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特表2022-549081フレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】フレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/15 20190101AFI20221116BHJP
   G02F 1/1516 20190101ALI20221116BHJP
   G02F 1/1524 20190101ALI20221116BHJP
【FI】
G02F1/15 505
G02F1/1516
G02F1/1524
G02F1/15 507
G02F1/15 508
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516228
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 KR2020011102
(87)【国際公開番号】W WO2021049773
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0112528
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522097599
【氏名又は名称】スイス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SWISS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン グン
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB04
2K101DB05
2K101DB33
2K101DC04
2K101DC05
2K101DC12
2K101DC43
2K101DC44
2K101DC53
2K101DC54
2K101DD01
2K101EB51
2K101EE02
2K101EG27
2K101EG52
2K101EG56
2K101EG65
2K101EH02
2K101EH04
2K101EH36
2K101EH61
2K101EJ31
2K101EK05
(57)【要約】
【課題】電解質内部における気泡発生の可能性を取り除くことができ、透過率の特性及び耐久性を向上させることができるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法を提供する。
【解決手段】開示されるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法は、具体的には、ウェットコーティングされた電解質を紫外線で固化し、かつ、エレクトロクロミック部と対極部を合わせることにより、電解質内部における気泡発生の可能性を取り除くことができ、透過率特性及び耐久性を向上できるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルポリマー材料で形成された第1、2基板を準備する第1工程と、
前記第1基板上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式でITO(Indium Tin Oxide)、アゾ化合物(AZO)、及びFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)の中から選択された材料で形成される第1透明電極層と、前記第1透明電極層上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式又はロールツーロールスパッタリング方式で形成されるエレクトロクロミック層からなるエレクトロクロミック部を形成する第2工程と、
前記第2基板上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式でITO(Indium Tin Oxide)、アゾ化合物(AZO)、及びFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)の中から選択された材料で形成される第2透明電極層と、前記第2透明電極層上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式又はロールツーロールスパッタリング方式で形成される対極層からなる対極部を形成する第3工程と、
前記第1基板の前記エレクトロクロミック層又は前記第2基板の前記対極層上にウェットコーティング方式で電解質層を形成する第4工程と、
前記電解質層を固化し、かつ、前記対極層と前記エレクトロクロミック層が互いに対向するように前記エレクトロクロミック部と前記対極部を合わせる第5工程と、を含むことを特徴とするフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程は、前記第1透明電極層を形成する前に前記第1基板上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式で銀ナノワイヤー(AgNWs、Silver Nano Wire)、導電性高分子(PEDOT:PSS)、及びメタルメッシュ(metal mesh)の中から選択された材料を用いて第1電流分散層を形成し、
前記第3工程は、前記第2透明電極層を形成する前に前記第2基板上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式で銀ナノワイヤー(AgNWs、Silver Nano Wire)、導電性高分子(PEDOT:PSS)、及びメタルメッシュ(metal mesh)の中から選択された材料を用いて第2電流分散層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1、2基板は、PET(Polyethylene terephthalate)、PI(Polyimide)、及びPEN(Polyethylene naphthalate)の中から選ばれた材料からなることを特徴とする、請求項2に記載のフレキブルエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程は、前記エレクトロクロミック層上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll spouttering)方式で、酸化タンタル(Ta、2≦x≦3、3≦y≦6)からなる第1電解質保護層を形成し、
前記第3工程は、前記対極層上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で、酸化タンタル(Ta、2≦x≦3、3≦y≦6)からなる第2電解質保護層を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項5】
前記第5工程は、前記電解質層に紫外線を照射して固化し、かつ、前記エレクトロクロミック部と前記対極部を順次合わせることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項6】
前記第1、2電流分散層は、シート抵抗(sheet resistance)が40~60ohm/sqの厚さで形成され、前記第1透明電極層と前記第1電流分散層とからなる第1複合層及び前記第2透明電極層と前記第2電流分散層からなる第2複合層のシート抵抗(sheet resistance)がそれぞれ5~20ohm/sqとなるように前記第1、2透明電極層の厚さを形成することを特徴とする、請求項2に記載のフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項7】
前記電解質層は、LiAlF、LiPON、及びgel/liquid electrolyteから選択された物質からなり、
前記エレクトロクロミック層は、WO、ポリアナリン及びビロゲンから選択された物質からなり、
前記対極層は、V及びNiOから選択された物質からなることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項8】
前記電解質層は、100μm以下の厚さで形成されることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法に係り、具体的にはウェットコーティングされた電解質を紫外線で固化し、かつ、エレクトロクロミック部と対極部を合わせることにより、電解質内部における気泡発生の可能性を取り除くことができ、透過率の特性及び耐久性を向上させることができるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションでは、必ずしも従来技術とは限らない、本開示に関連する背景情報を提供する。
光の透過率が調整されたスマートガラスを実現する技術として、エレクトロクロミック物質を用いた技術(Electro-Chromic,EC)、PDLC技術(Polymer Dispersed Liquid Crystal)及びSPD(Suspended Partical Device)技術などが知られている。
【0003】
これらのうち、エレクトロクロミック物質を用いた技術は、PDLC及びSPD技術に比べて駆動電圧と消費電力が低いという長所がある。
エレクトロクロミック物質を用いた技術は、物質の酸化-還元反応を利用する。
【0004】
こうした技術は、一般に、ガラス基板上に順次形成される透明電極層、エレクトロクロミック層、電解質層、対極層、及び透明電極層からなる。
【0005】
透明電極層を介して電源が供給又は遮断され、還元着色型エレクトロクロミック層(WxOy、MoxOy等)にLi+やH+のような陽イオンと電子が注入されると着色し、放出されると透明になる。逆に酸化着色物質である対極層(VxOy、NixOy、IrxOy、MnxOy等)にLi+やH+のような陽イオンと電子が放出されると着色し、注入されると透明になる。
【0006】
なお、エレクトロクロミック物質を用いたエレクトロクロミック素子は、イオン物質の移動により変色するので、変色効率を向上させ、変色時間を短縮するためには、イオン物質の移動を速やかにしなければならない。
これは、低抵抗値がエレクトロクロミック素子の駆動(スイッチングタイム/switching time)を向上させることができる。
【0007】
一般に、エレクトロクロミック素子は透明電極層であって、AZO、FTO、ITO、AgNWs、PEDOT:PSSなどの透明電導膜を用いる。
しかし、このような透明電導膜は、単一膜として製造する際に電気抵抗が100ohm/sq以上と高い。また、抵抗値を低下させるためには、透明電導膜の厚さを厚く(約100nm以上)してはじめて40ohm/sq程度が得られる。
しかし、厚い透明電導膜は、フレキシブルな材料の基板を利用する際、透明電導膜が割れ、電気的短絡が発生するなどのエレクトロクロミック素子の信頼性が低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ウェットコーティングされた電解質を紫外線で固化し、かつ、エレクトロクロミック部と対極部を合わせることにより、電解質内部における気泡発生の可能性を取り除くことができ、透過率の特性及び耐久性を向上させることができるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このセクションでは、本開示の概略的な発明の要旨を示すものであり、発明の全範囲や特徴を包括的に開示しているものではない。
前記課題を解決するために、本発明を記述するさまざまな態様のいずれかによるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法は、フレキシブルなポリマー材料で形成される第1、2基板を準備する工程と、前記第1基板上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式でITO(Indium Tin Oxide)、アゾ化合物(AZO)及びFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)の中から選択された材料で形成される第1透明電極層と、前記第1透明電極層上にロールツーロールウェットコーティング(Roll toroll wet coating)方式又はロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成されるエレクトロクロミック層からなるエレクトロクロミック部を形成する第2工程と、前記第2基板上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式でITO(Indium Tin Oxide)、アゾ化合物(AZO)及びFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)の中から選択された材料で形成される第2透明電極層と、前記第2透明電極層上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式又はロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成される対極層とからなる対極部を形成する第3工程と、前記第1基板の前記エレクトロクロミック層又は前記第2基板の前記対極層上にウェットコーティング(Wet coating)方式で電解質層を形成する第4工程と、及び前記電解質層を固化し、かつ、前記対極層と前記エレクトロクロミック層とが互いに対向するように、前記エレクトロクロミック部と前記対極部とを合わせる第5工程と、を含む。
【0010】
本発明の一態様によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法において、前記第2工程は、前記第1透明電極層を形成する前に前記第1基板上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式で銀ナノワイヤー(AgNWs、Silver Nano Wire)、導電性高分子(PEDOT:PSS)、及びメタルメッシュ(metal mesh)の中から選択された材料を用いて第1電流分散層を形成し、前記第3工程は、前記第2透明電極層を形成する前に、前記第2基板上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet)方式で銀ナノワイヤー(AgNWs、Silver Nano Wire)、導電性高分子(PEDOT:PSS)、及びメタルメッシュ(metal mesh)の中から選択された材料を用いて第2電流分散層を形成する。
【0011】
本発明の一態様によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法において、前記第1、2基板は、PET(Polyethylene terephthalate)、PI(Polyimide)、及びPEN(Polyethylene naphthalate)の中から選択された材料からなる。
【0012】
本発明の一態様によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法において、前記第2工程は、前記エレクトロクロミック層上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で酸化タンタル(Ta、2≦x≦3、3≦y≦6)からなる第1電解質保護層を形成し、前記第3工程は、前記対極層上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で酸化タンタル(Ta、2≦x≦3、3≦y≦6)からなる第2電解質保護層を形成する。
【0013】
本発明の一態様によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法において、前記第5工程は、前記電解質層に紫外線を照射して固化し、かつ、前記エレクトロクロミック部と前記対極部とを順次合わせる。
【0014】
本発明の一態様によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法において、前記第1、2電流分散層は、シート抵抗(sheet resistance)が40~60ohm/sqである厚さで形成され、前記第1透明電極層と前記第1電流分散層からなる第1複合層及び前記第2透明電極層と前記第2電流分散層とからなる第2複合層のシート抵抗(sheet resistance)がそれぞれ5~20ohm/sqとなるように前記第1、2透明電極層の厚さを形成する。
【0015】
本発明の一態様によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法において、前記電解質層は、LiAlF6、LiPON及びgel/liquid electrolyteから選択された物質から、前記エレクトロクロミック層は、WO、ポリアニリン及びビオロゲンから選択された物質からなり、前記対極層は、V及びNiOから選択された物質からなる。
【0016】
本発明の一態様によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法において、前記電解質層は100μm以下の厚さで形成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ウェットコーティングされた電解質を紫外線で固化し、かつ、エレクトロクロミック部と対極部を合わせることにより、電解質内部における気泡発生の可能性を取り除くことができ、透過率特性に優れ、耐久性を向上させることができる。
【0018】
本発明によれば、透明電極層と電流分散層を複合的に構成することにより、フレキシブル機能性を安定的に維持することができる。
【0019】
本発明によれば、電解質の両面に電解質保護層を備えることにより、脱色及び変色への応答速度が速くなる。
【0020】
本発明によれば、ロールツーロール方式で全ての工程が連続工程からなり、生産工程を簡便にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法の第1の実施形態を示す図である。
図2図1に従って製造されたフレキシブルエレクトロクロミック素子を示す図である。
図3】本発明によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法の第2の実施形態を示す図である。
図4図3に従って製造されたフレキシブルエレクトロクロミック素子を示す図である。
図5】本発明によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法の第3の実施形態を示す図である。
図6図5に従って製造されたフレキシブルエレクトロクロミック素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法を具現した実施形態を、図を参照にして詳細に説明する。
ただし、本発明の本質的な技術的思想は、以下に説明する実施形態によってその実施可能な形態が制限されるものではなく、本発明の本質的な技術的思想に基づいて、当業者により以下に説明する実施形態を置換又は変更の方法で容易に提案できる範囲を含むものであることを明らかにする。
【0023】
なお、以下で用いる用語は、説明の便宜上、選択したものであるので、本発明の本質的な技術的思想を把握するにあたって辞書的意味に制限されず、本発明の技術的思想に符合する意味で適切に解釈されるべきである。
【0024】
図1は、本発明によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法の第1の実施形態を示す図である。図2は、図1に従って製造されたフレキシブルエレクトロクロミック素子を示す図である。
図1及び図2を参照すると、本実施形態によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法10は、基板準備工程11、エレクトロクロミック部の形成工程12、対極部の形成工程13、電解質層の形成工程14、合わせ工程15を含む。
【0025】
基板準備工程11(第1工程)は、フレキシブルポリマー材料で形成される第1、2基板161、162を準備する工程である。
第1、2基板161、162は、PET(Polyethylene terephthalate)、PI(Polyimide)及びPEN(Polyethylene naphthalate)の中から選択された材料からなる。
【0026】
エレクトロクロミック部の形成工程12(第2工程)は、第1基板161上に第1透明電極層141、エレクトロクロミック層120を順次形成するが、ロールツーロール方式で形成する工程である。
【0027】
第1透明電極層141は、第1基板161上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成されるが、ITO(Indium Tin Oxide)、アゾ化合物(AZO)、及びFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)の中から選択された材料からなる。
エレクトロクロミック層120は、第1透明電極層141上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式又はロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成される。
【0028】
エレクトロクロミック層120は、WO、ポリアニリン、及びビオロゲンから選択された物質からなる。
【0029】
対極部の形成工程13(第3工程)においては、第2基板162上に第2透明電極層151、対極層130を順次形成するが、ロールツーロール方式で形成する工程である。
【0030】
第2透明電極層151は、第2基板162上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成され、ITO(Indium Tin Oxide)、アゾ化合物(AZO)、及びFTO(Fluorine-doped Tin Oxide)の中から選択された材料からなる。
【0031】
対極層130は、第2透明電極層151上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wetcoating)方式又はロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成される。
対極層130は、V及びNiOから選択された物質からなる。
【0032】
電解質層の形成工程14(第4工程)は、第1基板161のエレクトロクロミック層120又は第2基板162の対極層130上にウェットコーティング(Wet coating)方式で電解質層110を形成する工程である。
【0033】
電解質層110は、LiAlF、LiPON、及びgel/liquid lectrolyteから選択された物質からなる。
【0034】
合わせ工程15(第5工程)は、電解質層110を固化し、かつ、対極層130とエレクトロクロミック層120が互いに対向するようにエレクトロクロミック部101と対極部102を合わせる工程である。
【0035】
このとき、電解質層110に紫外線を照射して固化し、かつ、エレクトロクロミック部101と対極部102を順次合わせることが好ましい。
【0036】
これによれば、固化すると同時に発生し得る気泡が電解質内部に残留することを防止することができる。具体的にウェットコーティングされたGELタイプの電解質を紫外線で固化し、かつ、エレクトロクロミック部101と対極部102を合わせることにより、電解質内部における気泡発生の可能性を取り除くことができ、透過率の特性に優れ、耐久性を向上させることができる。
【0037】
このとき、電解質層110の厚さは、本実施形態によるエレクトロクロミック素子100の耐久性及びエレクトロクロミック特性において極めて重要である。
厚さが薄い場合には耐久性が弱く、厚い場合には耐久性は向上されるが、脱色・変色の応答速度が著しく減少する問題がある。
【0038】
ここで、電解質層110は、100μm以下の厚さに形成されることが好ましい。
なお、本発明によれば、エレクトロクロミック部101と対極部102をそれぞれロールツーロール方式で全ての工程が連続工程からなり、生産工程を簡便にできる利点がある。
【0039】
図3は、本発明によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法の第2実施形態を示す図である。図4は、図3に従って製造されたフレキシブルエレクトロクロミック素子を示す図である。
図3及び図4を参照すると、本実施形態によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法10は、前記第1実施形態を全て含むが、第1基板161と第1透明電極層141との間に第1電流分散層142を備え、第2基板162と第2透明電極層151との間に第2電流分散層152をさらに備えるという点で相違する。
【0040】
第1電流分散層142は、第1透明電極層141を形成する前に、第1基板161上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式で形成する。
第1電流分散層142は、銀ナノワイヤ(AgNWs、Silver Nano Wire)、導電性高分子(PEDOT:PSS)、及びメタルメッシュ(metal mesh)の中から選択された材料を用いて形成する。
【0041】
なお、第2電流分散層152は、第2透明電極層151を形成する前に第2基板162上にロールツーロールウェットコーティング(Roll to roll wet coating)方式で形成し、銀ナノワイヤ(AgNWs、Silver Nano Wire)、導電性高分子(PEDOT:PSS)、及びメタルメッシュ(metal mesh)の中から選択された材料を用いて形成する。
【0042】
本実施形態では、第1、2電流分散層142、152が追加され、第1、2電流分散層142、152は、それぞれエレクトロクロミック層120及び対極層130と接しないように配置される。
第1、2電流分散層142、152は、第1、2透明電極層141、151と共に複合シート抵抗を低く形成しながらも、フレキシブル機能性を維持するため厚さを薄くすることを可能にする。
【0043】
このとき、第1、2電流分散層142、152は、シート抵抗(sheet resistance)が40~60ohm/sqである厚さで形成される。
【0044】
また、第1透明電極層141と第1電流分散層142からなる第1複合層及び第2透明電極層151と第2電流分散層152とからなる第2複合層のシート抵抗(sheet resistance)がそれぞれ5~20ohm/sqとなるように第1、2透明電極層141、151の厚さを形成する。
【0045】
これによれば、透明電極層と電流分散層を複合的に構成することにより、フレキシブル機能性を安定的に維持できるようにする。
【0046】
図5は、本発明によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法の第3の実施形態を示す図である。図6は、図5に従って製造されたフレキシブルエレクトロクロミック素子を示す図である。
図5及び図6を参照すると、本実施形態によるフレキシブルエレクトロクロミック素子の製造方法10は、前記第1の実施形態又は第2の実施形態を全て含むが、エレクトロクロミック層120と、対極層130のそれぞれが電解質層110と直接接することを防止すべく第1、2電解質保護層211、212をさらに有する。
【0047】
第1電解質保護層211は、エレクトロクロミック層120上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成され酸化タンタル(Ta、2≦x≦3、3≦y≦6)からなる。
【0048】
第2電解質保護層212は、対極層130上にロールツーロールスパッタリング(Roll to roll sputtering)方式で形成され酸化タンタル(Ta、2≦x≦3、3≦y≦6)からなる。
【0049】
本実施形態では、電解質層110とエレクトロクロミック層120との界面、電解質層110と対極層130の界面を介したカチオンの移動が妨げられ、エレクトロクロミック層120と対極層130にイオントラップされ、エレクトロクロミック効率や信頼性が低下することを防止することができる。
【0050】
第1、2電解質保護層211、212は、Taからなることが好ましい。
これによれば、印加電圧3~5.5Vに達する広い電場でも安定で、両極間の接触特性も極めて優れており、充放電特性及び界面抵抗を低減できる特性を有する。
【符号の説明】
【0051】
100、200、300 エレクトロクロミック素子
101 エレクトロクロミック部
102 対極部
110 電解質層
120 エレクトロクロミック層
130 対極層
141 第1透明電極層
142 第1電流分散層
151 第2透明電極層
152 第2電流分散層
161 第1基板
162 第2基板
211 第1電解質保護層
212 第2電解質保護層


図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】