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特表2022-548902BCMA陽性腫瘍を標的とするためのナチュラルキラー細胞の操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】BCMA陽性腫瘍を標的とするためのナチュラルキラー細胞の操作方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20221115BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221115BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20221115BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221115BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20221115BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20221115BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221115BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221115BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20221115BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221115BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221115BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221115BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20221115BHJP
   C07K 14/52 20060101ALN20221115BHJP
   C07K 14/55 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N5/0783
C12N5/0786
C07K19/00
A61P35/00
A61K35/17 A
A61K48/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K9/08
C12N15/12
C07K14/52
C07K14/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517339
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020050864
(87)【国際公開番号】W WO2021055349
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/902,237
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レズヴァニ、ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】マリン コスタ、ダビド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C076AA11
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB16
4C076BB31
4C076CC27
4C076FF11
4C076FF68
4C084AA13
4C084MA16
4C084MA55
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB26
4C085AA13
4C085AA14
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG06
4C085GG10
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087MA16
4C087MA55
4C087MA63
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA01
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】BMCT陽性腫瘍を標的とするNK細胞の操作方法を提供する。
【解決手段】本開示の実施形態は、BCMA抗原と結合するように特異的に操作されたNK細胞によるBCMA発現細胞の標的化に関連する方法及び組成物を含む。特定の実施形態では、BCMA標的キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されたNK細胞は、BCMAを発現するがんを標的化するために利用される。特定の実施形態では、BCMA標的化CARを発現するベクターは、特定の自殺遺伝子及び/又は特定のサイトカインも発現する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞成熟抗原(BCMA)標的化キメラ抗原受容体(CAR)をコードし、かつ
(a)自殺遺伝子、および
(b)サイトカイン
の一方または両方をコードする配列を含む発現構築物。
【請求項2】
前記CARがシグナル伝達ペプチドを含む、請求項1に記載の発現構築物。
【請求項3】
前記シグナル伝達ペプチドが、CD8アルファ、Ig重鎖、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体、または1つもしくは複数の他の表面受容体に由来するシグナルペプチドからのものである、請求項2に記載の発現構築物。
【請求項4】
前記BCMA標的化CARが、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み、前記CARをコードする前記配列における前記重鎖が5’から3’の方向で前記軽鎖の上流側に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項5】
前記BCMA標的化CARが、重鎖および軽鎖を有するscFvを含み、前記CARをコードする前記配列における前記重鎖が5’から3’の方向で前記軽鎖の下流側に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項6】
前記BCMA標的化CARがコドン最適化scFvを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項7】
前記BCMA標的化CARが、C11D5.3 scFv、A7D12.2 scFv、CA12A3.2 scFv、C13F12.1 scFv、ヒト化C11D5.3 scFv、ヒト化A7D12.2 scFv、ヒト化CA12A3.2、またはヒト化C13F12.1 scFvを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項8】
前記BCMA標的化CARが1つまたは複数の共刺激ドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項9】
前記共刺激ドメインが、CD28、CD27、OX-40(CD134)、DAP10、DAP12、4-1BB(CD137)、CD40L、2B4、DNAM、CS1、CD48、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の発現構築物。
【請求項10】
前記CARがCD3ゼータを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項11】
前記CARがヒンジを前記scFvと膜貫通ドメインとの間に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項12】
前記ヒンジが、CD8-アルファヒンジ、CD28ヒンジであり、前記ヒンジが、Gly3から構成される人工スペーサーを含む、あるいは前記ヒンジが、IgGのCH1ドメイン、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインを含む、請求項11に記載の発現構築物。
【請求項13】
前記サイトカインが、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、またはそれらの組み合わせである、請求項1~12のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項14】
前記自殺遺伝子が、変異TNF-アルファ、誘導性カスパーゼ9、HSV-チミジンキナーゼ、CD19、CD20、CD52、またはEGFRv3である、請求項1~13のいずれか一項に記載の発現構築物。
【請求項15】
前記自殺遺伝子が変異TNF-アルファである、請求項14に記載の発現構築物。
【請求項16】
前記変異TNF-アルファが、操作された非分泌型変異TNF-アルファである、請求項14または15に記載の発現構築物。
【請求項17】
前記TNF-アルファ変異体が、
アミノ酸残基1およびアミノ酸残基12;
アミノ酸残基1およびアミノ酸残基13;
アミノ酸残基1~12;
アミノ酸残基1~13;または
アミノ酸残基-1~13
の欠失を含む、請求項14、15または16に記載の発現構築物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の発現構築物を含む免疫細胞。
【請求項19】
ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、ガンマ-デルタT細胞、マクロファージまたはインバリアントNKT(iNKT)細胞である、請求項18に記載の免疫細胞。
【請求項20】
NK細胞である、請求項18または19に記載の免疫細胞。
【請求項21】
前記NK細胞が、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、造血幹細胞または骨髄に由来する、あるいは細胞株に由来する、請求項20に記載の免疫細胞。
【請求項22】
前記NK細胞株が、腫瘍に由来する、あるいは健常NK細胞または始原体細胞に由来するNK-92細胞株または別のNK細胞株である、請求項21に記載の免疫細胞。
【請求項23】
前記NK細胞が臍帯血単核細胞である、請求項19~22のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項24】
前記NK細胞が CD56+NK細胞である、請求項19~23のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項25】
前記NK細胞が効果的な量のユニバーサル抗原提示細胞(UAPC)の存在下で拡大された、請求項19~24のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項26】
前記NK細胞が前記UAPCと10:1~1:10の比率で培養された、請求項25に記載の免疫細胞。
【請求項27】
前記NK細胞が前記UAPCと1:2の比率で培養された、請求項25または26に記載の免疫細胞。
【請求項28】
前記NK細胞がIL-2の存在下で拡大された、請求項25~27のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項29】
前記IL-2が10~500U/mLの濃度で存在する、請求項28に記載の免疫細胞。
【請求項30】
前記NK細胞が、1つまたは複数の外因的に提供されたサイトカインを発現する、請求項19~29のいずれか一項に記載の免疫細胞。
【請求項31】
前記サイトカインが、IL-15、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21またはそれらの組み合わせである、請求項30に記載の免疫細胞。
【請求項32】
好適な培地に存在する請求項18~31のいずれか一項に記載の免疫細胞の複数物。
【請求項33】
前記免疫細胞がNK細胞である、請求項32に記載の複数物。
【請求項34】
個体におけるBCMA陽性がんを処置する方法であって、請求項1~17のいずれか一項に記載の発現ベクターを含んでいる細胞の効果的な量を前記個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項35】
前記細胞が、NK細胞、T細胞またはiNKT細胞である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記NK細胞が、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞、造血幹細胞または骨髄に由来する、あるいは細胞株に由来する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞株が、腫瘍に由来する、あるいは健常NK細胞または始原体細胞に由来するNK-92細胞株または別のNK細胞株である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記NK細胞が臍帯血単核細胞に由来する、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記NK細胞が CD56+NK細胞である、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記NK細胞が効果的な量のユニバーサル抗原提示細胞(UAPC)の存在下で拡大された、請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記NK細胞が前記UAPCと10:1~1:10の比率で培養された、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記NK細胞が前記UAPCと1:2の比率で培養された、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記NK細胞がIL-2の存在下で拡大された、請求項35~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記IL-2が10~500U/mLの濃度で存在する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記個体が、B細胞悪性腫瘍、多発性骨髄腫、肺がん、乳がん、甲状腺がん、頭頸部がん、またはそれらの組み合わせを有する、請求項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞が前記個体に対して同種である、請求項34~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞が前記個体に対して自家である、請求項34~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記個体がヒトである、請求項34~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞が前記個体に1回または2回以上投与される、請求項34~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記個体への前記細胞の投与間の期間が、数時間、数日、数週間または数ヶ月である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
効果的な量のさらなる治療法を前記個体に与える工程をさらに含む、請求項34~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記さらなる治療法が、手術、放射線、遺伝子療法、免疫療法またはホルモン療法を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記さらなる治療法が1つまたは複数の抗体を含む、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞が前記個体に注射によって静脈内に、動脈内に、腹腔内に、気管内に、腫瘍内に、筋肉内に、内視鏡的に、病巣内に、経皮的に、皮下に、局所的に、灌流によって、腫瘍微小環境において、またはそれらの組み合わせによって投与される、請求項34~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
BCMA陽性細胞を前記個体において特定する工程をさらに含む、請求項34~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記特定する工程では抗体が利用される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
組成物として、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157または配列番号158の配列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮特許出願第62/902,237号(2019年9月18日出願;これはその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)の優先権を主張する。
【0002】
本開示の様々な実施形態には少なくとも、細胞生物学、分子生物学、免疫学、およびがん医学を含む医学の分野が含まれる。
【背景技術】
【0003】
がん養子免疫療法のためのナチュラルキラー(NK)細胞の遺伝子再プログラミングは、1)感作を事前に必要としない生得的な抗腫瘍監視;2)移植片対宿主反応性を伴わない同種効力;ならびに3)標的腫瘍の直接的な細胞媒介性の細胞傷害性および細胞溶解などの臨床的に関連する様々な応用および利点を有する。ヒトNK細胞が発達し、自己寛容、同種反応性およびエフェクター機能を獲得することは、ライセンシング(licensing)、キャリブレーション(calibration)およびアーミング(arming)の適応プロセスである。分子レベルにおいて、特異的な活性化受容体および阻害性受容体が、細胞外シグナルを集約し、釣り合わせ、そして別個のエフェクター機能に統合することによってNK細胞機能を導いている。NK細胞の機能的活性および外因性刺激に対する応答性は継続的な教育の「レオスタット」モデルに従っており、したがって再プログラミングを受け入れやすい。NK細胞を遺伝子改変して、そのエフェクター機能を向け直すことは、腫瘍細胞を死滅させるためにその細胞傷害能力を活用するための効果的な方法である。
【0004】
本開示は、がんを効果的に処置しなければならないというこの技術分野における長年感じられている必要性に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、B細胞成熟抗原(BCMA)を介したガン細胞の標的化が効果的であろうがん関連の方法および組成物に関する。特定の実施形態において、本開示は、BCMA陽性がんの処置に関連づけられる方法および組成物に関しており、少なくともある特定の場合において、BCMA陽性がんがナチュラルキラー(NK)細胞の使用により標的化される。
【0006】
本開示は、BCMA発現がん細胞のアブレーションによることを含めて、BCMA陽性ガン(例えば、B細胞悪性腫瘍、多発性骨髄腫、頭頸部がん、肺がん、甲状腺がんまたは乳がん)のがん患者を処置するための方法および組成物を提供する。
【0007】
特定の実施形態において、本明細書で開示された方法および組成物は、具体的な実施形態においては、形質導入が、1つまたは複数のサイトカイン(例えば、IL-15、IL-12、IL-18、IL-2および/またはIL-21など)を発現させるためにもまた行われる既製のNK細胞の使用について可能にする。
【0008】
本明細書中には、ヒトNK細胞を含めて哺乳動物のNK細胞を遺伝子操作して、少なくとも骨髄腫を含めてどのような種類のものであれBCMA陽性腫瘍を標的化するための方法が包含される。本開示では、多発性骨髄腫がん細胞、同様にまた、他のB細胞悪性腫瘍および他のがん(少なくとも肺がんおよび乳がんを含む)において発現され得るBCMAを標的とするキメラ抗原受容体(CAR)構築物のいくつかの例が包含される。具体的な実施形態において、本開示は、BCMAに対する一本鎖可変フラグメント(scFv)を発現するいくつかの発現構築物(レトロウイルス構築物を含む)を提供し、いくつかの実施形態において、構築物には、サイトカイン、例えば、(一例として)IL-15などが、NK細胞の生存および増殖を支援するために含まれる。サイトカイン(1つまたは複数)は具体的な実施形態において、CAR分子の一部でない。本明細書中に提供される一連のインビトロ研究において、骨髄腫細胞株に対する抗BCMA.CAR/IL-15形質導入臍帯血(CB)NK細胞の活性が明らかにされる。
【0009】
特定の実施形態において、BCMAを標的とするCARをコードする1つまたは複数のベクターを含んでいる本開示のNK細胞はまた、自殺遺伝子をコードするベクターを有する。CARをコードするベクターは自殺遺伝子もまたコードする場合があり、またはコードしない場合がある(加えて、サイトカインをコードする場合があり、またはコードしない場合がある)。特定の実施形態において、自殺遺伝子は変異TNFアルファであり、これには、非分泌型であり、かつ人の手によって操作される変異TNFアルファが含まれる。
【0010】
本発明の1つの実施形態に関して議論される限定はどれも、本発明のどのような他の実施形態に対しても当てはまる場合があることが特に意図される。さらに、本発明の組成物はどれも、本発明のどのような方法においても使用される場合があり、本発明の方法はどれも、どのような組成物であれ本発明の組成物を製造するために、または利用するために使用される場合がある。実施例において示される1つの実施形態の様々な局面がまた、異なる実施例においてどこか他のところで、または本出願においてどこか他のところで、例えば、発明の概要、詳細な説明、請求項、および図面の簡単な説明などで議論される実施形態との関連において実行されることがある実施形態でもある。
【0011】
上記では、本開示の特徴および技術的利点が、下記の詳細な説明がよりよく理解され得るためにかなり広く概説されている。本明細書中における請求項の主題を形成するさらなる特徴および利点が本明細書中下記において記載されるであろう。開示される概念および具体的な実施形態は、本件設計の同じ目的を実施するために他の構成を変更するための、または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されなければならない。そのような同等な組立ては、添付された請求項において示されるような精神および範囲から逸脱しないこともまた、当業者によって認識されなければならない。さらなる目的および利点と一緒にではあるが、構成および操作方法の両方に関して、本明細書中に開示される設計に特徴的であると考えられる新規な特徴が、添付されている図面に関連して検討されたとき、下記の説明からよりよく理解されるであろう。しかしながら、図面のそれぞれが例示および説明のためだけに提供されており、本開示の限界の定義として意図されないことが、明確に理解されなければならない。
【0012】
本開示のより完全な理解のために、次に、添付されている図面と併せて理解される下記の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】コドン最適化(co)されたC11D5.3 scFvのVL鎖およびVH鎖と、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体(GMCSFR)のシグナルペプチドとを利用するBCMA標的化キメラ抗原受容体(CAR)をコードするベクターの例示である。リンカーにより、VH鎖とVL鎖とが連結される。
【0014】
図2】CARをコードする配列の5’末端においてBCMA標的化CARから2Aエレメントによって隔てられるTNF-アルファ変異体自殺遺伝子を含むベクターを図示しており、CARはまた、CARをコードする配列の3’末端において別の2AエレメントによりIL-15から隔てられる。BMCA標的化CARは、コドン最適化されたC12A3.2 scFvのVH鎖およびVL鎖と、IgG1ヒンジと、CD28共刺激ドメインと、CD3ゼータとを含む。
【0015】
図3】CD8アルファのシグナルペプチドと、C11D5.3 scFVのVL鎖およびVH鎖と、IgG1ヒンジと、CD28共刺激ドメインと、CD3ゼータとを含むBCMA標的化CARをコードするベクターを例示する。CARが2AエレメントによりIL15によって隔てられる。
【0016】
図4】コドン最適化されたC12A3.2 scFvのVH鎖およびVL鎖と、IgG1リンカーと、CD28共刺激ドメインと、CD3ゼータとを用いるBCMA標的化CARをコードするベクターの例示である。CARもまた、2AエレメントによってIL15から隔てられる。
【0017】
図5】IgG1ヒンジ、CD28共刺激ドメインおよびCD3ゼータに加えて、抗体のA7D12.2VH鎖が5’から3’の方向でA7D12.2のVL鎖から上流側にあるコドン最適化されたBCMA標的化CARをコードするベクターを示す。CARもまた、Ig重鎖シグナルペプチドを含み、2AエレメントによってIL15から隔てられる。
【0018】
図6】IgG1ヒンジ、CD28共刺激ドメインおよびCD3ゼータに加えて、抗体のコドン最適化されたA7D12.2VL鎖が5’から3’の方向でA7D12.2のVH鎖から上流側にあるBCMA標的化CARをコードするベクターを示す。CARもまた、Ig重鎖シグナルペプチドを含み、2AエレメントによってIL15から隔てられる。
【0019】
図7】A7D12.2のVL鎖が5’から3’の方向でA7D12.2のVH鎖に連結されており、かつIg重鎖シグナルペプチドもまた含むBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの一例を提供する。
【0020】
図8】A7D12.2のVH鎖が5’から3’の方向でA7D12.2のVL鎖に連結されており、かつIgG1ヒンジを有するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの一例を例示する。CARでは、Ig重鎖シグナルペプチドおよびCD28共刺激ドメインが利用される。
【0021】
図9】コドン最適化されたA7D12.2のVH鎖が5’から3’の方向でコドン最適化A7D12.2のVL鎖に連結されており、かつ、Ig重鎖シグナルペプチド、IgG1ヒンジおよびCD28共刺激ドメインを利用するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの例示を提供する。
【0022】
図10】C11D5.3のVL鎖が5’から3’の方向でC11D5.3のVH鎖に連結されているBCMA標的化CARで、GMCSF-Rシグナルペプチドを利用するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの例示である。
【0023】
図11】コドン最適化(CO)されたC12A3.2のVL鎖が5’から3’の方向でコドン最適化C12A3.2のVH鎖に連結されているBCMA標的化CARで、CD8シグナルペプチド、IgG1ヒンジ、CD28およびCD3ゼータが組み込まれるBCMA標的化CARをコードする発現ベクターのプラスミドマップの例示を示す。ベクターはまた、特定のTNFアルファ変異体、delAla-1~Val13(14aa del)CKI変異体5aa mutをコードし、IL15をコードする。IL15とTNFアルファ変異体とが2Aペプチド配列によってCARから隔てられる。
【0024】
図12】コドン最適化されたA7D12.2のVLが5’から3’の方向でA7D12.2のVHに連結されており、かつ、Ig重鎖シグナルペプチド、IgG1ヒンジおよびCD28共刺激ドメインを利用するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの例示を提供する。
【0025】
図13】IgG1ヒンジおよびCD28に加えて、Ig重鎖シグナルペプチドを有し、コドン最適化されたA7D12.2のVH鎖が5’から3’の方向でコドン最適化A7D12.2のVL鎖に連結されているBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの例示を示す。VH鎖およびVL鎖についてのCDR順序が例示される。
【0026】
図14】C11D5.3のVL鎖が5’から3’の方向でC11D5.3のVH鎖に連結されており、かつCD8aシグナルペプチドおよびIgG1ヒンジもまた含むBCMA標的化CARをコードする発現ベクターを例示する。
【0027】
図15】C11D5.3のVH鎖が5’から3’の方向でC11D5.3のVL鎖に連結されているBCMA標的化CARで、そのGMCSF-Rシグナルペプチドを用いるBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの例示を提供する。対応するVH鎖およびVL鎖のCDRが例示される。
【0028】
図16】C11D5.3のVL鎖が5’から3’の方向でC11D5.3のVH鎖に連結されているBCMA標的化CARで、IgG1ヒンジ、CD28およびCD3zを用いるBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの例示を提供する。対応するVH鎖およびVL鎖のCDRが例示される。構築物はまた、2Aペプチド配列によってCAR配列からそれぞれが隔てられるTNFアルファ変異体およびIL15をコードする。
【0029】
図17A】5つの異なるBCMA構築物により形質導入されるNK細胞の骨髄腫細胞株MM1Sに対する細胞傷害性を示しているグラフである。
【0030】
図17B】5つの異なるBCMA構築物により形質導入されるNK細胞の骨髄腫細胞株MM1Sに対する細胞傷害性の結果を示している。BCMA1は、IgSPCOA7D12VLVH28Z15(Ig重鎖シグナルペプチド、コドン最適化されたA7D12重鎖の5’側に位置するコドン最適化されたA7D12軽鎖、CD28共刺激ドメイン、CD3ゼータ鎖、およびIL-15を含む構築物)である。BCMA2は、CD8SPC11D5.3VLVH15(CD8シグナルペプチド、11D5.3重鎖の5’側に位置する11D5.3 scFv軽鎖、CD28共刺激ドメイン、CD3ゼータ鎖、およびIL-15を含む構築物)である。BCMA3は、COGSPC11D5.3VLVHZIL15(GM-CSFシグナルペプチド、コドン最適化された11D5.3重鎖の5’側に位置するコドン最適化された11D5.3軽鎖、CD28共刺激ドメイン、CD3ゼータ鎖、およびIL-15を含む構築物)である。BCMA4は、IgSPA7D12VHVL28Z15(Ig重鎖シグナルペプチド、A7D12軽鎖の5’側に位置するA7D12重鎖、CD28共刺激ドメイン、CD3ゼータ鎖、およびIL-15を含む構築物)である。BCMA5は、IgSPA7D12VLVH28Z15(Ig重鎖シグナルペプチド、A7D12重鎖の5’側に位置するA7D12軽鎖、CD28共刺激ドメイン、CD3ゼータ鎖、およびIL-15を含む構築物)である。
【0031】
図18】5つの異なるBCMA構築物により形質導入されるT細胞の骨髄腫細胞株MM1.Sに対する細胞傷害性をコントロールと比較して明らかにする。縦棒のグループ分けにおいて左から右に:BCMA1はIgSPCOA7D12VLVH28Z15であり、BCMA2はCD8SPC11D51VLVH15であり、BCMA3はCOGSPC11D51VLVHZIL15であり、BCMA4はIgSPA7D12VHVL28Z15であり、BCMA5はIgSPA7D12VLVH28Z15である。コントロールは「空の」ウイルスである。ウイルスを作製するとき、標的プラスミドはなく、2つのヘルパープラスミドのみである。
【0032】
図19】多発性骨髄腫細胞株(MM1S、H929およびRPMI8226)におけるBCMA表面発現を明らかにする。
【0033】
図20】多発性骨髄腫標的(MM1S、H929およびRPMI8226)に対する、BCMA CAR NK細胞の細胞傷害性についてのクロムアッセイを示す。BCMA1~BCMA5は、図18において利用されるのと同じ構築物であり、コントロールは非形質導入(NT)細胞である。
【0034】
図21】BCMAをMM1SにおいてCRISPR欠失によって発現停止させると、高まった殺傷が、CAR BCMA NK細胞から取り除かれることを明らかにする。
【0035】
図22】MM1S標的またはH929標的と共培養されたときのBCMA CAR NK細胞による特定のエフェクターサイトカインの産生を示す。
【0036】
図23】BCMA CAR NK細胞がMM1S腫瘍をインビボで抑制することができるかを特徴づけるためのBCMAマウス実験計画の一例を例示する。
【0037】
図24】様々な構築物(BCMA-1~BCMA-5)によるBCMA形質導入効率を示す。
【0038】
図25】生物発光イメージングに基づくFFluc-MM1SマウスモデルにおけるBCMA CAR NK細胞抗腫瘍活性を明らかにする。
【0039】
図26】MM1SマウスモデルにおけるBCMA CAR NK細胞の抗腫瘍活性を生存率の関数として示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の出願がその全体において参照によって本明細書中に組み込まれる:PCT/US2019/018989;米国仮特許出願第62/769,405号(2018年11月19日出願);米国仮特許出願第62/773,372号(2018年11月30日出願);米国仮特許出願第62/791,464号(2019年1月11日出願);米国仮特許出願第62/769,414号(2018年11月19日出願);米国仮特許出願第62/773,394号(2019年11月30日出願);および米国仮特許出願第62/791,491号(2019年1月11日出願)。本開示の様々な実施形態が本明細書中に示され、説明されているが、そのような実施形態は単に例として提供されていることが当業者には明らかであろう。数多くの変化、変更および代用が、本発明から逸脱することなく当業者には思いつくことがある。本明細書中に記載される本開示の実施形態に対する様々な代替が用いられることがあることを理解しなければならない。
【0041】
1.定義例
長年にわたる特許法の慣例と一致して、“a”および”an”の単語は、請求項を含めて、comprising(含む)の単語と併せて本明細書において使用されるときには、”one or more”(1つまたは複数)を意味する。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つまたは複数の要素、方法工程および/または方法からなる場合があり、あるいは、本開示の1つまたは複数の要素、方法工程および/または方法から本質的になる場合がある。本明細書中に記載される方法または組成物はどれも、本明細書中に記載されるどのような他の方法または組成物に関してであっても実施され得ること、また、種々の実施形態が組み合わせられてもよいことが意図される。
【0042】
本明細書全体を通して、文脈上別途要求される場合を除き、単語”comprise”(含む)、単語”comprises”(含む)および単語”comprising”(含む)は、明記された工程または要素または一群の工程もしくは要素を含み、しかし、他の工程または要素または一群の工程もしくは要素をどのようなものであれ除外しないことを意味するように理解されるものとする。”consisting of”(からなる)によって、句”consisting of”に続くものは何であれ含み、かつそれに限定されることが意味される。したがって、句”consisting of”(からなる)は、列挙された要素が要求され、または必須であること、そして他の要素は存在しなくてもよいことを示している。”consisting essentially of”(から本質的になる)によって、どのような要素であれこの句の後に列挙される要素を含むこと、そして、列挙された要素について開示において指定される活性または作用を妨げもしない、また、列挙された要素について開示において指定される活性または作用に寄与もしない他の要素に限定されることが意味される。したがって、句”consisting essentially of”(から本質的になる)は、列挙された要素が要求され、または必須であること、しかし、他の要素は随意的であり、列挙された要素の活性または作用に影響するか否かに依存して存在または非存在であってもよいことがないことを示している。
【0043】
本明細書全体を通して、”one embodiment”(1つの実施形態)、”an embodiment”((ある)1つの実施形態)、”a particular embodiment”(特定の実施形態)、”a related embodiment”(関連した実施形態)、”a certain embodiment”(ある特定の実施形態)、”an additional embodiment”(さらなる実施形態)、”a further embodiment”(さらなる実施形態)、またはそれらの組み合わせに対する言及は、当該実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所での前述の語句の出現は必ずしもすべてが、同じ実施形態に言及しているとは限らない。さらに、そのような特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において、どのような様式であれ好適な様式で組み合わされる場合がある。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語”or”(または)および用語”and/or”(および/または、ならびに/あるいは)は、多数の成分を組み合わせで、または互いに排他的に記載するために利用される。例えば、「x、yおよび/またはz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、yおよびz」、「(xおよびy)またはz」、「xまたは(yおよびz)」、または「xまたはyまたはz」を示すことができる。x、yまたはzが、ある1つの実施形態から特に除外される場合があることが特に意図される。
【0045】
本出願全体を通して、用語「約」は、値を決定するために用いられているデバイスまたは方法についての誤差の標準偏差を当該値が含むことを示すために、細胞生物学および分子生物学の領域におけるその平易かつ通常の意味に従って使用される。
【0046】
用語「操作された(される)」は、本明細書中で使用される場合、細胞、核酸、ポリペプチドおよびベクターなどを含めて、人の手によって生じる実体を示す。少なくともいくつかの場合において、操作された実体は、合成されたものであり、天然に存在もしない、また、本開示において利用される様式で構成もされない要素を含む。具体的な実施形態において、ベクターが組換え核酸技術により操作され、細胞が、操作されたベクターでのトランスフェクションまたは形質導入により操作される。
【0047】
本明細書中で使用される場合、”prevent”(防止する)および類似した語(例えば、”prevented”、”preventing”など)は、疾患または状態(例えば、がん)を防止するための、あるいは疾患または状態(例えば、がん)を抑制するための、あるいは疾患または状態(例えば、がん)の発生または再発の可能性を低下させるためのアプローチを示す。そのようなアプローチはまた、疾患または状態の発症または再発を遅らせること、あるいは疾患または状態の症状の発生または再発を遅らせることを示す。本明細書中で使用される場合、”prevention”(防止)および類似した語にはまた、疾患または状態の強さ、影響、症状および/または負荷を疾患または状態の発症または再発に先立って軽減させることもまた含まれる。
【0048】
用語「サンプル」は、本明細書中で使用される場合、一般には生物学的サンプルを示す。サンプルが個体からの組織または細胞から取得される場合がある。いくつかの例において、サンプルは、組織生検物、血液(例えば、全血)、血漿、細胞外液、乾燥血液スポット、培養細胞、廃棄組織を含む場合があり、またはそれらに由来する場合がある。サンプルは、採取前に供給源から単離されている場合がある。限定されない例には、血液、血清、血漿、脳脊髄液、胸水、羊水、リンパ液、唾液、尿、便、涙、汗、骨髄または粘膜排出物、および採取前に一次供給源から単離される他の体液が含まれる。いくつかの例において、サンプルは、その一次供給源(細胞、組織、体液(例えば、血液など)、環境サンプルなど)からサンプル調製期間中に単離される。サンプルはその一次供給源から精製されることがあり、または精製されないことがあり、あるいは他の場合には濃縮されることがあり、または濃縮されないことがある。いくつかの場合において、一次供給源は、さらなる処理に先立って均質化される。サンプルは、軟膜、脂質または微粒子物を除くためにろ過または遠心分離されることがある。サンプルはまた、核酸について精製または濃縮されることがあり、あるいはRNアーゼにより処理されることがある。サンプルは、無傷である、または細分化される、または部分分解される組織または細胞を含有する場合がある。
【0049】
用語「対象」は、本明細書中で使用される場合、処理または分析を受けている生物学的サンプルを有する個体を一般には示し、具体的な場合にはがんを有しており、またはがんを有することが疑われる。対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験室動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウおよびニワトリ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコおよび齧歯類)、ウマ、および遺伝子組換えの非ヒト動物を含めて、方法または材料の対象物である生物対象または動物対象がどのようなものであれ可能である。対象は、例えば、(医学的状態として示されることがある)疾患(例えば、良性または悪性の新生物、すなわちがんなど)を有する、あるいはそのような疾患を有することが疑われる患者が可能である。対象は処置を現在受けている場合があり、または処置を受けていたかもしれない。対象は無症候である場合がある。対象は、健康な個体で、しかし、がんの防止を望んでいる個体である場合がある。用語「個体」が、少なくともいくつかの場合には交換可能に使用されることがある。「対象」または「個体」は、本明細書中で使用される場合、医療施設に収容されることがあり、または収容されないことがあり、また、医療施設の外来患者として処置されることがある。個体は、1つまたは複数の医療用組成物をインターネット経由で受け取っている場合がある。個体はどのような年齢のヒトまたは非ヒト動物を含んでもよく、したがって、個体には、成体と、若年者(すなわち、小児)および乳幼児との両方が含まれ、また、子宮内の個体が含まれる。この用語は医学的処置の必要性を暗示することは意図されておらず、したがって、個体は、臨床的であろうと、または基礎的科学研究の支援においてであろうと、自発的または非自発的に実験の一部となる場合がある。
【0050】
本明細書中で使用される場合、”treatment”(処置)または”treating”(処置する)には、疾患または病的状態の症状または病理に対する有益な効果または望ましい効果がどのようなものであれ含まれ、また、処置されている疾患または状態(例えば、がん)の1つまたは複数の測定可能なマーカーにおける最小限の低下さえ含まれる場合がある。処置は必要な場合には、疾患または状態の症状の軽減または改善、あるいは疾患または状態の進行の遅延化のどちらかを伴うことができる。「処置」は、疾患または状態あるいはその関連症状の完全な根絶または治癒を必ずしも示していない。
【0051】
本開示は、BCMA標的化CARを発現するように処理されるNK細胞で、必要な場合には、自殺遺伝子(例えば、非分泌型変異TNFアルファなど)および必要な場合には1つまたは複数のサイトカインを発現するNK細胞を含めて、BCMA標的化細胞を包含する。特定の実施形態において、NK細胞が、BCMA標的化CAR、変異型の非分泌型TNFアルファ、および少なくとも1つのサイトカインを発現する。
【0052】
当業者は、BCMAがまた、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17);CD269;TNFRSF13A;およびTNF受容体スーパーファミリーメンバー17として知られていることを認識している。
【0053】
I.CAR実施形態の例
特定の実施形態において、本開示は、BCMAを発現するがん細胞を標的とするためのNK細胞(例えば、臍帯血(CB)由来NK細胞)の再プログラミングに関する。本開示は、CD247(これはまたCD3ζとして知られる)およびCD28の細胞質部分を含むシグナル伝達ドメインに異種融合される異なるBCMA scFvを組み込む多数の新規なCAR構築物を提供する。代替となる実施形態において、CD28のほかに他の共刺激ドメイン(1つまたは複数)が利用される。特定の実施形態において、scFvは、ヒトBCMA抗原についての特異性を有するマウス抗体の重鎖(V)および軽鎖(V)に由来する可変フラグメントの融合物である。scFvは特定の実施形態において、コドン最適化されている。具体的な実施形態において、ベクターはまた、ヒトインターロイキンを産生させるためにサイトカイン遺伝子(例えば、IL-15)を有している。IL-15は、一例としてであるが、NK細胞の生存および維持を助ける。細胞は、このように改変された細胞であり、また、1つの実施形態において、CAR.BCMA.CD28.CD3z-IL15 CB-NKとして本明細書中では示されることがある。
【0054】
A.BCMA標的化CARの一般的な実施形態
本開示は、少なくとも1つのCARをコードするベクターを含んでいる細胞(特にNK細胞)を提供し、CARは、例えば、第1世代、第2世代、あるいは第3世代またはその後の世代であってもよい。CARは、1つがBCMAである2つ以上の異なる抗原について二重特異性である場合があり、または二重特異性でない場合がある。CARは、1つまたは複数の共刺激ドメインを含む場合がある。例えば、それぞれの共刺激ドメインが、例えば、TNFRスーパーファミリーのメンバー、CD28、CD137(4-1BB)、CD134(OX40)、DAP10、DAP12、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、CD40またはそれらの組み合わせのいずれか1つまたは複数の共刺激ドメインを含む場合がある。具体的な実施形態において、CARはCD3ゼータを含む。ある特定の実施形態において、CARは1つまたは複数の特異的な共刺激ドメインを欠いており、例えば、CARは4-1BBを欠く場合がある。
【0055】
具体的な実施形態において、CARはDAP12を共刺激ドメインとして含み、ある特定の局面において、CARポリペプチドは特定のDAP12アミノ酸配列を含み、または特定のDAP12核酸配列によってコードされる。例が以下の通りである:
【0056】
DAP12アミノ酸配列の一例:
MGGLEPCSRLLLLPLLLAVSGLRPVQAQAQSDCSCSTVSPGVLAGIVMGDLVLTVLIALAVYFLGRLVPRGRGAAEAATRKQRITETESPYQELQGQRSDVYSDLNTQRPYYK(配列番号1)
【0057】
DAP12核酸配列の一例:
ATGGGGGGACTTGAACCCTGCAGCAGGCTCCTGCTCCTGCCTCTCCTGCTGGCTGTAAGTGGTCTCCGTCCTGTCCAGGCCCAGGCCCAGAGCGATTGCAGTTGCTCTACGGTGAGCCCGGGCGTGCTGGCAGGGATCGTGATGGGAGACCTGGTGCTGACAGTGCTCATTGCCCTGGCCGTGTACTTCCTGGGCCGGCTGGTCCCTCGGGGGCGAGGGGCTGCGGAGGCAGCGACCCGGAAACAGCGTATCACTGAGACCGAGTCGCCTTATCAGGAGCTCCAGGGTCAGAGGTCGGATGTCTACAGCGACCTCAACACACAGAGGCCGTATTACAAATGA(配列番号2)
【0058】
具体的な実施形態において、CARは少なくともCD28を共刺激ドメインとして含み、ある特定の局面において、BCMA標的化CARポリペプチドは特定のCD28アミノ酸配列を含み、または特定のCD28核酸配列によってコードされる。例が以下の通りである:
【0059】
CD28の膜貫通ドメインと、CD28の細胞内ドメインとを含むCD28アミノ酸配列の一例(ただし、CD8aまたはCD3ゼータの配列は含まない):
VLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSR(配列番号3)
【0060】
CD28核酸配列の一例:
GTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCT(配列番号4)
【0061】
特定の実施形態において、CARポリペプチドは、抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインとを連結する細胞外スペーサードメイン(これはヒンジとしてもまた示されることがある)を含む。細胞外スペーサードメインには、抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体のFcフラグメント、抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体のヒンジ領域、抗体のCH2領域、CH3領域抗体、人工スペーサー配列、あるいはそれらの組み合わせが含まれる場合があるが、これらに限定されない。細胞外スペーサードメインの例には、CD8-アルファヒンジ、CD28ヒンジ、ポリペプチドから作製される人工スペーサー(例えば、Gly3など)、あるいはIgG類(例えば、ヒトのIgG1またはIgG4など)のCH1ドメイン、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインが含まれるが、これらに限定されない。具体的な場合において、細胞外スペーサードメインは、(i)IgG4のヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域、(ii)IgG4のヒンジ領域、(iii)IgG4のヒンジおよびCH2、(iv)CD8-アルファのヒンジ領域、(v)CD28のヒンジ領域、(vi)IgG1のヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域、(vii)IgG1のヒンジ領域、または(viii)IgG1のヒンジおよびCH2、あるいはそれらの組み合わせを含む場合がある。
【0062】
具体的な実施形態において、ヒンジはIgG1由来であり、ある特定の局面において、CARポリペプチドは特定のIgG1ヒンジアミノ酸配列を含み、または特定のIgG1ヒンジ核酸配列によってコードされる。例が以下の通りである:
【0063】
IgG1ヒンジ部のアミノ酸配列:
SYVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPK(配列番号:5)
【0064】
IgG1ヒンジ部の核酸配列:
GTACGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATC (配列番号:6)
【0065】
VH鎖とVL鎖を連結する特定のリンカーを利用してもよい。リンカーアミノ酸配列の一例は、以下の通りである。:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号:68)
【0066】
リンカー核酸配列の一例は、以下の通りである。:
GGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCC (配列番号:69)
【0067】
IgG1ヒンジアミノ酸配列の一例は以下の通りである(クローニングアーティファクト(複数可)においてのみ配列番号:50と異なり得る)。:
RTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPK(配列番号:70)
【0068】
IgG1ヒンジ核酸配列の一例は以下の通りである(クローニングアーティファクト(複数可)に関しては配列番号:6と異なり得る)。:
CGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAA (配列番号:71)
【0069】
CD28共刺激ドメインのアミノ酸配列の一例は、以下の通りである。:
KFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRV(配列番号:72)
【0070】
CD28共刺激ドメイン核酸配列の一例は、以下の通りである。:
AAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGC (配列番号:73)
【0071】
CD8aシグナルペプチドのアミノ酸配列の一例は以下の通りである。:
MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号:74)
【0072】
CD8aシグナルペプチド核酸配列の一例は、以下の通りである。:
ATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCC (配列番号:75)
【0073】
GMCSF-Rシグナルペプチドのアミノ酸配列の一例は、以下の通りである。:
MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIP(配列番号:76)
【0074】
GMCSF-Rシグナルペプチドの核酸配列の一例は、以下の通りである。:
ATGCTTCTCCTGGTGACAAGCCTTCTGCTCTGTGAGTTACCACACCCAGCATTCCTCCTGATCCCA (配列番号:77)
【0075】
CD3ゼータのアミノ酸配列の一例は以下の通りである。:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRG(配列番号:78)
【0076】
CD3ゼータの核酸列の一例は以下の通りである。:
CGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGA (配列番号:79)
【0077】
IL-15のアミノ酸配列の一例は以下の通りである。:
RISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号:80)
【0078】
IL-15の核酸配列の一例は以下の通りである。:
CGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGC (配列番号:81)
【0079】
B.CAR構築物の具体例
本明細書中に包含されるCAR構築物の具体例において、特定の(しかし交換可能な)選択がCARそのものおよび/またはベクターそのものの様々な要素について存在する。
【0080】
BCMA標的化CARを含む特定のベクター構築物の一例が図1に例示される。このベクターは、どのような種類のリンカーであれリンカーによって隔てられる(一例としての)C11D5.3抗体のVH鎖およびVL鎖のコドン最適化(co)型を含むCARの一部として顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体シグナル伝達ペプチド(GMCSFRsp)を有するBCMA標的化CARを含む。VL鎖がこの実施形態では、5’から3’の方向でVH鎖の上流側に位置する。図1における特定のCARではまた、CD3ゼータに加えて、IgG1のCH2CH3ドメインがヒンジとして使用され、CD28が共刺激ドメインとして使用される。ベクターはサイトカイン(例えば、IL-15など)を含み、サイトカインは、隔てる2Aエレメントの利用によりCARとは別個のポリペプチドになる。
【0081】
BCMA標的化CARのいくつかの実施形態において、CARを発現させるベクターはまた、1つまたは複数の自殺遺伝子を発現させる場合がある。一例として、TNFa変異体が自殺遺伝子として利用される場合がある。本明細書中の図におけるベクターの例において、利用されたTNFa変異体は、del Ala-1~Val 13(14aa del)CKI mut 5 aa変異体(本明細書中のどこか他のところを参照のこと;配列番号37)であった。だが、他の変異TNFアルファを含めてどのような自殺遺伝子であれ他の自殺遺伝子が利用される場合がある。
【0082】
BCMA標的化CARの一例が図2に例示されており、ベクターは、TNFa変異体の一例と、C12A3.2抗体のコドン最適化型を用いるBCMA標的化CARとを含む。特定の実施形態において、TNFa変異体-2A-GMCSFRspcoC12A3.2 BCMAVLVH28Z-2A-IL15がベクターにおいて提供される場合があり、これは、(1)TNFa変異体自殺遺伝子、(2)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体シグナル伝達ペプチド(GMCSFRsp)と、co C12A3.2抗体とを含むBCMA CAR、および(3)サイトカインを含むことがあり、この場合、自殺遺伝子は、2Aエレメントがプロセシングされると、BCMA CARとは別個のポリペプチドになり、かつ、2Aエレメントがプロセシングされると、同様に、サイトカインとは別個のポリペプチドになる。この特定の実施形態において、介在する2A配列の性質は、TNFa変異体、BCMA標的化CARおよびサイトカインについて別々のポリペプチドを最終的に産生させることを可能にする。図2において、C12A3.2のVL鎖がこの特定の例では、5’から3’の方向でVH鎖の上流側に位置する。この特異的CARではまた、CD28およびCD3ゼータが利用される。
【0083】
ある特定の構築物では、いくつかの場合におけるTNFa変異体を含めて、自殺遺伝子が利用される。TNFa変異体を利用するベクター構築物のどのような具体例においても、自殺遺伝子としてのTNFa変異体の一例のヌクレオチド配列の一例が以下の通りである(この自殺遺伝子およびどのような自殺遺伝子であれ他の自殺遺伝子が他の具体的な構築物において使用される場合がある):
ATGAGCACTGAAATGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTTCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGCAGGCAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTTGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCCACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTTCGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCTAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCATCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCTACTTTGCCGAGTATGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCG(配列番号7)
【0084】
coC11D5.3抗体をcoC12A3.2抗体の代わりに利用するBCMA CARのヌクレオチド配列の一例が以下の通りである(これは、(GMCSFRspcoC11D5.3 BCMAVLVH)として示される場合がある):
ATGCTTCTCCTGGTGACAAGCCTTCTGCTCTGTGAGTTACCACACCCAGCATTCCTCCTGATCCCAGGGGACATTGTTTTGACCCAATCACCTCCCTCTCTCGCCATGTCCTTGGGTAAACGGGCAACAATCTCCTGTAGAGCTTCCGAAAGTGTAACAATTCTTGGAAGCCACCTCATACATTGGTATCAGCAAAAGCCGGGGCAGCCCCCTACATTGCTCATTCAGTTGGCTTCAAATGTCCAGACGGGTGTACCAGCGAGATTCTCAGGGAGTGGCTCCCGAACGGATTTCACACTGACGATTGATCCCGTCGAAGAGGACGATGTCGCAGTTTATTATTGCCTCCAAAGTCGGACAATTCCGAGGACTTTTGGAGGCGGAACAAAATTGGAAATCAAAGGGGGTGGAGGTTCTGGCGGAGGGGGCAGCGGTGGTGGAGGAAGTGGGGGCGGTGGGAGTCAAATCCAGCTCGTCCAATCCGGTCCAGAGTTGAAGAAACCCGGCGAGACGGTAAAAATCAGCTGTAAAGCCTCAGGTTACACGTTTACGGACTATAGCATTAATTGGGTTAAGAGGGCTCCGGGGAAGGGGCTCAAATGGATGGGCTGGATAAACACAGAGACGAGAGAGCCCGCATATGCGTTCGACTTTAGAGGTCGATTCGCTTTCAGTCTTGAAACCTCTGCTTCTACCGCGTATCTCCAGATAAACAACCTGAAATATGAGGATACAGCAACTTATTTTTGCGCTCTCGATTACAGCTATGCGATGGATTATTGGGGACAAGGAACTTCCGTGACTGTGTCAAGC (配列番号:8)
【0085】
C11D5.3抗体を利用したBCMA CAR (GMCSFRspcoC11D5.3 BCMAVLVH)のポリペプチド配列は以下の通りである。:
MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIHWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAFDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSS (配列番号:9)
【0086】
コドン最適化C12A3.2抗体を利用したBCMA CAR(GMCSFRspcoC12A3.2 BCMAVLVH)の一例の塩基配列(図2参照)は、以下のとおりである。:
TGCTTCTCCTGGTGACAAGCCTTCTGCTCTGTGAGTTACCACACCCAGCATTCCTCCTGATCCCAGGGGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCTACTGGTATCAGCAGAAGCCTGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTGGCTAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGAACAAAGCTGGAAATCAAGGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCCGGCACTACAGCATGAACTGGGTGAAACAGGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCCGGATCAACACCGAGAGCGGCGTGCCCATCTACGCCGACGACTTCAAGGGCAGATTCGCCTTCAGCGTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGGTGATCAACAACCTGAAGGACGAGGATACCGCCAGCTACTTCTGCAGCAACGACTACCTGTACAGCCTGGACTTCTGGGGCCAGGGCACCGCCCTGACCGTGTCCAGC (配列番号:10)
【0087】
コドン最適化C12A3.2抗体を利用したBCMA CARのポリペプチド(GMCSFRspcoC12A3.2 BCMAVLVH)(図2参照)は、以下の通りである。:
MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPGDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIYWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFRHYSMNWVKQAPGKGLKWMGRINTESGVPIYADDFKGRFAFSVETSASTAYLVINNLKDEDTASYFCSNDYLYSLDFWGQGTALTVSS (配列番号:11)
【0088】
ベクター構築物のいくつかの例では、CD8aからのシグナルペプチドがGMCSFRからのシグナルペプチドの代わりに利用される。図3のベクターの例では、CD8aシグナルペプチドは、C11D5.3 BCMA VH鎖にリンカーで連結されたC11D5.3 BCMA VL鎖(そしてVL鎖はこの例ではVH鎖の上流で5´~3´方向にある)、IgG1ヒンジ、CD28およびCD3zeta、続いてIL-15(2A要素で分離されている)が採用される。 このような場合、変異型TNFaを含む自殺遺伝子を利用してもよいし、利用しなくてもよい。
【0089】
CD8spC11D53VLVHの塩基配列の一例は以下の通りである。:
ATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTCGCCAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGCACCAAACTGGAAATCAAGGGCAGCACCAGCGGCTCCGGCAAGCCTGGCTCTGGCGAGGGCAGCACAAAGGGACAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCACCGACTACAGCATCAACTGGGTGAAAAGAGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCTGGATCAACACCGAGACAAGAGAGCCCGCCTACGCCTACGACTTCCGGGGCAGATTCGCCTTCAGCCTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGTACGAGGACACCGCCACCTACTTTTGCGCCCTGGACTACAGCTACGCTATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGC (配列番号:12)
【0090】
CD8spC11D53VLVHのポリペプチド配列の一例は以下の通りである。:
MALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIHWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAYDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSS (配列番号:13)
【0091】
TNFa変異体とC12A3.2抗体を利用した発現構築物の一例を、図4に例示する。 このような例では、TNFa変異体は、GMCSF-Rシグナルペプチド、C12A3.2 VH鎖の上流にあり、リンカーを介して連結したC12A3.2 VL鎖、及びCARがIgG1ヒンジ、CD28及びCD3zetaも含むBCMA標的化CARから2A要素によって分離される。 さらなる2AエレメントがBCMA標的CARをIL-15から分離している。
【0092】
TNFamut-CD8spC12A3.2.BCMAVLVHを発現する塩基配列の一例は、以下の通りである。:
GGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTGCTGCCCCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCTACTGGTATCAGCAGAAGCCTGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTGGCTAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGAACAAAGCTGGAAATCAAGGGCAGCACCAGCGGCTCCGGCAAGCCTGGCTCTGGCGAGGGCAGCACAAAGGGACAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCCGGCACTACAGCATGAACTGGGTGAAACAGGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCCGGATCAACACCGAGAGCGGCGTGCCCATCTACGCCGACGACTTCAAGGGCAGATTCGCCTTCAGCGTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGGTGATCAACAACCTGAAGGACGAGGATACCGCCAGCTACTTCTGCAGCAACGACTACCTGTACAGCCTGGACTTCTGGGGCCAGGGCACCGCCCTGACCGTGTCCAGC (配列番号:14)
【0093】
TNFamut-CD8spC12A3.2.BCMAVLVHのポリペプチド配列の一例は、以下の通りである。:
DIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIYWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFRHYSMNWVKQAPGKGLKWMGRINTESGVPIYADDFKGRFAFSVETSASTAYLVINNLKDEDTASYFCSNDYLYSLDFWGQGTALTVSS (配列番号:15)
【0094】
図5は、Ig重鎖シグナルペプチドとコドン最適化されたA7D12.2VHおよびA7D12.2VLを含み、さらにIgG1ヒンジ、CD28およびCD3zetaを含むIgHspCOA7D12.2VHVLを発現する発現構築物を含むベクターの一例を提供する。このIgHspCOA7D12.2VHVLの例では、VHエレメントはVLエレメントの5´から3´方向の上流にある。また、ベクターはIL-15をCARから分離する2Aエレメントを含む。 ベクターには自殺遺伝子が含まれていてもいなくてもよく、自殺遺伝子を用いる場合には、2AエレメントはCARと自殺遺伝子を分離するエレメントであってもなくてもよい。
【0095】
IgHspCOA7D12.2VHVLの塩基配列の一例は以下の通りである。:
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGACAGATACAGCTCGTCCAATCCGGTCCCGATTTGAAAAAGCCTGGCGAAACAGTTAAACTGTCATGTAAGGCGAGCGGATACACGTTTACGAACTTCGGGATGAATTGGGTAAAACAGGCCCCGGGAAAAGGTTTTAAGTGGATGGCTTGGATAAACACCTACACTGGTGAGTCCTACTTCGCAGACGATTTCAAAGGGCGGTTCGCGTTTTCAGTAGAGACTTCCGCCACAACTGCTTATCTCCAAATAAACAACTTGAAGACCGAGGATACGGCAACCTACTTTTGCGCTCGGGGCGAGATTTATTATGGATATGACGGCGGGTTCGCTTACTGGGGTCAGGGGACGTTGGTTACCGTGTCTGCCGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGACGTGGTGATGACGCAGAGCCACCGATTCATGAGTACCTCTGTAGGCGACCGCGTCTCAATTACTTGTCGAGCGTCTCAGGACGTAAATACAGCGGTGAGCTGGTATCAGCAAAAGCCCGGACAGAGCCCGAAATTGCTGATCTTTTCAGCCTCATACAGATATACCGGAGTCCCAGACCGCTTTACAGGTTCCGGTAGTGGCGCGGACTTTACTCTCACAATCAGCTCTGTACAAGCTGAAGATTTGGCTGTTTACTATTGTCAGCAGCACTATAGTACGCCCTGGACCTTCGGGGGCGGTACGAAGTTGGATATTAAG (配列番号:16)
【0096】
IgHspCOA7D12.2VHVLのポリペプチド配列の一例は以下の通りである。:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRQIQLVQSGPDLKKPGETVKLSCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKGFKWMAWINTYTGESYFADDFKGRFAFSVETSATTAYLQINNLKTEDTATYFCARGEIYYGYDGGFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQSHRFMSTSVGDRVSITCRASQDVNTAVSWYQQKPGQSPKLLIFSASYRYTGVPDRFTGSGSGADFTLTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPWTFGGGTKLDIK (配列番号:17)
【0097】
図6は、IgHspCOA7D12.2VLVHを発現する発現構築物を含むベクターの一例を提供するものである。
このIgHspCOA7D12.2VLVHの例では、VLエレメントは、VHエレメントの5´~3´方向の上流にある。IgHspCOA7D12.2VLVHをコードするポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。
ATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACGTGGTGATGACGCAGAGCCACCGATTCATGAGTACCTCTGTAGGCGACCGCGTCTCAATTACTTGTCGAGCGTCTCAGGACGTAAATACAGCGGTGAGCTGGTATCAGCAAAAGCCCGGACAGAGCCCGAAATTGCTGATCTTTTCAGCCTCATACAGATATACCGGAGTCCCAGACCGCTTTACAGGTTCCGGTAGTGGCGCGGACTTTACTCTCACAATCAGCTCTGTACAAGCTGAAGATTTGGCTGTTTACTATTGTCAGCAGCACTATAGTACGCCCTGGACCTTCGGGGGCGGTACGAAGTTGGATATTAAGGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGATACAGCTCGTCCAATCCGGTCCCGATTTGAAAAAGCCTGGCGAAACAGTTAAACTGTCATGTAAGGCGAGCGGATACACGTTTACGAACTTCGGGATGAATTGGGTAAAACAGGCCCCGGGAAAAGGTTTTAAGTGGATGGCTTGGATAAACACCTACACTGGTGAGTCCTACTTCGCAGACGATTTCAAAGGGCGGTTCGCGTTTTCAGTAGAGACTTCCGCCACAACTGCTTATCTCCAAATAAACAACTTGAAGACCGAGGATACGGCAACCTACTTTTGCGCTCGGGGCGAGATTTATTATGGATATGACGGCGGGTTCGCTTACTGGGGTCAGGGGACGTTGGTTACCGTGTCTGCC (配列番号:18)
【0098】
IgHspCOA7D12.2VLVHのポリペプチドの一例は以下の通りである。:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDVVMTQSHRFMSTSVGDRVSITCRASQDVNTAVSWYQQKPGQSPKLLIFSASYRYTGVPDRFTGSGSGADFTLTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPWTFGGGTKLDIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPDLKKPGETVKLSCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKGFKWMAWINTYTGESYFADDFKGRFAFSVETSATTAYLQINNLKTEDTATYFCARGEIYYGYDGGFAYWGQGTLVTVSA (配列番号:19)
【0099】
図7は、A7D12.2 VL鎖がA7D12.2 VH鎖に5´~3´方向に連結し、さらにIg重鎖シグナルペプチドを含むBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの一例を示す図である。
【0100】
IgHSP.BCMAScFvA7D12.2VL-Linker-VHの発現構築物をコードするポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。:
atggagtttgggctgagctggctttttcttgtggctattttaaaaggtgtccagtgctctagaGACGTGGTGATGACCCAGAGCCACAGGTTCATGAGCACCAGCGTGGGCGACAGGGTGAGCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGACGTGAACACCGCCGTGAGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCCAGAGCCCCAAGCTGCTGATCTTCAGCGCCAGCTACAGGTACACCGGCGTGCCCGACAGGTTCACCGGCAGCGGCAGCGGCGCCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCGTGCAGGCCGAGGACCTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGCACTACAGCACCCCCTGGACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGACATCAAGGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGATCCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCCGACCTGAAGAAGCCCGGCGAGACCGTGAAGCTGAGCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTTCGGCATGAACTGGGTGAAGCAGGCCCCCGGCAAGGGCTTCAAGTGGATGGCCTGGATCAACACCTACACCGGCGAGAGCTACTTCGCCGACGACTTCAAGGGCAGGTTCGCCTTCAGCGTGGAGACCAGCGCCACCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGACCGAGGACACCGCCACCTACTTCTGCGCCAGGGGCGAGATCTACTACGGCTACGACGGCGGCTTCGCCTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCC (配列番号:56)
【0101】
IgHSP.BCMAScFvA7D12.2VL-Linker-VHのポリペプチドの一例は、以下の通りである:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDVVMTQSHRFMSTSVGDRVSITCRASQDVNTAVSWYQQKPGQSPKLLIFSASYRYTGVPDRFTGSGSGADFTLTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPWTFGGGTKLDIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPDLKKPGETVKLSCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKGFKWMAWINTYTGESYFADDFKGRFAFSVETSATTAYLQINNLKTEDTATYFCARGEIYYGYDGGFAYWGQGTLVTVSA (配列番号:57)
【0102】
図8は、A7D12.2 VL鎖とIgG1ヒンジに5´~3´方向に連結したA7D12.2 VH鎖を有するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの一例を示す図である。 このCARは、Ig重鎖のシグナルペプチドとCD28の共刺激ドメインを利用する。
【0103】
IgHSPA7D12VHVLIg28の発現構築物をコードするポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。:
AGACTGCCATGCTCGAGATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGACAGATCCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCCGACCTGAAGAAGCCCGGCGAGACCGTGAAGCTGAGCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTTCGGCATGAACTGGGTGAAGCAGGCCCCCGGCAAGGGCTTCAAGTGGATGGCCTGGATCAACACCTACACCGGCGAGAGCTACTTCGCCGACGACTTCAAGGGCAGGTTCGCCTTCAGCGTGGAGACCAGCGCCACCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGACCGAGGACACCGCCACCTACTTCTGCGCCAGGGGCGAGATCTACTACGGCTACGACGGCGGCTTCGCCTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCCGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGACGTGGTGATGACCCAGAGCCACAGGTTCATGAGCACCAGCGTGGGCGACAGGGTGAGCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGACGTGAACACCGCCGTGAGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCCAGAGCCCCAAGCTGCTGATCTTCAGCGCCAGCTACAGGTACACCGGCGTGCCCGACAGGTTCACCGGCAGCGGCAGCGGCGCCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCGTGCAGGCCGAGGACCTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGCACTACAGCACCCCCTGGACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGACATCAAGCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTC (配列番号:58)
【0104】
IgHSPA7D12VHVLIg28のポリペプチドの一例は以下の通りである。:
TAMLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRQIQLVQSGPDLKKPGETVKLSCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKGFKWMAWINTYTGESYFADDFKGRFAFSVETSATTAYLQINNLKTEDTATYFCARGEIYYGYDGGFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQSHRFMSTSVGDRVSITCRASQDVNTAVSWYQQKPGQSPKLLIFSASYRYTGVPDRFTGSGSGADFTLTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPWTFGGGTKLDIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKF (配列番号:59)
【0105】
図9は、コドン最適化A7D12.2 VL鎖に5´~3´方向に連結され、Ig重鎖シグナルペプチド、IgG1ヒンジおよびCD28共刺激ドメインを利用するコドン最適化A7D12.2 VH鎖を有するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの説明図である。
【0106】
IgHSPCOA7D12VHVLIg28の発現構築物をコードするポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。:
CTCGAGATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGACAGATACAGCTCGTCCAATCCGGTCCCGATTTGAAAAAGCCTGGCGAAACAGTTAAACTGTCATGTAAGGCGAGCGGATACACGTTTACGAACTTCGGGATGAATTGGGTAAAACAGGCCCCGGGAAAAGGTTTTAAGTGGATGGCTTGGATAAACACCTACACTGGTGAGTCCTACTTCGCAGACGATTTCAAAGGGCGGTTCGCGTTTTCAGTAGAGACTTCCGCCACAACTGCTTATCTCCAAATAAACAACTTGAAGACCGAGGATACGGCAACCTACTTTTGCGCTCGGGGCGAGATTTATTATGGATATGACGGCGGGTTCGCTTACTGGGGTCAGGGGACGTTGGTTACCGTGTCTGCCGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGACGTGGTGATGACGCAGAGCCACCGATTCATGAGTACCTCTGTAGGCGACCGCGTCTCAATTACTTGTCGAGCGTCTCAGGACGTAAATACAGCGGTGAGCTGGTATCAGCAAAAGCCCGGACAGAGCCCGAAATTGCTGATCTTTTCAGCCTCATACAGATATACCGGAGTCCCAGACCGCTTTACAGGTTCCGGTAGTGGCGCGGACTTTACTCTCACAATCAGCTCTGTACAAGCTGAAGATTTGGCTGTTTACTATTGTCAGCAGCACTATAGTACGCCCTGGACCTTCGGGGGCGGTACGAAGTTGGATATTAAGCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGT (配列番号:60)
【0107】
IgHSPCOA7D12VHVLIg28のポリペプチドの一例は以下の通りである。
LEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRQIQLVQSGPDLKKPGETVKLSCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKGFKWMAWINTYTGESYFADDFKGRFAFSVETSATTAYLQINNLKTEDTATYFCARGEIYYGYDGGFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQSHRFMSTSVGDRVSITCRASQDVNTAVSWYQQKPGQSPKLLIFSASYRYTGVPDRFTGSGSGADFTLTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPWTFGGGTKLDIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSR (配列番号:61)
【0108】
図10は、C11D5.3 VL鎖がC11D5.3 VH鎖に5´~3´方向に連結したBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの説明図であり、CARはGMCSF-Rシグナルペプチドを利用する。
【0109】
GMCSFSP-BCMAC11D5.3VLVHの発現構築物をコードするポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。:
CCATGGGGATGCTTCTCCTGGTGACAAGCCTTCTGCTCTGTGAGTTACCACACCCAGCATTCCTCCTGATCCCAGggGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTCGCCAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGCACCAAACTGGAAATCAAGGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCACCGACTACAGCATCAACTGGGTGAAAAGAGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCTGGATCAACACCGAGACAAGAGAGCCCGCCTACGCCTACGACTTCCGGGGCAGATTCGCCTTCAGCCTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGTACGAGGACACCGCCACCTACTTTTGCGCCCTGGACTACAGCTACGCtATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCGTACG (配列番号:62)
【0110】
GMCSFSP-BCMAC11D5.3VLVHのポリペプチドの一例は以下の通りである。
MGMLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPGDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIHWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAYDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSSRT (配列番号:63)
【0111】
図11は、コドン最適化(CO)C12A3.2 VL鎖がコドン最適化C12A3.2 VH鎖に5´から3´方向に連結されたものを利用するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターのプラスミドマップの説明図であり、CARにはCD8シグナルペプチド、IgG1ヒンジ、CD28およびCD3zetaが組みこまれている。 ベクターはまた、特定のTNFα変異体、delAla-1~Val13(14aa del)CKI変異体5aa mutをコードし、IL15をコードしている。 IL15とTNFα変異体は、2Aペプチド配列によってCARから分離されている。
【0112】
TNFamut-CD8spC12A3.2.BCMAVLVHの発現構築物をコードするポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。:
ATGAGCACTGAAATGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTTCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGCAGGCAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTTGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCCACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTTCGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCTAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCATCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCTACTTTGCCGAGTATGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGTCGCGAGCCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGGCCCATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTGCTGCCCCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCTACTGGTATCAGCAGAAGCCTGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTGGCTAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGAACAAAGCTGGAAATCAAGGGCAGCACCAGCGGCTCCGGCAAGCCTGGCTCTGGCGAGGGCAGCACAAAGGGACAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCCGGCACTACAGCATGAACTGGGTGAAACAGGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCCGGATCAACACCGAGAGCGGCGTGCCCATCTACGCCGACGACTTCAAGGGCAGATTCGCCTTCAGCGTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGGTGATCAACAACCTGAAGGACGAGGATACCGCCAGCTACTTCTGCAGCAACGACTACCTGTACAGCCTGGACTTCTGGGGCCAGGGCACCGCCCTGACCGTGTCCAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列番号:64)
【0113】
TNFamut-CD8spC12A3.2.BCMAVLVHのポリペプチドの一例は、以下の通りである。:
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSHQTKVNLLFAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLIAEINRPDYLYFAEYGQVYFGIIALSSRAEGRGSLLTCGDVEENPGPMGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIYWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFRHYSMNWVKQAPGKGLKWMGRINTESGVPIYADDFKGRFAFSVETSASTAYLVINNLKDEDTASYFCSNDYLYSLDFWGQGTALTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列番号:65)
【0114】
図12は、A7D12.2 VHに5´から3´方向に連結され、Ig重鎖シグナルペプチド、IgG1ヒンジ、およびCD28共刺激ドメインを利用するコドン最適化A7D12.2 VLを有するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの説明図である。
【0115】
IgHSPCOA7D12VLVHIg28の発現構築物をコードするポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。:
CCATGCTCGAGATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGAGACGTGGTGATGACGCAGAGCCACCGATTCATGAGTACCTCTGTAGGCGACCGCGTCTCAATTACTTGTCGAGCGTCTCAGGACGTAAATACAGCGGTGAGCTGGTATCAGCAAAAGCCCGGACAGAGCCCGAAATTGCTGATCTTTTCAGCCTCATACAGATATACCGGAGTCCCAGACCGCTTTACAGGTTCCGGTAGTGGCGCGGACTTTACTCTCACAATCAGCTCTGTACAAGCTGAAGATTTGGCTGTTTACTATTGTCAGCAGCACTATAGTACGCCCTGGACCTTCGGGGGCGGTACGAAGTTGGATATTAAGGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGATACAGCTCGTCCAATCCGGTCCCGATTTGAAAAAGCCTGGCGAAACAGTTAAACTGTCATGTAAGGCGAGCGGATACACGTTTACGAACTTCGGGATGAATTGGGTAAAACAGGCCCCGGGAAAAGGTTTTAAGTGGATGGCTTGGATAAACACCTACACTGGTGAGTCCTACTTCGCAGACGATTTCAAAGGGCGGTTCGCGTTTTCAGTAGAGACTTCCGCCACAACTGCTTATCTCCAAATAAACAACTTGAAGACCGAGGATACGGCAACCTACTTTTGCGCTCGGGGCGAGATTTATTATGGATATGACGGCGGGTTCGCTTACTGGGGTCAGGGGACGTTGGTTACCGTGTCTGCCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTT (配列番号:66)
【0116】
IgHSPCOA7D12VLVHIg28のポリペプチドの一例は以下の通りである。:
MLEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRDVVMTQSHRFMSTSVGDRVSITCRASQDVNTAVSWYQQKPGQSPKLLIFSASYRYTGVPDRFTGSGSGADFTLTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPWTFGGGTKLDIKGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSQIQLVQSGPDLKKPGETVKLSCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKGFKWMAWINTYTGESYFADDFKGRFAFSVETSATTAYLQINNLKTEDTATYFCARGEIYYGYDGGFAYWGQGTLVTVSARTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVK (配列番号:67)
【0117】
図13は、コドン最適化A7D12.2 VHがコドン最適化A7D12.2 VLに5´~3´方向に連結したBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの説明であり、この場合CARは、Ig重鎖シグナルペプチド、IgG1ヒンジおよびCD28共刺激ドメインも採用している。
【0118】
IgHSPCoA7D12VHVLIg28の核酸配列の一例は、以下の通りである。
CTCGAGATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGCTTTTTCTTGTGGCTATTTTAAAAGGTGTCCAGTGCTCTAGACAGATACAGCTCGTCCAATCCGGTCCCGATTTGAAAAAGCCTGGCGAAACAGTTAAACTGTCATGTAAGGCGAGCGGATACACGTTTACGAACTTCGGGATGAATTGGGTAAAACAGGCCCCGGGAAAAGGTTTTAAGTGGATGGCTTGGATAAACACCTACACTGGTGAGTCCTACTTCGCAGACGATTTCAAAGGGCGGTTCGCGTTTTCAGTAGAGACTTCCGCCACAACTGCTTATCTCCAAATAAACAACTTGAAGACCGAGGATACGGCAACCTACTTTTGCGCTCGGGGCGAGATTTATTATGGATATGACGGCGGGTTCGCTTACTGGGGTCAGGGGACGTTGGTTACCGTGTCTGCCGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCGACGTGGTGATGACGCAGAGCCACCGATTCATGAGTACCTCTGTAGGCGACCGCGTCTCAATTACTTGTCGAGCGTCTCAGGACGTAAATACAGCGGTGAGCTGGTATCAGCAAAAGCCCGGACAGAGCCCGAAATTGCTGATCTTTTCAGCCTCATACAGATATACCGGAGTCCCAGACCGCTTTACAGGTTCCGGTAGTGGCGCGGACTTTACTCTCACAATCAGCTCTGTACAAGCTGAAGATTTGGCTGTTTACTATTGTCAGCAGCACTATAGTACGCCCTGGACCTTCGGGGGCGGTACGAAGTTGGATATTAAGCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGT (配列番号:151)
【0119】
IgHSPCoA7D12VHVLIg28ポリペプチドの配列の一例は、以下の通りである。
LEMEFGLSWLFLVAILKGVQCSRQIQLVQSGPDLKKPGETVKLSCKASGYTFTNFGMNWVKQAPGKGFKWMAWINTYTGESYFADDFKGRFAFSVETSATTAYLQINNLKTEDTATYFCARGEIYYGYDGGFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDVVMTQSHRFMSTSVGDRVSITCRASQDVNTAVSWYQQKPGQSPKLLIFSASYRYTGVPDRFTGSGSGADFTLTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPWTFGGGTKLDIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSR (配列番号:152)
【0120】
CD8シグナルペプチド、VH重鎖と5´-3´方向に連結したC11D5.3 VL鎖を利用したBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの例であり、ここでCARはIgG1ヒンジも利用する。 図14は、TNFα変異体およびIL15がCAR配列から分離され、別々のポリペプチドを生成する発現構築物のバージョンを示す図である。
【0121】
CD8spC11D5.3VLVHIgG128zIL15発現構築物ポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。
ATGAGCACTGAAATGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTTCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGCAGGCAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTTGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCCACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTTCGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCTAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCATCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCTACTTTGCCGAGTATGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGTCGCGAGCCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGGCCCATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTCGCCAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGCACCAAACTGGAAATCAAGGGCAGCACCAGCGGCTCCGGCAAGCCTGGCTCTGGCGAGGGCAGCACAAAGGGACAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCACCGACTACAGCATCAACTGGGTGAAAAGAGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCTGGATCAACACCGAGACAAGAGAGCCCGCCTACGCCTACGACTTCCGGGGCAGATTCGCCTTCAGCCTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGTACGAGGACACCGCCACCTACTTTTGCGCCCTGGACTACAGCTACGCtATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列番号:153)
【0122】
CD8spC11D5.3VLVHIgG1発現構築物ポリペプチドの一例は、以下の通りである。
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSHQTKVNLLFAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLIAEINRPDYLYFAEYGQVYFGIIALSSRAEGRGSLLTCGDVEENPGPMGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIHWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAYDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS* (配列番号:154)
【0123】
図15は、GMCSF-Rシグナルペプチドと、C11D5.3 VL鎖に5´~3´方向に連結したC11D5.3 VH鎖とを有するBCMA標的化CARをコードする発現ベクターの一例を提供する。
【0124】
GMCSFSPcoC11D5.3VHVLIgG28ポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。
CCATGGGGATGCTTCTCCTGGTGACAAGCCTTCTGCTCTGTGAGTTACCACACCCAGCATTCCTCCTGATCCCAGggCAAATCCAGCTCGTCCAATCCGGTCCAGAGTTGAAGAAACCCGGCGAGACGGTAAAAATCAGCTGTAAAGCCTCAGGTTACACGTTTACGGACTATAGCATCAATTGGGTTAAGAGGGCTCCGGGGAAGGGGCTCAAATGGATGGGCTGGATAAACACAGAGACGAGAGAGCCCGCATATGCGTACGACTTTAGAGGTCGATTCGCTTTCAGTCTTGAAACCTCTGCTTCTACCGCGTATCTCCAGATAAACAACCTGAAATATGAGGATACAGCAACTTATTTTTGCGCTCTCGATTACAGCTATGCGATGGATTATTGGGGACAAGGAACTTCCGTGACTGTGTCAAGCGGGGGTGGAGGTTCTGGCGGAGGGGGCAGCGGTGGTGGAGGAAGTGGGGGCGGTGGGAGTGACATTGTTTTGACCCAATCACCTCCCTCTCTCGCCATGTCCTTGGGTAAACGGGCAACAATCTCCTGTAGAGCTTCCGAAAGTGTAACAATTCTTGGAAGCCACCTCATACATTGGTATCAGCAAAAGCCGGGGCAGCCCCCTACATTGCTCATTCAATTGGCTTCAAATGTCCAGACGGGTGTACCAGCGAGATTCTCAGGGAGTGGCTCCCGAACGGATTTCACACTGACGATTGATCCCGTCGAAGAGGACGATGTCGCAGTTTATTATTGCCTCCAAAGTCGGACAATTCCGAGGACTTTTGGAGGCGGAACAAAATTGGAAATCAAA (配列番号:155)
【0125】
GMCSFcoC11D5.3VHVLIgG28ポリペプチドの一例は、以下の通りである。
MGMLLLVTSLLLCELPHPAFLLIPGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAYDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIHWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIK (配列番号:156)
【0126】
図16は、BCMA標的化CARをコードする発現ベクターの説明図を提供し、ここで、CARは、CD8シグナルペプチド、C11D5.3 scFvのVLおよびVH鎖、ならびにCD28共刺激ドメインを含んでいる。この構築物はまた、2A配列によってCARから分離されたTNFα変異体およびIL15をコードしている。
【0127】
TNFaCD8spC11D5.3BCMAVLVH28ZIL15ポリヌクレオチドの一例は、以下の通りである。
ATGAGCACTGAAATGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTTCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGCAGGCAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTTGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCCACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTTCGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCTAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCATCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCTACTTTGCCGAGTATGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGTCGCGAGCCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGGCCCATGGGGATGGCCCTGCCTGTGACAGCTCTGCTCCTCCCTCTGGCCCTGCTGCTCCATGCCGCCAGACCCGACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTCGCCAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGCACCAAACTGGAAATCAAGGGCAGCACCAGCGGCTCCGGCAAGCCTGGCTCTGGCGAGGGCAGCACAAAGGGACAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCACCGACTACAGCATCAACTGGGTGAAAAGAGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCTGGATCAACACCGAGACAAGAGAGCCCGCCTACGCCTACGACTTCCGGGGCAGATTCGCCTTCAGCCTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGTACGAGGACACCGCCACCTACTTTTGCGCCCTGGACTACAGCTACGCtATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGCCGTACGGTCACTGTCTCTTCACAGGATCCCGCCGAGCCCAAATCTCCTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAACCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAAAAGATCCCAAATTTTGGGTGCTGGTGGTGGTTGGTGGAGTCCTGGCTTGCTATAGCTTGCTAGTAACAGTGGCCTTTATTATTTTCTGGGTGAGGAGTAAGAGGAGCAGGCTCCTGCACAGTGACTACATGAACATGACTCCCCGCCGCCCCGGGCCCACCCGCAAGCATTACCAGCCCTATGCCCCACCACGCGACTTCGCAGCCTATCGCTCACGCGTGAAGTTCAGCAGGAGCGCAGACGCCCCCGCGTACCAGCAGGGCCAGAACCAGCTCTATAACGAGCTCAATCTAGGACGAAGAGAGGAGTACGATGTTTTGGACAAAAGACGTGGCCGGGACCCTGAGATGGGGGGAAAGCCGAGAAGGAAGAACCCTCAGGAAGGCCTGTACAATGAACTGCAGAAAGATAAGATGGCGGAGGCCTACAGTGAGATTGGGATGAAAGGCGAGCGCCGGAGGGGCAAGGGGCACGATGGCCTTTACCAGGGTCTCAGTACAGCCACCAAGGACACCTACGACGCCCTTCACATGCAGGCCCTGCCCCCTCGCGGACCGCAGTGTACTAATTATGCTCTCTTGAAATTGGCTGGAGATGTTGAGAGCAATCCCGGGCCCATGCGCATTAGCAAGCCCCACCTGCGGAGCATCAGCATCCAGTGCTACCTGTGCCTGCTGCTGAACAGCCACTTCCTGACCGAGGCCGGCATCCACGTGTTCATCCTGGGCTGCTTCAGCGCCGGACTGCCCAAGACCGAGGCCAACTGGGTGAACGTGATCAGCGACCTGAAGAAGATCGAGGACCTGATCCAGAGCATGCACATCGACGCCACCCTGTACACCGAGAGCGACGTGCACCCCAGCTGCAAGGTGACCGCCATGAAGTGCTTTCTGCTGGAACTGCAGGTGATCAGCCTGGAAAGCGGCGACGCCAGCATCCACGACACCGTGGAGAACCTGATCATCCTGGCCAACAACAGCCTGAGCAGCAACGGCAACGTGACCGAGAGCGGCTGCAAAGAGTGCGAGGAACTGGAAGAGAAGAACATCAAAGAGTTTCTGCAGAGCTTCGTGCACATCGTGCAGATGTTCATCAACACCAGCTGA (配列番号:157)
【0128】
TNFaCD8spC11D5.3BCMAVLVH28ZIL15ポリペプチドの一例は、以下の通りである。
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSHQTKVNLLFAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLIAEINRPDYLYFAEYGQVYFGIIALSSRAEGRGSLLTCGDVEENPGPMGMALPVTALLLPLALLLHAARPDIVLTQSPPSLAMSLGKRATISCRASESVTILGSHLIHWYQQKPGQPPTLLIQLASNVQTGVPARFSGSGSRTDFTLTIDPVEEDDVAVYYCLQSRTIPRTFGGGTKLEIKGSTSGSGKPGSGEGSTKGQIQLVQSGPELKKPGETVKISCKASGYTFTDYSINWVKRAPGKGLKWMGWINTETREPAYAYDFRGRFAFSLETSASTAYLQINNLKYEDTATYFCALDYSYAMDYWGQGTSVTVSSRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS (配列番号:158)
【0129】
利用され得る特定の構築物は、ある特定の要素の具体的な組み合わせを有する。本開示では、BCMA1、BCMA2、BCMA3、BCMA4およびBCMA5の下記構築物が利用される。それらの要素が下記において示される:
【0130】
BCMA1 IgSPCOA7D12VLVH28Z15:Ig重鎖シグナルペプチド;コドン最適化されたA7D12重鎖の5’側に位置するコドン最適化されたA7D12軽鎖;CD28共刺激ドメイン;CD3ゼータ鎖;およびIL-15。
【0131】
BCMA2 CD8SPC11D53VLVH28Z15:CD8シグナルペプチド;コドン最適化されていないC11D5.3重鎖の5’側に位置するコドン最適化されていないC11D5.3軽鎖;IgG1ヒンジ;CD28共刺激ドメイン;CD3ゼータ細胞内ドメイン;およびIL-15。
【0132】
BCMA3 COGSPC11D53VLVHZIL15:GMSCFシグナルペプチド;コドン最適化されたC11D5.3重鎖の5’側に位置するコドン最適化されたC11D5.3軽鎖;CD28共刺激ドメイン;CD3ゼータ;およびIL-15。
【0133】
BCMA4 IgSPA7D12VHVL28Z15:Ig重鎖シグナルペプチド;コドン最適化されていないA7D12軽鎖の5’側に位置するコドン最適化されていないA7D12重鎖;CD28共刺激ドメイン;CD3ゼータ;およびIL-15。
【0134】
BCMA5 IgSPA7D12VLVH28Z15:Ig重鎖シグナルペプチド;コドン最適化されていないA7D12重鎖の5’側に位置するコドン最適化されていないA7D12軽鎖;CD28共刺激ドメイン;CD3ゼータ;およびIL-15。
【0135】
構築物要素の具体例
BCMAを標的とする様々なscFv配列のある特定の例の実施形態が、それらのそれぞれのVH鎖、VL鎖および対応するCDR配列を含めて以下において提供される。
【0136】
A7D12.2 scFvの配列
A7D12.2 VLアミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D V V M T Q S H R F M ST S V G D R V S I T C R A S Q D V N T A V S W Y Q Q K P G Q S P K L L I F S A S Y R Y T G V P D R F T G S G S G A D F T L T I S S V Q A E D L A V Y Y C Q Q H Y S T P W T F G G G T K L D I K(配列番号82)
【0137】
A7D12.2 VL核酸配列の一例が以下の通りである:
GACGTGGTGATGACCCAGAGCCACAGGTTCATGAGCACCAGCGTGGGCGACAGGGTGAGCATCACCTGCAGGGCCAGCCAGGACGTGAACACCGCCGTGAGCTGGTACCAGCAGAAGCCCGGCCAGAGCCCCAAGCTGCTGATCTTCAGCGCCAGCTACAGGTACACCGGCGTGCCCGACAGGTTCACCGGCAGCGGCAGCGGCGCCGACTTCACCCTGACCATCAGCAGCGTGCAGGCCGAGGACCTGGCCGTGTACTACTGCCAGCAGCACTACAGCACCCCCTGGACCTTCGGCGGCGGCACCAAGCTGGACATCAAG(配列番号83)
【0138】
A7D12.2 VL CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
R A S Q D V N T A V S(配列番号84)
【0139】
A7D12.2 VL CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
AGGGCCAGCCAGGACGTGAACACCGCCGTGAGC(配列番号85)
【0140】
A7D12.2 VL CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
S A S Y R Y T(配列番号86)
【0141】
A7D12.2 VL CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
AGCGCCAGCTACAGGTACACC(配列番号87)
【0142】
A7D12.2 VL CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Q Q H Y S T P W T(配列番号88)
【0143】
A7D12.2 VL CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
CAGCAGCACTACAGCACCCCCTGGACC(配列番号89)
【0144】
A7D12.2 VHアミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Q I Q L V Q S G P D L K K P G E T V K L S C K A S G Y T F T N F G M N W V K Q A P G K G F K W M A W I N T Y T G E S Y F A D D F K G R F A F S V E T S A T T A Y L Q I N N L K T E D T A T Y F C A R G E I Y Y G Y D G G F A Y W G Q G T L V T V S A(配列番号90)
【0145】
A7D12.2 VH核酸配列の一例が以下の通りである:
CAGATCCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCCGACCTGAAGAAGCCCGGCGAGACCGTGAAGCTGAGCTGCAAGGCCAGCGGCTACACCTTCACCAACTTCGGCATGAACTGGGTGAAGCAGGCCCCCGGCAAGGGCTTCAAGTGGATGGCCTGGATCAACACCTACACCGGCGAGAGCTACTTCGCCGACGACTTCAAGGGCAGGTTCGCCTTCAGCGTGGAGACCAGCGCCACCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGACCGAGGACACCGCCACCTACTTCTGCGCCAGGGGCGAGATCTACTACGGCTACGACGGCGGCTTCGCCTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCC(配列番号91)
【0146】
A7D12.2 VH CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
N F G M N(配列番号92)
【0147】
A7D12.2 VH CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
AACTTCGGCATGAAC(配列番号93)
【0148】
A7D12.2 VH CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
I N T Y T G E S Y F A D D F K G(配列番号94)
【0149】
A7D12.2 VH CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
ATCAACACCTACACCGGCGAGAGCTACTTCGCCGACGACTTCAAGGGC(配列番号95)
【0150】
A7D12.2 VH CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
G E I Y Y G Y D G G F A Y(配列番号96)
【0151】
A7D12.2 VH CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
GGCGAGATCTACTACGGCTACGACGGCGGCTTCGCCTAC(配列番号97)
【0152】
コドン最適化されたA7D12.2 VHアミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Q I Q L V Q S G P D L K K P G E T V K L S C K A S G Y T F T N F G M N W V K Q A P G K G F K W M A W I N T Y T G E S Y F A D D F K G R F A F S V E T S A T T A Y L Q I N N L K T E D T A T Y F C A R G E I Y Y G Y D G G F A Y W G Q G T L V T V S A(配列番号90)
【0153】
コドン最適化されたA7D12.2 VH核酸配列の一例が以下の通りである:
CAGATACAGCTCGTCCAATCCGGTCCCGATTTGAAAAAGCCTGGCGAAACAGTTAAACTGTCATGTAAGGCGAGCGGATACACGTTTACGAACTTCGGGATGAATTGGGTAAAACAGGCCCCGGGAAAAGGTTTTAAGTGGATGGCTTGGATAAACACCTACACTGGTGAGTCCTACTTCGCAGACGATTTCAAAGGGCGGTTCGCGTTTTCAGTAGAGACTTCCGCCACAACTGCTTATCTCCAAATAAACAACTTGAAGACCGAGGATACGGCAACCTACTTTTGCGCTCGGGGCGAGATTTATTATGGATATGACGGCGGGTTCGCTTACTGGGGTCAGGGGACGTTGGTTACCGTGTCTGCC(配列番号98)
【0154】
コドン最適化されたA7D12.2 VH CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
N F G M N(配列番号92)
【0155】
コドン最適化されたA7D12.2 VH CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
AACTTCGGGATGAAT(配列番号99)
【0156】
コドン最適化されたA7D12.2 VH CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
I N T Y T G E S Y F A D D F K G(配列番号94)
【0157】
コドン最適化されたA7D12.2 VH CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
ATAAACACCTACACTGGTGAGTCCTACTTCGCAGACGATTTCAAAGGG(配列番号100)
【0158】
コドン最適化されたA7D12.2 VH CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
G E I Y Y G Y D G G F A Y(配列番号96)
【0159】
コドン最適化されたA7D12.2 VH CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
GGCGAGATTTATTATGGATATGACGGCGGGTTCGCTTAC(配列番号101)
【0160】
コドン最適化されたA7D12.2 VLアミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D V V M T Q S H R F M S T S V G D R V S I T C R A S Q D V N T A V S W Y Q Q K P G Q S P K L L I F S A S Y R Y T G V P D R F T G S G S G A D F T L T I S S V Q A E D L A V Y Y C Q Q H Y S T P W T F G G G T K L D I K(配列番号82)
【0161】
コドン最適化されたA7D12.2 VL核酸配列の一例が以下の通りである:
ACGTGGTGATGACGCAGAGCCACCGATTCATGAGTACCTCTGTAGGCGACCGCGTCTCAATTACTTGTCGAGCGTCTCAGGACGTAAATACAGCGGTGAGCTGGTATCAGCAAAAGCCCGGACAGAGCCCGAAATTGCTGATCTTTTCAGCCTCATACAGATATACCGGAGTCCCAGACCGCTTTACAGGTTCCGGTAGTGGCGCGGACTTTACTCTCACAATCAGCTCTGTACAAGCTGAAGATTTGGCTGTTTACTATTGTCAGCAGCACTATAGTACGCCCTGGACCTTCGGGGGCGGTACGAAGTTGGATATTAAG(配列番号102)
【0162】
コドン最適化されたA7D12.2 VL CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
R A S Q D V N T A V S(配列番号84)
【0163】
コドン最適化されたA7D12.2 VL CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
CGAGCGTCTCAGGACGTAAATACAGCGGTGAGC(配列番号103)
【0164】
コドン最適化されたA7D12.2 VL CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
S A S Y R Y T(配列番号86)
【0165】
コドン最適化されたA7D12.2 VL CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
TCAGCCTCATACAGATATACC(配列番号104)
【0166】
コドン最適化されたA7D12.2 VL CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Q Q H Y S T P W T(配列番号88)
【0167】
コドン最適化されたA7D12.2 VL CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
CAGCAGCACTATAGTACGCCCTGGACC(配列番号105)
【0168】
C11D5.3 scFvの配列
C11D5.3 VL鎖アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D I V L T Q S P P S L A M S L G K R A T I S C R A S E S V T I L G S H L I H W Y Q Q K P G Q P P T L L I Q L A S N V Q T G V P A R F S G S G S R T D F T L T I D P V E E D D V A V Y Y C L Q S R T I P R T F G G G T K L E I K(配列番号106)
【0169】
C11D5.3 VL鎖核酸配列の一例が以下の通りである:
GACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCCACTGGTATCAGCAGAAGCCCGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTCGCCAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGCACCAAACTGGAAATCAAG(配列番号107)
【0170】
C11D5.3 VL鎖CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
R A S E S V T I L G S H L I H(配列番号108)
【0171】
C11D5.3 VL鎖CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
CGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCCAC(配列番号109)
【0172】
C11D5.3 VL鎖CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
L A S N V Q T(配列番号110)
【0173】
C11D5.3 VL鎖CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
CTCGCCAGCAATGTGCAGACC(配列番号111)
【0174】
C11D5.3 VL鎖CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
L Q S R T I P R T(配列番号112)
【0175】
C11D5.3 VL鎖CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
CTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACC(配列番号113)
【0176】
C11D5.3 VH鎖アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Q I Q L V Q S G P E L K K P G E T V K I S C K A S G Y T F T D Y S I N W V K R A P G K G L K W M G W I N T E T R E P A Y A Y D F R G R F A F S L E T S A S T A Y L Q I N N L K Y E D T A T Y F C A L D Y S Y A M D Y W G Q G T S V T V S S(配列番号114)
【0177】
C11D5.3 VH鎖核酸配列の一例が以下の通りである:
CAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCACCGACTACAGCATCAACTGGGTGAAAAGAGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCTGGATCAACACCGAGACAAGAGAGCCCGCCTACGCCTACGACTTCCGGGGCAGATTCGCCTTCAGCCTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGCAGATCAACAACCTGAAGTACGAGGACACCGCCACCTACTTTTGCGCCCTGGACTACAGCTACGCTATGGACTACTGGGGCCAGGGCACCAGCGTGACCGTGTCCAGC(配列番号115)
【0178】
C11D5.3 VH鎖CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D Y S I N(配列番号116)
【0179】
C11D5.3 VH鎖CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
CTGATGTCGTAGTTG(配列番号117)
【0180】
C11D5.3 VH鎖CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
W I N T E T R E P A Y A Y D F R G(配列番号118)
【0181】
C11D5.3 VH鎖CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
TGGATCAACACCGAGACAAGAGAGCCCGCCTACGCCTACGACTTCCGGGGC(配列番号119)
【0182】
C11D5.3 VH鎖CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D Y S Y A M D Y(配列番号120)
【0183】
C11D5.3 VH鎖CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
GACTACAGCTACGCTATGGACTAC(配列番号121)
【0184】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D I V L T Q S P P S L A M S L G K R A T I S C R A S E S V T I L G S H L I H W Y Q Q K P G Q P P T L L I Q L A S N V Q T V P A R F S G S G S R T D F T L T I D P V E E D D V A V Y Y C L Q S R T I P R T F G G G T K L E I K(配列番号122)
【0185】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖核酸配列の一例が以下の通りである:
GACATTGTTTTGACCCAATCACCTCCCTCTCTCGCCATGTCCTTGGGTAAACGGGCAACAATCTCCTGTAGAGCTTCCGAAAGTGTAACAATTCTTGGAAGCCACCTCATACATTGGTATCAGCAAAAGCCGGGGCAGCCCCCTACATTGCTCATTCAGTTGGCTTCAAATGTCCAGACGGGTGTACCAGCGAGATTCTCAGGGAGTGGCTCCCGAACGGATTTCACACTGACGATTGATCCCGTCGAAGAGGACGATGTCGCAGTTTATTATTGCCTCCAAAGTCGGACAATTCCGAGGACTTTTGGAGGCGGAACAAAATTGGAAATCAAA(配列番号123)
【0186】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
R A S E S V T I L G S H L I H(配列番号108)
【0187】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
AGAGCTTCCGAAAGTGTAACAATTCTTGGAAGCCACCTCATACAT(配列番号124)
【0188】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
L A S N V Q T(配列番号110)
【0189】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
TTGGCTTCAAATGTCCAGACGG(配列番号125)
【0190】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
L Q S R T I P R T(配列番号112)
【0191】
コドン最適化されたC11D5.3 VL鎖CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
CTCCAAAGTCGGACAATTCCGAGGACT(配列番号126)
【0192】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Q I Q L V Q S G P E L K K P G E T V K I S C K A S G Y T F T D Y S I N W V K R A P G K G L K W M G W I N T E T R E P A Y A F D F R G R F A F S L E T S A S T A Y L Q I N N L K Y E D T A T Y F C A L D Y S Y A M D Y W G Q G T S V T V S S(配列番号127)
【0193】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖核酸配列の一例が以下の通りである:
CAAATCCAGCTCGTCCAATCCGGTCCAGAGTTGAAGAAACCCGGCGAGACGGTAAAAATCAGCTGTAAAGCCTCAGGTTACACGTTTACGGACTATAGCATTAATTGGGTTAAGAGGGCTCCGGGGAAGGGGCTCAAATGGATGGGCTGGATAAACACAGAGACGAGAGAGCCCGCATATGCGTTCGACTTTAGAGGTCGATTCGCTTTCAGTCTTGAAACCTCTGCTTCTACCGCGTATCTCCAGATAAACAACCTGAAATATGAGGATACAGCAACTTATTTTTGCGCTCTCGATTACAGCTATGCGATGGATTATTGGGGACAAGGAACTTCCGTGACTGTGTCAAGC(配列番号128)
【0194】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D Y S I N(配列番号116)
【0195】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
GACTATAGCATTAAT(配列番号129)
【0196】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
W I N T E T R E P A Y A F D F R G(配列番号130)
【0197】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
TGGATAAACACAGAGACGAGAGAGCCCGCATATGCGTTCGACTTTAGAGGT(配列番号131)
【0198】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D Y S Y A M D Y(配列番号120)
【0199】
コドン最適化されたC11D5.3 VH鎖CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
GATTACAGCTATGCGATGGATTAT(配列番号132)
【0200】
C12A3.2 scFvの配列
コドン最適化されたC12A3.2 VL鎖アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
D I V L T Q S P P S L A M S L G K R A T I S C RA S E S V T I L G S H L I Y W Y QQ K P G Q P P T L L I Q L A S N V Q T G V P A R F S G S G S R T D F T L T I D P V E E D D V A V Y Y C L Q S R T I P R T F G G G T K L E I K(配列番号133)
【0201】
コドン最適化されたC12A3.2 VL鎖核酸配列の一例が以下の通りである:
GACATCGTGCTGACCCAGAGCCCCCCCAGCCTGGCCATGTCTCTGGGCAAGAGAGCCACCATCAGCTGCCGGGCCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCTACTGGTATCAGCAGAAGCCTGGCCAGCCCCCCACCCTGCTGATCCAGCTGGCTAGCAATGTGCAGACCGGCGTGCCCGCCAGATTCAGCGGCAGCGGCAGCAGAACCGACTTCACCCTGACCATCGACCCCGTGGAAGAGGACGACGTGGCCGTGTACTACTGCCTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACCTTTGGCGGAGGAACAAAGCTGGAAATCAAG(配列番号134)
【0202】
コドン最適化されたC12A3.2 VL CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
A S E S V T I L G S H L I Y(配列番号135)
【0203】
コドン最適化されたC12A3.2 VL CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
CCAGCGAGAGCGTGACCATCCTGGGCAGCCACCTGATCTAC(配列番号136)
【0204】
コドン最適化されたC12A3.2 VL CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
A S N V Q T(配列番号137)
【0205】
コドン最適化されたC12A3.2 VL CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
GCTAGCAATGTGCAGACC(配列番号138)
【0206】
コドン最適化されたC12A3.2 VL CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
L Q S R T I P R T(配列番号139)
【0207】
コドン最適化されたC12A3.2 VL CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
CTGCAGAGCCGGACCATCCCCCGGACC(配列番号140)
【0208】
コドン最適化されたC12A3.2 VH鎖アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Q I Q L V Q S G P E L K K P G E T V K I S C K A S G Y T F R H Y S M N W V K Q A P G K G L K W M G R I N T E S G V P I Y A D D F K G R F A F S V E T S A S T A Y L V I N N L K D E D T A S Y F C S N D Y L Y S L D F W G Q G T A L T V S S(配列番号141)
【0209】
コドン最適化されたC12A3.2 VH鎖核酸配列の一例が以下の通りである:
CAGATTCAGCTGGTGCAGAGCGGCCCTGAGCTGAAGAAACCCGGCGAGACAGTGAAGATCAGCTGCAAGGCCTCCGGCTACACCTTCCGGCACTACAGCATGAACTGGGTGAAACAGGCCCCTGGCAAGGGCCTGAAGTGGATGGGCCGGATCAACACCGAGAGCGGCGTGCCCATCTACGCCGACGACTTCAAGGGCAGATTCGCCTTCAGCGTGGAAACCAGCGCCAGCACCGCCTACCTGGTGATCAACAACCTGAAGGACGAGGATACCGCCAGCTACTTCTGCAGCAACGACTACCTGTACAGCCTGGACTTCTGGGGCCAGGGCACCGCCCTGACCGTGTCCAGC(配列番号142)
【0210】
コドン最適化されたC12A3.2 VH CDR1アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
H Y S M N(配列番号143)
【0211】
コドン最適化されたC12A3.2 VH CDR1核酸配列の一例が以下の通りである:
CACTACAGCATGAAC(配列番号144)
【0212】
コドン最適化されたC12A3.2 VH CDR2アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
R I N T E S G V P I Y A D D F K G(配列番号145)
【0213】
コドン最適化されたC12A3.2 VH CDR2核酸配列の一例が以下の通りである:
CGGATCAACACCGAGAGCGGCGTGCCCATCTACGCCGACGACTTCAAGGGC(配列番号146)
【0214】
コドン最適化されたC12A3.2 VH CDR3アミノ酸配列の一例が以下の通りである:
Y L Y S L D F(配列番号147)
【0215】
コドン最適化されたC12A3.2 VH CDR3核酸配列の一例が以下の通りである:
TACCTGTACAGCCTGGACTTC(配列番号148)
【0216】
II.自殺遺伝子
特定の実施形態において、自殺遺伝子が、その使用を制御し、かつ、細胞療法を所望の状況および/または時点で終了させることに備えるために、どのような種類の細胞療法であれ細胞療法と併せて利用される。自殺遺伝子は、必要なときには形質導入細胞について死を誘発するという目的のために形質導入細胞において用いられる。本開示によって包含されるベクターを収容するために改変されている本開示の細胞は1つまたは複数の自殺遺伝子を含む場合がある。いくつかの実施形態において、用語「自殺遺伝子」は、本明細書中で使用される場合、プロドラッグまたは他の薬剤が投与されると、その宿主細胞を殺す化合物への遺伝子産物の移行をもたらす遺伝子として定義される。他の実施形態において、自殺遺伝子により、所望されるときには、自殺遺伝子産物を標的とする薬剤(例えば、抗体など)によって標的化される遺伝子産物がコードされる。
【0217】
使用され得る自殺遺伝子/プロドラッグの組み合わせの例には、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)およびガンシクロビル、アシクロビルまたはFIAU;オキシドレダクターゼおよびシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼおよび5-フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジル酸キナーゼ(Tdk::Tmk)およびAZT;ならびにデオキシシチジンキナーゼおよびシトシンアラビノシドがある。大腸菌のプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(プロドラッグの6-メチルプリンデオキシリボシドを毒性プリンの6-メチルプリンに変換するいわゆる自殺遺伝子)が使用される場合がある。プロドラッグ療法とともに使用される自殺遺伝子の他の例には、大腸菌のシトシンデアミナーゼ遺伝子およびHSVのチミジンキナーゼ遺伝子がある。
【0218】
例示的な自殺遺伝子にはまた、CD20、CD52、EGFRv3、または誘導性カスパーゼ9が含まれる。1つの実施形態において、EGFRバリアントIII(EGFRv3)の短縮型が、セツキシマブによって除去することができる自殺抗原として使用される場合がある。本開示において使用され得るこの技術分野において知られているさらなる自殺遺伝子には、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、シトクロームp450酵素(CYP)、カルボキシペプチダーゼ(CP)、カルボキシルエステラーゼ(CE)、ニトロレダクターゼ(NTR)、グアニンリボシルトランスフェラーゼ(XGRTP)、グリコシダーゼ酵素、メチオニン-α,γ-リアーゼ(MET)、およびチミジンホスホリラーゼ(TP)が含まれる。
【0219】
特定の実施形態において、BCMA標的化CARをコードするベクター、またはどのようなベクターであれ本明細書中において包含されるNK細胞内のベクターは、1つまたは複数の自殺遺伝子を含む。自殺遺伝子は、BCMA標的化CARと同じベクターに存在してもよく、または存在しなくてもよい。自殺遺伝子が、BCMA標的化CARと同じベクターに存在する場合において、自殺遺伝子と、CARとは、例えば、IRESエレメントまたは2Aエレメントによって隔てられることがある。
【0220】
具体的な実施形態において、自殺遺伝子は、腫瘍壊死因子(TNF)-アルファ変異体で、TNFを自然界で切断する標準的な酵素(例えば、(TACEとも呼ばれる)TNF-アルファ変換酵素など)によって切断不能である変異体である。そのようなものとして、TNF-アルファ変異体は特定の実施形態において膜結合しており、非分泌型である。本開示において使用されるTNF-アルファ変異体は、この変異体と結合する1つまたは複数の薬剤(これには、少なくとも抗体が含まれる)によって標的化可能であり、その結果、薬剤(1つまたは複数)が細胞表面のTNF-アルファ変異体に結合した後で、細胞が死滅するようになる。本開示の実施形態では、TNF-アルファ変異体が、これを発現する細胞のためのマーカーとして利用されることが可能である。
【0221】
切断不能型TNF-アルファ変異体を発現する細胞が、例えば、現在は診療所でのFDA承認TNF-α抗体(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブまたはアダリルマブ(adalilumab)など)を使用することを含む選択的欠失のために標的化されることが可能である。変異型TNF-アルファポリペプチドが、細胞において、1つまたは複数の治療用導入遺伝子(例えば、BCMAを標的とするTCRおよび/またはCARを含めて、TCRまたはCARをコードする遺伝子など)と共発現させられる場合がある。加えて、TNF-アルファ変異体発現細胞は、膜結合型TNF-アルファタンパク質の生物学的活性によって媒介される腫瘍標的に対する優れた活性を有する。
【0222】
野生型に関して、TNF-アルファは、26kDの膜貫通形態と、17kDの分泌成分とを有する。Perez他(1990)に記載されるいくつかの変異体が本開示において利用される場合がある。具体的な実施形態において、本開示のTNF-アルファ変異体の例には、17kDのTNFに関して少なくとも下記の欠失が含まれる:(1)Val1の欠失およびProl12の欠失;(2)Val13の欠失;(3)Val1の欠失およびVal13の欠失;(4)Val1からProl12までの欠失およびVal13の欠失(13aaが欠失する);(5)Ala-3からVal13までの欠失(14aaが欠失する)。具体的な実施形態において、TNF-アルファ変異体は、-3位、-2位、-1位、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位におけるそれぞれのアミノ酸の欠失、またはそれらの組み合わせを含む。具体的な組み合わせには、-3位から13位までの位置、-3位から12位までの位置、-3位から11位までの位置、-3位から10位までの位置、-3位から9位までの位置、-3位から8位までの位置、-3位から7位までの位置、-3位から6位までの位置、-3位から5位までの位置、-3位から4位までの位置、-3位から3位までの位置、-3位から2位までの位置、-3位から1位までの位置、-3位から-1位までの位置、-3位から-2位までの位置、-2位から13位までの位置、-2位から12位までの位置、-2位から11位までの位置、-2位から10位までの位置、-2位から9位までの位置、-2位から8位までの位置、-2位から7位までの位置、-2位から6位までの位置、-2位から5位までの位置、-2位から4位までの位置、-2位から3位までの位置、-2位から2位までの位置、-2位から1位までの位置、-2位から-1位までの位置、-1位から13位までの位置、-1位から12位までの位置、-1位から11位までの位置、-1位から10位までの位置、-1位から9位までの位置、-1位から8位までの位置、-1位から7位までの位置、-1位から6位までの位置、-1位から5位までの位置、-1位から4位までの位置、-1位から3位までの位置、-1位から2位までの位置、-1位から1位までの位置、1位から13位までの位置、1位から12位までの位置、1位から11位までの位置、1位から10位までの位置、1位から9位までの位置、1位から8位までの位置、1位から7位までの位置、1位から6位までの位置、1位から5位までの位置、1位から4位までの位置、1位から3位までの位置、および1位から2位までの位置などにおける欠失が含まれる。
【0223】
TNF-アルファ変異体は、どのような方法であれ好適な方法によって生じ得るが、具体的な実施形態において、TNF-アルファ変異体は部位特異的変異誘発によって生じる。いくつかの場合において、TNF-アルファ変異体は、タンパク質を切断不能にする変異とは別の変異を有する場合がある。具体的な場合において、TNF-アルファ変異体は、Val1、Pro12および/またはVal13あるいはそれらの間の領域における欠失とは別の1つ、2つ、3つまたはそれ以上の変異を有する場合がある。変異体を非分泌型にする変異とは別の変異は、アミノ酸の置換、欠失、付加および反転などの1つまたは複数である場合がある。さらなる変異がアミノ酸置換である場合、置換は、例えば、保存的アミノ酸への置換である場合があり、またはそうでない場合がある。いくつかの場合において、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のさらなるアミノ酸が、タンパク質のN末端および/またはC末端に存在する場合がある。いくつかの場合において、TNF-アルファ変異体は、(1)変異体を非分泌型にする1つまたは複数の変異;(2)変異体についてのアウトサイド-イン(outside-in)シグナル伝達を防止する1つまたは複数の変異;ならびに/あるいは(3)変異体がTNF受容体1および/またはTNF受容体2に結合することを妨げる1つまたは複数の変異を有する。
【0224】
特定の実施形態において、TNF-アルファ変異体ポリペプチドは、配列番号30に関して以下の欠失を含む:アミノ酸残基1およびアミノ酸残基12;アミノ酸残基1およびアミノ酸残基13;アミノ酸残基1~12;アミノ酸残基1~13;またはアミノ酸残基-1~13。
【0225】
TNF-アルファ delVal1 delProl12のアミノ酸配列:
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQARSSSRTPSDKVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号20)
【0226】
TNF-アルファ変異体-delVal1 delProl12の核酸配列:
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcaagatcatcttctcgaaccccgagtgacaaggtagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号21)
【0227】
TNFa変異体-del Val1~Val13のアミノ酸配列(13aaが欠失する)
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号22)
【0228】
TNFa変異体-del Val1~Prol12 delVal13(13aaが欠失する)の核酸配列:
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号23)
【0229】
TNF-アルファ delVal1 delVal13のアミノ酸配列:
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQARSSSRTPSDKPAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号24)
【0230】
TNF-アルファ delVal1 delVal13の核酸配列:
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcaagatcatcttctcgaaccccgagtgacaagcctgcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号25)
【0231】
TNF-アルファ delAla-3~delVal13の核酸配列:
TCGAGTCGAGATGAGCACTGAAAGCATGATCCGGGACGTGGAGCTGGCCGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTGCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGCAGGCAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTGGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCTACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTCTGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCCAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCAGCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCgACTTTGCCGAGTCTGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGTCG(配列番号26)
【0232】
TNF-アルファ delAla-3~delVal13のアミノ酸配列:
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号27)
【0233】
本開示の実施形態には、アウトサイド-インのシグナル伝達を防止するCIKモチーフ変異の一例、ならびに/あるいはTNF受容体1およびTNF受容体2に対するTNF-α結合を妨げる他の変異に加えて、del Ala-3~Val13核酸配列を有するTNF-アルファ変異体が含まれる。
ATGAGCACTGAAATGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTTCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTGGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCCACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTTCGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCCAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCATCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCTACTTTGCCGAGTATGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCG(配列番号28)
【0234】
配列番号28によってコードされるdel Ala-3~Val13アミノ酸配列を有するTNF-アルファ変異体
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSHQTKVNLLFAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLIAEINRPDYLYFAEYGQVYFGIIALS(配列番号29)
【0235】
具体的な実施形態において、TNF-アルファ変異体はAla-3~Val13の欠失を含む場合があり、しかし、CIKモチーフ変異、ならびにTNF受容体1および/またはTNF受容体2に対する結合を妨げる変異を含む場合もないわけではない。
【0236】
TNF野生型26kD体のアミノ酸配列:
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号30)
【0237】
TNF野生型17kD体のアミノ酸配列:
VRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号31)
【0238】
細胞内TNFシグナル伝達能またはTNF-受容体結合能を欠くTNF-アルファ変異体
【0239】
細胞内TNFシグナル伝達能またはTNF-受容体結合能を欠くこのTNF-アルファ変異体は変異を細胞質のシグナル伝達ドメインにおいて、および/またはTNF-受容体結合領域において有しており、したがって、この変異体は逆シグナル伝達能および/またはTNF-受容体結合能をそれぞれ欠くので、どのような生物学的活性も発揮しない。このことは、構築物におけるTNF-アルファがTNF阻害剤のための標的となり、一方で、生物学的活性を何ら発揮しないことを可能にする。
【0240】
本開示のいくつかの実施形態において、TNF-アルファ変異体は、TNF-アルファ変異体が細胞内シグナル伝達(逆シグナル伝達)を発揮することができないようにTNF-アルファの細胞質内ドメインの一部または全体を欠いている。非分泌型TNF-アルファ変異体はまた、細胞質内ドメインの一部または全体を欠くように変異させられる場合があり、または変異させられない場合がある。
【0241】
どのような局面のTNF-アルファであれTNF-アルファは、変異したならばTNF-アルファが非分泌型になるか否かにかかわらず、変異させられる場合がある。一例として、また、TNF-アルファの構造に関して、TNF-アルファの下記領域のいずれかが変異させられる場合がある。細胞質内ドメインは、MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFL(配列番号32)を含む。カゼインキナーゼI(CKI)部位がSTES(配列番号33)である。膜貫通ドメインがFSFLIVAGATTLFCLLHFGVI(配列番号34)である。SPPL2b切断部位がSL/LIである。リンカーは、GPQREEFPRDLSLISPLAQA(配列番号35)を含む。TACE切断部位がVRSSSRTPSDKPV(配列番号36)である。P01375は当該タンパク質のUniProt番号を示す。
【0242】
核酸およびアミノ酸についてそれぞれ、del Ala-1~del13 CKIモチーフ(変異配列には下線が引かれる)についてのTNF-アルファ変異体の具体例が以下の通りである:
atgagcactgaaaTGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgcg(配列番号37)
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号38)
【0243】
核酸およびアミノ酸についてそれぞれ、細胞質内配列におけるM-71Kでの変異、およびY87Hでの別の変異(変異配列には下線が引かれる)を有するTNF-アルファ変異体の一例が以下の通りである:
atgagcactgaaagcagatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctccaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号39)
MSTESIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号40)
【0244】
核酸およびアミノ酸についてそれぞれ、S95FおよびC-28Fでの変異(変異配列には下線が引かれる)を有するTNF-アルファ変異体の一例が以下の通りである:
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctTCgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号41)
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号42)
【0245】
核酸およびアミノ酸についてそれぞれ、S133IおよびS147Yでの変異(変異配列には下線が引かれる)を有するTNF-アルファ変異体の一例が以下の通りである:
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcacgctgagatcaatcggcccgactatctcgactttgccgagttgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号43)
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLAEINRPDYLDFAEGQVYFGIIAL(配列番号44)
【0246】
核酸およびアミノ酸についてそれぞれ、Asp143Tyrでの変異、および-1位におけるAlaの欠失(変異配列には下線が引かれ、欠失配列が取り消し線によって示される)を有するTNF-アルファ変異体の一例が以下の通りである:
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcccaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号45)
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLFAESGQVYFGIIAL(配列番号46)
【0247】
欠失配列を欠く配列番号45および配列番号46の変化型がそれぞれ以下の通りである(変異配列には依然として下線が引かれる)。
atgagcactgaaagcatgatccgggacgtggagctggccgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctgcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctgcaggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctcctaccagaccaaggtcaacctcctctctgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcagcgctgagatcaatcggcccgactatctcactttgccgagtctgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号47)
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLFAESGQVYFGIIAL(配列番号48)
【0248】
CIKモチーフ変異と、上記で示された変異との組み合わせを有するTNF-アルファ変異体の一例が以下の通りであり、変異には下線が引かれる。
ATGCTCGAGtcgagatgagcactgaaaTGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACgaggaggcgctccccaagaagacaggggggccccagggctccaggcggtgcttgttcctcagcctcttctccttcctgatcgtggcaggcgccaccacgctcttctcctgctgcactttggagtgatcggcccccagagggaagagttccccagggacctctctctaatcagccctctggcagcccatgttgtagcaaaccctcaagctgaggggcagctccagtggctgaaccgccgggccaatgccctcctggccaatggcgtggagctgagagataaccagctggtggtgccatcagagggcctgtacctcatctactcccaggtcctcttcaagggccaaggctgcccctccacccatgtgctcctcacccacaccatcagccgcatcgccgtctccaccagaccaaggtcaacctcctctTCgccatcaagagcccctgccagagggagaccccagagggggctgaggccaagccctggtatgagcccatctatctgggaggggtcttccagctggagaagggtgaccgactcacgctgagatcaatcggcccgactatctcactttgccgagttgggcaggtctactttgggatcattgccctgtcg(配列番号49)
MSTEMHPGRGSWHEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSQTKVNLLAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLAEINRPDYLFAEGQVYFGIIAL(配列番号50)
【0249】
CKI変異(5aamut)と、delAla-1~Val13(14 aa del)とを有するTNF-アルファ変異体の一例が以下の通りである:
delAla-1~Val13(14aa del)CKI mut 5aamut
M S T E M H P G R G S W H E E A L P K K T G G P Q G S R R C L F L S L F S F L I V A G A T T L F F L L H F G V I G P Q R E E F P R D L S L I S P L Q A A H V V A N P Q A E G Q L Q W L N R R A N A L L A N G V E L R D N Q L V V P S E G L Y L I Y S Q V L F K G Q G C P S T H V L L T H T I S R I A V S H Q T K V N L L F A I K S P C Q R E T P E G A E A K P W Y E P I Y L G G V F Q L E K G D R L I A E I N R P D Y L Y F A E Y G Q V Y F G I I A L S(配列番号149)
ATGAGCACTGAAATGCATCCCGGAAGGGGGTCCTGGCACGAGGAGGCGCTCCCCAAGAAGACAGGGGGGCCCCAGGGCTCCAGGCGGTGCTTGTTCCTCAGCCTCTTCTCCTTCCTGATCGTGGCAGGCGCCACCACGCTCTTCTTCCTGCTGCACTTTGGAGTGATCGGCCCCCAGAGGGAAGAGTTCCCCAGGGACCTCTCTCTAATCAGCCCTCTGCAGGCAGCCCATGTTGTAGCAAACCCTCAAGCTGAGGGGCAGCTCCAGTGGCTGAACCGCCGGGCCAATGCCCTCCTGGCCAATGGCGTGGAGCTGAGAGATAACCAGCTGGTTGTGCCATCAGAGGGCCTGTACCTCATCTACTCCCAGGTCCTCTTCAAGGGCCAAGGCTGCCCCTCCACCCATGTGCTCCTCACCCACACCATCAGCCGCATCGCCGTCTCCCACCAGACCAAGGTCAACCTCCTCTTCGCCATCAAGAGCCCCTGCCAGAGGGAGACCCCAGAGGGGGCTGAGGCTAAGCCCTGGTATGAGCCCATCTATCTGGGAGGGGTCTTCCAGCTGGAGAAGGGTGACCGACTCATCGCTGAGATCAATCGGCCCGACTATCTCTACTTTGCCGAGTATGGGCAGGTCTACTTTGGGATCATTGCCCTGTCGT(配列番号150)
【0250】
特定の実施形態において、TNF-アルファ変異体を発現するBCMA CAR標的化細胞に結合させるために効果的な量の1つまたは複数の薬剤を送達すると、TNF-アルファ変異体発現細胞の大部分が排除される。具体的な実施形態において、TNF-アルファ変異体を発現する細胞の50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超または99%超が個体において排除される。細胞を排除する必要性が認識された後で、前記薬剤(1つまたは複数)の個体への送達が、1つもしくは複数の症状がもはや存在しなくなるまで、または十分な数の細胞が排除されてしまうまで継続する場合がある。個体における細胞数が、TNF-アルファ変異体をマーカーとして使用してモニターされる場合がある。
【0251】
本開示の方法の様々な実施形態が、効果的な量のNK細胞療法をその必要性のある個体に与える第1の工程であって、前記細胞が1つまたは複数の非分泌型TNF-アルファ変異体を含む、第1の工程と、前記細胞を、前記TNF-アルファ変異体(1つまたは複数)を自殺遺伝子として使用して(どのような機構によるものであれ細胞死を介して直接的または間接的に)排除する第2の工程とを含む。第2の工程は、個体についての少なくとも1つの有害事象の発生時に開始されることがあり、その有害事象が、細胞療法の開始時から継続していてもよい、または継続していなくてもよい日常的なモニタリングのときを含めて、どのような手段によってであれ認識されることがある。有害事象(1つまたは複数)が診察および/または検査のときに検出される場合がある。個体が、(サイトカインストームとしてもまた示されることがある)サイトカイン放出症候群を有する場合、個体は、例えば、上昇した炎症性サイトカイン(1つまたは複数)(単に例として:インターフェロン-ガンマ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IL-10、IL-6およびTNF-アルファ);発熱;疲労;低血圧;低酸素、頻脈;悪心;毛細血管漏出;心臓/腎臓/肝臓の機能障害;またはそれらの組み合わせを有することがある。個体が神経毒性を有する場合、個体は、錯乱、せん妄、奇形、形成不全および/またはてんかん発作を有することがある。いくつかの場合において、個体は、サイトカイン放出症候群の発症および/または重症度に関連するマーカー(例えば、C反応性タンパク質、IL-6、TNF-アルファおよび/またはフェリチンなど)について検査される。
【0252】
さらなる実施形態において、非分泌型TNF-アルファと結合する1つまたは複数の薬剤をサイトカイン放出症候群または神経毒性の期間中に投与することには、例えば、治療の毒性の一因である高レベルの可溶性TNF-アルファを中和するというさらなる利点がある。可溶性TNF-アルファがサイトカイン放出症候群の期間中に高レベルで放出され、CAR-T細胞療法に伴う毒性のメディエーターである。そのような場合において、本明細書中に包含されるTNF-アルファ抗体の投与は、二重の有益な効果、すなわち、TNF-アルファ変異体発現細胞の選択的な抹消、同様にまた、毒性を引き起こす可溶性TNF-アルファの中和を有する。したがって、本開示の実施形態は、細胞が非分泌型TNF-アルファ変異体を発現する養子細胞療法を現在受けている、または受けたことがある個体においてサイトカイン放出症候群を排除する、またはその重症度を軽減する方法であって、非分泌型TNF-アルファ変異体と結合する薬剤の効果的な量を与え、前記薬剤により、(a)細胞療法の細胞の少なくとも一部の排除、および(b)可溶性TNF-アルファのレベルにおける低下が個体において引き起こされる、工程を含む方法を包含する。
【0253】
本開示の実施形態には、非分泌型TNF-アルファ変異体を発現する細胞による細胞療法を受けたことがある、または現在受けている個体においてサイトカイン放出症候群の影響を軽減する方法であって、(a)細胞療法の細胞の少なくとも一部の排除、および(b)可溶性TNF-アルファのレベルにおける低下を個体において引き起こすために前記変異体と結合する1つまたは複数の薬剤の効果的な量を与える工程を含む方法が含まれる。
【0254】
TNF-アルファ自殺遺伝子を利用する必要性が生じたとき、個体には、細胞表面のTNF-アルファ変異体を、例えば、細胞表面のTNF-アルファ変異体と直接的に結合することなどによって阻害することができる1つまたは複数の阻害剤の効果的な量が与えられる。阻害剤(1つまたは複数)はいくつかの実施形態において、全身的および/または局所的に個体に与えられる場合がある。阻害剤は、ポリペプチド(例えば、抗体など)、核酸、小分子(例えば、キサンチン誘導体)、ペプチド、またはそれらの組み合わせである場合がある。具体的な実施形態において、抗体はFDA承認されている。阻害剤が抗体であるとき、阻害剤は、少なくともいくつかの場合においてモノクローナル抗体である場合がある。抗体の混合物が用いられるとき、混合物における1つまたは複数の抗体がモノクローナル抗体である場合がある。小分子であるTNF-アルファ阻害剤の例には、例えば、米国特許第5,118,500号(これはその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるなどの小分子が含まれる。ポリペプチドであるTNF-アルファ阻害剤の例には、米国特許第6,143,866号(これはその全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるポリペプチドなどのポリペプチドが含まれる。
【0255】
特定の実施形態において、少なくとも1つの抗体が、TNF-アルファ変異体を標的化して自殺遺伝子としてのその活性を引き起こすために利用される。抗体の例には、例えば、少なくともアダリムマブ、アダリムマブ-atto、セルトリズマブペゴール、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb、またはそれらの混合物が含まれる。
【0256】
本開示の実施形態には、非分泌型TNF-アルファ変異体を発現するように細胞療法の細胞を改変することによって、個体のための細胞療法の毒性のリスクを低下させる方法が含まれる。細胞療法は具体的な実施形態においてがんについてであり、がん抗原を含む抗原を標的とする操作された受容体を含む場合がある。
【0257】
特定の実施形態において、本開示の本発明のNK細胞療法に加えて、個体には、医学的状態についてのさらなる治療法が提供されていたかもしれず、提供されるかもしれず、および/または提供されることになるかもしれない。医学的状態ががんである場合、個体には、手術、放射線、免疫療法(本開示の細胞療法とは別のもの)、ホルモン療法、遺伝子療法および化学療法などの1つまたは複数が提供されることがある。
【0258】
III.サイトカイン
1つまたは複数のサイトカインが、抗原受容体とは別個のポリペプチドとしてベクターから共発現させられる場合がある。例えば、インターロイキン-15(IL-15)は組織限定的であり、病的状態のもとでのみ、どのようなレベルであれ血清中に、または全身的に認められる。IL-15は、養子療法のために望ましい属性をいくつか有する。IL-15は、ナチュラルキラー細胞の発達および細胞増殖を誘導し、確立された腫瘍の根絶を、腫瘍常在細胞の機能的抑制を緩和することにより促進し、かつ活性化誘導細胞死(AICD)を阻害する恒常性サイトカインである。IL-15に加えて、他のサイトカインが想定される。これらには、ヒト適用のために使用される細胞の活性化および増殖に寄与するサイトカイン、ケモカインおよび他の分子が含まれるが、これらに限定されない。IL-15を発現するNK細胞は、注入後のその生存のために有用である途切れない支持的サイトカインシグナル伝達を行うことができる。
【0259】
具体的な実施形態において、NK細胞は、1つまたは複数の外因的に提供されるサイトカインを発現する。一例として、そのようなサイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21またはそれらの組み合わせである。サイトカインは、細胞内の発現ベクターから発現されるので、NK細胞に外因的に提供される場合がある。代替となる場合において、細胞における内因性サイトカインが、内因性サイトカインの発現の調節を操作すると、例えば、サイトカインのプロモーター部位(1つまたは複数)での遺伝子組換えなどを行うとアップレギュレーションされる。サイトカインが発現構築物で細胞に提供される場合、サイトカインは、TNF-アルファ変異体遺伝子と同じベクターからコードされる場合がある。サイトカインは、TNF-アルファ変異体のように別個のポリペプチド分子として、かつ、細胞の操作された受容体とは別個のポリペプチドとして発現させられる場合がある。いくつかの実施形態において、本開示は、CARベクターおよび/またはTCRベクターとIL-15との共利用に関する。
【0260】
IV.ベクター
BCMA標的化CARは、ウイルスベクターによって、または非ウイルスベクターによってであることを含めて、どのようなベクターであれ好適なベクターによってレシピエントNK細胞に送達される場合がある。ウイルスベクターの例には少なくとも、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。非ウイルスベクターの例には少なくとも、プラスミド、トランスポゾン、脂質、およびナノ粒子などが含まれる。
【0261】
NK細胞が、BCMA標的化CARをコードするベクターにより形質導入され、自殺遺伝子および/またはサイトカインおよび/または随意的な治療用遺伝子産物などの別の1つまたは複数の遺伝子の細胞への形質導入もまた必要とされる場合において、BCMA標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカインおよび随意的な治療用遺伝子は、同じベクターに、または同じベクターと一緒に含まれてもよく、あるいは含まれなくてもよい。いくつかの場合において、BCMA標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカインおよび随意的な治療用遺伝子は、同じベクター分子(例えば、同じウイルスベクター分子など)から発現させられる。そのような場合において、BCMA標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカインおよび随意的な治療用遺伝子の発現は、同じ調節エレメント(1つまたは複数)によって調節される場合があり、または調節されない場合がある。BCMA標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカインおよび随意的な治療用遺伝子が同じベクターに存在するとき、それらは別々のポリペプチドとして発現させられる場合があり、または発現させられない場合がある。それらが別々のポリペプチドとして発現させられる場合において、それらは、例えば、2AエレメントまたはIRESエレメントによってベクターにおいて隔てられる場合がある(あるいは両方の種類が1回または複数回、同じベクターで使用される場合がある)。
【0262】
A.一般的な実施形態
当業者は、本開示の抗原受容体の発現のために、ベクターを標準的な組換え技術(例えば、Sambrook他(2001)およびAusubel他(1996)を参照のこと、これらは両方が参照によって本明細書中に組み込まれる)により構築する能力が十分に備わっているであろう。
1.
【0263】
1.調節エレメント
本開示において有用であるベクターに含まれる発現カセットは特に、タンパク質コード配列に機能的に連結される真核生物転写プロモーター、介在配列を含むスプライスシグナル、および転写終結/ポリアデニル化配列を(5’から3’の方向で)含有する。タンパク質コード遺伝子の転写を真核生物細胞において制御するプロモーターおよびエンハンサーは、多数の遺伝子エレメントから構成される場合がある。細胞機構は、それぞれのエレメントによって伝えられる調節情報を集め、統合し、これにより、異なる遺伝子が転写調節の別個の、多くの場合には複雑なパターンを展開することを可能にすることができる。本開示との関連で使用されるプロモーターには、例えば、構成的プロモーター、誘導性プロモーターおよび組織特異的プロモーターが含まれる。ベクターががん療法の創出のために利用される場合には、プロモーターが低酸素の条件のもとで効果的であることがある。
2.
【0264】
2.プロモーター/エンハンサー
本明細書中において提供される発現構築物は、抗原受容体および他のシストロン遺伝子産物の発現を行わせるためのプロモーターを含む。プロモーターは一般には、RNA合成のための開始部位の位置を定めるために機能する配列を含む。この配列の最もよく知られている例がTATAボックスであり、しかし、TATAボックスを欠くいくつかのプロモーター、例えば、哺乳動物のターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のためのプロモーター、およびSV40の後期遺伝子のためのプロモーターなどでは、開始部位そのものに重なる離散したエレメントが、開始の場所を決定するために役立つ。さらなるプロモーターエレメントにより、転写開始頻度が調節される。典型的には、これらは開始部位の上流側の領域に位置しており、だが、多くのプロモーターが機能的エレメントを開始部位の下流側に同様に含有することが示されている。コード配列をプロモーターの「制御下に」するために、転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端が、選定されたプロモーターの「下流側」(すなわち、3’側)に配置される。「上流側」のプロモーターはDNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進させる。
【0265】
プロモーターエレメント間の間隔はしばしば柔軟性があり、そのため、エレメントが逆になったとき、または互いに移動したとき、プロモーター機能は保持される。例えば、tkプロモーターにおいては、プロモーターエレメント間の間隔を、活性が低下し始める前に、50bp離れるまで増大させることができる。プロモーターに依存して、個々のエレメントが、転写を活性化するために協調的または独立的にそのどちらでも機能し得るようである。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用の調節配列を示す「エンハンサー」と併せて使用される場合があり、または使用されない場合がある。
【0266】
プロモーターは、コーディングセグメントおよび/またはエクソンの上流側に位置する5’側の非コード配列を単離することによって得られる場合があるように、核酸配列に天然において付随するものである場合がある。そのようなプロモーターは、「内因性」であるとして示すことができる。同様に、エンハンサーは、核酸配列の下流側または上流側のどちらにでも位置する、核酸配列に天然において付随するものである場合がある。代替において、ある種の利点が、コード核酸セグメントを組換えプロモーターまたは異種プロモーター(これは、核酸配列にその天然環境において通常は付随しないプロモーターを示す)の制御下に配置することによって得られるであろう。組換えエンハンサーまたは異種エンハンサーもまた、核酸配列にその天然環境において通常は付随しないエンハンサーを示す。そのようなプロモーターまたはエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、ならびにどのような他のウイルスまたは原核生物細胞もしくは真核生物細胞からであっても単離されるプロモーターまたはエンハンサー、ならびに「天然には存在し」ないプロモーターまたはエンハンサー、すなわち、異なる転写調節領域の異なるエレメント、および/または発現を変化させる変異を含有するプロモーターまたはエンハンサーが含まれる場合がある。例えば、組換えDNA構築において最も一般に使用されるプロモーターには、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースおよびトリプトファン(trp)のプロモーター系が含まれる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成により作製することに加えて、様々な配列が、本明細書中に開示される組成物に関連して、PCR(商標)を含めて組換えクローニング技術および/または核酸増幅技術を使用して作製される場合がある。さらに、核を持たないオルガネラ(例えば、ミトコンドリアおよび葉緑体など)の内部において配列の転写および/または発現を導く制御配列が同様に用いられ得ることが意図される。
【0267】
当然のことながら、発現のために選定されるオルガネラ、細胞タイプ、組織、器官または生物におけるDNAセグメントの発現を効果的に導くプロモーターおよび/またはエンハンサーを用いることが重要であろう。分子生物学の分野の当業者は一般に、プロモーター、エンハンサーおよび細胞タイプの様々な組み合わせがタンパク質発現のために使用されることを理解している(例えば、Sambrook他(1989)を参照のこと、これは参照によって本明細書中に組み込まれる)。用いられるプロモーターは、例えば、組換えタンパク質および/または組換えペプチドの大規模産生において好都合であるなど、導入されたDNAセグメントの高レベルの発現を導くための適切な条件のもとで構成的、組織特異的、誘導性および/または有用である場合がある。プロモーターは異種または内因性である場合がある。
【0268】
加えて、プロモーター/エンハンサーの組み合わせはどれも(例えば、epd.isb-sib.ch/でのワールドワイドウエブを介する真核生物プロモーターデータベースEPDBによる組み合わせ)もまた、発現を行わせるために使用され得るであろう。T3、T7またはSP6の細胞質発現系の使用が、別の可能な実施形態である。真核生物細胞は、適切な細菌ポリメラーゼが送達複合体の一部として、またはさらなる遺伝子発現構築物としてそのどちらかで提供されるならば、ある種の細菌プロモーターからの細胞質転写を支援することができる。
【0269】
プロモーターの限定されない例には、初期または後期のウイルスプロモーター、例えば、SV40の初期プロモーターまたは後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)の前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の初期プロモーターなど;真核生物細胞のプロモーター、例えば、ベータアクチンプロモーター、GADPHプロモーター、メタロチオネインプロモーターなど;ならびに連鎖状応答エレメントプロモーター、例えば、最小TATAボックスの近くの環状AMP応答エレメントプロモーター(cre)、血清応答エレメントプロモーター(sre)、ホルボールエステルプロモーター(TPA)および応答エレメントプロモーター(tre)などが含まれる。ヒト成長ホルモンのプロモーター配列(例えば、GenBank(登録商標)に記載されるヒト成長ホルモン最小プロモーター、アクセッション番号X05244、ヌクレオチド283~341)またはマウス乳腫瘍プロモーター(これはATCCから入手可能である;カタログ番号ATCC45007)を使用することもまた可能である。ある特定の実施形態において、プロモーターは、CMV IE、デクチン-1、デクチン-2、ヒトCD11c、F4/80、SM22、RSV、SV40、Ad MLP、ベータ-アクチン、MHCクラスIまたはMHCクラスIIのプロモーターであり、しかしながら、治療遺伝子の発現を行わせるために有用である他のプロモーターはどれも、本開示の実施に適用可能である。
【0270】
ある特定の局面において、本開示の方法はまた、エンハンサー配列、すなわち、プロモーターの活性を増大させ、かつ、シスで、しかも、その向きにかかわらず、(標的プロモーターから数キロベースにまで離れた)比較的長い距離にわたってさえ作用する可能性を有する核酸配列に関する。しかしながら、エンハンサーは所与のプロモーターのごく近傍でもまた機能することがあるので、エンハンサー機能はそのような長い距離に必ずしも限定されない。
3.
【0271】
3.開始シグナルおよび連鎖発現
特異的な開始シグナルもまた、コード配列の効率的な翻訳のために、本開示において提供される発現構築物において使用される場合がある。これらのシグナルには、ATG開始コドンまたは隣接配列が含まれる。ATG開始コドンを含めて外因性の翻訳制御シグナルが提供される必要がある場合がある。当業者は、このことを決定し、必要なシグナルを提供することが容易にできるであろう。開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために所望のコード配列の読み枠と「インフレーム」でなければならないことが、広く知られている。外因性の翻訳制御シグナルおよび開始コドンは天然型または合成のどちらもが可能である。発現効率が、適切な転写エンハンサーエレメントを含むことによって増強される場合がある。
【0272】
ある特定の実施形態において、配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメントの使用が、多重遺伝子またはポリシストロンメッセージを創出するために使用される。IRESエレメントは、5’メチル化Capに依存する翻訳のリボソームスキャンモデルを迂回し、翻訳を内部部位において開始させることができる。ピコルナウイルス科の2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)から得られる様々なIRESエレメントが、哺乳動物メッセージから得られるIRESと同様に記載されている。IRESエレメントを異種のオープンリーディングフレームに連結することができる。多数のオープンリーディングフレームが、それぞれがIRESによって隔てられて一緒になるように転写され、これによりポリシストロンメッセージをもたらすことが可能である。IRESエレメントによって、それぞれのオープンリーディングフレームが、効率的な翻訳のためにリボソームに接触可能である。多数の遺伝子を、ただ1つのメッセージを転写するためにただ1つのプロモーター/エンハンサーを使用して効率的に発現させることができる。
【0273】
本明細書中のどこか他のところで詳述されるように、ある特定の2A配列エレメントが、本開示において提供される構築物における遺伝子の連鎖発現または共発現を生じさせるために使用され得るであろう。例えば、切断配列が、オープンリーディングフレームを連結して単一のシストロンを形成することによって遺伝子を共発現させるために使用され得るであろう。1つの例示的な切断配列が、ウマ鼻炎Aウイルス(E2A)もしくはF2A(口蹄疫ウイルス2A)または「2A様」配列(例えば、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス2A;T2A)またはブタテッショウウイルス-1(P2A)である。具体的な実施形態において、1つのベクターにおいて、多数の2A配列は同一でなく、だが、代替となる実施形態において、同じベクターが2つ以上の同じ2A配列を利用する。2A配列の様々な例が米国特許出願公開第2011/0065779号(その全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)において提供される。
4.
【0274】
4.複製起点
ベクターを宿主細胞において増やすために、ベクターは1つまたは複数の複製起点部位(これは「ori」と呼ばれることが多い)を含有する場合があり、例えば、複製が開始される特異的な核酸配列である、上記で記載されるようなEBVのoriPに対応する核酸配列、またはプログラミングにおける類似する機能もしくは高まった機能を有する遺伝子操作されたoriPを含有する場合がある。代替において、上記で記載されるような他の染色体外複製ウイルスの複製起点、または自律的複製配列(ARS)を用いることができる。
5.
【0275】
5.選択マーカーおよびスクリーニングマーカー
いくつかの実施形態において、本開示の構築物を含むNK細胞が、マーカーを発現ベクターに含むことによってインビトロまたはインビボにおいて特定される場合がある。そのようなマーカーは、特定可能な変化を細胞に与え、これにより、発現ベクターを含有する細胞の容易な特定を可能にするであろう。一般に、選択マーカーは、選択について可能にする性質を与えるものである。正の選択マーカーは、マーカーの存在がその選択について可能にするものであり、一方、負の選択マーカーは、その存在がその選択を妨げるものである。正の選択マーカーの一例が薬物耐性マーカーである。
【0276】
通常、薬物選択マーカーを含むことにより、形質転換体のクローニングおよび特定が助けられる。例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ヒグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシンおよびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子が、有用な選択マーカーである。条件の実施に基づく形質転換体の識別について可能にする表現型を与えるマーカーに加えて、比色分析がその基礎であるスクリーニングマーカー(例えば、GFPなど)を含めた他のタイプのマーカーもまた意図される。代替において、負の選択マーカーとしてのスクリーニングマーカー、例えば、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(tk)、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などが利用される場合がある。当業者はまた、免疫学的マーカーを場合によりFACS分析と併せてどのように用いるかを知っているであろう。使用されるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現されることが可能である限り、重要でないと思われる。選択マーカーおよびスクリーニングマーカーのさらなる例が当業者には広く知られている。
【0277】
B.マルチシストロンベクター
特定の実施形態において、BCMA標的化CAR、自殺遺伝子、サイトカインおよび/または随意的な治療用遺伝子は、マルチシストロンベクターから発現させられる(用語「シストロン」は、本明細書中で使用される場合、遺伝子産物が産生され得る核酸配列を示す)。具体的な実施形態において、マルチシストロンベクターは、BCMA標的化CAR、TNF-アルファ変異体、および少なくとも1つのサイトカイン、ならびに/あるいは操作された受容体(例えば、T細胞受容体および/またはさらなる非BCMA標的化CARなど)をコードする。いくつかの場合において、マルチシストロンベクターは、少なくとも1つのBCMA標的化CAR、少なくとも1つのTNF-アルファ変異体、および少なくとも1つのサイトカインをコードする。サイトカインは、ヒトまたはマウスまたはいずれかの生物種などの特定のタイプのサイトカインである場合がある。具体的な場合において、サイトカインは、IL15、IL12、IL2、IL18および/またはIL21である。
【0278】
ある特定の実施形態において、本開示は、多数のシストロンを実質的に同一のレベルで発現させることができるポリシストロンベクターを利用する柔軟なモジュール型システムを提供する(用語「モジュール型(の)」は、本明細書中で使用される場合、シストロンまたはシストロンの成分の互換性について、例えば、標準的な組換え技術を使用することによってシストロン全体またはシストロンの成分をそれぞれ除くこと、および取り換えことなどによる互換性について可能にする、シストロンまたはシストロンの成分を示す)。このシステムは、多数の遺伝子の組み合わせ発現(過剰発現を含む)について可能にする細胞工学のために使用される場合がある。具体的な実施形態において、ベクターによって発現させられる遺伝子の1つまたは複数が、1つ、2つまたはそれ以上の抗原受容体を含む。多数の遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、およびキメラなサイトカイン受容体などを含む場合があり、しかし、これらに限定されない。ベクターはさらに、(1)1つまたは複数のレポーター、例えば、蛍光性レポーターまたは酵素レポーター、例えば、細胞アッセイおよび動物イメージングのためなどのレポーター;(2)1つまたは複数のサイトカインまたは他のシグナル伝達分子;ならびに/あるいは(3)自殺遺伝子を含む場合がある。
【0279】
具体的な場合において、ベクターは、どのような種類の切断部位によってであれ、例えば、2A切断部位などによって隔てられる少なくとも4つのシストロンを含むことがある。ベクターは、3’側および5’側のLTRをpsiパッケージング配列とともにpUC19骨格において含むモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLVまたはMMLV)型である場合があり、またはそうでない場合がある。ベクターは、3つ以上の2A切断部位を有する4つ以上のシストロンと、遺伝子交換のための多数のORFとを含む場合がある。このシステムは、サブクローニングを介した迅速な組込みのための制限部位(1つまたは複数)と隣接する多数の遺伝子(7つ以上)の組み合わせ過剰発現について可能にし、いくつかの実施形態において、このシステムはまた、少なくとも3つの2A自己切断部位を含む。したがって、このシステムは、多数のCAR、TCR、シグナル伝達分子、サイトカイン、サイトカイン受容体および/またはホーミング受容体の発現について可能にする。このシステムはまた、限定されないが、レンチウイルス、アデノウイルスAAV、同様にまた非ウイルスプラスミドを含めて、他のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターにも適用される場合がある。
【0280】
システムのモジュール特質はまた、ポリシストロン発現ベクターにおける4つのシストロンのそれぞれへの遺伝子の効率的なサブクローニング、および遺伝子の交換を、例えば、迅速な試験などのために可能にする。ポリシストロン発現ベクターに戦略的に設置される制限部位は、遺伝子を効率的に交換することについて可能にする。
【0281】
本開示の実施形態は、ベクターの少なくとも一部が、例えば、1つまたは複数のシストロン(あるいは1つまたは複数のシストロンの成分(1つまたは複数))の除去および取り換えを、例えば、ベクターのモジュール使用を容易にするために素性および配置が特異的に選択される1つまたは複数の制限酵素部位を利用することなどにより可能にすることによってモジュール型であるポリシストロンベクターを利用するシステムを包含する。ポリシストロンベクターはまた、多数のシストロンが単一のポリペプチドに翻訳され、別々のポリペプチドにプロセシングされ、それにより、ベクターが実質的に等モル濃度で別々の遺伝子産物を発現させる利点を与える様々な実施形態を有する。
【0282】
本開示のベクターは、モジュール性によりベクターの1つまたは複数のシストロンを変化させることができるように、ならびに/あるいは1つまたは複数の特定のシストロンの1つまたは複数の成分を変化させることができるように構成される。本開示のベクターは、1つまたは複数のシストロンの末端に隣接する特有の制限酵素部位、ならびに/あるいは特定のシストロンの1つまたは複数の成分の末端に隣接する特有の制限酵素部位を利用するように設計される場合がある。
【0283】
本開示の実施形態には、1つまたは複数の制限酵素部位とそれぞれが隣接する少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのシストロンを含むポリシストロンベクターであって、少なくとも1つのシストロンが少なくとも1つの抗原受容体をコードする、ポリシストロンベクターが含まれる。いくつかの場合において、シストロンの2つ、3つ、4つまたはそれ以上がただ1つのポリペプチドに翻訳され、別々のポリペプチドに切断され、これに対して、他の場合において、シストロンの多数がただ1つのポリペプチドに翻訳され、別々のポリペプチドに切断される。ベクターにおける隣り合うシストロンは、自己切断部位によって、例えば、2A自己切断部位などによって隔てられる場合がある。いくつかの場合において、シストロンのそれぞれが別々のポリペプチドをベクターから発現させる。特定の場合について、ベクターにおける隣り合うシストロンはIRESエレメントによって隔てられる。
【0284】
ある特定の実施形態において、本開示は、例えば、1つ、2つまたはそれ以上の抗原受容体を含むことがある多数のシストロンの過剰発現を含めて、そのような多数のシストロンの組み合わせ発現について可能にする細胞工学のためのシステムを提供する。特定の実施形態において、本明細書中に記載されるようなポリシストロンクベクターを使用することにより、ベクターは、等モルレベルの多数の遺伝子産物を同じmRNAから産生させることができる。多数の遺伝子は、CAR、TCR、サイトカイン、ケモカイン、ホーミング受容体、CRISPR/Cas9媒介遺伝子変異、デコイ受容体、サイトカイン受容体、およびキメラなサイトカイン受容体などを含む場合があり、しかし、これらに限定されない。ベクターはさらに、1つまたは複数の蛍光性レポーターまたは酵素レポーター、例えば、細胞アッセイおよび動物イメージングのためなどのレポーターを含む場合がある。ベクターはまた、ベクターを含んでいる細胞がもはや必要とされないとき、または当該細胞が与えられている宿主にとって有害となるときには、当該細胞の終結のための自殺遺伝子産物を含む場合がある。
【0285】
本開示の特定の実施形態において、ベクターにおけるシストロンの少なくとも1つが2つ以上のモジュール型成分を含み、ただし、シストロン内のモジュール型成分のそれぞれが1つまたは複数の制限酵素部位と隣接する。シストロンは、例えば、3つ、4つまたは5つのモジュール型成分を含む場合がある。少なくともいくつかの場合において、シストロンは、受容体の異なる部分が対応のモジュール型成分によってコードされる抗原受容体をコードする。シストロンの第1のモジュール型成分が受容体の抗原結合ドメインをコードする場合がある。加えて、シストロンの第2のモジュール型成分が受容体のヒンジ領域をコードする場合がある。加えて、シストロンの第3のモジュール型成分が受容体の膜貫通ドメインをコードする場合がある。加えて、シストロンの第4のモジュール型成分が第1の共刺激ドメインをコードする場合がある。加えて、シストロンの第5のモジュール型成分が第2の共刺激ドメインをコードする場合がある。加えて、シストロンの第6のモジュール型成分がシグナル伝達ドメインをコードする場合がある。
【0286】
本開示の特定の局面において、ベクターにおける2つの異なるシストロンがそれぞれ、同一でない抗原受容体をコードする。両方の抗原受容体が、2つ以上のモジュール型成分を含む別々のシストロンを含めて、2つ以上のモジュール型成分を含むシストロンによってコードされる場合がある。抗原受容体は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)および/または、T細胞受容体(TCR)である場合がある。
【0287】
具体的な実施形態において、ベクターは、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクター)あるいは非ウイルスベクターである。ベクターは、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)の5’LTR、3’LTR、および/またはpsiパッケージングエレメントを含む場合がある。具体的な場合において、psiパッケージングが、5’LTRと、抗原受容体コード配列との間に組み込まれる。ベクターはpUC19配列を含む場合があり、または含まない場合がある。ベクターのいくつかの局面において、少なくとも1つのシストロンが、サイトカイン(例えば、インターロイキン15(IL-15)、IL-7、IL-21またはIL-2)、ケモカイン、サイトカイン受容体および/またはホーミング受容体をコードする。
【0288】
2A切断部位がベクターにおいて利用されるとき、2A切断部位は、P2A部位、T2A部位、E2A部位および/またはF2A部位を含む場合がある。
【0289】
BCMA標的化CARをコードする1つのシストロンに加えて、ベクターのシストロンはどれも自殺遺伝子を含む場合がある。ベクターのシストロンはどれもレポーター遺伝子をコードする場合がある。具体的な実施形態において、第1のシストロンが自殺遺伝子をコードし、第2のシストロンがBCMA標的化CARをコードし、第3のシストロンがレポーター遺伝子をコードし、第4のシストロンがサイトカインをコードする。ある特定の実施形態において、第1のシストロンが自殺遺伝子をコードし、第2のシストロンがBCMA標的化CARをコードし、第3のシストロンが第2のCARまたは別の抗原受容体をコードし、第4のシストロンがサイトカインをコードする。具体的な実施形態において、BCMA標的化CARおよび/または別の受容体の種々の部分が対応のモジュール型成分によってコードされ、第2のシストロンの第1の成分が抗原結合ドメインをコードし、第2の成分がヒンジドメインおよび/または膜貫通ドメインをコードし、第3の成分が共刺激ドメインをコードし、第4の成分がシグナル伝達ドメインをコードする。
【0290】
本開示の方法および組成物は、どのような順序であれ好適な順序のシストロンを1つのベクターにおいて包含する。
【0291】
特定の実施形態において、ベクターの多数のシストロンが、対応する多数のシストロンから単一の転写物への遺伝子の発現に備える1つまたは複数のエレメントによって隔てられる。単一の転写物は続いて翻訳されて、多数のタンパク質が別々のタンパク質分子になるようにプロセシングされる(例えば、切断によってプロセシングされる)多タンパク質ポリペプチドをもたらす。例示的なエレメントが、自己切断ペプチドをコードする部位であり、例えば、2Aペプチド切断配列などである。他の切断部位には、フリン切断部位またはタバコエッチウイルス(TEV)切断部位が含まれる。他の場合において、ベクターのシストロンは、別々のシストロンの異なった翻訳に備える1つまたは複数のエレメント(例えば、IRES配列など)によって隔てられる。いくつかの場合において、ベクターは両方のタイプのエレメントの組み合わせを利用する。
【0292】
目的とする遺伝子カーゴは、ベクターから発現され得る少なくとも1つのORFを含む1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上のシストロンを含む場合がある。本開示の実施形態には、目的とする遺伝子カーゴが現時点ではベクターに収容されていないことがあり、しかし、ベクターがそれでもなお、シストロンが存在するときには該シストロンの発現および/またはさらなるプロセシングのために要求される1つまたは複数の構造的エレメントまたはハウスキーピングエレメント(例えば、プロモーター(1つまたは複数)、多数の2A配列など)を保持する状態でのベクターが含まれる。ベクターは、単一のポリペプチドに翻訳され、(例えば、2A自己切断部位を隣り合うシストロンの間で使用することなどによって)別々のポリペプチドにプロセシングされ得る多数のシストロンを有する場合がある。代替となる実施形態において、シストロンの多数が、(例えば、IRESエレメントを隣り合うシストロンの間で使用することなどによって)別々のポリペプチドとして発現させられる。
【0293】
具体的な場合において、ベクターにおける目的とする遺伝子カーゴの構造は以下の通りである場合がある:
シストロン1-2A-シストロン2-2A-シストロン3-2A-シストロン4
【0294】
式中、具体的な実施形態において、シストロン1、シストロン2、シストロン3およびシストロン4は異なる遺伝子である。少なくともいくつかの場合において、ベクター内の2A配列は同一である場合があり、または同一でない場合がある。
【0295】
具体的な実施形態において、シストロンの少なくとも1つが自殺遺伝子をコードする。いくつかの実施形態において、シストロンの少なくとも1つがサイトカインをコードする。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのシストロンがBCMA標的化CARをコードする。シストロンはレポーター遺伝子をコードする場合があり、またはコードしない場合がある。ある特定の実施形態において、少なくとも2つのシストロンが2つの異なる抗原受容体(例えば、CARおよび/またはTCR)をコードする。シストロンはレポーター遺伝子をコードする場合があり、またはコードしない場合がある。
【0296】
目的とする遺伝子カーゴの特定の構成において、ただ1つのベクターが、BCMA標的化CARをコードするシストロンと、該BCMA標的化CAR受容体と同一ではない第2の抗原受容体をコードするシストロンとを含む場合がある。具体的な実施形態において、第1の抗原受容体がBCMA標的化CARをコードし、第2の抗原受容体がTCRをコードし、あるいは逆に、第1の抗原受容体がTCRをコードし、第2の抗原受容体がBCMA標的化CARをコードする。特定の実施形態において、BCMA標的化CARと、第2の抗原受容体とをそれぞれコードする別々のシストロンを含むベクターはまた、サイトカインまたはケモカインをコードする第3のシストロンと、自殺遺伝子をコードする第4のシストロンとを含む。しかしながら、自殺遺伝子および/またはサイトカイン(もしくはケモカイン)はベクターに存在しない場合がある。
【0297】
特定の実施形態において、少なくとも1つのシストロンが、モジュール型である多数の成分自体を含む。例えば、1つのシストロンが、多成分の遺伝子産物、例えば、多数の部分を有する抗原受容体などをコードすることがある;具体的な場合において、抗原受容体は、最終的には単一のポリペプチドを産生させることをそれによりもたらす単一のシストロンからコードされる。多数の成分をコードするシストロンは、シストロンを含むベクターに特有である1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の制限酵素消化部位を含めて、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上の制限酵素消化部位によって隔てられる多数の成分を有する場合がある(図1Aおよび図1B)。具体的な実施形態において、多数の成分を有するシストロンが、それぞれが特有の機能を受容体に属させる多数の対応する部分を有する抗原受容体をコードする。具体的な実施形態において、多成分シストロンの成分のそれぞれまたは大部分が、ベクターに特有である1つまたは複数の制限酵素消化部位によって隔てられており、これにより、所望されるときには別個の成分の互換性が可能となっている。
【0298】
1つの例示として、多成分シストロンの一例のモジュール性が以下のように構成され、この場合、それぞれのXによって表されるような1つまたは複数の特有の制限酵素部位が存在する:
成分1--X-成分2---X-成分3---X-成分4---X-成分5---X-など。
【0299】
具体的な実施形態において、多成分シストロンのそれぞれの成分が、コードされた抗原受容体(例えば、BCMA標的化CARなど)の異なる部分に対応する。例示的な実施形態において、成分1が受容体のBCMA抗原結合ドメインをコードする場合があり、成分2が受容体のヒンジドメインをコードする場合があり、成分3が受容体の膜貫通ドメインをコードする場合があり、成分4が受容体の共刺激ドメインをコードする場合があり、成分5が受容体のシグナル伝達ドメインをコードする場合がある。具体的な実施形態において、BCMA標的化CARは、受容体内の共刺激ドメイン(1つまたは複数)の互換性のための特有の制限酵素消化部位によってそれぞれが隔てられる1つまたは複数の共刺激ドメインを含む場合がある。
【0300】
具体的な実施形態において、隣り合うシストロンが2A切断部位によって隔てられる4つの別個のシストロンを有するポリシストロンベクターが存在し、だが、具体的な実施形態において、2A切断部位の代わりに、別々のポリペプチドがシストロンから産生されることを直接的または間接的に生じさせるエレメント(例えば、IRES配列など)が存在する。例えば、4つの別個のシストロンが3つの2Aペプチド切断部位によって隔てられる場合があり、それぞれのシストロンが、シストロンのそれぞれの末端に隣接して、特定のシストロンの互換性、例えば、別のシストロンまたは他のタイプの配列との互換性、および標準的な組換え技術を使用したときの互換性などについて可能にする制限部位(X、Xなど)を有する。具体的な実施形態において、シストロンのそれぞれに隣接する制限酵素部位(1つまたは複数)は、容易な組換えを可能にするためにベクターに特有であり、だが、代替となる実施形態において、制限酵素部位はベクターに特有でない。
【0301】
特定の実施形態において、ベクターは、特定のシストロンの多数の成分の内部を含めて、特定のシストロンの内部における互換性について可能にすることによって、特有の第2のレベルのモジュール性を提供する。特定のシストロンの多数の成分が、シストロン内の1つまたは複数の成分の互換性について可能にするために、ベクターに特有な制限酵素部位を含めて1つまたは複数の制限酵素部位によって隔てられる場合がある。一例として、シストロン2が5つの別個の成分を含む場合があり、だが、シストロンあたり2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の成分が存在する場合がある。一例として、ベクターが、異なる成分1、成分2、成分3、成分4および/または成分5を交換するための標準的な組換えについて可能にするために、特有の酵素制限部位(X、X10、X11、X12、X13およびX14)によってそれぞれが隔てられる5つの成分を有するシストロン2を含む場合がある。いくつかの場合において、異なる成分の間には、(特有である)多数の制限酵素部位が存在する場合があり(だが、代替においては1つまたは複数が特有でない)、また、多数の制限酵素部位の間には配列が存在する場合がある(だが、代替においては存在しない場合がある)。ある特定の実施形態において、シストロンによってコードされるすべての成分が、交換可能であるという目的のために設計される。特定の場合において、シストロンの1つまたは複数の成分が、交換可能であるように設計され、これに対して、このシストロンの1つまたは複数の他の成分が、交換可能であるように設計されない場合がある。
【0302】
具体的な実施形態において、1つのシストロンが、多数の成分を有するBCMA標的化CAR分子をコードする。例えば、シストロン2が、成分1、成分2、成分3などによって表されるその別々の成分を有するBCMA標的化CAR分子をコードする配列から構成される場合がある。CAR分子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれ以上の交換可能な成分を含む場合がある。具体例において、成分1がBCMA scFvをコードし、成分2がヒンジをコードし、成分3が膜貫通ドメインをコードし、成分4が共刺激ドメインをコードし(だが、交換のための制限部位と隣接する第2またはそれ以上の共刺激ドメインをコードする成分4’もまた存在する場合があり)、成分5がシグナル伝達ドメインをコードする。特定の例において、成分1がBCMA scFvをコードし、成分2がIgG1ヒンジおよび/または膜貫通ドメインをコードし、成分3がCD28をコードし、成分4がCD3ゼータをコードする。
【0303】
当業者はベクターの設計においては、様々なシストロンおよび成分が、必要なときにはインフレームで保たれるように構成されなければならないことを認識している。
【0304】
特定の例において、シストロン1が自殺遺伝子をコードし、シストロン2がBCMA標的化CARをコードし、シストロン3がレポーター遺伝子をコードし、シストロン4がサイトカインをコードし、シストロン2の成分1がBCMA scFvをコードし、シストロン2の成分2がIgG1ヒンジをコードし、シストロン2の成分3がCD28をコードし、成分4がCD3ゼータをコードする。
【0305】
制限酵素部位はどのような種類のものであってもよく、その認識部位においてどのような数の塩基を含んでいてもよい(例えば、4塩基~8塩基の間など);認識部位における塩基数は、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個またはそれ以上である場合がある。切断されたときの部位は平滑切断末端または付着末端を生じさせる場合がある。制限酵素は、例えば、I型、II型、III型またはIV型のものである場合がある。様々な制限酵素部位が、利用可能なデータベースから、例えばIntegrated relational Enzyme database(IntEnz)、またはBRENDA(The Comprehensive Enzyme Information System)などから得られる場合がある。
【0306】
例示的なベクターは環状である場合があり、慣例によって、位置1(円の上部における12時の位置、配列の残りが時計回り方向である)が、5’LTRの開始部に設定される。
【0307】
自己切断2Aペプチドが利用される実施形態において、2Aペプチドは、ポリペプチドの「切断」を真核生物細胞における翻訳の期間中に媒介する18~22アミノ酸(aa)長のウイルスオリゴペプチドである場合がある。呼称「2A」はウイルスゲノムの特定の領域を示し、種々のウイルス2Aが一般には、それらが得られたウイルスにちなんで名付けられている。最初に発見された2AがF2A(口蹄疫ウイルス)であり、その後、E2A(ウマ鼻炎Aウイルス)、P2A(ブタテッショウウイルス-1 2A)、およびT2A(トセア・アシグナウイルス2A)もまた特定された。2A媒介「自己切断」の機構は、リボソームが2AのC末端でのグリシル-プロリルペプチド結合の形成をスキップすることであることが発見された。高度に保存された配列GDVEXNPGP(配列番号51)が種々の2AによってC末端で共有されており、立体障害およびリボソームスキッピングをもたらすために有用である。翻訳のスキップおよび再開が成功すると、2つの「切断された」タンパク質が生じる。2A配列の様々な例が下記の通りである:
T2A:(GSG)E G R G S L L T C G D V E E N P G P(配列番号52)
P2A:(GSG)A T N F S L L K Q A G D V E E N P G P(配列番号53)
E2A:(GSG)Q C T N Y A L L K L A G D V E S N P G P(配列番号54)
F2A:(GSG)V K Q T L N F D L L K L A G D V E S N P G P(配列番号55)
【0308】
具体的な場合において、ベクターはγ-レトロウイルス移入ベクターである場合がある。レトロウイルス移入ベクターは、プラスミドに基づく骨格、例えば、pUC19プラスミドに基づく骨格(HindIII制限酵素部位と、EcoRI制限酵素部位との間における大きなフラグメント(2.63kb))などを含む場合がある。骨格は、5’LTR、psiパッケージング配列および3’LTRを含めてモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)からのウイルス成分を有する場合がある。LTRは、レトロウイルスのプロウイルスの両側に見出される長い末端反復配列であり、移入ベクターの場合には、目的とする遺伝子カーゴ、例えば、BCMA標的化CARおよび関連成分などを囲む。psiパッケージング配列(これはヌクレオカプシドによるパッケージングのための標的部位である)もまた、5’LTRと、CARコード配列との間に挟まれて、シスで組み込まれる。したがって、移入ベクターの一例の基本構造はそのようなものとして、すなわち、pUC19配列-5’LTR-psiパッケージング配列-目的とする遺伝子カーゴ-3’LTR-pUC19配列として構成されることが可能である。このシステムはまた、限定されないが、レンチウイルス、アデノウイルスAAV、同様にまた非ウイルスプラスミドを含めて、他のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターにも適用される場合がある。
【0309】
V.細胞
本開示は、BCMA標的化CARをコードし、かつ、少なくとも1つのサイトカインおよび少なくとも1つの自殺遺伝子もまたコードする場合があるベクターを含んでいる免疫細胞または幹細胞をどのような種類のものであれ包含する。いくつかの場合において、種々のベクターが、自殺遺伝子および/またはサイトカインをコードするのに対してCARをコードする。NK細胞は、臍帯血、末梢血、人工多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)または骨髄に由来する場合がある。NK細胞は、例えば、細胞株に由来する場合があり、例えば、限定されないが、NK-92細胞などに由来する場合がある。NK細胞は、臍帯血単核細胞、例えば、CD56+NK細胞などである場合がある。
【0310】
本開示は、従来のT細胞、NK細胞、ガンマ-デルタT細胞、NKT細胞およびインバリアントNK T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球またはそれらの混合物を含めて、どのような種類の免疫細胞であっても包含する。
【0311】
いくつかの場合において、細胞は、どのような比率であれ好適な比率を含めて、効果的な量のユニバーサル抗原提示細胞(UAPC)の存在下で拡大されている。細胞は、例えば、1:2の比率を含めて、10:1~1:10、9:1~1:9、8:1~1:8、7:1~1:7、6:1~1:6、5:1~1:5、4:1~1:4、3:1~1:3、2:1~1:2、または1:1の比率でUAPCと培養される場合がある。いくつかの場合において、NK細胞はIL-2の存在下、例えば、10~500U/mL、10~400U/mL、10~300U/mL、10~200U/mL、10~100U/mL、10~50U/mL、100~500U/mL、100~400U/mL、100~300U/mL、100~200U/mL、200~500U/mL、200~400U/mL、200~300U/mL、300~500U/mL、300~400U/mL、または400~500U/mLの濃度で拡大された。
【0312】
ベクター(1つまたは複数)による遺伝子改変の後、NK細胞は直ちに注入される場合があり、または貯蔵される場合がある。ある特定の局面において、遺伝子改変の後、細胞は、細胞への遺伝子導入の後で約1日、2日、3日、4日、5日またはそれ以上のうちにバルク集団としてエクスビボで数日間、数週間または数ヶ月間にわたって増やされる場合がある。さらなる局面において、トランスフェクタントがクローン化され、ただ1つの組み込まれた、またはエピソームで維持された発現カセットまたはプラスミドの存在、およびBCMA標的化CARの発現を明らかに示すクローンが、エクスビボで拡大される。拡大のために選択されるクローンは、BCMA発現標的細胞を特異的に認識し、かつ溶解する能力を明らかに示す。組換え免疫細胞が、IL-2、または共通のガンマ鎖と結合する他のサイトカイン(例えば、IL-7、IL-12、IL-15およびIL-21など)による刺激によって拡大される場合がある。組換え免疫細胞が、人工抗原提示細胞による刺激によって拡大される場合がある。さらなる局面において、遺伝子改変細胞は凍結保存される場合がある。
【0313】
本開示の実施形態は、本明細書中に包含されるような1つまたは複数のBCMA標的化CARおよび1つまたは複数のTNF-アルファ変異体を発現する細胞を包含する。NK細胞は具体的な実施形態において、1つまたは複数のBCMA標的化CARと、1つまたは複数の操作された非分泌型の膜結合型TNF-アルファ変異体ポリペプチドとをコードする組換え核酸を含む。具体的な実施形態において、1つまたは複数のBCMA標的化CARと、TNF-アルファ変異体ポリペプチドとを発現することに加えて、細胞はまた、1つまたは複数の治療用遺伝子産物をコードする核酸を含む。
【0314】
細胞は個体から直接的に得られる場合があり、あるいは保管施設または他の貯蔵施設から得られる場合がある。治療としての細胞は、細胞が治療として与えられる個体に関して自家または同種である場合がある。
【0315】
細胞は、医学的状態のための治療を必要としている個体から得られる場合があり、BCMA標的化CAR、随意的なTNF-アルファ変異体および随意的な治療用遺伝子産物を発現させるためのその処理を(例えば、養子細胞療法のための形質導入および拡大のための標準的な技術を使用して)行った後で、元々の供給源であった個体に戻される場合がある。いくつかの場合において、細胞は、当該個体または別の個体のためのその後の使用のために貯蔵される。
【0316】
BCMA標的化CARを含んでいるNK細胞で、自殺遺伝子(例えば、TNF-アルファ自殺遺伝子など)によって排除されなければならないことがあるNK細胞は、どのような種類のものであってもよい、当該細胞は細胞集団に含まれる場合があり、その集団は、1つまたは複数のBCMA標的化CARならびに/あるいは1つまたは複数のTNF-アルファ変異体自殺遺伝子ならびに/あるいは1つまたは複数のサイトカインが形質導入される大多数を有する場合がある。細胞集団は、1つまたは複数のBCMA標的化CARならびに/あるいは1つまたは複数のTNF-アルファ変異体自殺遺伝子ならびに/あるいは1つまたは複数のサイトカインが形質導入されるNK細胞を51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%含む場合がある。1つまたは複数のBCMA標的化CARならびに/あるいは1つまたは複数のTNF-アルファ変異体自殺遺伝子ならびに/あるいは1つまたは複数のサイトカインは別々のポリペプチドである場合がある。
【0317】
NK細胞は、具体的な目的に関してモジュール型であるという意図のために1つまたは複数のBCMA標的化CARならびに/あるいは1つまたは複数のTNF-アルファ変異体自殺遺伝子ならびに/あるいは1つまたは複数のサイトカインとともに産生される場合がある。例えば、BCMA標的化CARならびに/あるいは1つまたは複数のTNF-アルファ変異体自殺遺伝子ならびに/あるいは1つまたは複数のサイトカインを発現する細胞が、商用配布のためであることを含めて作製される場合があり(あるいはその後の形質導入のために変異体をコードする核酸とともに配布される場合があり)、また、使用者が、この細胞を、その意図された目的(1つまたは複数)に依存する目的とする1つまたは複数の他の遺伝子(治療用遺伝子を含む)を発現するように改変する場合がある。例えば、BCMA陽性がんを処置することに関心がある個体が、TNF-アルファ変異体発現細胞を得て、または作製して、BCMA特異的scFvを含むCARを発現させるために改変する場合があり、あるいはその逆である場合がある。
【0318】
特定の実施形態において、1つまたは複数のBCMA標的化CARならびに/あるいは1つまたは複数のTNF-アルファ変異体自殺遺伝子ならびに/あるいは1つまたは複数のサイトカインを発現する形質導入されたNK細胞のゲノムが改変される場合がある。ゲノムは、どのような様式であっても改変される場合があり、しかし、具体的な実施形態において、ゲノムは、例えば、CRISPR遺伝子編集によって改変される。細胞のゲノムが、どのような目的のためであっても細胞の有効性を高めるために改変される場合がある。細胞において改変され得る遺伝子の具体例には、以下が含まれる:ADAM13/TACEのノックアウト、腫瘍微小環境(例えば、TGF-ベータ受容体1または2など)に対するTNF-アルファ変異体発現細胞の耐性における増大、IDO、チェックポイント分子(例えば、PD1、TIGIT、KLRG1、TIM3など)など。
【0319】
VI.処置方法
様々な実施形態において、本明細書中で意図されるようなBCMA標的化CAR構築物、核酸配列、ベクターおよび宿主細胞など、ならびに/あるいはそれらを含む医薬組成物は、腫瘍性疾患などのがん性疾患の防止、処置または改善のために使用される。特定の実施形態において、本開示の医薬組成物は、例えば、BCMAを発現し、かつ、固形腫瘍であってもよい、または固形腫瘍でなくてもよいがんを含めて、がんを防止すること、改善すること、および/または処置することにおいて特に有用である場合がある。
【0320】
BCMA標的化CARが利用されるNK細胞は、特定の実施形態において、哺乳動物のための細胞療法のために操作されるNK、T細胞、または誘導NKT細胞である場合がある。細胞がNK細胞であるそのような場合において、NK細胞療法はどのような種類のものであってもよく、NK細胞はどのような種類のものであってもよい。具体的な実施形態において、細胞は、1つまたは複数のBCMA標的化CARならびに/あるいは1つまたは複数のTNF-アルファ変異体自殺遺伝子ならびに/あるいは1つまたは複数のサイトカインを発現するように操作されているNK細胞である。具体的な実施形態において、細胞は、BCMA標的化CARが形質導入されるNK細胞である。
【0321】
特定の実施形態において、本開示では一部において、標準的なベクターおよび/または遺伝子送達システムを使用して単独で、またはどのような組み合わせであってもそのどちらでも、また、少なくともいくつかの局面では医薬的に許容され得るキャリアまたは賦形剤と一緒に投与することができる、BCMA CARを発現する細胞、BCMA標的化CAR構築物、BCMA標的化CAR核酸分子およびBCMA標的化CARベクターが意図される。ある特定の実施形態において、投与後、核酸分子またはベクターが対象のゲノムに安定的に組み込まれる場合がある。
【0322】
具体的な実施形態において、ある特定の細胞または組織について特異的であり、NK細胞において持続するウイルスベクターが使用される場合がある。好適な医薬用のキャリアおよび賦形剤がこの技術分野では広く知られている。本開示に従って調製される組成物は、上記の特定された疾患の防止または処置または遅延化のために使用することができる。
【0323】
さらに、本開示は、腫瘍性疾患の防止、処置または改善のための方法であって、その必要性のある対象に、本明細書中で意図されるような、および/または本明細書中で意図されるようなプロセスによって作製されるような、BCMA標的化CAR、核酸配列、ベクターを発現する細胞の効果的な量を投与する工程を含む方法に関する。
【0324】
例示的なBCMA標的化CAR細胞の組成物(1つまたは複数)を投与するための可能な適応症には、例えば、B細胞悪性腫瘍、多発性骨髄腫、乳がんまたは肺がんを含めて、腫瘍性疾患を含むがん性疾患がある。BCMA標的化CAR細胞の組成物(1つまたは複数)を投与するための例示的な適応症には、BCMAを発現する悪性腫瘍をどのようなものであれ含むがん性疾患がある。本開示の組成物(1つまたは複数)の投与は、例えば、微小残存病変、早期がん、進行がん、ならびに/あるいは転移性がんおよび/または難治性がんを含めて、すべてのステージおよびタイプのがんについて有用である。
【0325】
本開示はさらに、免疫細胞を介して作用する他の化合物(例えば、二重特異性抗体構築物、標的毒素または他の化合物)との同時投与プロトコルを包含する。本発明の化合物(1つまたは複数)の同時投与のための臨床治療計画は、同時での、他成分の投与の前、または他成分の投与の後での同時投与を包含する場合がある。特定の併用療法には、化学療法、放射線、外科手術、ホルモン療法、または他のタイプの免疫療法が含まれる。
【0326】
様々な実施形態が、本明細書中で定義されるようなBCMA標的化CAR構築物、本明細書中で定義されるような核酸配列、本明細書中で定義されるようなベクター、および/または本明細書中で定義されるような宿主を含むキットに関する。本開示のキットは、本明細書中上記で記載されるような医薬組成物を単独であっても、あるいは医学的な処置または介入を必要としている個体に投与されるためのさらなる医薬品との組み合わせであってもそのどちらであれ含むこともまた意図される。
【0327】
A.医薬組成物
本明細書中にはまた、形質導入されたNK細胞と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む医薬組成物および配合物が提供される。形質導入された細胞は、個体への移入のために好適である媒体、および/または個体への移入に先立つ場合を含む保存(例えば、凍結保存など)のために好適である媒体に含まれる場合がある。
【0328】
本明細書中に記載されるような医薬組成物および配合物は、所望の純度を有する有効成分(例えば、細胞など)を1つまたは複数の随意的な医薬的に許容され得るキャリア(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第22版、2012年)と混合することによって、凍結乾燥配合物または水溶液の形態で調製することができる。医薬的に許容され得るキャリアは一般に、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに対して無毒性であり、医薬的に許容され得るキャリアには、下記のものが含まれるが、それらに限定されない:緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸など;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなど;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンなど;グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖、二糖および他の炭水化物;キレート化剤、例えば、EDTAなど;糖,例えば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなど;塩形成対イオン、例えば、ナトリウムなど;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);ならびに/あるいは非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)など。本明細書中における例示的な医薬的に許容され得るキャリアにはさらに、介在性(insterstitial)薬物分散剤、例えば、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)など、例えば、ヒトの可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などが含まれる。rHuPH20を含めて、ある特定の例示的なsHASEGPおよび使用方法が、米国特許出願公開第2005/0260186号および同第2006/0104968号に記載される。1つの局面において、sHASEGPが1つまたは複数のさらなるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼなど)と組み合わされる。
【0329】
B.併用療法
ある特定の実施形態において、本実施形態の組成物および方法では、免疫細胞集団が、少なくとも1つのさらなる治療法との組み合わせで伴う。さらなる治療法は、放射線療法、手術(例えば、乳腺腫瘤摘出術および乳房切除術)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、ホルモン療法、または前述の組み合わせである場合がある。さらなる治療法はアジュバント療法またはネオアジュバント療法の形態である場合がある。
【0330】
いくつかの実施形態において、さらなる治療法は小分子酵素阻害剤または転移抑制剤の投与である。いくつかの実施形態において、さらなる治療法は、副作用制限剤(例えば、処置の副作用の発生および/または重篤度を軽減するために意図される薬剤(例えば、制吐剤など)など)の投与である。いくつかの実施形態において、さらなる治療法は放射線療法である。いくつかの実施形態において、さらなる治療法は手術である。いくつかの実施形態において、さらなる治療法は放射線療法と手術との組み合わせである。いくつかの実施形態において、さらなる治療法はガンマ線照射である。いくつかの実施形態において、さらなる治療法は、PBK/AKT/mTOR経路を標的とする治療、HSP90阻害剤、チューブリン阻害剤、アポトーシス阻害剤、および/または化学予防剤である。さらなる治療法は、この技術分野において知られている化学療法剤の1つまたは複数である場合がある。
【0331】
免疫細胞療法が、さらなるがん療法(例えば、免疫チェックポイント療法など)の前に、その期間中に、その後で、またはそれに対して様々な組み合わせで施される場合がある。施すことが、同時から、数分にまで、数日にまで、数週間にまで及ぶ間隔で行われる場合がある。免疫細胞療法がさらなる治療剤とは別に患者に与えられる実施形態においては一般に、意味のある期間がそれぞれの送達時の後で終了せず、その結果、2つの化合物が依然として、好都合な併用効果を患者に及ぼすことができるであろうことが保証されるであろう。そのような場合、患者には抗体療法および抗がん療法が互いに約12時間~24時間または72時間の範囲内で、より具体的には互いに約6時間~12時間の範囲内で与えられ得ることが意図される。いくつかの状況では、処置のための期間を著しく延長することが望ましい場合があり、この場合、数日(2、3、4、5、6または7)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8)までがそれぞれの投与の間において経過する。
【0332】
様々な組み合わせが用いられる場合がある。下記の例について、免疫細胞療法が「A」であり、抗がん療法が「B」である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0333】
本実施形態の化合物または細胞療法をどのようなものであれ患者に施すことは、もし存在するならば作用因の毒性を考慮して、そのような化合物の投与のための一般的プロトコルに従うであろう。したがって、いくつかの実施形態において、併用療法に起因し得る毒性をモニターする工程が存在する。
1.
【0334】
1.化学療法
広範囲の様々な化学療法剤が本実施形態に従って使用される場合がある。用語「化学療法」は、がんを処置するために薬物を使用することを示す。「化学療法剤」が、がんの処置において投与される化合物または組成物を含意するように使用される。これらの薬剤または薬物は、細胞内におけるそれらの活性様式によって、例えば、それらが細胞周期に影響を与えるかどうか、およびどの段階で影響を与えるかによって分類される。代替において、薬剤が、DNAを直接に架橋し得るか、DNA内へのインターカレーションを生じさせ得るか、または核酸合成に影響を与えることによって染色体異常および有糸分裂異常を誘発し得るかに基づいて特徴づけられる場合がある。
【0335】
化学療法剤の例には、下記のものが含まれる:アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミドなど;アルキルスルホナート、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなど;アジリジン系化合物、例えば、ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)およびウレドパ(uredopa)など;エチレンイミン系化合物およびメチルアメラミン系化合物(methylamelamines)、例を挙げれば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチイレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)およびトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine);アセトゲニン類(とりわけ、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトテシン類(合成類似体のトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(その合成類似体のアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシンを含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体のKW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin)類;スポンギスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン、トロホスファミドおよびウラシルマスタードなど;ニトロソウレア系化合物、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムスチンなど;抗生物質、例えば、エンジイン系抗生物質(例えば、カリケアマイシン、とりわけ、カリケアマイシンガンマI1およびカリケアマイシンオメガI1)など;ジネミシン、例を挙げれば、ジネミシンA;ビスホスホナート系化合物、例えば、クロドロナートなど;エスペラミシン類;同様にまた、ネオカルジノスタチンクロモフォアおよび関連した色素タンパク質エンジイン系抗生物質クロモフォア、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、オートラルニシン(authrarnycin)、アザセリン、ブレオマイシン類、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クモロミシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン類(例えば、マイトマイシンCなど)、ミコフェノール酸、ノガラルニシン(nogalarnycin)、オリボマイシン類、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチンおよびゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸類似体、例えば、デノプテリン、プテロプテリンおよびトリメトレキサートなど;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリンおよびチオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビンおよびフロクスウリジンなど;アンドロゲン類、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオナート、エピチオスタノール、メピチオスタンおよびテストラクトンなど;抗副腎剤(anti-adrenal)、例えば、ミトタンおよびトリロスタンなど;葉酸補充剤、例えば、フロリン酸(frolinic acid)など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトラキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジクオン;エルホルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium);エポチロン類;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシノイド、例えば、メイタンシンおよびアンサミトシン類など;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSKポリサッカリド複合体;ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(とりわけ、T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えば、シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロナート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸など;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン(plicomycin)、ゲムシタビエン(gemcitabien)、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金(transplatinum)、ならびに上記のいずれかの医薬的に許容され得る塩、酸または誘導体。
2.
【0336】
2.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広範囲に使用されている他の要因には、γ線、X線として一般に知られているもの、および/または放射性同位体の腫瘍細胞への誘導送達が含まれる。他の形態のDNA損傷要因もまた意図される:例えば、マイクロ波、陽子線照射(米国特許第5,760,395号および同第4,870,287号)、およびUV照射など。これらの要因のすべてが、DNAに関して、DNAの前駆体に関して、DNAの複製および修復に関して、また、染色体の組み立ておよび維持に関して広範囲の損傷に影響を及ぼす可能性が最も高い。X線についての適用量範囲が、長期間(3週間~4週間)にわたっての50レントゲン~200レントゲンの1日線量から、2000レントゲン~6000レントゲンの単回線量にまで及ぶ。放射性同位体についての適用量範囲は広範囲にわたって変化し、放射性同位体の半減期、放射される放射線の強度およびタイプ、ならびに新生物細胞による取り込みに依存する。
3.
【0337】
3.免疫療法
当業者は、さらなる免疫療法が本実施形態の方法との組み合わせで、または本実施形態の方法との併用で使用され得ることを理解するであろう。がん処置との関連において、免疫療法は一般には、がん細胞を標的とし、破壊するための免疫エフェクター細胞および免疫エフェクター分子の使用に依拠する。リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))がそのような一例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面における何らかのマーカーについて特異的な抗体である場合がある。抗体は単独で、治療のエフェクターとして役立つ場合がある。あるいは、抗体は、実際に細胞殺傷に影響するために他の細胞を動員する場合がある。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)にコンジュゲート化され、標的化剤として役立つ場合がある。代替において、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的のどちらでも相互作用する表面分子を保持するリンパ球である場合がある。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
【0338】
抗体-薬物コンジュゲートが、がん治療剤の開発に対する画期的な取り組みとして現れている。がんは世界における主要な死因の1つである。抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞殺傷薬物に共有結合により連結されるモノクローナル抗体(MAb)を含む。この取り組みでは、MAbの、その抗原標的に対する高い特異性が、非常に強力な細胞毒性薬物と組み合わされ、これにより、高まったレベルの抗原を有する腫瘍細胞にペイロード(薬物)を送達する「武装された」MAbがもたらされる。薬物の標的化された送達はまた、正常な組織におけるその曝露を最小限にし、これにより、毒性の低下および治療指数の改善をもたらしている。FDAによる2つのADC薬物の承認により、すなわち、2011年におけるADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン)および2013年におけるKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシンまたはT-DM1)の承認により、この取り組みが有効であることが証明された。現在では30を超えるADC薬物候補が、がん処置のための臨床試験の様々な段階にある(Leal他、2014)。抗体工学およびリンカー-ペイロード最適化がますます成熟しつつあるので、新しいADCの発見および開発は、この取り組みに対して好適である新しい標的の特定および検証、ならびに標的化用MAbの作製にますます依存している。ADC標的のための2つの判断基準が、腫瘍細胞におけるアップレギュレーションされた/高い発現レベルと、影響を受けない内在化とである。
【0339】
免疫療法の1つの局面において、腫瘍細胞は、標的化されやすい何らかのマーカー、すなわち、他の細胞の大部分には存在しない何らかのマーカーを有しなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在しており、これらのどれもが、本実施形態との関連において標的化のために好適である場合がある。一般的な腫瘍マーカーには、CD20、がん胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb B、およびp155が含まれる。免疫療法の1つの代替となる局面が、抗がん作用を免疫刺激作用と組み合わせることである。免疫刺激分子もまた存在しており、これらには、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、ガンマ-IFNなど)、ケモカイン(例えば、MIP-1、MCP-1、IL-8など)、および増殖因子(例えば、FLT3リガンドなど)が含まれる。
【0340】
現時点で検討中または使用中である免疫療法の例には、免疫アジュバント、例えば、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、ジニトロクロロベンゼンおよび芳香族化合物(米国特許第5,801,005号および同第5,739,169号;HuiおよびHashimoto、1998;Christodoulides他、1998);サイトカイン療法、例えば、各種インターフェロン、IL-1、GM-CSF、およびTNF(Bukowski他、1998;Davidson他、1998;Hellstrand他、1998);遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2およびp53(Qin他、1998;Austin-WardおよびVillaseca、1998;米国特許第5,830,880号および同第5,846,945号);およびモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2および抗p185(Hollander、2012;Hanibuchi他、1998;米国特許第5,824,311号)がある。1つまたは複数の抗がん療法が本明細書中に記載される抗体療法とともに用いられる場合があることが意図される。
【0341】
いくつかの実施形態において、免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤である場合がある。免疫チェックポイントはシグナル(例えば、共刺激分子)を強めるか、またはシグナルを弱めるかのどちらもある。免疫チェックポイント遮断によって標的とされ得る抑制性の免疫チェックポイントには、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(これはCD276としてもまた知られている)、Bリンパ球およびTリンパ球のアテニュエーター(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、これはCD152としてもまた知られている)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞の免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM-3)、ならびにT細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)が含まれる。特に、免疫チェックポイント阻害剤はPD-1軸および/またはCTLA-4を標的とする。
【0342】
免疫チェックポイント阻害剤は、小分子、組換え形態のリガンドもしくは受容体などの薬物である場合があり、または特に抗体(例えば、ヒト抗体など)である(例えば、国際特許出願公開WO2015016718;Pardoll、Nat Rev Cancer、12(4):252~64、2012;これらの両方が参照によって本明細書中に組み込まれる)。免疫チェックポイントタンパク質またはその類似体の知られている阻害剤が使用される場合があり、特に、キメラ化形態、ヒト化形態またはヒト形態の抗体が使用される場合がある。当業者は理解しているであろうように、代替名および/または対応名が、本開示において言及されるある特定の抗体については使用されている場合がある。そのような代替名および/または対応名は本開示の文脈では交換可能である。例えば、ランブロリズマブは代替名および対応名のMK-3475およびペンブロリズマブでもまた知られていることが知られている。
【0343】
いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がそのリガンド結合パートナーに結合することを阻害する分子である。具体的な局面において、PD-1リガンド結合パートナーはPDL1および/またはPDL2である。別の実施形態において、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1がその結合パートナーに結合することを阻害する分子である。具体的な局面において、PDL1結合パートナーはPD-1および/またはB7-1である。別の実施形態において、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2がその結合パートナーに結合することを阻害する分子である。具体的な局面において、PDL2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質またはオリゴペプチドである場合がある。例示的な抗体が、米国特許第8735553号、同第8354509号および同第8008449号に記載される(これらのすべてが参照によって本明細書中に組み込まれる)。本明細書中に提供される方法において使用されるための他のPD-1軸アンタゴニストが、例えば、米国特許出願公開第20140294898号、同第2014022021号および同第20110008369号(これらのすべてが参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるなど、この技術分野では知られている。
【0344】
いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体)である。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブおよびCT-011からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されるPDL1またはPDL2の細胞外部分またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。ニボルマブは、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558およびOPDIVO(登録商標)としてもまた知られているものであり、国際公開WO2006/121168に記載される抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブは、MK-3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)およびSCH-900475としてもまた知られているものであり、国際公開WO2009/114335に記載される抗PD-1抗体である。CT-011は、hBATまたはhBAT-1としてもまた知られているものであり、国際公開WO2009/101611に記載される抗PD-1抗体である。AMP-224は、B7-DCIgとしてもまた知られているものであり、国際公開WO2010/027827および同WO2011/066342に記載されるPDL2-Fc融合の可溶性受容体である。
【0345】
本明細書中に提供される方法において標的とすることができる別の免疫チェックポイントが、CD152としてもまた知られている細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列はGenbankアクセション番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞の表面に見出されており、抗原提示細胞の表面のCD80またはCD86に結合したときに「オフ」スイッチとして作用する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面に発現し、抑制シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4はT細胞共刺激タンパク質CD28に類似しており、両方の分子が抗原提示細胞上のCD80およびCD86(これらはまた、B7-1およびB7-2とそれぞれ呼ばれる)に結合する。CTLA4は阻害シグナルをT細胞に伝達し、これに対してCD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA4が制御性T細胞でもまた見出されており、その機能にとって重要である場合がある。T細胞受容体およびCD28を介したT細胞の活性化により、CTLA-4(B7分子についての阻害性受容体)の増大した発現が引き起こされる。
【0346】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体)、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質またはオリゴペプチドである。
【0347】
本方法における使用のために好適である抗ヒトCTLA-4抗体(あるいはそれに由来するVHドメインおよび/またはVLドメイン)を、この技術分野において広く知られている方法を使用して作製することができる。代替において、この技術分野で認められている抗CTLA-4抗体を使用することができる。例えば、米国特許第8,119,129号、国際公開WO01/14424、同WO98/42752に開示される抗CTLA-4抗体;国際公開WO00/37504に開示される抗CTLA-4抗体(CP675,206、これはまた、トレメリムマブとして知られており、以前はチシリムマブ(ticilimumab)として知られていた);米国特許第6,207,156号に開示される抗CTLA-4抗体;Hurwitz他(1998)、Proc Natl Acad Sci USA 95(17):10067~10071に開示される抗CTLA-4抗体;Camacho他(2004)、J Clin Oncology 22(145):Abstract番号2505に開示される抗CTLA-4抗体(抗体CP-675206);およびMokyr他(1998)、Cancer Res、58:5301~5304に開示される抗CTLA-4抗体を、本明細書中に開示される方法において使用することができる。前述の刊行物のそれぞれの教示が本明細書により参照によって組み込まれる。この技術分野で認められているこれらの抗体のいずれかと、CTLA-4への結合について競合する抗体もまた使用することができる。例えば、ヒト化CTLA-4抗体が、国際特許出願公開番号WO2001014424、同WO2000037504、および米国特許第8,017,114号に記載される(これらのすべてが参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0348】
例示的な抗CTLA-4抗体が、イピリムマブ(これは、10D1、MDX-010、MDX-101およびYervoy(登録商標)としてもまた知られている)またはその抗原結合フラグメントおよび変化体である(例えば、国際公開WO01/14424を参照のこと)。他の実施形態において、抗体はイピリムマブの重鎖および軽鎖のCDRまたはVRを含む。したがって、1つの実施形態において、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1ドメイン、CDR2ドメインおよびCDR3ドメインと、イピリムマブのVL領域のCDR1ドメイン、CDR2ドメインおよびCDR3ドメインとを含む。別の実施形態において、抗体は、上述の抗体と同じCTLA-4上のエピトープとの結合について競合し、かつ/または該エピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、上述の抗体との少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブとの少なくとも約90%、95%または99%の可変領域同一性)を有する。
【0349】
CTLA-4を調節するための他の分子には、CTLA-4リガンドおよびCTLA-4受容体、例えば、米国特許第5844905号、同第5885796号、ならびに国際特許出願公開WO1995001994および同WO1998042752(これらのすべてが参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるようなもの、ならびに、イムノアドヘシン、例えば、米国特許第8329867号(これは参照によって本明細書中に組み込まれる)に記載されるようなものが含まれる。
4.
【0350】
4.手術
がんを有する人のおよそ約60%が、予防的、診断的または病期分類、治療的および緩和的な手術を含めて、何らかのタイプの手術を受けることになる。治療的手術は、がん性組織のすべてまたは一部が物理的に除かれ、切除され、かつ/または破壊される摘出を含み、他の治療法との併用で、例えば、本実施形態の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法および/または代替療法などとの併用で使用される場合がある。腫瘍摘出は、腫瘍の少なくとも一部を物理的に除くことを示す。腫瘍摘出に加えて、手術による処置には、レーザー手術、凍結手術、電気手術および顕微鏡下手術(モース術)が含まれる。
【0351】
がん性細胞、組織または腫瘍の一部またはすべてを切除すると、空洞が体内に形成される場合がある。処置が、灌流、直接注入、またはさらなる抗がん療法による当該区域への局所適用によって達成される場合がある。そのような処置が、例えば、1日毎、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎もしくは7日毎に、または1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎および5週間毎に、または1か月毎、2か月毎、3か月毎、4か月毎、5か月毎、6か月毎、7か月毎、8か月毎、9か月毎、10か月毎、11か月毎もしくは12か月毎に繰り返される場合がある。これらの処置は同様に、様々な投与量のものである場合がある。
5.
【0352】
5.他の薬剤
他の薬剤が、処置の治療効力を改善するために本実施形態のある特定の局面との組み合わせで使用され得ることが意図される。これらのさらなる薬剤には、細胞表面受容体のアップレギュレーションおよびGAP結合に影響を与える薬剤、細胞増殖抑制剤および分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導剤に対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる薬剤、または他の生物学的薬剤が含まれる。GAP結合の数を増加させることによる細胞間シグナル伝達における増大は、近隣の過剰増殖性細胞集団に対する抗過剰増殖効果を増大させるであろう。他の実施形態において、細胞増殖抑制剤または分化剤を、処置の抗過剰増殖効力を改善するために本実施形態のある特定の局面との組み合わせで使用することができる。細胞接着の阻害剤が、本実施形態の効力を改善するために意図される。細胞接着阻害剤の例には、フォーカルアドヒージョンキナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンがある。アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を増大させる他の薬剤(例えば、抗体c225など)が、処置効力を改善するために本実施形態のある特定の局面との組み合わせで使用され得るであろうことがさらに意図される。
【0353】
I.本開示のキット
本明細書中に記載される組成物のどれもがキットに含められる場合がある。限定されない例において、細胞、細胞を産生させるための試薬、ベクター、ならびにベクターおよび/またはその成分を作製するための試薬がキットに含められる場合がある。ある特定の実施形態において、NK細胞がキットに含められる場合がある。そのようなキットは細胞の操作のための1つもしくは複数の試薬を有する場合があり、または有しない場合がある。そのような試薬には、例えば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、緩衝液、プライマー、ヌクレオチド、塩、および/またはそれらの組み合わせが含まれる。1つまたは複数のBCMA標的化CAR、自殺遺伝子産物および/またはサイトカインをコードするヌクレオチドがキットに含まれる場合がある。タンパク質、例えば、サイトカイン、またはモノクローナル抗体を含めた抗体などがキットに含まれる場合がある。操作されたCAR受容体の成分をコードするヌクレオチドが、当該成分を作製するための試薬を含めてキットに含まれる場合がある。
【0354】
特定の局面において、キットは本開示のNK細胞療法および同様に別のがん療法を含む。いくつかの場合において、キットには、細胞療法の実施形態に加えて、例えば、第2のがん療法、例えば、化学療法、ホルモン療法および/または免疫療法などもまた含まれる。キット(1つまたは複数)は個体について特定のがんに合わせて調整され、当該個体のためのそれぞれの第2のがん療法を含む場合がある。
【0355】
キットは、好適に等分された本開示の組成物を含む場合がある。キットの成分は水性媒体において、または凍結乾燥形態でどちらでも包装される場合がある。キットの容器手段には一般に、成分が入れられることがある、好ましくは好適に小分けして入れられることがある少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器手段が含まれるであろう。2つ以上の成分がキットに存在する場合、当該キットはまた一般には、さらなる成分が別個に入れられることがある第2、第3または他のさらなる容器を含む場合がある。しかしながら、成分の様々な組合せがバイアルに含められる場合がある。本発明のキットはまた、典型的には、組成物と、どのような試薬容器であれ他の試薬容器とを商用販売のための厳重な閉じ込めで含有するための手段を含むであろう。そのような容器には、所望のバイアルが保持される射出成形プラスチック容器またはブロー成形プラスチック容器が含まれる場合がある。
【実施例
【0356】
下記の実施例は、本開示のある特定の限定されない局面を明らかにするために含まれる。下記の実施例において開示される技術は、開示された主題の実施において十分に機能することが本発明者らによって見出された技術を表すことが、当業者によって理解されなければならない。しかしながら、当業者は本開示に照らして、多くの変化を、開示される具体的な実施形態において行うことができ、また、多くの変化が依然として、同じような結果または類似する結果を、開示された主題の精神および範囲から逸脱することなくもたらし得ることを理解しなければならない。
【0357】
実施例1
NK細胞におけるBCMA標的化キメラ抗原受容体
臍帯血由来NK細胞に、CAR BCMA構築物(BCMA1~BCMA5)のそれぞれを1つ形質導入し、それらの細胞傷害性をMM1.S骨髄腫標的に対して調べた。5つすべての構築物が、エクスビボ拡大された非形質導入のNK細胞と比較して、MM1.S標的に対するNK細胞の細胞傷害性を増大させることにおいて等しく効果的であった(図17Aおよび図17B)。アッセイを、標準的な51クロムアッセイを使用して行った。
【0358】
実施例2
T細胞におけるBCMA標的化キメラ抗原受容体
T細胞に、BCMA CAR構築物1~5のそれぞれを形質導入し、それらの細胞傷害性をMM1.S骨髄腫標的に対して調べた。BCMA CAR構築物のそれぞれを含んでいるT細胞は、拡大された非形質導入のT細胞と比較して、MM1.S標的に対する優れた細胞傷害性を発揮する(図18)。アッセイを、標準的な51クロムアッセイを使用して行った。
【0359】
実施例3
NK細胞におけるBCMA標的化キメラ抗原受容体
本実施例は、BCMA標的化CAR分子を有するNK細胞の特徴づけおよび活性に関する。研究の一部として、多発性骨髄腫細胞株がBCMAの表面発現を有することが示された(図19)。
【0360】
優れたインビトロ細胞傷害性が、コントロールのNT NK細胞と比較して、MM1S、H929およびRPMI8226に対してすべてのBCMA CAR NK細胞についてクロムアッセイによって認められた。アッセイにおいて利用される構築物は以下の通りである:BCMA1はIgSPCOA7D12VLVH28Z15であり、BCMA2はCD8SPC11D53VLVH15であり、BCMA3はCOGSPC11D53VLVHZIL15であり、BCMA4はIgSPA7D12VHVL28Z15であり、BCMA5はIgSPA7D12VLVH28Z15である(図20)。図21は、BCMAをMM1S細胞株においてCRISPR欠失によって発現停止させると、高まった殺傷が、CAR BCMA NK細胞から取り除かれることを明らかにしており、このことは、CAR BCMA NK細胞による殺傷が特異的であることを示している。
【0361】
図22に示されるように、BCMA CAR NK細胞は、コントロールのNT NK細胞と比較して、(CD107aによって表されるように)より著しい脱顆粒を示し、また、より多量のIFN-γおよびTNF-αをMM1S腫瘍細胞およびH929腫瘍細胞に対して産生した。
【0362】
図23は、BCMA CAR NK細胞はMM1S腫瘍保有マウスの生存に影響を与えることができるかを特徴づけるためのインビボ研究の一例を例示する。
【0363】
図24は、様々なBCMA CAR構築物によるNK細胞の形質導入効率を特徴づける。
【0364】
MM1Sマウスモデルにおいて、BCMA CAR NK細胞の抗腫瘍活性が評価され、より少ない腫瘍量が、腫瘍単独またはNT NK細胞と比較したとき、BCMA CAR NK細胞により処置されるすべての動物について認められた(図25)。
【0365】
図26では、BCMA CAR NK細胞の抗腫瘍活性がMM1Sマウスモデルにおいて評価された。長期の生存が、腫瘍単独またはNT NK細胞と比較したとき、BCMA CAR NK細胞により処置されるすべての動物について認められた。この研究では、BCMA2(C11D5.3 scFv;VL-VH)構築物およびBCMA5(A7D12;VL-VH)構築物が、他のCAR構築物よりも大きい生存をもたらした。
【0366】
本実施例は、BCMA CAR NK細胞が、NT NK細胞と比較して多発性骨髄腫標的(MM1SおよびNIH929)に対する優れた細胞傷害性を有すること、また、BCMA CAR NK細胞がインビボでの高まった抗腫瘍活性および長期の生存をもたらすことを示す。
【0367】
本開示およびその利点が詳しく説明されているが、様々な変化、置換および変更が、添付された請求項によって規定されるような設計の精神および範囲から逸脱することなく本明細書中において行われ得ることを理解しなければならない。そのうえ、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法および工程の特定の実施形態に限定されることは意図されない。当業者は本開示から容易に理解するであろう通り、本明細書中に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たす、または実質的に同じ結果を達成するプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法または工程は、現在存在するものであろうと、または後に開発されることになるものであろうと、本開示に従って利用される場合がある。したがって、添付された請求項は、そのようなプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法または工程をその範囲内に含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【配列表】
2022548902000001.app
【国際調査報告】