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特表2022-548926誘導構成要素、およびインダクタンス値を調整する方法
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  • 特表-誘導構成要素、およびインダクタンス値を調整する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】誘導構成要素、およびインダクタンス値を調整する方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 5/02 20060101AFI20221115BHJP
   H01F 41/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01F5/02 Z
H01F5/02 J
H01F41/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022517481
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2020075971
(87)【国際公開番号】W WO2021053068
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019125402.7
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】フルサ オレグ
(72)【発明者】
【氏名】ロッソル アンドレアス ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー シュテファン
(57)【要約】
誘導構成要素(1)は、ワイヤー巻線(3)を備え、その周りは磁性箔(2)で巻かれている。インダクタンス値を調整する方法において、磁性箔(2)は、ワイヤー巻線(3)の周りに巻かれている。巻かれた箔(2)の層数は、インダクタンス(L)の標的値の関数として選択されることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導構成要素であって、
その周りが磁性箔(2)で巻かれているワイヤー巻線(3)と、巻かれた磁性箔(2)を囲む電気遮蔽(16)を備える、誘導構成要素。
【請求項2】
前記磁性箔(2)が自己接着性である、請求項1に記載の誘導構成要素。
【請求項3】
前記磁性箔(2)が、ワイヤー巻線の周りに複数の層(18、19、20、21)で巻かれる、請求項1~2のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項4】
前記ワイヤー巻線(3)内に配置された磁気コアを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項5】
前記ワイヤー巻線(3)内に磁気コアを含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項6】
前記磁性箔(2)が、非磁性キャリア層(7、8)および磁気層(9)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項7】
前記磁性箔(2)が、前記磁性材料としてフェライト、純鉄、または非晶質またはナノ結晶性の鉄合金を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項8】
前記箔(2)の磁性材料が、非磁性材料(12)に埋め込まれた粒子(11)の形態で構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項9】
前記磁気層(9)が、全体的に磁性材料から作製される、請求項1~8のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項10】
前記磁性箔(2)が100μmの最大厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の誘導構成要素。
【請求項11】
誘導構成要素のインダクタンス値を調整する方法であって、ワイヤー巻線(3)が提供され、磁性箔(2)で巻かれ、前記磁性箔(2)で巻かれた後、電気遮蔽(16)が巻かれた磁性箔(2)を覆って適用される、方法。
【請求項12】
前記巻かれた箔(2)の層の数、または前記箔(2)の磁気層の厚さが、前記インダクタンス(L)の標的値の関数として選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記構成要素(1)の前記インダクタンスが、前記箔(2)で巻かれた前および/または巻かれる後に測定され、かつ前記巻かれた箔(2)の層の数が、前記測定値の標的値からの偏差の関数として変更される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
測定中には、前記箔(2)が、前記ワイヤー巻線(3)の周りでその長さの一部で巻かれ、かつ、その長さのさらなる一部で前記巻かれた形態から延在し、前記測定後には、前記箔(2)が、前記ワイヤー巻線(3)上にさらに巻かれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記箔(2)の延在部分が、前記箔(2)が塗布された後で切断される、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤー巻線を備える誘導構成要素に関する。これは、ワイヤー巻線内に磁気コアを有するコイルであっても、ワイヤー巻線内に磁気コアを有しないコイルであってもよい。
【0002】
誘導構成要素は、とりわけステレオシステムで使用される。
【背景技術】
【0003】
多くの用途では、少なくとも、一群のインダクタンス(ロット)の統計的平均で、構成要素のインダクタンス値を正確に調整することが望ましい。特に共鳴用途では、高精度のインダクタンス調整が必要となる。この構成要素は、特に高周波数範囲で使用するように設計されている。
【0004】
幾何学的寸法は、特に空心コイルの場合に、電気構成要素のインダクタンスに大いに影響を与える。高精度のインダクタンス値は、特定の物理的制限内でのみ生成されることができ、幾何学的形状の正確な制御を必要とする。磁気コアを有する、または有しないインダクタンスについて、材料特性および動作温度の変動は、インダクタンス値の変動にもつながる。完成構成要素のインダクタンス値の望ましい標的値からの偏差を補正することは、「調整」または「調整する」と呼ばれる。
【0005】
独国特許出願公開第36 18 122 A1号、同第39 26 231 A1号、同第199 52 192 A1号、および同第10 2008 063 312 A1号に、調整可能な誘導構成要素の記載がある。調整は通常、軟質磁性材料のコアを、巻線の内部の中またはその外に強制的に出し入れすることによって、または巻線を引き離すか、もしくは圧縮することによって達成される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、改良型の誘導構成要素と、誘導構成要素のインダクタンス値を調整する方法とを提供することである。
【0007】
本発明の第一の態様によると、誘導構成要素はワイヤー巻線を備える。ワイヤー巻線は、磁性箔に巻かれる。磁性箔は、特に、ワイヤー巻線上に直に置かれることができる。絶縁層は、磁性箔とワイヤー巻線との間に配置されてもよい。
【0008】
箔は、ワイヤー巻線が形成された後での構成要素のインダクタンスの正確な調整を可能にする。箔は、インダクタンスの望ましい標的値に応じて、適切な巻き数でワイヤー巻線の周りに巻かれることができる。箔ラップの磁気厚さは、巻き数を増やすことによって増大させることができる。したがって、箔は、巻線の外側で磁性体を形成し、これが構成要素のインダクタンスに影響を与える。例えば、構成要素のインダクタンスは、箔の磁気厚さの関数として、nHの範囲で変更させることができる。
【0009】
巻線ワイヤーとして、ワイヤー巻線は、例えば、金属ワイヤー、例えば、銅ワイヤー、アルミニウムワイヤーまたは銀ワイヤーを備える。
【0010】
構成要素は、巻線ワイヤー用のキャリア本体を備えうる。一つの実施形態では、キャリア本体は非磁性材料で作製される。これは、例えばプラスチック材料とすることができる。巻線ワイヤー内には磁気コアがなくてもよい。したがって、キャリア本体は、純粋に巻線ワイヤー用の担体として機能し、磁束を誘導しない。こうした実施形態では、インダクタンスは、特に形状(特にコイルの直径)に強く依存し、その結果、インダクタンスは、ワイヤー巻線の外側領域に箔を適用することによって、大きく影響されうる。
【0011】
代替的な一実施形態において、キャリア本体は磁性材料で作製されることができる。これは、例えばフェライトコアとすることができる。また、磁気コアは非磁性キャリア本体内に配置されてもよい。
【0012】
磁性箔は、巻線の全長にわたってワイヤー巻線を囲むことができる。箔もまた、巻線軸の周りに一方向にワイヤー巻線を囲むことができる。例えば、ワイヤー巻線は、外側の箔によって完全に覆われる。ワイヤー巻線は、例えば、らせん状に巻かれる。ワイヤー巻線は、管の基本的な形状を有してもよい。磁性箔は同様に、例えば、ワイヤー巻線が収容される管の基本的な形状を有する。また、箔はワイヤー巻線を完全に覆っていなくてもよい。箔は、好ましくは、ワイヤー巻線の外表面の少なくとも4分の3を覆う。これには、巻かれた形状から突出しうるワイヤーの端部は含まれない。
【0013】
磁性箔は、自己接着性でもよい。これにより、特に箔の適用が容易になる。
【0014】
代替的に、箔は、非自己接着性であり、結合剤を用いて、または熱および圧力によって付着されてもよい。
【0015】
適用前に、例えば、箔はロールの形態で提供され、よって、ロールから巻き付けが解かれ、ワイヤー巻線上に適用されることができる。箔は、例えば、細片の形態で提供されてもよい。
【0016】
箔は、一つ以上の層でワイヤー巻線の周りに巻かれてもよい。箔は、例えば、1~10層を有する。箔は、複数の層、例えば、特に少なくとも二層を有する。箔ラップの磁気厚さは、層の数を増やすことによって増大させることができ、したがって、インダクタンスも増加させることができる。箔の層は、互いに対して直に重ね置くことができる。箔が自己接着性である場合、層は容易に互いに付着させることができる。
【0017】
箔はまた、ワイヤー巻線の周りに一層のみで巻かれてもよい。また、箔が、ワイヤー巻線の周りに非整数の巻き数で巻かれてもよく、例えば2.5層を含む。
【0018】
巻かれた形態の1層分の箔に対応する箔は、例えば、最大厚さ100μmを有する。
【0019】
箔は、一つ以上の層から成りうる。特に、箔ラップの一層は、単層または多層であってもよい。箔は、複数の層を有するラミネートとして構成されてもよい。層は、追加的な結合剤を用いて、または追加の結合剤なしで互いに接続されてもよい。
【0020】
箔は、例えば、少なくとも一つの磁気層を備える。箔はまた、複数の磁気層を備えてもよい。磁気層は、磁性材料を備える。磁性材料は、例えば、フェライト材料とすることができる。また、純鉄または非晶質またはナノ結晶性の鉄合金であってもよい。また、特に、例えば、μ>1000の浸透性を有する、高浸透性材料であってもよい。
【0021】
磁性材料は、非磁性材料、例えば、プラスチックに、粒子の形態で埋め込まれてもよい。粒子は特に非磁性材料中に分散される。非磁性材料はまた、接着剤として構成されてもよい。非磁性材料は、箔に必要な強度および可撓性を提供することができる。こうした箔は、例えば、ワイヤー巻線の周りに巻かれてから、加熱によって固定される、硬化された形態で提供される。また、追加的な結合剤を塗布することも可能である。
【0022】
代替的に、磁気層はまた、磁性材料から作製されてもよい。この場合、非磁性材料には磁性粒子は埋め込まれず、むしろ層は全体的に磁性材料で作製される。これは、例えば、帯鉄でありうる。上述のその他の材料もここで使用することができる。
【0023】
一つの実施形態では、箔は、磁気層に加えてキャリア層を備える。キャリア層は、例えば、非磁性である。キャリア層は、例えばプラスチックを含むか、またはプラスチックで作製されている。キャリア層はまた、接着剤、特に硬化型接着剤を含みうる。磁気層は、例えば、加熱および加圧によって、キャリア層に取り付けられる。代替的に、磁気層はキャリア層に接着される。
【0024】
箔の特性、特に箔の強度および可撓性は、キャリア層によって改善されうる。特に脆性の磁気層の場合、キャリア層は、箔の加工性を保証することができる。代替的に、箔を構成要素に付着させる接着剤は、ひびが磁気層内で発生する時に、箔の結束作用も確保することができる。したがって、構成要素上の接着剤は、キャリア層の機能を担う。この場合、箔はキャリア層なしで提供され、例えば、接着剤が箔に塗布されて、箔がワイヤー巻線の周りに巻かれる。
【0025】
また、複数のキャリア層を有することも可能である。例えば、一つの磁気層が二つのキャリア層の間に配置される。
【0026】
構成要素のインダクタンスは、例えば1~1000nHである。設計に応じて、箔の巻き数を変えることによって、例えば0.1%ずつ最大10%の範囲でインダクタンスを調整することが可能である。
【0027】
絶縁層はまた、ワイヤー巻線と磁性箔との間にも提供されうる。絶縁層は、特に非磁性かつ非導電性である。
【0028】
さらに、特に導電性材料の形態の電気遮蔽を、箔ラップ上に適用されてもよい。電気遮蔽は、巻かれた磁性箔を囲んでもよい。遮蔽は、例えば、さらなる箔または被覆の形態であってもよい。遮蔽は、導電材料、例えば、金属を含んでもよい。例えば、金属箔(銅箔、アルミニウム箔、または錫引銅箔など)を、磁性箔を覆って適用することができる。金属箔は、一つ以上の層を含みうる。したがって、誘導構成要素の電気遮蔽は保証されうる。追加的な非導体箔が、固定用に遮蔽物を覆って随意に配置されうる。
【0029】
本発明のさらなる一態様によると、誘導構成要素のインダクタンス値を調整する方法が提供されている。ワイヤー巻線が提供され、磁性箔で巻かれている。得られた構成要素のインダクタンス値は、磁性箔の影響を受ける。箔の層数は、例えば、インダクタンスの標的値の関数として選択されうる。
【0030】
代替的に、または追加的に、望ましい標的値の関数として、箔の磁気層の厚さを選択することも可能である。例えば、異なる厚さの磁気層を有する多くの箔が提供されて、望ましい標的値に応じて、その箔のうちの一つが選択されてもよい。
【0031】
箔、ワイヤー巻線、および誘導構成要素は、上述のすべての特性を有しうる。磁気コアは、例えば、ワイヤー巻線内に配置されてもよく、あるいはワイヤー巻線内に磁気コアが配置されなくてもよい。
【0032】
構成要素のインダクタンスは、例えば、前記構成要素が箔で巻かれる前後に測定され、誘導構成要素の層の数、またはさらなる誘導構成要素は、測定値の標的値からの偏差の関数として変化する。また、インダクタンスは間接的に測定されてもよく、すなわち、インダクタンスの尺度である測定値を求めることができる。
【0033】
測定中、箔は、ワイヤー巻線の周りにまだ巻かれず、巻かれた部分から突出する部品を有してもよい。測定値に応じて、箔は、ワイヤー巻線の周りにさらに巻かれてもよく、または突出した部分は切断されてもよい。代替的に、巻かれていない部品は、巻かれた後に切断されてもよく、測定後に別の箔が巻かれてもよい。
【0034】
層の数は、望ましい標的値に到達するまで漸進的に増やすことができる。不完全な層を適用することも可能である。層の数は、例えば、望ましい標的値に到達するまで漸進的に増やされる。付着のタイプに応じて、層の数も減らすことができる。例えば、層の数は、巻き数1.00~10.00回の範囲で変更される。
【0035】
全体として、インダクタンス値は、磁性箔を適用することによって簡単に調整されうる。調整は、特に、測定後にも、または測定中にさえも、実施されうる。
【0036】
箔の巻き付けが完了した後、すなわち、標的値に到達したときに、特に導電性材料の形態の電気遮蔽を、箔ラップを覆って適用することができる。電気遮蔽は、巻かれた磁性箔を囲んでもよい。遮蔽は、例えば、さらなる箔または被覆の形態であってもよい。遮蔽は、導電材料、例えば、金属を含んでもよい。例えば、金属箔(銅箔、アルミニウム箔、または錫引銅箔など)を、磁性箔を覆って適用することができる。金属箔は、一つ以上の層を含みうる。したがって、誘導構成要素の電気遮蔽は保証されうる。追加的な非導体箔が、固定用に遮蔽物を覆って随意に配置されうる。
【0037】
本明細書に提供された対象についての説明は、個々の特定の実施形態に限定されるものではない。むしろ、個々の実施形態の特徴は、技術的に合理的である限り、互いに組み合わせることができる。
【0038】
ここに記載した対象については概略図の例を基に、以下にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、誘導構成要素の実施形態の側面図を示す。
図2図2は、図1の構成要素のベース本体を示す。
図3図3は、図2のベース本体を包むための箔を示す。
図4A図4Aは、インダクタンスを調整する方法の概略図である。
図4B図4Bは、インダクタンスを調整する方法の概略図である。
図4C図4Cは、インダクタンスを調整する方法の概略図である。
図4D図4Dは、インダクタンスを調整する方法の概略図である。
図4E図4Eによれば、電気遮蔽16は、随意に、箔ラップ13を覆って適用されうる。
【0040】
以下の図において、同一の参照符号は、様々な実施形態の、機能的または構造的に等価な部分を指すことが好ましい。
【0041】
図1は、構成要素1のインダクタンスを調整するための磁性箔2を備える誘導構成要素1を示す。例示の目的で、図2は、図1の構成要素1のベース本体6を、すなわち、まだ箔2で巻かれていない状態で示す。
【0042】
構成要素1は、ワイヤー4の巻線3(図2を参照)を備える。巻線3は、キャリア本体5の周りに巻かれている。
【0043】
キャリア本体5は、例えば、磁気コアとして構成されうる。キャリア本体5は、例えば、フェライトコアとして構成されうる。キャリア本体5はまた、非磁性であってもよい。この場合、磁気コアは、キャリア本体5内に配置されうる。
【0044】
ベース本体6は、代替的に、空心コイルとして構成されうる。この場合、キャリア本体5は非磁性であり、キャリア本体5にも磁気コアはない。
【0045】
キャリア本体5はまた、コイルとしての誘導構成要素1、コイルフォーマーとも呼ぶことができる。
【0046】
キャリア本体5は、例えば、プラスチックを含む。キャリア本体5は、例えば射出成形プロセスで生成される。
【0047】
ワイヤー3は、例えば、銅線として構成される。また、アルミニウム、銀、または金のワイヤーであってもよい。ワイヤーは、例えば、ラッカーで絶縁することができる。はんだ付け性および/または酸化傾向を改善するために、ワイヤーは、特にアルミニウムまたは銅の場合、スズ、銀、ニッケルまたは金などの他の金属で被覆されうる。
【0048】
この場合は、キャリア本体5は円筒形状を有する。キャリア本体5はまた、異なる形状、例えば立方体形状を有することができる。キャリア本体5はまた、より大きい物体、例えば環状体の一部でありうる。
【0049】
この場合は、キャリア本体5は中空体として示されているが、中実体として構成されてもよい。中空体として構成される場合、磁気コアはキャリア本体5内に挿入されてもよい。
【0050】
構成要素1のインダクタンスを調整するために、ワイヤー巻線3は、磁性箔2によって囲まれる。箔2は、箔ラップ13を形成するように巻かれる。箔2は磁性材料を含む。箔2は、特に、導電性ではないか、またはわずかに導電性である。絶縁層は、随意に箔2とワイヤー巻線3との間に配置されうる。絶縁層は、例えば、プラスチックを含みうる。
【0051】
箔2は、ワイヤー巻線3が形成された後での構成要素1のインダクタンスの正確な調整を可能にする。箔2は、インダクタンスの望ましい標的値に応じて、適切な巻き数でワイヤー巻線3の周りに巻かれることができる。この場合は、箔ラップ13は丸4回の巻き数を含み、4層18、19、20、21が他の層を覆って位置する。箔2はまた、例えば、1~10層などの異なる数の層を含むことができる。箔が10層を超える層を含むことも可能である。箔2は特に、構成要素1を包む前にも、その基本形態に存在する。箔2は、ロールの形態で提供され、例えば、ベース本体6の周りで巻き付けを解かれたり、巻かれたりする。箔2は、例えば、細片の形態で提供されてもよい。
【0052】
箔ラップ13は、巻線の外側で磁性体を形成する。巻き数は、箔ラップ13の磁気厚さを決定する。その磁気遮蔽効果により、箔ラップ13は、シールド巻線と呼ばれることもある。
【0053】
特に、箔ラップ13は、ベース本体6の周りに配設される管の形状を有する。箔ラップ13は、外側に向かって、特に、巻線軸から放射状に外側に向かった方向に、ワイヤー巻線3を完全に覆う。ワイヤー4のワイヤー端14、15は、巻かれた箔2から突出する。例えば、箔ラップ13は、キャリア本体5の長さ全体を覆うわけではない。
【0054】
箔ラップ13の外側は、電気遮蔽16によって囲まれうる。遮蔽16は、例えば、さらなる箔または被覆の形態である。遮蔽16は、導電材料、例えば、金属を含んでもよい。追加的な非導体箔が、固定用に遮蔽物16を覆って随意に配置されうる。
【0055】
図3は、インダクタンスを調整するための磁性箔2の例を示す。箔2の基本形態は、ベース本体6を包む前後に存在する。箔2は、例えば、ロールとして、または細片として巻かれる前に提供される。
【0056】
この場合は、箔2は、二つのキャリア層7、8、および間に挟まれた磁気層9を備える。結果として、箔2は多層化される。
【0057】
二つのキャリア層7、8の代わりに、一つのキャリア層のみであってもよく、または全くキャリア層がなくてもよい。一つのキャリア層のみを使用すること、またはキャリア層がないことは、箔2の合計厚さが小さいという利点を有する。
【0058】
キャリア層7、8は、例えば、非磁性であり、磁気層9を安定化する役割を果たす。キャリア層7、8は、特にプラスチックを含むか、またはプラスチックで作製されうる。キャリア層7、8はまた、接着剤、特に硬化型接着剤を含みうる。
【0059】
磁気層9は、例えば、磁性粒子11で充填された非磁性材料12を含む。非磁性材料12は、例えば、プラスチックであってもよい。磁性材料12はまた、接着剤であってもよい。磁気層9の厚さdはまた、箔2の磁気厚さと呼ばれる。箔の合計厚さDは、キャリア層7、8の厚さ、および磁気層9の厚さdから成る。箔2の最大厚さは例えば100μmである。
【0060】
例えば、フェライトは、磁性粒子11に適した材料である。望ましい特性に応じて、純鉄または非晶質またはナノ結晶性の鉄合金を使用することも可能である。材料は粉末形態とすることができる。また、特に、例えば、μ>1000の浸透性を有する、高浸透性材料であってもよい。
【0061】
代替的に、磁気層9はまた、完全にまたは主に磁性材料から作製されてもよい。磁気層9は、特に、磁性材料のみを含み、非磁性キャリア材料を含まない。磁性材料は、特に個々の粒子の形態ではなく、むしろ連続的な層である。磁気層9は、例えば、帯鉄の形態である。細片は、例えば、フェライト、純鉄、または鉄合金で作製することができる。
【0062】
キャリア層7、8は、脆性の磁気層9、例えば、帯鉄を使用する場合に特に有利である。特に、一部の高浸透性材料は、高い度合の脆性を呈する。キャリア層7、8は、磁気層9にひび割れが発生した場合に、形状および磁気特性の維持を可能にする。より脆性の低い磁気層9については、キャリア層を有しない箔2が使用されてもよい。ひび割れ発生の場合に箔2の安定性を確保するために、箔2を構成要素1に取り付けるためにも使用することができる接着剤もまた可能である。この場合にも、箔2は、脆性の磁気層9を使用する場合であっても、追加的なキャリア層7、8なしで構成されうる。
【0063】
磁気層9はまた、複数のサブ層から作製することができる。それぞれのサブ層は、上述の磁気層9の構造を有しうる。サブ層は、例えば、まとめて接着される。このようにして、箔2の磁気層9の厚さdが調整されうる。
【0064】
したがって、磁気層9の厚さdの選択は、ベース本体6の周りの箔2の巻き数1回が、構成要素1のインダクタンスにどの程度強く影響するかを決定するために使用されうる。
【0065】
例えば、磁気層9の多くのサブ層を有する厚いバージョン、例えば、20層のサブ層では、単層の磁気層9を有するバージョンで、多数回の巻き数(例えば、20回)を適用した時に達成されうるものと同じ磁気厚さを1回の巻き数を適用することによって、達成することができる。この時、箔ラップ13の合計厚さは、キャリア層7、8の数に応じて大幅に変化しうる。
【0066】
磁気層9は、例えば、接着剤などの結合剤によって、キャリア層7、8に接続される。磁気層9はまた、純粋に熱プロセスを介してキャリア層7、8に接続されうる。
【0067】
箔2は、例えば、特に接着剤など、一つの表面上に結合剤10を有する。結合剤10はまた、両方の表面に塗布されてもよい。次に、箔2は、自己接着性様式でベース本体6に取り付けられうる。代替的に、結合剤10はまた、後でベース本体6および/または箔2にも適用されうる。層18、19、20、21はまた、結合剤10によって互いに付着されることができる。箔2は、例えば、接着テープのように可撓性でありうる。
【0068】
図4A~4Dは、例えば、図1による誘導構成要素1などの誘導構成要素のインダクタンスを調整する方法の工程を示す。
【0069】
図4Aによると、ベース本体6が提供され、これはワイヤー4の巻線3を備える。ベース本体6は、図2に従って構成されうる。測定により、ベース本体6のインダクタンスLを求めることができる。
【0070】
図4Bによると、箔2が提供されている。箔2は、例えば、図3による構造を有する。箔2はまた、磁性材料によってその全体積にわたって形成される磁気層を備えうる。箔2は、キャリア層を有して、またはキャリア層なしで構築することができる。
【0071】
箔2は、例えば、ロール17の形態で提供される。箔2は、自己接着性でありうる。箔2が自己接着性である場合、接着剤表面は、箔を適用する前に、後で除去される保護箔によって覆われうる。箔2が自己接着性でない場合、結合剤、特に接着剤が塗布されうる。
【0072】
図4Cによると、箔2はベース本体6の周りに巻かれる。得られた箔ラップ13の巻き数は、例えば、測定されたインダクタンスの、インダクタンスの標的値からの偏差の関数として決定される。この場合は、2つの層18、19に対応して、巻き数2回が、第一の工程で適用される。随意に、絶縁層は、箔2が適用される前に、ワイヤー巻線3を覆って適用されうる。
【0073】
箔2は、巻き付けの前または後に、望ましい長さに切断されうる。箔2の一部分、特にロール17は、図示したように、箔ラップ13から突出することができ、かつ、インダクタンスの標的値に達するまでは切断されない。
【0074】
構成要素1のインダクタンスLは、巻き付けプロセスの後で、またはそのプロセス中にさえも決定されうる。インダクタンス値が標的値に対応し、かつ、箔2の一部が依然として突出している場合、箔2のこの部分は切断される。これで、同一の構成要素のグループに対して巻き数を設定して、これらの構成要素の生産中に測定の必要がないようにすることができる。
【0075】
測定値が標的値を下回る場合、より多くの箔2がベース本体6の周りに巻かれるか、または異なる箔2がベース本体6の周りに巻かれる。
【0076】
全体的に、磁気厚さ、したがってインダクタンスは、さらなる巻き数を箔ラップ13に加えることによって非常に正確に調整することができる。例えば、必要とされる箔ラップ13の厚さに応じて、厚さは、小さな増分で、例えば2.5%の増分で変化させることができる。
【0077】
また、部分的な巻き数を適用することも可能である。例えば、箔は、巻き数1.5回でベース本体6の周りに巻かれてもよい。
【0078】
測定値が標的値を上回る場合、巻き数を減少させてもよく、または磁気層9の厚さがより小さな箔2が使用されてもよい。
【0079】
この場合は、測定されたインダクタンスは、標的値にまだ十分に近接していないため、箔2はベース本体6の周りにさらに巻かれる。
【0080】
図4Dによると、これで、箔2のさらなる2層20、21に対応して、さらに巻き数2回が、ベース本体6の周りに巻かれる。次に、インダクタンスを再び測定することができる。標的値に到達したため、箔2の残りの部分は切断される。望ましいインダクタンスにまだ達していない場合、巻き付けプロセスは継続されうる。
【0081】
最後に、図4Eによれば、電気遮蔽16は、随意に、箔ラップ13を覆って適用されうる。
【0082】
箔ラップ13は、例えば、別の金属箔の一つ以上の層で巻かれるか、または金属材料で被覆される。例えば、金属箔(銅箔、アルミニウム箔、または錫引銅箔など)を、磁性箔を覆って適用される。
【0083】
改善された固定のための追加的な箔は、例えば、外側に配置される(図示せず)。
【符号の説明】
【0084】
1 構成要素
2 箔
3 巻線
4 ワイヤー
5 キャリア本体
6 ベース本体
7 キャリア層
8 キャリア層
9 磁気層
10 結合剤
11 磁性粒子
12 非磁性材料
13 箔ラップ
14 ワイヤー端
15 ワイヤー端
16 電気遮蔽
17 ロール
18 層
19 層
20 層
21 層
d 磁気層の厚さ
D 箔の厚さ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
【国際調査報告】