(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】高度道路交通システムにおいてチャネル輻輳を制御するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/10 20090101AFI20221115BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20221115BHJP
H04W 28/24 20090101ALI20221115BHJP
【FI】
H04W72/10
H04W4/44
H04W28/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517962
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020066863
(87)【国際公開番号】W WO2021052640
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハリ, ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】カーン, イルファン
(72)【発明者】
【氏名】セシア, ステファニア
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB21
5K067EE02
5K067EE10
5K067GG06
(57)【要約】
本発明は、物理または無線周波数チャネルにおいて、ITS局において実行される少なくとも2つのアプリケーションによってメッセージを送信するための方法であって、メッセージが、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備える、方法に関する。方法は、方法が、- ターゲットサービス品質に関係する特性のセットを決定する(301)ことと、- 各アプリケーションおよび各メッセージタイプに関連して、サービス品質インジケータ値のセットを決定する(302)ことと、- 各メッセージタイプについて、サービス品質インジケータ値のセットを選択する(304)ことと、- 各メッセージタイプについて、選択されたサービス品質値のセットの値に応じて、優先度係数を決定する(305)ことと、- 各メッセージタイプについて、すべてのメッセージタイプに関連付けられた優先度係数に応じて、リソース割振りレートを決定する(306)ことと、- 各メッセージタイプについて、リソース割振りレートとチャネルの使用限度とに応じて、チャネルリソースのシェアを決定する(307)ことと、- 各アプリケーションについて、現在のサイクルについてリソースのストックを決定する(308)ことと、- リソースの最も大きいストックを有するアプリケーションのメッセージを生成および送信する(310)こととからなるステップを備えることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理または無線周波数チャネルにおいて、ITS局において実行される少なくとも2つのアプリケーションによってメッセージを送信するための方法であって、前記メッセージが、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備え、前記方法が、
- ターゲットサービス品質に関係する特性のセットを決定するステップ(301)と、
- 各アプリケーションおよび各メッセージタイプに関連して、サービス品質インジケータ値のセットを決定するステップ(302)であって、各サービス品質値が、前記ターゲットサービス品質に関係する特性を表す、サービス品質インジケータ値のセットを決定するステップ(302)と、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質仕様に依存する選択基準に従って、サービス品質インジケータ値のセットを選択するステップ(304)と、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質値の選択されたセットの値に従って、優先度係数を決定するステップ(305)と、
- 各メッセージタイプについて、前記メッセージタイプのすべてに関連付けられた前記優先度係数に従って、リソース割振りレートを決定するステップ(306)と、
- 各メッセージタイプについて、前記リソース割振りレートと前記チャネルについての使用限度とに従って、チャネルリソースのシェアを決定するステップ(307)と、
- 各アプリケーションについて、現在のサイクルについてリソースのストックを決定するステップ(308)と、
- リソースの最も大きいストックを有する前記アプリケーションの前記メッセージを生成および送信するステップ(310)と
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
各メッセージタイプに関連付けられたサービス品質インジケータ値の前記セットが、前記少なくとも2つのアプリケーションの各々によって決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのメッセージタイプに関連付けられたターゲットサービス品質インジケータ値の前記セットの少なくとも一部が、自動的に決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲットサービス品質に関係する特性が、緊急度、ユーティリティ、範囲、レイテンシ、トラフィッククラス、メッセージロスレート、データレート、前記アプリケーションをサポートする最大速度、利用可能性、送信されるメッセージのサイズ、送信されるメッセージの数、許容できる誤り率に関する信頼性、および情報のエイジを含む群から選定されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ターゲットサービス品質に関係する特性の前記セットが、少なくとも1つのメッセージの送信を必要とする少なくとも1つのアプリケーションのタイプに応じて、時間とともに動的におよび可変に決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
チャネルリソースの前記シェアが、各メッセージタイプについて、輻輳のレベルと、前記少なくとも2つのアプリケーションのうちの少なくとも1つによって受信された情報とを備える、1つまたは複数のパラメータに応じて動的に決定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
メッセージを送信した前記アプリケーションのリソースの前記ストックが更新され、前記アプリケーションに関連して修正されるリソースのストックが、前記現在のサイクルにおける前記アプリケーションに関連付けられたリソースの前記ストックと、前記アプリケーションによって生成および送信された前記メッセージのサイズとに従って、決定されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
メッセージタイプに関連付けられた前記優先度係数が、このメッセージタイプについて選択されたサービス品質インジケータ値の前記セットの前記値の加重和として決定され、前記加重和が、あらかじめ決定された係数のセットによって定義されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
物理または無線周波数チャネルにおいて、ITS局(200)において実行される少なくとも2つのアプリケーションによってメッセージを送信するためのデバイス(2020)であって、前記メッセージが、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備え、前記デバイス(2020)はリソース計算器(2021)を備え、前記リソース計算器(2021)が、
- ターゲットサービス品質に関係する特性のセットを決定することと、
- 各アプリケーションおよび各メッセージタイプに関連して、サービス品質インジケータ値のセットを受信することであって、各サービス品質値が、前記ターゲットサービス品質に関係する特性を表す、サービス品質インジケータ値のセットを受信することと、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質仕様に依存する選択基準に従って、サービス品質インジケータ値のセットを選択することと、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質値の選択されたセットの値に従って、優先度係数を決定することと、
- 各メッセージタイプについて、前記メッセージタイプのすべてに関連付けられた前記優先度係数に従って、リソース割振りレートを決定することと、
- 各メッセージタイプについて、前記割振りレートと前記チャネルについての使用限度とに従って、チャネルリソースのシェアを決定することと、
- 各アプリケーションについて、現在のサイクルについてリソースのストックを決定することであって、リソースの最も大きいストックを有する前記アプリケーションが、少なくとも1つのメッセージを送信するように構成される、リソースのストックを決定することと
のために構成されていることを特徴とする、デバイス(2020)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、インテリジェントトランスポーテーションシステムに関し、特に、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて、接続された局の間の通信におけるチャネル輻輳を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の発展は、トランスポーテーションの分野における、協働インテリジェントトランスポーテーションシステム(ITS)の出現につながった。インテリジェントトランスポーテーションシステムは、接続された車両デバイスおよびインフラストラクチャを実装し、道路安全を増加させ、トランスポーテーションをより安全で、より効率的で、より持続可能なものにする。
【0003】
主要な技術目的は、道路安全を改善するために、一方では車両に設置されるデバイスと、他方では路側器において展開されるデバイスとを開発することを目的とし、これは、車両、インフラストラクチャ、およびユーザの間の高速でセキュアな通信に基づく。
【0004】
車両の環境と通信するために車両によって使用される通信技術は、協働インテリジェントトランスポーテーションシステム(C-ITS)およびヨーロッパ電気通信標準協会(ETSI)の範囲内で開発された規格に基づき、アプリケーションの主要なターゲット領域は、道路安全、道路交通管理、およびコンフォートアプリケーションである。
【0005】
道路安全に関係する通信は、一般に、車両から車両に送信されるデータを生成する。これらは、車両間(V2V)通信と呼ばれる。
【0006】
道路交通管理に関係する通信は、車両と道路インフラストラクチャ(たとえば、道路サービス提供者)との間で交換されるデータを生成する。この場合、車両インフラストラクチャ間(V2I)通信およびインフラストラクチャ車両間(I2V)通信への言及が行われる。
【0007】
V2I通信は、車両が遭遇する状況(たとえば、滑りやすい道路、緊急制動など)に関して車両によって生成され、道路管理者など、インフラストラクチャエンティティによって傍受される、メッセージおよびデータを備える。
【0008】
I2V通信は、たとえば、接続された車両に道路管理者によって送信される、道路工事、ウインターサービス、交通状況などに関する情報を備える。
【0009】
他のサービスは、車両と歩行者との間、すなわち、車両歩行者間(V2P)または歩行者車両間(P2V)の情報の交換の場合のように、道路管理者以外の参与者を伴い得る。インテリジェントトランスポーテーションシステムにおける車両と任意の物体との間の通信は、車両万物間(V2X)通信と呼ばれる。V2X通信は、V2V、V2I、V2P、および車両ネットワーク間のためのV2N通信を備える。
【0010】
インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて様々な参与者の接続を保証するために現在使用されている通信技術は、
- WiFi(登録商標)のための802.11p規格に基づく技術であるITS-G5技術、および
- セルラーネットワーク(たとえば、2G/3G/4G)から導出された技術
を備える。
【0011】
ITS-G5技術は、無認可5.9GHz帯域において動作し、道路管理者によって展開される路側器に依拠する。ITS-G5局(たとえば、車両および路側器)は、コーディネータなしに動作する、純粋に分散されたアドホック通信ネットワークを構成する。無認可帯域であるという事実は、無認可帯域に関連付けられた要件を満たす任意の技術が、この帯域を使用し得ることを意味し、これは、送信チャネルにおける輻輳問題を引き起こし得る。
【0012】
ITS-G5技術の物理レイヤは、直交分割多重化を実装する。アクセスレイヤは、拡張分散チャネルアクセス(EDCA)モードをもつIEEE802.11eプロトコルを採用する。このプロトコルは、送信チャネルへのアクセスの4つのカテゴリー、または4つの優先度、すなわち、「ボイス」優先度、「ビデオ」優先度、ベストエフォートを反映するが絶対保証がない「ベストエフォート」優先度、および前述のものよりも低い「バックグラウンド」優先度を定義する。
【0013】
セルラーネットワークから導出された主要な技術のうちの1つは、LTE技術を使用する、LTE-V2XまたはセルラーV2X(C-V2X)技術である。LTE-V2X技術は、5.9GHz周波数帯域における、およびモバイル事業者の周波数帯域におけるV2X通信(V2V、V2I、およびV2P)を可能にし、2つの無線インターフェース、言い換えれば、UuセルラーインターフェースおよびPC5インターフェースをサポートする。PC5インターフェースは、モード3およびモード4と呼ばれる2つの通信モードを含む。モード3では、セルラーネットワークは、接続されたデバイスによってデバイスの通信のために使用されるリソースを割り振り、管理する。モード3は、それゆえ、デバイスがセルラーカバレージを有するときにのみ利用可能である。モード4では、接続されたデバイスは、直接通信のためにネットワーク介入を用いてまたは用いずに無線リソースを自律的に選択する。
【0014】
現在使用されている様々な技術は、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて様々な接続された局によって生成されたデータストリームを管理し、利用可能な送信チャネルへのアクセスを共有する複数の接続されたデバイスの存在下でのネットワーク輻輳を制御するための異なる技法を実装する。
【0015】
たとえば、ITS-G5技術は、送信電力制御(TPC)、送信レート制御(TRC)、および送信データレート制御(TDC)を含む輻輳制御のためのいくつかの技法を採用する分散輻輳制御機能性を実装する。TPC技法を使用して、送信電力は、送信チャネルの現在の負荷を調整するために、送信局において変動される。TRC技法は、ITS-G5局によって送信される2つの連続するパケットの間の時間を調節することを可能にする。TDC技法は、自動データレート制御機構を使用する。
【0016】
各ITS-G5局は、チャネルにおける輻輳のレベルの指示を提供し、各ITS-G5局によって送信されるべきパケットの送信レートおよびサイズを決定および調整することを可能にする、チャネル占有比(COR)を推定することによって、送信チャネルの負荷を非集中方式で制御する。アクセスレイヤにおいて実装される送信チャネルへのアクセスのための優先度の4つのレベルは、パケットキューにおいて、様々なアプリケーションによって生成された様々なパケットをアプリケーションの優先度に従って分類することによって、および「先入れ先出し」(FIFO)機構に従って送信チャネルへのアクセスを調節することによって、輻輳制御機構を強化することを可能にする。
【0017】
LTE-V2X技術通信モード3は、分散チャネル輻輳制御を実装せず、無線リソースの割振りおよび管理は、送信サブチャネルを管理し、チャネル占有をどのように低減するかを決定するeNodeBによって実施される。
【0018】
対照的に、LTE-V2X技術は、モード4における輻輳制御を担当し、送信チャネル輻輳を低減するための可能な機構を実装する。モード4では、各LTE-V2X局は、チャネルの占有率を推定し、チャネル輻輳のレベルに応じて、局は、パケットを廃棄するか、送信されるべきパケットのサイズおよび/または数を調整するか、またはLTE-V2X局において実行される様々なアプリケーションによるアプリケーションレイヤにおけるパケット生成レートを調節することを決める。モード4は、パケットの優先度レベルによるキューにおけるパケットの順序付けを実装しない。パケットは、チャネル輻輳レベルが、LTE-V2X局のチャネル使用割当て量をサポートすることができない場合、廃棄される。送信機会が、アクセスレイヤによって決定されるたびに、様々なアプリケーションは、あまりに早くパケットを生成することを回避するために、またはアクセスレイヤにおいてデータストリーム制御を担当するユニットのキューを詰まらせることがある過剰なパケットを生成することを回避するために、アプリケーションのパケット生成レートを調節する。
【0019】
LTE-V2X技術モード4において使用される集中型輻輳制御機構は、最近、パケット生成制御機構を用いて向上された。この機構は、LTE-V2X局によって実行されるアプリケーションによるパケット生成のための各機会後に、強制的な自制期間が続くようにパケット生成周期性を強化するプロセスによって、パケット生成のレートが制御されることを可能にする。
【0020】
インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて通信のために使用される技術は、ストリーム制御のための、および送信チャネルへのアクセスを管理するための機構を使用するが、これらの機構は、限界を有し、チャネル輻輳が効率的に制御されることを可能にしない。
【0021】
詳細には、静的優先度レベルに基づく送信レート制御および分散輻輳制御機構は、最も低い優先度を有するトラフィックのクラスに関係するパケットの停滞を生じ得、データの送信の緊急度、または送信されるべきデータ(たとえば、差し迫った重大な状況を指し示すセキュリティアプリケーションによって生成されたメッセージ)の重要性に従って、様々なセキュリティまたは他のアプリケーションの優先度レベルを動的に特徴づけることを可能にしない。
【0022】
その上、パケット優先度付け機構は、静的であり、走らされている様々なアプリケーションの間の十分な協調をもたず、これは、様々なサービスの、および様々なタイプのメッセージの優先度を最適に管理し、サービス品質に関する様々なアプリケーションの要件を考慮に入れることを可能にしない。
【0023】
サービス品質は、たとえば、緊急度、ユーティリティ、範囲、レイテンシ、トラフィッククラス、メッセージロスレート、データレート、アプリケーションをサポートする最大速度、利用可能性、送信されるメッセージのサイズ、送信されるメッセージの数、許容できる誤り率に関する信頼性、および情報のエイジを備える特性のグループまたはこれらの特性のサブセットに基づいて定義される。
【0024】
加えて、既存の輻輳制御機構は、アクセスレイヤと、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて接続された様々な局の間で交換されるデータを生成する様々なアプリケーションとの間の協調を可能にせず、これは、とりわけ、異なるタイプのメッセージの存在下で、および異なるクラスまたは優先度のアプリケーションの存在下で、競合の状況または非互換性ならびに準最適な性能を生じ得る。
【0025】
それゆえ、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて、接続された局によって実行される異なるアプリケーションによって作成される異なるタイプのメッセージの生成および送信をスケジュールすることを可能にする、効率的な輻輳制御技法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0026】
そのために、本発明の目的は、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを生成する少なくとも2つの異なるアプリケーションを実行するITS局における送信チャネル輻輳を制御するためのデバイスおよび方法を提供することである。
【0027】
より詳細には、本発明は、物理または無線周波数チャネルにおいて、ITS局において実行される少なくとも2つのアプリケーションによってメッセージを送信するための方法であって、前記メッセージが、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備える、方法を提供する。方法は、
- ターゲットサービス品質に関係する特性のセットを決定するステップと、
- 各アプリケーションおよび各メッセージタイプに関連して、サービス品質インジケータ値のセットを受信するステップであって、各サービス品質値が、前記ターゲットサービス品質に関係する特性を表す、サービス品質インジケータ値のセットを受信するステップと、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質仕様に依存する選択基準に従って、サービス品質インジケータ値のセットを選択するステップと、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質値の選択されたセットの値に従って、優先度係数を決定するステップと、
- 各メッセージタイプについて、メッセージタイプのすべてに関連付けられた優先度係数に従って、リソース割振りレートを決定するステップと、
- 各メッセージタイプについて、前記リソース割振りレートとチャネルについての使用限度とに従って、チャネルリソースのシェアを決定するステップと、
- 各アプリケーションについて、現在のサイクルについてリソースのストックを決定するステップと、
- リソースの最も大きいストックを有するアプリケーションのメッセージを生成および送信するステップと
を備えることを特徴とする。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、各メッセージタイプに関連付けられたサービス品質インジケータ値のセットが、前記少なくとも2つのアプリケーションの各々によって決定され得る。
【0029】
他の実施形態によれば、少なくとも1つのメッセージタイプに関連付けられたターゲットサービス品質インジケータ値のセットの少なくとも一部が、自動的に決定され得る。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、ターゲットサービス品質に関係する特性が、緊急度、ユーティリティ、範囲、レイテンシ、トラフィッククラス、メッセージロスレート、データレート、アプリケーションをサポートする最大速度、利用可能性、送信されるメッセージのサイズ、送信されるメッセージの数、許容できる誤り率に関する信頼性、および情報のエイジを含む群から選定され得る。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、ターゲットサービス品質に関係する特性のセットが、少なくとも1つのメッセージの送信を必要とする少なくとも1つのアプリケーションのタイプに応じて、時間とともに動的におよび可変に決定され得る。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、チャネルリソースのシェアが、各メッセージタイプについて、輻輳のレベルと、前記少なくとも2つのアプリケーションのうちの少なくとも1つによって受信された情報とを備える、1つまたは複数のパラメータに応じて動的に決定され得る。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、メッセージを送信したアプリケーションのリソースのストックが、更新され得、前記アプリケーションに関連して修正されるリソースのストックが、現在のサイクルにおける前記アプリケーションに関連付けられたリソースのストックと、前記アプリケーションによって生成および送信されたメッセージのサイズとに従って、決定される。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、メッセージタイプに関連付けられた優先度係数が、このメッセージタイプについて選択されたサービス品質インジケータ値のセットの値の加重和として決定され得、加重和が、あらかじめ決定された係数のセットによって定義される。
【0035】
本発明はまた、物理または無線周波数チャネルにおいて、ITS局において実行される少なくとも2つのアプリケーションによってメッセージを送信するためのデバイスであって、前記メッセージが、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備え、デバイスはリソース計算器(2021)を備え、前記リソース計算器(2021)が、
- ターゲットサービス品質に関係する特性のセットを決定することと、
- 各アプリケーションおよび各メッセージタイプに関連して、サービス品質インジケータ値のセットを受信することであって、各サービス品質値が、ターゲットサービス品質に関係する特性を表す、サービス品質インジケータ値のセットを受信することと、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質仕様に依存する選択基準に従って、サービス品質インジケータ値のセットを選択することと、
- 各メッセージタイプについて、サービス品質値の選択されたセットの値に従って、優先度係数を決定することと、
- 各メッセージタイプについて、メッセージタイプのすべてに関連付けられた優先度係数に従って、リソース割振りレートを決定することと、
- 各メッセージタイプについて、前記割振りレートとチャネルについての使用限度とに従って、チャネルリソースのシェアを決定することと、
- 各アプリケーションについて、現在のサイクルについてリソースのストックを決定することであって、リソースの最も大きいストックを有するアプリケーションが、少なくとも1つのメッセージを送信するように構成される、リソースのストックを決定することと
のために構成されていることを特徴とする、デバイスを提供する。
【0036】
有利には、本発明の実施形態は、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて通信するITS局上で走る、少なくとも2つの異なるアプリケーションの間での送信機会の共有を効率的に管理し、異なるサービス品質を必要とする異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを生成するためのデバイスおよび方法を提供する。
【0037】
有利には、本発明の実施形態は、様々なセキュリティアプリケーションおよび非セキュリティアプリケーションの要件を考慮に入れて、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて通信するITS局におけるチャネル輻輳および無線リソースへのアクセスを効率的に制御するためのデバイスおよび方法を提供する。
【0038】
有利には、本発明の実施形態は、サービス品質に関する各アプリケーションおよび各サービスの仕様および要件を示す静的および動的サービス品質パラメータを考慮に入れて、動的に各アプリケーションの、および各メッセージタイプの優先度を特徴づけることによって、パケット停滞の問題を回避することを可能にする。
【0039】
有利には、本発明の実施形態は、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて通信するITS局のアーキテクチャの様々なプロトコルレイヤの間で対話する、インテリジェントスケジューリングおよびリソース割振りを提供し、様々なレイヤの間の対話は、アプリケーションレイヤにおいて走るアプリケーションの要件、パケット生成条件、および送信チャネルアクセスレイヤによって指し示される送信限度および機会が、すべて、考慮に入れられることを可能にする。
【0040】
有利には、本発明の実施形態は、同じリソース(送信チャネル、帯域幅など)へのアクセスを必要とする様々なコンカレントアプリケーションのための異なるタイプのメッセージを送信するための機会を中央で最適に管理すること、およびマルチメッセージ/マルチアプリケーション輻輳を管理することを可能にする。
【0041】
有利には、本発明の実施形態は、サービス品質に関する各アプリケーションの、および各サービスの要件を考慮に入れて、様々なアプリケーションおよび様々なサービスのためにインテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて通信するITS局におけるチャネルへのアクセスのための優先度を管理することを可能にする。
【0042】
有利には、本発明の実施形態は、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおける通信のための手段を装備したITS局について、各アプリケーションの、ならびに各メッセージタイプの、およびサービスタイプのサービス品質要件に従って、フレキシブルに無線リソースを管理することを可能にする。
【0043】
本発明の他の特徴および利点は、例として与えられる、添付の図面を参照しながら提供される以下の説明の助けをかりて明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、インテリジェントトランスポーテーションシステムの環境の例を示す図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、ITS局のアーキテクチャの例を示すブロック図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、ITS局におけるメッセージの生成および送信を管理するための方法を示すフローチャートである。
【
図4】従来技術の輻輳制御技法による、ノードの密度に応じて各サービスによって必要とされる送信間時間に関する性能を評価する図を示す図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態による、ノードの密度に応じて各サービスによって必要とされる送信間時間に関する性能を評価する図を示す図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態による、ノードの密度に応じて各サービスによって必要とされる送信間時間に関する性能を評価する図を示す図である。
【
図7】本発明のいくつかの実施形態による、ノードの密度に応じて各サービスによって必要とされる送信間時間に関する性能を評価する図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の実施形態は、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて通信するための通信手段を装備したITS局におけるメッセージの生成および送信を管理するためのデバイスであって、ITS局は、少なくとも2つの異なるアプリケーションを実行し、2つのアプリケーションは、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを生成する、デバイスを提供する。
【0046】
図1は、少なくとも2つの異なるアプリケーションを実行しながら、インテリジェントトランスポーテーションシステム100において通信するITS局における輻輳を制御するためのデバイスおよび方法であって、少なくとも2つの異なるアプリケーションは、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを生成する、デバイスおよび方法が使用され得る、本発明のいくつかの実施形態による、インテリジェントトランスポーテーションシステム100の環境の例を示す。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、インテリジェントトランスポーテーションシステム100は、1つまたは複数の接続された車両と、通信がインフラストラクチャと車両との間で確立されることができるようにする1つまたは複数の路側器と、路側器と交通管理センターとの間のリンクを提供するように構成されたシステムと、セキュリティシステムとを備え得る。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、(
図1中に示されていない)セキュリティシステムは、
- 信用できるエンティティのみが、インテリジェントトランスポーテーションシステム100において通信システムに参加することを可能にするための、送信側の認証および許可、
- 送られるデータが悪意のあるエンティティによって改ざんされていないことを保証するためのデータの完全性、
- 送られるメッセージのコンテンツの機密性、および
- インテリジェントトランスポーテーションネットワーク100におけるプライバシーの保護
を備えるセキュリティ機能性を実装するように構成され得る。
【0049】
いくつかの実施形態によれば、(固定または可動であり得る)路側器は、パイロン、可変メッセージ標識、またはインテリジェントトランスポーテーションシステムにおいて交換されるデータを送信および/または受信することを可能にする通信のための手段を装備した任意のデバイスであり得る。
【0050】
インテリジェントトランスポーテーションシステム100は、トランスポーテーションの分野における様々なアプリケーションのために使用され得る。インテリジェントトランスポーテーションシステム100のアプリケーションの主要な領域は、限定はしないが、
- ドライバを支援し、事故の数ならびにそれゆえ道路事故の犠牲者の数、および物質的な損害を低減するための道路安全、
- トランスポーテーション時間を減少させ、移動時間の信頼性を改善するのを助けるために、トランスポーテーションシステムの状態および交通状況に関するデータをドライバに提供することによる、モビリティおよびトランスポーテーション効率、
- ドライバおよび同乗者に、彼らが彼らのトランスポーテーション中に個人のタスクを行うことを可能にするサービスを提供することによる、情報サービスおよび付加価値コンフォートサービス、
- 変化する交通状況を監視し、燃料消費の、ならびにそれゆえ温室効果ガスおよび大気汚染物質放出の減少を促進するための環境
を備える。
【0051】
道路安全の範囲は、非限定的な例として、
- 協働認識アプリケーションのカテゴリー、たとえば、追い越し車線管理、車線変更警告、速度管理、交通方向管理、道路利用者の検出、
- 危険警告アプリケーションのカテゴリー、たとえば、道路の状態を検出すること、危険を検出すること、キューおよび霧などの好ましくない気象状況を検出することなど
を備える。
【0052】
道路交通効率の範囲は、非限定的な例として、都市間交通および都市交通の効率のためのアプリケーションのカテゴリー、たとえば、適応型電子交通シグナリングサービス、事故検出および管理、可変メッセージ標識管理、特定の車両タイプのための専用ルートを伴うリアルタイム交通データを使用するルート誘導およびナビゲーション、交通流最適化、バスおよび緊急車両などのある種のタイプの車両のための優先度などを備える。
【0053】
情報サービスおよび付加価値サービスの範囲は、非限定的な例として、ローカル接続へのアクセス(たとえば、交通問題および道路状況に関する情報を提供するための車両間または車両道路間サービスアプリケーション)ならびに高速インターネットアクセス(たとえば、ホテル、レストラン、映画館などのサービス提供者からの旅行計画および他の情報を提供するためのワイヤレス接続を通したサービスアプリケーション)など、付加価値サービスを提供するアプリケーションのカテゴリーを備える。
【0054】
各アプリケーションは、特定のサービスを提供するか、または特定のサービスが行われることを可能にする。いくつかの実施形態によれば、サービスは、限定はしないが、
- データ収集(たとえば、交通データの収集、自動的に検出されたイベントの報告、手動で報告されたイベントの報告)、
- 道路工事警報(たとえば、固定または可動のスケジュールされた道路工事警報、管理車両接近警報、管理車両関与警報、管理車両パトロール中警報、ウインターサービス警報(進行中のソルティング、進行中の除雪、車両移動))、
- オンボードシグナリング、
- 予想外で危険なイベントの警報を出すこと(たとえば一時的に滑りやすい道路の警報、道路上動物警報、道路上人間警報、道路上障害物警報、停止/故障車両警報、事故区間警報、視認性低減警報、逆走警報、非管理道路障害警報、緊急制動警報、交通渋滞警報、緊急車両接近警報)、
- 道路情報および迂回路(たとえば、例外的な気象状況警報、交通車線変更警報)、
- パーキング、
- 交通管理、
- など
のためのサービスを備えるサービスのカテゴリーから選択され得る。
【0055】
通信の様々なモードが、特に、車両間のV2V通信、車両とインフラストラクチャとの間のV2IおよびI2V通信、ならびに車両と歩行者との間のV2PおよびP2V通信を備える、必要とされるサービスを提供するために、インテリジェントトランスポーテーションシステム100においてサポートされ得る。
【0056】
図1を参照すると、インテリジェントトランスポーテーションシステム100における通信は、車両101、車両102、路側器103、歩行者104、および交通管理センター105を備える、複数の参与者を伴い得る。
【0057】
V2V通信は、車両に搭載された様々なセンサーによって取得された情報を収集および送信するために、様々な車両によって提供される。たとえば、車両101および車両102は、V2V通信によって道路の、または道路交通の状態に関係する情報を通信し得る。
【0058】
V2I通信は、接続された車両が、インフラストラクチャ管理者の交通管理センターに情報を送ることを可能にする。たとえば、車両101は、路側器103との通信を介して交通管理センター105に情報を通信するように構成され得る。
【0059】
I2V通信は、情報が、接続された車両に送信されることを可能にする。たとえば、交通管理センター105は、路側器103を介して車両101における表示のための情報をブロードキャストするように構成され得る。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、インテリジェントトランスポーテーションシステム100の様々なエンティティの間の通信は、限定はしないが、以下のメッセージ、すなわち、
- 協働認識メッセージ(CAM)、
- 非集中環境通知メッセージ(DENM)、
- 包括的認知メッセージ(CPM)、
- 操縦協調メッセージ(MCM)、
- 交差点ジオメトリおよびトポロジー(MAP)、
- 信号位相およびタイミング(SPat)、
- イベントメッセージ(EM)、
- 周期的メッセージ(PM)、および
- サービスメッセージ(SM)
を備える、V2Xメッセージの交換を生じさせることができる。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、インテリジェントトランスポーテーションシステム100において様々なユニット(車両、ユーザ機器、路側器、交通管理センター)の間の通信を提供するために使用される技術は、非限定的な例として、ITS-G5技術、またはセルラーネットワーク(たとえば、2G、3G、4G、LTE、またはLTE-V2Xネットワーク)から導出された任意のワイヤレスアクセス技術を含む群から選定され得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、使用される技術は、ITS-G5技術であり得る。使用される技術は、高速モバイルエンティティに適応されたWiFi(登録商標)技術を使用し、道路安全アプリケーションに好適な極めて低いレイテンシをもつV2X交換を可能にする。インフラストラクチャとのインターフェースは、路側器を介して生じることができる。ITS-G5通信は、車両データ(たとえば、速度、位置、軌道)、動的環境認知データなどを送信するために使用され得る。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、ITS-G5技術は、セルラーネットワークとハイブリダイズされ得る。
【0064】
LTE-V2X技術を使用するいくつかの実施形態によれば、通信は、モード3またはモード4に基づき得る。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、通信は、5G将来世代セルラーネットワークに、データを送信するための媒体として光を使用する光忠実度(Li-Fi)技術に、または衛星ネットワークに基づき得る。
【0066】
本発明の実施形態の説明の残りにおいて、(以下、「V2X局」または「オンボード機器」または「オンボードユニット」とも呼ばれる)ITS局は、V2Xプロトコルスタックを装備し、インテリジェントトランスポーテーションシステム100内で1つまたは複数のITS局と所与の通信技術に従って通信するように構成された、任意の局、エンティティまたはコンポーネントを指す。ITS局は、限定はしないが、車両に搭載されたユニット(この場合、オンボードユニットと呼ばれる)、路側器、制御センターにある局、またはユーザ機器のアイテム(たとえば、セルフォンまたはタブレット)であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、ITS局は、機能性のセットと、それらの機能性を実装するように構成されたデバイスのセットとを備え得る。特に、ITS局は、処理手段および通信手段、ならびにセンサーおよび人間機械インターフェース技術を備え得る。相互接続されたITS局は、ITS局およびITS局の環境に関する情報を処理し、近くの他のITS局とリアルタイムでこの情報を交換するように構成され得る。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、ITS局におけるオンボードセンサーからのデータは、(車両に搭載されたユニットの場合)速度、方向、温度、エアバッグステータス、衝突防止カメラからのデータ、パーキングレーダーからのデータ、超音波エミッタ/受信機からのデータなどを備え得る。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、ITS局の通信手段は、異なる特徴(たとえば、送信レート、範囲、送信電力、周波数帯域など)をもつ技術を備え得る。通信手段は、インテリジェントトランスポーテーションシステムの他のエンティティ、すなわち、他の車両、路側器、または制御センター/局との1つまたは複数のワイヤレスリンクを確立するために、1つまたは複数の搭載されたトランシーバを装備し得る。ITS局の間の通信は、直接的であることも、(たとえば、路側器などの中継局を介して)間接的であることもある。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、ITS局は、据置型(たとえば、固定路側器)であることも、可動(たとえば、車載ユニット)であることもあり、(マルチアンテナ伝送技術を実装する)1つまたは複数のアンテナを装備する。
【0071】
図2を参照すると、ITS局200の(以下、「V2Xスタック」とも呼ばれる)プロトコルアーキテクチャの例が、図示されている。ITS局200は、ITS-G5技術、2G/3G/4G/5Gセルラーネットワークから導出された技術(たとえば、LTE-V2X技術)、Li-Fiまたは衛星ネットワークを使用する技術を含む群から選定された任意の通信技術を使用するように構成され得る。ITS局200は、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備えるメッセージを生成する複数のアプリケーションをサポートする。メッセージタイプの例は、限定はしないが、CAM、DENM、CPM、MCM、MAP、SPat、EM、PM、およびSMメッセージを含む群から選択され得る。CAMメッセージは、送信ITS局の状態に関する情報(たとえば、車両が直接的に可視でないときでも、車両の存在をシグナリングすることを可能にする、車両の状態に関する情報)を含んでいる。DENMメッセージは、異常イベントの発生を報告するために(たとえば、道路事故または例外的で危険な気象現象を報告するために)使用される。CPMメッセージは、検出された周囲の物体に関係する情報を送信することを可能にする。MCMメッセージは、ユーザ車両または管理車両によって計画された厳密な操縦に関する情報を交換することを可能にする。本発明の実施形態は、インテリジェントトランスポーテーションシステムにおける車両通信のための将来の規格に関係する任意のタイプの将来のメッセージにも適用される。
【0072】
図2を参照すると、ITS局200は、アプリケーションレイヤ201、「設備」レイヤ202、ネットワークおよびトランスポートレイヤ203、アクセス技術レイヤ204を備える複数の相互接続されたプロトコルレイヤと、管理ユニット205と、セキュリティユニット206とを備え得る。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、アプリケーションレイヤ201は、下位レイヤのプールされたサービスまたは通信から恩恵を受け得るアプリケーションのすべてを含むように構成され得る。アプリケーションは、セキュリティアプリケーションであることも、非セキュリティアプリケーションであることもある。各アプリケーションは、アプリケーションによって送信されやすいデータストリームの各々の特徴を管理ユニット205に提供することによって、アプリケーションの通信ニーズが知られるようにしなければならない。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、「設備」レイヤ202は、アプリケーションが、プールされたサービス(たとえば、多様な情報を含んでいるメッセージを送るための、メッセージを受信するための、およびメッセージにサブスクライブするための規格化されたメッセージング、データベース、データグラムマーキングサービス、高信頼測位サービス)から恩恵を受けることを可能にするサービスのレイヤである。設備レイヤ202は、アプリケーションに専用の様々なタイプのメッセージを構築することと、通信技術およびITS局200の容量に従って最も好適な通信スタックにデータユニット(たとえば、データグラム)を向けることとを行うようにさらに構成され得る。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、ネットワークおよびトランスポートレイヤ203は、局在通信(たとえば、車両のオンボードユニットと路側器との間の直接的交換)およびリモート通信を管理するための特定のプロトコルを実装するように構成され得る。設備レイヤ202において実装されるプロトコルの例は、限定はしないが、TCPプロトコル、UDPプロトコル、IPプロトコル(特に、IPv6)、メッセージをルーティングするための宛先領域の地理空間座標に基づくGeoNetルーティングプロトコル、および接続性転送管理プロトコル(ハンドオーバプロトコル)を備える。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、アクセス技術レイヤ204は、ITS局200の内部および外部使用のために、ワイヤードまたはワイヤレスにかかわらず、すべての既存および将来のアクセス技術の実装形態を可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、ワイヤレスアクセス技術は、短距離アクセス技術およびアドホックアクセス技術(たとえば、5GHz WLAN規格、5.9GHz ITS規格、またはWiFi(登録商標)規格)、高速ワイヤレスアクセス技術(たとえば、WiMAX)、セルラーネットワーク(たとえば、2G、3G、UMTS、4G、または次世代5G)、デジタルブロードバンド技術、赤外線、衛星ネットワーク、センサーネットワークなどを備え得る。使用されるアクセス技術に応じて、アクセス技術レイヤ204は、異なる送信パラメータ、たとえば、異なる送信レート、異なる送信電力、異なる周波数帯域、異なるタイプ/数の送信および/または受信アンテナ、異なる送信モード(たとえば、ポイントツーポイント、ポイントツーマルチポイント、ブロードキャスト、「ピアツーピア」など)を使用し得る。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、管理レイヤ205は、ITS局200の内部機能性(特に、各プロトコルレイヤにおいて利用可能な機能性)を管理することと、利用可能なアクセス技術を決定することと、アプリケーションの通信ニーズおよび/またはアプリケーションの優先度に従ってデータストリームを管理することと、ITS局200の機能性および送信容量を管理することとを行うように構成され得る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、セキュリティレイヤ206は、通信をセキュアにするために必要な機構(たとえば、暗号化、認証など)をプロトコルレイヤのすべてに提供するように構成され得る。
【0079】
ITS局において走らされている様々なアプリケーションは、レイテンシ、地理的カバレージに関して、および一般的にサービス品質に関して異なる要件を有し得る。本発明の実施形態は、ITS局200におけるマルチメッセージおよびマルチアプリケーション輻輳の効率的な管理のためのデバイス2020を提供する。デバイス2020は、設備レイヤ202において実装される。
【0080】
ITS局200は、少なくとも2つのアプリケーションを走らせるように構成され得、各アプリケーションは、1つまたは複数のメッセージを配信するITS局200において走らされ、各メッセージは、メッセージタイプに関連付けられ、アプリケーションのすべてによって配信されるメッセージは、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備える。ITS局200は、(「現在のサイクル」とも呼ばれる)現在の送信サイクル中にメッセージを送信する可能性をもたらされ得、現在の送信サイクルについてチャネル使用限度を付与され得る。より正確には、ITS局200は、様々な特徴、特に規格化された特徴に従って、チャネルの使用のために動作サイクルに従って動作するように構成され得、ITS局200は、標準的な方法に従ってチャネル状況を監視し、現在の送信サイクル中のいくらかの時点でのみアクセスおよびデータ送信の可能性を有するように構成される。
【0081】
本発明の詳細な説明の残りにおいて説明される実施形態の理解を容易にするために、以下の定義および記法が提供される。
【0082】
A≧2は、ITS局200において走らされているアプリケーションの(少なくとも2に等しい)数を表し、
- App
aは、ITS局200において走らされているA個のアプリケーションのうちのa番目のアプリケーションを指し(a=1、...、A)、
-
は、アプリケーションApp
aによって生成されたメッセージタイプmのメッセージを表し、
- Mは、異なるメッセージタイプmの総数を表し(m=1、...、M)、
- Nは、ターゲットサービス品質に関係する特性のセットを表し、
-
は、アプリケーションApp
aによって生成されたメッセージタイプmのメッセージ
に関連付けられたサービス品質インジケータ値のセットを表し、
-
は、アプリケーションApp
aによって生成されたメッセージタイプmのメッセージ
に関連付けられた優先度係数を表し、
- R
m(a)は、アプリケーションApp
aによって生成されたメッセージタイプmのメッセージ
に関連付けられたリソース割振りレートを表し、
- C
m(a)は、アプリケーションApp
aによって生成されたメッセージタイプmのメッセージ
に関連付けられたチャネルリソースのシェアを表し、
- LUCは、現在のサイクル中にITS局に付与されたチャネル使用限度を表す。
【0083】
本発明の実施形態は、各アプリケーションのサービス品質要件による、ITS局200において走らされている様々なアプリケーションによって生成されたデータストリームの管理および調節を可能にする。様々なアプリケーションの間での、および各アプリケーションによって生成されるかまたは生成されやすい、様々なメッセージタイプの間での優先度の管理は、様々なアプリケーションに、および様々なメッセージタイプに割り振られる優先度が、各アプリケーションのサービス品質に関する要件を考慮に入れる動的優先度管理機構に基づいて、本発明の実施形態に従って実装される。
【0084】
図2を参照すると、デバイス2020は、デバイス2020が、各メッセージタイプに、このメッセージを生成するアプリケーションのサービス品質に関する要件に依存する優先度を付与することによって、異なるタイプのメッセージを考慮した様々なアプリケーションの間での利用可能なリソースの割振りを管理するように構成された、リソース計算器2021を備えることを特徴とし得る。より詳細には、いくつかの実施形態によれば、リソース計算器2021は、
- 現在のサイクルについてターゲットサービス品質に関係するN個の特性のセットを決定することであって、これらの特性は、ITS局200において走らされている様々なアプリケーションの間での利用可能なリソースの共有を最適化するために考慮され得る潜在的特性を表す、N個の特性のセットを決定することと、
- 各アプリケーションApp
aおよびアプリケーションApp
aによって生成されたメッセージタイプmの各メッセージ
に関連して、ターゲットサービス品質インジケータ値のセット
を受信することであって、n=1、...、Nの第nの値
は、ターゲットサービス品質に関係するN個の特性のセットの第nの特性を表す、ターゲットサービス品質インジケータ値のセット
を受信することと
を行うように構成され得る。
【0085】
ターゲットサービス品質インジケータの値は、各アプリケーションが、各メッセージタイプについて、必要とされる要件または仕様を指定することを可能にする。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、ITS局200において走らされている少なくとも2つのアプリケーションのうちのa=1、...、Aの各アプリケーションApp
aは、n=1、...、Nの、つまり、ターゲットサービス品質に関係する特性のセットNの、ターゲットサービス品質インジケータの値
のすべてを決定するように構成され得る。
【0087】
他の実施形態によれば、ITS局200において走らされている2つ以上のアプリケーションのうちの(1とAとの間で変動するaの)少なくとも1つのアプリケーションApp
aは、少なくとも1つのメッセージタイプm、またはタイプmの少なくとも1つのメッセージ
に関連付けられたターゲットサービス品質インジケータ値のセットの値のうちのいくつかを決定するように構成され得、リソース計算器2021は、自動的にターゲットサービス品質インジケータ値のセットの値の残りを決定するように構成される。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、ターゲットサービス品質に関係する特性は、限定はしないが、緊急度、ユーティリティ、(パケットロスレートにリンクした、メートル単位の)範囲、(送信側インターフェースから受信までの、ミリ秒単位の)レイテンシ、トラフィッククラス、メッセージロスレート、(Mb/s単位の)データレート、アプリケーションをサポートする最大速度、利用可能性、送信されるメッセージのサイズ、送信されるメッセージの数、許容できる誤り率に関する信頼性、および情報のエイジを含む群から選定され得る。
【0089】
「トラフィッククラス」特性は、異なる優先度(たとえば、ボイス、ビデオ、ベストエフォート、バックグラウンド)をもつ様々なアプリケーションを区別することを可能にする。いくつかの実施形態によれば、「トラフィッククラス」特性を表すサービス品質インジケータ値は、値「1」、「0.75」、「0.5」、および「0.25」のうちの値を取り得、値「1」は、ボイス優先度メッセージに関連付けられることが可能であり(最高優先度)、値「0.75」は、ビデオ優先度メッセージに関連付けられることが可能であり、値「0.5」は、「ベストエフォート」優先度メッセージに関連付けられることが可能であり、値「0.25」は、「バックグラウンド」優先度メッセージに関連付けられることが可能である。
【0090】
「ユーティリティ」特性は、メッセージの重要性の指示を提供し、同じトラフィックタイプのメッセージまたはアプリケーションを区別し、同じトラフィックタイプのメッセージまたはアプリケーションの間の優先度を指定することを可能にする。たとえば、CAMメッセージおよびCPMメッセージは、同じトラフィッククラスに属し得る。この場合、ユーティリティ特性は、どのメッセージがより重要であるかを決定するために使用され得る。たとえば、すべての近くの車両に通信されなければならないCAMメッセージは、すべての近くのエンティティに通信されなくてもよいCPMメッセージよりも高い優先度を有し得る。一実施形態では、ユーティリティ特性を表す値は、生成されたメッセージがすべての近くのITS局に送信されるべきである場合、「1」に等しいことがあり、ユーティリティ特性を表す値は、生成されたメッセージが近くのITS局のうちのいくつか(たとえば、半分)に送信されるべきである場合、「0.5」に等しいことがある。
【0091】
「緊急度」特性は、ITS局200において走らされているアプリケーションが情報をそれ以内に送信しなければならない時間を指し示し得る。緊急度特性を表す値は、所与のアプリケーションがメッセージの送信を差し迫って必要としないことを指し示すために、値「0」に初期化され得る。対応する値は、メッセージ送信時間がメッセージ送信時間の限度に近づいたとき、現在のサイクル中で、またはあるサイクルから別のサイクルに修正され得る。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、リソース計算器2021は、少なくとも1つのメッセージ
の送信を必要とする少なくとも1つのアプリケーションApp
aのタイプに応じて、時間とともに動的におよび可変にターゲットサービス品質に関係する特性のセットN=N(t)を決定するように構成され得る。
【0093】
サービス品質インジケータの値
は、様々なアプリケーションの間のリソースへのアクセスのための優先度、および様々なメッセージタイプのための優先度を管理するために、実施形態に従って使用される。そのために、リソース計算器2021は、各メッセージタイプmについて、ITS局200において走らされているa=1、...、AのアプリケーションApp
aのすべてについてこのメッセージタイプに関連付けられたサービス品質インジケータ値のセット
を比較するように構成され得る。アプリケーションのすべておよびメッセージタイプのすべてについて、サービス品質インジケータ値のセットのすべてを比較することは、有利に、各メッセージタイプについて、最も高い優先度をもつアプリケーションを選択し、アプリケーションのすべてについて、最も高い優先度をもつメッセージタイプを選択し、このようにして、マルチアプリケーションおよびマルチメッセージ優先度を管理することを可能にする。リソース計算器2021は、このようにして、サービス品質仕様に応じる選択基準に従って、x
iが、1とAとの間で変動し、各メッセージタイプについて変動する(換言すれば、x
i=x
i(m))、サービス品質インジケータ値のセット
を、各メッセージタイプmについて選択するように構成され得る。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、選択基準は、各メッセージタイプについて、およびITS局200において走らされているアプリケーションのすべてに関連付けられたセットの中から、最小値または最大値を備えるサービス品質インジケータ値のセットを選択することにあり得る。
【0095】
各メッセージタイプに関連して選択されたターゲットサービス品質インジケータ値のセット
は、アプリケーションのすべてに由来する各メッセージタイプの優先度を動的に特徴づけるために、本発明の実施形態に従って考慮される。リソース計算器2021は、各メッセージタイプmに関連して、このメッセージタイプについて選択された値のセット
の値に従って、優先度係数
を決定するように構成され得る。より正確には、リソース計算器2021は、1からMに及ぶ各メッセージタイプmについて、以下の式に従って、メッセージタイプmに関連して選択されたサービス品質インジケータ値のセットの値
の加重和として、優先度係数
を決定するように構成され得る。
【0096】
式(1)において、n=1、...、Nの係数αnは、加重和を定義するあらかじめ決定された係数である。
【0097】
各メッセージタイプについてリソース計算器によって決定された優先度係数は、各メッセージタイプについてリソース割振りレートを決定するために、本発明の実施形態に従って使用され得る。より正確には、リソース計算器2021は、各メッセージタイプmについて、リソース割振りレートR
m(x
i)が、以下のような、メッセージタイプmに関連付けられた優先度係数と、メッセージタイプm以外のメッセージタイプk≠mに関連付けられた優先度係数の和との比になるように、メッセージタイプm=1、...、Mのすべてに関連付けられた優先度係数
に従って、リソース割振りレートR
m(x
i)を決定するように構成され得る。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、各メッセージタイプについて決定されたリソース割振りレートは、各メッセージタイプについてチャネルリソースのシェアを決定することと、各アプリケーションによって送信されるべき異なるタイプのメッセージを考慮に入れて、様々なアプリケーションの間での現在のサイクル中に利用可能なリソースの割振りを管理することとを行うために使用され得る。リソース計算器2021は、次いで、現在のサイクル中にITS局200に付与されたチャネル使用限度LUCを受信することと、メッセージタイプに関連付けられたリソース割振りレートと、ITS局200に付与されたチャネル使用限度とに従って、各メッセージタイプm=1、...、Mに関連してチャネルリソースCm(xi)のシェアを決定することとを行うように構成され得る。詳細には、リソース計算器は、以下のように、メッセージタイプmに関連付けられたリソース割振りレートに、現在のサイクル中にITS局200に付与されたチャネル使用限度を乗算することによって、メッセージタイプmに関連付けられたチャネルリソースCm(xi)のシェアを決定するように構成され得る。
【0099】
Cm(xi)=LUC×Rm(xi) (3)
【0100】
いくつかの実施形態によれば、リソース計算器2021は、ITS局200のデータパケットを送信するためにITS局200に付与される時間のシェアを決定するために、ITS局200のためのチャネル使用限度を決定するように構成されたアクセス技術レイヤ204によって現在のサイクルについてITS局200に付与されたチャネル使用限度を受信するように構成され得る。それの送信時間が、付与された限度を超えるパケットをITS局200が送信するとき、ITS局200は、以下によって与えられる比を順守するために、相応の時間期間の間データを送信するのを控えるように構成され得る。
【0101】
式(4)において、TON;stationは、ITS局200によってデータパケットを送信するために取られる時間を表し、TOFF;stationは、ITS局200による送信の自制のための時間、つまり、ITS局200がデータをその間送信しない時間を表す。
【0102】
いくつかの実施形態では、アクセス技術レイヤ204は、100ミリ秒ごとに、ITS局200に付与されるチャネル使用限度を決定するように構成され得る。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、リソース計算器2021はまた、ITS局200において走らされている各アプリケーションについて、チャネルのリソースの使用のアプリケーションの履歴に基づいて、現在のサイクルについてリソースのストックSAppαを決定するように構成され得る。リソース計算器2021は、時間tにおける各アプリケーションに関連付けられた既存のリソースの、およびデータを送信するために使用されるリソースがそれから差し引かれる割り振られたリソースの和として、時間tにおいて各アプリケーションについてリソースのストックを決定するように構成され得る。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、サイズTON;Appaのパケットを生成および送信したアプリケーションAppaは、時間期間TOFF;Appaの間送信を控えなければならない。アプリケーションAppaに割り振られるチャネルリソースは、アプリケーションの待機または自制期間に依存する。アプリケーションAppaがTOFF;Appaの待機期間を有する場合、アプリケーションAppaに割り振られるリソースは、サイズTON;Appaの新しいパケットの送信を可能にするのに十分でなければならない。割り振られるリソースは、先行するサイクルにおいて割り振られたリソースと、送信自制時間TOFF;Appaおよび送信パケットのサイズTON;Appaの和との比として決定される。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、リソース計算器2021は、各アプリケーションについて決定されたリソースのストックを、リソースの最も高いストックを有するアプリケーションについてチャネルへのアクセスを許可するように構成されたスケジューラ2023に送信するように構成され得る。スケジューラ2023は、次いで、リソースの最も大きいストックを有するアプリケーションに、アプリケーションのメッセージを生成および送信するように要求するように構成され得、これは、有利に、サービス品質に関する要件を考慮に入れた優先度係数に基づいて、様々なアプリケーションに割り振られたリソースに従って、および様々なメッセージタイプに従って、様々なアプリケーションによるアプリケーションレイヤ201におけるメッセージの生成および送信を調節することを可能にする。リソースの最も大きいストックをもつアプリケーションが、送信すべきメッセージを有する場合、このアプリケーションは、アプリケーションのメッセージを生成および送信するための許可を有する。さもなければ、スケジューラ2023は、送信すべきメッセージを有し、アプリケーションのメッセージを送信するためにリソースの次に最も大きいストックを有する、アプリケーションを求める。
【0106】
メッセージが、メッセージの送信を要求したアプリケーションのうちのリソースの最も大きいストックを有するアプリケーションによって送信された後、リソース計算器2021は、メッセージを送信したアプリケーションに関連付けられたリソースのストックを更新するように構成され得る。より詳細には、リソース計算器2021は、以下の式に従ってリソースの最新のストックを決定するように構成され得る。
【0107】
式(5)において、E
Appaは、現在の送信サイクルにおいてアプリケーションApp
aに割り振られたリソースを表し、C
m(a)は、アプリケーションApp
aによって生成および送信されたタイプmのメッセージ
に関連付けられたチャネルリソースのシェアを表す。
【0108】
図3を参照すると、本発明の実施形態は、少なくとも2つのアプリケーションを走らせるように構成されたITS局におけるマルチメッセージおよびマルチアプリケーションチャネル輻輳制御のための方法であって、各アプリケーションは、1つまたは複数のメッセージを配信し、各メッセージは、所与のメッセージタイプに関連付けられ、少なくとも2つのアプリケーションによって配信されるメッセージは、異なるタイプの少なくとも2つのメッセージを備える、方法をさらに提供する。異なるタイプのメッセージを考慮した、輻輳制御、および様々なアプリケーションの間での利用可能なリソースの割振りの管理は、本方法によれば、このメッセージを生成するアプリケーションのサービス品質に関する要件に依存する、優先度の各メッセージタイプへの割振りに基づく。
【0109】
ステップ300において、送信の可能性が、現在のサイクルについてITS局に付与されるかどうかが決定され得る。
【0110】
ステップ300において、送信の可能性が、現在のサイクルについてITS局に付与されると決定された場合、ターゲットサービス品質に関係する特性のセットNが、ステップ301において決定され得る。特性は、ターゲットサービス品質に関する仕様を表すことと、ITS局において走らされている様々なアプリケーションの間での利用可能なリソースの共有を最適化することとを可能にする。
【0111】
ステップ302において、ターゲットサービス品質インジケータ値のセット
は、各アプリケーションApp
a、およびアプリケーションApp
aによって生成されたメッセージタイプmの各メッセージ
に関連して決定され得、n=1、...、Nの第nの値
は、ターゲットサービス品質に関係するN個の特性のセットの第nの特性を表す。ターゲットサービス品質インジケータの値は、各アプリケーションが、各メッセージタイプについて、必要とされる要件または仕様を指定することを可能にする。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、各メッセージタイプに関連付けられたターゲットサービス品質インジケータ値のセットは、各アプリケーションによって決定され得る。
【0113】
他の実施形態によれば、ターゲットサービス品質インジケータ値のセットの少なくとも一部は、各アプリケーションによって決定され得、ターゲットサービス品質インジケータ値のセットの残りは、自動的に決定される。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、ターゲットサービス品質に関係する特性は、限定はしないが、緊急度、ユーティリティ、(パケットロスレートにリンクした、メートル単位の)範囲、(送信側インターフェースから受信までの、ミリ秒単位の)レイテンシ、トラフィッククラス、メッセージロスレート、(Mb/s単位の)データレート、アプリケーションをサポートする最大速度、利用可能性、送信されるメッセージのサイズ、送信されるメッセージの数、許容できる誤り率に関する信頼性、および情報のエイジを含む群から選定され得る。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、ターゲットサービス品質に関係する特性のセットN=N(t)は、少なくとも1つのメッセージ
の送信を必要とする少なくとも1つのアプリケーションApp
aのタイプに応じて、時間とともに動的におよび可変に決定され得る。
【0116】
ステップ303において、各メッセージタイプに関連付けられたサービス品質インジケータ値のセット
は、ITS局において走らされているa=1、...、AのアプリケーションApp
aのすべてについて比較され得る。アプリケーションのすべておよびメッセージタイプのすべてについて、サービス品質インジケータ値のセットのすべてを比較することは、有利に、各メッセージタイプについて、最も高い優先度をもつアプリケーションを選択し、アプリケーションのすべてについて、最も高い優先度をもつメッセージタイプを選択し、このようにして、マルチアプリケーションおよびマルチメッセージ優先度を管理することを可能にする。
【0117】
ステップ304において、サービス品質インジケータ値のセット
は、サービス品質仕様に依存する選択基準に従って、各メッセージタイプmについて選択され得る。いくつかの実施形態によれば、選択基準は、各メッセージタイプについて、およびITS局において走らされているアプリケーションのすべてに関連付けられたセットの中から、最小値または最大値を備えるサービス品質インジケータ値のセットを選択することにあり得る。
【0118】
ステップ305において、優先度係数
は、各メッセージタイプについてステップ304において選択されたターゲットサービス品質インジケータの値のセット
の値に従って、各メッセージタイプmについて決定され得る。一実施形態では、各メッセージタイプについて決定される優先度係数は、ステップ305において、式(1)に従って、メッセージタイプmに関連して選択されたサービス品質インジケータ値のセットの値
の加重和として決定され得る。
【0119】
ステップ306において、リソース割振りレートR
m(x
i)は、リソース割振りレートR
m(x
i)が、式(2)に従って、メッセージタイプmに関連付けられた優先度係数と、メッセージタイプm以外のメッセージタイプk≠mに関連付けられた優先度係数の和との比によって与えられるように、メッセージタイプm=1、...、Mのすべてに関連付けられた優先度係数
に従って、各メッセージタイプmについて決定され得る。
【0120】
ステップ307において、チャネルリソースCm(xi)のシェアは、式(3)に従って、各メッセージタイプに関連付けられたリソース割振りレートRm(xi)と、現在のサイクルにおいてITS局に付与されたチャネル使用限度LUCとに従って、各メッセージタイプm=1、...、Mに関連して決定され得る。
【0121】
ステップ308において、リソースのストックは、現在のサイクルについてITS局において走らされている各アプリケーションについて、チャネルリソースの使用のアプリケーションの履歴に基づいて決定され得る。より正確には、リソースのストックは、ステップ308において、時間tにおける各アプリケーションに関連付けられた既存のリソースの、およびデータを送信するために使用されるリソースがそれから差し引かれる割り振られたリソースの和として、時間tにおいて各アプリケーションについて決定され得る。
【0122】
ステップ309において、ITS局において走らされている2つ以上のアプリケーションのうちの少なくとも1つのアプリケーションが、送信すべきメッセージを有するかどうかが決定され得る。ステップ309において、どのアプリケーションも、メッセージの送信を必要としないと決定された場合、少なくとも1つのアプリケーションから少なくとも1つのメッセージ送信要求を受信するための待機が、ステップ312において、ITS局において走らされている少なくとも1つのアプリケーションが、少なくとも1つのメッセージの送信を必要とするまでトリガされ得る。
【0123】
ステップ309において、1つまたは複数のアプリケーションが、少なくとも1つのメッセージの送信を必要とすると決定された場合、リソースの最も大きいストックを有するアプリケーションからのメッセージは、ステップ310において生成および送信され得、メッセージを生成および送信したアプリケーションのリソースのストックは、式(5)に従って、ステップ310において更新され得る。
【0124】
本発明の実施形態は、分散輻輳制御(DCC)技法およびEDCA静的優先度割振り技法を備える既存の技法に勝る、本発明によって提供されるチャネル輻輳管理技法によってもたらされる利点および利益を実証するために、シミュレーションによって評価された。シミュレーションは、交通密度の様々なレベルについて、70km/hと90km/hとの間の速度で、車両中に埋め込まれたITS局を用いて、4つのレーンの4レーン郊外ハイウェイ上でのトランスポーテーションシナリオの下で行われた。各車両は、同じ送信チャネル上でパケットをブロードキャストする3つのセキュリティアプリケーションを走らせ、パケットは、300バイトのサイズをもつCAMメッセージと、400バイトのサイズをもつDENMメッセージと、650バイトのサイズをもつCPMメッセージとからなる。CAMパケットは、ETSI規格EN302 637-2において与えられているトリガ条件を使用して生成される。CPMメッセージは、ETSI規格TS103 324において指し示されているように、1~5Hzのうちの最小周波数と最大周波数との間で均等に分散されたランダムな周波数で送信される。最終的に、車両のうちの約10%が、10Hzの周波数で、100個のDENMメッセージの単一のバーストを発する。性能は、各アプリケーションについて可能にされた送信レートに対して、DCCキューイング時間および必要とされる送信レートに関して評価される。結果は、50回のシミュレーションの平均である。
【0125】
図4は、分散輻輳制御(「DCCアクセス」)および設備レイヤレート制御技法を使用するCAMパケットおよびCPMパケットについて、交通密度(「ノード密度」)の様々なレベルについてDCCアクセスレイヤキュー遅延を評価する図を示す。シミュレーション結果は、設備レイヤにおける輻輳制御なしに、パケットトリガ機構が、トリガ条件、およびT_GenCam_DCCまたはT_GenCpm_DCCパラメータなど、パラメータによって指し示された輻輳のレベルをチェックすることを示す。T_GenCam_DCC値およびT_GenCpm_DCC値は、アプリケーションの間の協調なしに、またはDCC非集中輻輳制御アルゴリズムのアクセスゲートキーパーを用いて、各アプリケーションについてパケットの生成を調節し、ゲートキーパーは、物理アクセスレイヤへの通信ストリームのオープニングのためのゲートキーパーである。このようにして、アプリケーションは、ポータルが閉じられるときにパケットを生成し、パケットは、DCCキューにキューイングされる。
図4中に示されているように、高いノード密度について、反応性DCCの場合、CAMメッセージは80msだけ遅延され、CPMメッセージは120msだけ遅延され、適応型DCCの場合、両方のパケットは50msだけ遅延された。しかしながら、設備レイヤが、アクセスレイヤのDCCと協働してパケット生成を協調させるとき、適応型DCCまたは反応性DCCのいずれの場合もキュー遅延はない。これは、各アプリケーションがアクセスレイヤ自体のDCCに関してパケットの生成を設定することの代わりに、アクセスレイヤスケジューラの必要性を示す。
【0126】
図5~
図7は、ノード密度に従って、各サービスによって必要とされる送信間時間に関して評価された性能の図を図示する。3つのメッセージタイプ、言い換えれば、CAM、CPM、およびDENMメッセージタイプが考察される。3つのEDCA優先度、言い換えれば、「ビデオ」優先度、「ベストエフォート」優先度および「バックグラウンド」優先度が考察される。EDCA静的優先度を使用して得られた性能が、緊急度特性、ユーティリティ特性、およびレイテンシ特性を備える、ターゲットサービス品質に関係するN=3個の特性を考慮した多因子優先度係数に基づいて、本発明の実施形態を用いて得られたものと比較される。
【0127】
図5は、各サービスによって要求され、EDCA静的優先度を使用して設備レイヤによって許可された送信間時間を評価する図を示す。平均して、DENMメッセージは、100msのITTを必要とし、CAMメッセージは、200msのITTを必要とし、CPMメッセージは、およそ500msのITTを必要とする。しかしながら、ノード密度またはチャネル負荷が増加するとき、ITTは増加する。70%の送信チャネル負荷を上回ると、CPMメッセージに必要なITTは、3秒を超え、CAMに必要なITTは、1秒を超え、DENMメッセージに150~250msのITTを割り振る。EDCAの静的優先順位は、固定であり、スケジューラによって制御され得ず、これは、より低い優先度のアプリケーションの性能を強く劣化させる影響を有する。本発明の実施形態によるスケジューリングを使用することによって、スケジューラは、様々なアプリケーションと様々なサービスとの間でリソースを分散させるためのはるかに高い柔軟性を有する。
【0128】
図6は、各DENM、CAM、およびCPMサービスが、本発明のいくつかの実施形態に従って、サービスのトラフィッククラス、ユーティリティおよび緊急度による優先度値を使用して、50%、27%、および23%の優先度を割り当てられたときのノード密度に応じたITTを評価する図を示す。数値結果は、CPM ITT性能が、静的EDCAの場合よりもはるかに良好であることを証明する。しかしながら、これは、静的EDCAに対して、より高いチャネル負荷においてDENMについて最高150msの性能劣化を犠牲にする。結果として、DENM効率は、DENMのセキュリティ要件を満たすには不十分である。それゆえ、サービス品質インジケータの値は、DENMメッセージに、より高いリソースシェアを与えるために、CAMおよびCPMメッセージについて更新(この場合、低減)され得る。
【0129】
図7は、リソースの60%がDENMメッセージに割り振られ、CAMおよびCPMが、それぞれ、25%および15%の低減されたシェアを有するときのノード密度に応じたITTを評価する図を示す。数値結果は、EDCA静的トラフィッククラスを使用し、より低い優先度のアプリケーションを切望することの代わりに、各アプリケーションを動的に特徴づけることを可能にする、本発明の様々な実施形態に従って提案されるソリューションのアジリティおよび柔軟性を証明している。
【0130】
本発明は、非限定的な例として上記で説明された実施形態に限定されない。本発明は、当業者によって想定され得るすべての変形実施形態を包含する。
【0131】
一般的に、本発明の実施形態を実装するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムの、または特定のアプリケーションのコンテキストにおいて実装されるのか、コンポーネントのコンテキストにおいて実装されるのか、プログラムのコンテキストにおいて実装されるのか、オブジェクトのコンテキストにおいて実装されるのか、モジュールのコンテキストにおいて実装されるのか、または命令のシーケンスのコンテキストにおいて実装されるのか、さらにはそれらのサブセットのコンテキストにおいて実装されるのかにかかわらず、「コンピュータプログラムコード」または単に「プログラムコード」と呼ばれ得る。プログラムコードは、一般に、コンピュータ内の様々なメモリおよびストレージデバイス中に、様々な時間において存在し、コンピュータ中の1つまたは複数のプロセッサによって読み出され、実行されるとき、本発明の実施形態の様々な態様に固有の動作および/または要素を実行するために必要とされる動作をコンピュータが実施することを引き起こす、コンピュータ可読命令を備える。本発明の実施形態の動作を行うための、コンピュータ可読であるプログラムの命令は、たとえば、アセンブリ言語であるか、あるいは他に、1つまたは複数のプログラミング言語と組み合わせて記述されたソースコードまたはオブジェクトコードであり得る。
【国際調査報告】