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特表2022-548890ブラシヘッド、歯ブラシ、その操作のための分析システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ブラシヘッド、歯ブラシ、その操作のための分析システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20221115BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20221115BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20221115BHJP
   A61C 17/22 20060101ALI20221115BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221115BHJP
   A61C 17/32 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
A46B15/00 K
G01N27/416 353A
G01N27/416 386G
G01N33/50 G
A61C17/22 C
A61B5/00 N
A61C17/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517132
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2020075780
(87)【国際公開番号】W WO2021052970
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】202019105110.8
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.LoRa
(71)【出願人】
【識別番号】522103258
【氏名又は名称】バイオイニシャルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】チリッロ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャギ, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シャフナー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥービンガー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】イェゼルニク, サソ
【テーマコード(参考)】
2G045
3B202
4C117
【Fターム(参考)】
2G045CB07
2G045DA04
2G045DA31
2G045DA37
2G045FA11
2G045FB05
3B202AA07
3B202AA08
3B202AB02
3B202EA02
4C117XB02
4C117XD08
4C117XE07
4C117XE54
4C117XH18
(57)【要約】
本発明は、歯ブラシ(100)のブラシヘッド(1、20、30、40、50)であって、
歯を洗浄するための少なくとも1つの機械的洗浄手段、特に複数の剛毛(2、24、32)を備え、特に歯周炎、虫歯、歯周炎の進行に関しておよび/または健康監視のためにユーザーの健康状態を監視するためのセンサーユニット(4、5、8、42、51)を備え、
センサーユニット(4、5、8、42、51)が、ブラシヘッド(1、20、30、40、50)の上または中に交換可能に配置されることを特徴とする、歯ブラシ(100)のブラシヘッド(1、20、30、40、50)、ならびに歯ブラシ、分析システムおよびその操作方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシ(100)のブラシヘッド(1、20、30、40、50)であって、
歯を洗浄するための少なくとも1つの機械的洗浄手段、特に複数の剛毛(2、24、32)と、特に歯周炎および/または虫歯の形成に関してユーザーの健康状態を監視するためのセンサーユニット(4、5、8、42、51)とを有し、
前記センサーユニット(4、5、8、42、51)が、前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)の上または中に交換可能に配置されることを特徴とする、歯ブラシ(100)のブラシヘッド(1、20、30、40、50)。
【請求項2】
前記センサーユニットが、交換可能なセンサー装置(3)の一部であり、好ましくは前記センサーユニット(4、5、8、42、51)のいくつかを備えることを特徴とする、請求項1に記載のブラシヘッド。
【請求項3】
前記センサー装置(3)が、薄層センサー装置または薄膜センサー装置として、またはセンサーチップとして、または印刷フィルムとして設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載のブラシヘッド。
【請求項4】
前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)が、センサーアダプター、特に、前記交換可能なセンサーユニット(4、5、8、42、51)または前記交換可能なセンサー装置(3)、好ましくはバイオセンサーを前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)に連結するための一方向アダプター、二方向アダプター、または三方向アダプターを備えることを特徴とする、請求項1、2または3に記載のブラシヘッド。
【請求項5】
前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)、特に前記センサーアダプターが、好ましくは直線状の1次元アレイまたは2次元マトリックスとして配置され、唾液を含む液体から封止された、特に球状の、好ましくは金メッキされた接触素子の形態の接点を有する電気的インターフェースを有することを特徴とする、請求項4に記載のブラシヘッド。
【請求項6】
ブラシヘッド、特にセンサーユニット(4、5、8、42、51)またはセンサー装置(3)が、送達物質、例えば機能性分子、結合物質、例えば結合リガンド、および/または指標化合物、例えば発光団および/またはバイオマーカー、特に蛍光団のためのリザーバーおよび/または供給ラインを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項7】
前記センサー装置(3)が、唾液の少なくとも2つの物質特性、好ましくは唾液の少なくとも3つ以上の物質特性、特に少なくとも1つの物理的物質特性および少なくとも1つの化学的、生化学的および/または生物学的物質特性を決定するための少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのセンサーユニット(4、5、8、42、51)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項8】
前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)および特に前記センサー装置(3)が、唾液の電圧相当測定値、特に唾液の抵抗値または唾液の導電率値を決定するための、または1つ以上の周波数および/または周波数帯で唾液のインピーダンス測定を実施するための、および/または電流または電荷に基づく動的測定を実施するための第1のセンサーユニット(5)として形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項9】
前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)、特に前記センサー装置(3)が、特にユーザーの排卵周期を決定するために、唾液のpH値および/または温度を決定するための少なくとも1つの第2のセンサーユニット(4)を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項10】
前記ブラシヘッド(1)および特に前記センサー装置(3)が、第3のセンサーユニット(8)を有し、前記第3のセンサーユニット(8)が、バイオセンサーとして設計されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項11】
前記バイオセンサーが、乳酸センサー、グルコースセンサー、IgAセンサー、IgMセンサー、IgGセンサー、CRPセンサー、IL-6センサー、リゾチームセンサー、Tnf-aセンサー、αマクログロブリンセンサーとして、および/または特に歯周炎、歯周炎および/または虫歯を引き起こす細菌、好ましくはプレボテラ・インテルメディア、ポルフィロモナス・ジンジバリス、タンネレラ・フォーサイシア、トレポネーマ・デンティコラおよび/または侵襲性歯周炎と関連するアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスの代謝産物を検出するためのセンサーとして、および/または前記化合物の濃度を決定するためのGABAセンサーとして設計されることを特徴とする、請求項10に記載のブラシヘッド。
【請求項12】
前記センサーユニット(4、5、8、42、51)および/または前記センサー装置(3)が、前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)の少なくとも一方の側に、または前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)内に、形状嵌合式または圧力嵌合式に配置されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のブラシヘッド。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のブラシヘッド(1、20、30、40、50)を有する歯ブラシ(100)、特に電動歯ブラシ。
【請求項14】
前記歯ブラシ(100)が、柄(101)と、前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)と、前記ブラシヘッド(1、20、30、40、50)を前記柄(101)に取り外し可能に接続するための機械的インターフェース(9)とを備えることを特徴とする、請求項13に記載の歯ブラシ(100)。
【請求項15】
前記歯ブラシ(100)が、前記センサー(4、5、8、42、51)による前記唾液の測定中に、10Hzから1000Hzのサンプリングレートでデータ、特に生のデータを取得するように装備された制御および/または評価ユニットを有することを特徴とする、請求項13または14に記載の歯ブラシ(100)。
【請求項16】
前記制御および/または評価ユニットが、前記センサーユニット(4、5、8、42、51)による唾液の測定中に、少なくとも3秒から500秒の測定時間に、データ、特に生のデータを取得するように装備されていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項17】
前記歯ブラシが、健康状態の判定下のデータ処理のための外部装置とのデータ送信のための無線モジュール、および/または、好ましくは前記歯ブラシの柄からの誘導電力伝送のためのモジュールを備えることを特徴とする、請求項13から16のいずれか一項に記載の歯ブラシ。
【請求項18】
請求項13から17のいずれか一項に記載の歯ブラシと、データ処理のための外部装置とを備える分析システムであって、前記歯ブラシからの生の信号が前記外部装置に送信され、前記外部装置が、データ分析のためのコンピュータープログラム製品が格納されるデータメモリーを備え、前記コンピュータープログラム製品が、健康状態を決定するために、好ましくは1つ以上のDSP法に従って、前記センサーユニットによって決定されたデータのデータ分析に適している、分析システム。
【請求項19】
前記データ分析が以下のステップ:
a)電気化学的信号、特に異なる電位での電流測定信号および/または異なる電流での電圧測定信号、および/または所定のサンプリングレートでの測定時間にわたるインピーダンス信号をサンプリングするステップと、
b)検出された電気化学的信号および/またはインピーダンスに基づいて、センサー素子(4、5、8、42、51)の濡れ状態に対するセンサー素子(4、5、8、42、51)の状態を検出および分類するステップと、
c)ユーザーの健康状態に関して唾液を分析するために、電気化学的信号および/またはインピーダンス、特に関連する酸化還元反応および/または過渡容量の振幅および/または変化を評価するステップと
を含むことを特徴とする、請求項18に記載の分析システムを操作するための方法。
【請求項20】
ステップc)において、サンプリングされた電気化学的信号の有用な成分および信号の1つ以上の干渉成分への分解および/またはフィルタリングが実施され、有用な成分が、好ましくはインジケーター、特にバイオマーカーの、特にバイオセンサーによる濃度測定に関連する信号の酸化還元反応成分を表すことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、特に、ステップc)に続いて、またはステップa)の前に、さらなるステップ:
d)提供された参照溶液中での調整および/または安定化後の電気化学的信号をサンプリングするステップ、および
e)複数の測定からの情報を組み合わせるために、好ましくは、測定の精度および/または信号対雑音(S/N)比を改善するために、および/または干渉を補償するために、測定を繰り返すステップ
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記ユーザーによる薬物摂取を監視するための、請求項1から12のいずれか一項に記載のブラシヘッドの使用。
【請求項23】
ユーザーの健康状態、特に、体内のウイルス、細菌の濃度、体内の炎症状態、糖尿病および/または癌腫のリスク、循環器疾患のリスクおよび/または排卵周期を監視するための、請求項1から12のいずれか一項に記載のブラシヘッドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のブラシヘッド、および健康状態を監視するための歯ブラシ、ならびに分析システムおよびその操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,623,698号明細書は、血糖、妊娠、HIVなどを検出するためのデバイスを開示している。この歯ブラシは、1つ以上の交換可能な歯ブラシアタッチメントを想定している。アタッチメントにはセンサーが内蔵されている。
【0003】
センサーは、光センサーまたは電気センサーのいずれかである。公報では、唾液の採取と測定が行われる第1段階と歯磨きのみが行われるその後の第2段階とを伴う時系列測定が開示されている。
【0004】
この公報、ひいては関連技術も先般来知られていたが、それで実現した製品は商業的には確立されていない。考えられる理由の1つは、ブラシに使用されているセンサーのタイプにある。前記ブラシヘッドに、耐用期間が数日と短いバイオセンサーを使用した場合、ブラシヘッドの交換間隔は非常に短くなる。
【0005】
一方、歯科では、衛生に特に注意を払わなければならない。さらに、一部のセンサーは、通常1回でも、短時間の使用後には信頼性がなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,623,698号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに基づいて、本発明の目的は、センサーユニットが内蔵されており互換性のあるブラシヘッドを有する歯ブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、請求項1の特徴を有するブラシヘッドによってこの問題を解決する。
【0009】
本発明による歯ブラシのブラシヘッドは、歯の機械的洗浄のための1つ以上の手段を有する。好ましい実施形態では、これらは、歯を洗浄するための複数の剛毛として、以下に説明される。典型的には、これらの剛毛は、正面に沿って配置されている。
【0010】
しかし、歯の機械的洗浄には、前記剛毛に代えて、またはそれに加えて、1つ以上の他の手段を用いることも、本発明の範囲内で可能である。この手段またはこれらの手段は、特に、スポンジ、パッド、1つ以上の微小繊維構造、または1つ以上の振動素子を含み得る。したがって、微小繊維構造を有するブラシは、次いで、剛毛の代わりに繊維を有する繊維ブラシ、または剛毛の代わりにスポンジ構造を有するスポンジブラシ、または1つ以上の振動素子を有する振動ブラシである。
【0011】
以下のさらなる説明は、もちろん説明されているような他の手段も使用することができるが、剛毛を有する好ましい実施形態に基づいている。
【0012】
さらに、ブラシヘッドは、ユーザーの健康状態を監視する働きをするセンサー装置を有する。本発明の文脈において、健康は、ウイルス、真菌および/または細菌などの病原体の存在および濃度の両方、ならびに癌腫、循環器疾患、胃潰瘍、逆流症、糖尿病、またはユーザーの排卵状態、例えば切迫した排卵、または妊娠状態の存在も意味すると理解される。上記のリストは網羅的なものではなく、他の例によって補うことができる。
【0013】
健康状態の監視は、とりわけ、細菌、ウイルスなどの濃度のような病原体を測定することによって、または、例えば、抗体の検出などの身体の防御反応を検出することによって、提供することができる。温度および/または導電率などの他の測定値は、単独で、または他の測定データと組み合わせて、健康状態を監視するために使用することもできる。
【0014】
健康状態の監視は、任意に、そして好ましくは、医師への訪問などの健康な状態で作成された、個別化された健康プロフィールに基づいて実施することができる。この場合、測定値の変化は、常にこの健康プロフィールと比較することができる。
【0015】
先行技術と対照的に、センサーユニットは、歯ブラシのブラシヘッド上または中に交換可能に配置される。センサーユニットは、センサー装置の一部とすることができ、これもまた、交換可能となるように設計することができる。
【0016】
ブラシヘッド自体が歯ブラシの柄上に交換可能に配置されていてもよく、歯ブラシに永久に接続されていてもよい。典型的には、ブラシヘッドの交換期間は、例えば3か月から4か月ごとの1か月を超える後であり、一方、センサーユニットまたはセンサーアセンブリは、好ましくは、各測定後に、または数回の測定の後に、交換されるべきである。
【0017】
センサー装置は、いくつかの異なるセンサーユニットを有することができる。したがって、センサー装置を交換する場合、いくつかのセンサーユニットを同時に交換することができる。さらに他のセンサーユニットは、永久に、すなわち、交換不可に、ブラシヘッドおよび/または歯ブラシの柄に接続することができる。
【0018】
センサーユニットは、ブラシヘッドの側面、後面、または剛毛の間に配置することができ、篩に類似している。
【0019】
交換可能な使い捨てセンサーユニット、および特に好ましくは交換可能な使い捨てセンサー装置の使用は、例えば、指標染料またはバイオマーカーなどのインジケーター、または前記センサーユニットへの1回かつ定量的な送達を可能にする。pH測定についても同様である。その後、センサーユニットまたはセンサー装置を交換することができる。したがって、センサーユニットおよび/またはセンサー装置は、再利用のために特に頑強に設計される必要はないが、小型化された形態で実施することができる。
【0020】
測定中に試薬またはセンサーユニット全体が消費および/または破壊される場合、交換可能性は特に有利である。
【0021】
ブラシヘッドの有利な設計は従属請求項の主題である。
【0022】
有利には、ブラシヘッドは、交換可能なセンサーユニットまたはバイオセンサーなどの交換可能なセンサー装置をブラシヘッドに連結するための、いわゆるセンサーアダプター、特に一方向アダプター、二方向アダプター、または三方向アダプター(三方向コネクター)を有することができる。
【0023】
ブラシヘッドは、好ましくは、接点、特に、マトリックスとして配置されている、球状で好ましくは金メッキされた接触素子の形態の接点を有する電気的インターフェースを有することができる。マトリックスは、直線状の1次元アレイを有することもでき、2次元アレイとして設計することもできる。好ましくは、マトリックスは、唾液またはIP67などの対応するIPクラスの唾液を含む液体に対して封止されている。好ましくは、いわゆるBGA接点(ボールグリッドアレイまたはボールグリッド構造)が、接触素子として提供される。前記BGA接点に加えて、またはそれに代えて、ピンおよび/またはラメラを設けることもできる。したがって、好ましくは、BGA接触、ピンおよび/またはラメラの形態で、合計で数個のコネクター/インターフェース接点を設けることができる。
【0024】
ブラシヘッド、特にセンサーユニットまたはセンサー装置は、送達物質、例えば機能性分子、結合物質、例えば結合リガンド、および/または指標化合物、例えば発光団および/またはバイオマーカー、特に蛍光団のためのリザーバーおよび/または供給ラインを少なくとも1つ有することができる。結合リガンドの場合には、これらは、唾液中の他の分子およびセンサー表面との結合を形成することができる。対応するリガンド-受容体相互作用および対応する結合分子は、ELISA試験(酵素結合免疫吸着アッセイ)の応用分野から知られており、本発明の文脈において結合リガンドとして使用することもできる。
【0025】
センサーユニット、特に好ましくは、いくつかのセンサーユニットを含むセンサー装置が、薄層または薄膜センサーユニットまたはセンサー装置として、またはセンサーチップとして設計される場合に有利である。このようにして、センサー装置の小型化が達成され、ブラシヘッドは、センサー装置またはセンサーユニットのために少量のスペースを提供しさえすればよい。それに代えて、またはそれに加えて、センサー装置は、例えばリソグラフィー、ソフトリソグラフィー、3D印刷、印刷、スクリーン印刷および/またはステレオリソグラフィーによって製造されるなど、マイクロテクノロジープロセスによって、加算的および/または減算的に形成することができる。
【0026】
センサー装置は、有利には、唾液の少なくとも2つの物質特性、好ましくは唾液の3つの物質特性、特に少なくとも1つの物理的物質特性、および少なくとも1つの化学的物質特性、生化学的物質特性および/または生物学的物質特性を決定するための少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのセンサーユニットを有することができる。疾患形成傾向は、決定された物質特性から導き出すことができる。
【0027】
センサー装置は、媒体または唾液の電圧相当測定値、特に媒体の抵抗値または媒体の導電率値を測定するための第1のセンサーユニットを有することができる。第1のセンサーユニットは、唾液のインピーダンス測定を、1つ以上の周波数および/または周波数帯、および/または電流または電荷に基づく動的測定で実施するように、それに加えて、またはそれに代えて設計されてもよい。定電位測定も可能である。
【0028】
特に、第1のセンサーユニットは、電気インピーダンス値を測定することができ、インピーダンス値は、好ましくは、いくつかの周波数および/または周波数帯にわたって測定することができる。DC抵抗は、DC値としてインピーダンスに含まれる。実効抵抗Rは、複素インピーダンスZ(f)=R+jX(f)の周波数に依存しない実数部である。コーティングされた電極および電解質は、その容量特性(電極、電極表面の帯電、絶縁、電解質/体液の誘電率)のために、バイオセンサーの複雑なインピーダンスをもたらす。また、電圧相当抵抗値を測定するために、時間的(動的)電圧および/または電流測定および/または電荷測定(クーロン)を行うことができる。前記量のモデルに基づいた測定も実施することができる。
【0029】
センサー装置は、有利には、唾液のpH値を測定するための少なくとも第2のセンサーユニットを有する。
【0030】
また、有利には、センサー装置は、第3のセンサーユニットを有することができ、第3のセンサーユニットは、バイオセンサーとして設計される。電気ブラシヘッドは、通常、30日間から80日間などのより長い期間にわたって使用され、これは、コーティングされた電極を有するバイオセンサーまたは光センサーの場合には現実的な適用期間ではない。測定は、正確さ、安定性、特異性、選択性を失い、わずか数日後には使用できなくなることがある。
【0031】
本発明の好ましい実施形態の変形例では、バイオセンサーは、抗原センサーおよび/または抗体センサーを含むホルモンセンサー、酵素センサー、ペプチドセンサーおよび/またはタンパク質センサーとして、より好ましくは乳酸センサー、グルコースセンサー、GABAセンサー、IgAセンサー、リゾチームセンサー、IgGセンサー、IgMセンサー、IL-6センサー、CRPセンサー、Tnf-aセンサーおよび/またはαマクログロブリンセンサーとして形成される。これらの化合物は、歯周炎(periodontitis)、歯周炎(parodontitis)、糖尿病および/または循環器疾患のインジケーターである。それに代えて、またはそれに加えて、バイオセンサーは、疾患の代謝産物を検出するための1つ以上のセンサーとして形成されてもよい。
【0032】
病原菌は、好ましくは、歯周炎原因細菌および/または虫歯原因細菌、好ましくは、検出可能な代謝産物を産生する侵襲性歯周炎と関連するプレボテラ・インテルメディア、ポルフィロモナス・ジンジバリス、タンネレラ・フォーサイシア、トレポネーマ・デンティコラおよびアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスと理解することができる。しかし、他の疾患、例えばSARSコロナウイルス感染症またはインフルエンザウイルスなどのウイルス、ならびに風邪または口腔気管癌の他の病原体の代謝産物も測定することができる。細菌、ウイルス、ならびに真菌、特にカビなどの種々の病原体も検出可能である。
【0033】
好ましくは、第3のセンサーユニットまたは追加のセンサーユニットは、偽陰性の測定値を除外するために、臨床像ごとに異なる代謝産物または分析物を検出することができる。
【0034】
センサー装置および/または個々のセンサーユニットは、例えば、締め付け、掛け金および/または押圧によって、剛毛の反対側へ向いているブラシヘッド側に、正または非正に配置することができる。
【0035】
さらに、例えば前記アダプターを含むなど機械的インターフェースおよび/または電気的インターフェースが設けられてもよい。ロック機構の作動後にのみ交換が可能であるように、センサー装置および/またはセンサーユニットとブラシヘッドとの間にロック機構が設けられてもよい。
【0036】
信号処理中に、生の信号または生のデータは、好ましくは、十分に高いサンプリングで、好ましくは10Hzから1000Hzの範囲で、より長い時間、好ましくは少なくとも1分間処理することもできる。時間は4分を超えることもでき、サンプリングは歯ブラシの状態に応じて行うことができる。例えば、電動歯ブラシによる超音波治療中にスキャンを行うと、振動がアクティブなモード(振動がSU測定に及ぼす干渉影響を避けるため)とは異なる時間を休止状態で選択することができる。アクティブな振動中のサンプリングの場合、障害または変種の大きさの切り替えまたは補償が実施されるように、高度な信号処理(DSP)を使用して障害をフィルター除去または補償することもできる。このために、摂動を推定または判定することができ、フィードフォワード障害補償スキーム(制御工学から知られている)または適応ノイズキャンセラー(DSP-デジタル信号処理:Widrowによる適応ノイズキャンセラー、エコーキャンセラー、適応LMSフィルターから知られている)スキームにおけるように、信号を補償および/または適合させることができる。
【0037】
バイオセンサーを有する交換可能なセンサーユニットは、好ましくは特定の様式で標的バイオマーカーのバイオセンサーに開発された、開発された酸化還元反応に従って電気化学的信号を供給する。このユニットは、好ましくは複数回の測定および/または複数日にわたる読み取りを(適切な精度および安定性をもって)信頼できる方法で提供すべきであるため、高度な信号処理法が有利である。
【0038】
種々の現在の電気化学的バイオセンサーは、典型的には、10分から30分の時間間隔にわたって、測定前に適切な溶液中での事前調整を必要とする。
【0039】
それに代えて、またはそれに加えて、センサー装置は、蛍光の変化またはスペクトル変化または屈折率(RIインデックス/屈折率)の変化を検出することができる電気化学的センサーを備えることもできる。
【0040】
本出願では、事前調整は、適用周期において短縮され得るか、または有利には省略され得る。事前調整は、交換ステーションを備えたデバイス内で実施することがより容易であり得るが、このような交換ステーションなしでは、すなわち、対応する交換ステーションまたは充電ステーションのない電子歯ブラシ内で、すなわち、スタンドアロンSUユニットとして実施することはより困難である。しかし、有利には、いくつかのDSP法の1つまたは組み合わせを使用することによって、事前調整をバイパスすることもできる。これらはまた、バイオセンサーの状態(唾液での乾燥対湿潤)の検出、良好な信号品質対不良な信号品質の検出、例えばまた、SUユニットが唾液で十分に濡れていない中間状態の検出、または障害を引き起こす動きが検出されるなど、製品のさらなる機能性のために使用され得る。
【0041】
さらに、本発明の目的は、本発明によるブラシヘッドを有する歯ブラシである。
【0042】
歯ブラシは、有利には、10Hzから1000Hzのサンプリングレートでセンサーユニットによる唾液の測定中に、データ、特に生のデータを取得するように装備された制御および/または評価ユニットを有することができる。
【0043】
制御および/または評価ユニットは、少なくとも3秒から500秒のサンプリング間隔で、センサーユニットによる唾液の測定中に、データ、特に生のデータを取得するようにさらに装備されてもよい。
【0044】
さらに、歯ブラシは、健康状態の判定下のデータ処理のための外部装置とのデータ送信のための無線モジュールを有することができる。無線モジュールは、さらに測定モジュールを含み得る電子機器モジュールの一部であってもよい。電子機器モジュールは、特定用途向け集積回路として1つ以上のASICを含んでもよい。
【0045】
それに代えて、またはそれに加えて、歯ブラシは、好ましくは歯ブラシの柄内に配置される、誘導電力伝送用のモジュールを有することができる。
【0046】
さらに、本発明によれば、本発明による歯ブラシと、データ処理のための外部装置とを備える分析システムを考えることができ、生の信号は、歯ブラシから外部装置に送信され、外部装置は、データ分析のためのコンピュータープログラム製品が格納されるデータメモリーを有し、コンピュータープログラム製品は、健康状態を決定するために、好ましくは1つ以上のDSP法(デジタル信号処理法)に従って、センサーユニットによって測定されたデータのデータ分析のために設計される。
【0047】
本発明による分析システムの操作のための方法は、データ分析を含み、以下のステップ:
a)電気化学的信号、特に異なる電位での電流測定信号および/または異なる電流での電圧測定信号、および/または所定のサンプリングレートでの測定時間にわたるインピーダンス信号をサンプリングするステップであって、
好ましい測定時間およびサンプリングレートが先に説明されている
ステップと、
b)検出された電気化学的信号および/またはインピーダンスに基づく「濡れ状態」に対するセンサー素子の状態の検出および分類のステップであって、
好ましい実施形態の変形例では、前記検出がインピーダンス測定によって実施することができ、500Hzから100kHzの周波数範囲で以下の値を検出し、これらの値が、
周波数によって変化し得、
唾液:典型的な範囲:0.6kΩから1kΩ
水を含む唾液:1kΩから1.6kΩ
もっぱら、水は、同様に伝導しないため、はるかに高い値を示し、
水道水については、3kΩから8kΩの値が想定され、
唾液中の練り歯磨きは、インピーダンス値を0.2kΩから0.5kΩに低下させ、この低下は、練り歯磨きの組成および使用量に依存し、練り歯磨きが多いほど、インピーダンス値の低下が大きくなり、
したがって、上記のインピーダンス測定を使用して、以下の条件:センサー上の水(センサーの完全または部分的な濡れ)、水-唾液混合物、唾液、練り歯磨きを含む唾液
を検出することができる
ステップと、
c)ユーザーの健康状態に関して唾液を分析するために、電気化学的信号および/またはインピーダンス、および特に関連する酸化還元反応および/または過渡容量の振幅および変化を評価するステップであって、
評価が、特に、評価ユニットによる実際の値と設定値との比較によって実施することができ、評価のための所定のデータセットが、評価ユニットのデータメモリー、例えば、いわゆるルックアップテーブルに格納される
ステップと
を有する。
【0048】
ステップc)において、サンプリングされた電気化学的信号の有用な成分への分解および/またはフィルタリング、ならびに信号の1つ以上の干渉成分が生じ、有用な成分が、バイオマーカーの濃度測定に関連する信号の酸化還元反応成分を表すか、またはそれと相関する場合に、特に有利である。相関は、例えば、線形または指数関数などであってもよい。
【0049】
本方法は、特に、ステップc)に続いて、またはステップa)の前に、さらなるステップ:
d)提供された参照溶液中での調整および/または安定化後の電気化学的信号をサンプリングするステップ、および
e)複数の測定からの情報を組み合わせるために、好ましくは、測定の精度を改善し、信号対雑音(S/N)比を改善し、および/または干渉を補償するために、測定を繰り返すステップ
のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0050】
また、本発明によれば、ブラシヘッドの交換のための交換ステーションは、交換チャンバーを有するものとみなすことができ、ブラシヘッドは、少なくとも局所的に交換チャンバー内に挿入することができ、交換ステーションは、複数の分離可能なセンサー装置および/またはセンサーユニットを有する供給装置と、交換チャンバー内にブラシヘッドを取り付けるための取り付けユニットとを有する。交換チャンバーは、ブラシヘッドの挿入のために、少なくとも一方の側に開いている。
【0051】
装填は、例えば、自動的に、または手動で力を加えることによって行うことができる。交換ステーションには多くの変形例を考えることができる。例えば、交換ステーションは、卓上サイズまたは小型の手動ステーションのいずれかであり得る。特に、後者の場合、ステーションは、バッテリー、または再充電可能バッテリーなどの他の携帯用電力貯蔵装置によって電力供給されてもよい。
【0052】
さらに有利には、交換ステーションは、特に外部コンピューターまたはサーバーまたはクラウドアプリケーションとの双方向無線データ交換のための無線モジュール、例えば無線送受信ユニットを備えてもよい。
【0053】
交換ステーションは、任意に、ブラシヘッド自体によって採取された唾液サンプルを評価するセンサーを有することができる。このために、交換ステーションは、唾液サンプルが導入される測定チャンバーをフラッシングするための1つ以上の流体ラインと、測定チャンバーに試薬を添加するための1つ以上の流体ラインと、交換ステーションのセンサーによって記録された測定値を評価する測定および評価ユニットとを有することができる。測定チャンバーは交換チャンバーであってもよい。機構、好ましくは上述の機構によって、歯ブラシ、特にその剛毛、またはそのパッド、スポンジ、または他の材料は、活性物質を送達することもできる。
【0054】
本発明の別の概念は、ステーションが、センサーユニットまたはセンサー装置を交換することではなくむしろ、歯ブラシによって採取された唾液を単に評価する貯蔵ステーションとして動作することである。この唾液の採取は、歯ブラシ内の吸引機構を介して実施される。次いで、この唾液は、測定チャンバーに送達され、このために配置された少なくとも部分的に交換可能なセンサーによって、測定チャンバー内で評価される。
【0055】
交換ステーションは、有利には、歯ブラシを充電するための充電ステーション、例えば充電接続点を有することができる。
【0056】
さらに、交換ステーションは、使用済みのセンサー装置のセンサーデータを読み出すための、および/または、較正するための、または、装備されるセンサー装置のためにセンサーデータを読み込ませるための、採取および/または評価ユニットを有することができる。
【0057】
交換ステーションおよび/または歯ブラシが、測定されたセンサーデータの外部データ処理ユニットとのデータ交換のための、少なくとも1つの送信モジュール、特に送受信モジュールを有する場合に有利である。ここで、例えば、Bluetoothモジュール、NFCモジュール、RFIDモジュール、LoRaモジュール、5Gモジュールなどが考えられる。
【0058】
送受信モジュールや追加の受信モジュールの場合、双方向のデータ交換が生じ得る。
【0059】
交換ステーションは、例えば誘導電力伝送による無線電力伝送のためのモジュールを有することができる。このモジュールはまた、有利には、送受信モジュールの機能も引き受けることができるように、データ転送を実施することができる。また、それに加えて、無線エネルギー伝達のためのモジュールを、歯ブラシの柄および/または歯ブラシアタッチメントに収容することもできる。
【0060】
したがって、歯ブラシ、センサー装置、または各交換可能なセンサーユニットから種々のデータを読み取ることができる。これは、例えば、較正データ、UDIデータ(すなわち、歯ブラシおよび/またはセンサー装置および/またはセンサーユニットを識別するためのシリアル番号または他のデータ)、構成データ、および、明らかに、センサーデータ、例えば、測定値または測定条件を含む。さらに好ましくは、QAM、FSK、またはPSKをデータ送信のために使用することができる。
【0061】
データ交換は、好ましくは、交換ステーションとブラシヘッドとの間で双方向である。このために、ブラシヘッドまたは歯ブラシは、好ましくは、EEprom(電気的に消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリー)を有するマイクロコントローラーを有することができる。それに加えて、ブラシヘッドまたは歯ブラシは、別の不揮発性RAMメモリーを有してもよい。このメモリーは、任意のASICチップ内に、マイクロコントローラー内に別々に、またはブラシヘッドまたは歯ブラシの他の電子部品内に配置されてもよい。
【0062】
交換ステーションは、分析変形例および/または歯ブラシの操作性を拡張するさらなる任意のユニットを有することができる。さらに、測定条件ならびに電子機器の状態またはデバイスの状態を設定およびチェックすることができる。例えば、交換ステーションは、歯ブラシまたはそれと関連するユーザーの身元を認識し、この人物に個々に設定する認識ユニットを有することができる。このために、歯ブラシは、マーキング、例えば、QRコード(登録商標)などを有する。
【0063】
本発明による交換ステーションまたは本発明による歯ブラシに設けられた評価ユニットは、ユーザーまたは患者の健康状態、特に歯周炎の形成に関して監視するために、本発明による歯ブラシを操作するための、本発明による方法を実施するために設計されてもよく、本方法は、以下のステップ:
I.歯ブラシのブラシヘッドに、特に交換ステーションにおいて、新たなセンサー装置および/またはセンサーユニットを装備するステップと、
II.ブラシヘッドを口内に挿入し、センサー装置および/またはセンサーユニットを唾液と接触させるステップであって、
センサー装置および/またはセンサーユニットが消費され、消費が、特に単回の接触後に生じ得る
ステップと、
III.唾液の少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの物質特性を決定するためのセンサーデータを生成するステップと、
IV.使用済みのセンサー装置および/またはセンサーユニットを取り外し、特に交換ステーション内のデータを読み出すステップと
を含む。
【0064】
ステップの一部、例えば、ステップIIIおよびIVは、同時に実施することができる。さらに、ステップIでは、センサーユニットの較正を任意に、そして有利に行うことができる。本プロセス自体も本発明によるものであると考えられる。
【0065】
もちろん、1つ以上の物質特性のみを合計として決定することができ、物質特性は、モデルに基づいて決定することができる合計パラメーターとすることができる。物質特性の変化のみを決定することも可能である。これも前記ステップIIIに該当する。さらに、外部装置からの追加のバイオマーカーを処理することができ、特に、合計パラメーターに含めることができる。この典型的な例は、Applehealth Vital Signsプログラムからのデータである。
【0066】
本方法のステップIIを実施した後、インジケーターモジュールは、センサー装置が使い尽くされ、本方法を繰り返すために交換が必要であることを示すことができる。しかし、表示モジュールの使用は、本発明による方法を実施する場合には、必須ではない。表示は、例えば、音響上、光学上(例えば、LEDディスプレイ、またはディスプレイ、例えば、デバイス自体上、またはスマートフォンなどのモバイルデバイス上のディスプレイによる)でもよく、または振動によってもよい。
【0067】
さらに、特にユーザーにおける歯周炎、歯周炎、糖尿病または循環器疾患の形成に関して、健康状態を監視するためのデバイスは、患者から唾液を抽出するためのデバイスを有する歯ブラシと、抽出された唾液を受け入れるための測定チャンバーを有するステーションとを含む、本発明による主題とみなすことができ、少なくとも1つのセンサーユニットまたは少なくとも1つのセンサーユニットを備えるセンサー装置が測定チャンバー内に配置され、センサーユニットまたはセンサー装置が測定チャンバー内に交換可能に配置される。この場合、ステーションは、ブラシヘッド上のセンサーアセンブリまたはセンサーユニットを交換するための交換ステーションではなく、センサーユニットまたはセンサーアセンブリは、測定チャンバーまたは交換チャンバー内に配置される。患者の唾液との接触のために、歯ブラシは、この場合、輸送手段としてのみ使用される。したがって、測定データの生成は、患者の口の中で行われるのではなく、ステーション内でのみ行われる。
【0068】
この概念において、測定チャンバーが、未使用のセンサーユニットまたはセンサー装置の供給部、特にマガジンを有し、供給部またはマガジンからの新たなセンサーユニットまたはセンサー装置のために、使用済みのセンサーユニットまたはセンサー装置を交換するための交換機構、例えば、取り外し取り付け機を有する場合に、特に有利である。
【0069】
歯ブラシ内の唾液を抽出するための装置は、好ましくは、吸引装置として設計されてもよく、例えば、液体を輸送および投与するための、例えば、吸引ポンプおよび/または分注ポンプを備えてもよい。
【0070】
本方法の有利な変形例では、本方法のステップIIが実施された後、センサー装置は使い尽くされ、好ましくは本方法を繰り返すために交換されなければならない。この変形例は、通常、「単回使用」または1回限りの使用として記載される。
【0071】
さらに、本発明によれば、ユーザーの健康状態、特にウイルスの濃度、体内の細菌、体内の炎症状態、糖尿病および/または癌腫のリスク、循環器疾患および/または排卵周期のリスクを監視するための、本発明によるブラシヘッドの使用が提供される。
【0072】
以下、本発明が、例示的な実施形態を参照して、図面を用いて、より詳細に説明される。例示的な実施形態の変形例も記載されており、特異な特徴と理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本発明による歯ブラシのブラシヘッドの概略図を示す図である。
図2図1の交換ステーションおよびブラシヘッドを備える本発明による装置の概略図を示す図である。
図3】本発明によるブラシヘッドの第2の実施形態の変形例の概略図を示す図である。
図4図3のブラシヘッドの別の図を示す図である。
図5】本発明によるブラシヘッドの第3の実施形態の変形例の概略図を示す図である。
図6図5の拡大図を示す図である。
図7図5および図6の変形例の変形における本発明による第4の実施形態の変形例の断面の概略図を示す図である。
図8図7の変形例の全図を示す図である。
図9】本発明によるブラシヘッドの第5の実施形態の変形例の概略図を示す図である。
図10図9のブラシヘッドのさらなる図を示す図である。
図11図9および図10の変形例の簡略分解図示す図である。
図12】本発明によるブラシヘッドの部分の第6の実施形態の変形例の概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、本発明による歯ブラシ100のブラシヘッド1を示す。この場合、ブラシヘッド1は、電動歯ブラシのものである。明らかに、それは、ブラシを動かすための電気駆動装置のない、および/または超音波送信機のない歯ブラシであってもよい。この場合、電源ユニットが必要とされるが、これは、センサーユニット、特に、バイオセンサーおよび電気センサーシステム、任意に送受信モジュール、ならびに任意に評価ユニットのみを動作させる。
【0075】
ブラシヘッド1は、前部に複数の剛毛2を有し、後部にいくつかのセンサーユニットを備える交換可能なセンサー装置3を有する。センサー装置3は、可撓性プラスチックフィルムとして、またはプラスチック基板上のチップとして設計され、測定された媒体のpH値を測定するための少なくとも1つの第1のセンサーユニット4を備える。これは、好ましくは、使い捨てセンサーユニット、特に単回使用用使い捨てセンサーユニットである。センサーユニットは、特に、薄箔センサーユニットおよび/または薄膜センサーユニットとして、またはマイクロテクノロジーに基づく別の形態のセンサーユニットとして、例えばMEMSユニットとして設計されてもよい。対応するセンサーユニットを形成するためのさらなる変形例は、例えば、3D印刷、パッド印刷、ソフトリソグラフィーまたはスクリーン印刷である。
【0076】
さらに、ブラシヘッド1は、センサーアダプター、特に、交換可能なセンサー装置3を連結するための1方向アダプター、2方向アダプター、または3方向アダプターを有することができるが、センサー装置の下に配置され、したがって、図1では隠されている。
【0077】
pHを測定するための典型的な薄膜センサーユニットは、例えば、二酸化ルテニウムでドープされた炭素電極である。このようなpH電極は、単回使用用使い捨てセンサーとして、例えば、Konckiらによって、「抗コリンエステラーゼ活性を測定するための使い捨てのスクリーン印刷されたpH電極」(139頁以下、Biosensors for Direct Monitoring of Environmental Pollutants in Field)に記載されている。
【0078】
ISFET技術に基づくpH電極を有する他のpH薄膜センサーも、種々の用途からそれ自体知られている。参照電極および追加の電極を有するpHセンサーの例示的な設計が、例えば、独国特許出願公開第102011085747号明細書に記載されている。
【0079】
また、墺国特許出願公開第186493号明細書、墺国特許出願公開第184692号明細書および独国特許出願公開第102006022290号明細書は、電極層、特に種々の材料またはセンサーチップの導電層および半導電層を用いる薄膜技術または厚膜技術に基づくpHセンサーを開示している。
【0080】
第1のセンサーユニットの設計は、必ずしも示された2つの電極に限定されない。例えば、センサーユニットは、好ましくは、作用電極、参照電極および対極を有するポテンショスタット装置として設計することができる。
【0081】
本発明の範囲内で、いわゆる3電極セルを使用することも可能であり、それによって、特に好ましい実施形態では、第4の、場合によってはさらなる電極を、障害検出および障害補償のためにセンサーユニットに使用することができる。評価ユニットによって実施される信号処理手順では、ノイズ低減のための障害補償などが行われる。
【0082】
好ましくは、前記センサーユニットおよび前記pHセンサー、ならびに関連する電気リード線および接続部は、フレキシブルプリント回路基板またはフレキシブルフィルム上に、またはその中に配置されてもよい。
【0083】
pHセンサーの測定範囲として、1から13の間、好ましくは3から8の間のpH値が応用のために推奨される。唾液は中性から弱塩基性であることが知られているため、前記測定範囲は応用には理想的である。また、センサーユニット4自体が、媒体の温度を測定するために、より接近して示されていない温度センサーを有する場合にも有利である。これが、例えば氷、茶などのために、所定の測定範囲、特に33℃から37.5℃の範囲外にある限り、咽喉の温度が所定の規格範囲外であることを示す測定のためのエラー出力が任意に存在し得るか、または38.5℃からの上昇した温度または発熱のために、生理学的変化、例えば妊娠、疾病または反応、例えば免疫反応の指標が存在し得る。数日にわたる温度測定はまた、個別化されたプロフィールおよび/または排卵周期の決定を含む健康状態の監視、例えば避妊または排卵の決定のために有益であり得る。
【0084】
前記センサーユニットの空間方向の最大延長は、好ましくは4mmから8mmである。好ましくは、センサーユニットは、150mm未満、より好ましくは50mmから120mmの間の空間寸法を有してもよい。
【0085】
センサーユニットの厚さは、4mm未満、好ましくは2mm以下とすることができる。特に好ましくは、各センサーは、基板としてのフィルム上に配置、特に印刷することができる。
【0086】
フィルムとしてのセンサーユニットは、好ましくは、最大15回の使用後、好ましくは最大10回の使用後に交換することができる。
【0087】
センサーユニットの個々のセンサーは丸くすることができ、ここで、センサーの少なくとも1つまたはいくつかは、1mmから3mmの間の直径で設計することができる。
【0088】
歯ブラシ(ブラシヘッドまたはブラシの柄)(ここでは図示せず)に内蔵されている制御および/または評価ユニットは、少なくとも3秒から500秒のサンプリング間隔でセンサーユニット4、5、8による唾液の測定中に、データ、特に生のデータを取得するように装備することができる。しかし、20秒未満の測定時間、例えば5秒が有利である。
【0089】
さらに、センサー装置3は、電圧または電圧相当測定量を測定するための第2のセンサーユニット5、好ましくは薄膜センサーユニットを備える。この場合、第2の薄膜センサーユニットは、測定媒体の導電率、測定媒体のインピーダンス、電流強度または電圧、または電極間の各降下などの、前記測定量を測定するための2つの電極6および電極7からなる一対の電極を備える。特に好ましくは、1つ以上の周波数、例えば、0.1Hzから100Hz、100Hzから5000Hz、および1kHzから10kHz、任意に、さらに高い周波数範囲におけるインピーダンス測定である。
【0090】
また、2つの電極6および電極7の代わりに、センサーユニット5として、ポテンショスタットまたは3電極装置を設けることもできる。インピーダンス測定は、例えば、TNF-aまたは他のバイオマーカーなどのバイオマーカーを測定するために使用されてもよい。
【0091】
この第2のセンサーユニット5はまた、第1のセンサーユニット4から1cm未満、好ましくは5mm未満、特に好ましくは3mm未満の小さな距離で離間している。口腔内の媒体の組成は変化し得るため、この小さな距離は、センサーユニットが本質的に同じ組成の唾液を分析するために好ましい。
【0092】
また、センサー装置3は、第3のセンサーユニット8を有する。第3のセンサーユニット8は、唾液中の化合物の物質濃度を測定するための測定セルおよび参照セルを備える。測定することができる化合物は、例えば、乳酸含量またはグルコース含量である。グルコースセンサーの測定範囲は、0.1mMから1mMである。乳酸センサーの測定範囲は、0.025mMから0.5mMである。
【0093】
第3のセンサーユニット8のためのセンサーの他の変形例は、酵素センサー、ペプチドセンサー、タンパク質センサー、または細胞検出センサーを含む。
【0094】
第3のセンサーユニットは、いわゆるGABAセンサー(γ-アミノ酪酸)、IgA(免疫グロブリンA)センサー、IgGセンサー、IgMセンサー、CRPセンサーおよび/またはリゾチームセンサーとして設計されてもよい。この第3のセンサーユニットは、少なくとも1つの化合物の濃度を測定することによって、第1のセンサーユニットおよび第2のセンサーユニットの測定を妨害する他の疾患の存在を検出することを可能にする。前記量を測定するための典型的なセンサーは、例えば、電気化学的センサー、光センサー、または1つ以上の適切なコーティングされたバイオセンサーである。
【0095】
本発明によるブラシヘッドは、さらに、例えば、それらの分解産物および/または代謝産物の濃度を測定することによって、嫌気性および/または好気性細菌または前記細菌の個々のクラスの存在および濃度の測定を可能にし、免疫系の状態の評価を可能にする。上記のセンサーの適切な組み合わせおよび細菌代謝産物の検出または非検出によって、ウイルスによる感染が結論され得る。感染価または感染基準を満たし、検出されるが、細菌代謝産物が検出されない場合は、特にそうである。
【0096】
図1の好ましい実施形態の変形例では、ブラシヘッド1は、柄101、特に電動歯ブラシ1の駆動装置への取り外し可能な接続のための機械的インターフェース9を有する。
【0097】
図2は、ブラシヘッド1の裏面のセンサー装置3を交換するための交換ステーション10の好ましい変形例を示す。しかし、交換ステーション10の他の変形例も本発明の範囲内で可能である。
【0098】
交換ステーション10は、ブラシヘッド1を挿入することができる交換チャンバー11を備える。この交換チャンバーでは、使用済みのセンサー装置3’の分離と、新たなセンサー装置3’の提供が行われる。この新たなセンサー装置は、分離装置12によって、供給装置13の個別部分として、例えばフィルムロールまたはマガジンとして分離することができる。その後、ブラシヘッド1の装填を行うことができる。図1の場合、分離装置12は、有利には、装填装置と共にコンパクトな設計である。しかし、前記装置の両方を別々に配置することも可能である。第1のステップでは、配置装置は、例えば吸引または磁気分離などによって、使用済みのセンサー装置3’を取り外すことができ、第2のステップでは、新たなセンサー配置3を装備する。
【0099】
リザーバー17が、使用済みのセンサー装置3を格納するための交換チャンバーの下に設けられている。
【0100】
フィルムロールの代わりとして、いくつかのチップを有するマガジンを交換ステーション10内に配置することもでき、チップは必ずしも柔軟な設計である必要はない。
【0101】
交換ステーション10はまた、電動歯ブラシの柄を特に誘導的に充電できる内蔵充電ステーション14を有することができる。
【0102】
任意の読み出しおよび/または評価ユニット15において、消費されたセンサー装置3のセンサーデータは、必要に応じて読み出され、評価され得る。センサー装置を読み出して、センサーデータを格納することができる。その後、読み出されたセンサーデータは、外部データ処理ユニット、例えば歯科医のデータベースまたはコンピューターに転送され得る。
【0103】
このために、交換ステーション10は、データ処理ユニットへの無線接続のために、特に送受信モジュールとして、少なくとも1つの送信モジュール16を有する。送信モジュール16が送受信モジュールとして設計されている場合、または送信モジュール16に加えて受信モジュールが設けられている場合には、評価ユニット15のソフトウェア更新も実施することができる。データ送信に適した技術は、例えば、ハブまたはモバイルデバイスを介して、または基地局(LoRA、または5Gまたは4G/cat-M、LTE Cat M1)を直接介して、5G、LoRA、BT、NFCである。
【0104】
もちろん、センサー装置3によって測定されたデータは、交換ステーション10内で送信されるだけでなく、歯ブラシ100によってすでにデータ送信が実施されていることも考えられる。
【0105】
交換チャンバー11は、ブラシヘッドを洗浄することができるように、洗浄媒体および/または洗浄用水で満たすことができる。交換チャンバー11が測定チャンバーとしても使用される場合、できるだけ一定の測定条件を生成するために、すすぎを実施することができる。それに加えて、試薬を測定チャンバーに添加することができる。
【0106】
歯ブラシ100が歯磨き媒体または口腔すすぎ媒体の供給部を有するならば、交換ステーション10は、歯ブラシ100を満たすために、前記歯磨き媒体または口腔すすぎ媒体のためのリザーバーを有することができ、それを、例えば、充電ステーション14を介して歯ブラシ100に供給することができる。
【0107】
それに代えて、歯ブラシの剛毛への練り歯磨きの塗布は、交換ステーションによって直接実施することもできる。
【0108】
さらに、交換チャンバー11または交換チャンバー11に流体機械的に接続されたチャンバーは、例えば光学的測定のためのセンサー装置を有することができる。任意に、追加のチャンバーへの移送のために吸引装置を設けることができる。
【0109】
ブラシヘッド2に付着する唾液は、希釈および/または所定の体積、例えばチャンバー体積に制限され、その後、光学的に、電気化学的に、または物理的に測定され得る。このために、物質、例えば機能性分子、結合物質、例えば結合リガンド、および/または指標化合物、例えば発光団、特に蛍光団を送達するための供給ライン、少なくとも1つの波長で指標化合物を励起するための光を放出するための光源、および受け取った光を測定するための受光ユニットが提供されてもよい。したがって、蛍光分光検査、UV-Vis分光検査、および他の光学分析法を、光センサー技術によって適用することができる。
【0110】
歯磨き媒体または洗浄媒体が個々の測定を妨害することが生じ得る。したがって、唾液なしで参照測定を時々実施することが望ましい。これにより、評価ユニットは、歯を磨いた後に唾液サンプルを測定するときに唾液中で使用される歯磨き媒体または洗浄媒体の量を定量化し、結果として生じる測定信号中の干渉を補償することができる。これは、それに代えて、またはそれに加えて、格納されたパラメーターに基づいて、またはノンパラメトリックモデルに基づいた方法によって、または例えば細菌の個体数計数によって、モデルに基づいた方法で実施することができる。
【0111】
それに代えて、この参照測定は、例えば、各分析法が干渉に鈍感である場合、または製造業者が測定値補償のために評価ユニットのデータメモリーにデータ記録をすでに格納している同じ歯磨き媒体または洗浄媒体が常に使用される場合には、省略することもできる。
【0112】
一般的な健康状態、特に口腔内の口腔の健康状態の決定は、個々のユーザーに基づいて、または平均値に基づく推定によって実施することができる。前者の場合、健康状態は医師によって決定されなければならず、検査後、歯ブラシによって測定されたデータと比較するために、参照測定値が作成され、格納されなければならない。
【0113】
歯周炎(例えば、IgAを測定することによる)、他の歯科疾患(例えば、GABAを測定することによる)、または虫歯(例えば、ラクトバチルスを測定することによる)の早期検出の好ましい適用分野に加えて、本発明はまた、個々の癌および/または妊娠の早期検出のために、例えば、葉酸含量を測定することによって使用され得る。
【0114】
本発明の範囲内でも検出することができる早期検出の他の使用例としては、癌腫、循環器用途、心筋梗塞、ウイルス疾患、自己免疫疾患、感染症、胃食道逆流症、動脈硬化症、坐骨神経痛、特に呼吸器疾患による呼吸障害、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、一般的な口腔の健康状態、糖尿病、酸素摂取、癌、関節炎および/または栄養不良、特に肥満が挙げられる。
【0115】
早期検出に加えて、本出願の主題はまた、妊娠中の栄養摂取を監視するために使用され得る。妊婦は、胎児による栄養素のさらなる需要のために、鉄、葉酸などの値について定期的にチェックされる。ここで、唾液の組成は、個々の栄養素の毎日の要求がすでに達成されており、維持されているかどうかに関する情報を提供することができる。
【0116】
このようにして、患者の投薬を監視することも可能である。このために、例えば、投薬前の患者からの唾液サンプルは、参照として働くことができる。
【0117】
本発明によるブラシヘッドの有利な用途は、例えば糖尿病における、ユーザーによる薬物摂取の監視(服薬遵守/服薬遵守監視)を含む。
【0118】
ここで、例えば、血糖値は目標圏内にあるべきであり、より重症例では、インスリンやGLP-1阻害薬の常用、あるいは血中の血糖値を下げる類似の経口薬(ノボノルディスク社のセマグルチドなどのGLP阻害薬)によってのみ達成できる。
【0119】
バイオセンサーのデータ値の時系列の時間分析により、患者が薬物を服用したかどうかだけでなく、いつ服用したかも検出することが可能である。患者が薬物を服用しない場合、他の値が、所望の変動幅の完全にまたは部分的に外側で測定される。変動幅または目標範囲は、例えば、70mg/dLから150mg/dLの間の変動幅として定義され得、これは、食事の前後の正常な場合における血糖値を表す。
【0120】
図2に示されるステーションは、交換ステーションとして設計されている。しかし、本発明の図示しない実施形態の変形例では、ステーション、特にステーションの測定チャンバー内に歯ブラシのブラシヘッドのセンサー装置を配置することも可能である。しかし、この概念では、唾液は口腔からステーションに移送されなければならない。このために、歯ブラシは、例えば、第1の動作モードで口腔内の唾液を抽出する吸引装置を有することができる。任意の第2の動作モードでは、吸引装置は、吸引された唾液を測定チャンバー内に放出し、そこで測定するための吹き出し機能を有することができる。
【0121】
さらに、ブラシヘッド、または特に交換ステーションは、練り歯磨き、マウスウォッシュ、または口腔ケアのための他の組成物の個々の成分を検出し、この検出に基づいて唾液の測定値の補正を実施することを可能にするさらなるセンサーを有することができる。
【0122】
本発明による交換ステーションまたは他のステーションはまた、例えば歯ブラシへの適用のために、口腔ケアのための所定のタイプおよび量の組成物を送達することができる。この組成物は、その成分の濃度に関して、データ記録として、例えば、評価ユニットのデータメモリーに格納されてもよい。
【0123】
本発明による歯ブラシのさらなる実施形態の変形例が図3から図11に示される。
【0124】
図3および図4の歯ブラシヘッド20の変形例は、平均剛毛長lを有する剛毛24が突出する基体23を有している。異なる剛毛長の剛毛24が提供されてもよく、平均剛毛長は、すべての剛毛の平均値を指す。
【0125】
口内へのより良好な挿入のために、基体23は、剛毛長lよりも低い高さを有することができる。剛毛長lおよび基体23の高さは、合計してブラシヘッドの全高になる。
【0126】
さらに、基体23は、板状のセンサーユニットを収容するための挿入口21を有している。板状のセンサーユニットは、基体23による機械的損傷から2つの主面で保護されている。このために、剛毛24の位置から始まって、基体23は頂部にカバー部分22を有している。センサーユニットは、歯ブラシ20の端面26上の挿入口21に挿入することができ、前記端面は、ブラシネックアタッチメント25とは反対側の歯ブラシ側に配置されている。
【0127】
挿入方向Rにおける挿入口21の長さlは、好ましくは挿入方向におけるブラシヘッドの長さの少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%である。
【0128】
挿入口21の高さhは、好ましくは基体23の高さの3%から30%である。
【0129】
図3および図4の歯ブラシ20の変形例は、平均剛毛長lを有する剛毛24が突出する基体23を有している。異なる剛毛長の剛毛24が提供されてもよく、平均剛毛長は、すべての剛毛の平均値を指す。
【0130】
口内へのより良好な挿入のために、基体23は、剛毛長lbよりも低い高さを有することができる。剛毛長lbおよび基体23の高さは、合計してブラシヘッドの全高になる。
【0131】
さらに、基体23は、板状の交換可能なセンサーユニットの形態のセンサー装置を収容するための挿入口21を有している。板状のセンサーユニットは、基体23による機械的損傷から2つの主面で保護されている。このために、基体23は、上側の剛毛24の位置から始まるカバー部分22を有している。センサーユニットは、歯ブラシ20の端面26上の挿入口21に挿入することができ、前記端面は、ブラシネックアタッチメント25とは反対側の歯ブラシ側に配置されている。
【0132】
挿入方向Rにおける挿入口21の長さlは、好ましくは挿入方向におけるブラシヘッドの長さの少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%である。
【0133】
挿入口21の高さhは、好ましくは基体23の高さの3%から30%である。
【0134】
図5および図6に示される本発明のさらなる変形例では、本発明によるブラシヘッド30はまた、基体31と、そこから突出する剛毛32とを有している。剛毛の反対側のブラシヘッドの後面は、支持面33と、その中に凹んだセンサーレセプタクル34、35および36とを有している。これらのレセプタクルは、測定中に、唾液が、入り配置されることを可能にし、これは、唾液の接触が短すぎる場合に有利である。唾液は、レセプタクルに入り、そこで特定のセンサーと接触して保持され得る。
【0135】
センサーユニットの追加の改善された保持のために、センサーユニットが歯ブラシから突出しないように、そしてセンサーユニットが挿入中にガイドされ固定されるように、支持面33側および支持面33から突出する側に、部分周縁または全周縁37が配置されてもよい。このトレイの変形例が図7および図8に示される。
【0136】
図9から図11は、図3および図4と同様に、基体41と、センサーユニット42を挿入するための挿入口43と、カバー部分47とを有する、歯ブラシヘッド40のさらなる変形例を示す。図3および図4の変形例とは対照的に、カバー部分47は、唾液を貯蔵するための開口部45を有している。唾液は、開口部45を通過し、センサーユニット43の各センサー素子に供給され得る。
【0137】
カバーは、水で、および空気下、バイオセンサー表面の洗浄および乾燥を可能にするために、取り外し可能または回転可能であってもよい。
【0138】
図面に示される歯ブラシヘッドの他の部品および特徴は、図3および図4と機能的に類似している。
【0139】
図3から図11のセンサーユニットは、平坦なデザインであるが、図12は、ブラシヘッドの基体への側面のアタッチメントとしてのセンサーユニット51を有するブラシヘッド50の変形例を示す。センサーユニット51は、より大きなセンサー装置の一部であってもよく、センサーユニット51のみが交換可能であり、センサー装置の他のセンサーは、ブラシヘッド内に交換不可に配置されてもよい。このような交換不可のセンサーは、例えば、温度センサーまたは導電率センサー、インピーダンスセンサー、電位差測定センサーなどであってもよい。交換可能なセンサー55は、センサーユニット51の本体内に凹んでおり、このセンサーユニットは、基体に適合するために、センサー装置53の縁に停止面56を有している。この変形例においても、唾液のより良好な蓄積のために凹部54が設けられるのはもちろんのこと、同じ目的で縁側に突起52が設けられている。
【0140】
それに代えて、センサーユニットとしての板状またはフィルム状の交換可能な挿入体を凹部54に挿入することもできる。
【0141】
個々の実施形態の変形例の特徴は、有利には、互いに組み合わせられ得る。センサーユニットの縁領域に対して凹んだ平面上への配置は、特に、唾液の蓄積のために好ましい(図8参照)。
【0142】
センサーユニットは、特に好ましくは、フィルムとして設計され、好ましくは、1つ以上の側面から、好ましくは、完全に、または少なくともすべてのセンサーの接触領域にわたって唾液で濡らすこともできる。
【0143】
センサーユニットは、側面から、または上から配置または挿入され得る。
【0144】
ブラシヘッドとセンサーユニットとの間の電気接点は、好ましくは、ブラシの柄からの最小距離であるセンサーユニットの支持面の部分領域内に配置される。
【0145】
穴は、必要ではないが、唾液を採取するために設けられてもよい。
【0146】
別の態様は、練り歯磨きまたは練り歯磨きフォーム、または場合によってはマウスウォッシュの影響が、測定プロセスを強く妨害するという認識である。したがって、測定は、好ましくは、実際の歯磨きプロセスの前に行われるべきである。毎日のルーチンに過度に影響を及ぼすことを避けるために、歯磨きプロセスをすでに始め、測定時間、例えば5秒後に練り歯磨きを塗布することができる。それに代えて、またはそれに加えて、測定は、口腔を較正リンスですすいだ後に歯を磨いた後に行うこともできる。
【0147】
本発明による歯ブラシと、データ処理のための外部装置とを含む、分析システムを動作させるための本発明による方法。
【0148】
装置は、例えば、サーバー、コンピューター、携帯電話、タブレット、および/または前記交換ステーションであってもよい。
【0149】
生の信号、例えばインピーダンスの読み取り、電圧相当信号などは、歯ブラシから外部装置に送信される。
【0150】
外部装置は、データ分析のためのコンピュータープログラム製品が格納されるデータメモリーを備え、コンピュータープログラム製品は、健康状態を決定するために、好ましくは1つ以上のDSP法によってセンサーユニットから取得されたデータのデータ分析に適している。
【0151】
前記データ分析は、本発明による方法によれば、少なくとも以下のステップ:
a)電気化学的信号および/またはインピーダンスをサンプリングするステップと、
b)測定された電気化学的信号および/またはインピーダンスに基づいて、センサー素子または加湿素子の個々のセンサーの加湿状態に関するセンサー素子の状態を検出および/または分類するステップと、
c)患者の健康状態に関して唾液を分析するための電気化学的信号および/またはインピーダンスの振幅および変化を評価するステップと
を有する。
【0152】
濡れ状態は、完全にまたは部分的に(不十分に)濡れたことを示すことができる。しかし、練り歯磨きの存在および水中の唾液の濃度などの他の状態もまた示され得る。これにより、唾液の濃度を測定し、健康状態を測定および評価する際に、練り歯磨きなどの干渉因子を補償することが可能になる。
【0153】
前記条件を検出する1つの方法は、信号変化、指数因子の時定数および/または信号分散計算(リップル監視)を検出することである。
【0154】
ステップc)における振幅の評価中に、生の信号または電気化学的信号の信号分解を有利に実施して、各信号の有用な成分を分析し、かつ/または干渉成分を補償することができる。
【0155】
分解は、例えば、指数関数的減衰または指数関数的プロセス、または特に1-exp(-t)タイプの1次指数関数的ステップ応答とすることができる指数関数モデルを使用して実施することができる。
【0156】
時間的パターン(時間領域における信号処理)または周波数領域における特徴に基づいて、信号および信号変化を分類することによって、別の形式の分解を実施することができる。
【0157】
さらに、信号の導関数の経過に基づいて、および/または変化率として、および/または1つ以上の近似導関数として、信号の分類による分解を実施することができる。
【0158】
次いで、信号を種々の成分に分解(信号分解)した後、この分解に基づく信号特徴/信号特性の導出を使用して、濃度の推定値を改善し、および/またはより正確な較正曲線を導出することができる。
【0159】
電気化学的信号またはインピーダンスの有用な部分、すなわち対応する電気化学反応の反応部分からの種々の干渉成分の分離は、それに代えて、または有利には、コットレル方程式または物理的および/または数学的性質の他の類似のモデルによって実施することができる。次いで、有用な信号は、インジケーター、特にバイオマーカーの濃度を測定するために重要であり、インジケーターは、個々に、または場合によっては他の測定値と共に、歯ブラシのユーザーの健康状態に関する情報を提供することができる。バイオマーカーは、特定のバイオセンサーによって検出することができる。
【0160】
本方法は、提供された参照溶液中でのセンサーユニットの調整および/または安定化後の電気化学的信号をサンプリングするステップをさらに含んでもよい。このサンプリングは、好ましくは、ステップc)の後、例えば歯ブラシが初めて動作するとき、またはステップa)の前に行うことができる。
【0161】
調整および/または安定化が起こった後の信号のサンプリングは、有利には、トリガーまたはセンサー、好ましくは導電率測定用センサーまたはインピーダンス測定用センサーによって組み合わせて開始または検出することができ、このセンサーは、参照溶液および/または唾液の存在を検出し、かつ/または調整時間の終了を示す。トリガーは、好ましくは、検出された状態または状態遷移に基づいて測定を行うことができる。
【0162】
さらに、特にステップc)に続いて、複数回の測定からの情報を組み合わせるために、好ましくは、精度を改善するために、信号に対する信号対雑音(S/N信号対雑音)比を改善するために、および/または干渉を補償するために、測定の1つ以上の繰り返しを行うことができる。
【0163】
電気化学的信号、特に異なる電位での電流測定信号のサンプリングは、数秒または数分にわたって実施することができる。
【0164】
「乾燥」状態対「加湿後に通気された」状態対「完全に加湿された」状態の検出および分類、ならびに関連する遷移は、上述のように実施することができる。
【0165】
この検出は、有利には、バイオセンサーおよび他のセンサーによって行われる測定の信頼性、ならびにそれらから決定される健康状態の評価を可能にする。
【0166】
電気化学的信号またはインピーダンスの減衰の評価は、口腔内の酸化還元反応および過渡容量に関する結論を引き出すことを可能にする。
【0167】
歯ブラシ、特にセンサー装置は、前述のように温度センサーを有することができる。温度測定は、体温の基準を取得するために、数日にわたって平均的に実施することができる。さらに、例えば発熱の場合の温度の急激な上昇、ならびに有利には徐々に上昇するおよび/または周期的に再発する温度上昇を検出することができる。これは、例えば、健康監視の一部として、またはそれに加えて、例えば、排卵周期の決定のために有利であり得る。
【0168】
任意に、またはそれに加えて、歯ブラシは、特に口腔内の疾患を治療するための、および/または免疫系を刺激するための物質を分注するための分注デバイスを有してもよい。
【0169】
これらは、歯ブラシが投薬装置として働く状態で、医師によって特に処方され得る。特に、歯肉の炎症などの口腔領域の疾患の場合、歯ブラシは、剛毛による投薬中に、例えば歯肉に、正確な位置に、機械的支援マッサージと併せて、対応する薬物を適用するために使用することができる。薬物送達の用量または範囲は、医師または患者が歯ブラシで実施することができる。医師の場合、医師は、例えば、Bluetoothトランスポンダーまたはコードなどを介して、対応するサブプログラムに対する特別なアクセス認可を有することができ、これは、歯ブラシの医師固有のサブプログラムへのアクセスを妨げる。それに代えて、またはそれに加えて、投薬のためのプログラムまたはプログラム設定は、遠隔アクセスによって、またはUSBスティックなどのデータ格納装置を介して、歯ブラシまたは交換ステーションに転送することもできる。
【0170】
別の選択肢は、センサーを調整するために参照液を使用することである。このために、例えば、規定されたイオン含量を有する水を使用することができる。この参照液は調整液とも呼ばれ、センサー装置のセンサーを初期値にリセットする。
【0171】
それに加えて、1つ以上の較正液を、参照液とは異なるように定義された1つ以上の導電率で使用することができる。したがって、ある一定期間の後、測定精度は、較正液によってチェックされ、必要に応じて再調整され得る。
【0172】
参照液および少なくとも1つの較正液は、本発明による分析システムの一部であってもよい。
【0173】
センサー装置およびブラシヘッドは、交換可能であり、使い捨て物品として形成することができる。センサー装置は、有利には、健康状態の検出とその監視の両方を可能にする。疾患の選択された症例において、疾患のタイプおよび/またはその発現もしくは強度もまた決定され得る。
【0174】
多次元バイオマーカーを使用することができる。理想的には、歯ブラシは、その信号が1日に少なくとも1度採取および/または記録されるように取り扱われるべきである。
【0175】
次いで、データは、数日、数週間、数ヶ月などにわたって格納されて、長期の傾向を識別することができる。
【符号の説明】
【0176】
1 ブラシヘッド
2 剛毛
3 センサー装置
3’ 使用済みのセンサー装置
4 第2のセンサーユニット
5 第1のセンサーユニット
6 電極
7 電極
8 第3のセンサーユニット
9 機械的インターフェース
10 交換ステーション
11 交換チャンバー
12 分離装置
13 フィルムロール
14 充電ステーション
15 読み出しおよび/または評価ユニット
16 送信モジュール
17 リザーバー
20 歯ブラシヘッド
21 挿入口
22 カバー部分
23 基体
24 剛毛
25 ブラシネックアタッチメント
26 端面
30 ブラシヘッド
31 基体
32 剛毛
33 支持面
34 センサーレセプタクル
35 センサーレセプタクル
36 センサーレセプタクル
37 縁
40 歯ブラシヘッド
41 基体
42 センサーユニット
43 挿入口
45 開口部
47 カバー部分
50 ブラシヘッド
51 センサーユニット
52 突起
53 センサー装置
54 凹部
55 センサー

剛毛長
l 挿入口の長さ
h 挿入口の高さ
R 挿入方向

100 歯ブラシ
101 柄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】