潰可能な飲料容器及び圧力チャンバを備えるモジュールシステムの形態の飲料分配システムの一部であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間に挿入された圧力チャンバのベース部の外側の実質的に環状のガスケット部の断面図を示す。実質的に環状のガスケット部は、環状の樽ガスケットロッキングフランジ(15)とクロージャ(12)の上壁との間の空間に配置された実質的に平面状の環状アンテナを備える。
【
図1B】飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間内に挿入された圧力チャンバのベース部の外側の実質的に環状のガスケット部の断面を示す。実質的に環状のガスケット部は、環状の樽ガスケット部(16)と樽ガスケットロッキングフランジ(15)の間の空間に配置された実質的に平面状の環状アンテナを備える。
【
図2】樽のクロージャに部分的に挿入された圧力チャンバのベース部の外側の実質的に環状のガスケット部の断面を示す。
【
図3】プラスチック片又はプリント回路基板などのベース片に一体化された実質的に平面状の環状アンテナの実施形態を示す。
【
図4】現在開示されている無線周波数識別機能付き圧力チャンバのための整合ネットワークの簡略化された概略図の例を示す。
【
図5】圧潰可能な飲料充填容器を備えた3つの圧力チャンバを備えたモジュールシステムとしての飲料分配システムを示す。
【
図6】組み立て時に飲料容器のクロージャが圧力チャンバの蓋部に挿入される1つの圧力チャンバを備えたフレックスシステムとしての飲料分配システムを示す。
【
図7】タッピングラインが圧力チャンバの蓋を介して飲料容器の出口と流体連通している実施形態を示し、蓋の内部は
図1A及び1Bに開示したものと同様の要素を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバに関し、前記圧力チャンバは、蓋部及びベース部を備え、前記蓋部及び前記ベース部は、飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定する。好ましくは、ベース部は、対応する飲料容器出口に係合するように適合された内側コネクタ部と、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部とを備える。内側コネクタ部と外側の実質的に環状のガスケット部とが一緒になってカプラーを構成してもよく、このカプラーは、飲料容器上のクロージャと係合すると、圧力チャンバから密封された空間を形成する。内側コネクタ部と外側の実質的に環状のガスケット部の両方、すなわちカプラーは、好ましくは、ベース部の内側に、さらに好ましくはベース部の底部に配置される。ベース部の内側は、圧力チャンバの内側、すなわち密封された側として定義され、飲料容器が圧力チャンバ内に封入されたときに飲料容器に向かう側でもある。ベース部の外側の実質的に環状のガスケット部は、圧力チャンバの内側に置かれたときに飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合されてもよい。
【0013】
代替システムにおいて、蓋部は、好ましくは蓋部の内側、さらに好ましくは蓋部の底部に配置されるカプラーを備えている。蓋部の内側は、圧力チャンバの内側、すなわち密封された側として定義され、これは、飲料容器が圧力チャンバ内に封入されているときに、飲料容器、特に飲料容器出口に向かう側でもある。蓋部の外側の実質的に環状のガスケット部は、圧力チャンバ内に配置されたときに飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合されてもよい。実質的に平面状の環状アンテナは、例えば、樽ガスケットロッキングフランジと樽ガスケットとの間に配置されてもよい。
【0014】
本出願人のDraughtMaster(商標)のような飲料分配システムに設置されるとき、飲料容器は典型的に「上下逆さ」位置などの所定の位置に向けられる、すなわち、飲料容器出口は下方向に向けられる。カプラーは典型的に剛性が高く、飲料容器の重量を支えるのに適している。飲料分配システムに設置されると、飲料容器出口とタッピングラインとの間に流体密な接続が存在し、代替的にタッピングラインは、設置前に樽内の出口に既に接続されている。飲料容器出口を有する樽は、典型的に、ベース部又は蓋部のいずれかを介して、飲料分配システムのカプラーと協働するためのクロージャを有する。飲料容器は、NFCタグなどのRFIDタグを備えてもよい。好ましくは、RFID/NFCタグは、飲料容器のクロージャ、例えば、クロージャの外側リム上に配置される。現在開示されているRFIDを備える圧力チャンバの一実施形態によれば、カプラーの実質的に環状のガスケット部は、クロージャの外側リム上など、飲料容器上に配置されたRFIDタグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える。国際公開第2019/158562号パンフレットは、圧潰可能な飲料容器におけるRFIDタグの使用について記載している。
【0015】
本発明者らは、圧力チャンバの外側にRFIDタグ及びRFID質問器を設けるよりも、少なくとも質問アンテナをベース部又は蓋部に配置されたカプラーの内側に一体化し、システムのメンテナンス及びアップグレードを容易にすることが可能かつ有利であろうこと気付いた。本発明者らはまた、平面環状アンテナを使用し、それを圧力チャンバ内のカプラーの実質的に環状のガスケット部に配置することによって、RFIDタグに対する相対的な位置決めと圧力チャンバ内のスペース不足に関する課題を解決できることに気付いた。これにより、本発明は、圧力チャンバと飲料容器の形状とRFIDタグの磁場強度に関する要求の両方を考慮した解決策を提示し得る。
【0016】
当技術分野において周知のように、RFIDは、電波を使用して物品を一意に識別することを可能にする。NFC/RFIDシステムは、リーダ及びタグを備える。リーダ又は質問器は、アンテナを介してタグに無線周波数信号を送信する双方向無線送受信機であり、タグはその周波数を吸収して活性化し放射し返し、それによりタグに格納されている固有の情報とともに応答する。典型的に、質問器は質問用アンテナを有し、RFIDタグはターゲットアンテナを有する。前記容器のクロージャ上など、圧潰可能な容器上に配置されたRFIDタグは、好ましくは、質問器の放射フィールド(圧力チャンバ内の実質的な環状ガスケット部のアンテナ)の放射によって励起される受動RFIDタグである。本開示において、RFIDタグは、ターゲットアンテナを有するトランスポンダを指す。本開示の無線周波数識別機能付き圧力チャンバの一実施形態によれば、RFIDタグは、飲料容器のクロージャのリムに取り付けられる。質問部は、実質的に平面状の環状アンテナを有していてもよく、この環状アンテナは質問アンテナとして見なすものとする。質問部は、質問回路/リーダをさらに備えてもよく、これは、外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションに一体化されるなど、実質的に環状のガスケット部に一体化されてもよく、又はプリント回路基板に一体化されてもよい。
【0017】
NFCは、RFID技術における特殊なサブセットである。本開示の範囲内において、NFCは、RFIDの非限定的な実施形態として解釈されるものとする。RFID質問器、RFIDアンテナ、RFIDタグ及びRFIDタグアンテナは、それに応じて、それぞれNFC質問器、NFCアンテナ、NFCタグ及びNFCタグアンテナであってもよいが、必ずしもそれらでなくてもよい。
【0018】
ガスケット部(チャンバの)、クロージャ部(樽の)、及びRFID質問器アンテナの物理的配置
圧潰可能な飲料容器は、圧潰可能な本体と、飲料分配システムのコネクタと係合するように構成された飲料出口を有するクロージャとを備え得る。クロージャは、実質的に円筒形の外側リムなどの外側リム、及び実質的に円筒形の内側リムなどの内側リムを有し得る。クロージャは上壁をさらに備え得る。容器の出口は、内側リムの内側の内側円筒形又は管状接続部を介して接続されてもよい。この接続部は、飲料の流れを制御するためのバルブ又は機構を備え得る。カプラーの内側コネクタ部は、好ましくは、飲料出口に係合されるように適合されている。樽が圧力チャンバ内に置かれ、タッピングラインに接続される取り付けられた構成では、内側コネクタ部は、好ましくは、クロージャの内側リムの内側に配置される。
【0019】
外側の実質的に円筒形のリム、実質的に円筒形の内側リム及び上壁は、クロージャの中空環状空間を画定し得、その中に外側の実質的に環状のガスケット部を密封構成で導入することができる。
【0020】
外側の実質的に環状のガスケット部は、
図1Aの例に示すように、外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションを構成し得る樽ガスケットロッキングフランジを備え得る。樽ガスケットロッキングフランジは、プラスチック又はゴムなどの実質的に剛性のある材料であり得る。好ましくは、樽ガスケットロッキングフランジは、密封構成においてクロージャの内側リムに密に適合するように構成されている。樽ガスケットロッキングフランジの下には、より弾力性のある樽ガスケットが存在し得る。樽ガスケットは、弾力性のある材料、又は樽ガスケットロッキングフランジの材料よりも少なくとも弾力性のある材料であり得る。
【0021】
実質的に環状のガスケット部は、上面、すなわち、取り付けられた位置で樽に向かう面を有し得る。
図1Aは、実質的に環状のガスケット部10の上部セクションを構成する樽ガスケットロッキングフランジ(15)の上面18の一例の説明として役立ち得る。上面は、環状の内側セクションと環状の外側セクションとを有し得る。
図1Bは、実質的に環状のガスケット部(10)の上部セクションを構成する樽ガスケットロッキングフランジ(15)の上面の一例の説明として役立ち得る。上面は、環状の内側セクションと環状の外側セクションとを有する。これらのセクションは、
図2にも例示されており、図中、19は環状内側セクション(表面)であり、20は環状外側セクション(表面)である。環状外側セクションは、密封された構成において、環状内側セクションよりもクロージャの上壁(11)により近い位置に配置されてもよい。それによって、樽ガスケットロッキングフランジの上面の環状内側セクションとクロージャの上壁とが、密封構成において、実質的に平面状の環状アンテナのためのアンテナ空間を画定し得る。実質的に平面状の環状アンテナは、必ずしも上面の上に配置される必要はない。プラスチックシースなど、アンテナの上に追加のシースがあってもよい。あるいは、実質的に平面状のアンテナは、外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションにおいて一体化されるなど、実質的に環状のガスケット部において全体的に一体化されてもよい。
図1の例では、実質的に環状のアンテナ空間21は、クロージャの上壁と上面の環状内側セクションとの間の空間である。実質的に平面状の環状アンテナは、上面の環状内側セクションに配置されてもよいし、外側の実質的に環状のガスケット部に一体化されてもよい。
【0022】
実質的に平面状の環状アンテナ
アンテナは、所与の物理的制約、すなわち空間やRFIDタグの位置における制限に対して、特定の最小限の磁界強度の要件を達成するように設計されてもよい。2つのそのような規格は、ISO/IEC 15693及びISO/IEC 14443である。
【0023】
好ましくは、実質的に平面状の環状アンテナは、実質的に平面状の環状プリント回路基板に組み込まれ、及び/又は実質的に環状のガスケット部に組み込まれ、例えば、樽ガスケットロッキングフランジ及び/又は外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションに組み込まれる。前述のように、樽ガスケットロッキングフランジは、プラスチック又はゴムなどの実質的に剛性のある材料で作られてもよく、その中に実質的に平面状の環状アンテナが成形又は印刷されてもよい。実質的に平面状の環状プリント回路基板は、アンテナ空間に収まるように適合されてもよい。プラスチックシースなど、アンテナ上の追加のシースが存在してもよい。
【0024】
実質的に平面状の環状プリント回路基板は、さらに、質問回路と、さらなる必要な電子部品及び回路とを含み得る。質問回路及び/又はさらなる必要な電子部品及び回路は、アンテナ及び部品を一緒に保持するためのプリント回路基板又はプラスチック片などの他のベース片に取り付けられてもよい。質問回路、又は、代替的にベース片、及び/又はアセンブリ全体は、実質的に環状のガスケット部上に配置されてもよく、及び/又は、樽ガスケットロッキングフランジ及び/又は外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションに組み込まれるなど、実質的に環状のガスケット部に一体化されてもよい。
【0025】
実質的に平面状の環状アンテナは、樽上の無線周波数識別タグに対して高さに第1のオフセットを有し、実質的に平面状の環状アンテナの外縁から無線周波数識別タグまで周方向距離に第2のオフセットを有して配置されてもよい。高さのオフセットは、例えば、
図4において、樽及び圧力チャンバの長手方向の延在として見ることができる。本開示内では、これは、直交座標系におけるZ次元と呼ばれることもある。第1のオフセットは、
図1に示されるように、Z次元における実質的に平面状の環状アンテナとRFIDタグの中心との間の距離と見なすことができる。第1のオフセット(Off
1)は、5.5mmと18.5mmの間、例えば5.5mmと15.5mmの間、例えば8.5mmと18.5mmの間、好ましくは7.5と16.5の間、例えば7.5と13.5の間、例えば10.5mmと16.5mmの間、例えば13.5mm、特に10.5mmであり得る。
【0026】
第2のオフセットは、
図1に示されるように、X-Y次元、すなわち平面アンテナの延在線上における、実質的に平面状の環状アンテナとRFIDタグとの間の距離と見なすことができる。第2のオフセット(Off
2)は、10.7mmと22.7mmの間、好ましくは13.7mmと19.7mmの間、例えば16.7mmであり得る。
【0027】
現在開示されている無線周波数識別機能付き圧力チャンバの一実施形態では、
図1に示されているように、実質的に平面状の環状アンテナ及び無線周波数識別タグは、実質的に直交する方向に延在している。好ましくは、実質的に平面状の環状アンテナは、無線周波数識別タグに直交する磁場成分を生成するように構成され、磁場成分は、無線周波数識別タグにおいて局所的な最大値を有する。
【0028】
実質的に平面状の環状アンテナは、実質的に円形の形状を有し得る。したがって、実質的に平面状の環状は、実質的に円形の内縁及び実質的に円形の外縁を有し得る。アンテナは、例えば巻き数の点で、多くの形状をとり得る。実質的に平面状の環状アンテナは、2回巻きスパイラルアンテナなどのスパイラルアンテナ、単巻きアンテナ又は2回巻きアンテナであり得、実質的に平面状の環状アンテナは、外径dout及び内径dinを有する。好ましくは、外径doutと内径dinは、アンテナが圧力チャンバと樽の寸法(すなわち利用可能なスペース)、RFIDタグの位置、及びISO/IEC 15693やISO/IEC 14443などの規格に準拠するためにRFIDタグで発生する磁場の要件に従うように選択される。上記の要件及び好みを考慮すると、実質的に平面状の環状アンテナの外径は、70mmと110mmの間、好ましくは80mmと100mmの間、より好ましくは87mmと97mmの間、例えば92mmであり得る。
【0029】
好ましくは、RFIDタグは、クロージャの外側リムにおいてアンテナの円周方向外側に位置することがあるので、磁場がX-Y平面におけるRFIDタグの距離においてX-Y次元においてアンテナの外側で最大となるように、アンテナの設計が選択される。
【0030】
トレース幅及び間隔は、現在開示されている無線周波数識別機能付き圧力チャンバの実質的に平面状の環状アンテナなど、平面状のアンテナのパラメータである。実質的に平面状の環状アンテナは、スパイラルアンテナであり得る。スパイラルアンテナは、0.3mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース幅wと、0.3mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース間隔gを有し得る。
【0031】
実質的に平面状の環状アンテナが単巻きアンテナである場合、
図3Bの例に示すように、1mmのトレース幅wを有し、実質的に平面状の環状アンテナの外径d
out及び内径d
inに沿ったループを形成してもよい。
【0032】
実質的に平面状の環状アンテナが2回巻きアンテナである実施形態において、2回巻きアンテナは、0.3mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース幅w、及び0.2mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース間隔gを有し得、2回の巻きは、実質的に平面状の環状アンテナの外径doutと内径dinに沿ったループを形成している。2回の巻きは、実質的に円形の内縁及び実質的に円形の外縁に直交する線に沿って巻かれてもよい。
【0033】
【0034】
図3Aの例:スパイラルアンテナ:平面状のスパイラルアンテナは、例えばプリント回路基板に組み込むのに適した平面的な設計で知られている。タグアンテナがある面の向きは、リーダアンテナの面に対して直交しているので、磁場の垂直成分(Z軸)の重要性は、タグの磁束を発生しないので制限される。タグに正味の磁束を発生させる成分は、コイル中心での発生磁場のカーリング挙動と考えることができる。
【0035】
図3Bの例:単巻きアンテナ:この実施形態では、RFID/NFCタグが位置するアンテナの周縁部により近いところで磁場が生成される。
図3Bに示すように、磁場は2つの対向する電流によってアンテナの2つのトレースの中間で生成される。
【0036】
図3Cの例:2回巻きアンテナ:この実施形態では、2回の巻きは実質的に平面状の環状アンテナの外径d
outと内径d
inに沿ってループを形成する。
【0037】
整合ネットワーク
無線周波数識別機能付き圧力チャンバは、整合ネットワークをさらに備えていてもよい。整合ネットワークは、通常、質問回路とアンテナの間に配置される。RF伝送路は特性インピーダンスを有し、これはRF回路における因子である。好ましくは、インピーダンスは、定在波を防止し、ソースから負荷への電力の効率的な伝達を保証するために整合される。アンテナは、125kHz~5.4GHzのRFIDスペクトル内で、最大効率で所望の周波数帯で動作するように、動作環境においてインピーダンス整合されることが望ましい。現在開示されている無線周波数識別機能付き圧力チャンバは、例えば13.56MHzで動作する可能性があるが、整合ネットワークは
図4の例に従って設計することができる。
【0038】
圧力システム
本開示はさらに、現在開示されている無線周波数識別機能付き圧力チャンバと、無線周波数識別タグを有する圧潰可能な飲料容器とを備える飲料用圧力システムに関する。無線周波数識別機能付き圧力は、上記実施形態のいずれかであってよい。
【0039】
それにより、圧力システムは、圧潰可能な飲料容器と、圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための圧力チャンバとを含むアセンブリとみなすことができる。圧力システムは、共通のタッピングラインを共有する複数の圧潰可能な飲料容器及び圧力チャンバを含むモジュールシステムの形態の飲料分配システムの一部であり得る。
【0040】
特に、圧力システムの圧力チャンバは以下を備え得る:
o 蓋部;及び
o ベース部。前記蓋部と前記ベース部は、圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密封内部空間を画定し、前記ベース部は以下を備える:
・飲料出口に係合するように適合され、ベース部の内側に配置されている内側コネクタ部;及び
・ベース部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、前記圧潰可能な飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合されており、無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部。
【0041】
あるいは、内側コネクタ部は、蓋部の内側に配置されてもよく、外側の実質的に環状のガスケット部は、蓋部の内側に配置されてもよい。
【0042】
圧潰可能な飲料容器は好ましくは、飲料出口を有するクロージャを備え得る。好ましい実施形態において、クロージャは、外側リムと、前記リム上に配置された無線周波数識別タグとを有する。一実施形態では、クロージャは、外側の実質的に円筒形の外側リムと、実質的に円筒形の内側リムとを有する。圧潰可能な容器の出口は、内側リムの内側の円筒状又は管状の内側接続部を介して接続されてもよい。クロージャは、少なくとも内側リムと外側リムとによって画定された環状セクションを覆う上壁をさらに備え得る。外側リム、内側リム及び上壁は、それによってクロージャの中空環状空間を画定し得る。
【0043】
組み立てられると、圧潰可能な容器上のRFIDタグと、質問アンテナ及びリーダは、圧力チャンバ及び樽自体の状態に関する有用な情報を監視することを可能にし、それによって飲料分配システムの安全性を向上させる。このシステムは、情報を送信し、処理することができ、特に、圧潰可能な容器内の飲料について、ブランド(内容物)、残量、タップ上の日数などの両方の情報を処理し、保存することができる。また、チャンバの圧力状態も同様に監視することができ、圧力がゼロになった場合は、新しい圧潰可能な飲料容器がシステムに挿入されたことを示すために使用することができる。
【0044】
図面の詳細な説明
以下、添付図面を参照しながら、本発明をより詳細に記載する。図面は例示的なものであり、現在開示されている無線周波数識別を備えた飲料用圧力チャンバ及び圧力システムの特徴のいくつかを説明することを意図しており、現在開示されている発明に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
図1Aは、飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間(24)内に挿入された圧力チャンバのベース部又は蓋部の外側の実質的に環状のガスケット部(10)の断面を示している。実質的に環状のガスケット部(10)は、環状のガスケット部(10)とクロージャの上壁(11)との間の空間に配置された実質的に平面状の環状アンテナ(14)を備える。クロージャは、上壁(10)の他に、RFIDタグ(8)が配置される外側リム(12)と、内側リム(13)とを有する。実質的に環状のガスケット部(10)は、外側の実質的に環状のガスケット部(10)の上部セクションを構成する樽ガスケットロッキングフランジ(15)を備える。樽ガスケットロッキングフランジ(15)の下には、好ましくは弾力性のある、樽ガスケット(16)が存在する。樽ガスケットロッキングフランジ(15)は、クロージャの上壁(11)に向かって上面(18)を有する。
図1Bでは、実質的に平面状の環状アンテナ(14)が環状樽ガスケット部(16)と樽ガスケットロッキングフランジ(15)との間に配置されている。
【0046】
図2は、樽(2)のクロージャ(17)に部分的に挿入された圧力チャンバ(1)のベース部(5)又は蓋部の外側の実質的に環状のガスケット部(10)の断面を示している。
図2では、実質的に平面状の環状アンテナ及びRFIDタグは取り付けられていない。実質的に平面状の環状アンテナは、アンテナ空間(21)に取り付けることができる。実質的に環状のガスケット部(10)は、外側の実質的に環状のガスケット部(10)の上部セクションを構成する樽ガスケットロッキングフランジ(15)を備える。樽ガスケットロッキングフランジ(15)の下には、好ましくは弾力性のある、樽ガスケット(16)がある。環状アンテナは、最大限の保護のために、これら2つのセクションの間に配置されてもよい(
図1Bに図示されている)。樽ガスケットロッキングフランジ(15)は、クロージャ(17)の上壁(11)に向かって上面(18)を有する。外側の実質的に環状のガスケット部(10)の上面は、環状の内側セクション(19)と環状の外側セクション(20)とを有する。実質的に平面状の環状アンテナ(
図2では見えない)は、代替的に環状外側セクション(20)上に配置されてもよく、任意選択的にシースによって覆われてもよく、あるいは、任意選択的に実質的に環状のガスケット部分(10)に、成形されるなど、一体化されてもよい。圧力チャンバ(1)のベース部(5)は、対応する飲料容器出口(23)に係合するように適合された内側コネクタ部(9)を備える。クロージャ(17)は、上壁(10)の他に、RFIDタグ(
図2では見えない)を配置することができる外側リム(12)と、内側リム(13)とを有する。
【0047】
図3Aは、プリント回路基板又はプラスチック片などのベース片(22)に一体化された、スパイラルアンテナの形態の実質的に平面状の環状アンテナ(14)の実施形態を示している。実質的に平面状の環状アンテナ(14)は、実質的に円形の内縁(25)及び実質的に円形の外縁(26)を有する。実質的に平面状の環状アンテナ(14)は、外径d
out及び内径d
inを有する。
【0048】
図3Bは、単巻きアンテナの形態の、実質的に平面状の環状アンテナ(14)の実施形態を示している。実質的に平面状の環状アンテナ(14)は、外径d
out及び内径d
inを有する。
【0049】
図3Cは、2回巻きアンテナの形態の、実質的に平面状の環状アンテナ(14)の実施形態を示している。実質的に平面状の環状アンテナ(14)は、外径d
out及び内径d
inを有する。2回の巻きは、実質的に平面状の環状アンテナの外径d
out及び内径d
inに沿ったループを形成する。2回の巻きは、実質的に円形の内縁及び実質的に円形の外縁に直交する線に沿って巻かれている。
【0050】
図4は、現在開示されている無線周波数識別機能付き圧力チャンバの整合ネットワークの簡略化された概略図の一例を示す。
【0051】
図5は、圧潰可能な飲料充填容器(2)を有する3つの圧力チャンバ(1)を備えるモジュール式飲料分配システム(27)の斜視図である。圧力チャンバ(1)はそれぞれ、剛性のベース部(5)と蓋部(6)とを備える。飲料容器(2)は、樽とも呼ばれ、圧潰可能な高分子材料から作られた圧潰可能なタイプのものであり、したがって、圧潰可能な飲料容器と呼ばれている。圧潰可能な飲料容器(2)は、典型的にはビールなどの炭酸飲料である飲料(3)を含む飲料充填空間を画定する。飲料容器(2)はまた、飲料容器(2)内の飲料の液面の上に、その上部セクションにガスで満たされたヘッドスペースを備え得る。蓋部(6)と剛性ベース部(5)は分離可能であるが、動作中は、飲料容器(2)を収容するための内部空間(4)を画定するために一緒にシールされる。蓋部(6)は、例えば、ゴム製であってもよい。圧潰可能な飲料容器(2)は、ベース部(5)を介して飲料分配システムのカプラ(27)と協働するためのクロージャ(17)を含み、それによって圧潰可能な飲料容器(2)はタッピングライン(28)に接続される。タッピングライン(28)は、冷却装置(7)を通過し、さらにタッピング装置(29)へと続く。
【符号の説明】
【0052】
1 無線周波数識別機能付き圧力チャンバ
2 飲料容器
3 飲料
4 密封された内側空間
5 ベース部
6 蓋部
7 冷却装置
8 RFIDタグ
9 カプラーの内側コネクタ部
10 カプラーの外側の実質的に環状のガスケット部
11 上壁(クロージャの)
12 外側リム(クロージャの)
13 内側リム(クロージャの)
14 実質的に平面状の環状アンテナ(質問アンテナ)
15 樽ガスケットロッキングフランジ
16 樽ガスケット
17 クロージャ
18 上面(樽ガスケットロッキングフランジ(15)の)
19 環状内側セクション(樽ガスケットロッキングフランジ(15)の)
20 環状外側セクション(樽ガスケットロッキングフランジ(15)の)
21 アンテナ空間
22 ベース片/プリント回路基板(質問リーダ)
23 飲料容器出口
24 中空アンテナ空間
25 内縁(実質的に平面状の環状アンテナの)
26 外縁(実質的に平面状の環状アンテナの)
27 飲料分配システム
28 タッピングライン
29 タッピング装置
30 蓋のタッピングライン開口部
【0053】
本発明のさらなる詳細
1.飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバであって、
- 蓋部、
- ベース部を備え、蓋部及びベース部は、飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、ベース部は、
o 対応する飲料容器出口に係合するように適合され、ベース部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
o ベース部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、前記外側の実質的に環状のガスケット部は飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、実質的に環状のガスケット部は、クロージャの外側リムに配置された無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0054】
2.飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバであって、
- 蓋部、
- ベース部を備え、蓋部及びベース部は、飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、蓋部は、
o 対応する飲料容器出口に係合するように適合され、蓋部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
o 蓋部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、実質的に環状のガスケット部は、クロージャの外側リムに配置された無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料容器用の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0055】
3.外側の実質的に環状のガスケット部が、飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間内に、密封された構成で導入されるように成形される、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0056】
4.外側の実質的に環状のガスケット部が、環状内側セクションと環状外側セクションとを有する上面を備え、環状外側セクションが、密封された構成において、環状内側セクションよりもクロージャの上壁に近い位置に配置される、項目3に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0057】
5.上面の環状内側セクション及びクロージャの上壁が、密封された構成において、実質的に平面状の環状アンテナのためのアンテナ空間を画定する、項目4に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0058】
6.アンテナ空間が実質的に環状である、項目4~5のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0059】
7.実質的に平面状の環状アンテナが、上面の環状内側セクションに配置される、項目4~6のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0060】
8.外側の実質的に環状のガスケット部が、樽ガスケットロッキングフランジを備え、樽ガスケットロッキングフランジが、外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションを構成する、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0061】
9.樽ガスケットロッキングフランジが、プラスチック又はゴムなどの実質的に剛性のある材料で作られる、項目8に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0062】
10.樽ガスケットロッキングフランジが、密閉された構成において、クロージャの内側リムに密に適合するように構成される、項目8~9のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0063】
11.外側の実質的に環状のガスケット部が、樽ガスケットロッキングフランジの下に配置された樽ガスケットをさらに備える、項目8~10のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0064】
12.樽ガスケットが、弾力性のある材料、又は樽ガスケットロッキングフランジの材料よりも弾力性のある材料で作られる、項目11に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0065】
13.内側コネクタ部が実質的に円筒形である、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0066】
14.実質的に平面状の環状アンテナが、実質的に平面状の環状プリント回路基板に一体化される、及び/又は、外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションに一体化されるなど、実質的に環状のガスケット部に一体化される、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0067】
15.実質的に平面状の環状プリント回路基板が、アンテナ空間に収まるように適合される、項目5及び14に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0068】
16.実質的に平面状の環状プリント回路基板が質問回路をさらに備え、及び/又は質問回路が、外側の実質的に環状のガスケット部の上部セクションに一体化されるなど、実質的に環状のガスケット部に一体化される、項目14~15のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0069】
17.実質的に平面状の環状アンテナが全方向性アンテナである、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0070】
18.実質的に平面状の環状アンテナが、実質的に円形の内縁及び実質的に円形の外縁を有する、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0071】
19.実質的に平面状の環状アンテナが、2回巻きスパイラルアンテナなどのスパイラルアンテナ、単巻きアンテナ又は2回巻きアンテナであり、実質的に平面状の環状アンテナが、外径dout及び内径dinを有する、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0072】
20.外径が70mmと110mmの間、好ましくは80mmと100mmの間、より好ましくは87mmと97mmの間、例えば92mmである、項目19に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0073】
21.スパイラルアンテナが、0.3mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース幅wと、0.3mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース間隔gとを有する、項目18~19のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0074】
22.単巻きアンテナが、1mmのトレース幅wを有し、実質的に平面状の環状アンテナの外径dout及び内径dinに沿ってループを形成する、項目18~19のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0075】
23.2回巻きアンテナが、0.3mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース幅wと、0.2mmと0.7mmの間、例えば0.5mmのトレース間隔gとを有し、2回の巻きは、実質的に平面状の環状アンテナの外径dout及び内径dinに沿ってループを形成する、項目18~19のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0076】
24.2回の巻きが、実質的に円形の内縁及び実質的に円形の外縁に直交する線に沿って巻かれている、項目23に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0077】
25.実質的に平面状の環状アンテナが、無線周波数識別タグに対して高さに第1のオフセットを有し、実質的に平面状の環状アンテナの外縁から無線周波数識別タグまで周方向距離に第2のオフセットを有して配置される、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0078】
26.第1のオフセットが、8.5mmと18.5mmの間、好ましくは10.5mmと16.5mmの間、例えば13.5mmである、項目25に記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0079】
27.第2のオフセットが、10.7mmと22.7mmの間、好ましくは13.7mmと19.7mmの間、例えば16.7mmである、項目25~26のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0080】
28.実質的に平面状の環状アンテナ及び無線周波数識別タグが実質的に直交する方向に延び、実質的に平面状の環状アンテナが、無線周波数識別タグに直交する磁場成分を生成するように配置され、磁場成分が無線周波数識別タグにおいて局所的な最大値を有する、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0081】
29.無線周波数識別が近距離無線通信であり、無線周波数識別タグが近距離無線通信タグである、先行する項目のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ。
【0082】
30.飲料用の圧力システムであって、
- 飲料出口を有するクロージャを備える圧潰可能な飲料容器であって、クロージャは、外側リムと、リム上に配置された無線周波数識別タグとを有する、圧潰可能な飲料容器、
- 圧力チャンバであって、
o 蓋部、
o ベース部を備える圧力チャンバを備え、蓋部及びベース部は、圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、ベース部は、
・ 飲料出口に係合するように適合され、ベース部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
・ ベース部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、前記外側の実質的に環状のガスケット部は圧潰可能な飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、実質的に環状のガスケット部は、無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料用の圧力システム。
【0083】
31.飲料用の圧力システムであって、
- 飲料出口を有するクロージャを備える圧潰可能な飲料容器であって、クロージャは、外側リムと、リム上に配置された無線周波数識別タグとを有する、圧潰可能な飲料容器、
- 圧力チャンバであって、
o 蓋部、
o ベース部を備える圧力チャンバを備え、蓋部及びベース部は、圧潰可能な飲料容器を収容し封入するための密封された内部空間を画定し、蓋部は、
・ 飲料出口に係合するように適合され、蓋部の内側に配置された内側コネクタ部;及び
・ 蓋部の内側に配置され、内側コネクタ部を取り囲む外側の実質的に環状のガスケット部であって、圧潰可能な飲料容器のクロージャの対応する中空環状空間と係合するように適合され、実質的に環状のガスケット部は、無線周波数識別タグに電波を伝播するように適合された実質的に平面状の環状アンテナを備える、外側の実質的に環状のガスケット部、
を備える、飲料用の圧力システム。
【0084】
32.項目1~29のいずれかに記載の無線周波数識別機能付き圧力チャンバ、項目30に記載の圧力システム。
【0085】
33.クロージャが、外側の実質的に円筒形の外側リム;実質的に円筒形の内側リム;及び上壁を有する、項目30~32のいずれかに記載の圧力システム。
【0086】
34.外側の実質的に円筒形の外側リム、実質的に円筒形の内側リム及び上壁が、クロージャの中空環状空間を画定する、項目33に記載の圧力システム。
【国際調査報告】