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特表2022-548795知的ガス化原料配合システムおよび方法
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  • 特表-知的ガス化原料配合システムおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(54)【発明の名称】知的ガス化原料配合システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/46 20060101AFI20221114BHJP
   C10J 3/54 20060101ALI20221114BHJP
【FI】
C10J3/46 Z
C10J3/54 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518779
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(85)【翻訳文提出日】2022-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2020117417
(87)【国際公開番号】W WO2021057845
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910906678.9
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】王芳杰
(72)【発明者】
【氏名】王樹青
(72)【発明者】
【氏名】王大川
(72)【発明者】
【氏名】夏国富
(72)【発明者】
【氏名】崔龍鵬
(57)【要約】
本発明の実施形態は、知的ガス化原料配合システムおよび知的ガス化原料配合方法を提供し、石炭化学工業分野に属する。前記ガス化原料配合サブシステムは、炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得する原料性質快速分析モジュールと、予測モデルを形成し、原料性質パラメータおよび配合比率に基づいて、予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測する配合原料性質予測モジュールと、最適化モデルを形成し、配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルにより最適化後の原料配合案を取得する原料配合案最適化モジュールと、技術経済性が最もよい原料配合案を出力する原料配合案経済性評価モジュールとを含む。本発明は、全ライフサイクル工程にわたって利用できる知的ガス化原料配合システムを構築し、ガス化原料配合の知能化、正確な制御を達成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化原料配合サブシステムを含むガス化原料配合システムであって、
前記ガス化原料配合サブシステムは、
炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、前記特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得する原料性質快速分析モジュールと、
予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータおよび原料の配合比率に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測する配合原料性質予測モジュールと、
最適化モデルを形成し、前記配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルの目標関数により最適化後の原料配合案を取得する原料配合案最適化モジュールと、
最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力する原料配合案経済性評価モジュールとを含む、
ことを特徴とするガス化原料配合システム。
【請求項2】
前記システムが、ガス化炉の種類を確定した後に炉に供給する原料を確定するため、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶する、炉に供給する原料の基準管理モジュールを有する原料性質基準サブシステムをも含むことを特徴とする、
請求項1に記載のガス化原料配合システム。
【請求項3】
前記配合原料の性質パラメータが、基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とを含み、
好ましくは、前記基礎性質が、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、粉砕性パラメータと、発熱量パラメータとを含み、
より好ましくは、前記予測モデルにより予測した前記配合原料の性質パラメータが、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、発熱量パラメータと、任意選択の灰溶融特性パラメータであることを特徴とする、
請求項1に記載のガス化原料配合システム。
【請求項4】
前記システムが、情報管理サブシステムを含み、前記情報管理サブシステムは、原料情報管理モジュールと、ガス化炉情報管理モジュールと、添加剤情報管理モジュールと、ガス化スラグ情報管理モジュールとを含み、
前記原料情報管理モジュールが、前記原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶し、
前記ガス化炉情報管理モジュールが、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶し、
前記添加剤情報管理モジュールが、灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測と、この予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶し、
前記ガス化スラグ情報管理モジュールが、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶することを特徴とする、
請求項3に記載のガス化原料配合システム。
【請求項5】
前記ガス化原料配合サブシステムが、配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得られた最適な技術経済性を備えた原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して得たスラグの性質が異常であるか否かを判断するガス化炉早期警戒モジュールをさらに含むことを特徴とする、
請求項4に記載のガス化原料配合システム。
【請求項6】
得られたスラグの性質が異常であると判断した場合、前記ガス化炉早期警戒モジュールが、得られたスラグの性質と予め記憶したスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得ることを特徴とする、
請求項5に記載のガス化原料配合システム。
【請求項7】
前記配合原料性質予測モジュールが予測モデルを形成し、前記配合原料性質予測モジュールは、前記原料性質パラメータと、原料配合比率と、内部含水量Madと、粉砕性指数HGIと、比表面積SBETと、任意選択の添加剤情報に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測し、予測された配合原料の性質パラメータが配合原料のスラリー形成特性と、配合原料のガス化反応特性と、任意選択の灰溶融特性とを含むことをさらに備えることを特徴とする、
請求項1に記載のガス化原料配合システム。
【請求項8】
ガス化原料配合サブステップを含むガス化原料配合方法であって、前記ガス化原料配合サブステップは、
炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、前記特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得するステップと、
予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータおよび原料配合比率に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測するステップと、
最適化モデルを形成し、前記配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルにより最適化後の原料配合案を取得するステップと、
最適化後の原料配合案の技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力するステップとを含む、
ことを特徴とするガス化原料配合方法。
【請求項9】
前記方法が、原料性質基準サブステップをさらに含み、前記原料性質基準サブステップは、
ガス化炉の種類を確定したあと炉に供給する原料を確定するため、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶するステップを含むことを特徴とする、
請求項8に記載のガス化原料配合方法。
【請求項10】
前記配合原料の性質パラメータが、基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とを含み、
好ましくは、前記基礎性質が、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、粉砕性パラメータと、発熱量パラメータとを含み、
より好ましくは、予測モデルにより予測した配合原料の性質パラメータが、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、発熱量パラメータと、任意選択の灰溶融特性パラメータであることを特徴とする、
請求項8に記載のガス化原料配合方法。
【請求項11】
前記方法が情報管理サブステップを含み、前記情報管理サブステップが下記のステップ:
前記原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶するステップ、
異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶するステップ、
灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測とこの予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶するステップ、
ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶するステップ、を含むことを特徴とする、請求項10に記載のガス化原料配合方法。
【請求項12】
前記ガス化原料配合サブステップが、さらに下記のステップ:
配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得られた最適な技術経済性を備えた原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して得たスラグの性質が異常であるか否かを判断するステップ、を含むことを特徴とする、
請求項11に記載のガス化原料配合方法。
【請求項13】
前記ガス化原料配合サブステップは、さらに下記のステップ:
得られたスラグの性質が異常であると判断した場合、得られたスラグの性質と予め記憶したスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得るステップ、を含むことを特徴とする、
請求項10に記載のガス化原料配合方法。
【請求項14】
予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータと、原料配合比率と、内部含水量Madと、粉砕性指数HGIと、比表面積SBETと、任意選択の添加剤情報に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測し、予測された配合原料の性質パラメータが配合原料のスラリー形成特性と、配合原料のガス化反応特性と、任意選択の灰溶融特性とを含むことをさらに備えることを特徴とする、
請求項8に記載のガス化原料配合方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、石炭化学工業分野に関する。具体的に、知的ガス化原料配合システムおよび知的ガス化原料配合方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガス化炉の安定稼動は、石炭化学工業企業の追求する重要な経済目標の1つである。ガス化炉は一定の操作条件を有し、かつ炉に供給する原料の特性に対し厳しい制限がある。石炭化学工業企業の実際の生産において、以下の問題があり得る。その1つ目は、プロジェクト付近の石炭の性質がガス化炉に適しておらず、現地に適用することができない。2つ目は、石炭の品質の変動が大きくてガス化炉が長期間、安定に稼動できない。3つ目は、現在使用している種類の石炭の供給に問題があり、または価格変動が大きくてガス化炉の稼動が安定できず、腐食が生じたり、アッシュブロッキングが発生したり、ひいては生産停止になってしまう。石炭配合技術により前記問題を有効に解決でき、プロジェクト付近の石炭を現地に適用することができ、その結果、コストを低減することができる。そしてガス化炉を長期間、安定に稼動させることができ、利益を増加させることができる。また、プロジェクトにおける石炭の用途の柔軟性を高め、リスクを軽減することができる。従来の石炭配合は、主に科学研究機関の実験者の大量かつ煩雑な条件での実験により配合案が得られ、または工場の関係者の長期間を経て累積した操作経験により完成するため、効率が低く、正確性が低いという問題があり、ガス化炉の最適な石炭配合比率を有効に得ることができない。また、ガス化技術は、中国において大規模で開発され、促進され、かつ応用されている。石炭は唯一のガス化原料でなくなり、各種の炭素を含有する化合物を混合してガス化原料とすることは、石炭のガス化技術の重要な発展トレンドになっている。そのため、原料配合案を構築可能な、全ライフサイクル工程にわたる知的ガス化原料配合システムを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、従来の石炭配合技術では効率が低く、正確性が低く、かつ原料配合案の全ライフサイクル工程を構築するために利用できないという問題を解決できる、ガス化原料配合のための知的システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の第一の実施形態では、ガス化原料配合サブシステムを含む知的ガス化原料配合システムを提供する。ガス化原料配合サブシステムは、炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、前記特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得する原料性質快速分析モジュールと、予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータおよび予め設定した配合比率に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測する配合原料性質予測モジュールと、最適化モデルを形成し、前記配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルの目標関数により最適化後の原料配合案を取得する原料配合案最適化モジュールと、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力する原料配合案経済性評価モジュールとを含むガス化原料配合サブシステムである。
【0006】
あるいは、前記システムは、ガス化炉の種類を確定した後に炉に供給する原料を確定するため、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶する、炉に供給する原料基準管理モジュールを有する原料性質基準サブシステムをも含む。
【0007】
あるいは、前記配合原料の性質パラメータは、基礎性質、灰溶融特性、スラリー形成特性、およびガス化反応特性をも含む。
【0008】
あるいは、前記基礎性質は、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、粉砕性パラメータと、発熱量パラメータとを含む。
【0009】
あるいは、前記システムは、さらに情報管理サブシステムを含み、前記情報管理サブシステムは、原料情報管理モジュールと、ガス化炉情報管理モジュールと、添加剤情報管理モジュールと、ガス化スラグ情報管理モジュールとを含む。
【0010】
前記原料情報管理モジュールは、前記原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶する。
【0011】
前記ガス化炉情報管理モジュールは、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶する。
【0012】
前記添加剤情報管理モジュールは、灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測と、この予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶する。
【0013】
前記ガス化スラグ情報管理モジュールは、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶する。
【0014】
あるいは、前記ガス化原料配合サブシステムは、配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得た技術経済性が最もよい原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して、得たスラグの性質が異常であるか否かを判断するガス化炉早期警戒モジュールをさらに含む。
【0015】
あるいは、得たスラグの性質が異常であると判断した場合、前記ガス化炉早期警戒モジュールは、得たスラグの性質と予め記憶したスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類、原料、およびガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得る。
【0016】
本発明の第二の実施形態では、ガス化原料配合サブステップを含む知的ガス化原料配合方法を提供する。前記ガス化原料配合サブステップは、炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、前記特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得するステップと、予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータおよび原料配合比率に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測することを含むステップと、最適化モデルを形成し、前記配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルにより最適化後の原料配合案を取得するステップと、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力するステップとを含む、ガス化原料配合サブステップである。
【0017】
あるいは、前記方法は、原料性質基準サブステップをさらに含む。前記原料性質基準サブステップは以下のステップを含む。ガス化炉の種類を確定した後、炉に供給する原料を確定するため、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶するステップ。
【0018】
あるいは、前記配合原料の性質パラメータは、基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とを含む。
【0019】
あるいは、前記基礎性質が、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、粉砕性パラメータと、発熱量パラメータとを含む。
【0020】
あるいは、前記方法は、情報管理サブステップをさらに含む。前記情報管理サブステップは以下のステップを含む。前記原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶するステップと、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶するステップと、灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測と、この予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶するステップと、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶するステップ。
【0021】
あるいは、前記ガス化原料配合サブステップは、以下のステップを含む。配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得た技術経済性が最もよい原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して、得たスラグの性質が異常であるか否かを判断するステップ。
【0022】
あるいは、前記ガス化原料配合サブステップは、以下のステップを含む。得たスラグの性質が異常であると判断した場合、得たスラグの性質と予め記憶したスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類、原料、およびガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得るステップ。
【発明の効果】
【0023】
本発明の上記技術案において、原料を快速に分析して原料性質パラメータを得ること、得た原料性質パラメータに基づいて形成した予測モデルにより配合原料性質パラメータを予測すること、および、配合原料性質パラメータに基づいて形成した目標関数により原料配合案を最適化すること、および、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、最もよい原料配合案を得ることによって、全ライフサイクル工程を有する知的ガス化原料配合システムを構築し、配合石炭の効率および正確性を有効に高め、ガス化原料配合の知能化、および正確な制御を達成し、原料性質の問題による企業にもたらす悪影響を効果的に軽減することができる。
【0024】
具体的には、本発明はまた、以下の技術案を提供する。
【0025】
技術案1
ガス化原料配合サブシステムを含むガス化原料配合システムであって、炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、前記特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得する原料性質快速分析モジュールと、予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータおよび原料の配合比率に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測することを含む、配合原料性質予測モジュールと、最適化モデルを形成し、前記配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルの目標関数により最適化後の原料配合案を取得する原料配合案最適化モジュールと、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力する原料配合案経済性評価モジュールとを含むことを特徴とするガス化原料配合サブシステム。
【0026】
技術案2
技術案1に記載のガス化原料配合システムにおいて、前記システムは、ガス化炉の種類を確定した後、炉に供給する原料を確定するため、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶する、炉に供給する原料基準管理モジュールを有する原料性質基準サブシステムをも含む。
【0027】
技術案3
技術案1または2に記載のガス化原料配合システムにおいて、前記配合原料の性質パラメータが、基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とを含むことを特徴とする。好ましくは、前記基礎性質が、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、粉砕性パラメータと、発熱量パラメータとを含む。より好ましくは、予測モデルにより予測した配合原料の性質パラメータが、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、発熱量パラメータと、任意選択の灰溶融特性パラメータとである。
【0028】
技術案4
技術案1~3の何れかに記載のガス化原料配合システムにおいて、前記システムが、情報マネジメントサブシステムをさらに含むことを特徴とし、前記情報マネジメントサブシステムは、原料情報管理モジュールと、ガス化炉情報管理モジュールと、添加剤情報管理モジュールと、ガス化スラグ情報管理モジュールとを含む。前記原料情報管理モジュールは、前記原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶する。前記ガス化炉情報管理モジュールは、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶する。前記添加剤情報管理モジュールは、灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測とこの予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶する。前記ガス化スラグ情報管理モジュールは、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶する。
【0029】
技術案5
技術案1~4の何れかに記載のガス化原料配合システムにおいて、前記ガス化原料配合サブシステムは、配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得た技術経済性が最もよい原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して得たスラグの性質が異常であるか否かを判断するガス化炉早期警戒モジュールをさらに含むことを特徴とする。
【0030】
技術案6
技術案1~5の何れかに記載のガス化原料配合システムにおいて、得たスラグの性質が異常であると判断した場合、前記ガス化炉早期警戒モジュールは、得たスラグの性質と予め記憶したスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類、原料、およびガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得ることを特徴とする。
【0031】
技術案7
技術案1~6の何れかに記載のガス化原料配合システムにおいて、前記配合原料性質予測モジュールが予測モデルを形成し、前記配合原料性質予測モジュールが、前記原料性質パラメータと、原料配合比率と、内部含水量Madと、粉砕性指数HGIと、比表面積SBETと、任意選択の添加剤情報とに基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測すること、および、予測された配合原料の性質パラメータが配合原料のスラリー形成特性と、配合原料のガス化反応特性と、任意選択の灰溶融特性とを含むことを、さらに含むことを特徴とする。
【0032】
技術案8
ガス化原料配合サブステップを含むことを特徴とするガス化原料配合方法であって、前記ガス化原料配合サブステップは、炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、前記特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得するステップと、予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータおよび原料配合比率に基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測することを含むステップと、最適化モデルを形成し、前記配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルにより最適化後の原料配合案を取得するステップと、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力するステップとを含む、ガス化原料配合サブステップである。
【0033】
技術案9
技術案8に記載のガス化原料配合方法において、前記方法が、原料性質基準サブステップをさらに含み、前記原料性質基準サブステップは、ガス化炉の種類を確定した後、炉に供給する原料を確定するため、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶するステップを含むことを特徴とする。
【0034】
技術案10
技術案8または9に記載のガス化原料配合方法において、前記配合原料の性質パラメータが、基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とを含むことを特徴とする。好ましくは、前記基礎性質が、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、粉砕性パラメータと、発熱量パラメータとを含む。より好ましくは、予測モデルにより予測した配合原料の性質パラメータが、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、発熱量パラメータと、任意選択の灰溶融特性パラメータとである。
【0035】
技術案11
技術案8~10の何れかに記載のガス化原料配合方法において、情報管理サブステップをさらに含むことを特徴とし、前記情報管理サブステップが下記のステップを含む:前記原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶するステップ、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶するステップ、灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測と、この予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶するステップ、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶するステップ。
【0036】
技術案12
技術案8~11の何れかに記載のガス化原料配合方法において、前記ガス化原料配合サブステップが、配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得た技術経済性が最もよい原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して得たスラグの性質が異常であるか否かを判断するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0037】
技術案13
技術案8~12の何れかに記載のガス化原料配合方法において、得たスラグの性質が異常であると判断した場合、得たスラグの性質と予め記憶したスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類、原料、およびガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得るステップをさらに含むことを特徴とする。
【0038】
技術案14
技術案8~13の何れかに記載のガス化原料配合方法において、予測モデルを形成し、前記原料性質パラメータと、原料配合比率と、内部含水量Madと、粉砕性指数HGIと、比表面積SBETと、任意選択の添加剤情報とに基づいて、前記予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測し、予測された配合原料の性質パラメータが配合原料のスラリー形成特性と、配合原料のガス化反応特性と、任意選択の灰溶融特性とを含むことを特徴とする。
【0039】
本発明の実施形態の他の特徴および長所を、後述の発明を実施するための形態部分において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図面は本発明の実施形態のさらなる理解を提供するために用いられるものであり、かつ明細書の一部の構成し、以下の発明を実施するための形態とともに本発明の実施形態を説明するために用いられるが、本発明の実施形態を限定するものではない。以下の図面において、
図1】は、本発明の1つの実施形態により提供する知的ガス化原料配合システムの構造を示す模式図である。
図2】は、本発明の1つの実施形態により提供する知的ガス化原料配合システムの動作の流れを示すフロチャートである。
図3】は、本発明の1つの実施形態により提供する知的ガス化原料配合方法の工程の流れを示すフロチャートである。
【0041】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記載する具体的な実施形態は、本発明を説明、解釈するためにだけに用いられ、本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0042】
本発明の実施形態において、用語「含む」、「包含する」および他の任意のバリエーションは、非排他的な包含を含むことが意図され、一連の要素を含む工程、方法、製品または設備は、前記要素を含むのみならず、かつ明確に記載していない他の要素も含み、あるいは前記工程、方法、製品または設備に固有の要素も含む。さらなる限定がない場合、用語「1つの……を含む」により限定される要素は、当該要素を含む工程、方法、製品または設備が他の同じ要素を含むことを排除しない。
【0043】
図1および図2に示すように、本発明の第一の実施形態では、ガス化原料配合サブシステムを含む知的ガス化原料配合システムを提供する。ガス化原料配合サブシステムは、炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得する原料性質快速分析モジュールと、予測モデルを形成し、原料性質パラメータおよび予め設定した配合比率に基づいて、予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測することを含む配合原料性質予測モジュールと、最適化モデルを形成し、配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルの目標関数により最適化後の原料配合案を取得する原料配合案最適化モジュールと、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力する原料配合案経済性評価モジュールとを含むガス化原料配合サブシステムである。
【0044】
このように、本実施形態の上記技術案において、原料を快速に分析して原料性質パラメータを得ること、得た原料性質パラメータおよび予め設定した配合比率に基づいて形成した予測モデルにより配合原料性質パラメータを予測すること、および、配合原料性質パラメータに基づいて形成した最適化モデルにより原料配合案を最適化すること、および、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、最もよい原料配合案を得ることによって、全ライフサイクル工程を有する知的ガス化原料配合システムを構築し、配合石炭の効率および正確性を有効に高め、コンピュータ技術を用いて、配合石炭の品質予測モデルを形成することによりガス化原料配合の知能化、および正確な制御を達成し、原料性質の問題による企業にもたらす悪影響を効果的に軽減することができる。
【0045】
具体的には、ガス化炉の安定稼動が、炉に供給する原料の性質に密接的に関連する。ガス化炉の安定的な稼動を維持するため、炉に供給する原料に対し厳しい制限を課する必要がある。異なる個々の原料は、異なる特性を有する。ガス化の要求を満たすため、炉に供給する原料は、通常複数の個々の原料を混合してなるため、炉に供給する原料の原料配合案が特に重要となる。本実施形態では、個々の原料は、石炭、セミコークス、石油コークス、バイオマス、汚泥、オイルスラッジおよび廃炭素等の炭素含有物質であってもよい。分析速度が遅く、工程が煩雑という欠点があるため、現在、石炭の成分分析によく利用されているオフライン分析は、操作者にリアルなオンライン参照データを提供できず、工業生産の要求に適応することが困難である。本実施形態では、レーザー誘起ブレークダウン分光技術(LIBS)を用いて測定用サンプルの特徴スペクトル線強度を取得する。レーザー誘起ブレークダウン分光技術において、強いパルスのレーザーをフォーカスしてサンプルに照射した際に、サンプルが瞬間でガス化して高温、高密度のプラズマとなり、励起状態のプラズマが外部へ異なる線を放出する。プラズマが放射するスペクトル線に対応する波長および強度が、それぞれ測定対象の組成元素およびその濃度を表わす。LIBSは、検出速度が速く、感度が高く、コストが低く、かつ複数種類の元素を同時に測定できるという長所がある。原料性質快速分析モジュールは、LIBS検出器からの測定用原料の特徴的なスペクトル線強度を取得し、現在の特殊アルゴリズム、例えばスペクトル標準化アルゴリズムおよび自己吸収較正アルゴリズムを用いて、特徴的なスペクトル線強度を演算して分析し、測定用原料の原料性質パラメータを取得し、個々の原料のそれぞれを検出して、各原料の性質パラメータを取得する。その中で、原料性質パラメータは、炭素、水素、硫黄および灰を形成する元素の含有量、灰分、揮発分および発熱量を含む。
【0046】
配合原料性質予測モジュールは、個々の原料の性質パラメータおよび配合比率を入力とし、配合原料の性質パラメータを出力とする予測モデルを形成する。その中で、配合原料の性質パラメータは、基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とを含む。前記基礎性質は、工業分析パラメータ、元素分析パラメータ、粉砕性パラメータ、および発熱量パラメータを含む。本実施形態では、配合原料性質予測モジュールは、基礎性質予測モデル、灰溶融特性予測モデル、スラリー形成特性予測モデルおよびガス化反応特性予測モデルを形成することにより、配合原料の基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とをそれぞれ予測する。基礎性質予測モデルは、線加重和アルゴリズムに基づいて形成され、灰溶融特性予測モデル、スラリー形成特性予測モデルおよびガス化反応特性予測モデルは、BPニューラルネットワークに基づき形成される。前記予測モデルは前記アルゴリズムに限定されず、他のアルゴリズム、例えば畳み込みニューラルネットワークに基づいて形成されてもよい。
【0047】
原料配合案最適化モジュールは、原料配合案の要求に基づいて目標関数を形成する。目標関数の数は、1でもよいし複数でもよい。得た実行可能な原料配合案の数が複数であってもよい。例えば、目標関数は、配合原料の価格が最低、発熱量が最高または環境に一番やさしい、等の要求に基づいて形成されてもよい。ガス化配合原料が満たすことが必要な制約条件を確定する。制約条件は、目標関数の極限値を算出する際の限定条件である。本実施形態における制約条件は、ガス化炉による炉に供給する配合原料への要求であり、すなわち、ガス化炉による炉に供給する配合原料の性質パラメータへの要求および関連する性質パラメータの変動範囲である。配合原料性質予測モジュールにより、個々の原料の性質パラメータと、当該原料の配合比率との関数関係が得られ、ガス化炉による原料性質パラメータの変換範囲の上限および下限を取得することによって目標関数の制約条件を取得する。形成した目標関数に基づいて前記制約条件を考慮して、最適化モデルを形成する。
【0048】
一方、原料配合案経済性評価モジュールは、工程シミュレーションソフトウェアを呼び出すことによる最適化によって得られた全ての実行可能な原料配合案に対して、技術経済性分析を行うことができ、予め設定した目標に基づいて、製品の構造が適切で経済性が良い案を最適の原料配合案として選択することができ、リアルタイムにオンラインで配合原料の比率を調節することを達成することができる。他方で、ガス化炉の稼動パラメータを調整することによって、製品の構造および経済性が最適である効果を達成することができるとともに、稼動の安定性を保証することができる。その中で、実行可能なバッチ処理案の技術経済性分析は、原料供給速度、酸素の流速、添加剤の量、ガス化温度、ガス化圧力および炭素変換率を含む、ガス化の技術的条件に基づく実際の需要に基づいて分析され得、合成ガスの組成成分および原料コストが判断基準として用いられる。
【0049】
本実施形態では、前記システムは、原料性質基準サブシステムをも含む。前記原料性質基準サブシステムは、炉に供給する原料基準管理モジュールを含み、前記炉に供給する原料基準管理モジュールは、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶するために用いられ、ガス化炉の種類を確定した後、炉に供給する原料を確定する。異なる種類のガス化炉は、炉に供給する原料に対する要求が異なり、例えば、前記ガス化炉は、炉に供給する原料の組成、配合比率および発熱量に対して異なる要求を有する。ガス化炉を安定に稼動させるため、炉に供給する原料は、原料に対するガス化炉の要求を満たさなけれなならない。炉に供給する原料基準管理モジュールにより、異なる種類のガス化炉と、この炉に対応する炉に供給する原料への要求との対応関係を事前に形成して記憶する。炉に供給する原料の原料配合案を予測する際に、選定したガス化炉の対応する原料についての要求を素早く呼び出すことが、後続のステップの実行の助けになる。一方、異なる種類のガス化炉の間の切替にも容易に行うことができ、作業効率が有効に高められる。
【0050】
本実施形態のシステムは、さらに、情報管理サブシステムを含む。前記情報管理サブシステムは、原料情報管理モジュールと、ガス化炉情報管理モジュールと、添加剤情報管理モジュールと、ガス化スラグ情報管理モジュールとを含む。原料情報管理モジュールは、原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶する。ガス化炉情報管理モジュールは、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶する。添加剤情報管理モジュールは、灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測と、この予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶する。ガス化スラグ情報管理モジュールは、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶する。
【0051】
具体的には、問合せおよび使用を容易にするため、原料性質快速分析モジュールが原料性質パラメータを予測して取得するたびに、得た原料性質パラメータを原料情報管理モジュールに記憶する。異なる種類のガス化炉の稼動パラメータが異なるため、ガス化炉の安定稼動を維持するため、異なる種類のガス化炉の稼動パラメータに基づいてガス化炉の調整を厳格に行う必要がある。ガス化炉情報管理モジュールに、各種のガス化炉とこの炉に対応する稼動パラメータとの対応関係を予め形成して記憶することにより、原料配合案経済性評価モジュールにより最適な原料配合案を得た後に、対応するガス化炉稼動パラメータを用いることができる。これにより、ガス化炉の稼動パラメータを調整し、ガス化炉を確実に安定稼動させる。
【0052】
灰溶融特性予測モデルにより灰溶融特性を予測する過程、およびスラリー形成特性予測モデルによりスラリー形成特性を予測する過程において、供給した原料に適切な添加剤を添加する必要があり、灰溶融特性およびスラリー形成特性の予測と、その対応する添加剤との対応関係を、添加剤情報管理モジュールに予め形成して記憶することにより、灰溶融の予測およびスラリー形成特性の予測を行う際に、添加剤を正確に、かつ素早く添加することができる。
【0053】
石炭のガス化事業では、石炭ガス化スラグが固体廃棄物の重要な比率を占める。石炭ガス化スラグは粗大スラグおよび微小スラグを含む。スラグの組成は、ガス化原料中の石炭灰分の含有量および組成、ガス化工程等と関連し、主にSiO、Al、CaO、残存炭素等を含む。ガス化スラグの組成により、ガス化炉の炉に供給する原料、稼動パラメータ等が要求を満たすか否かを判断できる。異なるガス化炉稼動パラメータ下で、異なる原料から得られたスラグの性質を予めガス化スラグ情報管理モジュールに形成して記憶することにより、ガス化炉の種類、原料、ガス化炉稼動パラメータおよびスラグの性質の間の一対一の対応関係が得られ得る。これにより、予め記憶したスラグの性質を用いることにより、得たガス化スラグが異常であるか否かを判断でき、かつ対応関係に基づいて異常原因を診断することができる。
【0054】
ガス化炉の安定稼動を保証するため、本実施形態のガス化原料配合サブシステムは、配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得た技術経済性が最もよい原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して、得たスラグの性質が異常であるか否かを判断するガス化炉早期警戒モジュールをさらに含む。ガス化炉早期警戒モジュールは、BPニューラルネットワークに基づいてスラグの性質予測モデルを形成するが、BPニューラルネットワークに限定されない。原料配合案最適化モジュールからの原料配合案が取得される。原料配合案の配合原料および対応するガス化炉稼動パラメータに基づいて、スラグの性質予測モデルを用いて予測することにより、対応するスラグの性質が得られる。ガス化スラグ情報管理モジュールの対応関係を用いることにより、スラグの性質はマッチングされ、かつ比較され、かつ比較結果に基づいて、スラグの性質が異常であるか否かが判断される。得たスラグの性質が異常であると判断した場合、警報を発する。ガス化炉早期警戒モジュールは、得たスラグの性質とマッチングによって得られ、予め記憶されたスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得る。これによってガス化工程を診断して問題点を見つける。得たスラグの性質が異常である場合は、原料配合案最適化モジュールから得た2番目よい案により、個々の原料の配合比率を調整し、かつ配合原料性質予測モジュールにおいて前記比率を更新し、配合原料性質パラメータを予測する工程は、最適化後の原料配合案を得て、技術経済性評価を行い、最適なスラグの性質原料配合案を出力し、かつ、スラグの性質を予測および診断し、最もよいスラグの性質を有する配合案が得られるまで、繰り返される。
【0055】
以下、具体的なデータを用いることにより、本実施形態を説明する。
【0056】
サンプルの作製
GB-T474-2008の「石炭サンプルの作成方法」に従って、粒径が0.2mmよりも小さい石炭サンプルを作製し、GB-T1574-2007の「スラグ組成分析」に従ってスラグサンプルを作製した。
【0057】
基礎性質
本発明では、TGA701工業分析計を用いてサンプルの工業分析を行ってもよいし、VARIO Macro元素分析計を用いてサンプルの元素分析を行ってもよいし、IKA C6000酸素燃焼式熱量計を用いて発熱量を測定してもよいし、X線蛍光スペクトル計を用いて、サンプルのスラグの化学組成を測定してもよい。石炭の工業分析は技術分析または実用分析とも呼ばれ、石炭の水分、灰分、揮発分の測定および固定炭素の計算を含む。石炭の元素分析とは、石炭の炭素、水素、酸素、窒素、硫黄という5種類の元素の含有量を確定することである。本発明では、レーザー誘起ブレークダウン分光を用いて、炭素、水素、硫黄および灰分を形成する元素の含有量、灰分、揮発物および発熱量を含む、原料性質パラメータを測定してもよい。
【0058】
灰溶融特性
GB/T 219‐2008の「石炭スラグ溶融性の測定方法」に基づいて、イギリスのcarbolite社のCAF-5型スラグ融点測定計によってスラグサンプルの溶融特性温度(変形温度DT、軟化温度ST、半球温度HT、流動温度FT)を測定した。まず、スラグサンプルを一定の形状および寸法を有する三角錐体に作製し、弱還元性環境の高温炉内に置き、一定の温度速度で加熱した。カメラで温度上昇中のスラグ錐体の変化を記録し、ソフトウェアによる分析または肉眼観察により灰溶融特性温度を得た。
【0059】
スラグの粘度‐温度特性の測定は、電力分野標準DL/T 600-2007の「高温における石炭スラグの粘度試験方法」を参照する。アメリカTheta社のRV DV-III型高温回転粘度計を用いて、スラグサンプルの粘度‐温度特性を測定した。その工程は以下のとおりであった:(1)石炭スラグを作製した;(2)石炭スラグの流動温度または完全液相温度により測定温度を策定した;(3)石炭スラグを高温炉の中で予備溶融し、冷却降温後に測定用のクリンカーを形成する;(4)クリンカーを測定用坩堝に置き、真空保護管を用いて真空状態にした後に所定のガスを通した;(5)測定温度まで温度を上昇させ、温度が安定した後に測定を開始した。降温速度は1℃/分であった;(6)粘度が300Pa.sを超えた場合に測定を停止して、スラグサンプルの粘度と温度との関係を得た。
【0060】
スラリー形成特性
中国国家水-石炭-スラリー工程技術研究センターおよび成都測定計工場が研究開発したNXS-4C型水-石炭-スラリー粘度計を用いて、水-石炭-スラリーの見かけの粘度を測定した。GB/T 18856.2‐2008の「石炭-水混合物の試験方法第2部分:固形分の質量%の測定」に基づいて、石炭-水スラリーの実際濃度を測定した。目視法により石炭-水スラリーの流動性を測定し、A:連続流動、B:半連続流動、C:断続流動、D:流動しないという4つのレベルに分けた。GB/T 18856.2‐2008の「石炭-水混合物の試験方法第5部分:安定性の測定」に基づいて、石炭-水スラリーの実際濃度を測定した。
【0061】
ガス化反応特性
ドイツNETZSCH社のSTA 449-F5型熱分析計を用いてサンプルのガス化反応特性を測定した。測定条件は、温度上昇速度が15℃/分、温度上昇区間が25~1400℃、高純度のN(99.999%)を保護ガスとし、流速が20mL/分、炉内環境がCO(99.999%)とN(99.999%)との混合ガス、流速が50mL/分であった。測定によりガス化反応特性曲線が得られ、これによって反応性指数を得た。
【0062】
ガス化炉がGE水-石炭-スラリーガス化炉であることを確定し、炉に供給する原料基準管理モジュールによって用いられた、炉に供給する原料に対するGE石炭-水スラリーガス化炉の要求は、以下のとおりであった:発熱量が>25.12MJ/kg、固有の水分が≦8%、石炭-スラリー濃度が≧60%、見かけの粘度≦1500MPa.s、灰分が≦13%、スラグ融点≦1300℃である。GE石炭-水スラリーガス化炉の、炉に供給する原料に対する要求および現場状況に基づいて、炉に供給する原料が石炭とセミコークスとの混合によって得られたものと確定した。原料性質快速分析モジュールにより2種類の個々の原料に対し原料性質分析を行うことによって、各原料の性質パラメータが得られた。原料の性質パラメータは、炭素、水素、硫黄およびスラグを形成する元素の含有量、灰分、揮発物および発熱量を含んでいた。現場の実験により、原料の灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とが得られた。石炭およびセミコークスの基礎性質並びに灰溶融特性を表1に示した。石炭およびセミコークス粉末のスラリー形成特性を表2に示した。石炭およびセミコークス粉末のガス化反応特性を表3に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
配合原料性質予測モジュールは、線加重和アルゴリズムに基づいて基礎性質予測モデルを形成し、BPニューラルネットワークに基づいて灰溶融特性予測モデル、スラリー形成特性予測モデルおよびガス化反応特性予測モデルを形成した。原料情報管理モジュールに記憶した原料性質パラメータを用いることにより、データ群を生成して、BPニューラルネットワークを訓練した。
【0067】
BPニューラルネットワークに基づいて灰溶融特性予測モデルを形成することを一例として予測モデルを形成することを説明すると、以下のとおりであった:80個の原料サンプルを収集し(下表Aを参照)、石炭サンプルの基礎性質と灰溶融特性とを測定し、得た実験データを用いて前記予測モデルを形成した。40個のデータは前記モデルの形成に用いられ、残り40個は前記モデルの予測効果の検証に用いられた。BPニューラルネットワークは3層ネットワーク構造を有した。入力層は、個々の原料性質パラメータおよび配合比率であり、出力層は、配合原料性質パラメータであった。誤差逆伝播アルゴリズムを用いて、BPニューラルネットワークの重み値および閾値を最適化した。隠れ層のニューロンはS型伝達関数(例えばMatlabのtansig)を主に用い、出力層のニューロンは線性伝達関数(例えばMatlabのpurelin)を主に用いた。結果は、モデル予測値と実際値とがよく一致していることを示した。
【0068】
【表4】
【0069】
【0070】
原料性質パラメータを入力とし、それぞれ基礎性質予測モデル、灰溶融特性予測モデル、スラリー形成特性予測モデルおよびガス化反応特性予測モデルによって配合原料性質パラメータを予測した。
【0071】
本実施例では、配合原料の価格が最低であることを目標とし、原料配合案経済性評価モジュールによって目標関数を形成した。
【0072】
【数1】
【0073】
石炭およびセミコークスの価格は、それぞれ500元/トン、200元/トンであり、目標関数を確定する制約条件は、以下の通りであった:
セミコークス粉末の混合比率が
【0074】
【数2】
【0075】
配合原料の発熱量が
【0076】
【数3】
【0077】
発熱量に対する制約が
【0078】
【数4】
【0079】
配合原料の灰溶融特性が
【0080】
【数5】
【0081】
灰溶融特性に対する制約が
【0082】
【数6】
【0083】
配合原料のスラグ分が
【0084】
【数7】
【0085】
スラグ分に対する制約が
【0086】
【数8】
【0087】
配合原料の水分が
【0088】
【数9】
【0089】
水分に対する制約が
【0090】
【数10】
【0091】
配合原料のスラリー形成特性が
【0092】
【数11】
【0093】
配合原料のガス化反応性が
【0094】
【数12】
【0095】
adは固有の水分含有量、HGIは粉砕性指数、Oadは酸素含有量、Cは炭素含有量、Aはスラグ含有量、CaO、Fe、MgOおよびNaOはそれぞれ列挙した酸化物の含有量を示し、Vdafは揮発物の含有量を示し、SBETは比表面積を示し、Mad固有の水分含有量の測定方法はGB2565-2014を参照可能で、HGI粉砕性指数の測定方法はGB/T 212-2008を参照可能で、SBETが比表面積の測定方法がGB/T 19587-2017を参照可能で、残りは原料性質パラメータから得られてもよい。
【0096】
目標関数と制約条件とを入力とし、配合比率を出力として遺伝的アルゴリズムに基づいて形成した最適化モデルによって配合石炭の最適比率を得た。これは石炭が97%、セミコークス粉末が3%で、価格が491元/トンであった。遺伝的アルゴリズムは、通常、罰関数法により、制約された問題を制約がない問題に変換する。本実施形態では、原料性質パラメータを群の個体とし、群を幾つかのサブ群に分け、個体の適応度値に基づいて、選択、交叉、および変異の循環操作を経て、最適な解決手段を得た。遺伝的アルゴリズムは従来技術であり、その具体的な過程の説明を省略する。
【0097】
原料配合案経済性評価モジュールによって工程シミュレーションソフトウェアを呼び出し、得られた原料配合案のガス化シミュレーションおよび技術経済性評価を行った。ガス化シミュレーションの結果を表4に示し、技術経済性評価を表5に示す。
【0098】
【表5】
【0099】
【表6】
【0100】
現在の原料配合案が経済性評価要求に合致するか否かを判断した。合致する場合、現在の原料配合案を最適な原料配合案として用いた。逆の場合、最適な原料配合案が得られるまでに、代替候補である実行可能な原料配合案の経済性評価を行った。代替候補である実行可能な原料配合案は、目標関数が出力した2番目によい原料配合案であった。ガス化炉早期警戒モジュールによって、得たスラグの性質に対して予測を行った。ガス化スラグ情報管理モジュールにおける対応関係を用いることによって、得たスラグの性質に対してマッチングおよび比較を行った。ガス化炉早期警戒モジュールは、粗大スラグおよび微小スラグの残存炭素量が上限に達したという警報を発した。作業者は、原料情報管理モジュールにおける原料性質パラメータ、およびガス化スラグ情報管理モジュールに予め記憶したスラグの性質対応関係を用いることによって、原料配合案を比較し、その結果、配合原料に対する判断を行った。例えば、本実施例では、比較によって、用いた配合原料の石炭のガス化反応性が比較的低いことを発見した場合、可能性のある理由はガス化残渣中の炭素含有量が比較的高くなったことであると診断した。その結果、配合原料性質予測モジュールにより、個々の原料の配合比率を更新して配合原料中の石炭の比率を下げた。ガス化残渣中の炭素含有量が比較的高いという問題が最終的に解決され、最適な原料配合案が得られるまで、上記過程を繰り返した。
【0101】
図3に示すように、本発明の第二の態様は、ガス化原料配合サブステップを含む知的ガス化原料配合方法を提供する。ガス化原料配合サブステップは、以下を含む:炉に供給する原料の特徴スペクトル線強度を取得し、特徴スペクトル線強度に基づいて原料の原料性質パラメータを取得するステップと、予測モデルを形成し、原料性質パラメータおよび原料配合比率に基づいて、予測モデルにより配合原料の性質パラメータを予測するステップと、最適化モデルを形成し、配合原料の性質パラメータに基づいて、最適化モデルにより最適化後の原料配合案を取得するステップと、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、技術経済性が最もよい原料配合案を出力するステップ。
【0102】
あるいは、前記方法は、原料性質基準サブステップをさらに含む。原料性質基準サブステップは以下のステップを含む。ガス化炉の種類を確定した後に炉に供給する原料を確定するため、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した原料との対応関係を形成して記憶するステップ。
【0103】
あるいは、配合原料の性質パラメータは、基礎性質と、灰溶融特性と、スラリー形成特性と、ガス化反応特性とを含む。
【0104】
あるいは、基礎性質は、工業分析パラメータと、元素分析パラメータと、粉砕性パラメータと、発熱量パラメータとを含む。
【0105】
あるいは、前記方法は、さらに情報管理サブステップを含む。情報管理サブステップは以下のステップを含む。原料性質快速分析モジュールから得た原料性質パラメータを記憶するステップと、異なる種類のガス化炉とこのガス化炉に対応した稼動パラメータとの対応関係を形成して記憶するステップと、灰溶融特性およびスラリー形成特性予測とこの予測に対応した添加剤との対応関係を形成して記憶するステップと、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との一対一の対応関係を形成して記憶するステップ。
【0106】
あるいは、ガス化原料配合サブステップは、さらに以下のステップを含む。配合原料と、ガス化炉稼動パラメータと、スラグの性質との関数関係を形成し、得た技術経済性が最もよい原料配合案の配合原料およびガス化炉稼動パラメータに基づいて、対応するスラグの性質を予測して得たスラグの性質が異常であるか否かを予測するステップ。
【0107】
あるいは、ガス化原料配合サブステップは、さらに以下のステップを含む。得たスラグの性質が異常であると判断した場合、得たスラグの性質と予め記憶したスラグの性質とを比較し、予め記憶したスラグの性質と、ガス化炉の種類と、原料と、ガス化炉稼動パラメータとの対応関係に基づいて、スラグの性質が異常となった関連パラメータを得るステップ。
【0108】
本発明の上記技術案において、原料を快速に分析して原料性質パラメータを得ること、得た原料性質パラメータに基づいて形成した予測モデルにより配合原料性質パラメータを予測すること、および、配合原料性質パラメータに基づいて形成した目標関数により原料配合案を最適化すること、および、最適化後の原料配合案に対し技術経済性分析を行い、最もよい原料配合案を得ることによって、全ライフサイクル工程を有する知的ガス化原料配合システムを構築し、配合石炭の効率および正確性を有効に高め、ガス化原料配合の知能化、および正確な制御を達成し、原料性質の問題による企業にもたらす悪影響を効果的に軽減することができる。
【0109】
本願は、本願の実施形態に従って、本願の方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフロチャートおよび/またはブロック図に基づいて説明される。コンピュータプログラムの指示により、フロチャートおよび/またはブロック図における各流れおよび/またはブロックを実現し、かつフロチャートおよび/またはブロック図における各流れおよび/またはブロックの組み合わせを実現できると理解され得るべきである。これらのコンピュータプログラムの指示は、通常の目的のコンピュータ、特殊な目的のコンピュータ、嵌入式プロセッサまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され得、マシンを製造し、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される指示が、前記フロチャートの1つまたは複数の流れおよび/または前記ブロック図の1つまたは複数のブロックが指定した機能を実現する装置を製造する。
【0110】
これらのコンピュータプログラムの指示はまた、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置を特定の形態で作動するように誘導できるコンピュータ読み取り可能メモリに記憶されてもよく、コンピュータ読み取り可能メモリに記憶した指示は、コマンド装置を含む製造品を製造する。当該コマンド装置は、前記フロチャートの1つまたは複数の流れおよび/または前記ブロック図の1つまたは複数のブロックが指定した機能を実現する。
【0111】
これらのコンピュータプログラムの指示はまた、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理設備に搭載されてもよい。コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理設備により一連の操作ステップを実行してコンピュータが実現できる処理を生成し、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理設備が実行する指示により、前記フロチャートの1つまたは複数の流れおよび/または前記ブロック図の1つまたは複数のブロックが指定した機能を実現するステップを提供する。
【0112】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の実施形態は上記実施形態の具体的な記載に限定されるものではない。本発明の実施形態の技術思想範囲内であれば、本発明の実施形態の技術案に対し、多種の簡単な変形を行ってもよい。この簡単な変形は全て、本発明の保護範囲に属する。
【0113】
更に説明すべきなのは、上記発明を実施するための形態に記載の各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、任意の適正な組み合わせを行ってもよい。不必要な繰り返しを回避するため、本発明の実施形態では各種可能な組み合わせの説明を省略する。
【0114】
上記実施形態を実現するための方法の全部または一部のステップは、プログラムにより、関連するハードウェアを指令することによって達成し得ることを、当業者なら理解できる。当該プログラムは、記憶媒体に記憶され、モノリシックマシン、チップまたはプロセッサ(processor)に、本発明の各実施形態の方法の全部または一部のステップを実行させるいくつかの指示を含む。前記記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、読出し専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Acceess Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクおよびプログラムコードを記憶できる他の媒体を含む。
図1
図2
図3
【国際調査報告】