(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】リファブチンの処置方法、使用および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/438 20060101AFI20221115BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221115BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221115BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221115BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20221115BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20221115BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221115BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20221115BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61K31/438
A61P31/04
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/22
A61K47/12
A61K47/26
A61K9/72
A61K47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516162
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 IB2020000648
(87)【国際公開番号】W WO2021048612
(87)【国際公開日】2021-03-18
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519450178
【氏名又は名称】バイオバーシズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ロチューロ, セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ビオンディ, ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ダーレ, グレン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブロット, マリリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ギッツィンガー, マルク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA93
4C076BB11
4C076CC32
4C076DD37E
4C076DD38E
4C076DD39E
4C076DD41E
4C076DD59E
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4C076FF15
4C076GG46
4C076GG47
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB25
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA02
4C086ZB35
(57)【要約】
酸、水、およびリファブチンの溶解を促進するために適した溶媒の存在下でリファブチン粉末から生成されるリファブチン製剤。リファブチンの製剤を調製する方法であって、この方法は、溶媒、水および酸を含む溶液を調製する工程;ならびに上記溶液をリファブチン粉末に添加することによって、上記リファブチンを上記溶液中に溶解させる工程を包含する方法。リファブチンの製剤を調製する方法であって、この方法は、水および酸を含む溶液を調製する工程;ならびに上記溶液を、溶媒中のリファブチン溶液に添加することによって、水性リファブチン製剤を生成する工程を包含する方法。被験体において細菌感染を処置する方法であって、この方法は、注射用製剤においてまたは吸入によって治療上有効な量のリファブチンを投与する工程を包含する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸、水、およびリファブチンの溶解を促進するために適した溶媒の存在下で、リファブチン粉末から生成したリファブチン製剤。
【請求項2】
リファブチン 対 溶媒 w/vの比は、約1:2である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記溶媒は、PEG、プロピレングリコール、NMP、エタノール、DMA、transcutol HP、およびジメチルイソソルビド(DMI)からなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記溶媒は、DMIまたはtrascutol HPである、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
溶媒 対 水の比 v/vは、約1:1~約1:2である、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
前記酸は、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、L-酒石酸、D-グルクロン酸、L-リンゴ酸、D-グルコン酸、L-乳酸、酢酸およびL-アスパラギン酸からなる群より選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
前記酸は、酢酸またはD-グルクロン酸である、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
リファブチン 対 酸のモル比は、約1:1である、請求項1いに記載の製剤。
【請求項9】
前記製剤は、所望の投与経路のために適した組成物を生成するために希釈される、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
リファブチンの製剤を調製する方法であって、前記方法は、
溶媒、水および酸を含む溶液を調製する工程;ならびに
前記溶液をリファブチン粉末に添加することによって、前記リファブチンを前記溶液中に溶解させる工程、
を包含する方法。
【請求項11】
前記溶媒は、DMIおよびtanscutol HPから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸は、酢酸およびD-グルクロン酸から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
リファブチンの製剤を調製する方法であって、前記方法は、
水および酸を含む溶液を調製する工程;ならびに
前記溶液を、溶媒中のリファブチン溶液に添加することによって、水性リファブチン製剤を生成する工程、
を包含する方法。
【請求項14】
前記溶媒は、DMIおよびtanscutol HPから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸は、酢酸またはD-グルクロン酸から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
被験体において細菌感染を処置する方法であって、前記方法は、
注射用製剤において、または吸入によって治療上有効な量のリファブチンを投与する工程、
を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年9月18日出願の米国仮特許出願第62/902,019号、2019年9月12日出願の同第62/899,257号、2019年11月27日出願の同第62/941,160号、および2020年2月17日出願の同第62/977,659号(これらの各々の内容は、その全体において本明細書に参考として援用される)に基づく利益および優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、抗生物質リファブチンを含む製剤、このような製剤を作製する方法、および細菌感染の処置におけるこのような製剤の使用法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
毎年数百万人もの人々が細菌感染により死亡しており、その数は、抗生物質耐性細菌株の拡がりに起因して増えつつある。例えば、公による概算によれば、抗生物質耐性細菌による感染に起因する年間死亡者数は、米国、欧州連合、およびインド単独において、100,000人を超えており、いくらかの専門家は、公の記録は、非常な過小評価であると考えている。なぜなら抗生物質耐性の全影響はなおも未知だからである。不運なことに、最近数十年の新たな抗生物質開発のパイプラインは、細々としたものになって遅れており、多くの既存の抗生物質が、それらの有効性を制限する問題に悩まされている。
【0004】
その完全な治療潜在能力に到達できなかった1つの既存の抗生物質は、リファブチン(LM427およびMycobutin(登録商標)としても公知)である。リファブチンは、広い細菌スペクトラムに対して活性であるが、その水溶性が不十分であることから、抗生物質をMycobutin(登録商標)ラベルに報告される以外の感染を処置するために有効な用量で送達し、耐性の発生を効果的に防止することが困難になっている。リファブチンおよび同じクラスの関連する抗生物質に関する研究に基づいて、高レベルの遊離リファブチンが、細菌殺滅および耐性発生の防止の両方のために必要であると考えられている。結論として、リファブチンの治療上の利用は、技術的問題によって妨げられ、数百万人もの人々が、適切な処置選択肢がないことに起因して、細菌感染に罹患し続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明は、高濃度のリファブチンを含む薬学的製剤を提供する。本発明の好ましい組成物は、水、溶媒および酸の中に製剤化されたリファブチン粉末を含む。本発明の組み合わせは、高濃度でのリファブチンの溶解を可能にする。上記製剤化した溶液は、組成物を所望の投与経路に適したものにするために、制限なしに希釈され得る。
【0006】
本発明の製剤は、以前のリファブチン含有組成物で可能でなかった投与経路によって有効量のリファブチンの送達を可能にする。例えば、本発明の製剤は、リファブチンが、非経口的に(静脈内にまたは吸入によるものを含む)提供されることを可能にする。さらに、本発明の製剤は、投与のためにそれを再構成する前にリファブチンを凍結乾燥する(むしろコストのかかるプロセス)必要性を不要にする。
【0007】
本発明の別の局面において、リファブチンは、リファブチンの薬効成分(API)のものに等しい貯蔵寿命を有する粉末として調製される。以下で詳述されるように、本発明のリファブチン製剤は、好ましくは、有機溶媒に溶解されるリファブチン粉末を含む。
【0008】
本発明によれば、高濃縮リファブチン製剤は、任意のリファブチンAPIから迅速に得られ、そのまま使用されるか、またはさらに、滅菌水または薬学的に受容可能な溶液で自由に希釈して使用される。本発明の製剤は、細菌感染によって引きおこされるかまたは細菌感染と関連する種々の状態(例えば、菌血症、髄膜炎、人工呼吸器関連細菌性肺炎(VABP)、院内獲得細菌性肺炎(HABP)および人工関節周囲感染症(PJI)が挙げられるが、これらに限定されない)を処置するために有用である。
【0009】
1つの局面において、本発明は、リファブチンの溶解を促進するために適した酸の存在下で、溶液を調製することによって製造されるリファブチンの非経口製剤を提供する。上記溶液は、好ましくは、溶媒および水を、上記製剤の意図した使用に適した比で含む。
【0010】
本発明の製剤は、任意の非経口投与経路に適している。上記製剤は、非経口投与、静脈内投与、動脈内投与、または肺送達に適している。上記製剤はまた、吸入による、または注射による投与に適している。
【0011】
本発明の製剤は、非経口投与前に希釈されることが必要であり得る再構成される溶液である。本発明の製剤は、溶媒および水を所定の比で含む。上記比は、v/v比であり得る。上記溶液は、溶媒および蒸留水を、約9:1~約1:9、約9:1~約1:4、約9:1~約1:2、約9:1~約1:1、約4:1~約1:9、約4:1~約1:4、約4:1~約1:2、約4:1~約1:1、約2:1~約1:9、約2:1~約1:4、約2:1~約1:2、または約2:1~約1:1の比で含み得る。上記溶液は、上記溶媒および蒸留水を、約9:1、約4:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:4、または約1:9の比で含み得る。
【0012】
上記溶媒は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、グリセリン、エタノール、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(transcutol HP)、またはジメチルイソソルビド(DMI)であり得る。
【0013】
上記酸は、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、L-酒石酸、D-グルクロン酸、L-リンゴ酸、D-グルコン酸、L-乳酸、酢酸、L-アスパラギン酸であり得る。
【0014】
本発明の再構成される溶液は、好ましくは、約250mg/ml(1:1 溶媒/水)または約166.7mg/ml(1:2 溶媒/水)を含むが、その再構成される溶液の濃度は、約300mg/ml程度の高さであり得る。ある特定の実施形態において、より薄い溶液が必要とされ、それは、より多くの水を上記溶媒に添加することによって得られる。例えば、1:4 溶媒/水比にあるリファブチンは、約50mg/mlの溶液を生じる。しかし、このような希釈は、リファブチン粉末を溶解するためにさらに時間がかかる。あるいは、リファブチンは、溶媒中に溶解され得、次いで、再構成される溶液は、さらなる改変なしに得られる。概して、IV溶液に関しては、要求は、リファブチン/溶媒比を可能な限り低く維持することである。適切な範囲が、本明細書で提供される。
【0015】
本発明の製剤は、細菌感染の処置のために有効である。上記感染としては、以下のうちの1またはこれより多くが挙げられ得る: A.baumannii、C.jejuni、C.trachomatis、H.ducreyi、H.influenzae、H.pylori、M.chelonae、M.kansasii、M.leprae、M.tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、N.gonorrhoeae、N.meningitidis、ブドウ球菌、連鎖球菌(例えば、A群連鎖球菌)、およびT.gondiiまたはリファブチンに感受性の任意の他の病原体。
【0016】
リファブチンに対する酸の量は、1~3モル当量の間または1~2モル当量の間であり得る。リファブチンに対する酸の量は、1モル当量であり得る。
【0017】
リファブチン 対 溶媒のw/v比は、約4:1~約1:4、約2:1~約1:3、または約1:1~約1:2であり得る。リファブチン 対 溶媒のw/v比は、約4:1、約3:1、約2:1,約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4であり得る。
【0018】
別の局面において、本発明は、溶媒および蒸留水を含む溶液を調製し、酸を上記溶液に添加し、この溶液をリファブチン粉末に導入し、上記リファブチンを上記溶液中に溶解させることによって、リファブチンの非経口製剤を調製する方法を提供する。
【0019】
別の局面において、本発明は、溶媒中のリファブチンの溶液および水中の酸の溶液を調製し、次いで、その2つの溶液を混合することによって、リファブチンの非経口製剤を調製する方法を提供する。
【0020】
上記製剤は、製剤に関して上記の特性のうちのいずれかを有し得る。上記酸および溶媒は、上記のもののうちのいずれかであり得る。上記水および溶媒は、上記の任意の比において合わせられ得る。
【0021】
本発明の方法は、処方されたリファブチン溶液を、所望の投与経路に適切な組成物にするために制限することなく、薬学的に受容可能な希釈剤(例えば、滅菌水、塩化ナトリウム(すなわち、生理食塩水)溶液、デキストロース水、乳酸加リンゲル液が挙げられるが、これらに限定されない)へと希釈する工程を包含する。
【0022】
上記リファブチンを溶解する工程は、上記溶液を、渦を巻くように回す工程、撹拌する工程(stirring)、またはかき混ぜる(agitation)工程を包含し得る。上記リファブチンを溶解する工程は、所定の期間にわたって行われ得る。上記リファブチンを溶解する工程は、約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約30分間、約45分間、または約60分間行われ得る。
【0023】
上記リファブチンは、固体粉末として提供され得る。
【0024】
上記リファブチンは、溶媒中の溶液として提供され得る。
【0025】
別の局面において、本発明は、治療上有効な量のリファブチンの非経口製剤を投与することによって、被験体において細菌感染を処置する方法を提供する。
【0026】
上記細菌感染としては、A.baumannii、C.jejuni、C.trachomatis、H.ducreyi、H.influenzae、H.pylori、M.chelonae、M.kansasii、M.leprae、M.tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、N.gonorrhoeae、N.meningitidis、ブドウ球菌、連鎖球菌(例えば、A群連鎖球菌)、およびT.gondiiまたはリファブチンに感受性の任意の他の病原体のうちの1またはこれより多くが挙げられ得る。
【0027】
上記製剤は、製剤に関して上記の特性のうちのいずれかを有し得る。
【0028】
上記製剤は、非経口的に、静脈内に、または吸入によって提供され得る。
【0029】
本開示の局面は、細菌感染を処置するための医薬の作製のための、リファブチン、酸、溶媒、および希釈剤の使用を提供する。
【0030】
ある特定の実施形態において、上記希釈剤は、水である。
【0031】
ある特定の実施形態において、リファブチン 対 溶媒のw/v比は、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4であり得る。
【0032】
ある特定の実施形態において、リファブチン 対 溶媒のw/v比は、約1:2である。
【0033】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、グリセリン、エタノール、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(transcutol HP)、またはジメチルイソソルビド(DMI)である。
【0034】
ある特定の実施形態において、上記溶媒は、DMIまたはtranscutol HPである。
【0035】
ある特定の実施形態において、上記溶媒および水は、約9:1~約1:9、約9:1~約1:4、約9:1~約1:2、約9:1~約1:1、約4:1~約1:9、約4:1~約1:4、約4:1~約1:2、約4:1~約1:1、約2:1~約1:9、約2:1~約1:4、約2:1~約1:2、または約2:1~約1:1の比で存在する。
【0036】
ある特定の実施形態において、上記溶媒および水は、約1:1~約1:2の比で存在する。
【0037】
ある特定の実施形態において、上記酸は、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、L-酒石酸、D-グルクロン酸、L-リンゴ酸、D-グルコン酸、L-乳酸、酢酸、またはL-アスパラギン酸である。
【0038】
ある特定の実施形態において、上記酸は、D-グルクロン酸(glucoronic acid)であり得る。
【0039】
ある特定の実施形態において、上記酸は、酢酸であり得る。
【0040】
ある特定の実施形態において、リファブチンに対する酸の量は、1~3モル当量の間または1~2モル当量の間である。
【0041】
ある特定の実施形態において、リファブチンに対する酸の量は、1モル当量であり得る。
【0042】
ある特定の実施形態において、リファブチン 対 酸モル比は、約1:1である。
【0043】
ある特定の実施形態において、リファブチン 対 溶媒のw/v比は、約4:1~約1:4、約2:1~約1:3、または約1:1~約1:2であり得る。
【0044】
ある特定の実施形態において、上記細菌感染は、A.baumannii、C.jejuni、C.trachomatis、H.ducreyi、H.influenzae、H.pylori、M.chelonae、M.kansasii、M.leprae、M.tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium intracellulare、N.gonorrhoeae、N.meningitidis、ブドウ球菌、連鎖球菌(例えば、A群連鎖球菌)、またはT.gondiiである。
【0045】
別の局面において、本発明は、リファブチン、酸、水、およびリファブチンの溶解を促進するために適した溶媒を含む製剤を提供する。
【0046】
上記製剤は、上記のリファブチン 対 溶媒の任意の比、溶媒 対 水の任意の比、またはリファブチン 対 酸の任意の比を含み得る。
【0047】
上記製剤は、上記の任意の溶媒または任意の酸を含み得る。
【0048】
上記製剤は、任意の濃度のリファブチン(例えば、約250mg/ml、約200mg/ml、約150mg/ml、約100mg/ml、約50mg/ml、約20mg/ml、約10mg/ml、約5mg/ml、約2.5mg/ml、約1mg/ml、少なくとも約250mg/ml、少なくとも約200mg/ml、少なくとも約150mg/ml、少なくとも約100mg/ml、少なくとも約50mg/ml、少なくとも約20mg/ml、少なくとも約10mg/ml、少なくとも約5mg/ml、少なくとも約2.5mg/ml、少なくとも約1mg/ml、約1mg/ml~約250mg/ml、約2.5mg/ml~約250mg/ml、約5mg/ml~約250mg/ml、約10mg/ml~約250mg/ml、約20mg/ml~約250mg/ml、約50mg/ml~約250mg/ml、約100mg/ml~約250mg/ml、約1mg/ml~約200mg/ml、約2.5mg/ml~約200mg/ml、約5mg/ml~約200mg/ml、約10mg/ml~約200mg/ml、約20mg/ml~約200mg/ml、約50mg/ml~約200mg/ml、または約100mg/ml~約200mg/mlを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従う注射用リファブチン溶液または吸入用のリファブチンを調製するための方法の模式図である。
【
図2】
図2は、リファブチン製剤の分析方法の模式図である。
【
図3】
図3は、製剤におけるリファブチン溶解度を示すグラフである。
【
図4】
図4は、製剤におけるリファブチン溶解度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明
リファブチンおよびリファブチン投与の難題
本発明は、非経口投与または吸入による投与に適したリファブチンを含む溶液の組成物およびその調製のための方法を提供する。重要なことには、本発明は、高用量でのリファブチンの静脈内投与を可能にする。リファブチンの静脈内用の製剤は、以前の経口用リファブチン製剤で達成され得るものより遙かに高い効率および有効性で、上記化合物の送達を可能にする。特に、本発明は、安定な高濃縮の再構成される溶液を迅速に調製するために、リファブチン粉末の再構成用の薬学的に受容可能な溶液として酸の存在下で水/溶媒混合物を使用することを開示し、この再構成される溶液は、次に、組成物を所望の投与経路に適したものにするために、さらなる注射用水でまたは薬学的に受容可能な希釈剤で、制限なしに希釈され得る。
【0051】
本発明の製剤は、注射部位での高濃度のリファブチンが、最高の臨床上の有効性およびリファブチンが活性である細菌感染の処置における耐性の防止に必要とされる適切な薬物動態(PK)パラメーター(例えば、曲線下面積(AUC)およびCmax)を達成するために最適であるという要件に関する。
【0052】
リファブチンは、濃い赤紫色の粉末であり、分子式 C
46H
62NO
11、分子量 847.02および以下の構造:
【化1】
を有する。
【0053】
リファブチンは、広いスペクトルの抗微生物活性を有する。それは、MAC、M.tuberculosis、およびM.lepraeに対してリファンピンよりかなり活性である。それは、比較的耐性があるが、M.kansasii、M.chelonaeを含む大部分の非定型マイコバクテリアに対しても活性である。リファブチンは、ブドウ球菌、A群連鎖球菌、N.gonorrhoeae、N.meningitidis、H.influenzae、H.ducreyi、C.jejuni、H.pylori、C.trachomatis、T.gondiiおよびA.baumanniiに対しても活性である。
【0054】
健常成人ボランティアでは、300mg リファブチンの名目上の治療的経口用量は、経口投与後およそ3時間で達成される0.375mg/Lという平均Cmaxを生じる(リファブチン製品モノグラフ)。リファブチンのPKは、健常ボランティアへの300mg、450mgおよび600 mg POの単一投与後に、0.4~0.7mg/Lの範囲のCmaxで線形的である(リファブチン製品モノグラフ)。推奨される1日用量のリファブチン(300mg/日)を受容するHIV感染患者における試験では、定常状態での血漿濃度は、Cmax=0.59±0.33mg/LでありおよびAUCは、8.6±8.2mg*h/Lであった(Hafnerら, 1998)。リファブチンは、およそ90% タンパク質結合されることから、経口投与後の遊離薬物濃度は非常に低い。健常成人ボランティアにおいて、経口用量のうちの少なくとも53%は吸収されるのに対して、HIV陽性患者において評価された絶対バイオアベイラビリティーは、複数用量試験において、1日目に20%および28日目に12%であった。
【0055】
非常に近縁のリファマイシン分子(例えば、リファンピシン)では、微生物殺滅は、濃度-時間曲線下の面積 対 最小阻害濃度(MIC)比(AUC/MIC)に関連付けられるのに対して、耐性の抑制は、遊離ピーク濃度(Cmax-対-MIC比(Cmax/MIC)と関連し、リファンピン濃度がMICを上回った持続時間には関連しなかった。さらに、抗生物質後効果持続時間はまた、Cmax/MIC比に最も密接に関連した。Gumbo T, Louie A, Deziel MR, Liu W, Parsons LM, Salfmger M, Drusano GL. Concentration-dependent Mycobacterium tuberculosis killing and prevention of resistance by rifampin. Antimicrob Agents Chemother 2007, 51(11):3781-8(その内容は、本明細書に参考として援用される)。従って、臨床の場で微生物殺滅を達成し、耐性の出現を防止するために、高血漿および/または高局所濃度のリファブチンが必要とされる。
【0056】
病原性細菌における多数の抗微生物薬剤に対する耐性の出現は、重大な公衆衛生の脅威になっている。なぜならこれらの細菌によって引きおこされる感染に利用できる有効な抗微生物薬剤はますます少なくなっているか、またはさらには存在しないからである。グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌はともに、抗微生物耐性の出現および上昇によって影響を受けている。
【0057】
これらの病原体によって引きおこされる生命を脅かす感染は、病院において、しばしば非経口投与、およびいくつかの場合には、噴霧される抗生物質のさらなる使用を含む最適化された投与レジメンを使用して最良に処置される。
【0058】
この文脈において、静脈内(IV)および吸入(IN)投与経路は、高い治癒率を達成するという点から。経口経路に対していくつかの利点を提供する:
a)経口経路では、変動するごく一部が全身循環に達する;その薬物の残りは、吸収されることなく消化管(GI)を通過するか、または初回通過効果を受けるかのいずれかである、すなわち、肝臓で起こる代謝的変換が、胆汁または腎臓を経て薬物代謝生成物の排泄をもたらす。
b)経口経路では、Cmaxおよびtmax(Cmaxが達成される時間)は、GI管における薬物の吸収速度によって制限される。
c)ヒトにおける吸収速度は、患者の年齢、患者における併発している疾患(concomitant disease)の存在および感染性疾患の進行に依存して非常に変動性である。
d)IV経路では、代わりに、上記薬物は、血流に直接入り、tmaxは直ぐであり、Cmaxは、注入される薬物濃度およびそれが注入される時間によって制御され得る。AUCは、当然、任意の他の投与経路に対して達成され得る最大である。
e)IN経路では、代わりに、上記薬物は肺に直接入り、Cmaxおよび肺における分布は、薬物濃度によっておよび特定のネブライザーによって生成される粒度によって制御され得る。
【0059】
IVおよびIN経路はともに、リファブチンが高いAUC/MICおよびCmax/MICに達することを可能にする。このことは、リファブチンの作用に感受性の細菌の感染を処置している間の薬物の有効性および薬物耐性の発生からの防御にとって重要である。IV投与経路は、血漿中、ならびに上記薬物が適切に分布され得、従って、例えば、菌血症、髄膜炎、人工関節周囲感染症(PJI)およびいくつかの重度の肺感染症(例えば、人工呼吸器関連細菌感染(VABP)および院内獲得細菌感染(HABP))のような感染の処置に適切な任意の区画において、これらのパラメーターの最適化を可能にする; 代わりに、IN経路によって、医師が非常に高い薬物肺濃度を、他の身体の区画を過剰な薬物レベルに不必要に曝すことなく達成することを優先するそれら全ての症例では、任意の細菌性肺感染の処置のために、肺において高い局所濃度を達成することが意図される。あるいは、医師は、経口用または非経口用抗生物質と組み合わせて、IN経路によってリファブチンを使用することを決定し得る。
【0060】
本発明は、静脈内(IV)投与のためのリファブチン製剤を含む。本発明の別の実施形態において、リファブチンは、静脈内(IV)にまたは吸入(IN)によって投与される。
【0061】
リファブチンを含む組成物および製剤
本発明は、遊離塩基リファブチンが、水/溶媒と酸との中に溶解される製剤を含む組成物を提供する。
【0062】
その組成物は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸が挙げられるが、これらに限定されない)と、または有機酸(例えば、酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、グルクロン酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、またはマロン酸が挙げられるが、これらに限定されない)とともに形成されるアミノ基の塩である薬学的に受容可能な塩(例えば、非毒性酸付加塩)として提供され得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、薬学的に受容可能な塩としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩など。好ましくは、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、L-酒石酸、D-グルクロン酸、L-リンゴ酸、D-グルコン酸、L-乳酸、酢酸またはL-アスパラギン酸が使用され得る。最も好ましくは、酢酸、L-乳酸、D-グルコン酸またはD-グルクロン酸が使用される。
【0064】
薬学的組成物は、投与形態、製剤において、または従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、溶媒、希釈剤、およびアジュバントを含む適切な送達デバイスもしくは移植物を介して、注射、注入、移植物(静脈内、筋肉内、皮下など)によって、または吸入によって、投与され得る。このような組成物の製剤化および調製は、薬学的製剤分野の当業者に周知である。
【0065】
非経口用途のための本発明の組成物は、単位投与形態において(例えば、単一用量アンプルおよびバイアルにおいて)、いくつかの用量を含みかつ適切な保存剤(以下を参照のこと)が添加され得るバイアルにおいて、充填済みシリンジにおいて、または充填済みIVバッグにおいて提供され得る。本明細書で記載される薬学的組成物は、無菌注射物に適した形態にあり得る。
図1に示されるように、このような組成物を調製するために、粉末形態にあるリファブチンに、溶媒中の水と酸との溶液が、溶解を促進するために添加される。あるいは、このような組成物は、リファブチンを溶媒中に調製し、それと上記酸を含む水の溶液とを混合することによって調製され得る。
【0066】
よって、本発明は、リファブチンの静脈内製剤を調製する方法を提供する。上記方法は、溶媒および蒸留水を含む溶液を調製する工程を包含し得る。好ましくは、上記溶液は、1:1比または1:2比にある。上記溶媒は、任意の溶媒であり得るが、好ましくは、DMIまたはtrascutol HPである。酸は、上記容器に添加され得る。上記酸は、リファブチンの溶解を促進するために適切であり得る。上記酸は、任意の酸であり得るが、好ましくは、酢酸またはD-グルクロン酸であり得る。上記酸を含む溶液は、リファブチン粉末に添加され得る。従って、上記酸は、リファブチンを上記水性溶液へと溶解させる。
【0067】
上記リファブチン溶液は、薬学的に受容可能な希釈剤に添加され得る。上記希釈剤は、0.9% 生理食塩水であり得る。
【0068】
例えば、4% DMI中の20mg/ml リファブチンの溶液を調製するために、第1の、蒸留水中のジメチルイソソルビド(DMI)1:1溶液が調製される。次いで、0.169mlの氷酢酸は、9.831mlの上記1:1 DMI/水溶液に添加され得、再構成溶媒(RS)を形成する。次いで、1mlのRSは、250mg/mlの溶液を作製するために、250mgのリファブチンに添加される。このRS-リファブチン溶液は、上記リファブチンが溶解し、濃い深赤色溶液を形成するまで、撹拌されるかまたは振盪される。完全な溶解は、約15~20分で起こるはずである。次いで、その濃縮溶液は、4% DMI中20mg/mlのリファブチンの最終溶液を作製するために、11.5mlの水で希釈される。上記最終溶液のpHは、5~6の間である。
【0069】
0.5% DMI/0.9% 塩化ナトリウム溶液中2.5mg/ml リファブチンの静脈内溶液を調製する別の例では、第1の、蒸留水中のジメチルイソソルビドの1:1溶液が調製される。次いで、0.169mlの氷酢酸が9.831mlの上記1:1 DMI/水溶液に添加され得、RSを形成する。次いで、1mlのRSを250mgのリファブチンに添加して、250mg/mlの溶液を作製する。このRS-リファブチン溶液を、リファブチンが完全に溶解するまで(約15~20分間)、撹拌するかまたは振盪する。次いで、その濃縮溶液を、99mlの注射用0.9% 生理食塩水で希釈して、5.0~6.0の間のpHを有する、0.9% 生理食塩水中0.5% DMIに2.5mg/mlのリファブチンの最終溶液を作製する。
【0070】
1% transcutol HP/0.9% 塩化ナトリウム溶液中に5mg/ml リファブチンの静脈内溶液を調製する別の例では、第1の、蒸留水中のtrancutol HPの1:2溶液が、調製される。次いで、0.169mlの氷酢酸を、14.831mlの上記1:2 transcutol HP/水溶液に添加し、RSを形成し得る。次いで、1.5mlのRSを250mgのリファブチンに添加して、166.7mg/mlの溶液を作製する。このRS-リファブチン溶液を、リファブチンが完全に溶解するまで(約15~20分間)、撹拌するかまたは振盪する。次いで、その濃縮溶液を、48.5mlの注射用0.9% 生理食塩水で希釈して、5.0~6.0間のpHを有する、0.9% 生理食塩水中1% transcutol HPに5mg/mlのリファブチンの最終溶液を作製する。
【0071】
別の例では、8% DMI/0.9% 塩化ナトリウム溶液中の40mg/ml リファブチンの静脈内溶液を、0.5mlのDMI中の250mgのリファブチンの溶液を使用し、これに、0.5mlの、蒸留水中の114.6mg/mlのD-グルクロン酸の溶液を添加して調製する。5分間渦を巻くように回した後、その得られた250mg/mlのRS-リファブチン溶液を、5.25mlの注射用0.9% 生理食塩水で希釈して、5.0~6.0間のpHを有する、0.9% 生理食塩水中8% DMIに40mg/mlのリファブチンの最終溶液を作製する。
【0072】
患者のニーズおよび臨床状態に応じて、IV投与による組成物の投与は、経口投与より都合がよい可能性がある。なぜならそれは、全身循環への抗生物質の迅速な導入を可能にし、完全なバイオアベイラビリティーを提供し、薬理学的有効性を導き出す薬物動態パラメーターをよりよく制御することを可能にし、消化管における安定性および吸収の問題を回避するからである。
【0073】
リファブチンの代表的な投与量は、リファブチンCmaxが>2mg/Lであるが、<50mg/Lであり、AUCが10mg*h/L <200mg*hLである血漿または局所レベルに達し得る投与量である。
【0074】
上記リファブチン溶液は、薬学的に受容可能な希釈剤でさらに希釈され得る。例えば、リファブチンの20mg/ml IV溶液は、被験体にそれほど濃縮されていない溶液を送達するために、0.9% 生理食塩水でさらに希釈されて、低濃度のリファブチンが得られ得る。濾過はまた、本明細書で開示されるリファブチンのIV製剤に必要とされ得る。必要であれば、濾過は、濃縮リファブチン溶液または最終リファブチン溶液の両方に対して行われ得る。
【0075】
本発明の製剤は、任意の非経口投与のためのものであり得る。例えば、上記組成物は、注射または注入のために製剤化され得る。注射または注入は、皮下または静脈内であり得る。好ましくは、上記組成物は、静脈内投与のために製剤化される。好ましくは、上記組成物は、静脈内投与または吸入投与のために製剤化される。よって、本発明の製剤はまた、薬学的に受容可能な希釈剤を含み得る。上記薬学的に受容可能な希釈剤は、治療上有効な量のリファブチンをIV製剤において、感染症に罹患している患者に送達するために十分な濃度にあり得る。上記薬学的に受容可能な希釈剤は、生理食塩水または滅菌水であり得る。好ましくは、上記希釈剤は、0.9% 生理食塩水である。上記溶液は、感染症に罹患している患者を処置するために、治療上有効な量のリファブチンとともに投与され得る。
【0076】
本明細書に記載される本発明の種々の製剤が、本発明の方法のうちのいずれとともに使用されてもよく、従って、上記方法が、いかなる1つの製剤にも限定されないことは注記されるべきである。
【0077】
リファブチンを含む製剤を調製する方法
本発明は、リファブチンの製剤を調製するための方法を提供する。
【0078】
図1は、本発明の実施形態に従って注射用リファブチン溶液または吸入用のリファブチンを調製するための方法を図示する代表的模式図である。静脈内リファブチン製剤は、リファブチンの溶解を促進するために適切な酸の存在下で、1:1比において溶媒および蒸留水を含む、再構成用の無菌の薬学的に受容可能な溶液を調製する工程を包含するプロセスによって製造され得る。リファブチンは、液体媒体中で溶解性である固体形態または液粉末形態において存在し得る。リファブチンは、溶媒および蒸留水の水性溶液中に溶解され得る。リファブチンは、酸の存在下で、50% 溶媒(すなわち、1:1 溶媒-蒸留水)の水性溶液中に溶解性であり得る。
【0079】
リファブチンは、酸の存在下で、33.3% 溶媒(すなわち、1:2 溶媒-蒸留水)の水性溶液中に溶解性である。
【0080】
上記製剤は、任意の非経口投与経路に適切であり得る。上記製剤は、非経口投与、静脈内投与、動脈内投与に適切であり得る。上記製剤は、吸入による投与に適切であり得る。
【0081】
上記製剤は、非経口投与の前に希釈される必要のある再構成される溶液であり得る。上記製剤は、非経口投与に適切な再構成される溶液であり得る。
【0082】
上記溶液は、上記溶媒および蒸留水を所定の比において混合する工程を包含し得る。上記比は、v/v比であり得る。上記溶液は、上記溶媒および蒸留水を、約9:1~約1:9、約9:1~約1:4、約9:1~約1:2、約9:1~約1:1、約4:1~約1:9、約4:1~約1:4、約4:1~約1:2、約4:1~約1:1、約2:1~約1:9、約2:1~約1:4、約2:1~約1:2、または約2:1~約1:1の比において含み得る。上記溶液は、上記溶媒および蒸留水を、約9:1、約4:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:4、または約1:9の比において含み得る。
【0083】
上記溶媒は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標)20)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、グリセリン、エタノール、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(transcutol HP)、またはジメチルイソソルビド(DMI)であり得る。
【0084】
上記酸は、塩酸、メタンスルホン酸、リン酸、L-酒石酸、D-グルクロン酸、L-リンゴ酸、D-グルコン酸、L-乳酸、酢酸、またはL-アスパラギン酸であり得る。
【0085】
上記製剤は、リファブチン含有溶液を希釈剤へと希釈する工程を包含し得る。上記希釈剤は、滅菌水、塩化ナトリウム(すなわち、生理食塩水)溶液、デキストロース水、または乳酸加リンゲル液であり得る。塩化ナトリウム溶液は、0.9% 塩化ナトリウム溶液であり得る。デキストロース溶液は、5% デキストロース溶液または10% デキストロース溶液であり得る。
【0086】
その得られた溶液は、薬学的に受容可能な溶媒(例えば、滅菌水、マンニトール(例えば、3~5% マンニトール、3% マンニトール、4% マンニトール、4.3% マンニトール、および5% マンニトール)、ホスフェート、アセテート、さらなるタートレート、生理食塩水(例えば、生理食塩水(0.9%)、1/2 生理食塩水(0.45%)、および0.5% 生理食塩水など)が挙げられるが、これらに限定されない)中でのさらなる希釈を必要とし得る。静脈内用の製剤に関しては、生理食塩水(0.9%)が好ましい希釈剤またはキャリアである。
【0087】
リファブチンは、約9:1~約1:9の比 v/vで、溶媒および水の混合物中1~3モル当量の間で構成される量の酸を含む溶液において再構成され得る。リファブチン 対 溶媒比(w/v)は、4:1~1:4であり得る。上記製剤を得るための溶解時間は、60分間未満であり得る。特に、酸の量は、1モル当量であり得、上記酸は、酢酸またはD-グルクロン酸であり得、上記溶媒は、1:1または1:2のv/v比で水と混合されたDMIまたはtranscutol HPであり得、リファブチン 対 溶媒比 w/vは、1:2であり得、溶解時間は、20分間未満である。
【0088】
上記製剤(すなわち、再構成されるリファブチン溶液)は、そのまま使用されてもよいし、それを所定の容積の希釈剤の中に希釈することによって作製されてもよい。希釈剤の容積は、再構成される溶液の容積に対して相対的に表され得る。希釈剤の体積は、再構成されるリファブチン溶液の約1.0~約2.0容積、約1.25~約2.25容積、約1.5~約2.5容積、約1.75~約2.75容積、約2.0~約3.0容積、約1.80~約2.10容積、約1.90~約2.05容積、または約1.95~約2.0容積であり得る。上記再構成されるリファブチン溶液は、約20.5~約30容積、約21~約29容積、約22~約28容積、約23~約27容積、約23~約26容積、約23~約25容積、約23~約24容積、約22.5~約23.5容積、または約23.0~約23.5容積の注射用0.9% 生理食塩水に添加され得る。よって、1容積の希釈剤は、約125mg/mlの最終溶液をもたらし、4容積は、約50mg/mlの最終溶液をもたらし、9容積は、約25mg/mlの最終溶液をもたらし、24容積は、約10mg/mlの最終溶液をもたらし、99容積は、約2.5mg/mlの最終溶液をもたらす。当業者は、任意の所望の最終濃度を有する溶液をどのようにして得るかを理解している。
【0089】
上記製剤は、任意の適切な濃度(例えば、上記のもの)のリファブチンを含み得る。
【0090】
上記製剤は、任意の濃度(例えば、上記の希釈剤から導出されるもの)のDMIを含み得る。
【0091】
上記製剤は、任意の濃度(例えば、上記の希釈剤から導出されるもの)のtranscutol HPを含み得る。
【0092】
リファブチンに対する酸の量は、1~3モル当量の間または1~2モル当量の間であり得る。リファブチンに対する酸の量は、1モル当量であり得る。
【0093】
リファブチン 対 溶媒のw/v比は、約4:1~約1:4、約2:1~約1:3、または約1:1~約1:2であり得る。リファブチン 対 溶媒のw/v比は、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、または約1:4であり得る。
【0094】
上記方法は、渦を巻くように回す、撹拌する、または上記溶液をかき混ぜることによって、リファブチンを溶解させる工程を包含し得る。上記溶解する工程は、所定の期間にわたって行われ得る。上記溶解する工程は、約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約30分間、約45分間、または約60分間にわたって行われ得る。
【0095】
細菌感染を処置する方法
本発明は、細菌感染を処置する方法を提供する。この方法は、リファブチンの液体製剤を、細菌感染を有する被験体に投与する工程を包含する。上記液体製剤は、リファブチン、溶媒および酸を含み得る。
【0096】
上記製剤は、静脈内投与、動脈内投与、または肺投与によって提供され得る。上記製剤は、吸入によって、または注射によって提供され得る。
【0097】
上記液体製剤は、細菌感染を有する被験体に静脈内投与されるべきリファブチンおよび希釈剤の溶液であり得る。上記IV投与用の製剤は、薬学的に受容可能な溶媒を含み得る。上記方法は、本明細書で記載されるリファブチンの任意の製剤のIV製剤を、細菌感染に罹患している被験体に投与する工程を包含し得る。
【0098】
リファブチンを含むIV製剤は、別の抗生物質または治療剤とともに投与され得る。逐次的投与または交互の投与は、専らリファブチンを含むIV製剤を一定期間にわたって提供する工程、および専ら別の治療剤を一定期間にわたって提供する工程を包含し得る。逐次的投与は、上記被験体に、リファブチンを含むIV製剤および他の治療剤を含む製剤の両方が提供される重複期間を含み得る。専らの期間および重複の期間は、独立して、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、8ヶ月間、10ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、または24ヶ月間であり得る。あるいは、本発明の薬学的製剤、または製剤内の可溶性構成要素は、リファブチンおよび別の治療剤を含み得る。
【0099】
理論に拘束されることは望まないが、本発明の任意の製剤は、本発明の方法のうちのいずれかにおいて使用され得る。
【0100】
本発明の別の局面において、方法は、被験体において細菌感染を処置する工程を包含する。上記方法は、治療上有効な量の、リファブチンまたはその塩を含む製剤を投与する工程を包含し得る。上記リファブチン製剤は、静脈内投与のために製剤化され得る。上記静脈内製剤は、上記リファブチンの溶解を促進するために適した酸の存在下で、1:1比において溶媒および蒸留水の溶液を調製する工程を包含するプロセスによって製造される。好ましくは、上記溶媒は、DMIである。好ましくは、上記溶媒は、transcutol HPである。好ましくは、上記静脈内製剤は、0.5% DMIおよび0.9% 塩化ナトリウム溶液中のおよそ2.5mg/ml リファブチンである。
【0101】
別の実施形態において、上記方法は、細菌感染に罹患している被験体に、リファブチンまたはその塩のIV製剤および別の治療剤の併用療法を提供する工程を包含し得る。上記IV製剤は、薬学的に受容可能な溶媒を含み得る。上記治療剤は、IV投与のための製剤中にあり得る。
【0102】
リファブチンを含むIV製剤および別の治療剤を含む製剤は、同時に、いずれかの順序で逐次的に、または交互の様式において、提供または投与され得る。逐次的投与または交互の投与は、専らリファブチンを含むIV製剤を一定期間にわたって提供する工程および専ら他の治療剤を含む製剤を一定期間にわたって提供する工程を包含し得る。逐次的投与は、上記被験体がリファブチンを含むIV製剤および他の治療剤を含む製剤の両方を提供される重複期間を含み得る。専らの期間および重複期間は、独立して、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、8ヶ月間、10ヶ月間、12ヶ月間、18ヶ月間、または24ヶ月間であり得る。
【0103】
別の実施形態において、リファブチンは、ガラスバイアルの中に充填され、最終滅菌のために使用される手順のうちの1つを使用して滅菌される。このような手順は、当業者に周知であり、γ線照射または加熱滅菌を使用して行われ得る。
【0104】
注射用水およびおよそ1モル当量の酸を含む溶媒の50:50 滅菌溶液は、次いで、濃縮された再構成される溶液を形成するために、滅菌リファブチンに添加される。
【0105】
別の実施形態において、上記再構成されるリファブチン製剤は、濾過滅菌される。
【0106】
別の実施形態において、上記希釈されるリファブチン製剤は、濾過滅菌される。
【実施例】
【0107】
実施例1
溶媒中の溶解度の予備的評価: 薬学的に受容可能な溶媒が、リファブチン粉末を溶解し得るか否か、およびどの濃度で溶解し得るか否かを決定するために、最大目標溶解度300mg/mlを達成するために十分な、適切な容積の溶媒を、少量のリファブチン粉末に添加した。室温において24時間撹拌した後、サンプルを遠心分離し、その上清をHPLCによって分析した。リファブチンのクロマトグラフィーピーク面積を、滴定曲線に対して比較した。この予備的スクリーニングの結果は、表1に報告される。
【0108】
【0109】
「熱力学的(thermodynamic)」溶解度スクリーンから、最良の溶媒としてジメチルイソソルビド(DMI)が示された。興味深いものの、24時間での溶解度データは、抗生物質粉末の再構成プロセスには無関係である。なぜなら再構成用の溶媒は、抗生物質を数分間(操作者がリファブチンを注射用または吸入用に調製するために実際的な時間)で溶解できなければならないからである。
【0110】
≧250mg/mlの濃度でのDMI中でのリファブチンの溶解は可能であったが、もっともらしく許容可能であるより長くかかることが判明した。さらに、薬学的に受容可能な溶液(例えば、生理食塩水)でのDMI リファブチン溶液の希釈は、DMI-リファブチン溶液が水性溶液から分離したことから不可能であった。
【0111】
予測外なことに、DMI/水溶液への酸の添加は、リファブチン粉末の迅速な溶解を可能にし、高濃縮の、再構成されるリファブチン溶液は、いかなるリファブチン沈殿もなしに、水または0.9% 生理食塩水で自由に希釈できた。
【0112】
実施例2
溶媒および酸の小規模溶解度スクリーン:100~200mgの間で構成されるリファブチン粉末の量を、1.8ml ガラスバイアルに秤量した。再構成用の溶液の例は、種々の溶媒、および表2に特定されるとおりの量において種々の酸を含む水を混合することによって調製した。上記溶液を、磁性式撹拌棒を使用してRTで15分間かき混ぜ、短時間ボルテックスにかけた。そのサンプルを、遠心分離フィルター(0.2μm PTFEフィルター)を使用して濾過し、再構成される溶液の濃度を、HPLC分析によって決定した。リファブチンクロマトグラフィーピーク面積を、滴定曲線に対して比較した。結果を表2に報告する。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
実施例3:
リファブチンの再構成および0.9% 生理食塩水でのさらなる希釈に関する大規模評価:1.50g(1.77ミリモル)のリファブチン粉末を、40mL ガラスバイアルの中に秤量した。6mL ジメチルイソソルビド/水 50/50(v/v)中に溶解した等モル量の酸(1.77ミリモル)を、添加した。その溶液を、30秒間ボルテックスにかけ、磁性式撹拌棒を使用して、室温において15分間激しく撹拌し、再び30秒間ボルテックスにかけた。
【0117】
上記サンプルを、シリンジおよびフィルター(0.2μm PTFEフィルター)を使用して濾過し、再構成されるリファブチン溶液の濃度を、HPLC分析によって決定した。希釈されていない溶液のアリコート(1mL)を、室温および5℃において24時間貯蔵した。
【0118】
図2は、リファブチン製剤の分析方法を図示する模式図である。その濾液のアリコート(500μL)を、0.9% 生理食塩水中で10倍および100倍に希釈した。これらの希釈物を、三連で調製した。その希釈したサンプルを、直後の沈殿に関して目視検査し、15分後に濾過した。APIの濃度を、HPLC分析によって決定し、pHを記録した。その希釈したサンプルを、室温において24時間貯蔵した。
【0119】
24時間という貯蔵時間の後、その希釈および希釈していないサンプルを、API濃度の決定のためにHPLC分析によって再度分析し、そのpHを記録した。
【0120】
希釈していないサンプルの溶解度試験の実験詳細、結果および記録したpH値を、表5、6および7に、ならびに
図3および4にグラフとして示す。
【0121】
【0122】
図3は、製剤中のリファブチン溶解度を示すグラフである。希釈されていないサンプルを、より大規模に、t0において(青い棒)、室温において24時間後(赤い棒)、および5℃において24時間後(緑の棒)に分析した。
【0123】
【0124】
これらの溶液の重量オスモル濃度は、酢酸、L-乳酸、D-グルコン酸およびD-グルクロン酸から生成される溶液に関してそれぞれ、632、644、622および645mOsm/kgであった。
【0125】
【0126】
これらの溶液の重量オスモル濃度は、酢酸、L-乳酸、D-グルコン酸およびD-グルクロン酸から生成される溶液に関してそれぞれ、323、319、316および318mOsm/kgであった。
【0127】
図4は、製剤中のリファブチン溶解度を示すグラフである。希釈したサンプルを、t0において(青い棒、10×希釈;灰色の棒、100×希釈)、および室温において24時間後(橙色の棒、10×希釈;黄色の棒、100×希釈)
に分析した。
【0128】
実施例4
transcutol HP中のリファブチンの溶液からのリファブチンの再構成および0.9% 生理食塩水でのさらなる希釈: 1.50g(1.77ミリモル)のリファブチン粉末を、40mL ガラスバイアルの中に秤量した。3mlのDMIまたは3mlのtranscutol HPを添加し、非常に濃い懸濁液を、それぞれ、約6時間および18時間、非常に濃い溶液を得るために渦を巻くように回した。その溶液を、0.2μm フィルター(PTFEフィルター)を通して濾過滅菌した。約500mg(約0.590mmol)のリファブチンを含むその2つの溶液のうちの1mlのアリコートに、1mlの、0.590mmolの酢酸を含む水の溶液を、穏やかに渦を巻くように回しながら添加した。完全な溶解が即座に形成した。濾過(0.2μm PTFEフィルター)前および後の分析は、実施例3に報告される結果と一致して、全ての溶液に関して類似の力価を示す。
【0129】
約500mg(約0.590mmol)のリファブチンを含む2種の溶液のうちの1mlの別のアリコートに、5mlの、0.590mmolの酢酸を含む水/0.9% 生理食塩水 1:4の溶液を添加した。完全な溶液が即座に形成された。濾過(0.2μm PTFEフィルター)前および後の分析は、約46.7~48.2mg/mlという全ての溶液の類似の力価を示す。
【0130】
実施例5
溶解度の決定のための分析法およびサンプル調製: 溶解度決定のための希釈物を、25μLのマザーリカーを、500μLの、アセトニトリル中0.1% TFAに添加することによって調製した(希釈1 21倍)。必要であれば、第2の希釈物を、希釈1のうちの25μLを、500μLの、アセトニトリル中0.1% TFAに添加することによって調製した(441倍希釈)。
【0131】
LCMS法
HPLC: Agilent 1200
検出器1: 276nmに設定したDAD
検出器2: 質量分析器
【0132】
HPLC条件:
カラム: Sunfire C18(100×4.6mm×3.5μm)
カラム温度: 35℃
フローセル: 10mm経路
移動相A: 水中0.1% TFA
移動相B: アセトニトリル中0.1% TFA
流速: 1.0ml/分
【0133】
【0134】
リファブチンは、6.8~6.9分の保持時間を有した。目的の化合物のUV検出器から観察されたピーク面積を、その溶液中の構成要素の濃度の計算に使用した。ビヒクルの成分との干渉は存在しないことが検証された。
【0135】
表3および表5は、新鮮に調製した、および室温(RT)または5℃において24時間貯蔵した後の、ジメチルイソソルビド/水 50/50(v/v)またはtranscutol HP/水 33.3/66.7(v/v)中に1モル当量の酸を含む溶液中のリファブチンの濃度を報告する。
【0136】
再構成される溶液は、RTおよび5℃において24時間貯蔵され得る。
【0137】
表4、表6および表7は、0.9% 生理食塩水中の100倍までの希釈およびRTで24時間の貯蔵後の、リファブチンの濃度を報告する。上記溶液のpHおよび重量オスモル濃度も記録した。
【0138】
再構成される溶液は、組成物を所望の投与経路に適したものにするために、制限なしに希釈され得る。
【0139】
0.9% 生理食塩水での再構成される溶液の希釈は、使用される酸のpKaに依存する最終pHを有し、好ましい酸は、2より大きい、好ましくは3より大きいpKa値を有するべきである。好ましくは、このような酸は、D-グルクロン酸、D-グルコン酸、L-乳酸および酢酸である。最も好ましくは、上記酸は、酢酸またはD-グルクロン酸である。
【0140】
実施例6
DMI中のリファブチンの大規模溶液からのリファブチンの再構成および0.9% 生理食塩水でのさらなる希釈:
バイアル1の調製:1200mlのDMIを、5L ガラスタンク中で40℃において加熱し、600g(0.708モル)のリファブチン粉末を、40℃で撹拌しながら少しずつ添加する。完全な溶解は、約6時間で得、その溶液を、室温へと戻した。次いで、その溶液を、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、Nylon、またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン) 0.22μm 滅菌フィルタを通して濾過した。500mg(0.590ミリモル)のリファブチンに等しい溶液の容積を、10ml 滅菌済み脱パイロジェンバイアルへと滅菌チューブを介して移し、そのバイアルを、Fluorotecゴム栓およびフリップオフオーバーシール(flip-off overseal)でシールした。さらにまたは代わりに、そのバイアルは、121℃で20分間、オートクレーブの中に入れて最終滅菌を受けた。この手順を、2種の異なるリファブチンバッチから開始して反復した。
【0141】
最終滅菌後の分析および安定性データを、それぞれ、表8および9に報告する。
【0142】
バイアル2の調製: 滅菌注射用水中の4% w/v 酢酸の溶液を、10ml 滅菌済み脱パイロジェンバイアルへと滅菌チューブを介して移し、そのバイアルを、Fluorotecゴム栓およびフリップオフオーバーシールでシールし、オートクレーブの中に入れて最終滅菌を受けた。
【0143】
使用前のリファブチンの再構成: 1mlの、注射用水中の滅菌4% w/v 酢酸(0.66ミリモル)を、1ml シリンジによってバイアル2から引抜き、穏やかに渦を巻くように回しながらバイアル1へと添加した。
【0144】
0.9% 生理食塩水中での再構成されるリファブチン溶液の希釈: その再構成される溶液を、0.9% NaCl溶液(注射用生理食塩水)の滅菌溶液を添加することによって合計10mlの容積にして、リファブチンの最終濃度を50mg/mlにした。
【0145】
分析データを表10に報告する。
【0146】
あるいは、その再構成される溶液を、シリンジによってバイアルから引き抜きくことができ、注入のための生理食塩水バッグへと直接注入することができる。
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
実施例7
安定性試験および不純物決定のための分析方法およびサンプル調製
【0151】
HPLC条件
HPLC装置 UV検出器または同等のものを備えたHPLC Waters Alliance
ソフトウェア Empower 3 Systemまたは同等のもの
カラム C8、5μm、4.5×150mm、Waters Spherisorb
流速 10ml/分
注入容積 10μ1
波長 254nm
移動相 55% ACN + 13.6g/L(0.1M)のリン酸二水素カリウムを45%。この混合物は、2N NaOHでpH6.5±0.1に調節しなければならない。
溶離 均一濃度
実行時間 リファブチンの保持時間の2.5倍
RRT リファブチン: 1(約9分)
(リファブチンを基準にして) 不純物E: 約0.5
不純物B: 約0.6
不純物D: 約0.8
不純物C: 約1.4
【0152】
サンプル調製
【0153】
ブランク溶液 移動相そのまま
【0154】
試験溶液1 -バルク溶液中のリファブチンの濃度の決定に関して:
0.5mgのリファブチンを、DMI中の溶液(正確に秤量)に10mL メスフラスコへと移し、アセトニトリルで所定の容積まで希釈した。その得られた溶液のうちの1.5mlを、50mL メスフラスコに移し、移動相で所定の容積まで希釈し、混合した(0.5mg/ml)。
【0155】
試験溶液2 -バイアル含有量決定に関して:
バイアルのフリップオフの除去後に、そのシールしたバイアル中のACNのうちの約5mlを、10ml シリンジを使用することによって移した。次いで、その得られた溶液を、50ml メスフラスコへと移し、50ml メスフラスコへと洗浄溶液を添加することによって、上記バイアルの溶液の全量の正確な回収を得るために、ACNで少なくとも5回洗浄した。次いで、そのシールおよび栓を除去し、上記バイアルのさらに2回の洗浄を行った。次いで、その容積をACNで希釈した。
最後に、その得られた溶液を、移動相で1ml~20mlに希釈し、混合した(0.5mg/ml)。
【0156】
標準溶液: 約25mgのリファブチン CRS(正確に秤量)を、50mL メスフラスコに移した。5mLのアセトニトリルを添加し、その溶液を移動相で所定の容積まで希釈し、混合した(0.5mg/ml)。
【0157】
希釈した標準溶液: 1mlのリファブチン標準溶液を、移動相で100mlに希釈した(0.005mg/ml)。
【0158】
分離溶液: 約10mgのリファブチン CRSを、2ml MeOH中に溶解し、1mlの2N NaOHを添加し、その溶液を約4分間静置させた。1mlの2N HClを添加し、その溶液を、50mlへと移動相で希釈した。
【0159】
システム適合性
-分離溶液に関して: そのクロマトグラムは、界面活性剤に関する大きなピーク、分解物に関する2つの小さなピーク、および約0.5、0.6、0.8、および1.0のRRTにおいて、それぞれ、リファブチンに関する大きなピークを示した。約0.8の相対的保持時間において溶離してくるリファブチンピークと分解物ピークとの間の分離は、1.3以上であった。
-標準調製物に関して: カラム効率は、2000以上の理論段数であり、繰り返しの注入の相対標準偏差は、2.0%以下であった。
【0160】
試験溶液1の計算
サンプルの各gにおけるリファブチンの量(mg単位)の計算を、以下の式を使用して行う:
【数1】
ここで
C=標準濃度(mg/mL)
P=標準効力(pg/mg),
W=サンプル重量(g)
AT=サンプルピークの面積
AS=標準ピークの平均面積
【0161】
各不純物のパーセンテージの計算は、以下の式を使用して行う:
【数2】
ここで
C=希釈した標準濃度(mg/mL)
P=標準効力(μg/mg)
W=サンプル重量(g)
AI=不純物ピークの面積
AS=標準ピークの面積
R=濃度(mg/g)を計算したサンプルの各gにおけるmg リファブチン
【0162】
試験溶液2の計算
各バイアルにおけるリファブチンの含有量(g単位)の計算を、以下の式を使用して行う:
【数3】
ここで
C=標準濃度(mg/mL)
P=標準効力(μg/mg)
W=サンプル重量(g)
AT=サンプルピークの面積
AS=標準ピークの平均面積
【0163】
各不純物のパーセンテージの計算は、以下の式を使用して行う:
【数4】
ここで
C=希釈された標準濃度(mg/mL)
P=標準効力(μg/mg)
W=サンプル重量(g)
AI=不純物ピークの面積
AS=標準ピークの面積
R=各バイアル中のmg リファブチン
【0164】
参照による援用
他の文書(例えば、特許、特許出願、特許公報、学術雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ)への言及および引用は、本開示全体を通じて行われている。全てのこのような文書は、全ての目的のためにそれらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0165】
均等物
本発明の種々の改変およびその多くのさらなる実施形態は、本明細書で示され、記載されるものに加えて、本明細書で引用される科学文献および特許文献への言及を含め、この文書の全内容から当業者に明らかになる。本明細書中の主題は、その種々の実施形態およびその均等物において本発明の実施に適合され得る重要な情報、例示、およびガイダンスを含む。
【国際調査報告】