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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】フッ素化電解質添加剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 68/02 20060101AFI20221115BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221115BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20221115BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20221115BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20221115BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20221115BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20221115BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221115BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20221115BHJP
   C07C 69/96 20060101ALI20221115BHJP
   C07C 301/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C07C68/02 B
H01M10/0569
H01M10/0567
H01M10/0568
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/38 Z
H01M4/36 E
H01M4/48
C07C69/96 Z
C07C301/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542631
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-04-19
(86)【国際出願番号】 US2020051207
(87)【国際公開番号】W WO2021055560
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/901,553
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522105757
【氏名又は名称】イースリートライジェン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ボレロ
(72)【発明者】
【氏名】ネヴィル・パヴリ
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・コヴァレンコ
【テーマコード(参考)】
4H006
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB80
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM06
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ10
5H050AA07
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA10
(57)【要約】
本開示は、電池に有用なフッ素化ジアルキルカーボネート及びサルファイト化合物を調製するための反応溶媒としての1,1,1,3,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン(HFMOP)などのフッ素化エーテルの使用、並びに高Niカソード及びシリコン含有アノードを含む電池における使用のためのフッ素化合物を含む電解質に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素化有機カーボネート又はフッ素化有機サルファイトを製造するための方法であって、少なくとも1つのフッ素原子を含む第1の反応物質を、脱離基Lを含む式20A又は式20Bの第2の反応物質と反応させることを含み、
【化1】
前記反応が、フッ素化溶媒の存在下で行われ;Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、及び任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールから選択され;Lは脱離基であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の反応物質が、フッ素化アルコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フッ素化有機カーボネートが、フッ素化ジアルキルカーボネートである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素化有機サルファイトが、フッ素化ジアルキルサルファイトである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の反応物質が、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の反応物質が、1以上の-CF基を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の反応物質が、2-フルオロエタノール、2,2-ジフルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-フルオロ-1-プロパノール、3,3-ジフルオロ-1-プロパノール、3,3,3-トリフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、4,4,4-トリフルオロ-1-ブタノール、及び5,5,5-トリフルオロ-1-ペンタノールから選択される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第1の反応物質が1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールである、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
が、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
が、ハロゲン又は-OR基から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
が、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
が、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
が、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
が、ハロゲン又は-OR基から選択される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
が、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
が、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記式20Aの化合物が、クロロホルメートである、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記クロロホルメートが、アルキルクロロホルメートである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記クロロホルメートが、メチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、n-プロピルクロロホルメート、又は2-プロピルクロロホルメートである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記フッ素化有機カーボネートが、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記式20Bの化合物が、チオニルクロリドである、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記フッ素化有機サルファイトが、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される、請求項1から19のいずれか又は請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フッ素化溶媒が、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記フッ素化溶媒が、1以上の-CF基を含む、請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記フッ素化溶媒が、2以上の-CF基を含む、請求項1から22のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記フッ素化溶媒が、式10を有するエーテル又はチオエーテルである、請求項1から25のいずれかに記載の方法。
【化2】
(式中、Xは、O又はSであり、Rは、完全又は部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。)
【請求項27】
が、完全又は部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rが、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フッ素化溶媒が、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む、又は前記フッ素化溶媒が、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルである、請求項1から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記反応が、アミンの存在下で行われる、請求項1から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記アミンが、アルキルアミン又はピリジンである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アルキルアミンが、トリアルキルアミンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アミンが、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジン、及びN,N-ジメチルアニリンから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記反応が、約-40℃~約80℃の温度で行われる、請求項1から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記反応が、約-40℃~約70℃の温度で行われる、請求項1から32のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記反応が、約0℃~約35℃の温度で行われる、請求項1から32のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記反応が、約10℃~約35℃の温度で行われる、請求項1から32のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
溶媒成分を含む電解質を含む電池であって、前記溶媒成分が、約1ppm~約60%の量のフッ素化化合物を含み、前記フッ素化化合物が、式I、式II(a)、式II(b)、式III、又は式IVのいずれかを有することを特徴とする電池。
【化3】
(式中、R10及びR20は、独立して、C1-C6アルキル、C1-C8アルキル、シクロアルキル、アリール、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C6アルキル、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C8アルキル、完全又は部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及び完全又は部分的にフッ素化されたアリールから選択される。)
【請求項38】
20が、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C6アルキルである、請求項37に記載の電池。
【請求項39】
20が、1以上の-CF基を含む、請求項37に記載の電池。
【請求項40】
20が、1~3基の-CF基を含む、請求項37に記載の電池。
【請求項41】
20が、トリフルオロエチル又はヘキサフルオロイソプロピルから選択される、請求項37に記載の電池。
【請求項42】
10が、メチル、エチル、n-プロピル、及び2-プロピルから選択される、請求項37から41のいずれかに記載の電池。
【請求項43】
10が、完全又は部分的にフッ素化されたメチル、完全又は部分的にフッ素化されたエチル、完全又は部分的にフッ素化されたn-プロピル、及び完全又は部分的にフッ素化された2-プロピルから選択される、請求項37から41のいずれかに記載の電池。
【請求項44】
10が、1以上の-CF基を含む、請求項37から41のいずれかに記載の電池。
【請求項45】
10が、1~3基の-CF基を含む、請求項37から41のいずれかに記載の電池。
【請求項46】
10及びR20が、同一である、請求項37に記載の電池。
【請求項47】
前記式IVの化合物が、式400、式401、式402、又は式403のいずれかの化合物である、請求項37に記載の電池。
【化4】
【請求項48】
前記式Iの化合物が、式100、式101、式102、又は式103のいずれかの化合物である、請求項37に記載の電池。
【化5】
【請求項49】
前記式II(a)の化合物が、式200、式201、式202、又は式203のいずれかの化合物である、請求項37に記載の電池。
【化6】
【請求項50】
前記式IIIの化合物が、式300又は式301の化合物である、請求項37に記載の電池。
【化7】
【請求項51】
前記フッ素化化合物が、式10のエーテル又はチオエーテルである、請求項37に記載の電池。
【化8】
(式10において、Xは、O又はSであり、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。)
【請求項52】
が、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり、Rが、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である、請求項51に記載の電池。
【請求項53】
前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、請求項51から52のいずれかに記載の電池。
【請求項54】
前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、1以上の-CF基を含む、請求項51から53のいずれかに記載の電池。
【請求項55】
前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、2以上の-CF基を含む、請求項51から53のいずれかに記載の電池。
【請求項56】
前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む、請求項51から55のいずれかに記載の電池。
【請求項57】
前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルである、請求項51から55のいずれかに記載の電池。
【請求項58】
前記溶媒成分が、前記フッ素化化合物を、約1ppm~約5000ppmの量で含む、請求項37から57のいずれかに記載の電池。
【請求項59】
前記溶媒成分が、前記フッ素化化合物を、約0.0001%~約5%の量で含む、請求項37から57のいずれかに記載の電池。
【請求項60】
前記溶媒成分が、前記フッ素化化合物を、約0.1%~約2%の量で含む、請求項37から57のいずれかに記載の電池。
【請求項61】
前記電解質が、非水系電解質であり、前記溶媒成分が部分的にフッ素化された有機カーボネート及び非フッ素化有機カーボネートのうちの1以上を更に含む、請求項37から60のいずれかに記載の電池。
【請求項62】
前記非フッ素化カーボネートが、EC(エチレンカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)、DMC(ジメチルカーボネート)、PC(プロピレンカーボネート)、及びVC(ビニレンカーボネート及び/又はビニリデンカーボネート)のうちの1以上を含む、請求項61に記載の電池。
【請求項63】
前記溶媒成分中のVCの量が、約0.001%~約2%である、請求項62に記載の電池。
【請求項64】
前記部分的にフッ素化されたカーボネートが、FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含み、前記溶媒成分中のFECの量が、約0.001%~約10%である、請求項61に記載の電池。
【請求項65】
前記電解質が、更に、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、又は任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールのうちの1以上を含むフッ素化有機カーボネート又はフッ素化有機サルファイトを含む、請求項37から60のいずれかに記載の電池。
【請求項66】
前記フッ素化有機カーボネートが、フッ素化ジアルキルカーボネートである、請求項65に記載の電池。
【請求項67】
前記フッ素化有機サルファイトが、フッ素化ジアルキルサルファイトである、請求項65に記載の電池。
【請求項68】
前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、請求項65から67のいずれかに記載の電池。
【請求項69】
前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、1以上の-CF基を含む、請求項65から67のいずれかに記載の電池。
【請求項70】
前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む、請求項65から67のいずれかに記載の電池。
【請求項71】
前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、1又は2基の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基を含む、請求項65から67のいずれかに記載の電池。
【請求項72】
前記フッ素化有機カーボネートが、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される、請求項65に記載の電池。
【請求項73】
前記フッ素化有機サルファイトが、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される、請求項65に記載の電池。
【請求項74】
前記電解質が、更に、アルカリ塩を含む、請求項37から73のいずれかに記載の電池。
【請求項75】
前記アルカリ塩が、前記溶媒成分に溶解しており、前記アルカリ塩の濃度が、約1M~約1.5Mである、請求項74に記載の電池。
【請求項76】
前記アルカリ塩が、前記溶媒成分に溶解しており、前記アルカリ塩の濃度が、約1M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、又は約1.5Mである、請求項74に記載の電池。
【請求項77】
前記アルキル塩が、リチウム塩である、請求項74から76のいずれかに記載の電池。
【請求項78】
前記リチウム塩が、LiPFである、請求項77に記載の電池。
【請求項79】
前記カソードが、ニッケル、マンガン、及びコバルトから選択される金属を含む請求項37から78のいずれかに記載の電池。
【請求項80】
前記カソードが、約70%~約90%のニッケルを含む、請求項37から78のいずれかに記載の電池。
【請求項81】
前記カソードが、約1%~約15%のマンガンを含む、請求項37から78のいずれかに記載の電池。
【請求項82】
前記カソードが、約1%~約15%のコバルトを含む、請求項37から78のいずれかに記載の電池。
【請求項83】
前記カソードが、約80%のニッケル、約10%のマンガン、及び約10%のコバルトを含む、請求項37から78のいずれかに記載の電池。
【請求項84】
前記カソードが、約90%のニッケル、約5%のマンガン、及び約5%のコバルトを含む、請求項37から78のいずれかに記載の電池。
【請求項85】
前記アノードが、約2%~約75%のシリコンを含む、請求項37から84のいずれかに記載の電池。
【請求項86】
前記アノードが、約2%~約70%の酸化シリコングラファイト複合体を含む、請求項37から84のいずれかに記載の電池。
【請求項87】
前記アノードが、約2%~約70%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む、請求項37から84のいずれかに記載の電池。
【請求項88】
前記電池が、再充電可能であり、約150~約500サイクルのサイクル寿命を有する、請求項37から87のいずれかに記載の電池。
【請求項89】
前記電池が、少なくとも200サイクルのサイクル寿命を有する、請求項88に記載の電池。
【請求項90】
前記電池が、少なくとも250サイクルのサイクル寿命を有する、請求項88に記載の電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全体を本明細書に援用する、2019年9月17日出願の米国仮特許出願第62/901,553号の利益を主張する国際特許出願である。
【0002】
本開示は、電池に有用なフッ素化ジアルキルカーボネート及びサルファイト化合物を調製するための反応溶媒としての1,1,1,3,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン(HFMOP)などのフッ素化エーテルの使用、並びにフッ素化ジアルキルカーボネート及びサルファイト化合物と、HFMOPなどの低レベルのフッ素化エーテルとを含む電池電解質に関する。電解質の成分としてフッ素化エステル、カーボネート、及びエーテルを使用すると、NMC811などの高NiカソードとSiを含むアノードとを含む電気化学セルの性能が向上する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池は、我々の日常生活の至るところにみられる。より長持ちし、より安全な電池のためにエネルギー密度を改善する必要が常に存在する。
【0004】
カーボネート及びサルファイト化合物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらから構成される材料で構成されるカソードを備える非水系電池の電解質溶媒及び添加剤として、それぞれ使用される。例えば、リチウムイオン電池は、ジメチルカーボネート又はエチレンカーボネートなどの直鎖状又は環状カーボネートを一般に使用する。しかし、4.4Vを超える電池電圧では、これらの化合物が分解し、結果として電池性能が損なわれる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、限定するものではないが、フッ素化有機カーボネート及びフッ素化有機サルファイトを含むフッ素化化合物を製造するための方法を提供する。幾つかの実施形態では、前記方法は、少なくとも1つのフッ素原子を含む第1の反応物質を、式20A又は式20Bの第2の反応物質と反応させることを含み、前記式20A又は式20Bの反応物質は、脱離基Lを含む。
【化1】
【0006】
前記反応は、フッ素化溶媒の存在下で行われ;Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、及び任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールから選択され;Lは脱離基である。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、フッ素化アルコールである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、フッ素化ジアルキルカーボネートである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、フッ素化ジアルキルサルファイトである。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、2-フルオロエタノール、2,2-ジフルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-フルオロ-1-プロパノール、3,3-ジフルオロ-1-プロパノール、3,3,3-トリフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、4,4,4-トリフルオロ-1-ブタノール、及び5,5,5-トリフルオロ-1-ペンタノールから選択される。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールである。幾つかの実施形態では、Lは、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される。幾つかの実施形態では、Lは、ハロゲン又は-OR基から選択される。幾つかの実施形態では、Rは、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである。幾つかの実施形態では、Lは、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される。幾つかの実施形態では、Lは、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される。幾つかの実施形態では、Lは、ハロゲン及び-OR基から選択される。幾つかの実施形態では、Rは、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである。幾つかの実施形態では、Lは、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される。幾つかの実施形態では、前記式20Aの化合物は、クロロホルメートである。幾つかの実施形態では、前記クロロホルメートは、アルキルクロロホルメートである。幾つかの実施形態では、前記クロロホルメートは、メチルクロロホルメート又はエチルクロロホルメートである。幾つかの実施形態では、フッ素化有機カーボネートは、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。幾つかの実施形態では、前記式20Bの化合物は、チオニルクロリドである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、2以上の-CF基を含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、式10を有するエーテル又はチオエーテルである。
【化2】
【0008】
式中、Xは、O又はSであり、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルである。幾つかの実施形態では、前記反応は、アミンの存在下で行われる。幾つかの実施形態では、前記アミンは、アルキルアミン又はピリジンである。幾つかの実施形態では、前記アルキルアミンは、トリアルキルアミンである。幾つかの実施形態では、前記アミンは、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジン、及びN,N-ジメチルアニリンから選択される。幾つかの実施形態では、前記反応は、約-40℃~約80℃の温度で行われる。幾つかの実施形態では、前記反応は、約-40℃~約70℃の温度で行われる。幾つかの実施形態では、前記反応は、約0℃~約35℃の温度で行われる。幾つかの実施形態では、前記反応は、約10℃~約35℃の温度で行われる。
【0009】
本開示はまた、約1ppm~約5,000ppmの量のフッ素化エーテル又はチオエーテルを含む電解質を含む電池を提供する。幾つかの実施形態では、前記電池は、再充電可能であり、前記電池は、少なくとも250サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、式10を有する。
【化3】
【0010】
式中、Xは、O又はSであり、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、2以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルである。幾つかの実施形態では、前記電池は、アルカリ金属イオン電池である。幾つかの実施形態では、前記電池は、リチウムイオン電池である。幾つかの実施形態では、前記電解質は、更に、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、又は任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールのうちの1以上を含むフッ素化有機カーボネート又はフッ素化有機サルファイトを含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、フッ素化ジアルキルカーボネートである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、フッ素化ジアルキルサルファイトである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、1又は2基の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される。
【0011】
本開示はまた、溶媒成分を含む電解質を含む電池を提供し、前記溶媒成分は、約1ppm~約60%の量のフッ素化化合物を含み、前記フッ素化化合物は、式I、式II(a)、式II(b)、式III、又は式IVのいずれかを有する。
【化4】
【0012】
式中、R10及びR20は、独立して、C1-C6アルキル、C1-C8アルキル、シクロアルキル、アリール、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C6アルキル、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C8アルキル、完全又は部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及び完全又は部分的にフッ素化されたアリールから選択される。幾つかの実施形態では、R20は、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C6アルキルである。幾つかの実施形態では、R20は、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、R20は、1~3基の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、R20は、トリフルオロエチル又はヘキサフルオロイソプロピルから選択される。幾つかの実施形態では、R10は、メチル、エチル、n-プロピル、及び2-プロピルから選択される。幾つかの実施形態では、R10は、完全又は部分的にフッ素化されたメチル、完全又は部分的にフッ素化されたエチル、完全又は部分的にフッ素化されたn-プロピル、及び完全又は部分的にフッ素化された2-プロピルから選択される。幾つかの実施形態では、R10は、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、R10は、1~3基の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、R10及びR20は同一である。
【0013】
幾つかの実施形態では、式IVの化合物は、式400、式401、式402、又は式403のいずれかの化合物である。
【化5】
【0014】
幾つかの実施形態では、式Iの化合物は、式100、式101、式102、又は式103のいずれかの化合物である。
【化6】
【0015】
幾つかの実施形態では、式II(a)の化合物は、式200、式201、式202、又は式203のいずれかの化合物である。
【化7】
【0016】
幾つかの実施形態では、式IIIの化合物は、式300又は式301の化合物である。
【化8】
【0017】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化化合物は、式10のエーテル又はチオエーテルである。
【化9】
【0018】
式10において、Xは、O又はSであり、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。
【0019】
幾つかの実施形態では、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり、Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、1以上の-CFを含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、2以上の-CFを含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルである。
【0020】
幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、約1ppm~約5000ppmの量のフッ素化化合物を含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、約0.0001%~約5%の量のフッ素化化合物を含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、約0.1%~約2%の量のフッ素化化合物を含む。
【0021】
幾つかの実施形態では、前記電解質が非水系電解質であり、前記溶媒成分が部分的にフッ素化された有機カーボネート及び非フッ素化有機カーボネートのうちの1以上を更に含む。幾つかの実施形態では、前記非フッ素化カーボネートは、EC(エチレンカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)、DMC(ジメチルカーボネート)、PC(プロピレンカーボネート)、及びVC(ビニレンカーボネート又はビニリデンカーボネート)のうちの1以上を含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約0.001%~約2%である。幾つかの実施形態では、前記部分的にフッ素化されたカーボネートは、FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含み、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.001%~約10%である。
【0022】
幾つかの実施形態では、前記電解質は、更に、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、又は任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールの1以上を含むフッ素化有機カーボネート又はフッ素化有機サルファイトを含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、フッ素化ジアルキルカーボネートである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、フッ素化ジアルキルサルファイトである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、1以上の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基を含む。
【0023】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される。
【0024】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、エチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、エチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、エチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、エチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、エチル(2-フルオロエチル)カーボネート、エチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、エチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、エチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、エチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、エチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、エチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びエチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。
【0025】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、n-プロピル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、n-プロピル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、n-プロピル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、n-プロピル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、n-プロピル(2-フルオロエチル)カーボネート、n-プロピル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、n-プロピル(3-フルオロプロピル)カーボネート、n-プロピル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、n-プロピル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、n-プロピル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、n-プロピル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びn-プロピル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。
【0026】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、イソプロピル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、イソプロピル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、イソプロピル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、イソプロピル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、イソプロピル(2-フルオロエチル)カーボネート、イソプロピル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、イソプロピル(3-フルオロプロピル)カーボネート、イソプロピル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、イソプロピル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、イソプロピル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、イソプロピル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びイソプロピル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。
【0027】
本開示はまた、本明細書に記載される電解質を含む電池を提供する。幾つかの実施形態では、前記電解質は、アルカリ塩を更に含む。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩は前記溶媒成分に溶解し、前記アルカリ塩の濃度は、約1M~約1.5Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩は前記溶媒成分に溶解し、前記アルカリ塩の濃度は、約1M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、又は約1.5Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩は、リチウム塩である。幾つかの実施形態では、前記リチウム塩は、LiPFである。
【0028】
本開示はまた、本明細書に記載されるアノードとカソードとを含む電池を提供する。幾つかの実施形態では、前記カソードは、ニッケル、マンガン、及びコバルトから選択される金属を含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約70%~約90%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約1%~約15%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約1%~約15%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約80%のニッケル、約10%のマンガン、及び約10%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約90%のニッケル、約5%のマンガン、及び約5%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約2%~約75%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約2%~約70%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約2%~約70%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。
【0029】
本開示はまた、本明細書に記載の電池を提供し、前記電池は、再充電可能であり、前記電池は、約150~約500サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、少なくとも200サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、少なくとも250サイクルのサイクル寿命を有する。
【0030】
前述の概要及び本開示の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読まれることにより、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含む電解質を使用した場合に対する、電解質混合物のフッ素化成分としてトリフルオロエチルメチルカーボネート(F3EMC)を使用した場合のNMC811カソードとシリコン複合体アノードとを含む電池における高温での性能向上を示す。
【0032】
図2図2は、FECを含む電解質を使用した場合に対する、トリフルオロエチルアセテートエステルを含む電解質を使用した場合のNMC811カソードとシリコン複合体アノードとを含む電池における高温での性能向上を示す。
【0033】
図3図3は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含む電解質を使用した場合に対する、ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン(ヘキサフルオロ-2-プロピルメチルエーテル)を含む電解質を使用した場合のNMC811カソードとシリコン複合体アノードとを含む電池における高温での性能向上を示す。
【0034】
詳細な説明
例えば、NMC811等の高ニッケルのカソード、及びシリコン複合体アノードなどの、より高いエネルギー密度の電極を使用することに大きな関心が寄せられている。高ニッケルのNMC811を使用して製造され、シリコンアノードを備える電池は、商業的に重要であるが、依然として性能の改良が必要である。主な欠点は、このタイプの電池の電解質が分解し、結果としてサイクル性能が低下することである。フルオロエチレンカーボネート(FEC)は、これらの系における電解質添加剤又は共溶媒として広く使用されており、Si複合アノード上にSEI層を生成するのに役立つ。FECの使用は、重大な欠点を有する。これは、セル内で大量のガスが発生し、安全性上の問題が生じるためである。
【0035】
本開示は、電池サイクル寿命を更に改善するために、電解質中のFECと組み合わせられる、他のフッ素化カーボネート、エーテル、及びエステルの使用を提供する。本開示は更に、FECに代えて、及び/又はFECと組み合わせて、トリフルオロメチル化カーボネートを使用することを提供し、その結果、サイクル寿命が大幅に改善される。
【0036】
幾つかの実施形態では、本開示は、溶媒としてヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルを用いてカーボネート及びサルファイトを製造する改良されたプロセスを提供する。
【0037】
幾つかの実施形態では、本開示は、フッ素化エーテル又はチオエーテルを含む電解質を含む電池を提供する。幾つかの実施形態では、電解質中のフッ素化エーテル又はチオエーテルの量は、1~5000ppmである。くつかの実施形態では、電解質中のフッ素化エーテル又はチオエーテルの量は、0.0001%~2%である。幾つかの実施形態では、これらのエーテルは、1~5000ppmの量のヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルを含む。幾つかの実施形態では、これらのエーテルは、0.0001%~2%の量のヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルを含む。幾つかの実施形態では、本開示は、ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトを含む電解質を含む電池を提供する。
【0038】
フッ素化カーボネートの製造方法は、当技術分野で知られている。米国特許出願第20120141870号明細書は、メチルクロロホルメートを、2,2,2-トリフルオロエタノール及びピリジンのジクロロメタン溶液に添加する、46%収率のメチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネートの調製を開示している。米国特許出願第20180346404号明細書は、ジクロロメタンが溶媒としても使用される同様のプロセスを開示している。ジクロロメタンは幾つかの理由で不利である。例えば、微量の塩素含有溶媒が最終製品に存在すると、電池性能に悪影響を及ぼす、また、毒性のため、大規模プロセスにはジクロロメタンは推奨されないことが挙げられる。更に、ジクロロメタンで得られる収率は、大規模合成に理想的なものではない。
【0039】
国際公開第2015083745号及び国際公開第2015083747号は、トリグリム中の2,2,2-トリフルオロエタノール及びピリジンにメチルクロロホルメートを添加することによる、メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネートの調製を記載しており、トリグリムも最終生成物に残存し、電池に不利益をもたらすことがある。
【0040】
フッ素含有サルファイトの調製も報告されている(Journal of Fluorine Chemistry 6(1975)93-104)。このプロセスでは、フッ素化アルコールのトリエチルアミン付加体を、-78℃で4倍過剰量のチオニルクロリドと反応させる。必要とされる極低温と過剰量の反応物質は、このプロセスを実用的にも経済的にも望ましくないものにしている。
【0041】
特段の断りがない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語はいずれも、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同一の意味を有する。本明細書中に参照される特許及び刊行物はいずれも、参照によりそれらの全体を援用する。
【0042】
定義
特段の断りがない限り、本明細書に示される化学構造は、1以上の同位体濃縮された(isotopically enriched)原子の存在のみが異なる化合物を含むことが意図される。例えば、1以上の水素原子が重水素又はトリチウムで置き換えられている化合物、又は1以上の炭素原子が13C又は14C濃縮された炭素で置き換えられている化合物は、本開示の範囲内である。
【0043】
範囲が、例えば、分子量又は化学式などの物理的又は化学的性質を説明するために本明細書で使用される場合、範囲の全てのコンビネーション及びサブコンビネーション、並びにそれに含まれる特定の実施形態が含まれることが意図される。数値又は数値範囲に言及するときに「約」という用語を使用することは、言及された数値又は数値範囲が実験による変動内(又は統計的実験誤差内)の近似値であり、したがって、前記数値又は数値範囲が変動し得ることがあることを意味する。前記変動は、典型的には、記載された数値又は数値範囲の0%~15%、好ましくは0%~10%、より好ましくは0%~5%である。「含んでいる(comprising)」という用語(及び「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」又は「有している(having)」又は「含む(including)」などの関連する用語)は、例えば、記載された特徴「からなる(consist of)」又は「本質的にからなる(consist essentially of)」任意の組成物、方法、又はプロセスの実施形態などの実施形態を含む。
【0044】
「アルキル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1~10個の炭素原子(例えば、(C1-10)アルキル又はC1-10アルキル)を有する直鎖状又は分岐状炭化水素鎖ラジカルを意味する。本明細書に記載される場合、常に、「1~10」などの数値範囲は、所定範囲内の各整数を意味し、例えば、「1~10個の炭素原子」が、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大10個以下の炭素原子からなり得ることを意味する。しかし、前記定義は、数値範囲が具体的に指定されていない「アルキル」という用語もカバーすることが意図される。典型的なアルキル基としては、何ら限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルイソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが挙げられる。アルキル部分、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(Pr)、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)、及び3-メチルヘキシルなどは、単結合によって分子の残りの部分に結合することができる。本明細書において特段の断りがない限り、前記アルキル基は、独立して、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各R、は独立して、水素、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0045】
「アルキルアリール」は、アリール及びアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれアリール及びアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換される-(アルキル)アリールラジカルを意味する。
【0046】
「アルキルヘタリール」は、ヘタリール及びアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれアリール及びアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換される-(アルキル)ヘタリールラジカルを意味する。
【0047】
「アルキルヘテロシクロアルキル」は、アルキル及びヘテロシクロアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれヘテロシクロアルキル及びアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換される-(アルキル)ヘテロシクリルラジカルを意味する。
【0048】
「アルキン」部分は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素二重結合からなる基を意味し、「アルキン」部分は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素三重結合からなる基を意味する。アルキル部分は、飽和であるか不飽和であるかにかかわらず、分岐状、直鎖状、又は環状であることができる。
【0049】
「アルケニル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの二重結合を含み、2~10個の炭素原子(即ち、(C2-10)アルケニル又はC2-10アルケニル)を有する、直鎖状又は分岐状の炭化水素鎖ラジカル基)を意味する。本明細書に記載される場合、常に、「2~10」などの数値範囲は、所定範囲内の各整数を意味し、例えば、「2~10個の炭素原子」は、アルキル基が2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大10個以下の炭素原子からなり得ることを意味する。アルケニル部分は、例えば、エテニル(即ち、ビニル)、プロプ-1-エニル(即ち、アリル)、ブト-1-エニル、ペント-1-エニル、及びペンタ-1,4-ジエニルなどは、単結合によって分子の残りの部分に結合することができる。本明細書において特段の断りがない限り、前記アルケニル基は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0050】
「アルケニル-シクロアルキル」は、アルケニル及びシクロアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれアルケニル及びシクロアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって選択で置換される-(アルケニル)シクロアルキルラジカルを意味する。
【0051】
「アルキニル」は、炭素原子及び水素原子のみからなり、少なくとも1つの三重結合を含み、2~10個の炭素原子(即ち、(C2-10)アルキニル又はC2-10アルキニル)を有する直鎖状又は分岐状の炭化水素鎖ラジカル基を意味する。本明細書中に記載される場合、常に、「2~10」などの数値範囲は、所定範囲内の各整数を意味し、例えば、「2~10個の炭素原子」は、アルキル基が2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大10個以下の炭素原子からなり得ることを意味する。前記アルキニル、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニルなどは、単結合によって分子の残りの部分に結合することができる。本明細書において特段の断りがない限り、アルキニル基は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0052】
「アルキニル-シクロアルキル」は、アルキニル及びシクロアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれアルキニル及びシクロアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換される-(アルキニル)シクロアルキルラジカルを意味する。
【0053】
「カルボキサルデヒド」は、-(C=O)Hラジカルを意味する。
【0054】
「カルボキシル」は、-(C=O)OHラジカルを意味する。
【0055】
「シアノ」は、-CNラジカルを意味する。
【0056】
「シクロアルキル」は、炭素及び水素のみを含み、飽和又は部分的に不飽和であり得る単環式又は多環式ラジカルを意味する。シクロアルキル基は、3~10個の環原子を有する基(即ち、(C3-10)シクロアルキル又はC3-10シクロアルキル)を含む。本明細書中に記載される場合、常に、「3~10」などの数値範囲は、所定範囲内の各整数を意味し、例えば、「3~10個の炭素原子」は、シクロアルキル基が3個の炭素原子など、最大10個以下の炭素原子からなり得ることを意味する。シクロアルキル基の例示的な例としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニルなどが挙げられる。本明細書において特段の断りがない限り、シクロアルキニル基は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0057】
「シクロアルキル-アルケニル」は、シクロアルキル及びアルケニルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれシクロアルキル及びアルケニルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換される-(シクロアルキル)アルケニルラジカルを意味する。
【0058】
「シクロアルキル-ヘテロシクロアルキル」は、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれシクロアルキル及びヘテロシクロアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換される-(シクロアルキル)ヘテロシクロアルキルラジカルを意味する。
【0059】
「シクロアルキル-ヘテロアリール」は、シクロアルキル及びヘテロアリールが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれシクロアルキル及びヘテロアリールに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換される-(シクロアルキル)ヘテロアリールラジカルを意味する。
【0060】
「アルコキシ」という用語は、酸素を介して親構造に結合する、1~8個の炭素原子の直鎖状、分岐状、環状構造及びそれらの組合せを含む、基-O-アルキルを意味する。例えば、これらに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、及びシクロヘキシルオキシが挙げられる。「低級アルコキシ」は、1~6個の炭素を含むアルコキシ基を意味する。
【0061】
「置換アルコキシ」という用語は、前記アルキル成分が置換されているアルコキシ(即ち、-O-(置換アルキル))を意味する。本明細書において特段の断りがない限り、アルキニル基のアルキル部分は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0062】
「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニル炭素を介して結合した式(アルコキシ)(C=O)-の基を意味し、ここで、アルコキシ基は、表示された数の炭素原子を有する。したがって、(C1-6)アルコキシカルボニル基は、その酸素を介してカルボニルリンカーに結合した1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基である。「低級アルコキシカルボニル」は、アルコキシ基が低級アルコキシ基であるアルコキシカルボニル基を意味する。
【0063】
「置換アルコキシカルボニル」という用語は、基(置換アルキル)-O-C(O)-を意味し、前記基は、カルボニル官能性を介して親構造に結合されている。本明細書において特段の断りがない限り、アルコキシカルボニル基のアルキル部分は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0064】
「アシル」は、基(アルキル)-C(O)-、(アリール)-C(O)-、(ヘテロアリール)-C(O)-、(ヘテロアルキル)-C(O)-、及び(ヘテロシクロアルキル)-C(O)-を意味し、前記基は、カルボニル官能基を介して親構造に結合されている。Rラジカルがヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、前記ヘテロ環又は鎖原子は、鎖又は環原子の総数に寄与する。本明細書において特段の断りがない限り、前記アシル基のアルキル、アシル、又はヘテロアリール部分は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0065】
「アシルオキシ」は、R(C=O)O-ラジカルを意味し、Rは、本明細書に記載されるアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、又はヘテロシクロアルキルである。前記Rラジカルがヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルである場合、ヘテロ環又は鎖原子は、鎖又は環原子の総数に寄与する。本明細書において特段の断りがない限り、アシルオキシ基の前記Rは、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0066】
「アシルスルホンアミド」は、-S(O)-N(R)-C(=O)-ラジカルを意味し、Rは、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。本明細書において特段の断りがない限り、アシルスルホンアミド基は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0067】
「アミノ」又は「アミン」は、-N(Rラジカル基を意味し、本明細書において特段の断りがない限り、各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキルである。-N(R基が水素以外の2つのR置換基を有する場合、それらは、窒素原子と組み合わされて4、5、6、又は7員環を形成することができる。例えば、-N(Rは、限定するものではないが、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことが意図される。本明細書において特段の断りがない限り、アミノ基は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0068】
「置換アミノ」という用語はまた、それぞれ前記したように、基-NHR及びNRのN-オキシドを意味する。N-オキシドは、対応するアミノ基を、例えば、過酸化水素又はm-クロロペルオキシ安息香酸で処理することによって調製することができる。
【0069】
「アミド(amide)」又は「アミド(amido)」は、式-C(O)N(R)又はNHC(O)Rを有する化学部分を意味し、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環基(環炭素を介して結合)(これらの部分のぞれぞれは、それ自体が任意に置換されてもよい)からなる群から選択される。前記アミドの-N(R)のRは、それが結合している窒素と共に、4、5、6、又は7員環を形成することができる。本明細書において特段の断りがない限り、アミド(amido)基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルについて本明細書に記載される置換基の1以上によって独立して置換されてもよい。アミド(amide)は、本明細書に開示される化合物に結合してプロドラッグを形成するアミノ酸又はペプチド分子であることができる。かかるアミドを生成するための手順及び特定の基は、当業者に知られており、影響力のあるソース、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999(参照によりその全体を本明細書に援用する)に容易に見出すことができる。
【0070】
「芳香族」又は「アリール」又は「Ar」は、炭素環式である共役パイ電子系を有する少なくとも1つの環を有する6~10個の環原子を有する芳香族ラジカル(例えば、C-C10芳香族又はC-C10アリール)を意味する(例えば、フェニル、フルオレニル、及びナフチル)。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子に自由原子価を有する二価ラジカルは、置換フェニレンラジカルと称される。自由原子価の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって名称が「-イル」で終わる一価の多環式炭化水素ラジカルに由来する二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「-イデン」を加えることによって命名される。例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと称される。本明細書に記載される場合、常に、「6~10」などの数値範囲は、所定範囲内の各整数を意味する。例えば、「6~10個の環原子」は、アリール基が、6個の環原子、7個の環原子など、最大10個の環原子からなり得ることを意味する。この用語は、単環式又は縮合環多環式(即ち、環原子の隣接する対を共有する環)基を含む。本明細書において特段の断りがない限り、アリール部分は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0071】
「アリールオキシ」という用語は、基-O-アリールを意味する。
【0072】
「置換アリールオキシ」という用語は、アリール置換基が置換されているアリールオキシ(即ち、-O-(置換アリール))を意味する。本明細書において特段の断りがない限り、アリールオキシ基のアリール部分は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0073】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」は、(アリール)アルキルラジカルを意味し、アリール及びアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれアリール及びアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換されていてもよい。
【0074】
「エステル」は、式-COORの化学ラジカルを意味し、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環基(環炭素を介して結合)からなる群から選択される。エステルを生成するための手順及び特定の基は、当業者に知られており、影響力のあるソース、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999(参照によりその全体を本明細書に援用する)に容易に見出すことができる。本明細書において特段の断りがない限り、エステル基は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0075】
「フルオロアルキル」は、前記定義された1以上のフルオロラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなどによって置換されている、前記定義されたアルキルラジカルを意味する。前記フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、前記定義したように、アルキル基で置換されていてもよい。
【0076】
「ハロ」、「ハライド」、或いは「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味することが意図される。「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、及び「ハロアルコキシ」という用語は、1以上のハロ基又はそれらの組合せで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びアルコキシ構造を含む。例えば、「フルオロアルキル」及び「フルオロアルコキシ」という用語は、それぞれ、前記ハロがフッ素であるハロアルキル基及びハロアルコキシ基を含む。
【0077】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、及び「ヘテロアルキニル」は、任意に置換されていてもよいアルキル、アルケニル、及びアルキニルラジカルを意味し、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、又はそれらの組合せから選択される1以上の骨格鎖原子を有する。数値範囲が与えられ、例えば、C-Cヘテロアルキルは、この例では、4原子長の合計鎖長を意味する。ヘテロアルキル基は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0078】
「ヘテロアルキルアリール」は、-(ヘテロアルキル)アリールラジカルを意味し、ヘテロアルキル及びアリールが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれヘテロアルキル及びアリールに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換されていてもよい。
【0079】
「ヘテロアルキルヘテロアリール」は、-(ヘテロアルキル)ヘテロアリールラジカルを意味し、ヘテロアルキル及びヘテロアリールが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれヘテロアルキル及びヘテロアリールに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換されていてもよい。
【0080】
「ヘテロアルキルヘテロシクロアルキル」は、-(ヘテロアルキル)ヘテロシクロアルキルラジカルを意味し、ヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれヘテロアルキル及びヘテロシクロアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換されていてもよい。
【0081】
「ヘテロアルキルシクロアルキル」は、-(ヘテロアルキル)シクロアルキルラジカルを意味し、ヘテロアルキル及びシクロアルキルが本明細書に開示される通りであり、任意に、それぞれヘテロアルキル及びシクロアルキルに好適な置換基として記載される置換基の1以上によって置換されていてもよい。
【0082】
「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」又は「HetAr」又は「Het」は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1以上の環ヘテロ原子を含む5~18員の芳香族ラジカル(例えば、C-C13ヘテロアリール)を意味し、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系であることができる。本明細書に記載される場合、常に、「5~18」などの数値範囲は、所定範囲内の各整数を意味し、例えば、「5~18個の環原子」は、ヘテロアリール基が5個の環原子、6個の環原子など、最大18個以下の環原子からなり得ることを意味する。自由原子価を有する原子から1つの水素原子を除去することによって名称が「-イル」で終わる一価のヘテロアリールラジカルに由来する二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「-イデン」を加えることによって命名される。例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンと称される。N含有「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を意味する。多環式ヘテロアリール基は、縮合されても縮合されなくてもよい。ヘテロアリールラジカルのヘテロ原子は、任意に、酸化されてもよい。存在する場合、1以上の窒素原子が、任意に四級化されてもよい。前記ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合することができる。ヘテロアリールの例としては、限定するものではないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラザニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアピラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、及びチオフェニル(即ち、チエニル)が挙げられる。本明細書において特段の断りがない限り、ヘテロアリール部分は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0083】
置換ヘテロアリールは、例えば、ピリジニルN-オキシドなどの1以上のオキシド(-O-)置換基で置換された環系も含む。
【0084】
「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書に記載のアルキレン部分に結合された本明細書に記載のアリール部分を有する部分を意味し、分子の残りの部分への結合はアルキレン基を介する。
【0085】
「ヘテロシクロアルキル」は、2~12個の炭素原子と、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む安定な3~18員の非芳香族環ラジカルを意味する。本明細書中に記載される場合、常に、「3~18」などの数値範囲は、所定範囲内の各整数を意味し、例えば、「3~18個の環原子」は、ヘテロシクロアルキル基が3個の環原子、4個の環原子など、最大18個以下の環原子からなり得ることを意味する。本明細書において特段の断りがない限り、前記ヘテロシクロアルキルラジカルは、単環式、二環式、三環式、又は四環式の環系であり、これは、縮合又は架橋された環系を含み得る。ヘテロシクロアルキルラジカル中のヘテロ原子は、任意に酸化されていてもよい。1以上の窒素原子は、存在する場合、任意に四級化されていてもよい。前記ヘテロシクロアルキルラジカルは、部分的又は完全に飽和している。前記ヘテロシクロアルキルは、前記環の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合することができる。かかるヘテロシクロアルキルラジカルの例としては、限定するものではないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。本明細書において特段の断りがない限り、ヘテロシクロアルキル部分は、独立して、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1又は2である)、-S(O)OR(式中、tは1又は2である)、-S(O)N(R(式中、tは1又は2である)、又はPO(R(各Rは、独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアリールアルキル)である1以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0086】
「ヘテロシクロアルキル」はまた、通常、3~7個の環原子を有する一方の非芳香族環が、酸素、硫黄、及び窒素、並びに前記ヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む組合せから独立して選択される1~3個のヘテロ原子に加えて、少なくとも2個の炭素原子を含み、通常、3~7個の環原子を有する他方の環が、酸素、硫黄、及び窒素から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を任意に含み、芳香族性ではない二環式環系を含む。
【0087】
「ニトロ」は、-NOラジカルを意味する。
【0088】
「オキサ」は、-O-ラジカルを意味する。
【0089】
「オキソ」は、=Oラジカルを意味する。
【0090】
「異性体」は、同一の分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子の空間での配置のされ方のみが異なる、即ち、立体化学的構造が異なる異性体である。「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の対である。一対のエナンチオマーの1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。「(±)」は、必要に応じて、ラセミ混合物を示すために使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの非対称原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、Cahn-Ingold-PrelogのR-Sシステムにしたがって特定される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素での立体化学は、(R)又は(S)のいずれかで特定することができる。絶対配置が不明な分割化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)に応じて(+)又は(-)で特定できる。本明細書に記載の特定の化合物は、1以上の不斉中心を含み、したがって、絶対立体化学の観点から、(R)又は(S)として定義できるエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の立体異性体を生じ得る。本化学物質、医薬組成物、及び方法は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、及び中間体混合物を含む、かかる全ての可能な異性体を含むことが意図される。光学活性(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントン又はキラル試薬を使用して調製することができる、又は従来の技術を使用して分割することができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合又は幾何学的非対称の他の中心を含む場合、特段の断りがない限り、化合物は、E及びZの両方の幾何異性体を含むことが意図される。
【0091】
本明細書で使用される「エナンチオマー純度」は、特定のエナンチオマーの存在の、他のエナンチオマーに対するパーセンテージとして表される相対量を意味する。例えば、(R)-又は(S)-異性体配置を有し得る化合物がラセミ混合物として存在する場合、エナンチオマー純度は、(R)-又は(S)-異性体に関して約50%である。当該化合物が、一方の異性体を他方よりも多く有する場合、例えば、80%の(S)-異性体と20%の(R)-異性体の場合、(S)-異性体に関する化合物のエナンチオマー純度は、80%である。化合物のエナンチオマー純度は、当技術分野で知られた多くの方法で決定することができ、例えば、限定するものではないが、キラル支持体を使用するクロマトグラフィー、偏光の回転の偏光測定、キラルシフト試薬を使用する核磁気共鳴分光法(前記キラルシフト試薬は、限定するものではないが、ランタニド含有キラル錯体又はPirkleの試薬が挙げられる)、又はMosherの酸などのキラル化合物を使用した化合物の誘導体化とそれに続くクロマトグラフィー又は核磁気共鳴分光法が挙げられる。
【0092】
エナンチオマーは、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)並びにキラル塩の形成及び結晶化などの、当業者に知られた方法によって混合物から単離することができる;又は、好ましいエナンチオマーは、不斉合成によって調製することができる。例えば、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions, Wiley Interscience, New York (1981);E. L. Eliel, Stereochemistry of Carbon Compounds, McGraw-Hill, New York (1962);及びE. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereochemistry of Organic Compounds, Wiley-Interscience, New York (1994)を参照。
【0093】
本明細書に使用される「エナンチオマー濃縮された」及び「非ラセミの」という用語は、1種類のエナンチオマーの重量パーセントが、ラセミ組成物の対照混合物中における当該1種類のエナンチオマーの量より大きい(例えば、重量で1:1より大きい)組成物を意味する。例えば、(S)-エナンチオマーのエナンチオマー濃縮された調製物は、(R)-エナンチオマーに対して(S)-エナンチオマーが50重量%を超える、例えば、少なくとも75重量%又は少なくとも80重量%の当該化合物の調製物を意味する。幾つかの実施形態では、濃縮は、80重量%を大幅に超えることができ、「実質的にエナンチオマー濃縮された」又は「実質的に非ラセミの」調製物をもたらし、これは、1種類のエナンチオマーが、他のエナンチオマーに対して少なくとも85重量%、例えば、少なくとも90重量%又は少なくとも95重量%などである組成物の調製物を意味する。「エナンチオマー的に純粋な」又は「実質的にエナンチオマーに純粋な」という用語は、1種類のエナンチオマーを少なくとも98%、及び反対のエナンチオマーを2%未満含む組成物を意味する。
【0094】
「部分」とは、分子の特定のセグメント又は官能基を意味する。化学的部分は、分子に埋め込まれた、又は分子に付加された化学物質として認識されることが多い。
【0095】
「互変異性体」は、互変異性化によって相互変換する構造的に異なる異性体である。「互変異性」は、異性化の一形態であり、酸塩基化学のサブセットとみなされるプロトトロピック又はプロトンシフト互変異性を含む。「プロトトロピック互変異性」又は「プロトンシフト互変異性」は、結合次数の変化を伴うプロトンの移動を伴い、多くの場合、単結合と隣接する二重結合との交換を伴う。互変異性化が(例えば、溶液中で)可能な場合、互変異性体の化学平衡に到達することができる。互変異性化の例は、ケトエノール互変異性化である。ケトエノール互変異性化の具体的な例は、ペンタン-2,4-ジオン及び4-ヒドロキシペント-3-エン-2-オンの互変異性体の相互変換である。互変異性化の別の例は、フェノール-ケト互変異性化である。フェノール-ケト互変異性化の具体的な例は、ピリジン-4-オール及びピリジン-4(1H)-オンの互変異性体の相互変換である。
【0096】
「脱離基又は原子」は、選択された反応条件下で、出発物質から切断されて、特定の部位での反応を促進する任意の基又は原子である。かかる基の例としては、特段の断りがない限り、ハロゲン原子及びメシルオキシ、p-ニトロベンゼンスルホニルオキシ、及びトシルオキシ基が挙げられる。
【0097】
「保護基」とは、多官能性化合物の1以上の反応部位を選択的にブロックして、化学反応を別の保護されていない反応性部位で選択的に行うことができ、次いで、選択反応完了後に、容易に除去又は脱保護できる基を意味することが意図される。様々な保護基が、例えば、T. H. Greene and P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, John Wiley & Sons, New York (1999)に開示されている。
【0098】
「溶媒和物」は、薬学的に許容される溶媒の1以上の分子と物理的に会合している化合物を意味する。
【0099】
「置換された」とは、言及される基が、例えば、アシル、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、カーボハイドレート、カーボネート、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、エステル、チオカルボニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、オキソ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、ホスフェート、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホネート、ウレア、及びアミノ(一置換及び二置換アミノ基を含む)、及びそれらの保護された誘導体から個別且つ独立して選択される1以上の更なる基、ラジカル、又は部分を結合し得ることを意味する。置換基それ自体が置換されてもよく、例えば、シクロアルキル置換基は、それ自体、その環炭素の1以上にハライド置換基を有することができる。「任意に置換されていてもよい」という用語は、特定の基、ラジカル、又は部分による任意の置換を意味する。
【0100】
「スルファニル」は、-S-(任意に置換されていてもよいアルキル)、-S-(任意に置換されていてもよいアリール)、-S-(任意に置換されていてもよいヘテロアリール)、及び-S-(任意に置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)を含む基を意味する。
【0101】
「スルフィニル」は、-S(O)-H、-S(O)-(任意に置換されていてもよいアルキル)、-S(O)-(任意に置換されていてもよいアミノ)、-S(O)-(任意に置換されていてもよいアリール)、-S(O)-(任意に置換されていてもよいヘテロアリール)、及び-S(O)-(任意に置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)を含む基を意味する。
【0102】
「スルホニル」は、-S(O)-H、-S(O)-(任意に置換されていてもよいアルキル)、S(O)-(任意に置換されていてもよいアミノ)、-S(O)-(任意に置換されていてもよいアリール)、-S(O)-(任意に置換されていてもよいヘテロアリール)、及び-S(O)-(任意に置換されていてもよいヘテロシクロアルキル)を含む基を意味する。
【0103】
「スルホンアミジル」又は「スルホンアミド」は、-S(=O)-NRRラジカルを意味し、各Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環基(環炭素を介して結合)からなる基から独立して選択される。-S(=O)-NRRラジカルの-NRRのR基は、それが結合している窒素と共に、4、5、6、又は7員環を形成することができる。スルホンアミド基は、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールについて記載された置換基の1以上によって任意に置換されていてもよい。
【0104】
「スルホキシル」とは、-S(=O)OHラジカルを意味する。
【0105】
「スルホネート」は、-S(=O)-ORラジカルを意味し、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)、及びヘテロ脂環基(環炭素を介して結合)からなる群から選択される。スルホネート基は、それぞれアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールについて記載された置換基の1以上によってR上で任意に置換されていてもよい。
【0106】
本開示の化合物はまた、例えば、多形、疑似多形、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形(無水物を含む)、立体配座多形、及び化合物のアモルファス形態、並びにそれらの混合物を含む、化合物の結晶性及びアモルファス形態を含む。「結晶形」及び「多形」は、特定の結晶性又はアモルファス形態について言及されない限り、例えば、多形、疑似多形、溶媒和物、水和物、非溶媒和多形(無水物を含む)、立体配座多形、及びアモルファス形態、並びにそれらの混合物を含む、化合物のすべての結晶及びアモルファス形態を含むことが意図される。
【0107】
誤解を避けるために、本明細書では、本開示の特定の態様、実施形態、又は例と関連して記載される具体的な特徴(例えば、整数、特性、値、用途、疾患、式、化合物、又は基)が、互換性がない場合を除き、本明細書に記載される他の態様、実施形態、又は例に適用可能であると理解されることが意図される。したがって、かかる特徴は、本明細書で定義される定義、特許請求の範囲、又は実施形態のいずれかと共に、必要に応じて使用することができる。本明細書に開示された特徴(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)はいずれも、及び/又は、そのように開示された任意の方法又はプロセスの工程はいずれも、当該特徴及び/又は工程の少なくとも幾つかが互いに排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。本開示は、開示された実施形態の詳細に限定されない。本開示は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規な1つ又は新規な組合せ、又は、そのように開示された任意の方法若しくはプロセスの工程の任意の新規な1つ又は任意の新規な組合せにまで及ぶ。
【0108】
更に、本明細書で使用するとき、「約」という用語は、寸法、サイズ、組成、パラメータ、形状、並びにその他の量及び特性が正確ではない、正確である必要はなく、必要に応じて、概数及び/又はより大きい若しくはより小さくてもよく、例えば、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差、及び当業者に知られている他の因子を反映してよいことを意味する。一般に、寸法、サイズ、組成、パラメータ、形状、又はその他の量若しくは特性は、そのようであると明示的に述べられているかどうかにかかわらず、「約」又は「凡そ」のものである。非常に異なるサイズ、形状、及び寸法の実施形態は、記載された構成を採用することができることが留意される。
【0109】
更に、移行句「含む(comprising)」、「本質的にからなる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」は、添付の特許請求の範囲で、そのままの形態及び変更された形態で用いられると、記載されていない追加のクレーム要素又は工程(存在する場合)が、特許請求の範囲から除外されることに関して、クレームの範囲を定義する。用語「含む(comprising)」は、インクルーシブ又はオープンエンドであることが意図され、任意の追加の、記載されていない要素、方法、工程、又は材料を排除しない。用語「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲で特定された要素、工程、又は材料、及び後者の場合、前記特定された材料に通常関連する不純物以外の要素、工程、又は材料を排除する。用語「本質的にからなる」は、請求項の範囲を、特定された要素、工程、又は材料、及び請求された実施形態の基本的且つ新規な特性に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。代替として、本開示のすべての実施形態は、「含む(comprising)」、「本質的にからなる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」のいずれかの移行句によって、より具体的に定義することができる。
【0110】
フッ素化化合物を製造するためのフッ素化溶媒
本開示は、限定するものではないが、メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネート、メチル1,1,1-トリフルオロイソプロピルカーボネート、メチル1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルカーボネート、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、ビス(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネートを含むフッ素化ジアルキルカーボネート、並びに、限定するものではないが、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトを含むフッ素化ジアルキルサルファイトを製造するための方法及びプロセスを提供する。
【0111】
高電圧リチウムイオン電池用の溶媒、共溶媒、及び添加剤として使用するためのフルオロケミカルを調製するプロセスにおいて、実験室規模でのフッ素化カーボネートの合成、ワークアップ、及び精製には、幾つかの問題が存在していた。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、かかる問題は、溶媒の賢明な選択によって対処できると考えられている。幾つかの実施形態では、HFMOPは、少なくとも一部、関与する特定の化学反応の発熱効果を制御し、ワークアップを単純化し、除去し易く、電池内で無害であるという能力のために選択された。
【0112】
幾つかの実施形態では、本開示は、限定するものではないが、フッ素化有機カーボネート及びフッ素化有機サルファイトを含むフッ素化化合物を製造するための方法を提供する。幾つかの実施形態では、前記方法は、少なくとも1つのフッ素原子を含む第1の反応物質を、式20A又は式20Bの第2の反応物質と反応させることを含み、前記式20A又は式20Bの反応物質は、脱離基Lを含む。
【化10】
【0113】
前記反応は、フッ素化溶媒の存在下で行われ;Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、及び任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールから選択され;Lは脱離基である。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、フッ素化アルコールである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、フッ素化ジアルキルカーボネートである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、フッ素化ジアルキルサルファイトである。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は、2-フルオロエタノール、2,2-ジフルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-フルオロ-1-プロパノール、3,3-ジフルオロ-1-プロパノール、3,3,3-トリフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、4,4,4-トリフルオロ-1-ブタノール、及び5,5,5-トリフルオロ-1-ペンタノールから選択される。幾つかの実施形態では、前記第1の反応物質は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールである。幾つかの実施形態では、Lは、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される。幾つかの実施形態では、Lは、ハロゲン又は-OR基から選択される。幾つかの実施形態では、Rは、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである。幾つかの実施形態では、Lは、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される。幾つかの実施形態では、Lは、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される。幾つかの実施形態では、Lは、ハロゲン及び-OR基から選択される。幾つかの実施形態では、Rは、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである。幾つかの実施形態では、Lは、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される。幾つかの実施形態では、前記式20Aの化合物は、クロロホルメートである。幾つかの実施形態では、前記クロロホルメートは、アルキルクロロホルメートである。幾つかの実施形態では、前記クロロホルメートは、メチルクロロホルメート又はエチルクロロホルメートである。幾つかの実施形態では、フッ素化有機カーボネートは、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。幾つかの実施形態では、前記式20Bの化合物は、チオニルクロリドである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、2以上の-CF基を含む。
【0114】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、式10を有するエーテル又はチオエーテルである。
【化11】
【0115】
式中、Xは、O又はSであり、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化溶媒は、以下のヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル(又は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン)である。
【化12】
【0116】
幾つかの実施形態では、前記反応は、アミンの存在下で行われる。幾つかの実施形態では、前記アミンは、アルキルアミン又はピリジンである。幾つかの実施形態では、前記アルキルアミンは、トリアルキルアミンである。幾つかの実施形態では、前記アミンは、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジン、及びN,N-ジメチルアニリンから選択される。幾つかの実施形態では、前記反応は、約-40℃~約80℃の温度で行われる。幾つかの実施形態では、前記反応は、約-40℃~約70℃の温度で行われる。幾つかの実施形態では、前記反応は、約0℃~約35℃の温度で行われる。幾つかの実施形態では、前記反応は、約10℃~約35℃の温度で行われる。
【0117】
本明細書に記載されるように、幾つかの実施形態では、合成は、内部温度を35℃未満に保つために外部冷却水で発熱作用を制御しつつ、溶媒中のフッ素化アルコール及びトリエチルアミンにメチルクロロホルメートを添加することを伴う。まず、テトラグリム(bp:275~276℃)を使用して精製を容易にした。これは、低沸点生成物が理論上、蒸留中に最初に留去するためです。しかし、特定の理論に拘束されることを望むものではないが、テトラグリムの比較的高い熱容量は、発熱作用の制御を困難にし、メチルクロロホルメートの添加時間が長くなる(>3時間)と考えられる。本明細書に記載の方法及びプロセスを使用すると、水による冷却がより効果的であり、添加時間が凡そ1時間に短縮される。
【0118】
本明細書に記載されるように、幾つかの実施形態では、反応のワークアップは、残存するトリエチルアミンを中和し、反応中に形成されたトリエチルアミン塩を塩酸の希薄溶液で溶解することを伴う。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、テトラグリムは、水性クエンチと有機反応成分の両方と混和性の溶媒であり、有機相から水を完全に除去することを困難にし、水を含まない有機相は、その後の蒸留におけるカーボネートの加水分解を避けるために重要であると考えられる。HFMOPなどの水と非混和性の共溶媒を添加すると、これが改善される。幾つかの実施形態では、HFMOP中で反応それ自体を行うことで、二次溶媒の必要性を排除し、ワークアップの単純化を可能にする。
【0119】
本明細書に記載されるように、幾つかの実施形態では、精製工程は、大気圧での分別蒸留によって達成される。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、低沸点HFMOP(bp:50℃)は、トリグリムやテトラグリムなどの高沸点溶媒より、リサイクルのための除去が遥か容易であると考えられる。更に、HFMOPなどのフッ素化エーテルは、リチウムイオン電池のサイクル寿命に利点をもたらすことが示されている。したがって、特定の理論に拘束されることを望むものではないが、最終産物に残存するHFMOPは、これらの化学物質の調製に使用される従来の溶媒とは異なり、電池性能を損なうことはないと考えられる。
【0120】
同様に、HFMOPは、フッ素化アルキルサルファイトの合成に使用された。当該反応は、トリエチルアミンとフッ素化アルコールとの混合物に、-78℃でチオニルクロリドを添加することによって無溶媒条件下で行われると、過去に報告されている。溶媒の使用は、HFMOPを使用して周囲温度で反応を行うことができ、溶媒は、リサイクルのために容易に回収されるという事実によって軽減される。前記反応は、塩化水素の遊離と共に進行し、非常に発熱性であるが、フッ素化エーテルは、非フッ素化エーテルとは異なり酸に対して不安定ではない。
【0121】
フッ素化合物を含む電池電解質
電子デバイスの急速な発展により、燃料電池、コンデンサ、及び電池システムなどの電気化学デバイスに対する市場の需要が高まっている。特に電池システムの需要に応えて、実用的な充電式リチウム電池が精力的に研究されている。これらのシステムは、典型的には、負極(アノード)として、リチウム金属、リチウム化炭素、又はリチウム合金の使用に基づいている。リチウム電池は、1以上のリチウム電気化学セルから調製される。かかるセルは、電気的に分離され、間隔を置いて配置された正電極と負電極との間に挿入された非水系リチウムイオン伝導電解質組成物を含む。
【0122】
電気化学セルは、ハウジング、前記ハウジング内に配置され、互いにイオンしているアノード及びカソードと、前記アノードと前記カソードとの間にイオン伝導性経路を提供する本明細書に記載の電解質組成物と、前記アノードと前記カソードとの間にポーラス又はマイクロポーラスセパレータとを含む。前記ハウジングは、電気化学セルコンポーネントを収容する好適な任意の容器であることができる。前記アノード及び前記カソードは、電気化学セルのタイプに応じて、任意の好適な導電性材料を含むことができる。アノード材料の好適な例としては、限定するものではないが、リチウム金属、リチウム金属合金、リチウムチタネート、アルミニウム、プラチナ、パラジウム、グラファイト、遷移金属酸化物、及びリチウム化酸化スズが挙げられる。カソード材料の好適な例としては、限定するものではないが、グラファイト、アルミニウム、プラチナ、パラジウム、リチウム又はナトリウムを含む電気活性遷移金属酸化物、酸化インジウムスズ、並びにポリピロール及びポリビニルフェロセンなどの導電性ポリマーが挙げられる。
【0123】
前記ポーラスセパレータは、前記アノードと前記カソードとの間の短絡を防ぐのに役立つ。前記ポーラスセパレータは、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらの組合せなどのマイクロポーラスポリマーの単層又は多層シートからなる。ポーラスセパレータのポアサイズは、イオンの輸送を可能にするのに十分大きいが、前記アノードと前記カソードとの直接的な接触、又は粒子浸透若しくは前記アノード及び前記カソード上に生成し得るデンドライトからの接触を防ぐのに十分小さい。
【0124】
一実施形態では、電気化学セルはリチウムイオン電池であり、これは、リチウムイオンが放電中にアノードからカソードに移動し、充電中に前記カソードから前記アノードに移動する充電式電池の一種である。リチウムイオン電池に好適なカソード材料としては、限定するものではないが、LiCoO、LiNiO、LiMn、又はLiVなどのリチウムを含む電気活性遷移金属酸化物が挙げられる。
【0125】
リチウム及び遷移金属を含む様々なリチウム複合酸化物をカソード材料として利用することができる。好適な例としては、一般式LiMOの複合酸化物であり、式中、Mは、コバルト、アルミニウム、クロム、マンガン、ニッケル、鉄、バナジウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銅、亜鉛、インジウム、ストロンチウム、ランタン、及びセシウムなどの任意の金属元素又は金属元素の組合せが挙げられる。更に、活物質は、化学式LiMn2-x(式中、0≦x≦1)の材料、又は一般式LiMPO(式中、Mは、任意の金属元素又はコバルト、アルミニウム、クロム、マンガン、ニッケル、鉄、バナジウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銅、亜鉛、インジウム、ストロンチウム、ランタン、及びセシウムなどの元素の組合せであり得る)の材料で作製することができる。電池のカソードは、金属又は別の導電性要素を含む導電性部材上に保持され得る任意の活物質を含み得る。
【0126】
一実施形態では、本明細書の前記リチウムイオン電池の前記カソードは、Li/Li参照電極に対して、4.0V超、好ましくは(好ましさが高くなる順に)4.1V以上、4.2V以上、4.3V以上、4.4V以上、4.5V以上、4.25V以上、4.5V以上、4.6V以上、又は4.75V以上の電位範囲で30mAh/g超の容量を示すカソード活物質を含む。かかるカソードの一例は、カソード活物質としてスピネル構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を含む安定化されたマンガンカソードである。本明細書で使用されるカソード中のリチウム含有マンガン複合酸化物は、式LiNiMn2-y-z4-dの酸化物を含み、式中、xは、0.03~1.0であり;xは、充電及び放電中のリチウムイオン及び電子の放出及び取り込みに応じて変化し;yは、0.3~0.6であり;Mは、Cr、Fe、Co、Al、Ga、Nb、Mo、Ti、Zr、Mg、Zn、V、及びCuのうちの1以上を含み;zは、0.01~0.18であり、dは、0~0.3である。一実施形態では、前記式において、yは、0.38~0.48であり、zは、0.03~0.12であり、dは、0~0.1である。一実施形態では、前記式において、Mは、Li、Cl、Fe、Co、及びGaのうちの1以上である。安定化されたマンガンカソードはまた、米国特許第7,303,840号明細書に記載されるように、マンガン含有スピネル成分及びリチウムが豊富な層状構造を含むスピネル層状複合体を含むことができる。
【0127】
カソード活物質は、Liuら(J.Phys.Chem.,C 13:15073-15079,2009)に記載される水酸化物前駆体法などの方法を使用して調製することができる。当該方法では、水酸化物前駆体は、KOHの添加により、マンガン、ニッケル、及び他の所望の金属アセテートを必要量含む溶液から析出させる。得られた析出物をオーブンで乾燥させた後、LiOH・HOの必要量を酸素中で約800~約950℃で3~24時間焼成する。或いは、前記カソード活物質は、米国特許第5,738,957号明細書(Amine)に記載される固相反応プロセス又はゾルゲルプロセスを使用して調製することができる。
【0128】
前記カソード活物質が含有されるカソードは、カソード活物質の有効量(例えば、約70wt%~約97wt%)と、ポリビニリデンジフルオリドなどのポリマーバインダーと、導電性カーボンとを、N-メチルピロリドンなどの好適な溶媒に混合してペーストを生成した後、アルミホイルなどの集電体にコーティングし、乾燥させて前記カソードを形成するなどの方法によって調製することができる。
【0129】
前記リチウムイオン電池は更に、リチウムイオンを貯蔵及び放出することができるアノード活物質を含むアノードを含む。好適なアノード活物質の例としては、限定するものではないが、リチウムアルミニウム合金、リチウム鉛合金、リチウムシリコン合金、リチウムスズ合金などのリチウム合金;グラファイトやメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)などのカーボン材料;黒リン、MnP、及びCoPなどのリン含有材料;SnO、SnO、及びTiOなどの金属酸化物;並びにLiTi12及びLiTiなどのリチウムチタネートが挙げられる。一実施形態では、前記アノード活物質は、リチウムチタネート又はグラファイトである。アノードは、例えば、フッ化ビニルベースのコポリマーなどのバインダーを有機溶媒又は水に溶解又は分散させ、次いで、導電性活物質と混合してペーストを得る、カソードについて前記した方法と同様の方法によって作製することができる。前記ペーストは、集電体として使用される金属箔、好ましくはアルミニウム又は銅箔にコーティングされる。前記ペーストは、好ましくは熱で乾燥させて、活性塊を集電体に結合させる。好適なアノード活物質及びアノードは、Hitachi NEI Inc.(Somerset,N.J.)及びFarasis Energy Inc.(Hayward,Calif.)などの企業から市販されている。
【0130】
本明細書の前記リチウムイオン電池はまた、前記アノードと前記カソードとの間にポーラスセパレータを含む。ポーラスセパレータは、アノードとカソード間の短絡を防ぐのに役立ちます。前記ポーラスセパレータは、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、若しくはポリイミド、又はそれらの組合せなどのマイクロポーラスポリマーの単層又は多層シートからなる。前記セパレータは、フッ素化ポリマーを使用して構成することもできる。前記ポーラスセパレータのポアサイズは、イオンの輸送を可能にし、前記アノードと前記カソードとの間のイオン伝導性の接触を提供するのに十分大きいが、前記アノードと前記カソードとの直接的な接触、又は粒子浸透若しくは前記アノード及び前記カソード上に生成し得るデンドライトからの接触を防ぐのに十分小さい。本明細書においける使用に好適なポーラスセパレータの例は、米国特許出願公開第2012/0149852号明細書に開示されている。
【0131】
本明細書のリチウムイオン電池のハウジングは、前記リチウムイオン電池コンポーネントを格納する任意の好適な容器であることができる。かかる容器は、小さい又は大きい円筒、角柱状のケース、又はポーチの形状で作製することができる。
【0132】
本明細書の前期リチウムイオン電池は、任意の目的で、及びリチウムイオン電池によって電力を供給され得る任意のデバイスで使用することができる。かかる目的/デバイスの非限定的な例としては、即ち、グリッドストレージ、又は輸送デバイス(モータービークル、自動車、トラック、バス、又は飛行機を含む)、コンピュータ、電気通信機器、カメラ、ラジオ、又は電動工具などの様々な電動デバイス又は電動アシストデバイスの電力源としての用途が挙げられる。
【0133】
幾つかの実施形態では、前記電解質組成物は、典型的には、非水系非プロトン性有機電解質溶媒(多くの場合、溶媒混合物)中のリチウム電解質塩の液体溶液である。充電式リチウム電池用の電解質溶媒の選択は、最適な電池性能にとって重要であり、様々な因子が関係する。しかし、長期安定性、イオン伝導度、安全性、及び湿潤能力は、ハイボリュームな商業用途で最も重要な選択因子になる傾向がある。
【0134】
フッ素化化合物、特にエステル、エーテル、及びカーボネートは、電気化学セル、特にリチウム電池(一次電池及び二次電池の両方)で使用される電解質溶液の成分として利用されている。特定のフッ素化化合物は、可燃性の低下、粘度の低下、湿潤性の向上、耐酸化性/還元性の向上、及び/又はサイクル時間の延長など、非フッ素化化合物に対して幾つかの利点を提供し得る。これらの利点は、約4.0V超の電圧、特に、かかる非フッ素化アナログが特に不安定になる4.3V以上などのより高い電圧で更に顕著になると想定される。
【0135】
幾つかの実施形態では、本開示は、約1ppm~約5,000ppmの量のフッ素化エーテル又はチオエーテルを含む電解質を含む電池を提供する。かかる量は、典型的には、GC又はGC/MS法を用いて測定することができる。幾つかの実施形態では、前記電解質中の前記フッ素化エーテル又はチオエーテルの量は、約5ppm~約500ppm、約25ppm~約750ppm、約50ppm~約1,000ppm、約100ppm~約1,500ppm、約250ppm~約2,500ppm、又は約500ppm~約5,000ppmである。
【0136】
幾つかの実施形態では、前記電池は、再充電可能であり、少なくとも250サイクルのサイクル寿命を有する。本明細書においては、サイクル寿命は、電池がその元の容量の80%に達するまでにかかる充電/放電サイクルの数である。幾つかの実施形態では、前記電池は、少なくとも250サイクル、少なくとも500サイクル、少なくとも750サイクル、又は少なくとも1,000サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、少なくとも250サイクル、少なくとも300サイクル、少なくとも350サイクル、少なくとも400サイクル、少なくとも450サイクル、少なくとも500サイクル、少なくとも550サイクル、少なくとも600サイクル、少なくとも650サイクル、少なくとも700サイクル、少なくとも750サイクル、少なくとも800サイクル、少なくとも850サイクル、少なくとも900サイクル、少なくとも950サイクル、少なくとも1,000サイクル、少なくとも1,050サイクル、少なくとも1,100サイクル、少なくとも1,150サイクル、少なくとも1,200サイクル、少なくとも1,250サイクル、少なくとも1,300サイクル、少なくとも1,350サイクル、少なくとも1,400サイクル、少なくとも1,450サイクル、少なくとも1,500サイクル、少なくとも1,550サイクル、少なくとも1,600サイクル、少なくとも1,650サイクル、少なくとも1,700サイクル、少なくとも1,750サイクル、少なくとも1,800サイクル、少なくとも1,850サイクル、少なくとも1,900サイクル、少なくとも1,950サイクル、少なくとも2,000サイクル、少なくとも2,050サイクル、少なくとも2,100サイクル、少なくとも2,150サイクル、少なくとも2,200サイクル、少なくとも2,250サイクル、少なくとも2,300サイクル、少なくとも2,350サイクル、少なくとも2,400サイクル、少なくとも2,450サイクル、少なくとも2,500サイクル、少なくとも2,550サイクル、少なくとも2,600サイクル、少なくとも2,650サイクル、少なくとも2,700サイクル、少なくとも2,750サイクル、少なくとも2,800サイクル、少なくとも2,850サイクル、少なくとも2,900サイクル、少なくとも2,950サイクル、又は少なくとも3,000サイクルのサイクル寿命を有する。
【0137】
幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、式10を有する。
【化13】
【0138】
式中、Xは、O又はSであり、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、2以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化エーテル又はチオエーテルは、以下のヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル(又は1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン)である。
【化14】
【0139】
幾つかの実施形態では、前記電池は、アルカリ金属イオン電池である。幾つかの実施形態では、前記電池は、リチウムイオン電池である。幾つかの実施形態では、前記電解質は、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、又は任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールのうちの1以上を含むフッ素化有機カーボネート又はフッ素化有機サルファイトを更に含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、フッ素化ジアルキルカーボネートである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、フッ素化ジアルキルサルファイトである。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、1以上の-CF基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトは、1又は2基の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基を含む。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機カーボネートは、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される。幾つかの実施形態では、前記フッ素化有機サルファイトは、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される。
【0140】
以下の項目は、特定の実施形態を記載する。
【0141】
項目1.フッ素化有機カーボネート又はフッ素化有機サルファイトを製造するための方法であって、少なくとも1つのフッ素原子を含む第1の反応物質を、脱離基Lを含む式20A又は式20Bの第2の反応物質と反応させることを含む。
【化15】
【0142】
前記反応は、フッ素化溶媒の存在下で行われ;Rは、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、及び任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールから選択され;Lは脱離基である。
【0143】
項目2.前記第1の反応物質が、フッ素化アルコールである、項目1に記載の方法。
【0144】
項目3.前記フッ素化有機カーボネートが、フッ素化ジアルキルカーボネートである、項目1に記載の方法。
【0145】
項目4.前記フッ素化有機サルファイトが、フッ素化ジアルキルサルファイトである、項目1に記載の方法。
【0146】
項目5.前記第1の反応物質が、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、項目1から4のいずれかに記載の方法。
【0147】
項目6.前記第1の反応物質が、1以上の-CF基を含む、項目1から4のいずれかに記載の方法。
【0148】
項目7.前記第1の反応物質が、2-フルオロエタノール、2,2-ジフルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-フルオロ-1-プロパノール、3,3-ジフルオロ-1-プロパノール、3,3,3-トリフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、4,4,4-トリフルオロ-1-ブタノール、及び5,5,5-トリフルオロ-1-ペンタノールから選択される、項目1から4のいずれかに記載の方法。
【0149】
項目8.前記第1の反応物質が1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノールである、項目1から4のいずれかに記載の方法。
【0150】
項目9.Lが、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される、項目1から8のいずれかに記載の方法。
【0151】
項目10.Lが、ハロゲン又は-OR基から選択される、項目1から8のいずれかに記載の方法。
【0152】
項目11.Rが、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである、項目10に記載の方法。
【0153】
項目12.Lが、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される、項目1から8のいずれかに記載の方法。
【0154】
項目13.Lが、パーフルオロアルキルスルホネート、トシレート、メシレート、ハロゲン、ナイトレート、ホスフェート、チオエーテル、アミン、カルボキシレート、フェノキシド、アルコキシド、及びアミドから選択される、項目1から12のいずれかに記載の方法。
【0155】
項目14.Lが、ハロゲン又は-OR基から選択される、項目1から12のいずれかに記載の方法。
【0156】
項目15.Rが、アルキルサルフェート又はアリールサルフェートである、項目14に記載の方法。
【0157】
項目16.Lが、塩素、ヨウ素、及び臭素から選択される、項目1から12のいずれかに記載の方法。
【0158】
項目17.前記式20Aの化合物が、クロロホルメートである、項目1から16のいずれかに記載の方法。
【0159】
項目18.前記クロロホルメートが、アルキルクロロホルメートである、項目17に記載の方法。
【0160】
項目19.前記クロロホルメートが、メチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、n-プロピルクロロホルメート、又は2-プロピルクロロホルメートである、項目17に記載の方法。
【0161】
項目20.前記フッ素化有機カーボネートが、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される、項目1から19のいずれかに記載の方法。
【0162】
項目21.前記式20Bの化合物が、チオニルクロリドである、項目1から16のいずれかに記載の方法。
【0163】
項目22.前記フッ素化有機サルファイトが、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される、項目1から19のいずれか又は項目21に記載の方法。
【0164】
項目23.前記フッ素化溶媒が、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、項目1から22のいずれかに記載の方法。
【0165】
項目24.前記フッ素化溶媒が、1以上の-CF基を含む、項目1から22のいずれかに記載の方法。
【0166】
項目25.前記フッ素化溶媒が、2以上の-CF基を含む、項目1から22のいずれかに記載の方法。
【0167】
項目26.前記フッ素化溶媒が、式10を有するエーテル又はチオエーテルである、項目1から25のいずれかに記載の方法。
【化16】
【0168】
式中、Xは、O又はSであり、Rは、完全又は部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。
【0169】
項目27.Rが、完全又は部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rが、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である、項目26に記載の方法。
【0170】
項目28.前記フッ素化溶媒が、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む、項目1から27のいずれかに記載の方法。
【0171】
項目28’.前記フッ素化溶媒が、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルである、項目1から27のいずれかに記載の方法。
【0172】
項目29.前記反応が、アミンの存在下で行われる、項目1から28のいずれかに記載の方法。
【0173】
項目30.前記アミンが、アルキルアミン又はピリジンである、項目29に記載の方法。
【0174】
項目31.前記アルキルアミンが、トリアルキルアミンである、項目30に記載の方法。
【0175】
項目32.前記アミンが、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、2,6-ルチジン、及びN,N-ジメチルアニリンから選択される、項目29に記載の方法。
【0176】
項目33.前記反応が、約-40℃~約80℃の温度で行われる、項目1から32のいずれかに記載の方法。
【0177】
項目34.前記反応が、約-40℃~約70℃の温度で行われる、項目1から32のいずれかに記載の方法。
【0178】
項目35.前記反応が、約0℃~約35℃の温度で行われる、項目1から32のいずれかに記載の方法。
【0179】
項目36.前記反応が、約10℃~約35℃の温度で行われる、項目1から32のいずれかに記載の方法。
【0180】
項目37.溶媒成分を含む電解質を含む電池であって、前記溶媒成分が、約1ppm~約60%の量のフッ素化化合物を含み、前記フッ素化化合物が、式I、式II(a)、式II(b)、式III、又は式IVのいずれかを有する。
【化17】
【0181】
式中、R10及びR20は、独立して、C1-C6アルキル、シクロアルキル、アリール、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C6アルキル、完全又は部分的にフッ素化されたシクロアルキル、及び完全又は部分的にフッ素化されたアリールから選択される。
【0182】
項目38.R20が、完全又は部分的にフッ素化されたC1-C6アルキルである、項目37に記載の電池。
【0183】
項目39.R20が、1以上の-CF基を含む、項目37に記載の電池。
【0184】
項目40.R20が、1~3基の-CF基を含む、項目37に記載の電池。
【0185】
項目41.R20が、トリフルオロエチル又はヘキサフルオロイソプロピルから選択される、項目37に記載の電池。
【0186】
項目42.R10が、メチル、エチル、n-プロピル、及び2-プロピルから選択される、項目37から41のいずれかに記載の電池。
【0187】
項目43.R10が、完全又は部分的にフッ素化されたメチル、完全又は部分的にフッ素化されたエチル、完全又は部分的にフッ素化されたn-プロピル、及び完全又は部分的にフッ素化された2-プロピルから選択される、項目37から41のいずれかに記載の電池。
【0188】
項目44.R10が、1以上の-CF基を含む、項目37から41のいずれかに記載の電池。
【0189】
項目45.R10が、1~3基の-CF基を含む、項目37から41のいずれかに記載の電池。
【0190】
項目46.R10及びR20が、同一である、項目37に記載の電池。
【0191】
項目47.前記式IVの化合物が、式400、式401、式402、又は式403のいずれかの化合物である、項目37に記載の電池。
【化18】
【0192】
項目48.前記式Iの化合物が、式100、式101、式102、又は式103のいずれかの化合物である、項目37に記載の電池。
【化19】
【0193】
項目49.前記式II(a)の化合物が、式200、式201、式202、又は式203のいずれかの化合物である、項目37に記載の電池。
【化20】
【0194】
項目50.前記式IIIの化合物が、式300又は式301の化合物である、項目37に記載の電池。
【化21】
【0195】
項目51.前記フッ素化化合物が、式10のエーテル又はチオエーテルである、項目37に記載の電池。
【化22】
【0196】
式10において、Xは、O又はSであり、Rは、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり;Rは、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である。
【0197】
項目52.Rが、部分的にフッ素化されたC-Cアルキル基であり、Rが、任意にフッ素化されていてもよいC-Cアルキル基である、項目51に記載の電池。
【0198】
項目53.前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、項目51から52のいずれかに記載の電池。
【0199】
項目54.前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、1以上の-CF基を含む、項目51から53のいずれかに記載の電池。
【0200】
項目55.前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、2以上の-CF基を含む、項目51から53のいずれかに記載の電池。
【0201】
項目56.前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む、項目51から55のいずれかに記載の電池。
【0202】
項目57.前記フッ素化されたエーテル又はチオエーテルが、ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテルである、項目51から55のいずれかに記載の電池。
【0203】
項目58.前記溶媒成分が、前記フッ素化化合物を、約1ppm~約5000ppmの量で含む、項目37から57のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約1ppm~約100ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約100ppm~約500ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約500ppm~約1000ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約1000ppm~約2000ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約2000ppm~約3000ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約3000ppm~約4000ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約4000ppm~約5000ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約5000ppm~約7500ppmの量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約7500ppm~約10000ppmの量で含む。
【0204】
項目59.前記溶媒成分が、前記フッ素化化合物を、約0.0001%~約5%の量で含む、項目37から57のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約0.0001%~約10%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約0.0001%~約15%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約0.001%~約0.01%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約0.01%~約0.1%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約0.1%~約1%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約1%~約2%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約2%~約3%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約3%~約4%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約4%~約5%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約5%~約6%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約6%~約7%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約7%~約8%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約8%~約9%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約9%~約10%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約10%~約20%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約10%~約30%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約30%~約40%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約40%~約50%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約50%~約60%の量で含む。
【0205】
項目60.前記溶媒成分が、前記フッ素化化合物を、約0.1%~約2%の量で含む、項目37から57のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約0.1%~約0.5%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約0.5%~約1%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約1%~約1.5%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約1.5%~約2%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約2%~約2.5%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約2.5%~約3%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約3%~約3.5%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約3.5%~約4%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約4%~約4.5%の量で含む。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、前記フッ素化化合物を、約4.5%~約5%の量で含む。
【0206】
項目61.前記電解質が、非水系電解質であり、前記溶媒成分が部分的にフッ素化された有機カーボネート及び非フッ素化有機カーボネートのうちの1以上を更に含む、項目37から60のいずれかに記載の電池。
【0207】
項目62.前記非フッ素化カーボネートが、EC(エチレンカーボネート)、EMC(エチルメチルカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)、DMC(ジメチルカーボネート)、PC(プロピレンカーボネート)、及びVC(ビニレンカーボネート及び/又はビニリデンカーボネート)のうちの1以上を含む、項目58に記載の電池。
【0208】
項目63.前記溶媒成分中のVCの量が、約0.001%~約2%である、項目62に記載の電池。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量が、約0.001%~約0.01%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約0.01%~約0.1%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約0.1%~約0.5%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約0.5%~約1%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約1%~約2%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約2%~約3%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約3%~約4%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のVCの量は、約4%~約5%である。
【0209】
項目64.前記部分的にフッ素化されたカーボネートが、FEC(フルオロエチレンカーボネート)を含み、前記溶媒成分中のFECの量が、約0.001%~約10%である、項目61に記載の電池。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.001%~約15%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約1%~約25%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.01%~約10%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約1%~約10%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.01%~約9%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.01%~約8%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.01%~約7%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.01%~約6%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約0.01%~約5%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約5%~約10%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約10%~約15%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約15%~約20%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分中のFECの量は、約20%~約25%である。幾つかの実施形態では、前記溶媒成分は、FECを含まない。
【0210】
項目65.前記電解質が、更に、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいハロアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいハロアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいハロアルキニル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいハロアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、又は任意に置換されていてもよいハロヘテロアリールのうちの1以上を含むフッ素化有機カーボネート又はフッ素化有機サルファイトを含む、項目37から60のいずれかに記載の電池。
【0211】
項目66.前記フッ素化有機カーボネートが、フッ素化ジアルキルカーボネートである、項目65に記載の電池。
【0212】
項目67.前記フッ素化有機サルファイトが、フッ素化ジアルキルサルファイトである、項目65に記載の電池。
【0213】
項目68.前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、-CF、-CHF、-CHF、-CHF-、及び-CF-から選択される1以上の基を含む、項目65から67のいずれかに記載の電池。
【0214】
項目69.前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、1以上の-CF基を含む、項目65から67のいずれかに記載の電池。
【0215】
項目70.前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、2,2,2-トリフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロイソプロピル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、3-フルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル、及び5,5,5-トリフルオロペンチルから選択される1以上の基を含む、項目65から67のいずれかに記載の電池。
【0216】
項目71.前記フッ素化有機カーボネート又は前記フッ素化有機サルファイトが、1又は2基の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル基を含む、項目65から67のいずれかに記載の電池。
【0217】
項目72.前記フッ素化有機カーボネートが、メチル(2,2,2-トリフルオロエチル)カーボネート、メチル(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)カーボネート、メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2-フルオロエチル)カーボネート、メチル(2,2-ジフルオロエチル)カーボネート、メチル(3-フルオロプロピル)カーボネート、メチル(3,3-ジフルオロプロピル)カーボネート、メチル(2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル)カーボネート、メチル(4,4,4-トリフルオロブチル)カーボネート、メチル(1,1,1,3,3-ペンタフルオロイソプロピル)カーボネート、及びメチル(5,5,5-トリフルオロペンチル)カーボネートから選択される、項目65に記載の電池。
【0218】
項目73.前記フッ素化有機サルファイトが、ビス-(2,2,2-トリフルオロエチル)サルファイト、ビス-(1,1,1-トリフルオロイソプロピル)サルファイト、及びビス-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトから選択される、項目65に記載の電池。
【0219】
項目74.前記電解質が、更に、アルカリ塩を含む、項目37から73のいずれかに記載の電池。
【0220】
項目75.前記アルカリ塩が、前記溶媒成分に溶解しており、前記アルカリ塩の濃度が、約1M~約1.5Mである、項目74に記載の電池。
【0221】
項目76.前記アルカリ塩が、前記溶媒成分に溶解しており、前記アルカリ塩の濃度が、約1M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、又は約1.5Mである、項目74に記載の電池。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約0.5Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約0.6Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約0.7Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約0.8Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約0.9Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.1Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.2Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.3Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.4Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.5Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.6Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.7Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.8Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約1.9Mである。幾つかの実施形態では、前記アルカリ塩の濃度が、約2Mである。
【0222】
項目77.前記アルキル塩が、リチウム塩である、項目74から76のいずれかに記載の電池。
【0223】
項目78.前記リチウム塩が、LiPFである、項目77に記載の電池。幾つかの実施形態では、前記リチウム塩は、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドである。幾つかの実施形態では、前記リチウム塩は、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。幾つかの実施形態では、前記リチウム塩は、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ボレートである。
【0224】
項目79.前記カソードが、ニッケル、マンガン、及びコバルトから選択される金属を含む項目37から78のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記カソードは、遷移金属を含む。
【0225】
項目80.前記カソードが、約70%~約90%のニッケルを含む、項目37から78のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約65%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約66%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約67%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約68%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約69%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約70%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約71%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約72%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約73%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約74%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約75%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約76%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約77%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約78%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約79%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約80%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約81%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約82%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約83%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約84%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約85%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約86%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約87%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約88%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約89%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約90%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約91%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約92%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約93%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約94%のニッケルを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約95%のニッケルを含む。
【0226】
項目81.前記カソードが、約1%~約15%のマンガンを含む、項目37から78のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約1%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約2%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約3%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約4%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約5%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約6%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約7%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約8%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約9%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約10%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約11%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約12%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約13%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約14%のマンガンを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約15%のマンガンを含む。
【0227】
項目82.前記カソードが、約1%~約15%のコバルトを含む、項目37から78のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約1%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約2%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約3%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約4%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約5%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約6%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約7%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約8%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約9%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約10%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約11%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約12%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約13%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約14%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約15%のコバルトを含む。
【0228】
項目83.前記カソードが、約80%のニッケル、約10%のマンガン、及び約10%のコバルトを含む、項目37から78のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約80%のニッケル、約1%~約10%のマンガン、及び約10%~約1%のコバルトを含む。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約65%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約66%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約67%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約68%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約69%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約70%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約71%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約72%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約73%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約74%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約75%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約76%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約77%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約78%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約79%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約80%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約81%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約82%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約83%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約84%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約85%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約86%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約87%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約88%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約89%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約90%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約91%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約92%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約93%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約94%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約95%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。幾つかの実施形態では、前記カソードは、約96%~99%のニッケルを含み、マンガン対コバルトの重量比が、約99:1~約1:99である。
【0229】
項目84.前記カソードが、約90%のニッケル、約5%のマンガン、及び約5%のコバルトを含む、項目37から78のいずれかに記載の電池。
【0230】
項目85.前記アノードが、約2%~約75%のシリコンを含む、項目37から84のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約1%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約2%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約3%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約4%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約5%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約6%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約7%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約8%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約9%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約10%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約11%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約12%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約13%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約14%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約15%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約16%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約17%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約18%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約19%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約20%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約21%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約22%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約23%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約24%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約25%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約26%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約27%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約28%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約29%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約30%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約31%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約32%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約33%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約34%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約35%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約36%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約37%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約38%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約39%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約40%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約5%~約10%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約10%~約15%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約15%~約20%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約20%~約25%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約25%~約30%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約30%~約35%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約35%~約40%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約40%~約45%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約45%~約50%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約50%~約55%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約55%~約60%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約60%~約65%のシリコンを含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約65%~約70%のシリコンを含む。
【0231】
項目86.前記アノードが、約2%~約75%の酸化シリコングラファイト複合体を含む、項目37から84のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約1%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約2%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約3%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約4%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約5%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約6%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約7%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約8%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約9%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約10%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約11%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約12%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約13%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約14%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約15%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約16%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約17%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約18%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約19%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約20%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約21%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約22%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約23%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約24%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約25%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約26%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約27%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約28%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約29%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約30%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約31%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約32%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約33%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約34%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約35%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約36%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約37%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約38%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約39%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約40%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約5%~約10%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約10%~約15%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約15%~約20%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約20%~約25%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約25%~約30%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約30%~約35%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約35%~約40%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約40%~約45%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約45%~約50%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約50%~約55%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約55%~約60%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約60%~約65%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約65%~約70%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約70%~約75%の酸化シリコングラファイト複合体を含む。
【0232】
項目87.前記アノードが、約2%~約75%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む、項目37から84のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約1%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約2%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約3%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約4%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約5%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約6%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約7%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約8%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約9%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約10%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約11%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約12%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約13%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約14%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約15%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約16%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約17%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約18%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約19%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約20%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約21%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約22%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約23%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約24%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約25%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約26%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約27%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約28%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約29%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約30%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約31%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約32%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約33%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約34%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約35%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約36%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約37%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約38%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約39%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約40%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約5%~約10%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約10%~約15%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約15%~約20%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約20%~約25%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約25%~約30%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約30%~約35%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約35%~約40%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約40%~約45%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約45%~約50%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約50%~約55%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約55%~約60%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約60%~約65%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約65%~約70%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。幾つかの実施形態では、前記アノードは、約70%~約75%のアモルファスシリコングラファイト複合体を含む。
【0233】
項目88.前記電池が、再充電可能であり、約150~約500サイクルのサイクル寿命を有する、項目37から87のいずれかに記載の電池。幾つかの実施形態では、前記電池は、約150~約200サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約200~約250サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約250~約300サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約300~約350サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約350~約400サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約400~約450サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約450~約500サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約500~約550サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約550~約600サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約600~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。幾つかの実施形態では、前記電池は、約 ~約 サイクルのサイクル寿命を有する。
【0234】
項目89.前記電池が、少なくとも200サイクルのサイクル寿命を有する、項目88に記載の電池。
【0235】
項目90.前記電池が、少なくとも250サイクルのサイクル寿命を有する、項目88に記載の電池。
【実施例
【0236】
以下、本明細書に包含される実施形態を、以下の実施例を参照しつつ説明する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、本明細書に包含される開示は、何らこれらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書に提供される教示の結果として明らかとなるあらゆる変形を含むと解釈されるべきである。
【0237】
実施例1:メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネートの合成
メカニカルスターラーと添加漏斗を備えた冷却水ジャケット付きの2Lの3口フラスコに、2,2,2-トリフルオロエタノール(150g、1.50mol)、メチルクロロホルメート(146g、1.55mol)、及びヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル(470g)を投入した。トリエチルアミン(157g、1.55mol)を、内部温度を30℃未満に維持するようにゆっくりと添加した(合計添加時間:1.5時間)。2時間後、GCにより、出発アルコールの96.1%が、メチル2,2,2-トリフルオロエチルカーボネートに変換されたことが示された。
【0238】
実施例2:メチル1,1,1-トリフルオロイソプロピルカーボネートの合成
メカニカルスターラーと添加漏斗を備えた冷却水ジャケット付きの1Lの3口フラスコに、1,1,1-トリフルオロ-2-プロパノール(114g、1.00mol)、メチルクロロホルメート(94g、1.0mol)、及びヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル(200mL)を投入した。トリエチルアミン(102g、1.00mol)を、内部温度を30℃未満に維持するようにゆっくりと添加した(合計添加時間:2時間)。2時間後、GCにより、出発アルコールの96.4%が、メチル1,1,1-トリフルオロイソプロピルカーボネートに変換されたことが示された。
【0239】
実施例3:メチル1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルカーボネートの合成
メカニカルスターラーと添加漏斗を備えた冷却水ジャケット付きの2Lの3口フラスコに、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(252g、1.50mol)、メチルクロロホルメート(146g、1.55mol)、及びヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル(470g)を投入した。トリエチルアミン(157g、1.55mol)を、内部温度を30℃未満に維持するようにゆっくりと添加した(合計添加時間:1.5時間)。2時間後、GCにより、出発アルコールの98.6%が、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルカーボネートに変換されたことが示された。
【0240】
実施例4:ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトの合成
ヘキサフルオロイソプロピルメチルエーテル(1.0kg)中の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール(336g、2.00mol)及びトリエチルアミン(203g、2.00mol)に、内部温度を15℃未満に維持しながらチオニルクロリド(73mL、1.0mol)を0℃で滴下した(合計添加時間:1時間)。2時間後、GCにより、出発アルコールの90.6%が、ビス(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル)サルファイトに変換されたことが示された。
【0241】
実施例4:シリコン複合アノードの研究-FEC/FECの組合せの比較
材料:カソード:NMC811;アノード:Si-グラファイト複合体、10%アモルファスSi;ベースライン電解質:88%エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(EC/EMC 3:7)、10%FEC、及び2%VC(ビニレンカーボネート)を含む溶媒中の1.2MのLiPF
【0242】
サイクル寿命試験:試験ビークル:単層ポーチセル。試験プロトコル:1Cで4.4Vまで充電し、1Cで3.0Vまで放電(電極負荷:1.26mAh/cm及び1.90mAh/cm)。
【0243】
図1は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含む電解質に対して、トリフルオロエチルメチルカーボネート(F3EMC)を含む電解質を用いることによる高温シリコンアノード電池の性能向上を示し、F3EMCと、FEC/F3EMCの組合せとが、FEC単独の場合を上回っている(F3EMCは、カーボネートCFCHOC(O)OCH;1C/-1Cサイクル4.40~3.00V;セルタイプ-ポーチセル、サイクル(@45℃)-4.40V~3.00V、カソード-NMC811、アノード10%シリコン複合体)。
【0244】
レジェンド:
88%EC/EMC(3:7)、10%FEC、及び2%VC中の1.2MのLiPF6溶液
88%EC/EMC(3:7)、3%FEC、7%F3EMC、及び2%VC中の1.2MのLiPF6溶液
88%EC/EMC(3:7)、10%F3EMC、及び2%VC中の1.2MのLiPF6溶液
【0245】
図2は、FECを含む電解質に対して、トリフルオロエチルアセテートエステルを含む電解質を用いることによる高温シリコンアノード電池の性能向上を示し、FEC/トリフルオロエチルアセテートエステルの組合せが、FEC単独の場合を上回っている(トリフルオロエチルアセテートエステルは、CFCHOC(O)CHであり;1C/-1Cサイクル4.40~3.00V;セルタイプ-ポーチセル、サイクル(@45℃)-4.40V~3.00V、カソード-NMC811、アノード10%シリコン複合体)。
【0246】
レジェンド:
88%EC/EMC(3:7)、10%FEC、及び2%VC(ビニレンカーボネート)中の1.2MのLiPF6溶液
83%EC/EMC(3:7)、5%FEC、10%トリフルオロエチルアセテートエステル、及び2%VC(ビニレンカーボネート)中の1.2MのLiPF6溶液
88%EC/EMC(3:7)、3%FEC、7%トリフルオロエチルアセテートエステル、及び2%VC(ビニレンカーボネート)中の1.2MのLiPF6溶液
【0247】
図3は、フルオロエチレンカーボネート(FEC)を含む電解質に対して、ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン(ヘキサフルオロ-2-プロピルメチルエーテル)を含む電解質を用いることによる高温シリコンアノード電池の性能向上を示し、FEC不含又はFECと組み合わせたヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンが、80%超、FEC単独の場合を上回っている(ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンは、(CFCHOCHであり;1C/-1Cサイクル4.40~3.00V;セルタイプ-ポーチセル、サイクル(@45℃)-4.40V~3.00V、カソード-NMC811、アノード10%シリコン複合体)。
【0248】
レジェンド:
88%EC/EMC(3:7)、10%FEC、及び2%VC(ビニレンカーボネート)中の1.2MのLiPF6溶液
88%EC/EMC(3:7)、3%FEC、7%ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン、及び2%VC(ビニレンカーボネート)中の1.2MのLiPF6溶液
88%EC/EMC(3:7)、10%ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン、及び2%VC(ビニレンカーボネート)中の1.2MのLiPF6溶液
【0249】
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、幾つかの実施形態では、ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンは、F3EMCより優れており、F3EMCは、トリフルオロエチルアセテートエステルより優れており、トリフルオロエチルアセテートエステルは、FECより優れていると考えられる。
【0250】
本開示が関係する現在の技術水準について記載するために、本明細書では、幾つかの特許文献及び非特許文献が引用される。これらの文献それぞれの開示内容全体を、参照により本明細書に援用する。
【0251】
本開示の特定の実施形態を上に記載及び/又は例示しているが、前記開示から、様々な他の実施形態が当業者には明らかである。したがって、本開示は、記載された及び/又は例示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲及び精神から逸脱することなく、大幅な変形及び変更が可能である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】