IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローズマウント インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-圧電変換器の状態監視 図1
  • 特表-圧電変換器の状態監視 図2
  • 特表-圧電変換器の状態監視 図3
  • 特表-圧電変換器の状態監視 図4
  • 特表-圧電変換器の状態監視 図5
  • 特表-圧電変換器の状態監視 図6
  • 特表-圧電変換器の状態監視 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】圧電変換器の状態監視
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
G05B23/02 302R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516461
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 RU2019000673
(87)【国際公開番号】W WO2021061001
(87)【国際公開日】2021-04-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515231553
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボグダーノフ、ヴラジーミル ドミトリエヴィチ
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223BA03
3C223CC03
3C223EA06
3C223EB03
3C223FF35
(57)【要約】
工業プロセスフィールド装置は、圧電変換器、センサ回路、テスト回路、コントローラ及び通信回路を含む。センサ回路は、圧電変換器の両端の電圧に基づいて、プロセス変数を示すセンサ信号を生成する。テスト回路は、応答信号を誘起するパルス電圧を有する電圧パルスを圧電変換器に印加し、応答信号のピーク正電圧及びピーク負電圧を捕捉するように構成される。コントローラは、ピーク正電圧、ピーク負電圧及びパルス電圧に基づいて圧電変換器の現在状態値を計算し、現在状態値と正常に動作する圧電変換器に対応する基準状態値との比較に基づいて診断テスト結果を生成する。通信回路は、プロセス変数及び診断テスト結果を、プロセス制御ループを介して外部の制御ユニットに送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス変数を検知するための工業プロセスフィールド装置であって、
圧電変換器と、
前記圧電変換器を検知モードで動作させるように構成されたセンサ回路であって、前記圧電変換器の両端間の電圧に基づいて前記プロセス変数を示すセンサ信号を生成する、センサ回路と、
前記圧電変換器をテストモードで動作させるように構成されたテスト回路であって、前記圧電変換器を変形させるパルス電圧を有する電圧パルスを前記圧電変換器に印加して前記圧電変換器から応答信号を誘起し、前記応答信号のピーク正電圧を捕捉し、前記応答信号のピーク負電圧を捕捉する、テスト回路と、
前記ピーク正電圧、前記ピーク負電圧、及び前記パルス電圧に基づいて前記圧電変換器の現在状態値を計算し、前記現在状態値と正常に動作している圧電変換器に対応する基準状態値との比較に基づいて診断テスト結果を生成する、コントローラと、
前記プロセス変数及び前記診断テスト結果を、プロセス制御ループを介して外部の制御ユニットに送信するように構成された通信回路と、
を備えるフィールド装置。
【請求項2】
前記応答信号の前記ピーク正電圧は、前記電圧パルスの立ち上がり時間に対応し、
前記応答信号の前記ピーク負電圧は、前記電圧パルスの立ち下がり時間に対応する、
請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項3】
前記テスト回路は、
前記電圧パルスを生成するように構成されたパルス発生器と、
前記応答信号が通過する基準抵抗と、
前記基準抵抗にかかるピーク正電圧を捕捉するように構成されたピーク正電圧検出器と、
前記基準抵抗にかかるピーク負電圧を捕捉するように構成されたピーク負電圧検出器と、
を備える、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項4】
前記現在状態値は、前記ピーク正電圧及び前記ピーク負電圧の絶対値の合計と前記パルス電圧との比に基づいて計算される、請求項3に記載のフィールド装置。
【請求項5】
前記テスト回路は、
前記ピーク負電圧を反転させるように構成されたインバータと、
前記ピーク正電圧を反転された前記ピーク負電圧に加算するように構成された加算器と、
を備える、請求項4に記載のフィールド装置。
【請求項6】
前記診断テスト結果は、前記現在状態値と前記基準状態値との間の差が閾値を超える場合に、前記圧電変換器の状態が異常であることを示す、請求項4に記載のフィールド装置。
【請求項7】
前記閾値及び前記基準状態値は、前記コントローラによってアクセス可能なコンピュータ可読媒体に格納されている、請求項6に記載のフィールド装置。
【請求項8】
前記検知モードと前記テストモードとの間で装置を遷移させるように構成されたスイッチをさらに備え、
前記スイッチは、前記検知モードにある場合には、前記圧電変換器の第1の端子を前記センサ回路に結合し、前記圧電変換器の第2端子を電気接地に結合し、
前記スイッチは、前記テストモードにある場合には、前記圧電変換器の第1の端子を前記パルス発生器に結合し、前記圧電変換器の第2端子を前記基準抵抗、前記ピーク正電圧検出器、及び前記ピーク負電圧検出器に結合する、
請求項3に記載のフィールド装置。
【請求項9】
工業プロセスの前記プロセス変数は、プロセス媒体の流量を含む、請求項1に記載のフィールド装置。
【請求項10】
工業プロセスフィールド装置の圧電変換器の状態をテストするための方法であって、
前記圧電変換器の両端間の電圧に基づいてプロセス変数を示すセンサ信号を生成することを含むフィールド装置のセンサ回路を使用して、前記圧電変換器を検知モードで動作させるステップと、
前記フィールド装置のテスト回路を使用して、前記圧電変換器をテストモードで動作させるステップであって、前記圧電変換器を変形させるパルス電圧を有する電圧パルスを前記圧電変換器に印加することと、前記電圧パルスに応答して前記圧電変換器から応答信号を生成することと、前記テスト回路を使用して前記応答信号のピーク正電圧を捕捉することと、前記テスト回路を使用して前記応答信号のピーク負電圧を捕捉することと、を含むステップと、
前記フィールド装置のコントローラを使用して前記圧電変換器の診断テスト結果を生成するステップであって、前記ピーク正電圧、前記ピーク負電圧、及び前記パルス電圧に基づいて前記圧電変換器の現在状態値を計算することと、前記現在状態値と、正常に動作している前記圧電変換器に対応する基準状態値との比較に基づいて診断テスト結果を生成することとを含む、ステップと、
前記フィールド装置の通信回路を使用して、前記プロセス変数及び前記診断テスト結果を、プロセス制御ループを介して外部の制御ユニットに送信するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記応答信号の前記ピーク正電圧は、前記電圧パルスの立ち上がり時間に対応し、
前記応答信号の前記ピーク負電圧は、前記電圧パルスの立ち下がり時間に対応する、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
テスト回路を使用して前記圧電変換器をテストモードで動作させることは、
パルス発生器を使用して前記電圧パルスを発生させることと、
基準抵抗を通して前記応答信号を導くことと、
ピーク正電圧検出器を使用して前記基準抵抗にかかるピーク正電圧を捕捉することと、
ピーク負電圧検出器を使用して前記基準抵抗にかかるピーク負電圧を捕捉することと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記圧電変換器の前記現在状態値を計算することは、
前記ピーク正電圧及び前記ピーク負電圧の絶対値の合計と、前記パルス電圧との比に基づいて、前記現在状態値を計算することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
テスト回路を使用して前記圧電変換器をテストモードで動作させることは、
インバータを使用して前記ピーク負電圧を反転させることと、
加算器を使用して前記ピーク正電圧を反転させた前記ピーク負電圧に加算することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コントローラを使用して前記圧電変換器の診断テスト結果を生成することは、前記現在状態値と前記基準状態値との差を閾値と比較することを含み、
前記診断テスト結果は、前記差が前記閾値を超えたときに前記圧電変換器の状態が異常であることを示す、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記コントローラを使用してコンピュータ可読媒体から前記閾値及び前記基準状態値を取得することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スイッチを使用して、前記検知モードと前記テストモードとの間で切り替えることをさらに含み、
前記検知モードにある場合には、前記圧電変換器の第1の端子を前記センサ回路に結合し、前記圧電変換器の第2端子を電気接地に結合し、
前記テストモードにある場合には、前記圧電変換器の第1の端子を前記パルス発生器に結合し、前記圧電変換器の第2端子を前記基準抵抗、前記ピーク正電圧検出器、及び前記ピーク負電圧検出器に結合する、
請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記プロセス変数は、プロセス媒体の流量を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
流体流の流量を測定するように構成された渦流量計であって、
管状内部キャビティを含むハウジングと、
前記ハウジングによって支持され、前記管状内部キャビティ内に延在する渦発生体と、
前記流体流に対して前記渦発生体の下流側で前記ハウジングによって支持され、かつ、前記渦発生体によって発生された渦に応答して振動するように構成された前記管状内部キャビティの壁から延在するビームと、圧電変換器とを含む、渦周波数センサと、
前記圧電変換器を検知モードで動作させるように構成されたセンサ回路であって、前記圧電変換器の両端間の電圧に基づいて前記ビームの振動運動の周波数を示すセンサ信号を生成する、センサ回路と、
前記圧電変換器をテストモードで動作させるように構成されたテスト回路であって、前記圧電変換器を変形させるパルス電圧を有する電圧パルスを前記圧電変換器に印加して前記圧電変換器からの応答信号を誘起し、前記応答信号のピーク正電圧を捕捉し、前記応答信号のピーク負電圧を捕捉する、テスト回路と、
前記センサ信号に基づいて前記流体流の流量を計算し、前記ピーク正電圧、前記ピーク負電圧、及び前記パルス電圧に基づいて前記圧電変換器の現在状態値を計算し、前記現在状態値と正常に動作する前記圧電変換器に対応する基準状態値との比較に基づいて診断テスト結果を生成すように構成された、コントローラと、
前記流量及び前記診断テスト結果を、プロセス制御ループを介して外部の制御ユニットに送信するように構成された通信回路と、
を含む渦流量計。
【請求項20】
前記テスト回路が、
前記電圧パルスを生成するように構成されたパルス発生器と、前記応答信号が通過する基準抵抗と、前記基準抵抗の両端の前記ピーク正電圧を捕捉するように構成されたピーク正電圧検出器と、前記基準抵抗の両端の前記ピーク負電圧を捕捉するように構成されたピーク負電圧検出器と、を備え、
前記現在状態値が、前記ピーク正電圧及び前記ピーク負電圧の絶対値の合計と前記パルス電圧との比に基づいて計算され、
前記診断テスト結果が、前記現在状態値と前記基準状態値との差が閾値を超えたときに前記圧電変換器の状態が異常であることを示す、
請求項19に記載の渦流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、工業プロセスフィールド装置に関し、より具体的には、工業プロセスフィールド装置の圧電変換器(piezoelectric transducer)の監視に関する。
【背景技術】
【0002】
工業プロセス制御及び監視システムで使用される工業プロセスフィールド装置は、通常、プロセス変数に応答する検知要素又は変換器と、検知された変数を検知されたプロセス変数の関数である送信機出力に変換する信号調整及び処理回路と、を含む。「プロセス変数」という用語は、物質の物理的又は化学的な状態、或いはエネルギーの変換を意味する。プロセス変数の例には、圧力、温度、流量、導電率、PH、及び他の特性が含まれる。プロセス送信機は、通常、化学、石油、ガス、製薬、又は他の流体処理プラントにおいて、プロセス変数を監視し、測定値を制御室に送り返すために使用される。
【0003】
工業プロセスフィールド装置で使用される一般的な変換器の1つは、圧電変換器である。圧電変換器は、圧電変換器が取り付けられる物体の運動又は振動によって生成される力など、加えられた力を検出するために使用され得る。物体の動きによって圧電変換器は変換器の端子間に電圧を発生させ、その電圧の大きさが変換器に印加される力の程度に対応する。圧電変換器を用いて形成されるセンサは、例えば流体流量などの工業プロセス変数を検出するように構成され得る。
【0004】
圧電変換器は、誤動作や故障の可能性がある。このような誤動作は、プロセス変数の誤った測定結果をもたらす可能性がある。熟練技術者による現場装置の定期的なテストは、装置の故障している圧電変換器の検出に役立つ可能性があるが、そのようなテストは、現場装置をサービスから外して、テスト施設に運ぶことを必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、概して、圧電変換器の診断テストを実行するための工業プロセスフィールド装置及び方法に関する。プロセス変数を検知するための工業プロセスフィールド装置の一実施形態は、圧電変換器、センサ回路、テスト回路、コントローラ、及び通信回路を含む。センサ回路は、圧電変換器を検知モードで動作させ、圧電変換器の両端の電圧に基づいて、プロセス変数を示すセンサ信号を生成するように構成される。
【0006】
テスト回路は、圧電変換器をテストモードで動作させ、圧電変換器を変形させるパルス電圧を有する電圧パルスを圧電変換器に印加して、圧電変換器から応答信号を誘起し、応答信号のピーク正電圧を捕捉し、応答信号のピーク負電圧を捕捉するように構成される。コントローラは、ピーク正電圧、ピーク負電圧、及びパルス電圧に基づいて圧電変換器の現在状態値を計算し、現在状態値と正常に動作する圧電変換器に対応する基準状態値との比較に基づいて診断テスト結果を生成するように構成される。通信回路は、プロセス変数及び診断テスト結果を、プロセス制御ループを介して外部の制御ユニットに送信するように構成される。
【0007】
工業プロセスフィールド装置における圧電変換器の状態をテストする方法の一実施形態では、圧電変換器は、フィールド装置のセンサ回路を使用して検知モードで動作され、この動作は、圧電変換器の両端の電圧に基づいてプロセス変数を示すセンサ信号を生成することを含む。圧電変換器は、フィールド装置のテスト回路を使用してテストモードで動作され、この動作は、圧電変換器を変形させるパルス電圧を有する電圧パルスを圧電変換器に印加することと、電圧パルスに応答して圧電変換器から応答信号を生成することと、テスト回路を使用して応答信号のピーク正電圧を捕捉することと、テスト回路を使用して応答信号のピーク負電圧を捕捉することとを含む。
【0008】
圧電変換器の診断テスト結果は、フィールド装置のコントローラを使用して生成され、この動作は、ピーク正電圧、ピーク負電圧、及びパルス電圧に基づいて圧電変換器の現在状態値を計算することと、現在状態値と正常に動作する圧電変換器に対応する基準状態値との比較に基づいて診断テスト結果を生成することとを含む。プロセス変数及び診断テスト結果は、フィールド装置の通信回路を使用してプロセス制御ループを介して外部の制御ユニットに送信される。
【0009】
工業プロセスフィールド装置の一実施形態は、ハウジング、渦発生体、及び渦周波数センサを含む渦流量計の形態である。ハウジングは、管状内部キャビティを有する。渦発生体はハウジングに支持され、管状内部キャビティ内に延在している。渦周波数センサは、流体流に対して渦発生体の下流側でハウジングによって支持され、渦発生体によって放出された流体流の渦に応答して振動するように構成された管状内部キャビティの壁から延在するビームと、圧電変換器とを含む。渦流量計は、センサ回路、テスト回路、コントローラ、及び通信回路も含む。センサ回路は、圧電変換器を検知モードで動作させるように構成され、この場合、センサ回路は圧電変換器の両端の電圧に基づいて、ビームの振動運動の周波数を示すセンサ信号を生成する。
【0010】
テスト回路は、テストモードで圧電変換器を動作させるように構成され、圧電変換器を変形させるパルス電圧を有する電圧パルスを圧電変換器に印加し、圧電変換器から応答信号を誘起し、応答信号のピーク正電圧を捕捉し、応答信号のピーク負電圧を捕捉する。コントローラは、センサ信号に基づいて流体流の流量を計算し、ピーク正電圧、ピーク負電圧、及びパルス電圧に基づいて圧電変換器の現在状態値を計算し、現在状態値と正常に動作する圧電変換器に対応する基準状態値との比較に基づいて診断テスト結果を生成するように構成される。通信回路は、流量及び診断テスト結果を、プロセス制御ループを介して外部の制御ユニットに送信するように構成される。
【0011】
この概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供されるものである。本発明の概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものでもない。特許請求される主題は、背景技術で言及される任意の又はすべての欠点を解決する実装形態には限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態による、例示的な工業プロセス測定システムの簡略図である。
図2】本開示の実施形態による、工業プロセスフィールド装置の圧電変換器の状態をテストするための例示的な方法を示すフローチャートである。
図3】本開示の実施形態による、圧電トランスデューサが検知モード及びテストモードでそれぞれ作動する、例示的なセンサ回路及び例示的なテスト回路を含む回路の簡略図である。
図4】本開示の実施形態による、圧電トランスデューサが検知モード及びテストモードでそれぞれ作動する、例示的なセンサ回路及び例示的なテスト回路を含む回路の簡略図である。
図5】本開示の実施形態による、例示的な電圧パルスと圧電変換器からの対応する応答信号とを示す経時的電圧のチャートである。
図6】本開示の実施形態による、例示的な渦流量計の簡略化された正面図である。
図7】本開示の実施形態による、概ね線7-7に沿って切り取られた図6の渦流量計の上面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照してより詳細に説明する。同一又は類似の参照文字を使用して識別される要素は、同一又は類似の要素を示す。本開示の様々な実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように提供されるものである。
【0014】
図1は、本開示の実施形態による、例示的な工業プロセス測定システム100の簡略図である。システム100は、材料(例えば、プロセス媒体)を処理して、材料を価値の低い状態から、石油、化学薬品、紙、食品などのより価値が高い有用な製品に変換する際に使用され得る。例えば、システム100は、原油をガソリン、燃料油、及び他の石油化学製品に加工することができる工業プロセスを実施する石油精製所で使用され得る。
【0015】
システム100は、プロセス媒体106に関する変数などのプロセス変数を検知するために圧電変換器104を利用するフィールド装置102(例えば、プロセス送信機)を含む。フィールド装置102は、適切なプロセス制御ループを介して外部のコンピュータ制御ユニット110と通信するための通信回路108を含む。制御ユニット110は、図1に示すように、システム100のための制御室112のように、フィールド装置102から離れて配置され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、プロセス制御ループは、2線式制御ループ114などの物理的な通信リンク、又は無線通信リンクを含む。制御ユニット110又は別の外部コンピュータ装置とフィールド装置102との間の通信は、従来のアナログ及び/又はディジタル通信プロトコルに従って、制御ループ114を介して実行され得る。いくつかの実施形態では、2線式制御ループ114は、4~20ミリアンペアの制御ループを含み、このループでは、プロセス変数は、2線式制御ループ114を流れるループ電流Iのレベルによって表され得る。例示的なディジタル通信プロトコルは、HART(登録商標)通信規格に従うような、2線式制御ループ114のアナログ電流レベルへのディジタル信号の変調を含む。また、FieldBus及びProfibus通信プロトコルを含む、他の純粋なディジタル技法も使用され得る。
【0017】
プロセス制御ループの例示的な無線バージョンには、例えば、WirelessHART(登録商標)(IEC 62591)又はISA 100.11a(IEC 62734)などの無線メッシュネットワークプロトコル、又はWiFi、LoRa、Sigfox、BLEなどの別の無線通信プロトコル、又は任意の他の適切なプロトコルを含む。
【0018】
フィールド装置102には、任意の適切な電源から電力が供給されてもよい。例えば、フィールド装置102は、制御ループ114を流れる電流Iによって全体的に電力供給されてもよい。フィールド装置102に電力を供給するために、内部バッテリーや外部バッテリーのような1つ又は複数の電源が利用されてもよい。また、フィールド装置102に電力を供給するために、又はフィールド装置102によって使用される電源を充電するために、発電機(例えば、ソーラーパネル、風力発電機など)が使用されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、フィールド装置102は、コントローラ120を含む。コントローラ120は、命令の実行に応答して本明細書に記載の1つ又は複数の機能を実行するようにフィールド装置102の構成要素を制御する、1つ又は複数のプロセッサ(すなわち、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニットなど)を表してもよい。これらの命令は、例えば、ハードディスク、CD-ROM、光学記憶デバイス、又は磁気記憶デバイスなどの、一時的な波又は信号を含まない、任意の適切な特許適格性(patent subject matter eligible)を有するコンピュータ可読媒体又はメモリ122にローカルに格納され得る。コントローラ120のプロセッサは、1つ又は複数のコンピュータベースのシステムの構成要素であってもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ120は、1つ又は複数の制御回路、マイクロプロセッサベースのエンジン制御システム、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ又は複数のプログラム可能なハードウェア構成要素を含み、これらは、フィールド装置102の構成要素を制御して、本明細書で説明する1つ又は複数の機能を実行するために使用される。
【0020】
圧電変換器104は、検知機能などの工業プロセスフィールド装置102に関連する任意の従来の機能を実行するために使用され得る。この場合、圧電変換器104は、プロセス媒体106に関連するプロセス変数など、工業プロセスに関連するプロセス変数を検知するために使用される。この検知機能は、圧電変換器104を検知モードで動作させ、圧電変換器の端子間の電圧など、圧電変換器から出力される信号に基づいてプロセス変数を示すセンサ信号126を生成するセンサ回路124を使用して容易化され得る。センサ信号126は、コントローラ120によって処理され、通信回路108を使用して外部の制御ユニット110又は別のコンピュータ装置に送信されてもよい。
【0021】
上述したように、圧電変換器は劣化して故障する可能性があり、その結果、プロセス変数の測定に不具合が生じる可能性がある。劣化又は故障している圧電変換器を検出するために、従来のフィールド装置は、技術者によるフィールド装置の直接テストを必要とし、これはフィールド装置をテスト施設へ運ぶことを含み得る。その結果、フィールド装置のこのような定期的なテストは費用がかかり、かなりのダウンタイムにつながる可能性がある。
【0022】
本開示の実施形態は、圧電変換器104をテストモードで動作させるために使用されるテスト回路130を含み、このテストモードでは、圧電変換器104が正常に動作しているか否かを判断するために、圧電変換器104に対して1つ又は複数の診断テストが実施され得る。テスト回路130は、診断情報132を出力し、この診断情報132は、コントローラ120が圧電変換器の現在の状態を決定し、圧電変換器104の診断テスト結果を生成するために使用され得る。診断テスト結果は、圧電変換器104が正常に(例えば、正常動作範囲内で)動作しているか、又は異常に動作しているかを示すことができる。また、コントローラは、プロセス制御ループ(例えば、物理的又は無線通信リンク)を介して、通信回路108を使用して、診断テスト結果を制御ユニット110又は別の外部のコンピュータ装置に送信してもよい。
【0023】
図2は、本開示の実施形態による、工業プロセスフィールド装置102の圧電変換器104の状態をテストするための例示的な方法を示すフローチャートである。この方法の実施形態は、本開示の実施形態に従って、圧電変換器が検知モード及びテストモードでそれぞれ作動する、例示的なセンサ回路124及び例示的なテスト回路130を含む回路の簡略図である図3及び図4を参照することができる。
【0024】
本方法の140において、圧電変換器104は、フィールド装置102のセンサ回路124を使用して検知モード(図3)で動作される。一実施形態では、この動作は、圧電変換器104の端子142及び144にわたるような、圧電変換器104にわたる電圧に基づいてプロセス変数を示すセンサ信号126を生成することを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、圧電変換器104が検知モードで動作している場合、圧電変換器104の端子144は、電気接地146に接続され、端子142は、図3に示すようにセンサ回路124のセンサ信号増幅器148に接続される。センサ信号増幅器148は、検知されたプロセス変数を示す圧電変換器104を横切る電圧信号(センサ信号)を増幅するために、圧電変換器と共に使用するための任意の適切な増幅器であってもよい。
【0026】
例えば、センサ信号増幅器148は、信号増幅回路と、アナログ-ディジタル変換器と、圧電変換器104を横切る電圧信号を、プロセス変数測定値を識別するためにマイクロコントローラ150又はコントローラ120が使用可能な形態に変換するための他の従来の構成要素と、を含むことができる。マイクロコントローラ150がフィールド装置102のコントローラ120から離れているとき、マイクロコントローラ150は、図3に示すように、センサ信号126又はセンサ信号126によって表される値を適切な入出力(I/O)コンポーネント152を通して通信することができる。
【0027】
したがって、圧電変換器104又はフィールド装置102を検知モードで動作させる1つの例では、圧電変換器104は、検知されているプロセス変数に基づいてセンサ信号を生成する。センサ信号は、センサ信号増幅器148によって増幅され、マイクロコントローラ150に提供されてもよい。マイクロコントローラ150は、センサ信号126の追加の処理を実行することができる。また、マイクロコントローラ150は、図1のセンサ信号126によって示すように、センサ信号126又はセンサ信号126によって示される対応する値を、フィールド装置102のコントローラ120に通信することができる。次いで、コントローラ120は、センサ信号126又はセンサ信号126によって示される値を、外部の制御ユニット110又は別のコンピュータ装置に通信することができる。
【0028】
本方法の160において、圧電変換器104又はフィールド装置102は、フィールド装置102のテスト回路130を使用してテストモード(図4)で動作される。いくつかの実施形態では、圧電変換器104がテストモードで動作される場合、圧電変換器104の端子142はテスト回路130のパルス発生器162に結合され、端子144は図4に示すように、テスト回路130のノード164に結合される。
【0029】
本方法の166において、パルス発生器162は、例えばマイクロコントローラ150からの信号163に応答するなどして、圧電変換器104に電圧パルスを印加する。電圧パルスは、圧電変換器104を変形させ、本方法の168で、圧電変換器104に応答信号を発生させる。
【0030】
図5は、本開示の実施形態による、例示的な電圧パルス170及び圧電変換器104からの対応する応答信号172を示す経時的な電圧のチャートである。電圧パルス170は、パルス電圧174、立ち上がり時間176、立ち下がり時間178、及びパルス持続時間180を含む。
【0031】
圧電変換器104によって生成される応答信号172は、任意の適切な技術を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、圧電変換器104からの電流は、基準抵抗を介して供給され、測定された応答信号172は、電流に応答して基準抵抗182を横切って生成された電圧に対応する。一例では、テスト回路130は、ノード164と電気接地146との間に接続される基準抵抗182(図4)を含む。したがって、応答信号172は、テスト回路130のノード164の電圧など、基準抵抗182の両端の電圧に対応する。
【0032】
本方法の184において、応答信号172のピーク正電圧186及びピーク負電圧188(図5)が、テスト回路130を使用して捕捉される。いくつかの実施形態では、図5に示すように、応答信号172のピーク正電圧186は、電圧パルス170の立ち上がり時間176の間にサンプリングされ、応答信号172のピーク負電圧188は電圧パルス170の立ち下がり時間178の間にサンプリングされる。
【0033】
テスト回路130は、それぞれテスト回路130のノード164に結合されるピーク正電圧検出器190及びピーク負電圧検出器192を含んでもよい。例えば、ピーク正電圧検出器190は、ダイオード194と、電気接地146に結合され、応答信号172のピーク正電圧186を捕捉するキャパシタ196とを含んでもよい。同様に、ピーク負電圧検出器192は、ダイオード198と、電気接地146に取り付けられ、ノード164で応答信号172のピーク負電圧188を捕捉するキャパシタ199とを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、テスト回路130は、センサ回路124の構成要素を含んでいてもよい。例えば、テスト回路130は、センサ信号増幅器148又はその構成要素(例えば、アナログ-ディジタル変換器)を使用して、検出器190及び192を形成し、例えば、ピーク正電圧186及びピーク負電圧188を捕捉することができる。
【0035】
本方法の200において、圧電変換器104の現在状態値(current condition value)が、フィールド装置102のコントローラ120を使用して計算される。いくつかの実施形態では、圧電変換器104の現在状態値は、ピーク正電圧186、ピーク負電圧188、及びパルス電圧174に基づいて計算される。コントローラ120は、図1に示すように、検出されたピーク正電圧186及びピーク負電圧188をメモリ122に格納してもよい。また、パルス電圧174は、予め規定されてメモリ122に格納されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、コントローラ120は、ピーク正電圧186とピーク負電圧188(図5の電圧202)とパルス電圧174の絶対値の合計の比に基づいて、圧電変換器104の現在状態値を計算する。例えば、一実施形態では、現在状態値は、パルス電圧174を、ピーク正電圧186とピーク負電圧188又は電圧202との合計の絶対値で割った値に基づいて計算される。したがって、パルス電圧が10,000ミリボルトであり、ピーク正電圧及びピーク負電圧の絶対値の合計が739ミリボルトであるとき、現在状態値は10,000/739、即ち、13.53として計算することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、テスト回路130は、インバータ204及び加算器206を含む。インバータ204は、検出器192によって検出されたピーク負電圧188を反転させるように動作するピーク負電圧検出器192の出力に結合される。加算器206は、ピーク正電圧検出器190の出力とインバータ204からの出力とに結合される。したがって、加算器は、図4に示すように、ピーク正電圧186とピーク負電圧188の絶対値との合計(202)をマイクロコントローラ150に出力する。また、テスト回路130は、電圧合計202をマイクロコントローラ150に提示する前に、検出器190、192、インバータ204、及び/又は加算器206からの信号を処理するために使用されるアナログ-ディジタル変換器及び他の構成要素を含んでいてもよい。
【0038】
マイクロコントローラ150は、電圧合計202の値を決定し、その値を入出力コンポーネント152を通してフィールド装置102のコントローラ120に出力するために使用されてもよい。次に、コントローラ120は、パルス電圧174と電圧合計202との比に基づいて、現在状態値を計算してもよい。計算された現在状態値は、208で示すように、メモリ122に記憶されてもよく、例えば、状態値ログ210のエントリであってもよい。
【0039】
また、状態値ログ210は、圧電変換器104について予め計算された現在状態値を含んでもよい。圧電変換器104の状態の傾向は、ログ210に記憶された状態値を使用して監視することができ、変換器104の追加の診断分析を提供するために使用することができる。
【0040】
本方法の212において、コントローラ120は、図1に示すように、現在状態値と、メモリ122に記憶されている基準状態値(reference condition value)216とに基づいて、メモリ122に記憶されている圧電変換器104の診断テスト結果214を生成する。基準状態値216は、現在状態値と同じ又は類似の方法で計算されてもよく、圧電変換器が正常に動作しているときの圧電変換器の状態値に対応する。基準状態値216は、フィールド装置102の圧電変換器104に類似する1つ又は複数の圧電変換器の経験的研究に基づいてもよく、圧電変換器104又はフィールド装置102の製造時に取得される圧電変換器104の1つ又は複数の経験的研究に基づいてもよい。
【0041】
本方法のステップ212のいくつかの実施形態では、診断テスト結果214は、図1に示すように、計算された現在状態値208と基準状態値216との間の差と、コントローラ120によってフィールド装置102のメモリ122から取得される閾値218との比較に基づいて生成される。いくつかの実施形態では、診断テスト結果214は、差が閾値218を超えると、圧電変換器104の状態が異常であることを示す。
【0042】
また、本方法は、通信回路108を使用して、外部の制御ユニット110又は別のコンピュータ装置に情報を通信するステップを含んでいてもよい。情報は、例えば、センサ信号126によって示される検出されたプロセス変数の値、診断テスト結果214、及び/又は他の情報を含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、フィールド装置102は、マイクロコントローラ150からの信号222に応答するなどして、検知モードとテストモードとの間でフィールド装置102を遷移させるためのスイッチ220(図3及び4)を含む。いくつかの実施形態では、スイッチ220は、図3に示すように、検知モードにあるときに、圧電変換器104の端子142をセンサ回路124(例えば、センサ信号増幅器148)に結合し、圧電変換器104の端子144を電気接地146に結合するように構成される。
【0044】
したがって、いくつかの実施形態では、スイッチ220は、検知モードにあるときに、圧電変換器104をテスト回路130から切り離す。加えて、スイッチ220は、図4に示すように、テストモードにあるときに、圧電変換器104の端子142をテスト回路130(例えば、パルス発生器162)に結合し、圧電変換器104の端子144をノード164、基準抵抗182、ピーク正電圧検出器190及びピーク負電圧検出器192に結合するように構成される。したがって、いくつかの実施形態では、スイッチ220は、テストモードにあるときに、圧電変換器104をセンサ回路124から切り離す。
【0045】
圧電センサを使用してプロセス変数を検出又は測定する1つの例示的な工業プロセスフィールド装置は、渦流計であり、その一例が図6及び図7に示されている。図6は、本開示の実施形態による、例示的な渦流量計230の簡略化された正面図であり、図7は、概ね線7-7に沿って切り取られた図6の渦流量計230の上面断面図である。
【0046】
渦流量計230は、例えば配管などのプロセス容器234を通って進むプロセス媒体の流体流232(図7)の流量を検出するための圧電変換器を含む。渦流量計230のいくつかの実施形態は、ハウジング236と、渦発生体(vortex shedder)238と、渦周波数センサ240とを含む。ハウジング236は、中心軸244を有する管状内部キャビティなどの内部キャビティ242を含む。ハウジング236は、図7に示すように、中心軸244が配管234の中心軸246と実質的に同軸となるように、配管234と一列に接続されてもよい。
【0047】
渦発生体238は、ハウジング236によって支持され、中心軸244に対して斜めである軸248に沿って管状内部キャビティ242内に延在する。いくつかの実施形態では、渦発生体238は、図7に示すように、流体流232に応じて渦250を発生するように構成された従来の断面形状を有する。1つの例示的な実施形態では、渦発生体238は、図7に示すように、台形の断面形状を有する。渦発生体238は、図6に示すように、軸248が軸244と交差するように、管状キャビティ242の中心を通って延在することができる。いくつかの実施形態では、図6に示すように、渦発生体238の両端は、ハウジング236に取り付けられる。あるいは、渦発生体238は、その端部の一方のみでハウジング236に固定されてもよい。
【0048】
渦周波数センサ240は、図7に示すように、流体流232に対して渦発生体238より下流側254でハウジング236によって支持される。いくつかの実施形態では、センサ240は、ハウジング236の壁258から管状内部キャビティ242内に延在するビーム256と、図6に仮想線で示される圧電変換器260とを含む。圧電変換器260は、ビーム256を通過して流れる渦250に応答してビーム256の運動を検知するために使用される。具体的には、ビーム256は渦250に応答して振動し、圧電変換器260はビーム256の振動運動を示すセンサ信号(例えば、電圧)を生成し、したがって、渦250がビーム256を通過して流れる周波数を生成する。この渦周波数は、従来技術に従って、流体流232の流量を推定するために使用されてもよい。
【0049】
また、渦流量計230は、上述のセンサ回路124及びテスト回路130の実施形態を含む。したがって、渦流量計230及び圧電変換器260は、上述した方法ステップ140の実施形態に従って、センサ回路124を使用した検知モードで動作させてもよい。例えば、検知モードにある場合、コントローラ120は、圧電変換器260から出力されるセンサ信号(例えば、図3に示される端子142及び144間の電圧)から得られる渦周波数に基づいて、流体流232の流量を推定する。コントローラ120は、通信回路108を使用して、外部の制御ユニット110又は別のコンピュータ装置に流量を通信してもよい。
【0050】
渦流量計230及び圧電変換器260は、上述の方法ステップ160の実施形態に従って、テスト回路130を使用してテストモードで動作させてもよい。テストモードにある場合、テスト回路130は、図5を参照して上述したように、応答信号172(方法ステップ168)を生成する圧電変換器260に、電圧パルス170を印加する(方法ステップ166)。応答信号172のピーク正電圧186及びピーク負電圧188は、捕捉又はサンプリングされる(方法ステップ184)。
【0051】
コントローラ120は、上述したように、ピーク正電圧186、ピーク負電圧188、及びパルス電圧174に基づいて、圧電変換器260のための現在状態値208を計算することができる(方法ステップ200)。また、コントローラ120は、現在状態値208と、正常に動作する圧電変換器に対応する基準状態値216との比較に基づいて、診断テスト結果214を生成することができる(方法ステップ212)。最後に、コントローラ120は、物理的通信リンク(例えば、2線式ループ114)及び/又は無線通信リンクの形態をとることができるプロセス制御ループを介して、外部の制御ユニット110などの外部のコンピュータ装置に診断テスト結果214を通信してもよい。
【0052】
本開示の実施形態は、好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ることを認識するのであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】