(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】ローラドア
(51)【国際特許分類】
E06B 9/15 20060101AFI20221116BHJP
B61D 19/00 20060101ALI20221116BHJP
E06B 9/13 20060101ALI20221116BHJP
【FI】
E06B9/15 B
B61D19/00 A
E06B9/15 G
E06B9/13 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022505275
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2020064500
(87)【国際公開番号】W WO2021052637
(87)【国際公開日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】102019125204.0
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515337659
【氏名又は名称】ゾイスター コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, イェルク
(57)【要約】
本発明は、開位置と閉位置との間を移動可能なドアリーフを備え、開位置ではドアリーフは壁開口部を少なくとも部分的に覆い隠し、好ましくは、壁開口部の上に少なくとも部分的に多層コイルを形成し、閉位置ではドアリーフは少なくとも部分的に壁の開口部を閉じ、前記ドアリーフはドアリーフの移動方向に前後に配置された複数のドアリーフのセグメントを有するローラドアに関する。ドアリーフの移動方向に垂直に延びる少なくとも1つの安定化装置が、2つのドアリーフのセグメントの間に配置され、相互に対向するドアリーフのセグメントの縁部領域は、安定化装置に保持されている。少なくとも1つのドアリーフセグメントの少なくとも1つの縁部領域は、安定化装置上に浮いた状態で保持され、安定化装置に対するこの縁部領域の相対移動が、少なくともドアリーフの移動方向で可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開位置と閉位置との間を移動可能なドアリーフを備え、開位置ではドアリーフは壁開口部を少なくとも部分的に覆い隠し、好ましくは、壁開口部の上に少なくとも部分的に多層コイルを形成し、閉位置ではドアリーフは少なくとも部分的に壁の開口部を閉じ、前記ドアリーフはドアリーフの移動方向に前後に配置された複数のドアリーフのセグメントを有し、ドアリーフの移動方向に垂直に延びる少なくとも1つの安定化装置が、2つのドアリーフのセグメントの間に配置され、相互に対向するドアリーフのセグメントの縁部領域は、安定化装置に保持されたローラドアにおいて、
少なくとも1つのセグメントの少なくとも1つの縁部領域は、安定化装置上に浮いた状態で保持され、安定化装置に対するこの縁部領域の相対移動が、少なくともドアリーフの移動方向で可能であることを特徴とする、ローラドア。
【請求項2】
前記安定化装置に対して、浮いた状態で保持される縁部領域の相対的な動きを制限する制動装置を備える、請求項1に記載のローラドア。
【請求項3】
前記制動装置は、ドアリーフの移動方向と安定化装置で規定され、ドアリーフの面に直交する厚さ方向に、浮いた状態で保持される縁部領域の拡幅部と、浮いた状態で安定化装置上に保持された縁部領域の拡幅部のために安定化装置に形成された受け部を備え、
該受け部は拡幅部とセグメントの領域の間の遷移領域が通過する開口を有し、該遷移領域は安定化装置の外側に露出し、開口の厚さ方向の幅は、遷移領域の厚さ方向の厚さよりも大きいが、拡幅部の厚さ方向の寸法よりも小さい、請求項2に記載のローラドア。
【請求項4】
前記受け部は、開口の反対側で底部によって区切られ、ドアリーフの移動方向における開口と底部との間の距離は、ドアリーフの移動方向における浮いた状態の縁部領域の拡幅部の長さよりも大きい、請求項3に記載のローラドア。
【請求項5】
少なくとも1つの拡幅部は、安定化装置と平行に延びる曲げ軸に対して、浮いた状態で保持された縁部領域を曲げて形成される、請求項3又は4に記載のローラドア。
【請求項6】
少なくとも1つの拡幅部は、周縁領域を厚くすること、特に、ビーディングの接着及び/又は溶接によって厚くすることによって形成される、請求項3乃至5の何れかに記載のローラドア。
【請求項7】
少なくとも1つの拡幅部は、拡幅要素によって形成され、該拡幅要素は積極的、非積極的に保持される拡幅クリップ、及び/又は少なくとも1つのドアリーフのセグメントの縁部領域上の材料嵌合である、請求項3乃至6の何れかに記載のローラドア。
【請求項8】
安定化装置は、開口と対向する境界面を形成する少なくとも2つの切離し可能に相互接続された受入部品を備えている、請求項1乃至7の何れかに記載のローラドア。
【請求項9】
浮いた状態で保持される縁部領域を有する少なくとも1つのセグメントは、少なくとも一部の区間がポリカーボネートのような可撓性及び/又は透明性のある材料から形成される少なくとも1つのプレートを有する、請求項1乃至8の何れかに記載のローラドア。
【請求項10】
ドアリーフの側縁領域に位置し、閉位置にて少なくとも一部が重力方向に延びて、ドアリーフの移動を案内するジョイントアセンブリが設けられ、各ジョイントアセンブリは、ドアリーフの側縁の移動方向に直交したジョイント軸に対して互いにヒンジで接続された複数のジョイント部材を備え、ドアリーフは安定化装置によってジョイントアセンブリに接続された、請求項1乃至9の何れかに記載のローラドア。
【請求項11】
前記拡幅部と受け部の開口との間に、シール材が設けられた、請求項3乃至10の何れかに記載のローラドア。
【請求項12】
前記安定化装置は、前記ドアリーフの移動方向に互いに離間された2つの受け部を有し、上側の受け部は、閉位置において、互いに切離し可能に連結された2つの受入部品によって区切られている、請求項8乃至11の何れかに記載のローラドア。
【請求項13】
浮いた状態で保持される縁部領域を有する少なくとも1つのドアリーフのセグメントは、ドアリーフの厚さ方向に互いに分離され、互いにほぼ平行な少なくとも2枚のプレートを有し、各プレートは前記安定化装置上に保持され、隣接するセグメントに対向する少なくとも1つの縁部領域を有し、少なくとも1枚のプレートの少なくとも1つの縁部領域は、少なくともドアリーフの移動方向において、この縁部領域の相対移動が可能であるように、安定化装置上で浮いた状態で保持される、請求項9乃至11の何れかに記載のローラドア。
【請求項14】
少なくとも1つの安定化装置は、ドアリーフの厚さ方向に互いに離間した2つの受け部を有し、各受け部がドアリーフのセグメントのプレートの縁部領域を受け入れる、請求項13に記載のローラドア。
【請求項15】
コイルのコイル軸と対向する(反対側を向く)内側(外側)プレートの少なくとも1つの縁部領域が、コイルのコイル軸に対し反対側を向く(対向する)ドアリーフのセグメントの対応する外側(内側)プレートよりも、安定化装置に対して、より大きな遊びを持って保持される、請求項13又は14に記載のローラドア。
【請求項16】
好ましくは可撓性材料からなり、前記ドアリーフの移動方向に平行に延びる少なくとも1つのドアリーフのセグメントの少なくとも1つの縁部の上に配置された充填材を備え、該充填材は好ましくは前記プレートの互いに対向する境界面の間に配置された、請求項1乃至15の何れかに記載のローラドア。
【請求項17】
前記充填材は、安定化装置に平行な方向に、ドアリーフ幅の50%以下、特に20%以下に亘って延びる、請求項16に記載のローラドア。
【請求項18】
少なくとも1つの安定化装置は、ドアリーフの厚さ方向に離れ、断熱材からなる接続要素を介して互いに接続される2つの安定化要素を備えている、請求項1乃至17の何れかに記載のローラドア。
【請求項19】
可撓性材料からなる少なくとも1つのセグメントが2つの安定化装置の間に配置され、該セグメントは安定化装置に対して垂直であり、ジョイントアセンブリに対してほぼ平行であるセグメントの側縁部分が、2つ、3つまたはそれ以上のジョイント部材に亘って延び、セグメントの少なくとも1つの側縁部分の領域を安定化装置上で浮いた状態で保持する、請求項1乃至18の何れかに記載のローラドア。
【請求項20】
少なくとも1つの安定化装置が、ジョイント軸に対してほぼ平行に延び、このジョイント軸に沿って、反対側のドアリーフの側縁部分上に設けられた少なくとも1つ、好ましくは2つのジョイントアセンブリに接続される、請求項10乃至19の何れかに記載のローラドア。
【請求項21】
ジョイント軸に平行に伸びる安定化装置がジョイントアセンブリにのみ接続される、請求項10乃至20の何れかに記載のローラドア。
【請求項22】
前記ジョイントアセンブリのみに接続される前記安定化装置は、前記セグメントとは反対側に、前記壁開口部のリンテルに対向して設置されるシール装置を有する、請求項21に記載のローラドア。
【請求項23】
ジョイントアセンブリのみに接続された安定化装置は、セグメントに対向する側部に少なくとも1つのシールストリップを有し、該シールストリップはジョイント軸とほぼ平行に延び、好ましくはドアの全幅に亘って延び、セグメントに配置される、請求項21又は22に記載のローラドア。
【請求項24】
ドアリーフの側縁部に平行に延び、ドアリーフに固定される、少なくとも1つの補強ストリップを備える、請求項1乃至23の何れかに記載のローラドア。
【請求項25】
ドアリーフの移動を案内し、ドアリーフの開位置を規定する、少なくとも1つの楕円形の螺旋状のガイド軌道が設けられた、請求項1乃至24の何れかに記載のローラドア。
【請求項26】
少なくとも1つのジョイント部材は、前記ドアリーフとは反対側に、前記ドアリーフの移動を案内する前記ガイド軌道と相互作用するガイド装置を有し、該ガイド装置は前記ジョイント軸と平行に走るローラ軸に対して回転可能に保持される少なくとも1つのガイドローラを備えることが好ましく、該ガイドローラは少なくとも前記ドアリーフの開位置にてガイド軌道内に受け入れられるのが好ましい、請求項25に記載のローラドア。
【請求項27】
開動作中のドアリーフの先導縁部は、先導する安定化装置によって形成され、該先導する安定化装置は閉位置にて可撓性材料からなるセグメントの上縁部に回転可能に接続され、かつガイド装置に回転可能に接続されている、請求項1乃至26の何れかに記載のローラドア。
【請求項28】
ジョイントアセンブリの少なくとも1つのジョイント部材に関連付けられたシール装置が設けられ、閉位置ではシール装置は、ドアリーフの境界面、特に内側の境界面に設置される、請求項1乃至21の何れかに記載のローラドア。
【請求項29】
開動作の間、ドアリーフの従動縁部に結合されて、開動作の過程で予め引っ張られている付勢装置が、開動作を制動し付勢力を与えるために設けられ、該付勢装置がドアリーフを開位置から閉位置へ付勢する、請求項1乃至28の何れかに記載のローラドア。
【請求項30】
ドアリーフの開位置と閉位置との間の移動を案内するためのガイド装置を備えた、請求項1乃至25の何れかに記載のローラドア。
【請求項31】
少なくとも1つのガイド装置は、ドアリーフ側の磁界発生装置及び壁開口部に対して固定された磁界発生装置を有し、両磁界発生装置は、少なくとも1つの対向する側方縁部の領域において、所定経路の少なくとも1つの区間に沿ったドアリーフの移動の非接触ガイドを得るように構成される、請求項29に記載のローラドア。
【請求項32】
請求項1乃至31の何れかに記載のローラドア用のセグメントのプレートを製造する方法であって、
プラスチックウェブ、より好ましくはポリカーボネートから構成されるプラスチックウェブが、巻き戻しリールまたはロールまたはコイルからの搬送方向に連続的に引き出され、搬送方向に平行に延びるプラスチックウェブ上の少なくとも一縁部が曲げられ、次に、プレートが、搬送方向にほぼ直交した切断線に沿ってウェブから分離される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開位置と閉位置との間を移動可能なドアリーフを備えたローラドアに関し、開位置ではドアリーフは壁開口を少なくとも部分的に露出して、且つ好ましくは、壁開口よりも上方に少なくとも部分的に多層コイルを形成し、閉位置では壁開口を少なくとも部分的に閉じる。前記ドアリーフはドアリーフの移動方向に前後に配置された複数のドアリーフのセグメントを有し、このドアリーフの移動方向に直交して延びる少なくとも1つの安定化装置が、2つのドアリーフのセグメントの間に配置され、かつ、ドアリーフのセグメントの相互に対向する縁部領域が安定化装置上に保持されている。
【背景技術】
【0002】
このようなローラドアは、とりわけ、産業用ホールを閉鎖するためのいわゆる高速ドアとして使用されている。一方では、ドアリーフの動きが安全に案内されることが重要である。他方で、開位置ではドアリーフを収容できるスペースが殆どないことが多いことを考慮することが重要である。このために、例えば、国際公開公報2018/219512号に特定され記載されたタイプのローラドアは、ドアリーフの移動を案内するために、ドアリーフの縁部領域に配置されたジョイントアセンブリを備え、ジョイントアセンブリは閉位置にて重力方向に少なくとも部分的に延びて、ドアリーフに締結され、各ジョイントアセンブリはジョイント軸に対してヒンジで相互接続された複数のジョイント部材を有し、各ジョイントアセンブリは、ジョイント軸に対してヒンジで相互接続されており、ジョイント軸は、側方縁部に直交してドアリーフ面にほぼ平行に延びる。
引用文献によれば、ドアリーフのセグメントの少なくとも幾つかが、それ自体が開位置で形成されるコイルに適応し、従って開位置でより小さな螺旋直径を可能にする可撓性材料から形成されるという点で、開位置でドアに要求される空間は低減される。ドアリーフを安定化装置に連結されたジョイントアセンブリのジョイント部材で案内することによって、引張り力または押込み力がジョイントアセンブリを介して伝達されるので、ドアリーフの安定化装置がジョイントアセンブリのジョイント部材にしっかりと連結されるように注意すれば、ドアの高い移動速度においても、ドアリーフ移動の確実な案内が可能となる。しかしながら、国際公開公報2018/219512号から公知のドアを高い移動速度で操作する場合、ドアリーフは、安定化装置とドアリーフのセグメントとの間の遷移の領域で損傷を受けると判断されている。
【0003】
本発明の目的は、従来技術のこれらの問題点に鑑み、ドアリーフを損傷するリスクを低減しつつ、ドアの高い移動速度が可能なローラドアを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、既知のローラドアの更なる開発によって達成されるが、この既知のローラドアは、少なくとも1つのセグメントの少なくとも1つの縁部領域が、安定化装置上に浮いているように保持され、安定化装置に対するこの縁部領域の相対的な動きが、少なくともドアリーフの移動方向で可能となることが、本質的な特徴である。
【0005】
本発明は、押込み力及び引張り力が、ジョイントアセンブリと安定化装置によって形成されたフレームワークを介して伝達される上記の運動学でも、安定化装置とドアリーフのセグメントの縁部領域との間の遷移領域には、依然としてかなりの力が存在するという認識に基づいている。
国際公開公報2018/219512号によって提示されるように、これらの力は、特に多層コイルを得るべく、開位置への移行中及びドアリーフの動きの逸脱中に発生し、ドアリーフのセグメントが少なくとも部分的に可撓性材料から形成されている場合に特に大きな力が観察される。
この国際公開公報2018/219512号で提案されるドアにおいては、ドアリーフのセグメントは、おそらくガラスストリップを使用して、安定化装置内にクランプされる。しかしながら、ドアリーフのセグメントは、クランプ機能にもかかわらず、安定化装置に対して滑ることがあり、ガラスストリップのクランプ機能によって防止されるため、元の状態に戻らない。これは、ドアリーフの視覚可能な波形又は歪みが、安定化装置とドアリーフのセグメントとの間の遷移領域に形成されることを意味する。
【0006】
このような欠点を除去するために、おそらく可撓性材料でできているドアリーフのセグメントを、端子ストリップを介して安定化装置に対して、固定する試みがなされてきており、これは動的な負荷の下で引き出すことが、静的な力の作用下と同じように不可能であるような方法である。
しかしながら、固定ストリップのクランプ点は、視覚的な妨げもあるような方法でドアリーフのセグメントに移転することが示されている。この場合も、安定化装置とドアリーフのセグメントとの間の遷移領域において、反りまたは同様の損傷が生じる。
【0007】
本発明に関連して、これらの欠点は、安定化装置に対してドアリーフのセグメントを浮いて取り付けることによって、構成の全体的な安定性を損なうことなく、防ぐことができることが認識された。
【0008】
本発明の文脈では、安定化装置及びおそらく既存のジョイントアセンブリが安定したフレームワークを形成し、該フレームワークを介して、ドアリーフ移動中に生じる力を、ドアリーフのセグメントを安定化装置に堅固に取り付ける必要なく伝達し、全体の構成を安定化することができるという事実を利用する。従って、安定化装置に対するドアリーフ要素の縁部領域の相対的な移動を可能にする浮いた取付けは、ドアリーフの移動またはドア構造全体の安定性に悪影響を及ぼすことなく実施することができる。一方、浮いた取付けにより、ドアリーフの移動中に発生する可能性のある遊び、または安定化装置とドアリーフのセグメント間の相対的な動きを、過度の力によるドアリーフ構造の損傷や視覚的な妨げなしに補償することができる。
【0009】
浮いた取付けにより、ドアリーフのセグメントの縁部領域と安定化装置との間の相対的な移動がドアリーフの移動方向に可能になるだけでなく、必要に応じて、浮いた縁部領域に平行な方向、またはドアリーフの移動方向に直交する方向にも可能となり、特定された経路からのドアリーフの移動に対応する僅かな逸脱があっても、ドアリーフのセグメントへの被害はほとんど生じない。
【0010】
ドアリーフのセグメントの安定化装置からの離脱を回避するために、安定化装置に対する少なくとも1つのドアリーフのセグメントの浮いた縁部領域の相対的な動きが制動装置によって制限される場合、それは有用であることが証明されており、ここで、制動装置は、特にドアリーフの移動方向に平行な相対移動の場合に有用となる。
【0011】
本発明の特に好ましい実施の形態において、前記制動装置は、ドアリーフの移動方向に跨るドアリーフ面に垂直な厚さ方向の浮いた縁部領域の拡幅部と、その上に浮上して保持される前記縁部領域の拡幅部のために前記安定化装置内に形成される受け部とを備え、前記受け部は、前記拡幅部と前記安定化装置の外部に露出される前記セグメントの領域との間のセグメントの遷移領域によって貫通される開口を有し、前記開口の厚さ方向の幅は、厚さ方向にて前記遷移領域の厚さよりも大きいが、厚さ方向にて拡幅部の寸法よりも小さい。
【0012】
本発明の実施形態では、安定化装置は、ドアリーフのセグメントの縁部領域の拡幅部を受け入れる受入れ領域を有する安定化プロファイルによって、国際公開公報2018/219512号に従って有利に構成されており、この安定化プロファイルの受け部は、ドアリーフのセグメントが遊びを持って保持され、かつ安定化プロファイルにクランピング効果を与えないように、ドアリーフのセグメントの寸法と調整される。拡幅部の寸法を受け部の開口に適合させることにより、ドアリーフのセグメントの縁部領域がドアリーフの移動方向と平行な方向に受け部から引き出せないことを確実にすることができる。
【0013】
安定化装置または安定化プロファイルに対するドアリーフのセグメントの縁部領域の相対移動のさらなる制限は、受け部が、開口と反対側の受け部の底部によって区切られ、ドアリーフの移動方向における受け部の開口と底部との間の距離が、ドアリーフの移動方向における浮いた縁部領域の拡幅部の長さよりも大きい場合に達成され得る。安定化プロファイルに関する縁部領域の浮いた取り付けの可能である遊びは、寸法の違いによって決まる。
【0014】
本発明の特に好ましい実施形態では、ドアリーフのセグメントはウェブ形状の材料によって形成され、ドアリーフのセグメントの拡幅部は、安定化装置に平行な曲げ軸に対して浮いた縁部領域を曲げることによって形成することができる。本発明の本実施形態では、ドアリーフのセグメントの拡幅部を形成するための追加部品は不要である。ドアリーフのセグメントは、例えばロール成形プロセスによって、移動方向に対して直交して延びる縁部領域で曲げられる。この場合、ドアリーフのセグメントの縁部領域は、例えばフックのようにそれ自体上に曲げ戻すことができ、厚さ方向に浮いて保持された縁部領域の拡幅部を得る。
【0015】
本発明の別の実施形態では、拡幅部は、周縁領域を厚くすることによって形成することができ、特に、ビーディングの接合及び/又は溶接によって形成することができる。浮いた縁部領域上で曲げて形成されるドアリーフのセグメントの拡幅部と、ビーディングの接着及び/又は溶接によって形成される拡幅部の両方が、ドアリーフの全幅にわたって延びることができる。しかし、拡幅部がドアリーフ全体の幅の一部に及ぶだけの実施形態も想定される。特に、本発明の先の実施形態では、ドアリーフのセグメントの縁部に付けられる個々の拡幅要素によっても、拡幅部を形成することができ、その要素は、例えば、クリップ要素のような形で構成される。このような拡幅クリップは、例えば、板金から形成されるU字型の部品であってもよい。
これらの拡幅クリップがドアリーフのセグメントの上にある領域では、拡幅クリップとドアリーフのセグメントの縁部との間に積極的な接続を作り出すために、フック状突起を設けることができ、該突起は例えば、ポリカーボネートのようなプラスチック材料から作られる。フック形の突起はまた、鉤状として構成することができる。拡幅クリップがドアリーフの縁部に取り付けられると、拡幅クリップがドアリーフのセグメントに引掛かり、ドアリーフのセグメントが安定化装置の受け部から引き出されるのを防ぐ。拡幅クリップは、ドアリーフのセグメントの全幅にわたって延びることができる。しかしながら、2つ、3つ以上の拡幅クリップが、ドアリーフのセグメントの縁部で互いに離れて固定されている実施形態も想定される。
【0016】
本発明に係るドアの組立に関して、安定化装置が、分離可能に相互に接続された少なくとも2つの受入部品を有し、該受入部品が開口の対向する境界を形成している場合には、特に有利であることが証明されている。
本発明のこの実施形態では、拡幅部を有するドアリーフのセグメントの縁部領域は最初に、ドアリーフのセグメントまたはドアリーフ面に垂直な方向に第1の受入部品の開口を区切る表面に取り付けることができ、次いで、開口のさらなる境界面を形成する第2の区切られた部品を接続することができ、ここで、2つの受入部品の間の積極的な接続が可能である。例えば、他方の受入部品は、第1の受入部品にクリップさせることができる。
【0017】
安定化装置が、隣接するドアリーフのセグメントの互いに対向する縁部領域を受け入れるために、ドアリーフの移動方向に互いに離間された2つの受け部を有すれば、閉位置にある上側受け部と、対応する開口とが、互いに着脱自在に接続された2つの受入部品によって区切られている場合に、特に有用であることが証明されている。
この場合、ドアリーフのセグメントの上縁部を安定化装置の下側受け部に安定化装置と平行な方向に挿入することができる。次いで、ドアリーフのセグメントをローラドアの案内装置に挿入し、次いで、ドアリーフのセグメントの下縁部を、まず、ドアリーフのセグメントの下縁部を安定化装置の第1の受入部品の境界面上に配置し、次いで、第2の受入部品をドアリーフ面に垂直な方向に第1の受入部品に取り付けて、ドアリーフのセグメントの下縁領域用の受け部を形成することによって、ドアリーフのセグメントの下縁部分を安定化装置の下側に接続することができる。
【0018】
おそらく望ましいシール機能については、シール材を少なくとも1つの受け部、できれば安定化装置の上側の受け部、できればこの受け部の下側の領域で受け入れられれば有利であり得る。更に又は代替的に、シール材は、ドアリーフのセグメントの縁部領域における拡幅部と受け部の開口との間に設けることもできる。この構成により、拡幅部が開口の縁部に当たる場合には、ドアリーフの動きの過程で減衰を達成することができる。このようにして、安定化装置とドアリーフのセグメントとの間でわずかな張力が得られ、僅かな許容誤差を補償することができる。
拡幅部と開口との間に配置されたシール材は、プレートを位置にしっかりと保持し、ドアリーフのセグメントが安定化装置に対して移動するときに発生する可能性のあるあらゆるノイズを低減または完全に防止することができる。
対応するシール材は安定化装置の受け部に導入されるか、ドアリーフのセグメントの拡幅部に直接取り付けられる。これは、湿気が浸透すると膨れ上がるシール材である。閉位置ではいかなる湿気も受け部の領域の下側の受け部に殆ど突き抜けることができないので、これらの受け部では、一般的にシール材は必要とされない。上述の説明から留意できるように、本発明は、浮いた縁部を有する少なくとも1つのセグメントが、少なくとも一部がポリカーボネートのような可撓性及び/又は透明性のある材料から作られた少なくとも1つのプレートを有するドアにおいて、特に有利に用いられる。
【0019】
断熱性を向上させるために、浮いた縁部領域を備えた少なくとも1つのドアリーフのセグメントが少なくとも2つのプレートを有し、該2つのプレートがドアリーフの厚さ方向に互いに間隔を置いており、互いにほぼ平行であり、各プレートに安定化装置に保持され、隣接するドアリーフのセグメントに面している少なくとも1つの縁部領域があれば、有利であることが証明されており、少なくとも1つのプレートの少なくとも1つの縁部領域は、安定化装置に対するこの縁部領域の相対的な動きが少なくともドアリーフの移動方向に可能であるように、安定化装置上に浮かぶように保持される。この縁部領域は、前述したように安定化装置上に保持することができる。この文脈において、少なくとも1つの安定化装置が、ドアリーフのセグメントのプレートの縁部領域を受け入れるために、ドアリーフの厚さ方向に離間した2つの受け部を有する場合、特に有利であることが証明されている。
【0020】
本発明のこの実施形態では、ドアリーフのセグメントのプレートは、開位置において半径方向に離間している。これらは、半径方向に離間した経路に沿って開位置に移動され、それに応じて異なって変形する。その結果、ドアリーフが開位置に移動されるとき、プレートの縁部領域が同一であり、安定化装置内の同一の受け部内に受け入れられれば、短時間の衝突が起こり得る。
この問題を解決するために、本発明の特に好ましい実施形態は、コイルのコイル軸に対向する(反対側)の内側(外側)プレートの少なくとも1つの縁部領域が、コイルのコイル軸とは反対側の(対向する)ドアリーフのセグメントの外側(内側)の対応する縁部領域よりも安定化装置に対してより大きな遊びで保持されることを提供する。
この目的のために、ドアリーフの移動方向における半径方向内側(外側)プレートの縁部領域用の受け部の開口とこの受け部の底部との間の距離は、半径方向外側(内側)プレートの縁部領域用の受け部間の対応する距離よりも大きくてもよい。このようにして、個々のプレートの異なる経路によって、変位(相対移動)の可能性のある差を補償することができる。
【0021】
記載されている二重プレートの配置により、空気クッションが生成される。得られたチャンバは、ドアリーフの移動方向に平行に延びるプレートの縁部の領域で閉じられる。この目的から、ドアリーフの移動方向に平行な少なくとも1つの縁部領域、好ましくはプレートの対向する境界面の間に充填材を提供することができ、充填材は本発明の好ましい実施形態では、弾性ラングなどの可撓性材料から構成される。
接着され機械的に固定される泡のような弾性パッドが、充填材として使用されることができる。したがって、充填材は、ドアリーフを開位置に移動させ、開位置から出るときに必要な可動性も確保する。更にまたは代替的に、ヒンジのように相互に接続され、プレート上にクリップすることができるファンのようなプラスチック要素も、充填材として使用することもできる。
【0022】
本発明の文脈では、縁部領域におけるプレートと補強プロファイルとの間のオフセットを補償するために、1つのプレートのみを有するドアリーフのセグメントにおける弾性パッドまたは弾性ファン要素の使用も想定される。
このようにして、ドアの側面に関するシールを達成することができる。本発明に係るドアのドアリーフのセグメントは、通常、少なくとも部分的に透明であるため、本発明の範囲内で、充填材が安定化装置と平行な方向にドアリーフの幅の50%以上、又は特に20%未満を超える場合には、ドアリーフのセグメントの透明性にわずかな影響しか及ぼさないようにすることが特に好ましい。
【0023】
ドアリーフの内側(内側の空間)とドアリーフの外側(外側の空間)との間の所望の熱分離に関して、少なくとも1つの安定化装置が、ドアの厚さの方向に離間され、かつ断熱材料からなる接続要素を介して互いに接続される少なくとも2つの安定化要素を有する場合、特に有用であることが証明されている。鋼やアルミニウム製の安定化要素のように十分な強度を持つ安定化要素を用いる場合、熱分離を損なうことなく満足な安定化効果が得られる。
【0024】
ドア移動速度の高いドアを提供するためには、ドアリーフの移動を誘導するためのジョイントアセンブリが配備されるのが望ましく、該ジョイントアセンブリは、閉位置で少なくとも区間内にて重力方向に延びるドアリーフの側方縁部の領域内に位置して、ドアリーフに取り付けられ、該ジョイントアセンブリは、ガイドレールなどの対応する固定ガイドデバイスと相互作用し、各ジョイントアセンブリは、ドアリーフの移動方向に垂直な又はドアリーフの側縁部に垂直なジョイント軸にヒンジで接続された複数のジョイント部材を有して、ドアリーフは安定化装置を介してジョイントアセンブリに接続される。
この点、本発明に係るドアの構造は、例えば、国際公開公報2018/219512号に記載されているドアの構造に対応する。ジョイントアセンブリ及びガイドレールの構成、ならびに安定化装置のジョイントアセンブリへの連結に関する本明細書の開示内容は、同じものを明示的に参照することによって本記載内容に組み込まれる。
【0025】
既知のドアと同様に、本発明に係るローラドアにおいても、可撓性材料の少なくとも1つのセグメントが、2つの安定化装置の間に配置され、安定化装置及びジョイント軸にほぼ直交し、ジョイントアセンブリ及びドアリーフの移動方向にほぼ平行なセグメントの側縁部が2つ、3つ以上のジョイント部材上に延び、セグメントの少なくとも1つの側縁領域が安定化装置上で浮いて保持される。
【0026】
国際公開公報2018/219512号によれば、少なくとも1つの安定化装置は、ジョイント軸とほぼ平行に延び、このジョイント軸に沿って反対側の側部ドアリーフ縁部に設けられた少なくとも2つ、好ましくは少なくとも2つのジョイントアセンブリに接続される。装置全体の安定性を高めるために、ドアリーフの側縁またはドアリーフの移動方向とほぼ平行に延び、ドアリーフに固定される少なくとも1つの補強ストリップを提供することができる。
国際公開公報2018/219512号に記載のドアと同様に、ドアリーフの移動を案内し、ドアリーフの開位置を規定するための少なくとも1つのおそらく楕円形の螺旋形状のガイド軌道が設けられ、ここで、少なくとも1つのジョイント部材は、ドアリーフとは反対側に、ドアリーフの移動を案内するガイド装置を有することができ、該ガイド装置は、ガイド軌道と協働し、少なくとも1つのガイドローラを備えることが好ましく、ガイドローラはジョイント軸に平行に延びるローラ軸に対して回転可能に保持され、少なくともドアリーフの開位置にて、ガイド軌道内に受け入れられることが好ましい。
【0027】
本発明によるローラドアのドアリーフの構造を簡単に適応するには、ジョイント軸に平行に延びる安定化装置がジョイントアセンブリにのみ接続されている場合に特に有利であることが証明されている。本発明のこの実施形態により、個々のドアリーフのセグメントの寸法にかかわらず、ジョイントアセンブリのみに接続された安定化装置をジョイントアセンブリに取り付けることができれば、個々のドアリーフのセグメントまたはプレートの同じ構成を維持しながら、ドアリーフの可変安定化が可能になる。安定化装置は、ドアリーフのセグメントまたはプレートに取り付けられていない。従って、この更なる安定化装置の取り付けは、ドアリーフのセグメントまたはプレートのいかなる幾何学的な適応を必要としない。この安定化装置の取り付けの可変性は、ジョイントアセンブリのジョイント部材のピッチによってのみ制限される。
【0028】
本発明に係るローラドアに更なる衝突保護を設ける場合には、ジョイントアセンブリにのみ接続された安定化装置をローラドアのプレートに接続された下側の安定化装置の間に配置することができる。
しかしながら、本発明の文脈では、ドアリーフのセグメントに接続されていない安定化装置が、ドアリーフのセグメントに接続されている2つの上側安定化装置の間に配置される場合には、特に有利であることが証明されている。このようにして、本発明によるドアリーフのセグメントの幾何学的形状及びローラドアの他の構成要素を変更することなく、壁開口部のリンテル領域において壁開口部の高さに適応したシールを達成することができる。
【0029】
この文脈において、ジョイントアセンブリのみに接続されるが、ドアリーフのセグメントには接続されない安定化装置が、隣接するドアリーフのセグメントとは反対側に、壁開口部のリンテルに対して配置することができるシール構成を有している場合、及び/又は安定化装置がセグメントに対向する側部に置かれて少なくとも1つのシールストリップを有し、該シールストリップがジョイント軸にほぼ平行に延び、好ましくはドアのほぼ全幅に亘って延び、隣接するセグメントに対して置かれる場合は特に有利であることが証明されている。
【0030】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、開き動作中のドアリーフの先導縁部は、閉位置にある可撓性材料からなるセグメントの上縁部に回転不可能に接続され、かつガイド装置に回転可能に接続された先導する安定化装置によって形成することができる。この構成は、国際公開第2018/219512号に詳細に説明されているように、ドアリーフのセグメントから望ましくない膨出を防止する。
【0031】
緊密にガイドを閉じるべく、シール装置がジョイントアセンブリの少なくとも1つのジョイント部材に関連付けられている場合、国際公開公報2018/219512号で詳細に説明されているように、閉位置において、シール装置がドアリーフの境界面、特に内境界面に配置されることが有利であることが証明されている。更に、本発明の範囲内では、開動作の間、ドアリーフの従動縁部に結合されて、開動作の過程で予め引っ張られる付勢装置が、開動作を制動し、付勢力を与えるために設けられてもよく、これがドアリーフを開位置から閉位置へ付勢することが想定される。
【0032】
上記の説明から分かるように、有利なことに、本発明に係るドアには、開位置と閉位置との間のドアリーフの移動を案内するガイド装置が設けられている。本発明は、高いドア移動速度を可能にするドアにおいて特に有利に使用される。この目的のために、ガイド装置は非接触の磁気ガイドを可能にすることができる。この目的のために、ガイド装置は、ドアリーフ側の磁界発生装置及び壁開口部に対して固定された磁界発生装置を有し、両磁界発生装置は、少なくとも1つの対向する側方縁部の領域において、所定経路の少なくとも1つの区間に沿ったドアリーフの移動の非接触ガイドを得るように構成される。
【0033】
対応するガイド装置については、国際出願PCT/EP2019/058221に記載されている。本明細書では、ガイド装置及び磁界発生装置に関する開示内容を、同一のものを明示的に参照することにより、本明細書の記述に盛り込んでいる。
この文脈において、ガイド装置は、少なくとも1つのガイドリブを有し、該ガイドリブは、壁開口部に対して固定的に配置され、所定の経路の区画に沿って延在され、2つの外側境界面を有し、少なくとも2つのガイド装置がドアリーフに取り付けられ、ここで、ガイドリブの第1の外側境界面は、第1のガイド装置のためのガイド面を形成し、ガイドリブの第2の外側境界面は、ガイド装置のための第2のガイド面を形成し、それにより、ガイドリブは、ドアリーフに取り付けられたガイド装置の間に受け入れられることが特に重要である。磁界発生装置の代替または追加として、少なくとも1つのガイド装置は、所定の経路に対して垂直方向であり、閉位置においてドアリーフとほぼ平行にあるローラ軸に保持されるガイドローラを有し、ガイドローラはドアリーフが移動するときにドアリーフの案内面上にて転動する。
【0034】
磁界発生装置によるドアリーフの移動の非接触のガイドが使用される場合、少なくとも1つの磁界発生装置、好ましくは少なくとも1つのドアリーフ側の磁界発生装置は、少なくとも1つの永久磁石を有する。有利なことには、ドアリーフ側の磁界発生装置は、2つの永久磁石を有し、これらの永久磁石は、ガイドリブの両側に配置され、かつ、ガイドリブのドアリーフ側の縁部に重なる共通支持体に固定される。磁界発生装置の更なる詳細は、国際出願PCT/EP2019/058221に記載されており、磁界発生装置に関する開示内容も引用文献により明示的に本明細書の記載に組み込まれている。
【0035】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明に係るローラドア用のセグメントプレートの製造方法に関し、プラスチックウェブ、好ましくは少なくとも部分的にポリカーボネートで作られたプラスチックウェブが巻き出しリール、すなわちロールまたはコイルから搬送方向に連続的に引き出され、搬送方向に平行に延びるプラスチックウェブの少なくとも1つの縁部が、必要に応じてコイル形成機によって上方に折り曲げられ、次いで、プレートが、搬送方向にほぼ垂直な切断線に沿ってプラスチックウェブから分離されることを本質的に特徴とする。
このように、本発明に係るローラドア用のプレートは、連続的な生産工程で生産することができる。ロール・形成機は、例えば、ダブルヘッド・プロファイリング・システムである。プラスチックシートは、搬送されて巻き出しリール上にスパイラル形状で巻き込まれ、製造工程に送り込まれる。これにより、ポリカーボネート材をシート状に加工することに比べて、連続的な生産工程において、本発明に従ったローラドア用の個々のプレートを迅速かつ正確に生産することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、以下に、図面を参考にして説明するが、図面は、記載内容に説明されていない発明にとって重要な詳細部について明示的に言及している。特に図面は、
【
図1】本発明に係るローラドアの側方縁部領域の概略図を示す。
【
図2】ドアリーフのセグメントと安定化装置との間の遷移領域の詳細な表現を示す。
【
図3】本発明のさらなる実施形態に係る
図2に対応する詳細な図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る発明の進歩性のあるローラドアの側方縁部領域の概略図である。
【
図5a】本発明の第3の実施形態に係る発明のローラドアの概略図である。
【
図5b】本発明の第3の実施形態に係る発明のローラドアの概略図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態に係る発明のローラドアの概略図である。
【
図7】本発明の第5の実施形態に係る発明のローラドアの概略図である。
【
図8】本発明に係るローラドアの生産プラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、両方向矢印で示すドアリーフの移動方向Pに前後に配置された本発明に係るドアのドアリーフ100の2つのドアリーフのセグメント110、120を示す。ドアリーフのセグメント110、120の間には、安定化プロファイル200として構成された安定化装置が配置されている。
この安定化プロファイル200は、ほぼドアリーフ面におけるドアリーフの移動方向Pと直交する方向に延びている。上部のドアリーフのセグメント120の下縁部は、安定化プロファイル200の上側受け部230(
図2参照)の領域に浮いて保持され、一方、下部のドアリーフのセグメント110の上縁部は、下側受け部240(
図2参照)に浮いて保持され、安定化プロファイル200は、浮上して保持される。ドアリーフのセグメント120の上縁部は、ドアリーフのセグメント110の下縁部が下部の安定化プロファイル200上に保持されるのと同様に、さらなる安定化プロファイル200上に保持される。
【0038】
安定化プロファイル200は、ジョイントアセンブリ300に取り付けられ、該ジョイントアセンブリ300はドアリーフの移動方向とほぼ平行に伸びる、またはドアリーフ100の側縁部と平行に伸びる。ジョイントアセンブリ300は、複数のジョイント部材310を備えており、これらのジョイント部材310は、ドアリーフの移動方向に前後に配置され、ドアリーフの移動方向Pに垂直であるジョイント軸に対してヒンジで相互接続される。特に、3つのジョイント部材310が、2つの隣接する安定化プロファイル200の間に配置される。本発明の他の実施形態において、安定化プロファイル200の間に、1つ又は2つ又は4つ以上のジョイント部材のみが提供される。安定化プロファイルは、連続するジョイント部材間の各接続領域にも提供され得る。
【0039】
ジョイントアセンブリ300は、ドアリーフのセグメント110及び120と反対側にて、ジョイント軸に平行に延びるローラ軸に対して回転可能に保持されるガイドローラ320を有する。ガイドローラ320は、国際出願PCT/EP2019/058221号に記載されているように、ジョイント軸の領域にそれぞれ対になって配置され、ガイドローラ320の間にガイドリブを収容することができ、ガイドリブの対向する境界面の上を転がって、ドアリーフの動きを案内することができる。
【0040】
図2に特に明瞭に示されるように、ジョイント軸に平行に、かつ安定化プロファイル200に平行に延びるドアリーフのセグメント110の上縁領域112が、安定化プロファイル200の受け部240内に配置される。ドアリーフのセグメント110の上縁領域112は、ドアリーフのセグメント110の上縁部を折り曲げて、ドアリーフ及び安定化プロファイル200の移動方向Pによって決まるドアリーフ面に対して垂直に延びる平面内での拡幅部として形成される。ドアリーフのセグメント110は、拡幅部112から始まって、安定化プロファイル200の開口250を通る移行領域とともに下向きに延び、
図1に見られるように開口250の外側に露出される。同様に、ドアリーフのセグメント120は、拡幅部122を有し、これは安定化プロファイル200の受け部230で受けられる。ドアリーフのセグメント120は、拡幅部122から始まり、開口225を通る移行領域とともに上向きに延び、開口225の外側に露出される。
【0041】
開口250は、境界面232及び242によって区切られており、これらの境界面は、ドアリーフの厚さに平行な方向の距離によって互いに分離され、該距離は、拡幅部112の厚さよりも小さいが、拡幅部112と安定化プロファイル200の外側に露出した領域との間のドアリーフのセグメント110の遷移領域の厚さよりも大きい。
また、開口225は、境界面212及び222によって区切られ、ドアリーフ厚さ方向の境界面間の距離は、拡幅部122の厚さよりも小さいが、拡幅部122と安定化プロファイル200の外側に露出するドアリーフのセグメント120の領域との間にある遷移領域の厚さよりも大きい。
【0042】
図2にも見られるように、安定化プロファイル200は、互いに取り外し可能に接続されている2つの部品210と220から構成されている。安定化プロファイル200の下縁部上の凹部240は、全体が第1の安定化プロファイル部品210によって形成され、一方、安定化プロファイル200の上縁部上の受け部230は、2つの安定化プロファイル部品210及び220によって形成される。開口225の第1境界面212は、第1の安定化プロファイル部品210によって形成され、一方、受け部230の第2境界面222は、第2の安定化プロファイル部品220によって形成される。
【0043】
図示のタイプのローラドアを組み立てるために、ドアリーフのセグメントの上縁部を、安定化プロファイル200に平行な方向に受け部240内に押し込むことができ、ここで、拡幅部112と安定化プロファイル200の外側に露出されているドアリーフのセグメントの領域との間の遷移領域が、開口250を通過する。このようにして用意されたモジュールは、ガイドローラ320の間に配置されたガイドリブからなるガイド装置に螺合させることができる。続いて、第1の安定化プロファイル部品210の境界面212上にドアリーフのセグメントの下縁部122を配置することができ、第2の安定化プロファイル部品220が第1の安定化プロファイル部品210上にクリップ留めされて、受け部230内に受け入れられるドアリーフのセグメントの拡幅部と、安定化プロファイル200の外側に露出されるドアリーフのセグメントの領域との間の遷移領域によって通過される開口225を形成する。
【0044】
互いに対向する開口225及び250の境界面212及び222又は232及び242の間の距離は、これらの開口を通る遷移領域の厚さより大きい。これにより、移行領域の領域におけるクランプ効果を防ぐことができる。
【0045】
さらに、開口225及び250と、対応する開口225及び250に対向する受け部230及び240の底との間の距離は、拡幅部122及び112のドアリーフの移動方向の長さよりも大きい。これにより、安定化プロファイル200に対するドアリーフのセグメント110及び120の相対的な移動が可能になる。
【0046】
受け部230の底部の領域では、シール材を配置することができ、シール材は必要であれば、湿気が突き抜けたときに膨れ上がる。
【0047】
図3に示される本発明の実施形態は、拡幅部122を形成するプレート120の下縁部を覆う曲げ部と、安定化プロファイル200の部品220の下側境界面との間に、減衰要素140が配置される点で、
図2を参照して説明される実施形態と本質的に異なる。この実施形態では、一方では、安定化プロファイル200内に保持された浮動プレート120のシールを提供し、他方では、安定化プロファイル200内に保持された浮動プレート120の付勢を引き起こし、これは、公差を補償し、プレート120をその位置にしっかり保持するのに役立つ。さらに、減衰要素140は、プレート120の下端部上の曲げ部が受け部230内で移動し、安定化プロファイルの部品220の下側境界面に当たるときに発生し得るノイズを減少させる。
【0048】
図4に示される本発明の実施形態は、ドアリーフのセグメントが、可撓性のポリカーボネート板として構成される2つのほぼ互いに平行なプレート120a及び120b、または110a及び110bを備えるという点で、
図1及び
図2を参照して示される本発明の実施形態と本質的に異なる。プレート120a及び120bの下縁部には、それぞれ、これらの縁部を曲げることによって形成される拡幅部が設けられており、これらの拡幅部は、安定化プロファイル1200の受け部230a及び230b内に浮いて保持される。下部セグメントのプレート110a及び110bの上縁部は、安定化プロファイル1200の受け部240a及び240b内に保持される。断熱のための空気クッション180が、プレート120aと120bまたは110aと110bの間に形成される。空気クッション180は、プレート120aと120bまたは110aと110bの間に設けられた弾性パッド190によって、セグメント120及び110の移動方向Pに平行に延びる縁部で閉じられている。これらのパッド190は、弾性ラングによって提供される。例えば、発泡状の材料でつくられた弾性パッドが使用され、該弾性パッドは、接着により、または機械的に固定される。また、パッド190の弾性構成により、開位置に到達したときに、螺旋状のガイド軌道にドアリーフを巻くときに必要な移動ができる。
【0049】
更に又は代替的に、互いにヒンジ結合されているファン状のプラスチック要素をチャンバ180内のプレートにクリップ留めすることもできる。
図1及び
図2に示されるように、1つのみのプレートを有するドアリーフセグメントにおける対応する弾性パッドまたは弾性ファン要素の使用も、プレートと壁領域における安定化プロファイルとの間のオフセットを補償するように想定することができる。これにより、閉位置におけるドアリーフの封止性を向上させることができる。
【0050】
図5に示す発明の実施形態は、
図4を参照して説明した実施形態と本質的に異なる。すなわち、プレート110bの下縁部に拡幅部230bを収容するために設けられた安定化プロファイル2200のチャンバ2230bは、プレート110aの下縁部に形成された拡幅部122aを受け入れるために用いられるチャンバ230aよりも、ドアリーフの移動方向の深さが大きい。これにより、開位置において半径方向内側に位置するプレート110bが、開位置において半径方向外側に位置するプレート110aよりも受け部230bにおいてより大きな遊びで保持されることが確実になる。その結果、ドアリーフが開位置に達すると、
図5bに示すように、プレート110a、110bの異なる変形を補償することができる。
【0051】
図6に示される本発明の実施形態は、
図5を参照して説明される本発明の実施形態と本質的に異なり、安定化プロファイル3200が一般に3つの部品から構成されており、3つの部品3210、3220、3230がドアリーフの厚さ方向に順次提供されている。
ドアリーフの閉位置で内側にある部品3210は、閉位置で外側にある安定化プロファイル3200の部品3220のように、金属材料で作られる。これにより、安定化プロファイルに必要な安定性が得られる。部品3210及び3220は、プラスチックなどの断熱材料からなる接続要素3230を介して互いに接続される。したがって、安定化プロファイル3200の十分な全体的安定性を確保しつつ、内部空間と外部空間との間の熱損失は、安定化プロファイル3200を介して効果的に低減され得る。
【0052】
図7に示される本発明の実施形態は、
図1及び
図2を参照して示された本発明の実施の形態と本質的に異なっており、プレート110、120の下縁部及び上縁部に固定されている安定化プロファイル200の間に、安定化プロファイル400が提供され、これは、ジョイントアセンブリ300のジョイント部材にのみ取り付けられている。この付加的な安定化プロファイル400は、プレート形状とは独立して位置決めすることができ、壁の開口部の高さに応じて、リンテルシールを位置決めするように取り付けることができる。この目的のために、安定化プロファイル400は、プレート110、120とは反対側にシール要素410を備え、一方、プレート120と対向している側には、プレート120に対して静止するホースシール420を備えている。付加的な安定化プロファイル400は、プレート120に取り付けられないので、プレートの幾何学的形状にかかわらず、任意のジョイントリンク310に取り付けることができる。したがって、シール要素410の位置は、壁の開口部の高さに適合させることができる。これにより、密封効果が向上するだけでなく、ローラドアの全体的な安定性も向上する。
【0053】
図8に、本発明によるローラドアのドアリーフのセグメント用プレートの製造システムを模式的に示す。
図8に示されたシステムを使用する場合、少なくとも部分的にポリカーボネートから製造されたプラスチックウェブは、巻戻しリール510から搬送方向Fにて連続的に巻き戻される。プラスチックウェブは、プラスチックウェブの正確な幅が設定されたトリミングユニット520を通過し、次いで、二重ヘッドプロファイリングシステム530を通過し、そこで、搬送方向Fに平行に延びるプラスチックウェブの縁部が、プレートの拡幅部を作り出すために曲げられる。
図8から分かるように、プロファイリングシステムは、材料ウェブの縁部が徐々に折り曲げられる複数の成形ローラを有する。二重ヘッドプロファイリングシステム530を離れた後、搬送方向Fに直交して延びる切断線に沿って、切断ユニット540によって材料ウェブから所定の長さのプレートが切断され、次いで、搬出テーブル550上に置かれる。発明に係る方法の以下の特徴は、本発明の文脈において特に重要である。それらは、発明にとって個別に、あるいは互いに組み合わせて不可欠なものとなりうる:
【0054】
- プラスチックのウェブは押出しによって生産され、コイルまたはロールに巻かれる。プラスチックウェブまたはコイルの幅は、押出機のサイズに依存する。
- 押出ポリカーボネートウェブのような押出プラスチックウェブの幅は、変動する可能性がある。トリミングステーションを用いて、好ましくは成形ステーションに入る前に、材料ウェブを所望の幅にトリミングすることができる。
- トリミングステーションでは、より広いプラスチックのウェブをより狭いサイズに分割することができる。これにより、ドアのサイズに応じて必要なプレートサイズを決定することができる。
【0055】
- プラスチックウェブ、特にポリカーボネートウェブは、ダブルヘッド・プロファイリング・システムとして構成され得る成形装置を通った後、鉄鋼よりもはるかに高い復元力を有する。従って、本発明に基づく方法を実施する場合には、最終的に所望のプロファイルを得るために、かなりのオーバーベンディングが達成されるのが好ましい。
これはまた、変形は時間の経過とともに緩和する可能性があり、変形状態は、復元力の影響下で、変形ステーションを離れた後に得られる形状から離れて遷移するという事実を考慮に入れている。
- 復元力を低減するためには、成形プロセスを熱で支持することが有用であることが分かってきた。ポリカーボネートウェブを使用する場合、ウェブは、少なくとも成形領域においては、150-170度の温度に加熱されるのが有利である。
【0056】
これには次のような効果がある。
1. ポリカーボネートにはストレスが少なく緩やかな変形があり、変形領域での割れを防いでいる。
2. 形成されるストレスは中立化され、回復力は最小限に抑えられる。
【0057】
- プラスチック材料、とりわけポリカーボネートは、鉄鋼に比べて固有安定性が低い。従って、プラスチックウェブが搬送方向に平行に延びる縁部の間に支持され、その領域に個々の変形ステージを配置することができる場合、本発明の範囲内で特に有利であることが証明された。縁部間のプラスチックウェブの支持は、少なくとも1つのコンベヤベルトで得ることができる。コンベアベルトにより、プラスチックウェブは搬送方向に平行に延びる縁部間に支持され、搬送方向に搬送される。プラスチックウェブを適切なコンベヤにより上下から保持し、継続的な成形プロセスに必要な安定性を確保する場合に特に有用であることが実証されている。
【0058】
- コンベヤベルトの代わりに、プラスチックウェブを支持するのに適した他の搬送装置又は支持装置を使用することもできる。
【0059】
本発明は、図面を参考に説明した本実施形態に限定されない。例えば、ドアリーフのセグメントの縁部領域の拡幅部は、接着又は溶接によるビーディングによって形成することもできる。安定化プロファイル200は、一般に一体的に形成することができ、その結果、ドアリーフセグメントの拡幅された縁部は、安定化プロファイルに側方に押し込まれなければならない。2つのガイドローラがガイドリブの対向境界面に接触するガイド装置に代えて、ガイドローラがガイドレールの内側に収容されるガイド装置も使用することができる。ガイドローラで構成されるガイドシステムの代わりに、非接触の磁気ガイドを用いることもできる。
【国際調査報告】