(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】X線デジタルトモシンセシスシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/02 20060101AFI20221115BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61B6/02 301A
A61B6/00 360B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516053
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 GB2020052185
(87)【国際公開番号】W WO2021048552
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521400327
【氏名又は名称】アダプティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ADAPTIX LTD
【住所又は居所原語表記】Begbroke Science Park, Centre for Innovation and Enterprise (CIE), Woodstock Road, Begbroke, Oxford Oxfordshire OX5 1PF (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】シュミーデハウゼン,クリスティン
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093EA06
4C093EC24
4C093FF35
4C093FF42
(57)【要約】
トモシンセシスシステムの初期位置合わせは、関心領域を正確に撮像するために、特に関心領域が限られた表面特徴のみを有する内部構造である場合に、オペレータ側の技能を必要とする。3Dトモシンセシス画像全体を再構成するのは、数十秒、時には数分であり、したがって、オペレータが後続のスキャンが必要であることを認識するまでに、この時間がかかることがある。このとき、患者が動いて、2回目のスキャンでも関心領域を見逃す可能性があり、3回目のスキャンが必要になるなど。複数回の被ばくは、時間がかかるだけでなく、患者が受ける放射線量を増やすことにもなる。本発明はX線エミッタの静的アレイとX線検出器とを含むデジタルX線トモシンセシスシステムを提供し、X線エミッタのサブセットを、X線検出器のどの部分もサブセットの9個を超えるエミッタからのX線に曝されないように選択し、X線検出器上に生成されたそれぞれの画像(52,53)の各々の重複しない部分から合成画像50を生成することを含む。このようにして、被検体の2次元画像は、最小線量の放射を使用して生成され得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に平面アレイに配置された空間的に分布した複数のX線エミッタであって、起動されたときに、前記複数のX線エミッタのそれぞれの1つからのそれぞれの放射コーンが前記平面アレイに実質的に垂直なそれぞれの軸に沿って突起する、該複数のX線エミッタを有するX線エミッタパネルと、
X線検出器であって、起動されたときに、前記複数のX線エミッタのそれぞれの1つからのそれぞれの放射コーンのそれぞれが前記X線検出器に衝突するように、分離距離だけ前記X線エミッタパネルから離間可能な該X線検出器と、
コントローラであって、
前記複数のX線エミッタから、X線エミッタのサブセットを、前記X線検出器のどの部分もX線エミッタの前記サブセットの9個を超えるX線エミッタからのX線に曝されないように選択し、
X線エミッタの前記サブセットの各X線エミッタを順次起動して、前記X線検出器においてそれぞれの画像を生成し、
前記X線検出器上に生成された前記それぞれの画像の各々の重複しない部分から合成画像を生成するように構成された、該コントローラと、
前記コントローラによって生成された前記合成画像を表示するように構成された出力装置
を備えるデジタルX線トモシンセシスシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記複数のX線エミッタからX線エミッタの前記サブセットを、起動されたときに前記X線検出器の各部分がX線エミッタの前記サブセットの少なくとも1つのX線エミッタからのX線に曝されるように選択するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記複数のX線エミッタからX線エミッタの前記サブセットを、起動されたときに前記X線検出器の少なくとも一部がX線エミッタの前記サブセットのいずれのX線エミッタからのX線にも曝されないように選択するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、X線エミッタの前記サブセットの全てのX線エミッタを起動する前に、前記複数のX線エミッタからX線エミッタの前記サブセットを選択して、前記X線検出器で前記それぞれの画像を生成するように構成される、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記合成画像の受け入れを示す入力に応じて、前記複数のX線エミッタの各X線エミッタを起動して、前記X線検出器においてそれぞれの画像を生成し、前記複数のX線エミッタによって生成された前記X線検出器における前記画像から3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記複数のX線エミッタの各X線エミッタを起動して、前記X線検出器においてそれぞれの画像を生成し、続いて、前記X線エミッタの前記サブセットによって生成された前記それぞれの画像の各々の重複しない部分から前記合成画像を生成するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記複数のX線エミッタによって生成された前記X線検出器における前記画像から3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記X線エミッタの前記サブセットによって生成された前記それぞれの画像の各々の重複しない部分から前記合成画像を生成するのと同時に、前記3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記X線エミッタの前記サブセットによって生成された前記それぞれの画像の各々の重複しない部分から前記合成画像を生成した後に、前記3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載のシステムを提供するステップ、
前記複数のX線エミッタから、X線エミッタのサブセットを、前記X線検出器のどの部分もX線エミッタの前記サブセットの9個を超えるX線エミッタからのX線に曝されないように選択するステップ、
X線エミッタの前記サブセットの各X線エミッタを起動して、前記X線検出器においてそれぞれの画像を生成するステップ、及び
前記X線検出器上に生成された前記それぞれの画像の各々の重複しない部分から合成画像を生成するステップを含む、2D合成画像をユーザに提示する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、デジタルトモシンセシス及び2D画像を復元する方法に関し、X線デジタルトモシンセシスにおいて特に有用であるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
X線を使用する3D医療撮像は、1970年代のコンピュータ断層(CT)撮像の発明以来可能であった。近年、X線デジタルトモシンセシス(DT)技術が開発されており、これは、トモシンセシス取得を実行するためにX線源の静的アレイを使用することによって、より低いコスト及び線量で3D画像再構成の可能性を提供する。
【0003】
トモシンセシスシステムの初期位置合わせは、関心領域を正確に撮像するために、特に関心領域が限られた表面特徴のみを有する内部構造である場合には、オペレータ側の技能を必要とする。時折、最も熟練したオペレータでさえも、エミッタアレイと検出器との位置合わせが不正確となり、その結果、被検体(人、動物、試料、又は装置など)に不必要な量の放射線がもたらされる。
【0004】
さらに、3Dトモシンセシス画像全体を再構成するのは数十秒、時には数分であることがあり、したがって、オペレータが、位置決めが最適には及ばず次のスキャンが必要であることを認識するまでに、この時間がかかることがある。このとき、患者が動くと、2回目のスキャンでも関心領域を見逃す可能性があり、3回目のスキャンが必要になり、以降も同様である。
【0005】
複数回の被ばくは、時間がかかるだけでなく、患者が受ける放射線量を増やすことにもなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、オペレータが患者、エミッタ、及び検出器の位置決めするのを支援し、また、患者がより高いX放射線量を受ける危険性を低減するために、低線量の「スカウト(scout)」画像を提供する必要があることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、
実質的に平面アレイ(又は、平面配列)で配置された、空間的に分布した複数のX線エミッタを、起動されたときに、複数のX線エミッタのそれぞれの1つからのそれぞれの放射コーン(又は、円錐、円錐体、cone)を前記平面アレイに実質的に垂直なそれぞれの軸に沿って突起する(又は、投射する/project)ように有する、X線エミッタパネルと、
X線検出器であって、起動されたときに、前記複数のX線エミッタのそれぞれの1つからのそれぞれの放射コーンの各々が該X線検出器に衝突するように、分離距離だけX線エミッタパネルから離間可能な該X線検出器と、
前記複数のX線エミッタから、X線エミッタのサブセットを、前記X線検出器のどの部分も又は対応する関心領域がX線エミッタの前記サブセットの9個を超えるX線エミッタからのX線に曝されないように選択し、X線エミッタの前記サブセットの各X線エミッタを順次(又は、シーケンスで、in a sequence)起動して、前記X線検出器においてそれぞれの画像を生成し、及び前記X線検出器上に生成された前記それぞれの画像の各々の重複しない(又は、重ならない、重なり合わない)部分から合成画像を生成するように構成されたコントローラ(又は、制御装置)と、
前記コントローラによって生成された前記合成画像を表示するように構成された出力装置と、を備えるデジタルX線トモシンセシスシステムが提供される。
【0008】
このようにして、被検体を表しているものの不完全な2次元画像を、最小の放射線量を使用して生成することができる。
【0009】
X線エミッタパネルは、実質的に平坦な表面を含んでもよい。代替的に又は追加的に、パネルは、少なくとも50cm、特に少なくとも1m、より具体的には少なくとも2mの曲率半径を有する湾曲面、例えば凸面又は凹面を含むことができる。
【0010】
空間的に分布した複数のX線エミッタは、三角形アレイ、正方形アレイ、長方形アレイ、六角形アレイ及び/又は任意の他の構成で配置された個々のエミッタを含むことができる。複数のエミッタは、5×5アレイ、10×10アレイ、20×20アレイ、又は30×30アレイを含むことができる。複数のエミッタは、少なくとも25個のエミッタ、具体的には少なくとも100個のエミッタ、より具体的には少なくとも200個のエミッタ、例えば少なくとも400個のエミッタを含むことができる。
【0011】
放射コーンは、コーンレット(又は、小コーン/conelet)を含んでもよく、幾何学的円錐体及び/又は正方形又は三角形の底面ピラミッドの形状を有することができる。コーンはそれぞれの軸に沿って突起する(又は、投射する)ことができ、コーンがそれぞれの軸に対して回転対称であり、例えば、2回対称、3回対称、4回対称、5回対称、6回対称、又は円形対称を有することができる。
【0012】
平面アレイに対して実質的に垂直であることは、平面アレイのその部分における法線から多くとも20度、具体的には多くとも10度、より具体的には多くとも5度であることを含むことができる。さらに、それぞれの軸は互いの軸と実質的に平行であってもよく、例えば、傾斜が高々20度、具体的には高々10度、より具体的には高々5度だけ異なる。
【0013】
エミッタの起動には、そのエミッタからX線を放射することが含まれる。X線が放射されていない場合、エミッタは起動されていない。
【0014】
X線検出器は、画素のアレイを含んでもよい。検出器はより大きな検出器パネル(例えば、さらなる画素を含む)の一部を形成してもよく、又は、検出器パネル全体を含んでもよい。検出器は、10cmと60cmの間、詳しくは20cmと50cmの間、より詳しくは約40cmの横方向の広がりを有することができる。例えば、検出器は、約36cm×43cmの大きさであってもよい。
【0015】
X線エミッタパネルは操作使用(すなわち、起動)中に、分離距離だけ検出器から離間させることができる。この距離は、10cmと1mとの間、詳しくは20cmと80cmとの間、より詳細には30cmと70cmとの間、例えば約50cmとすることができる。
【0016】
空間追跡装置は、コントローラによる使用のためにこの距離を監視することができる。空間追跡装置はレジストリピン等の位置を決定することに基づいて、自動化されたシステムであってもよく、及び/又は、空間追跡装置を手動で実施してもよい(例えば、オペレータが距離を測定/推定し、その距離決定をコントローラに入力してもよい)。
【0017】
エミッタパネルは、空間的に分布したさらなる複数のX線エミッタを含んでもよい。例えば、起動されるときに、さらなる複数のX線エミッタのそれぞれからのそれぞれの放射コーンが、X線検出器に衝突しない(すなわち、取り損なう)ものがある。あるいは、第1の空間的に分布した複数のX線エミッタがエミッタパネル上のエミッタの全てを構成してもよい。
【0018】
X線検出器に衝突することは、検出器に完全に及び/又は少なくとも部分的に又は部分的にのみ衝突することを含み得る。
【0019】
コントローラは、コンピュータシステム、プロセッサなどを含むことができる。
【0020】
用語「選択する(select)」は「選ぶ(choose)」を意味することができ、これは自動であってもよく、及び/又はオペレータ入力を含むこともできる。
【0021】
サブセットは1個のみ又は複数、例えば、3個、少なくとも3個、4個、少なくとも4個、又は少なくとも6個、9個、12個、16個、20個、又は25個を意味することができる。
【0022】
X線検出器のどの部分も、X線エミッタのサブセットの8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、又は1個を超えるX線エミッタからのX線に曝されることはない。
【0023】
コントローラは、起動されたときに、X線検出器の各部分又は対応する関心領域が、X線エミッタのサブセットの少なくとも1つのX線エミッタからのX線に曝されるように、複数のX線エミッタからX線エミッタのサブセットを選択するように構成することができる。
【0024】
このようにして、2D画像の作成のために、被検体の完全なカバレージ(又は、フルカバレージ)を得ることができる。
【0025】
コントローラは、起動されたときに、X線検出器の少なくとも1つの部分が、X線エミッタのサブセットのいずれかのX線エミッタからのX線に曝されないように、複数のX線エミッタからX線エミッタのサブセットを選択するように構成することができる。
【0026】
このようにして、被検体の完全なカバレージが必要とされない場合に、不必要な被曝を排除することができる。例えば、生成される2D画像は、システム/エミッタ/検出器の位置合わせを助けるための、被検体の輪郭であってもよいし、関心領域の角のみであってもよい。
【0027】
X線のそれぞれのコーンは、例えば、円形、楕円形、又は、ピラミッド形状のコネレットの場合は潜在的に正方形、長方形又は三角形の、所定の/予め決められたパターンを投影することができる。これらの形状は隣接する形状と部分的に重なり合う(又は、重複する、重なる)ことができ、又は隣接する形状から間隔をあけて配置することができる。
【0028】
重複度(又は、重なり度合い)は検出器からのエミッタパネルの間隔から推測することができ、又は重複度は、検出器上の第1のエミッタの投影形状のサイズ及び形状から計算することができる。すなわち、第1のエミッタが起動され、後続のエミッタは、検出器で形成される画像のサイズ、形状、及び/又は位置を検出することに応答して起動されてもよい。このプロセスは、第2、第3、又はさらなるエミッタを用いて繰り返すことができる。
【0029】
システムは、画像の主題を分析することによって、それぞれの画像の各々の重なりを決定するように構成されてもよい。すなわち、各画像を分析して、複数のX線エミッタのそれぞれの放射コーンが関心領域内でどれだけ重なっているかを決定することができる。例えば、被検体は検出器から離間されるように、エミッタパネルと検出器との間に配置されてもよい。したがって、検出器での重なりは、被検体内での重なりに対応しないことがある。さらなる代替/追加として、検出器からの関心領域の間隔が確立されてもよく(例えば、オペレータ入力によって、又は分析された画像からの推論によって)、その間隔は、重なりを計算するために使用されてもよい。
【0030】
検出器又は関心領域上の任意の2つの放射コーンの重なりは、30%未満の面積、具体的には20%未満の面積、より具体的には10%未満の面積、例えば5%の面積であってもよい。
【0031】
コントローラは、X線エミッタのサブセットの全てのX線エミッタを起動する前に、複数のX線エミッタからX線エミッタのサブセットを選択して、それぞれの画像をX線検出器で生成するように構成される。
【0032】
このようにして、2Dスカウト画像は、エミッタのサブセットが最初に起動されて合成画像(composite image)を生成/計算し、次いで、その画像がオペレータに提示されて、エミッタの残りの部分が起動される前に、エミッタパネル及び検出器が正しく位置づけされているか否かを判定することを可能にするように、提供されてもよい。
【0033】
全てのX線エミッタのサブセットは、X線エミッタのサブセットのいずれかが起動される前に選択されてもよい。あるいは、この選択は、第1のエミッタが選択されて起動され、生成された画像に応じて第2のエミッタが選択されて起動され、といった具合に、サブセット内の全てのエミッタが選択されて起動されるまで続くという点で、動的であってもよい。しかしながら、エミッタのグループが選択され、他のエミッタが選択される前に起動される他のスキームが想定される。
【0034】
これらの選択ステップは自動であってもよいし、オペレータ主導であってもよい。
【0035】
コントローラは、複数のX線エミッタの各X線エミッタを起動して、X線検出器においてそれぞれの画像を生成し、合成画像の受け入れを示す入力に応じて、複数のX線エミッタによって生成されたX線検出器における画像から3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成されてもよい。
【0036】
このようにして、完全なトモシンセシス取得の前に、被検体、エミッタパネル、及び/又は検出器の許容可能な位置を確認するために、オペレータフィードバックが必要とされ得る。あるいは、入力が例えば、肺、乳房、及び/又は骨格組織を識別するために、特徴検出構成要素によって自動的に実行されてもよい。
【0037】
コントローラは複数のX線エミッタの各X線エミッタを起動して、X線検出器においてそれぞれの画像を生成し、続いて、X線エミッタのサブセットによって生成されるそれぞれの画像の各々の重複しない部分から合成画像を生成するように構成することができる。
【0038】
このようにして、2Dプレビュー画像は、実行され得る任意の3D再構成を提示する前に、レビューのためにオペレータに提示され得る。
【0039】
2Dスカウト画像及び2Dプレビュー画像は単純な代替ではないが、両方とも、単一の撮像シーケンス中に1回又は2回以上実行することができることを理解されたい。例えば、第1の2Dスカウト画像を取得し、再検討することができ、それに応答してエミッタパネル及び/又は検出器を移動させることができ、次いで、第2の2Dスカウト画像を取得し、受け入れ/承認することができ、次いで、完全トモシンセシス取得(すなわち、すべての関連するエミッタを用いて)を行い、完全トモシンセシス再構成が完了する前にオペレータに2Dプレビューを提供することができる。
【0040】
コントローラは、複数のX線エミッタによって生成されたX線検出器における画像から3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成されてもよい。
【0041】
コントローラは、X線エミッタのサブセットによって生成されたそれぞれの画像の各々の重複しない部分から2Dプレビュー画像を生成するのと同時に3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成することができる。
【0042】
このようにして、プレビューは完全なトモシンセシス再構成の完了前にオペレータに提示することができるが、完全なトモシンセシス再構成を妨げることはない。
【0043】
コントローラは、X線エミッタのサブセットによって生成されたそれぞれの画像の各々の重複しない部分から2Dプレビュー画像を生成した後に、3Dトモシンセシス画像を再構成するように構成することができる。
【0044】
このようにして、完全なトモシンセシス再構成が完了するのを待つことなく、2Dプレビューをできるだけ迅速にオペレータに提示することができる。例えば、完全トモシンセシス再構成は、2Dプレビューが形成された直後に実行されてもよい。
【0045】
エミッタは時間的又は空間的に互いに離間して起動されてもよく、すなわち、重なり合うX線のコーンを有するエミッタは異なる時間に起動されてもよく、一方、重なり合わないX線のコーンを有するエミッタは同時に又は異なる時間に起動されてもよい。
【0046】
合成画像は、複数の各画像を合成することによって形成されてもよい。
【0047】
合成画像は、X線エミッタのサブセットの各X線エミッタからの各それぞれの画像の重なり合わない部分を用いて形成することができる。すなわち、それぞれの画像は各々、隣接する画像と重ならないように切り取られてもよい。
【0048】
合成画像はそのようなそれぞれの画像から形成されて連続合成画像を形成することができ、あるいは、合成画像を互いに離間しているそのようなそれぞれの画像から形成することができる。このような間隔を置いて配置されたそれぞれの画像間の領域は白色、黒色、又はグレーなどの中性色であってもよく、特に、色は、それぞれの画像からの強度の平均であってもよい。
【0049】
出力装置は、コントローラに接続されたディスプレイを含むことができる。出力装置は、合成画像が生成された後、できるだけ速やかに合成画像をオペレータに表示するように構成されてもよい。
【0050】
本発明の第2の態様によれば、2D合成画像をユーザに提示する方法が提供され、この方法は、先行する請求項のいずれかのシステムを提供するステップと、X線検出器のどの部分も又は対応する関心領域がX線エミッタのサブセットの9個を超えるX線エミッタからのX線に曝されないように、複数のX線エミッタからX線エミッタのサブセットを選択するステップと、X線エミッタのサブセットの各X線エミッタを起動して、X線検出器においてそれぞれの画像を生成するステップと、X線検出器上に生成されたそれぞれの画像の各々の重複しない部分から合成画像を生成するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明の上記及び他の特性、特徴及び利点は、本発明の原理を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。この説明は、本発明の範囲を限定することなく、単に例示のために与えられる。以下に引用する参考図は、添付図面を参照する。
【0052】
【
図1】検出器上に投影される2つの重なり合うX線のコーンの図であり、2つの重なり合う楕円領域を形成する。
【0053】
【
図2】
図2は、2つの重なり合わない矩形領域に切り取られた、
図1の2つの重なり合う楕円領域の図である。
【0054】
【
図3】
図3は、
図1及び
図2のものと同様の、16の重なり合う楕円領域、及び対応する端を切り落とした重なり合わない長方形領域を示す。
【0055】
【
図4】
図4は、
図2のものと同様の、隣接する9個の重なり合わない長方形の領域から形成される合成画像を示す。
【0056】
【
図5】
図5は、
図4の4つのコーナー画像から形成された別の合成画像を示す。
【0057】
【
図6】
図6は、重なり合う楕円領域の別の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は特定の図面に関して説明されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。記載された図面は、概略的なものにすぎず、非限定的なものである。各図面は、本発明の特徴のすべてを含むわけではなく、したがって、必ずしも本発明の実施形態であると見なされるべきではない。図面において、いくつかの要素のサイズは、説明の目的のために誇張され、縮尺通りに描かれていないことがある。寸法及び相対的寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応しない。
【0059】
さらに、説明及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は同様の要素を区別するために使用され、必ずしも時間的に、空間的に、ランキングで、又は任意の他の方法でシーケンスを説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書で説明又は図示されたものとは別の順序で可能であることを理解されたい。同様に、特定の順序で説明又は特許請求される方法ステップは、異なる順序で動作すると理解され得る。
【0060】
さらに、明細書及び特許請求の範囲における頂部、底部、上方、下方などの用語は、説明の目的のために使用され、必ずしも相対的な位置を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、動作は、本明細書で説明又は図示されたものとは別の向きで可能であることを理解されたい。
【0061】
特許請求の範囲で使用される「含む(comprising)」という語は、その後に列挙される手段に限定されるものとして解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを排除するものではないことに留意されたい。したがって、言及されたような記載された特徴、整数、ステップ又は構成要素の存在を明示するものとして解釈されるべきであるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ又は構成要素、又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。したがって、「手段A及びBを含む装置」という表現の範囲は、構成要素A及びBのみからなる装置に限定されるべきではなく、本発明に関して、装置の関連する構成要素がA及びBのみであることを意味する。
【0062】
同様に、本明細書で使用される「接続される(connected)」という用語は、直接接続のみに限定されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。したがって、「装置Bに接続される装置A」という表現の範囲は装置Aの出力が装置Bの入力に直接的に接続されている装置やシステムに限定されるものではなく、Aの出力とBの入力との間には他の装置や手段を含む経路であってもよいことを意味する。「接続される」とは2つ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していること、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働又は相互作用していることを意味し得る。例えば、無線接続が考えられる。
【0063】
本明細書全体を通して、「実施形態」又は「態様」という言及は、実施形態又は態様に関連して記載された特定の特徴、構成、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態又は態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な場所における「一実施形態において」、「実施形態において」、又は「一態様において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態又は態様を参照しているわけではなく、異なる実施形態又は態様を参照することができる。さらに、本発明の任意の1つの実施形態又は態様の特定の特徴、構造、又は特性は本開示から当業者には明らかなように、1つ又は複数の実施形態又は態様において、本発明の別の実施形態又は態様の任意の他の特定の特徴、構造、又は特性と任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0064】
同様に、説明において、本発明の様々な特徴は開示を合理化し、様々な本発明の態様のうちの1つ又は複数の理解を助けるために、単一の実施形態、図、又はそれらの説明において一緒にグループ化されることがあることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、請求項に記載された発明が各請求項に明示的に記載されたよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。さらに、任意の個々の図面又は態様の説明は、必ずしも本発明の実施形態であると見なされるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲はこの詳細な説明に明確に組み込まれ、各特許請求の範囲はそれ自体が本発明の別個の実施形態として存在する。
【0065】
さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは当業者によって理解されるように、本発明の範囲内であり、さらなる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲では、特許請求の範囲に記載された実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0066】
本明細書で提供される説明では、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに実施され得ることが理解される。他の例では、この説明の理解を不明瞭にしないために、周知の方法、構造、及び技法は詳細に示されていない。
【0067】
本発明の議論では反対に述べられていない限り、パラメータの許容範囲の上限又は下限に対する代替値の開示は、前記値のうちの1つが他の値よりも非常に好ましいという指示と相まって、前記代替値のうちのより好ましい値とより好ましくない値との間にある前記パラメータの各中間値自体が前記より好ましくない値よりも好ましく、また、前記より好ましくない値と前記中間値との間にある各値よりも好ましいという暗黙のステートメントとして解釈されるべきである。
【0068】
用語「少なくとも1つ」の使用は、特定の状況において1つのみを意味し得る。用語「いずれか」の使用は、特定の状況において「全て」及び/又は「各々」を意味し得る。
【0069】
ここで、本発明の原理を、例示的な特徴に関する少なくとも1つの図面の詳細な説明によって説明する。他の配置が基礎となる概念又は技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成され得ることは明らかであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定される。
【0070】
図1は、第1のエミッタからのX線の単一のコーンレットを検出器上に投影することから形成される第1楕円領域20と、第1の楕円領域20に部分的に重なっている、第2のエミッタから同様の方法で形成される第2の楕円領域30とを重ねた、被検体の胴体10の従来の2DX線を示す。
【0071】
図2は
図1で言及したコーンレットによって検出器に形成された各画像52,53を示しており、第1の楕円領域20及び第2の楕円領域30は、それぞれ重なり合わない長方形領域21,31に切り取られて(cropped)いる。
【0072】
図3は、
図1及び
図2のものと同様の、16個の重なり合う楕円領域40と、ディスプレイ上に形成された対応する端を切り取られた重なり合わない長方形領域41とを示す。
【0073】
図4は、
図1の被検体の胴体10の従来の2DX線に対応する、
図2のそれぞれの画像52,53を含む9つの隣接する重なり合わない長方形領域から形成された合成画像50を示しており、長方形領域及びそれらが形成された楕円は明瞭にするために省略されている。見て分かるように、重なり合わないそれぞれの画像は、連続しておらず、それぞれの画像からの平均強度である色を有するグリッド55を用いて互いに離間されている。
【0074】
図5は、わずか4つの(又は、4つだけの)隣接しないコーナー領域60から形成された、
図1の被検体の胴体10の従来の2DX線に対応する代替の合成画像を示す。これらのコーナー領域は、エミッタ及び検出器の位置合わせを決定するのに十分であろう。
【0075】
図6は、最小重複での検出器の完全なカバレッジを保証するために六角形のパターンで配置された重複する楕円領域70の代替の配置を示す。
【国際調査報告】