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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/493 20060101AFI20221115BHJP
   A61K 31/37 20060101ALN20221115BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20221115BHJP
   A61P 25/22 20060101ALN20221115BHJP
   A61P 25/00 20060101ALN20221115BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20221115BHJP
   A61P 3/04 20060101ALN20221115BHJP
   A61P 3/06 20060101ALN20221115BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
G01N33/493 A
A61K31/37
A61P25/28
A61P25/22
A61P25/00
A61P21/00
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503511
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2020081010
(87)【国際公開番号】W WO2021089651
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】1916046.4
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512018265
【氏名又は名称】アマゼンティス エスアー
【氏名又は名称原語表記】AMAZENTIS SA
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】リンシュ,クリストファー ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】シング,アヌラーグ
【テーマコード(参考)】
2G045
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA16
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB03
2G045DA80
4C086BA17
4C086MA01
4C086MA52
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA36
4C086ZA70
4C086ZA94
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
本出願は、個別化された栄養法に関し、詳細には、ヒト対象がウロリチンサプリメントの摂取から利益を得られるかどうかを決定する方法と、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法とに関する。詳細には、生体液(例えば、乾燥全血スポット試料、乾燥血漿スポット、mスポット試料、または尿試料)中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを決定することを含む方法に関する。また、本出願は、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムと、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を提示するためのシステムにも関する。また、本出願は、本発明の方法のコンピューター実装にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって、前記対象から採取した生体液試料を解析するステップと、前記生体液がウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップと、前記生体液中の前記ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、前記対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップとを含み、
前記生体液試料が尿または血液から選択され、血液の場合は乾燥血液スポットの形態で解析される、方法。
【請求項2】
前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が血液であり、ウロリチンAグルクロニドのレベルが100ng/ml未満である場合は、前記対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が尿であり、ウロリチンAグルクロニドのレベルが50,000ng/ml未満である場合は、前記対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定するための方法であって、
a)生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)前記生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、前記ウロリチンサプリメントの前記治療用量を決定することと、を含み、
前記生体液試料が尿または乾燥血液スポットから選択される、方法。
【請求項5】
前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が乾燥血液スポットであり、
a)ウロリチンAグルクロニドのレベルが5ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの前記治療用量が1日当たり1500mgまたは1000mg、例えば、1日当たり1000mgであり、
b)ウロリチンAグルクロニドのレベルが5ng/ml~50ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの前記治療用量が1日当たり500mgであり、
c)ウロリチンAグルクロニドのレベルが50ng/ml~100ng/mlの場合、ウロリチンサプリメントの前記治療用量は250mg/日である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が尿であり、
a)ウロリチンAグルクロニドのレベルが10,000ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの前記治療用量が1日当たり1500mgまたは1000mg、例えば、1日当たり1000mgであり、
b)ウロリチンAグルクロニドのレベルが10,000ng/ml~25,000ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの前記治療用量が1日当たり500mgであり、
c)ウロリチンAグルクロニドのレベルが25,000ng/ml~50,000ng/mlの場合、ウロリチンサプリメントの前記治療用量は250mg/日である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定するための方法であって、
a)ウロリチンまたはウロリチン前駆体の試験用量を投与する前に採取した第1の生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチンまたはウロリチン前駆体の、例えば、ザクロジュースの試験用量を投与することと、
c)第2の生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)前記生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、前記対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと、を含み、
前記生体液試料が尿または乾燥血液スポットから選択される、方法。
【請求項8】
ウロリチンが投与され、前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が乾燥薬物スポットであり、ウロリチングルクロニドのレベルが5ng/ml超かつ100ng/ml未満である場合は、前記対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得る対象である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ウロリチン前駆体が投与され、前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が乾燥薬物スポットであり、請求項5のa)~c)に記載のウロリチンサプリメントの前記用量を算出することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ウロリチンが投与され、前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が尿であり、ウロリチングルクロニドのレベルが10,000ng/ml超かつ50,000ng/ml未満である場合は、前記対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
ウロリチン前駆体が投与され、前記ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、前記生体液が尿であり、請求項6のa)~c)に記載のウロリチンサプリメントの前記用量を算出することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記生体液試料の採取が、
(a)前記ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与してから約6時間~約8時間後、
(b)前記ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与してから約18時間~約30時間後、または
(c)前記ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与してから約24時間後
に行われる、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ウロリチンの前記試験用量が250mg、500mg、または1000mgから選択される、請求項7または請求項8または請求項10または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記結合体がウロリチングルクロニドまたはウロリチンサルフェートである、請求項1または請求項4または請求項7または請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ウロリチンサプリメントの前記用量が、1日当たり250mg、1日当たり500mg、または1日当たり1000mg、または1日当たり1500mgから選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
コンピューターで実装される方法であって、
(a)任意選択で、対象からの生体液試料の通過を確認するデータを受信するステップと、
(b)前記生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルのデータを受信するステップと、
(c)任意選択で、対象データ、例えば、日時、年齢、性別、体重、民族、試料タイプなど、を受信するステップと、
(d)ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを、ウロリチンの、例えば、ウロリチンAの治療用量と前記レベルを相関させるデータと比較して、前記治療用量を算出するステップと、
(e)任意選択で、前記対象に結果を伝えるステップと、を含む、方法。
【請求項17】
非一時的コンピューター可読媒体であって、コンピューティングデバイスのプロセッサーによって実行されると前記コンピューティングデバイスに方法を実行させるコンピューター実行可能命令を含み、前記方法が、
(a)任意選択で、対象からの生体液試料の通過を確認するデータを受信することと、
(b)前記生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルのデータを受信することと、
(c)任意選択で、対象データ、例えば、日時、年齢、性別、体重、民族、試料タイプなど、を受信することと、
(d)ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを、ウロリチンの、例えば、ウロリチンAの治療用量と前記レベルを相関させるデータと比較して、前記治療用量を算出することと、
(e)任意選択で、前記対象に結果を伝えることと、を含む、非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項18】
非一時的コンピューター可読媒体であって、請求項16に記載のコンピューター実行可能命令または請求項17に記載のコンピューター実行可能命令を含み、前記レベルを前記治療用量に相関させる前記データが、請求項5または請求項6で定義された通りである、非一時的コンピューター可読媒体。
【請求項19】
プロセッサーと、メモリと、及びディスプレイを備えるコンピューターデバイスであって、請求項16または請求項18に記載の方法を実装するように設定されている、コンピューターデバイス。
【請求項20】
ヒト対象を治療する方法で使用するためのウロリチンサプリメントであって、前記方法が、請求項1~3及び請求項7のいずれか1項に記載の方法を用いて、前記対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定することと、次いで前記対象にウロリチンサプリメントを投与することとを含む、ウロリチンサプリメント。
【請求項21】
ヒト対象を治療する方法で使用するためのウロリチンサプリメントであって、前記方法が、請求項4~6のいずれか1項に記載のようにウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと、次いで前記対象にウロリチンサプリメントを投与することとを含む、ウロリチンサプリメント。
【請求項22】
ヒト対象の老化症状を予防または治療する方法で使用するためのウロリチンサプリメントであって、前記方法が、前記対象にウロリチンサプリメントを投与することを含み、前記対象が、請求項1~3及び請求項7のいずれか1項に記載の方法により、ウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られると決定された対象である、ウロリチンサプリメント。
【請求項23】
ヒト対象の十分な栄養レベルを維持する方法で使用するためのウロリチンサプリメントであって、前記方法が、前記対象にウロリチンサプリメントを投与することを含み、前記対象が、請求項1~3及び請求項7のいずれか1項に記載の方法により、ウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られると決定された対象である、ウロリチンサプリメント。
【請求項24】
個体の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、前記対象から採取した生体液試料を解析するステップと、前記個体の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、前記生体液がウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップとを含み、
前記生体液試料が尿または血液から選択され、血液の場合は乾燥血液スポットの形態で解析される、方法。
【請求項25】
マイクロバイオーム解析のために便試料を採取することと、前記便試料を解析することとをさらに含む、請求項24に記載の個体の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、個別化された栄養法に関し、詳細には、ヒト対象がウロリチンサプリメントの摂取から利益を得られるかどうかを決定する方法と、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法とに関する。詳細には、生体液(例えば、乾燥全血スポット試料、または乾燥血漿スポットもしくは血清スポット試料、または尿試料)中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを決定することを含む方法に関する。また、本出願は、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムと、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を提示するためのシステムとにも関する。また、本出願は、本発明の方法のコンピューター実装にも関する。
【背景技術】
【0002】
ウロリチンは、不十分なミトコンドリア活性に関連する様々な症状(肥満症、代謝率低下、メタボリックシンドローム、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、神経変性疾患、認知障害、気分障害、ストレス、及び不安症を含む)、体重管理、または筋パフォーマンスもしくは精神パフォーマンスの向上のための治療薬として提案されている。特許文献1(Amazentis SA)を参照。特許文献2(The Regents of the University of California)には、様々な腫瘍性疾患の治療のためのウロリチンの使用について記載されている。
【0003】
特許文献3(PCT/US2013/48310の出願から派生)は、細胞内のオートファジー(具体的にはミトファジーを含む)を増加させる方法であって、ウロリチンまたはその医薬的に許容される塩の有効量を細胞に接触させて細胞内のオートファジー(具体的にはミトファジーを含む)を増加させる、方法を開示している。投与は、代謝ストレス、心血管疾患、内皮細胞機能不全、サルコペニア、筋変性疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、薬物誘発性肝または筋障害、α1-アンチトリプシン欠損症、虚血再灌流障害、炎症、皮膚の老化、炎症性腸疾患、クローン病、肥満症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、加齢黄斑変性、ミトコンドリア病(例えば、ミトコンドリア病の結果としての成長不良、筋肉協調性の喪失、筋力低下、視覚障害、聴覚障害、心疾患、肝疾患、腎疾患、消化器障害、呼吸器障害、神経障害、自律神経障害、学習障害、認知症を含む)、筋疾患、癌、認知障害、ストレス、及び気分障害から選択される疾患または状態を有する対象に対し行われ得る。
【0004】
詳細には、ウロリチンは筋肉関連の病的状態のための治療薬として提案されている。筋肉関連の病的状態としては、ミオパチー及び神経筋疾患が挙げられる。このような状態の例としては、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、急性サルコペニア(例えば、筋萎縮及び/またはカヘキシー、例えば、火傷、床上安静、四肢の固定、または胸部、腹部、頸部、及び/または整形外科の大手術に伴うもの)、筋萎縮性側索硬化症、ならびに多発性硬化症が挙げられる。加齢性の筋肉喪失は特に一般的な状態である。長期の固定または他の疾患(例えば、癌)によるカヘキシーは、しばしば筋性能低下によって特徴付けられる他の状態である。
【0005】
全ての年齢の健康者に加えて病気を患う者、特に高齢者においては、効果的な筋機能及び身体パフォーマンスは、質の高い生活を送るために重要である。筋パフォーマンスの向上は、アスリートにとっては特に関心事である。例えば、筋収縮力の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮は、個人、特にアスリートにとっては全て有益である。筋肉の減少/消耗を含めた加齢性の筋機能低下に苦しむ高齢者、または悪液質による筋消耗に苦しむ者にとっては、筋パフォーマンス及び身体パフォーマンスの向上は、歩行速度及び支援なしに歩くことができる距離などの日常機能の基本的な局面において重要である。
【0006】
ウロリチンは天然の腸内代謝物であり、ザクロ、ベリー類、クルミなどのある特定の果物及びナッツ類に大量に見出される食物前駆体(例えば、エラジタンニン)に曝露されると宿主の腸内微生物叢によって産生される。腸内でのウロリチン産生は、ヒトの個体間で大きな変動性を示し、これは結腸の微生物叢の違いに関連している[非特許文献1]。いくつかの研究では、これらのポリフェノール豊富な果物を摂取することで健康上の利点があることが示されているが、これらの研究の結果は一貫していない。これはおそらく、個体間で腸内マイクロバイオームが大きく変動することによるものであり、その結果、代謝物のプロファイルが異なり、生物学的効力に大きな影響を及ぼすと考えられる。このことは、最適な食事介入を設計する上で別の大きな課題を提起し、ポリフェノール豊富な果物の消費の健康面を調べる研究の解釈を制限している[例えば、非特許文献2及び非特許文献3を参照]。そのため、どの個体がウロリチンを摂取することから利益を得られるのか、及びどのような用量が必要なのかを決定するためのアッセイを開発する必要性が存在する。本出願はこのニーズに対処するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/088519号
【特許文献2】国際公開第2007/127263号
【特許文献3】国際公開第2014/004902号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Garcia-Villalba et al (2013)J.Agric.Food Chem.,2013,61,8797-8806
【非特許文献2】Tomas-Barberan FA et al(2014)J Agric Food Chem.62(28):6535-8
【非特許文献3】Gonzalez-Salrias et al(2017)Mol Nutr Food Res.61(5).doi:10.1002/mnfr.201600830
【発明の概要】
【0009】
本発明の1つの実施形態は、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって、対象から採取した生体液の試料を解析するステップと、生体液がウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップと、次いで、生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップとを含み、例えば、生体液試料が尿または血液から選択され、試料が血液の場合には乾燥血液スポットの形態で解析される、方法を提供する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、ウロリチン結合体はウロリチンAグルクロニドであり、生体液は乾燥血液スポットであり、ウロリチンAグルクロニドのレベルが100ng/ml以下である場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチンAグルクロニドのレベルが50ng/ml以下である場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチンAグルクロニドのレベルが25ng/ml以下である場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。
【0011】
本発明のさらなる実施形態において、ウロリチン結合体はウロリチンAグルクロニドであり、生体液は尿であり、ウロリチンAグルクロニドのレベルが50,000ng/ml未満である場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチンAグルクロニドのレベルが25,000ng/ml以下である場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。
【0012】
さらなる実施形態において、ウロリチンAグルクロニドのレベルが10,000ng/ml以下である場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定するための方法であって、
a)生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することとを含み、
生体液試料が尿または血液から選択され、血液の場合は乾燥血液スポットの形態で解析される、方法を提供する。
【0013】
1つの実施形態において、治療用量を決定する際に、ウロリチン結合体はウロリチンAグルクロニドであり、生体液は乾燥血液スポットであり、
a)ウロリチンAグルクロニドのレベルが5ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量が1日当たり1000mgまたは1日あたり1500mg(例えば、1日当たり1000mg)であり、
b)ウロリチンAグルクロニドのレベルが5ng/ml~50ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量が1日当たり500mgであり、
c)ウロリチンAグルクロニドのレベルが50ng/ml~100ng/mlの場合、ウロリチンサプリメントの治療用量は250mg/日である。
【0014】
さらなる実施形態において、治療用量を決定する際に、ウロリチン結合体はウロリチンAグルクロニドであり、生体液は尿であり、
a)ウロリチンAグルクロニドのレベルが10,000ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量が1日当たり1500mgまたは1000mg(例えば、1日当たり1000mg)であり、
b)ウロリチンAグルクロニドのレベルが10,000ng/ml~25,000ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量が1日当たり500mgであり、
c)ウロリチンAグルクロニドのレベルが25,000ng/ml~50,000ng/mlの場合、ウロリチンサプリメントの治療用量は250mg/日である。
【0015】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって、
a)ウロリチンまたはウロリチン前駆体の試験用量を投与する前に採取した第1の生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチンまたはウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)の試験用量を投与することと、
c)第2の生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)生体液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することとを含み、
生体液試料が尿または血液から選択され、血液の場合は乾燥血液スポットの形態で解析され、
例えば、
(i)ウロリチンが投与され、ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、生体液が乾燥薬物スポットであり、ウロリチングルクロニドのレベルが5ng/ml超100ng/ml未満である場合は、当該対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得る対象である、または
(ii)ウロリチン前駆体が投与され、ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、生体液が乾燥薬物スポットであり、ウロリチングルクロニドのレベルが100ng/ml以下である場合は、当該対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である、または
(iii)ウロリチンが投与され、ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、生体液が尿であり、ウロリチングルクロニドのレベルが5,000ng/ml超50,000ng/ml未満である場合は、当該対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である、または
(iv)ウロリチン前駆体が投与され、ウロリチン結合体がウロリチンAグルクロニドであり、生体液が尿であり、ウロリチンAグルクロニドのレベルが50,000ng/ml未満である場合は、対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である、
方法を提供する。
【0016】
生体試料は、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与した後、ウロリチンまたはウロリチン結合体を生体試料中で検出できる時に採取することができる。例えば、試料は、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与してから6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、または48時間後に採取することができる。
【0017】
例えば、6~8時間、6~10時間、6~12時間、6~18時間、6~24時間、6~30時間、6~36時間、6~42時間、または6~48時間。例えば、12~18時間、12~24時間、12~30時間、12~36時間、12~42時間、または12~48時間。例えば、18~24時間、18~30時間、18~36時間、18~42時間、または18~48時間。例えば、24~30時間、24~36時間、24~42時間、または24~48時間。例えば、36~42時間または36~48時間。1つの実施形態において、生体液試料の採取は、
(a)ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与してから約18時間~約30時間後、または
(b)ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与してから約24時間後、
(c)ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与してから約6時間~約8時間後
に行われる。
【0018】
1つの実施形態において、本発明は、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって、対象から採取した乾燥血液スポット試料を解析するステップと、乾燥血液スポットがウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップと、乾燥血液スポット中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップとを含む、方法を提供する。本発明のさらなる実施形態において、方法はさらに、対象にウロリチンを投与することを含む。
【0019】
1つの実施形態において、乾燥血液スポットは全血の乾燥試料である。
【0020】
さらなる実施形態において、乾燥血液スポットは血漿の乾燥試料である。
【0021】
さらなる実施形態において、乾燥血液スポットは血清の乾燥試料である。
【0022】
1つの実施形態において、ウロリチン(例えば、ウロリチンA)のレベルを測定する。別の実施形態において、ウロリチン結合体(例えば、ウロリチンAグルクロニド)のレベルを測定する。さらなる実施形態において、ウロリチンサルフェート(例えば、ウロリチンAサルフェート)のレベルを測定する。さらなる実施形態において、ウロリチンAグルクロニドのレベルを測定する。
【0023】
1つの実施形態において、ヒト対象は医療を必要とする対象である。さらなる実施形態において、ヒト対象は、全般的に健康であるが、ウロリチンの摂取から利益を得られる対象である。
【0024】
乾燥血液スポット試料は、水性液体(例えば、水もしくは緩衝液)または好適な溶媒(例えば、メタノール)中で再構成される。乾燥血液スポット水性試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを検出及び測定できる検査は、当技術分野で周知されている。
【0025】
1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約10ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約20ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約30ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約40ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約50ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。
【0026】
1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約60ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約70ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約80ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約90ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約100ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約110ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約120ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約130ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約140ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約150ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。
【0027】
ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかに関する情報を提供することに加えて、ヒト対象のための適切な治療用量に関する情報も提供することができる。そのため、本発明のさらなる態様によれば、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定するための方法であって、
a)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと
を含む、方法を提供する。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒト対象にウロリチンを投与する方法であって、
a)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと、
c)対象にウロリチンを投与することと
を含む、方法を提供する。
【0029】
1つの実施形態において、乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、10ng/ml~100ng/日のウロリチンまたはウロリチン結合体の量が、100mg/日~1500mg/日(例えば、100mg/日~1000mg/日)の治療用量を示すように、連続的なスケールで使用することができる。さらなる実施形態において、治療用量は、ウロリチンの単位薬用量の治療用量を示すウロリチンまたはウロリチン結合体の量の一連のバンドで選択されることになる。
【0030】
例えば、
a)ウロリチングルクロニドのレベルが10ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり1000mgであり、
b)ウロリチングルクロニドのレベルが10ng/ml~50ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり500mgであり、
c)ウロリチングルクロニドのレベルが50ng/ml~100ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は250mg/日である。
【0031】
例えば、
a)ウロリチングルクロニドのレベルが5ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり1000mgであり、
b)ウロリチングルクロニドのレベルが5ng/ml~50ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり500mgであり、
c)ウロリチングルクロニドのレベルが50ng/ml~100ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は250mg/日である。
【0032】
本発明は、乾燥血液試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体の量を別個に測定することに加えて、ヒト対象がウロリチン源を摂取する場合の方法も提供する。このようなウロリチン源は、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を含む単位投与形態を含むことができる。そのため、本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって
a)ウロリチンの試験用量を投与する前に採取した第1の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチンの試験用量を投与することと、
c)第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと
を含む、方法を提供する。
【0033】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象にウロリチンを投与するための方法であって、
a)ウロリチンの試験用量を投与する前に採取した第1の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチンの試験用量を投与することと、
c)第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと、
e)対象にウロリチンを投与することと
を含む、方法を提供する。
【0034】
誤解を避けるために、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与することを含む本発明の任意の方法については、第1の生体試料(例えば、尿または血液)を採取せず、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与した後にウロリチン/ウロリチン結合体測定用の生体試料を採取するだけで行ってもよい。ウロリチンサプリメントの投与の有益性または当該サプリメントの用量についての決定は、ウロリチンまたはウロリチン前駆体の投与後に採取した試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルに基づいて行うことができる。
【0035】
ウロリチンを摂取した後の乾燥血液試料中のウロリチン及び/またはウロリチン結合体のレベルは、ヒト対象のウロリチンまたはウロリチン前駆体の取込み及び代謝の効率と、摂取したウロリチンの量とに依存すると考えられる。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが10ng/ml超150ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが150ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが5ng/ml超100ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが100ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルは、上記で定義した250mg、500mg、1000mg、または1500mgの治療用量と相関している。
【0036】
ウロリチン及び/またはウロリチン結合体のレベルは、当業者に知られている方法(例えば、質量解析と連結した高速液体クロマトグラフィー(HPLC/MS))によって測定することができる。
【0037】
ウロリチンサプリメントを摂取する前の乾燥血液スポット中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、主として、対象がウロリチン前駆体を代謝してウロリチンにするために必要な腸内マイクロバイオームを有するかどうかに依存する。ただし、これは当該ヒト対象の食生活にも依存する。さらなる実施形態において、ヒト対象には、乾燥血液スポット試料を採取する前にウロリチン前駆体を投与することができる。そのため、本発明のさらなる実施形態によれば、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって、
a)ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を投与する前に採取した第1の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチン前駆体を投与することと、
c)第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)第1の乾燥血液スポット試料と比較しての、第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと
を含む、方法を提供する。
【0038】
そのため、本発明のさらなる実施形態によれば、ウロリチンをヒト対象に投与する方法であって、
a)ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を投与する前に採取した第1の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチン前駆体を投与することと、
c)第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)第1の乾燥血液スポット試料と比較しての、第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと、
e)対象にウロリチンを投与することと
を含む、方法を提供する。
【0039】
ウロリチン前駆体を摂取した後の乾燥血液スポット試料中のウロリチン及び/またはウロリチン結合体のレベルは、ヒト対象のウロリチン前駆体の代謝効率と、摂取したウロリチン前駆体の量とに依存すると考えられる。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが10ng/ml超150ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが150ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが5ng/ml超100ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが100ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルは、上記で定義した250mg、500mg、1000mg、または1500mgの治療用量と相関している。
【0040】
本発明の任意の実施形態において、ウロリチン試験用量の用量は、乾燥血液スポットまたは尿試料中の測定可能な量のウロリチンまたはウロリチン結合体を産生するウロリチンの任意の用量とすることができる。例えば、試験用量は、50mg、100mg、250mg、500mg、または1000mg、例えば、250mg、500mg、または1000mg、例えば、250mgまたは500mgから選択することができる。1つの実施形態において、試験用量は250mg、500mg、または1000mgから選択される。
【0041】
乾燥血液スポット試料は、乾燥血液中でウロリチンまたはウロリチン結合体が検出可能な場合には、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を摂取した後、いつでも採取することができる。例えば、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を摂取してから約2時間~約72時間後の任意の時間、例えば、ウロリチンサプリメントを摂取してから約2時間~約60時間後、例えば約2時間~約48時間後、例えば約4時間~約48時間後、例えば約4時間~約36時間後、例えば約4時間~約24時間後である。1つの実施形態においては、ウロリチンまたはウロリチンサプリメントを摂取してから約4時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、または約24時間後、例えば、約6時間後、約8時間後、または約24時間後である。
【0042】
驚くべきことには、ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を代謝してウロリチンAを形成する対象の能力と対象のマイクロバイオームの健康状態との間に相関関係があることが観察された。そのため、乾燥血液または尿の試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、健康な腸内マイクロバイオームのバイオマーカーとなる。対象のマイクロバイオームの健康状態は、腸内マイクロバイオームの多様性及び豊富さによって測定される。
【0043】
上述したように、乾燥血液スポット中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、主として、対象がウロリチン前駆体を代謝してウロリチンにするのに必要な腸内微生物叢を有するかどうかに依存する。そのため、乾燥血液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、健康な腸内マイクロバイオームのバイオマーカーとなる。そのため、本発明のさらなる態様によれば、個体の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した乾燥血液スポット試料を解析するステップと、個体の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、乾燥血液スポットがウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップとを含む、方法を提供する。
【0044】
本発明のさらなる実施形態によれば、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した生体液試料を解析するステップと、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、生体液がウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップとを含み、
生体液試料が尿または血液から選択され、血液の場合は乾燥血液スポットの形態で解析される、方法を提供する。
【0045】
本発明のさらなる態様によれば、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した生体液試料を解析するステップと、対象の腸の健康状態の指標として、生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップと、任意選択で便試料を採取してマイクロバイオーム解析を行うステップとを含み、
生体液試料が尿または血液から選択され、血液の場合は乾燥血液スポットの形態で解析される、方法を提供する。
【0046】
本発明のさらなる態様によれば、個体の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した乾燥血液スポット試料を解析するステップと、個体の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、乾燥血液スポット中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップとを含む、方法を提供する。
【0047】
本発明のさらなる態様によれば、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した乾燥血液スポット試料を解析するステップと、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、乾燥血液スポット中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップとを含む、方法を提供する。
【0048】
本発明のさらなる態様によれば、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した乾燥血液スポット試料を解析するステップと、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、乾燥血液スポット中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップと、任意選択で便試料を採取してマイクロバイオーム解析を行うステップとを含む、方法を提供する。
【0049】
本発明のさらなる態様によれば、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した尿試料を解析するステップと、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、尿がウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップとを含む、方法を提供する。
【0050】
本発明のさらなる態様によれば、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態を決定する方法であって、対象から採取した尿試料を解析するステップと、対象の腸内マイクロバイオームの健康状態の指標として、尿中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップと、任意選択で便試料を採取してマイクロバイオーム解析を行うステップとを含む、方法を提供する。
【0051】
1つの実施形態において、対象のマイクロバイオームの健康状態を決定する方法は、生体試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定する前にウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を投与することを含み、このとき、生体液試料は尿または血液から選択され、血液の場合は乾燥血液スポットの形態で解析される。
【0052】
さらなる実施形態において、対象がウロリチン前駆体からウロリチン(例えば、ウロリチンA)への転換において低産生者または高産生者である場合は、対象は豊富なマイクロバイオームを有する。
【0053】
さらなる実施形態において、ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)の投与後において、低産生者とは、乾燥血液スポット試料中で測定されたウロリチンAグルクロニドが5~100ng/mlの対象であり、高産生者とは、ウロリチンAグルクロニドが100ng/ml超の対象である。
【0054】
さらなる実施形態において、ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)の投与後において、低産生者とは、尿中で測定されたウロリチンAグルクロニドが5,000g/ml~25,000ng/mlの対象であり、高産生者とは、尿中のウロリチンAグルクロニドが50,000ng/ml超、例えば、25,000ng/ml超の対象である。
【0055】
ウロリチンAまたはウロリチンAグルクロニドの産生量が多いほど、対象のマイクロバイオームが豊富であると考えられている。
【0056】
1つの実施形態において、マイクロバイオームの健康状態の指標としてのウロリチンまたはウロリチン結合体の測定は、ウロリチン前駆体を投与してから約6時間~約8時間後、またはウロリチン前駆体を投与してから約24時間後に行う。
【0057】
本発明のさらなる態様において、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法であって、
a)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと
を含む、方法を提供する。
【0058】
さらなる実施形態において、血液、血漿、または血清中のウロリチンまたはウロリチン結合体の濃度を推定する方法であって、
(a)乾燥血液スポット中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを算出することと、
(b)乾燥血液スポットの作製に使用した血液の体積を用いて、当該レベルをウロリチンの濃度に変換することと、
(c)濃度を約3.5~約4.5倍する(例えば約3.7~約4.3倍、例えば約3.5~約4.0倍、例えば約3.8~約4.2倍、例えば約3.7~3.9倍する)ことと
を含む、方法を提供する。
【0059】
本発明のさらなる態様は、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって、対象から採取した尿試料を解析するステップと、尿がウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップと、尿中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定するステップとを含む、方法を提供する。
【0060】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒト対象にウロリチンを投与する方法であって、対象から採取した尿試料を解析するステップと、尿がウロリチンまたはウロリチン結合体を含むかどうかを確認するステップと、尿中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定するステップと、対象にウロリチンを投与するステップとを含む、方法を提供する。
【0061】
1つの実施形態において、ウロリチンのレベルを本発明の方法で測定する。別の実施形態において、ウロリチン結合体のレベルを本発明の方法で測定する。さらなる実施形態において、ウロリチンサルフェートのレベルを本発明の方法で測定する。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルを本発明の方法で測定する。例えば、ウロリチンAまたはウロリチンA結合体(例えば、ウロリチンAグルクロニド)である。
【0062】
1つの実施形態において、ヒト対象は医療的治療を必要とする対象である。さらなる実施形態において、ヒト対象は、全般的に健康であるがウロリチンの摂取から利益を得られると考えられる対象である。
【0063】
尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定できる検査は、当技術分野で周知されている。
【0064】
さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約10,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約20,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約30,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約40,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約50,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約60,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。
【0065】
ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかに関する情報を提供することに加えて、ヒト対象のための適切な治療用量に関する情報も提供することができる。そのため、本発明のさらなる態様によれば、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定するための方法であって、
a)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと
を含む、方法を提供する。
【0066】
本発明のさらなる態様において、ヒト対象にウロリチンサプリメントを投与する方法であって、
a)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと、
c)ヒト対象にウロリチンの治療用量を投与することと
を含む、方法を提供する。
【0067】
1つの実施形態において、尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、10,000ng/ml~50,000ng/日のウロリチンまたはウロリチン結合体の量が100mg/日~1500mg/日または100mg/日~1000mg/日の治療用量を示すように、連続的なスケールで使用することができる。さらなる実施形態において、治療用量は、ウロリチンの単位薬用量の治療用量を示すウロリチンまたはウロリチン結合体の量の一連のバンドで選択されることになる。例えば、
a)ウロリチングルクロニドのレベルが約10,000ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり1500mgまたは1000mg、例えば、1日当たり100mgであり、
b)ウロリチングルクロニドのレベルが約10,000ng/ml~約25,000ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり500mgであり、
c)ウロリチングルクロニドのレベルが約25,000ng/ml~約50,000ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は250mg/日である。
【0068】
本発明は、尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体の量を別個に測定することに加えて、ヒト対象がウロリチン源を摂取する場合の方法も提供する。このようなウロリチン源は、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を含む単位投与形態を含むことができる。そのため、本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって
a)任意選択で、ウロリチンまたはウロリチン前駆体の試験用量を投与する前に採取した尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチンまたはウロリチン前駆体の試験用量を投与することと、
c)試験用量を投与した後(例えば、試験用量を投与してから約24時間後)に採取した尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルまたはレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと
を含む、方法を提供する。
【0069】
本発明のさらなる実施形態において、ヒトにウロリチンを投与する方法であって、
a)任意選択で、ウロリチンまたはウロリチン前駆体の試験用量を投与する前に採取した尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチンまたはウロリチン前駆体の試験用量を投与することと、
c)試験用量を投与した後(例えば、試験用量を投与してから約24時間後)に採取した尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルまたはレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと、
e)対象にウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与することと
を含む、方法を提供する。
【0070】
ウロリチンまたはウロリチン前駆体を摂取した後の尿試料中のウロリチン及び/またはウロリチン結合体のレベルは、ヒト対象のウロリチンまたはウロリチン前駆体の取込み及び代謝の効率に依存する。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが約10,000ng/ml超50,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが50,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルは、上記で定義した250mg、500mg、1000mg、または1500mgの治療用量と相関している。
【0071】
ウロリチン及び/またはウロリチン結合体のレベルは、当業者に知られている方法(例えば、質量解析と連結した高速液体クロマトグラフィー(HPLC/MS))によって測定することができる。
【0072】
ウロリチンサプリメントを摂取する前の尿中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、主として、対象がウロリチン前駆体を代謝してウロリチンにするために必要な腸内微生物叢を有するかどうかに依存する。ただし、これは当該ヒト対象の食生活にも依存する。さらなる実施形態において、ヒト対象には、尿試料を採取する前にウロリチン前駆体を投与することができる。そのため、本発明のさらなる実施形態によれば、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法であって、
a)ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を投与する前に採取した第1の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチン前駆体を投与することと、
c)第2の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)第1の尿試料と比較しての、第2の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと
を含む、方法を提供する。
【0073】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象にウロリチンを投与するための方法であって、
a)ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を投与する前に採取した第1の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)ウロリチン前駆体を投与することと、
c)第2の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
d)第1の尿試料と比較しての、第2の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定することと、
e)対象にウロリチンを投与することと
を含む、方法を提供する。
【0074】
ウロリチン前駆体を摂取した後の尿試料中のウロリチン及び/またはウロリチン結合体のレベルは、ヒト対象のウロリチン前駆体の代謝効率に依存する。1つの実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが5,000ng/ml超50,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルが50,000ng/ml未満の場合は、対象はウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象である。
【0075】
さらなる実施形態において、ウロリチングルクロニドのレベルは、上記で定義した250mg、500mg、1000mg、または1500mgの治療用量と相関している。
【0076】
ウロリチンまたはウロリチン前駆体を投与した後の尿中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、対象のためのウロリチンの治療用量を決定するために使用することもできる。1つの実施形態において、尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルは、5,000ng/ml~50,000ng/日のウロリチンまたはウロリチン結合体の量が100mg/日~1500mg/日(例えば、100mg/日~1000mg/日)の治療用量を示すように、連続的なスケールで使用することができる。さらなる実施形態において、治療用量は、ウロリチンの単位薬用量の治療用量を示すウロリチンまたはウロリチン結合体の量の一連のバンドで選択されることになる。例えば、
a)ウロリチングルクロニドのレベルが約10,000ng/ml未満の場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり1000mgであり、
b)ウロリチングルクロニドのレベルが約10,000ng/ml~約25,000ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は1日当たり500mgであり、
c)ウロリチングルクロニドのレベルが約25,000ng/ml~約50,000ng/mlの場合は、ウロリチンサプリメントの治療用量は250mg/日である。
【0077】
尿中に測定可能な量のウロリチンまたはウロリチン結合体を産生するウロリチン試験用量の用量は、任意のウロリチンの用量とすることができる。例えば、試験用量は、50mg、100mg、250mg、500mg、または1000mg、例えば、250mg、500mg、または1000mg、例えば、250mgまたは500mgから選択することができる。
【0078】
尿試料は、尿中でウロリチンまたはウロリチン結合体が検出可能な場合には、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を摂取した後、いつでも採取することができる。例えば、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を摂取してから約2時間~約72時間後の任意の時間、例えば、ウロリチン前駆体を摂取してから約2時間~約60時間後、例えば約2時間~約48時間後、例えば約4時間~約48時間後、例えば約4時間~約36時間後、例えば約4時間~約24時間後である。1つの実施形態においては、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を摂取してから約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約18時間、または約24時間、例えば、ウロリチンまたはウロリチン前駆体を摂取してから約24時間である。
【0079】
本発明のさらなる態様において、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法であって、
a)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと
を含む、方法を提供する。
【0080】
本発明のさらなる態様において、ヒト対象にウロリチンを投与する方法であって、
a)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定することと、
b)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと、
c)対象に治療用量を投与することと
を含む、方法を提供する。
【0081】
本発明のキット
本発明の方法を使用する際に考慮すべき点の1つは、対象に利用しやすいようにすることである。これに対する1つのアプローチは、対象が当該方法のために乾燥血液スポットを採取し乾燥血液スポットを検査するために必要とする材料を全て備えたキットの提供である。そのため、本発明の1つの実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法、またはヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法のためのキットであって、
(a)乾燥血液を採取するための1つ以上の体液採取デバイスと、
(b)任意選択で、ウロリチンまたはウロリチン前駆体と、
(c)乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を採取するための説明書と、
(d)乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を検査するための手段、または乾燥血液試料(1つまたは複数)を検査してもらうための手段(例えば、好適な郵便用封筒または郵便用容器)と
を含む、キットを提供する。
【0082】
体液採取デバイスは、全血試料、血漿試料、または血清試料の採取に適し、前述の血液または血漿または血清試料を乾燥させることができる任意の固体吸収性支持体とすることができる。このようなデバイスは、その後のウロリチン測定用に保存することができる。
【0083】
1つの実施形態において、濾過採取デバイスはカードである。このようなカードとしては、濾紙、例えばセルロース濾紙、例えばWhatman 903濾紙、またはWhatman 903試料採取カード(GE Healthcare,Little Chalfont,Buckinghamshire,UK)、またはPerkin Elmer(Boston,Massachusetts,USA)製採血カードが挙げられる。
【0084】
体液採取カードは、血液試料の成分を分離することができる(例えば、血漿から赤血球を分離して血漿中で測定が行えるようにする)カードも含む。例えば、ADX100血液カード(Advance Dx Inc.Chicago,IL,USA)がある。ADX血液カードに関するさらなる情報は、米国特許第8,062,608号明細書に見出すことができる。
【0085】
さらなる実施形態において、濾過採取デバイスは、全血、血漿、または血清試料を吸収することができ、乾燥させることができる吸収性ワンドを含む。このようなワンドの先端部は、試料を採取するための親水性多孔質材料、例えば、親水性ポリマー材料(例えば、ポリエチレン)を含む先端部を含む。このようなデバイスの例としては、Mitra(商標)マイクロサンプラー(Neoteryx,LLC.,Torrance,California,USA)が挙げられる。この詳細については、国際公開第2013/067520号に見出すことができる。
【0086】
さらなる実施形態において、血液採取デバイスは、吸収性材料及び乾燥剤を含む密封可能な容器を含み、全血または血漿または血清試料を吸収性材料に塗布したら、容器を密封して保存及び出荷することができる。このようなデバイスの例としては、hemaspot HF(商標)(Spot on Sciences,San Francisco,California,USA)が挙げられる。hemaspot HF(商標)デバイスの詳細については、米国特許第9759640号明細書に見出すことができる。
【0087】
血液試料は概して、ランセットまたは同様の鋭利な道具(好ましくは滅菌済みランセットまたは滅菌済みの同様の鋭利な道具)を用いて指で穿刺することによって採取する。血液試料は数滴(例えば、3~4滴)の血液からなり、これを体液採取デバイスに滴下させるかまたは体液採取デバイスに吸収させる。また、血液試料は、血液試料、例えば、注射器やカニューレを用いて得られた静脈血の試料に由来してもよい。
【0088】
上記のように、本発明の方法は、全血乾燥スポット、血清乾燥スポット、または血漿乾燥スポットに適用される。そのため、全血試料は、乾燥させる前に、例えば遠心分離または凝固により、血漿または血清に分離してもよい。
【0089】
1つの乾燥血液スポット試料を採取してもよく、または異なる時間に複数の乾燥血液スポット試料を採取してもよい。
【0090】
さらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法、またはヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法のためのキットであって、
(a)乾燥血液スポットを採取するための1つ以上の体液採取デバイスと、
(b)乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を採取するための説明書と、
(c)乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を検査するための手段、または乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を検査してもらうための手段(例えば、好適な郵便用封筒または郵便用容器)と
を含む、キットを提供する。
【0091】
さらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法、またはヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法のためのキットであって、
(d)乾燥血液を採取するための1つ以上の体液採取デバイスと、
(e)ウロリチンまたはウロリチン前駆体(例えば、ウロリチンA)と、
(f)乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を採取するための説明書と、
(g)乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を検査するための手段、または乾燥血液スポット試料(1つまたは複数)を検査してもらうための手段(例えば、好適な郵便用封筒または郵便用容器)と
を含む、キットを提供する。
【0092】
さらなるアプローチは、対象が当該方法のために尿を採取しその尿を検査するのに必要な全ての材料を備えたキットを提供することである。そのため、本発明の1つの実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法、またはヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法のためのキットであって、
(a)尿を採取するための1つ以上の容器と、
(b)任意選択で、ウロリチンまたはウロリチン前駆体と、
(c)尿試料(1つまたは複数)を採取するための説明書と
を含む、キットを提供する。
【0093】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法、またはヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法のためのキットであって、
(a)尿を採取するための1つ以上の容器と、
(b)任意選択で、ウロリチンまたはウロリチン前駆体と、
(c)尿試料(1つまたは複数)を採取するための説明書と、
(d)尿試料(1つまたは複数)を検査するための手段、または尿試料(1つまたは複数)を検査機関に輸送するための手段(例えば、好適な郵便用封筒または郵便用容器)
とを含む、キットを提供する。
【0094】
容器は、尿試料の採取に適した任意の容器とすることができ、例えば、BD Vacutainer(登録商標)plus採尿管(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ,USA)とすることができる。
【0095】
容器は空であっても、試薬(例えば、室温で尿試料の試料完全性を維持する凍結乾燥防腐剤(例えば、ホウ酸、ギ酸ナトリウム、及びホウ酸ナトリウム))を含んでもよい。
【0096】
尿試料は、1回分採取する場合もあれば、異なるときに複数の尿試料を採取する場合もある。
【0097】
さらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定する方法、またはヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定する方法のためのキットであって、
(a)尿を採取するための1つ以上の容器と、
(b)ウロリチン(例えば、ウロリチンAまたはウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース))と、
(c)尿試料(1つまたは複数)を採取するための説明書と、
(d)尿試料(1つまたは複数)を検査するための手段、または尿試料(1つまたは複数)を検査機関に輸送するための手段(例えば、好適な郵便用封筒または郵便用容器)
とを含む、キットを提供する。
【0098】
本発明のシステム
本発明のさらなる実施形態において、本発明の方法についての関連情報を提示するための手段を提供する。関連情報としては、乾燥血液スポットもしくは尿試料中のウロリチンもしくはウロリチン結合体のレベルの測定の状態、乾燥血液スポットもしくは尿試料の検査結果(例えば、乾燥血液スポットもしくは尿試料中のウロリチンもしくはウロリチン結合体のレベル)、またはウロリチンの治療用量、ならびに/あるいは乾燥血液スポット試料もしくは尿試料中のウロリチンもしくはウロリチン結合体のレベルから引き出される結論(例えば、対象がウロリチンもしくはウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうか、及び/またはウロリチンもしくはウロリチンサプリメントの用量)が挙げられる。
【0099】
関連情報の提示に対する1つのアプローチは、ソフトウェアプログラムを介したユーザーインターフェイス、例えば、携帯電話またはタブレット端末上のモバイルアプリケーション(いわゆる「アプリ」)などのモバイルアプリケーションを用いるものである。1つの実施形態において、ユーザーインターフェイスはインターネットユーザーインターフェイスである。
【0100】
そのため、本発明のさらなる実施形態によれば、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムであって、
a)対象から採取した乾燥血液スポットの試料を解析するステップと、
b)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップと、
c)乾燥血液スポット中のウロリチンのレベルから、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップと、
d)対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象であるかどうかをユーザーインターフェイス上に提示するステップと
を含む、システムを提供する。
【0101】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を提示するためのシステムであって、
a)対象から採取した乾燥血液スポットの試料を解析するステップと、
b)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップと、
c)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定するステップと、
d)対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量をユーザーインターフェイス上に提示するステップと
を含む、システムを提供する。
【0102】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムであって、
a)対象から採取した尿試料を解析するステップと、
b)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップと、
c)尿中のウロリチンのレベルから、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップと、
d)対象がウロリチンサプリメントの用量から利益を得られる対象であるかどうかをユーザーインターフェイス上に提示するステップと
を含む、システムを提供する。
【0103】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を提示するためのシステムであって、
a)対象から採取した尿試料を解析するステップと、
b)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを確認するステップと、
c)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから、対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量を決定するステップと、
d)対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量をユーザーインターフェイス上に提示するステップと
を含む、システムを提供する。
【0104】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムであって、
a)ウロリチンの試験用量を投与する前に採取した第1の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
b)ウロリチンの試験用量を投与するステップと、
c)ある時間間隔(例えば、約6~8時間または約24時間)の後に採取された第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
d)乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップと、
e)対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量をユーザーインターフェイス上に提示するステップと
を含む、システムを提供する。
【0105】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムであって、
a)ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を投与する前に採取した第1の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
b)ウロリチン前駆体を投与するステップと、
c)第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
d)第1の乾燥血液スポット試料と比較しての、第2の乾燥血液スポット試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップと、
e)対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量をユーザーインターフェイス上に提示するステップと
を含む、システムを提供する。
【0106】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムであって、
a)ウロリチンの試験用量を投与する前に採取した第1の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
b)ウロリチンの試験用量を投与するステップと、
c)第2の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
d)尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップと、
e)対象のためのウロリチンサプリメントの治療用量をユーザーインターフェイス上に提示するステップと
を含む、システムを提供する。
【0107】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを提示するためのシステムであって、
a)ウロリチン前駆体(例えば、ザクロジュース)を投与する前に採取した第1の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
b)ウロリチン前駆体を投与するステップと、
c)第2の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを測定するステップと、
d)第1の尿試料と比較しての、第2の尿試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの増加から、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られる対象であるかどうかを決定するステップと、
e)ユーザーインターフェイス上にウロリチンを摂取することの利益を提示することと
を含む、システムを提供する。
【0108】
本発明のシステムと共に使用するウロリチンまたはウロリチンのレベルは、上記のように本発明の方法に関して開示されている通りである。
【0109】
コンピューターで実装される本発明の方法
本発明の方法は、試料採取及び対象への結果送信に役立つようにコンピューター実装を用いて実施することができる。例えば、対象に、モバイルコンピューターデバイス(例えば、携帯電話またはタブレットコンピューター)上のコンピュータープログラム(例えば、「アプリ」)を提供することができる。
【0110】
このようなコンピュータープログラムにより、対象は以下のようなデータを入力することができる。
(i)生体試料が採取されたことの記録
(ii)このような検査試料への支援内容(例えば、アドレスラベルの印刷を容易にするような支援)の送信
(iii)任意選択で、日時、年齢、性別、体重、民族、試料タイプなどのデータ入力
【0111】
このようなデータは、試料の処理及び結果の報告を支援するためのリモートコンピューターと共有することができる。
【0112】
このようなコンピュータープログラムは、結果(例えば、ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベル、対象がウロリチンサプリメントから利益を得られるかどうか、及びどの程度の量のウロリチンサプリメントが必要か)を対象に送信することができる。
【0113】
本発明の1つの実施形態において、コンピューターで実装された方法であって、
(a)任意選択で、対象からの生体液試料の通過を確認するデータを受信するステップと、
(b)生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルのデータを受信するステップと、
(c)任意選択で、対象データ(例えば、日時、年齢、性別、体重、民族、試料タイプなど)を受信するステップと、
(d)ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを、ウロリチン(例えば、ウロリチンA)の治療用量とレベルを相関させるデータと比較して、治療用量を算出するステップと、
(e)任意選択で、対象に結果を伝えるステップと
を含む、方法を提供する。
【0114】
本発明の1つの実施形態において、非一時的コンピューター可読媒体であって、コンピューティングデバイスのプロセッサーによって実行されるとコンピューティングデバイスに方法を実行させるコンピューター実行可能命令を含み、当該方法が、
(a)任意選択で、対象からの生体液試料の通過を確認するデータを受信することと、
(b)生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルのデータを受信することと、
(c)任意選択で、対象データ(例えば、日時、年齢、性別、体重、民族、試料タイプなど)を受信することと、
(d)ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルを、ウロリチン(例えば、ウロリチンA)の治療用量とレベルを相関させるデータと比較して、治療用量を算出することと、
(e)任意選択で、対象に結果を伝えることと
を含む、非一時的コンピューター可読媒体を提供する。
【0115】
対象がウロリチンサプリメントから利益を得られるかどうかを決定するためのウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの比較は、本発明の方法について上記で定義した通りである。
【0116】
ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルと、ウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルをウロリチンサプリメントの治療用量に相関させるデータとの比較は、本発明の方法について上述した通りである。
【0117】
プロセッサーと、メモリと、ディスプレイとを備えたコンピューターデバイスであって、コンピューターで実装される本発明の方法またはコンピューターで実行される本発明の命令を実施するように設定されている、コンピューターデバイス。このようなコンピューターデバイスとしては、携帯電話、タブレットコンピューター、ラップトップコンピューターなどが挙げられる。
【0118】
結果に含まれるのは、生体液中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルから導き出される情報(例えば、対象がウロリチンサプリメントの投与及び/またはウロリチンサプリメントの治療用量から利益を得られ得るかどうか)である。
【0119】
医学的治療
本発明はさらに、医学的治療の方法で使用するためのウロリチン組成物を提供する。そのため、本発明のさらなる実施形態によれば、ヒト対象を治療する方法で使用するためのウロリチンサプリメントであって、当該対象が、本発明の方法により、ウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られると決定された対象である、ウロリチンサプリメントを提供する。
【0120】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明の方法に従って、対象がウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られるかどうかを決定することと、次いで対象にウロリチンサプリメントを投与することとを含む、治療方法を提供する。
【0121】
本発明のさらなる実施形態によれば、ヒト対象の疾患、状態の障害を治療するための医薬品の製造におけるウロリチンサプリメントの使用であって、当該対象が、本発明の方法により、ウロリチンサプリメントを摂取することから利益を得られると決定された対象である、使用を提供する。
【0122】
本発明のさらなる実施形態によれば、ヒト対象をウロリチンで治療する方法であって、本発明の方法に従ってウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと、次いで対象にウロリチンサプリメントを投与することとを含む、方法を提供する。
【0123】
本発明のさらなる実施形態によれば、本発明の方法に従って、ウロリチンサプリメントの治療用量を決定することと、次いで対象にウロリチンサプリメントを投与することとを含む、治療方法を提供する。
【0124】
本発明のさらなる実施形態によれば、ヒト対象の疾患、状態の障害を治療するための医薬品の製造におけるウロリチンサプリメントの使用であって、治療用量が本発明の方法によって決定されている、使用を提供する。
【0125】
さらなる実施形態において、ヒト対象の疾患、状態の障害を治療するためのウロリチンの較正用量の使用を提供する。
【0126】
さらなる実施形態において、ヒト対象の病気、状態の障害を治療するための医薬品の製造におけるウロリチンの較正用量の使用を提供する。
【0127】
さらなる実施形態において、ウロリチンの較正用量を用いたヒト対象の疾患、状態の障害を治療する方法を提供する。
【0128】
較正用量は、本発明の方法を用いて決定された用量である。
【0129】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象を治療する方法で使用するためのウロリチンサプリメントであって、本発明の方法に従ってウロリチンサプリメントの治療用量を決定することを含む、ウロリチンサプリメントを提供する。
【0130】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象の老化症状を予防または治療する方法で使用するためのウロリチンであって、当該対象にウロリチンサプリメントを投与することを含み、当該対象が、本発明の方法によってウロリチンサプリメントを接種することから利益を得られると決定された対象である、または本発明の方法によって治療用量が算出されている対象である、ウロリチンを提供する。
【0131】
本発明は、対象の筋肉関連の病的状態を本発明の方法に従って治療する方法を提供する。筋肉関連の病的状態には、病的状態だけでなく全般的な健康者に影響を及ぼす状態も含まれる。健康な人または疾患に罹患している人に認められるこのような筋肉状態としては、筋骨格系の疾患または障害、悪液質、筋消耗、ミオパチー、加齢性筋肉機能低下、プレフレイル、フレイル、神経筋疾患(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー及びその他のジストロフィー)、サルコペニア(例えば、急性サルコペニア)、筋萎縮及び/または悪液質(例えば、火傷、床上安静、四肢固定、または大きな胸部、腹部、及び/または整形外科の手術に伴う筋萎縮及び/または悪液質)、多発性硬化症(例えば、その再燃寛解型)、ならびに筋変性疾患が挙げられる。
【0132】
本発明の組成物を用いて治療することができる加齢性疾患の例としては、サルコペニア、プレフレイル、フレイル、嚥下困難または嚥下障害、及び筋肉の衰えが挙げられる。概して、治療は、加齢性の筋機能及び/または可動性の低下に関連するミトコンドリア機能を向上させる。
【0133】
さらなる実施形態において、本発明は、メタボリックシンドローム、代謝率低下、代謝ストレス、心血管疾患、サルコペニア、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば孤発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、薬物誘発性肝損傷、薬物誘発性渇望、貧血、α1アンチトリプシン欠損症、虚血再灌流障害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、肥満症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、不安症、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、ミトコンドリア病(例えば、ミトコンドリア病の結果としての成長不良、筋協調性の喪失、筋力低下、視覚の問題、聴覚の問題、心疾患、肝疾患、腎疾患、胃腸障害、呼吸器障害、神経学的問題、自律神経障害、時に学習障害、及び認知症を含む)からなる群より選択される、疾患または状態の治療のための方法を提供する。ミトコンドリア機能不全に関するさらなる疾患としては、糖尿病及び難聴(DAD)、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、リー症候群(亜急性硬化性脳症)、ニューロパチー・運動失調・網膜色素変性・眼瞼下垂症(NARP)、筋神経原性胃腸管脳症(MNGIE)、赤色ぼろ線維を伴うミオクローヌスてんかん(MERRF)。ミトコンドリアミオパチー、脳筋症、乳酸アシドーシス、脳卒中様症状(MELAS)、及びmtDNA枯渇、及び癌、認知障害、ストレス、及び気分障害が挙げられ、認知機能の向上、体重管理、または筋肉もしくは精神のパフォーマンス向上のためである。本発明の組成物は、筋機能、筋持久力、及び筋回復の向上で使用するのに特に適している。
【0134】
詳細には、本発明は、メタボリックシンドローム、代謝率低下、代謝ストレス、心血管疾患、サルコペニア、プレフレイル、フレイル、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば孤発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物誘発性肝損傷、薬物誘発性渇望、貧血障害、α1アンチトリプシン欠損症、虚血再灌流障害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、肥満症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、不安症、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、及び癌、認知障害、ストレス、及び気分障害からなる群より選択される疾患または状態の治療、認知機能改善、体重管理、または筋肉もしくは精神のパフォーマンス向上を提供する。
【0135】
本発明はさらに、代謝ストレス、サルコペニア、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば孤発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物誘発性肝損傷、α1-アンチトリプシン欠損症、虚血再灌流障害、炎症性腸疾患、クローン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、及び癌からなる群より選択される疾患または状態の治療を提供する。
【0136】
本発明はさらに、本発明の治療方法を構成する細胞のオートファジーまたはマイトファジーを増大させるための方法を提供する。例えば、オートファジーまたはマイトファジーは、胚性幹細胞、誘導多能性幹細胞、成体幹細胞、分化細胞、血液細胞、造血細胞、上皮細胞、外分泌細胞、内分泌細胞、結合組織細胞、脂肪細胞、骨細胞、平滑筋細胞、横紋筋細胞、神経細胞、感覚細胞、心臓細胞、肝細胞、胃細胞、腸細胞、肺細胞、表皮(すなわち皮膚)細胞(ケラチノサイト及び線維芽細胞を含む)、腎細胞、ならびに生殖細胞に存在し得る。したがって、これは例えば、メタボリックシンドローム、代謝率低下、代謝ストレス、心血管疾患、サルコペニア、筋変性疾患、封入体筋炎(例えば孤発性封入体筋炎)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物誘発性肝損傷。薬物誘発性渇望、貧血障害、α1アンチトリプシン欠損症、虚血再灌流障害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、肥満症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、高脂血症、変形性関節症、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、不安症、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、及び癌、認知障害、ストレス、及び気分障害からなる群より選択される疾患または状態を治療または予防し、あるいは体重管理、または筋肉もしくは精神のパフォーマンス向上を支援することができる。
【0137】
神経変性疾患の中では、具体的にはエイズ認知症合併症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、アルパース病、毛細血管拡張性運動失調症、バッテン病、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、レビー小体型認知症、致死性家族性不眠症、前頭側頭葉変性症、ハンチントン病、ケネディ病、クラッベ病、ライム病、マチャド・ジョセフ病、多発性硬化症、多系統萎縮症、神経有棘赤血球症、ニーマン・ピック病、パーキンソン病、ピック病、原発性側索硬化症、進行性核上性麻痺、レフスム病、サンドホフ病、びまん性髄鞘硬化症、脊髄小脳失調症、亜急性複合脊髄変性症、背骨癆、テイ・ザックス病、中毒性脳症、伝達性海綿状脳症、及びウォブリーヘッジホッグ症候群を挙げることができる。1つの実施形態において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、及びパーキンソン病からなる群より選択される。1つの実施形態において、神経変性疾患はアルツハイマー病である。
【0138】
本発明の1つの態様は、認知機能の向上にある。1つの実施形態において、認知機能は、知覚、記憶、注意、音声理解、音声生成、読解、イメージの作成、学習、及び推論からなる群より選択される。1つの実施形態において、認知機能は、知覚、記憶、注意、及び推論からなる群より選択される。1つの実施形態において、認知機能は記憶である。
【0139】
本発明の1つの態様は、ストレス誘発性またはストレス関連性失認の治療にある。本発明の1つの態様は、気分障害の治療にある。1つの実施形態において、気分障害は、うつ病、産後うつ病、気分変調症、及び双極性障害からなる群より選択される。1つの実施形態において、気分障害はうつ病である。1つの実施形態において、気分障害は気分変調症である。
【0140】
本発明の1つの態様は、ストレス誘発性またはストレス関連性気分障害(例えば、気分変調症)の治療にある。本発明の1つの態様は、不安症の治療にある。1つの実施形態において、不安症は、全般不安症、パニック障害、広場恐怖症を伴うパニック障害、広場恐怖症、社会不安障害、強迫性障害、及び心的外傷後ストレス障害からなる群より選択される。
【0141】
1つの実施形態において、不安症は全般不安症である。1つの実施形態において、不安症は心的外傷後ストレス障害である。
【0142】
本発明の1つの態様は、ストレス誘発性またはストレス関連性不安の治療にある。
【0143】
本発明の1つの態様は、筋疾患または神経筋疾患の治療にある。
【0144】
1つの実施形態において、筋疾患または神経筋疾患はミオパチーである。1つの実施形態において、筋疾患または神経筋疾患はサルコペニアである。1つの実施形態において、筋疾患または神経筋疾患は筋ジストロフィーである。1つの実施形態において、筋疾患または神経筋疾患はデュシェンヌ型筋ジストロフィーである。1つの実施形態において、筋疾患または神経筋疾患は封入体筋炎(例えば、孤発性封入体筋炎)である。
【0145】
本発明の1つの態様は、ミトコンドリア病の治療にある。例えば、対象は、ミトコンドリア病の結果としての筋協調性の喪失、筋力低下、視覚の問題、聴覚の問題、心疾患、肝疾患、腎疾患、胃腸障害、呼吸器障害、神経学的問題、自律神経障害、時に学習障害、及び認知症の治療が必要になる場合がある。
【0146】
本発明の1つの態様は、筋パフォーマンスを強化することにある。1つの実施形態において、筋パフォーマンスは、強さ、速さ、持久力、及び回復力からなる群より選択される。ヒトの場合、筋機能は概して30代から経年的に低下し、65歳以降はその低下が加速する。したがって、本発明の1つの態様は、加齢の過程で筋パフォーマンスを維持することにある。筋パフォーマンスの強化は、スポーツ栄養学、ヘルシーエイジング(例えば、45歳~65歳)の支援、及び65歳超の筋肉減少(プレフレイル)遅延において当該化合物の使用の一環とすることができる。
【0147】
非医学的治療:
本発明の組成物は、筋パフォーマンスの向上、筋機能の向上、筋機能低下の予防、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減に使用される。筋パフォーマンスの向上、筋機能の向上、筋肉量の増加、及び/または筋消耗の低減は、医学的治療の一環とされる場合もあれば、または個人的嗜好(「ライフスタイル」)または美容上の理由による場合もあり、栄養学的または生理学的な健康における個人的な非処方的管理の一環とされる場合もある。本発明の組成物は、医薬品として使用することができる。当該組成物は、栄養補助食品、機能性食品、機能性飲料、特殊栄養、または医療用食品として使用することができる。
【0148】
本発明は、疾患及び疾患状態いずれの治療も提供する。当該組成物は、身体パフォーマンス低下、持久力不良、及び筋機能不良などを特徴とする健康者の正常な生理機能を維持するために使用される。本発明の治療方法は、疾患を有する個体(若年者及び高齢者を含む)の身体パフォーマンスを向上させることができる。本発明の治療方法は、アスリート、非アスリート、座位が長い者、及び高齢者を含めた健康者の身体パフォーマンス(例えば、短期的パフォーマンス及び長期的パフォーマンス)を向上させることができる。このパフォーマンス向上は、一定の距離を歩くまたは走るのにかかった時間(例えば、6分間歩行試験(MWT)でのパフォーマンス向上)、一定の距離を走るのにかかる時間の改善、国際身体活動質問票のIPAQスコアの向上、一定時間内の椅子座り立ち回数の増加、または身体パフォーマンスの測定に設計された別の試験によって測定することができる。
【0149】
本発明の治療方法は、健康者の正常な生理機能(例えば、身体能力、持久力、及び筋機能)の管理及び維持にも使用される。
【0150】
本発明の治療方法は、ミトコンドリア機能の改善につながる栄養状態の管理に使用される。これは、例えば、疾患を有するまたは入院している人が、疾患の治療のためではなく、栄養補助食品としてウロリチンサプリメントを投与する場合に重要である。
【0151】
本発明の治療方法はさらに、持久力を向上させる。持久力とは、一定の作業負荷、概して80%未満のVO2maxの強度で運動したときに疲労するまでの時間を指す。本発明の治療方法は、疾患を有する個体(若年者及び高齢者を含む)の持久力を向上させることができる。本発明の治療方法は、アスリート、非アスリート、座位が長い者、及び高齢者を含めた健康者の持久力を向上させることができる。本発明は、特定の活動、例えば、フィットネストレーニング、ウォーキング、ランニング、スイミング、またはサイクリングを行う間に疲労するまでの時間を増加させる方法を提供する。この持久力向上は、客観的な測定値(例えば、スピード、酸素消費量、または心拍数)で評価する場合もあれば、または自己申告による測定値(例えば、妥当性が確認されたアンケートを使用)の場合もある。
【0152】
本発明はさらに、筋機能の喪失を改善、維持、または低減する治療方法を提供する。本発明の組成物は、疾患を有する個体(若年者及び高齢者を含む)の筋機能の喪失を改善、維持、または低減することができる。
【0153】
本発明の組成物は、健康者(アスリート、非アスリート、座位が長い者、及び高齢者を含む)の筋機能の喪失を改善、維持、または低減することができる。例えば、本発明の組成物は、フレイル者またはプレフレイル者の筋機能の喪失を改善、維持、または低減することができる。例えば、本発明の組成物は筋力を増加させることができ、これは身体活動(例えば、運動)実施の向上、例えば、ウェートリフティング能力の増加または握力の増加によって証明される。また、本発明の組成物は、例えば、正常筋機能、筋機能低下、または筋機能不良の状態において筋肉量を増加または維持することにより、筋肉構造を改善することもできる。
【0154】
本発明はさらに、個体が認識する身体パフォーマンスまたは持久力を向上させるための治療方法を提供する。これは例えば、自己申告型アンケートを用いて、運動または活動中に知覚された労作または努力が低減したと定量されることによるものである。
【0155】
本発明のさらなる実施形態において、ヒト対象において妥当な栄養レベルを維持する方法であって、当該対象にウロリチンサプリメントを投与することを含み、当該対象が、ウロリチンサプリメントを摂取すること、または本明細書に記載のウロリチンサプリメントの用量を決定することから利益を得られると決定された対象である、方法を提供する。
【0156】
筋パフォーマンス:
本発明の治療方法は、筋パフォーマンス及び/または身体パフォーマンスの強化に有用である。したがって、本発明は、筋パフォーマンス及び/または身体パフォーマンスの強化で使用するための本発明の組成物を提供する。また、本発明は、本発明の組成物の有効量を対象に投与することにより、筋パフォーマンス及び/または身体パフォーマンスを強化する方法も提供する。投与は自己投与であってもよい。
【0157】
筋パフォーマンスの強化は、筋機能の向上、筋機能低下の低減、筋機能の維持、筋力の向上、筋持久力の向上または維持、及び筋回復の向上のうちの1つ以上とすることができる。
【0158】
したがって、本発明の治療方法は、身体持久力(例えば、運動、肉体労働、スポーツ活動などの身体作業を行う能力)を向上させ、身体疲労を抑制または遅延させ、作業能力及び持久力を強化し、筋疲労を低減する方法で使用することができる。
【0159】
筋機能改善は、加齢関連状態の結果としての筋機能低下(例えば、サルコペニアや筋消耗)を伴う高齢の対象において特に有益であり得る。本発明の治療方法は、座位が長い、フレイルである、またはプレフレイルである対象に本発明の組成物を投与することにより、筋パフォーマンスの強化に使用することができる。
【0160】
筋パフォーマンスは、スポーツパフォーマンス、すなわち、アスリートがスポーツ活動に参加する際に実施する筋肉の能力であり得る。スポーツパフォーマンス、強さ、スピード、及び持久力の強化は、筋収縮力の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮によって測定される。アスリートとは、任意のレベルのスポーツに参加し、自らのパフォーマンスにおける強さ、速さ、または持久力の向上を達成するよう努める者、例えば、ボディビルダー、競輪選手、長距離ランナー、及び短距離ランナーを指す。スポーツパフォーマンスの強化は、筋疲労を克服する能力、活動を長時間維持する能力、及びより効果的なトレーニングを行う能力によって明らかになる。
【0161】
ウロリチン
ウロリチンは、ヒトを含めた哺乳類の微生物叢がエラジタンニン及びエラグ酸に作用することによって産生される代謝物である。エラジタンニン及びエラグ酸は、ザクロ、ナッツ、及びベリー類などの食品に一般的に見出される化合物である。エラジタンニンは、腸自体での吸収が最小限に抑えられる。ウロリチンは、上に示される代表的な構造(I)を有する化合物のクラスである。いくつかの特に一般的なウロリチンの構造を、構造(I)を参照しながら以下の表1に記載する。
【0162】
【化1】
【0163】
【表1】
【0164】
実際には、商業規模の製品の場合、ウロリチンを合成するのが好都合である。合成経路は、例えば、国際公開第2014/004902号及び国際公開2015/100213号に記載されている。
【0165】
構造(I)に従う任意の構造のウロリチンを本開示の方法で使用することができる。
【0166】
本開示の用途及び方法の1つの態様において、好適な化合物は、A、C、D、及びZが独立的にH及びOHから選択され、B、W、X、及びYが全てHであり、好ましくはA、C、D、及びZの少なくとも1つがOHである、式(I)の化合物である。
【0167】
特に好適な化合物は天然のウロリチンである。したがって、Zが好ましくはOHであり、W、X、及びYが好ましくは全てHであり、W、X、及びYが全てHであり、A及びBがいずれもHであり、C、D、及びZがいずれもOHである場合、化合物はウロリチンCである。W、X、及びYが全てHであり、A、B、及びCがいずれもHであり、D及びZがいずれもOHである場合、化合物はウロリチンAである。好ましくは、本開示の方法で使用するウロリチンは、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、またはウロリチンDである。最も好ましくは、使用するウロリチンはウロリチンAである。
【0168】
1つの実施形態によれば、式(I)の化合物がウロリチンAである本発明の方法を提供する。
【0169】
1つの実施形態によれば、式(I)の化合物がウロリチンBである本発明の方法を提供する。
【0170】
1つの実施形態によれば、式(I)の化合物がウロリチンCである本発明の方法を提供する。
【0171】
1つの実施形態によれば、式(I)の化合物がウロリチンDである本発明の方法を提供する。
【0172】
組成物の形態:
本発明の治療方法で使用するための組成物は、任意の好適な物理的形態をとることができる。当該組成物は、固体(例えば、錠剤もしくはバー)、半固体(例えば、ソフトゲル、カプセル(例えば、ハードカプセル)もしくはドラジェ)、粉末、または液体(エマルジョンを含む)の形態をとることができる。本発明の組成物は栄養組成物であってもよい。本発明の組成物は医薬組成物であってもよい。当該組成物は、栄養補助食品、機能性食品、機能性飲料、または医療用食品もしくは医療用栄養製品としての形態をとることができる。
【0173】
錠剤形態の組成物は任意の好適なタイプとすることができ、当技術分野で従来的な賦形剤を含んでもよい。賦形剤は例えば、当該組成物が許容される味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように所望の硬度、貯蔵寿命、及び風味を提供することができる。バーは任意の好適なタイプとすることができ、スナックバーの調製に従来から使用されている成分を含んでもよい。
【0174】
同様に、半固体形態は当技術分野で従来的な賦形剤を含んでもよい。賦形剤は例えば、当該組成物が許容される味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように所望の硬度、貯蔵寿命、及び風味を提供することができる。半固形形態は、経口投与用または局所投与用に提供することができる。
【0175】
粉末は、栄養組成物及び医療用組成物の供給に一般的に使用される。粉末は、1つの容器で複数回用量を提供でき、同じ供給容器で様々なサイズの用量を使用できるという利点を有する。粉末は概して保存特性が良好である。粉末組成物は、当技術分野で従来的な賦形剤も含むことができる。賦形剤は例えば、当該組成物が許容される味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように貯蔵寿命、風味、及び耐湿性を提供することができる。本発明は、ニコチンアミドリボシド組成物を、ウロリチンを含む別の組成物と共に含むキットの形態(例えば、ニコチンアミドリボシド粉末組成物を、ウロリチンを含む別の固体または液体組成物と共に含むキットの形態)をとることができる。ウロリチンを含む固体または液体組成物(例えば、錠剤もしくは飲料、または本明細書に記載の他の形態)は、ニコチンアミドリボシド粉末と共に使用説明書が提供されてもよい。例えば、ニコチンアミドリボシド及びウロリチンの両方が粉末形態をとってもよい。
【0176】
液体組成物は、薬品の形態をとることも飲料の形態をとることもできる。液体製剤は、溶液、エマルジョン、スラリー、またはその他の半流動体であり得る。液体組成物中の賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、及び良好な保存安定性を有するように貯蔵寿命、外観、風味、及び口当たりを提供することができる。液体組成物は、経口投与用に提供することができる。液体組成物は、局所塗布用に、例えば、クリーム、軟膏、またはローションの形態で提供することができる。
【0177】
いくつかの使用向けに、本発明の組成物は注射または静脈内投与に適した溶液の形態をとることもできる。
【0178】
本発明の組成物中の追加成分:
本発明の治療方法で使用するための組成物は、ウロリチン及びニコチンアミドリボシド以外の追加成分を含んでもよい。追加成分は、健康上の利点をもたらす化合物であってもよく、例えば、ビタミン、ミネラル、多価不飽和脂肪酸、機能性アミノ酸、及びその他の化合物から選択される。
【0179】
ビタミンの中では、具体的にはビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12、及びビタミンK2を挙げることができる。本明細書で使用する場合、「ビタミンD」とは、既知の任意の形態のビタミンDを指し、具体的には、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンD前駆体、代謝物、及びその他のアナログ、ならびにこれらの組合せ、ならびにビタミンDの様々な活性形態及び不活性形態が含まれる。例えば、ビタミンD3は、コレカルシフェロールとしての非ヒドロキシル化不活性形態で提供される場合もあれば、またはカルシトリオールとしてヒドロキシル化活性形態で提供される場合もある。
【0180】
クレアチンは、筋疾患の治療で有益な効果を有するものとして説明されている。クレアチンは本発明の組成物に含めることができる。β-ヒドロキシル-β-メチルブチレート(HMB)は、筋障害の治療で有益な効果を有するものとして説明されている。HMBは本発明の組成物に含めることができる。
【0181】
ミネラルの中では、具体的にはカルシウム塩(例えば、リン酸カルシウム)、セレン、亜鉛塩、マグネシウム塩、及び鉄塩を挙げることができる。
【0182】
多くの筋成長及び/または筋増強の処置のためには、ある特定のアミノ酸を提供することが有益である。例えば、L-アルギニン、L-グルタミン、リジン、及び分岐鎖アミノ酸が重要と考えられている。これらのアミノ酸は時として「機能性アミノ酸」として知られている。本発明の組成物は、1つ以上の分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、及びバリン)を含むことができる。本発明の組成物は、L-アルギニン及びL-グルタミンの一方または両方を含むことができる。本発明の組成物は、リジンを含むことができる。
【0183】
本発明の医薬組成物は、追加の医薬的に活性の化合物を含むことができる。例えば、スタチンが含まれてもよい。本発明は、ウロリチン及びニコチンアミドリボシドの組成物と、医薬的に活性の化合物(例えば、スタチン)とを含むキットとして提供することができる。
【0184】
本発明の組成物は、ミトコンドリアバイオジェネシスまたはミトコンドリア障害の治療に有用な1つ以上のさらなる薬剤を含むことができる。このような化合物としては、限定されるものではないが、レスベラトロール、ピロロキノリンキノン、ユビキノン、スルフォラファン、コエンザイムQ10、ゲニステイン、ヒドロキシルチロソール、ケルセチン、L-カルニチン、アルファリポ酸、及びフォリン酸(例えば、ロイコボリンとして)が挙げられる。
【0185】
本発明の組成物には、さらに(または代替的に)追加の化合物、例えば、トマチジン、ウルソル酸、クルクミン、カプサイシン、メントール、トロラミンサリチル酸、及びメチルサリチル酸などが挙げられる。
【0186】
いくつかの例示的な実施形態において、本開示の組成物は、ニコチンアミドリボシド及びウロリチンに加えて、1つ以上の追加の主栄養素、典型的にはタンパク質、脂肪、もしくは炭水化物、またはタンパク質、脂肪、及び炭水化物のうちの2つ以上を含むことができる。
【0187】
本発明の組成物には、食品及び医薬品の調製で一般的に使用されるタイプの脂肪または油の任意の好適な供給源を使用することができる。本明細書に記載の組成物で使用するための好適な脂肪源の非限定的な例には、多価不飽和脂肪酸(例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、及びこれらの組合せ)も含まれる。
【0188】
本明細書に記載の組成物で使用するための好適な炭水化物またはその供給源の非限定的な例としては、マルトデキストリン、加水分解または修飾デンプンまたはトウモロコシデンプン、グルコースポリマー、コーンシロップ、コーンシロップ固形物、米由来炭水化物、グルコース、フルクトース、ラクトース、トレハロース、高フルクトースコーンシロップ、タピオカデキストリン、イソマルツロース、スクロモルト、マルチトールパウダー、グリセリン、フラクトオリゴ糖、ダイズ繊維、トウモロコシ繊維、グアーガム、コンニャク粉、ポリデキストロース、ハチミツ、糖アルコール(例えば、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール)、及びこれらの組合せを挙げることができる。マルトデキストリン、スクロース、及びフルクトースが特に好ましい。
【0189】
本明細書に記載の組成物で使用するための好適なタンパク質またはその供給源の非限定的な例としては、加水分解、部分加水分解、または非加水分解タンパク質またはタンパク質源を挙げることができる。これらは、任意の既知のまたは他の好適な供給源、例えば、乳(例えば、カゼイン、ホエイ)、動物(例えば、肉、魚)、穀物(例えば、米、トウモロコシ)、または植物(ダイズ、エンドウ)といった供給源に由来し得る。タンパク質の供給源またはタイプの組合せを使用することができる。タンパク質またはその供給源の非限定的な例としては、インタクトなエンドウタンパク質、インタクトなエンドウタンパク質単離物、インタクトなエンドウタンパク質濃縮物、乳タンパク質単離物、乳タンパク質濃縮物、カゼインタンパク質単離物、カゼインタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質単離物、カゼイン(casemate)ナトリウムまたはカゼインカルシウム、ウシ全乳、部分脱脂乳または完全脱脂乳、ヨーグルト、ダイズタンパク質単離物、及びダイズタンパク質濃縮物、及びこれらの組合せが挙げられる。タンパク質の供給源またはタイプの組合せを使用することができる。例えば、ギリシャ風ヨーグルト及びアイスランド風ヨーグルトは、一般的にタンパク質含有量が特に高いことが知られており、本発明の製剤で使用するのに特に適している。本発明の組成物で使用するためのヨーグルトは、例えば、100g当たり2~15gのタンパク質を含み得る。特に好ましいのは、例えば100g当たり6~15g、例えば100g当たり7~15g、例えば100g当たり8~15gのタンパク質含有量が高いヨーグルトである。任意選択で、ヨーグルト製剤に補助タンパク質を加えて製剤のタンパク質含有量を増やしてもよい。本発明のヨーグルトは、生培養物(例えば、S.thermophilus、L.bulgaricus、L.acidophilus、またはL.lactis)を含んでもよい。
【0190】
タンパク質、脂肪、炭水化物、及びその他の成分の合計濃度または合計量は、対象とするユーザーの栄養ニーズに応じて異なる。
【0191】
本発明の組成物中の追加成分は、対象に健康上の利点をもたらすのではなく他の何らかの形で組成物を改善する(例えば、上述したように味、食感、または貯蔵寿命を改善する)化合物であってもよい。したがって、本発明の組成物はさらに、乳化剤、着色料、保存料、ガム、セット剤、増粘剤、甘味料、及び香味料から選択される1つ以上の化合物を含むことができる。
【0192】
好適な乳化剤、着色料、保存料、ガム、セット剤、及び増粘剤は、エマルジョン及びその他の半流動体の製造の技術分野で周知されている。例えば、保存料は、安息香酸、ソルビン酸、リン酸、乳酸、酢酸、塩酸、及びこれらの可溶性塩を使用することができる。
【0193】
甘味料は、本発明の組成物において特に有益であり得る。効力の高い非栄養性炭水化物甘味剤を使用することができ、これは例えば、アスパルテーム、スクロース、アセスルファムカリウム、サッカリン、シクラメート、ステビア、ソーマチン、及びこれらの混合物から選択される。アスパルテームが特に適している。
【0194】
香味料は、本発明の組成物において特に有益であり得る。液体または半流動体組成物では、果物のソースまたはピューレを含めることによって果物の風味を出すことができる。典型的な香味料としては、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、アプリコット、ザクロ、ピーチ、パイナップル、レモン、オレンジ、及びリンゴが挙げられる。概して、果物の香味料としては、果物抽出物、果物保存食品、または果物ピューレに甘味料、デンプン、安定剤、天然及び/または人工香味料、着色料、保存料、水、及びクエン酸またはpHを調整する他の好適な酸を組み合わせたものが挙げられる。
【0195】
経口用調製物に関しては、当該組成物は、単体で、または錠剤、粉剤、粒剤、もしくはカプセルを作製するための適切な添加剤と組み合わせて、例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、もしくはジャガイモデンプンなどの従来的な添加剤と;結晶性セルロース、セルロース誘導体、アラビアゴム、トウモロコシデンプン、もしくはゼラチンなどの結合剤と;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、もしくはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤と;タルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤と;ならびに所望の場合、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存料、及び香味剤と組み合わせて、使用することができる。
【0196】
当該組成物は、水性または非水性の溶媒、例えば、植物油または他の類似の油、合成の脂肪族系酸グリセリド、高級脂肪族系酸またはプロピレングリコールのエステルに、所望の場合、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、及び保存料などの従来の添加物と共に溶解、懸濁、または乳化することにより、液体調製物に製剤化することができる。当該組成物は、吸入によって投与するエアロゾル製剤で利用することができる。当該組成物は、様々な基剤(例えば、乳化基剤または水溶性基剤)と混合することにより、坐薬にすることができる。
【0197】
経口投与用の単位投与形態(例えば、シロップ、エリキシル、及び懸濁液)は、各薬用量単位(例えば、小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤、またはカプセル)が本発明の組成物の所定量を含むように提供することができる。同様に、注射または静脈内投与用の単位投与形態は、滅菌水、生理食塩水、または別の医薬的に許容される担体の溶液としての組成物中に本発明の化合物を含むことができ、各薬用量単位(例えば、mlまたはL)は本発明の組成物の所定量を含む。
【0198】
本発明の治療方法で使用するための組成物は、単回の治療として、またはより一般的には一連の治療として摂取することができる。一例では、対象は運動前または運動後に用量を摂取する。運動することができない対象の場合は、例えば、1日に1回、2回、もしくは3回、または週に1回、2回、3回、4回、5回、もしくは6回、組成物の用量を摂取することができる。化合物の有効薬用量が特定の治療の過程で増加または減少する場合があることも理解されよう。
【0199】
投与
ヒト対象の治療に適したウロリチンサプリメントの用量は、本発明の診断アッセイの結果によって示されるウロリチンの形成の程度と、患者の治療利益のための最適な用量とに依存する。すなわち、最も好適な用量は、最適な用量から、対象が産生するウロリチンの量を差し引いたものとなる。例えば、1日50mg~1日2000mgの範囲の用量である。例えば、1日50mg~1日1500mgの用量である。例えば、1日50mg~1日1400mg、例えば、~1日1300mg、~1日1200mg、~1日1100mg、例えば、1日50mg~1000mg。さらなる実施形態において、適切な投与形態は、1日100mg~1日1000mg、例えば、1日100mg~1日750mg、例えば、1日100mg~1日500mg、例えば、1日250mg~500mgとすることができる。例えば、ウロリチンサプリメントの用量は、1日100mg、1日250mg、1日500mg、または1日1000mg、または1日1500mg、例えば、1日250mg、1日500mg、または1日1000mg、または1日1500mgから選択される。
【0200】
さらなる実施形態において、ウロリチンサプリメントの好適な用量は、ウロリチンを含む単位用量または錠剤を含む単位投与形態の倍数とすることができる。例えば、100mg、250mg、500mg、1000mg、または1500mgを含む単位用量。誤解を避けるため、用量は上記の単位用量の倍数または組合せから構成されてもよい。
【0201】
ウロリチンサプリメントの好適な用量は、投与方法、対象の年齢、体重、及び全般的健康状態によっても異なり得る。対象の疾患状態、年齢、及び体重などの因子が重要であり得、好適な用量は最適な応答が得られるように調整することができる。
【0202】
本明細書では、乾燥血液スポットのウロリチン濃度がng/mlで表されているが、これは、濾紙などの支持体上で乾燥させる前の元の血液試料の濃度(ng/ml)に関するものである。
【0203】
「約」という用語は、該当する値の±20%、例えば、該当する値の±15%、例えば、該当する値の±10%または該当する値の±5%の許容差を指す。
【0204】
「生体液試料」という表現は、ウロリチンまたはウロリチン結合体を測定することができる対象(例えば、ヒトまたは動物対象)に由来する任意の試料を指す。例えば、尿または血液である。血液の場合は、乾燥血液スポットの形態で解析することができる。
【0205】
「乾燥血液スポット」という用語は、材料上で乾燥させた全血、血漿、または血清の試料を指し、乾燥試料は、試料中のウロリチンまたはウロリチン結合体のレベルの測定に使用することができる。誤解を避けるために、「乾燥薬物スポット」という用語は、乾燥全血、乾燥血漿、または乾燥血清の任意の試料を指し、材料に吸収されたか、当該材料上の1つの層として乾燥したか、または当該材料から削り取った乾燥全血、血漿、もしくは血清かは問わない。
【0206】
「ヒト対象」という用語は、男性、女性、または子どもに関連する。男性または女性は、若年、高齢、または中高年であり得る。「小児」という用語は、約1歳~約18歳の人を指す。「若年」という用語は、約18歳~約40歳の人を指す。「中高年」という用語は、約40歳~65歳の人を指す。「高齢」という用語は、65歳超の人を指す。
【0207】
「ウロリチン結合体」という用語は、ヒト対象のウロリチンの代謝によって形成される任意のウロリチン誘導体を指す。ウロリチン結合体の例としては、ウロリチングルクロニド及びウロリチンサルフェート、特にウロリチングルクロニドが挙げられる。1つの実施形態において、本発明の方法は、ウロリチン結合体、特にウロリチングルクロニドのレベルを測定することを含む。
【0208】
「ウロリチン前駆体」という用語は、ヒトの腸内で代謝されてウロリチンを形成することができる植物由来の材料または物質を指す。植物由来の材料の例としては、茶、果物、例えば、ザクロ、グアバ、ベリー類(例えば、ラズベリー、ブラックベリー、クラウドベリー、ボイゼンベリー、ストロベリー、及びクランベリー)、ナッツ類(例えば、ペカン、クルミ、及びアーモンド)、種子(例えば、クラウドベリーシード)、ならびにカンゾウタケが挙げられる。物質の例としては、エラジタンニン(例えば、プニカラギン)及びエラグ酸が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0209】
図1図1は、対象の治療前ならびにザクロジュース及びウロリチン500mg投与後における乾燥血液スポット中のウロリチングルクロニドのレベルを示している。
図2図2は、実施例5に記載の試験のフローチャートを示している。
図3図3は、実施例5の健康な参加者全員n=100において、ザクロジュースまたはウロリチンAのいずれかを摂取してから0時間(ベースライン)、6時間、及び24時間の時点で採取した血漿試料中のUA-グルクロニドレベルを示している。示されているデータは、試料100件の平均である。
図4図4は、実施例5の健康な参加者全員n=100において、ザクロジュースまたはウロリチンAのいずれかを摂取してから0時間(ベースライン)、6時間、及び24時間の時点でのDBS(乾燥血液スポット)試料中のUA-グルクロニドレベルを示している。
図5図5は、対象n=100における、(A)t=6時間時及び(B)t=24時間時のUAグルクロニドのDBS(全血スポット試料)測定値と血漿レベル測定値との相関関係を示している(スピアマン相関係数r=0.97)。
図6A図6は、A)UA非産生者、低産生者、及び高産生者ステータスの群間でのメタゲノム種(MGS)の豊富さ(左パネル)及びシャノン多様性(右パネル)の違いを示す箱ひげ図を示している。全ての群をマン・ホイットニーのU検定によりペアワイズ比較した(N=99)。P≦0.05;**P≦0.01;***P≦0.001;*****P≦0.00001。
図6B】B)MGSの存在量に基づいて算出された試料間のブレイ・カーチス非類似度に基づく主座標分析(PCoA)を示している。試料はUA産生者ステータスによって色分けされている。各試料は、細いセグメント線によってその群の重心に接続している。楕円は、群の重心の平均値の2つの標準誤差を網羅しており、すなわち、群の重心の位置の確実性を示している。x軸及びy軸のラベルは、最初の2つの主座標によって説明される微生物の分散を示している。
図6C】C)UA産生者を非産生者と比較して存在量が有意に異なるFirmicutes門及びBacteroidetes門の相対的存在量(パーセント)を示している。ボックスは四分位範囲(IQR)を表し、内側の水平線は中央値を表す。ひげは第1及び第3四分位の1.5×IQR以内の値を表す。
図6D】D)各群のFirmicutes/Bacteroidetes比(F/B比)を中央値(IQR)として示している。**P≦0.01(マン・ホイットニーのU検定)
図7図7は、UA非産生者、低産生者、及び高産生者ステータスの群間でのマイクロバイオーム遺伝子の豊富さ(左パネル)及びシャノン多様性(右パネル)の違いを示す箱ひげ図を示している。全ての群をマン・ホイットニーのU検定によりペアワイズ比較した(N=99)。P≦0.05;**P≦0.01;***P≦0.001;*****P≦0.00001。
図8図8は、4つのMGS及び2つの門の相対的存在量(パーセント)。UA低産生者を非産生者と比較すると存在量または普及が顕著に異なった。相対的存在量は、各種内で最大まで調整されている各マスの面積として示されている。
図9A図9は、UA非産生者、低産生者、及び高産生者ステータスの群間の生理学的パラメーター及び食習慣の比較を示している。A)BMIは、高産生者と比較して、UA無産生者(p=0.02)及び低産生者(p=0.01)で有意に高かった。
図9B図9は、UA非産生者、低産生者、及び高産生者ステータスの群間の生理学的パラメーター及び食習慣の比較を示している。B)安静時拡張期血圧は、高産生者群と比較して非産生者群で有意に高かった(p=0.017)。
図9C図9は、UA非産生者、低産生者、及び高産生者ステータスの群間の生理学的パラメーター及び食習慣の比較を示している。C)非産生者の対象の心拍数を高産生者と比較(p=0.07)。
図9D図9は、UA非産生者、低産生者、及び高産生者ステータスの群間の生理学的パラメーター及び食習慣の比較を示している。D)食生活の質問紙による評価において、果物及びベリー類の摂取量は、UA高産生者群が非産生者群(p=0.07)及び低産生者群(p=0.01)よりも多かった。(N=100)データは平均+/-SEMで表し、反復測定ANOVAを用いて解析した。P≦0.05;**P≦0.01。
【実施例
【0210】
次に、本発明を以下の非限定的な実施例に関して例示する。
【0211】
実施例1:ウロリチンAの調製
ウロリチンA(4)を、2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸1及びレゾルシノール2から2ステップで調製した。純粋な化合物を淡黄色の粉末として得た。
【0212】
【化2】
【0213】
ステップ1:
水(120mL)中の2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸1(27.6g;119mmol;1.0当量)、レゾルシノール2(26.3g;239mmol;2.0当量)、及び水酸化ナトリウム(10.5g;263mmol;2.2当量)の混合物を還流下で1時間加熱した。次いで、硫酸銅の5%水溶液(50mLの水中3.88gのCuSO4・5H2O;15.5mmol;0.1当量)を加え、混合物をさらに30分間還流させた。混合物を室温まで冷却し、固体をブフナーフィルターで濾過した。残渣を冷水で洗浄して淡赤色の固体を得、これを高温のMeOHで粉砕した。懸濁液を4℃で一晩放置した。得られた沈殿物を濾過し、低温のMeOHで洗浄して、表題化合物3を淡褐色の固体として得た。
【0214】
ステップ2:
乾燥ジクロロメタン(100mL)中の3(10.0g;41mmol;1.0当量)の懸濁液に、乾燥ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液(110mLの無水ジクロロメタン中の純粋なBBr3の11.93mL;124mmol;3.0当量)を0℃で滴加した。混合物を0℃で1時間放置し、次いで室温まで温めた。溶液をその温度で17時間撹拌した。次いで、混合物に氷を十分に加えた。黄色の沈殿物を濾過し、冷水で洗浄して黄色の固体を得、これを酢酸中で3時間加熱還流した。高温の溶液を迅速に濾過し、沈殿物を酢酸、次いでジエチルエーテルで洗浄して表題化合物4を黄色の固体として得た。1H及び13C NMRは、4の構造と一致していた。
【0215】
実施例2:ウロリチンAの投与形態
ウロリチンAを、以下の成分を含むソフトゲルカプセルに製剤化した。
【0216】
【表2】
【0217】
実施例3:ザクロジュース及び経口ウロリチンが乾燥血液スポットで採取した血液のレベルに及ぼす効果の試験
対象7例における試験を行った。試験開始時に、各対象からフィンガープリックで毛細血管の血液の試料を採取し、15~20uLの全血を乾燥血液試料(DBS)濾紙試料カード(Whatman,Little Chalfont,Buckinghamshire,UK)上で乾燥させた。試料採取1回当たり最低2つのスポットを各時点で採取した。T0、すなわちベースライン試料では、対象は80mlのザクロジュース(調製直後)を摂取した。ザクロジュース摂取後24時間時に、さらなる乾燥血液スポット試料を採取し、15~20uLの全血をDBS濾紙カード上で乾燥させた。
【0218】
この後、対象はソフトジェルカプセルに入ったウロリチンAを500mg摂取し、48時間後(またはUA摂取後24時間時)にさらなる乾燥血液スポット試料を採取し、15~20uLの全血をDBS濾紙試料カード上で乾燥させた。
【0219】
実施例3a:乾燥血液スポット試料中のウロリチンAグルクロニドの測定
この解析法は、実施例3で乾燥血液スポット試料カード(DBS濾過カード)に採取した全血スポット試料を解析するために開発された。
【0220】
各乾燥血液スポットは、直径6mmのパンチャーを用いてカードから打ち抜き、チューブに移した。その後、内部標準物質を含む150μLのメタノールを加えた。続いて、試料を5分間の超音波処理に供し、次に20分間のボルテックス混合のステップを行った。次いで、試料を50000g及び8℃で2分間遠心分離した。上清の100μLのアリコートを解析用のオートサンプラーバイアルに移し、解析前に100μLの水で希釈した。
【0221】
逆相クロマトグラフィーによるカラム分離によってUA-グルクロニドの定量化を実施し、次に、選択された反応モニタリングモードのトリプルステージ四重極MS/MSで検出した。
【0222】
結果を表1に示す。
【0223】
【表3】
【0224】
実施例4:健康な成人におけるバイオアベイラビリティー試験
単一施設2期クロスオーバーランダム化非盲検試験を実施して、米国を拠点とする健康な成人集団におけるウロリチンA産生者の状態を評価し、より高いウロリチンAの循環レベルを確立する上で、食事による曝露に対するUAサプリメント栄養補助食品の優位性を確立した。
【0225】
試験集団:18~80歳の健康な男女少なくとも20%の参加者を20~40歳、41~60歳、及び61~80歳とする。残りの40%は任意の年齢層に分布する。
【0226】
サンプルサイズ:N=100;全参加者が試験を完了
【0227】
治験薬
I.237mLのザクロジュース(PJ)/投与日(POM Wonderful,Los Angeles,CA,USA,90064)。
II.500mgのウロリチンA(UA)(ベリー味小袋入り)/投与日
1*ブルーベリー、ラズベリーフルーツパウダー、ならびにもみ殻及びザクロ天然香味料を含む成分
ウロリチンA粉末は、参加者に投与する前に、バニラ風味の市販ヨーグルト(4液量オンス)に混ぜた。
【0228】
有効性パラメーター
主要評価項目:
・ ザクロジュース(PJ)群と比較したウロリチンA(UA)群のUA-グルクロニド血漿レベルにおけるT~T+24時間の絶対的変化。
副次的評価項目:
・ PJ群と比較したUA群のUA-グルクロニド血液スポットレベルにおけるT~T+24時間の絶対的変化。
・ PJ群と比較したUA群のUA-グルクロニド血漿レベルにおけるT~T+6時間の絶対的変化。
・ PJ群と比較したUA群のUA-グルクロニド血液スポットレベルにおけるT~T+6時間の絶対的変化。
・ PJ群と比較したUA群のUAグルクロニドレベルにおけるT~T+6及び/またはT+24までのAUCの変化
・ PJ群と比較したUA群の以下の変数におけるT~T6時間及び/またはT24時間の絶対的変化及びAUCの変化:
- UAサルフェートの血漿レベル
- UAアグリコン(親)の血漿レベル
・ 健康な米国集団において、一定量のザクロジュースを消費した後のUA産生者の普及を評価
【0229】
注:「UA産生者」ステータスは、ザクロジュース摂取後の血漿/乾燥血液スポットでUA(及びその結合体)レベルが検出された者として定義される。「UA産生者」ステータスは、T+24の結果を検討した後に決定した。
・(あれば)ベースライン時の以下の変数におけるUA産生者と非産生者との間の相違:
- 年齢及びBMI
- 握力
- 歩行速度
- 以下に基づく身体活動及びエネルギーレベル:
- 国際身体活動質問票(IPAQ)
- 疲労度VASスコア
- エラジタンニン及びプニカラギンを多く含む食品(すなわち、ナッツ類及びベリー類)の摂取
・(あれば)以下の点におけるUA産生者と非産生者との間の相違:
- 血漿及び/またはDBSのメタボローム解析
- 来院1で測定した血液生化学パラメーターのいずれか:HbA1c、クレアチニン、AST、ALT、総ビリルビン、総コレステロール、HDL、LDL、及びトリグリセリド
- 以下を含むマイクロバイオームシークエンシングによる糞便解析:
○全てのOTU(運用分類学的単位)の試料特異的な相対的存在量及び分類学的同一性
○門~属レベルの細菌の試料特異的な相対的存在量
○アルファ及びベータ多様性尺度(例えば、シャノン指数及びUniFrac距離)
○UA産生者と非産生者との間で存在量が顕著に変化する系統群の同定
○UA産生者と非産生者との間のマイクロバイオームコミュニティーの組成及び多様性尺度における差の統計解析
【0230】
選択基準:
選択に適格となるためには、対象は以下の基準を全て満たしていなければならない。
1.18~80歳の男女
2.臨床試験チームによる判定において全般的に健康状態が良好であること。
3.試験製品の摂取、アンケートへの回答、あらゆる来院に意欲的であること。
4.試験への参加について、自発的かつ書面によるインフォームドコンセントを得ていること。
【0231】
除外基準:
以下の基準のいずれかに該当する場合、対象を試験参加から除外した。
1.試験期間中に妊娠中、授乳中、または妊娠を予定している女性。
2.過去6ヵ月以内のアルコールまたは薬物の乱用。
3.試験中、または試験終了後30日以内に献血を予定するボランティア。
4.試験材料の活性成分または不活性成分に対し既知のアレルギーを有する対象。
5.不安定な医学的状態の対象。
6.スクリーニング時の臨床的に重要な検査結果の異常。
7.ランダム化前の30日以内に臨床研究に参加していること。
8.試験成分に対するアレルギーまたは感受性;乳糖不耐症。
9.認知異常のある者、及び/または、インフォームドコンセントを得ることができない者。
10.治験責任医師の見解において、対象が試験もしくはその尺度を完了する能力に悪影響を及ぼす恐れがある、または対象に重大なリスクをもたらす恐れがあるその他の任意の状態。
11.過去30日以内に抗生物質を服用したことがある。
【0232】
試験のフローチャートは図2で見ることができる。
【0233】
血漿採取
試験評価表に示された各時点で、12mLの血液試料をK2-EDTAコーティングチューブに採取した。血液試料を静かに数回反転させ、抗凝固剤と完全に混合させた。正確な試料採取時間をチューブ及び電子症例報告書(eCRF)に記録した。採血から30分以内に、各血液試料を1500gで10分間、4℃で遠心分離した。遠心分離から30分以内に、最上層のヒト血漿を、それぞれおよそ1500mLの血漿を収容する予めラベリングされた2本のポリプロピレンチューブに移した(各時点当たり2アリコート)。各時点の直後にチューブにキャップをし、血漿を直立位置で約-80℃で凍結して保存した。
【0234】
n=100の健康な参加者全員において、ザクロジュースまたはウロリチンA(Mitopure)のいずれかの摂取から0時間時(ベースライン)、6時間時、及び24時間時に血漿試料を採取してUA-グルクロニドレベルを評価した。データを試料100件の平均として示されるように図3に示す。
【0235】
乾燥血液スポット(DBS)採取:
以下の品目を使用した。
・採血カード(濾紙(Whatman Filter Paper 903 5-spots card))
・密封可能なバイオハザードホイルバッグ
・乾燥剤パック
【0236】
試料はランセットを用いたフィンガープリックによって採取した。各採取カードは、対象1例にのみ使用した。血液は、DBSカード上に少なくとも3~4個の血液スポットでカードに塗布した。確実に円全体が均一に飽和するように配慮し、各カードには適切な識別情報を明確にラベリングした。ランセットによるフィンガープリック後、指に優しく圧力をかけて、流れる血液の大きな液滴を穿刺部位で採取できるようにした。最初の液滴を拭き取った。迅速に作業し、濾紙の端を持ち、濾紙を血液の大きな液滴にそっと触れさせて、1ステップで十分な量の血を染み込ませ、円を完全に満たすまたは飽和させることができた。完了した飽和スポットには20~40μlの血液が含まれた。十分な血液を採取して採血カード上の少なくとも3つの円を満たすまで、スポッティングを繰り返した。検査室では、パンチャーを使用して血液の円セクションを打ち抜いて検査するため、血液スポットの円を完全に満たすことは重要であった。DBS試料を、明確なラベルを伴ったバイオハザードのホイルバッグに入れて室温で保存した。
【0237】
n=100の健康な参加者全員において、ザクロジュースまたはウロリチンA(Mitopure)のいずれかの摂取から0時間時(ベースライン)、6時間時、及び24時間時にDBS(乾燥血液スポット)試料を採取してUA-グルクロニドレベルを評価した。データを図4に示す。
【0238】
UAバイオアベイラビリティー測定
FDA Guidance for Industry及び過去に記載されたバイオ解析法検証に関するEMAガイドライン(Toney et al(2019)Obesity(Silver Spring)27(4):612-20)に従って測定を実施した。血漿中のUA及びその代謝物(すなわち、UA-グルクロニド及びUA-サルフェート)の定量化を、逆相クロマトグラフィーによるカラム分離に続いて、選択された反応モニタリングモードのトリプルステージ四重極MS/MSでの検出によって実施した。バイオアベイラビリティー評価のため、T0、T6、及びT24時間の時点にMitopureまたはPJのいずれかによって経口的介入した後に血漿レベルを評価した。血漿中の定量化限界は、親UAが5.00pg/ml、UA-グルクロニド及びUA-サルフェートの代謝物が共に5.00ng/mlであった。また、質量解析と組み合わせた液体クロマトグラフィー(LC MS/MS)を用いて乾燥血液スポット(DBS)で採取したヒト全血中のUA-グルクロニドを定量する解析法も開発し、検証した。ヒト乾燥血液スポット試料(6mmスポット)の解析については、ヒト乾燥血液スポット試料中のUA-グルクロニドの定量限界範囲は5.00~5000ng/mLであった。UA-グルクロニドの定量は、逆相液体クロマトグラフィーによるカラム分離に続いて、選択的反応モニタリングモードのトリプルステージ四重極MS/MSでの検出によって実施した。
【0239】
結果
結果からは、血漿及びDBS法のいずれにおいても、食物由来のウロリチンA前駆体に自然に曝露されてベースライン時に循環UA-グルクロニドを有する対象は非常に少ない(12%)ことが示されている。
【0240】
100%ザクロジュース(食物由来エラジタンニンが豊富)を用いた食物由来チャレンジを行った後、これらのレベルは摂取後6時間時には大きく変化しなかったが、24時間後までには約40%の対象が前駆体を代謝し、乾燥全血数滴からかなりのレベルのUA-グルクロニドが検出された。これらの対象を「高産生者」とみなした。残りの60%は、変換できない(33%)か、変換が不十分(27%)であった。対象を、血漿中の循環ウロリチンAグルクロニドレベルが100ng/ml未満の低産生者、または血漿中の循環ウロリチンAグルクロニドレベルが100ng/ml以上の高産生者に分類した。
【0241】
PJの消費と比較すると、ウロリチンA(Mitopure製品)の場合、ベースライン(10~12日の休薬期間後)では、同様のベースラインレベルが観察された。ウロリチンA(Mitopure)の経口投与後、6時間以内に100例全員のUA-グルクロニドの濃度(最大濃度-Cmax)が有意に増加した。これらのレベルは、検出可能なレベルのUA-グルクロニドを示す全ての対象で24時間時に定常状態に近づいた(6時間及び24時間の両方の時点で集団の平均値を比較すると、ウロリチンA(Mitopure)の場合のレベルはザクロジュースと比較して2倍超有意に高かった(p<0.0001))。摂取後のUAへの曝露(すなわち、曲線下面積(AUC))は、ウロリチンA(Mitopure)の方が100%ザクロジュースと比較して6倍超高かった。
【0242】
【表4】
【0243】
【表5】
【0244】
【表6】
【0245】
血漿及び乾燥血液スポットで測定したウロリチンAグルクロニドレベルの比較
UA-グルクロニドのDBS値を血漿レベルと比較して、DBS法(DBSカードにスポットした20ulの乾燥毛細血管全血)が血漿採取(12mLの静脈血)と比較して同様の正確な感度及び特異性を有するかを調べた。図5の結果は、ウロリチンA(Mitopure)摂取後6時間(A)及び24時間(B)の両方の採取時点において、2つの方法の間に非常に高い相関関係(スピアマン相関係数r=0.975)があることを示している。このように、DBS法は容易に利用することができ、より侵襲性が高い静脈からの血漿採取を置き換えることができる。
【0246】
糞便試料採取
各参加者には、V2試験来院前に自宅で試料を採取するように、スクリーニング来院時に便試料採取キット(OMNIGene OMR-200,DNA Genotek,Kanata,ON,K2V 1C2,Canada)も支給した。試験施設に返却されたら、便試料を-80℃の冷凍庫に保管した。
【0247】
実施例5A:マイクロバイオームのショットガンメタゲノムシークエンシング及び解析
NucleoSpin(登録商標)96 Soil kit(Macherey Nagel)を用いて、実施例5で採取した糞便試料の約0.1gアリコートからDNAを抽出した。DNAの抽出物からの試料のバッチごとに、また実験室でのプロセス(シークエンシングを含む)全体において、少なくとも1つの陰性対照を含めた。また、ZymoBIOMICS(商標)Microbial Community Standard(Zymo Research)も陽性(模擬)対照として解析に含めた。シークエンシングの前に、アガロースゲル電気泳動を用いてDNA試料の品質を評価し、Qubit 2.0蛍光光度計の定量化によってDNAの量を評価した。調製したDNAライブラリーは、Qubit 2.0蛍光光度計の定量化及びAgilent 2100 Bioanalyzerによる断片サイズ分布を用いて評価した。定量的リアルタイムPCR(qPCR)を使用して、シークエンシング前の最終ライブラリーの濃度を決定した。このライブラリーを、lluminaプラットフォーム上で2×150bpペアエンドシークエンシングを用いてシークエンシングした。合計99件の糞便試料を対象に、試料当たり平均19.9Mリードペア(llumina 2×150PE)の深さにシークエンシングした。試料からの高品質マイクロバイオームリードの96.5%が基準ヒト腸遺伝子カタログにマッピングされ、試料当たり平均200種のメタゲノム種(MGS)が検出された。MGSの存在量プロファイリングでは、1273種のメタゲノム種(MGS)のセットが検出され、これは、1776件の独立した基準ヒト腸管試料セット内で非常に一貫した存在量及び塩基組成を有する。解析は、メタゲノム種の概念に基づく(17)。MGSを分類学的にアノテーションするため、全てのカタログ遺伝子をNCBI RefSeqゲノムデータベース(2018-10-01)にブラストした。様々な分類学ランクでアノテーションを行うためには、異なるレベルの類似性(亜種、種、属、科、目、綱、門、超界でそれぞれ95、95、85、75、65、55、50、及び45%)と、少なくとも80%の配列カバレッジとが必要とされた。各種にマッピングされた各MGSの遺伝子のパーセンテージを算出し、遺伝子の75%超が単一の種にアノテーションされた場合、そのMGSに種レベルの分類学を割り当てた。属、科、目、綱、及び門については、それぞれ60、50、40、30、及び25%の一貫性レベルを使用した。さらに、種及び属レベルでは、10%超の別の遺伝子セットが単一の代替種/属に属する場合、MGSを割り当てなかった。
【0248】
結果
腸内マイクロバイオームの多様性及び豊かさは、UA産生者及び非産生者の識別に重要な役割を果たす
異なるレベルでUAを産生する個体の糞便試料からのマイクロバイオーム組成を、ザクロジュース摂取後にショットガンシークエンシングを用いて調べた。このメタゲノム解析では、メタゲノム種(MGS)及び遺伝子の両方の存在量を測定し、これを非産生者、低産生者、及び高産生者の群に属する対象で比較した。最初にメタゲノムプロファイルを使用して、1つの試料中の微生物のバリエーションを示すマイクロバイオームアルファ多様性を決定した。アルファ多様性は、マイクロバイオームの豊かさ(試料中に観察される種または遺伝子の数)及びマイクロバイオーム変動性の両方で評価し、シャノン指数(18)を用いて定量化した。シャノン指数は、コミュニティー内の種または遺伝子の数、及びこれらの相対的存在量を説明する。MGSベース尺度(図6A)及び遺伝子ベース尺度(図7)の両方において、低産生者及び高産生者の各々を非産生者群と比較したところ、いずれもマイクロバイオームシャノン指数に有意に高い豊かさが認められた。次に、ブレイ・カーチス非類似度を用いて、試料間のMGSの相対的存在量の差を説明するベータ多様性の変化を評価した。ブレイ・カーチス非類似度は0~1を範囲とすることができ、0は2つの試料の組成が同一であることを意味し(全ての種を同じ相対的存在量で共有する)、1は2つの試料が完全に異なることを意味する(どの種も共有しない)。ブレイ・カーチス非類似度の主座標解析(PCoA)(図6B)からは、非産生者を低産生者(p=0.048)及び高産生者(p=0.001)と比較した場合、群の明確な分離によって示されるように、全体のマイクロバイオーム組成に顕著な変化が示された。低産生者群と高産生者群との間には、明確な分離は観察されなかった。要約すると、アルファ及びベータ多様性の結果は、UAをその前駆体から変換する能力が、マイクロバイオームの豊かさ及び全体的な組成の高さと顕著に関連することを示すものである。
【0249】
UA産生者及び非産生者は異なる豊富な腸内マイクロバイオーム分類群を示す
UA産生者(低産生及び高産生ステータス)を非産生者と比較したところ、アルファ及びベータ多様性の結果に一致して、豊富な異なる分類群も見出された。最初に、門レベルでFirmicutes(F)及びBacteroidetes(B)の存在量を解析した。これは、F/B比の増加が腸及び生物の健康のいくつかのマーカーと関連しているためである(Mariat et al(2009)BMC Microbiol 2009;9:123;Wills et al(2014)PLoS One9(3):e90981;Verdam et al(2013)Obesity(Silver Spring)21(12):E607-15)。UAを産生可能な両方の群(低産生者及び高産生者)では、Bacteroidetesよりも高いFirmicutesの存在量が示されたが、非産生者群では逆のことが観察された(図6C)。F/B比は、UA産生者が非産生者と比較して有意に高かった(図6D)。次に、3つのUA産生者ステータス群の間で種(MGS)及びより高い分類群のレベルで全ての変化を解析した。低産生者群と非産生者群との間で、存在量または普及が有意に異なる4種のMGS及び2種の門が認められた(図8)。高産生者はさらに大きな差を示し、57種のMGS及び33種の分類群(14属、15科、4門)の存在量または普及が高産生者群では非産生者群と比較して有意に異なっていた(補足図6)。
【0250】
注目すべきことに、非産生者群と低産生者群との間で有意に異なる全ての分類群は、非産生者群と高産生者群との間でも有意に異なっていた。
【0251】
UA産生者と非産生者との間の生理的相違
UA産生者ステータスが全般的健康に及ぼす潜在的な影響をよりよく理解するため、参加者のBMIと心機能(HR及びDBP)との相関分析を実施した。1つの重要な観察結果は、高産生者のBMI(27+6.1kg/m2)が、低産生者(31.7+8kg/m2、p=0.01)及び非産生者(31.2+8.4kg/m2、p=0.02)と比較して有意に低かったことである(図9A)。また、高産生者群の安静時平均拡張期血圧(78.4+8mmHg)は、非産生者群(83.25+8.66mmHg)と比較して有意に(p=0.017)低かった(図9B)。安静時心拍数も、統計的に有意ではないものの、高産生者は非産生者と比較して低かった(p=0.07)(図9C)。血液学的及び血液生化学的パラメーターについては、各群間で大きな差は認められなかった。異なる群の食習慣のFFQにより、高産生者群は、低産生者群及び非産生者群よりも多くの量の果物及びベリー類を消費していることが明らかになった(図9D)。
【0252】
実施例6:尿試料中のウロリチンA及びその代謝物の測定
健康な高齢の対象において、ウロリチンAの単回(パートA)及び複数回(パートB)用量試験(パートB)を行って、安全性、忍容性、薬物動態、及び薬力学プロファイルを評価した。
【0253】
試験設計:
パートA:本試験は、健康な高齢男女ボランティア24例における二重盲検ランダム化単回用量漸増試験である。各対象を3つのコホートにおいて2回の後続の用量にランダム化した。
【0254】
パートB:本試験は、健康な高齢男女ボランティア36例における二重盲検ランダム化複数回用量漸増試験である。各対象を試験薬またはプラセボを28日間投与するようにランダム化した。
【0255】
試験目的:
健康な高齢対象におけるウロリチンAの28日間の複数回投与後の安全性及び忍容性を決定する。
【0256】
ウロリチンAの単回用量及び複数回用量の後の薬物動態プロファイルを決定する。
【0257】
ウロリチンAをソフトゲル製剤として250mgの単回用量で送達した場合と、500mg、1000mg、及び2000mgと漸増させた単回高用量を投与した場合との薬物動態プロファイルを比較する。
【0258】
ウロリチンAをソフトゲル製剤として250mgの複数回用量を28日間反復送達した場合と、500mg及び1000mgと漸増させた複数回用量を28日間反復投与した場合との薬物動態プロファイルを比較する。
【0259】
治験薬:
250mgのウロリチンA(上記の実施例2に記載)を含む1100mgソフトゲルカプセル。ソフトジェルカプセルをバルクでブリスターパックし、ラベリングは現地の規制当局の仕様及び要件に従った。
【0260】
摂取当たりの用量:
パートA:250mg、500mg、1000mg、または2000mg(1、2、4、または8カプセル)
パートB:1日250mg、1日500mg、または1日1000mg(1日1、2、または4カプセル)
【0261】
プラセボ:
レシチン、トリグリセリド、ジグリセリドを含むソフトゲルカプセル
【0262】
接種のタイミング:
パートA:ランダム化に従って各期間の1日目に単回経口用量を投与。投与は午前8時頃、約200mLの水道水を用いて、座位で、絶食条件下で行った。
【0263】
パートB:ランダム化に従って1日目から28日目まで経口反復用量を投与。投与は午前8時頃、約200mLの水道水を用いて、座位で、絶食条件下で行った。
【0264】
対象:
パートA:
61~85歳の範囲内の健康な高齢男女対象24例を本試験に含めた。
コホート1(対象8例):ウロリチンA 250mg(対象6例)またはプラセボ(対象2例)のカプセルソフトゲル製剤、次いでウロリチンA 2000mgまたはプラセボのカプセルソフトゲル製剤。
コホート2(対象8例):ウロリチンA 500mg(対象6例)またはプラセボ(対象2例)のカプセルソフトゲル製剤。
コホート3(対象8例):ウロリチンA 1000mg(対象6例)またはプラセボ(対象2例)のカプセルソフトゲル製剤。
【0265】
パートB:
61~85歳の範囲内の健康な高齢男女対象36例を本試験に含めた。
コホート1(対象12例):ウロリチンA 250mg(対象9例)またはプラセボ(対象3例)のソフトゲルカプセル製剤を28日間。
コホート2(対象12例):ウロリチンA 500mg(対象9例)またはプラセボ(対象3例)のソフトゲルカプセル製剤を28日間。
コホート3(対象12例):ウロリチンA 1000mg(対象9例)またはプラセボ(対象3例)のソフトゲルカプセル製剤を28日間。
【0266】
試験期間
パートA:
初回投与前21日以内のスクリーニング。
各期間とも48時間(1日目夕方~2日目夕方)の入院。
各期間の4日目及び5日目の来院。
休薬:各投与の間に少なくとも21日間。
試験終了時の来院:フェーズ2の5日目。
フェーズ2の7(±2)日目に経過観察の電話。
予想期間:各参加対象に対しておよそ8週間。
【0267】
パートB:
初回投与前21日以内のスクリーニング。
1日目(V1)、7日目(V2)、14日目(V3)の来院。
27日目(V4)(午後4時頃)から29日目(V6)(午前10時頃)までの入院。
各期間の31日目及び32日目に来院。
35(±2)日目に経過観察の電話。
予想される期間:各参加対象に対しておよそ8週間。
【0268】
最終来院時には、対象は、試験開始時の検査と同一の完全な臨床生物学的検査を経た。全て(AE)を記録し、継続中の場合はさらなる経過観察を設定した。経過観察は、事象が解消されるか、状態が変化する可能性が低いか、対象が経過観察不能となるまで継続した。
【0269】
ランダム化
ランダム化リストは治験依頼担当者から提供された。製品は、パートAではフェーズ1の1日目、パートBでは1日目(V1)に割り当てた。
【0270】
盲検化
バイアスを回避するため、以下の措置を行った。
・二重盲検試験
・実薬及びプラセボを含むソフトゲルカプセルは、外観上区別不可能とした。
【0271】
治験担当医師及びチームならびに対象に加えて解析センターも盲検条件においた。各対象には、製品の識別情報を含むコーディングリスト(緊急用封筒)が治験依頼担当者から提供され、臨床試験の全期間中、安全な場所に保管された。医薬品調製が必要な場合には、使用するデコーディングシステムは密封されたコーディングリストであり、担当の薬剤師に渡した。密封されたコーディングリストは安全な場所に保管し、盲検解除する権限のある任意の者がアクセス可能とした。
【0272】
薬物動態の変数
尿
投与後0時間~36時間に排泄された投与用量のパーセンテージ。Ae0-36h(パートAのみ)
尿中に排泄される総用量の%(パートAのみ)
【0273】
採尿
本試験のパートAでは、投与後0~4時間、4~8時間、8~12時間、12~24時間、及び24~36時間の各間隔で全尿を採取した。各採取期間の採尿量を重量によって注意深く測定し、eCRFに記録すると共に、採取間隔の正確な開始及び停止時間も記録した。採取した尿の各画分をホモジナイズし、間隔当たり5mLの2つのアリコートを保管し、-80℃以下で保存した。血液採取スキームを投与後36時間から96時間に延長するというプロトコル修正の後は、投与後72時間及び96時間時に追加でスポット尿試料を採取したが、尿は定量的に採取されなかった。
【0274】
生体解析
尿中のウロリチンA及びその代謝物の濃度は、妥当性が確認されたLC-MS/MSアッセイを用いて定量した。定量限界(LOQ)は、尿中のウロリチンAで10ng/mL、尿中のウロリチンAグルクロニド及びウロリチンAサルフェートで50ng/mLであった。
【0275】
【表7】
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
【国際調査報告】