(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】バッテリー診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/367 20190101AFI20221115BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221115BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20221115BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G01R31/367
H01M10/48 P
G01R31/52
H02J7/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517449
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 KR2020017927
(87)【国際公開番号】W WO2021125674
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0172450
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジン・キム
【テーマコード(参考)】
2G014
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G014AA03
2G014AB61
2G216BB02
2G216CA01
2G216CB11
2G216CB24
2G216CB52
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA09
5G503FA16
5G503FA17
5G503GA01
5G503GC04
5G503GD03
5H030AA09
5H030AS08
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置は、バッテリーセルの電圧を測定する電圧測定部、前記バッテリーセルの電圧に関する近似式を算出する近似式算出部、及び前記バッテリーセルの電圧に関する近似式に基づいて前記バッテリーセルの異常有無を診断する診断部を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセルの電圧を測定する電圧測定部、
前記バッテリーセルの電圧に関する近似式を算出する近似式算出部、及び
前記バッテリーセルの前記電圧に関する近似式に基づいて前記バッテリーセルの異常有無を診断する診断部、
を含む、バッテリー診断装置。
【請求項2】
前記診断部は、前記電圧測定部により測定されたバッテリーセルの前記電圧と前記バッテリーセルの前記電圧に関する前記近似式の差異が予め設定された基準値以上である場合、バッテリー異常として診断する、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項3】
前記基準値は、前記電圧測定部の予め決定された測定誤差値に基づいて設定される、請求項2に記載のバッテリー診断装置。
【請求項4】
前記近似式算出部は、最小二乗法により前記近似式を算出する、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項5】
前記近似式は、前記バッテリーセルの電圧の概形を示すモデル電圧である、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項6】
前記近似式は、指数に関する近似式である、請求項5に記載のバッテリー診断装置。
【請求項7】
前記近似式算出部は、前記バッテリーセルの充電が完了した後の静止区間における前記電圧に関する前記近似式を算出する、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項8】
前記電圧測定部により測定されたバッテリーセルの前記電圧と前記近似式算出部により算出されたバッテリーセルの前記電圧に関する前記近似式を記録するメモリ部をさらに含む、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項9】
前記診断部により前記バッテリーセルに異常が発生したものと判断されると警告アラームを発生させるアラーム部をさらに含む、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項10】
バッテリーセルの電圧を測定する段階、
前記バッテリーセルの電圧に関する近似式を算出する段階、及び
前記バッテリーセルの前記電圧に関する前記近似式に基づいて前記バッテリーセルの異常有無を診断する段階、
を含む、バッテリー診断方法。
【請求項11】
前記バッテリーセルの前記異常有無を診断する段階は、測定されたバッテリーセルの前記電圧と前記バッテリーセルの前記電圧に関する前記近似式の差異が予め設定された基準値以上である場合、バッテリー異常として診断する、請求項10に記載のバッテリー診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年12月20日付韓国特許出願第10-2019-0172450号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーセルの充電時の異常電圧降下の現象を検出するためのバッテリー診断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、二次電池に対する研究と開発が活発になされている。ここで、二次電池は、充放電が可能な電池であって、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池等と最近のリチウムイオン電池を全て含む意味である。二次電池のうちリチウムイオン電池は、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池等に比べてエネルギー密度が遥かに高いという長所がある。また、リチウムイオン電池は、小型、軽量に製作することができるので、移動機器の電源として用いられる。また、リチウムイオン電池は、電気自動車の電源に使用の範囲が拡張され、次世代エネルギー貯蔵媒体として注目を受けている。
【0004】
また、二次電池は、一般的に複数個のバッテリーセルが直列及び/又は並列に連結されたバッテリーモジュールを含むバッテリーパックとして用いられる。そして、バッテリーパックは、バッテリー管理システムにより状態及び動作が管理及び制御される。
【0005】
かかる二次電池の場合、充電周期中に、内部短絡(internal short)と疑われる異常電圧降下の現象が観察されたりもする。かかる異常電圧降下を診断するために、バッテリーの電圧を測定して電圧減少の有無を検出する方法が用いられている。しかし、このような方法によると、バッテリーの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する場合には電圧降下の現象を検出することができるが、電圧降下が瞬間的に発生する場合には検出が不可能であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、バッテリーの電圧に関する近似式を用いてバッテリー充電時の内部短絡による異常電圧降下の現象を正確かつ容易に検出することができるバッテリー診断装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置は、バッテリーセルの電圧を測定する電圧測定部、前記バッテリーセルの電圧に関する近似式を算出する近似式算出部、及び前記バッテリーセルの電圧に関する近似式に基づいて前記バッテリーセルの異常有無を診断する診断部を含むことができる。
【0008】
本発明の一実施形態に係るバッテリー診断方法は、バッテリーセルの電圧を測定する段階、前記バッテリーセルの電圧に関する近似式を算出する段階、及び前記バッテリーセルの電圧に関する近似式に基づいてバッテリーセルの異常有無を診断する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバッテリー診断装置及び方法によると、バッテリーの電圧に関する近似式を用いてバッテリー充電時の内部短絡による異常電圧降下の現象を正確かつ容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】バッテリー制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置の構成を示すブロック図である。
【
図3a】バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する際の電圧変化を示す図である。
【
図3b】バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生する際の電圧変化を示す図である。
【
図4a】バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する際のEOC(End of Charge)を示す図である。
【
図4b】バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生する際のEOCを示す図である。
【
図5】バッテリーの実際の静止(rest)電圧と近似式による電圧の差異値を示すグラフである。
【
図6a】本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置でバッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生することを検出した結果を示す図である。
【
図6b】バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生することを検出した結果を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るバッテリー診断方法を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を参照しつつ、本発明の多様な実施形態について詳細に説明する。本文書において、図上の同一な構成要素に対しては同一な参照符号を付し、同一な構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0012】
本文書に開示されている本発明の多様な実施形態に対して、特定の構造的ないし機能的な説明は、単に本発明の実施形態を説明するための目的で例示されたものであって、本発明の多様な実施形態は、種々の形態で実施されてもよく、本文書に説明された実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。
【0013】
多様な実施形態で用いられた「第1」、「第2」、「1番目」又は「2番目」等の表現は、多様な構成要素を、順序及び/又は重要度に関係なく修飾してもよく、当該構成要素を限定しない。例えば、本発明の権利範囲から逸脱せずに、第1構成要素は第2構成要素と命名してもよく、それと同様に、第2構成要素も第1構成要素に変更して命名してもよい。
【0014】
本文書において用いられた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、他の実施形態の範囲を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明らかに他を意味しない限り、複数の表現を含むことができる。
【0015】
技術的であるか科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味を有してよい。一般的に用いられる辞書に定義された用語は、関連技術の文脈上有する意味と同一又は類似した意味を有するものと解釈されてもよく、本文書で明らかに定義されない限り、理想的であるか過度に形式的な意味に解釈されない。場合によっては、本文書で定義された用語であるとしても、本発明の実施形態を排除するように解釈されてはならない。
【0016】
図1は、バッテリー制御システムの構成を示すブロック図である。
【0017】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック1と上位システムに含まれている上位制御器2を含むバッテリー制御システムを概略的に示す。
【0018】
図1に示されたように、バッテリーパック1は、1つ以上のバッテリーセルからなり、充放電が可能なバッテリーモジュール10と、バッテリーモジュール10の+端子側又は-端子側に直列に連結され、バッテリーモジュール10の充放電電流の流れを制御するためのスイッチング部14と、バッテリーパック1の電圧、電流、温度等をモニタリングして、過充電及び過放電等を防止するように制御管理するバッテリー管理システム20とを含む。
【0019】
ここで、スイッチング部14は、バッテリーモジュール10の充電又は放電に対する電流の流れを制御するための半導体スイッチング素子であって、例えば、少なくとも1つのMOSFETが用いられてよい。
【0020】
また、BMS20は、バッテリーパック1の電圧、電流、温度等をモニタリングするために、半導体スイッチング素子のゲート、ソース及びドレイン等の電圧及び電流を測定するか計算することができ、また、半導体スイッチング素子14に隣接して設けられたセンサ12を用いて、バッテリーパックの電流、電圧、温度等を測定することができる。BMS20は、前述した各種パラメータを測定した値の入力を受けるインターフェースであって、複数の端子と、これらの端子と連結され入力を受けた値の処理を行う回路等を含むことができる。
【0021】
また、BMS20は、スイッチング素子14、例えば、MOSFETのON/OFFを制御することもでき、バッテリーモジュール10に連結されてバッテリーモジュール10の状態を監視することができる。
【0022】
上位制御器2は、BMS20にバッテリーモジュールに対する制御信号を伝送することができる。これにより、BMS20は、上位制御器から印加される信号に基づいて動作が制御できるはずである。本発明のバッテリーセルがESS(Energy Storage System)又は車両等に用いられるバッテリーパックに含まれた構成であってよい。但し、このような用途に限定されるものではない。
【0023】
かかるバッテリーパック1の構成及びBMS20の構成は公知の構成であるため、より具体的な説明は省略する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置200は、電圧測定部210、近似式算出部220、診断部230、メモリ部240及びアラーム部250を含むことができる。
【0026】
電圧測定部210は、バッテリーセルの電圧を測定することができる。この際、電圧測定部210は、バッテリーセルの電圧を一定の時間間隔で測定することができる。
【0027】
近似式算出部220は、バッテリーセルの電圧に関する近似(fitting)式を算出することができる。この際、近似式算出部220により算出される近似式は、バッテリーセルの電圧の概形を示すモデル電圧であってよい。例えば、前記近似式は、指数(exponential)に関する式であってよい。また、近似式算出部220は、最小二乗法(least square estimation)により近似式を算出することができる。しかし、これは例示的なものに過ぎず、本発明がこれに制限されるものではなく、近似式算出部220は多様な方式で近似式を算出することができる。
【0028】
近似式算出部220は、バッテリーセルの充電が完了した後、バッテリーの内部短絡による電圧降下の現象が示される静止(rest)区間における電圧に関する近似式を算出することができる。
【0029】
診断部230は、近似式算出部220により算出されたバッテリーセルの電圧に関する近似式に基づいてバッテリーセルの異常有無を診断することができる。具体的に、診断部230は、電圧測定部210により測定されたバッテリーセルの電圧と近似式算出部220により算出された近似式による電圧の差異が予め設定された基準値以上である場合、バッテリー異常として診断することができる。この際、基準値は、電圧測定部210の予め決定された測定誤差値に基づいて設定されてよい。
【0030】
メモリ部240は、電圧測定部210により測定されたバッテリーセルの電圧と近似式算出部220により算出されたバッテリーセルの電圧に関する近似式を記録することができる。この際、メモリ部240は、バッテリー診断装置200の内部に含まれてよく、また、外部サーバー(図示せず)に含まれ、別途の通信モジュールを介してバッテリー診断装置200とデータを送受信することができる。
【0031】
アラーム部250は、診断部230によりバッテリーセルに異常が発生したものと判断されると警告アラームを発生させることができる。この際、警告アラームは、ディスプレー部(図示せず)上にメッセージ形態で提供されるか、又は光や音信号で提供され得る。
【0032】
このように、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置によると、バッテリーセルの電圧に関する近似式を用いて、バッテリー充電時の内部短絡による異常電圧降下の現象を正確かつ容易に検出することができる。
【0033】
図3aは、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する際の電圧変化を示し、
図3bは、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生する際の電圧変化を示す図である。ここで、
図3a及び
図3bの横軸は時間(秒)を示し、縦軸はバッテリーの電圧(V)を示す。
【0034】
図3aを参照すると、充電サイクルが113、135、140、149及び150回目である場合に対し、バッテリーの充電後の静止区間におけるバッテリーセルの内部短絡による電圧降下が、全区間に亘って漸進的に示されることを確認することができる。
【0035】
また、
図3bを参照すると、充電サイクルが73、74、82及び105回目である場合に対し、バッテリーの充電後の静止区間におけるバッテリーセルの内部短絡による電圧降下が、約1500秒区間と2300秒区間等で一時的に発生することを確認することができる。
【0036】
図4aは、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する際のEOC(End of Charge)を示し、
図4bは、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生する際のEOCを示す図である。
【0037】
図4aの上段グラフは、バッテリーの充電サイクル数(横軸)に対するEOC(End of Charge)(縦軸)における電圧の変化を示し、
図4aの下段グラフは、バッテリーの充電サイクル数(横軸)に対するEOCの変化(縦軸)を示す。
【0038】
図4aに示したように、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する場合には、EOCでも急激な電圧降下が示されることを確認することができる。すなわち、
図4aの下段グラフを参照すると、充電サイクル数が113、135、140及び149である区間(
図4aの陰影部分)において電圧降下の現象が示されることが分かる。
【0039】
一方、
図4bの上段グラフは、バッテリーの充電サイクル数(横軸)に対するEOC(End of Charge)(縦軸)における電圧の変化を示し、
図4bの下段グラフは、バッテリーの充電サイクル数(横軸)に対するEOCの変化(縦軸)を示す。
【0040】
図4bに示したように、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生して瞬間的に電圧下降後に再び回復する場合には、EOCだけでは内部短絡による電圧降下を検出することが不可能である。
【0041】
図5は、バッテリーの充電後約10分間の実際の静止(rest)電圧、近似式による電圧、及びこれらの差異値を示すグラフである。この際、
図5の横軸は時間(秒)を示し、縦軸(左)はバッテリーの電圧(V)を示し、縦軸(右)は、バッテリーの実際の測定電圧と近似式による電圧の差異値V
error(mV)を示す。
【0042】
図5のバッテリー電圧の近似式は、最小二乗法を介して導出したものである。この際、バッテリー電圧の近似式は、以下のように示し得る。
【0043】
【0044】
本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置においては、前記式のa、b、cの定数をそれぞれ計算することで、バッテリー電圧の近似式を完成することができる。しかし、前記式は例示として示したものに過ぎず、本発明がこれに制限されるものではなく、バッテリーの電圧を近似できる多様な式が用いられてよい。
【0045】
図5を参照すると、実際に測定されたバッテリーの静止電圧(raw)と近似式による電圧(Exp.fitting)の差異値がグラフの中央に
【0046】
【0047】
として示されている。バッテリーの実際の測定電圧と近似式による電圧の差異値を算出してこれを基準値と比べることにより、バッテリーの静止区間における内部短絡による電圧降下を検出することができる。
【0048】
図6aは、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置でバッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生することを検出した結果を示し、
図6bは、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生することを検出した結果を示した図である。
【0049】
この際、
図6a及び
図6bの横軸は、バッテリーの充電サイクル数を示し、縦軸は、バッテリーの実際の測定電圧と近似式による電圧の差異値の最大値(V)を示す。
【0050】
図6aを参照すると、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する場合に対し、バッテリーの実際の測定電圧と近似式による電圧の差異値を予め設定された基準値と比較し、その差異値が基準値以上である場合(
図6aの135部分)にバッテリーの内部短絡による電圧降下が発生したものと判断することができる。
【0051】
同様に、
図6bを参照すると、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が一時的に発生する場合に対しても、バッテリーの実際の測定電圧と近似式による電圧の差異値を予め設定された基準値と比較し、その差異値が基準値以上である場合(
図6bの74、105部分)にバッテリーの内部短絡による電圧降下が発生したものと判断することができる。この際、
図6a及び
図6bの基準値は、電圧センサそのものの測定範囲に基づいて決定され得る。
【0052】
このように、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置によると、バッテリーの実際の測定電圧と近似式による電圧の差異値を基準値と比較して電圧降下を診断することにより、バッテリーセルの内部短絡による電圧降下が全区間に亘って発生する場合だけでなく、電圧降下が一時的に発生する場合に対しても異常有無を診断することができる。
【0053】
図7は、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断方法を示すフローチャートである。
【0054】
図7を参照すると、先ず、バッテリーセルの電圧を測定する(S710)。この際、バッテリーセルの電圧は、一定の時間間隔で測定することができる。
【0055】
そして、バッテリーセルの電圧に関する近似式を算出する(S720)。この場合、最小二乗法を介して近似式を算出することができる。また、段階S720においては、バッテリーセルの充電が完了した後の静止区間における電圧に関する近似式を算出することができる。
【0056】
次に、段階S710において測定されたバッテリーセルの電圧と段階S720において算出されたバッテリーセルの電圧に関する近似式の差異が予め設定された基準値以上であるか否かを判断する(S730)。もし測定されたバッテリーセルの電圧と算出されたバッテリーセルの電圧に関する近似式の差異が予め設定された基準値未満であれば(NO)、段階S710に戻る。
【0057】
一方、測定されたバッテリーセルの電圧と算出されたバッテリーセルの電圧に関する近似式の差異が予め設定された基準値以上である場合(YES)、バッテリーセルの異常(例えば、バッテリーの内部短絡による電圧降下)が発生したものと判断する(S740)。
【0058】
このように、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断方法によると、バッテリーセルの電圧に関する近似式を用いて、バッテリー充電時の内部短絡による異常電圧降下の現象を正確かつ容易に検出することができる。
【0059】
図8は、本発明の一実施形態に係るバッテリー診断装置のハードウェア構成を示す図である。
【0060】
図8を参照すると、バッテリー診断装置800は、各種処理及び各構成を制御するマイクロコントローラ(MCU)810と、運営体制プログラム及び各種プログラム(例えば、バッテリー診断プログラム、電圧近似式算出プログラム等)等が記録されるメモリ820と、バッテリーセルモジュール及び/又は半導体スイッチング素子との間で入力インターフェース及び出力インターフェースを提供する入出力インターフェース830と、有無線通信網を介して外部と通信可能な通信インターフェース840とを備えることができる。このように、本発明に係るコンピュータープログラムは、メモリ820に記録され、マイクロコントローラ810により処理されることで、例えば、
図2に示した各機能ブロックを行うモジュールとして具現され得る。
【0061】
以上、本発明の実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合するか、結合して動作するものと説明されたからといって、本発明が必ずしもこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的範囲内であれば、その全ての構成要素が1つ以上に選択的に結合して動作してもよい。
【0062】
また、以上に記載された「含む」、「構成する」又は「有する」等の用語は、特に反する記載がない限り、当該構成要素が内在できることを意味するものなので、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいものと解釈されなければならない。技術的や科学的な用語を含む全ての用語は、別に定義しない限り、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一な意味がある。辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと 解釈されなければならず、本発明で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味に解釈されない。
【0063】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲により解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0064】
1 バッテリーパック
2 上位制御器
10 バッテリーモジュール
12 センサ
14 半導体スイッチング素子、スイッチング部、スイッチング素子
20 バッテリー管理システム、BMS
200 バッテリー診断装置
210 電圧測定部
220 近似式算出部
230 診断部
240 メモリ部
250 アラーム部
800 バッテリー診断装置
810 マイクロコントローラ(MCU)
820 メモリ
830 入出力インターフェース
840 通信インターフェース
【国際調査報告】