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特表2022-548940皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかの決定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかの決定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20221115BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20221115BHJP
   A45D 26/00 20060101ALI20221115BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20221115BHJP
   A61N 5/067 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61B5/107 700
A61B5/00 M
A45D26/00 G
A61B18/20
A61N5/067
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517760
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020074558
(87)【国際公開番号】W WO2021052766
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】19198816.1
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド シャキス デヴィンダ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ブリー カール カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウワー ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コーイマン ヘルベン
(72)【発明者】
【氏名】マスクロ フェリペ マイア
(72)【発明者】
【氏名】ハミートマン コルネリス ウィレム
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ アドリエンヌ
【テーマコード(参考)】
4C026
4C038
4C082
4C117
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026BB10
4C026FF22
4C026GG06
4C038VA04
4C038VB22
4C038VC05
4C082RA01
4C082RC10
4C082RE22
4C082RJ06
4C117XB13
4C117XD31
4C117XE03
4C117XE33
4C117XE43
4C117XH16
(57)【要約】
一態様によれば、処置デバイスとの使用のための装置が提供される。前記処置デバイスは皮膚における毛に対して処置動作を実行するために、対象者の皮膚に光パルスを印加するように構成される。前記装置は、イメージングユニットから前記皮膚の第1の領域の1つ又は複数の画像を受信する処理部を備え、前記イメージングユニットは前記対象者の皮膚の画像を取得し、前記1つ又は複数の画像を処理して前記1つ又は複数の画像に示されるような前記皮膚の前記第1の領域の毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて前記皮膚の前記第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定し、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを示す第1の信号を出力するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚上の毛に対して処置動作を実行するために、対象者の皮膚に光パルスを印加する処置デバイスと共に使用するための装置であって、
前記対象者の前記皮膚の画像を取得するイメージングユニットから前記皮膚の第1の領域の1つ又は複数の画像を受信する処理部を備える、装置において、
前記処理部は、さらに、
前記1つ又は複数の画像を処理して、前記1つ又は複数の画像に示される前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定し、
前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを示す第1の信号を出力することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記1つ又は複数の画像から決定された前記毛の色及び/又は前記毛のサイズに基づいて、前記毛の炭化の程度を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記1つ又は複数の画像から決定された前記毛の湾曲度に基づいて前記毛のカール度を決定する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の炭化及びカールの少なくとも一方の決定された前記程度を、前記炭化の程度及びカールの程度のそれぞれの閾値と比較すること、又は
前記毛の決定された前記炭化及びカールの前記程度を合成して炭化及びカールの合成程度とし、前記炭化及びカールの合成程度を前記炭化及びカールの合成程度の閾値と比較すること、
によって前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記1つ又は複数の画像を処理して前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定するために、訓練済み機械学習モデルを使用する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記処理部は、さらに、
前記イメージングユニットから前記皮膚の前記第1の領域の1つ又は複数のさらなる画像を受信し、前記1つ又は複数のさらなる画像は、前記皮膚の前記第1の領域に光パルスが印加された後に前記イメージングユニットによって取得され、
前記1つ又は複数のさらなる画像を使用して前記訓練済み機械学習モデルを更新する、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記処理部は、さらに、毛を含む前記1つ又は複数の画像の部分を特定するために前記1つ又は複数の画像を解析し、前記処理部は、前記1つ又は複数の画像の特定された前記部分を処理して、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記処理部は、さらに、前記1つ又は複数の画像を処理して前記皮膚の前記第1の領域の前記毛に関するさらなる情報を決定し、前記さらなる情報を前記第1の信号に含める、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記さらなる情報は、
前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の密度と、
前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の強度と、
前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の太さと、
前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の色と、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の信号は、前記1つ又は複数の画像と、光パルスで処置された毛を有する前記1つ又は複数の画像の部分の標示とを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、前記第1の信号を受信するユーザインターフェースをさらに備え、前記第1の信号により、前記ユーザインターフェースは、前記皮膚の前記第1の領域の毛が光パルスで処置されたかに関するフィードバックを前記処置デバイスのユーザに対して出力する、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の信号は前記処置デバイスの制御部に出力され、前記制御部は、前記処置デバイスが前記第1の信号に基づいて前記皮膚の前記第1の領域に光パルスを印加すべきかを決定する、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
対象者の皮膚の画像を取得するイメージングユニットと、
請求項1から12のいずれか一項に記載の装置と、
を備える、システム。
【請求項14】
対象者の皮膚の領域の毛が処置デバイスからの光パルスで処置されたかを決定するためのコンピュータ実施方法であって、前記処置デバイスは皮膚における毛に対して処置動作を実行するために、対象者の皮膚に光パルスを印加するように構成されていて、前記コンピュータ実施方法は、
前記対象者の前記皮膚の画像を取得するイメージングユニットから前記皮膚の第1の領域の1つ又は複数の画像を受信するステップを有するコンピュータ実施方法において、前記コンピュータ実施方法は、さらに、
前記1つ又は複数の画像を処理して、前記1つ又は複数の画像に示される前記皮膚の前記第1の領域の毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定するステップと、
前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを示す第1の信号を出力するステップと、
を有する、コンピュータ実施方法。
【請求項15】
前記処理のステップは、前記1つ又は複数の画像の皮膚の前記領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するために、訓練済み機械学習モデルを使用して、前記1つ又は複数の画像を解析するステップを含み、前記コンピュータ実施方法は、さらに、
1人又は複数のテスト対象者の皮膚の複数の画像を取得するステップであって、各画像は前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されたかの標示で注釈が付けられ、前記複数の画像は、前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されたという標示で注釈が付けられた少なくとも1つの画像と、前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されなかったという標示で注釈が付けられた少なくとも1つの画像とを含む、取得するステップと、
前記画像に示された毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて、皮膚の毛が光パルスで処置された画像を、皮膚の毛が光パルスで処置されなかった画像から区別するために、前記複数の画像を使用して前記訓練済み機械学習モデルを訓練するステップと、
を有する、請求項14に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項16】
具現化されたコンピュータ可読コードを有するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又は処理部によって実行されると、前記コンピュータ又は処理部に、請求項14又は15に記載のコンピュータ実施方法を実行させる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象者の皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
不要な毛の除去のための技法は、シェービング、電気分解処置、抜毛、レーザ及び光治療(光脱毛として知られる)、及び治療的抗アンドロゲン注射を含む。毛成長減退、にきび治療を含む他の種類の皮膚科治療において、光ベースの技術も使用可能である。
【0003】
光エネルギ、すなわち波長、強度、及び/又はパルス持続時間(光がパルス状である場合)に関して適切な構成を使用することによって、毛根の選択的な加熱及び毛嚢に対する後続の一時的又は永続的な損傷が実現可能である。家庭用光脱毛デバイス、例えばPhilips Lumeaデバイスは、例えば、広域スペクトラム光の高出力バーストを生成するキセノンフラッシュランプなどの高輝度光源からの高輝度パルスライト(IPL)を使用する。
【0004】
光脱毛処置は、光脱毛デバイスのユーザが毛除去を目的として皮膚の比較的小領域を処置するという特徴を有する。光脱毛処置は、強い光を使用して、毛及び毛根のメラミンを加熱し、毛嚢を静止期に移行させて、毛の再成長を防ぐ。この毛除去の技術の効果的な使用のため、ユーザは皮膚領域を完全にカバーしなければならない。この効果は限定された期間のみのものであるため、処置は定期的に、通常、処置が2週間に1度の頻度で実行される約2か月間の初期期間後に、維持段階で4から8週間に1度の頻度で反復される必要がある。
【0005】
米国特許出願公開第2003/0023235(A1)号は、光パルスを用いて皮膚を処置するためのデバイスを開示する。本デバイスは、皮膚の画像から、処置されるべき対象物、例えば毛の色及び寸法を決定するためのプロセッサを備える。このプロセッサは、上記色及び寸法に基づいて光パルスの線量を決定する。
【0006】
米国特許出願公開第2015/0032092(A1)号は、光を使用した美容肌手技のためのシステムを開示する。本システムは、光のための最適な処置線量を決定するために、皮膚の画像から抽出された情報を用いるコンピュータを備える。上記情報は、皮膚色素沈着、傷の厚さ、毛の色素、又は毛の長さ又は太さを含み得る。
【0007】
米国特許出願公開第2002/0049432(A1)号は、レーザ光線を用いた患者の皮膚の処置のための装置を開示する。本装置は、撮像素子によって得られた皮膚の画像から皮膚の色を検出する検出部を備える。制御部は、検出された色に基づいてレーザ光線の照射条件を決定する。
【0008】
EP1523371A1は、光線を用いた皮膚組織処置のためのハンドピースを開示する。本ハンドピースは、皮膚組織の特定の特性、皺、小さい傷跡又はしみなどの毛及び皮膚の異常及び変則性、及び血管など、皮膚組織の対象領域に関する情報を生成するために、センサ、例えばCCD又はCMOSなどを備える。センサによって生成された情報は、処置を制御するために使用される。
【0009】
米国特許第6267771(B1)号は、人間の皮膚における毛の成長を抑止するためにプロセスを開示する。染料を含む汚染物質が毛穴に浸透して毛嚢を痛めるように、汚染物質が皮膚に塗布される。上記線量によって吸収される波長を有する光が皮膚に印加され、それによって毛嚢及び毛嚢に供給する周囲の組織の加熱を発生させる。光の印加は、少なくとも毛が巻き始めるまで継続される。
【0010】
典型的な光脱毛処置において、光脱毛デバイスのユーザは、身体領域(例えば、腕、脚など)全体をカバーするために、皮膚上に光脱毛デバイスを繰り返し手動で位置決めして、光パルスをトリガする必要がある。しかしながら、通常、光脱毛デバイスが既に処置された領域に関してユーザにフィードバックを提供せず、光パルス印加後の短時間は皮膚又は毛の変化がユーザにとってあまり知覚可能でない、又は全く知覚可能でないため、ユーザが身体部位の完全なカバーを実現する、及び/又は身体部位の特定の領域を過度に処置することを回避することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定する手法を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、処置デバイスとの使用のための装置が提供される。前記処置デバイスは、皮膚における毛に対して処置動作を実行するために、対象者の皮膚に光パルスを印加するように構成される。前記装置は、イメージングユニットから前記皮膚の第1の領域の1つ又は複数の画像を受信するように構成された処理部を備え、前記イメージングユニットは前記対象者の皮膚の画像を取得するように構成され、前記処理部は、さらに、前記1つ又は複数の画像を処理して前記1つ又は複数の画像に示されるような前記皮膚の前記第1の領域の毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて前記皮膚の前記第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定し、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを示す第1の信号を出力するように構成される。それによって、前記装置は、前記皮膚領域の1つ又は複数の画像から、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記処理部は、前記1つ又は複数の画像から決定された前記毛の色及び/又は前記毛のサイズに基づいて、前記毛の炭化の程度を決定するように構成される。いくつかの実施形態では、前記処理部は、前記1つ又は複数の画像から決定された前記毛の湾曲度に基づいて前記毛のカール度を決定するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記処理部は、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の炭化及びカールの少なくとも一方の決定された前記程度を、前記炭化度及びカール度のそれぞれの閾値と比較すること、又は前記毛の決定された前記炭化の程度とカールの程度とを合成して炭化及びカールの合成程度とし、前記炭化及びカールの合成程度を前記炭化及びカールの合成程度の閾値と比較することによって前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定するように構成される。
【0015】
さらなる実施形態又は代替の実施形態では、前記処理部は、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定するために、前記1つ又は複数の画像を処理するように訓練済み機械学習モデルを使用するように構成される。前記訓練済み機械学習モデルは、ディープニューラルネットワークなどの人工ニューラルネットワークでもあり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記処理部は、さらに、前記イメージングユニットから前記皮膚の前記第1の領域の1つ又は複数のさらなる画像を受信し、前記1つ又は複数のさらなる画像は、前記皮膚の前記第1の領域に光パルスが印加された後に前記イメージングユニットによって取得され、前記1つ又は複数のさらなる画像を使用して前記訓練済み機械学習モデルを更新するように構成される。これらの実施形態は、時間の経過に伴って機械学習モデルの性能が洗練又は改善されることを可能とし、特に、対象者の皮膚の画像の使用は、機械学習モデルが、対象者の皮膚特性に合わせて較正又はカスタマイズされることを可能とする。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記処理部は、さらに、毛を含む前記1つ又は複数の画像の部分を特定するために前記1つ又は複数の画像を解析するように構成され、前記処理部は、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定するために、前記1つ又は複数の画像の特定された前記部分を処理するように構成される。これらの実施形態は、1つ又は複数の画像の処理の効率を上げることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記処理部は、さらに、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛に関するさらなる情報を決定するために前記1つ又は複数の画像を処理し、前記さらなる情報を前記第1の信号に含めるように構成される。これらの実施形態では、前記さらなる情報は、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の密度と、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の強度と、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の太さと、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の色とのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記第1の信号は、前記1つ又は複数の画像と、光パルスで処置された毛を有する前記1つ又は複数の画像の部分の標示とを含む。これらの実施形態は、対象者又は前記処置デバイスの他のユーザがどこに光パルスが印加されるべきかを特定できるようにするフィードバックをその対象者又は他のユーザに提供し、それによって前記皮膚における前記処置動作の網羅度を改善する。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記装置は、前記第1の信号を受信するように構成されたユーザインターフェースをさらに備え、前記第1の信号は、前記ユーザインターフェースに、前記皮膚の前記第1の領域の毛が光パルスで処置されたかに関するフィードバックを前記処置デバイスのユーザに対して出力させるように構成される。これらの実施形態は、さらに、対象者又は前記処置デバイスの他のユーザがどこに光パルスが印加されるべきかを特定できるようにするフィードバックをその対象者又は他のユーザに提供し、それによって前記皮膚における前記処置動作のカバーの程度を改善する。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記第1の信号は前記処置デバイスの制御部に出力され、前記制御部は、前記処置デバイスが前記第1の信号に基づいて前記皮膚の前記第1の領域に光パルスを印加すべきかを決定するように構成される。したがって、これらの実施形態は、皮膚への光パルスの印加が自動的に制御される場合に有効であり、それによって皮膚における処置動作のカバーの程度が改善され得る。
【0022】
第2の態様によれば、対象者の皮膚の画像を取得するように構成されたイメージングユニットと、第1の態様又はそのいずれかの実施形態による装置とを備えるシステムが提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記イメージングユニットは、対象者の皮膚の1つ又は複数の画像を取得するための少なくとも第1のイメージングコンポーネントを備える。これらの実施形態では、前記イメージングユニットは、前記第1のイメージングコンポーネントに入射した光が前記第1の偏光子を透過するように、前記第1のイメージングコンポーネントに関して配置された第1の偏光子をさらに備え得る。偏光子の使用は、画像において可視の皮膚領域の深さを改善し得る(すなわち、偏光子は、光が皮膚における異なる侵入度で観察できるようにする)。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記システムは、前記皮膚の毛に対して処置動作を実行するために前記対象者の前記皮膚に光パルスを印加するように構成された処置デバイスをさらに備える。これらの実施形態では、前記処置デバイスは、前記イメージングユニット及び/又は前記装置を備える。代替の実施形態では、前記処置デバイスは前記装置から分離している。
【0025】
第3の態様によれば、対象者の皮膚の領域の毛が処置デバイスからの光パルスで処置されたかを決定するためのコンピュータ実施方法が提供される。前記処置デバイスは皮膚における毛に対して処置動作を実行するために、対象者の皮膚に光パルスを印加するように構成される。前記方法は、イメージングユニットから前記皮膚の第1の領域の1つ又は複数の画像を受信するステップであって、前記イメージングユニットは前記対象者の皮膚の画像を取得するように構成される、受信するステップと、前記1つ又は複数の画像を処理して前記1つ又は複数の画像に示されるような前記皮膚の前記第1の領域の毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて前記皮膚の前記第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するステップと、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを示す第1の信号を出力するステップとを有する。それによって、前記方法は、前記皮膚領域の1つ又は複数の画像から、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、処理する前記ステップは、前記1つ又は複数の画像から決定された前記毛の色及び/又は前記毛のサイズに基づいて、前記毛の炭化の程度を決定することを有する。いくつかの実施形態では、処理する前記ステップは、前記1つ又は複数の画像から決定された前記毛の湾曲度に基づいて前記毛のカール度を決定することを有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記処理のステップは、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の炭化及びカールの前記少なくとも一方の決定された前記程度を、前記炭化度及びカール度のそれぞれの閾値と比較すること、又は前記毛の決定された前記炭化の程度とカールの程度とを合成して炭化及びカールの合成程度とし、前記炭化及びカールの合成程度を前記炭化及びカールの合成程度の閾値と比較することを有する。
【0028】
さらなる実施形態又は代替の実施形態では、処理する前記ステップは、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定するために、前記1つ又は複数の画像を処理するように訓練済み機械学習モデルを使用することを有する。前記訓練済み機械学習モデルは、ディープニューラルネットワークなどの人工ニューラルネットワークでもあり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記方法は、さらに、前記イメージングユニットから前記皮膚の前記第1の領域の1つ又は複数のさらなる画像を受信するステップであって、前記1つ又は複数のさらなる画像は、前記皮膚の前記第1の領域に光パルスが印加された後に前記イメージングユニットによって取得される、受信するステップと、前記1つ又は複数のさらなる画像を使用して前記訓練済み機械学習モデルを更新するステップとを有する。これらの実施形態は、時間の経過に伴って機械学習モデルの性能が洗練又は改善されることを可能とし、特に、対象者の皮膚の画像の使用は、機械学習モデルが、対象者の皮膚特性に合わせて較正又はカスタマイズされることを可能とする。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記方法は、さらに、毛を含む前記1つ又は複数の画像の部分を特定するために前記1つ又は複数の画像を解析するステップを有し、前記処理のステップは、前記1つ又は複数の画像の特定された前記部分を処理して皮膚の前記第1の領域の前記毛が光パルスで処置されたかを決定するステップを有する。これらの実施形態は、1つ又は複数の画像の処理の効率を上げることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記方法は、さらに、前記1つ又は複数の画像を処理して前記皮膚の前記第1の領域の前記毛に関するさらなる情報を決定するステップと、前記さらなる情報を前記第1の信号に含めるステップとを有する。これらの実施形態では、前記さらなる情報は、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の密度と、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の強度と、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の太さと、前記皮膚の前記第1の領域の前記毛の色とのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記第1の信号は、前記1つ又は複数の画像と、光パルスで処置された毛を有する前記1つ又は複数の画像の部分の標示とを含む。これらの実施形態は、前記対象者又は前記処置デバイスの他のユーザがどこに光パルスが印加されるべきかを特定できるようにするフィードバックをその対象者又は他のユーザに提供し、それによって前記皮膚における前記処置動作の網羅度を改善する。
【0033】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースが前記第1の信号を受信し、前記第1の信号は、前記ユーザインターフェースに、前記皮膚の前記第1の領域の毛が光パルスで処置されたかに関するフィードバックを前記処置デバイスのユーザに対して出力させる。これらの実施形態は、さらに、前記対象者又は前記処置デバイスの他のユーザがどこに光パルスが印加されるべきかを特定できるようにするフィードバックをその対象者又は他のユーザに提供し、それによって前記皮膚における前記処置動作の網羅度を改善する。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記第1の信号は前記処置デバイスの制御部に出力され、前記制御部は、前記処置デバイスが前記第1の信号に基づいて前記皮膚の前記第1の領域に光パルスを印加すべきかを決定する。したがって、これらの実施形態は、皮膚への光パルスの印加が自動的に制御される場合に有効であり、それによって皮膚における処置動作のカバーの程度が改善され得る。
【0035】
第4の態様によれば、皮膚の第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定する際の使用のために機械学習モデル(MLM)を訓練するための装置が提供される。前記装置は、1人又は複数のテスト対象者の皮膚の複数の画像を取得し、各画像は前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されたかの標示で注釈が付けられ、前記複数の画像は、前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されたという標示で注釈が付けられた少なくとも1つの画像と、前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されなかったという標示で注釈が付けられた少なくとも1つの画像とを含み、前記画像に示された毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて、皮膚の毛が光パルスで処置された画像を、皮膚の毛が光パルスで処置されなかった画像から区別するために、前記複数の画像を使用してMLMを訓練するように構成された処理部を備える。
【0036】
第5の態様によれば、機械学習モデル(MLM)を使用するための装置が提供され、前記装置は、イメージングユニットから皮膚の領域の1つ又は複数の画像を受信するように構成された処理部を備え、前記イメージングユニットは対象者の皮膚の画像を取得するように構成され、前記処理部は、さらに、前記1つ又は複数の画像における皮膚の前記領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するために、前記1つ又は複数の画像を解析するために前記第4の態様による装置によって訓練されたMLMを使用し、皮膚の前記領域の毛が光パルスで処置されたかを示す第1の信号を出力するように構成される。
【0037】
第6の態様によれば、皮膚の第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定する際の使用のために、機械学習モデル(MLM)を訓練するコンピュータ実施方法が提供される。前記方法は、1人又は複数のテスト対象者の皮膚の複数の画像を取得するステップであって、各画像は前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されたかの標示で注釈が付けられ、前記複数の画像は、前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されたという標示で注釈が付けられた少なくとも1つの画像と、前記画像の前記皮膚の毛が光パルスで処置されなかったという標示で注釈が付けられた少なくとも1つの画像とを含む、取得するステップと、前記画像に示された毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づいて、皮膚の毛が光パルスで処置された画像を、皮膚の毛が光パルスで処置されなかった画像から区別するために、前記複数の画像を使用してMLMを訓練するステップとを有する。
【0038】
第7の態様によれば、機械学習モデル(MLM)を使用するコンピュータ実施方法が提供され、前記方法は、イメージングユニットから皮膚の領域の1つ又は複数の画像を受信するステップであって、前記イメージングユニットは対象者の皮膚の画像を取得するように構成される、受信するステップと、前記1つ又は複数の画像における皮膚の前記領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するために、前記1つ又は複数の画像を解析するために前記第6の態様の方法にしたがって訓練されたMLMを使用するステップと、皮膚の前記領域の毛が光パルスで処置されたかを示す第1の信号を出力するステップとを有する。
【0039】
第8の態様によれば、具現化されたコンピュータ可読コードを有するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラムプロダクトであって、前記コンピュータ可読コードは、適切なコンピュータ又は処理部によって実行されると、前記コンピュータ又は処理部に、前記第3の態様、前記第6の態様、前記第7の態様、又はそのいずれかの実施形態による方法を実行させるように構成される、コンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0040】
上記及び他の態様は、以下に記載の実施形態から明らかであり、それを参照して説明される。
【0041】
以下の図面を参照して、例示目的のみのために、例示の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明が使用可能な例示の処置デバイスの図である。
図2】様々な実施形態による、イメージングユニット及び装置を備えた例示のシステムのブロック図である。
図3】光パルスが印加される前及び後の毛の炭化及びカールの例を示す図である。
図4】光パルスが印加される前及び後の毛の炭化及びカールの例を示す図である。
図5】光パルスが印加される前及び後の毛の炭化及びカールの例を示す図である。
図6】皮膚の第1の領域における毛が光パルスで処置されたかを決定する例示の方法を図示するフローチャートである。
図7】皮膚の第1の領域における毛が光パルスで処置されたかを決定する際の使用のために機械学習モデルを訓練する方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
上述したように、本明細書に説明される技法は、皮膚の領域における毛が、処置デバイスからの光パルスで処置されたかを決定するために使用可能である。これらの技法は、処置デバイス(例えば、処置デバイスの処理部)によって実施されることが可能であり、又は分離した装置の処理部によって実施されることが可能である。対象者の皮膚の領域の1つ又は複数の画像を取得するために、イメージングユニット(例えば、カメラ)が必要とされる。イメージングユニットは、処置デバイスの一部、分離した装置の一部、又は処置デバイスと本明細書において説明される技法を実施するいずれかの装置との両方から分離していてもよい。
【0044】
図1は、皮膚の領域に対して光パルスを印加するために使用可能な例示の処置デバイス2の図である。図1の処置デバイス2は、本発明がともに使用されることが可能なハンドヘルド処置デバイス2の例として提示されているのに過ぎず、処置デバイス2は、図1に示された形態又はハンドヘルド処置デバイスに限定されないことが理解されるであろう。処置デバイス2は、対象者(例えば、人又は動物)の身体上での使用のためのものであり、使用中はユーザの片手又は両手で保持される。処置デバイス2が対象者の身体部位に接触している状態で、処置デバイス2は対象者の身体における毛に対して、1つ又は複数の光パルスを使用して何らかの処置動作を実行する。処置動作は、レーザ及び/又は光治療(光脱毛処置又はインテンスパルスライト(IPL)処置として知られる)による不要な毛の除去で有り得る。
【0045】
本明細書で記載される場合、処置デバイス2は、「ユーザ」によって動作又は使用され、処置デバイス2は「対象者」の身体上で使用される。いくつかの場合では、ユーザ及び対象者は同一の人であり、すなわち、処置デバイス2はユーザによって手で保持されてユーザ自身に対して使用される(例えば、自分の脚の皮膚に対して使用される)。他の場合では、ユーザ及び対象者は異なる人であり、例えば処置デバイス2はユーザによって手で保持され、他の人に対して使用される。いずれの場合でも、光パルス印加後の短時間は皮膚又は毛の変化がユーザにとってあまり知覚可能でない、又は全く知覚可能でないため、ユーザが身体部位の完全なカバーを実現すること、及び/又は身体部位の特定の領域を過度に処置することを回避することが困難である。
【0046】
例示の処置デバイス2は、少なくともハンドル部5とヘッド部6とを含む筐体4を備える。ハンドル部5は、ユーザが片手で処置デバイス2を保持できるようにする形状を有する。ヘッド部6は、筐体4のヘッド端部8に存在し、ヘッド部6が身体又は皮膚と接触している位置において対象者の身体又は皮膚に対してパーソナルケア動作が実行されるように、ヘッド部6は対象者と接触するように配置される。
【0047】
処置デバイス2は、エネルギ又はエネルギパルス(例えば光又は光パルス)を使用して処置動作を実行するためのものである。そのため、図1では、ヘッド部6は、筐体4中又は筐体4上に配置されたアパーチャ10を備え、アパーチャ10は対象者の皮膚と隣り合って、又は皮膚上に(すなわち皮膚と接触して)配置され得る。処置デバイス2は、アパーチャ10を介して対象者の皮膚に印加されて処置動作を実現する光パルスを生成するための1つ又は複数の光源12を備える。1つ又は複数の光源12は筐体4に配置され、それによって光パルスが1つ又は複数の光源12からアパーチャ10を介して供給される。アパーチャ10は、筐体4のヘッド端部8における開口部の形状を有し、又は光パルスにとって透過又は半透過であるウィンドウ(導波管を含む)の形状を有する(すなわち、光パルスはウィンドウを通過できる)。
【0048】
図1に示す例示の実施形態では、アパーチャ10は全体として矩形を有し、その結果として、皮膚上に全体的に矩形の皮膚処置領域が得られる。なお、アパーチャ10はいずれかの他の所望の形状を有し得ることが理解されるであろう。例えば、アパーチャ10は、正方形、楕円形、円形、又はいずれかの他の多角形であることが可能である。
【0049】
1つ又は複数の光源12は、いずれかの適切又は所望の波長(又は波長範囲)及び/又は強度で光パルスを生成可能である。例えば、光源12は、可視光、赤外線(IR)光及び/又は紫外線(UV)光を生成可能である。各光源12は、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)、(キセノン)フラッシュランプ、レーザなどのいずれかの適切な種類の光源を備えることが可能である。光源12は、およそ2.5ミリ秒(ms)の区間のための560から1200ナノメートル(nm)範囲のスペクトル成分を有する光パルスを供給できる。これは、それらの波長が吸収によって毛及び毛根のメラミンを加熱し、毛嚢を静止期に移行させ、毛の再成長を防ぐためである。
【0050】
1つ又は複数の光源12は、光のパルスを供給するように構成される。すなわち、光源12は、短時間(例えば1秒未満)で高強度の光を生成するように構成される。光パルスの強度は、アパーチャ10と隣り合った皮膚又は身体部位上に処置動作を実現する程度に十分高い必要がある。
【0051】
図示する処置デバイス2は、ヘッド部6が皮膚と接触しているかを決定するために使用されるヘッド部6上又はヘッド部6中に配置された2つの皮膚接触センサ14、16をさらに備える。皮膚接触センサ14、16は、ヘッド部6が皮膚と接触しているかを示すパラメータを測定し、パラメータの測定結果の時系列を含むそれぞれの測定信号を生成する。この測定信号は、ヘッド部6が皮膚と接触しているかを決定するために処理されることが可能である。通常、皮膚接触センサは、光パルスがユーザ又は対象者の目に向かうことを避けるために、光パルスが生成される前に処置デバイス2が皮膚に正しく接触していることを確実にするように、処置デバイス2、特に光脱毛器中で使用される。
【0052】
いくつかの実施形態では、パラメータは容量でもよく、したがって皮膚接触センサ14、16はヘッド部6の表面上の電気接点又は電極のそれぞれの対を介して容量を測定でき、測定された容量は、皮膚接触があるかを示す。代替の実施形態では、パラメータは光強度又は光量でもよく、したがって皮膚接触センサ14、16は、光センサに入射した光の強度又は量を測定する光センサでもよく、測定された強度又は量は、皮膚接触があるかを示す(例えばわずかな光、又は光が全くない状態は、皮膚が光センサ14、16を覆った時の皮膚接触を示す場合があり、またその逆もあり得る)。他の代替の実施形態では、パラメータは皮膚圧力の測定値でもよく、したがって皮膚接触センサ14、16は、それぞれの圧力センサ又は機械的スイッチを介して皮膚圧力を測定でき、測定された皮膚圧力は、皮膚接触があるかを示す。
【0053】
図示する処置デバイス2は、ヘッド部6が接触している皮膚の肌色を決定するために使用される、ヘッド部6上、又はヘッド部6中に配置された肌色センサ18をさらに備える。肌色センサ18は、皮膚の肌色を示すパラメータを測定し、パラメータの測定結果の時系列を含む測定信号を生成する。この測定信号は、ヘッド部6が接触している皮膚の肌色を決定するように処理されることが可能である。通常、肌色センサは、処置対象の皮膚のタイプに適した強度を光パルスが有することを確実にするために、又は皮膚のタイプ(例えば非常に多くのメラニン成分を有する暗めの皮膚)が光パルスに適さない場合に光パルスの生成を防ぐために、処置デバイス2、特に光脱毛器中で使用される。
【0054】
いくつかの実施形態では、肌色センサ18は、光センサであることが可能であり、光センサによって測定されたパラメータは、皮膚から反射された特定の波長又は複数の波長における光の強度又は量であり得る。特定の波長における反射光の測定された強度又は量は、皮膚の色を示し得る。反射光の測定された強度又は量は、皮膚のメラニン濃度に基づいてもよく、それによって、測定された強度又は量はメラニン濃度を示し得る。メラニン濃度は、例えば、660nm(赤)及び880nm(赤外線)波長における光反射の測定結果から導出されることが可能である。
【0055】
図示する処置デバイス2は、処置デバイス2をアクティブ化するためにユーザによって動作可能なユーザコントロール20をさらに備え、それによってヘッド部6は対象者の身体に対して要求される処置動作を実行する(例えば、1つ又は複数の光源12による光パルスの生成)。ユーザコントロール20は、スイッチ、ボタン、タッチパッドなどの形状を有する。
【0056】
図2は、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するための装置42と、イメージングユニット44とを備える例示のシステム40のブロック図である。いくつかの実施例では、処置デバイス2は図2に示されていないが、処置デバイス2はシステム40の一部と考えられ得る。上述したように、装置42は処置デバイス2とは分離したデバイスであることが可能であり、したがって装置42はスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、リモートサーバ、スマートミラーなどの電子デバイスの形態を有する。他の実施形態では、装置42、特に装置42によって提供される、本発明による機能性は処置デバイス2の一部である。
【0057】
イメージングユニット44は、光パルスが印加された場合、又は印加されなかった場合に、対象者の皮膚の1箇所又は複数個所の領域の1つ又は複数の画像(又はビデオシーケンス)を生成するために提供される。イメージングユニット44は、例えば電荷結合素子(CCD)及び1つ又は複数のレンズ及び/又はミラーなどの、画像をキャプチャするためのいずれかの適切なコンポーネントを含む。いくつかの実施形態では、イメージングユニット44は、デジタルカメラなどのカメラである。いくつかの実施形態では、イメージングユニット44に入射した光を偏光するためにイメージングユニット44の前方に配置された偏光子などの1つ又は複数の追加の光学コンポーネントがイメージングユニット44と関連付けられる。偏光子の使用は、画像において可視の皮膚領域の深さを改善し得る(すなわち、偏光子は、皮膚における異なる侵入度の光が観察できるようにする)。
【0058】
イメージングユニット44は、図2において装置42から分離しているとして示されているが、他の実施形態では、イメージングユニット44が装置42と一体化し得る、又は装置42の一部であり得ることが理解されるであろう。イメージングユニット44が装置42から分離されている実施形態では、イメージングユニット44は処置デバイス2の一部でもよく、又は処置デバイス2からも分離されていてもよい。イメージングユニット44が処置デバイス2の一部である実施形態では、イメージングユニット44はアパーチャ10の近くに処置デバイス2に配置されることが可能であり、それによって処置デバイス2が皮膚上にある時、又は皮膚に近い時に画像が取得可能である。
【0059】
装置42は、装置42の動作を全体的に制御して装置42が本明細書において説明される方法及び技法を実行できるようにする処理部46を備える。簡潔に述べると、処理部44は、イメージングユニット44から1つ又は複数の画像を受信し、その画像に示された皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するために画像を処理し、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを示す信号を出力する。
【0060】
それによって、処理部46は、イメージングユニット44が装置42の一部である実施形態では直接、又はイメージングユニット44が装置42から分離されている実施形態では他のコンポーネントを介して、のいずれかでイメージングユニット44から画像を受け取るように構成されることが可能である。いずれの場合でも、処理部46は、イメージングユニット44又は必要に応じて他のコンポーネントから画像(又はその画像を表す情報を保持する信号)を受信するための1つ又は複数の入力ポート又は配線を含む、又は備えることが可能である。処理部46は、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを示す信号を出力するための1つ又は複数の出力ポート又は配線をさらに含む、又は備えることが可能である。
【0061】
処理部46は、本明細書で説明される様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアにより多くの手法で実施されることが可能である。処理部46は、要求される機能を実行するために、及び/又は要求される機能を実現するように処理部46の構成要素を制御するために、ソフトウェア又はコンピュータプログラムコードを使用してプログラムされる1つ又は複数のマイクロプロセッサ又はデジタル信号プロセッサ(DSP)を備える。処理部46は、ある機能を実行する専用ハードウェア(例えば増幅器、前置増幅器、アナログデジタル変換器(ADC)及び/又はデジタルアナログ変換器(DAC))と、他の機能を実行するプロセッサ(例えば1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ、コントローラ、DSP、及び関連サーキットリー)との組み合わせとして実施される。本開示の様々な実施形態で用いられるコンポーネントの例は、従来のマイクロプロセッサ、DSP、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ニューラルネットワークを実施するためのハードウェア、及び/又はいわゆる人工知能(AI)ハードウェアアクセラレータ(すなわち、主プロセッサとともに使用可能なAIアプリケーション専用に設計されたプロセッサ又は他のハードウェア)を含むが、これに限定されない。
【0062】
処理部46は、メモリ部48を備えることができ、又はそれと関連付けられることが可能である。メモリ部48は、装置42の動作を制御する際、及び/又は本明細書に記載の方法を実施又は実行する際に、処理部46によって使用されるデータ、情報、及び/又は信号(画像を含む)を格納可能である。いくつかの実施例において、メモリ部48は、処理部46によって実行可能なコンピュータ可読コードを格納し、それによって処理部46は本明細書に記載される方法を含む1つ又は複数の機能を実行する。特定の実施形態において、プログラムコードは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、又はサーバのためのアプリケーションの形態を有することが可能である。メモリ部48は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、静的RAM(SRAM)、動的RAM(DRAM)、読出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、及び電気消去可能PROM(EEPROM(登録商標))などの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリを含むキャッシュ又はシステムメモリなどのいずれかの種類の非一時的機械可読媒体を備えることが可能であり、メモリ部は、メモリチップ、光学ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)又はブルーレイディスクなど)、ハードディスク、テープストレージソリューション、又はメモリスティック、ソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカードなどを含むソリッドステートデバイスの形態で実施されることが可能である。
【0063】
図2に示す実施形態では、装置42がイメージングユニット44から分離しているとして示されているため、装置42は、装置42がイメージングユニット44から画像を受信できるようにするインターフェースサーキットリー50をさらに含む。装置42のインターフェースサーキットリー50は、イメージングユニット44、処置デバイス2、サーバ、データベース、ユーザデバイス、及びセンサのうちのいずれかの1つ又は複数を含む他のデバイスとのデータ接続及び/又はデータ交換を可能とする。イメージングユニット44(又は処置デバイス2などの電子デバイス)への接続は、直接的又は間接的(例えばインターネットを介する)でもよく、それによってインターフェースサーキットリー50は、所望の有線又は無線通信プロトコルによる、装置42とネットワークとの間での接続、又は装置42と他のデバイス(イメージングユニット44及び/又は処置デバイス2など)との間での直接接続を実現できる。例えば、インターフェースサーキットリー50は、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、又はいずれかのセルラ通信プロトコル(Global System for Mobile Communications(GSM)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE-Advancedなどを含むがこれに限定されない)を使用して動作可能である。無線接続の場合、インターフェースサーキットリー50(したがって装置42)は、伝達媒体(例えば空気)を介して送受信するための1つ又は複数の適切なアンテナを含む。若しくは、無線接続の場合、インターフェースサーキットリー50は、インターフェースサーキットリー50を、伝達媒体(例えば空気)を介して送受信するための装置42の外部の1つ又は複数の適切なアンテナに接続可能とする手段(例えばコネクタ又はプラグ)を含む。インターフェースサーキットリー50は、処理部46に接続される。
【0064】
図2には不図示であるが、装置42は、装置42のユーザが装置42に対して情報、データ、及び/又はコマンドを入力できるようにし、及び/又は装置42が装置42のユーザに対して情報又はデータを出力できるようにする1つ又は複数のコンポーネントを含む1つ又は複数のユーザインターフェースコンポーネントを備えてもよい。ユーザインターフェースは、キーボード、キーパッド、1つ又は複数のボタン、スイッチ又はダイヤル、マウス、トラックパッド、タッチスクリーン、スタイラス、カメラ、マイクなどを含むがこれに限定されないいずれかの適切な入力コンポーネントを備えることが可能であり、ユーザインターフェースは、ディスプレイユニット又はディスプレイ画面、1つ又は複数の照明又は光素子、1つ又は複数のスピーカー、振動子などを含むがこれに限定されないいずれかの適切な出力コンポーネントを備えることが可能である。
【0065】
装置42の実践上の実施は、図2に示すものに対する追加構成要素を含むことが理解されるであろう。例えば、装置42は、電池などの電源、又は装置42を主電源に接続可能とする構成要素をさらに含む。
【0066】
上述したように、本明細書において説明される技法は、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するための手法を提供することを目的とする。特に、適切な光パルスが印加された後(すなわち、適切な強度及び/又は波長において)、毛の炭化が増加し、及び/又は毛のカール量が増加する。毛は、ジスルフィド結合によってともに保持されたケラチンからなる。光パルスが印加されると、これらのジスルフィド結合が破壊される。これらの結合が破壊されると、毛の色の見た目及び構造的保全性が変化し、毛の「巻き上げ」が発生し、それによって毛の湾曲が増加する。これが、炭化及びカール効果である。
【0067】
図3図5は、光パルスが印加される前及び後の毛の炭化及びカールのいくつかの例を示す。
【0068】
図3(a)は、光パルスが印加される前の毛が剃られていない状態の皮膚の領域の画像である。2本の毛が図3(a)では可視である。図3(b)は、光パルスが印加された後の皮膚の同一領域の画像であり、矢印70、72は、図3(a)で可視の毛が図3(b)の毛とどのように対を成すかを示す。光パルスの印加後に2本の毛の見た目が変化し、図3(a)と比較して可視の炭化量が図3(b)において増加し、すなわち、図3(a)と比較して毛が図3(b)の方がより暗く、より太く見えることがわかる。加えて、光パルスが印加される前と比較して、毛は図3(b)の方がよりカールしている。図3(a)及び図3(b)の画像は、イメージングユニット44と、イメージングユニット44の前方に配置された偏光子とを使用して取得されたものである。
【0069】
図4(a)は、光パルスが印加される前の散髪された(すなわち毛は短いが皮膚の高さまでは切られていない)皮膚の領域の画像である。2群の毛がボックス74、76によって図4(a)で強調されている。図4(b)は、光パルスが印加された後の皮膚の同一領域と、ボックス78、80(2つの画像における毛間の対応は矢印70、72によって示される)との画像である。光パルスの印加後に毛の見た目が変化し、図4(a)と比較して可視の炭化量が図4(b)において増加したことがわかる。加えて、毛は、光パルスが印加される前と比較して図4(b)の方がわずかによりカールしている。図4(a)及び図4(b)の画像は、イメージングユニット44と、イメージングユニット44の前方に配置された偏光子とを使用して取得されたものである。
【0070】
図5(a)は、光パルスが印加される前の毛が剃られた(すなわち毛は短く、ほぼ皮膚の高さまで切られている)皮膚の領域の画像である。毛は図5(a)において可視である。図5(b)は光パルスが印加された後の皮膚の同一領域の画像であり、毛は矢印86により示される。光パルスの印加後に毛の見た目が変化し、図5(a)と比較して可視の炭化量が図5(b)において増加したことがわかる。毛は既に非常に短いため、毛のカールが発生しづらく、光パルスに起因した毛のカールにおいて可視の違いはあまりない。この例では毛が非常に短いため、図5(a)及び図5(b)の画像は、イメージングユニット44を使用して取得されたものであり、撮像された領域のズーム又は他の拡大形態を有する。
【0071】
図5(c)~図5(e)は、光パルスが印加された後の皮膚の他の領域の画像であり、毛が各画像においてそれぞれ矢印88、90、及び92によって示される。各画像において、毛が比較的高レベルの炭化を示していることがわかる。図5(d)及び図5(e)において、毛のカールが可視である。図5(a)及び図5(b)と比較すると、これらの例では毛が非常に短く、したがって図5(c)~図5(e)の画像は、イメージングユニット44を使用して取得されたものであり、撮像された領域のズーム又は他の拡大形態を有する。
【0072】
それによって、図3図5より、毛の炭化及び/又はカールの程度(すなわち、量)は、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを示し得ることがわかり、画像の適切な処理が、毛の炭化及び/又はカールの程度に基づいて皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかが決定できる。
【0073】
図6のフローチャートは、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するための、本明細書において説明される例示の方法を示す。方法のステップのうちの1つ又は複数は、必要に応じて、装置42のメモリ部48及びインターフェースサーキットリー50、及び/又はイメージングユニット44のいずれかとともに、装置42の処理部46によって実行され得る。処理部46は、例えば、メモリ部48などのコンピュータ可読媒体上に格納され得るコンピュータプログラムコードの実行に応答して1つ又は複数のステップを実行する。
【0074】
ステップ101において、皮膚の第1の領域の1つ又は複数の画像が受信される。この画像は、画像がイメージングユニット44によって生成されると、例えばリアルタイム又はほぼリアルタイムでイメージングユニット44から直接受信可能である。若しくは、この画像はイメージングユニット44によって事前に生成されて、後続の解析のために、例えばメモリ部48、処置デバイス2又はイメージングユニット44と関連付けられたメモリ部、又はリモートのデータベースに格納され、その場合、ステップ101は、処理部46が格納場所(例えば、メモリ部48など)から画像を取得又は取り出すことを含み得る。
【0075】
ステップ103において、皮膚の第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するために、1つ又は複数の画像が処理される。毛が処置されたかについての決定は、画像に示された毛の炭化及びカールの少なくとも一方の程度に基づく。毛の炭化は、画像に示された毛の色及び/又は毛のサイズに関連する。毛のカールは、画像に示された毛の湾曲量に関連する。
【0076】
いくつかの実施形態では、ステップ103の一部として、1つ又は複数の画像は、毛を含む画像の部分を特定するために解析されることが可能であり、皮膚の第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定する処理は、画像の特定された部分に対して行われることが可能である。この解析の出力は、画像の毛を含む(又は逆に毛を含まない)部分を強調するマスク(画像マスク)又は同様の標示で有り得る。この画像の解析は、輪郭検出及び/又はエッジ検出画像処理技法(当業者には知られている)を使用して画像中の毛を検出することを有し得る。例えば、エッジ検出技法は、画像中の毛のアウトラインを検出できる。
【0077】
その後、ステップ105において、皮膚の第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを示す信号が出力される。いくつかの実施形態では、上記の標示は、単純な「処置済み皮膚領域」又は「未処置皮膚領域」で有り得る。他の実施形態又はさらなる実施形態では、標示は、皮膚、毛、又は適用処置に関する追加情報を含み得る。
【0078】
上記信号は、装置42又は処置デバイス2のユーザインターフェースコンポーネントに提供され、信号は、ユーザインターフェースコンポーネントに、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを示させるように構成される。例えば、信号は、イメージングユニット44のビュー内に現在あって光パルスで処置され得る皮膚の領域が光パルスで既に処置されたと決定された場合に、処置デバイス2の赤色灯を点灯させ得る。同様に、信号は、イメージングユニット44のビュー内に現在ある皮膚の領域が光パルスで処置されていないと決定された場合に、処置デバイス2の緑色灯を点灯させ得る。処置デバイス2のユーザは、処置デバイス2の現在位置で光パルスをトリガするかを決定するためにそれらの標示を使用可能であり、ユーザが対象者の皮膚に対する処置動作の網羅度を改善する上で役立ち得る。他の例として、ユーザは、上記標示を使用して、皮膚のその領域に対する以前の光パルス処置が成功したかを決定し得る。他の例として、装置42がスマートフォン又は類似の種類のデバイスの形態を有する場合、皮膚の領域が光パルスで処置されたかに関するフィードバックが装置42で実行されているアプリ(ソフトウェアアプリケーション)によってユーザ又は対象者に提供され得る。当業者は、皮膚の領域が光パルスで処置されたかに関するフィードバックがユーザに提供され得る、例えば、表示スクリーン、スピーカー、触覚フィードバックなどを含む他の手法を認識するであろう。
【0079】
若しくは(又は加えて)条件が適切であれば(例えば、処置デバイス2が皮膚に接触している、処置デバイス2が接触している皮膚の色が光パルスを受けるために適切である、など)処置デバイス2が光パルスを自動的にトリガできる場合、信号は処置デバイス2の制御部に提供されることが可能であり、制御部は、アパーチャ10と現在隣接する皮膚の領域を光パルスで処置するかの決定の一部として上記信号を使用可能である。
【0080】
ステップ105で出力された信号は、皮膚の第1の領域の毛に関する情報をさらに含み得る。この情報は、ステップ103での画像の処理中に決定可能である。この情報は、皮膚における処置デバイス2の現在位置で光パルスのトリガを行うかに関する決定の一部として、ユーザ又は処置デバイス2の制御部によって使用される。情報は、値、比率、又はそれらの組合せとして提供される。いくつかの実施形態では、情報は、皮膚の第1の領域における毛の密度、皮膚の第1の領域における毛の強度、皮膚の第1の領域における毛の太さ、及び皮膚の第1の領域における毛の色のうちの少なくとも1つを含む。毛の色は、光パルスに反応する毛炭化及び毛カールの量が異なる色の毛間で変動があるため、印加された光パルスに反応した毛の炭化度及び毛のカール度から決定され得る。個々の毛の炭化の程度(量)(例えば、50%炭化)は、毛の太さ及び/又は強度の標示を提供し得る。毛密度に関する情報は、画像において可視である毛量を解析することによって決定可能である。
【0081】
これらの種類の情報のいずれかは、処置デバイス2が光パルスをトリガするために使用する適切な設定を決定するために有効であり、例えば、強度設定は、毛の太さに基づいて調節可能であり、光パルスの波長は毛の色に基づいて調節可能である。
【0082】
いくつかの実施形態では、ステップ105で出力された信号は、ステップ101で受信された画像のうちの1つ又は複数を含み得る。出力画像は、光パルスで処置された毛を有する1つ又は複数の画像の一部の標示(例えば、画像におけるマスクの形態を有する)を含む。
【0083】
皮膚の領域の画像は、光パルスによる処置が適用された皮膚の部分と、光パルスによる処置が適用されなかった他の部分とを含むことが理解されるであろう。これらの異なる部分は、例えば、光パルスの印加があった場合に見合った特徴(例えば、炭化及びカール)を示す画像中の毛群又は皮膚の領域、又は光パルスの印加がなかった場合に見合った特徴を示す画像中の分離した毛群又は皮膚の領域を特定することによって、ステップ103の処理中に特定されることが可能である。これらの実施形態において、ステップ105で出力された信号は、光パルスで処置された画像中の皮膚の領域の部分及び/又は光パルスで処置されなかった部分を示し得る(又はそれを示す情報を含み得る)。
【0084】
ステップ103は、皮膚の第1の領域の毛の炭化及び/又はカールの程度を決定するために1つ又は複数の画像を処理することを含み得る。皮膚の第1の領域における毛の炭化及び/又はカールの決定された程度に基づいて、皮膚の第1の領域の毛が光パルスで処置されたかが決定され得る。毛の炭化及び/又はカールの程度は、それぞれのスコアで表されることが可能であり、例えば、高スコアは高炭化度又は高カール度を示し、低スコアは低炭化度又は低カール度を示す。いくつかの実施形態では、毛の炭化及びカールの決定された程度はそれぞれの閾値と比較され得る。いくつかの実施形態では、両方の決定された程度がそれぞれの閾値を上回った場合、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたと決定され得る。他の実施形態において、決定された程度の少なくとも1つがそれぞれの閾値を上回った場合に、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたと決定され得る。若しくは、皮膚の第1の領域の毛炭化及びカールの程度が単一の合成程度(例えば合成スコア)を形成するように合成され、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するために、合成程度が閾値と比較され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、炭化度は、毛の色、既知の前処置/前光パルス色からの毛の色の変化、毛のサイズ、及び/又は既知の前処置/前光パルスサイズからの毛のサイズの変化に基づいて定義可能であり、炭化度は、画像に示された毛の色、色の変化、サイズ、及び/又はサイズの変化により画像から決定され得る。毛の炭化度は、画像中の、毛に関連した、又は毛の炭化部分に関連したピクセルの数から決定可能である(炭化部分がそれらのピクセルの色から特定可能な場合)。
【0086】
いくつかの実施形態では、カール度は、知られている湾曲及び/又は前処置/前光パルスによる湾曲からの毛の湾曲の変化に基づいて定義可能であり、湾曲度は、画像に示された毛の湾曲及び/又は湾曲の変化により画像から決定可能である。
【0087】
ステップ103の他の実施形態において、訓練済み機械学習モデル(MLM)が、皮膚の第1の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するように1つ又は複数の画像を処理するために使用される。MLMは、例えば、サポートベクターマシン、決定木、ランダムフォレストなどを用いた特徴抽出などの従来の機械学習モデル、又は入力層と出力層との間に複数の層を有し入力層と出力層との間の線形又は非線形関係を特定する、ニューラルネットワークなどの人工ニューラルネットワークなど、いずれかの適切な種類のMLMであり得る。MLMは、画像に示された皮膚領域の毛が光パルスで処置されたか否かを分類するために、画像毎に評価を行う。いくつかの実施形態では、MLMは、画像を直接受信し、画像において可視の皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するために、画像の必要な全解析及び処理(例えば、炭化度及び/又はカール度を決定)を実行する。これは、ディープニューラルネットワークなどの人工ニューラルネットワークであるMLMの場合に特に該当する。他の実施形態において、例えば従来のMLMの使用の場合、画像は、例えば炭化度及び/又はカール度の値を決定するためにMLMに提供される前に処理可能であり、これらの程度(任意で、画像に加えて)は、画像において可視の皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定するための解析のためにMLMに提供されることが可能である。
【0088】
ステップ103の実施形態で使用されたMLMは、ユーザ/対象者による使用前に訓練される。図7のフローチャートは、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定する際の使用のためにMLMを訓練する方法を示す。図7の訓練方法は、図6を実行する同一の装置又はデバイスによって実行される必要がないことが理解されるであろうが、図7の訓練方法は、装置42を含む適切な装置又はデバイスによって実行される。例えば、図7の訓練方法は、中央場所のサーバ又はコンピュータによって実行可能であり、訓練済みMLM(又は訓練済みMLMを表すコンピュータコード)は、図6の方法にしたがって皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定する際の使用のための様々な装置42に分散され得る。
【0089】
装置42が図6の方法を実施する実施形態において、この方法のステップのうちの1つ又は複数のステップは、必要に応じて、装置42のメモリ部48及びインターフェースサーキットリー50、及び/又はイメージングユニット44のいずれかとともに、処理部46によって実行されることが可能である。処理部46は、例えば、メモリ部48などのコンピュータ可読媒体上に格納され得るコンピュータプログラムコードの実行に応答して1つ又は複数のステップを実行する。
【0090】
MLMを訓練するために、訓練データセットが必要とされる。この訓練データセットは、1人又は複数のテスト対象者(図6の方法が使用される対象者を含む場合も、含まない場合もある)の皮膚の複数の画像を含む。訓練データセット中の各画像は、画像中の皮膚の毛が光パルスで処置されたかの標示で注釈が付けられる。この注釈は、ユーザ又は他の人によって手動で付けられたものである。訓練データセットは、画像中の皮膚の毛が光パルスで処置されたという標示を用いて注釈が付けられた少なくとも1つの画像と、画像中の皮膚の毛が光パルスで処置されなかったという標示を用いて注釈が付けられた少なくとも1つの画像とを含み得る。訓練データセットが大きくなるほど、結果として得られるMLMがより正確となる可能性があることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、訓練データセット中の画像は、毛の数(すなわち、画像中の毛の数)、毛の太さ又は毛密度、炭化度(例えば炭化率)、又はそれらの組合せなどの追加情報を用いて注釈が付けられ得る。好ましくは、訓練済みMLMが対象者及び毛タイプの範囲にわたって正確であるようにするために、訓練データセットは、光パルスに対する異なる毛反応レベルを有する毛、例えば異なる色の毛の画像を含むべきである。
【0091】
訓練データセットは、図7のステップ111で取得される。このステップは、画像及び関連注釈を収集する(例えば、イメージングユニット及びユーザインターフェースを使用)こと、又はデータベース又は他の電子格納デバイスから訓練データセットの画像を取り出すことを含み得る。
【0092】
次に、ステップ113において、MLMは、訓練データセット中の複数の画像を使用して訓練され、それによってMLMは、皮膚の毛が光パルスで処置された画像を、皮膚の毛が光パルスで処置されていない画像から区別できるようになる。MLMは、画像に示された毛の炭化度及びカール度に基づいて画像間を区別するように訓練される。訓練データセットが毛数、毛の太さ、毛密度、及び/又は炭化率に関連する注釈を含む場合、MLMは入力画像に対してそれらのパラメータの標示を提供するようにさらに訓練される。訓練データセットを使用してMLMを訓練するための技法は当業者に知られており、本明細書において詳細は提供されない。ただし、一例として、MLMが訓練データセット中の画像のサブセットを使用して訓練され、訓練済みMLMは訓練データセット中の他の画像のうちの1つ又は複数を使用して正確性に関してテストされる場合に、MLMは相互検証を使用して訓練され得る。この訓練及びテストは、最終的な訓練済みMLMに到達するために、訓練データセット中の画像の異なるサブセットに対して反復され得る。この訓練済みMLMは、その後、図6のステップ103で使用され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、MLMがデプロイされて特定の対象者によって使用中となると、MLMの正確性は、光パルスが印加されたか否かを確定するために手動又は自動で注釈が付けられた対象者の皮膚の画像を使用してMLMを更新することによって特定の対象者の皮膚/毛特性に合わせて、改善又はカスタマイズされることが可能である。若しくは、又は加えて、イメージングユニット44が処置デバイス2の一部である場合、イメージングユニット44は、処置デバイスが皮膚の領域に対して光パルスを印加した直後に、その皮膚の領域の画像を取得するように制御され得る。
【0094】
MLMの更新(又は再訓練)は、対象者の画像を訓練データセットに追加して、更新された訓練データセットを使用してMLMを再訓練することによって実施可能である。いくつかの実施形態では、この更新又は再訓練は、対象者が装置42を最初に使用を開始した時のMLMに対する較正手順の一部として実行され得る。
【0095】
したがって、皮膚の領域の毛が光パルスで処置されたかを決定することにおける改善が実現される。
【0096】
図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の熟慮により、本明細書に記載の原理及び技法を実践する上で、本開示の実施形態の変形は当業者によって理解され、実現されることが可能である。請求項において、「備える」という語は、他の要素又はステップを排除せず、単数形は、複数性を排除しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載されるいくつかの要素の機能を果たす。特定の手段が互いに異なる従属項に記載されているという事実だけで、それらの手段の組み合わせが効果的に使用されることができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又はその一部として供給される光学格納媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に格納又は分散されてもよいが、さらにインターネット又は他の有線又は無線通信システムを介するなど、他の形態で分散されてもよい。請求項におけるあらゆる参照番号は、範囲を限定すると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図5(e)】
図6
図7
【国際調査報告】