(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】光子コヒーレント検出アレイ
(51)【国際特許分類】
G01S 17/89 20200101AFI20221115BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20221115BHJP
【FI】
G01S17/89
H04B10/61
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022510828
(86)(22)【出願日】2020-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 US2020047065
(87)【国際公開番号】W WO2021034972
(87)【国際公開日】2021-02-25
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522062117
【氏名又は名称】オーエーエム・フォトニックス・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OAM PHOTONICS LLC
【住所又は居所原語表記】10918 Caminito Alvarez, San Diego, California 92126 USA
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】チャン・カム・ワイ・クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・チュン・キ
【テーマコード(参考)】
5J084
5K102
【Fターム(参考)】
5J084BA40
5J084BA46
5J084BB14
5J084BB19
5J084BB34
5J084CA08
5J084CA26
5J084DA01
5J084DA09
5J084EA31
5J084FA03
5K102AD12
5K102AD15
5K102PB11
5K102PH01
5K102PH31
5K102PH49
5K102PH50
5K102RD14
(57)【要約】
本発明は、コヒーレント検出アレイおよびコヒーレント検出アレイの信号読み出しのための多重化方法に関するものである。コヒーレント検出アレイは、光子集積回路(PIC)上に実装されてもよい。それは、接続導波路および電気伝導路に結合する複数のコヒーレント検出ユニットを含んでもよく、電気伝導路は、電気信号を多重化するための読み出しチャネルとして機能してもよい。検出ユニットは、自由空間-導波路結合器と、光結合器と、光検出器とを含むように構成することができる。コヒーレント検出アレイは、コヒーレント検出アレイの高い自由度を活用することができる多重化方法を可能にする。これらの方法は、局部発振器により可能になるものと、PIC型の検出アレイの構成要素の特性および応答に関連するものとを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント検出装置であって、以下を備え、
コヒーレント検出ユニットのアレイ;
ここで、各コヒーレント検出ユニットは、
信号光を受け取るための自由空間-導波路結合器と、
局部発振光を導くための第1の導波路であって、第1の光結合器を介して前記自由空間-導波路結合器に光学的に結合される第1の導波路と、
前記第1の光結合器と光学的に結合され、かつ前記第1の光結合器から光子を受け取る1つ以上の光検出器とを備え、
複数の第2の光結合器を介して前記コヒーレント検出ユニットに光学的に結合された1つ以上の接続導波路;ここで、各接続導波路は、前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも第1のサブセットに光学的に結合され、前記コヒーレント検出ユニットの前記第1のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、前記第2の光結合器の1つを介して前記接続導波路の選択された1つと、前記各コヒーレント検出ユニットの前記第1の導波路とに光学的に結合され、
前記複数のコヒーレント検出ユニットに電気的に結合された1つ以上の電気伝導路;ここで、各電気伝導経路は、前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも第2のサブセットに電気的に結合され、前記コヒーレント検出ユニットの前記第2のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、前記各コヒーレント検出ユニットの前記1つ以上の光検出器を介して前記電気伝導路の選択された1つと電気的に結合され、
前記電気伝導路に電気的に結合された電気回路;
前記電気伝導路は、読み出しチャンネルが結合する前記光検出器から出力される電気信号を多重化するための前記読み出しチャンネルとして機能し、
前記電気回路は、前記読み出しチャンネルの前記多重化された電気信号のクロス成分に、前記読み出しチャンネルの選択された1つのコヒーレント検出ユニットのグループが主に寄与することを認識することにより、前記多重化された電気信号の前記クロス成分に関する情報を抽出するように構成され、
前記クロス成分は、前記コヒーレント検出ユニットに透過された前記信号光および前記局部発振信号の電界の積に関係する、コヒーレント検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコヒーレント検出装置において、
前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも一部の前記自由空間-導波路結合器は、偏光分離自由空間-導波路結合器であり、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットは、さらに、
局部発振光を導くための第2の導波路;ここで、前記2の導波路は、第3の光結合器を介して、前記偏光分離自由空間-導波路結合器に光学的に結合し、
前記第3の光結合器に光学的に結合され、かつ前記第3の光結合器から光子を受け取る1つ以上の光検出器を含む、コヒーレント検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコヒーレント検出装置において、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットについては、前記第1の導波路および前記第2の導波路が、1つ以上の前記第2の光結合器を介して、1つの前記接続導波路に光学的に結合される、コヒーレント検出装置。
【請求項4】
請求項2記載のコヒーレント検出装置において、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットについては、前記第1の導波路は、1つ以上の前記第2の光結合器を介して、1つの前記接続導波路に光学的に結合され、前記第2の導波路は、他の1つ以上の前記第2の光結合器を介して、他の1つの前記接続導波路に光学的に結合される、コヒーレント検出装置。
【請求項5】
コヒーレント検出装置であって、以下を備え、
コヒーレント検出ユニットのアレイ;
ここで、各コヒーレント検出ユニットは、
信号光を受け取るための自由空間-導波路結合器と、
前記自由空間-導波路結合器に光学的に結合された第1の光結合器と、
前記第1の光結合器に光学的に結合され、かつ前記第1の光結合器から光子を受け取る1つ以上の光検出器とを備え、
前記コヒーレント検出ユニットに光学的に結合された1つ以上の接続導波路;ここで、各接続導波路は、前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも第1のサブセットに光学的に結合され、前記コヒーレント検出ユニットの第1のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、前記各コヒーレント検出ユニットの前記第1の光結合器に直接光学的に結合され、
前記複数のコヒーレント検出ユニットに電気的に結合された1つ以上の電気伝導路;ここで、各電気伝導路は、前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも第2のサブセットに電気的に結合され、前記コヒーレント検出ユニットの前記第2のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、前記各コヒーレント検出ユニットの前記1つ以上の光検出器を介して、選択された1つの前記電気伝導路に電気的に結合され、
前記電気伝導路に電気的に結合された電気回路、
前記電気伝導路は、読み出しチャネルが結合する前記光検出器から出力される電気信号を多重化するための前記読み出しチャネルとして機能し、
前記電気回路は、前記読み出しチャンネルの前記多重化された電気信号のクロス成分に、前記読み出しチャンネルの選択された1つのコヒーレント検出ユニットのグループが主に寄与することを認識することにより、前記多重化された電気信号の前記クロス成分に関する情報を抽出するように構成され、
前記クロス成分は、前記コヒーレント検出ユニットに透過された前記信号光および前記局部発振信号の電界の積に関係する、コヒーレント検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載のコヒーレント検出装置において、
前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも一部の前記自由空間-導波路結合器は、偏光分離自由空間-導波路結合器であり、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットは、さらに、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器に光学的に結合された第2の光結合器、
前記第2の光結合器に光学的に結合され、かつ前記第2の光結合器から光子を受け取る1つ以上の光検出器を含む、コヒーレント検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載のコヒーレント検出装置において、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットについては、前記第1の光結合器および前記第2の光結合器は、1つの前記接続導波路に直接光学的に結合される、コヒーレント検出装置。
【請求項8】
請求項6に記載のコヒーレント検出装置において、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットについては、前記第1の光結合器は、1つの前記接続導波路に直接光学的に結合され、前記第2の光結合器は、他の1つの前記接続導波路に直接光学的に結合される、コヒーレント検出装置。
【請求項9】
請求項6に記載のコヒーレント検出装置において、
さらに、複数の第3の光結合器を含み、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットは、さらに、
前記第2の光結合器に光学的に結合された導波路を含み、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットについては、前記第1の光結合器は、1つの前記接続導波路に直接光学的に結合され、各前記コヒーレント検出ユニットの前記導波路は、1つ以上の前記第3の光結合器を介して、同一の1つの前記接続導波路に光学的に結合される、コヒーレント検出装置。
【請求項10】
請求項6に記載のコヒーレント検出装置において、
さらに、複数の第3の光結合器を含み、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットは、さらに、
前記第2の光結合器に光学的に結合された導波路を含み、
前記偏光分離自由空間-導波路結合器を含む各前記コヒーレント検出ユニットについては、前記第1の光結合器は、1つの前記接続導波路に直接光学的に結合され、各前記コヒーレント検出ユニットの前記導波路は、1つ以上の前記第3の光結合器を介して、他の1つの前記接続導波路に光学的に結合される、コヒーレント検出装置。
【請求項11】
コヒーレント検出装置を用いた光コヒーレント検出および信号読み出し方法であって、以下のステップを含み、
信号光を前記コヒーレント検出装置のコヒーレント検出ユニットの第1のサブセットに結合するステップ;
前記コヒーレント検出ユニットの第2のサブセットに1つ以上の局部発振信号を導入するステップ;ここで、前記第2のサブセットのコヒーレント検出ユニットは、前記局部発振信号を透過するための第1の共通接続導波路に光学的に結合され、前記第2のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、異なる読み出しチャネルに電気的に結合され、前記第1のサブセットは、前記第2のサブセットと重なって、前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも1つを含む第1の交差セットを規定し、
前記コヒーレント検出装置の前記第2のサブセットに関連する第1の情報を登録するステップ;ここで、前記第1の情報は、前記第2のサブセットの前記コヒーレント検出ユニットの位置と、前記第2のサブセットに導入される前記局部発振信号の物理特性とを含み、前記物理特性は、前記局部発振信号の振幅、周波数、相対位相、印加時間および持続時間の少なくとも1つを含み、
前記コヒーレント検出ユニットの光結合器で前記信号光および前記局部発振信号の光混合を行うステップ;
前記コヒーレント検出ユニットの前記光結合器から出力される混合光信号を、前記コヒーレント検出ユニットの光検出器によより検出し、前記混合光信号の情報を含む電気信号を生成するステップ;
前記電気信号を読み出し用の1つ以上の結合電気信号に結合するステップ;ここで、各前記結合電気信号は、共通読み出しチャネルに結合された前記コヒーレント検出ユニットの前記光検出器により生成された前記電気信号に結合され、
前記第1の交差セットの各コヒーレント検出ユニットについては、前記第2のサブセットに関連する前記第1の情報を用いて、前記第2の情報を認識することにより、前記結合電気信号から前記各コヒーレント検出ユニットの前記電気信号のクロス成分に関する第2の情報を個別に抽出するステップ、
前記クロス成分は、前記各コヒーレント検出ユニットに透過される前記信号光および前記局部発振信号の電界に積に関係し、
前記第2の情報を認識することは、前記共通読み出しチャネルの前記結合電気信号の前記クロス成分に、前記第2のサブセットの1つのコヒーレント検出ユニットのみが主に寄与することを認識することを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
さらに、前記コヒーレント検出ユニットの前記光検出器により生成された電気信号の直接成分を、ハイパスフィルタリングを用いて、フィルタリングするステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、
さらに、前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも一部の光検出器のペアからの信号を減算することにより、前記コヒーレント検出ユニットの光検出器により生成された前記電気信号の直接成分をフィルタリングするステップを含み、ここで、各前記コヒーレント検出ユニットに対してバランス型構成が実装される、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法において、
さらに、前記第2のサブセットに前記局部発振信号を導入するステップ、前記第1の情報を登録するステップ、前記光混合を行うステップ、前記混合光信号を検出するステップ、前記電気信号を結合するステップ、および前記第2の情報を抽出するステップを、複数回反復するステップを含み、ここで、各反復において、前記第2のサブセットは、第2の共通接続導波路に光学的に結合されたコヒーレント検出ユニットを含むように変更し、前記第2の共通接続導波路は、前記第1の共通接続導波路と異なる、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
さらに、前記反復するステップ内に、前記第1のサブセットがコヒーレント検出ユニットを含むように変更することにより、前記第1のサブセットおよび前記第2のサブセットの前記交差セットが少なくとも1つのコヒーレント検出ユニットを含むステップを含む、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法において、
さらに、以下のステップを含み、
前記コヒーレント検出ユニットの第3のサブセットのグループに1つ以上の局部発振信号を導入するステップ;ここで、各前記第3のサブセットの前記コヒーレント検出ユニットは、共通の接続導波路に光学的に結合され、各前記第3のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、異なる読み出しチャネルに電気的に結合され、前記第2のサブセットは、前記第3のサブセットの1つであり、第2の交差セットは、前記第3のサブセットの結合体に重なる前記第1のサブセットにより規定され、
前記コヒーレント検出装置の前記第3のサブセットに関連する第3の情報を登録するステップ;ここで、前記第3の情報は、前記第3のサブセットの前記コヒーレント検出ユニットの位置と、前記第3のサブセットに導入される前記局部発振信号の物理特性とを含み、前記物理特性は、前記局部発振信号の振幅、周波数、相対位相、印加時間及び持続時間の少なくとも1つを含み、前記第3の情報は、前記第1の情報を含み、
前記コヒーレント検出ユニットを複数の共通読み出しチャネルに結合するステップ;ここで、各前記共通読み出しチャネルは、各前記第3のサブセットの1つのコヒーレント検出ユニットのみに電気的に結合され、
前記第3のサブセットに前記局部発振信号を導入するステップ、前記第3の情報を登録するステップ、前記光混合を行うステップ、前記光信号を検出するステップ、前記電気信号を結合するステップを、複数回反復するステップ;ここで、各反復において、前記第3のサブセットのグループは、圧縮検知方法の適用条件を満たすように、共通の接続導波路に光学的に結合された前記コヒーレント検出ユニットの異なる組み合わせを含む前記第3のサブセットの異なるグループに変更し、
前記第3のサブセットの前記グループに前記局部発振信号を導入する前記ステップは、いくつかの共通の物理特性を示す前記局部発振信号を前記第3のサブセットの前記グループに導入するステップを含み、前記共通の物理特性は、同一の分布に従った同一の周波数および振幅の少なくとも1つを含み、
前記反復するステップは、さらに、前記結合電気信号を記録するステップを含み、
前記第1の交差セットおよび前記第2の交差セットのための前記第2の情報を抽出する前記ステップは、前記第3の情報を追加的に導入すること、および、前記圧縮センシング法に対応する信号再構成アルゴリズムを適用することにより行われ、前記第2の情報を認識することは、各前記共通読み出しチャンネルの前記結合電気信号の前記クロス成分に、各前記第3のサブセットの1つのコヒーレント検出ユニットのみが主に寄与することを認識することを含む、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法において、
さらに、以下のステップを含み、
前記コヒーレント検出ユニットの第3のサブセットのグループに1つ以上の局部発振信号を導入するステップ;ここで、各前記第3のサブセットのコヒーレント検出ユニットは、共通の接続導波路に光学的に結合され、各前記第3のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、異なる読み出しチャネルに電気的に結合され、前記第2のサブセットは、前記第3のサブセットの1つであり、第2の交差セットは、前記第3のサブセットの接続体に重なる前記第1のサブセットにより規定され、
前記コヒーレント検出装置の前記第3サブセットに関連する第3の情報を登録するステップ;ここで、前記第3の情報は、前記第3サブセットの前記コヒーレント検出ユニットの位置と、前記第3のサブセットに導入される前記局部発振信号の物理特性とを含み、前記物理特性は、前記局部発振信号の振幅、周波数、相対位相、印加時間および持続時間の少なくとも1つを含み、前記第3の情報は、前記第1の情報を含み、
前記コヒーレント検出ユニットを複数の共通読み出しチャネルに結合するステップ、ここで、各共通読み出しチャネルは、各前記第3のサブセットの1つのコヒーレント検出ユニットのみに電気的に結合され、
前記グループは、少なくとも2つの前記第3のサブセットを含み、
前記第3のサブセットに前記局部発振信号を導入する前記ステップは、有限の周波数オフセットにより互いに異なる周波数を有する前記局部発振信号を前記第3のサブセットに導入するステップを含み、
1つの前記局部発振信号は、1つの前記第3のサブセットに導入され、前記第3のサブセットの異なるものには、異なる周波数オフセットを有する局部発振信号が導入され、前記周波数オフセットは、前記第3のサブセットの異なるものに属するコヒーレント検出ユニットについては、これらのコヒーレント検出ユニットの前記光検出器により生成される電気信号が異なる周波数帯にシフトされるように選択され、
前記第1の交差セットおよび前記第2の交差セットのための前記第2の情報を抽出するステップは、前記第3の情報を追加で組み込み、各前記共通の読み出しチャネルの前記結合電気信号の前記クロス成分に、各前記第3のサブセットの1つのコヒーレント検出ユニットのみが主に寄与することを認識することにより行われる、方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法において、
さらに、以下のステップを含み、
前記コヒーレント検出ユニットの第3のサブセットのグループに1つ以上の局部発振信号を導入するステップ;ここで、各前記第3のサブセットの前記コヒーレント検出ユニットは、共通の接続導波路に光学的に結合され、各前記第3のサブセットの各コヒーレント検出ユニットは、異なる読み出しチャネルに電気的に結合され、前記第2のサブセットは、前記第3のサブセットの1つであり、第2の交差セットは、前記第3のサブセットの接続体に重なる前記第1のサブセットにより規定され、
前記コヒーレント検出装置の前記第3のサブセットに関連する第3の情報を登録するステップ;ここで、前記第3の情報は、前記第3のサブセットの前記コヒーレント検出ユニットの位置と、前記第3のサブセットに導入される前記局部発振信号の物理特性とを含み、前記物理特性は、前記局部発振信号の振幅、周波数、相対位相、印加時間及び持続時間の少なくとも1つを含み、前記第3の情報は、前記第1の情報を含み、
前記コヒーレント検出ユニットを複数の共通読み出しチャネルに結合するステップ;ここで、各共通の読み出しチャネルは、各前記第3のサブセットの1つのコヒーレント検出ユニットのみに電気的に結合され、
前記コヒーレント検出ユニットの第4のサブセットの位置に関する第4の情報を登録するステップ;ここで、前記第4のサブセットは、前記コヒーレント検出ユニットの少なくとも一部を含み、前記第1のサブセット、前記第3のサブセットおよび前記第4のサブセットは、少なくとも共通のコヒーレント検出ユニットを含み、
電気多重化回路により前記第4のサブセットの前記光検出器をオンするステップ;
前記電気多重化回路により、前記第4のサブセットに含まれない前記コヒーレント検出ユニットの前記光検出器をオフにするステップ、
前記第2の情報を抽出する前記ステップは、前記第4のサブセットにも属する前記第1の交差セットおよび前記第2の交差セットに含まれる前記コヒーレント検出ユニットに対して、前記第3の情報および前記第4の情報を追加的に組み込むことにより行われる、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
さらに、次のステップを含み、
前記第4のサブセットの前記コヒーレント検出ユニットを複数のグループに分割するステップ;ここで、各グループの前記コヒーレント検出ユニットの前記光検出器の応答性は、前記電気多重化回路によるのと同じ方法で変調され、
前記第4のサブセットの各コヒーレント検出ユニットを1つ以上の読み出しチャンネルに電気的に結合するステップ;ここで、各前記読み出しチャンネルは、前記グループの異なるものの1つ以上のコヒーレント検出ユニットに電気的に結合され、前記グループのいずれか1つからの2以上のコヒーレント検出ユニットに結合されることなく、
異なるグループの前記コヒーレント検出ユニットの前記光検出器の前記応答性を、有限の周波数オフセットにより互いに異なる周波数で変調するステップ;ここで、前記周波数オフセットは、共通の読み出しチャネルに結合するこれらのコヒーレント検出ユニットについては、これらのコヒーレント検出ユニットの前記光検出器により生じる前記電気信号が異なる周波数帯にシフトされるように選択され、
前記第2の情報を抽出する前記ステップは、各前記読み出しチャネルの前記結合電気信号の前記クロス成分に、光検出器が異なる周波数帯にシフトされた電気信号を生成する前記第4のサブセットのコヒーレント検出ユニットが主に寄与することを認識することにより行われ、
前記第2の情報を抽出する前記ステップは、変調された前記光検出器の前記応答性に関連する第5の情報を組み込むことにより行われ、前記第5の情報は、前記応答性の変調周波数および振幅を含む、方法。
【請求項20】
請求項1に記載のコヒーレント検出装置において、
コヒーレント検出ユニットの前記グループが複数のコヒーレント検出ユニットを含む場合、前記グループの各コヒーレント検出ユニットは、各前記コヒーレント検出ユニットの寄与を前記クロス成分から一意に識別可能にする信号機能で前記クロス成分に寄与する、コヒーレント検出装置。
【請求項21】
請求項5に記載のコヒーレント検出装置において、
コヒーレント検出ユニットの前記グループが複数のコヒーレント検出ユニットを含む場合、前記グループの各コヒーレント検出ユニットは、各前記コヒーレント検出ユニットの寄与を前記クロス成分から一意に識別可能にする信号機能で前記クロス成分に寄与する、コヒーレント検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスレファレンス
本出願は、2019年8月20日に出願された米国仮特許出願第62/889,065号の利益を主張するものであり、この出願はその全体が本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、光コヒーレント検出に関し、特に、光コヒーレント検出のための検出アレイに関する。
【背景技術】
【0003】
光コヒーレント検出は、光ヘテロダイン検出としても知られ、直接光検出が光信号の光強度のみを測定するのに対し、通常は局部発振器(LO)と呼ばれる基準光信号に対する光信号の電界振幅および位相の両方を測定することができる。コヒーレント検出の利点は、ショットノイズの少ない光増幅、背景光の除去、位相による付加情報の提供等にある。
【0004】
検出アレイとは、空間的な並列性を利用してシーンの信号を高速に取得する検出ユニットのアレイであり、撮像システムの焦点面で使用される場合は、フォーカルプレーンアレイ(FPA)と呼ばれる。CCDおよびCMOSイメージセンサーのような従来の検出アレイ技術は、直接光学的に検出するモードでのみ動作する。並列空間コヒーレント検出を実現するためには、直接検出アレイを干渉構成にする必要があり、検出アレイ上の信号光およびLOを論理的(coherently)に結合するための自由空間バルク光学系が必要となる。しかしながら、このような構成は、嵩張るだけでなく、入射信号光のLOビームへの空間モードマッチングがコヒーレント検出の効率に影響を与えるという問題がある。
【0005】
光子集積回路(PIC)技術に基づくコヒーレント検出アレイは、光子チップ上で光干渉を行うことにより、コヒーレント撮像システムを大幅に簡素化し、信号光およびLO光は、通常、同じ導波路モードで現れるため、モードマッチングの問題は論理的に解決される。PICに基づくコヒーレント検出アレイの既知の形態には、非特許文献1[Firooz Aflatouni, Behrooz Abiri、 Angad Rekhi, and Ali Hajimiri, "Nanophotonic coherent imager," Optics Express 23, 5117-5125 (2015)]に記載されたナノ光子コヒーレントイメージャー(NCI)がある。NCIでは、コヒーレント検出アレイは、各検出画素の光アンテナ(グレーティング結合器)が、検出領域外の方向性結合器および光検出器に導波路で個別に接続されるように構成されている。NCIの画素ピッチは、導波路のスペースを確保するために画素数に応じて直線的に大きくなり、よって、PICチップのサイズは、画素数に応じて二次関数的に大きくなる。そのため、サイズおよびコストが重視される場合には、上記NCI方式は、数画素が制限される場合がある。
【0006】
さらに、リアルタイム検出が有効な特定のコヒーレント検出用途については、コヒーレント検出アレイが高いフレームレートで動作することが望まれる。これらのアプリケーションには、周波数変調連続波(FMCW)光検出、測距(LIDAR)および光コヒーレンス・トモグラフィー(OCT)がある。最近の高画素直接検出アレイは、画素アレイの各列または各画素にアナログ・デジタル回路(ADC)を搭載し、並列に読み出しおよび変換を行うことにより、高いフレームレートを実現する。しかしながら、これらの検出アレイは、画素信号を行毎に列アドレス回路の水平レジスタに転送する必要がある。最新のCMOS型の直接検出アレイは、フレームストレージを用いているため、非常に高いサンプリングレートで動作するが、フレームストレージ回路により検出アレイの画素数が大幅に制限される。一般に、既存のコヒーレントアレイまたは直接検出アレイの設計およびその動作は、画素数とフレームレートとの間にトレードオフの関係がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態では、光子集積回路(PIC)上に実装されたコヒーレント検出アレイと、検出アレイの特性を活用したコヒーレント検出信号の読み出しのための多重化方法について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
コヒーレント検出アレイは、接続導波路および電気伝導路と結合する複数のコヒーレント検出ユニットを含むことができ、局部発振(LO)光が接続導波路を介してコヒーレント検出ユニットに導入される。検出ユニットは、自由空間を含むがこれに限定されない媒体から検出ユニットに入射する信号光を受け取る自由空間-導波路結合器と、信号光およびLO光を混合する光結合器と、混合された信号-LO光を測定する光検出器とを含むように構成されてもよい。電気伝導路は、電気信号を多重化するための読み出しチャネルとして機能し、読み出しチャネルは、複雑な導波路のルーティングまたは光スイッチングを必要とせずに、検出ユニットの積み重ねおよびコヒーレント検出アレイの拡張性を促進することができる。また、コヒーレント検出アレイは、コヒーレント検出アレイの高い自由度を利用した多重化方法を可能とする。これらの方法には、局部発振器により可能になるものと、PIC型の検出アレイの構成要素の特性および応答に関連するものとがある。コヒーレント検出アレイの拡張可能な設計と、そのアレイに適用可能な多重化方法とにより、コヒーレント検出アレイは、高画素数および高フレームレート動作を同時に実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
当業者であれば、図面は、主に説明のためのものであり、本明細書に記載された発明対象の範囲を限定することを意図したものではないことを理解するであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、場合によっては、異なる特徴の理解を容易にするために、本明細書に開示される本発明の主題の種々の側面が、図面において誇張または拡大して示される場合がある。
【0010】
【
図1】2つの光検出器を採用した本発明の第1の好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニットの構成の一例を示す。
【
図2】
図1の実施形態が採用された本発明の第2の好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイの構成例を示す。
【
図3】コヒーレント検出ユニットの光検出器の1つ以上の電極が異なる行を横切る代わりに、異なる列を横切る電気伝導路により接続される
図2の変形例である。
【0011】
【
図4】本発明の第3の好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニットの他の構成例を示す。単一の光検出器が採用された実施形態である。
【
図5】検出ユニットを簡素化するために、1つ以上の導波路および/または光結合器が除去された
図4の変形例である。
【0012】
【
図6】各検出ユニットで単一の光検出器が採用された本発明の第4の好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイの構成例を示す。
図4の実施形態が採用されたコヒーレント検出アレイである。
【
図7】
図6の第1の変形例であり、検出ユニットの光検出器の1つ以上の電極が、異なる行を横切る代わりに、異なる列を横切る電気伝導路により接続されている。
【
図8】
図5の実施形態が採用された
図6の第2の変形例である。
【0013】
【
図10】入力光の2つの偏光が検出ユニットで個別に検出される本発明の第5の好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニットの構成例を示す。入力光が偏光分離自由空間-導波路結合器を介して検出ユニットに結合され、各偏光の検出のために単一の光検出器が採用された実施形態である。
【
図11】入力光の2つの偏光を干渉させるために、単一の局部発振器を用いた
図10の第1の変形例である。
【
図12】コヒーレント検出ユニットを簡略化するために、1つ以上の導波路を省略した
図10の第2の変形例である。
【0014】
【
図14】入力光の2つの偏光がアレイの検出ユニットで個別に検出される本発明の第6の好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイの構成例を示す図である。
図10の実施形態が採用されたコヒーレント検出アレイである。
【
図15】検出ユニットの光検出器の1つ以上の電極が、異なる行を横切る代わりに、異なる行を横切る電気伝導路により接続された
図14の第1の変形例である。
【0015】
【
図22】入力光の2つの偏光が検出ユニットで個別に検出される本発明の第7の好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニットの他の構成例である。入力光が偏光分離自由空間-導波路結合器を介して検出ユニットに結合され、各偏光の検出のために2つの光検出器が採用された実施形態である。
【
図23】入力光の2つの偏光を干渉させるために、単一の局部発振源が使用される
図22の変形例である。
【0016】
【
図24】入力光の2つの偏光がアレイの検出ユニットで個別に検出される本発明の第8の好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイの他の構成例を示す。
図22の実施形態が採用されたコヒーレント検出アレイである。
【
図25】検出ユニットの光検出器の1つ以上の電極が、異なる行を横切る代わりに、異なる列を横切る電気伝導路により接続された
図24の第1の変形例である。
【0017】
【
図28】コヒーレント検出アレイと、光入力回路と、電気多重化回路と、電気読み出し回路とを備えるコヒーレント検出装置の概念的な構成を示す。
【0018】
【
図29】
図29Aおよび
図29Bは、本発明のコヒーレント検出アレイに局部発振器を利用した多重化方法の一実施形態の概念をグラフで示す。
図29Aは、局部発振器に周波数オフセットを使用しないコヒーレント検出アレイにおいて、接続された検出ユニットの光電流または信号を合成した周波数スペクトルの一例を示すグラフである。
図29Bは、局部発振器に周波数オフセットを適用したコヒーレント検出アレイにおいて、接続された検出ユニットの光電流または信号を合成した周波数スペクトルの一例を示すグラフである。
【0019】
【
図30】
図30A~
図30Cは、本発明のコヒーレント検出アレイの光検出器応答性を利用した多重化方法の一実施形態の概念をグラフで示す。
図30Aは、光検出器応答性を変調しないコヒーレント検出アレイにおいて、接続された検出ユニットの光電流または信号を合成した周波数スペクトルの一例を示すグラフである。
図30Bは、光検出器応答性を変調したコヒーレント検出アレイにおいて、接続された検出ユニットの光電流または信号を合成した周波数スペクトルの一例を示すグラフである。
図30Cは、光検出器応答性を変調したバランス型構成のコヒーレント検出アレイにおいて、接続された検出ユニットの光電流または信号の差を合成した周波数スペクトルの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
コヒーレント検出アレイを高画素数で実現するためには、アレイ画素の設計が余分な複雑さを伴わずに拡張可能であることから望ましい。また、検出アレイの従来の設計では、時分割および空間分割多重化による信号読み出し方式が一般的に使用されるが、画素数とフレームレートとの間にはトレードオフの関係がある。そのため、信号の多重化の自由度が高いことが望まれている。
【0021】
本技術は、画素数の高い拡張性を実現するコヒーレント検出アレイのアプローチを提供する。また、使用すべき時間領域および空間領域の自由度に加えて、アレイの高い自由度を追加することにより、読み出し時の信号の多重化が可能である。ここでは、コヒーレント検出アレイの画素は、コヒーレント検出アレイのコヒーレント検出ユニットまたは単に検出ユニットと呼ばれる。
【0022】
高画素数の設計のための拡張性を実現するために、コヒーレント検出アレイは、画素、すなわちコヒーレント検出ユニットでの光干渉および検出を行うように構成される。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、PIC技術を用いて光子チップ上に実装されてもよく、コヒーレント検出アレイの各検出ユニットは、LO光をユニット内に導入する導波路と、信号光をPICチップ内に結合する自由空間-導波路結合器と、LO光および信号光を混合する光結合器と、混合光を測定するオンチップ光検出器とを含むように構成することができる。各検出ユニットは、導波路および電気伝導路により接続してコヒーレント検出アレイを形成し、多重化方法により各検出ユニットの信号読み出しを可能にし得る。
【0023】
信号の多重化では、高い自由度を光学領域および電気領域に分類することができる。これらは、局部発振器により実現されるものと、PIC型のコヒーレント検出アレイの構成要素の特性および応答に関連するものとがある。
【0024】
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明し、コヒーレント検出ユニット、コヒーレント検出アレイおよび多重化方法の設計を示す。
コヒーレント検出ユニットおよびコヒーレント焦点面アレイ
第1の好適実施形態
【0025】
以下、本好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニット100を、その平面図を示す
図1を参照して説明する。
図1に示すコヒーレント検出ユニット100は、自由空間-導波路結合器11と、光結合器12-1、12-2と、導波路13-1、13-2、13-3、13-4、13-5と、光検出器14-1、14-2と、電極15-1、15-2、15-3、15-4とを含むように構成されている。また、コヒーレント検出ユニット100は、1つ以上の変調器および/または加熱器のような追加の構成要素を含むように構成されてもよく、これらは、コヒーレント検出ユニットの特性を変調または変更するために使用されてもよい。これらの追加の構成要素は、
図1に示していない。コヒーレント検出ユニット100は、光導波路技術を用いて基板16上に集積してもよい。
【0026】
導波路13-1は、局部発振光ELO,inが導入され得る一端(入射端)と、局部発振光ELO,outが透過され得る他端(出射端)とを有する光導波路である。光結合器12-1は、局部発振光ELO,inの一部を導波路13-1から導波路13-2に分割することができる。導波路13-2は、局部発振光を光結合器12-2にまで通過させ得る。光結合器12-1としては、限定されないが、Y字型ジャンクション、方向性結合器およびマルチモード干渉計が挙げられる。
【0027】
自由空間-導波路結合器11は、信号光ESig,inがコヒーレント検出ユニット100に結合可能な部分である。信号光ESig,inは、自由空間-導波路結合器11が実装された光子チップの平面に対して垂直な方向または斜め方向から入射してもよい。自由空間-導波路結合器11により受け取られる光は、導波路13-3を通過して光結合器12-2に流れることができる。自由空間-導波路結合器11は、一般に、自由空間または媒体からの光を光子チップに結合する光アンテナである。自由空間-導波路結合器としては、限定されないが、PIC設計で一般的に使用される回折格子結合器、および新規の光子マイクロ/ナノ構造体が挙げられる。
【0028】
光結合器12-2は、入力ポートとしての導波路13-2、13-3と、出力ポートとしての導波路13-4、13-5とを備える結合器である。入力導波路13-2からの局部発振光と入力導波路13-3からの信号光とは、光結合器12-2で混合され、干渉することができる。光結合器12-2は、入力導波路13-2の光が出力導波路13-4、13-5間で、ある割合で分割され、同様に、入力導波路13-3の光も出力導波路13-4と13-5との間で、ある割合で分割されるように構成されている。割合は固定であってもなくてもよく、光結合器に入力される光の特性(限定されないが、波長等)、光結合器の特性や条件(限定されないが、温度等)、その他の不特定要因に依存してもしなくてもよい。光結合器12-2としては、限定されないが、方向性結合器およびマルチモード干渉計が挙げられる。
【0029】
光結合器12-2が50/50結合器であるバランス型構成のようないくつかの側面では、入力導波路13-2の光は、出力導波路13-4、13-5間で大きさが等しく分割されてもよく、入力導波路13-3の光は、出力導波路13-4、13-5間で大きさが等しく分割されてもよい。
【0030】
光検出器14-1は、導波路13-4から入力される光を検出する。光検出器14-1により導波路13-4からの光が検出されると、光電流が発生して電極15-1、15-2に流れ得る。同様に、光検出器14-2は、導波路13-5から入力される光を検出する。光検出器14-2により導波路13-5からの光が検出されると、光電流が発生して電極15-3、15-4に流れ得る。いくつかの側面では、電極15-1、15-2の一方がアノードを示し、他方の電極がカソードを示すことができる。同様に、電極15-3、15-4の一方がアノードを示し、他方の電極がカソードを示すことができる。
【0031】
いくつかの側面では、光検出器14-1、14-2により生成された各光電流は、直接成分およびクロス成分を含むことができ、ノイズ成分も存在してもよい。直接成分は、信号光および局部発振光の平均強度に比例する。クロス成分は、信号光および局部発振光の電界の積、すなわち〈ELO,in(t)ESig,in(t)〉(ここで、tは時間を表し、〈・〉は光検出器の帯域幅に反比例するような継続時間での時間平均を表す。)に比例する。説明を簡素化にするために、ノイズ成分を光電流の直接成分に含めてもよい。
【0032】
いくつかの側面では、クロス成分は、局部発振光による信号光のビートを示してもよく、ビート周波数は、信号光と局部発振光との周波数の和または差に等しい。和のビート周波数は、通常、非常に高いため、対応する光電流成分は、時間的に平均化されたり、光検出器の有限の応答により抑制されたりしてもよい。差のビート周波数は、通常、中間の周波数であり、対応する光電流成分は、さらなる処理のために時間的に分解される場合がある。
【0033】
光結合器12-2が50/50結合器であるバランス型構成のようないくつかの側面では、光検出器14-1、14-2による光電流の差を取ることにより、光電流の直接成分は、可能な残余のノイズ成分を除いて相殺され、一方、光電流のクロス成分は、光検出器14-1、14-2による光電流のクロス成分間の位相差に応じて加算され得る。
【0034】
他の側面では、光検出器14-1、14-2により生成される光電流は、光検出器の応答性を変調することにより変調されてもよい。
第2の好適実施形態
【0035】
本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ200、210の2つの例を、
図2および
図3を参照して説明する。
【0036】
図2は、コヒーレント検出アレイ200の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ200は、
図1に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット100の複数のユニットを含むように構成されている。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ200は、コヒーレント検出ユニットの他の実施形態を含んでもよい。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ200は、コヒーレント検出ユニット100の複数のユニットを、直線的な構成で連結することにより構成されてもよい。他の側面では、コヒーレント検出アレイの実施形態は、コヒーレント検出ユニット100の複数のユニットを、直線的な構成以外の幾何学的形状で連結することにより構成されてもよい。コヒーレント検出アレイ200は、光導波路技術を用いて基板26上に集積してもよい。
【0037】
直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。ここで、MおよびNは、正の整数である。一例として、
図2に示すコヒーレント検出アレイ200の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット100である12個のコヒーレント検出ユニット100-1、100-2、100-3、100-4、100-5、100-6、100-7、100-8、100-9、100-10、100-11、100-12を含む。
【0038】
コヒーレント検出アレイ200の各行は、導波路13-1を用いて、一連のコヒーレント検出ユニット100を連結することにより構成することができる(
図1参照)。いくつかの側面では、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイは、コヒーレント検出ユニット100の導波路13-1の出射端が、次のコヒーレント検出ユニット100の導波路13-1の入射端に接続されるように構成されることにより、検出ユニットの透過LO光E
LO,outが、次に接続されたユニットの入射LO光E
LO,inとすることができる。そのため、ある行の一連の導波路13-1は、その行の接続導波路を構成し、その導波路の役割を示すため、その行の行符号化導波路とも呼ばれる。接続導波路のLO光は、光結合器12-1を介して、接続されたコヒーレント検出ユニット100に結合することができる(
図1および
図2参照)。このような構成では、コヒーレント検出アレイの同じ行の検出ユニットは、同一の局部発振光を共有してもよく、行の各ユニットは、接続導波路から局部発振光の一部を利用(tap)する。一行の異なるコヒーレント検出ユニットが分割する局部発振光の割合は、同じであっても異なってもよい。
【0039】
接続導波路は、単一行のコヒーレント検出ユニットを接続してもよいし、2行以上のコヒーレント検出ユニットを接続してもよい。接続導波路は、単一行の全てのコヒーレント検出ユニットを接続しなくてもよい。コヒーレント検出アレイのコヒーレント検出ユニットの構成および配置に応じて、一行が直線であってもなくてもよい。
【0040】
図2を参照すると、行符号化導波路21-1、21-2、21-3は、それぞれ局部発振光E
LO,in m(m=1、2、3に対応)が導入され得る一端と、局部発振光E
LO,out m(m=1、2、3に対応)が透過され得る他端とを有する。M行のコヒーレント検出アレイの場合、指数mは1~Mの範囲である。
図2では、行符号化導波路21-1の局部発振光は、光結合器12-1を介してコヒーレント検出ユニット100-1、100-2、100-3、100-4に結合されている。同様に、行符号化導波路21-2の局部発振光は、光結合器12-1を介して、コヒーレント検出ユニット100-5、100-6、100-7、100-8に結合され、行符号化導波路21-3の局部発振光は、光結合器12-1を介して、コヒーレント検出ユニット100-9、100-10、100-11、100-12に結合されている。コヒーレント検出ユニット100-1、100-2、100-3、100-4、100-5、100-6、100-7、100-8、100-9、100-10、100-11、100-12の光結合器12-1は、光結合器12-1の適切な設計により、同一または異なる割合の光をユニットに分割することができる。
【0041】
局部発振光E
LO,in m(m=1、2、...、Mであり、Mはコヒーレント検出アレイの行数であり、
図2の例ではM=3である。)は、同一または異なる光周波数、同一または異なる大きさ(ゼロ振幅を含む)、および同一または異なる相対位相を有してもよい。また、局部発振光E
LO,in mは、同一または異なる時間に、同一または異なる持続時間で照射してもよい。局部発振光E
LO,in mは、同一または異なる光源からコヒーレント検出ユニットのアレイに導入されてもよい。光源はオンチップ光源でも、光子チップ外の外部光源でもよい。これらの光源は、光子基板26上のコヒーレント検出アレイと同一位置または非同一位置に配置されたいくつかの光スイッチおよびネットワークにより制御され得る。光源および光スイッチ・ネットワークは、
図2に示していない。
【0042】
いくつかの側面では、多重化された読み出し可能な検出アレイを形成するために、コヒーレント検出ユニットの複数の行は、列読み出し配線とも呼ばれる電気伝導路により直列に連結され、検出アレイの各列のコヒーレント検出ユニットは、コヒーレント検出アレイの周辺部に配置された読み出し回路に接続される同一の電気コンセントを共有してもよい。これらの電気伝導路は、多重化のための読み出しチャネルとして機能することができる。また、以下では、名称を簡単にするために、電気伝導路を配線とも呼ぶ。
【0043】
複数のコヒーレント検出ユニットを接続する電気伝導路は、単一の列のコヒーレント検出ユニットを接続しても、2列以上のコヒーレント検出ユニットを接続してもよい。電気伝導路は、単一の列の全てのコヒーレント検出ユニットを接続しなくてもよい。コヒーレント検出アレイのコヒーレント検出ユニットの構成および配置に応じて、一列が直線であっても、なくてもよい。
【0044】
いくつかの側面では、
図2に示す本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイは、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線に接続され、光検出器14-1の電極15-2および光検出器14-2の電極15-4が共通の列読み出し配線に接続されるように構成し得る。他の側面では、光検出器14-1の電極15-2および光検出器14-2の電極15-4は、共通の列読み出し配線に代えて、個別の列読み出し配線に接続されてもよい。同一の電気伝導路に接続された検出ユニットから得られる電気信号は、統合され(信号の符号または方向に応じて、合計または差分され)、周辺読み出し回路に接続され得る出力端子に一括して伝達される。コヒーレント検出アレイの周辺読み出し回路は、
図2に示していない。
【0045】
図2のコヒーレント検出アレイ200の実施形態は、各行が4つのコヒーレント検出ユニット100を含む3行を備える構成を示し、4列の異なる行上の光検出器の電極が列読み出し配線で接続されている。
図2に示す1列目のコヒーレント検出ユニット100-1、100-5、100-9については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-1に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-1に接続され、光検出器14-1の電極15-2および光検出器14-2の電極15-4が列読み出し配線24-1に接続されている。列読み出し配線22-1の出力端の電流は、光検出器14-1からの光電流の和であり、列読み出し配線23-1の出力端の電流は、光検出器14-2からの光電流の和であり、列読み出し配線24-1の出力端の電流は、光電流の方向に応じて、光検出器14-1、14-2からの光電流の和または差である。
【0046】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット100-2、100-6、100-10については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-2に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-2に接続され、光検出器14-1の電極15-2および光検出器14-2の電極15-4が列読み出し配線24-2に接続されている。列読み出し配線22-2の出力端の電流は、光検出器14-1からの光電流の和であり、列読み出し配線23-2の出力端の電流は、光検出器14-2からの光電流の和であり、列読み出し配線24-2の出力端の電流は、光電流の方向に応じて、光検出器14-1、14-2からの光電流の和または差である。
【0047】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット100-3、100-7、100-11については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-3に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-3に接続され、光検出器14-1の電極15-2および光検出器14-2の電極15-4が列読み出し配線24-3に接続されている。列読み出し配線22-3の出力端の電流は、光検出器14-1からの光電流の和であり、列読み出し配線23-3の出力端の電流は、光検出器14-2からの光電流の和であり、列読み出し配線24-3の出力端の電流は、光電流の方向に応じて、光検出器14-1、14-2からの光電流の和または差である。
【0048】
同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット100-4、100-8、100-12については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-4に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-4に接続され、光検出器14-1の電極15-2および光検出器14-2の電極15-4が列読み出し配線24-4に接続されている。列読み出し配線22-4の出力端の電流は、光検出器14-1からの光電流の和であり、列読み出し配線23-4の出力端の電流は、光検出器14-2からの光電流の和であり、列読み出し配線24-4の出力端の電流は、光電流の方向に応じて、光検出器14-1、14-2からの光電流の和または差である。
【0049】
図2では、パッドPaは、周辺読み出し回路に接続され得る列読み出し配線の出力端子である。
【0050】
図2では、コヒーレント検出アレイのコヒーレント検出ユニットは、電気伝導路、すなわち列読み出し配線により、4つの異なるサブセット(列)にグループ化されていると見なすことができ、アレイの各コヒーレント検出ユニットは、電気伝導路によりグループ化された単一のサブセットに含まれる。あるいは、コヒーレント検出アレイのコヒーレント検出ユニットは、接続導波路、すなわち行符号化導波路により、3つの異なるサブセット(行)にグループ化されているとも見なすことができ、各コヒーレント検出ユニットが接続導波路によりグループ化された単一のサブセットに含まれる。コヒーレント検出アレイの各コヒーレント検出ユニットは、行符号化導波路および列読み出し配線により規定することができる。
第2の好適実施形態の変形例
【0051】
図3は、コヒーレント検出アレイ210の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ210は、
図2に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイの変形例である。コヒーレント検出アレイ200と同様に、コヒーレント検出アレイ210は、
図1に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット100の複数のユニットを含むように構成することができる。コヒーレント検出アレイ210の各行は、導波路13-1を用いて、一連のコヒーレント検出ユニット100を連結することにより構成することができる(
図1参照)。コヒーレント検出ユニット100の複数行を電気伝導路で直列に連結して、検出アレイを構成してもよい。一例として、
図3に示すコヒーレント検出アレイ210の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット100である12個のコヒーレント検出ユニット100-1、100-2、100-3、100-4、100-5、100-6、100-7、100-8、100-9、100-10、100-11、100-12を含む。
【0052】
コヒーレント検出アレイ200と同様に、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ210は、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器14-1の電極15-1または電極15-2のいずれかが列読み出し配線に接続され、同様に、光検出器14-2の電極15-3または電極15-4のいずれかが列読み出し配線に接続されるように構成し得る。
【0053】
コヒーレント検出アレイ200とは異なり、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ210は、コヒーレント検出ユニットの光検出器の他の電極が、列読み出し配線により異なる行を横切る代わりに、行符号化配線とも呼ばれる電気伝導路により異なる列を横切って接続されるように構成し得る。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ210の各行のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器14-1の電極15-1または電極15-2のいずれかが行符号化配線に接続されてもよく、同様に、光検出器14-2の電極15-3または電極15-4のいずれかが行符号化配線に接続されてもよい。他の側面では、2つの行符号化配線は、個別の配線に代えて、共通の配線に統合されてもよい。行符号化配線は、検出アレイの行符号化導波路と同様または異なる役割を有するコヒーレント検出アレイの信号を多重化するために利用されてもよい。
【0054】
図3に示すコヒーレント検出アレイ210を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット100-1、100-5、100-9については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-1に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-1に接続されている。
【0055】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット100-2、100-6、100-10については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-2に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-2に接続されている。
【0056】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット100-3、100-7、100-11については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-3に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-3に接続されている。
【0057】
同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット100-4、100-8、100-12については、光検出器14-1の電極15-1が列読み出し配線22-4に接続され、光検出器14-2の電極15-3が列読み出し配線23-4に接続されている。
【0058】
他方で、コヒーレント検出アレイの210の1行目のコヒーレント検出ユニット100-1、100-2、100-3、100-4については、光検出器14-1の電極15-2が行符号化配線27-1に接続され、光検出器14-2の電極15-4が行符号化配線28-1に接続されている。
【0059】
同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット100-5、100-6、100-7、100-8については、光検出器14-1の電極15-2が行符号化配線27-2に接続され、光検出器14-2の電極15-4が行符号化配線28-2に接続されている。
【0060】
同様に、3行目のコヒーレント検出ユニット100-9、100-10、100-11、100-12については、光検出器14-1の電極15-2が行符号化配線27-3に接続され、光検出器14-2の電極15-4が行符号化配線28-3に接続されている。
【0061】
図3のパッドPaは、周辺電気回路に接続され得る列読み出し配線および行符号化配線の端子である。
【0062】
図3では、コヒーレント検出アレイのコヒーレント検出ユニットは、いくつかの電気伝導路、すなわち列読み出し配線により、4つの異なるサブセット(列)にグループ化され、他の電気伝導路、すなわち行符号化配線により、3つの異なるサブセット(行)にグループ化されていると見なすことができ、アレイの各コヒーレント検出ユニットは、電気伝導路によりグループ化された2つのサブセット(1列および1行)に含まれる。コヒーレント検出アレイの各コヒーレント検出ユニットは、行符号化配線および列読み出し配線により特定されてもよい。あるいは、コヒーレント検出アレイのコヒーレント検出ユニットは、接続導波路、すなわち行符号化導波路により3つの異なるサブセット(行)にグループ化されていると見なすことができ、各コヒーレント検出ユニットが接続導波路によりグループ化される単一のサブセットに含まれる。コヒーレント検出アレイの各コヒーレント検出ユニットは、行符号化導波路および列読み出し配線により特定されてもよい。
第3の好適実施形態
【0063】
本好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニット300、310の2つの例を、
図4および
図5を参照して説明する。
【0064】
図4は、コヒーレント検出ユニット300の平面図を示す。
図4に示すコヒーレント検出ユニット300は、自由空間-導波路結合器31と、光結合器32-1、32-2と、導波路33-1、33-2、33-3、33-4と、光検出器34と、電極35-1、35-2とを含むように構成されている。また、コヒーレント検出ユニット300は、1つ以上の変調器および/または加熱器のような追加の構成要素を含むように構成されてもよく、これらは、コヒーレント検出ユニットの特性を変調または変更するために使用されてもよい。これらの追加の構成要素は、
図4に示していない。コヒーレント検出ユニット300は、光導波路技術を用いて基板36上に集積してもよい。
【0065】
コヒーレント検出ユニット300は、
図1に示すコヒーレント検出ユニット100の改良版である。コヒーレント検出ユニット300は、
図1に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット100を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0066】
図1および
図4に示すコヒーレント検出ユニットの2つの実施形態間の本質的な違いは、コヒーレント検出ユニット100の2つの光検出器14-1、14-2に代えて、コヒーレント検出ユニット300において1つの光検出器34を使用していることにある。また、コヒーレント検出ユニット300の光結合器32-2は、入力ポートとして導波路33-2、33-3と、出力ポートとして導波路33-4とを備える結合器である。光結合器32-2は、適切に終端された自由出力ポートを有する2×2方向性結合器、Y字型ジャンクション、または少なくとも2つの入力ポートおよび1つの出力ポートにより光を混合する他の形態で実現してもよい。
【0067】
いくつかの側面では、光検出器34により生成された光電流は、時間的にゆっくりと変化する直接成分と、時間的に急激に変化するクロス成分とを含むことができ、ノイズ成分も存在してもよい。コヒーレント検出ユニット300に使用される光検出器が1つのみの場合、光検出器34により生成された光電流を適切なフィルタでフィルタリングして、光電流の直接成分を抑制する必要がある場合がある。フィルタは、検出ユニットに設置しても、検出ユニットに設置しなくてもよい。フィルタは、
図4に示していない。
第3の好適実施形態の変形例
【0068】
図5は、コヒーレント検出ユニット310の平面図を示す。
図5に示すコヒーレント検出ユニット310は、
図4に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット300の変形例である。
【0069】
図5に示すコヒーレント検出ユニット310は、
図4に示すコヒーレント検出ユニット300と同様であるが、簡略化のために導波路33-2を省略し、光結合器32-1、32-2を単一の光結合器32-3に統合した点が本質的に異なる。
図5のコヒーレント検出310の光結合器32-3は、
図4のコヒーレント検出ユニット300の光結合器32-1、32-2の両方の役割を果す。コヒーレント検出ユニット310については、光結合器32-3は、導波路33-1の局部発振光と導波路33-3の信号光とを直接混合することができる。混合光は、導波路33-4、導波路33-1の出射セグメントに伝達され得る。
【0070】
いくつかの側面では、コヒーレント検出ユニット310の光結合器32-3は、導波路33-3からの信号光の大半の部分を導波路33-4に伝達し、導波路33-3からの信号光の僅かな部分を導波路33-1の出射セグメントに伝達するように構成され得る。光結合器32-3の光分割比の一例は、999:1である。
第4の好適実施形態
【0071】
本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ400、410、420、430の4つの例を、
図6、
図7、
図8および
図9を参照して説明する。
【0072】
図6は、コヒーレント検出アレイ400の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ400は、
図4に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット300の複数のユニットを含むように構成されている。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ400は、コヒーレント検出ユニットの他の実施形態を含んでもよい。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ400は、コヒーレント検出ユニット300の複数のユニットを、直線的な構成で連結することにより構成されてもよい。他の側面では、コヒーレント検出アレイの実施形態は、コヒーレント検出ユニット300の複数のユニットを、直線的な構成以外の幾何学的形状で連結することにより構成されてもよい。コヒーレント検出アレイ400は、光導波路技術を用いて基板46上に集積してもよい。
【0073】
図6に示すコヒーレント検出アレイ400は、
図2に示すコヒーレント検出アレイ200と同様であるが、コヒーレント検出ユニット200で使用されるコヒーレント検出ユニット100に代えて、
図4に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット300を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。一例として、
図6に示すコヒーレント検出アレイ400の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット300である12個のコヒーレント検出ユニット300-1、300-2、300-3、300-4、300-5、300-6、300-7、300-8、300-9、300-10、300-11、300-12を含む。
【0074】
コヒーレント検出アレイ400は、
図2に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ200を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0075】
コヒーレント検出アレイ400の各行は、導波路33-1を用いて、一連のコヒーレント検出ユニット300を連結することにより構成することができる(
図4参照)。いくつかの側面では、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイは、コヒーレント検出ユニット300の導波路33-1の出射端が、次のコヒーレント検出ユニット300の導波路33-1の入射端に接続されるように構成されることにより、検出ユニットの透過LO光E
LO,outが、次に接続されたユニットの入射LO光E
LO,inとすることができる。ある行の一連の導波路33-1は、その行の接続導波路を構成し、その行の行符号化導波路とも呼ばれる。接続導波路のLO光は、光結合器32-1を介して、接続されたコヒーレント検出ユニット300に結合することができる(
図4および
図6参照)。
【0076】
図6に示すコヒーレント検出アレイ400については、行符号化導波路は、導波路41-1、41-2、41-3である。行符号化導波路41-1のLO光は、光結合器32-1を介して、コヒーレント検出ユニット300-1、300-2、300-3、300-4に結合される。同様に、行符号化導波路41-2のLO光は、光結合器32-1を介して、コヒーレント検出ユニット300-5、300-6、300-7、300-8に結合され、行符号化導波路41-3のLO光は、光結合器32-1を介して、コヒーレント検出ユニット300-9、300-10、300-11、300-12に結合されている。コヒーレント検出ユニット300-1、300-2、300-3、300-4、300-5、300-6、300-7、300-8、300-9、300-10、300-11、300-12の光結合器32-1は、光結合器32-1の適切な設計により、同一または異なる割合の光をユニットに分割してもよい。
【0077】
コヒーレント検出ユニットの複数行は、列読み出し配線とも呼ばれる電気伝導路により直列に連結することができる。各列読み出し配線により接続されたコヒーレント検出ユニットは、コヒーレント検出アレイの周辺部に配置された読み出し回路に接続され得る同一の電気コンセントを共有してもよい。いくつかの側面では、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイは、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器34の電極35-1が列読み出し配線に接続され、同様に、光検出器34の電極35-2が列読み出し配線に接続されるように構成することができる。
【0078】
図6に示す1列目のコヒーレント検出ユニット300-1、300-5、300-9については、光検出器34の電極35-1が列読み出し配線42-1に接続され、光検出器34の電極35-2が列読み出し配線43-1に接続されている。同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット300-2、300-6、300-10については、光検出器34の電極35-1が列読み出し配線42-2に接続され、光検出器34の電極35-2が列読み出し配線43-2に接続されている。同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット300-3、300-7、300-11については、光検出器34の電極35-1が列読み出し配線42-3に接続され、光検出器34の電極35-2が列読み出し配線43-3に接続されている。同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット300-4、300-8、300-12については、光検出器34の電極35-1が列読み出し配線42-4に接続され、光検出器34の電極35-2が列読み出し配線43-4に接続されている。
【0079】
図2と同様に、
図6のパッドPaは、周辺読み出し回路に接続され得る列読み出し配線の出力端子である。
第4の好適実施形態の第1の変形例
【0080】
図7は、コヒーレント検出アレイ410の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ410は、
図6に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ400の変形例である。コヒーレント検出アレイ400と同様に、コヒーレント検出アレイ410は、
図4に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット300の複数のユニットを含むように構成することができる。コヒーレント検出アレイ410の各行は、導波路33-1を用いて、一連のコヒーレント検出ユニット300を連結することにより構成することができる(
図4参照)。コヒーレント検出ユニット300の複数行を電気伝導路で直列に連結して、検出アレイを構成してもよい。一例として、
図7に示すコヒーレント検出アレイ410の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット300である12個のコヒーレント検出ユニット300-1、300-2、300-3、300-4、300-5、300-6、300-7、300-8、300-9、300-10、300-11、300-12を含む。
【0081】
コヒーレント検出アレイ400と同様に、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ410は、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器34の電極35-1または電極35-2のいずれかが列読み出し配線に接続されるように構成し得る。
【0082】
コヒーレント検出アレイ400とは異なり、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ410は、コヒーレント検出ユニットの光検出器の他の電極が、列読み出し配線により異なる行を横切る代わりに、行符号化配線とも呼ばれる電気伝導路により異なる列を横切って接続されるように構成し得る。コヒーレント検出ユニット410の各行のコヒーレント検出アレイ300については、光検出器34の電極35-1または電極35-2のいずれかが行符号化配線に接続されてもよい。
【0083】
図7に示すコヒーレント検出アレイ410を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット300-1、300-5、300-9の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-1に接続されている。同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット300-2、300-6、300-10の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-2に接続され、3列目のコヒーレント検出ユニット300-3、300-7、300-11の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-3に接続され、4列目のコヒーレント検出ユニット300-4、300-8、300-12の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-4に接続されている。
【0084】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット300-1、300-2、300-3、300-4の光検出器34の電極35-1は、行符号化配線44-1に接続されている。同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット300-5、300-6、300-7、300-8の光検出器34の電極35-1は、行符号化配線44-2に接続され、3行目のコヒーレント検出ユニット300-9、300-10、300-11、300-12の光検出器34の電極35-1は、行符号化配線44-3に接続されている。
【0085】
図7のパッドPaは、周辺電気回路に接続され得る列読み出し配線および行符号化配線の端子である。
第4の好適実施形態の第2の変形例
【0086】
図8は、コヒーレント検出アレイ420の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ420は、
図6に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ400の他の変形例である。
【0087】
図8に示すコヒーレント検出アレイ420は、
図6に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ400と同様であるが、コヒーレント検出アレイ400で使用されるコヒーレント検出ユニット300に代えて、
図5に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット310を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。一例として、
図8に示すコヒーレント検出アレイ420の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出310ユニットである12個のコヒーレント検出ユニット310-1、310-2、310-3、310-4、310-5、310-6、310-7、310-8、310-9、310-10、310-11、310-12を含む。
第4の好適実施形態の第3の変形例
【0088】
図9は、コヒーレント検出アレイ430の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ430は、
図6に示す実施形態に係るコヒーレント400検出アレイの他の変形例である。
【0089】
コヒーレント検出アレイ430は、
図7のコヒーレント検出アレイ410および
図8のコヒーレント420検出アレイに従って、コヒーレント検出アレイ400に加えられた変更を組み合わせたものである。コヒーレント検出アレイ430は、
図7および
図8に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ410、420を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0090】
一方で、コヒーレント検出アレイと420と同様に、コヒーレント検出アレイ430は、コヒーレント検出アレイ400、410で使用されるコヒーレント検出ユニット300に代えて、
図5に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット310を、検出アレイの構成単位として採用している。他方で、コヒーレント検出アレイ410と同様に、コヒーレント検出アレイ430は、検出アレイの各列のコヒーレント検出ユニット310の光検出器34の電極35-1または電極35-2のいずれかが、その列の行を横切る行読み出し配線に接続され、検出アレイの各行のコヒーレント検出ユニット310の光検出器34の他の電極が、その行の列を横切る行符号化配線に接続されるように構成することができる。
【0091】
図9に示すコヒーレント検出アレイ430を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット310-1、310-5、310-9の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-1に接続されている。同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット310-2、310-6、310-10の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-2に接続され、3列目のコヒーレント検出ユニット310-3、300-7、310-11の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-3に接続され、4列目のコヒーレント検出ユニット310-4、310-8、310-12の光検出器34の電極35-2は、列読み出し配線43-4に接続されている。
【0092】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット310-1、310-2、310-3、310-4の光検出器34の電極35-1は、行符号化配線44-1に接続されている。同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット310-5、310-6、310-7、310-8の光検出器34の電極35-1は、行符号化配線44-2に接続され、3行目のコヒーレント検出ユニット310-9、310-10、310-11、310-12の光検出器34の電極35-1は、行符号化配線44-3に接続されている。
第5の好適実施形態
【0093】
本好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニット500、510、520、530の4つの例を、
図10、
図11、
図12および
図13を参照して説明する。
【0094】
図10は、コヒーレント検出ユニット500の平面図を示す。
図10に示すコヒーレント検出ユニット500は、偏光分離自由空間-導波路結合器51と、光結合器52-1、52-2、52-3、52-4と、導波路53-1、53-2、53-3、53-4、53-5、53-6、53-7、53-8と、光検出器54-1、54-2と、電極55-1、55-2、55-3、55-4とを含むように構成されている。また、コヒーレント検出ユニット500は、1つ以上の変調器および/または加熱器のような追加の構成要素を含むように構成されてもよく、これらは、コヒーレント検出ユニットの特性を変調または変更するために使用されてもよい。これらの追加の構成要素は、
図10に示していない。コヒーレント検出ユニット500は、光導波路技術を用いて基板56上に集積してもよい。
【0095】
コヒーレント検出ユニット500は、
図4に示すコヒーレント検出ユニット300の改良版である。コヒーレント検出ユニット500は、入力された信号光を検出するように構成されており、その信号光は、x方向およびy方向の偏光で多重化され得る。x方向およびy方向は、2つの偏光成分を個別に測定し得るように、偏光分離自由空間-導波路結合器51の設計により規定された偏光の直交基底の一例である。コヒーレント検出ユニット500は、
図4に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット300を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0096】
コヒーレント検出ユニット500は、コヒーレント検出ユニット300と同様のコヒーレント検出サブユニット301、302(
図10参照)を組み合わせることにより構成されているが、コヒーレント検出ユニット300の自由空間-導波路結合器31に代えて、偏光分離自由空間-導波路結合器51が用いられている。コヒーレント検出サブユニット301は、偏光分離自由空間-導波路結合器51と、光結合器52-1、52-2と、導波路53-1、53-2、53-3、53-4と、光検出器54-1と、電極55-1、55-2とを含むように構成されている。コヒーレント検出サブユニット302は、同一の偏光分離自由空間-導波路結合器51と、光結合器52-3、52-4と、導波路53-5、53-6、53-7、53-8と、光検出器54-2と、電極55-3、55-4とを含むように構成されている。このような構成では、偏光分離自由空間-導波路結合器51は、2つのコヒーレント検出サブユニット301、302の共通の構成要素である。
【0097】
図10では、導波路53-1は、局部発振光E
LO,in xが導入され得る一端と、局部発振光E
LO,out xが透過され得る他端とを有する。導波路53-5は、局部発振光E
LO,in yが導入される一端と、局部発振光E
LO,out yが透過される他端とを有する。いくつかの側面では、E
LO,in xおよびE
LO,in y(対応するE
LO,out xおよびE
LO,out y)は、同一の導波モード、すなわち最適な伝搬効率および結合効率のために光子集積回路において一般的に考慮される基本的なTEモードとして、導波路53-1、53-5に現れてもよい。他の側面では、振幅、周波数および位相のような特性の観点から、E
LO,in xは、E
LO,in yと同一であっても、異なってもよい。
【0098】
コヒーレント検出ユニット500は、偏光分離自由空間-導波路結合器51を用いて、多重化されたx-偏光およびy-偏光を含み得る信号光ESig,inを受け取る。信号光ESig,inは、偏光分離自由空間-導波路結合器51により、受け取られてx-偏光とy-偏光とに分離されてもよい。一方で、x-偏光は、導波路53-3を介してコヒーレント検出サブユニット301に運ばれ、光検出器54-1で検出されると、電極55-1、55-2に光電流が発生し得る。他方で、y-偏光は、導波路53-7を介して、コヒーレント検出サブユニット302に運ばれ、光検出器54-2で検出されると、電極55-3、55-4に光電流が発生し得る。
【0099】
いくつかの側面では、各光検出器54-1、54-2により生成される光電流は、時間的にゆっくりと変化する直接成分と、時間的に急速に変化するクロス成分とを含むことができ、ノイズ成分も存在してもよい。コヒーレント検出ユニット500には、偏光毎に1つの光検出器が使用されているため、光検出器54-1、54-2により生成された光電流は、適切なフィルタでフィルタリングされ、光電流の直接成分を抑制する必要がある場合がある。フィルタは、検出ユニットに設置されても、検出ユニットに設置されなくてもよい。フィルタは、
図10に示していない。
第5の好適実施形態の第1の変形例
【0100】
図11は、コヒーレント検出ユニット510の平面図を示す。
図11に示すコヒーレント検出ユニット510は、
図10に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット500の変形例である。
【0101】
図11のコヒーレント検出ユニット510は、
図10のコヒーレント検出ユニット500と同様であるが、光結合器52-3を導波路53-1に移動させて、導波路53-2に結合させるのと同一の導波路53-1からの局部発振光を導波路53-6に結合させる点が本質的に異なる。このようにして、検出ユニット510に結合された信号光のx-偏光成分およびy-偏光成分は、同一の局部発振光E
LO,inと混合され得る。導波路53-5は、適宜省略することができる。
第5の好適実施形態の第2の変形例
【0102】
図12は、コヒーレント検出ユニット520の平面図を示す。
図12に示すコヒーレント検出ユニット520は、
図10に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット500の他の変形例である。
【0103】
図12に示すコヒーレント検出ユニット520は、
図10に示すコヒーレント検出ユニットと同様であるが、コヒーレント検出ユニット520は、コヒーレント検出サブユニッ311、312を組み合わせることにより構成される。これらは、
図10のコヒーレント検出サブユニッ301、302と同様であるが、簡略化のため、導波路53-2、53-6が省略され、光結合器52-1、52-2が光結合器52-5に統合され、光結合器52-3、52-4が光結合器52-6に統合される点で本質的に異なる。
【0104】
図12のコヒーレント検出ユニット520の光結合器52-5は、
図10のコヒーレント検出ユニット500の光結合器52-1、52-2の両方の役割を果たし、同様に、コヒーレント検出ユニット520の光結合器52-6は、コヒーレント検出ユニット500の光結合器52-3、52-4の両方の役割を果たす。コヒーレント検出ユニット520では、光結合器52-5は、導波路53-1の局部発振光と導波路53-3の信号光とを直接混合することができる。混合光は、導波路53-4および導波路53-1の出射セグメントに伝達されてもよい。同様に、光結合器52-6は、導波路53-5の局部発振光と導波路53-7の信号光とを直接混合してもよい。混合光は、導波路53-8および導波路53-5の出射セグメントに伝達され得る。
【0105】
いくつかの側面では、コヒーレント検出ユニット520の光結合器52-5は、導波路53-3からの信号光の大半の部分を導波路53-4に伝達し、導波路53-3からの信号光の僅かな部分を導波路53-1の出射セグメントに伝達するように構成され得る。同様に、コヒーレント検出ユニット520の光結合器52-6は、導波路53-7からの信号光の大半の部分を導波路53-8に伝達し、導波路53-7からの信号光の僅かな部分を導波路53-5の出射セグメントに伝達するように構成され得る。光結合器52-5、52-6の光分割比の一例は、999:1である。
第5の好適実施形態の第3の変形例
【0106】
図13は、コヒーレント検出ユニット530の平面図を示す。
図13に示すコヒーレント検出ユニット530は、
図10に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット500の他の変形例である。
【0107】
コヒーレント検出ユニット530は、
図11のコヒーレント検出ユニット510および
図12のコヒーレント検出ユニット520に従って、コヒーレント検出ユニット500に加えられた変更を組み合わせたものである。コヒーレント検出ユニット530は、
図11および
図12に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット510、520を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0108】
一方で、コヒーレント検出ユニット520と同様、コヒーレント検出ユニット530は、簡略化のために、光結合器52-1、52-2が単一の光結合器52-5に統合され、導波路53-2がコヒーレント検出ユニット500から省略されている(
図10参照)。他方で、コヒーレント検出ユニット510と同様に、コヒーレント検出ユニット530は、光結合器52-3を導波路53-1に移動させて、導波路53-4に結合させるのと同一の導波路53-1からの局部発振光を導波路53-6に結合させている。このようにして、検出ユニット530に結合された信号光のx-偏光成分およびy-偏光成分は、同一の局部発振光E
LO,inと混合され得る。導波路53-5は、適宜省略することができる。
第6の好適実施形態
【0109】
【0110】
図14は、コヒーレント検出アレイ600の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ600は、
図10に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット500の複数のユニットを含むように構成されている。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ600は、コヒーレント検出ユニットの他の実施形態を含んでもよい。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ600は、コヒーレント検出ユニット500の複数のユニットを、直線的な構成で連結することによって構成されてもよい。他の側面では、コヒーレント検出アレイの実施形態は、コヒーレント検出ユニットの複数のユニット500を、直線的な構成以外の幾何学的形状で連結することにより構成されてもよい。コヒーレント検出アレイ600は、光導波路技術を用いて基板66上に集積してもよい。
【0111】
図14に示すコヒーレント検出アレイ600は、
図2に示すコヒーレント検出アレイ200と同様であるが、コヒーレント検出アレイ200で使用されるコヒーレント検出ユニット100に代えて、
図10に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット500を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。一例として、
図14に示すコヒーレント検出アレイ600の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット500である12個のコヒーレント検出ユニット500-1、500-2、500-3、500-4、500-5、500-6、500-7、500-8、500-9、500-10、500-11、500-12を含む。
【0112】
コヒーレント検出アレイ600は、
図2に示された実施形態に係るコヒーレント検出アレイ200を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0113】
x方向およびy方向の偏光で多重化され得る入射信号光を検出するように構成されたコヒーレント検出ユニット500のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ600の各行は、x-偏光用の行符号化導波路とy-偏光用の行符号化導波路とを含み、個別のLO光が各行符号化導波路に導入されるように構成されてもよい。コヒーレント検出アレイ600の接続されたコヒーレント検出ユニット500のある行の一連の導波路53-1、53-5は、その行の行符号化導波路を構成する(
図10および
図14参照)。x偏光用の行符号化導波路のLO光は、光結合器52-1を介して接続されたコヒーレント検出ユニット500に結合されてもよく、y偏光用の行符号化導波路のLO光は、光結合器52-3を介して接続されたコヒーレント検出ユニット500に結合されてもよい(
図10および
図14参照)。
【0114】
コヒーレント検出アレイの行符号化導波路に導入されるLO光の電界は、ELO,in mxおよびELO,in my(m=1、2、...、Mであり、Mは検出アレイの行数である。)である。導波路からの対応する透過LO電界は、ELO,out mxおよびELO,out myである。異なるmのLO電界ELO,in mxおよびELO,in myは、同一または異なる光周波数、同一または異なる大きさ、および同一または異なる相対位相を有してもよい。
【0115】
図14に示すコヒーレント検出アレイ600については、LO電界E
LO,in 1xおよびE
LO,in 1yは、1行目の行符号化導波路61-1、61-2にそれぞれ導入され、LO電界E
LO,in 2xおよびE
LO,in 2yは、2行目の行符号化導波路61-3、61-4にそれぞれ導入され、LO電界E
LO,in 3xおよびE
LO,in 3yは、3行目の行符号化導波路61-5、61-6にそれぞれ導入される。
【0116】
いくつかの側面では、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイは、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器54-1の電極55-1、55-2と、光検出器54-2の電極55-3、55-4とが、個別の列読み出し配線に接続されるように構成されてもよい。他の側面では、光検出器54-1の電極55-1、電極55-2のいずれかと、光検出器54-2の電極55-3、電極55-4のいずれかとが、個別の列読み出し配線に代えて、共通の列読み出し配線に接続されてもよい。
【0117】
図14に示す1列目のコヒーレント検出ユニット500-1、500-5、500-9については、光検出器54-1の電極55-1、55-2がそれぞれ列読み出し配線62-1、63-1に接続され、光検出器54-2の電極55-3、55-4がそれぞれ列読み出し配線64-1、65-1に接続されている。同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット500-2、500-6、500-10については、光検出器54-1の電極55-1、55-2がそれぞれ列読み出し配線62-2、63-2に接続され、光検出器54-2の電極55-3、55-4がそれぞれ列読み出し配線64-2、65-2に接続されている。同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット500-3、500-7、500-11については、光検出器54-1の電極55-1、55-2がそれぞれ列読み出し配線62-3、63-3に接続され、光検出器54-2の電極55-3、55-4がそれぞれ列読み出し配線64-3、65-3に接続されている。同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット500-4、500-8、500-12については、光検出器54-1の電極55-1、55-2がそれぞれ列読み出し配線62-4、63-4に接続され、光検出器54-2の電極55-3、55-4がそれぞれ列読み出し配線64-4、65-4に接続されている。
【0118】
図2と同様に、
図14のパッドPaは、周辺読み出し回路に接続され得る列読み出し配線の出力端子である。
第6の好適実施形態の第1の変形例
【0119】
図15は、コヒーレント検出アレイ610の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ610は、
図14に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ600の変形例である。コヒーレント検出アレイ600と同様に、コヒーレント検出アレイ610は、
図10に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット500の複数のユニットを含むように構成することができる。コヒーレント検出アレイ610の各行は、導波路53-1を用いて、一連のコヒーレント検出ユニット500を連結することにより構成さすることができる(
図10参照)。コヒーレント検出ユニット500の複数行を電気伝導路により直列に連結して検出アレイを構成してもよい。一例として、
図15に示すコヒーレント検出アレイ610の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット500である12個のコヒーレント検出ユニット500-1、500-2、500-3、500-4、500-5、500-6、500-7、500-8、500-9、500-10、500-11、500-12を含む。
【0120】
コヒーレント検出アレイ600と同様に、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ610は、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器54-1の電極55-1または電極55-2のいずれかが列読み出し配線に接続され、同様に、光検出器54-2の電極55-3または電極55-4のいずれかが列読み出し配線に接続されるように構成し得る。
【0121】
コヒーレント検出ユニット600と異なり、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ610は、コヒーレント検出ユニットの光検出器の他の電極が、列読み出し配線により異なる行を横切る代わりに、行符号化配線により異なる列を横切って接続されるように構成し得る。コヒーレント検出アレイ610の各行のコヒーレント検出ユニット500については、光検出器54-1の電極55-1または電極55-2のいずれかが行符号化配線に接続されてもよく、同様に、光検出器54-2の電極55-3または電極55-4のいずれかが行符号化配線に接続されてもよい。いくつかの側面では、レイアウトを簡略化するために、いくつかの行符号化配線を統合してもよい。
【0122】
図15に示すコヒーレント検出アレイ600を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット500-1、500-5、500-9については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-1に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-1に接続されている。
【0123】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット500-2、500-6、500-10については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-2に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-2に接続されている。
【0124】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット500-3、500-7、500-11については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-3に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-3に接続されている。
【0125】
同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット500-4、500-8、500-12については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-4に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-4に接続されている。
【0126】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット500-1、500-2、500-3、500-4については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-1に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-1に接続されている。
【0127】
同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット500-5、500-6、500-7、500-8については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-2に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-2に接続されている。
【0128】
同様に、3行目のコヒーレント検出ユニット500-9、500-10、500-11、500-12については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-3に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-3に接続されている。
【0129】
図15のパッドPaは、周辺電気回路に接続され得る列読み出し配線および行符号化配線の端子である。
第6の好適実施形態の第2の変形例
【0130】
図16は、コヒーレント検出アレイ620の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ620は、
図14に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ600の他の変形例である。
【0131】
図16に示すコヒーレント検出アレイ620は、
図14に示すコヒーレント検出アレイ600と同様であるが、コヒーレント検出アレイ600で使用されるコヒーレント検出ユニット500に代えて、
図11に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット510を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。一例として、
図16に示すコヒーレント検出アレイ620の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット510である12個のコヒーレント検出ユニット510-1、510-2、510-3、510-4、510-5、510-6、510-7、510-8、510-9、510-10、510-11、510-12を含む。
【0132】
コヒーレント検出ユニット510を採用した場合、x-偏光用およびy-偏光用の行符号化導波路を1つに統合し、同一の局部発振光ELO,in m(m=1、2、...、Mであり、Mは行数である。)を2つの偏光に使用してもよい。
【0133】
図16に示すコヒーレント検出アレイ620については、LO光E
LO,in 1は、1行目の行符号化導波路61-1に導入され、LO光E
LO,in 2は、2行目の行符号化導波路61-3に導入され、LO光E
LO,in 3は、3行目の行符号化導波路61-5に導入される。
第6の好適実施形態の第3の変形例
【0134】
図17は、コヒーレント検出アレイ630の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ630は、
図14に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ600の他の変形例である。
【0135】
コヒーレント検出アレイ630は、
図15のコヒーレント検出アレイ610および
図16のコヒーレント検出アレイ620に従って、コヒーレント検出アレイ600に加えられた変更を組み合わせたものである。コヒーレント検出アレイ630は、
図15および
図16に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ610、620を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0136】
一方で、コヒーレント検出アレイ620と同様に、コヒーレント検出アレイ630は、コヒーレント検出アレイ600、610で使用されるコヒーレント検出ユニット500に代えて、
図11に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット510を、検出アレイの構成単位として採用している。
【0137】
コヒーレント検出ユニット510を採用した場合、x-偏光用およびy-偏光用の行符号化導波路を1つに統合し、同一の局部発振光ELO,in m(m=1、2、...、Mであり、Mは行数である。)を2つの偏光に使用してもよい。
【0138】
図17に示すコヒーレント検出アレイ630については、LO光E
LO,in 1は、1行目の行符号化導波路61-1に導入され、LO光E
LO,in 2は、2行目の行符号化導波路61-3に導入され、LO光E
LO,in 3は、3行目の行符号化導波路61-5に導入される。
【0139】
他方で、コヒーレント検出アレイ610と同様に、コヒーレント検出アレイ630は、検出アレイの各列のコヒーレント検出ユニット510については、光検出器54-1の電極55-1または電極55-2のいずれかが、その列の行を横切る列読み出し配線に接続され、光検出器54-2の電極55-3または電極55-4のいずれかが、その列の行を横切る列読み出し配線に接続されるように構成してもよい。一方、検出アレイの各行のコヒーレント検出ユニット510の光検出器54-1、54-2の他の電極が、その行の列を横切る行符号化配線、または共通の行符号化配線に接続されてもよい。
【0140】
図17に示すコヒーレント検出アレイ630を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット510-1、510-5、510-9については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-1に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-1に接続されている。
【0141】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット510-2、510-6、510-10については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-2に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-2に接続されている。
【0142】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット510-3、510-7、510-11については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-3に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-3に接続されている。
【0143】
同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット510-4、510-8、510-12については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-4に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-4に接続されている。
【0144】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット510-1、510-2、510-3、510-4については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-1に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-1に接続されている。
【0145】
同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット510-5、510-6、0-751、510-8については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-2に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-2に接続されている。
【0146】
同様に、3行目のコヒーレント検出ユニット510-9、510-10、510-11、510-12については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-3に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-3に接続されている。
第6の好適実施形態の第4の変形例
【0147】
図18は、コヒーレント検出アレイ640の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ640は、
図14に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ600の他の変形例である。
【0148】
図18に示すコヒーレント検出アレイ640は、
図14に示すコヒーレント検出アレイ600と同様であるが、コヒーレント検出アレイ600で使用されるコヒーレント検出ユニット500に代えて、
図12に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット520を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。一例として、
図18に示すコヒーレント検出アレイ640の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット520である12個のコヒーレント検出ユニット520-1、520-2、520-3、520-4、520-5、520-6、520-7、520-8、520-9、520-10、520-11、520-12を含む。
第6の好適実施形態の第5の変形例
【0149】
図19は、コヒーレント検出アレイ650の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ650は、
図14に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ600の他の変形例である。
【0150】
コヒーレント検出アレイ650は、
図15のコヒーレント検出アレイ610および
図18のコヒーレント検出アレイ640に従って、コヒーレント検出アレイ600に加えられた変更を組み合わせたものである。コヒーレント検出アレイ650は、
図15および
図18に示すコヒーレント検出アレイ610、640を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0151】
一方で、コヒーレント検出アレイ640と同様に、コヒーレント検出アレイ650は、コヒーレント検出アレイ600、610で使用されるコヒーレント検出ユニット500に代えて、
図12に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット520を、検出アレイの構成単位として採用している。
【0152】
他方で、コヒーレント検出アレイ610と同様に、コヒーレント検出アレイ650は、検出アレイの各列のコヒーレント検出ユニット520については、光検出器54-1の電極55-1または電極55-2のいずれかが、その列の行を横切る列読み出し配線に接続され、光検出器54-2の電極55-3または電極55-4のいずれかが、その列の行を横切る列読み出し配線に接続されるように構成し得る。一方、検出アレイの各行のコヒーレント検出ユニット520の光検出器54-1、54-2の他の電極は、その行の列を横切る行読み出し配線、または共通の行読み出し配線に接続されてもよい。
【0153】
図19に示すコヒーレント検出アレイ650を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット520-1、520-5、520-9については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-1に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-1に接続されている。
【0154】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット520-2、520-6、520-10については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-2に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-2に接続されている。
【0155】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット520-3、520-7、520-11については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-3に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-3に接続されている。
【0156】
同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット520-4、520-8、520-12については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-4に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-4に接続されている。
【0157】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット520-1、520-2、520-3、520-4については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-1に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-1に接続されている。
【0158】
同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット520-5、520-6、520-7、520-8については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-2に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-2に接続されている。
【0159】
同様に、3行目のコヒーレント検出ユニット520-9、520-10、520-11、520-12については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-3に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-3に接続されている。
第6の好適実施形態の第6の変形例
【0160】
図20は、コヒーレント検出アレイ660の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ660は、
図14に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ600の他の変形例である。
【0161】
図20に示すコヒーレント検出アレイ660は、
図14に示すコヒーレント検出アレイ600と同様であるが、コヒーレント検出アレイ600で使用されるコヒーレント検出ユニット500に代えて、
図13に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット530を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。一例として、
図20に示すコヒーレント検出アレイ660の実施形態は、3行4列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット530である12個のコヒーレント検出ユニット530-1、530-2、530-3、530-4、530-5、530-6、530-7、530-8、530-9、530-10、530-11、530-12を含む。
【0162】
コヒーレント検出ユニット530を採用した場合、x-偏光用およびy-偏光用の行符号化導波路を1つに統合し、同一の局部発振光ELO,in m(m=1、2、...、Mであり、Mは行数である。)を2つの偏光に使用してもよい。
【0163】
図20に示すコヒーレント検出アレイ660については、LO光E
LO,in 1は、1行目の行符号化導波路61-1に導入され、LO光E
LO,in 2は、2行目の行符号化導波路61-3に導入され、LO光E
LO,in 3は、3行目の行符号化導波路61-5に導入される。
第6の好適実施形態の第7の変形例
【0164】
図21は、コヒーレント検出アレイ670の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ670は、
図14に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ600の他の変形例である。
【0165】
コヒーレント検出アレイ670は、
図15のコヒーレント検出アレイ610および
図20のコヒーレント検出アレイ660に従って、コヒーレント検出アレイ600に加えられた変更を組み合わせたものである。コヒーレント検出アレイ670は、
図15および
図20に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ610、660を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0166】
一方で、コヒーレント検出アレイ660と同様に、コヒーレント検出アレイ670は、コヒーレント検出アレイ600、610で使用されるコヒーレント検出ユニット500に代えて、
図13に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット530を、検出アレイの構成単位として採用している。
【0167】
コヒーレント検出ユニット530を採用した場合、x-偏光用およびy-偏光用の行符号化導波路を1つに統合し、同一の局部発振光ELO,in m(m=1、2、...、Mであり、Mは行数である。)を2つの偏光に使用してもよい。
【0168】
図21に示すコヒーレント検出アレイ670については、LO光E
LO,in 1は、1行目の行符号化導波路61-1に導入され、LO光E
LO,in 2は、2行目の行符号化導波路61-3に導入され、LO光E
LO,in 3は、3行目の行符号化導波路61-5に導入される。
【0169】
他方で、コヒーレント検出アレイ610と同様に、コヒーレント検出アレイ670は、検出アレイの各列のコヒーレント検出ユニット530については、光検出器54-1の電極55-1または電極55-2のいずれかが、その列の行を横切る列読み出し配線に接続され、光検出器54-2の電極55-3または電極55-4のいずれかが、その列の行を横切る列読み出し配線に接続されるように構成してもよい。一方、検出アレイの各行のコヒーレント検出ユニット530の光検出器54-1、54-2の他の電極は、その行の列を横切る行符号化配線、または共通の行符号化配線に接続されてもよい。
【0170】
図21に示すコヒーレント検出アレイ670を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット530-1、530-5、530-9については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-1に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-1に接続されている。
【0171】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット530-2、530-6、530-10については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-2に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-2に接続されている。
【0172】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット530-3、530-7、530-11については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-3に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-3に接続されている。
【0173】
同様に、4列目のコヒーレント検出ユニット530-4、530-8、530-12については、光検出器54-1の電極55-2が列読み出し配線63-4に接続され、光検出器54-2の電極55-3が列読み出し配線64-4に接続されている。
【0174】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット530-1、530-2、530-3、530-4については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-1に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-1に接続されている。
【0175】
同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット530-5、530-6、530-7、530-8については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-2に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-2に接続されている。
【0176】
同様に、3行目のコヒーレント検出ユニット530-9、530-10、530-11、530-12については、光検出器54-1の電極55-1が行符号化配線67-3に接続され、光検出器54-2の電極55-4が行符号化配線68-3に接続されている。
第7の好適実施形態
【0177】
本好適実施形態に係るコヒーレント検出ユニット700、710の2つの例を、
図22および
図23を参照して説明する。
【0178】
図22は、コヒーレント検出ユニット700の平面図を示す。
図22に示すコヒーレント検出ユニット700は、偏光分離自由空間-導波路結合器71と、光結合器72-1、72-2、72-3、72-4と、導波路73-1、73-2、73-3、73-4、73-5、73-6、73-7、73-8、73-9、73-10と、光検出器74-1、74-2、74-3、74-4と、電極75-1、75-2、75-3、75-4、75-5、75-6、75-7、75-8とを含むように構成することができる。また、コヒーレント検出ユニット700は、1つ以上の変調器および/または加熱器のような追加の構成要素を含むように構成されてもよく、これらは、コヒーレント検出ユニットの特性を変調または変更するために使用されてもよい。これらの追加の構成要素は、
図22に示していない。コヒーレント検出ユニット700は、光導波路技術を用いて基板76上に集積してもよい。
【0179】
コヒーレント検出ユニット700は、
図1に示すコヒーレント検出ユニット100の改良版である。コヒーレント検出ユニット700は、2つの偏光成分を個別に測定できるように、x方向およびy方向の偏光が多重化され得る入射信号光を検出するように構成されている。コヒーレント検出ユニット700は、
図1に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット100を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0180】
コヒーレント検出ユニット700は、コヒーレント検出サブユニット101、102を組み合わせて構成されている(
図22参照)。それぞれは、コヒーレント検出ユニット100と同様であるが、コヒーレント検出ユニット100の自由空間-導波路結合器11に代えて、偏光分離自由空間-導波路結合器71が用いられている。コヒーレント検出サブユニット101は、偏光分離自由空間-導波路結合器71と、光結合器72-1、72-2と、導波路73-1、73-2、73-3、73-4、73-5と、光検出器74-1、74-2と、電極75-1、75-2、75-3、75-4とを含むように構成されている。コヒーレント検出サブユニット102は、同一の偏光分離自由空間-導波路結合器71と、光結合器72-3、72-4と、導波路73-6、73-7、73-8、73-9、73-10と、光検出器74-3、74-4と、電極75-5、75-6、75-7、75-8とを含むように構成されている。このような構成では、偏光分離自由空間-導波路結合器71は、2つのコヒーレント検出サブユニット101、102の共通の構成要素である。
【0181】
図22では、導波路73-1は、局部発振光E
LO,in xが導入され得る一端と、局部発振光E
LO,out xが透過され得る他端とを有する。導波路73-10は、局部発振光E
LO,in yが導入され得る一端と、局部発振光E
LO,out yが透過され得る他端とを有する。
【0182】
コヒーレント検出ユニット700は、偏光分離自由空間-導波路結合器71を用いて、多重化されたx-偏光およびy-偏光を含み得る信号光ESig,inを受け取る。信号光ESig,inは、偏光分離自由空間-導波路結合器71により受け取られてx-偏光とy-偏光とに分離されてもよい。一方で、x-偏光は、導波路73-3を介してコヒーレント検出サブユニット101に運ばれ、光検出器74-1、74-2で検出されると、電極75-1、75-2、75-3、75-4に光電流を発生し得る。他方で、y-偏光は、導波路73-7を介してコヒーレント検出サブユニット102に運ばれ、光検出器74-3、74-4で検出されると、電極75-5、75-6、75-7、75-8に光電流を発生し得る。
第7の好適実施形態の変形例
【0183】
図23は、コヒーレント検出ユニット710の平面図を示す。
図23に示すコヒーレント検出ユニット710は、
図22に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット700の変形例である。
【0184】
図23のコヒーレント検出ユニット710は、
図22のコヒーレント検出ユニット700と同様であるが、光結合器72-3を導波路73-1に移動させて、導波路73-2に結合させるのと同一の導波路73-1からの局部発振光を導波路73-6に結合させる点が本質的に異なる。このようにして、検出ユニット710に結合された信号光のx-偏光成分およびy-偏光成分は、同一の局部発振光E
LO,inと混合され得る。導波路73-10は、適宜省略することができる。
第8の好適実施形態
【0185】
本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ800、810、820、830の4つの例について、
図24、
図25、
図26および
図27を参照して説明する。
【0186】
図24は、コヒーレント検出アレイ800の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ800は、
図22に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット700の複数のユニットを含むように構成されている。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ800は、コヒーレント検出ユニットの他の実施形態を含んでもよい。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ800は、コヒーレント検出ユニット700の複数のユニットを、直線的な構成で連結することにより構成されてもよい。他の側面では、コヒーレント検出アレイの実施形態は、コヒーレント検出ユニット700の複数のユニットを、直線的な構成以外の幾何学的形状で連結することにより構成されてもよい。コヒーレント検出アレイ800は、光導波路技術を用いて基板86上に集積してもよい。
【0187】
図24に示すコヒーレント検出アレイ800は、
図2に示すコヒーレント検出アレイ200と同様であるが、コヒーレント検出アレイ200で使用されるコヒーレント検出ユニット100に代えて、
図22に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット700を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列に構成されてもよい。一例として、
図24に示すコヒーレント検出アレイ800の実施形態は、2行3列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット700である6個のコヒーレント検出ユニット700-1、700-2、700-3、700-4、700-5、700-6を含む。
【0188】
コヒーレント検出アレイ800は、
図2に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ200を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0189】
x方向およびy方向の偏光で多重化され得る入射信号光を検出するように構成されたコヒーレント検出ユニット700のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ800の各行は、x-偏光用の行符号化導波路と、y-偏光用の行符号化導波路とを含み、各行符号化導波路に個別のLO光が導入されるように構成されてもよい。コヒーレント検出アレイ800の接続されたコヒーレント検出ユニット700のある行の一連の導波路73-1、73-10は、その行の行符号化導波路を構成する(
図22および
図24参照)。x偏光用の行符号化導波路のLO光は、光結合器72-1を介して接続されたコヒーレント検出ユニット700に結合されてもよく、y偏光用の行符号化導波路のLO光は、光結合器72-3を介して接続されたコヒーレント検出ユニット700に結合されてもよい(
図22および
図24参照)。
【0190】
コヒーレント検出アレイの行符号化導波路に導入されるLO光の電界は、ELO,in mxおよびELO,in my(m=1、2、...、Mであり、Mは検出アレイの行数である。)である。導波路からの対応する透過LO電界は、ELO,out mxおよびELO,out myである。異なるmのLO電界ELO,in mxおよびELO,in myは、同一または異なる光周波数、同一または異なる大きさ、同一または異なる相対位相を有してもよい。
【0191】
図24に示すコヒーレント検出アレイ800については、LO電界E
LO,in 1xおよびE
LO,in 1yは、1行目の行符号化導波路81-1、81-2にそれぞれ導入され、LO電界E
LO,in 2xおよびE
LO,in 2yは、2行目の行符号化導波路81-3、81-4にそれぞれ導入される。
【0192】
いくつかの側面では、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイは、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器74-1の電極75-1、75-2、光検出器74-2の電極75-3、75-4、光検出器74-3の電極75-5、75-6および光検出器74-4の電極75-7、75-8が、個別の列読み出し配線に接続されるように構成されてもよい。他の側面では、光検出器74-1の電極75-1または電極75-2のいずれかと、光検出器74-2の電極75-3または電極75-4のいずれかとが、個別の列読み出し取配線に代えて、共通の列読み出し配線に接続されていてもよい。光検出器74-3の電極75-5または電極75-6のいずれかと、光検出器74-4の電極75-7または電極75-8のいずれかとが、個別の列読み出し配線に代えて、共通の列読み出し配線に接続されてもよい。さらなる側面では、レイアウトを簡素化するために、いくつかの列読み出し配線を統合してもよい。
【0193】
図24に示す1列目のコヒーレント検出ユニット700-1、700-4については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-1に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-1に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-1に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読み出し配線89-1に接続されている。また、光検出器74-1の電極75-2および光検出器74-2の電極75-4は、共通の列読み出し配線84-1に接続され、光検出器74-3の電極75-6および光検出器74-4の電極75-8は、共通の列読み出し配線87-1に接続されている。
【0194】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット700-2、700-5については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-2に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-2に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-2に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読み出し配線89-2に接続されている。また、光検出器74-1の電極75-2および光検出器74-2の電極75-4が共通の列読み出し配線84-2に接続され、光検出器74-3の電極75-6および光検出器74-4の電極75-8が共通の列読み出し配線87-2に接続されている。
【0195】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット700-3、700-6については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-3に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-3に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-3に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読出配線89-3に接続されている。また、光検出器74-1の電極75-2および光検出器74-2の電極75-4が共通の列読み出し配線84-3に接続され、光検出器74-3の電極75-6および光検出器74-4の電極75-8が共通の列読み出し配線87-3に接続されている。
【0196】
図2と同様に、
図24のパッドPaは、周辺読み出し回路に接続され得る列読み出し配線の出力端子である。
第8の好適実施形態の第1の変形例
【0197】
図25は、コヒーレント検出アレイ810の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ810は、
図24に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ800の変形例である。コヒーレント検出アレイ800と同様に、コヒーレント検出アレイ810は、
図22に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット700の複数のユニットを含むように構成することができる。コヒーレント検出アレイ810の各行は、導波路73-1を用いて、一連のコヒーレント検出ユニット700を連結することにより構成することができる(
図22参照)。コヒーレント検出ユニット700の複数行は、電気伝導路により直列に連結して検出アレイを構成してもよい。一例として、
図25に示すコヒーレント検出アレイ810の実施形態は、2行3列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット700である6個のコヒーレント検出ユニット700-1、700-2、700-3、700-4、700-5、700-6を含む。
【0198】
コヒーレント検出アレイ800と同様に、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ810は、各列のコヒーレント検出ユニットについては、光検出器74-1の電極75-1または電極75-2のいずれかが列読み出し配線に接続され、光検出器74-2の電極75-3または電極75-4のいずれかが列読み出し配線に接続され、光検出器74-3の電極75-5または電極75-6のいずれかが列読み出し配線に接続され、光検出器74-4の電極75-7または電極75-8のいずれかが列読み出し配線に接続されるように構成し得る。
【0199】
コヒーレント検出アレイ800とは異なり、本好適実施形態に係るコヒーレント検出アレイ810は、コヒーレント検出ユニットの光検出器の他の電極が、列読み出し配線により異なる行を横切る代わりに、行符号化配線により異なる列を横切って接続されるように構成し得る。いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイ810の各行のコヒーレント検出ユニット700については、光検出器74-1の電極75-1または電極75-2のいずれかが行符号化配線に接続され、光検出器74-2の電極75-3または電極75-4のいずれかが行符号化配線に接続され、光検出器74-3の電極75-5または電極75-6のいずれかが行符号化配線に接続され、光検出器74-4の電極75-7または電極75-8のいずれかが行符号化配線に接続されてもよい。他の側面では、光検出器74-1の電極75-1または電極75-2のいずれかと、光検出器74-2の電極75-3または電極75-4のいずれかとが、個別の行符号化配線に代えて、共通の行符号化配線に接続され、光検出器74-3の電極75-5または電極75-6のいずれかと、光検出器74-4の電極75-7または電極75-8のいずれかとが、個別の行符号化配線に代えて、共通の行符号化配線に接続されてもよい。さらなる側面では、レイアウトを簡素化するために、いくつかの行符号化配線を統合し、および/または、いくつかの列読み出し配線を統合してもよい。
【0200】
図25に示すコヒーレント検出アレイ810を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット700-1、700-4については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-1に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-1に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-1に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読み出し配線89-1に接続されている。
【0201】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット700-2、700-5については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-2に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-2に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-2に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読み出し配線89-2に接続されている。
【0202】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット700-3、700-6については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-3に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-3に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-3に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読み出し配線89-3に接続されている。
【0203】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット700-1、700-2、700-3については、光検出器74-1の電極75-2および光検出器74-2の電極75-4が共通の行符号化配線811-1に接続され、光検出器74-3の電極75-6および光検出器74-4の電極75-8が共通の行符号化配線812-1に接続されている。
【0204】
同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット700-4、700-5、700-6については、光検出器74-1の電極75-2および光検出器74-2の電極75-4が共通の行符号化配線811-2に接続され、光検出器74-3の電極75-6および光検出器74-4の電極75-8が共通の行符号化配線812-2に接続されている。
【0205】
図25のパッドPaは、周辺電気回路に接続され得る列読み出し配線および行符号化配線の端子である。
第8の好適実施形態の第2の変形例
【0206】
図26は、コヒーレント検出アレイ820の平面図を示す。コヒーレント検出アレイ820は、
図24に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ800の他の変形例である。
【0207】
図26に示すコヒーレント検出アレイ820は、
図24に示すコヒーレント検出アレイ800と同様であるが、コヒーレント検出アレイ800で使用されるコヒーレント検出ユニット700に代えて、
図23に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット710を、検出アレイの構成単位として採用した点が本質的に異なる。直線的な構成のいくつかの側面では、コヒーレント検出アレイは、M×N個のコヒーレント検出ユニットによりM行N列で構成されてもよい。一例として、
図26に示すコヒーレント検出アレイ820の実施形態は、2行3列の形態で配置された全てコヒーレント検出ユニット710である6個のコヒーレント検出ユニット710-1、710-2、710-3、710-4、710-5、710-6を含む。
【0208】
コヒーレント検出ユニット710を採用した場合、x-偏光用およびy-偏光用の行符号化導波路を1つに統合し、同一の局部発振光ELO,in m(m=1、2、...、Mであり、Mは行数である。)を2つの偏光に使用してもよい。
【0209】
図26に示すコヒーレント検出アレイ820については、LO光E
LO,in 1は、1行目の行符号化導波路81-1に導入され、LO光E
LO,in 2は、2行目の行符号化導波路81-3に導入される。
第8の好適実施形態の第3の変形例
【0210】
図27は、コヒーレント検出アレイ830の平面図を示す。コヒーレント検出アレイは830は、
図24に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ800の他の変形例である。
【0211】
コヒーレント検出アレイ830は、
図25のコヒーレント検出アレイ810および
図26のコヒーレント検出アレイ820に従って、コヒーレント検出アレイ800に加えられた変更を組み合わせたものである。コヒーレント検出アレイ830は、
図25および
図26に示す実施形態に係るコヒーレント検出アレイ810、820を参照して、以下の説明と合わせて理解し得る。
【0212】
一方で、コヒーレント検出アレイ820と同様に、コヒーレント検出アレイ830は、コヒーレント検出アレイ800、810で使用されるコヒーレント検出ユニット700に代えて、
図23に示す実施形態に係るコヒーレント検出ユニット710を、検出アレイの構成単位として採用している。
【0213】
コヒーレント検出ユニット710を採用した場合、x-偏光用およびy-偏光用の行符号化導波路を1つに統合し、同一の局部発振光ELO,in m(m=1、2、...、Mであり、Mは行数である。)を2つの偏光に使用してもよい。
【0214】
図27に示すコヒーレント検出アレイ830については、LO光E
LO,in 1は、1行目の行符号化導波路81-1に導入され、LO光E
LO,in 2は、2行目の行符号化導波路81-3に導入される。
【0215】
他方で、コヒーレント検出アレイ810と同様に、コヒーレント検出アレイ830は、検出アレイの各列のコヒーレント検出ユニット710については、光検出器74-1の電極75-1または電極75-2のいずれかが列読み出し配線に接続され、光検出器74-2の電極75-3または電極75-4のいずれかが列読み出し配線に接続され、光検出器74-3の電極75-5または電極75-6のいずれかが列読み出し配線に接続され、光検出器74-4の電極75-7または電極75-8のいずれかが列読み出し配線に接続されるように構成してもよい。一方、検出アレイの各行のコヒーレント検出ユニット710の光検出器74-1、74-2、74-3、74-4の他の電極は、その行の列を横切る行符号化配線に接続されていてもよい。いくつかの側面では、レイアウトを簡素化するために、いくつかの行符号化配線を統合し、および/または、いくつかの列読み出し配線を統合してもよい。
【0216】
図27に示すコヒーレント検出アレイ830を参照する。一方で、1列目のコヒーレント検出ユニット710-1、710-4については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-1に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-1に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-1に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読み出し配線89-1に接続されている。
【0217】
同様に、2列目のコヒーレント検出ユニット710-2、710-5については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-2に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-2に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-2に接続され、光検出器74-4の電極75-7が列読み出し配線89-2に接続されている。
【0218】
同様に、3列目のコヒーレント検出ユニット710-3、710-6については、光検出器74-1の電極75-1が列読み出し配線82-3に接続され、光検出器74-2の電極75-3が列読み出し配線83-3に接続され、光検出器74-3の電極75-5が列読み出し配線88-3に接続され、光検出器74-4の電極75-7はが列読み出し配線89-3に接続されている。
【0219】
他方で、1行目のコヒーレント検出ユニット710-1、0-271、710-3については、光検出器74-1の電極75-2および光検出器74-2の電極75-4が共通の行符号化配線811-1に接続され、光検出器74-3の電極75-6および光検出器74-4の電極75-8が共通の行符号化配線812-1に接続されている。
【0220】
同様に、2行目のコヒーレント検出ユニット710-4、710-5、710-6についても、光検出器74-1の電極75-2および光検出器74-2の電極75-4が共通の行符号化配線811-2に接続され、光検出器74-3の電極75-6および光検出器74-4の電極75-8が共通の行符号化配線812-2に接続されている。
多重化方法
【0221】
以下、本発明におけるコヒーレント検出アレイに適用し得る信号多重化方法について説明する。いくつかの側面では、信号多重化方法は、本発明におけるコヒーレント検出アレイの構成の実施形態に適用することができる。また、他の側面では、信号多重化方法は、言及されない他の検出アレイの構成および設計に適用されてもよい。
【0222】
信号多重化方法は、コヒーレント検出アレイの高い自由度を活用する方法を含む。これらの多重化方法は、光学領域と電気領域とに分類することができる。これらの方法には、局部発振器により実現されるものと、PIC型の検出アレイの構成要素の特性および応答に関連するものとを含んでもよい。
【0223】
光学領域での多重化には、検出アレイの局部発振器および光導波路の特性の操作を挙げることができる。検出アレイの各検出ユニットまたは検出ユニットのグループにおけるLO光の振幅、周波数および位相を制御することにより、LOを介した多重化が可能となる。生成された光電流は、多重化され、多重化電気読み出し信号を形成することができる。また、検出ユニットのLOの振幅、周波数および位相は、時間的に変調され、多重化電気読み出し信号がそれに応じて時間的に変化するようにしてもよい。
【0224】
検出アレイの導波路を介した多重化は、検出アレイの導波路の屈折率を電気的、熱的または光学的に制御することにより可能とすることができる。導波路の屈折率を電気的に制御する方法としては、電気光学(EO)効果を利用する方法を挙げることができる。導波路の屈折率を熱的に制御する方法としては、熱光学(TO)効果を利用する方法を挙げることができる。導波路の屈折率を光学的に制御する方法としては、クロスフェイズモジュレーション(XPM)のような非線形光学効果を利用する方法を挙げることができる。いくつかの側面では、導波路の屈折率の操作は、局部発振光が導かれる導波路に適用してもよい。これにより、LOの振幅、周波数および位相を操作するのと同様の効果が得らることができる。他の側面では、導波路の屈折率の操作は、信号光を導く導波路に適用してもよい。
【0225】
電気領域での多重化には、光検出器の応答性のようなコヒーレント検出アレイの検出ユニットの構成要素の電気応答または特性の操作を挙げることができる。光検出器の応答性に基づく多重化は、検出アレイの各検出ユニットまたは検出ユニットのグループにおいて光検出器に印加される電圧の振幅、周波数および位相を制御することにより可能とすることができる。印加電圧により応答性が変化する光検出器としては、非特許文献1[William C. Ruff, John D. Bruno, Stephen W. Kennerly, Ken Ritter, Paul H. Shen, Barry L. Stann, Michael R. Stead, Zoltan G. Sztankay, Mary S. Tobin, "Self-mixing detector candidates for an FM/cw ladar architecture," Proc. SPIE 4035, Laser Radar Technology and Applications V, (5 September 2000)]に記載されるような自己混合型検出器が挙げられる。異なるコヒーレント検出ユニットからの変調光電流は、多重化され、多重化電気読み出し信号を形成することができる。また、検出ユニットの光検出器に印加される電圧の振幅、周波数および位相は、時間的に変調され、多重化電気読み出し信号がそれに応じて時間的に変化するようにしてもよい。
【0226】
時分割多重化方式、空間分割多重化方式、LOを利用した多重化方式、検出アレイの導波路を利用した多重化方式および光検出器の応答性を利用した多重化方式の任意の組み合わせは、コヒーレント検出アレイに同時に適用してもよいし、同時に適用しなくてもよい。信号の後処理は、多重化電気読み出し信号に適用され、検出ユニットで測定された信号光に関する情報を抽出してもよい。
【0227】
図28は、コヒーレント検出アレイ91と、光入力回路92と、電気多重化回路93と、電気読み出し回路94とを備えるコヒーレント検出装置の概念図を示す。この装置では、時分割多重化方式、空間分割多重化方式、LOを利用した多重化方式、検出アレイの導波路を利用した多重化方式、および光検出器の応答性を利用した多重化方式を任意に組み合わせて適用してもよい。
【0228】
図2、
図3、
図6、
図7、
図8、
図9、
図14、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19、
図20、
図21、
図24、
図25、
図26および
図27に示す本発明のコヒーレント検出アレイの実施形態については、コヒーレント検出アレイのn列目の列読み出し配線の出力端での電流は、次式に比例する。
【数1】
ここで、tは時間を表し、E
LO,in(m)(t)は、m列目のLO光の電界であり、E
Sig,in(m,n)(t)は、m行n列のコヒーレント検出ユニットで自由空間-導波路結合器に結合された信号光の電界であり、R
(m,n)(t)は、対応する光検出器の応答性である。指標m=1、2、
・・・Mおよび指標n=1、2、
・・・Nであり、MおよびNは、それぞれコヒーレント検出アレイの行数および列数を表す。量P
0(m,n)は、m行n列上のコヒーレント検出ユニットでの信号光および局部発振光の平均強度に比例する直接成分である。
図2、
図3、
図6、
図7、
図8、
図9、
図14、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19、
図20および
図21に示すコヒーレント検出アレイの実施形態については、M=3およびN=4であり、一方、
図24、
図25、
図26および
図27の例については、M=2およびN=3である。
図14、
図15、
図16、
図17、
図18、
図19、
図20、
図21、
図24、
図25、
図26および
図27に示すコヒーレント検出アレイの実施形態については、局部発振光の電界E
LO,in(m)(t)および式(1)で示す信号光の電界E
Sig,in(m,n)(t)は、さらに偏光により指標化されてもよい。また、光検出器の応答性R
(m,n)(t)は、複数の光検出器が実装されているコヒーレント検出ユニットでは、検出器ラベルを指標としてもよい。光検出器の応答性R
(m,n)(t)は、コヒーレント検出アレイの較正により決定されてもよい。式(1)では、簡略化のため、存在し得るノイズ成分を無視している。
【0229】
以下では、LOおよび光検出器の応答性の操作により発揮されるコヒーレント検出のための光学領域および電気領域における高い自由度を活用する多重化方法の実施形態について説明する。
局部発振器による多重化方法
【0230】
以下では、本発明のコヒーレント検出アレイの設計を活用し、局部発振器を利用した多重化方法の原理および実施形態について説明する。
【0231】
いくつかの側面では、信号読み出しのための多重化は、LOを操作することにより実現され得る。このような状況では、光検出器の応答性R
(m,n)は、時間に依存しないか、または時間でゆっくりと変化するものとして扱うことができる。次に、式(1)の電流のクロス成分〈E
LO,in(m)(t)E
Sig,in(m,n)(t)〉は、クロス成分に比べて直接成分がゆっくりと変化する場合、適切なフィルタで直接成分を抑制することにより抽出してもよく、あるいはバランス型構成が実施された
図2、
図3、
図24、
図25、
図26および
図27に示すコヒーレント検出アレイの実施形態の場合、光検出器による光電流間の差をとることにより抽出してもよい。コヒーレント検出アレイのn列目の列読み出し配線の出力端での電流のクロス成分は、次式に比例する。
【数2】
式(2)は、m行目の行符号化導波路に、非ゼロ振幅の局部発振光E
LO,in(m)を導入するとともに、他の行の局部発振光をゼロに設定することにより、n列目の列読み出し配線の出力端での電流のクロス成分は、〈E
LO,in(m)(t)E
Sig,in(m,n)(t)〉に比例することを表す。その結果、局部発振光は、コヒーレント検出アレイの特定の行を選択するのに使用し得る。
【0232】
いくつかの側面では、信号多重化のための上記方法は、式(2)を考慮して、局部発振光を制御し、コヒーレント検出アレイの行を順次または非順次に1つずつ選択して、全ての行をMステップで読み出すことにより実施されてもよい。他の側面では、多重化は、非ゼロの局部発振光をコヒーレント検出アレイの行のサブセットに同時に導入することにより行われてもよい。さらに、局部発振光は、異なる時間に、コヒーレント検出アレイの行の異なるサブセットに導入されてもよい。また、検出アレイの異なる列の列読み出し配線の出力端での電気信号は、外部回路に出力する既存の一般的な読み出し方法を使用して多重化してもよい。さらに、信号後処理を適用して、信号光の情報を抽出してもよい。
【0233】
LOの周波数または振幅に基づく多重化方法の実施形態の2つの他の例について、以下に説明する。例は非網羅的であることが理解される。いくつかの側面では、他の多重化方式を使用して、局部発振光の振幅、周波数および位相の任意の組み合わせを利用してもよい。
局部発振器の周波数オフセットに基づく多重化方法
【0234】
以下では、局部発振器の周波数を利用した多重化方法の一実施形態について説明する。
【0235】
いくつかの側面では、異なる光周波数を有する局部発振光をコヒーレント検出アレイの異なる行に導入して、式(2)に従って列読み出し配線の電流を多重化してもよい。この点において、式(2)の和の異なる項は、異なるビート周波数を示し、信号処理を適用して、異なる行の情報を多重化解除してもよい。
【0236】
LOの異なる周波数を利用した多重化方法のコヒーレント検出への応用は、FMCW-LIDAR(非特許文献[A. Dieckmann, "FMCW-LIDAR with tunable twin-guide laser diode," Electronics Letters 30, 308-309 (1994)]参照)を拡張して、全方位同時3D FMCW-LIDARを実現する。中心周波数f
0で変調(chirp)された直線的な周波数を有する全周照射型プローブレーザーを用いて、周波数可変範囲Bで掃引周期T
sの間、ターゲットに3D FMCW-LIDARを適用する場合を例に挙げる。コヒーレント検出アレイでは、m行目の局部発振光E
LO,in mがf
0からΩ
m(m=1,
...,Mである。)だけ周波数オフセットされると、n列目の列読み出し配線の出力端でのFMCW光電流のクロス成分は、位相因子が以下である次式に比例する。
【数3】
位相因子:
【数4】
ここで、τ
mnはターゲットを透過および反射するプローブビームが、m行n列のコヒーレント検出ユニットに到達するまでの往復時間である。位相差ΔΦ
mn(t,τ)は、レーザーの位相ノイズを含む。周波数オフセットΩ
mを、限定されないが、
(τ
cは、プローブレーザーのコヒーレンス時間である。)のように十分に大きな値に設定して、異なるm行目のFMCW光電流成分を異なる周波数帯にシフトさせることにより、全てのmの往復時間τ
mnは、FMCW光電流の周波数スペクトルから一意に決定してもよい。その結果、局部発振器磁場の周波数を利用して、コヒーレント検出アレイの行のサブセットを選択し、その行の信号の情報を多重化解除することができる。
【0237】
図29Aおよび
図29Bは、LO周波数オフセットの有無でのFMCW光電流のクロス成分のスペクトルの例をそれぞれ模式的に示す。対象となる信号は、純粋な実数であるため、正の周波数のみが示されている。
図29Aは、周波数オフセットがないスペクトルの場合の例を示し、式(3)(Ω
m=0)に対応する。1つの列の3つの検出ユニット(例えば、1列目の1行目、2行目、3行目における検出ユニット1、2、3)からの信号からなる光電流の例を考えると、検出ユニット1、3は、いずれもΔT
S/Bに等しい往復時間、すなわちτ
11=τ
31=ΔT
S/Bのプローブビームからの信号を検出し、検出ユニット2は、往復時間τ
21=Δ'T
S/Bのプローブビームからの信号を検出する。ここでは、説明のため、3つの検出ユニットでの信号は、同一の振幅および位相が同一であると仮定する。検出ユニット1、3の往復時間は同一なので、検出ユニット1、3からの光電流は加算される。したがって、
図29Aに描かれるように、周波数Δの光電流の振幅は、周波数Δ'の光電流の振幅の2倍となる。また、3つの検出ユニットからの光電流は加算されるため、加算された光電流からそれぞれの寄与を区別することはできない。
図29Bは、検出ユニット1、2、3それぞれのLOに周波数オフセットΩ
m(m=1、2、3)を適用した場合のスペクトルの例を示す。3つの検出ユニットからの光電流の周波数が異なるバンドに分離され、検出ユニットの寄与とともに、検出ユニットでのプローブビームの往復時間情報を個別に決定し得る。
圧縮センシングに基づく多重化方法
【0238】
以下では、局部発振器の振幅を利用した多重化方法の一実施形態について説明する。
【0239】
いくつかの側面では、コヒーレント検出アレイの行のサブセットの選択および信号後処理は、圧縮センシング(CS)の方法に基づいてもよい(非特許文献1[D. L. Donoho, "Compressed sensing," IEEE Transactions on Information Theory 52, 1289 (2000)]参照)。多重化方法の原理を説明するために、以下の説明では入射信号光を連続波(CW)信号としているが、一般的にはどのような入射信号光に対しても有効な方法である。
【0240】
CS法のいくつかの実施形態では、入射信号光はK回測定され、各測定はk=1,2,
...,Kの継続時間T
kの間継続することができる。式(2)に従ってk回目の測定時にコヒーレント検出アレイのn列目の列読み出し配線の出力端での電流のクロス成分は、次式に比例する。
【数5】
ここで、
は、k回目の測定におけるm行目の行符号化導波路での局部発振光であり、
および|E
Sig,in(m,n)|は、それぞれ
およびE
Sig,in(m,n)(t
k)の大きさであり、Δ
mnは、m行n列の検出ユニットでの信号光および局部発振光のビート周波数であり、θ'
mnは、対応する位相シフトである。時間t
kは、k回目の測定の継続時間T
kに含まれる。説明のために、θ'
mnが決定論的である場合、すなわち式(2)の位相変動を無視した場合を考える。フーリエ領域では、式(4)は、行列形式I
ac(n)=E
LOχ
nで記載することができる。ここで、ベクトルχ
nの要素は、|E
Sig,in(m,n)||e
iθ'mnδ(f-Δ
mn)+e
-iθ'mnδ(f+Δ
mn)|(δ(f)はフーリエ領域のデルタ関数である。)となる。ここで、任意のn列について、I
ac(n)は長さKのベクトルであり、χ
nは長さMのベクトルであり、E
LOはサイズK×Mの行列である。よって、
により表されるように、定数R
(m,n)を有する局部振動光は、CSにおけるセンシング行列の役割を果たす。未知の信号ベクトルχ
nがCS理論に従ってまばら(sparse)な場合、信号再構成アルゴリズムにより効率的に復元してもよい。
光検出器による多重化方法
【0241】
以下では、本発明のコヒーレント検出アレイの設計を活用し、光検出器の特性を利用した多重化方法の原理とその実施形態について説明する。
【0242】
いくつかの側面では、光検出器の特性の操作による多重化は、行符号化配線が実施される
図3、
図7、
図9、
図15、
図17、
図19、
図21、
図25および
図27に示すコヒーレント検出アレイの実施形態において実施されてもよい。その場合、光検出器の応答性は、R
(m,n)f
(m)(t)の形式で記載されることにより、応答性の時間依存性がコヒーレント検出アレイの検出ユニットの行全体で同一となり、係数R
(m,n)が異なる検出ユニットの異なる光検出器間の応答性のばらつきを説明することができる。関数f
(m)(t)は、検出アレイのm行目の光検出器に印加する電圧を変更することにより時間的に制御することができる。式(1)によれば、コヒーレント検出アレイのn列目の列読み出し配線の出力端での電流は、次式のように記載される。
【数6】
式(5)によれば、時分割多重化方法は、非ゼロ値をf
(m)(t)に設定するとともに、他の行をオフすることにより、m行目の光検出器の出力を選択するように実施することができる。
【0243】
いくつかの側面では、関数f
(m)(t)は、式(3)で表される局部発振器の周波数オフセットに基づく多重化方法と同様の方法で、出力信号を多重化するための周波数オフセットを提供するために利用することができる。一例として、局部発振器の周波数オフセットがゼロに設定され、応答性がf
(m)(t)=C
m+A
mcos2πΩ
mtの形式をとる全方位同時3D FMCW-LIDARへの適用を考える。この場合、式(5)は、次式のように記載される。
【数7】
ここで、ベースバンド電流は次のように与えられ、
【数8】
バンドシフト電流は、次のように与えられる。
【数9】
【0244】
一方で、式(7)のベースバンド電流は、光検出器の応答性の時間的な変調による多重化の影響を受けない信号成分に相当する。
【0245】
他方で、式(3)で表される状況と同様に、検出アレイの異なる行での式(8)に従うバンドシフト電流の和は、光検出器の応答性の変調周波数Ωmによりシフトされる。変調周波数Ωmが十分に大きい場合、異なるmの距離情報τmnを含むFMCW光電流成分は、異なる周波数帯にシフトされる場合がある。その結果、光検出器の応答性に適用される周波数変調を利用して、LO周波数オフセットによる多重化方法と同様に、コヒーレント検出アレイの行のサブセットを選択し、行の信号の情報を多重化解除することができる。
【0246】
式(3)で表される状況とは異なり、バンドシフト電流の距離情報は、Ωmを中心としてシフトした平均パワー項P0(m,n)周辺に2つのサイドバンドとして現れる場合がある。したがって、このような情報を抽出するためには、より高度な信号後処理が必要となり得る。
【0247】
図30A~
図30Cは、光検出器の応答性を正弦波で変調した場合のFMCW光電流のスペクトルの例を模式的に示す。
図29Aおよび
図29Bと同じ条件およびパラメータで考える。対象となる信号は、純粋な実数であるため、正の周波数のみが示される。
図30Aは、変調のないスペクトルの場合の例を示し、A
m=0の場合の式(6)に対応する。
図30Aは、平均電力P
0(m,n)に対応する直接成分が存在すること以外は、
図29Aと同一である。
図30Bは、検出ユニット1、2、3それぞれの光検出器に、周波数Ω
m(m=1、2、3)で正弦波変調を適用したスペクトルの場合を示す。3つの検出ユニットからの光電流の周波数は、
図29Bよりも複雑なパターンを示しながらも、明確なバンドに分離された。
図30Cは、
図2、
図3、
図24、
図25、
図26および
図27に示すコヒーレント検出アレイの実施形態のうち、バランス型構成が実施された場合について、光検出器により光電流の差をとることにより、式(5)、(7)、(8)の平均電力P
0(m,n)を含む項を抑制し得る状況を示す。
引用文献
他の出版物
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