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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/24 20060101AFI20221115BHJP
   A61B 1/04 20060101ALI20221115BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61B1/24
A61B1/04 511
A61M25/01 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518402
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 EP2020076171
(87)【国際公開番号】W WO2021053181
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】1913613.4
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507289070
【氏名又は名称】インターサージカル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ルーディ、レネ ヴェルナー
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161BB01
4C161CC06
4C161FF12
4C161JJ06
4C161LL03
4C161NN05
4C267AA04
4C267AA77
4C267BB09
4C267BB53
4C267CC21
4C267HH08
(57)【要約】
挿管に使用する内視鏡が用意されている。内視鏡はハウジングと、表示画面を有する表示装置と、ハウジングから延在する操作部材とを備え、操作部材は患者の気道に挿入され、画像を表示画面に送信するように構成される。ハウジングは、操作部材に結合されたアクチュエータと、表示画面に結合されたリテーナとを備え、ハウジングは少なくともアクチュエータを含むハンドル部を有し、アクチュエータは操作部材が表示画面に対して回転可能であるように、リテーナに対してユーザによって片手で回転可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿管に使用するための内視鏡であって、
ハウジングと、表示画面を有する表示装置と、前記ハウジングから延在する操作部材とを備え、
前記操作部材は患者の気道に挿入され、表示画面に画像を送信するように構成され、
前記ハウジングは前記操作部材に結合されたアクチュエータと、前記表示画面に結合されたリテーナとを備え、
前記ハウジングは少なくとも前記アクチュエータを備えるハンドル部を有し、
前記アクチュエータは前記操作部材が前記表示画面に対して回転可能であるように、前記リテーナに対してユーザによって片手で回転可能である、内視鏡。
【請求項2】
前記アクチュエータおよび前記リテーナはオペレータの身体の第1の部分および第2の部分によって係合可能であり、前記オペレータの身体の第1の部分および第2の部分は、互いに対して移動可能であるように配置される、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記オペレータの身体の第1の部分は前記オペレータの第1の手の一部および関連する指であり、前記オペレータの身体の第2の部分は、前記第1の手の異なる部分および前記オペレータの関連する指である、請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記アクチュエータは前記オペレータの少なくとも1本の指によって係合可能であるように配置され、
前記リテーナは前記オペレータの少なくとも1本の異なる指によって係合可能であるように配置され、前記オペレータは前記アクチュエータと前記リテーナとを、それらの指の相対運動によって互いに対して回転させることができる、請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記ハンドル部は、前記アクチュエータおよび前記リテーナを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記アクチュエータおよび前記リテーナは、前記操作部材の長手方向軸の周りで互いに対して回転可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記アクチュエータと前記リテーナは、前記ハンドル部の長手方向軸を中心に互いに対して回転可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記操作部材は、前記ハウジングから前記ハンドル部の長手方向軸に実質的に平行に延在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記アクチュエータは前記ハンドル部に対して固定されたヘッド部によって形成され、
前記ヘッド部は前記操作部材が延在する端部に対して前記ハウジングの反対側の端部に配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記ハンドル部に対する前記操作部材の回転を制御する第1のアクチュエータ部材を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記第1のアクチュエータ部材は、前記アクチュエータ内で回転可能なホイールを備える、請求項10に記載の内視鏡。
【請求項12】
前記ホイールは、前記アクチュエータのスロット内に配置されている、請求項11に記載の内視鏡。
【請求項13】
前記ホイールは、前記ホイールの回転が前記操作部材の回転を開始するように前記操作部材に機械的に接続されている、請求項11又は請求項12に記載の内視鏡。
【請求項14】
前記ホイールは前記操作部材を前記ハンドル部に対して第1の方向に回転させるために第1の方向に回転可能であり、
前記ホイールは、前記操作部材を前記ハンドル部に対して第2の方向に回転させるために第2の方向に回転可能である、請求項11~13のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記アクチュエータは前記操作部材が延びる端部に対して前記ハンドル部の反対側の端部に配置されたヘッド部であり、
前記リテーナは前記ハンドル部の残りの部分であり、前記ヘッド部と前記ハンドル部の残りの部分とは、互いに対して回転可能である、請求項4に記載の内視鏡。
【請求項16】
前記表示画面は前記ハンドル部から空間的に分離され、ユーザの手首が前記表示画面と、前記操作部材が延在する前記ハウジングの端部との間に配置可能である、請求項1~15のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項17】
前記ハウジングは、前記ハンドル部と前記表示画面のデバイスとの間に延在するアーム部を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項18】
前記アーム部は、前記操作部材が延在する前記ハンドル部の端部から延在する、請求項17に記載の内視鏡。
【請求項19】
前記アーム部は、オペレータの手首の内側に当接するように配置されている、請求項17又は請求項18に記載の内視鏡。
【請求項20】
表示装置は、前記ハウジングの少なくとも前記ハンドル部と一体に形成された前記ハウジングの表示画面部内に収容される、請求項1~19のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項21】
前記内視鏡の前記ハウジングは、ハンドルハウジング部および表示画面ハウジング部の一部を画定する少なくとも1つのハウジング構成要素を備える、請求項20に記載の内視鏡。
【請求項22】
前記内視鏡が、単一の無菌パッケージで提供される、使い捨ての使い捨てデバイスを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の内視鏡。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の内視鏡を製造する方法であって、
(i)ハウジングと、表示画面を有する表示装置と、前記ハウジングから延びる操作部材とを提供する工程であって、前記操作部材は患者の気道に挿入され、前記表示画面に画像を送信するように構成され、前記ハウジングは操作部材に結合されたアクチュエータと、表示画面に結合されたリテーナとを備える、工程と、
(ii)前記ハウジングを配置して、少なくともアクチュエータを含むハンドル部を有するようにする工程であって、前記アクチュエータが前記リテーナに対してユーザによって片手で回転可能であるように、操作部材が表示画面に対して回転可能であるようにする、工程と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に関し、より詳細には、挿管を補助するための可撓性内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、体の中空器官または空洞の内部を検査するための装置である。内視鏡は典型的にはハンドルと、剛性または可撓性であり得る操作部材と、使用中に患者の体内に位置する操作部材の遠位端から、体外の接眼レンズまたはディスプレイに画像を伝達するための手段とを備える。可撓性内視鏡の例には、ファイバースコープおよびビデオスコープが含まれる。ファイバースコープは、典型的にはレンズから接眼レンズに画像を伝送するための光ファイバの束を操作部材内に含む。光ファイバの結果として、特に、ファイバースコープは、壊れやすく、高価である。ビデオスコープは、操作部材内のカメラと、接続されたビデオディスプレイとを含む。ビデオスコープはより長いセットアップ時間を必要とし、より多くのスペースを必要とする。
【0003】
最近、内視鏡はまた、挿管を補助するように特別に構成されている。挿管とは、気管内チューブを口から患者の気管内に挿入するプロセスのことである。これにより、患者は呼吸を補助するために人工呼吸器に接続することができる。これは、例えば麻酔の間、患者が補助なしで呼吸ができない、あるいは患者が気道を維持できないためである。
【0004】
スタイレット(stylet)は、挿管を補助するための従来の装置の一例である。スタイレットとは、患者の気管に気管内チューブを挿入する前に、気管内チューブに挿入する可撤性の装置である。スタイレットの可鍛性はユーザがスタイレットを予め形成することを可能にし、次いで、スタイレットは気管内に挿入される前に、周囲の気管内チューブを所望の形状に維持する。次に、気管内チューブの遠位端が気管内に位置し、気管内チューブの近位端が患者の口から突き出るように、喉頭鏡を用いて気管内チューブを気管内に導入する。気管内チューブの遠位端が気管内に適切に配置されたら、喉頭鏡とともにスタイレットを引き抜く。
【0005】
ブジー(bougie)は、挿管を補助するための従来の装置の別の例である。ブジーは気管内チューブを気管内に案内するために、気管内に確実な位置を提供するために使用される可撓性デバイスである。ブジーは典型的には遠位端が気管内に位置し、近位端が患者の口から突き出るように気管内に導入される。次いで、ブジーの上に気管内チューブを「手すり」し、これは、ブジーの近位端を気管内チューブの遠位端に挿入し、気管内チューブを上に滑らせ、ブジーの外部表面に沿って、気管内チューブの遠位端が適切に気管内に配置されるまで行う。したがってブジーは、気管内チューブの留置のためのガイドとして作用する。その後、ブジーを気管内チューブと患者から取り出す。
【0006】
内視鏡は使用者が例えば、気管内チューブを気管内に挿入しながら、気管内チューブの先端付近で、例えば、上述した方法または他の方法によって、体内の画像を見ることを可能にする。可撓性内視鏡は一般に、その長さに応じて、2つの方法のうちの1つで機能する。より長い内視鏡を使用して、操作部材の近位端に保持される気管内チューブをあらかじめ負荷し、次いで、操作部材の遠位端が患者の気管内に正しく位置すると、操作部材の上に進める。より短い内視鏡は気管内チューブが気管内に導入されている間に患者の声帯を視覚化するためにのみ使用され、その結果、気管内チューブの配置を誘導し、それに応じて調節することができる。
【発明の概要】
【0007】
従来技術に関連する欠点を克服するか、または実質的に軽減する、改良された内視鏡が考案された。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、挿管に使用するための内視鏡が提供され、内視鏡はハウジングと、表示画面を有する表示装置と、ハウジングから延在する操作部材(operative member)とを備え、操作部材は患者の気道に挿入され、表示画面に画像を送信するように構成され、ハウジングは操作部材に結合されたアクチュエータと、表示画面に結合されたリテーナとを備え、ハウジングは少なくともアクチュエータを備えるハンドル部を有し、アクチュエータはリテーナに対してオペレータ(操作者)によって片手で回転可能であり、操作部材は表示画面に対して回転可能である。
【0009】
本発明は主に内視鏡のハウジングが操作部材に結合されたアクチュエータと、表示画面に結合されたリテーナとを含み、アクチュエータがリテーナに対してオペレータによって片手で回転可能であり、その結果、操作部材が表示画面に対して回転可能となるため、利点がある。これにより、内視鏡は操作部材が回転されるときにオペレータに対して回転する表示画面なしに、内視鏡のハウジングに取り付けられるか、またはそれと一体化される表示画面を有することが可能になる。
【0010】
これは当技術分野で知られている内視鏡に取り付けられた表示画面とは対照的であり、その理由はこれらの内視鏡がユーザが手でハウジングを回転させることによって回転され、それによって取り付けられたディスプレイも回転するからである。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、上記で定義された内視鏡の製造方法が提供され、該方法は、
(i)ハウジングと、表示画面を有する表示装置と、ハウジングから延びる操作部材とを提供する工程であって、操作部材は患者の気道に挿入され、表示画面に画像を送信するように構成され、ハウジングは操作部材に結合されたアクチュエータと、表示画面に結合されたリテーナとを備える、工程と、
(ii)ハウジングを配置して、少なくともアクチュエータを含むハンドル部を有し、操作部材が表示画面に対して回転可能であるように、操作部材が、操作部材に対してオペレータによって片手で回転可能であるようにする工程と、
を含む。
【0012】
アクチュエータおよびリテーナはオペレータの身体の第1および第2の部分によって係合可能であり、オペレータの身体の第1および第2の部分が互いに対して移動可能であるように配置されてもよい。オペレータの身体の第1の部分は、第1の手の一部、ならびにオペレータの関連する指および親指であってもよい。オペレータの身体の第2の部分は、第1の手の異なる部分、ならびにオペレータの関連する指および親指であってもよい。あるいは、オペレータの身体の第2の部分がオペレータの身体の別の部分であってもよい。
【0013】
ハンドル部は、アクチュエータおよびリテーナを備えてもよい。すなわち、アクチュエータとリテーナとは、ハンドル部の部品であってもよい。この構成ではアクチュエータがオペレータの少なくとも1つの指または親指によって係合可能であるように構成されてもよく、リテーナはオペレータの同じ手の少なくとも1つの異なる指または親指によって係合可能であるように構成されてもよい。アクチュエータは、少なくとも第1の移動経路を介して移動可能であってもよい。第1の移動経路は、弓形の移動経路であってもよい。オペレータは、第1の手の指の相対運動によって、または第1の手の指と親指の相対運動によって、アクチュエータおよびリテーナを互いに対して回転させることができる。例えば、アクチュエータは使用時にオペレータによって保持されるときにハンドル部の上端に向かって配置され、その結果、アクチュエータはオペレータの第1の指、すなわちオペレータの親指に最も近い指、またはオペレータの親指によって係合可能となるように配置され、リテーナはリテーナがオペレータの手の残りの部分によって係合可能となるように、ハンドル部の残りの部分とすることができる。従って、オペレータがその手の残りの部分に対して第1の指又は親指を動かすと、アクチュエータはリテーナに対して回転し、オペレータに対する表示画面の位置を維持しながら、操作部材の回転を引き起こす。
【0014】
あるいはハンドル部がアクチュエータを備えてもよいが、リテーナを備えていなくてもよい。すなわち、リテーナは、ハンドル部から離れて配置されてもよい。この構成ではアクチュエータがオペレータの手および関連する指によって係合されるように配置されてもよく、リテーナはオペレータの身体の異なる部分によって係合されるように配置されてもよい。オペレータは、その身体の異なる部分に対する手の動きを通じて、リテーナに対するアクチュエータの回転を行うことができる。例えば、リテーナはオペレータの手首又は腕と係合するように、例えば、その上に載るようにハンドル部から延びることができ、手首又は腕は、アクチュエータと係合する手のためのものである。従って、オペレータが手首又は腕に対してそれらの指又は手を動かすと、アクチュエータはリテーナに対して回転され、オペレータに対する表示画面の位置を維持しながら、操作部材の回転を引き起こす。
【0015】
アクチュエータおよびリテーナは、回転軸を中心として互いに対して回転可能であってもよい。回転軸は、操作部材またはハンドル部と概して、または実質的に整列されてもよい。好ましい実施形態では、アクチュエータおよびリテーナが操作部材の長手方向軸の周り、および/またはハンドル部の長手方向軸の周りで、互いに対して回転可能であり得る。操作部材は、実質的にハンドル部の縦軸に平行なハウジングから延在してもよい。
【0016】
回転軸は、操作部材の中心長手方向軸および/またはハンドル部の中心長手方向軸と概ねまたは実質的に整列されてもよい。
【0017】
操作部材の中心長手方向軸線またはハンドル部の中心長手方向軸線と一般的にまたは実質的に整列された状態は操作部材の中心長手方向軸線またはハンドル部の中心長手方向軸線に対して、それぞれ、例えば、中心長手方向軸線に対して45°、30°、15°、または5°未満の角度で、一般的または実質的に平行であると定義することができる。
【0018】
操作部材の中心長手方向軸またはハンドル部の中心長手方向軸と一般的にまたは実質的に整列されることは操作部材またはハンドル部を通る断面において、例えば、操作部材またはハンドル部の断面の半径の50%、25%、10%または5%以内に、一般的にまたは実質的に中心に位置付けられるとして定義されてもよく、ここで、操作部材またはハンドル部を通る断面は操作部材またはハンドル部の中心長手方向軸に対して垂直である。
【0019】
操作部材はハウジングのハンドル部の少なくとも一部に対して、例えば、オペレータの手のひらが位置するハンドル部の一部に対して回転可能であってもよい。アクチュエータは、ハンドル部に対する操作部材の回転、すなわちハンドル部および/または操作部材の縦軸を中心とした操作部材の回転を制御するための第1のアクチュエータ部材を備えることができる。
【0020】
これは操作部材がハウジングのハンドル部の少なくとも一部、例えば、オペレータの手のひらが位置するハンドル部の部分を移動または回転させる必要なしに制御され得、これが、使用中の改善された制御を提供するという点で有利である。これは、使用時に、操作部材を患者の気道内に導入するために、内視鏡が例えば、オペレータの頭部の上方で高く保持され、オペレータの手のひらが位置するハンドル部の部分の回転を困難にするので、特に有益である。
【0021】
第1のアクチュエータ部材は、機械的形成であってもよい。第1のアクチュエータ部材が機械的形態である場合、第1のアクチュエータ部材は例えば、ユーザの指によって操作され得る可動部材を含んでもよい。第1のアクチュエータは、操作部材が延在する端部に対してハウジングの反対側の端部に配置することができる。第1のアクチュエータ部材は、旋回または回転移動するように配置されてもよい。第1のアクチュエータ部材は例えば、操作部材および/またはハンドル部の縦軸を中心として、ハンドル部に対して枢動可能または回転可能であってもよい。第1のアクチュエータ部材は、アームの形成を有していてもよい。あるいは、第1のアクチュエータ部材がホイールを備えてもよく、ホイールは例えば、操作部材および/またはハンドル部の縦軸を中心として、ハウジング内で回転可能である。ホイールは、ハウジング内のスロット内に配置することができる。ホイールは、操作部材が延びる端部に対してハウジングの反対側の端部に配置することができる。ホイールはホイールの回転が操作部材の回転を引き起こすように、操作部材に機械的に連結されてもよい。ホイールは、ハンドル部に対して第1の方向に操作部材を回転させるために第1の方向に回転可能であってもよい。ホイールは、ハンドル部に対して第2の方向に操作部材を回転させるために第2の方向に回転可能であってもよい。第1および第2の方向は、回転的に反対の方向であってもよい。ホイールは、ユーザの指によって操作可能であってもよい。
【0022】
あるいはアクチュエータがハウジングのヘッド部によって形成されてもよく、このヘッド部はハンドル部および表示画面装置の残りの部分に対して回転可能である。ハンドル部と表示画面装置とは、互いに対して固定されていてもよい。回転可能なヘッド部は、操作部材が延在する端部に対してハウジングの反対側の端部に配置されてもよい。回転可能なヘッド部はユーザの人差し指および/または親指によって回転され得るように、ハウジングのハンドル部に対して配置され得る。
【0023】
操作部材の遠位先端部分は操作部材の本体に対して移動可能であってもよく、操作部材の遠位先端部分のこの移動は内視鏡のハウジングから、例えばアクチュエータから、ユーザによって制御可能であってもよい。操作部材の遠位先端部分のこの制御された動きは、患者の体の内部の観察と挿管中の気管内チューブのガイドの両方を容易にする。
【0024】
遠位先端部分の移動は操作部材の本体部に対する遠位先端部分の向きの角度の変化、例えば、ヒンジまたは旋回部分の周り、または曲げ部分の周りを含み得る。したがって、遠位先端部分は操作部材の主本体部に対して角度が付けられてもよく、すなわち、非平行であってもよく、例えば、主本体部に対して斜めに角度が付けられてもよい。あるいは、遠位先端部分が操作部材の主要本体部に対して180度ほどの角度をなしてもよい。遠位先端部分の形状は、この移動の間、実質的に一定のままであり得る。
【0025】
ハウジングは操作部材の遠位先端部分の移動を制御するための、すなわち、操作部材の本体に対する操作部材の遠位先端部分の向きの角度を、例えば、使用時に、患者の身体の正中面であってもよい、操作部材およびハウジングの中心長手方向軸が位置する平面内で変化させるための、第2のアクチュエータ部材を備えてもよい。第2のアクチュエータ部材は、ハウジングのアクチュエータに取り付けられてもよい。好ましい実施形態では、第2のアクチュエータ部材が第1のアクチュエータ部材上に、またはその逆に取り付けられてもよい。
【0026】
第1のアクチュエータ部材及び第2のアクチュエータ部材は例えば、同一の手の同一又は異なる指を使用して、オペレータによって片手で操作されるように配置されてもよい。第1のアクチュエータ部材及び第2のアクチュエータ部材は、各々、オペレータの同じ手の1指を用いて作動させることができる。第1の操作部材は第1の単一の指によって操作可能であってもよいが、第2の操作部材は第2の単一の指によって操作可能であってもよい。第1の操作部材は第1の単一の指によって操作可能であってもよいが、第2の操作部材は第2の単一の指によって同時に操作可能であってもよい。第1の指および第2の指は、オペレータの同じ手の同じ指または異なる指であってもよい。
【0027】
本明細書では遠位先端部分アクチュエータと呼ばれる第2のアクチュエータ部材は、機械的な形成であってもよい。先端部アクチュエータは係合部分を有してもよく、係合部分はユーザによって操作可能である。先端部アクチュエータが機械的形成である場合、係合部分は例えば、ユーザの親指によって操作され得る可動アームであってもよい。係合部分は、少なくとも第2の移動経路を介して移動可能であってもよい。第2の移動経路は、実質的に単一の平面内に存在することができる。第2の移動経路は、実質的に弓形であってもよい。この構成では、先端部アクチュエータがユーザによって、ハウジングの縦軸に対して、例えば、直線的に、または円弧を通る回転のいずれかによって、移動可能であってもよい。例えば、係合部分はハウジング内のスロットから突出するレバーを備えることができ、その中でレバーはハウジングの長手方向軸線に対して移動可能である。係合部がレバーである場合、第2移動経路は円弧状であるのが好ましい。先端部アクチュエータは第1の作動方向において先端部の配向を移動および/または変化させるために、第1のアクチュエータ部材方向においてハウジングの縦軸に対して移動可能であってもよく、先端部アクチュエータは第2の作動方向において先端部の配向を移動および/または変化させるために、第2のアクチュエータ方向においてハウジングの縦軸に対して移動可能であってもよい。第1および第2のアクチュエータ方向は円弧を通って回転するか、または直線的に回転する反対方向であってもよく、第1および第2の動作方向は円弧を通って回転するか、または直線的に回転する反対方向であってもよい。
【0028】
あるいは、遠位先端部分アクチュエータが例えば、ユーザの親指または一対の指によって押し下げられ得る、一対のボタンを備えてもよい。第1のボタンの係合部分は少なくとも第1の移動経路を通って移動可能であってもよく、第2のボタンの係合部分は少なくとも第2の移動経路を通って移動可能であってもよい。第1および第2の移動経路は、実質的に単一の平面内に存在してもよい。第1及び第2の移動経路は、実質的に直線状であってもよい。この構成では、ボタンの各々がユーザによって、ハウジングの長手方向軸に対して実質的に垂直に移動可能であってもよく、または押圧可能であってもよい。第1のボタンは遠位先端部分の向きを第1の動作方向に移動および/または変化させるために、ユーザによって可動または押圧可能であってもよい。第2のボタンは遠位先端部分の向きを第2の動作方向に移動および/または変化させるために、ユーザによって可動または押圧可能であってもよい。
【0029】
先端部アクチュエータは、第1のアクチュエータ部材に取り付けられてもよい。例えば、第1のアクチュエータ部材がハウジング内またはそれに対して回転可能である場合、先端部アクチュエータは、第1のアクチュエータ部材に対して移動可能または押圧可能であってもよい。好ましい実施形態において、第1のアクチュエータ部材はハウジングの長手軸線を中心にして回転可能であってもよく、先端部アクチュエータ部材はハウジングの長手軸線と実質的に平行な方向に少なくとも部分的に移動可能であってもよい。あるいは、第1のアクチュエータ部材がハウジングの縦軸を中心に回転可能であってもよく、先端部アクチュエータ部材は第1のアクチュエータ部材上に離間して配置された2つ以上のボタンを備えてもよく、例えば、ハウジングの縦軸に沿って配置されてもよい。2つ以上のボタンは、ハウジングの縦軸に対して実質的に垂直に押圧可能であってもよい。
【0030】
あるいは、先端部アクチュエータの係合部分がホイールであってもよく、ホイールは例えば、操作部材および/またはハンドル部の縦軸を中心として、ハウジング内で回転可能である。ホイールは、ハウジング内のスロット内に配置することができる。ホイールは、操作部材が延びる端部に対してハウジングの反対側の端部に配置することができる。車輪は、操作部材に機械的に連結することができる。ホイールは第1の作動方向において遠位先端部の配向を移動および/または変化させるために、第1のアクチュエータ方向においてハウジングの長手方向の軸を中心に回転可能であってもよく、第2の作動方向において遠位先端部の配向を移動および/または変化させるために、第2のアクチュエータ方向においてハウジングの長手方向の軸を中心に回転可能であってもよい。第1および第2のアクチュエータ方向は、回転方向が逆であってもよい。ホイールは、ユーザの指によって操作可能であってもよい。
【0031】
これは、オペレータが操作部材の動きを片手で制御することを可能にするという点で有利である。
【0032】
第2のアクチュエータ部材、例えば先端部アクチュエータはハウジングの第1の面に配置されていてもよく、第1の面は表示画面と同じ側のハウジングにある。ハウジングが操作部材が延びるハウジングの端部に対してハウジングの反対側の端部に配置されたヘッド部を含む場合、第2のアクチュエータ部材、例えば、遠位先端部分アクチュエータはハウジングのヘッド部の第1の表面上に配置されてもよく、第1の表面は表示画面とハウジングの同じ側にあり、遠位先端部分アクチュエータはユーザの親指によって操作されてもよい。
【0033】
ハウジングの一部、例えばハウジングのヘッド部上に形成され、第2のアクチュエータ部材、例えば先端部アクチュエータを含む部分上に形成された第1のアクチュエータ部材を設けることにより、操作部材の移動を片手で制御することができる。
【0034】
上述の第1のアクチュエータ部材はハウジングの第2の表面、例えば、ハウジングのヘッド部の第2の表面に配置されてもよく、第2の表面は先端部アクチュエータとしてハウジングの反対面にあり、かつ表示画面として、第1のアクチュエータ部材は、ユーザの第1の指によって操作されてもよい。
【0035】
この特徴の組み合わせは装置の有用性に関して特に有益であり、したがって、本発明のさらなる態様によれば、挿管に使用するための内視鏡が提供され、内視鏡はハンドル部と、表示画面を有する表示装置と、ハウジングから延在する操作部材とを含み、操作部材は患者の気道に挿入され、表示画面に画像を送信するように構成され、ハンドル部の第1の表面上に配置され、操作部材に結合された第1のアクチュエータ部材と、ハンドル部の第2の表面上に配置され、操作部材に結合され、第1の表面および第2の表面はハンドル部の反対側の表面である第2のアクチュエータ部材と、を含む。
【0036】
第1のアクチュエータ部材は、ハウジング、表示画面、およびハンドル部のいずれかまたは全てに対する操作部材の回転運動を制御するように配置されてもよい。第2のアクチュエータ部材は操作部材の遠位先端部分の移動を制御するように、すなわち、操作部材の本体に対する操作部材の遠位先端部分の向きの角度を、例えば、操作部材およびハウジングの中心長手方向軸が位置する平面内で変化させるように配置されてもよい。
【0037】
第1のアクチュエータ部材及び第2のアクチュエータ部材は例えば、同じ手の異なる指を使用して、オペレータによって片手で操作されるように配置されてもよい。第1のアクチュエータ部材及び第2のアクチュエータ部材は、各々、オペレータの同じ手の1指を用いて作動させることができる。第1の操作部材は第1の単一の指によって操作可能であってもよいが、第2の操作部材は第2の単一の指によって操作可能であってもよい。第1の操作部材は第1の1本の指、例えば、指によって動作可能であってもよく、一方、第2の操作部材は第2の1本の指、例えば、親指によって同時に動作可能である。第1の指と第2の指とは、オペレータの同じ手の異なる指であってもよい。
【0038】
代替の構成では、ハウジングがハンドル部に対する操作部材の回転を制御し、操作部材の遠位先端部分の移動(すなわち、関節運動)を制御するための単一のアクチュエータを備えてもよい。単一のアクチュエータは、少なくとも2つの経路を介して移動可能であってもよい。2つの経路は、それぞれ、2つの端点の間に延在することができる。2つの経路は、異なる経路である可能性がある。2つの経路はそれぞれが2つの異なるエンドポイントを有する点で異なっていてもよく、すなわち、2つの経路は、いかなるエンドポイントも共有しない。単一のアクチュエータは、少なくとも第1の移動経路を介して移動可能であって、ハンドル部に対する操作部材の回転を制御することができる。第1の移動経路は例えば、実質的に弓形であってもよい。単一のアクチュエータは操作部材の遠位先端部分の関節運動を制御するために、少なくとも第2の移動経路を通って移動可能であってもよい。第2の移動経路は例えば、実質的に直線であってもよい。単一のアクチュエータはハンドル部に対する操作部材の回転を制御するために、第1の移動経路を通って移動可能であってもよく、その第1の移動経路に沿った任意の点で、少なくとも1つのさらなる移動経路に沿って移動可能であってもよく、操作部材の遠位先端部分の関節を制御する。
【0039】
単一のアクチュエータは、オペレータによって係合可能な係合部分を備えてもよい。係合部分はオペレータの少なくとも1本の指または親指によって係合可能であるように、ハウジングから突出してもよい。係合部は、可動部材を含んでもよい。可動部材は、直線運動および/または旋回運動および/または回転運動のために配置されてもよい。可動部材は、アームの形成を有していてもよい。可動部材は例えば、ボールジョイントを中心として、アクチュエータによって画定される境界内で、幾何学的表面内の全ての方向に可動であってもよい。すなわち、幾何学的表面は、曲面幾何学的表面であってもよい。単一のアクチュエータは例えば、ジョイスティックであってもよい。
【0040】
ハウジングは、使用者の少なくとも人差し指によって係合するためのグリップ部分をさらに備えることができる。グリップ部はハウジングの第2の面に配置されてもよく、第2の面は表示画面とは反対側のハウジングにある。ハウジングが操作部材が延びるハウジングの端部に対してハウジングの反対側の端部に配置されたヘッド部を含む場合、グリップ部分はハウジングのヘッド部の第2の表面上に配置されてもよく、第2の表面はハウジングの表示画面と反対側にあり、グリップ部分は少なくともユーザの人差し指によって係合されてもよい。
【0041】
本発明のさらなる態様によれば、挿管に使用するための内視鏡が提供され、内視鏡はハンドル部と表示画面部とを含むハウジングを含み、表示画面部は表示画面と、ハウジングから延在する操作部材とを有し、操作部材は、患者の気道に挿入され、表示装置に画像を送信するように構成され、表示画面は表示画面がハンドル部から空間的に分離されるように、ハウジングのハンドル部とハウジングの表示画面部との間に延在するアーム部とを含む。
【0042】
表示画面がハンドル部から空間的に分離されるように、ハウジングのハンドル部とハウジング部の表示画面部との間に延在するアーム部は内視鏡が患者の気道への挿入の開始時であるかどうか、例えば、オペレータの腕が完全に持ち上げられているとき、または内視鏡が患者の気道に完全に挿入されているとき、例えば、オペレータの腕が下にあるとき、にかかわらず、表示画面が使用中にオペレータに容易に見える構成を可能にするという点で有利である。
【0043】
表示画面がハンドル部から空間的に分離されるように、ハウジングのハンドル部とハウジングの表示画面部との間に延在するアーム部は、また、ユーザの手首が表示画面部とハウジングのハンドル部との間に位置決め可能である配置を可能にする。これは表示画面の位置決めが、使用中にオペレータの手首によって覆い隠されないことを保証するという点で有利である。
【0044】
本発明のさらなる態様によれば、上記で定義された内視鏡の製造方法が提供され、該方法は、ハンドル部および表示画面部を含むハウジングを提供し、表示画面部は表示画面を有し、操作部材はハウジングから延在し、操作部材は、患者の気道に挿入され、表示装置に画像を送信するように構成され、表示画面は表示画面がハンドル部から空間的に分離されるように、ハウジングのハンドル部とハウジングの表示画面部との間に延在するアーム部とを有する、ことを含む。
【0045】
表示画面部は、表示画面を見ることができるウィンドウを含むことができる。表示画面部は、表示装置が収容される略直方体部分を有する可能性がある。したがって、表示画面は例えば、ユーザの手首が表示画面部とハウジングのハンドル部との間に配置可能であるように、ハウジングのハンドル部から空間的に分離されてもよい。
【0046】
表示画面部は、操作部材が延在するハウジングの端部に近接して配置されてもよい。アーム部は使用時に、表示画面部が使用時にハンドル部よりもユーザに近くなるように、ユーザに向かって延びることができる。アーム部は、操作部材が延びるハウジングの端部から延びることができる。
【0047】
ハンドル部は、実質的に円筒状であってもよい。ハンドル部は、人間の手の平均グリップサイズの長さおよび/または円周と同様の長さおよび/または円周であってもよい。ハンドル部は、湾曲している中心縦軸を有していてもよい。
【0048】
アーム部は、ユーザの手首の内側または外側に当接するように配置されてもよい。ハウジングのアーム部は、ハウジングの表示画面部の断面幅よりも小さい断面幅を有することができる。アーム部は、ハンドル部の断面幅よりも小さい断面幅を有することができる。アーム部はハンドル部から実質的に垂直に、例えば、ハンドル部に対して70~120°の角度で延びることができる。表示画面は、ハンドル部、すなわちアーム部の遠位端に対してアーム部の反対側の端部に配置されてもよい。
【0049】
表示画面の動作面とハンドルとの間の間隔は、少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも5cm、または少なくとも10cmであってもよい。
【0050】
表示画面は、LCD画面であってもよい。これは、表示画面が製造するのに安価であり、内視鏡の全体的な製造コストを低減し、それが使い捨て内視鏡として実施されることを可能にするという点で有利である。あるいは、ディスプレイはOLED画面であってもよい。
【0051】
表示画面の中心視軸はアーム部の長手方向軸に対して斜めに、例えば、ユーザの目に向かって上向きに角度を付けられてもよく、表示画面の中心視軸は、ハンドル部の中心長手方向軸に対して斜めに角度を付けられてもよい。具体的には、表示画面の上縁部がハンドル部に向かって傾斜させることができる。表示画面は、実質的に正方形または実質的に長方形の形状であってもよい。
【0052】
操作部材は、ハウジングの端部から延びることができる。操作部材はハウジングから、ハウジングのアーム部に対して実質的に垂直な方向、例えば、70~120といった角度で延びることができる。これは、使用中に、表示画面の位置が操作部材の上方にあることを可能にし、その結果、操作部材が患者の口内に部分的に挿入されているか、または患者の気管内に完全に挿入されているかにかかわらず、表示画面を容易に見ることができるという点で有利である。
【0053】
ハウジングは、ヘッド部をさらに含むことができる。ハウジングのヘッド部は、略円筒状であってもよい。ハウジングのヘッド部は、ハンドル部と同様の直径であってもよい。ハウジングのアーム部は、ハンドル部の第1の端部から延在してもよい。ヘッド部は、ハンドル部の第2の端部から延在してもよい。第1の端部および第2の端部は、反対側の端部であってもよい。
【0054】
操作部材は、直径よりも長さが実質的に長くてもよい。操作部材は、成人または幼児のヒトの口と気管との間の距離に少なくとも実質的に類似した長さであってもよい。しかしながら、好ましくは操作部材が成人または幼児のヒトの口と気管との間の距離よりも実質的に長い長さであり、これにより、操作部材の遠位端が患者の気管内に正しく配置された後に、気管内チューブを装填し、次いで内視鏡上を前進させることが可能になる、操作部材はヒトの気管の平均直径よりも実質的に小さい直径であってもよい。操作部材は、気管内チューブの平均直径よりも実質的に小さい直径であってもよい。
【0055】
操作部材は、気管内チューブ内に受容されるように構成されてもよい。操作部材は、気管内チューブ内に受容されるような形状および/または寸法であり得る。操作部材は、実質的に細長い形状であってもよい。操作部材は、1.0mm~10.0mmの直径、例えば外径を有する可能性がある。操作部材は、2.0mm~5.0mmの直径を有する可能性がある。操作部材は、100mm~1000mmの長さを有する可能性がある。操作部材は、200mm~700mmの長さを有する可能性がある。
【0056】
操作部材の遠位端は、丸みを帯びた先端を備えてもよい。遠位端とは、使用中に最初に患者の気管に入る操作部材の端部を意味する。丸みを帯びた先端は、円形の断面を備えてもよく、および/または実質的に半球形の全体形状を備えてもよい。
【0057】
操作部材は体の内部表面を照明するための光源を備えることができ、そこから、表示装置に送信された画像が得られる。光源は、操作部材の遠位先端に配置されてもよい。光源はLEDであってもよい。
【0058】
あるいは、光源がハウジング内のランプから操作部材の遠位端まで延在する1つ以上の光ガイド、例えば光ファイバを備えてもよい。ハウジング内のランプは、LEDであってもよい。操作部材はその遠位端で光、例えば、撮像される身体の内面によって反射される光源からの光を受け取って、表示装置に伝送される画像を形成するように構成されてもよい。光は、操作部材の遠位端の開口部および/またはレンズを通して受け取られてもよい。
【0059】
内視鏡は、画像を電子フォーマットに変換するための装置、例えば画像センサを含むことができる。表示装置は電子フォーマット、例えば、従来の画像又はビデオフォーマットで画像を受信することができる。画像センサは、静止画像及び/又はビデオシーケンス画像を捕捉するように構成することができる。
【0060】
画像センサは、操作部材の遠位端に配置されてもよい。この構成では、画像が例えば、操作部材およびハウジングを介して表示装置に有線接続することによって、電子フォーマットで表示装置に送信されてもよい。あるいは、画像を形成する光が操作部材の近位端において、ハウジングによって収容されるイメージセンサに伝送されてもよい。この構成では、操作部材が操作部材の遠位端からハウジング内の画像センサまで延びる1つまたは複数の光ガイド、例えば光ファイバを含むことができる。
【0061】
画像は、瞬間的な画像であってもよい。すなわち、使用時に、表示画面は、患者の気管のリアルタイム画像を表示することができる。画像は、単一の画像であってもよい。これは、ユーザが気管内の気管内チューブの位置決めの調整をリアルタイムで見ることを可能にするという点で有利である。あるいは、画像はビデオ画像であってもよい。
【0062】
操作部材は、それを通るチャネルを備えてもよい。チャネルは、操作部材の長手方向軸に平行に延びることができる。チャネルは、操作部材の近位端および遠位端に開口部を備えてもよい。操作部材がそのようなチャネルを備える場合、ハウジングはチャネルがハウジングを通ってアクセス可能であるように、操作部材の近位端の開口部に通じる開口部を備えることができる。チャネルは、使用中に患者の気管に流体を挿入または引き出すために使用されてもよい。
【0063】
本発明のさらなる態様によれば、挿管に使用するための内視鏡が提供され、内視鏡はハンドル部と、表示画面を有する表示装置と、ハウジングから延在する操作部材とを含むハウジングを備え、操作部材は患者の気道に挿入され、表示装置に画像を送信するように構成され、ハウジングは表示装置を収容し、表示画面はハウジング内の窓を通して見ることができる。
【0064】
本発明のこの態様は主として、ハウジングが表示装置を収容し、表示画面がハウジング内の窓を通して見ることができるので有利である。これにより、表示装置を含む内視鏡を一体化された装置として提供することができ、したがって、表示装置および内視鏡の操作部材を、例えば使い捨ての使い捨て装置として、無菌環境で一緒に包装することができ、それによって感染の広がりの危険性が低減される。反対に、ビデオスコープに接続されたビデオ表示は、それらのコストを正当化するために長期間にわたる複数の操作のために使用され、したがって、感染の伝播の危険性を低減するために繰り返し滅菌する必要がある。
【0065】
また、本発明は、製造コストを低減するなどの著しい製造上の利点を提供する。
【0066】
したがって、本発明のこの態様による内視鏡は、単一の滅菌パッケージで提供される、単一使用の使い捨てデバイスを含むことができる。ハウジングはその中に収容された表示装置を含み、単一のアイテムとしてユーザに提供されてもよく、これは、エンドユーザによる組み立てを必要としない。したがって、ハウジングは、外部表示装置への出力接続を欠いていてもよい。
【0067】
表示装置は、ハウジングの少なくとも取っ手部分と一体的に形成されたハウジングの表示画面部内に収容することができる。ハウジングおよび/または表示装置の表示画面部は例えば、内視鏡のハウジングを分解または破壊することなく、内視鏡のハウジングの残りの部分から取り外し不能であってもよい。内視鏡のハウジングは、ハンドルハウジング部および表示画面ハウジング部の一部を画定する少なくとも1つのハウジング構成要素を備えることができる。
【0068】
なお、表示画面収容部は、ハンドル部と同じ材質から形成されていてもよい。表示画面部は、ハウジングの残りの部分と同じ材料から形成されてもよい。
【0069】
操作部材は、コネクタを介して内視鏡のハウジングに接続されてもよい。操作部材はコネクタに取り外し可能に取り付けることができ、したがって、内視鏡のハウジングから取り外すことができ、また、内視鏡のハウジングに再度取り付けることができる。あるいは、操作部材がコネクタを介して内視鏡のハウジングに永久的に取り付けられてもよく、すなわち、例えば、コネクタと一体に形成されて、取り外し可能でなくてもよい。
【0070】
本発明のさらなる態様によれば、上記で定義された内視鏡の製造方法が提供され、該方法は、
(i)ハンドル部と、表示画面を有する表示装置と、ハウジングから延在する操作部材とを含むハウジングを提供する工程であって、操作部材は、患者の気道に挿入され、画像を表示装置に送信するように構成される、工程と、
(ii)表示画面がハウジングの窓を通して見えるように、表示装置を収容するためにハウジングを組み立てる工程と、
を含む。
【0071】
本発明の実施可能な実施形態を、添付の図面を参照して、単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、内視鏡の正面斜視図である。
図2図2は、図1の内視鏡の背面斜視図である。
図3図3は、操作部材に接続された図1および図2の内視鏡の下側斜視図である。
図4図4は、図1~3の内視鏡の断面斜視図である。
図5図5図1~3のものと同様であるが、操作部材の回転運動のための代替の作動機構を有する内視鏡の後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1図3は、本開示による内視鏡10を示す。内視鏡10は、一端にヘッド部40を有する本体部20を備える。本体部20の他端からアーム部30が延びている。アーム部30の他端には、表示画面を構成する一体型表示部50が設けられている。ヘッド部40は、スロット70内に取り付けられたアクチュエータ60を備える。本体部20は使用時に患者の気道内に挿入するための操作部材を受容し、かつ操作部材に接続するように構成されたポート80をさらに備える。
【0074】
本体部20は実質的に円筒形の本体であり、使用者のハンドグリップの円周および長さと同様の円周および長さを有し、その結果、本体部20は、使用者によって片手で容易に保持され得る。本体部20はヘッド部40および本体部20の下端が内視鏡10の後部でさらに外側に延びるように、実質的に凹状の後縁を有し、内視鏡10の使用者の把持をさらに助ける。
【0075】
ヘッド部40もまた、本体部20と同様の円周を有する実質的に円筒形の本体である。アーム部30は本体部20およびアーム部30が実質的にL字形の内視鏡本体を形成するように、本体部20に対して実質的に垂直に延在する。アーム部30は丸みを帯びた縁部を有する実質的に直方体の本体であり、これは、本体部20およびヘッド部40よりも直径が実質的に小さい。
【0076】
ヘッド部40はその前側に凹部を備え、凹部はその中にスロット70を有する。スロット70内には、スロット70の一方の端部から他方の端部へ垂直に移動可能なアクチュエータ60がある。また、スロット70及びアクチュエータ60は使用者が内視鏡10を保持して表示画面を見るときに親指でアクチュエータ60を操作することができるように、ヘッド部40の前側に配置されている。
【0077】
本体部20の底端部、すなわちヘッド部40の反対側の表面には、ポート80がある。ポート80は実質的に円形であり、可撓性の操作部材100(図3に示される)を受容し、そしてそれに接続するように構成され、操作部材100は、使用中に患者に挿入されるためのものである。
【0078】
ヘッド部40のスロット70と対向する側には、アクチュエータ60が把持部90(図2参照)となっている。把持部90は内視鏡10を把持する際に使用者の第1の指が接触するように、ヘッド部40の後側に配置されている。
【0079】
図4図1~3の内視鏡10の断面図を示し、ヘッド部40およびアクチュエータ60がポート80内に受け入れられた操作部材100の移動を制御する機構を示す。
【0080】
ヘッド部40は本体部20に対して回転可能であり、接続部材120を介して操作部材100に固定的に接続されている。ヘッド部40及び接続部材120は、本体部20を貫通する対応する受け入れチャンネルに挿入するための一体部品として形成することができる。使用時には、操作部材100がポート80を通して挿入され、接続部材120に固定的に接続される。接続部材120は本体部20を通ってポート80とヘッド部40との間に延在し、ヘッド部40をその中に受け入れられた操作部材100に機械的に接続する。
【0081】
したがって、本体部20に対するヘッド部40の回転は本体部20に対する、すなわち、操作部材100の長手方向軸の周りの、接続部材120および操作部材100の対応する回転を引き起こす。従って、ヘッド部40の反時計方向への回転は操作部材100の反時計方向への回転を引き起こし、ヘッド部40の時計方向への回転は術部材100の時計方向への回転を引き起こす。
【0082】
グリップ部分90は、内視鏡を保持するユーザがグリップ部分90に接触する第1の指のみを使用してヘッド部40を回転させることを可能にするので、この機能に特に有用である。
【0083】
この構成により、使用者は本体部20を残りの手で静止状態に保ちながら、ヘッド部40を回転させ、したがって、操作部材100を1本の指だけで回転させることができる。この相対運動は、使用者がそれ自体に対するディスプレイ50の向きを変化させることなく、操作部材100を制御することを可能にし、したがって、使用中、ディスプレイ、したがって患者の気管の一定の視界を維持することを可能にする。
【0084】
アクチュエータ60は、使用時に操作部材100の動きを制御するようにスロット70内で移動可能なレバーを備える。特に、操作部材100の遠位先端部が操作部材100の本体に対して斜めの角度の範囲に移動可能であるように、操作部材100の遠位先端部の配向を制御するように、アクチュエータはスロット70内で移動可能である。使用中、操作部材100は患者の気管内に挿入され、操作部材100の遠位先端部分は、次いで、操作部材100の本体に対して移動され得る。適切な機構は、米国特許出願公開第2018/0303317号明細書に詳細に示されている。
【0085】
接続部材120は、チャネルを備え、このチャネルを通して、一対のスレッドがアクチュエータ60をポート80内に受け入れられた操作部材100に接続する。アクチュエータ60は、ホイール140に機械的に接続され、このホイールは次に、各スレッドの第1の端部で一対のスレッドに接続される。ねじ山は、各ねじ山の第2の端部で操作部材100に接続される。
【0086】
アクチュエータ60がスロット70内で一方向に動かされると、それはホイール140を反時計回り方向に回転させ、かくして第1のねじ山を締め付け、操作部材100の本体に対して第1の方向に角度が付くように末端先端部分を曲げる。アクチュエータ60がスロット70内で反対方向に動かされると、それはホイール140を時計回り方向に回転させ、かくして第2のねじ山を締め付け、操作部材100の本体に対して第2の反対方向に角度が付けられるように遠位先端部分を曲げる。したがって、アクチュエータ60がスロット70内の中央に配置されると、遠位先端部分は、角度をなしているのではなく、操作部材100の本体と整列する。
【0087】
代替の公知の作動機構が、操作部材100の回転および操作部材100の遠位先端部分の関節運動の両方を制御するために実施され得ることが理解される。
【0088】
操作部材100の回転を制御するための1つのこのような別の実施例が図5に示されており、この別の実施例では、内視鏡10がヘッド部40の後面のスロット内に配置されたホイール160を備えている。この実施形態ではヘッド部40が本体部20に対して固定され、代わりに、ホイール160は操作部材100の回転運動を制御する。ホイール160はヘッド部40内で回転可能であり、従って、ヘッド部40及び本体部20の両方に対して回転可能である。
【0089】
図4に示す実施形態と同様に、操作部材100は、ポート80を通して挿入され、例えばスナップ嵌めでチャネル内に固定的に受け入れられる。チャネルはポート80とホイール160との間を本体部20及びヘッド部40を通って延び、ホイール160をその中に受け入れられた操作部材100に機械的に接続する。したがって、ヘッド部40内でのホイール160の回転は本体部20に対して、すなわち、操作部材100の長手方向軸の周りで、チャネル120および操作部材100の対応する回転を引き起こす。
【0090】
従って、ホイール160の反時計方向への回転は操作部材100の反時計方向への回転を引き起こし、ホイール160の時計方向への回転は術部材100の時計方向への回転を引き起こす。
【0091】
図4に関連して説明した実施形態と同様に、この構成により、ユーザはディスプレイ50の向きを変えることなく、ヘッド部40内でホイール160を回転させることができ、したがって、操作部材100を回転させることができ、使用中に表示、したがって患者の気管の一定の視界を維持することができる。
【0092】
操作部材の回転および/または操作部材の遠位先端部分の関節運動を制御するための他の代替の作動機構は例えば、本体部20内に収容された上記のホイール機構160、または操作部材の回転に使用するための上記のアクチュエータ60およびスロット70と同様の追加の作動機構を含み得る。
【0093】
操作部材100はその遠位先端、すなわち、使用中に最初に患者の気管に入る操作部材100の端部に、LEDなどの光源を備える。光源は患者の内面を照明するために使用され、そこから、表示装置に伝送された画像が得られる。操作部材100は本体部20から操作部材100の遠位端まで延在する1つ以上の光ガイド、例えば光ファイバを含み、これを通って画像が表示装置に中継される。
【0094】
操作部材100の遠位先端部分は画像を電子フォーマットに変換するための画像センサを備え、画像センサは操作部材100の遠位端に配置される。画像は、単一の画像またはビデオの形成であってもよい。これらの画像は、表示画面50に中継され、表示される。画像は、操作部材100および本体部20およびアーム部30を介して表示画面50に有線接続することによって、表示画面50に電子フォーマットで伝送することができる。
【0095】
操作部材100の遠位先端は、例えば曲げることによって形成可能である。特に、操作部材100の遠位先端は上述のように操作部材100の主要部分に対して曲げることができるように、可鍛性である。
【0096】
表示部50は、その内部に表示画面と、略正方形状である。表示部50は表示画面が本体部20の垂直軸に対してわずかに上方に傾くように、本体部20の垂直軸に対して傾斜している。これにより、オペレータが内視鏡10を使用しているときに、表示画面を見やすくすることができる。
【0097】
使用に際して、操作部材100を気管内チューブに挿入し、気管を画像化する。次に、気管内チューブの遠位端が気管内に位置し、気管内チューブの近位端が患者の口から突き出るように、内視鏡10および気管内チューブを気管内に導入する。操作部材100が画像を表示画面50に送信すると、ユーザは内視鏡10が患者の気管を通過するときを見ることができ、気管内チューブが内視鏡10にあらかじめ装填されているので、気管内チューブが患者の気管を通過するときを知ることになる。操作部材100の遠位先端部分の位置は内視鏡10および気管内チューブが適切に案内され、表示画面50が気管内チューブのこの案内を容易にするために、挿入中に身体の画像を提供するように、アクチュエータ60および回転可能なヘッド部40を使用して、ユーザによって制御される。気管内チューブの遠位端が気管内に適切に配置されると、操作部材100は、喉頭鏡とともに引き抜かれる。
【0098】
代わりに、気管内チューブが内視鏡10上にあらかじめ負荷されていない場合、内視鏡10は、気管内チューブが挿入されるにつれて気管を画像化するように気管のすぐ外側に配置されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】