(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】都市航空交通用貨物モジュール交換システム
(51)【国際特許分類】
B64F 1/32 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
B64F1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516369
(86)(22)【出願日】2020-09-22
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 US2020070561
(87)【国際公開番号】W WO2021062434
(87)【国際公開日】2021-04-01
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522098873
【氏名又は名称】モンブリニー,ブルーノ
【氏名又は名称原語表記】MOMBRINIE,Bruno
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 700,Forestville,CA 95436 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】モンブリニー,ブルーノ
(57)【要約】
【構成】短距離離着陸電子無人航空機用の貨物モジュール交換システムであって、自律駆動式電気航空機に貨物モジュールを搬送しかつ交換する自律駆動式ロボット車両を有する貨物モジュール交換システムである。このロボット車両は資材を制御下で取り扱いかつ操作する2つかそれ以上のロボットアームを有し、各ロボットアームが短距離離着陸電気(ESTOL)航空機の中央胴体の前部の機尾端部に直接貨物箱を装着、取り外しかつ交換するようになっている。貨物箱については、航空機の中央胴体の機尾部分として機能するように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
離着陸距離の短い電子航空機用の貨物モジュール交換システムであって、自律型電気飛行機に貨物モジュールを搬送しかつ交換する自律駆動式ロボット車両を有し、このロボット車両が制御された資材処理/操作を行うロボットアームを有し、この資材処理/操作によって離着陸距離の短い電子(ESTOL)航空機の中央胴体の前部の機尾端部に直接貨物箱を装着、取り出し、および交換し、前記貨物箱が前記中央胴体の機尾部分として機能することを特徴とする貨物モジュール交換システム。
【請求項2】
ESTOL航空機用の貨物箱交換システムであって、
コックピット、前後部着陸ギアおよび尾翼を有する前部を備えた中央胴部を有し、この中央胴部が複数の貨物箱のうちの一つに選択的に結合し、かつこれから分離する構成であり、各貨物箱が前記中央胴体の機尾部分として機能する構成のESTOL航空機、および
前記ESTOLの前記前部に、およびこの前部から、貨物箱を搬送、移送、位置決め、配向、整合、挿入および取り出す交換ロボット、即ち自律駆動式ロボット車両/資材取り扱い装置
を有することを特徴とする貨物箱交換システム。
【請求項3】
前記胴体の前記前部が、尾翼フレーム部材および前後部着陸ギア支柱(ストラット)の後にある分岐部まで後ろ向きに延在し、前記前部において開口し、貨物箱の雄型部分が挿入される請求項2に記載の貨物箱交換システム。
【請求項4】
前記貨物箱が、前記中央胴体の前記前部内の後開口に摺動挿入する雄型部分を有する請求項3に記載の貨物箱交換システム。
【請求項5】
前記貨物箱の前記雄型部分が、前記中央胴体の前記前部の成形縁部に係合しかつ封着する構成の隆起リッジまで後ろ向きに延在する請求項4に記載の貨物箱交換システム。
【請求項6】
前記前部内の内壁に係合して、飛行中せん断荷重および捩じれ荷重を分散させるように外側に前記雄型部分の寸法を合わせる請求項3に記載の貨物箱交換システム。
【請求項7】
前記貨物箱が前記前部を補完し、中央胴体シェルの完全な匡体を完成する請求項3に記載の貨物箱。
【請求項8】
前記貨物箱が、この貨物箱の対向側部に前記前部の結合要素を締め付ける付属備品を有する請求項3に記載の貨物箱。
【請求項9】
前記交換ロボットが
ホイール上の自律的に操作可能なモバイルプラットホーム、および
このプラットホームに位置する第1および第2の離間ロボットアームを有し、これらロボットアームそれぞれが端部結合要素を備えたグリップを有し、この要素が前記貨物箱上の結合備品に係合し、これらを動作させて、前記前部から前記貨物箱を取り出して配置し、かつ搬送時に前記貨物箱を保持する
請求項2に記載の貨物箱交換システム。
【請求項10】
前記ロボットアームが積層セグメント化アームであり、このアームが複数の旋回セグメントを有し、最上部のセグメントが資材操作グリップ内で終端する請求項9に記載の貨物箱交換システム。
【請求項11】
前記ロボットアームは電気モーターによって駆動される請求項10に記載の貨物箱交換システム。
【請求項12】
前記ロボットアームは空圧または油圧アクチュエータによって駆動される請求項10に記載の貨物箱交換システム。
【請求項13】
前記モバイルプラットホームが、少なくとも一つの横断ビームによって接続した第1および第2の長手方向ビームを有する請求項9に記載の貨物箱交換システム。
【請求項14】
前記長手方向ビームのそれぞれが複数の駆動式の操縦可能なホイールを有する請求項13に記載の貨物箱交換システム。
【請求項15】
さらに、前記交換ロボットおよび前記ロボットアームを制御しかつ位置決めする制御装置を有する請求項9に記載の貨物箱交換システム。
【請求項16】
貨物箱を貨物箱保持エリアから駐機ESTOLに自律的に移し、駐機ESTOLに対して交換ロボットを位置決めしかつ整合し、取り付けられた貨物箱を取り出し、交換用貨物箱を挿入することによってこの取り出した貨物箱を交換するように前記制御装置がプログラミングされた請求項15に記載の貨物箱交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体としては固定翼航空機、より具体的には電動固定翼航空機に関する。さらに具体的には、本発明は都市環境におけるきわめて短い距離での離着陸に好適なSTOL(短距離離着陸)電動航空機に、より具体的にはESTOL航空機とともに使用する自律型ロボット式貨物箱交換システム(autonomous robotic cargo bin swapping system)に関する。
【背景技術】
【0002】
大都市における荷物輸送では、商品を“倉庫から倉庫に”移送する。“倉庫から倉庫への”輸送の場合、一次倉庫は中心地から離れた郊外に位置する大処理センター(megafulfillment center)である。第2のより小さい倉庫は都市センターにより近い流通拠点である。ラストワンマイル配送はこれらの流通拠点からの配送である。よく知られているように、流通の最終工程(目的地への地上配送)は、大多数の輸送において最もコストを要する部分である。流通拠点が人口密度の高い位置に近いほど、荷物をより効率よくかつより経済的に配送できる。
【0003】
メディカルケア施設の場合は、荷物の迅速配送を必要とする。病院、外科センター、急病クリニックおよび関連支援施設は迅速かつ信頼性の高い荷物搬送を必要とする。医療用包装品は小さく、高価な上に直ちに必要なものである。その上、個数が膨大である。一般的な病院では、スーパーマーケットほどの、即ち50,000程度のバーコードSKUが必要である。外科センターおよび外科病院では、サプライチェーンは出費の40%を占める。大半の病院は空間を優先し、予備を最小に抑える人口が稠密な都市エリアに位置する。
【0004】
さらに、医療ケアセンターでは、日々必要となる具体的な在庫品を正確に予測することが不可能である。即ち、需要に応じてオンデマンドエクスプレス配送を受けることを習慣としている。医療分野における配送コストは圧倒的に高価な配送システムによって支配されている。一般的な都市環境では、荷物は離れたところにある物流倉庫から巨大都市エリアにある潜在的にいくつかの空港および飛行場の一つにある物流拠点に空輸される。この物流拠点から、小型のバンに荷物を積み込み、最終目的地(ラストワンマイル配送:last-mile delivery)に配送する。ヘルスケア施設は相互に近接して集中する傾向があり、地上配送は比較的効率が高く、また経済的である。
【0005】
本発明のESTOLを利用し、かつ都市エリアにサービスする単一の良好な位置にあるスカイポートを加えると、ヘルスケア施設を高い比率で当日サービス航空配達拠点に設置できる。
【0006】
アーバンーエアモビリティ(urban air mobility:UAM)システムの経済的な実行可能性の場合、乗客用であってもあるいは貨物用であっても、全面的に利用できる。この目的を実現できるかどうかは、高い発着率、素早い折り返し作業(ターンアラウンド)時間、高速巡航速度に依存し、これらはさらにスマートシステムおよびロボット工学に使用に依存する。さらに、完全な利用は乗客輸送および貨物輸送両者に対する利用に依存する。UAMシステムに理想的な車両は関連する出願明細書に記載がある。貨物輸送にこの航空機を使用するために必要なロボット貨物モジュール交換システムの実施態様は本明細書で説明する。
【0007】
前記特許文献は、本発明者が認識している現状の技術状態を反映するものである。これら特許文献への言及および特許文献の検討の意図は、本発明の特許請求の範囲の審査に適切と考えられる情報の開示において本出願人の認識している誠実な義務を遂行に役立てるものでことにある。なお、以上の特許文献は単独でも、あるいは組み合わせて考慮しても、本明細書に開示し、特許請求の範囲に記載した発明を開示、教示、示唆、示すものではなく、あるいは自明なものにするものでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願WO2018/213190
【特許文献2】国際特許出願WO2020/117692
【発明の概要】
【0009】
旅客機モデルのESTOLは混雑した都市環境で使用することを意図し、屋上スカイポートの構築に使用するのが好適である。例えば、国際特許出願WO2018/213190およびWO2020117692に記載のESTOLを参照されたい。なお、各出願は本発明者によるもので、本発明の貨物交換システムに使用するのが好適である。
【0010】
本発明は、同型式のESTOLとともに使用することを意図した自律駆動式貨物モジュール交換ロボットを利用するシステムであるが、このシステムは屋上スカイポートではなく、地上飛行場にも適用可能である。無人航空機は自己推進式モジュラー搬送装置を有し、この搬送装置は貨物の取扱作業を制御し、かつ貨物箱のESTOL航空機への直接的な出し入れ、および交換を制御するロボットアームを備える。本発明車両を利用したシステムを地上飛行場で使用することが好ましい(または便利な)ことであるが、これは単純に貨物としての都市用小荷物が本質的に高層オフィスビルに、このビル内を移動できるように効率的に詰め込めない事実、あるいはこれら荷物をビル内で最初に垂直に搬送してから、水平に搬送することを効率よく行えない事実によるものである。表現を若干変えると、都市用小荷物を地上搬送施設(船舶、列車、トラック、車両)から運び出し、エレベーターに積み込み、飛行機に積み入れてから、このプロセス全体を逆に行うことにほとんど意味はない。エレベーター工程は無用で無駄な工程である。従って、本システムはアーバンエアモビリティシステムの自律的な(即ち無人操縦式の)ESTOLの、好ましくは地上飛行場の使用に依拠して、都市用小荷物搬送環境への最適応用の範囲を拡張するものである。
【0011】
上述したように、混雑した都市環境では、比較的小型な都市用バンを使用して小荷物のラストマイル搬送することが一般的である。本発明のUMAシステム、具体的には本発明の貨物箱交換システムは2台の都市用バンへの“完全な積み荷(complete load)”の詰め込みを迅速化できる設計である。UMA航空機は2つの貨物箱を有し、一つの貨物箱は1台の都市用バンに対応する。都市用バンにより箱、パウチ(pouches)および封筒の一般的な混成体を搬送する場合、この完全な積み荷はほぼ150個の小荷物に等しい。輸送コストを最小化するために、作業を最小に抑える。積み荷の大半をフルフィルメントセンター(fulfillment center)で予め仕分けを行うことによって、物流拠点における仕分け作業および取り扱い作業を最小限に抑えることができる。物流拠点では、包装体を貨物箱から都市用バンに移すだけでよい。小荷物の最大数はルート、また迅速な搬送アクセスに合わせて整え、かつ準備する。
【0012】
本発明のUAM貨物システムは小荷物の搬送に特化し、ヘルスケア分野における節約量を増し、またサービスを改善するものである。産業的かつ経済的な実行可能性を示す計算は、“一晩の半額で当日サービス”を提供できることに依拠している。作用効果は明らかである。
【0013】
本発明の一つの実施態様は、自律的に制御されかつ駆動されるロボットを使用して、ESTOL航空機に入来してくる貨物箱を出ていく貨物箱と交換する新規かつ改良資材処理貨物モジュール(貨物箱)-a new and improved materialhandling cargo module(cargo bin)-を提供するものである。
【0014】
本発明の別な実施態様は、貨物箱を1分未満で交換することによって航空機のターンアラウンド時間(着陸、モジュール交換および離陸)を7分未満に収めることを可能にする資材処理貨物モジュール交換システムを提供するものである。
【0015】
本発明のさらに別な実施態様は、ヒューマンエラーによる貨物および資材処理装置に損害を与えない資材処理貨物モジュール交換システムを提供するものである。
【0016】
以上から、本発明は最も本質的な実施態様では、電気式の離着陸距離を短縮した航空機用の貨物モジュール交換システムであって、自律型電気航空機で貨物モジュールを搬送かつ交換する自律駆動式ロボット車両を有し、このロボット車両が制御された資材処理用であって、電気式の離着陸距離の短い(ESTOL)航空機の中央胴体の前部の機尾端部に直接貨物箱を取り込み、取り出しかつ交換する構成のロボットアームを有し、これら貨物箱が前記中央胴体の前記機尾(後尾)として機能する構成である貨物モジュール交換システムを提供するものであるといえる。
【0017】
本発明の構成および操作方法に関する本発明の上記以外の新規な特徴は、本発明の上記以外の目的および作用効果とともに、添付図面を参照して示す以下の説明からよく理解できるはずである。なお、添付図面は本発明の好適な実施態様を例示するものであるが、これら図面は発明の範囲を定義するものではない。本発明を特徴づける新規性の各種特徴は特許請求の範囲に具体的に記載してある。本発明はこれら特徴の一つにではなく、本明細書に記載した機能の構造の組み合わせにある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の詳細な説明を検討することにより本発明をより深く理解でき、また上記以外の目的も明瞭になるはずである。以下添付図面を参照して説明を続ける。
【0019】
以下の詳細な説明を検討することにより本発明をより深く理解でき、また上記以外の目的も明瞭になるはずである。以下添付図面を参照して説明を続ける。
【0020】
【
図1】
図1は操作時、即ちESTOL胴体の機尾部の直下に位置し、後部着陸ギア支柱(ストラット)単体を跨ぎ、貨物箱を航空機から取り外し、この取り外した貨物箱を第2の貨物箱と交換する構成の本発明に係る貨物箱交換システムを示す上部左方後部斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1と同じ構成の貨物箱交換システムを示す上部右方後部斜視図である。
【
図3】
図3は、貨物箱をESTOL航空機から取り外しかつ分離し、この取り外した貨物箱の後に位置する第2貨物箱と交換する準備状態を示す貨物箱交換システムを示す上部左方後部斜視図である。
【
図4】
図4は、上記システムを上部右方後部斜視図である。
【
図5】
図5は、取り外した貨物箱をESTOLから引き離し、交換用貨物箱を前進させ、所定位置に挿入するように進行する取り外し/交換操作(作業)を示す上部右方後部斜視図である。
【
図6】
図6は、さらに進行した、即ち交換用貨物箱が前進して航空機に整合し、機体の機尾部分に結合した状態を示す取り外し/交換操作を示す上部右方後部斜視図である。
【
図7】
図7は、機体に接合し、胴体の機能部分を形成する交換用貨物箱を示す上部右方後部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~
図8を参照して本発明を説明するが、同じ参照符号は各図面において同じ構成要素を示す。
図1~
図8には、本発明の貨物モジュール交換システムおよび装置100とともに使用する新規かつ改良アーバンエアモビリティ航空機10を示す。即ち、
図1~
図8は、本発明の航空機、貨物箱交換システムおよび装置の一実施態様を示すものである。以下の記載から理解できるように、実質的に同じ特徴および機能を実現する別な実施態様も意図されている。
【0022】
一般的に、貨物交換システムを併用する構成のUAM航空機10は、左右の翼14および16を支持する中央胴体(本明細書では“前部胴体”)前部12を有する。尾部(テールウィングアセンブリ)18は昇降舵20および垂直安定板/方向舵22を有し、貨物を対象とする場合には、高翼設計が好ましい。
【0023】
好適な実施態様における前部胴体12は、球状の風防ガラスを有するコックピット24を備える。前部胴体は遠位端部26aで尾部を支持する軸方向に位置する機尾フレーム部材26の取り付け点を有し、その近位端部26bは球状コックピットの上にある共通の翼接続部に接合する。
【0024】
好ましい実施態様では、前部着陸ギア(装置)30は前部胴体12の底部から展開し、胴体の対向する左舷側および右舷側において一対の駆動支柱を有する。後部着陸ギア(装置)支柱(ストラット)32も前部胴体から後ろ向きかつ下向きに展開する。
【0025】
前部胴体12は尾翼フレーム部材および前後の着離ギア(装置)支柱の後にある分岐点または分岐部まで後ろ向きに延在する。従って、胴体12は後部において完全に開口し、この開口36は形状がほぼ円筒形で、側部カットまたはスカロップを有し、前部胴体12の上下部分38、40に機能量の屈曲作用を与えるものであり、この屈曲作用によって、取り出し可能な貨物箱として構成される中央胴体の機尾部分の挿入が容易になる。分岐部は、取り外し可能な貨物箱50の表面に位置するリッジ(隆起部)の係合面として働く平滑形状のエッジ34によってその境界が定まる。これについては、以下に詳しく説明する。この開口およびその要素/特徴については、
図3~
図6に明瞭に図示してある。
【0026】
添付図面から理解できるように、貨物箱は前部胴体の機尾部分に接続し、後部胴体を有するのが有効である。重要なことは、これが前部胴体から分離可能であることである。事実、これは本発明の顕著な特徴である。このために、貨物箱50に円筒形の雄型部分52を設ける。この雄型部分が中央胴体の前方部分の後部開口36に摺動自在に挿入する。雄型部分は、中央胴体の前方部分12の成形縁部34に係合しかつ封着する構成の隆起リッジ54に向けて後向きに延在する。雄型部分の寸法については、前部胴体の内壁からタイトなクリアランスをもって側部に接近係合し、飛行中にせん断負荷および捩じれ負荷を継続的に分布ないし分散させる寸法である。前部胴体への挿入時に、貨物箱が前部胴体を補完し、胴体シェルが完全な匡体(エンクロージャー)を完成する。さらに、隆起リッジ54の幅の分、雄型部分より高くなった貨物箱56の最後尾部分が前部胴体から貨物箱の表面に沿って胴体外面において連続性を担保する。前部胴体の係合形状縁部34および貨物箱の隆起リッジ54が形成する封着部の他に、胴体表面58が連続的で平滑な、中断のない空気力学的表面になる。
【0027】
貨物箱の外表面は付属備品60、好ましくは貨物箱の外表面か、あるいは僅かな表面下レベルにある凹部またはチャネル62内に位置する貨物箱の左舷側および右舷側それぞれに位置する2対の対向付属備品(上下組の対向対)を有する付属備品60を有する。
【0028】
本発明の実施態様では、自律的なロボット車両および資材処理装置(ここでは“交換ロボット”と呼ぶ)100を使用して、ESTOL航空機内における上記貨物箱の挿入、取り出しおよび交換を行う。数多くの構成が考えられるが、いずれにせよ飛行場の任意の場所、あるいは飛行場付近の場所(滑走路、誘導路、タールマック、エプロン、ランプ、ハンガー、ヘリパッドなど)に駐機しているESTOLに貨物箱を移送、位置決め、配向、整合、挿入および取り出す本質的な機能を満足する必要がある。本発明の実施態様では、これら機能については、それぞれ中央にある横断ビーム108によって接続した第1および第2の長手方向ビーム104、106(左舷側および右舷側)を有する自律的な可動プラットホーム102によって実行できる。これら長手方向ビームそれぞれが横断方向ビームの各端部に取り付けた分節化(セグメント化)ロボットアーム110、112を支持する。なお、これら分節化アームはそれぞれ3つの積み重ねた旋回セグメントを有し、最上部のセグメントは、貨物箱表面の付属備品60に係合する端部連結要素を有する資材処理グリップ114、116内で終端する。この端部連結要素については、取り付け孔に挿入するフィンガー、タブに係合するクランプ、強磁性備品を締め付ける電磁石、吸引装置、あるいは荷重が最大の貨物箱を保持しかつ操作できる十分な支持強さを有する多数の好適な要素のうちの任意のものを有していればよい。
【0029】
これら分節化アームについては、プラットホームに設けたアクチュエータポンプまたはモーター118、120によって電気的に、空圧的にあるいは油圧的に駆動する。分節化アームの最上部に設けたアクチュエータまたはモーター122、124によってグリップ114、116を操作し、これらが開くと備品60から離脱し、または閉じると備品60に係合し、これらを把持する。
【0030】
各ビームについては、好ましくはホイールボギーまたはトラック126に対の形で配備した複数の駆動式の操作可能なホイールも有する。本発明の実施態様では、ホイールすべてを駆動でき、別な実施態様では、一部のホイールとしてキャスターを使用することができる。
【0031】
交換用ロボットおよびその機械式アームの制御および位置決めについては、交換用ロボットと信号連絡するように接続され、かつ自律的に貨物ビンを保持領域から駐機ESTOLに移動させ、交換用ロボットをESTOLに対して位置決めし、かつ整合し(例えば、この状態では長手方向ビームが航空機の後部着陸ギア(装置)を跨いでいる)、次に取り付けられた貨物箱を取り外し、交換用貨物箱と交換するようにプログラムされたサイトまたはネットワークのいずれかにあるコントローラーを使用して行う。ラッチまたはロックが交換された貨物箱を航空機に固定すると、交換操作が終了し、交換用ロボットがプログラム制御下で飛行場内の格納庫、倉庫、配送転送エリア、あるいは取り出した貨物箱から、あるいはこの貨物箱に貨物を転送するために好適な他のエリアに戻る。このような制御システムの場合、資材の取り扱いや倉庫在庫管理、物品移送の分野においてますます知られるようになってきている。また、制御システムの特徴および機能は当業者の知識範囲にあり、特許請求の範囲に記載した発明の新規性および進歩性の重要な部分ではない。
【0032】
本明細書に記載したように、本発明に係る貨物箱交換システムの各実施態様は、コックピット、前部着陸ギア(装置)および後部着陸ギア(装置)を有する前方部分の中央胴体、および尾翼を備え、中央胴体の機尾として機能する構成の複数の貨物箱の一つに選択的に結合しかつこれから離脱する構成のESTOL航空機、および交換用ロボット、具体的には貨物箱をESTOLの前部に輸送、搬送、位置決め、配向、整合、挿入しかつこれらを前部部分から取り出す自律的な駆動式のロボット車両を有する。
【0033】
以上の説明は、当業者が過度の実験を行わずに本発明を実施するために十分な説明である。さらに、本開示は本発明者が意図する発明の最良な実施態様を記載するものである。以上図示しかつ詳しく説明した具体的な貨物交換システムおよび方法によると、本発明の目的を完全に達成でき、作用効果も実現できるが、これらは本発明の好適な実施態様を例示するものに過ぎず、特許請求の範囲に記載した以外の構成または設計の細部を制限するものではない。従って、本発明の適正な範囲については、特許請求の範囲を最も広く解釈することによってのみ決定でき、すべての変更例だけでなく、添付図面に示しかつ明細書に記載した関係と等価な関係すべてを包摂するものである。
【符号の説明】
【0034】
10 アーバンエアモビリティ航空機/UAM航空機10
12 中央胴体前部/前部胴体
14、16 翼
18 尾部(テールウィングアセンブリ)
20 昇降舵
22 垂直安定板/方向舵
24 コックピット
26 機尾フレーム部材
26a 遠位端部
26b 近位端部
30 前部着陸ギア(装置)
32 後部着陸ギア(装置)支柱(ストラット)
34 エッジ/成形縁部
38、40 上下部分
50 貨物箱
52 雄型部分
54 隆起リッジ
56 貨物箱
58 胴体表面
60 付属備品
62 チャネル
100 貨物モジュール交換システムおよび装置
102 可動プラットホーム
104 第1の長手方向ビーム(左舷側)
106 第2の長手方向ビーム(右舷側)
108 横断ビーム
110、112 分節化(セグメント化)ロボットアーム
114、116 資材処理グリップ
118 アクチュエーターポンプ
120 モーター
122 アクチュエーター
124 モーター
126 ホイールボギーまたはトラック
【国際調査報告】