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特表2022-548845熱可塑性高分子粒子及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】熱可塑性高分子粒子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/10 20060101AFI20221115BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20221115BHJP
   B29B 13/04 20060101ALI20221115BHJP
   B29B 13/10 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B29B9/10
C08J3/12 Z CER
C08J3/12 CEZ
B29B13/04
B29B13/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515900
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 KR2020012290
(87)【国際公開番号】W WO2021049900
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0112892
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510244710
【氏名又は名称】エルエックス・ハウシス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ギョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ヨン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ホ・リム
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジン・ゴ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ハン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ホ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ジェ・コン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ファン・ファン
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AA47
4F070AA53
4F070AA54
4F070AA58
4F070AB23
4F070DA13
4F070DC07
4F201AA11
4F201AA24
4F201AA29
4F201AA31
4F201AA32
4F201AK02
4F201AR06
4F201AR08
4F201AR12
4F201AR14
4F201BA02
4F201BA04
4F201BC01
4F201BC03
4F201BD05
4F201BL10
4F201BL25
4F201BL42
4F201BL50
4F201BN12
(57)【要約】
本発明は(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機で押し出す段階;(2)押し出された熱可塑性高分子樹脂を、ノズルを通じて噴射した後、噴射された熱可塑性高分子樹脂に複数個の噴射機で気体を噴射して粒子化する段階;及び(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階、を含む熱可塑性高分子粒子の製造方法及びその熱可塑性高分子粒子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機で押し出す段階;
(2)押し出された熱可塑性高分子樹脂を、ノズルを通じて噴射した後、噴射された熱可塑性高分子樹脂に複数個の噴射機から気体を噴射して粒子化する段階;及び
(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階
を含む、熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項2】
(4)冷却された熱可塑性高分子粒子を捕集する段階
をさらに含む、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項3】
段階(1)と段階(2)との間に、
(1-1)押し出された熱可塑性高分子をメッシュ網に通過させる段階
をさらに含む、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性高分子樹脂は、ポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリアミド及びポリエーテルスルホンからなる群から選択される高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項5】
前記熱可塑性高分子樹脂がポリプロピレンである時、
樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし200℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を200℃から225℃に昇温することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項6】
前記熱可塑性高分子樹脂が熱可塑性ポリウレタンである時、
樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を160℃から170℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を170℃ないし210℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を210℃から220℃に昇温することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項7】
前記熱可塑性高分子樹脂がポリ乳酸である時、
樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を150℃から160℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を160℃ないし190℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を190℃から200℃に昇温することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項8】
前記熱可塑性高分子樹脂がポリアミドである時、
樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を240℃から250℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を250℃ないし300℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を300℃から320℃に昇温することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性高分子樹脂がポリエーテルスルホンである時、
樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を370℃から380℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を380℃ないし400℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を400℃から420℃に昇温することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項10】
段階(2)において、
前記ノズルは、熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部の面積(A)の、熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部との面積(B)に対する割合(A/B)が、10ないし30であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項11】
段階(2)において、
前記ノズルに投入されて噴射される熱可塑性高分子樹脂は15ないし45秒の滞留時間を持つことを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項12】
段階(2)において、
前記ノズルの投入部と吐出部は複数個の流路で連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項13】
前記複数個の流路の個数(n)は、
下記数式4:
[数式4]
X= 吐出部の円周の長さ(mm)/(投入部の面積(mm))
で表されるX値を基準にして、1X≦n≦60Xを充たすことを特徴とする、請求項12に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項14】
段階(2)において、
前記ノズルの吐出部は下記の数式5:
[数式5]
吐出部温度=ガラス転移温度(T)+(分解温度(T)-ガラス転移温度(T))×B
(式中、Bは0.5ないし1.5である。)
によって計算される温度で維持されることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項15】
複数個の噴射機から噴射される気体はノズルの吐出部から吐出される熱可塑性高分子樹脂に向かって噴射され、
第1噴射気体の温度は250℃ないし600℃であり、
第2噴射気体の温度は第1噴射気体と±10℃の差があることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項16】
第3噴射気体の温度は第1噴射気体より0℃ないし50℃さらに高いことを特徴とする、請求項15に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項17】
第4噴射気体の温度は第1噴射気体より0℃ないし20℃さらに高いことを特徴とする、請求項15に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項18】
段階(2)において、
前記熱可塑性高分子樹脂がノズルにより噴射される前に、ノズルから流れ出る熱可塑性高分子樹脂の溶融物に第4噴射気体を噴射することを特徴とする、請求項15に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項19】
段階(2)において、
前記気体の噴射速度が100ないし200m/sになるように噴射することを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項20】
前記第1噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして20~70゜の角度になるように噴射し、第2噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして70ないし80゜の角度で噴射することを特徴とする、請求項15に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項21】
前記第3噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして-5ないし-10゜の角度で噴射し、第4噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向と平行に噴射することを特徴とする、請求項16に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項22】
段階(3)において、ノズルと冷却チャンバーとの間の距離が0.1ないし1.0mであることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項23】
段階(3)において、前記粒子化された熱可塑性高分子樹脂が25ないし40℃の内部温度を持つ冷却チャンバーによって冷却されることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項24】
前記冷却チャンバーは-30ないし-10℃の外部空気が流入される外部空気注入口を備えることを特徴とする、請求項23に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項25】
前記冷却チャンバーは前記外部空気注入口を複数個備え、前記複数個の外部空気注入口は熱可塑性高分子粒子の自由落下の流れに邪魔にならないように取り付けられることを特徴とする、請求項24に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項26】
前記冷却チャンバーの上部に外部空気注入口を複数個備え、前記外部空気注入口は冷却チャンバーの同心円を基準にして1/2ないし3/4の地点に取り付けられることを特徴とする、請求項25に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項27】
前記冷却チャンバーの側面に外部空気注入口を複数個備え、前記外部空気注入口の空気流入速度は0.5~10m/sであることを特徴とする、請求項25に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項28】
段階(4)は、複数のサイクロンを直列または並列に使用して粒子を捕集することを特徴とする、請求項2に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項29】
前記複数のサイクロンは互いに圧力条件を異にして粒子の捕集を調節することを特徴とする、請求項28に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項30】
段階(1-1)のメッシュ網は60ないし100メッシュであることを特徴とする、請求項3に記載の熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【請求項31】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、粒子の粒径(D90)が80ないし105μmである、ポリプロピレン粒子。
【請求項32】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、粒子の粒径(D90)が80ないし110μmである、熱可塑性ポリウレタン粒子。
【請求項33】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、粒子の粒径(D90)が20ないし40μmである、ポリ乳酸粒子。
【請求項34】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、粒子の粒径(D90)が80ないし115μmである、ポリアミド粒子。
【請求項35】
連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、粒子の粒径(D90)が80ないし130μmである、ポリエーテルスルホン粒子。
【請求項36】
熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部及び熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部を備える熱可塑性高分子粒子製造用ノズルであって、
前記熱可塑性高分子粒子製造用ノズルの投入部と吐出部とは複数個の流路で連結されていることを特徴とする、熱可塑性高分子粒子製造用ノズル。
【請求項37】
前記複数個の流路の個数(n)は、
下記数式4:
[数式4]
X=吐出部の円周の長さ(mm)/(投入部の面積(mm))
で表されるX値を基準にして、1X≦n≦60Xを充たすことを特徴とする、請求項36に記載の熱可塑性高分子粒子製造用ノズル。
【請求項38】
前記熱可塑性高分子粒子製造用ノズルは、熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部の面積(A)の、熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部の面積(B)に対する割合(A/B)が、10ないし30であることを特徴とする、請求項36に記載の熱可塑性高分子粒子製造用ノズル。
【請求項39】
前記熱可塑性高分子粒子製造用ノズルに投入されて噴射される熱可塑性高分子樹脂の滞留時間は、15ないし45秒であることを特徴とする、請求項36に記載の熱可塑性高分子粒子製造用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2019年9月11日付けの韓国特許出願第10-2019-0112892号に基づく優先権の利益を主張し、この韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として組み込む。
本発明は熱可塑性高分子粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子形態の高分子樹脂は産業全般にわたって多様に利用されている。このような高分子樹脂粒子は、高分子樹脂原料を粒子化する工程を通じて製造される。
【0003】
一般に、熱可塑性高分子樹脂を粒子化する方法として、凍結粉砕で代表される粉砕法;高温の溶媒に溶解した後で冷却して析出させたり、溶媒に溶解したりした後で貧溶媒を添加して析出させる溶媒溶解析出法;及び混合機内で熱可塑性樹脂及び非常用樹脂を混合して熱可塑性樹脂を分散相に、熱可塑性樹脂と非常用樹脂を連続相に持つ組成物を形成させた後、非常用樹脂を取り除くことで熱可塑性樹脂粒子を得る溶融混錬法などが存在する。
【0004】
前記粉砕法によって粒子を製造する場合、製造された熱可塑性高分子樹脂粒子の粒子均一性を確保しにくいという問題点がある。また、粉砕法の冷却時に液体窒素を使用するため、粒子収得工程に対比して高費用が要される。熱可塑性高分子樹脂原料に対して顔料、酸化防止剤などを添加するコンパウンディング工程が加えられる場合はバッチ式で進められるので、連続的な粒子収得工程に比べて生産性が低くなる。前記溶媒溶解析出法及び溶融混錬法を通じて粒子を製造する場合、熱可塑性樹脂粒子以外に溶媒などの他の成分が不純物として検出されるという問題点がある。加工過程で不純物が混入される場合は、純粋に熱可塑性高分子樹脂のみからなる粒子を製造しにくいだけでなく、粒子の物性及び形状の変形をもたらす恐れが高く、これを微細に制御することが難しい。
【0005】
上述した問題点によって従来の方法では製品に適用するに適する物性を持つ熱可塑性高分子樹脂粒子を製造することができない。したがって、当技術分野では従来の方法を改善して粒子の物性が改善された熱可塑性高分子樹脂粒子が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本公開特許公報第2001‐288273号
【特許文献2】日本公開特許公報第2000-007789号
【特許文献3】日本公開特許公報第2004-269865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は新しい製造方法を用いて、粒径が小さくて粒度分布が広くない熱可塑性高分子粒子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機で押し出す段階;(2)押し出された熱可塑性高分子樹脂を、ノズルを通じて噴射した後、噴射された熱可塑性高分子樹脂に複数個の噴射機で気体を噴射して粒子化する段階;及び(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階、を含む熱可塑性高分子粒子の製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の粒径(D90)は80ないし105μmであるポリプロピレン粒子を提供する。
【0010】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の粒径(D90)は80ないし110μmである熱可塑性ポリウレタン粒子を提供する。
【0011】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の粒径(D90)は20ないし40μmのポリ乳酸粒子を提供する。
【0012】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の粒径(D90)は80ないし115μmであるポリアミド粒子を提供する。
【0013】
また、本発明は連続的なマトリックス(matrix)相に形成され、前記粒子の粒径(D90)は80ないし130μmであるポリエーテルスルホン粒子を提供する。
【0014】
また、本発明は熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部及び熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部を備える熱可塑性高分子粒子製造用ノズルであって、前記ノズルの投入部と吐出部は複数個の流路で連結されていることを特徴とする、熱可塑性高分子粒子製造用ノズルを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明による熱可塑性高分子粒子は平均粒径が小さくて粒度分布が広くないため、流れ性を要するパウダー型化粧品に適用され、塗り性などの化粧効果を極大化させたり粒度分布が広くないので、無機物などと混合する時に無機物の間の空隙を適当に満たしてコンポジットの機能を最大限に発揮できるようにするバインダーの役目をよく遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の熱可塑性高分子粒子の形状を簡略に示すイメージである。
図2】本発明による熱可塑性高分子粒子の製造方法を簡略に示す工程フローチャートである。
図3】本発明の具体例によるノズルの熱可塑性高分子樹脂及び空気の供給位置を示すノズル吐出部の断面図である。
図4】本発明の具体例によってノズルの空気供給位置を具体的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によって提供される具体例は下記説明によって全て達成されることができる。下記説明は本発明の好ましい具体例を記述するものとして理解しなければならず、本発明が必ずこれに限定されないことを理解しなければならない。
【0018】
以下、明細書で数値範囲について、「ないし」の表現は範囲の上限と下限をいずれも含む意味として使用され、上限または下限を含まない場合は含か否かを具体的に示すために「未満」、「超」、「以下」または「以上」の表現が使われる。
【0019】
本発明は従来の粒子製造方法によっては収得することができなかった熱可塑性高分子粒子及びこの製造方法を提供する。以下では、本発明による熱可塑性高分子粒子に対して具体的に説明する。
【0020】
熱可塑性高分子粒子
本発明は熱可塑性高分子樹脂を押出後、空気と接触させて微粒化して製造された熱可塑性高分子粒子を提供する。本発明による熱可塑性高分子粒子の製造方法は既存の粉砕法、溶媒溶解析出法、及び溶融混錬法に比べて改善された方法であって、具体的な製造方法は下記の「熱可塑性高分子粒子の製造方法」部分で説明する。
【0021】
本発明で使用する熱可塑性高分子樹脂は熱可塑性を持つ高分子樹脂であれば特に制限されずに使用することができ、好ましくはポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリエーテルスルホンなどを使用することができる。
【0022】
本発明による熱可塑性高分子粒子は従来方法で製造された熱可塑性高分子粒子に比べて累積体積90%の粒径(D90)の値が25ないし30μmより小さく製造される。具体的には、累積体積90%の粒径(D90)の値は、80ないし130μm程度の値を持つ。
【0023】
具体的には、熱可塑性高分子がポリプロピレンの場合は、粒径(D90)は80ないし105μmであり、好ましくは85ないし100μmであり、最も好ましくは85ないし95μmである。
【0024】
また、熱可塑性高分子が熱可塑性ポリウレタンの場合は、粒子の粒径(D90)は80ないし110μmであり、好ましくは85ないし105μmであり、最も好ましくは95ないし100μmである。
【0025】
また、熱可塑性高分子がポリ乳酸の場合は、粒子の粒径(D90)は20ないし40μmであり、好ましくは25ないし35μmであり、最も好ましくは25ないし30μmである。
【0026】
また、熱可塑性高分子がポリアミドの場合は、粒子の粒径(D90)は80ないし115μmであり、好ましくは85ないし110μmであり、最も好ましくは95ないし105μmである。
【0027】
また、熱可塑性高分子がポリエーテルスルホンの場合は粒子の粒径(D90)は80ないし130μmであり、好ましくは90ないし125μmであり、最も好ましくは100ないし120μmである。
【0028】
また、本発明による熱可塑性高分子粒子は粒度分布が小さくて粒径の偏差が少ないので、製品に適用する時よく混合されて機械的強度が高くなる長所がある。本明細書で熱可塑性高分子粒子の粒度分布は粒度分析機(Microtrac社、S3500)を使って湿式法で測定され、具体的な方法については以下の実施例で記載する。ここで、D10、D50、D90は粒子の累積体積分布において累積体積百分率がそれぞれ10%、50%、90%に相当する粒径を意味する。
【0029】
熱可塑性高分子粒子の粒度分布に関して、本発明による熱可塑性高分子粒子は、5ないし20、より具体的には7ないし18のD値を有する。具体的に、ポリプロピレンの場合10ないし20、好ましくは13ないし18のD値を持ち、熱可塑性ポリウレタンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を有し、ポリ乳酸の場合6ないし13、好ましくは8ないし11のD値を持ち、ポリアミドの場合7ないし15、好ましくは8ないし14のD値を有し、ポリエーテルスルホンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を有する。この時、前記D値は下記数式Aによって計算される。
【0030】
【数1】
【0031】
前記D値は平均粒径(D50)を持つ粒子を基準にして、より大きい累積体積90%粒径(D90)を持つ粒子と、より小さい累積体積10%粒径(D10)を持つ粒子がどこに位置するのかを数値化した値である。ここで、相対的に大きい粒径を持つ粒子は平均粒径を持つ粒子とともに適用時、平均粒径を持つ粒子を支持する役目をし、相対的に小さい粒径を持つ粒子は平均粒径を持つ粒子とともに適用時、平均粒径を持つ粒子の間の空隙を埋める役目をする。D値が小さいほど粒子の粒径は平均粒径に近く分布され、D値が大きいほど粒子の粒径は平均粒径から遠く分布する。D値が小さければ、平均粒径に近い粒子の割合が高くなって粒子の大きさの多様性による効果を得にくいし、一方、D値が大きければ、平均粒径から遠い粒子の割合が高くなって基準になる粒子の大きさを算定して適用しにくい。平均粒径の前記粒子が上述した範囲のD値を充たす場合、平均粒径を中心にして大きい粒子と小さい粒子が適当な割合で分布され、実際製品に適用する時優れる物性を示すことができる。
【0032】
本発明において、粒子の形状は下記のアスペクト比(aspect ratio)及び球形度(roundness)で評価され、アスペクト比及び球形度が1に近いほど粒子の形状は球形に近いと解釈される。前記アスペクト比は下記の数式1によって計算される。
[数式1]
アスペクト比(aspect ratio)=長軸(major axis)/短縮(minor axis)
【0033】
また、前記球形度は下記の数式2によって計算される。
[数式2]
球形度(roundness)=4×面積(area)/(π×長軸^2)
【0034】
前記数式について具体的に説明するために、熱可塑性高分子粒子を簡略に示した図1を提供する。図1によると、前記数式1及び2において「長軸」は前記熱可塑性高分子粒子の2Dイメージ(断面)の平行な2つの接線の間の垂直距離(d)の中で最も長い距離を意味し、「短縮」は前記熱可塑性高分子粒子の2Dイメージ(断面)の平行な2つの接線の間の垂直距離(d)の中で最も短い距離を意味する。また、前記数式3において「面積」は前記熱可塑性高分子粒子の長軸を含む断面積を意味する。図1は前記熱可塑性高分子粒子の平行な2つの接平面の間の垂直距離(d)が長軸の場合の例示であって、面積(A)を示したものである。
【0035】
本発明の一具体例によると、本発明による熱可塑性高分子粒子は1.00以上1.05未満、より具体的には1.02以上1.05未満のアスペクト比を持つことができるし、0.95ないし1.00、より具体的には0.98ないし1.00の球形度を持つことができる。前記熱可塑性高分子粒子の形状が上述したアスペクト比及び球形度の範囲を充たす場合、熱可塑性高分子粒子の流れ性及び均一度が高くなってバイポーラープレートなどに適用するにあたり、粒子の取り扱いが容易で、前記粒子が適用されたバイポーラープレートなどは粒子の優れる流れ性及び分散性によって品質が向上されることができる。
【0036】
前記数式1及び2による数値は熱可塑性高分子粒子のイメージをImageJ(National Institutes of Health(NIH))を使用してイメージ処理(Binaryイメージに変換した後、個別粒子の球形化度合いを数値化)することで測定可能である。
【0037】
本発明による熱可塑性高分子粒子は熱可塑性高分子樹脂から連続的なマトリックス(matrix)相に形成された粒子である。熱可塑性高分子樹脂から連続的なマトリックス相に形成するとは、熱可塑性高分子樹脂を追加成分なしで連続的に密集された構造を形成することを意味する。熱可塑性高分子樹脂を押出し、溶融した後溶融物を空気により粒子化することで、熱可塑性高分子粒子は密集された構造を持って連続的に生成される。これと違って、従来の製造方法によると、追加成分を投入して粒子が形成されたり、冷却・粉砕の不連続的な過程を通じて粒子が形成されるので、連続的なマトリックス相に粒子が形成されない。
【0038】
熱可塑性高分子樹脂から連続的なマトリックス相に形成された粒子は、基本的に粒子の製造過程で不純物が混入されないため高い純度を持つ。ここで、「不純物」は粒子製造時に混入され得る熱可塑性高分子以外の成分を意味する。例示的な不純物として、熱可塑性高分子樹脂を分散させるための溶媒、粉砕またはグラインディング過程で含まれる重金属成分、及び重合過程で含まれる未反応単量体などがある。本発明の一具体例によると、本発明の熱可塑性高分子粒子の不純物含量は50ppm以下、好ましくは20ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。
【0039】
また、前記粒子は純度だけでなく他の特性をさらに持つことができる。このような特性の一つとして、前記熱可塑性高分子粒子は示差走査熱量計(DSC、Differential Scanning Calorimetry)によって10℃/minの昇温分析によって導き出されたDSC曲線において、ガラス転移温度(T)と融点(T)との間の温度で冷結晶化温度(Tcc)のピークが示される。熱可塑性高分子粒子は常温で球形の固体粒子である。このような粒子を示差走査熱量計を利用して昇温分析する場合、温度が上がることによって流動性が段々増加するようになる。この時、前記熱可塑性高分子粒子はガラス転移温度(T)と融点(T)との間の温度で冷結晶化温度(Tcc)のピークが示され、これはすなわち前記熱可塑性高分子粒子が溶融される前に発熱する特性を持つことを意味する。本発明の一具体例によると、前記冷結晶化温度(Tcc)はガラス転移温度(T)と融点(T)との間の30%ないし70%の区間で示される。前記区間で0%はガラス転移温度(T)で、100%は融点(T)である。また、前記DSC曲線によると、前記熱可塑性高分子粒子は吸熱量(△H1)と発熱量(△H2)の差(△H1-△H2)の値が3ないし100J/gである。このような特徴によって前記熱可塑性高分子粒子が加熱工程に活用される場合、同種の熱可塑性高分子粒子の加工温度に比べて低温で加工が可能である利点を得ることができる。
【0040】
本発明の熱可塑性高分子粒子は、従来の熱可塑性高分子粒子に類似した水準の圧縮度を有する。前記圧縮度は下記数式3によって計算され得、本発明の一具体例によると、前記熱可塑性高分子粒子は10ないし20%の圧縮度を有する。
[数式3]
圧縮度=(P-R)/P×100
【0041】
前記数式3において、Pは圧縮バルク密度を意味し、Rは弛緩バルク密度を意味する。
【0042】
上述したように、本発明による熱可塑性高分子粒子は流れ性がよいため、粒子間の空隙をよく埋めることができるし、これによってある程度の水準以上の圧縮度が維持される。熱可塑性高分子粒子の圧縮度は粒子を通じた製品の製造時、製品の品質に影響を及ぼすことがある。本発明のように一定以上の圧縮度を持つ熱可塑性高分子粒子を使用する場合、成形品の場合は製品内で発生し得る空隙を最小化する効果を持つことができる。本発明の一具体例によると、前記熱可塑性高分子粒子は0.20ないし0.6g/cmの圧縮バルク密度を持つ。
【0043】
具体的に、熱可塑性高分子がポリプロピレンの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.3ないし0.6g/cmで、好ましくは0.4ないし0.5g/cmである。
【0044】
また、熱可塑性高分子が熱可塑性ポリウレタンの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.3ないし0.5g/cmであり、好ましくは0.35ないし0.45g/cmである。
【0045】
また、熱可塑性高分子がポリ乳酸の場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.2ないし0.4g/cmであり、好ましくは0.25ないし0.3g/cmである。
【0046】
また、熱可塑性高分子がポリアミドの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.3ないし0.6g/cmであり、好ましくは0.45ないし0.55g/cmである。
【0047】
また、熱可塑性高分子がポリエーテルスルホンの場合は、粒子の圧縮バルク密度は0.4ないし0.6g/cmであり、好ましくは0.45ないし0.55g/cmである。
【0048】
本発明による熱可塑性高分子粒子は20ないし30秒の流下時間を持つ。前記流下時間は粉体の流動性を示す数値である。前記流下時間が短いということは粒子間の摩擦抵抗が小さいことを意味し、粒子間の摩擦抵抗が小さいと前記粒子を扱いやすい。本発明による熱可塑性高分子粒子は従来の熱可塑性高分子粒子と対比して短い流下時間を持つので、流動性がよくて粒子の取り扱いが容易である。
【0049】
本発明による熱可塑性高分子粒子は5ないし10%の結晶化度を持つ。前記熱可塑性高分子粒子の結晶化度はペレット形態の大口径粒子よりは低い値であり、低い結晶化度によって本発明による熱可塑性高分子粒子は加工が容易である。
【0050】
上述した特徴を持つ熱可塑性高分子粒子は下記の製造方法によって製造される。以下では、本発明による熱可塑性高分子粒子の製造方法について具体的に説明する。
【0051】
熱可塑性高分子粒子の製造方法
図2は前記製造方法に対する工程フローチャートを簡略に示す。前記製造方法は熱可塑性高分子樹脂を押出機で押し出す段階(S100);押し出された熱可塑性高分子樹脂をノズルを通じて噴射した後、噴射された熱可塑性高分子樹脂に複数個の噴射機で気体を噴射して粒子化する段階(S200);及び粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階(S300)を含む。また、冷却された熱可塑性高分子粒子を捕集する段階をさらに含むことができる。また、前記(S100)段階と前記(S200)段階の間に、押し出された熱可塑性高分子をメッシュ網に通過させる段階をさらに含むことができる。以下では、前記製造方法の各段階について具体的に説明する。
【0052】
(1)熱可塑性高分子樹脂を押出機で押し出す段階
本発明によって熱可塑性高分子粒子を製造するために、先ず原料の熱可塑性高分子樹脂を押出機に供給して押し出す。本発明で使用する熱可塑性高分子樹脂は熱可塑性を持つ高分子樹脂であれば特別な制限なしに使用することができ、好ましくはポリプロピレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリエーテルスルホンなどを使用することができる。
【0053】
熱可塑性高分子樹脂を押し出すことで、熱可塑性高分子樹脂はノズルでの粒子加工に適する物性を持つ。原料で使われる熱可塑性高分子樹脂は、製造された粒子の適正な物性を考慮して10,000ないし200,000g/molの重量平均分子量(Mw)を持つことが好ましい。
【0054】
前記熱可塑性高分子樹脂が供給される押出機は、熱可塑性高分子樹脂を加熱及び加圧して熱可塑性高分子樹脂の粘度などの物性を調節する。ノズルで粒子化するに適する物性で調節可能であれば、前記押出機の種類は特に限定されない。本発明の一具体例によると、前記押出機は、効率的な押出のために二軸スクリュー押出機であってよい。前記押出機の内部は使用する熱可塑性高分子の種類によって異なるが、全体的に140ないし420℃で維持されることが好ましい。前記押出機の内部温度が低すぎると熱可塑性高分子樹脂の粘度が高くてノズルでの粒子化に適しないだけでなく、押出機内で熱可塑性高分子樹脂の流れ性が低くて押出に効率的ではない。また、前記押出機の内部温度が高すぎると熱可塑性高分子樹脂の流れ性が高くて効率的な押出が可能であるが、ノズルで熱可塑性高分子樹脂が粒子化される時、微細な物性調節が難しい。
【0055】
ただし、本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法では、押出機の温度プロファイルを調節することによって、押出機内で熱可塑性高分子樹脂が受ける熱量を熱可塑性樹脂が押出機に投入される押出機の先端部から、押出機から出る末端部までの位置及び各位置の温度を調節して、最終的に製造される熱可塑性高分子粒子の物性を調節することができ、特に粒度分布の大きさを調節することができる。
【0056】
具体的に、前記熱可塑性高分子樹脂がポリプロピレンである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし200℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を200℃から225℃に昇温することができる。
【0057】
また、前記熱可塑性高分子樹脂が熱可塑性ポリウレタンである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を160℃から170℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を170℃ないし210℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を210℃から220℃に昇温することを特徴とする、熱可塑性高分子粒子の製造方法。
【0058】
また、前記熱可塑性高分子樹脂がポリ乳酸である時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を150℃から160℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を160℃ないし190℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を190℃から200℃に昇温することができる。
【0059】
また、前記熱可塑性高分子樹脂がポリアミドである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を240℃から250℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を250℃ないし300℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を300℃から320℃に昇温することができる。
【0060】
また、前記熱可塑性高分子樹脂がポリエーテルスルホンである時、樹脂の流れ方向を基準にして前記押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を370℃から380℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を380℃ないし400℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を400℃から420℃に昇温することができる。
【0061】
熱可塑性高分子樹脂の押出量は、押出機のサイズを考慮して熱可塑性高分子樹脂の物性を調節しやすく設定することができる。本発明の一具体例によると、熱可塑性高分子樹脂は1ないし20kg/hrの速度で押し出される。押し出された熱可塑性高分子樹脂の粘度は熱可塑性樹脂の種類ごとに異なるが、全体的に0.5ないし25Pa・sの範囲であってよい。熱可塑性高分子樹脂の粘度が0.5Pa・s未満であればノズルで粒子を加工しにくいし、熱可塑性高分子樹脂の粘度が25Pa・s超であればノズルで熱可塑性高分子樹脂の流れ性が低くて加工効率が落ちる。押し出された熱可塑性高分子樹脂の温度は150ないし420℃である。
【0062】
前記熱可塑性高分子樹脂を押出機で押し出す段階を行った後、押し出された熱可塑性高分子をメッシュ網に通過させることができる。前記メッシュ網は60ないし100メッシュであるものを使用することができる。押し出された熱可塑性高分子をメッシュ網に通過させると、高分子のゲル化が均一に行われるので、粒径の偏差が小くなるし、粒度分布が広くなることを防ぐことができる。
【0063】
(2)押し出された熱可塑性高分子樹脂を、ノズルを通じて噴射した後、噴射された熱可塑性高分子樹脂に複数個の噴射機で気体を噴射して粒子化する段階
本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法は、押出機から押し出された熱可塑性高分子樹脂をノズルに供給する。
【0064】
本発明で使われるノズルは、熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部及び熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部を備える熱可塑性高分子粒子製造用ノズルである。
【0065】
また、本発明において、前記ノズルは熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部面積(B)の割合(A/B)が10ないし30のものを使用することができる。ノズルを設計する時、樹脂が投入される投入部の面積は変わらないので、樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が10未満で設計されたノズルを使用するようになれば、平均粒径が大きくなる問題がある。また、割合が(A/B)が30超で設計されたノズルを使用するようになれば、同量で投入される樹脂を基準にして、樹脂の厚さの偏差が大きくなって、結局製造される高分子粒径の偏差が大きくなって、粒度分布が広くなる問題が発生する。
【0066】
また、本発明において前記ノズルは、ノズルに投入されて噴射される熱可塑性高分子樹脂の滞留時間が15ないし45秒であるものを使用することができる。前記ノズルの滞留時間が15秒未満であれば粒子が生成されないし、45秒を超えると粒子の物性が低下することがある。
【0067】
また、本発明において前記ノズルは、ノズルの投入部と吐出部が複数個の流路で連結されたものを使用することができる。本発明のノズルは投入部と吐出部が複数個の流路で連結されることによって粒子の大きさの均一性が増大される長所がある。
【0068】
この時、前記複数個の流路の個数(n)は、下記数式4で表されるX値を基準にして、X≦n≦60Xを満たすことができるし、具体的には2X≦n≦30Xを満たすことができる。
[数式4]
X=(吐出部の円周の長さ(mm))/(投入部の面積(mm))
【0069】
前記数式4でX値を求める時に使用する長さ及び面積は、単位のディメンションは異なるが、長さはmmで、面積はmmを基準にして数字のみを使って計算した値を使用する値である。本発明のノズルにおいて、ノズル内の流路数が減ると気体が樹脂に均一な速度でぶつかる確率が減るので、粒径の偏差が大きくなって粒度分布が広くなる問題がある。
【0070】
前記熱可塑性高分子樹脂とともに噴射用気体もノズルに供給される。本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法では、複数個の噴射機で気体を噴射して粒子化する。複数個の噴射機から噴射される気体はノズルの吐出部から吐出される熱可塑性高分子樹脂に向かって噴射され、気体はノズル内で熱可塑性高分子樹脂と接触して熱可塑性高分子樹脂を粒子化する。
【0071】
本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法で使用する複数個の噴射機は2個であってもよく、3個であっても、4個以上であってもよい。
【0072】
噴射機が2個の場合、第1噴射気体の温度は250℃ないし600℃で、第2噴射気体の温度は第1噴射気体と±10℃差があるものを使用することができる。噴射機が3個の場合、第1噴射気体より0℃ないし50℃もっと高い第3噴射気体を噴射することができる。また、噴射機が4個の場合、第1噴射気体より0℃ないし20℃もっと高い第4噴射気体を噴射することができる。
【0073】
前記のような温度条件を充たす場合、熱可塑性高分子樹脂で熱可塑性高分子粒子が製造される時、空気と接触された表面の物性を好ましい方向に変化させることができるし、空気との接触面に過度な熱が供給されることを防いで粒子の表面における熱可塑性高分子の分解現象を防ぐことができる。
【0074】
また、前記第1噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして20~70゜角度になるように噴射し、第2噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして70ないし80゜角度で噴射することができる。また、前記第3噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして5ないし10゜角度で噴射することができる。
【0075】
この時、前記第4噴射気体は、熱可塑性高分子がノズルで噴射される前に、ノズルから流れる熱可塑性高分子樹脂の溶融物に噴射することもでき、前記第4噴射気体は熱可塑性高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射することができる。
【0076】
本発明の熱可塑性高分子粒子の製造方法において、前記気体の噴射速度は100ないし200m/sである。
【0077】
ノズルに供給される熱可塑性高分子樹脂及び空気は熱可塑性高分子粒子が適切な大きさ及び形状を持つことができるし、形成された粒子が均一に分散されるように供給位置が設定される。図3はノズル吐出部の断面図を示し、本発明の一具体例による熱可塑性高分子樹脂及び空気の供給位置は図3を通じて具体的に説明される。本明細書において、具体的な説明のために、ノズルの位置を「注入部」、「吐出部」、及び「末端部」などで表現する。ノズルの「注入部」はノズルが始まる位置を意味し、ノズルの「吐出部」はノズルが終わる位置を意味する。また、ノズルの「末端部」はノズルの3分の2の地点から吐出部までの位置を意味する。ここで、ノズルの0の地点はノズルの注入部で、ノズルの1の地点はノズルの吐出部である。
【0078】
図3で示すように、熱可塑性高分子樹脂及び空気の流れ方向と垂直の断面は円形である。前記第1噴射気体と第2噴射気体は第1の気体の流れ20を通じて供給され、前記第3噴射気体は第2の気体の流れ40を通じて供給される。前記熱可塑性高分子樹脂30は第1の気体の流れ20と第2の気体の流れ40の間で第4噴射気体と一緒に供給される。図3で示すように、熱可塑性高分子樹脂及び気体がノズルの注入部に供給される時からノズルの吐出部直前まで各供給の流れ(熱可塑性高分子樹脂と第4噴射気体の流れ30、第1の気体の流れ20及び第2の気体の流れ40)はノズル内部の構造によって分離される。図4に具体的に示すように、熱可塑性高分子樹脂が第4噴射気体50と会って薄いフィルムを形成し、この時、第4噴射気体50は熱可塑性高分子樹脂が薄くひろがるようにする役目をする。この後、熱可塑性高分子樹脂が流れている途中、第1の気体の流れの中で第1噴射気体60を先に会うことになるが、第1噴射気体60はフィルム化された熱可塑性高分子樹脂を砕けて液滴を形成する役目をする。ノズルの吐出部の前では液滴に形成された熱可塑性高分子樹脂が第1の気体の流れの中で第2噴射気体70と第2の気体の流れの第3噴射気体80に会って、熱量を保存してノズルから吐出した後、冷却チャンバーに流入される前まで冷却されないため、繊維状が形成されずに液滴の形態が維持される。また、第1の気体の流れの中で第2噴射気体70と第2の気体の流れの第3噴射気体80とは熱可塑性高分子樹脂液滴がノズルの吐出部に粘着されることを防止しながら第1噴射気体を通じて砕けることができなかった熱可塑性高分子樹脂を砕けて液滴を形成する補助的な役目もする。
【0079】
ノズルで熱可塑性高分子樹脂は粒子化されるので、ノズルの内部は熱可塑性高分子樹脂が粒子化されるに適した温度で調節される。急な温度の上昇は熱可塑性高分子の構造を変化させることがあるので、押出機からノズルの吐出部までの温度は段階的に上昇させることができる。したがって、ノズルの内部温度は平均的に押出機の内部温度より高い範囲で設定される。ノズルの末端部に対する温度は以下で別途定義しているので、本明細書でノズルの内部温度は特に言及しない場合、ノズルの末端部を除いたノズルの残りの部分の平均温度を意味する。本発明の一具体例によると、ノズルの内部は250ないし350℃で維持されることができる。ノズルの内部温度が250℃未満であれば熱可塑性高分子樹脂に粒子化時の物性を充たすための十分な熱が伝達されず、ノズルの内部温度が350℃超であれば熱可塑性高分子樹脂に過度な熱が供給されて熱可塑性高分子の構造を変化させることができる。
【0080】
ノズルの末端部は、生成された粒子の外的及び内的物性を向上させるためにノズル内部の平均温度より高い温度で維持されることができる。ノズルの末端部の温度は熱可塑性高分子のガラス転移温度(T)と熱分解温度(T)の間で決まることができるが、具体的には下記数式5によって決まることができる。
[数式5]
末端部温度=ガラス転移温度(T)+(熱分解温度(T)-ガラス転移温度(T))×B
【0081】
ここで、前記Bは使用する熱可塑性高分子の種類によって変わることがあるが、全体的に0.5ないし1.5、具体的には0.85ないし1.45である。前記Bが0.5未満であればノズル末端部の温度上昇による粒子の外的及び内的物性の向上を期待しにくいし、前記Bが1.5超であればノズルの末端部から熱可塑性高分子に実質的に伝達される熱が過度に増加して熱可塑性高分子の構造が変形されることがある。前記ガラス転移温度及び熱分解温度は高分子の種類、重合度、構造などによって変わることがある。本発明の一具体例によると、ノズルの末端部はノズルの平均温度より高く維持されるので、場合によってノズルの末端部にはさらに加熱手段が備えられることができる。
【0082】
(3)粒子化された熱可塑性高分子樹脂を冷却する段階
ノズルから吐出された熱可塑性高分子粒子は冷却チャンバーに供給される。ノズルと冷却チャンバーは離隔して位置させることができるし、この場合、吐出された熱可塑性高分子粒子が冷却チャンバーに供給される前に周りの空気によって1次的に冷却する。ノズルからは熱可塑性高分子粒子だけでなく高温の空気も一緒に排出されるが、ノズルと冷却チャンバーを離隔させることで高温の空気を冷却チャンバーではなく外部に排出することができるので、冷却チャンバーで冷却効率を高めることができる。本発明の一具体例によると、冷却チャンバーはノズルと0.1ないし1.0m、具体的には0.15ないし0.4m、より具体的には0.2ないし0.3m離隔して位置する。前記距離より離隔距離が短い場合は冷却チャンバー内に多量の高温の空気が注入されて冷却効率が低く、前記距離より離隔距離が長い場合は周辺空気によって冷却される量が多くなって冷却チャンバーによる急速な冷却が行われない。また、ノズルから熱可塑性高分子粒子を吐出する時、噴射角は10ないし60゜であるが、該当角度で熱可塑性高分子粒子を吐出する場合、ノズルと冷却チャンバーの離隔による効果を倍加することができる。
【0083】
冷却チャンバーは冷却チャンバー内部に低温の外部空気を供給して前記空気と熱可塑性高分子粒子を接触させることにより、熱可塑性高分子粒子を冷却することができる。前記低温の外部空気は冷却チャンバー内で回転気流を形成し、前記回転気流によって冷却チャンバー内で熱可塑性高分子粒子の滞留時間を十分確保することができる。冷却チャンバーに供給される外部空気の流量は熱可塑性高分子粒子の供給量によって調節されることができるし、本発明の一具体例によると、前記外部空気は1ないし10m/minの流量で冷却チャンバーに供給されることができる。前記冷却チャンバーは25ないし40℃の内部温度を持ち、このような温度を維持するために前記外部空気は-30ないし-10℃の温度を持つことが好ましい。前記冷却チャンバーは前記外部空気注入口を複数個備え、前記複数個の外部空気注入口は熱可塑性高分子粒子の自由落下の流れに邪魔にならないように取り付けることができる。また、冷却チャンバーの上部に外部空気注入口を複数個備えることができるし、前記外部空気注入口は冷却チャンバーの同心円を基準にして1/2ないし3/4の地点に設けることができる。また、冷却チャンバーの側面に外部空気注入口を複数個備えることができるし、前記外部空気注入口の空気流入速度は0.5~10m/sになるように設定することができる。冷却チャンバーに供給される熱可塑性高分子粒子と対比して極低温の外部空気を冷却チャンバー内に供給することで、熱可塑性高分子粒子が急速に冷却されて吐出時に高温の熱可塑性高分子粒子の内部構造を適当に維持することができる。熱可塑性高分子粒子は製品の製造のために実際に適用する時に再び加熱されるが、この時、再加熱された熱可塑性高分子粒子は加工に有利な物性を持つ。
【0084】
(4)冷却された熱可塑性高分子粒子を捕集する段階
低温の外部空気によって冷却されたポリプロピレン粒子は40℃以下に冷却されて排出され、排出された粒子はサイクロンまたはバックフィルターを通じて捕集する。この時、複数のサイクロンを直列または並列に使用して粒子を捕集することができる。また、前記複数のサイクロンは互いに圧力条件を異にして粒子の捕集を調節することができる。
【0085】
熱可塑性高分子粒子製造用ノズル
本発明は、熱可塑性高分子樹脂が投入される投入部及び熱可塑性高分子樹脂が噴射される吐出部を備える熱可塑性高分子粒子製造用ノズルであって、前記ノズルの投入部と吐出部は複数個の流路で連結されたことを特徴とする、熱可塑性高分子粒子製造用ノズルを提供する。
【0086】
前記熱可塑性高分子粒子製造用ノズルの具体的な内容は、前述した熱可塑性高分子粒子の製造方法で使用したノズルと同一である。
【0087】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【実施例
【0088】
実施例1(ポリプロピレン樹脂)
ポリプロピレン樹脂(PolyMirae、MF650Y、Mw:約90,000g/mol、ガラス転移温度(T):約10℃、熱分解温度(T):約300℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし200℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を200℃から225℃に昇温するように設計し、約15kg/hrの押出量の条件で設定して押し出した。押し出されたポリプロピレン樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリプロピレン樹脂は約10Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリプロピレン樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20と設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約300℃の内部温度及び約400℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.34である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ(数式4によるX値が9.2である)。また、約470℃の空気を150m/sの流速でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリプロピレン樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0089】
実施例2(熱可塑性ポリウレタン)
熱可塑性ポリウレタン樹脂(Lubrizol、LZM-TPU-95A、Mw:約100,000g/mol、ガラス転移温度(T):約-19℃、熱分解温度(T):約330℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)へ供給した。前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を160℃から170℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を170℃ないし210℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を210℃から220℃に昇温するように設計し、約15kg/hrの押出量の条件で設定して押し出した。押し出された熱可塑性ポリウレタン樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出された熱可塑性ポリウレタン樹脂は約5Pa・sの粘度を持ち、前記押し出された熱可塑性ポリウレタン樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約280℃の内部温度及び約335℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.01である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約340℃の空気を150m/sの流速でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給された熱可塑性ポリウレタン樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0090】
実施例3(ポリ乳酸)
ポリ乳酸樹脂(Total Corbion、L105、Mw:約120,000g/mol、ガラス転移温度(T):約62℃、熱分解温度(T):約340℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を150℃から160℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を160℃ないし190℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を190℃から200℃に昇温するように設計し、約5kg/hrの押出量の条件で設定して押し出した。押し出されたポリ乳酸樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリ乳酸樹脂は約10Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリ乳酸樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約300℃の内部温度及び約400℃の末端部温度(数式5によるB値は約0.82である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約420℃の空気を150m/sの流速でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリ乳酸樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0091】
実施例4(ポリアミド)
ポリアミド樹脂(BASF、Ultramid(登録商標) 8202C、Mw:約65,000g/mol、ガラス転移温度(T):約50℃、熱分解温度(T):約450℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を240℃から250℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を250℃ないし300℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を300℃から320℃に昇温するように設計し、約15kg/hrの押出量の条件で設定して押し出した。押し出されたポリアミド樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリアミド樹脂は約20Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリアミド樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約430℃の内部温度及び約470℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.05である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約550℃の空気を150m/sの流速でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリアミド樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0092】
実施例5(ポリエーテルスルホン)
ポリエーテルスルホン樹脂(BASF、E1010、Mw:約45,000g/mol、ガラス転移温度(T):約220℃、熱分解温度(T):約460℃)100重量%を二軸スクリュー押出機(直径(D)=32mm、長さ/直径(L/D)=40)に供給した。前記二軸スクリュー押出機は押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を370℃から380℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を380℃ないし400℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を400℃から420℃に昇温するように設計し、約15kg/hrの押出量の条件で設定して押し出した。押し出されたポリエーテルスルホン樹脂を80メッシュのメッシュ網に通過させた。押し出されたポリエーテルスルホン樹脂は約20Pa・sの粘度を持ち、前記押し出されたポリエーテルスルホン樹脂を樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が20に設定された、内部に複数個の流路を含むノズルに供給し、前記樹脂は30秒の滞留時間を持つようにした。前記ノズルは約440℃の内部温度及び約480℃の末端部温度(数式5によるB値は約1.08である)に設定された。この時、前記ノズルは数式4を基準にして32個の流路を含んだ。また、約580℃の空気を150m/sの流速でノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体と、前記第1噴射気体と同一温度及び流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして75゜角度になるように噴射する第2噴射気体と、前記第1噴射気体より25℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして7.5゜角度になるように噴射する第3噴射気体と、前記第1噴射気体より10℃もっと高い温度及び同一流量で吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして平行に噴射する第4噴射気体を噴射した。ノズルに供給されたポリエーテルスルホン樹脂は噴射気体と接触して微粒化され、微粒化された粒子がノズルから噴射された。微粒化された粒子はノズルから約200mm離隔されて30℃の内部温度を持つ冷却チャンバー(直径(D)=1,100mm、長さ(L)=3,500mm)に供給された。また、前記冷却チャンバーは噴射された粒子が供給される前から-25℃の空気を約6m/minの流量で注入して回転気流を形成させる外部空気注入部を備えるようにした。前記外部空気注入口は冷却チャンバーの上部に同心円を基準にして3/4の地点に設けられた。冷却チャンバー内で40℃以下に充分冷却された粒子は直列に連結された2個のサイクロンを通じて捕集された。
【0093】
比較例1-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0094】
比較例1-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を130℃から140℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を140℃ないし170℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を170℃から200℃に昇温するように設定したことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0095】
比較例1-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0096】
比較例1-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0097】
比較例1-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例1と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0098】
比較例2-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0099】
比較例2-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし180℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を180℃から200℃に昇温するように設定したことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0100】
比較例2-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0101】
比較例2-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0102】
比較例2-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例2と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0103】
比較例3-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0104】
比較例3-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を140℃から150℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を150℃ないし170℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を170℃から180℃に昇温するように設定したことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0105】
比較例3-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0106】
比較例3-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0107】
比較例3-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例3と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0108】
比較例4-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0109】
比較例4-2
前記二軸スクリュー押出機は押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を230℃から240℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を240℃ないし280℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を280℃から300℃に昇温するように設定したことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0110】
比較例4-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0111】
比較例4-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0112】
比較例4-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例4と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0113】
比較例5-1
ノズルの吐出部から吐出される高分子樹脂の吐出方向を基準にして45゜角度になるように噴射する第1噴射気体のみを噴射し、第2噴射気体ないし第4噴射気体を噴射しないことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0114】
比較例5-2
前記二軸スクリュー押出機は、押出機の先端部から2/10の地点までは押出機温度を360℃から370℃に昇温し、前記2/10の地点から7/10の地点までは押出機温度を370℃ないし390℃に昇温し、前記7/10の地点から末端部までは押出機温度を390℃から400℃に昇温するように設定したことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0115】
比較例5-3
高分子樹脂をメッシュ網に通過させないことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0116】
比較例5-4
樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定されたノズルを使用したことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0117】
比較例5-5
数式4を基準にして4個の流路を含む(数式4によるX値が9.2である)ノズルを使用したことを除いては実施例5と同様の方法で高分子粒子を製造した。
【0118】
実験例1
実施例1ないし5及び比較例1-1ないし5-5によって製造された高分子樹脂粒子の粒度分布を下記のような方法で測定して下記表1ないし表2に示す。具体的に、実施例3及び比較例3-1ないし3-5の粒度分布は下記1-2)方式でサンプル前処理を行い、実施例3を除いた全ての実施例及び比較例3-1ないし3-5を除いた全ての比較例は1-1)方式でサンプル前処理を行った。その後、2)方式によって粒度分布を測定した。
【0119】
1-1)サンプル前処理:エタノールにパウダーサンプルを0.003wt%ぐらい入れて50Watt/30kHzの超音波分散機を利用して最大振幅の30%に設定、約120秒間超音波を励振してパウダーサンプルをエタノール相に分散させる。
1-2)サンプル前処理:分散剤でPEO/PPOエチレン誘導体を0.1wt%添加した蒸溜水にパウダーサンプルを0.003wt%ぐらい入れて50Watt/30kHzの超音波分散機を利用して最大振幅の30%に設定、約120秒間超音波を励振してパウダーサンプルを蒸溜水相に分散させる。
2)粒度分布測定:ISO 13320規格によって粒度分布を測定する。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
前記表1ないし表2によると、実施例1によって製造された粒子の粒径は比較例1-1ないし1-5によって製造された粒子の粒径とは違って、D90平均粒径の値が25ないし30μm小さいことを確認することができる。実施例2ないし5によって製造された粒子の粒径も前記内容のような傾向を示す。
【0123】
先ず、実施例1ないし5と比較例1-1ないし比較例5-1を比べてみると、第1噴射気体のみ使用する比較例1-1ないし比較例5-1の場合、第1~4噴射気体を使用する実施例1ないし5の場合より高分子が気体に会う確率が(回数が)低くなるので、相対的に粒度分布が大きくなる方でパウダーが製造される。
【0124】
また、実施例1ないし5と比較例1-2ないし比較例5-2を比べてみると、押出機温度条件が全般的に低くなった比較例1-2ないし比較例5-2の場合、押出機で樹脂が受ける熱量が相対的に小くなって実施例1ないし5と対比する時、粒度分布が大きくなる。
【0125】
また、実施例1ないし5と比較例1-3ないし比較例5-3を比べてみると、高分子樹脂をメッシュ網を通過させずに粒子を製造した比較例1-3ないし比較例5-3の場合、高分子のゲル化が均一に行われないため、粒径の偏差が大きくなる。すなわち、粒度分布が広くなる。
【0126】
また、実施例1ないし5と比較例1-4ないし比較例5-4を比べてみると、ノズルを設計する時、樹脂が投入される投入部の面積は変わらないので、樹脂が噴射される吐出部の面積(A)と樹脂が投入される投入部の面積(B)の割合(A/B)が35に設定された比較例1-4ないし比較例5-4のノズルを使用すれば割合(A/B)が20に設定された実施例1ないし5と対比して大きいため、樹脂の投入量が同一であるとすれば樹脂の厚さの偏差が大きくなって粒径の偏差が大きくなる。したがって、粒度分布が広くなる。
【0127】
また、実施例1ないし5と比較例1-5ないし比較例5-5を比べてみると、気体の流路数が減ると、気体が樹脂に均一な速度でぶつかる確率が低くなるので、粒径の偏差が大きくなって粒度分布が広くなる。
【0128】
また、実施例1ないし5と比較例1-3ないし比較例5-3、比較例1-4ないし比較例5-4、比較例1-5ないし比較例5-5を比べてみると、実施例1ないし5の場合、5ないし20、より具体的には7ないし18のD値を持ち、具体的にポリプロピレンの場合10ないし20、好ましくは13ないし18のD値を持ち、熱可塑性ポリウレタンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を持ち、ポリ乳酸の場合6ないし13、好ましくは8ないし11のD値を持ち、ポリアミドの場合7ないし15、好ましくは8ないし14のD値を持ち、ポリエーテルスルホンの場合5ないし12、好ましくは7ないし10のD値を持つことが分かる。平均粒径の前記粒子が上述した範囲のD値を充たすことによって、平均粒径を中心にして大きい粒子と小さい粒子が適当な割合で粒子が分布され、実際製品に適用する時に優れる物性を示すことができた。
【0129】
したがって、粒子が実施例1ないし実施例5によって製造された粒子のような粒径分布を持つ場合、製品に適用する時に平均粒径のみを調節する場合に持つ短所を効率的に補完することができる。
【0130】
実験例2
前記実施例1ないし5及び比較例1-1ないし5-5によって製造された粒子の物性を測定して下記表3に示す。
【0131】
【表3】
【0132】
前記表3によると、比較例1-1ないし1-2の粒子は実施例1粒子と対比して弛緩バルク密度及び圧縮バルク密度は増加するが、圧縮度及び流下性は対して差がないことが分かった。これは平均粒子の大きさが増加すれば弛緩バルク密度及び圧縮バルク密度は増加するが、粒子分布の標準偏差が殆ど同一、または圧縮度及び流下性には影響を及ぼさないということを意味する。一方、比較例1-3ないし1-5の粒子は実施例1粒子と対比して平均粒子の大きさは類似であるため、弛緩バルク密度は差がないが粒度分布の標準偏差が大きければ粒子間の空隙を多様な大きさを持つ粒子が満たして圧縮バルク密度は弛緩バルク密度と対比して増加し、それによって圧縮度が増加することが分かった。しかし、流下性は粒子が流動性を持つ時、粒子間の空隙が大きくなくて減少することが分かった。実施例2ないし5によって製造された粒子も前記記述された内容のような傾向を示す。
【0133】
本発明の単純な変形ないし変更は、全て本発明の領域に属することであり、本発明の具体的な保護範囲は添付された特許請求範囲によって明確になる。
【符号の説明】
【0134】
10・・・ノズル
20・・・第1の気体の流れ(第1噴射気体、第2噴射気体)
30・・・熱可塑性高分子樹脂と第4噴射気体流れ
40・・・第2の気体の流れ(第3噴射気体)
50・・・第4噴射気体
60・・・第1噴射気体
70・・・第2噴射気体
80・・・第3噴射気体
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】