(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(54)【発明の名称】磁石によって保持された着脱可能なハンドルを有するブラシ
(51)【国際特許分類】
A46B 5/00 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
A46B5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543804
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 IB2020058864
(87)【国際公開番号】W WO2021059145
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522115468
【氏名又は名称】エスセペイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ニクー,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202AB11
3B202BA03
3B202BB07
3B202CA02
3B202CB05
3B202DB04
(57)【要約】
【要約】
毛髪を処理する器具(1)は、器具本体(2)に高い剛性をもって取り付けられているハンドル嵌合要素(24)を有する器具本体と、組み立て位置でハンドル嵌合要素に着脱可能に締結されるように構成されている締結要素(30)を有する着脱可能なハンドル(3)とを備えている。中空の凹部(25)は、ハンドル嵌合要素に設けられている。締結要素の突起部(5)は、軸方向(I-I)での平行移動によって嵌合し、組み立て位置で中空の凹部にロックされることに適合されているような形状である。中空の凹部に収容された第1磁石(6)は、突起部に収容された第2磁石(7)と係合し、中空の凹部の中の突起部を磁気吸引によって組み立て位置に着脱可能に保持する。回転防止手段(28,50)は、中空の凹部に設けられている凹部歯(28)のリングと、突起部に設けられている突起部歯(50)のリングとを含み、凹部歯は、組み立て位置で突起部歯と噛み合う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を処理する器具であって、
前記毛髪と相互作用することに適合され、器具本体に取り付けられているハンドル嵌合要素を有する器具本体と、
グリップ区間を含み、組み立て位置で前記ハンドル嵌合要素に着脱可能に締結されるように構成されている締結要素を含む着脱可能なハンドルと、
前記締結要素と前記ハンドル嵌合要素との一方に設けられている中空の凹部と、
前記締結要素と前記ハンドル嵌合要素との他方に設けられている突起部であり、軸方向での平行移動によって嵌合し、前記組み立て位置で前記中空の凹部にロックされることに適合されている突起部と、
前記中空の凹部と前記突起部との一方の中に収容されている第1磁石であり、前記中空の凹部と前記突起部との他方の中に収容されている磁気吸引要素と協働して、前記中空の凹部の中の前記突起部を磁気吸引によって前記組み立て位置に着脱可能に保持する第1磁石と、
前記組み立て位置で軸方向を中心として、前記器具本体と前記着脱可能なハンドルとの相対的な回転に抗することに適合されている回転防止手段とを備え、
前記回転防止手段は、前記中空の凹部に設けられている凹部歯のリングと、前記突起部に設けられている突起部歯のリングとを含み、前記凹部歯は、前記組み立て位置で前記突起部歯と嵌合し、
凹部歯の前記リングと突起部歯の前記リングとのうち一方は、全て周囲に沿って連続的に歯付きにされ、
凹部歯の前記リングと突起部歯の前記リングとのうち他方は、周囲に沿って不連続に歯付きにされている、毛髪を処理する器具。
【請求項2】
周囲に沿って不連続に歯付きにされている歯の前記リングは、連続的に歯付きにされている歯の前記リングの歯の数の0.5及び30%の間にある数の歯を含む、請求項1記載の器具。
【請求項3】
凹部歯の前記リングは連続的に歯付きにされているものであり、突起部歯の前記リングは、周囲に沿って120度で分布した3つの歯を含む、請求項2記載の器具。
【請求項4】
歯の前記リングの前記歯は、尖った角度を伴う三角形の形状を有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の器具。
【請求項5】
前記中空の凹部はテーパ区間を含み、前記テーパ区間は、前記突起部の対応するテーパ区間が、遊びなしの状態で前記組み立て位置で嵌合する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の器具。
【請求項6】
歯の前記リングは、前記テーパ区間の大きな直径の上に形成されている、請求項5記載の器具。
【請求項7】
歯の前記リングは、前記テーパ区間の小さな直径の上に形成されている、請求項6記載の器具。
【請求項8】
前記テーパ区間は円錐状区間である、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の器具。
【請求項9】
凹部歯の前記リングと突起部歯の前記リングとは、前記中空の凹部の長さと前記突起部の長さとの半分未満、好ましくは前記中空の凹部の長さと前記突起部の長さとの1/3未満の長さを占める、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の器具。
【請求項10】
前記磁気吸引要素は、前記第1磁石によって生成された磁場によって吸引が可能な材料で作られた第2磁石又は部品である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の器具。
【請求項11】
前記中空の凹部は前記ハンドル嵌合要素内に位置し、前記突起部は前記締結要素の上に位置する、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の器具。
【請求項12】
前記ハンドル嵌合要素は、前記器具本体に付加して固定された部品である、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の器具。
【請求項13】
前記ハンドル嵌合要素は、前記器具本体の端部に付加して固定された部品である、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の器具。
【請求項14】
前記ハンドル嵌合要素は、前記中空の凹部の残りの部分よりもフレアが大きい漏斗状の入力区間を含む、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の器具。
【請求項15】
前記締結要素は、前記ハンドルの前記グリップ区間に付加されているハンドル端フィッティングである、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の器具。
【請求項16】
前記ハンドル嵌合要素は、外面に環状溝を含み、前記環状溝は、ユーザの指先の係合を可能にすることに適合している、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の器具。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の、少なくとも1つの着脱可能なハンドルと、複数の器具本体とを備えている、毛髪を処理する器具のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪、特に「ブラッシング」もしくは「シェーピング」又は「ブロードライ」と呼ばれる整髪方法、及び毛髪の切断に使用されることを意図した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラッシングは、美容師に周知の髪の乾燥及びシェーピング技術であり、これは、ハンドドライヤー及び本質的に円筒状のハンドブラシの組み合わせ作用を必要とする。この整髪技法は、ブラシ、くし、又は指を使って房ごとに湿った髪の毛に対して作業し、ハンドドライヤーで乾燥させることからなる。
【0003】
この整髪技法では、美容師は髪にボリュームを与えたり、カールさせたりすることができる。そのために美容師は、湿った髪の毛の房を手に取り、手でブラシに巻いた後、ヘアドライヤーで乾燥させ、ブラシの直径によって決まる形にしなければならない。
【0004】
このような方法は、毛髪の房の異なる長さ又は位置にそれぞれ合致した、異なる直径のブラシを連続して容易に使用することができることを、美容師に要求する。
【0005】
ブラッシングを容易にするために、米国特許第2009/0229624A1号は、キットを記載している。これは、複数のブラッシングローラと;ブラッシングローラのうちの1つを機械的に締結することができる少なくとも1つの着脱可能なグリップ用ハンドルと;ブラッシングローラを受け入れて収容する寸法になっている収容区画を画定する収容ボックスとを備えている。着脱可能なグリップ用ハンドルにブラッシングローラを機械的に締結することは、着脱可能なグリップ用ハンドルからブラッシングローラを解除するために解除ボタンを操作することを必要とする。次に、ブラッシングローラを分離するまでは、両手を使用して、片手は着脱可能なグリップ用ハンドルを保持し、別の手は保持する必要がある。ブラッシングローラは人間工学的ではなく、ヘアドライヤーを解除するために美容師を必要とする。
【0006】
米国特許第2013/0133683A1号は、磁石によって着脱可能なハンドル上に保持されるブラッシングローラを記載している。着脱可能なハンドルは、グリップ区間と、ブラッシングローラ内に設けられたハンドル嵌合要素の対応する円錐状凹部に着脱可能に嵌合される円錐状に構成された締結部分とを備えている。着脱可能なハンドルとブラッシングローラとの相対的な回転に抗するために、2つの対向する平坦面が、ハンドル嵌合要素の締結用の円錐状区間と円錐状凹部との両方に設けられている。ハンドル嵌合要素の円錐状凹部の底部には保持磁石が設けられ、ハンドルの締結部分の端部には保持磁石が設けられ、ハンドルとブラッシングローラとが組み立て位置で互いに取り付けられた状態を軸方向に保持する。ブラッシングローラの基端には円周方向のフランジが設けられ、軸方向の押し込みによってブラッシングローラをハンドルから外すための支持表面を構成している。ハンドルをブラッシングローラに係合させるとき、ユーザは、必然的に、ハンドルを軸方向の周りに角度付けで配向し、平坦面を一致させるなければならない。それがない場合には、ブラッシングローラがハンドル上の許容できない位置で機械的にジャミングされる可能性があり、磁石によって保持されない。従って、組み立ては、両手の動作を必要とする。更に、ハンドルをブラッシングローラから外すことは容易ではない。というのは、ユーザによる片手の操作を防止するために、ジャミングのリスクが著しく高いからである。
【0007】
米国特許第2011/114111A1号で特に記載されている実施形態では、着脱可能なハンドルが、ヘアローラ内に形成された円錐状の開口に嵌合する円錐状の締結部分を含み、2つの素子が磁石によって保持される交互の溝及びリブは、円錐状の締結部分と円錐状の開口と全体に沿って設けられ、ハンドルとヘアローラとの相対的な軸方向の回転を防止し、歯を形成する。図示された歯は、雄の部品に関しても雌の部品に関しても隣接していない。この記載は、追加情報を提供しない。言い換えれば、歯付き部分はいずれも連続していない。
【0008】
米国特許第2017/086558A1号で特に記載されている実施形態では、ヘアローラが、ハンドルの内側に形成された円錐状の開口に嵌合する雄の円錐状の締結部分を含み、2つの要素が磁石及び金属リングによって保持される。円錐状の締結部分と円錐状の開口と全体に沿って設けられた嵌合リブは、ハンドルとヘアローラとの相対的な軸方向の回転を防止する。図に示された歯は、スロット状であり、雄の部品と雌の部品との両方に関して隣接している。この記載は、追加情報を提供しない。言い換えれば、歯付き部分はいずれも不連続ではない。
【0009】
米国特許第9173478号B2号には、口腔内にゲル又はペーストを塗布するための歯科器具が記載されている。器具本体と器具ヘッドとの間の結合部は、器具本体上に、器具ヘッドの内側に形成された円筒形開口に嵌合する雄円筒状の締結部分を備えている。円筒形開口の直径方向に対向する2つのリブが、雄円筒形部分の8つの溝のうちの2つに嵌合し、部品の相対的な配向をインデックス及びブロックする。部品に対して、片手で結合及び分離することのための手段は設けられていない。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、特に、整髪に使用される器具のハンドリングをさらに容易にすることである。これは、特に、美容師が、自分の一方の手でヘアドライヤー又は別の整髪器具を継続的に保持し、ブラッシング工程で自分の他方の手で頭髪の房の切断又はシェーピングの器具を、取り上げ、操作し又は休息させることで行われる。
【0011】
本発明の特定の目的は、異なる器具のハンドリング及び交換性を容易にすることであり、各器具は、毛髪と相互作用することに適合され、かつグリップハンドルが着脱可能に締結できる器具本体を備えている。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、特に、ユーザが、ハンドルを器具本体に締結するときに、グリップハンドルの角度位置をインデックス(割り出し)する必要がないという事実、及び、ハンドルを器具本体に締結するとき、また器具本体からハンドルを取り外すときに、ハンドルが機械的にジャミング(BLOCAGE,誤設置)するリスクを本発明が回避するという事実によって、ハンドリングを容易にするものとする。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、中空の器具本体と低温のグリップハンドルとの有利な特性を保持することを目的とする。
【0014】
第3の態様によれば、本発明は、グリップハンドルの器具本体への嵌合を実質的に促進することにより、器具のハンドリング及び交換性を容易にすることを目的とする。
【0015】
第4の態様によれば、本発明は、一方では、器具本体をグリップハンドル上に良好に固定することを促進し、他方では、過度の労力をかけず、またジャミングするリスクがなく、片手のみを使用して器具本体からグリップハンドルを意図的に分離することを促進することにより、器具のハンドリング及び交換性を容易にすることを目的とする。
【0016】
これらの目的、及びその他の目的を達成するために、本発明は、上述の前文の特徴を備えている、毛髪を処理する器具を提案する。即ち、
器具本体は、毛髪と相互作用することに適合され、器具本体に取り付けられているハンドル嵌合要素を有し、
グリップ区間を含み、組み立て位置でハンドル嵌合要素に着脱可能に締結されるように構成されている締結要素を含む着脱可能なハンドルと、
締結要素とハンドル嵌合要素との一方に設けられている中空の凹部と、
締結要素とハンドル嵌合要素との他方に設けられている突起部であり、軸方向に平行移動によって嵌合し、組み立て位置で中空の凹部にロックされることに適合されている突起部と、
中空の凹部と突起部との一方の中に収容されている第1磁石であり、中空の凹部と突起部との他方の中に収容されている磁気吸引要素と協働して、中空の凹部の中の突起部を磁気吸引によって組み立て位置に着脱可能に保持する第1磁石と、
組み立て位置で軸方向を中心として、器具本体と着脱可能なハンドルとの相対的な回転に抗することに適合されている回転防止手段とを備え、
回転防止手段は、中空の凹部に設けられている凹部歯のリングと、突起部に設けられている突起部歯のリングとを含み、凹部歯は、組み立て位置で突起部歯と嵌合する、毛髪を処理する器具を提案する。
【0017】
第1の独立した発明を構成する本発明の第1の態様によれば、以下の付加的な特徴を前文の特徴に組み合わせる構成を設けておく。即ち、
凹部歯のリングと突起部歯のリングとのうち一方は、全て周囲に沿って連続的に歯付きにされ、即ち、この歯のリングの隣り合う歯は、連続し、相互に隣接していて、
凹部歯のリングと突起部歯のリングとのうち他方は、周囲に沿って不連続(DISCONTINUE,間欠的)に歯付きにされ、即ち、この歯のリングの隣り合う歯は、円筒形又は円錐状のセグメントによって互いに離されている。
【0018】
付加的な特徴の組み合わせによって得られる技術的効果は、ユーザが、ハンドルを器具本体に締結するときに、グリップハンドルの角度位置をインデックスする必要がないという事実、及び、ハンドルを器具本体に締結するとき、また器具本体からハンドルを取り外すときに、ハンドルが機械的にジャミングするリスクを回避するという事実によって、ハンドリングを容易にすることである。
【0019】
実際、ユーザが組み立てのために、器具本体と着脱可能なハンドルとを相互に対面させて提供した場合に、器具本体と着脱可能なハンドルとの相対的な角度位置にかかわらず、不連続に歯付きにされたリングの歯は、連続的に歯付きにされたリングの歯の1つの位置に、連続的に歯付きにされた2つの隣り合う歯の間の中間空間に連続的に衝突するリスクなしに、各々確実に存在する。さらに、不連続に歯付きにされたリングの歯の間隔は、互いに歯を機械的にジャミングし、ハンドルの完全な挿入及び/又は取り外しを阻む可能性が高い問題を効果的に回避する。
【0020】
このように、ユーザは、以下の操作を片手で行うことができる。即ち、着脱可能なグリップハンドルのみをハンドリングすることによって第1器具本体を取り上げること;毛髪を第1器具本体で処理することを実行すること;毛髪又はサポートの上の所定の位置に器具本体を保持するためにハンドルを取り去ること;着脱可能なグリップハンドルを使用してサポートの上の別の器具本体を取り上げること;毛髪をその別の器具本体で処理することを実行すること、などである。同時に、美容師は、もう一方の手で、ヘアドライヤー又は別の処理ツールを操作することができる。
【0021】
具体的に、機械的なジャミングのリスクをさらに減少させるために、周囲に沿って不連続に歯付きにされている歯のリングは、連続的に歯付きにされている歯のリングの歯の数の0.5及び30%の間にある数の歯を、有利に含んでよい。
【0022】
優れた実施形態によれば、凹部歯のリングは連続的に歯付きにされているものであり、突起部歯のリングは、周囲に沿って120度で分布した3つの歯を含む。
【0023】
好ましくは、歯のリングの歯は、尖った角度を伴う三角形の形状を有する。
【0024】
このように、ハンドルが器具本体に取り付けられ、従って、磁石による有効な保持位置への歯の互いへの完全な貫入に抗するときに、凹部歯と突出部歯とのリングの各歯の頂点が互いに支持し合い続けるリスクは実際には存在しない。
【0025】
好ましくは、中空の凹部はテーパ区間(TRONCON EFFILE,先細り区間)を含み、テーパ区間は、突起部の対応するテーパ区間が、遊びなしの状態で組み立て位置で嵌合する。「テーパ区間」とは、大径の断面(SECTION)の端部と小径の断面の端部との間で、断面直径が、単調に漸進的に変化する区間(TRONCON)を意味するものと理解される。
【0026】
このように、組み立て位置では、それぞれのテーパ区間が互いに支え合い、磁石の作用によってこの位置に保持され、器具本体に対するハンドルの相対的な横方向の動きに抗する。
【0027】
有利なこととしては、歯のリングは、テーパ区間の大きな直径の上に形成されてよく、又は、可能性としては、テーパ区間の小さな直径の上に形成されてよい。
【0028】
優れた実施形態によれば、テーパ区間は円錐状区間である。
【0029】
有利なこととしては、凹部歯のリングと突起部歯のリングとは、中空の凹部の長さと突起部の長さとの半分未満、好ましくは中空の凹部の長さと突起部の長さとの1/3未満の長さを占めてよい。このようにして、機械的なジャミングのリスクがさらに減少され、器具本体のハンドルの係合及び係合解除がさらに容易になる。
【0030】
第2の独立した発明を構成する本発明の第2の態様によれば、以下の付加的な特徴を前文の特徴に組み合わせる構成を設けておく。即ち、
ハンドル嵌合要素は、器具本体の端部に突出して、付加して固定された部品である。
【0031】
これらの付加的な特徴の組み合わせによって得られる技術的効果は、器具本体の内部空間を保持することであり、これにより、器具本体の付加的な機能を保持し、特に、一層軽量で、一層低い熱慣性を有し、ヘアドライヤーからの空気流を透過可能にする中空器具本体の有利な特性を保持する。さらに、この付加部分は、ヘアドライヤーによって加熱される可能性が高い器具本体と、グリップハンドルとの間の断熱要素を構成することができる。
【0032】
第3の独立した発明を構成する本発明の第3の態様によれば、第1実施形態に係り、以下の付加的な特徴を前文の特徴に組み合わせる構成を設けておく。即ち、
ハンドル嵌合要素は、中空の凹部の残りの部分よりもフレアが大きい漏斗状の入力区間を含む。
【0033】
この付加的特徴の追加によって得られる技術的効果は、器具本体上のハンドルの係合をさらに容易にすることであり、この係合は、ハンドルの長手方向軸線が器具本体の長手方向軸線に近接して配置され、2つの軸線の正確なマッチングが必要とされない。
【0034】
第3の独立した発明を構成する本発明の第3の態様によれば、第2実施形態に係り、以下の付加的な特徴を前文の特徴に組み合わせる構成を設けておく。即ち、
凹部歯のリングと突起部歯のリングとは、中空の凹部の長さと突起部の長さとの半分未満、好ましくは中空の凹部の長さと突起部の長さとの1/3未満の長さを占める。
【0035】
この付加的特徴の追加によって得られる技術的効果は、器具本体上のハンドルの係合をさらに容易にすることである。
【0036】
第4の独立した発明を構成する本発明の第4の態様によれば、以下の付加的な特徴を前文の特徴に組み合わせる構成を設けておく。即ち、
ハンドル嵌合要素は、外面に環状溝を含み、環状溝は、ユーザの指先の係合を可能にすることに適合している。
【0037】
この付加的な特徴を加えることによって得られる技術的効果は、ユーザの指が環状溝に係合すると、この指が軸方向の押し込みを行って、器具本体をグリップハンドルから取り外し、この押し込みが、ハンドルと器具本体との長手軸線に対して、可能な限り近接して、行われることである。このことは、ハンドルと器具本体との分離をさらに容易にし、偏心した押し込みでさらに一般的である機械的なジャミングのリスクを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、添付図面に関して与えられた特定の実施形態の以下の説明から出てくるものである。
【0039】
【
図1】本発明の実施形態による器具の長手方向断面図であり、ヘアブラシタイプの器具本体が、着脱可能なハンドルに取り付けられている。
【
図2】
図1のハンドル嵌合要素の斜視図であり、器具本体へ締結する面を示す。
【
図3】
図1のハンドル嵌合要素の別の斜視図であり、中空の凹部の入力面を示す。
【
図4】
図1のハンドル嵌合要素の端面図であり、中空の凹部の入力面を示す。
【
図5】締結用の突起部の端部の側面から見た、ハンドル締結用の突起部を含む、着脱可能なハンドル端フィッティングの形態の締結要素の斜視図である。
【
図6】締結用の突起部の反対側から見た
図5の着脱可能なハンドル端フィッティングの斜視図である。
【
図7】
図5及び6のハンドル端フィッティングの側面図である。
【
図8】締結用の突起部の反対側から見た
図5ないし
図7のハンドル端フィッティングの端面図である。
【
図9】締結用の突起部から見た
図8のハンドル端フィッティングの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1ないし
図9に示す実施形態では、毛髪を処理する器具1は、器具本体2と着脱可能なハンドル(MANCHE,スリーブ)3とを有する、ブラッシングのブラシによって例示される。
【0041】
この例では、器具本体2は、ブラッシングするブラシ本体であり、ブラッシングするブラシ本体は、円形の断面を有する概括的に円筒形の管状ケージ20を備え、これは長手方向軸線I-Iに沿って延び、金属製又はプラスチック材料製であり、ブラッシングするブラシ毛21が係合する周縁貫通孔を備えている。管状ケージ20は、遠位端22で開口している。
【0042】
その他端、即ち近位端23において、管状ケージ20はハンドル嵌合要素24によって閉じられる。
【0043】
着脱可能なハンドル3は、グリップ区間4を有し、着脱可能なハンドル3は、締結部分5を伴う締結要素30を有する。
【0044】
ハンドル3の締結部分5は、ハンドル嵌合要素24の上又は中に着脱可能に締結されることに適合している。
【0045】
図示の実施形態では、ハンドル嵌合要素24は、器具本体2の基端23に軸方向に突出して締結された追加部品である。このように、ハンドル嵌合要素24は、器具本体の管状ケージ20の内部空間をフリーにしておく。図示の例では、この配置により、例えば、毛髪にブロー(仕上げ)をする空気がケージ20の内部空間に進入することが可能になる。
【0046】
ハンドル嵌合要素24は、中空の凹部25を含み、この凹部は、例えば円錐状である中空テーパ区間26と、中空テーパ区間26よりもフレアが大きい漏斗状の入力区間(TRONCON D’ENTREE,入れる区間)27とを含む。例示的な実施形態によれば、中空テーパ区間26は、10.95mmの長さ、11.87mmの小さな直径、16.71mmの大きな直径を有してよい。中空の凹部25の底部は、第1磁石6によってブロックされる。この第1磁石6の磁極の1つが中空の凹部25の端面を形成する。
【0047】
中空の凹部25の入力区間27は、凹部歯28のリングを含む。入力区間27は、約4mmの長さを有してよい。凹部歯28のリングの凹部歯は隣接し、そのためこの凹部歯28のリングは連続的に歯付きにされている。
【0048】
ハンドル3の締結要素30の締結部分は、ハンドル3の遠位端を形成する軸方向突起部5である。図示の実施形態では、軸方向突起部5は、ハンドル本体31の遠位端に追加されたハンドル端フィッティングの形態で、締結要素30の端部分を形成する。
【0049】
軸方向突起部5は、中空テーパ区間26の表面と相補的な形態のテーパ付き外面(外側テーパ区間)40を有し、例えば円錐状である。例示的な実施形態によれば、テーパ付き外面40は、10.7mmの長さ、12mmの小さな直径、16.8mmの大きな直径を有してよい。その最大直径において、軸方向突起部5は、突起部歯50のリングを備えている。突起部歯50のリングは、テーパ付き外面40の長さの半分未満の長さ、例えば、4mmの長さを有してよい。さらに有利には、突起部歯50のリングは、テーパ付き外面40の長さの1/3未満、例えば、3mmの長さを有してよい。
図5及び
図9でさらによく分かるように、突起部歯50のリングの突起部歯は隣接せず、その結果、突起部歯50のこのリングは、その周囲に沿って不連続(間欠的)に歯付きにされる。好ましくは、突起部歯50のリングは、凹部歯28のリングの歯の数の0.5及び30%の間にある数の歯を含む。例示の例では、突起部歯50のリングは、その周囲に120度で分布した3つの歯を含み、凹部歯28のリングは、16個の歯を含む。
【0050】
図3及び
図4でさらによく分かるように、凹部歯28のリングの歯は、尖った角度(ANGLES VIFS,鋭い角度)を伴う三角形の形状を有する。突起部歯50のリングの突起部歯は、凹部歯28のリングの凹部歯と相補的な形状を有し、尖った角度を伴う三角形の形状を有する。このように、2つの頂部エッジが相互に対して現れたときに生じる可能性があるジャミング(COINCEMENT,誤設置)のリスクは回避される。なぜならば、ハンドル3と器具本体2とが長手方向軸線I-Iを中心に互いに旋回し、歯28及び50のリングが互いに嵌合し、組立体が自然に嵌合位置を採用するようにするために、尖った角度が、三角形の片側又は他方の側に旋回を引き起こすからである。
【0051】
突起部歯50のリングの歯と凹部歯28のリングの歯とのピッチは、ハンドル3と器具本体2との相互の間の旋回角度補正が最小限になるように十分に細かく選択される。ピッチは、有利には、歯のリングの直径の10%及び25%の間であってよい。図示の例では、凹部歯28のリングが16本の歯を含み、この比は12.5%である。
【0052】
例えば、その一方の極がハンドル3の締結要素30の前端面を構成する第2磁石7の形態、又は第1磁石6によって生成された磁場によって吸引が可能な材料で作られた部分の形態などの、磁気吸引要素が、係合及び固定された凹部53を、軸方向突起部5の遠位端52は有する。
【0053】
ハンドル3と器具本体2との組み立て位置での相対保持機能を確保するために、第1磁石6と第2磁石7は、短く制御された空隙によって、かつ異なる種類で、即ち、S極に対向するN極を伴って、それらの各磁極61及び71が互いに対向するか、又は互いに接触するか、又は互いに離されるように、配向され、位置決めされる。
【0054】
組み立て位置でハンドル嵌合要素24の近位端面29に支えられるようになる環状リング51の形態での軸方向接触手段を設けることによって、各磁極61及び71の間の空隙を有利に制御することができる。
【0055】
再度、ハンドル嵌合要素24を示す
図1ないし
図3を参照すると、ハンドル嵌合要素24の外周面は、ユーザの指先の係合を可能にすることに適合された環状溝100を含む。この環状溝100は、一層小さい直径のゾーンを構成し、ユーザが長手方向軸線I-Iに一層近い軸方向の押し込みを与えることを可能にする。実際には、溝の底部の直径は、ハンドル本体31の直径よりも小さく、ヘアブラシの場合には、器具本体2の直径よりも小さい。
【0056】
好ましくは、図示のように、溝100は、非対称の縦断面を有し、溝の底部からハンドル3に向かって小さな突起部を形成し、器具本体2に向かって大きな直径の突起部を形成してよい。例示的な実施形態によれば、溝の底部の直径は約18mmであってよく、ハンドル3に向かう小さな突起部は約22mmの直径を有してよく、一層大きな直径の部分は約40mmの直径を有してよい。直径が大きい部分は、ユーザの指の軸方向の押し込みによってハンドル3が器具本体2から外れることを促進する支持ゾーンを構成する。
【0057】
再度、ハンドル締結要素30を示す
図5ないし
図8を参照すると、ハンドル締結要素30は、ハンドル本体31に締結された部分32において、概括的に円筒形の形状を有し、また、ハンドル本体31内での回転を阻止するための横方向の平坦部33と、器具1がドッキング可能である外部サポートの磁石と協働可能な横磁石35(
図1)又は強磁性材料片が係合した縦方向の溝34とを伴う。横磁石35とは反対側で、ハンドル本体31は概括的に平坦な側面36を有し、外部サポート上で、ドッキング位置での器具1の位置決めと保持とを容易にする。
【0058】
図示の実施形態では、中空の凹部25はハンドル嵌合要素24に設けられ、突起部5はハンドル3の締結要素30に設けられている。これに代えて、本発明の範囲から逸脱することなく、ハンドル3の締結要素30に中空の凹部を形成し、ハンドル嵌合要素24に突起部5を形成する構成を設けておいてよい。
【0059】
図示の実施形態では、歯28及び50のリングは、テーパ区間26及びテーパ付き外面40の大きな直径の上に形成される。これに代えて、本発明の範囲から逸脱することなく、テーパ区間26及びテーパ付き外面40の小さな直径の上、又は中間径上に、歯28及び50のリングを形成する構成を設けておいてよい。
【0060】
図示の実施形態では、ハンドル嵌合要素24は、器具本体2に付加して固定された部品である。これに代えて、本発明の範囲から逸脱することなく、単一片の中にハンドル嵌合要素24を有する器具本体2を提供してよい。
【0061】
図示の実施形態では、締結要素30は、ハンドル3のグリップ区間4に付加された部分である。これに代えて、本発明の範囲から逸脱することなく、単一片の中に締結要素30を含むハンドル3を製造する構成を設けておいてよい。
【0062】
図示の実施形態では、器具1は毛髪をブラッシングするブラシである。しかしながら、本発明は、毛髪を処理する器具の別の形態に有利に適用してよい。
【0063】
本発明は、有利なこととして、毛髪を処理する器具のセットに適用してよい。このセットは、少なくとも1つの着脱可能なハンドルと、上述のような複数の器具本体とを備えている。ユーザは、ジャミングのリスクなく、かつ片手で、ハンドルを複数の器具本体の任意の1つに容易に取り付けることができ、ハンドルを器具本体から容易に取り外すことができる。器具本体2へのハンドル3の嵌合は、中空の凹部25の入力(入口)に対して軸方向突起部5を単に提供することによって行うことができる。磁石6及び7によって生成される吸引は、その後、組み立てられた位置でハンドル3の嵌合を完了するのに十分である。
【0064】
本発明は、明示的に記載された実施形態に限定はされず、以下の請求項の分野内に含まれる種々の変形例及び一般化を含む。
【国際調査報告】