(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】薬抗TIGIT及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体を用いた処置のための投薬
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221115BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221115BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221115BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221115BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221115BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221115BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20221115BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20221115BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221115BHJP
C12Q 1/6886 20180101ALN20221115BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20221115BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P35/00 ZNA
A61P11/00
A61K39/395 N
A61P43/00 121
A61P37/04
A61K45/00
G01N33/574 D
C07K16/28
C12N15/13
C12Q1/6886 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518255
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 US2020052623
(87)【国際公開番号】W WO2021062085
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】メン, レイモンド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パティル, ナムラタ スリヴァスタヴァ
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン, ウィリアム マイケル
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QR73
4B063QR77
4B063QS25
4C084AA22
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZA59
4C084ZB09
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB31
4C085BB36
4C085BB37
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、がんを処置するための投薬方法を提供する。特に、抗TIGITアンタゴニスト抗体(特に、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(特に、アテオゾリズマブ)との組み合わせを投与することによって、非小細胞肺がん(NSCLC)などの肺がんを有するヒト患者を処置するための方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺がんを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含み、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに前記PD-1軸結合アンタゴニスト用いる処置と比較して、(a)完全奏効(CR)若しくは部分奏効(PR)をもたらす、及び/又は(b)無増悪生存期間(PFS)の増加をもたらす、方法。
【請求項2】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X
1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X
1はQ又はEである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
X
1がQである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
X
1がEである、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項1~4及び6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、MED1-0680、スパルタリズマブ(PDR001)、セミプリマブ(REGN2810)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、ヒト化抗体である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、完全長抗体である、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、IgGクラス抗体である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、3週間ごとに約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
3週間ごとに約600mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに約1200mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約420mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項1~30及び38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、2週間ごとに約840mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
2週間ごとに約420mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び2週間ごとに約840mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目及び15日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約840mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項1~30及び46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、4週間ごとに約1680mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
4週間ごとに約840mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び4週間ごとに約1680mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項1~30及び46~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記PD-1軸結合アンタゴニストの前に前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を前記対象に投与することを含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及び前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に同時に投与することを含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に静脈内投与することを含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
60±10分間にわたる静脈内注入によって前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を前記対象に投与することを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
60±15分間にわたる静脈内注入によって前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項61又は62に記載の方法。
【請求項64】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に皮下投与することを含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、請求項1~64のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、前記抗PD-L1抗体が、SP263、22C3、SP142又は28-8である、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、Ventana SP263 IHCアッセイを用いて計算される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、pharmDx 22C3 IHCアッセイを用いて計算される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である、請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
前記対象から得られた腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有すると判定されている、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記NSCLCが、扁平上皮NSCLCである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記NSCLCが、非扁平上皮NSCLCである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記NSCLCが、局所進行切除不能NSCLCである、請求項75~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記NSCLCが、ステージIIIBのNSCLCである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記NSCLCが、再発性又は転移性NSCLCである、請求項75~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記NSCLCが、ステージIVのNSCLCである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記対象が、ステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない、請求項80又は81に記載の方法。
【請求項83】
前記対象が、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記対象が、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象が、活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であるか、又はエプスタイン・バー核抗原(EBNA)について陽性である、請求項86又は87に記載の方法。
【請求項89】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記PFSが、基準PFS時間と比較して増加している、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記基準PFS時間が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニストを含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブを前記対象に投与することを含み、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【請求項95】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
NSCLCを有する対象を処置する方法であって、
(a)前記対象から腫瘍試料を取得すること;
(b)前記腫瘍試料からの腫瘍細胞を抗PD-L1抗体SP263で染色することによって、前記腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからのPD-L1陽性腫瘍細胞の割合を決定することであって、前記抗PD-L1抗体SP263で染色された前記腫瘍細胞の50%以上がPD-L1陽性腫瘍細胞である、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからのPD-L1陽性腫瘍細胞の割合を決定すること;及び
(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブを含む治療を前記対象に投与することを含み、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、
前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【請求項99】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ及びアテゾリズマブを前記対象に投与することを含み、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【請求項103】
チラゴルマブが、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
チラゴルマブが、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
チラゴルマブが、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項102に記載の方法。
【請求項106】
NSCLCを有する対象を処置する方法であって、
(a)前記対象から腫瘍試料を取得すること;
(b)抗PD-L1抗体SP263を用いるIHCアッセイによって前記腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定することであって、前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が50%以上であると決定される、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定すること;及び
(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブを含む治療を前記対象に投与することを含み、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、
前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【請求項107】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項106に記載の方法。
【請求項110】
肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルの前記抗TIGITアンタゴニストを前記対象に投与することを含み、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに前記PD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項111】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項110に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項112】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域FR:
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、請求項111に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項113】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X
1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X
1はQ又はEである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、請求項111に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項114】
X
1がQである、請求項113に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項115】
X
1がEである、請求項113に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項116】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項111~115のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項117】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項110~116のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項118】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項110~117のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項119】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、請求項118に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項120】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項110~119のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項121】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項110~113及び115~120のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項122】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、請求項110~119のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項123】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項110~122のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項124】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項123に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項125】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、請求項110~124のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項126】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項125に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項127】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、請求項126に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項128】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブである、請求項127に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体。
【請求項129】
前記PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、請求項125に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項130】
前記抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、MED1-0680、スパルタリズマブ(PDR001)、セミプリマブ(REGN2810)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである、請求項129に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項131】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項126に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項132】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項131に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項133】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項132に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項134】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体である、請求項110~133のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項135】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、ヒト化抗体である、請求項134に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項136】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、完全長抗体である、請求項134又は135に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項137】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、請求項110~135のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項138】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、IgGクラス抗体である、請求項110~136のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項139】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項138に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項140】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項110~139のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項141】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項140に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項142】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項141に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項143】
前記方法が、前記PD-1軸結合アンタゴニストを、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項110~142のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項144】
前記方法が、前記PD-1軸結合アンタゴニストを、3週間ごとに約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項143に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項145】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で前記対象に投与され、前記PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で前記対象に投与される、請求項144に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項146】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、請求項110~145のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項147】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に前記対象に投与される、請求項146に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項148】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項110~139のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項149】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約400mg~500mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項148に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項150】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約420mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項149に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項151】
前記方法が、前記PD-1軸結合アンタゴニストを、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項110~139及び148~150のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項152】
前記方法が、前記PD-1軸結合アンタゴニストを、2週間ごとに約840mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項151に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項153】
前記方法が、2週間ごとに約420mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び2週間ごとに約840mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項152に記載の方法のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項154】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項153に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項155】
前記方法が、前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目及び15日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項154に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項156】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項110~139のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項157】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約800mg~900mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項156に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項158】
前記方法が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約840mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項157に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項159】
前記方法が、前記PD-1軸結合アンタゴニストを、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項110~139及び156~158のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項160】
前記方法が、前記PD-1軸結合アンタゴニストを、4週間ごとに約1680mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項159に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項161】
前記方法が、4週間ごとに約840mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び4週間ごとに約1680mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項160に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項162】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項110~139及び156~161のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項163】
前記方法が、前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項162に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項164】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に前記対象に投与される、請求項110~163のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項165】
第1の観察期間が前記PD-1軸結合アンタゴニスの投与後であり、第2の観察期間が前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後である、請求項164に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項166】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項165に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項167】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、前記PD-1軸結合アンタゴニストの前に前記対象に投与される、請求項110~163のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項168】
第1の観察期間が前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後であり、第2の観察期間が前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与後である、請求項167に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項169】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項168に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項170】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、前記PD-1軸結合アンタゴニストと同時に前記対象に投与される、請求項110~163のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項171】
前記対象に静脈内投与される、請求項110~170のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項172】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、60±10分にわたる静脈内注入によって前記対象に投与される、請求項171に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項173】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、60±15分にわたる静脈内注入によって前記対象に投与される、請求項171又は172に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項174】
前記対象に皮下投与される、請求項110~170のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項175】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、前記抗PD-L1抗体が、SP263、22C3、SP142又は28-8である、請求項110~174のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項176】
前記染色が免疫組織化学(IHC)アッセイの一部である、請求項175に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項177】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体SP263、22C3又は28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、請求項175又は176に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項178】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって、前記Ventana SP263 IHCアッセイを使用して決定される、請求項177に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項179】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって、前記pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して決定される、請求項177に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項180】
前記対象から得られた腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有すると判定されている、請求項110~179のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項181】
前記PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている、請求項180に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項182】
前記対象が、前記抗PD-L1抗体SP263、22C3又は28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有すると決定されている、請求項110~181のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項183】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項110~182のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項184】
前記NSCLCが、扁平上皮NSCLCである、請求項183に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項185】
前記NSCLCが、非扁平上皮NSCLCである、請求項184に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項186】
前記NSCLCが、局所進行切除不能NSCLCである、請求項183~185のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項187】
前記NSCLCが、ステージIIIBのNSCLCである、請求項186に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項188】
前記NSCLCが、再発性又は転移性NSCLCである、請求項183~185のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項189】
前記NSCLCが、ステージIVのNSCLCである、請求項188に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項190】
前記対象が、ステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない、請求項188又は189に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項191】
前記対象が、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない、請求項110~190のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項192】
前記対象が、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない、請求項110~191のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項193】
前記対象が、活動性EBV感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない、請求項110~192のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項194】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である、請求項110~193のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項195】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であり、かつEBV PCRによって陰性である、請求項194に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項196】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であるか、又はEBNAについて陽性である、請求項194又は195に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項197】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であり、かつEBNAについて陽性である、請求項196に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項198】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である、請求項110~195のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項199】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であり、かつEBNAについて陰性である、請求項198に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項200】
前記PFSが、基準PFS時間と比較して増加している、請求項110~199のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項201】
前記基準PFS時間が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニストを含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である、請求項200に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項202】
NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブであって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブを前記対象に投与することを含み、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有すると決定されており、前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブ。
【請求項203】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項202に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブ。
【請求項204】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項202に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブ。
【請求項205】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項202に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブ。
【請求項206】
NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブであって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ及びアテゾリズマブを前記対象に投与することを含み、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブ。
【請求項207】
チラゴルマブが、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項206に記載の使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブ。
【請求項208】
チラゴルマブが、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項206に記載の使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブ。
【請求項209】
チラゴルマブが、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項206に記載の使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブ。
【請求項210】
肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルの前記医薬を前記対象に投与することを含み、前記医薬が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与のために製剤化されており、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに前記PD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用。
【請求項211】
肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルの前記医薬及びPD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含み、前記医薬が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与のために製剤化されており、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに前記PD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用。
【請求項212】
肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルの前記医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を前記対象に投与することを含み、前記医薬が、前記PD-1軸結合アンタゴニスト及び前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与のために製剤化されており、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに前記PD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用。
【請求項213】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項210~212のいずれか一項に記載の使用。
【請求項214】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、請求項213に記載の使用。
【請求項215】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X
1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X
1はQ又はEである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、請求項213に記載の使用。
【請求項216】
X
1がQである、請求項215に記載の使用。
【請求項217】
X
1がEである、請求項215に記載の使用。
【請求項218】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項215~217のいずれか一項に記載の使用。
【請求項219】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項210~218のいずれか一項に記載の使用。
【請求項220】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体及び/又はヒト抗体である、請求項210~219のいずれか一項に記載の使用。
【請求項221】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項210~220のいずれか一項に記載の使用。
【請求項222】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項210~215及び217~221のいずれか一項に記載の使用。
【請求項223】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、請求項210~220のいずれか一項に記載の使用。
【請求項224】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項210~223のいずれか一項に記載の使用。
【請求項225】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項224に記載の使用。
【請求項226】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、請求項223~225のいずれか一項に記載の使用。
【請求項227】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項226に記載の使用。
【請求項228】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、請求項227に記載の使用。
【請求項229】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブである、請求項228に記載の使用。
【請求項230】
前記PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、請求項226に記載の使用。
【請求項231】
前記抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、MED1-0680、スパルタリズマブ(PDR001)、セミプリマブ(REGN2810)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである、請求項230に記載の使用。
【請求項232】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項227に記載の使用。
【請求項233】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項232に記載の使用。
【請求項234】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項233に記載の使用。
【請求項235】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体である、請求項210~234のいずれか一項に記載の使用。
【請求項236】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、ヒト化抗体である、請求項210~235のいずれか一項に記載の使用。
【請求項237】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、完全長抗体である、請求項210~236のいずれか一項に記載の使用。
【請求項238】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、請求項210~236のいずれか一項に記載の使用。
【請求項239】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、IgGクラス抗体である、請求項237に記載の使用。
【請求項240】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項239に記載の使用。
【請求項241】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与される、請求項210~240のいずれか一項に記載の使用。
【請求項242】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で投与される、請求項241に記載の使用。
【請求項243】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与される、請求項242に記載の使用。
【請求項244】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で投与される、請求項210~243のいずれか一項に記載の使用。
【請求項245】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、請求項244に記載の使用。
【請求項246】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で前記対象に投与され、前記PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で前記対象に投与される、請求項210~245のいずれか一項に記載の使用。
【請求項247】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、請求項210~246のいずれか一項に記載の使用。
【請求項248】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に前記対象に投与される、請求項210~247のいずれか一項に記載の使用。
【請求項249】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で投与される、請求項210~240のいずれか一項に記載の使用。
【請求項250】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される、請求項249に記載の使用。
【請求項251】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される、請求項250に記載の使用。
【請求項252】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で投与される、請求項210~240及び請求項249~251のいずれか一項に記載の使用。
【請求項253】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項252に記載の使用。
【請求項254】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、前記PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項253に記載の使用。
【請求項255】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項210~240及び請求項249~254のいずれか一項に記載の使用。
【請求項256】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストがそれぞれ、前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目及び15日目に投与される、請求項255に記載の使用。
【請求項257】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で投与される、請求項210~240のいずれか一項に記載の使用。
【請求項258】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される、請求項257に記載の使用。
【請求項259】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項258に記載の使用。
【請求項260】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で投与される、請求項210~240及び請求項257~259のいずれか一項に記載の使用。
【請求項261】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項260に記載の使用。
【請求項262】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、前記PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項261に記載の使用。
【請求項263】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項210~240及び請求項257~262のいずれか一項に記載の使用。
【請求項264】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストがそれぞれ、前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に投与される、請求項263に記載の使用。
【請求項265】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、前記PD-1軸結合アンタゴニストの前に前記対象に投与される、請求項210~264のいずれか一項に記載の使用。
【請求項266】
第1の観察期間が前記PD-1軸結合アンタゴニスの投与後であり、第2の観察期間が前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後である、請求項265に記載の使用。
【請求項267】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項266に記載の使用。
【請求項268】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、前記PD-1軸結合アンタゴニストの前に前記対象に投与される、請求項210~264のいずれか一項に記載の使用。
【請求項269】
第1の観察期間は前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後であり、第2の観察期間は前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与後である、請求項268に記載の使用。
【請求項270】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項269に記載の使用。
【請求項271】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、前記PD-1軸結合アンタゴニストと同時に前記対象に投与される、請求項210~264のいずれか一項に記載の使用。
【請求項272】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、前記対象に静脈内投与される、請求項210~271のいずれか一項に記載の使用。
【請求項273】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、60±10分にわたる静脈内注入によって前記対象に投与される、請求項272に記載の使用。
【請求項274】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、60±15分にわたる静脈内注入によって前記対象に投与される、請求項270又は273に記載の使用。
【請求項275】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、前記対象に皮下投与される、請求項210~271のいずれか一項に記載の使用。
【請求項276】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、前記抗PD-L1抗体が、SP263、22C3、SP142又は28-8である、請求項210~275のいずれか一項に記載の使用。
【請求項277】
前記染色が免疫組織化学(IHC)アッセイの一部である、請求項276に記載の使用。
【請求項278】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体SP263、22C3、又は28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、請求項276又は277に記載の使用。
【請求項279】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって、Ventana SP 263 IHCアッセイを使用して決定される、請求項278に記載の使用。
【請求項280】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、前記抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって、pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して決定される、請求項278に記載の使用。
【請求項281】
前記対象から得られた腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有すると判定されている、請求項210~280のいずれか一項に記載の使用。
【請求項282】
前記PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている、請求項281に記載の使用。
【請求項283】
前記肺がんが、非小細胞肺がんである、請求項210~282のいずれか一項に記載の使用。
【請求項284】
前記NSCLCが、扁平上皮NSCLCである、請求項283に記載の使用。
【請求項285】
前記NSCLCが、非扁平上皮NSCLCである、請求項284に記載の使用。
【請求項286】
前記NSCLCが、局所進行切除不能NSCLCである、請求項283~285のいずれか一項に記載の使用。
【請求項287】
前記NSCLCが、ステージIIIBのNSCLCである、請求項286に記載の使用。
【請求項288】
前記NSCLCが、再発性又は転移性NSCLCである、請求項283~286のいずれか一項に記載の使用。
【請求項289】
前記NSCLCが、ステージIVのNSCLCである、請求項288に記載の使用。
【請求項290】
前記対象が、ステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない、請求項288又は289に記載の使用。
【請求項291】
前記対象が、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない、請求項210~290のいずれか一項に記載の使用。
【請求項292】
前記対象が、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない、請求項210~291のいずれか一項に記載の使用。
【請求項293】
前記対象が、活動性EBV感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない、請求項210~292のいずれか一項に記載の使用。
【請求項294】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である、請求項210~293のいずれか一項に記載の使用。
【請求項295】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である、請求項294に記載の使用。
【請求項296】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であるか、又はEBNAについて陽性である、請求項294又は295に記載の使用。
【請求項297】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である、請求項296に記載の使用。
【請求項298】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である、請求項210~297のいずれか一項に記載の使用。
【請求項299】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である、請求項298に記載の使用。
【請求項300】
前記PFSが、基準PFS時間と比較して増加している、請求項210~299のいずれか一項に記載の使用。
【請求項301】
前記基準PFS時間が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニストを含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である、請求項300に記載の使用。
【請求項302】
NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブの使用であって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルの前記医薬を前記対象に投与することを含み、前記医薬は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブの投与のために製剤化されており、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有すると決定されており、前記処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用。
【請求項303】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項302に記載の使用。
【請求項304】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項302に記載の使用。
【請求項305】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項302に記載の使用。
【請求項306】
NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用であって、前記方法が、1回又は複数回の投与サイクルの前記医薬を前記対象に投与することを含み、前記医薬が、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの投与のために製剤化されており、前記対象が、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用。
【請求項307】
チラゴルマブが、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項306に記載の使用。
【請求項308】
チラゴルマブが、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項306に記載の使用。
【請求項309】
チラゴルマブが、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項306に記載の使用。
【請求項310】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、前記PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約3.1ヶ月のPFSの増加をもたらす、請求項1~109のいずれか一項に記載の方法、請求項110~209のいずれか一項に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は請求項210~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項311】
前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約3.1ヶ月のPFSの増加をもたらす、請求項102~105のいずれか一項に記載の方法、請求項206~209のいずれか一項に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は請求項306~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項312】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、前記PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約4.9ヶ月のPFSの増加をもたらす、請求項1~109のいずれか一項に記載の方法、請求項110~209のいずれか一項に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は請求項210~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項313】
前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約4.9ヶ月のPFSの増加をもたらす、請求項102~105のいずれか一項に記載の方法、請求項206~209のいずれか一項に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は請求項306~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項314】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、前記PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約5.7ヶ月のOSの増加をもたらす、請求項1~109のいずれか一項に記載の方法、請求項110~209のいずれか一項に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は請求項210~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項315】
前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約5.7ヶ月のOSの増加をもたらす、請求項102~105のいずれか一項に記載の方法、請求項206~209のいずれか一項に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は請求項306~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項316】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、前記PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約9ヶ月のOSの増加をもたらす、請求項1~109のいずれか一項に記載の方法、請求項110~209のいずれか一項に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は請求項210~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項317】
前記処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約9ヶ月のOSの増加をもたらす、請求項102~105のいずれか一項に記載の方法、請求項206~209のいずれか一項に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は請求項306~309のいずれか一項に記載の使用。
【請求項318】
肺がんを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含み、前記対象が、以前に肺がんのための併用化学放射線療法(cCRT)を受けており、前記対象が、前記cCRT後に疾患進行を有していなかった、方法。
【請求項319】
前記対象が、以前に少なくとも2サイクルの前記cCRTを受けていた、請求項318に記載の方法。
【請求項320】
前記cCRTが白金系化学療法を含む、請求項318又は319に記載の方法。
【請求項321】
前記cCRTが胸部放射線療法を含む、請求項318~320のいずれか一項に記載の方法。
【請求項322】
前記胸部放射線療法が、60~66Gyで30~33回に分けて対象に投与されたものである、請求項321に記載の方法。
【請求項323】
前記cCRTが、治癒目的で投与されたものである、請求項318~322のいずれか一項に記載の方法。
【請求項324】
前記cCRTが地固め療法として投与されたものである、請求項318~323のいずれか一項に記載の方法。
【請求項325】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項318~324のいずれか一項に記載の方法。
【請求項326】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、請求項325に記載の方法。
【請求項327】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X
1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X
1はQ又はEである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、請求項325に記載の方法。
【請求項328】
X
1がQである、請求項327に記載の方法。
【請求項329】
X
1がEである、請求項327に記載の方法。
【請求項330】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項325~329のいずれか一項に記載の方法。
【請求項331】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項318~330のいずれか一項に記載の方法。
【請求項332】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項318~331のいずれか一項に記載の方法。
【請求項333】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、請求項332に記載の方法。
【請求項334】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項318~333のいずれか一項に記載の方法。
【請求項335】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項318~327及び329~334のいずれか一項に記載の方法。
【請求項336】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、請求項318~333のいずれか一項に記載の方法。
【請求項337】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項318~335のいずれか一項に記載の方法。
【請求項338】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項337に記載の方法。
【請求項339】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、請求項318~338のいずれか一項に記載の方法。
【請求項340】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項339に記載の方法。
【請求項341】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、請求項340に記載の方法。
【請求項342】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブである、請求項341に記載の方法。
【請求項343】
前記PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、請求項342に記載の方法。
【請求項344】
前記抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、MED1-0680、スパルタリズマブ(PDR001)、セミプリマブ(REGN2810)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである、請求項343に記載の方法。
【請求項345】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、請求項340に記載の方法。
【請求項346】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、請求項345に記載の方法。
【請求項347】
前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、請求項346に記載の方法。
【請求項348】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体である、請求項318~347のいずれか一項に記載の方法。
【請求項349】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、ヒト化抗体である、請求項1~348のいずれか一項に記載の方法。
【請求項350】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、完全長抗体である、請求項1~349のいずれか一項に記載の方法。
【請求項351】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、請求項1~349のいずれか一項に記載の方法。
【請求項352】
前記PD-1軸結合アンタゴニストが、IgGクラス抗体である、請求項350に記載の方法。
【請求項353】
前記IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項352に記載の方法。
【請求項354】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項318~353のいずれか一項に記載の方法。
【請求項355】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項354に記載の方法。
【請求項356】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、3週間ごとに約600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項355に記載の方法。
【請求項357】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項318~356のいずれか一項に記載の方法。
【請求項358】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、3週間ごとに約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項357に記載の方法。
【請求項359】
3週間ごとに約600mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに約1200mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項318~358のいずれか一項に記載の方法。
【請求項360】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、請求項318~359のいずれか一項に記載の方法。
【請求項361】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項360に記載の方法。
【請求項362】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項318~353のいずれか一項に記載の方法。
【請求項363】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項362に記載の方法。
【請求項364】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、2週間ごとに約420mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項363に記載の方法。
【請求項365】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項318~353及び362~364のいずれか一項に記載の方法。
【請求項366】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、2週間ごとに約840mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項365に記載の方法。
【請求項367】
2週間ごとに約420mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び2週間ごとに約840mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項366に記載の方法。
【請求項368】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項318~353及び362~367のいずれか一項に記載の方法。
【請求項369】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目及び15日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項368に記載の方法。
【請求項370】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項318~353のいずれか一項に記載の方法。
【請求項371】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項370に記載の方法。
【請求項372】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を、4週間ごとに約840mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項371に記載の方法。
【請求項373】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項318~353及び370~372のいずれか一項に記載の方法。
【請求項374】
前記PD-1軸結合アンタゴニストを、4週間ごとに約1680mgの固定用量で前記対象に投与することを含む、請求項373に記載の方法。
【請求項375】
4週間ごとに約840mgの固定用量の前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び4週間ごとに約1680mgの固定用量の前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項374に記載の方法。
【請求項376】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが28日間である、請求項318~353及び370~375のいずれか一項に記載の方法。
【請求項377】
前記1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項376に記載の方法。
【請求項378】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項318~377のいずれか一項に記載の方法。
【請求項379】
前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、請求項378に記載の方法。
【請求項380】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項379に記載の方法。
【請求項381】
前記PD-1軸結合アンタゴニストの前に前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を前記対象に投与することを含む、請求項318~377のいずれか一項に記載の方法。
【請求項382】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及び前記PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、請求項381に記載の方法。
【請求項383】
前記第1の観察期間及び前記第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項382に記載の方法。
【請求項384】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に同時に投与することを含む、請求項318~377のいずれか一項に記載の方法。
【請求項385】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に静脈内投与することを含む、請求項318~384のいずれか一項に記載の方法。
【請求項386】
60±10分間にわたる静脈内注入によって前記抗TIGITアンタゴニスト抗体を前記対象に投与することを含む、請求項385に記載の方法。
【請求項387】
60±15分間にわたる静脈内注入によって前記PD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に投与することを含む、請求項385又は386に記載の方法。
【請求項388】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを前記対象に皮下投与することを含む、請求項318~384のいずれか一項に記載の方法。
【請求項389】
前記対象のPD-L1陽性腫瘍細胞分率が決定される、請求項318~388のいずれか一項に記載の方法。
【請求項390】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、前記抗PD-L1抗体が、SP263、22C3、SP142又は28-8である、請求項389に記載の方法。
【請求項391】
前記染色がIHCアッセイの一部である、請求項389又は390に記載の方法。
【請求項392】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP263又は22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、1%腫瘍細胞(TC)以上である、請求項391に記載の方法。
【請求項393】
前記PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP263又は22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、1%TC未満である、請求項392に記載の方法。
【請求項394】
前記PD-L1発現が、Ventana SP263 IHCアッセイを使用して計算される、請求項393に記載の方法。
【請求項395】
前記PD-L1発現が、pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して計算される、請求項393に記載の方法。
【請求項396】
PD-L1の検出可能な核酸発現レベルが、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている、請求項318~395のいずれか一項に記載の方法。
【請求項397】
前記肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、請求項318~396のいずれか一項に記載の方法。
【請求項398】
前記NSCLCが、扁平上皮NSCLCである、請求項397に記載の方法。
【請求項399】
前記NSCLCが、非扁平上皮NSCLCである、請求項397に記載の方法。
【請求項400】
前記NSCLCが、局所進行切除不能NSCLCである、請求項394~396のいずれか一項に記載の方法。
【請求項401】
前記NSCLCが、ステージIIIのNSCLCである、請求項397~400のいずれか一項に記載の方法。
【請求項402】
前記NSCLCが、ステージIVのNSCLCではない、請求項397~401のいずれか一項に記載の方法。
【請求項403】
前記対象が、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない、請求項318~402のいずれか一項に記載の方法。
【請求項404】
前記対象が、活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない、請求項318~403のいずれか一項に記載の方法。
【請求項405】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である、請求項318~404のいずれか一項に記載の方法。
【請求項406】
前記対象が、EBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である、請求項405に記載の方法。
【請求項407】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であるか、又はエプスタイン・バー核抗原(EBNA)について陽性である、請求項405又は406に記載の方法。
【請求項408】
前記対象が、EBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である、請求項407に記載の方法。
【請求項409】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である、請求項318~408のいずれか一項に記載の方法。
【請求項410】
前記対象が、EBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である、請求項409に記載の方法。
【請求項411】
前記PFSが、基準PFS時間と比較して増加している、請求項318~410のいずれか一項に記載の方法。
【請求項412】
前記基準PFS時間が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニストを含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である、請求項411に記載の方法。
【請求項413】
NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブを前記対象に投与することを含み、前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、前記対象が、以前に肺がんについてcCRTを受けており、前記対象が、前記cCRT後に疾患進行を有しておらず、前記処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにデュルバルマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【請求項414】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項413に記載の方法。
【請求項415】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項413に記載の方法。
【請求項416】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項413に記載の方法。
【請求項417】
NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ及びアテゾリズマブを前記対象に投与することを含み、前記対象が、以前に肺がんについてcCRTを受けており、前記対象が、前記cCRT後に疾患進行を有しておらず、前記処置が、チラゴルマブを用いずにデュルバルマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【請求項418】
チラゴルマブが、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される、請求項417に記載の方法。
【請求項419】
チラゴルマブが、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される、請求項417に記載の方法。
【請求項420】
チラゴルマブが、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される、請求項417に記載の方法。
【請求項421】
前記対象が、以前に少なくとも2サイクルの前記cCRTを受けていた、請求項413~420のいずれか一項に記載の方法。
【請求項422】
前記cCRTが白金系化学療法を含む、請求項413~421のいずれか一項に記載の方法。
【請求項423】
前記cCRTが胸部放射線療法を含む、請求項413~422のいずれか一項に記載の方法。
【請求項424】
前記胸部放射線療法が、60~66Gyで30~33回に分けて前記対象に投与されたものである、請求項423に記載の方法。
【請求項425】
前記cCRTが、治癒目的で投与されたものである、請求項413~424のいずれか一項に記載の方法。
【請求項426】
前記cCRTが地固め療法として投与されたものである、請求項413~425のいずれか一項に記載の方法。
【請求項427】
前記対象がヒトである、請求項1~109及び318~426のいずれか一項に記載の方法。
【請求項428】
肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体であって、前記方法が、請求項318~427のいずれか一項に記載される方法である、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体。
【請求項429】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体と組み合わせて肺がんを有する対象を処置するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、前記処置が、請求項318~427のいずれか一項に記載の方法によるものである、使用。
【請求項430】
抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて肺がんを有する対象を処置するための医薬の製造における抗PD-L1アンタゴニスト抗体の使用であって、前記処置が、請求項318~427のいずれか一項に記載の方法によるものである、使用。
【請求項431】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、別々に製剤化される、請求項429又は430に記載の使用。
【請求項432】
前記抗TIGITアンタゴニスト抗体及び前記抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、一緒に製剤化される、請求項429又は430に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全内容は出典明示により本明細書に援用される。2020年9月23日に作成された上記ASCIIコピーの名称は50474-201WO4_Sequence_Listing_9.23.20_ST25であり、サイズは30,100バイトである。
【0002】
発明の分野
本発明は、がん(例えば、肺がん)の処置に関する。より具体的には、本発明は、抗T細胞免疫受容体とIg及びITIMドメイン(TIGIT)アンタゴニスト抗体との組み合わせ並びにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗プログラム死リガンド-1(PD-L1)アンタゴニスト抗体又は抗プログラム死-1(PD-1)アンタゴニスト抗体)を投与することによる、がん(例えば、肺がん)を有する患者の処置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
がんは、細胞亜集団の制御されない増殖を特徴とする。がんは、先進国における主な死因であり、発展途上国における2番目に多い死因であり、1400万を超える新たながん症例が診断され、毎年800万を超えるがん死が発生している。したがって、がんのケアは、重大で増え続ける社会的負担を表す。
【0004】
特に、肺がんは、世界中でがん死の主な原因のままであり、2012年の全ての新規がんの約13%を占める。米国では2017年に、222,500例の新規肺がん症例及び155,870例の肺がん死亡例があると推定された。非-小細胞肺がん(NSCLC)は、主要なサブタイプであり、全症例の約85%を占める。進行疾患の5年全生存率は2%~4%である。NSCLC患者の生存に関する予後不良因子としては、初期診断時の疾患の進行期、パフォーマンス・ステータス不良、及び意図しない体重減少の病歴が挙げられる。NSCLC患者の半数超が遠隔疾患と診断されており、これは生存見込みの低さに直接寄与する。
【0005】
より長い生存期間及び疾患関連症状の減少をもたらした、NSCLCが進行した患者の第一選択処置の改善にもかかわらず、ほぼ全ての患者が疾患進行を経験する。がん免疫療法は、特に、長期疾患制御の可能性を提供する。転移性NSCLCの状況において、PD-L1/PD-1遮断抗体(例えば、アテゾリズマブ、ニボルマブ、及びペムブロリズマブ)は、非選択又はPD-L1-選択の進行したNSCLC患者のいずれかにおいて臨床的に意味のある利益をもたらした。しかしながら、かなりの割合の患者が依然として抗PD-L1/PD-1処置に対して無応答又は進行したままであり、そのような処置に対する逃避機構はほとんど理解されていない。
【0006】
したがって、より良好なベネフィット-リスクのプロファイルを達成するがん(例えば、肺がん、例えば、NSCLC)の処置のために有効な免疫療法及びそれを投与する方法を開発するための分野における満たされていない必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))との組み合わせを投与することによって、がん(例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法に関する。
【0008】
第1の態様では、本発明は、肺がんを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、又は4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、又は4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象が30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して、(a)完全奏効(CR)若しくは部分奏効(PR)をもたらす、及び/又は(b)無増悪生存期間(PFS)の増加をもたらす、方法を特徴とする。
【0009】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与することを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を2週間ごとに約420mgの固定用量で対象に投与することを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を2週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を2週間ごとに約840mgの固定用量で対象に投与することを含む。
【0010】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の超可変領域(HVR):SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はQ又はEである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、X1はQである。いくつかの実施形態において、X1はEである。
【0011】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。
【0012】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0013】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、ヒト抗体(例えば、モノクローナルヒト抗体)である。
【0014】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は完全長抗体である。第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブである。
【0015】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである。
【0016】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はIgGクラス抗体である。いくつかの実施形態では、IgGクラス抗体はIgG1サブクラス抗体である。
【0017】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)を3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与することを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)を2週間ごとに約840mgの固定用量で対象に投与することを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)を4週間ごとに約1680mgの固定用量で対象に投与することを含む。
【0018】
第1の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はアテゾリズマブである。
【0019】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下のHVR:GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。
【0020】
第1の態様のいくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0021】
第1の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、ヒト化抗体(例えば、モノクローナルヒト化抗体)である。
【0022】
第1の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、完全長抗体である。
【0023】
第1の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである。
【0024】
第1の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、IgGクラス抗体である。いくつかの実施形態では、IgGクラス抗体はIgG1サブクラス抗体である。
【0025】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、3週間ごとに約600mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体、及び、3週間ごとに約1200mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を、対象に投与することを含む。
【0026】
第1の態様のいくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは21日間である。
【0027】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含む。
【0028】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、2週間ごとに約420mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体、及び、2週間ごとに約820mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を、対象に投与することを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは28日間である。第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目及び15日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含む。
【0029】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、4週間ごとに約840mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体、及び、4週間ごとに約1680mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を、対象に投与することを含む。第1の態様のいくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは28日間である。第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含む。
【0030】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の前に抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0031】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前にPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0032】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を同時に対象に投与することを含む。
【0033】
第1の態様のいくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含む。
【0034】
第1の態様のいくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率が免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8を使用する。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体(例えば、SP263、22C3、SP142、又は28-8)を用いた陽性染色によって決定される。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、Ventana SP263 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、pharmDx 22C3 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、Ventana SP142 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である。
【0035】
第1の態様のいくつかの実施形態では、対象から得られた腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有することが決定されている。いくつかの実施形態では、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている。
【0036】
第1の態様のいくつかの実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCは扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは非扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは局所進行切除不能NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはステージIIIBのNSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは再発性又は転移性NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはステージIVのNSCLCである。いくつかの実施形態では、対象はステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない。
【0037】
第1の態様のいくつかの実施形態では、対象は、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない。
【0038】
第1の態様のいくつかの実施形態では、対象は、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない。
【0039】
第1の態様のいくつかの実施形態では、対象は、活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であるか、又はエプスタイン・バー核抗原(EBNA)について陽性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である。
【0040】
第1の態様のいくつかの実施形態では、対象は、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である。
【0041】
いくつかの実施形態では、対象は、基準PFS時間と比較して対象のPFSが増加している可能性が高い。いくつかの実施形態では、基準PFS時間は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である。
【0042】
第2の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約600mgの固定用量、2週間ごとに約420mgの固定用量で、又は4週間ごとに約840mgの固定用量)、及び、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、3週間ごとに約1200mgの固定用量、2週間ごとに約840mgの固定用量、又は4週間ごとに約1680mgの固定用量)を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象が、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を特徴とする。
【0043】
第3の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、(a)対象から腫瘍試料を得ること;(b)腫瘍試料からの腫瘍細胞を抗PD-L1抗体SP263で染色することによって、腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定することであって、対象は、50%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されている、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定すること;(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量、又は4週間ごとに840mgの固定用量で)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)を含む療法を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす方法を特徴とする。
【0044】
第4の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、(a)対象から腫瘍試料を得ること;(b)腫瘍試料からの腫瘍細胞を抗PD-L1抗体22C3で染色することによって、腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定することであって、対象は、50%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されている、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定すること;及び(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量、又は4週間ごとに840mgの固定用量で)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)を含む療法を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を特徴とする。
【0045】
第5の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量で、又は4週間ごとに840mgの固定用量)、及び、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象が、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を特徴とする。
【0046】
第6の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、(a)対象から腫瘍試料を得ること;(b)抗PD-L1抗体SP263を用いるIHCアッセイによって腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定することであって、対象は、50%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されている、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定すること;及び(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量、又は4週間ごとに840mgの固定用量で)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)を含む療法を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を特徴とする。
【0047】
第7の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、(a)対象から腫瘍試料を得ること;(b)抗PD-L1抗体22C3を用いるIHCアッセイによって腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定することであって、対象は、50%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されている、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定すること;及び(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量、又は4週間ごとに840mgの固定用量で)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)を含む療法を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を特徴とする。
【0048】
第8の態様では、本発明は、肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、又は4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、又は4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0049】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される。
【0050】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下のHVR:SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域FR:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はQ又はEである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、X1はQである。いくつかの実施形態において、X1はEである。
【0051】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。
【0052】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0053】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、ヒト抗体(例えば、モノクローナルヒト抗体)である。
【0054】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は完全長抗体である。第18の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブである。
【0055】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニストフラグメントは、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである。
【0056】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はIgGクラス抗体である。いくつかの実施形態では、IgGクラス抗体はIgG1サブクラス抗体である。
【0057】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される。他の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、2週間ごとに約840mgの固定用量で対象に投与される。他の実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、4週間ごとに約1680mgの固定用量で対象に投与される。
【0058】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736)である。いくつかの実施形態では、PD-L1アンタゴニストはアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、ニボルマブ(MDX-1106)又はペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475)))である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。第8の態様のいくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下のHVR:GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。
【0059】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0060】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、ヒト化抗体(例えば、モノクローナルヒト化抗体)である。
【0061】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、完全長抗体である。
【0062】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1又はPD-1に結合する抗体フラグメントである。
【0063】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、IgGクラス抗体である。いくつかの実施形態では、IgGクラス抗体はIgG1サブクラス抗体である。
【0064】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される。
【0065】
第8の態様のいくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは21日間である。
【0066】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に対象に投与される。
【0067】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、2週間ごとに約820mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは28日間である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目及び15日目に投与される。
【0068】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは28日間である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に投与される。
【0069】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1の観察期間は抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後であり、第2の観察期間はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後である。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0070】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1の観察期間はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後であり、第2の観察期間は抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後である。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0071】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)と同時に対象に投与される。
【0072】
第8の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、60±10分にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、60±15分にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0073】
第8の態様のいくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率が免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8を使用する。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体(例えば、SP263、22C3、SP142、又は28-8)を用いた陽性染色によって決定される。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、Ventana SP263 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、pharmDx 22C3 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、Ventana SP142 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である。
【0074】
第8の態様のいくつかの実施形態では、IHCアッセイは抗PD-L1抗体SP263を使用する。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは抗PD-L1抗体22C3を使用する。
【0075】
第8の態様のいくつかの実施形態では、対象から得られた腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有することが決定されている。いくつかの実施形態では、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている。
【0076】
第8の態様のいくつかの実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCは扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは非扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは局所進行切除不能NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはステージIIIBのNSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは再発性又は転移性NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはステージIVのNSCLCである。いくつかの実施形態では、対象はステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない。
【0077】
第8の態様のいくつかの実施形態では、対象は、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない。
【0078】
第8の態様のいくつかの実施形態では、対象は、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない。
【0079】
第8の態様のいくつかの実施形態では、対象は、活動性EBV感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であるか、又はEBNAについて陽性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である。
【0080】
第8の態様のいくつかの実施形態では、対象は、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である。
【0081】
第8の態様のいくつかの実施形態では、対象のPFSは、基準PFS時間と比較して増加する。いくつかの実施形態では、基準PFS時間は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である。
【0082】
第9の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブであって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量で、又は4週間ごとに840mgの固定用量)、及び、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブを特徴とする。
【0083】
第10の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブであって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量で、又は4週間ごとに840mgの固定用量)、及び、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブを特徴とする。
【0084】
第11の態様では、本発明は、肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、該医薬は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、又は4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、又は4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0085】
第12の態様では、本発明は、肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含み、該医薬は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、又は4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、又は4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0086】
第13の態様では、本発明は、肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及び抗TIGIT抗体を対象に投与することを含み、該医薬は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、又は4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量)及び抗TIGIT抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、又は4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0087】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される。
【0088】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の超可変領域(HVR):SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はQ又はEである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、X1はQである。いくつかの実施形態において、X1はEである。
【0089】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。
【0090】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、ヒト抗体(例えば、モノクローナルヒト抗体)である。
【0091】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、完全長抗体である。第21、第22、及び第23の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、チラゴルマブである。
【0092】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである。
【0093】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体である。いくつかの実施形態では、IgGクラス抗体はIgG1サブクラス抗体である。
【0094】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される。第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、2週間ごとに約840mgの固定用量で対象に投与される。第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、4週間ごとに約1680mgの固定用量で対象に投与される。
【0095】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736)である。いくつかの実施形態では、PD-L1アンタゴニストはアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1アンタゴニスト抗体(例えば、ニボルマブ(MDX-1106)又はペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475)))である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。
【0096】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下のHVR:GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0097】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、ヒト化抗体(例えば、モノクローナルヒト化抗体)である。
【0098】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、完全長抗体である。
【0099】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1又はPD-1に結合する抗体フラグメントである。
【0100】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、IgGクラス抗体である。いくつかの実施形態では、IgGクラス抗体はIgG1サブクラス抗体である。
【0101】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される。第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約420mgの固定用量で対象に投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、2週間ごとに約840mgの固定用量で対象に投与される。第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約840mgの固定用量で対象に投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、3週間ごとに約1680mgの固定用量で対象に投与される。
【0102】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは21日間である。
【0103】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に対象に投与される。
【0104】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1の観察期間は抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後であり、第2の観察期間はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後である。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0105】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、第1の観察期間はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後であり、第2の観察期間は抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後である。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0106】
第11の態様のいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)と同時に対象に投与される。
【0107】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、60±10分にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、60±15分にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0108】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、対象に皮下投与される。
【0109】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率が免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8を使用する。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体(例えば、SP263、22C3、SP142、又は28-8)を用いた陽性染色によって決定される。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、Ventana SP263 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、pharmDx 22C3 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である(例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、Ventana SP142 IHCアッセイを用いて計算される)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である。
【0110】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、IHCアッセイは抗PD-L1抗体SP263を使用する。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは抗PD-L1抗体22C3を使用する。
【0111】
第11、第12、及び第13の実施形態のいずれかのいくつかの態様では、対象から得られた腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有することが決定されている。いくつかの実施形態では、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている。
【0112】
第11、第12、及び第13の実施形態のいずれかのいくつかの態様では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。
【0113】
第9、第10、第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、NSCLCは扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは非扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは局所進行切除不能NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはステージIIIBのNSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは再発性又は転移性NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCはステージIVのNSCLCである。いくつかの実施形態では、対象はステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない。
【0114】
第9、第10、第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない。
【0115】
第9、第10、第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない。
【0116】
第9、第10、第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、活動性EBV感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であるか、又はEBNAについて陽性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である。
【0117】
第9、第10、第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である。
【0118】
第11、第12、及び第13の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象のPFSは、基準PFS時間と比較して増加する。いくつかの実施形態では、基準PFS時間は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である。
【0119】
第14の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブの使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、該医薬は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量で、又は4週間ごとに840mgの固定用量)、及び、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0120】
第15の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びアテゾリズマブを対象に投与することを含み、該医薬は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量で、又は4週間ごとに840mgの固定用量)、及び、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0121】
第16の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、アテゾリズマブの使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含み、該医薬は、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量で、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)、及び、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量、又は4週間ごとに840mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0122】
第17の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、該医薬は、チラゴルマブ(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量で、又は4週間ごとに840mgの固定用量)、及び、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0123】
第18の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、チラゴルマブの使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びアテゾリズマブを対象に投与することを含み、該医薬は、チラゴルマブ(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量で、又は4週間ごとに840mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、アテゾリズマブは(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)投与され、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0124】
第19の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における、アテゾリズマブの使用であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びチラゴルマブを対象に投与することを含み、該医薬は、アテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量、2週間ごとに840mgの固定用量で、又は4週間ごとに1680mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、チラゴルマブは(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量、2週間ごとに420mgの固定用量、又は4週間ごとに840mgの固定用量)投与され、対象は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されており、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を特徴とする。
【0125】
第14、第15、第16、第17、第18及び第19の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない。
【0126】
第14、第15、第16、第17、第18及び第19の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない。
【0127】
第14、第15、第16、第17、第18及び第19の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、活動性EBV感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であるか、又はEBNAについて陽性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である。
【0128】
第14、第15、第16、第17、第18及び第19の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である。
【0129】
前述の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約3.1ヶ月(例えば、少なくとも約4.9ヶ月)のPFSの増加をもたらす。
【0130】
前述の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約5.7ヶ月(例えば、少なくとも約9ヶ月)のOSの増加をもたらす。
【0131】
第20の態様では、本発明は、肺がんを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、対象は、以前に肺がんのための併用化学放射線療法(cCRT)を受けており、対象は、cCRT後に疾患進行を有していない(例えば、対象は、cCRT後に放射線学的疾患の進行を有していない)、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、対象は、以前に少なくとも2サイクルのcCRT(例えば、少なくとも3サイクルのcCRT、少なくとも4サイクルのcCRT、少なくとも5サイクルのcCRT、少なくとも6サイクルのcCRT、又はそれよりも多く)を受けていた。いくつかの実施形態では、cCRTは白金系化学療法を含む(例えば、cCRTは、併用白金系CRT、例えばシスプラチン(例えば、シスプラチン-エトポシド又はシスプラチン-ビノレルビン)の投与を含む併用CRT又はカルボプラチン(例えば、カルボプラチン-パクリタキセル)の投与を含む併用CRTを含む)。いくつかの実施形態では、cCRTは胸部放射線療法を含む。いくつかの実施形態では、放射線療法は60~66Gyで30~33回に分けて対象に投与された。いくつかの実施形態では、cCRTを治癒目的で投与した。いくつかの実施形態では、cCRTを地固め療法として投与した。
【0132】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の超可変領域(HVR):SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はQ又はEである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、X1はQである。他の実施形態において、X1はEである。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブである。
【0134】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである。
【0135】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体(例えば、IgG1サブクラス抗体)である。
【0136】
いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体であり、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。
【0137】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下のHVR:GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストはモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、ヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、完全長抗体である。
【0139】
いくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストはIgGクラス抗体である。いくつかの実施形態では、IgGクラス抗体はIgG1サブクラス抗体である。
【0140】
いくつかの実施形態では、該方法は、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量、例えば、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量、例えば、3週間ごとに約600mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量、例えば、3週間ごとに約1200mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、3週間ごとに約600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに約1200mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは21日間である。いくつかの実施形態では、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、該方法は、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約420mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約840mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、2週間ごとに約420mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び2週間ごとに約840mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは28日間である。いくつかの実施形態では、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目及び15日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、該方法は、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約840mgの固定用量で抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約1680mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、4週間ごとに約840mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び4週間ごとに約1680mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは28日間である。いくつかの実施形態では、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前にPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0144】
いくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの前に抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0145】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを同時に対象に投与することを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを、例えば60±10分間にわたる静脈内注入によって、対象に静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に皮下投与することを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、対象のPD-L1陽性腫瘍細胞分率が決定される。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、抗PD-L1抗体はSP263、22C3、SP142、又は28-8である。いくつかの実施形態では、染色はIHCアッセイの一部である。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP263又は22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、1%腫瘍細胞(TC)以上である。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP263又は22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、1%未満のTC(例えば0%~1%TC、例えばPD-L1陰性)である。いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、Ventana SP263 IHCアッセイを使用して計算される。いくつかの実施形態では、PD-L1発現は、pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して計算される。
【0149】
いくつかの実施形態では、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている。
【0150】
いくつかの実施形態では、肺がんは、非小細胞肺がん(NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCは扁平上皮NSCLCである。他の実施形態では、NSCLCは非扁平上皮NSCLCである。いくつかの実施形態では、NSCLCは、局所進行切除不能NSCLC(例えば、1%未満のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有する局所進行切除不能NSCLC、又は1%以上のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有する局所進行切除不能NSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLCは、ステージIIIのNSCLC(例えば、ステージIIIAのNSCLC、ステージIIIBのNSCLC又はステージIIICのNSCLC)、例えば、1%未満のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIIのNSCLC(例えば、1%未満のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIIAのNSCLC、1%未満のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIIBのNSCLC、又は1%未満TCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIICのNSCLC)、又は、1%以上のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIIのNSCLC(例えば、1%以上のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIIAのNSCLC、1%以上のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIIBのNSCLC、又は1%以上のTCのPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有するステージIIICのNSCLC)である。いくつかの実施形態では、NSCLC(例えば、扁平上皮NSCLC、非扁平上皮NSCLC又は局所進行切除不能NSCLC)は、ステージIVのNSCLCではない。
【0151】
いくつかの実施形態では、対象は、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない。いくつかの実施形態では、対象は、活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であるか、又はエプスタイン・バー核抗原(EBNA)について陽性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である。いくつかの実施形態では、対象はEBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である。
【0152】
いくつかの実施形態では、PFSは、基準PFS時間、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、デュルバルマブ)を含む処置を受けたことがある対象の集団の中央PFS時間と比較して増加する。
【0153】
第21の態様では、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブを対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象は、以前に肺がんについてcCRTを受けており、対象は、cCRT後に疾患進行を有しておらず、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにデュルバルマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす方法が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される。
【0154】
いくつかの実施形態では、対象は、以前に少なくとも2サイクルのcCRTを受けていた。いくつかの実施形態では、cCRTは白金系化学療法を含む。いくつかの実施形態では、cCRTは、胸部放射線療法、例えば60~66Gyで30~33回に分けて対象に投与される胸部放射線療法を含む。いくつかの実施形態では、cCRTを治癒目的で投与した。いくつかの実施形態では、cCRTを地固め療法として投与した。
【0155】
第22の態様では、本発明は、NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ及びアテゾリズマブを対象に投与することを含み、対象は、以前に肺がんについてcCRTを受けており、対象は、cCRT後に疾患進行を有しておらず、該処置は、チラゴルマブを用いずにデュルバルマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与される。他の実施形態では、チラゴルマブは、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mgの固定用量で投与される。他の実施形態では、チラゴルマブは、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与される。
【0156】
いくつかの実施形態では、対象は、以前に少なくとも2サイクルのcCRTを受けていた。いくつかの実施形態では、cCRTは白金系化学療法を含む。いくつかの実施形態では、cCRTは、胸部放射線療法、例えば60~66Gyで30~33回に分けて対象に投与される胸部放射線療法を含む。いくつかの実施形態では、cCRTを治癒目的で投与した。いくつかの実施形態では、cCRTを地固め療法として投与した。
【0157】
第23の態様では、肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体が本明細書で提供され、該方法は、前述の態様のいずれか1つによるものである。
【0158】
第24の態様では、本発明は、抗PD-L1アンタゴニスト抗体と組み合わせて肺がんを有する対象を処置するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用を特徴とし、該処置は、前述の態様のいずれか1つの方法によるものである。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、別々に製剤化される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体は一緒に製剤化される。
【0159】
第25の態様では、本発明は、抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて肺がんを有する対象を処置するための医薬の製造における抗PD-L1アンタゴニスト抗体の使用を特徴とし、該処置は、前述の態様のいずれか1つの方法によるものである。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、別々に製剤化される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体は一緒に製剤化される。
【0160】
前述の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、対象はヒト(例えば、成人患者)である。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【
図1】対象の選択、処置群へのランダム化及び処置評価項目のパラメータを示す試験デザインの概略図である。
【
図2】暫定分析時点での、TPS(TPS≧50%及びTPS1~49%)で割ったベースラインの患者人口及び統計における性別、人種及びECOGのわずかな不均衡を示す表である。
【
図3】暫定分析時点での、PD-L1 TPS≧50%及びPD-L1 TPS 1~49%集団並びに単剤療法群及び併用療法群にわたる処置転帰及び試験中止の差異を示す表である。
【
図4】暫定分析時点での、アテゾリズマブ単独療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けている一次集団(PD-L1 TPS≧1%)、PD-L1 TPS≧50%集団及びPD-L1 TPS 1~49%集団で観察された最良奏効(BOR)の差異を示す表である。
【
図5】暫定分析時点での、処置意図(ITT)集団における扁平上皮がん患者の改善されたBORを示す一連の表である。
【
図6】暫定分析時点での、アテゾリズマブ単独療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けている患者について記録された有害事象の相対的な頻度及びタイプを示す表及び付随するグラフである。アスタリスクを有する有害事象は、単剤療法群よりも併用療法群においてより高い頻度で観察された。
【
図7】暫定分析時点での、観察された処置関連及び免疫関連有害事象(AE)が、発疹及びIRRのために処置群間で不均衡であったことを示す表である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、主要評価項目の分析時点での奏効率(ORR)のサブグループ分析を示す一対の表である。
【
図9A】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単剤療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けている主要集団(PD-L1 TPS≧1%)で観察されたORRの差異を示す表である。
【
図9B】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単独療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けているPD-L1 TPS≧50%集団及びPD-L1 TPS 1~49%集団で観察されたORRの差異を示す一対の表である。
【
図10】
図10A及び10Bは、主要評価項目の分析時点での、無増悪生存期間(PFS)のサブグループ分析を示す一対の表である。
【
図11A】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単剤療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けている主要集団(PD-L1 TPS≧1%)で観察されたPFSの差異を示すグラフ及び付随する表である。
【
図11B】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単剤療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けているPD-L1 TPS≧50%集団で観察されたPFSの差異を示すグラフ及び付随する表である。
【
図11C】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単剤療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けているPD-L1 TPS 1~49%集団で観察されたPFSの差異を示すグラフ及び付随する表である。
【
図12】
図12A及び
図12Bは、主要評価項目の分析時点での全生存期間(OS)のサブグループ分析を示す一対の表である。
【
図13A】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単剤療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けている主要集団(PD-L1 TPS≧1%)で観察されたOSの差異を示すグラフ及び付随する表である。
【
図13B】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単剤療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けているPD-L1 TPS≧50%集団で観察されたOSの差異を示すグラフ及び付随する表である。
【
図13C】主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単剤療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けているPD-L1 TPS 1~49%集団で観察されたOSの差異を示すグラフ及び付随する表である。
【
図14】
図14A~14Dは、主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単独療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けているPD-L1 TPS≧50%集団及びPD-L1 TPS 1~49%集団についてのベースラインからの最良の変化率を示す一連のウォーターフォール・プロットである。
【
図15】
図15A~15Dは、主要評価項目の分析時点での、アテゾリズマブ単独療法又はチラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法のいずれかを受けているPD-L1 TPS≧50%集団及びPD-L1 TPS 1~49%集団についての標的病変の最長径(SLD)の合計の変化率を示す一連のグラフである。
【
図16】対象の選択、処置群へのランダム化及び処置評価項目のパラメータを示す試験デザインの概略図である。1L=第一選択;ALK=未分化リンパ腫キナーゼ(遺伝子);ECOG=Eastern Cooperative Oncology Group;EGFR=上皮成長因子受容体遺伝子;IHC=免疫組織化学;NSCLC=非小細胞肺がん;PD-L1=プログラム死リガンド1;PS=パフォーマンス・ステータス(Performance Status);Q3W=3週間ごと;RECIST v1.1=固形腫瘍における応答評価基準、バージョン1.1;TPS=腫瘍割合スコア。
【
図17】対象の選択、処置群へのランダム化及び処置評価項目のパラメータを示す第III相試験デザインの概略図である。ALK=未分化リンパ腫キナーゼ(遺伝子);atezo=アテゾリズマブ;durva=デュルバルマブ;ECOG=Eastern Cooperative Oncology Group;EGFR=上皮成長因子受容体(遺伝子);iDMC=独立データモニタリング委員会;NSCLC=非小細胞肺がん;OS=全生存期間;PD-L1=プログラム死-リガンド1;PFS=無増悪生存期間;pos=陽性;PS=パフォーマンス・ステータス;R=ランダム化;tira=チラゴルマブ。
【
図18】第III相試験の実験群及び比較群の投与スケジュールの概略図である。D=日;Q2W=2週間ごと;Q4W=4週間ごと。
【発明を実施するための形態】
【0162】
発明の詳細な説明
I.一般的技術
本明細書に記載又は参照される技術及び手順は、一般によく理解されており、当業者による従来の方法論、例えば、以下に記載されている広く利用されている方法論を使用して一般に採用されている:Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003));the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995);及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)。
【0163】
II.定義
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途示されない限り、複数のものを含む。
【0164】
本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。例えば、「約X」について言及する記述は、「X」の記述を含む。
【0165】
本明細書で互換的に使用される、バイオマーカーの「量」、「レベル」、又は「発現レベル」は、生物学的試料中の検出可能なレベルである。「発現」とは、一般に、情報(例えば、遺伝子コード情報及び/又はエピジェネティック情報)が、細胞中に存在し、そこで機能する構造に変換されるプロセスを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「発現」とは、ポリヌクレオチドへの転写、ポリペプチドへの翻訳、又はさらにポリヌクレオチド及び/若しくはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)を指す場合がある。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたポリペプチド、又はポリヌクレオチド及び/若しくはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)のフラグメントも、それらが選択的スプライシングによって生成された転写物若しくは分解された転写物に由来するか、又は例えばタンパク質分解によるポリペプチドの翻訳後プロセシングに由来するかどうかにかかわらず、発現されたものと見なされるべきである。「発現した遺伝子」とは、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、その後、ポリペプチドに翻訳されるもの、及びまたRNAに転写されるが、ポリペプチドに翻訳されないもの(例えば、転移及びリボソームRNA)を含む。発現レベルは、当業者に知られており、本明細書にも開示される方法によって測定され得る。バイオマーカー(例えば、PD-L1)の発現レベル又は量を使用して、特定の治療(例えば、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト、例えば抗PD-L1アンタゴニスト抗体を含む治療)に応答するか又はそれから利益を得る可能性が高いがん(例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を同定/特徴付けることができる。
【0166】
試料における本明細書に記載の様々なバイオマーカーの存在及び/又は発現レベル/量は、いくつかの方法論によって分析され得、これらの多くは、当該技術分野で知られ、当業者に理解されており、免疫組織化学(「IHC」)、ウェスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合アッセイ、ELISA、ELIFA、蛍光活性化細胞選別(「FACS」)、MassARRAY、プロテオミクス、定量的血液ベースアッセイ(例えば、血清ELISA)、生化学的酵素活性アッセイ、インサイチュハイブリダイゼーション、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、サザン分析、ノーザン分析、全ゲノム配列決定、大規模並列DNA配列決定(例えば、次世代配列決定)、NANOSTRING(登録商標)、例えば、分岐状DNA、SISBA、TMAなどの、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)及び他の増幅型検出方法を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RNA-Seq、マイクロアレイ分析、遺伝子発現プロファイリング、及び/又は遺伝子発現連続分析(「SAGE」)、並びにタンパク質、遺伝子、及び/又は組織アレイ分析によって行われ得る多種多様なアッセイのうちのいずれか1つを含むが、これらに限定されない。遺伝子及び遺伝子生成物の状態を評価するための典型的なプロトコルは、例えば、Ausubel et al.,eds.,1995,Current Protocols In Molecular Biologyの第2部(ノーザンブロット法)、第4部(サザンブロット法)、第15部(免疫ブロット法)、及び第18部(PCR分析)において見出される。Rules Based Medicine又はMeso Scale Discovery(「MSD」)から入手可能なアッセイなどの多重化免疫アッセイも使用され得る。
【0167】
本明細書に使用される「TIGIT」又は「Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然のTIGITを指す。TIGITはまた、当該技術分野において、DKFZp667A205、FLJ39873、Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質9、Vセット及び膜貫通ドメイン含有タンパク質3、VSIG9、VSTM3、及びWUCAMとしても知られている。この用語は、「完全長」の未処理のTIGIT(例えば、配列番号30のアミノ酸配列を有する完全長ヒトTIGIT)、並びに細胞内での処理から生じる任意の形態のTIGIT(例えば、配列番号31のアミノ酸配列を有する、シグナル配列を有しないプロセシングされたヒトTIGIT)を包含する。この用語は、TIGITの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント、又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトTIGITのアミノ酸配列は、例えば、UniProt受託番号Q495A1に見出すことができる。
【0168】
「PD-L1」又は「プログラム細胞死リガンド1」という用語は、本明細書では、特に示されていない限り、哺乳動物、例えば、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含め、任意の脊椎動物源由来の任意のネイティブPD-L1を指す。PD-L1は、CD274分子、CD274抗原、B7ホモログ1、PDCD1リガンド1、PDCD1LG1、PDCD1L1、B7H1、PDL1、プログラム死リガンド1、B7-H1及びB7-Hとしても当技術分野で公知である。この用語は、天然に存在するPD-L1のバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトPD-L1のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q9NZQ7(配列番号32)の下で見出され得る。
【0169】
「アンタゴニスト」という用語は、最も広義に使用され、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を部分的又は完全に遮断、阻害、又は中和する任意の分子を含む。適切なアンタゴニスト分子としては、具体的には、アンタゴニスト抗体又は抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)、天然ポリペプチドのフラグメント又はアミノ酸配列バリアント、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、有機小分子などが挙げられる。ポリペプチドのアンタゴニストを同定する方法は、ポリペプチドを候補アンタゴニスト分子と接触させること、及びポリペプチドに通常関連する1つ以上の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0170】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能障害を除去するようにPD-1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)復元又は増強する分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストが含まれる。
【0171】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1と、その結合パートナー(PD-1又はB7-1など)のうちのいずれか1種以上との相互作用に起因するシグナル伝達を減少、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L1の、その結合パートナー(PD-1又はB7-1など)のうちの1種以上との相互作用に起因するシグナル伝達を減少、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球上で発現された細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能不全のT細胞の機能不全状態を軽減する(例えば、抗原認識へのエフェクタ応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である。用語「抗PD-L1アンタゴニスト抗体」は、PD-L1の生物学的活性を実質的に又は完全に阻害する(例えば、PD-L1とその結合パートナー(PD-1、B7-1など)のいずれか1つ又は複数との相互作用から生じるシグナル伝達を抑止又は干渉する)ような十分な親和性で、PD-L1に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント若しくはバリアントを指す。例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、PD-L1を通したTリンパ球媒介性シグナル伝達上で発現された細胞表面タンパク質により又はそれを介して媒介される陰性共刺激シグナルを低減させ得、機能障害T細胞の機能障害性をより低くする(例えば、抗原認識へのエフェクタ応答を増強する)。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様において、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、PD-L1の、PD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。一実施形態では、非関連非PD-L1タンパク質への抗PD-L1アンタゴニスト抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、PD-L1への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体に結合するPD-L1は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10--13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、異なる種のPD-L1間で保存されているPD-L1のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、又はMSB0010718C(アベルマブ)である。特定の態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、WHO医薬品情報によりTECENTRIQ(商標)として販売されているアテゾリズマブである(International Nonproprietary Names for Pharmaceutical Substances),Recommended INN:List 74,Vol.29,No.3,2015(387頁参照)。別の態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はMDX-1105である。別の特定の態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、MSB0015718Cである。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、MEDI4736である。
【0172】
「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、PD-L1、PD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、遮断する、阻害する、抑止する、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、並びにPD-1とPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球で発現された細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能障害T細胞の機能障害性をより低くする(例えば、抗原認識へのエフェクタ応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1アンタゴニスト抗体である。
【0173】
用語「抗PD-1アンタゴニスト抗体」は、PD-1の生物学的活性を実質的に又は完全に阻害する(例えば、PD-1とその結合パートナー(PD-L1など)のいずれか1つ又は複数との相互作用から生じるシグナル伝達を抑止又は干渉する)ような十分な親和性で、PD-1に結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント若しくはバリアントを指す。例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、PD-1を通したTリンパ球媒介性シグナル伝達上で発現された細胞表面タンパク質により又はそれを介して媒介される陰性共刺激シグナルを低減させ得、機能障害T細胞の機能障害性をより低くする(例えば、抗原認識へのエフェクタ応答を増強する)。いくつかの実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、PD-1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様において、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、PD-1の、PD-L1への結合を阻害する。一実施形態では、非関連非PD-1タンパク質への抗PD-1アンタゴニスト抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、PD-1への抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体に結合するPD-1は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10--13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、異なる種のPD-1間で保存されているPD-1のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、ニボルマブ(MDX-1106)又はペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、MDX-1106(ニボルマブ)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、MK-3475(ペムブロリズマブ)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体はMED1-0680である。いくつかの事例では、抗PD-1アンタゴニスト抗体はPDR001(スパルタリズマブ)である。いくつかの事例では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、REGN2810(セミプリマブ)である。いくつかの事例では、抗PD-1アンタゴニスト抗体はBGB-108である。他の事例では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである。
【0174】
PD-1軸結合アンタゴニストのさらなる例としては、セミプリマブ、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタリマブ、レチファンリマブ、スパルタリズマブ、サザンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、SHR-1316、CS1001、エンバフォリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、ジムベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、CX-072、IMC-001、KL-A167、ブジカリマブ、AMG 404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、GS-4224、INCB086550、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、MAX-10181、RC98、BION-004、AM0001、CB201、ENUM 244C8、ENUM 388D4、AUNP-012、STI-1110、ADG104、AK-103、LBL-006、hAb21、AVA-004、PDL-GEX、INCB090244、KD036、KY1003、LYN192、MT-6035、VXM10、YBL-007、ABSK041、GB7003、JS-003、及びHS-636が挙げられる。
【0175】
「抗TIGITアンタゴニスト抗体」という用語は、TIGITの生物学的活性を実質的に又は完全に阻害するように十分な親和性でTIGITに結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント若しくはバリアントを指す。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、T細胞による機能不全状態(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞殺傷)から抗原刺激への機能的応答を回復させるために、PVR、PVRL2、及び/又はPVRL3を介したシグナル伝達を遮断し得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、別のTIGIT活性に影響を及ぼすことなく、1つのTIGIT活性に拮抗し得ることが当業者によって理解されるであろう。例えば、本明細書中に記載される特定の方法又は使用における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、他のTIGIT相互作用のいずれかに影響を及ぼすことなく、又は最小限に影響を及ぼす、PVR相互作用、PVRL3相互作用又はPVRL2相互作用の1つに応答してTIGIT活性に拮抗する抗TIGITアンタゴニスト抗体である。一実施形態では、非関連非TIGITタンパク質への抗TIGITアンタゴニスト抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、TIGITへの抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体に結合するTIGITは、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10--13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、異なる種からのTIGITの間で保存されているTIGITのエピトープ、又は交差種反応性を可能にするTIGIT上のエピトープに結合する。一実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブである。
【0176】
本明細書で使用される場合、「投与すること(administering)」は、化合物(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体))又は組成物(例えば、医薬組成物、例えば、抗TIGIT抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)を含む医薬組成物)の投与量を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載される方法に用いられる化合物及び/又は組成物は、例えば、静脈内(たとえば、静脈内注入による)、皮下、筋肉内、皮内、経皮的、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所的(topically)、腫瘍内、腹膜内、結膜下、小胞内、経粘膜、心膜内、臍帯内、眼球内、経口、局所的(topically)、局所的(locally)、吸入、注射、注入、持続注入、標的細胞に直接的に流す局所灌流、カテーテル、洗浄、クリーム、又は脂質組成物で投与することができる。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び処置される状態、疾患、又は障害の重症度)に応じて変化し得る。
【0177】
本明細書における治療剤(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体))の「固定」又は「フラット」用量は、患者の体重又は体表面積(BSA)に関係なく患者に投与される用量を指す。したがって、固定用量又はフラット用量は、mg/kg用量又はmg/m2用量としてではなく、治療剤の絶対量(例えば、mg)として提供される。
【0178】
本明細書で使用されるとき、「処置(treatment)」又は「処置すること(treating)」という用語は、臨床的病変の経過中に処置される個体又は細胞の自然経過を変化させるように設計された臨床的介入を指す。処置の望ましい効果としては、疾患進行速度の遅延又は低減、疾患状態の回復又は緩和、及び予後の寛解又は改善が挙げられる。例えば、個体は、がん性細胞の増殖の低減(若しくはその破壊)、疾患から生じる症状の減少、疾患を患うものの生活の質の向上、疾患を処置するのに必要な他の医薬品の用量の減少、疾患の進行の遅延、及び/又は個体の生存期間の延長を含むがこれらに限定されない、がんと関連する1つ以上の症状が軽減又は排除された場合に、「処置」が成功したことになる。
【0179】
本明細書で使用される場合、「疾患進行」は、疾患の悪化を指す。疾患が安定又は改善されたままである場合、「対象は疾患進行を有していない」。いくつかの事例では、疾患進行は、例えば、既存の病変の成長、新しい病変、又は以前に解消した病変の再発によって定義されるような放射線学的疾患の進行である。疾患の進行(例えば、放射線学的疾患の進行)は、RECIST v1.1によって判定することができる。いくつかの実施形態では、疾患進行(又は疾患進行の欠如)は、確認スキャン及び/又は病理学によって確認される。
【0180】
本明細書において使用される「と併せて」は、別の処置様式に追加された、1つの処置様式の投与を表す。したがって、「と併せて」とは、個体への1つの処置法の施行前、施行中、又は施行後の別の処置法の施行を指す。
【0181】
「障害」又は「疾患」は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害、例えばがん、例えば肺がん、例えばNSCLC、例えば扁平上皮又は非扁平上皮NSCLC、例えば局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC)を含むがこれらに限定されない処置から利益を得る任意の状態である。
【0182】
免疫機能障害の文脈における「機能障害」という用語は、抗原刺激に対する免疫応答性が低下した状態を指す。
【0183】
本明細書に使用される「機能不全性」という用語にはまた、抗原認識に対する不応性又は無応答性、特に、抗原認識を下流T細胞エフェクタ機能、例えば増殖、サイトカイン産生(例えばガンマインターフェロン)、及び/又は標的細胞殺滅に変換する能力の障害も含まれる。
【0184】
「がん」及び「がん性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、又は説明する。がんの例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病、又はリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、制限されないが以下が含まれる:非小細胞肺がん(NSCLC)などの肺がんであって、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)を含む扁平上皮NSCLC又は非扁平上皮NSCLC、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC)を含むもの、肺の腺がん、又は扁平上皮がん(例えば、上皮扁平上皮がん);食道がん;腹膜がん;肝細胞がん;胃腸がん及び胃腸間質がんを含む胃がん又は腹部がん;膵臓がん;神経膠芽腫;子宮頸がん;卵巣がん;肝臓がん;膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん(UBC)、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)及びBCG抵抗性非筋層浸潤性膀胱がん(NMIBC));尿路のがん;肝がん;乳がん(例えば、エストロゲン受容体(ER-)、プロゲステロン受容体(PR-)及びHER2(HER2-)陰性であるHER2+乳がん及び三重ネガティブ乳がん(TNBC));結腸がん;直腸がん;結腸直腸がん;子宮内膜又は子宮の癌腫;唾液腺癌腫;腎臓又は腎臓部のがん(例えば、腎細胞癌腫(RCC));前立腺がん;外陰がん;甲状腺がん;肝癌腫;肛門癌腫;陰茎癌腫;黒色腫(表在性拡延性黒色腫、悪性黒子黒色腫、末端黒子黒色腫、及び結節性黒色腫を含む);多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む);小リンパ球性(SL)NHL;中間グレード/濾胞性NHL;中間グレードのびまん性NHL;高悪性度の免疫芽球性NHL;高悪性度のリンパ芽球性NHL;高悪性度の小型非切断細胞NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症);慢性リンパ性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性筋原性白血病(AML);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病(CML);移植後リンパ増殖性障害(PTLD);及び骨髄異形成症候群(MDS)、並びに脂肪腫症、浮腫(脳腫瘍に関連するものなど)、Meigs症候群、脳腫瘍、頭頸部がん及び関連転移に関連する異常な血管増殖。
【0185】
「腫瘍」という用語は、悪性又は良性にかかわらず、全ての腫瘍性細胞の成長及び増殖、並びに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0186】
「腫瘍免疫」とは、腫瘍が免疫認識及び排除を回避する過程を指す。したがって、治療的概念として、かかる回避が減弱し、腫瘍が免疫系によって認識されて、攻撃されるときに、腫瘍免疫は「処置される」。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍退縮、及び腫瘍クリアランスが挙げられる。
【0187】
本明細書に使用されるとき、「転移」は、その原発部位から体内の他の場所へのがんの拡がりを意味する。がん細胞は、原発腫瘍から離脱し、リンパ管及び血管に浸透し、血流を通じて循環し、体内の他の場所の正常組織内の遠位焦点で成長する(転移する)場合がある。転移は、局所的又は遠位であり得る。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱し、血流を通じて移動し、遠位部位で停止することを条件とする逐次プロセスである。新たな部位で、細胞は、血液供給を確立し、成長して、生命を脅かす塊を形成し得る。腫瘍細胞内の刺激性と阻害性との両方の分子経路がこの挙動を制御し、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用もまた重要である。
【0188】
「抗がん療法」という用語は、がん(例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を処置するのに有用な療法を指す。抗がん治療剤の例としては、限定されるものではないが、例えば、免疫調節剤(例えば、免疫調節剤(例えば、1つ以上の免疫共阻害受容体(例えば、TIGIT、PD-L1、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、及び/又はVISTAから選択される1つ以上の免疫共阻害受容体)を減少又は阻害する薬剤)、CTLA-4アンタゴニスト等、例えば、抗CTLA-4アンタゴニスト抗体(例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)))、抗TIGITアンタゴニスト抗体、若しくはPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)、又は1つ以上の免疫共賦活受容体(例えば、CD226、OX-40、CD28、CD27、CD137、HVEM、及び/又はGITRから選択される1つ以上の免疫共刺激受容体)を増加又は活性化する薬剤、OX-40アゴニスト等、例えば、OX-40アゴニスト抗体)、化学療法剤、成長阻害剤、細胞毒性剤、放射線療法で使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びその他がんを処置するための薬剤が挙げられる。これらの組み合わせも本発明に含まれる。
【0189】
本明細書で使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞機能を阻害若しくは防止し、及び/又は細胞死若しくは破壊を引き起こす物質を指す。細胞毒性剤としては、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);成長阻害剤;酵素及びそのフラグメント、例えば核分解酵素;抗生物質;細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的活性毒素等の毒素(そのフラグメント及び/又はバリアントを含む);並びに下記に開示される様々な抗腫瘍剤又は抗がん剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
「化学療法剤」は、がんの処置に有用な化学化合物を含む。化学療法剤の例としては、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、ジスルフィラム、エピガロカテキンガレート、サリノスポラミドA、カーフィルゾミブ、17-AAG(ゲルダナマイシン)、ラジコール、乳酸脱水素酵素A(LDH-A)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)AstraZeneca)、スニチブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer/Sugen))、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、ノバルティス)、フィナサン酸塩(VATALANIB(登録商標)、Novartis)、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファミブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、AG1478、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホン酸塩;ベンゾドパ、カルボクロン、メトレドパ及びウレドパ等のアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスファミド、トリエチレンチオホスファミド及びトリメチルメラミン等のエチレンイミン類及びメチルメラミン類;アセトジェニン類(特にブラータシン及びブラータシノン);カンプトテシン類(トポテカン及びイリノテカン);ブリオスタチン;カリースタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシンの合成アナログを含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;フィナステリド及びデュタステリドを含む5α-レダクターゼ);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレタロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン、クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレスタミン、メクロレスタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等の窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン等のニトロソウレア類;エンジエン系抗生物質等の抗生物質(例えば、カリチェマイシン、特にカリチェマイシンγ1I及びカリチェマイシンω1I(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.1994 33:183-186);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネート等のビスホスホネート類;エスパーマイシン;同様に、ネオカルジノスタチン発色団及び関連する発色団エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン類、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピュロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝アンタゴニスト;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフリジン、エノシタビン、フロクスリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオステイン、テストラクトン等のアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロステイン等の抗副腎剤;フロリン酸等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジキオン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシン及びアンサミトシン等のマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジキオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;マイトブロニトール;マイトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、タクソール(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANE(登録商標)(クレモホールを含まない)、アルブミン操作されたパクリタキセルのナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Ill.)、及びTAXOTERE(登録商標)(パクリタキセル;Sanofi-Aventis):クロラムブシル、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、6-チオグアニン、メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等の白金類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバンドロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド類、並びに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸及び誘導体が挙げられる。
【0191】
また、化学療法剤としては、(i)抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)等、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフィン);(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メグストロール)、AROMASIN(登録商標)(エクセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロライド及びゴセレリン等の抗アンドロゲン剤;ブセレリン、トリプテレリン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全トランスレチオン酸、フェンレチニド及びトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤(例えば、AF-802(CH-5424802又はアレクチニブとしても知られている)等の未分化リンパ腫キナーゼ(Alk)阻害剤);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常細胞増殖に関与するシグナル伝達経路の遺伝子の発現を阻害する薬剤、例えば、PKC-アルファ、Ralf及びH-Ras;(vii)VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))、HER2発現阻害剤等のリボザイム類;(viii)遺伝子治療ワクチン等のワクチン類、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、VAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)、rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)等のトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;並びに(ix)上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸及び誘導体が挙げられる。
【0192】
化学療法剤としては、抗体、例えば、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体-薬物コンジュゲート、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も挙げられる。本発明の化合物と組み合わせた薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体としては、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピヌズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セロリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マッツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクセリズマブ、ペクセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レスリビズマブ、ロベリズマブ、ルピズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカタツズマブテトラキセタン、タドキシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブセルモレウキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及びインターロイキン-12 p40タンパク質を認識するように遺伝子組換えされた、ヒト配列のみの完全長IgG1λ抗体である抗インターロイキン-12(ABT-874/J695、Wyeth Research及びAbbott Laboratories)が挙げられる。
【0193】
化学療法剤はまた、「EGFR阻害剤」を含み、これは、EGFRに結合するか、又はそうでなければEGFRと直接相互作用し、EGFRのシグナル伝達活性を阻害又は低減する化合物を指し、「EGFRアンタゴニスト」と代替的に呼ばれる。このような薬剤の例としては、EGFRに結合する抗体及び低分子が挙げられる。EGFRに結合する抗体の例としては、以下のものが挙げられる:MAb 579(ATCC CRL HB 8506)、MAb 455(ATCC CRL HB8507)、MAb 225(ATCC CRL 8508)、MAb 528(ATCC CRL 8509)(米国特許第4,943,533号、Mendelsohn et al.を参照)及びそのバリアント、例えばキメラ化225(C225又はセツキシマブ;ERBUTIX(登録商標))及びリシェイプヒト225(H225)(国際公開第96/40210号、Imclone Systems Inc.を参照);完全ヒトEGFR標的化抗体IMC-11F8(Imclone);II型突然変異体EGFRを結合する抗体(米国特許第5,212,290号);米国特許第5,891,996号に記載されているようなEGFRを結合するヒト化抗体及びキメラ抗体;及びABX-EGF又はPanitumumabのようなEGFRと結合するヒト抗体(国際公開第98/50433号、Abgenix/Amgenを参照);EMD 55900(Stragliottoら、Eur.J.Cancer 32A:636-640(1996));EGFR結合のためにEGF及びTGF-αの両方と競合するEGFRに対するヒト化EGFR抗体であるEMD7200(マツズマブ)(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体、HuMax-EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3、及びE7.6.3として知られ、米国特許第6,235,883号に記載される完全ヒト抗体;MDX-447(Medarex Inc);並びにmAb 806又はヒト化mAb 806(Johns et al.,J.Biol.Chem.279(29):30375-30384(2004))。抗EGFR抗体は、細胞傷害性薬剤にコンジュゲートされ、それにより免疫コンジュゲートを生成し得る(例えば、欧州特許出願公開第659,439A2号、Merck Patent GmbHを参照されたい)。EGFRアンタゴニストは、米国特許第5,616,582号、同第5,457,105号、同第5,475,001号、同第5,654,307号、同第5,679,683号、同第6,084,095号、同第6,265,410号、同第6,455,534号、同第6,521,620号、同第6,596,726号、同第6,713,484号、同第5,770,599号、同第6,140,332号、同第5,866,572号、同第6,399,602号、同第6,344,459号、同第6,602,863号、同第6,391,874号、同第6,344,455号、同第5,760,041号、同第6,002,008号、及び同第5,747,498号、並びに以下のPCT公報:国際公開第98/14451号、同第98/50038号、同第99/09016号、及び同第99/24037号に記載の化合物等の小分子を含む。特定の低分子EGFRアンタゴニストとしては、OSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharmaceuticals)、PD183805(CI1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-、ジヒドロクロリド、Pfizer Inc.)、ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca)、ZM105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca)、BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim)、PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール)、(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)、CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド)、EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブチンアミド)(Wyeth)、AG1478(Pfizer)、AG1571(SU5271、Pfizer)、及び二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン)が挙げられる。
【0194】
化学療法剤としては、「チロシンキナーゼ阻害剤」、例えば、前段落に記載のEGFR標的薬物;インスリン受容体チロシンキナーゼの阻害剤、例えば、未分化リンパ腫キナーゼ(Alk)阻害剤、例えば、AF-802(CH-5424802又はアレクチニブとしても知られる)、ASP3026、X396、LDK378、AP26113、クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))及びセリチニブ(ZYKADIA(登録商標))等;小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、Takedaから入手可能なTAK165;ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤であるCP-724,714(Pfizer及びOSI);二重HER阻害剤、例えば、EGFRに優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能);ラパチニブ(GSK572016、Glaxo-SmithKlineから入手可能);経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤;PKI-166(Novartisから入手可能);pan-HER阻害剤、例えば、カネルチニブ(CI-1033、Pharmacia);Raf-1阻害剤、例えば、Raf-1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス薬剤ISIS-5132;非HER標的TK阻害剤、例えば、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKlineから入手可能);多標的チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizerから入手可能);VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AGから入手可能);MAPK細胞外制御キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmaciaから入手可能);キナゾリン、例えば、PD 153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;ピロロピリミジン、例えば、CGP 59326、CGP 60261、及びCGP 62706;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えば、HERコード核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(tryphostin)(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);pan-HER阻害剤、例えば、CI-1033(Pfizer);Affinitac(ISIS 3521;Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標));PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標);又は以下の特許公報:米国特許第5,804,396号、国際公開第1999/09016号(American Cyanamid)、同第1998/43960号(American Cyanamid)、同第1997/38983号(Warner Lambert)、同第1999/06378号(Warner Lambert)、同第1999/06396号(Warner Lambert)、同第1996/30347号(Pfizer,Inc)、同第1996/33978号(Zeneca)、同第1996/3397号(Zeneca)及び同第1996/33980号(Zeneca)のいずれかに記載されるものが挙げられる。
【0195】
化学療法剤としては、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生、ベバシズマブ、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エルロチニブ、フィルグラスチム、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、レナリドミド、レバミゾール、メスナ、メトキサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスチム、テモゾロミド、VM-26、6-TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルルビシン、ゾレドロネート、及びゾレドロン酸、並びにそれらの薬学的に許容され得る塩も挙げられる。
【0196】
化学療法剤としては、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバリン酸チクソコルトール、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、ジプロピオン酸アクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾン-17-プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバリン酸フルオコルトロン及び酢酸フルプレドニデン;フェニルアラニン-グルタミン-グリシン(FEG)及びそのD体形態(feG)(IMULAN BioTherapeutics,LLC)等の免疫選択的抗炎症ペプチド(ImSAID);アザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミドミノシクリン、スルファサラジン等の抗リウマチ薬、エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、セトリズマブペゴール(シムジア)、ゴリムマブ(シンポニー)等の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)遮断剤、アナキンラ(キネレット)等のインターロイキン1(IL-1)遮断剤、アバタセプト(オレンンシア)等のT細胞共刺激遮断剤、トシリズマブ(ACTEMERA(登録商標))等のインターロイキン6(IL-6)遮断剤;レブリキズマブ等のインターロイキン13(IL-13)遮断剤;ロンタリズマブ等のインターフェロンアルファ(IFN)遮断剤;rhuMAb Beta7等のベータ7インテグリン遮断剤;抗M1プライム等のIgE経路遮断剤;抗リンホトキシンアルファ(LTa)等の分泌ホモ三量体LTa3及び膜結合ヘテロ三量体LTa1/β2遮断剤;放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);チオプラチン、PS-341、フェニルブチレート、ET-18-OCH3、及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L-739749、L-744832)等の種々の治験薬;ポリフェノール類、例えばケルセチン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸及びその誘導体;クロロキン等のオートファジー阻害剤;デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルチシン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシン);ポドフィロトキシン;テガフール(UFTORAL(登録商標));ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、又はリセドロネート(ACTONEL(登録商標))等のビスホスホネート類;並びに上皮成長因子受容体(EGF-R);THERATOPE(登録商標)ワクチン等のワクチン類;ペリフォシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ又はエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);CCI-779;チピファニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標))等のBcl-2阻害剤;ピクサントロン;ロナファルニブ(SCH 6636、SARASARTM)等のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;並びに上記のうちのいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、又は誘導体;並びにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略語であるCHOP、5-FU及びロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いた処置レジメンの略語)であるFOLFOXのうち2つ以上の組合せが挙げられる。
【0197】
化学療法剤としてはまた、鎮痛効果、解熱効果、及び抗炎症効果を有する非ステロイド抗炎症薬が挙げられ得る。NSAIDには、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害剤を含む。NSAIDの具体的な例としては、アスピリン、プロピオン酸誘導体、例えば、イブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及びナプロキセン、酢酸誘導体、例えば、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ジクロフェナク、エノール酸誘導体、例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、及びイソキシカム、フェナム酸誘導体、例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、並びにCOX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブが挙げられる。NSAIDは、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、炎症性関節症、強直性脊椎症、乾癬性関節炎、ライター症候群、急性痛風、月経困難症、転移性骨痛、頭痛、及び片頭痛、術後痛、炎症及び組織傷害に起因する軽度から中度の疼痛、発熱、腸閉塞、及び腎疝痛などの病態の症状緩和のために示され得る。
【0198】
本明細書で使用される場合、「化学放射線療法(chemoradiotherapy)」、「化学放射線療法(chemoradiation therapy)」、及び「CRT」という用語は、放射線療法(RT)と組み合わせた化学療法剤(例えば、白金系化学療法剤)の投与を含む療法を指すために互換的に使用される。CRTは、併用CRT又は逐次CRTであり得る。
【0199】
「併用化学放射線療法」又は「cCRT」という用語は、化学療法及び放射線療法の投与を指すために本明細書で使用され、化学療法の投与の少なくとも一部は、放射線療法の投与の少なくとも一部と時間的に重なる。したがって、併用化学放射線療法(cCRT)は、放射線療法の投与を中止した後に1つ又は複数の化学療法剤の投与を継続する化学療法投薬レジメンを含む。あるいは、cCRTには、化学療法の投与を中止した後に放射線療法の投与を継続する放射線療法が含まれる。併用化学放射線療法は、放射線療法の投与が中止された後に開始される化学療法の投与、あるいは、化学療法の投与が中止された後に開始される放射線療法の投与を指す逐次化学放射線療法とは異なる。化合物、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体若しくはPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)、又はその組成物(例えば、医薬組成物)の「有効量」は、所望の治療結果、例えば、特定の疾患又は障害(例えば、がん、例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))の全生存又は無増悪生存の測定可能な増加を達成するために必要な少なくとも最小量である。本明細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに対象における所望の応答を誘発する抗体の能力等の要因に応じて異なり得る。有効量は、処置上有益な作用が処置の任意の毒性作用又は有害作用を上回るものでもある。予防的使用のための有益な又は所望の結果には、疾患の生化学的、組織学的及び/又は行動学的症状、その合併症、及び疾患の発症中に現れる中間的な病理学的表現型を含む、リスクの除去又は軽減、重症度の軽減、又は疾患の発症の遅延などの結果が含まれる。治療的な使用のために、有益な又は所望の結果には、疾患に起因する1つ又は複数の症状の減少(例えば、がん関連疼痛、症候性骨格関連事象(SSE)の減少又は遅延、European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality-of-Life Questionnaire(EORTC QLQ-C30、例えば、疲労、悪心、嘔吐、疼痛、呼吸困難、不眠症、食欲不振、便秘、下痢、又は身体的感情、認知、若しくは社会的機能の一般的レベル)による症状の減少、例えば、10ポイントの疼痛重症度(最悪の場合に測定)の数値評価尺度(NRS)によって測定される疼痛の減少、及び/又は肺がんにおける症状(SILC)尺度(例えば、咳呼吸困難及び胸痛における悪化までの時間(TTD))によって評価される健康関連生活の質(HRQoL)質問表による肺がんに関連する症状の減少などの臨床結果、疾患に罹患している人の生活の質の増加、疾患を処置するために必要な他の薬物の用量の減少、標的化などによる別の薬物の効果の増強、疾患の進行の遅延(例えば、無増悪生存期間又は放射線無増悪生存期間(rPFS);明確な臨床的進行(例えば、がん関連疼痛の進行、症候性の骨格関連事象、Eastern Cooperative Group Oncology Group(ECOG)Performance Status(PS)の低下(例えば、疾患が患者の日常生活能力にどのように影響するか)、及び/又は次の全身性抗がん療法の開始)の遅延、及び/又は肺特異的抗原進行までの時間の遅延)、及び/又は生存期間の延長が含まれる。がん又は腫瘍の場合、有効量の薬物は、がん細胞の数を減少させ、腫瘍サイズを低減させ、がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅らせるか、又は望ましくは停止し)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅らせるか、又は望ましくは停止し)、腫瘍成長をある程度阻害し、かつ/又は障害に関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減する効果を有し得る。有効量は、1回の投与でも、複数回の投与でもよい。本発明では、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効量は、予防的又は治療的処置を直接又は間接的に達成するのに十分な量である。臨床分野において理解されるように、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、又は医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療剤の投与との関連で考慮することができ、単剤は、1つ以上の他の薬剤と併せて、望ましい結果が達成され得るか、又は達成される場合、有効量で与えられると見ることができる。
【0200】
「免疫原性」とは、免疫応答を誘発する特定の物質の能力を指す。腫瘍は、免疫原性であり、腫瘍免疫原性を増強させることは、免疫応答による腫瘍細胞の排除を助ける。腫瘍免疫原性を増強する例としては、限定されるものではないが、TIGIT及び/又はPD-L1アンタゴニスト(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又は抗PDL-1アンタゴニスト抗体)による処置が挙げられる。
【0201】
「個々の応答」又は「応答」は、限定されないが、(1)疾患進行(例えば、がん、例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC)の進行)のある程度の阻害(減速及び完全停止が含まれる);(2)腫瘍サイズの縮小;(3)隣接する末梢臓器及び/又は組織へのがん細胞浸潤の抑制(すなわち、減少、減速又は完全停止);(4)転移の阻害(すなわち、減少、減速又は完全停止);(5)疾患又は障害(例えば、がん、例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))に関連する1つ又は複数の症状のある程度の軽減;(6)全生存及び無増悪生存を含む生存期間の増大又は延長;及び/又は(9)処置後の所与の時点で死亡率の低下を含む、対象に対する利益を示す任意の評価項目を使用して評価することができる。
【0202】
本明細書で使用される場合、「完全奏功」又は「CR」は、全標的病巣の消滅を指す。
【0203】
本明細書で使用される場合、「部分奏功」又は「PR」は、ベースラインSLDを参照として、標的病巣の最長径の合計(SLD)における少なくとも30%の低下を指す。
【0204】
本明細書で使用する場合、「奏効率」(ORR)とは、完全奏功(CR)率と、部分奏功(PR)率との和を意味する。
【0205】
本明細書で使用される場合、「客観的応答期間」(DOR)は、疾患進行に対する実証された客観的応答の最初の発生からの時間、又は処置の最後の用量の30日間以内の任意の原因による死のうち、いずれか早く発生する時間として定義される。
【0206】
「持続的応答」とは、処置の休止後に腫瘍成長を低減させることに対する持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して同じままであるか、又はより小さくなり得る。いくつかの実施形態では、持続的応答は、処置期間と少なくとも同じ期間、処置期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍又は3.0倍の期間を有する。
【0207】
本明細書で使用される場合、「生存」という用語は、患者が生存していることを指し、全生存、及び無増悪生存を含む。
【0208】
本明細書で使用される場合、「全生存」(OS)は、特定の期間、例えば診断又は処置の時点から1年又は5年後に生存している群の対象の割合を指す。
【0209】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、処置されている疾患(例えば、がん、例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))が悪化しない、処置中及び処置後の期間の長さを指す。無増悪生存期間は、患者が完全寛解又は部分寛解を経験した時間の量、並びに患者が安定した疾患を経験した時間の量を含み得る。
【0210】
本明細書で使用される場合、「安定疾患」又は「SD」は、処置開始以降の最小SLDを基準として、PRと言えるほどの十分な標的病変の収縮も、PDと言えるほどの十分な増加もないことを指す。
【0211】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」又は「PD」とは、処置開始以降、又は1つ以上の新たな病変の存在以降、記録された最小SLDを基準として、標的病変のSLDの少なくとも20%の増加を指す。
【0212】
本明細書で使用される場合、障害又は疾患の「進行を遅延させる」とは、疾患又は障害(例えば、がん、例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))の発症を延期、妨害、遅延、阻止、安定化、及び/又は延期することを意味する。この遅延は、病歴及び/又は処置されている対称に応じて様々な期間のものであり得る。当業者に明らかであるように、十分な又は著しい遅延は、対象が疾患を発症しないという点で、予防を事実上包含し得る。例えば、後期がんでは、中枢神経系(CNS)転移の発生が遅延し得る。
【0213】
本明細書で使用される場合、「がん再発を低減又は阻害する」という用語は、腫瘍若しくはがんの再発、又は腫瘍若しくはがんの進行を低減又は阻害することを意味する。
【0214】
「低減する又は阻害する」とは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体的な減少をもたらす能力を意味する。軽減又は阻害は、処置されている障害の症状(例えば、がん、例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))、転移の存在若しくはサイズ、又は原発腫瘍のサイズを指し得る。
【0215】
「生存延長」による意味は、処置されていない患者に対して(例えば、医薬で処置されていない患者に対して)、又は指定されたレベルでバイオマーカーを発現しない患者に対して、かつ/又は承認済み抗腫瘍剤で処置された患者に対して、処置された患者における全生存期間又は無増悪生存期間が増加することである。客観的応答は、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を含む測定可能な応答を指す。
【0216】
「検出する」及び「検出」という用語は、標的分子の質的測定及び量的測定の両方を含むために本明細書で最も広義に使用される。検出は、単に試料中の標的分子の存在を特定すること、並びに標的分子が検出可能なレベルで試料中に存在するかを決定することを含む。検出は、直接的であっても間接的であってもよい。
【0217】
本明細書で使用される場合、「PD-L1陽性腫瘍細胞分率」は、免疫組織化学(IHC)アッセイ、例えば抗体SP263、22C3、SP142、又は28-8を使用してPD-L1を染色するためのIHCアッセイの文脈での試料の染色後に、試料中に存在する全ての生存腫瘍細胞に対して任意の強度で部分的又は完全な膜染色(細胞質染色を除く)を示す生存腫瘍細胞のパーセンテージである。したがって、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、PD-L1 IHC SP263(Ventana)アッセイを使用して、例えば、式:PD-L1陽性腫瘍細胞分率=(PD-L1陽性腫瘍細胞の数)/(PD-L1陽性及びPD-L1陰性腫瘍細胞の総数)によって計算することができ、腫瘍細胞及び全ての非腫瘍細胞(例えば、腫瘍浸潤免疫細胞、正常細胞、壊死細胞及び残屑)のPD-L1細胞質染色は、評価及びスコアリングから除外される。任意の所与の診断PD-L1抗体は、PD-L1陽性腫瘍細胞分率を得るために使用することのできる特定のIHCアッセイプロトコル及び/又はスコアリング用語に対応し得ることが理解されるであろう。例えば、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、それぞれBenchmark ULTRAでのOPTIVIEW(登録商標)検出、AutostainerLink 48でのEnVision Flex、Benchmark ULTRAでのOPTIVIEW(登録商標)検出及び増幅、又はAutostainerLink 48でのEnVision Flexを使用して、SP263、22C3、SP142、又は28-8で染色した腫瘍細胞試料から得ることができる。別の事例では、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイ(Dako)を上記の式に従って使用して、PD-L1陽性腫瘍細胞分率を計算することができる。当業者は、IHCアッセイで使用される異なるPD-L1抗体間で感度が変動し得ることを理解するであろう。例えば、28-8又は22C3及びSP263で染色することによってそれぞれ定義される1% TC又は25% TC閾値を満たす試料の約64%のみが、SP142を使用して染色した場合に閾値を満たす。Hirsch et al.,Journal of Thoracic Oncology 2016,12(2):208-222.本明細書で使用される場合、PD-L1陽性腫瘍細胞分率及び「腫瘍割合スコア」(TPS)という用語は互換的に使用される。
【0218】
本明細書で使用される場合、「Ventana SP263 IHCアッセイ」は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVentana PD-L1(SP263)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われる。
【0219】
本明細書で使用される場合、「Ventana SP142 IHCアッセイ」は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVentana PD-L1(SP142)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われる。
【0220】
本明細書で使用される場合、「pharmDx 22C3 IHCアッセイ」は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPD-L1 IHC 22C3 pharmDx添付文書(Carpinteria,CA:Dako,Agilent Pathology Solutions)に従って行われる。
【0221】
「腫瘍浸潤免疫細胞」とは、本明細書で使用される場合、腫瘍又はその試料中に存在する任意の免疫細胞を指す。腫瘍浸潤免疫細胞としては、腫瘍内免疫細胞、腫瘍周辺免疫細胞、他の腫瘍間質細胞(例えば、線維芽細胞)、又はこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。かかる腫瘍浸潤免疫細胞は、例えばTリンパ球(CD8+Tリンパ球及び/又はCD4+Tリンパ球など)、Bリンパ球、又は顆粒球(例えば、好中球、好酸球、及び好塩基球)、単球、マクロファージ、樹状細胞(例えば、互いに組み合う樹状細胞)、組織球、及びナチュラルキラー細胞を含む他の骨髄系細胞であり得る。
【0222】
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、試料中で検出され得る指標、例えば、予測指標、診断指標、及び/又は予後指標を指す。バイオマーカーは、特定の、分子的、病理学的、組織学的及び/又は臨床的特徴を特徴とする疾患又は障害(例えば、がん、例えば、肺がん、例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))の特定のサブタイプの指標として役立ち得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子である。バイオマーカーとしては、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、及び/又はRNA)、ポリヌクレオチドコピー数の変化(例えば、DNAコピー数)、ポリペプチド及びポリヌクレオチド修飾(例えば、翻訳後修飾)、炭水化物、及び/又は糖脂質ベースの分子マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、PD-L1である。
【0223】
「抗体」という用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、及び一本鎖分子、並びにFab、F(ab’)2、及びFv等の抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメントを含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」と互換的に使用される。
【0224】
基本的な4本の鎖の抗体ユニットは、2本の同一な軽鎖(L)と2本の同一な重鎖(H)とから構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、5つの基本的なヘテロ四量体ユニットと併せて、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドからなり、10個の抗原結合部位を含むが、一方でIgA抗体は、2~5個の基本的な4本鎖ユニットから構成されており、このユニットは、重合してJ鎖と組み合わさった多価集合体を形成することができる。IgGの場合、4本鎖ユニットは、一般に、約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つのジスルフィド共有結合によってH鎖に連結されているが、一方で2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。H鎖及びL鎖はそれぞれ、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、続いてα鎖及びγ鎖のそれぞれについては3つの定常ドメイン(CH)、並びにμ及びεアイソタイプについては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、続いてその反対側の末端に定常ドメインを有する。VLは、VHと整列しており、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。VHとVLとが一緒に対合することにより、単一の抗原結合部位を形成する。様々なクラス抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Edition,Daniel P.Sties,Abba I.Terr and Tristram G.Parsolw(eds),Appleton&Lange,Norwalk,CT,1994の71頁及び第6章を参照されたい。任意の脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なる種類のうちの1つに割り当てられ得る。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラス又はアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つのクラスがあり、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと表記される重鎖を有する。γ及びαクラスは、さらに、CH配列及び機能における比較的わずかな相違に基づいてさらにサブクラスに分類され、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。
【0225】
「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列が超可変性であり、かつ/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)及びVLに3つ(L1、L2、L3)の、6つのHVRを含む。天然抗体では、H3及びL3が、6つのHVRのうちで最も高い多様性を示し、特にH3が抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000);Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)を参照されたい。実際に、重鎖のみからなる、天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の非存在下で機能的であり、安定している。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1993);Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0226】
いくつかのHVR描写が本明細書で使用され、本明細書に包含されている。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))。代わりに、Chothiaは、構造的ループの位置を指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、KabatのHVRとChothiaの構造的ループとの間の折衷物を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらHVRの各々に由来する残基が、以下に示される。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32 H30-H35B(Kabatナンバリング)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35(Chothiaナンバリング)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
【0227】
HVRは、以下の「伸長HVR」を含み得る:VLにおいて、24~36又は24~34(L1)、46~56又は50~56(L2)、及び89~97又は89~96(L3)、並びにVHにおいて、26~35(H1)、50~65又は49~65(H2)、及び93~102、94~102、又は95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabat et al.(上記参照)に従って番号付けされる。
【0228】
「Kabatにあるような可変ドメイン残基ナンバリング」又は「Kabatにあるようなアミノ酸位置ナンバリング」という表現、及びそれらの変形形態は、上記のKabatらにおける抗体の編成において重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用されているナンバリング方式を指す。このナンバリングシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮、又はそれへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従った残基52a)を含み、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従った残基82a、82b、及び82c等)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによってナンバリングされた配列との相同領域での整列によって決定され得る。
【0229】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定のセグメントが、配列において抗体間で広範囲にわたって異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を規定する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインにおいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、ベータ-シート構造を接続し、かついくつかの場合では、ベータ-シート構造の一部を形成するループを形成する3つのHVRによって接続されたベータシート立体配置を大いに採用する4つのFR領域を含む。各鎖内のHVRは、FR領域によって近接して互いに結び付いており、他方の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与など、様々なエフェクタ機能を示す。
【0230】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と称されてもよい。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の高い部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含有する。
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(hypervariable region:HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般的に、FR1、FR2、FR3及びFR4の4つのFRドメインからなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)中において以下の配列で現れる。FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4
【0231】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、抗体フラグメントとは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある抗体を指して互換的に使用される。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントであり得る。一部の場合では、インタクトな抗体は、1つ以上のエフェクタ機能を有し得る。
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域及び/又は可変領域を含む。抗体フラグメントの例として、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062[1995]
【0232】
を参照されたい);一本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体のパパイン消化により、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一な抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力を反映して表記される残りの「Fc」フラグメントとが得られた。Fabフラグメントは、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と合わせたL鎖全体、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関しては一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、単一の大きなF(ab’)2フラグメントが得られ、これは、異なる抗原結合活性を有する2つのFabフラグメントがジスルフィド結合したものにほぼ相当し、依然として抗原に架橋することが可能である。Fab’フラグメントは、抗体のヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含め、CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の追加の残基を有することが、Fabフラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’の本明細書での命名である。F(ab’)2抗体フラグメントは、間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として生成された。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも知られている。
【0233】
Fcフラグメントは、ジスルフィドによって一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端を含む。抗体のエフェクタ機能は、Fc領域における配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0234】
本発明の抗体の「機能性フラグメント」は、インタクトな抗体の一部分を含み、これには、概して、インタクトな抗体の抗原結合領域若しくは可変領域、又はFcR結合能力を保持するか若しくは修飾されたFcR結合能力を有する抗体のFc領域が含まれる。抗体フラグメントの例としては、線形抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0235】
「Fv」とは、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体フラグメントである。このフラグメントは1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を与える6つの超可変ループ(H鎖とL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性であるが、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)でさえも、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0236】
「sFv」又は「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、接続されて単一のポリペプチド鎖となったVH及びVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含んでおり、このリンカーにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を成すことが可能となっている。sFvの概説については、PluckthunのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer-Verlag、New York、269~315頁(1994)を参照されたい。
【0237】
本明細書における「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義して使用され、天然配列のFc領域及びバリアントFc領域が含まれる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基から、又はPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びると定義される。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによる残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製の間に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって取り除かれ得る。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全てのK447残基が除かれた抗体集団、K447残基が除かれていない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有さない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本発明の抗体における使用に好適な天然配列のFc領域には、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3、及びIgG4が挙げられる。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。
【0238】
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合を達成し、それによって二価フラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメントが得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFvフラグメント(前の段落を参照されたい)を構築することによって調製された小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第93/11161号;Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)により詳細に記載されている。
【0239】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びに所望の生物学的活性を呈する限り、そのような抗体のフラグメントが含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851~6855(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体としては、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれ、ここで、この抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルに目的の抗原で免疫付与を行うことによって産生される抗体に由来する。本明細書に使用されるとき、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0240】
抗体の「クラス」とは、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体には、次の5種類の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、下位クラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0241】
「親和性」は、分子(例えば、抗体、例えばTIGIT又はPD-L1)の単一の結合部位とその結合相手(例えば、抗原)との間の、合計の非共有性相互作用の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(KD)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な説明的かつ例示的な実施形態が以下に記載される。
【0242】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これには、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び代替的にはスプライス型を含む)が含まれ、FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは、主にそれらの細胞質ドメインが異なる、同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含有する(例えば、M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)に総説されている。今後特定されるものを含む他のFcRは、本明細書において「FcR」という用語により包含されている。
【0243】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/又は本明細書に開示されるヒト抗体を作製する技法の内の任意のものを用いて作製された抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特定的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当技術分野で既知の様々な技法を使用して生成することができる。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載されている方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原投与に応答してこのような抗体を産生するよう改変されているが、その内在性遺伝子座は無能になっているトランスジェニック動物、例えば免疫化ゼノマウスに抗原を投与することによって調製することが可能である(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照されたい)。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体に関するLi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)を参照されたい。
【0244】
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR(以下に定義される)からの残基が、所望される特異性、親和性、及び/又は能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)のHVRからの残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、結合親和性など、抗体の性能をさらに改良するために行われ得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むものとし、ここで、超可変ループの全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものに対応するが、FR領域には、結合親和性、異性体化、免疫原性等の抗体の性能を向上させる1つ以上の個々のFR残基置換が含まれてもよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、通常、H鎖で6個以下、L鎖で3個以下である。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma&Immunol.1:105-115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994);並びに米国特許第6,982,321号及び同第7,087,409号を参照されたい。
【0245】
「単離された抗体」という用語は、本明細書に開示される様々な抗体を説明するために使用されるとき、抗体が発現された細胞又は細胞培養物から特定され、分離及び/又は回収された抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、典型的にはポリペプチドの診断的又は治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフ(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって決定される、95%超又は99%超の純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)を使用してN末端若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クマシーブルー若しくは好ましくは銀染色を使用して非還元条件又は還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで精製される。単離された抗体としては、組換え細胞内のin situの抗体が挙げられるが、これは、ポリペプチド天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
【0246】
本明細書に使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、微量で存在し得る可能性のある自然に発生する突然変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除き、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向されている。異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象としている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリンが混入していないという点で、有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495-97(1975);Hongo et al.,Hybridoma,14(3):253-260(1995),Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988);Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば,Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)を参照)、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全てを有する動物において、ヒト又はヒト様抗体を産生するための技術(例えば、国際公開第1998/24893号、同第1996/34096号、同第1996/33735号、同第1991/10741号、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;及び同第5,661,016号;Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992);Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994);Morrison,Nature 368:812-813(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996);Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996);及びLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照)によって作製され得る。
【0247】
本明細書に使用されるとき「結合する」、「~に特異的に結合する」、又は「~に特異的である」という用語は、標的と抗体との間の結合など、測定可能かつ再生可能な相互作用を指し、これは、生体分子を含む分子の異種集団の存在下において、標的の存在を決定づけるものである。例えば、標的(これはエピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、及び/又はより長い持続時間でこの標的に結合する、抗体である。一実施形態では、抗体が無関係の標的に結合する程度は、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合に、標的に対する抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は、排他的結合を含むことができるが、必須ではない。本明細書で使用される用語は、例えば、10-4M以下、若しくは10-5M以下、若しくは10-6M以下、若しくは10-7M以下、若しくは10-8M以下、若しくは10-9M以下、若しくは10-10M以下、若しくは10-11M以下、若しくは10-12M以下の標的に対するKD、又は10-4M~10-6M若しくは10-6M~10-10M若しくは10-7M~10-9Mの範囲のKDを有する分子によって示され得る。当業者には理解されるように、親和性及びKD値は逆相関する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値により測定される。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、いずれの他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープに結合する場合の結合を指す。
【0248】
「実質的に低減された」又は「実質的に異なる」という表現は、本明細書に使用されるとき、2つの数値(一般に、一方がある分子と関連付けられており、他方が参照/比較分子と関連付けられている)の間の十分に高い相違を表し、結果として、当業者であれば、これら2つの値の間の相違が、かかる値(例えば、KD値)によって測定される生物学的特徴に関して、統計学的に有意なものであると見なすであろう。かかる2つの値の間の相違は、例えば、参照/比較分子の値の関数として、約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、及び/又は約50%超である。
【0249】
「実質的に同様の」又は「実質的に同じ」という用語は、本明細書に使用されるとき、2つの数値(一般に、一方が分子と関連付けられており、他方が参照/比較分子と関連付けられている)の間の十分に高い類似性を示し、結果として、当業者であれば、これら2つの値の間の相違が、かかる値(例えば、KD値)によって測定される生物学的特徴に関して、生物学的及び/又は統計的有意性がほとんどない、又は全くないと見なすであろう。かかる2つの値の間の相違は、例えば、基準/比較対象の値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/又は約10%である。
【0250】
参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした場合の、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当技術分野における技術の範囲内にある種々の方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成され得る。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、ここで、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルし得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含め、UNIXオペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
ここで、Xは配列アラインメントプログラムALIGN-2により、AとBのそのプログラムのアラインメントにおいて同一であるとして一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと異なる場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは異なることは理解されるであろう。特に断らない限り、本明細書で使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直前の段落で説明したように得られる。
【0251】
本明細書に使用されるとき、「対象」又は「個体」は、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はネコなどを含むがこれらに限定されない、哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。患者もまた、本明細書における対象である。
【0252】
本明細書で使用される「試料」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的特性に基づいて、特徴づけ及び/又は特定される細胞及び/又は他の分子の実体を含有する、目的とする対象及び/若しくは個体から得られるか、又はそれ由来の組成物を指す。例えば、「腫瘍試料」、「疾患試料」という語句及びその変化形は、特徴付けられる細胞及び/又は分子実体を含有することが予期されるか、又は含有することが既知である、目的の対象から得られた任意の試料を指す。いくつかの実施形態では、試料は腫瘍組織試料(例えば、肺癌腫瘍組織試料、例えばNSCLC腫瘍組織試料、例えば扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC腫瘍組織試料、例えば局所進行切除不能NSCLC腫瘍組織試料(例えば、ステージIIIBのNSCLC腫瘍組織試料)又は再発性若しくは転移性NSCLC腫瘍組織試料(例えば、ステージIVのNSCLC腫瘍組織試料)である。他の試料としては、初代又は培養細胞又は細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳、全血、血液由来の細胞、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、大便、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、組織抽出物、例えば、均質化組織、細胞抽出物、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0253】
本明細書で使用される「参照試料」、「参照細胞」、「参照組織」、「対照試料」、「対照細胞」、又は「対照組織」は、比較目的のために使用される試料、細胞、組織、標準物、又はレベルを指す。一実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、同じ対象の身体の健康な及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。例えば、罹患細胞又は組織に隣接する健康な及び/又は罹患していない細胞又は組織(例えば、腫瘍に隣接する細胞又は組織)。別の実施形態では、参照試料は、同じ対象の身体の処置されていない組織及び/又は細胞から得られる。さらに別の実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、対象ではない、対象の身体の健康な及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。さらに別の実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、対象ではない、個体の身体の未処置な組織及び/又は細胞から得られる。
【0254】
特に断らない限り、本明細書で使用される用語「タンパク質」は、特に明記しない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えばマウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然タンパク質を指す。用語は、「完全長」の非プロセシングタンパク質、及び細胞内でのプロセシングから得られるタンパク質の任意の形態を包含する。用語は、タンパク質の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。
【0255】
本明細書で同義に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/若しくはそれらの類似体であっても、又はDNA若しくはRNAポリメラーゼによって若しくは合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であってもよい。したがって、例えば、本明細書で定義されるポリヌクレオチドとしては、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖領域を含むRNA、一本鎖若しくはより典型的には二本鎖を含むか、又は一本鎖及び二本鎖領域を含み得るDNA及びRNAを含むハイブリッド分子が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、RNA若しくはDNA、又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。このような領域内の鎖は、同じ分子由来であり得るか、又は異なる分子由来であり得る。これらの領域は、これらの分子のうちの1つ以上の全てを含み得るが、より典型的には、これらの分子のうちのいくつかの領域のみを含む。三重らせん領域の分子のうちの1つは、多くの場合、オリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、具体的にはmRNA及びcDNAを含む。
【0256】
ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合には、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前に付与されても、又は後に付与されてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲーションなどによって、合成後にさらに修飾されてもよい。修飾の他の種類としては、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上を類似体と置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるもの、懸垂部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)などを含むもの、インターカレート剤(例えば、アクリジン、ソラレンなど)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸など)によるもの、並びにポリヌクレオチド(複数可)の未修飾形態などが挙げられる。さらに、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置き換えられるか、標準的な保護基により保護されるか、若しくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を準備してもよく、又は固体若しくは半固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’及び3’末端OHは、リン酸化され得るか、又はアミン若しくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換され得る。他のヒドロキシルも、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、当技術分野で公知なリボース糖又はデオキシリボース糖の類似形態も含み得、これらには、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル-、2’-フルオロ-、又は2’-アジド-リボース、炭素環糖の類似体、α-アノマ-糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロース、又はリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えば、メチルリボシドが含まれる。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的な連結基によって置き換えられてもよい。これらの代替的な連結基としては、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、’’(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、又はCH2(「ホルムアセタール」)に置き換えられる実施形態が挙げられるが、これらに限定されず、各R又はR’は独立して、Hであるか、又は置換若しくは非置換アルキル(1-20C)(任意に、エーテル(-O-)結合を含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、若しくはアラルジルである。ポリヌクレオチドにおける結合全てが同一である必要があるわけではない。前述の説明は、RNA及びDNAを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0257】
本明細書で使用される「担体」には、用いられる投与量及び濃度でそれに曝露されている細胞又は哺乳動物にとって無毒である、薬学的に許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤が含まれる。多くの場合、生理学的に許容され得る担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容され得る担体の例としては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール若しくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;並びに/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0258】
「薬学的に許容され得る」という語句は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分及び/又はそれを用いて処置されている哺乳動物と、化学的及び/又は毒物学的に適合しなければならないことを示す。
【0259】
「医薬製剤」という用語は、調製物中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤を投与する対象にとって許容できないほど有毒であるさらなる構成成分を含有しない調製物を指す。
【0260】
III.治療方法及び使用
対象におけるがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を処置するための方法及び使用であって、1回又は複数回の投与サイクル有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含む方法及び使用が本明細書中に提供される。
【0261】
投与レジメン及び投与
本明細書に記載の本発明の治療方法及び使用は、一態様では、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象に、1回又は複数回の投与サイクルの有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を投与することを含み、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)をもたらし、それによって対象を処置する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、2週間ごと(例えば、各28日間の投与サイクルの1日目及び15日目)、3週間ごと(例えば、各21日間の投与サイクルの1日目)、又は4週間ごと(例えば、各28日間の投与サイクルの1日目)に投与される。
【0262】
いくつかの態様では、本明細書に記載される本発明の治療方法及び使用は、肺がんのための併用化学放射線療法(cCRT)を以前に受けたことがあり、cCRT後に疾患進行を有していないがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮又は非扁平上皮NSCLC、例えば、ステージIIIのNSCLC)を有する対象に、1回又は複数回の投与サイクルの有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を投与し、それにより対象を処置することを含む。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、2週間ごと(例えば、各28日間の投与サイクルの1日目及び15日目)、3週間ごと(例えば、各21日間の投与サイクルの1日目)、又は4週間ごと(例えば、各28日間の投与サイクルの1日目)に投与される。
【0263】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに600mgの固定用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用処置)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0264】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約10mg~約1000mg(例えば、約20mg~約1000mg、例えば、約50mg~約900mg、例えば、約100mg~約850mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約600mg、例えば、約400mg~約500mg、例えば、約405mg~約450mg、例えば、約410mg~約430mg、例えば、約420mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに約420mg(例えば、420mg±10mg、例えば、420±6mg、例えば、420±5mg、例えば、420±3mg、例えば、420±1mg、例えば、420±0.5mg、例えば、2週間ごとに420mg)の固定用量である。
【0265】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約200mg~約2000mg(例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約250mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1500mg、例えば、約500mg~約1400mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに約840mg(例えば、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、4週間ごとに840mg)の固定用量である。
【0266】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに1200mgの固定用量である。
【0267】
いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごと、3週間ごと又は4週間ごとに約80mg~約2000mg(例えば、2週間ごとに約840mg、3週間ごとに約1200mg、又は4週間ごとに約1680mg)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1680mgの用量で4週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、4週間ごとに約1680mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1200mgの用量で3週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間ごとに約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの用量で投与される。
【0268】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに約840mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mgの固定用量である。
【0269】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約20mg~約1600mg(例えば、約40mg~約1500mg、例えば、約200mg~約1400mg、例えば、約300mg~約1400mg、例えば、約400mg~約1400mg、例えば、約500mg~約1300mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例は、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、約840mg/2週間(例えば、2週間ごとに、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、840mg)の固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約800mgの固定用量のアベルマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約240mgの固定用量のニボルマブである。
【0270】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約500mg~約3000mg(例えば、約500mg~約2800mg、例えば、約600mg~約2700mg、例えば、約650mg~約2600mg、例えば、約700mg~約2500mg、例えば、約1000mg~約2400mg、例えば、約1100mg~約2300mg、例えば、約1200mg~約2200mg、例えば、約1300mg~約2100mg、例えば、約1400mg~約2000mg、例えば、約1500mg~約1900mg、例えば、約1600mg~約1800mg、例えば、約1620mg~約1700mg、例えば、約1640mg~約1690mg、例えば、約1660mg~約1680mg、約1680mg、例えば、約1600mg、約1610mg、約1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、又は約1700mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mg(例えば、4週間ごとに、1680mg±10mg、例えば、1680±6mg、例えば、1680±5mg、例えば、1680±3mg、例えば、1680±1mg、例えば、1680±0.5mg、例えば、1680mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、4週間ごとに約480mgの固定用量のニボルマブである。
【0271】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の固定用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニストの標準用量と比較して減少し得る。
【0272】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、約0.01mg/kg~約50mg/kg対象体重(例えば、約0.01mg/kg~約45mg/kg、例えば、約0.1mg/kg~約40mg/kg、例えば、約1mg/kg~約35mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約30mg/kg、例えば、約5mg/kg~約25mg/kg、例えば、約10mg/kg~約20mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±2mg/kg、約15±1mg/kg、約15±0.5mg/kg、約15±0.2mg/kg、又は約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに、約0.01mg/kg~約15mg/kg対象体重(例えば、約0.1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約0.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約7.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約10mg/kg~約15mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約14mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±1mg/kg、例えば、約15±0.5mg/kg、例えば、約15±0.2mg/kg、例えば、約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに投与される約15mg/kgの用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに投与される約10mg/kgの用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに投与される約20mg/kgの用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニストの標準用量と比較して減少し得る。
【0273】
本発明の方法及び使用のいずれにおいても、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、1回又は複数回の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50又はそれ以上の投与サイクル)で投与され得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与サイクルは、臨床上の利益(例えば、確認された疾患進行、薬物耐性、死亡、又は許容できない毒性)が失われるまで継続する。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約14~28日間(例えば、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間又は28日間)である。
【0274】
いくつかの事例では、投薬サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約600mgの固定用量で、各21日間サイクルの1日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に静脈内投与する。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、約1200mgの固定用量で各21日間サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の両方を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約600mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約600mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。
【0275】
いくつかの事例では、投薬サイクルの長さは、約28日間である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、各28日間サイクルの1日目及び15日目に約420mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの固定用量で)静脈内投与する。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目及び15日目(例えば、1±3日目及び15±3日目)に投与する。例えば、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各28日間サイクルの1日目及び15日目に約840mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の両方を、各投与サイクルの約1日目及び15日目(例えば、1±3日目及び15±3日目)に投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、28日間の各サイクルの1日目及び15日目に約420mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの固定用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、28日間の各サイクルの1日目及び15日目に約840mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの固定用量で)静脈内投与される。
【0276】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各28日間の投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約840mgの固定用量で、各28日間サイクルの1日目(すなわち、4週間ごとに約420mgの固定用量の)に静脈内投与する。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、約1680mgの固定用量で各28日間サイクルの1日目に(すなわち、約840mgの固定用量で4週間ごとに)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の両方を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約840mgの固定用量で28日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約820mgの固定用量で4週間ごとに)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1680mgの固定用量で28日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約1680mgの固定用量で4週間ごとに)静脈内投与される。
【0277】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約60±10分(例えば、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、又は約70分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの事例、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0278】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間をさらに含む。いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0279】
他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0280】
他の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1(アテゾリズマブ)アンタゴニスト抗体)は、対象に同時に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後に、該方法は観察期間を含む。いくつかの事例では、観察期間は、約30分~約60分の長さである。観察期間が約60分の長さである場合、該方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。観察期間が約30分の長さである場合、該方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。
【0281】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたNSCLC(例えば、扁平上皮又は非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを1回又は複数回の投与サイクルで対象に投与することによって処置する方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインを有しており、該処置は、以下にさらに詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0282】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたNSCLC(例えば、扁平上皮又は非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを1回又は複数回の投与サイクルで対象に投与することによって処置する方法であって、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0283】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))であって、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルの有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含み、該処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0284】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用処置)で投与され、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0285】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに1200mgの固定用量である。
【0286】
いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごと、3週間ごと又は4週間ごとに約80mg~約2000mg(例えば、2週間ごとに約840mg、3週間ごとに約1200mg、又は4週間ごとに約1680mg)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1680mgの用量で4週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、4週間ごとに約1680mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1200mgの用量で3週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間ごとに約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの用量で投与される。
【0287】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに約840mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mgの固定用量である。
【0288】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約20mg~約1600mg(例えば、約40mg~約1500mg、例えば、約200mg~約1400mg、例えば、約300mg~約1400mg、例えば、約400mg~約1400mg、例えば、約500mg~約1300mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例は、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、約840mg/2週間(例えば、2週間ごとに、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、840mg)の固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約800mgの固定用量のアベルマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約240mgの固定用量のニボルマブである。
【0289】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約500mg~約3000mg(例えば、約500mg~約2800mg、例えば、約600mg~約2700mg、例えば、約650mg~約2600mg、例えば、約700mg~約2500mg、例えば、約1000mg~約2400mg、例えば、約1100mg~約2300mg、例えば、約1200mg~約2200mg、例えば、約1300mg~約2100mg、例えば、約1400mg~約2000mg、例えば、約1500mg~約1900mg、例えば、約1600mg~約1800mg、例えば、約1620mg~約1700mg、例えば、約1640mg~約1690mg、例えば、約1660mg~約1680mg、約1680mg、例えば、約1600mg、約1610mg、約1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、又は約1700mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mg(例えば、4週間ごとに、1680mg±10mg、例えば、1680±6mg、例えば、1680±5mg、例えば、1680±3mg、例えば、1680±1mg、例えば、1680±0.5mg、例えば、1680mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、4週間ごとに約480mgの固定用量のニボルマブである。
【0290】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の固定用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の標準用量と比較して減少し得る。
【0291】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、約0.01mg/kg~約50mg/kg対象体重(例えば、約0.01mg/kg~約45mg/kg、例えば、約0.1mg/kg~約40mg/kg、例えば、約1mg/kg~約35mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約30mg/kg、例えば、約5mg/kg~約25mg/kg、例えば、約10mg/kg~約20mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±2mg/kg、約15±1mg/kg、約15±0.5mg/kg、約15±0.2mg/kg、又は約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、約0.01mg/kg~約15mg/kg対象体重(例えば、約0.1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約0.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約7.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約10mg/kg~約15mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約14mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±1mg/kg、例えば、約15±0.5mg/kg、例えば、約15±0.2mg/kg、例えば、約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに投与される約15mg/kgの用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与され、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の標準用量と比較して減少し得る。
【0292】
抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、1回又は複数回の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50又はそれ以上の投与サイクル)で投与され得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与サイクルは、臨床上の利益(例えば、確認された疾患進行、薬物耐性、死亡、又は許容できない毒性)が失われるまで継続する。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約14~28日間(例えば、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間又は28日間)である。いくつかの事例では、投薬サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各21日間サイクルの1日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に約600mgの固定用量で静脈内投与される。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各21日間サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の両方は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約600mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約600mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。
【0293】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約60±10分(例えば、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、又は約70分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの事例、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0294】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後の第2の観察期間をさらに含む。いくつかの事例では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0295】
他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0296】
他の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1(アテゾリズマブ)アンタゴニスト抗体)は、対象に同時に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後に、該方法は観察期間を含む。いくつかの事例では、観察期間は、約30分~約60分の長さである。観察期間が約60分の長さである場合、該方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。観察期間が約30分の長さである場合、該方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。
【0297】
別の態様において、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))であって、該方法が、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを1回又は複数回の投与サイクルで対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、以下にさらに詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスを提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0298】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1腫瘍細胞陽性分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))であって、該方法は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを1回又は複数回の投与サイクルで対象に投与することを含み、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト)を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0299】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造又は調製における抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、該医薬が、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与のために製剤化されており、該処置が、抗TIGITアンタゴニスを用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0300】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含み、該医薬が、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与のために製剤化されており、該処置が、抗TIGITアンタゴニスを用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0301】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含み、該医薬が、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)及び有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体が投与される投与のために製剤化されており、該処置が、抗TIGITアンタゴニスを用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0302】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間、3週間又は4週間ごとに約30mg~約1200mg(例えば、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、3週間ごとに約30mg~約600mg)、例えば、3週間ごとに約600mg)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与される。
【0303】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用処置)で投与され、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0304】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに1200mgの固定用量である。
【0305】
いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごと、3週間ごと又は4週間ごとに約80mg~約2000mg(例えば、2週間ごとに約840mg、3週間ごとに約1200mg、又は4週間ごとに約1680mg)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1680mgの用量で4週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、4週間ごとに約1680mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約1200mgの用量で3週間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間ごとに約1200mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの用量で投与される。
【0306】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに約840mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mgの固定用量である。
【0307】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の固定用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の標準用量と比較して減少し得る。
【0308】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、約0.01mg/kg~約50mg/kg対象体重(例えば、約0.01mg/kg~約45mg/kg、例えば、約0.1mg/kg~約40mg/kg、例えば、約1mg/kg~約35mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約30mg/kg、例えば、約5mg/kg~約25mg/kg、例えば、約10mg/kg~約20mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±2mg/kg、約15±1mg/kg、約15±0.5mg/kg、約15±0.2mg/kg、又は約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、約0.01mg/kg~約15mg/kg対象体重(例えば、約0.1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約0.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約1mg/kg~約15mg/kg、例えば、約2.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約7.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約10mg/kg~約15mg/kg、例えば、約12.5mg/kg~約15mg/kg、例えば、約14mg/kg~約15mg/kg、例えば、約15±1mg/kg、例えば、約15±0.5mg/kg、例えば、約15±0.2mg/kg、例えば、約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに投与される約15mg/kgの用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用処置)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の標準用量と比較して減少し得る。
【0309】
本発明の任意の使用において、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、1回又は複数回の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50又はそれ以上の投与サイクル)で投与され得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬の投与サイクルは、臨床上の利益(例えば、確認された疾患進行、薬物耐性、死亡、又は許容できない毒性)が失われるまで継続する。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約14~28日間(例えば、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間又は28日間)である。
【0310】
いくつかの事例では、投薬サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、各21日間サイクルの1日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に約600mgの固定用量で静脈内投与されるものとする。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、約1200mgの固定用量で各21日間サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬の両方を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与す。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、約600mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約600mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、約1200mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。
【0311】
いくつかの事例では、投薬サイクルの長さは、約28日間である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬を、各28日間サイクルの1日目及び15日目に約420mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの固定用量で)静脈内投与する。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬を、各投与サイクルの約1日目及び15日目(例えば、1±3日目及び15±3日目)に投与する。例えば、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬を、各28日間サイクルの1日目及び15日目に約840mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬の両方を、各投与サイクルの約1日目及び15日目(例えば、1±3日目及び15±3日目)に投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、28日間の各サイクルの1日目及び15日目に約420mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの固定用量で)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、28日間の各サイクルの1日目及び15日目に約840mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの固定用量で)静脈内投与される。
【0312】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、各28日間の投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬を、約840mgの固定用量で、各28日間サイクルの1日目(すなわち、4週間ごとに約420mgの固定用量の)に静脈内投与する。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬を、約1680mgの固定用量で各28日間サイクルの1日目(すなわち、約840mgの固定用量で4週間ごとに)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬の両方を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、28日間サイクルのそれぞれの1日目に約840mgの固定用量(すなわち、4週間ごとに約820mgの固定用量)で静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、28日間サイクルのそれぞれの1日目に約1680mgの固定用量(すなわち、4週間ごとに約1680mgの固定用量)で静脈内投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、約60±10分(例えば、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、又は約70分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの事例、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0313】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後及びPD-1軸結合アンタゴニスト(抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬の投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与後の第2の観察期間をさらに含む。いくつかの事例では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0314】
他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む医薬は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬の投与後及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬の投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0315】
他の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を含む医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1(アテゾリズマブ)アンタゴニスト抗体)を含む医薬は、対象に同時に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬の投与後に、該方法は観察期間を含む。いくつかの事例では、観察期間は、約30分~約60分の長さである。観察期間が約60分の長さである場合、該方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後約30±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。観察期間が約30分の長さである場合、該方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む医薬の投与後約15±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。
【0316】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造又は調製における抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与のために製剤化されており、該処置が、抗TIGITアンタゴニスを用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。
【0317】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量でPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を投与されて、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与されるように製剤化されており、該処置が、抗TIGITアンタゴニスを用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0318】
別の態様では、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されているがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の投与のために製剤化されており、該処置が、抗TIGITアンタゴニスを用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0319】
別の態様において、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブの使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、以下にさらに詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0320】
別の態様において、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びアテゾリズマブを対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブが投与される投与のために製剤化されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、以下にさらに詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0321】
別の態様において、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及び抗TIGIT抗体を対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ及び3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体が投与される投与のために製剤化されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、該処置は、以下にさらに詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0322】
別の態様において、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化されており、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0323】
別の態様において、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びアテゾリズマブを対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量で投与されるアテゾリズマブの投与のために製剤化されており、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0324】
別の態様において、本発明は、30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されたがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用であって、該方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びチラゴルマブを対象に投与することを含み、該医薬が、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ及び3週間ごとに600mgの固定用量で投与されるチラゴルマブの投与のために製剤化されており、該処置は、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用を提供する。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0325】
本明細書中に記載される方法、使用、又は使用のための組成物のいずれかにおいてにおいて、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ))又はその医薬は、1又は複数の抗がん治療剤(例えば、免疫調節剤(例えば、CTLA-4アンタゴニスト、例えば抗CTLA-4アンタゴニスト抗体(例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)))などの1又は複数の免疫共阻害受容体(例えば、TIGIT、PD-L1、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、及び/又はVISTAから選択される1又は複数の免疫共阻害受容体)を減少又は阻害する薬剤、又は、OX-40アゴニスト、例えばOX-40アゴニスト抗体などの1又は複数の免疫共刺激受容体(例えば、CD226、OX-40、CD28、CD27、CD137、HVEM、及び/又はGITRから選択される1又は複数の免疫共刺激受容体)を増加又は活性化する薬剤)、化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、放射線療法(radiotherapy)/放射線療法(radiation therapy)、及び/又は抗ホルモン剤、例えば本明細書で上に列挙したもの)と併せて(別々に又は一緒に)投与され得る。
【0326】
本明細書中に記載される方法、使用、又は使用のための組成物のいずれかにおいてにおいて、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ))又はその医薬は、肺がんを有する対象を処置するためのものである。いくつかの事例では、肺がんはNSCLCである。がんは初期又は後期段階であり得る。いくつかの事例では、NSCLCは扁平上皮NSCLCである。いくつかの事例では、NSCLCは非扁平上皮NSCLCである。いくつかの事例では、NSCLCは局所進行切除不能NSCLCである。いくつかの事例では、NSCLCはステージIIIBのNSCLCである。いくつかの事例では、NSCLCは再発性又は転移性NSCLCである。いくつかの事例では、NSCLCはステージIVのNSCLCである。いくつかの事例では、対象はステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない。
【0327】
いくつかの事例では、本明細書中に記載される方法、使用、又は使用のための組成物のいずれかにおいて、対象は、EGFR又はALKのゲノム腫瘍異常を有さない。いくつかの事例では、本明細書中に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、対象は、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない。いくつかの事例において、対象は、0又は1のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Status(PS)を有する。
【0328】
突然変異状態EGFR及びALKを検出するための方法は当技術分野で周知であり、それだけに限らないが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるFramptonら(Nature Biotechnology.31(11):1023-1033,2013)に記載されている標的遺伝子プルダウン及び配列決定法などの次世代配列決定法を使用して、臨床試料(例えば、腫瘍生検又は血液試料(例えば、血液中の循環腫瘍DNA))からのDNAを配列決定することが挙げられる。このような次世代配列決定方法は、小試料(例えば、小コア針生検、細針吸引、及び/又はセルブロック由来)又は固定試料(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料)の使用を可能にしながら、様々な突然変異(例えば、挿入、欠失、塩基置換、焦点遺伝子増幅、及び/又はホモ接合性遺伝子欠失)を検出する本明細書に開示される方法のいずれかと共に使用することができる。EGFR及びALKの突然変異状態を検出するための他の方法としては、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)法及び免疫組織化学(IHC)法が挙げられる。ALKの突然変異状態を検出するための例示的な方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,651,555号に開示されている。いくつかの事例では、VENTANA(登録商標)抗ALK(D5F3)IHCアッセイを使用して、ALK遺伝子の突然変異状態を決定する。
【0329】
本明細書中に記載される方法のいずれかのいくつかの事例において、突然変異は感作性EGFR突然変異である。感作性EGFR突然変異は当技術分野で周知であり、米国特許出願公開第2018/0235968号及びJuan et al.(Therapeutic Advances in Medical Oncology.9(3):201-216,2017)に記載されているものが含まれ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン18~21(例えば、エクソン18、エクソン19、エクソン20及び/又はエクソン21における突然変異)のいずれか一つにおける突然変異である。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン19の欠失(del19)である。他の事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン21中のL858R点突然変異である。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン18におけるG719X点突然変異であり、「X」は、最も一般的には、C、A又はSである。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン18におけるG719S点突然変異である。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン18におけるG719A点突然変異である。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン18におけるS720F点突然変異である。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン21におけるL861Q点突然変異である。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異は、エクソン21におけるL861R点突然変異である。他の事例では、感作性EGFR突然変異はT790M点突然変異である。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異はE709X点突然変異であり、「X」は最も一般的にはK、A、又はHである。いくつかの事例では、感作性EGFR突然変異はS768I点突然変異である。
【0330】
本明細書中に記載される方法のいずれかのいくつかの事例において、突然変異はALK遺伝子再編成である。ALK遺伝子再編成は当技術分野で周知であり、米国特許第9,651,555号及びDu et al.(Thoracic Cancer.9:423-430,2018)に記載されているものが含まれ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの事例では、ALK遺伝子再構成は、下流のシグナル伝達経路を活性化して細胞増殖及び生存を増加させる発がん性ALKチロシンキナーゼの作製をもたらす。いくつかの事例では、ALK遺伝子再編成は、融合がん遺伝子の形成をもたらす、EML4、KIF5B、KLC1、TFG、TPR、HIP1、STRN、DCTN1、SQSTM1、NPM1、BCL11A、BIRC6、RANBP2、ATIC、CLTC、TMP4、及びMSNからなる群から選択される遺伝子によるALK再編成である。いくつかの事例では、ALK遺伝子再編成は、ALKとのEML4再編成であり、融合がん遺伝子EML4-ALKの形成をもたらす。
【0331】
いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、対象は、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない。NSCLCのサブタイプを検出する方法は当技術分野で周知であり、限定されないが、組織病理学的基準又は分子的特徴(例えば、バイオマーカー(例えば、特定の遺伝子又は該遺伝子によってコードされるタンパク質)の1つ又は組み合わせの発現を特徴とするサブタイプ)による決定方法を含む。いくつかの事例では、試料は、組織試料、全血試料、血清試料及び血漿試料からなる群から選択される。いくつかの事例では、組織試料は、腫瘍試料である。
【0332】
いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、対象は、活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない。本明細書に記載の方法で使用するための活動性又は慢性活動性EBV感染の指標としては、限定されないが、EBV IgM、EBV IgG、Epstein-Barr核抗原(EBNA)、及び対象由来の試料(例えば、血液又は血清試料)中に検出されたEpstein-Barrウイルス粒子を挙げることができる。対象由来の試料中のEBV IgM、EBV IgG、Epstein-Barr核抗原(EBNA)、及びEpstein-Barrウイルス粒子を含む、活動性又は慢性活動性EBV感染の1つ又は複数の指標の存在を検出する方法は、当技術分野で周知であり、血清学的診断(例えば、EBV DNAの検出(例えば、EBVウイルス粒子を検出するための血液試料のPCR分析による)又はEBV抗原又は抗EBV抗体の検出(例えば、異種親和性抗体を用いたEBNA、EBV IgM又はEBV IgGの検出)を含む方法を含むが、これらに限定されない。いくつかの事例では、試料は、全血試料、血清試料及び血漿試料からなる群から選択される。いくつかの事例では、対象はEBV IgMについて陰性であり、及び/又はEBV PCRによって陰性である。いくつかの事例では、対象は、EBV IgMについて陰性であり、及び/又はEBV PCRについて陰性であり、かつEBV IgGについて陽性であり、及び/又はエプスタイン・バー核抗原(EBNA)について陽性である。他の事例では、対象はEBV IgGについて陰性であり、及び/又はEBNAについて陰性である。
【0333】
いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、対象はPD-L1選択腫瘍(例えば、高いPD-L1発現を有する腫瘍、例えば、SP263又は22C3抗体を用いるIHCによって決定される場合、最小PD-L1陽性腫瘍細胞分率又は≧30%(例えば、50%以上)のTPSを有する腫瘍PD-L1発現)を有する。いくつかの事例では、PD-L1選択腫瘍は、免疫組織化学(IHC)アッセイによって30%以上(例えば、50%以上)のPD-L1陽性腫瘍細胞分率又はPD-L1 TPSを有することが決定された腫瘍である。いくつかの事例では、IHCアッセイは、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8を使用する。いくつかの事例では、IHCアッセイは抗PD-L1抗体SP263を使用する。いくつかの事例では、IHCアッセイは抗PD-L1抗体22C3を使用する。いくつかの事例では、腫瘍試料は、50%以上のTPSを有することが決定されている。いくつかの事例では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、50%以上である(例えば、抗PD-L1抗体SP263による陽性染色によって決定される場合(例えば、Ventana assayを使用)、抗PD-L1抗体22C3による陽性染色によって決定される場合(例えば、pharmDxアッセイの使用)、又は抗PD-L1抗体28-8による陽性染色によって決定される場合)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である。
【0334】
いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、個体から得られる腫瘍試料は、PD-L1の検出可能なタンパク質発現レベルを有する。いくつかの事例では、PD-L1の検出可能なタンパク質発現レベルは、IHCアッセイによって決定されたものである。いくつかの事例では、IHCアッセイは抗PD-L1抗体SP142を使用する。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の1%以上においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の1%以上5%未満においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の5%以上50%未満においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の50%以上においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の1%以上を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の1%以上5%未満を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の5%以上10%未満を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の10%以上を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。
【0335】
いくつかの事例では、対象のPD-L1陽性腫瘍細胞分率が決定される。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、抗PD-L1抗体はSP263、22C3、SP142、又は28-8である(例えば、IHCアッセイの一部として)。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP263(例えば、Ventana SP263 IHCアッセイを使用して計算)又は22C3(例えば、pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して計算)を用いた陽性染色によって決定される場合、1%腫瘍細胞(TC)以上である。いくつかの実施形態では、PD-L1陽性腫瘍細胞分率は、抗PD-L1抗体SP263(例えば、Ventana SP263 IHCアッセイを使用して計算)又は22C3(例えば、pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して計算)を用いた陽性染色によって決定される場合、1%未満のTC(例えば0%~1% TC、例えばPD-L1陰性)である。いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、個体から得られる腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有する。いくつかの事例では、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている。いくつかの事例では、試料は、組織試料、全血試料、血清試料及び血漿試料からなる群から選択される。いくつかの事例では、組織試料は、腫瘍試料である。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍浸潤免疫細胞、腫瘍細胞、間質細胞、及びこれらの任意の組合せを含む。
【0336】
いくつかの事例では、本明細書中に記載される方法、使用、及び/又は使用のための組成物は、肺がんについてcCRTを以前に受けたことがあり、かつcCRTの後で進行していない(例えば、cCRT後の放射線学的疾患の進行によって決定される)、肺がん(例えば、NSCLC、例えば、扁平上皮NSCLC又は非扁平上皮NSCLC、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIのNSCLC(例えば、ステージIIIAのNSCLC、ステージIIIBのNSCLC及び/又はステージIIICのNSCLC)))を有する対象を処置することを伴う。いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物は、NSCLCについてcCRTを以前に受けたことがあり、かつcCRTの後で進行していない(例えば、cCRT後の放射線学的疾患の進行によって決定される)、NSCLC、例えば、扁平上皮NSCLC又は非扁平上皮NSCLC、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIのNSCLC(例えば、ステージIIIAのNSCLC、ステージIIIBのNSCLC及び/又はステージIIICのNSCLC))を有する対象を処置することを伴う。いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物は、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIのNSCLC(例えば、ステージIIIAのNSCLC、ステージIIIBのNSCLC及び/又はステージIIICのNSCLC))を有する対象であって、NSCLC(例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIのNSCLC(例えば、ステージIIIAのNSCLC、ステージIIIAのNSCLC及び/又はステージIIIcのNSCLC)))のためのcCRTを以前に受けており、cCRTの後で進行していない対象(例えば、cCRT後の放射線学的疾患の進行によって決定される)を処置することを含む。いくつかの事例では、NSCLCはステージIVのNSCLCではない。
【0337】
疾患の進行は、RESIST v1.1によって判定することができる。いくつかの実施形態では、対象は、以前に少なくとも2サイクルのcCRT(例えば、少なくとも3サイクルのcCRT、少なくとも4サイクルのcCRT、少なくとも5サイクルのcCRT、少なくとも6サイクルのcCRT、又はそれよりも多く)を受けていた。
【0338】
いくつかの実施形態では、対象に投与されるcCRTは白金系化学療法を含む(例えば、cCRTは、併用白金系CRT、例えばシスプラチン(例えば、シスプラチン-エトポシド又はシスプラチン-ビノレルビン)の投与を含む併用CRT又はカルボプラチン(例えば、カルボプラチン-パクリタキセル)の投与を含む併用CRTである)。いくつかの実施形態では、cCRTは胸部放射線療法を含む。いくつかの実施形態では、放射線療法は、60Gyの生物学的等価量以上の線量を2.0Gyに分けて(例えば、60~66Gyの線量で30~33回に分けて)対象に投与された。いくつかの事例では、放射線療法は6~7週間にわたって投与される。いくつかの事例では、cCRTを治癒目的で投与した。いくつかの実施形態では、cCRTを地固め療法として投与した。
【0339】
いくつかの事例では、対象は、良好なパフォーマンス・ステータス、例えば、Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status Scaleでグレード0又は1を有する。いくつかの事例では、対象は、完全に活動的であること、及び/又は、制限なしに全ての疾患前パフォーマンスを継続することができることを特徴とする(例えば、Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status Scaleにおけるグレード0)。いくつかの事例では、対象は、身体的に激しい活動が制限されているが、歩行可能であり、軽い性質又は座ったままの性質(例えば、軽い家事又は事務作業)の作業を行うことができることを特徴とする(例えば、Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status Scaleにおけるグレード1)。
【0340】
いくつかの事例では、対象の無増悪生存期間(PFS)は、基準PFS時間と比較して増加する。いくつかの事例では、基準PFS時間は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)を含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である。
【0341】
いくつかの実施形態では、個体のPFSは、RECIST v1.1 criteria,as described in Eisenhauer et al.,Eur.J.Cancer.2009,45:228-47に従って測定される。いくつかの実施形態では、PFSは、処置の開始から、RECIST第1.1版の基準によって決定される疾患進行の初回発生までの期間として測定される。いくつかの実施形態では、PFSは、処置の開始から死亡時までの期間として測定される。
【0342】
いくつかの実施形態では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ又はデュルバルマブ)を用いる処置と比較して、対象のPFSを少なくとも約3.1ヶ月(例えば、3.1~120ヶ月、3.5~100ヶ月、4.0~60ヶ月、5.0~48ヶ月、6.0~36ヶ月、8.0~24ヶ月、又は10~12ヶ月、例えば少なくとも約2.4ヶ月、2.5ヶ月、2.6ヶ月、2.7ヶ月、2.8ヶ月、2.9ヶ月、3.0ヶ月、3.1ヶ月、3.2ヶ月、3.3ヶ月、3.4ヶ月、3.5ヶ月、3.6ヶ月、3.7ヶ月、3.8ヶ月、3.9ヶ月、4.0ヶ月、4.1ヶ月、4.2ヶ月、4.3ヶ月、4.4ヶ月、4.5ヶ月、4.6ヶ月、4.7ヶ月、4.8ヶ月、4.9ヶ月、5.0ヶ月、5.5ヶ月、6.0ヶ月、6.5ヶ月、7.0ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月、9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月、又は36ヶ月)延長する。いくつかの実施形態では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、対象のPFSを少なくとも約4.9ヶ月(例えば、4.9~120ヶ月、5~100ヶ月、6~80ヶ月、7~60ヶ月、8~48ヶ月、9~36ヶ月、又は10~24ヶ月、例えば少なくとも約4.9ヶ月、5.0ヶ月、5.5ヶ月、6.0ヶ月、6.5ヶ月、7.0ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月、9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月、又は36ヶ月)延長する。いくつかの実施形態では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ又はデュルバルマブ)を用いる処置と比較して、対象のPFSを少なくとも約2ヶ月(例えば、2~120ヶ月、3~100ヶ月、4~80ヶ月、6~60ヶ月、8~48ヶ月、9~36ヶ月、又は10~24ヶ月、例えば少なくとも約2.0ヶ月、2.1ヶ月、2.2ヶ月、2.3ヶ月、2.4ヶ月、2.5ヶ月、2.6ヶ月、2.7ヶ月、2.8ヶ月、2.9ヶ月、3.0ヶ月、3.1ヶ月、3.2ヶ月、3.3ヶ月、3.4ヶ月、3.5ヶ月、3.6ヶ月、3.7ヶ月、3.8ヶ月、3.9ヶ月、4.0ヶ月、4.1ヶ月、4.2ヶ月、4.3ヶ月、4.4ヶ月、4.5ヶ月、4.6ヶ月、4.7ヶ月、4.8ヶ月、4.9ヶ月、5.0ヶ月、5.5ヶ月、6.0ヶ月、6.5ヶ月、7.0ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月、9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月、又は36ヶ月)延長する。
【0343】
いくつかの実施形態では、OSは、処置の開始から死亡までの期間として測定される。いくつかの事例では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ又はデュルバルマブ)を用いる処置と比較して、対象のOSを少なくとも約2ヶ月(例えば、2~120ヶ月、3~110ヶ月、4~100ヶ月、5~80ヶ月、6~60ヶ月、7~48ヶ月、8~36ヶ月、又は10~24ヶ月、例えば少なくとも約2ヶ月、2.1ヶ月、2.2ヶ月、2.3ヶ月、2.4ヶ月、2.5ヶ月、2.6ヶ月、2.7ヶ月、2.8ヶ月、2.9ヶ月、3.0ヶ月、3.1ヶ月、3.2ヶ月、3.3ヶ月、3.4ヶ月、3.5ヶ月、3.6ヶ月、3.7ヶ月、3.8ヶ月、3.9ヶ月、4.0ヶ月、4.1ヶ月、4.2ヶ月、4.3ヶ月、4.4ヶ月、4.5ヶ月、4.6ヶ月、4.7ヶ月、4.8ヶ月、4.9ヶ月、5.0ヶ月、5.5ヶ月、6.0ヶ月、6.5ヶ月、7.0ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月、9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月、又は36ヶ月)延長する。いくつかの事例では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、対象のOSを少なくとも約5.7ヶ月(例えば、5.7~120ヶ月、6~100ヶ月、7~80ヶ月、8~60ヶ月、9~48ヶ月、10~36ヶ月、又は11~24ヶ月、例えば少なくとも約5.7ヶ月、6.0ヶ月、6.5ヶ月、7.0ヶ月、7.5ヶ月、8.0ヶ月、8.5ヶ月、9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月、又は36ヶ月)延長する。いくつかの事例では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ又はデュルバルマブ)を用いる処置と比較して、対象のOSを少なくとも約9ヶ月(例えば、9~120ヶ月、10~60ヶ月、11~48ヶ月、又は12~36ヶ月まで、例えば少なくとも約9.0ヶ月、9.5ヶ月、10ヶ月、10.5ヶ月、11ヶ月、11.5ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、18ヶ月、19ヶ月、20ヶ月、21ヶ月、22ヶ月、23ヶ月、24ヶ月、25ヶ月、26ヶ月、27ヶ月、28ヶ月、29ヶ月、30ヶ月、31ヶ月、32ヶ月、33ヶ月、34ヶ月、35ヶ月、又は36ヶ月)延長させる。
【0344】
いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による処置の開始後少なくとも約12ヶ月(例えば、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、約20.5ヶ月、約21ヶ月、約21.5ヶ月、約22ヶ月、約22.5ヶ月、約23ヶ月、約23.5ヶ月、約24ヶ月、約24.5ヶ月、約25ヶ月、約25.5.ヶ月、約26ヶ月、約26.5ヶ月、約27ヶ月、約27.5ヶ月、約28ヶ月、約28.5ヶ月、約29ヶ月、約29.5ヶ月、約30ヶ月、約30.5ヶ月、約31ヶ月、約31.5ヶ月、約32ヶ月、約32.5ヶ月、約33ヶ月、約33.5ヶ月、約34ヶ月、約34.5ヶ月、約35ヶ月、約35.5ヶ月、約36ヶ月、約36.5ヶ月、約37ヶ月、約37.5ヶ月、約38ヶ月、約38.5ヶ月、約39ヶ月、約39.5ヶ月、約40ヶ月、又はそれ以上)のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による処置の開始後12ヶ月~60ヶ月(例えば、14~60ヶ月、16~60ヶ月、18~60ヶ月、20~60ヶ月、24~60ヶ月、28~60ヶ月、30~60ヶ月、32~60ヶ月、33~60ヶ月、34~60ヶ月、35~60ヶ月、36~60ヶ月、37~60ヶ月、38~60ヶ月、39~60ヶ月、40~60ヶ月、41~60ヶ月、42~60ヶ月、43~60ヶ月、44~60ヶ月、45~60ヶ月、46~60ヶ月、47~60ヶ月、48~60ヶ月、49~60ヶ月、50~60ヶ月、51~60ヶ月、52~60ヶ月、53~60ヶ月、54~60ヶ月、55~60ヶ月、56~60ヶ月、57~60ヶ月、58~60ヶ月、又は59~60ヶ月)のOS中央値をもたらす。
【0345】
いくつかの事例では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ又はデュルバルマブ)を用いる処置と比較して、又はPD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる処置と比較して、対象における客観的応答(DOR)の持続時間の増加をもたらす。いくつかの事例では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない処置と比較して、対象のDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、処置は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない処置と比較して、対象のDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、DORの増加は、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、又はそれを超える。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による処置の開始後少なくとも約4ヶ月以上(例えば、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月以上)の中央DORをもたらす。
【0346】
IV.本発明の方法及び使用における使用のための例示的抗体
本発明の方法、使用、及び使用のための組成物に従ってがん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を有する対象(例えば、ヒト、例えば成人患者)を処置するのに有用な例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)が本明細書に記載される。
【0347】
A.例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体
本発明は、対象(例えばヒト、例えば成人患者)における、がん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を処置するために有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体を提供する。
【0348】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192Aとしても既知である。
【0349】
特定の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下から選択される少なくとも1、2、3、4、5、又は6つのHVRを含む:(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び/又は(f)QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3、又は上記HVRの1つ以上の組合せ、並びに配列番号1~6のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。
【0350】
いくつかの事例では、上記抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかとしては、(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3が挙げられる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号17)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくはQVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号18)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又はDIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIK(配列番号19)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17若しくは18又はその配列と少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号19若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17若しくはその配列と少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号19若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号18若しくはその配列と少なくとも少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号19若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。
【0351】
いくつかの事例では、TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖及び軽鎖配列を含む:(a)重鎖は、以下のアミノ酸配列を含み:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33);(b)重鎖は、以下のアミノ酸配列を含む:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号34)。
【0352】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の1つ、2つ、3つ又は4つの軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR)をさらに含む:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCのアミノ酸配列を含むFR-L1(配列番号7);WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び/又はFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4、又は上記FRの1つ以上の組合せ、並びに配列番号7~10のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。いくつかの事例では、例えば、抗体は、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。
【0353】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FRの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つをさらに含む:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(式中、X1はQ又はEである);アミノ酸配列WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRのアミノ酸配列を含むFR-H3(配列番号13);及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上の組合せ、並びに配列番号11~14のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、以下の重鎖可変領域FRのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つをさらに含み得る:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1;アミノ酸配列WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRのアミノ酸配列を含むFR-H3(配列番号13);及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上の組合せ、並びに配列番号12~15のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。別の事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FRの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つをさらに含み得る:QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1;アミノ酸配列WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRのアミノ酸配列を含むFR-H3(配列番号13);及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上の組合せ、並びに配列番号12~14及び16のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。
【0354】
別の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体が提供され、該抗体は、上記いずれかの事例のようなVH及び上記いずれかの事例のようなVLを含み、可変ドメイン配列の一方又は両方が翻訳後修飾を含む。
【0355】
いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGITに加えてウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT及びカニクイザル(cyno)TIGITの両方に結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができるが、マウスTIGITには結合できない。
【0356】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、約10nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約10nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する(例えば、約0.1nM~約1nMのKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM~約1nMのKDでカニクイザルTIGITに結合し、例えば、約0.1nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する)。
【0357】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する(例えば、アンタゴニスト抗体は、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する)。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、10nM以下のIC50値でヒトPVRへのヒトTIGITの結合を阻害又は遮断する(例えば、1nM~約10nM)。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下のIC50値で阻害又は遮断する(例えば、1nM~約50nM、例えば、1nM~約5nM)。
【0358】
いくつかの事例では、本明細書に記載の方法又は使用は、TIGITへの結合について上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかと競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用又は投与することを含み得る。例えば、方法は、以下の6つのHVRを有する抗TIGITアンタゴニスト抗体とTIGITへの結合について競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る:(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3が挙げられる。本明細書に記載の方法はまた、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体と同じエピトープに結合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る。
【0359】
上記事例のいずれかによる抗TIGITアンタゴニスト抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体を含むモノクローナル抗体であり得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブである。1つの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、抗体フラグメント、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、又はF(ab’)2フラグメントである。別の事例では、抗体は、完全長抗体、例えば、インタクトIgG抗体(例えば、インタクトIgG1抗体)、又は本明細書で定義されるような他の抗体クラス又はアイソタイプである。
【0360】
更なる一態様において、上記の事例のいずれかに従う抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下のセクション1~6に記載される特徴のいずれかを、単独又は組み合わせで組み込み得る。
【0361】
B.例示的なPD-1軸結合アンタゴニスト
対象における、対象(例えばヒト)における、がん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を処置するための方法であって、有効量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む方法が本明細書中に提供される。PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1アンタゴニスト抗体)、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、PD-1アンタゴニスト抗体)及びPD-2結合アンタゴニスト(例えば、PD-L2アンタゴニスト抗体)が含まれる。
【0362】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害する抗PD-L1アンタゴニスト抗体である。特定の態様では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。
【0363】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。
【0364】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(CAS登録番号:1422185-06-5)である。アテゾリズマブ(Genentech)は、MPDL3280Aとしても既知である。
【0365】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、以下から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRを含む:(a)HVR-H1配列はGFTFSDSWIH(配列番号20)であり;(b)HVR-H2配列はAWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)であり;(c)HVR-H3配列はRHWPGGFDY(配列番号22)であり、(d)HVR-L1配列はRASQDVSTAVA(配列番号23)であり;(e)HVR-L2配列はSASFLYS(配列番号24)であり;(f)HVR-L3配列はQQYLYHPAT(配列番号25)である。
【0366】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、重鎖及び軽鎖配列を含み:(a)重鎖可変(VH)領域配列は、アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号26);を含み、(b)軽鎖可変(VL)領域配列は、アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号27)を含む。
【0367】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、重鎖及び軽鎖配列を含み:(a)重鎖は、アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号28)を含み;(b)軽鎖は、アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号29)を含む。
【0368】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、(a)配列番号26又は配列番号26の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号27又は配列番号27の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメインを含む。他の事例において、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、YW243.55.S70、MDX-1105、及びMEDI4736(デュルバルマブ)、並びにMSB0010718C(アベルマブ)から選択される。抗体YW243.55.S70は、国際公開第2010/077634号に記載される抗PD-L1である。BMS-936559としても知られるMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載される抗PD-L1抗体である。MEDI4736(デュルバルマブ)は、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載される抗PD-L1モノクローナル抗体である。本発明の方法に有用な抗PD-L1抗体、及びそれを作製するための方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/077634号、同第2007/005874号、同第2011/066389号、米国特許第8,217,149号、及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている。本発明において有用な抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、そのような抗体を含有する組成物を含めて、がん(例えば、肺がん、例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮若しくは非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))を処置するために抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用される場合がある。
【0369】
いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択される抗体フラグメントである。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒト抗体である。いくつかの事例では、本明細書に記載される抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒトPD-L1に結合する。
【0370】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナー(例えば、PD-L1)への結合を阻害する抗PD-1アンタゴニスト抗体である。いくつかの事例では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、PD-L1とPD-1との間の結合を阻害することができる。
【0371】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。
【0372】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストはAMP-224である。
【0373】
いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1106)又はペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475))である。
【0374】
さらなる態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、上記の事例のいずれかによるPD-1軸結合アンタゴニスト抗体であり、以下のセクション1~6に記載されるように、単独で又は組み合わせて任意の特徴を組み込むことができる。
【0375】
1.抗体親和性
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0376】
1つの事例において、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。1つの事例では、RIAは、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定系の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原によりFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する(例えばChenら、J.Mol.Biol.293:865~881(1999)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間にわたって室温(およそ23℃)で遮断する。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、目的とされるFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一貫する)。その後、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡に達することを確実にすることができる。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を付加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間、計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0377】
別の一事例によると、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイを、約10の反応単位(RU)で、固定化された抗原CM5チップによって25℃で実行する。1つの事例では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原を、pH4.8の10mMの酢酸ナトリウムによって、5μg/ml(約0.2μM)に希釈した後、5μl/分の流速でインジェクトし、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答ユニット(RU)を達成する。抗原のインジェクション後、1Mのエタノールアミンをインジェクトして、未反応基をブロックする。動態測定のため、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、およそ25μL/分の流量にて25℃で0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中に注射する。単純1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、会合センサグラムと解離センサグラムを同時に当てはめることによって会合速度(kon)及び解離速度(koff)を計算する。平衡解離定数(KD)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。オン速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって106M-1s-1を超える場合、このオン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃でのPBS(pH7.2)中の20nM抗-抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する、蛍光クエンチ技法を使用することによって、判定することができる。
【0378】
2.抗体フラグメント
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントとしては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFvフラグメント、及び以下に記載する他のフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。特定の抗体フラグメントの総説としては、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFvフラグメントの参照には、例えばThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)中のPluckthunを参照されたい;また、国際公開第93/16185号;並びに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期が増加した、Fab及びF(ab’)2フラグメントの議論に関しては、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0379】
ダイアボディは、二価又は二重特異性でありうる2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。例えば、欧州特許出願公開第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.,Nat Med.9:129-134(2003)及びHollinger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90,6444-6448(1993)を参照のこと。三重特異性抗体及び四重特異性抗体については、Hudson et al,Nat.Med.9:129-134(2003)にもまた記載されている。
【0380】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体フラグメントである。特定の事例では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム、例えば米国特許第6,248,516B1号を参照)。
【0381】
抗体フラグメントは、本明細書に記載されているように、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)による生産を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
【0382】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、キメラ抗体である。ある種のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)に開示されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えば、サル由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。更なる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合フラグメントを含む。
【0383】
特定の事例では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減する一方で、親非ヒト抗体の特異性及び親和性は保持するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(又はその一部)がヒト抗体配列由来である1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。いくつかの事例では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0384】
ヒト化された抗体及びその作製方法については、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で総説され、さらに以下に記載されている:Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(リサーフェシングを記載する);Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載する);並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフルの「ガイド付き選択アプローチを記載する)。
【0385】
ヒト化のために使用され得るヒトフレームワーク領域としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:「ベストフィット」法を用いて選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい);並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)。
【0386】
4.ヒト抗体
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して作製することができる。ヒト抗体は一般的に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0387】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製することができる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含むか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに統合されている。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HuMab(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。このような動物により生成されるインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに改変されうる。
【0388】
ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。更なる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0389】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0390】
5.ライブラリ由来の抗体
本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、PD-L1アンタゴニスト抗体)は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説し、McCafferty et al.,Nature 348:552-554;Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)にさらに記載されている。
【0391】
ある特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中でランダムに再結合され、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されているように抗原結合ファージのスクリーニングを行うことができる。ファージは、典型的には、抗体フラグメントを一本鎖Fv(scFv)フラグメント又はFabフラグメントのいずれかとしてディスプレイする。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されているように、免疫化を行わずに、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブライブラリは、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムな配列を含むPCRプライマーを使用して、非常に可変的なCDR3領域をコードし、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されているように、in vitroで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0392】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)又はヒト抗体ライブラリから単離された抗体フラグメントは、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体フラグメントとみなされる。
【0393】
6.抗体バリアント
ある特定の事例において、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)のアミノ酸配列バリアントが意図される。本明細書で詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、所望の構造的及び機能的特性に基づいて最適化され得る。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組合せにより、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特徴、例えば、抗原結合を保有することを条件とする。
【0394】
I.置換、挿入、及び欠失バリアント
ある特定の事例において、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)バリアントが提供される。置換による突然変異誘発に関して目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される通りである。アミノ酸置換は、目的の抗体中に導入され得、その産物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングされ得る。
【表1】
【0395】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0396】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0397】
一種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基の置換を伴う。一般に、更なる試験ために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、かつ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して、簡便に生成され得る。簡潔には、1つ以上のHVR残基が突然変異され、バリアント抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0398】
変更(例えば、置換)は、抗体親和性を改善するために、例えば、HVRにおいて行われてもよい。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの事例では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する抗体バリアントを同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)をランダム化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発又はモデリングを使用して、特異的に特定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0399】
特定の場合において、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中で行われてよい。そのような変化は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上述のバリアントVH及びVL配列の特定の事例では、各HVRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0400】
突然変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニンスキャニング突然変異導入」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、帯電した残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられる。更なる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されてもよい。あるいは、又は加えて、抗体と抗原との間の接点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
【0401】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端又はC末端と酵素(例えば、ADEPTの場合)又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドとの融合が含まれる。
【0402】
II.グリコシル化バリアント
特定の事例では、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように変更することができる。本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位を作り出すか又は除去するように、アミノ酸配列を変化させることによって、簡便に達成されることができる。
【0403】
抗体がFc領域を含む場合、それに付着した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な糖質、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸の他、二分岐オリゴ糖構造の「幹」においてGlcNAcに付着したフコースが含まれうる。いくつかの事例では、特定の特性が改善された抗体バリアントを作製するために、本発明の抗体中におけるオリゴ糖の修飾が行われる。
【0404】
一事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)のバリアントは、Fc領域に(直接的又は間接的に)付着したフコースを欠く炭水化物構造を有するものが提供される。例えば、そのような抗体内のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されるMALDI-TOF質量分析法によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域内のおよそ297位(Fc領域残基のEUナンバリング)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体のわずかな配列のバリエーションに起因して、297位から上流又は下流に±3アミノ酸、すなわち294位から300位の間に位置する場合もある。このようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);同第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠乏」抗体バリアントに関する刊行物の例としては:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。デフコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損するLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号A1,Presta,L;及び国際公開第2004/056312号A1,Adams et al.,特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)。
【0405】
上記を考慮して、いくつかの事例では、本発明の方法は、非グリコシル化部位突然変異を含む抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ)バリアントを、分割された用量漸増投薬レジメンの状況で対象に投与する工程を含む。いくつかの事例において、アグリコシル化部位突然変異は、抗体のエフェクタ機能を低下させる。いくつかの事例では、アグリコシル化部位の突然変異は、置換突然変異である。いくつかの事例では、抗体は、エフェクタ機能を低下させるFc領域における置換突然変異を含む。いくつかの事例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297、L234、L235、及び/又はD265(EUナンバリング)におけるものである。いくつかの事例では、置換突然変異は、N297G、N297A、L234A、L235A、D265A、及びP329Gからなる群から選択される。いくつかの事例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297におけるものである。好ましい事例では、置換突然変異は、N297Aである。
【0406】
二分されたオリゴ糖類を有する、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)バリアントがさらに提供される。そのような抗体バリアントは、低減されたフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878(Jean-Mairet et al.);米国特許第6,602,684号(Umana et al.);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana et al)に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体バリアントも提供される。このような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有しうる。そのような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号(Patel et al.);国際公開第1998/58964号(Raju,S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
【0407】
III.Fc領域バリアント
ある特定の事例では、1つ又は複数のアミノ酸修飾が、本発明の抗TIGITアンタゴニスト(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントが作製される(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号明細書を参照)。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0408】
ある特定の事例では、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクタ機能を有することにより、インビボでの抗体の半減期が重要ではあるが、特定のエフェクタ機能(補体及びADCCなど)が不要又は有害である用途に望ましい候補となる、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体バリアントを企図する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、インビトロ及び/又はインビボの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠いている(そのため、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、Fc(RIIIのみを発現するが、一方で単球は、Fc(RI、Fc(RII、及びFc(RIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照されたい)、及びHellstrom,Iら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499~1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ方法を使用してもよい(例えば、フローサイトメトリー(CellTechnology、Inc.Mountain View、CA)のためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI))。このようなアッセイに有用なエフェクタ細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代替的又は追加的に、関心のある分子のADCC活性は、in vivo、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルで評価することができる。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号における、C1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するため、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.ら、Blood.101:1045-1052(2003);及び、Cragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood.103:2738-2743(2004)を参照)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定はまた、当技術分野で知られている方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)参照)。
【0409】
低減したエフェクタ機能を有する抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(米国特許第6,737,056号及び同第8,219,149号)。このようなFc突然バリアントとしては、アラニンへの残基265及び297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然バリアントを含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上において置換を有するFc突然バリアントが挙げられる(米国特許第7,332,581号及び同第8,219,149号)。
【0410】
特定の事例では、抗体中の野生型ヒトFc領域の位置329のプロリンは、Fcのプロリン329とFcgRIII(Sondermann et al.:Nature 406,267-273(20 Jul.2000))のトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間に形成されるFc/Fc.γ.受容体界面内のプロリンサンドイッチを破壊するのに十分な大きさのアミノ酸残基、又はグリシン若しくはアルギニンで置換される。特定の事例では、抗体は、少なくとも1つのアミノ酸置換をさらに含む。1つの事例では、更なるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、又はP331Sであり、さらに別の事例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A、又はヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235E(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号を参照されたい)であり、またさらに別の事例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A及びP329Gである。
FcRに対する結合が改善又は減少したある特定の抗体バリアントが記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0411】
特定の事例では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
【0412】
いくつかの事例において、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(即ち向上又は低下のいずれか)をもたらすFc領域内で変化が起こる。
【0413】
母体IgGの胎児への移入の原因である、増加した半減期及び新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)and Kim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、米国特許出願公開第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載される。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。かかるFcバリアントは、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうち1つ以上における置換、例えば、Fc領域残基434の置換を伴うもの(米国特許第7,371,826号)が挙げられる。
【0414】
Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0415】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又は抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、N297G突然変異を含むFc領域を含む。
【0416】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))は、1つ以上の重鎖定常ドメインを含み、1つ以上の重鎖定常ドメインは、第1のCH1(CH11)ドメイン、第1のCH2(CH21)ドメイン、第1のCH3(CH31)ドメイン、第2のCH1(CH12)ドメイン、第2のCH2(CH22)ドメイン、及び第2のCH3(CH32)ドメインから選択される。いくつかの事例では、1箇所以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1箇所は、別の重鎖定常ドメインと対合される。いくつかの事例では、CH31及びCH32ドメインは、突起又は空洞を各含み、CH31ドメイン内の突起又は空洞は、それぞれ、CH32ドメイン内の空洞又は突起中に配置可能である。いくつかの事例では、CH31及びCH32ドメインは、該突起と空隙との間の境界面において会合する。いくつかの事例では、CH21及びCH22ドメインは、突起又は空洞を各含み、CH21ドメイン内の突起又は空洞は、それぞれ、CH22ドメイン内の空洞又は突起中に配置可能である。他の事例では、CH21及びCH22ドメインは、該突起と空隙との間の境界面において接触する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又は抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、IgG1抗体である。
【0417】
IV.システイン操作抗体バリアント
特定の事例では、システイン操作された抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)、例えば、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換された「チオMAb」を作製することが望ましい。特定の事例では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基が抗体の接近可能部位に配置され、それは、本明細書でさらに説明するように、例えば薬物部分又はリンカー-薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートさせて免疫コンジュゲートを作製するために使用されうる。特定の事例では、以下の残基のうちの任意の1つ以上を、システインで置換される:軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン人工抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように生成することができる。
【0418】
V.抗体誘導体
ある特定の事例では、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)又はそのバリアント)及び/又は本発明のPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ又はそのバリアント))は、当技術分野で公知であり容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾される。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例:グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる(但しこれらに限定されない)。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していても、分岐していなくてもよい。抗体に付着しているポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが付着している場合には、それらは同じ分子であっても、異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定するものではないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうか等の考慮事項に基づいて決定することができる。
【0419】
別の事例では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分の複合体が提供される。1つの事例において、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、抗体非保護性部位に近位の細胞が死滅する温度まで非保護性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0420】
組換え生産方法
本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,816,567号に記載されるように、組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。
【0421】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の組換え産生のため、抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞における更なるクローニング及び/又は発現のために1つ以上のベクターに挿入する。このような核酸は、従来の手順を用い(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離され、配列決定されてもよい。
【0422】
抗体コード化ベクターのクローニング又は発現のための好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に、グリコシル化及びエフェクタ機能が必要とされていない場合には、細菌中で産生されてもよい。細菌における抗体フラグメント及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照。(E.coliにおける抗体フラグメントの発現を記載するCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)発現後、本発明の抗体は、細菌細胞ペーストから可溶性画分で単離されてもよく、さらに精製されてもよい。
【0423】
原核生物に加えて、糸状菌や酵母等の真核生物は、抗体をコードするベクターのクローニング又は発現宿主として適しており、その中には、グリコシル化経路が「ヒト化」された菌株や酵母株が含まれ、その結果、部分的又は完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体が産生される。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0424】
また、グリコシル化抗体を発現させるのに適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、昆虫細胞と組み合わせて使用することができ、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用することができる。
【0425】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照されたい。
【0426】
脊椎動物細胞も、宿主として使用されてもよい。例えば、懸濁液中で増殖するように適合されている哺乳動物細胞株は、有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham ら、J Gen Virol.、第36巻、第59頁(1977年)に記載されるような293又は293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather、Biol Reprod.、第23巻、第243~251頁(1980年)に記載されるようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリサル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト頸部癌腫細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(Hep G2)、マウス乳房腫瘍細胞(MMT 060562)、TRI細胞(例えば、Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.、第383巻:第44~68頁(1982年)に記載される細胞;MRC5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)、
【0427】
免疫コンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤若しくは薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はそのフラグメント)、又は放射性同位体などの1つ又は複数の細胞傷害剤にコンジュゲートされた本発明の抗TIGITアンタゴニスト(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0428】
いくつかの事例では、免疫コンジュゲートは抗体薬剤抱合体(ADC)であり、抗体が、これらに限定されるわけではないが、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第0425235B1号を参照のこと);モノメチルオーリスタチン薬剤部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)などのオーリスタチン(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照のこと);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号;Hinman et al.,Cancer Res.53:3336-3342(1993);並びにLode et al.,Cancer Res.58:2925-2928(1998)を参照のこと);ダウノマイシン及びドキソルビシン等のアントラサイクリン(例えばKratz et al.,Current Med.Chem.13:477-523(2006);Jeffrey et al.,Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358-362(2006);Torgov et al.,Bioconj.Chem.16:717-721(2005);Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834(2000);Dubowchik et al.,Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002);King et al.,J.Med.Chem.45:4336-4343(2002);及び米国特許第6,630,579号を参照のこと);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル等のタキサン;トリコテセン;並びにCC1065を含む1つ以上の薬剤に結合している。
【0429】
別の事例では、免疫コンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むがこれらに限定されない酵素活性毒素又はそのフラグメントにコンジュゲートされた、本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む。
【0430】
別の事例では、免疫コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートして放射性コンジュゲートを形成する本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又は本明細書に記載のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、アテゾリズマブ)を含む。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートの製造のために入手可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素が挙げられる。検出のために用いられる場合、放射性コンジュゲートは、シンチグラフ検査用の放射性原子、例えばtc99m又はI123、或いは核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られる)のためのスピン標識(ここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄等)を含みうる。
【0431】
抗体と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのための例示的キレート剤である。国際公開第94/11026号を参照。リンカーは、細胞内で細胞傷害薬の放出を容易にする「切断可能なリンカー」であってもよい。例えば、酸-解離性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用することができる。
【0432】
本明細書における免疫コンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販(例:米国イリノイ州ロックフォードのPierce Biotechnology社から)されている、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されたコンジュゲートを明確に意図している。
【0433】
V.医薬組成物及び製剤
本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)のいずれも、医薬組成物及び製剤に使用することができる。抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の医薬組成物及び製剤は、所望の純度を有するそのような抗体を1つ又は複数の任意の薬学的に許容され得る担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で混合することによって調製することができる。薬学的に許容され得る担体は一般的に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質、防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール、メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール等)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン等のアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容され得る担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)等のヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の介在性薬物分散剤をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。一態様では、sHASEGPを、1つ以上の更なるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
【0434】
例示的な凍結乾燥した抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載される。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤には、ヒスチジン-酢酸緩衝液が含まれる。
【0435】
本明細書における製剤はまた、処置される特定の適応症に必要な2つ以上の活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、及び/又は抗ホルモン剤、例えば、本明細書において上記で言及されたもの)をさらに提供することが望ましい場合がある。かかる有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0436】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、又はマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術が、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0437】
徐放性調製物が調製されてもよい。持続放出調製物の好適な例としては、本抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態である。インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌状態は、例えば滅菌濾過膜を通す濾過により容易に達成することができる。
【実施例】
【0438】
VI.実施例
以下は、本発明の方法の実施例である。先に与えた一般的な説明を考慮すると、種々の他の実施形態が実施されてもよいことは理解される。
【0439】
実施例1.肺がん患者における抗PD-L1アンタゴニスト抗体と組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体の有効性
肺がん患者(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)、例えば、扁平上皮又は非扁平上皮NSCLC、例えば、局所進行切除不能NSCLC(例えば、ステージIIIBのNSCLC)、又は再発性若しくは転移性NSCLC(例えば、ステージIVのNSCLC))において、アテゾリズマブと組み合わせたプラセボと比較した、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(アテゾリズマブ)と組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)による処置の有効性及び安全性を評価するために、患者を第II相グローバル多施設ランダム化盲検プラセボ対照試験に登録した。適格となるためには、患者は、(i)局所進行切除不能又は転移性NSCLCについて以前に処置されていないこと、(ii)Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Status(PS)が0又は1であったこと、(iii)PD-L1選択腫瘍(例えば、高いPD-L1発現を有する腫瘍、例えば、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイによって判定して1%以上の腫瘍割合スコア(TPS)を有する腫瘍PD-L1発現)を有していたこと、(iv)上皮増殖因子受容体(EGFR)又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子突然変異を有していなかったこと、(v)NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有していなかったこと、及び(vi)活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染症又は既知若しくは疑われる慢性活動性EBV感染症を有していなかったことが必要である。
【0440】
患者がEBV IgGに対して陽性の血清学を有する及び/又はエプスタイン・バー核抗原(EBNA)に対して陽性であった場合、適格性を考慮するためにEBV IgM試験及び/又はEBV PCRが必要であった。患者がEBV IgGについて陽性の血清学を有する及び/又はEBNAについて陽性であった場合、患者はEBV IgMについて陰性及び/又はEBV PCRによって陰性でなければならなかった。試験処置を受けている間に、その後急性炎症事象、例えば全身性炎症反応症候群を経験する患者に対して、追加のEBV血清学試験を行った。
【0441】
臨床試験は、以下に詳細に記載され、
図1に示されるように、単相からなっていた。
【0442】
ランダム化
この研究では、135人の患者が登録され、1:1の比(実験群対対照群)で2つの処置群のうちの1つにランダム化された。実験群では、患者は、アテゾリズマブと組み合わせて抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)を受けた。対照群では、患者はアテゾリズマブと組み合わせてプラセボを受けた。ランダム化を、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイの結果(例えば、「1~49%のTPS」対「≧50%のTPS」)、NSCLCの組織学(例えば、「非扁平上皮」対「扁平上皮」)及び患者のタバコ使用歴(例えば、「はい」又は「いいえ」)に基づいて層別化した。これらの層別化因子は、NSCLC患者の重要な予後因子として同定された。これらの因子による前向き層別化は、抗TIGITアンタゴニスト抗体以外の供給源による2つの処置群の差を最小化した。
【0443】
試験処置投薬量及び投与
処置中、アテゾリズマブを3週間ごと(21±3日)に1200mgの用量で静脈内注入によって投与した。アテゾリズマブ用量は固定され、体重に依存しなかった。アテゾリズマブを各21日間の投与サイクルの1日目に投与した。実験群では、患者は、3週間毎(q3w)(21±3日)に静脈内注入によって投与される固定用量の600mgの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボを受けた。抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボを、各21日間の投薬サイクルの1日目に投与する。
【0444】
1つの実験では、投与日に、アテゾリズマブを抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボの前に投与し、観察期間を介在させた。アテゾリズマブの最初の注入の前に、注入を開始する60分以内に患者のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録した。アテゾリズマブの最初の注入は60(±15)分にわたり投与された。この間、患者のバイタルサイン(脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を15分間隔で記録した。注入後、患者を60分間観察し、その間、上記のようにバイタルサインを監視した。抗TIGIT抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボの初回注入は、60(±10)分にわたり投与した。この間、患者のバイタルサインを15分間隔で記録した。注入後、患者を60分間観察し、その間、上記のようにバイタルサインを監視した。アテゾリズマブ、プラセボ、又は抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の初回注入中に注入関連有害事象が経験されなかった場合は、その後の注入は30(±10)分にわたって投与することができた。さらに、注入後観察期間は、30分に短縮することができた。バイタルサインの注入前記録は、アテゾリズマブの注入開始前30分以内に記録し続けた。
【0445】
別の実験では、投与の日に、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボをアテゾリズマブの前に投与し、観察期間を介在させた。抗TIGIT抗体又はプラセボの最初の注入の前に、注入を開始する60分以内に患者のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録した。抗TIGIT抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボの初回注入は、60(±10)分にわたり投与した。この間、患者のバイタルサイン(脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を15分間隔で記録した。注入後、患者を60分間観察し、その間、上記のようにバイタルサインを監視した。アテゾリズマブの最初の注入は60(±15)分にわたり投与された。この間、患者のバイタルサインを15分間隔で記録した。注入後、患者を60分間観察し、その間、上記のようにバイタルサインを監視した。抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、プラセボ、又はアテゾリズマブの初回注入中に注入関連有害事象が経験されなかった場合は、その後の注入は30(±10)分にわたって投与することができた。さらに、注入後観察期間は、30分に短縮することができた。バイタルサインの注入前記録は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボの注入開始前60分以内に記録し続けた。
【0446】
処置は、臨床的利益の欠如、X線写真データ、生検結果及び臨床状態の統合評価後の疾患進行に起因する症状の悪化、パフォーマンス・ステータスの低下、試験処置に関連する忍容できない毒性、又はプロトコルが承認した治療では管理できなかった重要な部位での腫瘍進行まで継続した。患者の同意及び治験責任医師による承認により、進行を超えて処置を継続することを許可した。
【0447】
併用療法
特定の併用療法を許可した。併用療法には、試験処置の開始の7日前から処置中止の来院までのプロトコルが定めた試験処置に加えて、患者が使用した任意の薬物(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)が含まれた。患者は、試験中に以下の併用療法を使用することを許可された。
【0448】
全身性コルチコステロイド及び他の免疫調節薬は、理論的には、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び又はアテゾリズマブによる処置の潜在的に有益な免疫学的効果を減弱させる可能性があるが、管理ガイドラインに従って処置を行う医師の裁量で投与された。アテゾリズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)、又はプラセボの初回注入のための前投薬は許可されなかった。患者が、アテゾリズマブ、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)、又はプラセボの以前の注入中に注入関連反応(IRR)を経験した場合、抗ヒスタミン薬及び/又は解熱薬による前投薬を、医療モニタと相談した後に、処置する医師の裁量でサイクル≧2に対して投与することができる。吸入コルチコステロイド及びミネラルコルチコイド(例えば、起立性低血圧又は副腎皮質機能不全を有する患者のためのフルドロコルチゾン)の使用も認められた。副腎不全のためのコルチコステロイドの生理学的用量は認められた。
【0449】
異常な腎機能を有する患者を評価し、他のより一般的な病因(例えば、腎前性及び腎後性の原因並びにNSAIDを含む併用薬)について処置した。いくつかの事例では、腎生検を実施して、確定診断及び適切な処置を決定した。腎炎の徴候及び症状を呈する患者を、特定された別の病因の非存在下で、事象の重症度に従って評価及び処置した。患者がグレード1の腎事象を示した場合、腎機能(例えば、クレアチニンレベル)を監視し、正常範囲及び/又はベースライン値内に解消させながら、試験処置を継続した。グレード2の事象を経験した患者は、試験処置を最大12週間保留し、症状が解消するまでコルチコステロイドで処置した。患者は、10mg/日以下の経口プレドニゾンの等価用量までのコルチコステロイドの少なくとも1ヶ月にわたる漸減期間の後に試験処置を再開することができた。グレード3又はグレード4の腎事象を経験した患者は、抗TIGIT抗体(例えば、チラゴルマブ)/プラセボ及びアテゾリズマブによる処置を恒久的に中止し、コルチコステロイド及び/又は免疫抑制剤で処置した。
【0450】
患者が研究に登録されている間、食欲刺激剤として投与されるメゲストロールは許容され得た。経口避妊薬、ホルモン補充療法、予防的若しくは治療的抗凝固療法(例えば、安定用量レベルでの低分子量ヘパリン若しくはワルファリン)、又は非悪性の適応症のための他の維持療法を使用した患者は、その使用を継続した。カンナビノイドは、地域の規制に従って入手された場合、及び試験登録前に患者管理の確立された部分がある場合にのみ許可された。
【0451】
患者が利益を得ており(例えば、既知の骨転移の処置)、腫瘍標的病変の評価を損なわない限り、特定の形態の放射線療法を疼痛緩和のために検討した。さらに、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボ及びアテゾリズマブ処置は、緩和放射線療法中に継続することができた。3つ以下の病変の制御のために局所療法(例えば、外科手術、定位的放射線手術、放射線療法、高周波アブレーション)を必要とする混合応答を経験した患者は、治験責任医師の裁量で、及び医療モニタとの議論の後に、試験処置の継続に依然として適格であり得た。その後の腫瘍評価は、必要に応じて、固形腫瘍の応答評価基準(RECIST)v1.1又は免疫改変RECIST(imRECIST)基準(例えば、その全体で参照により本明細書に組み込まれるHodi et al.J.Clin.Oncol.e-pub,January 17,2018を参照)に従って全奏効を決定する際に、局所処置を考慮に入れる必要があった。
【0452】
登録前にデノスマブを受けている患者は、スクリーニング中及び試験薬で積極的に処置されている間、代わりに(自発的かつ適格である場合)ビスホスホネート療法で維持された。ビスホスホネートの開始は、潜在的な免疫調節特性のために試験の処置段階中には推奨されなかったが、このような処置の開始は試験処置の中止をもたらさなかった。
【0453】
いくつかの事例では、抗ヒスタミン薬、解熱薬、及び/又は鎮痛薬による前投薬を、治験責任医師の裁量で、2回目以降の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はプラセボ及びアテゾリズマブ注入のみのために投与した。一般に、治験責任医師らが、地域の標準的慣行に従って、臨床的に示されるように支持療法を用いて患者のケアを管理した。注入に関連する症状を経験した患者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は地域の標準的慣行による同等の薬物で対症療法を受けるのに適格であった。呼吸困難、低血圧症、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸促拍によって現れる重度の注入関連事象は、臨床的に示される支持療法(例えば、酸素補充及びβ2アドレナリン作用性アゴニスト)によって管理した。
【0454】
有効性の評価項目
およそ80の総PFS事象が発生したときに、全てのランダム化された患者の間で複合の一次及び二次有効性分析を行った。
【0455】
アテゾリズマブと組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効性を、アテゾリズマブと組み合わせたプラセボと比較して評価するために、奏効率(ORR)を主要評価項目として測定した(ORRは、4週間以上離れた連続した2回で完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を経験した患者(RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定)のパーセンテージとして定義される)。2つの試験群間のORRの差を、PFSハザード比(HR)と共に90%信頼区間(CI)で推定した。試験の層別化因子(すなわち、PD-L1 IHC SP263(Ventana)アッセイ又はPD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイの結果(例えば、1~49%のTPS対≧50%のTPS)、NSCLCの組織学(例えば、非扁平対扁平上皮)、及び患者のタバコ使用歴(例えば、「はい」又は「いいえ」))によって層別化したマンテル・ヘンツェル検定を用いて、5%の両側有意水準で2つの処置群間のORRを比較した。さらなる主な有効性の評価項目には、ランダム化から最初に文書化された疾患進行又は死亡のいずれか最初に起こった日付までの時間として定義されるPFSがさらに含まれた。層別化Cox比例ハザードモデルを使用して、HR及びその90% CIを推定した。処置群間のPFSを、両側層別化ログランク検定を用いて比較した。カプラン-マイヤー法を使用して、各処置群のPFS曲線及びPFS中央値を推定した。
【0456】
副次的な有効性の評価項目には、文書化された客観的応答の最初の発生から疾患進行(RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定)又は任意の原因による死亡のいずれか最初に起こった方までの時間として定義される客観的応答期間(DOR)及び全生存期間(OS)(すなわち、ランダム化から任意の原因による死亡までの時間)が含まれた。層別化Cox比例ハザードモデルを使用して、HR及びその90% CIを推定した。処置群間のOSを、両側層別化ログランク検定を用いて比較した。カプラン-マイヤー法を使用して、各処置群のOS曲線及びOS中央値を推定した。
【0457】
さらなる探索的有効性評価項目には、免疫改変RECIST(imRECIST)基準(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるHodi et al.J.Clin.Oncol.e-pub,January 17,2018を参照)に従ってORR、DOR及びPFSを評価することがさらに含まれ、これは、CTLA-4阻害剤イピリムマブ(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWolchok et al.Clin.Can.Res.15(23):7412-20,2009を参照)で処置された黒色腫患者で観察される腫瘍変化パターンを説明するために最初に設計された免疫関連奏効基準からの重要な原理に基づく。
【0458】
アテゾリズマブと組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)の安全性及び忍容性を、アテゾリズマブと組み合わせたプラセボと比較して評価するために、有害事象(AE)(例えば、国立がん研究所有害事象共通用語規準(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events)バージョン4.0(NCI CTCAE v4.0)に従って等級付けされるAE)の発生率、性質及び重症度を測定した。さらに、アテゾリズマブと組み合わせたプラセボと比較して、アテゾリズマブと組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)の投与中及び投与後のベースラインからのバイタルサイン、身体所見、及び臨床検査結果の臨床的に有意な変化も評価項目として測定した。なおさらなる有効性評価項目は、肺がん(SILC)スケール(例えば、咳呼吸困難及び胸痛における悪化までの時間(TTD))、がんの研究と処置のための欧州組織(EORTC)の生活の質アンケートC30(QLC-C-30)(例えば、全体的な健康状態、身体機能、及び役割機能スケールによって測定されるHRQoL及び日常機能のベースラインからの平均変化)、健康経済モデル化のためのEuroQol 5次元、5レベルアンケート(EQ-5D-5L)アンケート(例えば、キャプチャ・ユーティリティ値)、及び/又はアテゾリズマブと組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)又はアテゾリズマブと組み合わせたプラセボの忍容性における症状によって評価される健康関連の生活の質(HRQoL)の変化を含んだ。
【0459】
バイオマーカー
保管腫瘍組織を含む患者試料、並びに血清、血漿、全血及び便を、ランダム化試験における全ての患者の探索的バイオマーカー評価のために収集する。PD-L1状態の評価に加えて、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又はアテゾリズマブの耐性、疾患進行、及び臨床的利益に関連するバイオマーカーを分析する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又はアテゾリズマブの臨床的利益及び安全性に関連する潜在的な予測及び予後バイオマーカーを分析する。
【0460】
ベースラインで収集された腫瘍組織及び血液試料(治験責任医師が臨床的に実現可能と判断した場合は、疾患進行時に採取した腫瘍組織)は、全エクソームシーケンシング(WES)及び/又は次世代シーケンシング(NGS)を可能にして、試験処置に対する応答を予測する、より重篤な疾患状態への進行に関連する、試験処置に対する獲得耐性に関連する、有害事象の発生に対する感受性に関連する、又は疾患生物学の知識及び理解を高めることができる体細胞変異を同定する。
【0461】
バイオマーカーには、それだけに限らないが、腫瘍組織上のPD-L1及びTIGIT発現、並びに、WGS及び/又はNGSによって同定される腫瘍組織及び/又は血中循環腫瘍DNAからの生殖系列及び体細胞変異(限定されないが、突然変異負荷、MSI及びMMR欠陥を含む)、並びに血漿由来サイトカインが含まれる。
【0462】
一次患者集団におけるORR、PFS、DOR、及び/又はOSに対するPD-L1/PD-1経路の効果を評価するために、有効性、安全性、PK、免疫原性、及び患者報告の転帰(PRO)に対する、タンパク質、RNA、DNA、腫瘍変異負荷量、及び腫瘍組織及び/又は血液中の他の探索的バイオマーカーの間の関係を評価することができる。さらに、一次集団におけるORR、PFS、DOR及び/又はOSに対するTIGIT経路の効果を評価するために、ORR、DOR、PFS及びOSを、腫瘍がタンパク質及び/又はRNA発現によって定義されるTIGIT発現を有する患者集団において評価することができる。
【0463】
探索的バイオマーカー分析は、これらのマーカー(例えば、TIGIT IHC状態)と試験処置の有効性との関連を理解するために行われ得る。有効性転帰は、IHC及び/又はRNA分析によって決定される、腫瘍が高いTIGIT発現を有する患者の集団において調査され得る。WGSデータの探索的分析は、この研究の文脈で実施され、疾患病理生物学の研究者の理解を高め、新しい治療アプローチの開発を導くために、他の研究からのデータとまとめて調査され得る。
【0464】
免疫原性分析
抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)及びアテゾリズマブに対する免疫応答を評価するために、処置下で発現する抗薬物抗体(ADA)の発生率、並びに、安全性、有効性及び薬物動態(PK)に対するそれらの潜在的影響を評価する(受けた処置に従ってグループ化された評価を用いる)。
【0465】
薬物動態分析
アテゾリズマブと組み合わせて投与した場合の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGIT抗体、例えば、チラゴルマブ)の薬物動態を特徴付けるために、抗TIGITアンタゴニスト抗体の血清濃度を異なる時点で対象から決定する。さらに、アテゾリズマブが抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせて又はプラセボと組み合わせて投与された場合のアテゾリズマブの薬物動態を特徴付けるために、アテゾリズマブの血漿濃度を試験中の異なる時点で対象から取得する。PK分析を、記述統計学を使用して報告し、要約する。
【0466】
結果
登録及び人口統計
患者は、欧州、東アジア及び米国の試験センターに登録され、処置群にランダム化された(表2)。
【表2】
【0467】
以下の表3及び表4は、この試験に登録され、評価された患者の人口統計学的分布を要約する。
【表3】
【表4】
【0468】
患者の配置
以下の表5~7は、この試験中に単剤療法又は併用療法のいずれかを受けた患者の数、並びに試験への参加後の患者の状態を要約する。手短に言えば、チラゴルマブとアテゾリズマブの併用療法群に割り当てられた67人の患者全員が試験処置を受けた。これらの患者のうち、35名は処置を中止し、17名は試験を中止した。アテゾリズマブとプラセボ群に割り当てられた68人の患者の全員が試験処置を受けた。これらの患者のうち、49名の患者は処置を中止し、23名は試験を中止した。両方の処置群からの全患者からのデータを分析した。
【表5】
【表6】
【表7】
【0469】
暫定分析
患者の人口統計及び配置
図2に示すように、TPSで割ったベースラインの人口統計において、性別、人種、及びECOGにわずかな不均衡が観察された。単独療法群では男性がより多く観察されたが、TPS≧50%集団の患者については併用療法群ではECOGが0である者がより多く観察された。さらに、1~49%の集団のPD-L1 TPSにおいて、併用療法群でより多くの白色患者及びECOGが0の患者が観察された。全体として、1~49%の集団のPD-L1 TPSに対して、PD-L1 TPS≧50%において、扁平上皮がん患者が少なかった。処置と試験中止における不均衡は、PD-L1 TPS≧50%でより大きかった(
図3)。両方の集団において、より多くの患者が単剤療法群で処置を中止した。放射線学的進行性疾患による中止は、両方の集団において単剤療法群でより一般的であった。さらに、PD-L1 TPS≧50%集団内の患者については、単剤療法群において、より多くの患者が試験を中止し、より多くの死亡が観察された。全体として、1~49%の集団の間の局所PD-L1 TPSでは、PD-L1 TPS≧50%の集団よりも多くの患者が処置を中止した。
【0470】
有効性
2019年4月21日の暫定カットオフ日の時点で、アテゾリズマブとの併用でチラゴルマブを受けているPD-L1 TPS≧50%を有する27名の患者のうち、14名(51.9%)が未確認部分奏効(uPR)+確認部分奏効(cPR)の最良奏効を達成し、これは、アテゾリズマブ単独との併用のプラセボを受けているPD-L1 TPS≧50%を有する27名の患者ではたった10名(18.5%)であったのと比べ(
図4)、併用療法を受けているPD-L1 TPS≧50%を有する患者では、単独療法とは対比して最良奏功率に33%の差があった。1~49%のPD-L1 TPSを有する患者について、単剤療法又は併用療法の処置群間で応答の差は観察されなかった。サブグループのさらなる分析により、ITT集団の扁平上皮がん患者は、アテゾリズマブ単独療法と比較して、チラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法に対してより良好に応答したことが明らかになった。加えて、PD-L1 TPS≧50%集団では、併用療法に対して白色及び男性がより良好に応答した(
図5)。
【0471】
安全性
単独療法処置群及び併用療法処置群で観察された有害事象のうち、ほとんどがグレード1又はグレード2であった。
図6に示すように、併用療法群ではより高い割合の疲労、発疹、IRR、掻痒症及び関節痛が観察されたが、両方の処置群で同様の安全性プロファイルが観察され、新たな安全性シグナルは同定されなかった。重篤及び高グレードの処置関連有害事象は、2群の間で十分に均衡がとれていた。処置関連及び免疫関連の有害事象は、発疹及びIRRのために不均衡であった(
図7)。これらの結果は、アテゾリズマブと組み合わせたチラゴルマブが、アテゾリズマブ単独と比較して安全であることを実証している。
【0472】
主要評価項目の分析
有効性
アテゾリズマブと組み合わせたプラセボ(アテゾリズマブ単剤療法)に対する、アテゾリズマブと組み合わせたチラゴルマブを投与された全ての患者のORRを、人口統計学的情報、腫瘍組織学及びベースライン危険因子を含むいくつかのカテゴリにわたって評価した(
図8)。アテゾリズマブと組み合わせてチラゴルマブを投与された患者のORRは31.3%であったのに対して、アテゾリズマブとプラセボを投与された患者ではわずか16.2%であり、2群の間でORRに15.17%の差があった(
図9A)。PD-L1 TPS≧50%を有する患者は、同じ併用療法を受けているPD-L1 TPSが1~49%を有する患者であってORR又は13.2%を示した患者と比較して、これらの患者がORR又は55.2%を達成したので、チラゴルマブとアテゾリズマブとの併用療法から高い利益を得るようであった(
図9B)。併用療法を受けているPD-L1 TPS≧50%を有する患者は、アテゾリズマブ単剤療法を受けているPD-L1 TPS≧50%を有する患者よりも37.93%のORRの改善を示した(55.2%対17.2%)。1~49%のPD-L1 TPSを有する患者について、単剤療法又は併用療法の処置群間で応答の差は観察されなかった。
【0473】
PFS及びOSを、併用療法群及び単剤療法群に登録された患者について同様に評価した(
図10及び12)。併用療法を受けている患者は、単独療法を受けている患者の3.58ヶ月と比較して5.42ヶ月の中央値PFSを経験した(
図11A)。併用療法を受けている患者は、単剤療法を受けている患者と比較してOSの増加を示した(
図13A)。PFS及びOSにおけるこれらの差は、PD-L1 TPS≧50%(
図11B及び13B)を有する患者のサブグループ内で観察可能であったが、1~49%のPD-L1 TPSを有する患者については観察可能でなかった(
図11C及び13C)。DORは、2019年6月30日の一次分析カットオフの時点で未完成であった。
【0474】
図14及び15に示すように、アテゾリズマブと組み合わせてチラゴルマブで処置されたPD-L1 TPS≧50%を有する患者は、1~49%のPD-L1 TPSを有する患者よりも早く、より深く、より持続的な応答で応答した。さらに、アテゾリズマブと組み合わせてチラゴルマブで処置されたPD-L1 TPS≧50%を有する患者は、アテゾリズマブ単独療法で治療されたPD-L1 TPS≧1%を有する患者よりも早く、より深く、より持続的な応答で応答した。全体として、これらの結果は、高いPD-L1発現(TPS≧50%)を有する患者が併用療法から最も利益を受けたことを実証している。
【0475】
安全性
チラゴルマブとアテゾリズマブとの併用処置は、一般に忍容性が良好であり、管理可能な毒性であった。表8に示すように、併用療法の全体的な安全性プロファイルは、アテゾリズマブ単独療法の安全性プロファイルに匹敵した。
【表8】
【0476】
ほとんどの有害事象の発生率は2つの処置群にわたって同様の頻度で発生したが、例えば注入関連反応、疲労、発疹、及び関節痛を含むいくつかの有害事象の発生率は、一方の群で他方よりも高い頻度で発生した。処置群間で頻度に少なくとも5%の差がある有害事象を表9に示し、処置群間で頻度に少なくとも10%の差がある有害事象を表10に示す。
【表9】
【表10】
【0477】
免疫関連有害事象は、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群でより頻繁であったが、グレード1~2のIRR及び発疹が原因であった(表11及び12)。
【表11】
【表12】
【0478】
全有害事象、グレード3以上の有害事象及び重篤な有害事象の発生率は、アテゾリズマブ単独療法と比較して、チラゴルマブとアテゾリズマブの併用療法でわずかに増加した(表13及び14)。
【表13】
【表14】
【0479】
死亡をもたらしたものを含む重篤な有害事象は、より少ない頻度で観察され、2つの処置群間で同等であった(表15及び16)。
【表15】
【表16】
【0480】
全体として、チラゴルマブとアテゾリズマブの併用療法の耐容性及び毒性は許容され得る範囲内であり、アテゾリズマブ単独療法の忍容性及び毒性に匹敵した。
【0481】
実施例2.以前に未処置の局所進行切除不能又は転移性PD-L1選択非小細胞肺がん患者におけるアテゾリズマブと組み合わせたプラセボと比較した、アテゾリズマブと組み合わせたチラゴルマブ及び抗TIGIT抗体の第III相ランダム化二重結合プラセボ対照試験。
【0482】
この試験では、患者は、登録に必要なPD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを使用した中央試験によって評価されるように、TPS≧50%を有する腫瘍のPD-L1状態に基づいて選択される。この試験における全ての患者は、PD-L1阻害剤アテゾリズマブを受ける。EGFR突然変異又はALK転座のない、以前に未処置の局所進行切除不能又は転移性のPD-L1選択NSCLC患者における、チラゴルマブ(抗TIGIT抗体)+アテゾリズマブの有効性及び安全性を、プラセボ+アテゾリズマブと比較して評価する。一次集団は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを使用した中央試験によって最小レベルのPD-L1発現(TPS≧50%)に基づいて選択された全てのランダム化患者として定義される。
【0483】
試験デザイン
試験デザインを
図16に示す。局所進行切除不能又は転移性のPD-L1選択NSCLCを有する、ECOGパフォーマンス・ステータスが0又は1である年齢≧18才の以前に未処置の男性及び女性患者が適格である。インフォームドコンセントを提供した後、患者はスクリーニング手順を受け、その間、潜在的に適格な各患者からの腫瘍標本は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを使用して中央検査室によってPD-L1発現について前向きに試験される。中央で評価されたTPS≧50%を有するPD-L1陽性の患者のみが登録される。
【0484】
腫瘍が既知のEGFR突然変異又はALK再編成を有する患者は、この試験から除外される。EGFR又はALKの突然変異状態が不明である非扁平上皮組織の腫瘍を有する患者は、登録前に試験する必要がある。EGFR又はALKの突然変異状態が不明である扁平上皮組織の腫瘍を有する患者は、試験される必要はない。適格患者は、1:1の比にランダム化されており、チラゴルマブ+アテゾリズマブ又はプラセボ+アテゾリズマブのいずれかを受ける。適格患者を、ECOGパフォーマンス・ステータス(0対1)、腫瘍組織学(「非扁平上皮」対「扁平上皮」)及び登録部位の地理的領域(「アジア」対「非アジア」)によって層別化する。
【0485】
実験群では、患者は、IV注入Q3Wによって投与される1200mgの固定用量のアテゾリズマブを各21日間サイクルの1日目に受け、続いて、IV注入Q3Wによって患者に投与される600mgの固定用量のチラゴルマブを各21日間サイクルの1日目に受ける。
【0486】
対照群では、患者は、IV注入Q3Wによって投与される1200mgの固定用量のアテゾリズマブを各21日間サイクルの1日目に受け、続いて、IV注入Q3Wによって投与されるプラセボを各21日間サイクルの1日目に受ける。
【0487】
処置は、X線写真データ、生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態の統合評価後に疾患進行に起因する許容できない毒性又は症候性悪化がない場合、治験責任医師によって評価される臨床的利益を患者が経験している限り継続される。RECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす患者は、治験責任医師によって評価される臨床的利益の証拠を示す場合、処置(チラゴルマブ+アテゾリズマブ又はプラセボ+アテゾリズマブ)を継続することが許可される;疾患の明らかな進行を示す症状及び徴候(検査値の悪化(例えば、高カルシウム血症の新規発症又は悪化)を含む)がないこと、疾患の進行に起因し得るECOGパフォーマンス・ステータスの低下がないこと;プロトコルで認められた医療介入では管理できない重要な解剖学的部位(例えば、軟膜の疾患)の腫瘍の進行がないこと。
【0488】
患者は、第1サイクルの1日目の後、48週間にわたって、ベースライン及び6週間(±7日)ごとに腫瘍評価を受ける。48週目の腫瘍評価の完了後、腫瘍評価は、RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡又は試験終了のいずれか早い方まで、9週間(±7日)ごとに行われる。RECIST v1.1による疾患進行を超えて処置された患者は、試験処置が中止されるまで、上記の頻度で腫瘍評価を受ける。RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行以外の理由(例えば、毒性、症候性悪化)で処置を中止する患者は、RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡又は試験終了のいずれかが最初に起こるまで、予定された腫瘍評価を上記の頻度で継続する。RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行がない場合、腫瘍評価は継続することができる(例えば、患者が新しい抗がん療法を開始するかどうかにかかわらず)。
【0489】
免疫ベースの治療薬(iRECIST)について、RECIST v1.1及び改変RECIST v1.1に従って応答を評価する。単一の時点での客観的応答は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される。iRECISTによる客観的応答を、各病変の治験責任医師の評価に基づいてプログラムで計算する。
【0490】
指定された時点。
OS評価項目を混乱させないために、対照群(プラセボ+アテゾリズマブ)から実験群(チラゴルマブ+アテゾリズマブ)へのクロスオーバーは起こらない。
【0491】
研究中、血清試料を収集して、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの薬物動態を監視し、チラゴルマブ及びアテゾリズマブに対する抗体の存在を検出する。保管及び新鮮な腫瘍組織、血清、血漿及び血液試料を含む患者試料を、さらなる評価のために収集する(例えば、安全性評価、例えば有害事象、プロトコルに定められたバイタルサイン及び検査異常の発生率、性質及び重症度)。
【0492】
試験中、患者は、腫瘍評価のための来院が予定されている試験開始時、処置中止時、並びに3ヶ月及び6ヶ月での生存追跡調査時に、患者報告転帰(PRO)調査を完了するように求められる。
【0493】
投薬
アテゾリズマブは、アテゾリズマブの承認された投与量である1200mg IV Q3Wの固定用量で各21日間サイクルの1日目に全患者に投与される。
【0494】
チラゴルマブは、600mg IV Q3Wの固定用量で各21日間サイクルの1日目に実験群の全患者に投与される。実施例1に記載される第II相試験では、67名の患者(チラゴルマブ+アテゾリズマブ群)は、600mgのチラゴルマブを投与された。この用量では、チラゴルマブは忍容性が良好であり、チラゴルマブ+アテゾリズマブの組み合わせは、プラセボ+アテゾリズマブと比較してPFSの臨床的に有意な改善及びより高いORRをもたらした。600mgで観察された好ましいベネフィットリスク比を考慮して、この同じ用量のチラゴルマブをこの試験に使用する。
【0495】
アテゾリズマブ及びチラゴルマブ/プラセボは、以下の表17に概説される説明書に従って投与される。
【表17】
【0496】
処置サイクルは、各21日間サイクルの1日目にアテゾリズマブ及びチラゴルマブ/プラセボを投与することから始まる。いずれかの試験薬物が関連する毒性のために遅延される場合、他方の試験薬物も遅延される。しかし、サイクルは、治験責任医師の裁量で適切と考えられる場合、他の試験薬の投与から開始してもよい。
【0497】
薬物関連毒性のための1つの試験薬の投与が遅延し、他方の試験薬が計画通り投与される場合、遅延されている試験薬は次の予定された注入(すなわち、次の予定された21日サイクル)で投与される。
【0498】
評価
腫瘍及び反応の評価
スクリーニング及びその後の腫瘍評価には、CTスキャン(禁忌でない限り、経口又はIV造影剤を用いる)が含まれる。骨盤のCTスキャンは、スクリーニング時に、臨床的に示されるように、又はその後の反応評価における地域の標準治療に準拠して、必要である。胸部の非造影CTスキャンによる胸部、腹部、及び骨盤の造影剤を用いた磁気共鳴画像法(MRI)スキャンは、造影剤を用いたCTスキャンが禁忌である(すなわち、造影剤アレルギー又は腎クリアランス障害を有する患者)患者に使用され得る。
【0499】
臨床的に示される場合、頸部の骨スキャン及びCTスキャンなどのさらなる調査も行われる。治験責任医師の裁量により、RECIST v1.1による測定可能な疾患の評価の他の方法が使用される。
【0500】
インフォームドコンセントを得る前及びサイクル1の1日目の28日以内に標準治療として行われる腫瘍評価を、試験を繰り返すのではなく使用することができる。測定可能及び/又は測定不可能な疾患を含む疾患の既知の部位は、スクリーニング時に記録され、その後の各腫瘍評価時に再評価される。その後の(スクリーニング後の)腫瘍評価では、スクリーニング時に放射線照射された脳転移の病歴を有する患者は、臨床的に示されない限り、脳スキャンを受ける必要はない(例えば、神経学的症状を有する患者)。スクリーニング時に疾患部位を評価するために使用されたものと同じ放射線学的手順が、研究を通して使用される(例えば、CTスキャンの同じ造影プロトコル)。
【0501】
患者は、処置の遅れにかかわらず、第1サイクルの1日目の後、48週間にわたって、ベースライン時及び6週間(±7日)ごとに腫瘍評価を受ける。第48週の腫瘍評価の完了後、腫瘍評価は、処置の遅れにかかわらず、RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行(又はRECIST v1.1による疾患進行後に試験処置を継続する患者の臨床的利益の喪失)、同意の撤回、死亡又は試験依頼者による試験終了のいずれか早い方まで、9週間(±7日)ごとに行われる。治験責任医師の裁量により、進行性疾患又は臨床的利益の喪失が疑われる場合はいつでもスキャンを実施する。
【0502】
奏効は、RECIST v1.1を用いて、上で詳述した画像診断に対して治験責任医師によって評価される。全ての時点における全腫瘍奏功の治験責任医師の評価は、RECIST v1.1に基づく。結果は次のサイクルでの投与の前に治験責任医師によってレビューされる。
【0503】
試験処置は、X線写真データ、生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態の統合評価後に疾患進行に起因する許容できない毒性又は症候性悪化がない場合、治験責任医師によって評価される臨床的利益を患者が経験している限り継続される。RECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす患者は、処置(チラゴルマブ+アテゾリズマブ又はプラセボ+アテゾリズマブ)を継続することが許可され得る。
【0504】
RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行以外の理由(例えば、毒性、症候性悪化)で処置を中止する患者は、RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡又は試験依頼者による試験終了のいずれかが最初に起こるまで、予定された腫瘍評価を継続する。RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行の非存在下で新たな抗がん療法を開始する患者は、RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡、又は試験依頼者による試験終了のいずれかが最初に起こるまで、腫瘍評価を継続する。
【0505】
全ての時点における全腫瘍奏功の治験責任医師評価は、RECIST v1.1に基づく。全体的な腫瘍評価は、iRECISTに従って、全ての標的病変、非標的病変、及び新しい病変に対するエントリに基づいて導出される。iRECISTによる応答の評価を容易にするために、腫瘍評価を、進行を超えて試験処置を受けた患者について、RECIST v1.1による疾患進行後に継続する。これには、標的病変の継続的な測定、非標的病変の評価(明確な進行を示した任意の非標的病変のさらなる悪化の監視を含む)、及びその後の全ての評価での任意の新たに同定された病変(病変が測定可能である場合、測定値を含む)の評価が含まれる。
【0506】
保管組織又は新鮮組織の腫瘍試料をPD-L1の発現について分析することができる。PD-L1結果の中央評価のためにこの試験の外部で得た保管腫瘍組織試料を全ての患者から収集する(パラフィンブロックが好ましい;又は少なくとも15~20枚の染色されていない連続スライドが許容され得る)。保管腫瘍組織の利用可能性は、試験に入る前に確認される。適格性要件を満たす組織検体を有していない患者は、スクリーニング期間中に生検を受けることができる。許容され得る試料には、深部腫瘍組織のためのコア針生検(最低3つのコア)、又は皮膚、皮下、若しくは粘膜病変のための摘出、切開、パンチ、若しくは鉗子生検が含まれる。この試験中、異なる時間に行われた手順からの追加の組織試料を有する患者は、これらの試料を中央試験にも提出することが要請される(但し、要求されない)。
【0507】
非扁平上皮NSCLC患者については、EGFR及び/又はALKの状態が不明である場合、これらを局所又は中央検査室で評価する。試料を中央試験に供する場合、さらに5枚の無染色スライドを提供しなければならない(実験室マニュアルの追加の詳細を参照)。接近可能な残存腫瘤を有する確認された長期CR及び/又はPR(例えば、約1年の期間)を有する患者については、その残存腫瘤の生検を実施して生存TC(対線維性組織又は壊死組織)を評価することができる。任意の生検は、深部腫瘍組織若しくは器官のためのコア針生検、又は皮膚、皮下、若しくは粘膜病変のための摘出、切開、パンチ、若しくは鉗子生検からなる。登録患者の任意の生検試料を、タンパク質、RNA及びDNAの分析のための特徴付けられたアッセイを使用してバイオマーカーについて評価する。
【0508】
実験室、バイオマーカー、及び他の生物学的試料
以下の実験室試験のための試料は、研究施設の地域の実験室に送られる。
分析について:
【0509】
● 血液学:WBC数、RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数及び分化数(好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球)。
● 化学パネル(血清又は血漿):重炭酸塩又は総二酸化炭素(その領域に対する標準治療と考えられる場合)、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、塩化物、グルコース、BUN又は尿素、クレアチニン、総タンパク質、アルブミン、リン酸塩、カルシウム、総ビリルビン、ALP、ALT、AST及び乳酸デヒドロゲナーゼ。
● 凝固:INR又はaPTT。
● 甲状腺機能検査:甲状腺刺激ホルモン、遊離トリヨードチロニン(T3)(又は遊離T3部位での総T3は実施されない)、及び遊離チロキシン(T4としても知られる)。
● EBV血清学(EBV IgM、EBV IgG及び/又はエプスタイン・バー核抗原)及び/又はEBV PCR。患者がEBV IgG及び/又はエプスタイン・バー核抗原について陽性血清学を有する場合、適格性を考慮するためにランダム化の前にEBV IgM試験及び/又はEBV PCRを行う。
● HIV血清学。
● HBV血清学:HBsAg、総HBcAb、及び(HBsAg試験が陰性であり、総HBcAb試験が陽性である場合)HBV DNA。患者がスクリーニング時にHBsAg検査陰性及び総HBcAb検査陽性を有する場合、患者がHBV感染症を有するかどうかを判定するためにHBV DNA検査も実施する。
● HCV血清学:HCV抗体及び(HCV抗体検査が陽性である場合)HCV RNA。患者がスクリーニング時にHCV抗体検査が陽性であれば、HCV RNA検査も行い、HCV感染の有無を判定する。
● 妊娠検査。妊娠可能な全ての女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査を受ける。検査中、尿妊娠検査を、各サイクルの1日目に行う。尿妊娠検査が陽性である場合、それは血清妊娠検査によって確認されなければならない。女性は、月経後であり、閉経後の状態(連続≧12ヶ月の閉経以外の特定された原因のない無月経)に達しておらず、手術(すなわち、卵巣、卵管、及び/又は子宮の除去)又は別の原因(例えば、ミュラー管無発生)のために永久に不妊ではない場合、妊娠可能性があるとみなされる。
● 尿検査:pH、比重、グルコース、タンパク質、ケトン、及び血液。
【0510】
以下の評価の1つ又は複数を血液試料に対して行うことができる。
● PKアッセイ。検証済みのイムノアッセイを使用して、チラゴルマブ又はアテゾリズマブ濃度の測定のために血清試料を得る。
● ADAアッセイ。検証済みのアッセイを使用して、チラゴルマブ又はアテゾリズマブに対するADAの測定のために血清試料を得る。
● 探索的バイオマーカーアッセイ。全ての適格患者からバイオマーカー評価のために血漿及び血清試料を得る。
● 自己抗体アッセイ。試験処置の初回投与前の1サイクル目の1日目のベースラインでのPK、ADA、又はバイオマーカーの評価のために採取された血清試料は、免疫介在性有害事象が患者に発生し、その評価を必要とする場合には、自己抗体検査に使用することができます。
● WGS。WGSのために単一の血液試料を採取し、分析のために1つ以上の検査室に送ることができる。WGSデータをこの研究の文脈で分析し、疾患の病理生物学及び有害事象をよりよく理解し、新しい治療アプローチの開発を導くために他の研究と併せて検討することができる。
【0511】
患者の報告された転帰
患者の報告された転帰(Patent Reported Outcome(PRO))データは、処置効果を文書化し、チラゴルマブ+アテゾリズマブの臨床プロファイルをより完全に特徴付けるために収集される。PROデータは、以下の機器を使用して収集される。EORTC QLQ-C30、単一項目EORTC IL46、PRO-CTCAEからの選択項目、及びEQ-5D-5L。
【0512】
EORTC QLQ-C30は、検証済みの信頼性の高い自己報告式測定法である(Aaronson et al.,J.Natl.Cancer Inst.1993,85:365-76;Fitzsimmons et al.,Eur.J.Cancer 1999,35:939-41)。これは、患者の機能の5つの側面(身体的、感情的、役割、認知的、及び社会的)、3つの症状尺度(疲労、悪心及び嘔吐、並びに疼痛)、GHS及びQoL、並びに前の週のリコール期間を有する6つの単一の項目(呼吸困難、不眠症、食欲不振、便秘、下痢、及び金銭的困難)を評価する30の質問からなる。複数項目スケールについてスケールスコアを得ることができる。機能及び症状の項目は、「全くない」~「非常に多い」の範囲の4段階のスケールでスコア化され、GHS及びQoLの項目は、「非常に少ない」~「優れている」の範囲の7段階のスケールでスコア化される。EORTC QLQ-C 30モジュールは、完了するのに約10分かかる。
【0513】
PRO-CTCAEは、78の患者報告可能な対症療法毒性の存在、発生頻度、重症度、及び/又は日常機能への干渉の程度を特徴付けるために使用される検証された項目バンクである(Basch et al.,J.Natl Cancer Inst.2014,106:1-11;Dueck et al.,JAMA Oncol.2015,1:1051-52)。PRO-CTCAEは、二分法(存在対非存在の決定のため)又は5段階のLikertスケール(発生頻度、重大度、及び日常機能への干渉を判定するため)のいずれかで評価される124の質問を含む。
【0514】
処置毒性は、観察可能な徴候(例えば、嘔吐)又は観察不可能な症状(例えば、悪心)で起こり得る。標準PRO-CTCAEリコール期間は、その前の7日間である。現在の処置に最も適用可能であると考えられる3つの症状のサブセットをこの研究のために選択した。PRO-CTCAEは、完了までに約10分を要する。
【0515】
EQ-5D-5Lは、健康経済分析に使用するための健康状態効用スコアを計算するために使用される、検証済みの自己報告式健康状態アンケートである。EQ-5D-5Lには、運動性、セルフケア、通常の活動、痛み/不快感、及び不安/うつを評価する5項目の健康状態プロファイル、並びに健康状態を測定する視覚的アナログ・スケールの2つの構成要素がある。EQ-5D-5Lは、患者の現在の健康状態をキャプチャするように設計されている。公開された重み付けシステムは、患者の健康状態の単一の複合スコアの作成を可能にする。EQ-5D-5Lは、完了するのに約3分かかる。それは、薬理経済学的評価を知らせるためにこの研究で使用される。
【0516】
評価項目及び分析
有効性分析のための分析集団は、全てのランダム化された患者からなり、患者は、割り当てられた処置に従ってグループ化される。複合の主要な有効性の評価項目は、RECIST v1.1に従って治験責任医師が評価したPFS及びOSである。
【0517】
PFS及びOSを、層別化ログランク検定を使用して処置群間で比較する。PFS及びOSのHRは、層別化Cox比例ハザードモデルを使用して推定される。HRの95% CIが提供される。層別化因子は、ランダム化層別化因子と同じである:ECOGパフォーマンス・ステータス(0対1)、腫瘍組織学(「非扁平上皮」対「扁平上皮」)及び登録部位の地理的領域(「アジア」対「非アジア」)。過層別化のリスクがある場合、層別化因子(単数又は複数)を層別化分析から除去する。IxRS記録とeCRFとの間にかなりの不一致が観察された場合、eCRFに記録された層別化因子に基づく分析も提供される。
【0518】
カプラン・マイヤー法を使用して、各処置群のPFS中央値及びOS中央値を推定し、カプラン・マイヤー曲線を構築して、処置群間の差の視覚的説明を提供する。Brookmeyer-Crowley方法論を使用して、各処置群のPFS中央値及びOS中央値について95% CIを構築する。
【0519】
無増悪生存
PFSの複合の主要評価項目の主要分析は、約337人のPFS事象(500人の患者の67%)がITT集団で観察された場合に行われる。これにより、以下の仮定に基づき、両側有意水準0.001でPFSについて0.59の目標HRを検出する92%の検出力が提供される:(i)PFS曲線は指数分布に従う;(ii)PFS中央値は、プラセボ+アテゾリズマブ群では7.1ヶ月であり、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群では12ヶ月である(0.59の目標HRに対応);(iii)脱落率がPFSについて12ヶ月にわたって5%である;(iv)PFSの暫定分析なし。PFSについて観察された0.699以上のHRは、処置群間の統計学的に有意な差をもたらす。すなわち、0.699のHRは、この分析の最小の検出可能な差であり、これは、プラセボ+アテゾリズマブ群の7.1ヶ月から、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群の10.2ヶ月までの、PFS中央値の3.1ヶ月の改善に相当する。PFSの一次分析は、最初の患者がランダム化された後、約30ヶ月で行われ、22ヶ月の期間にわたって発生をさらに仮定する。
【0520】
全生存期間
OSの複合の主要評価項目の最終分析は、約293人の死亡(500人のうちの58%)がITT集団で観察された場合に行われる。これにより、以下の仮定に基づき、両側有意水準0.049でOSについて0.70の目標HRを検出する85%の検出力が提供される:(i)OS曲線は指数分布に従う;(ii)プラセボ+アテゾリズマブ群では21ヶ月、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群では30ヶ月のOS中央値(0.70の目標HRに相当);(iii)脱落率がOSについて24ヶ月にわたって5%である;(iv)O’Brien-Fleming関数のLan-DeMets近似に基づいて決定された統計学的有意性の暫定境界を用いて、情報フラクションの約63%及び84%でのOSの2つの計画された暫定分析。OSについて観察された0.786以上のHRは、処置群間の統計学的に有意な差をもたらす。すなわち、0.786のHRは、分析の最小の検出可能な差であり、これは、プラセボ+アテゾリズマブ群の21ヶ月から、チラゴルマブ+アテゾリズマブ群の26.7ヶ月までの、OS中央値の5.7ヶ月の改善に相当する。OSについての2つの暫定分析及び最終分析のタイミングを、発生に関する追加の仮定とともに表18に要約する。
【表18】
【0521】
第1のOS暫定分析は、最終PFS分析時に行う。この時点でITT集団で約184人が死亡すると予想され、その場合、暫定OS分析は、実際に観察された事象に基づいてO’Brien-Fleming関数に対するLan-DeMets近似を使用して計算されたOS暫定及び最終分析の停止境界で行われる。PFS最終分析の時点で184人未満の死亡が有意にある場合、PFS最終分析の時点でOS分析に名目α上0.001%(全体的なI型エラー率に対する無視できる影響)が費やされる。次の暫定分析は、およそ184人の死亡が観察された後に行われ、OS暫定分析及び最終分析の停止境界は上記と同じ方法で計算される。
【0522】
OSの複合の主要評価項目について合計3つの分析(2つの暫定分析及び1つの最終分析)を行う。OSについてのこれらの2つの暫定分析及び最終分析のタイミングに関して、全ての異なるシナリオのOSについての予め指定された境界が以下の表19に示される。各暫定分析及び最終分析における統計的有意性の境界は、O’Brien-Fleming関数のLan-DeMets近似に基づいて決定される。
【表19】
【0523】
奏効率
客観的応答とは、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定されるPR又はCRと定義される。ベースライン後の腫瘍評価を受けていない患者を含む、これらの基準を満たさない患者は、非レスポンダーとみなされる。
【0524】
ORRは、客観的応答を達成する患者の割合である。ORRを、ベースラインで測定可能な疾患を有するランダム化された患者において分析する。ORR及びその95% CIの推定値を、各処置群についてClopper-Pearson法を使用して計算する。2つの処置群間のORRの差のCIは、二項分布の正規近似を使用して決定される。ORRは、層別マンテル・ヘンツェル検定を使用して2つの処置群間で比較される。
【0525】
応答期間
DORは、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される客観的応答を達成した患者において評価される。DORは、確認されたCR又はPRの最初の発生の日(いずれかの状態が最初に記録されたとしても)から、進行性疾患又は死亡が記録される最初の日(どちらが最初に発生しても)までの時間間隔である。分析時に進行しておらず死亡していない患者は、最後の腫瘍評価日の時点で打ち切りされる。CR又はPRの最初の発生日以降に腫瘍評価が行われない場合、DORはCR又はPRの最初の発生日に打ち切りされる。DORは、患者の非ランダム化サブセット(具体的には、客観的応答を達成する患者)に基づく。
【0526】
実施例3:併用白金系化学放射線療法後に進行していない、局所進行切除不能ステージIII非小細胞肺がん患者における、デュルバルマブと比較したアテゾリズマブ及びチラゴルマブの第III相非盲検ランダム化試験
この第III相非盲検試験は、地固め療法としての併用白金系CRT後に進行していない、局所進行切除不能ステージIIIのNSCLC患者に投与されるデュルバルマブと比較して、チラゴルマブと組み合わせたアテゾリズマブの有効性及び安全性を評価する。試験デザインを
図17に示す。
【0527】
目的及び評価項目
この試験では、2サイクルの併用白金系CRTを受けたことがあり、放射線学的疾患の進行を有していなかった局所進行切除不能ステージIIIのNSCLC患者における、デュルバルマブと比較した、アテゾリズマブ及びチラゴルマブからなる地固め維持処置の有効性及び安全性を評価する。
【0528】
一次集団は、全てのランダム化患者(ITT集団及び腫瘍がPD-L1陽性[≧1%TC]である患者)として定義される。
【0529】
この実施例では、試験処置は、この試験の一部として患者に割り当てられた処置の組み合わせを指す。
【0530】
この研究の主要な有効性目的は、以下の評価項目:ランダム化から疾患進行(RECIST v1.1に従ってIRFによって決定される)の最初の発生、又は任意の原因による死亡のいずれが最初に発生した方までの時間として定義される、ランダム化後のIRF評価PFSに基づいて、ITT及びPD-L1陽性集団においてデュルバルマブと比較した、チラゴルマブと組み合わせたアテゾリズマブの有効性を評価することである。
【0531】
この試験の副次的な有効性目的は、以下の評価項目に基づいて、ITT及びPD-L1陽性集団において、デュルバルマブと比較したアテゾリズマブ+チラゴルマブの有効性を評価することである:
● ランダム化後のOS(ランダム化から任意の原因による死亡までの時間として定義される)
● ランダム化後の治験責任医師によって評価されたPFS(ランダム化からRECIST v1.1に従って研究者が決定した疾患進行の最初の発生までの時間、又は何らかの原因による死亡のいずれか早い方の時間と定義される)。
● 確認されたORR(RECIST v1.1に従ってIRF及び治験責任医師によって決定される確認された客観的応答(すなわち、≧4週間離れた連続する2回のCR又はPR)を有する患者の割合として定義される)
● 確認されたORRを有する患者におけるDOR(記録された客観的応答の最初の発生から、RECIST v1.1に従ってIRF及び治験責任医師が決定した疾患の進行、又は何らかの原因による死亡のうち、いずれか早い方の日付までの時間として定義される)。
● 12ヶ月、18ヶ月及び24ヶ月でのPFS率(それぞれ、12ヶ月、18ヶ月及び24ヶ月での、RECIST v1.1に従ってIRF及び治験責任医師によって決定されるような疾患進行又は何らかの原因による死亡を経験していない患者の割合として定義される)。
● 12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月及び48ヶ月でのOS率(それぞれ、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月及び48ヶ月で何らかの原因で死亡していない患者の割合として定義される)。
● 死亡までの時間又は遠隔転移(TTDM)(ランダム化の日付から遠隔転移又は遠隔転移の非存在下での死亡の最初の日付までの時間として定義される)。
● European Organisation for Research and Treatment of Cancer(EORTC)Quality of Life Questionnaire Core 30(QLQ-C30)によって測定した患者報告の身体機能及び全体的健康状態(GHS)並びにEORTC Quality-of-Life Questionnaire Lung Cancer Module(QLQ-LC13)の使用によって測定した、咳、呼吸困難(多項目サブスケール)及び胸痛についての患者報告の肺がん症状の悪化確認時間(TTCD)
【0532】
この研究の探索的な有効性目的は、以下の評価項目に基づいてデュルバルマブと比較したチラゴルマブ+アテゾリズマブの有効性を評価することである。
● 第2の疾患進行までの時間(PFS2)(ランダム化の日付から、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって評価された最初に記録された疾患進行後の2番目に記録された疾患進行までの時間、又はいずれかの原因による死亡までの時間のうち、いずれか早い方として定義される)。
● EORTC QLQ-C30及びQLQ-LC13の使用によって評価される、健康関連の生活の質(HRQoL)、肺がん関連症状、及び機能へのそれらの影響の患者報告転帰(PRO)のベースラインからの変化
【0533】
試験デザイン
ECOGパフォーマンス・ステータスが0又は1であり、局所進行切除不能ステージIIIのNSCLCを有するPD-L1ステータスが既知であり、併用白金系CRT後に疾患が進行していない、年齢≧18才の男性及び女性患者が適格である。インフォームドコンセントを提供した後、患者はスクリーニング手順を受ける。患者は参加のための全ての適格基準を満たさなければならない。この試験への参加基準を満たさない患者(スクリーニング失敗)は再スクリーニングすることができない。治験責任医師は、スクリーニング失敗の理由をスクリーニング・ログに記録する。
【0534】
事前スクリーニング又はスクリーニング中に、各潜在的に適格な患者からcCRTの初回投与前に収集された腫瘍標本を、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイを使用して中央検査室によってPD-L1発現について試験する。腫瘍が既知のEGFR突然変異又はALK再編成を有する患者は、この試験の登録から除外される。EGFR又はALKの突然変異状態が不明である非扁平上皮組織の腫瘍を有する患者は、登録前に試験する必要がある。EGFR又はALKの突然変異状態が不明である扁平上皮組織の腫瘍を有する患者は、試験される必要はない。
【0535】
局所進行切除不能(ステージIII)疾患を示す患者は、組織学的又は細胞学的に実証されたNSCLCを有していなければならない(AJCC(Amin et al.,AJCC cancer staging manual.8th revised edition.New York:Springer,2017)/UICC NSCLC病期分類システムの第8改訂版による)。
【0536】
ランダム化は、RTの最終投与後1~42日以内に完了しなければならない。適格患者を1:1の比でランダム化して、アテゾリズマブ+チラゴルマブ又はデュルバルマブのいずれかを投与する。
【0537】
適格患者を、ECOGパフォーマンス・ステータス(0対1)、PD-L1発現(治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイ(TC<1%対TC≧1%)、腫瘍組織学(「非扁平上皮」対「扁平上皮」)及び病期分類(「ステージIIIA」対「ステージIIIB又はIIIC」)によって決定される)によって層別化する。
実験群では、アテゾリズマブを1680mgの固定用量でのIV注入によって患者に投与し、続いて840mgの固定用量でのチラゴルマブを、各28日間サイクルの1日目に、IV注入によって最大13サイクル投与する。
図18
比較群では、患者は、各28日間サイクルの1日目及び15日目に最大13サイクル(26回の用量を超えない)にわたってIV注入によって投与される、承認されたデュルバルマブ用量、10mg/kg Q2Wを投与される。
図18.
【0538】
処置は、X線写真データ、生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態の統合評価後に疾患進行に起因する許容できない毒性又は症候性悪化がない場合、治験責任医師によって評価される臨床的利益を患者が経験している限り、13サイクル継続してよい。患者は、処置の遅れにかかわらず、第1サイクルの1日目の後、48週間にわたって、スクリーニング時及び8週間(+/-7日)ごとに腫瘍評価を受ける。第48週の腫瘍評価の完了後、腫瘍評価は、処置の遅延にかかわらず、RECIST v1.1による治験責任医師評価の放射線学的疾患の進行の確認(既存の病変の成長、新しい病変、又は以前に解消された病変の再発によって定義される)、同意の撤回、又は試験の終了のいずれか早い方まで12週間(+/-7日)ごとに必要とされる。RECIST v1.1による疾患進行を超えて処置された患者は、上記の頻度で腫瘍評価を受ける。RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行以外の理由(例えば、毒性、症候性悪化、試験処置の完了)で処置を中止する患者は、RECIST v1.1による確認された放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡又は試験終了のいずれかが最初に起こるまで、予定された腫瘍評価を上記の頻度で継続する。RECIST v1.1による、スキャンによって確認された放射線学的疾患の進行がない場合、患者が新しい抗がん療法を開始するかどうかにかかわらず、腫瘍評価を継続すべきである。
【0539】
腫瘍評価がRECIST v1.1による放射線学的疾患の進行(既存の病変の成長、新しい病変、又は以前に解消された病変の再発によって定義される)を示す場合、確認のためのスキャンは、次の予定された評価までに、又は臨床的に示される場合はより早く行われるべきである。試験処置の投与は、最初の進行評価と放射線学的疾患の進行の確認との間、継続する。
【0540】
腫瘍評価が疾患の進行を示す場合、それは病理学的に及び/又はスキャンからの明確な放射線学的証拠によって確認される。スキャンが明確な所見を示す場合(例えば、縦隔節は、短軸で<1.5cmの大きさであり、肺実質病変又は内臓病変は、最長直径で<1cmの大きさである)、生検を行う。生検が実行可能でないか又は安全でない場合、確認スキャンは、次の予定された評価までに、又は臨床的に示される場合はより早く行われる。疾患進行確認のための生検を実施する場合、残った生検組織は、探索的バイオマーカー研究に提出することが強く推奨される(探索的研究には任意の同意が必要とされる)。生検は、次の抗がん療法を開始する前に行われる。生検が疾患進行の証拠を示さない場合(例えば、非悪性浸潤物)、患者は予定された試験処置、評価及び/又は追跡調査を継続する。RECIST v1.1による確認された放射線学的疾患の進行で評価され、試験処置を中止又は完了した患者は、地域の標準治療に従って腫瘍評価を受け続ける。
【0541】
免疫ベースの治療薬(iRECIST)について、RECIST v1.1及び改変RECIST v1.1に従って応答を評価する。単一の時点での客観的応答は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される。iRECISTによる客観的応答を、各特定の時点での個々の病変の治験責任医師の評価に基づいてプログラムで計算する。
【0542】
OS評価項目を混乱させないために、クロスオーバーは許容されない。
【0543】
研究中、血清試料を収集して、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの薬物動態を監視し、チラゴルマブ及びアテゾリズマブに対する抗体の存在を検出する。保管及び新鮮な腫瘍組織、血清、血漿、及び血液試料を含む患者試料もまた、探索的バイオマーカー評価のために収集される。
【0544】
安全性評価には、有害事象の発生率、性質及び重症度、プロトコルに定められたバイタルサイン、検査異常、及び、試験の安全性評価にとって重要であると考えられる他のプロトコルに規定された試験が含まれる。試験処置の開始後、試験処置の最終投与の30日後又は別の抗がん療法の開始のいずれか早い方まで全ての有害事象が報告され、試験処置の最終投与の90日後又は新しい全身性抗がん療法の開始のいずれか早い方まで重篤な有害事象が報告され続ける。さらに、特別な関心のある有害事象は、新しい抗がん療法の開始にかかわらず、試験処置の最終投与の90日後まで報告される。この期間の後、治験責任医師らは、試験薬(単数又は複数)による以前の処置に関連すると考えられる任意の死亡、重篤な有害事象、又は特別な関心のある有害事象を報告する。治験責任医師は、各有害事象を、事象がベースライングレード以上に解消するまで、事象が治験責任医師によって安定であると評価されるまで、患者が追跡調査に失敗するまで、又は患者が同意を撤回するまで追跡調査する。最終結果が報告され得るまで、試験処置又はプロトコル関連手順に関連すると考えられる全ての重篤な有害事象を追跡するためにあらゆる努力を払うべきである。
【0545】
疾患進行後の処置
試験中、RECIST v1.1による疾患進行の基準を満たし、臨床的利益の証拠を示す患者は、治験責任医師の裁量で、最大13サイクルの処置の試験処置を継続するが、患者が以下の基準の全てを満たすことを条件とする:治験責任医師によって評価される臨床的利益の証拠;疾患の明らかな進行を示す症状及び徴候(検査値の悪化(例えば、高カルシウム血症の新規発症又は悪化)を含む)がないこと、疾患の進行に起因し得るECOGパフォーマンス・ステータスの低下がないこと;プロトコルで認められた医療介入では管理できない重要な解剖学的部位(例えば、軟膜の疾患)の腫瘍の進行がないこと。
【0546】
放射線学的疾患の進行(既存の病変の成長、新しい病変、又は以前に解消された病変の再発によって定義される)を超えて試験処置を受けた患者については、iRECISTに従って新しい病変を評価し、適用可能な測定値を電子症例報告書(eCRF)に記入する。全ての時点における全腫瘍奏功の治験責任医師評価は、RECIST v1.1のみに基づく。iRECISTによる客観的応答を、各特定の時点での個々の病変の治験責任医師の評価に基づいてプログラムで計算する。
【0547】
投与量及び投与
各28日間サイクルの1日目に、全ての適格患者は、以下の順序でIV注入による試験処置を受ける。
● 実験群:アテゾリズマブ1680mg IV→チラゴルマブ840mg IV
● 比較群:デュルバルマブ10mg/kg IV
【0548】
各28日間サイクルの15日目に、比較群の患者はデュルバルマブ10mg/kgをIV投与される。
【0549】
第1サイクルの1日目に、アテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブのために投与される前投薬は許可されない。全ての試験処置(アテゾリズマブ、チラゴルマブ、及びデュルバルマブ)の投与は、潜在的に重篤な反応を管理するための訓練された人員並びに適切な機器及び医薬に直ちにアクセスできる監視された設定で行われる。
【0550】
チラゴルマブ(840mg)及びアテゾリズマブ(1680mg)をIV注入によって投与する。
【0551】
デュルバルマブは、10mg/kgの用量でIV注入によって投与される。
【0552】
アテゾリズマブ
アテゾリズマブは、単回使用の14mLガラスバイアル内の滅菌液体として供給される。バイアルは、約14mL(840mg)のアテゾリズマブ溶液を含む。
【0553】
実験群の患者は、各28日間サイクルの1日目にIV注入によって投与される固定用量の1680mgのアテゾリズマブを受ける。アテゾリズマブ用量は固定され、体重に依存しない。
【0554】
アテゾリズマブ注入は、表20に概説される説明書に従って投与される。アテゾリズマブの用量変更は許可されない。
【表20】
【0555】
チラゴルマブ
チラゴルマブは、単回使用の15mLガラスバイアル内の滅菌液体として供給される。バイアルは、約10mL(600mg)のチラゴルマブ溶液を含む。
【0556】
アテゾリズマブの投与及び観察期間(表20参照)の後、実験群の患者は、各28日間サイクルの1日目にIV注入によって投与される固定用量の840mgのチラゴルマブを投与される。チラゴルマブ用量は固定され、体重に依存しない。
【0557】
チラゴルマブ注入は、表21に概説される説明書に従って投与される。
【表21】
【0558】
アテゾリズマブ及びチラゴルマブ
アテゾリズマブもチラゴルマブも永続的に中止されていない限り、以下の規則が適用される。
【0559】
処置サイクルは、実験群における28日間の各サイクルの1日目に、アテゾリズマブの投与から始まり、その後、チラゴルマブが続く。いずれかの試験薬物が関連する毒性のために遅延される場合、アテゾリズマブ及びチラゴルマブの安全性プロファイルは類似しているので、他方の試験薬物も遅延されることが推奨される。しかし、サイクルは、治験責任医師の裁量で適切と考えられる場合、他の試験薬の投与から開始してもよい。
【0560】
試験薬物関連毒性のための1つの試験薬の投与が遅延し、他方の試験薬が計画通り投与される場合、遅延されている試験薬は次の予定された注入で投与されることが推奨される(すなわち、次の予定された28日サイクルでは、合計で最大13サイクルが与えられ得る)。
【0561】
デュルバルマブ
デュルバルマブは、市販の製剤で部位に供給される。
【0562】
比較群の患者は、各28日間サイクルの1日目及び15日目にIV注入によって投与される10mg/kgのデュルバルマブを投与される。デュルバルマブの用量は10mg/kgであり、ベースライン時又はそれぞれの投与日の患者の体重に依存する。患者の体重がベースライン体重の10%以上変化した場合、体重変化に基づいて用量を再計算しなければならない。投与日の体重の調整を除いて、デュルバルマブの用量変更は許可されない。デュルバルマブの用量調製、保存、投与、及び処置の中断又は中止の説明書のさらなる詳細については、薬局マニュアル及び/又はデュルバルマブ処方情報を参照されたい。
【0563】
デュルバルマブ注入ごとに、バイタルサイン(脈拍数、呼吸数、血圧、体温)を、注入前60分以内に記録すべきである。臨床的に示される場合、バイタルサインは、注入中、15(+/-5)分ごと、及び注入後、30(+/-10)分に記録されるべきである。デュルバルマブ注入のための前投薬に関するデュルバルマブ処方情報及びデュルバルマブに関連するIRRの管理ガイドラインを参照されたい。
【0564】
選択基準
患者は次の試験登録基準を満たさなければならない:
● 署名したインフォームドコンセントフォーム
● インフォームドコンセント書類の署名時の年齢≧18才
● 試験プロトコルを遵守する能力(処置後期間に留まる意欲を含む)
● ECOGパフォーマンス・ステータス0又は1
● 扁平上皮又は非扁平上皮のいずれかの局所進行切除不能ステージIIIのNSCLCを伴う組織学的又は細胞学的に実証されたNSCLCの病期分類は、AJCCの第8改訂版(Amin et al.,AJCC cancer staging manual.8th revised edition.New York:Springer,2017)/UICC NSCLC staging system)に基づくべきである。
- 混合NSCLC組織の腫瘍を有する患者は、主要な組織学的成分に基づいて非扁平上皮又は扁平上皮として分類されなければならない。
- 異なる同側葉に別個の結節を有するT4原発性NSCLCの患者は適格ではない。
- NSCLCと小細胞肺がんの両方を含む混合組織の腫瘍を有する患者は、試験に適格ではない。
● 併用CRTの初回投与の前及び42日以内に行われた、病期分類の目的での全身ポジトロン放出断層撮影(PET)-CTスキャン(頭蓋底から大腿中央まで)
● 少なくとも2回の前サイクルのRT併用白金系化学療法(cCRT)を完了させなければならず、これは試験におけるランダム化の1~42日前までに完了させなければならない。最良の患者転帰を保証するために、部位は、cCRTの最終投与後の最初の14日間以内にスクリーニング手順を完了するように強く推奨される。白金系化学療法レジメンは、以下の薬剤:エトポシド、タキサン(パクリタキセル)、ペメトレキセド、又はビノレルビンのうちの1つを含有しなければならない。併用化学療法は、NCCN(登録商標)(2019)及び/又は欧州臨床腫瘍学会のガイドライン(Postmus et al.,Ann.Oncol.2017,28(Suppl.4):iv1-iv21)に従って行わなければならない。化学療法の最終サイクルは、RTの最終投与の前又はそれと同時に終了しなければならない。地固め化学療法は許可されないが、併用CRT前の化学療法の投与は許容され得る(但し、1サイクルを超えない)。
● cCRT中のRT成分は、IMRT(好ましい)又は3D適合技術によって投与される60(±10%)Gy(54Gy~66Gy)の放射線の総線量でなければならなかった。部位は、以下のように平均臓器放射線量に従うように促される。
- 肺における放射線の平均線量は<20Gyでなければならず、及び/又は、V20は<35%でなければならない。
- 食道における放射線の平均線量は<34Gyでなければならない。
- 心臓内の放射線の平均線量は、V45<35%又はV30<30%でなければならない。
● 併用白金系CRT中又は後に進行なし
● 以前に得られた保管腫瘍組織、又はcCRTの初回投与前の生検から得られた新鮮組織のいずれかにおける、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイによって決定され代表的な腫瘍組織の中央試験によって実証された腫瘍PD-L1発現は、ブロック(好ましい)又は少なくとも15~20枚の非染色連続スライドでの代表的なホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本の利用可能性が、関連する病理報告と共に確認された。EGFR突然変異及び/又はALK転座についての中央検査が必要な場合、さらに5枚の未染色スライドを提供しなければならない。腫瘍組織は、総腫瘍含有量及び生存腫瘍含有量(すなわち、保存された細胞状況及び組織構造)に基づいて良質でなければならない。許容され得る試料には、深部腫瘍組織のコア針生検(新たに収集した生検について最低3つのコアを有する);皮膚、皮下、又は粘膜病変に対する切除、切開、パンチ、又は鉗子生検;又は気管支腔内超音波(EBUS)コア針生検が含まれる。気管支腔内超音波:経気管支針吸引(EBUS-TBNA)は、細針吸引と呼ばれることもあるが、(特に、より大きなゲージ針が用いられる場合は)組織が上記のように良質であれば許容され得る(すなわち、保存された細胞状況及び組織構造)。針の吸引の場合、18ゲージ以上の針が推奨される。細針吸引、ブラッシング、胸水からの細胞ペレット、及び洗浄液試料は許容され得ない。
● 平均余命≧12週間
● 試験処置の開始(サイクル1の1日目)の前、14日以内に得られた、以下の検査試験結果によって定義される適切な血液学的機能及び終末器官機能:
- 顆粒球コロニー刺激因子支持なしでANC≧1.5×109/L(≧1500/μL)
- リンパ球数≧0.5×109/L(≧500/μL)
- 輸血なしで血小板数≧100×109/L(≧100,000/μL)
- ヘモグロビン≧90g/L(≧9g/dL)。患者は、この基準を満たすために、地域の標準治療に従って輸血又は赤血球造血処置を受けることができる。
- 以下を除く、AST、ALT及びALP≦2.5×正常値の上限(ULN):記録された肝臓転移を有する患者:AST及びALT≦5×ULN;及び実証された肝臓又は骨転移を有する患者:ALP≦5×UL
- 以下を除く、ビリルビン≦1.5×ULN:
既知のギルバート病患者:ビリルビン値≦3×ULN
- クレアチニン≦1.5×ULN。Cockcroft-Gault式(Cockcroft and Gault,Nephron 1976,16:31-41)を用いて計算した、又はクレアチニンクリアランス(CrCl)を測定するための24時間の尿収集によって計算した、CrCl≧50mL/分:
男性の場合:
CrCl(mL/分)=重量(kg)×(140-年齢)
72×血清クレアチニン(mg/dL)
女性の場合:
CrCl(mL/分)=重量(kg)×(140-年齢)×85
72×血清クレアチニン(mg/dL)
- アルブミン≧25g/L(≧2.5g/dL)
- 治療的抗凝固療法を受けていない患者の場合:INR及びaPTT≦1.5×ULN
- 治療的抗凝固薬を投与されている患者:安定な抗凝固薬レジメン
● スクリーニング時の陰性HIV検査
● スクリーニング時のB型肝炎表面抗原(HBsAg)陰性
● スクリーニング時のB型肝炎表面抗体(HBsAb)陽性検査、又は以下のいずれかを伴うスクリーニング時のHBsAb陰性:
- 総B型肝炎コア抗体(HBcAb)陰性
- 総HBcAb検査陽性、引き続いてB型肝炎ウイルス(HBV)DNA検査陰性(地域の検査定義による)。HBV DNA検査は、HBsAg検査陰性、HBsAb検査陰性、及び総HBcAb検査陽性の患者に対してのみ実施される。
● スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査陰性、又はスクリーニング時にHCV抗体検査陽性後、HCV RNA検査陰性。HCV RNA検査は、HCV抗体検査陽性の患者に対してのみ行う。
● 妊娠可能な女性の場合:本明細書で定義されるように、禁欲したままである(異性間の性交を控える)か、又は避妊を使用することの同意:女性は、処置期間中、及びチラゴルマブの最終投与後90日間及びアテゾリズマブの最終投与後5ヶ月間、又はデュルバルマブの最終投与後3ヶ月間、年間<1%の失敗率で禁欲したままであるか、又は避妊方法を使用しなければならない。女性は、月経後であり、閉経後の状態(連続≧12ヶ月の閉経以外の特定された原因のない無月経)に達しておらず、手術(すなわち、卵巣、卵管、及び/又は子宮の除去)又は治験責任医師によって決定される別の原因(例えば、ミュラー管無発生)のために永久に不妊ではない場合、妊娠可能性があるとみなされる。出産可能性の定義は、地域のガイドライン又は規制との整合に適合させることができる。
年間失敗率<1%の避妊方法の例としては、両側卵管結紮術、男性の不妊手術、排卵を阻害するホルモン避妊具、ホルモン放出子宮内避妊具、及び銅付加子宮内避妊具が挙げられる。性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期性禁欲(例えば暦、排卵、症候体温法、又は排卵後法)及び禁断は、適切な避妊方法ではない。地域のガイドライン又は規制に従って要求される場合、地域で認められている適切な避妊方法及び禁欲の信頼性に関する情報は、地域のインフォームドコンセント用紙に記載される。
● 男性の場合:本明細書において定義されるように、禁欲(異性との性交を控える)又はコンドームの使用の同意、及び精子の提供を控える旨の同意妊娠可能な女性パートナー又は妊娠中の女性パートナーがいる場合、男性は、胚を露出させないようにするために、処置期間中及びチラゴルマブの最終投与後90日間、禁欲したままであるか、又はコンドームを使用しなければならない。男性は、同期間中は精子提供をやめなければならない。性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期的な禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、症候体温法、又は排卵後法)及び中絶性交は、薬物曝露を防止する適切な方法ではない。地域のガイドライン又は規制に従って要求される場合、禁欲の信頼性に関する情報は、地域のインフォームドコンセント用紙に記載される。
【0565】
安全性
チラゴルマブ及びアテゾリズマブをそれぞれ単剤として用いた非臨床及び/又は臨床試験の結果、チラゴルマブ+アテゾリズマブを用いた臨床データ、及び同様の作用機序を有する分子からのデータに基づいて、チラゴルマブ+アテゾリズマブで処置された患者における重複毒性の可能性がある。これらの2つの分子の予想される薬理学的活性は、適応TC免疫応答を増加させることであるので、免疫応答が高まる可能性がある。
【0566】
チラゴルマブ及びアテゾリズマブの作用機序に基づいて、免疫介在性有害事象は、チラゴルマブ+アテゾリズマブの併用に関連する潜在的な重複毒性である。
【0567】
今日までの臨床経験に基づいて、チラゴルマブ及びアテゾリズマブによる処置後の免疫介在性有害事象は、この併用研究の状況においてモニタリングに適しており、管理可能であることが予想される。今日までの免疫CPIに関する広範な経験は、参加患者に対する潜在的なリスクを低減するために設計及び安全管理計画に組み込まれている。自己免疫疾患の病歴を有する患者は、この研究から除外される。承認された又は実験的ながん免疫療法で以前に処置された患者は、この研究への参加から除外される。活動性ウイルス感染症及びウイルス再活性化のリスクのために、活動性感染症(限定されないが、HIV、HBV、HCV、EBV、既知及び/又は疑われる慢性活動性EBV感染、又は結核を含む)を有する患者及び/又は最近の重症感染症を有する患者はこの研究から除外される。
【0568】
注入関連反応:
チラゴルマブは治療用mAbであり、ICを標的とするので、過敏反応、標的介在性サイトカイン放出、及び/又は緊急性のADAに関連するIRRが起こり得る。そのような反応の臨床的徴候及び症状には、体温低下、悪寒、喘鳴、掻痒、潮紅、発疹、低血圧、低酸素血症及び発熱が含まれ得る。IRRは、アテゾリズマブとともに又は伴わずにチラゴルマブで処置された患者において報告されている。大部分の事象は軽度から中程度で管理可能であった。
【0569】
IRRのリスク及び続発症を最小限に抑えるために、チラゴルマブの初回用量を60分間にわたって投与し、続いて60分間の観察期間を設ける。後続の注入及び観察時間は、先行する注入が十分に許容された場合に短縮され得る。全ての注入は、適切な医療環境で投与される。
【0570】
免疫介在性有害事象
非臨床モデルは、自己免疫におけるTIGITシグナル伝達の中断の役割を示唆している。ノックアウトモデル(TIGIT-/-)では、TIGITシグナル伝達の喪失は、過剰増殖性T細胞応答及び実験的自己免疫性脳炎(EAE)の増悪をもたらした。TIGIT-/-及び野生型B6マウスを、準最適用量を使用してEAEにおいてミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチドで免疫化した。野生型B6マウスとは対照的に、TIGIT-/-マウスの大部分は重度のEAEを発症した(Joller et al.,J.Immunol.2011,186:1338-42)。
【0571】
抗腫瘍T細胞応答を増強することを意図した治療剤による臨床経験は、自己免疫性炎症状態の発症が一般的なリスクであり、したがって、チラゴルマブの潜在的なリスクと考えられ得ることを実証した。そのような免疫介在性有害事象は、事実上全ての器官系について記載されており、限定されないが、大腸炎、肝炎、肺臓炎、内分泌不全症、眼毒性、膵臓毒性、神経毒性、心筋炎及び発疹が挙げられる。発疹及び甲状腺機能低下症は、アテゾリズマブとともに又は伴わずにチラゴルマブで処置された患者において報告されている。
【0572】
自己免疫疾患の病歴を有する患者は、この研究から除外される。
【0573】
毒性のための処置中断
試験処置は、毒性の管理のために必要に応じて一時的に保留されてもよい。作用機序の利用可能な特徴付けに基づいて、チラゴルマブは、アテゾリズマブと類似しているが無関係の有害事象を引き起こす可能性があり、アテゾリズマブ関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させる可能性があり、又はアテゾリズマブと重複しない毒性を有する可能性がある。これらのシナリオは臨床現場では互いに区別されない可能性があるため、免疫介在性有害事象は一般にアテゾリズマブ及びチラゴルマブに起因すると考えられ得、免疫介在性有害事象に応じた用量中断又は処置中止はアテゾリズマブ及びチラゴルマブに適用されるべきである。
【0574】
アテゾリズマブ及びチラゴルマブは、最大約12週間(又は約4サイクル)保持され得る。何らかの理由でチラゴルマブが約12週間を超えて中断された場合、患者は、チラゴルマブ処置を恒久的に中止しなければならないが、禁忌がない場合は、毒性がチラゴルマブ及び/又は併用試験処置に関連すると考えられるかどうかを判定するための医療モニタとの議論の後に、アテゾリズマブを継続してよい。患者にQ4Wで投与される単一薬剤アテゾリズマブによる継続的な投与は、全ての他の試験適格基準を満たし続けることを必要とする。
【0575】
治験責任医師の判断において、患者が>12週間の保留後にチラゴルマブを再開することによって臨床的利益を得る可能性が高い場合、例外を設けることができる。この場合、医療モニタの承認を得て、チラゴルマブを再開してもよい。
【0576】
アテゾリズマブが約>12週間(又は約4サイクル)中断された場合、患者はアテゾリズマブを永久に中止しなければならない。しかしながら、治験責任医師の判断において、患者が約>12週間の保留後にアテゾリズマブから臨床的利益を得る可能性が高い場合、アテゾリズマブは再開され得る。
【0577】
患者が、有害事象を処置するために使用されるステロイドから漸減しなければならない場合、アテゾリズマブは、最終投与からおよそ12週間を超えてさらに延長された期間にわたって保留され得、ステロイドが中止されるまで、又はステロイドが≦10mg/日の用量のプレドニゾン(又は同等用量)に減少されるまで、チラゴルマブは、最終投与からおよそ12週間を超えてさらに延長された期間にわたって保留され得る。中断の許容され得る長さは、治験責任医師と医療モニタとの間の合意に依存する。アテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブ処置は、毒性以外の理由(例えば、外科的手順)で医療モニタの承認を得て保留することができる。
【0578】
腫瘍及び反応の評価
スクリーニング及びその後の腫瘍評価には、CTスキャン(禁忌でない限り、経口又はIV造影剤を用いる)が含まれなければならない。骨盤のCTスキャンは、スクリーニング時に、臨床的に示されるように、又はその後の反応評価における地域の標準治療に準拠して、必要である。胸部の非造影CTスキャンによる胸部、腹部、及び骨盤の造影剤を用いた磁気共鳴画像法(MRI)スキャンは、造影剤を用いたCTスキャンが禁忌である(すなわち、造影剤アレルギー又は腎クリアランス障害を有する患者)患者に使用され得る。
【0579】
全ての患者においてCNS転移を評価するために、頭部の造影剤を用いたCTスキャン又は造影剤を用いたMRIスキャン(CT造影剤が禁忌である場合)をスクリーニング時に行わなければならない。造影剤を用いたCTスキャンが行われ、脳転移の存在が明確でないと考えられる場合、ベースラインでのCNS転移の診断を確認又は否定するために頭部のMRIスキャンが必要である。CNS転移を有する患者は試験に適格ではない。
【0580】
腫瘍評価のためのCTスキャンが陽電子放射断層撮影(PET)/CTスキャナーで行われる場合、CT取得は、完全造影診断CTスキャンの標準と一致しなければならない。
【0581】
臨床的に示される場合、頸部の骨スキャン及びCTスキャンなどのさらなる調査も行われるべきである。治験責任医師の裁量により、RECIST v1.1による測定可能な疾患の評価の他の方法が使用され得る。インフォームドコンセントを得る前、併用CRTの最終投与後、及びランダム化の28日以内に標準治療として行われる腫瘍評価を、試験を繰り返すのではなく使用することができる。測定可能及び/又は測定不可能な疾患を含む全ての疾患の既知の部位は、スクリーニング時に記録され、その後の各腫瘍評価時に再評価されなければならない。スクリーニング時に疾患部位を評価するために使用されたものと同じ放射線学的手順が、研究を通して使用されるべきである(例えば、CTスキャンの同じ造影プロトコル)。
【0582】
患者は、処置の遅れにかかわらず、第1サイクルの1日目の後、48週間にわたって、スクリーニング時及び8週間(±7日)ごとに腫瘍評価を受ける。第48週の腫瘍評価の完了後、腫瘍評価は、処置の遅延にかかわらず、RECIST v1.1による確認された放射線学的疾患の進行(既存の病変の成長、新しい病変、又は以前に解消された病変の再発によって定義される)、同意の撤回、又は試験の終了のいずれか早い方まで12週間(±7日)ごとに必要とされる。RECIST v1.1による疾患進行を超えて処置された患者は、試験処置が中止されるまで、上記の頻度で腫瘍評価を受ける。治験責任医師の裁量により、進行性疾患又は臨床的利益の喪失が疑われる場合はいつでもスキャンを実施され得る。
【0583】
RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行以外の理由(例えば、毒性、症候性悪化、試験処置の完了)で処置を中止する患者は、RECIST v1.1による確認された放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡又は試験終了のいずれかが最初に起こるまで、予定された腫瘍評価を上記の頻度で継続する。RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行の非存在下で新たな抗がん療法を開始する患者もまた、RECIST v1.1による確認された放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡、又は試験終了のいずれかが最初に起こるまで、上記頻度で腫瘍評価を継続する。
【0584】
腫瘍評価がRECIST v1.1による放射線学的疾患の進行を示す場合、確認のためのスキャンは、次の予定された評価までに、又は臨床的に示される場合はより早く行われるべきである。試験処置の投与は、最初の進行評価と放射線学的疾患の進行の確認との間、継続する。確認スキャンがRECIST v1.1による明確な放射線学的疾患の進行を示す場合、疾患進行の日付が、進行の最初の評価の日付である。
【0585】
奏効は、RECIST v1.1を用いて、上で詳述した画像診断に対して治験責任医師によって評価される。全ての時点における全腫瘍奏功の治験責任医師の評価は、RECIST v1.1にのみ基づくべきである。評価は、訪問間の内部一貫性を保証するために、可能であれば同じ評価者によって行われる。結果は次のサイクルでの投与の前に治験責任医師によってレビューされる。腫瘍評価が疾患の進行を示す場合、それは病理学的に及び/又はスキャンからの明確な放射線学的証拠によって確認されるべきである。スキャンが明確な所見を示す場合(例えば、縦隔節は、短軸で<1.5cmの大きさであり、肺実質病変又は内臓病変は、最長直径で<1cmの大きさである)、生検を行うべきである。生検が実行可能でないか又は安全でない場合、確認スキャンは、次の予定された評価までに、又は臨床的に示される場合はより早く行われるべきである。
【0586】
疾患進行確認のための生検を実施する場合、残った生検組織は、探索的バイオマーカー研究に提出することが強く推奨される(探索的研究には任意の同意が必要とされる;詳細についてはセクション4.5.7を参照)。生検は、次の抗がん療法を開始する前に行われる。生検が疾患進行の証拠を示さない場合(例えば、非悪性浸潤物)、患者は予定された試験処置、評価及び/又はフォローアップを継続してよい。
【0587】
試験処置は、X線写真データ、生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態の統合評価後に疾患進行に起因する許容できない毒性又は症候性悪化がない場合、治験責任医師によって評価される臨床的利益を患者が経験している限り、13サイクルの処置を継続してよい。RECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす患者は、指定された基準の全てを満たす場合、処置(アテゾリズマブ+チラゴルマブ又はデュルバルマブ)を継続することが許可される。
【0588】
RESIST v1.1による放射線学的疾患の進行及び試験処置の中止の後、患者は、患者が新しい抗がん療法を開始するかどうかにかかわらず、RECIST v1.1による治験責任医師による評価のように、地域の標準治療による腫瘍評価を受ける。
【0589】
全ての時点における全腫瘍奏功の治験責任医師評価は、RECIST v1.1のみに基づく。全体的な腫瘍評価は、iRECISTに従って、全ての標的病変、非標的病変、及び新しい病変に対するエントリに基づいて導出される。iRECISTによる応答の評価を容易にするために、腫瘍評価を、進行を超えて試験処置を受けた患者について、RECIST v1.1による疾患進行後に継続しなければならない。これには、標的病変の継続的な測定、非標的病変の評価(明確な進行を示した任意の非標的病変のさらなる悪化の監視を含む)、及びその後の全ての評価での任意の新たに同定された病変又は以前に消散した病変の再発(病変が測定可能である場合、測定値を含む)の評価が含まれる。
【0590】
腫瘍試料に対して行われる評価
以下の評価を腫瘍試料に対して行う:
● 保管又は新鮮な組織腫瘍試料を、PD-L1の発現について、並びに他のバイオマーカー及びバイオマーカーの開発に関する調査研究について分析する。
● 保管腫瘍組織試料中のバイオマーカーアッセイを、適格性の決定のために分析する。
【0591】
腫瘍組織は、総腫瘍含有量及び生存腫瘍含有量(すなわち、保存された細胞状況及び組織構造)に基づいて良質でなければならない。許容され得る試料には、切除からの試料、深部腫瘍組織のコア針生検(新たに収集した生検について最低3つのコアを有する);皮膚、皮下、又は粘膜病変に対する切除、切開、パンチ、又は鉗子生検;又はEBUSコア針生検が含まれる。EBUS-TBNAは、細針吸引と呼ばれることもあるが、(特に、より大きなゲージ針が用いられる場合は)組織が上記のように良質であれば許容され得る(すなわち、保存された細胞状況及び組織構造)。針の吸引の場合、18ゲージ以上の針が推奨される。
【0592】
提出された検体の品質がPD-L1状態を判定するのに不十分であるならば、サイトに知らせる。細針吸引、ブラッシング、胸水からの細胞ペレット、及び洗浄液試料は許容され得ない。コア針生検検体の場合、少なくとも3つのコアを評価に供するべきである。
【0593】
PD-L1結果の中央評価及び他のバイオマーカー分析のためにこの試験の外部で得た保管腫瘍組織試料を全ての患者から収集する(パラフィンブロックが好ましい;又は少なくとも15~20枚の染色されていない連続スライドが許容され得る)。細針吸引物、浸出液又は腹水からの細胞ペレット、洗浄液試料、及び骨生検は、保管組織の要件を満たさない。
【0594】
異なる時点(例えば、初期診断時及び疾患再発時)及び/又は複数の転移腫瘍からの適切な組織が利用可能である場合、cCRTを開始する前に最も近時に採取された組織が優先するべきである。
【0595】
この試験中、異なる時間に行われた手順からの追加の組織試料を有する患者は、これらの試料を中央試験にも提出することが要請される(但し、要求されない)。個々の患者について組織試料を複数回得ることは、処置及び疾患生物学の作用機序の理解の向上に大きく寄与する。
【0596】
有効性分析
有効性分析のための分析集団は、全てのランダム化された患者からなり、患者は、割り当てられた処置に従ってグループ化される。
【0597】
主な有効性の評価項目
主な有効性の評価項目は、ランダム化の日付と、RECIST v1.1に従ってIRFによって評価される最初に文書化された疾患進行又は死亡のいずれか最初に起こったの日付との間の時間として定義される、ランダム化後のIRF評価PFSである。疾患の進行を経験していないか、又は分析時に死亡している患者は、最後の腫瘍評価時に打ち切りされる。ベースライン後の腫瘍評価がない患者は、ランダム化の日付で打ち切りされる。
【0598】
PD-L1陽性集団及びITT集団について一次有効性分析を行う。IRF評価PFS分析のための帰無仮説及び代替仮説は、それぞれチラゴルマブ+アテゾリズマブ群及びデュルバルマブ群における生存関数SA(t)及びSB(t)に関して表現することができる。
H0:SA(t)=SB(t)対H1:SA(t)≠SB(t)
【0599】
IRF評価PFSを、層別化ログランク検定を使用して処置群間で比較する。IRF評価PFSのHRは、層別化Cox比例ハザードモデルを使用して推定される。HRの95% CIが提供される。層別化因子は、ランダム化層別化因子と同じである:ECOGパフォーマンス・ステータス(0対1)、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイ(「≧1%TC陽性」対「<1%TC陽性」)によって決定されたPD-L1ステータス、組織学(「扁平上皮」対「非扁平上皮」)及び疾患病期分類(ステージIIIA対ステージIIIB又はステージIIIC)。過層別化のリスクがある場合、層別化因子(単数又は複数)を層別化分析から除去してよい。IxRS記録とeCRFとの間にかなりの不一致が観察された場合、eCRFに記録された層別化因子に基づく分析も提供される。非層別化分析の結果も提供される。カプラン・マイヤー法を使用して、各処置群のPFS中央値を推定し、カプラン・マイヤー曲線を構築して、処置群間の差の視覚的説明を提供する。Brookmeyer-Crowley方法論を使用して、各処置群のPFS中央値について95% CIを構築する(Brookmeyer and Crowley,Biometrics 1982,38:29-41)。
【0600】
最初の患者が試験に登録されてから約40ヶ月後に起こると予想される暫定分析を説明するために、IRF評価PFSを試験するために群逐次設計が使用される。
【0601】
副次的な有効性の評価項目
PD-L1陽性集団及び/又はITT集団において副次的な有効性の評価項目を分析し、仮説の統計学的検定は、主要評価項目分析の結果に依存する。
【0602】
全生存期間
OSは、ランダム化から死に至るまでの時間として定義される。分析時に死亡したと報告されていない患者のデータは、最後に生存していることが分かった日に打ち切りされる。ベースライン後の情報を有していない患者は、ランダム化の日付で打ち切りされる。OSは、IRF評価PFS分析について記載されたのと同じ方法を使用して分析される。IRF評価PFSの主要評価項目がITT集団において統計的に有意であることを示す場合、PD-L1陽性集団及びITT集団におけるOSを、ITT集団に対するIRF評価PFSについて同じレベルで全体的なI型エラー率を制御するために一定の順序で正式に試験する(すなわち、0.03又は0.05)。
【0603】
治験責任医師が評価したPFS
治験責任医師によって評価されるPFSは、ランダム化の日付と、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって評価される最初に文書化された疾患進行又は死亡のいずれか最初に起こったの日付との間の時間として定義される。疾患の進行を経験しておらず、分析時に死亡していない患者は、最後の腫瘍評価時に打ち切りされる。ベースライン後の腫瘍評価がない患者は、ランダム化の日付で打ち切りされる。
【0604】
奏効率
確認された客観的応答は、RECIST v1.1に従ってIRFによって決定される4週間以上離れた2回の連続した場合のCR又はPRのいずれかとして定義される。ベースライン後の腫瘍評価を受けていない患者を含む、これらの基準を満たさない患者は、非レスポンダーとみなされる。
【0605】
確認されたORRは、確認された客観的応答を達成した患者の割合として定義される。確認されたORRを、ベースラインで測定可能な疾患を有するランダム化された患者において分析する。確認されたORR及びその95% CIの推定値を、各処置群についてClopper-Pearson法を使用して計算する。2つの処置群間の確認されたORRの差のCIは、二項分布の正規近似を使用して決定される。確認されたORRは、層別マンテル・ヘンツェル検定を使用して2つの処置群間で比較される。RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定された確認されたORRも分析する。
【0606】
応答期間
DORは、RECIST v1.1に従ってIRFによって決定される確認された客観的応答を達成した患者において評価される。DORは、確認された客観的応答の最初の発生の日から、RECIST v1.1に従ってIRFによって決定される進行性疾患の最初の日又は何らかの原因による死亡のいずれか最初に生じる日までの時間間隔として定義される。分析時に進行しておらず死亡していない患者は、最後の腫瘍評価日の時点で打ち切りされる。DORは、患者の非ランダム化サブセット(具体的には、確認された客観的応答を達成する患者)に基づく;したがって、この評価項目に対して正式な仮説検定は行われない。処置群間の比較は、説明のために行われる。RECIST v1.1に従って治験責任医師が決定した客観的応答が確認された患者のDORも分析する。
【0607】
VII.他の実施形態
本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態は、以下の番号付き実施形態のいずれかに従って定義することができる。
【0608】
1.肺がんを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、及び/又は50%以上のPD-L1陽性腫瘍割合スコア(TPS))を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)完全奏効(CR)若しくは部分奏効(PR)をもたらす、及び/又は(b)無増悪生存期間(PFS)の延長をもたらす方法。
【0609】
2.抗TIGITアンタゴニスト抗体を3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で対象に投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0610】
3.抗TIGITアンタゴニスト抗体を3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与することを含む、実施形態2に記載の方法。
【0611】
4.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0612】
5.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【0613】
6.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X1はQ又はEである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む、実施形態4に記載の方法。
【0614】
7.X1がQである、実施形態6に記載の方法。
【0615】
8.X1がEである、実施形態6に記載の方法。
【0616】
9.抗TIGITアンタゴニスト抗体が:
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、実施形態4~8のいずれか一つに記載の方法。
【0617】
10.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、実施形態1~9のいずれか一つに記載の方法。
【0618】
11.抗TIGITアンタゴニスト抗体がモノクローナル抗体である、実施形態1~10のいずれか一つに記載の方法。
【0619】
12.抗TIGITアンタゴニスト抗体がヒト抗体である、実施形態11に記載の方法。
【0620】
13.抗TIGITアンタゴニスト抗体が完全長抗体である、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
【0621】
14.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、実施形態1~6及び8~13のいずれか一つに記載の方法。
【0622】
15.抗TIGITアンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、実施形態1~12のいずれか一つに記載の方法。
【0623】
16.抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態1~15のいずれか一つに記載の方法。
【0624】
17.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態16に記載の方法。
【0625】
18.3週間ごとに約1200mgの固定用量で抗PD-L1抗体を対象に投与することを含む、実施形態1~17のいずれか一つに記載の方法。
【0626】
19.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、実施形態1~18のいずれか一つに記載の方法。
【0627】
20.PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、実施形態19に記載の方法。
【0628】
21.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、実施形態20に記載の方法。
【0629】
22.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、実施形態21に記載の方法。
【0630】
23.PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、実施形態19に記載の方法。
【0631】
24.抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、MED1-0680、スパルタリズマブ(PDR001)、セミプリマブ(REGN2810)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである、実施形態23に記載の方法。
【0632】
25.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、実施形態20に記載の方法。
【0633】
26.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、実施形態25に記載の方法。
【0634】
27.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、実施形態26に記載の方法。
【0635】
28.PD-1軸結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体である、実施形態1~27のいずれか一つに記載の方法。
【0636】
29.PD-1軸結合アンタゴニストが、ヒト化抗体である、実施形態1~28のいずれか一つに記載の方法。
【0637】
30.PD-1軸結合アンタゴニストが、完全長抗体である、実施形態1~29のいずれか一つに記載の方法。
【0638】
31.PD-1軸結合アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、実施形態1~29のいずれか一つに記載の方法。
【0639】
32.PD-1軸結合アンタゴニストが、IgGクラス抗体である、実施形態1~30のいずれか一つに記載の方法。
【0640】
33.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態32に記載の方法。
【0641】
34.3週間ごとに約600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに約1200mgの固定用量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態1~33のいずれか一つに記載の方法。
【0642】
35.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態1~34のいずれか一つに記載の方法。
【0643】
36.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態1~35のいずれか一つに記載の方法。
【0644】
37.抗TIGITアンタゴニスト抗体の前にPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態1~36のいずれか一つに記載の方法。
【0645】
38.PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、実施形態37に記載の方法。
【0646】
39.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態38に記載の方法。
【0647】
40.PD-1軸結合アンタゴニストの前に抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む、実施形態1~36のいずれか一つに記載の方法。
【0648】
41.抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、実施形態40に記載の方法。
【0649】
42.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態41に記載の方法。
【0650】
43.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に同時に投与することを含む、実施形態1~36のいずれか一つに記載の方法。
【0651】
44.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に静脈内投与することを含む、実施形態1~43のいずれか一つに記載の方法。
【0652】
45.60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む、実施形態44に記載の方法。
【0653】
46.60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態44又は45に記載の方法。
【0654】
47.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に皮下投与することを含む、実施形態1~43のいずれか一つに記載の方法。
【0655】
48.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、実施形態1~47のいずれか一つに記載の方法。
【0656】
49.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、抗PD-L1抗体が、SP263、22C3、SP142又は28-8である、実施形態1~48のいずれか一つに記載の方法。
【0657】
50.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、実施形態49に記載の方法。
【0658】
51.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、Ventana SP263 IHCアッセイを用いて計算される、実施形態50に記載の方法。
【0659】
52.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、実施形態49に記載の方法。
【0660】
53.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、pharmDx 22C3 IHCアッセイを用いて計算される、実施形態52に記載の方法。
【0661】
54.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP142を用いた陽性染色によって決定される場合、30%以上である、実施形態49に記載の方法。
【0662】
55.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、実施形態49に記載の方法。
【0663】
56.対象から得られた腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有することが決定されている、実施形態1~55のいずれか一つに記載の方法。
【0664】
57.PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている、実施形態56に記載の方法。
【0665】
58.肺がんが非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態1~57のいずれかつ項に記載の方法。
【0666】
59.NSCLCが、扁平上皮NSCLCである、実施形態58に記載の方法。
【0667】
60.NSCLCが、非扁平上皮NSCLCである、実施形態59に記載の方法。
【0668】
61.NSCLCが、局所進行切除不能NSCLCである、実施形態58~60のいずれか一つに記載の方法。
【0669】
62.NSCLCが、ステージIIIBのNSCLCである、実施形態61に記載の方法。
【0670】
63.NSCLCが、再発性又は転移性NSCLCである、実施形態58~60のいずれか一つに記載の方法。
【0671】
64.NSCLCが、ステージIVのNSCLCである、実施形態63に記載の方法。
【0672】
65.対象が、ステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない、実施形態63又は64に記載の方法。
【0673】
66.対象が、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない、実施形態1~65のいずれか一つに記載の方法。
【0674】
67.対象が、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない、実施形態1~66のいずれか一つに記載の方法。
【0675】
68.対象が、活動性エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない、実施形態1~67のいずれか一つに記載の方法。
【0676】
69.対象が、EBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である、実施形態1~68のいずれか一つに記載の方法。
【0677】
70.対象が、EBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である、実施形態69に記載の方法。
【0678】
71.対象が、EBV IgGについて陽性であるか、又はエプスタイン・バー核抗原(EBNA)について陽性である、実施形態69又は70に記載の方法。
【0679】
72.対象が、EBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である、実施形態71に記載の方法。
【0680】
73.対象が、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である、実施形態1~72のいずれか一つに記載の方法。
【0681】
74.対象が、EBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である、実施形態73に記載の方法。
【0682】
75.PFSが、基準PFS時間と比較して増加している、実施形態1~74のいずれか一つに記載の方法。
【0683】
76.基準PFS時間が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニストを含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である、実施形態75に記載の方法。
【0684】
77.NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量)を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【0685】
78.NSCLCを有する対象を処置する方法であって、
(a)対象から腫瘍試料を取得すること;
(b)腫瘍試料からの腫瘍細胞を抗PD-L1抗体SP263で染色することによって、腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞のパーセンテージを決定することであって、抗PD-L1抗体SP263で染色された腫瘍細胞の50%以上がPD-L1陽性腫瘍細胞である、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞のパーセンテージを決定すること;及び
(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量)を含む治療を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、
処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【0686】
79.NSCLCを有する対象を処置するための方法であって、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【0687】
80.NSCLCを有する対象を処置する方法であって、
(a)対象から腫瘍試料を取得すること;
(b)抗PD-L1抗体SP263を用いるIHCアッセイによって腫瘍試料中のPD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定することであって、PD-L1陽性腫瘍細胞分率が50%以上であると決定される、PD-L1のタンパク質発現レベルを検出し、そこからPD-L1陽性腫瘍細胞分率を決定すること;及び
(c)1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量)を含む治療を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、
処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、方法。
【0688】
81.肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの延長をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0689】
82.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で対象に投与される、実施形態81に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0690】
83.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与される、実施形態82に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0691】
84.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、実施形態81~83のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0692】
85.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域FR:
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む、実施形態84に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0693】
86.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X1はQ又はEである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む、実施形態84に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0694】
87.X1がQである、実施形態86に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0695】
88.X1がEである、実施形態86に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0696】
89.抗TIGITアンタゴニスト抗体が:
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、実施形態84~88のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0697】
90.抗TIGITアンタゴニスト抗体が:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、実施形態81~89のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0698】
91.抗TIGITアンタゴニスト抗体がモノクローナル抗体である、実施形態81~90のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0699】
92.抗TIGITアンタゴニスト抗体がヒト抗体である、実施形態91に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0700】
93.抗TIGITアンタゴニスト抗体が完全長抗体である、実施形態81~92のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0701】
94.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブである、実施形態81~86及び88~93のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0702】
95.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、実施形態81~92のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0703】
96.抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態81~95のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0704】
97.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態96に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0705】
98.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される、実施形態81~97のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0706】
99.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、実施形態81~98のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0707】
100.PD-L1結合アンタゴニストが抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、実施形態99に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0708】
101.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、実施形態100に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0709】
102.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、実施形態101に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体。
【0710】
103.PD-1結合アンタゴニストが抗PD-1アンタゴニスト抗体である、実施形態99に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0711】
104.抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、MED1-0680、スパルタリズマブ(PDR001)、セミプリマブ(REGN2810)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである、実施形態103に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0712】
105.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、実施形態100に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0713】
106.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が:
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、実施形態105に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0714】
107.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が:
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、実施形態106に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0715】
108.PD-1軸結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体である、実施形態81~107のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0716】
109.PD-1軸結合アンタゴニストが、ヒト化抗体である、実施形態108に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0717】
110.PD-1軸結合アンタゴニストが、完全長抗体である、実施形態108又は109に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0718】
111.PD-1軸結合アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、実施形態81~109のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0719】
112.PD-1軸結合アンタゴニストが、IgGクラス抗体である、実施形態81~110のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0720】
113.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態112に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0721】
114.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される、実施形態81~113のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0722】
115.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態81~114のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0723】
116.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に対象に投与される、実施形態81~115のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0724】
117.PD-1軸結合アンタゴニストが、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に対象に投与される、実施形態81~116のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0725】
118.第1の観察期間がPD-1軸結合アンタゴニストの投与後であり、第2の観察期間が抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後である、実施形態117に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0726】
119.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態118に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0727】
120.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、PD-1軸結合アンタゴニストの前に対象に投与される、実施形態81~116のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0728】
121.第1の観察期間が抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後であり、第2の観察期間がPD-1軸結合アンタゴニストの投与後である、実施形態120に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0729】
122.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態121に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0730】
123.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、PD-1軸結合アンタゴニストと同時に対象に投与される、実施形態81~116のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0731】
124.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、対象に静脈内投与される、実施形態81~123のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0732】
125.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、60±10分にわたる静脈内注入によって対象に投与される、実施形態124に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0733】
126.PD-1軸結合アンタゴニストが、60±15分にわたる静脈内注入によって対象に投与される、実施形態124又は125に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0734】
127.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、対象に皮下投与される、実施形態81~123のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0735】
128.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、抗PD-L1抗体が、SP263、22C3、SP142又は28-8である、実施形態81~127のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0736】
129.染色が免疫組織化学(IHC)アッセイの一部である、実施形態128に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0737】
130.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP263、22C3又は28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、実施形態128又は129に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0738】
131.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって、Ventana SP263 IHCアッセイを使用して決定される、実施形態130に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。-.
【0739】
132.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって、pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して決定される、実施形態130に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0740】
133.対象から得られた腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有することが決定されている、実施形態81~132のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0741】
134.PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている、実施形態133に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0742】
135.対象が、抗PD-L1抗体SP263、22C3又は28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率を有することが決定されている、実施形態81~134のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0743】
136.肺がんが非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態81~135のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0744】
137.NSCLCが扁平上皮NSCLCである、実施形態136に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0745】
138.NSCLCが非扁平上皮NSCLCである、実施形態137に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0746】
139.NSCLCが局所進行切除不能NSCLCである、実施形態136~138のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0747】
140.NSCLCがステージIIIBのNSCLCである、実施形態139に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0748】
141.NSCLCが再発性又は転移性NSCLCである、実施形態136~138のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0749】
142.NSCLCがステージIVのNSCLCである、実施形態141に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0750】
143.対象がステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない、実施形態141又は142に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0751】
144.対象が、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない、実施形態81~143のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0752】
145.対象が、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない、実施形態81~144のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0753】
146.対象が、活動性EBV感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない、実施形態81~145のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0754】
147.対象が、EBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である、実施形態81~146のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0755】
148.対象が、EBV IgMについて陰性であり、かつEBV PCRによって陰性である、実施形態147に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0756】
149.対象が、EBV IgGについて陽性であるか、又はEBNAについて陽性である、実施形態147又は148に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0757】
150.対象が、EBV IgGについて陽性であり、かつEBNAについて陽性である、実施形態149に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0758】
151.対象が、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である、実施形態81~148のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0759】
152.対象が、EBV IgGについて陰性であり、かつEBNAについて陰性である、実施形態151に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0760】
153.PFSが基準PFS時間と比較して増加している、実施形態81~152のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0761】
154.基準PFS時間が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニストを含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である、実施形態153に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0762】
155.NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブであって、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量)を対象に投与することを含み、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブ。
【0763】
156.NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブであって、1回又は複数回の投与サイクルのチラゴルマブ(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量)を対象に投与することを含み、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用のためのチラゴルマブ及びアテゾリズマブ。
【0764】
157.肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、医薬が、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの延長をもたらす、使用。
【0765】
158.肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含み、医薬が、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの延長をもたらす、使用。
【0766】
159.肺がんを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含み、医薬が、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの延長をもたらす、使用。
【0767】
160.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量で対象に投与される、実施形態157~159のいずれか一つに記載の使用。
【0768】
161.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与される、実施形態160に記載の使用。
【0769】
162.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、実施形態157~161のいずれか一つに記載の使用。
【0770】
163.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む、実施形態162に記載の使用。
【0771】
164.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X1はQ又はEである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む、実施形態162に記載の使用。
【0772】
165.X1がQである、実施形態164に記載の使用。
【0773】
166.X1がEである、実施形態164に記載の使用。
【0774】
167.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、実施形態164~166のいずれか一つに記載の使用。
【0775】
168.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、実施形態157~167のいずれか一つに記載の使用。
【0776】
169.抗TIGITアンタゴニスト抗体がモノクローナル抗体である、実施形態157~168のいずれか一つに記載の使用。
【0777】
170.抗TIGITアンタゴニスト抗体がヒト抗体である、実施形態169に記載の使用。
【0778】
171.抗TIGITアンタゴニスト抗体が完全長抗体である、実施形態157~170のいずれか一つに記載の使用。
【0779】
172.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、実施形態157~164及び166~171のいずれか一つに記載の使用。
【0780】
173.抗TIGITアンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、実施形態157~170のいずれか一つに記載の使用。
【0781】
174.抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態157~173のいずれか一つに記載の使用。
【0782】
175.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態174に記載の使用。
【0783】
176.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される、実施形態157~175のいずれか一つに記載の使用。
【0784】
177.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、実施形態176のいずれか一つに記載の使用。
【0785】
178.PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、実施形態177に記載の使用。
【0786】
179.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、実施形態178に記載の使用。
【0787】
180.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、実施形態179に記載の使用。
【0788】
181.PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、実施形態177に記載の使用。
【0789】
182.抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、MED1-0680、スパルタリズマブ(PDR001)、セミプリマブ(REGN2810)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、又はトリパリマブである、実施形態181に記載の使用。
【0790】
183.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、実施形態178に記載の使用。
【0791】
184.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、実施形態183に記載の使用。
【0792】
185.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、実施形態184に記載の使用。
【0793】
186.PD-1軸結合アンタゴニストが、モノクローナル抗体である、実施形態157~185のいずれか一つに記載の使用。
【0794】
187.PD-1軸結合アンタゴニストが、ヒト化抗体である、実施形態157~186のいずれか一つに記載の使用。
【0795】
188.PD-1軸結合アンタゴニストが、完全長抗体である、実施形態157~187のいずれか一つに記載の使用。
【0796】
189.PD-1軸結合アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、実施形態157~187のいずれか一つに記載の使用。
【0797】
190.PD-1軸結合アンタゴニストが、IgGクラス抗体である、実施形態188に記載の使用。
【0798】
191.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態190に記載の使用。
【0799】
192.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で対象に投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で対象に投与される、実施形態157~191のいずれか一つに記載の使用。
【0800】
193.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態157~192のいずれか一つに記載の使用。
【0801】
194.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に対象に投与される、実施形態157~193のいずれか一つに記載の使用。
【0802】
195.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、PD-1軸結合アンタゴニストの前に対象に投与される、実施形態157~194のいずれか一つに記載の使用。
【0803】
196.第1の観察期間がPD-1軸結合アンタゴニストの投与後であり、第2の観察期間が抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後である、実施形態195に記載の使用。
【0804】
197.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態196に記載の使用。
【0805】
198.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、PD-1軸結合アンタゴニストの前に対象に投与される、実施形態157~194のいずれか一つに記載の使用。
【0806】
199.第1の観察期間は抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後であり、第2の観察期間はPD-1軸結合アンタゴニストの投与後である、実施形態198に記載の使用。
【0807】
200.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態199に記載の使用。
【0808】
201.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、PD-1軸結合アンタゴニストと同時に対象に投与される、実施形態157~194のいずれか一項に記載の使用。
【0809】
202.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、対象に静脈内投与される、実施形態157~201のいずれか一項に記載の使用。
【0810】
203.抗TIGITアンタゴニスト抗体は、60±10分にわたる静脈内注入によって対象に投与される、実施形態202に記載の使用。
【0811】
204.PD-1軸結合アンタゴニストが、60±15分にわたる静脈内注入によって対象に投与される、実施形態200又は203に記載の使用。
【0812】
205.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、対象に皮下投与される、実施形態157~201のいずれか一項に記載の使用。
【0813】
206.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体を用いた陽性染色によって決定され、抗PD-L1抗体が、SP263、22C3、SP142又は28-8である、実施形態158~205のいずれか一つに記載の使用。
【0814】
207.染色が免疫組織化学(IHC)アッセイの一部である、実施形態206に記載の使用。
【0815】
208.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP263、22C3、又は28-8を用いた陽性染色によって決定される場合、50%以上である、実施形態206又は207に記載の使用。
【0816】
209.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体SP263を用いた陽性染色によって、Ventana SP263 IHCアッセイを使用して決定される、実施形態208に記載の使用。
【0817】
210.PD-L1陽性腫瘍細胞分率が、抗PD-L1抗体22C3を用いた陽性染色によって、pharmDx 22C3 IHCアッセイを使用して決定される、実施形態208に記載の使用。
【0818】
211.対象から得られた腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有することが決定されている、実施形態157~210のいずれか一つに記載の使用。
【0819】
212.PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組合せによって決定されている、実施形態211に記載の使用。
【0820】
213.肺がんが非小細胞肺がんである、実施形態157~212のいずれか一つに記載の使用。
【0821】
214.NSCLCが、扁平上皮NSCLCである、実施形態213に記載の使用。
【0822】
215.NSCLCが、非扁平上皮NSCLCである、実施形態214に記載の使用。
【0823】
216.NSCLCが、局所進行切除不能NSCLCである、実施形態213~215のいずれか一つに記載の使用。
【0824】
217.NSCLCが、ステージIIIBのNSCLCである、実施形態216に記載の使用。
【0825】
218.NSCLCが、再発性又は転移性NSCLCである、実施形態213~216のいずれか一つに記載の使用。
【0826】
219.NSCLCが、ステージIVのNSCLCである、実施形態218に記載の使用。
【0827】
220.対象が、ステージIVのNSCLCについて以前に処置されていない、実施形態218又は219に記載の使用。
【0828】
221.対象が、感作性上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子突然変異又は未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子再構成を有しない、実施形態157~220のいずれか一つに記載の使用。
【0829】
222.対象が、NSCLCの肺リンパ上皮腫様癌腫サブタイプを有しない、実施形態157~221のいずれか一つに記載の使用。
【0830】
223.対象が、活動性EBV感染を有していない、又は既知の慢性活動性EBV感染を有していない、若しくはその疑いがない、実施形態157~222のいずれか一つに記載の使用。
【0831】
224.対象が、EBV IgMについて陰性であるか、又はEBV PCRによって陰性である、実施形態157~223のいずれか一つに記載の使用。
【0832】
225.対象が、EBV IgMについて陰性であり、かつ、EBV PCRによって陰性である、実施形態224に記載の使用。
【0833】
226.対象が、EBV IgGについて陽性であるか、又はEBNAについて陽性である、実施形態224又は225に記載の使用。
【0834】
227.対象が、EBV IgGについて陽性であり、かつ、EBNAについて陽性である、実施形態226に記載の使用。
【0835】
228.対象が、EBV IgGについて陰性であるか、又はEBNAについて陰性である、実施形態157~227のいずれか一つに記載の使用。
【0836】
229.対象が、EBV IgGについて陰性であり、かつ、EBNAについて陰性である、実施形態228に記載の使用。
【0837】
230.PFSが、基準PFS時間と比較して増加している、実施形態157~229のいずれか一つに記載の使用。
【0838】
231.基準PFS時間が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずに、PD-1軸結合アンタゴニストを含む処置を受けたことがある対象の集団のPFS時間の中央値である、実施形態230に記載の使用。
【0839】
232.NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体及びアテゾリズマブの使用であって、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、医薬が、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量での投与のために製剤化されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下:
配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含み、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用。
【0840】
233.NSCLCを有する対象を処置する方法における使用のための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用であって、方法が、1回又は複数回の投与サイクルの医薬を対象に投与することを含み、医薬が、チラゴルマブ(例えば、3週間ごとに600mgの固定用量)及びアテゾリズマブ(例えば、3週間ごとに1200mgの固定用量)の投与のために製剤化されており、対象が、高いPD-L1発現(例えば、30%以上のPD-L1陽性腫瘍細胞分率、又は50以上のPD-L1 TPS)を有することが決定されており、処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して(a)CR若しくはPRをもたらす、及び/又は(b)PFSの増加をもたらす、使用。
【0841】
234.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約3.1ヶ月のPFSの増加をもたらす、実施形態1~78のいずれか一つに記載の方法、実施形態81~155のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は実施形態157~232のいずれか一つに記載の使用。
【0842】
235.処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約3.1ヶ月のPFSの増加をもたらす、実施形態79に記載の方法、実施形態156に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は実施形態233に記載の使用。
【0843】
236.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約4.9ヶ月のPFSの増加をもたらす、実施形態1~78のいずれか一つに記載の方法、実施形態81~155のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は実施形態157~232のいずれか一つに記載の使用。
【0844】
237.処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約4.9ヶ月のPFSの増加をもたらす、実施形態79に記載の方法、実施形態156に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は実施形態233に記載の使用。
【0845】
238.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約5.7ヶ月のOSの増加をもたらす、実施形態1~78のいずれか一つに記載の方法、実施形態81~155のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は実施形態157~232のいずれか一つに記載の使用。
【0846】
239.処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約5.7ヶ月のOSの増加をもたらす、実施形態79に記載の方法、実施形態156に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は実施形態233に記載の使用。
【0847】
240.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブであり、処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約9ヶ月のOSの増加をもたらす、実施形態1~78のいずれか一つに記載の方法、実施形態81~155のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、又は実施形態157~232のいずれか一つに記載の使用。
【0848】
241.処置が、チラゴルマブを用いずにアテゾリズマブを用いる処置と比較して、少なくとも約9ヶ月のOSの増加をもたらす、実施形態79に記載の方法、実施形態156に記載のチラゴルマブ及びアテゾリズマブ、又は実施形態233に記載の使用。
【0849】
上述の発明を、理解を明確にする目的で、説明及び実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】