(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-24
(54)【発明の名称】受動安全装置、それを含む注射装置、及び前記注射装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20221116BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022517419
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-17
(86)【国際出願番号】 SG2020050529
(87)【国際公開番号】W WO2021054895
(87)【国際公開日】2021-03-25
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514197821
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン ホールディングス ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガナパシ マニカヴァサガム
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF05
4C066LL21
(57)【要約】
受動安全装置(1)は、注射装置(100)の遠位先端に固定されるように構成された近位端を有するスリーブ(2)と、使用前位置と、ハブ(4)が使用前位置に対して近位に位置する注射位置と、ハブ(4)が注射位置に対して遠位に位置する安全位置との間でスライド可能にスリーブ(2)に取り付けられたハブ(4)と、ハブ(4)を安全位置に向かって遠位に押し付けるように構成された付勢要素(6)と、スリーブ(4)との間で使用前位置と注射位置との間でスライドするように構成されたプロテクタ(8)とを備える。安全装置(1)は、ハブ(4)が注射位置にあるときに、プロテクタ(8)がハブ(4)と共に遠位方向にスライドバックするのを防止するように、プロテクタ(8)の遠位移動をブロックするように構成された第1のブロック手段と、ハブ(4)が安全位置にあるときにハブ(4)の近位移動をブロックするように構成された第2のブロック手段とをさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動安全装置(1)であって、
注射装置(100)の遠位先端(104)に固定されるように構成された近位端を有するスリーブ(2)と、
使用前位置と、ハブ(4)が使用前位置に対して近位に位置する注射位置と、およびハブ(4)が注射位置に対して遠位に位置する安全位置との間でスリーブ(2)上にスライド可能に取り付けられたハブ(4)と、および
ハブ(4)を安全位置に向かって遠位に付勢するように構成された付勢要素(6)、および
使用前位置と注射位置との間でスリーブ(2)に対して前記ハブ(4)と共にスライドするように構成されたプロテクタ(8)とを備え、
前記安全装置(1)は、さらに
前記ハブ(4)が注射位置にあるときに、前記プロテクタ(8)が前記ハブ(4)と共に遠位方向にスライドして戻るのを防止するように、前記プロテクタ(8)の遠位方向の動きをブロックするように構成された第1のブロック手段と、および
前記ハブ(4)が安全位置にあるときに、前記ハブ(4)の近位方向の動きをブロックするように構成された第2のブロック手段と、を備え、
前記プロテクタ(8)が支持リング(80)を備え、前記第1のブロック手段が、前記支持リング(80)から近位方向に延びる少なくとも1つの第1の弾性脚(81)を備え、前記第2のブロック手段が、前記支持リング(80)から遠位方向に延びる少なくとも1つの第2の弾性脚(82)を備えている受動安全装置(1)。
【請求項2】
前記第1のブロック手段は、前記ハブ(4)が前記注射位置に到達したときに、前記プロテクタ(8)を前記スリーブ(2)と共にスナップさせるように構成された第1のスナップ手段である、請求項1に記載の受動安全装置(1)。
【請求項3】
前記第1のスナップ手段は、前記プロテクタ(8)上に設けられている、請求項2に記載の受動安全装置(1)。
【請求項4】
前記第1のスナップ手段は、前記ハブ(4)が前記使用前位置から前記注射位置に向かって移動するときに前記スリーブ(2)の長手方向スロット(24)に摺動可能に係合する少なくとも1つの第1の弾性脚(81)を備え、前記少なくとも1つの第1の弾性脚(81)は、前記ハブ(4)が前記注射位置にあるときに前記スリーブ(2)のブロック部材の遠位側に対して半径方向に変形し前記ブロック部材の近位側と当接するよう構成されている、請求項2~3のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)。
【請求項5】
前記第2のブロック手段は、前記ハブ(4)が前記安全位置に到達したときに前記ハブ(4)をスナップさせるように構成された第2のスナップ手段である、請求項1~4のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)。
【請求項6】
前記第2のスナップ手段は、前記プロテクタ(8)上に設けられている、請求項5に記載の受動安全装置(1)。
【請求項7】
前記第2のスナップ手段は、前記ハブ(4)が前記注射位置から前記安全位置に向かって移動するときに前記ハブ(4)の近位スロット(48)に摺動可能に係合する少なくとも1つの第2の弾性脚(82)を備え、前記少なくとも1つの弾性脚(82)は、前記ハブ(4)が前記安全位置にあるときに前記ハブ(4)のブロック部材の遠位側に対して半径方向に変形して前記ブロック部材の近位側と当接するよう構成される、請求項5~6のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)。
【請求項8】
前記ハブ(4)は、前記ハブ(4)の近位スロットの近位端を規定する近位押出面(410)を備え、前記近位押出面(410)は、前記ハブ(4)が前記使用前位置から前記注射位置へ移動するときに前記プロテクタ(8)を前記ハブ(4)と共にスライドさせるために前記少なくとも一つの第2の弾性脚(82)に対して付勢するよう構成される、請求項7に記載の受動安全装置(1)。
【請求項9】
前記第2のスナップ手段は、前記ハブ(4)が前記注射位置から前記安全位置に向かって移動するときに前記ハブ(4)の遠位スロット(49)内に摺動可能に係合する前記スリーブ(2)の少なくとも1つの長手方向脚(22)を備え、前記少なくとも1つの長手方向脚(22)は、ハブ(4)が安全位置にあるとき、ハブ(4)の保持部材の遠位側に対して半径方向に変形し、前記保持部材の近位側に対して当接するように構成される、請求項5~8のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)。
【請求項10】
前記ハブ(4)が、保持フック(42)のような少なくとも1つの内側保持要素を備え、付勢要素(6)が、ハブ(4)に遠位力を及ぼすために、前記内側保持要素に対して隣接する遠位端を備え、前記スリーブ(2)は、前記ハブ(4)が前記注射位置に向かって移動するときに、前記少なくとも1つの保持要素が前記長手方向スロット(24)内に貫入してスライドできるように、開いた遠位端を備える長手方向スロット(24)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の弾性脚(81)および前記少なくとも1つの第2の弾性脚(82)は、前記支持リング(80)の円周方向にオフセットされている、請求項1~10のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)。
【請求項12】
前記プロテクタ(8)は、前記ハブ(4)上に直接互いに組み付けられるように構成された2つの部品で作られている、請求項1~11のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の受動安全装置(1)を備える、注射装置(100)。
【請求項14】
請求項13に記載の注射装置(100)を製造するための方法であって、
(i)前記受動針安全装置(1)の針を前記注射装置(100)の遠位先端(104)上に固定するステップと、
(ii)前記受動針安全装置(1)の前記付勢要素(6)を前記スリーブ(2)の中に位置決めするステップと、
(iii)前記受動針安全装置(1)の前記ハブ(4)を、前記付勢要素(6)の作用に逆らって前記スリーブ(2)上に位置決めするステップと、
(iv)前記受動針安全装置(1)の前記プロテクタ(8)を前記ハブ(4)と前記スリーブ(2)の上に位置決めするステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動針安全装置、この受動針安全装置を備える予備充填シリンジなどの注射装置、及び前記注射装置を製造するための方法に関する。
【0002】
本出願において、構成部分または装置の遠位端は、使用者の手から最も遠い端を意味すると理解され、近位端は、使用者の手に最も近い端を意味すると理解されるべきである。同様に、本出願において、「遠位方向」は、本発明の受動安全装置または注射装置に関して、注射方向を意味するものとして理解されるべきであり、「近位方向」は、前記注射方向と反対方向、すなわち、ユーザの手に向かう方向を意味するものとして理解されるべきである。
【0003】
充填可能な注射器または充填済み注射器などの注射装置は、通常、医療製品の容器を形成する中空の本体またはバレルを備える。容器は、医薬品が容器から排出される軸方向の通路を画定する長手方向の先端の形態の遠位端を有する。遠位端には、患者の皮膚に挿入され、注射される製品が注射部位に通過するように設計された針が装備されている。
【0004】
針刺し損傷のリスクを最小限に抑えるために、注射装置に注射後に針を保護する安全装置を提供することが知られている。この安全装置は、通常、注射装置の遠位端に対してスライドし、注射部位からの針の引き抜き後に針を覆うスリーブを備える。
【0005】
安全装置は、能動的であっても受動的であってもよい。能動安全装置は、ユーザによって作動させる必要があり、すなわち、注射が完了すると針の保護をトリガーするために、ユーザが特定のアクションを実行する必要がある。対照的に、受動安全装置は、注射が完了すると針が確実に保護されるように、ユーザが何らかのアクションを実行する必要はない。
【0006】
特許文献1は、そのような受動安全装置を開示している。この安全装置は、針保護位置と非保護位置との間で軸方向に摺動可能なスリーブを備える。このスリーブの近位部分は、非保護位置に到達するように半径方向外向きに変形するように構成される。この変形は、注射部位から針が取り外されると、前記スリーブの近位部分がスリーブ全体をその初期保護位置に戻すばねとして作用するようにエネルギーを蓄積することを可能にする。しかしながら、効果的なばね効果を達成するためには、スリーブの近位部分を最大限に変形させる必要がある。これには、針が注射部位にかなり長い距離に挿入されることが含まれる。これは、ユーザにとってストレスであったり有害であったりする可能性がある。さらに、上述のように、スリーブの近位部分は、半径方向外向きに延在するように構成される。この外向きの変形は、安全装置を半径方向にかなり煩雑にする。さらに、スリーブの変形は可視であり、ユーザを心配させる可能性がある。
【0007】
特許文献2および特許文献3は、ニードルガードを開示している。
【0008】
したがって、よりコンパクトであり、受動安全装置を製造することが容易である必要があり、前記安全装置は、注射が完了すると、針の信頼できる保護を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開2011/098831号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,894,055号明細書
【特許文献3】国際公開2013/192328号パンフレット
【発明の概要】
【0010】
本発明の態様は、受動安全装置であって:
前記注射装置の遠位先端に固定されるように構成された近位端を有するスリーブと、
使用前位置と、前記ハブが前記使用前位置に対して近位に位置する注射位置と、前記ハブが前記注射位置に対して遠位に位置する安全位置との間で前記スリーブに摺動可能に取り付けられたハブと、
前記安全位置に向かって前記ハブを遠位に押し出すように構成された付勢要素と、
前記使用前位置と前記注射位置との間の前記スリーブに対して前記ハブと共にスライドするように構成されたプロテクタと、を備える受動安全装置であり、前記安全装置は、
前記ハブが前記注射位置にあるときに前記プロテクタの遠位移動をブロックし、前記プロテクタが前記ハブと共に遠位方向にスライドするのを防止するように構成された第1のブロック手段と、
ハブが安全位置にあるときにハブの近位移動をブロックするように構成される第2のブロック手段と、をさらに備える。
【0011】
したがって、本発明の針安全装置は、コンパクトであり、製造が容易である一方で、注射後の針の信頼できる保護を可能にする。
【0012】
本出願において、「受動安全装置」とは、注射部位から針を除去した後に針を保護するように、ユーザが注射後にいかなる行動も取る必要のない針安全装置を意味する。
【0013】
一実施形態では、第1のブロック手段は、ハブが注射位置に到達したときにプロテクタをスリーブでスナップさせるように構成された第1のスナップ手段である。
【0014】
これにより、コンパクトで製造しやすい安全装置を提供する。
【0015】
一実施形態では、第1のスナップ手段は、プロテクタ上に設けられる。
【0016】
この機能により、安全装置のコンパクト性が向上する。
【0017】
一実施形態では、第1のスナップ手段は、ハブが使用前位置から注射位置に向かって移動するときにスリーブの長手方向スロットに摺動可能に係合される少なくとも1つの第1の弾性脚を含み、前記少なくとも1つの第1の弾性脚は、スリーブのブロック部材の遠位側に対して半径方向に変形し、ハブが注射位置にあるときに前記ブロック部材の近位側に隣接するように構成される。
【0018】
これは、ハブが注射位置にあるときにプロテクタの遠位移動をブロックするために、コンパクトで製造が容易なソリューションを提供する。
【0019】
一実施形態では、第2のブロック手段は、ハブが前記安全位置に到達したときにハブをスナップさせるように構成された第2のスナップ手段である。
【0020】
これにより、コンパクトで製造しやすい安全装置を提供する。
【0021】
一実施形態では、第2のスナップ手段がプロテクタ上に設けられている。
【0022】
この機能により、安全装置のコンパクト性が向上する。
【0023】
一実施形態では、第2のスナップ手段は、ハブが注射位置から安全位置に向かって移動するときにハブの近位スロットに摺動可能に係合される少なくとも1つの第2の弾性脚を備え、前記少なくとも1つの弾性脚は、ハブのブロック部材の遠位側に対して半径方向に変形し、ハブが安全位置にあるときに前記ブロック部材の近位側に隣接するように構成される。
【0024】
これは、ハブが安全位置に到達すると、ハブの近位移動をブロックするために、コンパクトで簡単に製造できるソリューションを提供する。
【0025】
一実施形態では、ハブは、ハブの近位スロットの近位端を画定する近位押出面を含み、前記近位押出面は、ハブが使用前位置から注射位置に移動するときに、前記プロテクタをハブと一緒にスライドさせるために、少なくとも1つの第2の弾性脚に当接するように構成される。
【0026】
これにより、安全装置のコンパクト性が向上する。
【0027】
一実施形態では、第2のスナップ手段は、ハブが注射位置から安全位置に向かって移動するときにハブの近位スロットに摺動可能に係合される少なくとも1つの第2の弾性脚を備え、前記少なくとも1つの弾性脚は、ハブのブロック部材の遠位側に対して半径方向に変形し、ハブが安全位置にあるときに前記ブロック部材の近位側に隣接するように構成される。
【0028】
スリーブの長手方向脚は、ハブをこの使用前位置に保持し、付勢要素の作用に対して保持するように、ハブの使用前位置の保持部材の遠位側に当接するように構成された半径方向突起を備え得る。
【0029】
一実施形態では、ハブは、保持フックなどの少なくとも1つの内側保持要素を含み、付勢要素は、ハブに遠位力を及ぼすために、前記内側保持要素に当接する遠位端を含み、スリーブは、ハブが注射位置に向かって移動するときに、前記少なくとも1つの保持要素が前記長手方向スロットに貫通及びスライドすることを可能にするために、開いた遠位端を備えた長手方向スロットを有する。
【0030】
これにより、安全装置のコンパクト性が向上する。
【0031】
一実施形態では、プロテクタは、支持リングを含み、第1のブロック手段は、前記支持リングから近位に延びる少なくとも1つの第1の弾性脚を含み、第2のブロック手段は、前記支持リングから遠位に延びる少なくとも1つの第2の弾性脚を含む。
【0032】
その結果、第1の弾性脚および第2の弾性脚は、支持リングの反対側に位置する。これにより、安全装置のコンパクト性が向上する。
【0033】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の弾性脚および少なくとも1つの第2の弾性脚は、支持リングの円周方向にオフセットされる。
【0034】
その結果、第1の弾性脚及び第2の弾性脚は、支持リングに沿って交互になる。これにより、安全装置のコンパクト性が向上する。
【0035】
一実施形態では、プロテクタは、ハブ上で互いに直接組み立てられるように構成された2つの部品で構成される。
【0036】
これにより、安全装置の製造が容易になる。プロテクタを形成する2つの部品のそれぞれは、前記支持リングの半円形の半分に対応し得る。2つの部品は同一であってもよい。
【0037】
本発明の別の態様は、上記の受動安全装置を備える注射装置である。
【0038】
本発明の別の態様は、上記注射装置を製造するための方法であって:
(i) 前記受動針安全装置の前記針を前記注射装置の遠位先端に固定するステップと、
(ii) 前記受動針安全装置の前記付勢要素を前記スリーブに配置するステップと、
(iii) 前記受動針安全装置の前記ハブを前記付勢要素の前記作用に対して前記スリーブ上に配置するステップと、
(iv) 前記受動針安全装置の前記プロテクタを前記ハブ及び前記スリーブ上に配置するステップと、を含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明およびそれから生じる利点は、以下の添付の図面を参照して以下に示す詳細な説明から明らかになる:
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による安全装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による安全装置の分解図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施形態による安全装置のスリーブの斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の一実施形態による安全装置のスリーブの側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による安全装置のハブの斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による安全装置のプロテクタの斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態による安全装置の分解されたプロテクタの斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の実施形態による注射装置のキャップの側面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の一実施形態による注射のキャップの断面図である。
【
図8】
図8は、使用前の位置にある、本発明の一実施形態による安全装置の斜視図である。
【
図9】
図9は、注射位置にある、本発明の一実施形態による安全装置の斜視図である。
【
図10】
図10は、安全位置にある、本発明の一実施形態による安全装置の斜視図である。
【
図11】
図11は、使用前位置にある、本発明の一実施形態による安全装置の断面図である。
【
図12】
図12は、注射位置における、本発明の一実施形態による安全装置の断面図である。
【
図13】
図13は、安全位置にある、本発明の一実施形態による安全装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による受動安全装置1が示される。受動安全装置1は、針刺しの傷害を防止するために、注射装置100の針102を注射の終わりに覆うように構成される。
【0041】
安全装置1は、安全装置1が注射を実行する準備ができている使用前位置(
図1、8、11 )、安全装置1が針102を注射部位に入ることを可能にするために針を露出させる注射位置(
図9、12)、及び安全装置1が針102を覆い、針刺しの傷害を防止する安全位置(
図10、13)の3つの連続した位置を採用してもよい。使用前の位置と安全位置は同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
図1、2、3A及び3Bを参照すると、安全装置1は、注射装置100の遠位先端104に固定的に取り付けられるように構成されたスリーブ2、スリーブ2に摺動可能に取り付けられるハブ4、ハブ4を遠位方向に押し付ける付勢要素6、及びスリーブ2に摺動可能に取り付けられるプロテクタ8を含む。安全装置1は、ハブ4が注射位置に到達したときにプロテクタ8をブロックするように構成された第1のブロック手段と、ハブ4が安全位置にあるときにハブ4をブロックするように構成された第2のブロック手段とをさらに備え、以下でさらに詳細に説明する。
【0043】
管状スリーブ2は、長手方向軸Aに沿って長手方向に延びる。スリーブ2は、遠位先端104および針102の近位部分を取り囲むように構成される。スリーブ2は、近位端および反対側の遠位端を含む。近位端は、例えば、接着、ねじ込み、連動、圧入などによって、注射装置100の遠位先端104に固定されるように構成される。スリーブ2は、スリーブ2の近位端に位置してもよく、固定リング20の形態であってもよいブロック部材を備える。
図3Aに見られるように、固定リング20は、遠位先端104を収容する中心貫通開口部204を画定する。固定リング20はまた、近位側及び反対側の遠位側を有する。遠位側は、傾斜した表面200を画定し得る。近位側は、当接面202を画定し得る。
【0044】
スリーブ2は、長手方向スロット24によって互いに分離された1つまたはいくつかの長手方向脚22をさらに含んでもよい。長手方向脚22及び長手方向スロット24は、長手方向軸Aに平行に延在してもよい。長手方向スロット24は、それらの遠位端で開き、それらの近位端で固定リング20によって閉じてもよい。長手方向脚22は、スリーブ2の遠位端を形成し得る自由な遠位端と、固定リング20に接続され得る反対側の近位端とを有し得る。したがって、長手方向脚22は、前記固定リング20から遠位に延びる。長手方向脚22は、固定リング20に沿って規則的に分布し得る。スリーブ2の長手方向脚22は、半径方向内向きに偏向するように構成され得る。長手方向脚22は、外向きに延びる半径方向突起220などの半径方向突起220を含んでもよく、その機能は以下に現れるであろう。この半径方向突起220は、長手方向脚22の自由遠位端に位置してもよい。半径方向突起220は、可能性のある傾斜、偏向及び/または保持面222を画定し得る近位側と、ブロック面224を画定し得る遠位側とを有する。
【0045】
図1、2及び4を参照すると、ハブ4は、長手方向軸Aに沿って長手方向に延びる。ハブ4は、スリーブ2を取り囲む。より具体的には、ハブ4は、ハブ4の遠位端が、針102を覆うように針102の先端を超えて遠位に配置されるように構成されてもよい、使用前位置(
図1、
図8、
図11)と、ハブ4が針102を露出させるように使用前位置に対して近位に格納される注射位置(
図9、
図12)と、及び、針刺された傷害を回避するために、ハブ4が針102を覆うように、ハブ4の遠位端が針102の先端を超えて遠位に延びるように構成されている安全位置(
図10、
図13)との間の軸Aに沿ってスリーブ2に摺動可能に取り付けられる。
【0046】
管状ハブ4は、遠位端及び反対側の近位端を有する。遠位端は、注射を実行するために、針102が前記開口部40を通って延びるように構成された中央開口部400を画定する。ハブ4の遠位端は、典型的には患者の皮膚などの注射部位に接触し、針102が注射部位に入るときにハブ4を注射位置に近位に押し付けるように構成された当接面402をさらに備える。当接面402は、開口部400を取り囲んでもよい。
図4に示されるように、ハブ4の近位端は、スリーブ2を受容する開口部44を画定する。
【0047】
ハブ4は、ハブ4の近位端に位置し得るブロック部材を備える。ブロック部材は、ブロックリング46の形態であってもよい。前記ブロックリング46は、近位側及び反対側の遠位側を有する。
図4に最もよく示されるように、近位側は、ブロック面460を画定する。遠位側は、傾斜した偏向面462を画定し得る。
【0048】
ハブ4は、長手方向軸Aに平行に延在する1つまたは複数の近位スロット48を備える。近位スロット48は、上方に延在してもよく、スリーブ2の長手方向脚22と整列してもよい。近位スロット48は、ブロックリング46によって近位端で閉じられる。近位スロット48はまた、押出面410によってその遠位端で閉じられてもよく、前記押出面410は、ハブ4が注射位置に向かって移動するときにプロテクタ8を近位方向に押し、プロテクタ8がハブ4と共に注射位置に向かってスライドするように構成される。
【0049】
ハブ4は、長手方向軸Aに平行に延びる1つまたは複数の遠位スロット49を備えてもよい。遠位スロット49は、近位スロット48と整列し、近位スロット48に対して遠位に位置する。遠位スロット49は、ハブ4の遠位端を形成し得、したがって中央開口部400及び当接面402を区切る、遠位リング40によって遠位端で閉じられ得る。遠位スロット49は、遠位保持面412によって、その近位端で閉じられてもよい。遠位保持面412は、注射の前に、付勢要素6によって及ぼされる力に対して使用前の位置にハブ4を維持するように、長手方向脚22の半径方向突起220に当接するように構成され得る。近位スロット48および/または遠位スロット49は、ハブ4の円周方向に沿って規則的に分布し得る。
【0050】
スリーブ2の半径方向突起220及びハブ4の遠位スロット49はまた、スリーブ2に対するハブ4の並進を誘導するように誘導手段として機能してもよい。
【0051】
ハブ4は、近位スロット48の遠位端および/または遠位スロット49の近位端に位置し得る保持部材を含んでもよい。保持部材は、近位スロット48を隣接する遠位スロット49から分離し得る中間リング41の形態であってもよい。中間リング41は、押出面410を画定し得る近位側を備える。中間リング41は、遠位保持面412を画定し得る遠位側を備える。前記遠位保持面412は、前記遠位保持面412が半径方向突起220に当接するときに、スリーブ2の長手方向脚22の内向きの変形を有利にするように傾斜されてもよい。したがって、半径方向突起220は、ハブ4が安全位置に向かって移動するときに、遠位スロット49を係合解除し、近位スロット48と係合し得る。
【0052】
ハブ4は、付勢要素6の遠位端に支持を提供するように、ハブ4の内側側壁から延在し得るフック42などの1つまたは複数の保持要素を含んでもよい。これらの保持要素は、ハブ4が注射位置に向かって移動するときに、スリーブ2の長手方向スロット24に沿って入り、スライドするように構成され、それにより、付勢要素6はエネルギーを蓄積する。
【0053】
付勢要素6は、例えば、内向きに突出するフック42によって遠位端がハブ4に接続され、近位端がスリーブ2と遠位先端104との間に固定されるばねであってもよい。
【0054】
図1、2及び5を参照すると、プロテクタ8は、スリーブ2を取り囲み、ハブ4に対して近位に位置する。プロテクタ8は、ハブ4が使用前位置から注射位置に移動するときに、ハブ4と共にスリーブ2上にスライドするように構成される。したがって、プロテクタ8は、遠位当接面820を含み、前記遠位当接面820は、ハブ4の押出面410によって押し出されるように構成される。
【0055】
プロテクタ8は、さらに、ハブ4が注射位置から安全位置に移動するときに、スリーブ2に対して固定されるように構成される。したがって、安全装置1は、ハブ4が注射位置から安全位置に移動するときにプロテクタ8が遠位方向に戻るのを防止するように構成された第1のブロック手段を備える。第1のブロック手段は、好ましくは、ハブ4が注射位置に到達するとすぐにプロテクタ8をスリーブ2でスナップさせるように構成される第1のスナップ手段の形態であり得る。
【0056】
第1のスナップ手段は、プロテクタ8上に設けられた第1の弾性脚81を備え得る。第1の弾性脚81は、長手方向軸Aに平行に延在してもよく、それらは、スリーブ2の長手方向スロット24の上に位置してもよく、前記長手方向スロット24と整列してもよい。
【0057】
ハブ4が使用前位置から注射位置に移動されるとき、第1の弾性脚81の自由端は、スリーブ2の長手方向スロット24に係合される。したがって、第1の弾性脚81及び長手方向スロット24は、ハブ4が注射位置に到達する前に、スリーブ2に対するプロテクタ8の並進を誘導するための誘導手段として機能し得る。
【0058】
第1の弾性脚81は、スリーブ2の固定リング20の近位側に当接するときに半径方向外向きに変形し、長手方向スロット24を係合解除し、前記固定リング20の後ろを通過するように構成される。
【0059】
第1の弾性脚81は、第1の弾性脚81の半径方向変形を有利にするように、傾斜されてよく、固定リング20の遠位側に当接することが意図されている近位偏向面810を含んでよい。
【0060】
第1の弾性脚81は、ハブ4が注射位置から安全位置に移動しているときにプロテクタ8の遠位移動をブロックするように、固定リング20の遠位側に当接するように構成された遠位当接面812を含んでもよい。
【0061】
第1の弾性体は、プロテクタ8が注射位置にあるときにプロテクタ8の近位移動をブロックするように、例えば、注射装置100の遠位肩部108に当接するように構成された近位当接面814をさらに含んでもよい。
【0062】
第1の弾性脚81は、有利には、それらの自由端に位置してもよいフック形状部分816を含み、前記フック形状部分816は、ハブ4が注射位置に到達する前にスリーブ2の長手方向スロット24と係合するように半径方向内側に延び、前記フック部分816は、ハブ4が注射位置に到達するときに固定リング20に対して近位に配置されるために、前記長手方向スロット24と係合解除する。フック形状部分816の遠位側は、遠位当接面812を画定し得る。フック形状部分816の近位側は、たわみ面810および/または近位当接面814を画定し得る。
【0063】
安全装置1は、ハブ4の近位端、より具体的には、ブロック面460と、第1の弾性脚81の遠位当接面812との間の距離を維持するように構成され得ることに留意されたい。
【0064】
安全装置1は、ハブ4が安全位置に到達した後、ハブ4が近位方向に戻るのを防止するように構成された第2のブロック手段をさらに備える。第2のブロック手段は、ハブ4が安全位置に到達するとすぐに、プロテクタ8および/またはスリーブ2でハブ4をスナップさせるように構成される第2のスナップ手段の形態であってもよい。
【0065】
第2のスナップ手段は、プロテクタ8上に設けられた第2の弾性脚82を備え得る。第2の弾性脚82は、長手方向軸Aに平行に延在してもよい。それらは、ハブ4の近位スロット48と整列してもよい。
【0066】
ハブ4が使用前位置から注射位置に移動されるとき、第2の弾性脚82の自由端は、ハブ4の近位スロット48に係合される。したがって、第2の弾性脚82及び近位スロット48は、ハブ4が安全位置に到達する前に、プロテクタ8に対するハブ4の並進を誘導するための誘導手段として機能し得る。
【0067】
第2の弾性脚82は、ハブ4のブロックリング46の近位側に当接するときに半径方向外向きに変形し、近位スロット48を係合解除し、前記ブロックリング46の後ろを通過するように構成される。
【0068】
第2の弾性脚82は、第2の弾性脚82の半径方向変形を有利にするように、斜めにされてよく、ブロックリング46に当接することが意図されている近位偏向面822を含んでよい。
【0069】
第2の弾性脚82は、ハブ4が安全位置にあるとハブ4の近位移動をブロックするように、ブロックリング46の遠位側に当接するように構成された遠位当接面820を含んでもよい。第2の弾性脚82の遠位当接面は、有利には、ハブ4の押出面410によって押し出される遠位当接面820に対応することに留意されたい。
【0070】
第2の弾性脚82は、有利には、それらの自由端に位置し得るフック形状部分824を含み、前記フック形状部分824は、ハブ4が安全位置に到達する前に、ハブ4の近位スロット48内に半径方向内側に延在し、ハブ4が安全位置に到達するときに、ブロックリング46に対して近位に配置されるために、前記近位スロット48を係合解除する。フック形状部分816の遠位側は、遠位当接面812を画定し得る。フック部分の近位側は、近位偏向面822を画定し得る。
【0071】
第2のスナップ手段は、代替的または補完的に、ハブ4が安全位置に到達するときにハブ4の中間リング41の後ろを通過し得るスリーブ2の長手方向脚22を含んでもよく、半径方向突起220のブロック面224は、中間リング41の近位側に当接し、それによって、ハブ4が安全位置にあるときにハブ4が近位方向に戻されるのを防ぐことができることが企図される。
【0072】
プロテクタ8は、有利には、ハブ4を取り囲み、第1及び第2の弾性脚81、82の両方を支持する支持リング80を備える。より具体的には、第1の弾性脚81は前記支持リング80から近位に延び、一方、第2の弾性脚82は前記支持リング80から遠位に延びる。第1の弾性脚81および第2の弾性脚82は、支持リング80の円周方向にオフセットされ得、それによって支持リング80の円周に沿って交互になる。第1及び第2の弾性脚81、82は、支持リング80に沿って規則的に分布してもよい。
【0073】
図2及び6を参照すると、プロテクタ8は、互いに組み立てられた2つの部品8a、8bで作られてよく、前記部品8a、8bのそれぞれは、前記支持リング80の半円形の半分に対応する。その結果、プロテクタ8の2つの半分は、ハブ4の周りに直接組み立てられ得る。2つの部品8a、8bは同一であってもよい。より具体的には、2つの部品8a、8bは、互いに固定されるようにスナップ手段を備え得る。スナップ手段は、他方の部分に設けられた軸方向リブ86を受け入れるように構成された軸方向スロット84と、前記他方の部分の軸方向スロット84と係合するように構成された軸方向リブ86とを備え得る。プロテクタ8の2つの部品8a、8bは、他方の部分の穴89に入るように構成されたロッド88、および前記他方の部分のロッド88を受け入れるように構成された穴89などの誘導手段をさらに備え得る。誘導手段は、縦軸Aに直交し、前記2つの部品8a、8bの接合線に直交していてもよい。
【0074】
図1及び2を参照すると、本発明はまた、医療製品のためのリザーバを画定するバレル106、リザーバと連通する通路を画定する遠位先端104、および前記医療製品が注射部位に注射されることを可能にするように遠位先端104に固定された針102を含む、予備充填済みまたは予備充填可能なシリンジなどの注射装置100に関する。注射装置100は、上述のように受動安全装置1をさらに備え、前記安全装置1は遠位先端104上に固定される。
【0075】
バレル106は、ハブ4が注射位置に到達するときに第1のブロック手段を受け入れるように意図された溝をスリーブ2と区切る遠位肩部108を画定する。遠位肩部108は、スリーブ2に対するプロテクタ8の近位移動をブロックし得、それによって、ハブ4がプロテクタ8の遠位当接面820によって安全位置にブロックされるときに、スリーブ2に対するハブ4の近位移動を防止し得る。
【0076】
図7A及び
図7Bを参照すると、注射装置100は、安全装置1に取り付けられるように構成されたキャップ110をさらに備え得る。キャップ110は、2つの異なる材料、例えば、ゴムまたはTPEなどの第1の内側材料111及びポリカーボネートなどの第2の外側材料112から作製されてもよい。第1の材料111は柔らかくてもよく、第2の材料112は剛性であってもよい。内側材料111は、キャップ110の外側側壁に1つ以上の把持面114を提供するように、第2の材料112の1つ以上の溝を通って延在してもよい。内側材料111は、キャップが安全装置1上に取り付けられるときに、針によって刺される部分116を有してもよい。この部分116は、第2の材料112で作られ得る内部保護スリーブ118によって囲まれてもよい。キャップ110は、安全装置1を収容するように構成された空洞120を画定する。キャップ110は、キャップ110を遠位方向に引くだけで取り外されるように構成される。
【0077】
本発明の安全装置1及び注射装置100の動作は、
図8~10及び11~13を参照して以下に説明される。
【0078】
ユーザは、まず、遠位方向に長手方向軸Aに沿ってキャップ110を引っ張ることによってキャップ110を取り外すことができる。安全装置1は、
図8および
図11に示されるように、使用前の位置にある。
【0079】
次いで、ユーザは、ハブ4の遠位端を注射部位に適用し、注射装置100を注射部位に押し付けてもよい(
図11)。これにより、ハブ4は、使用前位置から注射位置まで近位にスライドし、針102は注射部位に入る。プロテクタ8の遠位当接面820に当接するハブ4の押出面410により、プロテクタ8は、スリーブ2に対して近位方向にハブ4と共にスライドする。スリーブ2の遠位端は、ハブ4の遠位スロット49内で遠位にスライドする。第1の弾性脚81は、スリーブ2の長手方向スロット24内で近位にスライドする。付勢要素6は、保持要素が近位方向に移動することにより圧縮されるため、エネルギーを蓄積する。
【0080】
ハブ4が注射装置100に到達すると、第1の弾性脚81の自由端は、固定リング2 0の遠位側に当接し、前記固定リング20の後方に移動するように半径方向に変形する。したがって、第1の弾性脚81のフック形状部分814は、固定リング20の近位側とバレル106の遠位肩部108との間でブロックされ、それによってプロテクタ8が遠位方向及び近位方向に移動するのを防ぐ(
図9及び12)。
【0081】
注射が完了すると、ユーザは、注射装置100を注射部位から離すことによって、注射から針102を引き出す。したがって、付勢要素6は、その蓄積されたエネルギーを放出し、それによって、ハブ4を注射位置から遠位方向の安全位置に向かってスリーブ2に対して後方にスライドさせる。しかしながら、プロテクタ8は、固定リング20の当接面202に対してフック形状部分814の遠位当接面812が当接することにより、注射位置に留まる。したがって、第2の弾性脚82は、近位方向に近位スロット48内にスライドする。
【0082】
ハブ4が安全位置に到達すると、第2の弾性脚82の自由端は、ハブ4のブロックリング46の遠位側に当接し、したがって、前記ブロックリング46の後方に移動するように半径方向に変形する。スリーブ2の長手方向脚22の自由端は、前または同時に、中間リング41の遠位側に当接し、前記中間リング41の後方に移動するように半径方向内側に変形し得る。ブロックリング46の近位側が第2の弾性脚82の自由端の遠位当接面820に対して当接すること、及び/または中間リング41の近位側が長手方向脚22の自由端のブロック面224に対して当接することにより、ハブ4が近位方向に戻ることが防止される。したがって、安全位置にあるハブ4は、針102を保護し、針刺しの傷害を回避する。
【0083】
本発明はまた、上記注射装置100を製造するための方法に関し、この方法は:
(i) 前記針を前記注射装置100の遠位先端104上に固定するステップと、
(ii) 前記付勢要素6を前記スリーブ2に配置するステップと、
(iii) 付勢要素6の作用に対してハブ4をスリーブ2上に配置するステップと、
(iv) プロテクタ8をハブ4及びスリーブ2上に配置するステップと、
を含む。
【0084】
工程(ii)及び(iii)は、同時に行われてもよい。
【0085】
ステップ(iii)は、スリーブ2の脚部の遠位端がハブ4の中間リング41の遠位側に当接するまで、付勢要素6の予荷重をかけることを含んでよい。
【0086】
ステップ(iv)は、ハブ4およびスリーブ2の周りに2つの部分プロテクタ8を直接組み立てるステップを含んでもよい。ハブ4およびスリーブ2の周りに2つの部分のプロテクタ8を直接組み立てることによって、この組み立ての結果、プロテクタ8が組み立てられ、ハブ4およびスリーブ2上にすぐに使用できる状態で配置されることを理解されたい。このステップは、プロテクタ8の2つの半分の上述のスナップ及び/または誘導手段によって実行され得る。
【国際調査報告】