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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】角度フィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/04 20060101AFI20221115BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G02B1/04
G02B5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516233
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2020075049
(87)【国際公開番号】W WO2021048110
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】1910119
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルドゥチ,ティンダラ
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】サラッコ,エメリン
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA15
(57)【要約】
【解決手段】本明細書は、画像センサのための角度フィルタ(2) に関する。角度フィルタは、防湿性の第1の層(42)で少なくとも部分的に覆われている不透明な樹脂のパターン(26)を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサのための角度フィルタ(2) であって、
防湿性の第1の層(42)で少なくとも部分的に覆われている不透明な樹脂のパターン(26)を備えている、角度フィルタ。
【請求項2】
前記パターン(26)は、前記第1の層(42)と防湿性の第2の層(44)との間で完全に封止されている、請求項1に記載の角度フィルタ(2) 。
【請求項3】
前記第1の層(42)及び前記第2の層(44)の少なくとも1つは紫外線を通さない、請求項1又は2に記載の角度フィルタ。
【請求項4】
前記樹脂は黒色又は着色である、請求項1~3のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項5】
前記樹脂はポジ型である、請求項1~4のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項6】
前記パターン(26)の断面は矩形状又は台形状である、請求項1~5のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項7】
前記第1の層(42)及び前記第2の層(44)の少なくとも1つの厚さは1~200 nmの範囲内であり、好ましくは10~50nmの範囲内である、請求項1~6のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項8】
前記第1の層(42)、前記第1の層(42)及び前記第2の層(44)の一方、又は、前記第1の層(42)及び前記第2の層(44)はAl2O3 で形成されている、請求項1~7のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項9】
前記第1の層(42)、前記第1の層(42)及び前記第2の層(44)の一方、又は、前記第1の層(42)及び前記第2の層(44)はSiN/SiO2で形成されている、請求項1~8のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項10】
前記パターン(26)間の空間(28)にガス、好ましくは空気が充填されている、請求項1~9のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項11】
前記パターン(26)間の空間(28)に、400 nm~1mm、好ましくは400 ~700 nmの範囲内の波長を通す材料(46)が充填されている、請求項1~10のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項12】
前記材料(46)は、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及び光学的に透明な接着剤から選択されている、請求項11に記載の角度フィルタ。
【請求項13】
前記樹脂及び前記材料(46)は、液相成長法、遠心分離又は被覆によって堆積している、請求項11又は12に記載の角度フィルタ。
【請求項14】
前記第1の層(42)及び/又は前記第2の層(44)は、原子層堆積法、プラズマ化学蒸着法又は物理蒸着法によって堆積している、請求項1~13のいずれか1つに記載の角度フィルタ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載の角度フィルタ(2) を製造する方法であって、
- 不透明な樹脂のパターン(26)を形成する工程、及び
- 前記パターン(26)を防湿性の第1の層(42)で覆う工程
を有する、方法。
【請求項16】
前記パターン(26)を形成する前に、防湿性の第2の層(44)を堆積させる工程を更に有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像センサのための角度フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
角度フィルタは、入射放射光の入射角に応じてこの入射放射光をフィルタ処理して、ひいては最大入射角と称される所望の角度より大きい入射角を有する光線を遮断し得るデバイスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
角度フィルタを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態は、画像センサのための角度フィルタであって、防湿性の第1の層で少なくとも部分的に覆われている不透明な樹脂のパターンを備えている、角度フィルタを提供する。
【0005】
実施形態によれば、前記パターンは、前記第1の層と防湿性の第2の層との間で完全に封止されている。
【0006】
実施形態は、角度フィルタを製造する方法であって、
- 不透明な樹脂のパターンを形成する工程、及び
- 前記パターンを防湿性の第1の層で覆う工程
を有する、方法を提供する。
【0007】
実施形態によれば、前記方法は、前記パターンを形成する前に、防湿性の第2の層を堆積させる工程を更に有する。
【0008】
実施形態によれば、前記第1の層及び前記第2の層の少なくとも1つは紫外線を通さない。
【0009】
実施形態によれば、前記樹脂は黒色又は着色である。
【0010】
実施形態によれば、前記樹脂はポジ型である。
【0011】
実施形態によれば、前記パターンの断面は矩形状又は台形状である。
【0012】
実施形態によれば、前記第1の層及び前記第2の層の少なくとも1つの厚さは1~200 nmの範囲内であり、好ましくは10~50nmの範囲内である。
【0013】
実施形態によれば、前記第1の層、前記第1の層及び前記第2の層の一方、又は、前記第1の層及び前記第2の層はAl2O3 で形成されている。
【0014】
実施形態によれば、前記第1の層、前記第1の層及び前記第2の層の一方、又は、前記第1の層及び前記第2の層はSiN/SiO2で形成されている。
【0015】
実施形態によれば、前記パターン間の空間にガス、好ましくは空気が充填されている。
【0016】
実施形態によれば、前記パターン間の空間に、400 nm~1mm、好ましくは400 ~700 nmの範囲内の波長を通す材料が充填されている。
【0017】
実施形態によれば、前記材料は、シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及び光学的に透明な接着剤から選択されている。
【0018】
実施形態によれば、前記第1の層及び/又は前記第2の層は、原子層堆積法、プラズマ化学蒸着法又は物理蒸着法によって堆積している。
【0019】
実施形態によれば、前記樹脂及び前記材料は、液相成長法、遠心分離又は被覆によって堆積している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の前述及び他の特徴及び利点は、添付図面に関連する特定の実施モードの以下の非限定的な説明で詳細に記載される。
【0021】
図1】画像取得システムの実施モードを示す部分的な断面略図である。
図2】角度フィルタの例を示す部分的な断面略図である。
図3】角度フィルタ製造モードの工程を断面図(A)、断面図(B)及び断面図(C)で部分的且つ概略的に示す図である。
図4】別の角度フィルタ製造モードの工程を断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)及び断面図(D)で部分的且つ概略的に示す図である。
図5】角度フィルタの代わりの実施を示す部分的な断面略図である。
図6】角度フィルタの別の代わりの実施を示す部分的な断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
同様の特徴が、様々な図で同様の参照符号によって示されている。特に、様々な実施モード及び実施形態に共通する構造的要素及び/又は機能的要素は同一の参照番号で示されてもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。
【0023】
明瞭化のために、記載される実施モードの理解に有用な工程及び要素のみが示され詳述されている。特に、画像センサ、及び角度フィルタ以外の要素の形成は詳述されておらず、記載される実施形態及び実施モードは、画像センサ及びこれらの他の要素の通常の実施形態と適合する。
【0024】
特に指定されていない場合、共に接続された2つの要素を参照するとき、これは、導体以外のいかなる中間要素も無しの直接接続を表し、共に連結された2つの要素を参照するとき、これは、これら2つの要素が接続され得るか、又は一若しくは複数の他の要素を介して連結され得ることを表す。
【0025】
以下の開示では、特に指定されていない場合、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する文言、又は「水平方向」、「垂直方向」などの向きを限定する文言を参照するとき、この文言は図面の向きを指す。
【0026】
特に指定されていない場合、「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という表現は、該当する値の10%の範囲内、好ましくは5%の範囲内を表す。
【0027】
図1は、画像取得システム1 の実施形態を示す部分的な断面略図である。
【0028】
図1は、部分的に示されている対象16の存在を示しており、対象16の画像応答が画像取得システム1 によって取り込まれる。画像取得システム1 は、図1の向きで下から上に、
- 無機(CMOSセンサのための結晶シリコン若しくはTFT センサのためのアモルファスシリコン)又は有機のフォトダイオードに連結されてもよい画像センサ12、例えばCMOSセンサ又は薄膜トランジスタ(TFT) に基づくセンサと、
- 角度フィルタ2 と、
- 光源14と
を備えている。
【0029】
光源14は、対象16の上側に示されている。しかしながら、変形例として、光源は対象16と角度フィルタ2 との間に配置されてもよい。
【0030】
光源14によって放射される放射光は、400 ~700 nmの範囲内の可視光線、及び/又は700 nm~1mmの範囲内の赤外線であってもよい。指紋を決定するための用途の場合、対象16はユーザの指に相当する。
【0031】
図2は、通常の角度フィルタ2’の例を示す部分的な断面略図である。
【0032】
角度フィルタ2’は、図面の向きで上から下に、
- マイクロレンズ22と、
- 基板又は支持体24と、
- 基板24に載置されて孔28を画定している壁又はパターン26と
を備えている。
【0033】
本開示の意味では、「透明」は、該当する波長内の1%を超える放射光を通す材料を表し、「不透明」は、該当する波長内の1%未満の放射光を通す材料を表す。
【0034】
壁は樹脂のパターン26に相当する。この樹脂は、少なくともフィルタ処理される波長を吸収する材料で形成されている。樹脂は、可視域及び赤外域で吸収する黒色樹脂であってもよく、又は所与の色の可視光線を吸収する着色樹脂であってもよい。樹脂のパターン26の断面は矩形状であってもよく、又は台形状であってもよい。2つの樹脂のパターン26間の空間が孔28として画定されている。
【0035】
基板24は、ここでは可視域及び赤外域の少なくとも対象とする波長を吸収しない透明なポリマで形成されてもよい。ポリマは、特にポリエチレンテレフタレートPET 、ポリ(メタクリル酸メチル)PMMA、環状オレフィンポリマ(COP) 、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)で形成されてもよい。基板24の厚さは、例えば1~100 μmの範囲内であってもよく、好ましくは20~100 μmの範囲内であってもよい。基板24は、カラーフィルタ、偏光子、1/2波長板又は1/4波長板に相当してもよい。
【0036】
各孔28の前方にマイクロレンズ22が配置されている。各孔28は、関連付けられたマイクロレンズ22の焦点を実質的に中心とする。マイクロレンズ22は、シリカ、PMMA、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂で形成されてもよい。
【0037】
従って、光源14によって放射される光線は、接点でマイクロレンズ22によって焦点が合わせられる。角度フィルタ2’の孔28に焦点が合わせられる光線は、角度フィルタの出口にある画像センサ12の光検出器によって取り込まれる。樹脂パターン26に焦点が合わせられる光線は、樹脂パターンによって吸収される。
【0038】
本発明者らは、0~40℃の範囲内の周囲温度、略1013 hPaの大気圧及び20~50%の範囲内の相対湿度に対応する通常の使用条件から外れると、典型的には略80℃の周囲温度及び略80%の相対湿度では、角度フィルタ2’の経年劣化が加速することを観察した。樹脂26が不安定になり、孔28が閉じて、角度フィルタ2’の特性が変わる。10~400 nmの範囲内の波長を有する電磁放射線である紫外線にさらすと、この現象が更に加速する場合がある。
【0039】
記載されている実施モード及び実施形態により、角度フィルタ2’の樹脂パターン26を部分的又は完全に封止し、樹脂パターンを少なくとも湿度から保護して、好ましくは紫外線から保護する。樹脂パターンを封止する材料は、その性質に応じて更に気密であってもよい。
【0040】
本開示の意味では、10 g/day/m2 未満の水蒸気透過率(WVTR)を有する材料が「密」と称される。
【0041】
図3は、角度フィルタ2 を製造する方法の工程を図(A)、図(B)及び図(C)で部分的且つ概略的に示す。
【0042】
図(A)は、マイクロレンズ22及び基板24の積層体61を部分的且つ概略的に示す。
【0043】
図(B)は、基板24、マイクロレンズ22及び樹脂パターン26の積層体63を部分的且つ概略的に示す。
【0044】
この積層体63は、図2の角度フィルタ2’などの通常の角度フィルタに相当してもよい。
【0045】
図3の図(B)に示されている積層体63を製造する方法の実施モードは、
- 遠心分離又は被覆により、(着色又は黒色の)不透明なポジ型樹脂を基板24上に堆積させる工程、
- 樹脂内のエッチングするパターンのフォトリソグラフィを行う工程、及び
- 樹脂を現像して(フォトリソグラフィのエッチング)、パターン26のみを保持する工程
を有する。
【0046】
図3の図(B)に示されている積層体63を製造する方法の別の実施モードは、
- フォトリソグラフィのエッチング工程により、パターン26の所望の形状に相補的な形状を有する透明な樹脂型を基板24上に形成する工程、
- パターン26を形成する(着色又は黒色の)樹脂を樹脂型に充填する工程、及び
- 例えば「リフトオフ」法により樹脂型を外す工程
を有する。
【0047】
図3の図(B)に示されている積層体63を製造する方法の別の実施モードは、
- 被覆又は遠心分離により、(着色又は黒色の)樹脂膜を基板24上に堆積させる工程、及び
- 樹脂膜を穿孔する工程
を有する。
【0048】
パターン26に対応する孔28の所望の大きさ及びピッチを得るために、例えば微小針を有する微小穿孔ツールを使用して穿孔を行ってもよい。
【0049】
変形例として、膜の穿孔をレーザアブレーションによって行ってもよい。
【0050】
図3の図(C)は、角度フィルタ2 を部分的且つ概略的に示す。
【0051】
この実施形態によれば、図3の図(B)の積層体63の樹脂パターン26は、少なくとも防湿性を有して、好ましくは紫外線を通さない第1の層42で覆われている。
【0052】
図3の図(C)に示されている角度フィルタ2 を製造する方法の実施モードは、原子層堆積(ALD) 法によるAl2O3 層42の共形堆積を有する。そのため、層42の厚さは、例えば略1~50nm、好ましくは10~50nmの範囲内である。
【0053】
図3の図(C)に示されている角度フィルタ2 を製造する方法の別の実施モードは、プラズマ化学蒸着(PECVD) 法によるSiN/SiO2層42の共形堆積を有する。そのため、層42の厚さは例えば、略10~200 nm、好ましくは10~50nmの範囲内である。
【0054】
図4は、角度フィルタ2 の別の製造モードの工程を断面図(A)、断面図(B)、断面図(C)及び断面図(D)で部分的且つ概略的に示す。
【0055】
図(A)は、マイクロレンズ22及び基板24の積層体61を部分的且つ概略的に示す。
【0056】
図(B)は、基板24、マイクロレンズ22、及び、少なくとも防湿性を有して、好ましくは紫外線を通さない第2の層44の積層体65を部分的且つ概略的に示す。
【0057】
図4の図(B)に示されている積層体65を製造する方法の実施モードでは、原子層堆積(ALD) 法によりAl2O3 層44を基板24上にフルプレート堆積する。そのため、層44の厚さは、例えば略1~50nm、好ましくは10~50nmの範囲内である。
【0058】
図4の図(B)に示されている積層体65を製造する方法の別の実施モードでは、プラズマ化学蒸着(PECVD) 法によりSiN/SiO2層44を基板24上にフルプレート堆積する。そのため、層44の厚さは例えば、略10~200 nm、好ましくは10~50nmの範囲内である。
【0059】
図4の図(C)は、層44、基板24、マイクロレンズ22及び樹脂パターン26の積層体67を部分的且つ概略的に示す。
【0060】
図4の図(C)に示されている積層体67を製造する方法の実施モードは、図3の工程(B)と同様に、
- 被覆又は遠心分離により、(着色又は黒色の)不透明なポジ型樹脂を密閉層44に堆積させる工程、
- 着色又は黒色の樹脂内のエッチングするパターンのフォトリソグラフィを行う工程、及び
- 樹脂を現像して(フォトリソグラフィのエッチング)、パターン26のみを保持する工程
を有する。
【0061】
図4の図(C)に示されている積層体67を製造する方法の別の実施モードは、図3の工程(B)と同様に、
- パターン26の所望の形状に相補的な形状を有する透明な樹脂型を、フォトリソグラフィのエッチング工程によって密閉層44上に形成する工程、
- パターン26を形成する(黒色又は着色の)樹脂を樹脂型に充填する工程、及び
- 例えば「リフトオフ」法により樹脂型を外す工程
を有する。
【0062】
図4の図(C)に示されている積層体67を製造する方法の別の実施モードは、図3の工程(B)と同様に、
- 被覆又は遠心分離により、(着色又は黒色の)樹脂膜を密閉層44上に堆積させる工程、及び
- 樹脂膜を穿孔する工程
を有する。
【0063】
パターン26に対応する孔28の所望の大きさ及びピッチを得るために、例えば微小針を有する微小穿孔ツールを使用して穿孔を行ってもよい。
【0064】
変形例として、膜の穿孔をレーザアブレーションによって行ってもよい。
【0065】
図4の図(D)は、角度フィルタ2 を部分的且つ概略的に示す。
【0066】
この実施形態によれば、図4の図(C)の積層体67の樹脂パターン26は、少なくとも防湿性を有して、好ましくは紫外線を通さない層42で覆われている。
【0067】
従って、図3の実施形態と比較して、図4の実施形態は樹脂パターン26の完全な封止を実現している。
【0068】
図4の図(D)に示されている角度フィルタ2 を製造する方法の実施モードは、原子層堆積(ALD) 法によるAl2O3 層の共形堆積を有する。そのため、層42の厚さは、例えば略1~50nm、好ましくは10~50nmの範囲内である。
【0069】
図4の図(D)に示されている角度フィルタ2 を製造する方法の別の実施モードは、プラズマ化学蒸着(PECVD) 法によるSiN/SiO2層の共形堆積を有する。そのため、層42の厚さは例えば、略10~200 nm、好ましくは10~50nmの範囲内である。
【0070】
図3及び図4の実施形態では、孔28は空のままであるか、又は空気若しくはガスが充填されており、センサ12(図1)がパターン26上に載置されている。
【0071】
図5は、角度フィルタ2 の代わりの実施を示す部分的な断面略図である。
【0072】
この変形例によれば、図3に詳述されている工程後、防湿性の充填材料46を拡散、遠心分離又は被覆により堆積させる。充填材料46は、可視域及び赤外域で完全に透明である。充填材料46の厚さは、例えば1nm~50μmの範囲内であり、好ましくは1nm~25μmの範囲内である。充填材料46は、シリコーン、ポリジメチルシロキサンPDMS、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又は光学的に透明な接着剤(OCA) であってもよい。
【0073】
孔28の充填による利点は、このため、図3の工程(C)で樹脂パターン26の被覆レベルで非共形堆積を行うことができるということである。
【0074】
従って、この工程(C)は、物理蒸着法(PVD) によるSiN/SiO2の(非共形)堆積であってもよい。
【0075】
図6は、角度フィルタ2 の別の代わりの実施を示す部分的な断面略図である。
【0076】
この変形例によれば、図4に詳述されている工程後、防湿性の充填材料46を拡散、遠心分離又は被覆により堆積させる。充填材料46は、画像センサの着目する波長で完全に透明であり、好ましくは可視域で透明である。充填材料46の厚さは、例えば1nm~25μmの範囲内であり、好ましくは10nm~3μmの範囲内である。充填材料46は、シリコーン、ポリジメチルシロキサンPDMS、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、又は光学的に透明な接着剤(OCA ,光学透明接着剤)であってもよい。
【0077】
図6の変形例に関して、孔28のこのような充填により、図4の工程(D)で樹脂パターン26の被覆レベルで非共形堆積を行うことができる。
【0078】
従って、この工程(D)は、物理蒸着法(PVD) によるSiN/SiO2の(非共形)堆積であってもよい。
【0079】
図5及び図6の実施形態では、センサ12は充填材料46の表面に載置される。
【0080】
記載されている実施形態及び実施モードの利点は、角度フィルタの孔28の形状係数の安定性を向上させることである。角度フィルタ2 の経年劣化は加速せず、従って、角度フィルタの寿命が延びる。
【0081】
記載されている実施形態及び実施モードの別の利点は、通常の堆積技術及びエッチング技術と適合することである。
【0082】
様々な実施モード及び変形例が記載されている。当業者は、これらの様々な実施モード及び変形例のある特徴を組み合わせることができると理解し、他の変形例が当業者に想起される。特に、封止層の堆積の様々なモードの選択は、用途、例えば使用可能な技術次第である。更に、不透明レベル及び透明レベルは、使用する材料に応じて決められる。
【0083】
最後に、記載されている実施モード及び変形例の実際の実施は、上述した機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0084】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第19/10119 号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
図3(A)】
図3(B)】
図3(C)】
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図4(D)】
図5
図6
【国際調査報告】